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1954-11-08 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月八日(月曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            竹中 勝男君    委員            中山 壽彦君            榊原  亨君            谷口弥三郎君            高野 一夫君            横山 フク君            高良 とみ君            前田  穰君            湯山  勇君            藤原 道子君            山下 義信君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省保険局長 久下 勝次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件(新  医療費体系に関する件)   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは只今から厚生委員会を開会いたします。  新医療費体系に関する件を議題といたします。御質疑を願います。
  3. 榊原亨

    榊原亨君 前回におきまして技術指数が各関係学会に諮問するということが当然ではないかというお話を申上げたのでありますが、そのとき政府当局は、これは臨時診療報酬調査会答申中にそのことがないというお話でありました。併しながら、その後いろいろ調べてみますというと、昭和二十六年一月二十四日の第十三回総会における斎藤特別委員長特別委員会の審議結果の報告の中にも「技術指数決定については、関係学会意見を徴すべしという意見があり、事柄自体としては勿論尤ものことでありますが、現に日本医師会なり日本歯科医師会なりで本調査会に提出されている資料関係学会意見が出ていると認められる訳でありますし、従つて今後の改訂については、関係学会意見を徴するよう決議をすることとなつたのであります。」ということをはつきりそこで報告をされております。又その当時の赤木調査会長答申の中に、昭和二十六年一月二十四日でありますが、その決議の中に、「本答申に基き決定さるべき技術指数を将来改訂する場合に於ては各関係学会意見を徴してその適正を期せられる様致されたい。」ということが明確に出ておるのであります。従いまして、前回におきまして私が申述べましたことにつきまして、こういう学会意見のことは、話にあつたかも知れんけれどもはつきりしないのだというお話は、受取れないと思うのであります。又昭和二十七年三月に厚生省が実施せられましたところの医療施設調査につきましても、当時の日本医師会長から、「この調査は、あくまでも現状実態調査であるから、これを医療行政基礎資料として、医師技術料診療報酬単価及び点数等決定することは誤りである。」と、そういう意見を申述べております。又第三次の客体調査につきましては、「この目的は『診療行為相互比重検討する』とあるが、これは現状はこうであるというだけで、適正であるかどうかは別に調査されなければならないと考えるがどうか。」というような意見書を出しておるのに対しましてその当時の統計調査部長でありましたところの曾田医務局長は、三月六日の会議におきまして、「この調査から出た医師生計費は適正なものとは思つていない。又技術料も別なものから出ておる、我我調査統計を担当しているので、この調査から出た結果が日医に有利か、厚生省に有利かは別問題として、白紙でやりたい。又この資料技術料単価点数等決定とは一応別なものであることを御諒承願いたい。」ということをはつきり述べておられるのであります。又昭和二十七年九月四日、統計調査部長としての書面を以て日本医師会に出された書面には「この調査経営実態を把握するものであつて、将来かくあるべしという結論が本調査から直接出し得るものとは考えない。」「どの結果を如何に使用するかは別の問題であるが、医療行為別費用のすべてを時間によつて計算するようなことは考えていない。」「医師のあるべき技術料が本調査の集計結果として直接計算されるとは考えていない。」というようなことをはつきり、当時の統計調査部長であるところの曾田医務局長書面を以て言つておられるのでありますが、これはこの間からの医務局長並びに厚生大臣お話とは、そこに非常な齟齬を来たしている。その点についての大臣並びに医務局長の御意見は、如何でございますか。
  4. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) お示しのように、いろいろ従来からのいきさつにつきましては、或いは御指示のような点があつたと存じます。それらの資料の作成に当りまして、或いは当初の目的等におきましても、御指摘のような点があつたと存じまするが、今日これらの問題を総括的に考えて参りましたときに、その資料が最も適当なものであるという場合においてはこれを採つて参り、又必要によつてはそのためにいたしました資料との比較研究等においてもこれを採用するという方法をとり、医師技術料に対しまする点等につきましては、実際問題といたしましてなかなか困難でありまするから、最後には或いは時間的な検討ということも止むを得ずやらざるを得ないという問題にも相成つて来ると思います。従いまして、恐らくお示しのような点も過去におきましては多々あつたのではないかと存じます。これを私どもは善意にとりまして、関係局長等におきましても、さような考え方で当初いたしましたこともあつたのではないかと思いまするが、現在の段階におきまして、最もこの資料として採つて可なりといたしましたものは、これを採つて今回の基礎資料の中に加えるという方法をとつて参つたのであります。
  5. 榊原亨

    榊原亨君 只今大臣のお答えは、この資料が適当であるという御判定でありますが、先ほど私が読み上げました意見は適当ではないと、言い換えまするならば、例えて申上げますならば、技術料測定いたしますときに時間だけで割つて測定することは不適当であるということを、はつきりその当時の調査に従事しておられたところの曾田さんが言つておられる。そのことは今でもはつきりしておるのでありまして、環境が変つたからそれが適当だということはないのであります。この間大臣は御出席でございませんでしたけれども技術難易度、言い換えますならば、技術指数というものを決定することはなかなかむずかしいというお話があるのでありますが、この答申にもございますように、その当時日本医師会がすでに技術指数というものを、各学会意見を徴して出しておるのであります。それは日本医師会利益団体でございますからして、その診療報酬について有利にしようというような考えが若しあるかも知れないということは考えられるのでありますが、技術指数と申しますものは何も、有利にするとか有利にしないとかいうことができないのであります。御承知でもございましようが、医師歯科医師処遇を幾らにするということは、直接社会的、経済的の制約を受けるのでございますからして、これは医師会並びにそういう利益団体が申上げることが、或いは自分の田に水を引くというようなことがないではないかも知れないのでありますけれども、各診療行為技術指数と申しますものは、その診療行為技術指数単価を、五円にいたしましても、十円にいたしましても、マイナスの場合も作ることができますし、プラスの場合も作ることができるのでありまして、これは何も利益関係ない。医師処遇関係ないのであります。従つて純学理的な学者の間の公正なる機関によつて答申されましたその技術指数というものに、厚生省がお調べになりました第二分冊にございますところの各診療行為頻度を掛けますならば、すぐに各診療行為比重というものは出て来る。少くとも各部門の、例えば診察料とか、或いは往診料とか、或いは薬治料というものの頻度比重が、曲りなりにもそこにはつきり出て来るのでありますが、そういうことがなかなかむずかしいというお話をたびたびなさいますが、これは決してむずかしいことではない。これはできるのであります。その労作をなぜこのいわゆる厚生省の新医療費体系におとりにならなかつたかということは、これは我々の誤解かも知れませんが、そうするならばこれはなかなか大変なことになるのじやないか、社会保険に対する、折角医薬分業をしても医療費が上らんといわれておることについて変なことになるのじやないか、というような御心配からかも知らんのでありますが、そういうことによつて少くとも各診療行為比重というものは算定できるわけであります。その算定をなぜなさらんかということについての大臣の御所見は、如何でございますか。
  6. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これは先般から私からも申上げたと存じておりますが、お話のように、医師技術医療というものに対しては技術というものが根本的に重要視さるべき問題でありますることは、御指摘通りであります。従つてこの技術をどう算定するか。而もその技術は具体的になつて来ると、一人々々によつて違つて来る、科によつて違つて来る、むしろ人によつて違つて来るという場合が強く出て参るのであります。従つてこれらのものを、これらの状況を総合的にいたしまする場合において、現在の医療体制から考えて参りますると、そこに等差を考え技術というものを強く織り込んだ行き方は、妥当ではない。技術そのものは大いに認めて行かなければならない、そうなると、どうしても時間というものが一つの基準になつて来るというのであります。最初からこれをいたしまする上に、いわゆる作為的に費用等の点から作成するという考え方ではなしに、現状を最も妥当に公正にするのにはどうしたほうがいいか、こういう考え方からいたした次第で、従いましてお話のように、そういう方法を以てやりすする場合、或いは只今どもがとりました場合と、そこにはいろいろ検討の余地はありすするが、私どもはさような意味におきまして、今回のこの時間的な割合というものを検討いたしたような次第でございます。
  7. 榊原亨

    榊原亨君 只今大臣お話は、どうもはつきりしないのであります。診療行為の時間が同じであれば、それは技術指数に正比例しますし、技術指数が同じければそれは時間に正比例する。これは根本の原則で、大臣が何とおつしやいましようとも、この原則は変えることができない。従いまして時間の割り振りということは厚生省がお考えになつた通りであるのでありますが、それに掛けなければならん技術指数は、この間の大臣お話では、なかなか測定がむずかしいからとおつしやるのでありますが、測定がむずかしければ、それではこういう方法がある。それはもうすでに昭和二十六年に出しておる各学会技術指数厚生省がお示しになりましたその頻度を掛ければ、すぐにその技術比重というものは出て来る。それを、それはむずかしいからとか、或いはその時間で割つたのだ、そういう独断的なお話では、この問題は解決しないと思うのでありますが、専門家である曾田医務局長如何でございますか、簡単に一つおつしやつて下さい。
  8. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この技術差の問題は、すでに榊原委員からも只今お話がございましたように、一方に技術差といたしましてプラスアルファを加えるという場合には、必ず他面においてマイナスアルファというものを或る診療行為には加えなければならんということになつて参ります。で、さようにいたしました場合に、平均的に計算いたしましたものに比べて、非常に医師に対する報酬の間にも大きな差異が出て来るということになるのでありまして、この差異現状においてどれくらいの差を持つておるものかということが、なかなかつかみ得ないのであります。勿論私どもも、曾つて医師会のほうから資料として技術指数というものが出されたことは、承知いたしておるのでありますけれども、かなり大きな差があるのでありますが、これをそのまま私どもが採用いたしました場合に、現状に対して非常に大きな差異を生ずる。その差異を果して皆さんから妥当なものなりというふうに御賛成を頂けるかどうか。で、非常に不均衡が起りました場合に、医師会から頂戴した資料であるからそのまま自分たち使つたのだというわけには参りませんので、私ども十分検討しました結果、それを直ちに用いるということは困難である。で、一応はそれを平均的なものとして計算をしてそうしてその上でこの技術差の問題というのは、更に二次的な医療費体系改訂をいたします場合に、考慮しようということにした次第であります。
  9. 榊原亨

    榊原亨君 今お話になりますプラスとかマイナスとかいうお話は、技術指数の例えば一を現実の金の面で十円とするとか、五円とするか、三円とするかによつてプラスマイナスということはできるのであります。少くとも私は、技術指数一点を十円になさいとか十五円になさいということを、申上げているのじやない。技術指遊は五円にしても、十円にしても、百円にしても、それは社会的評価でありますから、医者だけの主張歯科医師だけの主張ということはできないのであります。従つて診療行為技術指数というものは、少くとも専門家によつてきめられなければならん。そのきめられたものがマイナスになるとかプラスになるとかいうことは、その指数単価をなんぼにするかということによつてきまるのであつてマイナスとかプラスとかおつしやいますが、それはプラスとかマイナスとかいうことでなしに、それはその単価を金の面で、例えば三円にするとか、五円にするとか、単価を金の面で換算した場合のお話である。その指数マイナスになるからどうだとか、プラスになるからそれはいけないという御議論に私はならんと思うのでありますが、その点如何ですか。
  10. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私が了解いたしておりますのでは、たしかあの当時提出されました資料は、最も簡易なる診療行為というものを一と見まして、それからより複雑な高度な診療行為というものについては、それに対して一・五とか、或いは二倍、三倍、四倍というような数字が出されておつたと覚えておるのであります。そういたしますと、さような診療行為にそれぞれの行為頻度を掛けまして、そして平均を出しますれば、例えば平均二という数字が出て参るわけであります。そういたしますれば、私ども平均として出しておりますものが丁度二に当るわけでありまして、それでその当時このベースに一応とられておりました一というものは、若しも平均が二であつたとしますれば、その平均の半分になつて来るということになつて参ります。それからそのときに一に対して四倍だつたものは、平均が二でございますから、平均の二倍ということになつて来るわけであります。こういうようにいたしますれば、私先ほど申上げましたように、プラスになる行為も出るが、他面においては私ども計算いたしましたものの技術料の額を半分にしなければならんというものが出て来るのであります。そういうように考えましたときに、高度な技術と申しますか診療に従事されるかたがたに対する報酬は、これはずつと上つて参りましようけれども、非常に多数の医師の方々に対しましては、むしろ現在私ども計算いたしましたよりも遥かに低い数字が出て来るのではないかというふうに考えられるのでありまして、勿論私どもはこの技術差というもの、その人の技倆或い経験等によりまして、差があつて然るべきものだとは考えますけれども、さようにかなり大きな差異をつけて来るということ、殊に私ども只今計算いたしました平均に対してこれがぐつと落ちて来るというような場合が予想されます限りにおいて、これは軽々しく私どもはその資料を使うわけには行かない。非常に御苦心の資料を頂戴したのでありますけれども、私どもとしてこれを採用する以上は、私ども十分責任を持つて、無理がないと考えなければ、採用するわけには行かない。決してこれを無視するのでありませんが、更に十分御検討を経た上でなければ、すぐには取上げ得られないというふうに考えておる次第であります。
  11. 榊原亨

    榊原亨君 何度言いましても同じことでありますが、診療行為に対しますところの報酬、その中には所要経費とか、技術料とかある。その技術料所要経費の何分の一にするかということは、それはあなたがたのお考え或いは社会的評価であります。従いまして今御心配になりますように、技術の差がひどいから、非常に少く収入を持つ医師歯科医師、或いは収入を多く持つ医師歯科医師とがあるというお話でありますが、それは技術の絶対的比重を云々するのではなくして、それを金の面に替えるときの単価と申しますか、比重に掛けますその金の面を如何にするかということによつて決定するのでありまして、何も絶対的な金の面に関係ないところの技術指数は、今お話なつた理由ではこれがとれないのだ、だから時間で割らなければならないというお話は、全然受取れないと思うのであります。これ以上のことは何度申しましてもいけませんから、私意見として別に申上げますが、そういうふうなお考えであるならば、いわゆる厚生省の新医療費体系は、もうむちやくちやなことになると私は思う。この間承わりました病院が、費用の、経費の点の単価から計算いたしまして、費用計算過程における単価計算としまして、病院がこの当時十二円五銭、診療所単価が十一円九十一銭。そういたしますと、その当時は、大体のその当時の単価と比べて見ますならば、約五十銭、単価につきまして赤字になつているということでありますが、この資料はすでに昭和二十七年に御計算になり、お調べになり、その後はつきりわかつておるわけであります。病院診療所赤字になつて単価にいたしまして五十銭ずつ赤字になつておるということが、はつきりおわかりになつていらつしやるにかかわらず、その後厚生省はこれらの面について、何か手を打つておいでになるのですか。例えば単価を上げるとか、或いは点数をどうかするとかいうようなことについての御考慮が、あつたのでしようか、如何でしよう。
  12. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 多分こういう意味の御質問ではないかと存じますが、今回御提出申上げました資料では赤字じやないか、その赤字ということを資料にしているが、そういう状態であることを知つて、その後いわゆる医療行為に対する赤字というものに対してどういう処置をとつているか、こういうことだと思います。すでにこれはお話のように、今回御提出申上げております資料は表字でございます二十七年の三月を中心に考えますと、この赤字資料で詳しく出しておりますから、御承知だと存じます。その状態のままを検討して参つたのでありますから、この通りであります。ただその二十七年の三月がこの状態において赤字だから、その年全体がどうなつておるかということは、これは又おのずから違つて来る問題でございますが、従つてその後におきましても、実は単価の問題とこれは絡んでの御質問だと存じますから、単価検討ということにつきましては、それぞれ検討をさせまして、臨時診療報酬調査会等におきましても検討を進めながら参つて来ておるのであります。まだそれがその後はつきりいたしませんので、更に最近に至りまして速度を早めて、単価検討を督励いたしておるような次第でございます。従いましてこの単価そのものの点は、これはおのずから私ども別考えながら参つておりまするが、この資料お話のように、全体としては赤字になつておりまするが、その状態そのもの一つの基本にして検討して、この資料として御検討願うことにいたしたのであります。
  13. 榊原亨

    榊原亨君 厚生省がお示しになりました資料のうちで、主要手術点数というのがあるのでありますが、その中で「人口気胸」十三点、「人口」というのは口という字が書いてあるのでありますが、これは字が違うかも知れませんが、人工気胸十三点、胸廓整形術六百十八点、いろいろある。それを現行の点数表と比べてみますというと、殆んど大部分において非常に違いがある。言い換えますならば、この合理的と考えられる点数よりも低目になつておる。これはお認めになるのでございましようか。曾田医務局長一つ如何でしようか。
  14. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私のほうから御答弁申上げますれば、先般来御説明申上げましたような方法によつて算出されました費用というものは、御覧の通りの金額になつてつておるのであります。只今定められております点数と食い違つておるものが、若干ございます。
  15. 榊原亨

    榊原亨君 食い違つておるのは若干じやない、多数であると思うのですが、その食違いというのは、つまり今の点数が安いということを率直にお認めになりますか。例えて申しますというと、ここで読んでもよろしい。胸廓整形術費用から概算しますと六百十八点、今は二百五十点であります。胃除術五百五十点が五百点、虫様突起切除術二百五十三点が二百五十点、四肢切断術が三百七十七点が百八十点から二百五十点、殆んど大部分が食い違つて安いわけです。それはお認めになつていらつしやいましようか。
  16. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 手術だけをとりますと全般といたしましてもマイナスになつておることは、私も認められます。
  17. 榊原亨

    榊原亨君 これがわかりましたのは、いつわかつたのですか。昭和二十七年から御計算になつて、いつその結果が出て来たのですか。
  18. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) お配りいたしてあります費用計算というものは、たしか今年の九月初めであつたと思います。
  19. 榊原亨

    榊原亨君 全体の費用の概算から見まして、非常なる赤字になつておる、そうしてこれが直接診療報酬を強制して、国家がきめておりますところの社会保険に直結するものであるにかかわらず、それが昭和二十七年三月の資料が今年の九月にならなければ出て来ないというのは、一体どういうことだ。而もそれまでに医療協議会は何回となしに開かれておる。昭和二十九年六月にも医療協議会が開かれておる。それを頬かむりして、而もそういう低い点数赤字全国医療機関に強いて、厚生大臣、それで安閑としておられるのですか。厚生大臣も、笑い事ではないですぞ。厚生大臣の御意見、どうです。
  20. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これはこの資料がいつできたかというのは、只今局長がお答え申上げた通りで、むしろそうじやなしに、御意見趣旨は、このような状態はとつくから知つておるのじやないか、そうならば、知つておるならば、もつとアンバランスの訂正を早くすべきじやないかというのが、恐らく御質問の御趣旨だと存じます。多分、今の手術の点を御指摘になるが、私どもまだ他の点におきましても、現状においてアンバランスの点もあるのじやないかと存じます。従いましてこの点も実は協議会のほうに諮つて、急いでアンバランス是正等もいたしたいと存じております。ただお示しの具体的の事例が、今回のアンバランスの上に現われて来るかどうかは別でありますが、実はその点は同感であります。
  21. 榊原亨

    榊原亨君 なおこの機会に申上げておきたいと思うのでありますが、この赤字、ゆがめられた、言い換えますれば、医業経営ということが赤字にならざるを得ないことに、昭和二十七年以後なつておる。そうなつておりますならば、その医業経営実態というものは非常にゆがめられて来る。例えて申しますならば、昭和二十二年の全国の零床のベッドを持たないものの使用人が二・二五あつたのが、昭和二十六年になりますと、資料にありますように、一・一二になつておる。患者は殖えて来ておる、医療費は殖えて来ておるにもかかわらず、忙がしくなつて来ておるにかかわらず、医者が使つております使用人は半分に減つて来たということは、結局これは看護婦を雇うことはできないから、自分の娘を代用品に使う、自分の妻を事務員の代りに使うということをやつておるのでありまして、そういう状態は、医療法の立場から申しましても、適当な診療が行われておるということには、診療経営が行われているというふうには、私ども考えない。こういうゆがめられた、税金に追い詰められた、或いは医療費は、社会保険診療報酬というものは、赤字になるように仕組まれておる。そういう状態におけるところの経営が正しい経営でないということは、誰でもわかるはずであります。従いましてそういうようなゆがめられた経営資料を以て、その実態調査いたしました、その調査の結果がこうであるから、そこで新医療費体系には応じなければならんということは、御議論にはならんと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  22. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 尤もな御意見だと存じます。実は昭和二十七年の、例えば三月の基本調査の例をとつて考えますると、赤字ではないか、赤字のものを今持つて来て、今後昭和三十年から基本にするということは、赤字を予想した経営を肯定し、前提とするものではないかという御心配があるわけであります。ただ私どもが或る面をとつて、そしてそれに向つて精密な分析をいたしまして、そしてその頻度なり、或いはすべてに検討を加え、場合によつてはその原価を計算して、詳細なる一つ資料を作り上げる。その資料を作り上げてみると、たまたまそれが赤字だということは、先に肯定申上げた通りです。併し現在は昭和二十七年の医療費状態ではございませんことは、資料の一番先に出しておる通りであります。従つて医療費そのものはずつと、或いは数十パーセントの増加を示しながら、年々参つておるのです。昭和二十七年と昭和二十八年とを比べますと、相当多額の増加に相成つております。従いまして、さような意味におきまして、医療行為というものは、内容を進歩をいたし、いわゆる進んで来ておると思います。それがその比例においての考え方も同様に考えていいのである、かように考えておるのであります。昭和二十七年が赤字だから、そのまま二十八年、二十九年と来ておる、御指摘のようになつておると思いますが、二十八年、二十九年、更に私ども三十年におきましても、これは二千億を突破すると考えております。ずつと進んで来ております。将来は、それは今後も進む。ただその中における精細なる調査というのが一つの基準になつて行く、こういうのであります。赤字を基準にするという考えは、毛頭持つておりません。
  23. 榊原亨

    榊原亨君 医療費が殖えたことについて、その医療費の内容に記憶してあることはあとからお話申上げますが、これは大臣考えが違うのです。昭和二十七年から医療費が殖えたからといつて、それは違う。結核の治療のほうに行つておることはわかります。その話はあとから承わることにしますが、たとえそれを百歩譲つて医療費が殖えておりましても、その赤字は、時の診療行為のパーセンテージと申しますか、比重と申しますかについては、ゆがめられておる。具体的に申しますと、人件費一つ例をとつてもわかる。さつきお話いたしましたように、看護婦を雇わなければならん。雇わずにおりますと、その看護婦の人件費というものは少くなつて出て来るのでありますから、従つて全体の医療費の中の人件費は少くなつておる。これは大臣も御専門家でなくてもわかると思うのです。ところが、人件費が少くなつて来ておる状態は、家族労働でカバーしておるのでありますが、その少くなつて来ておる人件費の全医療費に対するパーセントというものは、必ずしも妥当ではない。その妥当でないところのパーセントを持つて来て、比率を持つて来まして、御計算をなさるということは、何といたしましても、たとえ医療費がなんほ殖えましても、その組成というもの、その比重というものは、そこにおいて非常にアンバランスが出て来ておるとお認めにならなければならんと思うのです。そういう資料を持つて来て、かくあるべきだ、新医療費体系はかくあるべきだというお話は、理論的にもどうも何とも申上げかねるのでありますが、大臣、その点はお気づきになりませんですか。
  24. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) この資料はあらゆる点から御検討頂くというと、先に申上げましたように、赤字状態になつておりますが、それぞれ相当の、いろいろな赤字の現象を、その状態において認めて来た資料でございます。従いまして、例えば或いはその経営に当つての諸掛費とかいうような問題につきましても、それをその姿においてこれを計算に載せて来たのであります。でありますから、その二十七年の或る月における状態というものから、あらゆる精密な状態においてその中の模様をとつて、そしてそれを基本資料として、更に十月においてこれを是正いたしたのであります。その状態そのもの赤字でありますけれども、その内容においては私どもは必ずしも無理のある状態であるとは考えておらないのであります。
  25. 榊原亨

    榊原亨君 各委員は私と厚生大臣と蹄の議論のやりとりをお聞きになつてもうおわかりになつておると思うのでありますが、これ以上大臣に申上げても仕方がない。大臣は理論的にもはつきりしないことをおつしやつているのでありまして、こういうふうなことで以て新医療費体系の基礎を云々するということは、木によつて魚を求めるようなものであつて、もはやお話にならん。これは各委員がお聞きになつていらつしやればこの問題はおわかりになりますから、もうこの点は私触れません。  厚生省がお出しになりました政府管掌健康保険の医療給付費の増加についてという資料があります。この資料を簡単に拝見いたしますというと、一口で言うてみますならば、この給付費の増加ということは、歯科診療を除きますというと、結核の治療に原因があるということを私どもは見るのでありますが、当局のお考えはさようでございますか。
  26. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 支払額が各疾病別にどうなつておるかということにつきましては、精細にまだ検討した資料を持つておりませんので、はつきり断定的に申上げかねますけれども、結核のために費用の殖えました面が相当ありますことは、事実でございます。併しながらこの資料で御推察頂けまするように、又これにも若干書いておりましたように、ただ単にそれのみで増しておるのではないのでございまして、一枚めくつて頂きますと、本文の一、二にこの要素がそれぞれ書いてございます。これらが総合してこういうものになつておるというふうに御了承願いたいと思います。
  27. 榊原亨

    榊原亨君 国税庁が発表いたしております昭和二十九年七月三十一日現在の発表によりますと、医師一人当りの年間の平均収入が百三十二万円、それに対する所得は五十万円ということになつておる。先ほど厚生大臣がお述べになりましたように、医療費収入というものは確かに昭和二十七年以後伸びておる。一二六%になつておる、大体。併しながらこの資料にもございますように、外来一件当りの平均を見ますというと、昭和二十七、二十八年を通じまして殆んど変化はないのであります。言い換えるならば、入院の医療費の増加であるということがわかる。これはざつくばらんなことであります。而も先ほど保険局長がお述べになりましたように、まあ結核の予防の治療というものも一部分……大部分だろう、或る程度の役割を占めておるだろうというお話でございまして、医療費の増加というのは結局、結核予防法の拡充強化によつてできて来るところの医療費の増加である。そういたしまするというと、結核の治療というものは何かと申しますというと、その主なものは御承知のようにパスとストレプトマイシンでありまして、結局物の面である。薬を余計使つたから医療費が上つたということにほかならんのであります。而も結核の治療を受け持つていますものは官公立病院或いは大病院でありまして、従いまして医療費の偏在と申しますか、医師収入の偏在と申しますものは結局大病院、大きな病院のほうへ移行しておりまして、全国医療の六〇何%を受持つておりますところの小さな零細なる医師歯科医師収入と申しますものは、厚生大臣がおつしやるように増加しておらないのだ。さような状態におきまして、大病院とそれから小さな診療所を算術平均いたしまして、そうして全体として収入が上つているかどうか。上つておるというようなお話をなさるのでございますが、これは非常な違いを起すものではないかと私は思うのであります。大体におきまして、医療費の増加と申しますものは、結核予防法に基く医療費の増加である。従いまして新医療費体系或いは医療費体系考えますためには、どうしても単一なる例えば零床の、病室を持たない診療所のものについて、この基準を求めて行かなければならんと思うのでありますが、例えば米の値段をきめます場合でも、零細なる、農家の最低限度のものを調べまして、そうして全体の米価を算出するというふうに、今までの健康保険におきましても、零床の、ベットを持たない診療所実態によつてこれを把握しなければならん。把握するということになつておるのでありますが、今度のお出しになりました新医療費体系資料と申しますものは、大部分病院であつて、私的の個人の診療所というものは極く僅かこれをとつてそうして而もその内容を見ますというと、例えて申しますと、病院にいたしましても、収入と支出のバランスを見ますというと、例えて申しますならば、精神病院は三十五万円ほど赤字になる、ところが結核のほうは九万円赤字になる、伝染病院は三十七万円赤字になる、診療所は六万円赤字になるというふうに、その赤字にいたしましても非常な差異がある。その差異のあるものを、ただ抽出統計をとりまして、そうして二十万名なら二十万名に一人、二百万名なら二百万名に一人というふうに、極めて性質の違つたものをとつて来て、そうしてそれがその実態であるということを、算術平均をいたしましてきめるということは、非常な問題であると思うのでありますが、この点についての御所見は如何でございますか、医務局長に後答弁を願いたい。
  28. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私ども只今お話につきまして、結核治療のためにどれだけ殖えたか、それから結核以外のものについて医療費が幾ら殖えたかということを、的確に掴む資料は持つておりません。併し私どもは結核治療の経費が、診療報酬が嵩んで参りましても、勿論これは病院等に余計行くということは考えられますけれども、これが全部病院だけに行くというふうには考えられないのでありまして、一般の無床診療所医師の方々のところへも、結核患者の治療ということについてはいろいろとお骨折りを願つているかというふうに考えておるわけであります。それからかみ合せたのがないのでありますけれども、入院患者と申しますか、或いは病院で治療をいたしますものというのが、どの程度に殖えているかというようなことについては、若干の資料があるのでありますが、勿論病院は、皆様がたも御承知のように、最近は年間大体四万五、六千というくらいのベッドが殖えて行つておるのでありまして、ほぼ一割くらい殖えておるわけであります。併しながら年々の二割、三割という医療費の増加が病院だけに行つているというふうには、どうも考えにくいのでありまして、勿論大臣から申されました総医療費の増加と同じ割合で、無床診療所のお医者様に対するところの診療報酬というものが嵩んでいるとは申せないのでありますけれども、併しやはり相当額殖えておるということが予想できないことはないというふうに考える次第であります。
  29. 榊原亨

    榊原亨君 こういう重大な医療体制を研究し創立いたしますためには、無床の小さな診療所のほうに行つているということが想像されるという想像だけではいかんのでありまして、実際上どうかということをはつきり把握しなければ、問題にならん。例えて申しますならば、低額な所得者、つまり非常に少くしか所得をしないところの診療所におきましては、その殆んど全部分診療所医者の衣食住のほうに、生活費のほうに回されてしまつて、そうして殆んど技術の再生産というほうには向く余地がない。ところが、高額な診療所病院におきましては、今度は患者の衣食に関係があるところの患者の生活費のために費用が食われて、それについては不当な課税がかかるというわけでありますから、低額な診療所並びに高額な病院というものの経営実態というものは、非常にゆがめられておる。そういうゆがめられたものをごつちやにして来まして、そうして算術平均、而も算術平均だけじやない、もう病院診療所はたくさんおとりになる。而も実際上無床診療所には極く数カ所しかこの例をとつていらつしやらない。そういうことは私はどうもおかしいと思うのであります。而も抽出統計と申しますが、例えば人口統計のように、性質が同じものを、二十番目、三十番目、五十番目というふうにとつていらつしやるならば、これは話はわかるのでありますが、非常に違つたなつた性質のものを二十番目ごと、二百番目ごとにとりましては、それは抽出統計の誤差が非常に大きくなると思うのでありますが、その点のお考え如何でありますか。
  30. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 病院診療所というものにつきましては、これは診療所のほうが数が少いというふうに言われましたのは必ずしも当らないのでありまして、勿論病院は二十分の一の抽出率でとつてあります。それから診療所は二百分の一の抽出率でとつてあるわけであります。病院は百五十五でございましたか、それから診療所のほうは二百十七でございましたか、いずれにしても二百前後というものがとられて出ておるのでありまして、それから又有床診療所と無床診療所は、大体三対一くらいの割合になつてつたと思うのでありまして、無床診療所は確か、百二、三十とつてつたと思つております。こういうふうにして調べてございますので、決して無床診療所を無視したというようなことはない。それから又いろいろここでお示ししております資料にも、病院診療所、又診療所のうちは有床、無床というように、すべて分けてお示しをしてあるわけであります。
  31. 榊原亨

    榊原亨君 厚生省資料の中にお調べになりました診療所病院の換算数が出ておる。それは今曾田さんがおつしやいましたように、昭和二十七年三月のものはなるほど換算数は出ておるのでありますが、精密調査、第二次調査についての換算率、科別並びに経営主体別の換算数が出ていない。これは出そうにも出せないのじやないですか、数が少くて。若し資料がございますならば、お示しを願いたい。
  32. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この点は前にも再々申上げたと思うのでありますが、このいわゆる精密調査というものは、これは数を余計とりましても、その検査の方法が非常に厄介でございますので、その数字をつかむということ自身が非常な誤差を持つて来る虞れがあるのでありまして、これをまとめますのには、前にもお話申上げました通り、公認の計理士であるとか、或いはそれに準ずる会計学等の知識のある人たちに、その資料を整理して頂いたような次第なのでありまして、こういうようなところから参りますれば、勿論私どもの勉強が足らんということはございましようけれども、これを統計的に意味のある、或いは誤差を論ずるというほどの数をとつて参るというようなことは、これは言うべくして実行不可能であるというふうに考えられますので、私どもは、この十月の調査として私どもが使いました資料、これについても、いろいろの私どもが初めに考えましたところから、何と申しますか、素志にもとる、十分でないという点はございますけれども、併しかような調査の性質から参りますれば、これを全然捨て去るというべき性質のものではない。然るが故に、その資料を用いまして、そうして春の調査対象としては相当数とりましたこの資料というものに対照いたしまして、そうしてその際に大きな差異があるかどうか、大体この十月の資料が用いられて支障がないかどうかということを、チェックした次第であります。
  33. 榊原亨

    榊原亨君 私の申上げますのは、その精密調査についての科別並びに経営主体別の換算数をお示し願いたいというのです。それはおできになるかならんかという、簡単なことなんです。
  34. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 換算はいくらもできますけれども、私ども意味がないと考えております。
  35. 榊原亨

    榊原亨君 意味がないということは、言い換えますならば、日本全部におきますところの零床診療所とお調べなつ診療所の数との比率と、全国におきますところの病院の数とお調べになりました病院の数との比率が、違つておるということから、換算数が出せないのでしよう。
  36. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 病院診療所は、私ども平均して計算はいたしておりません。別々に計算してあります。
  37. 榊原亨

    榊原亨君 別々に計算いたしておりますけれども、例えば病院のほうは千の中で十だけお調べなつた。ところが、診療所のほうは千の中で一つしか調べないというようなことでないのでございますか。そこで換算数が出せないのでしよう。換算数は計算できるけれども、出すわけに行かないのじやないですか。
  38. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは今申し上げましたように、どれだけのものを抜いたかと申しますれば、特に診療所のような場合には、極めて数は少いものでございますから、計算はできますが、そういう数を十分とつたとは私ども考えておりません。
  39. 榊原亨

    榊原亨君 わかりました。
  40. 高野一夫

    ○高野一夫君 榊原委員質問に関連してお尋ねしたいと思うのですが、私が先般来厚生省に対して、二十六年と二十八年との間の医療費増額八百二十四億の内容の調査資料を要求しておりますが、未だに出ません。そこで二カ年の間に八百二十四億殖えておるということについて、それにやはり関連して只今榊原委員から御質問があつたわけでありますが、これは被保険者が殖えて保険のほうだけが殖えるというなら別ですけれども、それならば自費診療が減らなければならんのですが、これは両方合せての医療費の増額でありまして、それが八百二十四億、二カ年に殖えておる。それが仮に結核であるかないかわからんけれども、私はこういうふうに考えるのですが、これ一つ大臣の御見解を伺いたいと思うのですが、病気は結核であろうが何であろうが、患者が勝手に病気になるのであつて、我々は医者のために病気になるのじやないわけなんです。だから、結核の治療が進歩して、それで今まで治療できなかつた結核患者が非常に十分な結核の治療を受けられるということになるなら、国民福祉の立場から当然、どしどし結核の治療を与えなければならんわけでありますから、そこで医療費がどういう病気の種類で増額されようとどうしようと、それは患者のやることであつて、我々は医者収入ということを目当てにしてどの病気が多くなるとが少くなるとかいうことは、毛頭考える必要はない。又考えたところで始まらんと思う。それで結局開業医と病院の問題でありますが、現在は、この間も病院関係の代表者の参考人としておいでになつたかたの意見でありますが、だんだんだんだん一般診療所よりは病院のほうに移行する傾向にある。而もなお且つ厚生省の対策は診療所本位であつて病院を軽視している傾向がある、こういう声を病院関係医師諸君から聞くわけであります。これもやはり病院が若しも設備がよくていろいろな医師が揃つているというならば、患者は診療所べ行くよりは病院のほうに行きたがるということは、これは当然なことであります。丁度例えば小売店に行くよりは品物がたくさん揃つたデパートに行きたがるのと同じ心理でありまして、だから、病院に余計収入が回つて、開業医の収入が減つて行くというようなこと、これは私は当然、医者本位に考えるべきことではないので、これは患者の病気の種類もそうでありますが、患者がどこべ行こうと、患者が自分の病気を治すためにどこが一番いいか、こういうふうにして選ぶべきであります。だから、只今のような質疑応答を聞いておりますと、開業医のほうに余計努めて行かなければならんということになる、或いは病院のほうでもどうしなければならん、こういうようなことになりますから、病気の種類の如何によつて医療費が増額されるとか、或いは病院のほうに偏向するとか、開業医の収入赤字になるというようなことを考えて、医療費の対策を考えるということは、私は国民感情の立場からいつて、妥当な考え方にはならんと思うのです。この点について、我々は総体的な問題として、病院診療所とかいうことでなくして国民の総体的の立場から医療対策、医療費の問題を検討すべきじやないかと、こう私は考えているのでございますが、これについて大臣の、簡単で結構ですから、御意見をお伺いしたいと思います。
  41. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) どうも私は、病院病院としての特徴と、又なくてはならないものとがあると思うのであります。又診療所にいたしましても、有床、無床の診療所、いずれにいたしましても、それはそれとしてどうしても十分な発達をするような業態を持つて来なければならない、その必然的な存在の価値がある。従つてそれぞれの面において、医療行政としてはその円滑な発達を期するようにいたして参らなければならないと存じます。将来或いは診療所をなくして病院にするとかどうとかというような問題じやなしに、それにはやはり診療所診療所としてのよさがあると存じております。従つてこれらのものを全体の進展を期するように、医療行政を取計らつて参りたいと考えております。
  42. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう一つだけ曾田局長に伺いたいと思いますが、やはり八百二十四億の増加の問題でございますが、私はどうもこれが不思議でならない点なのです。それでしつこくこの問題について資料を要求したりお尋ねしたりするわけですが、国民所得の増加に従つて医療費が殖えて行く、病院診療所収入が殖えて行くというような、或る程度の比率で行くならば、これは当然のことであるかも知れない。人口の増加によつて殖えて行くということも当然のことかも知れない。併しながら医学が進歩する、薬学が進歩し、技術が進歩し、そして新らしい薬ができて行くならば、十日で治つた病気は七日で治り、五日で治る。十日飲んだ薬は七日で済み、五日で済む。こういうことになるべきだと、私は学問、技術の進歩から考えるのであります。それにもかかわらず、二カ年に八百二十四億も殖えるということは、果して人口の増加とか或いは国民所得の増加ということに比例をして、これだけ増加するのか、そのほかに何らかの意味があるのかどうか。こういう殖え方というものが、その点がどうも私は、幾らお話を聞いても、わからないわけですが、私は国民所得の増加に比例して、人口の増加に比例して殖える分には差支えないけれども、そうでない限りは、むしろどんどん減退して行くべき性質のものじやなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。そこで八百二十四億という二カ年の間の増加が出ているのですが、この点についてその点一点だけ、簡単で結構ですから、曾田さんの御説明は詳し過ぎて時間をとりますから、簡単でようございますから、あなたの御説明を聞きたい。
  43. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 一つ人口の増であります。その次には医師にかかるものの増、いわば受診率の増であります。これは衛生知識も進みますし、又経済的に医師にかかり得なかつたというような人たちに対しましても、社会保険或いは生活保護というような途が講ぜられるということから、出て来るもの、その他であろうと思うのです。それから今度一人の患者にいたしましても、医師に、これは今申上げましたところと重複するかも知れませんけれども、今まで五回しか診てもらえなかつた人が、完全に治るまで受診を続けるというようなことで、診療の回数が殖えて来るというような、期間が延びて来るということも考えられるのであります。併しこの点につきましては、又一面から申しますと、今までは比較的軽症な患者は、医者に診てもらわずに、我慢しておつた。ところが、今度軽症の人たちも医者に診てもらうようになつたということになりますれば、前よりも平均して重症のものよりも軽症のものが殖えたというようなことも考えますれば、これは一件当りの平均治療日数というものは逆に減つて来るという事情も考えられるのでありまして、一件当りの診料日数というものは、これは二つの方向の動きがあろうと思うのでありまして、余り大きい差はないのではないかというふうに考えられる。それからもう一つは、今度一件、或いはもつと言いますならば、一人一日当りの治療費が殖えて来ておる。このことは特に入院治療を行うものが殖えて来るということが、一つの大きい要素であると思うのであります。入院患者同士、或いは外来患者同士といたしましても、今御指摘がございましたように、医学が進み薬学が進んで来るというようなところから、より高度な治療を行うというような意味におきまして、経費が逐次嵩んで来るという事情もあると思うのであります。そのほかにもあるかも知れません。主な点は以上申上げたような諸点であると考えております。
  44. 高野一夫

    ○高野一夫君 これで質問を打切りますが、一カ年に四百億幾ら、丁度五割近くの医療費が殖えて行くということについての御説明としては、まだそれで私は満足いたしませんけれども、ほかに大臣に対する御質問が皆さんおありであろうと思いますから、一応私の質問は打切ります。
  45. 榊原亨

    榊原亨君 今お話になりました医務局長お話は、まだ徹底しておらん。端的に申しますれば、結核の治療が殖えて来たことですよ。言い換えれば、パス、ストレプトマイシンというものが殖えて来たから、従つて今まで死んだ患者がそのまま病院に残つておる。そこで医療費が殖えるのです。先ほど医療費が殖えたというのはどういうわけか。端的に申せば、そこです。つまり結核予防法の治療が殖えたから、そこで医療費が殖えて来た。而もそれが入院のほうに偏在しておるということを言うだけでありまして、先ほど来いろいろ御質問があつたのでありますが、零床診療所がどうしだこうしたというのじやないが、そのために現実の面といたしましては、零床診療所のほうに配分が少くなつて来る。その少くなつて来るのを、昭和二十七年の多かつた時分の統計ではつきりそれを割るということに、間違いがあるということを指摘しただけであります。大臣に対する御質問があると思いますから、ここでちよつと中止させて頂きます。
  46. 山下義信

    ○山下義信君 私は前回に、この新医療費体系医薬分業との可分、不可分のことを大臣にお尋ねして、それでそのことがはつきりいたしました。まだ新医療費体系そのものについての、大綱についてのまだ御意見は伺う機会がなかつた。これはまあ専門的な問題でありますから、同僚議員の中の専門家の御意見を拝聴しつつ、ときどき発言さして頂くより仕方がないのでありますが、政府の報告を承わつて、すでに月曜、もう我々もだんだんと臍を固めなければならん時期に近づいているので、私はまとまつて実はいろいろ、何と申しますか、根本的な政府の御方針を承わりたいと実は考えておるのであります。  三時からお出かけということでありますから、今日も実は時間がなく伺いかねるのでありますが、私がこの短い時間に伺いたいと思いますことは、先般からちよつとその点は話題に出しておきましたのでございますが、今回の新医療費体系が保険経済にどういう影響をもたらすかということにつきまして、政府の資料では、実は資料だけ見ましたのでは不十分でありますが、一部の資料では、医療費が減少するかのごとく見え、一部の資料では増加する、まあ局部的であるにしても、そういう資料が出ております。それから政府の総合的な報告書の総論の中には、いろいろ条件をつけて、若干の所見が述べられてありますが、よくわからない。それでこれは非常に大きな問題でありまして、一つにはこの新医療費体系が、私は時間がないから意見は言いませんが、新医療費体系の繋つておる非常に大きな二つの問題としては、言うまでもなく、一つには医薬分業一つには保険経済との関係、これは私はこの新医療費体系の持つておるところの二つの大きな問題である。二つ、或いは一つであるかもわからんが、そこで保険経済に及ぼす影響の見通しを、政府はどう考えておるかということです。それを私は承わりたい。それでいろいろ不得要領な前置きを述べて、いや或いは頻度が変らなければとか、或いはこの二十七年の三月調査のこのままで行くとするならばというようなことを言わないでですね、そういうことは私は非常に子供騙しだと思うのです。政治論にならない。国会の議論としては、余りそういうことを言つてつたのでは、低調過ぎる。いやしくも一つの新政策を政府が実行しようとするのに、見通しがないということがあるべきはずはない。この新医療費体系を実施するならばこういういい影響があると確信しておるということがなくては、やつて見なきやわからんというのでは、その具体的な細かいところは、やつて見なければわからんことがありましよう。併しながら、一つの見通しというものは当然持つておられるはずであると、私は思う。そこでこの新医療費体系というものが保険経済に及ぼす影響、政府の見通し如何。而して如何なる影響を及ぼそうとするかという意図がなくちやならない。私はそれがなければ、政策にならない。ただこういうものを持ち出して、何か規矩準縄の無意味な、死んだ数字を羅列したのでは、政策にならない。これは一つのモデルを出したけれども、これに点数を当てはめて行き、これによつて生きた金額の数字を加えて行つて、そうしてこう行くつもりだという、保険経済との関係についての、政府の私は基本的方針がおありだろうと思う。私はそれを承わりたい。今日はそれを承わらなければならん日であると私は思う。これはどうしても今日私は、政府がその方針をはつきりとこの席でお示し願いたい。これをやればどういういい影響が保険経済の上に出るという見通しを持つているのか。  或いは一つ承わりたいと思うのは、先ほど榊原委員から御質問があり、私も前回触れたのでありますが、今出した二十七年の三月の資料赤字だと、この赤字の点を捉えて議論をするならば、この資料認めて行かなきやならない。赤字ということが正確ならば、即ちこの資料は正確である。だから、この資料を否定するならば、赤字の議論も成り立たん。私はそこはいささかおちよつかいを言うようでありますが、私はあれは正確な資料と見る。そうすると、これをこのまま放つておけ、言うまでもないことだと、先ほどから大臣はこの赤字を、このままの医療費の内容を、現実にこれを今後当てはめようという考えはないということであるが、併し極めて御答弁はあいまいであつた。何だか研究中のごとく、或いはすでに諮問を出してあるその答申を急ぐかのごとく、その諮問がいつあろうとあるまいと、政府においては単価について、新医療費体系について如何考えられるか。現在の単価を私は聞こうとはしない。この新医療費体系についてその及ぼす影響と、保険医に赤字を、そういう荷酷な状況を強いる意思がないとするならば、新医療費体系に当てはめる単価については、如何なる含みを持つているか。これは政府が明確になさる責任がある、必要がある。そこで初めて画龍点睛で、我々は政府の出した新医療費体系の構想に生きた魂が入つたものとして、これがどう展開するかということを政治的に考えることができる。私はこの際先ず新医療費体系の実施が保険経済に及ぼすところの影響、而して如何にこれを及ぼそうとしているかということが一点で、関連いたしますが、第二点といたしましては、これに当てはめるところの単価はどう考えているかということについて、先ずこの時間に承わつておきたいと思います。
  47. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 率直な御質問でございますから、私も率直にお答え申上げて、いろいろ前置きなり、いろいろなテニオハを一つ取ることをお許しを頂きたいと思います。  私どもの保険経済に与える見通しは、実は大変これを大きい希望を持つているのであります。費用の、経済の面からいたしますると、直ちにこれによつて増減を来たさない。ただ併し医療の内容を向上するために、うんとやる。併し恐らくその次の段階においては、その内容の向上に比例して、医療費が安くなつて来る。かように考えております。医療が向上して来る。  それから単価の問題につきましては、実は率直に、私どもは現在では、保険経済の立場から、俄かに単価を切ることは困難な状態だと考えております。併しいろいろな点から考えまして、単価というのは結局、医療行為に対する報酬その他の費用の点でございますから、これは一方において、保険の医療行為というものが、公的に、国家においてもつと強く認むべきであるそういう措置をいたすべきであると考えております。
  48. 山下義信

    ○山下義信君 非学に率直な御答弁を得まして、問題がよくわかつて来ますが、第一点は、医療費は安くなつて来るという政府が見通しを持つているんだ、こういうことであります。医療内容の向上ということをおつしやられ、医療費が安くなつて来るという見通しだということであります。これは更に時間を得て、具体的に承わらなければなりませんが、単価の、第二点の問題が、十分御答弁が聞き取れなかつたのでございますが、政府は単価について直ちに改訂をする意思はないとおつしやるのでございますか。社会保険医療費休系の実施について、これを円滑に実施するについては、考慮する、このお考えでございますか。もう一度、一つ御答弁を煩わしたいと思います。
  49. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 直ちに改訂をするということは困難であると考えております。ただ社会保険医療行為というのは、現状のような取扱方ではいかんのであります。むしろ公的な含みを強く含めて、その行為に対しては当然一種の国家の保険政治に対する行為としての考え方をとつて行くべきものではないか、そういう面において今後処置をいたすべきことではないかと考えております。
  50. 山下義信

    ○山下義信君 非常に意味深長の御答弁であります。時間がありませんから、私は端的にもう一度一つ突つ込んで伺います。後段の、国家が公的な意味をもつと一つこれに認めて、つまり考慮して、それと睨み合せて考えるべきではないかという御意見、御意思のあるところは若干わかるような気持がします。大臣の答弁はこういうことなんですね。これはやぼなことでありますが、若し健康保険の医療給付に多年の宿題である国庫の負担ということが期待することができるようになつて来たならば、この医療報酬の問題についてもその点において考慮する余地がある、こういう御答弁のようにとれましたが、さように了承いたしましてよろしゆうございますか。
  51. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) その面も私ども考えております。併しまだ他の面においても、この医療行為に対する点から考えてみたらどうかと考えております。
  52. 山下義信

    ○山下義信君 くどいようでございますが、他の面とはどういう意味でございましようか。もう少し一つ……。
  53. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 社会保険による収入というものに対する課税その他の問題についても、十分考えて行くべきものであると考えております。
  54. 山下義信

    ○山下義信君 私は恐らく政府は、先ほど榊原委員指摘されましたような、この資料で割り出された病院で十二円飛んで幾銭、診療所で十一円云々といつたような、現行の単価よりほ低いような原価計算から割り出された単価が出て来た、こういうような状態、言い換えれば、赤字経営のままで社会保険医に委嘱して行こうというような、矛盾な態度を持続せられるわけがない。そんなことを御答弁で今おつしやつておられますが、そんなことのできようはずはない。すでに日本中の社会保険医が集まつて、このことについてもう御承知のごとき態勢で、ひしひしと迫りつつある。そういう情勢を目前にしておいて不可能なことを、如何に慎重な態度をとるとはいいながら、これを単価の問題を避けるような御答弁をお続けになつても、そんな態度をおとりになつても、如何なる名大臣を以てしても、如何なる不可思議な魔力を持つておられても、そんな不可能なことを以て社会保険の運営ができるはずはない。私は、恐らく政府ではただ単価の問題についても或る程度含みを持つておられる、それは三円も五円もというような、一円上げても厖大な影響がある、そんなことは、大きな手直しはできないにしても、何らかの考えを持つておられるだろうということは、私は想像がつくのであります。そんなら飽くまでもやらん、こういうようなことをはつきり言明なさるか。恐らくは飽くまでもとはおつしやるまい。今すぐにできるか。今すぐというのは今日か明日のことで、併しながらこれは若干でもこのことに触れなければ、納まりようがない、行きようがない。私はそう思う。そこで政府はその点について、口を固くしてここを行こうとおつしやるならば、この新医療費体系というものを我々が賛成していいか、どうしていいかということの、判断の非常な大きな要素が不明瞭ということになる。これはどこかで承わらなければならない。今日承わることができなければ、我々がこの態度をきめるまでの間に、政府の最後のお肚を承わらなければ、賛否の決しようがないということだけを、私は申上げておきます。ですから、この問題はなお私は他日重ねて伺うかもわかりません。もう時間がありませんから……。この新医療費体系の構想を改めて具体的に点数に直しておやりになるということについて、政府のほうの御準備ができましたか。
  55. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 目下盛んに進めております。近々にでき上る予定でございます。
  56. 山下義信

    ○山下義信君 そうでございますか。これは時間がありませんから、大臣にだけ御返事聞いておいてお出まし願いたいが、その点も我々に参考的に、協議会にどうせおかけになる、それと同時にでもよろしうございますから、我我資料として御提出願いたいと思います。  そうすると今のことですね、関連して久下局長に伺うのでありますが、大臣はこの新医療費体系が保険経済に及ぼす影響の答弁の中で、医療費が安くつくということのお見通しを答弁せられたのでありますが、保険局長としてどう考えられますか。具体的な一つ御答弁を願いたいと思います。
  57. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 恐らく大臣の申しましたことは、先ず第一にはすでに、私から申上げるまでもなく、従来は薬治料或いは注射料という形で、物に附随して無形の技術に対する報酬は支払われておつたのでございますが、今回の体系によりまして医師技術に対しましては別の形で支払われることになります。従いまして投薬とか或いは注射とかいうものは、それをやりましても、それ自身に必要な費用のみ支払われることに過ぎません。そういう点におきまして、医療費の軽減が予想される、こういうことを申上げたのだろうと存じます。
  58. 山下義信

    ○山下義信君 非常にはつきりした答弁で、私が少し頭が疲れておるのか、わからんのでありますが、こうおつしやるのですか、新医療費体系によりますと、投薬に要する費用、注射に要する費用、それらに直接に要する費用が今度は支払われることになるので、そういう意味医療費が安くつくことになる、こういうことでありますか。
  59. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) それに対するお答えはなかなかデリケートな関係になりますが、私は現在医師歯科医師が行なつております診療に無駄があるという意味で申上げたのではないのでございますが、少くも現在の診療報酬の支払いは、投薬をし或いは注射をしたときに初めて、診察行為に対する報酬が支払われるという形になつております。それをやりません場合にも、勿論社会保険でも再診料として二点、或いは指導料等の金が支払われることになつておりますけれども、これは再診料二点という極めて低額なものでございます。そこで患者の気持もあろうと思いますけれども、従来の形は、くどいようになりますが、薬を投与し、或いは注射をしたという場合に、その費用に含めて診察料というのが払われておつたのでございます。今度はそれを切り離しまして、診察料としては別の形で支払う、初診料、再診料という形で支払われることになるわけでございます。そういたしますと、従来よりも投薬或いは注射というような行為は、頻繁に行われなくなる可能性がある、こういう意味で申したのであります。
  60. 山下義信

    ○山下義信君 いつでも保険局長の御答弁は、初めの半分ははつきりわかつてしまいの半分はわからんような御答弁であるのですが、大変含蓄のある、含みのある答弁でありますが、もう遠慮なしにこう私は問うのですが、どうですか。切り離す、切り離すというから、わかりにくい。元来この政府の構想は一つであつたものを、それで切り離しておいて、それで従来やつておるところの行為を分析してそれでそれを両方行うたら元の通り行為である、こういうことなんです。それで切り離した、切り離したというので、非常にわかりにくいが、併し今の御答弁でだいぶわかつて来た。切り離しただけでなしに、あと先がある。技術料と薬との分離したあなたがたの狙いは、切り離すというだけじやなくして、その二つのもののあと先を考えている。これは今の答弁もそうである。言い換えるというと、今までは薬と注射を先にやつてあとから診察をくつつけた、こう言う。今度は診察が先だ。診察が先だから、場合によつてはそれだけで済んで、投薬や注射のない場合がある、こういうことを言つている。言い換えるというと、今度はしなくてもいい投薬や注射が行われておるということだ。現在しなくてもいい投薬や注射でも、行うた以上は、それに診察料がくつついて来る、こういうことなんです。そういうことがなくなるから医療費が安くつくのだ、こういう説明に私は聞こえましたが、私のとりようが間違うておりましたら、指摘して下さい。その通りですか、どうですか。
  61. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私が警戒して申上げましたのは、しなくてもいいというお言葉に必らずしも簡単に賛成できないために、ああいう言い方をしたのであります。しなくてもいいということが簡単に言えるかどうかは、問題であると思います。併しながら少くともその病気を投薬をしたことは必らずしも無駄でなくても、その病気の治療のために絶対欠くべからざるものであるかどうかというような問題があり得る、場合があり得ると思います。そういう場合は、今後はそういう場合に投薬をいたしましても、投薬につきましては従来のような報酬はもらえませんために、診療だけで済まして、適当な処方をするというとこだけで終るであろう、ということを言つておるのであります。どうもものの言い方が廻りくどいようで恐縮でありますが、しなくてもいいということは誤解をされる虞れがありますので、念のために……。
  62. 山下義信

    ○山下義信君 これはお互いがどれだけその点を婉曲に、触れないように行こうとしても、率直に言つて、触れざるを得ない。触れなければ、不明瞭なところが明瞭にはならない。それであなたがたが触れなければ、我々のほうだけでも触れざるを得ない。併し政府はそういう卑怯な態度では私はいかんと思う。これだけの我が国の大きな医療制度の大改革をやろうとするのに、そういうような奥歯に物のはさまつた、霞がかかつたようなことを言うて、それで触れないで頬被りで行こうというような態度は、私は卑怯だと思う。私はそういう態度は考えてもらわなければならんと思う。それで、それならば私は念のために伺つておきたいのですがね、保険診療の支払いの増嵩の、先ほども指摘になつておられましたが、この情勢ですね、これはその内容のことはお互いに或る程度までわかつておりますから、やぼなことは言いませんが、併し医療費体系を仮に実施して、今言つたように医療費は下る見通しであるとこう言つてつて、それで増加の趨勢が依然としてこのカーブを辿つて行くということになると、非常な見込み違いですね。ですから、これはこの新医療費体系をやればあのカーブは変つて来るということにならなくちやならんと思いますがね。保険局長はそれをどう考えられますか。
  63. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 現在の診療報酬支払いの上昇のカーブには、先ほど来他のかたにも簡単にお答え申上げたような、いろいろな原因がございます。そこで新医療費体系に基く社会保険点数表を定めて、具体的に新医療費体系が実施せられるということが、その他の現在診療報酬の支払いを増加せしめつつあります諸要素を打消すだけのものであるとは、私ども考えておりません。従いまして、上昇のカーブは依然として続くものと予想をいたしております。仮に新医療費体系によりまして、只今申上げた投薬、注射の面におきまして若干の低下が予想せられるにいたしましても、それは全体の傾向に対しましては極めて微々たるものに過ぎないし、特に差当りの事情としてはそうであろうと思いまするので、ますますもつてこの上昇のカーブが、これを実施したからといつて急激に大きく変つて行くということはないと予想しておるのでございます。
  64. 山下義信

    ○山下義信君 そうですが。それでは非常に期待外れだ。それではこれが新医療費体系、いわゆるその裏には医薬分業を持つておるこれが実施せられた暁には、国民医療費の上に非常な好影響をもたらすということは、従来議論せられたところなんです。ところが、これを保険経済にとつてみると、何もこの新医療費体系によつて、これが医療費増嵩のこの趨勢に対してよき影響をもたらすというようなことは極めて微々たることであつて、殆んど論ずるに足らないということであれば、先ほど大臣が声を大にして医療費の低下が期待されるというようなことを言つてつたが、そういうことも保険局長が消極的に打消したようなものであつて、そういうふうに私どもは了承せざるを得ん。さように影響の余りないものですか。それじや分業賛成論者が声を大にして従来、これをやれば医療費の内容が明確になつて、そうして種々問題を包蔵して疑惑せられておつたこの医療費の内容というものについても、いい影響があるんだというようなことは、極めて微々たる問題である、こういうふうに政府は考えておる、そういうことになるんてすね。  私は、保険局長は実際の問題として、今この新医療費体系による点数の按配を、大体十一月の上旬にはそれぞれ、所定の審議会ですか協議会にこれを諮問する段取りにすると、前から言つておられる。今大臣は、極く近々できるからということでありまして、資料もこちらに出して頂ける約束をして下すつたんですが、大体はどういう構想でおいでになりますか。二、三の点を承わりたい。これは衆議院の速記録を私は拝見をして、そうしてここにチェックしておきましたことなんです。二、三のことを伺いたい。それは一例でありまして、その他保険局長として御説明の願う点を御説明願いたい。それを承わらねば、保険経済に及ぼす影響ということも具体的には議論は進められんわけです。例えばこの資料に示された数字の端数整理は適当な調整を加えるつもりだ、こういうことを言つておる。どういうふうに調整されるのかということですね、それを聞きたいのです。それから例えば初診料が六コンマ幾らになりますと、これはみな被保険者の一部負担になつておるのでありますが、これも被保険者に負担増をさせないようにするのだと。どういうふうにしてさせないようにするのかというようなことですね、そういう点。点数をどうするかということで、大体政府の御作業が進んでおいでになるということであれば、この際そういう我々が非常に注意して承わらなければならんというような諸点につきまして、保険局長としての一つ御答弁を得ておきたいと思うのです。
  65. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 先ほど大臣からお答え申上げました通り、全般的にまだ省内におきまして検討の途中でございますので、最終的なこととしてお聞き取り頂きますと、或いは若干の変更があるかも知れません。私が差支えないと思いまする部分だけ、取りあえず申上げたいと思います。  先ず第一に只今お話になりました端数整理の問題でございます。初診料のコンマ二〇三、それから再診料のコンマ五九五、これはいずれも初診料、再診料としては切り捨てをいたす考えでございます。四捨五入というようなことがいろいろ、従来も点数決定の際行われておつたのでございますが、再診料はそういう意味では繰り上げて然るべき数字かも知れませんけれども、全般的に国民総医療費の増加に大きく響いて参りまする数字でありまするので、これは後ほど申上げますような措置を講ずることによりまして、とにかく再診料としては落して行きたいと思つております。それからこれもお話になりました初診料の取扱いでございますが、そうなりますと初診料は六点ということになつて参りますが、初診料六点ということにいたしますると、現行の法律の上から二点分が被保険者負担に転嫁せられることになります。そこでこれはまだ名称は確定しておりませんが、登録料というような名称でも使おうかと考えております。初診の場合に支払う、二点分を支払うということにして初診料としては従前通り四点としております。初診の場合に登録料としては二点を支払いをするというような扱いをする所存でございます。  それから先ほど申上げました再診、初診の端数を切り捨てましたものにつきましては、主として検査料にこれをできるだけ配分をしたいと考えております。これは申すまでもなく、初診、再診によつて浮きましたものをそのままにして置くわけには参りません。先ほど大臣が申上げました医療内容がよくなるというようなことも、そういう操作によつて狙いたいと思うのでございます。聴診器一つで診断を下すのでなしに、必要な検査を行なつて、正しい診断を下してもらうようにするという意味でも、特にこの調査によりまする検査料が赤字のものが多くなります。これらは原価計算に基いて点数の引上をこの際することによりまして、一つには端数計算の処置に合うようにし、一つには医療内容の充実を期したいということを考えております。尤もこの場合にも病院診療所との間のアンバランスは十分考えて行かなければならないと思つております。この辺まだ具体的には決定いたしておりませんけれども、少くとも諸検査は病院においてよく行われるものでございますので、診療所で行われるような検査料については特に考慮をするような配慮をしたいと思います。  それから次は薬治料に代る調剤料でございます。これは薬の原価と調剤手数料の問題とを含めておりまするが、これにつきましても、問題点は若干まだ未定の部分がございますが、一応調剤手数料は、〇・五九何点という一日一剤分の調剤手数料がきまつております。これにつきましては薬の型に応じまして、現行のように若干の差をつけてきめるのが至当であると考えております。薬の原価の支払いにつきましては、只今考えておりまするのは、従来のような一定の枠で、十五円未満とか、十五円を超えておる場合にはどうとかというような枠でやるよりも、むしろ原価そのもので支払いをしたほうがいいのではないかというような考えで進めておりますが、この点はまだ検討中でございます。  それから次に注射料でございます。注射料は、この御報告申上げております新医療費体系によりますると、注射の技術料も、又注射の薬品代も、それぞれ全体の平均点数が出ております。これは申すまでもなく、皮下注射、筋肉注射、静脈注射、或いは点滴注射、その他特殊な注射に応じまして、現行の点数表のようにそれぞれ差等をつけて、これは只今問題になつておりました一種の技術差でございます。そういうものは、先ほどの調剤手数料と同様に、差等をつけたきめ方をいたすべきであると考えております。注射薬品につきましては、先ほどほかの薬価につきまして申上げたと同様の関係でございます。  なおそのほか、原価計算の上から見まして、少し極端にひどいような処置、手術につきましても、この機会に若干の調整を試みたほうがよろしいのではないかと考えておる次第でございます。  それから、歯科につきまして、御承知通り歯科につきましては、補綴の費用が相当原価計算の上から黒字になつておりますので、それを回すことにしまして、一般医師に対すると同様な初診料、再診料を支払うことにこれはしてございます。ところが、そういうふうにして補綴の個々の診療行為点数をきめて参りますると、今度はそれで保存行為に対する現行の点数をそのままにしておきますると、両者の間にちよつと非常識な不均衡が出ることが発見されたのでございます。で、これは原価計算の上からも差支えのないことでございまするので、御報告をした資料の中には触れておりませんけれども、そうした具体的な検討の結果の結論が出ましたので、只分の方向は補綴の余剰分を再診、初診に回しますほかに、保存行為の余剰分を、原価計算の上から、又実際の上からも、赤字になつております歯科の処置のほうに適当に配分をしたらよいのではないかというふうな考え方を附加えて、考えを進めておる次第でございます。  極く概略のことでございますが、まだ申上げなくちやならん点もありまするけれども、本日のところで大体の傾向として申上げ得ることは、以上の通りであります。
  66. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。こういう点は又専門家で御議論になろうと思いますし、又私のほうも勉強させて頂いて、又政府のお考えがきまりまして資料等が出まして、なお問題のある点だろうと思うのですが、ついでにちよつと、これはお尋ねするというよりは、むしろ保険局長に教えてもらわなければいかんのは、処方箋料をとることをやめましたね。医務局長からでも結構でありますから、ちよつと教えて頂きたいと思いますが、処方箋を出すということは、分業三法の中で非常にこれは重点がおかれてあつて、それあるが故に分業を実行せられるこれはキィ・ポイントで、これをただにするから処方箋の発行が非常に求められることになり、そのことが行われるのか。処方箋料を支払うことによつて医師も進んで、料金があるから出す、料金がなければどうということはないかもわからんけれども、併し処方箋料を認めるか認めんかということは、私は大きな影響があると思いますが……。それからもう一つ疑問に思うのは、これを法律で義務づけて、そしてそれに対して罰則を加えて、そうして強制的に要求するような行為、それが無料ということは私はどちらから考えても非常に納得の行きにくいような気持がする。はつきりとこれが不可であるという理論的な考えもまとまつておりませんが、併し法律で強制して要求して、それをしなければ罰則で制裁をするといつたようなその行為に対して、それに報酬認めんという考え方というものは、どうも筋が通らんのではないかという気持がするのでありますが、処方箋を無料にするという考え方は、どういう考え方から来ておるのか。そしてそれが医薬分業についてはどういうふうな、無料にしたほうがいいのだという何か考え方があるのか、それで無料にどうしてもしなければならなかつたはつきりとした理由、がどこにあるのかということを、一つ示しを願いたいと思います。
  67. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私が承知しております限りのことを申上げます。処方箋を書くというその言葉の中には、診察をいたしましてその患者に対して治療方針の決定という医師として非常に大事な行為があるわけでございます。それを含めました意味で、処方箋を出すということでございますれば、これに必要な金を払わないということは不合理であると思います。併しながら、これは医務局長からも御説明を申上げたと思うのでありますが、原価計算の、この新医療費体系考え方では、医師が患者を診察をいたしまして投薬をする必要がある、その投薬の内容はこういうものであるという治療方針の決定をし、更に処方箋を書き終るまでの医師の労力を、これを初診の場合及び再診の場合、それぞれ見積つておるわけでございます。そこで処方箋料として払わなければならないとして残りまするものは、処方箋の紙と、又これを書くに必要な鉛筆とか万年筆とかいうものの損料だけになるわけだと、私ども理解をしておるわけであります。そうなりますれば、これは費用に見積りましても大したものではございませんし、当然今申上げたような考え方で、初診料、再診料が計算をされておりまするので、その中に含めて頂きましても、医師に対してそう無理を申す結果にはならないというふうに考えておるものでございます。
  68. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると、処方箋というものの原価計算は、初診なり再診なり、まあ診察ということの中に原価計算としては入つて来る、又処方箋を書くということの労力なり或いは又その心配なり努力は結局、診察ということの中に入つておる一つ行為である、それで強いて問題にすると言えば、紙と書く手間賃というだけのことであつてこれは問題にならない、こういうことでございますね。そうすると、処方箋を特に書くように法律で義務づける必要がないのですね。そうして処方箋を書かなければ処罰するぞというきつい体刑、罰金、私はあれに問題があると実は今から考えても思つておるのでありますが、非常にそれだけのきびしい罰則を以てしなければならんほどのことではないのですね。価値から言えば、極めて小さい微々たる価値なんですね、処方箋を書くことは。それはどうでしようか。
  69. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 御承知のように、あの医師法の条文は、医師が投薬治療の必要を認めました場合には処方箋を交付しなければならんというふうになつておるのでありまして、この投薬治療を必要と認める場合というのをどの程度に考えるかの問題でございますが、先にど山下委員と保険局長との間にお話合いもございましたようなところに又ちよつと触れて参るのでございますけれども、このものを通じなければ適正な診察料というものが支払えないというようなことでございますと、処方箋を出しそうして或いはその処方箋に基いて投薬が行われるということが必要なことになつて来るのでありますけれども、今診察いたしまして治療の方針を立てるということが、別個にはつきりとした報酬の対象と考えられるということになりますれば、即ちこのものを通じなくともその医師のその労力に対する報酬というものは賄われるのであるという考え方で参りますると、投薬ということは若しもそれなしで済むものならばなしで済ませたいというような気持が、私どもにもあるのでございまして、そういうようなところから、必ずしも処方箋を交付するということによつて相当な報酬医師に払われるというような形になりますると、これはいろいろな更に細かい分析になると思うのでありますが、保険局長から御説明いたしましたように、私どもとすれば、処方箋料というものは若し定めるとすれば、その書き賃とその処方箋の紙の代というくらいのものに、非常に狭くきめて参りたい。そこに相当な幅をつけて参りますると、やはり処方を出し、従つてその処方が薬になつて行かないと、医師に対する正しい報酬が支払われないという姿が残りますので、そういう気持は、今度の医療費体系から参りましても、趣旨と反する。それを厳密に参りますれば、今度非常に僅かな、一点にも満たない半ばなものになつて来るというようなところから、私どもとしましてはどちらに割り切るかと申しますれば、むしろ処方箋料というものは診察料の中に込めてお払いする、別個のものとはしないほうが、実際的にも便宜であり、そして又新医療費体系目的としておりますところにもより近づくのではなかろうかというふうに考えた次第であります。
  70. 山下義信

    ○山下義信君 これは又専門家の御見解を承わりながら私も考えさして頂かなければなりませんが、非常に私はこれは重大だと思います。考える余地は、点数その他が決定せられる間にあるわけであります。今の医務局長の理論は、無形の報酬を尊重するという建前をとつたのか。新医療費体系がその理論を通すならば、処方箋という、紙とか物というものに重きを置いて、価値を認めて、報酬が払われるという姿に成るべくならないほうが望ましい、こういう無形報酬理論から出ておるのですね。そういう意味からいうと、成るべく処方箋は出さなくても診察料として払うという風習が望ましいと、こういうことになつて来る。そうすると、言い換えると、これは聞き違いと思い違いがあつてはいかんのですが、卒爾と聞きますと、医師は今後成るべく処方箋を出さないように心掛けるような傾向が望ましいということになる。そういうこと自体は、医薬分業に成るべくならんように、調剤、投薬の必要のないような方法方針を医師はこれからとることが望ましいというように、つながつて来るのですね。これは考え方が飛躍するかと思うのですが……。仮に薬剤師の側から言えば、処方箋が唯一の命の綱だと思うのです。医薬分業をさせるものは、これは調剤、投薬の必要な場合ですから、その場合において薬局とのつながりは、処方箋以外にはない。処方箋を出すことを成るべくせぬほうがよいという当局の新医療費体系考え方だということになれば、成るべく医薬分業にならぬほうがよろしいと、こういうことに私は連想が行くのです。それでやはり調剤、投薬が原則として分業化することが望ましいという、薬局のほうへ患者が行く唯一の関係は処方箋なんですね。ですから、処方箋を出すということは非常に重大であるからこそ、医薬分業三法ではこれが強制義務規定となり、だから強制分業と言われておるので、体刑までも科する。そういう処方箋を、これはもう紙一枚のものであつて、価値は微々たるものであつて、これは診察行為の一部であつて出そうと出すまいと、もうそのものを切り離してみると、大した価値はないものである、とるに足らぬものであるということになれば、その考え方医薬分業というものを判断して行かなければならない。そういう考えなら、そういう考えのように、法律を直して行かなければならん。法律では処方箋を出すということを非常に重要視して、これによつて分業というものの形が次第に整つて行くのだということになつておるから、義務づけてあり、罰則があるので、私はそれが診察行為の一部分であろうと二部分であろうと、何であろうと、非常にこれは独立した一つのそのもの自体に制度の上にも価値があり、医師の義務になつている。従つてそれをすることが手間が要る、頭がそれだけ要るという医師の専門的な議論は私はここで、素人ですから引用しません。引用しませんが、これは単に印鑑証明でも今日手数料を払つているのです。何だつて証明にはみなそれをやつているのです。而も実に重大なる治療方針を示すところのその処方箋、これに報酬を払わんということ自体が、診断の結果を重視しないのと、逆からいうと、同じことです。この処方箋というものを大事に患者がこれを見、受取つて、処方箋ということに注意を払うということが、私は眼目じやないかと思います。それが料金は払わんでもどちらでもいいのだという取扱い方は、私は、これは処方箋料を考えると非常に医療費が増大しても困るからといつて、そういう医療費計算から、原価計算というと聞えがいいが、できるだけあすこを削りここを抑えつけてふくれんようふくれんように考えて、処方箋料を削つたのが本当の肚であつて、実際の費用は、そういう点を考えないならば、この価値を処方箋に認めて行くというのが本当の本筋だろうと私は思う。ですから、私は処方箋というものを、当局はこれを医療費として二点と認め或いは三点とあなたがたが検討しておきめになつて、何千万枚或いは何億万枚の処方箋が出ることによつてそれで医療費が増嵩しても、その処方箋が実施せられることによつて医療費の実は明確なるところの何が行われるがために、処方箋料を払う以上のプラスの効果の面があるからこうだということでなければ、筋が立たんのです。それでなければ、医薬分業の全体から言うても、分業関係の三法の建前から言うても、処方箋料を無料にしたということは、私はこれは何としても、素人ながら、納得できんという気持がするのです。これは無料でもよろしいのだということは、ただ単に診察行為の一部であるからと、それならば処方箋を出さなくてもいい診察と、出してもいい診察と、同じ点数じやないか。内容が違つて同一の点数とは、これも合点が行かない。処方箋を出さないでもいいような診療料の点数はすべからく下げ、処方箋を出すような調剤、投薬の必要のある診察ならば正しと言わなければならん。その点数は高くなければならん。だから、処方箋を出す必要のある診察ならば、出さないでもいい診察料より多くなければならんはずであると、私は素人ながら考えます。ですから、これを無料にしたということは、この点から考えても、筋が通らなく、納得ができないように思うのであります。当局が御再考のできる余地があるかどうかはわかりませんが、非常に大きな問題で、分業に関係する者、恐らく分業賛成論者はこれを無料にすることがいいのか、有料にすることがいいのかということは、非常に重大な課題だと思う。それでそれを無料にするのだということの考え方は、私は分業の賛否の上にも非常に理論的にも大きな影響があると思う。そういう意味で私は伺つたのでありますが、今の御説明では実は少し納得しがたいように思う。なお私にわかるように御説明頂ければ、伺いたいと思います。
  71. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 先ほどお答え申上げました点に多少訂正を要しますのでありますが、新医療費体系の基礎になります計算の上におきましては、先ほど私が紙代ということを申上げましたが、処方箋の紙代も消耗品費として、初診及び再診に際して必要な費用として、計上してございます。勿論先ほど山下先生のおつしやつた言葉尻を捉えて恐縮でございますが、手間賃ということをおつしやいましたが、処方箋を書くに必要な時間も、初診、再診に必要な時間として、組入れて計算がされておるわけでございます。そうなりますると、おつしやる通り、処方箋料という問題を取上げるといたしましても、極めて微々たるものになるわけでございます。それに一点とか或いは何とかというような金を払うということになりますると、逆に私どもとしては、処方箋を奨励をする結果になりはしないかということを、多少心配をいたしておるものでございます。処方箋を法律上出すことになつておるからということは、今申上げたようなことで、初診料、再診料の中に所要の経費が殆んど織り込んでございます。労働力も消耗品費も織り込んでございます。にもかかわらず、又別建てでいたしますると、結局言葉を換えますると、初診料、再診料をその分だけ組替えをしなければならないような結果にもなるわけでございます。私どもといたしましては、処方箋はそういう意味で大体の所要経費は殆んど組込んで、支払いをしないというのでなく、支払いをする形になつておりますので、別建てをしなくてもいいのではないかというふうに思つておる次第でございます。
  72. 山下義信

    ○山下義信君 その問題は、私もやはりもう一遍考えさしてもらいますし、まあ先ほども申しましたように、専門家意見も又これから出ると思いますから、この程度にしておきますが、私は処方箋を出すことを奨励するようになる。久下局長がおつしやることは、それを避けるべきだと言わんばかりのお答えですが、その点は私は局長とは意見が反対なんです。処方箋を出すことを奨励していいじやないですか。奨励するのが建前じやありませんか。それで処方箋を出すことによつて点数が上ることがお困りになるのであつて、処方箋を出すことはちつともお困りにはならない。処方箋を出すことが、多々ますます、多ければ多いほどいいのであつて、畢竟するに、それに点数を付し、それに料金を払うことを渋つておられる、こういうことになる。これは非常に私は医療費診療費体系の上におきましても、又医薬分業の上におきましても、非常にこれは問題であろうと思います。もつと私自身も検討さしてもらいます。この程度にしておきましよう。
  73. 高野一夫

    ○高野一夫君 今の山下委員の処方箋料の問題について、私は曾田さんに伺いたいのですが、曾田医務局長にはかねがね私は申上げているのですが、あなたの御説明、答弁は、いわゆる答弁過剰であつて、非常に誤解を招く事柄が多い。従つて今お二人の説明を聞いても、如何にも食い違つておるような印象を与えておる。それはその一点を上げますれば、あなたが診察したときに投薬の必要がないことを希望する、いわゆる処方箋を書く必要がないことを希望する、こういうことをおつしやつた。今山下先生のおつしやるように、むしろ処方箋を出すことを希望するようにしなければならんのじやないかと、こういう疑問が当然起つて来ると思う。患者があつて薬を飲ませる必要がないということは、一人の病人もなくなる、一人の医者も要らなくなる、一人の薬剤士も要らなくなる、日本人は医学も薬学も要らなくなるような、本当に理想的なそういう健康な状態になることを、我々希望しておる。そういうような高遠なる理想と同じ意味において、あなたは恐らく薬を飲ませる必要がなくなる、処方箋を出す必要がなくなる、こういう意味でおつしやつたのだろうと思うのですが、具体的な問題の質問に対してそういうようなあなたの説明をなさると、私どもも非常に誤解を受けるのです。この点については、今久下局長のおつしやつたところではつきりわかるのですが、根本の考え方は、あなたの考え方も久下局長の考え方も、変つていないのですけれども、ああいうような高邁なる理想を掲げておつて、その高邁なる理想を現実の今の質問応答の中に言葉として織り込んで説明をされるが、そういうことは区別してやはりおつしやらんといかんと思う。薬を飲ませる必要がない、注射をする必要がないということは、もう診察する必要もなく、医者も薬剤師も要らん、医学、薬学の学問も要らん、そういうような理想的な社会を望む、こういう意味において、我々受取りたい。けれども、先ほど具体的の問題、而も料金に関した問題、処方箋を出すべきか出すべからざるかという問題について、ああいうような説明をされると、非常に誤解を招くと思う。そこで私は只今の久下局長の答弁によつて、当然薬を出す必要があるという場合は、診察して当然処方の処置を教える一つのメモとして処方箋を出す。それは当然診察の一貫行為である。だから、一貫行為であるならば、その料金が一つであることが望ましいのじやないか、こういうふうに私は考えるのであつて、その点について私は曾田さんの、成るべく処方箋の必要のないことを希望する、こういう先ほどの言葉は、具体的な意味でなくして高邁なる医薬の理想を述べられた言葉である、こう思うのでありますが、どうですか。これは大事な点ですから、はつきりしたお答えを願いたい。詳しい説明は要らんのです、簡単でいいのです。
  74. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 詳しい説明は要らないとおつしやいます、又私の考えていることを非常に好意的に御説明下すつているように思えるのでありますが、私の申上げましたのは、保険局長が申されたのと私は違つておらないと思うのでありまして、これは併し山下先生のお話と、その意味においては、従つて食い違つて参ると思います。私が申したのは、高野先生が言われましたような意味ではなかつたのでありまして、勿論投薬治療の必要がある場合には、これは当然処方箋を書かなければならぬ。併しその判断の場合に、投薬治療をやつてもよし、やらないでもよしというような場合、これは私も医者の片割れとしてこういうことを申上げるのはどうかと思うのでありますけれども、さような場合は私はあると思うのであります。さようなときに、処方箋を出すことによつて幾らかの報酬というものが附加つて支払われますならば、まあどちらでもいいならば、処方を出しておこうということになつて参ると思うのであります。併しながらさような場合には、投薬をしてもしないでもよしというようなときであるならば、私は厳正に考えまして、そうしないでよろしいという判断に狂いがこないようにいたすことが望ましい。これは処方箋料の問題ではございませんで、その処方に基いて投薬治療というものがそれに引続いて起つて来るという意味において申しておるのであります。勿論私が申しておるのは、やはり治療の理想論を述べているということになるかも知れませんが、さような意味で申上げたのではないのであります。ただ山下先生のお話で、投薬治療が必要であり、従つて処方しなければならないのに、それを処方箋を出さずに、自分の所で薬を投与するというようなことが起りはせんかというような御心配かというように考えられたのでありますけれども、それはちよつと事情が違うのではないかと私思いましたので、失礼ながら申上げました。
  75. 高野一夫

    ○高野一夫君 医務局長の今の御答弁はどうも……。私が言つたのは、あなたが薬を出す必要があるかないか、こういうふうに出さなくてもいいのだが、今までは薬代を取つてつたから、その中に診察料をこめておつたから、それで出す必要がなかつたけれども、やはり薬を飲まして料金を取つてつた。そういうような場合があるときに、あとで飲ましてもいい、飲まさなくてもいい、こういうような場合があるときは躊躇せずに、それで飲まさなくてもいい場合は出すな、出す必要はない、これは当然です。飲まさなければならんというような場合には処方箋を出せというような意味に、はつきり具体的に事を考えてあなたが説明されるならば、私は了承するんだが、そこのところをはつきりつてもらわんと、ただ余り美辞麗句が長過ぎる。だから、あなたがどこを答弁されておるのかわからない。私ははつきり申上げますが、私はその薬の中に初診料、再診料をこめているんだから、薬を飲ませることによつて収入を図つているんだから、だから余分な薬を飲ましたかも知れない。私はそういうことはないと思う、私も医者だから。併しながら迷つた場合に、あんな薬を飲まさなくてもよかろう、或いは注射だけしておけばよかろうという場合は、できるだけ処方箋は出す必要はない。併しながらどうしても薬を飲まさなければならんときに、これは処方箋を出さなければならんのだ。こういうふうに区別して私は考えなければならんと思うんですが、それはどうなんです。そこのところをお尋ねいたします。もう無駄な解説は要りませんから、解説はわかつています。
  76. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 問題は表現の問題でございますので、私も今日において無駄な処方箋が出ているとか、或いは投薬が行われるとかいうようなことを、はつきり申上げておるわけではございません。少くともそういうような場合があるのではないかというようなことを他から考えられるような事情が、少くなるのではないか……。
  77. 高野一夫

    ○高野一夫君 そういう説明はもうわかつている、私が言つていることは、私は二つのことを挙げているんだから、薬をやる必要はないという場合は処方箋を出さなくてもよろしい、これは当然のことです。而も薬をやらなければならんという場合は、当然進んで患者に処方箋を渡すべきだ、この私は考え方で言つているんです。あなたの考え方はこうだと思つて、私は好意的にあなたの心中を付度して言つているんだが、私の言う考え方と、あなたの言う考え方と違うんですか、同じですかと聞いているんだから、違うなら違う、同じなら同じ、それだけ言つて下さい。説明は要らん。解説はみんなわかつている。
  78. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) さような場合があろうかと思いまして、申上げた次第であります。
  79. 高野一夫

    ○高野一夫君 了承します。
  80. 榊原亨

    榊原亨君 只今曾田医務局長としましては、日本中の医療関係の総元締である曾田医務局長が、現在の医療というもの、医者医療しておりますのに、薬を出さんでもいい場合に薬を出す、どつちでもいい場合でも薬を出すかも知れないというような御発言があつた。これは非常な重大なことだと思うのです。そのことを問い詰めて参りますならば、例えば今処方箋料を別にするというと、医者は出しても出さなくてもいい場合でも、処方箋を書くかも知れないと言われる。そのことをもつとやつて行きますならば、もう手術料なんというものは要らんですな。みんな診察料の中に入れてしまえばいいです。手術料なんというものは別にいたしますと、医者というものはしてもしなくてもいい手術をするかも知れない。これは重大なことです。これは医者を冒涜していることです、あなたの話は。而も今、現在の医者がそういうようにやつておるということになりますならば、この資料そのものも、してもせんでもいいようなものもこの中に入つている。処方箋も出ている。ちやんと頻度も出ている。そうすると、処方箋をしてもせんでもいい、処方箋料は五点もらえるんだから処方箋を書いた、そうすると、この資料は駄目じやないか。一体あなたどう思つている。とんでもないことですよ。これだけははつきりさしてもらわなければ困る
  81. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 差上げました資料は現実の状況を十分に調査し分析したもので、ございまして、将来如何ような方向に進むことが望ましいことであるか、或いはどのような方向に行くことが望ましくないことかというようなことも、肚のうちに一応持つて、御答弁申上げた次第であります。
  82. 榊原亨

    榊原亨君 現実にこの第二分冊の中に、処方箋何回ということが書いてある。全国医者が書ぎました処方箋の回数が書いてある。その書いてある処方箋は、現在健康保険においては五点とつておる。そうしますと、別に処方箋料というものを五点とつておる。現在医者は出しても出さなくてもいい場合でも、五点というものがあるから、処方箋を出すのが多くなる。これはとんでもないことだと思うのですが、どうでしよう。あなたも医者の片割れでしよう。あなたはさつき医者の片割れだと言つた医者の片割れが、そういうことを問い詰めて行くならば、例えば処置料、或いは手術料、そういうものを、別に処置したから何点というのがある。手術をしたから何点ということは、してもせんでもいい手術をするということになる。それほどあなたは、全国のあなたの配下にある医者を、信用しておらんのですか。
  83. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私、繰返して申上げますが、その現状を反映しておる資料であると考えておるのでありまして私自身にいたしましても、私自身大いに反省させられること、決して完全な人間だとは思つておりません。私ども医者の仲間としましても、友人としましても、私ども非常に敬愛もし信頼もしておりますけれども、私ども自身も更に努むべきものをやはり持つておるのじやないかというように、私自身考えております。
  84. 榊原亨

    榊原亨君 そうしますというと、今の医者の中には、処方箋を書かなくてもいいものでも、処方箋料が別になると、処方箋を書くようになる。手術でも、しなくてもいい手術も、手術料が別になると、手術をするという者があるから、我々も反省するのだということなんでございますな。
  85. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私さような場合がどの程度に入つておるかというようなことは、勿論明確にはしておりませんので、先ほども答弁申上げまして非常にはつきりしないということをお叱り受けたのでありますが、さようなことを他から考えられる虞れがありはしないかというような、可能性のことだけを申上げたのでございまして、現実にどうだということは申上げる自信はございません。
  86. 榊原亨

    榊原亨君 私が聞いておるのは、医務局長がそう信じておるか信じておらんかというこを、私は聞いておる。あなたが信じておるなら信じておる、信じておらんなら信じておらんと、はつきりして下さい。
  87. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私が信じておることを申せと言われるのでございましたならば、これは先ほど私の考え、信念というものは、申上げた思つております。
  88. 高野一夫

    ○高野一夫君 どうも医療担当者に限らず、すべての社会において、こういう悪いことをするだろう、ああいう悪いこをするだろうと考えて議論したのでは、我々本当の議論をすることにならんと思うのですが、併しながらこの間から妙な資料の要求があつたりしたから、私も又えげつない資料の要求をいたしましたけれども、私の学友は全部医者です。私だけが邪道に入つておるわけです。その仲間の連中からきたま聞くところによりますと、こういうことがやはり曾田さんたちの心にもあるのじやないかと思つて、私はまあ御同情申上げてあなたに申上げるのだが、ここで患者が治つた、もう今日は解放する。解放するときには治つておるのだから、それでもはや注射の必要もなければ投薬の必要もない、こういう場合があるのだが、もう二日分薬を上げましよう、三日分薬を上げましよう、こういう場合がよくある。実はそういうことは、医者の中にも、なきにしもあらず。そこで私はそういうことをやる医者が全体の医者だとは思つていない。これは不正行為をする者は、保険医にしても、薬剤師にしても、弁護士にしても、いろいろの社会に絶無とは言えない、人間社会に絶無とは言えないから、我々はそういうことを取上げて変な議論はしたくはないけれども、できるだけやはり皆が善良な医療行為をせんがためにそういうことも考慮する必要があるというような、いろいろ先走りしてのお考えからしたのではなかろうか、こう考えておる。それならば私は別に目に角を立てて、あなたがどうこう言つたところで、薬剤師はどういうことをしておる、又医師はどういうことをしておるじやないかということに対しては、ちつとも我々はそれに対しては文句は言わないつもりで、私はつもりなんでありますが、だからとにかくいずれにしても、如何なる社会でも不正不良行為が行われる。現実に行われている。処分を受けている者があるのだから、そういうものを絶無に防ぐためにはどうしたらばいいかという、万全の策をあなたは考えられて、いろいろ資料も出し説明もされているのじやないか、こういうふうに考えるのですが、私の考え方と違いますか、曾田さん。
  89. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 御意見、十分に拝承いたしました。
  90. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  91. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。  本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十三分散会