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説明員(久宗高君) 二十八
年度におきまして、春以来非常な災害が相次ぎましたので、
相当多額な不足金が
特別会計に出たわけでありますが、先ず
資料のほうから御
説明いたします。お
手許に二つ
資料が差上げてございまして、
一つが過去の実績でございますが、農業災害補償制度における農作物蚕繭の
政府再保険
収支状況調というのが横書の書類で差上げてございます。これが制度実施以来、二十二年以来の数字の概要でございますが、これで
御覧にな
つてもおわかりになりますように、二十二年、三年、四年、五年、六年と毎年
相当の赤字が累積いたしまして、その合計は二十六
年度分の累計のところへ出ておりますように約六十億円、五十九億四千四百万円という累計にな
つておるわけでございます。ところが二十七
年度におきましては、御承知の
通り災害が非常に少くて、その結果初めて本
特別会計といたしまして三十億円近い黒字が出たわけでございまして、
相当大幅にバランスを回復したわけでございますが、不幸にいたしまして二十八
年度になりましてから、春の凍霜害以来非常な赤字がそれぞれの種目について出たわけでございます。その概要は別に
昭和二十八
年度農業勘定
収支推定調というのがございます。これでおわかりになりますように、一番上のところに春の凍霜害以来の
政府の赤字が出ておるわけでございます。
ちよつと表について申上げますと、一番上に
支払共済金というのが出ております。この合計は水稲、陸稲、麦、春蚕、夏秋蚕を含めまして、三百四十六億円と推定されるわけでございます。推定と申上げますのは、水稲、陸稲につきましては、又夏秋蚕につきましても、只今若干の県についてまだ損害評価が進行中でございますので、
決定的な数字とはな
つておらないわけでございます。その下にBと書いてございます。プリントが悪いかも知れませんが、
金額被害率でございます。
金額被害率を見ましても、殆んど普通の年には
考えられないような
相当多額な
金額被害率にな
つておるわけでございまして、Cは
支払保険金でございます。これは共済金の九掛にな
つておりますが、
支払保険金だけ
考えましても三百十一億円
程度になるわけでございます。その下にDと掲げまして、通常標準被害額と書いてございますが、これは各県にございます連合会が
責任を負
つておる部分でございまして、この
金額を除きましたものが
政府の再保険の
支払責任にな
つて来るわけでございます。これの見通しを申上げますと、水稲で約百九十九億円という厖大な数字になるわけでございまして、これは勿論冷害が大きく響いておるわけでございます。その他の種目を含めまして見通しを立てますと、大体二百四十八億円
程度の
政府支払になる。それに対しまして
政府の再保険料、即ち準備金として持
つておりますものが六十億円でございますので、二十八
年度だけを取り離して
考えますと、約百八十七億円のアンバランス、不足金が出るということになるわけでございます。冷害の問題が明らかになりまして以来、
政府といたしましては被害農民の要望もございまして、毎年その再保険金の
支払が数字の
関係でどうしても三月、四月に亙るわけでございますが、東
日本、三重県までを含む東
日本につきましては、年内に
支払いを完了したい。西
日本につきましては、遅くも旧正までに
支払いを完了したいということで、
事務を督促いたしてや
つて参
つたわけでございますが、現在までのところで申上げますと、これは一月二十六日現在でございますが、水稲についてはすでに本払いを完了いたしましたものが二十五県、まだ若干のものが、特に西
日本のほうは旧正までということではございましたが、
資料がまだ上
つて来ないものもございまして、若干の県が残
つておるわけでございます。特に九州
関係が遅れておるようでございます。それから麦、春蚕繭、これはすでに済んだものでございますので、大体この
関係で見通しを出しますと、
政府の再保険金の
支払いの二百四十八億のうち二百七億がすでに済んでおる、
あと四十億
程度がまだ未払いにな
つて残
つておるということになるわけでございます。そこで
財源関係でございますが、
政府の
支払財源といたしましては、先ほど申上げましたように再保険の
特別会計に再保険料が入
つておるわけでございますが、これが約六十一億ございます。それからその次に基金勘定というのがございまして、勿論保険でございますから長期のバランスをと
つておりますが、年々のバランスが年々限りではとれない、
従つて運転
資金が要るわけでございまして、その
関係で積立てたものが二十五億ございます。これはイロハのハでございます。基金勘定というのがございまして、二十五億の運転
資金を持
つておるわけでございます。これを充てる。そのほかにロのところに農業勘定積立金というのがございますが、これは昨
年度相当黒が出ましたので、その黒を基金からお借りした分を先ず払い、その残りとして五億ほど残
つておりましたのを
一般会計にお返しする
予定で積立ててお
つたわけでございます。それもこの
支払に充てる。その他三千万ほどのものがございまして、これのほかにこの前の臨時国会におきまして補正
予算として
一般会計から八十五億円入れて頂きましたので、合計百七十七億円あるわけでございます。従いまして、二百四十八億を
支払うのに対しましては、
あと七十一億足りないということになるわけでございますが、先ほど申上げましたように、西
日本につきましては現在損害評価が進行中でございまして、
決定的な数字が弾き出せないという
関係もございまして、従来の経緯から見まして、水稲に対しまして
相当フレがございますので、約十五億ほどフレを見まして、五十五億円を
一般会計から繰入れる、こういう方法をと
つておるわけでございます。
そこで、具体的な七十一億
程度のものが仮に要るといたしまして、それの経過的な
措置といたしましては、二十九
年度にな
つてからでなければこの金が入
つて参りませんので、取りあえずの方法といたしまして、未経過の再保険料が九億五千三百万円ほどございますので、これを
支払いに充てまして、残り六十一億円につきましては、農林中央金庫から
農業共済基金、これは特に連合会の不足金に対して運転
資金を融通する機関でございますが、これに対して中央金庫から金を出しまして、
農業共済基金から連合会に対して保険金の繋ぎ
資金を融資するという方法で
処理して行くわけでございます。二十九
年度になりましてから損害評価を確定いたしまして、直ちにそれを埋めるという方法をとるわけでございます。その間借入金の利子につきましては、この前の予備費の使用によりまして一億一千六百万円が計上されておりまして、二十九
年度予算に移りまして百四十八万七千円を加えてその
処理を
考えておるわけでございます。
大体数字につきまして申上げますと以上の
通りでございまして、今回の保険では五十五億円をお願いしたいと
考えておるわけでございます。なお、非常に
金額が多額になりますので、損害評価の問題につきましては、特段の努力を払
つたわけでございますし、且つ財務当局のほうにも関与して頂きまして、個々の県の査定にもタツチして頂きまして、
処理を進めて参
つておるわけでございます。以上でございます。