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1954-02-02 第19回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二日(火曜日)    午前十時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大矢半次郎君    理事            小林 政夫君            菊川 孝夫君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            松永 義雄君   政府委員    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   説明員    農林省農林経済    局農業保険課長 久宗  高君    通商産業省企業    局援助物資課長 若江 幾造君   —————————————   本日の会議に付した事件資金運用部特別会計法の一部を改正  する法律案内閣送付) ○製造たばこ定価決定又は改定に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○米国日援助物資等処理特別会計法  等を廃止する法律案内閣送付) ○農業共済保険特別会計歳入不足  を補てんするための一般会計からす  る繰入金に関する法律案(内閣送  付)   —————————————
  2. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) これより第三回の大蔵委員会を開会いたします。  資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案予備審査)及び製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案予備審査)、右二案を一括議題として、提案理由説明を聴取いたします。
  3. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今議題となりました資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案外一案につきまして提案理由を御説明申上げます。  従来、政府暫定措置として資金運用部特別会計決算上の剰余金については、毎年度予算の定めるところにより、一般会計歳入に繰入れることができることといたしておりまして、又、郵便貯金特別会計歳入不足を補填するためには、一般会計から、予算の定めるところにより、郵便貯金特別会計歳入繰入金をすることができることとしていたのであります。併しながら、昭和二十九年度以降においては、経理手続簡素化を図るため、当分の間、資金運用部特別会計決算上の剰余金を、予算の定めるところにより、郵便貯金特別会計当該年度における歳入不足額を限度として、資金運用部特別会計から直接郵便貯金特別会計歳入に繰入れることができることにしようとするものであります。  なお、今回の措置による繰入金につきましては、一般会計から郵便貯金特別会計に繰入れられたものとみなし、これまで一般会計から直接繰入れられた分と共に、後日予算の定めるところによつて一般会計に繰り入れることになつております。  次に、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その理由説明いたします。  この法律案は、日本専売公社製造たばこ最高価格を定めている価格表のうち、両切紙巻たばこピース最高価格を十本当り五円引上げて、四十円から四十五円に改定することを内容とするものであります。これは、今次の税制改正に応じて、直接税の軽減のための財源の一部の確保を図らんとするものでありまして、一部高級酒類の値上げと対応して、高級たばこであるピース定価引上げ、これにより、約四十五億円の専売益金の増加を見込んでいるのであります。  以上がこの二法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、速やかに御賛成下さいますようお願い申上げます。   —————————————
  4. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、米国日援助物資等処理特別会計法等廃止する法律案について内容説明を聴取いたします。
  5. 若江幾造

    説明員若江幾造君) このたび米国日援助物資等処理特別会計法等廃止する法律案を提出いたしましたにつきまして内容の御説明を申上げます。  この特別会計法昭和二十五年に制定されまして今日に至つたものでございますが、現在この米国日援助物資等処理がほぼ完了いたしまして、米国日援助物資等処理特別会計設置の目的が達成されましたので、本年度限り同会計廃止いたしまして、同会計資産及び負債一般会計に帰属させる等所要の措置を講じたいと思う次第でございます。  この法律廃止と同時に、これに関連いたしまして、昭和二十七年に、一般会計歳出財源に充てるために本特別会計から四十億円を繰入れました法律と、それから同じく二十八年に十三億余円を繰入れました法律も同時に廃止して頂きたいと存ずる次第であります。  この廃止は四月一日から施行するということにいたしたい。第二点には、本特別会計の二十八年度分の収入支出並びに二十七年度及び二十八年度決算に関しましては、従来の例によりまして、特別会計として処理をいたしたい。それから第三点といたしましては、この特別会計法廃止される場合に、米国日援助物資等処理特別会計に属しております資産及び負債は、この法律施行の際、一般会計に帰属するものといたしたい。それから第四点といたしましては、この一般会計に帰属するもののほかに、本特別会計の二十八年度出納完結の際同会計に属する資産及び負債は、出納完結の際に一般会計に帰属するものといたしたい。第五点は、これに関連しまして、米国日援助物資等処理特別会計という文句が諸種の法律の中に入つておりますそういう法律からこの字句を削除いたしたい。これに関連して通商産業省設置法の一部を改正いたしたい。  以上のような内容でございます。
  6. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 質疑を願います。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 この提出されておる資産資料についてちよつと説明して頂きたい。
  8. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 資料説明でございますか。お手許に配付いたしました資料といたしまして、一つは、一般会計に帰属する予定資産及び負債内訳表、それからその次に二十四年度から二十八年度に至ります収支総計表及び各年度収支表、二十五年、二十六年の米国日援助物資主要品目受入調査表、以上の資料をお手許に届けております。  最初に、一般会計に帰属する予定資産及び負債内訳でございますが、資産といたしましては……。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 ちよつと、ここに品目がいろいろ挙つていますが、こういうものがこれだけ残つておることについて、果して処分できるか、処分するとすればかなり減価をしなければならないというような点にも触れて説明をお願いいたします。
  10. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 先ず物資でございますが、物資として本年四月に一般会計に引継ぐ予定のものといたしましてマニラ麻医薬品がございます。マニラ麻は残り五百三十四俵でございますが、これの処分につきましては、相当値下げしまして、近々四月に繰越しまして間もなく処分できる見込でおります。その価格がここに掲げましたように一千百八十五万二千三百二十七円の見込でございます。それから医薬品と申しますのは、昭和二十五年に輸入いたしましたテイビオンといいます結核薬でございまして、これは日本人の使用にちよつと適しにくい、と申しますのは、一つの粒の含有量が、日本人服用量よりも多少多くございまして、これをもう一度製剤し直さなければならない。或いはテイビオンそのものが副作用が強くて適当でないとか、そういつたことから非常に売却が困難でございまして、一般会計にそのまま引継ぐことを予定されておりまするが、今の計画では厚生省にうんと値引きいたしまして引取つて頂く、そういう計画を進めております。その価格は九百七万なにがしでございまするが、厚生省で買つて頂く価格としましては恐らく五、六十万円ぐらいになるのじやないかと思つております。  それから次に未収債権でございまするが、これは公団から四十一億円余の債権を引継ぎまして、今日まで回収に鋭意努めまして、この表に挙げましたような四億一千九百万円というのを繰越すというふうな予定になつておる次第でございまして、残つたものにつきましては、相当回収が困難ではございまするが、少くとも二億円程度はここ四、五年のうちには回収できるという見通しを持つております。品目別に掲げました通り内容でございまして、これには商品代及びそれに伴う延滞利息等もおおむね計算して出ております。  それから次に、もう一つ資料収支総計の表に移らして頂きます。  本特別会計昭和二十五年度から開始したのでございまするが、二十四年度貿易特別会計援助物資勘定として経理いたしておりましたので、その収支の尻を本会計が引継ぎまして、内容的には二十四年度からの収支表がそこに出ておるわけでございます。で収支総計といたしまして、二十四年度から二十八度現在までの総計をいたしますると、歳入の面でございますが、援助物資等関係収入が三千三百十八億一千四十九万七千六百六十五円八十七銭というふうになつておりまして、一方歳出が、援助物資の諸掛が百六十七億九千四百五十六万五百四十五円三十七銭、それから諸支出金、諸支出金と申しますのは、これは援助物資売払収入からの払戻金、或いはほかの会計、例えば本来貿易特別会計歳入にすべきものを誤まつて援助物資特別会計歳入に受入れたといつたような場合、これを繰戻す、そういつたようなものが諸支出金内容でございまするが、これが二十八億一千七百九十八万九千百六十一円七十一銭、事務取扱費が三億五千五百五十八万六千九百六十八円三十三銭、見返資金への積立が三千六十五億七百七十万八千九百九十円四十六銭、それから一般会計繰入、これは例の繰入金法律によりまして二回に亙りまして繰入れた額でございまするが、五十三億三千四百六十五万二千円、歳入歳出とも三千三百十八億一千四十九万七千六百六十五円八十七銭というふうになつております。各年度収支御覧になつて頂いた通りでございます。  次に、最後エロアガリオア主要品の受入れの調査表でございますが、これは本特別会計が二十五年度から経理しております関係上、二十五、二十六と両年度について記載いたしました。このエロアガリオア資金は、御承知のように、一九五一年の六月で打切りになりまして、その資金によります最後物資は、一九五二年、昭和二十七年の二月に入庫いたしましたものが最後でございますので、この表のように二十五年度と二十六年度と両年度を挙げたわけでございます。御覧のように、一番大きいのは綿花でございまして、総額三億八千六百八万五千ドル中の四六・二三%を占めております。それから続きまして食糧関係が三二%程度になつております。  以上概略説明を終らせて頂きます。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 残つておる物資は僅かですが、これは勝手にこちらでデイスカウントしても差支えないのですね、それと見返資金との関係はどうかということが第一点。それから未収債権、それが若し回収不能に陥つた場合は一体どういうふうな日本側において責任になるのか、その点を伺いたい。
  12. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 第一点の御質問ちよつともう一度お願いいたします。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 第一点は、援助物資、残つておるのは僅かな品目ですが、二点しかないのですが、これは売れないからといつてデイスカウントしますね、割引きして出しますね、そういうことはもう今となつては勝手にできるのかどうかということです。
  14. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 第一点でございますが、援助物資入庫いたしましたときにその受入額を積立ていたしておりますので、すでに今在庫しております品物金額は見返資金に積立て済みでございます。従つてこれを値引売却いたしましても何ら差支えございません。政府の一存でできるわけでございます。  それから第二点の未収金回収不能のものにつきましての措置でございますが、結局回収できないというのは、その売払いました先がもう事業をやめておるとか、或いは個人でありまして、全然住所が不明になつてしまつておるとか、そういつたような事情のものでありまして、これにつきましては、こういつた債権の整理を大蔵省方面でお考えになる場合に一括御考慮願いたいと思う次第でございます。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとこの未収債権のほうも、もうすでに今のような経理方法だと、入庫と同時に見返資金に繰入れてあるとすれば、これを回収不能ということで償却するとすれば、それは結局国の損だということに見ればいいというだけですね。
  16. 若江幾造

    説明員若江幾造君) そういうふうに解釈してよいと思います。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 重ねて言つておきますが、今のお話を聞くと、例えば結核剤テイビオンというものは日本人には向かない、従つて割引をしてうんと安くしなければならん、見返資金のほうに立つた額よりもうんと安くなる、こういうことであれば、今いろいろ問題になつておるが、見返資金というものは債務と心得ると、こういう場合に、その債務である見返資金支払というような際には、そういうことも支払額を減額してもらう一つ理由にはなるということは言えますか。
  18. 若江幾造

    説明員若江幾造君) こういつた未収債権、若しくは在庫物資売却した金額は、従つて現在出ております剰余金に更にそれだけプラスになるわけでございまして、すでに見返資金そのものの額だけは別個に積立てておるわけで、それ以後のこういつた物資売却剰余がそれだけ殖えるというように考えております。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 これは剰余が殖えるという、そういう見方からすれば、それだけ余分に金が出ているのだから、その間において値引きしてもいいし、剰余額を減らせばいいという考えは、特別会計を管理しておるその頭から言えばそうかも知れないが、実際問題として、援助物資として入れてもらつたけれども、その単価は当時のアメリカならアメリカで適正な価格というか、市場価格で恐らく積立てられた。ところが日本ではそれが向かないからこれは相当手を加えなければならん、手を加えるだけは値引きしなければ売れない。折角援助してもらつたけれども、日本人には直接使えないというものがあるとすれば、当然債務と心得て支払いをするというような場合には、その債権の割引きを申出るのが当り前だと思う。剰余があるということは、恐らく何がしかの事務費、その他の輸入価格といいますか、入庫したときの、アメリカにおいて買付けた物資にその入庫までの諸掛を加えたものに、更に国内における配給諸掛というようなものを加えて、国民がそれだけの負担をして恐らく買つておるわけなんです。だからアメリカへ払うというような場合においては、そんな使えないものか、或いはアメリカの市価よりも安くしなければ日本ではけないというものについては、それ相当のデイスカウントをした値段で評価されて然るべきだと思いますが、その点はどうでしようか。
  20. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 御意見通りだと思います。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 これは今度廃止して、その残余事務はどこで継承するのですか。
  22. 若江幾造

    説明員若江幾造君) この一般会計に引継ぎましてからの事務も従来通り企業局の中で単一の課として処理する予定でございます。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 関連して……。今の説明の中で、未収債権四億一千九百万円で、そのうちで、もう中には商人が倒れてしまつておるとか、行方不明になつておるとかいうものですが、そうするとあなたの今の話では、五年以内にこのうちの約半額二億円くらいは回収できるだろうということで、あとの二億円くらいは損になると、こういうお話だと受取つていいのですか。今説明した中で、四億一千万円のうちで、二億くらいは五年以内に大体回収できるだろう、あとは丸損と、こういうことになるわけですか。
  24. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 五年程度回収できるのが二億円ほどと見積つておりまして、更に十年後或いは十五年後にはもう少し回収できるという意味でございます。といいますのは、この未収金回収の手段といたしまして、裁判上の和解に持込んでおりまして、その結果和解最終期限が十年後或いは十五年後というふうなものも中にはございますので、そういつた意味で二億円は五年程度回収見込でございますが、更に残額については全部駄目だということの意味ではございません。そういうふうに御了承願います。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、まあ四億だとか二億だとかいうと、えらいこの頃お互に軽く申しますけれども、それは一兆円の予算の中で四億だとか二億だとか言つたら大したことのないように考えがちでございまして、今日割合に軽々しく多くの金を考えるような傾向がありますけれども、これは一体販売する場合に誰がどういう……、契約書を取つたり或いは保証金を取るなり、或いは担保を取るとかして品物を渡してあると思うのです。そのときの契約をした誰か責任を負わなければならんと思うのです。未回収になつてしまつたもの、五年も十年も、或いは二十年というような関係で売渡しておつたのではないかと思う。これは一体どこが責任をとるのですか。僅か二億ぐらいだからそんなものと言えばしまいですけれども、国民の、税金を払う我々の考えからすれば、二億というものは大きなものだと思う。それを取り込んだものは、一体競売してこういうものは処置をしたのか、それとも今問題になつているようないろいろの運動によつてこういうものが売渡されたものか、どうして処理がされたのですか、こういうものができたのですか。
  26. 若江幾造

    説明員若江幾造君) この表で御覧のように、一番金額の多いのは原皮、次いで麻、これがおのおの一億三千万或いは一億一千万といつた数字になつておりますが、これの未収金発生理由といたしましては、原皮の場合には貿易公団時代売却方式でございますが、大体割当先をきめまして、二割の契約金をそのとき徴収いたしまして、それであとの八割は品物を工場に持込んだときに引換えに領収するということにしておつたのでありますが、実際上その品物を見た結果、業者はこれは約束違つて品質が悪いとか、その他いろいろな事情を申述べまして、或いは金繰りの困難その他から現金をそのとき出さない、支払わない、ところが折角品物を持つて行つたからその場へ置いて来た。で後日八割くらいで請求をしたが、未収で今日に至つておる。そういう貿易公団時代売却方式禍いをなして来ておるわけであります。麻につきましても、この麻の業者は非常に規模的に言いまして小さい業態でありますので、それも統制時代各個割当の結果、資力の点をさほど見ずに一斉に割当した。でやはりCODの原則が公団時代には十分徹底していなかつたという点で、そういう点でこれは売掛になつてしまつた。そういうことで発生したものでありまして、勿論そういう売掛を作つたという責任はあると思います。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはやはり今やかましく言われておる汚職問題と関連があると思うのですが、そんな品物を持つて行つて、素人が考えても、因縁付けられた、悪いというなら、悪いというので値下げをするとか或いは何とかして処理しなければならんのに、公団のようなお役人商売役所がやつてつたからろくなことをやらんという一つの現われだと思うのです。金は小さいからいいと言うけれども、国民の、普通の人間から考えても御覧なさい。一億何千万円というものが未回収になつて、十年先に取れるというようなことを言つても、十年たてば世の中は今日と変つてしまう。これは払いつこはない。裏で利権屋が跳梁したりして、お役人商売の弱点を衝かれた一つの大きな欠陥だと思う。そんなことばかり出て来て、そうして税金を取られるものばかりひどい目をする。私はそういうふうに思いますが、貿易公団というのもでたらめだ。自分商売つたらあなた考え御覧なさい、自分企業をやつてみたと考え御覧なさい、そんなことはできつこないと思う。品物を渡して金と引換えだと約束をしておりながら、持つて行つたからそのまま置いて来た。そんな馬鹿なことが国会の答弁として……、録音にして放送して御覧なさい。何をやつているのだ、そうすると結局は税金を納めるのは馬鹿らしい、強いもの勝だということになるわけです。一体先がわかつていますか、どこの誰が、何という個人がそういうことをやつているのだということ、これを一つ明らかに出してもらいたい。収めておらないのはどういう男だ、名前もこれは出せますか。それから当時の責任者担当者は誰がやつたのかということ。
  28. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 未収金の台帳はできておりますから……。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしてその担当者は誰で、今その男はどこに勤めておるのかということを出して下さい。そこまで責任追及をしなければ駄目だと思う。大蔵省の何課長になつて、今どういうところにいるか、担当者はあると思う。役所の局長、課長という者は無茶苦茶に判を捺しておるけれども、判というものは責任を持ちますという判だと思います。
  30. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 担当者としましては、公団時代担当者は我々通産省として直接は知りませんので、できる限り調査いたします。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしてそれを全部出して下さい。その担当者は今どこにおるかということ、今度参議院で今運営委員会でも問題になつておるのですが、官庁のこうした汚職事件が次から次へ発生するから、特別委員会でも設けて徹底的に洗おう、根源を絶たなければならん、参議院の立場からやろうとしておる際に、こういうことは見逃しにするわけには行かないので、私は詳しくどこの会社が金を払わんのか、それからそれを担当した当時の担当者は誰であつたか、その担当者は今どこへ行つておるか、それを一つ詳細にお出し願いたいと思います。出せますか。
  32. 若江幾造

    説明員若江幾造君) どこの会社へ幾らの未収があるということは私のほうで調査完了しておりますからすぐにでも出ます。ただ担当者は誰で、いつどういう事情でそうなつたというその点につきましては相当時日を要すると思います。
  33. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは証拠書類というものはあると思います。債権として残る以上は、証拠書類には判を捺してあると思います。お役所仕事になつているのだからどうせ盲判でしようが、十や二十の判はついてあると思います。そのうちの責任者という者ははつきりいると思います。
  34. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 極力調査いたします。
  35. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 極力ではない、それがしつかりできていないというのに、債権といつて挙げておいてもしようがないじやないですか。
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちよつと今の菊川委員お話の中で、大蔵省というお言葉がございましたが、大蔵省は直接やつておりませんので、通産省から御説明申上げております。その点をはつきり……。
  37. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 通産省は大体新聞でもいろいろのことを書かれてえらいぞとは思つていたのだけれども、やはり突ついて見るとこういうだらしのないことをやつているのだから、言われるのは当り前なんです。読売新聞なんか去年から悪口を書いていた。どうも伏魔殿伏魔殿だと言つていたが、こういうことなんです。だからこういうものは特に洗つておく必要がある、責任感を持たなければ駄目です。これは一つ必ずお出し下さい。それまではこの法案は通しませんから。
  38. 小林政夫

    小林政夫君 もう一点、この特別会計廃止するに当つて従来の特別会計の問題に触れるごとに問題になつておりますが、見返資金、これが三千六十五億あるというのだが、アメリカ側に対して債務と心得る額ときちつと合つておるのか合つてないのか、その点をはつきりと……。債務として払うとすれば、これだけの金のつき合せは検討されたのですか。
  39. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 見返資金の額を債務として返すのかどうか、そうしてそのつき合せはどうかという御質問と思いますが、その見返資金に積立てました金額については、日本側アメリカ側との意見が一致しております。ただいわゆる債務として返す場合に、例えば西独方式なんかによりますと、三分の一とかいうことになつておりまして、この八億四千七百万ドルの三分の一というようなことになるのか、或いはそうでなしに、八億四千七百万ドルは結局昭和二十四年四月以降の分でございますので、それ以前の分も何らかの方法で計算いたしまして、例えば西独方式によりますと三分の一であるから何億ドルという、そういう計算になりますのか、その点は私ども存じませんが、いずれにしろ見返資金に繰入れましたその金額については、日米間の意見は一致しており、債務償還を考える場合の内容の一部になるだろうと思います。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると今の三分の一返す云々というような問題は別として、事務的な数字としては、二十四年の四月でしたか、その四月以降の援助物資をば換価したものということについては、見返資金に積立ててある額でちやんと日米間では合つている、その以前のものがどうもよくわからんというだけですか、今の説明でそう取つていいですか。
  41. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今通産省援助物資課長が申上げました通りに、一応積立てた額につきましては双方で確認をいたしておるのでありますが、今後この額をそのまま債務としていわゆる返済をいたすかどうかというふうな問題につきましては、挙げて今後のいわゆる外交交渉に委ねられるわけであります。一例として西独方式等も只今申された通りでありまして、小林委員がおつしやいました通り、問題は単に二十四年四月以前の分だけが問題として残るのかというお言葉に対しましては、私どもといたしましては、積立てた額をそのまま債務として認めるかどうかということも今後の問題として残つていると思うのであります。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 それは私がさつき医薬品の問題で若江援助物資課長に言つたように、日本としてそのままの値段では受取れないというものもありましようから、払うとすればいよいよ債務と心得、確定債務として確認するのには数字的には検討を要する点も多々あるし、又どのくらい払うかということも外交折衝でありましようが、一応援助物資として受入れたものを換価した、向うの言い値通りに換価したものとしては、二十四年四月以降のものは見返資金特別会計に見返資金として計上されておる金額で間違いがない。こうなつて、その以前のものがよくわからないということで了承していいですか。
  43. 若江幾造

    説明員若江幾造君) その通りでございます。
  44. 松永義雄

    ○松永義雄君 前回の委員会で愛知政務次官にこのことを質問して要領を得なかつたのですが、これは一遍外務省を呼んで頂いて、外務省の態度というか、心掛けを一つ聞いてみたいと思うのです。イタリアは免除しておる。西ドイツは条件が付いている、債務を認めておる。然らば一体日本はどういうような取扱をこれから受けるか。その結果によつてアメリカ日本に対してどういう程度の気持を持つておるかということがはつきりするであろうということなんです。その点をこの前愛知政務次官にお尋ねしたのですが、要領を得ないのでそのままに終つた、時間もなかつたものですから外務省を呼んで頂く暇もなかつた。目下交渉中でしようが、どういうふうな結論が出るのかわかりませんが、その結果によつてイタリア、西ドイツ、日本に対してアメリカがどういうふうな気持を持つて見ておるか、それが極めて重大であろうと思う。今日ここで御質問をしてみたところでお答えを得ることは困難だと思うのですが、直接外務省でもいいし、関係官庁でもいいのですが、どちらか一つ最近の機会にお答えを願いたい、希望をいたしておきます。
  45. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) さよう取計います。
  46. 小林政夫

    小林政夫君 二十四年四月以前の援助物資額、見返資金相当するものがおよそ推定でどのくらいあるということは見当つきませんか。
  47. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 二十四年四月以前の分は、日本側資料としては全然よるべきものがございません。と申しますのは、外貨と日本の円貨と両方の勘定が全然分離されておりまして、外貨勘定は司令部のほうが日本側に全然知らさずにやつておりましたし、そういつた関係からその当時の資料を見ましても、輸入物資資金別が明らかになつていない、そういつた点でどうしても二十四年四月以前の分についてはつかめないのであります。ところがアメリカ側資料といたしまして、旧司令部が終戦直後からジヤパニーズ・エコノミスト・スタテイステイツクスという、日本の経済統計という名前で統計をとつておりまして、その中にアメリカン・エイドという項目の数字がございます。それによりますと、終戦後一九五二年六月までのアメリカン・エイドのトータルが二十一億四千万ドル余り、正確に申しますと二十一億四千十四万五千四百五十二ドル、こういうふうに出ております。この数字につきましては、いわゆるガリオアエロア以外に軍払下げの物資の額とか、そういつたものも入つておると認められまして、一応向うの、アメリカ側考え日本への援助の総額である、そういうふうに我々は見ております。内容につきましては相当検討を要すると存ずる次第であります。
  48. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちよつと課長にお伺いしたいのですが、さつき小林委員からの質疑に対して、今の医薬品のごとき損金に対しては、債権債務関係上、アメリカへ損したものは値引を要請するのだという御意見であつたと思うのですが、そう解釈してよろしいですか。
  49. 若江幾造

    説明員若江幾造君) ガリオア物資の総額に対して、それを債務として幾ら返すかというその場合に、値引を要求すべきであるという小林委員のお説だと思うのですが、私としては御意見通りだと存じますが、併しそういつた交渉は今後の問題でございますので、もつと政治的な観点から見るべきことになるのじやないかと存じますので、私自身は御答弁をいたしかねます。
  50. 土田國太郎

    土田國太郎君 今のお話課長個人お話であるということで、正式のものではない、こういうことに了承してよろしいわけですか。
  51. 若江幾造

    説明員若江幾造君) そう御了承願います。
  52. 土田國太郎

    土田國太郎君 もう一つついでにお伺いいたしますが、余つた金はどうなるのでございますか。この損金を向うへ負かす、値引を要求するということであれば、プラスであつてもマイナスでも理窟は同じわけなんで、余つた金は向うが引揚げると言つたら渡すのですか、あなたのほうは。
  53. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 余つた金は一般会計へ繰入れいたしますので、その金額について米国側から返還の要求があるとは思われません。
  54. 土田國太郎

    土田國太郎君 そうすると、日本政府は儲かつた金は取つておくんだ、損した金は向うへ負かすんだ、こういう結論になりますが、それでいいですか。
  55. 若江幾造

    説明員若江幾造君) それは今後の交渉によると思うのですが、私の個人考えではそういう結果になります。
  56. 土田國太郎

    土田國太郎君 そういう勘定は誠に日本の利益になるんですがね、そういうことは通りますかね。
  57. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは実はそこまで土田委員の御質問に対しまして資料を持つておらないのでございますが、先ほどの小林委員援助物資課長との話は、一応ここでブツク・バリユウでも挙げておりますものが、日本人の体質に合わんということで大いにデイスカウントする、そういう場合に向うにもその点をコンシダレイシヨンとして申出るべきじやないかという御意見だと私は伺いましたが、政府のやる仕事がだらしないと先ほどお叱りを受けたのでありますが、ブツク・バリユウ以上に儲けるということは政府としては余り考えていないかと思うのであります。大体ブツク・バリユウを基礎にいたしまして、その実費の事務費をプラスしたもので処分するというのが、大体官業のやり方かと存じます。従いまして只今土田委員の申されましたように相当儲けておるというふうなケースは余りないのじやないかというふうに考えられるのでありますが、この点につきましてはもう少し資料をよく検討いたしませんと、はつきり確言はいたしかねますが、大体そういうことではないかと思つております。
  58. 小林政夫

    小林政夫君 どうも意見に亙つて土田さんに少し誤解があるように思うのですが、はつきり土田さんに答えるつもりで申上げるのですがね、要するに対アメリカ日本との関係において、実際日本の経済復興或いは民生安定に役立つ物資を入れてもらつた、こういうものは債務に心得るべきだ、が、それを国民に配給する配給には有償配給ですから金を取る、その場合に政府は本来儲けて配給する趣旨ではないので、実費弁償的に諸掛りをかける、たまたまその諸掛りの見込違いで剰余金が出る、こういうふうに解すべきであつて、デイスカウントしなければ、非常に、経済復興或いは民生安定には日本には不向であるというようなものをアメリカのほうがそのままで計上するのは如何かということなんです。併しこれはどうせ外交折衝となつて、見返資金をどれだけ返すかということになれば、そんなちつぽけな金が問題なのじやなくして、今の三分の一払うとか大きな話になるわけですから、まあそのときに座談的に持出す話として、日本人に向かないものもあつたじやないかというようなことを言つたらいいので、そう計数的に突き合せてぎゆうぎゆうやるべき筋のものじやない、こう思つております。
  59. 土田國太郎

    土田國太郎君 私は金銭を云々する意味じやなくて、経理方法の原則を伺つたわけなんです。そう小さなものをつかまえて日本が損だ得だということでなく、余り手前勝手なことをしてもいいのか、こういう意味でお聞きしたわけですから。
  60. 若江幾造

    説明員若江幾造君) 私の説明が足りなかつた次第でございます。先ほど大蔵省の正示次長から言われたように、たとえ利益を得るにしてもブツク・バリユウに事務取扱費その他諸掛りを加えた程度のもので売却をいたしておるのでございます。勿論官業でございますから、利益追求は本意でございません。その点御了承願いたいと思います。
  61. 松永義雄

    ○松永義雄君 これ又一つ御仲介になつて外務省方面の御意見を聞いて頂きたいと思いますが、この援助物資の解決について、それはただ単に日米間において経済的にのみ行われるのかという点です。それはなぜそう言うかというと、或いは私の言うことが間違つているかも知れないが、ドイツの解決はEDCの交渉の前に行われたのではないか、そうしてドイツはポリシー・フオースを拒否しておる、その間に交渉が行われて、まあ条件が付いて解決したというと、ドイツの頑張りによつてでもありましようが、一応経済的にまとまつたのではないかというような感じがするのです。ところが現在MSAの援助についても交渉中である。何かそこに政治的な意味が混じるような虞れはないかという疑問を持つ。国民として若しそういうことがあつたのでは非常に迷惑である。なぜ又そう言うかというと、アメリカの態度はまあ一応合理的、ギブ・アンド・テークならいいけれども、過重な若し責任日本に負わせるようなことにこのエイドの交渉について行われるというようなことになつたら極めて重大だ。まあ外務大臣に一応我々としては御注意申上げて、それで質問したいことは、ただ単に経済的にこれを解決されるのかどうかという点です。
  62. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 松永先生の御質問に私お答え申すのは、或いは適当かどうか存じませんが、まあお気持は私もよくわかるのでありまして、やはりドイツが、或いはイタリーの例を先ほどお示し願つたのでありますが、これらの問題につきまして非常にまあ有利な解決をしておられるように我々としてもそばからも拝見いたしておるのであります。今後の外交の問題につきましては別の機会に外務当局からお話下さると思いますが、私ども大蔵省の立場といたしましては、是非とも日本の経済ができるだけ速かに自立しまして、本当の自立、いわゆる独立の実を挙げて行くようなことが、こういう問題の処理においても絶対に必要である、こういう考え方をいたしておるわけでありまして、対日援助の返済の問題にいたしましても、その他諸般の賠償の処理等にいたしましても、要するに日本支払つて行きつつ而も自立して行くということが前提でなければならんじやないかというふうに考えておるのであります。これが純経済的というのでありましようか、或いは政治的な考慮が入つておるというのでありましようか、そこは見られる方々の観点によつても違つて来るかと思うのでありますが、私どもは純粋の事務の立場といたしましてもそういうことでなければ、これはたとえ外交交渉の結果妥結を見ましても、前大戦の後におけるドイツの賠償問題がよい例ではないか、こういうふうにまあ考えて、できるだけ日本の経済の自立ということが速かに達成でき得ることを前提として問題が処理されることを希望いたしております。
  63. 松永義雄

    ○松永義雄君 大蔵省としましては、私は只今の御意見は満幅の賛成をいたすものであります。我々としましても、もとより賛成であります。ただ国際間において若し万一アメリカが奄美大島を日本に返還したその結果として日本のグツト・ウイルを要請する、そのグツド・ウイルというのは一体何を意味しているかということが極めて重大な問題でありまして、このエイドの解決についていいにも悪いにも何か雲の上というか、その上に何か大きな責任を期待されるようなことの条件が付いたのでは極めて重大であるというふうに私は考えておりますので、この点は外務省のほうへお聞きすることでありましようが、念のため外務省からお聞きをして、お答えができますれば結構だということであります。
  64. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 本案に対する質疑は今日はこの程度にとどめます。   —————————————
  65. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 次に、農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案について、内容説明を聴取いたします。
  66. 久宗高

    説明員(久宗高君) 二十八年度におきまして、春以来非常な災害が相次ぎましたので、相当多額な不足金が特別会計に出たわけでありますが、先ず資料のほうから御説明いたします。お手許に二つ資料が差上げてございまして、一つが過去の実績でございますが、農業災害補償制度における農作物蚕繭の政府再保険収支状況調というのが横書の書類で差上げてございます。これが制度実施以来、二十二年以来の数字の概要でございますが、これで御覧になつてもおわかりになりますように、二十二年、三年、四年、五年、六年と毎年相当の赤字が累積いたしまして、その合計は二十六年度分の累計のところへ出ておりますように約六十億円、五十九億四千四百万円という累計になつておるわけでございます。ところが二十七年度におきましては、御承知の通り災害が非常に少くて、その結果初めて本特別会計といたしまして三十億円近い黒字が出たわけでございまして、相当大幅にバランスを回復したわけでございますが、不幸にいたしまして二十八年度になりましてから、春の凍霜害以来非常な赤字がそれぞれの種目について出たわけでございます。その概要は別に昭和二十八年度農業勘定収支推定調というのがございます。これでおわかりになりますように、一番上のところに春の凍霜害以来の政府の赤字が出ておるわけでございます。ちよつと表について申上げますと、一番上に支払共済金というのが出ております。この合計は水稲、陸稲、麦、春蚕、夏秋蚕を含めまして、三百四十六億円と推定されるわけでございます。推定と申上げますのは、水稲、陸稲につきましては、又夏秋蚕につきましても、只今若干の県についてまだ損害評価が進行中でございますので、決定的な数字とはなつておらないわけでございます。その下にBと書いてございます。プリントが悪いかも知れませんが、金額被害率でございます。金額被害率を見ましても、殆んど普通の年には考えられないような相当多額な金額被害率になつておるわけでございまして、Cは支払保険金でございます。これは共済金の九掛になつておりますが、支払保険金だけ考えましても三百十一億円程度になるわけでございます。その下にDと掲げまして、通常標準被害額と書いてございますが、これは各県にございます連合会が責任を負つておる部分でございまして、この金額を除きましたものが政府の再保険の支払責任になつて来るわけでございます。これの見通しを申上げますと、水稲で約百九十九億円という厖大な数字になるわけでございまして、これは勿論冷害が大きく響いておるわけでございます。その他の種目を含めまして見通しを立てますと、大体二百四十八億円程度政府支払になる。それに対しまして政府の再保険料、即ち準備金として持つておりますものが六十億円でございますので、二十八年度だけを取り離して考えますと、約百八十七億円のアンバランス、不足金が出るということになるわけでございます。冷害の問題が明らかになりまして以来、政府といたしましては被害農民の要望もございまして、毎年その再保険金の支払が数字の関係でどうしても三月、四月に亙るわけでございますが、東日本、三重県までを含む東日本につきましては、年内に支払いを完了したい。西日本につきましては、遅くも旧正までに支払いを完了したいということで、事務を督促いたしてやつてつたわけでございますが、現在までのところで申上げますと、これは一月二十六日現在でございますが、水稲についてはすでに本払いを完了いたしましたものが二十五県、まだ若干のものが、特に西日本のほうは旧正までということではございましたが、資料がまだ上つて来ないものもございまして、若干の県が残つておるわけでございます。特に九州関係が遅れておるようでございます。それから麦、春蚕繭、これはすでに済んだものでございますので、大体この関係で見通しを出しますと、政府の再保険金の支払いの二百四十八億のうち二百七億がすでに済んでおる、あと四十億程度がまだ未払いになつてつておるということになるわけでございます。そこで財源関係でございますが、政府支払財源といたしましては、先ほど申上げましたように再保険の特別会計に再保険料が入つておるわけでございますが、これが約六十一億ございます。それからその次に基金勘定というのがございまして、勿論保険でございますから長期のバランスをとつておりますが、年々のバランスが年々限りではとれない、従つて運転資金が要るわけでございまして、その関係で積立てたものが二十五億ございます。これはイロハのハでございます。基金勘定というのがございまして、二十五億の運転資金を持つておるわけでございます。これを充てる。そのほかにロのところに農業勘定積立金というのがございますが、これは昨年度相当黒が出ましたので、その黒を基金からお借りした分を先ず払い、その残りとして五億ほど残つておりましたのを一般会計にお返しする予定で積立てておつたわけでございます。それもこの支払に充てる。その他三千万ほどのものがございまして、これのほかにこの前の臨時国会におきまして補正予算として一般会計から八十五億円入れて頂きましたので、合計百七十七億円あるわけでございます。従いまして、二百四十八億を支払うのに対しましては、あと七十一億足りないということになるわけでございますが、先ほど申上げましたように、西日本につきましては現在損害評価が進行中でございまして、決定的な数字が弾き出せないという関係もございまして、従来の経緯から見まして、水稲に対しまして相当フレがございますので、約十五億ほどフレを見まして、五十五億円を一般会計から繰入れる、こういう方法をとつておるわけでございます。  そこで、具体的な七十一億程度のものが仮に要るといたしまして、それの経過的な措置といたしましては、二十九年度になつてからでなければこの金が入つて参りませんので、取りあえずの方法といたしまして、未経過の再保険料が九億五千三百万円ほどございますので、これを支払いに充てまして、残り六十一億円につきましては、農林中央金庫から農業共済基金、これは特に連合会の不足金に対して運転資金を融通する機関でございますが、これに対して中央金庫から金を出しまして、農業共済基金から連合会に対して保険金の繋ぎ資金を融資するという方法で処理して行くわけでございます。二十九年度になりましてから損害評価を確定いたしまして、直ちにそれを埋めるという方法をとるわけでございます。その間借入金の利子につきましては、この前の予備費の使用によりまして一億一千六百万円が計上されておりまして、二十九年度予算に移りまして百四十八万七千円を加えてその処理考えておるわけでございます。  大体数字につきまして申上げますと以上の通りでございまして、今回の保険では五十五億円をお願いしたいと考えておるわけでございます。なお、非常に金額が多額になりますので、損害評価の問題につきましては、特段の努力を払つたわけでございますし、且つ財務当局のほうにも関与して頂きまして、個々の県の査定にもタツチして頂きまして、処理を進めて参つておるわけでございます。以上でございます。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 最後に触れられた損害額の査定の問題ですが、これが一番問題なので、もう少し具体的な評価方法、又損害額査定をどういうふうに厳重にやられておるかという状況を知らして頂きたいと思います。
  68. 久宗高

    説明員(久宗高君) 損害評価を如何にするかという点が農業災害補償制度の一番弱点でございまして、この点がまだ本当に申しますと、実は非常に欠陥があるわけでございます。従来とつております方法は、御承知の通りこの制度は農家の一筆ごとに引受けが行われまして、共済保険再保険という形で、その一筆ごとの再保険まで直接繋つて来るような形になつておるわけであります。そこで損害評価の方法といたしましては、末端の組合に損害評価委員という者がおりまして、これが一筆ごとに全部に亙りまして決定して来るわけでございます。査定も一筆ごとの調査ということは非常に困難でございまして、過去の経緯に徴してみますと、相当損害が特にひどい場合に過大な評価が出て参る可能性があるわけでございます。そこで政府といたしましては、客観的な統計資料によりまして、一筆ごとの調査はないわけでございます。統計調査部で持つておりますものも、県単位の実収高を出しましたものしかないわけでございます。そこで査定の方法といたしましては、末端からずつと積み上げて参りますものについて県単位に客観的に数字の多い少いを検討するわけでございます。その際困ります問題は、補償制度のほうで出て参ります数字は、損害つまり基準の収入に対してどれだけの被害があつたか、逆の面の数字が出て来るわけでございます。一般的な面の数字は推定実収高ということで、実収高しか出ていないわけであります。被害高の調査もありますが、これは別途の面によつて調べられているわけでございまして、直ちに私どものほうに直接この制度に利用できない。そこで補償制度のほうから上つて参りました被害がどれだけあつたかというものを実収高に組直してみまして、それを県単位の額で比較いたしまして、多い少いを検討するわけでございます。勿論この制度といたしましては、末端から積み上つて来るものが正しいものとして考えられるわけでございますが、客観的な実収高の数字から見て、そのような被害はあり得ないといつたような問題が出ました場合に、更に詳細にその内部に立ち入つて検討して参りまして、大体この作報から上つて参りました実収高との組合せにおきまして、県単位の組合せが合理的であるかどうか判定をするわけであります。この換算方法につきましては、だんだんと精細にやつてつておるわけでありますが、ベースも違いますので非常に困難な問題もございますし、この点一厘一毛も違わないようにそれに合せるということはできないわけであります。それぞれ県のデータを調べまして、客観的資料として許されたアローアンスの中で認めて行くという方法をとつておるわけであります。従来この作業は農林本省自体でやつてつたわけでありますが、本年度は早期支払という問題もございまして、機械的な作業でございますので、県にこの査定をお願いいたしまして、それでもしぼり切れんものを更に本省において他のデータを勘案しながら査定をするという方法をとつてつたわけであります。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 大蔵当局の財務局あたりですか、立会つたというのは。これは抜取り検査的に立会つたのですか。
  70. 久宗高

    説明員(久宗高君) 早期支払の問題が起りました場合に、相当金額として大きいので、農林省といたしましても、ただ従来の査定方法が非常にむずかしいので、外部のほうから御理解を非常に得られないという点もございますので、むしろその内容を詳細にタツチして頂く必要を感じたのであります。又財務当局といたしましても、恐らく非常に金額が大きいので、どういうような形でそれが査定されたものか、ただ結果だけお聞きになるのでは困るという問題もございまして、両者相談いたしまして、個々の県の内容につきまして審査の問題にもタツチして頂いたわけであります。又個々の県に対する一部の抜取り検査も財務関係で独自でおやりになつたように聞いておるわけであります。又私どものほうといたしましては、これをやりましたのちに、更に大きな問題といたしまして、完全に支払われるかどうかという問題につきましては、二月以降これを徹底的に調査すべき予定考えております。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 この末端の評価委員というものは、これは農民の間においてもいろいろ不平がある。人的繋がり、或いは政治的云々というようなことで、なかなか同じように……保険金をもらうにしても、甲に厚く乙に薄いということの問題もあるだろうと思います。これは御承知だと思うのです。これは先ほどおつしやつたような大量観察か、それとも実収高のほうから調べて、そういう問題が起ることのないように、或る意味においては数字的な裏付を以て締めて行くということもまあ間違いないと思いますけれども、なかなかこれは一筆ごとの損害額の査定の事務も大変で、なかなか困難だと思うのです。抜取り検査等についてもできるだけやつて適正を期して頂きたい。同じ保険金をもらつても、甲に厚く乙に薄いということもあり、非常に水ぶくれということもありますから、以後十分一つおやり願いたいと思います。
  72. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつと派生的なことなんですけれども、聞いていいですか。……今度の予算農業共済組合に対する補助金が相当つていると思うのですが、前年度と比較してどれくらい減つているのでしよう、大体でいいんです。
  73. 久宗高

    説明員(久宗高君) 新聞紙上で御存じだと思うのでありますが、現在農業共済団体につきましては、連合会と支部と単位組合に分れるわけでございますが、連合会、支部につきましては一応全額、それから単位組合につきましては、その所要経費の三分の二を補助するという形をとつてつたわけでございます。勿論実際にかかつております費用から見ますと、全額になつておらない、もつと非常にデイスカウントされたものになるわけでありますが、一番今度の予算で問題になりましたのは、末端の組合につきまして、現在二名の職員がこれをやつておるわけでございますが、それの三分の二の補助をしたのを三分の一にしたらどうかというお話があつたわけでございます。そういたしました場合に、非常に現実にこれは農家負担を増さなければならない。つまり保険金で足らず前を取らなければならんという問題もございまして、本制度の運用といたしましては非常に困りますので、この点十分御説明をお聞き願いました上、一応三分の二の元に帰つたわけでございます。ただ金額で申上げますと、全体の額が三分の二の補助をいたしました場合に、その通りの数字が入りますと、当然若干そこに節約しなければならん部分が入つておるわけでございます。大体金額そのもので申上げますと、農業共済団体の負担金、補助金、これは全部合わせまして、二十八年度予算におきましては二十五億一千二百万円でございました。それに対しまして本年度二十九年度予算に掲げられておりまする額は約二十五億円でございまして、大体同じところに行つておるわけでございます。若干内訳が動いております。
  74. 松永義雄

    ○松永義雄君 そうすると実際に職員の整理なんということは起らないで済むということになるのですか。
  75. 久宗高

    説明員(久宗高君) 職員の整理は必要といたしません。と申しますのは、人件費のほかに事務費に若干の補助費を頂いておるわけでございます。その総額で以て三分の二の人件費をはじきまして、他の所要経費をそのまま見て行つた場合に若干内輪になる、もとの計算より……。そういうことでございますので、これを実際に流して参ります場合には、個々の組合の実態に即した交付方法をとりますので、現実に人の整理という問題は二十九年度においては起りませんし、又そのようなことは事業の執行上も非常に困りますので、予定しておりません。
  76. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 他に御質疑がなければ、本日はこれを以て散会したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 大矢半次郎

    委員長大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時十三分散会