運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-02-15 第19回国会 参議院 水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十五日(月曜日)    午後二時八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            菊田 七平君   政府委員    農林政務次官  平野 三郎君    水産庁長官   清井  正君    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    調達庁不動産部    次長      大石 孝章君    調達庁不動産部    補償第二課長  佐藤 長治君    外務省参事官    (外務大臣官房    審議室付)   関 守三郎君    水産庁漁政部長 立川 宗保君   —————————————   本日の会議に付した事件特定海域における漁船被害に伴う  資金融通に関する特別措置法案  (内閣送付) ○水産政策に関する調査の件  (漁場における駐留軍演習場に関   する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先ず第一に、特定海域における漁船被害に伴う資金融通に関する特別措置法案、まだ予備審査でございますが、これを議題といたしたいと思います。只今から平野政務次官から提案理由の御説明を頂きたいと思います。
  3. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 只今議題となりました特定海域における漁船被害に伴う資金融通に関する特別措置法案につきまして、その提案理由並びに要旨を御説明いたします。  一昨年一月十八日、韓国李承晩大統領がいわゆる李承晩宣言以つて韓国周辺の広汎な海域亘つて韓国の主権を行使する旨を宣言したのでありますが、かかる宣言は、我が国の到底容認できるものではなく、又国際法規に照らして何ら根拠のないものでありまして直ちにこれに対する我が国の見解を明らかにいたしたのであります。  爾来、日韓両国において数次に亘つて試みました会談におきましても、詳細に我が立場を説明し、日韓双方の協力によつて漁業問題を解決すべく努力を重ねたのでありますが、不幸にして会談が決裂し、未だ再開の運びに至らないことは誠に遺憾であります。然るところ、昨年九月八日、韓国政府がいわゆる李ライン内に出漁した我が国漁船に対し非常措置を取ることを声明して以来、同方面に出漁せる漁船のうち多数のものが韓国官憲によつて捕獲拿捕、抑留され、いわゆる李ライン問題として我が国漁業にとつて重大なる脅威となり、被害漁業者は言うまでもなく全国民の憂慮と関心とを集めていることは、御承知通りであります。  この事件による我が国漁船被害の概要は、平和条約発効後から昨年十二月三十一日現在までに捕獲拿捕抑留されたもの五十隻に上り、このうちには政府監視船一隻も含まれております。これらの漁船はいずれも正当に操業又は航行中拿捕され韓国に連行、抑留されたものでありまして、乗組員の大半は幸いにして帰国することができたのでありますが、なお若干名の抑留者を残しておるのでありまして、これについてはその速かなる釈放と抑留所内の待遇の改善方を申入れている次第であります。一方、拿捕せられた漁船は一隻も返還を見ておらぬ状態であります。  而して、今後のこの問題の解決の方途としては日韓両国合理的基礎に立つて漁業協定の締結に努力することが根本であると考えるのでありますが、未だ日韓会談の再開せられない現状においては、先ず国内的に捕獲せられた漁船の代船の建造を容易にし、関係漁業者の生業を再開せしめる措置をとることが緊急でありますので、ここにこの法案を提出いたしました次第であります。  この法案は、平和条約発効後から昨年末までの間に韓国によつて捕獲された漁船につき、その所有者たる漁業者当該漁船の代船を建造若しくは取得するため、或いは捕獲漁船以外の他の所有漁船を他の漁場又は漁業転換する目的で改造するために必要な資金並びにこれらに伴い一定の漁具を取得するのに必要な資金につき、農林漁業金融公庫からの融資を促進することを目的として、当該資金の使途、貸付利子等について公庫法特例を設け、優遇措置を講ぜんとするものであります。  以上、本法案提案理由並びに要旨を御説明申上げましたが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今説明がございましたが、これに対しまして御質疑のあるかたは順次御発言を願います。
  5. 千田正

    千田正君 只今平野政務次官からこの問題に対する理由の御説明がありましたが、これは当委員会といたしましても、しばしば政府にも申入れ、又委員会としてもこういう措置をとられることを望んでおつたのでありまして、誠に結構だと思いますが、ただ政府意向を聞きたいのは、今御説明がありましたように、昭和二十七年四月二十八日から昭和二十八年の十二月三十一日までと、こういうふうに期限が限定してありますので、私どもとしましては、私自身の意見としましては、むしろその後においても日韓会談というものが確定しない限りこうした不幸な事態が起ることを予想され、現実においても昨日の新聞などに発表しておる通り銃撃され、拿捕されておるものがあると見なさなければならないのですが、こういうものに対しては日限をきめてありますが、日限以後に起きた問題に対してどういうふうにお取扱いなさる御意向でありますか、その辺を承わつておきたいと思います。各法文に対する逐条質疑は又別な機会に改めて申上げますけれども、その点だけお聞きしておきたいと思います。
  6. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) この法案は、只今説明申上げましたように、この法案で示しました期間内に拿捕された漁船の名前からすべてがわかつておるわけでございまして従つて、これに要する資金の枠とか、そういうものも予算的措置も講じてあるわけでありましてそういう意味で限定を実はいたしたのでありますが、今後まあこういう事態の発生しないように極力政府としては努力をする考えでありまするが、若し万一又不幸にしてこういう事件が今後発生するということがありますれば、又それはそれとしまして、特段の考慮を別途払つて参りたい、かように考えておるわけであります。
  7. 千田正

    千田正君 それは法律改訂でなくして、別にこれに準ずるような方法を何らかの方法で講ずるという御意向なのでございますか。
  8. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) それは今後はこういうことは起らないだろうという前提に立つておりますわけで、従つて若し今後こういう事態を又招来いたしますれば、法の適用をするために所要の改正を必要とするということになるわけでございます。
  9. 千田正

    千田正君 平野政務次官はまだ御承知ないようでありますから、水産庁長官に伺いますが、昨日までに二回に亘つて韓国の軍艦か或いは監視船から銃撃発砲を受けて、而も行方不明になつた船もあつたようでありますが、そういう報告を受けておられますかどうか、水産庁長官にお伺いいたします。
  10. 清井正

    政府委員清井正君) 只今のお尋ねでございますが、先ほど政務次官からも御説明申上げたのでありますが、昨年末までの数字は五十隻でございます。これは御承知通りであります。それは昨年の九月に非常に多く捕まりまして十一月の初旬に二隻捕まつたの最後で、ずつとその後拿捕されたものなしという状況であります。従つてどもといたしましては、昨年末を限つてその措置を講じたのでありますが、ただその後最近に至りまして、いわゆる韓国水産庁監視船日本の海上保安庁巡視船とが海上で遭遇したときに、近く旧正月もあるようで、日本漁船も多く出漁して来るらしいが、そういうことであれば又適当な措置をとるという意味発言もあつたということが新聞に出ておりました。私どもも確認いたしているのであります。漁船といたしましても、当該方面につきましては、まあそれぞれ正常なる操業をいたしていると私は考えておりますが、その後二、三同方面海域で艦艇から銃撃を受けているということのニュースを聞き、或いは事実等を聞いているのでありますが、只今まで私ども聞いている範囲では、韓国側においては多少銃撃を受けたというものもあつたようでありますが、拿捕されたというものはその後起つていないようであります。ただ中共方面に或いは拿捕されたのじやないかというのが多少あるようでございますが、韓国関係といたしましては、拿捕されたものは昨年の十一月初旬に二隻というのを最後といたしまして、今日までまだないという状況であります。
  11. 千田正

    千田正君 今の水産庁長官お話はどういうお調べでそういうことをお話になつたのか知らんが、昨日のあれは三隻銃撃を受けて二隻行方不明、曳航されたものとみなす。こういうことを毎上保安庁で打電しているということは、すでに新聞或いはラジオで放送している。それに対して水産庁長官はどういうふうに考えているか。多分拿捕され曳航されたものと認む……。
  12. 清井正

    政府委員清井正君) 私どもといたしましては、新聞紙上ニユース等につきましては十分承知をいたしておりますが、なお確認をいたさなければならない点があるのでございまして、その点は速かに確認いたしまして、かかる事態がありましたならば、改めてこれを御報告申上げたいと思います。
  13. 千田正

    千田正君 それで、その法の目的十分先ほどから政務次官の御説明でよくわかつて納得いたしておるのでありますが、今のように今後起らないということはこれは予定できません。でき得れば我々は少くてもこの会計年度昭和二十九年の三月三十一日までの日限限つて考えられたほうが、将来の法律改訂というような煩瑣な問題を排除する意味から言つてもいいのじやないかという意見を我々は持つております。いずれこの問題に対しては逐条審議の際に我々としての意見も十分申上げたいと思つております。  それから利子補給その他の問題に対しては、このたびは平衡交付金等項目予算の中に認めておられないのでありますが、こういう問題に対してはどういうふうなお考え政府としては持つておられますか、その点を伺いたいと思います。
  14. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは法案の中に示してありまするように五分五厘という利子になつておるわけでございまするが、昨年来の各種の災害に対しましては、国会において三分五厘という特別の立法もあるわけでありますが、政府としてはやはりこれは災害以上に特別に優遇措置を講ずべきものであるという考えを持つておりまするから、当然三分五厘であるべきである、かように存じております。従つて第六条にこの五分五厘に対して県が利子補給ができると、こういう規定があるわけで、従つて県が二分の利子補給をいたしました場合においては、その半額に相当する分は国が平衡交付金で見る、こういう措置をとるように考えておるわけでありまして、その場合には必ずその措置をとるということを言明いたしてもよろしいわけでございまするが、従つてそれに対して事実上三分五厘で行く、こういう方針でございます。
  15. 千田正

    千田正君 重ねてお伺いいたしますが、そうしますというと、二十八年度予算の中の平衡交付金の中にそれを算定の基礎とされるわけでありますか。
  16. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 大体そういうこともありまするが、ただこれは予算措置にもありまする通り金額としましては仮に半額を見るといたしましても二百五十万程度のことでございまするから、十分に現在の予算措置範囲内において操作し得ると、かように考えております。
  17. 千田正

    千田正君 昭和二十九年度におけるところの予算説明におきまする大蔵当局説明によりますというと、この平衡交付金という項目はない。そして例えば今の二十九年度予算の編成から見ますと、地方財政平衡交付金がない代りに地方交付税交付金というのが出て来ておるのであります。而もその金額は昨年より遙かに少い。こういう面から見て果してこの予算でできるかどうかという点、そういうことは確つかりとこの本文の中に謳つてこれを実施させるという御意向でございますか。
  18. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは特別平衡交付金の形で見て行こう、こういうふうに政府として考えておりまするが、二百五十万程度でありまするし、又こういう立法国会において成立するということになりまするならば、政府としては予備金その他のものからでも支出し得るわけでありまして、必ず実行できると考えております。
  19. 青山正一

    青山正一君 細部の問題につきましては、この次の委員会にいろいろお聞きいたしたいと思いますが、ただ一、二点例えば今度の韓国との問題の起きる前に相当数拿捕されておる。こういうものについては殆んど何らの特典もなく、或る意味合いでは泣き寝入りの状態である。そういうものについて一体どういうふうな措置を今後政府が講ずるか、少くともこの法律が全然関係していないようにも見受けられるところが第一点です。  それから第二点といたしまして、これは主として韓国の問題からできた法律だろうと思いますが、例えば中共とかソヴイエト、こういう方面拿捕された問題につきましては、恐らく或る意味から考えれば、これはまだ交戦中であるとか、それから予算的措置を講ずることができなかつたからこういうものは除外したというようないろいろな理由でもあろうと思いますが、そういつたものとこれと区別してしまつて、非常に片手落のような感じができるわけなんですが、その両方の点について一つ水産庁長官からお聞きしたいと思います。
  20. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問の第一点でありますが、この点は御承知通り只今まで韓国拿捕されまして未帰還になつております船が五十八隻ございまして、そのうち講和発効前のものが八隻で、講和発効後は五十隻であります。この五十隻の分について今回の処置をいたしたのでありまして、講和発効前のものについての八隻については今回措置をとつていない次第でございます。なぜそこに差を付けたかということになりますが、御承知通り、これは成るほど韓国側拿捕されたという事態としては気の毒でありますが、講和発効前の拿捕といつてもかなり以前のものが入つておりまして、多少船によつて事情の違うのもあるようでありますが、又講和発効前のいわゆる公海漁業状態が御承知通り大分違つております。当時はいわゆるマツカーサー・ラインといつてなかなか出漁に不自由な点もあつたようであります。従つて公海漁業性格そのものが違うという点、或いはマツカーサー・ラインというものがある、或いは外交上の地位から申しましても、講和発効前までにこれを及ぼすということでなしに、講和発効日本公海漁業というものがはつきりした時からこれを適用することがいいのじやなかろうかと、こういう一応の考え方から適用することにしたのであります。たまたま講和発効後にいわゆる李ラインというものが宣言されたのでありまして、いわゆる李ライン宣言されてから捕つた船は全部入るのであります、大体。大体といいますか、まあここで線を引くのが最も妥当である、講和発効前に拿捕されたものはこれは入れないことにしていわゆる講和発効後に捕つた船に対してこれを入れるようにしたいということであります。  それからいわゆる韓国以外の国に拿捕された分でございますが、この点も成るほどお話の御趣旨もあるのでありますが、いわゆる拿捕されたという事態においては、中には韓国拿捕されたと同じ事情にあるものもあるように思います。殊に中共関係は非常に最近においてもちよくちよくと拿捕されておるようでありますが、その点は拿捕される漁船についてのいわゆる被害、或いはその漁業者に及ぼす影響、或いは一般漁民に及ぼす影響等、誠に見逃すべからざるものがあることは私どももよく考えるのでございますが、御承知通り韓国の今回のいわゆる李承晩ライン並びにそれに基くところの強制措置が去年の九月の八日頃に突如として起りました。今まで安全だと思つていた所で突如として捕つたという、こういうような特殊事態があるのでありますが、而もその特殊事態が三月程度続きまして、大部分の船はその間に捕つたというようなことでありまして、いわゆる予期すべからざる事態会つて、全く安全だと思つてつたところが非常に危険だという特殊緊急の事態に即応する措置としてこれをとつたような次第でございます。その点は拿捕されたということについては同じでございますが、事態の区分といたしましては、いわゆる昨年九月に入つてからの韓国不法措置ということによる被害船というものは、他の被害船とおのずから差を設けていいのではないかという考え方を持つておるのであります。又韓国と、その他の国と我が国との関係等もいろいろ事情を異にしておるというようなこともあるようでありまして、まあとにもかくにもいわゆる緊急事態だ、安全操業ができると思つたところが、突如としてこういうような不法なことに会つたというような実際問題を特にこれは捉えまして、それから我が国当該国との特殊関係等も十分考えまして、御指摘の点について処置をとりたいということにいたしたのであります。
  21. 青山正一

    青山正一君 私どもの常識的な考えといたしまして、今後は韓国の問題よりも中共拿捕される率が非常に多いのじやないかとこういうふうに考えるわけであります。そうした場合において、一方の韓国拿捕されたもののみが非常な恩典に浴しておる、中共方面から拿捕された面では知らん顔の半兵衛というような、どうも政府の施策には私どもはちよつと肯かれんようなふうにも考えるわけです。結局同じ海域において、少くともこれは中共韓国両方がお互いに拿捕し合うというような面が多いんじやなかろうか。そうした場合において一方中共に捕まつた船のみが何ら恩典に浴さない、それから韓国拿捕された関係のものは或る意味合いから恩典に浴す、こういうことになりやせんか。その点いま少しく政府ではこういう面に対してはどういう手を講ずるかということを特にお考えおきを願いたいと思います。  これは問題は別でありますが、こういつた法律の金の問題ですね、恐らく農林漁業金融公庫漁船建造の融資枠の中にこれは入るのだろうと思うのでありますが、この総額はこの前お聞きしたときには大体十五億である。その総額の十五億のうちの十億はこれは転換漁業のために大体考えられるのだ、あと五億は今言つた拿捕された特例のものに与えるものだというようなことも、これは新聞紙上にも書いてありますし、又こういつた意見も聞いたようにも考えられるのでありますが、これも最近大蔵省では半額にするんだというような話も承わつておるのでありますが、そういつた点について一つ穿つたお答えをお願いいたします。
  22. 清井正

    政府委員清井正君) 中共についての御意見は十分承わつた次第であります。なお公庫関係資金枠の点でございますが、これは御承知通り、本年度この法律が仮に年度内に御審議願いまして御可決になりますれば、具体的にすぐ五分五厘で動くわけであります。すでに実は公庫といたしましては、貸付けし得る体制を整えておるわけでありますけれども、而も又すでに或る程度処置をとりつつありますけれども、現在は法律通りませんので、現在貸付けるとすれば公庫は七分五厘でお貸しすることになるわけであります。この法律通りますれば五分五厘ということになるわけであります。若干処置が遅れておるという点があると思いますけれども公庫といたしましては、代船建造はいつでも貸付けるという建前に立つておるのであります。そこでそれに対する資金の枠でありますが、これは本年度と来年度に跨がるわけであります。結局総額につきまして、二億九千万円の枠がこのためにございますので、これが本年度貸付が終了しなかつた分については、明年度においてこれを貸付けるということに相成るのであります。従いまして、明年度において貸付けする枠が先ほどお話の十五億の一部ということに相成るわけであります。そこで十五億の枠の内容については実はまだはつきりきめておりません。正式に確定いたしますれば、無論本法による施行のためには、特例法実施の分、転換の分、自営業者の分、いろいろの点がありますが、十五億の配分につきましては追つて早早資金額を廻したいと思いますけれども、十五億とこの資金関係は、本年度の残りの分がこれに入るという関係になります。
  23. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではこの法律案につきましては逐条審議が必要でありますので、都合によりまして、次回に移したいと思います。   —————————————
  24. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 次に水産政策に関する件を議題に供したいと思います。漁場における駐留軍演習場に関する件でございます。  漁場における駐留軍演習場に関する件について最近陳情その他が参つておりますので、一応具体的な問題を取上げまして、政府委員のかたから現状までの御説明を一応頂きたいと思います。第一は九十九里浜における発砲射撃事件について御説明願います。
  25. 清井正

    政府委員清井正君) 片貝地区における米軍発砲の問題でありますが、この点は私ども新聞で見まして、すぐに具体的な実情を調査すべく県の係官を只今呼んでおるのでありますが、本日午前中にはつきりすべきはずでありましたが、実は今はつきりいたしませんので、その点を後刻はつきりいたしたいと思いますが、当該海域は御承知通り、これは占領軍時代よりずつと使用いたしておつたのでございますが、その後講和発効になりましてから引続き正式使用をいたしておるというような実情であります。内容は月曜から木曜日の間、十二時から十六時の間ということになつておりまして、一年間演習実施、日にちは百四十日、六月と十二月は原則として演習を中止をするということになつております。いわゆる制限の範囲半径二万二千ヤードを原則といたしまして、八千ヤードの場合もあるということであります。これは実は去年の五月に改訂をいたしましたので、その以前は今の月曜、木曜というのが月曜と金曜でありましたが、それを一日縮めたのであります。それからいわゆる危険区域半径も二万二千ヤードにきめます前は三万三千ヤードであつたのであります。それをいろいろ折衝いたしまして月曜と金曜が月曜、木曜になり、半径三万三千ヤードが半径二万二千ヤードになるということで、極力その漁業に及ぼす影響を少からしめる方策はとつてつて来ておるのであります。演習の時間は十二時から十六時でございますから、午前中はできるというようなことになつておるのであります。大体関係組合としては三十四組合関係者約二万七、八千人というところでございます。主として漁業者はいわしのあぐり網業者、或いは雑漁業者という極く零細な漁業者も入つております。こういうような実は状況でございます。過去ずつと占領軍時代はいわゆるお見舞金を出し、その後法律実施され講和発効になつてからは、その後所要手続をいたしておるような状況に伺つておるのであります。そういうような所で、いわゆる講和発効後は正式な行政協定の取極をいたしまして、その点が正式な手続を以て公布され、一般漁業者にも十分な通達が行つておるわけでありまして、これは形式的な建前から申しますれば、その期間、その時間中は入つてはならないということに実はなるのであるということもはつきりいたしておるのであります。それで違反した場合はいろいろ所定の手続によつて措置が行われるということになるのじやないかと思うのでありますが、果して具体的な場合が如何なる場合であつたかということは、ちよつと新聞記事等については十分判明をいたしていないので、よくこの間におきまする実情を十分伺いまして、その実情の如何によりましては、私たちといたしましても関係官庁とも十分相談をいたして適当な措置をとらなければならない、こう考えておるのでありますが、現状は未だ実情をはつきり把握していないというような実情でございますので、今暫らく実情把握お待ち願いたいということであります。
  26. 青山正一

    青山正一君 私はまああぐり組合の全国団体の責任者としていろいろこの問題について検討しておるわけなんですが、この九十九里浜の危険区域においてまあ現地司令官からいろいろ無線電信でこうだとかああだとかいうような知らせを聞くわけなんですが、今度の問題は今の考えでは水産庁自体の責任もあるのじやないかと、こういうふうに私は考えるわけなんです、例えば御存じのようにこのいわしの業者というものは、これは魚群を追うてそうして操業するというような形になつている。それからもう一つはただ片貝だけの、いわゆる九十九里浜だけの業者だけが操業するのじやなしに、福島県とか或いは茨城県とか、そういつた他府県の漁業者がいわしを追うてそちらにやつて行く。そしていわゆる禁止区域を侵す、こういうような恰好になつておるのですが、他府県にまでこういつたここが危険区域である、ここにはこういう規則があるのだというふうな通知を水産庁が出したかどうか、或いは海上保安庁がそういうふうなことを他府県の連中に注意したかどうか、こういつた問題が付いて廻るのじやないか。そうすると他府県の船がそこへ集つて来るというようなことになれば、地元の船も勢いそこに船が集つて操業しているのだから、おれたちもそこへ行つて操業しても差支えないのじやないかというような考え方になるのじやないかと考えるのですが、その点どうなんですか。水産庁あたりは例えば福島とか茨城とかそういつた他府県のいわゆるいわしの魚群を追うてやつている漁業者、そういつた漁業者にもここは危険区域であるというような通達をしてあるかどうか。そこが問題だと思うのですが、その点について一つ、これは少くとも外務省あたりがそういつた意見でおられるということはこれは事実なんです。外務省の言われることが事実であるとすれば、水産庁に通達の責任があるのにかかわらず、通達しなかつたということが一つの原因だろうと思います。その点について一つお聞きしたいと思います。
  27. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) この片貝の射撃地区の内容についての各県への連絡でありますが、これは閣議が決定をいたしまして、正式に行政協定で取極めました際に、千葉県は勿論でありますが、関係県のほうに御連絡は申してあります。それからこの内容につきましては昨年の五月の四日であつたかと思いますが、官報で内閣から告示をしております。それから海上保安庁の水路部告示でここは危険区域である、いついつについては演習があるということについて告示してございます。ただもう少し蛇足を附加えますと、先ほど長官が御説明を申しましたように、演習の時間は月曜から金曜の十二時から十八時、こういうことになつておりますが、実際問題といたしましては、午前中で網が揚げ切れなかつたというような場合があるわけであります。そういうような際には米軍が射撃を待つてつて漁船が退去をするのを猶予をしておつたのであります。ところでその猶予をするのは行政協定の条件としては、これは当然十二時になれば射撃ができるわけでありますが、事実問題としましては、さようなことが慣例としてなされておつた、その辺が現地と船との間の連絡が或いは当日においてうまく行かなかつたのではないかというようなことも想像しておるのでありますが、その辺はよく調査の上実情説明いたします。
  28. 青山正一

    青山正一君 先ほども御質問申上げたのは、新聞紙上あたりに見ますると、外務省の国際協力局の第三課でそういうことを発表しておるわけです。そうすれば今漁政部長のお話によりますると、まあ水産庁には責任がない、こういうふうにおつしやつていますが、勿論水産庁には責任がないだろうと思います。又、今その話を承わつてこれがはつきりいたしましたのですが、恐らく各県の水産課あたりがもう少しやつぱりこの点に留意しておけば、こういつた問題はなかつたのじやなかろうかと、こういうふうに私は考えるわけですが、いま一応水産庁長官の名前でその茨城とか或いは福島とか、或いはその魚群を追うて来る県は青森もあろうと思います。岩手もあろうと思いますが、そういつた業者に納得の行くように、やはり例えばその船に無電を据え付けて置いて、こういつた場合はこうだというふうなことで細部に亘つて一つ連絡のつき得るように、各県に通達をして頂きたいということを希望いたします。
  29. 千田正

    千田正君 本日参議院の本会議におきましての緊急質問に、東議員がこの片貝の射撃事件について質問したのに対して大蔵大臣、外務大臣、農林大臣おのおの答案ありましたそのうちで、大蔵大臣の補償の問題に対する答弁が甚だ我々としては納得の行かない点がありましたので、若しここでどなたかこの点についてお答えができるならばお伺いしたいと思います。  それは大蔵大臣の答弁は、傷害を与えた場合、或いは死に至らしめた場合、そういう人間の生命その他の危険に対しての答弁があつたわけでありますが、生産面におけるところのいわゆる生産に対する障害を与えた場合に対する答弁が甚だ当を得なかつた。それで一体今までここの漁場のこの問題に対しての補償は、大体どれだけ一体年間補償しておるのか、且つ又それが一戸当り平均幾らの一体補償になつておるのか。只今水産庁長官の御説明によるというと、一カ年の約半年は殆んど演習として使われることに規定されておるそうでありますが、大体どれくらいになつておるか、その点を御説明願えれば結構だと思います。この補償の問題はしばしば当委員会といたしましては、特別調達庁の諸君との間に相当慎重に審議もし、質疑も繰返されておるのでございまして、又再びこの問題を取上げて言いたくないのでありますけれども、大蔵大臣の答弁が甚だ我々としては納得行かない点がありますので、その衝に当られておるかたがたから、一応今までこの九十九里浜に対する補償の額、それからその算定の基礎並びに各戸平均どれだけに当つておるのかという点だけを一応お答えを願いたいと思います。
  30. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) お答えいたします。  只今千田委員の御質問の補償の額でございますが、いわゆる片貝演翌場地区に対しましては、二十七年度分といたしましてすでに二億三百万円の補償金額を決定いたしまして、そのうち実際補償の支払いが実施せられましたのは、二十七年の十二月までとしまして一億四千九百二十六万円ほど終了いたしております。あとの残額につきましては、これは二十七会計年度の第四四半期分といたしまして目下支払い実施すべく策定中でございます。なお占領期間中は御承知通り見舞金といたしまして、水産庁から千葉県のほうに七千七百万円の金額が二十四年度分として、それから又二十五年、二十六年度分といたしまして八千九百万円、それだけが実施せられております。先ほど清井長官から御説明にもありましたように、関係者はおおむね二万八千人ほどであります。関係組合は三十四組合、以上のようなふうになつております。
  31. 千田正

    千田正君 只今の御説明で大体大蔵大臣がお答えにならなかつた面がわかりましたが、そうしますというと、一戸或いは一人当りどれだけの一体補償になるのですか。
  32. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 一人当りはいわゆる漁業労務者も含みまして約一万円弱でございます。
  33. 千田正

    千田正君 そうしますというと、まあ約半年に亘るところの漁場使用禁止によるところの損害は一人当り一万円内外でございますか、こういうことになるわけですね。
  34. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 一万円の内輪でございます。
  35. 千田正

    千田正君 内輪になるわけでございますね。そうしますというと、一体漁民の収入というものは一年間に二万円程度にしかならんという結論になるのだが、一体その生産額というものが基礎としてどういうふうな算定をされておるのですか。いつもあなたに我々はここで大いに質疑応答するのですが、この片貝の場合は生産額に対する何%補償しておられますか。損害の査定はどういうふうになつておるのですか。
  36. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 前にも千田委員の御質問に昨年の本委員会でお答え申上げたように記憶いたしておりますですが、私どもの補償の額の算定につきましては、いわゆる制限によりまして通常生じた損失の部分を見るという態度をとつておるのでございまして、御承知通り片貝演習場におきましても一年中できまつた日数だけが制限せられると、その他については操業は全く自由である、従いまして当該地方の水産生産高というものについても相当額ある、それで制限せられて減つた分についてこれを補うのであるという趣旨に立つておるのでございます。
  37. 千田正

    千田正君 そのことは前から我々があなたと大いに論争した点でありますが、片貝の場合はそうしますというと、一体稼働の可能日数は大体どれだけのものと見られたのですか。
  38. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 二十八年は御承知通り月曜日から木曜日までの制限期間でありまして、そのうち十二時から十八時までが制限時間になつております。一年間を通じて三十五週間、その前の年は月曜日から金曜日までになつております。その他の残余の何につきましては全く自由なんでございますが、先ほどの清井長官の御説明にもありましたように、六月と十二月とは演習を中止いたしますから、操業でき得る期間は一年を通じて完全に二百二十二日ある形になつております。
  39. 千田正

    千田正君 大体損害の査定は一年を通じて三分の一くらいしか該当しないというわけですね。
  40. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) さように解しております。
  41. 千田正

    千田正君 生産額の査定は勿論三年なら三年を通じての額ということになつておるのでしようが、それで漁民のほうからは何の不平も出ておらないのでありますか。あなたがたに対して何らの訴えもなければ要求もないのでありますか。
  42. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 二十七年度の補償金額二億三百万円と決定いたしまして、大体御了承頂いておるものと存じております。
  43. 千田正

    千田正君 二十七年度の下期の分がまだ払つていないというさつき御説明のようでありましたが、二十八年度支払いの分に対しては何ら全然まだ査定もしておらなければ支払い準備もしておらないのですか。
  44. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 二十八年度の上半期分を目下引続いて支払い実施すべく策定中でございます。
  45. 千田正

    千田正君 ですから二十七年度分は全部終つておらないのでございましよう。さつきのあなたの御説明によるというと、第四四半期は残つておる、こういうふうになつておりますが。
  46. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) さようでございます。二億三百万円のうち約一億五千万円につきまして支払いを実施して、その残額は一—三月分としてまだ支払いに至つていない、こういう御説明を申上げたわけであります。
  47. 千田正

    千田正君 それはどういうわけでありますか。例えばもう二十八年度も終りに近ずいて来ておるのでありますが、二十七年度のまだ決定しない理由がどこにあるのですか。
  48. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 遅れまして、大変私どもも毎度申上げますように申訳なく存じておるのでありまするが、実際のこの書類の整備その他について若干進まない点がありますので、遺憾ながら実施を見ていないわけであります。
  49. 千田正

    千田正君 書類の作成その他に対しては、あなたがたのほうで特に指導或いは指示しておられますか。それとも行政官庁であるところの水産庁を通じて申請するところの方法やその他を指導しておられるのですか、どちらですか。
  50. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 私どものほうは補償の支払を実施するのは御承知の私どものほうの機関であります東京調達局でございますが、その方面を指導すると共に、実際これを何と言いますか、書類が上つて来る場合に、又我々のほうから金額を流す場合にもいろいろ御協力願うべく千葉県の水産部関係と緊密な連絡をとつて急いでおる次第でございます。
  51. 千田正

    千田正君 そうしますというと、現地の例えば自治体のその面に当つておる人たちが十分に損害の査定、或いはそれによつて要求すべきところの書類の作成に対して認識がないのか、或いはどういうわけで直ちにあなたがたのほうに納得のできるような書類が作成できないのかという点に我々は非常に疑問を持つのでありますが、それは結局現地におけるところの損害を査定して二億三百万円と決定しておるにかかわらず、それが要求できないのは、或いはそれが直ちに支払ができないという理由は、結局千葉県のほうの書類が揃つておらない、揃つておらないということは、そうした要求した人たちがそういう認識を十分していないということなんですか。それはどういうことなんですか。
  52. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 支払が大分遅れておるということでございますが、全国全体といたしましてお答えいたしますというと、二十七年度の支払は、実は昨年の七月頃から軌道に乗つてつたわけであります。大分遅れておるわけであります。それで大急ぎでやりまして、二十七年度分の支払が全国として昨年十二月末現在で大体八割終つたわけです。で残つておりますのは東京局の千葉県の関係、それから九州の関係、それの一月—三月分だけ残りました。あとは全部終つたわけです。ですから進捗率としては八割以上になつておるわけでございます。それでもう直ちに二十八年度分に着手できる所も出て来たわけでございますので、二十八年度上半期を引続いて支払う。大体漁期が過ぎてから補償するのが建前でありますが、そういうことを言わずに二十八年度の上半期分を年度末までに払つてしまうということでやりかけておるわけであります。これで大体通常の時期にまで追いついたというふうに私ども考えておるわけでございます。
  53. 千田正

    千田正君 そこで今大分これは問題になつて来たようでありますが、九十九里浜の漁業問題を中心として相当世間の視聴を集めておるのですが、この問題に対しては今後どういう措置を講ずるつもりかということを私は承わりたいのです。それは特別調達庁のほうの損害の査定がどうなるかということは別問題ですが、外務省からも見えておられるようでありますが、先ほど本会議の席上においてはどうもはつきりしない。ただ法律の規定だけを盾にとつて、そして生産者のほうが圧迫されておるというような感じしか我々は受けないのでありますが、そういうことが将来も引続いて起るということになると、非常に日米間の感情がますますどうも相離反するような方向に向つて行くという点があるのでありまして、この点につきまして、国際協力局の関次長さんから今後はどういうふうな方針に向つてこの問題をスムースに解決するか、この点についてお答えを頂きたいと思います。
  54. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと関さんの御答弁の前に、調達庁にお願いいたしますが、こんな大事な問題があるのに今まで調達庁の長官、次長さんが度も来られたことがないのです。あなたのほうで決定いたしましても、大蔵省との関係予算がどのように支出されるのか、それが果して決定通り大蔵省が出しておるか出さないのか、遅れた責任もこれはとにかく長官にあるわけでありますから、そういうような関係等につきましていろいろ聞きたいと思います。相当お忙しければそれはどうも無理ないことと思いますが、適当な時期に一度長官にも御出席頂きまして、端的に御説明を頂きたいと思いますから、この点お帰り頂きましたときに、十分長官に本委員会意向を申し伝えて頂きたいと思います。  それでは只今千田委員の御質疑に対しまして、外務省の国際協力局の関次長から答弁を頂きます。
  55. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) お説の通りに、こういうことが再三起るということはどうしても避けなければならんことでありまして、如何なる措置をとるかということでありますが、今度の出来事に関しましては、あちらこちらの言い分に食い違いがありまして、はつきりしたことはわかつておらないのでありますが、一つの場合として考え得ますことは、あすこに一定の日の時刻に立入つてはいけないのだということをはつきり知らない人が入つて来たのではなかろうか、こういうことも一つ考えられるわけであります。これは水産庁にお願いいたしまして、もつとよく周知徹底を図りたい。これが第一。  それから第二に、仮に知つてつて、あすこでやはり時刻が来ても魚をとつてつたということも考えられるわけであります。この場合におきましては、御承知通り陸上の演習場の監視哨とそれから地元の漁船との間におきましては、無線通話の連絡ができるようになつております。それで今日は非常に大漁だというとき、特別に一つ演習を延してくれというようなことであれば、これは無線通話を通じて話ができるようになつておるというふうに私は承わつております。それが何かのはずみで行われなかつたのではないか、若し行われてもうまく行かなかつたのではないか、これが第二として考えられるわけであります。その辺にも今度の食い違いがあつたのではなかろうかと私ども考えております。  それからしてこの点は連絡と申しますか、伝達と申しますか、その方法を何らかの形でもう少し改良しなければならんということでございまして、無線通話の方法をもう少し拡げるとか、それからもう少しできれば、これはなかなかむずかしい話だ思うのでございますが、例えば常時監視船というような方法もこれは非常にむずかしいのじやないかと思いますが、考えなければならない、こういうふうに考えております。併しながら最終的にはこれは米軍のほうにもいろいろ都合があるのでございまして、約束した限りにおきましては、政府としましては、どうしても約束した範囲におけることは米軍にできるだけ協力を頼む。そうしてたとえ非常に有害な方法で行われたにしろ、やはり大砲を打つてそれで警告をして、初めて立ち退いてもらうというようなことは決して好ましい方法ではございません。それで今申しましたように、現場と陸との間の連絡伝達の方法を改善する。これは例えば無線の方法もございましようし、これは大変むずかしいことでございまするが、標識がはつきりしておらんというような話もあります。そういうものについてもどういうふうにしたら改善できるか、こういうようなことも考えねばならん。それから先ほども申しましたように監視船を置くというようなこともいろいろの都合を見て考えなければならん。こういうことをやりますれば……、併しながら最終的にはやはり約束したことだけはちやんとやらせるようにしなければならん。その限りにおきましては、米軍にもできるだけの協力を要請をしますけれども日本政府としても十分の責任をとらなければならん。こういうふうに考えております。
  56. 千田正

    千田正君 あなたの立場から行けば勿論そうあるべきでしよう。外務省としましては、日米間のそうした協定の下にやるのだから、国民も納得しなければならない。こういうふうにお考えになるのは無理はないと思いますけれども、少くとも国内的においては国民の納得の基礎において、そういう協定が結ばれていなければこういうような不幸な問題はしばしば起ると思う。やはり外国との間に話合いがついたならば、これは国内において国民を納得させなければならない、納得させるに不十分じやないか。言い換えれば漁民の人たちの生活が困窮の絶頂に達しておる。十分じやないのだ。だから背に腹はかえられないから行くのだという気持のほうが強いのであつて、損害の査定におきましても、私たちはしばしば特別調達庁に対して論議するのでありますが、これは一〇〇%の損害に対して一〇〇%やつているわけじやない。やはり農民にしても漁民にしましても、その日の生活に追われておる。零細の漁民の生活を或る程度見てやらんというと、我々が幾らアメリカとの約束なんだからお前たち我慢しろ、こういうことを言つても納得できない。ですから一方において外国とのお約束を実行すると同時に、一方においては国民の納得の行くような政治をやつて行かなければならない。そのためにはやはり実際の生活に即して問題を慎重に考えて、その歩調を合せて行かなければならない。私はそう思うのであります。不思議に思うのは、例えば石川県のこの前の内灘の問題のごときは、恐らく規定にも何にもないところのお見舞金とか、そういうものを大臣の名前で出しておる。いわゆる政府の金が出ておる。片方はそういう問題が起きて来ると、これは規定だから払えない、こういうわけでは到底今後こういう問題は解決して行かないのでありますから、やはり損害は査定したならば一〇〇%、百分の八十というようなことを言わずに一〇〇%補償をしてやると同時に、過ちなからしめるためにはやはり行政官庁であるところの水産庁なら水産庁で十分に監視船予算を組んでやる、組ませる。そうして住民に納得させ、再び危険に近寄らないような方法を講じてやる。両々相待たなければこういう問題は解決しないと思うのでありますが、外務省としては立場としては勿論外国との折衝機関であるから、外国との問題だけは考えておられるでしようけれども、国内問題として考えた場合には、やはり国民の納得した上における外交でなければ真の外交でないと私は思います。でありますから、国民の納得するような方向に向うように各省と協力されるような方向に向つて頂きたいと私は思います。私は、今度の九十九里の問題のみならず、全国に数百あるところの基地の問題が必ず今後とも起きて来る、こういう問題が……。でありますから、この問題は慎重に考えて処理して行かれるように、水産庁或いは特別調達庁に向つて善処方をあなたのほうから要望するか、我々も要望することを希望しますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  57. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 私のお答えすることでございますか。
  58. 千田正

    千田正君 あなたのほうとしては水産庁なり或いは特別調達庁に対して、再びこういう問題が起きて来て、あなたがたの折衝面において渋滞を来たすようなことがあつては、却つて日米協定がスムーズに動いて行かない。だから十分これは国内的に何して行くような協力をあなたがたからも要望すべきじやないかと私は思います。
  59. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 誠に御説の通りでございます。私のほうでもせいぜい水産庁、調達庁にそういうふうに申し伝えたいと考えております。
  60. 千田正

    千田正君 特別調達庁に伺いますが、今までのいわゆる二十七年度は二億三百万円、それから二十八年度はまだきまらないのだが、一体どういう損害の査定率で、率はこの前あなたが言つた通り変らないのだろうか、同じ金額を支給するつもりですか。
  61. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 二十八年度の補償につきましては、二十七年度とは制限状況が違います。昨年の七月から面積も三割五分くらいになつております。
  62. 千田正

    千田正君 圧縮されたわけですか。
  63. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 圧縮されております。それから演習の日にちも元は金曜日まででしたが、金曜日が一日減りました。それから時間も午後になつたようでありますが、それから大分その後に演習場も変つておりますので、補償をどうするかという問題はこれから研究しなければならぬ。大分変つて来ると思います。
  64. 千田正

    千田正君 あなたがたの立場から言えば、時間も短縮された、それから操業範囲も圧縮された、だから補償の金額も当然減る。それで漁民の諸君は満足して、今度のような不祥事件は先ず起らないだろうというお考えを持つておられますかどうですか。
  65. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) このたびのいわゆる事件につきましては、大変遺憾な事件であるという点につきましては、私ども全くその関係庁といたしまして非常に深刻に感じておる次第でございます。この点につきましてのいろいろな調査をまだ究めなければいかん。この点につきましては、水産庁長官、或いは外務省の協力局関次長もお答えした通りでございますので、それはそれといたしまして、ただ私どもがやはり補償を一面担当する庁といたしましては、そういうような補償の問題でこういつたような問題が若し仮に発生したとすれば、非常にこれは千田委員の御心配の通り重大な問題であるというふうに考えておる次第でございます。ただこの事件は申上げましたように、そういつたようなことであるのか、いわゆる周知徹底を欠いたためなのか、或いは海上の連絡が不十分な点なのであるか、その点につきましては、まだ詳細を究めておりませんので、無論軽々に断定を下すべき筋合ではない、こう思つております。ただ私ども確信いたしますのは、成るほど漁業の禁止、或いは制限に基きまして損害があるという点につきまして、北海道から九州鹿児島の果てまであるわけでございますが、その場合にどうやつたならば最も適正妥当な補償ができるか、而も理窟を立ててそういう被害者のかたに納得の行くような補償ができるかという点につきましては、理論的にも技術的にも極めて腐心いたしておる点でございます。私はもう何回もこの席上で御報告申上げた通りでございますが、私どももやはり本当の意味の実態を把握するのに如何なる理論を立て、又技術の面で究めましても、なかなか容易ならんものがありますので、私どもとしましては、この補償をやつたならば一切合財が解決するという点まで持つて行かれるかどうか、御推察の通りでございます。
  66. 千田正

    千田正君 この点は又の機会に十分御質問をしますが、水産庁に伺いたいのですが、今のようなことで、外務省としては日米間の協定に従つてこれは実行しなければならない、そういう実行に当つては一応補償の面を考えなければならない、ところか特別調達庁としても補償の基準があるのだ、補償の不足だけでこういう問題が必ずしも起きているのではないと、こういう観点に立つておるようでありますが、水産庁としましては、一体そうした全国に亘りいろいろな基地がありますけれども、今度こうした問題が起きたのに対しまして、どういう方法によつてこうした不祥事を未然に防がれるか、そういうお考えはどういうふうにやつて行かれるお考えでありますか、この点を伺いたいと思います。
  67. 清井正

    政府委員清井正君) 只今の御質問でございますが、俄かにこうというお答えもなかなかいたしかねると思うのであります。殊に只今の具体的な事由について、如何なる事由によつてああいうことが起つたかということは、ここで先ほど御説明を申上げましたが、少し吟味をさして頂きませんと、そのよつて起る原因を除去するための方策というものが立たないと思うのでありますが、一般的に考えまして、只今千田委員のおつしやつたことは、原則として御尤もなことだと私は考えております。ただこれは国の必要上どうしてもかかる施設は必要であることも止むを得ないのでありますが、その施設を設定するに際しては、私どもといたしましては、仮に止むを得ないといたしましても、極力漁業者のよつて受ける被害というものを少からしむる、最小限度にするという建前で私どもは今までやつて来ておるのであります。又今後そういうことで行かなければならんということは尤もであると思うのであります。現にまだ懸案中の二、三問題がありますが、いずれも私どもといたしましては、漁業者のこれによつて受ける被害という点を十分勘案いたしまして、まあその他の事情等も総合勘案の上、私どもといたしましては然るべき意見を立てて、従来交渉をいたしておるような状況であります。従いまして、かかる問題が起りました場合において、果してその当該漁業者に対する補償額の問題であるとか、或いはいろいろそれに伴う事務的な連絡の問題であるとか、いろいろあると思うのでありますが、只今のような建前から私どもはかかる地域の設定に当りましては考慮いたしまするけれども、一旦きまりましたものについては、これは飽くまで厳守しなければならんことは無論であります。そのために周知徹底の方法が、私はそういうことはないと思いますが、仮に多少不備な点があつたといたしますれば、その点は十分になお今後万全を期さなけばならんと思うのであります。併しその点は私はそうではないのじやないかと思つておりますか、仮にそうだといたしますれば、その点十分気を付けなければならんと思つております。  又、当該地のみならず、その他一般の補償の問題でありますが、この点も私どもといたしましては、やはり漁業者という立場も水産庁といたしましては十分考えますけれども、単にそれだけのみと申しますか、業者の主張のみをそのまま丸呑みにできない点も間々あるのでありまして、この点は十分業者の主張を聞きまして、正当な主張であれば飽くまでこれは確保するということもしなければなりませんし、或いは個々の統計についても不十分な点があれば、その調整も図るということもいたさなければなりませんし、私はこれが正当に補償さるべきものであるという建前から、よつてつた被害についての補償額という問題につきましては、そういう一本の正しい筋で以て調達庁としても今までも折衝して参つておりますし、今後も折衝を続けなければならんと思つております。要するに、私どもといたしましては、かかる地域の設定につきましては、これは単に経済上の問題のみならず、いろいろな問題がこの間に狭まつて来るのでありまして、極めてむずかしいことでございますから、その決定当りましては、いやが上にも慎重を期し、漁業者の立場とか、水産庁の立場も根本的に堅持しつつ正当なる主張ほ飽くまで主張して、一旦きまりましたからには、その徹底につきましては遺憾なきを期したい、こういうように実は考えております。
  68. 千田正

    千田正君 参考までに伺つておきたいのですが、これは外務省に伺つたほうがいいか、或いは水産庁に伺つたほうがいいか、一般的な問題ですから外務省の関さんに伺つておきたいのですが、例えば今の漁場のような問題、或いは漁場ばかりじやなく陸におきましても、いわゆる日米間における協定に基く基地等においていろいろ問題が起きる場合における監督であるとか、或いはその危険を防止するとか、そうした行政官庁はどこをして当らしめるのが至当なんですか。
  69. 青山正一

    青山正一君 私も関連して……、今千田さんの発言があつたのですが、こういつた問題が起きないように、例えば水産庁の出先機関というものをそういつた地区に一カ所設けるとか、それによつてこれはただ千葉県のみの問題じやなしに、他府県の船もやつて来るわけですから、或いはこの規定には三十五週間ですか、そういつたいろいろな規定があるわけなんですが、漁業者はいつ操業していいかわからんという場合が相当多いわけです。それで魚群を追つて来た他府県の船などは、これはてんからわからんだろうと思います。そういう点についてやはり海上保安船を置くか、それとも水産庁の出先機関を一名ずつくらい置いて、自由に操業できるようなことにして、よし今は大丈夫だとそれぞれ通達できるような何か機関というものを置いておかなければいかんのじやないか、こういうふうに考えておるわけですが、その問題も関連してお聞きしたいと思います。
  70. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 海上の問題に関しましては、これはやはり海上保安庁というものがございます。それからして又事実上の漁業者との関係ということになりますと、これは水産庁のほうの行政上の分野ということもありますし、陸上の問題につきましては、所々の一番そういうことに関しましては警察もおりますし、地方の行政機関もこれに関与するとか、それは起ります事件の種類によつておのおのいろいろな官庁が出て来るわけであります。そのために我々といたしましては、そういう所には地方協議会というものを作りまして、日米間でよく話合いをするということが一番大事じやないか、これを昨年以来一生懸命推進いたしまして、現に九十九里浜にそういうものができておるわけであります。私もあすこに行つたことがございますが、現にあすこではあすこのキャンプのマーチンという少佐がおりますが、これはなかなか物のわかる男でありまして、今度のようなことがどうしてできたかということが私もちよつと腑に落ちない、何かどこかに故障があつたに違いない、非常に物のわかる男で、一番いいことはやはり責任官庁としてはその事柄によりまして私はやはり現場で日本側とアメリカ側との間にそういうことが起らないようにしよつちゆう話合いをして行くのが一番いい解決方法ではないか、かように考えます。
  71. 千田正

    千田正君 さつき青山委員から話があつて、例えば関さんからのお話があつたように、海上で起きた問題は海上保安庁、主として航海その他の安全を保障する。それから一般漁民の生活を保護する面から行けば水産庁、これはおのおの当該官庁がありますが、併し事はやはり日米協定という外交問題に基くものであつて、これは一つやはり予算の決定上から言えば防衛費に入るべき問題であるか、それとも各当該官庁の予算の中にこれを繰入れるべきものであるかという点が非常に予算上問題だろうと思うのであります。ということは漁民の安全を保障してやりたいというつもりであれば、今のこの水産庁予算に相当全国に散らばつておるところの漁場におけるそうした基地に対する監視船或いは調査船というものを増さなければならない。ところが緊縮予算の上からはそういうようなものはなかなか取れない。又海上保安庁にしても航行の安全であるとか或いはそういう問題を中心にして考えた場合、海上保安庁予算を増加しなければならないが、なかなかできない。こういうような段階においてこういう不祥事が起らないようにスムースに日米間の問題を処理して行くためには、やはり防衛予算の中から一括して取つて各省にそれを分割して行くような方法考えるかどうか、こういう問題がここに生じて来るわけでありまして、この点については外務省の御意見はどういうふうにお考えになつておりましようか。
  72. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) ちよつと私がお答えするにはむずかしい問題だろうと思うのでございますが。
  73. 千田正

    千田正君 併し現実においてはそういうものが取れないから結局そういう問題が起さて来るのであつて、いずれかに決定せんというと、例えば水産庁は十分漁民を守つてもらいたい、こういう問題を未然に防いでもらいたい、それならば水産庁予算の中にそういうものをもつと要求すべきであつて、それがなかなかもらえない。だから今度はそれがもらえないためにそういう問題が起きて来るというと、今のこんがらかつた問題があつて結局外務省の協力局であるとか、或いは特別調達庁に文句が行く。そういうことを未然に防ぐためには一体どこが一番この問題の解決の鍵を持ち、それに対してどういう処置を講ずべきが妥当であるか、妥当であるならば当然それに対する予算の裏付けというものが必要であるが、それはどこが持つのが当然であるか、一貫した問題として最終的には外交上の問題であるから、そういう問題が起きた場合は外務省が協力して水産庁にそういう問題を持たすべきであるとするならば、これは共同の立場から大蔵省に申入れるべき問題であると私は思うのであります。だから協力する立場から言えばどういうふうにお考えになられるか、これはもう予算がなければ問題が又起ります。いわゆる九十九里ばかりじやありませんよ。茨城県にもありますよ。九州にも常時あるじやないですか。次から次とこういう問題が起さて来る。そのたびだんだんあなたがたが考えているような日米間の緊密な線が破れつつある。それをどうしたら未然に防げるか、先ずそれを考えなければこの問題は解決できません。
  74. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 只今の御質疑に関連して関次定にちよつと私からお聞きいたします。この特定海域米軍演習は、これは行政協定の第二条の規定、海上演習協定に定めておるところでございますが、今度起つたような場合、この解釈が船が危険区域に入つた場合、に危険区域から出るまでの期間射撃を中止することになつておりますかどうか。又特別な大漁で操業を打切ることができない場合に、日米相互の代表の了解に基いて一時射撃なり演習を延期するというような一応了解ができておりますかどうか、この点について。
  75. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 第二の点は確かに、特別な大漁で作業を打切ることができない時は現地における日米双方の代表間の了解に基いて一時射撃を延期するが、その際は延期した時間の埋合せをすることとする、そういうふうな話が付けてあります。第二の点は、そういうはつきり連絡がついて米側でよろしいということになれば、すぐ無線で通報いたしまして漁業を継続することができるようになつております。だからして第一の点でございますが、これは試験射撃に際し、船舶が航行しているときは、該船舶は第一の御質問につきましては、はつきりそういうふうにはきまつておらないように覚えております。併しながら実際問題といたしましては、私もこれはこの前一遍行つたときに見たのでございますが、相当に米軍も我慢をいたしまして、盛んに無線をやりましたり、いろいろなことをやりまして待つている。現に今度のことも、これは間違いないと思いますが、十二時から撃てることになつているのを現に一時まで待つたり、各種の手段を尽して待つた。これはたしか一時か二時まで待つて、駄目な場合は漁船のかたまつた方角と全然違つたほうに止むを得ずして、これは御承知のようにこのような場所に船団がおりました場合には離れたほうに向つて撃つ、これは殆んど二キロも三キロも違うので全然危険がない、そつちのほうに撃つたのではないか。大体私が行つたときも、そういうようなことは止むを得ざる場合はやらざるを得ないということを言つておりました。そいつは絶対にやつてもらつては困るということは言いましたが、それは紙にははつきり撃たんというようなことは書いてないのでございますが、実際問題としましては、米軍といたしましては、よほど止むを得ない場合のほかは、仮に非常に離れた方角でも弾を警告の意味で撃つというようなこともやつておらないのじやないかと思うのであります。恐らく今度の場合は非常に連絡が行き届かなかつた、若しくは米軍のほうに待てない理由があつたのかどちらかで、止むを得ずやつたのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  76. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今の点、第一の点ははつきりしていないとおつしやいますが、第二の問題が出て来た場合は、結局前提として第一の場合が出て来るわけですね。若し出て来ないとすれば、演習場内に漁船が大漁で操業をやつている、ところが日米間の相互の代表が了解をするのには時間がかかる、その間はじやんじやん撃つているということになるわけです。そうして了解がついてから、一時射撃演習を中止することになるが、事実上はやはりその間演習を延期して双方の代表の了解がつくのを待つて、それで大漁だということになれば一時延期するということになつて来るだろうと思う。だから第一の問題は第二の問題の前提として必須条件になると思う。  それからもう一つは、これまで何年かの間、片貝地区では演習がなされて来ましたが、今までには只今のような大したこういう事故がなかつた思つておるのですが、その点は間違いないのですか。
  77. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 私ども承知している限りにおいてはこういう点で問題になつたことはない。私の聞いている範囲ではございません。
  78. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは今まではとにかく演習の公示、それを早くキヤツチして漁船が協力をすること。又特に漁船がいた場合には、今言つたような大漁であるかないかは別にしまして、一応演習を延期するという米軍の寛大な措置といいますか、そういうことは非常に円滑に行つてつたと、これは認めていいのですね、今日までは。
  79. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 大体そうであります。
  80. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ところが今回に限つてこういう問題が出たということになると、責任の所在はどこにあるかということを一応考えなければならんと思うのです。そうなりますと、責任の所在ということになると、漁船がいるということを早く探知する機能力と、それから演習がいよいよ開始されるということについて周知徹底するほうの、漁船関係との間でどちらのほうが早くこういうような事故を防止するための措置をとり得るかという点を考えますと、これは私はやはり米軍のやり方に責任があるのではないかと考えるのですが、その点外務省はどういうふうに考えておりますか。いろいろ間違いがあつたにしても。
  81. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 御承知通り米軍はレーダーで以てすぐ見える式になつております。米軍としても危険のあるような所に、如何なる場合においても危険のある所に射撃をやるということは、私は常識としてあり得ないと思うのです。ただ然らば米軍に絶対に撃つちやいかんということを申入れることになりますと、例えば一種の坐り込みみたいになりますので、そういうことは紙に書いてはつきりやらんといかんだろう、坐り込まれた場合にはどうするか、それはどうしても日本政府の責任において排除しなければならん、それができないようなことは全然ない。米軍が絶対に撃たんということは米軍としても絶対に約束はできない。こういうように考えるのです。その間に結局日米相互間でよく話合いをしまして、無理のないようにやつて行くということが、結局現実の問題としてこういう問題を解決するのに一番大事だと私どもかように考えております。
  82. 森崎隆

    委員長森崎隆君) そこでもう一点伺いますが、今度の場合は漁船が坐り込みと言うとおかしいですが、頑張つてとにかく出ないという意思でいたとは認めてないのですか、認めておるのですか。
  83. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) その点が実に一番はつきり知りたいのでございますが、今日までのところではそこの点がいろんな議論もありますし、よくわからない他地区から来た船、とにかく船は南に帰つてつたという話があるのですが、船のことは帰つてつたほうが南でも、魚を追つかけて南に行つたのかもわかりません、南に帰つたということではわかりません。地元の船の一部は帰つたという話もありますし、一向帰つて行かなかつたという話もあります。私のほうでも町長さん、県とかいろんな方面を一生懸命その点を調べておりますが、その点は実ははつきりしないわけです。併し仮に坐り込みをしていた場合でも、先ほど申します通り、あそこは相当広いわけですから、漁船が一杯に散らばつておれば話も違うと思いますが、大体において魚のいるところはそう広範囲に、二キロも三キロも離れておらない、撃てば実際問題としては漁船が避けるのが常識であり、避けるであろうということになると思いますが、仮にそういうことにいたしますと、そういうことは極力日本側として米軍にやめてもらわなければならん。従つてそういうことができるような措置をとつてもう少し……。今までそういうことがなかつたということはうまく行つていたからだろうと思うのですが、どうして今度のような問題が出たか、そこのところはもう少し事実をはつきり調べないとよくわからないのでございます。
  84. 森崎隆

    委員長森崎隆君) いまの漁船が禁止区域の一角で操業しているとき、二キロ乃至三キロ離れた所へ止むを得ないときは撃つてもよいということは、この点は非常に重大な問題ですが、そういうことがあなたのほうから、日本側の……もつと端的に申しますと、日本の国民、漁民は国民なんです。その保護を当然しなければならん責任の立場にある外務省のあなたのほうから、二キロ三キロ離れておれば撃つてもいいということを考えられるという発言自体、非常に私は重大だと思うのです。若しそういうことが許されるならば、はつきり何キロ離れたということを行政協定で調うべきで、仮にもあなたがそういうことをはつきり言われるということは重大なことです。二キロ三キロ離れておれば……一キロ半ならどうだ、一・二キロならどうなるか、いろんな問題が出て来るのです。それをこれだけ離れたらいいのじやないかという一つの勝手な線を引かれることは、大変な問題だと思うのです。若しその点で二キロ三キロ離れておれば危険がないから撃つてもいいだろうということになれば、明らかに威嚇射撃と見ていいのです。そういう点も日本側においてはもう少し……我々同士の間はいいのですけれども、対外国の折衝等におきましては、そういう気持で折衝されては国民としては非常な迷惑を受けるわけです。その点お取消しになるならお取消しして頂きたいと思います。そういう考えで折衝して頂いたら非常に迷惑です。
  85. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 私が今申上げましたのは、確かに言い足りない点がございます。米軍としてはそこまでも全然縛られて約束をすることは、そういう考えもあつて呑まないだろうということを申上げたのでございまして、私はそういう気持で折衝するという考えは毛頭ございません。最初から申します通り、たとえ米軍がそういうふうに危険がないと申しましても、そういうことは絶対に避けてもらわなければならん。絶対にということは言い過ぎかも知れませんが、是非避けてもらわなければならんと考えております。
  86. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 了解いたしました。それではまだこの事実の調査が十分でございませんので、いずれ一つ十分に御調査を頂きまして、次回の委員会に又詳細な御説明等を頂きたいと思います。  それからあと三件残つておりますのですが、これは若狭湾の演習場の問題でございます。これはどんな工合になつておるでございましようか。一応の御説明をして頂きたいと思います。
  87. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) いわゆる若狭湾の演習区域でございますが、経過を申上げます。これは昨年の夏ごろから問題になりまして、アメリカ側から是非ここに演習区域を設定したいということでありまして、その演習内容は、空中戦闘でありまして、その一定の海面上で、飛行機が標的をつけたほかの飛行機を射撃をする、こういう演習内容でございます。そこでこれはほかにも日本沿岸に数カ所現実にございまして当該地区の漁業者あたりからの意見を聞きますと、漁業には殆んど影響はないという話を聞いておりますので、内容漁業にそう影響のあるものではないと考えましたけれども、でき得るならばこのような演習区域は設定をしてもらわないほうがいいので、当初何とかこれはやらんようにして欲しいということを強く申したわけです。いろいろ内容を検討いたして参りますと、どうも軍事計画或いは演習計画に非常に必須な演習場であるように感ぜられます。これを全然拒否するというわけには参らんというような工合に判断をいたしました。そこで、次にこの演習漁業に実害がない。それから沿岸航路にも影響がないというような演習の体様にいたしたいということで相談を進めたのでありますが、その結果地域としては当初の地域よりも遥かに沖へ出すことができました。いわゆる若狭湾演習区域と俗称せられましたように、当初は若狭湾に近接した所でありましたのですが、現在は経岬から三十六マイル、三国崎を去る三十一マイル半、越前崎を去る四十三マイルということで、若狭湾とはいわば無縁の海域になりましたために、名称も中部日本演習区域ということになりまして、遙かにはずしました。そこで底曳の漁業もはずれ、巻網の漁業もはずれ、流し刺網の漁業もはずれ、大体あの附近における漁業漁場から全部はずしまして、現在この設定されました地域はいわば漁船が事実上操業をしておらないという区域にすることができたわけであります。  それから演習内容は、毎週月曜から土曜日まででありますが、この演習をやらない日がありますので、それは演習をやる場合には十五日前に通報するということで、やり得る一般的な条件にはなつておりますが、具体的にいついつやるということは、その都度その都度二週間前に連絡をする、こういうことになつております。それで射撃は少くとも一万フィート以上の上空でやると、いわゆる低空飛行は全然やらないで、演習実施いたします際には、その一万フィート以上の上空から海上が見え得る日に限る。視界が効かない日には全然やらない。それから現実に射撃を実施する際には必ず海上を見てそこに障害物があるかどうかということを確めた上で演習実施すると、かような内容になりました。二月の十三日の官報で告示されて実施に入る、かようなことに相成つておる次第であります。
  88. 千田正

    千田正君 今のそういう問題に対しては、別に監視船とか、そういうものの配置は要求して来ていませんか。
  89. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) アメリカ側からは何もそのような要求はございません。  それから従来いわゆる空中戦闘区域六カ所でありますか、その区域の三年余に亘る演習の実績を見ましても、特別に空中戦闘区域に監視船を配置するという必要はなさそうであります。
  90. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御質疑ございませんか。  一応御説明だけにしまして、次は串木野の漁業協同組合から陳情があります。簡単なものですからちよつと読んでみます。「私宛、九日より実施されたヘルイ軍演習海域は、先に李ラインを締め出された当地遠洋漁業者にとつては唯一の漁場である。今日まさに当地漁民の生命線であるこの海域演習地として奪われては、漁業専業の我らにとりましては、その生活を支えることができない。串木野の漁民は挙げて演習海域の変更を要望して止ます。御賢察の上関係要路に対しその変更かたを御折衝願いたし。」こういうふうに漁業協同組合長の名前で参つております。これはどんなことになつておりますか。
  91. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) ヘルイ演習場と申しますのは、私どもどこかはつきりわかりませんが、想像いたしますのに、漁釣島だろうと思います。魚釣島でありますならば、これは実はいわば琉球政府の所管と言いますか、琉球附近の島嶼の演習場でありましてこれは私どもも鹿児島県の業界のほうから、従来は演習区域に入つていなかつたのでありますが、それを従来の演習区域を少し拡張してここを含めようという企図があるように思われる、これは極めて大変である、こういうお話を伺つております。これが事実といたしますと、誠にこれはあの地方の漁業者にとつては非常に影響がある地域だと考えます。ただこれは非常にやりにくいと申しますか、と申しますのは、琉球政府がいわば提供するなら提供すると、琉球政府とアメリカ軍とが直接の当事者になりますので、むしろと言うとおかしいようでありますが、日本政府が直接当事者であれば非常にやりやすいのでありますが、若干その点はやりにくい。併しながら、この点は非常に大さな影響がありますので、日本関係各省とよく相談をいたしまして、そうして強力にアメリカ側にいろいろなルートで働きかけて、こういう事実が起らないように努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  92. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これはやはり今の通りでございますか。
  93. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) たしか今立川漁政部長の答えられたところでよいと思いますが、私どものほうでも話は聞いておりますので、法律上いろいろなコンプリケーシヨンもあると思いますが、法律上の問題は別といたしましても、やはり何とか善処しなければならないと考えております。
  94. 千田正

    千田正君 実際問題としていろいろな問題が起きて来るのでしようが、そういう場合においては、やはり現地の地方自治体に対して未然に防ぐ方法を要望しなければならないのですが、これは一体どつちがそういう意向を通達するのでありますか、外務省ですか、それともどこがそういう未然に防ぐ方法に対しての通達をやるのですか。
  95. 森崎隆

    委員長森崎隆君) これは何でしよう、やはり日米合同委員会にこういう議題が出されまして、そこでやはり決定を見た上で地方自治体とか関係官庁に出るのではないでしようか、そのように考えてよろしゆうございますか……。  それではこの問題について、又若狭湾について、水産庁のほうに話が参つたときには、合同委員会の議決は済んで来たものと了解してよいのですか。
  96. 立川宗保

    説明員(立川宗保君) 合同委員会からこういう要求があるというので、合同委員会の要求が提示されまして、そこで合同委員会日本側代表が日本側の関係各省に通報すると、こういうことであります。
  97. 清井正

    政府委員清井正君) 先ほど来千田委員からいろいろなお話がございましたが、成るほどあの決定といたしましては、日米間において最も被害のないようにといういろいろの注意をして、実は我々今までやつて来ておることは御承知通りでありますが、特に只今説明申上げましたように、いろいろ私どもとして条件なりその他の申合せ等によりまして、万間違いのないようにということでやつてつておるのでありますが、只今お話がありましたような片貝の問題等が起つたような次第であります。片貝の問題につきましては、よく事情を調べた上でないとはつきりしたことは申上げられませんが、とにもかくにも一旦こういうものをきめますれば、これによつて実際問題上被害のないようにあらゆる方策を講ずる必要があるということは、お話通りであります、或いは必要によつては、只今お話通り上保安庁なり水産庁なり適当な措置をとらなければならんということもあるでしようし、或いは根本的に、只今外務省からお話申上げましたように、日米間における話合いということもあると思いますが、いずれにしてもこの問題は今すぐにここでどうということははつきり申上げられませんが、そういうことが必要であるということはお話通りであります。従つて、我々といたしましても、こういう決定がありました場合には、できるだけ関係方面の周知徹底を今までも図つておりますが、今後とも徹底を図るということはいたしますが、その他これに関連する事故防止の問題等につきましては、更に関係庁の間において十分一つ相談をいたしまして、所期の成果が挙がるような方策を講ずるように、よく一つ研究をしてみたいと思います。
  98. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それではこれで終りたいと思いますが、調達庁にこういうことはお願いできませんでしようか。海上の演習場、基地等を図示した地図を頂き、別にそれに付けてこれまでの損害の算定と補償の額、並びにそれを実施して来たところまで、漁民の数、大体損害の目安なんかをそちらがおきめになつたもの、そういつたものを資料に一つまとめて頂きまして、今後又こういうことがありましたら、すぐそれを見ればわかりますように……。それからどこかの地区で今度のような事故が小さいものでもあつた場合には、事故があつたということをちよつと何か印をつけて頂きまして、そんなものを一つお作り頂けませんでしようか。
  99. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 承知いたしました。
  100. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それじやお願いいたします。  それでは本日の委員会はこれを以て終了いたします。    午後四時一分散会