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1954-05-25 第19回国会 参議院 厚生委員会 第45号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年五月二十五日(火曜日) 午後一時三十四分
開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
上條
愛一君 理事 大谷 瑩潤君 常岡 一郎君 竹中 勝男君
委員
榊原
亨君
高野
一夫
君
谷口弥三郎
君 廣瀬 久忠君
湯山
勇君
有馬
英二君
国務大臣
厚 生 大 臣
草葉
隆圓
君
政府委員
厚生省医務局長
曾田
長宗
君
厚生省薬務局長
高田
正巳
君
厚生省保険局長
久下 勝次君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
説明員
大蔵省主計局主
計官 大村
筆雄
君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○小
委員長
の
報告
○
連合委員会開会
の件 ○
医薬関係審議会設置法案
(
内閣提
出、
衆議院送付
)
—————————————
上條愛一
1
○
委員長
(
上條愛
一君)
只今
から
厚生委員会
を
開会
いたします。 この際お諮りいたしますが、
覚せい剤取締り
に関する小
委員長
の
報告
を受けることにいたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上條愛一
2
○
委員長
(
上條愛
一君) 御
異議
ないと認めます。では
覚せい剤取締り
に関する
委員長
の御
報告
を願います。
高野一夫
3
○
高野一夫
君 私から小
委員会
の様子を
報告
を申上げたいと思います。 この小
委員会
は去る四月十人目に
覚せい剤取締り
に関する小
委員会
として設置されまして、常岡、藤原、
堂森
、
有馬
、
谷口
、
湯山
各
委員
に私が加わりまして、七名の
委員
が選任されて
調査立案
を命ぜられたわけであります。爾来小
委員会
は私が小
委員長
に選ばれまして、各
委員
熱心に
慎重審議
を重ねて頂いた結果、
重要事項
に対する一応の基本的の
調査
を完了いたしまして若干の
結論
に到達することができましたので、ここに
概略
の
報告
を申上げたい次第でございます。 本問題の
調査
に関しましては、五月六日、十一日、十三日、十五日、二十四日並びに本日と前後六回に
亘つて小委員会
を開催いたしました。この間各小
委員
におかれましては所属の各党にお
持帰り
を
願つて小委員会案
の再
検討
を続けられた次第でございます。小
委員会
といたしましては
参議院法制局
を中心といたしまして、
厚生省
の
薬務局
、
法務省
の
入国管理局
、並びに
刑事局
各
関係者
の
意見
も十分聴取いたしまして、その実相の把握に努めながら
検討
を続けて参
つたの
でございます。その小
委員会
でまとめました一応の
結論
について
概略説明
を申上げます。 先ず
覚せい剤取締法
の
改正
を企図するに当りまして、この
覚せい剤そのもの
を禁止したほうがよくはないか、禁止すべきかすべからざるか、この議論にスタートを切
つた
わけでございます。この点につきましては、一応小
委員会
といたしましては、現在のごとく
覚せい剤
の
正規
のものを禁止するというのでなくして、
覚せい剤取締法
の
現行法
を基礎にして
改正
を進めて行く、こういう
結論
に相成
つた
次第でございます。それは現在
覚せい剤
として挙げられておりまする
二つ
のものがそれぞれ
化学構造式
に立脚しました
誘導体
でございまして、更にこれに類する
誘導体
は幾らでも合成できるのであ
つて
、なお又現在
覚せい剤
として指定されているこの
化学式
に該当しない全然
違つた化学式
のものがすでにアメリカにおいて
製造
もされ、
日本
においても輸入されている現況でございまするので、いろいろ
化学合成
上から考えまして、そういう
合成品
の禁止ということが非常に実際問題として不可能であるということが
一つ
ございます。もう
一つ
は単一の
化学式
でなく、各種の
化学式
を持
つた
覚せい剤
が現われているということであるならば、これを禁止するということにすれば、
覚せい作用
を持
つた
一切の
薬品
を禁止する、こういう面で行くよりはかなかろう。そういたしますれば多くの
薬品
が持
つて
おります
通り
に、
二つ
以上の
作用
を合せ持
つて
いるような
薬品
において、
そのもの
が一面において
覚せい作用
を持
つて
いるというような場合は、これもことごとく禁止しなければ
意味
をなさない。こういうような両面から、又各
方面
からいろいろ小
委員会
において
検討
されました結果、そこで現在の段階におきましては、
覚せい剤そのもの
の
正規
の
製造
、
正規
の
使用
を禁止することは適当でない。こういう考え方に到達いたしまして、
現行
の
取締法
に基いての
改正
を進めて行く、こういうことに相成
つた
わけでございます。 先ずその第一は、
覚せい剤
の定義の拡大を
図つた点
でございます。現在は御
承知
の
通り
に、フエニルアミノ・プロパンやフエニル・メチル・アミノ・プロパン、この
二つ
の
誘導体
が挙げられているわけでございますが、これ以外の
誘導体
が現われる
可能性
は多分に
合成化学
上考えられるのでございますし、更に又これと全然
違つたアミノ・ヘプタン
というようなものもすでに現われているのでございまして、今後そういうようなすでに現在現われているものであ
つて
この法律の
対象
にならないもの、又は将来現れることを予想されるようなもの、そういうようなものにつきましても今後
覚せい剤取締
の
対象
とするということを今きめておいたほうが万全ではなかろうか、こういうことでありまして、そういうものが、現れましたならば、
厚生省
が
正規
の
機関
で
試験
、
調査
の結果、現在の
覚せい剤
と同様の
覚せい作用
を有するものであるという
判定
が下されましたならばそれを政令で指定して、指定したものは現在の
覚せい剤
同様に
取締
の
対象物
にする。こういうことにしたらばどうであろうか、こういうことに一応小
委員会
の
意見
が一致いたしたのでございます。 なおもう
一つ
、きま
つた
点から申上げますが、次には
罰則
の
強化
でございますが、現在は御
承知
の
通り
に
罰則
が比較的低いのでございまして、
麻薬違反
と
大分違つた
軽い刑が課せられる。そのために依然として
密造
、
密輸入
、
不法使用
というようなものが跡を絶たないような
現状
にあると考えまするので、ここで
罰則
を非常に高度に
引上げ
てみたらどうであろうか、こういう
論議
が始ま
つた
わけでございます。特に
最初
はその
根源
をなす
密造者
、
密輸入者
、ここに主眼を置いて
重罰
を科することにしたらどうであろうかと、こういう
意見
がございました
ところ
が、
法務省検察関係
の意向といたしましては、それは誠に結構であるけれ
ども
、昨年の統計から見ても
犯罪者
の殆んど七、八割が
不法所持
である、或いは
不法使用者
である。だから
不法所持
と
不法使用者
にやはり
密造
、
密輸入
と同様の
重罰
を科するということにすれば、
犯罪捜査
上技術上非常に重宝であり便利であ
つて
、そして
検挙
の実績を挙げることができるであろうと、こういうような
意見
もございまして、そこでいろいろ小
委員
において
吟味
をされました結果、
密造者
、
密輸入者
、
密売買者
、
不法所持者
及び
不法使用者
、これは同格に
扱つて
五年以下の
懲役
又は十万円以下の
罰金
と、こういうことにいたしたわけでございます。更に又これを営利の目的又は常習としてやるというようなものに対しましては七年以下の
懲役
又は五十万円以下の
罰金
、こういうようなことにいたした次第でございます。その他の
正規
のものについての処罰の
方法
、すべて一応高度に
引上げ
てございますから、皆さまのお手許に配
つて
ありまする
原案
を
一つ
お読みを願いたいと存じます。これによりまして今後
検挙
され
たる者
に相当高い
体刑
が科せられる、こういうことが期待されるのでありまして、
犯罪
の
根源
を断つことに一歩々々近付けるのではなかろうかと、こういう
結論
に達した次第でございます。この
罰則
の
強化
は大体
麻薬取締法
と同格、同程度のものにいたした次第でございます。 次には
覚せい剤研究者
が
覚せい剤
の
研究
のためにいろいろ
研究
する場合は、従来は人体にこれを用いて
研究
をすることが禁止されてお
つたの
でございまするけれ
ども
、これは
臨床試験
上どうも妥当でないのでありまして、そこで
厚生大臣
の
許可
を受けたならば人に対しても
覚せい剤
を
使用
し、又は
研究
のために
製造
することができると、こういうようなことに
改正
をいたしたいと、こういうことにきめたわけでございます。 次に、
覚せい剤製造業者
が
厚生大臣
に或る
営業所
を届出た場合、その
営業所
も又
覚せい剤
を保管し得る
場所
として認める、そうして
製造所
と
保管所相互
間の
覚せい剤
の移動について十分厳重な
規定
をする必要がある、こういう
結論
に達してさようの
条文
を置いた次第でございます。それは現在は
覚せい剤
の
保管場所
は、御
承知
の
通り
に
製造所
のみに限られておるのでありまして、例えば
製造所
から遠隔の地に、離れました
営業所
なり、倉庫なり、支店なり、そういう
ところ
に保管しますることについては何ら法的の
解釈
をつけられない。こういうような事情にございまするので、この点の
解釈
も十分つけられるように、且つ
取締
が十分できるようにいたした次第でございます。 次に、
覚せい剤
の
製造業者
又は
施用機関
におきまして、或いは
研究者
におきまして、その所有する
覚せい剤
を廃棄する場合には、
現行
においては何ら
規定
がなか
つたの
でございますが、その際
都道府県知事
に届出て
薬事監視員
に立会
つて
もら
つて
その立会の下に
廃棄処分
をする、こういうことにしたほうがなお万全を期することができやしないか、こういう
結論
に達した次第でございます。そのほか細目のことは以上の
報告
に
従つて
こまごました
条文
の整理を行な
つた
次第でございます。 なお、
研究
した結果保留されました二点について申上げておきたいと思います。それは先ず
最初
に
取締方法
の
強化
の
立法
といたしまして、現在ありまする
ところ
の
麻薬取締官
並びに
麻薬取締員
が
麻薬
の
捜査検挙
に当りました場合には、多くそこで
覚せい剤
の
違反行為
にぶつかるのでありますから、そういうような場合に、
麻薬
の
捜査検挙
に当
つた
その現場においては
麻薬取締官麻薬取締員
にも
一般司法警察職員
と同様の権能を与えて
覚せい剤
の
違反行為
の
取締
ができるようにしたらばどうであろうかと、こういうことにつきまして今日も午前中まで長い間に
互つていろいろ検討
を加えたのでございまするけれ
ども
、このことは更になお
一般司法警察職員
と
特別司法警察職員
とのいろいろな関連、或いはこの
麻薬取締官
及び
取締員
の人数の問題、そのほか
麻薬取締
上の問題、或いは行政上の
職務遂行
上の問題も考えまして、この問題については更に
研究
を将来に留保したい、こういうことで一応この
改正
の
原案
からはオミツトしたほうがよくはないであろうか、こういう
結論
に達したわけでございます。 もう
一つ
は、
最初
検討
されましたのは、
出入国管理令
を
改正
してもら
つて
、そこで
麻薬取締法
の
違反者
は
強制退去
を命ずることができるようにな
つて
おりますが、
覚せい剤取締法
の
違反者
も同様にこの
出入国管理令
によ
つて強制退去
を命ずることができる、これは
第三国人
の場合でございますが、
強制退去
を命ずることができるということにしたらばどうであろうか、こういう
論議
を闘わしたのでございます。
ところ
が、この点につきましては、
麻薬
のごときものは、これは各国相互間
取締
つて
おる問題でございますから差支えないのでございまするけれ
ども
、
覚せい剤
については諸外国において
取締
つて
おる
ところ
はどこもございませんで、
日本
だけでございますので、さような
日本
だけでや
つて
おるものをここで
出入国管理令
の中に織込むということは、
国際慣行
上どうも面白くない、こういうような
意見
が
法務省あたり
から述べられたのでございます。更に又一方今度の
罰則
の
強化
によりまして、一年以上の
体刑
を受ける者が出るはずだから、そこで一年以上の
懲役
又は禁錮に処せられた者は
強制退去
を命ずることができるという
規定
がございますので、恐らく大部分はこれにひつかかるであろう。
従つて
これにひつかかるならば、
第三国人
が
違反者
である場合には
強制退去
を命ずることができるはずだから、暫く現在のままの
管理令
によ
つて
、この
検挙
の
工合
を見て、判決の
工合
を見て一応この
研究
を将来に又留保したほうがよくはないだろうか、こういう
結論
に達した次第でございます。
従つて麻薬取締官
、
取締員
がこの
取締
に参加することと
出入国管理令
の
改正
という問題は一応除外して、先ほど申上げた点について案を練ることにしたらばどうであろうか、こういう大体の
意見
に小
委員会
としては到達いたしました。 それから申し忘れましたが、
中毒患者
を
病院
その他に強制的に収容して
治療
し矯正するということについて強いいろいろな
論議
が闘わされたのでございますが、或いは
精神衛生法
の
改正
とか、或いは現在はすでに
予算編成
後でございますので、
予算
を伴う措置はできませんが、
予算
を伴わずして何らかの
条文
を作ることができやしないかということについても、いろいろ
論議
が交されたのでございまするけれ
ども
、この問題も仮に来年からするにいたしましても、再来年からするにいたしましても、やはり
必然国庫予算
の
必要性
があろうかと思いますので、その
予算編成
の将来の方針と関連いたしまして、その
強制収容
の問題については、今後
厚生省当局
において十分な
一つ吟味
をして頂いて、他日の機会に適当な案が出ましたならば、
政府原案
或いは
議員立法
として
提出
ができるように運んで行きたい、こういうことの
結論
の出たことを附加えて、御
報告
申上げておきます。
上條愛一
4
○
委員長
(
上條愛
一君)
只今
の
高野
小
委員長
の
報告
通り
了承することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上條愛一
5
○
委員長
(
上條愛
一君) 御
異議
ないと認めます。
—————————————
上條愛一
6
○
委員長
(
上條愛
一君) 次に、
内閣提出
の
水道法案
の
審議
のために
建設委員会
と
連合委員会
を開くことといたしまして、日時、手続その他は
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
上條愛一
7
○
委員長
(
上條愛
一君) 御
異議
ないと認めます。
—————————————
上條愛一
8
○
委員長
(
上條愛
一君) 次に、
医薬関係審議会設置法案
を議題といたします。御
質疑
を願います。
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
上條愛一
9
○
委員長
(
上條愛
一君)
速記
を始めて下さい。
高田正巳
10
○
政府委員
(
高田正巳
君) 昨日当
委員会
で御
質問
が出ました
アドポンコーワ錠
の問題でございますが、大体の
経緯
は昨日
お話
が出ましたように、昨年の十月に二十二、三才の青年の方でございますが、
アドポンコーワ
を買いまして、そうして、それを飲んだ
ところ
が
視力障害
を起したというので、その
薬局
に
関係者
がそのことを申し、その
薬局
のほうから直接
製造所
のほうにその問題を持
つて
参り、それで
製造会社
のほうでは、薬のために起きたのかどうかその点はわからないけれ
ども
、そのことも究める必要があるし、それから又同時に、人道上の立場から申しましても捨ておけないというので、
日大病院
でございましたか、早速
入院
をさせて
治療
を受けておると、こういうことでございます。その後
会社
といたしましては、二ヵ月ばかりは
医療費
、
入院費
全部の負担をいたしましてや
つて
お
つたよう
でございます。その後の
経済問題等
につきましては、
会社
とその当事者との間に、いろいろと問題が起
つて
いるようでございます。 私
ども
がこの問題を耳にいたしましたのは、本年に入りまして、三月の八日でございました。で、早速当時の
製薬許可
のいきさつ或いは
会社側
、それから
被害者側
、いろいろ取調べてみまして、それからなお
病院
についても、係官が出張をいたしましていろいろ
意見
を聞き、なおその
担当医師
の
意見
を
文書
で出して頂いたり、一方薬につきましては、昨日申上げましたように、同一ロツトのものにつきましては回収を命じ、それからその現品につきましては、
国立衛生試験所
で
品質検査
並びに
毒性試験
と申しますか、
薬理試験
をや
つて
いる。昨日
課長
から四月の初め頃か三月の終り頃だ
つた
と思うという記憶から、
お答え
をいたしましたが、四月の末に
国立衛生試験所
のほうに
参つて
いるわけでございます。 大体そういうふうな
経緯
でございまするが、この問題につきまして、
アドポンコーワ
という薬の中身につきましては、これは非常に
専門
的な問題になりますので、後刻
課長
から御
説明
を申上げたいと存じますが、これは
類似
の薬も他にいろいろあるわけでございます。大体この
痙攣性
の疼痛というようなものにきく、まあ胃潰瘍とか
十二指腸潰瘍
とか、そういうような場合に、痛みが出た場合にきくというようなものでございます。他にいろいろ
類似
の薬もあるようでございます。 なおこれを
許可
いたしまするときの
経緯
といたしましては、一昨年の二月に
製薬
の
許可
の出願がございまして、その後いろいろ内容を
検討
し、昨日申上げました
薬事審議会
の新
薬品部会
、それから
常任部会等
にかけまして
許可
をいたしましたのが、一昨年の十月に
許可
をいたしております。その際の詳細な
経緯
も御
質問
があれば
お答え
をいたしたいと存じますが、約二百数十例の
臨床データ
を
東大分院
その他で持
つて
おります。資料といたしましては完備したものであ
つた
ということでございます。 それからこの薬とその
視力障害
との
因果関係
、これが非常に
要点
になると存じまするが、
担当
の
日本大学病院
の
担当
の
医師
から、詳細な
報告
が
文書
で
参つて
おります。この
患者
は
最初視力障害
を起したというので、
眼科
に
入院
をいたしたわけでございまするが、その後他に
病気
があ
つて
どうも
内科
の領域であるということで
内科
に移
つた
。それで爾来療養を重ねまして、最近におきましては相当恢復をいたしているという状態であるように
承知
しております。それでこの
眼科
並びに
内科
の
担当医師
の
意見書
でございまするが、いろいろ
所見
或いはいろんな
試験等
の結果が詳細に記述してございまするが、
結論
となる
ところ
を読んでみますると、
眼科
のほうで申しておりまするのは、「茲に翻
つて
みるに斯る
視束網膜炎
が少量の
アドポン錠内服
に因るものか否かに就ては我々は未だかかる
経験例
を有しないので、その
判定
は困難である。
文獻上アドポン
による副
作用
はむしろ
アトロピン作用
による
調節麻痺
が挙げられるが、本
患者
に於ては之は証明出来なか
つた
。」それから
内科
のほうはより非常に詳細な
意見書
でございまするがそれの
結論
といたしまして、「以上を綜合すると、本
患者
は
急性腎炎
の
発病
後
視力障碍
のあらわれる
頂度
前に
興和化学製アドポン
を内服したと考えられる。
急性腎炎
の
発病
は
潜行性
におこることが少くなく、またその
初発症状
が
視力障碍
であることも稀ではない。
従つて
、
患者
が
腎炎症状
を自覚しない時期に、
頂度アドポン
を服用し、その後に
視力障碍
が初発したと考えるのが妥当ではなかろうか」と、こういうふうな
所見
を
結論
としてつけております。それでこういう
医師
の
所見
並びにこの薬と大体
類似
の
薬品
が市販されているのでありまするが、この当該の
アドポンコーワ
につきましても相当な量がすでに市販をされておりまして、かような
事件
はこれがただ一件私
ども耳
にしておるだけでございます。さようなことから総合して判断をいたしますると、この薬によ
つて
さような
症状
の起
つた
と断定することは到底困難である。むしろ
医師
の
意見
では逆に薬ではないのではなかろうかという
意見
のほうがむしろ若干の疑問を、そうして断定はいたしておりませんが、こう考えるのが妥当ではなかろうか、こういうふうに申しておられますので、その点についてはまだ究明の余地があるかと存ずるのでございます。一方この
薬そのもの
につきましての分析は、四月の末から
衛生試験所
でや
つて
おりまするけれ
ども
、これは昨日申上げましたようにまだすつかりでき
上つた
結果が出ておりません。えらい長いじやないかというお叱りでございましたが、
薬理試験等
につきましては動物を使いましていろいろ
試験
をしなければならない、そういうふうな
関係
からもう少し時日を要するものと考えるのでございます。大体の
経緯
はかような
ところ
でございます。 なお、詳細につきまして
専門
的に亘る
事項
でございますれば、
担当
の
課長
から
お答え
申しますし、御
質問
によ
つて
お答え
申上げたいと思います。
上條愛一
11
○
委員長
(
上條愛
一君) この
問題はちよ
つと後に譲りまして、なお
発言者
の
堂森
君もおりませんから後にいたします。 それでは
医薬関係審議会設置法案
の
質疑
を願います。
榊原亨
12
○
榊原亨
君
大臣
が御
出席
になりましたので、一応
大臣
に極く大略のことをお伺いさして頂きたいと考えるものであります。この
病気
というものには非常に
個人差
があるということは、これは
大臣
はそのほうの御
専門
ではありませんけれ
ども
、よくおわかりにな
つておいで
になることと思うのであります。若しも
病気
に
個人差
というものがひどくありませんならば、これは
一つ
の部屋に何人もの
患者
を入れまして、何か機械かなんかですぐに一人々々を診断を下して、
治療
を下して行くということができるわけでありますが、なかなかこれができないということは、一人々々の
個人
によ
つて
同じ
病気
の名前でありましても、同じ性質の
病気
でありましても、非常に
個人
の差がある。これは
大臣
は特に宗教の
方面
の御
関係
の方でありますから説教をするにいたしましても、
一つ
の部局にたくさん
信者
を入れておいて一度に説教して全部を
信者
にさせるというようなこともできますが、結局は一人一人の
個人
というものに安心立命を与えるということが、心の
病気
を持
つて
いる者にとりましては必要だ、身体の
病気
につきましても同じことが言えるのではないかと私は考えるのであります。従いまして
公衆衛生
というような面は別でございますが、疾病の
治療
ということに関しましては、どうしてもこの
個人差
ということを強く認めざるを得ない、そういう点につきまして昨日
大臣
に対してどなたか御
質問
がありましたように、
公的医療機関
と
私的医療機関
はどうだ、飽くまでも
公的医療機関
として
医療機関
は共存さすべきものである、殊に
公的医療機関
が各所管によ
つて
濫立して、一方におきましては廊下の板が外れまして、そうして
患者
が躓くような
病院
を作
つて
おるかと思いますというと、一方においては数億円を投ずるような立派な
病院
ができておる。こういうふうなことは一応国費の濫費でありまして、何といたしましてもこれは
日本
の国に相当した
病院
というものを、この
予算
を効率的に使うという面から申しましても、こういうことはもう少し
合理化
しなければならん。昨日も
大臣
が
国民
の
医療
の
合理化
のために
医薬分業
ということが問題であるということをおつしや
つたの
でありますが、
分業
ということだけが
国民医療
の
合理化
ではないと私は思うのであります。従いまして
公的医療機関
と
私的医療機関
に対します、殊に
公的医療機関
に対します
ところ
の
整備
の問題にいたしましても、或いは
私的医療機関
に対する
ところ
のいろいろな助成の問題にいたしましても、これは
病気
の
個人差
ということから見ましても、これは是非必要なことであると思うのでありますが、その点に対する
ところ
の
大臣
の御
意見
はどうでありますか、昨日も
お答え
があ
つたよう
でございますが、一応お尋ねする次第であります。
草葉隆圓
13
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 御
質問
の
要点
が私
ちよ
つとつかみにくいのでございまするが、結局
公的医療機関
、
私的医療機関
の上において、
病気
は
個人差
が甚だしいから、これに即応するような
医療体系
をと
つて
くれ、
従つて
いわゆる申しておりまする
医薬分業
と、これがどういう
関係
にあるかというような或いは
意味
ではないかと存じまするが、
治療そのもの
の上から申しますると、
公的医療機関
或いは
私的医療機関共
々に
日本
の
現状
におきましては強く推進して
参つて
、この両方を活かしながら
国民
の
医療
、保健というものに貢献して行くように
政府
としては希
つて
おる次第であります。そうして又その上におきまするやり方の上におきまして、一層これを
治療
の上における
合理化
を考える場合に、
昭和
二十六年に制定されました
医療関係
、薬剤師或いは
医師
或いは
歯科医師
というこの三法が制定されました
趣旨
に鑑みまして、その制定された
趣旨
は一方においては
医薬
の
合理化
の
趣旨
を含んだものである。
医薬
の
合理化そのもの
は必ずしもそればかりじやなしに、
お話
のように或いは
医療体系
の
整備
或いは
公的医療機関
の普及徹底、併せて又
私的医療機関
の強度の国家的な推進というようなものと相待
つて
来ると存じております。これらのあらゆる点を総合して、
国民
保健の向上というものが初めてでき上ると考えております。
榊原亨
14
○
榊原亨
君 次にお尋ねいたしたいと存じておりますことは、
只今
も申上げましたように疾病には非常な
個人差
があるということばかりではないのでありますけれ
ども
、今の
国民医療
といたしましては、社会保険がまあ大部分を占めて来ておる。年々この社会保険の比重が重くな
つて
来ておるということはこれはもう何人も認める
ところ
でありますけれ
ども
、その社会保険のほかに、一部分たりとも自由診療というものが存在しておることは否むことができないのであります。今
医薬分業
をするということになりますと、この場合
医薬分業
というのはいわゆる法律を以て強制します
ところ
の
分業
のことを
意味
するのでありますが、そういたしまするというと、その場合に社会保険における
ところ
の
分業
はどういう影響があるかということも考慮する必要があるのでありますが、一面におきまして残されました自由診療の面におきまして、この
分業
の影響がどうであるかということも考慮に入れる必要があるのではないかと思うのでありますが、その点についての
大臣
のお考えは如何でございましようか。
草葉隆圓
15
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 御尤もであると思います。現在では大体数から申しますると、保険加入が約全体の世帯の五八・一%くらいは社会保険の加入者であると存じます。そのほかに生活保護等がありまするので、保険加入或いは生活保護以外は三九。二%くらいにな
つて
おると存じておりますが、これらは
お話
のように保険以外の
治療
、両方に影響しておる。
従つて
両方に
関係
して来る。で一般
治療
のほうとそれから社会保険
関係
の
治療
のほうと両方を
検討
しながら行
つて
いると、かように考えております。
榊原亨
16
○
榊原亨
君 なお
只今
大臣
が御指摘になりましたように、
国民医療
におきましては自由診療と社会保険診療があるということは当然でありますが、そのほかに昨日も問題になりました
ところ
の売薬、或いは按摩、針、炙、柔道、マツサージというようなものに対する
ところ
の
医療
の面があるのでありますがそれらについても同様な
関係
にあると私は思うのでありますが、その点についての
大臣
の御
所見
は如何ですか。
草葉隆圓
17
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 全体のいわゆる
国民
保健という立場から考えますと、御指摘のようにこれらの売薬或いは更に
医療
補助
機関
と申しまするか、いろいろ法で定めておりまする按摩、はり、灸、柔道整腹術というような
関係
も
国民
保健の上には相当強く影響して来ておると考えております。
榊原亨
18
○
榊原亨
君 医務局長にお尋ねいたしますがその比重はどうでございますか。
曾田長宗
19
○
政府委員
(曾田
長宗
君) お配りいたしました資料によりますと、
医師
、
歯科医師
に支払われました
医療費
というものが、先日申上げました
通り
千三百億という程度だと申上げた。そのほかにこの二十七年に
調査
いたしました結果によりますと、
薬局
に支払われました
医療費
というものが百八十八億ばかりという数字にな
つて
おります。それから
医師
、
歯科医師
に支払われましたものが千三百億というのに見合う数字であります。それからそのほかのものといたしまして按摩、針、炙、それから若干産婆に対する謝礼が入
つて
いると思いますが、これが四十億程度、それからそのほかに直接の診療或いは
治療
或いは看護というものに対して支払われましたまあ直接
医療費
というもののほかに、
病気
になりましたためにいろいろ
患者
が使います氷嚢でありますとか或いは氷類、或いは
病院
に通います交通費だとかこういうような間接のものが二十三億程度というような数字で、全体を合算いたしますと約千五百億余りということにな
つて
いるわけであります。
榊原亨
20
○
榊原亨
君
只今
は費用の面における比重を
お話
し下さ
つた
と思うのでありますが、
患者
の数における比重はおわかりじやございませんでしようか。
曾田長宗
21
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 今手許に持
つて
来ておりますものが資料としましては
ちよ
つと古いのでございますが、
治療
件数で見ますならば、
昭和
二十五年に
医師
にかかりました疾病が五〇%余り、それから
歯科医師
にかかりましたのが三%余り、それから按摩、はり、炙を利用いたしましたものが三・五%、それから売薬を用いましたものが四一・五%そのほかが一・五というような数字にな
つて
おります。そのほか
治療
日数で、その数字もございますが、これによりますと
医師
にかかりましたものが六〇・四%、それから
歯科医師
が二・七%それから売薬を併用したというこの
治療
日数は三二・五%というような数字にな
つて
おります。これは、一遍
病気
をいたしましてその際に
医師
にもかかり売薬も飲んだ、
最初
に売薬を飲んで後に
医師
にかか
つた
というのは両方に数えているのであります。
榊原亨
22
○
榊原亨
君 大体今医務局長の
お話
によりますというと、いろいろ統計のとり方があるかも知れませんが、ここに百人
患者
がございますと、そのうち半分だけは
医師
にかかる、あとの三割は薬剤師の
ところ
へ参られまして
薬局
で売薬を買われる、あとの二割がまあそのほかの
治療
を受けられると、ざつとこう見て私はいいのじやないかと考えるのであります。そういたしますというと、
病気
になります
患者
のうちで半分が師医にかかる。その
医師
にかか
つた
者の、先ほど
厚生大臣
の
お話
によりますというと四〇%が自由診療で、六〇%が社会保険ということになりますというと、今ここで私
ども
が
分業
はどういう影響があるかというようなこの
国民医療
の面における影響を考察いたしますときに、社会保険だけでこれを
研究
いたしましたのでは、なかなかその影響がわからんのではないかということを私は考えるのであります。昨日久下保険局長の
お話
によりましても、それじや社会保険において一体どういうふうな対策をしているのだというどなたかの御
質問
に対しまして、この
医薬分業
の影響というものは社会保険だけ
研究
したのではわからんのです、そこで医務局が中心にな
つて
今御
研究
にな
つて
おられるのだ、こういうような
意味
の御答弁があ
つた
と私は承わるのでありますが、私の考えはそれでよろしいのでございましようか。
厚生大臣
にお承わりいたしておきたいと思います。
草葉隆圓
23
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) いろいろ数 学的な点から考えますると、先ほど来申上げました
通り
でございますが、私は保険契約、保険加入者の数から申しましたが、支払額と
医療費
の面から申しますると、契約負担が八三・五にな
つて
おります。それから
個人
負担及び自由負担が一六・五というように数がずつと減
つて
おります。そういういろいろ先ほど来申上げた
通り
でありますが、昨日来申上げましたのは、この
医療
制度、
医薬
関係
の、いわゆる
医薬分業
問題の今度の設置法そういう点、又は一般に
関係
の部面は各
関係
局或いはその他に及びまするが、いろいろの仕事のとりまとめその他で便宜がいいので、大体これの体系付けというものを医務局が中心にな
つて
や
つて
おる。そうしてここで資料等を集めて又法律的には又別に取
扱つて
おりますが、そういう恰好でいたしております。
榊原亨
24
○
榊原亨
君 大体よく了解するのでありますが、そういたしますると、今例えば端的に
医療費
の問題ということを論じ、或いは
医療費
の問題の影響を考えると言います場合、社会保険の診療報酬だけを調べたのではなかなかこれがわか
つて
来ない。成るほど社会保険の診療報酬というものは一面規制されておりますから、統制されておりますから、そこで
厚生省
は社会保険の診療報酬に関しては、社会保険の
医療
に関しましては、これこれである、これこれであるということをきめることはできるでございましよう、法律を以て……。
ところ
が先ほどから私、
厚生大臣
もお認めになりましたように、社会保険以外のものの
分業
の場合の診療報酬というものはこれは自由でありますから、なかなかこれはきま
つて
来ないのではないかと私は思うのであります。その点についてどんなお見通しを持
つて
おられるのでございましよう。
草葉隆圓
25
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 実は
お話
のように、先に申上げました一六・五以でございますか、その費用の額から申しますると、それだけの
個人
並びに自由負担、或いは世帯から申しますると三一%の社会保険加入者以外或いは生活保護法受給者以外というような人たちは、いわゆる自由診療にな
つて
おると申しますか、自由契約にな
つて
おる、
従つて
現在は
医療費
というものについては特別な規制というものはないわけでございます。それだけの或いは額、
治療
に応じ、本人の負担に応じと申しまするか、
治療
に応じて支払いがなされている。このほうは従来とは違いまして自由支払という恰好にな
つて
おりまするから、
政府
なり法の力では、現在の
ところ
では
取締
つた
り或いは指示をしたりという考え方も持ちませんし、又そうすべき状態ではないと考えます。ただ社会保険に対しまする場合において一点単価なり、その内容なりが、ここで分れて来る点であると考えます。
榊原亨
26
○
榊原亨
君 そういたしますると、ここで例えば先ほど私が
お話
いたしましたように診療報酬をきめて、そうしてまあ
医薬分業
をやるといたしましても、自由のほうは野放しだという話でございまするというと、その影響がどうなるかこうなるかということは、なかなかこれは
判定
しにくいのではないかと思うのであります。勿論
医師
の団体こか何とかいう
ところ
におきまして、自発的にこれを規制いたしまして、成るたけ一定の比率を以ちまして社会保険診療報酬とマッチするように比重を持つように努力はするでございましようけれ
ども
、例えば五〇%しか
医師
のほうに行かんのでありますから、
従つて
そのほかの部面におきましても一定の影響がある、こういうことにな
つて
来ますというと、なかなかこれが簡単に解決しないのではないかという考えが出て来るのでございますが、その点について何かお考えがございますでしようか。
草葉隆圓
27
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) そこで
個人
負担或いは自由負担と申しまするか、その場合におきましては、現在もいわゆる
個人
負担であり自由でございますから、結局
患者
並びにこれに
治療
を施すほうと
治療
を受けるほうの中の契約と申しまするか、支払という形にな
つて
現われて来る。これは現在法律その他によ
つて
規制をしていない、自由でございます。でありまするが、このやり方の上においての或いは処方箋或いは
医薬
を給する
方法
というのが二十六年の法律によりましてその
方法
を
規定
しておるわけでございます。この
方法
によ
つて
の支払いなり或いは金額なりというのは自由に相成
つて
来ると存じます。これは従来と何ら変りないと存じます。社会保険におきましては、従来の金額を中心にいたしてこれが分担をどうするかというのが社会保険におきましてはこの問題に直接影響し
関係
して来る点であると考えております。
榊原亨
28
○
榊原亨
君
大臣
の
お答え
は少しはつきりして来なくな
つて
来たのであります。私はこういう考えは如何かと思うのであります。先ほど来私が申上げましたように、疾病というものにつきましては非常に
個人
の差というものがありまするし、又何といたしましても自由診療というものの面を否定することができない
現状
でございますのでありますので、そういう
個人
と
患者
の間の間柄の
ところ
に法律の介入が、法律を以てこれを強制するとか規制するかという法律の介入が入るということそれ自身に、いろいろな矛盾撞着が出て来るのではないかと私は思うのであります。従いまして例えば社会保険というものは法律でちやんと診療報酬も
規定
されておる。一定の規制もあるのでありますから、そこに
分業
なら
分業
ということを強制するということも可能でございます。けれ
ども
自由診療とか、或いはあん摩、はり、きゆうとか、そのほかのほうへ行くような人までも
分業
という形で法律を以てこれを規制するということ、そこに無理があるのであ
つて
、若しもそういうことでございますならば、なかなかこの影響ということがはつきりして来ない。例えて申しますと、今問題にな
つて
いる売春法でもそうであります。その売春という問題、この売春法というものを作りまして、そうして
個人
の生活の奥底に及んでいるものを法律を以て規制するということ、それ自身が……。又先日も何か
厚生省
では食品栄養改善法の一部を
改正
する法律案というようなものを出そうとして私御相談を受けました。それでよく聞いてみますと、まあ食品栄養基準を
厚生大臣
がきめて、それでこれに右へ並へというようなことでやるのだというような
お話
のようであります。これはもうとんでもない間違いだ。どんな味噌を食べてもこれは各自の自由であ
つて
、うまいと思うものを食べればいいのだ。ただこれは指導する上におきまして、成るべくビタミンの入
つた
ものはこうだというふうにや
つて
行くのは、これは普通であると思うのであります。従いまして社会保険におきまして、
分業
を強制することはできるでございましようが、自由診療の面におきましてこれを強制するということには、なかなか困難さがある。それが悪いというのではない。あとから私が申上げますように、悪いというのではありませんが、甚だ困難さがあ
つて
、そうしてその影響を数字で
検討
し、又八月三十一日までにこれを出すと何とかいうことは、なかなかこれは困難性があると思うのでありますが、そういう無理を押切
つて
までも八月三十一日までに適正な算定がお出しになれるお見込みがあるかどうかということについて、私は承わりたいのであります。
草葉隆圓
29
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) これは先ほど来申上げまするように、
医療体系
、
医療
という上から考えて、
医療
そのもの
が、いわゆる
医師
の診察、或いは技術、或いは薬というもの、その他器具等いろいろありましようが、そういうものによ
つて
医療
というものができ上
つて
いる。併し具体的に申しますると、いわゆる調剤と診察、或いは
治療
、技術というものがそこに現われて参りまするから、この点は社会保険でありましても、或いは自由診療でありましても
病気
に対する
治療
を受けるほうと、
治療
を施こすほうとの
関係
は同じであると思います。ただ金の支払いと、これをどうして支払うかという点において、
個人
が負担する場合と、国家の責任、或いはその他の社会保険による場合、生活保護等のものによる場合、共済組合等による場合、いろいろその支払いの
方法
が違
つて
来ると思います。まあ一種の
医療体系
と申しまするか、
医療
そのもの
については同じである。
病気
をした人がお医者さんにかか
つて
治療
を受ける、その
治療
費をどうするかということによ
つて
の違いが生じて来ると思う。
従つて
その
医療
そのもの
についての考え方とか、願わくば将来は
個人
負担というのがだんだん減
つて
来て、そうして社会保険その他のものに全面的にや
つて
参りまする場合に、いわゆる
国民
社会保険というものが完成したと言えましようが、現在そこまで行
つて
おりません。一部分はまだ残
つて
おりまするけれ
ども
、これは
一つ
のこの
医療費
の負担の
方法
の問題である。
従つて
医療費
の負担は、今後恐らくだんだんと自由負担というものは侵蝕され、少くな
つて
、そして国家負担その他の公共負担、或いは他の社会保険、社会保障的なものに変
つて
来ると存じます。又変
つて
来ることを私
ども
は望んでおります。でそういう状態でございまするから、この費用の負担につきましては、今後だんだんと移動して来ると思います。併し
治療そのもの
は、内容を向上し、或いは
合理化
し、或いは進歩いたして参りましても、社会保険、自由診療というものとの影響というものとは又別にな
つて
来るのではないかと考えます。
榊原亨
30
○
榊原亨
君 これ以上私は
大臣
に御
質問
申上げてもあれですから、申上げませんが、私が申上げたことを
一つ
大臣
、とくとお考え置きを願いたいと思うのであります。そしてこれが八月三十一日までに、今下僚の人が計算していらつしやいますが、そういう目で
一つ
御覧下さいますと、成るほどこれはむずかしいことだということがおわかりが行くだろうと思うのでありますが、それ以上はもう私申上げません。そこで、
大臣
は今あれでございますが、続けてよろしうございますか。
上條愛一
31
○
委員長
(
上條愛
一君) どうぞ。
榊原亨
32
○
榊原亨
君 そこで医務局長にお尋ねしたいのでありますが、昨日も
大臣
に対して御
質問
があ
つたの
でありますが、今日の
医療
の体系でどこが悪いのですか、どこが改善を要するのですか、ということをどなたかお聞きにな
つたの
でありますが、それらに対する
大臣
の
お答え
は、
合理化
しなきやならんという
お答え
があ
つた
。これはあとから
大臣
がお出ましになれば、又もう一遍私
質問
したいと思うのでありますが、まあ今の
医療体系
でどこが悪いのですかということを、端的に医務局長、どんなふうにお考えでございますか。承わりたいと思います。
曾田長宗
33
○
政府委員
(曾田
長宗
君)
只今
の御
質問
は如何ように私
お答え
申上げたらいいのか実は苦しむのでございますが、御
質問
の
趣旨
が如何ような
ところ
にありますか、今日の
医療
行政と申しますか、これを
担当
させられております私としては、今日の
日本
の
医療
の
現状
というものに対しては、是非改革すべきものがあると思うのでありまして、余りいろいろなことを申上げるのは、この席で不適当ではないかと思うのであります。若しもこれが何ゆえにこの今日の
医療
制度を改革する、
合理化
するという、その一環として、この
医薬分業
を取り上げたかという問題でございますならば、私は
承知
しております
ところ
を申し上げたいと思います。若しも足りませんでしたら、又
質問
願うことといたしまして、この
医薬分業
が今日の
日本
の
医療
制度の
合理化
になるか、むしろ改悪であるかということにつきましては、すでにこの当国会におきまして、すでに十分御
論議
のあ
つた
ところ
と思うので、私
ども
といたしましてその御決定に従いまして、一応それを実施するということについて専念いたしているのでありますが、私
ども
了解しておりますのは、
医薬分業
を行いますならば、
医師
は
患者
の診療、それ自体に当る。そして薬剤師はその
治療
に使います
薬品
というものの調剤に当る。これは勿論今日においても
医師
がや
つて
いるのでありまするけれ
ども
、これは
分業
としてそれぞれが業務に専念するということによ
つて
、その業務の質的な向上が図り得るというふうに考えられているものと思うのでありまして、で勿論そのほかに今日例えば……再々もう申上げたことで繰返す必要はないかとも思いますが、いわゆる薬治料、薬代というようなものが、
医師
に本来支払わるべきこの診療技術料というもののほかに、この
薬品
に対する代価、或いは調剤ということに要する技術料、
医師
でなくても、他の者ができる仕事というものを一切含んでおりますために、
医師
本来の技術に対する報酬というものがぼやけている。そういうような
ところ
から、
医師
につきましては
医師
のこの診療技術料に対する正当な報酬を支払わるべきだということが明確に出ておらないで、即ち投薬をしなければ、
医師
の技術料が支払われないというような
現状
では、非常に理論的にも不当であり、そうして又実際問題としましても、
医師
は
患者
を診て病状を判断し、そうして如何ように
治療
し、療養をすべきかということを指示して、それに対して相当な代償が与えられなければならんはずであるにもかかわらず、さような筋が浮んで来ておらん、こういうような点も是正できるというような
意味
で、とかくいろいろな理由があるかと思いますが、この
医薬分業
は決してこれはマイナスのものではない、非常にプラスの面が大きい。ただそれにつきましては、質の向上、
医療
の内容向上を期せられるという御
意見
だ
つた
と思うのでありますが、それに伴
つて
いわゆる今度経費の何と申しますか、総額とか、そのほかマイナスの面がありはしないかどうかというようなことについていろいろ御
意見
もあ
つて
、さような面を極力是正すると申しますか、それを措置するというような方策が立つか立たんかということが、当面において
検討
されて、そして
只今
の方針がきめられたものと私は記憶しておる次第でございます。
榊原亨
34
○
榊原亨
君 今の
医療
の体系でどこが悪いのですか、それはいろいろあるのだ、そこでまあそれを
分業
にしぼ
つて
みれば、
医療
内容の向上だと、その
医療
内容の向上とは何かと言
つた
ら、それは
医師
が一生懸命に診療に従事することができるように、それから薬剤師は
専門
の技術を応用されまして、そして調剤に専念することができる、まあこういうことが
医療
内容の向上だとおつしやるのですか、そうでございますか。
曾田長宗
35
○
政府委員
(曾田
長宗
君) それもその
医療
内容の向上の一部分であるのであります。先ほ
ども
申上げましたように、そのほかのこともたくさん内容としてはあると思います。
榊原亨
36
○
榊原亨
君 そうしますると、この
昭和
二十六年かにこの法律が制定せられましたときには、これをやることによ
つて
医療
内容の向上ということが図れる、又この
医療
の普及が図れる、
国民
の経済には余り影響はないかも知れん、或いは
国民
が便利になる、
国民
の生活についてもいい影響があるというようなことが言われており、又それをするためには相当の準備が必要である。例えて申しまするというと、
薬品
のことにつきましては、この
薬品
の
合理化
が必要である、
医師
に対する課税は
一つ
十分これは考慮する、
医師
並びに薬剤師に対する課税は十分これは考慮する、設備につきましては融資の面を実現する、社会保険の診療報酬につきましては国庫の負担を実現するというようなことが約束されて来ておるわけであります。
従つて
そういうことを実現してこの
分業
ということをやりますならば、
医療
内容の向上を来たし得るというお約束でございましたが、今私が申上げましたことが今までに実現しておるのでございましようか。中には社会保険に対します特に
国民
健康保険につきましての国庫負担ということが実現したでございましようか。その大多数におきましては、未だ実現しておらないばかりでなしに、
医師
の課税の面等につきましてはなおこれがもとへ戻
つて
おるというような実例もある。又一方におきましては、
国民
を啓発しまして、これは昨日問題にな
つたの
でありますが、
国民
を啓発してそうして無形の技術に対する
ところ
の正当なる報酬を支払う慣習を養うのだというようなことをお約束にな
つて
おるのでございます。それにもかかわらず
厚生省当局
はまだそういうことに対する御努力は、昨日の御答弁の範囲においては私は認めることができないと思うのであります。その点について医務局長の御答弁をお願いたします。
曾田長宗
37
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 私
ども
といたしましては、できるだけ努めておるつもりなのでございますけれ
ども
、なかなか十分にやりつくしたと勿論私
ども
自身でさえも考えておらん状態でありますので、皆様方から非常に御叱正を受けるということも当然私
ども
も覚悟しておる次第でございますが、併し何もしなか
つた
とおつしやられますことは、少し激し過ぎるのではないかと思うのでありまして、私
ども
の直接
担当
いたしておりますることでは、これも誠に私
ども
遺憾ではございますが、まあそうして殆んど形ばかりではございましようけれ
ども
、多少なり、この今言われました
医療
融資というような問題についても、まがりなりにも多少芽を出したと思
つて
おるのでございます。また、そのほか保険局或いは
薬務局
のほうでもそれぞれ私は相当におやり下す
つた
と思うのでありますが、これはそれぞれ
担当
の局長から御答弁があると思います。
榊原亨
38
○
榊原亨
君
薬務局
の局長にお尋ねいたしますが、薬の混合販売は今でも実行されておりますか。
高田正巳
39
○
政府委員
(
高田正巳
君) 薬の混合販売はいたしておりません。
榊原亨
40
○
榊原亨
君
国民
処方につきましては昨日
お話
がありましたのでありますが、これは戦時中にきめられましたことでありまして、理想的から申しますならば、これは廃止するということに努力しようという
お話
であ
つたの
でありますが、これは今でもや
つて
おられるのでありますか。
高田正巳
41
○
政府委員
(
高田正巳
君)
国民
医
薬品
集第二部の御
質問
だと存じますが、これにつきましては昨日も御
説明
を申上げましたのでございまするが、これのできましたいきさつは、これは御
承知
のように売薬法時代に数万或いは十万も数えたと言われておるのでありますが、それくらいの種類の
薬局
で
製造
をいたしておりました売薬があ
つたの
でございます。これは丁度いろいろな資材、物の不足というふうなことから、たしか
昭和
十八年頃であ
つた
と存じまするが、これを実は全部、何と申しますか、端的に言えば取上げてしま
つた
。
許可
を得て
製造
をしておるその権利を、一口に言えば取上げてしま
つた
、こういうふうな実は形にな
つて
、併しその中で非常に典型的にいい処方であると思われるようなものを百二十処方ほど残しまして、これを規格を統一いたしまして、そうして百二十処方にいたしまして、これを
国民
医
薬品
集第二部として収載をいたしたのであります。従いましてこの
国民
医
薬品
集第二部は今日も存在いたしております。併しこの
国民
医
薬品
集第二部の
薬品
を
製造
して販売をいたそうとする場合には、
薬局
はそれぞれ
厚生省
に
許可
を受けて
製造
販売をいたしておるわけでございます。かようなわけ合いでありまして、この医
薬品
集第二部というのは、何と申しますかけしからんものだという
意味
の御
質問
であるとすれば、私は決してさようなものではない、これは
薬品
の
製造
販売だ、而も法規の上に認められ、その手続を踏んでいたしておるものでありまするから、決してこの医
薬品
集第二部がけしからんものであると私は考えておりません。ただいろいろとこの販売の、例えば品目数でありますとか、百二十という品目数でありまするとか、或いは名称でありまするとか、それから販売の形態でありまするとか、いろいろ改善すべき余地も多分にあると存じまするので、
只今
それらのことを
検討
中でございまして、近くこの
国民
医
薬品
集の改訂と同時に徹底的な整理をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
榊原亨
42
○
榊原亨
君
只今
承わりますと、いろいろ改善されるというような
お話
でありますが、これはこの前
医薬分業
の問題が問題になりましたときに、すでに問題にな
つて
おる点なんであります。三年経ちました今日において、まだ今これは御
研究
だということでありますから、私は強く追及いたしませんが、こういう点についても改善の余地があるのではないかと私は考えておるものであります。 昨日
薬務局
長に私お願いしたのでありますが、
谷口
委員
から
お話
になりました
薬事監視員
のことにつきましての御
報告
を煩わしたいようにお願いしたのでありますが。それができておりますのでございましようか。
高田正巳
43
○
政府委員
(
高田正巳
君) 非常に詳細な結果の表ができておるわけなんでありますが。
概略
を申上げてみますると、二十七年の一月から十二月まで、二十七年中における成績でございまするが、例えば監視の
対象
が
薬局
或いは医
薬品
製造
業、輸入販売業、それから販売業、それから配置員、
病院
、診療所、家畜診療所というふうにいろいろございますのですが、立入すべき個所数が十八万五千余あるわけでございます。それで二十七年中に現実に立入検査をいたしました個所数が十五万七千、端数がついておりますが、あるわけでございます。この中で小さい違反も全部入れまして、
工合
の悪いことを見つけたというのが二万六千あるわけでございます。これはその内訳が不良品発見件数とか、不正表示品発見件数とか、広告違反件数、無
許可
、無登録品発見件数、偽造品発見件数、無登録業者発見件数といろいろ内訳が分れておりまするし、又これらの数字が重複をいたしておる場合もあると存じます。同じ不良医
薬品
を或る店でも或る店でも発見したというふうなこともあると思います。非常に詳細な表でございまするが、大体の状況を申上げてみますれば、かような状況に相成
つて
おります。
榊原亨
44
○
榊原亨
君 先ほど
医療
内容を向上するということは、ただ単に
医師
がひまができて、そうして
治療
に専念するということだけではないと私は思うのであります。例えて申しまするというと、この設備を
整備
いたしますとか、或いは技術を尊重するということ、又それに対する適正な評価がなされるということ、或いは
医療
内容の向上を可能ならしむるような環境の改善ということもこの中に含まれておると私は思うのでありますけれ
ども
、今医務局長が御指摘になりましたことは、そのうちの
一つ
であります
ところ
の、
医師
は
専門
技術を以て
治療
に専念することができるようになるのだという
お話
である。又薬剤師の方はその調剤に専念することができるというような
お話
であるのでありますが、そういたしまするというと、若し
分業
ができますならば、薬剤師の方々は今店頭に売
つておいで
になる
ところ
のソーダ・フアウンテン、或いは蚤取粉、或いは蚊取線香というようなものの販売、シヤボンの販売、その他いろいろあるのでありますが、そういうことは成る程度規制されるのでございましようか。今のままでああいう物品販売業をしながら、片手に薬剤師の持
つて
おられる
ところ
の調剤の技術を応用されて、そうして調剤に専念されるというようなお見込みでございましようか。その点は
薬務局
長は如何にお考えにな
つて
おりましようか。
高田正巳
45
○
政府委員
(
高田正巳
君) 昨日でございましたか、大体
薬局
の収入というものが七〇%程度は医
薬品
の販売から得ておるというふうな状況を大体御
説明
を申上げたわけでございます。従いましてこの数字から申しますると、
薬局
が、
只今
いろいろお挙げになりましたが、その重点は医
薬品
の販売という
ところ
にあることは今の数字が示しておる
通り
でございます。従いまして、この医
薬品
の販売という仕事は、これは薬剤師がこれを行うに最も適当した人間でございまして、その教養からいたしまして、
薬品
の管理、保存、鑑定、さような点につきまして薬剤師が一番能力を持
つて
おられるわけでありまするから、この医
薬品
の販売業と申しまするものは、
分業
の暁におきましても当然
薬局
にいたさせたいと私はかように考えておるものでございます。
榊原亨
46
○
榊原亨
君 そのほかの飲料水なんかのソーダ・フアウンテンとか何とかいうようなことはどうですか、そういう経営は……。
高田正巳
47
○
政府委員
(
高田正巳
君) かようなものは私
ども
の何と申しますか、行政の
対象
外の営業でございます。これをいたしまするのは営業の自由でございますから、別に私
ども
がとやかく申す筋合のものではないと思います。ソーダ・フアウンテンというようなことは、私アメリカでそういうことが随分行われているのは知
つて
おりますが、
日本
の
薬局
で余りさようなものは見ないのでございますが、若しさようなことが実際にや
つて
おるといたしました場合に、調剤のほうが非常に忙がしくなりまして、さようなことができなくなるということであれば、これは当然おやめになることでありましようし、又人が足らなくなるということであれば、そのほうは誰がや
つて
もよろしいのでございますから、薬剤師は当然自分では調剤をいたして、さような面には人を傭うとかいうようなことで解決すべきものと私は考えております。なお、
薬局
の要件といたしましては、
薬局
は開設者みずから薬剤師であるか、或いは専任の管理薬剤師をどうしても置かなければならぬ。専任でありますから他の職業と、他の仕事と兼務ということではなくして、専任の薬剤師というものを必ず置かなければならない、こういう法律上の拘束もありますから、その点は別に
分業
に関連してどうのこうのと御心配して頂くほどのことはないのではないかと、私は一応かように考えております。
榊原亨
48
○
榊原亨
君 これはあとから又お尋ねいたしたいと思うのでありますが、今の薬剤師に対する
ところ
の
医療費
を分けて、そうしてこれを調剤の部分は
薬局
の先生のほうに分けるということでありますが、その場合に薬剤師のほうにおきましては、昨日の
お話
では余り人件費なんかはかからない、今のままでできるんだというような御構想のように、違うかも知れませんが承わ
つたの
でありますが、医務局長さようにお考えでありますか。
曾田長宗
49
○
政府委員
(曾田
長宗
君) これは或いは私よりも
薬務局
長のほうが御答弁申上げるのにはいいのかも知れんのでありますが、私
ども
今考えておりますのでは、例えば
病院
におります
患者
の投薬というようなものは、これはすべて薬剤師及びそれに若干の調剤助手がついてや
つて
おるのでありまして、これは薬剤師が現にや
つて
それで生活もしておるわけでございます。そういう
意味
から参りますれば、大体
病院
あたりの調剤室、
薬局
の経営の状況から算出しました
ところ
が一応の基準として、民間の
薬局
においても支払われて然るべきものじやないかというふうに思
つて
おるのであります。これは原則的な考え方でありますが、そのほかいろいろ又考慮すべき点はあろうかと思います。
榊原亨
50
○
榊原亨
君 夜間の調剤ということについて人件費は増さないでやれますか。
高田正巳
51
○
政府委員
(
高田正巳
君)
薬局
には、今申上げましたように、開局者が薬剤師であるか、或いは専任の薬剤師がいなければならないという法律で拘束があるのでありますが、それで夜間にその
薬局
に薬剤師の寝泊りしている率を私
ども
のほうでは調べて見ました。市部におきましては八五%、郡部におきましては九一%という数字が出ております。大体こういうふうなパーセンテージでございますので、夜間にさして御迷惑をかけるようなことはないものと私
ども
は想像をいたしております。なお法律的な問題でございまするが、
薬局
において薬剤師が宿直をする義務を持たせたらというようなことも、
立法
論としては考えられるわけでございまするが、これは御
承知
のように診療所におきましても
医師
の宿直の義務は、今は法律上はございません。さうな均衡上から申しましても、そこまで
立法
論といたしましても考えるのに至らなか
つた
と存じておるわけでございます。今のような状況でございまするので、大体において御迷惑をかけるようなことはないものと思
つて
おります。
榊原亨
52
○
榊原亨
君 そういたしますると、それはわかるのでありまするが、そこで、
医療費
の問題にな
つて
来る、新らしい
医療費
の体系ということが言われておるのであります。その場合にこの新らしい
医療費
の体系ということは、
分業
を前提とした場合と考えられるのでございまするか、或いは
分業
を前提としないものとしてお考えにな
つて
おるのでありますか。昨日の医務局長の
お話
では、新らしい
医療費
の体系というものは、
分業
を前提としたように
ちよ
つと
お話
を承わ
つたよう
に私は思うのでありますが、その点はもう一度失礼ですが、如何でございましようか。
曾田長宗
53
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 先般の当
委員会
におきまして私たしか最後に
お答え
申上げたと思うのは、いわゆる新
医療費
体系というものと、
医薬分業
とは、それ自身としては別個の問題である。併しながら
分業
を実施いたします場合には、そのいわゆる新
医療費
体系のうち、薬治料に関する部分だけは、一応新らしい筋が出ないと実施に移すことは困難であろうその
意味
において
関係
があるというふうに考えております。
榊原亨
54
○
榊原亨
君 そういたしまするというと、新らしい
医療費
の体系というのはどういうことか
一つ
承わら曾田
長宗
君) これも前に申上げたと思うので、重複することは非常に恐縮なのでありますが、かいつまんで申上げますれば、例えば薬治料というようなもの、或いは
患者
の特殊な処置料、注射のようなもの、こういうような薬をもらい、処置を受けたというようなときの
医師
に対する報酬が今日までは、
医師
の
専門
的な技術というものに対する報酬に合せまして、その薬、或いは処置に含まれております物的及び
医師
の介補者である人たちの人件費というようなものが、皆一括して支払われてお
つた
というような状況でございまして、
従つて
特に投薬を行い、或いは処置をいたさないというような場合には、原則として
医師
に診療報酬が支払われないというような慣習にな
つて
お
つたの
で、これを改めまして、
医師
の
患者
に対する診察、又
治療
方針の樹立、或いは
患者
に対する指導、こういうようなものにつきましても適正な報酬を定めて、他の薬とか或いは特別の処置をしたとかしないとかいうことに
関係
なしに、当然支払わるべき報酬が他のものから区別してはつきりと定められておる、こういう体系にすることが、新
医療費
体系の
一つ
の狙いであろうというふうに考えております。
榊原亨
55
○
榊原亨
君 そういたしますと、今
お話
になりました
医療費
の体系というものは、結局
国民
の経済というものを勘案しながら、
医療
の向上ということを目的として行かなければならないのではないかと思うのでありますが、その点はさよう了解いたしましてよろしうございますか。
曾田長宗
56
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 当然そう考えるべきだと考えております。
榊原亨
57
○
榊原亨
君 そういたしますと、
医療
の向上ということは
只今
現在の
医療費
を、薬と
医師
とに分けることによ
つて
、
医療
内容の向上ということが期待し得るのでございますか。
曾田長宗
58
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 必ずしも
医療費
の増大ということを伴わずに、或る程度まで内容の向上ということは期し得るのではないかと思
つて
おります。
榊原亨
59
○
榊原亨
君 その場合に当然この新らしい
医療費
体系の中に含まれる技術料ということが問題にな
つて
来ると思うのでありますが、この技術の評価ということについて医務局長はどんなふうにお考えにな
つて
おりますか。
曾田長宗
60
○
政府委員
(曾田
長宗
君) これも先般御
質問
があ
つた
点でありますが、私必ずしも現在の
医師
に対する報酬というものが十分なものだ、満足すべきものだというふうには考えておらんのであります。
医薬分業
が実施に移ります場合には、一応今日程度の
医師
の報酬というものに著しい増減を来さないように新らしい姿に移
つて
行くということを目途といたしておる次第であります。
榊原亨
61
○
榊原亨
君 先ほど来
お話
になりました新らしい
医療
の対価といいますものは、
医療
の向上ということを
国民
の経済と勘案しながらやるということであると私は了解し、今医務局長もそうおつしや
つた
と私は思うのであります。そこでその中に含まるる
ところ
の技術料というものが、増大することなしに、今のままで
医療
内容の向上ということが期待できると……、どういうふうにして
医療
内容の向上ということが期待できるのでございますか。それを具体的に
お話
を願います。
曾田長宗
62
○
政府委員
(曾田
長宗
君) いろいろ今まで申上げましたことを又繰返すようなことになるのも恐縮と存じますので、或いは又抽象的だと言われるかも知れませんですが、一応必ずしも経費の増大ということを来さずとも、内容の向上というものは私は期し得るものだと、少くとも期し得るものだという
可能性
はあるというふうに考えておるのでありまして、いわゆる
分業
と協力と申しますか、こういうような
工合
にいたしていろいろな仕事をいたします。この作業の組織を合理的にするとか或いはいろいろな冗費を除くとかというようなこともいわゆる合理的経営、
従つて
いろいろな作業、
医療
に獲限らずいろいろな
医療
内容向上ということには資し得るものだと考えております。
高野一夫
63
○
高野一夫
君 曾田局長に伺いますが——私は
榊原
委員
がお尋ねになることは
榊原
委員
は診療体系の答申を我々と共に
調査
会で一緒に作
つた
お一人なんです。そのことは一部始終御
承知
なんです。御
承知
の上であなたに御覧閲するのだから、あなたに私が伺いたいのは、その診療体系について私
ども
が答申したその答申の案文ですね、案文というかその内容を全部御
承知
でそれを答弁されているのか、それを御
承知
で答弁されているなら、恐らく
榊原
委員
の御
質問
はぴたつと私は納まるだろうと思
つて
いるのですが、それを
ちよ
つと伺いたい。
曾田長宗
64
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 私の勉強が足りないかも知らんのでありますが、一
通り
はあの答申は目を通しております。
榊原亨
65
○
榊原亨
君 そういたしますると、技術料の中に含まれるその技術の評価というものは誰の評価が標準になりますか。
曾田長宗
66
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 私
ども
今
検討
いたしておりますのは、いわゆる新らしい
医療費
のあり方という点を
只今
直接にぶつか
つて
おります問題としては取上げておるのでありまして、
従つて
医療費
のあり方それからその額といたしましても、額を如何ような
方法
で一応求めて行くかということに努力をしておる状況なのでありまして、
従つて
医療費
の額が如何ような
ところ
が適当かということにつきましては、今はまだ
お答え
申上げかねるのでありますが、ただ如何ような狙いで行くかということにつきましては、これ又重複になりますけれ
ども
、一応この
医薬分業
に移行いたします際には、現在の
医師
の収入というものを動かさないように新らしい体系に移してみたい。で、今日におきましても
医師
に対する報酬というものは不十分ではないかということは、これは今後も残る問題だと思うのでありまして、この問題は又今日も
検討
いたしておりますけれ
ども
、将来も引続き
検討
して参らなければならん問題だというふうに思
つて
おります。
榊原亨
67
○
榊原亨
君 私の御
質問
申上げますのは、その技術料の中に含まれる
ところ
の技術の評価というものは、
専門
家の立場において評価したその評価であるか、或いは素人の人が評価するその評価であるかということを承わりたいと思います。
曾田長宗
68
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 現在におきましてもいわゆる何と申しますか、全科標榜の
医師
の方々もおられますし、又
専門
を標榜しておられる方々もおられるのでありますが、さようないろいろな方々がおられる
現状
において得られておる
医師
の収入というものを標準にして参りたいと思
つて
おります。
榊原亨
69
○
榊原亨
君 そういたしますると、技術料の評価は
医師
がするということでございますか。
曾田長宗
70
○
政府委員
(曾田
長宗
君) これは先ほど
大臣
に対する御
質問
がありました点に多少関連して来るのではないかと思うのでありますが、今日におきましては大多数と申しますか、大部分の診療というものが社会保険或いは社会保険で
規定
しておりまする診療報酬の基準というもので支払いが行われていると思うのであります。なおそのほかにいわゆる自由診療という部分も残
つて
おるわけでありますが、そういうような
意味
でこれは或る程度部分的には規制されておるわけでありますが、一部分この無規制な部分がある。併しこの無規制な部分と申しましても、一部分規制されておる診療が行われておりますというと、何と言いますかその影響を受けているということはございますが、こういうようなのが現在の状況でありまして、私はその自由診療に関しては建前から申しますれば
医師
と
患者
との自由な話合いによりまして、相当多額な報酬というものが払われることも可能であるし、又中には無料で行われることもあろうと思うのでありますが、こういうような
工合
で、まあ
医師
が勝手にきめたものでいいかという御
質問
につきましては、今のような
意味
で或る程度は自由でおきめになる点もあるんだが、これは大きい目で見ますというと、やはり社会的に或る規制を受けているのだというふうに思
つて
おります。
榊原亨
71
○
榊原亨
君 そういたしまするとこれは重大なことですから、もう一回復調させて頂きますが、社会保険におきましては技術料というものは或る規制を受けておる。併しながら自由診療の技術料というものに対する評価というものは、これはもう自由でいいのだと、
従つて
患者
と医者との間の契約に基いてやればいいのだと、こういうふうなお考えですか。
曾田長宗
72
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 私は何と申しますか、特に規則とか、或いは役所か官庁が介入いたしまして、その規制をするとかいうようなものではないという
意味
で申上げたのであります。まあどれくらいこの診療報酬を如何ように高いものを取
つて
もいいのかというような御
質問
でございますれば、これは結局まあ常識の問題と申しますか、道義の問題と申しますか、そういう点でありまして、非常に困ると、好ましい姿ではないと思いましても、官庁としましては何らそこに介入することはできないのであります。
榊原亨
73
○
榊原亨
君 そういたしますると、話があとへ戻
つて
来るのであります。先ほど私は
厚生大臣
にも申上げたのでありますが、こういう
分業
というものを法律で規制するのは、統制以上でございまする
ところ
の社会保険においては、できるでございましよう。併しながら自由診療においてはできないのではないかということを私は申上げたのであります。それに対しまして
大臣
は適正な
お答え
がなか
つたの
でありますが、今医務局長の
お話
を承わりますというと、自由診療における
ところ
の
医療費
というものは、もうそれはどうでもいいのだ。
患者
とあれとの間の話合いでつくのだということになりますというと、この
医療費
の問題といいますものは、
国民
の経済に及ぼす非常に重大な
関係
があるものと私は考えておる。それが六%であるか一〇%であるか知りませんが、非常に重大な問題であると考えるのでありますが、その問題の中で、先ほど
お話
になりましたように、この四〇%も占めるような自由診療の部分が野放しでいいのだ、そしてその
医療費
というものはもうどうでも
患者
とあれとの話合いでいいのだ、こういうようなことになりますと、
国民
経済に及ぼす影響をどう
検討
することができるでございましよう。先ほどから
お話
になりましたように、八月三十一日までに
政府
はこの
分業
に対するこの診療報酬の
医療費
の体系、新らしい
医療費
の体系というものの算定について御
報告
になり、又その他
国民
生活に及ぼす影響ということについても御
報告
、資料を願うということでございますが、それじやどんなふうな御方針で今一生懸命に御
研究
にな
つて
いらつしやるのでございましようか、私
ちよ
つとわからんと思うのでありますが、その点少し御
説明
をお願いいたしたい。
曾田長宗
74
○
政府委員
(曾田
長宗
君) これはかようなことを申上げてはどうかと思うのでありますけれ
ども
、私
ども
考えておりますのでは、いわゆる自由に
患者
と
医師
との間の話合いが進むということにいたしましても、私は
一つ
の社会的な現象としては、これは途方もない、何らの規制のない
事件
が起
つて
来るものではないのではないか、個々の
事件
としては相当なことが起るかも知れませんが、これを
一つ
大きく見まするならば、そう国としてと申しますか、官庁として何らそこに関与しないということを申しましたからと言
つて
、今でも別に関与しておるわけではございませんので、そう
医療費
がめちやめちやに上
つて
行くというようなことはないんじやないか。それで今日におきましても、事実自由診療の部面におきましては、相当高い、何と申しますか、報酬が
医師
に払われている場合もあると思うんです。併しながらいろいろ私
ども
調査
いたしましたのでは、いわゆる自由診療と申しましても、この保険診療というものとそうむやみに違
つた
ものというふうにはな
つて
来ない。今申上げましたのは個々の施設、個々のお医者さんの
ところ
では起
つて
おると思いますが、
一つ
国全体として考えますときには、そうむちやな響きはない。先ほど
大臣
も
ちよ
つと申されたのでありますが、人口の立場から見まして、いわゆる社会保険の
対象
にな
つて
おる部分と、それからこれに加入しておらない人たちというものは、大体四〇と六〇、四、六という
工合
に分かれておるというようなことを申されたのですが、このいわゆる四の中の人たちの中でも
病気
になりますると、殊に結核のような場合にには到底自費で以てなかなか賄い切れないというような
ところ
から、この結核予防法による半額の負担だとか、或いは止むを得ないときには、遂に生活保護の御厄介になるというような方が出て参りますために、金額としましては殆んど八割、二割ぐらいの割合にな
つて
いるのじやないかと、私
ども
は
一つ
の計算としては数字を得ておるのであります。こういうように自由診療というものも案外に少く、予想外に小さな部分にな
つて
おります。それから御
承知
のように相当数のございます公立のいわゆる
公的医療機関
というようなもの等におきましては、自由診療の
患者
に対しましてもおおむね社会保険の診療報酬を基準としてや
つて
おるというような事情がございますので、今日においても自由診療の部分というのが、そうこの保険診療の場合に比べてむちやに高い報酬が払われているというものではないと思うのでありまして、この
医薬分業
に参りましても、或いはその切換のときあたりには多少の混乱が起るかも知れませんが、事態が落ちつきますれば、私はそうこの自由にな
つて
おる部分だからとい
つて
、そう無茶に上るというものではないというふうに考えております。
高野一夫
75
○
高野一夫
君 私は医務局長に伺いたいんですが、私はこういうふうに考えるべきじやないかと思うんですが、曾田局長のお考えを伺いたいんですが、第一先ほど
厚生大臣
が四〇%、六〇%と言
つた
、ああいう数字は局長あたりが訂正なす
つて
おいたほうがいいと思います。あの
厚生省
の統計で
承知
しておる限りは、最近社会保険のパーセンテージは邊かにもつと上廻
つて
おるはずだと考えておる。そういう点は、こういうふうに
大臣
が御答弁にな
つた
場合は、直ちに
一つ
訂正をなす
つて
、
大臣
に教えておいてあげないといかんだろうと思う。そこですでに七〇%以上社会保険の
患者
にな
つて
おる。この社会保険の
患者
に対してのみが新らしい
医療費
の体系を立てた場合に強制し得るわけなんですが、そういう新らしい
医療費
の体系というものは、金額の如何ということのほかに、非常に強い
意味
を持
つて
いることは、あの
合理化
性にあることです。無形の学問、技術を評価した技術料、或いは
病院
、診療所の所要経費、人件費、そういうように原価計算式に非常に納得のできる計算の体系にしておるという
ところ
に
意味
がある。だから現在の自由診療みたいに、なぜ一日の薬代が三十円取られるか六十円取られるかわけがわからん、なぜ一本の注射が二百円取られるか五百円取られるかわけがわからんというようなことでなくて、高ければ高いだけ、安ければ安いだけ、合理的に成るほどこういうように内容がな
つて
いるのかというふうに、よく
患者
が納得して気持よく払えるようにしてやる、これが私は診療体系の別の面から見た非常に重要な
意味
だと思う。若しもさようなことであるならば、こういうような体系が社会保険で強制されるならば、私は自由診療の
患者
を扱うお医者さんは、やはり良識のあるお医者さんであると僕は信頼したいから、結局そういうような合理的の
医療費
のとり方でなければ一般の
患者
が納得しない、こういうようにお考えにな
つて
、そうして
患者
に対して
医師
みずから
薬局
においても薬剤師みずから、社会的な啓蒙と普及指導をして打
つて
、そうして社会保険の合理的な
医療費
のとり方に右へならえして行くべきじやなかろうか。だから現在では診察料百円取ろうが千円取ろうがお勝手だが、けれ
ども
、これも又時代というものがありまして、時代の推移、世の中の推移に
従つて
、やはりこの八〇%、九〇%社会保険が普及して来ますれば、そのこともおのずから私は自然に是正される、必ず私は
医師
みずからがこれを是正して下さるに違いないと思う。こういうような私の考え方から行けば、必ずしも僕は
榊原
委員
のお考えになるような不安な気持は持たないのであります。これは役所も
医療
担当
者もすべてが良識を持
つて
、この
一つ
の診療体系の精神を生かすということで考えて行くならば、やはり非常にスムースに行くんじやないか、こういうふうに私は考えているんですが、曾田局長はどういうふうにお考えになりますか。
曾田長宗
76
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 私がいわゆる自由診療の診療報酬も、社会保険診療の標準がきまりますれば、何らかの形で以て影響を受けるというようなことを申上げました。その内容を申しますれば結局
只今
高野
委員
がおつしやいましたように、社会保険診療というものにつきましては、とにかく或る時期において得られましたデーターと申しますか、資料と申しますか、これに基いてとにかく少くともそのときにおいては最も妥当だと考えられたものが実施になると考えられるのであります。でそのことは又逆に時期が移りますれば、これは当然改訂さるべきものということも影には含まれて来ると思いますが、こういうような性格のものでございますから、自注診療と申しましても、ただ無制限に動揺をするものではなしに、おおむね
只今
申しましたような適正な
ところ
を中心として動き、又それから多少動くといたしましても、若干上る下るという程度のものであろうというふうに思
つて
おります。大体
高野
委員
のおつしやる
通り
の
意味
で考えております。
高野一夫
77
○
高野一夫
君 もう
一つ
これはどうも我々
榊原
さんにしても、私にしてもこんな
ところ
で同じ与党で、二人の議員が仲がよくないのですが、この
医療費
の問題もこれも設置法案に直接の問題じやないが、出ているから私も伺いたいのだか、この
治療
日数というのが
只今
厚生省
の社会保険の統計を見ますと、必ず一件当りに対する
治療
日数の統計が出ている。私が
承知
している限りでは、健康保険を二十数年前に
日本
に……、何年でありますか、そのくらいになると思うが、
従つて
当時の
治療
日数は平均一件について七日だ
つた
と考える。その後十年経ち、十五年経つうちに
日本
の医学、臨床医学も非常に進歩をして来ている。薬剤師も非常に進歩して来ている。
従つて
一
治療
日数七日が六日になり五日になるならばそれはわかると思う。それがだんだん殖えて来て、七日でなお
つた
はずの
治療
日数が八日になり九日になり、甚だしきは一昨年なんか十四日という統計も出てお
つたよう
に記憶しております。現在幾らか知らんけれ
ども
少くとも十日以上、曾
つて
七日で治
つた
はずの統計の数字が今日十日以上に、倍以上の日数を費さなければ、
治療
日数がなければなおらない、こういうふうな統計が出ている。これはどうしても学問の進歩から考えてみて臨床医術の進歩から考えてみても、私は納得できないのですが、これは若しも
治療
日数が学問、薬剤の進歩に
従つて
どんどん減
つて
来るというのならよくわかる。同時に減
つて
くれば減
つて
来るほど
患者
の負担する
医療費
というものはぐんぐん減
つて
来るわけです。これが殖えるということは保険経済が殖えて来るし、又そのほかに自由診療においてもそうであるならば、やはり自由診療の
患者
の負担はやはりどんどん殖えて来るはずです。この点について
治療
日数が統計上殖えて来るということは、何かの計算の誤差であるのか、誤りであるのか、それとも何らかの社会保険の
治療
の
方法
によ
つて
こうな
つて
来るのかどうか。私は余りそのことは知らないので、これは一部医務局長から、一部保険局長から詳細にこれについて明快なる私
ども
の納得できるような、素人でわかるような
説明
を願いたい。
久下勝次
78
○
政府委員
(久下勝次君) 保険局
関係
の資料がございまするから御参考に申上げますが、ここにございまするのは、各年度別の
昭和
二十六年度から二十八年度に至ります間の一件当り日数の移動でございます。先ず
入院
で申上げますと、
昭和
二十六年度は一九・八日でありまして、
昭和
二十七年度は一九・四日、若干減
つて
おります。
昭和
二十八年度では更に減りまして一九・二日にな
つて
おります。それから
入院
外の日数は二十六年度が九・一日、二十七年度が八・七日、二十八年度が五・六日と、それぞれ
治療
日数は減
つて
おります。今申上げましたのはこれは一般診療でございまして、歯科について申上げますと
入院
の場合は
昭和
二十六年度が一件当り日数一二・五日、
昭和
二十七年度は一一・四日、
昭和
二十八年度は一三・二日、こういうことでありまして、歯科につきましては今一般診療で申上げました場合と若干傾向を異にしております。歯科の
入院
外につきましては、
昭和
二十六年度、二十七年度、二十八年度共に五・一日でありまして、変動がございません。以上申上げましたのは
政府
管掌健康保険に関する過去三ヵ年の傾向でございます。船員保険、共済組合、健康保険組合、それぞれ各別に数字が出ております。これを申上げますとくどくなりますから、これら各種保険、
政府
管掌健康保険、船員保険、共済組合及び健康保険組合を合計いたしまして平均を出しましたのを申上げますると、一般診療におきましては、
昭和
二十六年度の
入院
が一九・六日、二十七年度は一九・二日、二十八年度は一八・八日で漸減の傾向を辿
つて
おります。それから
入院
外の診療におきましては
昭和
二十六年度が八・九日、
昭和
二十七年度が八・六日、
昭和
二十八年度が激減いたしまして五・五日ということに相成
つて
おります。それから歯科診療におきましては、
昭和
二十六年度が
入院
が一二・七日、二十七年度が一一・五日、二十八年度が一二・六日であります。二十七年度で相当下り、更に又二十八年度で若干上
つて
おるという数字でございます。歯科の
入院
外は
昭和
二十六年度が五・一日でございましたのが二十七年度、二十八年度それぞれ五・〇日に相成
つて
おります。これを要しまするのに、全体の傾向は一件当り日数は二十六年度以降漸減の傾向にございます。
高野一夫
79
○
高野一夫
君 私の記録しておる統計が間違
つて
いたらば私が取消します。その点はお詫びいたします。私は曾
つて
十幾日という統計を持
つて
厚生省当局
に伺
つた
ところ
が、どうも何かいろいろな結核がどうとかいう話があ
つて
納得ができなか
つた
から、その記録で以て今伺
つたの
でありますが、さように次第に漸減を辿
つて
おるということであるならば、誠に当然のことであり、結構なことだと思いますから、先ほどの私の
質問
についての一部は私は取消すことにいたします。 そこでもう
一つ
ついで私は伺いたいのでありまするが、ここに資料か
参つて
おるのでありまするが、そこでこれは
薬務局
長に伺うべきか、医務局長に伺うべきかわからないのでありますが、現在薬事法二十二条において
医師
に調剤が許される場合は、
医師
みずから調剤しなければならないということにな
つて
おるわけでありますが、或いは薬剤師に代行させる、これについて各
病院
は別でありますけれ
ども
、診療所において果して
医師
みずからが調剤しておるかどうかということは、一般においてとかくのいろいろなことを言われますけれ
ども
、一応それはそれとして、この診療所における
医師
の調剤行為についての管理はどこでやるのですか。これを
一つ
伺いたい。
高田正巳
80
○
政府委員
(
高田正巳
君) これは薬事法の問題でございますから
薬務局
所管で、
薬事監視員
でやるべき筋合のものと考えます。
高野一夫
81
○
高野一夫
君 従来それについてのこの実績と申しますかなんか監視された場合、その結果そういうようなことの何か統計資料がございますか。
高田正巳
82
○
政府委員
(
高田正巳
君) この表に載
つて
おりまする違反件数というのは、上の横にずつと並べてありまする件数でございまして、この中にはございません。それでこの
医師
みずから、或いは薬剤師に調剤をいたさなければいけないという、薬事法二十二条の
規定
にな
つて
おるわけでございますが、これの全国的なこの
取締
の状況は、私
ども
只今
把握をいたしておりません、甚だ申訳ないのでありますが、ただこの限られた府県におきまして、薬事監視としてほかの監視のこともあるわけでございまするが、さような場合に行
つて
、これを違反の事実を確認したというふうなものが、私
ども
部分的に
承知
をいたしております。その件数は、監視をいたしました個所と、違反の事実を確認をいたしました個所との比率は、非常にまあ違反の事実が多いという数字は上
つて
おります。併しこれは非常な部分的なものでございまして、全国的にその
取締
をいたしました数字的な資料を持合せておりません。この問題は非常に何と申しますか、
取締
が非常にむずかしいのでございまして、まあ昨日来いろいろ
質疑
応答の中にも出て
参つて
おりまするように、現実に自分で調剤をされておる、お医者さまは、非常に少ないのではないだろうか。併し他のものにやらしておるけれ
ども
、自己の監督の範囲内において、自己の監督の目の届く範囲内において、まあ手伝わせてや
つて
おられるというふうなことであれば、一応の法律的ないろいろのむずかしい
解釈
もございましようが、一応まああれでできるものではないか。ただその自己の監督の外にあるか、中にあるかというこの認定の問題が非常に困難でございまして、結局私
ども
この問題は
医師
のそれぞれの方々の理性に待
つて
、この
規定
の精神を活かして行くよりほかに、薬事監視の
方法
といたしましては、非常にむずかしいのではないか、かように考えて
取締
に苦労をいたしておるのでございます。
高野一夫
83
○
高野一夫
君 「自らの調剤」を広義に
解釈
するか、狭義に
解釈
するかということは、
昭和
二十三年の
医薬
制度
調査
会で大分問題にな
つたの
でありますが、これが裁判にな
つた
ときに、知らない人たちはこれを広義に
解釈
するようなことがまま現われているように、私も裁判記録を見て
承知
をいたしております。この「自らの調剤」行為というものは、極めて狭義に
解釈
するということは当時薬事法を作
つた
ときに、その
解釈
の仕方は、そういうふうにきま
つて
いるはずだと私は
解釈
しているのであります。そこで我々の考えますのは、そういたしますれば、先ずそうでなくても、広義に仮に
解釈
しても、看護婦や書生や奥さんに調剤させるということが、薬事法の
違反行為
である、そういう
違反行為
を良識ある医者にや
つて
もらいたくない。そこで又次から次へ
患者
を待たしておいて、実際に「自ら調剤」をするということは、事実においてこれは非常に困難だと思うので、そういうことから、
違反行為
からも、又そういう面倒な仕事からも解放をされて、そして
患者
の診察
治療
に専心当
つて
もらうことが
患者
の受ける恩恵が一層倍加するのじやないか、こう考えていることが
一つ
の
患者
の面から見ての
医薬分業
のやはり私は一面であろうと思
つて
おります。
従つて
今後
分業
の実施された後は勿論のこと、それから実施されない現在におきましても、
医師
を以てかくのごとき
違反行為
を生ぜしめないように、
医師
は専心良識ある
治療
に従事することができるようなふうに、指導監督は十分薬事監視のほうでもや
つて
もらわなければならないと私は考えておりますが、この点について局長のお考え、
意見
を、覚悟と言
つて
は角が立つかと思いますので、お考えを伺いたいと思います。
高田正巳
84
○
政府委員
(
高田正巳
君)
分業
が実施をいたされました暁におきましては、片一方におきましては、今御指摘の「自ら調剤」する云々というこの
規定
を厳守して頂かなければならない。同時に又一方におきましては、先般来いろいろと御
質問
のありました
薬局
方面
におきまする業務の適正化ということも、これも十分にや
つて
行かなければならない。この両方が相待ちまして、
分業
の狙
つて
おりまする職務目的を達するものと私は考えておるわけであります。従いまして、さような事態になりまするように、私
ども
は、今日千六百人ばかりの
薬事監視員
を抱えておるわけでございますが、これらのものを督励いたしまして、さような事態を実現いたしまするように、努力をいたしたいと、かように考えております。
榊原亨
85
○
榊原亨
君 保険局長にお尋ねいたしますが、若しこの
分業
が実施されるということになりますと、二五%を占めております
ところ
の薬治料を分けるというようなことになるのでありますが、
ところ
が
専門
の各科によりまして、
内科
、小児科或いは外科というような各科によりまして薬治料の比重は違うわけでありますが、先ほど医務局長の
お話
によりますと、
医師
の収入は減少させないのだというような
お話
でありますが、そういたしますと、この薬治料を分けました場合の具体的な措置についてどうお考えになりますか、御成案がありましたら伺いたい。
久下勝次
86
○
政府委員
(久下勝次君) 私に対するお尋ねでございますが、昨日も他の
委員
の方の御
質問
に
お答え
申上げた
通り
、
厚生省
におきましては、社会保険の診療報酬の決定を含めまして全般的な立場から
只今
検討
いたしておる途中でございます。従いまして具体的の問題を私から
お答え
する段階に至
つて
おりませんので、御了承願いたいと思いますが、原則的な考え方は
大臣
なり医務局長より縷々申上げております
通り
の考え方でございます。
榊原亨
87
○
榊原亨
君
医療費
が上るか下るかということは、これは非常に重大なことで、昨日もいろいろ御
質問
がありましたのでありますが、昨日の御
質問
の範囲におきましては、少くとも
分業
をいたしました場合の処方箋に使います
ところ
の紙、その他の費用につきまして、結局プラスされるということを医務局長がお認めにな
つた
と思うのでありますが、
ところ
がそればかりではなしに、今度は
医師
の
薬局
に従事しておりまする
ところ
の
使用
人が
昭和
二十二年度におきましては二・二人、それが二十六年、二十七年にな
つて
参りますというと一・一人、今は一人を割るというような状態である、そういたしますというと、若しも薬を分けました場合には、それらの
使用
人というものは一人以下の
使用
人を首から上切
つて
渡し、胴のほうは医者のほうにと
つて
おくということはできないわけでありますが、
従つて
そこには当然二重のことができるということは、昨日の竹中
委員
の御
質問
によ
つて
も私は了解することができるのでありますが、そういう点から申しましても、これが二重になるということは、私は避けることができないことではないかと思うのであります。調剤の手数料につきましても、この今現に薬を置きまして、医者が調剤することによ
つて
取
つて
おりますものと、調剤の手数料というものが、その手数料が薬のほうに行く、
薬局
のほうに行くということになれば、現実において
医師
の取り分は少くなるわけでありますから、どうしても
医師
の取り分を減らさないということになれば、そこに二重になる。又いわゆる
医師
が自分の好みの薬を合せておりますから、自分の
薬局
においては自分の使いやすい薬を備えておくのでありますが、これを若し
薬局
で合せて行くということが大多数ということになれば、殆んど医者が要求しますもの、処方箋に書きます
ところ
の薬は殆んど備えなければならんということになれば、今健康保険におきます
ところ
の薬価基準に示されておる
ところ
の薬を一
通り
揃えるだけでも七十万円要るという計算を私はしておるのでありますが、而もそれで又ジアスターゼならジアスターゼもいろいろ種類があり、アスピリンもいろいろの種類があるということにな
つて
来ると、
医師
の
薬局
において薬を用意する以上の薬を薬剤師のほうが用意をして頂かなければならんということにな
つて
来る。又
医師
の
ところ
にございます
ところ
の
薬局
にいたしましても、或いは注射をいろいろするというようなこと、これのために
医師
の
薬局
は当然そこに小規模ながら置いておかなければならんということにな
つて
来る。そうすると近い話が電燈も
一つ
を
二つ
に分けるということはできないわけでありますから、どうしてもその面において二重の施設を要するということになるのは当然なことだと私は思うのであります。それらの事実を今ここで考えまするというと、当然それらの点は二重になりますから、この
医療費
は高くならざるを得ないというふうに私
ども
は判断するのでありますが、昨日からの医務局長の
お話
を承わりますと、それは今のままでいいのだ、今のままでできるのだという
お話
であるのでありますが、そうしますと、どこにどういうふうなしわ寄せをすることによ
つて
、それができるのであろうか、或いは又
医師
が処方箋料というものを安くしなければ、それができないようにな
つて
来るのではないかというように思うのでありますが、それらの点につきましてくどいようでございますが、もう一度医務局長の御
意見
を承わりたいと思います。
曾田長宗
88
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 私はこの点につきましては繰返し申上げたと思うのでありますが、
結論
を申上げますれば、一応基本的な考え方としては、今まで
一つ
だ
つた
ものを
二つ
に分けて、
医師
の診料所に支払い、又一方は
薬局
に支払うというのであるが、細かい点については若干重複というようなことは考えなければならないかも知れんということは申上げましたのであります。ただそれをその重複する部分があるとしても、ただ数パーセントしかそういう
治療
費には響いて来ないということを御
説明
申上げた。それが而も、その問題になりました部分も完全にそれを重複させなければならんものか、その部分的な重複で済むのではないかということは、私
ども
更に
検討
を要する点だと思
つて
おりますが、さように考えれば一層これが僅かなものに減少して参るというふうに御
説明
を前に申上げたのであります。
榊原亨
89
○
榊原亨
君 これ以上は見解の相違でございますから、いずれ
厚生省
がいろいろな資料をお出しになりました上におきましていろいろ御
検討
を願うことにしまして議論は避けますけれ
ども
、私
ども
の見解から申しますというと、もう
医療費
は上るということは当然である、
只今
お話
になりました点から申しましても、昨日の
谷口
委員
の御
質問
の
お答え
から申しましても、少しぐらいは上るだろうというようなことまで言われたということでありますが、まあ上らないとおつしやるのだから、これ以上私は何も言わないと思うのでありますが、そういたしますというと、一応私は大蔵当局の御見解を承らさして頂きたいと思います。今いろいろ問題がありまして、久下局長など困らせておりますが、一点単価を上げるとかどうかと、税金をどうしようとか、こうしようとか
医療費
が行詰
つた
現状
におきまして、我が国の
国民
経済といいますものが、まだアメリカの水準にまで至
つて
おらないという状態におきまして、若し
医療費
が上るということが認められた場合には、この
分業
はすでに三年前に作られた法律でございますが、それにこの
医療費
が上るのだ、上
つて
も大蔵当局としては止むを得ないという御
判定
を持
つて
いるか、その点についての大蔵当局の御見解を承らさして頂きたいと考えるのであります。
大村筆雄
90
○
説明員
(大村
筆雄
君)
医薬分業
の結果、
医療費
が結局上るのではないか、それに対して大蔵省はどう考えるかという御
質問
かと思いますが、私
ども
これまで
厚生省
御当局から聞いております範囲では、
医薬分業
の結果
医療費
が上るというふうには
承知
いたしておりません。
榊原亨
91
○
榊原亨
君
只今
の
お答え
は
医療費
が上らないということを聞いておるというような
お話
でありますが、これは国会においていろいろ御
検討
を又願うことになると思うのでありますが、若し国会において
検討
されました結果、
医療費
が上るという
結論
が私
ども
出ました場合に、その場合にでもなお
分業
は
医療
内容を向上させるために必要であるということを、大蔵当局は御賛同になるのでありましようか。その点如何でございましようか。
大村筆雄
92
○
説明員
(大村
筆雄
君)
医療費
が上りました場合に、上る程度によりますが、現在の
国民
生活におきまして
医療費
の負担が相当なものであるということは仰せの
通り
であると思いますが、そういう点を勘案されまして、
医薬分業
の問題が当然国会等におきまして総合的に
検討
されることと存じておりまして、
只今
の
ところ
私
ども
といたしましては、
医薬分業
の結果当然に
医療費
が上るものというふうには考えておりません。
榊原亨
93
○
榊原亨
君 結局いろいろまだ問題が残
つて
おるのでありますが、あとに御
質問
の方もございますので、御迷惑と存じますから、この程度にとどめたいと思うのでありますけれ
ども
、とにかく今まで私が
質疑
をいたしました
ところ
によりますというと、社会保険の規制、統制されました
医療
においては、
分業
ということを法律を以てきめるということは、或いは
国民
の利益になりますことならば、これはいいことではあるが、併しながら
医療費
が上るというようなことでございますならば、これは考えるべきことではないかと思うのでありますが、
ところ
がなお自由診療というものが残
つて
おる。その自由診療の面にまでも
医師
と
患者
の間に法律を介入させてまでも、この
分業
をやるということにつきましては、多大の疑問を私は持たざるを得ないのであります。外国におきましても、現に世界中探しましても、まあアメリカに一洲、そのほかに
一つ
二つ
くらいで、殆んど法律を以て
分業
を強制している国がないのであります。法律を以て強制している国がないにかかわらず、まだ
国民
の所得と申しますか、
国民
経済というものが、昔のように帰らない現在におきまして、これを
分業
をやるということにつきましては、多大の疑問を持たざるを得ない。これを
判定
いたしますためには、更に
厚生省
におきましては、八月三十一日までにこれらの資料が出るということを言
つて
おられるのであるが、私は衆議院の厚生常任
委員会
の
速記
録によ
つて
も
承知
いたしておるのでありますが、さようでございますか、
厚生大臣
から承わりたいと思います。
草葉隆圓
94
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君)
医薬分業
に関しまする
医薬
審議
会設置法の
関係
において、
只今
お話
のありました、これによ
つて
、
医療費
が高くなりはしないか、それに対しまして、私
ども
は高くならないようにするし、又高くならないという考え方である。むしろそれによ
つて
医療
内容が向上し、
合理化
するように
一つ
努力をいたして行きたい。
従つて
その作業なり、或いは
医薬
治療
費の配分なり、従来の
医師
に支払
つて
おりました薬代、或いは技術を含めたものと、これを分ける場合における作業等が、八月一ぱいに大体できるように
厚生省
は言
つて
おるが、その点はそういうふうな目安として進めるかという御
意見
だと
承知
しますが、そのような準備を進めております。従いまして私は九月一ぱいに衆議院の
厚生委員会
でこれは発表し得るかという御
質問
であ
つた
かと記憶しますが、その当時はいたしますと
お答え
申上げてお
つたの
であります。その準備はそのように進めて
参つて
おります。
榊原亨
95
○
榊原亨
君 その準備はそのようにお進め下さいまして出せるお見込みでございますか。
草葉隆圓
96
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 出せる見込みであります。
榊原亨
97
○
榊原亨
君 先日医務局長が、この
分業
問題にからみまして、原価計算方式打合
委員会
或いは
病院
、診療所の実態
調査
に関しまして、何か
医師
会或いはそれに類する団体が協力をしなか
つた
から、今まで準備ができないのだ。私は違
つて
いたら大変失礼でございますが、まあそういうふうに解し得る御発言があ
つた
と私は聞いておるのでありますが、さようなことがありましたのでございますか、
速記
録がまだとれませんので……。
曾田長宗
98
○
政府委員
(曾田
長宗
君) 実は御
承知
のように、
委員
の方々の中から御
質問
がございまして、どういうような事情でできなか
つた
かというお
質問
に応じまして、実はかような事情でありましたということを申上げたのでありまして、私
ども
今のような計画
通り
に事が進みませんでしたことを、すべて他に責任を転嫁するというような気持は毛頭持
つて
おりませんので、この
趣旨
を十分に了解して頂く、或いは又実際に無理なお願いであると考えますれば、そのように他の
方法
を考えなければならなか
つた
でもありましようし、そういう
意味
で私
ども
自身といたしましてはあの失敗と申しますか、若干の齟齬というものに対しては十分責任を感じておるのでありまして、ただ自分の責任を他に転ずるがごとき言葉だととられるような発言でございましたならば、私の表現が非常に悪か
つたの
だと思
つて
お詑びを申上げておきます
榊原亨
99
○
榊原亨
君 保険局長に
ちよ
つとお尋ねいたすのでありますが、社会保険中央
医療
協議会に、この問題について何か御
研究
になり或いは御提案にな
つて
、御
意見
を求められたことがありますか。
久下勝次
100
○
政府委員
(久下勝次君) 御
質問
の
趣旨
がわかりませんが、この問題とおつしやいますと……。
榊原亨
101
○
榊原亨
君
分業
をいたします場合の社会保険の診療報酬についてであります。
久下勝次
102
○
政府委員
(久下勝次君) この問題は先ほどの御
質問
に
お答え
を申上げた
通り
でありまして、まだその段階に至
つて
おりません。
有馬英二
103
○
有馬
英二君
大臣
が御
出席
のことでございますので、
大臣
に二、三お伺いをしたいと思います。これはまだ
大臣
が
大臣
に就任される前のことでありましたので、或いは
大臣
に直接責任がないということを言われるかも知れませんが、一点単価の問題を一応お伺いしておきたい。一昨々年でありましたか、丁度ここにおられる
谷口
委員
が
医師
会会長の任務に就いておられたとき、一点単価の問題が全国の
医師
会の非常な大問題となりまして、そうして
政府
当局へも一点単価の問題について考慮を求めた、時の
大臣
は橋本龍伍君であ
つた
。そうしてその当時の
医師
会の要求は一点単価を十八円であ
つた
かと思いますが、或いは十八円五十銭であ
つた
かにしてもらいたいという
医師
会側の計算による
ところ
の要求である。
ところ
が橋本当時の
厚生大臣
がいろいろ苦慮の結果、或いは大蔵省と御折衝にな
つた
かも知れませんが、一点単価を十円から十一円五十銭、十二円五十銭に上げる、その当時のたしか
医師
会会長であ
つた
谷口
委員
と折衝のときにはこれは暫定措置である、暫くこれで我慢してくれれば必ずそのあとは更に考慮すると言われた。
ところ
がそのままで今日まで継続しておる、少しもこれが行われておらないことは御
承知
の
通り
であります。そこで私が
草葉
厚生大臣
にお伺いするのでありますが、
大臣
は現在行われておる
ところ
の一点単価十一円五十銭、並びに十二円五十銭をこれでいいものであるとお考えであるか、これが妥当であるとお考えであるかどうか。これは
草葉
さんが
大臣
になられたのでありますから、この点は十分お考えにな
つて
下す
つた
ことと私は思うのであります。これは御
承知
のように社会保険を
扱つて
おる
ところ
の現在の大多数の医者、而も七〇%、九〇%社会保険の
患者
であるというような現在におきましては、医者の死活問題であるのでありますから、この点については、
大臣
は十分御考察のことと思うのでありますが、どういう
工合
に考えておるか、それを一応伺いたい。
草葉隆圓
104
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) このことは実は先刻御
質問
がありまして、大体
お答え
申上げたのでございますが、それで、それは決してこれで適正であり、これで十分だというような
意味
から私
ども
は肯定しておるという
意味
ではございませんという
意味
を先刻申上げたわけです。それで、これが安いとか或いは高いとかいう点になりますと、いろいろ影響して参りますし、私はむしろ現在の
医師
会の方々が、
医師
会と申しますか
医師
の方々が、この社会保険の精神から十分御協力を頂いておると考えております。この点は感謝いたしております。
有馬英二
105
○
有馬
英二君 私が先ほど
出席
しておりませんでしたから、前の
質問
を聞いておりませんで、重複したことは誠に申訳なく存じます。併し、この一点単価の問題は、まだ残された大きな問題であ
つて
、これはどうも改善されなければならない問題だと思うのですが、
大臣
は、改善するようなお心持ちであるかどうか。
草葉隆圓
106
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) これは結局、直ちにこれを改善いたしますということは、単価の値上げといいますか、上げるということに相成
つて
来る問題だと存じます。で、
従つて
大変影響する
ところ
が大きいのであります。或いは
予算
関係
すべてに影響して来る。そこで先ほど申上げましたように、いろいろの立場から考えますると、
昭和
二十六年頃でございますか、それ以来ずつとそのままの状態、昨年
入院費
だけが単価よりも点数を増して参
つたの
でございますが、そういう点を考えますると、今これをこの一点単価の基準額を
検討
いたしますることは、誠に実際上は困難な状態にな
つて
来る。併し、その単価
そのもの
に対する
医師
の方々の御協力に対しましては、この社会保険の立場から相当犠牲を払いながら御協力を頂いておるという
意味
において感謝をいたしておる次第であります。
有馬英二
107
○
有馬
英二君 御
承知
のように今回
分業
がいよいよ行われるというその基礎的な準備と申しましようか、新
医療費
体系を算定するというのが、ほぼ一点単価から算定すると私は信じておりますが、そうするというと、こういう低い不当な一点単価を基にして、そうして今度は新
医療費
体系というものが作られる。少くとも
医師
の技術料或いは診察料というのが、この一点単価の何%であるというようなことから、これは算定される嫌いがあるのであります、そうすると、今度の新
医療費
体系というものも甚だどうも当を得ていない
ところ
のものになるに違いはないと、私
ども
はどうも考えざるを得ないのであります。それをどういうような
工合
に是正されるか、どうしたならば本当に
国民
も医者も薬剤師も、すべてが満足できるような価格が得られるかというように何かいい案をお持ちでございましようか、それを
一つ
伺いたい。
草葉隆圓
108
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 実は社会保険におきまする一点単価は
只今
申上げましたように、これは御協力を頂いておりまする結果、円滑に進んでおると存じております。従いましてこのいわゆる
医薬分業
を実施いたしまする、いたしませんにかかわらず、この点につきましては、私
ども
大いに又考えるべき点は考えて行かなければならないと存ずる次第であります。でその立場と別に、この一月一日から
医薬分業
ということに相成
つて
参りますので、その
医薬分業
をするにつきましては先刻平縷々
お話
し申上げておりまする薬治料の分割の仕方であると存じております。具体的に申しますと、従来或いは十二円五十銭或いは十一円五十銭、そうすると薬治料に二点なら二点といたしまする場合におきまするこれをどういうふうに分割してやるか。で、私が根本的に考えておりまする点は、そうしてそれが作業の上にも必ずそう現れて来ると確信いたしておりまする点は、従来これは昨日来医務局長から縷縷申上げた点でありまするが、
薬品
原価が大体三分の一である。
医師
のこの
薬品
に含まれている技術料が大体三分の一、その他の諸経費が大体三分の一で、この
薬品
原価は当然一薬の購入でございまして、そつちのほうへ参ると思います。その他の諸経費の三分の一の中で、或いは印刷とか紙代というようなものが
薬局
なら
薬局
に参りましようが、あとがその先ほど来だんだんと電燈を半分にするかどうかという問題にな
つて
、含まれていると存じますが、
従つて
成るべく実収入は、現在の情勢においてこの
医師
のほうに入
つて
来る状態においてこの
医薬分業
はなされて、その薬の原価その他の一部というものが
薬局
に払われて来る。
従つて
医師
に払
つて
おりまする実収入というものを減ずるということは、決してこの
医薬分業
の正しい行き方ではないと私は考えております。私自身といたしまして、むしろそういう無理なことをすると、このいいことが却
つて
いろいろ支障を生じて来るのじやないか。
従つて
そういうことのないようにして、収入を減ずるというようなことのないようにしながら、この仕事が
合理化
し、そうして
医療
制度
そのもの
が進展するという状態に持
つて
来なければならないのじやないか。この作業が大体八月一ぱいぐらいにでき上る、恐らくはつきりそういうふうに現われて来るという考え方、又私
ども
はそういう方針で行きたいという考え方で
参つて
おります。
有馬英二
109
○
有馬
英二君 それは先般の衆議院の
速記
録を見ましても、やはり医務局長或いは
薬務局
長あたりが同じような答弁をしておられるので、今
大臣
が御答弁にな
つた
ことは、もうそれとちつとも違わないので、結局
厚生省
のお考えはまあ判こで捺したように千篇一律である、私
ども
は承認ができないのです。というのは減らさんと言うても、トータルにおいて減
つて
来るに違いない。これは当然だ。一部分を割いて例えばそれが
薬局
のほうへ廻
つて
来るのですから、一部分減るにきま
つて
るんです。それは併し薬価というものを払わなくてもいいのですから、その支出も減りましようが、収入が減ることも明らかであります。併し収入は減りましても、それは損にはならないかも知れません。それは又別でありますが、併し一般の医業者が、開業医が心配している
ところ
は、やはり収入が減るということが非常にまあ苦になるに違いないと私は思うのです。私自身でも若し開業していれば、非常にそれが苦になると私は思うのです。そこでですね。幾ら
厚生省
のほうからお医者には損をかけないようにすると言われても、どうも皆が納得しない。これは実際納得しておらんと私は思うのです。それでありますから、今もこの
医薬関係審議会設置法案
が出ると同時に、各地の医者からたくさんの陳情書が来る、又
薬局
のほうからもたくさんの陳情書が来ている点から見ましても、これは
一つ
の大きな彼らの悩みにな
つて
いるということは明らかであります。これはどうしてももつと確かな計算をお出しにな
つて
、そうして医者側からも薬剤師側からも相当の人が皆出てお互いに納得の行くように協議をして、勿論これは
医薬
協議会でおやりになると思うのでありますが、そうしてみんなに不安のないように早く資料をお出しになるということがやはり必要であろうと思うのであります。今まで三年間も、ちつとも
国民
にも、又
医師
会にも、又薬剤師会にも、少しもそういうことについて思考の資料を出してお出でにならないということは、これはどうしても
厚生省
の怠慢であると私思うわけであります。一日も早くこれは出されんことを希望するのでありますが、勿論先般来当局は八月一ぱいにそれを出すということを言
つて
おられますから、我我は大いに期待している。若しその際にその資料が出ました際に、私
ども
はもう一遍国会でも
つて
よくそれを
審議
いたしまして、そうして実際に果してどういう
工合
になるかということをよく
検討
した上で、初めて
分業
が行われるようにな
つて
行かなければならんと考えているのであります。この点について先ほど来同僚
委員
からも実際にその資料が出るのかどうかというような御
質問
がありましたが、
大臣
からも又医務局長からも出る考えであるというようなお言葉であ
つた
。その点私
ども
了解しているのであります。私自身は
医薬分業
ということに少しも反対していない。これは我々の国情といいますか、社会というか、だんだん進歩いたしまして、或いはアメリカのように或いはヨーロツパのようにもつと社会状態が完備したというようなときには自然に行われるので、これは法律で強制しなくても自然に行われるものだと思う。併し法律できめれば、或る点まで強制されると、医者も薬剤師もその
通り
や
つて
行くでありましよう。併しながら実際において迷惑をこうむるのは医者でもない薬剤師でもない、
国民
であると私
ども
は考えるのでありますから、省令で定むる
ところ
によ
つて
治療
を受けている
患者
自身若しくは看護に当
つた
人が、医者から薬をもらえるというように、法律を我々がこの前に
審議
してそういう
工合
に作
つたの
でありますから、それは当然のことであると思うのであります。ですからしてこの
審議
会設置法案を私
ども
は何も反対していない。一日も早くこういうものが完備されて、そうして実際に
国民
に迷惑を及ぼさないような態勢を整えて、それから実行されるというように希望するのであります。厚生当局は十分それについて確信を持
つて
お出でになると思うのでありますが、
大臣
はどうお考えになりますか。
草葉隆圓
110
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) これは十分その確信を持
つて
進んでいる次第であります。ただ
お話
の中にありましたように、トータルでは成るほど減るのじやないか、併しそのトータル
そのもの
は、全体としますると近年ずつと場合によりますと約百億乃至百七、八十億ずつ殖えております。この保険並びに
医療費
に対しまする負担であります。例えば
昭和
二十六年は千百三十億であ
つたの
が
昭和
二十七年は千三百億というふうに
医療費
全体が殖えております。そこでトータルで必ずしも減るということは、去年よりも、来年どういうふうになりますか、必ずしも減らんかも知れないという状態が現われて来るかも知れませんが、併し
医薬分業
の形におきましては、少くとも薬価のうちの
薬品
原価というものは
薬局
のほうえ参りまするから、それだけは減るということになるのであります。ほかの問題につきましては、御指摘の点さような確信を持
つて
進んでおります。
廣瀬久忠
111
○廣瀬久忠君 私ときどきどうも欠席をいたして、
質問
が或いは済んだものもあろうと思います。
医薬
関係
の
審議
会の法案についての御
審議
でありますが、
分業
に関する問題が非常に中心に御議論にな
つて
おります。それを承わ
つて
おりますと、大体
医療費
体系の問題とか、或いは
医療費
の
国民
生活に対する影響、或いは社会保険に対する影響というようなことについて、非常に詳細に御議論にな
つて
おられるように承わるのでありますが、非常に微に入り細に入り
質疑
応答を重ねられているのを伺
つて
おりますと、なお
只今
榊原
委員
、
有馬
委員
からの御
質問
もあ
つたの
ですが、それに対するはつきりとした御答弁が、どうも私には伺えなか
つたよう
な気持がいたしますから、その点を極く簡単にお伺いいたしたいと思います。私は
患者
というような立場から
一つ
お伺いをいたして見たいと思いますが、先ず第一にお伺いいたしたいことは、簡単に
一つ
御答弁を願
つて
結構でありますが、
患者
と
医師
との
関係
というものは、
治療
については相互の信頼
関係
というものが、
治療
上非常に重要であると私は思いますが、
大臣
はこの相互の信頼
関係
の重要性をお認めになりますか、どうですかということを
一つ
。
草葉隆圓
112
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 御
質問
のように、私もさように心得ております。
廣瀬久忠
113
○廣瀬久忠君 次にお伺いいたしますが、そこで私はこの相互の信頼
関係
というものは非常に大切なものであ
つて
、
患者
の立場から言
つて
も、お医者の立場から言
つて
も非常に大切なものであ
つて
他人がこれに口ばしを入れないほうがよろしいと私は思うのであります。いわんやこれは法律とか、或いは権力とかというようなものでこの間に立入ることは、誠に望ましくないことであると私は考えるのですが、この点についての
大臣
の御
意見
は如何でありましようか。
草葉隆圓
114
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 全く同感でございます。
廣瀬久忠
115
○廣瀬久忠君 そこでもう
一つ
お伺いしますのは、
医薬
の強制
分業
というものが、そういうことになりますと
患者
と
医師
との信頼
関係
に、法の力を以て立入
つて
いるということに私はなると思うのでありますが、それはならないのでありましようか、その点をお伺いいたしたい。
草葉隆圓
116
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 実は現在も殆ど
病院
その他の大きい
ところ
では全然別にな
つて
いると思います
医師
は
治療
並びにこれに対する指示その他ということにな
つて
、
薬局
は又全然別なんであります。ただ無床診療所等の中心が多くそのような状態である。
患者
が
医師
を選ぶ場合には、全く
お話
のように自由に甲の
医師
を選び、或いは自由に乙の
医師
を選び、そこで選ばれた
患者
と
医師
との間には、信頼感を一種のその人を尊敬する心持等によ
つて
結ばれておる場合が大多数であると思います。それに対する
治療
の
方法
についての場合におきまして、現在の多くは
薬局
等で行われておる大
病院
その他が多いのであります。一般にこれを普及する
意味
におきまして、二十六年のこの制度にな
つた
と存じております。但し、
患者
がやつぱりそのお医者さんに薬をもらいたいという場合におきましては、この今度の三十年の一月一日からの法律におきましても、自由に
患者
が欲するときにはその
治療
を求めた
医師
から薬ももらい得るということにな
つて
おりますから、その点はもうそこまで信頼を結ぶという
意味
におきましてはなし得るということに相成ると思います。
廣瀬久忠
117
○廣瀬久忠君 そういたしますと、まあそこはお互いの見解の相違になる点もあるかとも思いますが、私は
只今
の
大臣
の答弁を伺
つて
みましても、この信頼
関係
に強制
分業
を実行すると、信頼
関係
に或る程度の強権を以
つて
の立入りがあるのだということは認めなければならんと思いますが、その点は如何でしようか。
草葉隆圓
118
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) これは考え方と取り扱い方によ
つて
違
つて
来ると思いますが、普通の
整備
されたる
医療機関
と申しまするか、それでは、現在におきましても調剤は薬剤師、或いは診療、診察等は
医師
というので大体はつきり分れてなされておるのが実態であると思います。
従つて
今回の
医薬分業
におきましても、本人が好まざる場合においても、これを強権的に分離するという形は妥当でないから、そういう形が
日本
では相当今まであ
つたの
で、その旧来の
一つ
の習慣というのは残すという
意味
において、この前の
一つ
のこの法律のときに議員修正としてあの一項が加わ
つた
と存じております。そういう
意味
から、今度の
医薬分業
の形は必ずしも強権によ
つて
これを信頼を分けるという
意味
にはならんのじやないか、かように私は存じます。
廣瀬久忠
119
○廣瀬久忠君 その点については、或いは見解の相違かも知れませんが、私はあの二十六年の法律はこれは強制
分業
であ
つて
任意
分業
ではないのである、強制
分業
の建前をと
つて
お
つて
、そうして非常にやわらかくした強制
分業
であると私は信じておるのであります。これはまあ見解の相違になるかも知れませんが、私はそういう
工合
に思
つて
おる。それから今の問題はなお又将来論ずることがあるといたしまして、そこでお伺いしたいのは、強制
分業
によ
つて
患者
と
医師
との間に立入らなければならないという何か必要を特に感じておるということが
立法
の理由にな
つて
おるのかどうか、それを伺いたい。
草葉隆圓
120
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) これは実は私
ども
の考えでは、
昭和
二十六年の制定当事のことを考えますると、先ほど来だんだん
お話
にありましたように、一人の
患者
を診断し、これに対する投薬をみずからの手でやるというような状態が現在の状態でございまするが、一方
日本
にも相当開局薬剤師がたくさんある、その
方面
に、投薬の面はいわゆる割愛して、そうして専心
治療
並びに
治療
の向上というものに
医師
のほうの力を注ぎ得る態勢にな
つて
来ることが最も
医療
の向上の本質的なものである。又片一方のほうにおきましては、その示されました処方箋に基いて十分薬を選択して、そしてそのほうを
専門
にや
つて
行くことが
医療
制度の向上に資するゆえんである。かように考えて、かような
意味
においてこの二十六年の法律も
検討
され、そうしてこれが国会においても採択されたゆえんであり、私もその立場からこれを推進するようにいたしているような次第でございます。
廣瀬久忠
121
○廣瀬久忠君 私はまあ先ほ
ども
申上げたように、今
大臣
の
お話
を承わ
つて
見ましたが、非常に遠慮をした強制
分業
ではあると思いますが、何と申しましてもこれは法律によ
つて
強制をする強制
分業
と言わなければならん、その建前をと
つて
いると私は思う。そこで私は任意
分業
の論者である。で、私は自分の長い間
厚生省
にお
つた
経験……、丁度学校を出て私が内務省の衛生局に入
つたの
が今から四十年前でありますが、その当時からすでにこの
分業
問題というものはなかなかやかましい問題であ
つた
ことを記憶をいたしているのであります。併しながら
昭和
二十六年には遂にこれが実行ができた。実行されたのは占領治下において実行をされた。で、長い間に亘
つて
分業
の強制というものが実現されなか
つた
ということから考えて見ましても、これは
国民
の人情というものに基いた我が国の伝統というものがどうも軽んぜられた傾向があるのじやないか。殊に私は甚だ遺憾に思うのは、先ほど来問題にしばしばな
つたの
でありますが、かくのごとき
一つ
の伝統が我が国にあり、そうしてそれが大きな
病院
であ
つて
、薬剤師が
病院
にお
つて
調剤をいたしましても、やはり
医師
と
患者
との
関係
は
治療
について非常な信頼
関係
、精神
関係
があると私は思うのであります。そこでこういう
ところ
にまで伝統をまあ無視し、そうして私から言わせれば人情にも或いは反する点があるのじやないかというような点も考えると、どうもこれは根本的に見て強制
分業
ということはどうも適当ではないのじやないか、そうして
厚生省
として甚だ私は顧みて申訳ないと思うのは、この伝統というものがあ
つたの
に対して、啓蒙ということについて今
大臣
は非常にいい制度だということをさつき
有馬
委員
に対する御答弁の中に言
つて
おられたが、非常にいい制度、つまり理想的な制度だとお考えにな
つて
いるとすれば、何故にもつと
国民
に啓蒙をせられなか
つた
か、その点は甚だ遺憾に存ずる。そこで私は自分の考えを申上げて最後に私がお伺いしたいことは、先ほど
有馬
委員
も
質問
せられたのですが、私はこれは理論的に強制
分業
ということは決していい制度だ、理想的な制度だとは思わない、任意
分業
が理想的の制度だと思う、で、薬剤師にしても、
医師
にしても、これは非常に知識階級に属する人であ
つて
、それらが皆立派な人である、これは任意
分業
ができないはずはない。任意
分業
をや
つて
、
医師
は
医師
としての向上を図り、薬剤師は薬剤師としての向上を図り得ると思う。然るにこの私の
意見
から申せば、任意
分業
にも反し、伝統にも反する、こういう制度をおやりにな
つて
、そうして果して円滑な施行ができるのであろうかどうか。今日私
ども
は
医師
側と薬剤師側と双方から非常な
意見
を承わ
つて
おるのです。私はこの点を非常に心配をするものであります。殊に私が学校を出て初めて内務省衛生局に入
つて
この問題に触れてから何十年、四十年の間いろいろ接した
ところ
から見て、これが却
つて
円滑な施行が果してできるだろうか。先ほど
大臣
は非常な確信を持
つて
言われたが、私はその点が非常に心配である。若しこの点に確信があるとするならば、まあこれは
大臣
は就任まだ日浅いわけでありますが、
厚生省
として何故にこの円滑な施行についてもつと最善の努力をしなか
つたの
だろうか。殊に八月末に各種の
分業
に関する必要資料を
提出
せられるというような話で、これはもう各
委員
から厳重に責められた問題でありますが、私も非常にこれは驚いているのであります。こういうようなことであ
つて
、私は円滑な施行ができるかどうかということを非常に疑う。この点は非常に重要な問題でありますから、
大臣
のこの法律施行に関する確信を重ねて
一つ
念のためにお伺いしたい。
草葉隆圓
122
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 実は
昭和
二十六年にこの法律が実施されましたときにおきましても、準備期間という
意味
並びに
国民
の認識という
意味
から
昭和
三十年一月一日に実施するということに施行期日を延ばして、そうしてこれを実施することに相成
つたの
であります。従いましてその間におきましては、この
医師
会
関係
の
医師
の方々、或いは薬剤師の方々、或いは
厚生省
自体におきましても、先般来
お答え
申上げましたようにこれの準備並びに啓蒙等に資して参
つた
と存じます。併し実際これの点につきまして或いは御期待に副い得ん点もあ
つたの
ではないかと存じますが、とにかくそういう心持を以て準備を進めて参
つたの
であります。で、いよいよ明年の一月一日に実施いたしまするので、その間成るべくあらゆる情勢と事情とを具体的にこれを資料について
検討
して、そうして具体的の問題は先ほど来申上げました保険、社会保険等に現われる
治療
費の配分の問題が最も具体的な問題にな
つて
おる点でございます。これらの点につきましては、できるだけいやが上にも
現状
を詳かにしながら、先ほど来だんだん申し上げた実収入の変動を来たさないように努力して資料を作
つて
おるような次第であります。これは先ほど申上げましたが、これらの準備につきましては九月になりますると十分御発表申上げる準備をいたし、又その確信を持
つて
進んでおる次第であります。実は廣瀬さんの
お話
のように、殊に内容についてはよく御
承知
の、恐らく数十年来のこれは懸案であ
つた
と存じます、誠に
日本
の
医療
業におきましては最も重大なる問題の
一つ
として論争され、
検討
されて来た問題がいよいよ近く具体的に解決され、実施されようといたしておりまするので、私
ども
もこれらの点につきましては、十分あらゆる点から
厚生省
全部を挙げまして円滑に、而もそこには不安のないように最善の努力をいたして参るべきものと心得ておる次第でございます。従いまして私
ども
の不十分な点が今後ありまするならば、又いろいろと
委員会
等におきましてもお智慧等を拝借いたしたいと存じます。
厚生省
自体におきましてはさような心持を以ちまして進んで参りたいと存じております。
廣瀬久忠
123
○廣瀬久忠君
只今
大臣
の懇切な答弁を頂きましたが、併し私は
分業
が法律を以て実行されたことについて私は遺憾の意を表するものであります。これはどこまでもやはり任意でやるべきであると私は信じておる。併しながら今日の実情から申してすでにその法律も通
つて
おる、そうして今日まで相当な経過も経ておる。
只今
大臣
は八月末を以て満足を得る資料を提供すると言われますから、そのときに又再び二の問題を
論議
する機会を得ることと存じますので、本日はこれを以て私の
質問
はやめておきます。
竹中勝男
124
○竹中勝男君 実は議事進行について発言しようと思
つた
んですけれ
ども
、その前に極く簡単に要約して三点ほど
大臣
にお伺いしたいのです。 第一の点は、今日この法案をめぐ
つて
医師
会と薬剤師会といいますか、
医師
と薬剤師という
二つ
の職業的な集団が対立しておるという現実を認めざるを得ないんです。両方から対立した希望が陳情されておりまするので、それで
大臣
にお伺いしたいことは、なぜ対立しておるかという理由について
大臣
の御
説明
を願いたい。利害
関係
の対立か、或いは職業に忠実であるが故に、それぞれの職業階級が
医薬分業
をしないほうがいいという立場が出て来るのか、或いは
医薬分業
をするほうがいいという立場が薬剤師のほうに出て来るのは、なぜこういう対立が出て来るのかということについてのお考えを述べられて、そうしてどうしてこの対立を緩和して行くか、
審議
会法を通して行くことによ
つて
、これをどういうふうに緩和して行くかということをお伺いしたいことが第一点。第二の点は、私自分がはつきりわからないのですが、この対立の中にあ
つて
国民
は一体どつちを支持して行くだろうか、どういう立場から支持しておるかということが、支持しておるとすればどういう
意味
において
国民
はこの
分業
を支持しておるのかということについて、
大臣
はどういうふうにお考えになりますかということが第二の点。それから第三の点は
大臣
のお言葉にもあ
つた
と思いますが、
医薬分業
が
一つ
の進歩、
医薬分業
が
医療
行政といいますか、
医療
の現実をもう一歩
合理化
し発展さす、これが段階であるというふうに御
説明
にな
つたの
ですが、この
分業
が進歩だということは社会的職業が
分業
するということが進歩だというようにも考えられるのですけれ
ども
、又総合することも
一つ
の進歩になるのですが、どういう
意味
においてこれが進歩、即ち
国民
の
医療
ということについての実質的促進になるか、改善になるかという点を御
説明
願いたいのです。それぞれ
専門
的の仕事に専念できるからということは、まあ社会的職業の
分業
ということからは一応正しいと思いますけれ
ども
、
医療
自身の、例えば
医療
が公営化される、或いは社会化される、国営化されるという方向を示しているとするならば、
分業
がどの
意味
において、
医療
の社会化、
医療
の公営化、ひいては
医療
の国営化というような方向にこれがコントリビユートするかという、この三つの点を簡単ですが、
説明
が足りないと思いますけれ
ども
お答え
願いたい。
草葉隆圓
125
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) 誠に、要約しては三点ですが、中心の、核心に触れている問題ばかり、実は何故にこのようにしたかという問題は、これは先に廣瀬さんも
お話
になりました数十年来、或いは七十年来と申しますか、
医師
法が
日本
に施行されて以来の、
一つ
の問題でなか
つた
かと思います。
日本
の
医師
法の
一つ
の建前は、
医薬分業
という建前で
医師
法を作
つて
お
つた
。そうしてその但書のうちに、たしか私の申上げることが、或いは間違
つて
いるかも知れませんが、そこへその当分の間の
治療
、投薬というものを認めてお
つた
と思います。それが幾たびかその後変遷はあ
つた
でしようが、
従つて
長らくこの問題は両方の間に論争され、その論争は何故かというと、その
医療
制度の
日本
の
最初
のスタートが、そういうスタートから来たことに起因すると思う。それがすでに
昭和
二十六年に一度、一応はピリオドを打ちましたので、今度むしろ
審議
会は、その実際の行き方をどうして行くかという問題についての問題ですから、すでに
昭和
二十六年に一応ピリオドを打たれたが、やはり先ほどの廣瀬さんの御
質問
にありましたが、
審議
会の法案であるけれ
ども
、ついその実質に触れて来るという結果にな
つて
来ると思います。それが現在にまでやはり及んでいる問題ではないかと思います。そういう
意味
において、
国民
の支持という点につきましては、いろいろ立場々々によ
つて
見当が違
つて
来るかとも存じます。で、結局これは進歩なりや、或いは
医療
そのもの
が十分になし得るような状態、経済的にも余り圧迫を受けずに十分になし得る状態に進んで来るならば、
国民
の支持というものが強くな
つて
来るという恰好にな
つて
来ると思う。そこで私は幸い
昭和
二十六年でこの問題は一応このピリオドを打
つて
参りました。そのピリオドを打
つた
状態において、これが実施がいよいよ明年の一月一日に迫
つたの
で、この迫
つた
状態を考えてみると、これが進歩であるべき方向に
厚生省
自体は両方の御協力を頂いて、まあ両方と申しまするよりも三者、
医師
、
歯科医師
、薬剤師、この三者の方々の御協力を頂いて、そうして進歩であり、
医療
内容の充実をするし、且つ又
国民
負担の増さないような方向で進んで行くべきものと考えまして、その
方面
に最善の努力をさして頂きたいと存じておる次第でございます。
竹中勝男
126
○竹中勝男君 もう
一つ
医療
社会化とか、
医療
公営化、或いは
医療
国営化ということについては、この関連について
大臣
はどういうようにお考えですか。
草葉隆圓
127
○
国務大臣
(
草葉隆圓
君) これは先ほ
ども
申上げましたが、なおこの社会保険その他の、俗な言葉を使いますると、それによ
つて
医療
を受けておらない人たちが三十数パーセントあります。それでこれらの数を減して参りたい、たしか三九%であると思いますが、費用から申しますと一六・五%になります。そこでこれらの数を減して、その
医療費
等も、或いは社会保障或いはその他で負担をいたし得るような状態に早く持
つて
来ることが必要であると考えております。従いまして
個人
負担と申しまするか、そのほうがだんだん減
つて
来て、そして社会保険、社会保障的な負担というものが及んで参りまするときに、
医療
というものは充実して来るのではないか、かように考えております。
上條愛一
128
○
委員長
(
上條愛
一君) よろしうございますか。
竹中勝男
129
○竹中勝男君 議事進行について発言したいと思
つて
つい又
質問
して……。できれば
一つ
もうこの
昭和
二十六年の
質問
が主なようにな
つて
おりますのですが、
審議
を
昭和
二十九年にもどしてこの法案を何とか
一つ
審議
して促進して行く
方法
を考えたいと思うのですが、
一つ
もう
質問
を成るだけ簡単に打切るような方策をみんなで協力して、
一つ
その附帯決議の内容などについてもつと懇談したらどんなものかと思うのですが、秘密会でも開いて、そうしてこれを促進したいというふうに私は考えておりますのですが……。
上條愛一
130
○
委員長
(
上條愛
一君)
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
上條愛一
131
○
委員長
(
上條愛
一君) それでは
ちよ
つと
速記
を願います。 それでは本案の
質疑
はこの程度にいたしたいと存じますが御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり)
上條愛一
132
○
委員長
(
上條愛
一君) 御
異議
ないと認めます。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十七分散会