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1954-02-18 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十八日(木曜日)    午後二時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            小林 政夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            平林 太一君   政府委員    法務省民事局長 村上 朝一君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵大臣官房長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    法務省刑事局総    務課長     津田  実君    国税庁調査査察    部長      忠  佐市君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税、金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (金融問題に関する件)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第七回の大蔵委員会を開会いたします。  本日は、河野大蔵省銀行局長村上法務省民事局長竹村徴収部長忠国税庁調査部長が出席いたしております。金融問題、なかんずく臨時金融に関する件を議題といたしまして質疑を行います。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 前回のときに、今度の取締法案について大体まあ本日ぐらいまでには公表ができるというようなことでありましたが、一応その投資機関に対する取締法案及び証券法の一部改正、この臨時金融機関に対する取締法案内容について説明を願いたいと思います。
  4. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今、小林さんの御要求の法案の問題でありますが、実はまだ最終的な結論に到達いたしておりません。目下、法制局法務省国警その他とまだ若干の点で意見一致をみておらんのでありまして、未定稿ということでお聞きとり願いたいと思います。従つてその通りになるかどうか、まだ若干の点で疑問がございますので、それをお含みを願いたいと思います。  今お話のように、近く御提案申上げたいと思つております法案は二本の法律になる予定であります。一つ証券取引法の一部を改正する法律案という形になります。もう一つは、これはまだ題名がはつきりきまつておりませんが、不特定多数の者からの出資受入れの制限並びに預り金禁止等に関する法律ということになるかと思いますが、まだ実は、はつきりいたしておらんような次第であります。  先ず証券取引法の一部改正法律のほうから御説明申上げますが、詳細は関係担当課長が参つておりますので、後ほど又御質問によつてお答えいたすことにいたします。  第一は、非常に複雑な条文になつておりますから読んでみます。「一定価格による」……これは見出しになつております、「一定価格による買戻等の表示禁止」、つまり証券一定価格で買戻すということを表示してはいけないという条文でございます。「何人も、特別の法律により設立された法人の発行する出資証券株券証券投資信託受益証券元本補てん契約の存しない貸付信託受益証券等募集又は不特定且つ多数の者に対する売付(以下売付という。)」ということになつておりますが、「を容易ならしめるため、不特定且つ多数の者に対し、これらの者が当該有価証券を取得した後において、自己又は他人一定価格若しくは一定の額以上の価格によりこれを買い付ける旨又は一定価格若しくは一定の額以上の価格によりこれを売り付けることをあつ旋する旨の表示をし、又はこれらの表示と誤認させる虞のある表示をすることを禁止するものとする。」と、非常にややこしい書き方になつておりますが、株券とか出資証券、そういつたものを発行する、又は募集し或いはこれを売付けるというようなことをやる者が、これらの証券に対して、後日一定価格、つまり、例えば額面金額或いは額面金額以上の価格で以て、これを買戻します、或いは買戻すことを斡旋いたしますというようなことを表示する、或いはそういつたことを誤解させるような言い方で以て表示をいたすというようなことは、本来出資であるべきものの本質と相反するような属性を与えることを以て一般の大衆を誤認せしめる、それによつて出資を集める誘因といたすということは、非常に社会に対して悪い影響を及ぼすというので、これを禁止するというのが第一点であります。  第二点は、これは見出しは、「一定利益配当等表示禁止」と、こういうことであります。これも条文ちよつと読んでみますが、「特別の法律により、」ここは先ほど申上げたと同じでありますが、要するに出資証券とか、株券とか、証券投資信託とか、そういつたものの受益証券発行者又は売付けをいたす者、これらの者は、「この有価証券募集とか売付けを容易ならしめるために、不特定多数の者に対して、この有価証券につき将来一定期間ごと一定の額又は一定の額以上の利益剰余金又は、収益名称のいかんにかかわらず、これらと同様の経済的性質を有するものを含む」ということになつておりますが、「これらの利益とか或いは剰余金収益配当又は分配が行われる旨の表示を行い、又はこれらの表示と誤認させる虞れのある表示をすることを禁ず。」但し、「これらの表示内容予想に基くものである旨を併せて明示する場合はこれを除く。」例えば、或る株式募集いたします場合に、この株をお持ちになれば三カ月ごとに年にして二割の配当をいたします、或いは二割以上の配当をいたします、又一カ月ごとに五分の配当をいたしますといつたような……年ではございません、五分、つまり百分の五に相当する金額配当をいたします、こういつたようなことを約束するような表示をする、それによつて非常に相手方に誤解を起させるようなことで、社会に害毒を流す虞れがあるから、これを禁止する。但し、この但書がついておりますように、あらゆる場合に、将来のその株式等が発行された場合に、その会社利益から見てこの程度配当ができるといつたようなことがあり得ると思うのです。例えば、或る一般会社増資をいたす、増資株主総会において、恐らくその会社経理者は、その増資の暁においては恐らく年一割なら一割程度配当はできるであろうといつたようなことを、恐らく表示をいたすと思うのです。そういつたふうなことまでもこれを禁止するということは、正常な取引却つて阻害するということがありますので、今申上げましたような但書で、それらの表示を、表示内容予想に基くものであるということをはつきり併せて表示をするということにいたしました場合には、これは禁止をするまでのことはあるまいというようなことで、但書をつけたのであります。尤もこの認定はなかなか具体的にはむずかしい問題と思いますが、これらの点につきましては十分解釈においてはつきりした限界を確定して参ることが必要だろうと、かように考えている次第であります。  それからもう一つ法律は、これはいろいろな問題が実は雑多に織り込まれて一本の法律になつているのであります。この幾つかの問題をここで申上げますが、第一は出資受入制限、これはどういうふうな規定になりますかと申しますと、「何人も不特定多数の者に対し、後日出資金全額若くは全額以上の金額を返還すべき旨を明示し、若くは暗黙のうちにこれを示し、又は後日出資金全額若くは全額以上の金額の返還がある旨の誤解を生じさせるような仕方を用いて出資受入をしてはならない。」先ほど申上げました証券取引法の一部改正をいたします法案の、いわゆる株券等、いわゆる有価証券についていろいろの誤解を起すような表示禁止いたしますのと関連のあることでありますが、こちらに言つておりますのは、有価証券としての形をとつていない、普通の流通性を持つておらない出資対象といたしております。いわゆる元本を補填いたします、或いは元本以上のものを返すということを約束して言つておりますような疑いを持たせる表示をいたしておりますのは、これは社会に悪い影響を及ぼすから禁止するということが、第一の点あります。  それから第二は、預り金禁止であります。これは業として預り金をするにつきまして、「他の法律に特別の規定のあるものを除くほか、何人も業として預り金をしてはならない。」これは、業として預り金をするについて他の法律に特別の規定のあるものというのは、例えば銀行法相互銀行法貯蓄銀行法或いは信用金庫法とか、それらの正規の金融機関として規定いたしておりますものは預り金を業とすることを認められておりますが、そういう特別の規定がない場合におきましては、何人も業として預り金をしてはならない。こういうことを先ず第一に規定いたしております。  その預り金というのはどういうものかという点につきましては、大体現行の貸金業等取締に関する法律というのがございますが、この第七条に規定いたしておりますものと大体同じような規定であります。具体的に申上げますと、今申上げた預り金とは不特定多数の者からの金銭受入で、預金貯金定期積金借入金その他何らの名義を以てするを問わず、これらと同様の経済的性質を有するものをいい、商法規定により発行される社債及び特別の法律規定により法人の発行する債券による金銭受入で、法定の限度を超えないものは除く。預金或いは貯金或いは借入金といつたような、どんな名称をも問わず、不特定多数の者から貸借の形で資金受入れる。そういつたものがすべて預り金としてこれを抑えている。但し社債等商法規定によつて発行されておりますものは、これは性質借入金ということになるのでありましようが、これはもう商法規定によつて適法に発行されておりますわけでありますから、これは預り金対象とする必要はないということで、預り金対象から除いております。  その次は、「大蔵大臣は、業として預り金をしている者があると認めるときは、その者の検査をする。」検査の結果、違反行為がある、今申上げたような預り金をしているという違反行為があると認められた場合におきましては、その行為者に対して当該行為の停止を勧告することができる。やはりこの預り金ということは一種金融行為でありますから、金融行政を、担当しております大蔵省において、これらの法律違反する行為があるという疑いがある場合におきましては、これを検査をして、やはり違反行為をやめさして行くという行政上の態度をなすべきではないか、こういうのが政府部内における一致意見でありますので、今申上げましたように疑いのあるものについては検査をし得るということにいたしたいと考えておるのであります。  それからもう一つ、その預り金禁止条文等関連いたしまして、社債募集制限についての一つの法文を入れたいと考えております。その趣旨は「金銭貸付を行うことを営業とする会社は、その業を行うにつき、法律に特別の定のある者を除き、商法規定する自己会社社債募集してはならない。」具体的に申上げますと、金銭貸付を行うことを営業とする会社であります。例えば貸金業者等株式会社組織貸金業を営んでおります場合において、それが預り金をしてはならんことはこれは当然であるが、預り金に代つて社債という形で貸付をいたしますための資金を集めるということが行われておるのであります。これが現在までの状況では相当弊害を起す虞れがありますので、貸金業を営んでおるものに限つて、その株式会社については社債を発行し、社債によつて自己資金を調達することを禁ずるということを、この際はつきり立法してはどうかというのが、現在までの私どもの考えであります。  それから次は貸金業等廃止及び浮貸等禁止ということであります。貸金業等取締に関する法律というのが現在ありますが、この法律は数年前に御承知のような経過でできたのでありますが、この法律内容は大体大まかに申上げますと、一つ貸金業について届出制度をとつておるのが一つ。それから貸金業者預り金をしてはならない。自己資本貸金業をやるならいいが、他人資本から、要するに借入金とか、実態は、名目は如何なるものであれ、実態預金ということをしてはならない、預金を取つてはならないというのが第二点。それから実態的には弱者の保護に欠けるような反社会的な行為をとることはこれを取締つて参らなければならない、こういうのが第三点。大体そういつたことを中心にした取締法であります。この届出制が作られました理由は、恐らくその当時は、これは届出制度によつてこれらの貸金業実態を把握することによつて、いろいろ違反行為等取締る便宜にいたしたいということがこの立法の理由であつたかと私は考えておるのでありますが、その後におきまして、却つてこれが逆に利用されておる点がある。例えば届出制でありますのを、大蔵省公認でありますとか或いは大蔵省の認可を得ているといつたような印象を与えることによつて公衆に非常に信頼をさせる、その実、実際は私どもただ単なる届出の受理しかいたしておらんにもかかわらず、何か大蔵省公認をしておるような印象を与えるということによつて却つて社会公衆に悪い影響を及ぼしておるという事例が、非常に顕著に認められましたので、この際、そういつた届出制ということを中心とする貸金業等取締法律廃止いたしたいというのがその次の点であります。  これに関連して、現在貸金業等取締に関する法律の中に規定されておるいわゆる金融機関浮貸をいたしますことを禁止する規定がありますが、この規定はやはり存置をいたすことが必要であろうというので、貸金業取締法廃止に伴いまして、その条文をそのまま生かしてこの新らしい法律の中に取入れて参ります。  それからその次は高金利の処罰に関する規定であります。これは金銭貸付を行う者が、金銭貸付利息について、日歩三十銭の限度を超える契約をし又はその限度を越える利息を受領したときは、相当重い制裁を、刑事罰を加えることによつてこれを禁止するようにいたして参りたい、かように考えておるのであります。この点は、ただ、まだ各方面意見の完全な一致を見ておりません。例えば日歩三十銭ということでシーリングを引くことが一体いいか悪いか。現在は御案内のように、これは事実上指導金利として、貸金業者に対しては大体日歩五十銭を超えるとこれは暴利だということで、大体シーリングを引いて指導をいたしているわけでありますが、これを直ちに三十銭まで下げて而も相当重い罰則を以てこれに臨むということがいいか悪いかという点については、まだ若干政府部内意見がございますので、現在この調整を図つている最中であります。殊にこの問題に関連いたしましては、いわゆる質屋業等におきましては、現在非常に短期の金融をいたしておりますが、これらの場合に、今一律日歩三十銭ということをそのまま文字通り適用して一体実情に合うか合わないかという点も現在問題になつております。この両三日うちには最後の結論に到達するように今努力をいたしておりますが、若干それらの点についてはまだ固まつていない点があることを御了承願います。  その次は媒介手数料制限でありますが、これは金銭貸付の配分の制限と当然関連をいたして来る問題でありますが、金銭貸借媒介いたします場合においては、その媒介にかかわる金額に対して五分、百分の五に相当する手数料以上のものを取つてはならないということにいたしまして、これに対するやはり罰則を設けたいと考えております。  大体以上が新しい法案として考えておりますものの内容でありまして、今御説明申上げましたように、非常に雑多な問題を一つ法律にまとめたということに相成つております。この法律は従いまして法務省大蔵省との共管ということに相成る予定であります。  それから、これは当然に関連いたして参りますが、現在の銀行法とか貯蓄銀行法等預金の無免許金融に対する罰則が実は五千円という非常に低いものになつておりますので、預り金禁止をこの法案で以ていたしまして、それに対して相当重い、具体的に申上げますと三年以下の懲役若くは三十万円以下の罰金というようなことを大体考えておるのでありますが、それに銀行法違反は僅かに五千円の罰金ということで、非常にそこがバランスがとれておりませんので、この機会に銀行法その他の金融法規罰則を同じ程度に上げて参りたいということを併せて行いたいと考えております。  非常にいろいろな問題の条文が入つているので、おわかりにくかつたかと思いますが、なお御質問によりまして詳細御答弁申上げます。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 先ず今の説明を受けた中で伺いたいのは、媒介手数料、これは聞くところによると、株主相互金融あたり約束したまあ株を持てば、その株、出資額保有証券額の何倍か、三倍とか五倍とか……、その必要がないものがあつたときに、その権利を放棄してそして誰かに譲る、それが権利料として、借入れができるという権利を……、まあ私が権利を持つており、河野さんにその権利を売るという権利譲り料として何ぼか取るというような場合はどうなりますか。借入れすることのできる権利を譲渡する、その譲渡の代金をもらうということ……。
  6. 河野通一

    政府委員河野通一君) 或いはこれは法務省のほうからお聞き願つたほうがいいかと思いますが、その場合には貸借媒介になりますかどうですか、恐らく媒介手数料じやないのじやないかと思いますが……。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 それは何で取締るのか、若し取締規則を作るとすれば……。
  8. 河野通一

    政府委員河野通一君) ちよつと法務省刑事局のほうから御答弁願います。
  9. 津田実

    説明員津田実君) その点でございますが、今度証券取引法によりまして、株を譲り渡すというような場合に、その額以上について金を将来出すことを約束するというような形は禁ずることになると思われるのでございますが、その方面で一応の手当はできると思うのでありますが、金を借りられる地位というのは、結局株主になるということではないかと思われるのでございますが、その辺、若し地位だけということになりますと、どういうことになりますか、地位だけの売買ということになれば、必ずしも取締りの対象にはむずかしいのではないかというふうに考えております。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの利益配当を確保するということは禁止されるのですね。その株を持つたことによつて何倍か借りられるということも禁止されるのですか。今読み上げられた証券取引法の一部改正条文で……。今、刑事局総務課長がおつしやつた、株を持つたことによつて当然まあ一万円持てば三万円貸しますと、こういう約束は、今度の取締法規によつてできなくなると、従つてそういう株を持つたことによつて金を借入れるという権利というものは発生しなくなりませんか。株主なるが故に借りられるという地位自体は残るかも知れんという答弁だつたから、先ほどあなたの内容説明されたもので、株を持てば……出資でもよいが、その出資額の何倍かは必ず貸しますという約束をしてはいけない、約束をすることはできないというのは、どういうことで禁止されるかというのです。
  11. 津田実

    説明員津田実君) 只今の点でございますと、証券取引法の点にはその禁止は入つておりませんのです。先ほど申上げたのはちよつと間違つてつたかと思います。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、大体今の株主相互金融というのはそういう約束をしておるのでしようから、それは今度の取締法ではとめられないというのですね。
  13. 津田実

    説明員津田実君) 株主相互金融は、金融を受けないものについて優待金を出すということがなければ、常に借受ける人ばかりであれば、三倍貸すとか二倍貸すとかいうことであれば、成立たないことになります。そこで、株主になりながら融資を受けないものについては優待金その他の利益を与えるということになるわけでございます。それを与えるということをあらかじめ示して株の売出し或いは募集をしてはいけないということは、証券取引法でとめるという考え方をとつておりますが、従つて将来に向つては少くとも優待金融のうま味というものはなくなるということから、結局次第に細らざるを得ないという結果になると思うのであります。といいますのは、新規の企業としては成立たないということになるというふうに考えております。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 それはあなた方は、法務省の立場としては、一応出て来たところを押えるということであれば、今発生しておることしか考えられないかも知れんけれども、我々から知慧を絞れば、そういうことはできるのですよ。株を持つたら三倍融資しますと、こういう約束をして、事実借りる必要のないものがあるわけでしようから、そういうものには、今度は優待金は出さないが、その三倍借入れられる権利というものを欲しい人に優待金に相当する金額で売つてやると、こういうことで、実質上優待金と同じ経済効果をその株主に与えるという知慧が出て来るのですよ。それは一体どうして取締り得るかと、こういうのです。もうすでにそういう連中が言うておりますよ。
  15. 森下政一

    森下政一君 小林さんの質問関連して……。私、途中から入つて来ましたので、銀行局長の恐らく近く提案する法律案に対する御説明つたと思うのですが、今度非常に長い間かかつて河野局長としては、まあ非公式に、個人的には法務省に何回も申入れをされた、いろいろ法務省との間に意見の食い違いはあつたけれども、漸く法律案が出る、その出るものに我々の期待しておつたことは、現に株主相互金融なんというものは、数は一千社以上あるのだそうですが、本当にどうにか収支償うておるというのは三社くらいだと巷間伝えられておる。いわゆる千三つですね。ほかの大部分というものは、好いかげんなものだ。と、やはり株を買うというのか、投資するというのか、月賦でだんだん払込みをしておるというようなものが、保全経済会の二の舞を踏んで、やがては非常な迷惑をかけるときが来るのではないかということを我々は恐れるので、今度の法律ができたら、ああいうものは一切禁止されてしまうのだということを我々は期待しておつたのだが、そうではないのですか。だんだん細くなつて営業が成り立たないであろうということを期待するくらいの法律なんですか。
  16. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今の小林さんの御質問の点は、そこまで具体的にまだ実は検討が進んでおりませんので、少し検討させて頂いてお答え申上げることにさして頂きたいと思います。  それから森下さんの御質問でありますが、これはたびたび私から申上げておると思うのでありますが、私どもこれは大蔵省だけではなしに、法務省も含めて、大体の見解といたしましては、貸金業というものは、これは本来自由営業であると、これは誰にも迷惑をかけない筋合のものであるべきはずのものなんです。自分の金で貸金業を営んでおる限りにおいては……。それが弱者に対して非常に暴利を取る、反社会的な暴利を取るといつたようなことさえ自分で抑え、法令に違反するようなこと、例えば預金を取つてはいけないということに違反して預金を取るといつたようなことさえなければ、本来貸金業というものは自由営業で構わないというのが、私どもの基本的な考え方であります。その際に、只今お話のありましたような、株を募集するという形におきましても、それが詐欺そのものでありませんけれども一種詐欺に近い、つまり本質と違つたようなことを宣伝して出資者募集するということによつて出資に応じた人がそういうつもりではなかつたといつたようなことになつては、これは非常に害がある。従つてそういう点だけをその出資者出資をいたしますに当つて誤解を起さない、誤解を起させるというようなことを禁止するという点だけで、これらの問題に対する対策としては十分である。かようことが私ども考え方であります。従いまして、自己資金貸金業者が、株式会社であろうと、個人営業であろうと、自分の金で、正当に集めた自分の金で貸金業をやる限りにおいては、その限りにおいては、これを全部禁止する、徹頭徹尾禁止をいたして行くという必要は毛頭ないという考え方に立つておるのであります。その中で、今申上げたような弊害のあるもの、つまり経済の実態或いは公衆でそういう事情に余り詳しくない方々が、つい誇大宣伝とかそういつたことにひつかかつて不測の損害を受けるといつたことさえ禁止し、これを抑えて行くならば、それ以上に進んで株式会社組織である貸金業者を全部禁止するといつたところまで行く必要はないと、かように考えておるのであります。
  17. 森下政一

    森下政一君 私はその点は、小林さんの言われる通りに、法務省なり大蔵省の今出て来たものに対する対策ということよりは、業者のほうにして見たら、利害関係、自己の経済的な成立を左右する大きな問題なんだから、遥かに私は智恵はだんだん先走つて来るのじやないかということを懸念するのです。どんなことがあるのか言うて見ろと言つても、私は今こうだとは言えないが、それなら更にお伺いして行きますが、千葉私案とか、株主相互金融を合法化するというような案が衆議院の大蔵委員長によつて立案されて、大蔵委員会が公式か非公式かこれを討議した、研究したというようなことがあつたらしいのですが、若しあつたとしたら、その内容と、今度あなた方がお考えになることと、何か著るしく異つていることがありますかどうか、これを参考のために伺いたい。
  18. 河野通一

    政府委員河野通一君) いわゆる千葉私案と言われておりますものは、私、公式には実は提示を受けておりませんが、非公式にそう言われておりますものの法案内容は一応拝見させて頂いております。これも大体私の御説明申上げましたところと大同小異であろうと思います。  ただ違います点は、例えば出資制限等におきましても、千葉私案におきましては、たしか不特定多数の者からの出資受入れは、株式会社組織、そういつた特に商法が積極的に認めておるもの以外の形で以て不特定多数の者から出資を集めてはいかんという、非常にもつときついと申しますか、そういう案であつたかと私は記憶いたしております。  そのほかにつきましては大体同じような考え方であります。一番大きな相違は次に申上げます点でありますが、その他の点については大体私が申上げましたような点とそう変りないように思います。一番大きい点は、今度の私どもの考えでは、いわゆる貸金業者株式会社組織によつて行われておる貸金業者等につきましては、その制度を特に許可制にするとか、そういつたふうなことは何ら考えていない。むしろ更に逆の意味において、現在届出制になつておりましたものを届出制をやめようというふうな方向に私どもは来ておる。ただその株式会社組織によつて貸金業を営みます者が、その出資を集めます場合に、相手に対して非常に誤解を起させるといつたようなことによつて社会に害毒を流す虞れのあります場合に、それを制限する、禁止をして行くということで行こうというだけのことであります。これに対していわゆる千葉私案と言われておりますものは、株式会社組織によつて行われております貸金業者に対して、これを許可制にしよう、許可制にして、その許可をされたものについては政府は十分なる監督をして行く、そうしてこれらのものが或る一定限度においては、借入金という言葉も使われておりますが、要するに一種預金を集め得るというようなことによつて一種の小型の金融機関、受信業務を行うことのできる金融機関という形に格上げをしたい、言葉は非常に悪いのでありますが、格上げをしたいというようなことであります。例えばそれに対して資本金は最低幾らなければいかんとか、営業区域は数県にまたがつてはいかん、一つの県の中に限らなければならんとか、そういつたいろいろの制限はくつ付くようでありますが、要するに或る一定限度内において実質上預金とも言うべきものを扱えるようにし、且つこれを許可制にして監督を厳重にして行こう、こういうのが、千葉私案と私どもの今考えて御提案申上げたいと思います法案との一番大きな差異であります。かように考えております。
  19. 森下政一

    森下政一君 率直に申しまして、私の期待とはまるで違う法律が出るということなんですが、よく研究さしてもらいたいと思いますけれども、ただもう一点言つておきたいのは、若し御用意なさつておる法律が通つたらば、これは株主相互金融の各社については合法化達成で万々才だということになるのだと私は思うのです。現段階において株主相互金融というものは害毒を流しておらないんでしようか、どうでしようか。勿論、大蔵省は、非常に数が多くて、一々そんなものは監督はできないというようなお話も承わつておりますが、実情は大体どうなんでしよう。誰も迷惑を蒙むつておらんと解釈していいでしようか。
  20. 河野通一

    政府委員河野通一君) 或いは法務省のほうからお答え願つたほうがいいかと思いますが、私は、この数年来いわゆる株主相互金融の形で行われております貸金業者が、殊に去年の後半以降におきましては相当休業をした、或いは支払いをとめておるというようなものが出て参りまして、これらがその出資者たる加入者に対して相当な迷惑を及ぼしておることは事実であろうと思います。その限りにおきましては、これは株主相互金融の形態において行われておりまする業態が多数の出資者に対して迷惑を及ぼしておるものがあるということは認めざるを得ないと思います。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 私はさつき質問する前に断わつたように、一応今銀行局長から、今度出そうとしておる、簡単に言えば取締法案についての説明があつたので、一応、銀行局がというか、政府が予定しておる取締法案内容を先ず固めて、それを明らかにして、それから今のような、森田委員のような大きな大局からの論議に進みたいと考えておりますが、議事の進行についてそういうふうにお取計らいになることを希望します。
  22. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 小林委員に申上げておきますが、銀行局長説明によつても案がまだ余り固まつていないようですから、余り細部に入つての検討はこの際少し後日に譲つて大局的な御説明を先に頂いたらと考えますが、どうでしよう。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 只今承わつた点では、かねて銀行局長からいろいろこの委員会において言われておる、或いは政府部内意見がまとまらないということは、法務省関係において契約自由の原則に抵触するというような点から、なかなか銀行局としては、なんとか少くとも今言われたような構想の取締法規を作りたいと思つておるのだけれども、その点においては意見一致しないのだ、こういう説明がありましたが、私は余談になるけれども委員会議録を繰つて見たところが、当委員会においては、まだ先があるかも知れないが、私が調べた範囲では、二十七年の二月七日から問題にしている。そういうようなときから問題にしておるにかかわらず、そういうようなことで、何とか今のうちに考えます、相談して考えますということで、今日まで遷延された。而もまだ、今日でもまだ細目については案がまとまつてない、こういう状態なんです。一体どこが、今あの構想においてどこが問題なのか。私契約自由の原則などと、法務省側ではどういう点を問題にされるのか、その点を法務省のほうから聞きたい。
  24. 津田実

    説明員津田実君) 只今銀行局長から申上げたような次第でありますが、一番問題になつておりますのは、現在として残つておると考えられまする問題は、やはり高金利の限度をどの点に持つて行くかという点と、それから私契約の従来の慣行を如何にするかという点が大体問題になつておる主なる点でございまして、あとは表現の問題というような点は若干あるわけでございます。大体、案は殆んど固まつております。本日法制局と審議もしております。ただ併しながらこの際申上げなければならないのは、かような法律は、非常に、一面申せば、一般的な取引の自由と申しますか、そういうものを制限する面も出て参るのであります。而も罰則を以て臨まなければ励行できないという点もありますわけでありまして、もうあらゆる事柄全部罰則にかけるというふうに持つて行くことは非常に窮屈になりますわけであります。非常に取引の自由、或いは一般の私法、民法、或いは商法の原則とマツチさせながら、而も不都合なものを取締るという法規を作ることは、実際問題として技術上非常に困難を感じております。私どもの力の至らない点も無論あるわけでございますけれども、非常に時間がかかるのはその点の問題でありまして、取締り一方に傾けば非常に簡単にできるという面もありますが、一面そのために自由な正当な業務或いは営業というものが制限されては困るという点も考えなければならん。その点が非常に今日まで遅れた主なる理由だというふうに考えております。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 現在においては、今の金利の問題とか何とかという問題で話が余り拡大してないということですが、併し先ほど森下委員からも言われた大体今までの匿名組合方式による保全経済会のような、或いは株主相互金融とか、こういうようなものについて、これは私契約自由だといつても、日本の金融政策的に考えて、或いは経済政策的に考えて好ましくない形態であるという、好ましくない形態ということについても議論があるかも知れませんが、金融眼的なセンスを以て見れば、これは大衆が非常に過ちを犯すであろうということが予見されることについて、その予防線を張る、こういうことは当然のことであつて、そこにいろいろ立法技術上むずかしい点があるかも知れませんが、今日までこんなに時間をかけなければこんなものが立案できないほどむずかしいのじやないのじやないか。これほど輿論がやかましくなつて来て初めてあなた方は何とか相談をされて、これだけのものでも出すようになつた。そういう点はどうなんでしよう。どうも私はどつちに熱意がなかつたのか知りませんが、知らないじやない、銀行局のほうの見解を聞くと、大蔵省側はいろいろ熱心にやろうとしておつたけれども、どうも法務省が今の御説明のような私契約自由の原則云々のようなことで、立法技術上むずかしいということで、なかなか相談に乗つてもらえない、こういうことなんです。私はそんなむずかしい問題じやないと思う。
  26. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私ちよつとこの間の経緯を参考までに申上げておきます。去年の確か六月でありましたか、この問題が衆議院の大蔵委員会で非常に論議されたのであります。その際、私が、今でも速記を見ればわかることでありますが、六月中頃だつたと思いますが、匿名組合方式で以て不特定多数の人から出資を集めるというようなことを放つて置くからこういうことになるのだ、従つてそれに対して何らか取締りをやるべきではなかろうかという御意見が衆議院の大蔵委員会の一部の委員のかたから出ております。それに対して、私は個人の考えとして、解釈論としては今どうにもなりません。ただ立法論としては、或いはこれらの点について、そういつたことについて、何か取締るというようなことが考えられんこともないのじやないかということを申しました。但しこれは法務省のほうの所管でありますから、よくそちらから伺つてもらいたい、こういうことを申上げたのは事実でございます。その後、法務省の担当のかたが大蔵委員会に出られていろいろ見解を述べられたようでありますが、そのとき、私あとで聞きましたのでありますが、質問されたかたの、質問の仕方は、商法の匿名組合に関する規定を直して、例えば三十人四十人以上の出資者を匿名組合の形で出資を集めることを禁止する、例えば三十人、四十人という言葉を使つてあるかどうか知りませんが、そういうようなことはできないかという御質問があつたと思います。それに対して法務省当局から、私はつきり覚えておりませんが、三十人、四十人という、例えば三十人ということにしたら四十人はどうしていけないかというような問題もあるし、人数で制限することはなかなかむずかしい。特に商法規定が、匿名組合の規定というものは、これは任意規定であるから、一つの基準を与えている基準であるから、これを直すということは余り意味をなさないということで、今提案されておるような匿名組合の出資を抑えるという提案については賛成し難いという、こういう御答弁があつたように私は記憶をいたしております。  その後、私、これは間接に聞いておるのでありますが、衆議院の大蔵委員会の一部の議員の方々が、今私が御説明申上げましたような配意に基く一つ取締法というものを議員立法で立案いたしたいというような動きが確かにあつたように私は聞いておるのであります。その際、極く私は個人的な、私個人としての意見を聞かれたこともございます。それに対して私としても考えておることを申上げたこともありますが、そういうふうな関係で、法務省当局とされましても、恐らくそういう形で、議員立法という形でこれらの問題が提案せられ、又制定せられるのではないかという一つの動きが、確か六月か七月にかけてだつたと思いますがあつたことは事実でございますので、これは法務当局も御承知のことだと思います。従つてそういつた方向でこの法律が制定せられるということであれば、その上で又考えても、政府として又考えるべきことがあれば考えてもいいといつたような点もあつたんじやないか。従つて法務省当局としての御意見は十分法務省当局から伺つて頂きたいと思いますが、私の申上げた、先般の本委員会で申上げたところは、衆議院の大蔵委員会において、今の匿名組合形式による出資者制限する、こういつたことに対する立法については、どうも商法を直して行くということについて消極的であつたということは、私、聞いておる。こういうことを申上げた次第であります。  なお私どものいわゆる個人的な考え方としてのこれらの問題につきましては、法務省当局には数次に亙つて御連絡は申上げておりましたことは先般申上げた通りであります。
  27. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 法務省側の御答弁を願います。
  28. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) この保全経済会の問題につきまして、私、昨年の一月頃でございましたか、大分、商法上匿名組合というべきかどうかという点について大蔵省のかたから御相談を受けたことがございます。その当時、営業案内とか或いは出資申込書、出資証書というようなものを拝見しまして検討いたしましたのでありますが、匿名組合と申しますのは、当事者の一方即ち匿名組合員が相手方のために出資をして、その営業から生ずる利益を分配することを契約するものであります。出資対象となります事業は、法律的には、営業者が、つまり保全経済会が仮に匿名組合だといたしますと、保全経済会と称する伊藤斗福が或る事業の主体となり、それに出資をする者があるわけでありますが、経済的に見ますと、この匿名組合員という即ち出資者営業者との間の関係は、その事業を共同して営む共同事業であるということが、この匿名組合契約本質的な一つの要素であります。従いまして、又営業者は、営業年度ごとに損益を計算して、利益があればこれを匿名組合員に分配するということが匿名組合の本質となつているのであります。従いまして、若し営業者と各出資者との間に経済的に共同事業と認むるべき実体がなく、又営業者が営業年度ごと営業から生ずる利益を分配するという観念がないとすれば、これは商法にいう匿名組合ではないということになるわけであります。当時拝見しました資料から判断いたしまして、保全経済会出資者との間の契約関係は商法の匿名組合ではないというふうに考えまして、さような意見を述べたことがあるのであります。その点について私の意見はその後も変つておりません。そこで時期は或いは銀行局長の言われた時期であつたかどうか記憶いたしませんが、一部に、商法の匿名組合の規定が不備があるために保全経済会のようなものが跋扈するのじやないか、商法規定改正の必要があるのじやないかという意見があることは承知しておるのでありますが、私どもとしましては、現に問題となつております保全経済会等の状態は商法の匿名組合と見るべきでないというふうに考えられますのみならず、仮に匿名組合という名義を用いて、不特定多数人から金を集めるという行為だけを禁止いたしましても、ほかの名義を用いてやはり同様のことをすれば、大衆に被害を及ぼし、社会に害毒を流すのでありますから、もつと包括的な立法が必要じやないかという意見を述べたことがあるのであります。その後、法務省刑事局大蔵省銀行局との間でいろいろ検討されました結果、先ほど銀行局長が述べられたような案が出て来たように承知しておるのであります。決して契約自由の原則を楯にとつて法務省が消極的であつたというわけではないのであります。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 それは重大ですよ。あなた方の説明を聞いていると、国会の意図しておるところの末に囚われて、例えば衆議院で先ほどおつしやつたような質疑があつたとしても、何も匿名組合員の人数を二十人、三十人ということが目的でない。今のここに法案が出ておるような不特定多数の人の受信行為というものについて、弊害が起るからとめよう、こういうのが趣旨なので、それを立法的にどう解決して法案化するかという、こういうことが問題なのでありますから、あれが匿名組合に該当するかしないかというようなことは問題がないので、むしろ我々の立場から言うならば、ああいうふうなことで金を集めて、そうして危なつかしい投資をするとか或いは貸付等をやることが問題なので、類似金融機関的なことをやる、或いは何らの確固たる事業基礎がなくして非常な金を集めて、大衆を惑わして不健全な投資をする、こういうことが問題なので、そういう弊害を、目に余るものがあるから、何とか今のうちに片付けたい、こういうのが我々の念願なんです。そこをそんな狙いの末に捉われて、こういう案はどうですと言つて議員から出した、或いはちよつと考えたというようなことで、それは駄目だというのは駄目なので、その本来の趣旨を抹殺するようなことがおかしいので、我々はそういう意味で言つておるわけです。而も銀行局長のさつきの説明は、衆議院のほうで議員立法をやるような動きがあつたから政府は手控えたと言うが、そんな馬鹿なことがあるか。或いは衆議院は衆議院でそうであつたかも知れない。参議院は前から言つておる。衆議院のほうで今議員立法の動きがあるから私たちはちよつと考えておりますというような答弁は一遍もない。如何にもやる気になつてやればこういう法案が練れる。我々のほうとしても、考えておれば、それほどまで考えておるならば、君らのほうで議員立法をすればいいじやないかという反論を受けるかも知れないけれども質問すれば、何とか考えよう、政府部内で多少意見が折合わない、こういうような答弁で、我々提案されることを期待して、而もこれは相当執行面において問題があるので、やはり執行を担当するあなた方がいい智恵を出したほうがいいと、こういう考えで、法案の出ることを期待しておつたのであるけれども、今のようなことではとても遅れた理由にはなりませんよ。
  30. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 匿名組合であるかどうかという点について申上げましたのは、只今大蔵省銀行局長からの御説明の中に、商法の匿名組合の規定改正云々という点に触れておりましたので、この点についての経過を一言申上げただけであります。私ども無論、不特定多数人からの受信業務、これを正規の銀行或いはその他、国の監督を受けないものが業としてやることについては取締の必要があるということは、最初から考えております。所管の法務省刑事局大蔵省銀行局とで、いろいろ技術的に問題がありますのでいろいろ検討して来た、かように聞いておるのであります。
  31. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 私からちよつと伺つておきますが、現行法の下で取調を厳重にすれば弊害なしに行けるという見解で今までやつて来たのでありますか。それとも今度企てたような特別な取締法規が必要だというお考えがいつ頃から起つたのでありますか。
  32. 津田実

    説明員津田実君) 昨年の三月であつたかと思いますが、参議院の法務委員会におきましてやはりこの問題についてお尋ねがあつたのでございます。その時は、法務省の刑事部面を担当しておる者としましては、現行法規に触れるものについては厳重の取締をする、現にやつておるということを申上げた。その現行法規とは何であるかと申しますると、結局、金融関係……、銀行法或いは信託業法、貯蓄銀行法というものは金融面であります。そのほかに株主相互金融関係においては商法違反がある面も考え、それから又そうでなくして、現在の保全経済会は昨日起訴をいたしましたが、その理由となつておりますのはこれは詐欺でございます。で、詐欺ということになれば、これはもう金融業ということじやないのでございまして、初めから俗に申します自転車操業と申しまするか、あとから加入するものによつて集められたところの金融を以て前の利子に充てると、こういうことであるわけでございます。ところが、取締りの面におきましては、甚だ申しにくいことでございますけれども、現在の訴訟法その他憲法上の保障等からいたしまして、何人もすぐにあらゆる人に捜索、押収をかける、或いは逮捕するということはできませんわけでございます。それだけに、やはりその疑うに足りる理由があるという資料を得て、而もそれを裁判所によつて認定を受けてからでないと強制捜査はできないわけであります。ところが、任意捜査といたしまして、かようなものは到底困難でございます。内情は殆んど、初めのうちと申しまするか、今度手をつけまする前までは内情はなかなかわからないわけでございます。そういう次第でございますので、直ちに手をつけるという、資料を得るために内偵は無論いたしておつたわけでございますが、資料を得て先般手をつけたと、こういう形になるのであります。従いまして、先般得ました保全経済会につきましては、結局詐欺の資料として資料を得たために、詐欺として事件を進行せしめたわけでございます。現在詐欺として起訴をいたしたわけでございます。併しながら、他の金融業法、或いは商法違反の面があるかどうかという点につきましては、勿論、捜査の進行に従つて或る程度明らかになると思いますけれども詐欺ということと銀行法違反ということはこれは相容れないことでございます。詐欺をするためには、銀行類似行為、つまり経営行為を営むということは全然ないわけでございますから、その意味において詐欺と一応捜査面で認定いたします点からは、もはや金融業法に触れるという点はなくなつておると、こういうことになるわけでございます。そういうわけでございまして、当時から申しましても金融業法違反の資料があれば直ちに手をつけるということで参つたわけでございます。でありまするから、今度の立法をいたしまするために、それではどういうことを目的にするかと申しますと、かようにいろいろ法律家が集まりまして議論しても、なかなかこれが金融業法違反かどうかという結論がつけにくいということをできるだけ避けるために、言わば末端の捜査機構、まあ極端に申せば巡査でも、或る行為があれば直ちにこれはいけないといつて捕まえられるという表示の面での違反によつて、さような目的を有するものを萌芽のうちに刈り取るという方策を立てざるを得ないという結果、今度の只今銀行局長説明いたしました案によりますれば、主として出資の面におきましては、表示行為取締るという形を以て臨んでおるわけでございます。でありまするから、実態はいろいろあとからわかつた結果がこうであつたから、なぜ取締まれなかつたかということになるわけでありますけれども、そのやつておる当時には勿論そういうことを全部秘匿しておるわけでございますから、なかなか外部から手をつけにくいという問題になります。従いまして、その表示行為取締るということになれば、或る程度形式によつて取締る可能性が出て参るわけであります。その形式によつて取締りました結果、実質がやはり違法なものであるということがわかれば、勿論実質に入つて取締り得ると、こういうことになるわけでございますが、その点を考えまして、今度のまあ立法に進んでおる、こういう次第でございます。
  33. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) そうすると、こういうふうに考えてよろしうございますか。従来は内容がよくわからなかつたからして、特に立法の措置は考えていなかつた。今度詐欺で起訴していろいろ調査した結果実態が明らかになつたので、初めて取締法規を作る必要を認めたと、こういうふうに私ども解釈してよろしうございますか。
  34. 津田実

    説明員津田実君) 勿論今度の立法は、結果的に申しますればいわば伊藤斗福の事件が推進になり、強い力をもたらしたということになる、かく言い得ると思います。併しながら少くとも法務省の刑事面を担当いたしております者からいたしますれば、先ほども銀行局長が申しましたように、前からかようなもについては表示行為取締る、たやすくと申しますと語弊がありますが、表示行為によつて取締り得るという立法が必要であるということは、この伊藤斗福の事件が発覚いたします前から考えておつたのであります。よりより勿論協議をいたしておりました。その協議した回数は、恐らく今から申しますと数十回に上つていると思いますが、なかなか如何ように表示取締るか。表示取締ると申しますと、これは端的に申しますと誇大広告ということになるわけであります。そうすると金融業だけに誇大広告を取締るという法規を作ることはどうかというよう問題もいろいろ考える向きもございましたが、いろいろな一般の商品の誇大広告ということもありまして、そういうような判断の問題とかいろいろな問題が出て参りまして、さような過程においていろいろなことを議論いたしまして、まあ今日ここに到達いたしたわけでありますから、この伊藤斗福の事件を契機としてかように考えたというわけではないのであります。
  35. 野溝勝

    ○野溝勝君 一、二点お伺いいたします。  私は前の大蔵委員会におきまして、特に金融問題、特に問題になつておりまするところのいわゆる街の金融問題について意見を述べて参つたのであります。たまたま保全経済会が初めて問題になつたのでございますが、一体、私は今まで質疑応答を聞いているのでございますが、誠に情ないと思うのです。と申すのは、こういう問題は前々から私はわかつていると思うのです。特に貸金業法におきまして、すでに届出制になつている以上は、一応届出であるから認可、許可ということは要らないと言えばそれまででございますが、一体この街の金融機関に、取引と言いましようか、契約をしているのは、不肖私も金を借りたいから契約をしている一人でございますが、している者は大体見るというと庶民階級ですね。全く零細なる人々が多いのです。それで恩給或いはおやじの安月給の額を少しずつ割いて持つてつた金を多くこれに吸い取られたと言いましようか、加入されたという方々が多いと思うのであります。特に大きな方々などはこういう街の金融業者と関係を持たんでも十分取引はできるのです。それだけに私は、今回いろいろ起つた問題に対しては非常に何と言いますか、いたく刺激を受けているのでございますが、前々からこういうことを案ずるが故に、何とか取締りと言いましようか、こうした問題を防ぐ方法はないか。特に私は今日の金融機関と言いましようか、いわゆる銀行等には我々庶民階級は殆んど用がない。大体担保がなければ貸してくれない。だから私は、こういう問題を起したのは、こういうものができたのは、一体誰の罪かというと、政府当局が野放しにしたということが一つ、それから自由々々といつて飛んでもないところまで自由放任をやつたことが一つ、それから今一つは、何といつても私は、この街の、と言いますか、いわゆる銀行、従来の銀行、これらに大きな問題があると思うのです。特に銀行局長も御承知のごとく、この前に日本無尽会社がありましたが、その無尽会社といわゆるそれまでの銀行との間に問題があつた。これも正規の金融機関に乗せなければいかんといつて心配をしたのが、前の大蔵当局の銀行関係の諸君であつたのですが、まあこれは相互銀行になり、漸く軌道に乗り出した。次に、それとは少し内容も違うでありましようけれども、以上申したように零細なる人々が関係を持つておる。これで相当まあ今日まで何年かの間、長い間、長期に亙つてそれを認めて来たことでありましようか、黙認をして来たわけなんです。こういう関係にあつて、漸くいよいよこれがいろいろ問題があつて契約自由の原則というようなことから野放しにしておいたことが、いろいろ問題を発生させまして、銀行当局初め法務当局等々が心配をするようになつた。併し特に私は、前にもかようなことを非常に言つたのですが、今法務当局のような答弁ではなかつたのです。今、委員長から質問がありました通り、いつからそういうことを一体考えたかというのですが、大蔵当局の銀行当局のほうでは成るべくそういうものには介入しないという方針、法務当局のほうはそれに対して数十回も心配しておる。この間、政府当局の間における本問題を中心にする連携というものが不徹底であつたと言わざるを得ないのです。併しそんなものは死んだ子の年を数えても仕方がない。そこで、取りあえず匿名組合であろうとその他の金融機関であろうと、今日問題になつておることは事実でございます。でありますから、私はこれが遅いとは言え、当局がこの取締りについて何とか成案を得たいということで努力しておる点については、私は大賛成、これを野放しにするということは私は絶対許すべきものではない。むしろ悪い点は悪いとして、私はそんなに一体庶民階級がそんな内容なんぞ知つておるものでない。銀行の受付登録番号があれば、大蔵省のちやんと睨みのきいた機関だと思う。相互銀行にふさわしいような、信用組合にふさわしいような名が出ているのですが、これは、やはり目あき千人めくら千人と言いますが、私はやはりこういう問題については、特に庶民などの人々につきましては、失礼でございますけれども、私はそんなに目あきの人ばかりではないと思う。そういう点につきましては、いわゆる政府の大官諸君が見るようなものではないのです。ですから、私はこういうことから非常に零細な人たちがいろいろの問題を起し、特に関係を深めておるのでございますから、特に政府はこれは自由々々と言つてこれを放任するのではなく、或いは契約の自由の原則だからと言つてとんでもない法理論を引張り廻すのではなく、これだけの迷惑を起したこの事実ということは私は無視することはできない。こういうことに対しましては私は当然措置すべきものである。そこで前にも申しました通り、私はこれを軌道に乗せるためにはいろいろの今政府当局は検討しておるようでございますが、一日も早くこの具体的な成案を示されるように切望いたします。  そこで質問の点といたしまして、私はこの際、聞いておきたいということは、この金利の点、或いは出資の点、或いは表示行為の点、こういうようなことを非常に重く考えておられるようでございますが、一体、私の聞く範囲では、法務当局は出資表示行為に重点を置くと言われておるのでございますが、それならば私は金融取締りということでなくて、誇大広告取締りという法律案でいいじやないかと思う。一体今回当局が立案されておる骨子と言いますか、取締りの骨子というものはどこに置かれておるか。こういう点についてこの際伺つておきたいと思います。
  36. 津田実

    説明員津田実君) 出資の点についてお答え申上げます。出資と申しましてもいろいろ形態があると思うのでございます。つまり商法のほうの或いは民法に出ておりますものから考えましても、出資という言葉を使つておるのはどこの匿名組合にもございます。民法上の組合にもございます。株式会社等でも出資という言葉を使つております。そういう意味におきまして、出資というものの確実な法律上の概念というものは、その法律々々によつてつておるもので、一律の概念というものはないのじやないかというふうに考えますが、要しまするに元本は還るということを考えないで、金を出して、協同の事業行為をして利益の分配にあずかる、こういうために出す金が出資というふうに考えられるわけであります。世の中におきましてはそういう形態は千差万別だと思います。そこで、そういう出資でありますれば、これは出資でありますぞよということを皆の人に知つてもらつて出資を受けるというならよろしい、こういうふうに持つて行かなければ、不特定多数の人から出資をみな禁止するということになると非常に窮屈になつて、少くとも株式会社とかああいうもの以外のものは他人から出資を仰いで事業ができないという虞れが出て来る。そこで表示行為と申しましたのは、要するに出資しても元本が還らない場合があるということをはつきりしなさいという意味におきまして、逆の面から、元本が還るような印象を与えて出資を受けてはならない、こういうような形で取締りということを考えた次第であります。そういたさなければ一般出資禁止するということはこれは到底できないことであります。そういう考え方から、即ち表示に重きを置くということにしたのでありまして、出資出資として理解せしめるなら投機をやりたい人は幾らでもやりなさい、それはそれでよろしいという考え方でございます。
  37. 河野通一

    政府委員河野通一君) 出資の問題についての表示という点につきましては、今総務課長から御答弁の通りであります。預り金の問題につきましては、これが出資について表示の面だけを取締るということとおのずから性質が違つて参ると思います。預り金につきましては、表示をするかしないかという問題でなく、実態的に預り金をするものについては、表示をするかしないかという問題でなく、実体的に預り金をする者については、これはすべて銀行とか、相互銀行或いは信用金庫、こういう正式な預金を受けることが認められておる機関以外のものは禁止して行くということで、実体によつてこれをやつて行くのが適当であろうと思います。出資と違います点は、出資につきましては、普通の出資ならこれは取締る必要はないと私は考えております。それがいろいろ誤解を起させるような、そして社会に害毒を流す虞れのあるような表示をすることによつて出資募集され或いは受入れられるところに問題があるのでありますから、表示の点だけを取締つて行くことで十分である。こういう考え方でございます。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 先だつて銀行局長説明によると、保全経済会等に調査に行つたが、株主相互金融のほうは別として、投資業務を行つておるので、自分のほうとしては調査を断わられたので、従つて実態はよくわからない、こういうことであります。併しあなたのほうでは、前の税法改正等の場合にもいろいろ何しましたが、少くとも徴税の面からはこれら類似金融機関内容はわかつておるだろうと思います。従つて徴税当局は、これら類似金融機関に対して今日までどういう課税をしておられるか、又所得税法を改正して、匿名組合等の利益分配について源泉課税をする。こういう措置をした前後に亙つて説明をしてもらいたい。
  39. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 株主相互金融形式によりますところの類似金融機関的な問題と匿名組合と称する形態の金融類似的な問題について、私ども調査を始めましたのは、昭和二十七年の一、二月頃と記憶しております。その当時からいろいろと資料を集めました。これは所得税法なり法人税法なりに質問検査権というのがありますことは御承知の通りでございますが、それを一応頭の中におきまして、書類或いは口頭で質問をいたしまして、或る程度実態というのを引き出しておりましたわけであります。そうして二十七年の多分夏頃からであろうかと思いますが、私どもの集めかけました資料、これはとても完全なものにはなかなか参らなかつたのですが、或る程度の外形的な資料が集まりまして、これを大蔵部内或いは法務部内……徴税上納税者の秘密を洩らすということは、これは徴税の問題から申しまして、相当考慮すべき問題でありまして、それはよく心得ておりますが、問題の取扱い方といたしまして、徴税上必要な書類を、これは銀行局と法務省のほうに若干ずつ差上げてあつたと思います。従いまして一昨年当時頃の資料といたしましては、私どもが集め得る資料というのが相当の地位を占めておつたのではないかと私は考えております。そういう状況でございますが、だんだんと問題が困難になつて参りました、と申しますのは、株主相互金融優待金について如何なる課税をするか。この点につきましては、地方の国税庁、税務署等におきましても、優待金は実際の税法の執行の方針から申しますると、これは利益配当である。株式の払戻金に比例するものではございませんけれども株式会社利益があつた、その利益について不平等の配当をしておる、不平等の配当も即ち税法で考えれば配当である、こういう解釈であるべきはずである。こういう態度をとつておりましたが、それについていろいろと疑いを差挾む向きが出て参りまして、全般的に検討しようという情勢が出ておつたと思います。  それから匿名組合契約と称する形態の問題につきましては、出資配当というのをいたしておるわけですが、その出資配当金というのは、所得税法の上から言つて、どういう税法上の解釈をすべきものであるか。匿名契約でございますれば事業の利益配当ということになりますので、所得税法では事業所得か或いは雑種所得かというような問題に相成ります。或いは又預金類似ということになりますと、これは利子所得という観点が出て参り、それで解釈につきまして匿名契約と称するものの契約の実体について的確な判断を下す必要があるという問題に当面いたしまして、それが大体解決をいたしましたのが二十八年の二月、三月になつてからだと思います。なおその以前に、株主相互金融につきましての優待金につきましては、これは利益配当として課税すべきものである、こういう考え方を一応きめて参りますし、それから匿名契約と称するものにつきましての問題は、これは利子所得ということには解釈しがたい。従つてその当時の税法におきましては、源泉徴収は法律上困難である。ところが事実上の問題といたしますと、匿名組合類似契約の機関に加入しました出資者の住所、これは大体町名くらいしか書いてありませんで、番地が書いてないのが大部分であります。中には匿名加盟というようなもので、あとから配当金を受けた者の所在を突きとめることがこれは困難であるということで、どうしても源泉で相当の課税をする必要がございますので、所得税法に、匿名契約類似の契約配当について源泉徴収をするという規定を入れるような方針がきまつたわけでございます。それで二十八年の初めに改正法律案が国会に提案になりましたわけでありますが、これは解散で成立いたしませんで、実際施行になりましたのが二十八年の八月七日、こういう状況でございます。  大体課税問題は、日時等ちよつと不正確な点がありますが、大体そういう経過で進んでおります。それから実際上の調査上の問題といたしますと、匿名契約類似という問題で、保全経済会は、これは先ほどお話申上げましたように、昭和二十七年からいろいろと調査に着手いたしましたのですが、実際本格的な調査に入りましたのは昭和二十八年の三月に入つてからと思います。それでいろいろと苦心をいたしまして、材料を引出しております。大体はその当時は保全経済会の帳簿は外部には殆んど出ておらなかつたはずでございまするが、いろいろ徴税上の問題の法規等についてもお話合いをいたしまして、或い程度調査ができて参つたわけでございます。その結果を見ますると、不動産投資、それから証券投資という問題がございまして、そのほかに又相当の資金預金いたしております。預金の利子につきましては、保全経済会で受取りましたものについて、源泉で利子所得に対する所得税が差引かれておる。それから株式について、配当を受取つた場合、配当につきましても若干源泉所得税を納めておるのがございます。ところが問題は、投資いたしました不動産は、これは売却いたしませんと、考えられるだけの値上りだけでは課税できません建前になつておりますのと、それから有価証券の売買、これは利益もありましたし、損失もありまして、差引金額はそう大した金額に上つておりません。ところが一方において相当の人件費を必要とし、それから相当の宣伝費を出しておりまして、その人件費と宣伝広告費、その合計が只今申上げました多少の収入を全部食い込んで赤字になつておる、そういう関係でございますと、保全経済会としての伊藤斗福の事業所得というものはマイナスになりまして、課税の問題が起らない。こういうことで折角一生懸命調査させましたのですけれども、担当いたしました調査官は、骨を折ると言つては語弊がありますが、非常に骨を折りましたけれども自分の、何と申しますか、働いた結果が数字に現われて来ないというようなことになつておるようでございます。それから株主相互金融の関係でございますが、これは着々調査を進めております。全国に散在して多数ありますのですが、最近調査が済みましたのは、昭和二十八年の七月から十二月までの間において六十九社ほど調査を済ましたという報告を受けております。この六十九社の中の調査の結果を申上げますと、約半数が課税所得があり、それからあと半数は欠損、こういう数字になつておるようでございます。で、中には、株主相互金融形態の株式会社でございますが、先ほど千三つというお話もあつたようでございますが、極く少数は相当堅実な業績を挙げておりますようなものも私どもの手許に参つております。この内容を見ますると、資本金を急激に増資するというその急激さが、なだらかな会社であるようであります。それと同時に、その株を今度は貸付金に廻してある、その貸付金の率が相当多い、その貸付金に対する受入収入利子、つまり融資が比較的高率な収益を挙げておる。それについてやはり相当努力をしておるだろうと思いますが、そういう会社であつて、而も集金費、人件費、募集費というものが割合少い会社、これが収益を挙げております。それから、これは只今私の申上げた例は極めて稀な例でございまして、そのほかで株主相互金融形態で利益を挙げておりますのは、資本金が比較的少くて増資ということを急激にやらないというような小さな会社、従いまして人件費とか募集費がかからない、こういう形態にとどまつておりますうちは、優待金というのを利益に計算する場合は、経営は赤字にならない。それを一歩踏み出しまして参りますと、今度は人件費が嵩む、募集費が嵩む、集金費が嵩むという関係で、優待費が出せないので欠損だというような状態なのではないか。大体調査いたしました結果、私どもの目に写つた現象は大体そのように考えられた次第であります。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 保全経済会、これは固有名詞でなしに、保全経済会類似の匿名組合方式による投資等をやるものについて、伊藤斗福氏のやつてつた保全経済会については赤字であるということですが、そのほかの類似のものについてはどうですか。
  41. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 私どもの手許にその類似の形態のものの資料はまだ集まつておりませんが、考えられまするところは、まあ断片的な口頭の報告でございますから、こういう席で申上げるのは不適当かと思いまするが、印象として私どもの受けておりますのは、やはり保全経済会、匿名契約形式のものにつきましては保全経済会と同じようなことではないか。その理由といたしましては、その投資先が、匿名組合契約の形態によりますると貸付ということができない。貸金業との関係がございましてできませんで、投資の範囲が、例えば先ほど申上げました不動産とか有価証券というように限定いたされます。従つて株主相互金融のほうは、相当の高利率の貸付ができますから、収益を挙げるという問題が出ておると思いますけれども、匿名組合形態で或る程度その投資のほうに限定を受けますと、これなかなか特殊の異常経済状態でも出て参りません限りは困難ではないか。これは推測で甚だ恐縮ですが、そういうふうに考えております。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 その実際の施行は八月七日からになつたと思いますが、所得税法を改正してああいうふうな源泉徴収ができるということにしましたが、その利益分配まで規定をしない、きめる前と後においてどういう違いがあつたか。きめた後において、あの利益分配というものは、まあ利益分配だからそれぞれ受けた者の課税である、こういうふうにして扱われた、その中において、特に例えばあの税法改正のときにも話がありましたが、住所が富士山の頂上、西郷隆盛、こういうような連中の課税は一体どうなつているか。
  43. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 匿名組合形態の分につきまして、配当所得として課税した前と後との影響と申しますのは、保全経済会につきましては、その当時もう月二分の配当に切下げておつたわけでございます。課税による影響と申しますのは、私ども的確に結局掴めなかつたと思うのでございます。課税が始りましたらあと二カ月ほどを休業ということでございまして、その影響は結局推測することができないと思います。  それからもう一つの問題の出資者に対する課税の問題でございますが、昭和二十七年の二月頃から保全経済会調査に参りまして、相当大口の分を書き抜きまして、或る程度苦労をして追いかけてみたことがございますが、結局は所在が判明いたしません。或いは小口の分は大体わかるかと思うのでございますが、大口のほうはなかなかわからない。従つてこれはせめて源泉徴収というところで平均的な課税を一応済ますということ以外にはあるまいという考え方で、この前、法律の御審議をお願いしたわけでありまして、現在のところ前の八月の七日以前の配当金については追いかけてみようという問題が、例えば出て参るにいたしましても、これは極めて困難であると率直なところ申上げざるを得ないだろうと思います。
  44. 小林政夫

    小林政夫君 私は非常にあなたのほうが手ぬるいと思うのです。大体よしんば銀行局等の見解のように、一応合法的であつたとしても、一般の事業が国税、地方税を合せて六割或いは七割というような税負担をしている、その税のほうで手ぬるいから、或る程度のあれだけの隆盛を保つたと私は考える。今のように、あの税法改正をやつた前であるならば、トレースできないならば、その代表人に課税したらいいのです。なぜしないのですか。そういうことを二十七年の一月から調査したならば、二十六年の所得というものは明らかでなくちやならない。それが大口だから、小口だからというのでなしに、その所得者をトレースできなければ代表者に課税するといい。現に所得を持つておるのではないですか。
  45. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 源泉徴収の方法が、もう少しやはり早く実行に移されるべきであつたということについて、私どもも甚だ申訳けないと考えております。それから、従いまして、その分を代表者のほうから課税する方法がないかという問題でございますが、実を申しますと、先ほど問題になりましたように、先ほど御説明申上げましたように収入とそれから支出を比較いたしてみますと、それだけで赤字が出ておりまして、その赤字の場合において、なお且つ利益配当という名目で配当金を出しておる、こういう関係でございまして、その全体の関係から申しますると、代表者に赤の上塗りで出している支出金について、代表者に何らかの負担をさせるということは、ちよつとこれは考慮を要する問題だ、実は現在になりましてですが、そう考えております。
  46. 小林政夫

    小林政夫君 それでは一応資料として、あなたのほう、この今の保全、類似金融機関に対する……類似金融機関ということは、匿名組合方式による投資業をやつていたのを含んで、株主相互金融、ずつとあなたのほうの、徴税当局としての課税実績、課税状況のわかる資料、ただ名前を挙げては何ですから、A、B、Cでもいいですから、そういうことで出して下さい。それから実際に調べてみたら配当どころじやない、本当はその業態自体が赤であるというような状態は、先ほどのお話にもありましたが、銀行局等に対して関係当局はこういう状態なんだという報告をしたかしないか。
  47. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 課税実績の点につきましては前から資料の御要求等もありまして、今整理いたしておりますから、できるだけ早くお手許に差上げたいと思います。それから最後の、私ども調査を大体終結いたしましたのは休業直後でございまして、その休業直後の収入、支出のバランス、これは正式にまだ銀行局のほうには資料をお届けしてないというわけでございます。
  48. 小林政夫

    小林政夫君 保全経済会についてはそうかも知れませんが、あの類似金融機関の発生はあなたのほうでもすでに二十七年一月から調査に着手したというのですから、少くとも二十六年度分の所得等についてはお調べになつた結果はもつと早くわかつていなければならない。あれだけ派手にどんどんやつていて、調べた結果が税がかからぬような赤字であつたということにしても、一応は徴税当局として目をつけて、徹底的に調べてみるべきものなんだ。その調べた結果、すべてを通じてあの保全経済会の休業後まで一件も徴税当局の調査結論が出なかつたのですか。
  49. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 匿名組合の契約の形態をとつておる分については、実は匿名組合契約であるか、或いはそれに対する何らか別な匿名組合契約によらざる、或いはそれに類似した何らかの契約であるかという点を、実は突きとめたいと思つてつたわけであります。それによりまして、配当金というものが出資者というものに対してどういう所得の形態になるかというようなことを研究する必要もございますし、それから保全経済会ですと、伊藤斗福自身の所得についてそれが如何なる関係に置かれるかということを研究することになるはずであります。従いまして、もう少しその事件の進展を待ちまして、性格をはつきりさせてから、課税上の調査の最終的結論を出したいというので、実は現在のところは中間報告というように考えておりまして、もう少し法律的性格というのを確かめましてから、只今問題になつております配当金、それから伊藤斗福についての、保全経済会としての事業の実態というものについて解釈をはつきりさせたい、こういう考えでおります。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 私は保全経済会だけを言つているのではないのですが、保全経済会類似のものもたくさんあるから、二十七年一月から着手されたならば、所得の状態はどうであるかということは少くとも調査はできてなければならん。それをどう課税するかということについては、いろいろ匿名組合であるとか、或いは法的に疑問があるかも知れんけれども、業の実態というものは税務署で把握ができておるはずである。それはいつ頃把握ができたかということです。
  51. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 実は株主相互金融のほうにつきましては、相当件数が出ておつたわけでございまするが、匿名組合類似の契約のほうは、報告がよく集まつておりませんで、実態を私どもの手につかんでおるのは、保全経済会一つと、あとの点につきましては、相当報告を急がしておりましたのですが、御報告申上げる程度まで整理が進んでおりませんので、これは近くの東京国税庁程度の分につきましては、至急資料を揃えまして、御報告さして頂きたい、こう考えております。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 銀行局長にお尋ねしますが、あなたは検査に行つて断わられた、それで、しようがないということで引つ込んだのか。税務署のほうで調べればわかるだろうというので……少くともあれだけ問題になつておる保全、類似金融機関についての実態を把握すべく、今、私が国税庁に尋ねているような資料要求等をされなかつたのですか。
  53. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私ども保全経済会等につきましていろいろ関心を持ちましたのは、先般の委員会で申上げましたように、果して一体、金融法規金融行政上の対象として、相当私どもがこれに対して処置なり対策を講じなければならんものであるかどうかということを資料にして差上げたいと考えたわけであります。保全経済会のほうへ私どもの係が参りまして、たしか一昨年であつたと思いますが、伊藤理事長に面会いたしますときに、調べさしてくれということに対して、あなた方は検査はできませんぞ、保全経済会に対しては銀行局は検査はできませんぞということを向うから積極的に申し出たそうであります。差支えない範囲のことは一応は聞いて参つておりますが、そういうことで検査を断わられたということは事実であります。私どもは、その後、私どもの手に入る限りのいろいろな資料はできるだけ調査をいたしまして、それから国税庁当局とも折りに触れていろいろ共同的な、これらの問題に対する、何と申しますか、法律上の地位、関係等につきましては、よりより打合せいたしましたことは事実です。併しこれは結局法務省も勿論御関係の非常に深い官庁でありますが、具体的に申上げますと、法務省及び私どものほう、それから国税庁、この三者か四者が——法務省の中にも刑事局と民事局とあるのですが、長い間に亙つて並行して検討して、そのためには当事者がたびたび会談もいたしております。会談をいたしましたところで、お互いに持つております資料等は交換をいたしました。そういう会合を何度もやりました結果、たびたび申上げておりますように、去年の三月、各省の関係当局の統一した意見ということで、私から実は国会に御説明申上げたのであります。又その御説明を申上げるまでの過程においては、国税庁とも勿論十分に資料を持ち寄つて研究いたしております。
  54. 小林政夫

    小林政夫君 あの三月にあなたが衆議院大蔵委員会で発表され、三日後でしたか、二日後でしたか、この委員会でも私の質疑に対してお答えになつた。そのときに、今の調査査察部長のような、所得はない、赤ということはわかつてつたのですか。
  55. 河野通一

    政府委員河野通一君) 所得があつたかなかつたかということは、私は聞きましたかどうか存じませんが、私としては実は余りその問題については関心がなかつたのであります。従つて、或いは聞きましたかも知れませんが、はつきり記憶いたしておりません。
  56. 小林政夫

    小林政夫君 そういうことに関心がないなんということはおかしいので、少くともあれが金融機関であるか銀行局の所管であるかどうかということは、それは銀行局長としてはそうかも知れんけれども、一応金融類似機関として国会で問題にしておるのは、あれだけの高率の配当に類するもので約束をしてどんどん金を集めておるということが問題なのであつて、それが実際にはそういうふうに赤字であるにもかかわらず、自転車操業で、儲かつてもいないのに利益分配しておる。こういうようなことについて、投資したい者は勝手に投資しろ、一応現行法では取締りの対象にはならない、ただ現行法に抵触しておれば取締るという声明に類する発表をするときに、その業の実態というものについて把握しておらないということはおかしい。若しそういうことがわかつておれば、少くとも今のような方法は早急に講じなければならない。法務省のほうではその業態はわかつていなかつたのですか。
  57. 津田実

    説明員津田実君) 先ほども銀行局長が申しましたように、国税庁並びに銀行局、それから法務省が会合をいたしたことは事実であります。経営の内容についてお話があつたかとも思いますが、私もどうもはつきり記憶をしておらないのです。併しながら、取締りの立場から申しますると、例えば或る会社が赤字を出しておるということは、仮に税務署から報告がございましても、まあそういう報告は税務署はしない建前でございますが、と申しますのは、行政機関と捜査機関と混同することは憲法三十八条の問題にもなりますし、これは特に連絡をとつてどうするということはいたしておりません。従いまして、そういうお話があつたようにも記憶するのではございますけれども、併しながら、赤字が多く出ておる会社があるから、すぐそれは詐欺か何かやつていやしないか、取込み詐欺をやつていやしないかというふうに見て行くことは、捜査機関といたしましては非常に困難であります。従いまして、捜査機関は捜査機関で、そのルートにおきまして厳格に疑うに足る資料があれば発動すると、こういうことなのでありまして、税務署の会計上の見地から見た赤字というようなものは、一つの資料であることは事実でございますけれども、捜査面においてそれが大きな資料になるというふうには直ちには考えにくいという状態でございます。
  58. 小林政夫

    小林政夫君 私は捜査とか何とかいうことを言つておるのではないのです。而もそれは、一営利会社を調べてみたら赤字だとか、これは何か経営者が使い込みをやつていやしないか、不健全な経営をやつていやしないかということは、こういうことはあなた方の問題ではない。併し、一応あれだけの大宣伝をして不特定多数の者から、而も多くの無知な……。甚だ失礼な言い方かも知れないが、大衆から金を集めて、而も三月に銀行局長からあれだけの声明をせざるを得ないような状態なんです。それには勿論、法務当局も関係をしてあれだけのことが言えるように銀行局長なつたと思うのです。而もああした自転車操業の影響であるということがわかつておるときに、何とかそこに大衆を誤らしめないようにする、これが政治ですよ。泥棒をつかまえるのではなくて、泥棒が発生しないようにするのが政治なんです。行政機関だから、できたものをつかまえればいいというものではないでしよう。ただ赤字があつたからといつて、そこですぐ対策は考えられない、これは一般的にはそうでしよう。併し、この問題についてはそういうことは考えられない。
  59. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 別に答弁ありませんね。
  60. 平林太一

    ○平林太一君 ちよつと一、二お尋ねしておきたいのですが、庶民金融企業、いわゆる今回の保全経済会にいたしましても、日殖にいたしましても、いわゆる一つの企業なんです。いわゆる市中銀行の企業の原則というものが、信用を与えて信用を受ける、要するに信用を以て預金を吸収する、従つてその吸収した資金を以て信用を与える、信用を貸して行くということは、これは社会的通念としての市中銀行の基本の原則だと思う。ところが、市中銀行のみによつては、いわゆる庶民金融というものは、市中銀行の性格的からいたして、これが使命を達成し得ない。そういう必然の結果、庶民金融というものは、いわゆる金貸業であるとかいうようなことで、昔から依然としてこれは行われておる。従つて、この庶民金融というものが、零細ないわゆる大衆というものに対しては、非常に救済、或いはそれによつて大をなすというような貢献の面も考えてやらなくちやならんと思う。従いまして、私はそういう見解からいたしまして、今度新らしくできまするところの庶民金融に対する法律というものは、その点を考慮しなければならんと思つております。それが政治です。そこで庶民金融企業というものの自由というものに対しても、今日はその企業の自由というものを尊重した上に立つてやらなければならん。今日まで世上に上つておりますことは、ことごとく悪い面のみでございますが、さりとて、これをぴつたりとめちやつたらどういうことになるか。庶民の金融というものは全く求めるところがない結果に立ち至るということを憂えなければならん。従いまして、そういう根本からいたしますと、今度の庶民金融機関というものが一朝にして壊滅崩壊した。併し、一朝にして壊滅崩壊したというが、決してそれは一日にして壊滅崩壊したものではない。その原因というものがあるわけなんです。ですから、そういうことに対して法務当局は定めし御調査をなされておることと思うが、どういうわけでこれが壊滅したか。最大の原因として挙げられるものが幾つかありましよう。又、中小の原因として挙げられるものがありましよう。そういうものを、私のほうにも見解がございますが、そういうことをお調べになつたことがあつたら、ちよつと参考までに伺つておきたい。
  61. 津田実

    説明員津田実君) 法務当局と申しますのは、私は刑事の面から申上げるわけですが、刑事の面でございますと、先ほども申上げましたように、検察庁において犯罪の疑いがあるという事件について調査をするわけでございまして、一般人の信用調査とか業態の調査とかいうのは、常識として或る程度は研究するという程度にしかならない。そのほかに特別の検査権を持つておるわけではございません。法務省といたしましても、勿論検察庁ではございませんわけですが、法務省といたしましては勿論検査権も何も持つておりませんので、いろいろな情報或いは資料によりまして内容を検討するという程度に過ぎないということになるわけでございます。従いまして、どういうことが今度のかような結果になつたかという点につきましては、どこにそれじや根本的な原因があるかということは、的確に申上げかねるということになるわけでございますが、やはり株主相互金融にいたしましても、匿名組合方式にいたしましても、合法違法すれすれの線を通つておるというようなことが考えられるわけであります。従いまして、合法違法すれすれの線を通るということは、やはりそこに或る面に無理があるということになるわけで、その無理が重なつた結果、かような結果になつたということが、抽象的に言い得るに過ぎないのでありまして、あとは一般の経済事情等も影響しておることは間違いないだろうというふうに考えておる程度でございます。
  62. 平林太一

    ○平林太一君 今の御答弁を伺いまして、その御職務柄、専門に属している御答弁であると思いますが、そこで今度新らしく法律を作るに当りましては、もつぱら法務省が何か取締の当事者として、そうしてその新たなる法律の主体となるというようなことが今日臆測されておりますが、そういう点はどのようにお考えになつておられますか。
  63. 津田実

    説明員津田実君) かような事業と申しまするか、やり方の抑制、或いはよい方面に育成して行くというような問題につきましては、これはもとよりいろいろな施策が総合されなければならんというふうに考えておる次第でございますが、併しながら悪い面を切るということになれば、やはり最後には罰則に持つてゆくということにならざるを得ないのです。ところが今日は悪い面が出たから、その面を追つかけているのは手遅れじやないかという御議論、もとよりでございますが、一応将来も或る程度予測いたしまして、考え得る面で、悪い面の現われるようなものは、少くともこの際の立法に盛り込もうという考え方で進んでおるわけでございます。従いまして、悪い面を切るということが直ちに罰則ということになるわけでございますから、従つて将来法務省といたしましては、検察庁によりましてかような面を取締らなければならん。その意味におきまして、いわば刑罰法規の立法の所管省といたしましてタツチをしておる、こういうことなんでございますが、詳細を申上げれば、今度出すことを予定いたしておりますところの法律は、先ほども銀行局長が申しましたように、法務省大蔵省との共管で、内容につきましては、預り金的な面は大蔵省が主として担当し、それから出資金等につきましては法務省のほうが主として担当する、こういうことで共同作業ということになつておる次第であります。
  64. 平林太一

    ○平林太一君 それで今極めて筋の通つた御答弁を伺つたわけですが、一つ、こういうことは、こういう事態によつて壊滅、崩壊したということで、これをこの機会においてただに責むることのみを急にしては私はならないと思う。そうすると、やはり角を矯めんとして牛を殺すということになりますので、それについては、今度こういうふうな事態になつたという原因がどこにあつたかということは、本日それを御答弁を伺わなくてもよろしうございますが、非常にその点は法務当局としては深い御思慮を払つてつて頂きたいと思うのです。実はこういう案は、法務省大蔵省が合作でやるというようなことは、これは恐らく偶然のことなんです。金融に関することですから当然大蔵省が立案して、そうしてその立案に対して法務省のいわゆる司法的取締社会秩序の上からそれに対する意見を盛り込んでゆくということが、常識的に我々が考えられる問題です。ですから、そういうことについても一つ考慮を十分払われて、そういう点、行き過ぎにならないようにすること……、私が申上げておることは、庶民金融というものが非常に厳しくなつて、全然影をひそめてしまうというようなことになると、容易ならん事態が出て来る。それならばやはり世の中で金融を受ける者はそれだけの特別なる階級にしか属さないということに相成るわけなんです。庶民金融というものは、今度は資金を集めたということで、そのほうは非常に厳しく糺弾されております。併し全然それが貸付をしないで……、そういう立場じやないのであります。貸付をしたほうにも相当の利益がある。それで私御参考までに申上げて御意見を伺いたいというのは、今度壊滅したという事態に対しての最大の原因というものがどこにあるかということは、これは私から申しますれば、大蔵省でもない、国税庁でもない、法務省でもないのです。どこにあるか。新聞紙上で極めて厖大なる政治献金というものがその主体をなしておるわけです。政治献金というものが主体をなしておるというと、それでは政治献金を……いずれにしても一つの企業ですから、そんな厖大な何千万とか或いは億に達する、一億、二億というような金を誰もみずから神社仏閣にお賽銭を上げるというようなことでこれはやつた行為ではないのです。何らかのここに一つの誘導がある、最も平和に申上げますれば……。それからもう一歩進んで申上げますると、誘導ではない。一つの要請があつた、要求があつたわけです。その要求、要請に対して、やはり庶民の企業としての弱さから、つまりそれを出さざるを得なくなつたという事態も、私は見逃がしてはならないと思うのです。そうすると、どうなるか。一つの企業でそういう厖大なものが要求されて、その弱い庶民の立場において、一つの圧力によつてそれを出してしまうということになると、孜々営々として努力勤勉しておる事業形態というものは、これは自暴自棄にならざるを得ない。自暴自棄になると同時に、そういう厖大なる強制、強圧力に対して、いわゆる一つの信頼をするとか、それから常識では判断のできないような、つまりその力に対する大きな献金をしたということ、それに対してみずから慰める、或いはそれによつて一切の良心的なことが麻痺してしまう、そういうことが今度の庶民金融機関の崩壊の最大原因であるということを、これは全部とは私は申しませんが、言わなくちやなりません。特にすでに新聞紙上に発表せられておりまする事実から見ますれば、政権担当下の政党が、最も強大なるところのいわゆる庶民金融からの献金を受けておる。現在衆議院においては、当年の幹事長であつた廣川弘禪であるとか、或いは池田勇人、こういうようなものが、もやもやしておる。どういう事態であつたか、こういうことになる。そうすれば、今度こういうものが潰れたということは、私はそういう面をも一つ考慮して、必要以上の何かその企業に対する不信用の行為を以て今度の法律を作つてはならんと思います。恐らく今度はこれを以て、政党なりそれぞれのそういう力を持つておる一つの団体が、かような零細なる資金を集めたその企業体に対して一つの力を、威圧を加えるなんということは根絶したいと思います。今後は恐らくこれはないと思います。又これはあつてはならないと思います。そうなると、これは一つの企業主の、つまり企業経営者の人柄とか能力によりまして立派に経営ができて行くところに、経営者もよし、又それを利用する人もよいというところに、いわゆる社会機構全体の中になくてはならない一つの存在というものがそこに成立して、そしてそれぞれ所を得るという行き方があり得ると思うのです。ですから、私は多くを申上げませんが、十分にこういうことを御考慮になられて、今度の法律に対しましては一つ十分にして頂きたい。法律を作つて見ても、実際はそういうものを根絶するのではないと称しておつても、考え方によりまして、その作る法律というものが事実の上においてはこういうものがあとを絶つてしまうというような事態になるということにも相成りますから、その点は十分にお考え願いたい。監督関係におきましての大蔵省、或いは政治関係におきましてはそれぞれ政治的に、一つ金融だけではありません。他にもこういうような形態のもの、類似のものは、金融面でない他にもたくさんあるのでございますから、そういうことを一つ御考慮を願いたいと思います。私の質疑は本日は終りますが、こういうことにつきまして法務当局としてはどういうふうにお考えになりますか、先刻から私は、どこに原因があつたか、今度潰滅崩壊した、これは名を指してはいけませんが、伊藤斗福にしても或いは日殖の何がしにしても、そういうようなところの原因の中にそういうものを全然御考慮に入れておらないのですから、ただその会社自体が濫費し、みずから墓穴を掘るような事態をしたのかどうかということなんです。併しそのことは、なぜかと申しますと、資金を投じたものがそれによつてこのような非常な損害なり非常に大きな怪我をしたわけなんですから、実際においてはそういうものが育成さえしておりますればこれらの者はそういうことの難を逃れたのでありますから、こういうことを私は本当に物の裏を非常に考え心配するわけなんです。そういうことについての御私見がありますか。御私見で結構なんですが。
  65. 津田実

    説明員津田実君) 今回のこれらの金融機関のいろいろ問題を起しております原因が、結果的に見れば、只今仰せになりましたようなことが原因をなしていたということも考え得るかとも思うのでございますが、併しながらやはり企業を営むものといたしましては、その個人々々の責任において営むわけでございます。従いまして、それは大きな社会的と申しまするか、原因の一つであるというふうには考えておるのでございますけれども、併しながらまあ端的に申しますれば、それじや企業会社は寄附なんていうことは一切できないか、神社の寄附もできないかというようなことを、我々法律家といたしましては、百円の寄附も一万円の寄附も十万円の寄附も、一応寄附の面という面で考えて行かなければならないというようなこともございますので、なかなか問題としては非常にむずかしいというふうに考えておりますが、要するに、正当な企業というものに制限を加えないで悪い面だけ切ることに如何に法律上の技術を使うかという面が、今度の立法の一番難点になつた点は、先ほども申上げておる通りでございますが、重ねてこの際申上げたいというふうに考えるわけでありまして、正当な企業と申しますか、初めから納得の上で出資をされたり金を集めたりするという面については、これは投機をなさるかたもたくさんあるのでありますから、これは止むを得ない。併しながらいわば誇大広告と申しますか、無知に或る程度乗じて何らかの保証があるように見せるということを主として押えて行こう、こういうのがこの出資関係についての考え方になつております。
  66. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まだほかにあるようですし、時間も来ておるようですから、簡単に一、二お伺いしたいと思いますが、先ほど小林委員などの発言を聞いておりますと、二十七年の二月七日のときに、もうすでにこういつた問題を大蔵委員会で指摘しておるわけです。何とかしなくちやいかんじやないか、それから二年たつたわけです。そうしてこういう結果になつた。被害者がどのくらいおるかわかりませんが、新聞の報ずるところによると数十万人ではないか、こう報じておるわけです。大災害です。これを事前に防ぐ努力というものが、銀行局なり或いは大蔵省と申しますか、或いは法務省でなされておつたかどうか。今までいろいろと各委員質問に対して答えられたのを聞いておりまして、一向私はなされていなかつたような気がするわけなんです。若しここで、こういう努力をして見た、併しこういう難点があつたということは、私どももよくわかりますが、一方こういうものをぴしつととめてしまえば庶民金融は、すとんと、なくなつてしまいますから、或いは私的契約をそう押えてはいかんということもわかります。併し今日こう多くの人に害を与えたということは事実なんです。若しここでこういう努力をした、どうしてもそこまて行かなかつたのだ、或いは一方においてこういう努力をしたができなかつたのだ、そういう努力があつた一つここで両方から述べて頂きたいと思います。それが一つです。  もう一点は、これは、しまつたことをした、もうちよつと早く立法しておけばこういうものが未然に防げた、しまつたことをしたとお考えになつておるかどうか。この二点でございます。
  67. 河野通一

    政府委員河野通一君) 昭和二十七年、もつと遡りますか、二十六年の暮からこれらの問題が国会で非常に議論されたことは事実であります。当時私どももこれらの議論について国会からの御指摘を受けまして、鋭意これらの問題に対する我々の態度を検討いたしました。非常に弁解になるようで恐縮でありますが、非常にむずかしい法律問題、いわば一種の紙一重のような法律問題を含んでおります。殊に保全経済会等がやつてつておりますいわゆる匿名組合方式によつて受入れておる出資受入れ方が、金融法規に禁じておりますところの預金に一体なるのかならないのかということは、非常にむずかしい問題であつたのであります。  先ず私どもは、立法の問題に入ります前に、現行法の解釈として、現行法の見地からこれらの問題に対してどういう態度をとるべきかという点に、我々の務力を集中いたしたのであります。その間、遡つて考えますれば、約一年以上これらの問題について、法務省、その時は法務府でありましたが、法務府と私どものほうと、これらの問題の法律的な解釈という点について、長い間、実は議論をいたして参つたのであります。何をそんなに議論しておつたかというお叱りを受けることは甚だ私ども残念でありますけれども、実は決して怠けておつたわけではございません。たびたびこれらの議論を闘わした末、現行法の解釈という観点からいたしますならば、この問題についてはこういうふうに考えるべきであるという意見が実は出たのが去年の三月であります。三月の結論については私どもから国会に御報告申上げました。ところがその結論を出しますまでに、その結論自体は実は簡単にして極く常識的な結論でありますが、その結論を出します前に実は一年以上かかつておる。非常にむずかしい法律問題が多々ありましたために遅れたのであります。三月四日に私から衆議院の大蔵委員会で御説明申上げました中にも、当時いろいろこれらの形態のものを立法化、法制化すべしという議論がたびたび出ておりました。これらの問題についても、一体法制化すべきかどうかという点を、長い間、実は議論いたして参つておるのであります。これも私どもはそういつた意味の法制化はいたすべきでないという結論に到達したことを併せてそのとき申上げておいたのであります。ところがその後やはり問題がそれだけでは実は解決いたしておりません。私どもは、その当時、これらの問題に対する関係者としてせい一杯なことは私としては申上げておるのであります。と言うのは、これらの形態によつて出資をされるというかたは、これは決して預金者ではありません。預金者ではありませんから、あなた方は預金者と思つてつておられるならこれは間違いだ。決して預金者に与えられるような保護は与えられませんぞ。言葉は非常に悪いが、いつもおつしやいますように、ボロ会社の株を持つたその結果、元も子もなくなるかも知れない。併しそれがやはりその場合においてこれは政府がけしからんということになるかどうか。私はその場合に、ボロ会社の株を持つたということは、やはり自己責任の原則が働く部面ではないか。少し例は違うけれども、大体それと同じような考え方出資をしているのであつて、決して預金者ではありません。従つてそれらの方々は出資であるということを、事業会社の株を持つているのと大差はないのだということをはつきり頭に置いて頂きたい。こういうことを私どもが声を大にして申上げるのが、その当時における私どものいわば警告として申上げる最大限度であつたのであります。これはまあどういうふうに公衆のかたがお聞き取り願つたか。それは言葉が余り端的でありませんから、ぴんと来なかつたというようなこともございましようけれども、その当時はそういう形で私どもはこの問題を処理して行くよりほかないという結論に到達したのであります。その後、事態がだんだん進んで参りまして、先ほども申上げましたように、去年の夏頃から、六、七月頃からやはりこれらの業態ついてのいろいろな噂が耳に入つて来ました。これらの問題について、今申上げたような去年の三月に私どもが態度を決定したままに放置して置いていいかどうか。或いは更にそういつた非常に社会に害毒を及ぼす虞れのあるような取扱い方というものを何かやはり制限する必要があるのじやないかということを、六月以来だんだん私どもは非公式には検討して参つたのであります。それが十分にこれらの問題についての見解が政府部内において積極的に議するというところまで来ておりませんで、その間に、先ほどから申上げましたように、或いは衆議院の大蔵委員会のほうの委員の一部の方々が議員立法によつてこれらの問題の法案を起草したいというような御意見もあつたりいたしまして、そうう経過を経ておりますうちに、十月に入りまして、保全経済会の休業というふうなことが起つたのであります。この休業が起りましたのちにおきまして、この立法化の問題が急激に進みましたことは事実であります。それまで私どもは決して実は立法の問題を考えなかつたわけではない。考えて参つておりましたが、その結論を得るという、立法をする結論を得るまでに実は政府としては至つていなかつた。その辺について、大体怠慢であるとか或いは仕事のやり方が非常にのろいというお叱りは甘受しなければならんかと思いますが、私どもとしては、できるだけそういつた点について関心を持ちながら研究を進めて参つたのでありますけれども、これらの結論が出るのが実際問題として遅れたということについて事実を申上げておる次第であります。
  68. 津田実

    説明員津田実君) 只今銀行局長が申しましたような経過は全く事実であります。その立法化が遅れたと申しますか、ということについてお叱りを甘受しなければならんということを銀行局長は申上げましたが、これは私ども法律を扱つておる者の弁解というふうにお聞きとり願うかも知れんと思いますが、純粋な法律論の上からこの問題を考えてみると、非常に問題が多い。恐らく不日提案になると思いまする法案を先ほど銀行局長から説明申上げましたが、あれを御覧下さいましてもわかりますように、出資が出て来る、それから高金利が出て来る、それから預り金が出て来る、社債のこと、それから別に証券取引法など、とても複雑にできている。これだけの規定を網羅しないと、とにかく一応の取締りができないということなのであります。従いまして、それを全部系統的に集めまして、それでここまでという結論を出しますには、なかなか容易ならんことでございまして、殊に法律も、刑事面から見ます場合と、民事面から見ます場合と、或いはそれを行政面から見ます場合と、非常に見方が違う場合もあります。そういう点で、刑事局、民事局、銀行局、或いは理財局という、大きく言えば四つの局にまたがるそれぞれがそれぞれの立場においていろいろ意見を持つておりますので、それらを総合調整いたしまして一つ条文に作り上げるまでには、これはそう一カ月や二カ月で、でき上るべきものではないと、私どもは確信いたしております。まあ今後出まする法案はいろいろ御審議を願つて、いろいろ欠点があるかとも思いますが、私どもとしては、これは自由な企業の制限をせず、弊害の起る面を切る、こういうことを目的として考えたり、少くとも持ち合せる知識はことごとく絞つてでき上つたものだというように考えておりますので、従いまして、かような日時が経過したということも、私ども法律の面から見ますれば必ずしも長いとは思いません。こういうふうに考えておる次第であります。弁解がましくはございますが、そういう考えで、今でもその点は、はつきり申上げることができると思います。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどから私は意見を言つているが、その答弁では満足できない。大臣にいつ連絡されましたか。内閣の問題にいつなつたのだ。銀行局長大蔵委員会ではかなり締められているが、そういうことをするに当つて、一体この類似金融の問題について、内閣へどう、大臣に対していつ頃報告しましたか。内閣では検討したのか。
  70. 河野通一

    政府委員河野通一君) 大蔵省関係につきましてだけ私からお答えいたします。昨年三月、私から御説明申上げましたこれらの問題に対する対策は、逐一大蔵大臣にこれは報告いたしまして、大蔵大臣の了承を得て問題を取扱つております。のみならず、単なる幹事会において形式的にこの問題を報告したのじやありません。相当の時間もかけてこの問題についてデイスカツスをしたのであります。その後における立法化の問題、今ここで問題になつておりますような意味の立法化の問題、これらにつきましても、私は随時各国会における空気等は大蔵大臣には報告いたしております。  私はいろいろな機会に、私の私見として、去年の秋以来この立法化について私の私見を申上げておつたのです。私見と申したのは、実は私どもの所管ではないという考えを私は持つておりますので、私の私見と申上げておるので、この実態については常に大蔵大臣にも報告し、大蔵大臣の同意を得てやつているのであります。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 法務省のほうから……。
  72. 津田実

    説明員津田実君) 只今銀行局長が申上げましたように、大臣に報告しているということになつておりますが、大蔵省とかような問題について立法について意見を闘かわすということは、日時は、はつきり覚えておりませんが、恐らく考えますと今銀行局長が申しましたとほぼ同時だと思います。これは無論大臣のほうにお話をしてございます。その後、事は細かい立法技術の問題になるわけでございまして、そういう立法をする方向について進んでおることについては大臣の御了承でやるわけです。従いまして立法技術の個々の点について一々は報告いたしておりませんが、第何次案かできるごとにこれは大臣の目には入れるようにいたしております。
  73. 土田國太郎

    土田國太郎君 銀行局長ちよつとお伺いいたしたいのですが、今までの御説明で御苦心のところもよく私はわかりまして、御同情も申上げたくなるのでありますが、先ほど来の立法についての御指示があつたのですが、その中で私お伺いしたいのは、例の貸付利子ですかな、今のところは、池田さん時代でございましたか、日歩五十銭と、いうようなお取りきめが大蔵省でできたように記憶しておるのですが、この日歩の五十銭ということが非常に金融面を撹乱する。又投資者もそういうようなものに釣られるとか、或いは借りるほうも釣られるというような面はたくさんあつたのだろうと思います。今度は。それで日歩をおきめになる基準ですね、どういうところを基準として日歩を御決定に相成るのか。そのお気持を、材料をお伺いしたい。  それから、私、考えまするのに、我々は銀行から一割の利子で大体使つております。それさえもなかなか事業がうまく行かんのに、三十銭、五十銭の日歩を、而もそれが庶民の階級が借入れて事業の成立つはずは絶対にこれはない。然るところ五十銭の日歩という標準を大蔵省が作られたところに端を発して、こういうような、何といいますか、庶民の膏血を搾る金融機関も生れて来たのではないかというようなふうにも考えられまするによつて、どうかこの金利の設定というものには、私があなた方のような専門家に対して申上げる必要もないのでございまするが、先ず私の考えといたしましては、国家の財政の状態、それから国民の経済状態、それから金融の梗塞状態というようなものを勘案して、初めて金利というものの標準を作り、而もそれが国民がその金利を以て事業をなし得るか否かに重点を置かなければならんと思うのでありまするが、今の五十銭の基準は、或いは三十銭にされても、まだ私は庶民階級の事業というものは成り立たんというふうに私は考えております。御承知の造船の金利が七分五厘が高いというので、三分五厘にまで引下げるような日本の現状であつて、而もあれは大資本を有しながらああいうような状態だ。一方は更に更に無財産に等しいような庶民階級がそういう高い金利を使うというところに、大きな仕事の上に欠陥があるのじやないか、こう考えまするので、その点、金利の問題についてどういうような方法に立案されるか。私の希望としては、一般庶民が事業の成り立ち得るような金利に立案してもらいたいということを要望して、銀行局長の御意見を伺いたいと思うのであります。
  74. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先ずお断わりをいたしておきたいのでありますが、ここで高金利に対して刑事罰を以て臨むということにいたしたいと考えておる高金利、この金利の基準というものは、国内の普通の意味における金融上の金利体系の中に入つて来る問題と少し違う観点から私ども考えております。いわば反社会的と申しますか、要するに一種社会悪としての金利と考えておるのであります。そこまでの金利はよろしいということになつて適当な金利であるとも私は考えていないのであります。併しこれを超しては刑罰上の制裁を以て臨まなければならんほどの社会悪であるといつたような見解に立つておるのであります。然らば、今、先ほども説明いたしましたように、一応日歩三十銭ということを主にして考えておりますが、これはもう少し実は研究をしなければならんと思つております。この三十銭はどこから出て来たのかということでございますが、今申上げましたようなことを前提にいたしますならば、例えば一般の正規の金融機関の、銀行が出しておる金利が、商業手形であれば二銭一厘であるとか、或いは普通の短期金融なら二銭三厘であるとか、貿手であるならば一銭九厘であるとか、そういつたふうの一つのいわば科学的な見地からいろいろ計算が出て来るような数字では実はないのであります。常識的に、これは如何にも高い、これは如何にも禁止しなければならんといつたようなところに、いわば非常に言葉は悪いのでありますが、腰だめ的に出て来る限度であろうと思うのであります。従つて幾ら幾らのこういう計算の数理的根拠に基いて三十銭というものが出て来るということはなかなか申上げかねる。強いて言えば、日歩三十銭前後ということは月利にして大体一割弱、年利にして十割ちよつととまあいつたようなところでありましよう。一年で大体元本程度のものを取るものは如何にもこれは高いという一つの常識論から出発して又差支えない金利じやないかと思うのであります。これが金利体系の中に入つて来る金利でありますならば、そういう常識論で金利をきめるということは許されない。併しこうした罰則を以て臨む、いわゆる社会悪としての金利は、それを、私も余り専門家ではありませんけれども、やはりいわば自然犯的な社会悪といつたようなところはおのずから常識できまつて来るのじやないかと私は考えております。現在いわゆる指導金利として貸金業者が出しておる金利を日歩五十銭で抑えているのでございますが、併し法律上別に五十銭とも何とも書いてございません。これはむしろ刑事局のほうから御説明つたらいいかと思うのでありますが、一種指導金利でありましてこういうことになつておるのでございます。貸金業者届出をする場合に、その届出を私どもが受理する場合に、法律違反の虞れがあるような場合は受理してはいかん、その他若干の条件がありますが、そういうふうなもの以外は受理すべしということになつております。受理しなければならんわけでございます。然るにこの高金利で非常に高い場合には、これは今ございます物価統制令というのがございまして、あの八条ですか、はつきり条文は覚えておりませんが、暴利、不当高価を禁止する規定、その暴利、不当高価に一体該当するかどうかということが法令違反疑いがあるかどうかということで問題になるわけです。私どもはその際に、この届出を受理いたします場合に、この物価統制令第何条かのその規定違反する虞れがあるかないかという点を考えて、それが大体違反するところまで来ないだろうというところで、私どもはこの金利を認めて受理いたします。その金利が大体日歩五十銭程度ならば、刑事当局といたされましても、先ず先ず何と申しますか、物価統制令第八条かの不当高価、暴利には当然に当るとはいえないというふうなことが、内部的に御決定になつておるようであります。それを私どもも採用いたしまして、日歩五十銭以下ならば物価統制令違反になるような虞れはない、それ自体としては実は出て来ないということで、法令違反ということは先ずなかろうということで、五十銭までなら届出を受付ける、こういう持つてつたようなことで、まあ五十銭という指導金利が出て参つておるわけであります。非常におわかりにくかつたと思いますが、そういうことでまあ五十銭ということが出ておりますが、その後この五十銭というものは如何にも高い、経済が現在のように正常化して来る時代に、今お話のように一体五十銭も出して事業が成り立つかといつたような議論もありましようし、この五十銭の指導金利の、指導金利シーリングというものはできるだけ下げて行くべきではないかということを、私どもはかねがね考えて参つたのであります。たまたまこの法律を制定いたすに当りまして、現在の貸金業者の実際の金利を見ますると、大体三十銭から三十五銭くらい、まあ大部分それ以下の金利のようになつております。そういつた実情等も考えて見ますならば、他方、五十銭というものが非常に高いということも、これも覆うことのできない事実であろうと思いますので、その辺を勘案いたしまして、まあ三十銭程度でいいのではなかろうか、こういう結論に実はなつたわけであります。尤もこれは冒頭にお断わり申上げましたように、三十銭がいいのか、或いは三十五銭がいいのか、或いは二十五銭がいいのかという点につきましては、更に部内においてもいろいろ意見がございますので、もう少し検討いたしたいと考えておる次第でございます。
  75. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の銀行局長の御説明では、つまり社会悪のために五十銭という高い標準に持つて来て、あえて五十銭を容認している意味ではないということなんだが、悪徳業者がその盲点を完全に今度の仕事なんかを見ていると突いているわけです。三十銭とか三十五銭とか四十銭という日歩で貸しておるわけなんだが、そうしますると、あなた方の精神をそれの盲点を突く悪徳金融業者はうまく利用したような恰好になつておるんだが、私の考え方といたしましては、数少い金融業者の犯罪を助けてやるためにそういうことをするかのごとく一面からとられても仕方がないことでありまするが、一面、一方の借りる立場の人のことは、今、成瀬君の申されましたように、何十万という人が被害を受けておる。一方の不正金融機関はまあ何千だか何百だか存じませんが、被害者に比べては非常に少い人間なんです。そういう少い人間の罪悪を防止してやるがために無辜の庶民の何万人というものがそういう災害を蒙りやすいようなふうになるということは、これは、政治としてとるべきものではないというように私は考えられます。どうか大蔵省におきましても、法務省におきましても、多数庶民階級の生活状態、又どうしたならば生活がいくらかでも楽にし得るかというところを考えてもらわなければ私はこれは困ると思う。貸金業者法律にひつかからない程度のみ勘案されたのでは、それは一般民衆は非常な迷惑な話なんですから、その点を考える場所をもう少し民衆のほうに頭をずらしてもらつて、そうして最高のところはなるべく低くして、なるべく事業の成り立つようにというように、今度の大蔵省の立案はうまく一つ大衆の利益のために私はやつてもらいたいということを要望いたしまして、質問を打切ります。
  76. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちようど月一割五分の話が出ましたからお尋ねしたいのですけれども、僕は警視庁が月一割五分でいいという記事を新聞に載せたにはびつくりした。それ以来、月一、月二とか言つて、何だか世の中の経済が一にもなるし二にもなるような印象を与えた。これがもう今度の問題の一つの大きな原因じやないかと、私はそう思つておる。お前はものを知らんから、そういう目に会うんだ、こう言つてしまえば、それまでだけれども、先ほど来あなたの言葉の中に、ものを知らない人もあるのだ。そういつた人が多い世の中に、何だか世の中の経済力が一割にもなるし一割五分にもなるといつたような印象を与えたことが、世間で、月一、月一と、こういつた言葉がはやつて来て、我々の耳にも入つて来る。そんなにまで利息が払つてもらえるか、その影響力というものは大きかつたんじやないかという感じがするのです。只今のは金を集めるほうがそれを利用してその盲点を突いたというのですが、出資する側の心境というものも考えて、そうしてあなたのほうで、まあそういうものをきめる場合には相当注意してお決めになつてもらいたい。それには相当説明がついていなければならん。説明なくして相手が知らないから、それだからお前が馬鹿を見たのは当り前だ、こう言つてしまつて、何ら行政上の説明をしないでおいたということが、それが今日のこの大きな問題が起きた又原因の一つでないかというふうに僕は考える。警視庁の態度は怪しからんと思つておる。そういうふうに政府がいいというふうに決まつたというのならやむを得ないです。  それから法務省のほうに一つお尋ねしたいのですが、捜査ですね、これはまあ昨日か詐欺罪で起訴せられた。それには人権の蹂躪にもなつてはいけない、或いは諸般の事情を考慮した、或いは表示行為といいますか、そういう点を考慮した結果、ようやく得た結論の結果、起訴されたというふうに、私としては考えられますが、先ほど成瀬委員も話をされた昭和二十七年のお正月に銀行局長が二十六年の暮から研究しておつたといいますが、御承知の通り、起訴すればその人を罰するばかりでなく、防衛行為になる、犯罪を再び民衆をして犯さしめないようにする大きな目的があることは、何も私が申上げるまでもないと思います。この点については、大蔵省というか、なぜもつと早く何とか対策を講じなかつたという責任を若し追及することができるなら、法務省においてもつと何とかならなかつたものか。併しどうも表示行為がはつきりしていないものだから、何しろ人を縛ることだから、だから慎重な態度をとつた、こう言われれば、それも尤もなんですが、ところが、こうした問題は終戦後にのみ起きたことでないので、歴史をあとへ戻して行けば、第一次欧洲戦争においても、今の合法化した投資信託と同じような犯罪が出て来て、そうして御厄介になつたことは、これは記録を見ればはつきりわかつておるのです。一体、捜査の上に何らか欠けておるところがあつたのでないか。表示行為を一体どの点まで徹底して起訴するに至つたかということが、ここで聞いていいのか、裁判所に聞くことかということになりますけれども、何らかここに捜査の上に欠陥があつたのじやないかというふうに考えられるのですけれども、そういうことは思い当つたことはないですか。
  77. 津田実

    説明員津田実君) かような金融関係の事犯につきまして、只今持ち合わしておる数字といたしましては、昭和二十八年つまり昨年の一月一日から今年の一月二十日までの全国集計でございますがこれによりますると七百八十二人を検挙いたしておるのであります。その種別といたしましては、株主相互金融が二百五十八というような数を筆頭に、いろいろあるわけでございますが、匿名組合もありますし、それからまあ投資というような、何かわけのわからない、或いは物品割賦販売というような形のもの、こういうふうに、取締についてはその端緒を得られますることに捜査をやつております。それから昭和二十七年以降、二十六年もあつたかと思いますが、全国の経済係或いは財政係検事の会合が年に二回程度ございますが、その際にもしばしば、金融事件については十分査察内偵を怠らずに、違反の見つかつたものは直ちに検挙を行うようにという指令を出しております。従いまして先ほども申上げましたように、端緒が得られますれば必ず取扱つておるわけなのであります。併しながら、違法のすれすれの線を合法の側において行なつて、而もその内容を取得しておるというものにつきましては、なかなかこれは、かかりにくいのでございます。それじや何かほかの方法でやればいいじやないかという考え方もあるようでございますが、捜査はやはり本来の目的に従つてそれぞれの手段を使わなければならない。ほかの軽微な犯罪を種にして大きな犯罪を引出すという方式は、訴訟法の建前としては許されていない。従いまして、なかなか端緒を得ることが困難であるということはある。これは若干弁解がましくなるのでありますが、結局かような金融関係の問題につきましては、只今御指摘のように、いろいろ何とか式とか或いはソーカイ事件、こういうものが全国に波のように高くなつたり低くなつたりして大なり小なりあるのでございます。併しながら、それがいつも或る程度大きくなつてから問題になるのじやないか、こういうことが言われるのでございますが、これはなかなかむずかしいところでございまして、少し合法の線で事業を進めた場合、それを直ちに刑事手続に訴えて強行すれば必ず潰れるのです。直ちに潰してもなお且つ刑事面において有効であるというふうに考えて、非常に証拠が薄くても取締つてよろしいかという問題になりますと、これはなかなか踏み切れない問題があるのでございます。殊に、刑事訴訟法が改正されましてから後は、かような捜査の端緒が相当確実でなければ手を着けることが困難になつております。そういうようなことからして、やはり結果的には常に誤まつていたのじやないかという批判を受けざるを得ないことになるのでありますが、少くとも法務省或いは検察当局としては、先ほど申しました会合等を利用してしばしば言つておるのでありまして、できる限りの努力は払つたと思つておる次第でございます。現にまあ大きいものでは、少いのでありますが、七百八十二人を昨年中に検挙いたしておるわけであります。決してその方面の手を緩めておつたというわけではないのでございます。
  78. 松永義雄

    ○松永義雄君 私、質問を終りたいと思うのですが、第一線の捜査機関というものがこうした知能犯的なものに対して十分の能力を欠いているのではないかという感じがするのですが、それを調整するにはどうしたらいいかというと、これはいろいろな方法があるのでしようが、どうもそういうような感じがする。余り暴露的なことを言つてもしようがありませんが、それで、いずれ造船問題について法務省のかたにお尋ねしたいのですが、過日大蔵省にお尋ねすると、それは運輸省に聞いてくれと、こういうのですが、リベートとはどういうことですか。何も犯罪だとかそういうことでないのです。リベートとは一体どういう意味か、定義ですね。一つ勉強しておいてもらいたい。いろいろな関連もあるのですから、それを一つお願いしておきます。
  79. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 それを文書で書いてもらいたい。
  80. 松永義雄

    ○松永義雄君 文書でも論文でもいいですが……。
  81. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 早く願います。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 これは簡単な問題ですが、金利の問題で前から問題になつておる明治十年太政官布告第六十六号の利息制限法、これはどうするのですか。
  83. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 先ほど銀行局長説明いたしました預り金禁止等に関する法律案の中に、高金利の罰則規定が入るわけでございますが、それと関連いたしまして太政官布告の現行利息制限法、これの改正を検討いたしております。改正案の内容等については、只今関係各省と打合せ中で、まだ案がまとまつておりません。成案を得ましたならばお示ししたいと、かように考えております。
  84. 小林政夫

    小林政夫君 それは今度の法案と一緒に解決するのですか。それとは切り離して解決するのですか。
  85. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 今度刑罰法規のほうと関連いたしまして、成るべくこの国会に同時に出したいと考えておりますけれども、いろいろこのほうも問題がたくさんありますために、或いは幾らか時期がずれるかも知れません。極力内容について検討中であります。
  86. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後五時八分散会