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1954-08-10 第19回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十日(火曜日)    午前九時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上條 愛一君    理事            常岡 一郎君            竹中 勝男君    委員            中山 壽彦君            榊原  亨君            横山 フク君            湯山  勇君            藤原 道子君            山下 義信君            高良 とみ君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   説明員    厚生政務次官  淺香 忠雄君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    食糧庁長官   前谷 重夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (黄変米配給に関する件)   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今から厚生委員会を開会いたします。  最初に新任厚生政務次官から一言挨拶を申上げたいとのことでございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。それでは浅香政務次官を御紹介申上げます。
  4. 淺香忠雄

    説明員淺香忠雄君) 一言挨拶を申上げます。  今回はからずも次官更迭に際しまして、中山先生あとを受けまして政務次官に就任をいたしました。勿論浅学非才厚生行政は素人でございまして、今後何かと皆様方の御指導なり御鞭撻を頂かなければならんかと存じますが、どうぞ今後ともよろしくお引廻しを頂きますようによろしく一つお願いを申上げます。
  5. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは、昨日に引続きまして本日は黄変米配給に関する件を議題といたします。  先ず草葉厚生大臣から御説明をお願いいたします。
  6. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 最近の外米の中に黄変米があることを発見しまして、これを国民の健康の上から農林省と相談いたしまして肉眼で見ましたところで一%程度以下のものは配給してもいいということといたしておつたのであります。その後肉眼見えません外米の中にも病変菌、いわゆる黄変菌が入つておることがわかりましたので、従つてこれらに対しまして動物実験その他によつてこれを一々検査して、そしてその限度をきめる必要に迫られた次第でございます。  そういう次第でありまするので今回一%程度黄変米を含んでおるものは月に五日、二・五%程度のものは月に一日という限度を定めまして、それであると相当な安全率を加えたのでありまするから、市販に供する限度としては安全であるというので、農林厚生両省のほうで決定をいたした次第でございます。従いまして今回決定いたしましたのは、さよう意味におきまして安全度限度として決定いたした次第であります。たまたまこの点におきまして国民に不安を与えておる状態でありまするが、誠にこの点に対しましては私どもも遺憾に存じております。実験その他の結果からいたしまして、只今申上げました限度程度におきましては人体障害を来たさないという限度として取りきめた次第でございます。  以上御報告申上げます。
  7. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御質疑を願います。
  8. 湯山勇

    湯山勇君 先ず昨日の衆議院決算委員会のほうで農林大臣答弁しておる中に、閣議では配給するということを決定したのではないというよう意味の御答弁があつたようでございますが、その問題について閣議ではどういうことをおきめになつたのか或いはおきめになつていないのか、それらの点を先ず御説明頂きたいと思います。
  9. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 今回従来肉眼で見て一%程度のものを、改めて相当細かい限度協定いたしましたその内容について、私から説明をいたし、その程度であるならば、現在の状態においては危険はないという意味においてその限度説明し、これを新たに配給するとかせんとかという問題は、これはおのずから別で、農林省業務関係に相成つて来る問題であろうと存じますので、閣議におきましてもさような問題を、直ちに配給する、そういうことには触れておらんと記憶しております。
  10. 湯山勇

    湯山勇君 それではこの問題について、只今農林省の方はお見えになつていないようでございますが、厚生省としてどういう権限、どういう行政的措置、そういうものを担当しておられるか、その点を先ず明確にして頂きたいと思います。
  11. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 厚生省といたしましては、食品衛生法に基きまして、輸入されます外米につきましてこれを逐次港におきまして検査をいたしまして、その結果外米の取扱いにつきまして農林省申入れをいたします。農林省におきましては厚生省申入れ従つて善処するというのが建前になつております。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 厚生省申入れによつて善処すると言うが、申入れというのはどういうことを意味し、善処するとはどういう内容になつておるのか、その点をもう少し詳細に御説明を頂きたいと思います。
  13. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 例えて申しますると、少しく黄変米を発見した外米であるというような場合は、一応配給を見合せてくれとか、或いはこの限度であるならば配給しても差支えないというようなことを、厚生省のほうで農林省のほうに言うわけであります。農林省のほうにおきましては責任を以てそのようにいたすということが約束されておるのであります。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 それでは厚生省申入れに対しては農林省は従わなければならんというような機構になつておるのでございますか。
  15. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは各省の間のことでもありますので、一応紳士協定においてさようなとりきめをいたしておるわけであります。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 食品衛生法という法で厚生省かやつておることを、農林省は単に紳士協定としてしか受取つていないということは、甚だどうもその点だけでも不安な点があるのですが、如何でございますか。
  17. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 食品衛生法中、輸入食糧検査に関する事項につきましては、農林省の行います外米輸入につきましても別に法を排除する趣旨ではございません。ただ、従来はこの食品衛生法におきましては、かようなものは輸入を拒否することが厚生大臣権限においてできることが相成つておりますが、かような点は輸入を拒否するというようなことでなく、むしろ両省協定に基きまして輸入はするが、これは他に適当な善処の法があれば、さよう善処方法もしたいという趣旨から、これは両省の間に覚書を交換して法の運営を図つている次第であります。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 輸入を拒否する権限厚生大臣にあるということでございましたならば、今日のように不適当な黄変米がたくさん入つておるという責任は、それは拒否しなかつた厚生大臣にあるということになると思うのですが、これはそういうことにはならないのでございますか。
  19. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は先ほど申しました両省覚書によつて食品衛生法運営を図ることになつておりまして、この覚書に従わない場合にこそ、これは問題があろうと存じますが、従来はこの覚書趣旨沿つて実施をして参つておる次第であります。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 その点についてはなお農林省もお見えになりましたときに、各段階においてこの問題には責任の所在があると思いますので、一体どの段階で誰がどう責任を持つかということは、なおあとでお尋ねいたしたいと思います。  そこで主として厚生省としてはこの黄変米毒性限度或いは安全の程度、そういうものについての基準をおきめになるというようなことでございますから、それの決定のいきさつについて若干お尋ねいたしたいと思います。その一つは今回の基準を作られた最も大きい要素と考えられるものは白米に、つまり黄変していない米にも黄変菌が見つかつた、こういうことでございますが、それは黄変してない米、外見上は普通の健全の米と変らない米にも毒性があるということと同じ概念を持つておるかどうか、この点について先ずお伺いいたしたいと思います。
  21. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は極めて学問的にはむずかしい問題でありまして、何分にもその菌量を測定する方法はございません。従いましてはつきりしたことは申上げられませんが、ただ比較的常識的な判断をいたしますれば、真黄色になつた米よりも、白米の中に培養によつて見出される場合のほうが、菌量は恐らく少いのではなかろうかと想像をいたしております。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 私はものをはつきりさせるために、一つずつだめを押してお尋ねをしたいと思いますが、それでは閣議で御説明になり、今回の基準決定した一番大きな要素をなすところは、黄変していない米にも黄変菌が発見されたという、そのことについては、ただ菌があつたというだけで、そのもの毒性があるかないかとか、毒性の強さが黄変したものと同じものかどうか、こういう点については調査されていない、こういうふうにおつしやつたと解していいのでございますか。
  23. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 培養によつて発見されまする黄変菌も、その毒性性質その他につきましては、黄色に変りました黄変米の菌の毒性と別に差はあるものではございません。ただ菌量を測定する方法が現在まだございませんので、どちらが量が多いかということは申上げかねるということをお答えいたしたわけでございます。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 ですからそういう黄変した米についての毒性というものは大体わかつている。ところが黄変していない、白米と外観少しも変らないものについての毒性というものについては、大体先ほど想像されるという言葉をお使いになりましたが、そういう程度しかわかつてないのでございますか。
  25. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 只今申上げますように、菌量或いは毒量を正確に測定する方法がございませんので、この点は極めて学問的にはつきりしたことは申上げられない次第でございます。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 それでは私はもう少しその点についてお尋ねいたしたいと思います。培養によつて黄変していない米からも黄変菌が発見される、こういうことは当然あり得ることだと思います。併しながら同じ族であるペニシリンを作るペニシリンのかび類にいたしましても、そうですが、大体こういう菌の持つておる毒性なり薬性なりというものは、その菌糸分泌物にあるということが言われております。そういたしますと、健全な形をした白米にこれは当然そういう所から来るのですから、黄変菌胞子がついていることが当然考えられます。その胞子培養によつてどんなににも殖えるということも、これも想像にかたくない。そこでそういう胞子のついたものを培養して、その培養したものから黄変菌が成長して来て、その黄変菌毒性を持つているということは、これは私ども決して疑うものではないのです。併し問題はその前段の段階であつて、外観的に少しも変つていない白米に若干の胞子がついておつてもいいのか、或いは培養すれば胞子一つも二つも、恐らくこれは、群落を作ります。コロニィーを作つて来るのですから、そういうことでもつてこれにも毒性を持つた菌の胞子があるというよう程度でもつてこの基準を書いたということになれば、そのことは非常に問題だと思うのですが、そのことについて何ら疑義をおはさみになりませんか。
  27. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 培養の結果白米中にも黄変菌、つまり只今指摘胞子の附着があるということがはつきりいたしております。従つてその量或いは毒量というものは、これは測定する何物もございませんが、併しながらそこに黄変菌の附着していることは事実であり、従いましてそれから生産される毒物も若干ついておるということが当然考えられるわけでありますが。従つて厚生省の態度といたしましては、これは安全を重視いたしまして一応かよう白米黄変米の部類に入れたわけであります。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 そのことが非常に問題でございまして、胞子というのは休眠状態にあるのが胞子であります。従つて健全な米に胞子が幾つついておつても、そのものがかびになつて成長して来ない限り、先ず米を有毒にするということは考えられない。これはこういう、学問上の常識だと思います。そうすると今おつしやいましたように、胞子が発見されたこと即ち毒性の有無ということじやなくて、むしろ胞子そのものはそれほど重視しなくてもいい。ところがそういうものを今回重視したところに問題があると思うのですが、胞子そのもの毒性があるということは、まだ研究されていないと思いますが、如何でございますか。
  29. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 菌のどの部分からかよう物質が生産されるか、必ずしも明らかになつておりません。それからなお、先ほどの御質問に関連してお答えを申上げますが、勿論菌を培養するに先立ちまして、米をよく水洗を行います。従いまして誤つて他から胞子が附着したというようなものは、当然水洗によつて洗い落されますからして、従いまして出て来る菌は、これは白米の中に住んでおつたものだ、こういうふうに一応私どもは考えておる次第であります。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 学問にいろいろ調べた結果、こういうふうになつたということは、しばしばお述べになつておられたところですから、そういう点をお聞きしておるのですから、そういう観点から御説明頂きたいと思うわけです。一体菌類毒性というものが、これはペニシリンの場合も同じですし、それからその他の麹かびの場合にしても同じです。そういうものが胞子から出て、酵素が出て行つてそれが寄生するものに変化を与えるというような例は余りないと思います。そういたしますと、そのことはむしろこの学問上の定説常識的なものであつて、そういうものを覆えして、今のよう胞子毒性があるかないかは調べていない、なくてもそのほうこそ見当が立ちやすいのであつて、今おつしやつたようなことは、却つてまあ、何といいますか、学問の今までの常識を無視したような御答弁だと思うのですが、如何でしようか。
  31. 榊原亨

    榊原亨君 関連してちよつと今の点について厚生省にお伺いいたしますが、先ほどからお聞きになつていらつしやる点は、米の内部胞子があるという問題ではないかと思うのでありますが、米の内部胞子があるというこは、曾ていつの機会にか米の内部に感染したということであるのであつて、従いまして米の内部胞子があるということは、もうすでに感染が起つているという結論ではないのでしようか。その点をはつきり厚生省がされましたら、湯山さんのほうはわかるのじやないかと思います。
  32. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 先ほどお答えを申上げましたように、一応培養に先立ちまして水洗をいたします。そして培養を始めますので、私たち培養の結果出て来た菌は、これは米の中に寄生しておつたものであるというふうに判断をいたしておるわけであります。
  33. 湯山勇

    湯山勇君 それじや先ほどのと少し違うわけでございますね、お話が……。つまり培養によつて出て来たものは胞子だとすれば、それは中に入つてようが何にしようが、休眠状態にあつたものと、それから黄変したものは、そしまでに生きた菌の働きによつて菌糸分泌物酵素によつて変質している。こういうことになるので、少くとも胞子にしても、若干それが中に入つて成長しておつたものにしても、米を変質させるようにはなつていないものということは確かでございますか。それもあいまいなんでございますか。
  34. 藤原道子

    藤原道子君 一つもつとびくびくしないで、言葉尻をとられるかと思つてびくびくしているから、本当のことが言えないのです。もつと真剣なことを答弁して下さい。ごまかしでなく。
  35. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 先ほども申上げましたように、これは物質胞子から分泌されるものか、菌糸から分泌されるものか、またわかつておりません。併し私どもは一応菌糸なり胞子なりが、米そのものに繁殖しておるという状態培養によつて知り得るものと判断をいたしておる次第であります。
  36. 湯山勇

    湯山勇君 それでは黄色く変つたものの毒性ということは確かだけれども黄色変つてないものは毒性があるかないか、それさえもまだわからないと、こういうことでございますか。
  37. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この毒性試験の結果黄色く変つたものもどちらも同じ結果でございます。ただ先ほどわからんと申上げましたのは、その菌量が不明であるいうということを申上げました。性質は同様でございます。
  38. 湯山勇

    湯山勇君 培養して菌糸を繁殖させて、現在活動状態においてテストすれば、それは毒性が出るのは当り前です。私ども尋ねておるのは、その前の段階においての毒性を聞いておるのです。
  39. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は勿論休止状態にある菌糸等から或いは胞子等から、毒性が果して生産されておるかどうかというようなことは、御指摘ように必ずしもはつきりいたしておりませんが、少くとも菌が寄生いたしております以上は、菌の性質上若干の毒性を分泌しておるのではなかろうか、かようお答えを申上げておる次第であります。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 只今の御答弁によつて、そういう場合もあり得るという一つのプロバビリティとしては考えられますが、先ほど大臣から御説明なつように、黄変してない米の毒性というようなことが今回の基準の前提になつたとすれば、その基準決定に当つて基礎条件は、極めて不十分であるということは指摘されなければならないと思います。  続いてお尋ねいたしたいことは、いろいろこの問題については、新聞等で論議されておりますが、二・五%では障害が起らないという責任を持つということを、大臣楠本部長もいろいろおつしやつているようですが、その責任を持つということは、どういう根拠でおつしやられるのでございますか、これは簡単に一つ説明願いたいと思います。
  41. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現在学者は一%ならば連日配給して支障ないと言つております。なお学者によりましては、一日一%というものについては、百倍の安全率を持つておると言つておる人もあります。なお私どもが従来まで多数の動物実験或いは人体実験等の例を見ますると、一〇%程度試験におきましては、十日までは殆んど変化がございません。十日後において多くは変化が現われております。又五〇%程度を投与した実験におきましても、三十日程度でも何ら変化を見ておりません。これは連日投与であります。すべての実験成績を見まして、十日以前に変化が現われるというものはございません。さような点から考えまして、而もその変化が現われないパーセント等を考えまして私どもは一日だけならば、二・五%で大丈夫であるということを考えておるわけであります。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 只今のは、もうすでにそういうことが決定されたような御報告でございますし、そのことについては誰も異議をはさむ者はないというような確信を持つた説明ですけれども、併し黄変米についての、殊にこの毒性についての研究というものは、まだまだ初歩であると思います。殊にこういう菌というものは非常に複雑なもので、同じ種類のものであつて個体差が非常に多いということなども、これは十分調べられたペニシリンの原料としてのかび類についてはよく言われておることです。そういたしますと、今おつしやつたようなことが果してすべての黄変菌に該当するかどうか、そういうことについての研究はなされたかどうか。或いは又もつと申上げれば、大体こういうものを行政的に取り上げる場合には、少くとも一つ定説とか或いは学界承認を経たものでなければ、取り上げるべき性質のものではないと思う。そのことは、以前にBCGをやつたときに問題になつたことでも、厚生省御当局は十分御承知のことと思います。これなどは或る程度学界り完全な定説とは行かなくても、先ず日本においては殆んど定説学界承認されていた。そういうものでさえも、学者の間からあれだけ異論が出ております。そこで今回只今ような御発表をなさり、或いはこういう行政的な決定をされたその裏付となる学説或いは実験の結果について、学者たちは、まあ大多数が承認を与え、学界においても大体承認をしている、或いはもつと言えば、まあこれは定説言つてもいいというよう段階まで行つておるかどうか、この点について御説明頂きたいと思います。
  43. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 何分にもこの黄変菌の問題は、昭和二十一年春以降の問題でございます。まだ試験研究等が他の学問に比しまして必ずしも十分な成果を収めておらんことは、申すまでもございません。従いまして、今回定めました基準も、これは少くとも現在の学問の進歩の状況、或いは実験成績等を考慮して考えたものでありまして、今後更に学問、技術が進歩いたしますれば、又いつ何どきでもこれをより合理的に変えて行こうということで、暫定措置と相成つております。  なお、昨年作りました肉眼上、目で見て一%以下という基準のときにも、これは同様な趣旨から暫定基準として作つたわけでございます。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 私がお尋ねしておるのは、そういうことではなく、ただ一、二の学者の、まあ何といいますか、トピックのよう研究厚生省が取り上げたような形になつておるのじやないかということを心配しておりますので、学界定説なり或いは大多数の学者承認を得られておるかどうか、そういう用意がなければこういうことはやるべきことじやないと私は思うのですが、それについてどうかということをお尋ねしておるのです。
  45. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 学界方面も、必ずしも異口同音に反対しておるわけではございません。先ほど申上げした一日だけの二・五%というものは、安全であるか、或いはそうでないか、よくわからない。まだそれを証する実験成績が足りないと、かよう趣旨を申しておる、かように考えております。
  46. 湯山勇

    湯山勇君 そうすると、これは学界もこのとこについては、今おつしやつたのは必ずしも反対でないということで、否定的でないということであつて、賛成はしておるわけでもなく、勿論承認をしておるというようなものでもないというように解釈してよろしうございますか。
  47. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 一部の学者はさように考えておることと存じます。
  48. 湯山勇

    湯山勇君 大部分ではありませんか。
  49. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 何分にも実際にこの研究に当つおられます人は、極めて人数が少いのでありまして、多くの人は、例えばかびの専門家、或いは肝臓病専門家内科専門家というようなものは、必ずしもこれに深い研究をいたしておりませんので、おおむね総括的な意見を発表する程度でありまして、深い進んだ断言的なことは申しておりません。ただ不幸にいたしまして、たまたまこれを手がけておる学者たちは、多くは毒力そのもの研究者、例えば薬理学者、或いは毒物学者というような方々がこれに興味を持つておる関係で、さよう結論になりやすいのではなかろうかと、かように考えております。
  50. 湯山勇

    湯山勇君 今のようなことは、そういうようなことで以て政府がこういう重大な問題を処理するというようなことにするのには、余りにも薄弱ではないかという点が一つあります。殊に、只今専門学者ということをおつしやいました中に、肝臓方面学者というようなことをおつしやいましたが、これは高橋忠雄氏、東京大学助教授田坂内科の方ですが、この方は肝臓関係専門家ようでございます。この方が述べておられるのに、肝臓は日常常に数多くの危険にさらされておると、だから黄変米だけに過大の評価をすることもどうかと思われるけれども肝臓毒というものは、単一に働くより、二乃至三が同時に作用するときにその害が一層大きくなることも事実であると、はつきり断定しておられます。そうなりますと、ただ単に、人体実験の場合に、事前に身体検査をやつて健康な人を選んで、その一、二の例によつて出た結果というものが、果してとつて以て参考となるかどうか。特に二、三の要素が同時に働くときには、正常な人にやるよりも遥かに強い結果を現わすということになつておりますが、そういう点についての研究はなされておりますか、どうですか。
  51. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この黄変菌肝臓機能に関する詳しい研究というものは、行われておりません。今後当然行わなければならん問題と思つております。なお高橋博士の日頃の御意見は、新聞にもちよつと御発表がございますように、むしろ必要以上に神経質になつていやしないだろうかというのが高橋博士の専門的な御見解のようでございまして、その中にもさようなことが書いてあつたかに記憶をいたてしおる次第であります。
  52. 湯山勇

    湯山勇君 今おつしやつたように、黄変米だけに過大な評価をすることも如何かと思われるということも書いておられることは事実です。併しそのあとに、肝臓毒を今のように書いてあつて黄変米毒性は、他のいろいろな因子と違つて、その本体も、毒性程度も、すべてがまだ未知であるところに多大の不安を蔵しておる。今後の系統的な研究が何よりも期待されるゆえんだと結んでおられることは、今おつしやつたようなことを必ずしも肯定しておられるのではない。だから、公平にこれを読めば、やはり今回のこういうことに対しては、これは研究不十分だということをはつきり示しておると思います。こういう点については、率直に御反省になつてそうして本当に安心できるよう研究をする必要があると思うのですが、その点についてどのようにお考えになつていらつしやいますか。
  53. 楠本正康

    説明員楠本正康君) このたび農林厚生両省で取交しました覚書にも、第一に今後調査研究を一層促進してその結論を急ぐということを条件にしてございます。従いまして只今指摘ように今後一層研究を十分にいたしまして、国民の納得の行く資料を提供いたしたいものとかように考えておる次第であります。
  54. 湯山勇

    湯山勇君 これで大体厚生省がおきめになつ学問的な基礎についての質問は一応終りましてあと今度は実際問題がたくさんございますから、それはあと廻しにいたしまして、私だけ長くなりますから、暫くここで他の委員の方の御質問をして頂いてそのあとで又続けさせて頂きますから……。
  55. 山下義信

    ○山下義信君 湯山委員の御質問は非常に有益で緻密な質問であつたと私は拝聴しておつたのですが、間に質問を挟ませて頂いて又あと湯山委員の質問を継続させて頂きたいと思います。よく聞いておつて要領を得ないのですが、ともかくも政府は最終的態度としてはどういう態度に決定しておいでになるのですか、政府全体としては……
  56. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 実はだんだんお話がありましたが、従来は肉眼で見て一%のものを配給していいとこうしておつたのです。ところがさつきからお話申上げたようにいわゆる肉眼で見た黄変米だけではなしに、肉眼では普通の米とは変らないが、その白い米の中にもいわゆる黄変菌というものがある。従つてこれは一々動物実験等によつて検査しないとわからない。これらも検査して、而もそれは従来は一%程度はこれを市販に供し得るという限度を示しておつたが、これは一%五日からそれぞれのパーセントによる限界を示して、この程度は主食に行く、それ以上は主食には行かない、従来のものをもつと細かくしながら、どちらかと申しますと相当厳格にいたした。併しこれは今も環境衛生部長がお答え申上げた通りに、必ずしも学問的な定説が一定しておるとはあながちに申上げかねる。今後の更に研究の結果、これがもつと内容が判明いたしますると、それによつて変えて来ることは勿論やぶさかではございませんが、現在いたしておりまするのは相当安全度をとつた計算で、主食でございますから、いたしておる次第であります。そういう次第でありまするから、こちらが示しました限度程度であると、いわゆる食品衛生上の問題としては危険度というのはそれによつて守る、こういうのが今回厚生省がとつた態度であり、それによつて配給基準というものが考えられておる。実際上の配給ということになりますと、米の操作等の関係もございましよう。これは又おのずから別でございましようが、少くともその限度以上はこれはできないというのが食品衛生上からの考えであります。
  57. 山下義信

    ○山下義信君 それは今日まで経過はそういう経過ですが、今後の方針はどういう方針なんですか。今の滞貨の六万トンですか、もう殆んど十万トン近く溜つているというのですが、一応ストツプさせておる。その配給はどうしようというのですか、やめるというのですか。他に処分しようというのですか。政府はその最終的態度をどう決定されたか、又今後はこの種の輸入米のやり方というものをどうしようとするのかという、そういう根本方針をどう決定されたのかということを伺いたい。これは世論が非常にやかましくなつて来ておりまして政府の方針というものが要領を得ない、私どもの印象では……。昨日から衆議院あたりでも論議されておる。今ここでもやつておるわけなんですが、そういう論議も論議ですが、政府の方針がちやんとこれはおきまりになつているはずだと思うのですが、まだきまつていないのですか。それを政府全体としての御方針を、厚生大臣は御関係があるのですから閣議でも御決定になつておればお示しを願いたい。
  58. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) それに対する政府全体の今後の外米の買付けその他ということは別に閣議決定したわけではございません。従つてこれは従来の関係と、多分農林省におきまして、或いは食糧管理庁等との立場におきまして十分検討されながら、更に必要によつて閣議等にこれを求める等の手はずがなされるのじやないか。現在のところにおきましては、これらの問題については農林省において検討されつつある問題であろうと存じます。ただ私どもの立場におきましては、今後の黄変米検査という立場において、いろいろと検量て行かねばならない問題があると思うのです。現在はこちらへ着きました着港の港によつて検査をするというような一手で行つておりまするから、そういう点について厚生省が食品衛生上から主食のこれらの問題に今後対処して参ります上には、更に種々の方法只今検討しております。
  59. 山下義信

    ○山下義信君 折角の御答弁ですが、要領を得ないのですが、ここまでは農林省厚生省とがまあいろいろやつて来た。併し一応暫定的な基準をきめたのが厚生省の仕事であつてこれから先は知らんのだ。で今から六万トンのその滞貨をどう配給するかどうかというようなことは、いろいろな技術的な操作もあるし、それは農林省がやることであつて厚生省はここまで一応人体に危険がないという暫定的な基準をきめておけば、おれのほうの責任はもうないのだ、これからどういう配給をしようと、それは農林省がすることだ、又問題は政府全体としての何も別に態度をきめてはいないのだ、又閣議に持出してきめるべきほどの問題じやないのだと非常に軽く御答弁になり、今後は厚生大臣としては何ら関係ないのだ、どういう米が続いて入つてようと、どういう配給をして行こうと、おれのほうは基準だけ示したので、それを農林省が守つて適当にやつてくれるだろうというような御答弁ですが、私はそれではいかんのじやないかと思うのです。厚生大臣は今後も御関係あることは言うまでもない、又閣僚の御一人としてこれは政府全体の問題でしよう。これは厚生省だけの技術的な権限の範囲だ、ここから先の配給農林省の仕事だといつたようなことでなしに、これから先は大きな社会問題になつている以上、政府はこの問題をこう解決するのだ、こう片付けるのだ、今後はこうやつて行くのだ、こういう方針だということはもう相当日もたつてつて、そういう方針を御決定なさるべきはずじやないかと私はこう考えるのですが、もつと一つそういう点についてのお考えをお示しを願いたいと思うのです。
  60. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 私が申上げましたのは、今おとりになつよう意味ではないのであります。何も知らんのだという意味じやございません。従つて若しやこの基準を間違つた、或いは不当なる方法によつて配給されますると、この基準が何にもならんことになります。それの配給を受けたほうでは大変なことに相成る。従つてその基準が守られるということは当然これは考えて行かにやならないし、厚生省はその基準をきめたら何もそれで済んだというばかりでなしに、その基準通りになされることも、殊に食糧でございますから十分相手方に安心を与えるようにやつて行なければならない。私先に申上げたようにこの外米の購入に当つてそれが黄変米がこのよう状態で入つて来ておる。従つてこれが現在は着港によつて検査をされておるという状態で続けております。併しこれらについても今後研究し検討すべき問題がいろいろある。これらの研究し検討すべき問題は、農林省等との関係において十分相談しながら、従つて政府全体の立場におきましても、検討しながら進むべきものである。我々のほうでも、殊に主食の危険というものが国民に及ぼします影響が大きいのですから、どうしても健康上、これを厳格に保つて行かねばならないという意味において、決して軽んぜずに取扱つて行きたいと思つておりますし、又今後もそのよう意味において取扱つて参るつもりであります。
  61. 山下義信

    ○山下義信君 では伺いますが、国民はまあ非常に不安を感じておるのです。同時に非常に反対しておるのですれ。これは顕著な事実です。ただ各国民の家庭々々が反対の声を挙げておるヂけでなくて、正規の公共団体、或いは配給機構を預つているそれらの業者、そういうものが挙つて反対をし、或いは拒否している事実があるのですね。この国民の非常に不安を感じており、且つ又全国挙げて反対をしている黄変米をどうするのかということを聞くのです。今の厚生大臣の御答弁では、政府はとにかく依然として配給はやるのだ、そういうことです。今後ももうこの種の米も入れてやるのだ、依然としてちつともこの世論に対して政府は再検討してみる、考え直すというお考えはないように聞くのですが、そうですが。
  62. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これは配給の点は、私から御答弁申上げることよりも、農林大臣から……。
  63. 山下義信

    ○山下義信君 前谷長官来ておりますから……
  64. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 従つてむしろ私はそちらのほうへ譲るほうがいいと思います。ただ我々がいろいろの実験なり研究なり、今後学者の力を総合して今後一層研究して安心を与えて行きたい。現在の段階において、今示しております協定をいたしました線というものは、学問的にもこれ以上の線が出ないので、従つてつておる。それと配給における不安の解消というものとを、両方とも考えなければいかんのではないか。これは私どもとしても考えておる次第であります。
  65. 山下義信

    ○山下義信君 私は厚生大臣がこれから先は、関係がないようにおつしやるのは、納得が行かない。国民保健の責任省の最高の統率者として、責任者として、国民が非常に不安を感じて反対していることを私は解決しないで、農林省に任していいのだということで、それで国民保健の責任省としての私は大臣としての御責任が済むとお考えですか。この国民の不安をどう解消されるか、又国民の反対をどう解消されますか。それが私はあなたの仕事だと思うのですが、国民の不安は、高いとか、安いとか、量が多いとか、少いとかいうことを言つておるのではない。健康上危惧を感じておるのですよ。それで反対しておるのです。ですからその反対、その不安を解決しないでおいて厚生大臣として御解決なさらずにおいて、基準だけを示したのだから、これさえ守つてくれればいいのだ、あと農林省に任せるのだと言つたのじや私はいかんので、今日国民は保健上不安を感じておる。その点厚生大臣として、これは確たるお考えを持つて進んで行かなければならんと思いますが、如何でしようか。
  66. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) その点は御同感であります。従いましていろいろな方法によつて、今後も一層この不安の解消には厚生省も努むべきものであるし、むしろ厚生省の厳格な意味においての使命は、真にこの基準というものが、国民の健康に不安がないという基準であるべきものであります。その場合に、その間にいろいろの不安を生じ、或いは誤解を生ずる場合には、これを解消する方法をとつて行かなければならん、こういう意味において先ほど来申上げておりました次第であります。
  67. 山下義信

    ○山下義信君 そこなんです。実に御同感です。その国民の不安をどう解消させるか、どうして安心させるか、どうして立証させるか、世間では、何といいますか皮肉つておりますが、人造米のときには閣議で試食してみる、今度の黄変米は試食しておらんじやないか。厚生大臣みずから試食なさつてみて立証なさるなら、それは国民も安心するかもわからないが、どうしてこの不安を解消、安心させるか、その方法をどう考えておられるか。私はこの基準を示したからと言つてこれで安心をしないと思います。この基準は新聞で報道されても、国民はなお不安を感じ、反対しているのですから、ですから国民の不安をどう解消するか、又危険がないということをどう立証するかということを、それを何か名案を考えておられますか。それは私は一つには、あなたが率先して実験してみる、それからいま一つは、配給をやめること、配給をやめると言つたら、不安は一遍に解消します。私は何かそういうことについてお考えがあるか。一片の基準を形式的におきめになつて、これで危険がない、危険がないと言つても、国民は危険を感じておるから反対しておる。一つところをぐるぐる廻つてもいけない。何か新らしい立証方法なり、安心させる方法なり……、それが政治じやありませんか。それをやらなければ、政治がないじやありませんか。いつでもこういうやり方です。私はもつと親切に国民の不安を解消させる、安心させる何か具体的の方法を政府はお考えになつておりますか、承わりたい。
  68. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これにはいろいろな方法なり行き方があろうと思います。又そういう方法なり行き方を急いでとらなければならんので、現在急いで、或いは学問的の立場においては急がしております。それから今の試食等の問題は、これは御意見として大いに尊重して承わつておきます。ただ配給の問題という、その配給基準を今度は実は示したのであつて、それが一方には話題の中心になつて来、不安の中心になつて来るわけであります。配給基準というのは、今私どもが持つておりますデータからいたしますると、この基準において更に検討する要はあるけれども、併しこの基準においてこれが守られる場合においては、別に健康上の危害はないという立場において、この基準を結んだわけであります。それによる不安というものは、今申上げられたようなお説の点であります。或いは更に学問的な検討の裏付けなり、そういうものを急いでいたし、その裏付けが逆に改正すべき裏付けとなつた場合においては、これは急いで改正すべき問題だと思います。
  69. 山下義信

    ○山下義信君 これはくどく申しませんから、厚生大臣は大いに一つ積極的に国民の不安の解消については努力して頂きたいと思います。それは閣僚みずから率先して試食することがいい。我々国会の者もやつてみなければならん。それから場合によつてはただでやる。試食してみたい者にはただでやる どうです。国民全体が一つ試食してみて立証してみようじやありませんか。一人、二人の人体の実例ということでなしに、それは僅かの実例でも、学術的には意義があるでしよう。併しこれは、おれは進んで試食してみたいという国民の希望者があつたら、特価販売でもして、皆に進んで立証させるというなら、うちの村でも食べてみた、おれの村でも食べてみた、一週間経つた、五日経つてもどうでもなかつたという場合に初めて全体やつてもいい。そういう手があろうと思います。それが政治だと思う。こういう基準を半びらものを出して、そうして六万トン、十万トンを損のないよう国民にしわ寄せする。高いところで何か学問的のことを悪用か利用か偏用して、そうして国民に納得をさせないで、いつまでも不安の状態に置くということは、これは政治じやありません。これは堪能なる草葉厚生大臣は、一つ是非名案を考えて頂きたい。それから前谷長官、配給をやるのですか、とめるのですか、どうしますか。その根本方針を一つ示して下さい。大事なところです、前谷長官の答弁を……。
  70. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 草葉厚生大臣ちよつと差支えますから……。
  71. 藤原道子

    藤原道子君 私、只今山下さんが言われましたように、一番の責任はやはり厚生大臣だ。今日我々は国民の保健を担当する厚生大臣、特にその中でも責任の衝を受持つておるところの環境衛生部長としての答弁を求めておるのであります。ところがそれがどうも納得行かない。私は大臣お急ぎのようでございますから、端的にお伺いいたしますが、過日の御発表によりますと、今あなた方は基準基準言つて基準にばかりとらわれております。それならば全部のお米を検査して……、四〇%より検査していない。六〇%は未検査のものが配給されておるということになると、これにある毒性と今度許容量で配給したものとプラスするわけですよ。これに対してはどうなんですか。
  72. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 従来は実は肉眼で見得る。いわゆる黄変米黄色く変色いたしました米でございましたから、すぐわかつたわけでございます。ところが今回は目に見えない米の中にあるということになりまするので、従つて今後は全部検査をしないと出し得ない状態になつております。
  73. 藤原道子

    藤原道子君 それでは昨日の衆議院の委員会で未検査のものが三万三千トンばかりもう配給済みだということが出ているのはどういうわけですか。これには前谷長官の答弁として検査結果の通告が遅かつたために配給してしまつたものと、許容限度以下なので配給したものとある。こういう答弁はつきり出ている。こういうことになると国民はますます不安じやございませんか。従いまして今も大臣と違つた答弁を、楠本さんは四〇%しか今の係員の人員では試験ができないのだ、六〇%は試験しないものが配給されているのだということを私ははつきり伺つた。これに対する食い違いについて是非御答弁願いたい。
  74. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 実は基準の問題についての検査ということになりまするが、それが今まで十分できないからだんだんストップした。ストップしたのが何万トンになつた。併し基準ができてそれによつて検査をして、而も出し得る。通過するのと通過しないのとがそこで仕分けして来るということになります。従つて現在の状態で或いは配給の入荷等を考えますると、今三十四人かそこらであつたと記憶いたしますが、それになるとなかなか十分な検査ができないので、併しそれに時間をかけたらできる、急いでやりまする場合はできないので、従つて急いでやりまする場合は、或いは人員を増加するなり、或いは現在のままだと、時間が長くなるようにいたしますなりして不安を一掃する意味において特に検査は厳重にして参りたい。
  75. 藤原道子

    藤原道子君 どうも納得行かないですよ、大臣答弁は……。すでに検査して配給する場合が基準を出しているわけなんですよ。検査しないものが配給されておるが、こういう場合が今後もあるのでございますか、そういう場合の毒性のパーセンテージ等の問題は変つて来るじやありませんか。そういう不安もあるのだから、少くとも環境衛生部長は毒性ありと認めたものは、これは徹底的に試験の結果が出るまでは配給はストップするという権限を持つたつていいじやありませんか。それからこの間私は保利農林大臣に会いました。先ほど草葉厚生大臣はこれは基準を出したのだから、それからは農林省関係だというようなことを言つたのです。農林大臣は、私どものほうでは厚生省食品衛生法によつて検査しておる。厚生省がいけないと言えば私たち配給しやしないのだ、厚生省はしてもいいというから配給するのだ。だから私たちのところへ来るよりも厚生省行つてくれ、従つてこれをも含めての責任ある御答弁を願いたい。とにかく今地方各層、議会へ参りましても反対の決議をしております。配給業者も反対の決議をしております。婦人、特に台所を預かるものなるが故にその不安は絶頂に達しておる。これに対して厚生大臣責任ある御答弁を求めます。お上手は要りません。責任以る御答弁を伺いたい。
  76. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 従つてストップさせておるのがありますから、それが二万トンに達しておるのであります。配給ができないというので押えておりますが、これらに対しましては検査をして仕分けをして、可能なものと可能でないものとにいたすというのが基準であります。今のお読みになりました新聞記事等は実際の検査状態等はあと一つ環境衛生部長から具体的にお答え申上げ、今の問題等にもお答えを申上げたいと存じますが、従つて今後におきましても、少くとも従来の肉眼で見ました一%というようなやり方ではなく、今回の基準による厳格た検査というものは励行してもらいたいと存じております。
  77. 藤原道子

    藤原道子君 誠に不満足でございます。そこで大臣にお伺いしたいのでございますが、政治というものは二二が四では割切れない。二二が八になるときもあれば二二が零になるときもある。あなた方が机の上で今まで実験して見た基準からいつて動物実験の結果は大丈夫だとあなたがたはおつしやる。ところが一部では危険だという人があるということになると、事は主食でございますから、それはもう国民全体としての不安の感じというものはおおうべくもないと思います。そこで私は政治というものはそこに妙味があろうと思うのでございまして、結局治安の維持等は何も押えつけてできるものではなくて、この前の全国に波及いたしました米騒動も富山の一主婦の言葉が全国に拡がつて来たのです。事は深刻だと私は考えております。従いましてこの主婦の不安を解消するためには、少くとも国民の健康を担当されるあなた方でございますから、ここで少くともあらゆる実験をした結果大丈夫だ、学者意見も総合して大丈夫だということが出るまでは配給しないというくらいの私はここで御言明あつて然るべきじやないか。私たちは毒を食わされるよりは、それこそおうどんを食べようと、或いはパンを食べようと、毒を食べるよりはいいのです。それから私がもう一つ特に不安に思つて大臣に御考慮願いたいのは、たしか昭和二十四年だか二十三年であつたと記憶しております。輸入大豆粉による食中毒が起りまして、この中毒患者が莫大な数字に上つた、犠牲者も出ておるのです。生命を失つた人も出たのです。そのときに農林省へも参りました。それから私たちは司令部へも行きました。ところがそのとき農林省の言葉に、つまり犠牲者が出たのは下層階級、庶民階級、中流以上からは犠牲者が出ていないということを一つ見ても、これは下層階級が処理の仕方が悪いのだ、こういうことで逃げようとしました。やはりこれは司令部でもそう言いました。ところがそれが公平に食べれば全部上のほうも中毒が出たのだ。ところが我々貧乏なるが故に止むを得ず外米を食べるのです。有毒ということになれば、恐らくあなただつて食べやしない。中以上の人は絶対に食べないということになれば、その日暮しの人たち配給を受けない分まで配給を受けて食べるのですよ。ここに危険があるのです。ということになると栄養の程度も劣つておるし、過労になつておるし、そういうことになると、肉体的にもやはり中毒が起ると私は思います。こういう場合にやはり貧乏人は餓えて死ね、貧乏人は麦を食えとおつしやつたのが、今度は貧乏人は毒米を食つて死んでしまえということに極端に言えばなるのです。ですからそういうことになりませんように、この前はああいう騒ぎをしたのだから、ここで今非常に人心が不安です。あなたが思つておいでになる以上に不安なんです。結局数千万円の汚職をしても無罪になる。たまごマーガリンの万引未遂でも三人の命を失つておるという時代でございますから、これはあなた方が考えておる以上に大衆に影響しておるということをお考えになつて、私はこの際責任ある草葉厚生大臣の御答弁を伺いたい。楠本さんにはあとでうんと聞きます。
  78. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 誠に私も緊張しながら只今の御質問を拝聴いたした次第であります。御尤もだと存じます。従いまして先ほど山下委員にもお答え申上げましたように、いろいろな意味から不安の一掃には全力を尽して参りたいと存じております。
  79. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 今の大臣の御答弁を聞いておりますと、藤原委員の質問に対してどうもはつきりした答弁でないと私は感じるものですから質問をするのですが、厚生大臣として少くともこういう毒性を持つた米を、主食を国民配給するということについて、これが安全度はつきりするまでは、これを停止する意思があるかどうかということを質問したいのです。これは国民が一番国民に不安を与えないでおきたいと言われることの内容になると思うのです。で、国民は今政府に対して非常に特に不信な気持でおります。これはビキニの水爆の灰とは直接関係はないのですけれども、この実験に協力するというような政府が、少くとも毒性を持つておる主食を配給するということについては、国民はむしろ怒りをすら、不安の上を通り越して怒りを感じていると私は感じております。これに対してこれを緩和する、この不安を一掃するという一番重要な具体的な方策は、これは努力します、基準研究しますというようなことではなくて、これの配給を、主食としての配給を停止する意思があるかないかということを私は伺いたい。この点をもつとはつきり一つ厚生大臣から伺いたい。
  80. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 毒性という程度における限界というものが問題であります。従つて今のお話のよう毒性を持つている米だから、それを食うと危険だと一言に言いますると、そのようになりまするが、私ども検査をし実験をした結果は、いわゆるその黄変米菌があつても、それが一定の限度が保たれる場合においては、健康上毒性を発揮しないというのでいたしておりまするから、従つてその配給限度というものを一つ大きくきめて、それによつて主食に廻しても差支えないというのがこの我々のさつきから申上げる一種の限度であります。限度のとりようがときによつてつてはおりまするが、従来ともいたして参つたのは、そういう意味でございます。従つてそこで不安が起つておるから、厚生省外米の少しでも入つた外米一切はストップ、配給禁止をすべきものではないかということに対しましては私はにわかに賛成はいたしかねます。
  81. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 その率の問題じやないと思うのです。率は配給の末端において乱れるのです。さつき藤原委員指摘されたように、配給の米を買う或いは売る場合に、これを黄変米と知りながら買うものは、これは緊急な或いは我々のような階級なんです、働く階級なんです。或いは貧乏な階級なんです。でこれは厚生省で一分を無害な限度とこういうように主張されるのですけれども、果して末端まで一分として配給されるかということについては、すでに過失において今藤原委員が言つたようにそれを或いは三分或いは五分或いは十分と主食として食べる階級が日本にあるわけなんです。それが而も多数なわけなんです。そういう危険性を我々が持つておる。これが国民が持つておる不安なんです。そういう意味において、私はこれはパーセンテージの問題じやないと思います。これを配給するかしないかという、即ちこれを配給しないで、大臣が本当に国民に安定感を与える、或いは生活を守る、国民の保健を守るという決意があるかどうかというとことを伺つておるのです。これは末端において混乱して来ることは明らかです。末端において一分以上或いは三分、五分、一割となることは経験的にはつきりしたことなんです。これで以て我々の働く階級、或いは貧乏な階級の生活を守る意思が厚生大臣にあるかないかということを私はお尋ねしておるのです。
  82. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 只今お答え申上げましたように、国民の健康を守るということは第一であります。従つて守るためにはあらゆる方法でこれを検討し、従つてこの限度においては大丈夫だという線を出して来るのが基準であると思います。併しその基準の善し悪しは別として、とにかくそういう米は、一種の外米は全部やめたらどうか、これは厚生大臣としてはさようなことはいたしかねると存じます。
  83. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 厚生大臣に対する御質疑はまだ終つておりませんが、閣議に出る御都合があるそうでありますから、厚生大臣には閣議御出席ののち、直ちにお戻りを願つて質疑を継続することにいたしたいと思います。  それから楠木環境衛生部長は衆議院の決算委員会から出席してくれという要請がありますから、これも部長が用件の済み次第お戻りを願つて質疑を継続いたしたいと思います。それで前谷食糧庁長官から御説明を願つて御質疑を願うようにいたします。前谷長官に御質疑を願つて、若し厚生大臣並びに楠本部長が戻られんようならば休憩して、戻つて御出席の可能を認めて再開いたしたいと思います。それでは前谷食糧庁長官から御説明を願います。
  84. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答え申上げますが、山下委員の御質問でございますが、配給をしないかどうか、こういう端的なお話でございますが、これは厚生大臣からもお話ございましたように、一定の人体に影響のないという範囲において許容限度が作られておりますので、その限度内において我々としては実行いたしたいと思いますが、ただ、只今も御指摘がございましたように、毒性の有無、或いは学問的な問題を離れて、一般的に非常に不安感を生じておる。これは我々も十分承知いたしております。この点につきましては、十分にその点につきまして厚生省とも協議いたしまして、不安感をなくするように努力いたしたい。ただ当面の配給といたしましては、大体御承知のように八月分におきましてすでに実行いたしております。そういうものは七月に配給計画を立てましたので、今後九月以降における配給計画を如何にするか、この問題になるわけであります。この点につきましては我々も再掲精をいたし、そうしてできるだけ現実の混入の割合を下げて、そうして実行いたしたい、かように考えております。
  85. 山下義信

    ○山下義信君 どうでもやるのですね。それじやいつやるのですか、やるならやるでいつやるのですか、それをはつきりしてもらいたい。いつやるかわからんことも不安の一つなんです。十月の初めから……九月の末にでもやるのですか。やるならやるではつきりして下さい。
  86. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) やりたいと思いますが、只今申上げましたように、再掲精の準備をいたしております。これを再掲精をいたしまして、そうしてできるだけ許容の限度の範囲内におきましても、その割合は下げたいということで再掲精の計画を立てておるわけであります。これを再掲精をいたしまして行いますので、勿論九月以降になろうかと思いますが、その時期、九月にどれだけ十月にどれだけということにつきましては、再掲精の時間的な関係もございますので、今目下検討いたしております。
  87. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。それじや見通しとしては何ですね、九月中には一部配給を実施しようというお考えですね、そう了承してよろしうございますか。それならそれで覚悟しなければならん、こつちのほうで……。長官そうですが。
  88. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 勿論その間におきましては、我々におきましては消費者の不安をなくするように努力しなければならんと思います。この面におきましては全体の数量と申しますものは、これは非常に高いパーセンテージのものでなくして、低いパーセンテージのものも相当あるわけでございます。勿論配給操作の面に当りましてはそういう点は十分考えて参りたいと思います。
  89. 山下義信

    ○山下義信君 これは何ですか、全国的に平均配給をするのですが、貯蔵地の附近に主として配給する……、そんなことはないのですね、やるとすれば全国的にやるのでしようね。
  90. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御承知のように米の配給は内地米幾ら、準内地米幾ら、外米幾らとなつております。御承知のように地域的にそのものが港に偏在いたしております。そのものがそこにあるからその地域に配給するということではなく、長期的に而も広い地域に亘つて配給計画を立てたいと目下配給計画を検討中でございます。
  91. 山下義信

    ○山下義信君 私は厚生大臣農林大臣にこれはお尋ねするのが至当じやないかと思うが、実際は前谷長官が握つておるのであつて、又厚生省としては楠本部長責任者なんです、本当を言つたら……。これはざつくばらんに言えば、私はここは厚生委員会だから、私は厚生省が食品衛生の見地から待つたを食わしたのは、これは私はいいと思うのです。私はこれは厚生省としては大出来だと思う、あなたの機嫌が悪かつたが大出来だと思う。然るが故に六万トンの滞貨まであつた。ところがこれを何とかして配給しなければならん、金にしなければならん、いつまでも放つておくわけには行かないですから、私は農林省のほうから、前谷長官のほうから厚生省に無理を言つて、言い換えれば或る意味においては圧力を加えたというか、嘆願をしたというか、無理を言つて厚生省が折角正義の立場に立つていけないと言つたやつが二歩も三歩も後退して、農林省の泣きを聞いて、そうして食品衛生というこの権威を若干後退りさして、そして妥協したこの基準です。私はそういうような双方の妥協もいい、これは行政上の運営の妙味でそれで済むかもわかりませんが、そう両省が話合いをしたと言うが、これは併し妥協です。いいかげんな妥協をしている。そうしてこういう基準を持つて来て、而も先ほどから湯山委員の質疑応答に明らかなことく、学門的の決定的な意見も出てないし、多く又試食せられたということもなく、今日まで黙つていて何年間やつて来て、そうして厚生省が横槍を入れて指摘して来てから問題が大きくなつて来た、今までは黙つていた、厚生省指摘しなかつたらこれは黙つて配給するつもりだつた。それが国民の保健上の大きな問題になつて来たのは、私は食品衛生行政の大きなヒットだと思う。ここまでは褒める。ここまでは褒めるが、厚生省農林省の泣きを聞いていいかげんなことをやろうとしていることは、我々は厚生委員会としては許すまいと思う。食糧庁長官が幾ら配給したいと言つてもまだ我々は許すまいと思う、九月中にやるならやつて御覧なさい。我々は許すまいと思う。一体何によつて配給ようというのか、楠本部長答弁して下さい。食品衛生法の第何条によつて、この基準によれば配給ができる、この基準というのは何の権威がある、而も両省の事務次官の覚書というのは何の法的な権威がある、この両省の事務次官の覚え書があれば、これは法律に代るのですか。食品衛生の法律の第何条によつてかくのごとく有毒物農林省の食糧庁は配給することができるのであるか、その法的な措置を御説明して下さい。どういう法的な措置をとつたのか、私は権威がないと思う。こんな基準やこんな事務次官の覚書は私は法律上無効だ、法律はこういう順序を経なければ、こういう所定の手続がなければ、配給はできない、販売はできないということをきめてある。どういう法的根拠でこの配給ができるということを言つてみて下さい。
  92. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この食品衛生法におきましては第四条におきまして、病原微生物その他によつて汚染され、又汚染された疑いのあるような食品につきましては、販売したり、配給したり、或いはこれを授与したりすることを禁止できることになつております。ところが黄変米につきましては、勿論人体の健康を損う虞れのある食品がさような措置をとり得るのでありますが、黄変米につきましてはその程度が極めて低い場合には、先ほど大臣からもお答え申上げましたように、人の健康を損う虞れなしとする限度においては、これを取扱つて支障ないと存じます。従いまして私どもは飽くまで人体に支障なしという限度におきまして今回の措置を考えたわけでございます。従いまして見方によりますれば、今回の覚書食品衛生法第四条の一つの限界点を示したものと言えるものと存じます。(「そんなの衛生部長の答弁じやないよ」と呼ぶ者あり)
  93. 山下義信

    ○山下義信君 それは内容だ、それはとつた措置の内容だ。法律的にはどういう措置がとられてあるのかというのです。それでは答弁あとで……。食品衛生法はこういう場合の措置をするときに、こういうような手続をとらなくちやならんということの規定がある。だから事務次官の覚書だとか、単なる基準のがり版刷りでなしに、どういうような行政上の而も法的な措置をとつたかということをあとで資料と同時に報告して下さい。答弁をして下さいあとで。  それで私はもう一つ前谷長官に伺つて他委員になにしますが、これは長官前にも特別の何と申しますか処分をされて、まあ損をしたといつてやかましく言いましたが、私は損してもいいと思う。損してもこれを責めちやいかん。こういうのは無理をして買うということがこれが根本原因ですから、原因がそこにあるのですからしようがない。悪いものは損して私は処分してもいい。何もこれを食わさなくたつて、潰したつてどうしたつていい。それを何かいろいろに……又一部にあつたかも知れませんが、損したつて赤字だつてそれを責めることは無理だと思う。それで味噌であろうと、何であろうと、焼酎であろうと何であろうとできるだけほかのほうの処分に廻して、そうして全国の主婦の不安を感ずるよう配給方法でなしに又これは特配になどしたらどうですか。それから今後こういうものを入れないという何かいい方法、今後の措置ですね、一つ名案を長官でお考えがあるかどうか、この二点を一つ私は伺つておきたいと思います。
  94. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 今度の問題につきましては主食でございますので、我々食品管理の面からいたしまして食品衛生上の立場を十分考えて参らなければならんということはこれは十分考えておるわけであります。この問題につきましては、損失が起るから云々ということは我々絶対に考えておらないのであります。(「どう考えているのだ」と呼ぶ者あり)ただ、従来の経過はすでに厚生省からもお話がございましたように、従来は黄色い米一%以内ということになつてつた。この点につきましては我々も努力いたしまして、現在におきましては黄色い米というものは入つておらないわけであります。ただその後研究が進みまして全然変色しないものにも菌が生じたということになりましたので、我々といたしましてはこれをどういうふうに取扱うかということについて慎重に厚生省と御相談をしたわけでございまして、それまで暫時その滞貨をいたしたということも止むを得ないと思つております。従いまして我々といたしましてはそういう点は十分、単に損失を起さないようにするというそういう考え方じやなくして、主食の配給と食品衛生とのこの両立を如何にして行くか、いずれも一つの行政としましてそれぞれの目的を持つております。その間の両立するよう方法は如何かということでいろいろ相談したわけでございます。ただ、御指摘の今後どうするかという問題、これは正直に申しまして我々もいろいろ考えておりますが、具体的にはやはり現在のよう肉眼的な、物理的な形でもつてこれを現地で見分けるということは非常に困難でございます。何か科学的な簡易な方法でもつて菌の所在を見分けることができないかどうかということを厚生省にも御研究つてお願いをいたしておるわけであります。そういう方法を発見したい。同時に又外交交渉を通じまして現地側に対していろいろな要求はこれは出さなければいかん。これは問題は技術的専門的でございます。この点については十分厚生省の御意見も承わつてそして、その面からこういう措置が現地側としてとり得るかどうかというふうな点についても外交交渉でやつて行きたい。ただ問題はこれは私まだ練れた考えではございませんが、御承知のように穀物の取引というものは非常に大量のものであります。規格というものは世界的な規模において、これは大体もう商慣習として、規格なり取引方法というものはさまつておるわけでございます。従いまして一国対一国というふうな形においての取引形態ということは非常に困難であります。これはもう少し大きな意味におきまして我々も例えば今回の秋に幸いFAOの米穀委員会等も開催されます。いろいろデータを整えて、そういう国際的会議にもこの問題を提出するかどうかと、これは私今個人として考えておるものでございますが、そういうことにして問題を世界的な穀物取引の問題としても考慮する必要があるのじやないかというようなことも考えております。ただ具体的には更にもう少し研究いたさなければならんと思つております。
  95. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 楠本環境衛生部長、衆議院の決算委員会は午後に延期されたそうですからどうぞ……。
  96. 山下義信

    ○山下義信君 前谷長官もう一つだけ、今後の措置ということに非常に注目しておるわけですが、我々もいろいろな対策が政府で御決定になるまで、こういう毒のあるよう黄変米がたくさん混入されているような方面からの買入を少し控えて行くというよう方法をおとりになりますか。依然としてどんどんどんどん買つているのですか、その状況はどうなんです。
  97. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この黄変米につきましては実は菌の性質から行きまして相当多方面に出ますが、まあ日本が買いまするものはビルマ、タイが非常に量的に多いわけであります。その方面からのものに量的には多く発生いたしております。この黄変の問題につきましては、従来から我々現地でいろいろ調査いたしました結果、雨季以後の米を買う場合にはこれはもう変色するわけでございますが、変色した黄変米がたくさん来るということでございましたので、今年度からは六月までの積出しということで、雨季以後には買わないということでビルマ政府に交渉したわけでございます。すでにもう買い付けて殆んど到着いたしております。タイにつきましては毎年九月でございましたか、十月でございましたか、一年間の協定があるわけでございます。これにつきまして現在買付を進めておりますが、大部分つておりますが、残つておるものにつきましては私のほうとしては差控えるように手配をいたしております。
  98. 山下義信

    ○山下義信君 そのあとから入る分は、すでに買付契約が済んで、これから入るという見込のものは、ビルマとタイだけでどのくらいになるか、極く概数でようございます。
  99. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) ビルマは七月の積出でございますので殆んど入つております。タイのほうは今後の買付が済みまして積出すものが七、八万トンあるわけでございます。なお、タイからはあとら四、五万とンは買う予定になつておりますが、これは今買付を控えておる状態でございます。
  100. 山下義信

    ○山下義信君 そうすると大体問題はなんですね、ストックとそれから一部昨日衆議院で吉田君が名古屋で見て来たというのでやかましく指摘していましたが、それを差引して今後入るのを加えますと、大体十五、六万トンの黄変米配給の問題ということになりますか、二十万トンでありますか、全体の数として今あるやつと契約したやつが入つて来る分と全体として黄変米の問題は総量はどれだけのものを処分すればいいか、まあこれから先もずつとあるかもわからんけれども、一応この段階ではどれだけの数量の問題になりますか。
  101. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 数量の問題は現在入庫中のものが入庫し、或いは航海中のもの、それから向うを出発するもの等がどの程度の割合で生じるか、現在の数量ではそれがプラスとしてどの程度に発生するか、これはやはり着いて菌培養をして検定をいたしてみないと、ちよつとその数量の見通しはつきかねると思います。
  102. 山下義信

    ○山下義信君 今あるストックの大体十万……、十四、五万トンあると思つていたら大きな間違いないでしようか、見通しはどうですか。食糧庁長官予想は従来の実績等から言つてですね。
  103. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 大体今までの六月までの結果を申上げますと、大体百三十六万トンくらいでございます。その中で約八%くらいとなつておるわけでございます。
  104. 山下義信

    ○山下義信君 やはりそうすると約大体二十、もつと多いかもわからんね、二十四、五万トンくらいになるかもわかりませんね。
  105. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) つまり今まで百三十六万トンに対して現在までに……。
  106. 山下義信

    ○山下義信君 ああそうですか。
  107. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 現在までに八%、今後のものがどの程度に発生するかということです。
  108. 山下義信

    ○山下義信君 わかりました。そうすると約十二、三万トンの問題ですね、総量の関係がありますね。これの処分の仕方というものは……。一応私の質疑はこの程度にとめておきまして他の委員に……。
  109. 榊原亨

    榊原亨君 ちよつと伺いますが、この黄変米の原因はかびであるというようなお話でありますが、かびであります以上は、倉庫に置いておくと、だんだんかびが殖えて行くということが考えられるのでありますが、殖えて参るのでありましようか。
  110. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは専門家のほうからのほうがいいかと思いますが、私が承知いたしておりますのは、このかびは大体水分一五%以上の場合において繁殖する。現在の外米の規格からいたしますと大体水分一四%以内ということになつております。で一月から現在までの状態を見ましても、繁殖した状態はございません。倉庫におきましても繁殖したよう状態はございません。又種無もいたしますので、倉庫に貯蔵いたしましてから繁殖いたすようなことはないと思います。
  111. 榊原亨

    榊原亨君 すでに繁殖いたしておりますものも、倉庫に入れましたら繁殖しないということでございますか。
  112. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 繁殖いたしますには水分の条件があるわけでございます。その水分は現在におきましては乾季に買つておりますので、乾燥度は非常に高いわけであります。従いまして大体仮死状態になつておるというふうに承知しております。ただ倉庫内の水分もそれ以上に上つたということはありません。
  113. 榊原亨

    榊原亨君 環境衛生部長もさようお考えになりますか。
  114. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点につきましては、只今答弁もありましたように温度及び水分によつて支配される。日本の内地においては従つてなかなか発育しにくいものである、かように理解をいたしております。
  115. 榊原亨

    榊原亨君 それではそれを配給いたしまして倉庫から出まして家庭に参りましたあとにもかびが殖えないでございましようか。精米に廻しますとか、或いは配給所を通りますとか、末端の家庭に参ります間にそういうかびは殖えて参らないでございましようか。
  116. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これはまあ私専門家でないのでございますが、専門家から聞いておる私の記憶を申上げますと、只今申上げましたよう外米につきましては水分が一四%以下でございますので、その状態においては殆んど仮死状態になつておるというふうに聞いております。それからその発生菌自体は相当低い温度で死ぬということが言われておるわけであります。同時に私たちといたしましてこういうふうな問題になつておりますので、そういう点も慮りまして倉庫におきまして煉蒸いたします。そうして菌の大部分のものは、表面についておる菌の大部分のものは死滅するというふうに考えております。
  117. 榊原亨

    榊原亨君 その煉蒸と申しますのは、何か燃やすのでございますか。
  118. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 煉蒸は通常の場合におきましては、虫害を避けますために、倉庫内を密封いたしまして、ちよつと薬の名前を忘れましたが、劇薬によつていろいろ煉蒸発るわけであります。
  119. 榊原亨

    榊原亨君 二硫化炭素でしよう。その二硫化炭素でこの今までのかびが消えるかどうかということは厚生省でお調べになりましたか。
  120. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 実験の結果は、発育は停止されますが、併し全部完全に死ぬとは限らん、こういうことでございます。
  121. 榊原亨

    榊原亨君 次にお尋ねいたしますが、先ほどから恕限度の問題があるのでありますが、これは尤もだと思うのでありまして、毒でございましても、食べ物にはみな毒がある、その毒の何%以下であれば、毒じやないと一応恕限度を認めるのは結構だ。ところがこの毒の恕限度をおきめになるのに、人体実験としては京都大学において二人の健康な人をお使いになつた御成績並びに動物実験によつて大体方針をおきめになつたと思うのでございますが、さようでございますか。
  122. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 人体実験並びに数多い動物実験の例を参考といたしました。
  123. 榊原亨

    榊原亨君 人体実験は二人でございますか。
  124. 楠本正康

    説明員楠本正康君) その通りでございます。
  125. 榊原亨

    榊原亨君 ところが肝臓毒とか或いは腎臓毒と申しますか、動物が高等になればなるほど、その恕限度の範囲というものに非常に差異が出て参ります。曾つてアラスカのほうに日本の軍隊を送りますために、寒さに耐える兵隊を作らなければならんということで、北海道の柳教授にお頼みいたしまして寒冷に対する抵抗力を養うことを人体にしよう、その結果酒を飲ますことが一番いいということになつたのでありますが、それじや兵隊に酒を与えると酔つぱらう者もあるし、一向酔つばらわない者もある。一向酒の恕限度というものはきまらん。そこで酒というものは人間個人々々によつて違うのだ、こういうことになつたのでありますが、ところが動物実験はアルコールの実験をやればもうすぐ同じよう成績が出て来る。言換えますれば、肝臓毒とか腎臓毒とか申しますものは、動物が高等になればなるほどその範囲が非常に違つて来る、それは同じ物を一緒に食べる、酒も毒でありますから、たばこも毒でありますが、そういうものを一緒に食べなくても非常に差異が起つて来る。そこで動物実験の結果がこうであるから、二人の健康な人がこうであるからと申しましても、それだからといつて私は厚生省のお示しになつた恕限度が悪いと申上げるのではないのであります。それは非常に低い数字を示しておるのでございますからようございますが、そういうことだけで学者を満足させて、或いは国民の人心がそれで満足するということに持つて来るのは、まだ非常に御実験が要るのではないかと私は思うのでございますが、それらの点について環境衛生部長はどのようにお考えになりますか。
  126. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは他の問題等に比べまして、まだ初期の段階にありますことは御指摘の通りでございます。従いまして私どもは今後更に一層研究をいたしまして、逐次合理的なものに変えて行くということが必要だと存じます。併しさような含みを持ちまして現在の研究せられた範囲内におきましてはできるだけ安全度を強くしまして、むしろ厳しきに失するほどの態度をとりましてこの問題を考えておるわけでございます。先ほども申上げましたように、果して真黄色になつた米と、それから培養によつて出て来るものとその間に、恐らくその量においては相当な差があるだろうということはおのずから肯けますが、併しまだこれが立証されない限りは、私どもは重きに従いましてかような安全を考えて措置をとつたわけでございます。
  127. 榊原亨

    榊原亨君 そこでもう一つ私申上げておきたいのでありますが、そういたしますというと、この黄変米配給するか配給せんかということは、これはいろいろ議論がある思います。殊にその恕限度は低いところであるからいいといたしましても、これを食べます場合に、病人が食べてはいかん、或いは肝臓を害するものと一緒に食べてはいかんと何とかそこに御注意が要るのではないか。御実験の結果健康な人にはさようでございましようが、病人にはどうか、病人にも大体いいかというようなことで安心させるということが必要なことではないかと思うのであります。その問題はさておきまして、この毒は水に溶けるのでございますか。
  128. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この毒は分析の結果は、必ずしも一種類でございません。それでまだ本体も明らかになつておらんらしいのでございますが、溶けるものもあれば溶けないものもあるということで、種類があるらしく考えております。
  129. 榊原亨

    榊原亨君 昨日厚生省からお配りになりました資料を見ますというと、二つの種類の毒とも水に溶けるという資料をお廻しになつておられますが、如何でございますか。水、ベンゾール、エーテル、その他に溶けるということが書いてありますが、……それはお調べ願つていいと思うのでありますが、同じ猛毒でございますぺニシリンにいたしましても、ああいうものは全部水に溶ける、その溶ける量はその水の溶かします水素イオンの濃度に関係して溶けることになつておるのであります。従いましてペニシリンを作りますときにはペニシリン毒性をできるだけ保ちますために、いろいろな溶媒を使うのでございますが、今度我々はその毒を使おうというのじやありませんから、実は素人が考えますと、これは水で洗えば落ちてしまうと考えるのであります。ところがその米の中に奥深くまでそれが入つておるということでございますから、これは私どもの考えでございますが、一応これを製粉をいたしまして、その製粉したものを水洗いたします。そうしますならばその毒性の大部分はそれで毒が洗い流されてしまうわけであると私は思うのでありますが、そうしたものを乾燥いたしまして人造米にいたしますとか、或いはそれを酒のほうに廻しますとか、或いはお菓子のほうに廻すということによつてこの滞貨をなくすることができるのじやないか、そういうふうなお考えとか構想とかいうものを持つて何か御研究なさつておるのでありましようか。農林省でもただ毒の米を配給するとか、少しずつ配給するとか何とかいうお考えじやなしに、只今私がお話申しましたようなことで御研究が進んでおりますかどうかということを承わりたい。
  130. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 配給の面からいたしますと、我々といたしましても水洗して相当落ちるかどうか、それから勿論煉蒸はする、こういう形で考えておるわけでございます。ただ、只今厚生省からお話がございましたように毒の化学方程式、化学式がはつきりしないようでございます。只今お話があつたように我々聞いておりますのは、これは或いは聞き違いかも知れませんけれども、大体水洗すれば水に溶けるというふうに聞いております。ただ、御指摘ように中に入つておるものはこれは表面上の水洗ではできないということは当然でございます。先ほども申上げましたように大体菌自体は無毒であるし、菌自体の死ぬ温度というものは非常に低いというふうに聞いております。
  131. 榊原亨

    榊原亨君 これは是非一つ、参議院の自由党の政策審議会のほうからも申上げますが、是非ともこれは粉状にして水洗することによつてそれに小麦粉を加えるなり澱粉を加えるなりしまして、そうして人造米にして配給のルートに廻すということによつて万事片付くのじやないかと私ども思つておるのでありますが、このことにつきまして特に厚生省農林省のほうにおきまして早急に御研究を願いたいと思います。
  132. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 長官にお尋ねしたいのですが、その有毒の黄変米を一%までは人体に影響がないと仮に考えまして、私はこういうものは配給するということに反対なんですけれども、一歩譲りまして配給するという今の政策の下で技術的にこの一%というものが米に入つて行くものかどうか、どういうような技術的な配給をやられるのか。ただ全国の米に一%混ぜるというわけにも行かないんで各府県に黄変米だけが行くんじやないかと思う。そうすると取らない人もある、取る県もあるし、取らない県もあるだろうし、取る町もあるし、取らない町もある。そうするとどこかに黄変米というものが固まつて行く。そうすると黄変米研究室で何%ときめたということが、無害だときめたことが現実には何ら意味をなさない。貧乏人は黄変米を食べる、有害な量の含んだ黄変米を非常に有害な程度まで食べるということが現実に起る。その点について技術的にどういう配慮があるんですか。
  133. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 米の配給につきましては御承知のように、卸に対しましてはその県の全体の所要量が幾らである、それに対しまして内地米幾ら、外地米幾ら、準内地米幾らとこういうことになつております。個々の家庭に対しましてはやはり切符によりましてそういう限度が守られております。小売で売残つたものは政府に還つて参ります。政府が全量を売るわけであります。その県に対しましてはその限度以上は売らない。売残つたものは当然政府に還つて来る、こういう形になろうかと思います。
  134. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 そういうことは厳格にできておるものですか、或いは厳格にできると思われますか。黄変米を買うと、自分のところでは安くだつたら、配給の値だつたらそれを買いたいというときに、恐らくそれはどこかで売られるだろうと思う。一度地方に行つたものが而も大部分の今の配給所或いは府県で或いは婦人団体は黄変米は買わないと言つておるのですから、そうしたら無駄になりませんか。一旦地方に行つてもう一度食糧庁の倉庫に還つて来るというと、厳格にそれが守られるかどうかということと、そういう還つて来る見通しが相当あるというものを配給されるということは果して賢明であるかどうか。
  135. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今指摘ように府県なり或いは団体なり、配給業者なりがこれに対して反対をいたしておる。これはいろいろ現在の不安な状態からいたしましてそういうことがあるわけでありますが、勿論我々としてはこの不安を解消するように努力するわけであります。御指摘の技術的な面から申しますと、当初に配給計画を示しますから、恐らくそういう場合におきましては物を動かさない前に買入れが行われないということになるのであります。
  136. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 どうもその点に私どもは非常に不安を感じておるのです。徹底的に黄変米はどこまでも拒否するというこういうような世論が起つて来れば、ますますこれは強くなるだろうと思う。と言いますのは、只今よう実験の結果というものが非常に不安なんです。健康体の二人の人体実験したというようなことが国民にもつともつと徹底して来ますと、これは虚弱なものは、或いは子供にはどうだろうというような疑惑が当然起る。従つてそういう配給は受取らないというのが全国の世論になり、それを強行して配給される場合には、恐らくこの黄変米を多量に食べる階級の人間が出て来ると私は考える。そういう点についてこれは厚生省の問題になつて来ると思うのです。要するに食品の衛生、毒物というものを、ヒロポンでも毒物なんでしようけれども、薬として使えば、薬剤になるわけですけれども、ヒロポンとして使うから悪いのであります。黄変米も無害な限度というものがあるけれども、実際以上に無害の限度が破られるというのであれば、これはヒロポンと同じなんです。厚生省の環境衛生部長がヒロポンを奨励するような、黄変米を奨励するということはヒロポンを奨励すると同じような結果になる虞れがあると思いますが、そういう意味において私は環境衛生部長がもつとそういう実際の技術的な、末端においてこれがどのような結果になるかということを研究室を離れて、研究室においてこういう結果が出た、併しこれは技術的にどえいうふうになる、社会的にはどういう影響があるということについて綿密な研究と同時に断固たる態度を以てやはりこれは配給を停止する、或いは禁止するというような態度に出られることを希望する、これは希望であります。
  137. 湯山勇

    湯山勇君 長官にお尋ねいたしますが、先ほどのお話で煉蒸によつて死ぬというようなお話がありましたが、これは実験の結果どの程度死ぬというようなことはわかつてないのでございましようか。
  138. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 表面の殺菌については死ぬというようなことを聞いておりますが、具体的に何%死ぬか、全部死ぬか或いは九〇%、そういう点については私今データを持ち合せておりません。併し煉蒸の結果は死ぬ。又我々現在検討いたしておりますのは、その従来の煉蒸の度合いというものがどの程度まで高めれば死ぬかというふうな点についても検討いたしております。
  139. 湯山勇

    湯山勇君 こういう基準とかというような問題は厚生省の問題だというようなことをおつしやいましたが、食糧庁として或いは農林省としてこの毒性なり、或いはその他の点についての研究はしておられるのでございますか。そういう点は全然厚生省委せでございますか。
  140. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 我々のほうは食糧研究所を持つておりまするが、食糧研究所は御承知のように、食糧の利用研究から出発いたしております。それで菌があるなしの検定等はやつておりまするが、その量の問題、それから化学的の方式、毒素の強さというような問題は、現在の我々のほうといたしましては本来の目的はそうではございませんで、厚生省にお願いいたしておるわけでございます。
  141. 湯山勇

    湯山勇君 それではこの基準については厚生省で一方的にきめる筋合のものであつて農林省としては何らこれには関知しない、こういうよう判断してよろしうございますか。
  142. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは御承知のように、有毒か無毒かというふうな問題、或いはその許容限度をどうするかという問題、これは食品衛生の立場からきめられる問題だと私は承知いたしております。
  143. 湯山勇

    湯山勇君 それじや先ほどのこれはまだあとで正確の御答弁があつたときにお聞きしてもいいと思うのですが、両方の次官で協定したというのは、どういう立場で以て農林省はこれに何といいますか、次官がサインをせられたか、その意味をもう少し御説明頂きたいと思うのであります。
  144. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この問題につきましては実は我々配給面からいたしますと、こういうふうに問題が従来の肉眼検査で以て見分け得る状態ではなくして、菌培養なり或いは特殊の方法でなければ見分け得ないということになりますと、今後の食糧配給の面或いは買入れの面からいたしまして相当考えなければいかん問題が起るわけでございます。そういう何か早い菌検定の方法がないか、或いは今後現地に対してどういうふうな要求をし、又どういう措置をとつて行くか。やはりこれは我々としましては食糧管理上、或いは食糧輸入上、その実施についていろいろ問題がございます。そういうものを含めて申合せをしたわけでございます。
  145. 湯山勇

    湯山勇君 それでは結局港へ上げて家庭べ届く直前までは食糧庁の管轄にあるということになるわけでございますね。そこで先ほど榊原委員の御質問と関連して来るわけですが、先ほどの御答弁では、その間に菌は殖えない、増殖しないというよう意味のことをおつしやいましたけれども、問題は菌というものはああいうふうに培養すれば出て来る生物でございますから、ただ単に倉庫の中に管理しておれば増殖しないというようなことは或る程度認めなければならないと思いますが、それ以外に配給所の店頭に積重ねられ、或いは途中で船舶輸送する分も出て来ます。そういつたことや、更にそれ以後において各家庭へ配給された後において、これは日本の国はいろいろ気候風土が違つておりますから、非常に湿気の多い所もあれば少い所もある。そういう所で菌が増殖するかしないか、そういうことに対する研究は食糧庁としては家庭に渡るまで、厚生省としては家庭に渡つてから後そういう菌が増殖するしないの研究、そういうものについては現在までどのよう結論を得ておられるか、御説明を頂きたいと思います。
  146. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 家庭に貯蔵されました場合に菌が如何に変つて行くかという点につきましては、未だ研究成績を持つておりません。
  147. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 具体的に各配給面におきまするそれぞれの場所において実験をしたことはございません。ただ菌の生存の条件というふうな面からいたしまして推定をいたしておるわけでございます。
  148. 湯山勇

    湯山勇君 楠本部長にお尋ねいたします。厚生省が唯一のより所としておる実験というのは口へ入れるときのパーセンテージでございます。従つてこの基準というものは口へ入れるときのパーセンテージが基準にならなくてはならない。ところが今の御説明では口へ入れる直前の家庭の管理ということについては全然御調査になつていない。これでは不安というものは決して解消されないし、国民の不安は誤解ではない。と申しますのは、御承知の通り、今日住宅難で雨漏りのする家が相当ございます。それから農家と違いましてこういう配給を受ける家というものはその貯蔵の設備もよくありません。恐らくそこで配給になる分量もそうたくさんではございませんから紙袋に入れたり、きれの袋に入れたままで置いておくという状態でございます。そういたしますと、ただ単に机の上で今のような御計画をなさいましても、これは実際問題として国民の保健を守るという基準ではなくて、ただ非常に悪い言葉で言えば学問に名をかりてただ一時を湖塗したというに過ぎないというふうにさえもとれる。悪く言えばと思いますが、そういう問題については合後どういうふうにされるおつもりでございますか。
  149. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 家庭に配給されてからの問題につきましてはまだ試験がしてございません。かような点を今後試験をしなければならんと思つておりますが、ただ先ほどもお話がありましたように、大体水分と温度の条件によつて繁殖するという点から考えまして、日本内地においては極めて繁殖しにくいものであろうということを考えておる次第であります。従つてそう昔に検査したものはこれは別といたしまして、比較的最近に検査したものでありますれば、日本内地においてはその時期が短かければ検査した当時の状態が口に入る状態に近いのではなかろうか、かようにまあ考えておる次第であります。なお只今御質問のように、成るほどこれはまだ研究が始まつて日もありませんので比較的基礎は乏しいかと存じます。それだけに恐らく我々は将来これを研究が完備したときに振返つたときにはむしろ随分きついことを言い過ぎたというような結果になるのではなかろうかと思うくらい、私どもとしては現在の状態から考えまして判断をいたしておるわけであります。なお、これらは極めて専門的な問題になりますが、現在動物実験等におきましては、これは純粋培養した米で試験をいたしております。従つてこれが真白な白米の中に極く僅かに証明できるようなものの量とは雲泥の差があるものを使つておるわけでありますが、併しこれも現在としてはわからんのだから、まあこのくらいの安全率を見ようというところにほかならんわけであります。又成るほどこれの基礎となります試験研究は必ずしも十分ではございませんが、併しながらそれだけに私どもは非常にこの扱いの面でも十分な安全率を考えまして、例えますれば先ほどからお答えいたしましたように、二・五%ということも成るほど学者では反対する人もあります。併しこれはただそういつた証明がないという意味でございます。併しながら実際に私どもはこれは従来の実験成績から見れば大丈夫と思つております。而も先ほどお答え申上げましたように、実際問題といたしますと、これを一日に食べるということは極めて稀な例でありまして、現在は他の米と、或いは全然まじりのない外米も或いは配給になります。又一方ではうどんその他も食べる人もたくさんありますが、従いまして全体をこれを平均しますれば極めて微量になるという考え方で進んでおるわけであります。そこにも大きな実際問題は、これは理窟では言えませんけれども、実際の操作の面では大きな安全率をそこに見越しておるわけであります。従つてどもは平均をすれば〇・三%は、こういうことはあるまいかと、かように考える次第であります。
  150. 湯山勇

    湯山勇君 今部長自身がおつしやつた通り私も言いたいわけです。これは昨日農林大臣が決算委員会で答弁しておられたのが昨夜の録音で出ておりましたが、黄変米を買付けなくともいいんじやないか、黄変米なんか買わなくてもいいんじやないかという質問に対して農林大臣は、理論的にはそうだけれども、実際問題はそうは行かないということをお答えになつておりましたが、今部長のおつしやつた通り、今回の基準にしても或いはその他の問題にしても、今政府がお考えになつておることは理論の上からは或いはそうかも知れない。けれども実際問題はそうは行かないということをむしろ強く実際政治においては考えなくちやならないと思います。その点が極めてあいまいであるし、又危険の限度が今部長がおつしやいましたように今まで言い過ぎたという時が来るというようなこともおつしやいましたが、これは家庭で以て逆の場合もあるかも知れません。私はもつと端的にその逆の場合を申上げますと、ビキニの危険区域がそうなんです。あれが最初設定されたときに、みんなこんな広い区域を危険区域として設定するというのでみんな驚いたわけです。ところが本年三月一日の水爆実験の結果はそれよりも遥かに大きい区域が危険区域であつた。理論的にやつたアメリカ自身さえも驚いておるほど大きい危険区域になつた事例もある。これは部長の反対の例を強めるために申上げたのですから、ともかくも問題は少しも今までの説明では解明されていない。殊に黄変しておるものと仮死状態に入つておるものとの性質の究明がない限り、今日これを混合して同じように考えて行くところに非常に問題がある。更に今直接口に入る実験をしておいて、而も入るときの段階において何らの手段も尽されていない。そのときの段階についてはただだろうという推測に過ぎない。これも非常に大きい問題だと思いますので、これらの点を早急に検討し、はつきりさせるという御計画があるのかないのか、その点を先ず伺いたいと思います。
  151. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点につきましては、先ほどお答え申上げましたように、学問、技術というものは今後どんどん進歩させなければなりませんので、速かに立派な研究をいたしまして、それに基きまして又より合理的な線に持つて行くという点につきましては、今後大いに努力をいたしたいと存じおります。なお、いろいろ研究項目を定めまして、目下大蔵省に予算を要求することに相成つておるわけでございます。
  152. 湯山勇

    湯山勇君 只今までいろいろお尋ねしたような点が明確にならなければ、到底国民は安心することができないと思いますが、そういうことは部長もお認めになられますか。
  153. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 確かに国民は本当の意味を大分、何と申しましようか本当のことを知らずにむしろ大分誤解しておる点もあるかと思います。これは私どもも今後大いに反省をいたしまして、できるだけ速かに国民の納得と理解を得ますように資料も提供すれば、又一方その努力を払うという点につきましては、先ほど大臣からお答え申上げた通りでございます。
  154. 湯山勇

    湯山勇君 まだありますけれども一応この辺で、又やります。
  155. 山下義信

    ○山下義信君 私はこの際動議を提出いたしたいと思います。黄変米に関する論議は幾らしても尽きないのでありますが、大体においては委員会はその大要はつかみ得たと思うのであります。こういう趣旨の決議をいたしたいと思うのでありますが、お諮り願いたい。黄変米についてはその毒性研究はなお十分とは言えない今日、国民の不安増大せる現状に鑑み、政府はこの際その配給を中止すべきことを決議する、こういう意味の決議を委員会としていたしたい、かように考えます。動議を提出いたします。
  156. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 山下委員の動議が出ましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  157. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないものと認めます。もう一遍お読みを願います。
  158. 藤原道子

    藤原道子君 では読みます。     決議文  黄変米についてはその毒性などの研究はなお十分といえない今日、国民の不安が増大している現状にかんがみ、政府はこの際苦黄変米配給を中止すべきことを決議する。
  159. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 以上でありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 上條愛一

    委員長上條愛一君) では御賛成の方は挙手を願いいます。    〔賛成者挙手〕
  161. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 満場一致採択したことにいたします。これを政府のどこどこへですか。
  162. 山下義信

    ○山下義信君 農林大臣厚生大臣、総理大臣
  163. 上條愛一

    委員長上條愛一君) よろしうございますか……。それではさよう取計らうことにいたします。
  164. 湯山勇

    湯山勇君 私はこの際特に厚生省にお願いいたしたいと思います。それは従来黄変米の毒というものについては、世界各国とも無関心でおつたものを初めて日本で取上げたわけであります。で、この問題は米食国全体にとつて極めて重要な問題であつて毒性そのもの研究もさることながら、日本の立場としてはその毒性をどのようにして除去するか、それによつて起る障害をどのようにして防いで行くか、そのよう研究はやはり日本の民族、日本の国民に課せられた重大な使命だと思うのです。今日ただ毒性或いは黄変菌そのもの研究に没頭しておる段階であると思いますが、それだけにとどまらないで、速かにそういう研究に移つてもらいたい。そうすることが日本の国力を高め、又アジアの諮民族から信頼される唯一の、唯一とは申せないにしても、大きな要素であると思いますので、どうか一つそういう方面に十分力を注いでやつて頂きたい。そういうことは国際的な立場からばかりでなくて、只今黄変米の処理にいたしましてもそういう毒の解消とか、これによつて起る病気に対する処置が完全になれば、当然国民も安心して今回のような問題が起らない、こういうことも考えられますので、そういうことを強く要望いたしたいと思います。
  165. 高良とみ

    高良とみ君 私も要望することがあるのですが、先ほど環境衛生部長から、何か国民の側において黄変米に対して誤解があるようなお話でありましたが、どういう点を指して誤解と言われるのか知りませんが、消費者としては極めて正解すべくあらゆる努力をし、こういう暑い時期にもかかわらず婦人団体その他いろいろ勉強して来ております。農林省厚生省を訪ねて、できるだけ正確な知識を得ようとして勉強しております。若し誤解の点がありますならばそれを明らかにすることを希望いたします。従来までにバターを輸入すればその中に大腸菌が入つており、或いは酸敗した油脂が入つて来たりして、相当食糧の国際関係においても御尽力になつておりますことは認めますけれども、消費者としましてはそれによつて経済的にも影響いたしますから十分な御研究をされ、消費者が誤解しないように、又信頼をして厚生省の環境衛生部の御発表が正しく行われ、期待を裏切らないよう一つ御尽力を願いたいという要望を申上げておきます。
  166. 藤原道子

    藤原道子君 いろいろまだ質問もありますが、時間の関係で省略いたしますが、今高良さんが言われたよう食品衛生法に関する試験がこの頃ルーズではないでしようか。最近静岡でチーズにが出て大騒ぎをしたり、又黄変米の問題、又バターの中から大腸菌が出た。こういうことはどうも私食品衛生の立場から言つて非常に遺憾だと思う。これは本当から言えば腹切りものです。あなた方は何とか言を左右にして言い訳ばかりしておるが、それでは済まない。これは国民にどれだけ陳謝しても足りないことだと思う。だが一方において予算に縛られておる。ここに大きな問題がある。そこで現在食品衛生法検査員は何人で当つており、予算は幾らであるか、この点を私は伺いたいと思う。  それから長官に一つちよつと伺いたいのですが、この前福永官房長官は、これは政府の一連の考え方じやないかと思いますが、毒々とおつしやるが、藤原さんあなた煙草を喫つておるでしよう。煙草にはニコチンがありますと、こう言われたので喧嘩してしまつたのですが、私はニコチンがあるということは承知で喫つておる。煙草は嗜好品なのです。喫わなくても済むのです。ところが主食は食べなければ命に関する。こういう考えで政治をされては国民が迷惑です。この点を十分にお考えになつて頂きたいと思います。それからこの黄変米は昨年もここでやつたのですが、そのとき籾米で輸入したらどうだと言つたら、そんなことはできないと、この間も農林大臣は棄てるべき部分の籾を入れることは不経済だと言うのです。それで籾と白米にした場合の廃棄分と食べる分との比率はどれくらいなんですか。
  167. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お答えしますが、先ず端的に、只今の第一点の御注意は、十分我々も主食の点でございますから注意しなければならんと、私もそう考えております。  それから籾の点は、これは量の点から行きますと、升目で大体半々になります。まあ籾をとると七、八割というところだろうと思います。棄てるものが二割か三割だと思います。ただこれは御了承願わねばならんのは、現在タイにおきましても、ビルマにおきましても、籾の輸出については許可制をとつておりまして、籾自体に対する売却ということは事実上向うが売らないわけなんです。
  168. 藤原道子

    藤原道子君 それからもう一つ明確にして頂きたいのは、国民の誤解誤解と言うが、確かに誤解かも知れませんが、フィリピンで食べなかつた黄変米を日本が輸入したということが新聞で出ていましたね。ところが、安く買つたが非常に砕米が多くて、あと輸入をとりやめたということが出ていましたね。これは真実かどうか。フィリピンで食べなかつた黄変米輸入したことが事実なりや否やという点を私はこの際明確にして頂きたいということが一点と、それから今まで片柳さんが社長の日本糧穀会社ですか、ここに払下げていたのは、これは変黄米の混入率のどのくらいのものを払下げておいでになるか、ちよつとそれだけ伺いたい。
  169. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 第一点のフイリツピンの問題は、これは輸入したことは事実であります。これは綿とのバーターにおきまして輸入いたしましたが、そういう心配がありますので、我我は主食としては考えなかつたのでございます。これは主食として輸入するのでなく、米としても原材料用で、味噌その他に配給いたしております。これは一定の配給計画の下に内地米その他と配給するわけでございますので、その原料価格で以て配給できる価格をつけまして、綿とのバーターで輸入いたしたわけでございます。これは輸出の面からいたしまして、綿布の織物の輸出が相当それによつて増進するということで輸入したわけでございますが、これはもともと我々といたしましては、御承知のように、米全体を統制いたしておりますので、一般的に家庭に配給するものと、工業原料なり、つまり味噌、醤油とか、焼酎とかいうものに配給するものがあるわけでございます。その計画の範囲内で以て従来砕米をそれに充てておつたわけであります。それを振り替えまして、砕米以下の価格で以て、政府としては損をしない価格で以てそちらに売却すると、こういうことで、普通のバーター取引でございますので、輸出との関係で外貨が節約できると、こういう意味で認めたわけでございます。
  170. 湯山勇

    湯山勇君 分量はどれだけですか。
  171. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 約六千トン程度つたと思います。それから、只今お話のありました日本糧穀会社に対する売却でございますが、これは二十六年に入りましたものを二十七年に売却したわけでございます。これは従来の基準に従いまして、一%以下は配給に廻したと、それ以上のものは、パーセンテージによりまして、醸造酒、工業原料と、こういう形になつております。それを実需者に対して売却いたしたわけであります。実需者の代行として糧穀会社がやつたと、こういうことでございます。これもいろいろ問題がございましたので、その後は全然やつておりません。
  172. 藤原道子

    藤原道子君 私は今の答弁では物足りない。もつと突つ込まなければなりませんけれども、問題がたくさんありますから、非常に今の御答弁は不満です。フィリピンから、そういうほかのものに廻すと言つたつて、こつちで処分でき得ないものがあるのに、砕米をわざわざそういうバーター制で入れたなんということは、これは私には納得できません。新聞で見ると、そうではなかつたが、取つてみたら余りひどいのでそつちへ廻したというふうに出ておるのですが、まあそれはいずれ後の機会に大臣に伺いたいと思います。
  173. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  174. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。それでは休憩いたします。    午後零時十五分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた