○
政府委員(
田邊繁雄君) 未
帰還者の
消息の
調査につきましては、
厚生省として従来とも努力いたしているところでございますが、特に現段階における
引揚問題の様相から考えまして、
調査究明の問題は特に
重要性が増して来たと思うのでございます。そこで昨年、今年
ソ連からお
帰りにな
つたかたにつきましては、できるだけ詳しく
各人より
覚書と、
生存残留考及び
死亡者に関するできるだけ詳しい
消息を集めまして、これを基礎として今日まで
調査を続けておるわけでありますが、その結果、今日まで判明しておるところを御報告申上げたいと思います。これは今後とも
調査を継続するわけでございまして、今後いろいろと又
数字等も変
つて来るかと思いますが、現在まで判明しているところを御説明申上げたいと思います。
調査は
舞鶴で帰
つて来たかたから
覚書というものを取ります。この
覚書というのは、
各人が
自分はどこで何という人に
会つて、この人の
生存を確認しておる、何という人はどこで死んだことを
自分は
証言する、こういた具体的な
証言でございますが、これを一応
舞鶴で取りまして、更にその後各府県におきまして
引揚者が
世話課等に出頭した際、いろいろ又
情報を提供させております。又中央又は都道府県におきまして
合同調査というものをやりまして、
残留者に関する
調査をいたすわけでありますが、その際いろいろ
資料を提供させる、こういうやり方によ
つてや
つておるわけであります。目下それを進行中でございますが、今日までの結果を申しますと、先ず第一は、いわゆる
赤十字名簿に登載されておりまする千四十七名でございます。これは先般
島津社長がモスコーに行かれました際
向う側から渡された
名簿に登載されておるいわゆる
戦犯と言われておる
かたがたでありますが、この千四十七名のうちですでに五名の
かたは第一次及び第二次の船でお
帰りにな
つておられます。それから
赤十字名簿千四十七名の中に入
つておられるかたで、すでに死亡したことが確認されたかたが一人ございます。
従つて現在では四名を引いた千四十三名が残留しているということになるわけでございます。この千四十三名のうちで大
部分の
かたは留守宅に
通信をよこしておるわけでありますが、
通信のないかたが七十八名ございます。その七十八名の
かたは通信だけでは現在どこにおられるかわからないのであります、今度
帰つたかたがたからいろいろ
証言をと
つてみまするというと、大
部分の
かたは現在どこにおるということがわか
つております。但し十九名のかたにつきましては、どうしても現在どこに残
つておられるかわからないのでございます。そこで今回
日本赤十字社のほうにおきましては、この十九名の人につきまして、具体的に
名前を挙げまして、このかたが現在どこにおられるかということを照会されたわけであります。
第二は、この
赤十字名簿には登載されていないけれ
どもが、
昭和二十七年以降
現地から
留守宅に
通信のあ
つた人であります。いわゆる
捕虜通信は二十五年以降中絶いたしまして、二十七年から再開されたわけでありますが、そういう
名簿に載
つていないで
通信をよこしているかたが
総数三十八名現在おられます。その三十八名のうちで、
通信のあ
つた日以降において死亡せられたということに今回の
帰還によ
つて証言せられたかたが二人ございます。他の三十六名につきましては、大体
受刑中と思われるかたが十四名でございます。又大体満刑したと思われるかたが十名でございます。残りの本名の
かたは受刑中であるのか、或いは刑に
関係なく
一般市民生活をしておられるのか、現在どこに残
つておられるのかはつきりいたさないわけでございます。今回
赤十字におかれましてはこの十名のかたにつきまして具体的に
名前を挙げられまして、現在服役中であるのか、或いは一般人として
市民生活をしておられるのかについて
調査の上お知らせ願いたいということを照会せられたわけであります。
それから第三は、いわゆる
赤十字名簿にも登載されておらない、又
昭和二十七年以降の
PW通信も
留守宅にない、併し今度の第一次、第二次の
帰還者の
証言によ
つて、極く最近の
機会において
生存しておられるということが確実にわかるかたであ
つて、而も
名前が具体的にはつきりしておられるというかたがどのくらいあるかと調べて見ますと、
シベリアと雄大と合せまして四百六十名おられます。
シベリアが三百六十六名、
樺太が九十四名であります。これらの
かたは大
部分は
留守宅から未
帰還者届のあるものでございますが、中には
留守家族から未
帰還者として届のないかたが入
つておられます。これは内地にいわゆる身寄りのない
かたがたでございます。こうい
つたかたがたは現在刑を受けているかたと、満刑にな
つているかたとあると思いますが、我々のほうで調べて見ますとはつきりしないかたもありますが、確かに満刑しておられるということが確実にわかるかたが八十八名おられます。
受刑中、或いは
受刑中であるか満刑であるかはつきりしない人を除きまして、たしか満刑にな
つて一般の
市民生活をしておられると思われるかたが八十八名でございます。この八十八名のかたと
通信をよこしている中で満刑と思われるかた十二名を加えまして百名のかたにつきまして、今回
赤十字のほうから早めに帰国せしめられるようお願いしたいということを照会せられたわけであります。
従つて現在
ソ連地域に
生存残留しておるということが確実であ
つて、具体的に
名前を把握しておる
かたは、
赤十字名簿に登載せられておる
かたがたと、それから
通信をよこしておるかたと、
通信はなくて今回
証言のあ
つたかたと合計いたしました
数字になるわけでございます。正確に申しますと一千五百三十九名になるわけであります。これは併し極く最近の
機会において
生存しておることが確実であ
つて、而も
名前が具体的にわか
つておる人ばかりでございます。現在
ソ連地域に残
つておられる
かたがたがこれだけだという
意味ではないのでございます。その他の人につきましても、我々はできるだけ多数の
生存資料を得たいと
思つて努力したのでございますが、今日までわか
つたところによりますれば、極く最近の
機会において
生存確実、
名前のわか
つておるかというものはこういう
数字にな
つております。尤も
名前はわからないがたしか
日本人がこの
地点にこれだけの数おられたという
数字は別に出ております。これは
受刑中のかたにつきましては、帰
つて来たかに伺いますというと、相互に連絡は十分でないようでございまして、具体的に
名前をつかむことは勿論のこと、
従つてそういう
状況でございますから困難であると思われます。併し
帰つたかたがたがたしか
日本人がこの
地点にこれだけおられたという
証言をしておられるのでございまして、そういう
一般資料と申しておりますが、
一般資料によりますると、
ソ連地域は
樺太及び
シベリアを合せまして約二千二百名乃至二千五百名くらいのかたが
ソ連地域内に現在おられるという
証言をしておられます。この中には先ほど申上げましたような具体的に
名前のわか
つておるかたを含めてございます。尤もそういう
証言でありましても、これは第一次及び第二次の
帰還者が
帰つた地点に関する限りの
資料でございますので、
帰還者がなか
つた地点に関する
資料はこれから除かれるわけでありますが、併し調べて見まするというと、第一次、第二次で
帰つた帰還者のお
つた地点は
ソ連の全土に及んでおりまして、殆んど大体の
地域から帰
つて来ておられるようでございます。一部の不明な
地点がございますが、そういう
地点を別にいたしますれば
帰つた地域に関する限りの
一般資料は大体今申上げたような
数字に相成
つております。
そこで昨年の八月
政府は未
帰還者の
集計表というものを
発表しておりまするが、それによりまするというと、
ソ連地域は、
シベリアにおきまして一万一千五百名、
樺太におきまして六千六百名という未
帰還者があるということにな
つておりまするが、これはたびたび申上げまする
通り、入手した
資料のあるものであ
つて、死亡した
資料のあるものを引いたのでございまして、少くとも一遍でも
シベリア又は
樺太において
生存してお
つたという
資料のある人を積み重ねたものの
総数でございます。
従つてこれはその人の最後の
生存資料が
昭和二十年のもの、二十一年のもの、二十二年のもの、二十三年のもの、二十四年のものというふうに分けて出ております。
終戦直後入ソしたという
資料があるだけで、その後全然
消息のわからないかたもこの中に入
つております。
従つて先ほど申上げました
数字は、極く最近において
生存しておるという
資料の
挙つたかたでございます。これはその当時、昨年の八月
発表しました
集計表よりも殖えております。
そこで問題は従来
政府におきまして
発表しております未
帰還者、これは
終戦直後から今日まで一度でも
生存してお
つたという
資料のあるかたの
総数でございますが、先ほど申上げました以外の
かたはどうな
つたかという問題、
状況不明者の
調査の問題になりまするが、
只今これは、先ほど
葛西副
社長から
お話がありました
通り、
安否調査という
方法によ
つて、一人々々の
消息を確かめるように
向うに照会をするようになされたいということが日赤の御
意見でございます。これにつきまして、
政府も財政的に或いはその他の面でできるだけ援助をいたしたいと思います。要すれば
留守家族の希望に応じまして、一人々々につきまして
日本赤十字社から
ソ連赤十字社に対しまして
安否の
消息を問い合せるということになるわけでありまして、現在その仕事の準備を進めておるような次第でございます。
大体以上でありまして、足りない点は又御
質問等によ
つてお答え申上げます。