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1953-12-23 第19回国会 参議院 水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月二十三日(水曜日)    午前十一時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            森 八三一君            木下 源吾君   説明員    水産庁長官   清井  正君    水産庁漁政部長 立川 宗保君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産政策に関する調査の件  (だ捕による被害漁船資金融通措  置に関する件)   ————————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から委員会を開会いたします。  清井長官もすぐ見えると思いますが、現在漁政部長が参つておりますので、先ず拿捕による被害漁船資金融通措置に関する件を議題にいたしたいと思います。順次御質疑のある方は御発言を願いたいと思います。
  3. 千田正

    千田正君 前委員会のときに特に水産当局要望しておつたのでありますが、被害各県の要望トン数とそれから水産庁当局として一応絞つた形においてこれに対処しようという考え方もあるようでありまするが、その数字水産庁としては一応の計画を立てておつたようでありますけれども被害各県からの要望は必ずしも水産庁が立てた数字とは恐らく一致していない、むしろ当然上廻つて来ていると思いますが、その要望しておるところの件数或いはトン数という点について一応水産庁が考えている数字との食い違いもあるし、或いは絞つた理由もあると思いますので、一つその点の詳細を説明して頂きたいと思います。
  4. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 被害各県の要望数字というものは必ずしも当方に提出されておりませんので、只今ども手許で代船建造資金としてこの程度の額を確保したいとこういう工合に考えて取進めております数字を申上げたいと思います。御要求があつたそうでありますが、手違いで印刷物が手許にできておりませんので、誠に恐縮でございますが、少し煩雑になりますが口頭で申上げさして頂きます。  拿捕漁船は、李ライン関係隻数は本年の九月以降五十隻でありまして、その総トン数二千七百七十九トンであります。うち木造船三十八はい、千九十八トン、鋼船が十二はい、一千六百八十一トンであります。そこでこれに代るべき船の所要金額を計算をいたしたのでありますが、それは総金額におきまして八億四千七百五十九万円、うち木造船に関するものが二億四千百五十六万円、それから鋼船は六億六百三万円というわけであります。で、これを農林金融公庫は、現在の建前では融資対象使用者三百人、それから所有船舶干トン以内の会社、法人並びに個人に限つておりますので、その千トン三百人以下を千トン三百人以上と分けた数字をもう一つ申上げますと、千トン三百人以上に属するものが九隻でありまして、その建造資金総額五億二千三百五十三万円、それから千トン三百人以下のものを申しますと四十一隻でありまして、四十一隻について資金総額三億二千四百六万円であります。
  5. 千田正

    千田正君 一応今水産庁で考えているのは、この程度であるというのを御報告願つたのでありますが、これに対しまして実際融資するほうはどの程度納得しておるのですか。これで水産庁の立案した計画に対しては一応要求に応ずるような実情にあるのですか、どうですか。
  6. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 先ず千トン三百人以下のものにつきまして、これは農林金融公庫からその財政資金を以て代船建造融資に当てたい、こういうことでありまして、これはまあ同時に新らしい法律を作りまして、それでも明確に規定をしたい、こういう工合に取り進めておりますが、そのものにつきましては所要資金三億でありますが、このうち木造船のものにつきましては、現在公庫法で一番最高の融資対象限度であります事業費の八割というものを適用いたしまして融資をいたすということにいたしたい。それから鋼船につきましては、これは規模も大きうございますし、まあその経営者自体としても資力が木造船を持つておる人よりも有力でありますし、それからもう一つ全部特殊保険に入つておるというような事情も勘案いたしまして、融資率六割程度ということを考えまして、そういたしますと、先ほどの所要金額三億二千四百六万円と申しましたそれに対する財政資金として裏付けるべきいわば必要金額は二億八千二百三万円になるわけであります。で、このうち本年度の二十八年度内に支出すべき金額として九千万円は支出できるという枠は準備されておるわけであります。残り一億九千万円になりますか、この部分につきましては二十九年度の枠において優先的にこれを設定をいたしたい。但しこの関係で、当然代船建造申込みをいたします四十一隻につきましては、これはもう直ちに申請受付けまして、そうして貸出決定は全部について年度内にやつて行く。それでこれと今の金額との差でありますが、これは必ずしも最初造船資金を全額払うということで船を造るのではありませんで、最初に契約のときに例えば三分の一とか、進水のときに三分の一とか、竣工のときに三分の一とか、こういうような支払をやつて参りますから、差当り全部の隻数について早速書類を受付けて、まあ審査をいたしまして、そして貸出決定をするということが可能である、そういう工合に考えております。で、若し造船のスピードが、進行が早いというようなことでありますならば、多少のその辺の実際上の運用等で支障のないようにやつて行く見通しは十分あるわけであります。  次に農林金融公庫対象になりません大会社の九隻でありますが、これは当然開発銀行からの融資ということになるわけでありまして、これは関係官庁相談をいたしまして、これは開銀のほうへ申入れ、開銀のほうから出す。本年度内において開銀のほうでも受入れる体制を作るという話合いで進めておりまして、こちらのほうも十分見通しがあるわけであります。只今申しました所要金額建造資金と、それからあれの総金額につきましては十分見通しがあるということでございます。  それから今ちよつと一カ所数字を誤りましたが、公庫に対して準備すべき資金として、公庫側準備すべき資金として、一億八千二百三万と申しましたが、これはちよつと私の見誤りでありまして、これは約二億四千二百万ほどになりますから、この点を訂正をいたしておきます。
  7. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ちよつと希望いたしますが、清井長官が今御出席になられましたが、今日十二時からちよつとアメリカのお客さんのおつき合いがあるそうでございますので、一応それまでに区切つて、又午後は午後で改めてということでございますので、先に長官に何か御質疑がありますれば、先にして頂きたいと思います。
  8. 千田正

    千田正君 長官に特にこの年末に際して聞きたいことは、第一番に行政機構改革の問題が相当いろいろ論議されておるので、水産庁としての心がまえは勿論、いろいろの点から考えなければならないと思いますが、二十九年度予算編成に当つて水産庁は勿論飽くまで水産庁としての予算編成にとりかかつておると思いますが、その点はどういうふうな考えでやつておられますか、或いは特別の指示があつて行政機構の今立案中のものを前提として特に予算編成や何かに対して農林大臣或いは政府その他の方面から、農林省水産庁予算編成に対して何らかの指示があつたかどうか、その点はどうですか。
  9. 清井正

    説明員清井正君) 只今の御質問の点でありますが、私どもは当初に二十九年度予算を編成いたしまして、大蔵省所要説明をいたしておるままになつておる現状でございます。従いまして二十九年度予算におきましては、申上げるまでもなく水産庁という立場としての予算編成でございますし、所要新規経費等につきましても曾つていろいろ個々の点については御説明を申上げておると思いますけれども、私どもといたしましてはできる限りの予算を取りたいということで只今要求をいたし、大蔵省説明を完了いたしており、大蔵省においては目下水産庁予算を含む農林省全体の予算査定にとりかかつておる最中であるように聞いておるのであります。従いまして只今の現況といたしましては、水産庁という立場から予算編成をいたし、現在は大蔵省査定を待つておるということになつておるのでありまして、それ以外特に政府部内においてこれの機構改革をするとか、或いは人員の整理をするとかというような立場から予算を作り直すとか、或いはその立場から又見直すという作業はいたしておりません。
  10. 千田正

    千田正君 予算の問題は、大体そういうふうに進行しておるとすれば、それは当然のことと思つて我々もそうあるべきだと信じております。今水産庁として大きな問題としましては、只今部長から説明を聞いておつたのでありますが、この李承晩ラインその他を含む拿捕船舶に対する代船建造の面に対する資金融通見通し、細かいことは部長からあとから説明を聞きますが、それに対する見通し、これに対して衆議院水産委員会で大分最近議員立法をするとかしないとかいう問題があつたようでありますが、更に最近になるというと、政府提案で何か案ができるというような話も聞いておるのでありまするが、いずれにしましても早急にこの問題が解決しなければならない問題なので、これに対しては水産庁としては今までの経過を十分御承知だろうと思いますので、長官からその点を一点御説明願いたいという点と、最近新聞紙等によつて賑つておるところの北洋漁業の問題に対して、更に新らしい方面から北洋漁業の今までの水産庁方針に対して更に新らしく参加したいとか、いろノ、な問題が起きておるようでありますので、北洋漁業は従来の通りここで説明を承わつた程度で、それを信じていいかどうかという点を甚だすこぶる最近疑問視されて来た、いわゆる鮭鱒の問題、そういう問題についてはどういうふうに考えておられるかどうか、取りあえずこの二点につきましてお尋ねしたいと思います。特に長官は今度ワシントンで開かれるところの日米カナダ漁業条約に基く第一回の委員会に御出席になるやに承わつておりますので、特に北洋の問題などはしつかりと国内の体制を整えて、その基本の上に立つて臨まれることが然るべきだと思いますので、一応この二点、代船建造見通し並びにこの李承晩ラインによつてこうむつた漁民、或いは留守家族に対する年末に際してのいわゆる政府側からの処置の問題、今の北洋の問題とこの二点に分けてお話を承わりたいと思います。
  11. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 今の千田委員の第一点の問題と関連……まあ同じことになるかも知れませんが、私も新聞閣議で大体決定なされたようにも伺つておりますので、決定されました内容というものがはつきりしておりますればそれを伺い、並びに今日以後において政府から提出される案の内容というものを御説明頂ければ、この機会に質問等もあるのじやないかと思いますので、お願いいたしたいと思います。
  12. 清井正

    説明員清井正君) 李ライン関係被害を受けました漁業者並びにその拿捕されました漁船対策につきましては、私どもしばしば必要に応じ御説明を申上げ、私どもといたしましてはあらゆる努力払つてその対策を講じて参つて来たつもりでございます。留守家族のいわゆる見舞金と申しますか、そういう性格を有するものの金額の支出につきましては過般御説明申上げ、又その趣旨に沿うてすでに各県を通じまして交付済みでありますので、その点は御了承願いたいと思うのであります。  問題として残りました拿捕されました漁船措置ということ、特にその代船建造の問題が非常に緊急措置すべき問題として国会においてお取上げになつておるのでありますが、私どもといたしましても何とかこれをいたしたいという観点から、政府部内といたしましてはすでに農林漁業金融公庫から低利を以てこれを貸付けるという方針を立てまして、数字につきましては只今漁政部長から御説明申上げておる最中でございますが、そういう方向政府部内におきまして相談をいたして参つて来たのであります。御承知通り、これは拿捕されたものの代船建造、それから一部漁船の他種漁業への転換の改造資金貸付等も考えておつたのでございますが、そういうことで一定の線を劃しまして、農林漁業金融公庫で貸し得る対象業者に対しては公庫から出す。それ以上の大計画のものに対しましては開発銀行からこれを貸出すという建前で進んで参つて来ておつたのであります。殆んどその数字もまとめかかつて発足し得る段階に達して来ておつたところ、特に衆議院水産委員会等におきましてもこれを農林漁業金融公庫からの貸付でなくして、一般的な市中銀行或いは農林中金からこれを貸付をするという方策をとり、又それに対して相当額損失補償、並びに利子補給等をやるべきである、こういうふうな御意見等もあつたのであります。殊に過般の農林災害等につきましても同様の措置をとつておるときでもあり、その措置、或いはその場合におきまする諸般の利子補給の額、或いは損失補償額等を参酌いたしまして、是非そういうような方向に沿う措置農林中金並びに市中銀行から行うべきである、こういうような趣旨の話があつたのであります。その対象といたしましても、単にこれは李承晩の問題だけでなしに、中共ソ連等によつて拿捕されたものも入れるべきである。こういうようなお話も実はあり、又代船建造のみならず、一般経営資金と申しますか、そういうようなものについてもこれは見るべきだ、こういうようなお話もあつたのであります。そういうような方向是非政府提出法律を出すべきである。而も年内に緊急に出すべきである、こういうようなお話があつたのであります。私どもといたしましては、御趣旨の点につきましては十分拝承できる点もあるのでありますが、すでに農林漁業金融公庫から融資措置をとつておるのであります。折角ここまでやつて来ておるのであるから、是非こういうことの方針でやつて参りたいというような趣旨で、政府といたしましてはいろいろお話をして参つたのでありますが、その間主として衆議院水産委員会等におきましても、強く政府提出でかかる法律を出すべきである、こういうようなお話があつたのであります。まあ政府部内といたしましても、私ども事務当局等相談いたしまして、いろいろその間苦心を実は重ねて参りまして、非常にこの問いろいろないきさつはあつたのでございますが、究極のところは過日の閣議におきましていわゆる特定海域における漁船被害等に伴う損失補償特別措置法案、こういう趣旨法案政府は出すことにきめた、法律については本年内部内事務的手続関係上提出できないけれども、来年国会再開当初にこの法律を出すということを農林大臣はつきり声明になりまして、そういうことで行くならば、そういうことで一応行つたらどうだろうかというような空気に一般的になつて頂いているものと私どもは拝承しておるようなわけであります。  然らばどういうような内容法律を出すか、こういうことでございますが、農林大臣より御説明申上げました趣旨は、いわゆる問題は李ラインに限ると、これが一つであろうと思います。それから拿捕された漁船対象のものに限るというのが一つの点であります。それからもう一つは、いわゆる漁具の貸付についてもこれを適用して行きたいというのが一つの点であります。それから、今政府でやつておりますところの農林漁業金融公庫貸付という趣旨で行きたい。従つて一般的に市中銀行或いは農林中金より貸出されて、それでこれを相当額損失補償なり利子補給をするということでなしに、只今政府部内において一時的にとつてつておりますところの農林漁業金融公庫貸付ということで行きたい。それを法律的に裏打ちをして行く、こういうことでやつて行きたいという線が一つの点であります。  それから利率につきましては、当初は七分五厘ということで一般利率によつてつたのであります。特にこれを五分五厘にしたいということが一点であります。尤もこれが拿捕された船が還つて参りました場合のあとにおきましては、これは七分五厘にすることがらできるという例外を作らなければなないと思いますが、原則は五分五厘で貸付けるということにいたしたいという点であります。それからもう一つの点は、やはり都道府県で代船建造資金等については利子の一部の補給をすることができる、こういうような趣旨もできたら入れたい、こういうようなことであります。そういうような線に沿うたところの法律案を来年の再開国会劈頭に出したいということを農林大臣はつきり声明になり、又新聞等に特に農林大臣談話を発表いたしたような次第であります。そういうことで只今政府部内におきまして関係省並びに法制局等法案の最後的な整理に着手いたしているような状態であります。  特に又年末の融資等につきましては、これ又この法律とは関係なしに別途措置といたしまして、中金等からは所要措置を講ずるということについても、中金としてもはつきりつております。これは勿論無条件でやれるものではなく、ケース・バイ・ケースによりまして、それはそれぞれの申請に応じて必要な程度は必ずやるからということを中金当局も言つております。それから中金以外の一般金融機関につきましては、これは大蔵省に事務的な連絡をとつてつておりますから、大蔵省のほうで適切な措置はできると思つております。こういうようなことであります。開銀のほうにつきましても、只今漁政部長から御説明申上げましたが、開銀負担部分におきましてこれをやつてくれるような方向で今相談いたしているようなことであります。  なお又、この法律がきまりますまでのつなぎ中金のほうから代船建造の金を借りるということについても、これ又中金はこの問題がはつきりさえしておれば、適当な措置をするということも言つているのであります。従いまして私どもといたしましては、この法律は必ず再開国会劈頭に出す、その出すまでのつなぎについても措置する。又年末の相当資金繰りの悪い者に対する金融につきましても、組合系統農林中金より、その他一般系統大蔵省措置でこれはやつて行けるというふうに確信いたし、目下盛んに関係機関並びに関係金融機関連絡をとつているような状態でありますので、必ずこの問題は措置できるものというふうに私どもは考えている次第であります。  以上で大体李ラインについては……。(「損失補償は」と呼ぶ者あり)損失補償はこれは農林漁業金融公庫の金でございますから、政府資金でございますので、特段に損失補償措置をとる必要はないというふうに考えておりますので、従つて利率のほうを五分五厘にいたすということでございますので、これは政府資金である以上、損失補償措置はとらないということでございます。そういうようなことで李ラインに対する具体的な話を固めつつあるような次第であります。  それからもう一つの問題として、北洋漁業の問題について御質問がございましたが、これは御承知通り過去二カ年間試験操業をいたしまして相当成績を上げたのでございますが、私どもといたしましては、昨年、一昨年の操業実態等を十分勘案いたしまして、いわゆる独航船に対しましては相当隻数の増加が可能であるという観点から、過般百六十隻の独航船の数を決定いたしました。これを関係県と相談をいたしまして割振りをいたしまして、大体個別に誰が出たというようなことまでも殆んどきまつておるような状況でございます。従つて今度は母船決定段階に入つておるのでありますが、母船につきましては昨年は日水、大洋、日魯と三社が一船団ずつ出しまして、それにそれぞれ母船独航船が付きまして、母船独航船とが共同経営をして行くという形で進んでおるのであります。その形は無論本年も維持して行きますが、母船につきましては実はいろいろ私のほうに申請が参つて来ております。非常に昨年度の成績がよかつたということもありますし、又我が国の漁業実態から見て、鮭鱒漁業というものが相当重要性を占めますし、漁業としても相当将来性の見通しもあるというようないろいろな観点から、業者のかたがたとしては相当これに見込を付けておるのではないかと思いますので、相当只今申請が出て来ておるのであります。実はまだこれに対して決定段階に至つておりません。併しこれはいつまでもぐずぐずしておるわけに行きませんので、仮に決定を遅らしますれば、それだけ関係の方々に資金準備、網の準備その他の点でできませんので、成るべく早くそれを仮決定したいのだということで、折角部内で実は相談を固めておるのでございますが、いろいろな事情がございまして、まだ仮決定に至つていない状況でございますが、私といたしましては成るべく早く何らかの措置決定いたしたいと、こういうふうに考えておる次第であります。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今お話で、この代船建造資金融資の問題は李ライン関係に限るということでありましたが、中共関係のものは全然オミットしておられるわけですか。
  14. 清井正

    説明員清井正君) 法律措置としては中共関係は入らないことにいたしたいのであります。これはいろいろ御議論があることも十分わかるのでありますが、理論的に言いますと、不法な行為による拿捕ということになりますと、李ライン関係も私ども中共関係も同じだと思うのであります。併しこの問題はいろいろな関係で是非問題を限局するという立場に立ちましたので、この法律措置でやるということは、これは農林漁業金融公庫による措置を背景としたところの措置による李ライン対策、こういうことだけに限りたいということに考えておるのであります。特に御承知通り中共拿捕関係大型船殊にトロール、底曳船でありますので、大体開発銀行対象となるわけであります。開発銀行のほうは李ライン関係が少しございますが、中共になりますと殆んど全部が開発銀行ということになりますので、その点は開発銀行からの貸付について今李ラインの問題についても努力しておりますが、中共方面拿捕船についてもこれはその方面も折角努力を続けて行かなければならないと思つておりますが、この法律取扱方といたしましては李ラインだけにいたしたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、ソ連関係の船は除かれておりますが、それもこの法律には含まない。そこで法律に語うところのものは李ライン関係のものであつて開銀関係以外のもの、こういうことになるのですか。
  16. 清井正

    説明員清井正君) 実際問題としてそういうことに相成るわけでありますが、李ラインだけに限りますので、中共ソ連関係のものは入らないということになります。それから又貸付農林漁業金融公庫から貸付するものについて、又それを五分五厘で貸すという、こういう形でございますので、只今農林漁業金融公庫からの貸付対象になつていない部分は、これから除かれるということに相成るわけであります。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、事情は同じであつて、而も農林金融公庫対象とならないものは法律によつて何らの措置が講ぜられない。併し法律にはそういう措置を講ずるように語わないが、実質的には何とか方法を講ずる、法律にあると同じような斡旋をするという程度になるのでありますか、その点を一つお伺いしたい。
  18. 清井正

    説明員清井正君) この点は実質的にも、いわゆる開発銀行貸付けし得る対象の船につきまして低利で扱うということには只今考えておらないのでありまして、従つて只今中共拿捕船等は極力開銀から貸付し得るよう御斡旋申上げるという段階でございます。
  19. 千田正

    千田正君 今の問題はまだ議論があるのだが、長官も忙しいそうですから……。この問題は法案として出て来るとすれば、当委員会としてはやはり相当この問題は検討する必要があると思う。この法律が出るのは二十九年劈頭衆議院のほうに上程されるでしようが、その間を待つておるわけにはいかんので、一応代船建造受付農林漁業金融公庫等の向きでは受付は開始せておる状況でありますか、どうでありますか。
  20. 清井正

    説明員清井正君) これは御承知通りであります。この法律を待つていますと遅れますので、実際問題といたしましてはこの法律が施行されたと同じような形で申請をどんどんさせるというふうに指導をいたしております。
  21. 木下源吾

    ○木下源吾君 そうすると何かな、李ラインだけでソビエトのほうも駄目だ、そういうことは含まんというのだが、やはり李ラインの問題は政府は責任を何か強く感じておるから、そういう法律を作つて特に救済をすると、こういう、ところに意味があるのですか。
  22. 清井正

    説明員清井正君) 責任の強い弱いということは申上げられないと思うのでございまするけれども、私どもといたしましては、まあ財政その他の観点から申しまして、政府立場を変えて申しますと、いろいろ御議論のある点かと思いまするけれども李ラインだけに極限をいたしたいと、こういう考えでございます。
  23. 木下源吾

    ○木下源吾君 もう一つ今の鮭鱒のほうの母船ですが、申請は北海道関係を含めて三つぐらいあるということですが、あれだけですか。
  24. 清井正

    説明員清井正君) 確かに只今木下委員からお話のあつた通り、北海道漁業公社は熱心に出願しておられます。併し先ほど申上げました通りその指置についてはまだ検討しておりますので、結論をまだ申上げるわけに行かないような状態でございますのでさよう御承知願います。
  25. 木下源吾

    ○木下源吾君 この間油船が根室へ漂着した、それをこつちでみな処分してしまうと聞いておつたのですが、日本政府でするということで聞いておつたのですが、そういうことをしてもらつては向うとの友好上困るというので返してもらいたい、海上保安庁が電報を打つて、無線を打つたところが、向うでそれをキヤツチしてそうして洋上でこの聞返してやつた。両方で打合せして、これはソビエツトと日本政府と交渉したという事実であると私は見えるのでありますが、あなたたちどういう見解をしておられますか。これは水産庁としてはほかに大した関係はないかも知れませんけれども、しばしば霧のため、ガスのため迷つて向うへ行つたりいろいろしたときに、所在がわからんので、こつちで心配しておつても今まで方法がなかつた漁船がですね、今度はああいうことができれば非常に都合がいいと思うんです。こちらから無線で向うと話す、そういうことについては何か関心を持つておられますか。私は日本政府が直接交渉した一つのこれは記録になると思つておる。今までは日本政府はなかなかそういう国交調整をやつておらないから、拿捕されても方法がないと言つてつたけれども、そういう途が一つ開けると、非常に私は好都合だと思うんですが、あなたたちはどう思うか、又そういうことに関心を持つておらんか、そんなことについてちよつとお聞きしたいと思います。
  26. 清井正

    説明員清井正君) 今の木下委員お話になりました事実については私も聞いております。ただそれがどういう形で折衝が行われたか、私は残念ながら詳しく聞いておりませんので何とも申上げられませんが、そういう事実があつたということは十分承知しております。
  27. 木下源吾

    ○木下源吾君 今後漁船保護の上において非常に大切なことだから、あなたがたもよく調べて、一つ有効に漁船保護のために使えるように一つ努力して頂きたい。
  28. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それじや長官は丁度十二時の約束でございますから、すぐに出かけて下さい。漁政部長の話の質疑の続きがございますか。
  29. 千田正

    千田正君 ちよつと漁政部長さんに聞きますが、さつきの開発銀行対象にしないほうのやつ、農林金融金庫のほうは二十八年度内に大体支出可能のものは九千万円、二十九年度は一億九千万円なんだが、併しさつきの話の通り、必ずしも全額最初から出すんじやなくて、まあ取つつけ初めに三分の一、進水した場合に又三分の一というふうな、分割して資金の融通を受けるわけですから、九千万円とすれば相当これは或る程度の支出の道ができるわけですね。だとすればこれは大体この金額がすでに確定的なものとするならば、殆んどこの四十一隻の方は、大体二十八年度内において受付けてもいいのじやないかと思うのですが、あなたの考えはどうですか。
  30. 立川宗保

    説明員立川宗保君) お話通り四十一隻全部受付けても大体賄えるという見通しの、頭金のものですから、賄えるという見通しで私ども資金計画しております。それから今ちよつとお話がございました先ほど言い誤りました一億九千万、あと来年度繰越しであるというあれは、先ほど誤つて二億八千二百万円という数字を申上げた、それから逆算いたしましたので二億四千二百万円でありますので、一億五千数百万円であります。それが来年度に繰越される、こういうことになります。
  31. 千田正

    千田正君 そうすると、二十八年度分が九千万円年度内に受ける。二十九年度が一億五千万円、これで一応四十一隻分のあれは可能である、こういうわけですね。それからあとの九隻、大体開発銀行を目的とする大会社の代船建造の分は、大体開発銀行としてはこういう大会社に対するところの金融は利息は普通の率で出すのですか。それともこういう不幸な事態に処しての問題であるから、或る程度利率の分は幾らか下げて融資をするということについては斡旋しておられるのですか。
  32. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 私どもは特別な利率を設けるように取運びたいという工合な考えで相談をいたしておりますが、開発銀行関係のものは規模も非常に大きいわけですから、日本第一流の大会社でありますので、まあ事態はかような事態でありますが、特別の金利を設定をするということは、恐らく非常に至難であろうと思います。それでそういう大会社等におきましてもとにかく財政資金が或る一定の枠ちやんと来るということであれば、やはりあとは企業のベースに乗つかる非常に大規模な企業でありますから、結局さようなところで我慢をして頂くほかないのじやなかろうかという気はいたしておりますが、なお極力金利の点については努力はいたしてみたいと思つております。
  33. 千田正

    千田正君 大体それでわかりましたが、さつきの部長の御説明の五十隻というのは、先ほど長官が特別措置法の法案内容であるところの、いわゆる称されているところの李承晩ラインにおいて拿捕されたものに限るというその範囲内における隻数としてあなたのほうでは挙げておられると思うのですが、その他の今の中共において同じような条件の下に拿捕されたもの、或いはソ連地区において拿捕されたものというその理由が不法的な拿捕であつた場合には、やはりこれと準拠しなければならないと思うのですが、この問題についてはあなたのほうで何か腹案がございますかどうか。
  34. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは先ほど長官も申しております通り、この政府の内部では新らしい法律案の提案をめぐつていろいろ経過がありましたが、現在の財政の状態その他で或る線で線を引かざるを得ない。こういうようなところで結局落ちつきましたのがこの李ラインにおける今年九月以降現在までということに限定しようじやないかということに相成りましたために、中共等については特別にその明確な措置をするというわけには参らなくなつたのでありますが、これは先ほど長官申しましたような線でなおできるだけの努力はしたい、こういう工合に考えております。
  35. 千田正

    千田正君 そうしますと、これに限定したという最大の理由は、結論としては現在の国家財政に睨み合せてそれだけの余裕がないという結論でそうなつたのですか。他に理由はありませんか。
  36. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 主としてさような理由であります。
  37. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 先ほどお話農林金融公庫対象にならないという九隻の所有会社はどこくでございますか。
  38. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 五牲でありまして、大洋漁業、日本水産、日魯漁業、日米水産、報国水産、この五社であります。
  39. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これはなんぼくらいありますか、船の数は。
  40. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 少し記憶が或いは違つておるかも知れませんが、大体の私の記憶で申上げますと、大洋漁業二隻、日本水産一隻、日魯漁業二隻、日米水産二隻、報国水産二隻、以上の通りであつたと記憶しております。
  41. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 一つお聞きいたしますが、さつきの長官お話では、漁具等につきましても貸付けるというようなお話でございましたが、今の数字の中には、純粋のこれは代船建造ということで、漁具に関するものはその数字の中には含まれていないのですか。
  42. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 漁具のほうはこのほかでありまして、大体なお検討いたしておりますが、農林金融公庫から融資をいたします対象の分につきましては、大体漁具の分につきまして六千万で、これは大体貸付けの八掛といたしますと四千八百万円の公庫資金を支出する、かような見当であります。
  43. 千田正

    千田正君 これは漁政部長にお伺いして答えられるかどうかわかりませんが、聞ける範囲内で一つあなたがお答え願いたいと思いますが、最初この李ラインその他において拿捕された不法抑留された船員及び漁夫並びに留守家族に対するこの年末越冬その他に対して、保険が入らなかつた人たちに対する政府のやはり見舞金ですね。見舞金として一応組んでおりましたね。ところが割合に早く帰つて来たというので現実は或る程度非常に少くなつた最初組んだ予算の数、例えば五億なら五億組んでおつたのが、現実においては三億しか出さないですんだ、あとの二億はどうするつもりか。そういう点については大蔵省と何らか折衝しておられますか。予算を組んでおつたが、幸か不幸かとにかく三億なら三億ですんだ、あと二億余つておる。これは一体どういうふうに使うつもりなのか。この点は仮にそういうものがあつたとするならば、例えば今の漁船のほかに漁具とかそういう方面融資に廻してもいいでしようし、何らかのこの被害をこうむつた方面に有効にそうした予算上余るべきものを使う方法を考えておられるかどうか。そういう点についてはあなたが若しお答えできるのでしたら、聞かして頂きたいと思います。
  44. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 御指摘の通り予期以上に早く帰つて来ることができましたので、計上いたしました予算額全額を使用しないでも相すむということになつたわけであります。それでまあその残額につきまして成るべく気の毒な漁業者救済の方法に別に使おうじやないかというような話は政府の内部でいたしておるのでありますが、その点について現在こういう工合にしようという結論に達しておらないのでございます。ところが金額只今お話のように非常に大きな額ではありませんので、もともと金額が二千万円そこそこの金額でありましたが、その大半はやはり乗組員の救済に支出をいたして、それで数百万程度のものをどうするかということであります。金額は僅かでありまして、併しまあでき得るならばこれを気の毒なかたがたのために使いたいというようなことで相談中であります。
  45. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その問題ですが、この間聞くところによりますと、最初一人当り七千円、それの差入れをするのが一人当り一万円ということで大体五万二千円というものが一人当りになつてつたのですね。それが早く帰つて来たために三カ月分余つた。そうするというと三万一千円ということに一人当りなる。それを大蔵省では一千円を削つたということを聞いたのですが事実ですか。
  46. 立川宗保

    説明員立川宗保君) その点は余りよく存じておりません。
  47. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 いや、これは大蔵省やほかの人々には一千円という金は僅かな金かも知れませんけれども、こういう人たちのためには一千円という金も非常に大切な金です。これを大蔵省が一千円を削るということは、私は本当に不見識な話だと思う。私もそんな紬かいことを言いたくないのですけれども、半端になつたものを半端だから削るというようなことは、余り同情のなさ過ぎる問題だと私は考えるのですが、その点は一つよく調べて下さい。そういつたことをきめたものを千円削るということは、如何にも不見識な同情のないやり方だと私は思うのですが、事実とすれば、今後そういうことがあるとすれば、今余つた金をどうしようということは思いもよらんことであります。何ほどの金をそこに節約したか知らんが、誠は私はみつともないやり方を政府とつたと思つて心外に思つておりますから、水産庁としてもそれは知らないということではいかんと思います。  この法案が出て来れば、いろいろの論議があると思うのですが、今の九月以降の李ライン問題だけに限つたということは私は理由がないと思う。政府の財政上の関係ということだけだつたら水害なんかどうなる、財政の都合が悪ければ一文も出せないということになる。必要の金は無理しても出さなければならん。それらの問題については今後法案が出たら相当論議があると思います。今まだ出もせんうちから論議のしようがないのですから、私はこれを留保しまして他日に譲りたいと思います。
  48. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは今農林大臣のほうに交渉をしておりますので、ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  49. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記をつけて下さい。  それではこれを以て散会いたします。    午後零時二十一分散会