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1954-10-12 第19回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十二日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 九月二十日委員平林太一辞任につ き、その補欠として木村禧八郎君を議 長において指名した。 十月九日委員白井勇辞任につき、そ の補欠として山縣勝見君を議長におい て指名した。 十月十一日委員山縣勝見辞任につ き、その補欠として白井勇君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            藤野 繁雄君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            安井  謙君            土田國太郎君            豊田 雅孝君            前田 久吉君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            森下 政一君   説明員    自治庁税務部長 奥野 誠亮君   参考人    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君    日本銀行総裁 井上 敏夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (国民金融公庫恩給担保金融等に  関する件)  (最近の金融情勢に関する件)  (中小企業に対する租税対策に関す  る件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より大蔵委員会を開会いたします。  本日は最初国民金融公庫業務状況並びに恩給担保貸付につきまして、藤野委員よりお申出がございましたから、それに対しまして、国民金融公庫総裁櫛田光男君から説明を求めます。次に最近の金融情勢並びにその見通し等につきまして、日本銀行の副総裁井上敏夫君より説明を求めます。更に三番目に中小企業等に関しまする地方税の実情並びに税負担軽減の問題について、自治庁より説明を求めまして、それらの点について各位の御質問を求めたいと存じます。  なおこの際御了承を得ておきますが、本日出席櫛田総裁並びに井上日銀総裁につきましては、参考人として意見を徴しますので、その点御了承をお願いいたします。  更に、先般次の機会日銀の一万田総裁出席を求めて質疑をしたいという菊川理事からのお申入れがございましたので、日銀当局に再三本日出席方を求めましたが、昨日に至りまして、一万田総裁は土曜日より病気で休んでいるので、本日出席いたしかねるということでございましたので、止むを得ませんので、それでは健康の回復次第次回に是非出席を求めるように委員長より申しておきましたので、本日はその代わりとして井上総裁出席を求めまして現況を説明させる予定でございます。  では最初国民金融公庫業務状況並びに恩給担保貸付につきまして、国民金融公庫総裁櫛田君より説明を求めます。
  3. 櫛田光男

    参考人櫛田光男君) 櫛田でございますが、只今お尋ねがございました最近の私ども公庫業務状況につきまして、概略説明申上げたいと思います。  本年は当初から、政府出資二十億と、それから資金運用部からの借入九十一億、合計百十一億円の新規資金予算を以ちまして始めたのでございますが、昨年に比べまして、今年に入りましてからの各種経済情勢を反映いたしまして、申込み状況が大変に増加いたしておりまして、これは当初以来予想せられたことでありましたが、毎月大体昨年の同期に比較いたしまして、三割乃至五割の申込み増加がございますような状況でございまして、これに対処しまして資金の面でございますが、普通貸付の面から申しますと、二十八年度全体を通じましては、二百九十七億円の貸付が実行できたのでありますが、本年度はそれに対しまして、かれこれ勘案いたしまして三百四十億円見当、大体一割三、四分の増加貸出ができるのではないかと存じまして、四半期毎に計画を立てまして今日に至つたのでございますが、大体第一四半期におきましては七十五億円見当貸付をいたしまして、四月から六月までの間には七十五億円見当、これは前年同期におきましては五十五億円見当でありました。それから第二四半期の七月から九月までの三カ月間におきまして約八十三億円の貸付を実行いたしました。前年同期は七十二億円でございました、かれこれ百六十億近くの貨付を、この二十九年度上半期において、普通資金におきまして実行いたして来たわけでございますが、申込みに対しては大体三割見当金額におきましては三割見当といつたようなところを実行することがともかくもできて参りました。これは昨年の比率から申しますと、昨年は申込みに対しまして三割三分貸付けて参りました。昨年全体を通じてでございますが、多少昨年と比較しますと、申込みに対する比率が下つて来たというところでございます。  そのほかに、今度の資金関係並びに需要状況を考えまして、私どもの考え方といたしましては、できるだけたくさんのお方にお貸付をしたらどうかという意味におきまして、成るべく必要最小限度にお客さんのほうに資金を、何と申しますか、お貸付当りましても、まあ辛抱して頂きまして、なるべくたくさんの人にという方針で参つたのでありましたが、その結果、昨年は一件当り十八万円見当貸付でございましたが、本年はお客様の納得を得まして、いろいろ御相談の結果、大体平均が十六万円見当というところになつております。  かようにいたしまして実行いたして参つたのでありますが、さて今後はどうであろうかということでありますが、なにさま第一四半期、第二四半期におきまして、かなり資金需要が旺盛でありましたために、それにできる限り応じようという形をとつて参りました結果、実は当初の計画よりも、上半期における貸出相当超過いたしましたような関係もあり、この第三四半期におきましては、資金運用部からの借入の残りの殆んど全部を借入れるというふうなプランを立てましても、なお大体百十億乃至百十五億見当貸出になろうかと存じます。昨年の同期におきまして、約百十億見当貸出をいたしたのでありまして、大体昨年の十月—十二月と同程度貸付しかできないというのが第三四半期資金現状でございます。大体今のところでは第三四半期を以ちまして、本年度政府から或いは出資を受け、或いは貸付を受けまする新規資金の殆んど全額を使い果すことに相成るわけでありまして、第四四半期の一月—三月におきましては、回収金を以て貸付に充当する、貸付をすると、大体七十二億円見当を現在のところ予定いたしております。全額年度を通じましては三百四十億円ということに相成るわけであります。これが普通貸付現状でございます。  それから次に恩給担保貸付について申上げたいと存じます。恩給担保貸付は、昨年の十月から事業資金関係につきまして、恩給担保といたしまして貸付を開始いたしたのでありましたが、本年の五月十日以来、事業資金のみならず消費資金につきましても、これは恩給担保貸付を実行いたすということに相成りました。五月以降は、事業資金消費資金の別を問わず、貸付を実行いたして参つたわけであります。何分にも恩給担保関係担保として頂きます適確なものは、国家で支払います恩給関係のみならず、自治体が負担しまするもの、そのほかに扶助料も加えて、或いは地方関係各種の年金或いは退隠料といつたようなものが入りますので、非常にこの需要層が広範囲に亘ります。それに対しまして、資金面から申しますと、大体新規資金二十億円、大体これは政府出資二十億円をこれに充てたわけでありますが、この二十億円、それから貸付の途中において、大体四月、七月、十月、一月というのが恩給支払期になるのでございます。そういつた際に受給者に代りまして公庫が受取りまして、元利の返済に充当いたして行くわけでございますので、その回収金がございます。かれこれ合せまして、年間に二十四億見当貸付をいたしたいというプランを以つて進行いたしたのでございます。五月以降非常に資金需要が旺盛でありまして、これに対しまして私どももできる限り実行いたして参りました結果、第一四半期におきましては三億六千四百万円、それから第二四半期におきましては約八億円、大体十一億六千万円になりますか、この見当のものを、第一四半期、第二四半期上半期中に貸出をいたして参りました。これは予定計画の約半分というものを予定通り消化いたしたわけでございます。そのほか第三四半期におきましては、大体六億八千万円、第四四半期におきましては五億六千万円見当貸出をいたしたいというふうに現在のところ計画を立てております。  その申込み貸出との関係でございますが、昨年の十月から今年の大体五月までは、事業資金中心貸出をいたしたわけであります。五月十日以降消費資金関係貸出も実行いたすことになりまして、具体的には五月中にそのお申込みをとりまとめまして、六月から全面的に貸出をいたしたわけであります。そこで六月から八月までという数字をとつて見ますというと、恩給関係申込みが一万四千件、金額にいたしまして十三億千二百万円と相成りまして、六月から八月まで三カ月間、それに対しまして貸付が一万八百十件、割合にして七六%に相成ります。金額が七億四千九百万円、割合にいたしまして五七%見当、この貸出をいたして参りましたわけであります。そこでこの恩給担保貸付でありますが、実は申込みがかくのごとく非常にのぼりますのみならず、お気の毒なかたと申しますか、緊急の資金を必要とせられるかたが数多くいられますることなども考え併せまして、具体的に実行いたします場合に、事業資金と申しますか、仕事をなさいますための着手資金であるとか、そういつた関係においては、大体十万円見当、それから消費資金関係におきましては五万円見当というところに御辛抱願いまして、もともと資金の総量が少いのでございますので、成るべくたくさんのかたに御利用願いたいと、まあいつたような趣旨から、そういうふうにいたしました。まあお客様ともよく御相談を申上げまして、実行いたしているような次第であります。その結果金額においては申込みの五七%でありますが、件数におきましては大体七割六分見当のおかたに、六月—八月においてはお貸出しができて来た、まあかような状況に相成つております。ただ何分にも恩給担保関係貸付は、手続がお貸出をするまでは比較的簡単に参るのでありますが、その受領、代りまして、政府、或いは地方自治体から公庫代理してこれを受領いたします。恩給金を受取るわけであります。その手続が極めて面倒と申しますか、むずかしいのでございまして、そういつた関係から、事務量が意外に増加いたしまして、その結果非常な人手不足を感ずるようになつて参りました。業務全体に亘りましてこれが相当負担なつて来ましたことはいなめない事実でありまして、これは大蔵当局ともいろいろ現在相談をしまして、人手関係を少くとも年度内に解消するため、予備金活用等につきまして、現在話をいたしているところでございます。とにかく申込みが月に平均いたしまして約五千件以上ございます。ところが普通貸付のほうの処理が大体全体で、まあ直接扱いでございますが、代理貸を除きまして、一月に一万件処理して参ります。ところが恩給担保関係だけでも新らしく毎月五千件以上のものを処理しなければならん、こういうふうな状況に相成りまして、ところがそれに対しまして人手関係が余り定員増加がございませんような結果、非常に全体の仕事が少しこう手張つて参りましたことで、最近いろいろな点においてお客様に、当初から念願いたしておりますできるだけ早くということが又少し足がのろくなつて来たということが起きまして、恐縮に存じているような次第でございます。それから恩給担保貸付につきましては、当初全国的に各支所にどういう工合需要があるかということを、見当がつきませんでした。と申しますのは、政府関係のほうで裁定をいたしますそれが現在進行中でございまして、全部お済みになつておらないようでございます。その結果全国的に地域的にどういう工合受給権がわかれているかという見当がつきませんでしたので、各支所ごとにあらかじめ一定のこの目標を示すということが不可能でありましたので、五月以降暫くの間は各支所申込みをとりまとめまして、それを本所に送らせました。本所で一括しまして、更に地方にこれを配分するという手続きを止むを得ずとりました結果、当初におきましては、五月分のものを六月早々に本所に集めまして、それを審査いたしまして、貸付の決定を支所に通知して、支所で又それを手続をとる、これが六月の下旬になるといつたような関係から、一月半ぐらいの時日を要しました。これが又大変お客様方に御不便を感じさせたことはいなめなかつたのでありまして、それを考えましても大体五月、六月、七月という三カ月の見当で、各支所におきまする荷の重さと申しますか、或いは需要量と申しますか、その見当が一応つきましたので、八月以降に一定の基準を示しまして、各支所において本所相談することなく恩給担保貸付は実行できるようにいたしました。それ以来、九月以降は、手続の点におきまして公庫内部に関する限りはかなりスピード・アツプができたかと存じております。  大体かような状況に相成つております。なお詳細の点につきましては、御質問がございましたら又御説明申上げたいと存じます。一応これで……。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今櫛田総裁の御説明に対しまして御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この資料についてもう少し説明して頂きたいと思います。
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは櫛田総裁にお願いいたします。今公庫貸付につきまして資料を大分頂いておりますが、これの概略の御説明が願いたいと思います。
  7. 櫛田光男

    参考人櫛田光男君) では御説明申上げます。  先ず最初国民金融公庫全体の業務現状につきましては「国民金融公庫現状」と申しまするパンフレツトと申しますか、ガリ版でございますが、これは九月末までの数字がまだ全部正確にはまとまつておりませんので、八月末までの数字を一まとめにしたのでございまして、現在の私ども仕事状況の各面に亘りまして統計的に、第一頁のほうは資金状況でありますが、これは当初以来の資金増加状況を月別に一応書きましたわけでございます。  それから二番目は業務所関係でございますが、現在本所業務部を含めまして、業務所が五十八ございます。なお最近の機会におきまして、この二十日頃になりますと北海道の北見に支所を新設いたします。又十一月上旬になるかと思いますが、東京の王子に支所を一つ作りまして、十一月に合計六十の業務所を持つことに相成ります。  代理所は現在六百三十一ございます。その代理所内訳は、金融機関別は二頁のほうに書いてございます。  なお職員数でございますが、現在千六百九人でございまして、予算定員が千六百八十二人、なお七十三人の定員を残しておるのでありますが、これは先ほど申上げました二つの支所を新設いたします関係で約四十人見当定員を留保しております関係と、それからあと三十人ほどは最近の機会において或る程度埋めます。これはそのうちの十五人ぐらいは、自然減耗とでも申しますか、退職その他の関係で生じましたのでありますが、これは最近の機会に埋めまして、先ほど申上げましたように仕事手張つて参つておりまする関係を緩和いたしたいと考えております。なおこのほかに、できますならば予備金関係を考慮いたしまして、定員増加をいたしたい、予算関係がございますので、年度内は臨時の形をもつて増員を一つ実行さして頂きたいということを大蔵省に申入れているようなわけでございます。  それから三頁以降が、貸付関係統計に相成りまして、先ず普通貸付状況でございますが、これは三頁にございまして、申込貸出回収金額年度別に書いてございます。二十九年度におきましては、四月から八月までの五カ月間におきます申込が十六万七千件、金額にいたしまして、四百一億でございまして、それに対しまして、貸出が八万一千五百九十六件、約四割近くの貸出に相成つたわけでございます。金額におきましては、百三十二億円見当ということに相成つております。その申込貸出の、今度は直接と代理に分けましての内訳がその下に書いてあるわけでございます。  その次が申込貸出回収の一カ月の平均が、どんな工合に当初以降移つて来たかということであります。お蔭を持ちまして、当初は一カ月に大体一億四千万円ぐらいしか貸出ができなかつたのでありますが、二十九年度におきまして、平均いたしますれば、一カ月に二十六億三千九百万円見当という貸出ができるように相成つて参りました。  それから一件当り金額でありますが、これは先ほど申上げましたように、大体総平均にいたしまして、申込のほうの一件当り金額は、大体三十万円見当でございます。貸出のほうは大体十六万円見当に相成つております。  次は貸出残高、五頁でございますが、貸出残高、及びそれの直代別内訳でございまして、現在八月末におきましては、貸出残高が、普通貸付につきまして約二百七十億、それから件数にいたしまして二十六万五千件といつたようなことに相成つております。  それから六頁に参りまして、貸出先業種別とか、用途別期間別金額別という統計を出してみたのであります。これは二十九年度におきまして、大体五割余というものが卸売小売に出しておりまして、それから約三割が製造業、約一割がサーヴイス業、その他が六%、その他と申しますのは、交通、運輸、或いは農業、水産、それから鉱業関係といつたようなものに相成るかと思います。それからサーヴイス業が一割……、ちよつと多いような感じがいたしますが、この中に相当部分お医者さん関係病院関係貸出が含まれております。これが昨年の年度状況で申しますと、大体卸売小売が四割から四割五分、それから製造業関係が三割五分から四割というところが、昨年までの状況でございまして、サーヴイス業一割、その他が六%というところは動きません。本年度に入りましてからの需要関係もそうでございましたが、年度上半期におきましては、やはり卸売小売商業関係に少し重点が移つたような感じがいたしますが、これは或る程度資金需要とも睨み併せての話でありまして、やはりこの経済界の動きがこういうところにも現われておるのじやないかというふうに感ぜられておるわけであります。  それから設備資金運転資金割合でございますが、本年度におきます運転資金が、金額にいたしまして、八二・三%、設備資金が一七・七%、こうなつております。これが昨年の初めくらいまでの状況でありますと、設備資金が二五%、運転資金が七五%、まあそういつたような割合でございましたが、本年度に入りましてから、何と申しますか、運転資金のほうの比重が可なり……、需要のほうはそうでございましたが、まあ重くなつて来た、かように感ぜられます。それから貸出期間別でございますが、これは四分の三というもの、七五%、七四%半でありますが、これが大体一年から二年、簡単に申しますと二十カ月前後の貸出に集中いたしております。  それから貸出金額別でございますが、先ほど申上げましたように、総平均が、大体貸出平均が十六万円でございますが、まあそこに中心が行くのは当然でございますが、十万円から五十万円までというのが七二%、五十万円を超えますのが、金額にいたしまして三・八%、これは昨年の今頃に比較しまして、昨年の今頃は五十万を超えるのが六%ございました。五十万円超というのは、私どもといたしましては、成るべくたくさんのかたに御利用を願うのが本筋であろうと存じまして、可なり五十万円超というのを全体として比重を少くして行く方向に仕事をいたしております。  それから次のページに入りまして、貸出先担保別でありますが、これは百万円を貸しますというと、担保を必ず頂戴いたさなければならないことになつております。その担保関係でございます。  それから次に、普通貸付の点を概略終りまして、災害貸付でございますが、これは十六億一千万円、これは昨年の西日本及び南近畿の風水害、並びに十三号台風関係の特別の貸出でございまして、これが十六億一千万円貸出したのでありまして、現在の残高は、件数にしまして一万三千六百九十二件、十三億見当のものを持つております。これは特別の貸出でございまして、普通の貸出は利率が九分九厘大毛と相成つておりますが、この貸出だけは年利六分五厘といたしまして、六カ月据置で、三年間貸付をいたします特別貸出でございますので、別枠を計上いたしたわけであります。  それから遺族国庫債券担保貸付でございます。二十七年十二月から始めたのでございまして、当初、資金十億を見込みまして、本年の八月までの間に大体十億八千万円貸出を実行いたしました。回収が一億九千五百万円ございましたので、残高は八億八千九百万円となつております。  それから次の八ページに移りまして、母子家庭貸付、これは二十八年、去年の三月から始めたのでございます。これは別途又政府のほうで直接にお貸出を実行されております関係もありまして、私どもといたしましては当初五億円という資金を設定いたしまして、それを回転させて現在に至つております。全体の貸出が四億八千万円で、七千二百万円回収がございまして、現在の残高は四億七百万円となつております。  それから恩給担保貸付でありますが、これは昨年の十月から事業資金関係において始めました。それから先ほど申上げましたように、五月以降消費資金にまでその範囲を拡めたのでありましたが、昨年の十月から今年の八月までの総体を申上げますと、申込件数が二万五千三百六件、金額は二十五億八千六百万円、それに対しまして貸出が一万三千八百四十三件、金額で十億一千万円、ただ先ほども申上げました通り、本年の六月から八月までの三カ月をとりますというと、申込に対しまして、件数においては七割六分の見当貸出においては五割七分見当貸出を実行いたしております。昨年の十月から本年の五月までのは、比較的件数金額等割合が少なかつたのであります。本格的に資金予定して始めましたのが本年の五月以降であります。その点昨年の十月から今年の八月までをとりますと、ここに現われたような数字なつております。六月以降は非常に趣が違つておるということを御了承願いたいと存じます。  それから次に特別小口貸付、これは本年の四月から五万円を限度といたしまして、三カ月の短期間に緊急に資金を必要とするかたに非常に手軽に、実地調査を抜きにいたしまして貸付けようということを始めてみたのであります。ところが、この点につきましては、実は当初申込があろうかと思つておりました。ところがこの点は、私どもの宣伝と申しますか、普及徹底いたします点に或いは足りなかつた点もあろうかと存じますが、非常に予想に反しまして、八月までの申込が六千八百件の三億三千百万円、貸出が二千九百件の一億三千四百万、貸出残高二千二百件の九千六百万円というように、一四半期ごとに、大体四億から、多いときに五億くらい貸すことができるのではないかというふうに感じたのでありましたが、非常に少なかつたのであります。これは特別の事情がございまして、実はお客様方の中で、普通貸出のほうを御存じないかたがかなり特別小口貸付を御希望になつて、店のほうに御相談に参りました。そこで店の仕事をつぶさに御了解になつて、それではと言つて特別小品貸付申込みに来られたかたが普通貸付のほうの申込に乗り換えられまして、五万円を三カ月に返すよりは、或いは十万円を二十カ月で借り、月五千円ずつ払つて行くほうが非常に自分としては都合がいいと、まあこういつたような次第で、金利も同じであります関係もありまして、特別小品の短期貸出を御希望になつて来られて、その場で今度は普通貸付に乗り換えられたケースが各支部ごとに大変多かつた。そんなような関係で特別小品のほうが需要が思つたより少い。むしろ特別小口の貸付のほうは、私どもの経験からいたしますと、今まで普通貸付のほうのお取引があるおかたが急に資金が要る場合に、その五万円を改めてなんとか追貸しの形で別途利用さしてもらえないかという御相談がかなりございます。そういつた御利用のほうが多いように感ぜられます。この点まだ普及します点において宣伝と申しますか、そういつた、もう少し制度の趣旨をわかつて頂いて御利用を図つて頂くことを各支部ごとに考えてみたい。今折角いろいろのことを考えて、或いは市町村でありますとか、或いはその他団体等に趣旨を説明などいたしております。今後或る程度伸びることであろうかとも存じております。  それから九ページでございます。これは更生資金関係、主として引揚者その他の関係に対しまする貸付でございまするが、現在政府から交付を受け、或いは貸付を受けておりまする貸付金が三十一億ございます。現在二十二万三千九百件、二十九億円の残高を持つております。そのほかに中共から昨年来引揚げて参りましたかたがたに対しまして別枠二億円を設定いたしまして貸付を実行いたしております。なお今度帰られたかたに対して、現在二億円のうち一億七千三百万円使つておりますので、その残額その他を以ちまして今度帰られたかたに対しましてもできるだけそういうことをいたしたいと思つております。  最後に九ページの下に八月末の諸貸付件数残高がございます。総括表がございますので御了承願いたいのでございます。そこでお認め願いたい点が一つございますが、その中で、件数でございますが、私ども各種貸出を合せますというと、件数が五十六万五千三百八十三件、貸出残高につきましてこれが八月末現在でございます。私がここで言うのもなんでございますが、銀行全体八十数行ございますと思いますが、その貸出先というのを見ますと大体九十数万件にとどまるじやないかと思います。銀行全体八十数行が集りまして、その貸出先、一人々々商社、個人、これを合せますと九十数万件にとどまるじやないかと思います。それと私どもが扱つておりますのは非常に小口でございますが、件数五十六万五千件というのを現在残高として持つております。それは毎月少くとも処理いたしますものが二万件に及ぶ。普通貸出の面におきまして貸出額が一万件でございますが、大体申込等を入れますと、二万件近くなつております。そのほかに恩給関係において大体五千円以上のものを処理して参りますので、彼これ二万件を越すものを毎月処理いたしております。これを千六百人の人間で処理いたしておるということをこの際御参考までに申上げて置きたいと思います。公庫現状につきましての御説明、少し大雑把でございましたが、あと資料恩給関係についてお配りいたしたのでございますが、続けて申上げましようか。如何でございましようか。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 大体その程度で……。それでは御質疑をお願いいたします。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今国民金融公庫の現況について御説明を伺つて、非常に活動されておるということを知ることができて、この点については喜びに堪えないのであります。ただお尋ねしたいのは、今もお話がございましたように、国民金融公庫の取扱数、それは今お話によるというと、銀行全体が取扱つているところの数、それから公庫が取扱つているところの数について比較があつたのでありますが、これは例えば、農林中金であるとか或いは中小企業金融公庫であるとか、その他この公庫に類したところのものの取扱つているところの人員及び件数と比較するというと、どういうふうな率になつているか、そういうふうなことを御調査なつておることがあつたならば伺いたいと思います。
  10. 櫛田光男

    参考人櫛田光男君) 銀行関係につきましては、実は日本銀行の毎月の統計貸出先数というのがございますので、それを以て私どもわかるのでございますが、ほかの公庫並びに銀行関係につきまして実は詳しく承わつてございません。或いは関係官庁等に参りますればお知らせ願えるかと思つておりますが、まだそこまでいたしておりません。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それではあとで資料でよろしうございますから公庫が取扱つているところの人員当り件数と、その他の公庫のようなもの、或いは銀行のようなものが取扱つているところの一人当り件数金額というようなものも提出して頂きたいと思つております。  それから続いてお尋ねしますが、国民金融公庫が十分にその機能を発揮するためには、何と言つても、その仕事を運営して行くのに対して、適当なるところの人員が必要であるということは申すまでもないのであります。然るに公庫が新たなるところの恩給担保貸付をするようになつたのでありますから、当然或る程度の人員は増加すべきものと、こう考えておるのでありますが、現在では現在の職員でやつておられるということであるのであります。併し只今話を聞いて見ると、大蔵省に対しては、増員の要求をしているというような話であるのでありますが、現在の事業量から考えまして、どのくらいの人員を増加するのが適当であるというふうにお考えであるか、又或る程度人員を増加しなくては、迅速に仕事ができない、迅速に仕事ができなかつたらば、公庫の目的を達成することはできない、こういうような関係もあるのでありますから、公庫で考えておられるところの、現在の事業量であつたらば、どのくらいの人間が必要かということをお考えか、その点お尋ねしておきます。
  12. 櫛田光男

    参考人櫛田光男君) 人員の関係でございますが、昨年の定員が千五百四十人でございまして、本年は大体それに対しまして百四十人ほどの増員を予定したのであります。ところが御承知のような状況で非常に手間取つて参りまして、今大蔵省に要求いたしておりますのは、年度内に、大ざつぱなところでございますが、百人から二百人の間に相成りますが、いろいろ相談を申上げておるわけでございます。来年度なりまして、又資金増加、又申込み普通貸付その他のほうが大変手間取るかとも存じますが、来年度大体四百人見当必要なのじやないか、かようにお話を申上げて出したところでございます。実は大変ここで申上げにくいのでありますが、今年の六月頃までの間に、公庫貸付が非常に手間取つて長過ぎるというのが、私どもに対する大変な御批判でございました。そこで、非常に努力をいたしまして、六月頃にはどうやら一カ月見当というところに持つて来ることができたのでございます。申込から貸付までの総平均が三十日から三十二日というところであります。勿論遠隔地のほうになりますと、六十日かかることもございますが、近距離のところは、二週間、三週間で済むところもございまして、総平均はそのくらいまで遭ぎつけたのでございますが、九月の状況を調べると、どうやら四十五日ぐらいになりそうなのであります。五割ぐらい延びて来たのであります。三十一日というところまで遭ぎつけて参りましたのが、四十五日ぐらいに又延びて来たような気配があります。非常に心配いたしまして、その原因をいろいろ探りましたら、結局六月以降恩給担保貸付が各支所共に、とにかく各支所で扱います普通貸付件数の半分乃至それ以上のものを、新たに処理しなければならなくなつたというふうな関係が非常に響いているということがわかりまして、それで大体今申上げましたように大蔵省に新たな年度内の人員増加について、相談をいたしたようなわけであります。大変そこら辺の見込違いと申しますか、がございました点を、大変恐縮に存じておりますわけでありますが、何とか早く人員を増加いたしまして、折角できるだけ早く漕ぎつけられるようになりましたものを、又元へ戻したいと思いますので、やつているわけでございます。御了承願いたいと思います。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 元恩給を主としたところの公庫があつたのを、国民金融公庫にその仕事をさせるというようなことになつたのでありますから、新たな金融機関を作るよりも、新たな金融機関を作るとしたならば相当の人員を要するのでありますから、それを金融公庫にやらせるということであれば、いろいろ人員の節約もできるのであるから、政府においても或る程度考えて、新たな金融機関を作るよりも、公庫にやらせたほうがいいという点は、いろいろ人員の整理も節約もできるということになるのでありますが、それかといつて過重の仕事をやらせるということになれば、今総裁からお話があつたように、従来三十一日でできるところのものが四十五日になつた。四十五日になるということは、結局事業の分量に対して人の数が不足するという結論になつて来るのでありますから、こういうとかうな点は余ほど大蔵省とも御交渉下さつて、できるだけ早く仕事ができるように進めて行きたいと言つてもらいたいと、こういうふうに希望する次筆あるのおります。いろいろと公庫のほうで御検討しておられるということでありますから、どうぞ一層公庫の目的を達成されるように、一つ御努力をお願いいたしたいと思つて、希望を述べておきます。
  14. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は質問ではないのですが、この際、今藤野さんがお話になつ通り、どこへ行つても、国民金融公庫の信頼というか必要というか、必要なものですね。そこで、いつでも大蔵委員会では国民金融公庫の法律改正、制度等の問題が出ますると、全員先ず希望意見を付しては賛成しているのですね。それほど必要な、それほど要求されている金融機関なんですが、私は今藤野さんがお話になつ通り、全くそういうふうに必要な機関でございますから、大蔵委員会としては完璧を期するように協力したいと思います。特に今櫛田総裁からお話がありました通り、今回大蔵委員会の命令によりまして、私と木内さんが九州の金融財政の調査視察に参つた。その際、九州方面におきまして、木内さんは行かなかつたのですが、九州における経済界では、産業人は口を揃えて国民金融公庫の拡大強化を願つていたのです。特に熊本県におきましては、櫛田総裁が来て大いに協力する、これはどこでもそういう要望はあつたと思うのですが、ところがそれが、審査はしたけれども、今も申した通り資金の配付が遅れている、これは櫛田総裁が悪いのじやなくて、いわゆる資金上詰つているという関係もある、こういう点も、銀行局長等々と十分大蔵委員会は、斡旋といいますか、その間に立つて国民の期待に副うように努力したいと、こう思つて、私はそれだけの意見を本委員会に伝えておきたい。いずれ後刻御報告はいたしますが、一応この際ついででございますから……。
  15. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今大蔵省に対する新規要求、定員の問題は承わつてよくわかるわけですが、やはり資金ですね、総額の問題がどうしてもやはり足らないのじやないかということ、それと人員と絡んで、資金のほうのことについては何か大蔵省に対する要望をしておるのですか。
  16. 櫛田光男

    参考人櫛田光男君) 資金関係につきましては、昭和二十九年度においても、昨年に比較いたしまして、申込増加状況を比較いたしますというと、足らないのでございます。本年度はどうも財政事情があの通りでございますのみならず、資金運用部関係におきましても、ああいう事情でございますので、本年度のところは、只今問題になつておりますのは、この間の十二号、十三号、十五号台風の災害関係貸出金をどうするかという問題でございますが、それ以上に当りましては、今のところかなり消極的のように感ぜられるのです。来年度の問題ですが、来年度はこれは、今年の経験から鑑みましても、かなり飛躍的に殖やして頂かなければならないのではないかと思います。内訳は申上げませんが、総額におきましては、大蔵省に差当り申出ましたのは、来年度は三百七十五億円、資金を増強して頂きたい、かように来年度予算要求をいたしておる次第でございます。
  17. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一つ、旅費の問題ですね、調査しに行くのに、非常に遠隔のところへ行くのに少し行つたくらいで、旅費がなくて困つてしまうということを、私はその取扱つておる公庫の人からよく承わるのですが、こういうものに関連してはどんな処置を考えておるのですか。
  18. 櫛田光男

    参考人櫛田光男君) 旅費の点につきましては、本年度予算を組みますときに、大蔵省といろいろ折衝いたしまして、実は昨年度の一割増加ということで、旅費の増額を組んだわけであります。ところが事務量のほうがそれがもつと多い関係がありまして、旅費のほうが相対的に手不足になつて参りましたのみならず、本年度に入りましてから、特に又遠隔地の貸付と申しますか、支所所在地外の貸付がかなり比重が殖えて参りました。そういつた関係で、仕事よりもかなり旅費のほうが割合に多く要る、そういつた関係があつて非常に旅費が足りないために、かなりやりくりをして参りましたのでありますが、予備金その他の費目の流用等、来年度の問題として今大蔵省と相談をいたしております。これが早晩片付きますれば、或る程度改善ができるのじやないか、それを今大いに期待しておるような次第であります。旅費が少い点は、私どもは一つの大きな事務運営上の悩みの一つとなつております。これは大蔵省に事情を訴えて、その解決をしてもらおうと思つているところでございます。御了承願いたいと思います。   —————————————
  19. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは櫛田総裁に対する質疑はこの程度にいたしまして、次に日本銀行総裁井上敏夫君より、最近特に第三四半期以降の金融情勢並びに見通し等について説明を求めます。
  20. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 最近の金融情勢につきまして、若干お話を申上げたいと思います。御承知のように、丁度一年前から金融引締め政策を実行して参りまして、その影響を顧みますると、丁度本年の一月—三月の間に相当苛烈に現われたのでありますが、その後本年度に入りまして、過年度予算の支払であるとか、或いは又軍人恩給の支払でありますとか、地方公共団体に対する春雲あるとか、いろいろの財政資金の撒布がございまして、やや金融的には楽のような状態になつたのでございますが、この第二四半期即ち七月—九月の間と、その間における金融情勢を、世間も又我々も非常に心配しておつたのでございます。それは、その当時といたしまして、財政資金の引揚超過が、それはこの期間に据え置きされるであろうと推算されましたところ、日本銀行金融制度の引締めの殆んど最終的と申しますか、その尻が七—八両月くらいに現われると予想されましたので、両方の意味合からいたしまして随分金融は窮屈であると、かように予想されたのであります。これに対しまして、私どもといたしましては、一番影響を受けたところの産業に対する市中銀行の融資に対しまする日本銀行の高率適用制度の適用を若干緩和いたしましたのと、それから少し技術的な話になりまするが、第二次高率適用制度、或る方式でこれは出すのでございますが、それに対して、一定の調整率をかけておるのでございます。その調整率を、四月—六月の比較的金融の楽であつたときのそのまま据置くということで乗り切ろうとしたわけでございますが、ところが結果からみますと、この期間におきまする財政資金の引揚は僅かに六十億円に止まつた。このような原因からいたしまして心、配されました七月—九月の第二四半期もまずまずというところで経過いたしたのでございます。これに引続きまして、今月からの三カ月間、即ち第三四半期の問題でございますが、これは御承知のように供米代金が相当たくさんに撒されます。それを第一の原因といたしまして、財政資金が非常な支払超過になる期間でございます。  財政資金の収支の関係は、只今申上げましたように八月、九月の間でも大いに狂つたのでございまして、今大体この期間の撒布超過額を申上げてもその通りになるかどうか私もちよつと本当の自信がないのでございますが、只今資料からいろいろ判断いたしてみますと、恐らくこの三カ月間に二千億或いは二千百億くらいの財政資金の撒布超過になるであろうと思うのであります。そのようなことからいたしまして、少し話が脇へ外れるかも知れませんが、御承知のように、新聞雑誌等に報ぜられておりますいわゆるデフレ底入観といつたような観測と申しますか、そういつたような一種の心理が事業界その他に行われるようになつて参つたことは御承知の通りであります。なおこの観測に対しましては、当初の金融引締めの眼目でありましたところの国際収支の改善、それから物価の引下げ、この二つの大きな目的が、一〇〇%とは言えないまでも、相当顕著に達成されて参つたと思うのでございます。  先ず物価の面についてみますと、卸売物価の水準は大体昨年六月頃の水準に還つておると思うのであります。小売物価にいたしましても、ほぼ昨年の八月頃の金融引締め以前の状態になつております。と申しますのは、金融引締めにいろいろの方策を展開いたしましたのちにおきましても、依然としてこの思惑的な取引、その他の関係からいたしまして、物価は相当つて参りました。恐らく本年の二月、三月頃がピークであつたと思うのでありますが、そういう上昇の傾向を解消いたしまして大体今申上げたように卸売物価の水準としては昨年六月頃、小売としては八月頃に戻つている状態でございます。  又国際収支の点からみましても、極く最近新聞に発表いたしましたのでありますが、本年四月から九月までの本年度上半期におきまして、ドルに換算いたしまして七千九百万ドルの受取超過になつておるのであります。元よりこの間におきまして、企業の倒産、或いは不渡り手形の増嵩等、いろいろのデフレに伴うところの犠牲と申しますか、そういうものが現われたのは事実でございますが、これも先刻申しましたような金融情勢からいたしまして、昨今はそれほど激しい状態ではないというようなこと、それから今申しましたような国際収支も、これは手放しには楽観できないところがあるのでございますが、一応収支が改善しており、物価も相当一時のピークに比較して下つております。  それから日本銀行券の発行高におきましても、九月末は五千百五十二、三億だつたと思つておりますが、これが昨年に比較いたしまして大体五十億ぐらい低位にございます。九月の平均をとつてみますると、もつと幅の広い収縮ぶりになつておるのでございます。これらのいろいろの指標からいたしまして、もうデフレは底をついたのではないかという観測が行われたことは御承知の通りと存じます。  私どもといたしましては、それならばこの財政資金の撒布超過の非常に多い第三四半期に対してどう対処するか、こういう問題でございますが、二つの手を打つことに政策委員会で決定されたのでございます。一つは、先刻も申上げましたが、二次高率方式の通り、いわゆる調整率を前期の九〇%から七〇%に引下げたのであります。即ち市中銀行が日本銀行から低利で借りられる部分が相当それによりまして低く、金額が小さくなつたのであります。いわゆる借りにくくなつたのであります。もう一つの手段といたしましては、供米代金が農協或いは信連の段階から農林中央金庫にかなりそれが集まつて参ります。この金額もはつきりは推定できないのでございますが、少くとも第三四半期におきまして七百億円、或いは昨今の農村の消費傾向からみまして、もう少し殖えるのではないか、八百億円くらいに達するかも知れません。これに対しまして昨年やりましたと同じように、市中銀行の二次高率で日本銀行から借入れております金額を農中の資金によつて肩替りしてもらいたい。それからその他に又関連産業に融資をすることにもなりましようが、相当部分をいわゆる日本銀行の売オペレーシヨン、日本銀行が持つておりますところの手形を大体農林中央金庫のそろばんに合うような割引率を以ちまして短期間農中に持つてもらいたい。こういう手段を講じまして結局農中へ集まつたこの期間における資金日本銀行への還流を図る、こういう手段を講じたのでございます。恐らく今日あたりはその一部分を実行しておるかと思うのでございますが、このような方法と申しますか、方針によりまして、大体第三四半期におきましては財政資金の撒布超過額の五割以上は引揚げることができるのではないか。このようなことができるといたしまするならば、大体におきまして先ほど申上げました九月末の銀行券発行高が五千百五十二、三億でございますが、年末通貨も六千億乃至六千百億ぐらいのところで収まるのではないか、かように考えておる次第であります。従いまして金融政策を中心とする限りにおきましては、やはり今後もそう楽にはなつて参らない、かように考える次第でございます。  それが昨今の情勢でございますが、なおちようど金融を中心といたしまする引締め政策が一年に相成つたのでございます。今後これにつきまして関係方面への影響なりなりを篤と検討いたしまして、少し芸を細かくして行く必要がある、これは私ども実は認めておるのでございます。只今までのところ輸入金融の引締め、或いは高率適用制度の強化と申しますか、そういうようなことを中心としてやつて参つたのでございます。今後にいろいろな問題がある、このことにつきましては十分検討して参りたい、かように考えておる次第でございます。そのほか例えば中小企業に対する影響であるとか、今後のそれに対する金融対策であるとか、万般の問題があるかと思うのでございますが、非常に概括的ではございますが、あと御質問に応ずることにいたしまして、昨今の金融情勢を極く大まかに御説明いたしたような次第でございます。
  21. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今井上総裁説明に対しまして御質疑がありましたならばこの際願いたいと思います。
  22. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 盛んに今言われているデフレ、デフレと言われるのは、金融の引締めた、卒直に言つて金融面からの措置が中心なつている。どちらかというと、本当の意味のデフレじやない。デフレというのは飽くまでも私は、どう考えても、総合的にあらゆる面の対策を立てた上で金融の引締めが行われなければならんのだが、金融の引締めが先走りすぎている、こういうふうな意見を持つているものもあるし、私もちよつと少し無理すぎるのではないかとこう思うのですが、日銀といたしまして、今は何といつても、日銀調査統計が今日まで長い間経済界の一つのバロメーターになつていたことは事実でありますが、今副総裁は、倒産であるとか、手形の不渡が一時からみると相当減少の傾向におさまつてきたように、こういうふうにおつしやるのでありますが、内実はまだ倒産や不渡は余りないにいたしましても、だんだんと苦しくなつているのではないか、具体的に一つ一つの企業、中小企業、大企業においても苦しくなつて来ているのじやないか、こういうふうに私は思うのですが、従つてそれが第三四半期における散超によつて、一つはどちらかというと暮に相当な散超になるからして期待を持つているという向きも相当あるのじやないかと思うのだが、これに対して、いよいよ散超に対しては又強引な吸い上げ計画を立てられるということになりますると、年末に大きな打撃を各企業に及ぼすのじやないか、こういうことを心配するのですが、この点見通しはどうでございますか。
  23. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 只今おつしやつたように、只今の政策が本格的なデフレ政策であるかどうか、これについては御意見の趣旨も又我々同感の点であるのでございます。まあ非常に金融独走であるとか、いろいろな批判がございましたが、金融引締めを行いましたときには、金融引締めのほかに、予算面におきまして御承知のように一兆円の枠にこれを抑える。それから少しくどく相成りまするが、何と申しても、その当時の情勢が、過剰投資、過剰生産又過剰消費と、何でも過剰である。在庫も過剰であつたと思うのでございますが、そういう情勢心対処して、輸入の点につきましても相当これを思い切つて引締める。外貨予算が大体二十億、輸入の枠二十乃至二十一億ということできめられたのもそういう点でございますが、その輸入の抑制と、それから予算の規模の縮小と、それに加えまして日本銀行の金融引締めと、この三本の柱と申しますか、行き方でやつて参つたのでございますが、中でやはりこの金融政策が一番強く出もし、響いたことは、これは私も否定できない事実だと思うのであります。従つて今後従来のようなテンポで行くかどうかにつきましては、金融政策の影響はもとよりでございますけれども限度というようなことも十分にこれは研究して行かなければならないと思います。  なおこれを補足すると、金融独善の響きがあるかも知れませんが、とにかく全体的にこの日本の国際収支の均衡を図り、又物価を引下げるのならば、やはり私の考えとしましては総合的に引締めの方向への政策がとつて行かれなければならないと考える次第でございます。併し最後におつしやいました年末等についてどうであろうかというお話でございますか、年末は、日本の取引の慣習等からいたしまして非常に重要なときだと私は思うのでございます。それにつきまして、若しもその年末に際して、いろいろ何と申しますか好ましからざる、又不当な影響が各方面に及ぶといたしまするならば、これはそのときの応急対策として何か研究されなくちやならないじやないか。ただ私はまあ基本的な方向だけを申上げましたので、そのときどきにおける対策というものは、又別に用意されなければならないだろう、こう考えておる次第でございます。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、日本の経済政策は、何と言つても、今副総裁も言われましたように、現在のデフレ政策というものは、金融面から相当な大きな処置をして行く。これが力になる。勿論それは国の財政の規模その他も問題になりますけれども、そういたしますと、この金融政策をお考えになられる場合におきまして、やはりこれは失業問題、人口問題というものも、やつぱり日銀のほうで、消費者物価その他の卸売物価等の統計も大事ですが、今後は失業問題というやつは、これは切離すことができないのですが、あなたのほうで、今は一時苦しいけれども、やがて雇用量の増大ということを計画に入れておられるか。そういうことが全然考慮されずに、ただ物価の面だけですか。他の方面もお考えになつているのか。その点一つお伺いいたしておきます。
  25. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 今御指摘になりましたように、失業問題が一番この政策を進展して行く上において大きな問題であることは疑う余地もない。こういうことにつきまして、いわゆる総合対策というような中には、当然よつて起るところの失業対策をどうするか。こういうことをお考え願わなければならないのではないか。かように考えるわけでございます。ただ日本銀行といたしまして、失業を生ぜしめないで、もろもろの引締め政事やつて行くと相成りますると、これは実は不可能ということになるかと思うのです。併しおのずからそこに限界がございまして、余り大きな社会不安を惹き起すようなことは、これはもう十分に考えなければなりません。そこに、金融政策の一つの質的な限界があるのではないかと私は考えております。
  26. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、失業問題と密接な関係があると思うのですが、思想問題、社会不安の問題をどうしても考えられると思うのですが、何と言つても、最近は、これは如何に当委員会でどういうふうに表現されようとも、金融独善という傾向が強くなつて来ているということは否めない事実だと思うのですがね。銀行に頭が上らん、それからすべての企業が銀行の御機嫌をとらなければ今のところは立つて行かん。金融資本がますますこれ強くなつて来るのだ、従つてそれはその総本山たる日銀としては狙いどころであるかも知れんが、独善から最近はどうも横暴の傾向がある。で、試みに具体的に一つ申上げますと、どこの町においでになりましても、これは副総裁もよくおわかりだと思うのですが、成るほど町が復興したというので、何が一番よくなつたかといつて、ちよつと見たときには、銀行のビルデイングが一番よくなつた。それからまあとは映画館やそういうものはよくなつているが、とにかく金融機関の建物がすばらしく全国的によくなつたということは、成るほどあれは一つの、こういうふうに立派なものが、保全経済会がそうですからね、あんな建物をどんどん建ててそして安心させて集めようという政策があつたかも知れんけれども、とにかく目抜きの場所はみな銀行がどんどん買入れて、そしてそこに立派なビルデイングを建てているんだが、そういうところから見ましても、一方の生産のほうの工場、生産施設を見てみましたところが、まあぼろな、戦争中から一流の工場でも決して近代化されていないような面が多々あるのですが、ぼろのトタン屋根で、一流の工場でもそういう状態だ、にもかかわらず金融関係のビルデイングだけは非常によくなつて、まだどんどん建つている。こういうのが今の状態ですがね。ああいうのは、日銀といたしましては、これは日銀もそこまではタツチされないむしろ銀行局の関係かとも思いまするけれども、併し日銀としてもやはり各金融機関に対しまして、これらの点も強硬なる金融政策の引締めをおやりになる反面におきましては、これに対して一方では反感というものは相当伴うものであるということを覚悟しなければならん。で、それを調整する意味においても、余り目立つたこういう状態にするのはどうかと思うのですがね。これは単に表面に現われた形式上の問題ですけれども、実質はより以上に強い支配力を、どんどん現にもう系列ということを盛んにいわれておりますが、その系列の中へ入らんことには、さつぱりもう商売にならん、こういうふうなことを言われておるのだが、今、私が申上げたのは、単に表面に現われた形式的な問題ですけれども、実質はどんどんと、金融資本の独占というか、独走状態になつて来ているのだが、これではお隣りの中国までが、このような状態で共産勢力は伸びて、来て而も日本に対しましては、盛んに俗に言われる平和攻勢というようなものが展開されている折に、先ず何を共産党の連中は表面に掲げているかというと、金融独占資本というような言葉は、もう戦後機会あるごとに言つておるのですが、それが事実となつて現われて来ている。こういうふうになる場合には、如何にこれはあなた方建て直しをおやりになるためにこういう金融政策をおとりになりましても、その面から一つ崩れるのじやないかということを恐れるのですがね。これらについては政策委員会におきましても御論議になつているかどうか、一つ伺つておきたいと思います。考慮をされておるかどうか。いわゆる金融独善の弊害を矯正するということについて考慮をされているか。端的に……。
  27. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) できるだけそういうことがないように、実はたびたび金融機関との懇談会等を持ちまして注意を喚起しておる次第であります。先ほどおつしやつた金融機関の店舗、この店舗の設置個所については、やはり大蔵省の認可ですが、許可ですかが要るわけでございますが、どうも今おつしやつたように、目抜きの場所へ非常に立派なものができる、これは我々も相当気にしておりまして、できるだけこれを慎しむように言つて参つたのでございますが、実は結果においてはできておりまして、この点、遺憾と存じますけれども、今後はまあ経理の面から行きましても、さようなことはなかなか許さない状態になつて来ると私は思つております。
  28. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それじや最後に、今日は実は総裁にお聞きしたいと思つたのですが、総裁は又この次の機会にお聞きすることにして、今日は簡単に副総裁にお聞きしておきたいと思うんですが、前回の大蔵委員会におきまして、盛んに新聞でも、ラジオでも、経済雑誌等におきましても、日銀総裁の更迭問題がちらほらと噂に上つているわけであります。で、大蔵大臣もこれを更迭させたいというような意向を持つているというようなことが言われているものですから、大蔵大臣に、一体、君はどう考えているのだという質問をいたしましたところ、日銀総裁は現在において最適任者とは思わん、私は最適任者とは思わんということをこの委員会で証言というか、答弁されたのですがね。これは非常に大蔵大臣としては考えた答弁であつて、その裏を我々がとつてみると、あれは不適任者だ、こういうことを言わんとしているというふうに我々はとるわけなんです。そこで今もうあなたも言われましたように、デフレ政策の一番根幹が何といつても金融政策にある、従つて小笠原大蔵大臣が、よもや感情問題で日銀総裁に対してこういうふうな発言はできないだろうと思います。従つて私の考えるところによりますると、金融政策について大蔵省当局と日銀当局との間に重大な意見の相違があるんじやないか、こういうふうに考えるんですが、この点、そういう重大な意見の相違があるかないかという点を一つお答え願いたいと思いますが、もう一点は、そうでないとするならば、単に感情問題或いは人事の問題、例えばあなたが副総裁におなりになるときに、大蔵省官僚と一致して某氏を推しておつたにもかかわらず、一万田総裁は強引にあなたを推薦してやつたというようなことを言つている。これは流説だろうと思いますが、そういう問題と絡んで最適任者じやないと思う、こう言つているのか。それともそういう感情上の、人事問題を絡んでの齟齬するものがあるのか。この点について一つお答え願いたいと思います。
  29. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 前段の御質問、大蔵省と金融政策について意見の食違いがあるかどうか、こういう点につきましては、もとより具体的の問題を取扱います場合に、大蔵省の事務当局にもいろいろな考え方が出て参ります。日本銀行の事務当局にもいろいろな考えが出て来る。これはまあほうぼうの例とちつとも変らないと思うのでございますが、これをよく話合い、調整しつつやつておると私は信じておるわけでございます。最後の調整の場といたしましては政策委員会がございまして、ここに大蔵省からの委員も出ておられますし、それらの食違いは従来のところ全くなかつたと私は確信しております。  それから、後段の点は、私としてどうもお答えする種もございませんし、まあお許しを願いたいと思うのでございます。
  30. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、この問題はそう深く……これは総裁にお尋ねすることですからやめまして、それじや最後に、こういう散布超過についてはこういう処置をとることに攻策委員会で意見が一致した、こういうお話がございましたが、そこで年末までに物価は、一体こういう政策をとることによつてどのくらいまで下るという見通しは、まあこれは見通しですから、直ぐ的確には言えないけれども、こんな処置をとる以上はこのくらいまで下るであろうという計画を立てて、そうしてこういう処置をおとりになるんだろうと思いますが、どのくらいにお考えになつておりますか。
  31. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 大体物価につきましては、これから年末へかけて季節的な関係もございまして、従来のような下向きの傾向がどんどん続いて行くとはちよつと予測していないのでございます。ほぼ横ばい程度ではあるまいかと、かように考えておる次第であります。
  32. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、もうこの程度の処置では今の物価の横ばい程度だ、ただこれ以上はそれでは下げるというような処置を考えているんじやない、これは横ばい程度に物価が推移するような処置である、こういうふうに受取つてよろしうございますか。
  33. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 季節的に申せば、このまま放置すれば物価はこの季節には上る時期でございます。それを下げようとするのには、もつと激しい或いは対策が必要かと考えるのでございますが、これも各方面への影響を考えまして、先ず上らない程度、でき得れば若干下向きの横ばいといつたようなところで推移して行けばよろしいかと考えておる次第でございます。そう割切つてなかなか出て参らないのは遺憾でございます。
  34. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは、少くともこれで上るという、上昇の傾向を迫るという危険だけはないものと見てよろしうございますか。そういう想定の下にあなたのほうも金融政策はお立てになつているんですか。
  35. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) これはまあ物価にはいろいろ影響する要素もございますし、又、国民と申しますか、企業その他をひつくるめた産業界及び一般国民におきましてどういう心理を持つか、まあサイコロジーの問題も相当響くわけでございます。ですから、ここで従来の方針が一貫して貫かれるんだということが明らかである限りは、私はここで買溜めとか思惑的な何とかというようなことは越らない。従つて今までの、勿論一時的の波は避けられないと思いますが、大綱としての傾向は、やはり横這い或いはちよつと下向きの横這い程度に行くのではないかと、こう思つておるのでございます。
  36. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 いや、それはそのところを狙つてるんであつて、仮にそれとは逆な現象をとるものであつた場合には、それは更にこの政策は検討されて強い引締め政策も考慮されるものであるか。若しもあなたの言われる下る傾向の横這いであれば幸いですがね。それが上るような傾向にあるという場合には更に検討されなきやならん。それは下る横這いを期待して今とつてるわけです。少くとも原因となるのだから、若し上るというような状態であつたならば何とか処置をしなきやならん、こういうふうに思うのですね。それは当然そういうことも考慮に入れた上の政策ですか。
  37. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) まあ、そういう傾向がかなり恒久的に現われて来るという場合には、これは物価政策として政府のほうでもいろいろ考えて頂かなくちやなりませんし、又金融政策の面においても、もとよりそれに対処して検討を加えなくちやならんと思つておりますが、只今具体的に何も用意しておるわけではございません。
  38. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 一言、簡単に一、二お尋ねしたいと思います。前に池田大蔵大臣が大蔵大臣になられるときにデイス・インフレ政策をおとりになつた。これも私は当然なことだと思うのですね。そしてずつとやつて来たんですが、非常に物価も高くなつて来た、国際収支もアンバランスだと、これは私は物価の問題ということもさることながら、貿易の面はもう少し私は別な方法で解決の仕方があると思うのですが、併しこういう段階になつて来た。あなたのほうが金融独走、金融独裁と非難を受けなけりやならないような政策をとらざるを得なくなつて来た。そういうところに対して、どうしてこういうふうになつて来たんだろうかというようなことについていろんな問題があると思う。基本的には何が原因してそこはどこだと、それをどう直すんだというようようなことで、私は今度の政策は生れて来なければならないと思うのですね。そういうことについて私は、先ほど菊川君が若干触れましたですけれども、例えば工場におけるところの合理化の問題、そういうような問題には資金は廻らない。ビルデイングは不要と言つちやいけないでしようけれども、そういうものに資金が流れるとか、或いは例えば肥料関係で申しますなら、窒素を三割五分なら三割五分稼働しさえすれば、それで国内の需要とは、これは値段との問題もありましようけれども、どうしたらそれで引合う。それと今の六五%というものは遊休施設になつて、そういう過剰投資というのですか、不要投資というものが行われておるのじやないかというふうな点も、そういう点がいわゆる投資の関係が非常にアンバランスというのですか、そういうところに全然無計画的なことがなされておるというのも一つの大きな原因になつてるんじやないかと思つてるのですがね。そういうふうに若しお考えになるとするなら、今後一つそういう投資に対して、国家投資に対して何かそこでチエツクをして行く、或いは計画的に完全雇用等と睨み合せて行かなくちやならんと思うのですが、そういうことについてどうお考えですか。単に日銀政策委員なり金融機関の役員衆が、銀行を目抜通りに建ててはいけない、そんなことでは私は問題は解決しないと思うのです。もう少し根本的なことは何をつかんでお考えになつているか、お伺いしたい。
  39. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 只今おつしやつた過剰投資の点でございます。先ほど私、概論的にお話する場合に申上げたところでございます。確かに過剰投資の傾向が強かつた。強かつたどころでなく非常にオーバー・インベストメントの兆候を呈しておつた。それがためにどうしてもその企業が工場を運転して行くためには何とか原材料を入手しなければなりません。即ち生産、それから生産は起つてるのですが、その前に、日本の自然的立地的の条件からいたしまして、海外から原料を買つて機械に食わせなければいけない。消費が非常に、国際的に言えば非常な日本の消費が起るわけでございまして、どうしてもこの過剰投資というものを切らなければいけない。或いはこれ以上殖やしてはいけない。又おつしやいましたその生産工程の合理化の問題にいたしましても、従来の実例を見ますると、合理化設備ができるが、併し失業の問題とかいろいろのむずかしい問題がありまして、旧設備も依然として運転して行つておるような実例がたくさんある。そこに金融だけでは行かない面もあるのでありまして、何とか産業構造の問題であるとか、或いは又全体としての生産性の問題であるとか、随分取組まなければならない大きな問題があるかと私どもは考えますが、これはもう金融政策をちよつと越える問題ではないかと、かように考える次第でございます。
  40. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 おつしやる点は私もよくわかるのですが、これはただ単に日銀でやつてもらうなら、内閣も要らなければ、さつぱりしたものだと思うわけですが、併しそれにしましても一つの事業者は利益さえ挙げれば先はどうなろうともいい、と言つてはいけないが、とにかく儲かるときには設備を拡張して行こう。それは国内の消費にも見合わさないで、あすこもやるから私のほうもやつて行こうというような関係で、例えば化学肥料の工場が共倒れということになるのですが、そこであなたのおつしやる産業構造の問題が一番大きくクローズ・アツプされて来ると思う。それをどういうふうにチエツクし指導して行くかということは、これは私は日銀と大蔵省なら大蔵省、通産省とよく相談し、然るべき投資がされて行かなければならないと思う。そこまで行くと一つの計画経済めいたものになつて、それはいかんとおつしやるかも知れませんが、そこまで行けばいわゆる悪性インフレーシヨンになつてしまうじやないかと、こう思つておるわけですが、日銀の政策委などでそういうようなことについては突込んだ議論が交されて、或る程度の私は計画性を帯びた投資がせられるような方向に行かなければならんと思うのですが、その辺はどういうふうに論議されて、そうしてこういう中においてもなお投資は続けられるのですから、どんな対策が立てられておるかという点が伺いたいと思います。
  41. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 私どもも今おつしやつたような希望なり或いは主張なりを随分しておるわけでございますが、現在の経済政策の基本に抵触しない範囲で何か考えられる手段がないわけではあるまいと思いまして、それは通産、大蔵両省の事務当局に対しましてはいろいろとさようなことは勿論進言しておるのは事実でございます。審議会などもございますが、そういうところでも、今おつしやつたような点を、これは日本銀行という場は離れますけれども、そういう合理化審議会とか、或いは経済審議会とか、さようなところでいろいろ議論が只今出ておるのは事実でございます。
  42. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど井上さんから、物価については卸物価も下つて来た、小売物価も下つて来た、又国際収支もよくなつたというお話があつたわけなんですが、ところが物価の下つたのも本当のコストの引下げがあつた結果のものではなくて、いわゆるデフレ政策に伴う関係からコストにかかわりなく、物価が下つて来たということで、これは喜ぶべきことでも必ずしもない。殊に輸出の面において、輸出は相当よくはなつて来ておるものの、これは国内の不況から購買力が低下したと言うか、思惑が低下したと言うか、そういう点に伴つて、海外には端的に言えば投売り的なものをやつて、その結果から輸出が伸びておるという見方は民間にもあるのですが、政府部内にもあるのですね。そういう面から物価が下り国際収支がよくなつたということは、決して楽観を許さんという見方があるわけなんですが、それについてお考えはどうでしようか。
  43. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 今おつしやいましたように、第一段階として、流通過程にあつたところの在庫が金融梗塞の結果かなり安売りされた。その影響が一番早く現われ、それが物価に響いたことは疑いのない事実であります。そこで望むところは、今もおつしやいましたように、生産コストが本質的に下ることでありますが、これも一概に、然らばそれが全然下つていない、コスト高の製品安という状況が何ら変らない姿で続いておるかというと、この企業のコストというものについて頼るべき統計的な数字がございませんので、結論的に申上げるわけには行かないのでありますが、私どもいろいろな業者から聞いておるところでは、随分努力をして下げたところもあるようであります。まあこういう引締め政策のときには、流通過程にある在庫が出されてそうしてそれで一応下る。それに又対処するために企業努力によつて、勿論企業努力ばかりでは行けない点もありましようが、企業がそれに対応する態勢を整える、そうして又生産コストにもそれが響く、今度は又その影響として末端価格も下つて行く、こういう循環が来ることを期待しておるわけでございますが、今の段階ではまだ、一般的に言えば生産コストはそれほど下つていないと言えるかも知れませんが、併しいち早く順応したところは、今申上げたように、企業努力で随分下げたところもある。今の相場で引合つて行くところもある。こういう実例を私ども耳にしておるのであります。なおこれがずつと一般化して行くことが望ましいと思うわけでございますが、これには又いろいろ技術の面であるとか、或いは合理的な、機械をどうするかという問題であるとか、なお又基本的は労賃をどうするか、いろいろな問題があると思うのでございますが、今の段階ではまだそう所期の目的はまだ達していない。何しろ一年しかたつておりません。そういう状態でございます。
  44. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私も今お話の通りであろうと思うのでありますが、そういう結果から見まして、日銀政策委員会等で、金融財政政策だけではいかんのだ、これの裏付になるところの政策を伴わなければいかん段階に入つて来たというような論議なり見方というものはあるのでしようか、どんなものでしようか。
  45. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) それは始終ございます。国際収支の徹底的の改善とか或いは又物価の低水準における維持と申しますか、そのようなことを今後恒久化して行くためには、どうしても総合的にやはりデフレ的な、デフレ政策と申しますか、デフレ的な方向に行かざるを得ない。それが金融政策だけでやるということではおのずからそこに限界がある。総合的に経済政策が打ち立てられなければならないということは我々も論議しておりますが、政策委員会でも始終議論になつておるということは事実でございます。
  46. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一つ伺いたいのは、大企業金融と中小企業金融との関係なんでありますが、御承知のように、全国の銀行の貸出残高を見ますと、資本金一千万円以下を中小企業金融と見た場合でも、三割六分くらいしかいわゆる中小企業というものには流されておらん。これを仮に、資本金一千万円じやちよつと高過ぎるというので、資本金三百万円にして、それ以下を中小企業というふうに見ると、もう二割六分くらいしか中小企業のほうには流れていない。而もそういう傾向がだんだん強くなつて来ている。これに対して、放置できないというので、政府でも先般御承知のように中小企業向けの貸倒準備金繰入限度を五割増にするということをやつたけれども、とてもそんなことでは今の傾向は是正できないのですね。これについて日銀としてはどんなことをお考えになり、又実際行われつつあるか、それを伺いたいと思います。
  47. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 今豊田さんがおつしやつたように、大体一千万円以下を中小企業と見る場合におきましては、二十九年の六月におきまして九千二百九十五億円、これは全国の銀行の貸出でございます。これをパーセンテージにすると……。
  48. 野溝勝

    ○野溝勝君 その資料はここにあるのですか、手許にあるのですか、あんたの今説明しているのは。
  49. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 差上げてはございませんが、これをパーセンテージで申しますと、三四・六%になります。まあ私どもとしましては中小企業への大企業の、或いは関連産業と申しますか、親企業と申しますか、そういうところの支払が遅れておるというようなこと、これを促進するためにも、いろいろの手を通じまして、銀行が大企業への貸出に際してそのことをよく気をつけるようにということもやつておりますし、又地方銀行関係の集まりが月に一回あるのでございますが、そのときにも、中小企業に対しては極力親切によくその相談に乗つてつてほしいというようなことも言つてつております。ただ日本銀行としてその資金を出す場合には投資用として出すわけではございませんので、出した金融機関の資金の尻を見てやる。ですから、いい仕事があり、それに伴つて健全なる取引である限りにおきましては金融も付いて行くべきであるし、又付けなければならないと考えておるわけであります。
  50. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 只今のお話のように、どうも銀行の頭取連が寄つたときに訓示的なことをせられてみるとかいうようなことなどでは、もうとても今のようにこのデフレ政策、金融引締め、これだけから行つてもそうですが、最近は御承知のように系列融資がだんだんきつくなつて来ておるというような点から、企業の優秀であるとか、回収が確実であるとかいうようなことだけじやなく、金融が大企業本位に滔々として流れて行く。而も預金を見るというと、大企業方面の預金というものはむしろそれほどじやなくて、もう大企業というものはオーバー・ローンの代表的なものであつて、むしろ全国的に見るというと、中小企業なり零細企業の預金それ自身によつて全国銀行というものは預金の安定が図られておる。にもかかわらず、貸出のほうは今のような状態です。これについて道義的なことを幾ら言つてつてもこれは目的は達成できんと思う。何かやつぱりはつきりした措置というものを講じなければならん。これは大蔵省のほうに私ども今後大いに話するつもりでおりますけれども日本銀行としてもこういう措置で行くならば相当効果がある画期的な一つ方策をお考えになり、又それを実行してもらわなければならんと思うのですが、そういう一つの画期的な行き方というものについての御研究はないものですか。
  51. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) まあ最善を尽しておるつもりですが、今おつしやるように画期的な方法はまだちよつと打立ててはいないのでございます。画期的と申せるような方法は打立てておりませんが……。
  52. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その点につきまして、一つお帰りになつたら、日銀政策委員会にもこういう根本問題が出たことをよくお伝え願いたい。そうでないと、先ほどから出ておる思想問題とか、人口問題それ自身に触れて来る根本問題なんですから、これは、うかうかしておるととんでもないことになる慮れがあると思いますので、一つ画期的な措置を日銀政策委員会としてもお考え願うということについての強い要望があつたことをお伝え願つて、特に御研究を願いたいと思います。
  53. 土田國太郎

    土田國太郎君 先ほど本年の物価が昨年の卸小売値段に比べて下つたとかいう説明があつたのですが、これは三月に比しまして何%ぐらい引下げになつたかというそのパーセンテージですな。それと、国民が一番心配しておりますのは、これはデフレ政策でなければ国が立たんということはみんな承知しておりますので、あとどの程度までデフレ政策をおやりになるか、又それらが一番聞きたいというようなことをよく国民が言われるのですが、どこまで行つても暗闇ではこれは困ると言われておるのです。あなたのほうのお考えはどうなんですか。
  54. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 物価の点でございますが、ちよつと私、頭にある点を申上げますと、実は物価指数のとり方が、経済審議庁でとつておりますやり方と日本銀行のやり方と、ちよつと違つておるのでございますが、これは何とか調整を図るべく目下検討中でございますが、まあ品物のとり方によると思うのでございますけれども、それからウエイトをかけたりいろいろのテクニツクの点がござまして違つて来る。ですから経済審議庁のほうの調べでは、この二月—三月のピータの比較では、恐らく卸売では、経済寒威庁の調べでは、九%の下落、日本銀行の調べでは四・五の下落になつております。
  55. 野溝勝

    ○野溝勝君 小売ですか、卸ですか。
  56. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 卸売物価です。
  57. 野溝勝

    ○野溝勝君 もう一回わかりやすく言つて下さい。
  58. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 日本銀行調べでは四・五%、経済審議庁の調べでは九%。
  59. 安井謙

    ○安井謙君 いつに比べてですか。
  60. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 二月のピータに比べてです。一番高いのが二月から三月にかけてでございます。物によつていろいろ違います。
  61. 土田國太郎

    土田國太郎君 小売はわからないのですか。
  62. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 小売では一%の下落でございます。
  63. 土田國太郎

    土田國太郎君 それは日銀ですか。
  64. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) そうです。
  65. 土田國太郎

    土田國太郎君 審議庁はわかりませんか。
  66. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 経済審議庁は小売を発表していないそうです。
  67. 土田國太郎

    土田國太郎君 こういうように物価の比率が半分では、とても国民は、これは迷うのですが、(「それはそうだ」と呼ぶ者あり)これらは一つ統一する必要があるのではないですか。
  68. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) それは只今申上げましたように、一番大きな原因といたしましては、日本銀行では食糧の中のなかんずく米穀、米につきまして公定相場をとつておるわけでございます。この現実の価格をとりますと、その面で相当影響があると思うのでございますが。
  69. 前田久吉

    ○前田久吉君 本年の年末は六千百億円、昨年は年末には幾らくらいですか。
  70. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) 昨年は六千二百九十何億……。
  71. 前田久吉

    ○前田久吉君 今年は二百億少いのですが、これでこの年末は大きな波乱なしで済む見込みですか。
  72. 井上敏夫

    参考人井上敏夫君) その点は現在の物価水準及び生産率或いは現金の需要の傾向、そういうところからいつて、先ずその辺で収まつて波乱は決してないと思つております。
  73. 野溝勝

    ○野溝勝君 委員長に伺いますが、まだこのあと井上君或いは一万田君などが来ることがあるのですか。
  74. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日の冒頭に申上げましたが、実は今日一万田総裁出席を求めておりましたが、病気のため出られないということで、副総裁が代りに出ておられますので、次回には一万田総裁にもおいでを願いたいと思います。
  75. 野溝勝

    ○野溝勝君 それでは今日は……。   —————————————
  76. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは日銀に対する質疑はこの程度にいたしまして、次に移ります。  次は特に中小企業に対する徴税の現況並びにその軽減等につきまして、先ず最初自治庁の奥野税務部長から説明を求めます。  なお税務部長に説明の前に申上げておきますが、資料が出ておりますから、一応の説明の後、概略資料についても御説明を願いたいと思います。
  77. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 中小企業に対しまする課税の問題につきましては、地方税としては主として事業税の問題であろうと思うのであります。この前、府県税課長からお答えしたと思うのでございますけれども、今回の今年度の改正におきまして、基礎控除額五万円を七万円に引上げる。標準税率一二%から八%に引下げると、地方財政が非常に困つておる際といたしましてはかなり思い切つた減税を行なつたつもりでございます。更に国会修正の問題がございまして、政令で定める年度から葦礎控除額を更に十万円に引上げるということになつておりますので、地方財政の状況ともからんで来るわけでございますけれども政府としては能うかぎり来年度からこの考え方を実施に移したいという気持を今日もなお持つておるわけでございます。  先般の御質問の中で、農業協同組合が倉庫を持つているという場合に、固定資産税は課さない。それにもかかわらず、中小企業等の協同組合は倉庫がないのだが、アーケードですか等の共同施設について非課税にする考え方をとるべきではないか、こういう御質問もあつたように伺つております。これは沿革的に申上げますと、固定資産税の前身をなしております家屋税、家屋税時代におきましても農業倉庫には課していなかつたのでございます。で、そういう関係から農業協同組合が持つておりまする倉庫には課さない。それが更に農業協同組合だけに限りませず、中小企業等同組合の倉庫にも固定資産税を課さないというような方向に発展して参つたものでございまするので、あまり非課税範囲を拡げるという  ことにつきましては好ましいとは思つていないわけであります。そういう沿革のありますことを御了承つておきたいと思います。  もう一つは、農業協同組合が持つておりまする病院に対しましては固定資産税が課されない。この範囲を中小企業等協同組合が病院を持つている場合にも課さないようにされるべきではないか。こういう御意見もあつたように伺つておるのでございます。この点につきましては、事実、中小企業等協同組合で病院を持つておられるところがあるのだろうかどうだろうか疑問に思うのでございます。農山村におきましては医療施設に恵まれておらないものでありますから、自然、組合組織で病院を経営するよりほかはないというふうに行かなければならないと思いますけれども、市街地におきまして果してそこまでの必要があるのかどうか。又現実にどうなつておるか調べてみたのでありますが、よくわからないのであります。ただそのほかに国民健康保険医療を協同組合が代行しております。そういう意味で病院を経営し、又国民健康保険組合の持つておりまする病院に固定資産税を課さないのでありますから、協同組合の病院にも固定資産税を課さないというふうな立法になつて参つたわけであります。中小企業等協同組合が現実に病院を持つているということになつて参りましたならば、どういう事情で持つようになつているかということを合せ研究いたしまして、将来の方針をきめなければならないのじやないだろうかというふうに思うわけであります。  なおお求めになりました資料を作成しておりますので、それにつきまして一つ申上げておきたいと思いますが、最初の表は、府県税の税目別に全体の中でどの程度割合を占めておるかという表でございます。二番目は市町村税につきまして同じような趣旨に基いて作成した表でございます。三番目の分が二十九年度の個人事業税の収入見込でありまして、納税義務者数が二百四万六千人、収入見込額が二百三十八億四千九百万円でありますから、一人当り負担税額が一万一千六百五十六円ということになるわけでございます。その次の大きな表は、所得の種類によつて負担がどういうふうに変つているかという意味の資料でございます。左の端に夫婦者、夫婦で子供一人、夫婦で子供二人、夫婦で子供三人というふうに想定いたしますと共に、十五万円、二十万円、三十万円、五十万円の四段階の税負担を調べております。これにつきましては、それぞれどのような規模の家に住んでおるとか、或いはどの程度の田畑、農耕作に当つておるかというようなそれぞれの仮定に立たなければならないわけでございまして、その点につきましては備考の欄に基礎を詳しく書いておるわけでございます。十五万円のところでは、一番下の計の欄を見て頂きますと、夫婦者では給与所得者は七千八百三十円、農業では一万三千六百八十円営業では一万六千四百円というふうになつて来ておるわけであります。先ほどもちよつと申上げましたように、来年度基礎控除が仮りに七万から十万円に上つて行くといたしました場合には、営業関係の面はその面におきましてかなり負担が軽減されるということになつて参るわけであります。本年度の制度に基いてこれは算定いたしておるわけであります。又単純に税を総計しているわけでありますけれども、それぞれ税の性質が違いまして、例えば所得税や府県民税、市町村民税というふうな税金は、儲けの中から払われる税金だというふうな建前になつておりますし事業税或いは事業用固定資産に対しまする固定資産税につきましては経費の中から払われる税金だという建前になつておりますし、所得計算の際には、固定資産税額なり或いは事業税額なりというものは控除をいたすことになつておりますので、単純に合計いたすことは如何なものかと思うのでございますが、お示しでございますので、そのような方向でこの資料を作成したわけであります。
  78. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今の御説明に関連してお尋ね申上げます、第一固定資産税が現在農業協同組合の倉庫などには免除せられておる。ところが中小企業等協同組合関係については倉庫は余り多くないのでありまして、さつきお話がありましたが、アーケード、それだけでなく、一番多いのは共同設備としての機械器具であります、要するにこの協同組合に対して固定資産税を課税免除しようという際には、協同組合としてそれぞれの特殊事情から一番多いもの、共通的のようなものに対して課税免除するのが私は公平だと思うのであります。ところが今のお話では沿革がこうだからと言う。私は沿革より現状本位で考えないところに問題がある。今日固定資産税もかけられておるし、更に中小企業者は事業税も莫大なものをかけられておるということは、これは昔と今と事情が違うのでありますから沿革如何にかかわらず、現在の実情から見てバランスのとれるような行き方をせられる必要があると思いまして、そういう点では沿革云々ということでは私ども納得が全然できんのであります。要は、協同組合に課税免除をする以上は、中小企業等協同組合の倉庫が少いが他の共同設備が多いなら、その共同設備に対して課税免除をするように、現状本位に改正が行われたい、これは当然なことと思うのでありますが、その点が一点。  それからもう一つお話があつたのでありますが、中小企業等協同組合関係に診療所などをやるところがないのじやないかというお話でありますが、この中小企業関係は何も都市だけにあるものではないのでありまして、例えば丹後ちりめんなどは丹後の山奥にあるのであります、ああいうところには診療所をやらざるを得ないので昔からある。立派なものがあるのですがところがこれについては農協のほうに対しては課税免除になるけれども中小企業関係には課税免除にならんというものですから、別箇の財団法人が何かにしておるので、現在の法制のアンバランス、不備があるがために、強いてわき道へ外れたり、そのひずみがそこへ出ておるので、従つてやはり協同組合というものに対してバランスのとれた行き方をする必要があるのでありますから、田舎の中小企業関係の協同組合の、而も共同施設としての診療設備等がある以上は、これがやはり課税免除の恩典に浴し得るようにしなければならん、そういう点で、どうも中小企業の実情というものが全然政府に分つておらんのです、これはあなたのほうの関係だけではないのですけれども、そういう点についても、実情とえらいかけ離れたナンセンスなことがあるのであります。その点一つ今後大いにお考えを願いたいと思うのであります。  それから今日はこの事業税関係についていろいろ細かい資料を作つてもらいましてどうも有難うございました。これにつきましては一つ私どものほうでも拝見いたしまして、又これによつて意見を申述べることにし、同時にもう一つお願いしておきたいのでありますが各府県別の事業税が地方税のうちどれくらいのパーセンテージをそれぞれの各府県で占めておるのか。それと同時に、各府県の商工予算がどの程度八一センテージを占めておるか。これに対比して物を考える便宜上、農林関係予算というものが、その県下の予算全体のうちどの程度の率を占めておるか。これを一つ府県別にこの次にお渡し願いたいと思います。
  79. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 中小企業等協同組合では機械設備が多いのだから、それに課さないようにしたらどうかという御意見のように拝聴したのでありますが、農業協同組合の持つております固定資産でありましても、倉庫と事業所だけが非課税でありまして、あとは共同作業所、脱穀というようなものがかなりあると思うのでありますが、こういうものにはやはり課税をしておるのであります。やはり税の建前から考えますと、或る部分だけに課税しないということはできる限り慎しんだほうがいいのじやないだろうか、こういうような考え方を貫いて来ておるのであります。そういうわけで、たまたま家屋税が農協倉庫にかかつていないのだから、同じような考え方で倉庫が外れて来ているのだという意味で申上げたのであります。先ほどの豊田さんのおつしやつている点も将来も問題として、単に沿革的に考えているわけではないのですが、よく考えて行きたいと思います。  それから中小企業協同組合が診療所を持つているかどうかということにつきまして、実は中小企業庁の方に照会をしたのでありますが、中小企業庁のほうでも果してそういうものを持つておるかどうかわからんという返事だつたのであります。そういうところから、どうも我々としてなお一歩突込んで、そういうものを持つに至つた事情等を検討することができなかつたわけであります。今お話によりますと、具体的な調査がわかつているようでありますから、更にこれを調べて行きたいと思つております。  それから資料の問題でありますが、府県別に事業税がどのくらいの割合を占めているか、これはすぐに出ることでございますので、お出しいたしたいと思います。農業関係予算、商工関業係の予算というふうに分析することにつきましては、総括的な経費が相当部分ございまして、これを振分けするのがいろいろむずかしい部分がございますので、これはなお研究さして頂きたいというふうに思います。なるべく御趣旨に副いますように努力はしてみますけれども、研究さして頂きたい、こういうふうに考えます。
  80. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 各県ですでに或る程度わかつておる所もあるのです。これをまとめたものがあるでしようけれども、これが全国に及んでおらんものでありますから、あなたにお尋ねするのですが、商工関係予算と農業関係予算はそんなにむずかしくないようです。実際資料を取つてみますとね。ですからその点一つお調べを願いたいと思うのです。  それから共同施設の固定資産税なんですが、もう大体わかつてもらつたと思いますけれども中小企業関係では倉庫は余りないのです。それで今申しますように、繊維関係などで染色を共同でやるとか、精練を共同でやるとかいうものが、相当設備に費用がかかる関係上、共同施設というものは多いのですね。倉庫が少いような場合には、どうもそういう制度があつても、殆んど利用ができんのですから、そういう面において、農業と工業のそれぞれの特殊事情があるわけでありますから、工業に比較的多い機械器具関係については、特に一つ御研究を願いたいということを要望申しておきます。
  81. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 固定資産税のことでちよつと承わりたいのです。固定資産税は今まではずつと国家が各県に対して公開しておつたわけですね。総額の問題についてあなたのほうから……、実情を申しますならば、愛知県はこれだけ取る、岐阜県はこれだけ取ると、県庁は農協なら農協が行けば、しこれだけと、こういうふうに見せておつた。それがどうも物価が上つて来たというのですか何ですか、あなたの方がだんだんふやして行くということになつて、各県はこれを見せたがらなくなつてしまつたのですね。そういうようなことについて何かあなたの方から、これは励のものである、見せてはいかん、そういうようなことが行われておるのですか。
  82. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 固定資産税の中で土地に対する固定資産税でありますが、宅地坪当りの県内の平均価格がこれぐらいになるはずであるとか、或いは田一反当り平均価格がこれぐらいになるはずであるとかいうふうなことは示しております。又府県知事がこれに基きまして市町村ごとにも示しております。これはもうすでに公表しておる問題でございます。示すなと言うこともございませんければ、これに基きまして基準財政収入額というものを町村ごとに算定し、その結果、地方交付税の額を決定しておるわけでありますから、それの資料もすべて公開しておるわけでありますから……。
  83. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その点公開ということは了承します。それから先ほどお聞きしますと、この事業税の問題について、五万円を七万円に引上げて、政令で定める年月日から十万円にする。而もそれは来年度、三十年度から一つ実施したい意向だというふうにお聞きしたわけですが、これはあくまでもその意向なんですか。一つ来年度からやつてやろうというふうに肚をくくつて、一つの地方財政の規模をお考えになつておるのか。そこの点を一つ、もう少し明確にして頂きたい。
  84. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) これは政令で定める年度ということになつておりますので、閣議決定を経るまではきまらないわけであります。ただ我々も非常に心配しております問題は、来年度地方財政が容易ならざる事態に追込まれるのじやないかということであります。そういう事態になつた場合に、どうしても財源が足りないから、増税に財源を求めざるを得ない、こういうことになつて来たときに、増税するよりは基礎控除の引上げを一年間待つたらどうか、という議論が起ることもあり得るものですから、従いまして先ほどお答えしたようなことを申上げたわけでございます。事務当局といたしましては、来年度から十万円に引上げたいという希望は今日もなお捨てておりません。
  85. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一つ、この事業税の税率を一種、二種、三種ともお下げになつたということは、十分我々もわかるのです。そこでですね、認定はもうずつと行われて来たわけですね。その認定がこれは昭和二十八年度の所得に対してやるわけですから、この二十九年度の、変化してからの問題とは若干違うかも知れないという理窟も成り立つかも知れませんですけれども、実際認定額というものは、昭和二十八年のときと、二十九年度のときと、税務署の認定というのですか、査定というのですかね、そういうものの比較されたような、各県別と申しますか、或いはまあ総体的でもいいのですが、そういうものをやられた、総計をとられたような質料は、あなたのほうに手持ちとしてございませんですか。
  86. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) お話の問題は、事業所得額が府県別にどういうふうに決定されているかということと同じじやないのですか。
  87. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そういうことでもいいわけですがね、同じだとしたら、税務署によつて、やはり違うのですか。
  88. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) これは国税庁が税務統計を作成いたします場合に、府県別に事業所得の金額ども示しているわけでありますから、これを御覧頂けばわかる問題だと思うのですけれども……。
  89. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私が心配する点は、あなたがおつしやるように、税率を下げた、基礎控除も実は下げてやつた、だから事業税は軽くなつているのだと、こういうのが私はあなたの御趣旨だと思うのです。ところが実態で調べて参りますと、逆に、まだ事業税は払つていないわけですけれども、一応認定は終つたのですね、それがどうも昭和二十八年よりも二十九年のほうが上廻わつているのが非常に多いわけですね。実質的に申しますと、税率は下つて、基礎控除が上つているのに、一向そうした減税の恩典に浴していないのじやないかという、そういうことを私は言いたいのです。それは何と申しますか、裏付として、あなたのほうが、そういうようなことを地方財政として徴収すればこれは又別になつて参りますから、そういうものとして、私は当然調査されて、一つの税率を下げたのだから、もう地方財政はこうなつて来るのだというのじやなしに、やはり税務署が御承知のように所得税は横すべりになつているものですから、そこに非常に問題はあるわけですから、そういう点についてどういうふうに調査されたかという結果が知りたかつたのです。
  90. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 二十八年度分の個人事業税と、二十九年度の分の個人事業税の実績がどう変つているかということに落ち着くのだろうと思います。二十九年度分の個人事業税は、現在調定をしている最中でありまして、大体調定は終つていると思います。大多数の県は、これは毎月報告を受けているわけであります。この結果を見ればわかるのですが、まだ全国的に集計を見るに至つておりません。併しながら私の承知している限りにおきましては、多くの県では相当な減になつております。これは御心配なく相当な減税に結果的にもなつているようです。まだ今暫らくたちませんと、二十九年度の全国の実績の集計ができませんので、できましたらお示してよろしいと思います。
  91. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御発言ございませんか。
  92. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この表の各種所得者別の昭和二十九年度国税地方税を通ずる総合負担額比較調、これを見ますと、給与所得に比べまして、農業や営業のほうが同じことで、非常に税の負担が高いように出ておりますがね、実際問題はこれはどうですかね。この高く出て来たのは、勿論この固定資産税につきまして、農業や営業のほうは固定資産が多いように出ておりますけれども、そればかりじやなしに、余りにもこの開きは大き過ぎるが、実際こうなつておりますか。ちよつとそこは納得いかんのですがね。
  93. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) これは所得額が同じ額だと仮定した場合は、こういう結果になるということでございまして、疑問に思つておられる点は、かなり事業所得者で所得が重い、大きい……、農業所得者で所得が大きいにかかわらず、課税上は低く決定している、その結果、形の上ではこういうことになつて来るのじやないか、こういう御趣旨だろうと思います。この問題は私たちも確かにあると思つているのでありまして、所得相互間の決定が、給与所得が的確につかまれる半面、事業所得のほうが的確につかまれておらない。その結果、逆に給与所得者の税負担が重くなつているのじやないか。こういうことに私たちも同じ感じを持つているわけであります。これは併しそういう問題とは別でありまして、現在同じ所得であれば、税制上はどういう税負担になるかということをお示ししているわけであります。全国の農業所得者或いは事業所得者或いは給与所得者の実態を集計したという性質のものじやございませんで、単に形式的に租税負担を比較しているわけであります。
  94. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、この所得税について、十五万円の場合は、給与所得の場合には二千五百五十円、農業所得の場合は六千八百円と、こういうふうになつているのだが、特にこの農業所得について申したいのだが、農業所得、農業の労働というやつは、何と言つても一番、我々も経験ございますけれども、一番えらいですよ。これはもう農家ほど、何と言つたつて、いろいろ理窟は言うものの、農家ほどえらい仕事はない。これは家族を挙げて、この十五万円を上げるためには、もう夫婦者の場合、家内は家で留守番をしているという農家はないので、二人は朝ちやんと出て行つてやるわけです。そうして同じこれは正直に申告した場合には、これだけ開きがあるということについては、一番考えなければならない問題だと思うのですが、特に地方税、市町村民税にいたしましても、そうです。給与所得の場合には千百九十円で済むやつが、農業の場合は千七百九十円、こういうことになつて、どこでも高いのだから、これなんかは特に……。それからもう一つは、給与所得者の場合には、固定資産税があるというのは、これはもう生産手段としての固定資産税ではない。本当の財産、給与所得がこのまま固定資産にかかるような、財産によつて給与所得を得るのではない。ところが農業者の、固定資産のかかるものというのは、これは一つは土地であり、それから納屋である。そういうものはやつばり固定資産の対象になるわけだ。だから、一つの主産手段ですから、これを以てこれだけ金を儲けようというのだが、こうなつて来ると、先ほどの捕捉率の問題は我々別に……、公平に、みんな公平にと私は何も言うのじやない。申告を正直にして、一銭一厘間違えずに申告したものと仮定した場合、こんな開きが出て来るというのは、これはもう調整する必要があると思うのですが、この点はどう考えられますか。農業について、これくらいえらいものはないと思うのです。十五万円を得るにしても二人が働く。ところが給与所得や営業所得は、えらいと言つても、まあまあ違うと思うのです。
  95. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 只今の御質問の問題は、これらの計算に当つて、どういう仮定に立つているかということから、多少まあ数字は動いて来るわけでありまして、そういう意味で備考を付けておるわけであります。給与所得について申上げますると、基礎勤労控除前の金額が十五万円だと、こういう仮定に立つておるものでありますから、この十五万円から所得税を計算する場合は、一五%勤労控除をやつております。もう一つは、給与所得は社会保険を支払つている。御承知のように社会保険の控除が出ているものですから、これも引いております。その結果所得税が割に低くなつて来ておるわけであります。農業所得の場合も、給与所得の場合も、扶養控除等につきましては同じ建前にしているわけであります。そういう仮定を総合的に考えて頂きますと、必ずしもこれだけで結論を出すのもちよつと早いのじやないかというように思つておるのですが……。
  96. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあこの表をちよつと見ただけでは、成るほどこの説明じや納得ができんので、農業所得者については非常に税金が重い。併し実際はそうじやないと思うのですよ。こんな状態じやないと思うのですが、あなたのほうで出した表は、まあ今日一遍帰つて、そろばんを弾いてみますけれども、これは本当の計算上こういうものが出たものと思いますけれども、こんな計算には私はならないし、又こんな計算になつては百姓はたまらんと思うのですよ。実際どうもおかしい。
  97. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと伺いますけれども、二十九年度の個人事業税収入見込一人当り負担額が出ておりますね。これは個人ですが、法人ですね、法人の数と、この収入見込額並びに一社当り平均負担額をお調べになつたものはございませんか。
  98. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) ちよつと正確な資料を持つておりませんので、いずれほかの資料を出しますときに、法人事業税につきましても同趣旨の資料を出したいと思います。
  99. 土田國太郎

    土田國太郎君 それともう一つ。どうもちよつと私、見ただけではわかりませんが、これは帰つて弾いてみないとわかりませんが、これでいいか悪いとかいうのじやない。甚だ御迷惑ですが、法人も欲しいのですが、こういう意味のものをできませんか。法人のですね、こういう対照をもう一枚付けてもらえませんか、営業法人。
  100. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 法人ということになつて参りますと、個人事業者と法人事業者との税負担の比較、こういうことになるのでしようか。
  101. 土田國太郎

    土田國太郎君 それは一応そうなりますけれども、個人、法人ということになりますけれども、私のほうは全額を見ないと、全部のを見ないと、ちよつと……。
  102. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 全く性質の違うものを一緒の形で比較して参りますということになりますと、いろいろな仮定をとらなければならないのでありますが、おつしやつております法人というのは、例えば法人の、経営をやつている重役ですね、こういう報酬をもらう、こういうものに関する税も一緒にして、法人の税負担と、こういうことに考えるのでしようか。
  103. 土田國太郎

    土田國太郎君 そういうことになります。これは個人ですが。
  104. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) これは個人の分だけです。ですから個人が別に報酬を更に出すという問題はないわけですね。
  105. 土田國太郎

    土田國太郎君 いずれにしても、法人のこれだけ一つ調べてくれませんか。会社数と総金額ですね、それと一社当りですね、それを私、総合して検討してみたいのですが、そうでないと判別がつかんのですが……。
  106. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ちよつと先ほど菊川君がやつたその中央、地方を通じて十五万円なら十五万円の人が、どう考えてみてもやはりこれはちよつとアン・バランスに見える。そうして備考に(1)(2)(3)(4)(5)と挙げて、それに対する説明が若干加えてあるようですが、ここでまあ余り私たちがやるというのは、少し地方行政委員会のような気がするから非常に遠慮しているわけですが、これではちよつと、説明を読んだだけでは私ども勉強不足ですから、これはあなた方は納得ができるかも知れんけれども、ちよつと納得しかねる。一口に言えば、そういうのじやない。そういうわけではない。中央、地方を通じて、国民にいい工合に、税のバランスのとれたような形にかかつているんだという、ちよつと簡単な説明が願えないでしようか。
  107. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 非常にむずかしいことなんですが、問題は、国民所得を分析して、農業所得がどれだけあり、給与所得がどれだけあり、それぞれに換算した一人あたりが幾らになるか、それぞれの一人あたりの税負担がどうなるか、こういう問題に落着くんじやないかと思いますけれども、これだけではもともとの認定の、先ほど議論が出ました問題まで出て来るので、ちよつと簡単には言いがたいんじやないかと思います。これだけ見まして、それほど不均衡な問題が大きく出ているとも思わないのですが、ただ仮定の問題が出て来るから、家も自分の家に、どれだけの家に住んでおるとか、或いは家賃を払つて住んでおるとか、そういう問題にも絡んで来るわけですから、何か特にお考えになつておる意図をはつきりして頂きまして、こういう形の資料を作れということでございますればいつでもお作りしたいと思います。
  108. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ほかに御発言ございませんか……。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会