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1954-06-01 第19回国会 参議院 厚生・建設連合委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月一日(火曜日)    午後二時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。   厚生委員    委員長     上條 愛一君    理事            大谷 瑩潤君            常岡 一郎君    委員            谷口弥三郎君            中山 壽彦君            西岡 ハル君            横山 フク君            藤原 道子君            湯山  勇君            有馬 英二君   建設委員    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            赤木 正雄君            飯島連次郎君            近藤 信一君            田中  一君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君   政府委員    法制局次長   林  修三君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    建設省計画局長 渋江 操一君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省計画局水    道課長     岩井 四郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水道法案内閣提出)   —————————————
  2. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 只今より厚生建設連合委員会開会いたします。  内閣提出水道法案を議題といたします。前回に引続き御質疑を願います。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 昨日この委員会で申しました省令、政令の大体の方針ということもありますが、その先に先ずお伺いしたいことがありますからお伺いします。私は甚だすみませんが、私今まで余り勉強してないのです。ちよつとこの法案を見まして、第一に気になつたのは、この法律に謳つている水道というものは、「水を供給する施設導管設備を有するものの総体」とあります。総体といたしますと、導管設備のあることは一つ条件でありますが、仮に導管設備をする前に、例えて申しますと、昔のローマ水道のように、開渠に水を引張つてきて、それから先は導管を持つて行く、こういう場合もやはり水道でしようか。
  4. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) お答えを申上げます。只今の御質疑はその一部が開渠で水を送られる場合と考えますが開渠で送られます場合でも、その先が導管になつて、いわゆる水道の形をとつております場合は、その施設全体が水道施設開渠部分を含めまして、水道施設とかように考えます。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういたしますと、導管の長さにも別に制限がありませんし、又その大きさにも制限がない。こうなりますと、この導管そのものは、政府ではどういうものを導管言つておられますか。導管構造から先ず承わりたい。
  6. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 導管の細かい構造等は、施設基準政令として譲られております。政令内容といたしましては、それらの導管基準というようなものがきめられることになつております。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 その導管基準が非常に重要なものになりますから、私まだその内容を読んでいませんので、甚だ相すみませんが、どういうものでありましようか、御説明願いたいと思います。
  8. 岩井四郎

    説明員岩井四郎君) ここで考えておりまする導管とは、鉄管、鋼管、コンクリート管、それから石綿管、そういうものを考えております。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 仮にトンネルを作る場合に、コンクリートトンネルを作る。無論長いトンネルもありましようし、短かいトンネルもありましよう。こういう場合にそのトンネルの中を水が流れる場合に、やはりこれが導管という定義に入るわけですか。
  10. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) その使用の目的はいずれにいたしましても、導管によりまして水を通します場合には、一応第一項におきましては、水道の部類に入つて参ります。併しながら第二項以下におきまして、例えますれば、飲水はこういうものを言う、産業用水はこういうものを言う、原水供給水道事業はこういうものを言う、というようなことになりまして、実質的には勢いさような導管は本法から適用を受けない、かような結果になるわけであります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 枝葉末節のことはどうでもいいのであります。私は主なことを承わりたい。河川を導いて、河川の水を引いてトンネルを通じてやる。これは一体水道になりますが。
  12. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 設備条件比較等から申しますと、今の河川水路パイプで通したような場合、事業用水パイプで通したような場合、パイプ等中心とした設備条件から申しますれば、これは同じ範疇に入ると思います。ただ、ここで水道のおのずから目的といたしまして、そのパイプの水を通す一つ目的、これによつておのずから水道であるか否かということが区別されるように思います。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 新潟県或いはほかの県でもありますが、相当大きな河川を導く場合であります。一部トンネル使つて、そして無論そのトンネルコンクリートで巻いてある。而もその水を日常生活に用うる。そうするとこれもやはり水道に入るのですか。
  14. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) たまたま導管設備、それに通される水という条件を備え、その水がたまたまこれが飲用に供される。こういう場合を水道というかどうかというお尋ねのように拝聴したのでございますが、さようでございますか。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 その水を飲用に供することもあろうし、或いは供しないときもありましよう。「その他の日常生活、」とありますから、その水を引つぱつて来て農業用水の水を日常生活の用に供することもありましよう。要するに河川工事の上からいつても、併しその一部はトンネル作つて、そのトンネルコンクリートで巻いてある。今あなたの言われる導管適用する、それがために河川そのもの水道というのでは、余り常識から考えて非常に我々は了解しがたい。併しそれでも水道なんですか。
  16. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 第二条の第一項本文の字句の解釈論から申しまして、お話のようにこの目的につきましても、飲用以外のその他の日常生活、或いは鉱工業用等という需要範囲をかなり弾力性を持たしてございますので、そういつた御疑問も起ると思いますが、ただ伺書で、「臨時に施設されたものを除く。」ことにいたしておりますと同時に、二項以下におきましては、それからこの法律規定する対象である具体的な施設なり、事業なりというものを更にその定義の中からしぼつております。さような関係からいたしまして、第一項の定義だけを中心といたしまして只今お話のような問題が起るかと存じますが、二項以下の定義を通覧して頂きますと、おのずから通常考えられている水道対象としている実体を明らかにすることができるのではないかと存じます。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は二項、三項、そういうものより、先ず本論において、導管があるならば水道とおつしやいますから、それに非常に疑義があるのです。根本において疑義があるからこういう御質問をするんです。少くとも今建設省のほうの御説明でありますが、建設省としてはそういうものを水道としてお考えになつておりますか。私はこれは河川局長の御意見を承わりたい。でありますから、相済みませんが、河川局長の御出席を求めます。  河川局長見えます前に、もう一つ別の論から承わりたい。今仮に大きな場合の導管を言いましたが、仮に導管鉄管があつて、やはり水を引つぱつて来ればこれは水道ということになるならば、水力電気を起す場合には鉄管がある、これもやはり水道範疇に入る、なぜならば、水力電気を起しまして、それを工業用等需要に供するんですから、この第二条の条項から言うと、そういう意味から水道に入る。一体これは通産省のほうでも、まさか水力電気のを水道と思つていないと思いますが、どうなんですかね。
  18. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この場合にも、先ほど計画局長から御答弁申上げましたように、成るほど第二条の定義の第一項におきましてはさような疑義が生じます。併し二項以下を読んで頂きますと、おのずからこの第一項の定義にしぼりが出て来まして、さようなものは水道とは言わないということが明らかになつて参ります。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はこの根本論におきまして、そういう疑義のあるものを水道ということに先ず以て書いてあるのに、非常に疑義があると思います。言い換えるならば、この法案をお作りなさるときに、なぜこういう疑義のあるようなものを、末項においてはしぼつてあるとおつしやいますが、水道そのもの定義において根本的に間違つておりはせんか、そこで一つこれを作られた法制局長一つ呼んで欲しい。    〔委員長退席建設委員長深川タマヱ君着席
  20. 深川タマヱ

    委員長代理深川タマヱ君) 只今林内閣法制局次長がお見えになりました。赤木委員もう一度御質問下さい。速記をやめて……。    〔速記中止〕    〔委員長代理深川タマヱ退席委員長着席
  21. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたします。    午後三時二十六分休憩    ——————————    午後三時四十八分開会
  22. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは只今から再開いたします。御質疑を願います。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は先ほど質問したのでありますが、又くどいようでありますけれども、法制局長官か、或いは代理がお見えになつていると承わりましたから、河川局長の御出席を要望していますが、これに対しては、又後日の連合委員会をお願いいたしたいと思います。先ず法制局長のほうにお伺いします。この第二条の、我々がその一般に、一般通念言つて水道、即ち飲用水を引いて、水を飲んだと、そういう簡単な意味水道ならばわかりますが、その用語定義に誰つてあるような水道ならば大分用語の上に疑問がありますから、私は質問いたしましたが、重ねてお尋ねいたします。この水道というのは、先に私聞きましたら、先ず以て例といたしまして、昔のローマ水道のように大きな開渠があつて、それから先に導管がある。これも水道かと言えば、導管さえあれば水道だという御説明がありましたが、導管は如何なるものかと聞きましたら、つまり鉄管もあるし、或いはコンクリートの管もある。そういうふうな御説明がありました。又導管の長さについては何ら御説明がありません。だからして、長さにおいては長い導管も、短い導管も、やはりこれも水道導管と、こういうふうに認め得るということになつています。そういうものがすべて水道という御定義でありま丸から、私はもう一遍法制局のほうのお方にお伺いしたい。それは例えて申しますと、相当大きな河川を引張つて来る、途中に山がある場合に、その山の一部分トンネルを作りまして、そのトンネルコンクリートで巻いて、それから又水を引張つて来る、これも水道かと言うと、やはり水道だと言うふうの御説明がありましたので、そうしてこに非常に水道意味で大きな疑義が起りますから、果してそれも水道かどうかということをもう一遍法制局のほうからお答え頂きたい。
  24. 林修三

    政府委員林修三君) この水道というものの定義は実は非常にむずかしいのでございまして、現行水道条例も、水道とは「給水ノ目的以テ布設スル水道云ヒ」というようなことで、水道自身のことは定義はきめておりません。現行水道は、上水道だけを規制対象にいたしておるわけであります。実はこれも今度の水道法案におきましても、いわゆる飲料用水道だけが規制対象であれば、比較的社会通念からも割合に定義の仕方は或いはたやすいかと存ずるわけでありますが、今回の水道法案におきましては、いわゆる一般事業用水道と言われます産業用水道事業用水道と言われますものもこの規制対象に入れておるわけであります。そうなつて参りますと、実はこの定義はなかなかむずかしくなつて来るわけでございまして、ここに相当苦心をいたしまして実は定義をいたしたわけでございます。大体この法案におきましては、水道という観念三つに分けて書いてあると思います。第一は、普通のこの二条の二項におきまして言つております上水道、いわゆる普通の飲料用水道であります。それから第三項におきまして事業用水道鉱工業の用に供する水道、それからもう一カ所に十九条等で、いわゆる上水道事業者需要に供するために、原水を供給する水道という観念をもう一つ入れておるわけであります。この三つ観念を包括して二条の第一項で水道という定義を実は書いたわけであります。この三を包括するような観念としてここに実は上げて参つたわけであります。それを如何なる言葉によつて表現するかということが実はむずかしい問題でございます。又おつしやいましたように余り広く申しますと、何でもかんでも実は入つて来るという観念がございます。そこでいろいろ考えてみたわけでありますが、ここで観念としてとらえ得るところは、第一には、「飲用その他の日常生活、業務、消防又は鉱工業等需要に応じて水を供給する施設」、こういう一つ観念があると存じます。従いまして今おつしやいましたような単なる河川、水を流して単に水が流れて行くためのものだけのものはこの観念に入らないのじやないかと思います。一定の何らかの需要に応じて水を供給する、こういう観念一つつて来ると思います。それからその次の導管のことは、今おつしやいましたようなことだと思います。必ずしも導管の長さそのもの規定はいたしておりません。又導管の性質も言つておりません。従つてコンクリートであろうと、鉄管であろうと、木管であろうと、そういう一つの人工的な管の施設によつて水を導く、供給する施設、こういうことであろうと存ずるわけであります。ただそう申しましても、今の普通の意味は、社会通念で言う河川という観念は入らないと存ずるわけでありますが、普通に水道という観念として、社会通念から水道と言えないような、いわゆる灌漑用水でそういうような導管設備を持つているもの、或いは発電用水導管設備を持つているものというふうなものは、観念的には二条の一項に入り得ると思います。ただ併しそこは、水道法案規制対象は二項では上水道はつきり規定をいたしました。三項では事業用水道として、この二つをこの法案の主な規制対象にいたしております。この以外から出てはみ出す水道は、十九条の原水供給関係で、或る範囲において規制対象にしなければならない、こういう考えで多少ここにはみ出すものも入れておる、こういうことで立案いたしました。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 上水道といたしまして、いわゆる水を飲む……これはわかりました。併し河川はその水道に入らないとおつしやいますが、先ほど政府委員の御説明では、いわゆるトンネル作つてそれがコンクリートで巻いてある場合にこれも水道に入るのだと、こういう御説明なんです。そうすると非常に大きな問題になつて来る。のみならず、仮に河川を導く、それはその他の日常生活、これに導く河川はたくさんある、河川として……。河川というものは、あなたの考えておられるようなそういう小さいものではない。やはり水、飲む以外に日常生活に持つて来る河川はたくさんあります。而もそれをトンネルを以て一つコンクリートで巻いてそれを持つて来るのです。そうするとこの意味から言うと水道に入るわけです。いわゆる通常観念で入らなくても、こういう変な定義をされるとこの水道に入る。而も河川法の改正とか、そういういろいろな法案ができる場合には、これは水道だというふうなことになつては将来に疑義が起るのです。それでもう少しはつきりしたいのです。
  26. 林修三

    政府委員林修三君) 今申上げましたように、私は普通の意味で、極く常識的な意味で申しまする河川というものはこれには入らないと存じます。ただ河川法適用を受ける河川は、或いは運河等のもの、或いは人工的に一定目的のために水を引張つて来る施設も、或いは河川と言われる場合もあり得るかと思いますが、そういう意味におきましては河川と、そういうものは普通の社会通念で言います河川と違う意味河川、いわゆる水道という意味は、或いはこの水道と重複する観念があり得るかと存じます。併しながらここの法案では主としてこの規制対象といたしておりますのは、この二項で申しております上水道、それから第三項で申しております事業用水道、この二つでございます。この二つにおきましては、普通の意味に言われておる河川等はこれは勿論入らないと存ずるわけでございます。ただこの二項、三項から多少はみ出したもの……。一項の水道は、二項の上水道、或いは三項の事業用水道と、こう書けばいいではないかという疑問が実は或いは出て来るかもわがらないのであります。そういう観念の取り方も実はあるわけでございますが、十九条で原水供給事業というものを、やはりいわゆる一般上水道のためにどうしても衛生管理の面から、ここまで管理を及ぼさないと工合が悪い。然らばこの場合のいわゆる普通の河川でない人工的水道といいますか、こういうものに規制を及ぼす場合には、それを何と表現するかという問題、これは立法技術の問題になつて参ります。それをここでは一つ観念として水道という観念の中に実は含ませてあるわけであります。これを別の表現にする方法も実はないわけではございませんが、この法案ではそういう三つを実は含ませて水道という観念とつたわけであります。これで直ちに河川法適用する河川規制とこれが重複する、同じ面については同じ面を規制するという面は起らないと存じます。河川法において規制する河川の面は、おのずから又違つた面でございまして、ここでいわゆる上水道事業用水道以外の水道規制しておりますのは、全く原水供給としての質と、上水道に供給する水の量との規制だけの点でございまして、これは河川法の普通の規制とは全然対象を異にしております。従つてこれによつて河川法の領域を侵すということはあり得ない、かように考えておるわけでございます。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 今お話のありました運河の問題も一つ聞いてみたいのです。これは事業用水道としてありますが、いわゆる上水道以外にも、仮に運河を引張つて来てそれがトンネルを一部くぐる、つまり導管をくぐる、これがその一般事業用というものは非常に広い意味がありますが、仮にこれを農業用に導く、農業等一つ事業ですから……。そうすればこれはこの水道に入るのですか。
  28. 林修三

    政府委員林修三君) 今おつしやいました灌漑用水というものは、この観念から申しますれば、そういう灌漑用のための農業用水路であつて、こういうような施設を持つておるものは観念として私は入つて参ると思います。ただ先ほどから何回も申上げまするように、これはこの二項の上水道でもございませんし、二項の事業用水道でもないわけでございます。ただ問題として出て参りますのは十九条だけでございます。十九条によりまして仮にそういうふうな農業用水路の一部から氷を上水道が取つております場合、その河川から直接水道水源を取らずに、そういう農業用水路から水を取つて上水道が経営されております場合に、その上水道の水の質と量を確保する意味において、或る程度いわゆる農業用水路、普通ならば農業用水路なんでございますが、そこを流れている水があと上水道へ入る、こういう観念から、その範囲において多少ここで供給契約をきめたら、その供給契約を遵守しなければならない。その上水道立場から言えば、はつきりした供給契約に基く一つの量と質の水が供給されることが必要でございますから、その農業用水路管理するものも、そういう供給契約を守らなければいけない。そういう意味で以てそういうことが問題になつていたのでございます。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど水力電気を設くる場合、これはどうしても一部その農家が使用いたします。これがやはりこの水道解釈に入るとおつしやいましたが、政府委員は、一体水道……この水力電気そのもの通常観念では水道とは思いませんが、政府ではそういう解釈を持つているのです。
  30. 林修三

    政府委員林修三君) 先ほど申したように、いわゆる社会通念としての水道と言いますようなものは、比較的これは、私は普通の一般社会通念では大体上水道を実は意味して、水道という言葉を使われているのじやないかと思います。但し現行水道条例を見ましても、やはり水道という観念は、もう少し広く使われておるようでございます。いわゆる住民の需要に応じて供給される水道を言う、こういうところから考えれば、上水道以外のやはり水を引張る施設も、水道という観念として、やつぱり使つておるのではなかろうかと思います。現に下水道なんていう観念もございます。或いは普通の水道も、ここに言う水道という観念として、水道とは何ぞやという観念は、水道条例できめておりませんけれども、やはり現行法水道より多少広い意味で、水道という言葉を用いているように存じます。そういう意味におきまして、水道とは何ぞやということは、実はむずかしい問題だと思うのでございます。ただこの法律におきまして、従いまして水道という言葉を如何なる意味に使うかということは、勿論余り社会通念から離れることはむしろ望ましくないのではございまするが、やはりこの法律規制の文字から申しまして、多少この水道という観念の幅を広めたということは、或いは言えるがとも存じます。ただ、今も申しましたように、発電用水路も、ただ発電用水路だけとして、二条一項の観念には、そうするとこういう施設を持てば入らないことはございません。入りますけれども、これが水道法規制対象になりますのは、やはりその発電用水路の水を一部上水道に分けている、そういう場合だけでございまして、そういう発電用水路の水が一部下のほうに参りまして、上水道の水になつている。そういう場合だけ、どうしてもやはり発電用水路から水を取入れる契約をしていると、上水道供給立場を或る程度守らなくちやならない、公衆衛生立場から、やはり或る程度規制しなくちやならんという意味で、そういう見地で先ほど申しましたように、農業用水路発電用水路の場合でも、あとで一部下のほうの上水道水源になつておる、こういう場合だけ、そういう意味水道がこの規制対象になる。そういうものを水道というような言葉ではつきりとする意味で、この水道という言葉を実は用いておるのでございます。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 法制局といたしましては、今お話通りに、この農業用水道にしても、或いは発電用水道にいたしましても、そうすれば水道、いわゆる普通の観念水道として利用する部分水道というふうに解釈しておられるように思います。併し実際これに関係ある厚生建設のこの関係庁のほうの水道意見と、先に根本的に相違しているのです。これは一体政府のお作りになる案が、法制局と、それから建設厚生の三者で一致していないのはどういうわけなんです。
  32. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 先ほど或いは言葉が足らなかつたかと存じますが、只今法制局から御答弁のありましたように私どもも解釈いたしまして、御説明を申上げた次第でございます。併しながら若干言葉が足りなかつた等の点につきましては、甚だ遺憾でございました。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 改めてこの厚生、或いは建設の方にお伺いしますが、発電水力のために一部導管の布設してあるもの、これを先ほど水道とおつしやいましたが、そういしたますと、そういうものは水道とは全然違いますか、どうかを、もう一度はつきり建設厚生両省から承わりたい。
  34. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これ又林次長から御説明がありましたように、観念として一応入り得ますけれども、実際にこの問題が出て参りますのは、第十九条におきまして、発電用水路から、一部上水道の水の供給を受けておるというような場合にのみ限られます。従いまして観念上は入りますが、いわゆるこれらが問題となりますのは、只今申上げましたような、極めて特殊な事例に限つておるわけであります。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 観念として入るか、入らんかは非常に将来に大きな問題をなすのであります。その点をはつきりしておかないと、私この法案根本的な審議はできんと思います。そういうものははつきり、いわゆるこの水道等から除くというふうな意味ならなお審議しやすいのでありますが、観念として、発電用のそういう導管を布設するものは水道に入るのだ、そういう観念ならば……。私はこれは法制局意見は聞きません。厚生省はどうしているのか、……いや厚生省に聞いているのです。
  36. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 只今林次長から意見を申上げた通りであります。
  37. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一度、厚生省もう一度あなたの意見をはつきり……林次長のではなくて、あなたとしての意見をもう一遍はつきり言つて下さい。
  38. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 観念上は入り得ますが、併し実際問題としては、十九条の関係において、単に発電用水路等から上水道の水の供給を受けておるような、極めて特殊な場合にのみ限られるわけであります。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一度お答え願います。  先ほど申しました、今度大きな意味トンネル作つて、そこでコンクリートで巻いて、いわゆる短いにしても、長いにしても、一種の導管、これを導管作つている場合に、河から水を引張つて来て、これは或いは農業用に使うか知りません、或いは工業用に使うか知りません、或いは日常生活に使うか知りません、これもやはり観念として水道に入るか入らんか。それをはつきりして頂きたい。
  40. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) その導管によりまする水に多少何らかの用途目的がありますれば、観念としては入り得るということを申上げているわけです。
  41. 赤木正雄

    赤木正雄君 用途、目的もなしに水を引張つて来る馬鹿者はありません。何かの用途目的は皆あるのです。(笑声)これに対する厚生省の御意見を伺いたい。
  42. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 只今お答えを申上げた通りでございます。
  43. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一遍繰返して言つて欲しいのです。
  44. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 観念として入りますものは、ここに書いてありまする、法律規定してありますような、需要に応じまして水の流れる施設でございます。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 仮にそういうふうならば、先ずそのトンネルは別といたしまして、トンネルなどのない水を引張つて来る場合も、これは水道なのでありますから、いわゆる何と申しますか、そういう場合にも、我々はこの法律に言う、この第一条に「この法律水道の布設」とありますが、別に導管とか……、或いは導管のようにそういうふうに水を導くものは、これは布設と言いますが、通常観念では、開渠に……、殊にあなたの言われるその観念としては入るとおつしやいますが、そういうものを、「布設」という字を一般使つていない。そこに却つてこの「布設」という字をお使いになつているのは、あなたの観念上と、一般の、この第一条の「布設」というか、一般意味とは非常に違うようにおつしやつていますが、どういうことなんですか。    〔政府委員林修三君発言の許可を求む〕
  46. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は厚生省に伺つている……。
  47. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 答えろと言えばお答え申上げますが、法制上の点はこれは法制局が責任を持つておりますが、一応併し答えろというならばお答えを申上げます。ここでは勿論いわゆるここにきめられました専用上水道事業用水道或いは上水道についてのみ布設ということが適用されるわけでございます。
  48. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど厚生省の方は、答えろとおつしやれば、というようにおつしやいましたが、もう一遍ちよつと速記録を読みたい、どういうことをおつしやつているか……。なんか非常に妙なことをおつしやいましたが……。先ほど私への答弁について、ちよつと速記録を読みませんとわかりませんが、何だかちよつと私に理解しがたいことをおつしやつたのですが……。併しそれは別に今のとは関連しませんが、速記録を改めて又次の日にお伺いします。
  49. 上條愛一

    委員長上條愛一君) それでは又速記録によつて御発言願います。
  50. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はまだ質問はたくさんありますが、ほかの方がお待ちと思いますから一応私の質問はこれで……。
  51. 近藤信一

    ○近藤信一君 水道行政の現状について厚生建設両省並びに中央地方の権限の配分についてちよつとお伺いしますが、水道行政の運営においては水道条例によりまして建設厚生両省の権限配分については内務、厚生両省間の覚書を主として基礎として行われていると聞きますが、今回の政府の提案の内容としては、前記現行水道条例時代に内務、厚生両省の覚書によりまして運営する水道行政の実情に対して、著しい変化を加えるものであるか、又加えようとする意図を持たれているのか、どちらであるか、この点伺いたい。
  52. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) お答え申上げます。今回の水道法案におきましては、只今御指摘の内務、厚生両省の覚書の線によつて考えている次第でございます。
  53. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 林法制局次長は地方行政委員会出席のため去られるそうですがよろしうございますか。
  54. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それではちよつと一つ……。  今の第二条の定義のところですけれども、「導管設備を有するものの総体」「水を供給する施設導管設備を有するものの総体」この「総体」という言葉ですね、これは今まで一体「総体」とは何だ、つまり取入口、一体その取入口は取入れの目的を可能にするところのダム、こういうもの一切が入る、いわばつまり水道関係の一切、従つてダム等も入れるのかどうかと言つたのに対して、今までのお答えでは、専用の場合は入るけれども、いわゆる最近建設されている多目的なダムのようなものは入るような入らないような、実はあいまいなお答えがあつたのですけれども、私はやはりほかの目的にも使われるダムであつても、水道という問題から見た場合は、それはやはり取入口というものの必須条件なんですから、これはやはりそのダムは「総体」の中に入つて然るべきじやないかというふうな気もしたのですが、その点どうですか。
  55. 林修三

    政府委員林修三君) これは結局ここで水道というものを如何に把握するかという目的論から考えるべき問題であろうと実は思いますのでございますが、結局私どもの考えといたしましては、今も御指摘のございました多目的ダムのようなダムでございますが、これは普通いわゆる河川の工作物として設置されていると存じます、河川法によりまして……。そういうことから申せば、ここに言つておりますいわゆる専用の水道のみが実は施設ではございません。そういう意味におきましてはやはりそういうものはここに言つておらないのじやなかろうか、言つておらない趣旨である、このような趣旨で大体考えたわけであります。専用的な水道のための施設というふうに実は考えておつたわけであります。そういうものを入れるか入れないかという問題は実はございましようが、一応はほかの用途にも使われるというものは、ここでは取除いて、入れなかつたつもりでございます。
  56. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 これは法制局の方に伺うのは、或いは少し筋が違うのかも知れませんが、所管大臣の関係の区分、これはいろいろ面倒なものがあります。その面倒の中でも一番簡単のような形になつて現われております簡易上水道ですね、これについてはもつぱら厚生大臣になると書いてある。ところが今後の水の利水の問題につきましては非常に多目的な問題が、もう最近非常に益々ひどくなつて参ります。殊に簡易水道のようなものの水の取入口の場合には、そういつた多目的ダムの中といいますか、施設を利用して取るという問題があると思うのです。今仮りにその多目的のような場合における総体とは、取入口の施設に無関係であるといつたような仮に解釈をされるとなると、あとで今度は行政運用という問題で非常に行詰るのです。私はこの総体というものの中に、やはり取入口に関する施設は入るのだ。こういうふうにやつておくほうが、私はいずれ水道の普及なり他との関連においてもいいというふうに思うのですが、法制局立場から総体というものの読み方を、それが多目的である場合における総体とはこうである。それが単独の場合の総体とはこうであると、同じ取入口に必要である施設というものを区分ができるという根拠もちよつとおかしいと思うのですが、どうなんです。
  57. 林修三

    政府委員林修三君) 結局水道専用の施設であれば、これは水道施設であることは明らかであると存じますが、結局多目的ダムと現在称せられておりますのは、大体河川法に基いて主として農業水域、或いは発電用水とかというようないろいろな設備を以て作られていると思いますが、結局これを分けてどの部分水道施設ということは、実はちよつと言い得ないものであろうと思います。又そういう意味から申しまして、これは水道施設なりとちよつとここで言うことは、総体という観念の中に当然含まれるということは、結局多目的ダムというものの一部分が、いわゆるここは水道であつて、ここは農業用水で、ここは発電だというふうに分けられれば別でございますが、普通のダムの性質から言つて分けられない、結局機能上の問題だと思います。そうなりますと、これが水道施設だということは言い切れない問題じやないか、そういうような考え方から、これは総体という観念には入らないのじやないか、私は観念上はそう言わざるを得ないのじやないかと思います。
  58. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 法制局次長さんお急ぎのようですから、私そうこの問題で時間を取ろうとは存じませんが、どうも若し分けられるならばそれは総体の中に入れてもいい、事実一つのダムだから、分けられないからそれは総体の中に入れるのは不適当だというのは、余りに素人臭いと言うと語弊がありますが、解釈のように思われるのです。というのは、元来それでは関係がないのだということになれば、それは肝心の元が入らないのですから、水道というものの目的が全然スタートにおいて達せられないのです。だからその取入口があるということは、他の目的に使われるかどうか、これは別としてもこれは必須条件なんですから、水道としての……。ですから私はそれは入るというふうに解釈をする。その部分に関する限り、抽象的な言い方ですけれども、入るという通念のほうが妥当のように、私は法律関係は知らないけれども、何かその点は割切れませんから、なんだつたら御研究の後でも結構なんです。
  59. 林修三

    政府委員林修三君) 私もなお研究してみますけれども、私只今お答えいたしました考え方の基本は、いわゆる多目的ダムというものは大体河川法に基きまして施設れておるものと存じます。大体都道府県知事が、いわゆる河川法の主務官庁としての都道府県知事が管理しておるのは、普通多目的ダムと言われておるのじやないかと存じますが、そういう意味で実はお答えいたしたわけであります。いわゆる水道施設と一部について普通考えられておらないものじやないか、そういう考え方を基本といたしまして実はお答えいたしましたわけであります。実体関係もよく研究いたしましてみたいと存じます。
  60. 赤木正雄

    赤木正雄君 今三浦委員の質問ですが、これは非常に大きい問題だと思う。仮に大きな堰堤を作りましてその一部からは成るほど発電用にも使いましよう、併しその一部からは水道に持つて行くという場合に、見方によつてはこれは確かに導管設備を有するものが総体になり得ると解釈をせざるを得ないのです、実際問題としては……。
  61. 林修三

    政府委員林修三君) これは結局言葉解釈言葉の字義的な解釈と或いはここで言つております目的というものをからみ合せて解釈しなければならない問題だと思うのであります。只今水道のための施設ではないが、確かにその面を申せば或いは水道のための一つ施設でございましようが、それではと言つてこれは水道のみの施設ではないことは明らかであります。多目的ダムの管理方法を如何にするかということは、これは将来の法制上の問題であろうと存じておるわけでありますが、只今河川法によつて運用されてまだ余りできておりませんが、河川法によつて運用される建前で大体できておると思いますが、そういう建前を前提とすれば、これを総体という観念の中に水道施設等と、多目的ダムの全部を水道施設ということは、言葉の字義的な解釈ではなくして、やはり全体を把握して行けばそうは言えないのではないか、かように考えるわけであります。
  62. 近藤信一

    ○近藤信一君 次に簡易水道或いは事業用水等のような、従来法律対象とならなかつた施設を新らしく法律規制の下に置いて、且つ又これに対する主管省の権限を明確にした点は了解せらるのでありますが、いわゆる従来とも二重行政の弊として批判せられておつた一般上下水道について変革を加えるのか、加えないのかどつちなんですか。
  63. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 水道法案は大体一口に申しまして現状維持ということで考えております。従いまして現状の一つの現われとして覚書という線で割切つておるということを申上げたわけでございます。ところが簡易水道につきましては、これまで水道条例範囲外でございます。従いまして覚書の適用になつておりません。そこで専ら簡易水道につきましては厚生省の専管として処理いたして参つております。そこで前回申上げました大体現状の線で考えるということは、この法律におきましても簡易水道厚生省の専管というふうに考えておる次第であります。
  64. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  65. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記を始めて下さい。
  66. 近藤信一

    ○近藤信一君 次に、水道行政の両省共管は、両省の覚書に基くものであります。この覚書に現わされている先ず第一点の問題、即ち工事に関する事項は共管とすべきものとしているが、その理由に水道目的からして、単に保健衛生部門の所管としている工事の内容、即ち設計、監督並びに指導そのものは土木技術の手を煩わさねばならない。又道路、河川等の土木技術者と同一範疇と見られる技術者の重複配置を来たして、官庁人員の配置上から極めて不経済であります。又道路や河川等水道と密接な工事上の関係のありまする主務省の意見の対立相剋を十分に警戒しなければならない。更に治水、利水それらの一元的総合的な計画を立てるに際しまして不便や不利を来たさしてはならないと考えます。これらが挙げられておるが、今日においても以上挙げられた理由は同様に翫味すべきものと思いますが、この点はどうか。
  67. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 先ほど一言言い落しましたが、覚書の方針と同時に、現状維持の関点から厚生建設両省の設置法の示すところによりまして、考えておるわけでございます。なお覚書の内容を一口に申上げますと、工事の特に監督指導に関する面或いは竣工認定等は覚書からいたしまして、只今御指摘のように建設省、それから次に一般的事項に関します事項は覚書及び厚生省設置法によりまして、一般的事項は厚生省の主管と、こういうふうに割切つておるわけであります。
  68. 近藤信一

    ○近藤信一君 次に覚書に現われている第二の問題でございますが、即ち国庫補助に関する事項は保健衛生の主管省において取扱うが、而も補助金基本額が工事費を対象として考えられる以上、工事設計の適否、工事費の適否の審査をなさる当時の内務省に対して補助額の決定については協議すべきものであるとしているこの理由も、従来もそうであつたし、今後においても同様であるべきものであると考えられるが、この点はどうお考えですか。
  69. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これも御指摘のように、現在は主管を一応起案するほうの、どちらで起案して一方に会議するかということによつてきめております。従つて補助費の場合には厚生省において起案し、建設省に会議をするというやり方であります。
  70. 近藤信一

    ○近藤信一君 覚書によると、内務、厚生両省共管時代において、今日におけるごとき共管の弊が余り指摘せられたとは必ずしも聞いていないが、それと同様の建前において厚生建設両省の共管の方式も、本来ならば紛争の原因となるべきものでもなく、又長年これによつて運営されておつて、監督を受ける地方公共団体側にも共管の弊が現われるべき筋のものでないように考えられるが、この点はどうお考えですか。
  71. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この点は御指摘のように、中央におきまして若干共管という立場から重複煩瑣の弊がございます。で、この事実が直接地方にも反映をいたしまして、地方におきましても衛生部と土木部の間に若干の重複を見ておるようでございます。従いまして今後は更に水道法によりまして、これらの問題点を能う限り簡素化いたします。さようにいたしますれば、やがてそれは又地方に反映して地方も簡素化されることと存じます。
  72. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと申上げますが、清野農林省農地局技術課長が見えております。
  73. 近藤信一

    ○近藤信一君 従来共管主義の下において、お互い関係両省が覚書の趣旨に従つて、お互いの分野の機限内でそれぞれ協調してこの水道行政に当つて来たものでありますが、最近においてお互いの分野を侵して相反撥するような原因を作ることが、いわゆる共管の弊を来たしているのではないか。言い換えますれば、共管と称しながら、一方の省においては他の省で処理すべき事項についても、専管と同様の建前で土木技術者を重複して配置してみたり、そうしたことが却つて反撥の原因となり、従来円滑に行われて来た共管による水道行政の運営を弊害あるものにしたのではないかと推定されるが、この点政府はどう考えておられまするか。
  74. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 私どもが設置法に従いまして、全体計画或いは補助金の執行等をいたしますには、何といたしましてもこれを技術的に検討をいたす必要もございます。又最近は簡易水道というようなものを専管で実施しております関係もございまして、やはり厚生省にも衛生工学専任の技術者が事務執行上必要でございます。但し、これらの両省の間には、別に取りあえずそのために重複或いは煩瑣というようなことは考えておりません。  なお、この際ついでに申上げておきますが、覚書の線に沿いまして、完了認定というものは、一応建設省の所管になつております。併しながらこれは「当分ノ間」という字が入つておりまして、なぜ「当分ノ間」と入れたかと申しますと、近い将来に厚生省にも専門の技術者が置かれるであろう、その場合には又別だという意味で「当分ノ間」という字が入れられてあるわけでございます。
  75. 近藤信一

    ○近藤信一君 この法案一般上水道に関する限り、権限問題については覚書の内容を、法律の権限に従い、政令等によつて明文化するものであると考えて差支えございませんか。
  76. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 御所見の通りでございます。
  77. 近藤信一

    ○近藤信一君 ではこの法律によつて共管主義の弊を改善し得る法案とはならんと思いますが、少くとも前に申した通り、共管主義で行政運営をやらねばならんとするならば、当事者、関係省の権限の分野を明確化すると同時に、人員の配置等についても、厚生省では土木技術に関するものは建設省に委せ、又従つてその人員配置はしないとか、又建設省では衛生関係の専門家の配置は差控えて、これは厚生省に委せろとか、共管の弊は却つてこうしたところに現われると考えますが、この点政府はどう考えておられるか。
  78. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 先ほどお答え申上げましたように、厚生省といたしましては全体計画、或いは補助金の執行等を実施いたします。この場合にはやはりこれを技術的に検討いたす必要がございます。又一方、簡易水道を専管として実施いたして参ります以上、やはり厚生省にも専任の衛生工学技術者が必要でございます。
  79. 赤木正雄

    赤木正雄君 今まで近藤委員の質問に対して、厚生省はいろいろと御答弁になりましたが、今までの質問に対しても、私は関連してお尋ねしたいことがたくさんあります。今の点におきまして先ずお伺いしたいのは、簡易水道厚生省で専管しているために、又それのために土木技術者も必要であるとおつしやいますが、若し厚生とか或いは建設、そういう考えを除きまして、先ほど部長のお話通りに、簡素化にしようという御意見ならば、衛生を所管されている厚生省といたしましては衛生部面をされ、それから土木を所管している建設省としては、簡易水道でも、或いは普通の水道でも、土木に関するものを所管する、そうしたほうが一層簡素化になるように思いますが、一体これに対する建設及び厚生両省の御意見を承わりたい。
  80. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 先ほど楠本部長から一応厚生省の立場における御意見を述べられたわけでありますが、成るほど覚書の内容を拝見いたしますと、やはり人員の重複配置はできるだけ避けるべしということが内務、厚生覚書の理由の一つに挙げられております。成るほど大きな視野から参りますれば、事務の簡素化と人員の重複配置というものを避けるという考え方につきましては、私どもも率直に考えまして、できるだけそういう配慮は払わなければいけないというふうに考えておるわけであります。簡易水道等の事務内容につきましては、これは私ども先ほど楠本部長からお話のありましたように、これは従来の水道条例の一応対象外ということで取扱いをきめられておるわけであります。水道条例に基く覚書という形になつております関係上、さような点につきましては、実はこの簡易水道の発足当時に多少の問題があつたように聞いておりますけれども、一応私どもといたしましては事務の内容についてはタツチしない、こういう建前で現在おるわけであります。
  81. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは大変おかしなことで、水道条例というものはもとあつたでしよう。併し水道条例というものと簡易水道と非常に複雑して困るのは一般の人々であつて、それで簡素化しなければいかんという声に帰着いたしまして、この水道法の起つたところの一つの原因だと思います。そういう観点から言うならば今建設省水道条例はこうあつたからそれはこうだ、水道条例はないからこうだとおつしやるのは非常におかしいのです。私は決して建設省の贔屓をいたしません。又厚生省の贔屓もいたしません。本当に簡素化しようとするならば土木は土木、衛生は衛生、こういうふうにやつたほうが非常に簡素化されると思う。又国民のほうも却つてそれのほうが便利じやないかと思うのです。それに対して今そういうふうなことを建設省の方がおつしやるのは、私はどうも合点がいかない、率直な御意見を承わりたい。
  82. 渋江操一

    政府委員渋江操一君) 行政事務の内容も時に応じて変化を来して来るようなことでありまして、簡易水道の問題も、これは私ども当時の状況を十分は承知いたしておりません。承知いたしておりませんけれども、いわゆる生活の改善等の目的を主眼点とせられましてこの水道、簡易水道という名目の下にこの行政を運営されて来たわけでありまして、そういう点から実は但書の作られたときと簡易水道のできたときとは、時期的にやはり多少のずれがございます。そういつたような点におきまして今回の一つ水道法案の形においてその最終的なまとめ方をここに政府案として打出した、こういうことであります。そういう点におきまして配慮の上ではやはり土木技術者、衛生技術者、こういうものの重複配置は避けるべし、この点については私どももさように考えなければならんというふうに存じております。
  83. 赤木正雄

    赤木正雄君 私ばかりしやべつて甚だ失礼でありますが、河川局長見えておりますから、この際に河川局長に質問してよろしうございますか。
  84. 上條愛一

    委員長上條愛一君) どうぞ……。
  85. 赤木正雄

    赤木正雄君 では先ほど五時までとおつしやいましたので、簡単に河川局長に御質問いたします。河川局長に御質問したいのは、この水道法案の第二条にこの水道という定義ですが、その定義がこういうことがあるのです。つまり「水を供給する施設導管設備を有するものの総体」がこれが水道、こうなつておりますから、私はこういう質問をしたいのです。例えて申しますと相当大きな川でそうして今あなたにお話する前に、導管というものに対してどういうものを導管というか、これを聞いたときにコンクリートで巻いたものならば、その長さの如何、或いは直径の如何を問わず導管である、こういう御説明なのです。それならば河川の水を一時引つぱつて来たやつをトンネルを作りまして、そのトンネルコンクリートで巻いてそれに水を引つぱる、これも水道かと言うと、いわゆる水道だ、こういう意味なんです。そうすると非常に疑問を持つ。もう一つ発電水力用の鉄管です。これも導管でありますから、そういう観点から言うならば発電水力もやはり導管があるから、これも広義の水道かと言えばそうだという御意見があつたので、実は非常に奇妙に感じたのです。併し先ほど法制局次長お話もありましていろいろと説明を聞きましたが、私はそういうことで非常に疑問を持つています。今私の言つた点を河川局の立場から今でなくても委員長が当然連合委員会をお作り下さることと信じまして、そのときまでに十分御研究なされ、はつきりした御意見を承わりたい。これを一つお願いいたします。
  86. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 今の御質問について十分まだ研究もいたしておりませんので、私がここではつきりしたお答えをする時期ではないと思いますが、私ども今お聞きした程度では、常識的には水道というものの目的が謳われておりますから、そのもので作られたこういう導管類似の施設はすべて水道というふうに解釈をして行くべきではないかという感じは持つておりますが、詳しくなお御希望によりましては研究した上でお答え申上げます。
  87. 赤木正雄

    赤木正雄君 十分御研究の上で、なお附加えますが、水道定義は単に飲用水だけではなしに、いわゆる日常生活、業務、消防は無論そうですが、工業等の需要に応じて水を供給することも水道でありますから、これも御研究の課題として十分御研究願いたい、これだけ申上げておきます。
  88. 近藤信一

    ○近藤信一君 私まだあと七点についてお聞きしたいのだが、時間がないので今日はこの辺で私やめておきます。他に御質問があればそのほうに私は譲りたいと思います。
  89. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 昨日でありましたか、前回の連合会の席上、この法案に出ております各条項について、主務大臣というものの区別と、政令の概要というものを頂くことが、提案理由に説明してありまする内容を果して盛つているものかどうであるかということの判定の資料として、そうしてこの水道法案全体のいわゆる審議の上にもむしろ前提条件と申しては語弊がありますが、必要欠くべからざるものであるということでお願いを申上げました。そうしたらば初めは法案が通つてから三カ月くらい経てばできると言われた。そうして他の委員余りに驚いて声を大きくしてその点を質しましたら、明日はできる、こういうふうなお答えであつたのは御承知の通りでありますが、その政令ができておりますかできておりませんか。できておれば資料にはないようでありまするが、御配布願つてなお研究の資料にしたい、かように存じますが如何でございますか。
  90. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 成るほど昨日政令の極く概略、アウトラインについては、本日の委員会までに概要を、方向だけでもお手許に差上げることができるのではないかというお約束を申上げました。私どもは建設省も同様でございますが、昨夜遅くまでお互いに勉強しましたが、やはりアウトラインにつきましてもなお細部に、アウトラインに細部はございませんが、(笑声)若干食い違いが生じまして、お手許にお見せできないことは甚だ申訳なく存じております。併しながら私どもいたしましては勿論お約束した通り一応厚生省の案というものは手許に持つております。ただこのうち一、二の点につきまして建設省との話合いが済みませんので、お手許に差上げられない次第でございます。
  91. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 厚生省の案というのではなくて、これは政府の提出でありますから、当然建設は勿論のこと、通産或いは必要であれば農林、こういうようないわゆる政府機関全体としてこれがいわゆる政府内容となるものであるというようなところまで御研究になられて、至急に御提出を頂きますように委員長におかれましても御配慮を願いたいと存じます。  なお、この機会に簡易水道という水道は、戦後その名において厚生省所管でお作りになられて来たと聞いておりますが、それはどのくらいな規模でどこの地にどのくらいないわゆる計画給水能力でおやりになつたのでありまするか。その実績があろうと存じます。今回一応四十二条によるというと、厚生省当局というふうに割切つておられます。この点一見簡素に見えて誠に私としては歓迎していいことだと存じますが、従来おやりになつたところの規模と、そうしてこの第二条のところで述べておりまするところの規模との関係も知りたいと存じますので、一つ今までやられました簡易水道の実績、これを一つ併せて御資料をお願いいたします。
  92. 上條愛一

    委員長上條愛一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  93. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 速記をつけて下さい。
  94. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 なおお約束の時間までに十分ありますので、その間だけお願いしたいんですが、これも一つの資料としてお願いしたいのは、地方公共団体以外で水道を今日されて持つておられるのがあるようであります。一体どのくらいあるんであろうか。実はこの問題は近頃知事も民選直接選挙でありますし、市町村長同様でございます。で、この法案によりますると、水道条例についても述べておりますが、場合によつてはそれを市町村経営に、公共団体経営に取上げるというと語弊がありますが、買収するというような問題も謳つてある。なかなか今日いわゆる民主的な考えと申しましようか、何かありますると、その周辺、ただ単に目先の有利或いは懐ろ勘定等で動く場合がないとも限らない。そういうことになりますると、長年の間その住民のためにやつて来た私設水道の恐らく経営者においては、或る意味においてこの時勢等を考えた場合に心配であるかも知れない。そういう点についても御質問したいんでありますが、そういう意味から言つて、どのくらい今日私設水道というものが布設されておるか、この点の資料も一つお願い申上げたい。  以上でございます。
  95. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 上條愛一

    委員長上條愛一君) 御異議ないと認めます。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会