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1954-05-10 第19回国会 参議院 水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十日(月曜日)    午後二時五十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君            菊田 七平君   衆議院議員    水産委員長   田口長治郎君   国務大臣    国 務 大 臣 安藤 正純君   政府委員    水産庁長官   清井  正君    通商産業政務次    官       古池 信三君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    通商産業省通商    局農水産課長  森 日出哉君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆事件に関する件)  (韓国海苔輸入に関する件) ○輸出水産業の振興に関する法律案  (衆議院提出)   ―――――――――――――
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先週の委員会におきまして、韓国海苔輸入に関しまして、全国海苔生産者の代表のかたから陳情を伺いましたのに伴いまして、水産庁並びに通産省に質議を行なつて参つたのでございまするが、当時の質疑の意味合いから、本委員会といたしましては、全国海苔生産者を保護する立場に立ちまして、一応委員会決議をいたしまして、政府に対して強く要望いたしたいと思います。よろしゆうございましようか。
  3. 千田正

    千田正君 先般通産委員会との合同委員会をやりましたが、通産委員会のほうの意向としては、何ら委員長はそのほうの御意見は聞いておりませんですか。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これは海苔のほうでございまして、先般のは……。
  5. 千田正

    千田正君 わかりました。
  6. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今日これは決議するのですか。
  7. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 御賛同頂けますれば……、ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  8. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。  それでは委員各位の御要望がありますので、なお若干この決議につきましては問題が残つておりますので、これは本日の議題の最後に廻したいと思います。  それでは只今からビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。今、安藤国務大臣清井水産庁長官が来られておりますので、只今からこの問題につきまして御質問がありまするならば……。
  9. 千田正

    千田正君 この前安藤国務相出席の下に、この件につきましていろいろ質疑応答したのでありますが、特にビキニ環礁におけるところの直接被害を受けた漁船或いは漁夫並びに、更に間接的に被害を受けた県等につきまして、政府が次の機会において十分に研究した上に安藤国務相から御発表願えるということでありましたので、直接被害を受けた県に対する補償の問題、更に間接被害を受けた漁船に対する融資金融面等に対するところ政府の考えておる点、並びにその漁夫生活保護面等につきまして、もうすでに発表してもよろしい時期であると思いますし、一日も速かならんことを願つておるのであります。この際安藤国務相から政府所信一つお答えを願いたいと思うのであります。
  10. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 只今の御質問、この間お話がありました前からもそういう方針調査をしておりますが、殊に委員会からの要求がありまして打合せ協議会に親しくそれを又伝えまして、なお促進はいたしたわけであります。今日までにきまつておりますことは、福竜丸買上げることは決定いたしまして、すでにその処置はとりました。なお福竜丸を暫らく繋留しておきまして、学術研究のために船について調査をするわけであります。ところ福竜丸の置場所について非常に困難を感じておるのでありますが、それが進行しませんので、先日静岡県の知事に来てもらいましていろいろ相談をしたあげく、暫定期間、現在ありまする焼津港に繋留して置く。これは漁業組合等とよく相談をして納得の上でそういうことにきまりました。但し、現在あります所からほかの場所へ、同じ所でありますが、やや離れた所に移しまして、そこに暫定期間繋留をして置く、こういうことになりました。これはまあ組合のほうも承知をしたわけであります。それから従つて、その福竜丸買上げ並びに船具、それから船員の持つておりました私物でありますね、そういうものの補償はいたした次第であります。それから続きまして、第二に、福竜丸のみならず、第十三光栄丸、第五明神丸その他数隻、或いは十数隻ありますが、これにつきまして全部調査をいたしまして、政府において、殊に水産庁が主となりましてそれを調べまして、廃棄をしました漁獲物損害額であるとか、或いは休業期間中の損害額であるとか、それから破損しました毀損物品損害額であるとかいつたようなものを全部調査を終りました。そうして熟議の上でこれを決定いたしまして、その損害額総額外務省を通じまして、米国補償要求をすでにいたしました。併しその賠償総額は数千万円に及ぶのであります、必ずしもこれで終つたわけではないので、まだあとからそういう船も出て参りましようし、その他又調査の上で、更に追つかけてアメリカ賠償要求することがあろうと思います。併しそれはまあ直接損害のほうです。それから今のお話間接損害でありますが、これも政府としては間接損害賠償をするという方針であります。併しながら御承知のように、間接損害ということの範囲の限定に非常に困難を感じるわけであります。そこでどこまでを間接損害にするかということにつきましても、いろいろ意見等もありますし、それから又調査になかなか骨が折れますので、今調査中であります。但しこれは間接損害を放つちまうという意味では決してありません。それも補償しようという考えを持つておる次第であります。
  11. 千田正

    千田正君 只今損害補償額米国側補償要求をしておる、なお間接損害についても調査して、限界はつきりしたならば、これ又要求する所存であるという政府の御所信を聞いて、尤もと思うのでありますが、ただ困つておるのは一日も早く復旧して又漁撈に携わらなければならない。又間接損害も荏苒長くなるというと、なかなかやりきれない、こういうのが現在の漁民なり漁業者の声なのであります。これに対して一体この直接の補償要求に対しては、お見通しとしては一体いつ頃までに、直接補償損害要求に対してはいつ頃までに向うから返事が来るのか、又来てからもすぐにその補償ができるのか、できないとするならば、或る程度の日数がかかるとするならば、それに対して政府が何らかの方途を講じて立替えの融資をしてやるという御方針なのか、その点もはつきり伺つておきたいと思います。間接損害の点においては、まあいろいろ限界もあるでしよう。限界もあるでしようが、一応その限界のめどが一体いつ頃までにできるのか、そうしてそれに対しても一応困つておる人たちに対して、何らかの方法を講ずるという御意思があるのかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  12. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 福竜丸買上げその他は先ほど目しました通り、すでにもう終つたのであります。それからその次に申上げましたのは、アメリカ補償をすぐ要求をいたしております。ただその要求が今の御質問通りいつまでという見極めがついているかというのだが、そう長いことはないという見通しをつけておりますが、併しアメリカにも事情がありまして、はつきりいつ頃までということを申上げられないのです。と申しますのは、御承知のように向うでも国務省側は大体まあ日本賠償に対してそう反対ないようでありますが、アメリカ原子力委員会のはうが少しまあ問題があるようです。これも深いことでもないようでありますが、患者を診せるとか診せないとかいつたような、これも止むを得ないことなんだが、感情上の問題等どもそこにひつからんでいるようであります。でありますから政府としましてもその患者の問題などにも細心の注意を払いまして、成るべくアメリカのお医者さんにも診せる。ただ困ることは患者が納得しないのですよ、やつぱり、あんまり。けれどもだんだんと直したり、この間も静岡県の知事や何か県側からもよく話をしてもらうようにしましたし、それからいろいろ手を尽しまして患者にも納得させて、アメリカ側のお医者さんにも要求があれば今後見せる。なおこつちからは情報はせつせと向う言つてやるというようにして感情の融和を求めておりますから、そう長いことはないと思います。併しながらまだ見極めがつきませんから、今あなたの御質問のようにとにかくアメリカ要求しておるのが、その解決がつくまで賠償要求額幾らかの内払い政府からする、というこに決定いたしました。そしてその段取りを今とつておる最中であります。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 只今千田委員お話で、福田竜丸の直接損害買上げその他の賠償実行済みだということでありますが、この前の委員会でそういうような部分についてアメリカ側要求を六千何百万ですか、数字に間違いがあるか知れませんが、お話がありました。その要求額というのは全額向うから来たものでございますか。要求額に対して査定してよこしたのか。
  14. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今六千幾らとこの前言つたことはですか。それは日本からの要求なんです。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 それが来て福竜丸買上げその他が実施されたのか。まだそれは来ないという思うが、余り長引くから日本政府責任でおやりになつたのか、その辺のいきさつを……。
  16. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) これは外交折衝でありますので、そこにちよつと言いにくといつて、この委員会言つて悪いことはないのですが、外交折衝上のことがあるので何だが、結局こちらから申出したことに対して向うでそれじやいいとか悪いとかまだ返答は来ないのです。来ませんが、当然こちらは向うがそれに応じて来ると見まして、福竜丸買上げということにきめてしまつたのであります。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 きめてしまつて買上げの二千何百万円ですか、それが実行されたというように理解したのですが、まだ方針がきまつただけで買上げ実行動というものは進んでおらんということですか。
  18. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは実行動……、私は実行官でないからよくわからんが、もうそこまで行つているはずなんですが、それは県庁を通じてやつたりいろいろしておりますから、その間事務的のことを言つているのじやないかと思います。いずれにしましてももう段取り終つておりまするから、多少遅れても間違いはないと思います。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 大臣、私のお伺いしているのは外交交渉のことですから、そのことは別にして、政府調査をせられます賠償すべき金額というものの査定が済んでアメリカ折衝中、その時間が相当にかかるとすれば、日本政府責任において福竜丸所有者のために、きまつた額賠償をやつて頂けたのではないかと思うので、おやりを願つたのかおやりを願わんのか、交渉が済んでしまつてからおやりを願うということなのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  20. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) アメリカとの交渉終つてから福竜丸買上げ、船の持主にそれを交渉するというのじやない。アメリカにはもう要求してありますから、それは必ず来るとは確信しておるが、それには関係なく、いずれにしてももう政府のはうでは賠償方針もきめ、金額もきめ、すでに向う静岡県知事を通じて話が行つているはずなんです。その額等向う船主協会ですかは、もう承知しているんです。ただ寒行が少し遅れておるのじやないかと思いますがね。
  21. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問の問題でございますが、これは直接は文部省において御所管をいたすことでございます。先般の閣議で予備金支出が二千百万円決定をいたしまして、直ちに文部省において地元を呼びまして、折衝等は先週末に終えております。そこで買上げのそういう手続を進めておりまするから、もう近いうちに正式に現金の支出段取りまで行くのではないかと、こういうふうに考えております。
  22. 森八三一

    ○森八三一君 それから千田委員の御質問の第二点の間接損害の問題ですが、間接損害をどの程度までにして行くかということが、まだ省内と申しますか、政府の内奪いろいろ議論があつてきまらない、これは尤もだと思います。これはどこまで延びて行くのか、どの辺で切るのかということは非常にむずかしい問題で、これはまさに大臣のおつしやる通りだと思いますが、併しこれは調査をするのには、そのことがきまらなければ無鉄砲に調査することはできんと思います。ばつと水爆関係損害は申出ずべし、こういうようなことでは調査にならんので、大体こうこういうところ一つ報告しよう、こうならなければいかんのですが、その議論が尽きておらんと調査が済んでおらんというふうにどうも受取れてしまうんですが、調査が済んでおれば、大体調査対象というものは明示しなければこれは調査にならんと思います。
  23. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 間接損害ということがまあなかなかむずかしいんで、大体今まではこういうことがないものですから、そこにいろいろな困難を感ずるのですが、魚が値下りをしたとか、或いは出荷物の出廻りが遅れたとか、減少したとか、それが生産者側のほう、或いは販売のほう、両方ある。その販売のはうと言いましても、卸もあれば、仲買もあれば、小売もある。それをどこのところまで持つて行くか、又この事件の処理ということも、地方庁にもあれば、国のほうにもある。行政費みたいなもの、そういうふうなものもどこのところまで延ばして行くかというようなことについていろいろ方法を考えているのです。それからもう一つは、それについては漁業組合や何かからは、間接損害だといつたようなことを随分書き出して来ているのです。併しそれをそのままにこちらが全部それを呑むというわけにも行かない、で、そういう点について今調査をしたり、折衝をしたりしていると、こういうわけなんです。
  24. 森八三一

    ○森八三一君 大臣のお気持はよくわかりますが、調査をした結果どこまで補償をするかということについては、これは私十分精査をしてやつて頂くべきことであつて、いい加減には行かんと思うのですが、そのどこまでやるかということをきめる材料をつかむのには、やはり調査が入用であると思う。その調査をするのにはどういう部分調査するかという当てがきまらんことには調査のしようがないんじやないか。そこで間接損害について、実行をなさる範囲については他日の問題ですからここで今伺おうとは思いませんが、調査は一体どういう範囲まで調査をされておるのか。これは余り事務的なことになりますので、或いは水産庁長官からお答え願つたほうがいいかと思います。
  25. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問の点でございますが、この点は私のほうといたしましても非常に重要に考えまして、而も問題が広範囲に亘るのであります。生産者は勿論、産地市場の卸、仲買、それから消費地の卸、仲買小売等に及ぶ問題であります。まあその他広汎に亘るわけでありますが、そこで先般私のほうから直接専門家を各地に派遣をいたしまして、一定の形式を以ちまして調査をいたしたのであります。生産省産地の卸、仲買及び消費地の卸、仲買等を全部調べてあります。主としてこれは過去数年の水揚量、或いは価格と、事件が起つてから後の水揚量価格等の平均的な比較が問題になるのではないかというふうに考えておるのでありますが、その他いろいろ細かいデータがその中に入つて来るわけであります。私どもといたしましては事務的に相当程度の実は調査をいたしておるのであります。なお、且つ私ども調査のみでなしに、業界からの相当の希望がありまするので、先般卸売と申しますか、大消費地と申しますか、そういう所の業者の会合がありまして、業者においてもその筋で調査いたして、おるようであります。又産地のほうの卸人も実は明日相談をいたして、具体的に又更に数量を精査しよう、こういうことにいたしておるのでありますが、いずれにいたしましても私のほうといたしましては相当できるだけ正確なデータを実は集めまして、着々今計数を整理いたしておる、こういう状況であります。
  26. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、調査範囲とか調査対象というものについては一応きまつて、それで調査進行中であるというように理解をしてよいと思いますので、そのことはそれでよろしうございます。それから大臣にもう一つお伺いしたいのは、この前の委員会で、新らしく出漁をする等の積極的の仕事を進めて行きまするために困つておる、或いはこのことに関連をして、非常に営業が不振になつて当座生活を維持して行くのにも非常に困難を極めておるというような人々に対しては融資の措置を講じて急場の手当をしてやらなければならんのではないかという質問に対して、丁度今日の夕刻静岡県知事も来ることになつておるので、よく相談をして融資の問題は急速に取進めたいと、こういう話がございました。内容は今申上げたように、流通過程を分担しておる業者諸君の生活困難という問題をどうするかということ。それから直接出漁をする漁夫諸君等仕事がなくなつてつておる、そういう者の救済ということに対する融資、これは大体御決定になりまして進行しておりまするかどうか。
  27. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) その点はこの間お話通りに、静岡県の知事はあの日には来ませんでしたが、その翌日だか翌々日だか来まして、懇談をして相談してあります。それで政府としましては融資の点についても無論斡旋奔走する方針をきめております。ただその融資といいましても、銀行が皆なかなか応じないという実施なんです。そこで何か裏付がなければならん。結局こういう先程申上げましたいろいろの損害賠償アメリカにやつておる、これは無論できるでろうということが一つ。それからまあそれの解決に至らない前は内払い政府責任を持つてやる、こういうこともきめましたから、まあそういう裏付によつて話を進めて行こう、そう一つしてくれ給えということに静岡県の知事相談をしてあります。それから政府のほうとしても、農林大臣もその点をよく了解をしまして融資しよう、話を進めて行こうということに方針をきめてあります。ですから今その進行中と御承知を願いたい。
  28. 千田正

    千田正君 一点聞き漏らしたのですが、只今お話内払いでございますが、先ほど大臣のおつしやつたいわゆる直接損害のうち、漁獲物廃棄処分なつ損害の問題、それから休業中のまあ損害漁船或いは漁具等に対するところの破損に関する損害等がありますが、その内払いというのは、そういうものを総合して大体何%かを内払いしようというのですか、それともこうしたうちで一番今苦しいのは何かというのを見当をつけて、そこに重点を置いて内払いしてやろう、こういうのですか。どつちでございましようか。
  29. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それは今お話のように、総くるめしました上から、いずれアメリカから賠償が来るだろう、併しその解決までは間に合わんから、総くるめをした上の内払い幾らかしよう、こういうことなんです。
  30. 千田正

    千田正君 水産庁長官に伺いますが、一応これは第一次の損害補償請求は、今大臣の御説明のあつた通り向うさんに対して要求している、その後における、第一次における調査の結果によつて要求した以後における損害を受けたところ船船その他に対しては、大体どれくらいの隻数及びどういう問題が起きておるのか、経過がおわかりであつたならば今日までの状況をお知らせ願いたいと思います。
  31. 清井正

    政府委員清井正君) 福竜丸につきましては、すでに御承知通り、又只今安康大臣から御説明を申上げたのでありますが、その後の直接の被害の問題に対しましては、只今大臣より御説明がありましたが、政府が検査をいたしまして、特殊な事情によつて廃棄を命じたというふうなことがあるわけであります。そのことについてはすでに十数隻判明をいたしております。そういうような船につきましては、廃棄いたしたものにつきましては廃棄した漁獲物損害を含むのでありますし、或いは一部廃棄の分につきましては、残部は売つておるわけでありますけれども、これも廃棄いたしました関係上、大分値が下つたわけであります。そういうものが値下りしておるわけであります。そういうことも計算に入れなければならないわけであります。又休業を止むを得ずしなければならん期間がありましたから、そういつたようなものについての損害額、或いは事件処理費等いろいろ計算されるわけでありますが、そういうものにつきまして、只今ところどもといたしましては一応計算を終了をいたしております。そこで外務省相談をいたしましてれ外務省からこの問題につきまして正式にアメリカのはうへ交渉して処置をするということで只今折衝をいたしておる最中でございます。
  32. 千田正

    千田正君 委員長に申上げておきますが、只今清井長官から御報告がありましたが、当委員会といたしましても、審議の参考上、そうした資料が水産庁にありますれば、一応各委員会に配付して差支えない点につきましては、損害状況についての報告をして頂きたいと思います。委員長から申入れて頂きたいと思います。
  33. 森崎隆

    委員長森崎隆君) そのように善処したいと思います。
  34. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 一点お伺いしたいんですが、先ほどから差当り融資の途を講じてやるというお話ですが、それはその融資がどこから融資することになりますか。一般市中銀行ですか、或いは農林中央金庫とか、或いは農林漁業金融公庫とか、いろいろ政府関係金融機関のどちらから……。
  35. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) それはやはり農林中央金庫或いは農林漁業金融公庫ですかが主として当りますが、それに限らず、早くできてうまく行くほうがいいんだから、市中銀行にも当つて見よう、こういうようなことになるだろうと思います。
  36. 清井正

    政府委員清井正君) 今大臣からお答え申上げますが、若干補足を申上げておきますけれども、やはり公庫の点も考えられますけれども公庫でありますと設備資金ということになるわけであります。この点が問題になりますのは運転資金でありますので、而も又従来漁業者地元地方銀行を利用しておる者も相当あるわけであります。農林中金、或いは中小企業金融公庫、或いは商工中金等も考えられるわけでありますが、まあ地元のいわゆる地方銀行等、従来融資関係にあつた銀行ということが一番金融問題として都合がいいんじやないか。いずれにいたしましても今どこの金融機関ということを決定いたしておりませんが、成るべく金融のつきやすいところが具体的になろうかと、こういうふうに考えます。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 御承知のように最近の金融状況というものは非常にまあ工合が悪いわけなんです。こういう水産関係でなくても非常に悪いところへ、一層まあこういうふうな営業が不振な状態になると、融資ということは普通ではなかなかその融資はできないだろうと思います。今のお話にもあつたようですが、それもどこそこの何がしにということをはつきりしないとなかなか円滑に行かんと思いますので、この点は政府相当強く政府の息のかかつた金融機関からやらせるよりほかに私は途は開けないと思いますが、そういう点も一つ御留意になつて一つ至急つて頂くようにお願いいたしておきます。
  38. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは私から一つお伺いいたしますが、直接損害補償の一部はすでに実施されるごとになつておりますが、この損害補償額決定被害者相談なさつたんですか、どんなものですか。
  39. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 被害者からの申出もありますし、被害者から申出したことも参考とし、又政府方針によりまして決定をしたわけであります。併し細かいことは一つ長官から……。
  40. 清井正

    政府委員清井正君) 福竜丸自身の買取につきましては、無論これは関係者意向十分政府としても参酌をいたしておるのであります。その他の問題につきまして、時価等を常識的に算出いたしておりますので、関係者は無論異議ないことで進んでおるのであります。その他一般的に廃棄をいたしました漁獲物についての点につきましては、一々廃棄の場合に責任者が乗船いたしまして立合つております。従いましてどういう経費が要つたか、又どのくらいの数量を投棄したか、或いはそのときの時価がどうであつたかということを一々関係者の立会の上で十分納得しておるわけでありますから、この計算についても私ども関係いたしておりますけれども、業界といたしましては十分その間具体的なデーダにつきましては了承いたしております。こういうふうに考えておる次第であります。
  41. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これは普通民事関係から行きますと、被害者が直接アメリカに対して損害額を提出いたして賠償要求するわけであります。これを国家が間に入りまして斡旋をやるわけであります。だから良心的に考えれば、又国家的な見地から考ばえれば、業者被害者のほうから出された金額を成るべくそれを尊重して、そのトータルがきまつた場合に、それにプラス・アルファーというものを、国家的損害というものを少し不足してアメリカにこれは要求すべきものだと思う。そういう点は善処されておることだと思います。少くともこの六千万円等につきましては、まだ全部じやないという点もございますが、一応被害者のほうでは納得をしておるわけでありますね。そう確認してよろしうございますか。
  42. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 大体納得しておるわけであります。
  43. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 不満もございますか。
  44. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 不満はないです。
  45. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに何がございますか。
  46. 木下源吾

    ○木下源吾君 今のはビキニの問題ですか。
  47. 森崎隆

    委員長森崎隆君) そうです。被爆事件に伴います損害補償の問題であります。
  48. 木下源吾

    ○木下源吾君 この損害補償ですが、禁止区域と言いますか指定区域と言うか、その以外から来ておるものはまぐろはやはり検査しておるのですか。
  49. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今の御質問は例えば………。
  50. 木下源吾

    ○木下源吾君 最初ビキニ……。
  51. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 台湾沖とか或いは仏印沖とか等からとつたまぐろについて検査をしておるかということですね。
  52. 木下源吾

    ○木下源吾君 まあ、その附近ですね。極端な場合には日本水域の指定区域、アメリカが地域を拡張したその以外、その附近。
  53. 清井正

    政府委員清井正君) 只今質問の点でございますが、私のほうで指定区域というものをまあ俗称なんでありますが、指定いたしまして、それは当時万全を期するためにその区域内で操業し、或いはその区域内を通つたまぐろ船は帰つてから指定港に廻つて検査を受けろ、こういう意味の指定をしておつたのであります。従つてその区域を通り或いはその区域内で操業した船は全部検査をしていらつしやるのでございますが、その他のまぐろ漁船につきましては実際問題といたしましても検査を受けるということが商品価値を高めるゆえんでもあり、消費者に安心を与えるゆえんでもありますので、業界一般の希望によりましてその区域内を通らないものでも実際問題として全部検査を受けている、こういうことに事実上はなつております。こういうふうに考えております。
  54. 木下源吾

    ○木下源吾君 検査を受ける港はどこどこですか。
  55. 清井正

    政府委員清井正君) 塩釜、東京、三崎、焼津、清水、以上の五港を指定しております。そこは殆んど遠洋のかつお、まぐろ漁船の入る所であります。実際問題としてこれで十分であるという観点から五港を指定いたしたのでございます。
  56. 木下源吾

    ○木下源吾君 その以外にも入つて来る船があるんではないのですか、まぐろ船で。
  57. 清井正

    政府委員清井正君) その区域を通りましたどの船もその指定の五港に入るようにということを私どものほうから指示をいたしておりますので、全部その指定五港に入つて事実検査を受けております。こういう状況でございます。
  58. 木下源吾

    ○木下源吾君 私の承わりたいのは、希望がなければ五港以外に積んで入つてもいいのでしよう、その指定区域以外ならば。それを聞いているのです。
  59. 清井正

    政府委員清井正君) 全然関係のない船でありますればそれは入つて差支えないことになるのでありますけれども、実際問題といたしましては南方を通りました船は全部五港に入つて検査を受けているというような事情でございます。
  60. 木下源吾

    ○木下源吾君 指定水域以外であれば無理にそこへ入つて来なくてもいいんではないのですか。
  61. 清井正

    政府委員清井正君) 強制をいたしておるのではないのであります。それは構わないのであります、理窟上は。ただ実際問題としてまぐろをみんな嫌つて食べないという状況でありますから、検査を受けてパスしたということであればそれが食べられるし、又非常にその魚も高いわけでありますから、実際問題として指示をしない漁船も入つて検査を受ける、こういう状況でございます。
  62. 木下源吾

    ○木下源吾君 今お話のように実際問題としてそこで検査を受ければ安全だと、そして検査を受けたものは高く売れるからという半面に、そこのところに入つてちよつとしたような放射能か何か試験されたらみんな駄目になるからというので入らないで売るということも考えられる。現に指定水域以外からの検査を受けないでそして売つておる、これはもうたくさんそういう何があるというのですが、検査をしたものを調べたことがございますか。
  63. 清井正

    政府委員清井正君) 私どもが今まで調査し、又業界から聞いた範囲内は全部検査を受けている、こういうふうに聞いております。
  64. 木下源吾

    ○木下源吾君 それでお伺いしますが、四月八日の三崎まぐろはやはり検査したのですか。
  65. 清井正

    政府委員清井正君) ちよつと私具体的なことについてちよつと資料を持合せませんが、検査いたしたものと考えておりますが。
  66. 木下源吾

    ○木下源吾君 それから勇昌丸というのは検査いたしましたか。
  67. 清井正

    政府委員清井正君) ちよつと私も数字をはつきり持つておりませんのですが、只今のような原則になつていてやりますし、検査を指示し、或いは厳密に検査を受けておりますので恐らく検査申受けておるものと私は考えております。
  68. 木下源吾

    ○木下源吾君 そこなんです、私のお伺いしたいのは。この検査を受けると実際大損害になつてしまうのです、若しも棄てたりなんかしたら。これら業者は、国家が補償という問題で或いはこれに融資をするというようなことがまだ行われていないものであるから苦しい、経済的に。だからしてできるだけ検査を受けたくない。これは本当に業者の今長官の言われたように考えるのも一つの考え方であるから、実際は背に腹は代えられないのだ、業者としては。それですから検査を受けたならば廃棄する、廃棄するならばそこは早く補償するとか、融資とか、或いは何とか面倒を見てもらえるということであればそれは進んで受けるのです。併し今日のような状態ではいつまでたつてもうつちやらかして置けばこれは業者の死活問題で経済上、衛生上から言つても甚だよくないと思う。そういうことは現に行われておるし、実際において検査港以外に入港していろいろかまぼこを造つたりなんかすればわからないということもあるでしよう。でありますから非常に危険なんです。これはそういうことが現に行われている事実を私が聞いておりますから今お伺いしているのです。ここで水産庁長官の御答弁になつ範囲はあなたのお知りになつている範囲であると思いますが、実際調査して私ども報告を受けているのはそういう報告を受けております。最初のビキニの地域、それから第五福竜丸が包含されるようなアメリカ側の立入禁止の地域に、そして日本政附が指定地域をその上に又広く指定していそ、その以外のニューギニア方面、そういうような所から持つて来た物でも放射能がある、これは検査の結果事実ある。で今おつしやるようにそういう所から来た物は強制的に検査を受ける必要があるのでございますから、これは強制的に、何でも向うの南方から来た物は強制的に検査をする、こういうようなふうになれば国民は安心していろいろな魚の製品を食われるわけであります。ところがそれを強制でない、いわんやその指定海域以外からこういうようなことになれば国民の側から見ればもう危険極まりないものだ、今まで放仕されておつたということになる。そこで私は一刻も早く損害に対する救済の途を講じなければそういうことがどんどん行われている、これを私は非常に憂慮するわけであります。でもう一度これは水産庁で厳重に現地を調べて頂きたい。今の点はですね、ただこれは冗談ではない、とてもあなた危険極まりないものでございますから……。
  69. 清井正

    政府委員清井正君) 只今お話でございますが、実は私ども表がございましたので申上げますが、御指摘になりました第五福竜丸、勇昌丸でございますか、今御質問なつたのは……。
  70. 木下源吾

    ○木下源吾君 勇昌丸。
  71. 清井正

    政府委員清井正君) これは検査を受けております。はつきり私のほうの統計に載つております。従いまして只今御心配のような故意に逃れるというようなことはないと私どもは考えているものであります。
  72. 木下源吾

    ○木下源吾君 これは私のほうで調査したのではそういうのがあるのです。であるから、これは私は委員会で別に追究をするわけではない、これは国民にとつて非常に危険であるから、おとで水産庁とよく懇談して打合せしたいと思います。なお、この検査によつて測るめどが、何とかというめどがあるでしよう、放射能のこの限界というものが。検査の場合にですね、どういうところで、一つその基準を置いておられるのか、この点を一つもう一遍承わつておきたい。厚生省でも何でもよろしいから。
  73. 清井正

    政府委員清井正君) これは私どもからちよつと申上げにくいのでありますが、厚生省と連絡して、はつきりその基準をきめてやつて頂いておるわけで、ちよつと私のほうから責任あるお答えはいたしかねます。
  74. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 厚生省からは参つておりません。
  75. 木下源吾

    ○木下源吾君 これがきちつときまつておらないので安心できない。これが若しもきまつておるならば、どういうようにしてそれが割出されたものであるか、これが大切なんです。私の調査によつては、その辺ははつきりしておらないということです。
  76. 安藤正純

    国務大臣安藤正純君) 今きちつと基準をきめて、そうしてやつていると承知しておるのです。併しながら、そういう専門的なことや、それからもう一つ事務的なことはよく私もわかりませんが、今あなたのおつしやつたことは、どうせ最近協議会がありますから、よく話をして、はつきりして、お答えをするようにいたしましよう。殊に、それは厚生省のほうの関係の問題が多いのですから、そういうことにいたします。
  77. 木下源吾

    ○木下源吾君 これらのことはすべて政府が面倒を見てやるといいますか、救済してやるというか、賠償をもらつてやるというか、それらのことと密接な関係がありますので、このことは……で、ありますから、あなたの所管ではないかも知れませんけれども、あなたの賠償損害とか、そういう問題についての何でありましようけれども、国民の側から見て非常に不安でありまして、非常に関連があることであるから、十分一つ厳重に、あなたのほうでこれをお調べになり、それでその立場に立つて政府はこれをなくするためにはどうしたらいいのか、これを一つ御研究になつて、次に御発表を願いたいと思います。
  78. 森崎隆

    委員長森崎隆君) そのように取計らいます。  それから水産庁にお願いいたしますが、さつき千田委員から申されました補償融資等に関しまする基礎的な資料は、できるだけ早く詳細なものの提出方を願います。  それでは被爆事件に関しましては、一応今日はこの程度で終えまして、あと森委員その他のかたがたがお急ぎのようでございまするので、先に韓国海苔の輸入に関する決議一つこの際やりたいと思いますが、ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  79. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。
  80. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産庁長官にお尋ねいたしますが、この海苔の輸入につきまして、過般通産省関係から御説明があつたのですが、四千数百万ドルというものが売掛になつちやつて、それがどうにも焦付きみたいになつている。それで海苔の輸入によつて幾らかでも回収するというような話がありました。そういうことであるならば、これはまあ幾らかでも損を取返すんだから、止むを得ないという感じも起りますが、それはその通りで、二百万ドルでも十回やれば二千万ドルになり、それで相殺できる恰好になつているのですが、私どもその輸入貿易のことはよくわからないのですが、それを輸入すれば、二百万ドル輸入すれば、二百万ドル掛金がとれることになるのですか、その点おわかりになりませんか。ちよつと筋は違いますけれども水産庁はこの問題については御協議になつてつて、そういうことはしばしばお聞きになつていると思うので……。
  81. 清井正

    政府委員清井正君) いろいろ相談をいたしておりますときに、韓国と我が国との決済上非常に面倒な問題になつているということの話は聞いているのですが、只今お話のように、数字的に、この数字とこの数字が差引きつこになるという具体的なところまでは、ちよつと話が行つていないのでございます。と申しますのは、恐らく輸入をいたしますのに、いろいろな輸入の形態等もございますし、果してそれがどういうことになりますか、ちよつと私といたしましては、その問題についてはつきりしたお答えは申上げかねるのでございます。
  82. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今のこれは、私も全く素人でわからないのですが、四千何百万ドルというものが、輸出されているというものが、海苔の輸入と同じように、民間貿易でどんどんどんどん自由に行つていたものか、或いは特需というような恰好で政府が立会つたものが、それが焦付きになつている。ところ海苔の輸入は、日本の商社が向うの商社から買つて、そうして決済してるんだとすれば、その焦付きをなくすことに何らの力にならないじやないかと、こういうふうな感じもするわけですがね、従つて通産省がそう言つてるんだから、それは相殺になるのだろうとは思いますけれども、そこの点がどうもはつきりせん点がある。若しそ必が何にも役に立たないものであつたら、この際急いでそれを入れなければならないという理窟にならないのじやないかと思うのですがね、かまわずにこれを決議すれば、まあしてもいいのですけれども、そういう点もはつきりしてからのほうが、私はいいのじやないかと思います。誰か通産省の人、急に来られませんか。
  83. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今古池政務次官を招聘しておりますので、やがて来ると思いまするが、ただこの問題は、決議をしましてもすぐに取引が実施されるというわけじやないのじやないかと思いますが、その点如何なものですか。
  84. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いや、その決議をするために、ここに「輸入を許可せんとする場合」とこうありますがね、「止むを得ない」場合に輸入するという、この「止むを得ない」のかどうかという、それがそういつたようなことがあれば「止むを得ない」と言えるが、それがなければ「止むを得ない」とは言えないのじやないかという感じもするのですがね、どうもその点がはつきりわからない。
  85. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これはこの間の通産省の答弁から考えまして、やはり秋山委員の申されるように、これによつて決済ができるということも一応考えられるし、もう一つは、この民間との取引は、やはりその現金取引でやつてしまつて、焦付きには何ら影響はないけれども、これをやると、輸出入のバランスが或る程度とれるということによつて、焦付きも自発的に出せるのじやないかという一つのゼスチュアとも考えられますね。もう一つは、もう全然そういう理由は言つてるんだが、併しそごには根拠がない、最悪の場合はそうも考えられる。まあ三通り私は考えられる。だからこれはもうはつきりさすことは確かに必要だと思います。ただ「止むを得ない事情によつて」ということにはなつておりますが、まあ「止むを得ない事情」という内容は、いろいろな取り方もできまして、決議をするということについては、どんなものでございましようかね、対外的に、この程度のゆとりは持つて、ここで決議をいたしましても、それによつて通産省が得たりかしこしで、無条件で枠を離して取引をするというふうにも考えられないし、又それまでには相当委員会でもはつきりさすことは、決議後においてもやろうと思えば私はできるのじやないかと思います。何かそれについて……。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  86. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。  只今海苔輸入に関する決議の問題につきましてお諮りいたします。通産省から参りましたので……。
  87. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちよつと政務次官にお尋ねいたしますが、先般からの御説明や御答弁によりまして、韓国に対して輸出したものの代価が焦付きになつているものが四千何百万ドルかある。そこでまあ僅かながらも海苔なんかを輸入して、それを幾らかでも決済して行くような方向に出なきやならんという御説明であつたように承わつておりますが、この海苔の輸入というものがその決済の資料になるのかどうか。即ち、四千万ドルのうち二百万ドル輸入すれば二百万ドルだけ減るのでありますが。これはこれで民間で勝手に貿易をやつているのであるから、買つたものは代金を払つて行く。買つたものの相殺には必ずしもならないと言うのであるのか、どつちになるのですか。その辺が我々には素人でわからないのですが……。
  88. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 前回に私からお話申上げましたように、現在四千二百万ドル以上の焦付きがございますのでありまするが、今回若し海苔を輸入するということになれば、その代価は只今申上げた焦付きになつておる分から差引くということに相成るかと存じます。従つて、それだけ日本としては有利になるわけに相成るのであります。
  89. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、韓国側の商人といたしまして、日本からはその代価は送らないけれども向うに売掛があるから朝鮮政府がそれを支払つてやると、こういうことになるのですか。
  90. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 大体お話のようなふうになると存じます。
  91. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その点が私ども決議をする場合に支障になつておるわけなんです。若しそれが相殺にならないで、海苔の輸入は海苔の輸入で代金決済をしておる。それから他の四千二百万ドルという焦付きというものは一種のまあ前からの特需とか何とかいうので政府がタッチしてやつておる代金であつて、これは韓国政府が払わないのであるということであると、一向その決済に役立たないのではないかというような感じがするのですが、それでまあ今まで論議をしておつたわけなんですが、結局誰もわからないものだから、盲人象を撫すと、こういつたような恰好になつてつたのですが、それは確かですね。
  92. 古池信三

    政府委員(古池信三君) これは必ずしも特需に限らないで、例えば昨年度の輸出につきましても、その代金の一部がまだ未払になつておるというわけになつております。
  93. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、それを輸出した日本の商社はそれだけ損をしておるわけですか、現在。
  94. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 結局それだけ決済がないので焦付いておる、こういうわけであります。
  95. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうすると、そういうふうな四千何百万ドルというのは、勿論多数の商社があると思うのですが、それらの商社に対しては、日本政府が何らかの措置をしておるわけですか。仮に今海苔の輸入で二百万ドル相殺した。そうすると、二百万ドルだけ入つたことになるのですが、払つてやるのですか。
  96. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 政務次官の説明に補足いたします。四千二百万ドルは貿易上のアンバランスでございまして、今までの輸出の総額と、それから輸入の総額、この両方の間のアンバランスが四千二百万ドルになつております。ですから、輸出したものについてはこれは個々の商社に支払はあるわけです。それだけ余計に日本としまして輸出しまして、逆に輸入が少いものでございますから、日本の国といたしましてそれだけ貸越になつておる、こういうわけでございます。
  97. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 それではちよつと話が、私が承わつたのと違うのですがね。輸出入のアンバランスは至る所にあるわけです。輸入が多かつたり輸出が多かつたりする場合はしよつちゆうあるわけですね。どこの国でも。ぴたつと輸出入のバランスの決済がとれるところはどこにもない。大体輸入国であつたり、輸出国であたつりする。そうしますと、焦付きを回収するということになるのではないのですね。
  98. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 今の点でございますが、御説の通り、輸出入のアンバランスがありまして、現在輸出超過になつておりますのは韓国とインドネシアでございます。ほかのオープン・アカウント地域は大体輸入超過になつております。それで、オープン・アカウントの勘定は両方のつけ替えをやりまして、一定の金額の輸出或いは輸入を超えますと、それだけの分はドルで払うということになつておるわけでございますが、韓国側はその支払をしない。でありますから、日本の国として当然とれるべきものが相手側が払わんというのが現状であります。個々の商社は輸出をしたものに対しては支払を受けております。その点ちよつと誤解があつたと思いますが、この前申上げました化学繊維、化繊がキャンセルになつたということを申上げたのでありましたが、これは契約しておつたにもかからず向う側から一方的に契約を取消して来た。そういうことであります。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 今の秋山委員質問で大体わかりましたが、もう一遍端的にお答え願いたいのは、今まで我々理解しておつたのは朝鮮に四千数百万ドルの貸越がある。それを決済することか日本の経済状態として急を要する。そこで、好ましくはないけれども韓国の海苔を入れるのだ、こう承わつたのですが、その場合に、輸入した海苔の代金は別途に出て行つてしまいはしないか、又債権が回収されるということにはならなくなるじやないか、そのものはそのものとして取引が行われるということであれば、四千数百万ドルの額を縮小して行くということの材料にはならないということになるのですが、材料になるというならなる、その点はつきりと簡単でいいからお答え願いたい。
  100. 森日出哉

    説明員(森日出哉君) 私今の問題につきましてお答えいたします。二百万ドル韓国から海苔を輸入いたしますと、国としてのアンバランスはそれだけ消えます。でありますから、輸入した分だけは、四千二百万ドルの貸越から二百万ドルは消えるわけであります。
  101. 木下源吾

    ○木下源吾君 私途中からですが、今の決議というのは本会議に出すのですか。
  102. 森崎隆

    委員長森崎隆君) そうではありません。委員会で……。
  103. 木下源吾

    ○木下源吾君 どういうような経過になつておるか知らんが、貿易上の問題ですね。そうして今のような少くも、量が少いとか、金高が少い、そういう問題もあろうけれども、韓国海苔の輸入を国会が決議してそれを禁止するというようなことは、これはよほど慎重に考えて私はやるべきことだと思う。勿論向うの仕打ちは今日まで納得の行かんものがたくさんあるとしましても、事通商に関する問題、もとは経済の断交は国交の断交と言つても差支えないくらいに重要性を持つていたのであるから、その点は慎重に各位におかれても考えておやりを願いたい、こう私は思うのです。殊に通算の、今次官が来ておられるから、これこそ通産の諸君ととつくり一つ話合をしてやらんと……、日本の場合で、今アメリカの絹の問題で、火が移りやすいものは禁止するというような法律が今出ておつて日本の絹産業は非常に恐慌を来たしておるというような実情であります。そうしてあらゆる手を打つてそれを緩和することになり、漸く今アメリカでそれが緩和される曙光が国会で見え出した。それで愁眉を開いておるという実情であります。個々のケースにおいては進めがたいものがあるが、今の海苔業者に関する問題などもあろうと思いますが、これは国としてこれが立ち行くような方法を講ずるのが適当ではないか、こういうふうに考えるので、どうか一つ慎重に御研究を願つておやりを願います。
  104. 森崎隆

    委員長森崎隆君) この問題は、衆議院はすでにはつきりと輸入禁止の決議をいたしておりますが、参議院といたしましては、木下委員の言われるような点も十分加味いたしまして、ややゆとりのある決議に直しておるわけでございます。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 韓国の海苔の輸入の問題につきましては、今木下委員から御発言のように、必ずしも一方的に見て軽々に決すべき問題ではなくて、これは国際的の問題として慎重を要することは言を待ちません。そういうようなことも含めて過日来当委員会で再三質疑応答をいたしましたが、その経過に徴しますると、政府当局は勿論そういうようなことを十分御了解の上で韓国海苔の輸入というものは好しくない、できるなればこれを避けたいが、併し四千数百万ドルの貸越もあることだから、これが決済不能に陥るというと、前段申上げましたような国際的な立場から、日本対韓国という問題の処理に非常に日本としては不利益であるから、この決済をすることが急であるということでお考えになつておるというように私は理解いたしますので、木下先生のお話のことはよく理解いたしまするけれども、この際は国内生産を保護して行くという立場に立つて取進めますることが妥当のように思いまするし、すでに衆議院におきましても、非常に強硬な決議が行われておる。恐らく衆議院でも諸般のことについては十分御勘案の上で事が運ばれておるというようにも存じますので、本院におきましても、この委員会決議として決議をして頂きたいというように考えまするのであります。そこで、少し行過ぎてしまうかも知れませんが、皆様の御同意炉頂けまして決議が願えるといたしますれば、一応の案として提示をいたしたいと思うのでありますが、今申上げましたような趣旨を含めまして、    韓国海苔輸入措置に関する決議   韓国海苔の輸入は我が国海苔生産者に少からぬ経済的打撃を与え生産に多大の障害を及ぼしつつあり、政府はこの事態を認識し将来韓国海苔の輸入は禁止すべきである。止むを得ない事情によつて輸入を許可せんとする場合は最少限度にとどむべきは勿論国内の生産増強を期するために生産者の納得する適切なる輸入方式等を樹立し国内生産に悪影響を生ぜざるよう万全の措置を講ずべきである。   右決議する。という趣旨で決議を願い、委員長から政府に申入をして頂くという手続をとつて頂きたいと思います。なお従来の例に徹しますると、こういうような決議が行われましても、国会の開会中は、委員会なり院の意思を尊重するというような立場で比較的この趣旨が保たれているとは思いますが、国会が終りますると、途端に弛んでしまつて、もう何をやつてもいいというようなことになつている例があります。これでは非常に決議そのものが一片のゼスチユアになつてしまうだけで我々の所期するところではありません。私どもは、しばしば業界からも実情を聴取いたしましたが、そういうような業界の陳情に迎合して事を運ぶのではなくて、今置かれている日本の経済的な立場、殊に経済自立という命題を解決して参りますために、国家的な視野に立つて考えているのでありまして、これは政府当局に、将来に向つて決議の趣旨を尊重して実行してもらわなければならんというところにあるわけであるのでありますので、そういう意味も十分委員長申入の際には附言をして頂きまして、この実効の挙りますようにいたしたらと思うのであります。非常に行き走つたようではございましたが、私のやつて頂きたいと希望いたしまする決議案を申上げましてお諮りを願えますれば非常は仕合せに存じます。
  106. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今、森委員から発議されました韓国海苔輸入の措置に関する決議案。お読みになりました案文通りでございますが、お諮りいたします。この通り委員会決議してよろしうございますか……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  107. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さ。  只今の森委員の発議通り委員長において取計らいたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは御異議ないものと認めましてそのように、特に附帯的御要望も強くありましたので、それも添えて政府に強く要望いたしまして、十分本委員会の意思のあるところを伝えたいと思います。   ―――――――――――――
  109. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 次に、輸出水産業の振興に関する法律案議題に供します。  先ず、この法律案の提案趣旨の説明は、先般田口委員長から頂きましたが、今日は法律案説明をお願いいたしたいと思います。  それでは只今から本法律案の内容の御説明を衆議院の田口水産委員長からお願いいたします。
  110. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 逐条で行きますか、総論的な説明を一応やりますか。
  111. 千田正

    千田正君 総論でいいじやないですか、総論を伺つてあと疑義のある点は伺いたいと思います。
  112. 田口長治郎

    衆議院議員田口長治郎君) 先ず第一点は輸出水産物の定義でございますが、本法では『「輸出水産物」とは主として輸出の用に供せられる水産製品で政令で指定するものをいい、』とこういう表現をしておるのでございますが、いろいろ公取の関係から政令で指定した場合に範囲を広くされては困る、こういうような御意見がございまして、水産庁自体の仕事の能力という点も考えて、一応我々といたしましては、まぐろ類、めかじき、さけ、ます、いわし、さんま及びかにの缶詰、冷凍品、漁糧、水産油脂のうちで主として輸出の用に供せられる水産製品、この程度に種類を考えておるのでございます。  これは御承知通り中小企業安定法という法律自体に、いろいろな品目を記入いたしましたところが実際に行政府処置しようと思いますと、なかなか二進も三進も動かないで、この国会で又その種類を指定したものを法律を改正いたしましてやはり政令に譲ると、こういうような中小企業安定法の轍もあります。一応重要水産物だけを予定をいたしまして、そうして政令にあとは譲ると、大体公取のほうともいろいろ折衝いたしまして、只今申上げました程度のものであれば公取も別に異議がない、こういうことで政令には譲りましたが、大体の種類は右申しましたような程度に考えておるのでございます。  それから第二点でございますが、この許可制をとると、余りに強くなる、どうかすると官僚統制、官庁の統制に傾く虞れがあると、そうかといつて放任しておきますとどこが輸出水産物を製造するんだか、或いは数量がどうなつているんだか、そういうような点もはつきりいたしませんし、又設備を改善させるにいたしましてもその点が明瞭でございませんからこの法律では施設の登録、こういうことを考えた次第でございます。これによつて製造する場所もはつきりわかりますし、製造する数量もわかると、或いは設備が不完全である場合は農林大臣が監督することによつて施設を改善させることもできる、こういうような目的で登録ということを考えたのでございますが、この場合におきまして原則として漁船の施設につきましては登録を除外をすると、こういうふうに考えておるのでございます。  それから第三点は最も重大で真剣に討議をしたのでございますが、この輸出水産業の健全なる発達を図り、輸出の振興に資するために政令で規定した水産製品につきまして営利を目的としなで全国一円の輸出水産業組合を組織することができるようにいたしたのでございます。この組織につきましては協同組合と同じように加入脱退は自由といたしまして、出資の口数にかかわらず議決権は平等とし、又「一組合員の出資口数は、総出資口数の百分の二十五をこえてはならない。」と、こういうことにいたしました、輸出水産業組合の事業といたしましては事業資金の貸付及び組合員のためにする借入、輸出水産物の保管、運送、組合員の事業に関する技術の改善向上等のための教育、情報の提供に関する施設ができることといたしました。  その他経済的地位の改善を図るために副資材の供給については団体協約が締結できるようにいたしました。ここの副資材と申しますのは勿論製造に必要なるいろいろな資材でございます。  魚類、魚につきましては全然考えておりません。又魚に対する購入の団体協約というものは締結してはいけない、こういうふうに考えておりますからこの団体協約のできる副資材は魚を含んでおりません。  それからこの組合の特質からいたします輸出水産業者の自主的調整による経営の安定を図るために生産過剰による過度の販売競争の防止、粗悪品の濫売防止等の事態が必要となつた場合におきましては組合員の事業の、そういうことができまして組合員の事業の経営が困難となる、或いは輸出の不振を来たし関連産業にも重大なる影響を及ぼす虞れがある場合には輸出水産物の製造数量、出荷数量、販売方法、時期及び販売価格又は製造施設の制限等を行い、輸出水産物に関する調整ができることにいたした次第でございます。なおこの調整をする場合におきましては農林大臣の認可を受けるわけなんでございます。このときは公正取引委員会との関係もありましていろいろ議論をいたしました結果農林大臣は「公正取引委員会の同意を得なければならない。」と、こういうことにいたしたのでございます。なおこの種の調整の場合におきましては、組合員だけを含みましては全般的の目的を達しない。いわゆるアウト・サイダーをどうするか。こういうことが極めて重大でございますが、今御承知通りこのアウト・サイダーを作るという方法はいずれの業界いずれの法律におきましても認められておりませんが、実際に調整するためにはどうしてもアウト・サイダーもこの組合と同じ方向に進んで行かなければ目的を達しられないのでございますから、このアウト・サイダーに対しまして農林大臣はこの組合の調整規程と同じ省令を出しまして、そうしてこの省令に従わなければならない、こういうことにして、そうして組合もアウト・サイダーも同じ方向に進む途を講じたような次第でございます。この点が非常に議論がありましたけれども、ともかく今の輸出物、殊に輸出水産物につきましてはそこまで行かなければ実際の目的は達せられないだろうと、こういうことで決定をいたしましたような次第でございます。  それから第四点といたしましては本法の適正且つ民主的な運営を期するために、十五名の委員からなりますところ輸出水産業振興審議会を設けました。農林大臣の諮問に応じて輸出水産業に関する重要事項を審議、或いは農林大臣に建議することができるような、さような途を講じたような次第でございます。  大体重要なる点は第二条の、今申上げました品物の問題と、第三条の製造施設の登録に関する問題、第七条の輸出水産業組合、第十七条の組合の事業、第十八条の輸出水産物に関する調整、第十九条の調整規格の認可、第二十六条の製造数量等の制限に関する命令、いわゆるアウト・サイダーに対する命令と、それから第三十一条の輸出水産業振興審議会、これだけがポイントでございます。  非常にたくさんの条項になつておりますが、骨子は只今申上げましたような点でございます。なお逐条的に御質問がございますればお答えいたしたいと思います。
  113. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  114. 森崎隆

    委員長森崎隆君) では速記を始めて下さい。  本日は一応内容の説明を聞いただけにとどめまして、質疑は次回に譲ることにいたします。  今日は委員会はこれを以て散会いたします。    午後四時五十二分散会