運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-03-23 第19回国会 参議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十三日(火曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            藤原 道子君    委員            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            廣瀬 久忠君            竹中 勝男君            湯山  勇君            堂森 芳夫君            有馬 英二君   衆議院議員            安井 大吉君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   政府委員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省社会局長 安田  巌君    厚生省保険局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件身体障害者福祉法の一部を改正する  法律案内閣提出) ○日雇労働者健康保険法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○清掃法案内閣提出衆議院送付) ○社会保障制度に関する調査の件  (国立下志津病院事件に関する件) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今から厚生委員会を開きます。  身体障害者福祉法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑を願います。
  3. 安田巌

    政府委員安田巌君) 昨日藤原委員から御質問がございました身体障害者福祉法の施行に要する経費の国庫負担の件につきまして私の答弁が不十分でございましたので、重ねてこの機会にお伝え申上げたいと思います。資料として差出しております最後の頁に身体障害者福祉法の一部改正後の同法による費用支弁負担関係一覧表というのがございます。これは法律が非常にこみ入つておりまして、改正前と改正後の費用関係がなかなかはつきりわかりませんので、こういう一覧表にいたしたわけでございます。そこで昨日ちよつと御指摘がございました予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律というのがございまして、これが昭和二十八年度当初執行して以来の法律的措置について制限いたしております点は誠に申訳ないのでございますが、只今審議を願つております法律案改正の中で、同法によつて国庫負担規定適用が停止されましたもののうち、昭和二十九年度においても引続き国庫負担予算措置をとつていない身体障害者福祉司設置及び運営に関する費用、及び身体障害者更生相談所設置に関する費用についての国庫負担に関する規定を削除いたしました。なお同法には規定はなかつたのでありますが、実際上平衡交付金対象となつております中央身体障害者福祉審議会運営に関する費用に対する国庫負担規定を削除することにいたしたのであります。この身体障害者福祉司設置及び運営に要する費用、それから身体障害者更生相談所設置に要する費用、この二つは、昨日も御指揮がございましたところの予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律というのがございまして、放つて置きますと、これは国庫負担でやらなければならんという法律でございまするが、今回それを三十七条の二の改正によりまして、ここに書いてありますように、交付税交付金のほうに移したわけであります。それからもう一つ、この予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律には規定はないのでございますけれども、一番最初地方身体障害者福祉審議会運営に要する費用もやはり同様に三十七条の二に従来入つておりましたのを、今度は入れないことにいたしまして、交付税交付金のほうに移した。従いまして、昨日お話がございました費用は、こういうふうに今回の改正によりまして、交付税交付金のほうに移つたわけでございます。交付税交付金のほうの予算の中にはそれが入つておると解釈をしてよろしい状態でございます。なお昨日私のほうから申出ました項目の中で、調査に要する費用が入つてないじやないかということなんでございますが、これは国のほうで府県調査を委託いたしました際に、予算を計上するという建前でございまして、二十六年度には調査費用を組んだわけでございます。その調査費用も組みました。その結果、これも当委員会のほうに差出しましたけれども、我が国の身体障害者の一斉調査々やりまして、そして身体障害者福祉法運営参考になる資料を作つたわけでございますが、それはそういつた予算であつたわけであります。で、来年度はそういうことを考えておりませんので、これはまあ必要ないんじやないかと思います。  それから指定医療機関の検査に要する費用が入つてないんじやないかということを私のほうで実は申したのでありますが、これは身体障害者福祉法には、法律には書いてないのでありまするけれども身体障害者仕事をする上におきまして、福祉事務所がタッチいたしておりますので、その福祉事務所事務費といたしまして、二分の一国庫補助で、これは予算的措置として五百七十万円出しておりますが、その中にこれは含まれておるという私ども解釈です。これは法律にはないのでございますけれども、事実上出しております。この中にこれは含まれておるということでございます。それから最初から三番目の指導啓発に要する費用でございますが、これはまあ各県におきまして身体障害者に対する援護或いは身体障害者自身に対する指導啓発に要する費用が要るだろうというので、ここに書いてあるのでありますが、これは実は今の福祉事務所のほうの事務費に入つておるとも考えられます。と同時に、又交付税交付金のほうにも実は入つてつたのであります。昨日いろいろご指摘を受けましたので詳しく調べて見ましたところが、これは交付税交付金対象になつておるのであります。なつておりますから、当然これは法律改正で落さなければならんのでありますが、一つどもの事務的なミスがございまして法律のほうで落ちていないという結果に立至つたわけでございます。これも事務所のほうの費用に入つておると解釈するか、或いは交付税交付金の中につ入つているという工合に考えましてこの際はつきりしておくかということにつきましては又当委員会でいろいろ御意見を伺いたいと思います。
  4. 藤原道子

    藤原道子君 わかつたような、わからないようなんでございますが、平衡交付金に入つておるとすればどのぐらい見込んで入つておるのでございますか。
  5. 安田巌

    政府委員安田巌君) 交付税交付金のほうは、御承知のように標準府県というのを作りまして、標準府県基準財政需要として組むわけでございます。標準府県における一県当り分といたしまして、地方身体障害者福祉審議会運営に要する費用といたしましても十六万三千七百六十円入つております。それから身体障害者福祉司設置及び運営に要する費用といたしましては三百三十二万四千五百七十二円、身体障害者更生相談所設置に要する費用といたしましては百六十九万百二円というものか組んであるわけでございます。これは基準財政需要計算する場合の基礎でございますから、各府県にこの通り行くというわけではございません。これよりか多く見込んであるところもございますし、或いは全然行かないところもあるわけでございますが、一応財政的なやりくりとしてはこういうものが計算基礎に入つておるわけでございます。
  6. 湯山勇

    湯山勇君 一応今の御説明で実質的にはわかつたような感じがするのですけれども、それは交付税交付金に入つておるというのは二十九年度の話であつて、二十八年度においてはどうも地方財政法の十条によりましても措置されていないと思います。それから今のような問題が起つているのは他の省関係費用には殆んどなくて、厚生省関係にだけあるというのは非常に政府施策全般に亙つて厚生行政、而もそれが法できめられたものをそのような法律の上で処置がなされていないということは非常に遺憾なことだと思いますので、これは一つ厚生省当局におかれまして今後このようなことのないように善処願いたいと思います。
  7. 安田巌

    政府委員安田巌君) 仰せの通りで、二十七年、二十八年度はやはり平衡交付金に入つてつたわけでございます。併しそれは平衡交付金に入れるのが間違いじやないかとおつしやられますとその通りでございますが、いろいろ事情がございましてそういうことになつたのでありますが、今後そういうことの起らないように十分注意をいたしたいと思います。
  8. 藤原道子

    藤原道子君 あれですか、これは平衡交付金に廻ると、とかく弱い面は削られてしまうというのがいつも問題になつておるのです。平衡交付金に廻して、その後の運営が正しく行かれているか行かれていないかということを局長は御調査なつたことがあるでしようか。
  9. 安田巌

    政府委員安田巌君) この平衡交付金と申しますか、今度は交付税交付金なつたわけでございますが、根本的にこういう制度をどうするかというまあ考え方があるわけでございまして今までのように、地方仕事地方財源でやるんだというような考え方で行きますならば成るべく補助金を整理いたしまし、そうして財源を調整するというやり方のほうが本筋なわけでございます。結局そういう制度を認めておれば、今言つたような費用というものはやはり交付税交付金なり、或いは平衡交付金に入つて行く筋のものでございます。ただ私どもは、従来はそういうふうにやられますと、今藤原先生のおつしやつたような点がありますから、早くま島国庫負担に乗つけて置きたいと思つてがんばつたのであります。併し制度建前か二申しますと、そういう費用というのは当然平衡交付金に行くじやないかと言われますとその通りであります。そういうまあジレンマがあつたわけであります。実際にうまく行くかどうかという御質問でございますが、私どもいろいろ監査の費用等もございますので、実際監査いたしまして著しく不都合な点がございますならば遠慮なく地方庁に対しまして通牒その他の方法によりまして反省を求めるようにいたしております。
  10. 藤原道子

    藤原道子君 問題は法律で国が負担するとなつておるのですから、是非そういう方向に、湯山さんに続くようですけれども、そういうふうにやつて頂きたい。これはちよつとまだ正式に質しておりませんので言うことはどうかと思うのですけれども食品衛生監視員費用などは省議まで乗つたんだけれども省議で否決になつたというようなこともちよつと聞いているのです。ですからこれはこの法の通りにやろうとしたのがどういうところで平衡交付金に廻される結果になつたかという経緯をちよつと御説明を願いたい。
  11. 安田巌

    政府委員安田巌君) これは先ほど申しました私の答弁で尽きているのでありますけれども、結局平衡交付金制度というものを認める以上は成るべくそういつた国庫補助というようなものを切替えて行くという考え方にならざるを得ないわけであります。で、平衡交付金制度についていろいろ批判もありますから、これを根本的に国として変えるという見解になりますなら、今申したような費用のうちどれとどれをどうするかというようなことを具体的に論議されるでありましようけれども、現在のところではそういう議論をされますと、どうも私どものほうでは工合が悪い。まあただひたすら実情がこうだというようなことで、成るべく国庫負担のほうがいいからというようなこと以外には理屈がないわけでありましてそれ以上に別に深い理由があるわけじやございません。
  12. 藤原道子

    藤原道子君 児童福祉法もやはりそういうふうになつているのですか。
  13. 安田巌

    政府委員安田巌君) 児童福祉法のほうも、今ちよつと聞いて見ますと同様に法律改正して交付税交付金のほうへ落したように聞いております。
  14. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  15. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。  他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか、    〔「異一議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。
  17. 中山壽彦

    中山壽彦君 討論を省略して、直ちに御採決を願います。
  18. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今中山委員の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  それでは討論を終結いたしまして採決いたします。  原案通り可決することに賛成の方は挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  20. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたし  ます。    多数意見者署名     藤原 道子  中山 壽彦     西岡 ハル  横山 フク     廣瀬 久忠  竹中 勝男     湯山  勇  堂森 芳夫     有馬 英二
  21. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。なお、本会議における委員長口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  23. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案議題といたします。法案の御説明を願います。
  24. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その内容の御説明を申上げます。今回の改正は極めて簡単なものでございまして、同法第十四条中に「三箇月」とありまするのを「六箇月」に改めるというのが改正の本体でございます。昨年本法を御審議頂きました際にも、当委員会におきまして日雇労働者健康保険法給付内容につきましてその改善を御要望される御趣旨が非常に強くあつたのでございます。この点は当時から私どもとしても将来の改善を企図いたしておりました次第でございます。昭和二十九年度の予算折衝に当りましてはそういう点を考えまして、相当大幅な内容改善を計画いたしたのでございまするけれども、御案内のような緊縮財政方針等もございまして、結果におきまして二億一千五百万円という療養給付費一割に相当します額が二十九年度の予算として承認をされまして、現在国会におきまして御審議を頂いておりまするような次第でございます。療養給付費一割相当額を国で負担をすることにいたしますると、被保険者並びに事業主保険料の現行のまま据置きまして、給付内容におきまして現在療養給付を三ヵ月で打切る法律になつておりますのを、その倍の六ヵ月に延長することができるわけでございます。さような計算も出て参りましたので、予算承認と相待ちまして「六箇月」にいたしまする法律案提案をいたしました次第でございます。勿論私どもとしては、この改正を以て満足しておるものではございません。将来更に健康保険並み給付になりまするように、このことも努力を重ねる所存でございます。健康保険法給付と比較いたしまして大きく違つておりまするのは、御案内のように日属労働者健康保険法におきましては、病気で休みました場合の傷病手当金が全然ございません。それから分娩の給付或いは哺育手当金葬祭料等給付がございません。又給付期間に依然としてまだ大幅な違いがございます等でございまして、これらの点につきまして今後の改善を企図いたしたいのでありまするが、その第一歩といたしましてこの程度のことを希望いたしたいと考えておるものでございます。  附則厚生保険特別会計法の一部を改正するもの、或いは厚生省設置法の一部を改正するものが附加わつておりますが、いずれも実はもつと早くこれは改正をいたすべきものでございましたが、大変申訳ないことでございますが、従来手落ちになつておりましたものでございまするので、この改正機会に改めさして頂きたいというものでございます。附則の第二項の厚生保険特別会計法改正につきましては、これは当初は積立金が相当残ることも余り予想しておらなかつたのでございますが、いろいろ紆余曲折を経まして、実際に法律の成立が遅れまして、昭和二十八年度におきましては一月の十五日から保険料を徴収いたしまして三月の初めから保険給付が始まるというようなことで、その間二カ月に近い期間保険料積立金として余つて参ります。それを二十九年度の予算に繰入れて歳出に充てることができるというふうに、差当りこの規定によつてできるわけでございます。この点は将来ともそういう場合が起り得ることを予想いたしまして、この際厚生保険特別会計法改正しておきたいというものであります。  それから厚生省設置法改正は、先ほど申した文字通り当初の改正の際に改むべき点でございましたが、落ちておりましたので、日雇労働者健康保険事業というのを社会保険審議会担当事項の中に附加えたいという趣旨でございます。  以上法律案改正内容の御説明をいたしたわけでございます。
  25. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑を願います。
  26. 有馬英二

    有馬英二君 給付期間を六カ月に延長ずるということは少しも異議はない。私も賛成するのでありますが、実際においてこの運用がうまいこと行くかどうかということを私憂うるのですが、例えば北海道で言えば、漁業期になるというと日雇労務者東北地方から非常にたくさん雇つて来る。これは大抵二カ月若しくは三カ月くらいの期限で雇つておるのですね。そういうようなのはどういうことになりますか、運用上は。
  27. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お話のように、この法律がもともと日々雇われる者、或いは今お話のような季節的、臨時的な雇用関係にあります人たち対象にいたしますために、自然職場は一定をいたされませんので、或いは期間的に話のように制限を受けますということで、運用上は若干の問題は予想はされるのであります。そこで、すでに御案内のように、被保険者には被保険者手帳を持たしておきまして、毎日々々働きました都度保険料として納付すべきものを印紙事業主に貼付させまして、それに消印を押させるということで保険料を納めさせることにいたしておるのでございます。そこで、法律規定がございますように、前二ヵ月間に二十八枚以上の印紙が貼つてありまする場合には、三ヵ月目にはどこにおりましても療養給付が受けられるという建前にいたしておるわけでございまして、二ヵ月、三カ月の人でありましても、この二カ月間に所定の要件を満たしておりますれば、又郷里に帰りましてもその土地医療給付が受けられる、こういうことになるわけでございます。そのために、先ず保険官署におきましてそうした二十八枚の印紙が貼つてあるかどうかという事実を手帳によつて確かめて、病気になりました場合には受給資格証明書というのを発行させることにいたしておりますが、これはひとり保険官署のみでなくて、全国町村役場、現在の予算、二十九年度予算では一割に過ぎませんが、とにかく全国市町村のうち一割にその必要があると認められまする町村を選びまして、町村役場に参りますれば、被保険者手帳を出して受給資格証明書がもらえるというような運用も考えておるわけでございます。町村の数が一割に過ぎませんので、その点は必ずしも被保険者全部に便宜であるとはまだ考えておりませんが、予算折衝のいろいろな関係上その程度になつておりますが、そういうことで所在の土地におきまして手帳を呈示することによつて受給できるような仕組を考えておりますので、若干の不便はございましようし、又多少のトラブルもないとは申せません。健康保険の場合とは大分その点が違うと思いますが、できるだけその辺を実際に即しまして改善をして参る所存でございます。
  28. 有馬英二

    有馬英二君 それから期間中に病気にならないで、帰つてしまつてから病気になる。而もその発病した原因がだんだんいろいろ研究して見るというと、労働、つまり日雇労務者として雇われておつた間に原因があるのだというような場合にはどういうようになるのですか。
  29. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 只今のお尋ねの問題は私も実はつまびらかにいたしておりませんが、労災保険或いは労働基準法労災関係関連があると考えられますが、そのほうの分ですと、よく又検討してお答えすることにいたします。この日雇労働者健康保険法に関しまする限りは病気発生が従事中でありましようとも、その後の発生でございましても、前二ヵ月間に二十八枚の印紙を貼る、つまり保険料を納付しておきさえすれば、保険給付は受けられるわけでございます。従いまして御引例の三ヵ月北海道出稼ぎをして、その間所定条件を満たしておりますれば、そのあと、その後に発しました病気原因の如何を問わないで、その後に発生した病気でありましても、前二カ月間に二十八日という条件を満たしておる限りは療養給付が受けられるわけでございます。
  30. 藤原道子

    藤原道子君 その今の有馬さんの関連質問ですが、これは責任を果しておけばその後病気なつたときにでも治療が受けられるというのでありますか、それは期間は無制限でございますか。
  31. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 期間は無制限ではございません。つまり前二ヵ月間に二十八日ということがございますから、従いまして具体的に御当人が、今有馬先生の御引例の場合、三カ月北海道出稼ぎをいたしまして、そうして四ヵ月目には郷里帰つておりますという場合、二つの場合が考えられます。最後の一カ月にまるまる働いて二十八枚の印紙が貼付してある手張を持つておりますれば、帰つて二ヵ月間は受けられる。それから三カ月働いておるうちのあとの二カ月の間に合せて二十八枚以上五十六枚未満であるといたしますると、帰つてから一ヵ月だけでございます。一ヵ月後に発した病気について受けられるということでございます。そういうふうに前二ヵ月間に二十八日という条件で縛られます関係上、先ず二カ月以後に病気が発しましてもこれは受けられない。
  32. 藤原道子

    藤原道子君 これを今度適用を六カ月に延ばしたということは私大変結構だと思うのですが、傷病給付がついていなければこれは意味ないのじやないかと思うのですけれども、その点は……。
  33. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 確かに健康保険建前から申しますと、傷病手当金をつけますことが望ましいのであります。私どもそのことを念願をしておつたのでありますが、実は傷病手当金給付することにいたしますると、保険料の大幅な引上げか或いは国庫負担の大幅な増額か、この二つ以外に途がないわけでございます。私どもの判断では保険料引上げということは、今日の日雇労働者実情から申しますと先ず不可能に近いほど無理じやないかと思つております。そこで予算事前折衝の際には当然そういうことも考慮いたしまして療養給付期間中、たとえ短くても、三カ月でも四カ月でも傷病手当金が出せるようにしたいという念願を持つて折衝いたしておつたのでございますが最終の段階におきまして、先ほど申上げましたような事情もございまして、その点を入れますそとどうしても国庫負担が三割相当額、或いは三分の一相当額ぐらいに引上げませんと傷病手当金を出すわけには参りません。そういうことが遺憾ながらこういう結果に落ちつきましたわけであります。私どもはとにかく、併しそれでも一歩を進めるという意味合におきまして、やらないよりはいい、少くとも相当プラスであるというような考え方で御提案を申上げた次第でございます。
  34. 藤原道子

    藤原道子君 私は傷病給付がなければ日雇労務者が一生懸命働いても僅か全国平均すれば五千七百円ぐらいなんですね。それでもなお且つ生活保護法を受けないで自分の力で立上つて生計を立てようと努力しておるのです。この人が若し病気なつたときに、傷病給付がなければそれがすぐ生活保護適用者になるのです。ということになれば三割仮に国庫負担といつても私はそのほうがいいと思う。国家の経済というか、予算建前から行けばむしろ三割乃至四割国庫負担をしても傷病給付をしたほうが私はプラスだと思う。こういうふうに考えるのですけれども局長はどうお考えでございますか。
  35. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 恐らくお話の点は、こちらのほうで傷病手当金を支給することによつて生活保護費がその分だけ節約される意味もあるのでという御趣旨だと思いますが、私ども実はその点につきまして的確な計算がどうしてもできないのでございます。これは結局は今後の実績を見る以外にはないのじやないか。私どもがいろいろ資料を検討いたしましたところにおきましては、こちらで傷病手当金を出すということによつて生活保護費がどれだけ節約になるかという点につきましては、そう大幅なものでないというふうに考えられる。言い換えれば先ほど申上げましたように、結局は傷病手当金をこの上出すということになれば、その上国庫負担が出る。その国庫負担が丁度生活保護費の振替えで済む限度ではないというふうな結論に見通としてはなつておりますので、単純にそれだけの問題だとは思いません。勿論こちらで傷病手当金を出すということによつて生活保護費が節減になるということはあり得ると思いまするし、又只今お話の中にもございましたように、自主的な考え方で相互扶助の精神からこういう制度で立上ろうという制度を作るほうが国民の全般のためにもいいと私も考えておりますので、そういう経済的な計算上の問題は別といたしましても、私どもとしてはこの点考えなければならないと思つております。差当りの問題といたしましてまだそこまでの結論に到達いたしておりませんということを御了承願いたいと思います。
  36. 藤原道子

    藤原道子君 私も自立してやつて行こうとする人たちの気持を生かす上において当然やるべきであると、又一面から考えますれば、生活保護法の面においてもこうじやないかということを申上げたのでございますが、私もう少しこれは日雇労務者の立場を政府は検討すべきだと思う。それと併せましてこの日雇労務者の中には婦人が約半数ぐらいあるように私は記憶いたしますが、それはどうお考えでしようか。而も今度の日雇労務者健康保険には助産であるとかというようなものは一切含まれていないのですね。これは一体どういうわけなんですか。
  37. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) ちよつと今資料が見当りませんので、男女別の被保険者の区分が明確になつておりませんが、女子が相当にありますことは私どもも認めております。ただ今御引例の助産の費用給付とか、或いは哺育手当金給付とかいう問題につきましては、私ども実は体裁から言うと、率直に申しまして、給付内容を羅列したほうがちよつと見場はいいのではないかと思つたのです。併し実質的にもともとが健康保険でありますので、やはり療養給付の面に重きを置いて、それの不十分な面を第一義的に改善して行くのがいいのではないか、これが両方できれば勿論それに越したことはないのでございますが、予算折衝の結果が一割相当額国庫負担に落ちつきました関係上、これをどちらに割振りするかということで検討をいたしましたが、今申しましたような理由で、療養給付を先ず第一義的によくして行くという線で、もう少し余裕が出て参わばお話のような線まで及ぼすべきだというふうに考えております。
  38. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  39. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。  本日本案審議はこの程度にいたしまして、余は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  41. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 次に清掃法案議題といたします。衆議院の修正の要点について衆議院議員の安井大吉君から御説明をお願いいたします。
  42. 安井大吉

    衆議院議員(安井大吉君) 只今委員長からお話のありました清掃法案について、衆議院が原案に対しまして多少の修正を加えました点だけについて簡明に御説明申上げます。  先ず第二条でありますが、第二条の第三項に、「国は、市町村」と、こうあります中へ、「汚物の処理に関する科学技術の向上を図るとともに、」と入れました。これは従来の処理が極めて原始的であり、折角の資源でもあるから、もう少し本省としては府県町村を指導するに科学的な処理を絶えず研究して欲しい、こういう希望の下に「科学技術の向上を図るとともに、」と入れて市町村、国、府県のそれぞれの担当の責務を明らかにいたしたわけであります。三条、四条、五条、六条は原案の通りであります。第七条を挿入いたしましたのは、一般に汚物に対する市町村長の普遍的な義務、やらなければならない義務を負わしたのでありますが、或いは特殊の会社がある、或いは又観光の施設をなしておるところの場合に、一軒のところで多量の汚物を出す、これを特殊の会社が特別な清掃区域において多量に出すものは、これは多量に出すものに責任を負わして、一定の指定する場所に運搬、処分するというようなことを命じなければ不公平である、こういう意味からこの一条を入れまして市町村長は、厚生省令の定めるところにより、特別清掃地域において業務上その他の事由により多量の汚物を業務上出す、生活上の問題ではないという特殊なものを縛つたわけであります。  第八条、九条、十条、十一条、十一条へ参りまして、第二号に「下水道又は河川、運河、湖沼その他の公共の水域に」次の、「ふん尿」の上へ、「ごみ又は」と入れたのであります。これは例えば一つの清掃地域を指定したその上流で何を流されてもいいと、却つてそのごみが清掃地域に入つて来てそれが災害の因となり、非常に困る場合があるから、ふん尿だけでなく、ごみも又やはり或る程度規制して行かなきやいかんという意味を以ちまして、「ごみ又は」と入れたのであります。「但し、終末処理場のある下水道にふん尿を捨てることはこの限りでない。」と、ここに除外したのであります。  それから、その前に十一条の第一号に「海岸から百メートル」というのを、余りにこれでは近いというので、もう百メートル殖やして二百メートルに修正して、「百メートル」を「二百メートル」にいたしました。  それからその前に、大変失礼でありますが、その前に戻りまして、条文からいうと、十条の二項に「季節的清掃地域については、第五条、第七条及び」と「第七条」が入りましたから、それへ「七条」を加え、その規定を準用する、こういうふうにいたしたのであります。  それから第十一条が第十二条になりましてここに入れましたのは「特別清掃地域又は季節的清掃地域においては」農業を営む者が汲取りをやつている。ところがこの規定によつて肥料になすことが非常に困難な場合がある。そこでその百姓を救済する意味におきましても、市町村の使用する……、例えば夏は一カ月、冬は三カ月というように殺菌の期間といいますか、或る期間を置くというものに対して肥料を使用することができるように、「必要な施設を設けその他適当な措置を講ずるようにつとめなければならん。」これは農家の汲取りを保護する意味における一つ規定を挿入したのであります。それを二項といたしたのであります。それから十三条、十四条、何にもありません。  十五条へ参りまして、「汚物の収集」……、後段に参りまして、「汚物の収集」とありますが、これは汚物の収集は一体運搬、処分を含むか、これはどうも疑問があるのでありまして、「収集、運搬又は処分」の文字を入れて明らかにいたしたのであります。それから第三項へ行きまして、「第一項の許可を受けた者は、」を「汚物の収集につき」、「当該市町村が第二一十条」と、「第十七条」が「第二十条」に変つて参ります。「条例で定める収集に関する手数料」と、こう入れました。で「収集に関する」と入れました。  それから第四項へ参りますと、「汚物の収集、運搬又は処分」と書き分けてありましたが、第一項を直しましたから、従つて「第一項の許可を受けた者は」と、これを変えていいと思いまして、「第一項の許可を受けた者は」云々というようにいたしました。第六項を削除いたしました。  それから十五条が十六条になりまして、その次に十七条へ参りまして、前の原案の十六条でありますが、十七条にして、「第十三条」というのが「第十四条」になるわけであります。そこに「(国庫補助)」という見出しで、その一前に「環境衛生指導員」とありますが、「(国庫補助)」として、従来御承知のように補助がない。僅かに本年四千五百万円、去年は五千万円、それも科目というものをほかの科目に入れてそうしてやつたけれども、広い清掃の仕事に四千万や、五千万の金じやもう何にもならない。非常にこの規定はすべてに罰則を設けて、命令して、市町村長に強い義務を負わしておるにもかかわらず、大体金のことについてはよそを向いているということでは、折角の行政が上らん、こういう意味を以らまして、第十八条を挿入しまして、「国は、政令の定めるところにより、市町村に対し、左に掲げる費用の一部を補助することができる。一 ごみ又はふん尿を処理するために必要な施設の設置に要する費用。二 災害その他の事由により特に必要となつた清掃を行うために要する費用」、この二つの一項、二項の該当に対しては、国は補助をする。なおこのときの希望としましては、明年以降清掃補助という科目を一つ設けて、下水道の中へ紛れ込んでいるような補助では困る、明らかに堂々とこの補助を一つ計上して欲しいという強い希望がありましたが、これはここにはそういう意味において国庫補助を入れる。  その次に「(特別な助成)」という見出しでありまして「(国庫補助)」と相対して、「(特別な助成)」として「第十九条国は、市町村に対し、し尿消化そう、ごみ焼却場その他の清掃施設の設置に必要な資金の融通又はそのあつ旋につとめなければならない。」これもすでに皆様も御承知のようでありまして、なかなか借金を許してくれない。目の上の仕事についてはやるが、地下の行政に対する厚生事業は極めて従来閉却されておつた。而もこれに対する補助もなかつた。いわんやこれに対する起債のごときは極めて蓼々たるものである。例えば東京都のごときも、十三億の今化学処理場を作つているが、借金を許したのは一億だけだ。こういうわけで、財政の伴わないこういう助長行政は駄目だ、それで一つどうしてもこれは資金の融通をする、斡旋をするということに力を入れてもらいたい、こういうので、この国庫補助と特別な助成の規定を挿入いたしたのであります。  第二十一条、十八条が二十一条になりまして、「第十四条」を「第十五条」に、その次に又は同条第五項若しくは第六項の「若しくは第六項」を削りまして、「第五項の規定による禁止処分に」以下原案通りであります。  第二十二条は、十九条を二十二条とし、「第十三条第三項」と改める。  次に第二十三条を挿入いたしました。「第七条(第十条第二項の規定により準用される場合を含む。)又は第八条の規定による命令に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。」これは前の規定を入れたために、同じような意味の罰金規定を設けたのであります。  第二十条が二十四条、第二十一条が二十五条、その下に「第十三条」とあるのを「第十四条」又第二十二条は第二十六条になります。  その次に、そのまくつたところには、「人の業務に関し、第二十一条から前条までの違反行為をしたときは、」とこういうように、「第二十一条から前条まで」と挿入いたしまして前の条文と均衡を得たのであります。  それから附則へ参りまして、三項の前に「汚物収集業者に関する経過規定」と規定してありますが、その見出しを「収集」を「取扱」と変えました。  三項へ参りまして、「特別清掃地域内において汚物の収集」へ「運搬又は処分」という文字を入れて、前と一緒に取扱うように「運搬又は処分」を挿入しました。それから「第十四条」が「第十五条」になります。  それから六項へ参りまして、「第十四条」が「第十五条」になるのであります。  それから十二項へ参りまして、十二項の一番次の項であります第十条の二第六号中「下水道」を「下水道云々とありますその下に行きまして、「第二条」とありますが(同法第十四条の規定により準用される場合を含む。)」と括弧して入れましたのであります。大体以上でございます。
  43. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑がありましたら……。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 又別にこういうふうに提案者が来て質疑にお答えになるような機会が作つて頂けるのでございましようか。本日だけ御説明になるのでしようか。
  45. 藤原道子

    藤原道子君 次回にお願いしたいと思います。
  46. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  47. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは速記を始めて下さい。  本日の本案審議はこの程度にいたしまして、次回に衆議院の修正案について御質疑を願うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 異議ないと認めます。   —————————————
  49. 藤原道子

    藤原道子君 大臣がお見えになる前にちよつと医務局長に緊急質問さして頂きたいのですが、お許しを願います。
  50. 上條愛一

    委員長上條愛一君) よろしうございますか、藤原委員の御発言……。    〔「よろしうございます」と呼ぶ者あり〕
  51. 藤原道子

    藤原道子君 ちよつと簡単にお伺いしたいのでございますが、最近国立療養所下志津病院で何か事件が起つているように聞いているのでございますが、それをちよつと御説明願いたいのです。
  52. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 私も只今突然の御質問でございますので、記憶しておりますところを申上げたいと存じます。  お話がございましたように、下志津病院におきましては、一つは職員が代りまして、そうしてその代りの、交替の職員が入つて参りましたのに、その手続をしないで、前の職員の名前で俸給を支給しておつた。そうしてそれをこのあとの職員のほうに廻しておつたということが一つでございます。この問題はよく調べて見ますと、前の職員が完全にやはりやめたのではなくて、十分に慣れない職員があとに来ているというようなことで、一週間のうちに一日とか、或いはそのほかに随時来て診ておるというようなことで、職員の定員といたしましては一人しかございませんですが、あとの者が慣れるまで、まあいわば重複して職員が働いておつたというような事情で、古い職員のほうが給与がいいというようなところで、前の職員の名前でずつと支給をしておつたというようなことでありまして、そういうような責任のはつきりしていないようなことでは困るということがわかりましたので、医務出張所のほうから注意を与えまして、そうして前の職員にははつきりと退いてもらつて、そうしてあとの職員に切替えて処遇をした。これはたしか昨年の夏でございますか、初夏の頃から九月か十月頃までそういう状況があつた。一応十月の末頃と思いますが、そのときにはつきりと整理をして、前の職員にははつきりやめてもらつて、あとの職員に完全に切替えた、こういう問題が一つございます。  それからもう一つは、歯科医であつたと思うのでございますが、たしか千某医大だつたと思いますが、場所柄にもよります、そちらの教室にお願いして職員を推薦して頂きました。そうして勿論病院といたしましては、これはもう学校の教室におつたものというふうに了解したものでありますから、当然歯科医師の資格も持つているものというふうに考えておつたのであります。ところが、その書類を整えますときに、歯科医師の免許証がない。試験は通つているのであります。ところがその歯科医師の免許証を持つておらない。そうして早く出すようにと申入れましたところが、至急に今手続中だから、厚生省のほうから来るだろうから待つてくれというような話であつた。試験も通つていることでありますし、でありますから、もう当然免許証もじき来るであろうというようなことで、これはまあ時期の問題だというようなことで手続を進めて採用しておつた。併しそれが二ヵ月、三ヵ月たちましても督促しても出して来ない。よく聞いて見ると、金がないから免許申請ができないのだというようなことを申した。そういうようなことではけしからん。そうしてちやんと手続をとるか、そうでなければ、もうすぐにやめてもらおうというようなことで、そこにまあどういういきさつがありましたか、結局この歯科医師にはやめてもらつたということで、これもざつと、そういうようなもんちやくが半年ぐらいたしか続いたというふうに記憶いたしております。併し歯科医師の問題も、今のようなことではつきりと落着をいたしました。これも昨年の十一月頃ではないかと思つております、落着したのが。  それからもう一つの問題は、職員の学会出張の旅費を年度末に支給した。ところがその出張は事実いたしませんで、そうして昨年でございますが、昨年の秋に学会が又ございました。そうしてその学会の出張費に、而も違つた人間の出張費にそれを使つたということが、これは違法じやないかというようなことが職員の中に問題になつたという事件がございました。これにつきましては病院のほうによく事情を聞いて見ましたところが、年度末の学界に出張させるように考えたのだが、本人はそのときの春の学界でなしに、むしろ秋の学界に参りたいというようなことを言つてつたが、秋では又はかの人たちも出張に行かなければならんというようなことで、年度末の出張の旅費に多少の余裕があつたので、そのときに本人に支給して秋の学界に行つてもらうようにというように考えたのだと、勿論これはそれにいたしましても必要なときに行かずに、出張の必要のない場合に支給したということは、明らかに間違いであるというふうに、不穏当な処置であるというふうに考えるのでありますが、そのときにはさようなこと考えておつたのだ。ところがその医師が秋になりまして近くやめたいという辞意を漏らした。そういうようなところから、もうやめることではあるし、出張は強いてしなくてもいいじやないか、それはよろしい、それでその代りに出張に行きたいという希望者があるのだからその者にこの出張費を廻してくれ、本人もいや別に無理に自分も行きたいとは思つていないというようなことで、他の者の出張費に充てたというのが実情でございます。確かに処置といたしましては不穏当だと私ども考えるのでありますが、事情は今申上げたようなことで、ほかの者の名義を使つて、そして他人の出張費を出したというようなそういうような形になつているのでありますが、それ以上に深い仔細があつたわけではないというようなことで、以後そういうことのないようにということを出張所からも申渡しておきました。又私どものほうでもその後その事実を知つて、院長にも出頭してもらいました。そしてさようなことが今後起らないようにということを厳重に訓戒いたした次第であります。大体かような問題が下志津の病院に最近起りまして、職員の間でも病院のいろいろ管理が乱れておる、経理が乱れておるというようなことを申して私どもの耳にも入つて調査いたしました結果でございます。
  53. 藤原道子

    藤原道子君 私はこの問題を前に一度新聞で見たのでございます。又最近新聞で見た。聞くところによりますと、最近佐倉警察で二十四名ばかりの人が取調べを受けたというようなことが新聞に載つていたのです。これは私は穏かでないと思うのです。局長は今けしからんことではあるけれども、今後そういうことがないようにと言つて指示したというお言葉でございますが、それでいいでしようか。今まででもそういうことが許されたのでしようか。結局前任者が退官をして、それであとから代りの医者が入つて来た。併しその医者が未熟であるから、前任者のほうが腕がいいから退官した人がときどき来てその人を指導していた。こういうことも今まで例があつたのでしようか。そして前にやめた人の給与がそのまま文給されていた。こういうことが私は納得が行きません。  それからいま一つは歯科医を雇うときに、たとえ誰が紹介しようとも、免許証のない人を入れるなどということが第一けしからん。それがわかつても今に来るだろう、今に来るだろうということでずるずると半歳も免許証のない医者に治療を任しておくというようなことが、少くとも国立病院として許されるかどうか。若しこれが開業医であつた場合には一体どうなるか。そんなに免許証というものがいいかげんなものであるならば、何もやかましく言つて皆さん苦労をする必要はないと思う。免許証のない医者を国立病院に雇つていた、問題がばれてもなお且つ六カ月も遷延日を久しうした、この責任は一体どうなるのか。これを先ず曾田局長としての考えを私は伺いたいと思うのです。
  54. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 今まで申上げましたようなことは、いずれもそのまま許しておくべきものでないというふうに考えまして、その事実を知りましたときには、直ちに是正するように措置を講じました。
  55. 藤原道子

    藤原道子君 結局こういうときの責任は、一体誰が負うことになるのですか。
  56. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 直接には院長が責任を負うわけでありますが、その任免等につきまして、医務出張所まで参つておりますれば主張所長の責任ということになり、それをすべて監督しておりますという見地から参りますれば私自身にも責任があると思つております。
  57. 藤原道子

    藤原道子君 その医者の任免等については、一応退官して、退職というのですか、その後に入れるわけでしよう。いつでもそれは明確になつていなければならないはずでございますが、こういうずるずるしたようなやり方が従来も許されていたのかどうか。
  58. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 私といたしましては、さようなことはないはずだというふうに考えておりましたので、その事実を知りましてから非常に驚愕いたした次第でございます。
  59. 藤原道子

    藤原道子君 それから又、この今一番問題になつているものの一つに、学術会議の出張の問題でございますが、これなどもそんなにルーズにやられているとすれば、これは大きな問題だと思う。私にはほかの人が出張するから、春に出張旅費をまあ決定しておいた、ところが秋になつたけれども出張しないで、なおその人がやめるから、それなら又はかの人を出すというようなこともあり得ないことだと思いますが、こういうことを決定するのは院長が御決定になるのでございましようが、そういうふうに伸縮自在ですべてがやられるのかどうか。
  60. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 只今挙げられましたような事例に見られるような、余りにも伸縮自在というような処置は妥当ではないというふうに考えているのでありまして、例えば前の者が出張に行かずにほかの者が参るということであれば、一応返納して、新たに新らしい者が出張命令を受けるということが妥当なる措置だと考えております。
  61. 藤原道子

    藤原道子君 私は、今日は新聞の記事で、大体書き抜いて来ただけでまだよくわからのです。だからあなたから真相の御説明を願つた。私が知り得たところでは六項目の不当支出を露出して、これを地検に提訴したということを聞いております。その六項目とはどういうものであるかということを私は伺いたい。それから二十四名のものが佐倉警察で取調べを受けたという記事が出ているのでございますから、この二十四名のものが取調べを受けたということについての具体的な事実を私は伺わなければ結論が出ないのでございます。従いまして、私は今日は時間もございませんので、とにかく具体的な経過を一つ書類にして皆様にもお配りを願いたい。なぜこのことを私は特に取上げたかというと、この前表面的な事件にはならなかつたけれども、沼津の国立病院でも大きな問題が起つておるのです。幸いに解決はいたしましたが、どうも最近面白からざる問題が随所に起つておるということは各職員が弛緩しているのじやないか、こういうふうに考える。で監督等においても果して適正であるかどうかというような点につきましても私たちはもつと事実を知らなければならないと思います。従いまして一つこの具体的な経過、今日どうなつておるかということ私は先ず皆様に知つて頂いて、そうして本当に国民の大切な生命を預つておる、国立てございますから私はこのままには棄てておかれない、こう思うのです。殊に免許証のない医者を雇つてこれが発覚してもなお六ヵ月もそのままにしておいたなんということは私は国民の名においてこのままには済ませるわけには行かないのでございます。こういう点についてもつと詳しく一つお調べになつてそうしてこの厚生委員会へお示しを願いたいということを強く要望いたします。私は沼津の事件から推しまして、もつともつと真剣にならなければならない医療の面にすらそういうことがあるかと思いますと、非常に残念なのです。厚生委員としても恥かしいと思うのです。従いまして以上の資料を要求いたしまして今日の質問はこの程度にいたしたいと思います。
  62. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは曾田局長より今藤原委員の要望する事項を御調査の上なお次回に御質疑を願いたいと思います。
  63. 藤原道子

    藤原道子君 なお私附加えたいと思いますことは、どうも病院内が民主化されていないんじやないですかね。やはり院長なら院長の独断で事が運ばれるというようなことがこういう問題を起していると思う。こういう不正を取上げますと、いつかの沼津の病院のように、すぐ取上げた人を赤だ、赤の策動だというようなことで糊塗しようという非常に悪い風潮がこの頃各所に起つていると思いますので、この院内の院長そのものの運営状況等についてもお調べを願つて具体的な御報告を願いたいと、これも併せてお願いいたします。
  64. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 承知いたしました。   —————————————
  65. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それじや次にお諮りをいたします。今回のソ連引揚者を参考人として出典を求め、実情を聴取すると共に、残留者の引揚対策上の参考に資したいと存じます。その日時、人選等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  次に狂犬病予防法の一部を改正する法律案に対する審査上の参考に資するため参考人の出頭を求めることとし、日時、人選等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。よつて只今の二件とも参考人を呼ぶことに決定いたしました。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  68. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会