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1954-10-08 第19回国会 参議院 水産委員会 閉会後第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月八日(金曜日)    午前十時三分開会   —————————————   委員の異動 十月八日委員天田勝正君辞任につき、 その補欠として松澤兼人君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            森崎  隆君            松澤 兼人君   説明員    水産庁次長   岡井 正男君    水産庁漁政部長 増田  盛君   参考人    農林漁業金融公    庫理事     伊藤  博君    農林中央金庫理    事       多賀谷松雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (台風被害状況に関する件)   —————————————
  2. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今から水産委員会を開会いたします。  まず台風被害状況に関する件を議題に供します。本件に関し只今出席になつております農林中央金庫理事賀谷松雄農林漁業金融公庫理事伊藤博君の二名を参考人として決定し、質疑を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  それでは先ず水産庁から被害状況等の御説明をお願いいたします。
  4. 増田盛

    説明員増田盛君) お手許に差上げてあります被害状況報告に基きまして御説明申上げます。全体の集計表が出ておりませんけれども、次回までに内部数字も変ると思いますから訂正いたしまして集計表を付けて提出いたしたいと思います。一応累計に関しましてはあとで私が口頭で申上げます。  この速報は十五号、十四号、十二号、十三号というふうに本土に上陸しました順番に出ております。便宜上古いものから、一番最後になつておりますが、御覧頂きますと、一番最後の十三号でありますが、被害総額一億一千一百万、それから次が十二号でありますが、これが相当被害がありまして二十二億八千一百万、それから次に十四号は三億五千一百万、それから一答上の今回の十五号の被害が四十七億四千六百万、こういう数字でございます。そこでトータルを申上げますと、このトータル台風五号まで出たトータルでございますが、全体で台風五号より台風十五号に至る間の総被害金額は八十四億六百万、こういうふうになつております。そこでお断り申上げておきますが、只今申上げました数字漁港共同施設等々以下、これは都道府県庁報告数字をそのまま収載したものでございます。なお十四号までの報告数字につきましてもこれは大体府県庁報告が固まりまして大きな変りはない見込でございますが、十五号につきましては実は連日爾後報告がありまして数字が絶えず浮動しております。勿論性質上爾後報告の分が追加されるわけでありますので、この数字を更に若干上廻るものと思われるものであります。今回提出いたしましたこの表には北海道を初めといたしまして、丁度三十の道府県被害を受けておるわけでございます。中には県当局報告が極めて遅れておりまして、どうもこれでは少な過ぎるというような数字も出ておるわけでございまして、各府県間のバランスはなお爾後の報告を待つて検討いたしたいと思いますが、大体十五号台風基礎にして申上げますと、北海道相当大きな被害がございました。更に瀬戸内が固まつて大きな被害がございます。それから台風の進路に当りました要所々々やはり相当被害を受けておるわけでございます。なお御参考までに前年度災害の非常に多かつた二十八年度水産関係被害と比較しまして達観しますと、大体本年度に入りまして県の被害報告の総集計台風五号から十五号までに至る数字、それ以前の例の北海道中心にしました暴風雨が五月にありました。あれの被害、それからそれ以前の冬季風浪害と一般に称しております、それの被害がやはりあります。こういうものを全部累計しますと百億を突破します。水産関係の総被害額が百億乃至百十億に近い線が出て来るわけであります。それで同じような集計の仕方をしまして、前年度の県の被害数字をとりますと、大体前年度は百七十億ということになつております。これは県の報告数字によりますので、その間に厳密な意味の比較というものは或いは欠けておるかも知れませんけれども、大体県の被害報告て参りますと、前年良は一年間全部通じまして百七十億、本年は十五号までに百十億近い線が出ておる、こういうことであります。それで大体被害種類別の傾向を申上げますと、漁港関係は前年度より比較的顕著に下廻つておるのであります。非常に被害の高かつたのは漁船が前年度は割合に低かつたのでありますが、これが大きな漁船被害が出ております。それから漁具関係被害は大体前年度と同じ程度、或いはそれをやや上廻つておる程度であります。  以上被害状況に関しまして概略御説明申上げました。
  5. 千田正

    千田正君 次長さん及び部長さんにお伺いいたしますが、この十一月吉田首相が帰つて来れば直ちに臨時国会が召集されると思いますが、その際には補正予算ということに対してのこうした災害に対する特別臨時措置としての予算要求をする考えでありますかどうですか。
  6. 岡井正男

    説明員岡井正男君) お答え申上げます。災害が起りまして農林省内部各局各庁ともそれぞれ関係被害につきまして急速資料を収集すると共に、これが緊急対策として如何なる措置を講ずべきかという点で内部連絡会を設けまして、省議もできる限り早く政府提案法律を作つて行こうじやないか、今までの過去のこの種の災害についての法律の形も考慮いたしましてやつて行こうという線を内部的には固めてはおります。一方只今漁政部長から御説明申上げました通り水産庁といたしましては従来の災害よりも緊急を要する漁船復旧ということが緊急中の急務であるということに思いをいたしまして、これはどうしても法律改正を行なつて只今千田議員さんからお話頂きましたように予算措置を講ずるという法律と裏腹の作業をする間における時間的のズレ被害地においては待ち切れんだろう、従つてその間の繋ぎ資金について何とかいい方法を講ずべきじやなかろうかということを考えまして、それでまだ内部資料はコンクリートいたしませんが、取りあえずそういうことを予想いたしまして、長官相談上中金さんのほうへはいち早く私は今回の災害は主として漁業が非常に緊急を要するような様相を呈しておりますので、一つあなたのほうも連絡は今後いたしまするが、できる限りこれに資金の救助ができる範囲においてお力添えを頂きたい、こういうふにお願いにも上つておきました。又一面各府県知事、或いは副知事担当部長がお見えになる機会に、又こちらから出向く機会には必ず府県においても緊急措置として相当時間的のズレのある間における措置としては、県議会と御相談の上で県において責任を或る程度つて系統機関なり何なり適当に金融措置を取りあえずやつてくれということを強く要求いたして参つておるわけであります。今日もなおそういうような手を打つことが一番いいと確信いたしておりますので、その点は先ほど関係業者代表として堀部さんからお話がございました線、それを我々としても同様な気持で推し進めたい、かように考えております。丁度私のほうの大臣災害地のほうの関係で出ておりましたか、急逝昨夜遅く帰りましたので、今朝長官相談して、長官丁度折悪しく病気で寝ておりますので、私大臣のところへ出向きまして、本日の閣議でもこれの緊急措置について他の閣僚のかたがたと御相談の上早いいい手をお打ち頂くようにということを私からも進言いたしておいた次第でございます。従いまして上層部におきましても今日の閣議でアウト・ラインだけでも目鼻をつけてもらえるのではあるまいか、こういうふうに希望的に我々事務当局は考えておる次第でございます。
  7. 千田正

    千田正君 大体まあ政府の意向はわかるのですが、それで今私が尋ねましたのは、いわゆる立法措置等によつて出て来るところの補助金或いは助成とか災害復旧のそうした面における全額国庫負担というようなものは、そういうことはやれる。それ以外の早く何とかしてやらなければならんという、立て替えてでもやらなくちやならない問題があるでしようが、例えば金融面におけるところの資金の融通に関する特別に農林中央金庫とかそういうような方面から融資するというような手については、今あなたが十分に関係機関に慫慂しておるというのですが、大体さつき漁政部長さんからの説明によるというと、本年あたりは百十億くらい想像されるんでしようが、そのうち何%くらいはそうした面に考えておられるのですか。
  8. 増田盛

    説明員増田盛君) 大体百十億と申上げましたが、この中でこれは当初以来の数字でございますので、すでに北海道東海海域暴風雨に関しましては八億五千万を限度としました立法措置が講ぜられております。更にこの被害数字の中でこれを大ざつぱに言いまして公共事業費系統とその他の系統に分れると思いますが、御存じの通り公共事業費系統はこれを漁港中心としたものが公共事業費系統でございまして、この系統のものは直接予算補助を主体として災害復旧をする建前になつておりますので、一応こういうものを除いて見まして極めて大ざつぱな試算をいたしまして、これは断わつておきますが、水産庁試算というよりもむしろ農林省でまとめ役をやつておる担当部局推定方法でありまして、例年の方法によるのでございますが、それによりますと大体融資を以つて措置しなければならん部面が二十億乃至二十五億くらいに上るのではないか。大体の非常に大ざつぱな数字でございますが、こういう推定をしておるわけでございます。
  9. 千田正

    千田正君 そこで我々はいつでも現地を調査したり、或いはいろいろな陳情を聞くたびに考えるのは、この融資の際の対象として大体富裕な組合であるとか、或る程度資産を持つておるところの漁業者は比較的融資対象に応じられるような状況にあるのでありますが、誠に貧弱な、いわゆる沿岸漁民のような場合においてはなかなか融資対象を受けられない。ややもすると、折角我々が考えてやつておるのは実際苦しい漁民立場を何とかして考えてやろうというようなわけで、この委員会では幾たびとなくこの問題を取上げて政府善処方要望するのですが、実際の処置になるというとどうも裏付けとしての資産かなければいけないとか、なかなかむずかしいのですが、そういう問題に対してもう少し、苦しいのは一番何もない、而も船をとられてしまうと何もない、漁具を失つてしまうと何もない、その裏付けに苦しんでいる人たちが多いのですが、それに対して何か対策を考えておられるのですか。
  10. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 只今御指摘になつた点はその通りでございまして、非常に我々も困つておるわけでございまするが、これはやはり国及び各公共団体である府県該当市町村等がやはり協力して責任を分担してできる限り零細な漁民の船の復旧にはこれは援助してやらなければならんということを考えておりまするが、さて今すぐ具体的な名案言つて見いと言われましても、そう的確な名案というものは実は持合せていないのでございまして、ざつくばらんに申上げますと、非常に零細な漁民の持つておる漁船などというものについては、むしろ金融措置をして行くという基本方針と必ずしもマッチしない面が若干あるんじやないという点はお説の通りだと考えております。
  11. 千田正

    千田正君 その面に対してはこれは新らしく法律の出る臨時特別措置法の中に織込んでも考えられるのですが、これは十分に考えて頂きたいと思います。  もう一つは、さつき陳情された堀部さんのお話の中にもありましたが、過年度災害で苦しんでおる背負い切れないところへもつて来て新らしい災害が生じて来た。こういう何回もダブつて来る災害に対する対処方針はどういうふうに考えておられますか。
  12. 増田盛

    説明員増田盛君) 累積いたしました地帯に関しましては、やはり前の災害に起因します融資の元利の支払等に関しまして延期の措置を講ずるということが当然考えられると思うのでありますが、この場合に財政資金と、取上げられます公庫の場合におきましては、従来の例によりますと、大体政府部内の指導で公庫と打合せいたしましてできると思うのでありますが、ただこの災害融資特別立法に基きます一連の融資利子補給或いは補償、こういう問題にかかわつて参りますとやはりこの点を法律で、今度当然予想されます特別立法法律の中ではつきり規定して頂く、こういう必要があるんじやないか、かように思つております。勿論そういう点に関しましては具体的に検討しまして、かような措置をとることが必要であると考えます。
  13. 森崎隆

    森崎隆君 次長さんにちよつとお尋ねしますが、さつき繋ぎ融資その他の問題は省議方針はきまつているということですが、具体的にその問題につきまして、農林省でも態度はきまつておる。大蔵との関係は現在どのようになつておりますか。
  14. 岡井正男

    説明員岡井正男君) お答えします。大蔵当局とも連絡はとりつつありますが、ただ遺憾な点は、昨日も衆議院で同じような御質問を頂きましたが、大蔵当局としてはおぼろげながら今度の災害相当深刻であるから関係各省のほうから具体的な数字を固めて折衝に当れば、自分のほうも応ずるというような気持は十分察知せられているわけてあります。ただ私のほうとしても、まあ特別立法を出す前提に必要な府県からの資料というものが、今まだ刻々変りつつあります。従いましてもうちよつと固まつてからその点は具体的に正式折衝に入りたい、こういうふうに今考えております。
  15. 森崎隆

    森崎隆君 まあそのことはそれで結構だと思いますが、従来の行き方からしますと、今日は実は農林大臣出席されておりますならば、早急にその確約を得たいと考えておりましたが、従来の大蔵省折衝でも、いつも農林省は、特に水産庁関係の問題は大蔵の圧力で殆んど駄目になつてしまつているような……これは現実の事実なのです。これはどんなに言つても、大蔵水産関係を馬鹿にしたような行き方ははつきりあるのです。これは大蔵に曾つておられた漁政部長のほうがよく知つていると思います。今度その立場をもう少しはつきりして、少くも水産庁のいろいろな予算につきましては、これはまだ各省とのバランスも考えてやつて行くことは、これは止むを得ないと思いますが、災害の問題につきましては、非常に立ち遅れている水産業界の問題につきましては、もつともつと力を入れて頂きたい面があろうかと思います。特に今も堀部さんからいろいろ御要望がありましたが、取りあえず急を要する問題は繋ぎ融資の問題だと思います。これは次長さつき、成るべく早い時期にとおつしやつたのですが、その言葉が実際私は気に食わない。これは早急にやらなければ困る。現実に私も取りあえず被災地のひどい所を見て廻りましたが、香川県の問題だけではなく、ほかも皆同じですが、波止場も完全にやられておりますし、船が完全にやられている。ですから明日から働く途がない。農家で言えば、田畑がもう完全にやられてしまつて、そうして鋤、鍬、牛までが全部死んでいると同様な問題でどうして食うかという問題がすぐに今の問題として起つております。現在の地方自治体の財政機能がそれに対してどうすることもできない。これは香川県の県会でも六千万円の決議はいたしましたが、これは中央から来る金を当てにして、中央で許された範囲融資の枠を決議したものの何も内容はないのです。繋ぎの問題だけは早急にやつてもらいたい。そうしないと、そのほかの問題は勿論、これは立法化の問題、当然これは今度のやつはいけないと思いますが、これはまあ或る程度の時期を待つても私はいいと思う。併し繋ぎ融資の問題だけは少くとも今月の中旬頃までには何かの形で一つつてもらいたい。これはもう是非とも水産庁のほうに強くこの問題については実現方要望したいと思います。  それからもう一つ農林漁業金融公庫理事の方おられますか。
  16. 小林孝平

    委員長小林孝平君) ええ。
  17. 森崎隆

    森崎隆君 ちよつとお尋ねいたしますが、今年度いろいろ融資をされてやつておりますが、回収分は大体どのくらいになつておりますか。
  18. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 本年度回収は現在のところ三十億円になつております。予算が二十五億円でございますから、五億円ばかり超過いたしております。
  19. 森崎隆

    森崎隆君 これは今月一ぱいでもつとうまく額が殖えて行くという予想でございましようか。
  20. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 毎月これから二億ずつ回収がございますとしますと六カ月で十二億円、今超えております五億円と合せまして十七億円くらいは予定よりもたくさん回収になる、うまく行けば二十億くらいになるかも知れない、これは予想でございますが、そういうふうに考えております。
  21. 森崎隆

    森崎隆君 それでは年度末までに大体五十億くらい回収はあると見ていいわけですね、少し甘いところもありますが。
  22. 伊藤博

    参考人伊藤博君) はあ。
  23. 森崎隆

    森崎隆君 この金については従来どのように考えておりますか。
  24. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 昨年度回収がございましたのは、私どものほうでは申請と睨み合せまして必要と思われる方面融資の枠を殖やしたかつたのでございますが、一部殖やしたのもございますが、併し年度末に大蔵省との折衝の結果、回収が多かつた金のうち十三億円だけは本年度に繰越しまして本年度の枠に足して融資いたしました。その主として使つた方面は昨年度災害復旧資金でございます。
  25. 森崎隆

    森崎隆君 わかりました。次長さんに今の問題もお聞き頂いたと思いますが、本当に大蔵折衝を早くやつて繋ぎ融資の問題を早急に実現しようとすれば、今のような面にもこれは相当な金はあると思う。何かの形でこれは早急にやつてもらいたい。それで今まで私が聞きました情報では、農林省勿論熱心にやつて頂いておりますが、どうも大蔵に突き当ると案外災害の問題では冷淡だということはこれはもう強く印象付けられておる。ですからこの問題はさつき要望したのと同じことでございまするけれども、早急に農林大臣中心にしまして大蔵と打合せを早くして行つて是非繋ぎだけは早く、これはもう各市町村災害地の切実な要望なんです。明日にでもして頂きたい、明後日でもいい、遅れたらたまらないという強い要望がございます。これを先ず一点としてお伺いしたいと思います。
  26. 千田正

    千田正君 森崎委員質問に関連してお尋ねしますが、今日は全く農林大臣が来ておらないので僕も拍子抜けしておるんだけれども、一体予備金の中から災害に対する緊急処置としての支出方水産庁ではどのくらい要望しておるのですか。要望していますか。
  27. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 先ほど森崎先生の御質問にお答えしたつもりなんですが、まだ予備金のほうは昨日大蔵省のほうでは大体答弁を聞きますと七十億とかなんぼとか言つておりましたが、我々としては水産庁のみでなく、オール農林省ですが、特に水産庁だけというわけにも行きますまいが、もうちよつと計数をきめて大体横の連絡はとりたいと、こういうふうに思つております。  それから先ほど森崎先生のほうでは省議で固めて方針をきめてすぐに繋ぎ融資の点云々と申されておりますが、ちよつと私の言葉が足らんもんだからそういうふうにおとりになつたのかと思いますが、省議のほうで大体に政府で早く法律を出すようにやろうという点は固めておりますが、繋ぎの点につきましては内容が固まらんうちに而も法律が出ない先に繋ぎだけを取急いで大蔵省から引き出すという例は今までは災害ではなかつたと思います。それで私のほうも心配いたしまして、さつき申上げましたように取りあえず政府責任つて、これはこういう手を打ちますという間の繋ぎについては府県において責任を以て府県内部的に自分の縄張りにある金融機関、例えば農林系統金融機関なり何なり取りあえずそこから引張り出してもらつてそうして繋ぎとして使つてもらいたい、併しどうせ法律で出てそれは置き換えればいいのだから、その間だけは府県一つお願いしたい、こういうつもりで私のほうは各府県にも連絡し、呼びかけておると、こういうことを申上げたつもりでございます。
  28. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 先ほど去年はどう使つたかという御質問でございましたのでそのように申上げたのでございますが、本年度回収が余計あつた分をどう使うかということにつきましては前提になる問題が二つございまして、一つ資金運用部から私どもが借入れます金が十億円減らされております。予算の節約の関係で十億円減らされております。それで今年の当初の事業計画通りにやろうとすればその十億をまだ減らさなければならん。それからもう一つの問題は、昨年の災害臨時措置法におきまして来年の三十年の十二月までに公庫が肩替りするという約束のついた府県信連等繋ぎ資金が大体約二十億円でございます。それを使わなければならん。そういうものを資金運用部資金は初めの計画通りに貸してくれる、それから来年度の肩替りの必要な資金に充てないということになりますれば相当の余裕がございますけれども、その点をお含み願いたいと思います。
  29. 松澤兼人

    松澤兼人君 今の質問に関連するわけですが、災害の実情がまだ十分にまとまつていないというお話でありますが、この資料の一番初めのところですね、青森それから鹿児島などが十五号台風のいわゆる漁港被害が全然ないようになつておりますが、これはもう全然ないということでここに出してあるのでありますか、或いは報告未着であるというのでありますか。
  30. 増田盛

    説明員増田盛君) 青森鹿児島のうち、青森のほうは詳細な報告未着でございます。北海道調査参つた者が途中わざわざ寄りまして親切に聞いて来たのでありますが、その数字によりますと、とてもこんな被害じやなしに、やはり億に達する被害になつておりますが、これは正式じやございませんので、一応ここに載せませんでしたが、鹿児島に関しましてはこれも全然詳細な内訳がわかつておりません。恐らく最初は、数日前までは鹿児島は全然何もなかつたのであります。それが僅かにこの程度被害が来ておりますけれども、これもちよつとこの程度でいいのかどうかという点は全然今のところは見当がつきません。
  31. 松澤兼人

    松澤兼人君 青森の場合は漁港共同施設、その他の被害がある、それから鹿児島のほうはその点はまだ明確にわかつていない、こういうことでございますか。
  32. 増田盛

    説明員増田盛君) その通りでございます。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 それからこれはただ地方から報告なつたものを集録しただけでありますか、或いは実地調査をやられてこういう数字をお出しになつたのですか。
  34. 増田盛

    説明員増田盛君) これは劈頭に申上げました通り、県の報告数字をそのまま収載しただけであります。
  35. 松澤兼人

    松澤兼人君 一例を申上げますと、兵庫県から来ております資料によりますと、水産関係被害台風十二号、十四号、十五号、合計いたしまして四億八千万円ある、こういうふうに被害調書というものが出ておりますが、これによりますと、十五号にあり、それから十二号で二千三百万ですか、それから十三号では全然ないということになつて、この二つだけ合せますと約一億円、県から来ておりますのは四億八千万円ということになつております。余りにも開きが大き過ぎるのですが、これはどういうわけなんですか。正確なところはわからなくてもいいのですけれども余り開きが大きいのと、それからこれは水産庁のほうで別に被害状況を査定したとか何とかいうことではないのですね。
  36. 増田盛

    説明員増田盛君) これは水産庁でも現在は査定いたしておりませんが、但しこのうち漁港は当然公共事業の性格上相当厳格な査定が今後行われますけれども、その他のものにつきましては直接査定することがちよつとできない現状にございまして、大体今までの例では県の被害数字基礎にしまして、それによつて措置しておる。只今お尋ね兵庫県の例は、実は私のほうでこれだけ大きい数字は私自身は受取つておりませんが、帰りましてその点を係のほうから確かめたいと思います。
  37. 松澤兼人

    松澤兼人君 それから二十九年度災害は大体百十億程度、そこで私たち聞きたいことは、結局この百十億の被害というものを政府はどういうふうにして処置するかということであろうと思うのですが、先ほどお話融資二十億乃至二十五億というようなことを目途としてこれからいろいろ折衝したい。そうしますと、その分は若しその御希望通りになればそれはどうするか。それから漁港の分については、いずれこれは公共事業費というような関係で査定の結果決定になるであろう。そのほかのものに対してそれじや予備費からどの程度まで出してもらうつもりであるかということ、百十億のうち全く自己資金でやれるものはどうであるかという、その被害対策の内訳と申しますか、或いは資金の配分と申しますか、そういうことを我々としては知りたいと思うので、その点勿論これは大蔵省と今後折衝しなければ確定したことはわからないのですが、少くとも水産庁としてこういう方針で行きたいということの明細を、大綱を示して頂きたいと思います。それがないと、やはり国会のほうとしても被害に対する側面的な運動としまして、どこのところをどういうふうについたら資金が出て来るかというようなことが明瞭でないと思います。お考えになつている大綱というものはどういうふうになりますか。今融資の問題は二十億乃至二十五億を当てにしていると申しますか、希望しておると申しますか、そのほかに公共事業費であるとか、或いは法律改正を待たないでも予備費の支出ができるものがあるのか、そういう点ですね、対策ですけれども、それをお聞かせ願います。
  38. 増田盛

    説明員増田盛君) 只今の御質問に対しまして正面からお答えする結果には或いはならんと思うのでありますが、先ほど次長から申上げました通り只今の段階では突き詰めた案まで水産庁としてまだ考えてないのであります。数字としてなかなか現わし得ないのでありますが大体の考え方といたしましては、お尋ねの、例えば政府の持つております予備金等に関連して申上げますと、予備金支出が考えられます場合は、本災害に関しましては通常は漁港復旧だけでございます。漁港復旧のみが予備金支出として考えられるだろうと思うのであります。併し今回の災害は農業関係等に関しましても、或いは林業関係等に関しましても、やはり公共事業の面の被害相当ありますので、これを全部引つくるめますと、現在の持つております七十億の予備金で賄えるかどうか相当疑問があると思うのでありますが、いずれ予備金支出としてはその程度のことしか考えられないのであります。  なおその他の支出に関しますと、先ず漁港につきまして特に取上げなければなりませんのは、漁船漁具でございます。これは従来の例によりますと、漁船漁具でやはり特別な対策をしておるのでありまして、これは漁船漁具そのものの復旧に関しまして、系統金融の融資を主体にしました利子補給と損失補償でございます。これに関しましては、従来の例によりますと、政府資金が直接そのままの形で金融機関のほうに流れて行く恰好をとつた例はありません。これは全然別個の、政府で持つております予算そのものとは別個に資金源が考えられておりまして、漁船漁具融資に対しては措置が講じられておるわけでございまして、これが一つ本年は問題になるだろうと思うのでありますが、従来はその通りであります。なおそれ以外の共同施設等に関しましては、これは同じ金融にしましても二つ方法が考えられるのじやないかと思うのでありますが、これは一つ先ほど来お尋ねの公庫融資の枠を拡大して共同施設、例えば個人施設でありましても、そのうちの重要なものに関しましては公庫融資の枠を拡大して解決できはせんか、こういう点が一つと、それから同じように共同施設、或いは個人施設に関しましても、漁船漁具と同様に、系統金融機関融資を主体にして利子補給と損失補償を考えたい、こういうことの二つあると考えております。そこで施設の場合の公庫融資で解決する場合におきましては、これはやはり政府資金関係して参ります。先ほど来お尋ねの回収金の問題が焦点に上つておるのでございますが、我々といたしましては勿論この回収金にも着眼いたしておりますが、これも回収金はどうせきまり切つておりますし、いろいろやはり有効な他の用途も考えられるのでありまして、できたら回収金以外に何らか財政資金の援助、要するに公庫に対する直接的な予算的な裏付けによる資金の増額は困難にしましても、資金運用部資金の借入の増額等のこういう方法によりまして、或いは共同施設個人施設でありましても、先ほど申上げました農林大臣が指定する施設に関しましてはできるのでございますから、こういうものの枠を拡大して行つたらどうかと、こういうように考えております。  それから一番最後に養殖物とか製品です。いつも問題になるのですが、養殖しているものが流れ、それから製品で丁度浜に乾しておつたのが流れた、こういうものが実は例年相当金額に上るのでございますが、これは現在のところなかなかこれに対する有効な対策はないのでありまして、ただ前年の北九州から和歌山あの辺一帯に起りました風水害、それから十三号台風、こういうようなものに対しましてとつた場合におきましては系統金融機関からの融資に対しまして経営資金としまして新らしく養殖に関しましては稚魚を買つて来るとか、或いは稚貝を買つて来て養殖する、こういうものの資金に対しまして一応貸出できる、こういう措置はとつておりますが、この面が或いは一番融資にしましても弱くなるのじやないかと、かように考えております。
  39. 松澤兼人

    松澤兼人君 結局対策の大綱だけはわかつたわけですが、金額等についてはまだ資料も十分まとまつてないし、まとまつてから大蔵省折衝するということで全然何も方策が立つてないというふうに了解していいわけですか。
  40. 増田盛

    説明員増田盛君) 具体的な金額に関する予算折衝といたしましては大蔵省とまだやつてございませんが、併し数字が出れば、大体私が先ほども述べましたような考え方を骨子にしまして、これをもう少し具体的に申上げますと、漁港関係はすでに繋ぎ融資の点に関しましては大蔵省に対してこれは折衝いたしております。資料を出しております。但し十五号はとてもまだそこまで数字が固まつておりませんので、追つつけいたしますが、十五号までに至る分は繋ぎ融資折衝をいたしております。それから漁港関係だけ除きますと、これは当然繋ぎ資金以外には補正予算を待つより仕方がないのでありまして、これを除きますと公庫のほうはこれは当面はやはり回収金の問題を中心にして即急に措置するものは措置する。なお、僅かな金額でありますが、個人施設に関しましては現在公庫回収金を目当てにしないでも三億ばかりの枠がありますので、若干使つておるわけですけれども、これは主務大臣指定の災害復旧ということになつておりまして、これは若干の枠をすでに当初予算公庫に計上してございます。こういうものの措置は即急にやりたいと考えております。更にそれで足らん分をどうするかという問題に関しましては、これは閣議の問題なり、当然補正予算の問題になるだろうと思います。それから最も取急ぎます系統金融機関からの融資に関しましては、これはその都度中金その他とも打合せておるわけでありまして、これの措置といたしましては、これは法律的に見ますと漁船漁具に関しましては五月の北海道の東南地域の特別立法を改正すればできるだろうと思います。あれを改正すればできるのでございまして、これの準備を勿論やつております。それから先ほど申しました経営資金でございます。養殖その他をやつております方々の経営資金に関しましては、これは只今のところでは一般の農業、林業関係災害と緒に北海道は特に冷害まで措置したらどうかというふうに一応農林省として考えておりますので、そういうものと一本に、例の春の凍霜害の特別立法がございますので、凍霜害の特別立法を改正する、こういうことでやつたらどうかということで大体の大ざつぱな考え方の方策だけは出ております。そこで焦点は法律を待たずして如何に即急に当面の緊急資金を出すかということにありますので、その点に関しますと実は御指摘の通りまだかくかくの機関を通じてこれだけの金を出すという予定は実際のところ全然固まつておらんわけでございまして、その点に関しましては直ちに閣議の決定を得まして然る後に被害の概要がほぼ我々の折衝に困らん程度に来ましたならば、これも私は当面の事態といたしましては如何ようなことがありましてもこれはできるのじやないかとかように考えております。
  41. 千田正

    千田正君 松澤委員の今の御質問に関連しますが、そうするというと、そのうちに又十六号、十七号台風が出て来る。十六号、十七号台風が出て、又損害が集計されないと今度正式な機関にかけての結論が出ないということでは僕はどうかと思うので、十四号台風までは一応計数は揃つておると思うのですが、すでに揃つた計数による折衝を開始してもいいのじやないかと私はそう思うのですが、その点はどうですか。それからもう一つは、それでは十五号までは今のところ一応の集計を急いでおるのだと、然らば見通しとしてはいつ頃になつたらこの結論は出るのか。これは恐らくこの間陳情に来ました漁業者の代表としても、今日から一体どうするかという押し迫つた気持で来ておると思うのですが、一応この見通しをはつきりつけてもらいたい。それによつて委員会としましては明日からでも明後日からでも開いて当面の責任大臣を呼んではつきりした結論を聞きたいと思うので、あなた方の考えから行けばどの程度の一体見通しがつけられるのか、この点を聞かして頂きたいと思います。
  42. 増田盛

    説明員増田盛君) 大体今月の半ばまでには全部の資金関係資料が取揃うと思うのでありますが、このうちでも特に急ぐのは漁船漁具中心にした施設資金だと思いますので、これは今、明日中ぐらいにとにかく全部報告を出させるということで督促しておりますので、それで一応の締めくくりをして、それを水産関係資料にして折衝していいのじやないかと、かように考えております。
  43. 青山正一

    ○青山正一君 大体省議で決定した、政府の提案で救済の立法化をする。併しその前に何とかして考えて行かなければならんことがあるんじやないか。一応は本日の閣議にもそれがかかると、こういうふうにおつしやつておりますが、やはり数量をはつきりして行かない限りは、閣議で幾ら決定しても駄目じやないかと思うのです。例えば先ほど沼部さんからお話があつた、閣議で基本的な救済を決定してもらう、そうして府県庁にその通達をしてもらう。府県庁では府県条例でそれを固めるのだ。例えば三千万円なり或いは四千万円来年の三月まで預託させるのだ。漁船とか漁具の救済というものを僕は先ず先に考えて行かなければならんだろうと思うのですが、そういう方面資料というものは本日の閣議には出しているのですか、どうですか。やはり全然出していないわけなんですか。
  44. 増田盛

    説明員増田盛君) 本日の閣議に対しましては、今まで集まりました資料、お手許に差上げました資料大臣が携行して参つております。ただここで一言申上げますが、災害の場合に一番我々として困るのは、水産庁内部資料も勿論我々の責任におきましてできるだけ集めるわけでありますが、やはり農林省全体の資料がいつも問題となるわけであります。そこで今回の災害に関しまして農林省全体の資料はどうかと申しますと、実は公共事業関係のやつは例年の実情によりまして一番早いのであります。大体これはすぐ出て来るのでありますが、そのほかの経営資金関係して来ます農作物被害資料、それからその他公共事業以外の農林関係被害資料、これが特に遅れるわけであります。特に農作物の被害に関しましては、これはいろいろな実情とからみまして、統計調査部を中心とした相当精密な調査前提になりまので、これは著しく遅れております。従いまして水産庁の考え方といたしましては、これは長官がお休みでございますので、まだ長官と正式にきめたわけではございませんが、やはり一般農林関係被害と切離してやり、漁船漁具、これに関しましては、これは他の農林関係被害を待つているわけには参りませんので、たとえ同じような系統金融機関からの融資による解決方法は農林関係と同じようにしましても、時期の関係がありますので、漁船漁具だけは切離してこれは一つ閣議の決定を得なければならんのじやないかというように考えておりまして、自治庁とも大体この御了解を得ておりますので、かように進んでおります。
  45. 青山正一

    ○青山正一君 まあ非常に結構と思いますが、先ほど参考までに申上げておきましたが、先ほど松澤委員お話にあつた兵庫県の水産関係被害が四億八千万円、こういうふうにありますが、塩業関係被害が三億五千万円、こういうふうに出ておりますが、その塩業関係が恐らくその統計に載つていないのだろうと私はかように解釈しておりますから、その点十分お含みおき願いたいと思います。
  46. 森崎隆

    森崎隆君 この際農林漁業金融公庫の方にお尋ねしたいのですが、あなたのほうの大体の枠は勿論きまつておりますが、あれは何部門ございますでしようか。林業とか水産とか四つですか、農地……。
  47. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 農地、林業、水産、塩業共同利用、大体五部門でございます。
  48. 森崎隆

    森崎隆君 それではお尋ねしますが、その五つの部門のほうにやはり一応割当になつておるわけですね。割当の金額は今ここでお開きしても仕方がないのですが、問題は割当てた金額を基礎にいたしまして申請件数がございますね。それに対して審議をなさいました結果、融資を決定したという決裁の件数がございます。その比率は大体どれくらいになつておりますか。これはつまり林業関係では何件申込があつたがきめたのは幾らだ、水産関係は幾らの案件申込があつたが、結局どれだけを決定したという、この比率がありませんか。細かいことは要りません。何百何十何件ということは要りませんから大体どれくらいだと、林業については三つ、三件の申込で一件くらいは許しているのだということを……。
  49. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 御質問の比率というものはちよつと今出ておりませんですが、大体件数、金額で申上げますと、受理いたしましたのは農地の関係では二千六百八十八件で、決定いたしましたのが二千百八十件、それから金額にいたしますと、農地では五十一億八千二百万円で、決定いたしましたのは四十二億となつております。それから林業関係では受付けましたのは百四十四件でございまして、そのうち百二十四件決定いたしております。金額は三億一千三百万円の受付に対しまして二億二千百万円、それから水産関係は二百三十七件を受付いたしまして決定いたしましたのは百七十五件、金額にいたしまして二十五億八千万円に対して十四億三千万円、それから塩業関係では八十八件受理いたしまして七十件、金額は八億九千百万円に対して六億七千万円、それからその他の共同利用関係では千八百九十八件に対しまして千三百八十一件、四十四億二千九百万円に対して三十二億四千五百万円、こういう割合になつております。
  50. 森崎隆

    森崎隆君 これは毎年この申請件数に対して許可する……やはり枠の関係から、いろいろこういうものを見ますと、林業なんかは非常にいいようですね、農地の問題は……水産は、これは何割になりますか、六割程度ですね、この比率から考えても、金額の相違がございますが、バランスが非常にこわれておると思いますが、これは毎年修正して行くわけですか。
  51. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 水産関係、特に漁船関係の枠が当初スタートのときにかなり少うございまして、少かつたという関係と、それからもう一つは、例えば農地のようなものは各府県に大体の標準を割当てまして、その範囲で申請をさせるように計らつておりますが、水産関係ではそういうことがないから、あらかじめ絞るということをやつておらんという関係で比率も落ちておると思います。如何にいたしましても、水産関係の枠が少な過ぎるということを私ども常に感じておるわけでございます。
  52. 森崎隆

    森崎隆君 これははつきりしておるわけですな。割当てまして厳選主義で申請をする、だからここでは比率がいいということもありまするが、水産関係は或る意味では啓蒙が足らない点も或る程度あるのじやないかと思います。その点も申請件数が多い少いにつきましては僕は両方パーだと思うわけですが、これは非常に少いし、少いのはよくない、これには水産関係回収率が悪いからその方面は引締めるというのではないのですか。
  53. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 回収率が悪いから引締めるというわけではございません。
  54. 森崎隆

    森崎隆君 わかりました。
  55. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 伊藤理事に申上げますが、只今説明のありました申請件数と決定件数、その件数と金額の資料を御提出願いたいと思います。
  56. 伊藤博

    参考人伊藤博君) 畏まりました。
  57. 青山正一

    ○青山正一君 中金の方にちよつとお伺いしたいのですが、先ほどから農林省のほうから大要の方針はほぼ承わりましたのですが、この農林中金において、今度の被害に対するいわゆる具体的な対策をどういうふうにして行うか、その点について承わりたいと思います。
  58. 多賀谷松雄

    参考人(多賀谷松雄君) お尋ねの本年度の重なる災害につきましての融資の考え方でございますが、私どもといたしましては、我々の系統機関を通します融資といたしましては、災害等が起りました場合にできるだけ適切な処置をとりまして、又できるだけ早く必要な資金を必要な方面に流すということは当然第一に考えなければいけないことであるということにつきましては十分考えておるわけでございます。そこでだんだん災害が重なりますにつきまして、我々としては自分の力と申しますか系統機関全体を通しての資金力と申しますか、そういうものの検討を再々やつておるわけでございます。そのことを申上げます。御参考に昨年度災害資金はどういうふうに賄なつて来たかということを申上げたいと思うわけでございますが、御承知のように、四百八十五億の枠というものにつきまして政府の御措置が決定されましたのを伺いまして、私どもとしては当時到底それだけのものを賄う力はないと、かように考えまして、いろいろ御尽力をお願いいたしたのでございます。その結果附帯決議等も付けて頂きまして非常に御配慮を頂きましたのでありますが、私どもといたしましても、災害の生産者に対しては勿論、又は皆様方の御配慮に対してできるだけの努力をいたさなければならないということを考えまして、当初災害資金等を予期しないときから比べますと、その間約半年にかけまして、系統機関と申しますれば大体農信連でございますが、動員すると申しますか、実に六回に亘りまして資金計画の修正と申しますか、訂正と申しますか、或いは改善と申しますか、そういうことをお願いいたしまして、不要不急という方面への資金の流れ方、又たびたび言われておりまする系統外へ行つておる資金の呼び戻し、又それに対してまして私どものほうも然るべき対策を、施策を講ずるというような努力を重ねて参りまして、結局四百八十五億の枠でございましたが、それぞれの取扱期限を過ぎましたときに集計いたしました総額は概数で申上げますと、大体間違いないと思いますが、四百十三億程度を結局自力で賄つたという結論が出ておるのでございます。その内訳は私ども自身が二百七十五、六億、それから信連の団体におきまして百三、四十億になつております。そういたしまして今日に至つたわけでありますが、そのことは結局今年麦の出廻りがよく、而も政府買上げ、中金系統機関を経由いたしました政府への売渡しが多かつたというような資金状況と、又政府におかれまして漁業権証券の資金化ということにお骨折り頂きました分が十二億、それから農林債券を来年三月までに買上げて頂く予定のものを繰上げて買つて頂き、そういうものが約八億、合計いたしまして二十億程度政府の御援助も、御配慮もあつたわけであります。そういうものを入れましてどうやら漕ぎ抜けたということでございまして、その結果私ども資金関係がどうなるかということを研究いたしました。つまりそのことは今度の災害或いは来年度我々の資金量はどういうふうに計算されるかということを計算して見たのでございますが、それによりますと、私どものほうで短期資金は別でございますが、三年五年という資金を賄います資金源を計算いたします場合に、現状におきまして農林債券は約二百八十億であります。これが我々のほうの実は唯一の長期資金を賄う資金源であります。それに対しまして中期、長期の貸出が百三十億内外ございます。それから災害資金只今申しました災害資金が、これはやはり三年五年になつておるわけでございますが、現在におきまして約二百六十億、合計三百九十億となりますので、この農林債券の二百八十億と差引いたしますと、百億乃至百十億というものは現在すでに資金関係におきましてはアンバランスになつておる。つまり百億内外の資金は短期資金で泳いで行かなければならないというような資金状況になつておるわけでございます。更に我々の念願といたしましては、災害資金ももとより十分賄わなければいけませんけれども、そうかといつて我々本来の日常と申しますか、災害資金以外に当然私どもとして御融資申上げなければならん面、そういうものも災害資金のために圧迫をこうむつてはいけない、通常の業務も通常にやつて行きたいという考え方があるわけでございます。従いまして只今申上げました数字から申しますると、すでに百億内外の資金関係のアンバランスが起つており、更にこれから農林債券その他も若干来年まで殖えて参るわけでございますけれども、さようなものにつきましてはプロパーと申しますか、本来の業務につけなければならないというふうに考えて参ります場合に、誠に遺憾ではございますけれども資金源といたしましては適切な資金源を持つておらない、現在すでに百億以上も不自然な姿になつておるというのが現状であるのでございます。従いまして私どもとして皆さんの御配慮によりまして十分な活動はいたしたいと存じておりますけれども資金源なりその他の点につきましては何分の御配慮、御心配をお願いしたいと、かようにまあ考えておるのでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  59. 青山正一

    ○青山正一君 だからそこをどうすればいいのですかね。
  60. 多賀谷松雄

    参考人(多賀谷松雄君) これはいろいろ考え方もございまして、例えば二十八年度災害資金の場合にも日本銀行の借入をすればいいじやないかというようなお話も、或いは御意見もございましたけれども、私どもの担保力といたしましては借りる力はどうやらこうやらあつたと思います。併しながら、これはまあ金融に携わる者といたしまして考えます場合に、やはり日銀の御厄介になりますことは、これは短期資金、そのときどきのいわゆる資金繰りを見て頂くということが本道でございまして、そういう面では我々としても組合金融を代表しましてしばしば日本銀行の方々とも御無理と思われる折衝もいたして参つておりますけれども、この中期なり長期なりに亘りまする災害資金を、これを右から左に日本銀行の資金源で見て頂きたいということは、これはなかなか言いかねるのでございまして、従いまして、只今申し落しましたけれども、四百十七億を賄いましたその間におきましての日銀の借入というものは、中間的なことは別といたしまして、大体二百五十億までにとどめたわけであります。とどめることに努力し、又これが成功いたしたわけでございます。二百五十億程度と申しますものは、平常いわゆる災害資金がなくても恐らく二百億程度の、ピークでございますが、日銀の借入は必要であろう、従つて災害資金等の資金繰りにおきまして四、五十億多くなるのはこれは止むを得ないだろうという考え方、それに対しまして、日銀もその辺まではこれは止むを得なかろうというので、資金繰りといたしましても僅かの負担を日銀にお願いした。併し、その借入金は、これからの出来秋におきまして当然全部お返しいたします関係になります。従つて、来年も同様の考え方で参ります場合には、日本銀行にも二百億はよろしいか、二百五十億がよろしいかは別といたしまして、災害資金を出したから、或いは取扱うからこうして欲しいという特別のお願いは、これは我々といたしましてはまあ筋ではない。従いまして、私どもは自己資金の造成と申しますか、貯蓄の増強なりそういうものにつきましては今後といえども間断なく行いまして、系統資金の集中を図りますけれども、まあそれ以上のことはやはり政府の御心配を頂くというようなこと以外には、私どもとしてはちよつと考えがつかないというのが現状でございます。
  61. 青山正一

    ○青山正一君 これはまあ小さい問題かも知れませんが、岡山県とかそれから香川県あたりに漁業権証券が多少あります。まあ三千五、六万円ですかな、四千万円。或いはほかの何にも多少残つておりますが、そういうものを担保として金融の枠を作つて頂く、而も短期的なものでなしに長期的なものに結び付けて行かなければならない関係上そういうものを担保にしなければならんのじやないかと思いますが、そういうふうな枠というものはできるでしようか。どうでしようか。その点についてお伺いしたいと思います。
  62. 多賀谷松雄

    参考人(多賀谷松雄君) 資金を御融通申上げます場合に、担保のあるなしということが一応問題になるわけでございます、従いまして漁業権証券を担保にすればどうかというお話は御尤もでございますけれども先ほど来申しましたように個々の貸出の安全不安全という問題と別に資金繰りの問題が私どもとして問題にしているわけでございます。そういたしました場合に、漁業権証券はこれは日本銀行の適格担保にはなつておりません。そこで担保はございましても漁業権証券の担保としての価値は勿論十分でございますけれども、それが更に私ども資金の必要な場合に直ちに金になるかどうかという問題とは別のことになりますので、漁業権証券があればこうだということには、災害資金の場合には直ちにはそうならないのであります。その問題はやはりお買上げを願うというようなことであれば結構なんですけれども、直ちに右左に資金ができないという難点がございます。
  63. 青山正一

    ○青山正一君 何か大蔵省の預金部資金あたりとこれはうまくつなぎ合わせる途はないものですかね。
  64. 多賀谷松雄

    参考人(多賀谷松雄君) 私どもといたしましてはそのことを常にお願いしているわけでございますけれども大蔵省としてもそういうものにつきましてなかなか御都合がございましてその間の事情はわかりませんが、なかなかスムースに参つておりません。
  65. 青山正一

    ○青山正一君 水産庁あたりはこの問題についてですね、やはり少しでも金が欲しい、殊に長期の資金が欲しいという際にそういうことに結び付けて大蔵省あたりと折衝する必要があるのじやないのですかね、如何ですか。
  66. 岡井正男

    説明員岡井正男君) 御尤もなお尋ねてございまして、大蔵省としては、過般一応当分のうちはあとは抑えて置けよと、併しこれこれやつたるちゆうやつをこの間話はつけたばかりでございまして、ああは言つたが、この災害を理由といたしましてこの資金化を該当府県にやつてくれということをもう一遍申出ております。これは勿論申出るつもりでございます、折衝もするつもりでございますが、寺山先生も御承知の通り、この免許料、許可料については漁民に対する非常な国会の御同情からああいうふうになりましたが、それがために大蔵省としては一応どうも水産庁のほうも役人同士として話会いをしたやつに、まあ国会側からああいう要求をされている、あれはひどい仕打ちじやないかという気持がまだ温存いたしているのでありまして、これは折衝はいたしますが、実は確信を持つてない現状であります。
  67. 小林孝平

    委員長小林孝平君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  68. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 速記を始めて。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会