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1954-06-30 第19回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月三十日(水曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 六月三日委員小林孝平辞任につき、 その補欠として木下源吾君を議長にお いて指名した。 六月十五日委員深川タマヱ君及び飯島 連次郎辞任につき、その補欠として 堀木鎌三君及び北勝太郎君を議長にお いて指名した。   委員長補欠 六月十五日深川タマヱ委員長辞任に つき、その補欠として議長において堀 木鎌三君を委員長に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀木 鎌三君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            小沢久太郎君            小滝  彬君            鹿島守之助君            赤木 正雄君           小笠原二三男君            木下 源吾君            田中  一君   国務大臣    建 設 大 臣 小澤佐重喜君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省河川局長 米田 正文君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (昭和二十八年度災害復旧状況に関  する件)  (昭和二十九年度発生災害に関する  件) ○議員派遣要求に関する件   —————————————
  2. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) では只今から建設委員会を開会いたします。  先ず、私今度建設委員長の席を汚すことになりました。非常に不慣れで不敏な者でございます。どうか皆さんの御援助によりまして職責を完ういたしたいと思つております。どうぞよろしくお願い申します。
  3. 田中一

    田中一君 私は御承知のようにまあ我々社会党両派が認めない延長国会というような割切り方をしておつたわけなんですが、この際委員会を開くことは私は賛成です。併しながらそういうような決定をしているものですから、一応この建設委員会の総意によつて休会中にでも委員会を開くのは当然ですから、それによつて委員会を持つというような決定をされたという考え方を以て出席さして頂くことを私一つ御了承願いたいと思います。
  4. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 承知いたしました。皆さんも御異議ないことと存じます。  ではちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  5. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記を始めて。  それでは先ず新らしい建設大臣の、小澤建設大臣から発言を求められておりますから、これを許可いたしたいと存じます。
  6. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 只今委員長からもお話がありました通り、私先般突然建設大臣を拝命いたしました。皆さんもすでに御承知のように、私は建設行政には本当に素人であつて、而も衆議院議員中におきましても建設委員なつ経験もなければ、建設省の法案を審議した経験もないのでありまして、全くの言葉通りのずぶの素人でございます。併しながら一旦この仕事をお引受けいたしました以上は、せいぜい未経験なこの自分を叱咤いたしまして、そうして一生懸命勉強して、建設行政のために貢献したいと念願いたしております。どうぞ今後とも何分よろしくお願いいたします。
  7. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 今日は新建設大臣だから余り御質疑はないでしような。
  8. 赤木正雄

    赤木正雄君 ありますよ。
  9. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) じや御質疑がございましたら順次御発言を願います。
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 去る十九国会におきまして吉田総理或いは大蔵大臣共に、治山治水は特に重点的に予算を認めてある。無論それは災害に鑑みてそういうお話でありました。これは本会議で明確にそう述べられているのであります。聞くところによりますと、政府では又実行予算編成して行く、一部の事業を縮小しよう、これを新聞紙上に見ましたが、治山治水事業に対しては先ほど私の申した通りに、政府として重点的に考えているのでありますから、よし予算を縮小されるに当つても、総理の言明に照らしても、治山治水に関しては実行予算の縮小なんかはあり得ないことと考えますが、これに対して建設大臣のお考えを承わりたい。
  11. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) お話のように、私の所管の行政治山治水というものに最も力を入れて、そうして今後行政をとつて行かなければならんことは言うまでもないのであります。従つて昨年から副総理を中心といたしまして、治山治水協議会という内閣の一つの機関を持ちまして、極力永久的に水害災害がないようにというような見地から検討して参りました。勿論これに対しましてはいわゆる十年計画というものがありまして、この十年計画で約一兆億円程度の金を費しますれば、大体において我々の心配する水害による損害はないのじやないかと、こういう結論を持つておるのであります。併しながらこの日本の現在の財政から見まして、今この治山治水協議会の案を直ちにフルに実行するということは困難な情勢になつておりますが、併し二十九年度の予算編成するに当りましても、極力この線に沿うという建前で進みましたけれども、時あたかも日本経済状態がこの一兆億円の枠内における予算編成がどうしても必要だという見地がございましたけれども、他の費目から見まするというと、この治山治水というものには重点を置きまして、僅かではございまするが、とにかくこの二十九年度予算が成立をいたしたのであります。ところがこの二十九年度の予算が御承知通り通過いたしましたが、これに関連する法律が或いは審議未了に終り、或いは修正を受けまして、予算そのものに対して百九十五億、約二百億の歳入歳出面において齟齬を来たしておるのであります。こういう結果になりましたので、政府といたしましては、とにかく国会審議の結果そうなつたのではあるけれども、予算というものの根本的建前から、一応やはりこの二百億の歳入減或いは歳出増というものをカバーできるような施策を講ずることは当然とらなければならん、こういう見地に立ちまして、今お話のような約百九十五億を一般会計から縮減する、調整をするという問題があつたのであります。  そこで私が就任する前の閣議におきましてこの二百億を減ずるという方針決定されておりましたが、具体的に各省へ対しましてその大蔵省からの相談があつたのは私が就任してからであります。今赤木さんのお話のように極力治山治水という点につきましては重点を置いて大蔵省と折衝して参りましたが、一応この方針といたしましては、今申上げました通り百九十五億というものを一般会計から一応実行予算として節約を図るという建前には賛成することにいたしました。併しながら将来所得税自然増収とかその他の財政緩和ができますれば、漸次閣議決定いたしまして、元の線に戻すということの条件が付いておるのでありまして、これは全部削つてしまつた意味ではなくして、今後我々の考えでは、大体公共事業費については少くとも三%は返すと、従つて一〇%今引いてはありまするけれども、年度末までには三%は当然返すと、そのほかにあとの残つた七%についても予定事業量を縮小するような場合においては改めて閣議にかけて、予定の二十九年度予算に盛られました事業量だけは完遂したい、こういう気持の下に条件付で今きまつておるような次第でございます。その他無駄な経費を節約し、或いは物価の値下げによりまして漸次この予算二百億の節約を図るように努力はいたしますが、いやしくも事業量は減らさないような措置を講ずることを前提にして今申上げました閣議決定したような次第でございます。  従つて今後の操作或いは運用によりまして、今赤木さんの御心配になつておられるような点を絶無ならしむべく今後とも努力いたしたいと存じております。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど大臣お話の中に、治山治水対策協議会できまつた一兆億円を十カ年にやつて行きたいと、これには多少数字の差があるか知りませんが、この治山治水協議会でどういう事業をどれほどの金を以てやるということはこれは決定しているはずであります。それで二十九年度の予算を御検討なされても治山治水協議会決定したレートによつて予算が盛られていない。言換えれば二十九年度の治山治水予算治山治水協議会を全然無視した予算になつています。このことは私この前も質問したのであります。大蔵大臣治山治水協議会委員でありますが、実際はこの予算の内容において治山治水協議会を無視しておられる。これは緒方総理もよく御承知通りであります。でありますから、私は改めてとやかく申上げませんが、そういうことのあるということを十分御検討の上に予算に訂正を願いたい。  それから、それはそれでおきまして、災害について少し聞きたいと思うのであります。災害復旧は非常に大きな問題でありますが、去る知事会議において災害復旧を要望されたのに対して、政府といたしましては、大蔵省並び建設省或いは農林省も関係するかも知れませんが、そういう事業官庁大蔵省との間にまだ災害復旧費、これは二十八年度の災害復旧費はどれほど要るか、すつきりした数字に達していないということを御答弁になつていますが、これは私は非常におかしなものと思うのであります。とにかく災害復旧費として二十九年度に予算に盛られた場合に大蔵省査定官が、査定官があるかどうか知りませんが、大蔵省として二十八年度の災害はどれほど復旧費を要する、それに基いて予算を出されておるのであります。従つて我々予算審議した者としては、又予算に協賛した者としては、大蔵省の一応きめた災害復旧費をとにかくめどとして考えているのであります。従つて今頃大蔵省或いは各事業官庁との間に災害復旧費が果してどれほどあるかということがまだ確定していないと言われているのは、これは実に意外なことで、私はこの点は究明すれば幾らもありますが、これ以上究明しません。  実は私は今日は総理が御多忙ならば副総理並びに大蔵大臣にも御出席願つて、この災害復旧に対する政府考えをもう少し掘下げてお伺いしたいと思つたのです。併し副総理お忙しいようでありますし、又私の連絡の不備な点もありましよう、大蔵大臣は御出張しておられませんから、建設大臣にお願いし又質問をいたしますが、とにかく去る数日私は或る県の災害状況を調査して参つたところが、実際二十八年度の災害について先ず一割五、六分くらいほかできていません。併しこれに対して相当多額の費用を出して又そのできた率も、大蔵省としては多少できておるように考えておられるような節がある。それは何によるかといえば、言い換えるならば建設省災害復旧査定、又建設省災害復旧したものに対して大蔵省が再査定をした。或いは建設省で机上査定したものが、そのうち何%減すとか或いは原形復旧以外のものに対しては何%減すとか、或いは予算にした場合に多少金だ余るから、それに対しては何%減すとか、そういう観点から大体において建設省の二十八年度の災害復旧費に対して約三分の二くらいのものを大蔵省災害復旧費として認めているのであります。その大蔵省の認めたものが正しいか、建設省の認めたものが正しいか、これは非常に大きな問題なんです。なお言い換えるならば農林省もありますから、農林省建設省、そういう事業官庁の認めたものが正しいか、大蔵省のこれを再査定したものが正しいか、これが非常に大きな問題になつて来る。若しも大蔵省の認めた分が正しいならば、いわゆる建設省或いは農林省のごときは水増しの査定をしていたと言わざるを得ない。これに反して建設省或いは農林省査定が正しいとするならば、大蔵省は一々現地査定しないくせに余計なことをした、事実を無視したことを事務官がやつている。それでは実際の災害復旧なんかできない。こういう結論になるのであります。これは私は大きな問題だ。一つ政府大蔵省に対して建設省農林省とこういう争いのあることは甚だおかしい。又それはあるべからざるものと思うのでありますが、実際においてそういうことがあるわけです。こうなつた以上ば、私は厳格に言うならば、これは大蔵省建設省農林省に任しておいてもしようがない。国民としてはどれが正しいか、どちらの省の言い分が正しいか。それについては或いはこういうふうな建設事業に関する限りは、建設委員会の有志がいずれかの県に行つて大蔵省役人建設省役人に一緒に来て頂いて、全部再査定して、どちらが正しいかということを検討するより方法が私はないと思う。これに対して、これは大臣質問しても御答弁できぬか知りませんが、実情はそうなんです。  ただ困るのは一般国民災害をこうむつた所なんです。私は現在の災害復旧規定、これには非常に疑義を持ちます。私はあの規定が必ずしもいいとは思いません。あの復旧規定はもう少し根本的に直して、私なりの考えを言うならば、災害復旧は昔のように原形復旧がいいのだ、若しも災害復旧に金が残るならば、その金を以て河川改修或いは砂防、造林、根本治水に持つて行かなければならない。それをやらない以上は災害復旧しない。こういう観点を持つていますが、併しそういう災害復旧規定を改正するのは後のことといたしまして、そういう考えを持つていますから、今日は大蔵大臣も或いは緒方総理出席されていませんから、どうか大臣はこういう考え意見で私が言つたということを大蔵大臣なり或いは副総理お話し下すつて、又この次の委員会で徹底的に私は究明したいと思いますから、その点御了承願いたいと思います。質問というよりは私の考えを申しました。
  13. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 只今お話のように、この二十八年度災害につきましては当初臨時国会補正予算を作るときには、大体において政府として、大蔵省建設省、皆含めた政府として大体千五百六十五億というようなふうに査定が済んでおつたと覚えております。これはまあ建設大臣としてではありませんが、議員として覚えておつたと思います。ところが二十九年度の予算編成に当つてはこの千五百六十五億というのが恐らく千百十八億か何かの査定に減少されてあつたと思うのであります。そこで今赤木さんがお話のように建設省或いは農林省、或いは厚生省、運輸省の主張するいわゆる災害基準というものが大蔵省と違つて来て参ります。違つて来て参りますから、従つて政府部内におきまして今現在も意見の対立のままでおりましてこれを漸次調整しようという政府全般としては考えを持つております。従つて今私が政府一員といたしまして、政府の他の一員でありまする大蔵省査定間違つてつて、私のほうがいいんだというようなことは申上げる自由を持たんのであります。この点は私は申しませんが、将来何とか調整をとりたいと思つているのであります。  そこで差当りの問題は何といつて災害を速やかに復旧、復興することであります。従つて例えば、お話にもありましたように建設省見解或いは農林省見解で行きますと、昨年の災害に対しまして補正予算と二十九年度予算建設省側では三〇%程度農林省では二八%程度大蔵省では六〇%程度というようなおのおのの査定基準を別に見て進んで行きますと、そういう結論になつて来ることは事実でございます。その違いを今後調整しようというのは先ほど申した通りでありますが、要は与えられた予算はもうすでにきまつてしまつているのでありまして、これを六〇%だと言つてみたところで、或いは三〇%だと言つてみたところで、これは実際上の災害復旧には何の効果もないので、私の考えではその議論を、大蔵省見解による六〇%といい、我々の三〇%というような、そういうパーセンテージの主張を議論するよりは、一日も早く災害復旧することであるという念慮から、そういうパーセンテージ議論は別問題として、勿論これは将来調整しますが、別問題として、少しでも多く、なかんずく工事が進行しているにもかかわらず、すでに二十九年度予算を全部与えても支払に困るというような現状もたびたびあると思うのであります。これをどうするかということが先決問題だと考えますので、そういう箇所が相当ございますし、殊に出水期を迎えている現況ではそうしたものは速やかに何らかの措置を講じまして、工事の進行に差支えのないようにすることが我々の責任だと考えておりまして、何とかこういうようなものに対しましてはいわゆるつなぎ融資的な資金部融資というものを考えまして、そうして工事を進行する妨げがないようにしたいという意味でたびたび大蔵省とも交渉し、又或る程度大蔵省の了解も進んでいるつもりであります。併しながら今具体的に何億の金を融資するのかというような問題までにはまだ結論を得ておりませんが、そうした考え一般災害国民諸君の迷惑というものを幾分なりとも除くように努力したいと考えております。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 今大臣は実際に融資でもやるならばその。パーセンテージのことはそれほど問題ない……、実際はそうかも知れません。併しこの前の予算の場合におきましてもこの二十八年度、二十九年度を通じて災害の先ず六割、言うならばこれは三、五、二の割合で三カ年でやつてしまう。併しこの両年でまあ少くとも六割できる。こういうことを政府はつきり言つているのであります。そう言つている以上又災害をこうむつた土地の人も少くとも六割、うまく行くならば三、五で八割二十八年度、二十九年度でできる、こういう考えを持つております。おりますから大臣の言われたように。パーセンテージは問題でないということならば、その三、五、二、そういう率というようなものは問題にしないぞ、とにかくできるだけ金を出すのだ、こういうふうに政府が又改めて声明でもなさるならいいのでありますが、それがないので、この前の国会では三、五、二、少くともそれほどできるということを言つておられますので、それを政府が言つている以上は、今の大臣のおつしやるのはちよつと辻棲が合わない。国民はその点納得ができない。でありますからこうなつて来ますと、我我としては大蔵省言い分が正しいなら、それは二十八年、二十九年の二カ年で六割できるでしよう。或いは建設省言い分が正しいか、そこを一つの県でも二つの県でも抜き検査をして、現地に行つてみるより方法はない、こういうふうになりはせんかと思うのであります。今の大臣のおつしやるパーセンテージは問題でないとおつしやいますけれども、ところが決して問題でなくはない。これを確かに私は申上げておきたい。
  15. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 私の言い方が悪かつたかも知れませんが、私の言うのはそういう意味ではありません。パーセンテージは非常に問題ではあるけれども、同じ政府部内における見解の相違を、今大蔵省が悪いとか建設省が悪いとかいうことを私がここで申上げるわけには参りません。この分だけは私に対する質問ではないと言つておられますから、その通りにしてよろしいと、それは認めてしまうので、従つてその問題が解決しない先に一方工事が進んで行く。で金がないという問題に対してお前はどう考えておるかという意味を含めて私がお答えしたのでありまして、前段から一歩進めて、その問題が解決付かんでもこういうことをするぞということを申上げたのでありますから、あなたのさつきおつしやつた趣旨を十分承わつてその通りすることは私らも賛成でありますから、その点誤解のないように願います。
  16. 赤木正雄

    赤木正雄君 この問題は政府全体の問題でありまして、単に建設省の問題ではありません。私は今度はできるだけ副総理も御出席願いたいんですが、今日はおられませんから、又時期を見て副総理なり大蔵大臣なり、御両人に質問したいと思います。
  17. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 承知いたしました。そういう手配をいたすことにいたしましよう。
  18. 田中一

    田中一君 昨年の、何といいますか、中部三県の海岸堤防の決壊、これは先だつてつてみますと、金がないんで全然工事ができんということを言つているのであります。殊に鵠村などは又もう一遍冠水して、又やり直しをしなければならないというような現状にあるんですが、そのためにこの海岸堤防建設部を作るときも随分やかましく注文を付けたんですが、このまま台風期を迎えて、主として三重県、愛知県の昨年度のあの大きな災害に対しては今までかけた金が全部ゼロになるという危険が多分にあるんです。どういう考えで以てどういう融資方法をとるか、これは大蔵大臣が十分に資金裏付けをする、少くとも七月までには原形復旧の線まではやつて行く、そうしてその後になお且つ堤防を重ねるというようないわゆる万全を尽した本工事にかかるということを再々言明しているんです。ところが現地へ行つてみると、たしか半分しか国から来る金が来ていない。で借金もできない。大蔵省は金も廻してくれない。両県の知事は再三陳情に来ているはずです。そうしておおむね無理矢理にさした請負人の責任において、請負の立替えにおいて今工事を進めておる現状なんです。或る部分では工事をやめると言つている所もあるんです。実際どうなつておるのか、又どういう対策を持つているのか、伺いたいと思うんです。
  19. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 今田中さんの御質問に対して、赤木さんの質問に先ほど答えた意味は、三重堤防愛知堤防を含んでいる意味なのであります。一番工事が進んで予算裏付けのないのが今お話の御指摘の場所であります。それでこれを金がないので工事が進行できないという姿にいることは絶対相成らんという趣旨から、何とかつなぎ融資を一遍にでなくても出しまして、そうして工事の支障のないように、田中さんの御指摘のように進行するつもりで大蔵省と話しております。で大体事務的に見て七月一ぱいぐらいについてはどうやら今までの予算でやつて行けるのではないか、それ以後になりますと当然金がなくなりますから、この場合にはつなぎ融資工事を進行して行く、そうして万遺漏ないように期したいと思います。
  20. 田中一

    田中一君 私は今大臣答弁で不満なんです。それでは実態はどういうことになつているか。これは勿論県工事なんですから、県工事を国が委託を受けてやつておる仕事なんです。それですから現在実態はどうなつておるか。これは河川局長からでも現況を説明してもらつて、そうして資金はどうなつているのか、国が当然補助する金は幾らつているか、工事の出来高はどうなつているか、そういう点一つ説明して下さい。
  21. 米田正文

    説明員米田正文君) 実はお配りするような資料を今日は用意してなかつたんですが、大体の状況お話し申上げますと、予算の面から申しますと、昨年と今年度合わせまして、両県合して約七十億の予算を支出いたしております。でそのほかに融資を二十億受けておる、で合計九十億余りが今日現地で確定をいたしておる財源であります。でこれについて現地では到底この予算では不足だ、両県の先だつても申出を合わせますと三十八億更に必要だということを言つて来ております。内訳は三重が二十億、愛知が十八億の融資を更に至急に受けたい、こういう状況であります。でそこまで行けば今のお話の今年の台風期が辛うじて乗切れるというのであります。で我々といたしましてもこの台風期までに、あそこはまあ御承知のように台風期が問題でありまして、この梅雨期はさほど問題じやないので、台風期までに一応の処置をいたしたいのが今の建設省としての根本方針でございます。でこの融資については今政府部内大蔵省と我々のほうとが折衝中でございます。まだはつきり決定をいたしておりません。それは御承知のように予算圧縮予算節減と申しますか、その問題等がありましたためにまだ決定をいたしておりませんが、できるだけ早い機会に決定をするように我々のほうから大蔵省にも折衝いたしておりますから、いずれ近いうちに解決をいたすように努力をするつもりでございます。  そこで差当りじやもうほかに何も手がないかと、こういう問題ですが、工事の進め方を全体についてちぐはぐがないように、或る所だけ非常に完全にできる、或る所は非常にできておらんというようなことのために、折角できておるような所が無駄になるというようなことにならんように、全体としての出来高を大体揃えて行くというようなことを現地に指示をいたしております。そういう工事上の諸注意をすると同時に、更に他の予算措置等ができないかどうかというので今まあ研究しておる部門もございますが、まだ決定いたしておりませんからお話できませんけれども一そういうこともいろいろ研究しておりますので、この台風期までには何とかいたしたいという予定でございます。
  22. 田中一

    田中一君 出来高は、この決定した九十億ですね、九十億の分の出来高というものと、これが原形復旧の線まで行くのか、九十億でできると思つたやつが今の三十八億というものを追加しなければ原形復旧にならんという、この査定ですか、認定の食い違いはどういうところに原因があるのでしようか。
  23. 米田正文

    説明員米田正文君) 大体今の第一期と称する工事は原堤の、前にあつた堤防の高さまでを第一期復旧しよう、こういう趣旨で行つておりますが、概略百五十億が必要でございます。で、それに対して県の今言つております三十八億を加えましても、百二十八億でございますから、現在予算を出しておるものと合わせましても、あとの分が未施行になつて残るわけですが、これはまあ重要地区に重点を向ける方法によつて、まあその程度の不足ならば今度の台風期には対処できるだろうという考え方でございます。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると全部が、原堤復旧ですね、これは百五十億だ、併し九十億だけはもうやることになつておる。ところが仕事の現在の進み方からいつて台風期までに三十八億が足りないというのはこれは現地の要求であつて、これを心配しておるということですが、そうするとあと残つている二十二億ですか、この分はそう重大でないから台風が来ても、又は高潮が来ても大体これで乗切れるだろう、だからこれを先に残すと、こういうような説明なんですが、それじやもう一つ伺いたいのですが、現在の出来高どうなつていますか。今七月一ばいというお話ですがね、私が今聞いているのは六月一ばいというふうに聞いているのです。六月末までに原堤復旧というふうに持つて行きたいというふうに聞いておるのです。で、出来高どうなつています、今出来高は……。
  25. 米田正文

    説明員米田正文君) 原堤復旧までやるというのは、まあこれで台風期が乗切れると申上げましたけれども、これは仮定があるのでございまして、まあ例年程度の台風に対処しようという趣旨で、昨年のようなものが来ると到底これはまあできませんので、その点は御了解を願いたいと思いますが、今日の出来高は大体五〇%程度だと思います。詳しい数字は実は持つておりませんが、大体そのくらいで間違いないと思いますが、完成は七月中を最初から目途にいたしております。六月というのがどこから出たのかよくわかりませんが、私のほうの当初からの計画としては七月を目標といたしております。
  26. 田中一

    田中一君 で、現在出来高が五〇%で以て金は幾らつています。
  27. 米田正文

    説明員米田正文君) 金は今申上げましたように従来昨年の金と今年のを合して、融資も合わせまして九十億でございますが、そのうち極く一部保留をいたしておりますから、保留いたしておるのは一、二億くらいあるかも知れませんが、一、二億程度はこのうちから減るかとも思いますが、大体九十億金は行つていると思つて頂いてよろしうございます。
  28. 田中一

    田中一君 百二十八億のうち九十億行つていれば、それで五〇%の出来高ならば両県とも当座、現在の資金に苦しむことはないわけですね。ところが現在私が行つて見ましても、金がないから払えないのです、金を払わないでいるのです。
  29. 米田正文

    説明員米田正文君) 今のですね、私のほうは予算の関係を申上げましたが、実はその今年の五十億の予算は、この予算を出すのは、今度は資金を、金を出して行くのと別でございまして、これは大蔵省で金を現実に出して行くやつは、それを区切つて行くものですから、それが五十億の半分くらい行つている形です。そこでそこに足りないと言つておるところがあります。
  30. 田中一

    田中一君 その金はどうするのです。今私いつてみますと、大体現地のおつつけられた請負人が立替えておる。これ以上とてもできんということの声を聞くのです。どうしようというのですか。
  31. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 田中先生の御質問趣旨は、実は私どもも非常に気が付いておる問題でありまして、田中先生の御質問になつております、お気付きになつたもとは、三重県の問題が主だと思います。予算は成るほど相当付いておるのでありまして、差当り事業をやるには予算それ自体としては支障はないと思うのでありますが、この支払予算のほうが実は困つておるという状況がありまして、普通の経費でありますと支払予算は大体年を四等分に分けまして出すのが普通になつておるわけでありますが、災害につきましては、場所によつて若干の違いがありますけれども、大体全国的に見まして総予算のうちもうすでに五〇%ばかりは支払予算が付いております。従来大体愛知三重海岸堤防につきましてはその程度措置をいたしておつたのでありますが、海岸堤防のうち、特に三重県でありますが、支払予算に足らんという要求がありまして、最近八〇%まで直ぐ出そうという措置をとつたはずでございます。最終的の指令が行つておるかどうか、そこまで確かめておりませんが、もう一両日と言わずそういう措置がとられるものと思います。その八〇%行きますればまあ差当りお話のような業者が立替えるとか何とかいうような苦しい状況はなくなるものと、かように考えております。
  32. 田中一

    田中一君 どうも計算がおかしいのですが、現在五〇%の出来高ならばそんなに仕事するほうも苦しむわけはない、九十億の八〇%を支出するというのならば……。ところがそれじや足りないから三十八億を出したので、百二十何億というものが一応の完成ということになれば、八〇%やるならば今金が足りないことないのです。九十億の八〇%行けば……、出来高五〇%になるのですからね。そこのところ計算がちよつと変なんですがね、今答弁できなければ資料を早速出してほしい。
  33. 米田正文

    説明員米田正文君) それは、五〇%と申上げましたのは百五十億の半分ですから……。
  34. 田中一

    田中一君 出来高……。
  35. 米田正文

    説明員米田正文君) 七十五億に相当するものができておると、こういうことを申上げた、百五十億の五〇%ですから。
  36. 田中一

    田中一君 予算の面のことを言つておるのです。工事実態はどのくらいできておるのですか。
  37. 米田正文

    説明員米田正文君) 工事原形復旧というものの総額が百五十億かかると申上げたのですが、その百五十億に対する五〇%が今日できておるのが出来高でございます。七十五億分が完成をいたしております。
  38. 田中一

    田中一君 それに向つて八九七十二、大体あなたの言つておるように二、三億の不足になるわけですね。併しながらそれ九十億に対するものでしよう。三十八億に対するものは七月中に何とか手を打つとこういうわけですか。百五十億のうちの出来高が五〇%、七十五億分というのですね。それで今官房長が言つたのは、決定された九十億のうちの八〇%は支出しよう、そうすると大体七十二、三億になるのですね、足りないところは二、三億だと、こういう説明ですね。併し三十八億も含んだのが百五十億の工事なんでしよう、この三十八億というものも先になつて出さなければならんということになるのですね、そうでしよう。そうすると七月一ぱいに完成するのですか、その程度のもので……。
  39. 米田正文

    説明員米田正文君) 私の申上げました三十八億というのは今年度一ぱいに必要な県の要望額であります。ですからそのうちの一部が台風期までに要るということは言えますが、金額としては二十九年度一ぱいに必要額として県が要望しておるものであります。この百五十億というのは台風期が目標でやつておりますけれども、これは七月までには全部は完成いたしません。
  40. 石川榮一

    ○石川榮一君 災害に又直面して参りまして非常な豪雨を見ておるわけでありますが、その災害復旧は勿論緊急を要するのでありますが、年々繰返されるこの災害を最小限に緊急に防ぐ方法といたしまして何か、建設省といたしましてお考えを願わなければならないと存じます。それは治山治水の恒久対策は勿論確立しておりまして、これから順次予算を作るのでありますが、現在の国家財政の情況から考えまするというとなかなか思うように参らない。治山治水対策協議会決定いたしましたあの対策も一兆二千億、農林省方面まで加わりますると一兆八千億という厖大な予算になつておりますから、恐らく十年間でこれをこなすことは非常に困難であろうと思います。その間に災害が年々必至に参つて災害復旧に追われておる現況でありますときに、このまま推移しておりますと、年々の災害によつてこの根本的な対策が崩れて来ると思うのであります。そこで緊急にこの台風期を乗切るために、甚だ言い方がまずいのでありますが、でき得るならばこの災害期、いわゆる九月に入る前に各河川に対しまして、最も危険な個所をこの際火急に調査せられまして、そこに重点的応急工事を施しまして、今年度だけでも或る程度災害を防ごうという施策をする必要があると思います。これは昨年利根川において建設大臣に要請しまして僅かの経費でありましたが、一番危険な所に約八メートルのいわゆる蒿上げ工事を緊急にやつてもらいました。幸いに大したこともなく済んだのでありますが、今年も必ずそういう事態が起ると思うのでありまして、全国的な、河川全部とは申しませんが、重要河川として特に危険を感ずるような河川に対しましてはこの際至急に災害の起りやすい個所を取上げまして、そうして緊急工事として増補をすべきであると思うのでありますが、こういう臨時的な処置をこの際する必要があると考えまするが、これに対する大臣の御所見を伺つておきたい。
  41. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 実は私も素人でありましたが、非常に天気、雨模様も悪いし、又去年のような大きな災害になつては大変だというので非常に心配しておりました。従つて事務当局の御意見等も承わつて、今お話のように治山治水協議会の大きな構想は、これは立派でありますが、直ちに実現は不可能であります。でありますから、一体緊急なことで最も効果の多い仕事はどんなことであろうというような点を考えました結果、先ずお話のように、全国的な最も重要な個所に応急的な工事をすることが一つと、それからいわゆる水防団、従来もやつておりましたが、水防団を強化或いは整備をいたしまして、そうしてこれがフルに動くこと、又水防団だけでは足らん個所に対しましては或いは保安庁の時に応じた応援を求めるようなことをあらかじめ組織的に打合せをしておくというようなことをやりながら、なお且つ応急時に必要な例えば俵であるとか、菰であるとか、麻袋であるとか、釘とか竹とかいうもの、今日でも配給いたしておりますが、これは十分とは認められないのでありましてもつともつと大きなこうした応急資料というものを適当な個所に配給して置く必要があるのじやないかというのでいろいろ相談いたしましたが、金がないというので、昨日の閣議で実は災害予備費からでも、前例はないことであるけれども、一億か一億か出してもらつて、そうしてこの措置を講ずることが適当でないかということを私が主張いたしまして、大体大蔵大臣も了承して現在事務当局でいろいろ打合わせております。この金額が一億になりますか或いは一億五千万になりますかわかりませんけれども、至急にそうした手配をして、何とか未然に先ず防ぐことを考えたいというような見地に立つて毎日苦労しておるような次第であります。お話趣旨に向つて邁進したいと考えております。
  42. 石川榮一

    ○石川榮一君 大体大臣の御構想を伺いまして若干安心ができるのでありますが、水防に関して論及せられましたが、水防は各地共最近非常な熱意を持つて訓練を始めておるようであります。恐らく今月のうちには全国的に水防の訓練が始まると思いますが、これに対する国の補助、助成というものは殆んど見るべき予算がないのであります。これらも非常に遺憾なことでありまして、これが充実いたしまして、沿岸民が熱意を持つて水防に当るということになりますれば、相当に災害を防止する効率が大きいと思うのであります。そういう観点から是非明年度におきましては予算を付けて頂きたいのであります。  それからもう一つは保安庁の利用の問題、現に利根川水域におきましても保安庁と折衝いたしておりますが、出先の保安隊は常時保安庁の本庁のほうから指令がありますればどういうことでも協力をしたいという態度になつておるようであります。まだ保安庁から何も指令がないというのが現実の姿であります。恐らく保安庁長官も昨年の北九州における災害地方に対する保安隊の活動に非常な絶讃を浴びておるわけであります。要するに自衛隊になりましても、内部における自衛、治安というものは、やはり災害というものが大きな部面を持つておると思うのでありますから、この際大臣のほうから保安庁、今度の防衛庁の長官でありますかに折衝して頂きまして、急速に出先機関と本庁との連絡に努めまして、各河川に対する水防に関する組織的な計画を立てて頂きまして、末端の現地部隊に十分に連絡をして頂くと同時に、それらの現地部隊は各県知事と緊密な連絡をとつて一つ万全の水防態勢を整えてもらうように至急に御心配を願いたいと思います。  もう一つ愛知用水につきまして外資の導入を伝えておりますが、その真相はどうであるかわかりませんが、少くとも愛知用水を至急にやるとするならば、国の予算では到底耐えられないというので、食糧増産の目標から外資を導入するということになつたと思うのでありますが、この外資の導入の性格はわかりませんが、若しそういうことができるとするならば、治山治水の対策協議会がきめましたいわゆる全国的な治山治水対策、これに対する国の予算がどうしてもここ十年程度で困難であるとするならば、これらに対する外資を導入してそうして十年間に必ず完遂するというような態度をとつて頂けないものかどうか。一愛知用水を取上げることなく、この重要な治山治水のいわゆる国策として、最も重点的に国でも国会でも認めておりますこの費用を、どうしても国家予算で足りないならば外資の導入をもあえて辞さない、積極的にそういう方向に力を入れて頂きまして治山治水対策が十年間に完遂できるような見通しを予算的に見得るようにして頂くことができないか。幸いに今日のニユースを聞きますと、近くアメリカから農業委員とかいう形で愛知用水その他を視察に参るようでございますが、建設省の最も重点的に必要とする河川、道路、こういうものに対してはこの委員等に視察を懇請して、二カ所でも三カ所でもこの際視察をしておいてもらいまして、そうして帰られてから第二次の折衝をするというようなこともこの際準備をして頂く必要があるのではないか、かように考えるわけでありますが、御所見を伺いたいと思います。
  43. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 先ず第一点の保安庁の災害に対する出動問題でありますが、皆さんの御協力を得まして新しくできました自衛隊法は、なお簡便に災害に出られるような規定になつていると思うのであります。それと同時に、具体的の点は今申上げました通り、昨日の閣議におきましても、閣議で私が申込んだことは、先ほど申しました二億の予備金の支出と同時に防衛庁の協力、この二点を、先ほどは申上げませんでしたが、申上げたのです。従つて閣議で全般が了承されまして、殊に閣議が済んでからも木村保安庁長官に対しまして私の構想を話しましたところが、全幅的な賛意を表せられまして、従つてすでに下のほうの事務的に、どういう具体的な措置を講ずればそうした組織的な有効ないわゆる救援ができるかということを相談中でございますから、これは間もなく具体化すると思います。  それから愛知用水その他の河川に対する外資導入の問題でございますが、道路等についても何とか日本の経済の現状から外資導入ということが必要であるということはたびたび政府としても考えているのであります。ただ河川或いは用水等に果して外資というものが導入されるような客観情勢があるかどうかというような問題については相当考えなければならないと思うのでありますが、いずれにいたしましてもお話趣旨を十分了承いたしまして、そうして単なる道路だけじやなくても、河川でも、可能であるならばそういう方向に向つて進んで行きたいと思つております。但しこれは具体的にはまだ申上げるような状態になつておりません。でそれでは外資は具体的にどうしてやるのだというような点については、適当な時期をかして頂かなければ申上げることはできないと思うのであります。
  44. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) では次に移りますが、昭和二十八年度災害復旧状況及び昭和二十九年度発生災害に関して河川局長から御説明を願います。
  45. 米田正文

    説明員米田正文君) お手許に差上げました公共土木施設災害復旧状況というので御説明を申上げます。  これは過年度災害と二十八年度災害とに分けて書いてございます。過年度災害と申しますのは二十七年度以前の災害のことでございまして、現実に本年度残つております災害は、昭和二十四年度のものから昭和二十七年度のものに至る四カ年のものでございます。それは第一に書いてございますように、現在昭和二十四年度が一番古い災害として残つております。今日二十八年度末で災害の残りの総額が国費で五百十八億、これに対して二十九年度に支出予定が八十九億でございます。この五百十八億という災害はもう大分古いもの、即ち二十四年度というようなものがございますので、その後の事情の変化等がありますので、この残つている五百十八億をその後の事情の変化によつて廃止或いは変更等のできるものを極力措置を行うという圧縮の方法をとつて、見当といたしましては大体五百十八億の二割程度を圧縮するように各都道府県と折衝中でございますが、各都道府県の最近の状況から申しますと、大体残りの二割程度であるならば圧縮ができる、こういう状況でございます。  昭和二十四年度災害は本年度中に完成をいたす予定であります。これも大体残りのものの二分の一、五〇%程度を切捨て或いは設計変更等を行う予定でありますが、全部二十四年度災害は完了をいたす予定であります。  そのほかに二十五年から二十七年に至りますものは、今年度の予算を支出いたしますと、進捗状況は二十五年度が六二%、二十六年度が五八%、二十七年度が五七%というような進捗の程度になります。ただこれも先ほど申上げましたように、極力古い災害についての圧縮方を折衝をいたしているのであります。若しこれが相当にできる余地があれば、この進捗率はまだ今後高まつて来る見込でございます。  それから次が昭和二十八年度災害復旧状況でございますが、総額が国費で千百十七億、これは建設省といたしまして各都道府県市町村の災害査定をいたしまして、これについては一県ごとに現地で設計を立てまして、その設計金額を総計いたすとこういう数字になつて参りますので、現在のところ建設省としては千百十七億という数字現地の最も信頼し得る数字だ、こういう考え方をいたしております。先ほども大蔵省との間の見解の相違があるというお話も出ましたが、確かにそれも事実でございますけれども、一応建設省としてはこの数字を現在のところ現実の数字として扱つておるのでございます。で、そのうちに昭和二十八年度に百三十六億、昭和二十九年度に二百七億、合計いたしまして三百四十三億というものが支出予定でございます。こういたしますと、総額に対して三〇%に相当いたしますので、二十九年度中には三〇%の進捗を見るという状況でございます。ただこの三〇%と言いますのは、先ほども現地視察でお話がございましたように、現地としては非常に不足を訴えておる現状でございます。  その方針としては三に書いてございますように、極く緊急な所からやる、復旧を行うという方針を指示をいたしております。金が少い、予算が少いので、それを最も効率的に使うという趣旨でここに挙げておりますように河川、海岸、道路橋梁等もその最も重要度の高いものだけから工事を進めて行くという方針をとつております。  その次の最後の表は、都道府県災害復旧事業各年度進捗状況調というのがございますが、これには二十三年度からの災害を挙げてございます。二十三年度災害は昨年中に全部完了をいたしました。これは一番左の行に災害年別を書いてございまして、二十三年、二十四年、二十五、六、七、それから小計を書きまして、二十八年度と書きまして、そこに各年度の災害総額を挙げてございます。その災害総額をどういうふうに支出をして行つたかという状況を右のほうに年度を逐つて挙げてございます。  即ち二十三年度災害は二十三年度から支出をしているということ、その支出の状況は二十三、二十四、二十五とパーセンテージもそこに書いてございますが、二十三年度災害は二十三年度に八%、二十四年度に二六%、二十五、年度には五七%、二十六年度には七四%に上つて行き、二十七年度には八二%、二十八年度に至つて一〇〇%で完了しておる、こういう書き方をいたしておるのでございます。  ここでこれは先ほど申上げました数字の説明でございますが、要するに二十九年度以降になお残額が事業費にいたしまして千四百四十七億というものが三十年度以降に繰越されて行く状況にございます。一番右の行に三十年度以降残という行がございますが、その一番下に千四百四十七億六千十五万八千円というのがございますが、これが三十年度以降に繰越されて行く災害事業費総額でございます。括弧はその事業費に対して国費相当額を書いてございます。千二百二億六千三百九十一万三千円でございます。  ちよつとそれに附加えますと、先ほども申上げましたが、残事業費のうち過年度災害については極力圧縮をいたすように各都道府県と折衝をいたしておりますので、或る程度の圧縮ができる予定でございます。
  46. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 続いて……。
  47. 米田正文

    説明員米田正文君) それでは続いて昭和二十九年度発生災害の概況を申上げます。お手許のプリントで申上げます。  本年度に入りましてからは、最初に冬季風浪、融雪災害、それから北海道の暴風雨雪及び局部的降雨等を原因とするものが五月末までのものを全部一括して第一段階として考えております。その次の第二は、六月初旬の災害を第二段階に考えております。第三には六月下旬、最近の和歌山等の問題以降のものを第三段階と、こういうふうに分けております。その分け方は、これは単に事務的な分け方でございまして、災害を集計して行く段階に過ぎません。  第一の冬季風浪によるものは、主としてこれはもう毎年でございますが、海岸に起きる災害が主でございます。その被害額もそう大して大きいものではございません。それから融雪災害のほうは北海道及び東北地方、新潟、北陸方面、これも例年融雪時期になりますと起きる災害でございます。そのほかに五月の九日、北海道地方の暴風雨災害、これは非常に海の災害、特に漁船等の災害が非常に多かつたのでございますが、土木災害のほうは二億七千万円程度にとどまつておりますが、要するにこういう第一段階のものを全部ひつくるめますと二十九億余りでございます。被害額が二十九億余りでございます。それから次の段階の分が六月の初めからの梅雨不連続線によるものでありまして、これは内容は北海道並びに中国、九州等に発生したものでありまして、合計三億八千万円程度、それから最後の第三段階のものは六月下旬、即ち和歌山の南地区、それから三重等のものでありまして、被害額が大体十二億、それら全部本年の当初から今までに発生いたしました総額が大体四十五億円といつた数になつております。昨年は六月災害が非常に多かつたのでございます。それは昨年は四百十二億で、六月一ぱいで四百十二億に達しております。今年度は今のところ六月一ぱいで、もうちよつと殖えるかも知れませんが、四、五十億でとまろうという状態でございます。大体昨年に比較いたしますと一割程度でとまつておるという現状でございまして、各県別の被害の状況はその次のページに書いてございます。  北海道以下ずつと鹿児島に至るまでを各県別に個所数と金額、これを県工事と市町村工事と分けて書いてございます。それから摘要には、災害の発生した日時を書いてございます。これは実は県から報告があつた数字でございまして、これについては今後現地の準備のでき次第に現地査定に参つて、実地査定をいたした上で金額を決定することになるのでございます。  次の表はそれらの災害に伴いまして生じた被害の主なるものを挙げてございます。各都道府県全部合わせてございます。死者、負傷者、行方不明等、それから建物の被害、耕地の被害、道路、橋梁、堤防、電柱、軌道、木材流失、通信施設の被害、それから船舶被害等を参考のために掲載いたしたのであります。  以上であります。
  48. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は先ずお伺いしたいのは、この公共土木施設災害復旧状況で過年度災において二割程度圧縮できることが書いてございます。災害復旧にそういうことがあるのはおかしいと思う。こういう圧縮することができるものを査定の結果をお出しになりますから、大蔵省建設省査定というものは信頼できない、こういうふうに見て来られてもしようがないと思う。この圧縮というものはどういうことですか。
  49. 米田正文

    説明員米田正文君) 確かに事務的に御疑問を生ずる問題でございます。御承知のように、非常に財政的に困難であり、災害復旧がだんだん延びて行つておる、最近の実情を見ますと、六年間かかつておる。建設省でかねがね主張いたしております三・五・二という三カ年計画は丁度倍の六カ年かかつておるような現状であります。そこでそういうふうにかかつておる間には状況の変化がいろいろと起きて参つているのも事実であります。災害当時には非常に復旧を必要としておつたものも、その後時日の経過すると同時にそれが到底復旧するのが待つておれないといつて地元の人が適当に処置をいたしたとかというような現状もございます。或いはその当時の事情と今日の事情に六年間もたつて見ますと、非常に必要な所が多少状況の変化のために程度が違つて来たというようなのもございますので、そういう事情を勘案して予算を圧縮するようにできるだけ経費を捻出するという意味で設計変更をして予算縮減を図るようにという処置をいたしております。これももともとは非常に予算が苦しいというところから来た非常なまあ苦肉の策とも言えるのでありますけれども、今日の際だからコンクリートを使つたところも一つ練積のところを空積にやつてもらいたいというような趣旨のところが相当現われております。
  50. 赤木正雄

    赤木正雄君 意見の相違かも知れませんが、災害査定をするときコンクリートのものを空積にして圧縮せしむることは、そういうことはあり得べきことでないと思うが、事実施行のほうからそれはそれとしておきまして、二十八年度の災害復旧建設省としては千百十七億円ありますが、大蔵省ではこれが六百五十三億になつておる。千百十七億として都道府県災害復旧事業各年度進捗状況調というのをもらつておりますが、先ほども大臣お話した通りに、千百十七億のものを六百五十三億に大蔵省は認めているのであり写すから、これは大蔵省は金を出すほうでありますので、この通りに出すか出さないか、ここでは問題で、我々はこれをもらつてつて建設省災害査定の結果こうなつておるのだと言つておる、事実はこれが反古になつてしまうということがありますればこれは政府としてこういうものをお出しになる前には大蔵省と検討なすつた上で、確かにこれは出し得るんだ、これは技術的からも事務的から見てもどうしても災害査定の結果確かに必要だということになさるべきものでありまして、千百十七億を六百五十三億に見ておられる状況では私は特に御注意を願いたいと思います。  それからもう一つ技術的問題でお聞きしたいのは、昭和二十八年度発生災害復旧工事実施の基準としてA、B、C、Dとありますが、B、C、Dはどういうものを予定しておられるか。
  51. 米田正文

    説明員米田正文君) これは省内で災害査定の、災害検査をする基準をこしらえております。その基準の中に細かに施行別にA、B、C、Dをきめております。どういうふうにきめておるかと申しますと、工種を河川、海岸、砂防、道路、橋梁という五つの項目に分けて、それをそれぞれについてAは堤防の破堤又は決壊箇所に工事施行中の堤防工事というふうにAは五項目に、Aの中に又細かに規定しておる。Bはその次に位するものとして又六項目に分けてある、Cは五項目、Dは四項目とありますが、例えばDはどういうものかと申しますと、河川について申しますと、上流部の河岸の横浸蝕防止工事というようなものがDに入る、それから今後河状が変化すると予想される河床の工事、これはDというように細かに査定いたしております。
  52. 赤木正雄

    赤木正雄君 そこで私は承わりたいのは、この堰堤が災害を受ける、相当大きな土砂が溜つておる。これが災害復旧して置くならばその土砂が出ないが、今の災害復旧をしないために豪雨に会つたら莫大な土砂が出てしまう。それがために両方の堤防が決壊してしまう。民生安定上重大なものが何らこれに取上げられておらない。これはどういうわけか、それを聞きたい。
  53. 米田正文

    説明員米田正文君) 今の御質問をもうちよつと具体的に承わりたいのですが。
  54. 赤木正雄

    赤木正雄君 ほうぼうの河川を見ましても非常に砂防堰堤の一部が決壊してすぐそれを復旧しておくならばこの秋までには安全である。併し今これを見ますと、河川でも、海岸、道路、橋梁、この中のいわゆるA項に該当してない、なぜそういうものをA項にお入れにならんのかという意味です。
  55. 米田正文

    説明員米田正文君) 砂防の査定については只今お話のございましたように、堰堤等の両岸破堤したというようなものは勿論災害復旧の対象になり、災害復旧をやるものでありますが、今ここにあります内規の中にははつきり語つておりません。その点は私どもも、今後追加して行く必要があると思います。
  56. 赤木正雄

    赤木正雄君 そうすると大臣一つよくお願いしておきます。こういう査定を今まで建設省がやつておる。それがために折角こういうふうに砂防をやつてつても、又それがこわれておつても、どうも建設省のほうの査定官が砂防を軽視しておる、こういうために砂防工事の堰堤を放棄しておる、これが実情であります。甚だしい中には、先ほど申しましたように過年度災害ですね、二割程度圧縮する、こういうものに該当しておるのがたくさんあるのです。砂防堰堤、災害査定に多く取られていながら、府県も建設省のほうが砂防を余り重視しないという観点から、折角の災害復旧に会いながらその堰堤を放棄しておる。今その例をおつしやれというなら私は幾らも言いますが、それがために折角の多額の工費を投じたものが空になる根本対策の重点は無になつてつてしまう、こういう実例があります。今河川局長の言われた通り災害査定の内規というのは非常におかしなものだと思います。堰堤の中にいろいろあります。山の上の堰堤でそれほど重要でないものもあります。又川の出口にあるものもあります。これが災害復旧に会つていながらこういうふうにその内規にもこれを全然認めていない、こういう実情にあるのでありますが、この際にこの点に対して大臣に特に御注意を下さるようにお願いするのです。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の赤木さんのお話、局長の答弁もわからんのですがね、砂防の事業を追加するというのですが、追加するということは砂防を入れて考え直すということですか。
  58. 米田正文

    説明員米田正文君) いやそれはこういう意味です。今の内規の中には砂防という項はございます。そのABCDという砂防についての内容はございます。それぞれ項目はございますが、今の御質問はその中に具体的に堰堤の両岸破堤したような場合のことを調つていないというこういう御質問でございますので、この規定を更に細かに規定をすれば、今の御質問の点は解決できると、こういう趣旨で申上げたのであります。
  59. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは非常なおかしなことで、私は堰堤の両岸のことを何も質問したりしていません。その堰堤そのものがこわれているのをここに語つていないから、それは非常に手落ちだと、こう言つたのであります。でありますからこの規定が、内規が間違つておるので、恐らくこの河川、海岸云々とありますが、この中に砂防をお書きになつて、堰堤の破壊したもの、これを当然お書きになるものと私は解釈しておるのですが、そうでないのですか。
  60. 米田正文

    説明員米田正文君) 今の質問ですとちよつとお話が違うのですが、ここにお手許に上げたのは、砂防というのは書いてございませんが、内規には砂防というのはございます。だからここに書いてあるのが落ちておる。そこで今のお話の中に、私は今両岸が決壊した云々というのは一例で申上げましたけれども、赤木先生の御質問はそういう点を細かに規定しろということに私は解釈して、じや今後この砂防についての内規のABCDをもつと細かに検討いたしましようという御返事を申上げたのです。
  61. 赤木正雄

    赤木正雄君 では簡単でいいのです。私は河川とあるのは砂防として、堰堤の破壊ということお書きに……、砂防というのは大事とお考えならそれをオミツトして書いてないとおつしやいますが、これは書き違いなので、それを当然お書きになるのが私は当然だと思うのです。
  62. 米田正文

    説明員米田正文君) その通りで、ございまして、実はこの原本はここにございますが、ここに書き落したので、私は先ほどお答えいたしました。
  63. 赤木正雄

    赤木正雄君 これが各地方へ廻るのです。実際を申しますと、各地方に廻つた中で余りこの中に砂防がないのじやないか、これは各府県の言うことでありますが、でありますからあなたのほうで書き間違えたものを地方にお廻しになりますから、新らしく書き間違えないようにしつかりしたものをお作りになつたらどうですかというのです。
  64. 米田正文

    説明員米田正文君) 承知いたしました。
  65. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 一つ簡単に大臣お見えですからちよつとお聞きしたいのですが、先般の新聞で例の防衛道路計画、まあ伝、えられるところによると十年間で三千億、あの問題はどんな程度に話合いができているのか、この点が一つお知らせ願いたいところなんです。  それからもう一つは、大臣就任早々の御苦心でしよう。今後の災害予防について一億になるか一億五千になるかといつたあの仮に予備費のいわゆる前使用、これの構想ですね。この機会にお話願つておきたい。私はこの二点一つお伺いしたい。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それに関連してですがね。確かに今の防衛道路の問題がこの際この委員会を通じて、どういう動機でどういう交渉の経過で、どういう計画が今日前提として考えられておるものか、この際お示し願いたいと思います。
  67. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 今の小笠原君の御質問も併せて。
  68. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) この防衛道路の問題ですが、この問題はまだ具体的に計画はできておりません。できておりませんが、およそ我々の考えておることは、大体従来の日本の道路というものは余り大きなトラツク、殊にアメリカ軍が使用しておりまする戦車などというものの荷重を負担するような大きな道路の構造ができていなかつたのであります。ところが終戦後になりまして、そうした脆弱な道路の上に重い戦車なりトラツクなりが走ります。そうしますというと相当にこの破損がひどくなります。そこで我々としてはこれは或る意味においては口実……。
  69. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記をとめて。    〔速記中止
  70. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記をつけて。
  71. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) それから予備金の支出の問題ですが、これは先ほども申した通り素人の私が昨日の閣議発言した問題でありまして従来そういう金を災害予備金から出せるものかどうかということも実は研究していないのであります。ただ私どもが素人考えておることは、毎年何百億というような災害復旧費補正予算で出す、そうして何千億の災害というものが日本の全般に亙つて損害をこうむつてしまつてから騒ぐということは余り気のきいたことじやないじやないか。それを根本的にやるということは、治山治水協議会協議会側でそれにはプランができ、予算さえできれば実行できるのでありますが、仮に金があつても十年か十五年先のことで、差当りの今年のいわゆる災害には間に合わないのじやないか。今年の災害に幾分なりとも、消極的なりとも被害を少くし、氾濫の度合を少くするには何らか打つ手がなければならないわけだ。その打つ手というものは今申した通り水防団と保安隊に緊密な連絡をとつていざ災害というような場合には遺漏なくいわゆる防衛施設を講ずることが一番適当であろう。併しながら保安隊におきましても地方の水防団におきましても、今までの災害のときに必要な資材というものが十分に建設省では配給していないのであります。今配給しておる程度のものでは到底思うような水防団の活動ができない。この際大体概算では二億程度のものでこの資材の購入をいたしまして、或いは倉庫をこしらえまして、そうしてここは危険だという個所にあらかじめ配給しておく、そうすると御承知通り水は一遍に出て来るわけではございませんから、これはだんだん水位が上るであろう、水位が上ればこの提防が決壊するであろうという所に応急の措置を講ずるために非常な受ける災害を未然に防げるのではないか。こういう程度の極く素人同士の話でありまして、詳細な例えば予算の実際上の実施とか或いは予算上の技術、どこから金を出して、どうすればいいのだというような問題は事務当局で折衝してもらうことにして、大きく私の気持を閣議に出しまして、そうして各閣僚がこれを了承したという程度でございまして、これから三浦さんの御質問のような具体的な問題が事務当局によつて進められて行くと思うのであります。そうして事務的な支障がありますれば、更に政治的に私自身が出て解決を付けて行きたいと思つております。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると防衛道路は日本側で今仮に大ざつぱな線を引いているというようなものも、新線建設ではなくて、先ほど大臣がおつしやつたような既設の道路の補修ということが重点であるというふうに了解してよろしうございますか。
  73. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 大体御承知通り道路五カ年計画と書いてありますが、この道路五カ年計画に重複する線が相当あるのであります。従つて道路五カ年計画が大体二千六百億くらいの計算をやつておりますが、これが重複箇所が相当にありまするから、それだけ防衛道路というものが若し我々の希望するような外資でこれが道路の整備ができるということになりますると、五カ年計画がその分金なしにできるということになるわけであります。従つて新らしい道路は勿論でありますが、原則としては既設の道路の整備も大部分含んでおります。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今お話の後段の新線の部分ですが、これは主としての構想は大きいものではどういうものを希望しておられますか。
  75. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) それは先ほど話した通りほんの図面を引いた程度で、今成案を得て皆さんに批判を受くる程度までに固まつていないのでありましてやがてこれが固まる時期には委員会なり国民にも発表いたしまして、皆さんの御批判を仰ぎたいと存じます。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では尋ね方が悪かつたわけですが、巷間伝えられておる東京、神戸間の弾丸道路、これはどこを通すということはいろいろ研究中のようですが、そういうものも考慮の対象になつているというふうに聞いておつてよろしうございますか。
  77. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) それはいわゆる俗に言う弾丸道路の問題は従来沼津の田中何とかいう人が考え一つの弾丸道路の構想があるのであります。これは二、三年前からいろいろ検討されましたが、建設省側の技術面から見まするというと、この道路は技術的にちよつと可能とは言えないという意味で、田中案とは別個に弾丸道路というものを建設省で調査だけはしておるのであります。勿論これは最終段階、全部違うというものではありませんが、その重なる点もありまするけれども、大部分の点が違つた点をとつておるのであります。例えば建設省考えているのは大体海岸方面を行きます。田中案は八王子から富士山の真中を通つて木曾山脈の中央を通つて行くのが田中案でありまして、こういうのが技術的に可能かどうかということについては非常な疑問があるのであります。併しながら田中君の構想も我々素人が聞いて見るというと、日本の国土開発のためには相当面白い構想であるという点が感じられまするので、果してこの田中氏から言えば技術上も可能だというものも、いわゆる我々の建設省内部における技術者が見まするというと非常に技術的に困難だというような……、どの点がどういうふうに困難なのかという点を最終的に検討する必要があると考えまして、一応両者間の懇談会的なものを、研究会的なものを開く趣旨におきまして一応調査会のような形を以て研究をしたい。第一回の委員会というか、懇談会的なものですが、法的根拠も何もないのですが、そういうものをこれから開きまして、至急に田中案が果して現代の技術上可能であるかどうか、そうして技術上可能であるなら経済的にも又可能なのかどうかという点を検討して、そうしてこれが全然駄目ということになりますれば、現在考えておる建設省の言つておる弾丸道路というものを考慮して行きたいと考えておりますが、この弾丸道路という構想と……、その二本がどうなるかきまつておりませんが、弾丸道路という構想と小笠原君の今言われました防衛道路とは関連を持つておりません。五カ年計画のほうとむしろ関連を持つております。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関東或いは近畿のほうは対象にならんものでも、そういう弾丸道路のような構想がありますが、一方関東、東北のほうはやはりそれに類似の新線建設の構想というものを以て御研究になつておられますか。
  79. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) この問題は小笠原君が恐らく地元で知つていると思います。私も県側から聞きましたが、これは奥羽山脈を通じてやはり丁度東海道の弾丸遇路という構想が各東北六県で考えられて、或る程度の机上。フランと申しましようか、そうしたものが出ておることは知つております。出ておることは知つておりますが、何しても日本としてはそうした大きな山脈を通つて行く道路としては、恐らく世界各国にも珍らしいことでありますので、一つがいいということになれば、当然これは関東、関西だけではなく、これを延ばして東北にも通す、北海道にも行く、九州にも行くということにだんだんなつて来ると思いますが、第一の問題がすでに疑問なんですから、その疑問がもう解けて来まして、これは大丈夫だということになりますれば、その次には今質問されておるような東北の真中のことも考えてみたいと思います。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後にこの関係でお尋ねしたいのですが、この防衛道路の問題と外資の導入の問題ですが、やはりこれも巷間伝えられるように、吉田総理がこの秋に外遊をなさるというような場合においては、これらの問題も一つのテーマとして外資問題についての折衝をなさるであろうというふうに一応期待しておつていいわけですか。
  81. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) この吉田総理の外遊の問題は、私は内容は知りません。知りませんが、私の総理とこの問題について話した片鱗から窺いますというと、それとは関係がないように私は心得ております。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとこの防衛道路の関係は全く新発足される防衛庁或いは建設省と向うの軍部との折衝で、道路でも使い得るものは持つて来られる、そういうような構想で進むわけですか。
  83. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) これは先ほど私が言つた、今の駐留軍の技術者と日本側の技術者が集つて相談するということは、これは外資には一応関係がないことであります。日本の四つの島に対して産業の発達とか或いは防衛上の見地からどういう道路が理想的であるかということを一応検討しまして、そうしたことが駐留軍もそういうことを、日本と同じような考えを持つて一つ結論が出て来ますと、こういう道路を作るのには日本には金がない、お前のほうではこれを望んでおるじやないか、望んでおるならばその一部分ぐらいは何とか金の工面をしてもいいじやないかという交渉が外資のほうに入つて来るのでありまして、今直ぐに外資とひつくるめてこの道路を考えているのじやなくて、その次の段階で外資という問題は入つて来ると思います。従つて私は吉田総理が出るとか何とかあなたが言うけれども、私自身はそんなことを聞いておりませんから、それとは何ら関係がないわけであります。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この点は大事ですから、ちよつと時間を取つて恐縮ですがお尋ねしますが、そういう話合いで或る種の結論が出て、外資と申しますか、ドルと申しますか、それがほしいという場合に、それはMSAの何らかの、今の協定の条項の中でアメリカに予算があればもらい得る可能性があるものですか。それとも世界銀行から一般の開発の問題として道路関係に、而も防衛道路というものに金が出て来るとお見込みになつて話が進められておるのですか、この点明らかにして頂きたい。
  85. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) それは先ほども言う通り、話の出たことは極く単純な、例えばお前のほうの戦車なり自動車なり大きなものを持つて来て日本の道路をめちやめちやにしているじやないか、これに対して援助をするのが当り前じやないかという程度が一番元なんでありまして、それ以上今発展していない。そうするには先ず両国側でこういう道路が理想的だという一つの図ができる、そういう図ができてから、こういう程度であるならば或いはMSAに関連してこういうことも可能であるとか、或いはMSAでは困難であつて世界銀行はどうであるとかいう問題がその次の段階に出て来るので、私の知つている範囲では、今小笠原君の質問しておるような点には少しも私は触れてないのです。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、随分雲をつかむようですが……。
  87. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) その通りです、今のところ。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは別な問題ですが、どなたかお尋ねになつたかと思いますが、新聞に伝えられている実行予算の問題で、建設省として九十何億か節約分になるということですが、そうすれば建設省側実行予算の内訳はお示し願えますか。
  89. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 大体大蔵省考えました総合計は五十七億程度であります。それでこの問題は実は昨日漸くきまつたばかりで、まだ具体的な数字になつておりません。なつておりませんが、先ほども話した通り、これは予算としては一旦決定しておるのですから、政府だけでこの予算を、歳出予算であつても動かすことはできるわけではないので、ただあなたがさつきいなかつたが、要するに予算は通過してしまつた、その後における法律が審議未了に終つた、或いは修正されて歳出が増加したというような総合計を合わせますと百九十五億あります。その百九十五億というものがいわゆるこのままで行けば歳入欠陥ということになつてしまつて、歳入なしの歳出が出てしまう、こういうような姿を、たとえ政府責任ではないとは言え、そういうような姿で実行して行くということは、国会に対して無責任じやないか。一応この際はやはり歳入歳出のバランスの上に立つた実行をとつてつて、そうしてその次の段階にいろいろな問題が起るであろうが、その次の問題は問題として考えるべきじやないかというのが大蔵省考えであります。それは私は一応正当だと思うのであります。  そこで結局建設省の割当分と言いますか、節約分に該当したのが只今申しました五十七億円であります。五十七億の問題で、私がこれは就任する前に閣議で基本要綱がきまつてつたので、私が就任すると間もなくその交渉になつたのですが、一般節約、いわゆる冗費を節約するという面でありましたならば勿論賛成であるけれども、いやしくも事業量を圧縮するという点では断じて承服できないというような点を基本にして大蔵省と交渉いたしました。大蔵省と交渉いたしましたが、結局においては、所得税自然増収も出て来る場合も想像できるし、又その他の税で歳入の面がよくなる場合が想像できるのであるからして、一応この建前をこうとつてつて、あとは年度の進行するにつれてアンバランスの関係が現実の問題ではつきりするであろう。その現実の面がはつきりした場合においては今の五十七億全部を使つてもいいというような閣議決定の仕方をしている。従つて私のほうでは事業というものは先ず引延ばさない、そうして既定方針通りに行く。そうして万が一どうしても歳入がどうにもならん場合には、事業だけは進んで行つて、金の支払は、これは業者に迷惑をかけたり、市町村に迷惑をかけないような姿で来年度に廻す手もあるのじやないか、そういうようなことを狙いながら今申した通り基本原則である事業量決定した事業量は残さないという建前で、一応、一方においては予算の歳入と歳出のバランスを合わせるという点で妥協が付きましたので、私のほうでもこれを呑んだような次第であります。  併しながら今一割、一〇%呑みましても、今申したのはその他の節約、例えば物価の値下りというような点には極力努力いたしまして予算節約を図ると同時に、少くとも事業量では今年度分はやつて行くという気持で進んで行きたいと思つております。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の大臣お話で、国会に対して政府としても予算執行上一応抑える点を抑えなければならぬ。併し事業量は減らさない。又そのことのために物価の引下げなりその他によつて節約になる部分もあるだろうが、それでは賄い切れない、事業は進むという場合には来年度においてでも国の支払を考える、こういうことで話が進んで行くとすれば、結局いつの日にか補正予算を組んで一切の整理をするのだという結論になるように私は考えられますが、そう了承してよろしうございますか。
  91. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) それはその通りです。つまり年度の終りの最終段階にはどうしてもやらなくちやならんと思います。併しその今のあなたの言う補正予算という意味はもつと早くの意味でしようが、その意味では全然……。(笑声)
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあその年度末の補正というが、それまで生きているかどうかもわからんことであるんですからね。だからそのことはお互いこの程度の話になりますが、結局は。次に、まあその点は話を進めて、一応節約するんだということで、補助なり或いは直轄なり、それぞれの事業量なり或いは事業の個所別にも一応決定になつて各地方公共団体にもその内容はわかつておるわけですね。それが一律に災害復旧を除いて一〇%を節約するということになるのか、道路とか或いは堤防とかいうようなところはこの緊急度に見合つてもう取捨選択して重点的な工事施行をやるのか、その基本的な建設省考え方としてはどこにあるのか。いわゆる本年これはやるんだぞと言つたものでも、軽微のものだからこれは切つちまつて、そして片方の一〇%切られる部分は切らないで、その分はその分で事業を進めるということもあり得るのか、その個所別の変更等もこの問題に伴つてつて来るのかどうか。河川、道路、或いは住宅計画ですか、それら各部面についてどういうふうに配分をきめておるのか、お伺いしたい。
  93. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 個所別の変更とか或いは住宅でも既定方針の四万戸というのは変えないつもりであります。従つてただお話のような、例えば今年度完成する工事がありましてところが一〇%切られたためにこれが工事ができないというような場合には、他のどうせ今年、来年で竣工できないのだという点からやり繰りを……、重点的に完成を急ぐということはありますけれども、だからと言つてこれは零にしてこつちに持つて来るということはしないで、やはり既定計画工事は進めて行く。そうして又完成する部分については、本年度完成するのが一割のために来年度に廻すということはやらないでやつて行きたい、こういう考えを持つております。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ずいつであろうが、年度内に補正を組むのだそうですから、仮に支払は、業者がいなくなくなつたのだから……、金の支払は遅れることがあつても先ず先ずそれもいい。既定方針通り進むのだという大臣見解を私も了として、もうこれで終ります。
  95. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 大体今日は質疑は終つたように思いますが、実はできましたら時間も廻つておりますが、議員派遣の問題を御相談申上げたいと思つておりますが、如何でしよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) ではお差支えなかつたら……。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  97. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記を始めて下さい。  それでは只今御懇談中におきめを頂きましたように北九州災害復旧建設事業調査及び最上、阿仁田沢特定地域における建設事業調査のために議員派遣要求を出すことにいたしますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) さように決定いたします。  速記とめて下さい。    〔速記中止
  99. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) 速記を始めて下さい。  それでは大体今懇談中にお話合いができました程度において、なお御内意を伺つて委員を派遣したいと思いますが、その選定については御一任願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 堀木鎌三

    委員長堀木鎌三君) それでは有難うございました。  本日はこの程度で散会いたします。    午後一時一分散会