運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-02-18 第19回国会 参議院 厚生委員会国民生活改善に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十八日(木曜日)    午前十時二十九分開会   ————————————— 昭和二十八年十二月十日厚生委員長に おいて本委員を左の通り指名した。            中山 壽彦君            高野 一夫君            廣瀬 久忠君            林   了君            山下 義信君            藤原 道子君            有馬 英二君 同日厚生委員長において左の者を正副 委員長に指名した。    委員長     中山 壽彦君    副委員長    山下 義信君   —————————————   委員の異動 十二月二十日委員林了君は死去され た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 壽彦君    委員      高野 一夫君            廣瀬 久忠君            有馬 英二君   担当委員外委員            湯山  勇君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    文部省管理局学    校給食課長   岩倉 武嗣君   参考人    東京教育委員    会学務部学校給    食課長     釜井己之助君    東京中央区日    本橋東華小学校    長       斎藤 英夫君    東京小学校P    ・T・A協議会    会長    全国学校給食推    進協議会会長  塩沢 常信君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○学校給食に関する件   —————————————
  2. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 只今から国民生活改善に関する小委員会を開会いたします。  本日は国民栄養改善に関する立場から学校給食に関して参考人方々の御出席を願い、おのおのおの角度から御意見を拝聴いたすことになつております。参考人方々にはお忙しいところおいでを願いまして、誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。ではあらかじめお願いいたしておきました通り学校給食の現況と将来の見通し、並びに要望事項等について参考人の各位から順次御意見の発表をお願いいたします。議事の都合上、各参考人方々の御意見が終りましてから、各委員の御質疑を願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 御異議ないと認めます。それでは先ず岩倉さんから御発言を願います。
  4. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 文部省学校給食課長岩倉でございます。学校給食のことにつきましては平素非常にお世話になりまして、この機会を借りまして厚くお礼申上げます。学校給食現状見通し等についてお話を申上げるわけでございますが、御承知のように学校給食戦争の前から実施されておりましたものでございますけれども戦争中一時中止されまして、戦後更に米軍等の好意による物資などによりまして発展を見て参つたわけであります。ところが御承知通り昭和二十七年の四月から今度は御父兄負担に非常な増加を来たすことになりましたので、給食人員も大分減少して来るという傾向が出て参つたのであります。と申しますのは、従来小麦粉にしましても又ミルクにしましても、無償でもらつたり非常に格安のものをもらつてつた関係で、急速に発展を見たのでありますが、二十七年の四月から小麦粉が先ず原麦の半額だけを国がみるということになりましたし、十月からは今度はミルク全額父兄負担に切換えになつたわけであります。かような事情で、父兄負担学校給食の消長を決するとまで言われているような事情から、減少を見るという傾向になつて参つたわけであります。昭和二十六年の最高の人員は七百数十万を算しておつたのでありますが、これが二十七年の九月頃には六百二十万見当に減つて参りました。勿論減りましたのは、都市部中心として行われておりますいわゆる完全給食減つたのではないのでありまして、ミルク等によります補食給食減つたのでありますから、従つて給食中心をなす完全給食については、まあ二、三十万見当の増減はありましたけれども、何はどの大した影響はなかつた、かように考えております。そこでその後どういうふうになつて参つたかと申しますと、この傾向は二十八年の七月頃まで持続いたしまして、昨年の七月当時におきましては、大体五百四十万人見当なつたと考えられるのであります。ところが昨年は御承知のように、六月から八月にかけまして数次に亙るあの水害と、そうして水害に続く更に冷害というようなことから、日本食糧事情は御承知通り非常な変化を来たしました。この関係から従来補食給食をやつておりました学校も、又全然給食をやつていなかつた学校も新らしくいわゆる完全給食標準食であります完全給食を始めようとする傾向が各地に起つて参りました。最も顕著な例を申しますと、冷害地におきましては、長野県その他数児等におきましては、県議会において県下の食糧対策としての立場から、全知の学校補助金等を交付して施設整備し、その上完全給食を開始しより、こういう傾向が生じて参つたのであります。文部省におきましても、これらにつきましては早速小麦配給等、遺漏のないように農林省と相談をしまして、手配を進めたのであります。  さて、それではこれが数の上でどういうことになつたかと申しますと、……それともう一つは、これに関連して申上げたい点は、水害地及び冷害地に対しては、特に国際連合ユニセフから脱脂ミルク寄贈を受けることになりまして、西日本水害地約四十万の子供、その次に十三号台風地域の約二十万、それに続いて冷害地域の六十数万、合計百二十数万の子供たちに対しましてユニセフミルク寄贈がありましたので、更に先ほど申しましたような事情に対する救援の策として非常な意味を持ちますと同時に、まあ拍車をかけるという傾向なつたわけであります。この点は非常な感謝を持つて考えたのであります。なお御参考に申しますが、保育所ミルクにつきましても併せて行われているのでございまして、そのミルク文部省のほうで一括して手配をしているわけでございます。お含みおき頂きたいのでございます。かような事情でございまして、二十八年の九月には大体五百五十三万人、そのうち完全給食が約四百万、それが十一月の調査によりますと、これは一日現在でありますが、更に殖えまして五百七十万、そのうち完全給食が四百二十五万、小麦需要が急に殖えて参りました。先ほど私のほうで全国会議を開催いたしましたのでありますか、二月一日現在で、そのとき速報を以つたのであります。その資料によりますと、この数は更に飛躍いたしまして六百四十万人ということになつておりまして完全給食の数は四百五十六万というふうに急上昇しているのであります。  こういうふうになつて参りましたが、大体の事情を申しますと、従来は都市において主として行われた完全給食が、漸次農山村、要するに町村部、特に農山村に向つて発展しつつあるということでございます。又この一つ原因として、原因と申しますか、関連する事項として申上げたい点は、冷害地水害地に対しましては、学校給食施設のために約五千万円の施設設備費補助農林予算のほうで組んで出して頂いたのでございます。特に冷害地におきましては、製パン設備製麺設備、これは農山村におけるものでありますが、に対する補助と関連して、学校においてそのパンを使い、或いはミルクを使う、こういう意味調理室その他を整備するための予算を付けて頂いたのであります。五千万円の予算が出ましたので、これも又非常に完全給食への移行を促進しつつある。ユニセフと共に非常に有難いと考えているのであります。  大体そんなふうでございますので、この先どのくらい伸びるかという問題は、今のところ明確でございませんけれども、ともかく食糧事情関係と、又給食に対する本当の意味の理解が漸次深まつて参つたことを看取ることができ得るのでございまして、二十九年度予算の中にも、今度は文部省予算に五千万円の学校給食施設整備費補助予算が計上されておりますので、併せて考えます場合に、更にこの傾向は来年度においても持続するだろう、特に完全給食増加が続けられて行くだろうと考えるのであります。  大体こういう状況にありますが、なおお手許に差上げました昨年の四月にこしらえました学校給食発展とその現状というのには、昭和二十七年度十一月現在の詳しい資料が上つておりますので、給食実態一つ御覧頂きたい。又同時にその中に給食発展経過等も概略挙げてありますので御覧おき願いたいと思います。  それからもう一つ学校給食概要とございますのは、沿革を簡単に書きましてそれから学校給食実施方針を挙げました。そうして昨年の二十八年の十一月の実態調査の結果を極めて概略、これはラフな数字でありまして多少変化が起ると思いますが、取りあえず出したものでありますから併せて御覧を頂きたいと思います。  そこで現状に関連してちよつと申上げますが、文部省学校給食指導についてはどういうことをしておるかということをかいつまんで申上げてみたいと思うのであります。先ず、学校給食教育的な立場からどうしておるかということでありますが、一昨年の秋、昭和二十七年の秋でございます。学校給食中心とする学習指導という教師の手引書を作成いたしまして、これを全国学校給食をやつております学校には勿論でございますし、又その他の学校につきましても成るべく活用するようにというふうに指示をいたしまして、いわゆる学校給食中心として教育的に如何に活用することができるかという立場から、子供たち指導の面に活用しているわけであります。昨年の秋全国の三会場におきましてこれの研究集会を行なつたのでありますが、それらの成果から見まして、かなり給食の問題が教育の中に深く溶け込んでその効果を示しつつあるということを十分に看取できるのでございます。  それから同時に、給食をいたしますのに給食の食物の内容の問題については厚生省等の非常な御助力を得ておるわけでございますが、その栄養管理の問題につきましては、御承知のように一昨年栄養改善法が出ました関係もございますので、特に栄養管理の問題を取上げまして指導者講習会を昨年も全国会場でやつておりますが、この面から給食内容を十分に基準を満し得るように、基準をむしろ上廻るように指導をして参りたい。而も経費は非常に負担の上で問題になりますので、最も格安に参ることを念願して指導に注意をしておるのでございます。この学習指導の面と栄養指導の面と両方を車の両輪のごとく又表裏一体の形にして給食指導をやつておるのでございます。なお、給食施設であるとか、或いは設備であるとか、又はその他の一般的な運営の問題につきましては、かなり軌道に乗つて来ているものと見られるのでございますので、目下のところ主としてこういう方面重点を置いて内容の充実、質の向上というところに重点を置いて指導をいたしておることを御承知頂きたいのであります。  大体現状なり当面の見通しをそのくらいにいたしまして、その次に二十九年度の予算はどうなつたか。又御承知のように法制化の問題を非常に強く要望されておりますが、このことはどう進んでおるかということをかいつまんで申上げてみたいと思います。二十九年度の予算は、食生活改善意味におきまして、前年通り農林省予算において小麦玄麦半額を国が持つて頂くという趣旨におきまして約十七億円の予算が計上されております。なお小麦ミルク共に、申上げます中には、厚生省保育所の分が入つておりますことを御承知願いたいと思います。金額は僅かでございます。そこで小麦の十七億という額は、どういう額であるかということを御承知頂くために、前年と比較いたしますと、前年は十五億六千万でありました。従つて金額においては一億四千万の増になるわけでございますが、前年度におきましては人数が必ずしも殖えませんでしたので、先ほども申しましたような状況から、七月なり九月頃までの人数で本年を経過するといたしますならば、恐らく数億の剰余を生ずる結果になるだろうと考えられるのでありますが、先ほども申しましたように九月、十月頃から漸次給食実施人員増加いたしまして、小麦需要が殖えましても、予算は大体一ぱいに使えると思つておりますが、決して、何と申しますか、不足はいたさないだろうと考えております。それに対する十七億ということをお含みおき願いたいと思います。それからミルクのほうは価格の補助いろりろ要望されて参つておりますし、文部省といたしましても強く希望しているのでございますが、やはり前年度と同じ方針ミルクを買入れます資金利子を国が持つ、国が補助する、買入資金利子補給ということになつておりまして、この予算が五千八百万上つております。これは前年に比べますと約一億円に対する五千八百万でございますから、多少減つておりますが、二十九年度におきましては比較的安いものが買える見込みでございますので、資金繰りの上では相当有利な立場に立つと考えておりますから、この予算で十分間に合うと思つております。文部省予算におきましては先ほど申しましたように施設設備費補助予算が五千万円、これは一校当りにいたしますと非常に少額でございますけれども、約五百校を目標として整備をする予定でございます。そのほかにもう一つ三として脱脂粉乳を、先ほど申しましたミルクと申しますのは脱脂粉乳のことでございますが、脱脂粉乳を現在取扱つております財団法人日本学校給食会に対する委託費の形になつておりますが、そういう経費が四百万円上つております。これは前年度と大体同額でございます。これが大体給食に関する主な予算でございまして、一般の行政的な経費は勿論このほかにございますけれども、この際申上げないでおきます。そこで予算はこういう状態でございますが、いわゆる学校給食法案はどういうふうに進んでおるかと申しますと、文部省におきましては先頃来政府提出予定をいたしまして、省内でいろいろと検討を進めて参りまして、現在関係各省と逐次お話合いを進めつつある段階でございまして、一日も早く各省との打合せを終つて提案の運びになるようにということを念願いたしております。なお多少の時日を要するぴとも考えております。まあ従いまして法案内容につきまして詳しいことを申上げます自由を持つておりませんのですけれども、大体の構想を申しますと、まあ目的とか定義であるとかということにつきましては大体型のように書きまして、大体の行き方としまして補助法的なものになると考えておるのであります。その内容先ほど予算で申しましたように、小麦粉玄麦の二分の一を国が持つということで食管特別会計のほうでお扱い頂くことになつておりますが、これはそのままにいたします。又一応施設設備補助を挙げておりますので、こういう点にも触れることに予定しております。そのほか給食用物資供給等について十分有利な条件で学校のほうで融資ができるように計らうためのいろいろの関連の規定を設けるように考えておるわけであります。経費負担の点とか、いろいろまあ書いてございますが、御承知通り政府提案となりますと、現在の予算が一応の対象となりますので、先の見通しにつきましては余り積極的な態度で書けない事情もございますことを御了承頂きたいと考えます。なお、給食の制度を法律によつて非日常に明確にし、そうしてその基礎を固めて行くということは非常に必要なことでございますと同時に、その裏付となります財政援助の骨子を明確にしておくということにつきましては、私たちといたしましても非常に強く念願しておることでございますので、ともかくこの際そういう第一歩を踏み出す意味で、法律をこさえて漸次皆様方の御協力によりまして整備して参ることができましたら、大変好都合であります。若しこの法律が今度実現いたしますならば、先ほど申しましたような傾向に対しましては、更に一段と給食の質の向上人員増加、従いまして食生活改善の実も挙げ得ることになるであろうと、大いにまあ期待をいたしておるわけであります。  まとまりのないことを申上げましたが、なお御質問に応じましてお答えいたすことにいたします。
  5. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) それでは東京都の教育委員会学校給食課長釜井さんにお願いいたします。
  6. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) 東京教育委員会事務局学校給食課長釜井でございます。  東京都では昭和二十一年十一月の文部、厚生農林次官共同通牒によりましてこの学校給食を開始いたしまして、それ以来非常に発展して来ております。数的にも質的にも非常に発展して来ております。数のほうから申しますと、公立学校八百十九のうち八四%七百二十四校が実施いたしております。但しこれは区部の二十三区のほうが非常に多うございまして、二十三区が約九五%、それから郡部のほうは三七%にしかなつておりません。こういうふうに偏頗な状態になりましたというのは、まあいろいろ事情もございましようが、昨年の秋頃から郡部のほうが非常に熱意を持つて給食を実施いたしたいという希望を持ち始めましたことは、昨年新聞に給食法案というものが提案されてこれが確定されるというようなことが伝わりましたので、それならば一つ腰を入れてやろうじやないかというような気分を持ち始めたということを、私昨日も府中の町に話に参りまして承わりました。これは相当父兄負担がかかりますので、不安定の施策に対しては若干足踏みをしていたのではないかというような点も考えられます。勿論その他の事情もあるように存じます。  只今私のほうとしましては文部省の御方針に基いて、教育一環としてこれを取り上げて実施いたしております。その成果は着々と挙つて参りまして、各区では教育一環として、つまり学習活動の中にどのようにこれを融け込まそうかということについて自主的に委員会作つて、その指導要領などを研究いたすような機関を作つております。これがあちこちにできて参りました。東京都の教育委員会におきましても、そういう各区研究基礎といたしまして、都としての学習指導要領を作るべく只今研究中というような状態であります。  それから栄養面でございますが、これは文部省の示されました規格によつてその内容を充実するように指導いたしておりますが、その成果につきましては、昨年の六月から七月にかけまして東京都の衛生局が調査いたしまして、対象校は二十三校で、千百五十人ばかりの児童につきまして調査いたしましたその概要を申上げますと、栄養的に非常によろしい。殊にカロリーの点、動物蛋白摂取量等については申し分ない。が、カルシウムとそれからビタミンのB、Cについて若干不足を来たしている。その点注意するならば誠に好ましいものである。それからそれと同時に調査いたしました結果によりますと、パンを好む者が非常に殖えて来ております。男子のほうでは九〇・六%がパンを好む。それから女子は八四二%がパンを好む、こういうような統計が出ております。それからこの調査長期に亙りまして一日の食生活全体に亙つて調査いたしておりますので、一日の総摂取量というものを調査いたしておりまするが、その総摂取量食糧構成中の小麦粉摂取比率でございますが、これがこの児童たちは全穀類に対しまして男子は四九・一%、それから女子は五一・三%というような小麦粉摂取比率を示しております。これはこの報告によりますと、国民栄養調査比率の四倍以上に当るということを報告しております。まあ栄養面におきましても又食生活改善の面におきましても、かなり徹底して来ているものと私どもは少し自負いたしておるわけであります。  次に保健衛生の面でございますが、これは保健と申しましても成長発育のほうでございますが、これは誠に申訳ないのですが、はつきりした数字只今つておりません。但しこういうことがございます。都内の学校を借りて口角炎調査をいたしたいという或る学者からの申入を受けましたが、口角炎児童を探し出すのに非常に苦労いたしました。漸く給食長期に亙つて休んでおります学校を見つけまして、そこで口角炎児童をやつと探し出したという実情から御推察頂けるものと思います。  それから衛生面におきましては、これは二十八年度中、まだ一カ月ほど残つておりますけれども、二十八年度中におきましては給食原因とするところの法定伝染病は一人も出ておりません。昨年中大分東京都下における奇病というので騒がれましたけれども、これは果して給食が責を負うべきかどうかということは私どもまだ納得行つておりません。法定伝染病はまだ一人も出ておりません。そういうような成績を挙げております。  以上のような事柄から見まして、一時世論の一部にありました給食を継続すべきか否かというような巷の声は、只今のところ、私ども公聴部がいろいろ各方面を廻つて来ておりますが、只今のところ殆んど出ておりません。父兄が非常にこれを支持している、私どもはそういうふうにとつております。勿論都議会のほうでも非常にこれを重要な施策として取上げております。そのためいろいろな形で以て都費をこれにかけておりますのが約四億七千万円ございます。これだけいろいろな形でございますが、一例を挙げますと、小学校給食費、それから指導費とか、或いは簡易失業対策事業による費用として計上しまして、その人を給食の作業に廻す、それから支払困窮者に対して補助をするというようないろいろな形で以て約四億七千万円計上しておるようなわけでございます。  このように各方面の非常に強い支持を受けまして着々とこれが充実いたして参つておりますが、地方庁といたしましては、これだけの金を出しますにも法的根拠がございません。単に次官通牒を以てこれだけの事業をいたしておりますので、それがいろいろな面に響きまして非常にやりにくいという点は申上げられると存じます。  まあ要望といたしましては、是非これを軌道に、これだけ事実上軌道に乗つておりますので、法制化して頂きまして、そうして教育一環として行われる以上は、是非全部の子供がこのよい施策の恵みを受けるように御考慮頂けるならば非常に幸いじやないか、こう考えております。
  7. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) では次に東京中央日本橋東華小学校長斎藤さんにお願いいたします。
  8. 斎藤英夫

    参考人斎藤英夫君) 私は中央東華小学校に勤めております斎藤英夫でございます。私は自分の学校の現下の実態につきまして申上げたいと存じます。  私の学校は一週五回の完全給食を行なつておるのでありますが、その歴史と申しましようか、それは昭和二十四年の十月にユニセフ給食のモデル・スクールに指定を受けまして、そのときに何かと、特に都並びに区の補助を頂きまして施設をいたしたということに始まつておるのでありまして、今日におきましては、只今釜井課長さんのお話もありましたが、学校給食軌道に乗つているという点から考えますと、私ども勿論理想ではございませんが、相当に実績を挙げているのではないか、こういうように思つておるのであります。  で、給食費は三百五十円でございます。中央区といたしましては三百五十円の学校が一番多いのでありますが、物価高によりまして三百五十円で今まで賄つてつたところもやり切れないというので四百円に値上げしたところも数校あるようでありますが、私のところではとにかく三百五十円でやれるだけやつてみるというので今日やつております。  当校の特色といたしましては、バンを学校で焼いております。これも文部省並びに都の御指導によりまして、給食パン規格といたしましては相当に優秀なものが焼けているように思うのであります。パンの批判展示会、抜き打ち的な批判会におきましても優秀であるというお褒めを頂いておりますので、相当自信が持てると思うのででございます。それから昨年の八月の長期の休暇を利用いたしまして、できるだけこれを機械化いたしまして、科学的な、合理的な能率化を図つたというところが当校の一つの特色であると思われるのであります。そもそも最初ユニセフ給食のモデル・スクールになりましたときに、都、区並びにP・T・Aが百五十万ほどかけまして施設いたしたのでありますが、三年余使いまして誠に時勢に副わないものができましたし、非科学的なものも非合理的なものもありましたので、八月に約百万円を投じましてガス・レンジその他ミルク攪拌機、いろいろと機械化をいたしましたのでございます。  そういうこともありますので、全国各地から参観のかたが見えております。九月からの統計によりますと、日平均四人或いは五人の参観人が参つております。これが特殊な学校でありますれば多くの参観人もありますが、一般の公立学校といたしまして、特に学校給食施設、或いは学校給食教育実態を参観されるための参観人が多いのであると思うのでありますが、これ又学校給食に対しまして社会が非常に関心を持つているという一つのバロメーターとすることができると私は信じまして、できるだけ御説明を申上げておるのであります。  次に父兄学校給食に対しまする輿論の一端を申上げたいと存じます。当校におきましては完全給食を希望しておるものが八〇%を超えております。あとの二〇%はどういうものであるかと申しますというと、それは決して給食を希望しないというのではありませんで、地域社会性から考えて飲食店が非常に多いのであります。そういうところで食生活においては割合に美食主義をやつておりまするので、学校給食がもつと金をかけておいしいものを食べさせてくれるならば学校給食は大賛成であると、こう言うので、むしろもつと学校給食に金をかけてもらいたいというような希望を持つものがあるのであります。併し現在の学校給食に対しては八〇%以上の輿論が支持をいたしております。  今申上げましたことと関連いたしまして、経費負担面から申しますというと、現在もつと多く金を出して、もつとおいしいものを食べさせてもらいたい。そのおいしいという父兄の概念も、これは問題になると思いますけれども、それが九〇%を超えております。そんな状態なつている。併し一面この給食費負担に困るというものもないわけではございません。当校が戦災を免れ並びに地域社会が偶然にも戦災を免れましたために、終戦後ほかから少し流れて来たところのかたがありまして、そういうものに割合に生活に恵まれないものがございまして今日千七十の児童のうち約二%に近いところの二十五人、これが生活保護法を受けておるのであります。そのほか都並びに区の貧困児童救済によりまして、これを受けておる者が九名ございます。なお毎月二十名近くの者がこの給食費を納めないというものもございますが、まあ私としましてはいろいろ事情もあるでありましようので、できるだけ子供の人権を尊重いたしまして催促を、督促をいたさないということにいたしております。結局そうしたものは他の給食費を出したものに寄生すると申しましようか、そうしたことになると思うのであります。  それからその次に父兄の輿論の一端でありますが、食生活を科学的に合理的に考えるということにつきましては、誠に顕著なる喜ぶべき現象がございます。従来のいわゆる満腹感というような食生活からして、学校ではカロリー、献立表を毎週家庭に流しております。そうしてカロリー或いは蛋白質その他の栄養素につきまして、家庭食との協調を求めておりまするので、家庭におきましても学校が今日の昼にフライがあるとするならば、家庭の夕食におきましては油気のないものをとろうというようなことにおきまして、学校給食の献立にマツチするような献立を考慮されるようにということをお願いをいたしておりまするので、食生活の面におきましても大変に合理化されるようになつて参つたということは、非常に喜ばしいことであると思うのであります。なお、パンが好きになつたということは、只今都の給食課長さんからもお話がありましたが、これは又事実でありまして、父兄のかたは日曜日に必ずうちの子供パンを食べなければ承知しないというようなことを申しておられるのでございまして、この点も食生活改善立場から申しますると、学校給食が実に寄与するところが大きいものがあると私は確信を持つておるのであります。衛生的方面につきましても手を食前に洗うということもこれが習慣になつて参りまして、よく洗つております。こうした方面の輿論調査もいたしておるのであります。或いはパンを食べた後におきまして、家庭に帰つてから徒食をするかというようなことについても、毎年々々同じ問題につきましてデータを取つておるのでありまするが、漸次私どもの考える方向にこれが進展しておりますことも非常に喜ばしく思うのであります。なお、輿論調査につきましては家庭からも聞くのと、それから子供自身に反省をさせまして、そのデータを取つておるのでありまするが、その場合に家庭から出されるところのデータはいつでも児童より出て来るところよりもその成績が上廻つてよくなつているというのが大変に面白い現象であると思うのであります。子供のほうは正直に割引してその資料を出すというようにも考えておるのでありまするが、家庭は私どもの慾目で申しまするというと、学校給食に対しまして感謝の一念を持つて、上廻つた好成績のデータを出してくれるのではないかというので、そこに楽しみを持つておるようなわけでございます。  それから中央区、勿論他の学校といたしましてもやつておるのでありますが、中央区の学校といたしましてもこれを学校給食一環といたしまして、文部省先ほど岩倉課長さんのお話並びに釜井課長さんのお話もありましたが、学習指導指導としてこれを考えておりまして、中央区としても一つのカリキユラムというものができたのであります。それを学校として各学年におきましてどのように給食時において指導するか、給食時でありませんでも、これを理科或いは社会科或いは算数の授業等におきましてどのように連関を以て指導するかということについてやつておるのであります。そういうようなことにつきましても、学校給食法律が制定されますれば、一層私ども現場のものとして実行しやすいということを考えております。本校は中央区におきましても決してその環境が最優秀であるとは思いませんですけれども、中以上であると思うのであります。併し同じ中央区でありましても月島地区方面になりますると相当の困窮者もありますし、従つて給食費を納めることができないという者もあるのであります。中央区といたしましても、これらの恵まれない家庭に対しては、都の援助と相待つて補助をするという制度になつておりまするが、これが相当大巾に国の面倒を見て頂きますと、学校給食のよい面が一層はつきりされて参ること思うのであります。  本校におきましては、P・T・Aの協力が非常によく行つておりますので、ひとり本校ばかりではないと思うのであります。そういう点におきまして学校給食推進のために大変な仕合せであるのでございます。実は会長が区会のほうにおきまして長いこと教育委員長を務められておりまするので、教育に対しては特に関心もあるし、更に本業はパンを本業となつておりますので、学校給食パンにつきましても絶えず学校に来られて指導されるということで、この点も大変に都合がよろしいと考えております。従つてこの給食につきましては父兄全体が協力いたしまして喜び感謝をいたしまして、誠に給食のよさの本領を発揮することに全員が協力されておりますことを、私ども校長といたしまして学校経営並びに給食推進のために実に仕合せである次第であります。  誠にまとまらない話でありますがこれで終ります。
  9. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 次に東京小学校P・T・A協議会会長全国学校給食推進協議会会長の塩沢さんにお願いいたします。
  10. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 本日この委員会学校給食の問題に非常に御関心をお持ち下さいまして、私ども意見の開陳をお許し頂きましたことは、誠に私どもの喜びでございます。私の喜びは全国の千五百万の父兄の喜びであると存じまして厚くお礼を申上げます。私は東京都の小学校のP・T・Aの協議会長全国学校給食推進協議会本部長、それから日本P・T・A連合会長等をいたしております。学校給食に関しましては本日文部省並に東京都から主管課長がお見えになつておりますし、実施の責任者といたしまして学校の校長さんがお見えになつておりまして、数字を挙げての統計的な説明は先刻行われましたので、そうした面は一切略しまして私はP・T・Aの立場からこうした学校給食というものについて御説明を申上げたいと思います。  後刻いろいろと私ども学校給食につきまして、政府並びに国会関係要望をいたすことがたくさんございますので、それを御了解頂く前提といたしまして、推進協議会の性格というものをちよつと簡単に申上げておきます。学校給食が行われましたのは、戦前もあつたのでございますけれども、戦後いわゆる占領軍が占領政策としての一つとして、ガリオア或いはユニセフ・ララ物資等を基調といたしまして、無償で学校給食を行いましたために、非常に発展して参りました。当時私どもといたしますと学校給食が、こういうことを申上げてよいかどうかわかりませんが、殆んど半強制的に行われるというような事態になつておりまして、P・T・Aといたしましては当時非常に苦しい状態でございまして、学校施設その他の点につきまして復旧のために莫大な経費をP・T・Aが負担しておりました。その関係給食施設をするということは非常に苦しいことでございまして、むしろ迷惑的な感じで受入れたのでございます。けれどもいろいろな面から考えまして学校給食をやらなくてはいけないというふうに考えまして、当時苦しい財政の中からP・T・Aは、一校のP・T・Aが少いところは三十万円、大きいところは百万円、或いは二百万円という当時の金で費用をかけまして、給食所を作り、給食施設をいたしました。そうして学校給食というものを受入れたのでございます。ところが日が経ち、年が経つて参りますと、学校給食のよさというものがだんだんわかつて参りまして、何と申しますか、子供保健と申しますか、いろいろな疾病の減少とか、或いは発育の状況の著しい効果が現われて来る。又教育的にいろいろな得るところがございましたので、初めてP・T・Aといたしますと学校給食というものは非常にいい施策であつたということで、非常に喜んでおつたのでございます。  ところが昭和二十六年の八月二十一日の日に政府のほうでこの制度を打ち切るというようなことが言われましたので、実は期せずして全国からこの学校給食を従来通り継続して欲しいという希望が燃え上りまして、東京に七百人、或いは千人というような陳情者が集つて参りまして、或いは文書によりましても国会、或いは政府関係に対しまして数千通の陳情文が出て来るというようなことでございました。当時各都道府県ばらばらな陳情団が上京いたしまして、混乱いたしておりました。私どもそれを見ましていろいろと各県各様の陳情をいたしておつたのでは、御当局並びに国会関係に対しましても御迷惑をかけるし、できれば統制ある運動を続けますために一つの組織を作つて、そして本当に子供への愛情を願う父兄と先生、こういつたものだけの組織にいたしまして、そうして教育的な運動を続けながら皆さん方の御理解を頂こうということで推進協議会というものが結成され、各県に推進協議会がございまして、東京都地区に総本部を置きまして、今日までこの運動を続けているわけであります。推進協議会は、そういうような形で生まれて参つたのでございます。  然らば今日の学校給食はどうかと申しますと、非常に父兄といたしましては給食を喜んでおりますけれども、一方には給食を辞退する向きが往々にして出て来るのでございまして、なぜ往々にして出て来るかと申しますと、今日の学校給食父兄負担が非常に過重になつて来たということでございます。給食は非常にいいものであるけれども、これを続けて頂くための父兄負担が多くてこれに堪えられないというような状況でございます。子供の一人の家庭におきましては、さほどではございませんが、二人、三人、或いは四人というふうになつて来ますると、相当の金額になりますために堪えられないということがございます。私どもの知つております父兄のうちでは、極くささやかな生活をしているお母さんが、学校給食だけは是非続けたいというので、夜内職をして、そうして学校給食を稼ぎ出して納めているというような会員も現在あるのでございます。併しながら学校給食がいやだから反対するというような父兄は余りございません。現在学校給食に反対している人たちの多くは、いわゆる父兄負担が多過ぎるということと、それから学校給食がまずいというようなことを子供が言う、こういうことが一つ大きな原因でございました。父兄負担が軽くなつて、そしておいしい給食で栄養分も十分とれるというような給食になつて参りますれば、誰一人これに反対するものはないわけでございます。現在の状況はそんな状態でございまして、現在P・T・Aの人たち負担しております学校給食費と申しますものは、大体三百円から、三百五、六十円になつております。負担内容におきましてどういう率になつているかと申しますと、先ほどお手許にお配りいたしました参考資料の中に、色刷りに細く出ておりますが、現在では父兄負担が八九%、国家から補助を頂いておりますのが一一%という状況なつているのでございます。これが現在の学校給食状況でございます。  それから学校給食の将来という点でございまするが、私どもは今申上げましたように父兄が非常に希望しているものでございます。又学校給食の価値というものが十分認識せられまして、是非とも学校給食は継続しなければならないものであるということは、これは殆んど父兄全体の現在における考え方でございます。どういう点からと申しますると、やはり先ほど申上げましたような、例えば近眼の減少であるとか、むし歯の減少、或いは消化器病の減少であるとか、発育の状況とか、というような点を勘案いたしまして、子供たちのために是非これはやつて頂きたいとかように考えるのでございます。  由来学校教育というものが学問を中心に多く進められて来ましたのでございますが、私ども今日の考えといたしましては、義務教育は学問を教えるだけでなくて、その学問をやがてその社会人になつたときに使いこなすだけの体力を子供の時代から十分与えて置く、これが一つの義務教育であるというような考え方さえ持つように私ども現在なつておる次第でございます。従つて将来どうしても学校給食は継続してやつて行かなければならない、又同時にこれは国策的な見地から考えましても、いわゆる食糧問題の解決或いは酪農の奨励であるとか、或いは国民保健立場から言いましても是非これは取上げて頂きたい重要な問題でございまして、私はすべての国家の中に起るいろいろな現象はこの学校給食を基調として政治を行われた場合に初めて解決するのじやないだろうかというような考えさえ持つておるくらいでございます。衣食住、我々の生活がこの点におきまして新らしい教育がそこに基調を置く以上は、やはり食餌を取り上げて、そうして合理的な食餌をとるということが先ず学校児童から始まつて家庭にまで及んで行く、そうして新らしい生活を立てなければならないとこういうふうに現在考えておる状態でございます。従つて今までの学校給食が私どもはいろいろな施設をいたしながらも、不安の状態にありましたのは、やはり先ほどお話がございましたように法的な根拠がないために、今年は学校給食が継続されたが、来年はどうなるかというような不安が絶えず続いております。よく現在でもいろいろな施設いたしまして、例えば調理具を買う、或いは裁断機を買う、洗滌機を買うというようなことがございましても、果してこういう施設をしても、来年これが使えるか使えないかというような不安が先ず先に立ちますために、こういう施設の点におきましてもなかなか思い切つた施設ができないのが現在の状態でございます。従つてこれを立法化して頂きまして学校給食は必ず行われるということがはつきりいたしますと、そうした点におきましても父兄は安心してこの方面施設へも相当程度の協力ができるようになつて行くのではないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、立法化と共に予算化してこれの裏付をして頂きたいということでございます。これは要望事項と併せて申上げますが、要望事項につきましては先ほどやはり参考資料といたしましてお手許にお届けいたしました。実はこの要望事項は、政府で今回この国会に何か学校給食法を御提出下さるように伺いましたので、願わくば私どもの長い間の希望であるこの要望を織り込んで頂きたいというつもりで、先般この要望書を国会関係並びに政府関係にもお配りした資料でございますが、その中で終りのほうに要望しております事柄を羅列してございます。第一に書いてございます小中学校児童生徒を対象として教育過程として実施して頂きたいということは、私は医者でないからよく存じませんが、お医者さんにいろいろのお話を聞いてみますと、小学校、中学校という時代が非常に子供の伸びる時代だそうでございまして、小学校の場合は男子とか女子とか、或いは中学校の年齢になると男子女子かいずれかが非常に身長の伸びる時期だそうでございましてそういつたような関係から行きまして、小学校、中学校の中に、この義務教育の中に先ほど申上げましたように学問と共に体力を与えるという趣旨に則つて学校まで是非これを及ぼして頂きたいということを挙げたわけでございます。更に、新教育の建前から行きましてこれを教育課程の中に取入れて頂きたいということが私どもの希望の第一でございまして、その次に学校給食用原麦、ミルク代金の全額国庫負担、これが先ほど推進協議会のできます理由を申上げましたが、一つの大きな理由でございまするが、推進協議会のできます前は、この学校給食用原麦とミルクは全部国家の御負担でございましてこれが全部国家負担なつて頂きますと、よく世間では全額国庫負担と申しておりますが、私どもに言わせますと、学校給食は全額国庫負担ではございませんで、これでもまだ半分にならないのでございまして、御参考にお配りしました色刷のほうの学校給食費の負担の割合はというほうに書いてございます。ミルク小麦粉の全部を国家で負担いたしましても、なお副食その他のもので父兄負担が五九%、国の負担が四一%になるわけでございますが、これは学校給食を実施いたしました当時の状況でございます。私ども学校給食の実施された当時の状況に是非戻して頂きたいということがこの第二の項目でございます。決して父兄負担を、父兄負担といいますか、避ける意味要望ではございませんので、その点を御了解頂きたいと思います。  それから第三の準要保護児童生徒に対する国庫補助、これは要保護児童につきましてはそれぞれ政府のほうからのお手当がございましてよろしいのでございますが、いわゆる紙一重の苦況にある子供さん、御父兄という方々がかなり多数ございまして、大体P・T・Aの会員の五%ぐらいはそういう御父兄がございます。こういう方々はいわゆる学校給食費が払えない方でございます。先ほど東華小学校の校長先生からお話がございましたように、いろいろな面からこれを強いて取立てるとか、どうするということができませんので、勢いこれは他の父兄負担なつておる次第でございます。こういうものにつきましては、これが結局他の父兄負担を過重にして行つているというようなことから、是非こういう点につきましても何か厚生的な面から法律によつて、こういう子供たちを守つて頂くように御配慮を頂きたい。  それから第四にございます学校給食施設費国庫補助、これにつきましても従来P・T・Aの費用で施設をいたしておりまするが、まだ、まだいろいろな保健衛生立場から行きまして完備しなければならない点がございますので、こういう点につきましても御補助を頂きたいし、なお現在学校給食をいたしたくても、この施設ができないところがございますので、そういう点につきましても国庫の補助を頂きまして施設を充実して学校給食を是非行なつて頂きたいということでございます。それから第五に、学校給食専従員(栄養士、調理士、事務員)、の身分保障並に人件費の国庫補助ということがございます。現在学校給食を実施いたしておりまするが、各学校にこれの専門的な人が少いのでございます。例えばいろいろ調理にいたしましても、素人的な考えから栄養面を考えたりいたしておりますので、こういう点につきまして専門家が十分に調べた、調査した、或いは研究した資料によりまして、その科学的な給食を与える、こういうような場合はこうした専門家が欲しい。又いろいろ事務をとるような人たちにつきましても是非御配慮を頂きたい、こういうように考えるのでございます。現在学校では給食を行なつておりますが、非常に人手が足りのうございまして、現在学校の中の作業所に働いております人々を分けますと、いわゆる専任の調理人と、そのほかに今度は失業対策の関係から来ている人と、そのほかにP・T・Aで雇い上げている人があります。これは、人が足りませんために余儀なくP・T・Aが雇い上げた。それでもまだ人が足りませんので、現在ではPTAの会員が、お母さんがたが当番制をとりましてそして五人とか六人というふうに学校に参りまして、そしてこの調理のお手伝いを現在いたしております。そういうような状態でございます。従つて、こういう方面につきましても何らかの御配慮を頂きたい。  それから直接項目に載つておりませんが、これは落ちておりますが、もう一つ給食用のいろいろな物資に対して税の減免をお願いしたい。例えば、砂糖の消費税を免除して頂くとか、その他いわゆる学用品と同様に、教材と同様に、この面についてのいろいろな各種の物資に対して減免の措置をお願いいたしたいということでございます。  これが大体私どもの推進協議会が要望しておる事柄でございまして、若し法律が制定されるならば、法律の中にこのようなことを何とかして盛り込んで頂きたいということがお願いでございます。この水害冷害が起りましてから、金田的に見まして推進協議会の本部に参ります手紙によりますと、欠食児童が非常に殖えて参りまして、いろいろな点でこの学校給食要望する声が非常に大きくなつて参りました。何と申しまするか、是非一日も早くそうした方面を実現したい。従つて法制化がいつできるかというような問合せが殆んど連日全国から来ておるような状況でございます。非常に何と申しますか、そういう点で食糧事情がむつかしくなつたりしますと、いろいろの問題が起ります。子供の弁当の紛失とか、いわゆる途中で奪うというような恐るべき問題が随所に出て来る状況でございますので、そうしたことを子供の生活の中から消して行くようなふうに一日も早く御措置を願いたいと思います。私どもは、こうしたいわゆる純真な気持で、この運動には一切の業者の御参加をお断りいたしまして、ただ父兄と先生だけで以て運動を続けておる次第であります。子供たちの幸福のために、延いては国家百年の将来のいわゆる基礎を築くという大きな見地からいたしまして、皆さん方の格段な御配慮をお願いいたしたいと思います。
  11. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) では最後に、学校給食に関して従来厚生省文部省に対してどういうような折衝連絡をされておつたかということについて山口公衆衛生局長から伺いたいと思います。
  12. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 学校給食が学童の体位向上、或いは栄養教育という面から実施されておるのでございますが、これが学童の教育ということと非常に密接な関係がございますので、現在学童の教育を所管しておられる文部省で所管して頂いておるわけでありますが、併し先ほどからたびたびお話に出ましたように、この学童に対する学校給食が国民の食生活改善ということに最も効果的な方法であり、又非常に影響の大きいものでありますので、厚生省といたしましては、学童給食学校給食に際して、栄養面という点につきまして非常に深い関心を払つておるわけでございます。昭和二十一年十二月十一日の文部、厚生、農林三次官通牒によりまして学校給食が開始されるようになりましてから、絶えず文部省と連絡をとわまして、学校給食内容、殊に栄養面からの点につきまして協議をしながら進んで参つておるわけでございます。もう一つこの学校給食につきまして、厚生省立場からいたしましては、食品衛生の問題がございます。しばしば、と申しましては語弊があるかも知れませんが、従来学校給食に際して集団的な食中毒、或いは先般も新聞に出ておりました給食病というような集団的な疾病の発生というようなこともございますので、そういう面からも私どもといたしましてはこの学校給食に深い関心を払つておるわけでございます。それで栄養方面からの問題といたしまして、先ほどお話の出ました昭和二十一年の三次官通牒、それから昭和二十五年に出ました小麦粉配給についての三次官通牒、それから昭和二十八年、昨年の六月から実施されております給食パンの強化というような問題につきまして常に厚生省が栄養的な見地からこれらの方針に関与しておるわけでございます。又昭和二十五年の四月に八大都市学校給食実施方法に関する答申案を経済安定本部に出しておりますが、それにつきましても、学校給食の栄養基準をどういうふうに置くべきかというようなことを、専門的な立場からそれに対して意見を出して基準をきめてもらつておるわけでございまして、常に学校給食に関する国の方針が立てられるというときには、学校給食に関する主管省である文部省と、国民栄養に関する問題を所管しております厚生省とは緊密な連絡をとりながら方針の樹立に当つて来ておるわけでございます。  なお、昭和二十五年五月十日に教育委員会法の一部を改正する法律案が出ておりますが、それに基きまして政令を出しております。教育委員会と、それから保健所との協力態勢ができ上つているわけでございますが、その中におきましても学校給食につきましては、教育委員会から保健所に対してどういう協力を求められるか、或いは保健所は教育委員会に対してどういう助言或いは援助を与えるかということがこの政令に示されているのでありますが、その中にやはり学校給食に関しましては、教育委員会から保健所に対して協力を求める事項といたしましては、学校給食のための調理にもつぱら従事する職員の健康診断という事柄について、教育委員会から保健所に協力を求め、又保健所から教育委員会に対して助言を与える事柄といたしましては、学校給食に関する食料品の選択及び配達、貯蔵、調理、供食その他取扱上の衛生に関すること、それから食料品の調理施設の衛生に関すること、それから援助を与える事項といたしましては、学校給食に関して参考資料を提供し、及び技術上の援助を与えるというような事柄が政令に定められておりまして、教育委員会と、それから衛生行政の第一綿機関である保健所とは緊密な連絡をとりながら、学校給食の円満なる発達を来たすように努力して来ているわけでございます。  又一昨年制定せられました栄養改善法に基きまして、集団給食施設に対する栄養指導という事項がその第十条に規定されておりますが、集団給食施設一つである学校給食施設に対する栄養指導ということにつきごましては同法の第十八条に基きまして教育委員会を通じて各府県の栄養指導員に栄養指導をするということになつておりまして、それに関する通牒を両省から出しているわけでございまして、そういうふうにあらゆる機会を通じて文部省と連絡をとりながら、学校給食が円満に実施されますように、そうして又国民栄養の立場から欠陥の起らないようにに、又食生活改善に寄与できるように私どもは努力して参つているのでございます。食品の衛生の立場からいたしましては、これは食品衛生行政の一環といたしまして、学校給食施設に対していろいろの衛生的な管理、先ほど教育委員会注に基きます政令の中にもございましたように、保健所といたしましては学校給食に関しましての衛生管理という面についてできるだけの援助をし、又必要がある場合には食品衛生法に基いていろいろの取締をするというようなことを実施いたしているのでございまして、現在まで本省におきましては、文部省と連絡をとりながら、又現場におきましては保健所が教育委員会と、或いは学校当局と連絡をとりながらこの学校給食、栄養、食品衛生、両方の立場から厚生省としましては協力をと、又私どもの主張すべきところは主張して実施して来ているわけでございます。
  13. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) それでは各委員の方から御質疑をお願いいたします。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 ちよつと塩沢さんに一、二お伺いしたいのですが、その前に数字のことで釜井さんに確めたいのですが、この東京の二十三区のうち九十五というのは、二十二区にある学校のうちの九五%が実施しているということを意味しているのでございますか。
  15. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) そうでございます。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると郡部のほうは郡部にある学校のうちの三七%が実施している、こういう意味ですね。
  17. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) そうです。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 わかりました。  それじや塩沢君にお尋ねいたしますが、この要望事項の二より五まで、国庫負担、国庫補助という要望があるし、最後に給食物資の減免税という要望があつたわけですが、これは二、三、四、五というのは、大体どれくらいの金額になるか、推算をなさつておりますが。それから六についても大体減免するとしてどれくらい、全部免税するとすればどれくらいになるだろうかというおよその見当をちよつとお伺いしたい。
  19. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 今日細かい数字は持つて来ておりませんけれども文部省のほうでおわかりになつていると思いますが、全額負担の場合……。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 どちらでも結構です。文部省からでも結構です。
  21. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 実施人員全国的に毎年移動があるものでございますから……。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 それはどうせ今後も年々移動がありますから、現在の状態においてこれを法制化して、そうして実施してこの二から五の要望をするという場合、どれくらいになるか。
  23. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 六の場合で行きますと、砂糖の代金が非常に上がるというようなことで、非常に何か今度給食料を又上げなければならないような状態に入つて来ておる。三十何銭でしたかね、の砂糖が五十銭くらいになるというような今話が出ております。私ども具体的にそこまで調べておりませんけれども、価格の関係でございますから……。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 傾向は将来上がるか、安くなるか……。
  25. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 砂糖の消費税、そういうものを引いて頂きたいということでございます。数字的には今日資料を持つて来ておりません。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 文部省でおわかりになりませんか、二から五の……。ただ漫然と国庫負担、国庫負担と言つたつて始まらんので、どれくらいになるかということを我々聞かして頂かないと……、あなた方計算なさつたでしようから、材料があれば、あとで文書ででもお知らせ下さればよろしい。今なければ仕方がない。
  27. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 後刻本部へ帰りましてから、詳細な数字を御報告申上げます。
  28. 高野一夫

    高野一夫君 お願いします。
  29. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 原麦とミルクの全額国庫負担ということでございますが、これは人数によりまして非常に変つて参るわけであります。二十九年度の予算の積算の基礎となりました小学校保育所人員を基にして申しますと、先ほど申しましたように、原麦の半額が十七億でございますから、その若し全額とります場合には三十四億、こういうことになります。従いまして、この人数が更に五十万なり百万増すにつれて、これは増加して参ります。今年の積算の基礎を申しますと、小学校が四百二十二万七千人、この人数は週五回、或いは四回、三回の給食をいたしておりますので、それに対しまして〇八六、要するに八六%に当る数が五回に換算した人員である、かように考えております。それの二百十五日分でございますし、一食が百グラムという計算であります。なお、保育所のほうは四十三万人をおさえておりますので、一食当り十五グラム、これは副食でございます。これは三百日の計算で行つております。これが全額で行きますと三十四億ということになります。
  30. 高野一夫

    高野一夫君 これは現在給食している学校だけですか、全国も……。
  31. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 昨年の十一月現在をおさえた数字でございますが、実際の運営上多少伸びた人員を実施できると思います。それからなお、ミルクのほうにつきましては、先ほど申しましたように、ユニセフから相当の量が入つておりますが、一応予算の積算の基礎なつています数字を元にして申上げます。買入資金の、利子補給基礎となります買入資金はいくら要るかという計算が出ておりますが、この計算によりますと三十五億ということになつております。従いましてこれは外国から買入れて府県に渡し、府県から又配給して学校に持つて行くというような経過はございますけれども、一応買入れた価格が三十五億というふうに考えますのでございますから、全額なら三十五億、半額で十七億五千万、ただ、二十九年度の実際に先ほどちよつと申上げましたように、米国政府保有の脱脂粉乳を相当格安に買い得る見込みがございますが、こればかりではいけません、やはり他国からも買わなければいけませんですが、合せて考えます場合に、これよりも更に格安になるだろうと考えております。これがミルクと原麦の関係でございます。  それから準要保護児童に対する補助でございますが、これもやはり人数に応じてどういうパーセンテージを見るかということと、国の補助額をどれくらいに見るかという幾つかの問題がありますので、それらの条件をかみ合せて考えます場合に、結論が出るわけでございますが、文部省としまして二十九年度予算に要求をしておりましたのは生活保護によります教育扶助と同じように国が八〇%を持ち、地方が二〇%持つという計算によりまして出した数字は約五億余りでございます。従いまして国が二分の一を補助するということになりますと、更に相当額減ることになります。大体三億ぐらいというようなことになります。  それから学校給食施設費の補助でございますが、これも全部でなくて大体半額とかいつたような問題になると思うのでありますが、これも施設基準を一応内定しておりますが、それによります所要額を全部積算いたしますならば莫大な額になるのでございます。従いまして年次計画を以て、現在施設を持たない小学校、更に又中学校ということになりますならば、恐らく百億を超える額が必要になるだろう。仮にそれの半分を持つといたしましても、五十億というような数字が出て参るのでありますが、国が助成をいたします場合にどういうふうな基準補助をするかということにつきましては、いろいろに考えられますが、一例を申しますと、二十八年度において、先ほど申しましたように、災害地に補助をいたしましたのは、大体農山村等の比較的規模の大きくない学校対象として考えたのでございますが、施設設備合せまして一校当り最低所要額を三十万とおさえ、その半分の十万円ずつを補助するということに実施をいたしております。二十九年度におきましても、やはり大体同趣旨のような予算を組んで、一校当り十万というような計算をしておるわけであります。予算が限られますので、従つて成るべく多くの学校に均霑するようにしたいという念願からも、多少金額は多くない額になつているかと考えるのでありますが、又最近の財政上止むを得ないことかと考えております。
  32. 高野一夫

    高野一夫君 私のお尋ねするのはこれなんですよ。法制化を希望しているわけでしよう。法制化を希望する以上は、全国至るところのすベての小、中学校にこれを実施したいというわけなんだから、そうすると、それが何個所あつて、学童、生徒が何人いるのか。そういうものに対して原麦、ミルク全部給与する、或いはそのほかにもすべての小、中学校給食施設をする。その場合に例えば原麦は何トン要つてミルクが何トン要つて、そしてその経費が幾らかかる。これが全部国庫負担させるとか、こちらの給食施設のほうは全部施設するとすれば何億要るのだ。何%すればこれくらいになるのじやないか。こういうそろばんが欲しい。法制化するのだから全国に適用する。現在やつているのは基準にならない。そこを一つ考えて頂いて、そろばんをはじいて頂いて、あとで示して頂きたいと思います。それと殊にミルクなんというものが、そういうような場合に、全国の小中学校至るところに平均に……この学校は全額国庫でミルクの配給はできるが、この山のところは牛乳がないからできないという不利益状態が起るだろう。それをどうするか、これは協議会の要望事項ですが、文部省は関知しないでしようけれども、関心をお持ちならば数字を示して我々に説明して頂かないとわからない。
  33. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) いろいろございますから、なお御参考に提供したいと思います。
  34. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) あとで……。
  35. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 大体御要望の趣旨のようなので、試算して見ますと、若干内容の違いはあります。例えば私のほうでやつたのは、保育所、定時制高校の夕食、そういうものを入れてやつて見ますと七百億以上要ることになると思うのですが。
  36. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 経常費が……。
  37. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) そうでございます。小学校、中学校、定時制高校の夕食全部を原麦、それからミルク、これを国庫負担でやるということにすれば……。大体そういう計算が正しいかどうか。今お話の中からそういうことを聞いて……。
  38. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 私のほうの試算によりますと、大体小中学校全部といたしまして、千七百万ございますが、先日の計算では大体七百億くらいになります。従いまして定時制高等学校は数十万程度、保育所が四十万乃至六十万というような数字も出ておりますが、その辺でございます。
  39. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 今ので推進協議会のほうの御要望通り実施するとすれば、大体七百億余りのものが要る。こういうふうに踏んでよろしうございますね。
  40. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 経常費としまして……。
  41. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) そうでございます。
  42. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 経常費といいますか、いわゆる給食費というものですな、給食の材料費、パンは製品でございますけれども……。
  43. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 続いてお尋ねいたします。岩倉課長にお尋ねいたしたいのですが、今度法案提案するというようなお話ですが、これは必ずなさるかどうか。一つはつきりおつしやつて頂きたい。
  44. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 私は、当担課長の立場でございますから、その辺で申上げます。必ず出すというつもりで用意しております。
  45. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) どの辺まで省内では進んでいるのでございますか。
  46. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 省内の意見は大体固つたところでございまして、関係省の交渉を逐次やつているという段階でございます。
  47. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 大臣はどういう態度か、どういう見解か。
  48. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 私から申上げていいかどうか知りませんが、大臣もお出しになるという御意向のように承知いたしております。大臣から直接、委員会等においても御発言の機会がおありのようでございますから、その発言が正しいと御承知願つたほうがよろしいと思います。
  49. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 続いてお尋ねいたしますが、ミルクの買入資金利子補給が大体半分になつておりますね。これで果して足りるかどうか。これはどうでしようか。
  50. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 先ほど申しましたように、二十七年度、二十八年度とも約一億円でございまして、両年度とも予定いたしました量よりは予算の積算の基礎なつ数字よりも実際の需要は相当に減りましたので、十分に足りまして相当残額を生じました。二十九年度におきまして、先ほど申しましたように、比較的安いものが入りますので、十分じやございませんが資金の操作は、予定いたしました三十五億よりもなお下廻るのではないかということも考えておりますので、五千八百万で十分間に合うと思つております。
  51. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 続いて釜井課長にお尋ねいたします。都費四億七千万というのは一人当りにいたしますと大体どのくらいになるか御計算になつておりましたら……。
  52. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) 児童数は公立で七十四万三千六百八十九、これだけが実施対象なつております。
  53. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 一人当り五百円見当でございますね。
  54. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) それくらいになります。
  55. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) それから続いてお尋ねいたします。今九五%実施されているというのですが、区のほうで実施してない学校が何パーセントかあるわけですね。それはどういう事情によるものでございましようか
  56. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) これは施設改善をやつておるとか、或いは昨年奇病が出まして、それ以後中止しているとか、それから給食施設を作ることができないというふうなものも若干ございます。
  57. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 施設を作ることができないというのはそれだけの経済状態が非常に悪いためにできないというのでございましようか。或いは別なものがあつてできないというようなことか、どうなんでございましよう。
  58. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) 経済千の理由だと存じます。
  59. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 次に、斎藤校長先生にお尋ねいたしますが、日本橋区のほうでも今三百五十円のところもあるし、四百円のところもある、給食費が……。これは一率にこれだけというような基準はなくてその学校々々で勝手に値段を変えてもいいというようなことになつておるのでございますか。
  60. 斎藤英夫

    参考人斎藤英夫君) そうでございます。その学校の特殊事情によりまして概して四百円に値上げしたところのものはその地域、環境はいずれも経済的に恵まれておるところであります。それからもう一つ大変に児童数の少ない学校があるのです。そういうような影響がありまして三百五十円で私どものほうではやつてつても、ほかのところでは四百円でなければできないというような事情のところもございます。
  61. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) もう一つお尋ねいたします。この給食費が払えないために学校を欠席する、先ほども二十名くらいは納めないというようなものがあるというお話がございましたが、この払えないために給食を受けることが心苦しくて学校を休んでおるというような事例はございませんか。
  62. 斎藤英夫

    参考人斎藤英夫君) それはございませんです。先ほど申上げましたように人権尊重で、その点は卑屈な思いをさせないようにということを特に強調しておりますので、そういうことはありませんのです。ただ一回或る受持の先生で、ちよつとその先生が誠に単純な先生でありましたので、そういうことがございましたのですけれども、それはそうしたその学級の先生の性格によるのであつて、一般的には認められませんのです。
  63. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 最後に塩沢さんにお尋ねいたしますが、学校給食に従事しておる人たちの中に失対の人が入つているというお話でございましたが、こういう組織的に完全給食をやつておるところで、失対の人を使うというのはどういう理由でございましようか。
  64. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) それは学童の数によりまして作業員つが非常に手が足らないものですし、経費関係でたくさん雇えませんので、何か東京都のほうに失対対策として国家のほうから出ている費用があるそうでございますが、そういう関係の人たちを配置させておるわけであります。そういう関係の人が臨時に入つておるわけであります。
  65. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) 私ちよつと訂正させて頂きたいのでございますが、只今のはこれは失業対策事業ではございません。簡易失業対策事業でございまして、都の単独事業でございます。そこからなにしておるわけであります。
  66. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) それではお伺いいたしますが、こういう人たちは大体同じ人が同じ場所に続いて行くようになつておるわけでございますか。
  67. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 大体続いて来ております。やはり来ます前に健康診断をいたしまして、平素普通の方と何ら変りがない、ただ待遇の点が違うだけであります。
  68. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) そういうまあ職場であり、そういう仕事であれば、このかなり雇用関係がはつきりしていると思うのでございますね。一般の失対とは非常に違いまして、都でこれは正式の雇用、臨時職員なら臨時職員という形で正式な雇用ということはできないのでございますか。
  69. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) そういう人たちは全面的に普通の方と同じように常雇にして欲しいという希望も強いのでございますが、都のほうの関係でそういうことができないのでございます。
  70. 湯山勇

    担当委員外委員(湯山勇君) 都のほうから一つ今の点を……。
  71. 釜井己之助

    参考人釜井己之助君) これは都の単独事業として簡易失業対策事業を計画されました当初、比較的知識階級の女子の失業者をどういうふうに救済するかということで非常に苦心いたしました。たまたまそのときに学校給食が始められましたので、これは適当な職場じやないかというので労働局長から話を受けまして、そのときにはそういう方々学校の中に入れて食事を作らせるということについて若干疑問もございましたが、是非という要望もございましたので、採入れてやりましたところ、非常によい成績を挙げております。平均勤続年数が二カ年半になつております。平均年齢も四十才以上で女子が大部分でございますが、それで簡易失業対策事業の性質から見まして、そういうところに定着しているということはこれは変則でありますが、今その労働局の予算教育庁の予算に替えて行くということは非常に困難な問題もあるのでございまして、これはどうも高等政策のほうに属するので、どういう理由でしないかということにつきましてはちよつとお答えいたし兼ねます。
  72. 高野一夫

    高野一夫君 塩沢さんにもう一回お伺いしたいのですが、先ほど子供が大勢いると非常に負担が多くなつて、貧困の家庭は困るというお話がありまして、成るほどそれは問題だと思いますが、そこでそのいろいろな費用を国庫とかなんとかいうことでなくて、中小学校作つている地方公共団体になんらかの経費負担させるということについてはなんか御検討なすつたことがありますか、それの可否、或いはどうというようなことについて。
  73. 塩沢常信

    参考人(塩沢常信君) 十分検討しておりますので、場合によりますと国家のほうからの呼び水というようなものが来れば、或いは都なり区なり水増しして頂いて、そういうことができるのじやないかというふうにも考えております。
  74. 高野一夫

    高野一夫君 文部省岩倉さんにお伺いいたしますが、地方公共団体がどの程度こういうような方面に金を補助できるかどうかということについて、何かお調べになつている、或いはお考えがありますか。
  75. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) しているかということでございますね。昭和二十八年度の実績につきましては現在照会してまとめておりますので、いずれ又でさましたらお届けしたいと思いますが、二十七年度の分でございまして、多少この後に更正予算がついておると思いますけれども、これによりますと、大体都道府県費で二十七年度に出しておりますのが二億八千八百万、市費が八億四千八百万、町村費が三億七千三百万でございまして、合計約十五債、このほかに府県のほうで物資を扱います関係から運転資金を無利子で貸付けるとか、或いは利子を出しておりますが、その運転資金の貸付をいたしておる分が三億五千万ばかりになつております。二十八年度がどういう結果になりますか、その内容によりまして多少の増減が起つておる。特に施設の面に相当の増加が起つておるのじやないか、かように考えます。  更にこれを経費内容別に申上げますと、給食費補助、いわゆる先ほどお話のありました貧困な家庭の子供給食費の払えない者に対する補助等が主なものでありますが、一億七千八百万、それから燃料費が一億余りでございます。それから人件費六億二千二百万、これが一番多くなつておりますが、それから施設費、これは調理室であるとか或いは給食設備でございますが、二億四千五百万、それから指導費、これは主として講習会をやるとかいろいろな事務的な経費であるとかいうものでございますが、二千万ばかりあります。その他の経費が三億二千九百万ばかりでございます。全体で十五億というような数が出ております。御参考までに……。
  76. 高野一夫

    高野一夫君 それは学校の数とか地方公共団体の数とかいうことを勘案して考えてみないというと我々にはわからないことですが、ところで、その材料費とか或いは施設費とか或いは事務費、人件費、そういうようなもののそれぞれの地方における所要額の何%に大体該当しておりますか、県の負担分或いは市町村の負担、平均ですね、或る一つの村で材料がこれだけ要る、それで百万円、そのうちの十万円を補助しているのか、二十万円を補助しているのか、施設費に五十万円かかつた、そのうちの何%を補助したか、県として市町村として……。そういう数字が出ておりませんか。
  77. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) そこまで詳しい資料を持合せておりませんし、又実はその調査は今お話の程度まで詳細にはできておりません。
  78. 有馬英二

    有馬英二君 関連して……。今の都道府県に対する補助ですね。それは今度の水害或いは災害によつてよほど変つておりますか。
  79. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 今のは府県が給食のために出した金であります。
  80. 有馬英二

    有馬英二君 じや、国庫で出しておるのは、各府県によつて違うのは勿論ですが、災害によつて大分変つた気配がなかつたかと思いますが、どういう工合ですか、昨年の水害、災害……。
  81. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 災害に応じまして出しました施設及び設備費は五千万円でございまして、そのうち冷害地が四千万円、それから水害地は一千万円でございます。
  82. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 私からちよつとお伺いいたします。昨年の風水害冷害で、その地方には相当欠食児童があるということを聞いておりますが、その数字やその対策はまだわかつておりませんか。
  83. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 特に欠食児童ということは冷害地について言われることでございますが、昨年の冷害によります食糧事情の非常な悪化に伴いまして、そういう声が出て参りました。文部省としましても上司の指図がありまして、現地へ照会いたしまして資料を求めると同時に、私も実はユニセフの代表を案内してそれと合せまして現地へ行つて見て参つたのであります。ただ欠食児童という言葉は非常に複雑な意味を持つておりますので、御注意を頂きたいのでありますが、弁当を持つて来ないということを普通には言つておるようであります。昼飯の弁当を持つて来ない子供ということを言つておるのでありまして、家庭においてどうかということは言つていない。そこで学校に弁当を持つて来ないという事態につきましては、私も現場に行きまして相当その学校について、いろいろと教師にも、又村長さんなり地域の教育長さん或いは又子供にも聞いてみたのでありますが、非常に複雑な事情にありますことを承知したのであります。と申しますのは、家庭によつて子供の弁当だけはどんなに苦労をしてでも持たせてやろうというような、非常に深い理解のある家庭も相当に多いのでございます。又一面におきましては家庭の食事をそのままに、弁当は何を持つて行くかと言われたときに、いもでも持つて行け、こう言われて、べそをかいて持つて来ないという子供も幾人かございました。又それを喜んで親の言うたままに持つて来ておる子供もあつたりいたしますので、ともかく複雑な事情がございますから、端的に数字を見てどうだということも言いにくいし、又その数字が果してどの程度の意味を持つかということにつきましては、地域によつて非常な違いを持つて  で、調べました結果につきましては、少くとも三分作未満のような地域には、その現象が特に濃厚であるということを考えました。見ました学校の中にも約半数近い子供が弁当を持つていない所もございましたが、併しこれも学校の課業を終つて帰りますのが比較的早い時間ならば余り差支えないのでございますけれども、所によりますと一時間以上も歩いて帰る子供もありますようでありまして、教育上の問題としては非常に重大であることを承知いたしました。そこで結局その数は、確実には申せませんが、数十万ということを考えましたけれども学校給食はその場合にこそ一層活用されるべきだということを痛感したのであります。弁当を裕福な家庭で自由に持つて来れる者もありますし、又そうでなく、いろいろな事情から持つて来られない者もありましようし、まずいものでも持つて来る子供もありますが、何も言わないでその学校給食をしてやれば、皆同じものを食べて、そうして教育は完全に行われる。ここに学校給食の本当の使命があるということを、すでに前からわかつておりましたが、特に深く感じましたので、上司にも報告いたし、そうしてこれを教育上の問題として十分な対策を講ずる必要があるということを復命いたしたのでありますが、これに対しまして、実は小麦粉なりミルクを全額無償で早急に配給をして、給食の開始が可能であるようにしたい。施設の問題はこの際余り論ずべきではない。丁度冬場に向いますしいたしますから、近くの住宅を借りるなり、或いは内部の施設を兼ねるなりしてやつたらどうかということを考えたのでありますが、併しそれがなかなか思うように行きませんで、結局お伴をしましたユニセフ代表のユニセフ本部への、何といいますか報告によりまして、ミルクを取りあえず配給することになつたのでありまして、現在冷害地では六十四万人ばかりの子供に配給いたしております。持に又被害程度のひどい地域に対しましては普通の量の倍量の配給をいたすことにいたしております。保育所につきましても、同じように大体なつておると存じます。
  84. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) もう一つ承わつておきたいんですが、この学校給食のうちで地方によりますというと非常に給食内容が悪い、まずいので生徒が食べない、食べないと先生に叱られるというので、先生の見えないところで捨ててしまう。こういうような事例が地方にあるということを聞いたんですが、実際ございますか。
  85. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 多少あるかと存じます。と申しますのはパンの問題がございますし、又、ミルクの問題もございますしおかずの問題から出ることもございますが、パンにつきましては都道府県のほうでも、又地域の市なりその他でも、パンの技術指導といいますか、パン屋さんのパンを、批判会を設けまして品質の向上を図るとか、又その材料の問題につきましては、小麦粉或いは副資材その他についての品質のいいものを使う。そういう点についていろいろと苦労をいたしまして手配をしておるのでございますが、やはり地方に参りますと、特に地域によつてパンのまずいのがあることも承知しております。それから又ミルクにつきましては御承知のように生牛乳を飲ませれば結構でございますが、経費負担関係等ございますし、又栄養上の問題から経済的に考えても日本現状として脱脂粉乳を使うことが最も適当であろうという点から出ておりますので、脱脂粉乳のとかし方、その温度等によりまして、かなり子供の嗜好に合う場合と合わない場合がある。又ミルクをもとから好まないという子供もおりますので、これをだんだんにミルクを好くようにしつけをして行くという考え方でやつておりますので、パンの場合には非常にまずい場合もあるかも知れないと存じますが、まあ嗜好の問題もありますが、ミルクの場合もまずい場合もありますので、本質的に、ミルクを好かない子供が好きになるようにするにはどうしたらいいかということを教育の場において次第に指導し、しつけて行きたいと考えておりますので、多少無理があつてもやはり飲ませるように仕向けて行くべきだと、かように考えております。それからおかずの場合には、まあ金額関係もございまして、全国を通じますと、やはり給食費関係から多少は子供が喜ばないような内容を持たざるを得ない場合も、これは経費負担の問題から起りかねない事情もありますが、併し又一面から見ますと、この給食のまずい、うまいというのに非常に複雑な事情がございまして、私もほうぼうでいろいろな話を聞くのでございますが、やはり富裕の階級で、家庭でいい食事をしておられるところはまずいということは、これは或る意味では当り前かも知れん、併しその場合にはやはりそれで我慢をして行く面も多少はあつていいのではないか、これは教育の場ではどうも実現いたしませんので多少無理になりますが、そういうこともございます。併し又平素家で非常にまずいものを食べておる子供たちにとつては、その給食費が十分でなくてこしらえた料理であつてもやはり非常な満足を持つておるような場合もございますので、そういう給食内容の質的向上と申しますか、そういう点につきましては非常にこの指導の面でも苦慮をいたしておりますが、何とか一つうまく改良いたしまして最も経済的にやつて行きたい。そこで問題になりますのが今少し国が補助をしてくれたら、なんとか栄養のほうもとれるし、そして改善もされるであろうという境目にあるのでございます。
  86. 高野一夫

    高野一夫君 これを法制化して全国の義務教育機関に適用するということになつた場合に、食べるものの材料ですね。今もお話も出ましたが、仮にパンは何とかこういうふうに間に合せるにしても、生の牛乳が足りない、或いは粉乳も行くところもあり行かんところもある。バターが足りない、マーガリンが足りない、そういうような場合に足りるところがあり、足りないところが出て来るわけであります、地域的に——。それで私は足りないと思うが足りるのかどうか。それから仮に足りないとする場合に、それを補うような何らかの副食物にはいろいろ栄養的に研究されたことがあるか。例えば家じや鰯の干したものをサンドイッチにして挾んで食べさせれば十分でないか。そういうものはうまくて安くて、そして栄養価値がある。こういうようなことについても研究する必要があると思うのですが、法案をお出しになるとすればそういうことについて調査されたことがあるか。それから厚生省先ほどから文部省からいろいろ御相談を受けておるというお話があつたが、全国の学童、生徒を対象にした場合に、何らかそういう点についてデータをお出しになつておるか、それを両方から一つ簡単でございますから、厚生省文部省のほうから……。
  87. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 全部がという場合を予定いたしまして考えますのは、小麦のほうはこれは食管のほうでお扱いでございますから、そのほうで計画して頂くことになるかと思うのでありまして、ミルクのほうにつきましては国内には酪農奨励を計画を立てておやりになつております。私のほうも成るべくこれに御協力をして参るつもりでおります。で現在でも国内産の脱脂で粉乳等を使つております児童の数は約四十万人でございます。そこで足りないところを調整の立場で、学校給食には脱脂粉乳を、外貨は要ることになりますが、輸入をしております。そこで今後酪農奨励の計画が逐次実現されて参るにつれて、どのくらい給食のほうに廻つて参るかということになるのでございますが、実は日本の現在の牛乳の生産量、従つて乳製品の生産等を考えます場合に学校給食を一時に始めますと、相当厖大な量が要りますのでございますので、どうしてもここ数年間はやはり今の形で行くことになるのではないか。逐次国内産に切替えて行くという態勢でおりますが、給食人員増加に伴う増量分が果して国内産で得られるか。むしろ当分の間はかなり大量を輸入する必要があるのではないか、かように考えます。  なお、ミルクを使わないで他の水産物であるとか、その他の国内産の物資によつて必要なカロリーなり栄養素をとるのにはどうしたらいいかということを検討しておるかというお尋ねでございますが、実は文部省学校給食方針をきめますに当りましては、保健体育審議会というのが、ございまして、その中に学校給食分科会がございまして、これには厚生、農林、文部それぞれの関係者或いは学識経験者等栄養医学その他関係方々が全部入られまして、常時そういうことを検討しておられますので、話題には勿論出ております。今どういう点をどう進めるということにはできておりませんけれども、検討はしておりますので、事態に応じて考える態勢にあることを御承知願いたい。
  88. 高野一夫

    高野一夫君 なお文献があつたら頂戴したい。
  89. 有馬英二

    有馬英二君 時間が大分過ぎましたが、厚生省にお伺いしたいんでございますけれども、ここにもちよつとした数字が出ておりますけれども学校給食を始めてからとその始める前と、児童の発育、それから疾病に対する、疾病の状況ですか、そういうことが統計的にずつと上つておると思うのですが、大きい統計がありますか。これは一項か二項くらいの奴はここに出ておる。
  90. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 学校給食を始めてからと始める前と学童の体位がどういうふうに変化したか、統計があるかというお尋ねでございますが、私どものほうで現在やつております国民栄養調査資料では、それだけまだはつきり区別して出しておりません。全体の体位の推移は出ておりますけれども、特に学校給食を実施しておる学童については厚生省としては現在まだ調べておりません。
  91. 有馬英二

    有馬英二君 言うまでもなくこれは学校給食は私どもも賛成しておるのですが、子供のしつけがよくなつたとか、偏食がなくなつた、それから蛋白の給与がよくなつたということは数字に明らかに出ておるのですから賛成せざるを得ないのですが、併し国民の体育ですね、殊に子供の発育に対してどう影響しておるかということは、ただ給食した児童だけの統計ではわからんので、もう少しコントロールが相当要るだろうと思います。だからその学校給食をやる前、或いはやらない児童との相当大きい統計をとつてみないとわからんと思うのですが、そういうところを一つ是非統計をとつてお示しを願いたいと思います。
  92. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 学校給食を実施している学校についての統計は、文部省ではお持ちと思うのですが、全体のそれと対照になる数字は、これはやはり国民栄養調査の成績がその対照になり得ると思います。これは年令別に数字をとつてございますが、これがコントロールになる。それと比較してどういうふうになるかということは言えると思います。私どものほうで学校給食をやつておる学童だけを特別に取扱つた成績が、ございませんので、それは文部省のほうとつき合せてそういう比較対照はできると思います。
  93. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 文部省としまして、それを統計的に数字をまとめてはおりませんですが、各府県なり地域においてそれぞれ比較をいたしたりいろいろ結果を見ておるのでございますが、それらの資料は私どものほうにもよく報告がございます。ただ、御承知のように戦後食糧事情が非常に悪うございましたのが非常によくなつて参りましたような事情もございますしいたしますので、あまり我田引水のような議論をしないように私どものほうでは考えておりまして、まあそれはそれとしてデータとして出ておるものを総合観察をいたします場合に、確かにいいということは言えますようですが、数的にどうだということを余りにきめつけてしまいますことはどうか、これはやはりここに出ておりますこれは近藤博士のデータと思いますが、近藤先生は非常に熱心に計画的に而も長い経過を御覧になつておりますので、比較的信憑される資料として持つて来たものだと考えております。
  94. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 先ほど高野先生の問題につきまして一つ、現在私どもかねて高い外貨を払つてまずい脱脂乳を飲まされるより生乳を飲ませるほうが当然であろうということで研究を進めております。現在数量から申しますと、現在なみの学校給食に生乳を使うといたしますと、大体約七十万石年間あれば現在程度のことはできるのであります。そこで七十万石が然らば現在の牛を殖やさずに現在のままで七十万石の増産ができるかというと、これは七十万石は必ずしも保証できませんが、少くとも五、六十万石は楽に現在のままで増産ができると考えております。それから一方現在の高級菓子、チヨコレート或いはカステラその他洋菓子、いろんな高級菓子に流れております生乳が年間約四十万石に達しております。これを半分セーブすることはこれは現在妥当だろうと考えておるものであります。さようにいたしますと少くも現在の牛の程度で現在の学校給食に生乳を使うことができる勘定になります。これらの点に関しましては目下もう少しく具体的に、問題は輸送配給というような点になりますので、この点を研究をいたしております。  次に、学校給食に不可分のバターの問題でありますが、これは現在どこの学校も人造バターを使つておりますがこれが著しく品質が悪いために、とかく先ほどのような委員長からお話のようなことが出るものと考えております。これは勿論パターの品質をよくすることが重要でありますが、併しながら現在のつまり人造バター、マーガリンの原料が魚油又は鯨油による以上は、これ以上に品質改良は極めて困難と感じます。而も世界各国とも現在おおむねテーブルバターはどこもマーガリンが使われております。アメリカにおきましても大部分がマーガリンが使われております。なぜそういう差があるかというと、結局材料油の問題になる、材料油として癖のない植物油を使うことが決定的の問題になる。従つてどもはバターがないからといつてバターを輸入することはおかしい。むしろ植物油を使つてマーガリンを生産する。仮に今バターの原料として綿実が一番よろしいわけですが、綿実を輸入してこれをマーガリンにすれば大体現在のポンド百二、三十円から百五、六十円で生産されるものと考えられる。さようにいたしますればこれらも十分に学校給食に可能になると考えております。而も植物油を原料といたしましたマーガリンでありますれば、殆んど天然のバターと区別がつきかねる程度になりますので、かような方法をとれば極めて少ない外貨によつて十分なる効果を挙げ得るものとかように考えております。
  95. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) ほかにまだ……。
  96. 有馬英二

    有馬英二君 先ほど高野委員の御発言に私は大変思い当つたのですが、ずつと前に私は北海道各地を廻つた際に、これは極く小さい学校給食を実施しておつた。それは田舎の漁師町ですが、自分の学校で山羊を飼つておるのです。そうしてその山羊の乳をみんなに飲ましておるということで給食を補つておる例を見た。これは私は非常に感服したのです。勿論生徒数が少いからそういうことはできるのでしようけれども、やはり非常に貧弱な、或いは分教場式の小さい学校で大きい施設をするというようなことも到底できませんでしようし、そういうようなところだと、そういう極く簡単な、自分の学校だけで学校がその金を出して、山羊をどこかから分譲してもらつて子供に飼わせる、そうして子供が搾つてそれをみんなに飲ませるというようなことをすれば、ちつとも金をかけないで給食が行われるという実例があるのですから、これはやはりそういうようなやり方を、ただどうも小麦粉だ粉食だというようなことだけでなしに、実際その村に即したようなことが行われたらできるのじやないかと私は思うのですな。そういうように御指導をなさつたほうが……、勿論しておられるかも知れませんが、実例を私は見たものですから一言今補足しておきます。
  97. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 参考人の方には長時間有益なお話を願いまして有難うございます。お礼申上げます。  本日はこの程度にて散会いたします。    午後零時三十八分散会