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1954-04-08 第19回国会 参議院 厚生委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月八日(木曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員異動 四月七日委員藤原道子君辞任につき、 その補欠として、湯山勇君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    委員            高野 一夫君            谷口弥三郎君            中山 壽彦君            横山 フク君            廣瀬 久忠君            安部キミ子君            竹中 勝男君            湯山  勇君            堂森 芳夫君            有馬 英二君   委員外議員    通商産業委員長 中川 以良君            藤原 道子君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君    厚生政務次官  中山 マサ君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    大蔵省主計局主    計官      大村 筆雄君    大蔵省理財局資    金課長     稻田 耕作君    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○清掃法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは只今から厚生委員会を開会いたします。  委員異動を御報告申上げます。四月七日付を以て委員藤原道子君が辞任せられまして、同日付を以て湯山勇君が選出せられましたので御報告申上げます。   —————————————
  3. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案議題とします。先ず前回において廣瀬委員質問に対しまして国債利子の件について引揚援護局田邊局長から御説明があるそうでございます。
  4. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) この前の当委員会におきまして廣瀬先生から遺族援護法改正に伴う所要経費についてお尋ねがありました際に、弔慰金支給に要する経費大蔵省より所管の予算に計上されているとお答え申上げたと思いますが、この点につきまして更に補足して御説明を申上げたいと思います。前回も申上げましたように、新らしく弔慰金支給対象となる数は約七万五千件と見込んでございます。これに支給する国債の額面は改正法で定めてありますように五万円でございます。利子は従来の通り年六分といたしたい考え方であります。従いまして初年度におきまする利子所要総額は二億二千万円となるわけでございますが、国債利子利払期の時期如何によつてその金額が変つて来るわけでございますが、年度末まで支払いを延ばすということも如何かと思いましてでき得れば九月、一般の例にならいまして九月頃に支払うようにいたしたい。従つてその額は先ほど申しました額の約半額程度になるわけでございます。なおこれらの所要額の財源でございますが、現在すでに発行を予定しておりまする国債総額の中で、沖繩関係等、その他につきまして若干発行が遅れるものと考えられますので、それらをあてにいたしまして取りあえず振替える措置を講ずるようにして行きたいと考えまして、大蔵当局と御相談を申上げてそういう方針でいるわけでございます。ただこれは大蔵省予算に計上されている関係もございますので、以上のような考えを以ちまして今後関係当局相談をし、折衝して行きたい、かように考えております。
  5. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは質疑に入りたいと思います。
  6. 湯山勇

    湯山勇君 前回私は軍属、特に有給軍属の問題についてお尋ねしたのですが、更に満蒙開拓青少年義勇軍に対しての本法適用方についてお尋ねいたしたいと思います。この義勇軍に対しましては 一部適用されておるものもありますけれども、中には終戦引揚当時の特殊な事情によつて、この法律適用を受けていないものもありますし、或いは又中共地区等に抑留されまして、その間作業中何と申しますか非常に大きな身体障害を受けておるというようなものもある模様でございますが、これらに対しての本法適用については、現在どのようになつておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  7. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 満豪開拓青少年義勇軍の隊員についての本法適用についての御質問でございますが、義勇軍方々終戦真近かになりまして軍人として召集を受けた方もございます。これは本法におきましては軍人として適用を受けております。又義勇軍方々の中には、当時の軍のそれぞれの機関において有給軍属として処遇を受けておつた方もあるわけであります。こういつた方々は当然従つて本法における軍属取扱を受けることになり、有給軍属としての取扱を受けられなかつた方々即ち僻地においてそのまま残つて、それぞれの職務にお働きになつてつた方につきましては、その特殊性を考慮いたしまして、その方々がそれぞれの基地において、或いは基地から引揚の何と申しますか、中心センターと申しますかへ引揚げる途中、不幸にして匪賊或いはソ連軍の襲撃を受けまして、戦闘して死亡したような方々につきましては、三十四条の規定に謳われておりまする陸海軍の要請に基いて戦闘に参加し死亡された方として処遇する方針の下に、それぞれ地方に通牒を出しまして、それによつて統一するようにいたしております。  なお、これに関連いたしまして終戦中共ソ連等に抑留又は残留された方々についてのお尋ねでございますが、これは軍人又は軍属の場合においては、御承知通り復員者としての身分を有しておりますので、その点によつて処遇を受けるわけでございます。又未復員者でありますれば、本法規定におきまする軍人軍属に該当するわけでございます。軍人軍属に該当しなかつた方々で、いわゆる終戦後抑留された方々につきましては、今度の、昨年制定せられました未帰還者留守家族援護法によりまして、未帰還者としての処遇を受けるわけであります。昨年の法律が制定せられまするまでの間は、御承知通りの特別未帰還者給与法という法律がございまして、ソ連における未復員者、つまり捕虜と同じような処遇を受けておつた方々につきましては未復員者と同じような処遇をいたす、こういう方針でおるわけであります。従つてそういう方々が自己の責に帰することのできない事由によつて怪我をされた等によつてお帰りになつた場合におきましては、未復員者給与法規定に準じまして療養又は一時金を支給する、こういうことにいたしております。
  8. 湯山勇

    湯山勇君 只今ので大要よくわかりましたが、義勇隊の場合には援護法による年令ですね、援護法では十七歳でしたが、この場合は十四歳から行つているというようなことを聞きますが、年令関係はどうなつておりますか。
  9. 田邊繁雄

    説明員田邊繁雄君) 三十四条の戦闘参加者範囲につきましては、一応年令は十七歳と抑えておりますが、なお考究いたしたいと思つております。
  10. 湯山勇

    湯山勇君 大臣お尋ねいたしたいと思います。この今回改正されようとしております戦傷病者戦没者遺族等援護法につきましては以前から相当問題がございまして、その一つ公務による死亡と非公務死亡との区別でございます。このことは従来から非常に問題になつておりましたし、又これに対して差別扱いを撤廃してもらいたいという大きな輿論もございまして、今回の改正はまあ一つはそういう輿論に対する対応措置としてお考え頂いたものということもできるのではないかと思うのでございます。この点については別段問題はないのでございますけれども、更に将来いろいろ国財政或いはその他の情勢が変つて来れば、現在付けられておるこの差別を撤廃するような御意図がおありになるのだろうかどうだろうか、その点につきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
  11. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) この戦傷病者戦没者遺族等援護法恩給法中心にして立案し考えて参りましたので、従つて恩給法の体系というのが主流をなしておると考えるのであります。現在の恩給法によりますと公務と非公務とを分けて、公務の場合にはそれぞれの処置をいたし、非公務の場合は又これに対する方法を立てておる。従いまして公務と非公務との区別というのは現在の考え方からいたしますと、当然厳存をして来ると考えます。ただ、具体的に如何なるものが公務であるかというところに問題があると思います。殊に今回の大東亜戦争の特質から考えますると、従来の行政実例或いは範疇を相当拡げて考えないと、国民の納得するような状態になつて来ないのじやないかというのが一つであろうと存じます。従いまして公務範囲という問題が一つは残りますが、これは別にいたしましても、今後におきましても公務と非公務は、公務というのを恩給法取扱つて参ります場合にはやはり残つて来る場合、その公務に対する非公務というのが当然あり得ると存じております。今援護法は将来のことは殆んど問題にはなりませんが、恩給法は将来文官等がずつとありますので残りますけれども援護法ではすでに多くのこれらの時日が経過した後における処置と一応考えられるのであります。そこで援護法では従来の取扱でどうしてもこれを局限しても非公務という線が残りますから、この非公務という線も、国民感情から考えましてこのままで何らの処遇もしないということは国家としては誠に不適当である。従つて輿論等も反映をいたしまして、今回の処置をとつたような次第であります。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 只今の問題につきましてお願い申上げたいと思うことは、恩給法では勿論大臣もおつしやつたように、建前は崩せないと思います。併しながらこの援護法のほうではそういう幾らか恩給法で非常に陥没するものを見て行くという建前も結局考えられると思いますので、なお今回五万円の措置がなされましたけれども、それで果して納得が行くかどうかということについては問題が多いと思いますので、これをどうするかということについては、なお十分に御検討頂きたいと思います。  続いてお尋ねいたしたいのは、小さい問題でございますけれども考え方によれば非常に大きい問題で、而もこのことは予算委員会におきましても大臣からの御答弁があつた問題なのですが、戦傷病者戦没者遺族の年金がその者の父母祖父母が再婚した場合は、従来は失格ということになつておりましたけれども、十六国会におきまして再婚した場合においても姓を変えなければ失格の条件とならんというふうになつたわけでございます。この姓を変える、変えないということは、新らしい憲法建前から申しましても、或いは新らしい民法建前から申しましても、このことが扱いを変えるという要素にはならんというものであつて、と言いますのは、姓を変えるか、変えないかということは夫婦の、婚姻する当事者の意思によつてきまるのであつて、変えようが、変えまいが、それは勝手なるわけでございます。殊にあの戦争当時に生活に困るようなものは内縁関係を持つようなことも幾らか奨励されたような傾向もあつたりいたしまして、内縁関係にあつた者は姓が変つてないから結婚生活に入つてつてもらえておるし、正式な結婚をして届けた者はもらえなくなるといつたような、いろいろな矛盾があるわけでございます。で、この委員会におきましても従来問題になつておりまして、このことはいろいろ疑義があるから十分一つ検討をしようということになつたわけでございます。事柄はそういう事柄でございますけれども、今のような問題は、新らしい民法なり或いは大きく言えば憲法の精神とも違背するのではないかというような点もございますので、何とかこの問題について早急に解決の途を講じて頂きたいと思うのですが、ただ恩給法等との繋りにおいてどうこうというようなお話もありますけれども、これは援護法恩給法とは必ずしも一致するものではないということは先ほどのお話にもありました通りでありまして、その辺御考慮頂いて、何とかこれに対する措置は御検討頂けるかどうか。これも大臣からもう一度一つお伺いいたしたいと思います。
  13. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 先のお話援護法は、お話通りに必ずしも恩給法とは同一ではございませんし、まあ最初の立法考え方は、恩給法が実施されるまでの暫定的な意味を強く持つてつたわけなんです。恩給法よりも相当広範囲になつておりまするのは御指摘の通りでございます。従いましてこれが取扱い等につきましても、私ども趣旨の点を尊重して参りたいと存じます。  次に、この氏の問題につきましては、両親が子供戦死さした場合に、昭和二十二年の十二月三十一日までは、その後に親が、父親なら父親考えますると結婚いたしました場合におきましては、恩給受給権をもらえた、何ら失格にはならん。ところが昭和二十三年一月一日の新憲法になりましてから先は失格というふうに相成つた従つて従来のもらつてつた人たちがその後いろんな事情で、家庭的な事情で、仮に子供戦死をした、その後母親が病死をした、父親だけやつてつたら、どうしてもやつて行けないから、仮にほかの婦人を娶つて家内とした。ところがそのために恩給失格をしてしまつた、こういう事実が相当できて参りましたので、これはたしか議員修正として修正されたと存じます。そういうふうな事実を何とか救済したいというのがあの修正案の御趣旨であつた。この御趣旨は私どもも誠に止むを得ないことである。そういう意味から申しますると現実に成るべく即応したやり方を援護法でやつて参りまする意味におきまして、この悲境にありまする人たちを何とかいたすという意味においてこの氏は改めない……、而もその氏を改めないというのは、世帯を共にしておる、生計を共にしておるという意床においてそれを規制され得ると存じまして、現在のような方法に相成つた次第でございます。従いまして今までこれらの人たちが、失権いたしておりました人たちが、現実にその状態が失権から蘇り得たのではないかとこう考えておる次第でありまして、恩給法とこの点は併せて改正に相成つておるのであります。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 建前としては、戦死者の妻が再婚した場合というのは、これは今基本的な考え通り言つても差支えないのでございます。併しながらその父母とか祖父母とかいうものはむしろもう相当高年齢に達しておりますから、若しその子供勤務等をしている場合には、当然まあ扶養家族になる性格のものが多いと思います。そういたしますと、婚姻によつて失格するということよりも、婚姻してその家族の中に入れば、むしろ扶養される性格のものであつて、そのことによつて何ら実質的な利益は受けないというものが現在の段階では多いと思うのです。殊に父母というよりも祖父母の場合は……。そういうこと等を考えますと、ただ単に婚姻によつて任意に姓を変えるか変えないかということが失格要素になるということにはやはり相当問題が残ると思いますので、これは更に私としては御検討願いたいと思うのでございますが、御検討願えるかかどうか。
  15. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) お話の点御尤もだと存じます。ただ私が申上げましたようなずつと筋が通つておる場合には、これは簡単明瞭でどなたも御議論のない点であります。その家という観念は今ございませんが、仮に同一世帯から出た場合のことを思いますと、今の御疑念のような点がたくさん生じて参ります。それと同じように妻の場合にも、妻がその兄弟等で同一世帯内における氏のところで結婚した場合には五万円の弔慰金は出せる。たまたま同じ氏のほかと結婚してもそれに該当するという矛盾が生じて来るというようなことが起つて来る。これは根本の筋を何とかその範囲に入れたいために、少し雑音が入つて来たというような恰好になつておりますから、御意見はよく検討いたしたいと思います。
  16. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それではこれから討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  18. 廣瀬久忠

    廣瀬久忠君 動議提出いたします。本案に対しまして左の修正動議提出いたします。理由は、審議関係施行期日が四月一日となつておるのが遅れますので、そのために法律の通用の上に不都合が生ずるのでそれを是正したい、こういうことが理由であります。この修正内容を申上げます。内容は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する 修正案戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。附則第一項中「昭和二十九年四月一日から施行する。」を「公布の日から施行し、昭和二十九年四月一日から適用する。」に改める。 附則第五項中「この法律施行と同時に」の下に、「、昭和二十九年四月一日前に死亡した軍人又は軍人であつた者に関し」を加える。  以上の通りでございます。
  19. 湯山勇

    湯山勇君 私は只今廣瀬委員の御提案に賛成いたします。
  20. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今廣瀬委員提出修正動議は成立いたしました。よつて廣瀬委員提出修正案を含めて修正意見がございましたら、討論中にお述べを願います。……別に御意見がないようでございますから、討論は終局したものと認めて差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決いたします。戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案につい先ず廣瀬委員提出修正案議題といたします。廣瀬委員修正案に御賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  22. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 全員一致と認めます。よつて廣瀬委員提出修正案は可決せられました。  次に、右の修正案の部分を除いた衆議院送付案議題といたします。衆議院送付の案に御賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手
  23. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 全会一致を以て可決せられました。  なお、委員長の議院に提出する報告書には多数意見者署名を付することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     高野 一夫  谷口弥三郎     中山 一彦  横山 フク     廣瀬 久忠  安部キミ子     湯山  勇  堂森 芳夫     有馬 英二  竹中 勝男
  24. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れはないと認めます。  なお、本会議における委員長口頭報告については委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  26. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 次に、清掃法案議題といたします。この際、通商産業委員長から三月二十三日申入れた点について説明をお聞きしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは通商産業委員長の御発言を願います。
  28. 中川以良

    委員外議員中川以良君) 只今本委員会におきまして御審議中の清掃法案に関しまして、通商産業委員会を代表いたしまして、発言のお許しを賜りましたことは、誠に有難く、厚く御礼を申上げる次第であります。  私ども清掃法案が今国会提出されまして、いわゆる公衆衛生に関しまして立派なる措置が講ぜられますることは満腔の賛意を表しまする次第でございます。ただ、我々が、只今日本産業再建の途上におきまして、産業関係からこれを眺めまするときに、若干御修正を願いたい点がございますのであります。この点に関しましては、先般来書面を以ちましてお願いを申出ておりますが、本日は幸いこういう機会をお与え賜りましたので、その点に関しまして少しく御説明をさして頂きたいと存じます。  衆議院修正によりますると、第七条が新らしく生まれて参りまして、特別清掃区域の地域内におきまして、業務上その他の事由から多量汚物を生ずるものに対して、市町村長汚物運般処理を命ずることができるようになつたのでございます。この命令に違反をいたしまする場合には、第二十三条の罰則適用されまして、三万円以下の罰金が科せられることに相成つております。又第八条では、清掃の事業を困難にし、又は清掃の施設を損うおそれのある汚物を出す経営者に対しても、市町村長は第七条と同様の命令を出すことができる。これにも第二十三条の罰則適用されることになつておるのであります。第七条及び第八条の趣旨につきましては、私どもも何ら反対はないので、当然のことだろうと存じます。尤もこの中におきまする多量汚物というのは、どういう程度であるか、或いは又市町村長が出しますところの命令というのは、どういう形式を履んで出されるのであるかというような点の疑問は、いろいろございまするが、こういう問題は本委員会におきまして、十分に御審議を願いまして明確にして頂けるものと私どもは信じております。  そこで私どもの虞れておりまする点は、市町村長清掃を尊重する建前から、行き過ぎの命令によりまして、企業者がややともいたしますると、負担に堪えられないような処理を強いられるようなことが万が一にもあつたといたしますると、これは産業に対しまして、不測の大きなる影響を及ぼすことに相成りまするので、こういうことはなかろうかと存じますが、万が一の場合を私どもは懸念をいたしておりまする次第であります。  そこで第二十三条の罰則がこれに適用されるといたしまするならば、せめて当事者異議申立てができるような救済規定を置くべきではなかろうかと存ずるのでございます。そして公正な立場に立つていま一度命令考え直して頂きたい。それでも命令が公正なものであるならば、その命令通り施行されることは何らこれは異存はないのでございまして、これは命令が強制されましても一向に差支えないと思うのでございます。  このような、ただ救済規定を設ける、いわゆる当事者異議申立てるところの機会をお与え願いたいと存ずるのであります。最近のいろいろな立法を眺めまする際に、かような命令処分に対しましては、常に異議申立て或いは不服申立公開による聴聞会等による救済又は弁明の途を開いておりまするのが通例でございます。清掃法案につきましても、これを入れることが公正なる取扱いではなかろうかと存ずるのでございます。本法案に関しましては、公開聴聞会などによりまして、いろいろぎようぎようしくやる必要はないと存じまするが、ただ異議申立てができ、意見の開陳の機会が与えられまするならば、それで私は結構であると存ずるのでございます。  なお、救済規定を設けないならば、政府原案通り罰則を削ることも考えられるのでございまするが、折角衆議院におきまして修正をされましたので、この際は是非救済規定が入れられるようにお取計らいを願いたいと存じます。  以上誠に簡単でございますが、通商産業委員会を代表いたしまして、本法案に対しまする修正を本委員会皆様方お願いを申上げる次第であります。どうぞよろしくお願いをいたします。
  29. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今中川通商産業委員長修正意見に対する御質疑がございましたらお願いいたしたいと存じます。……それでは中川通商産業委員長修正意見に対する質疑はこの程度にいたしまして、本案に対する質疑お願いいたします。
  30. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 只今通産委員長の申入れでございますが、実際においては事務局ではどのような折衝になつておりますか、さつきの問題ですね。
  31. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 多量汚物を排出いたします場合に、市町村長が適当な処分又は指定した場所に運搬することに対します問題につきましては、すべて省令によつて内容が規制されることになつております。例えますれば多量汚物の量の程度、或いは処分のやり方、或いは運搬の仕方等につきましてはすべて省令に譲ることに相成つております。従つて通産当局等の話合いではその省令を作成するときに十分に当局同士が相談をしてくれということで、おおむね話合いを得ております。  次に、特殊な汚物の問題でございまするが、これは専ら工場その他だけに適用する問題でございますが、この内容は例えば特別な薬品に汚れた汚物等を処理いたします場合に、普通の清掃事業ではなかなかその扱いが困難だと認められる場合の規定でございまして、これに関しましてはそのやり方、運用の仕方等が行き過ぎにならないよう通産当局と相談の結果、実施に当つては行き過ぎにならないような指導方針を確立し、連名通牒のごときものを地方に出してその徹底を図るというような方法で、おおむね了解を得ているわけでございます。
  32. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 環境衛生部長の説明で、あとのほうで特殊な汚物、これの処理については、各府県相当いろいろな具体的な事例があると思うのですが、なかなか工場側がずるいというか、非常に無責任な態度をとつていますしね。作物なんかにも非常に大きな影響を及ぼし、或いは勿論飲料水なんかにも大きな影響を及ぼす、或いはこの間の東京湾の浅草海苔の問題とかいろいろあるのですが、こういうことは実際うまく行つていないんじやないでしようか。どうなんですか。
  33. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 只今御指摘のように、工場から排出せられます各種の有毒物質等によりまする水質の汚濁或いは空気の汚濁その他各種の被害というものは、かなりの例数にも上つております。併しながらこれらの問題は極めて重大な問題でありまして、大きな問題でありまするが、現在のところはこれらに対しまして特に法を以て規制する何ものもないわけであります。そこで私どもといたしましては、今後これらの問題を本格的に考えなければならんと考えておりまして、本年度の予算におきましては財務当局と折衝の結果、これらに関しまする調査費だけは一応認められました。従つて今後これらの調査を実施いたしまして、その結論によつて根本的な対策を立てる方針でございます。併しながらこれらの問題を清掃という観点から見ました場合には、極めて狭い範囲ではありますが、問題が出て来るわけでございます。併しこの清掃法案に載せてありますようなことでこの工場廃液問題、或いは工場のいわゆる公害問題、公けの害の問題を解決するというような意思は毛頭ございません。ただ清掃作業という面から見て、特にかようなところに支障のあるものだけについて、部分的に若干の規制を加えたらという程度のものでございまして、只今御指摘のように各所で問題になつておりますようなことは、今後調査の結果に基きまして根本的な対策を樹立したい、かような心がまえでございます。
  34. 高野一夫

    高野一夫君 只今質問に関連した問題ですが、先ほど堂森委員質問に対して、今部長から多量汚物処理、それから特殊の汚物処理ということについて政令で考えている、なるべく支障のないようにしたいつもりだということの御答弁があつたわけですが、それは今あなたがたが考えていらつしやるだけなんですか。それともどこかそういうことが出ておりますか。
  35. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは多量汚物の場合には省令に全部譲つてございまして、表面には出てございません。従つてこの省令を作成する場合に、通産当局と十分に相談をして内容を作つて行くということで了解を得ているわけでございます。  次に、特殊の汚物につきましては、これは主として運営の問題を考えまして、これらの運営に当りましては、行き過ぎにならないように通産当局とよく相談をいたしまして、連名通牒等の形によりましてその法の実施、運営の方針を明らかにいたしたい所存でございます。これ又このことによりましておおむね通産当局の了解を求めております。
  36. 高野一夫

    高野一夫君 その両方の場合について政令で以て定めるということを入れて置かんでいいのですか。それは実際問題としてそうやつてもらえるだろうけれども、第七条、第八条について折角通産委員長から異議申立機会を与えてくれという申入れがあつたわけなんですが、あなたのおつしやるように政令で定めるという趣旨であれば、その必要もないかも知れませんが、そうするとその条文の中にそういうことは政令で定めるんだということを語つておかないでいいでしようか、どうなんですか。
  37. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 多量汚物の場合には修正案におきまして「省令の定めるところにより、」云々と書いてございまして、当然省令が作成されることになつているのでございます。それから次に特殊の汚物の場合でございますが、これらは個々の事例によつて著しく違うので、画一的な省令等によつて規制することは極めて困難である、業態の内容か複雑であるに伴いまして、内容が極めて千差万別でありますので、これらは個々の問題について或いは全体の指導方針として通産省とよく相談をいたしまして本法の実施運営を図つて行く、かような考え方でございます。
  38. 高野一夫

    高野一夫君 第七条のところはよくわかりました。ここに書いてあるのを私見落したので御説明よく納得できますが、この第八条の特殊の汚物処理について、個々の場合いろいろな雑多な問題があるというお話だけれども、これは工場地、事業地で出しておる特殊の汚物というものは大体わかりやしませんか。環境衛生上の立場から見て、いろいろな問題があるとか何があるとかいうことになるわけですが、大きな工場なんというところで調べて見れば、従来からのいろいろな経験、いろいろな実情から見てどういうものだということはわかりやしませんか。
  39. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) それは御指摘の通りかと存じますが、これらは只今申上げましたように、この内容清掃作業を困難にするとか、そういつた一つの規制が例示的に法律に明らかになつております。その範囲内において運営の面で行き過ぎにならんような運営をやつて行く以外に方法はなかろう、かような考え方でございましてなかなか一つの省令というような基準を設けることは困難な面もあるのではなかろうか、かように考えた次第でございます。
  40. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 環境衛生部長にお尋ねしますが、この第三条ですね。この汚物の定義につきまして、「この法律で「汚物」とは、ごみ、燃えがら、汚でい、ふん尿及び犬、ねこ、ねずみ等の死体をいう。」で、この特殊の汚物というのは、この清掃法の定義の汚物には入らんのじやないか、どうですか。
  41. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この定義の中に、先ほど申しましたように入つている範囲について、この害を除去するという意味で、先ほど根本的な問題はこれは別な一つの根本問題として対策を立てる必要がある、ここでは例えば汚泥というようなものに、例えば炭鉱等の汚泥或いは工場の汚泥等にはいろいろ硫酸その他の有害物質の入つたものもございます。或いは普通ごみと呼ばれるものでありましても、場合によりますと有毒性な物質を含んだようなごみがたくさんにございましこれを運ぶことになりまして一般の清掃作業を困難にする。例えますれば清掃に要するトラックがいたむとか、或いは清掃作業員の衣服がいたむとか、或いは清掃作業員がマスク等をやらなければ実施ができないというような意味の狭い範囲考えておるのでございまして、従つてこれを以て全部工場のいわゆる公けの害、公害を防除しようというような意思はございません。
  42. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 そうしますと、例えば具体的な例を挙げますと、某工場から硫酸を含んだ水が流れる、これは汚泥ではないかも知れませんが、そういうものが流れて飲料水を盛んに汚染する、それをこれで取締れないとすると、民衆はこの硫酸を含んだ汚いものを飲まなければならない。これはどうしますか、環境衛生部長それでは顔色なしですよ。
  43. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは全く御指摘の通りでありまして、現在各地に工場廃液によりますところの水質汚濁の問題は極めて大きな問題であることはよくわかつております。併しながらこれは重大な問題でありまして、一清掃法のごときものによつて解決を図るべきものでない。もつと根本的な対策で、例えば水質汚濁防止法のごときものこそ必要でありまして、かようなものでは根本問題は解決できない。そこでそんならそれは放つておくのか、こうなりますが、それは現在はすでに放つておく段階ではないということもよくわかつております。そこで甚だ遅ればせではありまするが、二十九年度予算におきましてこれら水質汚濁等に関します調査費だけを一応成立いたさせて頂きまして、それによつて直ちに一つ一年間十分な基本調査をいたしまして、その結果に基きまして根本的な対策、例えますれば水質汚濁防止とか、或いは公害防止法といつたような性格のものの樹立が必要であろう、こうまあ考えておるわけでございます。従つてこの点は現在各所に御迷惑をかけておるにもかかわらず若干対策の遅れた点は先生のお叱りの通りだと考えます。
  44. 有馬英二

    有馬英二君 関連して……。今のその工場から流れて来る何ですね、有毒或いは有毒でないかも知れないが、いろいろの毒物を含んでおるところの液が流れて来る、これは工場法かなんかで取締つておりますか。
  45. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現在のところは取締の根拠というものはございません。ただ、この水源、漁業の資源の確保なんとかいう法律、漁業関係法律一つの漁業の観点から極く部分的に取締れる基礎がございます。それからもう一つ河川法の中に、河川を濫りに汚してはならんというような総括的な書き方をしたものがございます。これ以外には現在ございません。ただ、鉱山につきましてはこれは鉱山法によりましてそれを規制し得られる途が講じてございます。併し一般工場は殆んど野放しの状況と言つて差支えございません。
  46. 有馬英二

    有馬英二君 私はまあかねがねそう思つてつたのですが、御承知のように北海道のような、製紙業が非常に盛んで製紙工場に行つて見るというと、非常な製紙工場から出るところのいわゆる何ですね、硫酸は勿論入つておるのでしようが、そのほかのいろいろなものを含んだ非常に汚ない水がたくさん流れておるのですね、それを例えばまあ苫小牧みたいなところは海に近いものですから、海に放流しておるのです。この海へまいたものは、これは勿論廃液の中からいろいろなものを取出すことができるのですが、今何も着手しておらんのですね。私ちよつとその廃液を何らか有利に利用できないかというような考えで調べてみたことがあるのですが、化学的にですねあるらしいのですが、これは今何もやつておらない。これは相当に有害なもので、今お話のように例えばその魚族に対して或いは海草に対して相当に有害じやないかと思つているんだが、何も処理されておらないのですね、現在の法律面では……。それで今お尋ねしたわけですが、工場法か何かで取締つてくれんかと……。若し取締つておらなければ早急に何らが手を打たなければならないと私は思う。
  47. 竹中勝男

    竹中勝男君 やはりこれに関連することなんですが、大工場で大量に水を汚染するとか、或いは薬品を流すという場合は、これは清掃法では取締れないと思いまするけれども、この第七条ですね、これによつてどういうふうな程度までこれが取締れるのですか。例えば京都なんかは小さな町工場が、各家から、例えば京都に堀川という川があるのですが、全部その堀川に流れるのです。その堀川の水の色といつたら、紫色、茶色で臭気がありましそれが又賀茂川に流れ込む場所があるのです。そうすると賀茂川では子供が泳いでおるのです。その泥ともつかない水ともつかないものが川に行くのですね。そしてその小さい染色の工場だとかそういうものが軒並みに川に流すんです。こういうものは差当りこの清掃法では取締れませんか。第七条あたりで……。
  48. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは只今もお答えいたしましたように、清掃法という考え方ではちよつと無理かと存じます。従つて根本的な問題は本法においては取締はできないものと考えております。
  49. 竹中勝男

    竹中勝男君 そのごみと一緒にですね、ごみと一緒にそれを流すんですよ。各家、各工場、そういう場合ですね、どうなるんですか。
  50. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これはこのごみ或いは汚泥というものがですね、特別な状態にあつたというようなときはですね、これによつて始末がつくと思います。併しながら悪臭或いは水質の汚濁或いは空気の汚染というようなことになりますと、これでは取締ができない。たまたまごみの形或いは汚泥の形等をしてそれが而も量が多くて周囲のものに迷惑をかけたというときだけに限られるわけでありまして、極めて範囲が狭いわけでございます。ただ一つこの問題は極めて重大な問題であることはよくわかつておりますが、なかなかむずかしい問題でございますので、ただ一つこれでどの程度できるかということを、政治的な意味も加味して考えてみる点については、大きな効果があろうと存じます。
  51. 竹中勝男

    竹中勝男君 これはやはり具体的な例を挙げて説明しておいたほうがいいと思います。それが積り積りますと伏見へ行きます。去年ですか伏見で地域の争議が起つたのです。或る工場です、余りに汚水を、そして汚物を流すということで周囲のものがその労働組合のものと一緒になりまして会社に抗議を申入れた。ところがその会社は確かに流しておる、溝川に流している。けれども自分の会社だけじやないという、これは京都の上のほうから全部ここのところに流れて来るというのですね、それでまあ解決しないのです。ところが伏見の住民は全京都の町工場から流れて来るものがその一角に集つて行く。たまたまその一角にやはり小さい工場があつて、そこも多量に流している。これはまあ具体的にこういうものをこれで一つ当てはめて今度は研究しなければならないと思うのですが、そういう点についてやはりこれが当てはめられんものなんでしようか。そういう特殊な例に、即ちごみと、もうそのついでに糞尿もどうせ汚いんだからというのでそこに流して来るのです。汲取の船が又そこに集つて来る。汲取の船は全都そこで洗いおるのです。船を……。
  52. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) ごみの状態、或いは汚泥の状態でありますれば、これは当然取締の対象になるわけでございます。
  53. 湯山勇

    湯山勇君 大蔵省お見えになつていらつしやいますから、お尋ねいたします。自治庁も……。
  54. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは自治庁の財政部長と、大蔵省の主計官が見えておりますので、どうぞ……。
  55. 湯山勇

    湯山勇君 今回衆議院のほうから修正送付されました案によりますと、「ごみ又はふん尿を処理するために必要な施設の設置に要する費用」を国は補助するということになつておりますし、又これに対して「し尿消化そう、ごみ焼却場その他の清掃施設の設置に必要な資金の融通又はそのあつ施につとめなければならない。」ということが謳われているわけでございます。で、今回この法律が通つた場合に、二十九年度においてごみ又は糞尿を処理するために必要なる施設の設置に要する費用の補助が出せるかどうかでございますね。これは一応大蔵省のほうからお尋ねいたしたいと思います。
  56. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) お答えいたします。この二十九年度予算におきましては、これは二十八年度も同様でございましたが、下水道施設の整備の一環といたしまして、清掃施設整備の補助四千五百万円、二十八年五千万円でございますが、計上してございます。従いまして私ども考えでは当然そういうように金のかかる制度でございますから、而も又地方に対しましても或る程度清掃施設として是非とも整備する必要があるようなもの、こういうものについては奨励的な意味におきまして補助の交付ができるとかように考えております。
  57. 湯山勇

    湯山勇君 それでは只今お話になりました四千五百万でございましたか、それの以内で措置できるという意味でございますか。その現在の予算範囲内という意味でしようか。それ以外にこの分に関しては助成できるというふうな意味でございましようか。
  58. 大村筆雄

    説明員(大村筆雄君) 只今計上しております清掃施設補助ですね、四千五百万円、その範囲内でできると考えております。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 この四千五百万円というものは、この法律のできない前の現在の考え方に立つて考えられたものであつて、この清掃法というものは随分以前から先輩の委員各位が努力されまして、漸くここにまあ陽の目を見ることになつたのでございますが、清掃に関しては画期的な法律であつて、非常に重要なものであると思うわけでございます。で、而もこれは放置すれば、すでに大村さん御承知のように、もうすでに各都市ともにこの汚物処理には困つておりまして、今にして何らかの対策を講じなければ、全く手を上げてしまうというような状態なので、相当これは英断を以てこういうふうな修正がなされたと思うわけでございます。若しこれをこのまま放置したとすれば、既定経費の四千五百万の処理だけで済ますようなことがあるとするならば、これは全く、折角できたこの清掃法というものは空文化する虞れがある。そこでこれは相当市町村の犠牲において施設を作つているのがあると思いますけれども、併し折角できた以上は、何らかのこれに対する裏付をしないと、一向法律ができても何にもならんじやないかという虞れがあるのではないか、併し率直に申しまして本年度のああいう予算状態では、この施設に要する補助としては多額を期待することは或いは困難かも知れないと思います。これについてはできるだけの御善処を願いたいが、特にそれ以外の融資斡旋の面、つまり起債の面については相当御努力を頂けるのではないか、或いは又そういう余地が多分に、いろいろお聞きいたしましても、残つているのじやないかというように考えられるのでございますが、特に融資斡旋、起債の面につきましての大蔵省並びに自治庁の御見解を伺いたいと思います。
  60. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 清掃事業が必要でありますることは私どもよく承知いたしておりますが、本年度の地方財政計画の中ではこの条文を予定しないものとして額を組んでおります。今出しておるのは、起債のうちで一般単独事業費の起債百十億ございますが、その中で賄うことにいたしております。従つて従来通り程度のものしか現在起債を認めることができないのではないか、かように考えておるのであります。起債の枠を増額いたしますれば、勿論御趣意に副うことはできると思いますが、現在のところではむずかしいのではないかとかように考えております。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 その起債の枠を殖やすとか減すとかいうことは、これはやはり自治庁だけではできないのでございましよう。その点につきましては大蔵省のほうではどのような措置かがお考えになれるのでございましようか。
  62. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 起債の枠を殖やしますのは、私のほうで要求するわけでございますが、その場合にはこのくらいの財政需要が殖える、而もその財政需要が義務的な経費である、こういう観点に立つてこれだけ殖えるというので財政計画のほうの財政需要を殖やしまして、それに見合うところのものとして起債を殖やす、こういうことになつております。併し現在の財政計画ではこういうことを予定しておりませんので、現在のところでは入つておりません。又この国庫補助がここにございますが、これは恐らく奨励的な補助だろうと思います。それでこの補助金がどのくらいできるかということも恐らく関連が出て参りますし、それは特定財源として先ず歳入のほうに載つて来るのでございますが、そういうところも睨み合せて財政需要の測定が困難で現在ございまするので、的確な数字を以て大蔵省のほうに折衝するとかは、現在の段階では不可能ではないかと考えております。
  63. 湯山勇

    湯山勇君 それでは的確な数字が出れば具体的に大蔵省のほうへ御交渉になるという御意思はおありになるわけでございますか、法律ができれば……。
  64. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 法律でかような規定がございまするので、的確な数字がございますれば、私どもやはり交渉をいたしまして殖やして頂きたいというふうにいたしたいと思います。
  65. 湯山勇

    湯山勇君 これは現在措置されておるのは二億幾らでございましたですね。それは実際のこの各市町村の要求しておるのの一〇%にも足りないわけです。各市町村ともに町村末端は若干少いかと思いますけれども、各市ともにこれに非常に弱りまし市の車独でやつておるところもありますけれども、いずれもこの地方財政が逼迫しておりまして思うにまかせない。そこで要求の総計は恐らく百億を遥かに超えておると思います。にもかかわらず僅かに二億数千万の起債しか認められていないというので、このことは非常に大きな要望であつたために、衆議院におきましてもこのような法律修正がなされたわけでございまして、これは資料は恐らく厚生省のほうへお話下されば、すぐできるのではないかと思うわけでございます。でそこで今これを放つて置けば数つ年後には、もうどうにもならないという状態になる虞れがありますので、是非これについては御尽力頂きたいと思うのでございますが如何でございましようか。
  66. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 地方財政需要に対して起債で以て全部賄うという計画には現在なつていないのであります。一般財源のほうからも出すと、こういうことにもいたしております。従つて起債を特別な財政需要がありましても、そのまま殖やすということにはならないのであります。もう一つの点は、市町村でそれぞれいろいろな普通土木とか、他の保健衛生関係のいろいろな起債を申し出て参りまするが、その場合にどれをとつて行くかという問題がございます。起債の全体の枠がございますので、従つて優先順位と申しましようか、その優先度の高いところのものから順次起債をつけて参りまするので、従つてその町村の優先順位の低いものは落ちて行くわけでございます。そういう恰好で需要はありながら起債は落ちるという結果になつて来る。単独事業で一番大きいのは普通土木であります。従つて現在の枠でこれをつけようとすればやはりどこかの枠を切らなければならないということに相なります。それから市町村のそれぞれの部局はやはりそれぞれの部局としての要求を一〇〇%果してもらいたいということを言うのでありますが、私どもは市町村がそのうちでどういう順位で以て起債をつけてもらいたいかということを中心考えておりますので、現在は非常な少い数字になつているのであります。
  67. 湯山勇

    湯山勇君 現在の枠の操作、枠の中で操作するという問題はそれは御尤もだと思います。而もまあ現在こういう法律ができていないという実情に立つてお話でございますから、それはそれでいいと思うのですが、少くとも国会の意思で、法律で、こういうものがきめられたということは、その必要性がそれだけ大きいということを意味しているのであつて法律できまれば当然そのことに対しての措置はなされなければならないと思うのですが、これは憲法にもありまする通りに、法律は必ず守るべく政府がやらなくちやならないということになつているのでございますから、法律でできたものをまあ等閑視するというようなこともできないのじやないかというように思いますが、これはどうでしよう。
  68. 後藤博

    政府委員(後藤博君) こうここに書いてあります十八条は別でありますが、十九条のようなことは現在でも資金の融通はいたしておるわけであります。額は多少まあ少い、こういつたことはございます。従つてこの法文ができましたら、やはり私どもとしてはできるだけその市町村の必要度を考えましてつけて行きたいと考えておりますので、これで以て枠を殖やさなければ法律違反になるとかなんとかいうことは私はないのではないかというように考えている次第でございます。
  69. 湯山勇

    湯山勇君 これは非常に問題がいろいろあると思うのです。こういうことを申上げるのは、前に食品衛生法二十六条の経費がやはり同じようにして落されておりました。これは御承知通りだと思うのです。でこのことについては地方財政法十条のあの費目にも入れていない。そうかといつて特別な費目の計上もされていない、こういうことがしばしば行われるようになれば、これはもう法律は作つても作らなくても同じことなんです。少くとも憲法第七十三条には内閣は「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」こういうふうになつているのであつて、事の如何を問わずに誠実にこれを執行するということになれば、法律ができようができまいが、それはどうでもいいというのではなくて、できればできただけその法律に応える措置は、これは常識的にも当然考えなくちやならない問題じやないかと私は思うのですが、そういう意味合から法律ができた場合には、とにかくただ現在措置されているままで放置するというのじやなくて、何らかの対策を講じて頂けるかどうか、こういうことを重ねてお尋ね申上げたいと思います。
  70. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 法律ができました以上は、勿論これを尊重しなければならないことは当然でありますし、私どももこういう立法措置を時々拝見するのでありますが、資金の面とか地方団体の財政需要というか、歳入の面とか、そういうことをお考えにならないで以て、一応法律をきめられて、あとから補助金とか、起債をつけられるような傾向があるのであります。これはすでにこういう立法があつてつております。そうなりますと結果的にどうなるかといいますと、単独事業の中で枠が特別にできまして、そうして他の単独事業が減るという結果になるのであります。単独事業というものは何につけなければならないということはないのであります。これは補助事業と違いまして、単独事業は百十億でございますが、これはその年々の府県や市町村の財政需要と睨んで、単独事業としてやるものに対してつけて行く、こういうことになります。従つて極端にいえば圧縮してもいいじやないか、こういう議論もできます。補助事業でありますとそうではないのでありますが、そういう単独事業の幅を一つ法律でお拡げになつても、結局地方財政の面からいうとそう幅が拡がらないのであります。特に最近のような金融情勢でありまして、而も国の財政投融資の関係が非常に苦しくなつておりまするときに、而も政府資金で以て起債を増額するということは非常に困難ではないかと私は考えております。従つて資金的な操作を前提としてお考え頂くのは非常に有難いことだと思いますが、単独事業の恰好で以て殖やして行かれますと、結局どこかの単独事業、今一番必要であります市町村の土木事業、他の衛生事業というものが圧縮される。そういう結果に相成るのは事実なのであります。そういうことを先ほど申上げたのであります。
  71. 湯山勇

    湯山勇君 私が申上げているのは、現在の枠内操作ということを前提にして言いば、今おつしやる通りになると思うわけです。というのではなくて、自治庁のほうでこういう法律ができてこうだから、更にこういう資料を添えて大蔵省のほうへ要求すれば、その枠の増大の途も残されておるということを先ほどおつしやつたので、そういう措置をおとり頂けるかどうか、こういうことをお尋ね申上げておるわけです。
  72. 後藤博

    政府委員(後藤博君) こういう立法ができますと、私どもとしては次の財政計画の改訂の際には、必ず各省のこういうものを集めまして、財政需要を伸ばしてそれに見合う起債乃至歳入を見込んだ計画を出して、平衡交付金の増額とか、起債の増額を常にやつておるわけであります。ところがそれをやつておりますが、今申しました性質によりまして切られる場合があるし、話がつかない場合がある。事実は先ほど申しましたような結果になる。ですから単独事業の恰好で殖やさないで、補助事業の恰好かなんかで殖やして頂ければいいのではないか、こういうような気持でおるわけであります。
  73. 湯山勇

    湯山勇君 この補助事業で殖やした場合には、それに伴う起債というものはつくわけでございますか、別個に……。
  74. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほどもありましたが、下水関係は公事業の枠の中で、公共事業全体として、例えば市町村でありますと大体自己負担分の四〇%乃至五〇%くらいの起債をつけております。府県でありますともつと高くなりまして六〇%乃至七〇%くらいのものをつけております。
  75. 湯山勇

    湯山勇君 それでは先ほど大蔵省のほうへお尋ねしたときに、若干は操作して頂くような御努力を願いたいということを申上げたわけですが、これで若干操作できて、補助対象が現在の四千五百万以上になれば、それに対しては当然起債の裏付けはする、こういうふうに解釈はできるでございましようか。
  76. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほど大村主計官のお話では、現在の予算の枠の中での操作のように私は拝聴したのでありますが、予算の補助金が殖えて参りますれば、当然に私どものほうはそれに見合うところの起債、交付金か起債ということになるのですが、起債のほうが殖えて参るということになると思います。
  77. 湯山勇

    湯山勇君 その場合は当然現在の起債の枠というものは拡大するのでございますか、それだけのものは……。
  78. 後藤博

    政府委員(後藤博君) そのほかの条件が同じであれば、拡大されるものだと思います。
  79. 湯山勇

    湯山勇君 私はその辺からちよつとわからないのです、素人ですから……。で、何かこうはつきりしない点があつて、私自身にわからない点があつてお尋ねしようがなくて困るのですが、ともかくも結論的なことを申上げますと、必ずしもこういう法律が通つたからといつて、現在きめられた枠内だけで他の単独事業を圧迫する以外にやり方がないというのではなく、大蔵省のほうと折衝して枠を拡大する途も残されているということが一応確認されたと思います。非常に困難ではあるけれども、そういう途も残つている、それも実現するかしないかは別だ。けれども、とにかくそういう交渉の余地があるし、実現する場合もある、言い換えれば……。こういうことがあつたのと、いま一つは、当然補助金が現在の額よりも何らかの操作で幾らかでも殖えれば、それに伴う起債の裏付けということも考えられないことはない、こういうこともお話があつたと思うのです。そうすると、その二つのことを前提とすれば、将来起債の増額ということもこれも見込みがないということではない。まああるとはつきりと言えないにしても、全然望みがないということでもないと私は今までの御答弁を総合して判断するわけですが、そうかと言つて、必ずあるということも断定できない。こういうふうに受け取りますが、よろしうございましようか、それで。
  80. 後藤博

    政府委員(後藤博君) その通りであります。
  81. 湯山勇

    湯山勇君 一応これで終ります。
  82. 稻田耕作

    説明員(稻田耕作君) 私大蔵省の資金課長でございますが、只今後藤財政部長からお話がありましたように、我々も大体同じように考えております。こういう新らしい法律ができましたのを契機といたしまして、我々も十分自治庁の関係の方と連絡をよくとりまして、国民生活の根本の問題に関係する極めて身近かなこういう問題につきまして十分考慮を払つて行きたいと考えております。ただ財政投融資計画なりというものができ上つたばかりでございまして、その後余り大きな預託金の増加というものが、増加というよりも減少しやしないかという心配をしているときでございますので、少し遠い目で一つ御覧頂きたいと思います。できるだけのことを努力をいたしたいと思います。
  83. 後藤博

    政府委員(後藤博君) ちよつと一つだけ補足さして頂きます。それは、補助金の対象は二つあるわけでございます。一つは投資的な事業、一つは消費的な事業であります。消費的な事業は、一つは交付金の問題であります。現在市町村の交付金の単位費用がたしか来年度は百二十二円になつています。これは人口十万の都市における人口一人当りの単位費用であります。人口が殖えて参りますし、又都市の態様が複雑になつて参りますると、この態様によりまして補正をいたしますので、ちよつと高くなつて参りますけれども、人口十万の標準団体においては百二十二円、そのうちでたしか四十円ぐらい清掃関係の費用が出ておる。
  84. 湯山勇

    湯山勇君 三十七円ですよ。
  85. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 三十七円ですか、入つており、従つてそちらのほうに影響して来ます。特定財源を引いたものを以て準位費用を作つておりますので、従つて、一般の平衡交付金の対象は、補助金が入つて参りますとそれだけ低くなつて参ります。
  86. 藤原道子

    委員外議員藤原道子君) 委員質問ですが、こういう法律が出てから、先ほど来伺つておると、あとで困るというお話でしたが、結局清掃事業というものは看過することのできないほど追い詰められておる。これは環境衛生部長にも伺うのでございますが、大蔵省なり自治庁で、仕事の重要度というものですね。これは認識して頂かなければならないと思う。今どういう状態に放置されておるかという現場を見て頂いたことがあるでしようか。実は私どもも、困る困るとは聞いていたのでございますが、この前現場を視察いたしまして、もう本当に大変だという気持に駆り立てられておるのです。ですから、資金の面においてもやはり放置することができない段階に来ておる以上はそれは一つ見て欲しい。机の上だけでは解決のつかない問題です。ですから融資なりの問題を決定する前に私は一つ見て欲しい。又環境衛生部長にも申上げたのでございますが、こういう場合には、金がなければ法律を作つたつてできないのですから、従つて無理でも一度現場を見て欲しいということを私は、委員外ですから余り申しませんが、それを強く希望したいのであります。見て頂く御意思があるかどうか、一つ伺わして欲しい。あなた方見たらたまげる。黄金の滝だとか言われている。
  87. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 私も、小さい役所でございますので、なかなか実地調査というのはできないのでありますが、機会がありましたら見たいと思います。大都市の問題といたしましては、東京都とか何とかは私どもも実際に東京都の方と歩きまして、その処理の状況を見ております、併し中都市といたしますと、非常に数が多くなつて参りますので、見れないのがある。それから自治団体でありますので、やはりその市長の施政方針と申しますか、そういうのを中心に物事を考えて行くべきだろう。我々が行政の内容に干渉すべきでないという建前をとつております。従つてこれは見せろと言えば、別に拒否はいたしませんでしようけれども、何をやれというようなことは私どもは強くは言えない立場にあるわけであります。
  88. 藤原道子

    委員外議員藤原道子君) 私はやれ、喙を容れろというのではない。一度見て認識を改めて欲しい、こうなんですが、小さいお役所でいろいろな関係がございましようが、厚生省のほうからも自動車ぐらいは準備して頂いて、見て頂ける機会は作れると思います。口出しをせよという意味ではない、ただ認識を改めて欲しいということを私申上げたのです。どうです環境衛生部長、そのくらいのことをしなければ熱意がないですよ。
  89. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 自治庁当局と大蔵省に対するこれは希望ですがね、湯山委員がすでに縷々質疑応答を重ねられましたので、重複を避けますけれども、今度の清掃法案を見ておりますと、どうも現在の起債の枠が二億ぐらいではこれは恐らく死文化すると思う。従つて、文化国家であるべき日本が糞詰めになつてつたのではとてもかなわないのですから、一つ大奮発をしてもらいまして、うんと御考慮を願いたい。これも放つて置いて、このままのような財政措置では全くこれは死文化すると思う。そういう意味で、一つ枠だとか、そういう杓子定規ではなしに、こういうふうに考慮してもらいたい。これは我々厚生委員みんな、或いは日本中そう思つておると思いますから、一つ、とくと御考慮を願いたいと思います。これは質疑じやございません。
  90. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは大蔵省と自治庁関係はよろしうございましようか。……ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  91. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。
  92. 湯山勇

    湯山勇君 大体質疑は尽されておるのですが、細かい点で一つお尋ねいたしたいと思います。その第一点は、伝染病予防法による大掃除、これの費用は本年度予算では伝染病予防費として別途に組まれておるのかどうか。この点昨日でしたか聞き洩らしたのでお伺いいたしたいと思います。
  93. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この伝染病予防法におきましても、法律の定めるところによつて大掃除を施行することに相成つております。この場合には、これに要する経費を国が補助する建前になつております。併し、この趣旨は、大体発生時防疫の大掃除でありまし例えばペストが出た、或いは伝染病が出たというようなときに、伝染病予防の目的で随時発生時に予防手段として大掃除を実施するという趣旨でございます。従つて、春秋二季の大掃除というようなものは、この伝染病予防では、できない建前になつております。なお予算の問題でありますが、曾つてはかような観点から発生時防疫の大掃除に対して補助金を支出したものがございますが、最近はこの大掃除には予算を支出しないのが例となつております。
  94. 湯山勇

    湯山勇君 今の点もう一度確認いたしたいのですが、発生時防疫の随時の場合には予算を出す、それ以外の定期的ないわゆる大掃除というものには出さない建前でいる、こういうことでございますか。
  95. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) その通りでございます。
  96. 湯山勇

    湯山勇君 もう一点、前回衆議院修正者に聞いた場合には、動物死体の処理施設、これについては若干あいまいな御答弁であつたのですが、このことに関して、これは極く少数の該当しかないと思うのですが、動物死体処理施設についても、若しこの法律が通ればやはり汚物処理の施設と同じような計らいができるかどうか、これは如何でございましようか。
  97. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 衆議院改正案におきましては、施設はごみと屎尿だけに限られております。従つて、動物の死体の処理施設は不可能ということに相成つております。併しながら実際問題といたしまして、動物の死体を片付けることは極めて必要でありますが、その量から考えまして、特別な施設を作らなければどうにもならんというものでもなかろうかと、かように考えておる次第であります。
  98. 湯山勇

    湯山勇君 これはまあ狂犬病予防法等との関連もありますし、それから非常に野犬が多くなつておる。野犬というのは、実は何と申しますか、本当の野犬ではなくて、登録されていない、まあ家犬、飼犬のような形でいる。子供が生れると大抵流すのですね、生れるとすぐのを……。そういうのは相当多量になつておると思います。それから死んだ犬等も大抵流していますが、田舎のほうでは大して問題ないにしても、都会ではかなり多量になるのではないかという心配もありますので、重ねてお伺いするわけですが、若し都なら都、或いは大阪府なら大阪府、京都市なら京都市が是非この実情では必要だということになれば、特別に考慮が払われるか、如何でしようか。
  99. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現在動物死体のうち腐敗し尽したようなものは別といたしまして、動物の死体、或いは野犬狩り等に引つかかりました犬の死体等につきましては、大体払下げの措置を講じまして、汚ない話でありますけれども、脂肪を取るというようなことが行われておる。或いは肥料に利用されるというような方法がとられまして、大体極めて安い経費で払下げられておるのが例であります。従いまして、今後これらのものが殖えましても、処置に直ちに困るというようなこともあるまいと考えております。
  100. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 もう小さいことですが、部長に伺いますが、衆議院修正案の十七条ですね、環境衛生指導員、この中に、「環境衛生指導員は、都道府県又は保健所を設置する市の吏員であつて、」云々と、こう書いてありますね。そうしますと、保健所を持つておる市が任命する環境衛生指導員ができるわけですが、こういう場合に、この監督が二重になつて、こう非常に円滑を欠くというようなことはございませんか、市の場合……。
  101. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この清掃作業そのものは、御指摘のように市町村の現場作業に相成つております。従つて保健所を設置する市におきましても、当然現場作業としてその市が清掃事業を実施するわけでありますが、この場合に保健所を設置するような市は大きな市であり、力がありますので、技術力もありますので、特に県の職員を使わずに、みずからの職員を以てそれらの技術指導或いは清掃作業の円滑を図ることができるだろう、こういう趣旨でこれらのものは、市が環境衛生指導員を置く建前としまして、ところが逆に小さな市町村につきましては、技術力の点から申しましても、必ずしも、自分だけでは処理できない問題がありますので、この場合には、県に置かれました環境衛生指導員の指導を受ける、こういう考え方でございます。従いまして仕事の内容が違いますので、保健所を設置する市におきましても、事務が重複するということはないと考えております。
  102. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと関連質問になりますが、従来の汚物掃除法施行規則によりますと、掃除監視吏員というものを置いておりますが、これと今度の環境衛生指導員とはどういう関連になりますか。
  103. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現行法におきまするのは、これはこの現場作業の掃除監督と申しまして、多数の人夫を駆使して清掃作業を実施いたしますので、主として現場の清掃事業の監督を意味しております。従つて全体の清掃事業そのもの、或いは都市の清掃というような観点に関しては、責任がないわけでございます。従つて今日の環境衛生指導員というものは、かような現場作業の監督ではなくして、都市の清掃という環境衛生の向上というものを図るために、最近の清掃事業というものが、技術的に高度化しつつありますので、これらの技術的な指導を実施しようというのが趣旨でございます。現在の掃除監督と申しておりますのは、人夫頭と言つては言葉が悪うございますが、現場作業を監督するものというふうに考えておる次第であります。
  104. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは本法施行されましても、掃除監視吏員というものはそのままで継続されて行くわけですか。
  105. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この現場作業につきましては特別な規定はしてございませんが、大体現在の人員、現在の作業形態で合理的に実施されることになろうと存じております。
  106. 上條愛一

    委員長上條愛一君) つまり従業員の側から言えば、本法で環境衛生指導員が置かれるということになると、現在の掃除監視吏員というようなものが廃止されるのではないかというような一抹の不安を持つているようでありますから、その点については今お答えになつたように別個の処遇であつて、現在の掃除監視吏員というものは大体そのままで継続されて行くと、こう認めてよろしうございますか。
  107. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) その通りでございます。
  108. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑がなければ、本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会