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1954-08-11 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十一日(水曜日)    午前十時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            竹中 勝男君    委員            中山 壽彦君            榊原  亨君            横山 フク君            高良 とみ君            藤原 道子君            湯山  勇君            山下 義信君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁已君   説明員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省保険局長 久下 勝次君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (結核療養所ベッド廻転基準通達  に関する件)  (社会保険の一点当り点数引下げに  関する件) ○小委員会設置の件 ○小委員の選任の件   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは只今から厚生委員会を開会いたします。  先ず結核療養所ベツド廻転基準通達に関する件を議題といたします。厚生省から経過報告を願います。
  3. 安田巖

    説明員安田巖君) 医療扶助を受けて結核療養所入院をいたします場合、それから療養を終えまして退院をいたします場合、これにつきましては生活保護法建前基準を要するわけでございまして、昭和二十四年の四月に基準が作られておるわけでございます。併しその基準は抽象的でありますために、その後実施実情を見ますというと、各府県ごとにその抽象的な基準に基きまして具体的な基準を作つて行く傾向が現われておりまして中には厳格に過ぎ、中には寛に過ぎるというような取扱いも出て来たようであります。  そこで本年の五月の七日に入退院につきます従前の基準をやや具体化したものを出したわけでございますが、それに対しまして患者が作つておりますところの日本患者同盟というものがございますが、それが主体となりましていろいろと反対運動が起つて参つたわけでございます。岡山、愛媛というようなところに始まりまして極く最近になりまして群馬県、栃木県、茨城県それから最後に千葉県に参りまして、それから東京都、神奈川あたりが同時に始まりまして、なお又東京のほうに飛びまして宮城県、大阪等で若干の問題が起きたわけでございます。  この運動特徴といたしましては、療養中の患者をこの運動の中に入れてそれぞれの所在地の保護実施機関でありますところの都府県庁にデモをかけまして座り込みをいたしたわけでございますが、その座り込みにつきましていろいろと問題が起りましたことは甚だ遺憾に存ずるのでありますが、現在のところでは総評その他の団体におきまして座り込みはどうしても賛成できないということでございまして、私どものほうへ斡旋の申入れを今月の初めに持つて見えたわけでございます。でいろいろと細かい点につきまして折衝をいたしましようということで、その斡旋を受入れることはきまりました。で、大臣と患者の方が、私どもは、できるだけ数を少くすることを希望いたしておりますけれども、近くお会いいたしまして、いろいろと陳情を受けることになつております。大体現在までの状況は以上のごとくであります。
  4. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑を願います。
  5. 藤原道子

    藤原道子君 今お伺いいたしましたが、この入退所基準を出されますときに、厚生省内においては関係各局相談の上でお出しになつたんですか。
  6. 安田巖

    説明員安田巖君) 入退所基準昭和二十四年のときにもさようでございますが、社会局長名で出すならわしになつております。併し私どもこの前湯山委員が五月の国会でもその点について御質問がございましたので、お答えをいたしたのでありますけれども、決して前の基準を変えるというつもりではなくて、それを例示したんだという建前でおるわけでございます。併し私どものほうに技官もおりますけれども、いろいろ専門的な意見聞く必要もございますので、庁内の関係局とは打合せをいたしまして、そして生活扶助基準としてはこれでよかろうということで出したものが五月の七日の通牒でございます、
  7. 藤原道子

    藤原道子君 私どもがこの前にお伺いしたときには、生活保護患者であつても、治療を要する者に対してむげにあれをするものではない。もうすでに治療段階を過ぎた者、ベッドを占拠しているような者、いわゆる政治患者というような者に対してのベッド回転等考えてこういうことをしているのだ、決して生活保護予算を節約する意味ではないというようなことが言われたと思うのでございますが、そうでしようね、たしか……。
  8. 安田巖

    説明員安田巖君) 私どもその政治患者というようなこと……。
  9. 藤原道子

    藤原道子君 言葉は違うかわかりません。
  10. 安田巖

    説明員安田巖君) 申しましたかどうか失念いたしましたけれども、二十四年の四月の入退所の基準と、それから更にそれが七月になりまして照会がありまして、それを回答を出したのでありますが、それを又一般的な基準として流しておるわけでございます。これと、今度出しましたものを比べて頂きますならば、私どもの意のあるところはわかつて頂けるのじやないかというふうに思つております。誤解がございますのは、例えばまあ六度に達しましてもう出てもいいじやないかというような問題があるわけでございますが、すぐに道端にでもおつぽり出して療養生活扶助もしないのだというようなことを、まあ御存じで主張されるのか、御存じなくて主張されるのかわかりませんけれども、そういうことをおつしやる方があるのであります。私どもが申上げておりますのは、普通一般の人が入院でなければ療養ができないという人が入つて頂くし、同時に又入つて行つて療養がだんだん進んで行きまして、もう居宅で、家に帰つて療養ができる段階に達したならば、家へ帰つて療養をしてもらいたい、まあこういうことでございますからして、従つて出て行きまして家へ帰りまして療養を打切るというのではございませんし、又同時にその人にすぐ働けというのでもございません。必要ならば医療扶助も引続いて行いますし、同時に又生活扶助も行わなければならんということは考えております。なお又今度の基準につきましても、これは私どもが医学的に一応根拠のあるものだと思つておりますけれども、併し結核というものは、やはりいろいろ病状が千差万別でございます、個々人につきますというと、必ずしも一律に基準を以て適用しがたい場合もあるわけでございますし或いはその人の社会的な環境というようなことにつきましても、考慮を加える余地があるものもございましよう。そこで、五月七日の通牒を見て頂きますとよくわかるのでございますけれどもはつきりこれは最大公約数的一つ目安だということを申しておるのであります。これは今私が申しましたようなことを、そのままの言葉で現わしましたものが最大公約数的な一つ目安である。更にこの適用につきましては、具体的なケースについてよく慎重に取扱つてくれということが五月七日の通牒そのものに書いてございます。まあそのようなつもりで私どもはやつて行きたいと思つておるわけでございます。
  11. 藤原道子

    藤原道子君 安田局長が言われる通りが、果して地方においてそのように行えておるとお考えでございましようか
  12. 安田巖

    説明員安田巖君) 私どもはそのように行われておると思うのでありますが、ところによりましては最初から反対が激しいので、それか行われてないところが多いのではないかというふうに考えております。
  13. 藤原道子

    藤原道子君 そうではないのです。結局、今言われたように、一律にやるものではないと、退院したからといつて医療扶助を打切るものでもない、それから行くところもない者をむげに追い出すものでもないというようなことが守られているとお考えでございましようか。
  14. 安田巖

    説明員安田巖君) 私どもはそのように通知もいたしておりますし、指導もいたしておりますし、そういうふうに守られているものたと思つております。ただ、この例えば出た場合に、家がないとか、或いは職がないとかいうことを言われるのでありますが、併しそれはその人の主観で、こういう家がなくちやいかんとか、或いは国が職業や住居を斡旋しなければ出られないのだというようなことでは困るのでありまして、そこは私は一つ一つケースにつきまして福祉事務所ケース・ワーカーが病院当局相談をして、そしてお互いに三者が寄つて努力をしたければいかんと思います。患者の方々もそういう場合に、できるだけ早く出て、あとの人にベッドを空けてやるというようなことについての努力はするべきじやないかと思つておりますが、それらのことを考えまして、決して無理をしておるのではないのであろうとうことを私は確信いたしております。
  15. 藤原道子

    藤原道子君 私も大分今度全国の遊説に歩きまして、その都度県庁等へも寄つて様子を聞いて参りました。或いは又療養所へも顔を出して、どういう状態になつているかというようなことも視察して来たのでございますが、ことはなかなかあなたがおつしやるようなものではないのでございます。結局療養所の主治医はもつと治療が必要であると、まだこれを出すのは危険であるというような意見を持つているにもかかわらず、いわゆる県で作られましたところの嘱託医ですか、こういうような人たちが来て、これとこれとこれは書類の上だけを見て、そうして退院をしてもよろしいというようなことを、療養所側の意思にも反し、或いは福祉事務所もそれではむごいと言つても、これは本省通達である、こういうことで強要されておるという例が、申上げればきりなくあるんでございますが、そうして中には生活保護法が非常に予算が多くかかるので、これではとても今年やつては行けないから、そういう扱いをしなきやならんのだと、それが本省の命令だとはつきり言われるところもあるのでございますが、その点については如何でございましようか。
  16. 安田巖

    説明員安田巖君) これはいろいろこのやり方があると思いますけれども一つ基準を示しまして、その基準に当る人が何人おるかという調査はいたさなければならんと思います。そうしてその調査をいたしまして、リストを作つて参りまして、そうしてそれを今度は病院療養所の所長と相談いたしまして、更にそれを又今度は福祉事務所に送りまして、福祉事務所はこの保護を受けております患者自宅状況というものを調べなければならん。そこに至らない段階ですでに騒ぎを起して、県庁に押しかけて、ともかく慎重にやると言つてもそれでは承知できない。撤回か否かと二つに一つの返事を上ろというようなところもまああるわけでございます。まあいろいろだと思うのでございますが、決して私どもはそういう点で無理をするつもりはございません。
  17. 藤原道子

    藤原道子君 医療扶助予算云々ということが言われておりますが。
  18. 安田巖

    説明員安田巖君) ああ、失礼いたしました。これ実は私たびたび申上げておりますように、現在医療扶助を受けておりますこの在宅患者ですね、安静度等から申しましてもひどい患者がたくさんございます。それからその人の家庭環境から申しましても濃厚な感染源になつておりまして、一日も放置できないというような状況の人もたくさんございます。従いまして幾ら入院基準をきめましても、入つて来る人は私は出る人よりはたくさんあると考えておりますので、仮に私どもがこの予算を節約したいと思いましても、この入退院基準だけでは私は節約できないのではないか。殊に最近実施してみました結果を見ましても、それを裏書するように実は医療費は減つておりません。従いまして予算云々ということは私ども考えておりません。なお、このまあ九月には予算がなくなるから、それでこの予算を執行するためにこういうことがあるんだということを雑誌等に書いておる人がございますけれども、八月や九月に医療費がなくなるということも今のところございません。
  19. 藤原道子

    藤原道子君 退院をしても、新たなる患者が入るのだから同じだと言われますけれども、最近の入院の実態をよく調査して参りますと、生活保護法患者が非常に減つて来ておるんです。あの在宅患者の中には生活保護法適用される患者ばかりではない。でございますから入院する場合に今度の基準通達されておりますことを厳密に行う、そうした立場から生活保護法を受けなければならない医療券発符がなかなか出されないということになると、むしろやつぱり結果は政府狙つておいでになるのじやないかと我々が疑うところの医療扶助患者が減つて来ておるという例が出て来ておる。ですから予算云々ということを確かに県では言つておるのでございますが、あなたのほうから何か内達か何かあるのじやないですか。はつきり言つて頂きたい。
  20. 安田巖

    説明員安田巖君) 予算を節約するために患者を切れというようなことは申しておりません。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 退院させる場合にも、私もそれは退院ができる患者は絶無だとは言いませんよ。けれども県によりますと、行く先がなければ浮浪者収容所へでも行つたらいいじやないか。こういう暴言を吐いておる。こういうことでは困る、その一応の退院させる基準を定めて、目安を置いて、それから療養所相談をして、それから福祉事務所の決定に待つと言われますけれども患者がそういうことをいきなり言われた場合に、患者自身の不安の度はどういうものでございましよう、そういう点から不安に駆られてああいう結果になつたということは考えられないでしようか、それといま一つ在宅患者が多いからだからベッド回転をと言われますけれども、どんなに回転しようと思つて入院を必要とする患者は百三十七万ということを厚生省が発表しているではございませんか。ベッド十七万しかないのです。ということになれば、毎日回転して行つたつてもなかなか追つつくものじやないと思う。ですからこれに対する対策、根本的な対策考えないで、ただ患者退院を強要することによつてこれを補つて行こうなんと考え方は私は間違いだと思う。
  22. 安田巖

    説明員安田巖君) ちよつと最初のほうは……。
  23. 藤原道子

    藤原道子君 答弁して下さい。足りなかつたら言いますから……。
  24. 安田巖

    説明員安田巖君) ベット回転というのは私どもそれを望みます。で、結核対策の上から見てそれはいいと私は確信いたしておりますが、そういうこともございますけれども、やはり生活保護法がこれは国費によりまして最低の生活を維持して行くのだという建前から申しますというと、あくまでこれは国民の前には無差別平等でなければならんという私ども建前をとつております。従いまして或る人たちに厚く、或る人たちに薄くということは、生活保護建前上どうしても許せない。これが私はほかのほうの医療はともかくも、生活保護においては基準をつけるゆえんだと思つております。そういう観点から申しましても、現在の状況から申しましても、私は出られる人は出るべきだと思つております。なお又、藤原先生のおつしやいました百三十七万以上の患者があつてベットが十七万何がしで、従いましてこれはベッド回転してみたつて同じことじやないか、これは誠に御尤もでございます。同時に結核総合的対策を樹立することが急務であることは私どもは同感でございます。併しそれだからといつてすぐにベッドが十万も二十万も三十万もできるということは期待し得ないのでございまして、現在の状況から見ましてもそういつた不合理な点を直しましてそうして本当に入院しなければならん人に、もう自宅療養できる人が席を譲るということは私はよいことじやないか こういうように考える次第であります。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 私はすぐここに十万も二十万もできるというのではないのですけれども、それに対する対策が非常にのろいのでございます。なされていないと言つても過言ではない。或いはアフター・ケアを作れというようなことを言いましても、まあ緒に乗つて来たというものの、それは余りにも微々たるものであつて問題にならない。こういうことに対しては政府努力が払われない。まだあの五度なんということになると、まだまだそれは社会生活ができないことがわかつておる。ところがこういうものを出して、そうして回転率を早くしようというような考え方が現われておるから、政府結核対策に対して疑わざるを得ないのでございます。そうかと思うと、一面においては空床がたくさんある。これはやはり予算が足りないから結局看護婦が置かれない。或いは医者がないというようなことでございましよう。ベッドはずい分遊んでいるのです。こういうところの活用ということはなされていないということになると、結局私は貧乏人の上にのみ圧力がかかつて来ておる。こう考えなければいけない、私の気持でございます。それから無差別平等ということがさつき言われたのでございますが、本当にあなたはそうお考えでございましようか。
  26. 安田巖

    説明員安田巖君) 私は実はそういうふうに考えておりますし、それから今度の入退院基準を作りまして各府県で調べたところによりまして、ますますその感が深くなつた。療養所によりましてそういう人が非常に多いところ、少いところと非常に特徴があるのです。私、そういう点にやはり問題があるのじやないかということを考えてみました。やはりこの際私は無理をするつもりはございませんけれども、出ていい患者一つ席を譲つて頂きたい。それはやはり同時に現在の、この前も申上げたのでございますけれども、これは竹中委員の御質問があつたとき申上げたのでございますけれども、現在居宅医療入院医療というのは相当の開きがあるわけでございます。その点から申しましても、やはり病状等から考えて本当に入院を急いでおる人と、それからもうとにかく療養所に長いことおつて、或いは手術が済んで一応科学的な療養生活というものを身につけた方は、今申しましたような本当にお気の毒な緊急度の高い人に譲つて行くべきじやないかとこういうふうに私は思います。
  27. 藤原道子

    藤原道子君 私は入退院基準は読んでおりますけれども、これを自宅帰つても、療養ができるというお考え患者程度をなお局長から今ここで明確にして欲しいのです。
  28. 安田巖

    説明員安田巖君) 入退院基準の内容を説明するわけでございますか。
  29. 藤原道子

    藤原道子君 そうです。簡単でいいです。無差別平等だとおつしやるのは……。
  30. 安田巖

    説明員安田巖君) それはお手許に差上げてありますように、結核性疾患の場合だけ申上げますと、入院の場合にイ、粟粒結核シユウブその他急速に入院加療の必要が認められるもの、口、外科手術療法等居宅通院では行い得ない積極的療法を適応症とするもの、ハ、環境結核を伝染させる虞大なるもの、二、入院によらなければ診断及び治療方針等が決定し難いものそれから退院でございますが退院はイ、結核菌培養がおおむね三カ月以上連続陰性で、安静度が五度以上に達したと認められるもの、口、外科療法目的として入院し、一応その目的を達したと認められるもの、ハ、微量排菌者又は慢性良性結核患者であつて、当分の間積極的な治療法を期待することができないと認められるもの二、その他居宅療法によつて治療目的を達すると認められるもの、これが基準でございます。
  31. 藤原道子

    藤原道子君 それは入院していても一応手術が済んだからということでございますが、それで生活保護患者なるが故に退院しなければならない。或いはこれ以上いても積極的な科学療法ができないものというのがまだ菌は出ているでしよう。そういうものが生活保護患者なるが故に退院させられるということになると、やはり無差別平等でないと思うのです。それからいま一つ最近どうしても納得が行かないので、機会があつたら局長に伺いたいと思つていたのでございますが、医療扶助適用をどの程度の人から適用するお考えでございましようか。
  32. 安田巖

    説明員安田巖君) ここに書いております条件というものが一つ一つ当れば、出なくてもいいわけでございますから伝染の倶れが大なるものを出すというわけではございません。無差別平等と申上げますのはやはり、例がいいかどうか、又こういう例を挙げますと叱られるかも知れませんけれども、例えば中学校へ行く子供がありました場合に、これにはまあ生活扶助をやつております。
  33. 藤原道子

    藤原道子君 中学は義務教育ですよ。
  34. 安田巖

    説明員安田巖君) やつております。義務教育ですからやつておるわけでございますけれども、ところが、非常に未亡人で気の毒な家庭がありまして、その入が高等学校にやろうと言つた場合、高等学校に行つたために、実はその扶助を打切るというようなことが、今の原則になつておるわけであります。これもこの人の家庭からいいますと、非常に気の毒でありますし、その子供の、その子一人の成長を楽しみにしておる親にしても、何とかその子を見てくれてもいいじやないかということもあると思いますが、併しやはり扶助を受けないで以て、高等学校にやれない家庭もたくさんありますからして、そういう方たちにやはり比較いたしまして、高等学校までは面倒を見ることができないというのが現在の一つ基準になつております。医療についても同様なことがありまして、やはりこの平等ということは、どういう方にも、同じような症状であれば、同じような基準医療適用したいというのが、これが生活保護法原則だと思うのであります。そういう意味の無差別平等ということを申上げたのであります。  それから、この医療扶助適用するのに、どういうところから適用するのかとおしやつたのですが、やはり生活保護法原則によりまして、いろいろとその人自身努力をいたしまして、医療をする途があるかどうかということを十分審査しなければならん、或いは財産があるとかいろいろなことがありますならば、そちらのほうをやはり先に適用して頂かなければならない。それから又、ほかの法律がありましたなら、そちらのほうで見て頂けるということであれば、これもほかのほうの法律で以て見て頂く、そうして最後に、どうしてもその人が自費では医療を受けることができないといつた場合に、医療扶助をやると、抽象的に申しますと、こういう原則適用いたしております。
  35. 藤原道子

    藤原道子君 財産という程度は、どの程度に見ておいでですか。
  36. 安田巖

    説明員安田巖君) これは実は、この生活扶助を受ける対象と、それから医療扶助を受ける対象が、よく階層が別になつておるんじやないかということを言われるのでございますけれども、とにかく自分の財産を運用いたしまして、何とか医療が受けられるならば、そちらのほうから出して頂く、足らなければ足らない分をこちらから出す、こういうようなやり方行つております。ただその場合、この生活扶助のように、ぎりぎりまあごの食うことができないというところまで行つて初めて出すのと、その人の家庭の何と申しますか収入の基になる活動力までも壊してしまうようなきついことをやりますというと、これもやはり酷でありますから、その辺は事例々々、ケースケースによりまして、そういう点を十分考慮しながら適用いたしております。従いまして、概括的に申しますというと、生活扶助を受けており、同時に医療扶助を受ける併給家庭と、生活扶助は受けていないけれども医療扶助だけを受けております単給世帯との間の生活水準というものは、理論的には同じにしなければなりませんけれども、実際上やつばり違つておるというのが実情でございます。
  37. 藤原道子

    藤原道子君 私納得が行かないのでございますが、最近某療養所に参りましたら、単給が非常に殖えて来たと、これは即ち乱給であるというようなことで打切りを随分命令されて来た。その打切り、一部負担等を命ぜられた中には、誠に忍びないような家庭がたくさんある。例えて言えば、お前の家は田圃反歩、六反歩を耕しているじやないか。六反歩も地所を持つていながら、医療扶助を受けるのはけしからん。こういうことで無理やり命令されまして、泣くなく田圃を手放して、そうして子供治療費に充てざるを得ない、このままで行けば……。一家八人暮らしておる。八人のものが六反歩の百姓をやることによつて生活をようやく続けているのに、全部田圃を売り払わなければ医療扶助が受けられないということになつたら、一体どうなるのでございましようか。こういう場合の財産の観念について私は伺いたいのです。これは一つの例でございまして幾らでもございます。
  38. 安田巖

    説明員安田巖君) 打切りだとか一部負担を命じたとかいうことで以て、いろいろその患者の方なんか各府県に陳情になつたときにおつしやるのでございますけれども、その後私どもいろいろそれを、名前がわかつている場合には調べてみるのですが、誤解があることが相当多いのす。それで、この先生の場合をどうだと申上げるわけじやないのでございますけれども、例えばこの安静度二度の患者を打切つた、けしからんというような話がある。だんだん調べてみますと、その人は家で離れをちやんと新築しているということで、それだけの資産があるならば、保護を出すわけにいかない、こういうことなのです。それをただ安静度二度で打切つたということになりますと、知らないと、成るほど酷だということになる。そこで実例を挙げて、この御質問にいろいろお答えをいたします場合には、どうしてもそのケースについていろいろな環境をよく調べないと、非常に議論するのは危険じやないか。今お話のような場合と、その他のことを全然考えないで考えるというと、先ほど申上げましたように、医療扶助を受けることによつて、その財産を処分すれば、その人たち生活力の源泉を、それで取つてしまうわけですから、そういうような場合は、それを無理にやるということは、私ども指示した覚えはないわけです。併し又その人が他にいろいろ財産等を持つている場合にございましようし、そういうようなことが、ここでただ話しただけではわからない、やはり私はそういうものは、具体的な例について、十分調査して、そうして私はお答えしなければならんじやないかというふうに考えております。
  39. 藤原道子

    藤原道子君 あなたはね、貧乏人の気持がわからなさ過ぎるんですよ。まだまだ無差別平等だなんていうのは、我々が言うことで、貧乏人というものは、お上のお助けを頂いている。お上の命令なら仕方がないということで、本当にそれを放したら一家心中しなければならない状態にあつても、仕方がない。田圃があるのだから売らなければならないという気持になるのでございます。その結果、随所にこのごろ家庭悲劇が起つていることは、私、あなたの耳にも入つていると思うのです。或いは兄弟が一万五千円の収入があるじやないか。そこから一部負担させろ、こう言われたとしても、今日家族を五人も六人も抱えている家庭で、一部負担ができるような余裕があるでしようか、お互の家庭生活を省みた場合に……。そういう点から行けば、私は医療扶助というものは、そういう酷なものではないと、もともとから行けば、結核は全額国庫負担ででもやらなければ、この亡国病の撲滅はできない。これも社会の輿論じやございませんか。こういう場合には、かつかつどうやら生活しているその人に、一部負担を命令して来る。あなた方は負担できれば負担しろという意味なんだと言われますけれども、これは逃げ口上でございます。お上の命令だということは、まだまだ地方へ行けば厳しいものでございますから、岡山の厚生課長の言われるぐずぐず言うなら、出て行つて浮浪者収容所に行けというような暴論まで出て来る結果になるのです。こういう点も考えて、私は安田さんこそは貧乏人の味方としてやつて頂かなければならんと、こう思うのですが、どうでしよう、その点……。
  40. 安田巖

    説明員安田巖君) 私ども生活に困つている方々に対しては、できるだけのことをしなければならんというふうに考えております。生活保護法でこの無差別平等ということを先ほど申上げて、えらい固い話になつたのですが、これは非常にむずかしいところなんでございまして、例えば東京都で五人世帯の標準家庭が、八千二百三十円がございましたか、これが基準生活費でございます。その人が仮に病気をした場合には、その人は八千二百三十円の生海をして、そうして病気をしたから、医療扶助をやるわけでございますね。ところが今お話のように、一万五千円の収入のある人が、その人がやはり……。
  41. 藤原道子

    藤原道子君 その人は兄弟の場合ですよ。
  42. 安田巖

    説明員安田巖君) いや、ひつくるめて世帯ごとに考えますから、同じことなんですけれども、そうして一万五千円ある人も、或いは二万円ある人も苦しいに違いないのです。仮に一万五千円なり二万円の人に、医療扶助をまるまる出さなくてもいいかということになりますと、片つ方は八千二百三十円の生活をして扶助を受ける。片つ方は一万五千円なり二万円の生活をして、医療扶助を受けられるということになる。ところが逆に言いますと、八千二百三十円の家庭の最低生活を保障しながら、片つ方は一万五千円なり二万円の生活を保障していることと同じことになる。これが非常に実施に当りましているく問題があるところですが、やはり現在の生活保護法で、医療扶助というものをやつております限りは、医療扶助というものが全燃別な体系の中に入りましてれ他の社会保障の体系の中に入つて医療という面は国で見てやるのだということになれば、お話の通りでございますけれども、法的扶助の枠の中でそういうふうな制度を考える場合には、そこにおのずから制約を受けるのでございます。その点が実施者として非常につらいところでございますので、できるだけ運用の妙を発揮したいというのが、先ほど申しました単給世帯と併給世帯というのが若干移つているということを申上げたのがそういう点だと思います。
  43. 藤原道子

    藤原道子君 八千何百円かの扶助を受けている家庭は、この扶助費の中には労働の再生産費は入つてないのです。本当にかつかつ食うだけの扶助しかしてないはずです。私は労働の再生産費は入つていないと思います。勤めている場合に五人家族で一万五千円、そうしてお勤めする以上は、それに対する費用がかかるわけなんです。家で死ななければいい程度扶助を受けている家庭と同じような程度まで下らなければ医療扶助は受けられない。併し世帯は別である。兄弟の場合でもそうだと、こういうことになつたら、今後殆んど勤労階級は要保護世帯に転落しますよ、そういう考え方医療扶助適用なさるならば……。だから八千何百円のこの保護費の中には労働生産費は入つてないということを、私はそう思つている。あなたはどう思つているかということと、いま一つは、一万五千円、五人家族でなお且つ兄弟の医療費まで、実際の面から言つて、理窟じやないのです、実際の面から言つて見てやれるかどうかということに対してあなたの御見解を伺いたい。
  44. 安田巖

    説明員安田巖君) そういうことでございますから、私一々の具体的な例でお話をいたしますといろいろ誤解を生ずると思うのでありますが、今の八千二百三十円というのは仰せの通り基準でございます。それから一万五千円なり二万円の場合には医療扶助適用するとか、一部負担を幾らかかけるという場合には、勿論そういうふうな労働するために必要な経費というのは見ているわけでございます。そういうものを考えながら、なお且つその人たちが働く根源を失わないようにということを考慮に入れて実施したわけなんでございますが、それは何円からかと言われたら、これは個々の場合には具体的に、ミインズ・テストをやりまして、そうしてそういつた費用がどれくらいかかるかということを細かく計算をいたしませんとはつきり申上げられません。そういう考慮はいたしております。
  45. 藤原道子

    藤原道子君 考慮はいたしておりますならば、各所に自殺患者なんか出て来ないはずなんです。又結核患者は御案内のように二年経つても三年経つても、回復するというところまで行かない、長い転帰を持つものなんです。そういう場合に貧しい家族の生活状態を見ているときに、この人たちが落ちついて療養できるとお考えでございましようか。家庭にいてすら気がねをしておる、こういうことを考えるときに、私は医療扶助の場合には、この前にもいろいろやり合つたところでございますから、なお詳しくは申上げませんけれども、そういう点から言つて非常にむずかしい問題だと思う。私はそんな酷なものじやないと理解しております。医療扶助の場合に、それがこの頃だんだん厳しくなつて療養を要しない人ならば別ですけれども、要しない人がどれだけあるか、私はそういう点から言つてこの入退者基準によつて命令されたということは、非常に酷であると、こういうふうに考える。そういう点から行きまして私は十分に結核患者が安んじて療養を受けられる、そのことが即結核患者の回復を早めるのです。入院はしていても絶えずいろんな面でせめられていれば、体だけ安静にしていても、心の安静がないのです。そういう場合にこの結核患者がどう影響されるかということぐらいは私は、私が言わなくても少くとも局長にはおわかりだろうと思う。私は今度は医務局長さんにお伺いしたい。今度の入退者基準に示されました安静度五度というのはどの程度でございますか。
  46. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 五度と申しますのは、これはちよつと申上げておきたいと思いますことは、国立療養所で使つております五度ということと、それから公衆衛生局のほうで大体定めましたあれは治療指針でございますか、こちらできめておりますのと少し食い違いがございますので、この間の社会局からの通牒におきましてもその点の食い違いと申しますか解釈の不分明な点が多少トラブルを起したのではないかというふうに思つているのでございます。一応私どもの国立療養所安静度五度と言つておりますものを申上げますが、大体大まかに申しますると、療養所の所内生活を必要とするものであるということでありまして、四度が病棟内の生活ということになつておるのでありますが、その病棟内には極限されずに、外に多少出てもよろしい、外というのは病棟で所内と、こういう意味であります。洗面等は自分でいたします。洗面所へ行つていたします。それから食事も、その病院によつていろいろ違いますけれども、食堂がございますれば食堂まで出て食事をしてよろしい。それから排便等も同様でございます。それから入浴は大体週一回、又洗面と同じように洗髪というようなものも自分で洗うということであります。それから歩くことは患者の自由に任されておりません。特に医師がどの程度の距離を歩く、或る程度の時間歩くというような非常に個人々々によりまして限定された時間或いは距離ならば許される。場合によりましては全然許されないこともあるというのであります。それから会合は五度におきましては出席を許されるということもあり、許されないこともあり、要するにこの五度におきましては、いろいろ五度の初期と或いは後期というようなことで幾分違う。又この個人々々の病状によつて判断されるということになるのであります。それから他からの外来者との面会というものは普通安静時間、その厳密な意味での安静時間はございませんが、普通のときに一時間以内の面会は許される。それから外出外泊は特に必要があつて、そうしてやはりこれも丁度面会と同様でございますが、その個人々々の病状によりまして主治医が判断の上、ときには許されるということなつております。それから娯楽関係でありますが、これも無制限ではございませんけれども、過度にならん程度で何時間ぐらいというような、或いは碁将棋でありますならば何番ぐらいというようなことを、医師が特にその病状を見て許可を与えることがあるというようなことでありまして、大体五度というのは今申上げたような程度のものでございます。
  47. 藤原道子

    藤原道子君 あなたは医務局長としての立場からそういう患者さんが退院させられた。而も生活保護法患者でございますからいずれも赤貧洗うがごとき状態であることは言うまでもない。そして住宅の関係が間借であるとか或いは衛生関係上非常に悪いようなところに多く住んでいるとみなければなりませんが、それが退院した場合に、居宅療法によつて目的が達せられる、十分社会復帰までの過程を辿れるというふうにお考えでございましようか。
  48. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 一般的に申上げますれば、この五度の患者というのは自宅治療が可能な段階だというふうに考えておりますが、ただお尋ねの趣旨は今のこの国家医療扶助を受けるというような患者かどうかということであろうと思うのでありますが、これは私のほうからお答えする範囲としてはどうかと思うのでございますけれども、私はこれは一般患者とは多少違うであろう、それから又医師といたしましても今日においては純医学的な基準というようなことは定めがたい事情もございますので、いろいろ家に帰つて状況というようなことを幾分勘案はいたしますけれども、さようなことについての詳細な点はやはりこの社会福祉司なりがこの事情を調べて判断する意見を多く取上げて行くというのが実情でございます。
  49. 藤原道子

    藤原道子君 更に医務局長にお伺いしますが、こうした入退者基準と共に付添看護婦の問題が非常にやかましくなつた、こういうことも今度の患者さんたち一つの不安の源になつていると思うのでございますが、私この間行つた療養所では手術後三週間ですか、肺を切る手術ですか、これでまあ打切られる、そうしてまだ動けない、気の気だからといつてその患者さんが、そこには看護婦が十分いない、定員が欠乏しているものでございますから、まだ自分も入院している療友というのでしようか、その人たちがその世話をして、そのために却つてお世話をした患者さんが発熱したというので非常に患者さんたちが騒いでいるところへぶつかつたのでございますが、こういう点、適切な扱い方でございましようか。一律には行かないというのだけれども、入退所基準から言えば一律にやられるのですよね、これは……。
  50. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) この点につきましては率直に申上げますれば、私ども療養所療養態勢と申しますか、こういうものに今日なお不備があるということは私も申上げなければならんというふうに思うのであります。だんだんと、初めのうちは一応の基準を以ちまして定員の配置もされたのでありますが、実際の問題として療養所内における治療及び療養の内容が逐次高まつて来ております。で、こういうようなところから所内の職員、特に看護力というようなものが年々不足の度合を増しているというような状況でございますので、私どものほうとしては本来ならば病院の職員で以てもつともつとお世話をしなければならんと思うようなことが十分にできかねているというような事情はあるかと思うのであります。で、こういう点については私どもとすれば社会局のほうにいろいろむしろ御迷惑をかけているというような状況であつたと思うのでありますが、これはいろいろ社会局とも今相談をしているわけであります。将来どういうようにこれを割切つて行くかというようなことについて、十分検討して又来年度予算等にはそれを幾分姿に現わして参りたいというふうに考えております。
  51. 藤原道子

    藤原道子君 私余り時間を取りますからもうよしますが、とにかく今度の療養入退者基準ですね、並びに附添婦の問題、これを個々の問題は別として、一律にやられているのですから地方へ行けば……。こういう場合に医務局長としては、これを妥当とお考えであるか、将来何とかしようと今相談をしているのですね。将来何とかできればいい、できない現段階においてこれでよろしいとお考えでございましようか。
  52. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) その点につきましては私どもも大変心配をしたのであります。いろいろと薬局のほうとお話合いをいたしました結果、結局一通り基準というものを出すが、これが決して機械的に適用せらるべきものと考えておらない。実際に患者を扱つている療養所又は担当医というものの意見も十分に聞いて無理のないようにやりたい。併しながら今日まではこの基準が非常にぼやけておつて各施設、或いは個々の患者によつてその取扱いが不均衡に行つている。これを何とか均等化して参りたいという御趣旨には私どもも賛成した次第なのであります。
  53. 藤原道子

    藤原道子君 各療養所行つてみますと、主治医は非常に困つているのです。又再発の危険がある、まだ暫らく療養させなければならん、けれども県のほうからは本省の命令だといつて、こういう態度でやつて来る。医師の良心として非常に悩んでいる人がたくさんあるのですが、そういうときに主治医としてとるべき態度はどうあるべきだと考えておられましようか。
  54. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 私ども本省内においては、さように関係の局が集つて相談をいたして、無理のないようにいたしておるのでありますが、この施設の現場におきましては私ども考えております、このお互いに話合つておりますことを、できるだけよく徹底させたいというふうに思つておりますが、必ずしも十分に行かず、又迅速に行かないというようなことがございまして、この施設の職員、特に担当医等は患者と同様に非常に不安を持つたという事実はあろうと思うのであります。私ども所長を通じまして具体的にどういうような故障が起つたか、或いは起る虞れがあるかという懸念は、一つ忌憚なく私のほうに伝えてもらいたい。そうして起つたことにつきましてはいろいろ先ほど社会局長がお話されましたように事情をよく調べてみるし、又起りそうだということについても私ども検討いたしまして、それが十分当然な虞れでありまするならば、それに善処する。又それが十分理解のなかつたために、理解の不十分なために起つたものでありまするならば、その趣旨をよく伝えるというような措置を講ずることにいたしております。
  55. 藤原道子

    藤原道子君 最後に私はお二人の御意見を一つ伺いたいのでございますが、安田さんのほうでは、やはり県の嘱託医がいきなり病床へ行つて患者に不安を与えるようなことのないようにして頂きたい。それは即ち療養所の主治医、施設長等々と十分な連絡の上に行われて、不必要な摩擦、或いは患者に与える不安や刺戟がないように考慮してやつてもらわなければ困る。それから医務局長としては、患者を守つて行こうという立場に立つての責任者である。従いまして患者をどうしたら一日も早く社会に復帰して、幸福な生活をさしてやることができるかということが絶えず念頭になければならないと思う。それからいやしくも今日全国の療養所患者は不安のためにおちおちと療養生活もできない。次から次へ連鎖的に不安が増して来ておるのであります。こういうことが、こういう今のような坐込みとか、何とかいうことに発展して行くのだと思いますので、どうぞ医者は医者の立場から、たとえそういうことの指令があろうと、断じて療養が必要だという場合には、患者を守る立場に立つて行動してもらえるように、これは特にそうしろというのではありません。医者としてそうしなければならんという診断であつたならば、それに忠実であつてほしいということを私は特に申上げたいのです。そういうふうに両局がばらばらでは困るので、密接な連絡をとつてほしい。直ちに、この間新聞に出ました簡易療養所というものがどういう構想であるか、それはわかりませんけれども、とにかく簡易療養所として、軽快したものはそれに移すとか、或いは社会復帰までにアフター・ケアで何とか再発の虞れがないように事を運ぶとかいうような手は十分に打つて頂きたいと思うのでございますが、それは安田さんや曾田さん、どうお考えでございましようか。
  56. 安田巖

    説明員安田巖君) 県の機関が患者について調べる場合には、管理者でございます療養所長とよく連絡をいたしましてそういうようにいたします。
  57. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 私ども、又施設の現場におります者も、只今のお話のように一ときも早く、又できるだけより高い段階に健康を回復して対処して頂きたいというふうに患者に対しては考えております。十分御注意の点は気を付けて参りたい。ただ、私先ほども申上げたことと関連するのでありますが、特にこれは私どもの直接関係しております国立療養所の職員に対してでありますが、只今御注意がありましたように、県のほうからいろいろなことを言つて来るということが、自分の意見に納得できない、心に納得できないという限りにおいては、自分の主張と申しますか、考えを率直に申上げるようにする。併しながらその代り自分の判断というものは、これは飽くまでも責任を持つた判断をしなければならんということも注意いたしております。
  58. 藤原道子

    藤原道子君 今非常に坐り込みの闘争が、総評その他が中に入つて斡旋の労をとるということになつて、大臣と面会することになつているそうでございますが、こういうことも細かいことにこだわらないで早速これを実現されて、そうして全国の結核患者の不安を一日も早く解消することができるように、その段階として先ずこの交渉に応じられて、早くこれが実現されるように、私は祈つておるものでありますが、その経過はどうなつておるでしようか。
  59. 安田巖

    説明員安田巖君) 日にちが国会等がございましてなかなかきまりませんのでございますが、大体こちらのほうの見通しがつき次第、できるだけ早く会いたいと思います。
  60. 竹中勝男

    竹中勝男君 時間のあれで成るたけたくさんの人のあれができるようにと思つて簡単にお尋ねしますが、結局どういうふうに現在の問題を解決するかということ、結果を追及するわけですが、この通牒を出されて、この通牒といいますか、基準を五月七日に出されて、その通牒によつて今日までどういう結果が得られましたか、安田局長にお願いいたします。
  61. 安田巖

    説明員安田巖君) あの基準をそのまま適用してみまするというと、療養所によりましては相当多数の患者が出てもよいというような数字が出るわけでございます。それも先ほども申しますように個々の療養所によりまして非常に差があるようでありまして、或る療養所では非常に出てもよいのがあるし、或る療養所においてはそれができないというようなことがある。それから或る府県においてはすでに相当程度の人数が出てもいい患者かおりまして、而もそれが連絡等が極めてよく行つたために平静裡に出て行つた所もございます。私ども取扱いについては飽くまでも慎重にいたさなければならん思いますけれども、今度のいろいろな五月七日以降の動きを見てみますと、やはり出てもいい患者さんがおるのじやないかということを感ずるわけであります。
  62. 竹中勝男

    竹中勝男君 どれぐらいそれによつて新らしい患者入院できたというふうに計算できますか。
  63. 安田巖

    説明員安田巖君) これはまだはつきりした数字がわかりません。それから第一何人出てもいいというような調べがこういう混乱のために十分ついていない所が相当ございますから、まだはつきりした数字はわかりません。ただ医療費が少しも減つていないということだけは事実でございます。
  64. 竹中勝男

    竹中勝男君 結局この基準がよい結果を生んでおるというふうに局長は解釈されておると思いますが、又マイナスになつておる面としては、患者に非常な不安を与えた。で患者自身が坐り込みをやるというような、こういう結果にもなつて来たわけでありますが、これは非常にむずかしい問題なんですね。今入院のできる人は十分の一ぐらいでしよう。でどれくらい入所或いは入院させなければならないような結核患者がおるわけですか。入院を必要としていて、入院できていない、入所できていない患者の数……。
  65. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 只今入院を必要とする結核患者が日本にどれくらいおるかということにつきましては、先ほど藤原先生もおつしやつたように百三十七万という数字が一応出ております。これは国民の中の極めて一部分、少部分に過ぎません者を抜き取りまして、それについての調査した結果を全国民に掛けまして推算したものでございます。でありますから、このうちどれだけが現実に結核患者としてつかまえておるか、把握されておるかということになりますと、それだけはつかまつてはおらないわけでありまして、今の要入院患者の中の先般の調査によりますと二七%が明らかになつておるわけであります。そのあとは全然御自身も患者も気付かず或いは一遍前に結核をやつたのだけれども、その後はどうにかいいのだというように思つている人たちなんであります。そういたしますと、二七%と申しますと大体三十七万人になるわけであります。そのうち昨年の暮が十七万九千人でございます。そうして大体一年に二万五千ぐらいずつ結核病床が殖えておりますが、今日におきましては大体十九万四、五千ぐらいになつておるのではないかというふうに考えておるわけであります。そういたしますと、大体把握されております入院を要する結核患者の半数余りというものが入院治療を受けておるということになつて参ります。今約半数のそういう病床とほぼ同じくらいの患者がすでにわかつておる患者で、できるものならば入院させたいというような患者であるということでございます。
  66. 竹中勝男

    竹中勝男君 それに対していわゆる簡易療養所といいますか、応急の仮にミニマムに見て半数、少くとも絶対に入院を必要としておる患者入院せずにおるというものに対する対策ですね。具体的な応急の対策というものをお聞かせ願いたい。
  67. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) この入院を要する結核患者というものに対する対策をどういうふうに進めて行くかということにつきましては、只今いろいろ関係各局集まりまして検討をまだ続けておる段階でございますが、一つは、只今お話がございましたように、療養所ベッドの数を殖やして行く。今までの療養所というものでは金がかかるから、何かもう少し金のかからない収容所というものが考えられないかという考え方、それからもう一つ申しますれば、この在宅中のこの要入院患者というものを入院させるまでの間でも、これは入院させるに越したことはございませんけれども、それが不可能であるならば、在宅中にもつともつと手の届いた指導なり、療養を加える方法がないかというようなことが考えられるのでございます。そのおのおのについて、その実行の難易、及びその利害得失というようなものをいろいろ検討いたしております。
  68. 竹中勝男

    竹中勝男君 このアフター・ケアのことなどもその一つとして、相当家庭には帰せないけれども、そういう施設があればそこに移せるというような患者が、現在やはり入院しているわけですか。
  69. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 初めのうちは療養所の性格というものも必ずしも明確でなかつたと思うのでありますが、最近になりますと、療養所がだんだん何と申しますか、高度な医学の応用というか、特に積極的な化学療法とか、或いは外科療法というようなものを行うということにだんだん重点を置いて来ておりますので、ただ病気は成るほどまだなおり切つてはおらない。併しながらこういう方はまだ療養所におられたからといつて急速に根治する、全治するというわけにも行かない。又若し環境が許しますならば、自宅帰つて治療をされても、病院にいるのとそれほど変りはないというような方が、相当病院の中にもまだおられるのであります。それに対しまして、どうしても病院に、収容してそうして系統的な、積極的な化学療法とか、或いは外科療法をやるというその機能を妨げているというような事情もございますので、できることならば病院病院でなければできない、又病院で処置をいたしますれば、その根治の時期を非常に早めるというような患者を、もう少し余計に入れて十分なお世話をするというふうに持つて行くべきでなかろうかという考え方が起つて参ります。そういうふうにはつきりと割切ることにいたしますと、もう積極的な治療対象ではないが、それで従つて半面から申しますれば、家庭治療も可能なのであるけれども、併しいろいろな家庭の事情を考えますと、帰つてもらうわけにもいかないという人がやはり相当残るのではないかということで、いわゆるアフター・ケアという言葉が必ずしも明確でないのでありますけれども、若しもアフター・ケアというものを狭く考えまして、病気は殆んどなおつておる、併しながら体力も全般として衰えておりますし、又長い間社会から隔絶しておつたというような意味で、社会復帰を助ける、或いは職業補導を行なつて、新たに新らしい職を得る途を開いてあげるというようなことは、これは狭い意味でのアフター・ケアでございますけれども、そういうものはむしろ医者は注意はせにやなりませんけれども、むしろ社会局のほうにお任せしたほうがよいのではないかということで、今日まで社会局でお作りになり、今動かし始めておられます。でアフター・ケア施設というのは、その部類だと思うのであります。丁度そういたしますと、そのいわば結核病院としてお世話をする患者、その対象からは外れて来るが、さればといつて、社会局でお預り願う段階まではまだ行つていないというところにギヤツプが出ておる。只今は現在の国立療養所等にさような患者さんも相当お預かり申しておるわけなんです。でこういう人たちは多少の作業能力もございますし、まあ作業といつて、積極的な作業と行かないまでも、自分で自分の身の廻りのことをやるというような力はございますし、又そうすることがこの病気の経過、或いは病気の経過を判定するのにいろいろ役立つというような意味で、何かそういうものをはつきり考えなければならんのではなかろうかということが、一つ問題として提起されておりまして、今いろいろ慎重に検討いたしております。今日においてはさような患者も含めて、療養所が今お預りしておる。従つてその中に非常に医学的な、積極的にお世話をせねばならん人たちと、そうでなくて、手の非常に省ける方というような人たちが、非常に雑然と入つておるという実情でございます。
  70. 竹中勝男

    竹中勝男君 結論的な御質問をしたいと思うのですけれども、どうもこれは日本の現在の国民経済の上から、殊に国家の財政の支出の計画の上から、この問題はそう暢気にかまえられないと思うのですね。日本が貧乏だということは、又日本が貧乏で結核患者が多くなるということなんですし、又国の財政の支出の性質を見ると、なかなかこういう社会厚生に関するところの財政支出というものは、だんだん窮屈にこれはなるだろうと私は思うのです。自衛隊は御承知の通りに年間一人について百二十万円くらいの金がかかる。それでそういう財政支出が多くなつて来れば、こちらのほうの財政支出が非常に制限されて来るということは当然である。根本はそういうところに問題があると私は思いますけれども、こういう条件の下で、一療養所どのくらいかかるのですか、十数万円、十四、五万円もかかるだろうと思うのですが、現在の療養所のような、比較的完備した療養施設を作ろうと思えば……。そういう計画をこの際私は画期的に改めなくちやならんと思うのです。少くとも百三十七万とか、或いは最低に見て現在入つておる十五、六万の倍の者が、実際にもう入院させなきやならないという患者を持つておる現状においては、これは今までの結核対策療養対策というものを、根本的に私はこれは改めなくちやならんと思うのです。それは言われたことの中にも含まれておると思いますけれども、簡易な、集団的に家庭から隔離して、少くとも或る程度治療が可能な、併しながらもう今までの十分の一ぐらいで済むくらいの設備を、急速にこれは計画する必要があると私は思うのです。そうしなければますます患者は殖えるだけです。これは感染度が強い病気ですから、家庭の中にこれを置いておくというようなことではですね。そうして特に金のかかる療養所を、年に二万病床作るとしても、これは絶対解決できない問題です。簡易療養所といいますか、とにかく五十人でも百人でも、一つのところに集めて、医者と薬とがある場所に、家庭から連れて来てこれを集めるというような結核対策をとらなければ問題は解決しないと私は考えておりますが、そういう意味においてもアフター・ケヤの施設だつたら、そう病院を建てるほど金がかからないのです。両方を画期的に思い切つて結核対策、政策というものを変えて行くということが急務であるように思いますが、社会局長、医務局長のお考えを伺いたい。
  71. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 只今の御意見についてでございますが、私どもも一応そういう考えも取上げましていろいろ検討いたしております。大体結核患者を収容いたします施設を現在国でやるときには、どのくらいかかつておるかということを申上げますると、病棟の増設という場合には一床おおむね二十五万円ぐらいかかつております。新たに療養所を造るということになりますと、これは規模の大小でいろいろ違いますが、大体二百床から三百床ぐらいの標準的な療養所でございますれば、大体一床五十万円ぐらいかかる。治療手術室というようなものを皆備えますので、約倍ぐらいかかる。五十万ぐらいかかるということになつております。で、これを今のお話のように何かもつと安直な施設をこしらえて、そしてより大勢の人たちを収容したらいいじやないかという考えでございますが、いろいろやつてみますと、とてもお話のように十分の一ぐらいでというわけには参りませんので、やはり相当経費がかかります。勿論現在の療養所ベッドや施設を造るというよりは遥かに安直に参るのでありますけれども、そう十分の一とか何とかいうふうには減つて参りません。又これを余りにただ安直な施設、安直な施設ということになりますと、療養の内容とか、患者に対するお世話、衛生管理というようなものが非常に低劣となりまして、こういうようなことになれば、それがそれこそ普通の下宿屋でございますれば別問題でございますが、いやしくも患者をお預りしておる施設だということになれば、余りに規格を落したものにはできかねる。まあその辺のところが実際問題としてはどの辺のところをとるかということが問題でございますけれども、さような意味でこの御趣旨に十分副うような形が出て来るかどうかわかりませんが、併しより安直な施設、より多くの、同じ金額ならばより多くの人を収容できるものを考えてはどうかという御意見につきましては、私どもも取上げていろいろ何とかそういう筋を出してみたいものというふうに考えております。
  72. 安田巖

    説明員安田巖君) 私の関係いたししております問題といたしましては、アフター・ケヤの施設でございまして、竹中委員のお説には私も全く同感でございます。二十八年に漸く三個所の予算が取れたわけでございます。二百ベッドでございます。これは府県を経営の主体にいたしております。それから二十九年度の予算が同様二百ベツドということで、三個所の予算が取れております。明年度は結核の実態調査の結果もわかつたことでございますし、厚生省といたしまして先ほど医務局長からお記をいたしましたように、いろいろ総合対案立てられると思いますが、その中に是非アフター・ケアの施設ということを一項目として入れたいと思つております。
  73. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと各委員にお願い申上げたいのでありますが、この問題並びに後ほど議題になりまする社会保険の一点当りの単価引下げ問題については、当委員会としては後に御相談を申上げたいと思いまするが、特別小委員会を設けて十分現状の調査と今後の対策について早急に結論を出すようにいたしたいとこう考えております。で、この問題、なおもう一つ議題がありまするので、成るべく重点的に御質疑を願いまして、詳細な検討、対策等については御了承願えますならば、特別小委員会で早急に対策を立てて行きたいとごう考えておりますので、重点的に御質問をお願いしたいと思います。
  74. 湯山勇

    湯山勇君 私は只今の委員長の御趣旨に従いまして重点的にお尋ねいたしたいと思います。問題はこの通牒によつていろんな事態が起つておりますので、この通牒に関して先ずお尋ねいたしたいと思いますが、本日の議題になつておる公報に示されたところによると、ベツド廻転基準通達というような名前がつけられております。問題になつておる通牒が五月八日の分は、私はどこをどう見てもそういうベッド廻転基準通達というような趣旨のものは見られないというように思うのですが、ところがその後でそれから七、八十日経つて、七月二十一日の通達によれば、これは前回の通牒ベッド廻転のためのものであるというようなことが特に断り書してあります。そういたしますとこの七、八十日間に局長のお考えは随分変つて来たんじやないかというように考えますが、これは如何でしようか。ベッド廻転というのはこの公報に出ているんでございましよう。
  75. 安田巖

    説明員安田巖君) これは別に私のほうで趣旨を変えたというわけじやございません。五月七日の時にもそういうことを申上げたつもりでおりますけれども、もともと生活保護法医療というものは、生活扶助の場合と同じようにこれは基準が要るんでございます。それで先ほど来度々申上げましたように、二十四年の四月に実は基準が出ております。これは飽くまでも基準を設けるということが目的なんでございまして、その結果ベッドの廻転ということを早くするということはまあ第二の狙いであるわけでありますが、併し現実で一番大きく問題になつておりますのは、そういう点であるということを七月二十一日の場合に申したと思います。
  76. 湯山勇

    湯山勇君 五月の八日の通牒をもう一度よく御覧を頂きたいと思うのですが、この主文のところには、今おつしやつたような意味のことは少しもないのです。これはただ実態調査をしてみると極めて遺憾な点が多いと、こういうことのないようにしてもらわないと困るということだけであつて、こういう通牒だから問題が起つたわけです。今おつしやつたような意味の、特に七月二十一日に出されたような意味のことが十分この時に考慮されておれば、そのような誤解も起らない、疑義も起らない。従つて七十日も八十日も経つて前回のものには疑義があつたからこうこう、こういう趣旨だと述べておられますけれども、こういう趣旨は全然前のものにはなかつた。こういう点が今度の問題の一番大きな要素になると思うんですが、初めつからそうだとおつしやいますけれども、実際は五月の八日の通牒というのは、今のように濫給といいますか、非難事項のないようにせよという、どちらかといえばお叱りの通達じやないんでございますか。
  77. 安田巖

    説明員安田巖君) 度々申上げましたように基準を設けなければならんというのは、これは生活保護法の当然の要求があるわけでございますが、二十四年の四月の通牒というのが、この前も御質問になりましたけれども、極めて抽象的である、抽象的でありますけれども、これは御比較願えばわかります。一見してわかりますけれども、非常にこれはきついものであります。そういう点からそれを具体化する必要量られおります。たまたまこの時はいろいろ会計検査院等からも指摘されますし、そうして例の昨年の十二月の五割、八割の負担の問題のときにもこういうことが実は問題になつたのであります。で私どもはそういうような制度が悪くなることは極力防ぎたいという気持がございましてそういうような少くとも他から見て濫給だとか或いは退院していい人が入つているのだというようなことを言われないようにしたいという気持がございます。そのことを書いたのでございますけれども、飽くまで基準を作り、それを具体化するということが一つの狙いであり、同時に又その結果といたしましては、それが適正に運用されまして今出ていい人、居宅療養に適する人が入らなければならん人に席を譲るということが第二の狙いである。こういう趣旨でございますので、決してそう深い意味があるわけではございません。
  78. 湯山勇

    湯山勇君 成るべく簡単にお尋ねしたいと思うのでございますけれども、そう思えば思うほど余計こんがらがるようですが、端的にお伺いしますが、五月八日の通牒は廻転率をよくするための通牒なのか、今の基準をきめるという問題を抜きにして、趣旨は不適正を除去するための通牒か、どちらが主ですか。
  79. 安田巖

    説明員安田巖君) どちらも原因と結果のようなものでございまして、適正にやることによりまして廻転もよくなると、こういうことでございます。
  80. 湯山勇

    湯山勇君 五月八日の通牒には廻転をよくするために、つまり入れない人がたくさんあるのだから、一つ入院の機会を与えたいというような趣旨はどこに出ておりますか。
  81. 安田巖

    説明員安田巖君) これは別にここに書いてございませんけれども、適正にやることによつてそういうことを狙つておつたことは事実でございまして、これはたしかこの前お話があつたときに私申上げたと思つております。
  82. 湯山勇

    湯山勇君 私は今の通牒のことを聞いているんです。通牒が誤解を生んで、通牒から問題が起つたのだから、そういうことに限定してお尋ねしておるわけで、五月八日のはそういうことは全然言われてなかつたし、各府県はそういうことは全然理解していない。こういうことは局長お認めになりますか、私は認めておるとしても……。
  83. 安田巖

    説明員安田巖君) ここに書いてないということは事実でございます。
  84. 湯山勇

    湯山勇君 そこで問題が起つたので、七月の二十一日に改めてこういうことが抜けておつたというのでこういう通牒を出された。これもそういうふうに把握してよろしうございますか。
  85. 安田巖

    説明員安田巖君) 抜けておつたからというわけではございませんけれども、その後いろいろ問題が起りまして不安を与えるので、こういう点も一つ注意しなければならんという趣旨でございます。でこの補正の通牒はそういうことが狙いであるよりは、実は先ほど曾田さんもおつしやつたのでございますけれども、内容について若干誤解を受ける点がございましたので、そういう点を補うというのが主たる考えでありまして、前文の事項につきまして今いろいろ御指摘を受けましたので、成るほどという程度のものでございます。
  86. 湯山勇

    湯山勇君 それで大体わかりましたが、問題は今のような通牒が、五月八日の通牒が、あとで出されたような意味合いを全然抜きにして出されたところに問題があるのでございまして、最初局長は愛媛県の場合云々ということをおつしやいましたけれども、これは恐らく相当誤解があると思います。と申しますのは、この通牒が出てから患者の代表と民生部長との間には数回に亘つて県の保養所におきましていろいろこの問題にいつての話合いがなされて、了解点にも達しておつたわけです。ところがそれが何日でしたか、県議会が開かれる日に民生部長に患者が会つたときに、全然それと違つた話になつてしまつた。つまり本省からこういう通牒が来ておるのだから、我々としてはその通りするよりほかにないのだというような意味のことを言つたので、それでまあ問題がこじれたのであつて、単に局長最初おつしやつたような、この問題を殊更に取上げて騒いでこうなつたというのではないのであつて、私は途中から出て来てくれというので行つて事情をよく知つておりますけれども、そういうふうな点だけで把握されると問題が非常にこんがらがつて来ると思いますからこれは一つ御留意願いたいと思います。そこでこの通牒が今言つたような問題を起しておるということについて、なお県当局なり何なりに対して今ここでお話のあつたような、例えば生産扶助の問題とか医療扶助を今後どうするとかそういつたような問題についてなお親切な通牒をなさる御意思がおありになるかどうかその点を伺いたいと思います。
  87. 安田巖

    説明員安田巖君) この五月の八日の通牒の終りのほうを見て頂きますとわかるのでございますけれども「一応の目安を定める意味において示した最大公約数的一般的なものであるから、これをそれぞれ状態の異る個々のケースに機械的に適用すべきものではないこと。従つて実際の場合に当つては、技術的に個々の例について事実の確認を行うべきことは当然であつて、具体的には、指定医療機関の主治医及び当該技術吏員等の意見を徴し、慎重に決定されるべきものであること。」ということで、私どもこのためにわざわざブロック会議を開きまして趣旨の点は十分通達してございます。併しこういうことをもう一度出せということでございますならば、私どものほうも十分そういう御趣旨を府県のほうに伝えることにやぶさかではございません。
  88. 湯山勇

    湯山勇君 只今のでよくわかりましたが、特に先ほどお話のあつた個々の問題については検討するとか、或いは生活扶助打切りにするのじやないとか、無理に追い出すことになるんじやないかという具体的のことがわからないので、これは御承知のようになかなか末端まで届かないし、一方患者の諸君は非常に不安に怯えておる状態ですから、これは是非そういう処置をとつて頂きたいと思います。  それから次に、当委員会で御検討頂けるんですから、なおいろいろな問題が出て来ると思いますけれども、要望を兼ねてお尋ねいたしたいと思いますが、現在大臣が言明された通り抜本的な対策が検討されつつあると思います。そういう対策が検討されておる過程において、大体結核対策というのは生活保護対策の中心をなすものであるし、そういう又生活保護というのは結核対策が重点でなければならないような性格を持つて来ておる今日、その結核対策の抜本的な検討がなされておる。そういうときにこの部分的な現象だけとらえてそういう措置をとられるということは如何かと思います。今後はそういうふうにするんだと、金のかからないというか、もら少したくさんの療養所を造ると、自宅患者についてはこうだ、アフターケアについてはこうだ、そうして社会復帰については、就労についてもこういう注意をするというようなことがはつきりして後に初めて、だから安心して入れない人に譲つてやろうというようなことが私は生活保護の基本的な考え方でなくてはならないと思うのですが、この問題がこういう混乱を起したのは、やはり一々局長が案を作られるわけではないでしようが、この文章が如何にも不親切である、そこで今後この問題については抜本的な対策が立てられるまで、もう少し患者との摩擦を避けるとか、患者に安心を与えるような措置をとられるようなお考えがまあ医務局もそうだと思いますけれども、社会局としてもおありになるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  89. 安田巖

    説明員安田巖君) 今お話になつたような総合的な対策が立つまで大体この通牒の実行を中止したらという御意見でございましようか。
  90. 湯山勇

    湯山勇君 中止するとかしないとかいうのでなくて、局長が先ほど御説明になつたところによれば、或る程度了解できる点もあるわけです、この通牒の中には。そこで誤解を招いている点等を、患者等とよくお話合いになつて、そういうところはこうだ、成るほどそこは問題だという点については、そこはこうするということを今後なさる御用意があるかどうか。
  91. 安田巖

    説明員安田巖君) この通牒を廃止する、撤回するというつもりはございませんけれども、併しながら患者のほうでいろいろ意見がございますならば、そういうことも十分承わるつもりでおります。
  92. 湯山勇

    湯山勇君 要約して聞こうと思いましたので、かえつてごたごたしたように思いますけれどもあとは、結核の抜本対策の現在までの過程につきましては、大臣がお見えになつてお聞きすることができましようか。
  93. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 今日は大臣はちよつと困難だということです。これは小委員会でなお大臣に出席を願つて十分御討議を願いたい。
  94. 湯山勇

    湯山勇君 それでは一応これで。
  95. 藤原道子

    藤原道子君 私から一つお伺いしたいのでございますが、これほど療養施設、アフタ・ケア等の問題が問題になつているときに、全国歩いて見ると、療養所で相当空ベッドがあるのですが、曾田さんこれはどういうわけですか。一ベット作るのに二十五万円かかるとか新らしく作れば一床当り五十万円くらいかかると言われておるときに、まあ岡山療養所にしても、この間湊へ行きましたり湊にしても愛媛にしても、相当空床があるのですよ。ところがこれは看護婦さんとかお医者さんが足らないのかも知れませんけれども予算に縛られてこれを回転するわけには行かないとこういうのですが、こんなむちやな話はないと思いますけれども、一体どうなつておるのでございますか。
  96. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 今日まで認められておりました定床を縮小しておるということはないつもりでおるのでございます。御承知のように前のいろいろな戦時中の施設とかいうものをこちらに引受けました場合に、非常に荒廃いたしております。そういうようなところからそれを完全に使用するということができませんので、逐次その内容を、建物としましても整備をし、又人員の増加というようなことも図つて定床を殖やして参つておるのであります。そういうような意味で今日においても、もう少しちよつと手を加えるならば或いは人員を殖やしさえすれば建物の経費をそれほど食わずに、この収容力を殖やせるのじやないかというお考えにつきましては、私どももさよう考えておるのであります、それで明年以降の増床計画がどういう姿になるかわかりませんが、そのときにはそういう点も考慮の中に入れて、増加を図りたいというふうに思つております。
  97. 湯山勇

    湯山勇君 只今の点で、例えば雑仕婦がないものですから、看護婦の定員を雑仕婦が食つているというようなことから、どうしてもベッドを満すことができないという例もあるのじやないかと思いますが、実際に現在の定員で、ベッドが一ぱいになつてつて行ける状態にあるのでございますか。
  98. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 現在の定床に対しましては、これはまあ職員の人たちは非常に無理をして頂くというようなこと、具体的に申しますれば、超過勤務とかいうようなことで、多少無理がかかつておるとは思うのであります。併し今日の定床を動かすだけのことでは不可能ではないかというふうに思つております。ただ、私どもは現在の無理というものをできるだけ早く解消いたしたいというふうに努力いたしている次第であります。
  99. 湯山勇

    湯山勇君 ベッド回転率ということを言えば、そういう点が解決しなければならないと思うのです。と申しますのはそれだけ働らいておるお医者さんにも看護婦さんにもみんな無理がいつている。手一ぱい以上の仕事をやつておる、そうすればなるべく軽い患者がたくさんいるほうがいいので、重い患者にたくさん来られますと、入替つて来ると困るわけです。重い患者が来ても喜こんで引受けられるような態勢をとるためには、やはり或る程度十分な人員配置が要ると思うのです。ただ一方的に通牒によつてこういうことをすそのではなくて、今のような態勢を整えてのちにするということが、療養の常道で、医療行政の常道じやないかと思います。そういう点について今後なんらかの対策をお持ちになつていらつしやいますか。
  100. 曾田長宗

    説明員(曾田長宗君) 今日までもこの人員の問題につきましては、いろいろあれこれと苦慮して参つてきておるのであります。今後なお明確な資料或いはその実態調査、先般も実は或る若干の施設につきまして、その転員の疲労調査というようなことも行なつたりいたしたのであります。こういうような資料を整えて大蔵省或いは人事院、こういうようなところに十分理解を得たいというふうに考えております。
  101. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それではまだ十分尽きないところがあると思いますが、これは小委員会にお譲りを願いまして、この問題については以上で御質疑を打切つてよろしゆうございますか……。御異議ないと認めます。  それでは次に、社会保険の一点当りの点数引下の問題に関する件を議題といたします。厚生省から経過報告を願います。
  102. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私から概略の経過を御説明申上げます。  問題の経過を申上げます前に、従来の私どものほうのやり方を御了解願つておきたいのであります。御案内のこととは存じますが、薬価の変動によりまして、社会保険の点数は全般的に変る建前になつておるのでございますが、そのうち単位当りの値段の低い一般の医薬費につきましては、薬価基準というものを定めまして、これによつて大体毎年一回、時によりましては二回程度薬価基準の改訂ということを行いまして、これによつて実際の薬価に適合するような措置がとられておるのであります。このほうは政令の定むるところによりまして、厚生大臣の権限で必要の都度改訂をいたしておるのでありましてその薬価基準の改訂につきましては、本年度に入りましても、六月の一日以来薬価基準の改訂が行われておる次第でございます。それに反しまして、ストレイプトマイシン、ペニシリンでございますとか、葡萄糖でございますとか、特別な単位当りの値段の高い医薬品につきましては、特別固定点数というものを定めまして、それを薬価の変動に応じて動かしておるのでございまして、過去におきましても、相当の薬価の変動がありますと、その都度中央社会保険医療協議会に諮問をいたしまして、改訂をいたして参つておるのであります。今回問題になつておりますのは、今申上げた単位当りの値段の比較的高いいわゆる特別固定点数の定められておりまするものについての点数の引下げでございます。その主なる種別を申上げますると、ストレプトマイシン、結核治療薬であります。ストレプトマイシン或いは略語でパスと言つておりますパラアミノ・サルチルサン、それからぺニシリン、リンゲル、葡萄糖の医薬品につきまして相当の大巾の値下りがございましたので、従来の例にならいまして点数の引下げを行なつたのでございます。この値下りの傾向はすでに昨年の秋頃から現われておつたのでございますが、私どもといたしましては当時すでに結核治療指針の改訂につきまして日本医師会を通じて日本医学会に諮問をいたしておりました。その答申が近くあることが予想されておつたのでございます。これは今回の予算案に関係のありまするストマイ、パス等の結核新薬につきましては特に関係の深い問題でもありますので、実際の影響等も考え、私どもとしては結核治療指針の改訂と同時に値下りに伴う点数の改訂を行うことが妥当であるというふうに考えました。若干時期はその意味で見送つたわけでございます。具体的に治療指針の改訂に関する学界の答申も近くあるという見通しが立ちましたとき、即ち二月の下旬頃から日本医師会をはじめ、関係の諸団体とは点数の引下げに関しまして内交渉を開始をいたして参つたのでございます。  この点数の、そういう意味合におきまする引下げにつきましては、従いまして二月下旬以降特に日本医師会との関係におきましては再三の折衝が行れておりました。私どもといたしましてはその間におきまして相当程度了解がついたものと理解しておるような経過もあつたのでございます。殊に例を挙げて申しますると、ストマイの値下りが新らしく改訂をいたしました結果、従来のグラム単位三百三十円を基礎にして計算をされておりましたが、値下りによりましてこれが一グラム百七十五円ということに相成つたわけでありますが、百七十五円ということにつきましても、これは申すまでもなく取引の関係がありまして、すべての医師が百七十五円で必ずしも買つているというわけではありません、もつと安く購入している人もあり、それよりも若干高く購入するような条件にある医師もあるわけであります。でありますから、当然若干の中はございます。その点につきましても日本医師会とも打合せをいたしまして百七十五円というような程度で押えることが適当であるということで了解がついておつたわけであります。その他一般的にも先ほど申上げたような傾向はあつたのでありますが、その他いろいろ客観的な情勢がからみ合まして予想外に難航な状態に入つたのでございます。併しながらいろいろこうした交渉の経過を見まして、一方におきましては先ほど申上げました結核治療指針の改訂も四月中旬になりまして、学会からの答申もありました。それと同時に点数の改訂をいたす時期であるというように考え、了解をつけまして四月三十日に医療協議会を開催いたした次第であります。四月三十日に本件に関する第一回の医療協議会におきましては途中で医師会から基本的な問題、即ち社会保険診療報酬に関する基本的な問題についての意見が出ましたために、点数の改訂の問題だけを保留いたしまして、一時散会をいたしましたのであります。更にその後私どもといたしましても、特に日本医師会と折衝を重ねておつたのでありますが、その了解を得まして五月二十七日に本件に関する第二回の医療協議会の開催をいたした次第であります。以上申上げましたように五月二十七日という時期まで、相当前から実際には値下りが行われておりましたにもかかわらず、点数の引下げが行われておりませんでしたので、保険者を初め、その方面の人からは、なぜ早くやらないのかという意味における促進の意見が相当強く行われておつたことも御了承頂けると思うのであります。  一方医師会におきましては、五月二十七日の医療協議会を前にして、たまたま副会長の選任をする全国代議員会が開かれました、その席上におきまして本件を切離してやることは適当でない、他の問題と一緒に処理すべきであるという決議が行われました関係もあり、日本医師会の幹部といたしましてもいろいろ措置に苦しまれたように承知をいたしております。それで五月二十七日の医療協議会になつたのでございますが、その点も簡略に申上げることにいたしますが、医療協議会の開会の直後におきまして保険者側から医師会に対して約一カ月間医療協議会を延ばしておつたのは医師会の希望によつて延ばしておつたのであるか、その後の経過について医師会からの意見を聞きたいという発言があり、医師会からの一応の説明がありましたと同時に、本件に対して基本的な反対の意思表示があつたのであります。そこで保険者側との議論になりまして、一応保険者側からこれ以上議論をしてもしようがないという討論終結の動議が出ましたために、医師会側の委員は協議会の席上から退場するというような羽目になつた次第でございます。併しながら医療協議会の構成員二十四名のうち六名が医療担当者になつておりまして、そのうち医師会代表が四名、歯科医師会、薬剤師協会代表それぞれ一名はそのまま席に残つておりましたが、その後の議事にも参画されたわけでございます。そのような関係から、従来の医療協議会の慣例から申しまして、会長としては、医療協議会は正式に成立しているということを宣言した上で、その後の議事を進めました結果、点数の改訂につきましては、出席委員の満場一致の賛成で決定を見た次第でございます。なお施行期日につきましては、保険者側委員の、先ほど申上げましたような意見に基きまして、六月一日実施説が強く主張され、多数を以て六月一日実施という答申が行われた次第でございます。即ち点数の改訂それから治療指針の改訂につきましては、それぞれ全会一致で決定があり、第二回目に医師会代表退場のままの一致でございましたが、そういうことで施行期日の点につきましては多数を以て六月一日ということで医療協議会の決定がございましたので、会長から即日厚生大臣に対しまして答申があつた次第でございます。  そこで厚生省といたしましては、医療協議会の席上における残留委員の、特に医療担当者委員としての意見等もありましたので、又一方におきまして、医師会側の意見も考慮いたしまして、医療協議会の答申は六月一日実施ということでございましたけれども、厚生大臣の権限に基いて、七月一日実施ということで、一カ月実施の時期を延ばすことにいたしまして、大臣の決裁が済み次第公布の運びに至つた次第でございます。  ところがさような経過を経ましたけれども、依然として医師会側にはこれを契期といたしまして他の点数のアンバランスの是正、或いは単価の改訂、社会保険診療報酬に関する所得税課税の問題の解決、社会保険制度の根本的な改正というような関連事項を引つさげた御主張がありまして、百方いろいろ話合いをしておつたのでございまするけれども、六月の十八日になりまして、突如として医師会長の名を以て本件に関する反対の声明書が出たというような運びになつたのでございます。その後一部の保険医の座り込み事件等もございましたことは御案内の通りでございますがこれらの坐り込み等が一応解消しました後におきましてあらためて日本医師会と厚生大臣との間に正式な交渉が、すでに数回持たれおりました。いろいろと今後の問題につきまして話合いをいたしておる次第でございます。  厚生省の態度といたしましては、以上申上げたような経過もありまするし、事柄の実態の性質からも、今回の点数改訂の告示を今更変更する意思は今日毛頭ないのでございますけれども、これに関連して医師会側から要求のございました他の点数の不合理なものといわれるものの改訂につきましては、目下事務的に検討を続けております。できるだけ早く結論を得るように運んでおる次第でございます。  なお併せて医療担当者側から御注文のありました所得税課税の問題につきましても、関係の向きに現在連絡をし、話合いを進めておりますような次第でございます。  又単価の改訂につきましては、これは甚だ影響するところも多いということもございますけれども、先日日本医師会の代表者と厚生大臣との会見によりまして、すでに御案内の臨時医療保険審議会というのが、診療報酬問題、殊に単価問題を中心として検討するために生まれておるものであります。すでに本委員会でも私からも再三経過を申上げているような状態で、なかなか結論を得ておりません。これは余りに社会保険、社会医療原則というような大きな問題に取つ組んでしまいましたために、議論が多くて結論を得ないような実情でございます。先般厚大臣と日本医師会の代表との話合いのときには、一度そういうこの臨時医療保険審議会の行き方についてもお互いに一つ考え、その旨を会長等にもお伝えをして何とかこの際その成規の機関によりまして話合いを進めるような段取りをしたらどうかということで了解がついておりまするような次第でございます。  極く概略でございまするけれども、以上点数の改訂と、これに関連をする諸問題につきまして一応申上げた次第でございます。
  103. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは御質疑を願います。
  104. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 只今保険局長から最近の点数引下げの問題についての御説明ですが、私は二十六年の保険医総辞職の問題に伴いました暫定処理のときからの話を引続きしなければ、これは皆さんに御了解が行かないじやないか。二十六年の十二月に暫定処理方法といたしましては、一点の単価を、大都市には一円五十銭上げる。地方も十円のものを十一円五十銭とする。そうして診療報酬の課税所得率を三〇%に下げた。そうして臨時医療保険審議会を設置して、少くとも翌年の三月末日までには適当なる単価を検討するという暫定処理によつてあの社会問題が一応解消したのであります。私はこの際保険局長にお尋ねしたいと思うのは、この臨時医療保険審議会は今日までにすでにニカ年半経つておりますが、この二カ年において臨時医療保険審議会の審議の経過を一つ概略御説明を願いたい。
  105. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 臨時医療保険審議会というのは、発足の際につけた名前でございますが、この審議会を設けます基礎は、昭和二十七年のたしか一月三十一日の閣議決定だつたと思います。これに基きまして発足をすることになつたのでございまするが、御承知の通り、その後数日ならずして日本医師会の幹部の総辞職がございまして、三月の末になりまするまでの間は臨時代理のような恰好で役員がおられまして、その間はそうした問題につきましてもいずれ正式に役員のきまるまでということで一向に話合いが進まなかつたのでございます。他の関係団体にも一応の構想を立て、委員の委嘱をいたしましたけれども斡旋方をお願いいたしましたけれども、医師会の顔触れがどういうことになるかによつて我々も考えるというようなことで、これ又足踏みの状態が続いてしまつたのでございます。新役員がきまりまして以後即刻私どもとしては話会いを始めたのでありますが、その関係上結局臨時医療保険審議会という名前の下に第一回の会合が開かれましたのは昭和二十七年の六月でございました。今先生のおつしやつた三月末日はそういう事情ですでに過ぎ去つてしまつたのであります。そこでその後その審議会の運営につきましても私どもとしては、これは単なるいわゆる諮問機関とは違うものであり、厚生省が具体的に幹事側として何か案を出してそれの中心に討議をするという限定された態度で審議会の運営をすることは適当でないであろうということか第一回の会合のときの各委員の御意見でもございました。私どもも又さように考えましたので、その皆さんの御意見の通りにいたすことにしました。そこで各委員からこの医療保険審議会におきまして審議をいたします題目或いは収集すべき資料等につきましてはそれぞれ一つ見合うことにいたしましようということにして発足をいたした次第であります。  そうしてやつております中に結局いろいろな問題が持つて参られたのでありますけれども、審議の結果結局こうした個々の問題を一つ一つ末梢的に取上げて参つても、百年河清を待つにひとしいようなことでもあるから、相当問題はむずかしかろうけれども一つ原則論をきめてかかろうじやないかというような話が出ました。その結果まず日本医師会から社会医療の三原則といいますか、そういうふうな標題の原則論が提出されたのでございます。これを一、二回審議をしておりますうちに保険者側からの五原則が出るというようなことでそれが俎上に上りまして、なかなか議論百出で結論を得るに至らなかつたのでございます。尤も選挙等のために昨年の春二、三カ月、三カ月くらい関係者が立候補されるというような向きもありまして、止むを得ず三カ月ほど休会をするの余儀なきに至つた事情はございますけれども、問題は結局そういう基本的な問題に取組みをし、而もなかなか議論が多くて、一つの結論に到達することが困難であつたという経過でございます。そこで昨年の選挙が終りまして再開をされました審議会におきましては、委員の内部からも、又他からも実はお願いをしたのでございますが、こういうふうな原則論ばかりやつていてもしようがないのだから何とか一つ結末をつけ、結論を出さなければなるまいというような話になりまして、総合の決議に基いて小委員会を作り、小委員会におきまして急速に結論をとりまとめるというようなことにいたしたのであります。ところが小委員会におきましても、依然として意見のまとまりがつかない見通しでありしたので、そこで小委員長をやつておられる今井委員から、今井メモというような意味でいろいろな意見のありそうな問題を拾い上げて、こんなものでも材料に議論をしようじやないかというようなところまで参つた次第でございます。その後実は最近のごたごた等もありまして、大変申訳けございませんが、これ又再開をすることもできず、又これには実は内々医師会側の委員の御要望等もあつたのでありまして、暫らくこの二、三カ月開会をいたしておりませんけれども、最近まではさような経過になつております。
  106. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 将来適正なる単価の検討は、今の臨時医療保険審議会でおやりになりまするのか、或いは中央医療協議会でおやりになりまするのか。どちらですか。
  107. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 臨時医療保険審議会が発足いたしました趣旨は、先ほど中山一先生がおつしやいました通りでございます。私ども考え方は、臨時医療保険審議会におきましては、余り具体的なところまで触れないで、単価の問題を取上げるにいたしましても、大綱的なものをきめて、その結果それを尊重して、法律に基く機関であります社会保険医療協議会で正式に審議をして頂くというような、結果ごおきましては二重の措置になりまするけれども、そういう措置をとるのが至当であるというふうに考えております。
  108. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 中央医療協議会の従来の運営のことについて承わつておきたいのですが、私は最近中央医療協議会のメンバーの中立の委員の方が私のところに来られましていろいろ今日までの審議の状況を聞かされたのであります。その人の話によりますというと、従来中央医療協議会というものは三月に一遍ぐらい開かれる。そして大体月の月末に開く。あらかじめその審議事項の予告はない。行つて見ると今日はこういう問題をやるのだ。これは今月中にきめるのだ、こういうふうな態度で審議を進められておる。五月二十七日の点数引下げのときにもやはりそれと同じことで、今月中にはこれをこうきめるのだ。そして医師会側の委員の人がいろいろ意見を述べ、そのときに中立委員の或る人が医師会の言うことは尤もだから、もう少し意見を闘わそうじやないか、こういう話も出た。ところが会長は、それをとらないで採決をした。又厚生省の役人が中央医療協議会のメンバーの一人になつてつて、厚生大臣の諮問の答申に意見を述べることは私は妥当だと思う。併しながら採決に加わることはどうか。中立系の人もやはりそういう意見を持つている。あのときの採決の仕方も少し無理じやなかつたか。無論只今保険局長の説明のように、薬品の下つたものを点数を下げるということはわかつたけれども、高くなつたものもたくさんある。高いほうは一向無頓着、下つたものばかり点数を引下げるということでは、医療担当者のほうは首肯できない。殊に二十六年以来のいきさつもありまして、一点の適正なる単価というものがまだきまつていない。殊に又課税の問題でも、従来了解事項の下に三〇%になつていましたものが、これは御破算になつて、現在今年の徴収率というものが大体四〇%内外、地方によつて若干の差はあるようであります。そういうふうな状況でありますので、単価は据え置きである。それから税のほうは御破算になる。薬品の安いものは点数を値下げをした。上つたものには一向触れていない。これではどうも医療担当者は困るじやないかというようなことが原因となつて医療担当者がいろいろな騒ぎを起すように相成つたように私は想像いたしているのであります。全体中央医療協議会の審議状況は従来そういつたものでありましようか。これは私は一方的から聞いた話でありますから、これもこの機会にお尋ねをしておきたい。
  109. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 中央社会保険医療協議会の議事の運営の仕方につきましては、一部委員の方に前以ての御連絡を申上げないで開く場合もありますることは事実でございます。併しこれは私どもといたしましては、社会保険医療協議会に直接重大な関係を持つておられまするのは、医療担当者及び保険者でございます。そこで最近の医療協議会の会議を開きます前は、そうした関係者とは完全に了解をつける努力をいつでもしているのでございまして、少くとも数回、十数回の交渉を重ねるというのが最近の実情でございます。で、委員は総計二十四人の構成でありまするので、一人々々の立場の方方に、それぞれ前以て御了解を頂くというようなところまで手の及びません場合のありますことは、どうも私どもも止むを得ないように思います。併しそれでいいということも申せませんから、極力委員の方に前以て御了解をつけるようにはいたしたいと思いますが、そうかと言つて一人々々の委員の了解をつけなければ会議が開けないということも性質上如何かと思います。直接利害関係の多い団体につきましては、今申上げたように、前以て十分な折衝を重ねるという措置で今日まで来ておりまするし、今後ともこの点は続けて参り、なお一人々々の委員といいますか、公益の代表委員でありますとか、或いは被保険者、事業主委員等につきましても、今後も連絡は十分にとるようにいたしたいと思います。それから月末にのみ開かれるというお話がございますが、必ずしもそうでもございません。今回の問題につきましてはいろいろ時日の関係もありまして、四月の三十日と五月の二十七日ということでございますが、前回の点数改訂におきましては、第一回は月末でありましたが、第二回目は十月の七日、月初めにやつております。これらにつきましては、運用上こういうふうな意見でございまするので、この点も私どもとしては考えて行きたいと思いますが、それは月末に、十五日過ぎに会議をして、これを翌月の一日から実施するということは、趣旨の普及徹底のためにも、時間的に無理もあるから十五日以後にきまつたものは、翌々月から実施をするというようなふうにしてもらいたいということが、二、三回前の医療協議会で話題に上りました。大体関係者が決議という形ではございませんけれども、了承された恰好でありまして、私どももその趣旨で運びたいと思つておりました次第でございます。今回は、特にそれにもかかわらず、もう話はわかつているのだからというので、六月一日の決議は行われましたけれども、これは私どももその辺のところは考慮いたしまして、一カ月実施を延ばした次第でございます。
  110. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 過去のことは仕方がありませんが、その後日本医師会と厚生省との間に四項目の折衝事項を私ども聞いている。その第一は点数のアンバランスを是正するということ、先刻も申上げましたように、安くなつたものを安くするというのはこれは当然なんです。併し高くなつたものは点数を上げるということもこれ又当然なんです。だんだん聞いて見ますというと、そういう是正を要する項目が三十六、七項目ぐらいあるということでありますが、現在折衝は、日本医師会と厚生事務当局との間にどの程度進行されておりますか。それを一つ承わりたい。
  111. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 点数の不合理があるという主張につきましては、五月二十七日の医療協議会の前から話がございまして、私どもとしては、当時の日本医師会の関係者に対しまして、具体的に一つ御意見を聞かしてもらいたいということを申入れまして、一応の意見を頂いておるのであります。この問題につきましては歯科医師会につきましても同様の希望がかねてからございまして、これ又私どものほうに意見を申出ておるのでありまして、私どもはそれぞれの関係者から数回に亘りまして担当課長が趣旨の説明を聞きまして、それに基いて技術的に只今計算をいたしておる最中でございます。従いまして日本医師会の交渉それ自身としては今おつしやつた三十数項目のことについては一通り説明を聞きまして、目下私の担当者のところで計算をいたしておるところであります。なお併しながらそれとは別途の意味におきまして私は日本医師会の幹部から直接伺つておるのでありますけれども、この三十数項目という問題に余りとらわれてもらいたくないという、全然違つた角度からの話が出ております。というのは、三十数項目というのは一部の医師にのみ関係のあることであるので、もつと全般の医師に関係のあることを取上げて欲しいというような、極めて抽象的ではございますけれども、若干具体的な希望も入れましたそういう角度からの御注文も出ております。私どもとしては実はそれが正式の意見でありますとも受取れない節がございまして、実は前の三十数項目に対して責任者の方に、首脳部の方に意見を質しますと、いやあれは日本医師会の意見ではないのだというようなことをはつきり言明されているような事情もございまして、只今のところ日本医師会の正式な意見はどこにあるか、或いは要望がどこにあるか、私どもとしてはつかめておりませんが、併し私どもとしては一応先ほど申上げたように三十数項目の改訂試案というものが出ておりますので、これを基礎にして検討をいたし、更にその他の事項につきましても私どもの立場から今検討を加えているものもあるような次第でございます。
  112. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 その三十数項目というのは、たしか保険局長と座談の際にどなたかから聞いたように私は記憶しておりますが、要するにこの点数のアンバランスを是正しなければならんというものが相当広範囲にあると思います。そこで是正するといたしましても、一つの枠内でこれをやりまするならばこれはプラス、マイナス零です。でありますから私は草葉厚生大臣に伺つたのでありますが、このアンバランスを是正する場合に従来の枠を外していいのか、当然これは外すべきものじやないかということをお話いたしましたところ、それはどうも外すことは止むを得ませんということを肯定された。これは私一人聞いたわけではない、たくさんの人が聞いている、これは止むを得ませんという答弁をされたのであります。でありますからこのアンバランスを是正するということは今日の医師会の騒ぎというものに大きな影響がある。私としては一日も早くこれは一つ双方が熱意を持つてやらなければ私はまとまらないと思う。政府当局に熱意と誠意がなかつたらこれはできやしません。中央医療協議会の決議に待つわけでありますから、多数で以てこれが葬られればそれきりであります。今言う通りに二十四名のメンバーがあるということもそれも今日承わつたのであります。これは政府が相当な熱意を以てこの是正の衝に当り、又是正した以上は中央医療協議会を通すという熱意と誠意を持たなければこれは実現しないと思う。政府はそういうような確固たる信念をお持ちになつておるかどうか。これもこの機会に一つ念を押しておきたい。
  113. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私どもの基本的な態度についてのお尋ねでございまするから、はつきり申上げておきたいと思います。従来から公式に私どもとしてはこの種の問題につきまして私ども考え方なり、態度なりを申上げた機会があると存じますが、私どもは必要な費用或いは診療報酬をきめるということは先ずこれを第一義的に考えて行くべきであるというふうに考えております。現在の保険財政がこうであるからということを頭においてこの種の問題を考えるという態度は今日までとつておらないのでございます。結論としてどうしてもこれは上げなければならないという結論になりますれば、先ず第一義的にそれをきめてかかる。ただ私から申上げるまでもなく御了承願えると思いますけれども、さて併しそういうことでやるべきだということを決定をいたしましても、私のほうの立場はそれだけですみません。必ずこれにつきましてはそれの実行を裏付する財政措置を考えて行かなければならないわけであります。その財政措置につきまして私どもは必要と認めまする以上は、関係の向きと折衝いたしましてこの実現に努力する考えであります。今回の点数の改訂につきましても私どもは従いまして頭から財政がこうであるからというようなことを念頭に置いて仕事をしているのではございません。飽くまでも必要なものは必要なものとしてやるという考え方、その必要な結論が出ましたならばそれを裏付ける措置につきましては関係方面とお話合いをし裏付をして行くというような態度で臨んでいる次第でございます。
  114. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 必要な金を関係方面へ交渉するこれは尤もな話であります。どうせこれは費用を増すことになります。そこで一点の単価を一円上げても百八十億円ぐらい金がかかる、なかなか数円を上げるということは現在の国情、国の財政から言つて非常に困難じやないか。従つてこれを何んらかの方法によつて財源を見出さなければならん、その財源の見出し方につきましてはいろいろ考え方がございます。これは理想的に言えば保険の原則から言えば好ましくないことかも知りませんけれども、或いはこれは一部負担というようなことを行うということも一つの方法ではないか、一部負担の取り方につきましてもいろいろな方法が考えられます。一番これが妥当であるというような結論が出るならば、こういう方法も一つのこういう経済の危機を突破するためには忍んでも、これをやらなければならない。この春この厚生委員会で保険局長質問したときには保険局長は一部負担をやる意思はありませんということをはつきり答えられた。然らばこの経済の危機を突破するためにはどういう方法を決意しておられるか。私はこの今日までの社会保険の円満なる発達を保つて行きますためには、保険医も被保険者も関係者もおのおのがその立場において堪え得ることをして行かなければならない。保険医のみが犠牲を払うということはいろいろの問題がそこに起きて来る、座り込みが起るとか、デモ行進が起るとか、なお将来どういう社会不安を起す状態が起らんとも限らない。そういうことになれば被保険者に非常な迷惑をかける。ここは三者お互いに譲り合つて何らかの融通の方法を講ずることによつてこれは私は解決付くと思いますが、その点に関して保険局長どういうお考えを持つておられますか。
  115. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 一般的に今中山先生のおつしやつた関係者、保険者、医療担当者がともどもに理解をし協力し合つて行かなければならないという趣旨におきましては、私は全然同感でございます。併しながら今先生のおつしやいましたことはまだ私としては必ずしも全面的に肯定をし得ない段階でございます。と申しますのは、今先生の質問になりましたのは、この際点数のバランスにしても単価にしても上げなければならないということを前提として御議論をお進めのようでございますけれども、私どもとしては上げなければならないかどうかということにつきまして、なおまだ検討している最中でもございますし、今後十分検討をして行かなければならないと思いますので、そういう結論を先ずきめてかりかかるということも如何であろうかと思います。先ほど私が申上げたようにそういう私どもとして上げなければならないという結論が出て、その財政の裏付をいたします場合にどうするかということについては又おつしやるような方法もございますし、或いはその他の方法による場合もあろうかと思います。そういう意味で検討して行きたいと思います。具体的に一部負担を挙げてのお話でございまするが、この点は私前回本委員会で申上げましたと同様の考えを本日なお持つております。一部負担に逃げ込むというような考え方であつては私は被保険者の了解を得ることもむずかしいと思うのでございます。ただ、現在被保険者の負担になつております初診料相当分、この初診料の点数が他に比較して低いので上げなければならないということであれば、それだけの意味でありますれば又話は別になろうかと思いますが、併しそれにいたしましても、現在の保険制度の建前が現物給付の建前でございますので、一部負担を、療養の如何を問わず一部負担を引上げをするということにつきましては、まだ現在の制度の建前そのものから意見も多いことと思つております。そういう意味合いにおきまして、私は今ここで一部負担に逃げ込むと言う語弊はございますけれども、一部負担によつて問題を解決するということは、これは今申上げたような理由から実際問題としてはまだ相当困難が伴う。結局なかなか問題がむずかしいという実は一語に尽きるのでございますけれども、只今のところそういうように考えております。
  116. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この適正なる単価の問題は、先刻もお話のように、二十七年の三月から臨時保険医療審議会が発足してすでにニカ年以上を経過してまだ結論に達しない。今日から検討いたしましても、これがいつ結論に達するのだという見通しは私はつかないと思う。そこでつかないままでこのままに放つておいたならば、今日の混乱状態がどういうふうになるかということも一つ考えて頂きたい。臨時の場合に処する臨時の方法も考えて行く。私ども一部負担などということは決して喜ぶべきことじやないと思う。初診料にいたしましても現在は各保険医で均一であります。四点であります。四点プラス・アルフアということも一つの方法であると思つておりますけれども、これが果して是か非かということは十分検討して行かなければならない。要するにこのままでただ漫然と時を過ごすのでは、今日の不安状態は私は非常に続くと思う。何らかこの不安を鎮めるために臨機の処置をとらなきやならんじやないか。保険料を上げると申しましても、保険料は上げられません。現在最高三万六千円ですか、これを上げてみましたところで、そういう上げる階級の人は数も少いのですから、幾ら上げてみたところで知れたものです。併し何らかの形で保険経済というものを少し潤して行かなきやならん。昨年から二割の国庫補助が出ております。これは非常ないいことだと思つております。何らか保険経済を潤すのにはどうしたらいいか。それは根本的の社会保険の改革、社会保険の統合整備というのはこれは今まで審議会からも二回まで勧告されております。これも政府としては何も着手しておられない。この問題もこの春保険局長にお尋ねしたときに、まだ何もやつておらない、各省にまたがつておるからやつておらないと言う。各省にまたがつておりまするけれども、主たる省は厚生省であります。厚生省がやはり何らか案を作つて関係各省に会議されて最後の結論を出す。今日の社会保険ほど複雑なものはない。どのくらい事務費がかかつておるかわかりません。整備統合すれば非常に事務は簡素化され事務費は非常に節減でき得る。この節減した費用を必要なところに使つて行くということで保険経済が潤うという工合に考えております。併しこういうことを達成いたしまするのには、相当期間がかかると思う。その期間を待つておることができるかどうかということが問題であります。又課税の問題にいたしましても、課税の法文化ということが今主張されておる。了解事項じやいかん、悪例だということでこれは撤回をされたのであります。大蔵当局に聞くと適正なる単価を早くきめてもらいたい。医者のほうだけに課税の軽減を法文化するということも非常な困難な事例を伴うのだ、こう言つておられる。これも一応理窟がある。全体課税の問題は大蔵省の問題だ。厚生省に交渉する問題じやありません。併し単価問題と課税の問題というのは関連しておりまするから、勢い厚生省にも行かなければならん。厚生省のほうでは自分の主管事項でありませんから、いや努力をしておるけれども大蔵省でいけなかつた。この春のこの厚生委員会でも私は草葉厚生大臣に課税の標準は二四乃至二八になつたのか、前年通り三〇%です、これは閣議でも決定いたしましたと皆さんの前で確答をされた。併しそれは実行できていない、こういう情勢でありますから、私はこの課税の法文化ということも、それは厚生省の立場と大蔵省の立場では非常に違う。厚生省では重きを置かれますが、最後の結論は大蔵省が決定する。社会保険の根本的改革ということは、これは私は厚生省が主体になつてやられるべきことだ。関係の各省に会議されることは当然でありますけれども、誰かが一つ主体にならなければこのむずかしい問題は解決できない。解決できないからと言つて手をつけなかつたらいつまで経つたつてできやしません。そのためには非常なる事務費も使つておる。日本の法律くらい事務が複雑になつて事務費を使つておる国はありませんよ。事務の簡素化を図つて事務費を減らして、必要なる方面にその経費を廻すということによつてのみ円滑なる運用ができると思う。こういうことを一つ考えを願わなければならん。ただできんできんと言つて日を過ごされては困る。今日以上医療担当医が騒ぎを起したらどうなりますか。第一に迷惑をこうむるのは被保険者、保険診療は制限診療だということを言われておる。無論この予算の枠の中で診療するのでありまするから、野放しにはなりませんけれども、およそ今日の進んだ医学をやはり保険医診療にも応用しなければならんというのは、これは定説であります。できるだけ進歩した医療を被保険者に対して行わなければならんということは当然であります。それにはどういうふうにしたらば医療経済が賄つて行けるかという大きな原則に向つて当局は大いに反省をしてもらわなければならん、こう私は思つております。こういう点について政府当局のお考えを一応聞いておきたい。
  117. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) いろいろの方面からのお話でございまして、私からお答えを申上げるのには少し荷の重過ぎるような問題が多いように感じますが、先ず社会保険の統合改革の問題でございます。お話の通りその必要なことは私ども自身も痛感をしておりますし、又各方面から強く叫ばれておる点でございます。放つておるじやないかと言われれば、確かにそういう結果になつておることもおつしやる通りでありますが、これもいろいろ見方がございまして、一挙にあらゆる社会保険を一本にまとめるという行き方、考え方もありましようし、又直接政府関係の事務費或いは保険者の事務費ということ以外に事業主関係、いわゆる被用者保険に関係するものについて取りあえず一本にする。そうすることによつて政府自身の事務費を節約しますと共に事業主の負担を軽減して行くという方向へ先ず第一歩を進めるべきであるというような御意見もあるのであります。又申すまでもなく社会保険の中には医療保険あり、年金保険あり、或いは労災保険というような特別な制度あり、失業保険もあるというようなことで、種類的には違うものがありますが、種類の同一のものを一本化するという角度で考える立場もあるわけでございます。そのいずれを先にすべきかということは又社会保険統合問題を論ずる私はポイントであると思うのでございますが、それぞれにいろいろ難関がございまするし、又機械的な統合だけで果して目的を達し得るかというような議論もあるわけでございます。私が途中で申上げました、少くとも被用者保険についてのみ先ず一本化するということが私どもとしては事業主の負担を軽減する上からも適当な方法であると考え、これが又保険財政全般に好影響を来たすものであると考えておるのでありますが、それ自身も他の省との所管の関係もありまして、非常に反対も強くて、今日私どもの力では実現が困難であるという見通しになつておる次第でございます。その他の立場からの統合につきましてはそれぞれ又利害得失もございまして、今日考えもし或る程度の話し合いもしてはおりまするけれども、急速に実現をいたし得ない状況でございます。  それから保険医の立場がらも考えて急速に手を打つ必要があるというお話でございますが、この点は私どもも同感でございます。手を打ち得るものからでもいいから逐次やりたいという考えでおるのであります。先ず第一に先ほど申上げました点数のアンバランスの是正ということでありますが、これは勿論日本医師会にも公式に私どもお約束をいたしておる、八月一ぱいには検討の結論を出すということを申上げておるのでありまして、今日只今担当の課におきまして、先ほど申上げましたように非常に夜に日を次いで実は計算をいたしておるような実情であります。これは医師側からの主張ばかりでなく、先ほど申上げましたように歯科医師会側からも同様の、多数の項目についての御意見が出ておりますので、これらを併せますると、実はこの約束はすでに先々月からいたしておつたのでありますが、途中話合いがごたごたのために切れまして、進行が延びた事情もありまするけれども、そうした多数の項目をそれぞれ又他の方面に関連の多い問題でありまするが、期限を限り八月一ぱいに結論を出すということそれ自身に相当の無理があるように思つたのでありますけれども、それにもかかわらず私どもとしてはそのような約束でもありまするので、今検討を急いで結論を出すべく努力をいたしておる次第でございます。  単価の問題につきましては先ほど申上げましたような方法で医師会との了解の下に話を進めるつもりであります。これも先ほど触れましたが、臨時保険医療審議会におきましては、原則論が各方面から出ておりまして、実は医師会側でも当初出された三原則を今日の段階ではまだその正当性を主張されて、他の関係者からは又それに対するいろいろ意見が出ておりましてまとまりがございません。そこで私自身が実は厚生大臣と日本医師会の代表とのお話合いの席上で日本医師会の代表にも申上げたのでありますけれども厚生省自身も会長はじめ関係者にそういう趣旨でお願いをいたしまして、日本医師会といたしましてもそういう単価の問題を俎上にのせて検討をしてくれということでありますれば、医師会自身の立場からも臨時保険医療審議会における態度をお考えを頂いたほうがいいんじやないかというふうに申上げたのであります。その点も了承を頂いております。そういう角度でこれは検討がすぐに始まるものと予想いたしております。いずれにいたしましても、税の問題といたしましても、中山委員御承知の通り、いろいろ話合いも進んでおるので、できるものから一刻も早く実現をすべくやつております。ただ、いずれにいたしましてもそれぞれの問題が関係する面も多いことであります。基本的にむずかしい問題もはらんでおりまするし、あれやこれや、二日や三日或いは数日の中に結論を出すということは困難でありますることは御承知を頂けると思います。御趣旨のような線で努力をいたしておる、誠意をもつてつておりますることを御了承願いたいと思います。
  118. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 この前年から予算の中に四億ほど計上されて個々の診療費の未払いを解消するということになつておりますが、この未払いはよほど解消をされたのでありますか。実績はどういうふうになつておりますか。
  119. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 今数字を持つて来ておりませんので、数字に基いて正確に御説明がここではできませんが、大体のことを申上げたいと思います。当初私どもは御承知のように三年計画で未払い診療報酬の解消を、貸付制度によつて解消をしようと思つて始めたのでありますが、尤もこれは昭和二十七年度末三十億程度になると見込まれます未払い診療報酬全部を対象としたのではないのでございまして、当然政府の貸付金でございまするから、努力をしており財政的にも将来の安心ができるようなところに対して貸付けることにいたしております。たしかその未払い診療報酬の約半額強が貸付の対象になつておるはずであります。そうして結果におきましては四カ年計画で、一年延びまして四カ年計画でこの問題を解消して行く措置をとつたのでございますが、昨年あたりなら実は予想以上に貸付申請が少い。予算に剰余を生じまして他の方面に振替使用をするというようなことでございました。この点は実際に何とかほかにやりくりがついて貸付の申請が来ないのであるか、或いは未払い診療報酬をそのままにして、あとで返さなければならないから面倒だから借りないというのか、いずれにいたしましても保険者側の要望によつて実施いたしました制度でございますけれども、折角の予算が全部消化できないというのが現状でございます。貸付をいたしましたものにつきましては後日数字で申上げますけれども、これは当然貸付の強い条件で未払い診療報酬にのみ充てさせることになつております。貸付いたしました額に相当いたします額と、それに相応する保険者負担分とは当然に診療報酬の支払いに充てられておると見てよろしいかと思います。
  120. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 厚生年金積立金というものは数百億の多額に上つておるんですが、その運営が非常に遅れておつて、なかなか資金運用部というものの方針がむずかしいのです。殊に占領軍がおる当時は非常にむずかしかつたということを聞いておるのであります。これは厚生省で保険料金を積立てて行つて、こういう積立金を必要なほうに今少しく利用されるということはできないでしようか、どうでしようか。厚生年金病院というものが東京と大阪にできておりますが、実に堂々たるもので一ベッド何百万円ということを私ども聞いておりますが、先刻も結核ベッドが足りないということがありましたけれども、ああいうふうに一方では一ベツド何百万円の厚生年金病院ができる、第一国立病院は模範的であるといつても問題にならない。竹中委員のおつしやるように、私ども結核治療というのは居宅診療よりも、どんなバラックでもいいから、これを隔離することによつて感染菌を絶つということが必要であります。こういう有益な事業に厚生年金を還元使用するということがもう少し強くできないものかどうか。保険経済はこれは非常に苦しい立場にある、そういう際にこういうことを一つ当局として考慮されておつたかどうかと思うのですが、この点は如何ですか。
  121. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 厚生年金保険の積立金の還元融資の問題につきましては、一昨年から実現されました。一昨年は病院施設に五億、労務者住宅に十億、それから昨年は病院に五億、労務者住宅に二十億、合計二十五億、本年は病院に十億、労務者住宅に二十三億、合計三十三億というふうに年々増額して融資が行われておるのでございます。この病院関係の融資というのは被保険者の福祉施設としての病院でございまするので、当然その中に結核ベッドは含まれておりますことは申すまでもございません。もつと広くやつたらどうかということにつきましては、いろいろ資金計画の問題がございますが、今日まではさような状況でございます。すでに本委員会におきまして厚生年金制度の保険法の御審議の際に、大蔵大臣からも若干触れて説明もございましたように、私どもとしてもこの融資額はもつと逐年殖やし、融資の対象にいたしましても、何かいいことがございますればもつと拡げて参りたいという考えでございます。  厚生年金病院に触れてのお話がございましたが、これは少し御了承願つておきたいと思いまするのは、これは積立金の還元使用というような形でやつておるのではございませんで、厚生年金特別会計の中に従来から被保険者のための福祉施設費というのがあるのでございます。その福祉施設として厚生年金特別会計の金を使いまして建てましたものでございまして、この特別会計の金は福祉施設という名目がつきません限りは、一般に実は使用はできない事情もございます。この方面からはあれとの比較におきましては如何ともいたしがたい。今のような事情で如何ともいたしがたい実情であります。年金病院が非常に賛沢なものであるということは私ども否定をいたしません。併しながら本来整形外料というものを中心とする病院でございまして、これには相当金のかかる施設でもありまするが、一応一つ幸いにまあ厚生年金保険の被保険者は八百万を超えてもおりますし、そういう人たちのために一つ理想的な病院を作つて見たらどうかというようなことが事の起りでございまして、そういうことで計画もすでに立てたものもございまして、今日やつておりますやり方等につきまして考えなければなるまいというお話につきましては、私も現に考えつつありますので、只今お話の主体とは少しく性質が違いますことをそういう意味で御了承願いたいと思います。
  122. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私の質問はこの程度で終つておきます。
  123. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  124. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。
  125. 榊原亨

    ○榊原亨君 久下保険局長に一、二のことについて簡単に御質問申上げたいと思うのであります。先ほど国保の未払いについての融資が消化し切れないのだというお話があつたのです。そのために、それは国保がまあそういう要求がないのだというようなお考えのように承わつたのでありますが、国保の未払いについての融資の条件が苛酷であるために、貧弱の国保がそれを借り続けることができないという事情はないのでございますかという点につきまして承わりたいと思います。
  126. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 条件が苛酷であるかどうかという、その言葉は別といたしまして、確かに保険料の徴収成績が悪いところには貸付けをいたしておりません。或いは保険給付の内容が低劣なところに貸付けをいたさないということになつておりますから、従いまして私ども言葉で申しますれば、成績の悪い国民保険の保険者には貸付けをしないということになつております。そういうところは借りたくも借りられないということになつております。
  127. 榊原亨

    ○榊原亨君 只今保険局長がおつしやいましたような国保の貸付が予定額に上らないというのは、何も国保のほうに要求がないわけではないのであつて、本当に借りたい弱小の国保は条件が苛酷なために借りることができないという実情であります。従いましてその点を十分今後において御考慮をお願いしたい。  第二点は、先ほど久下保険局長社会保険医療費については保険経済を考慮せずに要るものは要るのだということを認めてのお話であつたのでありますが、これはさようでございますか。先ほどのお話その通りに承わつてよろしうございますか。
  128. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私があとから附加えましたことも一つ併せて御了承願いたいのであります、先ず第一義的には必要なものは必要なものとして認める。その上でそれに支払いがプラスになる財源が必要であるということになりますれば、私どもとしてその財源措置として又手を打たなければならない。実施をし得る段階になりますには、やはりその二つの条件が整いませんとできないということを申上げたのであります。
  129. 榊原亨

    ○榊原亨君 この点が問題でありまして、この社会保険におけるところの医療費は私はどうしても保険経済にやつばり関係するのではないかと私は思うのでありまして、従いまして保険経済に関係なしに医療費が要るものは要るのだというようなお話でございました。あとからいろいろお附加えになりました点を考慮せいということで、わかるのでありますが、それにいたしましても全国の医療担当者が今非常に問題を起しておりますのは医療費の構成部分でございますところの所要経費、実際に要る費用と並びに技術に対する評価の費用、この二つあるそのうちで、技術に対する評価の費用が非常に低く見込まれておる、或いは非常に少いという点に不満の根本を打つておるのでございます。具体的に申しますれば、世界中で一番医師の技術に対する評価の低いデンマークにいたしましても、そのところのCPSの大体二・六倍ということになつております。多いところになりますと五・五倍とか六倍とかいう指数でありますのに、日本の国におきましては医師の技術に対する評価はCPSの一・二という指数を示しておるのでありまして、この点において非常に不満を持つている。若しも世界におけるところの経済の状態にパラレルに行きますれば、日本の医療費に対しまするそのうちの技術評価は日本のCPSの三・九六という指数を示さなければならんのでありますが、先ほどから今目下その医療費について検討しているんだ、いろいろ考えておるんだ、この保険経済ということも考えるが、そのほかに要るものは要ると考えておるんだというお話でありますが、それには医師に対する技術料を大まかに申上げまして私が申上げましたような世界水準に近い評価をする、実際できんことはできんいろいろな事情がございますが、どんなふうに技術料をお認めになろうとしておりますか、その辺を承わりたいと思います。
  130. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) お話の問題は或いは御質問と少し外れるかも知れませんが、私は現在の社会保険の診療報酬の点数単価制度それ自身が国に依存をするような建前になつてつて、医者の技術というものだけを考え建前をとつておりませんという意味合いにおきまして、従来から御批判のありますように社会保険診療報酬の建方を変えなければなるまいということを私ども考えておる次第であります。併しながらこの角度から問題を論じて参りますれば、現在の点数制度を全部崩しまして建直しをいたさなければなりませんことになりますので、その必要性は認めながらも、相当な時間をかげながら実行ができません状況でございます。それと又離れて只今のお話の問題は現在例えばストマイの注射は一グラム一回の注射で六点という技術料が含まれております。六点が低過ぎる、一般の注射は三点、四点と、ものによりましては技術料が見てある、それが低いじやないかというような意味合いにおいての論議でございますと、他国との比較においては確かにお話のようなことが言えると思います。ただ、私どもは前に医薬分業に関連した診療報酬審議会と申しますか、臨時報酬審議会でも話が出ておりましたように、医者の技術料と申しますか生活費、生計費と申しますか、そういうものをCPSの何倍とおつしやつたような三・九倍というようなものに見るかどうかということは、やはり国民の経済力との睨み合いがなければ、簡単に結論は出ないと私は考えておるのであります。確かに上げることが望ましいことは、そう申してもよろしいのでありますけれども、さりとてさう簡単に上げられるかということになりますると、これ又別の角度からの検討も必要になつて参ります。私は現在の段階におきましてはこれでいいということは申しておりません。現在のままでいいということは申しておりませんけれども、さて併しながらおつしやるようなところまで上げなければならんというようなことはまだ考えておりません。その辺は先ほど来申上げているような角度から、今後の検討をお待ちを頂きたいと思います。
  131. 榊原亨

    ○榊原亨君 只今の保険局長のお話は前段の場合と後段の場合に食い違いがありまするし、論旨が一貫しておりません。併しながら今日は時間がございませんので、これはいずれ小委員会においてでもいろいろ御検討をお願いします。
  132. 山下義信

    ○山下義信君 非常に大きな問題でありまするし、又たくさんの問題も含んでおりますから、私もこれはとても五分や三分で伺うことができませんから、他の機会に譲ることにして、一つだけ伺つておきたいと思います。  社会保険医と厚生省との対立の関係は、これは非常に私は重大に見ておるのです。それでまあ批評はしませんが、近頃の厚生省やり方はぎこちないのですね、何かしらぎごちない。それで非常にうまい厚生行政が行われているとは言えない、何の問題にしてもですね。一昨日来からやつている諸問題みなことごとく然り。それでどうしてそういうふうにぎこちなくやらなければやつて行けないのか私にはわからん。いつ厚生省行つても、さあ何か陳情だと言えば大門を閉じて守衛でかためて、そしてああいう行き方をする。背後に何があろうとかにがあろうと、もつと厚生行政というものが大らかにやるやり方はないかと思う。そういう批評はやめますが、私はそう感ずるのです。それで、今の社会保険医と厚生省との対立の関係は、これは私は保険制度の上の重大な危機だと思うのです。それで今の先日来から全国に亘つて行われている社会保険医のいわゆる起大会といいますか、私はあれはいつものおどかしの手と同じじやないと思う、私はね。最近関西の或るその会へ出てみましたが、実に悲壮な空気がただようている、いつものおどかしではないと私は思う。それでそういう意味でたた単に医療保険の医療の担当者のそういう一部の職域の利害関係のみ私はいつもの調子ではこれを看過することはできないという気持がするのです。で厚生省は基本的態度としては、先ほどから中山委員の傾聴する質疑があつて、その中にも触れておられたのですが、はつきりしないので私伺うのですが、或いはこういうことは厚生大臣に聞いたほうがいいかもわからんが、併し何と言つても実際の実務の担当者は保険局長ですから伺うのですが、基本的態度としては社会保険医を向うに廻して一戦交えるというその覚悟ですか。どうもこの態度が挑戦的に出ているように思う。それでもう頑として既定方針で、場合によつては一戦を交えるというのならそういう意気軒昂たるところを一つこういう席ではつきりしておいてもらいたい。ぬらりくらりは私はいかんと思う。もうそういう態度ではこの段階ではいけないのではないかと思う。それならば、いやそんな一戦を交えるとか、挑戦的な態度ではありませんと、あくまで妥協する方針でありますということならば又聞いてみたいこともある。私は根本的にどういう態度を持つていられるのかということを承わりたいと思います。  ですからその根本的な方針をおつしやつて頂いて、それで一つの例として例えば今の点数改訂ですね、これは今の若し後段の妥協的精神だという、そういう方針があるならば、そういう方針がどこへ出ているかということを第一三者である我々に一つ御説明を願いたい。私たちは公平な見解を下したいと思う。これを先ほど中山委員の言われたようにこの前の谷口君が日本医師会長であつたときに、あれだけのやかましい単価の増額の問題をあの程度の十二円五十銭、十一円五十銭で抑えたときに確かに暫定措置であると、だから他日根本的に変えるということを言つて一時的になだめたのです。そのことが非常に不徳義だと叫ばれておるが、第三者が見ても納得しがたい。それがこのたびの点数改訂等如何に斟酌が加えられているのかということを我々第三者にもわかるように一つそれを具体的にお示しを願いたい。
  133. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 先ず根本的な私どもの態度についてのお伺いでありますが、私どもは決して挑戦的な態度で臨んでおるつもりはございません。できるだけ話合いをつけ、了解のついたその上に立つて社会保険の仕事を進めている。又御協力を得たいというつもりで今日までやつて来ておるのであります。その具体的な現われはどうかというお話でございまするが、例えば卒直に申上げますと、実は今回の点数引下げの問題は、いろいろないきさつもあるのでありますが、それ自身として、先ほど来申上げておりまするように従来の慣例から申上げれば、それ自身としてすでに実施して差支えないと我々は考えて参りました。ところがたまたま一方におきまして結核治療指針の改訂がございまして、今回の点数改訂の最も大きな部分を占めますストマイの問題につきましては、新たに併用療法が認められたり、或いは使用期間が四カ月であつたのが、六カ月に延びておるというような、国の医療機関に対しましてはそういう角度において収入の増す問題が当時実は予想せられたわけでございます。そこでそれで一緒にやるほうが刺激が少くて済むであろうということで点数改訂の、値下りに伴う点数改訂それだけのことでありまするが、すでにもう二月下旬交渉を始めたと申しましたが、その頃に結論は出ておつたのであります。併しそういう問題を一緒にやつたほうが影響が少いであろうということを考慮いたしまして、その治療指針の答申が実は三月末までに行われるというのが四月二十日頃になりましてそれまで実は待つたというような実情一つございます。これは誠に私どもとしてはできるだけ刺激を少くし御協力を得る御説明のつくようにしたいという意図、考え方から、保険者側から相当に意見がございましたけれども、御説明をし了解をしてもらつて治療指針の改訂と一緒に実施することにいたしたのであります。もう一つは、先ほどもこれは御説明の中に申上げましたが、保険者側は四月の三十日にすでに話はもう大体ついたと見てもいいと、従つて月末の五月二十七日、月末の決定ではありますけれども、当然に六月一日から実施して然るべしという強い主張がございまして、医療協議会では多数決ではございましたが、とにかく多数決で、六月一日実施の答申が行われたのであります。併し私どもとしては、医師会の主張もあることでございますので、大臣決裁の形において答申にもかかわらず、一カ月実施時期を延ばしたのであります。これがこの問題に直接関係があつてどもが何とか話合いをつけるためにとりました措置でございます。  なお、これに関連して医師会側から御主張のありました問題につきましては、先ほど中山委員の御質問にお答え申上げたように私どもとしては全力を尽してやりたいと思います。たた、一例を申上げますと、実はこの間も或る程度の公開の席上と申してもいいような席で、医師会の方がこの際注射料を二点上げろということを言つたのであります。そうしなければとてもこの東京都の大会など収まりませんというようなお話がございました。でこれは併しながら相当な大問題でございます。と申しまするのは、社会保険の点数というのは薬治料を基礎にいたしまして長年の間に積上げられた、相互に関連を持つた制度でございます。それを注射の技術料たけを一回ぽんと二点上げるということは、それ自身も相当な問題でございます。従いまして私どもとしては果してそういうことが簡単に結論が出るかどうかということにつきましても、今ここで俄かにそういう場合に早急の場合に御返事を申上げちれない、と同時に又裏から申しますれば、財政のことを申上げますが、四点、大体一般的な注射は平均四点といつてよろしいのです。それを二点上げるということは五割増でございます。そういうこが一体財政的な裏付けがつき得るかどうかということになりますと、これ又相当な問題でございます。問題は要するにそういうことでございまして、私どもは十分誠意を以てやつておりまするけれども、具体的にそれじや何を要求されるかということになると、簡単に結論の出ないような問題、或いは又財政的な裏付けにも見通しとして相当な困難を伴うような問題を今ここで約束をしなければ承知できないというようなのが、医療担当者側の御主張であつたと私承知しております。そこに問題のむずかしさがございまして、妥協妥協と申しましても、簡単に私どもの腹芸くらいで話合いのつくことでありますれば、私どもは決してそういうことをいとうものではございません。そういうような関連をする問題も非常に多うございまするし、又社会保険の点数が変るということは、申すまでもなく約二十ほどの関連制度がございます。これに全部影響があることでございます。それらとの話合いをつけなければ私どもとしては簡単にきめられないこともあるのであります。そういうふうにすべてプラスになる御要求をされ、それに対してすぐ返事をしなければというような御態度でありましたので、遺憾ながら私どもは誠意を持つたつもりではありまするけれども、今日まで問題が紛糾しておる事態でございます。  私も今山下先生のおつしやるように今日の医療担当者の動きというものを決して楽観をいたしておりません。非常に心配はいたしておりまするけれども、さりとてそれではこれを抑えるといいますか、話合いをつけるということにどうしたらいいかということになりますと、今一二の例で申上げましたように、なかなか問題がむずかしいということは御了承を願いたいのであります。
  134. 山下義信

    ○山下義信君 問題がむずかしいことですね、保険局長の苦労ということはよくわかる。ですけれども今の答弁では私はまだ少くわかりにくい。で治療指針が変更せられたということは、それは収入の増加にはなる。併し収入の増加の目的治療指針を変更したものではない。これは治療の内容の、私は素人でわからんが内容の向上をされたのであつて、その各地の結核新薬の併用とか或いは使用期間の延長とかいうことは、これはその治療の内容のことで、これは診療担当者の収入を増加させる目的でやつたのではない。ですから収入という点の取引の対象にはならない、自然増加ということにはなるでしよう。それから引下げを急いだという形跡はこれは確かにあるのです。でまあ医師諸君の言われるように引上げのときは何月も上げないで下げるときはすぐ下げる。その上げるときと下げるときを比較して見ると、時間的にもすぐ下げたということも言い得られる。そうすると私の聞きたいと思うのは、点数を引下げた、その引下げの仕方がその前の単価の引上げのときのいきさつの経緯を若干勘酌しておるか、そういうことは勘酌していないかということです。考慮がされてあるかされてないかということ。どつちでもいい、考慮したならしたでいい。考慮しないならしないでいい。
  135. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 今回の措置は、単価の改訂の問題とは全然関係ございません。従いましてそういう埋め合わせをするというような考慮は全然払つておりません。
  136. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。それで筋が立つた。それでそうすると私の印象としては、前のいきさつの厚生省としてのいわゆる政治的徳義というかそういうものは残つておるということになる。今度の点数の引下げの時分に考慮した、或いはこういうことも考慮した……、先ほど久下局長は収入の増すような方法の治療の指針の改訂も、そういうことに幾らか改訂の気持があつたんだというようなことは何かちよつと脇道に入られたのかどうかしらんが、要するにそれとは関係がない。私はそれで筋は立つと思う。それはいいと思う。それはそれでほかの問題としてこういうことを私は一つ聞いておきたい。昨日も東京内の医師の大会があつて、全国の大会があつて、その状況はあなたのほうにわかつていますね。でこれは大変なことですね、でこれは是非未然に防いでもらいたいと思うのですが、どうですか。社会保険医の総辞退というようなことが実現しないように保険当局は、厚生当局で未然に防いでもらわなければなりませんから、それで引受けてもらえますか。飽くまで未然に防ぐということを言つてもらわれますか。それで未然に防ぐと言うならば、それにはどういう手を打つて下されますか。それが私の第二のお尋ねです。  それから第三には、まあ万一に社会保険医の辞退ということが一部であれ実現しましたらどうしますか。どういう処置をするつもりですか。私はこの三点を聞いておきたい。これが当面非常に重大で、国民も非常に深い関心を持つておりますから、この三点を厚生当局としての御所信を一つ表明しておいてもらいたい。
  137. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 私の立場からのみの意見でお許しを願いたいと思います。大変むずかしい問題でもございまするので、こういうようなお話の問題につきましては、正式には厚生大臣ともよく打合せをいたしまして、お返事をするのが至当でございますが、今日のところは私の意見として申上げることをお許しを頂きたいと思います。問題は社会保険医の総辞退ということであります。私もお話の通りそういうことがありますれば、大問題であると思つておりまするし、そういうことが若し起るようなことになりますれば、私どもの責任は果し得ないと考えております。従いまして何とかこの問題を未然に防止する努力を払わなければならないということも考えております。ただ、問題は総辞退をする、なぜ総辞退をするかということに帰着するかと思うのでございます。今回の点数改訂はもう納得できないから、総辞退をするということにつきましては、私は今日まで全国の趨勢を見ておりました。東京、大友、京都戎いは岐阜などで若干問題がまだ残つておるようでございまするけれども、その他の府県におきましては全部新点数を了承をされ、それによつて前月分の支払いの請求が基金に出ております。これは新点数の支払いが行われております状況をとつております。そういう意味におきましては、そうした総辞退という問願は、或いはまだ一部に懸念はあるにいたしましても、大体におきまして私は解消をされる見込みではないかと思います。そういたしますると、問題はそれ以外の、すでに医療担当君側から要求の出ております問題で、今後どう解決するかということにかかるのではないかと思います。私は端的に申上げますると、今医療担当者側が主張されておりまする問題を短期間の問に御納得の行くように実現をするということは非常にむずかしいと思うのです。むしろ不可能に近いのではないか。ただその中の一部につきましては先ほどから申上げておりまするように、我々も努力をいたしておりまするし、又或る程度解決の見通しも立ち得るのではないかと思いますが、全般的に御要求を容れるということは、必ずしも簡単な問題ではないというふうに理解をいたしております。  そこでなお制度的に申上げますれば、保険医はいつでも一カ月の予告期間をおいて保険医たることを辞退することができることになつております。それは保険医たることが、私が申上げるまでもなく公法上の契約の一種でございますので、保険医それ自身が自分は嫌だと言われますれば、これを無理矢理に保険医にしておくということもできないのでございます。従いまして制度的にはやると言われればどうもいかんともこれは抑えようがないというのが制度の建前でありまするけれども、ただ問題はそんなことで済まないことも当然でございまして、私どもは行政上あらゆる手段を講じまして、そういう事態の起らないように善処をいたさなければならないと思うのですが、今、今日の段階で絶対にそれのないような見通しがあるかと言われますると、制度それ自身の建前から申しましても、私としてはこういう席上で断言をするだけの勇気がございません、又もう一面のどういう主張によつて今後総辞退が行われるかということにつきましては、まだまだ今話合いをしている途中でございます。いろいろ日本医師会との話合いも今後進んで参ります。私どもとしてはその話合いを通じて、そうした最悪の事態に入りますることを防止すべくいろいろお話合いをしたいと思つております、そういうような遂によりまして、只今御心配のような状態に陥らないことを期待をし、努力をするつもりでございます。今日の段階におきましてはどうも御質問にお答えしたことにならないかも知れないけれども、それ以上のことは私としては申上げられないことを御了承願いたいと思います。
  138. 山下義信

    ○山下義信君 保険局長としての御答弁はあの程度でしよう。これ以上は厚生大臣でなければ答弁できないと思う。私は今の諸問題に対する厚生大臣に対する質問を保留しておきます。これは久下君は誠に巧妙な答弁ですが、まあとにかく巧妙と言わねばならない。それは今の各地の医師大会で掲げておるその要求条項、スローガンというものは、ただ単に保険関係のみじやないから、若しその問題がしぼられて、一点単価の引上げ或いは点数引下げ、そういつたようなことのみに限られて焦点が限られておるなら、自分は責任を負う。若しその負うた責任を私としては到底それを安易に見ておるわけには行かない。あなたの責任というのは厚生大臣の責任です。が併しながらほかの項目があるのだと、その項目があるのだから、一つそのほかの項目の中には殆んど不可能に近いような項目もあるのだから、今この席で自分の保険局長という立場のみでは全般的な答弁はできないというふうに私は聞いておつた。それはそれでいいと思う。それはそれだ。従つて私は今の保険医総辞退に対する厚生当局の最終の責任ある答弁をここに得たいと思うのですが、一応今大臣もおりませんから、私は質疑を保留しておきます。
  139. 湯山勇

    湯山勇君 私は細かいことで一点だけお尋ねいたしたいと思います。それは今度出される治療指針ですが、従来から治療指針についてば相当批判があつたと思います。余り程度が低過ぎるというような声もずい分聞いておりますが、で今日過去のいろいろなもののしわ寄せでかなり今度の深刻な、今後のような深刻な状態になつておるこの段階で出される治療指針というものは、これはお使いになる医師の方が十分これで満足するような針指になつておるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。なお、久下局長がさつきいろいろお話になつた中に、被保険者側の立場の方はこの問題については賛成しないというような話がありましたか、末端の被保険者、例えば私どもの愛媛県あたりの各健康保険の被保険者たちは、今回の診療報酬点数の合理化についてはこれは賛意を表しております。  更に制限診療の撤廃、こういうことについてもやはり良心的な最高度の治療を病気についてはしてもらいたいということで、これも支持しております。そういう点も一つ是非御考慮に入れて頂きたい、質問は先ほどの治療指針についてでございます。
  140. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 社会保険の診療につきまして治療指針をきめますのは、私どもは必ず日本医学会の正式な答申を待つてつております。それ以外のものは治療指針として勝手にそれを内容を改訂をいたしたりしてやつたものは一つもございません。従いましてただそれは実際に全国の医者がそれで納得するかということになりますると、これでは多少問題があろうと思います。お医者さんによりましては、別途の研究をしておつて、そうしてこれよりもこうしたほうがいいという考えを持つておる者もございましようけれども社会保険のような、何と申しますか数の多い診療を一つの型にはめて行きます上にも、又学問的な問題から言いましても、医学会の答申というものはこれはやはり一応各医者もこれを尊重して頂かなければならない筋でもあり、従来とも一般的にそうなつておると思います。私どもとしては治療指針として取上げられます場合には、必らず日本医師会を通じて日本医師会の傘下に私どもは属しております日本医学会の答申に基いてやつておるのであります。
  141. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 本問題については、甚だ時間がありませんので、十分なる審議が尽せなかつたことは甚だ遺憾であります。ただ、私が御説明を聞いておつて総括的に考えまする問題は、今回のこの一件当り点数の引下げ問題は一つの導火線であつて、医師側から言えば二十六年ですか、単価をきめるときの十一円五十銭は暫定的のものであつて、その後において十分政府としても医師の生活問題については考慮を払わなければならなかつたが、又払つてもらいたいという考え方が強かつたと思われるのであります。それともう一つは、これは医薬分業とも関連をいたしておりまして、いずれこれは九月一ぱいに報告を議会に願つて、私ども審議をすることになつておりますが、医薬分業を実施する場合において、国民負担と医師の技術料、薬剤師の収入、こういうようなものがどのようになるかという問題も控えておりまするし、いま一つは所得税の問題にいたしましても、三〇%ということが実施されておらないというようなところへ持つて来て、今回の点数の引下げ問題が行われた。而もこれは高いものについては引上げが行われずして、引下げだけが行われた。こういうような問題を総合して考えるというと、医師側の考え方は医師側の生活問題、収入問題について、政府に誠意が認められないという不満に立脚しておるのではないかと考えられまするので、今回の問題は、ただ点数引下げ問題ということが導火線になつて、今回の問題が起つておるのであつて、その影響、その原因は相当広範囲、深いところがあると我々は認められまするので、この点は総合的に一つ政府としては対策をお考え願わないというと、問題の解決点にはならないと思う。それについていずれ九月中に御準備を願つて、議会に出されると思いまするが、医薬分業審議会についての、私ども厚生委員会の附帯決議として出しておりまするあの結果は、九月中に厚生委員会に出されるかと思いますが、出されましたときに、私どもは総合的の解決策の一つとして十分審議をして決定をいたしたいと考えております。  ただ一点お伺いしたい問題は、この間の附帯決議の通りに、九月にあの問題の経過報告を出される予定になつておるかという点を伺いたい、
  142. 久下勝次

    説明員(久下勝次君) 只今委員長のお尋ねの問題は厚生省といたしましては、そういう私のところが主管しておりません。勿論関係をし、相談にあずかつておりまするが、そういう意味合において申上げます。国会とのお約束は八月一ぱいにはその資料ができるということを申上げ、でき次第出すということになつておつたので、目下医務局を中心にいたしまして、私どもの係官も参画をし、経過的にはいろいろ相談にもあずかりつつ進めております。お約束通りに大体の見通しは出し得る様子でございます。私としては正確に責任を持つたお答えはできませんけれども、私の参画しておりまする範囲におきましてさように記憶いたしております。
  143. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは、この問題については小委員会を作つて早急に検討を加えて対策を協議するということにいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それではこの委員会の設置と、それから昨日の決定しました例の遺骨送還の問題に対する小委員会を設置いたしたいと思います。これは委員長に御一任を願つて委員長は理事会で御相談を願つて議論願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ではさよう御了承願います。  それからなお、この医師会のこの問題については、すでに今おつしやつた通り、八月一ぱいに報告を議会に出すということでありまするから、これか出ましたときにいずれ厚生委員会を開いて御協議を願います。  それでは名前だけは、中国人俘虜殉難者遺骨送還に関する小委員会、それから社会医療関係の諸問題に関する小委員会、こういうふうに名前をいたしたいと思います。御了承願います。
  146. 山下義信

    ○山下義信君 今の社会医療委員会には今の結核問題を入れるわけでありますね。
  147. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 二つ入れて……。
  148. 山下義信

    ○山下義信君 結構です。
  149. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それじや本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後一時三十三分散会