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1954-09-08 第19回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月八日(水曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            藤野 繁雄君            杉山 昌作君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            土田國太郎君            豊田 雅孝君            前田 久吉君            成瀬 幡治君            森下 政一君            井村 徳二君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君   事務局側    常任委員会専門    員      木村 常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君    説明員大蔵省主    税局税制第一課    長       白石 正雄君    大蔵省理財局長 阪田 泰二君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    国税庁長官   平田敬一郎君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税金融制度及び専売事業等に関  する調査の件  (租税及び金融問題に関する件)  (大阪証券取引所の争議問題に関す  る件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より大蔵委員会を開会いたします。  本日は大蔵大臣も見えまするが、只今理財局長銀行局長が見えております。租税金融一般問題その他昨日質疑を通告しておられました成瀬君の企業組合の問題、又菊川理事より御要望のありました大阪証券取引所の争議の問題等順次発言をして頂きますが、先ず租税金融問題等一般問題について両局長出席しておりますから、順次御質疑をお願いいたします。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 理窟は抜きにして、中小金融公庫のあれを、この前いろいろないきさつがあつて何とかせなければならんという話が出ておりましたが、あなたのほうとしては、こんなふうにするというような具体的な案は出ていないのですか。例えば成るべく小口貸付をもう少し殖やしてやるとか、そういう具体的なことは全然検討しておいでにならないわけですか。
  4. 河野通一

    説明員河野通一君) 中小公庫運営方針として、小口のほうへ重点を置いて行かなければならんという点につきましては、かねがね御意見もありまして、そういう方向において指導いたしております。現に大体原則として三百万円以下ということに融資方針をとらしておるのであります。勿論原則でありますから、例外もありますが、本来法律上は千万円までということになるのでありますけれども、これを三百万円以下を大体原則として行くようにということで指導いたしております。現在の実績からいたしましても、ちよつと私、数字を持ち合せておりませんが、平均の金額もそう高い金額になつておらないはずであります。今後におきましても、こういつた点につきまして、中小公庫の本来の使命に合致するように、運営方法指導いたして参りたいと考えております。なお、中小公庫運営の問題につきましては、いろいろ幾つかの問題があるのであります。たとえば、設立の当初に考えられておりました設備資金を中心にして考えて行くという考え方から、最近の経済情勢の推移に鑑みまして、長期運転資金と申しますか、固定的な運転資金、根になる運転資金長期に移して行くという考え方、これは実績において逐次そういうことが現われて参つておりますが、こういつたことを今後更に進めて参る必要があるのではないかと考えております。又、どうも設立後一年になりますが、まだこれらの機関運営方法について、若干徹底をいたしておらん点があるようであります。こういつた点から、中小公庫に対して直接融資の途を開くべしとい議論もたびたび聞かれておるのでありますが、政府機関としての建前から、直ちにそこまで行くことの可否につきましては、更に研究を要すると思います。併しながら、現に大阪にはすでに支所を設置いたしましたほか、福岡その他の地域にもだんだん相談室を充実いたしまして、近くは更にこれらの制度を拡張いたしまして、直接、顧客の便宜、或いは事務の取扱いの迅速といつたような点に寄与できるような機構というものを整えて参りたいということで、現在具体的にそういつた計画を進めておる次第であります。これがためには、相当中小公庫の人員も殖やさなければならんという問題もありますし、又経費等の点につきましても、更にこれを或る程度増額を要するといつたような問題もございますが、実情に応じて必要なる措置は今後においてもとつて参りたい、かように考えておる次第であります。
  5. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたも先ほど設備から長期運転資金に切換えたほうがいいだろうと言われたが、実際、例えば原料で設備に対して割当になるというような、例えば肥料会社でいえば燐酸であるとか、硫安とか、まあ砂糖とか、そういうようなところでいろいろ聞いてみると、国内需要と申しますか、これはいろいろな理由がありますけれども、現在におけるところの国内需要よりも、非常に設備が過剰である。例えば、燐酸でいうならば、大体国内需要は、大体設備の三割五分ぐらい稼動すれば十分間に合う。六割五分というものは遊んでおるというようなところに設備資金投資されておる。これは何も資本家自己資本というものよりも、むしろ銀行から長期的に借入れたものが多いわけです。今後こういうようなものが起きて来ないように、資本家自身も、経営者自身も注意すると思いますが、あなたのほうとして、大蔵行政一環として、金融行政一環として、こういうものをどういうふうにチエツクして行こうとするのか。
  6. 河野通一

    説明員河野通一君) 私どもは、現在、昨年の秋以来とつて参つております一連金融施策、この一環といたしまして、できるだけ、単に量的な調節だけでなしに、これにできるだけ質的な配慮を加えて行かなければならんという観点に立つて金融について、質的な規制と申しますかそういつた面での配慮を加えて参つておるのであります。先般来これらの方針について、更に一歩を進めて、法的根拠を持つ、いつわる法的規制としての金融統制ということの可否ということが論じられておりますが、この問題につきましては、まだいろいろ議論がありますけれども、私としては結論を出しておりません。現在のところでは、そういつた法的強制を伴うやり方でなしに、行政指導による自主的な規制という段階を超えていないのであります。今御指摘のありました砂糖肥料関係、その他の問題について、設備が過剰の状態にあるという問題がありますが、私どもは現在金融機関に対して自主的に、その他の問題に対して過剰投資になるような、或いは二重投資になるようなことはできるだけ金融か避けるように、それから例えばビル建築等のそういつたものについては、金融を抑えて行くように指導を強力に行なつております。併しながらこの問題を更に振り返つてみますと、やはり金融だけの問題で必ずしも解決できない。少くともこれを法的にして参るということになりますと、幾つも問題があります。そのうちの一つで、やはりこれは産業自体行政なり政策なり或いは計画なりというものと、はつきり裏表に結びつかなければむずかしい問題だと考えます。よく私は皆さん方に申上げておるのでありますが、私どもビル建築に対して資金金融機関から出してはいかん言つておりますが、併し現にどんどんビルが建つということは事実であります。而もその金は、間接には金融機関から出ておるであろうと思われることがたくさんある。例えば運転資金という名で出ておる。例えば権利金資金が出て行く。あとから結果的に見ると、権利金資金が出て行つたことがよくある。こういうことを金融の面からがつちりそういうことのないようにしようと思いますと限界がある。これを一番早く徹底的にとめたい、とめるということが絶対必要であるならば、全体の物の面からビル建築をとめるということが一番いいのです。そういつた例は非常に、一例でありますけれども、物の面というか、実態が、経済の面と金融の面というものが、法的に、質的に規制金融面にやろうとすれば、裏表考えてもらわなければならん問題がたくさんある。そういつた点を更に総合的に考えて、今お話のありました金融面からするそういつた過剰設備の抑止ということを、どの程度行えるかということについて、これは非常に重要な問題でありますので、私どもも今後怠りなく研究を進めて参りたいと考えております。今のところ法的に何らかの措置をとるというところまで結論を得ておりません。そういう点でございます。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も若干意見を言えば、法的な強制が必要であるか必要でないか、余り法律ばかり作つてこうだこうだと言つて……先ほども雑談的に出ておりましたけれども法律が出る、それを何とかひねつて、曲つたほうに解釈して有利にやろうとするようなことがある。余り法律で縛らなくても、私は何かあな何かあなたのほうとして、非常に良識で、行政上の措置とか或いは指導で解決が、糸口ができれば非常にいいのではないか。そうしなければ実際見て、例えば東京で見た場合幾らでもビルが建つ、あなたが御指摘になるようにどんどん建つているのです。片方のほうで、中小企業のほうで、若干の本当に僅かの資転資金がないために倒れて行かなければならん。これは少し政治の貧困だということになると思いますから、私はこういう問題については、積極的に一つ指導を進めて頂きたい。続いてそういうことをやつて頂けば、中小企業に金が廻つて来るのではないか、私はこう思つております。あなたのお説によると、相談室というようなものは、中小企業目当てに限定しての中小企業金融公庫相談室をお持ちになるのか、中小企業対策としての相談室をお持ちになるのかお伺いしたい。
  8. 河野通一

    説明員河野通一君) これは、先ほどお話申上げました点は、中小企業金融公庫の機能を充実するという意味における相談室、そういつた手足を地方に持ちたい、こういうことであります。
  9. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今小笠原大蔵大臣が御出席になりましたが、大臣に申上げておきますが、先般来今日で四回目の委員会を開いておりまして、主として税制問題、又中小企業金融の問題を議題としておりますので、これらに関しまして大臣より御発言がありましたならばこの際よく御説明願いまして、その後におきまして各委員から御質疑を願いたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今委員長お話の点につきまして実は税制の問題につきましては、特に中小企業が今度の一連のいわゆる緊縮政策によつて多少の影響を受けつつあるような実情等にも鑑みまして、それから又前国会等でいろいろ御意見の出たところもございまするので、目下税制当局でそれぞれ立案を急いおります。まだちよつと結論に達しませんから、この点はまだ申上げる段階に参つておりませんが、いずれにいたしましても、前議会等におきまする皆様方の御意見の次第もありまするので、できるだけそれを盛り込みたいと考えております。  それから中小企業金融の面におきましては、その後いろいろ御意見もありましたので、取りあえずとつた処置といたしましては、六、七、八、それぞれ十六億数千万円ずつ、指定預金の期限の到来したものをそれぞれ四カ月ずつ延期することにいたしております。更に又、特に中小企業金融の便をというお話もござりましたので、これは先般ちよつと申上げたかと存じまするが、七月より中小企業に対する貸付金につきましては、各銀行に千分の五だけ滞り貸し準備金としてこれを備えておいてよろしい、言い換えますと、利益金として税をとられるものでない、無税の積立金ができることになりまするので、多少中小企業金融に対する保険的な作用をいたすかと実は考えておる次第でございます。なお念のため申上げますると、日本銀行銀行と申しましても各金融機関でありまするが、主として恐らく今日では、的確な数量を私はここに手許に持ちませんが、貸出額の約一兆円というものは、それぞれのそういつた中小企業金融に対する分と存じております、各金融機関を合せますると……。従つてこれは今後の運用上は相当な効果があるのではないか、まあかように考えておる次第でございます。なお丁度私はこの中小企業全体について見ますると、一番緊縮政策影響に備えるためには、やはり税制の面と、金融の面と、勿論業者自体がいろいろ時勢に相応したそれぞれの企業合理化を行われることも極めて必要でありまするけれども政府といたしましてはこの二点が極めて肝であると存じておりまするので、取りあえず、つまり一口に言いますると、私どもの権限の下にある処置只今申上げた通りつてございまするが、なおなすべき点が相当あろうと存じまするので、これはいずれ国会等にも或いは臨時国会になりますか、通常国会になりますか、いずれにしても、もうそのときにはこういうことについて皆様方の御審議をお願い申げたいと、かように考えておる次第ございます。
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは御質疑のおありのかたは御発言を願います。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大臣にお伺いいたしたいと思います。只今大臣から、中小企業金融についているく御努力を願つておるようでありまして、その点は感謝申上げるのですが、中小企業金融一般銀行から出ておりまする額、成るほど一兆ぐらいに行つておるというお話でありますが、パーセンテージにいたしますると、本年の三月末まででは三六%、三割六分くらい、あとはもう全部大企業のほうへ行つておる。その場合に、この中小企業というのをどの程度のものを見ておる数字かといいますると、御承知のように資本金一千万円というのを見てその程度でありまして、資本金一千万円の中小企業というのはそうたくさんあるわけではないのでありまして、これを本当の中小企業に限定してどの程度全国銀行から貸出が出ておるかを見ますると、まだまだパーセンテージは下ると、そういう状態であります。ところが、更にデフレ政策の推進からだんだん銀行貸し出が締出されつつある、そのパーセンテージは更に下りつつあるという状態であると思うのでありまして、さような状態でありまするので、この中小企業専門金融機関重要性というものがどうしても出て来るわけでありますが、その中小企業専門金融機関というので中小企業金融公庫ができたわけでありまするけれども、この中小企業金融公庫の現在の代理店の数が四百二店になつております。その窓口を総計いたしますると五千四百くらいになります。それでまあ本年など中小企業金融公庫政府出資、それから資金運用部資金から合せて百三十億くらい出ておりますけれども、これを五千四百の窓口に割つてみまするというと、もう一年間にすれば三百万円、これを月割にいたしますともう二、三十万円くらいになる。これではどうにもならんのです。それで、申請書を受理せられたもののうちの九割四分くらいは貸出をいたしておると中小企業金融公庫が言うのでありますけれども、ところが申請書の受理せられるまでに窓口で断られておるものがどんなにたくさんあるか。今日でも中小企業金融公庫の金は画に描いた餅だなんと言われておるわけなのでありまして、そういう点から見ますと、中小企業金融公庫政府から投融資せられるほかに、資金運用部資金を直接中小企業専門金融機関にもつと積極的に出して行かなければいかんということになるのでありますが、その方法として現在金融債引受というものをやつてもらつておりますが、この金融債引受が本年度は百九十億です。ところがその内訳を見ますと、興銀債に八十三億、長期信用銀行債に七十一億、合計すれば百五十四億。百九十億が金融債引受の枠でありますから、百九十億の中の百五十四億までが、殆んど八割が大企業を主なる貸出対象とする金融機関のほうへ行つてしまつておるのであります。それで中小企業専門金融機関商工中金にどの程度つておるかというと、これは年にして二十四億、月として二億でありまして、二十四億の百九十億に対する割合ということになると、一割二分くらいであります。私どもは、資金運用部資金というものは零細なる階層から集めた資金でありまするから、全部が全部零細なるほうに還元ということはむずかしいにしても、かように詰つた際には、主としてそういう零細なる方面に還元しなければいかんと思う。ところがあに図らんや、百九十億のうちの八割からになる百五十四億が大企業金融機関金融債引受で、肝腎な対象になる中小企業のほうには僅かに一割二分、こういう状態であるので、そういう点から見まして、どうしてもこの際、資金運用部資金金融債引受の枠を殖やしてもらわなければいかん。そういうお考えは、大臣は政治的にいろいろお考えになるのでありますから、大臣はお持ちになつておるのではないかと思うのでありますが、それと同時に、御承知のように、資金運用部資金引受金利が高いのでありまして、現在実際の引受は年利にいたしまして八分七厘一毛、日歩にいたしますると二銭三厘八毛、二銭四厘に近いわけでありまして、殆んどこれは市中金融機関貸出金利に近い金利資金運用部資金金融債引受ける。そういつた高い金利引受けられておるこの金融債を主なる資金源といたして貸出をしておりまする商工中金などの貸出金利が必然的に高い。後つて現在中小企業者というものは折角組合まで作りまして合理化をしながら、第一、金が借りにくいし、借りられてもその金利が高い。その原因は資金運用部資金金融債引受金利が二銭三厘八毛なんというべら棒に高い金利になつておるというところにあるわけなのでありまして、この際、金融債引受中小企業専門金融機関のこの金融債専門引受の枠の拡大金融債引受金利の引下げということを徹底的におやりにならなければならんのだろうと思うのでありますが、この点についての御意見を先ず伺いたいと思うのであります。
  13. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 豊田さんが中小企業にいつも非常に思いをいたされることは非常に私も感激いたしておる次第でありますが、ちよつと実は数字を申上げますと、今お話なつたうちの中小企業金融公庫も二十五億円、本年ほかのほうはみんな削つたが、商工中金は殖やしております。削つておる際でございましたけれども増加いたしておることは御承知通りでありますが、なおこれもまだ出発してから一年くらいしかたちませんが、現在のところ残高がたしか二百六十億くらいあると記憶いたしております。即ち今までなかつたのがこの一年間に約二百六十億の、中小企業に対して金融をいたしておる。ですからその点は少し働いておると私は申してよろしいのじやないかと思います。但しお話のありましたごとくに窓口が五千幾つかあるというお話、これは少し私は整理しなければいかんと思います。これはこういう窓口が余りに多過ぎることも如何かと思われまするし、これはもう少し整理する必要があろうかと存じまするが、いずれにしましてもこれは比較的長期資金で、そうしていわば企業の改善或いは近代化等に使われるということが主になつておりまするので、これは今後ともそういつた方面へできますだけ資金の増加を図りたいと思つておりますが、御承知のように金融債もああいうふうに減らした際でございまするので、これのみにそう多くも行きませんが、いずれにいたしましても殖やしたい心持は持つております。  商工中金についてのお話は誠に御尤もで、私もそう思いますが、実は本年金融債を一様に減らしたことは御承知通りであります。その際にひとり商工中金に対する分だけは僅かではありまするけれども増加いたしておる次第でありまして、これは甚だ失礼な言葉ですが心持だけ買つて頂きたいと思うのでありますが、心持だけでは数字になりませんから、今後ともこれは怠らず増額するように努めたい、これはお話通りであります。  なお今の金利日歩の点でございますが、これは金利の高いことは事実でございますけれども、この点は御承知のように、市中で公募されると同じ割合資金運用部引受けておりますので、つまり資金運用部の分だけは特別な扱いをしておるわけじやございませんので、今お話の二銭三厘八毛かにつくかと存じますが、これも大体金利が、日本金利は高過ぎることは御指摘通りでありますので、まあ機会を得次第、下げたい心持は持つておりまするが、今のところ市中募集商工債券と特に資金運用部で区別した利廻りの分を持つということになつておりませんので、この点は御了承を願うほかないと存じます。枠の拡大等については努めてやりたいと存じております。  なお興業銀行や或いは長期信用銀行でも……今豊田さんのお話つた意味はもう少し低い、二百万とか三百万とかそのくらいのほうの意味が強くて、千万くらいのほうは大きいのじやないかというような意味にとれたのでありますが、そういう意味から申しますと、これは少し大きいかと思いますが、これは興業銀行長期信用銀行でも貸出をしておることは御承知通りであります。全体として見ますときに、中小企業に対する金融は私もまだ十分とは思つておりません。従つてこれは今後ともできるだけ努力したいと存じております。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今商工中金金融債引受枠拡大の点につきまして、大臣からほかが減つたので気分的には商工中金金融債引受の枠については相当考慮しておるというお話があつたわけでありますが、私などの考え方からいたしますると、資金運用部資金というものが大体零細なる資金を掻き集めたものでありまして、而も一般銀行預金は自然的に大企業のほうに流れてゆく。従つて零細預金等を集めた郵便貯金の集積したものを主としておりまする資金運用部運用資金は、すべてこの零細階級中小階級本位にやつて、全体の調整をとるようにせられたらいい。そういう見地からいたしまして、根本的にこの大企業関係金融機関のほうへ余計にこの金融債の枠が行くということ自体の根本の建直しといいますか、再検討をお願いいたしたいというわけでありまして、少々商工債券などに手加減を加えるということでなく、根本的のものの考え方をお建て直し願わんことには、どうしても日本金融というものはバランスがとれなくなるのじやないかという点なのであります。  それからもう一つ金利関係でありますが、市中銀行引受ける金利と同じにしなければならん。一面そのお気持もわかるわけでありますが、商工中金のような所は、預金の吸収につきまして制度を受けておりまして一般預金は扱えない、いやが上にも金融債だけに依存せんならん。而も中小企業にはより安く貸出をして行かんならんというような特殊の事情がありますので、これに対しては市中金融機関引受レートと同じに資金運用部資金レートをやらんならんという点に非常に私どもは疑問を持つわけであります。その点につきまして一つ今後根本的にお考え直しを願いたいというふうに思うわけであります。  それから次の問題でありますが、この指定預金、今御答弁のありましたようにいろいろな需要があるものでありますから、多少なりとも理想的な方法じやないと思いますが、指定預金中小企業専門金融機関に依存せんならん。その点で指定預金を、これも先ほどお話のありましたごとく六、七、八を引揚げ延期をせられまして、これも結構なことであるのでありますが、いずれもこの十、十一、十二、年末金融が非常にやかましくなる際に引揚げられるということになるのでありまして、現在各中小企業専門金融機関資金操作上非常に不安を抱いておるのであります。これが今後年末金融に非常に今以上に圧力を加えて行くということになると思いますので、そういう点において六、七、八引揚げ延期分は少くとも本年度内は引揚げはしないというお気持になつて頂きたいと思うのであります。これはデフレ政策関係等があるのだというお話が出るかと思うのでありますけれども、この中小企業金融関係はその資金総額は大した額じやないことは御承知通りであります。その全体から見れば僅かな金額を如何に操作するかということによりまして、中小企業関係が非常に影響を受けまして、これがうまく行けば却つてデフレ政策というものも円滑に推進ができるというようなことにもなるわけでありまして、そういう点で六、七、八月の引揚げ延期分の年末引揚げということをおやりになるということは、これはどうかと思うのですが、その点と、もう一つは九月分の引揚げをどうされるか。この九月分の引揚げ延期の問題と併せてその点をお伺いいたしたいと思います。
  15. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実はこれも豊田さんだから率直に申上げて置くが、本年は意外に財政資金が余計出るということが新聞等にも実は非難されておるくらいのことでありまして、私どももこれについては相当まあ心しなければならんと存じておるような次第であります。従いまして、実は第三・四半期になりますと、今の米作状況等から見れば、或いは第一丁四半期には二千億に近いような散超を見るのではないか。一応そんなふうに、米作如何によるのでありますが、考えられるのでありまして、これらの点と見合せなければなりませんが、散超原因たるものと、それから今の中小企業との関連は、全体として見るとそうなつても、企業者そのものから見ると、年末金融に相当困ることがあることもお話通りであります。従つてこれらのことをよく勘案いたしまして、好意的にこの問題は一つ考えたいと存じますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 只今の好意的というお言葉を御信頼いたすわけでありますが、是非実行を願うようにお願いいたしたいのであります。それと同時に、この指定預金の問題は、いつも不安定な感を与えますので、むしろこれに代る行き方として、安定ある制度といたしまして、資金運用部資金中小企業専門金融機関に直接貸しをするように、昔はそうなつておつたのでありますが、戦時中これが変えられたわけでありまして、それはまあ日本中小企業金融機関に対する実情から見まして、非常に実情に合わん。御承知のような中小企業金融の現状から見ますると、昔の低利資金運用預金資金がやつておりましたように、適当なときに適当額を貸付けをするという行き方で行くように御改善を願うお気持はないかどうか。といいますのは、預託をやりますると、預託は自然金利が高くなるのでありますが、貸付けになると安くなります。従つて中小企業金利引下げということにも併せて一石二鳥になりますので、そういう点について、これも一つ、根本的な考え方の問題でありますが、御意見を伺いたいと思います。
  17. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今お話の点につきましては、いろいろ根本的な問題も含まれておるようであります。まあ例えていいますると、指定預金を一体中小企業者に対する貸付けの資金源と見るべきかどうか。手許に置くいろいろな各種のものについて一種の資金源にはなるのでございますが、そういうような問題もございまするので、もう少し根本的に考えて見たいと思います。併しお話の点はよくわかりまするから、私どものほうでも至急検討することにいたします。
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 税制関係につきまして一つだけ伺つておきます。それは、御承知のように法人税が税率四二%というわけでありますが、大蔵省の一部企業の調査をやられたところによりますると、中小法人の実効税率は三七・八%、大企業法人の実効税率のほうはそれより大分低くて一三%、都市銀行の実効税率になりますと、これもずつと低くて平均二割くらいということを聞いておるのでありますが、これはまあ御承知のように、租税特別措置法を上手に運用するかどうかということによつて、こんな大きな開きが出て来ておるのでありまして、御承知のようにこの四二%の一律税率で、中小法人、大法人に行かれるということ自身が、非常に中小法人については酷なんでありますが、更に租税特別措置法というものの利用如何によつて、非常に大きな開きが大企業法人と中小企業法人の間に出て来ておるのであります。従いまして、この額は全国では五百億からになるというようなことも聞いておりまするので、まあこの大企業だけに利用せられるような特別の措置というものはこの際おやめになつて、そうして浮いて来たその財源によつて法人税率を一般に引下げる。殊に低額所得の中小法人に対しては、特別の軽減率をお設けになるというようなお考えがあつていいというふうに思うわけなんでありますが、これらにつきまして大臣の御見解は如何で、ございましようか。
  19. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは前国会のとき以来、大分いろいろな御意見を承わつて、誠に御尤もな点が多いのでありますが、ただ、今のお話になりました数字は新聞に出ておつたかと思うのでありますが、大蔵省としてはまだそういう数字結論的に得ておりません。まだ発表したこともございません。それで、なおこれをはつきりと知ることが、すべての前提になると思いますので、折角調べておりますが、まだ出ていないそうであります。結論が出ましたら、これに基いて中小企業者のためにいろいろやりたい思うつております。なお私どもが少額所得者に対する分は、これはまあ絶えず国会ごとに軽減いたしておることは御承知通りであります。但し、この程度ではなお足らん、こういう点についての御意見は相当あろうと思いますが、いろいろ税収入等の問題もありまするので、歳入問題の勘案からそういうような措置にとどめておるのでありますが、なお最近、これは丁度私は報告を受けましたから、一つ二つ、さつき実は委員長のお言葉のときに申上げておくとよかつたのですが、ここで申上げておこうかと思うのは、回収困難な売掛金償権などございますね、そういうものについては一定の基準を作りましたけれども、税法上損金に算入するという取扱いを認めまして、償却ができることに今度いたしました。これは今年の七月二十四日に国税庁長官から通知いたしておりまするから、これは今まで多少いろいろ御不便もありましたが、その点は変つて来るかと思います。  それからなお受取手形が大変長くなつて来ますので、或いは売掛金が重なつて来るということもございますので、納税手続を便利にする意味で、五月十六日証券による委託納付の手続を認めました。なお特定の場合には手形でも納税していい、こういうようなことをいたしたのでありまして、こういう点から幾らか納税者のお立場にはよくなつておるかと思います。これは豊田委員からのお尋ねはございませんが、さつき委員長から、税について何かしたかというときにちよつと漏らしましたから、申し添えておきます。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この租税特別措置法を却つて残しておくようにという運動も一面あるように思いますので、これはやはりああいう特殊の制度を置いておくことによつて、これを有利に動かして、大いに税の軽減を実質的には図ろうという方面からの動きだと思うのであります。それだけに、租税特別措置法というものを検討し、むしろ廃止しなければならんのだという問題になるわけだと思うのでありまして、この点については十分に一つ大臣もお考えを願いまして、大法人も中小法人も一律に税を所得に応じて負担して行くというような建前を是非作り上げるように、根本的にお考えを願いたいと思いますが、事務当局に伺つておきたいのですが、実効税率を大企業中小企業について調べておられるようでありますが、いつ頃できるお見込ですか。
  21. 白石正雄

    説明員(白石正雄君) お尋ねの件は、各種準備金制度等によりまして実際上の租税負担が軽減せられておる、そういう意味のお尋ねかと思うわけでございますが、これにつきましては、準備金が現在どの程度積立になつておるか、その残高がどのようになつておるかというようなことにつきましては、いろいろ国税庁を通じまして計数をまとめております。併しただこれが直ちにお尋ねのような実効税率というような問題となるかどうかということにつきましては、誤解を招く点もあり得るかと思いまするので、私どもといたしましては、これがそういう意味におきまして検討するということは如何であろうかというように考えております。ただ準備金そのものがどの程度利用になつておるか、又その積立がどの程度になつておるかということにつきましては、計数を折角とりまとめておりすので、近い機会に、おきましてこれはでき上ると考えております。
  22. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それを一般に発表せられることは問題があると思いますが、できたならば我々の参考資料として、適正なる判断資料として、でき次第この委員会に配るように一つしてもらいたい。
  23. 土田國太郎

    土田國太郎君 只今豊田委員から中小企業の税率引下げの意見が出ておるのでありますが、私も実は同感なんです。是非そうしてもらいたい。  それと合せて、昨日も主税局長、に申上げたのですが、私の調査の数字ですから信用にならん点があるというならこれは止むを得ないのですが、その超勢としては間違つてないと思つておりますが、今農業者の所得を計算すると、三、四十万円程度の極く貧弱なる農民ですね、それらの税が所得の四・七%なんです。それから商工業者の所得、これも中小企業の、零細企業とも言えましようか、それは二〇%以上なんです。それから勤労所得は一一%ですね。そういうように非常に差ができておると思うのです。ですから一つ大蔵省におきましても至急に、こういうことであつたら、同じ国民で差別待遇を受けることは全く御時勢に合わんと思いまするので、お調べ願いまして、事実そうであつたならばこの国会において適当に一つ直して頂きたい。こういう要望を申上げると同時に、最近のデフレ政策で、そのしわ寄せば御承知通り全部中小企業におつかぶせて来たというような状態になつて来ておるのですが、大体このデフレ政策は私も賛成で、そうしなければ日本の国が立たんということなのですからよろしいのですが、ただ総合的施策がうまく行つているかどうか、そういう辺のお考えと将来の見通しですね。今年はどの程度物価引下げをやるか、来年はどうするのかというように、はつきり国民にそれを明らかにして頂いて、そして前途に光明を得て我々は苦労を国家のためにいたしたい。こう考えておるそこらあたりのお見通しがありまするならば合せてお伺いいたしたいと思うのであります。
  24. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今の税につきましては、御承知通り農村のほうは、超過供出については無税にするとか、供出について各種の条件が付いて無税々々ということになつておる。又食糧のああいう特殊事情等もございまして低くなつておることはお話通りだと思います。なお俸給生活者と今の中小企業との関係、片方は一一%、片方は二〇%云々というお話でございましたが、これは的確な数字を存じませんが、まあこれもそういう表現が間違つておるかも存じませんが、つまり俸給生活者は完全に全部が課税される、それから中小業者のうちにはいろいろ経費の他覚られる分が相当ありまして、或いは見方が酷に過ぎて重くなつておるかも知れませんが、多少そこに、言葉が悪いかも知れませんがゆとりの部分が俸給生活者に比べればある。そこで表面見たようなこともないのじやないかと私は考えておりますが、それはもう少しよく調査した上でお答えを申上げたいと存じております。  それから今の先の見通しがなければというお話、誠に御尤もでございます。私どもが昨年の秋に皆様の御協賛を得て一連政策をやりまして以来、物価について申上げますと、丁度本年の二月五日から十日くらいが一番高かつたのでありますが、そのピーク時代に比べますと卸売物価においては八分二厘くらい下つております。従いまして相当これが輸出面にも影響して参りまして、輸出のほうでは、仮に一月—六月をとりますと、昨年同期に比べますと三割八分、約三割輸出が増加いたしております。それから更に七月は一千万ドルもの黒字になつておることも御承知通りであります。八月になりますと二千万ドルばかりの黒字になつておりまして、幸いこの点は貿易の面は頗る一般的に申せば順調であります。ただ併この中にはオープン・アカウント地域に行つておるので、そのうちにインドネシアに少し焦げ付いているものもあるのじやないかというお話もございまして、これもお話通りのところもございますが、併し大体スターリング。エリア・ポンド地域に出ておる分が相当殖えておりますので、全体から見まして只今申上げた通り貿易等は大体順調になつております。従つて国際貸借も改善されまして、ひと頃例えば六月の末くらいには相当外貨が減るのではないかというふうに見られておりましたけれども、七月末になりましてなお七億数千万ドルの外貨を持つておるということでありまして、私どもが決して自画自讃する意思は毛頭ございませんが、ただそういうような効果が皆さんの御努力によつて出て来ておる。従つて貿易面が好転しておるということは、おおいがたい事実でございまして、それが非常に政府が予想しましたよりも、むしろ資金の撒布が殖えておるのは、輸入資金が減つて輸出が殖えておる、そんな関係で、今のような少し散超状況の結果を来たしておるような次第でございます。大体から申しまして、私どもに、今の貿易は単純に価格が安くなつたから余計出るとは申されません。と申しますのは、大体向うとのそれぞれ協定に基いてやるのでありますけれども、ただ安くないと、協定をしておいても、折角例えばイギリスならイギリスと同額の、一億ポンドなら一億ポンドという協定をいたしましても出て行かない、それが今日は出て行くようになつておるということでございまするので、大体貿易の面から見ますると、私どもは最初五分乃至一割ということを申上げましたがほぼ二十九年度では目的を達しつつあると存じております。併しいま少し、これは全体ではございませんが、国際的に見て、出て行く輸出品についてはなお少し下つたらいいと期待しておるものがございます。ちよつと例を挙げますと、今の繊維品はもう下る必要は毛頭ございません。現在のところ世界的にどことでも競争力を持つております。併しよくプラント輸出の例として言われておる鋼材、各種の薄板とかああいうものがたくさん出ますが、こういう鋼材等がまだちよつと下ることを期待しておる。現在でも最高時に比べては一割くらい下つておりますけれども、もう五分くらい下つてくれると輸出力を増して来ますので、特にいわゆる東南アジア方面、南米地方、この方面へ相当輸出力を持つて参りますので、これはもう少し下つて欲しい。それで合理化等についての措置をもつと進めたいと思つております。全体から見まして、私どもはこの趨勢で行きますれば、三十年度は仮に特需た変化がないとすれば黒字になると存じております。  そこで、それでは特需はどうなんだというお尋ねがあろうかと思います。特需は本年の三月三十一日に作りました外貨予算の編成のときには七億一千万ドル見込みました。ところがその後、仏印の戦争が終つたとかいろいろな問題がありまして、相当減つて参りました。現在のところは大体六億ドル見当ではないかと思つております。六億ドルは欠けないだろうと思います。そういたしますと、当初赤字を一億ドル以内に押えたいと見ておつたのでありますけれどもちよつとここで二億一千万ドルになる勘定になります。ところが特需の而から見ますとそうでありますが、今の輸出が当初三月三十一日には十二億七千万ドルと見ておりましたのが、今日のところでは大体十四億ドル可能だと私ども見ております。十三億五千万ドルくらいに見ましても、大体一億五千万ドル以内で今年の赤字は済むのじやないか、こういうふうに見ております。従いまして、明年度になりますと、漸次物価が下りつつあり、例えば薄板のごときものも一割から下つておることは皆さんが御承知通りであります。従つてそれだけに競争力を加えております。それから又プラント輸出は相当註文等も参つておりまするから、輸出入銀行資金の追加もございまするので、増加するということを考慮いたしまして、来年度は大体黒字までは行きませんがとんとんのところには持つて行けるだろう。併し今申上げた六億ドルという数字は、これが破れますと又別の工夫を要すると思いますが、特需六億ドルと見ますれば来年度は赤字にはならない、こういうような見通しを立てておるのであります。従いまして、日本の商品が国際競争力をつけてそれ自身経済自立が達し得る立場になりますれば、この上は拡大均衡というところに持つて行かなければならない。言い換えますと、日本では輸入を昨年二十三億ドル入れましたけれども、本年は二十億ドルになつております。三億ドルの原材料が減つて来て、それだけ製造するということは、それだけ失業者を防ぐことになります。それが要らないというと、やはり産業はそれだけ失業者を生むということになつて参りますので、ちよつとその他は言えませんが、そういう結果を来たしますので、日本のような国では何としても拡大生産、拡大均衡のところに持つて行かなければならない。それから日本の品物が競争力を持つことですが、三十二年には少くともこれをやり得る、よく経審で出しておる十八億ドル、これはそれが一番望ましいことで、これは三十一年度にそういうふうなことを見ておるようであります。私は、今の模様で参りますればもう少し、或いは三十一年を忍んで頂けば、国際競争力に国内のものがついて行ける。従つて拡大均衡のほうに持つて行けるという確信の下に私はすべての処理をいたしておる次第であります。
  25. 土田國太郎

    土田國太郎君 それで、この輸出のコストの問題であるが、果して世界の国際水準にならつて日本の輸出物資のコストが行つているか。ダンピング的に、つまり投売りのために輸出が拡大して行くというように新聞にも伝えられておるのであるが、同時に又実際こコストの面が下つたものもありましようが、大体これらの趨勢は如何でしようか。
  26. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは在庫品のダンピング、投売り等のあつたことは、御指摘通りであります。これは一時的なものでございます。特に、これはよく御承知と思いますが、繊維製品はいつでも相当上下の烈しいものであります。ときどき投機の対象になると言われるくらいに繊維製品の相場は荒つぽいのであります。昨今ではちよつと下げたような方向に向つておることは御承知通りであります。私どもは全体の面から見まして、これはすでにこのことは先に申上げましたが逆な行き方であつたかと思います。併し私どもが全部のいわゆる物資の統制を広範囲に行うわけではございませんが、そこで一体政府がやり得るもので何か物価を国際水準まで持つて行く一つ方法考えますと、それは一つはどうしても財政を緊縮して行くことでなければならない。その次には金融を引締めることによりまして、つまり思惑をするとか、多少在庫品を抱いていろいろ投機的なことをするということはやめさせなければならないというところから、金融の引締め等をやつて最も健全な企業に健全な金融をすることは当然でありまして、それは努めておりますが、いやしくも思惑的な投機的なものについての金融は一切してはならないということを厳達して、それを実行させておるわけであります。それが今お話のように、少し逆になつておるかも知れせんが、併しそれでは困るからというので、コストの引下げをやりまして、薄板等においても一割くらいは下つております。労賃も下げ、原料も下げるというように、きちんと統制してしまえば、これは一応コストの引下げになる元で、役立つでしようが、その方法は私どもとらないのですから、いわゆる間接的な方法なつたでございましようが、今のような方法でやつておりまして、これは業者にお聞き下さいますればわかりますが、相当に各方面合理化をやり、コスト引下げをやつております。従つて、ところによりましては、相当コストの引下げが行われておりますが、まだそれは遺憾の点がある点も私は聞いております。併しこの状態でやつて参りますれば、相当漸次効果を生じて来るのじやないかと思つております。
  27. 土田國太郎

    土田國太郎君 今のお話で、デフレ政策遂行のために、財政規模の縮小や、金融引締めということは、当然その通りだと思いますが、ついては来年度の財政規模についての見通しですか、或いはあなたのお考えになつているところを御説明願いたいと思います。
  28. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは実はまだ来年度のことですから……。
  29. 土田國太郎

    土田國太郎君 個人的なお考えで結構です。
  30. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は考えておりますが、内閣では一度も相談いたしておりませんので、私の考えをそれでは申上げさして頂きます。  私としては引続き一兆円予算を是非来年度もやる必要があると考えております。ところが一兆円予算をやるといたしまして、例えばよく言われる。防衛の関係で見ますると、これは一体として、一つのものとして、駐留軍に対して払つているものは、これは増減なしというところに私は実は持つて参りたいと思つております。片方は減つても片方は殖えるというところに行けばいいと思いますが、これは私は個人の考えといつたから、個人的にはそういうふうに思つております。  そういうふうにずつと見ますと、例えば来年ちよつと御覧になつても、公共事業費なんかは、例のガソリンの関係の分がありまして一応道路のほうに殖えるのじやないかと思います。それからいわゆる失業保険ですか、これも増加いたしましよう。又、失業諸対策、或いは各種の厚生的な諸費用、いわゆる社会保障費という性質の分は、これは私は若干増加すると考えております。又増加せしめなければならんと思つております、私自身は……。そういたしますると、なかなかそろばんを合わすのに骨が折れる。といいますのは、私どもは一兆円予算というものは、繰返し申上げましたが、一兆という数字を合わしたものが一兆ではなく、過去の蓄積を食わない、或いは借金をしない、将来の滞貨をやらない、この三つを見込んでおりますので、それでは収入は来年は殖えるのかというと、殖える見込みはございません。今のところ私は期待しがたいと思います。そうしますると、どこかでいろいろ切りつめて来るものが起つて参ります。この点について、今、どういうところでどういうふうに御協力を願わなければならんかと思つて苦心しているので、余り細かいことを言うと、今のうちからあんなことを言つたからというので、これは率直に言うと、すぐそこからやつて、来て、やれることもやれなくなりますので、大体そういう考えを持つているということを申上げるだけにいたしたいと存じます。
  31. 土田國太郎

    土田國太郎君 つきましては、いずれにしても、先ほどから我々も豊田委員も税の引下げということを要望しているのですが、その財源は何としても財政規模等の縮小にあるのですが、是非あなたのお考えをこの国会に実現するように努力して頂いて、この中小企業の税の引下げということの実現に一つ御努力して頂くようにお願いいたしまして、私の質問は終ります。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣にお尋ねいたしますが、中小企業の問題ですね。金融とか税制、そういうような問題、いろいろ伺いたいのですが、めぼしいところは貿易に関係するところの市場の問題、国内の市場の問題でもいろいろ論議があると思いますが、私は先ず国内の市場の国際貿易の問題について、いろいろお話があつたが、あなたは今度アメリカのほうにお行きになる。これは別の用件があると思いますが、今一番ネックになつているということが、アジアに、例えば中共の問題ですが、相当いろいろ行つおりますが、例えば小麦協定だとか、バトル法というものは十分我々も了承しておりますが、これを若干緩和して頂かなければできないと思うのですが、あなたの向うに行かれる一つの目的の中に、こういうような問題についてどう努力するとか、或いはまあ吉田さんは外遊の目的はなかなか話されないわけですが、私はただ単に大臣は世界銀行の総会に行くというだけではなく、いろいろなことをやつて下さろうと思いますが、こういうような問題についての、あなたが向うに行つてやろうというようなお考えがありますれば、お話願いたいと思います。
  33. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は私が参りますのは、世界通貨基金と、いわゆる世界銀行、国際復興開発銀行の両方の日本を代表するものになつておりますので、その総会に出席するわけで、その総会には各国とも大蔵大臣が出て参りますので、私も出席する。そのときに、あなたも御存じのように、昨年のIMFの総会で特にイギリスは、コンバーテイピリテイー、通貨の交換性回復ということは、今日これは議論の時期ではなく実行の時期だということを昨年の総会で強調した。それが今度回復して、西ドイツも非常に回復しております。更にルクセンブルグベルギー、オランダ、これはやり得る状況にあります。或いはフランスやイタリアもやつてやれんことはないかも知れません。さようなときに、日本が例えばそういう交換性の自由を持つておる諸国と、交換性を持たない、日本は現在のところうちよつと持ち得るところに行つておりません。持つために私ども努力するつもりでありますけれども、現在の段階ではそこまで行つておりません。従いまして、さようなときに、どうも硬貨国と軟貨国との、向うの交換できる軟貨というのはソフトカレンシー、いわゆる日本の紙のようなやつですが、そういうところとの間に貿易関係に非常な複雑な問題が生じて来るのじやないか。やり方如何によつては……。従つてそういう問題を主に私が一つ考えておることをいろいろこれらの人々に話をする機会を得たいと思つております。これが私が行く主な用件であります。  それと、世界銀行については、丁度今六千万ドルの各種の借款の話も進行中でございまして、もう世界銀行のほうもそのガバナーをいたしておりますから、これなんかについて私が行つて話をすることが便利であろうと存じております。ただそういうことが主たる目的でありまして、あとは私に課せられた問題は現在のところございません。ございませんが、話は何かと向うのほうから出る場合がありましよう。そういう場合は、今お話のごとくに、これは日本がすぐ隣りの市場を閉ざされたような……閉ざすということでもございません、相当な程度に緩和されて、少くとも国際的のよその国と同じ程度まで今は直つておりますけれども、よその国といつては語弊がありますが、いわゆるバトル法関係のなにからいえば大体余ほど品目等も変つておることは成瀬さん御承知通りであります。だけれども日本としてはもう少し、手近いところであるからできるだけこれを見てもらいたいということについて理解を深めることは、これは私もできるだけはいたしたいとは思つております。ただ私どもとしては、同時に日本の貿易に資さなければならんから、東南アジア市場開発についてもできるだけそれらに対する向うの認識をしてもらつて、でき得るだけの協力を求めたいと、こういうふうに考えておるのであります。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたが行つて、通貨の問題、これは一つ大きなネックですから、これを一つつて頂くことは非常にいいことだと思う。バトル法につきましても、この間四十二か幾つか緩和されたわけですね。併し、私たちが聞いているのは、例えばイギリスや或いは西ドイツのココム協定ならココム協定を若干緩和したい、もう少しやりたい。併し、端的にいえばアメリカが非常に強硬に反対しておるために、例えば三輪車の問題にしろ、オート三輪の問題にしろ、貨物自動車にしろ、そういうようなところにネックがあつて、非常に困難だということを聞いておるから、一つあなたが、非常にいい機会だと思うから、そういうイギリスや西独も破りたい、緩和したいという方向にあるなら、これが戦略物資だとは思えないのでもうちよつとやらしていいわけですから、是非こういう点で努力して頂いて、これを緩和して頂くことをお願いをしたいと思います。  続いてそれと関連して、中小企業の育成というようなことに関連して、外国資本が今相当入つて来て、例えばミシンの問題にしろ、石綿の問題にしろ、かれこれぼつぼつといろんな問題がある。これを通産省の問題だと、こういえばそれまでかも知れませんが、大臣としては、こういう問題について、どういう見解を持つておるか。或いは今後これを閣議などで大いに主強して、例えば五十対五十という比率がいいのか、そんな問題についてどういうふうにお考えになつておるか、又やろうとするのか。
  35. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それぞれ具体的問題についての……。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これも私は中小企業を守るという立場から一つ
  37. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) よくわかつております。これは私も中小企業を守るということは非常に必要だと思いますが、例えば今お話なつたミシンのごときもので言えば、これは私は全部まだ相談を受けたわけではありませんが、私個人の意見を述べさせて頂けば、ミシンに外資を入れる必要はないと私は考えております。というのは日本のミシンは相当外国へ輸出しておるのでありまして、アメリカ等へも出ておるのです。アメリカはどこへ行くか知りませんが、相当出ておる。そういうような事実もあり、又日本でミシン業というものは相当進歩しておつて、よその技術をそう必要とするようなことはないように私は思つております。そうすればやはり日本のこれに携わつておる業者に対して失業その他のことのないよう措置するということが政治ではないか、こう私は考えておるわけであります。ただこれは一般論を特に言わして頂けば、技術が非常に向うは進んでおるものはこれは日本に入れたらいいと思います。余り進んだ技術を、日本で鎖国主義でやつておると、丁度戦争のあの軍閥跋扈時代のようなもので、自分ばかり何だか進んでおると思つてあとから見れば全然世界からとり残されておつたという問題もありますので、余り経済的に日本の立場を守るに急にして一切鎖国経済、鎖国主義をとることは私はよくない、やはり進んだ技術を飽くまでこれは導入すべきだ、こう思いますが、特に導入する必要のないようなもの、例えばミシンのごときものについてお話になるなら、これは私は日本のミシンは相当世界的水準に達しておると思う。従つて大資本を持つて来てそれがかれこれ日本の市場に対して脅威となるなら、さようなことは避けたい。私自身はさように考しえております、但しどうも自分の所所管で。ございませんのでミシンのことについてまだ相談を受けておりませんが、私の意見だけを申述べさせて頂きます。
  38. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は当然あなたの発言される機会はあるし、協議される機会もあると思う。一つそういう意味で頑張つて頂きたい。あなたの政治的手腕を期待しております。
  39. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そういう発言をする機会があるときにはさように主張いたします。
  40. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に中小企業を保護するというのですが、経済の民主化というような意味、終戦直後いろいろな立法がとられたわけです。例えば私的独占の禁止だとか或いは過度の経済力の集中排除というようないろいろな方策がとられた、それと並んで片一方のほうは、中小企業を保護育成するために種々の立法がとられて来た。そのうちで一つ中小企業組合の問題があると思うのですが、先ず最初に向いたいのは、そういう経済の民主化に与えられた種々の立法が、若干私の見るところでは骨抜きにされつつあるのではないか、やはり我々は端的にいうところの独占資本というようなものが圧迫をしつつあるんじやないか、或いはカルテル、トラストというものができつつあるんじやないか、こういうふうに考えておりますが、大臣はこれに対してどんな所見をお持ちですか。
  41. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大体私どもは、皆さんの御意見が常に国会に反映して、最近中小企業者に対して特殊の立法が、これはちよつと成瀬さん三年前と比べて御覧なさい、非常に進んでおります。保護的立法は進んでおります。従いまして、お話なつたような一カルテルとかいろいろなことを言われますが、これは日本の今の状況で果してどうすべきかということについてはいろいろ意見が分れるところだと存じます。けれどもそういうことでない。中小企業について見るなら、まあ大体立法的な措置としてはほぼ私は尽きるほどいろいろ措置がとられておると思います。ほぼ尽きるという意味は十分という意味ではありませんが、大体立法という措置として皆様お考えになつて、これは強化されておる、これも強化されておると大体言われております。まああとは国が経済的の実力を以てやるという問題と、立法的措置の問題として残されておるのは税制の問題だと思います。この二つについては今後とも十分考えたいと思つております。
  42. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたとこれは議論してもしようがないのですが、私が言いたいのは、一応あなたのおつしやる通りにしまして、ところが運用の面で片方の面は経済の民主化に考えられた諸立法はだんだん骨抜きになりつつある。片一方は中小企業を守らなければならない法律が作られた。それがやはり骨抜きになりつつある。残されたものはカルテル、トラストというものが大きく押し出されておるような、今の状態を我々はそういうように把握するわけです。そういうふうに我々は考えるのだが大臣はどう思われるか、こう言つておるのです。
  43. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は今お考えになつておるようには思つておりませんが、併しなお現在のところ決して立法の趣旨が間然なく遺憾なく達せられておるとは思つておりませんので、これはやはり漸次そういうふうに持つて行かなければならんとは思つております。
  44. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと中小企業企業組合のことについて私は質問がしたいわけですけれども国税庁長官お見えにならないですね。大臣はここに私は若干資料を持つておるわけですが、どうも企業組合というのは、一年ほど前でしたか、何か共参党がいろいろなことをやつてどうというような脱税組合的な、いろいろの法律の盲点を潜つたというんですか、何か運営の面で非常に悪いことがあつたということは重重承知しておる。ところが、そのとばつちりを食つて企業組合の全体を潰して行こうじやないかというような大体ここに資料があるのです。そういう方向というものは私はどういうふうにお考えになつておるのか伺いたい。企業組合などは、国税庁長官でなく大臣に伺いたいのは、保護立法だとして、中小企業に対する法律はこんなにできておるとおつしやるんだが、それを育てて行こうとされるのか、やはり今言つたようなものは潰して行こうというのか、どういう方針でおられるのか。
  45. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は大体育てる考えを持つてつて、潰す考えは持つておりませんが、何かあなたのところに資料があつて私に頂けるなら、あとで下さい。そうしてよく実情を調べて、仮にあなたが言われるように潰す方向にこいつは向いておるのだということは、どういうわけでその分がそうなつておるかということを、あなた方の御納得の行くように説明することにしたいと思います。
  46. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣もおられますし、今長官も見えたようですから、一つだけそれじや申上げますが、こういうことになつているんですよ。企業組合を税務署、国税庁の査察部が調べる。まあいろいろなことがずつとあるのですが、「訴訟資料収集上の手がかりとなるため拾い上げたものである」と前段に記して、「勿論これに類似する事実はこれ以外に無数に存在することであろうから、それに依頼することなく、個々の具体的事案の内容等に従い、臨機応変、巧みな質問により、更に有利な供述を獲得するよう努められたい」というような指令に立つて、大体三十六項目に且つて、こうこうせよというようなものが出ておるわけなんです。これを私は中小企業組合にやられれば、今言つたような誘導訊問をやつて、そして極力こうもみ上げて行つて、そうしてそれで脱税だといつて引つかけてみんな潰してしまえ、こういうふうにしか、まあ思えないわけなんですが、刑事訴訟法なりいろいろなもので、あなたも御承知だと思うが、こういう誘導訊問なんかやつていかんことになつている。それを片方のほうでやつて行こうということになるのだが、こういうのは行過ぎだと思うが、大臣はどんなふうにお考えになつているか。
  47. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは中味を私は全然見ておりません。従つて国税庁長官が答弁いたします。
  48. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや、ちよつと待つて下さい。私は中味はあなたに見せてもいいですよ。いいのだが、今のようなこういうふうに「臨機応変巧みな質問により更に有利な供述を獲得するよう努められたい」、こうなつてつて、以下三十六項目いろいろなものがずつと出ておるわけですよ。こういうことは、私は、政治として中小企業を育てるのでなくて、むしろ潰して行こうという方向にあるんじやないか。だから大臣は、こういうような通達というんですか、こういう指令を出すことは不当だと思うのだが、大臣はこれをいいとお思いになるのか、惑いとお思いになるのか、こういうことなんです。
  49. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは私の名義で出ておるかどうか存じませんが、私は実は中味については、若し私の名義で出ておれば責任は負いますけれども、中味を見ておりません。従つてお話のごときこれについてどうこうという御返事をするのはちよつと困るのでありますが、そのあなたが誘導訊問式と言わるるうちに、これは世の中には悪質な者が相当少くないということも又御了承願わなければいかんと思います。全部が全部正しい者のみであるということにも行かんということも御了承願わなければいかんと思います。従いまして、その悪質な人がそれに引つかかるなら、これはやむを得んと私は存じます。併し正しい人までそのために引つかかるようなことであれば、それは行過ぎだろうと存じますので、よくその中味を見なければ、私としては、はつきりした答弁ができません。
  50. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、私の言いたいのは、今言つたように、そういうことを行政上官庁の指令として出すことが大蔵大臣としていいのか悪いのか、こういうことを言いたいのです。
  51. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 悪質な者があるならやむを得んと思います。
  52. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 悪質だと言われるが、刑事訴訟法、日本の訴訟関係、刑法上でいうなら、誘導訊問というものはいかんということになつておるのですね。裁判所なんかでいうなら一番悪質のやつばかりだと思う。これは裁判所前の問題、検察庁なり或いは警察が引張らない前の問題です。そういうものを、片つ方で、悪質な者があるのだからやつても差支えないと言われる。あなたは悪質な者があるのだという前提に立つての話なんですね。ですからそういうのは私は少し行過ぎじやないかと……。
  53. 小笠原三九郎

    ○国大務臣(小笠原九郎君) 何か出ておるのは必要を感じた者が出したのだと思いますので、国税庁長戸をして答弁せしめます。
  54. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 私から御答弁申上げますが、今のお話は、多分一昨から昨年の初めにかけまして調べました九州の某企業組合の調査に関連した場合の問題じやなかろうかと私は思えますが、あの組合は非常に最初からもう脱税意図でやつておることは極めて明瞭である、而も全国に数千人の会員を一企業組合に包容いたしまして、或る一部の指令、或る中央の指令に基きまして極めて巧妙に計画的にやつている事案が実はあつたのでございます。これをそのままにしておきますと、恐らく善良な納税者が非常にまどわされて、一般の納税者からも、あんなことで簡単にできるなら我々もその手をやりたいとこうことになりましたので、まあ私どもは、やはり調査につきましては、殊に中小企業の調査につきましては権限の行使は必要最小限度にとどめるという考えでございまするが、そういうものにつきましては、やはりこれは必要な措置はとつて行くということを考えまして、実は一昨年から昨年にかけまして調べまして、すでに相当起訴しております。脱税犯として告発をし、更に検察庁もそれを取上げまして起訴している。その途中におきまして、恐らく証拠の関係その他に関連いたしまして、私もはつきり記憶ございませんが、そういつたようなことが問題になつたのじやないかと、こう思う次第でございまして、勿論私ども一般的にはそういう考え方で臨むつもりはございません。非常に特別な場合におきまして証拠の収集上どうもやむを得ない場合には必要な措置をとつて行くという考え方でおりますことを御了承願いたいと思います。なおその組合以外でも或る程度調べておりますけれども、大体は、例の企業組合の前回の税法の改正案の際に、国会からも附帯決議を以て厳重な注意を受けておりますので、現在のところは非常に慎重にいたしております。協議会等を設けまして、協議会に方針等も諮りまして、それによつて、個人企業と認めるか或いは法人企業そのままに認めて行くか、非常に慎重にいたしておるわけでございまして、なおまだ若干委員の人選等について問題になつておるところもございますが、私ども十分そういう点につきましては注意いたしまして適正を期したいと考えておる次第であります。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この資料は、もう少し端的に言えば、共産党を中心とした九州の数千の会員を有する企業組合云々ということは、ここの国会でも問題になりましたから、私は了承しておる。そのための資料じやないのですよ。そのための資料じやない、と私は見ておるわけです。私があなたのほうからの関係で入手したのは、今年になつてからの入手なんです。今年の六月頃の調査の資料のものなんです。資料のことは別個として、もう一遍話が元に戻つて大臣のほうへ伺いたいのですが、こういう企業組合など或いは協同組合、いろいろなものがあると思いますが、これを育てるような場合には、育てる方向であるなら、一つ例えば税務署なり或いは国税庁が出て、企業組合なら企業組合或いは協同組合のやり方というものはこういうものだ、こういうところは遺憾だとこういうような指導をして頂きたいのですが、そういうような点に関しては、大臣は、人員的に余裕がなく或いは経費の面で余裕がなくてできないとは思いません。そういうような点を今後大臣或いは国税庁長官のほうで協力をして頂きたい、こう思うのですが、どうですか。
  56. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 健全なる企業組合等の発達は願わしいことでありますが、今、話に出たような不健全なものは一掃したいと考えております。なお、一定の基準を作つておりまして、その基準に合うものならば大体これを認める方針をとつておりまするので、個々の場合のは指導をせんでも、その基準というもので明らかにされるのではないかと私は考えております。なお、この基準は中小企業庁とも打合せ済みのものです。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、私の言うのはそうじやないのです。基準は確かにできているわけですよ。ところが実際は素人の人たちが多くやるわけですから、税務署に行つたり或いは国税庁に行つて一つ教えてくれと言うわけです。それに対して今は忙しいので行けんと言う。そのうちに、とんとん話は進んで、半年なり一年でやつてしまう。そうすると、あとへ行つて今言つたようなこういう事例に基いて、これは長官に見せようと思うのですが、個個のものを一々洗つて、例えば下駄が一足どうなつたというような点で出て来ると思うのですよ。ですから、私はそういう点で一つ協力してもらいたいと思うのですよ。
  58. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今、国税庁長官が私に言つたところによると、これは刑事問題になつているもの以外にはそんなものを適用しているものはないという話です。併しとにかく我々は国民の公僕なんだから、国民各位に都合のいいように協力するのは、これはひとり大蔵省のみならず全部の人が当然なさることだと考えております。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その当然なことがやられていないから私は言つているのです。今言つたように、来てくれと言つている、それに対して忙しくて行けんと言う……。
  60. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは一々来てもらつて説明してもらうということは、私は好意だと思う。説明がなければしようがないので、そういう場合に一々こちらが出て行つてやらなければ不親切だということは、それは余りに多きを望むものじやないですか。
  61. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) ちよつと私から補足して説明いたしたいと思います。今の基準というのは相当詳細なものになつておることは御承知通りでございます。これを作ります際には、国税庁で勿論原案を作りましたが、中小企業庁の代表者、それから学識経験者としまして大学教授を二、三名、それから企業組合の代表者、それから商工会議所方面一般中小企業の代表者、そういう人々をメンバーに入れまして、そこで何回か実は審議をいたしましてきめた問題でございます。従いまして、企業組合も、健全な企業組合の代表者の方面でございますと、そのでき上つた経過から事柄の内容から恐らく相当詳細に御存じだと思います。勿論、御質問その他不明の部面がございますれば、私どもはできるだけ基準の周知徹底方を計りたいと思います。なお根本の趣旨は、大臣からもお話がございましたように、或いは国会などで申上げましたように、企業組合の実態が、企業組合としての本旨に副つたような経営をやつて、そういう方向で経営をやつて行く場合には、仮に税が軽くなつてもとやかく言うべきでないと私は考えております。勢い形だけちよつと何か体裁を整えれば税がまるつきり違つて来るということでは、ほかの納税者は納まらないと思いますので、そういうものをよく選り分けてやつて行くというわけでありまして、決して中小企業者全体に対して無理なことをするつもりは毛頭ございませんので、一つ重ねて御了承願いたいと思います。
  62. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは大臣にも国税庁長官にも企業組合の問題をなお詳細に伺いたいと思います。  大臣にもう一点伺いたい点は、外資導入の六千万ドル、大臣の地元の愛知用水などいろいろな問題が出おるわけなんですが、これはどんな情勢にあるのですか。
  63. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 愛知用水は私の地元ではありません。誤解ないよう申上げておきます。  それから外資導入につきましては、これは今いろいろ交渉中でありまして、交渉の道程でいろいろ出ることが何かと妨げになります、従いまして今までどういうものについてと申しますると、日本の食糧増産のことについて向うのほうで相当協力する用意がある。又電源開発のものについても相当向うでも用意がある。更に鉄鋼、石炭等の合理化或いは近代化等についてもこれは相当向うにも用意がある。更に又、日本の輸出用の機械、そういつたものについても相当向うのほうで考える余地がある、こういうことを言つておりまするので、そのうち今まで参りましたのは食糧増産に対する分だけです。これについて先にドール氏の一行が来まして、今お話の愛知用水とか或いは北海道の泥炭地帯であるとか、或いは根室、釧路等の牧草地帯と想像される所、或いは八郎潟等を更に調べておりますが、更に最近デフリユーズという博士で、向うの農業の専門の部長が来まして、これが更に取調べております。その結果として、向うがどれを適当として認めて来るかということで分れると思いますが、これは向うのほうが、向うの言葉で言うと、自分たちはどの地域についてもオープン・マインドでこれを処理すると、こう言つておりますから、そのオープン・マインドでどれを選んで来るかということは、今後向うの決定に待たなければなりません。それからあとはまだ来ておりません。電源開発の分は、これは日本に先に二人ばかり駐在しておつた人がありまして、その人が調べて行つたもので、あとはこちらのほうに向うのほうはいろいろ基準としておるところを問い合して来ておりまするので、これに対する報告が整い次第向うも相談ができるかと考えております。そのほかの分はいずれ又技術等も参りましよう。そうしてそれぞれ調査をしないとわかりませんけれども、大体におきましてこの世界銀行と言われるいわゆる復興開発銀行は、日本状態についてまあできるだけ協力したいという考えを持つておりまするので、相当な程度つて行くのではないかと思つております。
  64. 東隆

    ○東隆君 丁度話が開発のところに行つたので、伺いたいのですが、北海道の開発をするのに特殊会社をこしらえてやる、それに対して大蔵大臣は賛成をされておるのを新聞で見たのですが、私は特殊会社をこしらえてやるよりも、公社案で行くべきだという考え方を持つております。それで大蔵大臣は理由として述べられたことは、一兆億の予算でやつて行くのだ、その範囲でやつて行く場合に、やはり特殊会社の形態をとつたほうが便利だ、こういうような理由以外に、何か理由がございましたら、それをお聞きしたい。
  65. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まだ北海道の開発を如何にすべきかという問題については、閣議その他でも話合つておりません。ただ先般私に対する個人的な意見ちよつと聞いた人があつたから、それで、そのときに個人的な意見を述べたに過ぎません。従つてこれも内閣の意向なりとしてお考え下すつてはまだ早過ぎますが、私がそのときに述べた趣意をかいつまんで申しますと、日本が一兆円の予算を編成しようとすると、どうしてもここに予算措置でとり得るものにはおのずからなる限度がある。それよりも、例えば昔の満鉄あたりがやつたようなもので行くなら、民間資本もこれに入れることができ、或いは又これがために社債の発行権でも認めれば、いろいろな社債償還の途も、例えばそれを市場に売るなり、資金の余裕があつて資金運用部で持つなり、いろいろなことをすれば、相当もう少し大きいことができるのじやないか。それとやり方如何によつては、政府の予算に基くものは、下手なやり方をすると、いわゆるインフレになる虞れがあるけれども、併しいわゆる会社案で行けば、会社は最も経済的にその金を使用するので、それでこれは、それが産業開発に使う場合にインフレになるとは誰も考えるものではないし、インフレをもたらすものでない。そういうこと等を考えてみると、仕事をする分量と、又例えて言えば、北海道の人は、自分は一つこの会社に興味を持ちたいというときに、株を持たせるようにして行くことも非常にいいことになりはしないかというようなとともあるので、或いは株式会社のようなものも一つ考え方になるのではないか、一つ考え方になるのではないかという意味お話しただけでありますので、そういうふうに政府がきめたものでもなければ、私が大蔵省にこういうことで行こうじやないかということを相談し合つたものでもありません。
  66. 東隆

    ○東隆君 大蔵大臣の個人的な意見のようでありますが、併し大分私は有力に将来動いて来ると、こういうふうに考えますのでお伺いをいたしたいのですが、今、満鉄のお話がございましたが、あれは実は日本の国でなくて、国外でありますから、そういうような場合に公社を、日本の公社を、なんぼ侵略主義の国であつたとしてもそういうことはできないと思います。だから従つてああいう形態をとつて行くのが当然だつたと私はそう考えます。昔の英国がやつたインドの会社にしても会社の形態でやつております。私はそういうよ味で会社のあれを考える場合に、外地としての場合なんかには適当かと思いますが、北海道は外地ではないのですから、従つて当然公社案で行くのがいい、こういうまあ一応の考え方を持つております。それから、これに一番関連をしておるのは、私は日本航空会社ではないかと思う。日本航空会社は現在国内線はこれはみんな黒字になつております。ところが国際線は赤字になつておるわけであります。結果はどういうことになつておるかというと、これは特殊会社になつてつて、十億は国が出しそれから五億は民間が出し、それからあとの五億は外国資本が入つている。そうして役員は日本人が占めておる。こういう形になつておりますが、これは恐らくどういう形になつておるかというと、日本から上げたところの利益というものは、殆んどコストとしては、飛行機も、ガソリンも、パイロットも、みんなアメリカの関係のものですから、殆んど利益というものは向うに吸い上げられておる。こういう形になつておるので、それでこれはバランス・シートを詳細に見ませんからわかりませんけれども、巷間伝うるところによると六〇%ぐらいは向うに持つて行かれてしまつておる。こんなような形になつておる。それで私はあの場合も当然、国が二十億ぐらいの出資を、十億出しておりますからそれで二十億は当然国が持つて、そうして完全に日本の資本の下にあれをやる。そうして国際線が仮に赤字のような場合には、郵便物をどうせ扱うのですから、そういうものに対する特別の助成をするとか何とかいうような形でもつて、利益はことごとく日本に入つて来る、こういうような形態をとるべきでなかつたかと、こう考えるわけであります。この形は、私は北海道の開発会社をこしらえることによつて同じことができると思います。開発に一番必要なものは、これは機械です。国内にあるところの資材を相当使うでしようけれども、大抵の機械は、これはことごとく輸入を必要といたしますか。又会社をこしらえるという考え方からいけば、そういうようなものを輸入をして、そうしてそういうようなもので相当利益を上げてやつて行かなければこれはうまくいかん。こんなような考え方も出て来る。従つて開発によつて会社が上げたところの利益というものは、これは又ことごとく先方に吸われてしまう、こういうような虞れが非常にある。そこで私はこの開発関係をする場合において、日航のような二の舞をしない、こういう意味で、やはり全額国庫で出して、そうして公社の形態をとつて、そうして国内で以て、工業も相当進んでおるわけですから、それで以て賄なえるものは国内で十分賄なつて行く。そういうような体制をとりつつ開発を進めて行く。輸入するものは勿論輸入する。そういうような形態をとつて行く必要がある。それから、これは特殊会社をこしらえることによつて又いろいろなリベートの問題なんかもそういうように非常に問題が起き易い可能性があるので、私はどうしても公社を主張いたしたいのです。この点はどう考えますか。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今お考えの点は承わつておきます。
  68. 東隆

    ○東隆君 その開発に関する案は、個人的な意見であるという話でありますので、この程度にいたしまして、中小企業関係の問題ですが、私はいわゆる中小の企業者を活かして行くためには、協同組合を中心にやつて行くより方法はないと思います。それで、この点から考えた場合に、実は中小企業者等の協同組合に対する法人税の関係と、ほかの協同組合は全部租税の臨時措置法によつて減税の措置がとられておる。ところが中小企業者等の協同組合に関する限りは、実は減税措置はとられておりません。これは私は片手落ちであろうと、こう考えております。若し大蔵大臣中小企業者を活かして行くためには協同組合を中心にしてやるのだ、こういう考えを強くお持ちでありまするならば、この片手落ちを是正すべきではないか、こう考えますが、この点は如何ですか。
  69. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この中小企業協同組合の問題でありますが、これは私どももいろいろこういうものが果してそれが中心になるべきかどうかについては、あなた方も知つておられる通り中小企業にはいろいろな形態があるので、果してそう言い得るかどうかわかりませんが、これは相当中小企業協同組合が、その中小企業のうちの重きをなすものであるということは私もよく承知いたしております。ただこの問題について、まあ先に課税のことについては、参議院の御決議の次第等もありまして、目下私どものほうでもその検討中でありますが、いろいろな点がこれはありまして、単にここで、それじやこうするということを私どもお答えするところまでまだ至つておりません。併しお話の趣意はわかりますから、よく一つ検討した上で、まあ次の国会までには何らかの措置はとりたいと思つております。
  70. 東隆

    ○東隆君 私はこの問題を一応解決した上に、もう一つ大蔵大臣にお考えを願つておきたいことは、協同組合という法人ですが、それと、それから会社ですね、普通の会社と、これは非常に違つておると思うのです、質的に違つておるのです。それで今どういうことになつておるかと申しますと、協同組合に対する法人税は、出資に対する配当に対して課税をするという形式をとつておるのです。併し私は、協同組合における剰余金は会社における利潤とは全然性質の違うものである、こういう考え方を持つております。例えば株式会社でありますと、利潤を上げることが目的でありますが、協同組合は利潤の追求をやらん。従つて協同組合で剰余金ができるということは、金利を余計とる、或いは手数料を少し余計とり過ぎた、こういうことによつて剰余金ができる。従つてそれは払い戻しをするのが当然なんですが、従つて一定の企業をやつている以上は資本を持つていなければならない。そこで出資という形で持つているわけですが、その場合に、会社の場合には株をたくさん持つていればそれは発言権も強大だし、それから決議でも強いわけです。ところが協同組合の場合には一人一票でやるのですから、幾ら出資をしておつても一票しかない、そういうふうに非常に違つているわけです。片方は民主的にできているし、片方は資本を中心にできている。そういう違いがあるということと、それから株式会社の場合には、株式に対する配当というものはこれは制限がありません。それから協同組合の場合には、出資に対する配当というのは、これは初めから制限を加えている、その率は決して高いものでない。だからこれは結局出資を余りしたくないけれども、できるだけ出さなければ仕事ができないということで、その程度の配当を許しているわけです。それに課税をするというようなことは、これは非常に無理なものなんです。こう考えます。そういうわけで、協同組合という法人に対する課税どいうものは、これはすべきでない、非課税ということがこれは原則でなければならない、こういう考え方を持つているわけです。協同組合に対して非課税、それから会社に対してはこれは当然課税をする、こういう理論が成り立つと思うのです。歴史的にこれを見ましても、昔の産業組合には税を課さなかつた、併し戦争時代になつて来て国策に即応するために税をかけるようになつた。こういうような歴史的な過程がある。理論的に言つても私は税を課すべきてない、こういうふうに思つているのでありますが、今の法律は同じようにそれを考え、多小税率に違いがありますが、併しこれは非常に無理な原則を作られた。私は大蔵省が税金をとるためにいろいろ理窟を拓えられておるのじやないか、こういうふうに考えるのですが、この点はどのようにお考えですか。
  71. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 協同組合の課税問題についてはいろいろな御意見が従来からも出ておりますが、幾らか御趣旨の点も織り込みましたのが現在とつておる制度です。御承知のように事業分量に対する配当については、これは一切課税をいたしておりません。ただ出資に対する配当にはこれは課税をする、こういう建前をとつておりますので、この出資ということに対する課税は、これは私は止むを得ん、こういうふうに考えております。
  72. 井村徳二

    ○井村徳二君 ちよつとお尋ねいたしますが、本年度の早場米の奨励金に対する農林省と交渉の経過を御話願えれば大変いいと思いますが、而も早急に決定して頂きまして、農民の供出意欲を盛んならしめることは必要だと思いますが、何か大臣の御所見を伺いたいと思います。
  73. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 米価の問題はいろいろな関係もございまして、従つてその問題につきましても目下事務的にいろいろ折衝しおる最中であります。早場米の奨励のことはよくわかつておりまして、ただそれをどうするかという問題につきましては、まだ今一連の米価対策等といたしまして、食糧対策等として検討いたしておるので、これはお話のごとく急いできめなければならん問題でありますので、できるだけ早目に結論に入りたいと存じております。
  74. 井村徳二

    ○井村徳二君 今、秋祭りなんかもやめて供出に応えなければならないと張り切つておるのでありまして、その代償の奨励金がどうであるかということは極めて緊急におきめ願りことが私は効果が大きいものと思いますし、これは済んでからやつたのでは何にもならない。殊に今年は天候の関係で遅れておりますから、この早場米を非常に有効に持つて行くという上から言いましても、早く御決定願うことが大変いいことだと思うのでありますが、何か農林省との交渉の御経過をお漏らし願える範囲内において伺いたい。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まだ実は本日もなお事務的にいろいろ折衝しております。従いまして大体余り御心配になるようなそう遠くないうちにこれは結論に達し得ると思つておりますので、実は御承知のごとく経過を途中でいろいろ言いますと、それがすぐいろいろなところに響いて来まして、まとまるものがまとまりかねる場合もありますので、この点悪しからず御了承願いたいと思います。
  76. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 時間がございませんから、これは一つお伺いしておきたいのですが、この間うちから大分問題になつておりました日銀総裁の更迭ですが、日銀総裁が不適当であるというので更迭をされようとすのか、或いは感情の問題であるのか、それともあれは単なる流説であるのか、今金融問題が一番大事だというときに、中央銀の総裁が政府意見が一致しないで、政府方針と合んようなことがあるのか、その点について誤解を解く意味においてこの際伺つておきたい。その経過を話せる範囲内において……。人事問題は非常にデリケートな問題で、こういう席でそういうことは言えんと言われればそれまでですが、とにかく誤解を一掃する意味において、一つ話せる範囲で承わつておきたい。この前、銀行局長に承わつたのですが、この点については私の言うところじやない、こういう話だつたので、何といつて金融問題は直ぐ中心になる。中小企業の問題としては金融問題、こう思われるのございますので、その総元締ともいうべき日銀総裁の地位がぐらついているということは余り好ましいことではない。かように私は思います。又日銀総裁につきましては巷間いろいろと非難されるような点がございますけれども、一身上の性格についてとやかく言う問題ではないと思いますので、これについては伺いませんけれども、これはいろいろ批判も聞いておりますけれども、こういうことは工合が悪いというので取替えられようとしているのか、そこいらの経過を一つ……。
  77. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 日銀総裁問題は、只今のところ取替えるとか取替えんという問題については考えておりません。ただ卒直に申上げさせて頂けるならば、最適任者とも考えておりません。
  78. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 よくわかりました。最適任者とも考えておらない、こういう言葉の裏から、これ以上聞いても又大蔵大臣が大きな声を出すのでやめておきます。(笑声)  もう一つだけ、次に各企業企業整備の名の下にデフレの波をくつて盛んに人員整理というのはどこでも起きているのです、中小企業のみならず大企業でもそろそろ波及をして来ております。これは一つはあなたの言われる緊縮政策影響がこういうところにだんだん及んで来たのだろう患います。企業としても揮を締めなけばならんというようなことで、そういうことになつた。まあ私はそういうふうに解釈するのですが、そうすると、こういうものは当然出ると覚悟しておらなければならん。或る程度こういう政策をとる以上はどつかに血が出るのだ。その血の出る所へは絆創膏を貼るという処置をやつぱり立てて行かなければならんと思うのですが、これらについて一つどういう処置を……緊急の処置だと思うのですが、特に北海道の炭鉱あたりにおきましては、大臣も聞いておられるように、あんな金券を発行しているようなことになつてますますそれが殖えて来ているという状態ですから、これはそのまま放つておくわけには行かんじやないか。ちよつと構想を伺つておきたい。
  79. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 御承知のごとくに多少昨年の秋から、こういういわゆる緊縮政策をとるについては、失業者なり或いは社会保障諸費を相当要すると思いましたので、五%だけ増額はいたしておるのでございます。併し勿論それを以て足りるとは考えておりません。一応そういうふうにしてやつておりまして、その後の事態に徴していろいろやつて参りたいと考えておつたのでございますが、まあ只今のところどれぐらいかということはまだはつきりしませんが、応急必要な処置はそれぞれとることにいたしております。従いまして先般公共事業費と)各種の費用の使い方ついて、できるだけ失業者を吸収する措置をとるようにということを、先月でありましたが閣議決定をいたしまして、これを一般的に取り行うことにいたしております。それからなお、只今のところどれぐらいになるかわかりませんが、若し失業保険とか或いは社会保障施設等の事柄によりまして、社会保障費等の増加が必要となつて参りますれば、これは予算措置を伴うものが相当ございまするので、この予算措置についての分は、或いは今度の国会にでもお出ししなければなりませんのでありますが、只今のところまだそれほど緊迫した情勢ではございませんので、私どもが見るところ、つまり金の面で申しまするとそう緊迫した情勢では、ございません。それは恐らくこういうことから来ておるのではないかと思うのです。とにかく本年度の予算というものが、まだ五分増加した分が来年度三月までの分があるわけでございますが、それが只今のところ九月でございますので、従つて予算上の措置をすぐとらねばならんような問題はないと思つておりますが、併しだんだんこれが御心配になつておるような事態が加わつて参りますれば、予算上の措置を必要とするかもわかりません。必要としまするような事態が起りますれば、必要なる予算措置をとる考えでおります。
  80. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あなたは、三十二年度ぐらいからは拡大均衡だ、そのほうに転換するんだと、こうおつしやつたのですが、来年あたりからそろそろ、拡大均衡ということは言えるかどうかわかりませんが、失業対策という面から、例えば土木事業であるとか或いは鉄道の建設事業であるとか、道路の建設事業であるとか、こういうような方面にならば、これは建設的な金を出すのでありますから、消費とはちよつと違うのですから、これらの点は或る程度予算面を見て行つて、そしてここで失業者を救済して行くということはお考えになつておるかどうか、それを一遍……。
  81. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 或いはこれは予算措置でなく行くようなことも考えられます。例えば外資が入つて来ます。金を或いはそこに、公社というか、或る特殊会社を作ることによつてそういうことをやり得ることも考えられまするので、いずれにしましても失業者に対する措置は講じなければならんと思います。従つて予算措置で行くものは勿論予算措置をとる考えでありますし、予算措置でなくそういつたことで処置し得る分については、それらの方法処置したいと、かように考えております。
  82. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう時間がないからいいです。
  83. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは大蔵大臣に対する質疑はこれで終ります。
  84. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 では理財局長にお伺いしますが、例の大阪証券取引所の争議が近江絹糸の争議のように泥沼に入つてしまうと思つて心配しておりましたが、幸い片付いて結構だと思いますが、そこで、今まで余り証券業界には労働組合もないんだが、大阪証券取引所の争議を契機としまして、どこの取引所でも労働組合を結成された。で、今団体交渉に入つてつておるらしいのでありますが、新聞で見ますると。そこで、この大阪の証券取引所が争議に入つたときに、一週間来ああいうような取引所の状態でありましたけれども、これが東京の証券取引所であつたならばもつと影響も大きいだろうと思う。その後、東京や名古屋、神戸等の取引所において団体交渉が行われたと思いまするけれども大阪証券取引所の争議の解決と同じような条件、大体よく似たような条件を以てそれぞれ円満に解決するように進んでおるものか、それとも大争議に発展する、なかなか対立して解決しないような問題になるのか。その点について、一つ情勢として、あなたのほうもこれは調べて来なければ、兜町がストップしてしまうということになれば大きなことだと思います。それを調べておられるか、関心を持つておられるか、まあ一つその点伺つておきたいと思います。
  85. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今お話のように、今、大阪等のほかに、東京、神戸、名古屋京都の四カ所に組合が結成せられておるわけでありまして、そのうち東京は九月二日から団体交渉が始まつております。それから神戸につきましても八月三十一日から団体交渉が始まつておるわけであります。東京の組合の要求は、大体大阪と同じようなユニオンシヨップ制の採用、ニカ月分の生活補給金の支給でありますとか、或いは最低賃金制の確立でありますとか、そういうような題目が掲げられておるようでありまして、現在取引所の事務当局者と組合の間で、まあ円満といいますか、団体交渉が継続せられておる段階でありまして、勿論先般の大阪の取引所の争議のようなストライキというような事態まで至りまして、公正な、正常な証券市場の開設ということが阻害される、こういうような事態になりませんように、取引所の事務当局方面にも十分にいろいろ情勢も聞きますし、こちらからも指導もいたしまして、円滑に話が進むようにやつて参りたいと考えております。
  86. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、大阪の争議の際に、取引所の市場では取引ができないので、店頭で取引をやつておるということが新聞記事にも載つておりましたし、写真も載つておりましたが、あれは現在の証券取引法に違反しないのですか。ああいうときには争議の場合にはやつていいということになるのか。
  87. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) まあ大阪では、ストライキのために、殊に取引所の建物の中に、証券業者が、店員が入つて取引をする、こういうことができなくなりましたので、まあ証券業者といたしましては、お客の注文等がありますから、結局商売をするためには店頭売買ということで、これは非常に不便で無理なことでありますが、やらざるを得ないということで、八カ所に分れまして店頭売買という形でああいうことをやりましたので、ああいう形が、まあ証券取引法の百九十一条ですか、まあ類似市場、取引所外における市場類似の施設の開設ということに抵触するかということでありますが、それにつきましては、そういつたような場合でありますが、併しやはり法律違反というこをやることは面白くないということで、これは現地の財務局にも十分に注意をいたしまして、ああいうふうに店頭取引、これは勿論できることて亙りますが、そういう形てやつておるものが類似市場という域にまで達しないように十分監督させまして、まあ僅か七日間ばかりでありましたが、大体そういうような違反というようなことで問題にするという程度には達していないというふうに認めまして、特別の措置はとらなかつたのであります。
  88. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どうも先ほどから雑談の際に言つておつたのだが、法律は都合のいいように力の強い者は解釈するのだが、あれを読んで見ると、明らかに、建物の外でやつた場合には、これはもう類似取引と見倣さざるを得ないと思うのでありますが、しようがないと言つても、一旦争議というものが起つてしまつたわけですから、これは労働組合法から見て、何ら争議をやつていかんということはないので、都合のいいときだけは、七日間ぐらいだというので、一カ月も近江絹糸のように続いたということになると、あの程度のものは認めるという一つの前例になると思うのですが、これはどうですか。そういう方針ですか、今後……。
  89. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) まあこの取引所の建物といいますか、認められた市場以外の場所で集団的にいろいろな取引が行われる、こういう場合に、これを類似施設と言うかどうか、取締りの対象考えるかどうかということですが、これはやはり個々の場合を見てきめなければならんというふうに考えます。非常に微妙な、むずかしい、実際上並びに法律解釈上の問題があると思うのです。それで先般の大阪において行われました場合も、実情を見ますれば、類似市場として取締るという対象には考えられない。実際問題といたしまして、取引所が運行されておりまして、その取引所のほかに、別に市場ができる、同じようなものについて、いろいろな相場が立つ、或いは取締り、規制されない、いろいろな不公正不堅実な取引が行われまして、経済界を撹乱する、或いは当事者に迷惑を与える、こういうような問題が起る余地がないよううに、実際、取引所が開き得ないという実情に基いて、而も私どものほうは十分監督させましたわけでありますが、取引所類似施設とならないような、十分な制限を加えまして行いましたわけでありまして、今回の場合は抵触いたさないと考えておりますが、今後具体的にああいうような事態が起りまして、市場の建物外におきまして集団的に売買が行われるといつたような事態が起りました場合に、これをどう見るかということにつきましては、これはやはりそのときの個々の実態について判断いたさなければならないと思います。勿論それが経済界を撹乱するとか不公正な取引が行われるとか、或いは取引者に迷惑をかけるとか、業者についてもいろいろ、破産をするとか、不堅実な取引によつて迷惑をこうむる者が出て来る、そういつたような事態が起りますような、そういうような域に達しますものであれば、勿論これは十分厳重に取締らなければならないと思います。要するにそれ具体的の個々の問題につきまして判断して行かなければならない問題であるというふうに私ども考えるわけであります。
  90. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、証券取引所におきましては、去年の二月頃の取引高と比べまして、今日大分取引の数量も減つております。併しここ二、三年間というものは、相当栄えて来たので、取引所としても相当儲かつているのじないか。給与ベースをこの間、新聞で見ただけですけれども、発表になつているところを見ると、どちらかというと、まだ封建的と言つては言葉はちよつとおかしいかと思いまするけれども、昔の老舗制度、徒弟制度的な色彩は相当あそこには残つているのじやないか。超過勤務手当等についても十分或いは休暇制度、そういうものは殆んど今までできていなかつたのじやないか。こう思うのですが、それらについては或る程度あなたのほうも、今後はやはり労働基準法を照合して、これらの労務管理という面についても或る程度監督をされなければいけないと思うのです。これは労働省あたりとも連絡しておやりにならなければならないのじやないかと思いますが、この点も幸いにしてほうぼうで団体交渉が起つている際だが、調査されておられるかどうか、お聞きしておきたい。
  91. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 取引所の職員の給与に関連しまして、取引所の収支の状況など、長期的に見ますれば、取引高も殖えて、市場も大きくなつて来ておるわけでありますが、ただ取引所の経費というものは御承知のように証券取引所は会員組織となつておりまして、証券業者が集まつて、自分らが取引を行うために、市場を維持して運営しておる、こういう形になつております。従いまして、その経費につきましても、必要な経費に大体相応する程度、証券業者から取引高その他に応じまして、会費として徴収して、それを経費に充てておる。取引所みずからが独立の事業をやつて、それで益がある、こういう状態ではありませんで、大体必要な額だけ取るということが取引所の今の運営の仕方の本旨であろうと思います。ただ実際問題として、経費のほう、会費の歩合のきめ方等から、なかなかそういうような実情にいつもぴつたり合せるわけに行きませんので、或る程度利益があり損が出たりすることがあるのです。今回の今期の問題として、大阪取引所の例を見ますと、実はやや赤字になつておるというような状態になつておつたのです。従いまして今回給支上げをいたしますと、そういう財源の、いろいろこれから経費の節約をいたしますとか、或いはどうしても間に合わないという場合は、会費等のとり方について率を上げるとか、これから検討しなければならない問題があるわけでございます。それから取引所の職員の労働関係の状況等でありますが、これは勿論労働基準法その他労働法規に従つて行わなければならない、これは勿論のことであります。労働省、関係当局とも十分その点は平素から監督もしておられると思うのですが、なお取引所の職員の労働関係につきましては、それが証券業者等の場合に比べて、いろいろお話がありましたのですが、証券業者関係は、これは非常に御承知のような特殊な職業態様でありまして、外務関係の職員になりますれば、普通の事務職員とか、工場労務者とは違つたものがあります。併し取引所におきましては、御承知のように取引所を運営して行く、取引所の建物を維持し、市場の世話をする、清算整理をいたす、こういつた仕事が主体になつておるのです。一般事務職員と非常に違つたところはないわけです。さような意味におきまして、今のいろいろ世間で近江絹糸の例と比較するような新聞記事等も、ございましたが、実態におきましては、さようなことでありまして、御心配のあるような、非常な労働基準法違反の問題とかいつたような問題は現在のところないんじやないか、これは注意しなければなりませんが、そういうような特別な問題は取引所としてはないのではないかというように考ます。
  92. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に争議と関連して伺つておきたいのですが、一つは証券取引所における取引の手数料を、これは客のほうからすると高過ぎる、今のこれを五百円の、仮に額面の五百円株に皆してしまうということになると、あんな高い金は恐らくとれないのではないか。だから取引所のほうでは額面五百円というふうに皆変えるということを非常にきらつておるということを言われておるのですが、これは手数料の取り過ぎ、高過ぎるということが言われておるのですが、又こういう取引所の職員の給与改善が行われるというときには、すぐ手数料引上げということに持つて来る虞れがあるのではないかということが一つ。  次にもう一つ承わつておきたいのは、投資信託の期間延長、今度の投資信託の場合、恐らく額面を割るのではないかということを言われておるのですが、そこで額面を割つたのでは、あとの募集に差支えがあるから、この際期間を延長するという意見と、又場合によつては、投資信託の額面割りだけは何とかして避けようと思つて、内部操作といいますか、これは法律を見るとなかなかできないことにはなつているが、どうにか額面だけを維持するようにするという無理な操作が行われておるということじやないかとまで言われておるのですが、或る暴露記事によりますと、投資信託は危いのだということを盛んに、政界ジープという雑誌ですが、あんなもの、あんなものと言うと失礼ですが、あれを信用するのはどうかと思われますが、例えば日興証券の遠山会長なんか、まるで東京取引所を我がもの顔に龍断しておつて、あそこの金を何億というようにどうもごまかしておるらしい、政界ジープの連中は行つて対決したという記事を赤線を引張つて僕らのところに送つて来ているのですが、あれをそのまま僕ら信用したくないのですけれども、ああいうふうな問題が、事実、東京証券取引所の内部に何らかの風説として伝えられておるということも、全然火のないところに煙たたずで、ああいう雑誌屋、新聞屋は、存外ちよつとした欠陥を握つた場合には、大きく雑誌記事、新聞記事に取上げて、そうして折衝といいますか、言葉を換えて言うと、ゆすりに行くというか、そういうことが昔やられた。これは事実なんです。あの政界ジープがそうだとは言いませんけれども、わざわざ資料を送つてくれたのだから、そんなことは言いませんが、そういうことが昔はあつたのですが、だから全然ないところにそういうことは言いつこないと思うのですが、あなた方は、ああいう記事が出たということについて、ああいう社会には存外あり勝ちだと思うのですが、これらにつきまして調査される必要があるのではないか。事実無根である、全然ないのだということを言い切れるかどうか。どうもそんなことは我々の関知するところではないといつて調査をされていないか。この三つを理財局長或いは証券課長から聞いておきたいと思うのです。あとで問題になつて、大きな穴をあけてから、あのときはどうもということでは困ると思うので、やはり煙が立つた以上は、いつもあなたが品を開かれる場合は投資者の保護ということを強調しておられるので、大きな穴があかん先にやはり手を打つておかれる必要があると思うので聞いておくわけです。
  93. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 最初にお尋ねになりましたのは手数料の問題でありますが、これは現在の株式の売買の手数料がかなり割高で、顧客の側から言えばかなり不満があると思いますが、私どもはできるだけ引下げるように指導いたしております。現在取引の数量等から言いまして、取引手数料をかなり下げても証券業者が現実に採算が立つて行くという域には、なかなか行きかねるような事情にあります。なかなか思つたように引下げると申しましても参らない事情であります。それで、今回の取引所の争議、それに伴う賃上げ等に関連いたしまして取引手数料を上げるなんということは、全く考えておりませんし、その必要もないと思います。  それから投資信託の期限の延長等の問題でありますが、実はこの秋頃期限の参りまする投資信託、これを見ますと、現在の相場で行つて、現在の状況で見ますと、額面と言いますか、設定額の五千円を割るものがあるわけでございます。こういうものにつきましてどうするかということがいろいろと世間的な話題になつておるわけでありますが、私どものほうにはまだ会社のほうから、この期限を延ばしたいとか、或いはどうとかいうような正式な話は受けておりません。この問題といたしましては、やはり投資信託の期限におきまして、額面割りになつておるから値段が上るまで期限を延ばしておこうと、こういうような話でありますが、これはまあ先になりまして値段が上るか下るかということは、これは保証できるわけのものでありませんが、そういう趣旨で、ただ漫然と延ばすというようなことはやめてもらわなければならないと思つております。ただ額面割りのものを無理にそのまま期間満了にして、額面割りにして分配をすると、これは分配をするにはやはり現金が要るわけでありますから、その保有しておる株券を処分しなければならない。そういう時期になりますると、ますます処分がしにくくなる。そういつた事態になりまして、非常に証券界に混乱を起す。そういう期限が来たものを、無理にこれを満了させて処置をつけてしまうということによりまして、却つて非常な何倍かの副作用によりまして混乱を生ずるといつたような虞れがあるという場合には、これはやはりそこのところは少し繋いでおいて、平静な状態で、安定した状態で期間満了の時期が来るようなところに持つて来るというようなことは、あり得るだろうと思つております。すべてその満了の時期におけるいろいろ株界の情勢その他の経済情勢等も考えまして、そういつたような株界とか経済界全体から見まして、そういつた処置をとつて行く必要がおるというときには、特別にそういうことも考えていいのではないかという程度に私どもとしては一応考えておるわけであります。それから、その期限が来たときに、いろいろ収束するために内部操作によりまして額面に近いものに持つて行くようなことをやつておるのじやないかというようなお話でありましたが、これは実際問題としてもそういう操作をすることは非常に困難でありまして、殊に現在のような市場の状況では殆んど不可能と言つてもいいと思うのであります。又そういうようなことをやつておるというような事例も、私どもいろいろ注意はしておりますが、現在のところそういうことは認めておりません。やつておる事実は認めておりません。  それからまあいろいろ政界ジープの記事等につきましてお尋ねがございましたが、この記事は実は私どものほうにも送つて参りましたので、まあ一応見てみましたが、どうも、御覧になりましたなら十分御承知と思いますが、非常に抽象的な、抽象的というのは、漠然とした具体的でない、いろいろ悪口を言うような記事が非常に多くあるのですが、内容につきましてそういう事実があるかどうか、私どものほうで検討をいたすといたしましても、具体的の事実を殆んど指摘していないわけであります。それで、中に多少具体的に、取引所の資金を二億円ですか流用したというようなことが出ておりましたが、この点が唯一の具体的な点であろうと思いますが、これにつきましては全くそういう事実はございません。どこからそういうことを言い出したものか、書いたものか、これは全然見当もつかないような状態でありまして、大体におきまして、個人的に政界ジープの関係の者が好き嫌いからいろいろ言うということは、これは私ども関知したところではありませんが、証券業者に対する監督、或いは取引所に対する監督という点から見まして、こういう事実は取上げて十分調べて処置しなければならないというような問題は、あの記事を以ども見ました限り全くないと申上げてよろしいと思います。
  94. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう時間が来ましたから、私は簡単に一つ企業組合のことを、通産省の方がお見えになつておるようですから、お尋ねしたいのですが、大資本は捨てて置いてもひとりで食つて行ける。中小企業の人たちは弱いのですから、或る程度団結をさして、そうしてやつて行かなくちや対抗ができないというのが建前でございます。そこで協同組合法ができておる。併しただ単に組合法があつて、固まれ固まれと言つても、なかなか固まらない。そこで或る程度の利潤というのですか、加入した場合に若干の利益というものがなければ、個人的な利益というものがなければ、私はなかなか入つて来ないと思うのです。だから、例えば企業協同組合なら企業協同組合というものを作つて、そこで税なら税の負担が若干軽くなつて来たというような点がなければ、私は駄目だと思うのですが、それをそうじやなくて、あとになつて全部を根こそぎ持つて行くのだといつたら、企業協同組合なんというものは潰れてしまう、伸びないと思うのですが、振興部長はそういうものに対してどういうようにお考えになつておるか。この中小企業というものが団結の下に自己防衛をして行くということについてどういうふうにお考えになつておるか。それは例えば国税庁のほうとはどういう連絡をとつておやりになつておるかという点もお答え願いたい。
  95. 秋山武夫

    説明員(秋山武夫君) お説の通り中小企業者は非常に弱い立場にありますので、これを団結の力によつて企業に対する立場上強化をしてやるというのが根本方針でございますが、只今お話組合に加入した場合に利益を与えてやらなければ駄目だというお話は、誠に御尤もでございます。本来実は協同組合法というものは必ずしもそういう利益だけの立場から考えられておる思想ではないと存じますけれども、現実の問題として組合加入ということによつてやはり共同の利益を守るということを法文にも書いてあるわけでございます。これは当然のことであろうと思います。具体的に申上げますと、まあ極めて不十分でございますが、協同組合に対しては御承知通り商工組合中央金庫というものが最近では相当強化をせられまして、これが組合対象とするいわゆる系統金融というものも相当やつております。最近では共同仕入資金というようなものもかなり力を入れて融資をいたしております。それから細かい話になりますが、私どものほうといたしましても、共同施設の資本金というようなものを年々計上いたしまして、約四年間続いております。かなりまあそれをうまく活用をしております組合については効果を挙げておると信じております。只今お話企業組合と税関係の問題というものは、昨年あたり非常にやかましい議論になりましたわけでございますが、卒直に申しまして、現在ございます企業組合というものが、まあ協同組合法に規定せられましたいわゆる理想的な形の企業組合のみでもなかつたように我々にも見られます。或る種のものについては、むしろ税ということの利益まあこれを何と申しますか、担税力と申しますか、抗税力と申しますか、税の賦課せられることをけきるだけ防ぐということが殆んど唯一の目的で結成されたと思われるような企業組合も過去にはございました。こういうものについては、我々は必ずしもその考え方に賛成をいたしかねるのでありまして、一般の法人としての扱い、勿論そこには中小企業者なり或いはそれの団体なりというものについての特殊の考慮、配慮は当然必要と思いますが、そのためにあらゆる税組織に反抗してよろしいという議論にはならんと思います。その間にはおのずから常識的な調和点があるということで、大蔵省、主税局、国税庁とも十分連絡をいたしまして、又その結果、御承知通り各地には懇談会というような制度を設けまして、それぞれ業界の実情にできるだけ合うように、徴税当局の立場と企業組合の立場とを、第三者を交えまして、できるだけ適当な線に常識的に調整をするという行き方によつて、最近は相当これが円滑に動かされておるというふうに我々は考えております。従つてその限りにおいて、我々はやはり企業組合という制度をこれからも是非守り立ててゆきたいと考えております。蛇足でございますが、御承知通り資本と労働とを持ち寄つておりまして、会社とは違うのであります。会社でありますと、飽くまでこれは従業員対使用主というような対立関係になりまして、労働法規等の関係におきましても非常に窮屈に縛られます関係から、やはり零細企業については企業組合という制度が是非とも必要であるということを確信しております。
  96. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 国税庁のほうはどうですか。
  97. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 先ほども申上げましたし、又前回法律案ができます際に、衆議院のほうかと思いますが、たびたび私は見解を明らかにしておるのでございますが、私ども中小企業者が本当に健全な発達を図りますためには共同組織ということが必要であるということは、十分認識いたしております。で、税務の上におきましても、健全な企業組合が発展することにつきましては、少くとも税制の上におきましても、税務の運用の面におきましても阻害してはならないと、それはもう固く実は私ども考えておるわけでありまして、それを大前提にしてものことを考えることはいたしておるのであります。ただ先ほどちよつとございましたし、或いはさつきもちよつと例を申上げましたが、実際は共同経営でも何でもないのに、届出主義になつております関係からしまして、届け出てしまいますと、簡単に法人という形になつて課税の関係がまるつきり違つて来る、第一、事業税の関係がうんと違つて来る。それから所得税におきましても、給与所得になつたり一部は企業組合の利益になつたりしまして大分違つて来る。その辺のところが、さつきもお話しましたが、全く税を軽くするためにのみ恰好だけとろうとしておる。届出ということで形をとつておる。こういうものは、幾ら企業組合を優遇する、尊重すると申しましても、余りにも、又税の見地からしましてもおかしいのであります。これは一定の判定基準を設けまして、否認するわけじやないのですが個人の所得、個人の事業者と同じ課税にしよう、こういう考え方でいるわけであります。ただその限界がなかなか問題がございますので、限界を示すために先ほど申上げましたように基準というものを作つておりまして、これは三十六項目に亘りまして相当詳細な基準を作つております。その基準を作る際におきましては、先ほど申上げましたが、国税庁と主税局の部長又は課長、それから中小企業庁の部長さん、及び課長さん、それから商工会議所の代表者、全国企業組合連合会の代表者のかた、それから第三者といたしまして大学の先生その他四名でございます。これは名前を申上げてもいいのですが、一橋大学の田上教授、工業大学の磯部教授、それから弁護士さん、税理士さんといつたような人も加えまして、この基準を相当専門的に検討した上で作つたわけでございます。で、その基準を地方に流しまして、その基準に当てはまるかどうか、或いは細目の点につきましては更に国税局単位にやはり同じ趣旨の懇談会を設けまして、そこで否認する場合、つまり法人として認めない場合にはよく相談してきめるようにということでやつておりまして、そういうことによりまして私どももできる限り個々におきましては本当の企業組合は育成して行く、少くとも阻害しない。それから反対に誰にも認め難いというものは基準を立てて個人として扱う。こういう線を出しておるのでありまして、更に計画的に最初から脱税の目的でやつておると認められるものにつきましては、御承知通り非常に少数でございますが、刑事事件として告発し、訴追した件もございます。併しそれは非常に例外でありまして、大体におきましては、私ども企業組合は、今その条件の揃つていないものでも基準に合うようになつたら認める。そうすると経営の内容もおのずから共同経営という形になつて企業組合としてもふさわしいことになる。そういう点は私どももむしろそういうことに行くのが望ましいので、それを妨げようという考えは毛頭ないことをこの機会に重ねて申上げます。
  98. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私、時間が来てしまつて誠にほかのかたに申訳ないと思つておりますが、併し言うことだけは言わなければならんと思うのですが、平田さん、あなたが若し企業組合をここで一つ作つてやろう、こう思つて勧誘されるときに、あなたならどう言つて人を勧誘しますか、一番初めに言うことは記号…。
  99. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 御質問の趣旨がよくわからないのですが、企業組合には、中小企業なら企業庁が企業組合の利点ということを、経営の見地やいろんな見地から恐らくそういう点を、やはりお互いに別々にやつてゆくよりも一緒にやつたほうが一番いいのだという、それがやはり中心じやないかと思うのですが、お尋ねの趣旨がちよつとわかりかねますので、はつきりは……。
  100. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 具体的にいえば、あなたが企業組合一つ第三者で組織してやろうと思うときに、あなたは、こういう利益があるから一つ組合を作りなさい、こう言うんじやないですか。そのときにあなたはどういう利益があると言いますか、一番初めに……。今言つたように団結して当らなければならんという高遠な理想じやついて来ないと思う。こういう組合を結成させようというときに最初に言うことは何ですか。そのことが私は聞きたい。あなたが若しやろうとするときに……。仮定のことだからお答えられんとおつしやればそれまでですが、それとあなたの国税庁のやらんとすることとは矛盾がありはしないかと思うからお聞きしているのです。
  101. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 前国会でも申上げましたし、先ほども申上げましたのですが、本当に企業組合として実体を備えたいい組合ができれば、その結果、税が軽くなつても、これは私はとやかく言わんと、こう申上げておるのです。問題は実体が果して企業組合としての条件を備えているかどうか、これが問題だと思うのでありまして、単に税金を軽くするために仮想の組合ができたということでは、幾ら何でもほかの納税者との関係で見逃がすわけにはゆかん、それをきめようというのが実は企業組合に関することを法制化しました理由、それから或いは運用におきましても、私はそういうつもりでやつておるわけでございまして、それ以上はちよつと私からは申上げかねると思いますが、御了承願います。
  102. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 長官、私は不当な税のことを言うわけじやないのです。正しい計算をして、帳簿上いろんなものを整理して、正しい税金を出すのはこれは当り前のことなんです。そうして正しい税金を出すことによつて安くなつてゆくということも、これは法律で認められるから、当然のことだと私は思います。だから企業協同組合というものを作れば税金というものは安くなるのだということを私は説明すると思うのですが、そういう趣旨を言うと思いますが、若しそういうことを設立するときに言つたとすると、それはあなたのほうの先ず組合設立加入当時の実態調査の、設立加入の動機の第一点に引つかかつて来て駄目になる。ここにそういうことでお前は駄目じやないかと言つて、あれこれ突ついて誘導訊問して、こういう趣旨で設立しては駄目だ、こうあなた方は烙印を押して来るじやないか。
  103. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) お話のような動機でやられましても、企業組合の実体を備えた立派な組合であれば、問題にすべきでないと思います。
  104. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたは問題にすべきじやないとおつしやるが、こういう動機で設立されたからこれはいかん、そうしてそれを無理に署名捺印させてとつておる実例があるんですよ。
  105. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 私どもそんな簡単なことではやつていないのでありまして、後ほど必要があれば判定基準というものをお配りいたしても結構ですが、さつき申上げましたように、出資及び法人と社員間の資産の譲渡に関する事項、不動産、事業等の名義変更に関する事項、法人と社員間の賃貸借契約に関する事項、脱退時の清算をどうするか、法人の事業の経営をどういう方針でやつておるのか、事業所の経営の掌握、統制に関する事項、給与はどういうふうにきまつているか、収益をどういう形で処分するということにしておるか、大きく分けますと八つ、更にそれを細目で相当詳細にきめまして、三十六項目ございます。事実をよく調べまして、この項目で判定をする、その中で、三十六項目の中で、比較的この点は重要なものだ、この点は重要でない、若干差はございますが、主たる点は客観的によく事実を調べまして、その上で判定するということにしております。今お話のような簡単なことできめ、ておるわけではございません。これは固く申上げていいと思います。御了承願います。
  106. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は秋山さん、あなたにも聞いておつてもらつて、今後相当国税庁とやつてもらわなければならんと思いますが、実情では、実際の例で言いますと、こういうことを言つておる。お前のところは実際月々三十万くらいずつごまかしておる、だからそういうことを認めたものを書いて、書類に判を押せ、そうでなければ、お前らの家を一斉に家探しをする、だから判を押せと、こう言うのです。そうしますと、十人、二十人あるうちをずつと当つて行くわけです。そのうちの一人くらいは弱いわけなんです。そういうことをおつしやると、大変だと、こう思つて判を押すわけです。そうすると、それ見ろ、お前の二十人の組合の中にこういうのがある、だからこの組合はこういう人がおるから、組合全体が駄目だ、こういう烙印を押しておる、そういうやり方というのは、非常にけしからんと思います。
  107. 平田敬一郎

    説明員平田敬一郎君) 今の税務署の調査官吏の具体的のやり方の問題でありますが、どこの一税務署でどうやつたか、事実をよくあとでお聞きしまして、取調べた上で御返事いたします。
  108. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もこの速記録に誰がどこだということを言うのは、私は余り本意じやございませんから、一度長官に具体的な例をあとで申上げて、一ついい工合に善処して頂きたい。
  109. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この際、委員長にお取上げ、御勘考願いたいのですが、今日日銀総裁の更迭について、ちよつと時間もなかつたので、私、簡単に聞いたのですが、大蔵大臣から非常に大事な発言があつたと思う。言葉は短かかつたが、私は真意がつかめたから深く追及しなかつたのですが、最適任者でないと認めます。こういうことで、はつきりこの委員会で速記録に載つておる。今まで三期も勤めておるその日銀総裁を、時の大蔵大臣がそれは最適任者でないとこの委員会ではつきり言明したということは、私は重大だと思います。そういうように受取つた。これは座談の席で冗談を言つておる際でない、この委員会でそういう発言をした。今、何と言つてもこのデフレ政策というのは、日銀の金融引締めというのが一番大きな問題になつておる。そういう重大なときに、日銀総裁は最適任者でないと大蔵大臣が言つたということは、これはそれに更迭するとも何とも言つていないが、こういうときこそ最適任者にやらせなければならん。それを更迭するということも言つていない。これは軽卒な発言だと思います。従いまして次回の大蔵委員会を開かれる際に、この問題について一つ我我としては相当これは検討して、今日は大蔵大臣発言として一応あれしますけれども、この次には日銀総裁の御出席を願いまして、大蔵大臣にも来てむらつて、よくお聞きしておきたいのであります。これは委員長もこの点は御了解願えると思います。あんな発言をしてさつさと帰つてしまつたけれども、僕は今日は時間もないので席を外しておりましたが、もう少し時間があつたらこの点を聞ておきたいと思いましたので、次回のこの委員会の日程を事務局のほうから廻して来ましたが、そのときは日銀総裁に御出席つて、最適任者でないと言われておるがどこがそうなのか、どこが工合悪いのか、こういう大事な時期に、日銀総裁が最適任者でないと言うのはけしからん。それを便々と放つておくという政府もおかしい。それなら、最適任者でないなら、やめさせる手もあるが、それを打つまでもないということがどうか。これは日銀法も一つ調べまして、この次に御質問したいと思います。お取計らい願いたいと思います。場合によりましては、大蔵委員会の決議として、これはもうこんなときに更適任者を置かなければならんので、場合によりましては、私は日銀総裁更送についての本委員会の決議なり何なり、提案したいと思いますが、この委員会は丁度衆議院の決算委員会みたいになれば面白いと思う。あれを一つ取上げれば今日大荒れに荒れるところだが、この委員会では、取上げて手を挙げるときはさつぱり駄目だ。この点は委員長一つ肚を据えて御勘考願いたいと思います。
  110. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) よくわかりました。  それでは本日の委員会はこの程度にいたしますが、次の当委員会は、各委員の御意向等もよく考えまして、大体十月十二、十三の両日午前十時から開きたいと思いますが、その日時につきましても御了承願いたいと思いますが、議題等につきましては又皆さん方の御希望をそれまでにお申越し願いたいと思います。  それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後一時三十七分散会