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1954-10-19 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十九日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   委員の異動 十月十八日委員有馬英二君辞任につ き、その補欠として紅露みつ君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            竹中 勝男君    委員            榊原  亨君            中山 壽彦君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            高良 とみ君            山下 義信君            紅露 みつ君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省薬務局薬    事課長     尾崎 重毅君    厚生省保険局長 久下 勝次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (新医療費体系に関する件) ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それではただいまから厚生委員会を開会いたします。  新医療費体系に関する件を議題といたします。前回に引き続き厚生当局から説明を願います。
  3. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 先般はお配りいたしました資料のうち、いろいろの文句で説明をいたしてはあります横書資料について一通りの梗概を説明申し上げたのであります。その後にさらに資料目次という目録を掲げまして、これに第一から第四までの分冊としていろいろな資料を整えてお目こかけてあります。これについてどういう性質のものであるかということだけを御説明さしていただきます。このうちの第一分冊なつておりますのは、病院診療所経営の実態というふうに表紙がついておるのであります。この資料は第二分冊に掲げております医療経済調査及び第三分冊にございます医業経済精密調査、この二種類調査をいかような方法で実施したものかということの説明なつておるわけであります。調査やり方というものの要点を書いたものなのであります。これを御覧下さいますと、第二分冊及び第三分冊の性格がある程度おわかりになるというふうに思うのでありますが、それをもう少し私から要点だけを御説明申し上げますならば、医療経済調査と申しますのは、第二分冊として差し上げてあります。非常に大きい紙に書いてあるものであります。型の大きい数字ばかりの表であります。この調査はまず一つには、病院経営費がどの程度にかかつておるかという経営費の概観を見るという意味での調査でございまして、病院診療所それに歯科診療所、こういうように三つにわけまして、また病院はそれぞれ精神病院結核病院伝染病院その他と、また診療所個人立個人立以外のものというような工合に分けた数字が載つております。これは病院診療所一ヵ月間の経営費というものを調べたのであります。これは大体病院につきましては全数の二十分の一、診療所につきましては二百分の一、数といたしますれば病院が百五十五、一般診療所が二百十七、歯科診療所は百四というものにつきまして、昭和二十七年の三月に行なつた調査であります。その次には、今度病院収入状況、また病院診療所で行われましたいろいろな医療行為頻度、及び今申し上げましたように、それに対する報酬というものを調べたのがその次の表になつております、この大きい表であります。これによつて診察、入院あるいはいろいろな薬治料注射料、それからいろいろな処置料その他かなりこまかくデータが出ておるわけであります。これによります病院診療所等において、一ヵ月間にどの程度診療行為が行われ、どの程度点数に該当する報酬が支払われておるかということが出ておるわけであります。これによりまして病院経費と、それから病院診療所に対する報酬というものの状況を一応見ることができるわけであります。これが第二分冊に載せております医業経済調査という資料であるわけであります。その次には第三分冊なつておりますのは医業経済精密調査というふうに申しておりますが、これは第二の調査におきましてはかなり厄介な調査ではございますが、そしてまたいろいろとこまかい指導調査指導員行つて指導はいたすのでありますが、しかし大体がその病院診療所において作つていただく資料であるのであります。従つてあまりにこまかい詳細なことを調べるというわけには行かない。それでごく精密な調査をいたしたいというようなところから、さらに病院診療所の数を少くいたしまして、それからまた最初お話申し上げました施設は、これは全く任意抽出方法によりまして、でありますからこのくじ引のようにして引きまして、そしてそれに当つた施設に対しては、特別に強い意思表示でお断りがない限りはぜひお引受願いたい。御協力願いたいということでお引受を願つたのでありますが、より精密な調査をいたすということになりますと、その病院診療所においていろいろこまかい経理上の書類を整備しておいていただいたところでないと、この調査ができませんので、いろいろその調査の可能な施設という工合にして選んで参りましたので、これは、いわゆる任意抽出というわけには行かず、そういう記録の正確にとつてある施設というふうになつて参つた。また数といたしましてもたくさんのものを調べるわけには行かないのでありまして、この第一の資料として差し上げました説明の中にございますように、それの四頁にございますように、大体病院が五十四、それから診療所が六十、歯科診療所が二十一というような工合であります。数はずつと減つておるわけであります。その代り、その病院状況というものは病院に整えてございます資料を提出していただきまして、これに専門の計理士あるいはその方面の知識経験の深い人が調査員となりまして、そしてこれを整理するという方法とつた次第でありましてこのようにしてその病院診療所経費内容をできるだけ正確に分析いたした次第であります。それが第三分冊の一番最初に載つておるのがその経費状況であります。  それからさらにこのようにして選びましたその病院の中で、個々診療行為について実際どの程度経費がかかつたかということを調べる意味個々診療所について個々診療行為、おおむね十回以上というのを取つてもらいましてその場合にどれくらい包帯材料あるいは薬品、どういうものを使つたか、あるいはまたそのときに手術等でございますならば、何と何の機械を使用したかというようなことを正確に調べます。またその手術に従事した医師あるいは看護婦その他の介抱者というようなものがどれくらいの時間かかつたか、労力を費やしたかということをできるだけ正確に計りまして、そうしてこれを一応当時の物の価格というもので金額に直し、また労力に対しましては人件費につきましては当時の一ヵ月平均の収入というものを基準として、そうしてその労力に応じてその報酬を按分して参つたわけであります。こういうようにいたしますると、個々行為についてどの程度金額に該当するかということが計算で出て参りますので、それをずつと列挙いたしましたのがこの第三分冊の中のそれの五ページをお開き願います。そうすると、ここに、診療行為名というところ診療注射云々と書いてあります。その中がまた初診、再診また往診というふうに書いてあります。ここにたとえば初診なら初診というのを見ますと、この初診については人件費医師歯科医師あるいは看護婦技術員その他とわかれて、一回どの程度報酬が支払われてしかるべきであるかということが出ているわけであります。材料費も費消したこういう材料の数量を、分量をまず調べておいたわけであります。それを当時の価格によりましてこれを金額に直したわけであります。それからその次に経費、それから管理費、それからそれの総会計が初診でございますならば百五円九十七銭、調査の当時におきましてはこれだけの金額に該当する経費がかかつたということであります。こういうような工合にしてたしか二百足らずの行為が挙つていると思うのでありますが、こういうように個々診療行為につきましてどれだけの当時といたしましてどの程度金額がかかつたかということを調べたのがこの資料であります。初めはこれは病院で調べたのでございますが、そのあとで十二頁からは診療所で調べましたものが出ております。病院診療所では若干この経費が違つております。それからそのうしろに十九頁からは歯科診療所で調べましたものが出ております。それからさらに二十三頁からは病院に併設されました歯科で調べたものが出ておるわけであります。こういうような工合にして、一通り各種診療行為に要する費用というものが計算されておるわけであります。この計算された経費が一番初めに申し上げました各診療所から出していただいたいわゆる第二分冊に載つておるこの大きい表でございますが、これに診療行為頻度と、それからそれに応ずる報酬というものが支払われたというデータが出ております。個々診療行為経費というものを第二分冊に載つております診療行為頻度にかけて参りまして、そして総合計いたしましたものが第二分冊に掲げておきました経費と合致して来るのじやないか、どの程度に食い違つておるかということを調べたのがこの第三分冊の一番うしろにございます病院診療所別に掲げてある資料でございます。これで見ますというと、非常によく合致して参つておるということを見たわけであります。  こういうようにいたしまして大体かようなこまかい分析的な作業を行なつたのでありますが、これを総括してみました場合に、おおむね妥当性があるものというふうに考えられたのでありまして一応ここに出ております各種診療行為というものの経費、これを一つ基準として今後の新医療費体系を定めて行くというときに、このよりどころとしてよろしいものであろうというふうに考えた次第であります。大体この第二及び第三分冊というものでお示しいたしましたこの資料が一番初めに申し上げたこの新医療費体系を一応考え出します基礎的な資料というものになつておるわけであります。  その第四分冊として掲げましたものは、この新医療費体系には直接には関係はございませんのですが、いろいろ医師歯科医師薬剤師等の数の増減、あるいは分布の状況、或いは就業の状態というようなもの、及び国民の間における疾病総数調査、あるいは医師にかかつておる患者の数というようなものの調査を今まで厚生省においてしばく実施いたしましたので、その結果の概略を御参考までに掲げたものであります。  非常に粗雑な御説明で恐縮なんでありますが、一通りどういう性質のものかということだけ御説明申し上げました。さらにそれの調製方法というようなものについては御質問に応じてお答え申し上げたいと思います。
  4. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは御質疑を願いたいと存じます。
  5. 中山壽彦

    中山壽彦君 私は質疑をいたします前に、御当局にちよつとお尋ねをしたいのであります。今回お出しになりました新医療費体系というものは、二十七年の十月病院診療所ですか、始めるときの医療費の基本として調査をされたものということでありますが、最近私どもが聞くところによりますというと、この資料厚生省において一応都合のいいように作文をされて、作文をされた資料に基いてこの新医療費体系というものが出ておるというようなことを耳にいたしたのであります。これは果して事実でありますか事実でないか、一つこれははつきりとお尋ねをいたしておかなければならんと思う。元来こういう資料というものは、なるべく新しいものを参考とされなければならん。二年前の資料に基いてやられるということは、私はあまり好ましくないと思つておる。加うるにまたそれが都合のいいように作文をされて、作文をされた資料からこういう新医療費体系が出たということになりますというと、これは私ども審議を続行する熱意があまりないのである。そこをはつきりまず第一にしていただきたい。これはもうすぐわかることですから、事実であるか事実でないかということはすぐわかることですから、その点は一つ明瞭にしておいていただきたい。  それからなお、先般の厚生委員会に、本院の附帯決議に基いた資料出していただきたいということを要求しておきましたが、昨日ここに若干の資料をお届けになりましたが、この資料というものは、私全部読んでおりませんけれども、大体医薬関係審議会のことが主でありまして、私どもが要求した資料とは遠ざかつております。こういうふうに政府当局がわれわれの出しました議決をいたしましたこの附帯決議に沿う資料をお出しにならん。あまりにこの附帯決議を軽視し無視し、不まじめな資料をお出しになるということに対しましては、私ども国会の権威を保持する上に将来審議の上に何らかの考えを新たにしなければならんというような感じが起つておるのであります。今日は具体的にあらためてこういう資料出していただきたいということを重ねて御当局に要請したいと思います。  先ず第一には、医療費医薬分業をやつて国民の負担に耐え得るかどうか。この問題はこの新医療費体系というものは医療費が上らんという前提に作成をされておるものでありますから、当局のお考えとしてはこれでいいじやないかと、こういうふうにお答えになると思います。また保険経済というものにどういう影響を及ぼすか。現在の医療費は変らんのだから、保険経済においても何らの影響はないというふうにお答えになるかもしれませんが、私はそういうふうに簡単にこれを片づけるものではない。現在保険経済というものは非常に窮迫をしております。二十七年度、二十八年度においては約十七億の剰余金があるそうでありますが、二十九年度におきましてはすでに五十億以上の赤字になつておる。来年の三月までにはもつと大きな数に達するでありましよう。これはまあ借入金をすれば支払えるというようにお考えなつておるようでありますが、私はそういうふうに簡単になさらないで、私ども委員が納得をするだけのもう少し親切な資料国会出していただきたい。下手をしますというと保険というものが崩壊されはしないか。ことにまた現在保険におきましては単価をどうするか、点数、アンバランスをどういうふうに是正するかというようなことが皆検討中の際であります。そういうことに没交渉で医療費の総額が変らんのだからいいじやないかというそういうお考えは私ども不親切なお考えだと思うのです。こういう点について一つもう少しまじめな資料出していただきたい。なおまた、従来わが国におきまして、全国的に無診投薬というものが相当行われておるように耳にいたしております。無診投薬のみならず、無診注射をやるということすら伝えられておるのであります。無診投薬なるものは、これは処罰がついております。こういう点に関して、政府は従来調査されておるかどうか。調査されておりまするならば、そのデータをこの委員会に示していただきたい。なお医薬強制分業を実行して行きますというと、無診投薬処方箋通りに良心的に調剤をされる方もたくさんあるとは思いまするけれども、またそれに反する者も相当あるのではないかということを従来の事例に徴して考えなければならん。一口に薬局と申しましても、薬局内容から見ますというと、AクラスBクラスCクラス、いろいろな階級が私はあるだろうと思います。医者の使います多数の薬品をこれを備えておく、資本を固定するということは、なかなか実際においては私は困難じやないかと思う。困難であるだけに、処方箋内容通り調剤が果して全部行われるかどうかということはよほど考えなければならん。政府は今後こういう点について、どういう取締りをなされる方針であるか。その具体的の案をこの委員会に示していただきたい。前回にも申し上げました通り、従来の任意分業制度を改めて強制分業にするということは、わが国医療制度の一大改革であります。この改革を実行いたしまするのには、その受入態勢を十分にしなければなりません。これが不十分で無理に実行なさるというと、世の中が混乱をする。また良心的の調剤が全部できなければ、医療内容も私は低下すると思う。一番迷惑を感ずるものが国民であります。医師薬剤師の所得についてもむろん十分に検討をいたさなければなりませんが、一般国民がその受入態勢の不十分によつて起る不幸というものは、決してこれは等閑に附せられないと思うのでありまするから、こういう点についてもう少しくまじめな、われわれが納得すべき、信頼すべき資料をこの厚生委員会に私は出していただきたい。そういう資料が出ませんければ、私どもは安心をして審議を進められないと思う。この点は十分一つ考えなつておいていただきたい。今日すぐお出しになることもできませんが、よく省議に諮つて、われわれ首肯すべき、納得すべき資料一つ出していただきたい。これをお願いしておきます。なお、私は混合販売国民処方というような問題が現在どういうふうになつているか私は知らないのでありますが、こういう問題もこの機会に一つ現状を詳しく皆さんのおわかりになるように一つ説明を願いたい。これだけ申し上げておきます。
  6. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) ただいま最初に御質問になりました件についてお答え申し上げます。私ども統計資料につきましては、できるだけ厳密な整備というものはいたしましたが、いわゆる作文というような処置は絶対にいたした覚えはございませんことを申し上げておきます。
  7. 榊原亨

    榊原亨君 このお出しになりました昭和二十七年三月の資料は、日本医師会においても御協力を申し上げて作つた資料であると私ども考えているんであります。ところが昭和二十七年十月の資料調査をするのだから、日本医師会のほうで一つ協力をしてくれというお申込みがありましたので、昭和二十七年八月一日に当時の日本医師会蓮田理事厚生省河野医務課長橋本技官以下と面談いたしました。そして昭和二十七年三月の日本医師会協力を申し上げて調査いたしましたその調査の結果を一つ知らしていただきたい。そうしてその調査の結果を見て不備なところはさらに十月の調査においてそれを補い、さらに十月の調査において綿密を期したいから、三月の調査の結果を一つ知らしていただきたいということを蓮田理事が申し込みましたところが、そのときの厚生省お答えは、三月調査ではどうも役に立つような結果が出ていないので、特に発表する資料ができなかつた、こういう御答弁を得ているのであります。ところが今度厚生省がお出しになりましたこの資料、この新医療費体系、これは私は新医療費体系とは思わないのでありますが、厚生省のいわゆる新医療費体系の基礎をなしますこの資料を、今満足した結果が出てないのだ、特に発表する資料ができなかつたからもう一遍十月やるのだ。こうおつしやつたこの不備な資料に基いてこれは昭和二十七年三月の資料ができた。そういたしますというと、そのときはどうもうまい結果が出なかつたとおつしやつたことがうそであるか、あるいは今中山委員がおつしやつたように、その後新医療費体系をどうでもこうでも作らなければならんというので、厚生省作文されたかどつちかであると思う。今曾田医務局長は、どうもそういう作文はしなかつたとおつしやつても、その当時厚生省お話なつたこととここにちぐはぐしている。私は何も人の言葉をあげ足をとるわけではございませんが、どうもこれはそこに何か不明朗な点があるのではないか、こう思うのであります。大体臨時診療報酬調査会臨時医療制度調査会というものがその当時できたのでありますが、その調査会の答申を尊重してやろうというお気持が厚生省当局にあるのかないのか。それをまず私は伺いたいと思います。
  8. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 今の資料の点につきまして私が承知しております点だけを申し上げますれば、今のお話のように三月の調査医師会協力方をお願いいたしまして、その際にいろいろと御意見がございまして、この調査やり方を幾分変えてほしい、あるいはたまたま年度末の三月でございましたので、この時期は適当でないというような御意見もあつたのでございますが、二十六年度予算として計画しておりました調査であるため、どうしても年度中に行わなければならんということ、それから年度の最後でありますために、いろいろこの一年間の経費というようなものをむしろまとめて考える。そしてそれを一ヵ月分ならば十二等分するというような方法も考慮して参りたい。また出て来た数字についてはそれを十分に検討した上でなければそれを直ちに信用するというようなことはいたさないようにいたします。また出て来た結果については、これは医師会にもお示しいたします、というようなことを申し上げて、それじやまあ不満ではあるけれども、今回のやつはこのまま実施するようにいたしましよう、その代りこの次に実施するときには一つよく相談をしてくれというようなお話であつたと覚えております。それでその調査を実施いたしました。御承知のように相当厄介な調査でございます。この集計が三、四ヵ月ぐらいでできるものではないのであります。それとそれからもう一つは、私今のお話を承わりまして多少こまかい事情が、こちらから申し上げましたものとお聞き下すつたかたと多少食い違いがあつたのじやないかと思われますことは、この調査は前にも当委員会においてお話申し上げたことがあつたかと思いますが、大体が四種類調査が関連したものとなつておるのでありまして、一番初めは全施設につきましてその施設の数、あるいは専門別、あるいは医師の数というような、それにその施設で取り扱いました患者の数というような程度のものを調べて、これは全数調査をやる。それから二番目がいわゆる第二分冊でお示しいたしました医業経済調査施設でもつてこしらえていただきました、非常に考えようによれば大ざつぱではございますけれども、その代り調査対象としては無作為の抽出統計というものであります関係から、対象としては全国的な代表性をかなり高くもつておるという性質のものであります。しかしながらその内容、こまかい分析ということになりますとこれでは不十分なので、この資料にお示しいたしましたのでは第三分冊に入つておるいわゆる医業経済調査、これはこまかい調査なつておるわけであります。  それから第四と私ども考えましたのは、個々診療行為のその経費の推計というものであります。この四種類調査を一連の調査として私ども考えておるわけであります。ところが二十七年の三月に行ないました調査は、これはそもそも医薬分業というものを予想しておらなかつた予算なのであります。従つてこの一と二だけを主として含んでおつたのであります。この一、二の調査は、厚生省内におきましてはこれは必ずしも医薬分業というものを予想しておるのではございませんで、日本医療制度、あるいは医療施設というものの改善、将来に向つてどの方向に進んで現実にいるか。また将来どういうほうにもつて行くのがより正しい方向であるかというようなことを見ますために、この昭和二十二年から始めました調査なのであります。初期におきましてはむしろこれは厄介な調査でありますので、調査方法検討というようなことがむしろ主たる目的であつたと思うのであります。しかし回を重ねますに応じてだんだん精密度信頼度の高いものと私ども考えておつたのであります。それにしましても二十七年の三月の調査というものはその継続でありまして、必ずしも医薬分業をするためにその種にするという考えはもつておらなかつた予算なのであります。で、それは二十五年からいろいろな審議会等設けられましたが、二十六年にはこの国会でいわゆる医薬分業関係の三法の改正というようなものも行われるようになりましたので、それで……、そもそもこの調査の期日から申しますというと、医薬分業と直接関係のあるものではなかつたのでありますけれども、そういう事態が生じて参りましたので、それに役に立つものならば役に立たせてみたいというようなことを考え、そうして今申し上げました四種類調査をぜひ一環した調査として実施したいというところから、二十七年度予算にこれを要求したわけであります。ところがこの一、二につきましては、前から申しましたように多少の経験があつたのでありますが、三、四の種類については当時なお調査方法としても経験を持つておりません。それで三月に十月の調査をやる前準備とでも申しますか、そういうような意味で多少でも三月調査の折に既定予算のやりくりで多少手をつけてみたいというように考えて、試験的な調査を行なつてみたのであります。こういうようなところから、三月に行いました調査というものは、今の一、二につきましては、これは私ども必ずしも医薬分業をいたしますその資料とすることを直接の目的としたものではなかつた。むしろ十月の一連の調査がそれに用いらるべきものだと考えたのではありますけれども、しかし三月調査というものも、今までの従来から数回の経験もございますので、それはそれとしてできるだけ正確なものを作りたいというふうに考えておつたわけであります。ただ、この調査は、今申し上げましたようにそうなかなかすぐに結果が出て来るという性質のものではなかつた、それから第三、第四につきましては、今申し上げたように非常に試験調査的な性格が強いものであります。これは私も直接に聞いておらないのでありますけれども、今お話のございましたように、やつてはみたけれども使いものにならなかつたということが何のことを言つているのかと考えますれば、私はあるいはその第三、第四の調査であるならば、まさしくさような表現が当るのではないかというふうに考えたのであります。あるいはその実情をよく存じませんから、感違いをしているかもしれませんが、私が存じている限りのことを申し上げ、またあるいはこうではないかということを一応申し上げた次第であります。
  9. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますというと、三月の調査においても三、四はどうもあやしいのだが、二までは大丈夫だ、使いものになるというお話であるとしますと、なぜ蓮田理事が三月調査はどういうふうででしようかと聞きました際に、どうも使いものにならんというお答えはなかつたはずと思うのでありますが、これは曾田医務局長が当時そこにいらつしやつたわけではありません。従いまして当時の河野医務局長並びに橋本技官以下をお調べ下さつて、この次までにその当時の御回答がどういう意味であつたかということをお話願いたい。  その次に私が聞きました臨時医療診療報酬調査会の答申並びに制度調査会の答申というものを、厚生省はそれを重視してこの新医療費体系というものをやろうとしていらつしやるのか、いやそんなものはどうでもいいのだというようにお考えなつていらつしやるのか、それについてのお尋ねお答えがありませんでした。それを一つ伺いたい。
  10. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもはあのときの答申の線に沿つて物事を考えているのでありますが、取り入れられるだけのものは取り入れまして、御答申にございましても実際問題として私どもの力で取り入れ切れなかつたものは若干あると思うのでありますが、取り入れられるだけはそれに沿うように努力をいたします。
  11. 榊原亨

    榊原亨君 そこで私が一つここでお尋ねしなきやならんのでありますが、先ほどお話申し上げましたように、中山委員が御指摘になりましたように、昭和二十七年三月の資料については今私はお話申し上げたところもいろいろあります。そうして多少の、少からざるこれについてはその信憑性について私は疑問を持つておるのでありますが、そこでそういう疑問が起らんように、当時の臨時診療報酬調査会においては答申案中に、こういうことをちやんときめておるのであります。と申しますのは、「所要経費の原価計算の具体的方法及び人件費については別途調査会を設けることを適当と認める。」ということが、ちやんと要望ができておる。その「別途調査会」というものは、この何年間の間厚生省はお作りになつて、今のような原価計算の、こういう実費の原価計算を出しておるのですが、厚生省はただ自分だけで、自分の局だけであるいはまたこの前の議会におきましてはまだ新医療費体系はできないのだ、そこで九月にはやるのだ、大急ぎでおやりになるべきを、そのときそういう調査会も何も作らんで、厚生省だけで机上の御計算をなすつていらつしやるのだ。この調査会は一体どうなんだ。あるいはまたその当時の決議といたしまして「本答申案に基き決定さるべき技術指数を将来改訂される場合には、各関係学会の意見を徴して、その適正を期せられたし。」一体厚生省は学会にこの技術料の決定について諮問なさつたことがあるのかどうか。この二つのことはこれは、まあどうもできないからそのままだということについては、私どもははなはだ遺憾だと思うのです。こういう重大な問題、しかもこういう重大な資料をお出しになる以上は、その当時の臨時診寮報酬調査会の決議並びにその答申案中にある「別途調査会を設ける」あるいは技術料の指数の改訂に向つては適正を期するために、学会に諮問するのだということがちやんと指示されてあるにもかかわらず、厚生省はその使いものにならんと、厚生省自身が、厚生省のある方が使いものにならんとおつしやつたような資料をここへ持ち出して、そうしてこれで新医療費体系の基礎を作る、計算の基礎を示すのだということを私どもにおつしやつても、私どもは納得できない。一体この「別途調査会」とかあるいは学会に諮問されたことがあるのでございますか。
  12. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 原価計算の方式につきましては、特別に委員会のようなものを作つて御相談をするということにつきましては、厚生省といたしましては特に医師会のほうにもお話申し上げ、委員会を結成するという話を進めたのでございますが、医師会のほうに十分な御了解が得られずに、私どものほうからは申し上げたのでありますけれども、御参加を願い得なかつたのであります。さような事情で、私どもも努力はいたしたのでありますけれども、非常に遺憾な結果になつたという事情であります。  それからアルフアの技術料の、技術差の問題であります。これにつきましては私どもといたしましてはいろいろこの病院協会等にいろいろ御相談申し上げました。いろいろ案を作つてみていただいたんであります。しかしこの技術差の問題は非常にむずかしい問題でありまして、私どもさような努力を今日もなお続けてはおるのでありまするが、これは早急に結論が出て来ない、いろいろな案は考えておるのであります。またこれは早くから医師会等から一応の案というものをお示し下さつたのがあるのであります。これは御承知の通りであります。しかしそれを直ちに採用してよろしいかということになりますと、それについてはまだまだ考慮の余地があるというような御意見が強いので、さらに検討を続けておるというような状況でございます。
  13. 高野一夫

    ○高野一夫君 関連して……。私はこの新体系の資料審議に当る前に確認しておきたいことが二、三あります。それはただいま榊原委員から御質問がありましたから、そのことについて臨時診療報酬調査会のことと、それから今の御答弁になつた調査会その他のことについて、私の立場から榊原委員質問に関連してお尋ねしておきたい。このお出しなつ資料はまだよくわからんが、だいぶんよく読んで見ましたが、それは榊原委員のおつしやつたように臨時診療報酬調査会の答申通りの新体系でないことはこれは事実である。しかしながら医務局長がお話しになつたようにその精神を汲んでその方向に向かつたものであるということは私は納得できる。ところがこの問題は衆議院においてもいろいろ論議が出されているところで、あるいはこの委員会においても出るかもしれないから、私はあらかじめ確認しておきたいのですが、この新医療費体系医薬分業関係性であるが、ただいま中山委員からも本論みたいな御論議が出ましたが、その新医療費体系なんかと、これは多少まがいものだけれども、こういうような医療費の体系を整えるということと医薬分業とは関係がないということを私は確認しておきたい。それは最初臨時診療報酬調査会が二十五年の八月にできたときに、当時の黒川厚生大臣から諮問が出た。それは医薬分業実施の可否を論議するためにこの医療費についての検討を加えたい、こういうような諮問が出た。当時日本医師会の代表委員がこれに対して異論を出されまして、医薬分業とこれは何ら関係のあるべきはずのものでないということで、大臣諮問文を訂正するというような前代未聞のことが行われて、そうしてこれは医薬分業関係ない、別個に医療費の新体系を作るなり、とにかく技術料を中心にした医療費の問題を検討して、そうしてそれを聞いて医薬分業実施の問題の参考に資する、こういうふうにまるで本末逆になつたような諮問に訂正された。そうして臨時診療報酬調査会は討議を進めて行つた、こういうふうに考えているのであります。私も当時委員であつた、榊原さんも委員であつたからよくわかつておるはずです。そこでしからばこれはむしろ医師会のほうの、医師会代表委員の要望に従つて、この新医療費体系の結論を出したことについては、医薬分業とは何ら関係のあるべき筋合いのものではない、こういうような医師会側からの御要望に従つて大臣の諮問文を訂正して、その訂正した諮問文については、われわれは討議をして、そうして答申をしたものである、こういうふうに私は存じておりますが、この点についてどういうふうにお考えになるか、これが一点。  それから第二点は、ただいま榊原委員からこの臨時診療報酬調査会の答申に従つての何らかの調査会を作つたかどうかというような御質問である。ただいま曾田医務局長から多少の答弁がありましたが、今の医務局長の答弁はまだあいまいもことしていると思う。当時二十六年の何月でしたか、七、八月ごろだと思うのですが、厚生省でこの答申に基いての新医療費体系の算定討議を進めて行くための原価計算方式の調査会、打合会というものは答申の、ただいま榊原委員の御指摘なさつた意味の私は調査会が設置されたと考えている。そこで各団体の学識経験者、代表者が集まつたことが何回かあつたことを私は記憶している。厚生省資料に残つております。三回か四回、四、五回会議を開いたことを私は記憶しておる。私も出ておる。ところがその途中から医師会代表は欠席されて全然誰もお出にならなくなつて、これはとうとう成り立たなくなつた。その次にはこの打合会は中止せざるを得ない厚生大臣が裁断を下された。ここで私はきわめておもしろくないと考えまして、当時の橋本厚生大臣にもこの点については何がゆえに中止されるのかということを私は申し上げたのでありますが、その内容は私は触れません。触れませんが、かように厚生省診療報酬調査会の答申に基いてその調査会を設置されたにかかわらず、四、五回討議を進めたにかかわらず、何がゆえにかこれを中止せざるを得なかつた事実があると私は考えているが、それがしかりやいなや、この点が二点。  もう一つは、この臨時診療報酬調査会の答申に基いて新医療費体系を整えるために厚生省予算を組んで、そのためには非常に必要であるところの病院診療所の経済的の実態調査こういうものの収入の面、あるいは患者の面、そのほか診療の面について全般的の広範囲な調査をしたい、こういう計画で四回にわたる調査計画を立てられた。そして日本医師会に対してその協力方を要請された、これは当然であろうと思います。私はこういうような調査については、医師会のごとき非常な財力を持ちそして強力な態勢を持つておられる団体が協力していただくということが、これは当然であろうと考えます。そこで協力を要請されたところが、その協力は得られなかつた。私は地方にいて衛生部長に会談しましたところが、数県の衛生部長のごときは県の医師会協力しない。仕方がないから、あるいは衛生部の手で調査せざるを得ない。こういうような話も衛生部長から聞いたこともございますけれども、そこでそういうようなふうに医師会に当時協力を要請された事実があるかどうか。そしてそれに対して医師会協力されたかどうかということが三点。  そこでもう一つは、これは私の私見でありますが、これについての医務局長の見解を第四点として伺いたい。それはもしもここで医師会に限らず、医師会はもちろんのことでありますが、医師会歯科医師会、薬剤師協会、そのほか健康保険国民健康保険、あるいはいわゆるそのほか医療関係各種団体がその厚生省調査研究に協力されてそしてあらゆる詳細なるデータ出し協力した、この調査ができ上つたならば、ここにわれわれが要望したような臨時診療報酬調査会の答申に沿うようなより完全な新医療費体系資料が提出されるようなことになつたのではなかろうか。かように私は考える次第であります。  この四点についての、第四点は私の意見最初三点は事実に対する私の考え方に対する確認を得たいために厚生省当局としての見解を伺つておきたいと思います。
  14. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) ただいま四点の問題を提議されたのでありますが、最初の二点につきましては御意見通り考えております。  それから第三番目の問題につきましては、私どもとしては先ほども申し上げました通り大体二十七年の十月一日を期しまして一連の調査を行なつた。そしてこの新しい医療費の体系を築き、またこの医薬分業の問題にもいろいろな考慮をいたし基礎的な資料といたしたいという、基礎的なと申しますか、少くとも参考にすべき資料といたしたいというふうに考えたのであります。この点が医師会からこちらの申入れに対しましていろいろ御質問もあり、それからまた御意見も述べられたんであります。で、私どもはその御意見に対しましても、取り入れられるだけのものは取り入れまして、そして私どもの見解としてこれは十月の調査としては取入れがたいというようなことは、その点も申し上げたのであります。で、これがところがこのさような集りを持つたのでありますが、その際に文書で質問書を出し、それに対する文書による回答をほしいというようなお話でございました。この文書による回答が私どもといたしまして、この至急にいついつまでに持つて来てくれということを申されましたような事情があつたと思うのでありますが、ちようどその時刻までにお届けすることができませんでした。私どもはその旨を電話で申し入れて、そして二時間ばかりおくれますが、必ず今日中にお届けいたしますからということを申し上げたのだつたのでありますが、何かの間違いでございますか、それが十分に責任ある方のお耳に入らなかつたのじやないかと思うのです。いずれにしましても形としましては医師会の御要望には、時間に二時間遅れたというような、私どもも申しわけない事実はあるのであります。でそのことが形式的な理由となりまして、そして十分この医師会のほうの要望に応えないというような理由で、協力はできないというようにまあ申されて、私どもとしてはそのように事務的な手違い等があつたということに対しては、万々おわびをするのでありますが、そのためにこの調査が全然できなくなるということは、非常に残念なことと思うのでありますので、いろいろお考え直し願いたいというようなことで、再々お願いしたのでありますけれども、ついに十分な御協力が得られなかつたというような状況なつております。  それから第四番目の問題につきましては、私どもさような事情に立至りましたので、この二十七年十月の調査というものは、私どもの希望いたしたような工合に進みません。で、ただそれではそれからさか上つてそれに代え得る調査というものがあるかどうかということで考えますると、先ほども榊原委員からお話がございましたように、一番近い調査としては三月のものがある。しかし三月は先ほども申し上げましたように、一つのずつと前からのまあ歴史を持つておつたこの調査でございまして、初めから私どももその三月の調査を今の一連の調査に代える考え最初はなかつたのであります。今申し上げたような事情になりましたために、それでは三月のものを使わざるを得ないのではないかというふうに考えましたこと、全然これが使えないものであるか、あるいは多少趣旨に反したとしても、反する点があつたとしても、これを十分検討したならば、使い得るものではなかつたかどうかということを問題として取り上げました。  それから第三第四の調査は、先ほども申し上げましたように、これは三月に行いましたものは全くのこの試験調査でありまして、これを使うことはできない。そういうところからこの十月においてこの御協力を得られまする施設を、これは初めから御協力が得られましても、この第三第四の調査というものはこの任意抽出方法などでは対象が引き抜けない性質のものだと思つてつたのであります。  でそういうような意味から言つても、第三、第四の調査は必ずしも不可能ではなかろうということで、これは計画通りに実施を一応したのであります。しかし今申し上げましたような事情もございますので、できますれば私どもはもつと他の施設についてもやつてみたいというような点はあつたんであります。しかしながらさような工合に実施されそして集められた資料をいろいろ検討いたしまして、この調査は片よりを生ずるおそれのある調査であるということは私どもも重々この胸の中に忘れないようにいたしておりました。そうして出て来た資料をいろいろ検討しながら片よりがありはしないかどうかということをたえずチエツクをしつつ作業を進めて、そしてまた十月の調査でございますれば、これは大体一貫した調査でよく時期的にもつながると思うのでありますが、三月と十月というこの六ヵ月の食い違いがあるために狂いが生じはしないかどうかというようなことについても、いろいろ検算をいたしてみましたりして、そして進んだために、いよいよ十月に一連の調査が一気にできた場合を予想いたしますならばその場合に、比べてはるかによけいな手数と時間を費すということはまあ正直に申し上げなければならん点ではないかというふうに思つております。
  15. 高野一夫

    ○高野一夫君 私はなるたけしやべらんつもりで来たのですが、どうもいろんな誤認があるようですが、無言の行でこの委員会を通そうと思つたのだけれども、どうも曾田医務局長を前にしてはなはだ恐縮ですけれども、あなたの答弁はどうも私が質問した範囲外に逸脱して詳しく言われるものだから、要点がぼかされて一向どういうことになるかわけわからんが、それで私は御意思のあるところはこうであろうと思つて忖度いたしますから、まあせいぜい了承いたしますが、そこでこの問題はいずれこれは厚生省の中央社会保険医療協議会にかけられるものでありましようが、この協議会においては各医療関係の各団体、各保険団体、みな代表員が出ておられるわけでありますから、できるだけ厚生省はもちろんその他の団体から資料を集められて、さらに十分点検、その他の点については吟味をされるということを期待しておるわけでありますが、そういうようなふうのお考えがあるかどうかということを最後の四点にからめて一つお伺いしておきたい。  それからもう一つは、先ほどこれは中山委員の御質問に関連するわけでありますが、いろいろ資料の要求があつたのでありますが、資料の要求はこれは当然でありましようけれども、御質問内容を聞いておると、これは医薬分業論そのものであつたように失礼ながら私は拝聴しておつたわけであります。そこでたとえば投薬とか、注射とか、いろいろのお話が出ました。悪いことをする薬剤師があるわけでありますれば、どんどん処罰すればいいので、そのために薬事法ができておる。そこで薬剤師注射をすれば、それはどんどん処罰すればいい。処罰した例があるならば、それもお出しになればけつこうです。しかしながらそういうようなことになれば、それなら保険水増し点数はどうとか、あるいは医師みずから調剤しておるかどうか、それに対して看護婦、奥さん、書生が調剤してそれに対する処罰をした例があるかどうか、こういう資料委員会に出さなければならなくなるので、そういうことになりますと、またかつて医薬分業論になつて、いろいろここで妙な議論もしなければならんことになるしするのでありますから、その辺のところは十分一つ公平に厚生省のほうでお考え願わなければならんと考えます。これはまあ御答弁は要りませんが、私の意見だけ申し上げておいて、最初の中央社会保険医療協議会においては、医師会はもちろんのこと、そのほかの各団体、保険団体歯科医師団体そのほかの団体の資料も十分斟酌して、この問題を中心にして検討されるおつもりであるかどうか、それだけちよつと……。
  16. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) ただいま今のお尋ねにつきまして私からお答え申し上げます。私から申し上げるまでもなく、この新医療費体系に基づきまして、現行社会保険診療報酬点数表は相当な中で改訂をいたさなければならないということになつておるわけであります。基本的な考え方は先日厚生大臣から御説明を申し上げました際に触れておりましたように、私どもとしてはそもそもこの新医療費体系を作るにつきましても、私ども関係者は密接に協力をして相談に応じて作つたものでもありますが、その辺の関係もございまするので、大臣から申し上げましたように、できるだけ忠実にこれを社会保険点数表の上に現わして行きたいという考えを持つておる次第でございます。ただ、ちよつとはずれたことを申し上げて恐縮でございますが、この新医療費体系の基本的な方針がきまりますまでに相当な、内部に論議もあり、慎重に討議を重ねたわけでありまして、実は九月の末日に国会に御報告を申し上げたようなわけであります。それまで一ぱい、この基本的な方針それ自身に取りかかつてしまつたような実情であります。引き続きまして私どもとしては今申し上げるような基本的な方針から、具体的に社会保険点数にいかに現わすべきかという作業は続けておる次第であります。まだ今日最終的な政府原案と申すようなところまで至つておりません。ただ、一月一日からの法律が施行になるということを前提に考えました場合に、中央社会保険医療協議会におきます審議にも、できるだけ十分な時間をかけていただきますほうが、問題が問題でありますだけに適当かと私は考えております。そういう意味合いにおきましてできるだけこの作業を急ぎまして、来月の中旬くらいまでには中央社会保険医療協議会が開催されるような運びになるつもりで今折角努力をしておるような次第であります。
  17. 山下義信

    ○山下義信君 先ほどの医務局長の答弁に関連して私お尋ねしておきたいと思います。私はこのことはですね、実は厚生大臣に伺つてはつきりしておきたいと思つたのですが、先ほど高野委員の関連質問に対して、医務局長の御答弁非常に重大なる御答弁があつたと思う。それは高野委員の関連質問の第一点にですね、この新医療費体系医薬分業と可分か不可分かという質問があり、この臨時診療報酬調査会に大臣が出しておる諮問の諮問書の文句を書き変えたとき等を引例されて、この新医療費体系医薬分業とは関係がないのだろう、こういうことを質問された。そうしたところが医務局長は第一点と第二点は御意見通りというきわめて簡単に明快なる御答弁があつた。この可分、不可分の議論は、私は新聞で瞥見したのですが、衆議院でも議論せられて昨日衆議院の速記録が入手しましたから、これから見るところなんですが、よく要領を得ませんので、私はこの委員会でも実は責任のある政府の所見を求めたいと思つてつたのですが、今はつきりとこれは医薬分業とは関係がないという医務局長の御答弁であつた。それならその方針でわれわれも考えて行かなければならん。しかとそれに相違ございませんか。念を押さなければならん。それだとですね、少しおかしいところもある。それは新医療費体系の報告を当院でする時分に厚生大臣の説明を聞いていると、医薬分業と非常に関係があつて、実に今その準備と言わんばかりの説明です。それならですね、ことにこれは何のために本院に新医療費体系という報告をしたのかと言えば、言うまでもなく医薬関係審議会附帯決議、すなわち医薬分業の準備として新医療費体系の報告を九月三十日までにしろということの決議の趣旨に沿つて御提出になつたものである、提出そのものは……。それで私どもはこう考えた。これは医薬分業と密接不可分だ、医薬分業をやるために新医療費体系を作らなければならない。これをやらなかつたら医薬業分はできない。それで明年の一月一日から実施するためには、どうしても新医療費体系を作つておかなくちやならんというので、私は医薬分業の実施とはもう不可分だと、かように考えたのですね。医薬分業とは別に新医療費体系の必要論は別です。そんな抽象論は別問題であります。しかし現実には医薬分業と密接不可分だ、かように考えてそれでその不可分の資料としてわれわれはこれを当面しておる重大問題として扱つておる。衆議院の速記録を読むと、久下保険局長は明年一月一日から分業が実施されれば、この新医療費体系を実施する絶好の機会と答弁された。私たちもその通り考える。これは可分であるということになれば……、可分でも不可分論でもどつちでもいい、どつちでも私は議論が成り立つと思う、公平に言つて……。が、しかし、可分論ということになれば、念のために伺つておかなければならんが、医薬分業は明年一月一日からの実施がどうなろうと、端的に言えば、これが延期せられるか、予定のごとく実施せられるか、どうなろうと、新医療費体系当局は実施する予定であるかどうかということを確かめておかなくちやならん。それが一点。実施するというならば、いつから実施する予定であるかということを、医薬分業の実施と切り離して聞いておかなくちやならん。医薬分業の運命かどうなろうと、新医療費体系は明年一月一日から実施する、いつから実施する、これは法律じやない。おそらく厚生大臣の告示でやるのでしよう。ですから当局の肚一つだ。法律や何かならば国会審議でどうなるかわからないが、これは政府の肚一つでできるから、一片の省令でできるから、あなたがたがきめたらすぐできる。審議会の御意見がどうなろうと、あなたがたがなさるのですから、いつから実施されるのかという肚を伺つておかなければなりませんから、この二点をこの際明快に御答弁願いたいと思います。
  18. 高野一夫

    ○高野一夫君 私の質問に何か誤解があつたのじやないかと思いますから………。
  19. 山下義信

    ○山下義信君 いや、私のほうの答弁を先にして下さい。
  20. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私からただいまの問題につきましては衆議院でお答えをいたしました経緯もございますので、はつきりと申し上げておきたいと思います。この問題につきましては、理論上の問題と現実の問題というふうに私は分けてお考えをいただいたほうがよいのではないかと思いますし、私自身もまたさように考えておるものでございます。今差し当り私どもは一月一日の法律施行を前にして新医療費体系を御報告申し上げ、御審議をいただいておりまするのは、一月一日からの医薬分業の実施をいたしますためには、この体系に其きまして私先ほど申し上げましたように社会保険点数表を具体的に改訂をいたさなければならないのであります。そういう意味合いにおきましては医薬分業とは不可分でございます。同時にまたすでに御了解をいただいておりますように、新医療費体系という一般的な名称を掲げておりまするけれども、その内容そのものは、つまり医薬分業実施に必要な範囲に限られておるわけでございます。そういう意味合いにおきましても現実的に、現実の問題としてこれを考えます場合には、医薬分業があるからこそ、この問題が今問題となつておるというふうに見えると思うのであります。しかしながらこれを理論的に申し上げますならば、従来のわが国診療報酬の立て方をこういうふうな方向で全般的に変えて行くその第一歩であるというふうな理論的な考え方をいたしますれば、またこれは先ほど医務局長から申し上げました通り可分であるということは言えると思うのでございます。現実に私どもとしては一月一日の法律実施をしなければならない責任を持つておりまする建前から、今日それを御報告を申し上げ、御審議をいただいておる次第であります。また私が担当いたしております社会保険診療報酬の建前からいたしましても、どうしてもこれは具体的にこれに基いて点攻表の改訂が行われなければ、医薬分業それ自身が動いて行かない結果になると思うのでございます。非常にそのおそれが多分にございます。そういう意味合いにおきまして、やはりこれ自身現実的な問題として考えました場合には、医薬分業と不可分であるというふうに御了解をいただいてもよろしいと思うのでございます。何か裏表から申し上げましたので、少しごたごたいたしましたが、考え方としてはそういうふうに考えております。なお、山下委員のおつしやつたことで、医薬分業が実施にならなかつたらどうするか。ならなくてもこれをやるかというような問題につきましては、これは私どもとしては私どもの立場からそういう問題を前提としてこの問題に明確なお答えをするほどに、実はそういう立場にもございませんし、われわれといたしましてはすでにニヵ月半後に控えております三法改正の実施がございますので、これをやりまするために、どうしてもこれは具体的な決定をしなければならないということだけを考えておる次第でございます。
  21. 山下義信

    ○山下義信君 結局不可分論で、局長のお話はそうなんですが、どうなんですか、実際は……。それは先のことは今言えぬと言えばそれまでのことだが、しかし医薬分業が仮に延期になつたら、この新医療費体系というものはやらないでしよう。それでもやりますか。
  22. 榊原亨

    榊原亨君 医務局長の肚を聞かしてくれ。
  23. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 先ほども保険局長から申しましたように、医薬分業を一月一日から実施するとすれば、どうしてもある程度の新医療費体系を何らかの形において立てる必要があるというふうに考えて、私どもとしてはただいまお示ししましたのがこれが最適なものであるというふうに考えておるわけでございます。もしも医薬分業が延期にでもなつたらということに対しまして意見を言えとおつしやるのは、まあ私どもとしてはそういう仮定に基いてこの重大な問題をお答え申し上げるということは、非常に私どもとしても困るのでございますが、私同じく役人といたしましても、技術家であるような関係から、あとでお叱りを受けるかも存じませんが、私の気持を申し上げますならば、先ほど高野委員の御質問に答えましたように、これは医薬分業が実施延期になつても、新医療費体系というものは進めようと思えば進め得るものであり、(笑声)私ども医療行政の立場から言えば、それが望ましいという気持を私ども事務担当の者は考えております。少し言い過ぎの点があるかもしれませんが、率直に申し上げますとそういうことになります。
  24. 山下義信

    ○山下義信君 私はこれは仮定の問題じやないと思う。それでこれ以上は私は責任のある大臣に聞きます。ですからこの問題に関する大臣の質問は私はこれで保留しておきます。仮定じやないです。それで医薬分業と不可分ならば、医薬分業を予定のごとく実施するか、延期するかということを先にきめなければならん。それから医薬分業とは可分であつて、それがどうなろうと、我が国の医療報酬体系を少しでも改善せなくちやならん。これが進歩案であり、一歩進められたものであるというならば、切り離して、新医療費体系をまじめにとつ組んで検討して行かなくちやならない。医薬分業がどうなろうと、新たなる医療費体系の確立に努力しなくちやならん。不可分であるというならば、医薬分業をするかせんかを先にきめなければならん。それと形影相伴う。延期になればこの新医療費体系はやめたというのならば、まじめにこれをかれこれ議論する価値もない。そこで私は決して仮定のことを言つて無理な問をするのでもなけらねば、ことさらに私は事を好んで質問をするのでもない。かくのごとく重大な問題を提供せられて、これが医薬分業と絶対不可分であるというところの建前であるならば、医薬分業をするかせんかを先にきめなければ、新医療費体系を議論する必要もなければ検討する必要もない。けれどもそれを切り離して、医薬分業の運命がどうなろうと、わが国が新しい進歩的な医療費体系を打ち立てて行つて、これはあくまで最少限度でも実行して行くんだという意気込みで行くならば、まじめに新医療費体系を、医薬分業がどうなろうと、そこは別問題として、われわれは、医療費体系の理論あるいはその内容というものをまじめに当委員会検討して行かなくちやならんのでありますから、私は政府考え方を本当にまじめにこれは表明していただかなくちや、委員会としてこの問題の扱い方の基本的な方針のきめようがないから伺つたのであります。いずれにもとられるような御答弁では困るのでありまして、これはあらためて責任者からよく私ははつきりと伺つて、それから私は当委員会審議の方針態度をきめてもおそしとしない。今は両局長から、保険局長は正直にこれを密接不可分のように御答弁があり、また医務局長からは一つの理想的な希望的な御意思を伺つたのでありますが、なお大臣から私は聞かなくちやならんと思いますから、これは保留しておきます。
  25. 榊原亨

    榊原亨君 先ほど私の質問が関連質問で途中になつたのでありますが、先ほどお話になりましたように、学会に諮問するということは、病院協会に諮問したのだ、相談したのだ、アルフアーについては、技術料については、という曾田医務局長お話があつたのでありますが、そうしますと病院協会というのは学会というふうにお考えでありますか。
  26. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 病院協会も病院学会というのを持つておりまして、日本医学会の中に加わつております。私必ずしも病院学会だけという意味ではございません。そのほかの方々にもお伺いしてあると思いますが、病院学会には私の記憶としてもはつきり憶えておりますので申し上げたのであります。
  27. 榊原亨

    榊原亨君 それではどういう学会に御諮問になつたということを一つこの次までにお答えを願いたい。私いろいろお願いいたしましても、よしわかつた、わかつたということをいつもおつしやるのでありますが、たとえばこの前国民医療費の計算の出所について、この次までに資料をお出しを願いたいという要求をしましたが、まだ私のところに来ておりませんが、それは曾田医務局長お忘れでしようか。あるいは先ほど中山委員が御要求になりました資料と同じですが、分業をやると、医療費が上るか下るかということの資料出していただきたいということを申し上げたのでありますが、なお出ておりませんようでありますから、この次までにお願いいたします。  それからもう一つ医務局長にお聞きいたしたいのでありますが、先ほどからいろいろ病院診療所の経営の実態についてのこういう資料が出ております。その資料についての信憑性とか、そのほかにつきましては、次回に詳しく項をおうて更に御質問申し上げたいと思うのでありますが、薬局の経営の実態についての御調査がありますでしようか。
  28. 尾崎重毅

    説明員(尾崎重毅君) 局長が病気でございますので、私からお答え申し上げます。今度の新医療費体系関係調査に関連しまして別に薬局だけの調査というものはやつておりません。
  29. 榊原亨

    榊原亨君 先ほどから新医療費体系は分業に必要な範囲にとどめて新医療費体系を作つて行くんだというお話を承わつたのでありますが、実はこの新医療費体系という言葉を作りましたのは私なんであります。初めは医者が薬を売つて生活しないような、薬剤師が熊胆を売つて生活しないような、歯科医者が金を売つて生活しないような、そういう医療費体系を作れというサムス准将が示唆をした。そうして熊胆と金冠と、今の薬が出て来たら話がむずかしいから、新医療費体系という、こういう言葉を私が言い出しまして、それから厚生省もそれをお使いになつていらつしやるのでありますが、この新医療費体系と申しますのは一つの網みたいなものでありますから、その一部分だけをピクアツプして、ここだけをやるんだ、ここだけをきめるとおつしやいましても、それがきまると、すぐ隣りに影響があるのであります。従いまして、昭和二十七年三月の病院診療所の経営実態だけをここにピクアップされて、そうしてここで新医療費体系ということをおつしやつておるけれども薬局のほうの経営の実態というものの調査成績がなければナンセンスですね。これだけやつても。たとえて申しますれば、一升の枡の中にこの所要経費であるところの小豆とそれから技術料に相当する米とある。それとあわせて一升だ、それをそのうち薬の部分だけ持ち出すとすれば、結局それは米も小豆も一応ある程度減額される。その場合にその持ち出した小豆と米の薬に関するものが薬局に移つた場合に、それでは薬局がどんなふうな経営をすることによつて国民医療費はどうなる、総医療費がどうなるということをやつてみなければ、ただ病院診療所だけを一生懸命やつて、経営実績も調べて、新医療費体系はこうでございますと申されましても、薬局の経営実態というものを調査されていなければナンセンスだ。この点について厚生省はまじめに新医療費体系をおやりになるつもりですか。これは大臣に私承わりたいと思うのでありますが、厚生省当局病院診療所だけで、薬局のほうの経営実態は調べていない、これはとんでもない話であると思うのであります。なお詳しいことの質問につきましては、またこの次にいたしたいと思います。保留さしていただきます。
  30. 尾崎重毅

    説明員(尾崎重毅君) 先ほど私御説明が若干不十分でございましたが、新医療費体系の作成に当りまして、結局今お話の点で問題になりましたのは、調剤の実態ということだろうと思うのであります。それで薬局におきまして相当現状が調剤を盛んにやつておるということでありますならば、御指摘のように薬局における調剤の実情調査、その経営の分析というようなものを必要な調査としてやらなければならんというふうに考えられるわけであります。現状では薬局におきます調剤というのは、ごくわずかでございまして、大体ほとんどやつていないと言つても差支えないということであります。それで新医療費体系の作成につきまして、調剤の実態というものは主として病院診療所における実態調査にとどめた次第であります。
  31. 榊原亨

    榊原亨君 質問はこれで、今日は打ち切ろうかと思つておりましたところが、今そういうお話でございましたので、一応お聞きします。たとえて申しますというと、薬剤師の方々の生活費が二万円なら二万円、三万円なら三万円といたしますというと、その薬剤師の方の生活費と申しますか、生活費でありますが、その収入の二万円か、三万円は医薬分業になりましたら、調剤だけで二万円、三万円を埋めようというお考えでございますか、今のお話を聞きますと、おそらく私はそうでないと思う。そのほかに蚊取線香も売りますし、あるいは化粧品も売りますし、一方において調剤をなさつて合計して二万円、三万円の薬剤師の御生計というものが維持されると私は思う。医薬分業になりましたら、調剤だけをやつてほかのものは全然化粧品も何も売らないで、それで薬局薬剤師の方がやつていらつしやるということなら、今の御議論で私はいいと思うのですがそうじやないと思う。医薬分業になりましたアメリカにおきましても、薬剤師の方が一方においてはそういうものを売つていらつしやる。そうすれば今の薬剤師の方の経営の実態というものがわかりませんければ、そこに薬が入つたときにどんなふうになるということがわからん。その点についての御意見はいかがですか。
  32. 尾崎重毅

    説明員(尾崎重毅君) 私ども考えておりますのは、調剤に当りまして新医療費体系においてはいかなる原価がかかるか、調剤におきます技術料をどういうふうに決定すべきか。従つてその実情はどうであるかという点の調査が必要であろうと思います。そこで今お話の、今度分業になつた場合に、具体的に薬局が一般の医薬品の販売あるいは化粧品の販売と並行して調剤もやるようになる、そういう場合にどういうことになるかという点につきましては、これは若干新医療費体系の作成とは別個の問題ではなかろうかというふうに考えられますので、ただ具体的に調剤内容を分析いたします場合に、その人件費が具体的に町の薬局薬剤師人件費というものが、入つていないのは若干問題があるかとも思いますが、その点は一応病院診療所におきます薬剤師の実情ということで調査内容にさせていただく、そういうふうに思う次第であります。
  33. 榊原亨

    榊原亨君 今のお答えは不満足でありますが、それ以上は意見にわたりますから私が意見を申しますときに申し上げたいと思います。
  34. 高野一夫

    ○高野一夫君 私医務局長に伺うのでありますが、医療費が高くなるとか安くなるとかいう議論は、これは非常に国民にとつて大事なことですが、この厚生省から出された資料を見て、私は資料があるならば資料を要求する意味で申し上げるのですが、国民医療費昭和二十六年には九百五十二億、これは保険も自費診療も合せてだろうと思うのですが、九百五十二億、二ヵ年経つた昭和二十八年には千七百七十六億余、その差額が八百二十四億二千三百万円、一ヵ年に四百十二億殖えている。そこで私はいつもここで疑問に思つているので、資料があつたならば資料出していただいて、この次でもいつでもいいが説明を願いたいのですが、医学が進歩し、薬学が進歩して、新しいかつてなかつた薬ができて来て、そうして今まで十日でなおつた病気が七日で済み、五日で済む。十日飲ましておつたところが七日、五日で済むということになつて、次第々々に医療費が下つて来るというならば私は納得ができる。ところがこの病院診療所に支払われる医療費が、昭和二十六年から一ヵ年に平均四百余億ふえているということは、これはどういうことになるのであるか。人口が百万人ずつ増加するその結果が非常に影響を来たしているのであるか。保険でなく自費診療も入つて来るので、社会保険の被保険者がふえたということだけでは説明ができんと思う。それは社会保険の被保険者がふえても、ふえなかつた前は自費診療でやはり払つているわけですから、合計すれば同じだろうと思うのですが、社会保険になればなるほど、むしろ安くなつて参るのじやないかしらとも思うわけですけれども、この一ヶ年に四百十二億ずつ病院診療所に支払われる国民医療費の負担がふえている。この事実はどういうふうに説明したらいいのか、これを説明する何か数字的な資料があるならば御提出を願いたい。  それからもう一つは、これも私は大事な資料だと思うので、なければ仕方がないが、あるならばお出しを願いたいと思うのは、国民医療費の中から社会保険薬治料、それから自費診療の薬価、それをあわせ抽出いたしました場合に、一ヶ年に大体薬の数として、どれぐらいが病院診療所から患者に渡されているかというと、前年日本医師会から出た薬の単価を基準にして。かつて計算したものに、その後の推移を見てみますと、私の計算では一ヶ年に大体一億剤ずつ、すなわち一億万日分ずつ病院診療所患者にくれる薬がふえつつある。医師会説明によりますと、まだふえている勘定になつているのじやないかしらと思う。われわれは現在一ヶ年に病院診療所患者に渡す薬を大体十三億三千八百万余りと踏んでおりますが、日本医師会は十五億とか十六億とか言つているやに聞いておるのであります。ここにただいま医師会資料がないから、はつきり確言はいたしませんが、とにかく内輪に見積つても、一ヵ年にどうも一億万日分ぐらいずつの薬の数がふえつつある。そうして医療費全体としては一ヵ年に四百十二億ずつ、国民の負担がふえつつある。これを解明できるような資料厚生省にあるならば、保険局でもけつこうです。医務局でもけつこう、事務局でもけつこうでありますから、お出しを願いたいと思いますが、そういう資料がありましようか。また、間に合いましようか。
  35. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 大ざつぱに申しますれば、患者の数はふえているということはあまり考えられないのであります。もちろん人口の増はございますけれども、しかし医師にかかる、病院診療所で治療を受ける患者というものは、これはふえて参つているのじやないか、これは要するに、衛生知識も進み、また医療費支払いの道が開かれて来るというようなことになりますと、やはりふえて来る。それから一人の患者に対しましても、今までは入院治療をしなかつたものが入院治療を受けるようになるとか、こういうふうな、より高い処置を受けるというようなことも、そのフアクターではないかと思うのであります。そういうことを裏づけますこまかい資料というものは、十分説明し尽せるものはどうかと思いますけれども、それに若干暗示を与えると申しますか、さようなものは省内にも、保険局そのほかにも御相談いたしてみますと、若干はあるかと思うのであります。さようなものがございますれば提出いたしたいと思います。
  36. 高野一夫

    ○高野一夫君 お願いいたします。
  37. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 先ほど山下委員質問にも関連することですが、この新医療費体系医薬分業に不可分のものであるという前提に立つているわけと思いますが、そうすれば、この資料というものが非常に重大な意味を持つて参りますが、どうも第一われわれ専門医療に従事しない者には、この数字がかえつてこれを見ましてもわからない、実際正直に申しますと……。そうして、従つてわれわれが、私が属している党が要求しましだ附帯決議の中にあることは、国民医療費の負担が医薬分業によつて重くなるのか、あるいは現在のままかあるいは軽くなるのか、あるいは負担が重くなつても医療給付の内容がよくなるのか、あるいは現状のままにおいて医療給付の内容はそのままなのか、あるいは医療費はそのままであつて医療給付の内容がよくなるのか、現在のままであるいは医療給付の内容がよくなるというのならば、われわれは医薬分業というものには賛成するのだ。こういう立場を私どもの党は持つておるわけです。ところがこの資料は結局分業にしても国民医療費の負担というものは増減がないという結論が出ておるように思うのです。それでこの資料内容検討ということになるわけなんですが、どうもこういう統計を見ましても、しろうとではなかなかわからない。あるいは統計の方法、ことに抽出の方法というものについて統計を信憑性のあるものとするためには、十分の統計的な方法というものが検討されなくてはなりません。ことに対象をどういうふうに抽出したか、あるいはどういう比率において抽出したかということに、相当私は問題があるように思います。ことに今お聞きしておると、昭和二十七年の三月の調査というものがきわめて欠陥のある資料であつた。その資料に基いてこういう重大な決定をするというのであれば、この資料についての何といいますか、信頼度というものが低くなるわけでありますから、そういう点についてわれわれの聞こうとしおる、われわれが知りたいところのものをもつと端的に信憑のできる材料説明が願いたいと思うのです。国民医療費の負担がどういうようになるかという点をはつきりしてもらいたい。たとえばこの中で重要な、直接それに関連するような問題は、たとえばこの診療の技術費といいますか、医師の技術費といいますか、いわゆるアルフアーというものをどういうふうな方法調査され、どういうふうな方法でそれを決定されるのか、そういう点をもつとわれわれにわかりやすく具体的に信頼度のおける資料によつて説明を願いたいと思う。もしこういう非常に薄弱な資料でわれわれが審議して、これを決定するというのであるならば、私は元に戻つて、どうしても医薬分業は来年の一月一日から実施するのか、あるいは又十分の結論を新体系というものが出ていないのであるからして、これを延期するのであるか、そういう前提的の問題をやはり重要視しなければならないと考えております。これはもう別途のものだ、新体系と医薬分業とは別のものだ、理論的にはそうでしようけれども、別にここで理論を研究しておるわけでないですから、この不可分の関係という立場に立つてこれを審議する前提的に、これが非常に薄弱な、あるいは欠陥の多い資料であるとするならば、われわれが来年の一月一日に間に合うように実施できるような、そういうわれわれが要求しておる資料が果して厚生省で準備できるものですかどうかをまずお伺いしたい。これ以外にはもうわれわれの要求しておる資料は出ませんか、医務局長に伺います。
  38. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 私どもとしましてはいろいろとどういうふうな調査の仕方をしたか、またその整理の仕方をしたかということにつきましては、いろいろとこまかく御質問下さりますれば、こまかく御説明申し上げるというつもりでおるわけでありますが、その結果ただいまちよつとお言葉があつたんでありますが、これが最近の資料統計と申しますか、推計学と申しますか、こういうような批判に耐え得るものであるかどうか、この誤差がどの程度の範囲にわたるものかということを計算できるかどうかということを申されるといたしますと、いろいろ、こまかく申しますれば、問題があると思いますが、この種の調査はただサンプルを理論的にいかに精細な方式をとりましても、その調査自身が非常に何と申しますか、デリケートなものでありますので、なかなか実情を把握するということは非常にむずかしい。どうしても出て来ました数字というものを、粗雑な言葉で申し上げますが、ある程度の常識というようなものでそれを検討して行かなければならんというふうにまあ考えられますので、仮にそれではこれから調査をもう一遍始めるということにして、これに代る資料がそれでは得られるかということになりますと、これはなかなかただ時間をとる、期間を要するというだけではなしに、ことにこういう問題がこのごろのようにそれぞれの立場からどういう結果が出るだろうかという関心を皆が持つようになりますと、なおのことこういう時期においてはかたよらないデーターというものが得られるかどうか。むしろ二十七年三月という時期のほうが公平な資料が得られたんではなかろうかという、これは私は結論は申しませんけれども、相当な考慮も可能じやないかというふうに思われますので、この出ました資料についての信憑性と、それからどういうとろこに不安さがあるかということは、私もできるだけ皆様方に申し上げたいと思うのであります。私どもとしましては一応行政的に十分資料として耐え得るものではなかろうかというふうに考えておる次第であります。
  39. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 私もこれはなかなか……。多少統計学のことをやつたものですから、そんなに新しく完全なものができるというように全然考えておりません。しかしこれをずつとこの前見たとき、たとえば病院の抽出の仕方で、九つぐらいの病院対象にしたここに調査表があるのですが、そうすると内科とか外科とかちよつと挙げてみますと、一つ病院をサンプルとしてつかむというようなことは、これはもう統計学上は全然意味のない、調査上は全然意味のないことになります。そういうものもこの中に入つておるものですから、そういう点で非常に不安に思うのですね。これでもつて審議して行くということは……。
  40. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) ただいまの点につきましては、病院がたとえば九つなら九つというように見ましても、これを使つておりますのは、大体たとえば盲腸炎なら盲腸炎の手術というものを取り出しております。もちろん各病院においても非常に経費を要する手術もございますし、またかからない手術もございます。また病院によつて経費をかけておる病院と、かけてない病院というようなものがございます。しかしさればといつてこの種の調査というものは、そう数十数百の病院をとるというわけにもどうしても参りません。私どもが用いました方法は、さようなある程度限定された病院でとられたものであるが、これをより多くの病院、たとえば三月の百五十五の病院というところに持ち込みまして、そこでもつて何回盲腸炎の手術が行われたか、あるいは又そのほかに胃ガンなら胃ガンの手術を何回やつたかというようなことを個々診療行為に対する頻度が百五十五の病院でもつて出ております。それにこまかく調べますと二、三十の病院というところで出て来た個々診療行為経費というものをかけて参ります。そうしてその百五十五の病院においていかような経費がかかつたかということを全部加算したものを、その病院で分析はしてありませんけれども、総計としてどれくらいかかつたかといつた場合とぶつけてみたわけです。そうしますと、最後に非常によく数字が合つて来た。もし狂つておりますならば、それを補正するつもりでありましたのでありますが、さような方法で行けば、大体総医療費、総医療費と申してはいけないかもしれませんが、いろいろ病院に支払われる医療費の額というものの増減を論じて行く場合には、使い得るのではないかというように考えた次第なのであります。
  41. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止]
  42. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。
  43. 山下義信

    ○山下義信君 政府提出の資料の信憑性について各委員から御質疑があつたようでありますが、政府においてこの資料の信憑性を証明するわれわれに説明参考資料を次回までに提出されることを要求しておきたいと思います。
  44. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) 詳細となりますと、なかなか大部のものになる思うのでありますが、その要点をかいつまんでお示しいたしまして、さらに御要求があれば、それについて善処いたすということにいたしたいと思います。
  45. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。速記とめて。    〔速記中止〕
  47. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。  次に、小委員の選出についてお諮りいたします。厚生委員辞任に伴う小委員の選任を次の通り決定いたしたいと存じます。社会医療関係の諸問題に関する小委員紅露みつ君を有馬英二君の後任に、中国人俘虜殉難者遺骨送還に関する小委員紅露みつ君を有馬英二君の後任に指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議なしと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会