○
政府委員(
高田正巳君) これは
衆議院の
厚生委員会でもさような御
質問もあ
つたわけでございまするが、
結論を先に申上げますが、当面の私
どもの考えといたしましては、今回あ
へん法をお願いを申上げまして、
けしの
栽培ができるということに
建前をいたして頂きますけれ
ども、これによ
つて急激に非常に広い
範囲において
けしの
栽培を再開いたして行くつもりはないのでございます。と申しますのは、万一この
栽培によ
つて上りましたあ
へんが横流れをいたしましたり何かいたしまして、まあいわゆる密売の対象になるというふうなことにでもなりますると、これは
相当な問題でございまするし、又
国際間の何と申しますか、あ
へんの問題、
麻薬の問題につきましては、終
戦前まで
日本は
国際間におきまして非常に不
信用を
買つてお
つたのであります。
終戦後ずつとこの問題につきましては次第に
信用を回復して参りまして、そこに
けしの
栽培を再開して、それが又いろいろと不正なほうに流れたりなんかするというようなことになりますと、
国際間の
信用というふうなことにも
関係をいたしまするので、私
どもといたしましては、
取締りのできる
程度、我々の
取締りの能力の限度において再開をいたして参りたい、大体そういうふうな気持でおるわけであります。この点につきましては、
衆議院の
厚生委員会におきまして、非常に
覚醒剤等の
中毒化が非常に大問題として叫ばれておる折から、又かような
けしの
栽培を再開いたすというふうなことによ
つて、勿論これは外貨の
節約等ということになるのであるけれ
ども、まあどんなものであろうというふうな非常に御心配なさる観点からの御
質問も非常にたくさんあ
つたのでございます。その場合に、私今申上げましたような私
どもの
只今の
方針というものを縷々御
説明を申上げまして、十分御了解を得たわけなのでありますが、従いまして、
只今私
どもが考えておりますることは、この第何条でございますか、
地区並びに
面積を
厚生大臣が指定することにな
つております。その
地区並びに
面積につきましては、大体
立地条件等を勘案いたしまして、
曾つてけしの
栽培を盛んにや
つてお
つた、そういうふうな所を大体重点として考えまして、而もその
耕作反別は徐々に拡げて参る、その実際に
栽培をいたしました結果とよく睨み合せながら徐々に拡げて参りたい、かように考えておるわけでございます。このことは今のような
方針、私
どもの
行政方針から要請されるところでもありますると同時に、又実際問題といたしましても、
けしの
栽培をやめましてから、もう八、九年た
つておりまするので、
戦前のようないい
品種が直ちに期待できるかどうかというようなことも
相当問題でございまするし、それから
栽培技術というふうな点につきましても、そうこの
技術に熟達した人がほうぼうに求められるわけでもない。まあさようなことから実際問題としてもそう急激に広い
範囲においてこの
栽培を再開して参るというふうなことはできないのではないか、まあかように考えておるわけであります。
ちよつと前にも
予算の
説明のときにでございましたか、この
委員会で
お話申上げたことがあるのでございますが、大体
戦前におきまして、
日本が一番たくさん
耕作をいたしておりましたときが千五、六百
町歩、これが
最高であるようにまあ私
ども聞いておるわけでありますが、この
程度になりまするにはこれはなかなかそう急激には参らない。今申上げましたような諸般の
事情を勘案して徐々に区域を拡げて参りたい、まあかような
方針でおるわけでございます。従いまして、来年この
法律が
通りまして、差向き問題になりますのは本年度、今年の秋に種を蒔きまする場合に、まあどのくらいにするかということをきめなければならない、今何
町歩ということを正確には考えておりませんけれ
ども、大体
和歌山とか
大阪とか、
戦前や
つておりました所で、先ず全国を通じて何と申しますか何百
町歩、百
町歩になりますか、二百
町歩になりますか、三百
町歩になりますか、まあその辺の極く僅かな
耕作反別ということに相成
つておるものと今のところでは予想をいたしておるわけでございます。