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1954-11-24 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十四日(水曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    委員            中山 壽彦君            榊原  亨君            谷口弥三郎君            高野 一夫君            横山 フク君            高良 とみ君            山下 義信君            藤原 道子君            有馬 英二君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君    説明員厚生省医    務局長     曾田 長宗君    厚生省保険局長 久下 勝次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (新医療費体系に関する件) ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは、只今から厚生委員会を開会いたします。  覚せい剤取締に関する小委員及び社会医療関係の諸問題に関する小委員補欠互選を行いたいと思います。選出の方法は、成規の手続を省略して委員長の指名とすることに、御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは覚せい剤取締に関する小委員として、横山フク君(横山フク君の補欠)、谷口弥三郎君(谷口弥三郎君の補欠)、藤原道子君(藤原道子君の補欠)、山下義信君(堂森芳夫君の補欠)、有馬英二君(有馬英二君の補欠)、以上にお願いいたします。又社会医療関係の諸問題に関する小委員として、有馬英二君(紅露みつ君の補欠)にお願いいたします。   —————————————
  4. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 次に新医療費体系に関する件を議題といたします。前回に引続き御質疑を願います。厚生大臣はちよつと遅れるそうですから、局長に対する御質問からお願いしたいと思います。
  5. 有馬英二

    有馬英二君 私は新医療費体系について二、三の質問をしたいと思います。大臣が見えられませんから、局長にお願いします。この資料を見ますと、総医療費が年々増加の傾向を示しておる。この原因については先般来榊原委員からもいろいろ御質問があり、医務局長でありましたか答弁があつたと思うのですが、これを国民所得と比較して、大体何%くらいが適正であるかということは、厚生省で大体計算をされておるかどうか、それをお伺いしたい、曾田局長に……。
  6. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) お手許に差上げました国民医療費一つの推算でございまして、金額をその当該年国民所得というものと比べて参りますと、ちよつと数字を正確に覚えておりませんのですが、昭和二十三、四年頃には四%をちよつと超えていたのではないかと思つております。それが逐次減少いたしまして、昭和二十六年に二六%かになつたと思つております。その後二十七年、二十八年と、又幾分ずつあとに戻して来ておりまして、大体三%程度というものが現状として、日本の総医療費に使われておるのではなかろうかというようなことを、前にも申上げたと思うのであります。そうしてこのパーセンテージが果して妥当なものか、或いは国民医療費としての限度であるかというような問題になりますと、問題がおのずから変つて参ると思うのであります。大体実状としては、さようなところになつておるということを、資料で御理解願えると思つております。
  7. 有馬英二

    有馬英二君 国民所得との比率がだんだん多くなりつつあるというのが今の二、三年ですが、それが二%から三%の間にある。外国の比例はどれくらいになつておりますか、諸外国統計がございましようか。
  8. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これも具体的には申上げかねますが、国民所得との比率といたしますと、大体いわゆる欧米文明国と申しますか、こういうようなところでは、約日本の倍くらい、六%くらいのところになつているように承知しております。
  9. 有馬英二

    有馬英二君 戦前の統計は確かなものがないというように、私も余り調べていないのですが、大正十五年頃の内務省の社会局調査というのには、大体六%くらいであるということでありますが、その辺の詳しい統計がございますか。
  10. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは私どもが承知いたしておりますのは、医療費のほかにいろいろな、もう少し広い意味での保健衛生費というようなものを含めまして、六%くらいになつておつたと了解しております。
  11. 有馬英二

    有馬英二君 現在の医療費は非常にかさんでいるように言われているけれども国民所得がだんだんに年と共に増加して行く点からいうと、割合にその増加の率が結局国民所得に比例しては増加をしていないということに考えられるのですが、この点については医務局長はどういう工合にお考えなつておりますか。
  12. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 今もお話のように、総医療費金額が若干殖えましたとしても、国民所得に対する比率としては却つて減少を示すというような事情があることは、仰せの通りでございますが、この二、三年の間は、国民所得増加より以上に国民医療費増加の、何と申しますか、速度のほうが早いということが認められると思います。
  13. 有馬英二

    有馬英二君 それからこの医療費支払われている費用をみますというと、公費負担患者負担ということに分けてあるが、公費負担金は二十六年度から二十七年度の増が四二%、それから二十七年度と二十八年度と比べると二五%になるようである。つまり二十六年度—二十七年度、二十七年度—二十八年度というように、だんだん減つてきつつあるように思われる。然るに患者負担分のほうを見ますと、二十六年度と二十七年度が二五%の増であるのに、二十七年度と二十八年度は五〇%の増になつておる。丁度公費負担患者負担分増加の率が逆になつております。つまり患者負担分のほうが最近に激増しておるように見える。最近我々は社会保険制度がだんだん普及して、もつぱらそのほうに、政府も或いは医療のほうにおいても、重きを加えておるように思えるのである。ところが、この負担分から見ますと、どうもこれが逆行しているように考えられる。この患者負担分というものの中に、一般自由診療収入はどのくらいに当るものであるか、その辺のお見込はどうなんですか。
  14. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この公費負担と書いてございますのは、言葉としては、非常に悪いのでございまして、いわゆる患者自己負担というものに対して、それ以外の、何と申しますか、公的な性格を帯びた医療費負担というような意味でございまして、例えば社会保険のような場合には、結局保険組合負担いたしましたとしても、被保険者があらかじめ積立てておいた保険料支払われるということになつていると思うのであります。そういうような意味のもの、それにいろいろと国或いは地方公共団体等から支出します純粋意味での公費というものと、二つのものがこれに含まれておると思うのでありまして、それに対しまして患者負担というのは、純粋自由診療の分と、それから社会保険を利用いたしましたとしても、そのうちの一部を患者負担するというものと、両者が含まれておるわけでございまして、そういうような点から参つて公費と申しましても、このうちにはいわゆる国或いは地方公共団体負担いたします純粋公費というものが、これも逐次増額されて行つておるとは思うのでありますけれども、その進め方と、それから社会保険が普及して参りますれば、結局患者があらかじめ金は出すのでありますけれども、そういうように社会保険というような特別な組織或いは団体を通じて医療費支払われるということになつて参ります。で、こちらは今のように純粋の、税金で以て賄われます医療費というものが殖えるその度合と、それから社会保険のようなものの伸びて参ります状況というものによつて、この増加スピードが速まつたり遅くなつたりして参ります。それから患者負担という部分は、結局まあ申しますれば、保険のようなものができましてより医師にかかり易くなるというようなことになりますれば、半額負担であつてもお医者さんに診てもらおうという人が殖えて来る。或いは又純粋自費でございますれば、一般に経済的な余裕余裕がないまでもどうにか生活が多少落着いて来れる、そういう気分になるというようなことになりますれば、患者がたくさんになつて来るというような関係考えられるのではないかと思うのでありまして、今比率の問題について御質問がございましたが、これは推計をいたしたことはあるのでございますが、純粋患者負担は、いわゆる純粋患者負担と申しますよりも、純粋自費患者でありますが、自費患者はおおむね二〇%ぐらい、二〇%を少し切るのではないかというくらいに思つておるのでございますが、そのくらいのものではないかと考えておりますので、そうしますと、この患者負担、広い意味での患者負担の分からそれを減じて頂きますると、社会保険等の場合に患者が一部負担いたしまする分も出て来ると思うのでありますが、今ちよつとはつきりした数字が見つけ出せませんので、大ざつぱにはそのくらいの見当をつけております。
  15. 有馬英二

    有馬英二君 どうも今の御説明は余りはつきりしないのですが、一般自由診療は約二〇%くらいであるというような見当らしい。それはまあそういう工合に了解いたしますが、そうすると、それにしても二十六年度—二十七年度と比較して、二十七年度—二十八年度の増が約倍に殖えているのですから、自由診療が殖えているとは私はどうしても考えられないので、今の御説明によると、患者窓口支払が殖えているという工合考えられる。そうすると、保険診療において本人の診療よりも家族診療のほうが殖えているというように解釈しなければ、理窟が通らんように思うのですが、如何でしようか。
  16. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 先生の御質疑意味が私よく……聞き漏れいたしたのではないかと思つているのでございますが、要点を、相済みませんが、もう一度……。
  17. 有馬英二

    有馬英二君 もう一度言います。二十六年度から二十八年度の間に、二十六年度—二十七年度の患者負担の増よりも、二十七年度—二十八年度、即ち一年だけこつちに近いのですが、現在に……、そのほうの増のほうが、この統計によると、倍殖えている。増加率が倍になつている。そうすると、その理由はどこに求めるかというと、自由診療ではないということであれば、今の御説明で……、患者窓口支払家族ですね、ということに解釈しないというと、どうもわけがわからない。そうすると、近来は健康保険家族診療が殖えておる、一年前よりも二十七年—二十八年のほうが殖えておるということに解釈しなければ、解釈できないように思うのですが、そういう工合に解釈しますかということを、伺つているのです。
  18. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 二十六年と二十七年の公費負担分の増を見ますと、前の年が五百七十三億でございましたのが八百十六億になつておりますので、その差は二百四十億ばかりになります。そういたしますと、これは四〇%の増ということであります。それに対しまして、八百十六億から二十八年度では千四十五億ということでございますので、大体といたしまして二百三十億の増でございます。そうすると、これは三〇%の増でございますので、先生がおつしやいますように、二十六年から七年に対するよりも、二十七年から八年に対するのが増加が激しいとおつしやる意味が、よく掴み得ないのでございますが。
  19. 有馬英二

    有馬英二君 あなたの言われるのは公費負担ですが、私は患者負担のほうでございます。
  20. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 患者負担のほうでございますか。患者負担は、二十六年から二十七年に参りますのがやはり四〇%……。
  21. 有馬英二

    有馬英二君 いや、そんなことはないでしよう。五百七億と七百十億ですから、どうしても二五%です。
  22. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 二百億ですから、パーセントにしますと四〇%になります。五百億に対する二百億でございますから、四〇%になると思います。それから七百十億が翌年には九百二十八億幾らになつておりますので、これが又二百十億ばかり殖えておりますので、これは三〇%です。前の年は四〇%で、その次は三〇%になると存じます。
  23. 有馬英二

    有馬英二君 私は五〇%だと計算しておるのですが、どつちにしても、患者負担のほうが却つて近来は殖えておる。これは先ほどの御説明だと、半分は患者家族でしようか、窓口支払ということになりまするから、そうすると、それは一般自由診療が殖えていないということであれば、患者家族負担のほうが殖えているというように解釈されるのかどうか。公費負担患者負担とはパラレルに増加していないと私は思うのですが、どうでしようか。
  24. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) なかなか、この種類統計調査の結果の分析は非常にむずかしくて、簡単に断定的なことは申上げかねると思うのでありますが、今申上げましたように、患者負担分としてございますものの増加ということは、一つ自費患者が今までよりもより多く、経済的にと申しますか、生活全般として落着いた気分になりますというと、お医者様に診てもらおうという気持が高まつて参ります。その状況が戦後の非常に苦しかつたとき、又落着かない気持でおりましたときに比べると、幾分ずつ殖えて来たのではないか。或いは又その場合に、診療を受けます際の診療程度と申しますか、そういうようなものが幾分ずつでも改善されつつあるのではないかというようなことが、一面においては考えられるのであります。他面におきましては、社会保険が伸びて来るというようなことによりまして、これは被保険者と共に被扶養者医師にかかる者も殖えて参りますので、これも逐次増加して参るということで、どちらのほうがより激しいスピードで殖えて来るかということにつきましては、これは資料をもう少し検討いたしますれば、少し内容が明らかになつて来るかと思うのでありますが、今直ちに申し上げることは、少しはつきりいたしませんので、控えたいと思います。
  25. 有馬英二

    有馬英二君 なお医療従業員人件費のことですが、この資料によりますと、医療従業員人件費が極めて低いところにあるように、私ども思う。即ち非常に低収入である。医師看護婦も、すべてそのように思う。ほかの業種と比べて、医師人件費が非常に切り詰めてあるように思われる。こういうような低い人件費をもととして、医師歯科医師、或いは薬剤師等技術料を今度は算定するということであるのですが、そうすると、この低い収入技術料を算定すれば、技術料は非常に安くならなければならんように私は思うのです。ですから、こういうようなほかの業種に比べて人件費が極めて安い、それをそのまま適正であると考えて、それを基調にして新らしい医師歯科医師薬剤師等技術料を今度設定されるということは、私はどうもそこに大きな誤りがあるというように考られるのですが、その点はどうお考えになりますか。
  26. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 今般お示しいたしました資料は、飽くまでも二十七年の三月としての現状を分析いたしましたものであるのでありまして、従いましてこれがあるべき姿であつたかどうかということについては問題があるわけでありまして、十分検討しまして、是正すべきものは是正する途を講じて行かなければならんと思うのであります。  又医療関係者待遇、給与というようなものにつきましては、私ども特に医務行政を担当している者等から申しますれば、できるだけよりよい待遇というものが与えられますように望んでおるわけであります。併しながら、今般提出いたしましたいわゆる新医療費体系というものは、再々申上げますように、この新らしい体系をとつた、新らしい医療費支払い方を採用したということによつて、今までのかような人たち待遇が一挙によくなつて来る、そのためには、ほかから経費が回つて参りましたならば別問題でありますけれども、そうでもございませんとすれば、今度医療費支払う人の側に、ただ新医療費体系採用なつたということだけで、診療内容が同じであるにかかわらず、経費が余計に支払われなければならんというようなことでは、負担が殖えて来るというようなことで、この趣旨と合わないのではないかというようにも考えられます。一応この新医療費体系として取入れましたのは、支払方法の変更ということと考えられます。そのことによつて患者負担を殖して行くというようなふうには考えられませんので、一応この体系の案としては、これを採用なつたからといつて医師或いはそのほかの人たち待遇が直ちによくなつて来るというふうにには考えない。勿論このことは、別個に、医療関係者生活向上待遇改善というようなことは無視するという意味ではないのでありまして、飽くまでもこれは一つ別個の問題としてこれを考えて行かなければならん。別個の問題と申しますのは、今の医療費体系の中にその問題も一緒にぶち込んで行つたほうが合理的ではないかという考えにつきまして、若しも一緒考えられるものならば考えたいところでございますけれども、この問題は相当いろいろ他の要素も入つて来るのでありますので、さような点に関連する事項を十分に考究して参るというためには、一応切り離すことが妥当であろうというふうに考えた次第であります。
  27. 有馬英二

    有馬英二君 私ども考えとは大変な差がある。私どもが新医療費体系という名の下に了解しておるのは、日本における医療全般に亘る正しい見方、正しい解説、それが医業の経営というようなことに直接つながつておるのですから、若しもつながるとすれば、そういう点も十分この際考慮して、どれが一番適切であるか。医業といえども、これは従来考えていられるように、医者国民に奉仕をするのであるというような考えの下に、やたらに医業を圧迫する。医業の経済が成り立つて行かないというような、殊に少くとも最近においては、殊に戦後最もそういう面が顕著になつて来て、医家はすべてそれを非常にやかましく叫びつつあります。これは厚生当局も十分御承知のことと思うのです。これを打つちやらかしておいて、適切なる医療費の算定ということは、あり得ないと私どもは思うので、どうしても必要なる経費人件費、或いは施設の改善、そういうことに十分なる資本を投ずるというようにして、医療向上ということを主眼とし、又一般国民医療改善、或いはまあ正しく言えば維持向上でありましようが、そういうことが可能なように持つて行かなければ、ただどうも今の枠を少しもいじらないで割振りをきめたに過ぎないということでは、到底それは、ただ医家の満足を買わないばかりでなく、そういうような誤つた考えの下に誤つた医療費体系を組まれても、それは実行が不可能であると私ども考える。  この前もこれはこの委員会で問題になつたようでありますが、処方箋料を全然無視しておるということについて、これは医務局長もそうでありますが、保険局長も同じであろうと思うのですが、或いはくどいようであるかも知れません、或いは同じことを繰返すように考えられるかもしれませんが、この点は先般山下委員からも、榊原委員からも、御質問なつたと思うのですけれども、私は私で、特に私は内科医というような立場に立つてこれを考えるときに、厚生当局考えの間違つておるということを、ここに指摘しなければならんと思うのです。というのは、外科方面専門では、診察をすれば必ずそのあとは、処置をするか或いは手術をするのです。それに対しては適切なる報酬支払われておる。例えば保険においても、どういう手術は何点であるというようなことがちやんときめられておる。ところが、内科医、詳しく言えば内科小児科方面は、それに代るものはいわゆる投薬であります。これはまあ注射は別としまして、主として薬で以て治療をする。それには投薬をするのですから、投薬を必要とする場合においては処方箋を発行しなければならんということになつておるのです。つまりこの際処方箋内容というもの、即ち薬を指示するその内容は、外科医処置或いは手術と同じように、これは匹敵しなければならんわけです。その処方箋の中に記載されておるところの薬の分量、或いは薬の性質種類というようなものは、何をどれだけやるというようなことが、つまりその医師の経験とそれから知識というものがそこへ現われて来ておるのであつて、それで或いは病気がなおらんこともあり、又非常に効を奏してなおることもあるというように、いろいろの差がそこに生ずるのでありますが、結局はその医師技術に相当するものがそこに出て来ておる。言い換えて見るというと、その処方箋内容というものが患者生命を左右するところの絶対であり、或いは非常な尊厳である。かような貴重なる記載が無価値であるというように取扱われて、何もそれに対して報酬支払われない。保険局長の話では、それは紙代鉛筆代インキ代に過ぎないというような話である。そういうことは内科或いは小児科医師に対するところの非常な軽視であり、或いは非常な侮辱である。これはどうも何人もそれに対しては承認するものでないと、私は思うのです。特に医務局長は、自分が医者であるというようなこともこの前に言われたのですが、そうすれば、そういうことくらいはよくおわかりにならんはずはないと私は思うのです。然るにやはりこの新らしい医療費体系には、診察料は四点、登録料としてそれに二点を追加するというようなことが、初診料ですけれども、それだけで、処方箋料というものは少しも記載されていない。処方箋報酬支払わんというふうに記載されておる。この点は、何としても承服いたしがたいのです。そういうようなことが、外国で一体あるかどうか、どこの国でそういうことをやつておるかということを、一つお示しを願いたい。又そういうことをやつて、一体日本医者が全部それをその通りだと言つて承知するかどうかということを、考えられたかどうか。処方箋料初診料の中に含めたとか、或いは再診料の中に含めたとかというようなことを、先だつて言われたかのように私は聞いたのですが、そんなことはどうも途方もないことなんで、初診料、再診料というものと処方箋料というものとは、断然性質が違う。処方箋がなければ、患者生命を救うこともできない。そういう非常な価値のあるものに対して、全く無価値であるというような、それに報酬支払わんというような規定をされるというその根本観念が、誠に誤りであると私は思うのですが、それを誤りでないとお考えになるならば、どういう根拠でそれが誤りでないとお考えになるか。若しこういう規定一般に行われるようになつたら、それこそ欧米諸国にこういうことがだんだん知れるに違いないと思うのですが、日本では処方箋というものは無価値なもののように政府はきめたのだそうだというようなことになれば、一体日本人というものは処方箋ということに対してどういう考えを持つておるのであろうか。で、日本人全体、少くとも日本医師に対する評価と言いましようか、それから変つて行く。或いは日本医師が侮蔑されるというところへも行くのではないかと、私ども考える。この点は、特に私は内科医としての立場から、よく納得の行くような御説明を願いたい。
  28. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この問題も、私どももいろいろ検討をしたのでございますが、一つには内科小児科医の仕事は、先ず第一に、患者が参りますればその病状を聞いて、それからいろいろ検査をして、診断をつけて、そうして治療方針を立てて、投薬の必要があれば処方を書かれるということでありまして、厳密に申しますれば、診断と、それからそれに続いて如何ような処置を加えるかという方針が立つて、そうしてその患者をなおす、病人の病気をなおす一つの手段として、処方箋考えられ、書かれ、又は交付されるということになるのでありますので、さような意味から参りますれば、これは厳密な意味での診断料と、それから治療処置の一環としての処方箋交付ということは、これは明らかに分れることなのであります。併し実際問題といたしましては、診察をなされる、そうしてその間にだんだんと病状が明らかになるに従つて一つ病気としてのはつきりしたものが固まつて参るでありましようし、その間にどういう処置をするかというようなことをお考えになるものと思うのでありまして、姿といたしましては、それは一通り診断がついてからお考えになることもあるかも知れませんけれども、そのあと先生の頭に浮かんで参りましたものを紙に書き下されるというようなことで、非常にこの二つの行為は密接に結び付いておるというふうに考えられるのでありまして、これは前にも申上げましたように、眼科、耳鼻科というような場合に、洗眼、点眼をするというようなときにも、これはむしろ現在は処置考えられておりますけれども、その間において、前回よりもよくなつたか悪くなつたかというようなことを判断されて、診断的な行為が入つておると思うのでありますけれども、これを明確に分けるわけには行かないというようなところから、かようなものは実際問題としては、一応概念としては分れるけれども一つにまとめて診療報酬の対象である行為と考えていいのではなかろうかというふうに考えた次第でありまして、簡単な洗眼、点眼というようなものはむしろ、今までの考え方で行きますれば、処置であつて診察的のものではないというふうに考えられたのですが、併し診察的な要素もその中に入つておるので、一応診察料というものを設けるとすれば、眼科、耳鼻科の場合にもこれを同額をお支払いするその代り点眼、洗眼というようなものの処置料は別に払わないことにいたしたいというふうに考えたわけでありまして、丁度その関係が逆になるようなことで、内科小児科の場合には、これは主として診断をおつけになるのに時間が余計かかると思うのです。それに合されて処方が考えられ、又それが書き下されるものと思うわけでありまして、確かに広い意味での、医学的にいいますと、処置的な部分というものは、その中にも入るのでありますけれども、これを細かく分けるよりは、やはり一体として考えたほうが、大部分が診断的なものでございまして、それに処置的な要素が幾分つておるということで、これを一緒にして頂きたい。で、若しもこれを分けますならば、私どもは今の、私ども最初に出しました四点五分九厘幾らといいますものを、それでは純粋診断的な部分と、それから処方料というふうに、二つにわけるかということが考えられるのでありますが、これはもう全く、ただ形だけの問題なので、実際上から言つても、一本で差支えないのではなかろうかというふうに考えた次第であります。で、このことは、今眼科、耳鼻科のところで申上げましたように、外科系統の場合には、診察料支払われていながら、そのほかに更に処置料、手術料というものが支払われるというお話でございましたけれども、これは外科のほうでは今のように簡易な処置というものは、これを全然診察料の中に含まれるものと考えるか、或いはそれを減点にいたして、その減点分は診察料に含まれるものと考えるかというような工合に考慮して参りましたので、内科系統と外科系統とで実質的に不均衡が起るというようなことはないと考えております。それからもう一つは、厳密に申しますと、内科小児科純粋診断料、外科の診断料、或いは眼科、耳鼻科の診断料というものは、それぞれ違つて参ると思うのでありまして、そういうような場合に、各科ごとに初診料、再診料というようなものを別個に定めるということが一つの行き方であります。併しながらこれは非常に煩わしいこととなつて参りますから、実際的にはそれらを通じた一つ報酬の姿というものを考えて、そしてそこで起つて来る不自然さというものを実質的に調整して参りたいというふうに考えた次第であります。  それからもう一つ処方箋料というものを取らない国というのがどこにあるか、国の名前を言えというような御質問が、他の機会にもございましたが、今先生からもおつしやいましたが、私ども今できるだけ調べて正確なお答えを申上げたいと思うのでありますが、私逆に考えますというと、処方箋料というものを出している国がどこにあるだろうか、(榊原亨君「我が国にある」と述ぶ)極端なことを申しますならば、処方箋料というものをあれしている所がどうだろうか、これはむしろ診察料と申しますか、コンサルテーシヨンということであれしておりますので、処方箋を出した出さんということ、処方箋だけの報酬支払つているというような所は、私も決してないなんという大それたことを申すのではありませんが、案外非常に限られた場合になつて参るのではなかろうか。一般的に支払つているという姿はどこでやつているのでありましようか、私どもよく調べてみたいというふうに考えておるわけであります。
  29. 榊原亨

    榊原亨君 関連して……今の処方箋料の問題でありますが、それでは現行の健康保険において、処方箋料五点というものを明らかに挙げておるが、今のお話だというと、診察のうちに処方箋というものは含まれて、はつきり分離することはできないというお話でありますが、現に分離しておるじやありませんか。それを薬と分けるために、今度は分離したものを一緒にしようと、こういうお考えで、今の処方箋料五点になつておるのは妥当ではないのでありますか。如何ですか、医務局長。遠い国を探さなくても、日本の国で現にやつておる。処方箋料五点……。
  30. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは保険局長からお答え願つたほうがいいかも知れませんけれども、私の考え方を一応申上げさして頂きますれば、私は、今日におきましては医師に対する報酬が、物に対する対価とそれ以外のものとの分離が明確でございませんために、診察料というものが十分支払われずに、薬価という形、薬治料という形で、その中に含まれて支払われておる現状は、御承知の通りでございます。そういうようなところで、普通の場合に医師から投薬が行われました場合には、そのなかの一部分が診察料的部分として医師支払われておると思うのであります。ところが、投薬をいたさずに処方箋だけを医師支払うというようなことが、日本では例外的な事情になつておるのでありますが、さような場合、多くの場合には一々お医者さんのところへ薬をもらいに来れない、或いは旅行に出るとかなんとかいうときに、処方箋をもらいに来るかたが多いと思うのでありますが、そういうような際に、そういたしますと、全然その場合に支払いをしないということになりますと、医師のいわゆる診察料的な部分が十分報いられない、こういうようなことでは困るので、何かの形で医師に対する報酬を確保しなければならんというようなところから、処方箋料という姿が考案されて参つたものというふうに考えられるのであります。勿論ほかにも理由はございましようけれども、それが一つの大きい理由ではないかと考えるのであります。
  31. 有馬英二

    有馬英二君 先ほどの、私は処方箋料のことを聞いたのですが、処方箋料というものを診察料のなかに含めてあるような御答弁であつたように聞いたのですが、実質的には殆んど差がないようであるというような話でもあり、併し今度の新らしいそれでは医療費体系の中に、内科初診料が二点、登録料ですか登記料ですか、そういうような名目で以てそれは保険者から支払う、そうして四点は前と同じように被保険者側から払うのだというようなことが書いてある。そうすると、四点という面から見れば何も変つていない。今までも四点ですから、初診料は何にも変つていないことになる。それなのに、処方箋を出す内科医の場合は、何にも、新らしく処方箋を出しても収入にならない。そうすると、初診料も別に多くない。処方箋料初診料の中に含まれておるというのですが、それは別に内科医とは関係はない。どの医者でも、外科医であろうが耳鼻科医であろうが、産科医であろうが、何でも初診料の場合には二点追加になるのですけれども、それは内科医とは関係ないのですから、内科医という立場からいうと、処方箋というものが投薬を指示するそれが何よりの根拠であり、それが先ほど言いましたように、外科の処置であるとか或いは手術であるとかいうものと匹敵するところの治療の一環である。それに対して無報酬であるということは、どうしても考えられないのみならず、現在又それに対するそれでは報酬の一部分をどこへ加えるのであるかというと、どこにも加えてないと私は思う。加えてあるようなお話を聞くけれども、実際においては加えてないことになるわけです。そういうことに対するあなたの、御答弁になつていないと私は思うのですが、どうでしようか。
  32. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 処方箋を書きますことに対する報酬というようなものが入つておらんではないかというふうに言われるのでございますが、これは私どもとしては入れてあるつもりなのでございまして、ただこれが前にもいろいろとお話の出た疑問点ではないかと思いますが、私どもとしてはこれは時間としては中に入つておるのでございまして、その場合に処方箋を書くというようなことは、短い時間であつても、非常に高度なものであるから、これにいわゆる例のプラス・アルフアを付けなければならんというような問題は起つて参るかと思います。併しながらこれは一応平均的な時間としてはこの中に入つております。それから若しもこれにいわゆるアルフアを付けなければならんということになりますれば、今度他のどこかにマイナス・アルフアを付けて参るというようにいたしますれば、この調整はできると思うのでありますが、一応私どもとしては、ほかのところヘマイナスを特に付けるということも考えられませんので、これも一応時間で以てこの診断及び処方をいたします労力というものに対する報酬を算定したということであります。それからもう一つ、先ほど申上げましたけれども外科医の場合にも初診科を内科小児科と同じに払つてつて、そして外科医の場合には処置料や手術料を払つてそして内科医には処方箋料を払わんということはおかしいというお話でございますが、これは外科の場合にも例の四点以下の処置というようなものは落してございます。で、決して外科医のほうが有利になつて参るということにはならないと考えておるのであります。さように御了承願いたいと思います。
  33. 榊原亨

    榊原亨君 毎々、いろいろ御質問を申上げたのでありますが、少しくまだ残つておりますので、その点について御質問申上げたいと思うのでありますが、人件費の御計算の場合に、医師が一分間に四円三十六銭とかいうようなことになつておりますが、これは病院にあらざる診療所の平均であるというふうにとつてよろしいのであると思うのでありますが、そういたしますると、この中に賞与というものが別に経費のほうに含まれておるが、その賞与はどういうふうに御計算されておりますか。最高八万七千円から最低一万五千円のものとして診療所の御計算をなすつておるのでありますが、別に今度は賞与というようなものが経費の中に入つておるのでありますが、その賞与というものは一体どういうふうに御計算になつておるか。わからなければ、事務当局でよろしい。係官のかた……。
  34. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 大体きまつて給与されますもの、そのきまつてと申します中には、年末のいわゆるボーナスというようなたぐいのものも含んでおるわけでございますが、で、かようなものは人件費の中に、俸給給与の中に入れられておりまして、そのほかに全く臨時的な賞与、非常に忙しかつたとかなんとかいうようなときの臨時的なものが、この経費のほうに入つておるわけであります。
  35. 榊原亨

    榊原亨君 その臨時的なものと申しますのは、ほかの仕事をしたときですか。例えば土木工事をしたとかなんとかいうのじやないでしよう。やはり医療、病院なり診療所なりを経営する上において忙しかつたという忙しかつたではないかと思うのですが、ほかの土木工事をやつたとか、道の修繕をやつたりするときの、その臨時的の賞与の意味でありますか。
  36. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 勿論、今御質問のように、医療関係のないものというものではございませんので、結局病院、診療所の経営をやつておりまして、そして特に苦労が多かつたとかいうようなときの場合でございますが、これは実際問題としては極めて僅かなものになつております。
  37. 榊原亨

    榊原亨君 私は、極めて僅かとかなんとか、量のことを申上げるんじやないのです。この人件費を計算する上においては、それらのものも当然入るべきものだ。あなたは、工合が悪くなつて来ると、これは僅かなものだとかなんとか言う。僅かだつて、一銭だつて二銭だつて、その中に入れなければならん。そういうものを入れずに、人件費を計算した。恩給は如何です、恩給は。
  38. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 恩給と申されますのは、どういうあれでございますか。今受けておるという意味ですか、将来受けるであろう……。
  39. 榊原亨

    榊原亨君 現在受けておるものは勿論でありますが、将来受けるもの。これは診療所にはありませんかも知れませんが、やはり公的診療所というものはこの中に入つておるのでありますが、それではその恩給なんかは入れないでおいておくのか。
  40. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 含んでおりません。
  41. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますというと、給与ということに、非常に違う。私的医療機関においては、恩給はないのですね。従つて私的医療機関のその診療所の先生は、朝から晩まで働きましても、恩給はもらえない。ところが、公的医療機関のほうは恩給はあるのですから、当然その恩給の、それだけ働いた、一年働けば何ぼという恩給があるのですから、当然これは給与の中に入れて計算すべきである。そういうものを入れないで、そうして而も私的医療機関と公的医療機関をごちやごちやにして、或いはベツドのあるものとベツドのないものとをごちやごちやにして、そうして最高八万七千円から最低一万五千円というものを算術平均をとつて、一分間四円三十六銭とお出しになつたその計算は、曾つて統計調査局長としてその職にあられた曾田さんとしては、甚だ粗雑なやり方だと思うのですが、その御所見は如何です。
  42. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 只今言われました個人立の施設の医師の所得というものと、勤務をいたしております者、特に恩給制度のある官公立病院に勤めている者、こういうようなところでは、ただそのときどきの所得だけを比較したのでは、その多寡を論じられないのではないかという御意見は、御尤もでございまして、これをさような意味で問題が提出されましたときには、よくその点を考慮して判断しなければならんというふうに、私ども考えておるのであります。今申されました大体の平均ということを申しておりますのは、このうしろのほうに資料も掲げてあるのでありますが、この病院の場合には、これは相当公立病院等が多くなつております。併しながら一般診療所の場合には、個人立のものが二百四ございまして、それ以外のものは二十というように極く僅かになつておるわけであります。そのうち、殊に無床診療所というものだけをとりますというと、個人立百三十四で、個人立以外のものは十二、十分の一にも足らない状況なつておるのでありますが、大体これを基準といたしましたので、決して不当なものにはなつておらないのではないか、一つの基準としては使い得るものではないかと考えております。
  43. 榊原亨

    榊原亨君 今お話によりますと、個人の診療所以外が非常に少いから、まあ十カ所かなんかだから、そこで計数の上では余り違いないとこういうお答えでありますが、そのこと自身がこの資料の薄弱さを物語つておると私は思う。この前私申上げましたように、全国の今まで社会保険診療報酬の算定の基準というものは、零床におけるところの診療所を基準としておるにかかわらず、たつた十カ所ぐらいしかその調査の対象としておらんというところに、この資料の薄弱さ、脆弱さがある。それを逆に取りまして、たつた十カ所ぐらいしかないのだから、この中でこの人件費の計算に誤りはない。誤りはあるんだけれども、大して影響はない。こういう御所見につきましては、これはもう、私はとやかく申上げなくても、もうおわかり行つたと思うのでありますから、これ以上追及はいたしませんが、これはこの資料の全く一つの盲点であると、私は断ぜざるを得ない。  次に私は、薬局の薬剤師の処遇についての時間の平均は、いろいろ調べて見ましたのでありますが、診療所の薬剤師の一分間の処遇の時間を標準として、御計算になつておるのでありますか。この間私が承わりますというと、この資料は、病院のものはもう入れないのだ、この資料は全く診療所だけを中心に計算された資料であるということを承わつておる。然らば薬剤師の処遇についての計算の出し方は、診療所におけるところの薬剤師のほうの待遇と申しますか、月給と申しますか、そういうものから出て来ました計算をお使いになつていらつしやいますかどうかということを伺います。
  44. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これも資料で差上げてあるのでありますが、病院及び診療所におきましての薬治料の分析というものがお手許に差上げてあるわけであります。その両者の間に、大きな差異は実はございませんのです。実は一方が、診療所のほうがちよつと安くなつておりましたが、大体四円前後のところに両者とも落ちついておるわけであります。診療所におきましては薬剤師も、極めて稀な場合はございましようけれども、多くは看護婦或いは調剤助手というような人たちであり、院長みずから、或いは薬剤師のかたが、担当しておられるという場合は、極めてその中の一部になつております。
  45. 榊原亨

    榊原亨君 そうするというと、この部分については病院の薬剤師の処遇だけ取つて来てお当てはめになりましたということでありますか。
  46. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもは(榊原亨君「時間がございませんから、お答えは簡単にお願いいたします。」と述ぶ)診療所のデーターで取つております。
  47. 榊原亨

    榊原亨君 そうすると、それは診療所で雇われておる薬剤師の月給と申しますか、待遇と申しますか、それを稼働時間で割るということでありますが、それではその数字一つここで資料にしてお見せを願いたい。
  48. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 今ここに細かい数字を持つて参りませんので、御必要とありますれば、あとでお示しいたしたいと考えております。診療所のものを基準として見て、勿論病院のデータは参考として見て参つておるのでありまして、幸いにして大きい差が出ておらないという結果は、御承知の通りであります。
  49. 榊原亨

    榊原亨君 お示しの診療行為別費用計算のところのそれがどこに出て来ておりますか、診療所……IIの6と書いてあるところを私はなんぼ見てもないのですが、それはどういうところでしよう。
  50. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 今度はIIの1二頁と三頁がそれでございます。二頁が病院、それから三頁が診療所でございます。
  51. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、お示しのものが人件費といたしますと………。
  52. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 人件費とありまして、それが病院の場合でございますと、薬剤員費、その他、それから人件費計というところでございます。それからその次の診療所のほうでは、人件費医師歯科医師、看護員、薬剤員、その他、計というように書いてございます。
  53. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、ここに掲げられましたところの薬剤師は、雇われている薬剤師と私は判断いたすのでありますが、一方におきまして医師の処遇を計算いたします場合には、個人経営の医師の処遇もその中に入れて御計算になり、薬剤師の処遇を計算いたします場合には、勤務薬剤師だけの処遇を計算しておられて、個人経営の薬局の薬剤師の処遇から出て来た数字は、この中に何ら考慮されておらないということは、お認めになりますか。
  54. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) ここで案としてお示しいたしましたこの調剤人件費というものは、御了解の通りでございます。
  55. 榊原亨

    榊原亨君 ここにもこの資料の脆弱さがある。医薬分業をいたします場合に、医師の経営だけを調査されただけでは駄目なんでありまして、薬剤師の経営も調査しなければ、薬剤師が薬が分れて来たときにどんな生活をしてどういうふうなことになるかということが出ていない。これにつきましては薬務局長に私は当初に御質問申上げたところが、それは分けるのは、受けるほうだから、それを調べる必要はないというお話でありましたが、ここですぐそれが現われて来るのでありまして、個人薬局の薬剤師の方々がどういう処遇によつて生活をされておるか、その稼働時間はどうであるか、その時間当りの収入はどれだけあるかということを調べなければ、一方において個人の医師の経営しておりますところの診療所の医師を官公立のものとごつちやにいたしまして計算し、それで分けて受けるほうのものにはそうだということになりますると、恐らく開局薬剤師の処遇はもつと高価なものではないかと私は思うのでありますが、ここにこの資料の取るに足らんということがはつきりしておる、こう私は思うのであります。これらのことについて更に追及するということは、時間がありませんからもう申上げませんが、この資料の弱点といたしましては、何といたしましても、薬局の側の調査を全然怠つているというところに、重大な問題があると私は思うのであります。  次に私は承わりたいのは、それでは病院、診療所におきますところの家族労働については、どんなふうに御計算になつておられますか。
  56. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 家族の手伝いにつきましては、二十七年の三月の実際調査といたしましては、現実に支払われております額はそのまま調べて、それから支払われておらないものは零として置いたのでございます。併しながら、この十月の調査と申しますか、今回お示しいたしております、この体系に一応採用いたしております費用計算という中におきましては、家族の手伝いというものは、その仕事の性質によりまして、おおむね公務員の給与ベースで推算をいたしました。
  57. 榊原亨

    榊原亨君 このことにつきましてはすでに私は当初に御質問申上げておりますので、これ以上のことは申上げませんが、一応そこにゼロと計算された部分があるということだけを、私ははつきりさしておきたいと思うのであります。  その次に私、お尋ねいたしたいのは、個人経営の医師のこの待遇を御計算になりますときには、現実に生活に要つた部分を以てこれに当てるというふうな御計算のように承わつてつたのでありますが、さようでありますか。
  58. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 医師の適正な技術料というものの定義がなかなかむずかしいのでございますが、それから現実に医師が得ております収入というようなものにつきましてもなかなか算定が困難で、かような調査が非常に実情をつかみにくいのであります。この前の調査会の場合の御意見にもございましたのですが、一応の生活費というものを基準に取るのが無理ではないかというような御意見も出ておりました。ただその生活というものがどの程度生活かというところに、なかなか問題がございますが、一応生計費というものを標準にいたした次第であります。
  59. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、その生計費の中には、貯金とか積立金とかいうものは入つておりますか。
  60. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 実支出でございます。
  61. 榊原亨

    榊原亨君 入つておりませんですか、そういうものは。
  62. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 入つておりません。
  63. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、ここに個人経営の医師待遇費として考えられておりますものは、一応生活をして、朝から晩まで一応食べて生きておる、家族の者を食べさして生かしておるというだけでありまして、自分の子供が将来大きくなつたときの教育費のために備蓄をいたしますとか、或いは自分の老後のために何か蓄えをするというようなものは、全然入つていない。一方官公立病院のほうへ、診療所へお勤めのほうの先生がたに対しましては、恩給というものを見ていない。そうしますというと、医師と申しますものは、この生活と申しますのは、その日その日の、その日暮しをしていい、それだけのものに対して診療報酬支払われればいい、技術料支払われればいいというお考えでありますか。これは医務局長として重大な問題だと思う。日本医療行政の根本的な中枢機関としてお立ちになつておられるところの曾田医務局長は、医師生活費はその日暮しをする生活費だけでよろしい。老後のために蓄える費用を見ることも必要なければ、或いは子女を教育するために将来の蓄えをする必要もない。その日を食べて、寝起きる、それだけの費用でいい。又全国におきますところの、あなたのお手許にあるところの官公立病院のお医者さんは、恩給のことは少しも考えていない、その日その日にもらう月給だけでよろしいというお考えで以て、こういう統計ができておるのですか、如何でしようか。
  64. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) かような調査をいたします場合には、なかなかどの程度のものを書き込んで頂く、どの程度のものは書き込まなくてよろしいというようなことが、調査の際に非常にむずかしいのでございまして、現実につかみやすいものを一応取つて参るということが、一つのやり方と申しますか、考え方として、御承認願えると思うのであります。そのほかに、その数字がどういう意味において少し少な目に見積られておるか、或いはどういう意味においてこれは過分に認められておるかということは、この数字を使つて具体的な問題をきめて参りますとき等に考慮さるべきものだと思うのでありまして、一応この資料に挙げましたのは、只今のようなことで、現実に学校に行つております子供さんの教育費だとか、或いはお年寄の養育費だとか、こういうようなものも全部含んで、一応実情としてつかんだ次第であります。
  65. 榊原亨

    榊原亨君 お間違いになつてはいかんのでありますから、もう一度私、時間がないので念を押しますが、今現に自分のところにおるお年寄の生活を、私は申上げたのじやない。その医師が年を取つてから、老後のために蓄える貯金というものは、幾らかなければならん。これは曾田さんお認めだと思う。それが全然出ていない。計算としてはそれは出ていなくてもよろしい、それはむずかしいのだから。けれども、これを実地に移しますときの、補正いたしましてやりますときに、それに何かの備蓄というようなものの面も補正いたしまして見なければならん。ところが、補正していない。而もこれから出て来ます生の数字を丸めるといたしまして、小数点以下を削るということにいたしますと、これは全国におけるところの医師が何と考えましても、こういうものには協力することができん。あなたの統計の御計算がむずかしいというのは、それでよろしいけれども、それから出て来た結果を丸めますときには、それにその分を考慮する必要がある、私そう思います。これ以上は議論になりますからもう申上げませんが、そういう点に、この資料から出て来ますところの結果については非常な弱点があるということを、この際私速記にとめる必要があると思う。  次にお尋ねいたしますが、この資料に出ておりますところの医師が払います税金は、昭和二十六年度の税金と私は考えて見ておつたのでありますが、ところが、現実におきましてはこれは昭和二十七年度の実態を御調査になるということでございます。而も昭和二十六年度、二十七年度におきましては、その税金に非常な差が出て来ておる。その差の補正は一体どこでなすつていらつしやるのでありますか。
  66. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 二十七年三月の調査は、過去一カ年間において支払われた税金ということで、実情の調査なつております。それから十月の調査は、税法に基いて十月これは一ヶ月の一応調査をいたしましたのでありますが、ものによりましては一カ年間遡つてつたデータもございますが、そのデータを土台として、この税法に基いて税金がかかるとすれば幾らかかるかというような計算になつております。
  67. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしまするというと、三月の調査におきましては、食違いが出て来ておるということをお認めになつているのでありますか。
  68. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 税金につきましては、三月の調査と十月の調査を畳み上げて参りましたものとの間に、相当の差が出ております。
  69. 榊原亨

    榊原亨君 そうしますというと、三月のこの実績の補正というものは、どこでしておいでになりますか。
  70. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 三月の調査と十月で畳み上げました調査というものとは、今の税金の問題、それからいろいろなものの減価償却の問題、或いは医師の資本利子の支払というようなたぐいのものにおきましては、或る程度の食違いが出ておるわけでございます。それを私ども心配いたしたのでございますが、全体として合算いたしますと、この前に御説明申上げましたように、比較的小さな、数の差というような結果になつたのであります。
  71. 榊原亨

    榊原亨君 ここにもこの資料の適正でないということがはつきりお認めになつたのでありますが、これ以上追及いたしませんが、そういうことを私は認めざるを得ない。  次に、昭和二十七年十月にお調べになりました六十の診療所のうちで、有床が十九、無床が四十一。その四十一のうちの一般診療所を分析いたしまするというと、個人が、九つであつて、そのうち内科小児科が四つ、眼科が二つ、耳鼻科が二つ、外科が一つ、婦人科がゼロ、全科が二と、法人が十、公立が十七、医療法人が五、というものについての御調査であるということを、認めてよろしいのでございますか。
  72. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 診療所につきましては、お手許に差上げましたような対象の診療所について調べたので、御意見の通りであります。
  73. 榊原亨

    榊原亨君 この点におきましても、個人の診療所九つ。そのうち内科小児科が四、耳鼻科が二つ、外科が一つ、婦人科はゼロと、こういうようなものをお調べになつて、これが全部の日本におけるところの個人の無床の診療所の実態である、個人の診療所の実態であるとされたということを、はつきりと私はさせておきたいと思うのであります。  次にお尋ねいたしますが、診療行為別の実測、これにつきましてはいろいろ出ておるようでございまするが、その出ました結果をどういうふうにしてこのここの数にまとめられたかということの、数字の御説明がない。例えば虫様突起炎というものについて、全国で十回お調べになつた。そのときにどういう数字が出て、そうしてこの診療行為別の実測が出たかというこの数字が、私幾ら探してもない。そして直接関係がないところの病院の実態がかようであるというて、あたかも鬼面人を驚かすごとき厖大な資料を出して来られた。これはちつともこの結論に直接関係がない。而も診察料が安いとか高いとか、病院はどこで儲けておるとかいうようなことをいつているが、それは取るに足らん資料であるということは、この前申上げた。パーセントを出して、そのパーセントを引算した、こういうことは全然問題にならん。そうしますと、この病院についてのこの厖大な資料というものは、直接私どもがここで判断するのに必要のないものだ。そういうものを出しておきながら、一方において、判断しなければならんところの、現実の問題であるところの診療行為の実測の結果は、どこにあるか。若しありとすれば、この資料でお示し願いたい。如何でありますか。
  74. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 診療所におきましても、実測のできますものはやつておるわけであります。併しながらかように非常に高度の手術等におきましては、診療所で行われる頻度が極めて僅かでございます。さような場合には、診療所において調査が不可能であるということも出て参るのであります。ここの表に掲げてお示しいたしましたものは、これだけでは尽きず、手術といたしましてもまだまだたくさんあると思うのでありますが、調査いたしましたものは、この程度のものであるということを、お示しいたしたのであります。  それから私どもが皆様がたにお目にかけましたこの経費計算というものにつきまして、この使い方については少し言葉を附加えさして頂きたいと思うのでありますが、私ども個々の診療行為別に、その経費が幾らと算定されたかということを、ここに一応計算してございます。併しながら頻度の少い手術、稀な手術というようなものにつきましては、これは相当、何と申しますか、個々の場合々々によつて変動が大きいのでございますので、頻度が少なければその出て来ました数値というものの信頼度が低いということは、これは当然のことであります。で、私ども一応新医療費体系として出しましたその基礎といたしましたものは、さような意味合におきまして、初診、再診、それから注射、薬治料、調剤料といつたような工合に大きく区切りまして、そうしてその平均として見た場合には大きな狂いはないであろうというふうに考えた次第でありまして、個々の手術等についての費用計算というものは、これは飽くまでも一つの基準と申しますか、参考的な資料であるというふうに御了解を願つて頂きたいというふうに考えております。
  75. 榊原亨

    榊原亨君 次に承わりたいのでありますが、看護サービス、給食サービスというものの中の人件費に、医師がないのはどういうわけでございますか。
  76. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 勿論、患者の看護に当り、或いは又患者の食事について、医師がいろいろな指示をいたすということは、これは当然のことであるのでありますが、一応私どもとしましては、責任の所在と申しますか、かようなもので以て一応仕事の分担を明確にいたしまして、そうして看護サービスのようなものは、大体看護職員を中心といたしまして、そうしてそのほか病棟に付いておりますそのほかの者の労力というものを加えて、計算をしたような次第でございます。
  77. 榊原亨

    榊原亨君 厚生省におきまして完全看護、完全給食ということをやかましく言われ、而もその給食のことに例えて申しますならば、給食の面におきましては、これは普通の下宿屋とは違う。宿屋とは違う。どこが違うかと言つたら、それは医師がちやんと監督をいたしまして指示をすることによつて、正しい看護、正しい給食ができるんだ、こういうふうな御指導を賜わつていると私は思うのであります。ところが、厚生省が御示しになつた看護サービス、給食サービスの中に、どこにも医師が立入る費用が書いてない。これは少し、何かお考え違いじやないのですか。若しもあなたが、この看護サービス、給食サービスというようなものは、もう医師がやらんでもよろしい。下宿屋と同じように、入院が……。何も完全看護、完全給食ということは、医師は監督する必要も何もない。こういう御見解であるならば、医療法を変えなければならない。ところがどうしてもこれをしなければならんといつて、御指導を賜わつている厚生省が、その中に医者の医の字も書いてないのですが、こういうことで、病院の看護或いは給食ということが、おできになるようなお考えでありますか、或いはこの統計が間違つているか、どちらかはつきりさせて頂きたいと思います。
  78. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもは、これは一つは定義の問題と申しますか、観念の問題になるかと思うのでありますが、私どもはここで看護サービスと言つておりますのは、看護婦が担当いたしております仕事を申しているのでありまして、でありますから、その看護婦に対して医師がいろいろな指示をするということは、これは医師医療サービスになるわけでありまして、患者を診ます、回診に行く、診察に行くその際に、こういうふうな処置をしなさいというふうな、こういう点を注意しろ、こういうことを看護婦に指示いたしますのは、これは医師の仕事でありまして、決して看護サービスではない、こういうふうに考えているのであります。看護サービスそれ自身を、患者の療養のために指示するということが、医師の役目である。一応はこの看護サービスというものは看護婦に責任を持たして行く、こういうふうに考えております。
  79. 榊原亨

    榊原亨君 そうしますと、給食の指示をいたしますとか、或いは看護婦に対して指示をいたしますというところの費用は、どこにこれは出ておりますか。この前承わりましたときには、病院においては管理費というものはちやんとある。これは病院においては出て来るでありましよう、そこに。ところが、一方診療所においては、どこにも出て来ない。曾田さんの流儀を以てすれば、診察考えておるということから、診察料のその中に含まれておるというようなお話になるのでありますが、そういたしますと、医師診察をしながら、処方箋のことも考え、給食のことも考え、いろいろなことを考えながら全部やらなければならんということになると、診察料もそこから高くなるということになると思いますが、こういうことは一体どこにそれを認めておいでになるのですか。
  80. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 給食の具体的な例が出ましたので、それで申上げますれば、給食について、全般的な炊事場の監督とか、或いは献立の全般的指導というようなことにつきましては、これは一つの管理的と申しますか、そういうような部分も入つて参るわけであります。併しそのほかに、給食の炊事場を扱つております炊事場のいろいろな諸経費人件費というようなたぐいのものを、一応この食事サービスの経費というふうに見ておるのでありまして、それ以外のことは、今のように、一般の管理という点に入つて参ります。病院におきましては、それから個々の患者に対しまして一人々々いわゆる食事処方を出すということは、薬品についての処方と同じように、これは医師診療業務に入つて来るわけであります。それから今度は診療所の場合にはどうかということにつきましては、今の食事処方を出すというようなことは、これは診療業務の中に入つて来るわけであります。そのほかの管理費というものが診療所においては見ていないということを、先般も御質問されたのでございますが、これはいろいろな診療行為に対して経費を割り振つて参るというようなために、いろいろ分析をして参つたのであります。診療所の場合には、医師の管理的業務というものが十分他の仕事から分離することが困難である、そういうような意味におきまして、それもすべて、いわゆる健康保険で以て報酬支払の対象になつておりまするような行為というもののうちに、それぞれ皆含まれているというふうに考えていいのではないか、実際的な支障はないのではないかというふうに考えたので、特別に管理費というものを経費のうちから除いて、そして後ほど又それを個々の行為に必要とする部門に管理費を按分して行くという方法をとらなかつたということでございます。決してその経緯としましては、診療所に対して炊事場の管理的な経費というものが見込んでないという意味ではないと、私ども了承しております。
  81. 榊原亨

    榊原亨君 いろいろお話を承わつたのでありますが、要するところ、この資料から出しますところの、根本的な基準をなします診療所の御調査の結果におきましては、その御調査の中におきましては、給食並びに看護というものの面に対しますところの監督、或いはそれに対しますいろいろな指導というようなものの人件費として、医師の分野が入つていないということを、はつきりお認めになつたのでありますから、これ以上私追及いたしませんが、このことをはつきり私は速記に取つておきたいと思うのであります。  次に私、お尋ねいたしたいのは、この資料におきましては、投薬が二四・二%、注射が三七・六%ということになつておるのでありまして、このパーセントは、今日でも同じ。パーセントとお認めになりますか。局長がおわかりにならなければ、久下保険局長でも結構です。
  82. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 社会保険関係から最近の数字を検討いたしますと、大した変りございません。
  83. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、例えばこの間出ていましたところの愛知県におきますところのあれも、このお調べの資料においても、その数字と余り大した変りがないとお認めになるのですか。
  84. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 政府管掌健康保険におきまして、昨年の十月精密な調査をしてみたのであります。それによりますると、点数のパーセントが——診療行為によつて出ております。薬治料が二〇・七八%、点数におきまして……。それから注射料が三一・七五%でございます。只今御引例の愛知県の資料は、今手許に持つておりませんが、只今私が申上げたのは、百分率の全国的な調査でございます。
  85. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、この二四・二と三七%、この資料とやはり違うということでありますか……。お答えがありませんから、だんだん時間が経ちますから、あとからお答え願えれば結構です。とにかくこれはパーセントは変つていると私は認めております。  次にお尋ねいたしたいのは、薬の場合に処方箋料は、さつき有馬委員にお答えになりましたように、診察料の中に含まれているというお答えであるのであります。一応さようと、私どもはこの資料によつてはわかるのでありますが、そういたしますと、注射の薬を選択するというその料金は、どこに入つておりますか。注射をいたしますときに、これはモルヒネを注射するとか、カンフルを注射するとか、何を注射するという、その注射薬を選択する、その選択する技術に対する料金は、どこに入つておりますか。
  86. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 注射をいたしますに必要ないろいろな手間と申しますか、こういうようなものは、注射料の中に含まれます。
  87. 榊原亨

    榊原亨君 私の申しますのは、どの薬を注射するかというその選択、つまり処方に相当するもの、それは注射の手間の中に入つておるのでありますか、診察の中に入つておるのでありますか。
  88. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 如何なる注射を行うかということ、即ち治療方針を立てますこと、これは一応、私どもとしては、診察料の中に含まれておると存じております。
  89. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、これは変なことでありまして、ここの資料の中にありますところの注射料の算定に当りましては、注射は何分でできるのだと。そうすると、注射は何分でありますから、それが一分間四円幾らというようなことから計算をするのだということでありますが、そうするというと、今日まで注射料、注射料と申しておりました中には、注射の選択というものは入つていないのですか、今のお話でありますと……。例えば注射を一日十本いたします。その十本するのは、みんな、診察をしたとたんに、これから十本さすということが全部これが計算されるということ、そういうことを、これは初めになければならない。恐らくこれは注射料の中に入れなければならんと思うのでありますが、そういたしますというと、その注射料の中に入れれば、あなたが先ほどお話になりました処方箋の問題とは、全然違つた方向になつちやう。これは思想統一してもらわんと困る。その点如何ですか。
  90. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 患者を、初診にしろ再診にしろ、診察いたしまして、そうして如何なる注射をいたすべきかということを定めるのは、私は飽くまでも診察の行為であるというふうに考えるわけでございます。
  91. 榊原亨

    榊原亨君 そうしますというと、極端な話を申してみますれば、注射をするごとに再診料をとつていいということでありますか。
  92. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは入院患者のような場合を考えますると、これは個々のケースによつて判断しなければならんのではないかというふうに思うのでありまして、一本ごとに又相当詳しく患者状況を診まして、そうして治療方針を一々検討し直した上で、注射をしなければならんというようなことでありますれば、少くとも私、理論的にはそれは又再診であるというふうに考えるのであります。物によりましては、非常に頻繁に続けて診てやらなければならん、これが一回ごとに保険支払の対象になる再診であるかどうかということは、これは又別個の問題と思いますが、さようなことはあり得ると思います。併しいつでもそうだとは私、限らんと思います。
  93. 榊原亨

    榊原亨君 私は政府のお示しになりました新医療費体系を信用しておる。そのときに、今医務局長のお話では、場合によつて診察の中に入るが、注射ごとに再診料をとられることもあるかもわからん、ないかもわからんということでは、これは信用ができない。何か思想統一して頂かんと、この際はつきりとイエスかノーかということを承われば、何も私それ以上追及したくありませんから、又あなたの弱点はあなた自身おわかりになつていらつしやるから、私はこれ以上進む必要がない。一応あなたのお答えだけをはつきりと、速記にとどめて置きたい。
  94. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) はつきり申上げますれば、私は多くの場合におきましては、これは再診というものではないというふうに考えます。非常に特異な場合には、さようなこともないとは言えないということを、附加えておきます。
  95. 榊原亨

    榊原亨君 そうするというと、注射の点数の中に注射薬を選ぶということが入らなきや、ちよつとどうにもならんですね。その点は如何です。
  96. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私は、その場合に選ぶという点が、特別に選び、もう一遍考え直してあれしなければならん、又もう一遍詳しく検査をし直さなければならんというような場合には、再診的なものと考えるということでありまして、すでに例えばビタミンならビタミンの注射を三時間ごとにさすというようなことだけであります限りは、私特別に選ぶという中に数えなくてもよろしいのではなかろうかというふうに思います。
  97. 榊原亨

    榊原亨君 今のお答えと、先の処方箋問答に対しまして有馬委員その他の委員に対しましてお答えになりました事柄を拝聴いたしますと、医務局長は、如何なる薬を使つて病気をなおすかというようなこと、如何なる注射をして病気をなおしたらいいかというようなその技術は、まあ取るに足らん一つの些細なことというふうにお考えだと思うのであります。そういうようなお考えがある限りは、日本の国においてヒロポン注射は絶対あとを絶たんと私は思う。私、これは意見でありますが、まあ医務局長の意見がそういう意見であるということを、速記にはつきりとめておくことだけでいいと思うのです。  補正の問題でありますが、月別の補正はどういう数字をとつておやりになるか。言い換えますならば、これは十月と三月にやつていらつしやる。そうしますと、その年間の補正はどんな数字を使つて補正をしていらつしやるか。
  98. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私ども、大体この三月或いは十月というようなものは、年間の平均的な診療の姿を示しておるのではないか。最も適当な時期ではないか。殊に十月という月が最も望ましい。三月は病気診療としてはいいように考えるのでありますけれども、いろいろ経理の面等から行きまして、殊に公立病院等におきましては多少不適当な面があるというふうに考えまして、十月が最も適当だというふうに考えたのでありまして、一応は最も妥当な時期であろうと、時期を用いたものであろうというふうに考えております。
  99. 榊原亨

    榊原亨君 十月が年間の平均であるということは、私はよくわかつたわけであります。ところが、三月の場合には、これは年間補正をやらなきやならん。その補正がやつてないのです。そうしてむき出しのままの数字で、これをやつておる。而も十月と三月と、自分の好きなときに両者を合せて計算をやつておいでになる。厚生省が三年有半の間、分業の準備について、何ら準備をしておられない。やるということで一生懸命にやつておいでになるが、補正する暇がなかつた。そのほか資料が全部赤字のうちにできておるというために歪められておるところの補正、或いは診療費の分布並びに頻度が分業を行なつた場合に変るということの補正、或いは昭和二十七年から今日までの間においてもすでに診療費の中の分布が変るということは、先ほど有馬委員医務局長自身がお答えになつていらつしやる。それらの補正についても、何らやつていない。最低限界の医師収入についての考慮も、払つていない。稼働の偏在、これもたびたび私が質問のとき申上げましたように、この稼働が偏在している。言い換えますならば、病院のほうに多くの砂を盛つて、個人開業医のほうに薄くなつておるということの偏在の是正もしていない。或いは自費社会保険生活保護法の頻度が変つて来ておるということの事実にも、目を覆つておる。家族労働者についてはゼロと見ておる。一方においては、公務員のようなところで見ておるというようなこと。又総医療費或いは物価の変動というものは、すでに昭和二十七年から変つておることの補正も、全然これに目を覆つて、これはただ支払方法を変えるだけだ、こういうようなお話でありますが、その支払方法を変えることによつて、かような支払方法の変え方によつて医療内容はどこが向上するかということを、大臣一つお話し願いたい。
  100. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) 何遍もこれはお答えを申上げており、最初からこの提案のときに申上げておりまするから、今別にそれ以上なことは申上げる材料はないのであります。結局新医療費体系においては、従来薬と技術とを一緒にしておつたので、これを分ける。その分け方の資料として、新医療費体系を作る。その新医療費体系は、昭和二十七年を中心に考えて、今日までこれを分析して来た、こういうのであります。従つて或いは二十七年を二十八年なり二十九年なりに、再三再四、これを検討するという意味におきましては、私どもも同感であります。ただ二十七年の検討すら数年もかかつておるという状態でありまして、従つてなかなか最近、最新と申しまするか、最も新しいものをとりながら検討してく行ことが、その資料としては不十分でありまするけれども、なかなかそれが実際上はできない。そこでこの目に見ておりまする時期において、これをやつて行く段階において、これは実際の点数等に切り替えまする場合は、今お話になりましたようなことも考慮に入れていたすべきものだとは考えまするが、新医療費体系そのものからは、二十七年度三月と十月とをまあ中心に考えて、そしてこの方法をとつて行きたい。根本は、医療技術とこれに対する物との分類、配分と申しまするか、区分け、それをすることに、この二十七年の資料を使つたと、こういうわけでございます。
  101. 榊原亨

    榊原亨君 厚生大臣のお答えは、さようお答えになるのでありますが、実際は、この分業をすることによつて医療費を上げるわけには行かん、そこで医療費の枠をきめてやろうということから、こういうふうな矛盾撞着が来ておるのでありまして、それをやるのに一つ考え方を変えまして、例えば結核予防法を、今この診療費が上つたというようなことを、この間からいろいろ問題にいたして来ている。これはいろいろ原因があるかも知れませんけれども、その大部分は、何と申しましても、結核の治療費が殖えたということ、結核の入院が殖えたということ、生活保護の費用が殖えたということも入るのであります。従いまして、これをやるにはどうしても、結核の治療は結核予防法一本で行こうということに改革をするほうに向い、或いは病院を設立いたします場合でも、これは予算を効率的に使いますために十分な統合整備ということを考えて、効率的に全部に普及する病院を図るというようなことを考えるために、社会保険の法規を変えまして、そして各種の社会保険の統合整理をやる、或いはその他窓口を一本化するというようなことをやつただけでも、相当の医療費の予算の余裕というものが出て来る。例えて言えば、結核予防法の治療にいたしましても、それを分析して参りますと、何といたしましても、ストレプトマイシンとかパスとかいうものの投与が大部分を占めているのであります。その投与されるところの薬の価格というものが、野放しになつておる。これにつきましても、一方におきまして、丁度一般医師に対しまして、個人開業の医師に対しまして、国立の療養所がありまするように、国立の診療所ができておりますように、何か一つ公立の製造工場というものを作つて、そして個人並びに公立というものを噛み合せて行くということだけでも、今の結核予防法の治療費の四分の一は減つて来る。そういうふうなものについて考慮を何も払わずにおいて、そうして分業をやるのだから、そこでこの分業をやるためには何としても医療費を増してはいかんから、昔の古ぼけた統計を出して来まして、そうして辻棲を合そうというから、あなたの部下は困つておる。今ここにおられる曾田医務局長も、久下局長も、非常にお困りになつて、間に立つてどうしようというので、心にもないことを言つてどもに答弁しなければならないということになつておるわけでありますが、こういう方面に、厚生大臣、お考えをお向けになるというお考えは、全然ありませんのですか、それを伺いたい。
  102. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) お話の件は御尤もであります、ただ考え方なら。実際の問題としては、別だと考えます。いわゆる医療体系というものの考え方と医療費体系というものとは、これは広い意味において医療体系の中に医療費体系が含まれるという意味においては同感でありますが、或いは病院の整備の問題、或いは各種保険の統合の問題、或いは又結核予防法に一連した結核対策の問題というような問題は、おのずから別だと考えます。政策といたしましても、私ども検討いたしておりまするが、それらの問題は、医療体系の上からは、十分検討してかからなければならないと考えております。従いましてこれらに対しましては、順次いたして参りたいと考えております。今回はその中の、広い意味における医療体系の中に医療費体系も含まれますが、その中の医療費体系というのをとつてそうして検討して参つた次第で、その点は御了承を頂きたいと思います。
  103. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  104. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。  それでは次に、今回提出の資料の社会保障点数についてお諮りいたします。本資料調査は、今日資料についての政府当局の御説明を求めて、これを社会医療関係の諸問題に関する小委員会において調査せしめることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは今回提出の社会保障保険点数に関する資料について、政府当局から御説明を願います。
  106. 草葉隆圓

    ○国務大臣(草葉隆圓君) 新医療費体系に基きます診療報酬点数表の改正について申上げたいと存じます。医薬分業の実施に伴いまして、新医療費体系につきましては、過日来その大綱を御説明申上げて参つたのでございまするが、この新医療費体系が、これに基きまして社会保険診療報酬点数を改正することによりまして、その実現が具体化されるわけでございまするので、お手許に御報告申上げました次第でございます。この改正案につきまして御説明を申上げ、御了承を頂きたいと存じます。  この点数改正に当りましては、先ず第一に、先に新医療費体系説明の際申述べました通り、でき得る限りこれを忠実に社会保険診療報酬点数表に具体化することに努めて参つたのでございます。第二には、御案内のように、新体系におきまする初診料、再診料、或いは注射料等の点数につきましては、それぞれ〇・何々という端数が付いておりまするが、この端数につきましては、主として事務上の便宜を考慮いたしまして、これを切り捨てることにいたしまして、その代りに検査料、処置料、及び手術料等の増点をいたしたのでございます。第三に、右の増点を行うに当りまして、原価計算の結果、及び各診療行為の難易等を考慮いたしますと共に、各診療科相互間及び病院診療所間の均衡を図ることに留意をいたしたのでございます。第四に全体的に点数表の組替えを行いますと共に、従来類似項目の点数によりまして処理されておりましたものの点数を、それぞれ新設いたしたのでございます。  なお歯科診療報酬点数につきましても、おおむね右と同様の考え方によりまして改正いたした次第でございます。  以上が本改正案を作成するに当りましてとりました方針と、その要点でございまするが、具体的な改正の内容につきましては、保険局長から御説明を申上げることといたしたいと存じます。
  107. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) それでは、只今の大臣の基本的な方針についての説明に基きまして、私から若干敷衍をいたしまして申上げることにいたします。  お手許に、一般医療関係の改正、診療報酬点数表、それから第二に、改正調剤報酬計算表、改正歯科診療報酬点数表、この三つのものを差上げてございます。それに付けまして「新医療費体系に基く診療報酬点数表の改正について」というので、括弧して一般と歯科とに分けて、具体的な内容を書いた説明書が付けてございます。点数表そのものは非常に、御覧の通り、厖大なものでありますので、各項目につきまして、只今の大臣の御説明に敷衍をした若干の御説明を附加えたいと存じます。それにつきましてはお手許にお配りいたしました、今申上げました説明書によりまして申上げることにいたしたいと思います。  第一は、一般診療報酬についてでございますが、そのうちの1は診察料の取扱いでございます。初診料は、只今の基本方針によりますると六点になるところでございまするが、御承知の通り、現行健康保険法によりますると、初診料相当額は被保険者負担することになつておりますので、今回の新医療費体系及びこれに基きました診療体系の趣旨から申しまして、被保険者負担増加することは適当でないと考えまして、初診料の表向きの四点という現行のものを据置きにいたしまして、新たに受付料という二点を新設いたすことにしたのであります。勿論受付料と申しましても、初診の場合にのみ初診料と合わせて請求できるのでありますが、実質的に初診料でありますことは、変りはないのであります。こういう扱いによりまして、受付料の二点分は、実質的には初診料でありますが、被保険者負担に転嫁しないで済むということになるわけでございます。再診料は四点にいたしまして、診察の都度請求し得ることにいたしました。問題となりますのは、患者それ自身が、再診の場合みずから現われずに、代理人を以て或いは電話によつて医師の意見を求める場合が、実際に行われておるのでございます。この場合には、患者本人を診て診断を下します場合とは区別して扱うことが適当であろうと考えまして、代理人又は電話により治療を求めました場合には、再診料として再診料の五割相当額を請求し得ることにいたしたのでございます。それから入院中の再診につきましては、いろいろ考慮いたしまして、特別な取扱いをすることにいたしたのでございます。即ち後に申上げますように、入院料の引上げの形において再診料を支払うことにいたしたのでございます。細部の点は入院の際に申上げます。それから夜間の初診及び再診の際に認められておりました二点の加算が、現行点数表にはあるのでございますが、これは私から申上げるまでもなく、現在の現行点数表の再診というのは、極めて稀な場合にのみ支払われるものであるということが一つと、それから点数表で、新医療費体系で御説明申上げてありますが、あの場合の初診料、再診料は、診療時間の内外を問わず全体を平均して出した数字でありますので、さような点を考慮いたしまして、夜間の加算を今回は除くことにいたしたのでございます。  次は指導料でございますが、慢性疾患指導料、乳幼児哺育指導料、及び肢体不自由指導料の点数が、それぞれ五点でありましたが、これは結核の指導料と同様に、十点に引上げをいたしました。  次に調剤料でございます。先ず調剤料につきましては、薬価の支払方法と、それから調剤技術料に分けて申上げなければなりませんが、薬価につきましては、現行の薬価基準をそのまま、医師の調剤をいたします場合には、これに一・一を掛ける、即ち一割のロスを見まして支払をすることにいたしてございます。それから薬剤師が調剤をいたします場合には、これも現行の取扱いと同様でございますが、薬価基準に定める薬価そのものを支払うということにいたしたのでございます。医師の場合には一・一を掛けて、薬剤師の場合は一・一を掛けないで、そのままで支払うという考え方は、一般的に薬局が薬品を購入いたしますその購入価格は、一般医師の場合と差があるということが認められております。そういう考慮をも加えた現行の取扱いにならつた次第でございます。なおこの点につきましては、現在薬局の薬品購入価格というものに関する正確な調査がございませんので、現に薬務局のほうで調査を進めておりまするが、その調査の結果が出ました場合には、こういう現行の取扱いのままでやることが不合理でありますれば、検討をいたさなければなるまいと思つておる次第であります。次は調剤技術料でございまするが、新医療費体系本文に示してございますように〇・五九三点でございます。これを今回平均単価の一一・八三に乗じますると、七円ちよつとになります。従いまして一日一剤の調剤料を七円ということにきめたわけでございます。もとより現行調剤技術料と同様に、剤形に応じまして調剤技術料の差をつけることが適当であると存じまして、点数表にありますように、各種の剤形に応じた調剤料をきめたのでございます。それから既製剤の調剤につきましては現行の考え方と同じように、以上申上げましたものの二分の一にいたした次第でございます。このようにいたしまして、医薬分業実施後におきましても、今申上げた方針で、医師が調剤する場合でも薬剤師が調剤する場合でも、同じような形で支払をすることになるわけでございます。  それから問題になつておりました文書料の中の処方箋料は、先ほど医務局長が申上げたような方針で、今回は廃止をいたしたのでございます。  次に検査料でございます。初診料及び再診料の端数を切捨てました関係もあり、初診及び再診に診断を下します上に重要な項目である検査料につきましては、できるだけ大幅に増点をいたしたいと思いまして、ここに書いてございますように、原価計算の数を基礎といたしまして、若干技術の難易度も考慮に入れまして、現行の五十項目のうち二十八項目を改正増点といたしましたのでございます。なお疑義解釈などで実際上他のものに準じて扱われておりました、点数表に現われておりません項目、十九項目を新設をいたしたのでございます。  次はレントゲンの診断料でございます。透視診断料は、新体系の原価計算の結果を考慮して引上げでございます。それから造影剤使用写真診断の際使用する造影剤の代金は、別に請求し得ることといたしました。従つてこの分だけ増点になつたわけでございます。フイルムを二枚以上使用いたしました場合は、すべて基本点数に、枚数に応じて加算をすることにいたしました。そのために、従来二枚を一組として定められていたものにつきましては、結果において引下げられることになつた次第でございます。  次に注射料の取扱いでございます。新医療費体系の本文では、注射の薬品代及び技術料につきましては全体の平均の数値が出ておりまするが、これは調剤料の場合に申上げましたと同様に、注射料につきましても、注射の薬品代、注射の技術料等を分けて支払う形をとりました。注射の薬品代につきましては、注射薬の原価に一・〇五を掛けることにいたしました。一般の医薬品と区別いたしました趣旨は、一般の医薬品のように量り込というようなこともないということも考慮に入れまして、一・〇五という、五%のロスを乗じたのでございます。注射の技術料につきましては、新医療費体系にございまする平均点数を考慮し、現行の点数表も斟酌しながら、又原価計算の結果も考慮に入れまして、皮下、筋肉内注射を二点、静脈内注射を三点、その他の注射につきましては、現行のように個々の注射の技術の難易を考慮して、点数を定めた次第でございます。  次は処置料でございまするが、新医療費体系説明の際に、たびたびお聞取りを頂いておりますように、眼科、耳鼻科、産婦人科、泌尿器科の処置のうち、四点以下のもので専門技術を必要としないものは、再診療に含めることにして、処置料としては廃止をするということになつたのであります。その結果、廃止されました項目は、眼科におきまして七項目、耳鼻科におきまして十二項目、産婦人科におきまして一項目、泌尿器科におきまして三項目、一般処置におきまして二項目、合計二十五項目がその趣旨で廃止をされた次第でございます。外科及び皮膚科の処置につきましては、現行点数で御案内の通り、創面の広さによつて点数が定まつている事情もございます。これは今申上げましたように、四点以下は廃止するというような形で処置いたしますと、その間において不均衡が生ずると思いまして、こうした創の面の広さに応じて支払点数の定まつているものにつきましては、特別な取扱いをすることにいたしました。即ち初回だけ現行の所定点数を請求し得ることにいたしました。二回目以後はそれぞれ二分の一の請求ができるというような形にいたしまして、今申上げたような不合理を排除するようにいたした次第であります。なお処置料につきましては、新医療費体系そのものは、手術料と同様に、手をつけない建前になつておりますが、実際に以上のようなことで点数の改訂をしてみますると、病院、診療所の間、或いは各科別にアンバランスを生ずる懸念が相当ございましたので、処置料につきましては、さような関係を考慮に入れ、原価計算の結果も考慮に入れまして、増点をいたしたものが相当ございます。その結果、現行処置料八十六項目ございまするうち、二十八項目か改正されております。大体増点でございます。それから六項目は先ほど申上げました疑義解釈等の従来の実際の取扱いでやつておりましたものを、新たに点数表の中に取入れまして、新設にしてございます。二十六項目の廃止というのがございますが、四点未満を廃止するために二十五項目、他の一項目は、現在点数表にございまするが実際には行われておりません処置でございますので、これも廃止をいたした次第でございます。  次は手術料でございますが、これが新医療費体系の本文におきましては、手術料には現行の点数に手をつけないという建前になつておつたのでありますが、先ほど申上げました端数切捨ての関係考え、又病院、診療所の相互間、各科相互間の均衡も考えに入れまして、相当なものを増点をいたすことにいたしたのであります。そのうちの顕著なものは、表面麻酔、浸潤麻酔を除きました麻酔料につきましては、全部これを分離して点数を定めたのでございます。従来は手術料の中に含む取扱いをしておつたものでございます。これを新たに所要の点数を定めまして、その分だけ増点の結果になつたわけでございます。ギプス料につきましても、次に申述べるように、同じような考え方を取入れたのでございます。なお手術料につきましては、従来分類が必ずしも明確でございませんのでしたので、ここに細かく掲げてございますように、分類方法を変えて少し体系を改めてみたのでございます。疑義解釈等で類似項目に準じた取扱いをしておりましたものを新設したことも同様でございます。なお特に、そういうような作業をして参りましたが、先ほど処置料の際に申上げましたように、それでもなお病院、診療所間の不均衡が出る懸念がございましたので、具体的に申しますと、病院の診療収入が減るような結果も出て参りまして、診療所との間にバランスがとれないことを考えまして、特に病院で行われる重要な主な手術につきまして増点をいたしたのでございます。例えば結核の外科手術などにつきましては相当な増点をいたした次第でございます。その結果、今申上げたような結果、手術料につきましては現行二百二十項目がございますが、そのうち七十一項目が改正されて、殆んどが増点になつている次第でございます。更に百十一項目が新設をされ、八項目が廃止ということになる次第でございます。  ギプス料につきましては、手術料中に含めていたもののうちから分離して、六項目の数点を新たに定めた次第でございます。  麻酔科につきましては、先ほど手術の際に申上げましたように、従来手術料の中に含まれておりました浸潤麻酔、表面麻酔以外の麻酔料は、別に請求することにいたしますと共に、新たに三項目の新設をいたした次第でございます。  次は入院料の取扱いでございます。先ほど再診の際に申上げましたように、入院中の患者に対する再診料の支払の取扱いにつきましては、いろいろ私どもも苦慮いたしたのでございますか、新医療費体系の基礎になつております昭和二十七年調査によりますると、結核は四日に一回ぐらいの再診、精神科におきましては十日に一回ぐらいの再診、その他の一般入院患者につきましては毎日一回というような実際の再診の回数でございます。その点を考慮いたしまして、先ず呼吸器結核につきまして一日について一点入院料の増点をいたしました。それから呼吸器結核、精神病以外の一般疾病につきましては、一日につき四点の増点をそれぞれ入院料として請求することにいたしたのでございます。精神病につきましては、今申上げましたように、入院料の増点はいたさないのでございますが、別に心理検査料という精神病に特有な検査料の新設をいたすことによりまして、入院料の増点は行わないようなことにいたした次第であります。なお開放性結核患者、開放性の呼吸器患者、及び法定伝染病の患者を入院させました場合には、隔離の関係があるので、従来二点の増点をしておつたのでありますが、実際の実情を考慮いたしまして、今後はこの機会に廃止することにいたしたのであります。  以上が一般医療につきまして改正をいたしました主要な点でございます。  続けて歯科診療報酬の点数表の改正について御説明を申上げるのでございますが、大部分は一般の場合と同様であります。特に変つておりまする点だけを申上げることにいたします。歯科の説明書の中程に「診察料について」という書出しで、そのうちで(ロ)という点だけを申上げます。その他の点は変りございません。再診療支払につきましては、充填及び補綴のための行為をしている、それ自身の充愼補綴の行為をしているために、普通二回乃至三回患者に接するのでございます。その場合は、充愼及び補綴の支払点数の中にさような患者を診るための費用を含むようにいたしてございますので、充填及び補綴のためには特別に再診料を請求できないということにいたした次第でございます。調剤料、文書料、注射料等は一般と同様でございます。  次に処置とインレー、補綴の関係について申上げておきます。新医療費体系で御承知を頂いておりますように、歯科につきましても、一般医療の場合と同様に、四点、六点の再診療、初診療支払うことになつているのであります。この主要なものは、補綴の潜在技術料を削ることによつて賄うことにしてあつたのでございます。ところが、それだけで点数表を構成をしてみますると、充填のうちのインレーとの間に具体的に不均衡が生じて、補綴料を引下げましたのに準じて、インレー料につきましても引下げをする必要が発見されたのでございます。而も歯科におきましては、一方におきまして処置料が甚だ点数が従来低くて、原価計算の結果から見ても不適当だと言われておるのであります。特に処置料の点数が低いということは、専門家の方々からも、従来からもやかましく言われておつたことであります。今申しましたインレー料の減点をいたしますその点数によりまして、歯科の処置のうち抜髄及び根管充填の処置につきましては、特に原価計算の結果及び内容を考慮いたしまして、増点をすることにいたしたのであります。この点が一般の場合の取扱い、特に新医療費体系で申上げておりました点と変つて、歯科におきましては特に附加えられた点でございます。なお四点未満の処置を廃止いたしましたものは八項目ございますが、これは一般の場合の考え方と同様でございます。  甚だ簡単な説明で御了解しにくいかと思いますけれども、以上大綱を申上げまして、説明を終らして頂きます。
  108. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この新医療費体系に基く点数計算規定は、臨時医療保険審議会には附議されたのですか。
  109. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 臨時医療保険審議会は、たびたび機会がありましたときに申上げましたように、九月の中頃以降ずつと小委員会におきまして、診療報酬全般の問題について検討を続けておるのでございます。十月の初めに、新医療費体系を国会に御報告した直後でございますが、その小委員会が開かれました機会に、極く簡単な御説明を申上げた次第でございます。
  110. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 そうすると、医療審議会の全体の会合には、これはまだ附議されていないのですか。
  111. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私、小委員会で申上げたことは一部徹底を欠いておる向きもあるやに聞き及ぶのでありますが、十月七日の臨時医療保険審議会の小委員会の席上で、私及び医療課長から、新医療費体系説明をいたしたのであります。その際に特に私は発言を求めまして、新医療費体系に基く点数表の改正につきましては、時間の関係もありまするので、直接法律に基く中央社会保険医療協議会に御相談をするということにつきましての御了解を得たつもりでございますが、その点につきましては、なお更にその後小委員以外の各委員につきましては、その趣旨とそれから新医療費体系資料をお届けをいたした次第であります。
  112. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私はどうも、従来厚生当局説明をされると、説明がすむというと、それはもう了解済みだというふうに解釈されるやの疑いが多い場合が、ちよちよいあるんでして、説明したからもうこれで了解済みだというように早く解釈されるということは、私は妥当でないと思います。先般政府当局に対しましても、中央医療協議会等の今後の運営については、相当当厚生委員会も決議して御要望もしてあるんですが、そこが極くあやふやになつておる。了解したとか了解しないとかいうことがあつて、どうもあとでごちやごちやしておるような傾向があるんです。この委員会でも、今日初めてちよつと聞いたんですが、これは説明を聞いただけですから、今後質疑もありましようし、その質疑の結果によつていろいろな結論が出ると思いますが、今の臨時医療保険審議会、或いは中央医療協議会等におきましても、説明されたらすぐ了解に達したというふうなことのないように、この運営は極めて慎重に私はやつて頂きたいと思いますが、とかくそういうような噂があるものだから、私どもはどつちが真実かよくわかりかねる。この際念のために一つお尋ねしておきたいと思います。
  113. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 実は私は、そういうことを記憶がないというかたが中におられるものですから、徹底を欠いたということを申上げておるのであります。私は明確に、単なる説明のみでなしに、時間の関係もありまするので、新医療体系に基く点数表の改正は直接中央社会保険医療協議会に諮問するということについて、了承を得たつもりでおります。数名の委員も、これはそうだと言つておられるのでありますけれども、一部の委員のかたがそういう記憶がない、或いは明確でないと言われるかたもありまするので言葉を濁しております。私は単なる説明をしただけで、了承を得たというような気持で取扱つておるつもりではございません。
  114. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 そうすると、中央医療協議会の審議の状況は、どういうふうになつておりますか。
  115. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 中央社会保険医療協議会は、この改正点数表を審議をして頂きますために、会長から去る十六日、今月の十六日に会議を招集いたした。ところが、一つには私のほうから、あの作業がちよつと手違いがございまして、お手許にお配りしてある点数表そのものを、当日はお配りができなかつた。後刻これは各委員の手許にお送りいたしたのであります。こういう点が一つあります。それからもう一つは、当日開会直前に、日本医師会の代表委員四名が連名で欠席の通告を会長宛にして参つた。この取扱いについては、懇談会を開いていろいろ検討いたしたのであります。懇談会の結果、中央社会保険医療協議会を開会いたしまして、新医療費体系及び点数表の改正につきましての基本的な点だけを、簡単に説明をし、当日は散会をいたした次第でございます。その後は社会保険医療協議会会長の都合もございまするし、医師方面の御意見もありまして、まだ次の開会の日取は決定しておりません状態であります。
  116. 榊原亨

    榊原亨君 今日ここに点数表を御提出になりまして、先ほど厚生大臣が、今中山委員が言われましたように、これを説明して了承を求めるということを発言しておられるのでありますが、これは密接な関係があります新医療費体系の審議が未了でありますので、これは説明を聞いたという段階と了承してよろしゆうございますね。
  117. 上條愛一

    委員長上條愛一君) さようでございます。それで先ほどお諮りいたしました通り、これは社会医療の諸問題に関する小委員会で十分検討を願いたい、こういうことでございます。それでよろしゆうございますか。  それでは本資料調査は社会医療の諸問題に関する小委員会において調査せしむることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないものと認めます。  それでは、本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会