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1954-05-12 第19回国会 参議院 建設委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十二日(水曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     深川タマヱ君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            鹿島守之助君            近藤 信一君            田中  一君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省技監   菊池  明君    建設省河川局治    水課長     山本 三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件(河川に  関する件)   —————————————
  2. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 只今より建設委員会を開会いたします。  本日は建設行政に関する調査のうち、先ず遠賀川における災害に関し審議をいたします。  なお、本日政府からは山本治水課長永野事務官菊池技監が御出席されておりますが、説明を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は西日本の昨年六月のあの大水害に関する質問書政府に出したわけです。ところがその回答が来たのです。殊に西日本の大水害のうち、特に遠賀川水害についてのその原因について質問書を出したその回答、が来ましたが、その回答について特に技術的な面について十分納得の行かない点があるのと、それから最近遠賀川の破堤と鉱害についての請願書が参つております。これは地元から参つているのですが、これは通産委員会のほうに付託されましたが、これについてやはり建設委員会としても十分調査されたいという要望が通産委員会のほうからもございまして、なお本委員会にも遠賀川改修についてという請願書が参つておるわけでございます。そういう関係で特に私は今日技術的な点についてまあ専門家として敬意を払つている菊池技監その他に意見を聞きたいわけなんです。  先ず第一の質問の要点は、この政府のほうの回答書を見ましても、それからまあいろいろ現地調査報告書を見ましても、遠賀川の昨年六月における堤防決壊地点ですね、決壊地点は三菱新入坑の第六坑の主要坑道の丁度上になつているわけです。政府が我々に出して来ましたこの図面を見ましてもそういうふうになつているわけです。この地帯一帯は掘さくの進行に伴つて昭和十年頃から沈下を始めているわけです。そのことはもうすでに専門家の方は御承知と思いますが、「土と基礎」という雑誌がございますが、日本土質基礎工学委員会で出しておりますこの第二巻第四号に、建設省遠賀川工事事務所長古賀雷四郎氏とそれから九州大学助教授内田一郎氏が共同で執筆しているのですが、遠賀川堤防決壊及び漏水についてという論文があるのです。この論文の中ではつきりと昭和十年頃からこの附近の石炭の採掘が始り鉱害が生じて来たというふうに調査の結果報告されているわけです。  そこで先ず第一に伺いたいのは、沈下の量ですが、沈下量についてはこの九州大学助教授内田一郎氏は、昭和十六年から昭和二十八年まで、即ち決壊の起つたときまでの沈下量を一メートル三十と指摘しているわけです。そこで我々の知りたいのは、それでは昭和十年頃から沈下始つたのであつて従つて昭和十年から昭和十六年までの数字がないわけなんですね。そこで昭和十年から十六年までの沈下量数字について伺いたい。それがどの程度であるか先ず第一にその点についてお伺いしたい。即ち昭和十年から沈下が始つているが、専門家調査の結果、昭和十六年から二十八年まで、決壊当時までの沈下量調査はある。即ち一メートル三十であるということが。ところが昭和十年から十六年までの沈下量数字はないのですが、これはまあ遠賀川決壊原因を科学的に調べる場合にやはり重要な一つの要素となるとも私どもは思う。専門家としてこの点に対する御意見を伺つておきたい、これが第一の質問であります。
  4. 菊池明

    説明員菊池明君) 十年から十六年の沈下の量は幾らかというこの数字は、我々のほうでは毎年々々測定はいたしておりませんでしたので、この数字を的確に申上げることは今お答えできません。調べてみましても恐らくわからないと思うのでございますが、その間は、福岡県の管理に属しておりまして、その沈下の量を測定するところまでは建設省でじかにやつておりませんので、数字をお示しすることは恐らくできないと思います。ただ改修工事の終りました大正八年からのを昭和二十年に測りました。その間に一メートル二十あつたという別の数字はこちらであるのでございますが、只今の御質問の十年から十六年までに幾らという数字は持ち合せてございません。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今お持ち合せがなければ、示せと言つても無理でしようが、それは現地においてそういう点についてはしよつちゆう調査をしておつたんではなかろうかと思うので、今後これは、今、今日でなくても結構ですから、それを調査して報告して頂けるでしようか、今直ぐでなくてもよろしいですから。
  6. 菊池明

    説明員菊池明君) 調査いたしますればわかりまするとは思いますが、県のほう等で見ておるものもございますので、ちよつと時間を頂きますれば努力をいたします。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今後我々としては又今年もこれから雨季に入つて行くと水害心配もあるのですから、特に遠賀川は、これはあとで質問したいと思うのですが、その原因が科学的に的確に若しいろいろな専門家によつて指摘されておるようなことにあるとすると、今後又決壊の危険があるのではないかと憂虚されるのです。そういう意味で今後の災害を未然に防止する意味で成るべくそういう科学的な又技術的な調査については十分にやつてもらいたい、そういう意味でございますから、やはり成るべく早く数字調査して報告して頂きたいということを希望しておきます。  それから第二の質問ですが、これは私がまあ西日本水害に関する質問書政府に出したのに対して政府側答弁についての、答弁内容についての質問をするのですが、政府側では、結局「水害後の調査によると、破堤点現在地盤より地下四乃至五米程度箇所に厚さ一・二米乃至一・七米程度砂層があり、被災時の異常な出水によりその砂層伝つて堤防ののりじりに漏水し、不可抗力により破堤するに至つたものと推定される。」、こういう答弁なんです。  そこで先ず伺いたいことは、その不均等な沈下によつて堤防の内部の土の状態に変化が生ずる。特に緻密さを失つて又こわれやすい状態になつて、縦横無尽に亀裂が入つた考えられないかどうか。これはなぜそういう質問をするかといいますと、先ほど挙げました「土と基礎」という専門雑誌において、これはいわゆる九州大学教授松尾春雄氏が「九州水害について」という論文において、やはり堤内の法尻不等沈下による亀裂があつたのではないか、こういう点を指摘しているわけなんです。そこでこの沈下する場合、これは専門家ですからおわかりと思いますが、不均等な沈下をするわけですが、それによつて土壌の緻密さが失われる。そうして又こわれやすい状態になつて、それで亀裂が生じて漏水する。そういう状態が予想されるのではないかと思うのですが、その点については亀裂が入つた考えられないかどうかですね。これは専門家が見まして、この点についてどうお考えか、伺つておきたいと思います。
  8. 菊池明

    説明員菊池明君) 破堤の原因亀裂であつたか、砂層を伝わつて法尻漏水したかという御質問でございましようか。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう先ず結論的なことより、私は客観的な事実を知りたいわけです。結論は、この事実が明らかにならなければ出せませんから、従つて先ずその前提としてそういう亀裂状態、そういうものは技術的に見て、専門家立場から見て、そういうものがあつた考えられないかどうか。それで松尾教授もその点は指摘されているのですから、この点についての専門家としての意見を伺つておきたいのです。
  10. 菊池明

    説明員菊池明君) 下のほうから漏水で以て破堤いたします場合には、やはり亀裂もあつたのじやなかろうかという疑問は持たれると思います。現実に、恐らく松尾教授といえどもその亀裂を見たわけじやなかろうと思いますが、いろいろな例からあちらこちら探つた場合に、恐らくそういう場合もあり得ますから、あの場合に遠賀川の破堤の個所においてもそういうことがあつたのじやなかろうかという推論じやないかと思います。この場合、勿論その場所においての亀裂は我々も見ておりませんからはつきり申せませんが、そういう原因もありはしないかと思います。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると今私が御質問しましたように、やはり不均等な沈下によつてそういう亀裂が生じたということはあり得ると、又そう考え得ると、こういうふうな結論ですね、そういう御答弁ですね。
  12. 菊池明

    説明員菊池明君) この場合に断定はできませんが、そういう漏水によつて破堤します場合には、そういう亀裂が生じて破堤する場合も起り得たであろうということは申されますが、この場合がそうであうたかどうかということは断定できません。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この場合は断定できないというのは、どういう理由によつて断定できないのですか。
  14. 菊池明

    説明員菊池明君) 現実に見たわけではございませんから、そういう亀裂から漏水した場合もあろうし、又そうでなくとも、常時、よその河川でございますが、そういう砂層等水みちがつきまして、よく漏水しておる場合があるのであります。そういう場合ですと、亀裂と申上げるわけにも、亀裂と言うべきでない場合も相当ありますから、単なる漏水、単なる漏水と申しますか、水みちがついた漏水から行つている場合、或いはそういう亀裂現実に見えるような亀裂があつたかどうか、いろいろの場合があると思いますから、この場合に亀裂つたとは私は申上げられないと思います。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは現地調査されてないですか、全然……建設省としても。
  16. 菊池明

    説明員菊池明君) この破堤の箇所を破堤の前に我々見ませんでしたから、これが亀裂によつてというわけには私は行かんと思います。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 建設省としてはどなたか専門的に御調査なさつたのじやありませんか。
  18. 菊池明

    説明員菊池明君) 事前には気が付いておりませんでした。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは昭和二十五年の夏の雨で破堤附近堤防法尻から水が吹き出して、地元民が危険の事実を告げて、遠賀川工事事務所の所員が現場を写真にとつていた。それにもかかわらず、その後漏水に対して何らの措置も講じられなかつたと言われておるのです。従つてそういう事実があつたわけです。ですから事前に、さつきお言葉がありましたが、事前にそういう事実があつたわけです。ですから当然そういうことは綿密に調査されておらなければならなかつたと思います。それに対して何らかの措置も講ぜられていなければならなかつたと思うのですが、この点についてはどうですか。
  20. 菊池明

    説明員菊池明君) 漏水の事実はどううもあつたと私も思います。只今亀裂漏水かというお話ですから、そういうふうに申上げたのですが、漏水はあつただろうと私は思うのでございます。そういう問題は現地の者はやはり見ておつたと思いますから、我々ここにおる者がすぐに亀裂があつたということは申上げられません。現地の者が実際亀裂らしいものがあつたかどうかは見ている者もあるかも知れません。ですから是非亀裂であつたかどうかということが問題でございますれば、又その前後に、この個所は恐らくわからんと思いますが、その前後にそういう亀裂個所が見付からなかつたかどうか、そういうことは追つて又調べまして御報告申上げられると思います。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この点は非常に重要ですから、要するに技術的な立場から我々は今後を心配するわけです。そういう面からも十分調査されて、そうして御報告願いたいと思うのです。
  22. 田中一

    田中一君 この答弁書を見ますと、結局不可抗力ということになつているのです。これは無論不可抗力と言わなければ、責任の所在が明らかにならんから、不可抗力という言葉で逃げておると思うのですが、この答弁書は無論建設省が出したものですね。
  23. 菊池明

    説明員菊池明君) これは通産省建設省で相談したものでございます。
  24. 田中一

    田中一君 答弁書を見ると、先ず明治三十九年から大正八年までの工事をやつたと、これは無論地盤沈下ということも認めておるわけですね。それからその後も特別鉱害法によるところの工事を進めて、二十四年でそれを完成しておる。従つて、だからそういう事実があるけれども、二十八年度の西日本水害遠賀川決壊というものはそれによらないんだ、そういう事実があるけれども、そういう原因じやないんだ。これは全く水の仕業であつて不可抗力であるというようにこれで断定して答弁をしておるように見受けられるのです。その前に二つの事実があつて、そうして結局これは被災時の異常な出水によつて漏水して決壊したんだ、どうもこの答弁書がおかしいのです。私は卒直に言うならば、事実この図面にもあるように、堤防の五十メートル下を斜坑が通つておる。こういう事実を認めていながら、又この答弁書の前二段に亘り、明治二十九年からのこの建設の事実を認めていながら、結局結論不可抗力であるということで、水の仕業ということで結論付けるこの答弁書自身が不可解なんです。これは私は今、菊池技監から伺うと、通産省建設省会議の上で出したと言いますから、改めて建設省意見を聞きたい。建設省はどこまでも水の仕業であつて、五十メートル下を斜坑が通つておるという事実、この事実には何ら関係ないんだと断定できますか。
  25. 菊池明

    説明員菊池明君) 沈下しておる事実もあり、それを認めており、それに対していろいろとそういう対策も講じてておつたわけで、ありまするから、全然炭鉱のためではないとは私は言い切れないと思います。
  26. 田中一

    田中一君 そうすると甚だ不可解な答弁書を出すのです。国会議員政府に対して質問しますと、そのような事実を歪曲した、ただお座なりの、差障りのない答弁をするのが政府の任務ですか。少くとも質問を見ると、こういう鉱害におけるところの遠因があるのではなかろうかと言つて質問しているのです。その事実を隠して、不可抗力であるというような答弁書を出すことが、これが官僚の良心ですか。今伺うと、技監であるところの菊池さんは、どうも不可抗力というけれども遠因はやはり鉱害にあるのじやないかと思うというような答弁をされるなら、なぜこの答弁書にはつきりとそれを明記しないのですか。私は、そのような考え方を持つて政府答弁するなら、これを繰返し繰返し質問しなければならないのです。これは政治的なものじやないのですよ。地方民が命がけで以てこれを防ごうとして努力しておるのです。生活権が奪われ、或る場合においては死ぬのです。そういう場合において、今伺うと、建設省通産省会議して出した答弁書の中に、嘘の事実を書き込んで、そうして不可抗力なりなんという断定をすることは、菊池技監良心に訴えて、もう一遍個人菊池技監として答弁願いたいと思う。あなただつて相当ほうぼうから資料なり情報なり事実を知つて考えになつたと思うのです。今度菊池技監として御答弁願いたいと思います。
  27. 菊池明

    説明員菊池明君) 只今答弁も、実は菊池技監としてお答えしたわけになりまするが、まあここでいろいろと申開きみたいなことをいたしましてもこれはしようがありませんが、まあそういう箇所は、恐らくこれはあの箇所のみならず、沈下しておるところを御心配になつておられる上、我我心配しておりますが、あちらこちらにあるのだと思います。でございますから、それを全部完全に沈下に対する対策が完成しておれば、これはもう本当に不可抗力と申上げていいと思いまするが、何しろ経費も十分にありませんので、十分な手当をしてあつたとは又言いかねると思います。治水事業費によつて或いは工事して行こうという気持はすでにあつたのでございますが、堤防を補強したり或いは矢板を打つたりすることも考えておつた、そのときにやられたのでございますから、完全なものでは……。併しながらその状態がずつと繋つてありますから、まあ全体として考えれば、現状においては前後の関係から申しまして、現状においてはやはり水が近因をなしておると思いまするから、それを不可抗力というふうに表現いたしたのでございます。
  28. 田中一

    田中一君 そうすると単なる事実は事実として、単なる表現の仕方が不可抗力という形で出したということですか。これを若し下の坑道を国がやつている場合、そんなことでは済まないです。これは少くとも民間企業でやつている事業であるから、或いは通産省に対していいろな働きかけがあり、実際に遠田がそこにあるならば、炭鉱会社はこれに対して負担をしなければならないです。この災害を守るための遠因が……。それを歪曲して、隠して、そうしてこういう結論を出すということは、今あなたが、今度私が開き直つて聞いたものだから、政治的な答弁をするけれども、そうでなく、実際にただ近因だけを、現象だけを捉えてどうこうするならば、あなたのような立派な技術官も要らないのです。目で見てものを判断すればいいのです。あなたのような立派な経験の積んでいる技術官が必要だということは、遠因から近因に及ぼすところの、現象に及ぼすところの問題をあなた方が捉えるのが技術監の役目なんです。私が伺つておるのは、あなたが技術監として、本当に遠因というものを見ないでもよろしい。これは現象なんだということが断定できますか。遠因というものに関係ないということが断言できますか。先ほどはできない。何か遠因が、そういうものがあるだろうということをおつしやつて、今の御答転を聞くと、近因だけをあなたは説明している。鉱害によるところのものが何もないということが断言できますか。若しできないならば、この表現は、遠因は或いは鉱害があるかもわからんけれども、直接原因法尻への漏水ということで、ただ決壊したものではないたろうということを答転書に盛り込まなけれけならなかつたのですよ。一つも入れてない。不可抗力という断定は下せるものじやない。技監一つあなたは技術家として何も遠慮することはないですよ。あなたの今の答弁が、今後の政治のあり方、今後のこうした殊に鉱害地区の……この北九州鉱害というものは大きな問題なんですよ。現在も国土総合開発審議会で、北九州のことは総合開発計画で出ているけれども、私はこれをとめている。なぜかと言いますと、こうしたような鉱害経済効果を落す。総合開発よりも鉱害によるところのマイナスのほうが大きい。これを解決しなければ総合開発というものは十分できないという断定をして地方からも陳情がありましてもとめてある。若し総合開発をやるならば、海底炭田でも開発して、海底炭田というのがあるのですから、これでもやるんだというならば、総合開発の実も挙ります。鉱害に対するところの対策が何らできていないで、年々歳々鉱害によるところの田畑がなくなり、且つこれがその遠因なんですよ。こうして鉱害によるところの堤防決壊遠因、よるところの堤防決壊というものがあり得るならば、もう放つてはならない。そうして海底にあるところの炭田開発しろというような考え方も出て来なきやならん。従つて、今の技監の発言というものは将来大きなポイントになるわけです。一つ良心的に御答弁を願いたい。この答弁書表現だけでいいのかどうか。
  29. 菊池明

    説明員菊池明君) まあ私も技術家としていろいろ意見を述べたいこともございますが、これは政府答弁書ということになつておりまして、これにいろいろ意見を申述べてもどうかと思いますので、その辺は一つ御推察を願いまして、私の技術的な指導の不行届の点をお許し願いたいと思います。
  30. 田中一

    田中一君 そんな答弁委員会答弁でないですよ。そんな国民の生命財産に及ぶような事実が……。今伺いながら、成るほどこれは三井炭鉱か知らんですが、三井炭鉱というのは大産業ですよ。そういうものの圧力で、私はひがむわけではないですが、そういうものの圧力通産省がその事実を隠蔽するということになれば、これは大問題なんですよ。今言つておる通り国土総合開発審議会においても北九州総合開発計画に対して私は絶対に反対をしているのです。そのような事実を解決しないで総合開発はあり得ない。ますますただ利潤追求のみの開発に終つてしまうというのですよ。殊に炭田すべてが国営とか国有とか、或いは国家管理とかいう形で以て国家の指導によつてなされる事業ならいざ知らず、個人企業である営利企業という現実から見て、この総合開発というものは、成る場合には筑豊炭田は全部閉鎖しなければならん、強権を以てやめてさせてしまう。そうして北海道なり或いは海底の新らしい炭田開発するとかいうことでなければ、この四つの島に人間は生きられないのですよ。ところが今言う筑後川の一決壊というものを見て、そうして今のようなこれは政府答弁書だからもう何も言えない。これだけで御諒察下さいという御答弁じやこれは不服です。もう一遍これを攻めて、この委員会内容をつかんで答弁書を出すようにお願いいたします。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで、今田中委員が非常に重要な質問をされたのですが、先ほどの御答弁によると、通産省建設省が打合せてこれを出されたという御答弁であつたが、どの程度に打合されたのか。私は今田中委員質問に対する御答弁を伺うと、本当に自主的に打合せされたのかどうか疑問に思う。これは非常に技術的な質問なんです。政治的な点は一応別にして、我々は今後の水害というものを非常に憂慮しておるわけなんです。技術的に見てこの亀裂の問題が、これが事実であるとすれば、ほかの河川にもそういう点があるのかも知れない。そうすると今後又その亀裂から漏水して決壊することになる。これは重大な問題なわけなんです。ですから良心的に純技術的な立場に立つてこれを回答してもらいたいというのが僕の趣旨だつたわけです。ところが単に不可抗力ということで結論付けている。その不可抗力であつたかなかつたかを、我々は技術的に技術家良心に基いて我々は質問をしようとしているわけなんです。ですから実は非常に敬意払つて菊池技監なり山本さんなり、技術家良心的な御答弁を伺いたいので我々は御意見を伺つているのですよ。そういう立場から、例えば炭鉱主その他の利害関係、そういうものは念頭に置かずに、本当にそういう遠賀川関係の農民或い鉱山関係、その他の住民という人の利害、福利というものを真剣に考えられて、それで技術家良心的な立場から一つ端的にお答えを願いたい。どの程度の打合せをされたのですか。
  32. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 只今の御質問に対しまして明確なお答えになるかどうかわかりませんが、今まであの河川につきまして、私どもがどういうふうに処理いたして来ておるか、或いは今どういうふうに考えておるかということを申上げたいと思います。  先ほど先生方のお示しになりました報告文の中にもありますように、昭和十年頃から沈下を始めたということが報告されておりますが、そういう事実がありまして、遠賀川改修大正八年に一応竣工したものが、昭和二十年頃になりまして非常に堤防がでこぼこになつて来たという結果が出ましたので、具体的に沈下が甚だしい所を測量いたしまして、先ほど技監からも申上げましたように、その当時でき上つた堤防の高さから平均いたしますると一メートル以上の沈下が生じておるということがありましたので、昭和二十年から再改修工事にかかつたのでございます。そういうふうにいたしまして、植木のもつと下流の部分から始めたのでございますが、植木部分につきましては二十三年度、二十四年度、二十五年度、約九千万ばかりの特別鉱害に該当する工事を行なつたのでございますが、これだけではその後の状況に応じましてまだ十分でない。先ほどもお話がありましたように、堤防の裏のほうには二十五年には漏水もしたということで、これを補強するものがなければならんという必要は認めまして、二十八年度におきましてそこの堤防の増強をいたすために予算を振り当てたのであります。その工事がまだ着手しない前にああいうふうなことになつたのでございまして、私どもといたしましては、あの部分堤防につきましては、堤防の高さは一応小さい堤防で上げたのでございますが、これのなお補強を、堤防を拡げたり、小段を付けたりしないとこの部分堤防はいけないということで、二十八年度にすでにやることになつてつたのでございますが、できなかつたのでございます。それから二十九年度におきましてもこれを増強しなければいかんということで二千万以上の金を振り当てておるわけであります。従いまして私どもといたしましては、あの部分附近堤防につきましては更に堤防を増強しなければいけないという技術的の結論になつておるわけであります。  但し、将来それじやまだ堤防は沈むじやないかというお話もございますが、この点につきましては、毎年正確に堤防の状況を調べまして、それに応じてその計画を更に多少増強をして行かなければならんということは考えられると思いますが、まあ先ほどの御質問の趣旨にはぴたりと合うかどうかはわかりませんが、現在の堤防においては危いのであります。それが早くなぜできなかつたかということもございますが、二十五年に一応あの部分の応急処置は終りまして、ほかの部分が、ほかにもたくさんあつたものでありますから、二十六年、二十七年の二カ年はあの部分には手が着けられなかつたのであります。二十八年度には金を入れまして早急に仕事をしようとする矢先にやられた。こういうふうな実情であります。従いまして私どもといたしましては、沈下もいたしておりますし、又漏水もあつたので、それに対しては早急に早く仕事をしなければいかん、こういう結論には到達しておりまして、事業のほうもやりたい、こういうふうに考えた矢先であります。今後におきましてもできるだけ早く、従いまして遠賀川の予算につきましても二十九年度は去年より増額いたしまして、あの部分一つ早く手を打とう、こういうふうに考えておるわけであります。ぴたりと御質問の趣旨に合うかどうか知りませんが、私ども技術的の考えはそういう状況でございます。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ややわかつて参りましたが、そうしますとやはり我々に対する不可抗力、そういう簡単な回答では不正確であつて、非常に事実を正確に報告されていないことがわかつて来た。昭和二十八年の水害決壊前にやはりその危険を感じて手当をしようとしている矢先に決壊が起つた、こういう御答弁なんです。そうすると明かに漏水なり沈下もあつた。やはり、ですから、その鉱害というものも有力な原因であつたということは今の御答弁ではつきわして来たわけです。その手当をやつていれば大事に至らなかつたかも知れない。従つてそこが非常に私は重要な点の一つだとは思うのですが、併しそういうふうに率直に技術的に原因に関する事実を説明されれば納得が行くのですけれども、ただ異常出水による不可抗力というのでは我々の質問の趣旨の真の回答になつていないのです。  それでもう少し技術的にやはり伺つておきたいのですが、それは堤防内の法尻から農地に至る一帯が二メートル以上も沈下して、これに伴つて地下水も二メートルぐらい低下して、そのために堤防内の弱点を廻つて吹き出す水の圧力が、落差の増大によつて強められて決壊した、こういうふうに考えられないかどうか、技術的にみて。この点はどうでしようか。
  34. 菊池明

    説明員菊池明君) それは全体が下つておりますから、堤防に対する水位とそれから地下水との差が変りませんから変らないと思います。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 沈下というのは関係ない……。
  36. 菊池明

    説明員菊池明君) 外部だけが下つたわけではありませんから、全部が下つておりますから同じだと思います。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 全部下つている……、その堤防内の法尻からですよ。農耕地に至る一帯が二メートル以上沈下しておる。これに伴つて地下水も二メートル以上低下する。そのために堤防内の弱点を廻つて吹き出す水の圧力が落差の増大によつて強められて決壊した。こういう質問なんです。水圧の差で。
  38. 菊池明

    説明員菊池明君) 海岸に近ければそういうことがあり得るかも知らんと思いまするが、海底とそれから水位との関係が変りませんから、田圃のほうが非常に下つていて、そういうことは起り得るかも知れませんが、十四キロありますから、あつたとしても極めて微量なものじやないかと思います。その差がですね、昔の洪水位と地下水の差が、下つた場合とのその開きがどれだけあるかというお話ですから、海岸により近ければそういうことになりますけれども、十四キロも上であればそういうことはないと思います。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは漏水と洪水……、非常に水位が上つて来ているでしよう。堤防外の水位が上つて来ているわけです。それで堤内に農地があるわけですね。それが非常に下つているわけです。そういうわけですから、漏水していますから、落差というものは非常に大きくなつているでしよう。そういう水圧によつて、それで決壊原因になつているというふうになつているのか、そういう点なんです。決壊当時の洪水位というのは非常に高いのです。
  40. 菊池明

    説明員菊池明君) それは地下水位とそれから川の面の水位の差の圧力で吹き出すのでございますが、御質問は前よりも余計下つているじやないかというお講じやなかつたでしようか。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 堤内のほうの農地ですね、農地は下つているでしよう。で堤外のほうの水位、洪水位ですか、洪水位が非常に上つている。そういうので水圧差が大きくなつて、それで亀裂を通じて吹き出す。まあちよつと待つて下さい。地図がありますから……。
  42. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  43. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) 速記を始めて下さい。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府答弁書を見ますと、「被災時の異常な出水によりその砂層伝つて堤防ののりじりに漏水し、」砂層があるということが語われているのですね。そこで洪水のときに堤防内の法尻から農耕地に至るまで二メートル以上沈下して、これに伴つて地下水もニメートル目上低下する。それがために堤防内の弱点を通つて吹き出す水の圧力が落差の増大によつて強められて来た。そういうふうに考えられないかどうか、こういう質問なんです。
  45. 菊池明

    説明員菊池明君) そういうわけでございます。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは次に又お伺いしたいのですが、三菱その他の炭鉱の地下掘さくによつて引き起つている地盤沈下を防ぐ方法ですね。これについて建設省として何か技術的にないものかどうか、この点伺いたいのです。  それは聞くところによると、昭和十年以前においては埋め戻しをしておつたと聞いているのです。併しそういうことは今日実行されているのかいないのか、この点一つ伺いたいのです。
  47. 菊池明

    説明員菊池明君) 我々もそういう地帯の洞坑の埋め戻しは極力やつてもらいたいと思うのですが、戦前豊かなときはやつてつたかも知れませんが、戦後中からいろいろの事情で或いはやらなかつたのじやないかと思うのでございます。又埋め戻しという仕事は非常にやりにくい仕事でございまして、横に埋めて行くのでございますから非常にむずかしいわけでございます。それの監督も恐らくこれは非常にむずかしい仕事であつた思いますので、我々としましては埋め戻しを勿論やつてくれということを申しますが、それでもとてもそれは、若し沈下がある場合には避けられませんから、結局は河川のほうであるならば河川のほうで、道路なら道路で、それを水害等に対しては保つように手を加えて行くというよりほかにないだろうと思います。  恐らく廃坑のところを戦争中にやつたのは、特別鉱害ということでやつたのでしようが、我々が思つているほど十分にやつてくれたかどうか、それはわかつておりません。一応計画の分だけは完了しておりまするが、我々としてはやはり川は川で守るということを考えなければ、本当に大きな災害のないようにできるということは望めないと思います。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やはり今までの技術的な答弁、それからやや政治的な考慮非常にあつたと思われますが、まあ併し八〇%くらい技術的な立場から答弁された分もあると思うのですけれども、やはりこの地盤沈下と、それから今度の決壊と無関係でない。そういうことが事実的にやや明らかになつて来たわけです。そうなるとただ川を守るというだけでは、これは我々から見ると、素人から見ると、姑息なように思うのですが、これはやはり炭鉱が私的経営の採算の問題、そういうところと関連して来るわけです。本来ならば農民なり市民なり、そういうような人の生命、財産、そういうものに重大な関係ある、福祉に関係あるものでありまして、我々そういうところに住んでおらないからそう痛切に感じないけれども、そういうしよつちゆう地盤沈下があり、それによつて洪水が起るというところに住んでいる市民の人の身になると、我々深刻にそういう点同情されるわけてす。やはり抜本的な対策を講じなければ、実にそういうところにしよつちゆう戦々兢々として農耕をし、そうしていろいろな生活の営をしている人たちのことを考えると、単なる炭鉱主の営利的な見地にのみ重点を置いてこの問題を解決することはできないと思います。どつちを主に置くかという問題。どうしたつて我々としてはそういう災害を根本的になくさなければならんという建前でやらなければなれん。それにはもつと徹底的な対象を……、埋め戻すということになれば一番いいわけです。そういうものを実行させるという考えはないのですか。
  49. 菊池明

    説明員菊池明君) 大体建設省、まあ河川を見ておる者としましては、そういうところは掘らせない方針で戦前は来たのであります。ですから当然何かの都合で掘つた場合は埋め戻してもらいたいということは、もう当然我々は言いたいことなんであります。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もらいたいというだけでは私は………まあそれはもう戦時は御承知のようにああいう状態であつたかも知れません。併し戦時でないのですから、やはりこういうようなことは通産省あたりとあれしなければならん。連絡をとつてしなければならんのですが、いわゆる掘つちやならんということなら、それはもう法制的に強制的に掘らせない、そういう法律によつて掘らせないというようなそういうシステムになつているのかどうか。それから、今後やはり強制的にやらせなければ、あすこの住民の身になつて考えれば、そのくらいにやらなければそれは相済まんと思うのですよ、本当にそういう法的措置によつて掘らせない、或いは又掘つた場合には必ず埋め戻しをしなければならん、そういう制度に今なつてはいないでしよう。
  51. 菊池明

    説明員菊池明君) 只今河川法だけではどうも行かんようですから、鉱業法との関係を少し調整して行かなければならんと思いますが、今すでにどうこうということは考えておりませんが、これは確かに我々として河川法を考えます場合に関連してやはり考えなければならんことじやないかと思います。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはこの災害のことを、特に水害のことを考えると、我我慎重にこの問題はやはり取上げなければなりませんので、建設省のほうの立場として、これはやはり通産省の、通産省はどうしても炭鉱主側の利害立場に立ちやすいのですよ。そういう住民、農民、市民、そうした福祉を守るという立場と、それから国土の保全というそういう大きな立場から、建設省としてはやはりそういう強い態度で臨んで頂きたいと思う。少くとも堤防などのような重要公共施設のある下では坑道だけに制限する、少くとも坑道だけに制限すべきである、そう思うんですが、そういう点どうですか。
  53. 菊池明

    説明員菊池明君) 我々としてはやはり御存じのように掘つちやならんというふうに言いたいわけなんですけれどもね。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあそういう点は一つ十分に、そういうお考えでおられるだけでは、これは問題は解決しないのであつて一つこれは又我々としてもそれはバツク・アップしなければならんと思うので、それは強力にそういう方針を具体化するように努力されたいと思うんです。  それでもう一つですね、今先ほどの御答弁を伺つても、まだ沈下が全然ないとは保証できないと思うんです。若し沈下が今後でも続くという場合に、遠賀川の治水対策については、先ほどちよつと御答弁があつたけれども、もう少し具体的にこれはどうするかという点について御意見を伺つておきたいんです。その堤防をただ高くして行くのか、或いは漏水箇所ですね、これが相当あるんです。やはりあるという御答弁であつたようですが、漏水箇所をどうするか、それから脆弱の箇所ですね、こういうものをどうするのか、これは今深刻に住民たちが心配しておるわけなんです。こういう点について具体的な対策の御意見を伺つておきたい。
  55. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほどもちよつと御説明申上げましたが、現在の状況におきましていろいろ調査を、漏水箇所調査などを全般的にいたしまして、過般その全体の計画を立てて、その内容といたしましては、現在の堤防では高さも足りないし、それから幅がそれ自体といたしましても漏水に耐えるだけの幅がない。それから又下の地盤につきましても、もともとあそこの堤防は旧河川のところに作つたような堤防が多いのでございまして、そういうところにつきましてはその透水層を遮断するために矢板を打つという方法、或いは粘土層を下に突つ込むというような方法、それから又コンクリートの護岸をいたしまして、その漏水を遮断するというような方法をとると同時に、又相当川が上流からの土砂なり、或いは石炭のボタ山から流れて来るのによりまして河底が相当上つておりまして、これもその洪水琉通能力を害しますし、又漏水に対しましても悪影響を及ぼすというので、これを掘つて堤防の裏に埋立をやつて漏水を防ごうというような具体的な方法を考えておりますし、又橋梁などの問題につきましても、橋梁が下りまして、これが洪水の疏通を害しておるということですから、この橋梁の高さも高めるというふうに考えております。  旦し先ほど申上げましたように地下の問題でございまして、穴の状況を私どもといたしましては具体的に調べまして、先行きの見通しを付けるということが技術的には是非必要なんでございますけれども、これは穴へ入つてその状況を見るということは、水の入つてしまつたような穴があると、或いは埋め戻しも済んでおるというけれども、完全であるかどうかということはわからないわけでございますが、その中へ入つて本当なら見ましてその対策を立て、或いはこのくらいの埋め戻しならこのくらいの沈下量が生ずるだろうというふうな見通しを実際ならつかまなければならんのでありますけれども、そういう直接の方法がとられないのが非常に残念でございます。ですからいろいろ今の状況を調べまして、その傾向をつかんで、どのくらいでとまるだろうか、或いは増進して行くのか、或いは沈下の工合が減少して行くのかというふうな点から間接的に先の見通しをつけようというふうに私ども考えております。ただ地下の状況につきましても通産省あたりのほうからどういうような状況か、具体的にできるだけ調べてもらう、地上のほうにおきましては傾向をつかんで行こうというふうに考えておるわけなんです。今の状況におきましては、只今申上げましたようにああいうふうな、去年みたいなことのないようにできるだけ早くやりたい、その一番ひどい部分からでございますね、直方の下流が特にひどいのでございます。ですからその辺にできるだけ早く力を入れたいというふうに考えております。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は通産省にも、愛知君あたりにも十分この点よく話して、そうして今のお話のように根本的な調査、先の見通しができるように、特に建設省方面で客観的に純技術的な面から調査を進めて行くような場合、通産省は十分これに協力されるように、我々も勿論申入れしたいと思つています。特に、併し通産省炭鉱主利害関係というものにどうしても捉われるあれがありますから、その点我々もそういうものに余り煩わされないで、やはり建設省良心的に技術的にそういう調査をやるというときに協力されるように我々申入れるつもりですが、併し今の御答弁のように、相当建設省良心的にこの問題と取組んでおられるようですから、そういう方針で進んで頂きたい。  最後に資料ですね、資料をやつばり御面倒ですが要求したいんですが、それは三菱新入第六坑について、鉱業法第七十条に基く昭和二十八年度分の坑内実測図、これを御提出願いたいと思う。この政府答弁書の坑内実測図は、これは頂いてあるんですが、昭和二十一年度現在のものなんです。で、通産省とお打合せになつたと言いますけれども昭和二十一年度現在のものでは、それから相当やはり変化が生じているんですから、私はどうしてこんな古いものを我々に付けて来られたものか、まあ悪く言えば我々実は馬鹿にされたようにちよつと感じたんですよ。私自身は素人ですからあれですけれども専門家もおるんですから、従つて二十八年度分の坑内実測図、これを出すようにお願いしたいんです。  それから次に、地理調査所の縮尺二万五千分の一の地図で、第一は、昭和十年に比較して昭和二十八年までの沈下の状況を知らして欲しいのです。これについては先ほど十年から十六年までの分はすぐにわからんという御答弁でしたから、これはあとで地元のほうに連絡をとられて、調査がわかつた結果で結構ですから、それを是非昭和十年に比較して二十八年までの沈下の状況はこのくらいだということを提出して頂きたいと思います。第二に、新入の六坑と七坑、その他提防の沈下関係のある諸炭坑の採掘の実情を示してもらいたい。第三に、昨年の植木町における遠賀川堤防決壊による氾濫の実情を記入して頂きたい。  この二つの資料を提出頂きたいと思うのです。これは御用意できますかどうか。
  57. 菊池明

    説明員菊池明君) 炭坑の調査図でございますが、それは我々も実は欲しいのですが、これは通産省関係に御要求願えないものでしようか。我々からも申しますし、又通産省に言うわけなんですが、直かに通産省のほうへ御要求願えないもので、ございましようか。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは私質問書を出したときに、この質問書に関連しての資料要求なんです。これに附いた昭和二十一年のものでは不備である、これでは。そこで攻めて通産省のほうにこれは御連絡を、これを出すときに御連絡あつたと思うのですから、あれでは満足しておらんから、そこで二十八年のを出すように、この回答書との関連において要求しているわけですから、一応正式にあなたのほうから連絡をとられるべきじやないですか。こういう質問書を出すときにどうせ連絡をとられたと思うのです。それと同じ手続によつて
  59. 菊池明

    説明員菊池明君) これは通産省のほうに出された質問書と思うのですが、資料は通産省のほうにお願いいたします。
  60. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今のはこれは通産省のほうに……。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の資料は通産省のほうにあなたのほうから連絡しないのですか。
  62. 菊池明

    説明員菊池明君) こちらから通産省のほうに直かに御要求願いたいと思います。
  63. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こちらからそれはまあ申込んでもかまわんけれども、一応これを政府のあれとして出されたのですから、これでは不備であるというので更に資料を要求しておるわけなんです。ですから先ほどこれは通産省と十分打合して出されたと言われた関係上……。
  64. 菊池明

    説明員菊池明君) これは通産省のほうから相談があつて相談をして、通産省にやつたわけなんであります。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それではそういう手続をいたしましよう。
  66. 田中一

    田中一君 今この坑内の埋め戻しですね。或いは河川工事の掘さくを、掘ることをやめさすというようなことを法律で規定したいという希望があるようですが、河川法の改正を準備しておるようですが、そういうようなことを考えておることがありますか具体的に……。
  67. 菊池明

    説明員菊池明君) 現在考えておる中にはないのでございます。
  68. 田中一

    田中一君 今日ここで調査案件として取上げておる現案から見て、これは希望しますから、この事実をお取上げになつて、そうして遠賀川はかりでなく、ほかの公共施設、他の公共施設に及ぼす影響の箇所、これを一つ全国的に見て資料を出してもらいたいと思うのです。例えば遠賀川とか、或いは私よく知らんけれども、福島なら福島の阿武隈川が入つておる、そういう所を、そういう地点ですね、河川工事の中を掘さくしておるような地点、この表を一つ出して頂きたい。そうして今日のこの委員会のこの問題点を、今河川法を立案しておる方のほうに意思を伝えて頂きたい。そうしてまあ通産省といろいろな関係があるのでしようけれども、一応建設省建設省立場から一応それを織り込んでみるというような決意を持つて預きたい、これを希望しておきます。
  69. 深川タマヱ

    委員長深川タマヱ君) では本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会