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国務大臣(
小笠原三
九郎君) 野溝さんにお答え申上げますが、実は
物価引下げというのは数学的に根拠を見出すのは、これはあなたも御
承知の
通り非常にむずかしい。例えばこれこれの数字はこう出て来るから五分乃至一割下る。こういうような数字があるとき、大変明瞭なのでありますけれ
ども、私はこの間も或るところで言いましたけれ
ども、方程式で出すことはできない。一般
物価を出すのは、需要供給だから、何ともその需給の線をどうも方程式で出すことは問題なんだ、併し
政府はそういう困難だというだけで、
物価引下げを五分乃至一割を見ておるのではありません。
政府のほうにおきましては、私は過日も確か本会議の御答弁にも申上げたかと思
つておりますが、
政府資金のいわゆる吸上げ超過に二十九年もなるだろうと思
つておりますが、これはいわゆる
財政資金のほうも、今も野溝さんのお話された
財政投融資のほうも減
つておるというような状況でありまして、まあ各種のそうい
つた何と言いますか、
産業活動と言うと、
産業活動を妨げると言うと、
ちよつと語弊がありますが、
産業活動ではございませんが、いわゆる
産業投資がそれだけ減
つて参る結果としての、金がその方面に使われないだけ物資を要しないという面も現われて来る。そういう
意味でまあ
一つ考えておるのであります。もう
一つは私
ども一番多く
考えておるのは、今の
財政投資の、国の歳出面から
一つございますけれ
ども、それは今申上げた
財政投融資のその
一つでありますが、もう
一つは
金融のいわゆる引締めの強化ということに重きをおいておるのでありまして、この際一般に
物価の下落を何が妨げておるかと言うと、これはあなたも御
承知のように、一番多く妨げておるのは、私は思惑というものが加わ
つておるということと、よくある滞貨融資ですね、もつと普通ならば早く売却処分しなければならないようなものに対して、
銀行は融資をしておるということと、もう
一つは昨年あたりのいわいゆる紡績等の実情から見まして、じきにカルテルをやるんだ、そうしてその生産制限をや
つた。これはあなたもよく御
承知の
通り、それで価格を維持する、こういうようなことをや
つておるのでございまするから、私は一方には生産制限をするようなカルテルということをやらないように、これはそういうふうに、通商
産業省にもそういうような答弁をしておりますが、そういうことをやるとともに、他方では思惑的な
金融、それから滞貨
金融というようなものについての
措置を講じない。こういうこと等でも
相当物価を下げ得ると私は思うのであります。それから特に
物価を支配する大きなものは、需要供給であることは申すまでもありませんが、将来に対する
一つの見通しというものも、
物価には大きく働いて参ります。従いまして私
どもは国は
予算でも、こういうふうに
緊縮予算をや
つておる。又
金融についても、こういうふうに引締め
方針をや
つておる。そのほか或いは生産の合理化等、まあ各種の問題がたくさんあります。要するに
財政金融為替その他一体とな
つて、これは引下げの、引締め強行に向
つておる、こういうことが
物価を引下げるだろう。併し数字的に出しにくいから五分乃至一割と申しておるのであります。まあ大体に時期的なずれもありましようから、上半期に直ぐに私は効果が出て来るとまで思いませんが、下半期になりますれば、漸次効果が出て来ると、まあかように
考えておるのであります。
その次に
予算編成に
物価の下落を織込んだかということがありましたが、これは今度編成しました
予算には全然織込んでございません。
物価は現在の
物価で計上いたしてございます。従いまして、若し
物価が下落して参りますると、それだけ
予算に余力を生じて参りますわけでありますが、併しその場合に、
予算に無駄のないよう
措置をいたすことは当然でございます。なお念のために申上げておきます。二十八年度の
予算も丁度三月で二十八年度末になるので、どうかするといわゆる慰労出張というものがあ
つてみたり、それからものを非常に買
つて早く使
つておかんと、又来年度
予算がとれんということがあるということも聞いておりますので、九日の日に閣議決定を経まして、二十八年度
予算についてもあくまで
緊縮的な節約をや
つてもらいたいということの通知を各省に出すことにいたしたのであります。
それから第三の
外貨の状態が悪化したのではないかというお話しに対しましては、それは先ほどどなたかの御質問にお答えしたと思いますが、丁度一月ひと月でも、あの
自動承認制が昨年の上半期六カ月よりもなお余計の
契約を申込んで、一億八百万ドルにも上
つておる。こういうような
事情等もありまして、多少現在の状況から見れば悪くなるかと思います。これは
契約でございまするので、今後のまだ問題もあるし、又例えば普通ならば、こちらが出して金を買わなければならんような食糧品等が、今度はMSAの恰好で来ることは御
承知の
通りです。これは
外貨の面で見ますと、
向うが払
つてくれる分になりますので、まあそういう状況から
外貨の状況はどの程度にかか
つて来るのかということはわかりませんが、まあ二十八年度末、二十九年三月三十一日までは大体二億四千万ドル程度ではないか。
赤字になるのはそのくらいに
考えております。この数字はまあ一応最初の見通しをしておりましたが、大きな動きはないのではないか。
それからその次にお尋ねになりました
外貨利用にあた
つて産業開発に多くを向けるということがございましたが、単に、おつしやる
意味は
外貨利用と言いますか、外資導入をやることによ
つて、例えば先般
政府といたしまして、いわゆる火力発電には四千二十万ドル投じましてああいうものをや
つて、
日本の基礎的
産業へ、基幹
産業へ向けたのではないかというお言葉のうちに取れたものがありますが、そうでなく、又もう少し成るべく
外貨を利用してそういうものに向けるべきじやないかというふうにも取れたのでありますけれ
ども、この点は
ちよつと御質問の趣旨が或いは私取り違えておるかもわかりませんが、ただ申上げますと、電源
開発について申上げますれば、これは
仰せのごとくに減
つておりますが、只今申しました
通り、今度は
緊縮予算を編成したので、
従つて重点的にものをやる、こういういわゆる総花的な並行策でなくて、重点的にものをやる、こういうことにしましたので、電源
開発も年度的に上昇して行き、すべての量には大した変りはないと私は
考えております。その
意味するところは、今まで多少や
つておりましたのを集中してやるということにしますると、それが妨げられまするので、まあ電源
開発の面はこういうふうに
財政融資からも少くいたしましたが、併し電源
開発の仕事は十分に行な
つて参れると思
つております。なお
財政投融資は、大体言いますると民間で本当はやることなんですが、
日本では民間
資金だけでは不足するので
財政面からやるのでありますから、
財政がこういうふうに窮屈にな
つて参りまする際には、漸次これを縮小するのは止むを得んことじやないかと実は
考えております。但しすべてのことが経済問題であり、出た問題は又順序を、階段を経なければなりませんから、急速にものをやる
考えはいたさない
考えであります。