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1954-11-25 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十五日(木曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員異動 十一月二十四日委員西岡ハル辞任に つき、その補欠として北村一男君を議 長において指名した。 本日委員前田穰辞任につき、その補 欠として河野謙三君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            常岡 一郎君    委員            中山 壽彦君            榊原  亨君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            北村 一男君            高良 とみ君            山下 義信君            有馬 英二君            藤原 道子君            河野 謙三君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    警察庁長官   斎藤  昇君    法務政務次官  長谷山行毅君    法務省刑事局刑    事課長     長戸 寛美君    公安調査庁長官 藤井一郎君    公安調査庁刑事    部長      中川 董治君    厚生省薬務局長 高田 正巳君   参考人    警 視 総 監 江口見登留君   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件  (覚せい剤取締に関する件) ○小委員設置に関する件   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今から厚生委員会を開会いたします。  初めに委員異動報告いたします。十一月二十四日付を以て西岡ハル君が辞任され、後任として北村一男君が選任せられましたから御報告いたします。   —————————————
  3. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 次に、覚せい剤取締に関する件を議題といたします。本日は厚生大臣法務政務次官警察庁長官公安調査庁長官及び警視総監出席願つて、最近の覚せい剤取締対策及び実情について、おのおのの角度から御説明をお願いしたいと存じます。  この際お諮りいたしますが、只今出席願つておりまする江口警視総監に、本日の委員会において参考人としての意見を述べて頂くことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  次に、各委員の方々にお諮りいたしますが、江口参考人意見発表及び関係当局説明が全部終了いたしましてから、御質疑を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと存じます。それでは、先ず江口警視総監から、管内覚せい剤取締状況について、御意見発表をお願いいたします。
  6. 江口見登留

    参考人(江口見登留君) 只今資料を持つて参つたのでございますが、お手許にお配り済みでございましようか……。それによりまして御説明申上げたいと思いますが。  警視庁管内におきましての覚せい剤取締強化は、十月以来行なつておるのでございます。その取締の実績に応じまして、更に十一月十日には特別の取締本部を庁内に設けまして、更に一層この取締を推進いたしますると共に、従来のように花火線香的と申しますか、期間限つて取締をやるということではなくて、相当徹底的な効果が認められるまでは、警察庁の御方針もありまして、徹底的にこの問題をやる所存でございます。  数字を、今まで取締つて参りました結果に基いての数字を、一応簡単に御説明申上げますると、最初の紙に「覚せい剤違反調」とございまして、これが一月から十月までの分についての数字をそこに挙げてございますが、検挙人員のうち、いわゆるヒロポンの密造に従事しておりました者、それは国籍別で見ますると、上の欄の左の端にありますように、日本人では男女合せて百四人、朝鮮人がその倍以上の二百二十七人となつております。それから所持使用等につきましては、今度は逆に、日本人がやはり使用する者が多いという関係で、七千八百十二人、それから朝鮮人が千人、中国人が十八人、その他が一人。その次に合計が出ておりますが、そういう数字なつております。  更に検挙いたしましたもののうち、件数で見ますると、製造所持その他を合せまして八千八百二十四、人員が九千百六十二でございます。そのうち送致いたしましたものが、件数として八千七百三件、人員におきまして九千三十九人と、こうなつております。それからその隣りに押収物の、押収物資数量を挙げております。これは製造の部におきまして、注射液としまして九十七万六千五百七十三CC、それから原末としまして五千百七十六グラム。所持その他におきましては、注射液として百三十四万九千六百十八CC、原末として千百三十二グラム。計がその次に出ておりますが、そういう数字なつておるのであります。  それからその次の紙、順序が同一かどうか存じませんが、「覚せい剤取締強化後の違反検挙状況」というのがございますが、これは十月一日から十一月十日までの分を集計したものでございます。この間における検挙件数は三千七百四十件、人員としましては三千八百八十五名になつております。先ほど申上げた一月から十月までの数字と比較いたしまして、この問どれほど強化して行なつたかということが、この数字の面でも現れておると思うのでございます。その間における国籍別を見ますると、日本人が三千二百六十六人、朝鮮人が六百十一人、その他八人。違反種別で申しますと、製造件数九十一、人員にして百七十五。密売ブローカー千百二十四、人員にして千百七十五、所持使用等件数で二千五百二十五、人員二千五百三十五。検挙別とこういう別に分けてみますと、現行犯で二千七百六十四、通常逮捕七百七十八、緊急逮捕十七、任意出頭と申しますかが三百二十六ということになつております。職業別で見ますと、無職というのが一番多いのでありまして、二千九人。無職と申します中には、いわゆる渡世人とか、何と申しますか、不良、やくざ、そういうものが多いことになるわけでございます。バタ屋が六百七十、以下職業別によつてそこに数字が出してございます。それから身柄送検が二千八百七十四、書類で送検しましたものが千十一でございます。それから次に押収物資数量を、注射液と原末に分けて、この期間における分を掲げてあります。  それからその次に「覚せい剤密造者国籍性別調」というのがございますが、これは昨年の分でございます。これによりますると、日本人人員において、男子が四十二、女子が二十四、合計六十六。朝鮮人の欄、その他中国人の欄がございます。パーセンテージを出してみますと、日本人が二七・三%に対しまして朝鮮人が七一・九%、過半数以上を占めておることになります。中国人が〇・八%になつております。  その次には「覚せい剤違反者判決結果調」というのが出ておりますが、これは御説明を省略いたしますが、最後の表に「覚せい剤取締法違反被疑者検挙処分結果中の一部」というのを御参考にお出ししてございますが、これは一番上に罪名が書いてあります。その次に被疑者の名前が書いてありまして、その次には、二十七年、二十八年、どうしても事件の結末が長引きますので、二十七年頃のものがここに掲げられておりますので、東京の分、静岡の分がございますが、処分の結果を見ますと、初めが懲役八カ月で三年間の執行猶予がついております。執行猶予のついたものとつかないものと大体半分くらいでございますが、一年以上というのは非常に少い上に、執行猶予がついておりまするので、国外追放ということにも触れないことになるわけでございまして、我々としましては折角法律も改正して頂いたのでありまするから、この取締りに即応して、もう少し重刑を科して頂きたいと思つておりまするが、いろいろ検察庁の話もありまして、現在のところはこういうような調べになつておる次第であります。  それから取締り強化いたしました後、現在までの傾向といたしまして、どういう面が現われて参つたかということについて申上げますると、幸いに輿論の支持を得まして、報道機関も非常に応援して頂いておりますので、覚せい剤が非常にみじめな災害を引き起すということが非常に各方面徹底して参つたように存じます。従いまして、本人のみならず、家族の意見もありまして、大体我々の見通しとしましても、常用者は漸次減少しつつあるように見受けられるのでありますが、取締りを厳重にいたしまする結果は、今度は模造品製密造がぼつぼつ出始めております。それから又ブローカーが非常に巧妙になりまして、一つのところで大仕掛けで工場みたいにして造るということをやめまして、簡易携帯用具によつて製造するというようなものが殖えて参りまして、それらが転々と居所を変えては密造をやつておる、又密売をやつておるという事例が現われておりまして、中にはピストン型と称しまして、非常に高能率の製造方法を持つた器具さえ現われておるような次第でございます。  それから先般いわゆる上野の親善マーケットに対しまして、朝鮮人が三百名くらい集団生活をしておりますが、そこに多数の警察官を入れて検挙いたしましたのでありますが、その際の様子を見ましても、その集団部落が自衛組織化されておりまして、なかなか少数の警察官では妨害されて検挙しにくい。このとき六百人かの警察官が動員されたのでありますが、そういう警備方面からも十分の態勢を整えてからでないと、そういう集団地域においての検挙は非常にむずかしくなつておるということが、見受けられるのであります。  それからこういう事件は、物と人との結びつきによつて事件となるのでございまするが、物を押えましても、結局誰のものかわからない。つまり共同便所とか、共同炊事場、そういうようなところで密造とか取引をやつておるのでありまして、品物を押えたが、責任者がない、逃げてわからない。お互いに通報し合つて逃げておるというようなことで、結局事件にすることができないというような傾向も現われて来ております。それから土間のコンクリートのたたきを壊しまして、その下に大きな甕に液を入れて埋めておるというようなこともあります上、羽目板と壁との間に隠しておる、たんすの下に隠しておる、底のほうですね。畳に接するところ、あそこに隠しておる。いろいろの例が現われておりますし、なお最近ではアンプルに入れて売るということでは非常に危険視されると見ましたせいか、薬瓶や、化粧品空瓶に入れるとか、或いはサイダー瓶牛乳瓶、酒の一升瓶なんかに入れて、わからないようにして原液を持ち歩くような事態が現われて来ております。それから婦人を利用することが多いのですが、胴巻やら、婦人の二重ズロースに隠している。或いは児童の、子供のランドセルに入れて運ぶ。或いは乳呑児背負つて、おむつの中に入れて運ぶとか、そういうようないろんな工夫をこらした方法がとられておるのでございます。これらの点を十分に念頭におきまして、この取締りを十分強化して参りたいと思つております。  別に御質問がございますれば、更にお答えさして頂いて、一応この程度で御説明を終りたいと思います。
  7. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは次に、全国覚せい剤取締対策とその実情中心にして、斎藤警察庁長官にお願いいたします。
  8. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 覚せい剤取締りにつきましては、かねて当委員会におかれましても、我々に対して非常な御鞭撻を賜わつてつたのでございます。従いまして、以前からも覚せい剤取締りは、警察といたしましては相当つてはおつたのでございますけれども、併し警察制度関係等からもいたしまして、十分思わしい効果を見ていなかつたのでございますが、幸い警察制度も先般改正を見まして、こういつた都市、或いは農村を通じ、或いは全国的にまたがつております事犯検挙には、非常に便利なように相成りました。そこで本年の十月初旬、全国公安委員長会議の際におきましても、特に一般国民から、更に国会においても特に要望せられておるごとく、覚せい剤取締りというものに全力を注いで頂くことが最も必要なことではないかというお話をいたしました。で、我々といたしましては、世界に類のないこのような、覚せい剤蔓延が殆んど日本のみにおいて行われておるというような事柄は、日本の将来を背負つて立つ青少年問題から考えましても、誠に寒心に堪えませんので、取締りをやります一方、患者を収容する設備とかいろいろな事柄も伴わなければならないことは勿論でありますけれども警察といたしましては、日本からこういつた覚せい剤の悪用を根本から駆逐してしまうという決意を持つてつて頂くように申しまして、幸い各都道府県の公安委員、或いは警視庁初め各警察におきましても、熱心に覚せい剤取締りに当るように、それぞれ計画を定めまして、たとい若干長年月を要するといたしましても、不滅の努力を以て撲滅をいたしたいと、かような今心構えになつておるのでございます。  で、大体の取締り傾向は、只今警視総監からお話がありました通りで、大体大同小異で、警察といたしましては更に繰返す必要がないと考えておるのであります。ただ覚せい剤は、従来は殆んど都市方面が多かつたのでありますけれども、最近はだんだん農村方面にも蔓延をしつつあるという状況が見られるのでありまして、取締面にも今現われておるのでございます。幸いにいたしまして、全国各地におきまして、青少年の保護団体でありますとか、或いは婦人団体でありますとか、その他各種団体も、非常に協力をしてもらつて参りました。先ほど警視総監から話がありましたように、覚せい剤の惨害に対処する国民の認識ということにつきましても、徐々にこれが認識せられるように相成つて参つております。  で、私のほうにまとまりました統計といたしましては、この覚せい剤取締強化を打出しまして以来の統計だけは、まだ十分に統計はまとまつておりませんが、十月だけの報告を見ましても、今までの平均約一カ月の取締件数或いは取締人員の倍とまでは行きませんが、七、八割ぐらいは増加をいたしておるような状況でございます。ただ我々といたしましては、覚せい剤の個々の所持者或いは使用者というものもさることながら、これの製造元を徹底的に洗うということに重点をおいてやつておるのであります。今全国的には、視察内偵中の所も相当ございまするので、今後件数といたしましては相当の数を見るようになるのではなかろうかとかように考えております。又御質問がございましたらお答えを申上げまするが、警察といたしましては、当委員会の御要望に全面的にお応えできるようになることを念願してやつておるということを申上げておきたいと思います。
  9. 上條愛一

    委員長上條愛一君) どうも有難うございました。それでは次に、長谷山法務政務次官から、覚せい剤取締法違反者状況中心にして、御報告を願います。
  10. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 覚せい剤密造密売等覚せい剤をめぐる犯罪は年々急激な増加を示しまして、その弊害治安維持の面におきましても、これを黙過し得ない情勢にあるのでありまして、法務省といたしましても、これが対策といたしまして、先ず本年五月に各検察庁覚せい剤係検事を新たに設けたのを初めといたしまして、六月、七月には各高等検察庁管内別係検事会同を行いまして、これが取締対策につき協議いたしておるのでございます。更に又九月、検察長官会同におきましても、大臣からこの旨訓示があり、又刑事局長からも強く指示しており、なお又十月初旬に行われた全国次席検事会同、その他あらゆる機会におきまして、その撲滅のために徹底的検挙を励行し、処理におきましても厳罰を以て臨むような指示をいたしまして、この種犯罪の絶滅を期しておる次第でございます。  かような方針の下に、現在各関係機関連絡し、検挙を励行いたしておるのでありまするが、本年一月から九月までの全検察庁覚せい剤違反として受理した人員は四万七千四百五十五名に達しておるのでございまして、昨年の同期の二万九千九十七名に比べますれば、約二倍に近い検挙率を示しておるわけでございます。又従来検挙面で困難視されておりました密造事犯につきましても、東京大阪を初めといたしまして十数カ所においてその検挙に成功しておるのでございます。なおこの種の事犯に対する科刑の面におきましては、従来法定刑においても、又裁判の面におきましても、御承知通り、軽かつたのでございまするが、去る十九通常国会におきまして覚せい剤取締法の一部改正が行われて、法定刑が引上げられましたのに対応いたしまして、検察官におきましても、この種の事犯論告求刑におきましては、できるだけ資料を収集整備して厳罰を科するように裁判所に要望しておる次第でございます。かような関係からいたしまして、最近におきましての実際の裁判の結果を見ますれば、従来よりも科刑が重くなつて来ておる実情にあることは事実であります。今後とも覚せい剤事犯につきましては、関係機関との連絡を密にして、計画的、統一的な取締りを励行して、事犯の根源を衝くように努力いたす所存でおるような次第でございます。
  11. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは次に、草葉厚生大臣から、覚せい剤取締実情及び患者更生対策について、御報告を願います。
  12. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 覚せい剤の濫用によります弊害は、近時にわかに社会問題として大きく現われて参りましたのでございますが、それほど害毒の大きいものがある次第でありますので、幸い昭和二十六年の六月の覚せい剤取締法の制定以後は、だいぶ減退して参つておりましたが、その後最近に至りまして、只今申上げるような状態に相成つて参つておる次第であります。  こういう観点から、厚生省といたしましても、各関係機関と十分密接な御連絡をとりまして、これが取締り並びに処置に当つて参りたいと存じまして、とり敢えず近く覚せい剤問題協議会というようなものを厚生省に設置したい考えでおります。明年度は勿論でありまするが、問題が差し迫つておりまするので、できるならば年度内におきましても、これを設置したいと思つております。次に啓発宣伝が、一方におきましては大きく必要と考えまするので、この啓発宣伝には、各機関挙げて、全国的に実施いたして参つておりまするが、今後におきましてもこの点につきましては、特に力を注いで参りたいと存じております。なお取締りにつきましては、薬事監視員をして厳重な薬事監視を行わしておる次第でございますが、今後更にその徹底を期しまするため、只今御答弁にもありました、或いは法務警察等と御協力を申上げまして、密造密売取締りの一層の強化を期しますと同時に、技術面におきまして薬事監視員協力態勢を整備いたして参りたいと思つております。従つて密造覚せい剤の原料につきましても、これが規制の方途を十分にいたしまするため、これらの徹底を期する方法をとつて参りたいと存じております。なお重症になりました覚せい剤常用者保護或いは治療、即ち医療保護の問題でございまするが、これは御承知のように、精神病院等において治療し得るものはその方法をとつて参つたのでありまするが、なおこれらに対しましても不十分な点もありまするし、或いは増床の必要も痛感されまするので、今回予備費を約一千五百六十四万七千円充てまして、約二百五十床の収容施設を作りたいと存じております。本年度中にこれを実施いたしたいと考えております。明年におきましては、相当広範囲に収用施設を設置したいと存じまして、現在もくろんでおりまするのは、大体三千二百二十床、約六億三千六百万円ほどをこれに充てたいと考えております。そのほか、指導員の設置なり、精神衛生相談所の増設なり、或いはこれに関連した保健所の強化というものを中心に、覚せい剤による弊害撲滅に当つて参りたいと思つております。以上御説明申上げました。
  13. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは、藤井公安調査庁長官に御出席願つておりまするが、まだお見えになつておりませんので、只今までの参考人意見及び説明に対する御質疑をお願いいたしたいと存じます。江口警視総監は三時までということでありまするので、江口長官に御質問のかたは、なるべく先にお願いいたしたいと思います。斎藤長官も二時四十分頃までの時間だそうでありますから、さよう御考慮の上、御質疑を願います。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 斎藤長官にお伺いしたいのですが、私どもが十九国会でこの覚せい剤取締法改正を企図したわけは、従来どうも刑が軽いというので、刑を非常に重くして而も密造密輸を衝くというほかに、所持使用、これも密造密輸と同じような重い刑を科するということに主眼をおいて、改正をしたわけでありまして、先ほど江口総監からお話があつたのですが、この違反に対する処分結果を見ますと、これは昭和二十七年から二十八年のでありますから、この改正後のがわからんのですが、従来のものを見ますると、みんな刑が軽い。それで多くが執行猶予だ。こんなことじや何にもならんからというわけで、刑を重くしたわけなんですが、この改正以後における処分結果、これがどの程度今度の改正趣旨に副うて重い刑が科せられて、できるだけ犯罪者を少くするように講ずるというようなことが講ぜられておるかどうか。今これを見ますと、二十七年、二十八年ですから、これはやむを得ないことといたしまして、この改正後の六月以後の処分結果というものはどういうようなふうになつておるのでしようか、全国的に見ましてですね。それをまず一点、伺つておきたい。
  15. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 只今高野委員からの御質問ですが、刑の点につきまして法定刑が重く改正なつたにかかわらず、従来通りまだ依然として軽いのじやないかというふうな御質問でありまするが、それにつきまして最近わかつておるものにつきまして、法務省のほうから一つお答えをいたしたいと思いますが、刑事課長が来ておりますので、刑事課長から……。
  16. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) お許しを得まして……。取締法を継続的にやつておりますが、裁判の結果まで現れましたのは非常に少いのでございます。ただ最近、本年になりまして、大阪で一斉検挙をやりました密造事犯に対する若干の判決があつたのでございますが、それを見ますると、検察庁が三年十万円求刑いたしました者に対して二年、三年求刑いたしました者に二年、同じく三年求刑いたしました者について二年六月というふうな、これは執行猶予もつかない実刑が下されておるのであります。今後検察官のほうでは五年以上を求刑するような事犯が、現在検挙いたしております者の中にかなり出て来る、かように私どもは思つております。今のところは非常に、判決までありました例が少うございますので、その点で御了承を願います。
  17. 高野一夫

    高野一夫君 政務次官にもう一つ伺いますが、そういたしますと、大体従来よりは改正後は多少刑罰が重くなつているというような状況のようでございますが、これは一つ改正趣旨に副うて処分して頂くということに希望いたすといたしまして、実は国外退去の問題なんですが、我々が改正案を作るときには、出入国管理令改正して、そうして麻薬取締法違反者はことごとく国外退去を命ずることになつておるというのと同じような意味で、覚せい剤取締法違反者には国外退去を命ずるということに改正をしたい、こういう希望を持つてつたのですが、これは法務省のほうからの御要望がございまして、今後刑を重くすれば一年以上の懲役になるから、そうすればそのほうの条文で国外退去を命ずることができるから、それで一つ当てはめたい、こういうようなお話もあつたのでありますが、改正後の処罰において、国外退去を命ずるとかいうようなことを命じられたことがあるか。或いは命ずるようなことをお考えなつたことがあるかどうか。
  18. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 現在までは、国外退去を命じた例がないのでございます。
  19. 高野一夫

    高野一夫君 これはこの限りによつて国外退去を命ずることができるわけですが、只今長戸課長のお話によつても、二年の判決が下されておるというようなことが、それは日本人朝鮮人か知りませんが、そのような場合に若しも日本人外の者であつた場合には、国外退去を命じてもいいと思うわけですが、そう簡単に参りませんか。
  20. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) この問題は入国管理局のほうでやつておりますが、我々といたしましては、入国管理局と連絡をとりまして、善処いたして参りたい。只今申上げました二年の刑或いは二年六カ月の刑の者は、朝鮮人でございます。従いまして退去の問題もございますが、ただ問題は一般的に申しますと、双方の国で処罰されるというふうなものについて退去するのが建前になつております。ただ仰せのように、一年以上の者は退去できるという建前にしてございますので、入管に折衝いたしまして、その点の配慮も我々もいたして参りたいと、こういうふうに考えております。
  21. 高野一夫

    高野一夫君 これはいろいろな国際的の相互関係もありましようけれども、こういうような規定がどしどし一つ適用できるものならば適用して頂いて、やはり犯罪の根絶ということに努力して頂くほうがいいのじやないかと、我々は素人考えで思つておるわけですが、希望を述べておきますが、もう一つ、今度は第三国人の問題ですが、これを見ましても、製造関係違反者は、日本人よりは朝鮮人が倍以上になつておる。ところで、所持使用等犯罪人は、日本人のほうが約八倍になつておる。朝鮮人のほうは非常に少い、こういうようなこともここに数字が出ておるわけなんですが、そこで私はかねがね思つておるのでありますが、今日藤井長官がお見えになれば伺いたいと思つておりますが、この覚せい剤製造、そうして日本人に使わせるということは、ただ金儲けとかなんとかいうことではなくして、何らかの思想的謀略というようなものがないものであるか。例えば日本人の青少年に盛んにこれを使わして、そうして日本人の民族の素質をだんだん将来に亙つて破壊して行く、こういうようなことまで、思い過ごしかわかりませんが、そういうような何か謀略めいたことが、多少なりともそういう匂いがあるのではないだろうかという、こういう懸念を持つのでありますが、これは斎藤長官でも……。藤井長官がお見えになりましたから、それじや突然ですが、それを伺つてみたいと思います。
  22. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは藤井長官が見えたようですから、高野委員の御質問がありまするので、藤井公安調査庁長官から、覚せい剤取締と思想関係状況について、御説明をお願いしたいと思います。
  23. 藤井五一郎

    説明員藤井一郎君) お答えをします。私のほうでは覚せい剤とそれから思想関係については注意は怠らないでおりますけれども、私のほうの職分から見まして、今日に至るまで、今御質問趣旨のようなことについて申上げる情報なり資料を得ておりません。併しながら常に注意は怠らないのでございます。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 それじやもう一つ伺いますが、その根本に何かそういう謀略があるないということのほかに、結果として儲かつた金を或る思想活動のほうに資金カンパで提供するというような形跡はないのですか。
  25. 藤井五一郎

    説明員藤井一郎君) それも、先般新聞に出ました記事で、ああこういうことがあるのかなあと思つた程度でありまして、まだ確たる情報を得ておりません。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ、余り私だけ一人とつてはいけますまいから、これは斎藤長官に向つて伺つたほうが一番いいのじやないかと思いますが、先ほど政務次官からも昨年の二倍、約四万人検挙数が殖えておるかといつていますが、そうすると、都市農村を通じて非常に蔓延状況にあると、こう考えるわけですけれども、その蔓延状況の何か、統計といいますか、例えば都会においてはどの程度非常に拡がつておる、或いは農村は昨年の三倍になつておるとか、都会は現状維持だけれども農村のほうに非常に拡がつた、何かそういうような地域的に全国を通観した意味での蔓延状況の調査はわかりますまいか。どなたでも結構です。
  27. 高田正巳

    説明員(高田正巳君) 私のほうからお答え申上げたいと存じますが、対象者が、御存じのように、犯罪になるということでもございますので、的確の状態をつかみ得ないでおります。大体の大勢としましては、ここ暫らく前までは、主として都会地でございますとか、或いは基地周辺でございまするか、さようなところが非常に濫用が多かつたのでございまするが、最近におきましては農村漁村というほうまでずつと蔓延をして参りまして、殊に漁村等で夜漁に出るというふうな場合にでも、非常に用いられておるというふうな状況でございます。従いまして、今日の状態におきましては、勿論、全般的に申しますれば、やはり都会地が中心でございますけれども、併し以前と違いまして、申してみれば全国的な傾向になつて参つておる、かように申上げることができると存じます。
  28. 中川董治

    説明員(中川董治君) 只今の殖え方の地域的バラエティの問題ですが、少しだけ申上げます。二十六年の違反件数に対しまして二十八年の違反件数が何倍になつておるかということを、地方別に申しますと、北海道におきましては二十倍、東北方面におきましてもおおむね二十倍、関東、東京中心とする関東一円に対しましては二・五倍、大阪方面は、関西方面は二・二倍、広島関係は、中国、四国関係は二倍、九州方面は二倍、こういうことで、まあ地方的な数字でもありますので、大ざつぱでございますが、東京大阪の倍率に比しまして、それ以外の地方のほうが倍率が高い、こういう結論でございます。
  29. 高野一夫

    高野一夫君 それじやもう一つだけ。北海道、東北方面が二十倍に殖えたということについては、何か特殊な原因でもあるようにお考えでありますか。
  30. 中川董治

    説明員(中川董治君) 原因の点は大体、いろいろ正確に調べておるのですが、東京とか大阪のごとき都市において製造された事犯が、だんだん最近の傾向といたしましては、地方都市を拠点といたしまして、農村方面に譲渡販売されつつある。従つて一応地方都市農村方面に殖える率が非常に東京大阪に比して大きいと、こういうことじやなかろうかと思います。
  31. 高野一夫

    高野一夫君 私の伺いたいのは、農村は九州にもあるし、近幾、東京地方、関東地方でもあるわけなんですから、そうすると、それが大体二・何倍ぐらいのところであつて、特に東北、北海道が二十倍ということについて、余り……まあ一桁違いがあるわけですが、急激な違いが東北、北海道方面において行われているということにつきまして、何らか、理由と申しますか、原因があるような感じがするわけですが、ただ殖えたというだけでなくです。
  32. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) これは私が推測をいたしますのに、只今申しましたのは特に二十七年から八年へかけての殖え方でございまするが、東北、北海道のほうは農村のほうにヒロポンが蔓延するのが、非常に遅かつた。丁度昨年あたりから非常に殖え出して来た。もとの数字が少いものですから、二十倍という数字なつておる。そのように考えております。大体農村方面はここ一年、二倍乃至三倍というのが常識ではなかろうかと、こう考えております。
  33. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと、斎藤長官江口総監が時間の制限があるようでございますから、成るべく両長官に対する御質疑から、先にお願いしたいと思います。
  34. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは警視総監にお伺いしたいのですが、警視庁として大変にこの取締りに力を入れていて頂くことに対しては、非常に嬉しいと思うのです。ところが、その検挙とか調査等に対して、非常に困難を極めるという事態が多いというふうに聞いておりますが、そういう状況一つお伺いしたいということが一点。それからヒロポンの密売等が、赤線基地或いはパチンコ屋等々が、その仲介場所になつている、そこがヒロポンの源泉になつているというようなことを聞くのでございますが、それらについての様子を私、伺わして頂きたい。
  35. 江口見登留

    参考人(江口見登留君) 取締り行なつておりましていろんな隘路がありまする点につきましては、先ほど、藤原さんお見えになりまする前に、一通り申上げたわけでございまするが、簡単にもう一度繰返して申上げますると、取締り強化されましたために、非常にその製造密売が巧妙になつたということが言えるのでありまして、去年あたりは、一カ所押えましても非常に大量押えることができましたのが、最近では非常に分散して、少量しか手に入らない。それから製造の機械に非常に工夫をこらして、小さな機械で割りに大量に造る。それから運ぶのに、女子供のみならず、幼児のおしめまでも利用するというような点。それから又取締りをやりましたがために、だいぶヒロポンが減つて来た。減つて来ると、高く売れる。高く売れるものなら又造ろうと、こういう循環現象があるのでございまして、それから先ほど申しましたが、親善マーケットを調査いたしました際でも、みんな朝鮮人が集団しておりまするので、お互いに通報し合い自衛し合うということから、一つのものを押えましてもなかなかつかまらないというようなことで、非常な困難を極めておりまするし、もう一つ技術上の問題を申上げますると、ヒロポンらしいものであるということがわかりましても、それを送検する場合確かに覚せい剤であるということの証明を付ける必要があるわけでございますが、そのためにはこれを分析しなければならないわけでございます。非常に証拠を厳重に揃えなければならんことになつておりまするので、その分析に八通りぐらい過程を経ないと、これが確かに覚せい剤であるということを証明することにならないことになつております。これは証拠を充実するという建前から当然なこととは存じまするが、何とか簡便にその分析ができるような方法はないものかと……。その分析を要しまするがために、警視庁においては鑑識課のその方面の全職員を動員しても、日夜その関係に追われる。とても、もう少しこの方面人員がなければ、大きな取締りをやつているときにその方面の陣容に気を配らずにやれないということも、一つの険路でございまして、これらも何とかもう少し簡便に分析する方法はないか、或いはその方面の知識を持つた人を臨時的に職員として使い得る方法はないかというようなことも考えております。  それからいわゆるヒロポンの取引の場所につきまして、そういうパチンコ屋とか或いは赤線地域などが利用されてはいないかということでございますが、その点は傾向としては確かに、ほかの場所よりはそういう所が多いのでございます。ドヤ街などにも踏み込んでみますと、相当多数の人が常用しておる。そういう所が源泉になつているという事情がありますことは、お話通りであります。又そういう場所の中にポン窟と称せられるものがありまして、そこでは朝からヒロポンを打ち合うという事情もうかがわれるような事情であります。その方面の検索は今後とも十分にいたすつもりでございます。
  36. 中川董治

    説明員(中川董治君) 先ほど高野委員の御質問に対して、私、倍率を申しましたが、全体の申上げたことは間違つていないのですが、東北関係だけを実は読み違えておりましたので、この点だけを訂正いたします。北海道が二十倍でありますことは誤りなかつたのでありますが、東北の関係は、ここに又特殊の事情がありまして、二十八年は、二十六年に対する倍率でありましたので、東北につきましては二十倍と申しましたのは誤りでございまして、おおむね東北につきましては一倍でございます。これは非常な間違いでございますので、この点訂正いたします。従つて東北方面につきましては変更なしということでございます。
  37. 上條愛一

    委員長上條愛一君) なお藤井公安調査庁長官は、会議中のようで、お忙しいようでありますから、何か思想関係で御質問がありましたら……。
  38. 山下義信

    ○山下義信君 藤井長官に質問ありません、私は。
  39. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 藤井長官にお尋ねいたします。先刻高野委員からもお尋ねがありましたのに関連いたしまして……。先刻警視総監から頂いた表によりましても、密造者は朝鮮人に多くて日本人に少い。併しこれを使用しておる者は日本人が七倍も、それ以上にあるというような状況でございますが、私の聞いたところによりますと、或る地方におきまして朝鮮人密造者のそこに一緒におつた連中は、若しその者がヒロポンを使用いたしますというと、早速リンチなどをしてかなりの刑罰をするために、内輪では割りに使用者が少いのである。併しこれを日本人の場合には、どんどん注ぎ込んでおるのである。従つて或る警察署に朝鮮人保護を頼みに来た、保護を頼みに来たのは、自分がヒロポンを注射し始めたために、リンチされるのが非常に恐いから、是非一つ保護をしてもらいたいというようなことを聞いておるのでありますが、そういうような保護の実例が諸所にもうすでに出ておりましようか。若しこれが出ておるとすれば、これは非常に重大な問題であつて日本人に特にヒロポンを向けて売つておるということは、よほど考えるべきものだと思いますが、如何でございますか。
  40. 藤井五一郎

    説明員藤井一郎君) 今御質問のようなことは、私はまだ実は報告を受けておりませんが、それと申すのは、実は私どもの職分は、暴力主義的破壊活動をなす疑いのある団体の調査に重点を置いておるのでありまして、従つてその調査中に、或いは団体の資金がどこから出ておるかというようなことを調査いたします際に、場合によつてはヒロポンの製造、販売等によつて資金が供給されておるということがわかつて来れば、それは従つてヒロポンというものに対する出所なり、どういう人がたくさん使つておるかということも自然わかつて参りますが、ヒロポンそれ自体の製造販売とか、そういう事柄は直接調査をしておりませんので、遺憾ながら現在の状態においては、今のような御質問の事項に対してお答えする資料を持ち合せておりません。
  41. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今のような事件に対しまして、それは藤井長官でなくても、ほかのかたでも結構です。
  42. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 警察のほうといたしましても、只今仰せのような噂を聞きますので、実際そういうことが確かであるかどうかということを、絶えず取締りの際に念頭におきながら、やつておるわけでございます。いわゆる民族的な謀略のためにヒロポンを拡めているのではないか、或いはヒロポンによつた資金を或る種の運動資金に充てるためにやつておるのではないかという、この二点は、警察におきましても相当関心を持つて見ております。併しながら只今のところ、捜索をいたしましたいろいろな資料とか或いはその他から考えまして、そういうことを裏付けるようなものはまだ出ておりません。只今我々見ておりまするところでは、まあやはり金儲けということが主ではなかろうか。併しその金儲けで得たその金を、場合によつたら或る種の目的のために使われているということもありはしないだろうか、こう思つております。併しこのほうもまだ確たる証拠は持つておりません。ただ朝鮮人の人たちはヒロポンは造りますが、併し自分たちは殆んどこれをやらないというのも、これは事実でございます。恐らくヒロポンの弊害というものを十分知りながら、金儲けのためにやつておる。従つてその弊害をよく知つておりますために、お互いにこれは自分たちでやつたらいかんぞということは、相当徹底をさせておるように見えるのであります。
  43. 山下義信

    ○山下義信君 私は、先ほど藤原委員が御質疑のときに述べられたように、ヒロポンの取締につきましては、殊に従来警視庁が熱心にやつて頂いて、殊に青少年の補導につきましては特段に長い間努力して頂いたことに対しまして、私も深くそのことに敬意を表すると同時に、謝意を表したいと思うのです。早くから警視庁はこのことに目をつけられて、非常に努力せられたことを、我々は今日想起して、この機会に、総監を通じて、関係者のかたに謝意を表したいと思います。今回関係者のかたが非常に協力せられまして、総力を挙げてこの事態の撲滅に御努力願いますることは、私どもも多とするのでありますが、併し率直に申上げて、我々が数年前、ここに御出席の政府の諸君と御相談申上げて、覚せい剤取締問題を取上げた当時は、率直に申しますと、まだ実は微々たる状況であつた。然るに今日は、只今いろいろの諸報告を承わつても、且つ各方面の指摘して特筆大書せられておるところを見ましても、非常に容易ならん事態になつておる。これは誰の責任であるか。こういう事態を招来したのは誰の責任であるか。ただこうなりました、ああなりました、検挙件数増加しました……。何も手柄でもなんでもない。かくのごとき状態になるまで、拱手傍観というか、手を尽さなかつたというか、一体何をしておつたのですか。私どもは政府なり当局者なりの怠慢を責めざるを得ません。多数の青少年、多数の国民に害毒を与えて、非常な損害を与えるような事態を、かくのごとき顕著なる事態までも情勢を至らしめたのは、誰の責任か。どなたの責任です。非常によろしからん今日の状態。責任者が誰もいないということはない。恐らくここに御列席の諸官、それぞれの職域の分野において、御任務がある。取締りなり、処罰なり、善導なり、又かくのごとき事態にならしめざるように、あらゆる手段をお尽し願わなきやならん。こういう事態を捲き起した責任は誰にあるか。私は声を大にして、鼓を鳴らして、責めざるを得ません。これは、本日私どもが御出席願つて承わりますることは、皆様がたの御努力に対応して、我々又国会といたしましても、共同責任である。私は責めるばかりでない。我々にも実に責任があると、自省しております。ですから、どう御協力申上げるか、国会として如何なる対策を講ずべきかということを、これから小委員会もありまするし、それぞれの同僚諸君が御心配願うので、その有益なる参考の御意見を承わることで御出席願つておるわけなんです。ただ状況報告だけ聞いておつたんでは、何にもならん。権威ある皆様がたのその職責のお立場を通じて、国会に何を要望するか、私どもに何か御注文があるか、おつしやつてもらわなきやならんのです。今日このヒロポンのことをこうして審議しようと、問題として取上げてみようといたしますると、かくのごとく各方面責任者がお出ましになられたが、わけがわからん。皆様がたの先ほどの御陳述を承わりますと、関係機関協力して……関係機関協力してとおつしやる。私はヒロポン対策が不徹底なのは、かくのごとき状況だからじやないかと思う。一体この責任者は誰なのか。いわゆる主管の局、主管の行政庁はどなたですか、はつきりおつしやつて下さい。御出席のかた……。一体法務省が責任を持つのか、厚生省が責任を持つのか、警察庁が責任を持つのか、どこが責任をお持ち下さるのか。  これは私は、野暮なことは申しません。皆さんとも長い問のおなじみでありますが、この関係機関の協議会だの、連絡協議会だのというのは、これはよろしうございます。その連絡もなけらにやいけませんが、これは一番いけないのですよ、ものが徹底しないで……。で、それはそれぞれの専門の、それぞれの職責の権限の分野はお持ちでありましようが、どこかでまとめて一本に機構をはつきりして頂かなくちや、困るのじやないかと思うのです。思い思いにやつておつたつて、しようがないのです。で、私は、今斎藤長官が御用でお帰りだという。長官もお忙しくてお帰りだという前に、権威ある皆さんが御列席の場合に、これは一つ考え直してもらわなくちやいかんと思うのです。こつちのほうから御注文申上げておきます。政局がどうあろうと……まあ政府は今店仕舞の最中です。店仕舞の最中でも、我々、政局如何を問わずして、重大な問題だというのでやつているのです。皆様がたも、或るかたは場合によつては、お人によつては、腰がふらふらしているかもわかりませんが、このことは、政局があすが日どうなろうとこうなろうと、大変なことでありますから、即刻一つ今の緊密なる連絡をして頂いて、これは一つ機構を一本になさらなきや、一つにして頂いて、責任のところで、皆一つ、何だかんだと言わずして、何とかはこつち、何とかはあつちと言わずして、はつきりと私はヒロポン対策のしつかりしたものを、先ず機構の確立というようなことも、御協議おきを先ずしておいて頂きたいと思う。  私は総監に伺いますが、まあその同じことを、長官もお帰りをお急ぎですから、御両者に伺うのでありますが、今の取締法規でもうようござんすか。今の取締りの一線にお立ち頂きまする長官並びに総監に、今の現行法規上、もうあれで、法規としてはもうそれでよろしうございますか。何か御注文がございましようかどうかということ。それからいま一つは、今私が申上げました機構上につきまして、こうあれば便利だと思うという、何か御意見がありましたらば、私どもに示唆して頂きたい。それから今度は、機構でなしに関連の施策で、例えばヒロポンの常用者の、今厚生大臣がいろいろ抱負を述べられましたが、ともかくも関連の施策の上で、例えば警視庁で御努力下さる上においてはこういう関連施策が伴わなきやいけない、こういう総合施策がなくちや折角やつても甲斐がないというような、何か総合施策につきましての御注文があれば、私は承わりたい、こう思うのです。我々といたしましては、これは国家的な事業で是非やらなきやならない、国民がうんと協力してやらなければ、ただ皆様がただけに任して置くわけには行かん。先ほどそういう点に触れての御意見を承わりましたが、国民協力を求めなければなりません。以上三点につきまして、機構の改革、それから法規の上、関連施策につきまして、何か私ども承わつておきますことがありましたならば、お聞かせ願いたいと思います。
  44. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 私どもといたしましては、ヒロポン対策は、取締り、それから一面輿論の啓発、それから患者の処理というようにあると考えますが、従いましてこの患者の扱いとか、只今厚生省でやつておられます事柄を、これを警察でやるわけにも参りませず、大体の仕組みといたしましては、今の機構で行くしか途はないであろうと、かように考えております。取締りの機構といたしましては、先般の警察法の改正で、先ほども申上げましたように、この点は非常によく相成りましたので、取締りの機構といたしましては、この機構で十分やつて行けるのじやないかと、かように考えております。我々の見る面から見まして、もう少し、最近は輿論の啓発も活発になつて参りましたけれども、そういつた方面に力を注いで頂きたい。我々のほうといたしましても、宣伝啓発のための予算ももう少し増してきたいというので、来年度は我々のほうといたしましても、取締りだけではなしに、宣伝啓蒙のほうの予算も只今要求をいたしておるようなわけであります。一般の婦人団体、青少年保護団体の御活動を今後願うように、それぞれの費用も、国として出すべきものは出して頂きたい、私は大蔵省その他に向つても、私の所管ではありませんが、申上げておるのであります。又只今厚生大臣がおつしやいましたベッドの増設、これも警察の面から見まして是非実現をして頂きたい、かように考えておりまして、関係当局のほうに警察側の意見として十分出しております。当委員会におかれましても御援助頂きたいと、かように思つておるのでございます。
  45. 江口見登留

    参考人(江口見登留君) 私からも一つお答え申上げますが、現在の覚せい剤取締法に不備はないか、取締りの第一線の面から見てどう思うか、ということでございますが、先般御改正を頂きましていろんな大要をやはり押えることができるようになりましたのは、非常にヒロポン撲滅のために大変結構なことだと思つておりますし、その改正後の法律の実施に当りまして、まだ数カ月を経たばかりでありますが、今の法規でまだ不備なことがあるかと申されましても、暫くこの面でやつてみた上で、又不便なところが、第一線の面といたしまして、出た場合には、警察庁を通じまして、いろいろと国会方面にお願いをいたさなければならないことになるかと思いますが、先ほどちよつと申しましたが、実施上の困難がちよつとございますけれども、これは法律をどうするという問題よりか、後日の問題になるわけでございまして、この点はもう少し専門家に研究してもらいたいと考えておりますし、それからいろんな国としての施策も、取締りの裏打ちと申しますかの面においても、十分手を打つて頂きたいと思うのでありまするが、先ほど厚生大臣からも、現在のところ或いは来年度の予算についてお考えがあるところをお話し頂きましたが、私といたしましても、部費においてできる部分については都の方面にも呼びかけまして、できるだけこの裏打ちになるような施設なども速かに、直接或いは補助の下に、どこかの団体なり当局なりに、こういうものを作つて頂くように熱心に申しておりまするので、これも近く、国の補助との関係もどう落ちつくかわかりませんが、診療施設も増加されるような傾向にございますので、この点は有難いことだと思つております。只今斎藤長官からもお話がありましたが、役所の機構上の問題としては、これは簡単にどうすることもできますまいが、協力団体がいろいろございますので、いろいろ防犯協会なり、或いは私最近まで席を置いておりました中央青少年問題協議会とか、この活躍も非常に、これには衆参両院の議員さんも加盟しておられるのでありますが、ここで取上げられましたが、又非常にいろいろ啓発になつたということも申上げられるのでございまして、あらゆる政府機関、あらゆる関係団体が、この際密接な連絡をとつて行くことが一番大切じやないかと、かように考えておる次第でございます。
  46. 山下義信

    ○山下義信君 長官の先ほど仰せになりました輿論の喚起、啓蒙、宣伝、啓発ですね、これは非常に重要なことと思うのでありますが、又婦人団体やその他の各団体協力を緊密に求める、私ども同感に思うのでございます。今の輿論の喚起、啓蒙、宣伝、啓発といつたような仕事は、どこで指図をしてやるのですか。長官のほうで主としておやりになるのですか、政府当局としましては。
  47. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) これは例えば警察の防犯協会あたりで活動して頂くという場合には、警察が主になつてやるわけであります。併し只今お話がありました青少年不良化防止の協議会というものがございますが、そこらでもやつて頂くことが望ましいと考えております。又只今は何はございませんが、一般の映画館等を使つて、こういつた事柄を題材にした映写もやつてもらうということは、非常に有効だろうと思うわけですが、利害打算なしにこれを映写をしてくれるということを言うところは、現在は一つもないという状況でありますので、映画館あたりに、映画会社あたりに頼んで、常設館においてもそういうものを成るべく上映をしてもらうように、話をいたすようにいたしておりますが、これは警察がやるべきか、厚生省がやるべきか、両方一緒になつてやることであろう。啓蒙宣伝は主として厚生省でやつて頂くことが筋だろうと考えますが、我々のほうでは防犯の立場からやるわけでありますから、その範囲は狭くなると思います。
  48. 山下義信

    ○山下義信君 これは私ども深くは存じませんが、警察関係警察関係でどんどん宣伝しておいでになりまして、それは特殊の面から又宣伝或いは啓発をして頂くのですが、私は今度はこれは一つどこに重点をおいてやるかということをきめて、予算の獲得等も十分にやらなければならんのじやないか。改めて私は予算委員会等で十分御相談いたしたいと思うのですが、厚生省でそういうものの費用というものは余り持つてないだろうと思うのですが、これは早くやらなければならんと思うのです。今のところ、機構と同じように、どこが中心でどこが重点で、どこを最高峯にするということはないのですから、わかれておるのだろうと思うのですが、我々としても考えたいと思う。  もう一つ伺いたいと思うのは、私は密売ブローカーも、それから所持者も、これは非常に御努力、御苦心を願つておりまして、国会としてもこれからいろいろ考えて、如何に各位に御協力するかということが、御相談になる力と思うのでありますが、私は、結局長官、どうでしようか。長官、もう五分ですか、十分ですか。
  49. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) もう五分です。
  50. 山下義信

    ○山下義信君 それで、私は密売者の検挙徹底的にやらなければなりませんが、これはもう飯の上の蝿のようなもので、飯をのけてしまつたら蝿はいなくなる。今取締つておるのは、主として供給者です。需要者がなくなれば供給はなくなる。問題は、需要者がなくすることが私は抜本塞源的な対策だろうと思うのであります。そうすると、需要者をなくする方策をどうしてもやらなきやならん。需要があれば、どんな手を通じても、依然として供給者は跡を絶たん。需要者をなくすることに全力を注ぐということが根本対策じやないかと、私は思いますが、この点一つ、皆さんが御列席の席ですから、丁度いい。私は厚生大臣に、このヒロポンを使用する需要者をなくするということの根本対策を、伺いたいと思います。でき上つて行くものをつかまえるということは、本当を言えば枝葉末節で、これはやつていたら、米の闇の取締りや赤線の取締りと同じようなものです。需要者を根絶するのに、厚生省は特段の対策をお持ち下さるかどうか、これは厚生大臣に伺わなきやならんと思います。
  51. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 私も全く同様に考えております。従つて需要者をなくするには、まあ啓蒙宣伝。その啓蒙宣伝も、ありふれたやり方じやなしに、最近大阪等では随分徹底してやつてくれているようですが、少しそういう評判があると、徹底的に家庭を訪問する、或いは主婦がこれを訪問する、近所隣りがみんな寄つてお世話をするというような、結局そこまで行きつつある。その前に、行かないようにするというのが根本であると思います。従つてもうできてしまつたのは、治療する以外にない。そこへ行く前の、言葉を用いますと、啓蒙宣伝ということに尽きまするが、こういう方面に全力を尽してやつて行きたいと考えております。
  52. 山下義信

    ○山下義信君 私は多くは言いません。ここに児童福祉法を作つた中川君などもつて厚生省は児童局を持つてつて、それは青少年は一〇%だと言われる、全部でないにしても、これは全力を挙げてやるべきであつて、需要者をなくすることにあらゆる組織を通じてやらなければ、警察関係にただ徒らに、徒労とは言わんけれども、際限のない努力を願つても、余り効果がない。一方には、その源をやることをしなければならぬ。私は厚生省の怠慢だと思います。その点については責任がある。これは今厚生大臣がやると言われるのですけれども、どういう根本対策を立てるか。あと又別の席で伺いますが、これは一つ厚生省を責めて下さい。こういうなんで、十二万の児童委員を持つていますが、何をしているか。民生委員も、同じ十二万の民生委員を持つておるが、これの総動員は、何の形跡もない。責めて下さい。それからヒロポンの中毒患者を処理する問題も、厚生大臣の先ほどの御説明を聞けば、何でも予備費から一千万円ほど、僅かなものを出して、二百ベッド作ると言われるが、二百べツドでどうするつもりです。こんなことで、長官も総監もおよろしいのですか。あなたがたの検挙のむずかしさというのは、捕まえてみれば中毒患者の処理の方法がないことで、苦しめられるのでしよう。刑務所へ送れば事はやすいけれども、そうでなくして、中毒患者をどうするかという対策が欠けておるので、お困りになつていらつしやるのでしよう。先ほどからそういうことを言うかと思つていたけれども、おつしやらない。二百ベッドくらい作つても、何にもならない。来年度は三千作つて、六億が何とかと言うが、それは先のことでしよう。来年度予算がきまるのは、早くても五月であつて、その予算が施行せられるのは、来年の八月か九月じやありませんか。予算というのは今の話だけで、その金が生きてベッドができるのは、一年ほど先のことでしよう。その間どうするのです。厚生省は何も策がない。厚生省はこつちの専門ですから、あとで私がやりますが、総監も長官も本当に御尽力下さるのでありますから、今のような総合施策については一緒になつて御相談して下さつて、はつきりしたものを、これはここをどう衝く、ここをどうするという、十八番の戦略は聞こうと思いませんけれども、そういう対策を政府できめて頂きたい。  それから、これでやめますが、法務省政務次官が見えておるのですから、伺いますが、藤原委員意見に私は同感であります。これらの取締りをやつておるというが、少くともこの政策を徹底的にやり抜こうとするなら、この覚せい罪の違反者に対しては絶対執行猶予をしてはならんということは、私はそうだと思う。刑事政策か何政策か知らんけれども、連れて来るとすぐ、裏のほうの門を開けて、出してやるということでは、これはいかん。そしてどんな微罪でも許さん。場合によつては、極刑を我々要求するかも知れません。たとい私ども社会主義者であり民主主義者であつても、場合によつては極刑に処する。三年、四年は、まだこのくらいの期間は、我が国から絶滅するまでは、涙を呑んで極刑にしなければならん。或いは場合によつては、十年、二十年の長期刑も科さなければならん。それくらいの決心で行かなければならん。これを捕えてすぐ裏門のほうから、裏門を先に開けておくというようなことでは、いけない。執行猶予はやめてもらわなければならん。先ほどもお話がありましたが、法務省の重大な仕事です。法務省の決意如何は、これは忽ち全国に響くのです。それで執行猶予のような手ぬるいことでなく、それから即決でやつてもらいたい。半年も一年もかかつては困る。皆保釈じやありませんか。執行猶予よりも、問題は保釈です。すぐ保釈で出す。こんなことでは、折角警察本部や警察庁が苦心して、根絶のため命がけでやつても、法務省のほうですぐ保釈で出す。伊藤斗福だつて、皆保釈じやないですか。これは絶対に保釈しないで、即決で、それから執行猶予は断じてしないように、こういう毅然たる態度でやつてもらわなければいかんと思う。法務省の御決意はどうですか。
  53. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 御承知のように、裁判は、裁判所で刑の量刑はせられるのでありますが、法務省としては、先ほどもちよつと御説明申上げましたように、本年の五月から各検察庁にこの覚せい剤専門の係検事をおきまして、これに対する知識を十分先ず係検事が持ちまして、そしてこの弊害につきましても十分調査をして、裁判所が十分その求刑を納得できるような求刑をするということにつきまして、法務省としては各機会あるごとに係検事にそのことを強く指示しておるわけでありまして、従いまして先ほども申上げましたように、この刑につきましても漸次重い刑が盛られるような傾向なつて来ておるのでありまして、その趣旨で、十分この法の改正をせられ罰則も強化せられた趣旨を、徹底させたいというふうな所存でおる次第でございます。
  54. 藤原道子

    ○藤原道子君 刑を強化して来たと言われますけれども、成るほど執行猶予日は先ほどのお話でなくなつたようでありますが、法律のほうでは五年になつておるのですね。悪質のものは七年。ところが、二年乃至二年半というような判決のようです。私は、従来の裁判の例から言つてそういうことをやるのだろうと思うのですが、事と品によると思うのです。これほど全国的な問題になつて、このままで行けば民族が亡びてしまうような……殊に人を一人殺せば死刑になる。ところが、この密造とか密売というようなものは、それこそ何百人何千人という人を、その人一人のやり方で、精神も肉体も亡ぼしてしまう。間接の殺人をしておるものです。気違いを作り殺人をしておるこれらの者に対して、どうしてこんな思いやりのある判決をなさるのか。私最高の刑を科することによつて彼らが自粛する面も出て来るし、多くの青少年が救われるんです。ところが、山下委員の言われましたように、金を積めば保釈にする。刑は、半ばにも足りないような刑の判決執行猶予がなくなつただけでは、私は満足ができないんです。どういうわけでこういう思いやりのある判決をなさるのか、そういう点、もつと私は伺いたい。百三十万からの青少年が、その中毒のために悩んでおる。最近は農村方面にもこれがだいぶ拡がつております。こういう点に対してもつと真剣に、如何にして民族の誇りを保ち、この健康を維持して行くか、これに対しての断固たる御決意を私は伺いたい。でなければ、納得できません。
  55. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) お説御尤もでございまして、これにつきましては、先ほど刑事課長からも御説明申上げましたように、最近において五年の求刑をした事件があるんでございますが、まだその判決がないのであります。それでその検事の求刑が、裁判所に本当に納得行くような求刑論告をすることが必要でありますので、法務省としては極力その根拠ある求刑をするということに、証拠の収集その他、これらの覚せい剤の及ぼす悪影響ついて、裁判所が十分納得して、その求刑を根拠あるものとして、求刑通り判決されるように、努力しておる次第でございます。なおこれらについての判決が求刑と隔りある軽いものである場合には、検事控訴をして、今後ともこの科刑の軽きに失することのないように処理する所存でございます。
  56. 藤原道子

    ○藤原道子君 その御決意を伺いまして、あとは暫らくお手並を拝見している以外にないのでございますが、刑が重くなつたから取締りがひどくなつたとおつしやいますけれども、今までだつて三年ですね。今日は裁判所は来ていないのですね。今まででも三年の刑はあつたんです。ところが、資料として提出されたのを見ると、ずらつと全部執行猶予なんですね。全部執行猶予なつている。痛くも痒くもないんですね、執行猶予なんかにするのは。こういうわけで、私は余ほどの決意を持つて今後進んで頂きたいことを、重ねてお願いしておきます。  それから更にお伺いしたいのでございますが、密造の種類によつて、これは輸入された密輸の原末によつて造られておるのと、それから国内の化合によつて造られておるのと、どつちが多いというデータが挙つておりますか。それからいま一つは、密輸されておる薬品を、ここに資料を頂いたんでございますが、これ見ると、全部アメリカの製品になつているんですね。アメリカの製品が密輸されて、そうして第三国人によつて密造されて、そうして日本人がこれを使つておるというような結果になつておるのでございますが、密輸している薬が挙つた場合に、それらに対する手はどういうふうに打つておいでになるかということも、この際私は伺つておきたい。
  57. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 大体、材料は密輸のものもございます。原末材料として密輸のものもございます。まあ半々くらいじやないかと考えます。勿論製品になつて入つて来るものは相当ございます。それからもとになる、何といいますか、薬は、混ぜ合わしてこういうふうな用法にしないと、却つて薬になるというようなわけです。混合することによつてこういうふうになるわけですから、従つて材料全部止めてしまうということになりますと、これは厚生省の所管でございますが、ほかのほうに非常に影響を来たしますので、それを特定に配合することなら行われております。従つてこの配合が国内で行われております。
  58. 藤原道子

    ○藤原道子君 この密輸製品が随分入つて来ておる、アメリカからたくさん来ておるということが出ておるのですが、こういうことに対して何らかその後、その径路等に対しての手を打つてお出でになるかどうか、薬務局長かなにか……。
  59. 高田正巳

    説明員(高田正巳君) 密輸についてのことが私のほうだというわけではございませんけれども、今藤原先生が御指摘になつておりますのは、最近の一つ事件で、香港からのエフェドリンの密輸事件だと思います。これは関係者は、日本人もおりますが、第三国人が中心なつております。そうして一味の事件でございますが、数回に亙りまして密輸をいたしておる。その中でアメリカの製品が多いじやないかという仰せでございますが、これは国際価格の関係上もあると思いますが、ここに載つております資料によりますると、米国製の旗印塩酸エフェドリンということで、殆んど全部のエフェドリンがさようなことに相成つております。これについて如何なる方途を講じておるかということでございますが、これは結局密輸取締りというものを強化いたすよりほかにないと思います。なお米国の製品であるということは、別に米国がどうこうというのじやなくて、御存じのように、香港はああいう市場でございます。その関係から香港から入つて来る、こういうようなことに相成つております。
  60. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと委員のかたに申上げますが、斎藤警察庁長官江口警視総監は、用務のために退席いたしたいというお申出でありますが、よろしゆうございますか。
  61. 高野一夫

    高野一夫君 もう一点だけ……。さつき総監のお話の中に、これはものが薬品であるために、いろいろ隠匿の仕方が専門的であつて、発見もしにくいというような意味のお話もあつたように私記憶しておりますが、それで犯罪的にその覚せい剤と密接な関係にある麻薬のほうで、麻薬のほうには麻薬取締員という、これは専門家が当つておる。そうして一般の司法警察権を持つておる。従つて私の考えでは、麻薬取締官と麻薬取締員というものが、一般の警察官協力して、その取締りに当るということが、非常に私は捜査上便宜があるし、有効適切じやないかと思うのでありますが、現在までの間に捜査上、これは厚生関係かも知れませんが、麻薬取締官に取締り協力を求めたいとお考えなつたことがあるか。又求められたこともあるかどうか。その協力関係はどうなつておりますか。
  62. 江口見登留

    参考人(江口見登留君) 麻薬取締官は、この覚せい剤についての司法警察権は持つておりません。麻薬取締官が取締りに参りました際に、麻薬があつて、側に或いはエフェドリンとか、或いはそういう覚せい剤の原末があつたというような場合には、これを一般警察のほうに通報するとかというようなことしか、今のところでは、その両者の関係では、それ以上密接に入るわけには参らないのであります。警視庁管下におきまして、その麻薬取締官が覚せい剤取締りもできない関係にあるが故に、非常に警察としても不便を感じたことがあるかというお尋ねに対しましては、具体的なものとしてはございません。ただ全国的に見まして、警察庁がどういうお考えを持つておるかわかわませんが、警視庁としては別に、麻薬取締官が覚せい剤に対しまして取締権を持つて頂いても、勿論取締りの人数が殖えるわけでございますから差支えないように私は考えますけれども、何でもこの問題につきましては厚生省がそういう希望を持つておられるようでありまするが、何か特殊警察、特別警察というものに対しましてはできるだけ権限は極限するというのが、一般警察から特殊警察を離す際の法理論と申しますか、そういう建前で、そういう厚生省の御希望に対しましては、法制局方面で反対があつて、未だ実現していないということを私は聞いておる次第でございます。
  63. 高野一夫

    高野一夫君 実はこの問題は十九国会で十分論じ尽されたのでありますが、私の考えでは、麻薬取締官や取締員に覚せい剤取締に関する権能を与えるということがいいのじやないかしらんと、こう思つたのですが、それは麻薬取締実情を見ますと、麻薬の犯罪の現場に行けば必らず覚せい剤違反行為を見つける、こういう事態を聞くものですから、それが権能を与える与えないは別問題として、仕事の面において両方が協力するということであれば、犯罪捜査の上に非常な便益がお互いにあるのじやないか知らん、こう思いますので、その権能がなくてもあつても、その協力関係というものは今後やはり密接に持つてもらいたいと思いますが、どんなものでしようか。
  64. 江口見登留

    参考人(江口見登留君) その点は十分、連絡は常にとつてつております。その連絡の仕方が不十分であつた点もあるかも知れませんが、係官の気持として、常に連絡をとつて麻薬、覚せい剤を関連的に考えて行こう、こういう努力はいたしております。
  65. 高良とみ

    高良とみ君 先ほどの関連なんですが、ここに厚生省が薬務局薬品関係で以て提出されておられる密輸出入事件というのがありますが、これは十五件ありますが、これは昭和二十七年以来やつてつて、二十七年、二十八年、二十九年というふうにずつと続いておることでありますから、こういうのがたまたま出て来れば、二十七年からずつとやつておつたが発見されずにいたということを示しておるものですから、これを一つの例として考えて来ますと、まだこういう例が非常にたくさんあるのではないかというふうに考えられるのであります。そうすると、先ほど御指摘になつたエフェドリン、サントニン、ストマイなんかの輸入を、もう少し厳重に監査しない限りは、これと同じような長年に亙る密輸が、普通に必要とされている薬品と共に、行われているのではないかということを疑われますが、これについて厚生省はどういうふうに考えておられますか。
  66. 高田正巳

    説明員(高田正巳君) お答えいたす前に、お断り申上げておきますが、この資料は、私どものほうで関係当局に伺いまして、私どものほうで情報として得ておる資料であります。私どものほうでさような密輸事件検挙したとかなんとかいうことは勿論ございません。それで、他の有用な薬と一緒にまぎれて入り込んで来ておるのではないかというような趣旨の御質問でありますが、薬の輸入につきましては、これはいろいろな面倒なことになりますが、一口に申上げれば、薬の性格によつて、輸入を許しておるものと許しておらないものとに分れまして、当該の覚せい剤の原料の一つとして使われますエフェドリンにつきましては、昨年の中頃以後、輸入もこれはストップしております。と申しますのは、国内の生産が非常に上つておりますので、必要ないということで、ストツプいたしているのであります。然るに密輸がある、而もそれが他の許された薬と一緒にまぎれ込んで来るのじやないかというような御質問でありますが、この事件、これは私ども聞いた事件でございますが、このやり方を見ますると、そこにもありますように、船が港に入る前に、或いは港の近所において海中に投下したりなんかして、それを小船で集めて来るというような、全然何と言いますか、いわゆるまぎれ込んで来るというような性格のものではない、手口がさようなものではないように、承知いたしております。従いまして、その方法は全く麻薬の密輸なんかと同じような犯罪的な方法で行われるように、私ども聞いているわけであります。
  67. 高良とみ

    高良とみ君 この件はわかりましたが、それで今御説明のあつたと同じく、更に飛行場からも入るでしようし、他の薬品と形を変えて入つて来るものもあるように聞いておりますが、それについて検察当局と申しますか、政務次官おいでのようでありますが、その点で国内に流れている、この種の覚せい剤のみならず、取締りが非常に最近弱点を衝かれて、どんどん増加しつつあるのじやないかというふうに、私は考えるのです。そう言う理由は、先ほどほかの委員からは勿論、厚生大臣からも、覚せい剤常用者を減らすことがいいことだと言われておりましたが、教育面などから考えると、それのみでもないように思うのです。いろいろ入学難があつたり就職難があつたり、その他の理由からして、精神的な弱点があるところへ以て来て、こういうような実利をもとにした国際的な圧迫がどんどん入つて来ますので法規なり或いは官庁の提携の欠けるところにどこにでも入つて来ると思うのであります。これは今後ますます殖えると思いますが、それについて司法当局としては、本当に国民をこの種の害から救うために、もう少し徹底した方策をお立てになるお考えを、先ほどの刑罰の問題もありますけれども、如何なものでしようか、どういうふうにお考えでしようか。
  68. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) 仰せのように、密輸の点では原料として入つて参りますので、覚せい剤そのものとして入つて来るのは非常に少い、あつても少いと私は考えております。そこでこれは関税法の違反として、或いは外国為替の管理法違反として、我々としては検挙して参るわけであります。この点をやはり全国検察官に対しまして、エフェドリンというものの密輸、私どももこれはデータはございませんけれども、聞くところによりますれば、日本で正規に造られる原料では高くつく、従つて密輸のほうが安くつくというふうに言われている。そうしますと、密輸相当つて来ているということがわかりますので、その点に重点を置いて取締り徹底するようにという指示をいたしておりますが、この点は麻薬と同じく、非常にまあ発見の困難なと言いますか、ものでありまして、実効が挙がつておりませんことをお詫びしなければなりませんが、今後ともその点については取締りを厳重にして行く。或いは向うのいろいろ考えられる手を押えて行くというふうに努力して参りたい、こういうように考えております。
  69. 高野一夫

    高野一夫君 私長谷山政務次官に伺いたいのでありますが、先ほど来山下委員から執行猶予と保釈の問題が出た。執行猶予については私も希望を述べて置いたし、又最近の様子も伺つたからやめますが、この覚せい剤違反みたいな悪質な者に対しては、できるだけ保釈をしない、こういう方針がとれないのでしようか。あなたはこの方面の御専門家であられるわけでありますが、ここで今読んでおりますと、刑事訴訟法の八十九条に保釈請求の場合が出ておりますが、この第四号を引つかけると、これは大して保釈をしないでやれるのじやないかと思いますが、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」と、こういうようなことに引つかければ、保釈を許可しないということが、そういう方針がとれるのじやないかしらと思いますが、どうでしようか、専門家の立場からお考えなつて。
  70. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 私実際の実情がよくわかりませんので、むしろ刑事課長からお答えいたしたほうがいいと思います。
  71. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) 只今お話のように八十九条によりまして、「被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。」それから「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」こういうようなときには保釈をしないというふうなあれがございますが、この点で、検事のぼうでは立証の段階でその点を証明しまして、保釈を許さんようにお願いして行くわけでありますけれども、これは御存じのように、権利保釈と申しますか、保釈が原則のような形になつておりますので、職権保釈もできる。これは検察官裁判官が共に、この事件の害悪と申しましようか、重要性を十分認識して、そうして保釈を成るべくさせないようにする、こういう方針で以て行く以外には、手はない。検察官としてはその旨の努力をするように申しておりますが、それ以外にはないというふうに考えております。
  72. 高野一夫

    高野一夫君 先ほど来、山下委員からもお話がありました通り、この違反行為に対する摘発なり処罰なりというものを余りに軽く見過ぎておつたということが、今日あらしめた最大の原因だろうと思うのです。取締りの面から見れば、そうだろうと思うのです。それで、今長戸課長のお話を伺つたわけですが、八十九条の四号とか三号とかいうことを特に一つ頭において頂いて、裁判方面とも連絡をおとりになつて、覚せい剤違反行為が非常に悪質なものであるということとこれも結びつけて、今後一つ特別な考慮を払つて頂ければ非常に結構じやないかと思うのですが……。
  73. 長谷山行毅

    説明員長谷山行毅君) 只今の御趣旨に副うように極力努力いたします。
  74. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は厚生大臣にちよつと、一つだけ伺つておきたいのですが、来年度の予算は、先ほど山下さんも言われたように、余りに過小なんですが、今中毒患者は百三十万くらいあるのです。来年度三千床ぐらい作つて、どういうふうな方法でおやりになるつもりでございましようか。それから中毒症状だけがなくなつたからといつて、これを社会へ帰しますと、直ぐ又元の網に引つかかつて、転落して行くのですが、これに対して相当のアフター・ケア式なものもなければ駄目じやないかと思うのですが、そこまで考えておいでになるかどうか。取りあえずの泥繩式の措置としてお考えなつておるかどうか。この点一つ、しつかりしたところをお聞かせ願いたい。
  75. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 実はヒロポンの重症患者の収容治療を必要とする者は、従来は精神病院を主として充てておつたわけであります。併し先ほど申上げましたように、本年度も是非ヒロポン患者中心にした収容施設を必要と存じまして、取りあえず二百五十床の年度内の建設をいたしたいと存じております。明年度は大体三千床余りを考えておりますが、これはヒロポン患者は、必らずしもここだけではなしに、一般の、従来のように、精神病院にも入り得るものがあると思います。ただヒロポン患者の場合には、一般の精神病と違つて期間が極く短くてやれる。それからアフター・ケア等の施設が必要じやないかという御意見もありますが、勿論患者によりましては、そういうことも必要であろうということも考えられますが、普通の結核等のアフター・ケアというようなものとは、だいぶ趣きを違わしておると思います。大体は、ヒロポン患者は或る期間の治療によりまして、その常習の癖がなくなつて来て、落ちついて来たら、その期間が割りに短かくて済む。又普通の精神病とも、その点も大変違つている。従つて或る意味においては、やりやすいということが言える。期間が短かく、回転率が大変早いというのが、割りに治療の便宜がありはしないかと、一応そういう点で、或いは従来の精神病床なり、本年度におきましてもこの方面にも相当力を注いで参つたのでございますが、或いは明年度におきましても、相当この点を考えております。専門的なヒロポンの関係は、先ほども申上げた通りでございますが、それでやつて参りまして、大体一応は今収容している強度のものをやつて行かなければならないというので、大体の一応の目途はつくのじやないか。つかんようになりますると、又対策を練つて参りたいと考えておりますが、一応そう考えております。
  76. 藤原道子

    ○藤原道子君 私、大臣考え方が少し、やつぱり安易だと思うのです。二十六年度で我々が騒いで、覚せい剤取締法ができている。ところが、今日このような大騒ぎになつて、そしてやつとヒロポン対策協議会というようなものを作ろうと考えておる、こういう御答弁なんです。とんでもない手遅れだと思う。そこへ以て来て、それは成るほど回復する期間は短くて、回復はするけれども、三千床をどこにどう作られるか、殆んど全国に拡がつている。で、中毒が切れたから、すぐ出す。又それがかかつて来る。いたちごつこするような結果になるのです。それからいま一つは、精神病院に収容して云々ということもありましたけれども、精神病院そのものがお手上げじやありませんか。精神病患者だけすら収容できなくて、社会に害毒を与えている。こういう点から考えて、一つよつぽど、六億なんという金では私はとてもできないと思いまするが、これで一応やつて行けると言う。厚生大臣なんです。あなたは、厚生大臣なんですよ。ほかの大臣なら、その答弁で私はしようがないと思うけれども厚生大臣は、如何にして国民を守るかというところに、あなたの使命があるのです。そのあなたの答えのほうが、ほかの人よりも、何だかこれを軽く見ているように私は思われてしようがない。昨年度相当ヒロポン予算を計上されたけれども、大蔵省で削られてしまつて、泣き寝入りになる。今度はどういう見通しでしようか。その点は、本当にあなたは三千床で一応目途がつくとお考えなんでしようか。しつかりした御答弁を伺いたいと思います。
  77. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) ヒロポンの重症患者というのは、先ほど申上げましたように、全般のヒロポンの中毒症状という点から考えますと、入院さして治療をする場合におきましては、大体私はその程度で行けるのじやないか。尤もそのほかに、一般精神病院も現在、今年も千八百増床しましたから、これを充てております。一般精神病院、そのほかに今回は二百五十を特別に作ろうというわけなんです。それで割りに短期間で、最近出ました者が殆んど再発がなしに、七、八〇%ぐらいはそのままなおつております。中に極く少なく再発の状態もありますが、大体はなおつている。そしてその期間も短くて、更にそれを回転をして参りますと、三千床というのは相当な私どもは病床だと考えております。全体からすると、百万というような数字も言われておりますが、併し収容して治療し、而も相当期間指導に当つて参ります上におきましては、それに対するすべての準備をしてかからねばなりません。医療方面の或いはこれに対する人的な方面、そういう点を考えますと、大体このくらいが来年度としては限度ではないか、こう考えております。従つて、これを最も十分な活用をしなければならん。勿論一般の精神病院も活用し、活かして参り、撲滅対策一つの大きいものにして参りたい、かように考えております。
  78. 藤原道子

    ○藤原道子君 不満でございますけれども、それはいずれ又小委員会等で十分練るわけでございますから、厚生大臣に対してはこの程度にいたしまして、私素人だから、笑われるかも知れないけれども法務省関係にお伺いしたい。これは少々なことでは根絶できないと思うのです。聞くところによると、それこそ莫大な利益が上る。密造によつて、二十キロくらいやれば、百万円くらいから儲かるというようなことも聞いておりますから、少々なことでは根絶はできないと思うので、特別な立法措置としまして、これが赤線地区であるとか、パチンコ屋であるとか、ああいうところが仲介になつておる場合には、そういうことをした者には営業停止をくれるとか、或いは又密造等によつて法を犯した者には財産を没収するとか、これはこつちで考えることですけれども、そういうふうな措置もできるものでしようか。このヒロポン対策として、法律を作れば法律を作るのだけれども、財産没収ができるかどうか。
  79. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) 最初のほうの、利益が非常に上るからして、それに対して例えばパチンコ屋とか或いは赤線区域とか、そういうところでやつた場合には、営業停止なり営業取消をやつたらどうか、こういう御意見でありますが、この点は主として警察庁関係かと思いますが、風俗営業取締規則におきまして、特別の許可条件にかからしめておるというふうな場合には、その取消なり或いは停止は可能である、こういうふうに考えております。それから財産没収の問題でございますが、これは新たなる刑罰を考えるというふうなことで、刑法そのものの問題にからんで来るかと思います。或いはそこまで参りませんでも、罰金の操作、或いは現在も、この前の改正で没収の規定を変えて頂きまして、原則として必ず没収する、本人の所有でなくても、所持しておるものでも、没収するというふうな規定に変えて頂きましたので、それを活用することによつて或る程度は賄えるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。家産没収というのは、これは又所有権その他の問題で相当問題があろうかと思いますので、なお検討さして頂きたいと思います。
  80. 高野一夫

    高野一夫君 刑事課長に伺いたいのですが、先ほど警視庁から頂戴した、御説明のあつた資料の中に、違反者職業別が出ている。この中に学生、それと工員と会社員がある。そこで先ず私が伺いたいのは、学生の違反者が出た場合には、当該学校に対して何らか適当な処置をとるように連絡をなさるものであるかどうか。そうしてその違反した学生はその学校にもう戻れないのか、或いはずつと、改悛の情が顕著であるとするならば、戻つて学業が続けられるような状態になつているかどうか。その辺の実情連絡状況、いわゆるその学校ではもう二度とこういうことは起らないように、教職員すべて注意してくれというようなことでも連絡をされるのかどうか。それから工員と会社員の場合がある。こういうところに違反者が出た場合、皆工場をやめたり会社をやめたりするのか。或いはこれも改悛の信が顕著であるとするならば、温かく又迎え入れて、そうしてよく、二度と違反行為を起さないように補導させるようなことをやはり連絡をとられるものかどうか。どういう実情なつているか、この二点を一つつてみたいと思います。
  81. 長戸寛美

    説明員長戸寛美君) 学生については、少し古いものでございますが、その割合から申しますと、一・二%であるとかというふうに考えておりますが、学生の場合におきましては、大体においてそれは二十歳未満の少年と考えていいかと思います。少年の場合でございますと、御存じのように、検察庁に参りますればそれを調べまして、それが刑事処分相当でございますれば、その旨の意見を付けて家庭裁判所に回す、保護処分相当考える場合には、その旨の意見を付けて家庭裁判所に回すというふうになるわけでございます。恐らく現在におきましては、恐らくと申しまするよりも、只今までの実績から考えますと、単に覚せい剤をみずから使用しておるという少年に対しましては、家庭裁判所は多く保護処分をいたしておる、こう考えるわけであります。それから保護処分の中でも、少年院送致というふうなことでございますと、これは学校のほうは恐らく停学、退学というふうになつて参るかと思うのであります。ところが、保護観察なり或いは親元に引取らせる、或いは適当の保護者に付するというふうな場合には、これは学校のほうが停学になる場合、退学になる場合もございましようが、引続きそのまま学校に在学するという場合もあろうかと思います。工場のほうにつきましては、これは必ずしも少年に限りませんので、実際補導をやつておられる警察のほうが詳しいかと思いますので、私からはその点だけお答えしておきます。
  82. 中川董治

    説明員(中川董治君) 覚せい剤違反被疑者関係で、学生の場合、工場の工員の関係の場合、それぞれあるわけでございますが、いずれも犯罪の態様によることと思います。少年の場合は、今長戸刑事課長が申しましたように、家庭裁判所等の関係もありますし、それから殊に少年の犯罪につきましては、ひとり覚せい剤所持者に限らず、少年に対しましては、少年の更生という見地を中心考えましての犯罪捜査を行いますので、いろいろ少年補導という関連におきまして、学校関係者等とも密接に連絡いたしますし、場合によりましては、犯罪捜査におきましても少年の名誉の保持ということも考えながら、ケース・バイ・ケースで措置するようなことになつておるのでございます。工員の場合は千変万様でございまして、年齢層にもよりましようが、その態様によりまして、殊に密造のごときは断固厳重な処分に付するということに行こうかと思いますけれども、単に使用関係のみであるというような場合におきましては、本人の更生も念慮におきながら、必要な刑事処分というような方法で、ケース・バイ・ケースに処置している、かような現状であります。
  83. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 本日の本件についての質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。
  85. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 委員の交代について御報告いたします。本日付を以て委員の前田穰君が辞任せられ、河野謙三君が選任せられましたので右御報告いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  86. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を起して下さい。  それでは次に小委員会設置の件を議題といたします。医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を審査のため、医薬分業実施に関する小委員会を設けたいと存じます。その数は六人として、小委員委員長の指名とすることに御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。小委員会を設置することに決定いたしました。  医薬分業実施に関する小委員を指名いたします。中山壽彦君高野一夫君、常岡一郎君、藤原道子君、山下義信君、有馬英二君、以上の方々にお願いいたします。  只今決定いたしました小委員会に対し、医師法、歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、継続審査事件を審査せしめることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会