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1954-02-12 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十二日(金曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            小林 政夫君            菊川 孝夫君            森下 政一君    委員            青柳 秀夫君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            平林 太一君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君   政府委員    大蔵大臣官房長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長の報告 ○租税、金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (金融問題に関する件)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第五回の大蔵委員会を開会いたします。  本日、昨日の申合せによりまして、理事会を開きましたが、その理事会の御相談の結果を御報告申上げます。  いわゆる闇金融については、以前大蔵当局説明を聴取していたのでありまするが、その後の経過、今回これが取締に関する立法をなすに至つた理由等について、取りあえず政府説明を求めよう。なお計画造船融資については、その内容利子補給等がその効果を十分挙げるがために、如何なる措置をとつているか、今後の対策をどうするか等に関して、取りあえず次回の委員会において大蔵省主計局及び日本開発銀行当局説明を聴取しようと、こういうことになりました。  なお本日はこれから銀行局長に対しまして、いわゆる闇金融についての説明を求めます。  大蔵大臣も本日は繰合せて当委員会出席する予定でありますが、時間等はなお目下交渉中であります。  それではこれから銀行局長説明を伺います。この際お諮りいたします。銀行局長から申出がありまして、この類似金融取締法案はまだ案が未確定でありまするので、これに対する質疑等秘密会にしてもらいたいということでありますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) ではさよう取計らいます、ちよつと速記を止めて    〔速記中止
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 速記を始めて、
  5. 河野通一

    政府委員河野通一君) 匿名組合の形、或いは株式会社の形で行われておりまするいわゆる利殖機関、これは金融機関ではありませんが、利殖投資機関の問題、それから更に株式会社の組織で行われておる形態の貸金業者、これらの実態、その後の経過等につきましては、御案内のように、昨年の秋に保全経済会休業をいたしまして、それに続いて相当数の同種の利殖機関の間において、休業或いは支払い中止払戻中止等が行われておることは御承知通りであります。又いわゆる株主相互金融の仕組で行われております貸金業者の中にも、一部におきましては休業、これは事実上の休業、つまり払戻が停止されておるといつたような意味で、事実上休業されておるものも出て参つておるような次第であります。  これらの問題に対する現在の法律の中における取扱い方につきましては、少くとも金融行政担当者としての私の立場につきましては、去年の春に当委員会でも御説明申上げました考え方、これはその後も変つておりません。ただ、今申上げましたような最近における推移、動き等から見まして、これらの業態を野放しにいたしておきますことは、社会的に相当悪い影響を及ぼす虞れがあるということが認められますので、これらの観点から、先般来、当委員会でも私の私見として申上げておりましたところに大体のつとりまして、この国会法律案を提出いたしたいと考えておる次第であります。  この法律案内容は、極くかいつまんで申上げますならば、第一はいろいろな形における出資受入れに当りまして、これが誇大宣伝その他によつて出資の本質を誤まらしめるような形においてこの出資受入れる、こういつたことを禁止いたして参りたいと考えております。これは法律といたしましては恐らく二本建になるかと考えておりますが、一つ証券取引法改正によつて一部は行われます。一部は、後に申上げますような、各般の立法措置と合せて一本の法律としてこれらの問題を規定いたして参ることが適当であろうと現在のところでは考えております。  それから、次は預り金の禁止に関しまして、預り金内容というものを更にはつきりした形で定義を付けて、そうしてこれを銀行とか信用金庫とか、そういつた法律上、業として預金受入れを認められておりまするもの以外は、何人といえども預り金をしてはならないという規定を設けて参りたいと考えております。  それから第三には、反社会的な暴利或いは高利と申しますか、そういつた非常に高い金利をとつて弱者に対して非常に過当の負担をかけるといつたようなことを取締ることにいたしたいと思います。これはなんと申しますか、高金利及びこれに対する罰則の規定を設けたい、かように考えております。  それから高金利に関連いたしまして、これが密接な関係のありまする貸借媒介手数料媒介手数料につきましても、或る種の高金利と同じような考え方からこれの規制をして行こう、こういうことをいたしたいと考えております。そのほかこれらに関連いたしました所要の法律改正を、今申上げましたこの法律の中に織込んで参りたい、かように考えておりますし、それから貸金業法はこの際これを廃止することが適当であろうかというふうに私ども考えております。  以上が大体の構想でありますが、まだ法案の細目につきましてはなかなか非常に技術的にむずかしい点もありまして、まだ政府部内において最終的結論にも到達いたしておりませんので、御説明を更に詳細申上げます場合には、先ほどお願い申上げましたような点を御考慮頂きまして、速記等はこれをとらないことにして御説明をさして頂きたい、かように考えます。
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) この際お諮りいたしますが、大蔵大臣が見えられましたからして、大蔵大臣に対する質疑を先にいたしたいと存じます。大蔵大臣は本国会においては大蔵委員会に初めての御出席でありますからして、全般の財政金融についての御方針等詳細に承わつて、我々参考にいたしたいと存じますから、お願いいたします。
  7. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今度の予算が最初申上げました通り緊縮予算でありまして、その狙うところは、一日も早く日本経済の自立の目的を達成するために、先ず国際収支の均衡を図ることの必要から、国内における国際的に割高である物価をできるだけ下げたいと、こういうことを主眼として編成しているものでありまするが、御承知のようにどうも財政の一面のみからこの目的を達することは甚だ容易でございませんので、私どもといたしましては、まあ全般的な総合施策を各省とも相協力して進めて参ることにいたしておりますが、そのうち大蔵省関係だけについて最初申上げますと、大蔵省がやり得る面はまあ四つあるわけです。一つの面は今の財政面でありまして、従つて財政については緊縮方針をとつて、特に多少、従来、例えば自然増収等を見込むことによつて歳出が増大しておつたようなことを一切避けまして、それで財政面から、又、或いは二十八年までは御承知の弾力性ある財政というようなことで過去の蓄積を幾らか食つてつた。食いましたけれども、これは産業投資特別会計に向けて、産業資金に向けたのでありますが、そういうことは一切やめる。こういうふうな工合にいたしまして、政府資金撒布超過になることは一切とどめますると共に、できるだけ財政緊縮から、今申上げた国際的に割高である物価を大体五分乃至一割下げるところへ持つて参る考え方の下に、歳出予算の編成をいたしたというのが予算についてであります。  その次は金融面でありまして、これはどうしても、皆さん御承知と思いますが、昨年から見ますと、金融膨脹が比較的、いわゆる通貨の膨脹を来しているのでありまして、従つてもう少し金融を引締めなければならない。金融引締めを強度に行う必要があるという考え方で、特にこの面からは、極く最近の例を申しますと、御承知の去年の上半期、大体二十八年一月から六月までにアメリカに対するドルの自動承認制でありますが、これは僅かに一億四百五十万ドルだけであつたのが、この一月一カ月で一億八百万ドルにも実は達したのでありまして、こういうようなこともございますので、これも輸入金融等に対する措置にまだ遺憾な点が大変多い、こう思われる点から来ておる点も少くないので、私共は目下金融引締めに対する諸施策をとる。従つて只今日本銀行で協議しておりまして、本日当り最終決定を見る所存でありまするが、大体申しますると、今の日本銀行高率適用につきましても少しこれを強化して参りたい。こういうふうに、又輸入の実施についての金融等についても、これを少し強化して参りたいというような考えの下に、まあいわば金融引締め方針を続けて参りたい。  それから第三は税制の面でありまして、これは大蔵省立場で、税制の面から、例えば物価を引下げるのに役立つ面についての措置はいろいろとりたい、こういうふうに考えておりますし、又よく皆様が仰せになりました資産評価問題等も、強制的にはこれを行うことはいたさない考えでありますが、半面例えば資産評価をすればこれこれになるという、併しこうしていないというようなことを、考課状の面に資産評価額を掲示する、或いはこれを広告等の場合にも合せて載せるとかしますと、実体をよく一般に知らすことができるほかに、相当役立つであろう、例えば資産評価実行に役立つであろうと思われまするし、又これらに対する税制のことにつきましても、そういう今までのようなでない緩やかな措置をとりたい。こういうふうに考え資産評価ども促進いたしたいと考えておるのであります。そのほか御承知輸出品に対する、輸出商社等に対して各種の税制措置をとりましたことは御承知通りでありまするし、更に又この輸出の取扱につきましても、いろいろな諸方策を講じたい、かように考えておる次第であります。  それからもう一つは、外貨の面を、これは大蔵省外貨を取扱うことをやつておるのでありますが、この外貨予算を扱うにつきまして、やはりこの政府の企図しておる方針に基いて外貨予算の運営をやつて参りたい。これは従来外貨予算というものは、殆んど年二回くらいしか、閣僚審議会という名前はありまするが、そこでまあ大よそのことをきめて、あとはその範囲でいわゆる幹事会で処理いたしたものでありますが、今後はこれをもつと情勢に応ずるように、絶えず処理して参るように、この閣僚審議会を頻繁に開きたい。  そのほか方針といたしましては、いわゆる輸入抑制、そうしてとにかく不要不急のものの輸入を抑制する、これはよく仰せになりました高級自動車などは、よく例になるのでありますが、実は一台も殖えておりません。今日許可しておりませんが、国内に持つて来たものを売つて帰りますものが出ておりますけれども、これらも今向うに協力を求めております。  それからスコツチ・ウイスキーもどうこうとよく言われますが、これも実は入れたくないのでありますが、これはこの間の日英協定をやりますと、本国のほうから取るものにはああいうものをどうしても若干取らざるを得ない協定になるのでありまして、金額は極めて少くはしましたけれども、そういうものも残つておるのであります。  例えばフランスあたりから香水を入れんでもいいじやないか。フランスとの支払協定をやりますと、どうもフランスに実は余り物がないので、幾らかは向うのことを認めてやらないと話がつきませんので、そういうこともいたしておりますけれども、これは最小限度にとどめているような工合にいたします。尤もこれらの輸入方について、輸入金利等に対することは、これはもうできるだけそういうことはさせないように持つて参りたい。  かような工合で、この四つの面から、大体今申上げました日本物価を大体国際水準に近づけて、そうして日本商品国際競争力をつけて参りたい。勿論御承知のごとくに、大体現在まだ国際的には二割、三割くらい高いでございましよう。五分乃至一割ではなかなかそうは参りませんが、それでも二十七年のところに参りますと、これは、輸出というものは単に値段のみで行かない。支払条件とか、いろいろな点もございますので、まあその点で、本年はこれは輸出を、大体私どもは二十八年度の赤字は一応二億四千万ドルと見ております。二十八年だけで一億九千四百万ドルでございましたが、二十八年度三月末までで二億四千万ドルくらいは見ております。今少し、輸入契約自動承認になつているというところもございますので、或いは多少狂うかも知れませんが、大数は間違いないと思います。やはり二十九年度はそれで大体数千万ドルくらいの赤字のところに持つて参りたい。こういう一つの目標の下に諸般の施策を進めて参りたい。こういうふうに考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、一気にものをやるということは非常に望ましいことでありますが、日本経済事情からそうも参りかねまするしいたしますので、一つ方針を飽くまで貫くと、こういう考え方で、総合的に諸施策を進めて参りたいと、かように考えている次第でございます。
  8. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 最近の新聞の報道するところによると、かねて池田構想というようなことで伝わつてつたオーバ一・ローン解消について、日銀政策委員会大蔵省代表から案が呈示されたというふうに報道されております。一応いろいろ各方面と協議の結果、案がきまつたことと思いますが、大蔵省としては現在どういうふうな構想を持つておられるか。その点をお伺いしたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) オーバーローン解消につきましては、よく世間で池田構想ということが最初言われておりましたが、その後大蔵省のほうでもいろいろ検討いたしまして、今日本銀行のほうへ相談しておりまするのは、これは多少内容が変つております。それで大体申しますと、外国為替で、今外国為替資金特別会計が手持ちになつているところの外貨のうち、いろいろまだオープン勘定とか、いろいろこれは小林さん御承知通り残つているので、そういうものでない、売れるものを先ず売る。こういう考え方で、大体それが、およそ借金等を返しましたら、売つた分で二千億見当残るものと考えております。これを、外貨を一応売りまして、売つたものを今度は産業投資特別会計に、二千億円というその借金を返したりいたしましたものを受入れる。このほうで大体千五百億円くらいを、開発銀行とか長期信用銀行に何と申しますか振向ける、振向けるというより貸付けるといつたほうが適切ですが、貸付けます。それからあと五百億円ぐらいを輸出入銀行のほうに貸付ける。これは小林さん御承知のように、何か輸出入関係でも残つているものもございますし、そうでないいわゆるオーバーローンで、長期的なものもありますが、これは実質的に見て大体その辺でいいのじやないかと見ております。そうしますと、今度は、開発銀行に貸付けられた金について申しますと、開発銀行はこれは別勘定のほうにさせます。千五百億を割振つておりますが、仮にそのうち千二百億が開発銀行行つたと仮定いたしますれば、それは別勘定に入れる。別勘定に入れますと、市中商業銀行がいろいろ設備の拡張とか、長期運転資金で、借りているものがあります。これはよくこちらで調べて、日本経済再建及び産業開発目的としたもの、これははつきり書類にいたしますから、そう認められるものに限つて日本銀行から仮にその銀行が、これは一例でありますが、仮に百五十億借りているが、百億はそういう日本経済再建とか産業開発目的としたものに振向けなければならない。そうしますと、あとの五十億だけを開発銀行へその銀行から預託して参る。つまり本来の、これはちよつと言葉が悪いかも知れませんが、誤解があつてはいけませんが、つまり固定的な余り産業開発にならんものに貸しているというものも、そういう銀行のうちにはある、そういうものは相手にしないと、そういう建前でございます。もともと国家資金を使うわけでございますから、そういう考え方をいたしております。先ず日本経済再建及び産業開発目的とした資金、そういうものに役立つている資金、こういうふうに考えております。預託を受けた銀行は、その預託金を以て日本銀行借入金を返す、こういうふうなことにいたします。それからこの預託金の期限は大体三年といたしますが、これについては例えばその契約貸出資金を、向う内容によりまして、契約期間が三年を超えるものもございましよう、貸出のうちには。そういうものについては又別に一つあと相談するというふうに考えているのであります。それからこの貸しつ放しでは実はいけないので、どういうふうに返すかということも、これは何といいますか、償還計画のようなもので、普通に言えばつまり預託金債務償還計画というものを立てさせまして、預託金返還計画を立てさせまして、漸次でき得れば三年間にこの金を回収して参るということにしたいのであります。そうしますと市中銀行が三年、三年だけで行けるかどうか、それはまだはつきり計数的に今後調べなければなりませんが、そういたしますと、この金を返して行く、そのときには完全ないわばオーバーローン解消が或る程度でき上る、こういうことになるのであります。そういうふうな工合考えております。  それから又輸出入銀行長期信用銀行も大体そういうふうな考え方で臨むのでありますが、輸出入銀行につきましては、その貿手借入のある市中銀行に対してだけこれはやる。これは建前上そうでありますから、その借入額限度としてやる。それでそのときにやはり借入額限度として一定額預託としてやります。預託を受けた銀行は、その預託によつて日本銀行からの借入を返済する。預託期間はこのほうは為替でありますから一年とする。ただ併しその後の情勢によつては切替も認める。まあ預託を受けた銀行は別に担保を一々登記することも何ですから、リストだけ提出せしめてやる。これは銀行関係ですから、信用を重んずるからこれでいいのじやないか。又期間内にいわゆる担保の差替えも認めてやるというような方法をとりたい。これは開発銀行も同様でありますが、尤もその期間の間に担保が不足したというようなことがございますれば、これは勿論担保の増額その他のことはやらせる。普通の事務的なことはこれはすべて盛込みまして、いわゆる金の貸借の場合と同様に取計らいたい。こういうふうなのが大体の考え方になつております。  今最初に申上げたように、外国為替資金特別会計が持つている外貨を売るのでありますから、日銀から見るとこれは買うことになるので、従つてこの点で、日銀政策委員会のほうで目下検討中であります。その結果どういうふうになりまするか、いろいろ又向うのほうで相談もあるものと思います。併し原案はそういうことで、相談をいたしております。これが現在までの実情でございます。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 その日本再建及び経済開発に役立つている長期資金というものを、どういう機構で選ぶか。日本銀行当該銀行或いは開発銀行長期信用銀行というふうなことでやるのか。それは自主的にやつて行くのか。そのやり方ですね。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そいつはまだ何にもいたしておりませんが、大体今の考え方当事者同士にやらせようと考えております。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 ということは、開銀或いは長期信用銀行興銀等肩替りするというときには、その当該銀行と相対で話をする、こういうことですか。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) はい。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 その際に、私の憂慮する点は、とにかくまあ預金吸収には努力をせずに、日本銀行工作をやつてうんと金を引つ張り出したものだけがいいことをして、まじめに堅実に、自己貧金というか、集めた預金でその貸出をやつてつた金融機関が馬鹿をみる、その恩恵に与からないというようなことになる虞れはありませんか。その点についての調整はどういうふうにお考えですか。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは、どの銀行も実は、これは小林さん、それは銀行信用の上から見ても預貯金を吸収するには最大の努力をしていると私は思います。どうも怠けておるものが得をするというようなことはないと思いまするが、ただ貸出の中には、これはオーバーローンの発生したのは、日本敗戦国となつて、殆んどすべてを失つて、資本の蓄積が行われていなかつたときに、まあいろいろな日本としては日本経済のためにやらなきやならん問題が非常に多くあつた。そのときに市中銀行が、まあ本来の性質から見れば、そういう長期的なものはやらない、貸出をしないというのが本来でございます。けれども、多少いろいろな事情の下にやつて来たというので、或る意味から言えば、相当国家的な役割をしておつたと私は見ておるのであります。従いまして、今お話のような怠けておるやつが得をするというような何は与えない。それからなお今後とも、これはさつきも申す通り預託金引揚げについて、ずつとそれじやいつどうするかという支払条件等も、預託金返還条件等もきめるわけでございますから、これらの点から見て、私もそういうような結果にはならんと考えておるわけであります。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 まあその点はいずれ法案等も出るように聞いておりますから、その際に検討することにいたしますが、開銀長期信用銀行、まあ長期信用銀行は、興銀を含めての話ですが、その長期信用銀行長期資金肩替りだけをやらして、本来は中小企業金融公庫というものが中小企業長期金融をやる、こういう建前で、大々的な宣伝でできた。ところが非常に金は少くてみな困つておるという状態で、同じ日本経済再建経済開発、こういうことについても、中小企業も非常に重大なる役割をやつておるにかかわらず、中小企業金融公庫市中銀行その他の金融機関との肩替り問題については御考慮にならんわけですか。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは、この点も勿論考えておりますが、御承知のように、これは日本中小企業金融というものは一体どこで余計やつておるのか、こうお考え下されば、これは中小企業金融公庫は、勿論その一翼を担つておりますが、何と申しましても市中銀行が大部分であります。つまり貸出の額が、ちよつと私ここで記憶が違つておるかもしれませんが、大体一兆二千億くらいは、中小企業の千万円以下の、或いは使用人三百人以下の会社が、或いは個人が借りておると思います。従業員が三百人以下の。その金額は一兆二千億ぐらいに私は達しておると思います。そうしてその大部分は、やはり一番多いのはパーセンテージで申せば地方銀行であります。これは性質上そうなのであります。併しやはり市中のいわゆる十一大銀行などで支店設置のときにそういう話もみな言つてあるので、細かい数字はあとから調べましたらお届けいたしますが、相当つているので、まあ金融の面から言えば一番大きいのはやはりそういう面です。従つて、これがひとり大企業どうこうということでなくて、やはり延いて中小企業関係にも及んで来ると私は考えておるのであります。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 まあそれがあるから中小企業融資部門を分けて中小企業金融公庫でやつて行く、こういう経緯から考えても、開銀融資というのには中小企業融資は入らん。現在その開銀市中銀行との肩替りの場合においては、やはり中小企業の範疇に入らないものの肩替りが行われておる。興銀長期信用銀行等においても、中小企業に属するものにも或る程度は出ているでしようけれども、このほうも比較的中小企業とは直接縁が市中銀行よりは薄い。そういうことで、大臣の言われる趣旨は、市中銀行の金繰りが楽になれば、その市中銀行の融資の大部分中小企業に出ているのだから、中小企業も潤おうということも、間接的な潤おい方のような話に聞えるのです。けれども中小企業金融公庫というものをやはり中小企業開銀のような存在において作つた今日において、これと市中銀行とのやはり肩替りの問題も相当その構想を活かすということを考えて然るべきだと思う。
  20. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは小林さん、そう言われるが、私は日銀オーバーローン解消ということについて申上げているのでして、中小企業金融公庫は何もオーバーローンはやつていない。そこで中小企業金融公庫にはないのですが、商工中金についてはこれは入れるつもりでおります。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 中小企業金融公庫オーバーローンをやつているということはない。開銀つてオーバーローンをやつていることはない。問題は市中銀行オーバーローン解消の問題ですが、今、中小企業金融公庫の金繰りが、私あとで問題にしますが、非常に金繰りが窮屈であつて、それがあるし、そういうようなものを、市中銀行中小企業融資長期資金をそれのほうへ肩替りして行くということもやはり市中銀行オーバーローン解消一つのことになるんだが、甚だその額が、一件当りの額が軽少だから、どうも日銀との話合いのときに手数がかかつてしようがないという恐らく頭じやないかと思いますけれども、それについては、中小企業金融というのは、特に本年度の緊縮財政のしわは、又金融引締めのしわが中小企業へ寄る、この中小企業へのしわ寄せという問題については相当大臣としても考えてもらわなければならん。こういうふうに考えます。その中小企業に対してはどうするというお考えですか。
  22. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはちよつと誤解があつちやいかんと思いますが、これは日本銀行における市中銀行オーバーローン解消についてのお尋ねなんでありまして、一般の中小企業金融についての話ではないのだから、そこで私は別の問題ならば別のお答をいたしますが、そういう意味で私は申上げたので、従つてオーバーローン解消について中小企業どうこう言われても、これは全然関係のないことです。従つて関係のあるのは、オーバーローンをやつておるものの一つに商工中金があります。これは四、五十億やつておりましよう。その程度のものはございましようけれども、これは私の概算ですけれども、これについては先ほどのように考えております。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 中小企業金融公庫オーバーローン関係がないということはない。中小企業金融公庫自体はオーバーローンしていないけれども中小企業金融を扱つておる市中銀行がやつているから、それを中小企業金融公庫へ今のような筆法で預託をして、それを肩替りするということは、金融機関オーバーローン解消の一助にはなる。全然中小企業金融公庫というものをあなたの頭から除外してお考えになるから別の問題になる。長期信用銀行市中銀行中小企業金融公庫というものを並列してお考えになれば、これは今のオーバーローン解消の一環として十分クローズ・アツプされるはずなんです。まあそこは見解の相違ですから。
  24. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) どうも私はそう理解しておりませんが、何もオーバーローンの問題が起つていない、これを一環として考えろと仰しやつても、それはほかの農林漁業金融公庫も一環として考えろ、どこも一環として考えろというような問題が起つて来る。これはちよつと今のところ差し向き市中銀行オーバーローン解消ということで実はやつておる次第ですから、その辺で御了承願うよりほかないと思います。
  25. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今大蔵大臣から構想をお話になりましたけれども、二、三お尋ねしたいと思いますが、第一の財政緊縮方針でございますが、これはいくら一兆の予算にいたしましても、執行する場合に無駄使いをすると、結局今言つたように国会で問題になつている汚職の事件でございますが、これをやつてつたのでは、折角の金がこれはもう活かして使われないということになるのですが、この点についての措置は、何か大蔵大臣考えになつているかどうか。それを一つお伺いしたいのです。例えば一例を挙げて申上げて見ますともうすでに広告をして著書を発行している、自由党の議員のかたで池田さんの監修ということで、「政府資金の上手な借り方」というような見出しの本で国会の中で広告している。これは政府資金を斡旋した場合には、必ず一割ぐらいはちやんと懐ろへ入れているというのは公然の秘密になつている。それが結局廻り廻つて緊縮財政の中から折角活かして使われるものが、一割だけが無駄使いされている。こういう結果になるのですが、これについて、これは一例を挙げたばかりですが、その他これは各省の決算報告を今国会へ提出されているのを見ましても、ただ会計検査院で摘発した面だけで、会計検査院が気がついただけでもすでに数千件に及んでいるわけです。恐らくこれは摘発できない分がどれだけあるかわからん。本当の氷山の一角だと思いますが、こういう点も考えなければならん当面の問題だと思いますが、この点について大蔵大臣は、これはもう予算の執行面の検査をされるのはあなたのほうの責任だと思います。これについて何かお考えがあるかどうか。
  26. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは菊川さんが言われる点誠に御尤もでありまして、私どもも特にこの予算の厳格なる執行について御注意を喚起しておいたような次第でございますが、かりそめにもそれが無駄使いされておるということは遺憾千万であります。それで、今やつておりますのは、菊川さん御承知のように、例えば大蔵省関係でも、財務局を使いまして昨年二十八年の災害を取調べました。それでここに数字がありますから、あとから差上げてもよろしいのでございますが、行政管理庁でもみな調べております。そのほかに会計検査院でも調べている。三つ調べておりますと相当やはり無駄使いされている点が多いのでありまして、この点誠に遺憾に思います。それにつきまして今後ともいろいろな注意をいたしたい所存でありますが、何か制度の上に欠陥のようなものがあつて、こうすればそういうことが免かれるだろうというようなことが考えられますから、これについては一つどもも、更にこの上とも検討して行きたいと思つております。まあこの間、行政管理庁で相当調べましたものを見ますと、件数で二十八年の災害数千件調べたら五割にも上つている、金額で二割五分以上にも、二重に申請したり架空の申請があつたり、水増しのものが出ておつたこともありました。何かどこかに欠陥があるのじやないかというふうにも考え、それで今度は、この間、参議院での御決議の次第もありましたので、そういうことに対する法令は近くお出しいたすことにいたしております。
  27. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、財界では、小笠原さんの一兆予算について一般の見方としては、成るほど上期はデフレになる、併し下期はインフレになることは必至である。こういう見方をして大体そのつもりで臨んでいるのです。従つて小笠原さんは果して一兆の線を来年度は護り得るという本当の確信がおありになるのですかどうですか。とりあえず吉田さんから一兆だというところの線が出たので、九千九百九十五億で一応面目を立てておいて、又時によつた情勢の変化で何とかやろう、こういうゆるい線ですか。本当に確信を以て押し通して行くか、どつちですか。我々は第一の点のようにして、当面仕方がない、吉田さんが一兆で抑えよといつたので、面子もあるから、この辺で抑えて、五億だけ削つて一兆以内に抑えておいて、又その時の情勢の変化で何とかやろうというお考えのように思われて仕方がないのですが、そうじやないのですか。
  28. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 全然さようではございません。この一兆円予算というものは、これは今度の予算ではない。私は前から日本予算が一兆円以内でなければならん、一兆円を越してはならんということを言つておりましたので、昨年の実は補正予算等の場合もこの線を強く出しておつたことは、たびたび私はこの参議院でも申上げたから、御承知のことだと思います。ただあれが災害という異常のことが、ああいうものが起つて参りましたので、一兆円を越すに至つたのでありまして、私どもはこの一兆円を越してはならん。それは別に数字に捉われるという意味ではございません。一兆という数字に捉われるという意味ではございませんが、日本の財界の置かれている位置から、どうしてもそれでなければならん、こういう強い考えから出て来ておるのでございまして、これはよく言われるように、アメリカに行つたら一兆でやれと言つたとか、そういうことは全然ございません。それは日本が、よく私はなぜ一兆円の予算を組まなければならなくなつたかということを本会議でも申述べまして、御承知を願つたと思うのでありますが、そういう日本の置かれているこの内外の経済事情から出発している問題であります。従つてこの経済事情は私は当分変りがないということを思いまするから、私は引続きこの予算編成に貫かれている精神を飽くまでこれを貫徹して参る。恐らく二十九年度だけではなお足らない。三十年度もこの精神を貫く必要があるであろう。幸いにそれくらいで済ましたいと最大の努力をいたしたいと思つておりますから、若し足らなければなお三十一、二年度まで行つて国際的にいわば日本経済の基調を国際経済の基調のところに持つて参る。このことは是非とも必要であると考えておりますので、これは私ども如何なることありともこの線を貫く方針でおります。
  29. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ほかのかたもあるので急ぎますが、次の第二の金融引締めの問題でございますが、それでなくても、今ではもう金融資本の横暴と申しますか、これは実に十一大銀行の頭取あたりの力というものは大したもので、財界に対する顔、それから力というものは、私はこれはどう見てもえらいものだと思いますが、だんだんと金融引締めをやつて日銀高率適用をやるということになつて来ますと、産業界に出しておつた貸付をどうしても締めることに、これは銀行自体もやはり締めざるを得んということになるので締めることになつて来ると思うのですが、そうなつて来ると、産業界に対するこの金融資本の力はだんだんと強化されて来るように思う。それでなくてさえも、今実際問題としてそれは会社が銀行に対して何らかの関係があり、その支配を受けて言うことを聞いている場合には、公定価格で成るほど金が貸してもらえるだろうけれども、これは公然の秘密として、利子は成るほど公定の利子かも知れないけれども、そのほかに金融費というのを皆会社は交際費に計上されているうちで、宣伝であるとか販売のための交際費よりも、金融面に対する交際費が実に大きいということは、これはもう恐らく六割以上は金融面のための交際費に使われているのじやないか。宣伝が販売のための宣伝であり、事業を拡張するための宣伝であるならば、これは建設的だけれども金融面のために交際費が使われているということは、大体これは一遍洗つてみる必要があると思うのですが、東京都内に行われておりますいろいろの宴会或いはゴルフ会であるとかマージヤン会とかは、何のために使われているかというと、結局金あさりのためにあれは利用されている。社用族の横行もそこから出ているのじやないかと言われているのですが、そうい点から考えまして、金融引締めをやりますと、いよいよこの点が甚だしくなるというきらいがあると思うのですが、これらに対して措置はお考えになつているかどうか。大蔵大臣もその傾向は多少は認めているかどうか。そんなことは全然ないというふうに言われるかどうか。
  30. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まあよくそういう話を私も伺いまするし、又、今の例えばよく以前に言われた預金を一方にさして置く、いわゆる歩留というものをさして貸出しておるというようなことも言われておつたので、そういうことのないようにこれは再三注意をしまして、この頃はその辺は減つたと思いますが、それから今のお話の金融費でありますが、なんと申しますか、当事者のどうも良心に待つよりほかに私は途がないと思いますが、今度は法令でも、税法の上でも、交際費というものを、或る程度越した交際費は、これは損金とみなさないと、こういうような立法措置をとつて、これは近く御提案申上げることに相成つております。そういうふうにいたしまするし、今度のこの狙つておるところはどこにあるかということを菊川さんに申上げますと、これはむしろ金融の正常化ということを一番狙つておるのであります。御承知のように、西ドイツ当りの例をよく皆さんがお引きになりますから、ここでは申しませんが、それらが本当に必要な方面に流れておるのに比べると、日本金融というものは、どうも質の上から見まして、必らずしも必要な方面に流れておらない。こういうことは事実でございますので、従つてもつと金融の正常化の点に努力してもらうように、私ども金融機関に協力を実は求めておるのであります。それで、今の引締めというのは、主としましてさつき申しました外貨の点とか、貿易の点等からみまして、そうこれまで輸入せんでもよいようなものに或いは思惑的な輸入をすることなどはやめてもらいたいということが主であり、又これは目下我々のなんといいますか、独占禁止法の場合なんかでも菊川さん問われたと思いますが、ああいうふうに一方でカルテルのようなものを作つて、生産を少くして物価の引下げを阻止するというようなことも、これはやめてもらわなければなりません。同時に、滞貨といいますか、荷物に、それに対する金融相当長期に亘つてつておる。それがひいて物価の一まい自然的下落を抑えておるという面等もありますので、そういう思惑的な資金を特に厳重に取締つてもらいたいというのが、主眼になつております。正常なる金融、特に日本産業に必要な金融につきましては、勿論これはなんら私はそれが窮屈になることもなく、又正常な金融を求めておる人は、銀行は金を貸すことによつて営業が成立つておるのですから、言い換えれば、安心して金を貸せるならば、金融費を使わずとも貨することによつて、自分たちの金融機関も成り立つておる、こう考えますので、むしろ思惑を阻止し、そして金融の正常化を狙つておるのが大体の主眼でございます。
  31. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 成るほど今大蔵大臣の言うようにいけば、それは世の中は問題なくうまく行くのだけれども、実際においてはなかなか金融面においてはうまく行つておらんのが日本の実情であると思います。そういうようなところにメスを入れるような方法を考えなければならんと思います。高率適用の強化だけでは、却つて金融資本の横暴だけがますます顕著になる傾向があると思うのでありますが、これは次の問題に移ります。外貨の割当でございますが、なるほど不急不用のものについて輸入を抑制するということは我々も大いに賛成、国産品奨励の面その他からいつて大いに賛成であります。さて少ない外貨を割当する場合におきましては、造船の今問題になつておる融資の問題とよく似たことが起きて来るだろうと思います。少い外貨の割当を受けまして、外国から品物を入れて来るということになると、どうも珍重がられます。だから暴利をむさぼることになるのであります。バナナ一つにしましても、これは外貨の割当をもらつてバナナを入れると、殆んど公定のドルで以て輸入ができる。闇なら高い。従つてこれは厖大な利益となることは明らかであります。これは砂糖にいたしましても何でもそうであります。従つて外貨割当の競争をめぐりまして、今ちらほら問題になつておるところの造船疑獄よりも、なおひどい汚職事件が発生する危険があると思つておるのですが、今度閣僚懇談会か何かをしよつちゆう開いて、そういうことのないようにするというのですが、これらについての外貨割当が適正であつて、而もその外貨割当をめぐつて汚職事件が発生するようなことが、二度と再び造船疑獄のようなことが起きないようにする措置は何かお考えになつておりますかどうか。これを一つ伺いたい。
  32. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 外貨の問題は前にもちよつとそういう問題が一度起つたことがありまして、非常に注意をいたしております。そこで大体いつも枠をきめるという問題が最初ありまして、その枠の中の実行についてそれぞれ協議をするということになつております。閣僚審議会においても、関係閣僚、それから日銀総裁が出て相談をいたしますが、そのほかに関係各省から幹事が出まして、これは大蔵省内に集りまして、各省で相談をします。それで幹事会でこれは宜しいとなると、その最初の大体の枠の中できめる。これの枠を変えることは又別の相談をいたしますが、ということになつて、みんなの同意を得なければやれないということになつております。併し建前としては、これで突き固めたとは思いませんが、相当制度は立つておるのでありますが、仮に心掛けのよくない人があればこれは又困る、何とか何かいい方法があれば一つ考えてみよう、現在はそういうふうに余ほど固くなつて、私は最近耳にしないのを喜んでおる次第であります。
  33. 平林太一

    ○平林太一君 この際、小笠原君に質疑をいたしたいのですが、劈頭に、先ず只今大体財政金融、税法、外貨、こういう問題に対する小笠原君からの御説明がありましたが、それについて順次お伺いをいたしたい。第一に伺いたいことは、根柢となる日本銀行の現在の生態である。日本銀行の生態として取上げられるものは資本金一億円である。政府出資が五千五百万円、一般資金が四千五百万円、合せて一億円である、極めて僅少な畸形な形態である。こういうことに対して大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか伺いたいと思います。
  34. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は今の日本銀行資金関係は、ああいうふうに厳重なる法規、いわゆる金融三法の下にやつて参りますので、特に日本銀行の形態を変えなければならんとは実は考えておりません。
  35. 平林太一

    ○平林太一君 資本金の一億円ということは、今日の財政、いわゆる形態から考慮し或いは勘案して、妥当と思われておるのか。それからこういうものをこういうふうに放置して、あえて支障ないとお考えになつておられるのか。その点伺いたい。
  36. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 中央銀行の資本金というものは、普通の銀行のそれとちよつと違うということについては、平林委員も御承知と思います。なお御意見の次第はよく考えておきます。
  37. 平林太一

    ○平林太一君 現在市中銀行では二十億内外の資本金で以つてつておる。従つて日本銀行が一億円というようなことは何としても考えられないことであるが、これを早期に、日本銀行法の改正をして、そうして資本金の増資、増額を正常な軌道にこれを整備する御用意があるかどうかこれを伺いたい。
  38. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 日本銀行の問題は、相当これは中央銀行で、重要な問題でございますから、御意見の次第はよく一つ考えておきます。只今のところは、率直に申しまして準備いたしておりません。
  39. 平林太一

    ○平林太一君 準備していないというが、これは非常に私から言いますと怠慢だということで、大いに一つ反省を求めたいと思う。取りあえずこの際伺いたいと思いますことは、他の銀行が十億或いは二十億を突破しているのですから、日本銀行をこの際増資するには、我々やはり一応これが我が国金融の国民的信用の基本になることである。だからこれに対しては漠然たることでは困る。今日常識的に申しても、大蔵大臣としてどのくらいが妥当とお思いになるか、こういうことはおつしやられると思います。一億円ということでこれを妥当だとおつしやるなら、大いにこれは議論いたしますが、そうでないというふうに今考えておられるようでありますから、どのくらいが今日の正常な常識的な日本銀行の資本金としては妥当であるとお考えになられるか、これは一つの経綸ですね、大蔵大臣の。それを伺つておきたい。
  40. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 日本銀行問題というのは、あなたもおつしやるように非常な重要な問題でありまして、この形態をどうするかというようなことにつきましての問題は、ちよつとどうもここで私が即答するのは軽卒だと又お叱りを受けるだろうと思います。
  41. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) お諮りいたします。大蔵大臣は正午他にお約束があるそうでありますからして、午前中の御審議はこの辺で……。(「質問継続中ですよ」と呼ぶ者あり)そういう事情ですから、成るべく簡単に……。
  42. 平林太一

    ○平林太一君 一つこれは早急にお考えを頂くことと、それから政策委員会の現在の形態、日本銀行の、これは非常に戦争直後のいわゆる非常に圧力によつてできた委員会の構成であり、又人事である。これだけの重大な委員会の使命、殊に日本銀行の発言というものがいつも考えられておる際に、そのままではいけない。今日では職能代表のような考えがありますから、これを一つ考えになられることを望む。  それから日銀総裁というものに対しては、まあ例えば一万田君が相当長いことやつておられるが、この際、人はやはり代えなくちやならん。だんだんこういう金融機関の、政府機関関係の総裁というものは、そういうことについては、これは後に開発銀行問題等にも及びますが、どういうふうにお考えになつておりますか。何でも馬鹿の一つ覚えと申しますか、同一人物を六年も五年もずつとやらしておつて、智恵を出し尽してしまう、新知識というものは何もない、その間に非常に進んでおるようなこともあるが、退歩を辿つておる、こういう重大な問題、この点どうお考えになつておるか。
  43. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今の金融三法ついては、これはいろいろ従来から意見もありまして、私のほうでは絶えず研究をしております。まあ成るべくよい案を求めたいと努力いたしております。  それから今の日銀総裁、これはまあ私、長い点はございまするけれども、適任者でございまするので、そのままお働きを願つておるのでありますが、併し御意見の点はよく一つ承わつておきます。
  44. 平林太一

    ○平林太一君 御意見の点は承わるということは、代えることも考えられる、こういうことなんですね。……よろしうございます。  その次の問題を、少し時間がないというお話ですからお尋ねをいたしておきます。この銀行全体の、市中金融機関銀行法の改正ということをこの際お考えにならないかどうか。これは只今菊川さんからもお話があつたし、小林さんからもお話がありましたが、現在の銀行の業務状態及び外観から見た、客観的な、銀行のやつておる、市中金融機関としての銀行を客観的に見た影響というのはこれは非常に不安なんです。  第二のいわゆるこの保全経済会事件、或いは又相互金融の最近の崩壊、こういうようなものが今日において市中銀行に一日の長をとつてやらないというと、この事態ができないという保証はできない。現に第一次世界大戦の直後に、銀行というものに対しては、市中銀行、いわゆる当時の金融機関に対しては絶対に安心だと思つていた、それが一朝にして銀行パニツクというものが起つた。そしてあの大混乱を起した。私は今度のいわゆるこういう事態が求めずして自然に発生したということに対しては、この市中銀行に対して不吉の予感をさえ感ぜざるを得ない。至誠愛国の至情からして、大蔵大臣として、あなたはこの際、市中銀行を、ただ漠然として先刻のような御答弁でおやりになつているということは、いささか我々としては不安に堪えない。どういう構想を持つて、どういうお考えを持つてこれをいわゆる安定した手違いのないことで、これが後に至つてどうだつたのだ、早くやつておけばよかつたのだというような御処置をお考えになつているかどうか。これは銀行改正の問題でありますから……。これは今回の国会銀行法の改正というものは提出しなければならないと思う。その際の欠陥がおわかりになつていながらそれがない、非常な不安です、これは。これは一つ別に改まらずに肝の底を打ち割つて、非常にあなた善良の人のように、私、思いますから、一つ善良な答弁をお願いします。
  45. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は今度の国会に別に銀行法を改める案を用意いたしておりません。それで今お話になつた市中銀行等につきましては、私どもは健全なる金融機関としての発達を希つておりまして、その点から堪えずできるだけ指導もいたしまするが、又御承知の検査等をずつと施行いたしております。最近は以前に比べまして検査の回数が非常に多うございます。大銀行と言わず休まずにやつていることは平林さん御承知だろうと思います。あなたおつしやつたように、銀行のネオンサインの問題、あれはけしからんじやないかと言われましたから、これはすぐ直しました。この頃どこへ行つてもございますまい。それは一例で、そういうふうに即時やるものはやります。併しなかなか金融全般に関する問題というものは影響するとこころが大きいので、どうもなかなかここでそれじやどうするということをおつしやつても即答しかねる。これはやはりもう少し私ども金融の面を考えたいと思います。
  46. 平林太一

    ○平林太一君 その点はそういうことで一つ十分御用意をなさつて、それから御用意をなさるという、そういう御用意の下に市中銀行に対してはこの際緻密厳重なる連絡、監督というものを怠らないことを、この際私のほうから求めておきます。  それから次の問題は日本開発銀行の問題。日本開発銀行の問題については、御承知通り今回の造船融資というものを今日まで一千億円内外、これをいたしている。一千億円内外いたしているのに対して、この使途というものが、使い方というものが今度の造船の汚職事件の根柢をなしたわけです。曽つて、あなた御存じの通り海軍シーメンス事件というものがありましたが、あのときには山本権兵衛、当時の内閣総理大臣がそのために責任を引いて闕下に骸骨を乞うたということを、私、記憶がある。私ども考えると正にその通りである。いわゆるシーメンス、シユツケルト会社が、贈賄ということでなくて、今日のやつぱりリベートといつてつた。それでもその当局が責任をとつてあのようにいたしたのです。一千億円という開銀の融資に対する決定というものは、事実は審議会もあり、運輸省もあるが、最後は開発銀行が皆これはやつておる。こういうものに対してこういう融資の決定をして、利子補給の問題は別でありますが、大蔵省はどういう監督、開発銀行に対して具体的に造船割当の融資に対する御処置を今までおやりになつているか。ただ開発銀行にお任せきりでやつてつたのか。大蔵省自体がいわゆるこれに対して厳正な調査をして、そうして開発銀行の融資の方法を誤まらしめなかつた処置をおとりになつてつたかどうか。こういうことをお伺いしたい。
  47. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 開発銀行に対する監督権が大蔵省にあることに、これは申すまでもございません。併し開発銀行は、当初の趣旨からいいまして、成るべく自主的に運営をさせるという建前をとつておりまして、自主的な運営をさしております。従いまして開発銀行には、これは今の、例えば造船資金を幾ら、電源開発資金を幾ら、こういうようなことについては決定いたしますが、個々のものについての貸出について申しますると、この造船に対する貸出は、運輸省に造船合理化審議会というものがあつて、そこで決定し、そうしてそれに対して意見を述べ、そうして運輸省において決定をしまして、それで運輸省と今度は開発銀行資産状態等を取調べて意見が一致した場合に貸出される、こういう手続になつておるのであります。
  48. 平林太一

    ○平林太一君 只今大臣から自主的に開発銀行にお任せになつておる、こういうのです。これはまあ非常に間違つたことであり、危険極まりない。これは開発銀行が、運輸省関係は運輸省、通産省関係は通産省で、財政投融資としてまあおやりになる。これは国家の金ですから、大蔵省所管の、世俗で申せばこれはいわゆる現ナマなんです。それでその枠だけを与えて、貸付に対する個々に対して開銀に自主的にやらしておるというようなことについては、これは重大な事柄なんです。併し出て来たことは今日いたし方がない。そういうことからこういう事件が出て来たのですけれども開銀に対する監督権というものは、この際早急に一つ大蔵大臣は、その貸付に対して大蔵省自体が開銀を野放しに自主的にさせないという新たな一つの御処置を早急におとりにならなければならない。そうしないというと、今言う通り開銀の使命というものが、いわゆる国家産業開発、経済の増大を図るということで、あにそれ中央だけではない、全国から均衡をしなければできない、そういうようなことについても大蔵省が手を入れれば、いわゆる大蔵財政の、全般的国政の上から、それを資金の均衡を得た配分というものが、そこで、できて来るわけです。これはどういうふうにお考えになりますか。
  49. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大蔵省が個々の金の貸出について、今のところ指図若しくは監督するということはできません。これはどの銀行につきましても、すべてこれは運営は自主的にやらしておるのであります。併しできるだけ制度の上で監督のできることにはいたしておりまするから、若し不良なる貸出等が出て参りますれば、業務命令は出し得るので、まだ今日の事態がはつきりいたしません。つまり何か開発銀行直接の問題でなくて、起つておるのは、先のほうの造船会社と船会社がどうこうという問題でありまして、開発銀行貸出に不良のものが出たとか、不都合なものが出たとかいうことは直接ございませんので、今の点は私もよく考えております。
  50. 平林太一

    ○平林太一君 今御答弁の中に、これはあなたのほうの御答弁としてはそうであるべきかも知れませんが、今日の造船、いわゆる船舶の汚職事件として耳目を驚かしているこういう事件は、開発銀行は直接関係がないというお話なんでありますが、それは違うのです、実は……。開発銀行が、例えばこういうことでしよう。いわゆる造船の、運輸省では外国航路の造船計画を立てて船主を公募する。それで現在の外国航路船というものは七億から十億くらいかかるんだ。運輸省で公募した規定というものは、それによつて審議会等を通じて適格者がきまる。それに対して開発銀行は直ちにその適格者に対して十億の七割ということであれば七億円を貸付けるという、それだから貸付の際の一番重大なるポイントを持つているのは、現実に言えば開発銀行であります。だからこういう事件のできた淵源は開発銀行であるということは、現実的に議論の余地はないというわけであります。運輸省でも審議委員会でもない、最後にはやはり開銀の総裁小林中とか、太田何某とかいうところが、暮夜ひそかに暗躍、活躍されて、できてから決定される。あなたのほうはそういうことはないとおつしやるけれども、我々は政治的にそういうことを思わざるを得ない。まあ併しそれもお聞き願えばよろしうございますが、開銀に対することは、今までのようなことでは、これは折角の船舶の建造をやろうというこの意図が正常に行かない、こういうことを一つ考えにならなければならん。そういう場合に業務命令というものを今日開銀に対しましておとりになつても一向差支えない。なぜ小笠原大蔵大臣ともあろう者が、卑怯未練な躊躇逡巡しておやりになつているか。なぜそういうことをおやりにならんか。
  51. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は事実がはつきりして来れば適当な処置をとります。監督者としての責任は果します。
  52. 平林太一

    ○平林太一君 事実がはつきりしているではございませんか、現在。司法検察によつて事実がはつきりしている。そうしてこの問題がこの通り天下周知の事実となつて出て来た。政治に対する責任というものが、裁判の判決を待つてやるということでは、これでは言うものとは違うわけであります。裁判の判決を待つて、事実が決定してからやるということでありますれば、いずれこういう事件は五年も十年も経つてしまう、現在の内閣というものはもう影も形もなくなるわけであります。だから綱紀粛正問題というものは、大正三年にシーメンス・シユツケルト事件が起きたときに、直ちにこれはその当時は事件が決定されなかつたということは、これは言うまでもないが、当時の山本権兵衛は即日辞表を提出して責任をとつた。私は責任をとれとは今日言わない。言わないけれども、事実はわからないから、裁判の結果を待つて、事実が判明したら、それをその後にやるなんというようなことでは、それは私は大臣としての国民に対する責務、いわんや国会に対する御態度、責任というものに対して、これはもう容易ならないことだと思います。もう少し誠意ある誠実な御答弁を願いたい。いわんや開銀に対する業務命令を出すというようなことをさように誇大にお考えにならなくてもよろしい問題です。どうですか。一つこれだけは、何も、大蔵省としての職務上の行為としてこれは当然なことであります。幸いにして問題がなければそれでよろしい。裁判じやないんだから。そういうことをやることによつて、今後こういう問題に対する後のこれは秩序が確立されるわけであります。これを今あなたのおつしやるようなことにしておりますれば、やはりこれはやつた者の得ということになる、今後ますます国家財政投融資というものは三千億円内外になつております。造船はたまたま出たからだが、この財政投融資の三千億円内外の全貌というものにも皆これは関連を持つ問題であります。だからそういうもののためにもこういう問題は一つおやりになるということが、私は大臣として極めて何といいますか、正直な善良な御態度だと思いますが、どうでございすか。
  53. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は刑事問題の裁判の結果を待つとは何ら申上げておりません。事件の全貌がまだ少しも明らかになつていない、開発銀行がどうなつておるかも私どもには明らかでないから、業務命令を出すには、開発銀行はこれこれこうしておるということに至つて初めてそういう措置をとるのであつて、いわば非常的措置をとるには、もう少し事案が明らかにならなければならん。これはあなたでもそうだろうと思います。事実が明らかにならないうちにやるということは、平林君、あなたでもやるわけには行かんだろう。
  54. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。午後は二時から続行いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  55. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。  大蔵大臣は午後三時から出席の予定ですが、三十分ほど遅れる予定であります。先ず銀行局長に対する質疑を願います。
  56. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 銀行局長の午前中説明されましたところによりますと、いわゆる匿名組合だとか、株式会社利殖機関借金業者に対して何らかの規制と言いますか、例えば法案を、今政府のほうで立案をして、この国会に出すことにきまつた、こういう話ですが、私たちはもう一年ほど前に、まだ保全経済会がこんなことにならん前から——これはどうもおかしいですよ、必ずいつかは馬脚を現わしますよ、何とか処置しなければならんじやないですかと言つたら、あの当時、あなたは、法律的には何ともすることはできない、あなた個人としては何とかしなければならんと思うけれども、又銀行局の意見としても大体そういう意見だけれども、法務省のほうでなかなかこれはできない。従つて今のところはこれはあなたは談話、その他で以て、これに対する投資者等に、暗に警戒しなさいという警告を与えるという、これが最善の努力、精一ぱいのことです。これは今日までの態度だつたわけでありますが、併しそれを若し私たちがやかましく言つた当時に、仮にこういう法的措置をしてあつたならば、今日のような事態を起さずに或いは済んだかも知れないと思うのです。こんなに被害はひどくならずに済んだかも知れない。あれを野放しにしておいたために、結局伊藤何がしかのごときは、相当私はもう危くなつて、事実を知りつつ、もういつか閉店するという事実を知りながら、まだ募集をやつていた。財産の隠匿等も行われておつただろう。これはほかの機関においても同様だと思うのでありますが、従つて今日までそれを放つておいて、被害を大きくしたという一つの政治的責任があると思う。今やるのなら、なぜそのときもつと早くやらなかつたか、怠慢だということを政府として、大蔵当局として責任を負わなければならんと思うのだが、そういうふうに今日までなかなか手を出し得なかつたというのは、あの当時にも、何らかの政治的圧力が加わつているのじやないかということを聞いたが、そういうことはない、こういうお話でしたが、今衆議院の行政監察委員会でも問題になつておりますが、与党方面へ、平野証言に基きますと、相当そういうことを積極的に保護するような投資銀行というような法律案を出させるように運動しておつた。だから逆に取締りどころか、また保護立法的なものを運動しておつた。そのために多額の政治献金が行われたという平野証言があつたわけです。それから考えたり、又は今澄君が予算委員会で話したところによると、これらの匿名組合利殖機関にはそれぞれ政界のいわゆる有力者と言われる連中が顧問になつてつた。而もこれは与党の人たちが多いのでありますが、こういう連中が顧問になつている以上、その事業を成るべく繁栄させるように、取締りに当つて窮屈にせられないように運動するのは当り前だと思う。従つて今から考えて見ると、そういう連中が運動したために、できなかつたのじやなかろうか、こう思うのですが、その二つの点についてお聞きしたい。
  57. 河野通一

    政府委員河野通一君) お答え申上げますが、この問題は去年もたしか菊川委員から御質問があつて、私はつきり申上げた通り、私はこういつた種類の法制化の問題について何らの圧迫を受けたり、或いは掣肘を加えられたりしたことはございません、一度もありませんから、その点ははつきり申上げておきます。立法の問題につきましては、これは実は私去年のたしか六月頃ではなかつたかと思うのですが、私の私見としては、こういつたふうのことが考えられる。併しこれは主として匿名組合の問題であつたと思いますが、実は出資の問題であるから、これは商法関係の問題であつて金融法規の問題でないから、法務省当局の意向もよく聞いて頂きたいということを申上げておいたのであります。その後法務省とは数次に亘つてこの問題を研究いたして参りましたが、最近まではやはり何と申しますか、私的契約の自由という原則に立ちまして、どうもそういう立法措置を講ずるのは適当ではないんではないかというのが、去年秋頃までの大体法務省の空気でありました。これは事実そうであつたのであります。その後例の保全経済会休業という一つの事実が起りまして、やはりそういつた措置を取るべきではないかという意見に法務省としてもなつて来られた。それで急拠午前中申上げましたような、法案の作成に当つてつたのであります。法案内容につきましては、午前中申上げた通りでありますが、是非成るべく速やかに成案を取りまとめて、この国会に御提案をいたしたいと、かように考えて、目下条文の整理を急いでおる最中であるわけであります。
  58. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それじや、契約自由の原則の上に立つたら、そういう取締りの法律を拵えるのは穏当でない、適当ではないというのが去年までの話であつて、そうするならば、今度は契約自由の原則を破るということになつたのは、これは事業そのものは悪いのではなくて、伊藤個人が悪いので、下ノ村個人が放埓な仕事をやつたために悪いので、その一個人を全部取締るということは法律上どうですか。そういことになるのは、伊藤が悪かつた、或いは下ノ村が悪かつたために、その会社が破綻をしただけであつて、今後菊川孝夫がやるということにしたつて、それは正しいことをやれば、これは契約自由の原則によつて制約は受けないということになるんですが、従つて基本的人権を制約する上においては、全般が悪ければ別ですが、その事業そのものは決して悪いものじやないということで、契約の自由を保障しておつたやつが、俄かに伊藤が悪かつた、或いは下ノ村が悪かつたというために、ほかの人たちも、今後事業をやるという人たちも、契約自由の原則を規制される、こういうことになるわけでありますが、それらに対してあなたがたはどういうふうにお考えになつておりますか。
  59. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私どもは、今お話の出たような個人の問題は考えておりません。保全経済会休業をきつかけといいますか、きつかけとしてその他同種類のものにも相当そういつた休業が出ておりますことは御承知通りであります。こういつた方法で多数の人から出資受入れるということ自体を禁止をいたすということになりますと、今お話のように、非常に大きな、何といいますか、自由の制限になるわけでありますが、私どもはそういつた不特定多数の者からの出資受入れを全部禁止しようというのではなく、午前中申上げましたように、誇大宣伝とか、つまり出資の本質に反するようなことを宣伝表に示して出資を不特定多数の者から集めるというようなことを禁止しようということでありまして、不特定多数の者からの出資受入れるということを全部禁止しようというのではないのであります。まだ条文は固まつておりませんが、大体の考え方を申上げてみますると、非常にお聞き苦しいかと思いますけれども、複雑になつておりますから、ゆつくり読んでみますが、大体こういうふうな形になつております。「何人も不特定且つ多数の者に対して後日出資金の全額を返還すべき旨若しくは出資金の全額以上の金額を返還すべき旨を明示し、若しくは暗黙のうちに示し、又は後日出資金の全額の返還がある旨若しくは出資金の全額以上の金額の返還がある旨の誤解を生じさせるような仕方を用いて出資受入れをしてはならない」、不特定多数の者からの出資受入れは全部いけない、禁止するという法案にはしておりません。従つてそういうふうな、如何にも出資者であるから、元本の返還を約束しておるというような疑いを起させるようなこと、それから有価証券のほうにつきましては、更にそれに一割の配当を約束するといつたようなことを表示することを禁止する、こういうことでありまして、不特定多数の者からいやしくも出資を募ることはいけないというような法律には実はしないつもりでおります。
  60. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、その法律を出さなけりやならんということを決意するに至つた理由というものは、やはり保全経済会の破綻、それからこれを契機として類似のそれらの街の金融機関がやはり破綻をして来た。これが一つの決意するに至つたあなたのほうの何ですか、チヤンスになつておるわけですか。その点について……。
  61. 河野通一

    政府委員河野通一君) その前から実は先ほど申上げました研究はいたしておりましたが、保全経済会その他の休業ということによつて、社会に非常に大きな迷惑を及ぼすことになつたということが、この法案を促進いたしまする大きな原因になりましたことは事実であります。
  62. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、保全経済会にしろ、或いはその他の類似の金融機関が行なつた行為というものは、誇大な宣伝によつて、そうして不特定多数の人間から金を集めておつたということをお認めになるのですか。
  63. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今のお話の点は、私保全経済会自体につきましては、十分なる調査もいたしておりませんからわかりませんが、私どもの範囲でわかつておりますものにつきましては、例えば株主相互金融等の中には、月何分を配当いたしますということをはつきり約束いたしておるものがある。こういうものはやはりそれによつて株式というものは、そういう配当が実は約束できるものではないわけですけれども、その配当が約束されることについて如何にも、何と言いますか、確定利付の何か配当があるといつたようなことを思わせて、誤解の下に出資者になつた人が相当あるということも事実でありますから、そういつたことを今後は予防する。そういうことによつて多数の人が迷惑を受けることを予防するという見地から、こういう法律を出したほうがいい、かように考えた次第であります。
  64. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 こういう法律を出さなければならんという決意するに至つた動機というものは、保全経済会初め、一連の休業した類似の街の金融機関が破綻をしたことが一つの原因であつたとするならば、それをなぜ今度は保全経済会初め、或いは日本殖産等が破綻をしたかということについては、あなたがた立法するに当つては、その原因を究明しなければいかんと思います。理由と言いますか、なぜ保全経済会あたりが破綻したかということを究明して、それならそういうことが二度と行えないようにしなきやならんと思います。ただ抽象論で法律をこしらえたのじや駄目だと思いますがね。その点については十分御調査になつて、保全がなぜ休業したか、或いは日本殖産がなぜ休業したか、こういうことについては御調査になつたのですか。そうでなければ、ただ単なる抽象論として誇大な宣伝をしてはいかん、或いは証券取引法の一部を改正するとか、預り金を確保するということだけではいかんと思う。あれらの行為は反社会的であつたかどうかということ、こういう点について究明をして、そうしてあれはあの個人だけが悪いのだということになるのか。それともこういうことをやるのは全般が悪いのか。あなたのほうは全般には悪くないということになつたら、あれらが破綻したのは一つの今こしらえようとする法律に抵触した行為をやつて、それが理由になつてこういうふうに破綻したのかどうかということは、やつぱり究明をして、そうしてその上に立つて私は立法しなければいかんと思うのだが、その点について御調査になつておりますかどうですか。
  65. 河野通一

    政府委員河野通一君) 例えば保全経済会自体につきまして、休業するに至りました原因を調査したかということでありますが、私ども詳細なる調査はいたしておりません。原因はまさにいろいろな原因があると思います。ただ私どもといたしましては、すべての企業が破綻をいたしました場合におきまして、破綻をするということがあるから、これに対して何らかの措置をとるということではなしに、その結果、何と申しますか、多数の人が迷惑を受けるというようなことが起つて来るからいけない。従つてそういうことのために、むしろ何と申しますか、何とかして正当な出資なら出資内容にふさわしいようなことを、何と申しますか、申込みをして、そうしてそれで相手方がこれに応諾をするという形で出資契約ができるならば、これは差支えない。併しそれが出資であるにもかかわらず。元本をあたかも保証されておるような印象を与え、或いは一定以上の配当率、一定率以上の配当が必ず約束されておるといつたような印象を与えて、そうしてその出資を集めるということによつて、その出資者が非常に迷惑を受けるというようなことを防ぐことが必要である。これだけのことでありまして、正しい出資らしきものに、そのまま真実をよく知つてつて出資契約をいたしたものまでも、ここで私ども保護しようということは考えておらないのであります、保護と申しますか、予防しようということは考えておりません。
  66. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう一つだけ。若しも逆に、お尋ねするが、保全が休業しないようであつたならば、そうしたらこういう立法措置は恐らくとれなかつたと思うが、保全が休業したために立法措置を決意するに至つた。だから保全が休業しなかつたということになつたら、こういう立法措置をとるという決意をするまでには至らなかつた。あなたはあらかじめ何とかしなければいかんと言うが、私はあなたに危いぞ、町の金融機関が大分危くなつたという、警察のほうで調査しておるぞということをあなたに聞いたことがある。そういうことは聞いておるけれども、そういう心配はないであろう、今は立法的な措置は何もできませんと言つて逃げておつた。もう私らは保全が危いということは去年の今頃、二月の株の暴落以来、当時から我々は情報として聞いておつた。いつかはもう必ず足を出すぞとあなたに言つてつたけれども、その当時はうやむやに逃げておつた。今にしてようよう決意してこの立法措置をとることになつた。保全が今まで続いておるというようなことだつたら、この立法措置は決意するには至らなかつた。こういうふうに解釈してよろしいか。
  67. 河野通一

    政府委員河野通一君) 先ほどもお答え申上げました通り、私どもはこの保全経済会休業をいたします前から、その立法の問題については検討いたしておつたということは先ほど申上げた通りであります。政府部内においていろいろ相談をいたして参りました。併しながら保全経済会が、その他の類似の利殖機関休業いたしましたということが、この法案を起草いたしますることを促進する一つの大きな原因であつたことは間違いありません。間違いありませんが、然らばこれらの休業ということがなかつたら、こういう立法をしなかつたかどうかという点につきましては、これは私どもは先ほど申上げましたように、この保全経済会等が休業いたします前から、この立法について研究をいたしておりましたことは、これは事実であります。たしか当時でも当大蔵委員会でも、その研究をいたしておるということを申上げたのじやないかと思いますが、従いまして保全経済会等が休業をしなかつたといたしましても、私どもはこの立法への努力は続けて参つただろうと、今思いますけれども、ただ立法化を促進いたします一つのよすがになつたことは事実であります。
  68. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは今度は角度を変えて、立法化についてでありますが、投資銀行法というような立法化を研究したことがあるか。まあ着手した、しないは別として、そういうことは一応研究したことがあるかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
  69. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは私は去年の三月四日に、衆議院の大蔵委員会でこれらの問題についての総括的な政府の見解を御説明申上げ、その後当委員会でも申上げたかと思うのでありますが、その中にはつきり申上げております通り匿名組合方式による利殖機関立法化ということが言われておるけれども、こういつたことについては、私ども立法化をする意思は全然ないということを去年の三月にはつきり申上げておる通りであります。これを立法化しようという研究をいたしたことは未だ曽つて一度もありません。それからたしか一昨年の初めではなかつたかと思いますが、衆議院議員のかたから書面を以て政府に対して正式の質問書が出ております。たしか共産党の深澤議員からではなかつたかと思いますが、そのうちに保全経済会の問題についていろいろ質問が出ておりまして、伊藤斗福氏が大蔵省の参与だということを言つているが、そういう事実があるかないか。或いは投資銀行法という法案を作るように運動しているということだが、政府はどう考えているのかとか、その他の質問があつたと思います。それに対して書面で内閣総理大臣からお答えを申上げております中に、投資銀行法等の法律を作るということは全然考えておらんということをはつきりそのときにも書面で以てお答えをいたしておるのでおります。私どもといたしましては、数年前からこれらの問題については、未だ曽つてそういつた意味の法制化をしようということを研究いたしたことは未だ曽つてございません。
  70. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 名前を言うてもらわなくてもいいが、それでは投資銀行法を作るために、そういうものを立案するというか、制定する立法準備を進めるべく何らかのあなた方の所へ要請と申しますか、要求と申しますか、陳情、そういつたものが今日まであつたかなかつたか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。大臣のほうに来れば、どうせあなたのほうで準備しなければならんと思いますが、その点どうですか。
  71. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私は未だ曽つて投資銀行法案なるものを見たこともありませんし、私の所へ未だ曽つて誰も投資銀行法を制定してもらいたいというようなことで来られたというようなことはありません。
  72. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大蔵省のほうに、これは銀行局長の所へは来ていなくても、大蔵省全般としてそういう要求、陳情等は全然なかつたと、こういうわけですか。その点はつきりしてもらいたい。
  73. 河野通一

    政府委員河野通一君) 恐らく大蔵省へ参りますれば、私の所だと思いますが、私及び銀行局におきましては、そういうことはございませんし、私の所でなければ、恐らく大蔵省の他の局にそういう話があるとは思いません。それから只今お答え申上げましたのは、誤解のないようにもう一度申し上げますか、いわゆる匿名組合方式による投資銀行式なものは考えていない。そういうものについての陳情は受けていないということを申上げたのでありまして、そのほかにいわゆる株主相互金融を適当な方法で法制化をしてもらいたいという、こういう陳情は私は受けておりまして、これは今申上げた伊藤斗福氏あたりが考えておつた投資銀行法とは少し違う形のものでありますが……。そういつたものの法制化の私は陳情を受けたことはございません。
  74. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それでは伊藤斗福氏が考えておつたような投資銀行法というものについては陳情はなかつたし、運動もなかつたと、こういうふうに解釈してよろしうございますね。これは衆議院の行政監察委員会において、当然これはあとで顧問になつてどうしたということで調べられるんだが、大蔵委員会において、あなたがそういうことは大蔵省には全然運動がなかつたと言つても、あとで、私が連れて行つてこういう運動をしたということになるとそれは偽証になりますが、いいですね。銀行局長は嘘を言つたということになる。これは今まで全然そういうことはなかつた。顧問料をとつて、投資銀行法をこしらえてやると言つて約束をして、顧問料なり何なりをとつてつたら詐欺行為をやつたということになるが、大蔵省に全然なかつたということになつているならば、何もやらずに運動費をとつた、こういうことになるんだが、あなたが。それはそういうふうに見てもよろしうございますね。
  75. 河野通一

    政府委員河野通一君) 大蔵省は全然そういうことの陳情を受けたことはないということは私は言い切ることはできません。私及び銀行局に関する限りははつきり申上げます。恐らく大蔵省全体にも、私の所へ来なければほかに行く所はないだろうということから、まさか大蔵省の各局がそういう陳情を受けたことはないだろうということを申上げたので、私及び銀行局に関する限りははつきりそういうことはないということを申上げます。
  76. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、これは銀行局だけの話であつて大蔵省全般としてはどうかわからんということですね、政務次官の所へ来てあるとか、次官の所へ来てあるというようなことはわからんというので、これはあとで調査して、一応大蔵省としての回答はもらえますか。これは今日来ているのは一銀行局長として来ているんじやなく、大蔵省を代表して金融問題についての答弁に来ていると思いますが。
  77. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私の調べられます範囲で調べてそういう事実はないと思いますけれども、一応調べた上でお答えいたします。
  78. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にもう一点だけお伺いいたしておきたいと思うんですが、あなた方が今回の保全経済会以下のいろいろの利殖機関がこういうふうになぜ破綻したのか、又大衆の金がなぜこういう利殖機関に集まつたか、なぜこんなものが繁昌したんだろうか、立派な銀行があり、大蔵省の監理下の、監理というと語弊がありますけれども大蔵省の監督を受けた正規の金融機関銀行あり、無尽の変つた相互銀行があり、信用金庫があり、いろいろの金庫がありまするのに、そこへ持つて行けばよかりそうなものがこちらへ集まつているのは、利息の高いということもあり、誇大宣伝ということもあるだろうが、一つには安全ということを誰でも考えるだろうと思います。虎の子の退職金や何かを出資する以上は、安全ということも考えると思うんですが、その際に例の顧問というんですね、いわゆる顧問という名前で以て現職の大臣であるとか、或いは政界で名の売れた人、これを我々考えると、何も名が売れていても特別問題にしないんだが、僕らも田舎におつた少年時代には、或いは何々大臣、或いは代議士、何々委員長というようなことになると、まあ大体信用したものです。今ここへ入つて見て中がわかつてみると、そう大したものじやないということがわかつて来るんですが、(笑声)それで今度利殖機関のほうへ金が集まつたという理由の一つに、こういう顧問というようなものが相当役割を果しておつたかどうかということは、やはり考えてみなければならんと思います。今度の立法化についてはそういう問題もある、一つの方法である誇大宣伝という抽象論でなされたけれども、これらについて御検討になりましたかどうか。
  79. 河野通一

    政府委員河野通一君) 検討いたしたことはございません。それから少くとも私の関する問題でないと思います。そういうことの弊害とかどうとかということは……。
  80. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 立法するに当つて誇大宣伝だというときには、そういう何も実際には顧問としての役割を果さんような者を顧問だ顧問だといつて担いでみたり、而も自分がそんなものは承知していないとか、名前を貸しただけだというようなことで今後やるというようなことは、これは考えなければならんと思います。今まで弊害があつたとするならば、それについても私は規制しなければならんと思いますし、弊害がないといえばそのまま放つておいてもいいと思いますが、今それが相当問題になつておる。だからこの利殖機関出資をしている人の証言を調べた速記録を読んでみますと、あの人が顧問になつてつたから大丈夫だと思つて金を預けたと現に言つておる。今度は立法するということになれば、そういうことも検討しなければならんと思いますが、調査をせずに抽象的にあなた方が今度の立法考えておられるのですか。
  81. 河野通一

    政府委員河野通一君) 決して抽象的に考えておりません。少くとも出資に関して今ここで法案の文書を読み上げましたような見地から具体的に研究いたしております。誰々名士が顧問になつておるためにどの程度一般の社会の多数の人が迷惑を受けたかというような点につきましては、私の関するところではありませんので、別に調べたことはございません。見解もありません。こう申上げておきます。
  82. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それではこれらの利殖機関がこのような破綻状態に陥つた原因については、私はもう少しあなたのほうとしても、これを取締りの対象にする以上は、なぜこういうふうになつてしまつたかということについては、もつと掘り下げて問題を検討して、そういうことの根を断ち切るというか、再びそういうことの起らんように立法措置考える必要があると思います。ところが大して調べもしていない、なぜそんなことになつたかわからんということでは、少くともこれは検察庁のような調べはできないとしても、あなた方は業務として行政的にこれは調べる必要があるんじやないかと思いますが、調べられないのか、それから調べる意図はないのか、どちらか一つお答え願いたい。
  83. 河野通一

    政府委員河野通一君) 少くとも保全経済会式の匿名組合でやつております利殖機関は、たびたび当委員会で申上げました通り、これは受信の面におきましても利殖の面におきましても、金融機関ではありません。金融法規の関係すべき問題でないから、私どもは全然この問題について調べたことはない。従つて若しそれらの原因について調査をするという必要があるならば、これはやはりそういうことの調査のできるところで調査をして、その結果をお聞きとり願いたい、こう申上げたのです。非常に具体的な例を一例を申上げますが、実は一昨年でありましたか、私どものほうの係に、保全経済会の実情を実は調査にやつたことがございます。そのとき保全経済会から、たしか保全経済会だと思いますが、間違つておりましたら訂正いたしますが、或いは類似のものであつたかも知れませんが、如何なる法的根拠に基いて大蔵省は調査に参つたか、別に調べる法的根拠は持つておらん、ただ勿論税の立場からなら別にありますけれども、私ども立場から調査をする権限はないということで断わられた事例が実はあるわけでございます。そういつた観点から、金融関係の問題でありますれば、私どもは十分にこれは検討いたしたいと思いますが、今申上げたような意味で、金融行政の対象となるものでないということでありますから、私どもはそういう調査もいたしておりませんし、今後もいたすつもりはない、こう申上げておきます。
  84. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、これらの利殖機関というものは、どこからも、ただ商法の規制を受けるだけであつて、そういう特別な規制というものは全然できない、こういうのがあなた方の今までの考え方つたんだが、併し金融行政全般からして、こういうものがはびこる、そうして危険な状態になつて大衆に迷惑をかけるかも知れないということであつたならば、その予防措置というものは私は考えなければならん、これはそれだけの責任があると思うのですが、これは金融界の混乱になる、経済界の混乱になると思いますが、それらができないとするならば、何らかのやはり調査をするような方法をそのとき構ずる必要があると思います。あなたのところが行つたのは、調べる必要があると思つて調べに行つたが、断られて来たから仕方がないといつて泣寝入りしたわけだが、そのときに調べに行くということは、このまま放つておくわけに行かないということから調べにやつたのじやないか、それにもかかわらず断わられて仕方がないということで放つておくということは怠慢じやないですか、結果論から言うわけじやないけれども
  85. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私どもが調べに参りましたのは、今申上げたような受信をいたしておりまする面が、一体預金の受入或いは銀行法違反とか、そういつたことになるのではないかということから実は調べに行つたのです。その後断わられましたから、その後私どもの手に入り得るあらゆる材料で以て検討をいたした結果が、去年の三月に私から当委員会でも御答弁申上げたような結論になつたわけでございます。その意味で調べたのであつて、その調べた結果が金融法規違反でないという結論になつたのであります。尤も私どもは現実に具体的に調査をいたしておりませんから、或いは私どもの調べに不十分な点があれば、或いはこれはやはり金融法規違反ということが出て来るかも知れませんけれども、今のところああいう仕組でやつておりまする匿名組合方式の利殖機関というものは、その出資の受入は金融法規にいつておる預金の受入とは言い難いというのが私どもの結論であります。その結論を出すまでの調べまでは実はしたがつたのでありますけれども、調査を拒まれましたので、私どもはほかの方法でできるだけ材料を集めて調べた結果、今申上げたような結論になつた、こう申上げておるわけであります。
  86. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると今までの質問或いは答えの内容を総合して考えられることは、結局これは自然に放つておいたのでは何らか危いということくらいは大体誰でも常識上は考えられる。いつかはこのままではそう長続きはしないということは考えられる。ところが法律的に考えても、何か処置をしても、それがどうなるかわからないというようなところから、ずるずるべつたりになつて、丁度破綻をしてから、今度は慌てて泥棒を見てから繩を綯うというような状態になつて来たということが、大体の結論として達し得ると思いますが、政府全体として考えられることはこのような状態じやないのですか。
  87. 河野通一

    政府委員河野通一君) これはたびたび申上げております通り、これらの法案の立案につきましては、研究は続けておつたのであります。研究は続けておりましたが、それが今お叱りを頂きましたように、まあ非常に促進がされなかつたわけであります。その促進が結局ああいつた種類のものの休業というものによつて非常に促進されるようになつたということは、これは認めざるを得ないのであります。
  88. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 一番そこで僕らの考えるのは、促進されなかつた一つの理由として、どこかからこれは紐がついておつて、あなたのほうは走ろうと思つても繩をつけて足を引張られたというふうにしか受取れない。結果を見て言うわけじやないのですけれども、これらの顧問に有力者が控えている、それから政党献金があつたという平野証言があつて、こういうところからいつて大蔵省がやろうと思つても、そうはさせんというふうに牽制をしておつたというふうに世間一般は考える。もうこうなつてしまつて輿論がやかましくなつて来て暗躍する余地がなくなつて、今うつかり運動するとひどく叩かれるということを知つておりますから、繩を解かれたために、あなたのほうは今度は立法措置というふうになつたように見れる節が多いのでありますが、そういうところは全然ございませんか。これはくどいようでありますが、足をひつ張つているのが解かれたから……。
  89. 河野通一

    政府委員河野通一君) 何度でもお答えいたしますが、そんなことは全然ございません。ただ政府部内において、先ほど申上げましたが、具体的には法務省でありますが、法務省の見解と私どもの見解との問題について一致していなかつた、これは事実であります。従つてこの法案を促進するということが遅れたことは、これははつきり私ここで認めておるのであります。そとからいろいろな意味でこの法案の提出なり、或いは進行が圧迫を受けて阻害きれたというような事実は全然ございません。
  90. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうするとあなたのお話では、その法案の提出ができなかつたのは、一つには法務省との意見の調整の問題がある、これはわかり易くいうと、法務省は決意がなかつた、あなたのほうは決意ができておつた、これが今度は法務省の意見も取入れて大体今度は出すということになつたのか、それはあなたのほうのやつを成る程度引つこめて、そして法務省の意見を取入れてできたものであるか、その当時のあなたの大体考えておつたのは、大体今の建前からみましても、同じような構想であるけれども、これに対して法務省は妨害というか、なかなか納得はしなかつた、こういうのですか、どちらですか、法務省の意見も取入れたために今度立法できるようになつたのか、どちらですか。
  91. 河野通一

    政府委員河野通一君) 法務省がどういうことでこの法案を作ることに決意したか私はよく存じませんから、これは法務省の当局からお聞き取り願いたいと思います。元来この出資受入れを制限するということは金融法規の問題じやない、私どもがたびたび申上げておるように……。従つてこの法案も実は法務省が提案すべきものだと私は思うのです。併しながら先ほど午前中に申上げましたように、預金預り金の禁止の規定を入れます、それから貸金業をやめるという規定とか、高金利を処罰するという規定とか、それから今申上げた出資受入れを制限する規定、いろいろな規定がたくさん入つて一つ法案に実はしたいと思つておるわけです。従つてこれは法務省と大蔵省との共同提案ということに恐らくなると思います。而も今の出資受入れの制限に関する限りにおきましては、主たる担当省は法務省ということもはつきり両省の間で話合いがついております。そういうような意味におきまして、この法案の中の出資受入れの制限という点は、これは主として法務省の関係であつて金融法規とか金融行政立場の問題ではない。勿論今菊川委員がおつしやる通り関連はあります。関連はありますけれども、主たる担当省は法務省であるということに大体の話合いをいたしておるような次第でございます。その辺から大体今申上げました点のおわかりが頂けると思います。私どもはこの出資の制限に関する限りは、主として法務省の問題だということは、たびたび申上げておる通りであります。従つて法務省がどういう見解を持ち、最近になつてこういう法案立法化するに至つたかという点につきましては、法務省当局からお聞き取りを願いたい、かように思います。
  92. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 わかりました。そうすると、あなたは銀行局長として一応金融行政全般をみる上において、法務省に対してこれは何とかしなければならんぞということは、やはり勘というものはあなたのほうが私は鋭くなければならんと思う。これらについて法務省に対しては積極的に意見を法務省へ申述べて、大蔵省の意見としてこのくらいのことはしなければならんぞということは、積極的に何か働きかけられたことがございますか、その点。  それからこれに対して法務省はどういう回答をして来たか、と言うのは、先ほど契約自由の原則に悖るからそういう立法はできないという回答であつた、こういうお話ですけれども、あなたがたはそれに対しては、そういう回答を得たためにそのまま放つておいたのか、何かこれは危いぞというくらいの働きかけは法務省へ、働きかけというか、協議はしてあるのかどうか。
  93. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私は公式にはそういう連絡はいたしておりません。併し非公式には何か考えなくちやならんということは法務省には去年の夏頃から、何度ぐらいでありましたか、はつきり覚えておりませんが、折に触れて話しております。
  94. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 大蔵大臣が見えましたからして、午前中に引続きましてこれから大臣に対する御質疑を願います。
  95. 平林太一

    ○平林太一君 午前中に引続いて大蔵大臣質疑をいたしますが、この日本開発銀行に対しまする業務命令に対して、先刻大臣の御答弁は、私のほうの受けました感じから言いますと、或る程度その必要に迫られておるというように私は了解いたしたんですが、そこで例えば、日本開発銀行法の第五章監督、この第四十条にこういうふうに明記してありますが、「日本開発銀行は、大蔵大臣がこの法律の定めるところに従い監督する」「2大蔵大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、日本開発銀行からの報告又は第四十二条第一項の規定による検査の結果に基き、日本開発銀行に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる」こうあります。そこでこの第四十二条の第一項というのは、こういうふうに書いてある。第四十二条第一項、「大蔵大臣は、必要があると認めるときは、日本開発銀行に対して報告をさせ、又はその職員をして日本開発銀行の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる」こういうふうに大蔵大臣の権限というものが、ここに極めて法文昭々として天日のことしであります。でありますから、今日の事態における午前中の私の、いわゆる船舶融資約一千億円、それからこの利子補給、こういうものに関連して、もはやこの条項を適用すべき段階に立至つていることは極めて明白である。若しこれを、なお今日の場合において、この条項を適用しないということになりまするというと、大蔵大臣は非常にこれは責任を回避する、或いは職務に怠慢であるとか、又これは特別なる、つまり必要があつて、理由があつてこれをしないという、全国民的な深刻なる疑惑を受けるということになる。大臣が国民から疑惑を受けるということは、そのこと自体がすでに重大なる影響をここに惹起する、そうして政治を信用しない、国民が。いわんや事経理に関する問題である。財政投資は一千億円内外である。そうして単にこれだけの、一千億円の開発銀行だけの問題ではない。今日財政投融資は、三千億内外を本年も予定いたしておる。そういうふうなことに対して、非常に政治の不信というもの、行政に対する不信というものを惹起して来るということなんです。ところがやれば極めてこれは簡単なことである、業務命令を出して……、この今条項を読んで見ますれば。だからこれだけのことはどうしてもおやりをなさらなければ相成らないことなんです。一つ余り片意地にならずに、これは法文の通りおやり下さるということで一向差支えないと思います。これは政治問題とか、そういうものではありません。どうか一つ私の意思を無にしないように御答弁願いたいと思います。
  96. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 平林さんの言われることはよくわかりますが、ただそれにもありますように、先ず銀行に対して報告を求めるとか、或いは又必要に応じて、銀行の職務を検査するということになるんでございますが、併しそれは開発銀行自体の業務についてでありまして、それから今のところ起つておる問題については、開発銀行は何にも、俗に言われるスキヤンダルそのものには何ら関知しておらないので、そこで果してそこまで行くべきかどうかということについては、もう少し成り行きを見て、全体の姿を見た上でないと、私としては折角平林さんのお話だが、それでは一つ明日からでもやりましようというふうにはお答えいたしかねるわけです。
  97. 平林太一

    ○平林太一君 そういう御答弁ですが、これはあなたらしい穏健なお考え方ですが、併しですね、見ると言いましても、現在できた場所は開銀がとにかく一千億円船舶融資を出した。その金を出したところは開銀であるということは明らかですから、それだからそこで先ずいわゆる是非善悪のことは第二の問題なんです、これは。それだから、そのときに各船舶会社に総トン数何トン、それからそのときに開発銀行に申込んだいわゆる船主会社は何々会社であつた、それから何の何がしであつた、貸せるにはどういう経路で来たか、それで貸せるにはこういうつまり理由によつて貸したということを、この際明白にいたしますればそれでよろしいのだ。そうすればそれ以外のことはこれは世上が判断する。又司法上それが成立するかしないかは、これは検察当事者が知ることですから、それは国民が聞かんと欲し、内容を知らんとしておるところです。開銀に対して、全体の一千億と称しておりますから、その内容を何の何がしの会社、何の何がしに幾ら貸付けた、而も貸付けるにも、そういう金をただ書類を出してもすぐOKじやない、相当な理由があつて貸付けたのでしようから、この会社にはこういう理由で貸付けたんだ、而もそのときには、貸付けたのは国家の金である。市中銀行から借りた金でありますれば、船舶会社というもののその使い方に対しては、その船舶会社の自由でありましよう。併し国家の金である。それが一割がリベートになり又それを申込んだ斡旋料が一割になつたということになると、一千億は実際には船は八百億しか出ていないということになる。二百億というものに対して、国民がさような馬鹿馬鹿しい何をやるということはできないわけなんだ。だから、そういうことはあなたのおつしやる通り私も信じておりますから、そういうことはないと信ずることを国家のために希う。だから希うゆえんにおきましても、そういうことはないんだという事実を調べるために、開銀に対しまするそういう明細なことをこの際やはり本議場を通じて国民に徹底して頂きたい、こういうことなんです。
  98. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 最初に一体どういう手続で金を貸しておるかということについて一応お話を申上げておくことが、御理解を得るのにいいんじやないかと、こう思いまするので、少しくどいようでありますが、こういう手続をしておるということを皆さんに御理解を願う意味で申上げて見ようかと思う。最初にこの見返資金というものは、開銀融資におきましては御承知のように、見返資金相当に使いましたので、このときには年間及び四半期運営計画というものをそれぞれ作りまして、そうして基く政令は、昭和二十四年七月十九日に政令第二百七十六号と出ておるのでありますが、この政令に基きまして見返資金の運営というものは、すべて経済安定本部が作りました年間及び四半期運営計画、こういうもののもとに行われたのであります。それでは年間の計画はどういう運営計画を立てておつたかと申しますと、見返資金の業種別年間運用額という枠を策定したわけであります。これをそれじやどうして枠をきめるかと申しますと、運輸省は経済安定本部及び大蔵省と連絡を保ちつつ、当該年度における造船計画を策定したのであります。この場合総トン数、標準船価、所要資金総額及び財政資金所要額、こういうことについて決定をいたしたのであります。今の造船計画を経済安定本部に提出いたしまして、同本部ではこれに必要な調整を加えて、当該年度の見返資金所要額を算出いたしまして、見返資金年間運営計画額、つまり年間の総額でありますが、それをきめたのであります。四半期運営計画と言いまするのは、その四半期毎に業種別で見返資金の運用計画という枠をきめたものと、会社別に融資計画額をきめたものとの二つがあるのであります。これは経済安定本部がきめることに当つておるのであります。運輸省はそういう年間運営計画と並行いたしまして、船主の公募を行う等所要の手続を経ました——所要の手続と言いまするのは、これは平林さん御承知の造船海運合理化審議会なんというものができておりますが、ああいうところを経まして、そうして具体的に造船計画を策定したのであります。この際、運輸省は建造の時期、船主、船形、造船所、船価、財政資金所要額等の具体的事項について決定したのであります。運輸省はこの造船計画に基きまして、会社別の見込み資金所要額を経済安定本部に提出をいたしました。そうすると、経済安定本部のほうでは、その具体的計画に基きまして、会社別見返資金融資計画というものを作りまして、これは又業種別、四半期別の運営計画と共に、これは大蔵省に通知して参るのであります。然らばどうして融資を実行するかと申しますと、大蔵省のほうでは、経済安定本部の四半期別、会社別運営計画に基きまして、見返資金の貸付けを受けようとするものから、あらかじめ日本銀行を通じて提出を受けた貸付け申請書によりまして、それを審査の上、船主及び見返資金融資額について閣議でこれを決定したわけであります。なお念のために申上げますと、このとき審査をどこでやつたかと申しますと、日本銀行において実施いたしまして、大蔵省日本銀行の審査の意見を待ちまして、融資の額を決定するという建前がとられておつたのであります。大蔵省の行う審査は会社の資金繰り、償還見込み等、資金繰りの融資的な審査に限られるのでありまして、船主を変更するとか、金額を変更するとか、こういうことをしたものではありません。これは運輸省その他でやつて来たものであります。一応そうしましたものを、司令部に対しまして今度は融資の申請をしたり、そうして見返資金借入れ申請を受けて、許可があつたときに初めて貸出しをする、こういつた実情であつたのであります。その後日本が独立して開発銀行ができた後はどうしたかと言いますと、見返資金に貸しておりました分を開銀に移しました。そうして今度はそれは開発銀行に対する貸付けという形できめられただけで、会社別の内訳は勿論電力海運等の産業別内訳も、この見返資金の運営計画には規定されずに、政府資金による産業設備融資方針、これを年々きめまして、これに基いて融資の対象となる事業、例えば海運業とか製鉄業とか、こういつたものでありますとか、電源開発、そういつた事業を規定して、産業別の大きい枠については決定をしたのでありますが、個々の融資については、これはさつきも申上げました通り開発銀行が自主的に今のいろいろの手続を経て、日本銀行で査定したもの等に基きまして融資をいたしたのであります。従つて会社別の融資額を決定する段階は、船主についてはもつぱら運輸省及び開発銀行のみで行うことになつておる、こういう実情でございます。  そこで、平林さんがお尋ねになつた点について、これは実情を申上げたわけであります。こういう手続を経まして貸しておりますので、そこで私どもとしては今年の船価は幾らにするかということは、例えば鉄が幾らになつた、何が幾らになつたとか、なかなか細かい計算の上にできております。その下に造船会社との契約をするのであります。私はこの間衆議院でも大変迂濶じやないか、リベートを知らんのかと言われましたが、私はリベートということはないと思つております。今も私はそう思つております。それは相当競争があつてヨーロツパであることは聞いておるが、日本ではリベートのあることは私は承知しておりません。これは各造船所の競争等が相当あるし、これはできるだけ安くするという建前になつておりますから、私はこの点は幾ら迂濶だと言われても承知いたしておりません。なお開発銀行に対する監督の問題につきましては、私どもも事開発銀行は自分の所管下にございますから、監督下にございますから、これは今後とも十分注意して参る所存でございます。
  99. 平林太一

    ○平林太一君 大蔵大臣から大体の御説明を伺いましたが、やはり御説明を伺つてみまするというと、ますますこの際開発銀行の性格及び融資に対する性格というものに非常な疑惑を抱いて来なくちやならんということになつておる。今のお話から申上げましても、今の段階のお話の順序から申しても、開発銀行を立てなかつたほうのときが、これは非常に正常に行つたということです。開発銀行を立つたために、その開発銀行になつてから、今度は開発銀行自体がいわゆるこういうものに対する融資の配分に対する実質権を持つておる。こういうことが非常に強くなつて来た。そうなりますと、これはひとり船舶融資の問題だけではない。財政投資として開発銀行には、昨年は手持ち資金と合わせて大体八百五、六十億だと承知いたしております。本年もいわゆる六百億内外に相成つておると思います。本年の財政投融資とそれから手持ち資金を合せますれば、こういう厖大なものを開発銀行が今のような状況でこのまま放任しておくということになりますことは、国会は、やはり財政、この貴重な、いわゆるこの資金措置といたしまして、非常にこれは考慮しなければならないと思います。ことによると、我々から申しますれば、開発銀行というものは、これは何がしかの一つの陰謀があつて政府資金を、如何にして権力なり或いは又政治力なり或いは又いわゆる今度問題の起つたような、そういうような事態を通じて、そうして借り入れられることを容易ならしめるために、国家資金を、先刻菊川君のお話にあつた通り政府資金を如何にして借りられるかという本が池田君の序文で出ている。そういうようなために、これは殊更開発銀行というものを作つたなという疑惑を国民をして、往々にして懐かしめるという結果になる。だから我々といたしましては、今日のこの段階においては、このことが明白にならざれば、開発銀行というものは、この際早急にこれは潰してしまうものである。そうしてそれぞれの、先刻お話申上げた通り日銀なり、所管の省を通じて、政府の直接の手によつて、こういう政府資金の処置をするということはできるということなんです。いわんや今日開発銀行の総裁であるところの小林中というのは御承知通り国の政治というものに非常に直結をしておる。この前私が予言した通りなんです。これは白洲次郎であるとか、こういうのが総理大臣の吉田茂君のところへいつでも、選挙の始まるときに、あなたより先に呼ばれる。小林中とどういう相談をするか。これはあなたが善良だから言うのです。あなたの、大蔵大臣の性格というものは、私は小笠原大蔵大臣の存在というものは、現閣僚中においては第一級のクラスなんです。第一級の時の人物なんです。他の人は皆これは阿諛迎合なんです。他の大臣というものは阿諛迎合、単に吉田総理のいわゆる草履取りに過ぎない。そういうこれは事態なんです。だからこれはそういう事態を見るにつけても、開発銀行に対しましては、この際早急に業務命令というものは何らむずかしいことはないのです。法律を読んで見れば。そうして今のいわゆる融資したものを、一応開発銀行大蔵大臣が乗り込んで、そうして詳細なる調査報告をして、その結果を当委員会なり、国会の本議場において一つ大蔵大臣としてこの際明白になさるということ、そういうことを申上げておる。それを一つ御了承をまげてたまわりたい。御返事を一つ頂きたい。あとでよろしうございます。  第二には、こういうことを聞いて見たい。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  100. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) なるべく簡単にやつて下さい。
  101. 平林太一

    ○平林太一君 簡単にやります。第二には、あなたはさつきこういうことをおつしやつておる。事件のできたときに、裁判の判決を待つて、そうして事を処理するという考えは毫末もないとおつしやつている。ところが吉田総理の、吉田君の答弁は、事件を司法裁判所の判決を待つた上で処置すると、こういうことです。そうすると、同一内閣において意見が非常に違つておる。この重大な問題が二点。吉田君は常に今日まで答弁しておる。予算委員会においても言つておりますが、いろいろな汚職事件が出る、そうすると、司法裁判所において最終判決をして、刑事問題を決定したときに、そのときにおいて政府は責任を考えましよう、処置もとりましようと、こう言うのだ。これはさすがにあなたは善良な人だ。そういうことはおつしやらない。いわゆる最終判決でなくても、事態に対する判断によつて、そのことの責任なり、処置をすると、こうおつしやつているが、これは二つ食い違つておるということを私としては今日立証したので、あなたに対しては非常に敬意を表するが、そういうふうに一つ考えてよろしいかどうか、これを一つ御答弁頂きたい。
  102. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 前の開発銀行の問題については、これは私ども篤と研究してみます。篤と言つても長くかかる意味ではありません。十分研究してみます。  あとの問題は実は吉田総理と私の言つておる中味と少し違うのです。私は、あなたのお尋ねは開発銀行に対する問題であつた銀行というものは刑事問題が起ろうが起るまいが、そういうことは問題ではなくて、これは貸出しがいいか悪いかということを審査するのであります。貸出しの内容等についての問題でありまして、今のような刑事問題がなければ貸すかというと、銀行はそうは行きませんから、銀行監督者としては、この事件、この事柄の全貌がわかつて来さえすれば、刑事問題にならずに処理すると、こう申上げたので、吉田総理とは中味が違うのですから、この点は御了承を願いたいと思います。
  103. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 議事進行について。大蔵大臣の時間を、これはもう今日外すと、又予算委員会等でなかなか出席することができないと思うのです。何時頃までおられるか聞いてもらつて、それを各委員が皆質問を持つておられると思うので、或る程度理事会ちよつと割振りして皆一応発言できるような方法を委員長においてお諮り願いたい。
  104. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) お諮りいたしますが、今菊川君の動議がありましたから暫く休憩いたしまして、各委員がどの程度時間を要するかということを御相談いたしまして、なお続行いたしたいと思つております。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 暫時休憩いたします。    午後三時四十六分休憩    —————・—————    午後三時四十八分開会
  106. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
  107. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣に一、二点お伺いします。先ほど大臣の午前中における財政金融一般論に対する御説明を聞きまして、お伺いするのでございますが、大臣の御説明によりますると、本年は大体物価が五%前後下る見込みであると予見をされておるようでございます。これは大臣がここで言われるばかりでなくて、経済審議庁長官の愛知大臣並びに大蔵大臣等々からたびたび声明されておることでございますが、今までに聞いただけでは物価五%下るものという予見がどこに根拠があるか不明瞭です。その点を明らかにして頂きたいと思うのでございます。それが一つ。  それから第二は二十九年度予算編成にあたりまして、大臣の御所見でありまする財政金融の見通しの点をも考慮されて予算編成したのであると私は承知しておるのでございます。と申すのは、物価が五%内外下るという見通しの上に立つて予算編成をされたものとすれば、財政金融措置に対する私の大臣に対する質問の内容も変つてくるので、その点はどうかということなんでございます。  第三は外貨の問題について強調されておるようでございます。ところが今日大臣のお話になつた外貨の予想と言いましようか、見解よりは、私は一層悪化しておるように思うのでございます。と申すのは、先般日銀政策委員会におきまする見解は、外貨がいわゆる貿易の不振により、即ち国際収支の逆調によりまして、思わざる脅威を受けておる。よつて今後の輸入に対しましても、外貨関係において相当抑制をしなければならんということが発表されております。然るに大蔵省における見解は、この問題に対してまだ裏付けとなるべきもの、乃至は具体的な態度というものが鮮明されておりません。こういう点この際明らかにしてもらいたいと思うのでございます。  第四点は、日本財政金融上から特に外貨の利用にあたりましても、産業開発に重点をおくというので、今日の委員会におきましても、それぞれ問題になつておるのでございますが、この産業資金として使うという場合において、電源開発というのは日本における唯一残されたところの資源開発であると思うのであります。然るにその電源開発構想が、最初の予算よりは順次減退して来ておるやに見ております。して見まするというと、大臣の構想でありまする産業開発外貨の多くを向けようとする際に、その産業開発の基幹とも言うべき電源開発に対して、大臣は電源開発予算の縮小的措置外貨は勿論中心でございまするが、これをどういうふうに使おうとするのか。又物価は上る、予算は縮小する、これで開発が可能と考えておるのかどうかを、この際承わつておきたいと思います。時間の関係もありまするのでただ質問の骨子だけを申上げまして大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  108. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 野溝さんにお答え申上げますが、実は物価引下げというのは数学的に根拠を見出すのは、これはあなたも御承知通り非常にむずかしい。例えばこれこれの数字はこう出て来るから五分乃至一割下る。こういうような数字があるとき、大変明瞭なのでありますけれども、私はこの間も或るところで言いましたけれども、方程式で出すことはできない。一般物価を出すのは、需要供給だから、何ともその需給の線をどうも方程式で出すことは問題なんだ、併し政府はそういう困難だというだけで、物価引下げを五分乃至一割を見ておるのではありません。政府のほうにおきましては、私は過日も確か本会議の御答弁にも申上げたかと思つておりますが、政府資金のいわゆる吸上げ超過に二十九年もなるだろうと思つておりますが、これはいわゆる財政資金のほうも、今も野溝さんのお話された財政投融資のほうも減つておるというような状況でありまして、まあ各種のそういつた何と言いますか、産業活動と言うと、産業活動を妨げると言うと、ちよつと語弊がありますが、産業活動ではございませんが、いわゆる産業投資がそれだけ減つて参る結果としての、金がその方面に使われないだけ物資を要しないという面も現われて来る。そういう意味でまあ一つ考えておるのであります。もう一つは私ども一番多く考えておるのは、今の財政投資の、国の歳出面から一つございますけれども、それは今申上げた財政投融資のその一つでありますが、もう一つ金融のいわゆる引締めの強化ということに重きをおいておるのでありまして、この際一般に物価の下落を何が妨げておるかと言うと、これはあなたも御承知のように、一番多く妨げておるのは、私は思惑というものが加わつておるということと、よくある滞貨融資ですね、もつと普通ならば早く売却処分しなければならないようなものに対して、銀行は融資をしておるということと、もう一つは昨年あたりのいわいゆる紡績等の実情から見まして、じきにカルテルをやるんだ、そうしてその生産制限をやつた。これはあなたもよく御承知通り、それで価格を維持する、こういうようなことをやつておるのでございまするから、私は一方には生産制限をするようなカルテルということをやらないように、これはそういうふうに、通商産業省にもそういうような答弁をしておりますが、そういうことをやるとともに、他方では思惑的な金融、それから滞貨金融というようなものについての措置を講じない。こういうこと等でも相当物価を下げ得ると私は思うのであります。それから特に物価を支配する大きなものは、需要供給であることは申すまでもありませんが、将来に対する一つの見通しというものも、物価には大きく働いて参ります。従いまして私どもは国は予算でも、こういうふうに緊縮予算をやつておる。又金融についても、こういうふうに引締め方針をやつておる。そのほか或いは生産の合理化等、まあ各種の問題がたくさんあります。要するに財政金融為替その他一体となつて、これは引下げの、引締め強行に向つておる、こういうことが物価を引下げるだろう。併し数字的に出しにくいから五分乃至一割と申しておるのであります。まあ大体に時期的なずれもありましようから、上半期に直ぐに私は効果が出て来るとまで思いませんが、下半期になりますれば、漸次効果が出て来ると、まあかように考えておるのであります。  その次に予算編成に物価の下落を織込んだかということがありましたが、これは今度編成しました予算には全然織込んでございません。物価は現在の物価で計上いたしてございます。従いまして、若し物価が下落して参りますると、それだけ予算に余力を生じて参りますわけでありますが、併しその場合に、予算に無駄のないよう措置をいたすことは当然でございます。なお念のために申上げておきます。二十八年度の予算も丁度三月で二十八年度末になるので、どうかするといわゆる慰労出張というものがあつてみたり、それからものを非常に買つて早く使つておかんと、又来年度予算がとれんということがあるということも聞いておりますので、九日の日に閣議決定を経まして、二十八年度予算についてもあくまで緊縮的な節約をやつてもらいたいということの通知を各省に出すことにいたしたのであります。  それから第三の外貨の状態が悪化したのではないかというお話しに対しましては、それは先ほどどなたかの御質問にお答えしたと思いますが、丁度一月ひと月でも、あの自動承認制が昨年の上半期六カ月よりもなお余計の契約を申込んで、一億八百万ドルにも上つておる。こういうような事情等もありまして、多少現在の状況から見れば悪くなるかと思います。これは契約でございまするので、今後のまだ問題もあるし、又例えば普通ならば、こちらが出して金を買わなければならんような食糧品等が、今度はMSAの恰好で来ることは御承知通りです。これは外貨の面で見ますと、向うが払つてくれる分になりますので、まあそういう状況から外貨の状況はどの程度にかかつて来るのかということはわかりませんが、まあ二十八年度末、二十九年三月三十一日までは大体二億四千万ドル程度ではないか。赤字になるのはそのくらいに考えております。この数字はまあ一応最初の見通しをしておりましたが、大きな動きはないのではないか。  それからその次にお尋ねになりました外貨利用にあたつて産業開発に多くを向けるということがございましたが、単に、おつしやる意味外貨利用と言いますか、外資導入をやることによつて、例えば先般政府といたしまして、いわゆる火力発電には四千二十万ドル投じましてああいうものをやつて日本の基礎的産業へ、基幹産業へ向けたのではないかというお言葉のうちに取れたものがありますが、そうでなく、又もう少し成るべく外貨を利用してそういうものに向けるべきじやないかというふうにも取れたのでありますけれども、この点はちよつと御質問の趣旨が或いは私取り違えておるかもわかりませんが、ただ申上げますと、電源開発について申上げますれば、これは仰せのごとくに減つておりますが、只今申しました通り、今度は緊縮予算を編成したので、従つて重点的にものをやる、こういういわゆる総花的な並行策でなくて、重点的にものをやる、こういうことにしましたので、電源開発も年度的に上昇して行き、すべての量には大した変りはないと私は考えております。その意味するところは、今まで多少やつておりましたのを集中してやるということにしますると、それが妨げられまするので、まあ電源開発の面はこういうふうに財政融資からも少くいたしましたが、併し電源開発の仕事は十分に行なつて参れると思つております。なお財政投融資は、大体言いますると民間で本当はやることなんですが、日本では民間資金だけでは不足するので財政面からやるのでありますから、財政がこういうふうに窮屈になつて参りまする際には、漸次これを縮小するのは止むを得んことじやないかと実は考えております。但しすべてのことが経済問題であり、出た問題は又順序を、階段を経なければなりませんから、急速にものをやる考えはいたさない考えであります。
  109. 野溝勝

    ○野溝勝君 時間が制約されておりますから、私はくどくは質問いたしませんが、この際左の点だけを明らかにいたしておきたいと思います。  今第一の質問による物価引下げの要点でございますが、これは数学的にはどうと言うことはできないということでございますが、数字的には五%ぐらい引下げするという数字を打出しているのでございます。この五%を引下げる数字的或いは理論的根拠という問題についてお答えを要求したのであります。併しここで気を付けなければならんのは、大臣もすでにこの点は検討されておると思うのですが、その答えのないのは遺憾である。フランスにおける大蔵大臣は今のあなたの言われた物価引下げ論と同じようなやり方をやつたわけであります。最近の新聞に出ておる外電を見てもおわかりのように。それでもなかなか思うように行かない。それだから私は今あなたの生ぬるい考へだけでは、一時的或いは部分的には物価の引下げといいましようか、それはあると思うのですが、併しそれは恒常的なものではない。そのような安易な考えの下によつて物価が引下げられると見たならば間違いだと思います。大臣はすでに御承知だと思います。今の物価情勢分析をしてみたらわかります。何が一体物価の引下だか私にはわからない。強いて言えば、横這いが少しあるくらいのところだと思います。併しこれもあなたのおつしやるようなかすかに時間を与えることにいたしましよう。併しそういうようなわけでありまして、なかなか容易じやないと思います。併し容易でないことをこの際私は本当にやつてもらいたいと思います。思い切つてこの実質賃金の値上げをやつてほしい。自由党のいたちごつこのような経済政策をやつてみてもこれはしようがない。本当に政府は思い切つてこの際物価の引下を断行するところの政策は、あなたみずからが、陣頭に立つて一つつて頂きたいと思う。口の先だけではこれはどうにもこうにもならんのでございます。  それから第二の質問ですが、この予算編成に当りましては、物価引下げの係数というものを算定の基礎に置かないという大臣の御答弁でございますが、してみると、これから若し物価が下つて行つたとすれば、予算に弾力ができる。無駄使いをしないという馬鹿に楽観的な御意見でございますが、それは少し見当違いじやございませんか。私はそういうことだとすると、当局の発表になりました千五百億の自然増収の予想が減少するか、それはどう見ているか、依然枠内においての御意見でございますか、自然増収千何百億以上がまだ短縮ができるという見込なんですか、この点を一つ聞いておきたい。  それから第三点の私の質問に対しまして、外貨の問題につきましては、大臣、私の質問も徹底を欠いたかも知れませんけれども、私の言うのは、外貨というのはだんだんと圧縮され細ぼつて来て、なくなつて参ります。その点一月の三十日だかにおける大蔵当局における発表当時とはよほど違つて来たと思うということ、こういうことを言うたのです。日銀における政策委員会の検討なども、あの一月三十日、大蔵省における大臣の御所見とは違つて来ておるのです。その間に対する見解はどうなのかという意味なんでございます。  それから第四点には、電源開発の問題、特に基幹産業が非常に必要だ、特に私どもも基幹産業開発には賛成なんです。特に基幹産業を有効に生かすという意味において、我が党はいち早く開発銀行法にも賛成したのです。今の開発銀行のやり方にはこれは意見がありますが、そういう趣旨で賛成をしたわけなんです。ところがその後産業資金の撒布の状態、流用の状態、殊に造船資金の動きを見るに、歎わしい点がたくさんあるわけであります。特に今、日本としての有力なる資源といたしましては、電源以外には日本には資源らしい資源はないわけなんです。してみると、この資源開発に当つて私は内容的な機構的な問題についてはいろいろ意見もありますが、とにかくこの電源開発には全力を挙げてその遂行に徹底しなければならん。徹底しなければならんときに、この唯一絶対の産業に対するところの政府施策というものが初期のいわゆる意気込みと違つて、再軍備とすり替えられて来たと思うのです。それは予算上に現われておる。ところが今の大臣の御所見によりますると、重点的にやるということになつたという御意見であります。併し重点的にやると言いましても、その産業開発には何と言いましても、開発の原料が必要だと思います。一つの例を挙げるならば、その開発に当つて原料のセメントが、外国の輸入セメントよりは高いようなセメント原料を使つていたのでは、予算が嵩むのみである。日本におけるセメント独占資本を擁護するようなやり方はこれはいかんと思います。で、むしろこの際電源開発事業中最大の資金はセメントの材料費であつて、莫大に高いのであるから、こういうものを自力生産にしてやりたい、こういうことで政府に申請したところが、結局それは相手にされなかつた。こういう点については一つ大蔵大臣は国家財政並びに日本産業国策等の観点から力を入れていいのじやないか、そうしてこの基幹産業に対する目的を達成するために、むしろ強力的な予算措置を講じなければならん、こういう見解を私は先ほど申したのですが、そういう点に対して小笠原さんからは、基幹産業に重点的にやつて行くからその点では支障を来さないと思うというような御所見でございますが、私は支障を来たすという見解です。その点についての御答弁を願えればそれで打切りたいと思います。
  110. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実質賃金の問題についての御意見はこれは御尤もでありますから、そういうふうに努力いたしますが、物価が引下がればそれは実質賃金の増加になりますから、この線を強く進めて参りたいと考えております。  その次に物価の下落で余りが出て来たら今の自然増収のほかに更に増加するのではないかということでございますが、実はこの自然増収というのは私ども今度は見ていないのであります。と申しまするのは、こういうふうに均衡予算を組みまして、そうして日本が在来のいわゆる弾力性のある予算から一変して、均衡の線を最も強く打出したときには、やはり経済界の方面にも何かと影響があるであろう、従つてむしろそういうものを見込まない現実のやり方がよいと、こういうので、これは見込んでおりません。併し若しそれが自然増収でもあるようでございますれば、これは誠に結構なことだと思いますが、本年の歳入にはそれは見込んでおりません。  それからなお今申した通り物価が下落すればそれだけこれは余力を生じて参ります。物件費でそれだけのものが浮いて来るわけでございますが、これについてはやはり無駄のないようにやるように絶えず監督をするということ以外に、行政監察等の部をもつと活溌に働かす以外にないのじやないかと思つております。  それから外資の状態について、これは一月のときはそのお話の通りでございまして、実は一月で丁度一億ドルの赤字になつておりますけれども、さつきちよつと私が申したように、従来ならこちらの金で買わなくちやならん外米、外麦等のうち、まあ外米は止むを得ませんが、外麦が五千万ドルまであれで入つて来る。これは向う向うの金で為替でやつて来るのでありますから、これはこちらには多少影響として、いい影響になりまするわけで、従つて年間を通じての外貨事情はそんなにひどく悪化しないと思いますが、併しまあ今のままで行きますれば、悪化しますることは野溝さんの言われる通りであります。それで私どもはどうしても国際収支の均衡を目指していろいろの施策を進めなければいけないというので、多少御非難を受けるようなドラステイツクな方法をやつているのはその関係からでございます。  それから今お話のありました基幹産業に対しての投資、これは誠に御尤もでございます。電源開発に重点を置く、これも誠に御尤もでありますが、実は今お話になりました電源開発会社がそれじやセメントを自家用でやればもつと安く行くんじやないかというようなお話でございましたが、これは実は昨年でございましたか、電源開発会社のほうで佐久間ダムを建設するときにそういう申請があつたのでございますが、これに対してこれはこの大蔵委員会でありましたか、建設委員会でありましたか、ちよつと記憶しておりませんが、そこから非常に強い要求がありました。つまり電源開発会社というのは電源を開発する会社であつて、それがたとえ電源開発に役立つとしても、そのほかの仕事を兼営するということはよくない。日本には多数セメント会社があるのだから、それはセメント会社にやらすべきであるというお話でありまして、まあ御要望としてはそうすべきでないという強い御要望がありました。そういうことで……。
  111. 野溝勝

    ○野溝勝君 高いからです。それで安いほうがないかということなんです。
  112. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そういうようなことで電源開発会社には許しませんでしたが、これはセメントを安くするについて何かうまい方法がありましたら一つ工夫して見ます。
  113. 野溝勝

    ○野溝勝君 引下げについて……。
  114. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 引下げについて努力をしてみます。
  115. 野溝勝

    ○野溝勝君 それだけでも一つつて下さい。
  116. 松永義雄

    ○松永義雄君 先ほど来同僚委員から御質問がありました点について関連質問をしてみたいと存じます。  第一は、金融検査の範囲、程度、どこまで及ぶのか、或いは立法措置を生ずるのではないかという点、第二は投資信託の取締という点について、この二点についてお尋ねいたします。  いちどきに私申上げてしまいたいと思うのですが、過ぐる国会において内閣委員会において、公共事業及び公社の検査についてそれぞれ内部において検査官はあるけれども、外部より検査しなければ実効を奏し得ない。そういうので法案が出まして、総理府直属の監察官というものが設けられて、そうして公共事業というもの及び公社というものの監査をいたすということになつております。その際私は、復金の例もあるから、金融上のことについても外部から検査する必要があるのじやないかということに対して、大蔵省には金融検査官があるから十分である、こういう御答弁があつたのであります。ところが不幸にして開発銀行に対して例の問題が起きておる。然らば一体先ほど来平林委員が御質問になりました検査について、例えば具体的にリベートというものを、刑法上の問題としてでなくて、検査する権限が大蔵大臣にあるのかどうか。つまり開発銀行が金を出して、その出した先が、とにかく政府資金でありますから、その金の使い方について検査する権限があるのかないのか、ないとすればそういう立法措置を講ずる必要があるのじやないだろうかという点と、それから投資信託につきましては先ほど菊川君が御質問になつて、現在のやかましい問題について、匿名組合について、不定多数の者に対して誇大な広告をして、そうして元利を、一定の配当金を確約するということは不届きであるからそれを取締るという法律を出す、こういう御答弁が銀行局長からあつたように聞いたのでありまするが、併しこれは投資信託の投資のやり方、配当の方法に支障を来すというか、不自由を来すのではないか。それは新聞に出ておる通りでありまして、投資信託が株を買つて、そうしてそれから得る配当が、受益者といいますか、金を預けた人に渡る、まあそれならばそれにしても、株券の配当というものは上り下りがありますから、結果においては配当のときには上下がありますから、株の上つた値段の差益を、それを融資者のほうに対して配当の資金にするということは極めて危険であつて、これは現在やかましい問題になつておることと同様の心配がここにあるのではないか。その点は大蔵省が心配されて、投資信託業者を呼んでいろいろのご指示をなすつておられるようでありますが、それは一体どういうふうになつておるのか。不定多数の者から元利金の返済、一定の利息を確約する誇大な広告を以てするのはいかん、而もそれは匿名組合のことであつて、投資信託は合法的になつておるから差支えない、こうおつしやればそのままですが、金を預けたほうから言うと、その危険性についてはそれほどの相違はないと私は思う。それに対して現在大蔵省はどういうふうにお考えになつておるか、この二点です。
  117. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今松永さんのお話のうちに、開発銀行に対するまあ検査を大蔵省が持つておる。併し開発銀行が更に貸出しておる先まで権限を持つべきじやないかという意味に取れましたが、若しそうとすれば、少し大蔵省としては行き過ぎじやないかと、こう私は考えます。それはやはりそこが自分の責任で以て貸出をしているのですから、その個々の貸出しについてまで大蔵省が検査をするということは、大蔵省としては金融機関そのものに対して或いは報告を求め、或いは検査をするということは、これはできまするけれども、その貸出しておる業者のところまで検査をするということは今のところでは許されても私はいないと思いますが、これはどうもすべきかどうか、やはりおのずからそこに分界点があるのじやないかと、こういうふうに私は考えておりますが、恐らく現実の問題でもそういうことはいたしたことはないと思います。或いは往年台湾銀行、朝鮮銀行、各種の銀行がああいうふうなことがありました。これはいずれも大蔵省の監督下でございますが、それも先の取引先まで行つて調べたという例は私も実は聞いておりませんので、やはり同じようになつておると考えております。但しそういう不良な貸出を生じたということに対して開発銀行当局の責任は重大でありまして、それに対する監督は十分大蔵省はやらなければならんことであることは申すまでもございません。  その次にございました今の投資信託でございますが、実はそこらのいわゆる公けに認められていない各種の金融機関類似の、投資信託類似のものがありますが、こういうようなものがいろいろ弊害を流しておりますので、今回法務省と打合せもして、近くそういう不特定多数の人から金を預るものに対する取締法規、罰則等について御審議を願う予定にいたしております。これは前回の国会でもお約束を申上げたので、今度はこれを提出いたします。  ところで投資信託という分は、これは非常に営業としてはつきりしております。又投資信託は基礎が何といいますか、資本金その地においても十分な基礎のあるところが取扱つておるのでありまして、いわば証券会社としては比較的大資本のものだけがこれを取扱つておる実情にあるのであります。但しお話になりました配当のほかに多少株価の上下の……、上つても儲ける、下つても儲ける場合もありましようが、そういう場合の利益まで入れるのはどうか、この件については私どもも投資信託本来の姿は飽くまでいわゆる配当金でやるベきであると思います。但し投資信託期限が来たときに、その株の売買によつて儲かつた利益は、投資信託の性質から見て投資信託をした人に、客といいますか、顧客に返してやるべきものであろうと思いますが、途中でそういうことをやることはどうも穏かでない。儲るときもありましようが、儲からないときもありましようから、これは松永さんと同じように考えまして、先般来大蔵省のほうにおきまして、これは理財局のほうになりますが、関係業者の人に来てもらいまして、一遍にすぐ今までのことをどうこう行くまいから、何といいますか、二、三カ月の間に自粛してもらうように実は勧告いたしたのであります。そのことが新聞等にも出ておりましたが、私は大体松永さんと同じ考えを持つております。
  118. 松永義雄

    ○松永義雄君 金融機関の検査官の問題について御質問いたします。とにかく政府資金なんです。政府の金なんです。その金の行方が正しく使われているかいないかということは、検査する責任が大蔵省にあるのではないか、こう思うのです。内閣委員会のその法案に対する説明のときに、会計検査というものは過去のことをやるのだ、こう言われた。ところが総理府直属の監査というものは将来のことについてもアドバイスして、例えば公共事業なら公共事業が行われている。これはよくないのである、こういうふうにやりなさい、仕事の面でもそこまで監査するのだ、積極的の意味があるのだ、こういうふうな話であります。もとよりそれは予算上に入つた政府の金ですからそこまで入つて来るのだろうと思います。それと同じように市中銀行の普通の預金ならば、それすらも昔銀行検査官が金融恐慌のときに銀行の金庫をあけてみた。これは今のような民主的の世の中ではどうかと思いますが、恐らく金融検査官もそこまでなさる権利があるだろうと思います。それは預金ですよ。民間の金なんです。ところが開発銀行に行つている金は政府の金なんです。政府の金が国策の上に、私利私慾のほうでなく、基幹産業の発展を望まなければならないといつて金が廻わされておる。それをただ貸出すときにのみ或るところできめられた融資計画によつてやればそれでいいのだ、その先はもう権限がないのだ、どうなつたつて仕方がないのだというのでは、我々納税者としては不満を感ぜざるを得ないし、国民としても日本産業がどうなるであろうかということについても関心が持たれるわけであります。現在の金融検査官にそういう権限がないとしたらば、そういう権限を政府資金についてだけは持たせる必要があるのではないか。そういう今権限がないとすれば、そういう立法措置を講ずる必要があるのではないか、その限界等について若しあつたならば、法律的のことでして、銀行局長でもよいから一つ明確にして頂きたい。
  119. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちよつと私から、実は松永さん御承知でしようが、復金法には融資先まで検査し得るということがございまして、いろいろどうも当時弊害があるというので、開発銀行法ではそういうものが除かれておりますけれども、いろいろ見ておつて、弊害が出ればこれは法を変えることは皆さんの御協賛さえ得れば変えることができるのであります。実はあの当時は非常に弊害が多いということで除いたのでございまして、その点はよく一つ考えてみたいと存じます。  会計検査院ではいろいろの金を借りるところの先まで調べておる分がございます。私どものほうでも例えば公社のごときもの、これは専売公社にしても国有鉄道にしましても、ああいうものは皆十分調べる権限を持つておられるし、調べるようにしております。又人間も大体入れておりまして、過なきを期しておるのでありますが、今のお話の趣意もよくわかりますが、成るほど国民の血税からなるものを貸しておるから、貸した銀行ばかりでなく、もうすでに現実に使つている人間も調べるという御趣旨はよくわかりますが、復金法でもやめた当時のいきさつもありますので、もうちよつと研究さして頂きたいと思います。
  120. 松永義雄

    ○松永義雄君 もう一点簡単ですけれども、内部の検査官が行つたのでは、何したつてやはり人間のことであるから、大蔵省の検査官が銀行に行つてもどうかと思うから、そういう総理府直属の、内部の……外部の監査官を設けなければならない。そういうことになつて設けられた。ところがこういう金融だけは除かれておる。そのとき私は何も知らないけれども、取越し苦労で、復金りこともあるし、昔からそういう例もあるから、そういうものを設けて、外部からも金融を調べるところがなければならないのじやないか。而もそれはただ調べて糾弾するということでなくて、積極的に指導する非常な学者を必要とするかも知れませんが、そういう使命を帯びておるのだというのなら、それは非常に結構なことだというので、参議院としては実はこれを修正して、強化して検査を厳重にしろというので、先の先まで第一線まで調べるということになつております。その点は一つ速記でも御覧になれば直ぐおわかりになります。  それから株屋のほうですが、これは株屋いじめで恐縮ですが、投資信託というのは昔もあれに似たようなものがあつて、当時は詐欺罪で引張られた。それが今は法律ができて一人前になつて来た。ところがその取扱については外部から見ているとどうも危なつかしいものがある。殊に保全経済会と似たり寄つたりで、ただ大きい小さいの別だけで、皆スペキユレーシヨンに基盤をおいておるということがよくないのじやないか。何だつてそれはスぺキユレーシヨンでないものはない。インベストメントにしたつてスペキユレーシヨンでないものはない。ただ程度問題、けれども頭から差益金配当の制限ということはどうか。これは厳重に取調べる必要があるのじやないか。
  121. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 松永さんの御趣旨よくわかりました。政府は先般もその趣旨で当事者を呼んだ次第でありますので、なお今後とも十分配慮いたします。
  122. 森下政一

    ○森下政一君 非常に時間が短いので、私簡単にお尋ねいたしますが、保全経済会乃至はこれと類似の利殖機関ですね、利殖機関というか、資金受入れてそれを利殖する、このことにつきましては本委員会において昨年以来何回か銀行局長から……、これはこのまま放つておくべきじやないじやないか。ところが銀行局長のお話は、これは金融機関じやないのだから、大蔵省として監督の権限がない、どうにも監督のしようがないという答弁を聞いておつた。或いはそうだろうと私は思うのです、法律的には。ところでこういうものが跳梁跋巵したことの結果、正常の金融機関預金の吸収に非常な支障を来たした。この点は恐らくいろいろな筋を通して大蔵大臣の耳にも陳情があつたろうと私は思うのですが、そうなると大蔵省が法規に基いて直接監督をすることができないものであつても、これは毎月二分乃至五分の配当をするというようなことが成り立つ道理がないということを考えてみると、結局慾に迷つておる多くの人を利益で釣つておるというに過ぎない。行く行くは必ず破綻が来るということはお察しがついたはずなんで、これも又正常な金融機関に対する預金吸収の支障になるということがおわかりになれば、これは大蔵省がどうにもできないというならば、これは何とか、このまま放任しておいてはいかんのだから、政府としてどつかでこれを今度立法措置をしようとお考えになつているような態度をもつと早くおとりになつておれば、或いは未然に防ぐことができたのか、今日の醜状じやないかというふうに考えられる。  同時に又株主相互金融というものがありますが、これは明かに貸金業法で許可を受けておる一つの街の金融機関であります。これは監督しようと思えば、大蔵省が行つてできんこともないのだと思うが、これも余りに数が多くて、殆んど手が廻らん、処置なしだということを河野君から説明を聞いたんですが、これらに対してもやがて破綻が来るだろうということがこれは予知されるので、何とかこれに対する防衛措置というようなものを事前に講ずべきじやないかということが考えられるのですが、これらの点について、これからでも立法措置を講じられるということは、ないよりもましだ。但し事今日に至ることをどうも何となく考えられたので、このまま放つておいたんではいかんじやないかというのが本委員会で何回も蒸し返した議論であつたのですが、これは大蔵大臣の所見としてどうなんでございましよう。去年あたりから政府として、大蔵大臣ができないなら、政府として何か手を打つべきじやなかつたかということを考えるのですが、どう今日お考えになりますでしようかということと、もう一つは、こういうものが跳梁跋巵するという一体よつて来たるゆえんをどうお考えになるか。この参議院の大蔵委員会では、ああいつたような醜状を暴露しておるのを捉えて、衆議院の行政監察委員会がやつておるようにいろいろ糾明しようとかいうような措置は講じたくないが、もつと建設的な結論が生れるように、どうしたらいいだろうか。なぜこんなものが跳梁跋巵するのだろうか、その欠陥はここにある、そんならこれをこういうように是正したらいいじやないかというような、国としての立場からの方法が講ぜられるべきじやないかということを考えて苦慮しておる最中でありますが、御所見を聞きたいと思います。
  123. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 保全経済会その他の問題は誠に遺憾であります。実は私ども大蔵省におりまして、何か大蔵省のほうで取締る法規はないかということを……率直に私は事実を申上げておきます……、考えて、研究さしたんですが、あの当時の法律ではなかつたのです。  それで保全経済会の問題は全く、株に投資する、土地、不動産を持つておるというだけで、どうもやりようがなかつたのですが、国会でもたびたび、この参議院でも仰せになりましたので、何かそれじやほかのほうでないかというので、これは犬養法務大臣と話を幾たびもしたことがございます。何かそれを詐欺とか何とかのことでやる方法はないものかというふうなことを申したのでありましたが、どうも当時としてはまだそれまでの確証がつかめないというようなことで延び延びになつておるうちにああいうような相次いでの……、これは御承知のようにどんどん株でも上つて行くとか物価が騰貴して行くようなときは成り立つて行くけれども、財界が下向きになつて行くときにはそういうような高配当ができるものじやありません。ですから自然ああいう運命を辿つたのですが、併しやはり政府全体として考えれば、もう少しなすべきことがあつたのじやないかと思つて、その点は甚だ遺憾に存じておる次第でございます。  まあこの前の国会でもお約束申上げましたから、その後研究しまして、アメリカに青空法というのがあつて相当誇大に広告して金を集めた事例もありますから、そういうものを加味して、これは法務省とも打合せ中でありますが、法律を御提案申上げますから、今後はそういう不特定多数の人から受信行為、信用を受ける行為で各種の行為ができないように取締りをしたいと思つております。  なお、預金とか貸金とかになりますれば、預金についてはいわゆる正常な預金機関に持つてつて頂かなければなりませんから、十分取締と保護と、両方やりたいと考えておりますから、貸金業……、或いは今度貸金業法というものはやめるというようにも考えておりまして、併し同時にこれらのことについての一つ政府のほうでも何かなくするだけではいかんから、改善の対策を立てようというので考えておる次第でございます。  それから仰せになりましたうちで誠に御尤もなのは、よつて来たる原因がどこにあるか、これはやはり私どももこの本数を断つということでなければ、こういう金融機関は相次いで起つて来るのではないかということを心配するのです。併しまあどうしてもそれにはやはり本筋の金融機関というものをできるだけ強化して参る。そこへ持つて行くことが幾らかでも有利だというふうにしなければならんので、今度御審議を願うのにも、丁度一年以上の長期の定期預金等につきましては、今の一律一割という課税を一律五分に引下げる、半額に引下げるという措置をとることにいたしておりますから、近く御審議を願うことになつております。  ただどうも片方はもつと高く配当するために利益で誘導したようなこともあり、又多数の人から見ると、何かうまいことはないかといつたような気分があつたことも事実でございますので、それから又そこらで仰せになつたいわゆる株式金融等で割合容易に金が借りられる、あとの人は借りられませんが、前の人はそういつた事柄等もあつたことが、こういう問題を起しておる本になるので、これは私は実はここに妙案を持ちませんが、こういう本を断つことが一番肝腎でございましようから、皆様の中に、こういうふうにやつたらよいがという御意見がありましたら、どうか一つ大いにお聞かせを願つて、是非こういうことが、重ねてどんな形を持つても、再び発生をせんようにいたしたいと私は思います。  まあ今の再び発生しないような消極的な方面は、今度の法規で取締りますが、積極的に、やはり或る程度もう少し、今の金融機関がやつておるよりも楽に金ができるという方法を講ずべきじやないか、それにはどうすればよいかということが割合に徹底していないようですが、これはいわゆる信用保険と言いますか、今度信用組合につきまして各都道府県に法人的な組織を認めまして、それを保証するということによつて資金の融通が割合に受けられるようになつております。この利用が最近漸次殖えておりますが、これをもう少し、よく知らない人が多いので、そういうかたに、これを普及するように政府のほうで努力しまして、そうしてやつて行くというと、割合に金が借り易くなるのじやないか、なお、参議院のほうの御意向も強くございまして、今度恩給証書の担保貸付をすることにいたしております。これも従来高利貸の食い物になつておるので、恩給についてはかねて国民金融公庫でやられるという建前になつておるのでありますが、国民金融公庫には一つ制限した条文がある。それは生業資金ということになつておるので、生業資金でないと、例えば半年間これから先食つて行くというのは、これは明らかに生業資金でないから、併しそれは恩給でずつと返済を受けられるから、それも立法措置を講じて御協賛を願うことにいたしております。併し根本的な問題の解決にはなかなかなりませんので、若しいいお考えがありましたら、一つお聞かせを願いたいものと存じております。
  124. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 簡単に二点だけお尋ねしておきます。公共事業費の不正の問題ですね、或いは造船疑獄等いろいろな問題が出ておるわけですが、政府はやはり今度の行政機構改革に絡みまして私はいろいろなことが行われて来ると思うのです。又政府はたびたびこの綱紀粛正の問題を取上げておいでになつておるわけですが、この際こうしたようなものを予算の執行の監督というのですか、そういう責任にあるところの大蔵省として行政機構改革について何かこういつた問題を未然に防ぐ、そういうような方途を考慮されて、行政機構改革本部などと何か打合せをされておいでになるのかどうか、何も考えはないのであるか、そういう点が第一点でございます。  第二号は国際収支の均衡、バランスが今のままでは非常に心配であるから一兆円に締めて耐乏生活を国民に要求する、こういうことをおつしやつておる。ところが先ほども大臣はおつしやつておられるように、それかと言つてフランスの香水を抱合せたり或いはウイスキーを抱合せて来るから、そういう面における輸入は僅かであるけれども、制限することはできない、こういうことをおつしやる。これは御尤もな話であるが、片方では耐乏生活をやれと言つても、そういう物がある。そういう物があれば、それが呼び水になつて崩れて来るのではないかと思います。財政投融資の面を考えても余りいい工合に行つていないと思う。ですからこういうものは贅沢品であるから、財政投融資はこういう工合にやらないと日本の基幹産業というものがいい工合に行かないのだ、そういうものを抑えて行かなければすべて計画的に事柄は運ばないものと、こう考えておる。そこでただ単に予算を一兆円に組んだつて、これは何にもならない。本当に国際収支にバランスを持たせるためには、何と申しますか、一つの計画的なものが立案されていなくちやならんと思うのだが、そういつたようなものを組んで今後ぼつぼつと出す用意があるかどうか、こういうものを出さなければ、私は組んでも何にもならんと思うのですが、政府はそういうものをお考えになつて今後の事態に対してどういうふうに処して行こうとしていらつしやるのか、具体案を今後出して国民に本当に示して、そして協力を求めて行かれる意思があるのかどうか、その二点をお伺いします。
  125. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 最初の予算を厳正に執行するということにつきましては、これは大蔵省としては地方財務局等を動員しいろいろやつておりますが、主としてこれがために設けられた行政管理庁の方面におきましては、これは十分監察いたすことになつております。それからあとのことについては会計検査院もやつておりますから、これは成瀬さんにあとから御必要なら差上げますが、昭和二十八年度の災害復旧事業をこの間調べて見たけれども大蔵省が調べました件数が九千四百六十件であります。それから行政管理庁で調べたのが三千九百二十五件調べました。それから会計検査院で調べたのが九千三百五十九件。これは二十八年度中について調べました。これによりますと、これは災害に対する分でございますが、かなり全然ない架空の事業費を求めておるものがあつたり、二重に、もらつておるものを又もらう、二重をやつたり、又相当大きな水増しをやつておるものがありまして、行政管理庁の調べでは、実に件数では五割四分二厘に上つておる、更に金額では二割一分四厘にも上つておるということでございますので、これでは予算その他を行なつて行く上に非常に遺憾な点が多いので、今後ともこういう行政監察及び予算執行面については十分なことをやりますると共に、先般本院の決議の次第、特に予算委員会で御決議の次第もございましたので、今度立法いたしまして、そういう水増しをやつたり、二重の申出をしたり、架空工事——やらないところをただやつたということで金を取りに来る、こういうことについては処罰をするほか補助金を今後やらんという法規を近く提出をいたしまして御審議を願う。尤も法を執行するのは人間の心ですから、心を直すことが一番大事でありますが、法の面においても本院の決議もありますから、近く提出いたしまして御審議をお願いすることにいたします。  それから国際収支のバランスについてのお話でございますが、これはまあ国際収支のバランスは各方面の総合対策によつてどうしてもこれをやつて参らなければなりません。従つて総合的にものをやるときには、或る程度の計画は要るのでありまするが、ここには少し成瀬さんと私と考えが違うところで、成瀬さんあたりはただ計画経済をやれと言われるが、計画経済と言うと少しソヴイエトの匂いがする。成瀬さんはそうおつしやらないかも知れませんが、そういう匂いが強くするのです。(笑声)そこで私どもは個々のものについて、これは計画なしではやれませんが、すでに食糧増産五カ年計画とか或いは畜産五カ年計画、十カ年計画或いは今の治山治水等についても先般十カ年計画を一つ立てて見ました。そのほか鉄については二十八年まで第一期三カ年計画というので製鉄事業のことをやつております。ただ私どもは何と言いますか、これはあなたがたのおつしやるのと少し、全然そうおつしやつているわけではありませんが、計画経済というのはきちつと時計の秒針が刻むようにずつと持つて行かなければならんのが計画経済の建前になつております。私どもはそれは考えないが、時計が動いて行かなければならんのはよく知つておりますから、とにかく時計の針が左へ廻らんように、右へ廻つて行くことは考えるが、そこの一秒ずつのところを刻むということは実は考えていない。その計画は成瀬さんの言うように立つておりますが、(笑声)実はその点で計画は皆それぞれ立てておりまするが、いわゆる成瀬さんの言うのは、そうじやないかも知れませんが、若し計画経済という意味なら少し私どもと根本的な考えが違うのであります。併しいずれにしましても、各種の総合的計画を立てまして、そして国際収支のバランスをとる、このことが今の日本に課せられた最大の任務でございますから、是非これをやつて、そして日本国際収支の均衡を保つように一日も早くこれを回復するようにいたしたいと存じておる次第でございます。
  126. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 今、公共事業関係であなたのほうで件数を挙げられましたが、確かに私も何県ということは挙げたくないが、一番ひでい所は検査した中の九六%というものが不正な工事であつたということを聞いております。そういう所に対しましては、今あなたの言われるように平衡交付金はやらないという処罰を加えるということは、これはわかります。併しまだ私はほかにもそういう点でチエツクをして行かなくちやならんところがあると思う。大蔵省は巧みにそういうところを逃げて、自治庁がやらなければならんという平衡交付金を抑えて、将来やらないようにすべきであるということは非常に結構なことでありますが、先ほども申しましたように、予算の執行の責任者としての大蔵省としては、私はもう少し根本的な何か対策というものがなければならんはずだと思う。そういうものが私はやはり行革本部と打合せられてやらなければいけないものだと思う。だから今言つたように、これから考えてやろうとか或いは考えてみたけれども、いい智恵がなかつたのだ、こう言われればそれまでですけれども、私どもは本当は綱紀粛正をやつてもらわなければ、何にもならんと思う。ですから省を一つ廃止したりすることは、そんなことはどうでもいい。今の段階では綱紀粛正を行革としてどう取扱つて行くかということが国民の一番望んでおるところであるから、是非ともやつて頂きたい。  それから第二点の計画経済、これをあなたと二人で討論しようとは考えない。併し実際問題として、こういうものを組んで、でたらめにやつていたら何にもならんと思う。あなたが折角決意されたことが言葉の上の決意になつてしまつては何にもならないと思う。本当に国際収支を憂えるならば、やはり抜本的にやらなければ、とんでもないところに入つてつてしまう。二十九年度は四千万ドルくらいの赤字を予定しておる。へたをすると手持外貨は五億乃至六億になつてしまう。又三十年に赤字を出したら貿易はできなくなつてしまう。ですから私はそういう意味で、時計の針の廻り工合というような言葉の綾でなしに、本当に期待を持つておるから、私は計画経済というのは言葉の綾でごまかさないで、実際いい案を出してやつてもらいたいと思う。そうしなければ耐乏生活を要求されたつて我々応じかねますよ。国民もついて行かんと思う。ですからそういう言葉の綾で、ごまかさずに、こういうものをだんだん出して、どんどん計画的にやつて行く、こういうふうに一つお答え願いたいと思います。
  127. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 誠に御尤もで私どもは十分その方面に努力します。ただ私が今のようなことを申上げた趣意をちよつと更に申上げたいと思います。実はこの間吉田総理は何かの話に、計画経済は絶対にやらんということを言われたので、では、自由党の諸君は計画経済をやらないのはわかるが、経済に対して無計画でやるのかということを言われると、そうではない。やはり創意工夫、努力というものを中心にしておるけれども、なお活発に働くことは希望しておるけれども、やはり一つの計画は立ててやつておるのだ、ただそのときの吉田総理としては、ロシアのようにいけなかつたら処罰を受けるというようなことはしないのだ、だからそれを時計の針のようにと申したのはその意味なので、あしからず御了承願います。
  128. 小林政夫

    小林政夫君 私は最後に、質問なり、まあよく尋ねておこうと思つたのですが、丁度森下さんが言われたと同じことを締めくくりの意味で、本日は特に銀行局長を煩わして、保全経済会その他株主相互金融、それから街の金融機関の問題を質したのでありますが、いろいろ銀行局長銀行局長としての範囲においてはこれ以上しようがなかつたのだという説明なんでありますが、昨年の秋以来、法務省当局と相談中であつて、近く何とか取締法案を出す、近く近くと言つて今日までこられた、そういうことについて、まあ先ほど大蔵大臣国務大臣としてだと思いますが、甚だ率直に責任を感じられて遺憾の意を表されたので、その点は諒といたします。今後の問題として、先ほどいい案があれば智恵を貸してくれというような発言があつたのですけれども、結局問題は庶民金融資金源の問題だと思うのです。国民金融公庫或いは商工中金、中小企業金融公庫、そういうようなものが申込みに対して、これは貸付けてもいい、適格者だと思うものでも、三割ぐらいで融資を抑えなければならんというふうな現状で、特にそういう貸付を簡便にするということも勿論できるだけ考えなければならんけれども、自然、資金量が、金がそういう公庫等にだぶつく、どうか使つてもらいたいというような状態になれば、自然にスムースに行くのじやないか、そういう点について、僅かな金なんだから、大蔵大臣としてそういうところに財政資金を出すというような場合には、大いに肚を大きくして少しだぶつくぐらいに出して行けば、これはかなりその環境は改善するのじやないかと思うのですが、どうですか。
  129. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は実は今年の限られた予算のうちでは、これは減さないほうで、出しておるのでありますが、なお併し私は実は中小企業について相当深い関心を持つておるので、これはもう少し何か資金についても考えなければいかんと思つておりますが、併しこれは小林さんもよく御承知のごとくに、大体どこから一番余計借りているかというと、さつきも申したかも知れませんが、中小企業者が全国では一兆二千億ぐらい借りておる、全部の借金を見ますと……。そうするとそのうち八千数百万ぐらいが市中銀行なんです。これをパーセンテージにすると極く低い。それで従つてやはり信用保証協会というものをもう少し活用してもらいたいということを、もう少し話を、何といいますか、啓蒙というと怒られるかも知れませんが、何だ人を馬鹿にしてと言われるかも知れませんが、普及運動といいますか、こういうことを少しあらゆる機会にやつてみたらどうだろうというふうに考えておりますが、勿論政府機関でもございまするので、この中小企業金融公庫、或いは商工中金、或いは国民金融公庫等、これの活動を図ることは勿論考えております。ただ国民金融公庫も減つておるわけですけれども、回収するのが六十億ぐらいございますから、全体の資金としては昨年より動かす資金は殖えております。けれども決して十分とは思つていませんので、なお御趣旨に副うように努力いたします。
  130. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 まあ保全の問題について質問中に大臣見えたのですが、若しも保全経済会が今全盛をきわめておつたら、丁度去年の一月頃のような工合で全盛を極めておつたら、どうせこういう法的措置もできなかつたのじやないか。全盛時代には、投資銀行法をこしらえてやるのどうしようの、こうしようと言つて、政党も相当献金をとつたり、顧問になつたりして利用しておきながら、今度はつぶれたからそれ叩けというような印象を国民に与えておる。これは献金があつたかなかつたかは別といたしましても、廣川弘禪君が伊藤斗福を連れて池田氏の公邸を訪れたということは衆議院の証言で明らかになつておるのですが、そこで大臣にお聞きしたいのは、保全経済会やそれらの利殖機関の顧問なりに何らか関係した連中が、大蔵大臣に向つて、或いは投資銀行法をこしらえろという運動をしたり、又はこれが取締法律案をこしらえようと思つても、それをさせないような運動があつたかなかつたかということをはつきり一つ御答弁願いたい。とにかく、あなたがそれを断つた或いは受入れたということは別といたしましても、そういう動きがあつたかなかつたかということを一つはつきりお聞きしたい。
  131. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは菊川さんにお答えいたしますが、私の所へ、こういう法を作れと言つて来た人は全然ございません、又こういうことを阻止する、例えば投資法を作るというということを阻止するということについては、何人もそういう申出ではありません。「政界往来」の十月号でしたか、あそこの社長の木舎君がやつて来まして、丁度木舎君と対談したのが載つており、それに、どうも保全経済会なんかは立ち行くものじやない、だから警戒を要するということを私も何にも知らん時分書いておりましたが、そのときに、何らかの法規を要するということを書いております。実はどういう法規か調べてくれということで、たびたび政府取締法規については実は考えておつたのであります。これは法務省でも大変熱心になつておられましたが、まあだんだんと延び延びになつてこの国会に提出しなければならんようになつて、その間ああいうような問題があつたことは、これは私としては、国務大臣の一員として申訳なく思つておりますが、何らこの問題についての話はしておりません。
  132. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうよると、仮にまあ今後或いは当委員会において証人等に出てもらう方々が仮にあるとして、顧問になつてつた人たちが、俺は大蔵省のほうへ運動してやろう、だから一つ待て、或いは顧問料を寄越せというようなことで取上げて俺は運動したというようなことを証言して、仮に保全経済会なり、ほかの会でも同じですが、そういうことを顧問になつてつた人が言つてつたとするならば、あなたのほうに全然行つていないというのならば、銀行局長も俺の所へは来ていない、大蔵大臣も、俺のほうには来ていないというのだから、恐らく来ていないと思うのですが、その人たちが仮にそういうことをやつたからというようなことで、顧問になつたり顧問料を取つてつたとするならば、これは結局詐欺行為をしたことに追い詰めればなるのです。それは重大な発言だと思うのですが、その点ここではつきり確認しておきたいと思う。全然来なかつたということははつきりしておる、顧問料だけせしめておつたということになると、随分ひどいことをしたことになる。あの人たちが政界の大物を顧問に頼むということは、一つには資金の集まるように運動してもらいたいということは当り前の話なんです。顧問料はもらう、自動車は買うてもらつて、運動は何もしなかつたというならば、全くひどい詐欺行為を政界の大物連中がやつたということになるわけですが、若しもそういうことになつたら大変だと思うのですが、立法の問題は別として、ほかに融資をしてくれとか、預託をしてくれとか、そういう運動は全然なかつた、こういうふうに見てよろしうございますね。
  133. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 何にもございません。これははつきり申上げておきます。ただ伊藤斗福が何か大蔵省へ電話をかけて来たから、そんなもの相手にしてはいかんというので、電話も勿論出たはずはないし、会つたことはありません。伊藤斗福がそういう電話をかけて来たということはありますが、それ以外には何もございません。
  134. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 非常に大蔵省のきれいな態度をお聞きして安心しましたが、これを種にして、大蔵省に話したというようなことが仮にあつたとするならば、これは大変な詐欺行為で、伊藤斗福の上前をはねる詐欺行為ということになりますが、はつきりして安心しました。  次にもう一つだけお伺いいたしますが、去年の大蔵委員会で私大蔵大臣に何回もくどいほどお尋ねしたのは、四日市の海軍燃料廠の問題ですが、あれは一つ必ず年内に処理できるだろうということでしたが、もう年も明けたのですが、きれいに御処理になつたと思うのですが、どういうふうに御処理になつたか、その経過一つ簡単に御説明願いたい。
  135. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 四日市の問題は、これは私が丁度通商産業省におるときでありましたが、こういうものは払下げるべきものではない。将来の日本のために払下げずに国として持つておるべきである、そうしてこれを貸すべきであるというので、当時よく新聞は何か四省会議とか五省会議とか書いておりましたが、私ども相談しまして、その方針をきめました。そのうちに丁度国会が解散になつたものですから、私どもは解散中にいろいろな話がありましたが、解散中かれこれすべきものではないという私の信念から、これは一切取扱いません。何も話も進まなかつたのであります。ところが今度、第五次吉田内閣当時、私は大蔵省に行つてしまつたものですから、この問題の直接の関係者でなくなつたのです。その後閣議で岡野通商産業大臣から、これは私の記憶がちよつと違うかも知れません。八社ですか七社ですか、その点ちよつとはつきりしませんが、要するに日本の精油業者全部を統合して、その一つのものにこれを貸付けよう、つまり日本の石油精油業者全部の仲間になつたものに貸付ようということで、閣議決定を見たのでありますが、その後まだこの精油会社ができたことを聞いておりません。最近のことは直接の所管でもございませんので、実は私は今は存じておりませんが、会社はそういうことで作つて国がこれに貸出しすることになつておりますが、貸すときには大蔵省のほうで、あれは国有財産ですから、賃貸契約をすることになると思いますが、まだそんなところまでは運んでおりません。これは私はまだ賃貸契約を見ておりませんので、運んでおりません。どういう人が会社の幹部になり、又どういうふうにこれがやつて行かれるかということについては何も聞いておりません。
  136. 前田久吉

    ○前田久吉君 私は簡単に二点だけ一つお尋ねいたしたいと思います。  午前中の大蔵大臣の御説明によりまして、均衡予算、それに伴いまする世界物価の価格までの引下げ、これは物価の引下げということをたびたび伺つておるのでありまするが、物価の引下げよりも先に金利の引下げということはお考えにならんのでございましようか、仮にドイツとの比較もよく出るのですが、ドイツでは五分か六分の金利で大体賄つておる。日本ではどうしましても普通で年一割かかる。その上にまあ歩積み、だんだん減つて来たという大蔵大臣の御答弁でしたが、而も一部の銀行は減つたかも知れませんが、大半の銀行はだんだんひどくなつて来ております。こういう点からしまして、物価を引下げるということは、先ず金利を先に一つ大蔵大臣のほうで……、これはだんだん押して行きますと、金利のコストは銀行は七分かかる。それでなかなか引下げられない、こういうことをよく伺うのですが、金利を下げないで物価を引下げるという構想は、まあ消費節約が進むならば物資が余つて物が下るだろう、こういうお考えだろうと思うのですが、なかなかそれは根本のものを下げてやらないと、やはり多く金利に縛られて潰れるのじやないか。相当金利の面は重大だと思うのですが、いつ頃になれば昭和十一、二年のように四分五厘か五分ぐらいの金利に、今の半分ぐらいの金利になり得る見込みをお持ちになつておるかどうか。これが一つ伺いたいことと、金利の問題は、若しも七分銀行のコストがかかるということであれば、この銀行のほうへ大蔵省のほうから、コストをできるだけ安くさして、金利を引下げる面をやられるというような点を一つお伺いをいたしたいと思います。  それからこれは関連のことでありまするが、私が新聞の仕事をいたしておりまするので、物価が下がる面に非常に困難だという一例を一つ申上げておきたいと思います。木材が昨年非常に値上りになつたということは、もう御存じの通りであります。その当時と比較しまして、千円前後の木材が二千円前後まで値上りになつて来ております。従つて一つ新聞にとつてみましても、新聞は新聞の売価の半分はこの紙にいつてしまうわけです。これは従来は四分の一で済んでおつたのです。それで引下げるどころの騒ぎじやなくて、新聞界では昨年の暮から大変この面で苦んで研究したのでありまして、この木材パルプ等が下らなかつたならば、近く値上げしないとなかなかやつていけない、こういう情勢なんです。一つ新聞だけじやないと思います。いろいろなこういうふうな産業もあると思うのですが、この木材の中に、国有林の伐採した木材を払下げるのに、政府みずからが煽つておる。言換えれば、林野庁で随意契約で安く売れば、今度は会計検査院が承知しない。やはり、こういうように政府みずからが国民には物価を下げると言うが、国のものはつり上げて行く、こういう御方針であるかどうか、この点を一つ、その二点を一つお伺いいたしておきたいと思います。
  137. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 物価のうちに占める金利の比重というものは特に日本では高くありますから、それは前田さんがおつしやるように、やはりこの金利を下げるということが、根本的には物価の引下げに役立つと思うのでありますが、まだ日本の今の資本の蓄積の状況から申しますると、実は遺憾ながら、その段階に至つておりません。むしろ、やはり金利は、どちらかと言えば引上げのほうの傾向を……、政府は引上げる意思を持つておりませんが、尤も思惑的なものとか、今のオーバーローンなんかについての金利は別でありますが、全般的な金利は決して引上げようとは考えておりませんけれども、併し率直に言えば、今の日本の状況では、金利を引下げるという、まだ段階に行つていない、こう思うのであります。それでこの問題は、さつき前田さんは、いつ頃から下がるかと仰せになりましたが、私は只今のところ、ちよつと見通しが立ちません。やはりもう少し資本の蓄積というものが十分に行われておりませんというと、やはり日本銀行へ各銀行が駈けつけておるという状況では、そういうふうになつておりません。併しお話になりましたように、日本銀行金利が、私が、私が調べた最近のところではコストが七分一厘何毛かになつておるようであります。市中銀行では従いまして、こういう高い金利では非常に私どもいかんと思いまするので、そのうちに人件費が含んでおる部分が二分をちよつと大体超しておるところが多いのであります。それは預金の量に比べまして大体人の数が多い、こういう点から実は来ておるのじやないか。世界各国から見れば、そんな場合はほかにございません。そういうような点もありまするので、私は今まで二回ほど銀行その他金融業者の会合に臨んで、どうしてもあなたがたが資金コストをもう少し下げるように努力しなければならん、もう少し経営を合理化して、そうして今のような、これは人に対する分は別に考えるべきでありまして、人をたくさん使つておるということではなくして、これは実は目撃して来たアメリカの実例等を話してもつとそれは機械化するといいというようなことを話しまして、これは私が今まで自分が、演説と申しますか、そういう機会に演説したときに、二回ほどこの点には強く要望いたしております。今後とも、もう少し金利引下げについて、あらゆる機会に要望したいと思つておりますが、率直に言つて現在では日本金利が、やはり銀行のコストが安くなつて金利が下る段階かというと、そうなつてはおりません。  それから第二の点でございますが、これはどうも私十分にわかりかねる点もございますけれども、国有林の払下げに当つて随意契約でなくて、恐らく競売にするか競売にする結果が、物が欲しい、こういうほうが多くて、従つていわゆるセーラース・プライスになつてしまつて、高くなつて行くんじやないかと、こういう感じがするのであります。が併し、政府はすべての物価は上げないということを方針としておるのみならず、物価は五分乃至一割の引下げを目標として今度の予算の御審議を願つておる次第でありまして、政府はみずから価格を上げるというようなことは、決していたさない所存であります。尤も過日衆議院で申しましたら、ピースを五円上げるじやないかと言われましたが、ピースは上げます。酒も若干特級酒とか或いは一級品については上げます。或いは雑酒と言うと悪い酒と言われるが、あれは高級ウイスキーでありますが、(笑声)高級ウイスキーについても上げます。で、これはみんな奢侈の抑制という見地から上げるのでありまして、決して物価はこれがために上げるという考えではございません。若しそのときにあなたがたが光をおのみ下さるなら決してピースの値上げの影響は受けずにすみます、ということを申上げたのでありまして、政府みずからは、物価引下げのために、奢侈の抑制は考えておりますが、決してものの値段を上げようとは思つておりません。
  138. 前田久吉

    ○前田久吉君 簡単に、時間が遅いのでありますから。金利の引下げということをなぜこうして申上げるかと申しますと、金融引締めということから、街の金利はますます上つて参ります。そこで第三次再評価乃至評価替を十分にさして、健全なる経営にやらそうというのも、私はこの金融とつながつておると思つておるのであります。金利よりも配当が少なかつたら、誰も株の買手がなくなつて参りますから、どうしてもその点から言いまして、金利はもつと、どんな一つ努力をされても金利の引下げに一つどうしても全力を注いで頂きたいのです。  それから木材の問題で私もう一つ附言いたしますが、私の仕事に関連して甚だ恐縮ですが、この新聞の紙は戦後樺太を失なつたために、王子とか有力メーカーでは、大体六割くらいしかできんのです。あとは中小のメーカーでできておるわけなんですね。これはもう非常なあやしげな、つまり資本、しつかりした銀行がないものですから、なかなか不安なんです。そこで昨年も王子等で紙を輸入しなくちやならん、本年もその問題が起りまして、協会で決議をいたしております。二万トン入れなければならん。この問題は又起つて来ると思いまするが、私はこのやかましいドルの割当のときに、ドルを出して行くということより、いわゆる中小のメーカーに長期資金を賄なつてつて、戦前のような完全に新聞紙の供給ができるような方向にもつて行くべきじやないかと、こういうふうに思つておるのであります。この点について、やはり輸入してドルを支払つてたほうがよいでしようか、只今申上げたような長期資金で賄うような方向に持つてつて頂いて、国内産業をしつかりさして行く、安心して新聞紙の製造ができ上るようにしたい。新聞界においては、マシーンも相当いいのが殖えて参りましたが、金融面においてこういう中小メーカーでありますところの三割乃至四割のメーカーは非常に不安で、我々の新聞界も常に不安を持つてつている。というのは、樺太を失つて、王子という大メーカーの力がなくなつて、北海道は五割以下になつてしまつたということが、戦後やはりこの面にも無理が重つてつて、こういう情勢になつているのでありますが、そういうわけで、無理にドルを出して輸入をしなければならんか、需要のあるものは、一つ内地のメーカーをして健全に仕事をさすような長期資金を入れるかという点を一つお伺いしたい。
  139. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 前田さんが言われる内地の会社を健全ならしめることは第一に必要だと思います。徒らに外貨を使うべきでないことは申すまでもありません。従いまして、正常なる金融措置はもとより講じなければなりませんが、たださつきも申上げましたごとくに、日本の現状は少し変態なんです。それで、オーバーローンというものが残つておる状況であるのと、それからこれは前田さんも御記憶になつていると思いますが、やはり高い金利が戦後安くなつて来たというのは外資がたくさん入つて来たのです。それ以外に資本の蓄積が行われておりませんから、どうしても外資が入つて来ないと金利の引下が十分に参りません。今後日本財政が健全化し、日本経済が健全化するということは、これは非常に外資導入が大きな役割を私はすると思います。現在まで入つた外資は十分ではございませんが、今後は相当期待できると思うのでありまして、やはりその外資が入つて来るということで、勿論外資は御承知通り利息が安いのでありますから、それがひいて低金利をもたらすことになる。この日本銀行だけで預金者をあさつている状況では、なかなか低利に持つて参れない、そういう点から外資導入ということに一つ非常に努めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  140. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後五時十七分散会