運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-09-06 第19回国会 参議院 水産委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月六日(月曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 孝平君    理事            千田  正君    委員            剱木 亨弘君            高橋  衛君            島村 軍次君            森崎  隆君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    水産庁長官   清井  正君    国立東京第一病    院内科医長   小山 善之君   —————————————   本日の会議に付した事件水産政策に関する調査の件  (ビキニ被爆訴件に関する件)   —————————————
  2. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。  ビキニ被爆事件に関する件を議題に供します只今出席のかたは清井水産庁長官であります。なお安藤国務大臣並びに岡崎外務大臣は後刻見えられるはずであります。  なおこの際第五福龍丸無線長久保山愛吉君をお見舞に参りましたので、そのことを簡単に御報告申上げます。  一昨日の委員会皆さんの御賛同を得ましたので午後一時半私と千田委員森崎委員委員会を代表いたしまして東京第一病院久保山君を訪問いたしました。もとより本人は面会謝絶となつておりますので院長室坂口院長、栗山副院長小山内科院長熊取主治医久保山君の母親しゆんさん、妻すずさん、長女みや子さんなどに親しくお見舞を申上げた次第であります。我々といたしましては、これらのかたがたに対しましてすでに原爆事件発生以来何十回か水産委員会を開いて一般の被害に対する損害補償の問題や患者に対する手当、医療費のこと、家族生活援護のことなど政府を督励して来たこと、又最近に至つて久保山君の病状悪化したということで、水産委員かたがたが非常に心配されて、本日も特に水産委員会を開いて安藤国務大臣を初め、政府の各方面係官出席を求め久保山君の病状中心にいろいろと検討を重ねたのでありますが、この結果皆さんの総意が期せずして先ずお見舞を申上げようということになりまして、我々が全員を代表してお見舞に伺いました。  右の旨を我々三委員から屡々申述べまして慰問したのであります。これに対して母親しゆんさん及び要すずさんから、本当に感激した心からの謝辞が述べられまして、委員各位によろしくお伝え下さるようとのことでありまして、この点特に御報告申上げておきます。なお坂口病院長初め医師のかたがたから病状経過についているくとお話がありましたが、大体新聞等報道されている通りでありますので、特に申上げません。ただ奇蹟的に意識を取戻したということで、家族はもとより、病院当局も愁眉を開いておりますので、我々も共に喜び合つたわけでありますが、まだなかなか楽観を許さないことは言うまでもありませんので、くれぐも万全を期せられるように申上げて引揚げた次第であります。  それから皆さんの御芳志は、お見舞として金一封を妻のすずさんに差上げておきました。この点御了承を願います。  先ず最初に、この前の委員会で問題になりました、最近の漁獲物放射能による汚染が相当認められまして、廃棄される漁獲物は相当多量にあるということでありますので、この状況について、水産庁当局から御説明を願いたいと思います
  3. 清井正

    説明員清井正君) 廃棄の問題は、直接は厚生省でいたしておりますので、厚生省係官からもなお正確にお話を申上げる機会があろうかと思うのでありますが、私が知つております限り御説明申上げたいと思います。御承知通り只今我が国で南方から帰りましたまぐろ漁船について検査をいたしまして、一定限度以上のものを廃棄いたす措置をいたしておるのでございますが、初め四月、五月、六月とだんだん、だんだんと減る傾向をずつと示して参りまして、七月がずつとその一番最低というふうに考えられておつたのであります。例えて申しますというと、七月にはたしか千二百五十三貫の廃棄をいたしました。廃棄に相当する船は十七隻だつたと思うのでありますが、その後八月にいきますと、これ又少し上昇をいたして参りまして、八月一ぱいではたしか一万七千六百貫、三十隻に相当する分の廃棄があつたように報告を受けておるのであります。又最近ときどき廃棄をいたしておるようでありますが、そういうふうに七月にずつと下つて参りましたのが、八月になつて上り気味なつたという傾向でありまして、今までの廃棄総数は大体において六万七千貫くらい廃棄をいたしておりまして、その該当する船は三百三十一隻ということになつおるのであります。ただこれが廃棄数は六万七千貫でありますが、検査総数量に対してどのくらいの割合になつておるかということでありますが、これ又厚生省より詳しくお話があろうか思いますが、私のところでわかつております数字は、大体四月が〇・五%、五月が〇・一八%、六月が〇・三五%というような傾向でありまして、七月以降ちよつと数字はつきりしておりませんが、いずれにいたしまても〇・二%か〇・三%、そのくらいのものではなかろうかと想像をいたしておるのであります。  先般俊鵬丸調査して参りました直後に簡単な報告をいたしてありますが、そのときにおきましては、いわゆる北赤道流が一番汚染度が強くて、次いで南部の赤道反流、次いで南赤道流、こういうような順序であるという程度報告は申上げてあるのでありますが、この廃棄いたしてあります漁船漁獲物その他等を調べましても、非常にまちまちでございますが、大体北赤道流乃至赤道反流を通ずるトラック島附近で獲つたものが相当多い、こういうようなことが言われておるのであります。いわゆる現地から大分西側でのります。そこら辺が大体北赤道流外道反流との潮目になつておるような川で、割合プランクトン発生の多い所で魚群も集まる、こういうように専門家は言つておるのでありますが、そういうようなことが報じられておるのであります。魚も大体その種類にいたしましても、大体きはだとか、或いはばしようかじき、或いはくろかわじ、というようなものが主なものでありまして、大体においてそういつた赤道流中心とし、その赤道反流大部分が被爆現地から西側のほうに多いというようなことが大体の現象のようであります。併しこれ又一般的にこうだろうということもなかなか推定することはうずかしいのでありまして、目下俊鵬丸調査結果も検討いたしておることでありまして、なお九月一ばいかからなければ正確な結論も出しかねるというような状況でありますが、とにかく最近若干多い傾向になつておる。そこで我々の中の専門家の話では、恐らくこれはいわゆる放射能を持つたプランクトン餌料とする魚を通じてのやはり影響であろう、こういうようなことを考えておるようであります。いずれにしろはつきりしたことを申上げられないのは甚だ残念でございますが、大体そんなようなことではなかろうかというふうに、水産庁における専門家考えておるのであります。いずれ又厚生省のほうからも正確なお話があろうかと思いますが、私ども考えております一端を申上げて御了解を得たいと思います
  4. 千田正

    千田正君 俊鵬丸が帰つて来てから、最近新聞紙上に伝えられるところによるというと、俊鶴丸乗組員も、相当放射能によつて身体状況が芳ばしくない、肝臓障害など見受けられるらしいというようなことが伝えられておりますが、俊鵬丸乗組員の体の調子等によつても、診察、その他病院等においてそういう診療に入つたかどうかというようなことも、我々は疑問にしておるのですが、農林省としては、乗組員の一応の身体検査、並びにその後の体の調子如何によつては、何とか考えなければならないというふうに考えておられますか、或いは何かそういうことに対して処置をとつておられますか。
  5. 清井正

    説明員清井正君) 只今千田委員からお話がございました過日新聞紙上に一部あつたのでありますが、私も実はその新聞を見まして、早速調査いたしたのであります俊鶴丸の航行中の調査につきましては、すでに御報告申上げておりましたが、専門家もおりましたし、医者も乗つてつたのであります専門家調査によりますと、殊に環境衛生担当専門家調査によりますと、空気汚染も、雨水汚染も問題とするに足らない、全然危険はないという結論つたのであります。それから同行いたしておりました医者も、四回か五回それぞれ定期的に検査をいたしたのでありますが、何らの異状はないということで実は帰つて参つたのであります。我々といたしましては、万が一のこともあろうかと思いまして、いわゆる外部からのいろいろ入つて参りますものを漉す装置気密装置というものを船の中に装置して参つたのでありますが、そういうことをする必要も全然ない、全然これは問題なかつたというのが結論になつております。ところが中に病人が出たというようなことが新聞に見えましたので、早速関係のところと相談いたしたのであります。確かに工合悪い人も一人二人あつたということはあるそうでありますが、果してそれが肝臓障害であるのか、或いは障害にいたしましても、どういう原因であるのかということは、全然わからないのであります。多少体の調子が悪いということはある、こういうことであります。而も担当の岩に聞きますと、自分としてはこれは全然放射能による影響とは思わない、ただ慣れない人が長期間船に乗つて苦労したのでありますから、いろいろその間に疲労等がありまして、それが或る程度つておるということはあろうかと思われる、いずれにしろ専門家に診てもらつたらどうかということを注意しておいたということであります。私も、そういうことであればよく注意して、診てもらつたらいいだろうと思つております。又その後私ども俊鶴丸の全乗組員注意いたしております専門家のほうにも注意いたしまして、若し工合が悪いということであれば、すぐ報告をよこせということを俊鶴丸の船長に言つておりますけれども、何も報告しておりません。一度念を押しましたが、皆元気であつて何ら異状がないということで、その点安心いたしておるのであります。ただ御承知通り船の設備も十分いたしましたし、お医者さんも中に乗つてしよつちゆう検査いたしましたけれども、全然異常はないということであります。又検査そのものの結果におきましても、空気中も雨水も殆んど危険がない、問題になるほどでないということでありましたので、その点は一応私は安心いたしておりますけれども、何しろ大勢のかたが長い間葉つておられた結果、多少でも体の工合が悪いということであれば、これは必要によつて検査するということも必要ではないかというふうに私は感ずるのであります。そこで注意は怠つておりません。ただ放射能による影響とは考えておりません。併し病人に対してはお話通り、我々は俊鵬丸を派遣した責任者でありますから、よく注意しなければならんということで、こういうようにしよつちゆう注意は怠らずにおりますが、放射能による影響とは現在のところ全然考えておりません。
  6. 千田正

    千田正君 それから只今その後の問題になつあとにおける廃棄の問題、或いはその他について御報告がありましたが、一昨日の委員会において安藤国務大臣が、いわゆる政府立替払といいますか、或いは国内処置として神奈川県及び静岡県の焼津、三崎等に対する漁業関係損害に対する特別融資の枠を一億数千万決定したけれども、どうも現地の連中が受取らない、いろいろな問題が受入態勢がなつておらないというようなことについて、私から長官に改めてお尋ねした結果は、とにかく政府側のそうした金は現地の要望とは非常にかけ離れておる、それから又いろいろな現地における市場関係、或いは生産者取扱業者との間の複雑な事情の下に政府の対策を受入れられるような状況になつておらないという御説明でありますが、ややその点は了解するといたしましても、これは今後ともこの問題は相当、あえて静岡神奈川のみならず、全国に陸揚げされるところの土地としての被害の問題があると思います。これは水産庁として当然十分なる行政指導をやらなくちやならないと思うが、その点に対して今後の見通しを聞いておきたいという点と、一つ一体こういう状態になつて来ているのはどういう原因か。早く言えば二十五億数千万というものをこのたびの損害としてアメリカ側に通報しておる。それに対してアメリカ側日本補償するということに対しての金顧の明示がはつきりしておらない。一体日本側がそれならばはつきりした線はどこだという点においても政府我我に対して幾度となく我々の質問に対しても明示しておらない。誠にこの点は不明瞭である。こういう点から言いまして先般も水産庁長官並びに農林大臣に対して一体この損害をどれだけのことを要求しておるのか、どういうふうな折衝過程にあるのか詳しい資料を出して頂きたいということを委員長を通じて申入れておつたはずでありますが、この点が甚だ不明瞭である。それで我々はこの委員会において審議するに際しましても二十五億数千万という一体それだけの損害基礎がどうなのかという点が甚だ不明瞭で審議の過程において遺憾な点がありますので、これは一応はつきりして頂きたい、こう思うのであります外務大臣もお見えになつたようでありますから、一応その点の質問に対するお答えあとに又更に尋ねる点もありますので、追加したときにお答えを願つておきたいと思います
  7. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今外務大臣が見えられましたので、外務大臣から原爆実験補償問題に関する日米交渉経過について御説明を承わりたいと思います。と申しますのは、一昨日安藤国務大臣から大体のことは承わりましたのでありますが、責任者である外務大臣から詳細に承わつて質疑行なつたほうがよろしいかと思いますから、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この交渉は非常に長引いておりますが、前にも当委員会で申上げたように、非常にはつきり区別はしておりませんけれども、大きな見方としては直接損害間接損害と称すべきものがあり得るわけでありますアメリカ側は直接損害については完全なる補償をする意向ありということであります間接損害のほうについては、どれが間接損害かということはこれは又別問題でありますが、そうしてアメリカ側としてはその内容にまで非常に立入つて議論をする必要はないと考えておるのであります従つて日本政府が仮に直接損害であると言つた場合に、その項目が果して直接損害であるか間接損害であるか、非常にかけ離れてもう非常に極端な間接損害のほうのような項目を入れて来れば別でありますが、その境目になつているようなところであなるらば、あえてそれがどちらかということは問わないという気持を持つておるようであります。又これも前に申上げた通り日本側から提出しました計算基礎はいろいろありましよう。が仮に額が合意された場合には、それは日本政府に渡すのであつて、その初めに提出した計算基礎通り分配してくれとかいうような中身まで立入る必要はない、つまり分配のほうはこれは又別の観点から政府考え方でやつてもらつて差支えないということであります。そうしてアメリカ側としては成るべく早く、そうして最終的に解決をいたしたいということを再三申して来ております。これに対しまして日本側としてはまだ部内にいろいろ意見がありまして、これ多いに越したことはないわけでありましようけれども、ここまでがという限度が非常にはつきりしているわけでないのであります。併しもう随分たつておりますから、この際は早く解決したほうがよろしいと考えておりまして、部内意見調整に努めております。現在はそういうことであります
  9. 千田正

    千田正君 この前の委員会におきましても外務大臣からいろいろ御所信のほどは伺つておりましたが、その後病院に入院しておる患者状態変化等だつれて新聞或るはラジオを通じて報ぜられた結果、国民感情は対米感情というのが非常に余り芳ばしくない状況になつて来ておる。聞くところによれば、吉田首相は外遊される、而も親善使節としておいでになるという前にこういう問題が悪化方向に向かいつつあるがごとき感を受けるのは誠に我々としては遺憾に思うのでありますが、この間一日のワシントンAP報道によつて新聞紙に掲げられたうちに、アメリカ側補償法的責任はないのだ、日本側要求に対しては好意的なことによつてまあ要求に応える、こういうようなことを国務省筋側から示唆的な発表をしておるというようなことを新聞報道は報じておるのでありますが、これは非常に我々から見るというと奇異な感じを受けるのであります。独立した日本として当然先般来岡崎外相を初めとしまして外交折衝に当られた方方がこれはやはり損害補償の形式を以て堂々と自主外交を続けておられると我々は確信ておるのでありますが、アメリカ側考え方補償の法的な責任はないのだ好意的な支払であるというような観点に立つておるとするならば、今後の日米間の感情というものはむしろ悪化に向かうのじやないかという憂慮に堪えないという我々は考えを持つておるのですが、その点の見解は外務大臣としてはどうお考えになつておられるか。
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は新聞報道はいろいろまちまちであつて必ずしも正確と言えない場合があろうかと思つております。又おつしやるような新聞報道国務省が発表したということは一言も言つていないのであります。誰かの意見がそういうことになつてつたかも知れんけれども、或いはそうでなかつたかも知れん、その点はわからないのであります。でこれを一一追究する必要は私はないと思う。現にアメリカ政府は公式の代表者を通じて遺憾の意を表しておるということは、すでに責任を認めておるということであります。これに対する補償を行うということは額は別として筋道としては当然のことで、又先方もそう考えておる。我々の交渉はその点何ら問題になつたことは一つもありません。
  11. 千田正

    千田正君 他の委員からいろいろ御質問があると思いますが、私はただ一点、非常に今後の日本水産行政の上からいつて考えて見なければならない、慎重に考えなければならないという点がありますので、この際外務大臣から率直な御意見を伺つておきたいと思うのは、このままでアメリカ側原水爆実験をよすというようなことは言つおらない。しばく或いは来年も原爆実験をやるかも知れない、やらないということは言つていないのでありまして、当然やるだろうと我々は推測されるのでありますが、そうした場合本年と同じような日本の漁民が被害をこうむるかも知れない、或いはより以上の損害が伴うかも知れないし、又それによつて場合によつてはあの方面におけるところの漁業を中止しなければならない段階に入るかも知れない。そこでそうした場合に日本側として考えなければならないのは、殊に水産関係でありますが、ああいう方面操業ができないとすれば、漁業操業転換考えなければならない。御承知通り日本海方面から支那海に亘つては到底漁業転換参方法考えられない。東南アジアは遠くして容易でない。残されておるのはやはり太平洋太平洋のうちでも私はこういうような問題が起きて来るというと、さけ、ますというような方面操業転換考えざるを得ない方向に持つて行かなければならない。そういう場合において先般安全保障条約を結ぶ前に、すでに大臣が御承知通りのいわゆる日米カナダ漁業条約によつて魚族資源保護という一つの道義的な条約が結ばれてありますが、これはまあ魚族資源保護であるけれども、我々としては魚族ばかりではない、人間の資源さえも断たれる虞れがある今日に至つてはむしろ将来において日米カナダ漁業条約に或る程度の変更を外交折衝しなければならないのじやないかというふうにまでも押詰めて考えておるのですが、将来太平洋実験の行われるところの範囲の危険区域内に操業ができない場合においては、或いはそうした面において日米カナダ条約に対しても一応の改変方を申出でなければならないような状況に立ち至るというふうに考えられまずので、そういうようなことについては大臣はどういうふうにお考えになつておられますか。
  12. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは私からとかくの意見を言うほどの知識もありませんが、原則的に言えばお話のようなことも考えられるわけであります。ただこれは水産当局等で果してそういうような余計な、仮りにさけ、ますを獲つて国内で捌けるか、外国で捌けるか、仮に捌けるとしても、そういう一種類のものに依存するということの善し悪し、つまりまぐろ等でなく、ほかに変るということの善し悪しはいろいろ専門的に研究しなければならんと思いますが、果してそれがお話のようなことであれば、つまり転換すべきであるという議論であれば、これは条約改変ということも考え得ないことはないと思つております。これはまあ専門家の研究の結果に待つよりいたし方ないと思います
  13. 小林孝平

    委員長小林孝平君) ちよつと外務大臣にお尋ねいたしますが、大体最終的に決定が間近いということでございますが、そのアメリカから出す八十万ドルとか、百万ドルとかいう、その金の性質はどういうふうに考えたらよろしいのですか。これは単に見舞金という程度のものですか、或いはこの被害に対する補償金というような形で出ておるものですか。どういうふうに考えたらいいのですか。
  14. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはもう形から言えば補償であります。ただ非常に細かく言いますと、そんな必要はないかも知れませんが、いよいよ金を受取つて日本側で配分する場合は、補償である種類のものと、見舞金である種類のものと出て来るかも知れません。アメリカから来る場合は補償金という形でございます
  15. 小林孝平

    委員長小林孝平君) そこでお尋ねいたしたいのは、私はアメリカから来る場合は一括して掴み金式に来る、日小政府はどう使つてもいい、こういうふうにして出て来るのでありますかり、そういうことでありますと、日本政府は今度は見舞金補償金というふりに分類して、独自の立場でやるのですけれども、非常に困難が生ずるのではないか。こちらは二十五億という損害を出しておるのに、僅か一割余りしか出て来ないというような場合に、非常に困難な事態が出て来るのじやないか。アメリカがこれとこれに対して出すのだというふうにアメリカ責任でやつてくれれば問題はないのですけれども、いよいよこれは決定した場合、非常に紛糾するのじやないかと思いますが、如何ですか。
  16. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは私の言い方がはつきりしなかつたかも知れませんが、日本側から要求しておるものの中で、これとこれを払うということで、アメリカ側はそれで結局幾らになるということになるわけであります、ですから計算基礎はつきりしておる。ただアメリカ側でもその通り払わなければいかんと主張するものではない。その間に多少の事情変化もありましようし、早急の計算あと計算し直さなければならん場合もありましようから、必ずしも一銭一厘その計算基礎通りにせよということを要求しておるのじやない、こういう意見であります
  17. 小林孝平

    委員長小林孝平君) そういたしますと、今おつしやつたところによれば、アメリカの八十万ドル、或いは百万ドルという金は、アメリカの出す場合ははつきりした計算の根拠の上に立つて出しておる、日本もそれを大体認めて受取る、こういうことになりますと、今後のこういう事件の際の補償の問題は、この基準によつて行われても差支えないということを日本が認めたことになるのですか。
  18. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 必ずしもそうはなりません。そのためには仮に今後実験があるとした場合に、我々としては正確なる科学的の調査の結果に基いて、事前にいろいろ交渉をいたすべきと考えております
  19. 小林孝平

    委員長小林孝平君) もう一つお尋ねいたしますが、先般外務大臣原爆実験に協力する、その協力というのはできるだけ被害がないように、あつた場合は完全な補償をしてもらうということを前提にして実験をしてもらう、こういう意味であるということをおつしやつたのでありますが、今後はこの程度の、今回のような補償程度で以て日本は完全な補償とお考えになるのかどうか、この程度ならば実験を継続しても差支えないということをお考えになるのですが、その点お伺いいたします
  20. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは非常に誤解がありまして、実験協力という点が新聞に盛んに今日なんかもたくさん私の名前が出ておるようですが、ですから考え方を先ず念のために申しますと、私は原爆等の破壊兵器については、これは国際管理をいたすべきものだと固く信じております。従つてこれが第一義であつて、これに各国とも全力を尽すべきものである、こう考えております。併しながら残念なことには、今の実情はいわばこの力の平衡した上に立つての平和であつて、必ずしも各国共にお互いに理解して平和を維持するというところには実は実情も私は残念ながら行つていないと思います。従つてこの力の平衡が破れるという場合には、恐るべき戦争もこれは起らないとも保証できないわけであります。従つて一方の陣営が水爆の実験をしておる場合に、他方の陣営が水爆の実験をできないということになつて、力の平衡が破れる場合には或いは非常に人類の多数の上にこういう恐るべき爆弾が落ちないともこれは言えないわけでありますから、従つて非常に多くの、いわば世界の人類の安全のためには甚だ残念であるけれども、一方の陣営が実験行なつておれば、他方の陣営も実験を行わざるを得ないであろうという非常に消極的の意味であつて、それをこの原爆実験協力というようなところだけを引出して宣伝されることは私は非常に迷惑に感じておる。そこでこういう場合におきましても、先ずあすこでやらなければならんという理窟もないわけであつて、その破壊力の大きさその他非常にいろいろなことがありましようから、なかなか場所の選定は困難でありましようけれども、先ずできるだけは他に適当の場所があるかどうかを調べなければならん、どうしてもあすこでなければならんという場合におきましても、先般の実験被害によつているくの点が考慮されるのじやないか、この前の被害に対する補償が如何ようであろうとも、これは私は前例にはならんと思います。又私自身も必ずしも仮に話がついたとしても満足すべき補償であると考え得ない場合が多かろうと思うのであります。今後は科学的調査の結果を待たなければなりませんけれども、これに基いて十分なる補償、殊に人命等に対する危害はこれは絶対ないように方法を考えなければならないというつもりでおります
  21. 小林孝平

    委員長小林孝平君) もう一点お尋ねいたしますが、そういうふうな科学的調査に基いて十分なる賠償金額というものが決定した際に、今回のことはきまつたから仕方がないが、そういうものがおわかりになりましたら、日本としてはこういうような賠償をやらさる限り実験を継続してもらつては困るということくらいは言つてもいいと思うのですが、外務大臣はおやりになるお考えがございますか。
  22. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) つまり私が先般申したのは、十分なる賠償なり補償なりが前提となるということであります。その前提が満たされざればこれは別の考えが出て来ざるを得ないと思います
  23. 小林孝平

    委員長小林孝平君) だからそういう前提に立つてつても差支えない、やるのもやむを得ないというお考えならば、あらかじめ十分なる補償、今回のような不十分の補償ではなく十分なる補償をやるということがきまらなければ、少くとも原爆実験は中止してもらいたいということくらいはやつてもいいように考えるのです。それは外務大臣の今の御説明ではそういうふうになるのですが、如何でございましよう。
  24. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私もそう者えております
  25. 小林孝平

    委員長小林孝平君) そういたしますと、その科学的な資料ができ上れば、アメリカに向つて次の実験は少くともこの科学的な調査に基いた補償をやることを前提にしてやつてくれ、それができない限り実験をやつてもらつては困るということを正式に申出られるわけでございますか。
  26. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは補償問題だけじやないのであつて、予防措置、いろいろありましよう、これらをすべてこれが俊鵬丸一隻の調査で十分であるかどうかはこれもちよつとわかりませんけれども、今少くとも俊鶴丸調査の完成を早くしてもらうように我々希望しておるのでありまして、これに基きまして、先ず人命等の安全の措置、それから漁区の、一体どれだけ離れれば安全であるかというような問題、魚食べて……、その他いろいろのことがありましよう。又値段の値下りというようなこともありましようが、値下りなどはまあこれは科学的な調査ということにはならんと思いますけれども、科学的調査ばかりでもない、科学的調査は勿論必要でありますが、国民の感情とかいろいろありましようから、これらを総括して十分なる安全措置が行われることが前提であると、こう考えております
  27. 千田正

    千田正君 今の委員長のお尋ねに関連するのですが、この問いろいろ、これも大臣から言えば真偽のほどはというふうなことを言われるかも知らんか、新聞紙上に伝えるところによると、例えばアメリカ側は八十万ドルぐらい直接損害補償する、そういう面において、八十万ドルぐらいのものを払う意思があるということでありますか、ところが療養中の久保山さんの状態は危殆に瀕している。不幸にして若しも最初の犠牲となるようなことがあつた場合においてはそういうことではできない、安藤国務大臣あたりは百万ドルを要求しておるというように新聞にはいろいろの説が掲げられておりまりが、最初の先ほど大臣のおつしやつ日本損害賠償に対する要求のうち不幸にして死亡した場合というふうはことも考慮に入れて要求されておりますですか、或いはそうした不幸な事態が生じた場合には改めてそういう問題は問題として別に考えて更に要求するというお考えで現在は折衝過程にあるのですか、その点はどうですか。
  28. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) こういう不吉なことは考えたくはないけれども併し仕事としてはやはりそういうことも考慮に入れなければならんという問題で、一応はそういう考慮を持つた計算をいたしております。併しこれは何といいますか、役所で普通例えば政府が国民に対して全然国民のほうに無過失の被害を与えたというようなときにどうするかという基準がおのずからあるわけであります。それに基いた計算でありますから、こういう点特別の場合の考慮がどれだけ入つているかということになると多少の問題はあるわけでございます。従つて久保山氏のような事件が起りますと、この点は更に考慮をもう一遍して十分検討する必要があるというので、関係者も検討いたしておるわけであります。併し一応の計算はその中に入つております
  29. 千田正

    千田正君 そうしますと、まあ今の折衝の段階においては慎重にそういう面も考慮して交渉しておる。将来まあそういう不幸な予期しないようなことがあつて日本外交として飽くまで自主的な精神に則つて、そういう場合はそういう場合として臨機の処置外交を続けて行くという、こういうはつきりしたお考えがあるわけですか、その点はどうですか。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いや、私の言うのは一応こういう不吉の場合のことも考え計算ではあるけれども、現に実際にそういうことが起りそうになると又感情の問題とかいろいろあつてそれでは足らんという場合もありましようからして、こういう点を考慮して更に増額をするなり何なりの話も考えて行きたいと、こう思つております
  31. 森崎隆

    森崎隆君 さつき小林委員長から御質問がありましたので関連してでございますが、或いは多少重複するかも知れませんが、外務大臣には四月の初めでしたか今の原爆実験に協力なさるという御発表、それから極く最近にもう一回新聞に出たのでございますが、最初にはそれで済んだ。最近新聞に出ましたときにはどのようにおつしやられたのでしようか。もつと具体的に御本人のお口から御発表された御趣旨を言われた言葉通りに聞きたい。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私から発表したわけじやなくて、新聞の会見のときに質問されたから答えたのでありますが、その趣旨は今委員長お答えした通り全然同様のことを新聞に言つたのであります。ただ不幸にして初めのほうが出なくてあとの方だけ出て来たので誤解を招いているかも知れませんが、私の言つたことは委員長お答えしたことと同様であります
  33. 森崎隆

    森崎隆君 それでまあ私は協力するということについてもう少し据り下げてお聞きしたいのですが、四月のときに外務大臣が協力をされるというお言葉はこれはまあ外務大臣の立場としては原則的なことを言つたということで或いはそれで済まされると思うのですが、今度の協力ということにつきましてはたとえ発表でなくて質問に対する御答弁であつたにしましても、やはり前とはおのずから条件が変つて来ると思うのですね。まあ小林委員長からお話があつたのでございますが、今の御答弁を聞きましても当然その背後には被害を受けた場合の補償措置も考えられるということがあつたわけでありますが、それは逆に言いますると、今後も水原爆実験に協力する。当然そのときには日本漁業関係に人命或いは漁獲物、漁場全体について被害がある。それに対して補償は勿論考えてもらわなければならん。言い換えましたならば、被害があるということは当然認めた上で、もつと突き詰めて申しますると人命の被害もあるかも知れないということも突き詰めた上で協力という言葉を申されたように私は新聞だけではなくて、今の御説明を聞きましてもそのように取れるわけであります。これは私は一自由党員としての岡崎勝男氏が申されるのはこれは私いいと思うのです。併しながら少くとも政府責任者としての外務大臣のお言葉であるとしますれば、これは国民の利益、福祉というものに対して責任を持つている地位にある外務大臣であります関係上、こういう被害というものを前提においてその含みを持つて協力するという言葉は、これは少くとも政府責任者としては言えないのじやないか。そこに小林委員長がさつき申しましたように、一応これには反対だと、又協力するが、する前に十分に今後のアメリカ実験について具体的な打合せをして、これだけの研究をした結果、大体まあ被害はないという見通しを立てた、少くとも或る程度調査基礎にした科学的な見通しを立てた上に立つてこれなら協力してもいいのだという、そういう協力の発表はむしろ新聞社の質問に応ずるところなく積極的に政府で、あなた方の立場ですから発表されてもいいのじやないか。少くとも二回目であります関係上、そういうような厳粛な条件を整備されなければおろそかに協力という言葉は私は出せないと思うのです。その点についてどうも私はあの発表は非常に遺憾であつた考えるわけでありますが、これについて基礎的にアメリカと根本的な折衝をされておりますのでございますか。それとも又政府としましては十分今後の協力には事前に今言いましたような人命を含めたそういう被害は今後ないという基礎的な条件を附加して協力するという基本的な考え方が固まつた上でああいう御意見を吐かれたのですか。その点をお聞きしたい。
  34. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私の申すことは先ほどのことで尽きておりますが、念のため附加えますれば、今の研究では人命に支障のあるような、どうやつても人命に影響があるというふうには私は考えておりません。従つて予防措置の方法如何によつては人命には何ら支障がないと、こういう前提の下に考えておるのであります。若しこれが科学的に調査の結果どうしても防ぎようがないのだということになれば、これは又話は別問題であります
  35. 森崎隆

    森崎隆君 それではもつとそれを突き詰めて申しますると、今病院に入つて療養中の久保山さんその他の患者については生命には絶対心配はないという御自信を持つていらつしやるように私ども受取れるわけなんですが、又もつと広く言いますと、日本全国でも相当のまあ船が出ておる。私の香川県でもこの四月、五月に天水ばかり飲んだため三人の放射能患者が出ております。生命に絶対危険がないという御自信を持つていらつしやるのかどうか二又生命に危険がないという自信さえあれば本人がこういう放射能症状を呈して何カ月か、或いは何年か苦しみましても、そのことも又金で解決はつくというお考えで言つていらつしやるのですか。この点を一つはつきりしてもらいたい。
  36. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は今病院に入つておる人が生命に危険がないというそんなことは言つておらん。そんなことはお医者さんでもなかなかわからんし、そんなことを素人の私が言つておるわけじやない。ただ今後の問題で一定の危険区域を設定した場合にそこに入らなければ安全であるかどうか、こういう点をはつきりすれば、安全であれば安全であるような考え方があるし、どこへ危険区域を設定してもその外に行く者が危険であるということで危険区域の設定が役に立たないということであればこれは非常な別問題であります。今は私の考え危険区域というものを相当に安全に設定すればその外は安全であるという考えの下に立つておる。
  37. 森崎隆

    森崎隆君 そのお考えはよくわかりました。それでは危険区域という問題が中心になるわけでございます危険区域を設定するということは、日本漁業界にそれだけの犠牲を与える。これは若干のことはいたし方がないと思う。人命に被害を与えない程度の危険込域というものにはアメリカにも構想かあるだろうし政府にも構想があるだりう。その政府の構想はどの程度か、との程度が大丈夫かという点が出て来る。それが日本の全漁業者の漁業権にとれだけの侵害を与えるか、又どの程度損害を与えてもこれは日本の一環としての協力を惜しまざるを得ないという観点に立つて、相当研究した上でああいう言葉を発表して頂きたいと思うわけであります。その研究は私はできておるのじやないかと思いますが、それにつきまして若しアメリカとの折衝で了解でもついておりますればお漏らし頂きたいし、又その問題は今後水爆の実験をするときには何日、何週間、或いは何カ月か前にアメリカから要望があつて、それから研究をしてアメリカの設定のスケールというものを日本意見も入れてきめて、その上に立つて協力するというようなつもりでいらつしやるのか、すでにその打合せは済んでおるのか、危険区域の設定ということは非常に重大な問題であると思いますので、極端に言いますと、人命の被害をなくするため、これは小笠原諸島あたりまでずつと大きなスケールで枠をはめられても仕方がない。そうなつた場合には日本漁業界は非常に大きな痛手を受けて壊滅に近付くわけです。そういうわけでどの程度のスケールか、これは非常にむずかしい問題だと思う。今のような御発表、御意見がある限りどうしてもやはり解決しなければならん基礎的な条件だと思うわけであります。それについて何か御意見がきまつていらつしやるのか、政府にあれば承わりたい。又きまつていなければ今後どうなさるか、その点を一つ突つこんで御質問でございますけれども説明頂きたいと思います
  38. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは今申した通り俊鶴丸の科学者の研究の結果を待つ以外にはない。これは急いで結論を出してもらいたいと思つてつております
  39. 森崎隆

    森崎隆君 それでは俊鶴丸その他科学者の研究の発表があるまではアメリカの水爆実験というものは、太平洋地域において実験することには絶対反対ですね。念のために伺います
  40. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 絶対反対とか、絶対というような言葉は余り私は使いたくありませんが、まだアメリカで急にやるとは言つておらんのであります俊鶴丸の研究は済んで資料の整備とその結果を今急いでおります。十分間に合うと思います
  41. 森崎隆

    森崎隆君 その点は一つよろしく責任を以て善処方をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、先般の委員会で賠償の対米折衝の問題について私いろいろお願い申上げたのでありますが、考慮されるという言葉も頂いたのでありますが、もう少しオープンに国民外交的な要素も入れて、国民の輿論を背景にしてこの問題は単刀直入に強くアメリカに要請して頂きたいということを申上げたのでありますが、その後その考慮はどのように実現されておりますか。
  42. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは政府としてでき得る限りの善処をいたしております
  43. 森崎隆

    森崎隆君 具体的には従来の交渉と変らない交渉をなさつておりますか。
  44. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) その通りであります。力を入れてやりたいと思つております
  45. 森崎隆

    森崎隆君 是非とも一つ国民の大きな輿論を背景にしてオープンな折衝を今後とも強く要望いたします
  46. 千田正

    千田正君 今の外相の折衝の問題なんですが、この補償の解決は一体見通しとしては今月中に片付く状態になつておりますかどうですかという点と、一体いつ頃になつたらこの問題は解決がつくかこれは我々としても国民としても聞きたいところだと思います。それから吉田首相が外遊する前にこういう問題が片付かないとするならば、吉田総理大臣の外遊は御承知通り我々は知つている範囲内においては親善という大きな役割を持つているとするならば、この日米間の感情に齟齬を来たすような誤解を除去する上からも早期解決を望まなければならないと思いますが、この際そういう場合においては吉田総理大臣の外遊に対して政府側としての意向を十分先方に伝えて早期解決を望むような考えがあるかどうか、この二点を聞かせて頂きたいと思います
  47. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは相手のあることでありますし、今月中に解決がつくかどうかと言われても、正確な返事はできません。併しできるだけそのつもりでおります。総理の外遊については特に今のところこの問題を話してもらうように頼む考えはありませんけれども、いよいよその場になりまして必要があれば勿論総理としても話をされましようが、我々の気持はできるだけ早く解決をして行きたいと思つております
  48. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 先ほどの千田委員質問に関連いたしまして、昨日安藤国務大臣はこういうふうな、特に久保山君が重体に陷つたような事態になりましてはなお一層のことアメリカから何か陳謝があつて然るべきだと自分は考える。それがないのは自分は不思議に思つていると、こういうふうに言われたのであります。ところが外務大臣只今アメリカから正式な陳謝があつたというお話でありますが、それはどういう形で陳謝があつたのですか。
  49. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今ちよつと日は忘れましたけれども、あの問題のあつた極く近くにアメリカ大使が私のところに来て遺憾の意を表しました。その後その意味のことを発表しておると思います
  50. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 安藤国務大臣はそのアメリカ大使が来たことも話されましたけれども、そういうものは正式の陳謝であるとは考えないというふうにお話になつておるのです。閣僚の一人としてもそういうふうにお考えになつておりますし、我々もそれを正式の陳謝であると考えておらないのでありますけれども外務大臣はあれを以て正式の陳謝であるというふうにお考えになるのですか。
  51. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私の外交慣例の常識から見れば、それは当然正式な陳謝であります
  52. 千田正

    千田正君 今外務大臣が私の質問に答えられた中に非常に重大な問題があると実は考えるのです。そこで私は水産庁長官にお尋ねしておかなければならんのですが、来年も或いはその先もこの原水爆の実験太平洋地域内で行われた場合において日本漁業が阻害され、或いは操業を禁止しなければなりない。今の外務大臣の答えから言うと、予防すれば或いは避けられるかも知れない。その予防という意味の中には或いは操業区域の立入禁止を示唆し、おるようにも考えられます。そういう場合に日本漁業というものは一時的にも太平洋のビキニ周辺はストップせざるを得ない。そういう大きな日本漁業に対する打撃を打開する意味においても日米カナダ漁業条約改変する用意があるかどうかという私の質問に対して、答えは或いはそういう場合においては水産当局の現業官庁の十分なる調査、或いは肚がまえを十分聞いた上で考えなければなるまいというお答えでありましたが、これは非常に重大な問題であると私は思う。私が先ほど申上げた通り、この日本カナダの漁業条約というものは安全保障条約に基き、而も独立宣言する前に日米カナダの間の魚族資源の保護という大きな問題を掲げての外交的役割をしたのでありまして、今日の原水爆の実験というものは単に魚族の保護ばかりでなく、人間の種族をも絶えさせるような世界人道上の重大問題であります。こいう問題を起しておる今日において史にこの漁業がストップしなければならんという状況になれば、当然私はこの日米カナダ漁業条約というものは以る程度廃棄若しくは改正をしなければならない、そして漁業転換というものを考えなければならない、こういう段階に到達する虞れがあるのであります。その点について水産庁長官としLどういうふうにお考えになりますが、あなたの肚がまえを聞いておきたいと思います
  53. 清井正

    説明員清井正君) 只今千田委員り御質問確かに非常に重要な問題だと私も思います。これは現在でもいろいろ問題があるわけでありますけれども、我が国全体の漁業として転換問題があり、特にまぐろ漁業が特殊の事情によつて漁場を制限されるというような場合においてこれをどういうふうに措置するかということを、将来この問題を現実の問題として検討しなければならないというときにおいてはどうしてもこれは非常な問題だと思います。現に御承知通りこれは私だけの考えでありますが、又一部業界においてもそのことをとり進めておりますが、或いは失われた南方の基地に対して或る程度のいわゆる基地漁業と申しますか、只今は独航船。或いは母船式で南方へ出ておりますが、或いは南方の旧委任統治或いは旧日本領地について或いは基地を求めて漁業をして行くということも、これは一つの問題として考えられるというふうに考えておつたのでありますが、いずれにいたしましてもそれは操業ができるという前提であります。仮に危険区域が非常に拡大されるということによつて、そういつたことも不可能だというようなことが考えられ、而もかつお、まぐろ漁業について根本的な問題が生じて来るということがありといたしますれば、私といたしましてもこの点は水産の問題と考えましても非常な問題だと思います。果して今お話になりましたような日米条約、この成立のゆえんは只今お話通りであります。これを今回の問題に関連して将来区域が非常に広く制限されて、このための転換一つの方策として取上げられるという問題、これは私といたしましても非常なむずかしい問題でありまして、これは検討をいたさなければならんと思います。突然のことでありまして私も十分考えなければならん問題でありますので、この点は御意見は十分拝聴いたしまして考えさせて頂きたいと思います
  54. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 只今国立東京第一病院内科医長小山善之君が見えられておりますので、一昨日の本委員会で問題になりました久保山君の病状についての報告をお聞きいたしたいと思います
  55. 小山善之

    説明員小山善之君) 簡単に病状につきまして申上げます。今回の水爆の患者さんを取扱いまして入院後の経過で見ておりますと、五月の初め頃からすでに一、二名の者に肝臓の障害が現われて参りました。だんだんその数を増し、強弱の程度の差はございますが、現在までに遂に全員に肝臓の障害を認めております。その肝臓の障害の一症状として黄疸を伴いましたものが二十三名中十七名でございます久保山患者は三月二十八日入院当時より最も重症者の一人と考えられておりました。骨髄の障害も強かつたのでございます。同患者の黄疸は六月下旬から現われ始めまして、七月下旬に一時低下をいたしましたが、八月上旬再び強くなりましてこれ又間もなくやや軽くなつて参りましたが、八月の二十日から三度黄疸が強くなりました意識の障害は八月の二十九日から現われまして、昏睡状態に陥りましたのは三十一日の朝からであります。それ以来丸四日間昏睡状態を続けており、九月の四日朝から意識が少しく回復し始め、現在体温三十六度七分、脈博九十八、呼吸二十、血圧最高百三十、最低七十で、意識はまだ完全に回復したというところまでは参つておりません。肝臓の障害はまだ非常に高度のまま残つております只今はこういう状態でございまして、この意識障害は大分快方に向つておりますが、丁度脳炎とか或いは腸チフスの重いものをやりましたあとに意識障害が一時回復したあと残りますが、そういう状態只今あるのではないかと思われるのでございます久保山患者の容態につきましてはこういうことでございます
  56. 千田正

    千田正君 久保山さん大分回復したので、皆さん愁眉を開いているが、これは我々議員のみならず国民一般がそういう感じを持つておるが、併しそれで全然全快ということも今断言できない状況だろうと思います。又ほかの患者もそういう同じような症状を来たさないということも断言できないと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  57. 小山善之

    説明員小山善之君) 只今申上げましたように久保山さんの肝臓の障害状態はまだ非常に高度でございます。私どもは現在のままですぐ回復に向うかということはちよつときめかねております。と申しますのは、六月の下旬に始まりましてたびたび再発を繰返しておりますので、今後いつ又以前の重体の状態に戻るか予断は許さない現状でございます。又は、かの患者のほうにつきましても、現在東一に入院しております十六名中黄疸が残つております考は三名でございます。この三名の肝臓の障害もすぐ久保山さんのように重体になるとは現在思つておりませんが、何分全身的に抵抗が弱つておりますので、僅かな障害が加わりますといつ急に重くなるならないという保証もできないわけでございます。従つてそういう点も考えまして十分注意して治療中でございます
  58. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 厚生省の楠本環境衛生部長から先ほど水産庁長官から一部説明を願いました最近の魚獲物の放射能による汚染状況について御説明を願います
  59. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) お答えを申上げます。六月以降次第に各港において松出されました放射能によります汚染魚類は逐次減つて参りまして、私どもといたしましてはもうそろそろこれで解決かと思つてつたのでございますが、然るところ七月以降になりまして再びこれが各港において検出されるものが増加を始めまして、七月におきましては約一千二百五十貫が各港において検出廃棄されております。ところが八月になりますと、船の隻数にいたしまして三十隻、総計いたしまして一万七千六百貫余りが検出廃棄の処分と相成つております。而もこれらの魚類はいずれも千カウント以上というような強い放射能を示しておるのでありまして、これらの点につきましてはその原因等につきまして目下鋭意調査を進めておる次第でございます
  60. 千田正

    千田正君 一生懸命厚生省としてはこの問題に対して取組んでおられるようでありますが、この間内閣におけるところのこの方面責任者であるとこりの安藤国務大臣がこの委員会に見えりれまして、アメリカ補償問題をどり解決するか、相当長引く虞れがあるりで、国内においているノれな面を立替払しなければならないと思うと、こういうのでありますが、今まで厚生省の面におきましてこのビキニの被害に川しての支出その他に対しては、これは予備費からの支出でありますから当然もうすでに予算を組んでおられた、或るいは厚生省の予算の内部から一応出してこういう問題に対しては当つておられるのでありますか。
  61. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 従来私どもが直接経費を支出いたしました点は、各港の検知費、調査費、或いは研究費というようなものにつきまして経費を支出しておりますが、これらはいずれも予備金支出でいたしております。なお患者の治療費、或いは患者の規定通り生活援護に要します経費の極く一部につきましては、船員保険その他の運営によりまして支出中でございます
  62. 千田正

    千田正君 この間静岡新聞その他を見ますというと、患者の家庭においては今まで一応、漁業者ですね、親方と称しますか、雇つたほうの側からいろいろ融通してもらつてつたけれども、到底もうこう長くなつてはやり切れないというので非常に悲観的な面が出て来ておるようでありますが、これに対しては一体厚生省のほうで何かそいう面に対しての施策をやるのか、或るいは水産庁関係のほうでやるのか、そういうことはどつちが一体考えられることなんですか。
  63. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) これらの点に関しましては、厚生省といたしましては只今御指摘のような経費につきましてはこれ又御指摘のように、これまでは漁業組合その他からあたかも立替払のような経費にして若干を支出してございます。従いまして私どもといたしましては、かような経費につきまして速かに賠償その他を決定いたしまし解決のつくことを極力念願をいたしおる次第でございます。なおこれら経費につきましては、関係各省におまして積算をいたしまして取りまとることに相成つておりますので、私どもといたしましては廃棄魚類の経費、或いは患者の治療、或いは家族に要した経費等につきましては積算をいたしまして、これらのものにつきましては外務当局において取りまとめて折衝中でございますが、私どもといたしましてはこれらの廃棄した魚類、或いは患者家族等に要する経費は極めて具体的な、決定的なものでありますので、個人的な意図を以てすれば是非これらのものは、若し賠償が長引くならば立替払というような措置によつて解決をいたしたいと、かように考えておる次第でございます
  64. 千田正

    千田正君 先般アメリカ側日本のビキニ災害に対する損害額が二十五億数千万円ということを通報しておるそうでありますが、厚生省としての損害は幾らになつておるのですか。
  65. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) これらの経費の費目につきましては患者の治療費、それから家族の援護費並びに漁撈に従事しないために生ずる正規の損害その他家族としてはたまたま患者を抱えたたためにいろいろ雑費程度のものがかかりますので、かような雑費というようなものを家族の経費の対象といたしておる次第でございます。なおこれらのほかに廃棄した魚類につきましては、これらは数字はつきりいたしておりますので、これらは勿論対象に数えておるわけでございます
  66. 千田正

    千田正君 ですから二十五億のうち、金額をはつきり言えないとするならば、一体何%くらいは厚生省関係のあれなんですか。
  67. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 厚生省に関連いたします経費につきましては、全体から見ますればかなり妥当な数字を挙げましても金額はさように大きくはなりません。
  68. 千田正

    千田正君 どうも我々国民の一人として考えるのは、一体損害が幾らになつておるのか、漁業としては一体損害が幾らになつておるのか、そういうようなことをちつとも明示していないので非常に誤解を生ずる虞れがあるので、これはこういう場合においてははつきりしたほうがいいと思うのでありますが、更に今それは明言できないとすれば、改めて次の機会に何らかの方法で伺いますが、来年度の予算は大体一もうすでにあなたのほうから大蔵省に申請してあると思いますが、アメリカ側の発表によりますと来年は実験はしないということを言つていない、来年もむしろやるというようなことを言つておる。そうすれば当然来年も同じような、或いはもつとひどいような損害をこうむるかも知れない。それに対応するところの予算としては大体今年度並みに計上しておるのですか、それとも今度は予備費じやなく当然行われるであろうという予想の下に一般会計の中に組入れてそれを要求してありますか、どういうふうにしてあるのですか。
  69. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 私どもが今から予定いたされます経費につきましては、例えますれば調査費、或いは各港におきます魚類の検知費、このようなものに関しましては来年度の予算におきましては経営費としてこれはすでに要求しております
  70. 千田正

    千田正君 更に治療についても我々が予算委員の立場で検討します場合に厚生省の予算の殊にこうした原爆というようなものの被害に対する治療という面においては、政府はどうとも積極的に考えない、むしろ今後の科学兵器の発達につれているくな問題が起きて来ると思うし、又今度のような不測の問題が起きて来ると思いますが、そういうふうな問題に対する大学なり、或いは民間なり、どちらにしてもそうした研究費その他の治療の研究とかそういう面に対する経営費はやはり十分見込んであるのでございますか。
  71. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) これらの点に関しましては全く御指摘の通りでございまして、原爆実験がやめられましても原子力の平和利用、やがては日本にも原子炉が設置されるというようなことになつて参りますので、これらから参ります被害原爆実験等も総合いたしまして十分に調査研究を進めまして、確固たる対策を立てることは申すまでもございません。これらの点につきましては、先ず調査研究等が基礎的事項になりますので、来年度の予算におきましてはこれらの点につきましては、十分に予算は要求してございます。なおこれらの調査研究につきましても、関係する各省が極めて多数に亘りますので、一応厚生省中心となりまして、関係各省の研究調査、或いはこれらに対する対策の調整と申しましようか、連絡を図る意味で、先般閣議決定を以ちまして、調査研究の委員会を設けまして、これによつて実施をいたしておる次第でございます。来年度場におきましても当然この方法を継続して参りたい所存でございます
  72. 千田正

    千田正君 私この問題については一応私の質問厚生省は終りますが、この間水産庁に対しても森崎委員から詳細な損害の、内閣に提出した調査の資料を提出してもらいたい、なかなか御返事が頂けないということでまだ伺つておりませんが、厚生省としても、どうも相当額といつてどれが相当であるかはつきりしたことを言つてないのですが、一体これは話しちやいかんというふうに上司からとめられてあるのですか、どうなのですか。
  73. 清井正

    説明員清井正君) この問題につきましては、土曜日におきまして森崎委員からお話があり、千田委員からもお話がありついで委員長からもお話を伺つたのでありますが、私どもといたしましては、従来いろいろ部内で事務的に相談をいたして参りまして、このそれぞれの種類別と申しますか、いろいろの損害別の数字を一般に申上げるということは、アメリカといいろ折衝をいたしておるあれから申しましても非常に工合が悪いだろう、こういうふうに考えたわけでございますが、実は私どもといたしましても、今後これからいろいろ作業をいたして参らなければならんのであります。そのほか一旦賠償がきまりますればそれに対する具体的措置もしなければならんと思うのであります。又いろいろ数字を扱いますにつきましても、正確にわかりました数字はこちらに記録をし、統計上損害額の計算はつきりさせておりますけれども、何しろ急いで計算いたしました部分につきましてはやはり不十分な点があるわけでございます。そういうふうな点からいたしまして、水産の立場からいたしまして、私ども今後仕事をいたして参ります上からいたしますれば、それぞれのいわゆる事項別に金額をお知らせ申上げるということにつきましては、私どもの事務的な立場から申しましても一つ御勘弁を願いたい、実はこういうふうに考えるのでございます。甚だ申訳ないわけでございますが、抽象的なお答えを申上げる次第であります
  74. 千田正

    千田正君 それ以上追及してもお気の毒だが、絵に描いたようなものだから追及いたしませんが、私自身はもう少し様子を見てからやりますけれども、それはそれとして、一体このまま荏苒損害賠償が決定しなければ、補償額が決定しなければあの人たちにもやれないのだということであつては、私は行政面から言えば非常に不満なんです。立替払なら立替払でいいから早くやらなければならないのじやないか。何もここに何百億くれという意味ではないのですからして、実際漁業をやつておる者、或いはその業に携わつておる者はもう六カ月も時日をけみしておつて、而も何ら政府から誠意のあるような政策を実行してもらつておらない。これはやはり政府に対する反感であり、延いてはアメリカに対する反感になつて来ておるのであります。この画はどうなんですか。予備費か何かかり一応取りあえず、入つて来るのはアメリカから入つて来るのですから、予備費から出してあつても、予備費か充順されるのですから、勢い当然それは補償ということはきまつておるのです。但しいつになるかわからんというならば、一日も早く立枠払をして、こり不安を除いて欲しいと思うのですが、この見通しはどうですか。
  75. 森崎隆

    森崎隆君 それに関連して……。代替補償をなぜしないかという問題について心配を二つ持つております一つは解決したのは、総額の枠が二十五億幾らと出ましたから、アメリカとの話合いでアメリカに値切られた結果、話合いがついたものが、日本からこれだけ要求したものが全面的にくれるか、これはですから二十五億要求したが、アメリカが幾らくれるか、その大きな差額の、違いはどこにあるか、その点をはつきりして頂きたい。いま一つ日本が、政府がいろいろ計算いたしまして、直接、間接共に賠償の対象になるという強い信念の下に対米交渉をやつて、終局的にはアメリカから全額が来ると来ないとにかかわりませず、この二十五億という金は政府被害者に出すべき金だと私は信じております。それがはつきりしておりますれば、これは代替補償はできるわけです。又代替補償をすることによつて交渉を有利に展開する私は唯一の途が開けるのじやないかと思う。どうも代替補償を渋つてやらないというのは、何かアメリカから賠償が出たその額だけで相撲をとろうというずるい考えがあるのかどうか。その点が私心配の一つなんです。そのあたりはどうなんです。くれただけで相撲をとるというのか。二十五億を要求したが、八十万ドルくれたら八十万ドルで辛抱せいというつもりかどうか。これは安藤国務相に聞けば一番早いかと思うのですが、今の千田委員質問に関連して一緒にお答え願いたい。
  76. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問を承わりましたのでございますが、私どもといたしましては、賠償の交渉をできるだけ円滑に速かに又強く交渉して行こうと思うのでありますが、同時に関係者が非常に迷惑、或いは損害を受けておるのでありますが、これに対する措置も一方やらなければならん。こういうような立場からいたしまして、御承知通り福竜丸の買上げなり、或いは先般廃棄魚類について約三千万円に近い内払を実はいたしておるのであります。それから融資につきましても、静岡神奈川の両県についても、他の水産地についても只今実行をいたしておる。こういうようなことで、私どもといたしましてはできるだけのことをいたしまして、賠償問題の交渉と並行いたしまして国内的にできるだけの措置をまあとつておると、こういうふうに考えておるのであります。  なお、只今の御質問の趣旨でありますが、私どもといたしましては、只今申上げたような趣旨からして交渉をやつて頂きます。又これを進めなければならんのであります。同時に一刻も早く関係者に対しまして所要の措置を講じなければならん。こういうような考え方関係大臣にも十分話おを申上げまして御考慮を願つておる次第であります
  77. 小林孝平

    委員長小林孝平君) よろしゆうございますか……。それならばちよつとお諮りいたします。本日は大体この程度でやめまして、明日午前十時から委員会を開きまして、水産庁の三十年度の予算関係を、それから農林漁業金融公庫の資金の枠について、そからもう一つは北洋漁業の成績と今後の方針につきまして、最後に国連軍の水産関係についての損害補償、以上四つの点を大体明日議題にいたしまして水産委員会を開きたいと思います
  78. 千田正

    千田正君 今水産庁長官並びに楠本環境衛生部長のお答えを聞いておわかりの通り、なかなか事務当局としては補償総額の内部における各省の清算した基礎が明らかに我々に対してお示しできない。これは事務当局としては何かの笹口令を布かれておられるかと思うのでありますが、これ以上二人に追究してもしようがない。私は、一昨日も安藤国務大臣が言う通り、自分だけに答えさせないで関係大臣に率直に聞いてくれと、こういうのでありますから、農林大臣の病気の状況如何によつて、且つ又厚生大臣からそういう点だけ明らかにして欲しいと思いますね。これはやはりそのまま何かもやくとして、一体幾ら請求しているのか、そういうことについて幾らが基礎の条件になつているのかということに対して、わからないということは、我々としましては、国策の審議の上からちつとも参考にならないわけです。まあ予算の請求に対しても、我々としては水産庁なり厚生省の背後に行つて、バツク・アップして、できるだけのことを行政の面についてスムースに図つてやりたいという点も我々考えておるのです。こういう点から見ましても、主管大臣の御説明を一応承わつておきたいと思います。近い機会に是非大臣出席を要望して頂きたい。
  79. 小林孝平

    委員長小林孝平君) 承知いたしました。一昨日の委員会においてこの問題は安藤国務大臣の答弁では発表することは何ら差支えないような御答弁であつて、単に事務的に水産庁長官に尋ねてくれというようなお話であつたようであります水産庁長官は非常に発表が困難であるという御答弁でございますから、これは明日改めて農林大臣と厚生大臣から御出席を願いまして御発表願う。できなければなぜできないかということを改めてお尋ねいたしたい。若し発表できるということであれば、わざわざ農林大臣と厚生大臣おいでにならんでもよろしうございますから、どうかそのつもりで。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十二分散会