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1954-11-29 第19回国会 参議院 水産委員会 閉会後第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十九日(月曜 日)    午前十一時二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員木下源吾君辞任につき、その 補欠として、森崎隆君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            島村 軍次君            森崎  隆君            苫米地義三君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    外務省アジア局    長       中川  融君    水産庁長官   清井  正君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (北洋漁業に関する件)  (東支那海における漁船撃沈事件及  び漁船だ捕事件に関する件)  (ラツコ、オツトセイ猟獲に関する  件)   —————————————
  2. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。  北洋漁業に関する件を議題に供します。
  3. 千田正

    千田正君 一昨日の水産委員会でもこの問題はいろいろ議論されたのですが、昨日の新聞紙上に現われておりましたこの北洋漁業の問題、殊に北洋船団に対する来年度の計画として更に一船団を加え、又独航船もそれに追加するというようなことを新聞発表しておりますが、これは確実にそういうふうに水産庁長官としては大体その方針で進むというお考えでありますか、どうですか。その点をもう一遍聞きたいと思います。
  4. 清井正

    説明員清井正君) 只今千田委員の御覧になつ新聞はどの新聞であつたか、ちよつと私どもはつきりいたしておりませんが、私ども考えは土曜日にも申上げた通り、まだ目下研究を進行しておる最中でございまして、何ら結論は出てないのであります。ただその問題の基調となるところは、土曜日にも申上げました通りのような基調でございまして、対ソ関係、その他いろいろな資源或いは漁業調整等関係からそう簡単に船団を余計殖やすということはできないということを申上げたのであります。  それから独航船のことについてはこれは殖える、殖えるけれども、これは数については今どうするかということについては決定いたしておりませんという御説明を申上げたのでありますが、そういうようなことを中心にいたしまして検討いたしておる最中でございまして、まだ何ら結論を出していないのでございます。ただ方向は今私が申上げたような方向検討を続けているということは申上げられると思いますが、結論についてはまだ今暫らくお待ちを願いたい、こういうふうに考えております。
  5. 千田正

    千田正君 そこで只今陳情のありました通り沿岸漁民としての生活の問題でもあり、且つ又実際から言つて、国際的には公海の自由の原則を我我が主張しておつて、国内的においてはその公海にさえも生活に苦しい人たちがやれないということは非常にこれは国内的には矛盾している問題であると我々は考えますので、あなたがたのほうで決定する以前に、国会の人も重大なる関心を持つておりますから、北洋船団に対する、出漁に対するすべての行政措置の前に一応当委員会におきましても、大体のことがきまりましたならば、御報告を頂きたいと私は思つております。その節は改めて委員会から又要望いたしますからどうぞその点を御了解を願つておきます。
  6. 清井正

    説明員清井正君) 只今お話は御趣旨は十分了承いたしましたが、この問題につきましては、お説の通りいろいろ母船独航船並びに只今陳情のあつた問題ともいろいろ関係が深いわけであります。そこで非常に機微な問題でありまして、実は各方面からも従来非常な陳情その他を受けておつて、我々といたしましても、これは水産庁としても最も大きな行政一つ考えておるのでありまして、従つてその決定につきましては非常な実はいろいろな点を考えて行かなければならん面があるのであります。従つて非常な御心配の御趣旨は私よくわかりますけれども、ただこれを正式決定の事前に説明申上げるという機会を得ることが果して適切であるかどうか、ちよつと私も判断に迷うわけでありますが、考え方只今申上げたような考え方で進んでおるのであります。その他いろいろの関係において考究いたしておるという状況でありますので、そのときになりましてどういうふうな形で御説明できるようになりますかどうか、ちよつと私確たる自信を持ちませんが、御趣旨はよくわかりました。
  7. 千田正

    千田正君 行政機関はいわゆる執行機関であつて国会要望立法機関としての立場から我々としては特にあなたがたに要求するというのは、やはり国民生活安定というものを基礎として国会としては考えなくちやならないのであつて、そういう立場から仮にあなたがた決定したとしても、或いは水産委員会としては要望する点があると思いますので、その点を私は言つておるのでありまして、その点は十分誤解のないように一つ考えて頂きたいと思います。
  8. 森崎隆

    森崎隆君 一言だけ清井長官ちよつと基本的なことだけお聞きしたいと思いますが、或いは一昨日もすんでおるかどうか知りませんが、四十七度以南漁場はそこに操業している小型漁船の現状から考えて、非常に窮屈になつておるということは御了解頂いておるのでしようか、これが一点。それから以北の母船漁場はまだ今後多少何かの形で増船することは可能なのか、漁業としてはもつと船を殖やしてとれるという見通しをやはり基本的に持つていられるかどうか、この二点をはつきりお答えを願いたい。
  9. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問の問題と関連いたしまして土曜日にも或る程度お答え申上げたのでありますが、これはその漁場という問題については資源的に果してこれがどの程度の一体適切な区域であるかどうかということの問題でありますが、これを抽象的に議論をしてこうだという結論を得ることは非常にむずかしいのじやないかと思います。只今の御陳情の中にも、今年は非常に時期が遅れたのだといつて、七月頃のとれ高が下降して来ておるという御陳情もあつたのでありますが、私といたしましては、道庁あたり報告を見ましても、やはりこれは大型のほうの船は割合利益はあるけれども小型道庁許可の三十トン以下のほうは利益が少い、或いは赤字が出ておるというような報告もあります。それから又これは県によりますけれども、或る県の船が割合に統制ある集団行動をしている県があるのですが、そういうところでも割合小型でも収益が挙つているという報告もあるのであります。従つて概してあの海域全体を見て、或いは現在の漁船としては絶対的に狭過ぎるのかどうかという判断が実はむずかしいと思います。現に新たに四十七度以南ケースに入りたいという希望も相当あるのであります。ということは、これはまあいろいろ考え方があるけれども、やはりあすこに行けば或る程度希望があるという見方をとつている人もあると思います。現に大型のものを非常に希望されるかたもあるのです。これはやはり大型化すれば或る程度収益が挙る見込があるかと考えるのでありますが、いろいろな関係がありますのでこれをすぐにこうだという断言をすることは非常にむずかしいと思います。ただ小型漁船を持つておられて操業されるかたが、比較的大きい船を以て操業しておられるかたよりも、やはり漁業収益が少いということはあると思います。これは恐らくこれだけの問題でなくて、恐らく漁業全般にそういう問題が起り得ると思いますが、恐らくその問題の一つの現われとしても起つているでございましようし、或いは四十七度以南ケースから似たよらな問題が起つて来るかも知れません。まあいずれにしろそういう問題がありますので、私どもとしては一概にこうということは言えないのでありますが、業界の人々の御陳情は非常に困るのだという御陳情であります。まあ非常に困つておられるということもそれも事実だと思いますが、これを皆分析してこうだ、だからこうするのだということにはこれはちよつと検討すべき点があるのではないかと、こう実は考えております。特に又非常に緯度を上げる希望があるわけでありますが、この問題につきましても、実は土曜日御説明申上げたわけであります。いろんな観点からこの点を検討しなければならんということになりますので、まあ道庁試験場の報告或いは道庁のかたからの意見、或いは業界のかたがた意見を十分今検討しておる最中でございます。それから北のほらの母船式のほうにまだ余裕があるのじやないかということでございますが、これは非常に余裕があるから殖やせという意見が相当多いのであります。私どもは必ずしもそれには賛成していないのであります。と申しますのは、成るほど広い漁場でありますけれども魚道がきまつておりまするからそうあすこも私どものほうできめました魚道手一ぱいに全部使つておるわけではないのでありまして、その場所から三カ所か四カ所きまつておるのであります。そこへ二百隻の船が相当長い流網をしてかたまつて漁業をいたしますから、魚族の資源という観点から申すよりも、むしろ漁業調整と申しますか、そういうものの統制と申しますか、そういう観点から言つて非常に問題がある。殊にこれが西のほうへ漁期が移つて参りまして、カムチャッカ半島に近くなつて参りますと、余計その海域の侵犯の問題等も起りますので、そういう観点も十分考えなければなりませんので、私どもといたしましては成るほどこういう北洋漁業というものは日本漁業の唯一の明るい漁業であるからもつともつと独航船を殖やせば漁業が増えるだろう、輸出振興になるからどんどん殖やせという意見業界に強いのでありますけれども、そういつた意味から私ども出先に参りました監督官意見を聞きながら検討しておりますが、これは私どもといたしましては只今の一応の考え方千田委員お答えを申上げました通りでありますが、やはり或る程度独航船増加は見ることができるだろうと、こう考えております。ただ数の問題はどうかということには問題があると思います。或る程度増加はし得るかも知れませんが、併し独航船を殖やしても母船は殖やせるかどうかという問題は又問題があると思います。独航船は殖やせると考えております。ただそこで恐らく森崎さんのお考えといたしましては、母船式経営独航船と四十七度以南独航船との釣合いの問題は当然考えなければならんと思います。そこでこれは土曜日にも御意見がありました。私も私だけの考えを申上げておきました。母船式経営独航船、これは必ずしも母船経営者のみの利益でやつておるわけではありません。これは両者の共同漁獲ということで集団的な出願許可をしておるので、形式的に平等に許可をいたしておるので独航船とつた魚は母船で仕切つております。それから先は母船のほうの危険負担になつているというような関係になつておりまして、私どもは相当独航船経営者といたしまして、経済的に少くても対等になるような形でやつております。その上底曳漁業を廃業して出漁するという特色を持つているというようなことでありまして、必ずしも四十七度以南のものと比較対照する場合に、いろいろな観点から見て参りませんというと、単に船が大きいから小さいからということだけでは判断しにくい問題でありまして、その点はお話趣旨も十分私ども了承できるのでありますので、そういう点は非常にむずかしい点でありますので検討を加えて行きたい。こういう実情でありますことを御了承願いたいと思います。
  10. 森崎隆

    森崎隆君 今の段階では水産庁のほうでも、母船漁業のほうには増船をする可能性があるということは大体裏付けあるわけですね、その場合独航船を殖やすという形と、四十七度線を少し北上せしめて行くという二つの形があるのだと思いますが、その両方について今検討中なんですか、それとも片方は打切つて一方的に話を考えているのかどうか、そういう点についてもう少し、現在調査研究中の具体的な内容を、中間報告で結構でございますから……。
  11. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問でありますが、独航船が殖やし得るという結論を出しつつありますのは、これは今年操業に行きました実態を見て結論をしたのであります。というのは、ざつくばらんに申しますと、実際現地に行つて監督に出ております者は、独航船を殖やすということになかなか賛成しないのであります。今年も母船独航船で網を切り合つたという事件が起つたのであります。ああいうふうな広い海でさえ漁道がきまつておりますものですから、一カ所に独航船が集中するわけであります。流している網は一隻で以て約四里に亘つて流網をし、これがしよつちゆう廻転をいたしたり移動をいたします関係上、而もとつてからすぐ母船へ戻つて来て、又すぐやるという、而も流れもあります、波もありますというようなことでありますから、よほどこれを考えて見て参りませんというと、殖やし得る根拠ができないのであります。去年大分心配いたしましたけれども、今年は操業して見た結果、この程度は殖やし得るだろうという結論を実は作つたのであります。そこで殖やしますが、問題は御承知の通り、魚があの区域全般にいるわけじやないのであります。広い私どものほうの許可区域の中でも、その中で本当に魚がとれるという場所は、三カ所か四カ所であります。東から西に向つてすぐ移動いたしまして、最後の海域カムチャツカの北から西の辺のところでやるということでありますと、極く一部しかないのであります。而も又それ以外の海域においては、水産庁試験船操業試験をいたしましたけれども、殆んど魚がとれないのであります。結局とるといたしますれば、母船独航船も、或いは一緒のようなものを仮に上げたといたしましよう。そこで両方の船が一緒に上げなければならんという結果になるということも、私ども調査した結果からもはつきりいたしておるのであります。そうなりますというと、仮に上げるものが、いろいろ上げるということになりますというと、そこに母船側のほうの独航船と、四十七度以南独航船とが或る程度入りまじるということも考えられるということを心配するわけであります。これが全然別個に操業できる、東のほうに母船側をやつたときに、西で以て独航船をやるというように器用にできれば結構でありますが、なかなかそういうことも、私ども検討中でありますが、今までは私どものほうの調査の結果、なかなかそういうように行かないという問題があります。その点はなお多々私どものほうで検討を要することであるということで、検討いたしております。  もう一つ考えなければなりませんことは、これは操業規律というものであります。この点が実は一番考えている点であります。この点は陳情のかたもおつしやいましたが、規律的にやつて行きたいというふうなことをおつしやる御意向はわかりますが、要するに四十七度で切つておりますから、北へずつと行きますと五十一度になります。殆んどカムチャツカの南に当りますので、単船航路で以てお互いに入りまじると申しますか、独航の経営なんですから、母船式経営とは経営形態が違いますから、そうなりますと単船経営になりますから、今でも相当問題があるところに、これがずつとカムチャツカの南までこの形で以て推進めることになりますというと、相当問題を起すだろう。それが現在の対ソ関係からすれば、ちよつと考えなければならない問題があるのじやないかということも考えるのであります。そこで私どもといたしましては、そういうような操業規律ということと、それから母船式の場合の釣合いの関係、それから現在の漁業関係、或いは収容能力関係等、いろんな観点を見ながら勘案しておるのでありまして、大体こつちをきめてこうするとか、要するに前提をおいてやつておるわけでは全然ないのであります。であるが故に私ども決定が長引いておるのでありまして、私ども両方勘案しながらどういうふうな結論を出すかということを検討いたしておるのであります。こういう立場でありますことを御了承願いたいと思います。
  12. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  13. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 速記を始めて下さい。  次は南支那海における日本漁船に対する銃砲撃並びに撃沈に関する件を議題に供します。外務省中川アジア局長が見えられておりますので、外務当局からその内容並びに経過の大要を御説明願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 中川融

    説明員中川融君) 大陳島南方におきまして日本漁船が二隻撃沈されました事件につきまして、当委員会におきましてすでに水産庁当局より経緯については詳細に説明があつたように了解しておまりするので、私は主としてその後の外交面について御報告をいたしたいと思います。  この事件が発生いたしますとすぐに、海上保安庁、水産庁から報告を受けまして、外務省としては、先ず第一に事件を起しました軍艦が果していずれの国の軍艦であつたかと考えられますことは、国民政府側軍艦であるか、或いは中共側軍艦であるかということが先ず考えられる点でありますが、いずれにその軍艦が属しておるかということを先ず確かめることということが先決であると考えまして、その趣旨措置とつたのであります。つまり事件が発生いたしましたその日の夕方、十一月二十二日の夕方でありますが、外務省から台北の芳沢大使宛訓令を以ちまして本日の明け方こうこういう事件が発生したけれども、これについて国民政府側軍艦がさような行為をしたことがないかどうか調査してもらいたいということを国民政府に申入れるべく訓令いたしたのであります。芳沢大使はその訓令を受取りまして次の日、つまり十一月の二十三日に国民政府側にこれを公文を以て照介いたしたのであります。その際に口頭を以ちまして国民政府側発表によると、事件の起きました十一月二十二日の明け方に国民政府側軍艦中共船舶十数隻を攻撃いたしまして、大体水域においては同じ方面でありますが、ここで攻撃いたしまして、そのうちの二隻を撃沈したということを国民政府側発表しておりますが、その事実も指摘いたしまして、丁度偶然同じような時間に同じような事件が起つているのが、このことも念のために指摘したいということを申添えまして、先方に正式に申入れたのであります。先方はその際、これは外務省のみでは回答ができないことであるので、軍当局と連絡して調査して、その上結果をお知らせいたしましようということを口頭で述べておるのであります。その後本日に至るまでまだ回答に接しておりません。その問いろいろ新聞報道等で、或いは国民政府の船であつたらしいということが、いろいろなことが伝わつておりますけれども、いずれも正確な報道或いは発表ではないのであります。我々としては、国民政府側の正式の回答を今待つておるところであります。従つて、この正式の回答があり次第、或いは正式の回答がない場合におきましても、何らかの方法によつて、その攻撃をいたしました軍艦がいずれの軍艦であつたかということがはつきりいたしましてから必要な善後措置についての交渉を開始いたしたいと思つております。なお損害額その他の内容につきましては、水産庁側においてこれを目下取調べておるところでございまして、以上甚だ簡単でございますが、本件に関する外務省のとりました措置大要を御報告申上げます。
  15. 千田正

    千田正君 水産問題はしばしば国際問題に及ぶ問題が大きいのであつて、先般来ビキニの問題、或いは李承晩関係の問題、或いはその他の南支那海における我がほうの漁船に対する無謀な撃沈という問題が起きて来たのでありますが、只今アジア局長お答えによりまするというと、先方答えを待つておる、こういうお話でありますが、この海域に対しての日本漁船操業、若しくはその他の船舶の航行に対して先方側からこの区域の通行に対しての注意又は禁止方を申入れたことがあつたのでありますか、どうでございますか。
  16. 中川融

    説明員中川融君) この方面における水域につきましては、これは中共国民政府側との戦争と申しますか、内戦と申しますか、が継続しております関係上、すでに相当前、はつきり申しますれば、一昨年の四、五月頃から国民政府側ではこの地域の水域を含む台湾海峡全域と申しますか、台湾中国本土との間における水域全部を防衛水域という名前を付けまして、ここに日本漁船が立入ることは遠慮してもらいたいというようなことを日本側に通達して来ておるのであります。その当時はこの防衛水域というものは公海の非常な大きな部分における航行自由を制限するものとして日本側は強くこれに抗議をいたしまして、このように公海をほしいままに何といいますか制限する、外国の船に対して制限するということは非常に承認できないということを以て応酬いたしたのでありますが、この防衛水域なるものについては今日に至るまで日本側としてはやはり公海自由の原則の建前を堅持いたしておりまして、この水域に入つているが故にいろいろ日本漁船注意を受けるというような場合には、これに対して我がほうは抗議をしておるのであります。これは防衛水域という非常に広い水域でございますが、目下問題となつております大陳島附近の、要するに戦闘区域と申しますか、につきましてはその防衛水域ということ以外にも一、二回ここにおきまして日本漁船国民政府軍艦臨検を受け、ここは危険なところであるから入らないようにというような注意を受けた事実があるのであります。こういう事件につきまして最近の例を申上げますと、十月の初めに日本漁船が大陳島附近国民政府軍艦臨検を受けたことがあるのであります。その際国民政府側からは、やはりここは危険な区域であり、戦闘行為が行われておるところであるから日本漁船は入らないようにということの要望口頭を以て芳沢大使にありまして、芳沢大使防衛水域というような広い海域において日本漁船行動を制限されることは承知できない、併しながら現実に戦闘行為が行われるというような状態であれば、そこが危険であるということは、これは了解できるところであるので、法律問題を離れて事実問題として、日本漁船ができるだけそういうところに行かないようにという注意をするように今後政府に取次ぎましようということを、芳沢大使はこの通り答えたのであります。その報告に接しまして、外務省水産庁に連絡いたしまして、水産庁から業者の協会のほうに口頭或いは更に引続いて文書を以て大陳島附近は危険であるからということを通達しておるのであります。
  17. 千田正

    千田正君 先方防衛水域であり、又内戦といいますか、戦闘行為を継続中であるから入つては困るというような注意を受けた。併し防衛水域と称するものが、一定の戦闘行為を続行している期間、例えば六カ月とか一年とか大体想像のつく期間ならばとにかくとして、防衛水域というだけであつて何らの年限に制限もなければ、無期限に公海の中にそういう制約をするということは、これは当然国際法上からもあり得ないことであつて、これは当然日本側としては堂々と抗議を申込むべきでありますが、更に今度起きた大陳島における撃沈問題につきまして、先方からの答えがなければこちら側としては何ら申込めないというわけでもなさそうでありますが、大体いつ頃こういう問題についても確報を得てはつきりするという、外務省考え方としてはどういうふうに考えておりますか。
  18. 中川融

    説明員中川融君) 日本側から正式の照会を発しましてからすでに六日たつているのでありますが、いつまでも返事を待つて、そのために返事が来ない間は処置できないというようなことでも困ると考えております。更に早速返事を督促するというようなことをいたしたいと思うと同時に、いろいろの事情から考えまして、一体国民政府軍艦に責任ありや否やというようなことを、たとえ正式の回答がなくても、いろいろ推測することも不可能ではないと思うのであります。ここ両三日中には何らかの意向をこちらとしても考えまして、決定いたしまして善後措置のほうの交渉に入りたいと、かように考えております。
  19. 千田正

    千田正君 只今お答えによつて近近そういう問題に対しての態度を決するということは了解しましたが、今後もこのいわゆる防衛水域と称するところに対しては操業が不可能と考えられますか、差支えないと考えられますか。
  20. 中川融

    説明員中川融君) これは現実の問題と法律問題と分けて考えなければいけないと思いますが、法律上の問題といたしますと、たとえ事実上の戦争状態が行われておりましても、いやしくも公海であれば日本の船が行つて悪いということはないのでありまして、行くことは自由であると考えます。併し現実に戦闘行為が行われている、殊に最近大陳島附近、更にその南の小さな島嶼におきましては、中共軍が上陸作戦等をいたしているというような事実があります。あの辺がいわば現実の非常な戦闘区域になつているということは疑いのない事実でありますので、ここに日本漁船が行くということは、やはり不測の災害を招く危険がありますので、これは水産庁当局のほうからも更に警告を徹底してもらまいして、そういうような水域に行つて危険を冒す漁船が出ないように、できるだけ措置したいと、かように考えております。
  21. 千田正

    千田正君 水産庁長官にお伺いしますが、今外務当局お答えによるというと、今後も恐らくこの大陳島附近における戦闘行為が或いは行われるかも知れない、いわゆる非常に危険である、そういうところにおける操業は当分考えたほうがいいのじやないかというふうに我々は考えられるのですが、これは無期限に継続して、こういう問題が起きるとすれば、南方水域におけるところの南支那海等におけるところの操業ということは、殆んど不可能になると我々は見なければならない。そういう問題に対しては水産庁としては、この辺の漁場をどうするか、或いはこの辺に出漁するところの漁船に対する考え方というものを、はつきりとこの際考えておかなければならんと思いますが、長官としてのお考えはどういうふうに考えられますか。
  22. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問の問題、現実に戦闘行為が行われて、現実に危険であるという事態は、これは安全に漁業操業する立場から申しますと、これは避けざるを得ないことだと思います。法律上の問題、或いはラインその他の国際法関係から、只今中川局長から御説明申上げたような政府の態度をとつておりますので、現実の水産業者のほうの立場にある私どもといたしましては、その点が非常に重要な問題でありまして、それが故に今までも口頭等の措置を以て、文書によらずに、実際上危険だと言つているから、よく注意してくれという事実連絡をしておりまして、業界もそれを諒として、実際上余り立入らないということでやつておつたのであります。ただこれが今回こういうような事件が発生いたしまして、現実に近寄れない。而も又、同海域が相当漁業観点から言つて非常にいい海域である。それを放棄することによつて非常に影響があるというようなことが現実に起つて参りました場合に、果してこれにどういう措置をとるべきかということは、ちよつと私ども考えて行かなければならない問題だと思います。と申しますのは、今までも実際問題としてよく現実には知りませんけれども、無論立入りを禁止しておるわけではありませんが、実際問題としては余り入つておらなかつたと思う。たまたまこういう機会に遭遇したのが今回の不祥事件でございますけれども、実際問題としては、大体事実は避けておつて、現状まで来ておるわけであります。それが今度のような事件はつきりしたようなことになりますので、改めて行かないということを再確認するという立場に立つのであるか、或いは私どもとしては公式に禁止区域を作つて、この中には入れない、入つてはならないということの措置をとるとか、或いは今までのような形でずつと業者が申合せて行く、そうなりますれば、ここに入れなかつたことによる損害について又考えなければならない問題も政府側としてはあるわけでございます。いろいろな問題がここにからんで参りまずので、大体現実には余り行つておらなかつた区域であるということを前提といたしまして、この問題を法律的にも実際的にも見て、外交上の問題は外務省が折衝いたしますが、部内の漁船に対する連絡等につきましては、どういうふうにいたしたらいいかということを只今実は考えておる最中でございます。外交交渉との関連を睨み合せまして、なお研究を進めて参りたい、こう考えます。
  23. 千田正

    千田正君 それで大体了承しますが、ただ問題は、台湾国民政府から我がほうの船じやなかつた、攻撃したのは我々じやないというような仮に回答を得たら、どういうように考えておられますか、外務省として、どういうように……。
  24. 中川融

    説明員中川融君) これは台湾側がやらなかつたとすれば中共側がやつた。中共側がやらなかつたとすれば台湾側がやつた。どつちかそのうちの一つだと思います。目下のところは国民政府側調査方を照会しておりますが、若しも国民政府側でそうでないと言つた場合には、これは中共側がやつたという結論になるわけで、今は中共側には正式に国交がないために、まだ外交ルートを通じての照会ということはいたしておりませんが、もうこれは新聞報道、ラジオ等で、中共が十分知つておる事実でありますので、国民政府側が若しさような事実がなかつたということをはつきり言明いたしますと、これは中共側から、早速自分のほうでしたとかしたんじやないというような反響が必ず出て来ると思うのでありまして、我々はその点は何らかの恰好で、大体どつちの船であつたかというようなことのわかるような結果になりやしないかと考えております。これはまあもう少し事態を見たいと思いますが、そう私はむずかしいようなことのないように思います。
  25. 千田正

    千田正君 大陳島におけるところの問題はそれまでにして、今までに拿捕された船舶で……。
  26. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 今のに関連してちよつとアジア局長にお尋ねいたしますが、あなた今国民政府側に照会しておる、そうして国民政府が自分のほうでないということを言えば、即中共側であるということになる、こうおつしやいましたけれども、それは間違いじやありませんか、言い間違いじやありませんか。
  27. 中川融

    説明員中川融君) 論理的に申しましてまあ二つの国のうちのどつちかがしたという際、一つの国が自分のほうでなかつたと言えば、その裏は要するに相手がしたんだということを、いわば言つていることになるわけであります。相手方は決してそれについて黙つてはいないであろう、何とか向う側から又意思表示があるだろう、こういうふうに私は私個人として推測しておるのでありまして、これは今のところは国民政府側のみに照会するという片手落のような恰好になつておりますけれども、結局は両方に聞いておるということになるのではないかと思うのでありまして、もう少し事態を見ますとやはり相当はつきりして来るのではないか、かように考えております。
  28. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 私は挙足をとるわけではありませんけれども国民政府側のほうでない、こういつたことが即中共側であるというのはこれは論理的におかしいです。それはあなた御訂正になつておいたほうがいいと思うのです。
  29. 中川融

    説明員中川融君) 私がそう判断すると言つたのではないのでありまして、国民政府側が自分の船じやないということは、要するに国民政府としてはこれは中共がやつたんだぞということを同時に言う結果になる、従つてそういうことを、いわば言われた相手の中共としてはやはり自分の態度について何らか当然言明が出て来るだろう、かように考えるということを申上げたのでありまして、国民政府側から自分でないと言つた場合に、それじや中共だということを日本政府判断するという趣旨で申上げたのではないのであります。
  30. 千田正

    千田正君 あそこは恐らくアメリカの第七艦隊が警戒に当つているのであつて、国籍不明のいわゆる軍艦によつて撃沈されたというならば、必ずしも国民政府がおれのほうの船じやないという言明をした場合においては、それが逆に中共だけだというわけにも行かないのじやないかと思う。国籍不明ということはどこの船籍であるか、艦籍であるかわからないということを言つておるのであつて、或いはあそこを通行しているところの、或いは警戒しているところのアメリカの艦隊であるかも知れない、或いはその戦闘行為を交えている中共の船、軍艦であるかも知れない。そこで片方が駄目だからその場合は中共だということは今の委員長の言う通り、論理的にそういうふうな考え方はどうかと思うのですね。非常に国際的な疑惑を投げかける虞れがあるのであつて、必ずしもバイス・バーサ・イコール中共、かかる公海においては一方は国府、反対側は中共だということにはならないのじやないかと思うがどうでしようか……。
  31. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 重ねてお尋ねいたしますが、あなたがあとから言われた意味なら多少理解できます。それならば最初に断言された言葉は速記録を御覧になれば明らかにそれは誤りであるから御訂正になつたほうが、あとから私はいろいろ問題を起さない点からもいいのじやないかと思います。
  32. 中川融

    説明員中川融君) 私が最初に申上げた点はあとで申上げた意味で申上げたのでありますが、最初の私の言い方が、要するに日本側としてそう判断するというような解釈になるようでしたら、その点は訂正いたします。なおアメリカの第七艦隊がこの水域におることは事実でありますが、目下のところアメリカ艦隊は戦闘行為を行なつておりませんので、先ずアメリカ艦隊が攻撃したということは推定の中から除いていいのじやないかと我々は考えておりますが、勿論艦隊がおる以上発砲しないとは限らないという意味からはアメリカがやつたんじやないかという論理的推測が全然ないとは言いかねると思います。従つて論理的に必ずしも一方がやらなければ一方だということは或いは不正確であろうかとも思いますが、その意味で私の言明は訂正することとして差支えないと思います。
  33. 千田正

    千田正君 ほかに拿捕されておるところの船舶はまだ或る数はあるし、又帰つて来ないところの漁民の数がありますが、こういう問題に対しては外務省としてはどういう折衝をされているのですか。
  34. 中川融

    説明員中川融君) 中共関係で拿捕されました船舶及び乗員につきましては、この折衝に政府といたしましては直接の国交がないために従来から非常に困つていたのでありますが、いろいろ第三国を通ずる方法であるとか、或いは日本から視察団等が行きました際にそのかたから連絡いたして頂くというような方法等に頼るほかなかつたのであります。御承知のように幸い本年議員団が行かれました際に、向うとしては日本の民間団体とこの漁業問題について交渉する意向があるということがはつきりいたしましたので目下のところその方法によつてこの問題の解決を図りたい、かように考えております。なお乗員のほうにつきましては最近相当数の乗員が帰国いたしましたので乗員のほうについては或る程度片付いたわけでございます。なお漁船につきましてはこの民間団体の交渉によつて解決を図りたい、かように考えております。
  35. 千田正

    千田正君 国民政府側に拿捕されておる船はありませんか。
  36. 中川融

    説明員中川融君) 国民政府側に拿捕されておる船があるのでありますが、これにつきましては国民政府側と従来からも鋭意折衝を続けておると申しますか、日本側からはこの問題についての解決を機会あるごとに促進しておるのでありますが、台湾は、国民政府側は未だ調査が未完了であるというようなことを理由といたしましてまだこの交渉に応じて来ないのであります。この問題は甚だ遺憾に思つておるのでありますが、今後とも更に国民政府側に対してこの本件の交渉を促進するようにいたしたいと考えております。なお国民政府側に目下抑留されております船の数は三十二隻となつております。
  37. 千田正

    千田正君 中共側との問題は国交が回復しておらないからこれは民間団体等における話合いによつて或る程度任せざるを得ないでしようが、国民政府との間には日本政府とすでに幾多の問題に対しては相当交渉もあるし、又解決もしておる、ところがこの漁船の捕獲の問題に対して一年になつてもなお且つ解決しない船がそれほどあるとするならば今度起きたところの大陳島沖事件問題等も更に逃げられるという虞れはありませんか。今までの問題でさえも荏苒として今日になつても解決を見ておらない、調査もついておらない、最も簡単な問題でさえも解決がついておらないのに、国籍不明であるというようなそういう問題によつて起つたところの今度の問題などは更に数年かからなければ解決つかないのじやないかという杞憂さえ我々は持たざるを得ないのであります。そういう点はどういうふうに考えておられますか。
  38. 中川融

    説明員中川融君) 問題となつております三十二隻の船というものは講和発効前と申しますか、すでに数年越しの実は懸案になつておるのであります。これが解決つかないのは甚だ遺憾でありますが、今回の大陳島沖での事件というものが若しも国民政府側の責任であるということがはつきりいたしますれば、これは今眼前に起つた事件でありまして、更に相当被害者があり、死亡されたかたも二人あるということであります。これはこの数年前からの懸案とは別の問題として交渉することが当然であり、且つ又これの交渉は今までの問題とは必ずしも揆を一にするというふうには私どもは見ておりません。この問題については相当迅速にかたをつけるように取計らいたい。又いざその問題が解決の緒に達すれば割に簡単に片付く問題ではなかろうかとかように考えております。解決の緒と申しますのは今の国民政府側がしたかどうかという点がもう少しはつきりしないといけないと思います。その点がはつきりすれば簡単な問題ではなかろうかとかように考えております。
  39. 千田正

    千田正君 この拿捕された船舶国民政府がすでに台湾に拠つて、中外に台湾におけるところの国民政府の自立を闡明した後に起きた問題でありますが、でありますから日本政府は講和の際この問題は当然持出されなければならない問題であつて、講和発効後にも拿捕されておるか、それをはつきりしてもらいたい。
  40. 青山正一

    ○青山正一君 関連して。この三十隻は蒋介石が中国から台湾へ逃げて来たときに使つた、つまり拿捕してそれに使用した船と違いますか。その点について承わりたい。
  41. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問でありますが、私どもの今持つております統計によりますと、国府側に拿捕されて未だ帰つて来ない船が三十隻、人が十一人であります。いずれもこれは講和発効以前の問題でありまして、大分以前のこれは船と人であります。これが只今の御質問がございましたが、いつであるかということはもう日附別にはつきり持つておりませんので正確にはお答えできませんが、只今ちよつと御質問にもありましたが、例の向うの中国の中の戦闘で国民政府側と申しますか、現在の台湾政府が本土から台湾へ来て混雑の際に相当のものが向う側に拿捕されてそのままになつておるという事態があるようであります。そういうような向うの混雑の際に起つた事態がこの中に相当数含まれているのじやないかとこういうような想像をこちらでいたしておるのであります、又時期的に考えまして……。その交渉経過につきましては只今局長がお答え申上げたようなことになつておる、こういうわけでありまして、正確な日附別のやつを持つておりませんが、我々の考えは大体そういうものじやなかろうかという考えを持つております。   —————————————
  42. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 更に議題に追加いたしまして「らつこ」「おつとせい」猟獲に関する件を議題に供したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 異議ないと認めます。
  44. 千田正

    千田正君 これは水産庁長官にお伺いするのですが、先般来北洋関係の問題を中心としまして日米カナダ間におけるいろいろな事務的打合せがあつたようでありますが、当委員会としましては当初から「らつこ」「おつとせい」捕獲禁止法等で国内に禁止をするということは不当であるという建前から数カ年に亘つてこの論争を繰返しております。幸いこの際関係国との間に当局がいろいろ折衝をしておられるようでありますが、これらの折衝の過程並びに将来の見通しにつきまして長官から一応御報告を頂きたいと思います。
  45. 清井正

    説明員清井正君) 只今質問のございました「おつとせい」問題でございますが、これは随分長い間の懸案になつておるものであります。終戦前は日本で海上猟獲をいたしておつたのでありますが、終戦後これを禁止いたしておりまして、日米加、昔はソヴィエトも入つておりましたが、関係国間でこの「おつとせい」問題について国際条約を結ぶまでは勝手に日本側で海上猟獲等の措置をしないという約束を実はいたしておるのであります。それに引続きまして三国で共同調査を一昨年いたしたのであります。その目的は日本へ「おつとせい」が回避して参りまして相当魚族に対しまして被害を与えるということを我々としては考えておりますので、それがどの程度の被害があつたのであるか、或いはどういうような島からどういうような経路を経てどのくらいの数が日本側の海面に回遊して来るのであるか、そういうことを調査いたしまして、今後のその問題の解決に資したいということで、昭和二十七年に日米加の三国で共同調査をいたしたのであります。その結果につきましては各国ともそれぞれ意見がございまして、それぞれの生物学者が詳細に調査をいたしたのでありますが、その共同調査である関係上、三国間の意見を調整して一つ報告書にまとめ上げなければならん問題があつたのであります。これにつきましては先般東京におきまして三国の生物学者が会合いたしまして、最後の仕上げをいたしたのであります。そのときにおきましても相当、数の問題、或いは本質的な問題等につきまして議論があつたようでありまして、一週間の予定が二週間近くも実はかかつたのでありますが、結局のところ結論に到達することができました。そこで只今報告書を起草して、それぞれの責任者がそれぞれの政府に正式に共同調査報告書を提出いたす段階になつておるのであります。そこでこの正式調査ができますというと、今度は条約の話合いに移る段階になつて参るのであります。私どもといたしましてはこの共同調査と、引続きの条約の問題につきまして、先般からいろいろ外務省を通じて打合せをいたしておつたのでありますが、いよいよ只今説明申上げました通り共同調査が正式に完成をいたしましたので、この完成した共同調査報告に基いて今度は具体的に条約交渉に入るということになるのであります。かねてから北海道、東北、関東北部の沿岸にかけて業者のかたがたが、何とかして海上猟獲をするということについての非常に熱心な御陳情があつたのでありますが、私どもといたしましては陳情のあるなしにかかわらず生物学的な観点から或る程度結論を得たのであります。而もこの点につきましては私どもといたしましても自信を持つて今後日米加の三国のいわゆる正式な条約交渉に入る段階に入り得たと私は考えるのであります。そこで直ちに外務省とも折衝いたしまして、相手国との正式な条約の折衝に入る段階に入つておるのでありまして、目下事務当局間においてその折衝、それについて相談いたしておる最中であります点を御了承願いたいと思います。
  46. 千田正

    千田正君 そういたしますと、誠にこれは結構なことになるのでありますが、でき得れば来年度の漁期前にこうした条約が結ばれて国内法である不法な補獲禁止法案の改正或いはそれを廃止とかいうような問題を考えなければならないと思うのですが、大体漁期前に条約が結ばれるように、進捗してもらうような方向に向つておりますか、どうですか。
  47. 清井正

    説明員清井正君) 御指摘の点でありますが、私どもとしてはできれば早く結論をつけて一刻も早くこれに正当な裏付けをいたしたいという考えで実は日米加の条約の相談をする前から実は部内では相談いたしておつたのであります。ところが申すまでもなく相手方と折衝の問題があります。カナダとアメリカとの両方でありますので、そういう関係でありましてずつと折衝が遅れてやつと日米加の会議をバンクーバーでやつたあとで東京で生物学会議をやるということがやつときまつてやつたということは、我々としてはできるだけの努力を尽してやりましたが、そこでまあ今回の結論を得たということでありまして、当初の予定よりも少し遅れたことは甚だ残念でありますが、とにもかくにも結論に到達し得たということは前進であります。そこで本会議の折衝に入るのでありますが、まあ条約の問題でありますので果してこれがどのくらいのスピードで行つて来るべき漁期に間に合わすことができるかどうか、この点は私ども自信を以てお答えできないのですが、とにかくそういう方向に向つたということだけでも結構だと思います。私どもといたしましてもとにかく一刻も早くこの問題につきまして条約の話合いを進めるようにできるだけ早く、早期に結論を出すようにやつて行きたい、こういうふうに実は考えておつたのであります。
  48. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 本日はこれにて散会いたします。    午後零時五分散会