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1954-03-30 第19回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員の異動 三月二十二日決算委員長において小沢 久太郎君を委員に指名した。 三月二十三日委員松平勇雄君辞任し た。 三月二十七日委員宮澤喜一君辞任し た。 三月二十九日委員宮田重文君辞任し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    委員            植竹 春彦君            小沢久太郎君            飯島連次郎君            岡  三郎君            東   隆君            菊田 七平君            平林 太一君   政府委員    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠木 正康君    通商産業大臣官    房会計課長   福井 政男君    労働大臣官房会    計課長     澁谷 直藏君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    中小企業庁振興   部協同組合課長  遠山 長雄君    労働省職業安定   局失業対策課長  村上 茂利君    建設省計画水道    課長      岩井 四郎君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (補助金等に係る予算執行適正  化に関する法律案要綱に関する件)  (補助金関係批難事項に関する件)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今より第十一回決算審査に関する小委員会を開会いたします。  本日は初めに目下政府において提案を準備いたしております「補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案」の要綱につきまして、大蔵省より説明を聴取いたしたいと存じます。本要綱補助金等交付の不正な申請及び不正使用の防止その他補助金等に係る予算執行適正化を図ろうというのでありまして、本小委員会においても、この目的のため既に検討を進めて来たところでありますので、政府提案の前に一応の説明を聴取し、なお、取扱い等につき御協議をお願いしたいと考える次第であります。それでは大蔵省より御説明をお願いいたします。ちよつと速記を止めて下さい。    午後一時三十六分速記中止    ——————————    午後二時五十四分速記開始
  3. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を始めて下さい。  それでは次の議題に入ります。本日は都合によりまして通産省所管の八百三十七号を初めに問題に供したいと思います。これに対しまして専門員のほうから先ず説明いたします。
  4. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 通産省関係の問題は二十六年度には検査報告の二百三十ページに上つておりまする八百三十七号ただ一件だけであります。この事件事柄としてはもうすでに是正済み事柄なのであります。これは静岡県の和紙事業協同組合、そこで機械を据付けたいというので政府補助を仰いだ。金をやつてしまつたのですが、検査院検査の際に、機械を据付けておらないのみならず、注文さえも出しておらなかつたということでありますが、事情を聞いて見ますると、協同組合でありまして、静岡県のあの辺は、日本紙和紙の製造の盛んな所でありますが、事業計画しましたところが、経済事情が変化したそうで、組合の資金の調達の困難とか、或いは組合員の多数が組合から脱退したとか、そんなふうの事情があつたので、結局組合解散をするより外はないというような状態になつて解散の決議をしておるところへ、丁度検査院検査があつた。併しいずれにしましても、まだ買入れてさえもないものを、もうすでに買入れてあるかのごとくに東京の通産局扱つて補助をやつてしまつたことから、事態は甚だ面白くないわけなのであります。事情は今御紹介申上げた通りであります。なお、通産省につきましては、二十七年度も別段特に検査報告に上つているものはございません。併し今ここで御審議の問題は必ずしも不当事項そのものの御審議ばかりでなくて、それに対する対策とか、いろいろな点をも併せて御審議のわけでございまするので、その点などをも併せて、なお、通産省にどんなふうの種類補助金などがあるのか、それらの点を御審議頂ければ如何かと存じております。
  5. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 検査院上村第二局長からこれにつきまして。
  6. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 八百三十七号は、只今専門員の方から御説明になりましたように、補助金出します際に、年度内に仕事ができたということで出しておられましたが、実際上は何もやつてなかつたということで、補助金返納させられた、こういう事態でございます。で、通産省補助金中小企業協同組合関係補助と、それから大きいもので申上げますと、工業技術研究費補助金或いは工業化試験費補助金というような種類のものがございます。で、検査といたしましては、大体補助金額に対して一〇%程度ぐらいの検査をやつております。で、二十七年度には批難事項としては計算してありませんが、検査の結果から申上げますと、補助金を出される時期が多少適切を欠く、或いはその補助金を出されたものの、相手方の進み具合が相当遅れておるというような事態、それに対する監査が必ずしも十分に行つていないじやないかというような点を多少見積つておりますので、御参考までにその点を申上げておきます。
  7. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは当局説明を一応聞きます。遠山協同組合課長
  8. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 中小企業の場合は、個々ではなかなか施設が持てませんものですから、協同組合を作りまして、共同で使うと、こういう趣旨補助金でございます。本件につきましては、先ず最初に予算が或る程度めどがつきますと、大体前年度、十二月頃にそれに伴いますところの要綱補助要綱だとか或いは選定基準というようなものを決定いたしまして、それを地方庁に出させまして、それによりまして各地方庁が県下の産業の育成上必要なものを取上げ、更に又通産局がございますが、通産局も協議いたしまして、中小企業庁のほうに持ち込む、こういうやり方をいたしております。只今会計検査院のほうから支払いの時期が遅過ぎると、こういう御指摘でございましたが、その点も我々は痛感いたしておるところでございますが、そういう経過で上つて参りましたけれども、先ず私のほうで、中小企業庁内定いたしまして、それに基きまして、正式な申請書を取上げる、こういう形でございます。従いまして内定いたしますと、すでにまあ組合側県側では大体分るものですから、大体の準備が可能になる。又内定に基きまして金融機関もそれを当局指令されたものと、まあ同様に扱う、こういう形になつております。本件につきましては、もう一つ検査院から監査が不十分だと、こういう点がございますが、この点も重々御尤もな点でございます。逐次県なり、局なりを督励いたしているような次第でございます。この静岡県の紙の問題でございますが、全く御指摘通りでございますが、当初まだ設置してないものを設置したかのごとく取扱つたという点でございます。本件につきましては、一々本省検査に立合うこともできませんものですから、その設置したかどうかということを、各府県並びに通産局に委任いたしております。本件はそういうそれぞれの機関検査をいたしまして、それに基きまして、まあ金が支払われたということでございます。本件につきましては、その後いろいろ事情調査いたしましたところが、通産局事情は知つておりましたものの、業界が非常に窮乏していたというような関係と、相手が中小企業だというような見方から、なるべく少しも早く完成したほうがいい、完成させようという意図がございまして、完了したものとみなしたわけでございます。ところが、その後先ほど専門員の方が御披露になりました通り業界が不況になり、組合員脱退者が出て来る、こういうような状況からいたしまして、当該施設が当初考えられておりましたような、みんなの利用というわけに参りませんものでしたから、遂に断念せざるを得なくなつた、こういうような事情でございます。県におきましても、そういう事情を承知いたしたものですから、国から出ました補助金はそのまま県が保管いたしまして、返還の手続きを取つた、こういうような事情でございます。
  9. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) どなたか御質問ございませんか。
  10. 平林太一

    平林太一君 今の交付した年月日、それから返納を受領した年月日、これはお分りでしようか。
  11. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) はあ、勿論分つております。
  12. 平林太一

    平林太一君 金額は六十万円ですか。
  13. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) さようでございます。納付しました期日は二十七年の八月でございます。八月二十六日に納入告知書出しまして、それから八月の二十九日に金が納まつております。
  14. 平林太一

    平林太一君 そうすると一ケ月ぐらいですね、その間。
  15. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) いや八月二十六日に告知書が発しまして二十九日でございますから、三日でございます。
  16. 平林太一

    平林太一君 そして一応これらは交付して、告知書出して、現金を受領したのが二十七年の四月ですか、先方が……。
  17. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 日にちははつきり記憶いたしませんが、二十七年の四月頃でございます。
  18. 平林太一

    平林太一君 それを明確に調べて、二十六年度予算から、二十七年四月、静岡和紙事業協同組合に対して告知書出し中小企業協同組合共同施設補助として六十万円を交付したものがある、だからですね、これは四月、日はそうすると分らいですね、四月中の何日か、その日にこの現金告知書出して、告知書を出すということは現金交付するということでしようから、その現金交付したと、こういうわけでございますか。
  19. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) さようでございます。
  20. 平林太一

    平林太一君 そうするとその次の事項に、「二十七年八月本院会計実地検査の際の調査によると、同組合では補助対象機械類施設していないばかりでなく発注さえしていない状況であつたので注意したところ、前記の金額返納した」、これですね、これは二十七年八月に、つまり実地検査の結果、さような事情が発見されたので、交付金額返納させた。通産省にこの金が返つて来たのは、返納金が返つて来たのはいつであるか、こういうことを……。
  21. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 返納が完了いたしましたのは二十七年の八月の二十九日でございます。
  22. 平林太一

    平林太一君 そうすると、これは会計検査院がですね、八月の二十九日以前でしようが、二十九日に返納が完了したというのですから、そうした検査の結果、こういう事態に立ち至つたのである。通産省に、会計検査院のそういう調査によつて、そういう事情が明確になつてつて来たわけだというわけですね。通産省としてはですね、こういうような事態、こういうような事態で返つて来たということで、何らお考えになることをいたしてないかどうかということを、ちよつと伺いたいのですが。
  23. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 通産省がこういう事実を知りましたのが、八月の一日でございます。丁度まあ会計検査院がいらつしやつた頃は、先ほど専門員の方が御発言になりましたように、組合としましても解散を決議していたというような、丁度かちあつたというような形じやないかと存じますが。
  24. 平林太一

    平林太一君 かちあつたと、そこのところが極めて明確でない。そうすると、これが返納が行われたということは、この検査を見ますと、通産省としては何らのこういうことに対する措置というものをいたしていなかつたと、こういうふうにこれは見られるわけだが、それでは困るというわけです。困るということは、これがこう改めてここへ出て来たから、こういう事態が発見されるのであるが、検査というものの行われるのは、この全体には及ばないわけなんです。それだから、これはあなたのほうでこういうような処置を先きに、今かちあつたとおつしやるが、そういうことをいたしたということを私は望むわけです。実はこういうものは、これに指摘されているような事態なつたということは、この問題はこれでこう解決したからいいのだということだが、こういうものを一つ対象にして考えるときに、そういうふうに簡単にはこれが考えられない、こういうことなんです。その点をですね、もう少し他にその例もありましようから、こういうようなものがあなたのほうへ、こういうような施設補助金出したが、補助金趣旨を行つていないということのために、通産省自体がこういうような処置を他に幾つかいたしている例が定めしあるはずである。そういうものはいたしたか、それを一つ朋かにして頂きたい。
  25. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 本件につきましては、会計年度が丁度三月三十一日ということになつております。それで三月の三十一日でございますが、結局金の支払日が三月三十一日までに終つていなくやちならんとこういう事情がございますが、当初これを検査いたしましたときには、そのときには、三月三十一日には事実終つてございませんでしたけれども、これを更に四月中に金の支払いをしなきやならんという事情もございまして、見通しといたしましては、間もなくできるだろうというような見通しが事実そのときはあつたと思うのでございます。ところが六月に入りまして、先ほど申しましたような組合のうちから脱退者が出た、組合の維持も困難だというような状況になりますと、その辺から解散せざるを得なくなつた。そこでそれまでは組合側といたしましては、何とか必要な施設であるからこれは完成したい、こういう意図がございましたが、万策つきましてそういう事態になりますと、そこで県側といたしましても、これをそのまま組合に渡してしまつては、どうも使つてまつちや困るというようなことからいたしまして、それをそのまま県で留保しておいたのである。それをだんだんそのままにしておけなくなつたものですから、県が通産局のほうへ相談に行き、通産局が私のほうに見えたという状況経過を辿りまして、私のほうでその事実を知つたのは八月一日でございます。そこでそれでは困るということで早速いろいろ手を施してみたのでございますが、事実その通りでございますので、八月の二十六日に納入告知害出し、二十九日に納入を完了した、こういうような状況でございます。これに対しましてこういうことがあつてはならんというようなことは勿論ございますので、その後機会あるごとに、通産局商工部長会議或いは課長会議等におきましては、こういうのが他に例があつた、こういうことのないように再三注意をいたしておる次第でございます。
  26. 平林太一

    平林太一君 今、非常に私のほうはこの問題のようなことが他にある。それからできたときにこういうふうに金が返納されずにそのままでは、通産省としては事務的の当然の失態でありますから、そういうところは表に出すことをできるだけ禁止する、一応そういうことも考えられますので、この際それを調べておきたいと思う。これは機械発注さえしていない。交付指令書を出すというときには、こういうようなことができたことに対して、結果を見れば非常に何か軽率にこれを取扱つているというようなことが、非常にそういう香りが商いわけですが、大体交付書を出すというときには、みなこう杜撰なことで出しているのか。そうすると、こういうような問題に対しては、一つの何か、ただ書類だけで、こういうような決定をするものとは思われない。その間に何か一つ立廻りが動いておる。そういうようなことがよく考えられるわけです。そういうような経過事情はどういうわけであるか。こういうふうな、発注さえしていない。交付するときには、どういうような一体内容整つたときに交付書をお出しになるのか。こういうことをよく説明を願いたい。
  27. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 先ず、これを指令を出す段階は先ほど申しました府県通産局を通しまして参つて指令交付されるわけでございます。その計画が適当であると当該業界におきましては適切である、又合理化というような場合には指令交付されるわけであります。いよいよ今度は金の支払につきましては、先ず第一段階といたしましては、査定総額の三分の二が、設置が終ると、支払い終つたというような場合には補助金支払いできることになつております。その場合の計算は県知事さんに委任しておるわけでございます。それから更にそれだけでは不十分ということでございまして、今度は施設がいよいよ完了いたしました場合には、これは通産省出先機関でございます通産局検査の確認をすると、こういう段階を経るわけでございます。本件につきましては、両方の県と局が確認して参りましたもので、一応条件を備えているという形で、本庁といたしましては金を支払いを進めたわけでございます。
  28. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  29. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を起して。
  30. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この金は県の協同組合自体には渡してなかつたということなんですか。
  31. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 渡さなかつたわけなのでございます。
  32. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この査定というのはどういうことか。これがいずれにしても百二十九万五千円と査定したというのですから、それで査定が決定すると、当然これはその期日によつて六十万円交付されるということは当然なことであるから、この査定というものは、結局この補助金交付するということを決定することなのですか。査定本件の場合には余りにも整つていない。機械注文さえしていない。施設どころではない。発注さえしていない。査定というようなものは、こういうようなものがこの査定の中に重要な要件なり、要素として入るべきものと、これは常織上考えられるが、そういうものをこれは除害されてあつた、そういう査定であつたということになるが、無論これは机上査定ですが、実地を何かお調べになつたのか。それを一つ
  33. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 指令の際の査定は県と局を通しまして、適当である、こういう認定のもとに申請書が出て来るわけでございます。従いまして、申請書に基きまして査定する場合には、本施設を稼動になる、動かし得るというような施設対象に取上げまして査定いたすわけでございます。従つて査定申請書に基きましてやりますので、金の支払い指令の結果、先ほど申しました施設が三分の二終つた或いは全部終つたというような状況になりますと、組合に金の支払いをいたすわけでございます。
  34. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この査定に対しては県と局が申請して来たものを、それに対してこれをそのままに承認することであつて通産省自体としての査定というものは、それは県と局が調査して作つて来た書類に対して、それを承認するということであるから、それだから査定ということはただ一つの名目だけであつて、いわゆる通産省本省としては、今、いわゆる机上書類によつて、県及び局が提出して来た書類はすべてそれをそのままにいわゆる最終査定として、こういう取扱をしていいと、こういうのでいいのでありますか。
  35. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) はあ、申請書が出て参ります前、先ほど申しましたその以前に、それぞれ内定をいたしますのですが、内定と申しますのは、各府県と局から沢山出て参ります。それを一応審査いたしまして内定、お互いに三者がいいという、こういうものを内定いたしまして、通知に基きまして正式に申請書が出て来るわけでございます。それから査定する物件を選ぶ場合には、なかなか補助金も少のうございますので、全部を対象にいたしますと容易じやございませんものですから、六十万円に見合うようなこの百二十九万でございますかを選ぶわけでございます。併しながらそれを選ぶ場合でも、単純に選ぶのじやございませんので、当初の計画が遂行できる中心になるような施設を念頭に選んでおります。
  36. 平林太一

    平林太一君 そうすると、やはりこれは通産省、あなたのところで内定というのですから、その内定をする、内定したことによつて、それが査定という段階になつて決定する、こういうわけですから、それは幾つ府県からはそういうふうに出て来ますから、結局はあなたのところでおやりになる、そういうことになりますと、こういうような事態を発生したことは、やはり通産省というものが、非常な杜撰査定杜撰内定をしたということに、これはなるわけであります。そうこれは見て差支えないか。
  37. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) さようでございます。
  38. 平林太一

    平林太一君 そうすると、これは府県で何か書類出したということによつて来たのだということではないので、通産省がやつぱりこういう結果を招来するようなことを、結局いたした、こういうことになると、こういうものに対しましての責任というものはどういうふうにお考えになるか。あなたの金を出したから、返つて来たからいいということでは済まされん、どういう責任をお感じになつているか。
  39. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 誠に申訳ないことでありまして、こういうことのないように十分県なり局なりが、私どもも自覚してやらなきやならん、こういうことを痛感いたしております。
  40. 平林太一

    平林太一君 他にこういうものがありますか。これはいわゆる会計検査院がこれを指摘したことで、あなたのほうでは何かその当時同じ時刻に発見したというが、他に会計検査院で発見されなくて、いわゆるあなたのところだけでこういう処置をいたした何が他にあるかどうか、それを伺いたい。他にこういうような関係、まあ企業協同組合の紙だけでない。いわゆる補助金関係においてこういうものが他にありますか。
  41. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) ございません。
  42. 平林太一

    平林太一君 やつぱりないということは、これは非常に容易ならんことで、実は幾つかあるということを、私のほうではこれがありますと、一つか二つでもいいからされることを、これは望むわけなのです。
  43. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 私どもはこういうことのないように事前に補助金を、計画がその一年間の計画でございますので、その間金融の問題或いは経済情勢の変動というような関係もございまして、なかなか計画通り行かんということもようわかりますので、指令出します際、或いは金を支払います際には、十分そういうことを注意し、警告もし、やつておるのでございまして、ただ私どもはなかなか人員等関係もございまして、全部廻りませんが、私どもが承知している範囲では存じませんと申上げざるを得ない状況でございます。
  44. 平林太一

    平林太一君 補助金交付に当り処置当を得ないもの、そういうことですから、これは非常に補助金に対して、今期の国会において、特に決算委員会においては、この補助金の問題に対する、法理的な通りにこれが運営が期せられることを、非常に特別に今日は考えておるわけですから、他にも補助金というものには何かこういうような弊害が非常に今日は多いわけだ。そのために陳情などが多いわけなんだ。その陳情、こういうものによつて、そうして補助金というものが濫用されておる。それで濫用されるということは補助金目的ということが達成されないわけなんで、却つて補助金があるために非常な弊害を生ずる、それがいわゆる官紀の上に、そういう間隙に乗じて、補助金というものが非常に悪用される、こういうことを考えなくちやならんわけだ。それから二十六年度予算から二十七年の四月にこれは出したというのですが、二十六年のこういう関係補助金というものはあなたの所管でどのくらいお出しなつたか。
  45. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 金額にいたしまして二億円でございます。
  46. 平林太一

    平林太一君 そうすると、二億円で件数はどのくらいですか。
  47. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 三百件ぐらいと記憶いたしております。
  48. 平林太一

    平林太一君 今、あなたの、人がないから、そういうものの調査を殆んどしていないのだ、そういうふうにその三百件二億円ですか、二億円で三百件と、そういうものを、のちに実際にその三百件がそれぞれ補助金目的を達成しておるかどうかということを、調査なり検討をした事例があるかどうか、それを伺いたい。
  49. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 補助金出しました組合からは、事業年度末に決算報告、それから運営状況を報告さしております。それから二十九年度におきましては、どうも補助金だから非常にまあ御指摘のように軽い気持で出されることも予想されますし、国家財政の状況からいたしまして、二十九年度からは必ず返還させるというような条項を、方式を改めました。念のため申上げておきます。
  50. 平林太一

    平林太一君 それはそれでいいが、だから三百件の二億円出した、補助金交付したそれぞれの当該施設なり、又当該の補助金によつて、それぞれ運営せられておる事態に対して、それを事実その通りに行われておるかどうかということを現地においてお調べになつたことがあるかどうかその点どうです。
  51. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 勿論各県におきましてもやつておりますし、局におきましてもやつております。各県におきましては、やはり一県につきましては県もそれぞれ補助金出しておるというような立場もございますし、それから金融機関からも金が出ているというような事情もございますので、県の折角施設したものが実際に活用されているかどうかということは、県も当然やつております。又局におきましても、二十七年度等の関係もございますので、前に出しました補助金がどうなつているかというようなことも当然見ていると思います。
  52. 平林太一

    平林太一君 そういう結果の報告をあなたのほうで収集しておるかどうか。
  53. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) 収集いたしております。
  54. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この三百件全部いたしておりますか。
  55. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) はあ、いたしております。
  56. 平林太一

    平林太一君 そうすると、その三百件に対しましての補助金交付後の、いわゆる交付対象のそれぞれの施設申請要請者に対しましては、その後運営の状況というものを全部あなたのところにまとまつておりますね。
  57. 遠山長雄

    説明員遠山長雄君) まとまつております。
  58. 平林太一

    平林太一君 それならば、それは一つ資料として一応できるだけ早期にこちらへ提出するように、委員長、そのことを申上げておきます。
  59. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ほかに御質疑ございませんか。それでは通産省関係は一応これで終了したものといたしたいと存じます。  次に労働省所管の九百二十一号を問題に供します。  先ず専門員から説明を求めます。
  60. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 九百二十一号は検査報告の二百七十四ページに出ておりまするが、大阪府の問題と高知県の問題とがございます。いずれも二十五年度の問題なのでありまするが、失業対策事業に対する補助金でありまして、大阪府のものは昨年度中に台風などがありまして、そんなことのために、堺市でいろいろ失業対策事案やつてはおりましたが、事務が台風のために遅れましたので、一方にはその仕事が残つた。従つて又労力費などもつたわけであります。それをつまり年度区分を棄つたというわけでありまして、二十六年度の四月中に働いた人のために二十五年度中の残つた金を支出したという年度百区分を素つたということに帰著することのように思われるのであります。  高知県のほうは高知市におきまして、やはり失業対策事業を行なつておりましたが、その精算の場合に六十万円ばかり計算を誤つたので、補助金のやり方が多くなり過ぎておる、これを減額するのが至当であるということなのでございます。  なお、労働省に関しましては、今直接問題になつておりまするのは、この九百二十一号でありまするが、次の年度、二十七年度におきまして、やはり同じように失業対策事業補助金で国庫補助の経理がよくないというものが上つておりまするので、ついでに申上げますが、それは二十七年度の検査報告の三百三十三ページに出ております千六百八号は失業者救済が目的でありまするから、労力費を成るべく多く使うような仕事でなければ補助対象にしないというのに、労力費の割合の少いものにこの補助金が出ておるという批難のようであります。  それから今申しましたその問題は山形県、滋賀県、大阪府、兵庫県、鳥取県と、五つの府県に亘つておりまして、その事業主体たる市町村は相当多数ここに列挙されている状態であります。  同じく千六百九号は北海道の釧路市でありまするが、これは所定の目的に適合しない事業をやつたのに、それに対して補助金交付したのが適当でないという指摘でございます。
  61. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 只今議題になつております労働省関係の問題について会計検査院から…。
  62. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 二十六年度の九百二十一号はいずれも補助金の精算の処置がよろしくない、こういう批難でございまして、一つの大阪府のものにつきましては、二十五年度に実施した失業対策事業の労力費でないものを、二十五年度に入れて精算しておる。そういう関係上正当に計算しますと、百万円ばかりが補助超過になつておる、実際上は補助超過になつておるという事態でございます。  次は高知県の分でありますが、これも先ほど説明がありました通り、精算書を出されましたものの中に、実際の支出額でないものが六十万円ばかり入つておる。その結果正当に計算しますと、補助超過になつておるということであります。  それから二十七年度につきましては、只今説明がありましたように、二件ほど上つております。大体失業対策補助金につきましては、補助金額全体につきまして、検査が大体四%程度施行しておるごとになつております。で、二十七年度に掲げました一点は、結局労力費が労働省で定められた一定の割合以上ということになつておりますのに、実際はその割合以下になつておる。こういう事態が相当多く見受けられるわけであります。  それからもう一つは、北海道の釧路市に交付された補助金でありますが、これは公共用地の整地を行うということで交付されたものでありますが、実際見てみますと、その用地は最初一万五千坪が対象になつているわけでありますが、この土地につきましては農地法によりまして、自作農創設特別措置法によりまして、国の一旦所有になつたものを釧路市に貸付けまして、学校用地に指定するということであつたのでありますが、その後二十六年の六月頃に結局その土地が農地法の規定に該当しないという決定ということで、買収計画の承認の取消がありまして、その旨が釧路地区の農地委員会にも通告になつたようなわけでありまして、そういう状況から申しますと、この土地は私有地というものに見ざるを得ないような状況でありまして、これに対する失業対策事業補助金を出されたのは穏当でない、こういうことでございまして、この土地のうち市が学校用地として寄附を受け、その他学校用地として使つているものは、一応結果的に見ますと、公共用地というような性格を帯びて来ますので、ほかのものについては適格を欠くということになろうかと思います。で、二十七年度に出されました補助金の全額は、適格を欠く部分に相当しているわけでありまして、二十六年度にも補助金を出されております。これも適格を欠く部分でございまして、適格を欠く部分については、労働省のほうで返還措置を講ぜられるように承知しております。
  63. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それから次に労働省当局から、村上失業対策課長
  64. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 只今専門員並びに会計検査院当局から御説明がございましたように、不当事項の内容につきましては、その御説明通りでございます。  個別的に説明をいたしますと、先ずその(1)堺市における事項でございますが、専門員の御説明にもございました通り昭和二十五年度におきましてジエーン台風が発生いたしました。そのために事務が停滞し、事業の完成も遅れた、こういうような状況があつたのでございまして、その関係上当然予定されておつた失業者の就労がそれだけ減つたわけでございまして、労力費はそれだけ余分が生ずるわけでございます。その分を昭和二十六年度に至りまして、その残つた部分を昭和二十六年度の四月にこれを充当して使つたわけでございます。堺市のいろいろな事情を聞きますと、只今申上げましたジエーン台風によるいろいろな事情、それから昭和二十六年度における失業者のあぶれを予想いたしまして、それを次年度使いたい、こういうような気持で昭和二十六年度の四月に使用いたしたもののようでありますが、これは明らかに会計法規に反しますことでございますので、会計検査院指摘通りでございます。これは不当な処置でございますので、その余分に使用しました金額についての返還を求めたわけでございます。その返納指令昭和二十七年二月八日に出しておりまして、これに基きまして堺市が返納いたしましたのが、昭和二十八年十二月二十八日でございます。この日に日本銀行堺代理店に返還を命ぜられた百十一万八千百五十円の金を納めてございます。  それから第二の高知市における問題でございますが、この事項の内容も専門員並びに会計検査院当局から御説明のございました通りでございます。この内容は市単独で実施すべき競輪場の整備工事費を失業対策事業費から支出したものでございます。その経費は十一万八千七百七十円でございまして、これに見合う国庫補助額は七万九千百八十円でございます。これは当然不当支出でございますので、返納を命じたわけでございます。返納指令昭和二十七年二月八日に出しておりまして、返納いたしました日は昭和二十八年五月九日でございます。これは日本銀行高知代理店が領収いたしております。  次は昭和二十七年度における事項といたしまして緊急失業対策法に基き労働大臣が定める事業であつて事業費に対しまして労力費が一定の割合を要求せられておるにかかわらず、その割合に達しないというような事例がございまして、これについて会計検査院から不当であるとの御指摘を受けたわけでございます。これにつきまして若干御説明申上げますと、緊急失業対策法の第四条第四号に基きまして、失業対策事業の要件の一つといたしまして、「事業費のうち労力費の占める割合が、労働大臣の定める率以上のものである事業」ということが要求されておるのでございます。この条項に基きまして、別に労働省告示を以てその労力費の占める割合を示しておるのでございますが、事業種目が十一ございます。街路整備事業、公共空地整備事業、排水路整備事業、その他、事業種目が十一種目に亘つておりますが、その種目ごとに六〇%乃至は八〇%の間におきまして、それぞれの事業種目ごとに労力費の占める割合を定めておるわけでございます。で、この告示は昭和二十五年五月に一度改正いたしましたが、その後ずつと改正をいたさず現在に至つておるわけでございます。ところが、失業対策事業を実施いたします事業主体におきましては、数カ年に亘つて失業対策事業を実施いたしておりますために、適当な事業の施行場所がない、現場がないというようなことからいたしまして、事業費を相当使つて高度な作業をせざるを得ないというような事態が相当殖えて参りました。それから一方におきましては、できるだけ事業効果の高い、経済的効果のあがる事業を行いたい、こういう要望が高まつて来ておるわけでございます。つまり例を引いて申しますと、道路整備事業をやつた場合に、砂利敷の道路を作るよりもむしろアスフアルトにいたしたい、アスフアルトにするよりもむしろコンクリート舗装にいたしたい、こういうような希望がだんだん殖えて参るわけでございます。ところがそういうふうに事業の内容が高度化いたしまして、資材費が余計かかる、こういう事業になりますと失業対策事業費総額の中に占める労力費の割合というものは相対的に低くなつて来るわけでございます。そういう基本的な問題が一つございます。それからそれとは別個の問題でございますが、土地の買収費であるとか、物件の補償費というような、本来失業対策事業に予想していない経費が事業執行に伴いまして必要となりますために、それを失業対策事業費の中に入れておる、こういうような事案も相当ございます。そういたしますと、事業費の中に占めるそういつた建物或いは土地の買収費であるとか、物件補償費であるとかいうようなもの乃至は資材費というものの占める割合が非常に大きくなりまして、労力費の占める割合が相対的に低くなるわけでございます。そういうようなことからいたしまして、会計検査院から御指摘を頂きましたような事例が出て参つたわけでございます。これは会計検査院から御指摘頂いた通りでございまして、労働省といたしましても、この問題を如何にするかについて目下検討をいたしておりますが、問題は労働省告示が現状に沿わない点もあるのではなかろうかということも考えられまするので、近く改正いたしたい、かように考え、目下検討いたしておるわけでございます。  それから第四は、釧路市における事案でございます。これも専門員並びに会計検査院当局から御説明ございました通りの事案でございまして、労働省といたしましても心から遺憾に存じておる次第でございます。これにつきましては、勿論不当に支出いたしました金額につきましては、これを返還せしむる必要がございますので、金額の算定その他につきまして目下会計検査院に御連絡を申上げ、できるだけ早期にその措置を完結いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  65. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではどうぞ御質問がございましたならば……。
  66. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 二十七年度の一千六百八号について今あなたの言われた、つまり事業効果の高いものをやるとか、土地収用、或いは物件収用による金が要るということでございましたが、大体公共事業費と失業対策費との区別がいろいろ問題になつ薫るのですが、大体仕事の性質から言えば公共事業のほうが金の使い方が効果が高いわけです。その場合失業対策をやつたということは、止むを得ず、事業効果は少いけれども、まあ失業者がたくさんおる、それが不測のいろいろな事態が起るのを防ぐためにやつた。すでにあなたのほうで今言われた、そういうことまでやらなければならんということは、予算の編成上失業対策費のほうが多いのだというふうに我々は断定してよろしいのですか。つまりそれだけ一般公共事業のほうに廻して効果的にやらせるというのがいいという結論になるのじやないですか、その点どうですか。
  67. 澁谷直藏

    政府委員(澁谷直藏君) 只今指摘の点は、労働省と大蔵省との間におきまして、毎年予算の折衝ごとに実は起きておる問題でございます。緊急失業対策法ができましたのが昭和二十四年でございますから、この当時は只今のお話の御指摘通り事業効果の点から申しますると、当然公共事業よりは程度が落ちるわけでございますから、当時の失業情勢というものが非常に深刻でございましたので、こういう単行法を制定いたしまして公共事業として一種特別な形の独立の事業を起して失業者を吸収する、こういう趣旨で出発したわけでございますが、その後年を追うて実施して来ておりますために、当初八億八百万円で始めました失業対策事業が、昭和二十八年におきましては百億を超える段階にまで大きくなつて来ておるわけでございます。従いまして只今二十七年度におきまして問題になりましたような事情もございますので、この失業対策事業のやり方をどういうふうに改善して行くべきかということは、非常に大きな根本問題でございまして、本件については再三、再四労働省自体としても研究を重ねておる問題でございますが、一つ提案といたしまして、公共事業にこれを振替えて、そのほうで失業者を吸収したらどうかというのが一つの有力な意見であるわけでございます。併しながらこの問題を労働省といたしましては、実施に移す場合に非常に困難な点は、第一点は公共事業の施行地が失業者の発生しておる地域とマッチしておらないということが第一点でございます。御承知のように公共事業はその大部分が都会地を離れに農村地区、或いは農村とまで行かなくても相当に都心から離れた地域で実施されておりますのが大部分を占めておるわけでございます。ところが御承知のように一方失業者のほうはどうかと申しますると、これはもう言うまでもなく、東京を初め大部分が都会地おいて発生しておるわけでございます。それでこの都会において発生する失業者に、地方において行われる事業をどういうふうに結びつけて行くかという点が一つの大きな問題となるわけでございますが、只今のところ、労働省といたしましては、現在直ちにこれをその方面に切替えた場合に、相当大勢発生しております現在の失業問題というものに円滑に対処して行けるかという点に自信がないわけでございます。その点が一つの大きな難点となつておりまして、現在のところ、この緊急失業対策法のままで実施する以外に方法がないのじやないかということで実施しておるわけです。
  68. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 二十四年の八億が現在百何千億に殖えておる。これは失業者が殖えたということでなくて、結局範囲が拡がつたと、そういうふうに考えられるのじやないかと思うのですが、失業者は大体都市に集中しておるというお話は、これは尤ものお話で、それに対して緊急失業対策をやるということはいいのですが、それは都市公共事業費でもそういうのはカバーし得る。そういうふうにして、万止むを得ざるものに関してこの失業対策をやるべきであつて、今言われた千六百八号という事態ができたということは、その金の使い方というものが当を得なくなつたのだというふうに私は断定していいのじやないかと思うのです。金の使い方を一番効率的にするには、失業救済事業と普通の公共事業というのは監督のあれも違うし、働く人の心組も違うので、非常に効果と言いますか、それが違う。我々は国費を最も効果的に使うために、労働省で失業対策事業をやられるということはいいのですが、それをやるために、他の公共事業でやつたほうがいいという場合にまで踏み込んでやるということは、これは私は国の経費として困るのじやないかと思うので、その点を、つまり失業対策事業として適当な区域にとどめる。それから他のものは公共事業に譲るというふうに私はすべきじやないかと思う。只今言われた都市と農村のいろいろ失業者の問題もありしましたが、若しも書類がありましたら、都市の失業者対農村の失業者、それからそれに対して仕事をやられた、都市と農村の仕事をどういうふうにやられたか、それを一つ出して頂きたい。そういうふうにやつて頂きたいと思います。それを委員長一つ……。
  69. 澁谷直藏

    政府委員(澁谷直藏君) 只今の御指摘の点でございますが、失業対策としては、勿論失業対策事業で吸収するというのは最後の手段でございまして、当然これは一般の民間の産業の振興を図り、第一にその方面で吸収してもらう。それでなお且つ失業者が吸収できないという場合には、この失業対策法におきましても、その第三章で、公共事業という一章を設けておりまして、この公共事業のほうに失業者を優先的に雇用してもらうという定めになつておるわけでございます。そういたしまして、これは全国の四百二十カ所の安定所を通じまして、その通勤可能な地辺において公共事業が実施されております場合には、優先的に失業者を公共事業に職業を紹介をする。それでもなお且つあぶれが続出して困るという場合に、失業対策事業を実施するというのが、法の建前になつてもおりまするし、労働省としましては、当然この法の精神に従つて実施しておるわけでございます。ただ併しながら、漸次事業を数年に亘つて実施しておりますために、そう簡単な、事業費を食わないでやるような事業種目が漸次なくなつて来ておるという、一方において現実がございます。現に失業対策事業を始めました当初は、この経費には資材費というものは全然計上されておらなかつたわけです。それが二十六年に至りまして初めて一人一日について二十円の資材費が計上されまして、その二分の一を国庫補助にしたわけでございますが、それでは到底現実の需要を満たすことができないという状況でございましたので、二十八年には四十五円の国庫補助対象額にいたしまして、それの三分の一を補助するというふうに変更せられたわけでございます。一方現実に全国で行われておる失業対策事業で、実際に使われておる資材費の実情はどうであるかと申しますると、これは昨年度の実績から申しますると、大体一人一日八十二円程度になつておるわけでございます。従いまして現状の四十五円という単価を以てしても到底実際に必要な額には満たないという実情でございます。そういう実情でございますので、只今指摘のような点とも関連いたしまして、今後の運営に当つて、どうしたならば国費を最も有効に使い、而も失業者を一人でも多く任収できるかという点に向いまして、今後ともこれは誠実に研究して参りたいというふうに考えております。
  70. 平林太一

    平林太一君 今この本件に対しますることに対しましては、私はできるだけ一つ労働省の良識によりまして、こういうことを是正して行くことをこの際要望いたしておきます。それで失業対策につきましては、公共事業が行われて実施されておるという場所は、或る一定の地域に限られておるわけです、公共事業の場合は。併しながらこれは失業対策の場合は、いわゆる失業者というものは全国いずれの地におきましても都市と農村地方とを問わず、必らず今日は失業者という者が、数の大小の差はあるが、いずれのところにもある、この施設はできるだけ一つどもといたしましては盛んに実施せられることを望んでいるものでございます。ですからそういう何に立ちまして、これは公共事業のありますところは、おのずからこの失業関係というものは自然に解消して行くわけですから、ない地方にこういうものが廻ることを非常に要望するわけです。従つてその地方から又都市からの申請に対しましては、そういうことを勘案せられて、そうしてできるだけこれが普遍的に行われて、そうして公共事業が行われておりまする場所以外の、そういうものが行われていない地方へ対しまして、一つ重点的にそういう方法を、こういうものによつて失業対策を措置して行くということは、これは非常に大切だと思います。従いましてこれに支給いたしまする一人一日の労働賃金、そういうものは今どのように算定をいたしておりますか。
  71. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 御趣旨御尤もでございますが、先ほど会計課長から御説明申上げました通り、失業対策事業は、民間の事業を以てしても吸収し得ない、公共事業にも働けない、どうしてもあぶれているというような失業者を対象にして実施するわけでございます。で、私どもがこの事業の決定をいたします場合にも、当該地域における民間の雇用量、公共事業における吸収見込みというようなものを勘案して実施いたしておりますので、只今平林委員から御指摘のありましたような趣旨もおのずから盛られて来るのではないかと、かように考えている次第でございます。なお、その点については十分検討研究いたしたいと存じます。  それから賃金でございますが、失業対策事業の賃金につきましては、緊急失業対策法に規定がございます。緊急失業対策法の第十条に、「労働大臣は、失業対策事業に使用される失業者に支払われる賃金の額を定める。この場合には、同一地域において同一職種に従事する労働者に通常支払われる院賃金の額より低く定めなければならない」、かように定めてございまして施行規則でその割合を八〇%乃至九〇%、かように定めている次第でございます。それで現実に現在定めております賃金の全国平均の額は二百八十二円でございます。
  72. 平林太一

    平林太一君 最高はどのくらいになるか、最低はどのくらいになるか。それから都市と地方の差額をつけているか。それは今の何というか基準によつてそれをきめるのだと、こういうようなお話でありますが、具体的には、それは都市は現実にはどのくらいに今対象としてこれが支給されているか、それから地方はどのような程度にこれが支給されているか、これをちよつと具体的に承りたい。
  73. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 賃金は具体的には職種別賃金を基準にいたしまして、その他民間賃金を若干考慮に入れまして決定するわけでございますが、それは各都道府県毎に、又都道府県内に市町村毎に違つております。今手許に細かい資料がございませんので、県単位に申上げますと、最も高い賃金は東京都の三百三十五円でございます。それから最低のクラスに属します賃金は二百五旧が最低になつております。ただ市町村におきまして現実に支払われる賃金は、例えば二百五円なら二百五円の作業種目に応じまして数段階に分れますのて、作業の種類によりましては百八十円乃至は百七十円程度の賃金の支払われているところもあるわけでございます。
  74. 平林太一

    平林太一君 これは今の準拠したものによつて、そういう算定をして来るのであるから、おのずからそのほうの改正からいたして行かなければならないのでありますが、今の東京都の三百三十五円ですか、それから地方の二百円内外というんですがね、これは今日の物価水準からして、これらに雇用される労働者というものは、いずれにしても最低のいわゆる生活をいたしておる人である、それから又同時に必ずしも社会人として概ね非常に気の毒な人が多いということが考えられるわけですが、従つて失業対策事業というものは、その本質が相当社会福祉的な、そういうようなものを非常に加味して行われる。そういうものが基本になつて、あえて公共事業があるにもかかわらず、ものによつてその失業問題がそれに充当されておることがあるにもかかわらず「こういうものを作つたのでありますから、そういう点は趣旨をもう少し積極的にお考えになつて、これらに対しまする賃金に対する引上げということは考慮されていいことだと思いますが、その点はどうでございますか。
  75. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 失業対策事業の賃金につきましては、先ほど申上げましたように、一般職種別賃金、これは労働大臣が告示いたしておりますが、それを基準にいたして定めておるわけでございまして、その他適当な信憑性のある資料があればいいのでございますが、緊急失対法に基くところの賃金の決定ないたしたすためには、現在のところ一般職種別賃金が最も信憑性のある、権威のある資料であると考えられますので、それを基準にして行なつておるわけであります。賃金はできるだけ高いほうが失業者の生活には有利でございますのでう労働省としましては、その点について十分考慮を払つておる次第でございまして、昭和二十八年度中におきましては、九月十六日賃金の引上げを行い、更に本年一月に又引上げを行なつております。九月十五日以前の賃金に比べますと、約一三%の賃金引上げを行なつた次第でございます。
  76. 平林太一

    平林太一君 順次引上げをいたして来たということは非常に妥当なことだと私は承知いたします。そういう方向を今後とも十分に検討されて、そうしてもう労働者のことですから、僅かの一日に例えば二十円、三十円というようなものが引上げられたことによつて、いかに労働者というものがそれによつて生活の安定を得るかということは、非常に重要な要素をなしておるのであります。それからいずれにしても、失業対策に応ずるところの労働者というものは、いわゆる家庭工業のような事態では行われないことですから、いずれにしても、健康体であり、そうして外に出て立廻る仕事でありますので、恐らくこれに該当する労働者というものは、これによつて一家の生活というものを支えておるのだということが、片手間にこれをやるという程度のこれは対象ではないのですから、そういうことは一つ十分に考慮せられて、今後とも私はこれに対しまする労働省のいたしておりまする行為として、最も私は高い行為じやないかと思いますから、大いに一つこの点をはりきつてつて頂きたいと思います。  それから二十八年度におきまして、およそ延人員にしてどのくらいがこれに就労したかということがおわかりですか。二十七年度でよろしいです。
  77. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 前段の賃金に関する御意見でございますが、労働省としましては、将来一般職種別賃金の改正という問題が生じました際に、別途これについては検討いたしたいと存じます。ただ失業対策事業は飽くまでもこれは本来の定職とみなすべきものではなく、やはり民間、公共事業その他の定職に斡旋するまでの繋ぎというような考えでございますので、賃金の面におきましても、その点は考慮を払わなければならないと思うのでございます。特に一般民間において支払われておる賃金とどういう均衡をとるかというような問題もございまするが、これは目見当でやることは非常に困難でございますので、先ほど申上げました一般職種別賃金がどういうふうに動いて行くかという問題とも関連いたしまして、慎重に検討さして頂きたいと存じます。  なお、二十八年度中の就労人員でございますが、延数はちよつと私今手許に持つておりませんが、本年全般を通じましての人員は約十五万八千人になります。但しその人員の内訳には冷害対策という意味合いから特別に行いました失業対策事業の分も含んでございます。全部ひつくるめまして約十五万八千というふうにいたしております。
  78. 平林太一

    平林太一君 十五万八千というのは非常に少いのだが、そうすると、それに対する所要予算というものはおのずからおわかりですか。どのくらいになつておりますか。
  79. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 今前提を落しましたが、一日平均十五万八千人でございます。又一日それだけを吸収いたしまして年間に要しました予算は百億八千万円でございます。
  80. 平林太一

    平林太一君 大変結構です。一日十五万ですけれども、まあ今日のこの失業者の状況は決して一日十五万を以て足れりと満足すべきものでは私はないと思います。実際の実情は。併しながら他にこの事業が行われていないために、十五万以外に相当数の失業者があるということが今日想像されるわけでありますから、この点も十分に参考とせられて、そうしてこの予算上の措置に対しては将来これが拡大して行くことに十分に御考慮になつてこれはよろしかろうと思います。  それから今の、先刻資料のことを申上げましたが、一日十五万人に対しまする府県別ですね、そういうものを併せてこの際一つ出して頂きたいと思います。  それから今日各全国からこれに対しまする要請が出ておりまするが、二十八年度でよろしいのですが、どれくらい、何%ぐらいが要請に応えたかということはおわかりでございますか。
  81. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) その点につきましては別途資料を提出いたしまして、その中に記載いたしたいと思つております。
  82. 平林太一

    平林太一君 それで大変結構だと思いますから、そういうふうに……。そうすると、今日まで、二十四年度から二十八年度までこれによつて、ついでに資料として、措置せられました数、それからそれに対した所要予算、そういうものを併せて別途提出をして頂きたい。非常に参考になりますから。おわかりでございますね。
  83. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 資料は早速作成いたします。今御質問にありました、措置せられたと申しますのは、失業対策事業に吸収した人員というふうに解しまして、人員を以て表わすということにしたいと存じます。
  84. 平林太一

    平林太一君 結構です。それからそれに対しまする予算、すでに執行いたしました予算、そういうものを一つ。    〔委員長退席、菊田七平君委員長席に着く〕  二十四年から四、五、六、七、八、五年、どうぞそれで結構です。
  85. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 早速資料を調整いたしたいと存じます。  なお、先ほど都市、農村別の失業対策事業実施の資料の提出を求められたのでございますが、私ども市町村別にはわかりませんけれども、どれを以て農村とし、どれを以て都市といたしますか、その限界につきましては多少判然としない点もございますので、一応私どもの解釈にお任せ頂きたいと思います。
  86. 平林太一

    平林太一君 ちよつとそこで、今の解釈で、それで結構なんですが、そうしますと、恐らく全国各市町村に今日私は普及しているものと承知しております。併しながらこの事業趣旨が徹底しないために、これに対しまする当該地域の要請が行われていないという場所が、失業者はありましても、農村なんか、そういう地域はこれはあるはずでございますから、それですから、大体お調べになればおわかりでありますから、全国の各町村に対して、未だこれが一回だに実施せられていないというような場所が特にありますれば、当然あることと思いますから、そういうのを一つ摘出ができると思いますから、それを併せて一つ調査を願いたい、このことを申上げておきます。
  87. 菊田七平

    委員長代理(菊田七平君) 御質疑ありませんか。……それでは労働省所管九百二十一号を終りたいと存じます。  それではこの前から引続きまして厚生省所管四百六十六号から四百七十号及び五百三号を問題に供します。
  88. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 只今議題になりましたのは前回に引続くわけでございます。実は厚生省関係補助金は四百六十六号が一つ独立でありまして、続いて四百六十七号から四百七十号までが主として問題になりました上下水道関係のものでございまして、なお最後に五百三号、それが是正された事項ではございますが、    〔委員代理菊田七平君退席、委員長着席〕  ここに検査報告に掲げられているわけなんでございます。前回にはこれら全部を一括して御審議をお願い申上げる予定であつたのでありましたが、主として問題がこの水道関係の問題に集中したというような次第であつたのでございます。この水道関係のことにつきましては、只今そこに資料を御配付いたしましたものがありまするが、それは前回には厚生省方面から頂いた資料を御参考に供しましたので、今度は同じ問題を建設省の側から御覧になつた場合の参考資料なのでございます。  なお、直接問題になりましたことかろ、これば離れるようでよもりまするが、二十七年度の決算報告の百五十六頁以下に同じ問題が取上げられておりまして、なお詳しく検査院の見解が記されておりまするので、年度は違いまして、直接の議題ではございませんけれども、御参考の資料と存じますので、ついでに申上げました。  なお、もう一言ついでに申上げますが、厚生省の所管に関する補助金などは、随分項目が多いようであります。それで只今のこの小委員会における審議が、補助金という問題を前提として観察しまして、それの適正なる使用方法、逆に申せば、その弊害の除去というようなことが問題になつておりまする。その点から申しますると、二十七年度の検査報告の百四十八頁以下に、相当多量のものが上つておりまするので、御参考までに申上げておきます。
  89. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは会計検査院のほうで何か附加えて説明されることがございましたら………。
  90. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 前回の委員会で大体の御説明を申上げたので、特に只今のところはございません。
  91. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは建設省のほうから何か説明がありますれ……。
  92. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 不当事実が起きたのにつきましては、なお検査が遅れているということにつきましては、検査の実態を建設省のほうで担当している関係上、我々非常に遺憾に思つた次第であります。これにつきましては、中間検査を頻繁にやつておるかどうかということと、それから竣功検査をどの程度つているか、こういうことが問題になると思います。御承知のように、公共事業は単年度事業でありまして、それも非常に小さな額なものですから、工事がとかく年度にしわ寄せされる、こういう傾向にあるのであります。それと中間検査をやる間がない、こういうこともありますし、勿論これは経費と人数さえあればできることなんでありますが、そういう関係もありまして、中間検査が行われにくい、こういう関係があるのであります。  それからこれにつきましては、それがためにまあ申請のものと違つたものを工事する。これの工事事故の防止につきましては、事前に今後は、勿論今まで十分そういうことは通達したのでありますけれども、なお厳重に今後必らずその設計を変えた場合の工事をやる場合には、必らず事前に了解をもらう。そうして至急に設計変更をしてもらう。こういうふうに指導して行きたい、こう思うのであります。  なお、検査の遅れておるものにつきましては、勿論予算の手当も我々できる限りいたしたいと思つております。なお、現在の限られた人員で、できるだけ機械的に、件数が能率が上るように考えているし、これには検査方法の更に簡素化かできるかどうか。こういう研究もありましようし、又能率的に件数を殖やす、こういうふうに研究して、できるだけこうした事故のないように努力したいと、こういうふうに思つております。
  93. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは厚生省のほうは、この前お聞きをしましたが、何か附加えておつしやることございましたら……、別にないなら結構であります。
  94. 波江野繁

    専門員波江野繁君) 或いは御審議の何らかの御参考になるかと存じます点を二、三私のほうで気付いた点だけを申上げます。  今のこの水道関係は、御存知の通り両省に所管がまたがつている。いわゆる二元建てで、一元論か二元論かの根本問題は確定いたしかねるので、これは一応別といたしまして、現在の二元の場合にどこに何か欠陥かあるか、その点を探して、これに対する対策を考究するというのが眼目であろうと思うのであります。  それでその二元と申しますのは、大略総括的に申しますと、事務的な処理は厚生省でなさる。技術に関する点は建設省でなさる。そこで建設省の分担しております技術上のことで、ここで問題になりますのは、今の中間検査と、竣功検査、これが一番はつきりした点ではなかろうかと思います。今の中間検査が事実上行われていない。いろいろ人の問題、いろいろの関係もおありのようですが、これについては、まあ検査を実行するように努力したいという、今のお話でございましたが、更にもつとこれを実行するについての何らかの具体的の方策はないのかどうか。それと今の竣功検査、この竣工検査というのがこれがその補助金の額を決定し、決算をつける最後と言いますか、関門でありますから、ここでしつかり検査をし、その工事の内容の検査をいたしまして、事実に合つているかどうかという検査ができますと、悪い工事と言いますか、補助指令と違つた内容のものは、どしどしチエツクができる。従つて会計検査院指摘を受けないで済む。いわゆる不正工事が防止できるわけでありますが、こういう関門でありまして、その関門の鍵を握つているのが今の建設省であろう、こう思つておりますが、その鍵を預つている建設省で検査が十分に行われていない。十分に行われていないと申しますか、時期的に検査が非常に遅れる、単年度の補助でございますから、その年度で精算をつけなくちやならないので、その精算をつけるについては竣工検査によつて内容を検査して、これによつて決算をつける、こういう検査の役割を持つておられる建設省が、検査が遅れるということは、現状といたしましては、この検査を行わないで、どんどん決算がつけられるというのが現状でありまして、その結果いろいろの不正事故が起り、この大事な関門の鍵を預つておる建設省が、現状といたしましては、殆んど時期的に検査ができないのでありますが、これを役目を果すについては、どういうことを現在考えておいでになるのか、その原因はどうであるのか、或いは厚生省との事務費の分担の点において分配が公平でなくて建設省のほうには殆んど費用が行かないから、そういう検査ができないというのか、それはあるけれども、不十分であつて、これが時期的に十分の検査ができないというのでありますか、若しこれに対する具体的な何らかの方策はどうでありましようか、建設省の竣工計画を聞くことが参考になるのではなかろうかと思います。それにつきましては、更に先般厚生省で承わりますと、建設省がこのように竣工検査が遅れておるというのが事実であるかう、従来は今の年度内に精算を、決算をつけるについては、竣工検査の結果によつて決算をつける制度にしておるのであるが、その検査が遅れるから、二十八年度からはこの検査を待たずして精算をつけるように制度を改めましたというこの前のお話があつたのであります。これは何であるかと言いますと、先ほど言いました、破れた関門であるかも知れませんが、関門があつたので、ただそれをキーパーとして厳格にそれをやつたかどうかという問題があるのでありますが、とにかく間違つたのであります。ところが今のそれから言いますと、関門をなくしたということになりますと、こういう不正、工事と言いますか、こういうものはチェックせられる何らのチヤンスがなくて、大手を振つてそのまま処理される、こういうようなことになるのではないかと思うのであります。今ここで、委員会でこういう不正事項を防ぐにはどうしたらよろしいか研究しておられるのでありますが、今のそういう点から言いますと、関門があつたのを、関門をはずすことになるとしますとこれは、こういう事故防止の対策という意味から言いますと、むしろ考え方は逆行するので、そういう関門をなくする、いわゆるチエックの手段をなくすということになるのではないでしようか、これについては厚生省のほうではこの前のように今後は竣工検査を待たずして精算をやりますという、このお話の意味はどういうことでありますか。これをはつきりしておく必要があるのではなかろうかと思います。  最後に第三点でありますが、これは今二つの点を申上げましたのは、今のこの水道関係で共管ということは、どの点に支障があるのか、いわゆる各々の分担をはつきりしているか、その実際の運用上、欠陥があるというのか、或いは又両方の取極めの申合せと言いますか、協定事項がありますが、この協定事項の内容は不明確であるから、いろいろの間葉起るのおるのか、要するに共管という点からいろいろのこういう問題が起るであろうということは、かねてこの前の説明のときにも専門員から申されましたが、そう抽象的には考えられますが、具体的にどの点であるかという、これをはつきりさせる必要があるだろうと思います。その意味において、今の運用上差当り今の二点について、この点は運用上の支障欠陥と申しますか、考慮を要すべき点として申したのであります。そのほかに何か具体的に共管でやるということによつて、こういう不明確な点があるからというような、そういう具体的の例はどういうことがあるのであろうか、その点につきまして、二十七年度の会計検査院の百五十六頁のところに、「精算処理に関しては必要な両者間の連絡が行われていないうらみがあるばかりでなく」、こういうことが記されております。一応私といたしまして、両省のお話を承わりますと、どうも協定事項で、大体内容はつきりしておる。ただ運用がさつき例として二つ上げましたが、その運用がまずい点がある。これがその根本原因ではなかろうか、こういうふうに思いましたのですが、そのほかに何か共管ということによつて支障と申しますか、いろいろの問題の種となるような具体的の事例があるのではなかろうか、これは検査院のほうで、ここへお書きになりましたこの内容、具体的にこういう点が連絡が悪いのだ、この連絡が悪いという点は、申合せが悪い、それの不明確ということなのか、その点は規定はないが明確になつておるから、その点は別に支障がないのだ、ただ運用上こういう点が悪いから、その点を直せばよろしいのだ、こういうことになりますか、それらの点を承わつたらよろしいのではなかろうか、これだけ申上げます。
  95. 谷口弥三郎

    委員員(谷口弥三郎君) それでは只今専門員説明されました点について、どちらからでもよろしうございますが、御発言があれば。
  96. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 水道の問題は、結局初めは継続費であつたものが、単年度の予算として処理されるということになつたのにかかわらず、従来の堕性でずつと来ておる。その関係上当該年度に補助金出した跡始末というものが、極端な言葉で申上げますと、おつぽり出しておる。こういうふうなことでありますが、それで私のほうの考えといたしましては、金を出されるのは厚生省がお出しになるわけなのです。そうして支出負担行為担当官も厚生省におられるわけでありますから、その清算の責任を持つべきものは会計法上どこかといえば、厚生省が会計法上お持ちになるべきものかと、こういうふうに考えるわけです。それで今の共管の関係或いは連絡が十分行われていないという点について申上げますと、只今申上げましたように、厚生省において責任をとられるわけでありますが、実際問題といたしまして、どういうふうになつておるかということを建設省のほうでお調べを願つて、それによつて厚生省が補助的な意味で、会計法的に言えば補助的な意味で、それによつて精算されるということも一つの方法かと思うのでありますが、大体そういう考え方になつておるものと思いますが、いずれにしましても、厚生省のほうで責任を持つてやられるということが一番必要じやなかろうかと思います。  それでここに掲げてあります水道の問題は、いろいろケースがござい手が、私の考えといたしましては、単年度予算出したものであるならば、そしてそれがどういう仕事をするということが一応きまつて出しになつておるわけです。その場合に実際見てみますと、そのものができておらなかつたり、或いはほかのほうの工事のほうに金を廻しておられる、こういう事態が起つておるわけでありますが、これは初めにおきめになつて、こういうことだというのでお出しになつておるならば、少くとも当該年度内にのみ設計変更を認めるという方針をとられるということでなければ、年度を経過していつまでたつても確定しない。あとから設計変更を認めるということでは補助金出した意味と結果とがはつきりして来ない。それで少くとも当該年度に設計変更を認められる場合には、当該年度内において処理されるということと、それから精算書が順次出て来るわけでありますが、これは速やかに精算をやつて頂きたい。これは今まで継続事業だと、或いは建設省のほうの竣工認定が遅れておるということで、そのままになつておるものが多いわけでありますが、いずれにしましても、厚生省で責任を持つて、そしてその後始末をつけて行く、それで竣工検査ということがいろいろの意義あるかと思いますか、補助金を精算する場合に、その使い途がどうであつたかということを見届ける意味の竣工検査ということで、この竣工検査が成つておるのかどうかという点について多少の疑問はありますが、その点は別としまして、厚生省の責任で厚生省がおやりにならなければ、補助的に建設省でおやりになつたことを認められて、これで精算されるのもよかろうかと思いますが、いずれにしても、厚生省で責任をとるという形に運用されるのが望ましいのじやないか、こういうように考えております。
  97. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 只今指摘の点に対してお答えいたしたいと存じますが、先ほどお話のように、二十八年度から厚生省といたしましては、竣工認定を持たずに補助金執行することといたした次第でございます。と申しますのは、只今会計検査院からも御指摘がありましたように、補助金執行には厚生省が全責任を持つておることは申すまでもございません。従いまして、例えますれば、この予算査定をいたしますにも実際には多くの場合課員が出張いたしまして、現地も見て、実際に指導もし、又工事の内容も見る場合がしばしばあるわけでございます。従つて実際にはおおむね仕事の状況というようなものもつかみ得ておるわけです。又一方計画を立てます場合にも、これは工事内容或いは年度計画というようなものが明らかになつていなければ総合計画は立てられません。従つてさような観点からも、厚生省におきましては、工事の内容がわかつておるわけであります。そこで従来の例から見ますると、竣工認定は建設省にお願いしてある、こういうふうな立場で、とかく両者の関係が連絡を欠く場合に、只今指摘のような会計法上の批難も生れて来るのでございます。そこで私どもといたしましても、大体工事の進捗状況、適不適というようなことは或る程度わかつておらなければ、予算補助は勿論のこと、実際問題として計画が立たんので、そこで今後はかような点は一応在来通り実際的に工事の内容を知悉しておる、理解しておるわけでありまするからして、あとは形式的には書類申請、工事竣工届のようなものを提出させまして、これによつて補助金申請することとした次第でございます。  なお、只今も御指摘がありました、当該年度のみに限つて、この計画変更を認めるということは、これは御指摘通りでございまして、今後私どもは厳格にこの方針を進めて行くつもりで現にさようにいたしておる次第でございます。  次に、第二点の御指摘の共管にはどこに不便があるかという御質問でございますが、共管というものが一体どういうものか、ちよつとはつきりいたさないのでありますが、これは御指摘の点はよくわかるんですが、共管というものは二様に考えられるのであります。単にこちらが起案いたしまして会議をしなければならんことも、これは共管であります。ところが水道の場合には一つの体を二つに切つて、一方をどこがやる、同じ体を他はどこがやるというような恰好になつておる共管であります。そこで私どもはまあ会議をする共管というふうに理解いたしたのでありますが、現在はさようでなくて、同じ体を二つに切つてそれぞれ別に管理されておるというような状況でございますが、そこで更に具体的な不便は何かという御指摘でございますが、これはいろいろございますが、大きく分けまして、第一に事業を実施いたします市町村がこの申請をいたしますにも、或いは認可をもらいますにも、同じようなことを厚生、建設両省に、全く同じことを陳情もし、書類も出さなければならん、場合によつたら一方にだけ顔を立てておると、却つて睨まれて困るだろうというようなことで、両省の公平な判断を待つように非常に気も使うということを聞いております。つまりこのために市町村のこうむる不便迷惑というものは、極めて大きいものがあるだろうと存じます。つまり市町村側から見た一つの大きなここに迷惑、不便というようなものが考えられます。  第二には、厚生省にも水道課がございます。そうして技術官を課長として何人かの専門家が従事いたしております。建設省にも同じように水道課があつて、大体人数も同じように記憶いたしておりますが、従つて完全に事務が重複いたしております。ここに国としても一つの無駄と申しましようか、仕事の重複、事務の重複というものが避けがたい状況にあります。勿論現在のところは、工事の面と、それから事務と申しますか、総合計画と申しましようか、計画面と分けてございますが、工事を離れた計画というようなものは、先ほど竣工認定のところで申上げましたように、これは工事を執行するのに、内容がどうかわからずに工事の執行もできませんので、当然これは事務が重複して参ります。つまり事務の重複ということであります、  それから第三番目に、勿論私どもは建設省とは常に連絡を密にとるように努力もし、又現在さようにお互いに協力し合つて仕事を進めております。併し何分にも全く全然別な指揮系統にあるところの両省のことでありますから、これは同じ省内或いは同じ局内というようなふうな円滑な連絡のできないことは、これは当然であります。そこで連絡の不十分からして、いろいろ同じ一つの体が別に管理されておる、その間が必ずしも十分なる連絡ができていないというところに、これは大きな無駄があるばかりでなく、又仕事の能率も著しく下げるきらいがあります。つまり連絡の不十分から来る事務の非能率化ということが言えるだろうと存じます。  それから次に第四といたしまして考えられますことは、私どももいろいろ計画その他をいたします場合に、建設省にもよく御意見を伺います。ところがこれはどちらが正しいかということを申上げるのではなくて、私どもは例えば水道というようなものは国民生活というような面から強くこれを考えるわけであります。これはいいか悪いかは別といたしまして、例えば非常に不衛生な地区である、水に不便をしておる、つまり国民生活の一つの動脈であるというふうに考えて水道を考えたいと存じます。ところが勿論水道というようなものは、これは必ずしも国民生活だけに関連があるのではなくて、場合によつたら工業用水にも関係がございます。そこでどうしてもこの両省の物の考え方というものに幾分のズレがあるのじやなかろうかということが考えられます。併しこれはどちらの考えが正しいかということを私ここで申しておるわけではございません。ただ国民生活を担当しております厚生省としては、当然国民生活を先ず第一義的に考える。これは当然なことだと存じます。ただこれは役所の性格がさようにさしておるのだ。そこで考え方の相違というようなもののために、一つの何と申しますか、これは前者の第三に関連するかも知れませんが、一つの矛盾と申しますか、円滑を欠くというような点が出て来る、こういうようなことが考えられるわけでありますが、併しこれらの点は勿論私どもといたしまして、同じ政府の両省でありますので、今後一層連絡に努めまして、かような不便な点をできるだけ少くして、国民のために今後来るべき、而も最近全国的に要望されております水道の拡充に処して参りたい所存でございます。
  98. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 当委員会で問題になつておる当面の問題について、中間検査をもつとやる方法はないかという、先ほど私ちよつと前以つてお話申上げたのでありますが、中間検査は遅れているということであります。中間検査がなかなか実行できないという、これは事実であります。これができないということは、次の竣功検査が遅れているという理由と同じように、人員が足りない、予算が足りないということに尽きるのでありますが、この点を具体的にどういうふうな対策考えるかと、こうおつしやつている、これは先にも申しましたように、今後設計変更する場合には必ず事前にやつてもらう、こういうことを厳重に指導して参りたい。こういうことと、更に府県府県機関をもう少し協力して頂きまして、ただその工事が申請通りにやつて行けるかどうかというような程度の判定はできるかと思いますが、工事の内容の良否の判定は或いはむずかしいかと思いますが、申請通りのものが出ておるかどうか、そういうことの判定はできると思います。そういうことで能率を上げて行きたい、こう思つております。更に竣功検査が遅れている。これはどういうふうなことについてやるか、これは只今我々が必要とする予算を百五十万円くらいいつも要望しておるのでありまして、現在私のほうの人員は技官が八名、事務官が六名おりますが、これを以て要望しているのは百五十万円ばかり要望しておるのでありますが、大体頂いているのは四十四、五万円しか頂いておらないのであります。それでも非常に馬力をかけて、一回行くたびに殆んど徹夜のようにして何十件か片附けるように努力しておる。この予算につきましても、只今ちよつと御指摘がありましたが、厚生省から分けてもらうのが少いのじやないか、こうおつしやいますが、これは今のところは分けてもらつておりません。私のほうで単独にこれは行政部費からとつております。併しそれは今言いましたように非常に少いのでありまして、これも今後できるだけ努力して殖やして頂くということと、その検査の能率を上げて行く、こういうことに努力して行きたいと思います。  第二点の共管がそのいろいろな不当支出の原因になつているのじやないか、連絡が悪いのじやないか、会計検査院からも指摘がありましたが、私はそれはないと思います。と言いますのはそれぞれ事務の分担をはつきりしております。なぜ我々が検査に行くようになつているか、こういうことは我々は計画の技術内容なりを見ることに、技術面を担当することになつております。従つて、使う人のいわゆる能力、能率上から我々がやることに昔からなつているのだろうと思つております。従つて我々のほうで検査しまして、検査が済めば、これはすぐ厚生省のほうに連絡しまして精算をして頂くのでありますが、検査をする場合にも、厚生省のほうから一人一緒に行つてもらつております。ですからそこに連絡が悪いとか何とかいうことは我々は考えられないのであります。ですから第三点はそういうことで不当支出ができるということは私はないと思つております。この問題を離れまして、じや共管がいいのかどうか、これは従来まで、只今楠本部長からも厚生省の御意見を述べられましたが、いろいろ論議されておる問題であります。まあ厚生省のお立場とすれば、国民保健の責任を持つておられるのでありますし、いろいろお考えもあると思います。我々としましては、なぜ建設省というものがあるのかという、こういうことを考えておるのであります。勿論国民にきれいな水を給水する、又或いは産業用水を出すと、こういうことにつきましては、我々は如何に能率的に安く確実にこれを出すか、こういうことが、その手段が必要だと思います。この手段を最も確実に能率的に安全にやるのには、我々の建設省の性格が合つているのじやないか、そういう意味で我々はこの建設省にこうした技術が任されておるのだというふうに確信しているのであります。更に共管をどうするか、どちらに一元化するかということはいろいろあると思いまするので、一応今のこれに関連した点だけ述べさして頂きます。
  99. 平林太一

    平林太一君 これはちよつと厚生省に伺つておきますが、厚生省の水道は簡易水道、殊に簡易水道ですね。
  100. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 厚生省の所管いたしております水道は、一般上下水道、簡易水道、全部でございます。予算もそのようにあれしております。従つて只今の御批難は、簡易水道でなくて、一般上水道のほうの予算執行に関しまして私ども御批難を頂いておるわけであります。
  101. 平林太一

    平林太一君 そうすると、建設省にあります水道課も、両方簡易水道と一般水道と、両方をやはり所管しているわけなんですか。
  102. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 簡易水道は水道条例によつておりません。従つて厚生省の専管であります。これは厚生省が一方的に計画をし、工事を指導し、工事の竣功知認定をし、予算執行いたしております。
  103. 平林太一

    平林太一君 そうすると、今の共管ということは、従来からそういう制度ができて、習慣としてそれが行われておるというふうに考えるが、これを分けて厚生省関係予算によつて行われる水道、それから建設省の予算によつて行われる水道、これはいずれも補助金ということに相成るわけでしようが、そういうふうに分けるわけに行かないものかね、どうですか。そういう点について支障があるかどうか。
  104. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 御指摘の御意思は、大きな簡易水道は厚生省、水道の性質によつて分けるという御意見でございますか。今は一応所管事項を分けておるわけであります。それは厚生、建設両省の覚書によりまして、一般計画補助盆の執行等は厚生省が一般的事項を行う。これは各省設置法に書いてございます。厚生省の設置法には上下水道に関する一般事務を行うと書いてございます。それから建設省におきましては工事の指導監督を行う、こう書いてございます。つまり工事という面からの一般計画、或いは補助金執行、或いはその他の事務とを分けておるわけでございます。ところが水道という一つのものを別々なところに、同じ一つの体を、尻尾のほうはどこへ、頭のほうは誰が統制しておるということで、今問題になつておるのではないかと私は想像いたしますが、現在のところは一応は分けてあるわけでございます。
  105. 平林太一

    平林太一君 建設省の工事監督、それから工事指導、こういう面については、今日の厚生省の公衆衛生いわゆる水道課というものがあるわけですが、厚生省には水道課がある。その中にやはり監督なり指導をする人がおるか、技術者というものは……。厚生省はただ事務だけやつておる、技術者というものはいないのか、そういう点はどういうことになつていますか。
  106. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 先ほど御質問にお答え申上げましたように、全体計画を立てる、或いは補助適正化を期する、補助金適正化を期する或いは予算査定をするというようなことは、水道の技術、具体的な水道というものを認識しなくては不可能であります。従つて厚生省にも水道工学、衛生工学関係、つまり水道の技術者はおります。ただどちらが専門家ということになると、これはお互いに専門家同志ですから、その辺は優劣というようなことはございませんでしようが、一応ございます。ただ特異な姿といたしまして、建設省は工学士だけが担当しておられるように伺つておりますが、厚生省におきましては、勿論大部分は工学士でありますが、一部薬学士、或いは医学士、更に生物学を専攻いたしました理学士というような人が技術陣営に加わつております。
  107. 平林太一

    平林太一君 これは工事に当つては、実際の工事の施行に対する設計監督というものは、その地方がやつておる場合もあり得るようですが、その辺はどういうことになつておりますか。
  108. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) これは現在一応国の認可によつて仕事を進めることになつております。但し人口一万以下のものは、仕事の性質上便宜その国の認可事務を担当府県知事に任せてあります。従つて一万以上のものが、国が認可する水道、かようにお考え頂くと結構と存じます。
  109. 平林太一

    平林太一君 本件は非常に重大ですが、専門員、この点に対してはさつきお話がありましたが、これに対する補足的な、両省の共管ということですが、これはどうしても共管で行かなければ、水道のこういう工事施行というようなものに支障があるのか、それから却つてそれが厚生省なら厚生省、建設省なら建設省、こういうふうに一方にしたほうが能率的に行くものか、その点は一つ専門員から……。
  110. 波江野繁

    専門員波江野繁君) ちよつと私だけのただ本当の私見として申上げますが、今の一元論、二元論の問題は、私ども先ほどちよつと申上げました通り、これはいろいろ技術の点、それから或いは行政の点、いろいろな点、いろいろな方面から研究しなければならぬ問題でありまして、私一個としましてはどちらに、まあ事務は一元のほうがよろしいと思いますけれども、然らばこの水道問題をどちらかに一元にするか、この問題は私として到底判断がつかないと思います。そこで決算事務として先ほど申上げましたように、今のように二元という建前で支障がどの点にあるか’その支障を成るたけ少くするにはどういう点が考慮すべきであるか、これを先ほど問題にいたしたわけでありまして、いずれこの一元論の問題は大きな問題としてどこかでか将来は問題になるかと思いますけれども、私自体としてはちよつとこれの判断はないと思います。
  111. 平林太一

    平林太一君 そうすると、結局これは一元化すること、これはいずれにするかということはおのずから別の問題としてですね。二元化で今いたしておりますが、ことが却つて非能率である、こういうことは明確になつたわけですが、そういう点だけでこれはよろしいのでございます。
  112. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この二十八年度から竣功認定を待たないで精算するという、厚生省がそういうふうにすることをきめたわけですか。
  113. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) さような方針にいたしました。併しこれは必ずしも竣功認定を要さないという意味でございまして、竣功認定しても差支ないわけでございます。
  114. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうしますと、建設省の竣功認定する職務は、精算してから竣功認定するということになるのですか。
  115. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) そういうことになります。
  116. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうすると、精算する前に竣功認定をしないと、精算という関係はどういうふうになりますか。
  117. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 先ほどもお答え申上げましたように、私ども補助金執行するという立場になりますと、やはり一つ責任を感じますので、実際問題としては、計画の当初からいろいろ技術的な内容等にも当然関与し、又中間的にどのくらい工事が進んでおるかということを、勿論全部ではございませんが、絶えず注意をいたしております。従つて大体工事の進捗状況、適不適というようなものはおおむね了解がつきます。そこでこの必ずしも建設省の竣功認定がなくても、その場合には、この書類申請によりまして、そうして補助金執行をいたすことになつているわけであります。  なお、ちよつと附け加えて申上げますが、現在簡易水道のごときものは、これは施設も小そうございますけれども、全国で何百個所の工事を執行いたしております。この場合に一々ですね、かような千に近い個所に国の職員を派遣することは到底不可能でありますので、かような場合には、元来この書類の竣功届によりまして補助執行いたしております。併しながら過去の経験に鑑みまして、これらで別に今まで批難事項その他を受けたことはございません。従つてどもは必ずしもこの竣功認定がなくても、常時の業務の指導、或いは府県を督励することによつて、この問題は合理的に行なえる面もあるものと考えております。
  118. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうすると、例えば簡易水道はあなたのほうでやられないというのは、つまり知事か何かに委任されているということになるのですか。
  119. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) 簡易水道は、別に法律によつているわけでもございませんので、特段な権限、義務規定というものはございません。併し私どもといたしましては、できるだけ知事にお願いをいたしまして、間違いのないように指導をしてくれということをお願いをしているわけでございます。併しこれも理窟を申しますと、知事に一つの事務を預けることに、法律がどうのということになりましようが、現在はさようなことでございます。  なお、簡易水道につきましては、これは厚生省に、厚生省令で助成規則というものを作りまして、これにのつとつて指導いたしております。
  120. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 只今水道の竣功検査については、厚生省はそういうような取扱いにしているというのは、建設省の御意見はどうでございましようか、そういう取扱について……。
  121. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 取扱につきましては、覚書の線、並びに従来のいわゆる慣習があると思います。いわゆる自分の低うに技術員があるから、自分のほうで勝手にやるということは、こういうことは覚書の精神に反すると思います。両方に余裕のある技術があるー国家経済の上から言つてあるはずはないと思います。我々のところになぜ技術を任されているか、こういうことからお考えになれば、我々としてそれに対しては賛成できません、
  122. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 どうも両者の意見を聞いてみると厚生省のほうは、明らかに竣功認定を待たずに精算や、補助金交付ができるということに、二十八年度からやるという、事実上これは建設省にその意味では無視をされている形です。これは建設省のほうでは、飽くまで自分たちがこれは担当者として責任を持つて、少い人数と、乏しい補助金で全力を挙げてやると言つているので、これは最初の両省の覚書を根本的にこれはやり直さなけりや駄目だということになりはしませんか。
  123. 楠木正康

    政府委員(楠木正康君) この現在私どもが一般水道として、簡易水道を除きまして、一般水道として補助金交付いたしております水道は、約四百カ所に全国に散らばつております。そこへこの会計年度等に一致するように建設省にお願いをして竣功認定をして頂くということは、とてもこれは不可能のことに近いのです、従つてこれに幾らおやりになると言つても、建設省の手で……、百人も、二百人もおれば別として、実際問題としては不可能なような状況でございます。現在四百カ所が全国に散らばつておるものを、或る一つ会計年度に歩調に合してやろうということが自体無理なんです。併しこれは何も竣功認定をしないからと言つて、違法行為ではございません。間違いさえなければいいというのが私ども考えでございます。併し建設省が、四百カ所を何でもおやりになるということならば、私どもは先ほどお答えしましたように、必ずしもこれは拒否するものでもございませんし、やつて頂いて結構でございます。併し四百カ所はとてもできないというのが現在の実情だろうと存じます。
  124. 平林太一

    平林太一君 これはいずれ専門員において、もう少し一つこの技術面、現実の問題は、観念的なものでなくて、そういうものを十分一つ調査を願いたいと思います。ただ今建設省の御意見は、何かそういうことは反対だと、こういうようにおつしやるが、まあ我我から言いますと、いささか一方的な御発言だと思う。これは常識上ここでいろいろ何を考えてみますと、やはりこれは厚生省がやれば事足りることだ、厚生省が一切の収支、これをやつて、それでこれはできる、何かそこに支障があり、欠陥があるというのであればーということ、これは認められない。只今のところ認められないわけですから、一元化ということに対して考えることに必然なりますわけですけれども、建設省のほうにこれは一応聞いて、やはり国の一つの行政体としては、この一あつて二ないものですから、又この建設省はただにこの大きな厖大な所管事業を持つておるのですから、そういうふうにこれはして行くことが妥当だと、こういうふうに私ども考えますが、一応よく調査せられるように、私のほうから専門員にこの点は要望いたしておきます。
  125. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  126. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 速記を起して。  それでは厚生関係につきましては、一応これを以て終了いたしたいと思います。  本日はこれで散会することにいたします。    午後五時三十六分散会