○楠見義男君 その問題については、私は
政府が非常に誠意を以て御尽力せられている点については毫末も疑うものではないのです。ないのですが、何分にも
事件発生以来四カ月余も経ている。これは
相当政府のほうもおくたびれのようかもわかりませんが、業界自体はすつかりくたびれ
ちやつている問題だと思います。と同時に、
従つて今日この段階に至
つては、
先ほどももう近いうちに何らかの解決の途がつくような
お話もありましたが、要するに一刻も早く我々
委員会としてもけりをつけて頂きたいというのが最後のお願いなんです。そこで実は先般来いろいろ
お話を承わ
つてお
つて、これは
外務大臣の
お話じやなしに、国内的なほかの管理
方面のかたがたの
お話を承わ
つてお
つて、対米
補償要求額というものと、それから対内施策というものと、その額を同じように考えられているのじやないか、そういう錯覚を持
つていられるのじやないかと実は考えてお
つたのですが、それは今の
お話で、そうじやなしに、対米
補償要求額というものと対内施策というものをプラスして、そうして全体として
漁業者に対する対策としてお考えにな
つているという点がよくわか
つたのですが、そうなればなるほど余計に、先般来申上げて又お願いをしているように、対米折衝全体と、それから対内施策というものは、分離といいますか並行して一刻も早く
措置を講じて頂きたいというのが我々の
希望であるわけなんです。そこでそういう
観点からすれば、今秋山さん或いは
千田さんという
外務大臣との間における質疑応答で大体の見当も私
どもつくわけですが、というのは、
国際間における損害賠償要求については大体の常識というものが或いは
国際慣行上考えられる、こういうことであるならば、なお更一日も早く踏切
つて頂きたい、こう思うのです。これは要求額について、今まで
政府に対してどういう程度の要求をしておられるかということをお聞きしても、これは折衝中であるからと秘密にされてお
つてお述べにならなか
つた。これは一面我々としても、折衝上においてそういうことが却
つて折衝をする上において不利な場合もあ
つたかと思
つて了承してお
つたのです。併しだんだんこうな
つて来ますと、むしろ
外国電報によ
つて大体の見当がわかるようなことになる虞れもあるし、そうなれば余計我々としても実は不愉快と言えば不愉快な気持にな
つて行くわけです。こういう要求をして、併しこれだけしか
補償ができない、それじや軟弱外交ではないかというようなそしりを受けるということも御心配にな
つていたところもあ
つたのじやないかと思いますが、今日この段階になると、そろそろそういうことも明らかにして頂いていいのじやないか。例えば先般も
外務大臣の談話として述べられて、本日も冒頭においてこのお間違いであ
つたととの御訂正があ
つたのですが、その際における
新聞にも、正式の要求額ではないが、
日本側としては参考資料として、この程度の損害額というものを出している、その金額が大体二十億を超えている、こういう記事も出てお
つた。この点は業界から十九億幾らという損害が出てお
つて、これは勿論福龍丸のものを除いての陳情の中の十九億二千万円ですか、そういう金額にな
つてお
つて、
政府のお考えにな
つておる損害額というものはこの程度か、或いは著しく違うかということをお尋ねしたときに、大体その程度だということをお述べ頂いたことがあるのです。それと平仄が合うわけで、そうな
つて来ますと、そういうところから察しても、大体
政府の賠償額として
予定し、要求されているもの、それから要求額ではないが、参考のために資料として
向う側として出しておられる数字というものも、大体見当がつくわけなんであります。こういうことも、
先ほど来申しますように、長くなりますから簡単に申上げますが、
向うからだんだんとわか
つて来るようでは、誠に私
どもとしてもまずいのじやないかと思いますから、もうこの段階では成るべく明らかにして頂きたいということと、窮極は日も早くけりをつけて頂きたい。大体慣行上における常識という問題は我々も諒とすると同時に、それについてはその足りない分の要求、国内における損害額に対する対策は、これは対内施策としてお考え頂ければいいもので、飽くまで対米折衝と対内施策というものは分離して、或いは並行してお考え頂けないものか、こういうことを私は強くお願いしたいのであります。そこでこれは
安藤さんにお尋ねをするわけなんですが、この二十三日の
閣議のあとで皆さん
関係の閣僚がお集まりにな
つていろいろ御
相談になり、それぞれ記者にお会いにな
つて、
お話をしておられるのですが、二つの
結論は大体同じだと思うのですが、
外務大臣のほうはまだ
結論には達しておらない、こういうことをお述べになり、それから
安藤さんのほうは、
結論を急ぐことは、却
つて業者に満足せられない結果になることがある、だからむしろこれはゆつくりしたほうがいいのだというようなことを、記者会見においてお述べにな
つておられる。
結論が出ないという点においては、
外務大臣の
お話とそれから
安藤さんの
お話は同じでありますけれ
ども、
安藤さんのおつしやる
結論を急ぐことは、却
つて業者に満足せられない結果になるということは飽くまで対米折衝というものと対内施策というものを不即不離にお考えにな
つているような印象を深くしたのであります。これはどういう
意味なのか、
先ほど来申上げているような私
どもの
考え方ではや
つていけないのか、この点について
安藤さんから
お答え頂きたいと思うのであります。