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1953-12-12 第19回国会 参議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十二日(土曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            松浦 清一君            菊田 七平君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部長 立川 宗保君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会の運営に関する件 ○水産政策に関する件  (だ捕による被害漁船資金融通措  置に関する件)   —————————————
  2. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それでは只今から水産委員会を開会いたします。  本日は臨時に急を要しましたので、お集まり頂きまして委員各位からいろいろ御提案その他を頂きたいと思います。速記を中止して下さい。    〔速記中止
  3. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を始めて下さい。
  4. 千田正

    千田正君 国会が一応通常国会に入つて、いよいよ本格的に、又二十九年度における予算の編成その他本年度中にも大体政府並びに各省の案がまとまりそうなのでありますが、それにつきまして水産庁として、二十九年度の予算の腹案なり、その他についても、水産庁当局から一応我々は説明を聞きたいと思うのであります。  もう一つは、先般来問題になつておりましたところ李承晩ライン、いわゆる言うところ李承晩ラインに対しての漁民並びに漁業者の非常な年末に際して不況に陥つている現状に鑑みて、それの対策について立法化する問題があつたのでありますが、その点の委細の問題を水産庁長官から、現在に至る経緯を一応聞きたいと思うのであります。というのは、もう本年もあと余すところ僅かに十五、六日しかないと、こういう段階であつて李承晩ライン中心として漁業をしておつた人たち、並びに拿捕された船舶の持主、或いは帰つて来た船員或いは漁夫、或いは未だ帰らないところ船員漁夫留守家族というような人たちに対するところ措置がちつとも進んでおらない。殊に今日このような状況になつたのは、いわゆる外交の拙劣さにも基くところであるし、単なる漁業者だけの責任とか、そういうことだけを言つているわけにはいかない現状でありますので、一日も速かに問題の解決に乗り出さなくちやならない段階でありますので、この点をはつきり水産当局から所信をお伺いして、本日の会議の劈頭に水産庁当局の今までの経緯を質したいと存じますから、皆さんにお諮り願いたいと思います。
  5. 森崎隆

    委員長森崎隆君) お諮りいたします。只今千田委員の御提案に対して御異議はございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 森崎隆

    委員長森崎隆君) それじや御異議ないものと認めまして、この問題を先に審議いたしたいと思います。  つきましては、今日衆議院委員会もございまして、大臣出席を求めまして大臣が出ているそうであります。従つて水産庁長官がそのほうへ今一緒に出ておるわけであります。甚だ残念ですけれども、今連絡した結果、漁政部長が直ちにこちらに来ることになつております。来られるまでちよつとお待ちを頂きたいと思います。
  7. 千田正

    千田正君 それではその本格的な質問は当局が見えてからお互いに質疑を交したいと思いますが、その間一応速記を中止して頂いて、二十九年度のいろいろな当委員会として考えなければならない問題が相当あると思いますので、伝えられるところによるというと、ラジオ放送或いは新聞等によると、国会法改正に基くところ水産庁の編成替の問題とか、或いはそれに伴うところ国会内におけるところ委員会のあり方とかいうような問題が、現在国会法改正委員会において慎重審議中でありますので、それに対する我々委員会としての方針等について協議いたしたいと思いますので、一応速記当局が来るまで休んで頂きまして、その間に万々お取計らい願いたいと思います。
  8. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 速記を暫らくとめて下さい。    午前十時四十一分速記中止    ——————————    午前十一時二分速記開始    〔委員長退席理事千田正着席
  9. 千田正

    理事千田正君) 速記を付けて下さい。  先ほど議題になつておりましたところ李承晩ライン、いわゆる李承晩ラインと総称せられるところの地域に出漁して結局拿捕され、或いは抑留された漁業者並びに漁民船員等に対する政府方針を質したいということにつきまして、只今長官衆議院水産委画会において説明に当つておられますので、すぐにこちらに見えられないというので立川漁政部長只今見えられましたので、先般の問題について、一応水産庁所信を質しておきたいと思います。  立川部長さんにお願いするのは、先般来提案になつておりました議題は、年末に際しまして、政府が一応抑留された船員並びに漁夫に対する対処方針と、それから拿捕されて帰らないところ船舶に対する代船建造に対する金融措置等に対するところ法律を出すという問題があつたのでありますが、それが何か中途にして消えたような恰好になつている。聞くところによると或いは議員立法によつてこれが出されるかも知れない、いずれにしてもこの李承晩ラインのために被害をこうむつておるところ漁業者漁民等の苦痛は察するに余りあるのであつて、殊に越冬、年末を控えての苦悩の姿というものは見るに忍びない問題でありますので、一日も早くこの問題の解決をしなければならないというのが議員一同考えなんです。で、今日に至るまでなぜそれがちつとも具体化しないか、されないのかという点について、そのいきさつを、水産庁から一応今までの折衝過程を御説明願いたい、こういうのが議員皆さんの希望でありますので、今までの折衝過程を一応御説明願いたいと思います。
  10. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 政府側のこの問題に対しまする考え方といたしましては、最初から特別な立法措置を講じないで、予算或いは行政措置解決をして参りたいという線で進んで参つたわけでございます。で、そのためにこれは従来の制度を活用いたしましてこの措置をいたしました第一段は、特殊保険金支払であり、給与保険金支払であり、それから第三段といたしましては、御承知通りの過ぐる国会成立をいたしました抑留漁船漁夫に対する見舞金の支出ということであります。それから第三段といたしまして、代船等建造資金につきまして、或いは抑留せられない船でありましても他の漁業転換をせねばならん船の改造資金につきまして、政府財政資金でこれを見て行くという措置を講じたいという段取りを進めてそれを考えております。それから更に今度は経営資金運転資金というような当座の短期資金につきましては、これはいろいろ具体的に事情が異なつておりますために、それぞれの問題を持ち出してもらえばこれはいろいろ斡旋その他の行政措置当該事案に即して解決をして参りたいということで進んで参つたのであります。ところが最近、過ぐる臨時国会におきまして議員立法をしたいというお話がございました。そのお話もいろいろ拝聴をしておつたのでありますが、その途中において、政府でそういう先ほど委員長お話のような法律考えたらどうかというお話がございました。で、まあ政府内部でもいろいろ討議いたしたのでありますが、結論といたしましては、政府案として法律を提出するということは、やはり最初考え方に従いまして考えたくないということで、やはり財政措置行政措置でこの問題をできるだけ解決する方向に持つて行きたいということに相成りましたために、又お話がそれではもう一度議員立法をしようか、こういうふうなお話に最近なつておると伺つておる次第であります。
  11. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今政府当局漁政部長からのお話によりますと、立法をしないで方法を講じようという政府考えであるそうでありますが、我々としても何も好んで立法する必要はないんで、そういう面で十分これが救済されるものなら必ずしも立法措置を要するものとは考えませんが、そうした場合に、先ず第一に代船建造資金としては政府当局はどれだけを見込んでおられるか。それから又転換資金としてどういうふうなどれくらいの金額を見込んでおられるか。又これに対して利子補給であるとか、或いは損失補償であるとかいつたような方法考えておられるのかどうか。そうすればそれはどの程度考えておられるのか。この点を一つ伺いたい。
  12. 立川宗保

    説明員立川宗保君) その金額如何ということにつきましては、具体的にまだ線がきつばり出ないのでありますが、考え方といたしましては、拿捕された船に代るべき船でありますが、これは当然その船の規模によつて計算をすれば一件ごとに計数が出て参るわけであります。その拿捕された、李承晩関係拿捕された船につきましては、すべて再び建造するに必要な資金という原則計算を進めております。勿論そのうち特殊保険等に入つておられた人は、それでも従来の例に徹しますと代船建造等資金に充当しておられますので、そういう方はそちらのほうでも或る程度資金の手当がついておるということにも相成りますが、そういうことを同時に勘案して金額を具体的にきめて行くということに相成るかと思います。それから改造資金はこの転換をする漁種をいろいろずつと検討して参りまして、例えばその或る地区の巻網の船というものは、成るほど李承晩はそれは追われたと思うが、現在の操業状態としては、日本の近くまで非常にいわしが取れる、そうすると現在はいわし操業をしておるので、すぐ他の漁業転換をする必要はないというような事情もいろいろありまして、具体的にその漁種ごと転換必要性を見定めて参りますと、やはり問題になります中心はさばのはね釣船でありますので、こういうものを中心として、そのうちどの程度のものがどういう漁船転換するか、例えばかつお、まぐろに転換するというようなことを押えて参りまして、その転換する際に必要な改造資金、或いはライン・ホーラーを付けるべきであるとか、或いは見張台を創設すべきであるとかというような改造に必要な資金、これは必要な限り全額を見る、こういうように考えたいと思うのであります。  そこで更にその次に損失補償利子補給というお尋ねでございますが、これは公庫の資金が、政府財政資金が出ます限りは、これは当然政府が直接いわば政府資金で出すわけでありますので、損失補償はあえて必要でないということになります。それから又利子補給ということを考える点は、できるだけその財政資金を低場利に出す、少くとも災害と同じということは考えて、財政資金災害に出しておる程度までは金利は下げなければならないというように考えて、今交渉を最終的に進めておるわけでございます。
  13. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 政府がさような措置を講ずるにいたしましても、問題は資金の枠の問題になるのですが、こういうふうに申請し、こういう理由のものには貸付けるといつても、今年度は金がないから申請をして来たものの三分の一しか金は貸さない、こういつたような例がよくあるのでありますが、今回の場合はそういつたような緩慢なことをやつておるわけにも行きませんので、大体そういう措置を講ずるということになれば、その資金考え方はつきりして来なければならんと思うのです。今お話のような、代船建造に当つて保険に加入しておるものはいいじやないか、まあ大体いいじやないかという考え方もあるのですが、必ずしもそうでない。その現在拿捕された船がもう古い船であつて、すでに減価償却もしてしまつて、殆んど償却が済んでおるものであるならば、今度もらつた保険金で或る程度足して新造ができましようが、そうでないものにはまだその船に借金がついておる。そうすると保険金借金を返さなければならん。又新らしく造るものは丸々新らしく借入れなければ船ができないということになるので、私は大部分がそうじやないかと思う。そういたしますと、そういう点に立つて船建造資金がどれだけ要るかということを計算して行く。そうすると又、損失補償政府が出すからよろしいと言いましても、政府がじかに出してくれればいいけれども金融機関を通じて出す場合には、金融機関はなかなかそうは行かない。そこにやはり損失補償か何か制度がなければ、その金融機関はなかなか貸さないだろう。代貸しをするのでこれは取らなくていいのだということで出すのならいいけれども、    〔理事千田正退席委員長着席金融機関を通じて、その金融機関の行き方に応じてこれは貸すということになりますと、やはり或る程度補償をしてくれなければ金融機関はなかなか出さない。殊にごの漁業たちは旧債もあることだし、而も非常に困難な企業経済のうちに立つてこれからやつて行こうとする場合には、金融機関はそうやすやすと出すとは我々は考えておりません。従つてこれに対しては国家が損失補償という十分の裏付けをするにあらざればこの資金は貸付けられない、こういうふうに見ておる。政府が若し今回のこういう事案に対しまして、本当にこれを救済し、日本の権益を飽くまでも漁民をして守らせるという意見があるならば、この際思い切つた措置をしなければならんのだと思うのですが、どうも今の御答弁によりますというと、何か一寸逃れを言つておるような気がするのであつて、若し政府がそういうふうな考え方であるならば、政府がこれに対して立法措置を講ずることは何ら差支えないものである。立法措置を講じないというところに、本当にやる気がないというふうにも我々は考えるのでありますが、その点はどうなんですか。
  14. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 損失補償の一例を取つてその点を御説明申上げたいと思います。先ほどのお話に出ておりましたが、まあ議員立法の一案として八割の損失補償をする、こういうような融資額の八割を政府補償する、こういうような制度を作ろうじやないかということが考えられておるというお話がございました。仮に政府財政資金を支出するといたしまして、必要な建造資金の八掛け政府財政資金で出す、こういたしますと、対金融機関、或いは対業者関係におきましては、経済的な意味では八割の損失補償をしたということと同じであります。つまり必要な資金財政資金で出る、而も仮にその率を八掛けといたしますならば、それはすでに立法をしなくてもその目的を達しておる。勿論政府財政資金が非常に、その船価の八掛けなら八掛けということでないと、著しく低いということになれば別でありますが、現在は成るべく高く、それこそ高率の損失補償をすると同じような意味を持つような措置を講じたいと思つて進めておるのでございます。そうして又国庫からこの船に建造資金を出すということにつきましては、立法上の措置は必要でありませんために、つまり政府財政措置を講ずればそれは動き出すという考え方の下に、今そのようなことを一つ一つ申合せをいたしまして、そうして、問題を解決して参りたいという工合考えておる次第でございます。
  15. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、大体まあそういうふうに水産庁考えておられるとしまして、即ち政府として大蔵当局等との折衝はどういうことになつておりますか。
  16. 立川宗保

    説明員立川宗保君) これは政府内部は、この問題に対して何とかこれは早急に、而も成るべく手厚い措置を講じなければならないという考えについては一致しております。それで私が先刻申上げました、多少抽象的でございましたけれども、先刻申上げましたような考え方は、大蔵省、或いは水産庁、或いは農林省の経済局というようなところに全部通じた一致した原則であるということは申上げることができるつもりでございます。ただその具体的な条件の一々につきましては、なかなか最終的にきまつたというところまで参りませんので、我々も非常に焦慮をしておりますが、それもできるだけ速かに解決をして参りたいという工合考えております。
  17. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 事がそういうふうに進んでおるとするならば、この際政府立法措置を講じて、そうしてはつきりしたほうがそういう関係者のために非常に安心を与える問題だと思う。若しまだ立法措置を講ずるに至らないといたしましても、今日建造資金の問題については、政府はこれこれの措置を講ずるつもりである、転換資金については、これこれの措置を講ずるつもりである、或いは又漁船損害補償の問題については、こういうふうな措置を講ずるつもりで今作業しているということをなぜはつきり早く宣言しないか。そこに私は非常な不安と疑念を持たせるがために、国民の代表である我我として放つておけない。従つてここに政府がそれだけの肚を持つているならちつとも差支えない問題だと私は考えるのです。政府が先んじてやつてくれるほうが何ほどか一般の漁業者安心感を与えるかわからないのでありますけれども、それをやらないとすれば、もう今年中に成立はむずかしいにいたしましても、国会といたしまして、国会議員といたしましては、これらの処置をはつきり講ずるのだという意思表示だけでもしなければならん。若しそれを政府がやるなら、なぜ早くその手を政府は打たないかということを私ども考えるのです。それを私ども国会議員としていろいろ政府折衝してみたが、今の漁政部長の言われるようなスムースな態度でない。そこでそこまで来てる問題なら、私ぱ議員立法をやつたほうかいい。やつたら我々は待つてつてでもこれを十四、五日までに上げてしまおうというような心がまえをしておつたのですが、どうも私の今まで折衝した感じから行きますと、そういうふうにうまく行つておらんように思うのですが、これはまあ見解の相違かも知れません。あなた方はじかに政府当局折衝した結果をお話になつているのであるが、若しそういうところまで政府が肚をきめているのであるならば、私は政府立法措置を講じたならばいいのじやないか。併しそれもいろいろ忙しくてできないならば、もう仕方がないから議員立法でやるよりほかないと考えているのでありますが、漁政部長の見た点は、大体今お話のような段階に進んで、若し議員立法をしなくても、これは議員立法したと同じような結果に運び得るというお見通しがございますか。その点一つ伺いたい。
  18. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この議員立法内容自体は、刻々御検討になつておるようで、私もどういうのが現在内容であるかということははつきりわかりませんが、まあ今までいろいろ承わりました案の内容の一から十まで全部政府行政措置、百パーセント実現ができるかということについては、私は必ずしもそうは考えません。例えば救済の資金でありますとか、いろいろなものがございます。ただ私どもといたしましては、議員立法をお考えになる、その目的相当程度政府行政措置で達し得る、少くともその重要な点は政府行政措置で達せねばならんというような趣旨で運んでおる。重要な点と申しますのは、先ず代船建造資金、船のほうはこれはもう第一に考えたい。それから漁業転換のための回転資金ということ、それからそれはとにかく政府財政資金措置考えられる。そのほかに運転資金でありますとかいうようなものにつきましては、これは制度としてどうこうすると、極めて短期でありますので、財政資金を出すということも又非常にそぐわないことでもありますし、制度としてどうこうするというわけには参りませんが、具体的にこれは金融機関漁業者との取引関係が、そこでもう払えなくなつたといつたような問題が起きて来るわけであります。それをどういう工合支払えるように措置をするかということは、行政的斡旋なり、或いはいろいろ大蔵省当局の指導なりというようなことで大体スムースに動けるような努力はして行きたいという考えは持つております。ただ議員立法の百パーセント、一から十まであすこでお考えになつていることを全部残りなしにやれるかというお尋ねでございますと、それは必ずしもそこまでは参らんかも知れない、こう申上げたいのであります。
  19. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 勿論議員立法もまだ固まつておる節も聞いておりません。今作業をしておると思いますが、只今までお話になつた代船建造及び運転資金のほかに、漁船損害補償法改正という問題が一つあるわけであります。御承知のように、現在の漁船はあの辺に出漁するところの、俗に言う危険水域とでもいいますか、そこの危険水域に出漁する漁業経営者が払つております保険料というものは、先ず普通の損害保険による場合、それから次に特殊保険、いわゆる拿捕に対する特殊保険がある、それから乗組員給与に対する給与保険、もう一つは、三十トン以上の船は強制的に船員保険というものがある、この四つの保険料を払つているわけです。そうして而も非常に危険な水域に出漁しますと、落着いて普通の安全水域操業するようなフルな活動はなかなかしにくい。場合によつては逃げもしなければならんというようなことで、漁業経済というものは今日非常に困つているのです。そこで今回こういう事態が起りまして、危険な水域に入る者はどうしても保険を付けなければ危くていざというときに因る。それを一々政府にその都度見舞金を出せというのもなかなか困難であるので、保険に加入さしてみずからもこれをカバーして行くという制度に持込まなければ困るということは誰が考えても常識なんですが、そういう場合に、今までかかつているものも随分苦労しています。更に保険に入つている者にこれを掛けさせるということになりますと、なかなか漁業経済は困難をずる。従つて掛けたくても掛けられんという者も出て来るわけですが、それを保険に加入さして、そうして漁業者政府危険分担をして行こうというような制度改革考えておるようでありますが、この点については、勿論或る程度政府がこれに助成をしなければなかなかそこまで行かない。助成の途を講じるようにという案も出ておつたのですが、これについては水産庁はどういうふうに考えておられるか。損害補償法改正、特に拿捕の問題と抑留の問題について、保険を或る程度強制する、或いは義務加入制度にするといつたようなことについての政府の是正はどういうふうに考えておられますか。
  20. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 危険水域に出る船は、全部やはり保険に入る、保険制度というものでカバーをして行こうというお考えについては、この趣旨において全面的に賛成でございます。ただその法律上の問題については、いろいろ検討中でありますが、かなり難点もたくさんあるようでありますが、それは別といたしまして、趣旨においては大賛成であります。そこで今御指摘のそういう制度に移行するためには、現在の保険料負担ももつと軽減せねばならないという立場も、私は実情としては誠に御尤もなことだと考えます。ところが今度は、反対側に現在の保険の会計の中身を分析をいたしますと、特殊保険制度が始まりましてから三カ年、この間の保険契約者、つまり漁業者負担と、それから政府負担というものの負担割合をずつと実績をとり調べますと、漁業者負担が三〇%、政府負担が七〇%、こういうことになつておるわけであります。そしてこれはまあ損害普通保険義務加入の場合に、政府が五割、水産業者が、漁業者か五割ということになつておりますが、特殊保険の場合は、政府が七割の負担をしておるという、これは実質上そういうことになつておる。これは勿論特殊保険という特別の制度でありますから、このくらいの負担はぜねばならんということは、我々は政府内部では主張するのでありますが、更に今回それ以上に政府財政負担をして、七制以上に財政負担をするということを、政府内部で実現させる見通しがあるかどうかという点については、私は否定的であります。これはこれ以上、七割以上、八割、九割政府負担をやるという保険制度を作ろうじやないかということになりましても、これはちよつとむずかしいのではなかろうか。先ず見通しとしては、現在の七割という線を守つて行くということが一ぱいのところではないだろうか。最近の状態では、今年度あたりは危険が増しまして、政府負担が非常に増大をしておる状況でもあるので、それでそのような見通しである次第であります。
  21. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 成るほど政府負担が七割というのは相当大きいのでありますが、この特殊保険というのは、以前で言えば一種の戦時保険なんです。従つてこの状態が永久に続くと我々は思つておらない。近き将来に一時も早くこれを解決しなければならない問題と考えておるが、特に本年九月から生じた問題は、従来に考えなかつたところの、いわゆる李承晩ラインの強化ということから起つて来ておるのであつて、これも日韓会談において今後早急に解決するような運びにしなければなりませんが、仮にこの保険に加入しちや漁業経済は持てんから、保険にも加入できない、そういうことであるならば、漁業は成り立たんからあの水域に出られないということになつた場合に、あの厖大な利益を得るところ水域日本政府日本国は放棄するかという問題になつて来るのです。そうして考えて見ますと、現に百五、六十億、或いは二百億という巨利を上げるあの漁場を維持するための政府負担する金というのは、その比重に比較すれば僅かなものだと私は考える。長い間ではなく、僅かな期間であるとするならば、全額国庫が本当を言えば負担して行くべきものじやないか。それをそういうわけに行かないというので漁業者に一部を負担さしているのであつて。これかたとえ八割になりましても、これはもう現在七割負担しているのであるから、それに僅かに一割か一割五分余計負担して見たところで、あの漁区を失うことを思えば大した損失じやない。むしろ大きな利益になるのじやないか。これを漁業者の犠牲によつて守らせるためには、それだけのことを私は当然すべきものであるという観点から、我々は法律改正してもいいのじやないかというふうに考えているわけです。これは水産庁当局としては、大蔵省考え方を非常に忖度しての私は考えじやないかと思うが、実際今日の日本の状態、漁業者の状態を考えれば、私の言うようなことにしてもあえて水産庁は反対するはずはない、こう考える。これはまあおのおのの考え方もありますから、あえて追及いたしませんけれども、我々はさような考えを持つて進んでいることを十分御承知おきを願つておいて、そういう場合には是非協力して頂きたい。ただ水産庁といたしましては、大蔵省からいろいろな予算の面でいじめられるから、大きな額を負担をして行くということは水産庁としては言いにくいことは私も承知しております。併しこれは水産庁だけの問題じやなくて、国家国民の問題であるという大きな見地に立つて考えて強力にやつて頂きたい、こういうことを要望しておきます。一応私はこれで質問を打切ります。
  22. 千田正

    千田正君 政府財政措置ということについて、代船建造資金融資が二十四億くらい出せる可能性があるように前に発表されておつたのですが、現実において公庫あたりはそういう金は出せないと、こういうことを聞くのですが、その見通しはどういうふうに考えておられますか。若しおわかりでしたらお答え願いたいと思います。
  23. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 二十四億というお話は伺つたことがないのでありますが、船の建造資金につきましては、額はなお折衝中でございますが、考え方としては、先ほど申しました拿捕された船に代る舶は政府財政資金で建造できるような工合措置を講ずるということで進めておりますが、その資金の量の細かいことになりますと、例えば今公庫で融資をいたします場合に、船の建造資金支払等については、一遍に払うわけではありませんので、最初の起工の時幾ら、それから進水の時幾ら、こういう工合に分けますた に、一時にじや明日からスタートしたから即日所要資金金額が要るというわけじやなく、建造には、大きい船であればやはり年月をかなり要します。そのようなことで、それじや本年度の第四・四半期の枠はどうだ、来年の第一・四半期の枠はどうだということを判断をして、成るべく一時に余り大きなこう重圧を加えますと、話が元も子もなくなつてしまいます。さようなことで、少くとも業者がうんとスピードを上げて建造してもこの程度ならというようなことを我々内々計算をして、いろいろ関係、高角談をしております。ただ政府財政資金を出すということになりますと、十分、拿捕されましてもほかから、例えば特殊保険等で或る程度資金が入るというようなことで、或いはその企業が非常に優秀な企業であつて、これは当然その資金の融資は楽々付くというような見通しのあるものについては、或いはあと廻しになるとか、これは一応今回はその分は遠慮して頂く、先ず困つておるもの、とにかく造れないものを先に、実際造れないものから先にやるというような措置をこれは講じなければならないと思いますが、ともかく趣旨といたしましては、今度つかまえられた気の毒な方の稼働する船は十分造つて差上げ得られるようなことにしたい、こういうことであります。
  24. 千田正

    千田正君 私の二十四億と申したのは、これはまあ仮に立法措置をするにしろ、しないにしろ、政府として過去のいわゆる拿捕された船で帰れないものは、単にそれは韓国側に拿捕されたもののみならず、中共或いはソ連側等の朝鮮の水域、或いは中共との間の支那海、或いは北洋、こういう方面を含んで大体二十四億くらいというふうに私は聞いておるのでありまして、それでそれは今も言う理り、今すぐに二十四億今日明日に出せというのじやなくて、現実にもう迫られておつてどうにもならないとか、これは順次にやつて行くとしましても、総額はそれぐらい要るのじやないかと我々は想像されるのであります。で、現在それならばすぐにも一体出せる、これだけは出してやらなくちやならないのじやなかろうかというふうにあなた方考えておられる点が、相当あらゆる調査の上に上つて来ておると思いますが、大体どういうふうな数字になるのか。その辺を現在あなた方の考えておられるので結構ですから、御発表願いたいと思います。
  25. 立川宗保

    説明員立川宗保君) この代船建造資金についていろいろ考えておりますその具体的な金額については、なお私からだけではちよつと申しにくいのでありますが、いろいろまあ……、農林省の正面の窓口でもないわけであります。
  26. 千田正

    千田正君 それでは大体その区分けだけでも、例えば北洋関係はどのくらい、或いは中共関係はどれくらい、それから韓国関係はどれくらいと、この三つの区分けぐらいは大体見当はお付きになろうと思いますが、現在要請されておるあなた方のほうの判定は別として、現在要請されておる金額の総額はどのくらい実はあるのでございますか。
  27. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 今のお尋ねは、関係業者から要請をして来ておるその金額のことでございますか。
  28. 千田正

    千田正君 例えばあなたのほうへこれだけは是非やつてもらいたいということをいろいろ言つて来ておるだろうと思います。その総額のうちから、あなた方はこれが不急であるか急であるか、絶対今やらなければならないというふうに、判定の点はあなた方申されないと言つておるのだから、要請されておる点はどのくらいあるのか。それくらいあなたとして発表できると思うのです。
  29. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 具体的に水産庁に対してまとめて幾らということを要求をなさつた資料はありませんが、私どもがいろいろちよちよい伺つておる程度の、耳に挟んでおる程度と申しますか、資料として、こういうものはこれと言つてまとまつたものは出ておりませんが、その程度の資料を記憶を辿つて申しますと、韓国関係においては、代船建造資金が四億でありましたか、四億五千万でありましたか、それから中共は、かなり底曳船の大きな船が多いので、金額はかなり張つたように思いますが、金額はそのようなものでありまして、ちよつとまあ伺つた程度のことではつきり今記憶をいたしておりません。
  30. 千田正

    千田正君 そうしますというと今まではあなたのほうに判定の資料はないというわけですか。私は恐らく各県からいろいろな要請があると思うのです。それを総合して、勿論拿捕された船ばかりでなく、老朽の面もあるだろうし、或いは転換の面において代船を必要とするものもあるでしようが、少くとも私は被害を受けたところの業者なりから県を通じて水産庁に対して要請があるはずだと思うのです。それらの集計がなかつたならば、どうして判定できるかというと、判定できないではないですか。
  31. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 拿捕されました船のトン数判定能力というようなものについての資料は全部持つております。で、その船価につきましては、これは保険に入つておりますものは、私どもに資料がございます。保険に入つておりませんものは、正確な資料は私どもは必ずしも持つていないわけでございます。それでただ李承晩ライン関係につきましては、さばの漁船でございますとか、はね釣の船でございますとかいうようなものについては、推定の船価と申しますか、見当を付けた資料は集めております。ただ各県から代船建造について、或いは各業者から代船建造について、これだけの金額が欲しいのだという資料を全部集積して出しておるかということになりますと、それは頂いておらん、こういうことであります。
  32. 千田正

    千田正君 そうなると非常に僕は疑問だと思うわけですね。先般仮にあなた方の関係から言えば、大蔵省に向つてこれだけのものは必要なんだ、これを出すようにということを要請しておつたはずだと私は思う。それからそれがすぐには財政措置ができないからどうしても出せないとすれば、立法措置をとらなければならない。政府提案にするか、議自立法にするかという問題が現在さだかになつておる今日、その関係行政官庁であるあなたのほうではどれだけ必要だという資料がないというのは我々納得できないのですがね。それじや、何を以てそれならば政府に対して何億の支出を要求し、或いは業者に向つてこれだけの枠がどうやら取れそうだからという安心感を与えるとか、それならば今度の仮に議員立法においてはどれだけの、いわゆる初年度における要求額はこれぐらいだということの具体案ができなければならないはずなんですが、そういう問題に対してはどういうお答えをする考えでおられるのですか。
  33. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 代船建造についてこれだけ要るのだということを関係県から、或いは関係業者からまとめて積上げられた資料はないということを申上げたのでありますが、そこで我我といたしましては、それはなかなかまとまりませんために、やはり作業の方法としては、現在手許にあると申上げましたその資料、先ほどの資料、これに基いて我々のほうの判断で作業をするということをその過程ではとらざるを得ない。そこでそのような我々のほうで従来の経験から、それから現在拿捕された船の一々について集めている資料から判断をして、代船建造の所要資金というものを我々も作りまして、その手続を進めておる、こういうことであります。
  34. 千田正

    千田正君 私どもは今日においても、仮に現在衆議院においてこの問題についての議員立法慎重審議しておる。仮に衆議院がこれを通過しまして、或いは仮に本会議を開かなくても、この当委員会あたりに共同審議を申込まれて来た場合において、我々はそれの裏付けとしてのいわゆる予算措置に対してその資料をあなたに要求した場合に、直ちに出さなければ、この問題は立法措置としての効果を収めることはできないのですが、今日は仮に土曜日としても、月曜日には又我々水産委員会を開いてこの問題を討議しなければならない、明後日でもそういう資料ができるという御自信がおありですかどうですか、この点はどうか。
  35. 立川宗保

    説明員立川宗保君) それでありますから、我々の計算をしておるいろいろ前提をおいたこの作業の資料ですね、こういうものは勿論あるわけでございます。勿論できるわけであります。ただ具体的に本当に現実に積上げられた資金は、それはいろいろ業者の御判断があると思う。ただ政府としての判断をして、これくらいは出さなければならん、或いはこれくらいでまあいたし方ないのじやないか、こういう資料は私どもは当然これは作らなければなりませんし、提出もしなければならないと思います。
  36. 千田正

    千田正君 そこでさつき、これは秋山委員のいわゆる理論と、それからあなたのいわゆる水産庁代表としての理論との間の食い違いが我々も認められるのですが、それは例えば七〇%くらいは政府の支出になつておる、これが最高の支出だ、これ以上は余り出したくないという観点で水産庁としはお考えになつておられるようでありますが、秋山委員の言うように、これは現に日本のいわゆる政治の貧困から生れて来たところの損害を、苦しい漁民に圧縮して、漁民はそういうしわ寄せをこうむらなければならん、漁民の犠牲の下に日本の権益を守らなければならないというこんな貧弱な政治はどこにあるかということを我々は言いたい。そこで仮に七〇%なら七〇%あなた方が引受けなければならない、仮にそう思うという観点をお持ちであるとするならば、それだけの資料がなければならんはずだ。例えば今業者から十億の要請がある、その十億の要請は我々としては呑めない、これを七億なら七億でやる、こういうあなた方の御判定があると思うのですが、そういう資料がなければ、行政官庁は何をやつておるんだ、こう我々は言いたいのです。今までの被害総額がわかつておらなければならん。仮に去年にしろ、一昨年にしろ、ソ連に抑留されて帰つて来ない、没収された、中共側にも没収された、こういうものがすでにあなた方のほうにわかつているはずです。そのわかつているはずの数字の何%を一体出すかということは、これからの判定なんでしようが、今までの拿捕された船舶、仮にそういう問題か、今度の立法措置、或いは立法措置の前にあなた方が何とかしてやらなければならないという判断の基礎資料というものは、水産庁としては当然持つておるはずだと思うので、その資料を我々は発表して頂きたいということをあなたに言つているのであつて、それによつてあなた方をどうというわけではないのですよ。我々の判断の資料に供したいと思つておるのであるから、その点はどうなんですか。明後日なら明後日我々に発表できますか。こういう基礎資料がなかつたら何にもならんじやないですか。
  37. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 或いは私は御質問を多少誤解してお答えをしたかも知れません。それでいろいろお話があるのかも知れませんと思いますが、これは我々のほうとしてどのくらいの代船建造資金が要るのである、或いはどのくらいの代船建造資金で線を引かなければ、ちよつと今の状態としてはむずかしいのじやないかというようなことは、これは勿論いたしておるわけであります。ただそれじや、各地方から、或いは業者から要望のあつた数字はどうだ、こういうお話でありますと、それを全部集積したものはない、かようなつもりで申上げたのでありまして、多少私が御質問を誤解をしてお答えをしたのかも知れません。その点御了承願いたいと思います。
  38. 千田正

    千田正君 ですから私の質問したのは、明日にも仮に法案が通過して、議員立法の法案が通過して、これの予算の裏付けを当然政府に要求しなければならない、そういう場合の基礎資料としてあなたのほうで持つている一体水産庁方針というものは、仮に議員立法された場合には、こういう方針で行きたい、こういう基礎の資料はあるはずだ。だからその資料はどういうふうなのかということを私は聞いている。ないということになるというと、私らも今言つたように各県からの要請があつたのだろう、或いは業者からも要請があつたのだろう、そういういろいろな資料が仮に十分まとまらなくてもあるはずだ、それを今勉強しておらんはずはないじやないか、こういうことであつて、それはあなたの御答弁がそうだつたから言うのです。私の聞きたいのは、明日にも今日にも議員立法で上つて来たなら、その裏付けとしてこれこれの経費が必要なのだということを政府に要請しなければならない、そういう場合の、今水産庁として国会で質問を受けた場合には答えなければならない、そのための一体基礎資料があるのかないのか。あるならばその数字はどういう数字なのかということを私は聞いているんです。おありがどうかということを私は聞いているんです。仮に今衆議院で審議中の法案が通過した場合において、法律内容を見なければわかりませんけれども、大体今までの各議員の質問なりに対して、あなた方が対処方針を決定しなければならないという気持ちの上で考えておられるその基礎資料だけは、当然水産庁でお持ちのはずであると思います。それでなければ、大蔵省に対してだつて折衝のあれに入れないのじやないかと思います。あなた方が、今まで立法をしなくても、何とかしてこの問題を解決したいと思つて大蔵省当局折衝した数字だけはあなた方はお持ちのはずだと思います。それは全然数字もなく折衝したわけでもないのですか、どうなんですか、その点は。
  39. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 私どものほうで持つておりますのは、拿捕された船に代るべきものを建造する場合にこれぐらいのものがかかる、そうしてそれに対して融資を政府考えるという金額はこの辺が精一ぱいであろう、だからここまでは欲しいという数字は勿論あるわけでございます。
  40. 千田正

    千田正君 あるのですね。それを聞いているんです。それを発表してもらいたいというのです。それに対して国会に陳情がたくさん来ていますよ。そしてあなた方はいわゆる関係官庁としてはこういうふうに折衝している、ところが現在の経済情勢ですから、それじや足りないのだからもう少し出してくれとか、こういう陳情はたくさん来ているのであつて、今度は国会議員の立場としては、当委員会としてはその点をいわゆる比較して、現在の国家が持つている予算というものと見合いながら我々はやはり政府と十分折衝もし、あなた方とも十分協議して、この問題を解決して行かなければならない。これはあなた方をいじめるとか何とかいうのじやなくして、むしろあなた方の仕事により以上に協力してやつて行きたいという気持から私は聞いているのであつて、その点でそういう数字の発表ができるかどうか。これは当然私は衆議院から送付されて来るこの内容検討と同時に、水産庁対処方針として、そうした数字の提供を私は要望しますので、その前に漁政部長としては、十分それに答えるだけの資料は集めていてもらわなければならない。そういう御準備は勿論できることと思いますけれども、今私の言つているのは、あなたの今まで水産庁として大蔵省折衝しておつたところの一体基礎資料を御発表できるかどうかということを私は言つているのであります。これ以上オーバーするとかどうとかとうことは、これは国会の陳情とかいろいろの問題がありますが、それはそれでお互いにこれは多いだろうとか、少ないだろうとかいうことは将来にかかる問題であつて、現在の問題としては、今までの大蔵省との折衝過程において、水産庁が見込んでいるところの数字がどれだけだろうかということを私は聞いているのです。
  41. 立川宗保

    説明員立川宗保君) その数字は当然これは御説明をすべき数字だと思いますが、只今ところでは、今日は差当つて準備不足で参りましたので、その点は只今説明する材料は今手許に持つておりません。
  42. 千田正

    千田正君 それですと、この次の委員会において、当然今の法案の内容は大体は見当付きますので、そのうちに例えば代船建造の面、或いはこの漁夫或いは船員等に対る何らかの形において救済の方法に対する面、或いは返還に対するところの予想さるべきところの面、重要な大体基礎になるところの、重点になる裏付けに対する資料を私は水産庁に要求いたします。当委員会でも委員長からも、その点を御要望願えるかどうかということに対しては、委員の各位にお諮り願つて水産庁に正式に申入れを願いたいと思います。
  43. 森崎隆

    委員長森崎隆君) 承知いたしました。
  44. 立川宗保

    説明員立川宗保君) その際に、只今お話の際に船の建造資金或いは改造資金というものは、これは先ほど申しましたように、政府で財政支出をするというような関係の基礎となる以上、これはいろいろ計算をいたしおるのでありますが、さて、運転資金でありますとか、或いは旧債でありますとか、このようなものは政府の財政資本を出してどうこうするということは考えておらないのであります。で、これは斡旋、或いは大蔵大臣の金融指導というような方面の措置として考えておりますため、これは金額が幾らということはございませんから、その点はこの際申上げておきたいと思います。
  45. 千田正

    千田正君 金額が幾らということはあなた方としては言えないということのようですが、併し先般国会政府側が発表したがごとく新聞社から発表されておつた例えば五万二千円というような数字はどこから出て来たのです。私は水産当局なり、大蔵省当局なりがああいうことを考えていなければ新聞に出ておるはずがないと思う。ああいうのは一体それじや何ら見込なしに、救済資金はどう出すというようなことをあなた方は考えておるのですか。今のお話であると、そういうことは発表できないというけれども、すでに新聞が発表しているじやないですか。恐らく水産当局か大蔵当局がそういう考えでいなければああいう発表は出るはずがないと思うのだが、そういう点は漁政部長、どのようにお考えですか。
  46. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 今の、従来の債務でありますとか、運転に必要な資金でありますとかいうようなものは発表できないということではありませんでして、私どもの手許にそのような資料か作られないわけであります。と言いますのは、これだけの金額が所要であるから、それを財政資金で出すというような措置考えておりませんので、これが現地で支払期限に到来をして実は払えないと、それを金融機関で、その金融尻をどうするかというような問題が上つて来る際に、その問題を一件々々片付けて行くという、何といいますか、筋道を付ければよろしいんだという考え方でありますために、幾らの金額が必要だかということは、政府行政措置の基準としてこれはあれば結構でありますが、それはつかみにくいし、又それをつかむわけにもなかなか行くまいというために、そのような資料はないわけであります。これがあつて発表いたさないというわけではないのであります。
  47. 千田正

    千田正君 ないのを出せというのではなしに、又とるのには到底不可能なものを出せというのではないので、できるだけ今度の法案の対象になるような資料は準備して頂くということを特にこれは要望しておきます、その点は。これはなぜかというと、あなたのほうでは水産統計というものをどこの関係でとつておられますか。私は恐らく農林省の統計所が各県にあるはずであります。そういう所に対して、特別あなたのほうではあらゆる稼働力を発揮さして集めることができるのじやないですか。そういう点は如何ですか。恐らく農林省は単に米穀であるとか、野菜であるとか、そういうことばかりではなしに、水離統計に対してもやるべき統計出張所というものがあつて、それを恐らく水産庁としても出しておると思いますが、その点は全然ないのですか、そういう点は。
  48. 立川宗保

    説明員立川宗保君) 水産統計の資料が集まつて参りますのは数カ月を要します。それは、漁獲高統計は勿論これはあります。ただ漁獲高は数カ月遅れますが、上つて来ますけれども、債務或いは資金ということになりますと、これは運転資金が個々の業者についてどうだこうだということは非常につかみにくいのであります。これはちよつと現在の農林省の持つております統計調査組織ではつかみ得ないと思います。こういう工合考えます。
  49. 千田正

    千田正君 どうも漁政部長は非常に固くなつて御答弁を願つておるので、これは議論になつてはいかんので、いつまでこれをやつたつて時間がかかるばかりですが、私どもの必要なのは、当面の問題として今早急にでもやらなければならない問題を抱えておるのですから、これに対応して、仮に十分な資料が今すぐに集められないということであつても、全力を挙げて我々が要望する方向に向つてお答えを願うように特にお願いをしておきます。
  50. 森崎隆

    委員長森崎隆君) ほかに御発言ございませんか。  それでは今日はこのあたりで閉会したいと思いますが、その前に御相談いたしておきまするが、只今の御質疑の中にもありましたように、衆議院水産委員会で代船建造に対する融資、利子補給その他に関係する議員立法の問題が取上げられておりますが、まだ内容は承わりませんけれども、大体内答を検討した上で、できますれば、衆議院水産委員会と行動を共にして行くようなことになりはしないかと思います。それで甚だ年末でお忙しうございましようが、明後日午前十時から委員会を開くことにいたしておきたいと思いまするから、せいぜいお繰合せ御出席願いたいと思います。  なおその際、行政機構の改革に伴いまして、水産庁の機構にいろいろ変化があるやに新聞にも出ておりますので、特にこの問題につきまして農林大臣、又行政機構関係の緒方副総理その他の方々の出席を特に求めておきたいと思います。念のために。この問題につきましても、できますならば御出席を頂きたいと思います。  それでは今日はこれを以て閉会いたします。    午後零時八分散会