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1954-11-05 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月五日(金曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事      常岡 一郎君    委員            中山 壽彦君            榊原  亨君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            高良 とみ君            前田  穰君            藤原 道子君            湯山  勇君            山下 義信君            紅露 みつ君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省保険局長 久下 勝次君    厚生省引揚援護    局復員課長   板垣  徹君    厚生省引揚援護    局未帰還調査部    第五課長    大野 克一君    厚生省引揚援護    局引揚課勤務  田島 俊康君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (新医療費体系に関する件)  (引揚者援護の対策に関する件)   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは只今から厚生委員会を開会いたします。  新医療費体系に関する件を議題といたします。御質疑を願いたいと思います。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  3. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。  それでは御質疑を願います。  只今出席政府側委員は、医務局長医療課長総務課長薬務局長が出席されております。
  4. 榊原亨

    榊原亨君 この間、管理費のことにつきまして質問をいたしておりましたのでありますが、その続きについて、もう一度質問を続けたいと思います。  この管理費は、病院診療費計算においては管理費という部門がありまして、そうしてこれを計上されておるのでありますが、診療所部門においては管理費の計上がない。で、その点についてはどんな御関係であるかということを聞いたのでありますが、診療所においては管理費を測定することが困難である、そこで管理費を省略したのだというお話があつたと思うのでありますが、その点についての御所見をもう一回承わらせて頂きたいと思います。
  5. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 只今お話がございました通りなのでございますが、私ども管理費を一応病院では別にし、それから診療所においては管理費というものを特別に一項挙げておらないのでありますけれどもこれはいろいろな診療行為に対しまして、その実経費がどれくらいかかつておるかということを計算することが目的なのでありまして、そういうような点から、その診療所或いは病院の総経費というものを個々診療行為にどういうふうに割り振るかということが一番肝心な問題だと思つておりました。そういうようなところから、病院の場合には管理業務が明確でございますので、これは一応一通り分析をして管理費別建てとしてはつきりとつかみまして、そしてそれを又各診療行為に割り振つたという措置をとつたのであります。診療所の場合にはその管理業務というものを明確に分けることができないというようなところから、医師の行いました管理業務医師人件費、又事務員が行いました管理業務というようなものはこれは事務員というようなものの人件費の中、或いは又管理的な経費診療所の全般的な経費、例えば病院等でございますれば、門番とか或いは園丁というようなものは管理費の中に入れられてあるのでありますけれども診療所のような場合にはそれが特別に管理費として計上してございませんので、それに要するものは、人件費以外のものは経費の中に繰入れられている。こういうようにいたしまして、そうしてこれを各診療行為に分担したということになつておりますので、管理費が加わつていないということは、管理費分だけが各診療行為経費計算の場合にそれだけ低くなつている、少くなつているというふうには考えられないのでありまして、勿論診療所においても医師人件費のうち、或いは事務員人件費、その他の職員の人件費、或いは経費の中から、純管理費的な部分を引き抜いたほうがより明確でよろしい、という考え方は当然成り立つのでありまして、それができますればそういたしして、それができますればそういたしたいとも考えたのでありますが、これは実際の実務といたしましては非常にまあ問題がたくさん、その方法として問題がたくさん残つてつたというようなこと、そして今のように考えますれば、この経費計算という個々診療行為実費用計算するということのためには、大きい支障はないものではないかというふうに考えた次第であります。
  6. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしまするというと、病院の場合には要するに管理費というものは明確化することができる、診療所の場合には明確化することができない、そこで別途のおのおの違つた計算方法使つた、こういうお話であります。そういたしますと、その別途の計算方法をしたことがいいか悪いかということの議論はまあ別といたしまして、病院の場合に、例えば院長管理費をお出しになる場合に、院長のどの時間を病院管理院長が当つているかということを御判断になる、これも又診療所の場合と同じにむずかしいのではないかと思うのですが、さように医務局長もおつしやいますように、明確に院長管理の時間ということが算定できるのでございましようか。
  7. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 院長の場合には診療に従事を……まあ純粋な院長業務だけをやつておるかたの場合は問題ないのでありますが、この両者をかねて行なつておられるというかたにつきましては、実際の診療業務とそれから管理業務というものとが大体どの程度に行われておるかということで、今度は診療に従事されております時間というものを差つ引いたものがこの管理業務に従事しておるものというふうに考えられておるわけであります。
  8. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしまするというと、例えば赤十字社病院なら赤十字社病院院長、ここでは治療をやつておりませんか、やつておるといたしますると、いわゆる院長が朝八時から出て来て、そしてお昼から病院をお帰りになる。その時間を実働時間と呼びまして、その時間から治療に要した時間を差引いたものを管理の時間と御査定になつたと今言われたのでありますが、そうしますと、診療所においてはそれでは、診療所の所長は何時から業務を始めて何時に終つた、その実働時間をどう御計算になつていらつしやるのか、それを承わりたい。
  9. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 一般に診療に従事しております時間というものは、前にもお話申上げましたように、個々診療に従事した時間を計算いたしまして、そして一日にどれくらい診療に従事いたしたかということを合算しまして、それの平均をとつたものでございます。それが診療の時間ということになつておるわけであります。
  10. 榊原亨

    榊原亨君 それはわかつております。私の承わりますのは、病院の場合には、院長が朝出勤時間から実際に治療に従事した時間を差引いた残り管理の時間となさつたと、さつき承わつております。それでは診療所においては一体管理の時間というのは……診療所は朝から晩まで院長診療しておるものと御計算なすつていらつしやるのですか。或いは診寮所だけは診寮こ要した時間だけを合計して、これが診療所医者のやる時間だと、こう御計算なすつていらつしやいますか。
  11. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 診療所の場合には、先ほども申上げましたように、診療に従事した時間が、合算いたしまして、例えば四時間なら四時間、それ以外の時間はこれはただ遊んでおつたという意味ではございませんで、管理業務もございましようし、或いは書物を読まれる時間もありましようし、或いは研究的な仕事というものもあつたかと思うのでありますが、こういうようなものが全部、実際に保険診療報酬の対象になる行為というものの時間のうちに皆一応含まれておるものと考えて、各診療行為にこれを、その報酬を割り振つて行くというような考え方をとつたのでありまして、診療所の場合には、只今申しましたように、管理に当つた時間というものを別に挙げておらないというふうに申上げたのであります。
  12. 榊原亨

    榊原亨君 くどいようでございますが、これはもう、この資料間違いははつきり現われておるのであります。病院の場合には、院長が朝八時から晩五時なら五時まで、八時間なら八時間、そのうちから実際診療に従事しました、手術をしたとか或いは病棟を回つた時間、いろいろ差引いたその残り管理の時間とこうお考えになつていらつしやる。ところが、診療所の場合には、もう管理の時間というものは診療行為の中に入つておるというのですから、もう各診療を、直接診療した時間だけを、その診療所なら診療所医者の働いた、実働した時間を計算した。それば違うと私は思うのです。その点についてはどうも、何ともお答えがないということになりますと、結局診療所診療行為以外の時間というものを認めてないのですから、何ぼその中に管理の時間が入つておると申されましても、それはただ言われるだけであつて計算にも何にも入つていないと、こういうふうに私は思うのでありますが、その点についてもう一回、明確な御答弁を願います。
  13. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは前に御説明申上げたと思うのでありますが、病院の場合には、経費費消部門で一応最初に分けてございます。で、院長のような場合にはその業務の、例えば俸給生活をしておりますものでありますならば、給与のうちどの程度のものが診療に従事した時間であり、そしてどの程度のものが管理業務に従事した時間であるというふうに、先ず部門でもつて分けまして、そうして診療業務に従事しておりました時間を、時間と申しますか、給与按分する場合には、その実際に費消した時間でこれを分けて行つたというような措置をとつたのであります。
  14. 榊原亨

    榊原亨君 どうもその点が、計算方式が、診療所における場合と病院における場合と違うのだ。違つた方式をとつていらつしやる。どうしてとつたのだというと、それは診療所においては管理費というものを別に測定することが非常に困難である。それは私どもそうだと思うのであります。ところが、病院の場合の例えば小使でございますとか釜たきでございますとか、こういう人たち実働時間から、管理費というものはすぐ出て来るでありましようが、院長病院管理します時間というものは極めてむずかしいのではないかと私は思うのであります。それをどうしてお出しになつたかというと、それはその院長なら院長の一日の出勤時間から実際診療に当つた時間を差引いた、こうおつしやると私は思うのでありますが、そういたしますると、それじや診療所の場合にはもう、医者診療する時間だけがその実働時間であつて、その診療所管理する時間というものはないのだ、こんなふうに私はとらざるを得ないのでありますが、私の考え間違つておれば又御指摘を願いたいと思うのであります。そういたしますると、その話は別といたしまして、病院管理費を一応出して、それを各管理費にいたしましても、いろいろな経費にいたしましても、それを各診療行為の時間で按分した、診療行為別部門按分された、こんなふうに承わつたのであります。そういたしますると、病院におきますところの往診というものは、一体どうなつておりますか。その往診までに、やはり病院経費按分しておられるのかどうか。管理費一体往診の場合にはどんなふうになつて来ておるのか。診療所の場合には、医師管理費というものは別に分けることができんが、病院ではそれは診療行為別按分したとおつしやいますならば、往診にもその管理費按分したことになる。診療所においてはその点については如何でありますか、それを承わりたいと思います。
  15. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 病院におきましての往診料は、往診に費しました医師の時間というものが基本的なものになつて来生す。そのほかその際に費消した薬品、物品、若しも看護婦がついて参りますればその人件費も入れる、というようなことで計算してございまして、その場合に管理費はどうなつておるかということにつきましては、これは往診費の占める割合でございますが、それに管理費按分されて参つておるわけであります。診療所の場合には、この管理費をそもそも初めから分けておりませんが、今のような場合で、同様な場合でございますならば、その医師人件費医師が費消いたしました、往診のために費消いたしました時間というものの中に、時間で分けてございますけれども、その時間に対する報酬というものの中には管理、それに附随する管理業務と申しますか、こういうようなものに対する報酬も含まれておる、さような仕事に費された時間もこの中に按分されて入つておるということになると思います。
  16. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、往診管理というものが必要でございますか。病院診療所往診いたしますものに、病院管理というものが必要なんでございましようか。その点如何でございますか。そういうものに、往診にまでも按分するこれは非常な問題でありまして、少くとも診療所におきましては、往診時間に割ることは悪いことはわかつておりますが、厚生省のお考えのように、時間に割り振るといたしますと、各診療所診療時間の半分は往診に費やされているという実情だと思うのでございますが、そういたしますと、その半分にまでも、診療病院管理病院管理するその管理費用按分されているということ、私これまどうも不思議なことだと思うのでございますが、その点の御見解を承わりたいと思うのでございます。
  17. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 往診にいたしましても管理業務がないとも言えないのでありまして、例えば報酬請求書を作るとか、集金とか、こういうような事務的の費用というものはかかつて参ると思うのでございますが、ただこの管理費をどういうふうにして配分するかということにつきましては、御意見のような多少無理というようなものがあるということは、私ども考えるのでありますが、さてこれを管理費を配分いたしますその方法というものが、別に更によい方法というものも思い当りませんでしたので、一応管理費は、管理費を除いた他の諸経費というものの額に応じて、総管理費按分して計算をいたしましたというのであります。
  18. 榊原亨

    榊原亨君 例えば手術料を拝見いたしますると、手術に要する諸経費、物の値、諸経費のうちで管理費が非常に厖大なものを占めておる。これはさとからこの表を御覧になればわかるのでありますが、それほど大きな役割を占めております管理費を、ただ計算することができないから、往診の場合には少しそこに無理があるかもしれないが、往診のものにもそれを分けるということになりますと、而もその往診というものは、診療所においては半分以上の時間を費しておるものに分けるといたしますと、各診療行為往診以外の診療行為の諸費用に加わる経費というものは、非常に少くなつて来なければならない。少く計算されざるを得ない。ここにもこの資料の非常な間違いが起つて来ると思うのです。病院におきましては入院が主な収入源になる、薬が診療所における収入源という御比較があると思いますが、私はそこで又別に御質問するのでありますが、診療所病院のこの額の大きさというものに、非常な差異がある。これは何かといつたら、こういうところに計算方式そのもの違つた、全然違つた、東に行くのと西に行くのと全然違つた道筋が出て来て、そして最後に出て来た管理費按分というものが、病院管理しますと、その費用往診にまで平等に割り振つておる。これがこの資料の重大な誤りだと私は思うのです。こういうような半分以上の経費が分れるということになりまするならば、この資料はとるに足らん。医師技術料を時間で割り振つているというところにも、この資料の非常なミスがあるのでありますが、ここにもう一つ非常なミスがある。若しも管理費がそれほどのものでありますならば、管理費というような項目を挙げないで、別の診療費と同じような計算をとりまして、而もその場合には往診に対する費用幾ら幾らにするということにしなければ、ただ計算的に算術的にそれを割り振つたということでは、意味をなさないのであります。而もそれが小い数字であればいいのでありますが、管理費というものは非常に大きな数字を示しておる。その非常に大きな数字を示しておりましたものを按分するときに、殆んど半分の時間を費したものに対して、半分に割り振つてしまうというような按分をするのでありますから、非常に各診療行為に対する各診療費按分というものが、そこに非常な不合理性を生じて来ておると私は思うのですが、これは議論になりますので……。当局のお考えはわかりました。  その次に私お伺いいたしますならば、診療行為のこの技術料技術指数というものを、学会に聞かない。診療報酬調査会意見によりましては、学会諮問するということがはつきり出ておる。その答申を重要視しないで、技術というものを全然無視いたしまして、技術指数というものを無視いたしまして、ただ中間を割つておる。その不合理についてはこの前、前回に私申上げたんでありますが、どうして学会にお聞きにならないかということを私承りますと、これは病院協会に聞いたんだと。病院協会学会でありませんがといつたら、それはまあ病院協会の中に学会というものがあるんだと、病院なんだが学会というものがあるんだというようなお話でありますが、臨時診療報酬調査会答申は、おのおの学会諮問してとある。おのおのという字が書いてある。技術指数についてはおのおの学会諮問する。おのおの学会というのは、外科診療行為外科学会諮問せよ、内科のことについては内科学会諮問せよ、おのおの学会諮問されたいということが書いてあるんです。全般的に、病院協会の中に学会があるかどうか私は知らんのでありますが、病院協会学会だけにちよつと聞いたんだというお話では、私成り立たないと思うのでありますが、どうしてそれじやその時間だけをおやりになつたか。このとき臨時診療報酬調査会意見に、答申に、はつきりと技術が同じければそれは時間に正比例するんだと、時間が同じければ技術指数に正比例するんだということが、技術と時間との掛合せということがはつきり書いてある。それを、どこに技術のほうだけをのけよう、時間だけを残して、そうして技術のほうは追つてまあそのうちきめるんだと……。この間の御答弁によりますというと、なかなか技術というものはきまらないんだというようなお話でありますが、そうじやないのであります。少くとも日本の各学会内科学会外科学会、各学会諮問をいたしまして、日本医師会のその当時出しました難易度というものはちやんと報告されている。その難易度幾らを掛けるということ、言い換えれば、その難易度というものを金に直したら幾らということには御意見がございましようけれども、各診療行為のむずかしいとかやさしいとかいうことは、ちやんと学会答申出しているわけです。その答申を一向お認めにならないで、そうしてもう時間だけで終りになつたということは、これはどういうわけでございましようか。ちやんと学会がそれを出しておる。答申されますまでもなしに、その当時日本医師会学会を通して出している。その絶対値については、それは間違いがあるかも知れない。それはいろいろ議論があるかも知れませんが、その難易度というものは学会に聞くよりほかに仕方がない。医師全部の技術の総和であるところの収入は何ぼにするということは、これはもう国民の経済力を勘案しなければなりませんから、医師だけの、学会だけの意見に徴するということは、これはむずかしいことでございましよう。併しながらこの診療行為とこの診療行為とがどれだけのむずかしさがあるかということは、素人にはわからん。それはおのおの専門家でなきやわからん。その専門家が、片一方診療行為は一のむかずしさがある、片一方診療行為は五のむずかしさがあるということを、その数をちやんと出しておる。その出しておる数を一向お認めにならない。更に臨時診療報酬調査会答申においても、その難易度と時間とを掛けて行けというにもかかわらず、その時間だけをお取りになつた。その点はどういうわけでございましようか。これはどうも厚生省が何かはかに意図があつてそういうことをなすつたのじやないかと私は疑うものでありますが、その点についての御答弁は如何でございましようか。
  19. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この機会にお詫び申上げたいと思うのでありますが、この前に榊原委員から御質問がございまして、学会諮問をしたかというお話がございまして、病院協会にお聞きしたというふうに御答弁申上げておつたのですが、その後よく事情を調べましたところが、病院協会或いは学会に正式に聞いたのではございませんで、それに加盟しておりまする若干の病院意見を聞き、又素案を検討してもらつたということでありまして、私の御答弁申上げたところが間違つておりましたので、この際お詫びいたします。  それから只今お話につきまして、私ども聞いておりますのでは学会意見を聞くがよかろうというようなことは、当時の委員長の報告にございますのでありますが、併しこの決議が明確に決議文として決定しておらないようでありまして、ただ御趣旨は、そういう御意見が強かつたということは了承できるのであります。それから又当時医師会資料として提出されました技術差資料というものは、私どもも拝見いたしたのであります。併しながらあれを直ちに取上げて行くということは非常にむずかしいことでありまして、又いろいろ、この点が私どもとしては手落ちと申されるかも知らないのでありますが、個々診療行為難易差というものをどうきめて行くかということになりますと、非常に、その当時私どもが検討の資料として持つております限りにおいては、すぐにこれを具体的に取上げるというわけには行かない。却つて混乱を生ずるのではないか。最も肝心な点は、すでに皆様御承知のように、技術差というものをプラスマイナス・アルフアというもので現わされておつたのでありますが、このアルフアが必ずしもプラスばかりではないのでありまして、一方むずかしい処置に対しましてプラスを加えるとすれば、今度やさしい処置に対しましてはマイナスを附して行くということが、これは附添つて参るのでありまして、そうして全部これを合算した平均が丁度一になる。アルフアだけを申しますならば、プラスマイナス、結局合算すればゼロになるという建前になつておりました。多少でもプラスになるという点は割合にいいのでありますけれども、一方でマイナスのものを作つて行かなければならんというようなことがございますので、これはなかなか簡単に処理できないというようなところから、私どもとしては、これは更にいろいろの関係の団体、或いは学会の御意見というようなものも伺つた上で、これを決定して参りたい。この一月一日までの準備としては、これは間に合いかねるので、この平均というものを土台にして、そうして私どもプラスマイナス・アルフアの問題を全然無視するという意味ではないのでありまして、今日までの慣行的な保険の点数にいたしましても、これはやはりむずかしい脳部外科とか、胸部外科というようなものは、ただ私ども費用計算いたしましたよりは余分になつておりましようし、又それは相当大きな差を今後も残しておいていいのではないかというふうに考えておりますので、正確なプラスマイナス・アルフアの決定は、これは一応後刻十分に検討いたしたいというふうに考えた次第であります。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 私は曾田医務局長の御説明は、どうも私の気に入らないのですが、これは先ほど榊原委員が御質問になつたことは、ただ静かに黙つて聞いていると、誠に無理からぬ御質問だと思つているわけです。そこで今答申の文章も読んでみましたが、専門学会諮問しなければならんということは、決議の中にはないようでありますが、そのときに話の中には確かに出た。そこで技術料をきめる、医者の各診療行為、殊に調査会の答申はすべての診療項目についての技術料をきめる、従つて技術指数をきめるという考え方であつたために、内科、小児科、婦人科、すべての各学会意見を聞く。併し各学会意見を聞いたのみでは横の連絡がないから、学会同士の調整もしなければならん。その調整は医師会あたりでやつてもらおうじやないか、こういう話は出た。ところでそれはそれとして、僕はあなたに助け舟を出すわけでも何でもないのですが、なぜあなたはこういうふうに考えてもらわないかと思うのですが、先般も私はくどくどあなたにお尋ねしたのは、大臣にもお尋ねしたのですが、調査会における答申に基く診療費の本式の体系を立てるためには、十分の、いろんな更に原価計算、物の面、経費の面、技術の面を調べなければならないが、そのためにそれをやろうとして厚生省調査会を作つて、そうしてその調査会で一定の診療費の算定の方式ができたならば、それを各関係団体に対して実質についても御調査答申を願いたい。資料を欲しい、出して頂きたい。それからいろんな病院経営、或いは診療所経営、或いは薬局経営についての実態の数字出して頂きたい。こういうふうの目標の下にあの打合会を作つたわけです。それがおじやんになつた。そのときに私が、ここではどうも、今度は榊原委員に対して妙なことを関接に言うようでありますけれども、若しもそのときあの打合会がおじやんにならないで、何故に厚生大臣が中断してしまつたのか知らんけれども、中断をしないであれを継続して行つたならば、それで診療費体系に基く算定の方式がすつかりきまつて医師会なら医師会からのいろんな資料、或いは技術指数資料というものも取寄せることはできて、そして相当完全な、御質問の趣旨に副うような計算もできたのじやないか、調査もできたのじやないか、こう私は今でも思つている。だから、ただどう諮問したとか、諮問せんというのではなくて、政府が当然やるべきことをやつて来て、それが中断をして、そうして協力を得られなつかた、この事実があるために、ここで榊原委員が今おつしやるような材料が集まらなかつた。集めようとしても集められなかつた。これははつきり私は厚生省で掴んでおいて、或いは政府の答弁はつきりしてもらわんというと、ただ現在の調査が疎漏であつたとか、資料が足らなかつたというような局長の答弁だけでは、私は不満足です。どうなんです。
  21. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもとして、技術指数を定めるということについてもつと積極的な手が打てなかつたということにつきましては、只今高野委員からもお話がございましたような事情もあり、私どものほうでさような措置をいたしたいと思つてはおつたのでありますけれども、それがなかなか十分にできないような結果となりまして、併しながらこのことを他に責任を転嫁するかのごときことを申上げるのも如何かという考えがございまして、又すべてこの問題をできるだけきれいにまとめ上げることが厚生省としても負わされた責任だと考えておりますので、只今のような御答弁を申上げる次第なんで、その点を御了承願いたいと思います。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 そういうような物の考え方は私は結構だと思うけれども、こういうような、委員会におけるそういう御答弁が、いわゆる事勿れ主義のお役人の説明答弁なんです。事実は事実なんです。事実を認めて、こうこういうわけで、今榊原さんがおつしやつたような技術指数調査、この調査をするために日本医師会の協力を求めなければできない。それが日本医師会が各学会調査を命じて指令されて、そうして各学会がいろんな意見を出されて、それを日本医師会が調整して、それを政府に持つて来る。そこで初めて政府はそれを基本にして、技術指数をもとに技術料というのの算定ができるわけです。従つて厚生省、政府としては日本医師会に協力を求めた、求めたけれども拒否された。これは事実なんです。その事実を述べることが、一方のほうに、例えば刺激するからいかんとか、委員会の円滑を欠くというものではないのでありまして、今こういう御質問があるから、この御質問に対してありのままをあなたがたは政府委員として答弁をなさらなければ、事態の認識を誤らせる、こう思いますので、私ははつきりそういうことを申上げます。遠慮はほどほどにしてもらつたほうがいいと思う。
  23. 榊原亨

    榊原亨君 先の質問を続けますが、技術指数というものを各学会諮問しようということが決議にないのだというお話でありますが、今私ここで資料を見ておりますと、ちよつと見当りませんから、この問題は次に又続けてはつきりさして頂きたいと思うのでありますが、今高野委員からお話になりました日本医師会の協力を要請した、協力を要請したのだけれども、協力しないから、技術持数が出なかつた。これは技術指数の問題ではないと私は思うのであります。技術指数は、先ほど私がお話いたしましたように、すでに日本医師会が各学会諮問をいたしまして、そうして長い間かかつて出しました指数ちやんとこの答申案の場合に資料として出してある。而もその資料は十分尊重すべきだということを書いてある。それはなにといたしましても、日本医師会が協力しなかつた、するという問題は、これはあとから又機会のありましたときに申上げるのでありますが、この技術指数関係がないわけでありまして、その技術指数ちやんと出してある。それをはつきりできない。又全然それを取上げないで、ただ時間で割り振つたということについては、資料は全然取るに足らんと私は思うのであります。なお先ほどお話がありましたように、1+hgt、言い換えますならば、技術指数の中にはマイナスアルフアもあるしプラスアルフアもあるのですから、なかなかこれはむずかしい、こういうお話もあつたのでありますが、それはお話が違うのであります。その話が違うということは、若しもマイナスがあるから、この各診療行為診療費が低くなることがあるのだ、そこで困るのだというお話でありますが、低くなるのは当然低くなるのでありますが、そのプラスマイナス・アルフアがつきませんと、ただ総合してはプラスマイナスがゼロだからいいのだというお話では、受取れん。と申しますのは、この最も重要であり、厚生省のお出しになる今回の判定の資料には、例えて申しますと、これを薬価にいたしますとか、手術料にいたしますとか、或いは処置料にいたしますとかいう、各診療行為部門におけるところの診療費ちやんと出て来ておる。従いまして、例えて申しますというと、処置の場合の技術の量、或いは手術の場合の技術の量ということを比べるのには、どうしても難易差を考慮に入れなければてきない。従いまして今のお話の、プラスマイナス・ゼロになるのだから、医師全部の収入がコンスタントであれば、一定であればそれでよろしいという話にはならん。この議論というものは、各診療行為部門がどうであるかということを検討する資料であるから、今の厚生省お話では、これは出て来ない。更に若しもこういう部門を時間だけでお計りになるとおつしやるならば、それは間違いでありますが、若しも万一それを許すといたしますならば、厚生省がお出しになりました電力料、水道料、ガス料、ボイラー燃料等におきまして、設備容量と使用時間を掛けた、水道料にいたしますと、カランの数とカランの品の大きさ、そうして使用時間を掛けた、ガス料にいたしますと、台数と口径と使用時間を掛けた、この物の面を算出するときには、言い換えますならば、そのカランの数と、そのカランの品の大きさ、これはもう難易差と一つも違わない。なぜこれらのものを時間の消費量だけでお計りにならなかつたか。これを算出するとき、ただ水道の管の大きさがどうだ、長さがどうだということをお出しになつておる。そうして肝心な医師技術計算だけは時間で割るのだ。若しも厚生省の御議論でありますならば、電力はどんな電線が、どんなヒユーズが引いてございましようとも、時間で割るべきであります。なぜガスの太さをお出しになつたか。太さを出すという思想が、言い換えますならば、技術指数を出すという思想だ。この点の矛盾をどうされますか。
  24. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは同じようなことを又申上げることになるかと思うのであります。確かに医療行為のうち、非常に困難な仕事とそれから比較的容易な仕事というものの差のあることは、私どもも承知しておるのであります。で、それをただ費消された時間だけで計算するということには無理があるということも、承知しておるのであります。さて個々診療行為難易というものを定めて行く場合に、前の調査会の場合に提出されました資料医師会からの資料というものがあるのではございますけれども、あれを果して直ちに取入れてよろしいものであるかどうかということにつきましては、非常に疑問があると思うのでありまして、又それにつきまして医師会と十分お話合いをするというすべも今度いろいろな事情から私どもに量られておりませんでしたし、まあそういうようなところから、一応これを平均的な数字で以て出しまして、そうしてこれを実際に個々診療行為の具体的な報酬を定めて行くというようなときには、さような無理があるということを承知の上で、今日の状況と比較して、そうしてそれを改訂する場合にその考慮の下に具体的な報酬をきめて行くというふうにいたしますれば、差当りとしては先ずこれが最善の方法ではなかろうかというふうに考えた次第であります。
  25. 榊原亨

    榊原亨君 今のガス管と水道管のお話はどうなつておるのです。
  26. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) ガス管の太さは計測器が、器械がございますれば、直ちに明瞭になるのでありますけれども、お医者さんの手術につきましては、どれくらいの大きさになるものか、計る物差しが見付かりませんので、今日においてはちよつと止むを得んと思います。
  27. 榊原亨

    榊原亨君 今医務局長お話を承わりますというと、いわゆる各診療行為行為部門の比重について、時間だけで計ることに無理があるということを、すでにお認めになつていらつしやる。お認めになつていらつしやるが、考慮して何とかするのだと言われますけれども、特に考慮するという考慮されたものがあるか。今私、申上げますのは、ガス管とか水道管の太さまでも計つてそうしてやるのだ。ところが、一方においては、それはいわゆる考慮するのだと言われますけれども、この資料の中にはどこにも考慮されたところがない。そこでどうですかと申しますと、相談することができない、相談する機会がなかつたというお話でありますが、それは相談する機会があつたというその証拠を私はお見せしましよう。それはすでにこの問題が済みましてから後に、調査をされる、いわゆる経営調査、実態調査をされるというときに、曾田医務局長に私は承わつたことがある。これは公式の場所で。一体この調査をされました結果が出ますというと、医師技術料を時間で割ることになるのですが、そういうことは困るのですが、どうですかということを申上げましたところが、そういうことは絶対にしない。医師技術料を時間で割るということは絶対にしないという御言明を得ておるのであります。その証拠はもう文書に残つておる。ところが、今度医薬分業になつて来ると、止むを得なかつたから時間で割るのだというお話でありまして、これは医務局長がその当瞬、統計にお携わりになつておられましたときに、私どもに御言明になつたことと食い違いがある。そうして而もそれは考慮するのだと言われているが、どこにも考慮することができないのだ。この問題についてはこのあとから各資料について一つ一つ私御質問申上げますときに、なお詳しいことを申上げたいと思います。なお例えて申しますというと、診察をするという、その診察をするという時間の中に予診というようなものの時間を入れておいでになるのですか、ならんのですか。それを承わりたいと思うのであります。
  28. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 予診というようなことをやつております病院においては、予診という時間を加えてあります。
  29. 榊原亨

    榊原亨君 予診をやつていない病院においてはどうしておられるのですか。
  30. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私のお答えが悪かつたかも知れませんが、やつていないところは入れておらないわけであります。
  31. 榊原亨

    榊原亨君 各診療行為についての今のような関頭については、又日を改めて御質問申上げますが、厚生省がお出しになりました資料のうちの今の問題のあるところの、資料のうちの5というところに「費用計算過程における単価の計算」というところがあるのでありますが、そのときに病院の場合は十二円五銭、診療所の場合は十一円九十一銭となつておるのでありますが、そういたしますというと、これはすでに病院診療所は赤字だという実態を示すことになるのでありますが、さよう承知してよろしうございますか。七ページです。
  32. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) このところからは直ちにさようなことが出ているわけではございませんが、先般お配りいたしましたいわゆる三月の調査というものにおきましては、病院診療所におきましての収入とそれから支出の総額というものが、多少赤字の数字を示しておつたということになつております。
  33. 榊原亨

    榊原亨君 この5の資料の十二円五銭と十一円九十一銭から、すでに赤字であるということがわかるのじやないのでございますか。
  34. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) まあこれは経費の一応の計算でございますので、収入のほうがこれを下回るか上回るかという問題が出て来るのであります。それから又この計算、ここに出ております一応の単価と申しますのは、この資料はずつと初めから御説明申上げておりますような計算をいたしました経費を、その診療総点数で割つたものが、かような数字になつておるということでございます。今のようにこれとその収入の一点単価がどうなつておるかということを比べて参りますれば、どちらのほうが多いか少いかということは出て来るのであります。
  35. 榊原亨

    榊原亨君 この場合の総診療点数という、その点数は何でございますか。
  36. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 当時の実測によりまして、社会保険の点数等の明らかなものはそのままの点数をとつております。それから又自費、労災というような場合には、その診療行為保険であるならば何点の報酬を請求すべきものかという点数を調べた、その総合計であります。
  37. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますれば、これはその当時の健康保険の一点単価とこれを比べてみれば、赤字であるということはすでにわかるのでありますが、違いますですか。
  38. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) でありますから、私先ほど申上げまするように、これはだから、一方収入を今の総点数で割つたものをここに掲げて比較いたしますれば、マイナスになつておるということが出て来ると思うのです。ここの5のところだけでは、これは必ずしも示されておりませんというふうに申上げたのであります。
  39. 榊原亨

    榊原亨君 健康保険にこれを直しました場合の点数で割つているのでありますから、その割りました一点のいわゆる単価が十二円五銭、その当時一点単価が十一円五十銭だから、五十五銭赤字になつておるということがすでにわかるわけです。これは曾田医務局長は健康保険はつきりなさいませんから、保険局長もおられますからおわかりになる。又これはここの計算からも、今年赤字になつておるということははつきり申上げられると思うのでありますが、そういたしまするというと、赤字経済になつておるその資料を以ちまして、そうしてこれが適正な診療報酬だという数字出して来るということは、どこに補正ができておりますか。
  40. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもはこの新医療費体系というものにつきましては、いわゆる支払の方法というものを改めるということが核心だと考えておるのでありまして、従いまして、支払の方法が変つたからということのために、今までの赤字が黒字になりましたり、又逆に今までとんとんで行つたところが、支払方法が変つたということのために、マイナスになつて来るということがないように考えたのでありまして、新医療費体系を採用いたしましても、今までとこのこと自身によつては医療費の負担者の側に、又医師等の側の収入におきましても、影響がないということを大体狙つたものであります。このことによつては、その赤字の解消という問題はこのこと自身では解決できないと思うのであります。併し問題を非常に明確にして参りますので、その問題は又別個の問題として考えて行かなければならんものと考えるのであります。
  41. 榊原亨

    榊原亨君 そうは行かないと思うのです。と申しますのは、厚生省がお出しになりました、一方の薬において幾ら利潤がある、それから処置において幾ら利潤があるということがあるのでありまするからして、その比を出しますのには、赤字経済の歪められたもの、歪められたということについてはほうぼう歪められておるのであります。この一カ所だけではないのであります。歪められたところは、ぼつぼつ歪められたところを私指摘いたしますが、今日私がこの一点だけでも、その歪められたものを按分しまして、そうしてこれが幾らだ、これはどうだというようなお話になつて来るということについては、非常なここに矛盾撞着が現われざるを得ないのであります。これは一応、厚生省は今そういうような御答弁でありますから、そういう御答弁速記にとつてありますから、一応その速記にとつた答弁を証拠にいたしまして、この次の私の意見を申上げますときに申上げたいと思うのでありますが、そういうようなことにおきまして、この資料というものは何らの価値がない。この点から申しましても、そう言わざるを得ないと私は思うのであります。  これは今日の質問とはちよつと違うのでありますが、保険局長にちよつとお尋ねしたいのでありますが、今この歪められた資料については赤字ということは、はつきり厚生省がお認めになつた。そういたしますというと、その後において、この資料が出ましたあとにおいて、往診料が変りますとか、初診料が変つたというようなこともありますが、その変つたことによりまして、どれくらいな変動を来しているのでございましようか。保険局長に一つ、お尋ねを申上げたいと思うのであります。参考のために一つ。
  42. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 御質問の御趣旨が正確に理解できないのでありますが、往診料等の変つたことによる変動ということは、どういう意味でございますか。
  43. 榊原亨

    榊原亨君 今厚生省がお出しになりました資料におきましては、医療機関というものは赤字になつているという結論になつているのです。ここでは、この資料においては、その後において社会保険診療報酬において変りましたのは、先年変動いたしましたところの往診料が変りましたとか、初診料を増額するとかいうことによつて、この当時とは診療報酬が変つて来ていると私は思う。その変つて来たことによつて、ここの赤字がどれくらいに補正されているかどうかということ。この当時、例えば初診料が、私存じておりませんが、二点だつたものが、あとになつて三点になつた。そうすれば、少し変つて来ているわけです。変つたところがこの赤字財政にどんな影響が及んでいるか。
  44. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 昭和二十七年度の本調査以後におきまして、社会保険の点数の上にたびたび改正が行われております。その一つ一つの財政影響は、私、今資料を持つて来ておりませんから、正確に申上げられませんけれども、最も大きなものは、昨年の暮からやりました只今御指摘の入院料と往診料の点数の引上げでございます。これは全医療費に対しまして七%弱のプラスの影響がある改訂でございます。それからなおその前に、抗生物質を取入れたりいたしておりますが、この辺は今資料を持つて来ておりませんので、正確に私は申上げられませんけれども、新らしく医療指針を定め、抗生物質を取入れましたために、全体としては財政的にプラスになつていることはございます。それから最近は御承知の通り、抗生物質の価格の変動に従います点数の引下げがございまして、これは約三%弱の財政的にはマイナス、支出減になることでございます。そんなふうでございまして、この状態がその後どう変動いたしておりますかということは、簡単に私どもには推測できない問題でございます。  なお申上げるまでもなく、最近の社会保険の支払金額は、前にも申上げた機会があろうかと思いますが、急激に増加を示しておりまして、この増加は、資料も差上げてございまするように、受診率の増嵩、それから一件あたりの金額及び点数の増加というようなことに基きまして、逆に申しますれば、診療担当者の収入はそういう意味で増しているということが言えると思うのでございます。この辺の影響は、只今お話のございました二十七年度調査以後におきまして、具体的にどうなつているかということにつきましては、只今正確にお答えを申上げる資料を持つておりませんので、後ほど申上げたいと思います。
  45. 榊原亨

    榊原亨君 只今久下保険局長がおつしやいました大体の、或いは想像になるかも知れませんが、この資料が出ましてから以後の診療報酬の変動というものを、入院と外来とに分けて資料をお出し願うように、委員長から一つお願いして頂きたいと思います。
  46. 高野一夫

    高野一夫君 委員長ちよつと。
  47. 榊原亨

    榊原亨君 ちよつと私、用事がありますので、私の質問は今日は保留さして頂きます。
  48. 山下義信

    ○山下義信君 ちよつと、高野君の質問される前に、榊原委員質問されたことに関連して伺つておきたいと思うのですが、高野委員、ようございますか。
  49. 高野一夫

    高野一夫君 どうぞ……。よろしうございます。
  50. 山下義信

    ○山下義信君 なかなか専門的な質疑応答があつたのですが、私も念のために聞いておきたい。それは今の技術料プラスアルフアの問題、これはもうこの新医療費体系の中の問題のやまの一つであることは、言うまでもない。政府の今の答弁を私ははつきりしておきたいと思うのです。我々の党でもこの問題を実は重大に検討したいと考えておるので、従つて政府の態度というか、方針というか、はつきり聞いておきたい。それは、プラスアルフアをつけることは、ひつきようするにプラスアルフアであり、又マイナス・アルフアの場合も出て来て、要するところ、これはプラスマイナス・ゼロ。プラスマイナス・ゼロになるようなことを、強いてそういう技術差をつけることは、無益の混乱を来たすことになるので、大して価値を認めないから、これをつけなかつたのであるかどうかということですね。或いはこれは当然、プラスアルフアの問題はまさに合理的にそうあるべきであつて、当局としてもこれを当然のことと思うのか。何も調査会が決議しようとしまいと、そんなことの因縁由来を詮索する必要はない。このことは早くから、昭和二十五年の社会保障制度の審議会の勧告の中でも、新らしい診療報酬の体系においては技術料というものを考えて、そのことについてはできるだけ専門学会意見を聞いてやるべきだということを、これは声を大きくして言つたことがあると、私は記憶しております。そんな詮索はどうでもいいですから、要するところ、この技術差をつけるということは、これは非常に重大なことで、やらなければならんことだ。併しながらなかなか困難で、その作業は今間に合わないから、先でやるというのか。それでただそのことがつけ得ない。今度の新医療費体系には少し無理があると言つて、この度のこの体系に政府みずから無理があるということは、欠点があるということだ。欠点があると言つてつたんじや、議論にならん。政府のほうで欠点があるということを自分から認めて行くというのじや、挨拶としちや通るけれども、それじや話にならん。それで何も牽強附会の強弁をする必要はないが、はつきりしておかなければならん。さほど我々はそれに大した価値を、そんなに是非そうしなくては合理的な医療費体系というものにならんのだというほどには考えていないから、しなかつたのだというのか。どうしてもそれがなければ完全な医療費体系にはならんのであるけれども、難作業であるから、当分籍すに時日を以てしてもらいたい、こういう方針でいるのか、ということについて、私は政府の方針をはつきりしておいてもらいたいと思う。
  51. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 只今の点につきましては、私どもとしましては、プラスマイナス・アルフアの問題を全然考慮する必要はないというふうに考えた次第ではございません。これはできることならば技術差をつけてみたいというふうに考えた次第であります。ただこのアル7アの問題というのは、二つの問題が混同されていると思うのでありますが、その一つは、いわゆる医師、歯科医師等の技術、この個人差の問題であります。この個人差の問題は、一つは将来専門医制度というようなものでも立てて参りますると、多少この問題の解決に一歩前進し得るのではないかと思いますが、さもない限り、少くとも社会保険診療等においては、これを区別することは事実上困難であるというふうに考えております。困難ということは、今手をつけても解決ができないという意味でございます。それから診療行為難易差、非常に簡単な、腫れものをメスでちよいと切るものと、それから脳部外科胸部外科というように、非常に高度な技術を要するもの、こういうようなものにおきましては、時間だけではなしに、更に技術の差というものを見なければならんじやないか、かような診療行為難易差というものは、これはつけられるものならば何とかつけて行かなければならんであろうというふうに考えておるわけであります。併しながらこれをつけるということは非常に、各診療行為のバランスの問題になりますので、非常にむつかしいことです。これは政府等におきまして一方的に定めて行くことは、何としても困難である。むしろ然るべき時期をつかみまして、そうしてお医者さんがたの内部でその難易差をつけて頂く。一方で殖えるものがあれば一方は減つてもしようがないという、両者を睨み合せてきめて行かなければならんのではないかというふうに考えまして、私ども差当りとしては、これは私どもの手できめかねる、併しながらこれをいよいよ具体的な問題に持つて参ります場合には、今日の保険報酬点数にいたしましても、これは前からの慣行に大体基いて報酬点数が定められていると考えられるのでありますが、その慣行の中にはおのずからその仕事難易差というものが含まれて来ておると思うのであります。そういうような点が、私どもここで以て一応計算出しました平均的な費用というものを物差しとして、現行の点数を検討して参りました場合に、それが或る程度医師の経験と申しますか、こういうようなものと合致しておるならば、その平均的な計算で出て来ました費用よりも高い点数になつてつても、それは継続して行こう。それにしても、余りにその差が大き過ぎるというような場合には、これを幾分引下げて行くというような、一応の物指を作るという意味で、この資料が有効であろうというふうに考えました。これが具体的な点数改訂に当てはめられますときには、今のようにプラスマイナス・アルフア数字では出て参りませんけれども、皆さんの協議で、ほどほどのところにこれを決定して参らるべきではないかというふうに考えるのでありまして、ここで出しました計算に、丁度その数字にぴたりと当てはまるように改訂されるということには、この資料の性質から、参りかねる。併し検討の基準の一つになるものというふうには考えております。  もう一つは、診察料、或いは注射料、薬治料というような工合にいたしまして、この限りにおいて、今までは注射或いは投薬の場合に過分の報酬が払われておる、そうして診察に対して余りにも不当に少額な報酬しか払われていない、殆んど皆無といつてもいいくらいな状況であつた。こういうのに対しましては、私どもこれは平均的な数字出したとは言いながらも、相当正しい数字に近づき得るのではないか。平均というところで多少の難点、完璧のものではございませんけれども、現在の診療報酬のあり方というものに対しましては、今回具体的にお示しいたしました医療費体系に取入れられた範囲のものは、これは平均をとつたにしても、今までよりは数段合理的なものになつているというふうに、私どもは確信しておるのであります。それを更に細かく分けて、個々診療行為に分けて行くということになりますと、ときには最初申上げた通り、その数字は一つの検討の物差しとしてお使い願いますが、そのままの数字を使つて頂くということは必ずしも期待しておらない、さように考えております。
  52. 山下義信

    ○山下義信君 よくわかりました。個人の技術差の問題は、何というか、医療制度のあり方にも関連して、今日それを実現さそうとすることは困難である、それからいわゆる医療行為難易の問題については、今の体系においても、今度これを点数表に当てはめて行くときには、或る程度考慮するつもりである、ここへ来るまで完全にそれが考慮を十分加えてはないけれども、併しながらいろんな数字の弾き方の上には、実は自然に多少はそれが出ておる点もあるのだ、こういう御答弁ですね。それはそれで答弁として承わつておきましよう。  今の所要時間の長短というものとその診療行為難易というものとの比例の工合は、およそどれくらいのものですか。素人が聞くものとして、難易と時間の長短とはおよそどのくらいの割出合で正比例しているものですか。非常に容易な手術であつても長うかかるものもあろう、又榊原君がしばしば引例するような非常な高等技術の、むずかしいものでも、短いものもあろうけれども、大体診療行為を押しなべてみて、時間の長短というものがその行為難易に比例するか。およそ腰だめでもようござんすか、何割くらいはおよそ時間の長短がそれを表わしておるということがいい得られますか、どうですか。
  53. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは先般の調査会の答申にもございましたように、その難易度というものが同様な行為であるならば、完全に時間の長短に比例してきまつて行く。又時借が同じだけかかる行為であるならば、その難易差だけに比例して報酬がきめらるべきだ、というふうに申してあるのであります。ところが、両者が絡んで参つたときには、どうなるかと申しますならば、これは面倒に考えますれば、なかなか両者の関係が出にくいと思うのでありますけれども、非常に簡単に考えて、それの相乗積になつて来るというように、一応この前の調査会では答申されたのであります。只今の御質問につきまして、私もちよつと御返答申上げにくいのでありますが……。
  54. 山下義信

    ○山下義信君 いや調べてから……。それじや大体の見当でようござんすから、どの程度、それが難易に余り関係がないということになれば、要するに時間の切売りということになつちやつて、いろいろ問題が出て来る。やはり時間が相当長くかかるということも、そのこと事態の難易関係がある。およそどの程度関係があろうかということで、ただ単に時間の切売りでなしに、多少そういう点も、アルフの事柄も幾らかそこに、この程度は含まれているということが、理窟が立ち得れば、これは私は素人にでも多少うなずけると思う。ですから、それは一つどう説明をして下されるか、各種の場合を大体でようござんすから、検討して頂いて素人の私どもにわかるように御説明頂ければいいと思うんでありますが、今でもようござんすけれども……。
  55. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 実はこの問題につきましては、時間を頂戴いたしましても、十分な調べができるとも思えませんので、むしろ只今申上げたいと思うのでございますが、まあ私ども、たくさんの診療行為がございますが、又それにいろいろ頻度の点などを考えて参りますると、多くの診療行為は先ず時間で考えて行つて、大勢としては間違いがないんじやなかろうか。併しながら勿論例外的なものがございますのですけれども、そういうようなものはむしろ頻度としては割合に少いのではないかというふうな考え方を持つているのでありますが、これは非常に御質問の点を数字でお答えすることはむずかしいので……。
  56. 山下義信

    ○山下義信君 もう少し具体性を持つたような答えを、この機会にいろいろの御説明を、重ねて一つお願いしておきます。  それからいま一つ、榊原委員のに関連して伺うのでありますが、今の資料の赤字の問題ですね。これは赤字々々として出ている。併し赤字ということとは関係なしに、今の現状から割り出した十二円五銭、十一円九十何銭というような単価が出ている。これは一つの考え方を打ち出したのであつて、赤字のことは、何と言うか、一つの体系が出してある。そのことと赤字のこととは別だ、これはよくわかるのです。ところで、私が伺うのは、国民総医療費に影響がないという説明の場合には、この今の診療体系の各種の数字を使うのです。それで病院診療所等の赤字の問題はこれは別途の問題で、それでここで出したあなたの単価を、直ぐそれを使おうとしているんじやないんだと、こういうことになると、国民総医療に及ぼす影響はないように作つたんだ、以下かくのことしということは、これは一つの資料を二つに使いまするのか、二枚舌にしまするのか、そこのところをどう心得えたらようござんすか。
  57. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 二十七年三月の調査の結果としましては、先ほども御指摘がございましたように、収支のバランスは赤字となつてつたわけであります。これを、いわゆる今度お示しいたしました新医療費体系なるものは、そのバランスを改善すると、まあ改善でありますかどうかわかりませんが、それに変更を来たすというようなことは狙つておらない。むしろ今までと同じだけの報酬が支払われるという形にいたしたいということを狙つているわけであります。そうした場合に、その医療経営の赤字というものを、それではどうするのかということになりますれば、この点については、その赤字の性質を検討し、或いは又その後いろいろに動いて来ております諸般の事情というようなものを検討して、率直に申上げますならば、ここにも出ておりましたように、単価の適正な値をきめて参るというような措置を講じなければならんのではないかというふうに、考えておるのであります。保険のほうの問題でございますれば、保険局長から更に細かくお答え願つたほうがいいかと思つております。
  58. 山下義信

    ○山下義信君 ちよつと、大事なことをおつしやりかけたのですが、そのことは又別の機会に私が伺いますが、今、新医療費体系の政府の資料榊原委員は単価のところから言つたんですが、その他のところにも、要するところ病院診療所の二十七年三月調査の実情は、赤字であるかのごとくに出ておる。併しこのことは、今のあなた方の今度やろうとする点数を弾き出したり、それから今の病院の十二円五銭の単価、十一円幾ばくの診療所の単価といつたようなものを出し行つたことは、診察料その他の点数はあれはなまですが、あれは生きた点数ですが、その他は何もそれがなまの数字じやない、こういうことから、医療費の立て方をするのだという建前が、大体こう骨組が出ておつて、その中ですぐに使うなま……なまというとおかしいが、生きた数字と、そうでない仮に弾き出して見せた数字と、二つある。赤字だ何だというのは、見せた数字だ。こういうことになりますというて、見せた数字で、それをすぐ生きた数字として使おうとするのじやない。併し初診料の六・二〇三、或いは再診料の四・五九五というこれは生きた数字、これはそのまま使おうとするのだろうと私は理解しておる。間違つたら指摘してもらいます。そこで赤字の問題は、あれは生きた数字じやないので、これを、これがこれがとその数字をつかまえては、これは議論にならん。それで、それは別の議論をしろと、こういう、政府はね。別に議論をしろ。ところで、この新医療費体系でやるならば、国民総医療費には更に影響を与えないということは、生きた数字で言わなければならん。それで私は今の政府の出している資料の諸数字の中には、そのまま使う数字とそのまま使わない数字と、この二通りのものが含まれてあつて、政府は答弁の都合のいいときにはこつちの数字を使い、都合の悪いときには目をつぶつて、そのことは別問題だ、こういふうにあの資料がなつておるように思う。それで私は、今の榊原委員が尋ねた赤字の問題は、あれはあの医療費体系の上ではすぐには問題にならん。これは別問題。ところが、総医療費に及ぼす影響はないんだというときには、あの赤字の数字をそのまま使わねば、影響がないとは言えん。そうでしよう。それで政府が新医療費体系出したあの資料の中には、そういう一つの説明のからくりがこさえてある、こういうふうに私は思うのですが、ですから国民総医療費に及ぼす影響というときには、これは別の角度から伺わねばならんことになつて、あそこに出ているもろもろの数字をそのまま無条件で聞いて行くわけには行かんように思いますが、そうなんでしようね。
  59. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この新医療費体系を採用いたしました暁に、あの赤字がそのまま解消されないということは、逆に言えば、あの赤字を解消しようとすれば、結局国民の負担額が殖えて来るのではないか、という御質問だと思うのでありますが、それはおつしやる通りであります。併しながらただ、今日と申しますか、昭和三十年からと申しますか、その際に、この新医療費体系に基く新らしい点数が定まつて来るということになりました際に、一点の単価を改めて行かねばならんかどうかということにつきましては、いろいろな考慮が要るのではないかと思うのであります。こういうような点は、保険局のほうで十分に検討して定められるものと、又私どもも、赤字が残つております新医療費体系に移つた後におきましては、その赤字の解消という問題は、一点単価の改訂等を中心としまして正しく是正されるということを、私どもとしては期待しているのでありますけれども、これがどの程度に動かす必要があるかどうかということは、いろいろな事情を勘案して行かなければならんものと考えている次第であります。
  60. 山下義信

    ○山下義信君 医務局長は正直だから、そう言つてしまえば味も素気もないので、その通りです。それでそのことは又別に伺いますが、今の二十七年三月調査のあれは皆赤字になつている。赤字になつている。赤字のものを使つていると、頻りに声が高い。ですから、これも別の機会に私に質問の番が廻つて来たときに伺いますが、併し関連してここで伺つておきたいのは、あの総収入というのは、何もかも皆よく調べましたか。それで赤字々々でやつてつたならば潰れてしまわなければならんはずで、潰れておらんところをみるというと、ああいうふうな、資料の上では赤字のように見えておつても、経営が続いているという事実もある。それで総収入というのは、何もかも収入というものは調べましたか。原価計算という支出の部門別だの要素別だのという詳細な御調査はできているが、収入というものを調べなければ、本当の実態経営調査というものにはならん。総収入というのは何をどの程度調べたのか、細かい数字のことはいいですが、落ちのないように収入というものを調べたのかどうか。それで私がいつか、今度の調査の対象のリストをお伺いした。このことは又資料をお出しになつたときに承りますが、言いたいと思つたのは、実は経営そのものが結局、プラスマイナス、どういう経営になつている対象を調べたか、ということも肝心なことなんです。それで経費の支出の面は事細かにああして分析されているが、収入の面が一銭一厘も落ちのないように調べてあるかどうか。これは公立のものはわかりましよう。併しその他の、特に個人診療所あたりの、あらゆる収入というものが調べてあるかどうかということも聞いてみにや……。要するところ赤字の諸数字というものはあれは正確なものですか、どうなんですか。
  61. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 二十七年三月に行いました調査で、収入と申しておりますのは、医療収入でございまして、医療以外の収入は挙つておりません。
  62. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると、医療の収入というものは、もう全部捕捉してあるのでありますね。
  63. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 調査といたしましては、それを漏れなく網羅するつもりで行なつたものでございますが、私どももできるだけ正確に漏れのない調査を期したつもりでございますが、何しろあのたぐいの調査でございますから、全然ないとは申しかねると思うのですけれども、かなりよくとれたものではないかと考えております。
  64. 山下義信

    ○山下義信君 自由診療収入なんかも、完全に捕捉しておるのですか。
  65. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 自由診療報酬も全部網羅するような調査を行なつたのであります。
  66. 山下義信

    ○山下義信君 それは課税の標準等から換算したのでしようか。ただそういう形式的な作業でしよう。実態がよく捕捉してありますか。
  67. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもは、あの調査をいたします場合には、これは純粋な調査だけの目的のものであるので、この資料は決して徴税等に利用されるというようなことは絶対にいたしませんというようなことを申しまして、できるだけ正直な数字を書いて頂くというふうにお願いした結果でございます。
  68. 山下義信

    ○山下義信君 この程度にしておきましよう。
  69. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  70. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。
  71. 高野一夫

    高野一夫君 保険局長に、この十月二十一日に頂戴した「政府管掌健康保険の医療給付費の増加について」この資料の中で、別表第一の「医療給付費支払状況」、二十六年から二十七年、八年度、九年が一部分出ておりますが、二十六年度と二十八年度を比較しますと、大体倍の増額であります。これはこれとして、二十九年度の年度末においてどれくらいになるであろうという見込み、できるならば三十年度ぐらいまでの見込みができるかどうか、これが一つ。それから次に別表四の一と二、「一件当点数」、上に「一件当点数(一般入院)」と書いてありますが、その下の別表四の二に、やはり「一般入院」と書いてありますが、これは入院外じやないんですか、これが一つ。それから別表五によりますと、いつかお尋ねしたこともあるんですが、一件当りの治療日数、この日数が徐々ながら多少減つている。コンマ以下少し殖えたり減つたりしておりますが、減つている。別表五の二で一般の入院外ま相当成つている。これは結構だと思うんですが、そこでさつきの別表第一と比較しまして、年々百億以上の支払勘定が増額になつているわけですが、そこで一件当りの日数が減退をしておるということによつては、マイナスが出なければならんわけなんです。併し総額においては、別表一のごとく、非常な増額になつている。そうすると、この増額になる原因が、一件当りの日数によらずして、ほかのものによるということにならなければならんのですが、その辺のところが、どの資料をどういうふうに見たらわかるのかどうか。詳しい説明が必要であつたら次回で結構です。それから第四に、別表の六の一、「入院」と「外来」があります。外来の最後の欄、一人当りの点数、この合計が出ていないんですが、これは出ませんか。そうして入院と外来との全体の合計は最後に出ているんですから、ここに出なければならんが、書いてない。これは一つお調べ願いたい。それだけ資料に対する疑問点として、今御説明願えるならば、簡単な分は説明を願つて、面倒な分があれば、明日でも結構です。
  72. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 先ず第一に、別表第一に関連して今後の見通しでございますが、昭和三十年度につきましては、まだ正確な見込みをつけておりません。この第一表で御覧を頂きますように、年々支払額が増加していることは御指摘の通りであり、更に本年に入りまして、ここに三月以降七月までの各月の支払額がございます。これはパーセントで申しますと、前年同期に比較いたしまして、三月、四月が一四五%、五月が一四四%、六月、七月が一四三%になつております。こういうことで、大体四割二分から四割五分程度の毎月増額を示しておる次第でございます。この増額の原因は、この表の表書きに極く簡単な説明を付加えてございまするので、御覧を頂きたいのでありますが、要するに給付件数の増嵩と、一件当点数の増加、この二つが殖えました要素でございます。大体このように非常に増額を来たしております原因につきまして、いろいろ只今実は検討をいたしておるのでありますが、少くとも支払額が増加して参りました事情につきましては、先ず第一に、昭和二十八年、昨年の四月から抗生物質の使用を取入れまして、これが全政府管掌健康保険財政に及ぼす影響が二%増でございます。それから給付期間が、法律の改正に基きまして、昨年の十一月から二年が三年に延びました。この関係上、入院費総額に対しまして四・七七%程度の増加になる見込みでございます。それから、二十八年の十二月から、先ほど上げました入院料及び往診料の点数の引上げがございます。これは歯科につきましても別の点数改正がありまして、それぞれ六・一乃至六・七%の財政影響でございます。そのほかに支払いが増加いたしました原因は、被保険者の自然増がございまして、昭和二十八年一年だけで、三十九万四千三百四十一人という被保険者自然増がございます。それから最後に受診率が、この表で御覧を頂きましたように、一割以上毎年上つておるわけでございまして、これらの要素がそれぞれ相互に作用いたしまして、こういう著しい支払額の増加を示しておる次第でございます。  この趨勢をもとにいてしまして、本年度の政府管掌健康保険の収支見込を立ててみたいのでありますが、収入総額四百十三億六千百万円と見込んでおるのでございますが、これに対しまして、その支出の最も主なものは保険給付費でございまして、四百四十三億四千七百万円、そのほかの諸支出がございまして、支出合計四百五十二億四千六百万円と見込んでおる次第でございます。即ち差引三十八億八千五百万円の赤字が本年度内において見込まれるような情勢でございます。尤も先ほど申上げました収入総額の中には、昭和二十七年度までの剰余金十八億円が繰入れられておりまして、その結果三十八億でございまするので、本年度だけの純計で申上げますると、三十八億八千五百万円に十八億を足して頂きまして、五十六億八千五百万円というのが本年度内の赤字ということでございまして、私どもといたしましても非常に心配をいたしておる次第でございます。特に最近の情勢によりますると、毎月の保険料規定額よりも毎月の支払額のほうが上回つておるというような状況になつて参りまして、非常に心配いたしておる次第でございますが、これにつきましては、実は本日別の席で全国の保険課長を招集いたしまして、いろいろ対策の打合せわいたしておるような次第でございます。恐らくはこの傾向は来年度にもそのまま引続くものではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから別表第四でございまするが、四の二はさつきも御指摘のように入院外でございます。  それからその他のことに関連をいたしました影響つきましては、概略資料に書いておいたのでございますが、若し更に御不審の点がございましたならば御要望に応じ資料を差上げ、又説明を申上げたいと思います。
  73. 高野一夫

    高野一夫君 よろしうございます。それで別表六の数字は……。
  74. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 六の二のほうでございますか。
  75. 高野一夫

    高野一夫君 六の一、外来一人当りの点数、そのしまいの合計がないのです。
  76. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) これはのちほど出して参ります。
  77. 高野一夫

    高野一夫君 明日で結構です。
  78. 湯山勇

    ○湯山勇君 私、簡単にやはり資料についてお尋ねしておきたいと思うのですが、それは資料一の総括的な御説明のあつた分です。そのうちの二十七年度の実態のところで、現行点数と、それから費用から換算した点数、及び病院における実態はゼロ、それから診療所もゼロ、それから歯科診療所の実態もゼロになつておりますが、これは今までの御説明から判断しますと、ゼロになるのが当然だというようには受取れないのですが、これはゼロにするための操作をなさつたのか、或いは又偶然ゼロになつたのか、それはどういう工合になつておるのでございましようか。
  79. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは経費計算いたしまして、そしてこの同じ診療行為に対するものでございますから、それをその総点数をその経費の額に、費用の額に応じて按分したということなんであります。
  80. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういたしますと、その按分した結果から新医療費体系を割出されたということになりますと、同じ資料の中の後のほうですが、それぞれ病院診療所、歯科診療所等の現行と新点数との比較の表が出ておりますが、それを見ますと、病院では約五千分の一程度、それから診療所では五十分の一、歯科診療所では百七十分の一と、相当大きな開きがあるようですが、こういう理論に立つて、同じ対象の病院だろうと思うのです、同じ数ですから。百五十五というのは……。そういうものに当てはめた場合に、今のような大きな差ができるというのは、どういうわけでしようか。その按分したものをそまま当てはめて、それによつて計算すれば、むしろかなりこうびしつとした数になるのではないかと、対象病院も同じだとすればですね。診療所も……。そういうふうに思うのですが、これはどうなんでしよう。
  81. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この各診療行為につきまして今回計算で出されました費用をそのまま採用するとすれば、後に別に掲げてございますこの大きい表でありますが、ここに示されたような経費になつて参ります。そういうようなところで、これは殆んど、殆んどじやありませんが、そうなりますというと、収入とそれから支出に、先ほどお話がございましたように、食い違いがございますので、その点において経費のほうが余計にかかつて参りますから、その分だけがマイナスとなると申しますか、さようなことになるのでありますが、併し点数として考えますならば、丁度これはとんとんに、ゼロになつて来るはずなんであります。で、併しながら新医療費体系におきましては、実費用計算をいたしました結果、全部を採用してはおらないのでありまして、診察、注射及び処置の一部分、それから歯科では補綴と、これだけを取上げまして、他のものはおおむね現行通りというふうに考えてありますために、この一部分だけを補正して参ります限りにおいては、これが丁度ゼロになつて参りません。そういうところから、この附表の三に載せております幾つかの表で、病院診療所、歯科診療所でもつて幾分の又食い違いも出て来ておるというような次第であるのであります。これを丁度合わせるように点数を補正いたして参る、プラスマイナスがゼロになるように補正して参るというような方法をとりますれば可能なのでございますけれども保険でこれを具体化されますときには、いろいろ数字を小数点下をまるめるというような作業が入つて参りますので、その際にこの点を考慮に入れて作業をやつて頂きまするならば、ここに出ておるようなはしたの訂正と申しまするか、調整と申しますか、こういうようなものはここでゼロにしておいても、この程度のものでも余り差はないのではないかというので、このまま、ありのままの数字をお示しした次第であります。
  82. 湯山勇

    ○湯山勇君 その調整のまあ眼目でございますね、これは大体重点の度合から申しますと、国民の総医療費を増減させないという点に重点をおいてなされたのか、ただ単に端数の切捨て、切上げだけの問題ではないと思いますので、或いは又現状を成るべく変動を来たさないということに重点をおかれたのか、これだけ違つて来たような修正をされた重点ですね、それはどういうところにあるのでございましようか。
  83. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) これは初めにも御説明申上げましたように、私ども大体、診療所の大多数を占めておりまする内科、小児科或いは全科というようなところにつきましては、投薬と注射というものから浮いて参ります余分の報酬というものを診察のほうに回しますれば、大体のバランスがとれて来るのではないかというふうに考えたのであります。ところが、前にも申上げましたように、内科、小児科とかなり診療の形態が違つております眼科、耳鼻科というようなものになつた場合に、このような専門科に対しては診察料の支払いの仕方というものを変えて行くか、或いはその診察料を安く見積つて行くかということをいたしませんと、どうしてもさような専門科に対する支払い報酬というものがかさんで参ります。それから又事実、内科、小児科に比べまするならば、それに該当する診察の時間と労力というようなものは少いのでありますから、それはどうしても減らさざるを得ない。で、それでやりまするならば、非常に事は簡単なのでありますけれども、さればと言つて、眼科、耳鼻科の患者に対して診察料か内科、小児科の場合と違うということは、実際問題として非常に不便があるのじやないか。殊に兼科のような診療所病院では非常に困るであろうというようなところから、成るべくこれを揃えたい。即ち耳鼻科、眼科のようなときにも初診料、再診料は内科、小児科と同じような額を支払うということにいたしたいというような一つのプリンシプルを、型を定めて参りました。そうするというと、今の処置のほうからその経費を若干回さなければならないというようなことで、処置を含めて一緒にして平均で行きますならば、診察料とそれから簡易なる処置というものを含めると、内科も眼科、耳鼻科もおおむね同じような点数になつて来るということで、さような方針と申しますか、枠を立てて行きました。で、枠を立てるとなりますと、今度それに縛られて多少の数字のでこぼこが出て来るというような結果になつたわけでございます。
  84. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじや今のお話はそれでわかりましたが、最初頂いた診療合計というようなものは、そういう操作をしたあとの最終的な集計であるというようなことになると思いますが、それで見ますと、診療所の場合は約五十分の一の点数増になりますから、まあ二%程度収入増になると、合計すれば……。それから特に著しいのは病院併設の歯科ですが、これは十四分の一ぐらいですからまあ大体七%余りですかね、それくらいな大体収入増になる、こういうこともこれは止むを得ないというようなことになるわけでございますか。
  85. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) この病院歯科の場合、或いは又診療所におきましても、先般からもしばしば問題にされております専門別に見た場合に、眼科、耳鼻科のようなところがこの平均よりはかなり上回つた増に出て来るのであります。そういうようなのが不合理ではないか。これは総医療費という点から参りますというと、この数が、かような専門科は実際は少いのでありますので、影響としては割合に小さいりでありますけれども、その個々の事例として見ますならば、かなり差が出て来ておる。で、かような差があるけれども、この程度のものは例えば従来ならば、従来少し不利だつたのではなかろうかというような考え方もできないわけでもございませんし、併しながら私どもとしては今さような考慮は今回なるべく抜きたいのでありまして、今まで通りということで参りたいと考えておりますので、そういたしますると、ここで医療費体系の根幹をお示しはいたしたのでありますけれども、投薬なら投薬、或いは注射なら注射というような枠の中で、眼科、耳鼻科等では余り用いられない注射のやり方とか調剤の方法とかいうようなものに幾分、費用計算で出ましたものを根幹とはいたしますけれども、それに多少ウエイトをつけて、一方のほうは切上げにする、片方は切捨てにするというような操作で、幾分でもそれがより平均化されて行くような措置考えて参りたいというふうに思つておる次第であります。
  86. 高野一夫

    高野一夫君 私は厚生省薬務局、保険局、医務局、三局にこれから申上げる資料の要求をしたいと思います。これは実は中山委員がここへ御列席があつて、中山委員の前で私は説明しながら資料要求をしたいのでありますが、退席なさつておりますので、止むを得ずここで申上げますが、先般中山委員から薬局における不正不良行為に関する調査資料の要求がありましたが、これは当然のことでありまして、薬局において或いは薬剤師がいろいろ不正違反行為をするということはけしからんとでありますから、その資料を要求されることについて何の我々は疑惑を差挾むものでもないし、その資料があるならば結構だから、我々は見たいと思う。けれども、そういうことは又片手落ちの資料要求であると私は思うので、そこでその資料要求の公正を期するために、以下数点の資料を私は要求したい。  先ず薬務局長にお願いしますが、薬事法二十二条によりまするというと、医師が調剤を許されている場合は、医師みずから調剤しなければならないことになつております。けれども病院以外、まあ病院でも薬剤師のいない病院もあるそうでありますが、病院以外、そのほか一般開業医で薬剤師のいないところで、果して医師が診察すべき患者を放つたらかしておいて、診察の済んだ患者のためにみずから薬品室へ入つて調剤するかどうかということについては、まあ社会通念上いろいろな見方があるはずです。そこでそういうような、奥さんにやらしたり、書生にやらしたり、看護婦にやらしたり、看護婦か女中かわからんような人にやらしたりしているようなことは、二十二条の違反行為として当然処罰すべきものだ。こういうことについて、薬務局は薬事監視の立場からこういう摘発をやられたかどうか。そして全国的にそういう摘発、調査を進めておられるかどうか。そして又それについてどういうような処罰の方法を講じられたかどうか。この資料を要求すると同時に、この点についての薬務局長の見解もついでに伺つておきたい。それは資料説明のときで結構であります。診療報酬調査会におきまして、診療に関する技術料と調剤に関する技術料を区別した場合に、専門家である薬剤師の調剤技術料と、医者が調剤した場合に医師の取るべき調剤技術料には、区別をつくべきじやないかというのは、これは日本医師会代表委員から出たむしろ一つの考えであつた。けれども、そういうことは面倒であるから、一律でいいじやないかということであつたのでありますが、そこで若しもみずから調剤すれば調剤技術料を取つてもいいわけだけれども、違反行為をやつているかどうかわからんが、やつて、そして資格のない正規のものでない者が調剤行為をやる、その者に対して調剤技術料が支払われるということになるわけです、理窟から行きますと。これは極めて適正でないことになろうかと思うので、こういう点について今後どういう考え方をされているかどうか、それが一つ。  次に保険局長にお願いしたいことは、保険医の大部分は良識ある保険医業をやつていると私は考えています。けれども、いろいろ不在行為をやり、そしてそのために処罰される保険医があるということは、すでに厚生省からもしばしば発表されおる。この保険医が全国において如何なる不正不良行為をやつたか。その件数とか、或いは種類或いは不正違反行為の内容、そして例えば点数の水増し請求をやつたということは直ちに医療費の支払状況に影響して来るわけであります。そこで今までわかつた不正不良行為ということによつて、医療費の支払状況に如何なる悪影響を来たしたか、この点が一つ。それから医務局長にお願いしたい。これは医務局長に二点お願いします。これは今後調剤技術料診療技術料というものが評価されて、正しく技術に対して適正に支払われるということは誠に結構なことであります。我々の調査するところによりますと、大病院ですらも極めて不適正なる処方がしばしばある。この不適正なる処方が出されて、これが明るみに出ればいいけれども、明るみに出ないで処方されたというような場合においては、これに対して患者側はいろいろ、な、調剤技術料も、そのほか薬の原価も、支払わなければならぬ。そこでこれも医療費の支払状況に重大なる影響を及ぼすと思いますので申上げたいわけでありますが、処方の不適正なる事例について調査されたことがあるかどうか。調査されたことがあるならば、その資料を提出願いたい。それからこれは、この提出された資料の中にあるかも知れませんが、まだすつかり見ていないので、あつたらば取消しますが、現在医業に従事している医師のうちで、内科、小児科とか、皮膚科とかというような、いわゆる専門科名を標榜している医師と、八百屋式に各種の医療行為内科もやれば小児科も外科もやるというような医業をやつている医師と、この比率、人数というものがわかつているならば、お出しを願いたい。たしかここにあるかも知れません。あつたらばそれで結構です。  最後に薬務局長にお願いを申上げる。それは先年薬局の整備のために基準を設けられて、薬局に整備を命じた。そこで坪数そのほか設備器具等について詳細なる基準を設けられて、試験室、調剤室の設備を命ぜられた。これに対して要した経費というものは、全国の当時二月五千軒の薬局一こしては、厖大なる金額になると思つております。当時政府はこの薬局の整備を命じて、これに対して低利長期の融資とか、或いはそのほか適当な融資の援助の方法を講ぜられたことがあるかどうか。若しも講ぜられたとするならば、どの程度政府の恩恵に浴して、そういう資金が薬局に流れて利用されたであろうか、こういう点であります。仮に一軒当り最低三十万円としましても、総額四十五億になります。三十万以下というところは、どんな簡単なところでもなかつたと私は考えておるのであります。殆んど店全体を改装しなければならなかつた薬局もたくさんございます。そこでこの総額四十五億というものは、遥かにそれを上回つた金額が出て来る。これだけの犠牲は薬剤師、薬局が背負い込んだわけでありますが、これに対して政府は何らか適切な援助の方法を講ぜられたかどうか、こういう点を伺いたいと思いますが、以上それだけ五件、先般の中山委員資料要求に関連しまして、以上のことを要求するものであるということをはつきり附言をいたしまして、私は人のあら捜しをするような、こういう只今申上げたような資料の要求をしたくないのであります。そういうことを附言をいたしまして、止むを得ず、公正を期するために要求をしておきます。
  87. 上條愛一

    委員長上條愛一君) では、本件に関する本日の質疑はこの程度にいたしまして、次に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  それでは午前中の質疑はこの程度にいたしまして、休憩いたします。    午後零時四十八分休憩    —————・—————    午後二時十二分開会
  89. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは午前に引続き、これより厚生委員会を再開いたします。  引揚者援護対策に関する件を議題といたします。先般の中共地区からの引揚者に対する援護対策について、御質疑を願います。
  90. 湯山勇

    ○湯山勇君 第八次興安丸引揚の、特に軍人であつた人たちの処遇についてですが、これは当時参考人の希望もありますし、それから参考人から相当具体的な資料を提示して要望もあつたわけで、その要点は、当時残留した事情は一般の残留した者と形が違つて、相当、ひどい言葉で申しますと、強迫とか或いは扇動教唆、そういうものがあつてつたというようなことを明らかにしておるわけです。で、そういうことが明らかになつた以上、この人たちの取扱いを、ただ機械的に未帰還者という枠だけで措置するということも如何かと思いますので、その点について若干お尋ねいたしたいと思います。  先ず、現在これらの人をどういうふうに扱つておられるか。これはどなた  にお尋ねしたらいいですか……。
  91. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) お答え申し上げます。  先ず最初に、いわゆる山西軍参加者、この行動の概要を申し上げます。  終戦のときに山西におりました日本軍は約五万六千でありまして、その年の十月頃から山西軍が逐次伯本軍の占領地域内に出て参りまして、日本軍と警備を交代したのでありますが、そのとき以降、山西軍側の日本軍に対するいわゆる引きとめ工作、或いは山西軍編入の勧誘、こういうことが強く行われるようになつたのであります。当時山西の状況といたしましては、日本に帰る見通し、こういうものが頗る混沌たる状況でありましたので、これらの事情から、勧誘に応じて山西に残ろうというふうな希望者が次々に出て参りまして、二十一年の一月頃には、その数が約一万人くらいになつたのであります。ところが、その後状況が変りまして、又軍としてもいろいろ説得に努めました結果、又この数が減つて参りまして、二十一年の三月一日調べによりますというと、この希望者の数は約五千になつております。三月に入りましてからは、山西の第一軍の日本帰還の見通しがはつきりいたして参りましたことと、軍の残留禁止ということに関する命令が徹底をいたしまして、いわゆる残留希望者は相当減つたのでありますが、山西の引揚が始まりました四月の終りから五月の初め頃におきまして、なお約二千六百名くらいの者が、依然帰還に応ぜず、残るという強い決心を持つてつたのであります。そこで第一軍といたしましては、やむを得ず、この希望者に対しまして、現地で復員の手続をするという処置をして参つたのであります。この残りました約二千六百名の者は、最初はいろいろ名前がつけられておつたのでありますが、のちには特務団というものが編成をされ、更に二十一年の九月頃に第十総隊というものに改編をされたのであります。  次に、約二千六百名の者につきまして、その行動の内容によりまして、おおむね次のようにこれを分け得るのであります。その一つは、山西における状況が、当初希望しておつた事態と変つたために、日本に引揚げてきた者、これが約千六百名でございます。二十三年の末までに引揚げた者が約千六百名であります。その内訳は、二十二年の十一月に八百名、二十三年の六月から九月までに約八百名であります。次は山西における数回の戦闘で戦死をいたしました者が約三百名、次は昭和二十四年以降二十七年までの間に帰つて参りました者、それから戦闘によらないで死亡いたしました者、これを合せましたのが約百五十名、次は太原が攻略されましてのち、中共軍の手によつて永年、次いで西陵その他の地区、これに収容されました者が約五百五十名でございます。この五百五十名のうちで、昨年昭和二十八年に帰つて参りました者が百名、本年昭和二十九年に帰つて参りました者が約三百名、従つて残りは約百五十名でありまして、これらの人が現在おるわけでありますが、この中には一部、死亡者も当然あることと考えられます。  なお只今述べました二千六百名のほかに、昭和二十年八月三十一日又は九月一日付で、現地で本人の希望によつて除隊をさせた者、召集解除をした者が約三千四百名ございます。これらの人は、主として終戦前に現地で応召したものでありまして、現地に家族がある関係上、その大部分は家族と共に一般邦人として帰つておりますが、若干の者は技術留用者或いは山西軍に参加ということで、残つた者もあります。  以上は山西軍参加者の行動の概要であります。その詳しい事肯につき幸しては、あとで申上げることにいたしまして、これを要約結論的に申しますというと、先ず一般の状況についてはおおむね只今申述べましたところに誤りがないと、これは今日までの調査において確信を持つておるものでありますが、引揚者の個々の身上につきましては、これは飽くまで個々の問題として取上げる事項でありますので、この点につきましては、引揚援護局としては、一応は従来の部隊の報告に基き、個人ごとの判定によつて本人の身分を判定をするのでありますが、更に本人からの異議の申立てがあつた場合には、その事情を詳細に申出を受けまして、十分に調査の上、妥当なる判決をいたしたいと、こういうことで進めております。只今のところ、先般の帰還者で右の異議の申立てを出しておりますものは九件でありまして、すでにこれの調査を開始しております。以上であります。
  92. 湯山勇

    ○湯山勇君 只今の御説明はよくわかりましたのですが、まあ今の御説明と先般の証人の証言とは逆になつておる面が相当あると思います。これは記録等で御承知のことだと思いますが、なお抑留されておつた人だけじやなくて、ここで証言された吉沢という人は、そういう工作に当つたということも証言しておるわけです。そういたしますと、只今の御説明の中にありました現地除隊になつたといいますか、現地復員といいますか、そういうことを希望した人と言われますけれども、果してそういうことを本当に希望したかどうか、これは問題だと思いますし、そそれから自分の意思というものが、どこまでを自発的な意思と認めるかということも、相当大きな問題じやないかと思います。で、更に現地除隊の意味がよくわかり、現地復員ということがよくわかつて、もう戦争はしないんだということで除隊復員したものであれば、更にその人たちが閻錫山軍に入つていくさをして命を捨てるというようなことも、これは常識では判断できない問題で、そういうことも考え合せますと、命令が徹底したために残留希望者が減つたと言われますけれども、これもまあ事実だと思います。併し通に残つた人たちには、その命令が徹底しなかつたということも当然、今の御説明から裏返して、考えなくちやならない問題だと思う。そういたしますと、只今の御説明では、個々の身上については個々のものとして取扱うというような御説明で、誠に御尤もなことだとは思いますけれども、併しもう少しそれを立入つて申上げますならば、本人からの異議の申立てによつて処置するというのでなくて、すでに舞鶴に参つたときに報告は出してあると思いますが、それらの状況から、今回の帰つて来た帰国者の中には、こういうケース、こういうケースがあるというケースを立てて、そうして当然これは未復員者として扱わなくてはならないもの、これは特別未帰還者なら特別未帰還者として扱うべきもの、そういう区別がなされなければならないのではないかと思うのですが、これはまあ局のほうと申しますか、厚生省の態度としては、全部大体もう一律に扱つておいて、異議の申立のあつたものだけを再審議するというお建前なのか、初めからそういうケースに当てはめて、これは未復員者として扱つてやるべきものだというふうなことも考えての扱いをなさつたのか、その辺は如何でしようか。
  93. 田島俊康

    説明員(田島俊康君) 実は私この仕事をいたしましたので、私から御報告申上げます。舞鶴でのまあいろいろなお話、私承わりました。現場でも承わりましたし、いろいろ書きになりましたもの等も見せて頂いたのでございますが、実際の問題といたしまして、四百十七名西陵からお帰りになりました人、これは全部未復員者として扱えというのが御主張だつたようでございます。そこでまあ身上申告書にいろいろ記載をして頂くということでやつたのでございますが、その身上申告書を拝見いたしますと、そのうちの三百八十五名のかたが元軍人であつた、軍属であつたというような申立をしていらつしやるのでございます。そこで局といたしましては、その身上申告書によりまして処理をいたすはずなのでございますが、これは一般邦人のかたと、まあ舞鶴においてはこれはもうあのそうそうの際でございますから、特に区別する扱いをいたしませんで、一度未帰還調査部に身上申告書を全部持ち帰りまして、それで未帰還調査部で、これは従来のいろいろな調査資料でありますとか、或いは昔からの帳簿等もいろいろ残つておりますので、一度全部持ち帰りまして、そうして未帰還調査部で当つたのでございます。そうしてその判定の結果を御本人には御通知を申上げると、かような進め方をいたしております。それで、それに対しては勿論不服があつたならば申立をしてくれと、こういうことなのでございますが、先ほど仰せになりましたように、舞鶴で書かれたもの等でわかるのじやないかと、こうおつしやいますけれども、なかなかやはり、先生よく御承知のようなああいう空気だものでございますから、なかなか細かいところ、俺は元山西軍に所属しておつたと、それだけではちよつとどうも工合が悪い。或いは澄田らい四郎の命令によつて残された、これでもちよつと工合が悪いところがあるものでございますから、それぞれもう少し落ちつかれまして県に行かれまして、そうして県の窓口でいろいろこういうふうなことをこういうふうにお書きになつたがよろしかろうというような御指導もいたしますので、そういう指導をいたしまして、出て来ましたものが、先ほど課長から御説明申上げました九件、こういうことになつておりまして、その調査只今いたしておるところなのでございます。まあそういう行き方でいたしております。  それからなおこの前の陳述されましたことも、私、当時ここで拝聴もいたしましたし、なお速記録等で見るのでございますが、これでは一つこういう点を御注意して頂きたい。これは私から申上げて非常に恐縮でございますが、それはいわゆる部隊におきまして現地復員という処理をする、即ち残留をするということと、それから残留をしたあとでいわゆる戦闘が始まるとかいうことは、これはずつとあとなのでございます。それで部隊は二十一年五月に帰つたのでございますが、二十三年、二十四年という頃戦闘が起つたのでございますが、その頃のことでいろいろ脅迫があつたとかということ等も、そういう御記述もこの中にあるようでございますので、その点は一つ、何でございますか、現地復員云々ということからはちよつと切り離れた問題ではないかと、かように考えて、いらつしやつたかた、直接私のほうにもお見えになりましたそういうかたにも、こういう点では問題になりませんからというようなことを申上げているわけでございます。特にやはり復員時の状況ということが大事なことでございますので、そういうことを詳しくお書き願いたいというような御指導もいたしているような次第でございます。それで実を申しますと、先ほど申上げましたように、昭和二十二年に八百名、二十三年に八百名、計千六百名、そのほか全部合せますと、千七百名以上のかたが、その中から抜けて帰つて来ておられるわけでありますが、そういうかたから、その中からは別に問題はなかつたのでありますが、昨年お帰りになつたかたから初めてさような問題を承わりまして、その調査等もいたしましたし、かような調査をした結果、一つだけ、これは極端な例でございますが、申上げますと、そういう命令が徹底したかしなかつたかということでございますが、これは大部分の部隊が、参加する人とそうでないかたと別にいたしておりまして、そこで部隊が出発いたします前に、現地でその原隊に復帰せいという命令を出しまして、一応帰つて来て、そうして汽車が出るときに俺はどうしても残るのだということで帰られたというような実例等もあるのでございます。或る部隊では、あなたがた残られるのはいいのだが、残るからには部隊長としては責任が持てんから、一人々々家に手紙を書きなさいというようなことで、留守担当者に宛てまして手紙をすつかり書かせまして、そういう手紙をお宅にお届けしている。そういうような実例があるのでございますが、これはやはり先ほどから申しましたように、個々の問題が大事であろうと思いますので、先ほど湯山先生、仰せになりましたように、大体これはこうなんだ、この部分はこういう範疇に入るのだというようなことは、やや困難な問題ではなかろうかと、かような考えで事務を進めているという状態なのであります。
  94. 湯山勇

    ○湯山勇君 お話はよくわかりますし、又私もそういう事例も聞いております。例えば物置の蔭に隠れて、帰るのを拒んだとかというような例も聞いております。併し原則的に考えてみますと、ああいう段階で帰りたくないということを考える者も、まずないと思いますし、それから命令は帰れという命令が出たにしても、その命令を拒むに至つた動機なり、或いは何と言いますかそれを余儀なくされたといつたような問題に立ち至りますと、これは必ずしも私は本人の意思によつてということだけで割り切れる問題ではないと思うのです。もつと申しますと、積極的な意思で残つた人も勿論あることは事実です。これは先般の参考人の意見にもありました通りですが、それ以外に、一応本人の意思だと称しながら、極めて消極的なものが多数あると思います。そういたしますと、お話はよくわかるのですか、これらの審査に当つてそういう点を十分考慮して、何と申しますか、裁定をされるかどうかですね。これについては現在のところ、どういう態度でございましようか。実はその点だけお聞きすればいいようなもので、いろいろ客観的に判断してみましても、ただ機械的にこれは処理すべき問題ではないように思いますし、更に参考人たち意見の中には、例えば軍医が注射をして殺したとか、或いはもつと、なぐり殺したとかいうようなこともありますし、或いはもつと、その他のいろいろな方法がとられておりますので、この問題を、そういう何と申しますか、杓子定規に割り切らないで、具体的に、そうして又その事情を十分検討してかからないと、私は問題は非常に別なほうで大きい問題になる可能性もあるのではないかというようなことも考えますので、今後これに対してどういう態度で臨んで行こうとなさつておられるか、その点を一つお話し頂いたらと思います。
  95. 田島俊康

    説明員(田島俊康君) 只今先生がおつしやいましたように、やはりその当時の空気がどういうふうに作用したかといいますことが、これは非常に大事な点だろうと思います。従いまして、これは例えば現地から全部こういう人は現地で除隊したのだという書類がこちらに届いております。併しながらそれには只今仰せになりましたようないろいろな例外等もございますので、それは先ほどから申しますように、飽くまでも個々の問題としてその点は考えなければならないというようなことで、機械的にこれはよろしい、これはいけないといつたような考えは持つておりません。  それからなお先ほど軍医の話が出ましたが、これは小幡という軍医でございますが、この部隊には小幡という軍医はございません。仮にこういうことがあるといたしましたならば、ちよつと私はこういうことはあり得ないだろうと思うのでございますが、これは大変なことだと思いまして、早速調べておりますが、少くとも小幡という姓の軍医はございません。近くの部隊にもおりませんから、或いは仮にこういうことがあるといたしますれば、これは記憶違いということもありましようが、当時の関係者に向つて聞いておりますが、現在までのところでは、かような事実はなかつたようであります。ただこれに類しますることは、これには何とかいう曹長とこうなつておりますが、この部隊の大隊長は皆帰れという思想の大隊長だつたのでございますが、その人のところに、何故残ると言わないかというような、逆に某軍曹が脅迫に……それは残るという意思の強固な人なのでありますが、何故あなたは残ると言わないかと、逆に脅迫に行つたという事実は聞いておりますが、かようなことは私は聞いておりません。最も問題になるのは、仮に小幡という軍医がおりまして云々ということになりますと、これは大変なことになるのであります。それは調べましたが、そういう人はおりません。併し軍医がおりますから、その軍医には今通信をいたしましてそうして照会をするというようなことで調査を進めておるような状態でございます。
  96. 湯山勇

    ○湯山勇君 反対の事例としてお挙げ下さつたようなことが、やはり逆に言えば、丁度これの裏付けになるような形になつておりまして、大隊長なら大隊長に何故残らないかというようなことを脅迫するということは、そういう行動に出たということは、我々が残るのは国のために残るのだというような思想を全部が持つてつたために、そういう行動に出たというような逆な見方もこれはあり得ると思います。そういうことなどから考え合せて、これは要望のような形になりますけれども、今回の帰国者については十分それらの点を考慮して御決定になられるかどうか、そういう点はどういうふうにお考えでございましようか。と申しますのは、事情をよくお調べになつて、これはやはり積極的に、自発的に志願して残つたのじやなくて、止むを得ずそういうふうにされたのだということが、たとい本人が、じや残りますということを言つてつたにしても、それは止むを得ずそういうふうに言わざるを得なかつたのだ。例えば今の引例された大隊長が下士官から脅迫されて、どうしてあなた残らんかと言われたような場合に、一般の兵隊でしたら、若しそれが中隊長、大隊長というような人じやなくても、先任者なり或いはその部隊の下士官なりからそういうふうに言われれば、それは止むを得ず、残りますということを言うような教育を従来軍隊ではしておつたと思いますし、又当時の気持としては、それは当然そうならざるを得なかつたと思いますので、そういう場合のものについては、未復員者として扱うような気持でおられるかどうか。大変立入つた質問のようですけれども、どういうふうにお考えになつていらつしやいますか、伺いたいと思います。
  97. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 只今お話は誠に尤もなことだと考えます。只今引揚援護局といたしましては、過去においていろいろ調査いたしましたこと、これにかかわりなく虚心坦懐に実情を精細に調べて、あらゆる資料を十分に集めて、正当なる判定を下すという方針で参つております。そこで只今お話がありました通り、残つた動機が非常に崇高なる動機である、或いは誠に同情すべき環境において起きたものである、いろいろあると思いますが、これらの場合にこれを未復員者とするかどうかという問題につきましては、これを抽象的な問題で直ちに右左とここで申上げるまでには至りかねると思うのでありますが、先に申しました通り、それらの点を十分考慮に入れて、正当なる判定を下すという方針で参りたい、こういう考えでございます。  これは余談でございますが、同じような問題が、山西のみならず、南方、殊にインドネシアの独立、こういうふうな場合にも多数の人が残つており、戦死をしておられるのであります。こういう問題とも関連がありますので、先に申しましたような方針で、これを正当に取扱いたい、こういう気持でございます。
  98. 湯山勇

    ○湯山勇君 現在の段階ではそれ以上立入つた答弁を頂きにくいかとも思いますけれども、私の申上げておる趣旨も十分おわかり頂けることと思いますので、いずれ又別な機会にどういうふうになつたということを、或いはどういうふうに扱つているということを、お尋ねする機会を作つてもらいたいと思いますけれども、どうか、今おつしやいましたような御趣旨で、十分それらの事情を御付度下さつて御判定下さいますように、強く御願い申上げまして、私の質問をこれで終ります。
  99. 高野一夫

    高野一夫君 今の三百八十五名というのは、軍人軍属四百十七名のうちの三百八十五名であるというような、これは未復員者としての扱いがまだきまらない、こういうのですか。
  100. 田島俊康

    説明員(田島俊康君) 今私が御報告申上げたのは、上陸地で御承知のように身上申告書というものを書くわけでございます。最初上陸なさいましたときは、四百十七名、全部が全部未復員者として扱えるものであれば、必ずもとの軍人か或いは軍属であるということが前提になるのでございますが、実際の申告を見ますと、それだけしか軍人軍属であるという御記述がなかつたということを申上げたわけなん、でありまして、ほかのかたは軍人であつたか、軍属であつたか、全然わからない。或いは一般邦人であつたかも知れない。そういう状態にあつたわけであります。かようなことを申上げました。従いまして身上申告書だけでは、即ち言い換えますと、舞鶴で判定をしたらどうだというような湯山先生からの仰せだつたのでございますが、そういうような状況でございますので、必ずしも舞鶴でできませんので、全部を一度未帰還調査部へ持ち帰つて、そこで審査をいたしましてお答え申上げた、かような手順であります。こういうことを申上げたわけであります。
  101. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは次に、今回中国紅十字会幹部の来日に伴いまして、次回の引揚げについて政府において今までにわかつておる状況を、御説明願いたいと存じます。
  102. 大野克一

    説明員(大野克一君) 只今までに、今回の中共からの引揚げにつきまして日赤三団体と李徳全女史一行との打合せの結果に基きまして知り得ました引揚げに関する事項でございます。第一は、十一月中旬日本から出発いたします興安丸によりまして、ヴエトナムからの帰国希望者七十四名と、天津附近で集結し得ます一般居留民の帰国希望者とを、天津から送還する。第二は、その他の一般居留民の帰国希望者を、十二月下旬又は一月中旬に送還する。第三は、右の送還に洩れた一般民留民の帰国希望者のために、要すれば更に一回興安丸を出して集団帰国を実施する。なおいわゆる戦犯の送還ということにつきましては、はつきりいたしておりません。戦犯はその絶対多数が政府によつて寛大な処置をとられるであろう、そうしたならば紅十字会に委託をされて送還ということになるであろう、ということは言つておりますが、いつ釈放になつて、いつ順送還されるであろうということについては、訪日代表団も明言をしておらないようであります。  以上が只今までに知り得ましたことで、ただ第一項の点につきましては、目下関係省その他と協議をいたしまして、一応十九日に、門司から興安丸を出すという予定が目下のところ大体十三日というような予定になつておるようでございます。
  103. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑がございましたら…。
  104. 高野一夫

    高野一夫君 何か、李徳全女史の残留者に関する報告と、厚生省調査した報告と、数字が違うという話を新聞で見たような気がするのですが、そういうことがありますか。
  105. 大野克一

    説明員(大野克一君) お答え申上げます。只今の点につきまして、李徳全女史一行から赤十字に渡されました名簿にあります人員数は、生存残留者、死亡者、合せまして千百八名でございます。これはソ連から中共に昭和二十五年に移されました者と、それ以外の者とになつております。で私どものほうで従来未帰還者として調査をしておりますものの中で、この人間は大体中共渡しになるのじやないか、この人間は山西関係の戦犯として残されているのじやないかと、いろいろ検討をしておりましたが、山西関係のいわゆる戦犯関係の場合、今回渡されました名簿に載つております者と大体同様に、山西軍に従軍をしたと思われ、又同様に永年等で生活をしておつたというような帰還者の証言のありますもので、この名簿に載つておらないという者が若干あるようでございます。併しこれはいずれも帰還者の証言から推定をしたものでございますので、これが戦犯として漏れたというふうに言い切るわけには参らないのでございます。或いは又、中共側がこれを戦犯として取扱つていないかも知れません。或いは又、一般の犯罪者としての取扱いになつているかも知れません。これらの点は別に数字が食い違つたという性質のものではなく、さようなものが若干あるということは、私ども調査のほうから言えるのであります。又残留者、戦犯の数につきましても、いろいろ言われておりますが、私どもが調べております数字というものと、中共代表団の申しております数とは、いろいろ基礎において違う点があると思うのであります。私どもは帰還者の帰つた数を積み重ねたものでございます。而もそれがはつきり十三名というものもありますれば、約二十名というものもございます。そういうものを積み重ねたものでありますので、これらを以て直ちに違つておる、合つておるというようなことは、ちよつと言いかねるのではなかろうかというような状況になつております。
  106. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の李徳全女史の持つて来た資料と、そちらの持つておる資料と、食い違いがあるということの正式な発表は、なさつたのでございますか。そういうことはなさつていないのでございますか。
  107. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) お答えいたします。一切そういう発表をいたしたことはありません。
  108. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは、閣議ではただ雑談的にそういう話があつたというだけでございますか。閣議でしたか、新聞に発表になつておりましたのは
  109. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 閣議の席上の話におきましては、私どもは新聞でさようなことがあつたということを承知いたしただけであります。そのほか詳しいことは、目下のところ聞いておりません。
  110. 湯山勇

    ○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは北鮮関係ですね。今までのは、中共関係、ソ連関係、その他の地区のは、大体若干の食い違いはあつたにしてもわかつて来たと思うのですが、北鮮関係については、現在どうなつておるか。それからこれについては何らかの政府として手をお打ちになつていらつしやるか。見通しは如何てございましようか。
  111. 大野克一

    説明員(大野克一君) 先般、二十九年五月一日調べで政府が発表いたしました資料にある通りでありまして、昭和二十六年以後、北鮮地区で生存を確認されておる者は、一名もございません。又現在何人の人があの地区にいるかということについては、明らかでございません。ただ日本赤十字から北鮮の政府に宛てまして、これらの帰還促進についてかねて連絡をいたしている次第でございますが、回答がないというふうなわけでございます。
  112. 湯山勇

    ○湯山勇君 実情はそういう実情にあると思うのですけれども、これも何らかの方法でですね、北鮮にも相当残つていることは事実だろうと思いますので、何かこれを促進する方法というようなものについて、現在政府として検討しておられますか、或いはそういう手段を講じていらつしやいますか、それは如何でしようか。
  113. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 北鮮、外蒙等の問題につきましても、在留邦人の引揚げという問題については、強い関心を持つているわけでありまして、日赤を通じてそれぞれ処置はしているのでありますが、今日まで確答を得ておりません。今回の日赤と李徳全女史との会見の際にも、この問題に触れたと聞いております。これにつきましては、近く引揚げることになつておりますヴエトナムのほうから中共側に要請があつたので、これに協力をした。ついては外蒙或いは北鮮、こういう地区の引揚げについても、要請があれば協力はする。従つて然るべき手を打たれることがどうかと、こういう話があつたと聞いております。従いまして私どもといたしましては、更にこれに対して適当な手を講ずることが必要であると考えております。
  114. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の御説明ちよつとお尋ねしたいのですが、ヴエトナムからの要請があつたということは、ヴエトナムから中共へ要請があつたのでしようか、日本から中共ヘヴエトナムの人たちを帰してくれという要請をなさつたのでございますか。
  115. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 日本からもいたしております。只今申しましたのは、日赤からの連絡によりまして、ヴエトナムのほうから中共側に要請があつたのでというふうに、私どもは聞いております。
  116. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、北鮮の分につきましては、北鮮から中共のほうへ協力を要請しなければ、日本から中共だけへ要請したのでは、まあ一方的であつて、実現の見通しが困難だというようなことになるのではないかと思うのですが、そういう点はどうなんでしようか。もう少しなんでしたら、李徳全女史の話されたことの具体的なことがおわかりでしたら、御説明頂きたいと思います。
  117. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 会談の内容につきましては、私、さつき申しました以上に詳しくは、まだ聞いておりません。話の筋につきましては、只今質問がございました通り、こちらから更に強く働きかける必要があると、こういうふうに考えられます。
  118. 湯山勇

    ○湯山勇君 北鮮の問題についてもう一つ。北鮮のほうへ何らかの方法で、誰か日赤からでも行かれて、その行く斡旋等は中共のほうでしてもらつて、直接話合いをするというような機会は持てないものでございましようか。そういうことは全然見込ございませんでしようか。
  119. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) この問題につましては、目下検討中でございまして、只今この席で具体的にお答えを申上げるまでに至つておりません。
  120. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではその問題はそれだけにいたしまして、次に二日の日に慰霊祭を行いましたあの遺骨送還の問題でございますが、これにつきましては現在どういう、勿論まあ日赤のほうでやるというようなことになつておるようでございますけれども、日赤だけに全部任せておくというわけにも行かないと思いますし、殊にあれを送るということになれば、これは政府としても何らかの手段を講じなければならない問題だと思います。これについてはどういうふうにお考えになつており、どういうふうな手段をおとりになろうとしておられるのか、御説明を頂きたいと思います。
  121. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 只今の御質問に対しましては、この席におります三名とも承知いたしておりませんので、お答えをいたしかねる次第でございます。
  122. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは、じや担当はやはり外務省でございますか、この問題に関しての……。それじや又別の機会にお尋ねしますから、それじやこれで……。
  123. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 遺骨送還の問題につきましては、厚生省の引揚援護局と、それから外務省のアジア局と協議をして、現在進めて参つております。
  124. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじやちよつと……局のほうでは何課が担当しておられるのでございますか、この問題は。
  125. 板垣徹

    説明員(板垣徹君) 引揚援護局総務課がやつております。
  126. 湯山勇

    ○湯山勇君 じや総務課長見えいおりませんからできませんね。
  127. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  128. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。  それでは、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  それではこれにて散会いたします。    午後三時四分散会