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1954-03-16 第19回国会 参議院 決算委員会決算審査に関する小委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     谷口弥三郎君    委員            植竹 春彦君            松平 勇雄君            大倉 精一君            岡  三郎君            東   隆君            山田 節男君            菊田 七平君   政府委員    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    建設省計画局水    道課長     岩井 四郎君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (補助金関係批難事項に関する件)   —————————————
  2. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは只今から第十回決算審査に関する小委員会を開催いたします。  本日は二十六年度決算厚生省所管補助金関係批難事項の四百六十六号から四百七十号及び五百三号の六件を議題に供します。なお、併せて厚生省関係補助金の不当事実発生原因及びその予防対策について検討を進めることにいたします。それでは初めに専門員から説明をいたさせます。
  3. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 只今議題となりました四百六十六号の問題は、何か事情があつたために補助金精算がえらく遅れておつたという問題でございますが、それらの事情につきましては、あとで当局からよく御説明を願いたいと思いますが、それはただ一件孤立したところの事件に過ぎないと思われます。  ところが、その次に四百六十七号から四百七十号、四つの問題が検査報告の百三十頁のところに一覧表になつて出ておりますが、この問題が特にこの小委員会において力を入れて御審議を願いたいと思うことなのであります。その事情を申上げますが、ついででありますから、もう一言、最後議題になつておりまする五百三号というのがありまするが、これはすでに是正されておることでありまするが、補助金精算に当り処置当を得ないということでありまして、これも何か或る特別な事情があつて、突発的にこんなことが起つておるように思われます。  それで話は元へ戻りまして、先ほど申上げました四百六十七号から四百七十号、これは上水及び下水の改良事業、若しくは災害復旧事業について国庫補助が出るわけでありまするが、これが厚生省建設省両方共管になつているものでありまするから、どうもその間に連絡の面白くないところがある。たださえ役所役所との間のセクシヨナリズムがあり連絡が悪い。そうして責任の奪い合いか、なすり合いか、どちらかになるといつたような点があります。そんなことが主たる原因で、こういう結果を生じておるのではないかと思われる節があるわけなのであります。それにつきましてこの一枚刷りの資料ガリ版刷り只今当局から提出されました資料上下水道行政現状及び経過というところを読上げたほうが却つて早いだろうと思いますから、一応読上げることにいたします。  「(1)現在上水道については水道条例があり、下水道については下水道法がある。この法律所管厚生省設置法第九条には『水道下水道に関する事務を行うこと』とあり、建設省設置法第三条には『水道及び下水道工事指導及び監督を行うこと』と明示されている。即ち厚生省及び建設省共管事務が行われている。(2)上下水道行政歴史的経過をみると、水道条例及び下水道法施行以来、内務省衛生局主管し」、これはもう明治二十年代以来のことのようであります。「内務省衛生局主管し、同局に専任の土木技術者を設けることなく」これは衛生局でありまするから、医学上の方面の技術者はおられまするが、土木のほうの技術者は置かれないので、「土木局技術者が兼任し、且つ河川道路の関連よりこの事務を両局において合議することとしてきた。」当時は局は二つに分れまするが、同じ内務省の内部でありまするからまだしも連絡がよかつたわけなのであります。「(3)この状態昭和十三年厚生省が設置される迄続き、」従来の内港省衛生局が拡張されて厚生省ができた。こう一口に申してもいいかも知れませんが、「厚生省が設置される迄続き、同省設置と同時に、上下水道行政厚生省主管が移され、内務省は従来の形式において共管することとなつたが、その事務処理内容は内務、厚生両省覚書通り」この覚書というのが今のこの紙の第三頁から四頁へ亙つて書いてありまするが、その覚書通りに「厚生省主管内務省基本計画変更のない実施設計及び工事完了認定をのみ主管することとなつたのである」その点は次の頁のところに一覧表のような形に出ておるものを見て頂けばわかりまするが、「厚生建設両省上下水道事務の現在処理対照表」これで見ますると初めのほうから仕事の順序がずつと書いてありまするが、初めのほうの部分はすべて厚生省が主になつて起案をする、そうして建設省のほうがパツシイブな立場で会議を受けるというような形になつておりまするが、一番最後工事完了認定、ここでも厳重な検査をするわけでありまするが、それが丁度さかさまになりまして、建設省のほうが土木技術の目が届くという関係から主になつて厚生省が受身になつておるというような状態であります。なお続いて読み上げます。「(4)戦後においては戦災復興院特別都市計画法に基き、上下水道戦災復興事務を所掌したが建設省設置に伴い、同事務及び内務省の行つていた事務を引継ぎ統轄することとなつたので、『水道及び下水道工事指導監督を行う』条項が初めて建設省設置法規定された」と、まあこういうふうの沿革を経ておるもののようであります。  なお、一言付け加えて申しまするが、初めの間は内務省衛生局若しくは厚生省におきまして、医学上の知識は持つていたが、土木建築技術は殆んどなかつた、或いはあつても非常に乏しかつたという状態が、終戦後におきまして、総司令部の示唆によりまして、厚生省のほうに土木技師が入られるようになつて、そこで大分情勢は現在のところ変つて来ておる状態のように聞いております。それでこういう状態で現在行われておりますから、初めのほうは厚生省が力を入れるが、あと検査となると建設省に任されてしまう。而も建設省のほうでは、余り露骨なことを申すのはどうかと思いまするけれども、すでに土木事業災害復旧のことに関して、先日来御審議になつておりまするように、技術第一主義にとかくなる傾向がありまして、仕事のほうはどしどしとやつては行きたいが、経理事務その他の跡始末のごときものはとかく軽く見られるというような点がありまするので、そんなことが結局検査報告不当事項として、こういうものが出て来る原因の一部をなしておりはしないかと思われるのであります。  それで厚生省のほうへ先日来こちらの考え方を申述べまして、実情を話をしてもらいたい、又いろいろ改革意見などもあれば、それらも聞きたいということを申入れておいたのでありまするが、それが別紙ガリ版刷り昭和二十六年度決算検査報告説明書としまして、ちよつと数枚に亙るものが出ております。それに基きまして申上げます。  先ず最初のところに、上水道風水害復旧事業補助金に関するもの、それから土下水道増補改良事業補助金に関するもの、それに関する事務処理の段階はかくのごとくであると言つて、先ず1、2、と書いてありますが、123などを御覧下さればわかりまするように、先ず市町村工事であれば目論書などを都道府県へ出す、そして府県を通して厚生省建設省両方べ同時におのおの一通ずつを出す。すべての行き方がこういうふうになつているというところが先ず最初に注意されるのであります。  それからその辺を少し飛ばしまして、第一頁の第一枚目の裏の真中所に、(C)不当事実の原因及び防止対策としまして、それからあとに詳細に記されておりまするが、そこを御参考のために読み上げながら多少注釈を加えて行きたいと思います。  先ず(1)事業計画内容、(イ)事業主体をして責任のある申請をさせるのにはどうすればよいかという問題が提出されまするが、上下水道増補改良事業については、その事業計画の基礎となる全体事業計画目論書及び工事設計等について、該事業根拠法である水道条例、これは明治二十三年の法律、及び下水道法、これも明治三十三年の法律、これらの法律に基き主務大臣の認、許可を要するので、その際厳正に審査検討をするため、無責任申請をなす懸念はないが、災害復旧事業にあつては、原形復旧又は効用回復原則であるため、特に、右の認可を要しないわけであります。つまり水道などを桁えるということにつきましては、国民の生活一般、殊に衛生問題にも関係するものでありますから、厳重な検査をされることになりますが、災害復旧の場合にはただ元通りの形に直すだけでありますから特に右の認可は要しない、それでありますから本省事業査定を厳正に行い、被害復旧事業計画書の直接設計担当者署名捺印該設計書になさしめることにより責任の所在を明確にして事業主体当局から不当な申請のないように措置をしている、これだけの注意を加えているということであります。  (ロ)事業主体が、市町村である場合に都道府県を経由して申請させているが、知事はその内容審査しているか。この問題に対して上下水道事業は、原則として、法律市町村工事であるため、書類ほすべて都道府県を経由するので、都道府県においては必ずその内容を厳正に審査する。ここのところは普通の建設省或いは運輸省あたりにありました災害復旧事業の場合と違いまして、あの場合には都道府県は素通りするのがむしろ普通の状態といつていいのでありますが、こちらのほうは内容を厳正に審査し、必要のあるときは、審査意見を附して進達するよう行政措置として行なつているということであります。  その次、(ハ)としまして、法律知事審査権を認めないのは何故か、審査権を与えることの可否如何。このことは他の多くの法律について問題になつたわけでありますが、この場合には審査を厳重にやつておるのでありますから、この点は問題にならないわけであります。  なお申し忘れましたことを、この際附加えて申しまするが、現在この上下水道事業に関する補助金につきましては、未だ別段の法律はないのであります。強いて申しまするならば、現在のところでは、地方財政法の第十六条に国は地方公共団体に対してこういう場合には補助金を交付することができるといつたような規定がありまして、それだけが唯一の法律上の根拠で丸りまして、まだ特別の法律はできていないのであります。従つて現在のところでは、府県知事にこういう事務を依頼するにしましても、行政上の依頼という言葉は変な言葉かも知れませんが、事実上行政事務を委託するといつたような形でやつておられるのであります。丁度その点はこの前、文部省の学校の校舎の災害復旧或いは六・三制による校舎の整備などにつまましても、つい近頃までは特別の法律はなかつたが、漸く昨年の八月頃に二、三の法律が同時に制定され、それらの関係が明らかになつたのと、丁度それによく似たような状態であつて、そしてまだ法律はできていないというのが現状であります。とにかく各府県庁におきまして、十分に願書などをば審査するというところに一つの特色が認められるのであります。  次に(2)主務省工事査定。願が出ますれば、これを許すか許さないか、その査定主務省で行うことになつておりまするが、(イ)机上査定の多いことが不当事実発生の有力な原因ではないか。この問題に対して、机上査定の多いことが不当事実発生の有力な原因であることは事実であるが、現行の予算及び人員ではとにかく予算が足りない、人手が足りない。それで災害の個所を逐一現地査定を行うことは困難であるので、本省においては書類上特に現地査定の必要ないと認められる工事については、机上査定により、現在の予算及び人員を最大限有効に活用している。一口に申せば、実地検査はやつていないと、こう申したほうが早いようであります。  次に(ロ)現地査定のために要する経費及び人員はどうであるかという問題に対して、前記の中から現在の予算及び人員では、共に相当不足を来しているため、六省においては、その金額の増加のために努力している。即ちこれを昭和二十八年度現在について申すと、本省の、この書類に本省と書いてあるのはすべて厚生省の意味でありますが、厚生省事業指導監督経費が八十二万二千円及び現員の十三名、その内訳を申上げますと、事務官が六名に技術官が七名でありまして、補助事業主体総数一千百七十個所及び国庫補助金の総額が十円億円余りを、事業指導監督、それから事業査定及び竣工検査等を行わなければならない状況である。今、一事業主体について、事業査定及び中間監査等のため年平均一回並びに事業竣工実地検査のため年一同合計年二回行うとすれば、その所要の経費は一人が八日間出張するものと見て、一日二カ所を検査するとすれば、旅費二百二十七万五千円を要し、又現員十三名中毎日その四名の者は出張していなければならないというような状態になる、それだけの経費人員が足りないということを言つておられるのであります。  次に(ハ)市町村工事についてはこの査定権知事に委任してはどうか。前に申しました通り主務省において査定をするというのですが、事実においてはもう机上査定ばかりになる。それならばいつそ府県のほうへ依頼してはどうかという問題が提供されるわけでありますが、本件については前記(1)の(ハ)知事審査権というところで述べておる通り査定権知事に委任することは、補助事業の迅速且つ簡潔な処理を図り得ると共に、都道府県における上下水道行政能力強化拡充及び衛生工学技術者の充実を図り得、従つて事業指導監督等の万全を期し得ることができるので最も良策であるので、本省においては、現行の法律及び中央地方を通じての行政一元化行政一元化ということが書いてあります。これは恐らく先に申しました通り厚生省建設省行政二元行政になつておる、それを何とかして一元化したいということと了解いたします。行政一元化、それから都道府県事業費補助のために鋭意努力しているが未だ実現できない状況である。  次に(3)工事指導監督。その(イ)の事業主体は、多くは市町村でありますが、その行う工事指導監督を十分に行なつておるかという問題に対して、工事指導監督は、これは小さい都市と中都市以上のところとを区別をして考える必要があるもののようでありますが、通常小さい都市においては直営工事施行能力の欠除もあるので、技術者が十分におりません。大部分請負工事であるため、当該自治体条例又は工事請負契約条項について、本省又は都道府県指導方針を忠実に履行していると認められるが、上下水道補助事業複雑性においてその取扱いその他の趣旨が現場末端まで徹底しない向きもあるので、本省においては、これが指導のため、各地区ごと講習会等を開催し、又中間指導監査等により趣旨の徹底に努力している。それから直営工事施行請負に出さないで、直営工事施行については、その大部分が中都市以上のところであつて衛生工学専門技術者の陣容を充実しておるので、工事指導監督も十分に行われておるという答えであります。  次に(ロ)工事設計変更手続を厳重に守らせる方策如何設計変更手続をやればよいものを、それをやらないがために検査院からあと批難を受けておると、こういう例がしばしばあるようでありますが、この点につきましては、上下水道事業補助対象が、当該年度において施行する事業計画量の一部であるため、これは一つ水道事業など奇数年かかつてやり、数年の継続事業になるという頭で、当該年度において施行する事業計画量の一部と、こういう文字が出ているわけであります。それで物価の変動などによる事業量の増減又は請負工事等による余剰金の使用などのために、当初申請事業量の増減が予定される、五年なら五年かかつてやるものですから、必ずしもその一年分々々々がびつたり予定とは合つて来ない、それで従来補助対象の些少の変更は、該事業竣工認定時に、つまり最後のときに承認されて来たもので、途中の一年心々の計算の差などの問題について言えば、最後の年に算盤が合いさえすればよいというふうにやつて来た。ところが戦後になりまして、補助事業制度変更ということが書いてありますが、これは継続事業費が全然なくなつたというわけではありませんけれども、原則として一年度一年度の補助をするという単年度補助制度ということになつて来たものでありますから、一年度ごとに算盤がぴつたり合わなければいかんということにもなつたもののようであります。従つてそのことをよく各地区末端にまで教えて、昔のように五年なら五年の最後算盤が合いさえすればよいという、その多年の頭をこの際切替えさせる必要がある、切替えさせるように努めているということがここに記されているもののようであります。それから指令条件抽象的規定と書いてあります。聞くところによりますると、従来は指令条件が非常に細かく具体的に書いてあつたものでありますから、それにちよつとでも触れれば直ちに条件違反ということを言われる嫌いがあつた従つて今後はもう少し抽象的な、漠然とした指令をするようにして、多少の伸縮性を持たせるというようなふうにしまして、その些少の変更は、その事業最後竣工認定のときまでの間に伸縮性が、事業をやる者において多少の伸縮性があつてもよいというふうに解釈の統一を、従来その点において欠けるところがあつたので、それを明らかにするようにした。それから又設計変更の場合には、速かにその手続をするようにというようなことについて、従来趣意の不徹底なところがあつたので、本省においては、これが改善策として、上下水道国庫補助事業設計変更処理方針というものを二十八年の五月に各都道府県に通達をしまして解釈を統一し、過年度の未竣工、まだ竣工認定が終つていないところの事業についても、この方針に該当するような変更をしなければならない事業主体については、これを遡つて適用し、止むを得ない変更については追認を認めるというようにした。要するに設計変更手続を厳重に守らせると同時に、そういう手続を、些細なことについては要らないようなふうに方針を定めたということが記されているもののようであります。今後はこの方針を厳守させ、その違反者に対しては、補助金返還等措置をとることにしている。  次に(ハ)、知事市町村工事について、工事指導監督の権限を主務大臣から委任されているわけであるが、知事はこれを励行しているかという、この問題に対して、その裏のほうに説明がありまするが、この水道事業については普通我々が見ておりまする建設省などの公共土木施設災害復旧事業、あの法律の適用を受けないで、先ほど申しました通りまだ法律がないので、すべて本省予算措置及び方針によつて事業施行している。水道条例及び下水道法規定する上下水道について知事指導監督権がありまするけれども、それは上下水道に関する主務大臣委任事項を除くほか、衛生管理上一般的に工事検査監督規定しておる。つまり水道事業そのものについては監督をすることになつているが、補助事業、費用の補助という、この点に関しては、特別な規定がないわけであります。それで本省においては、行政措置として、補助事業指導監督徹底方を期しているが、中央におけると同じく府県における二元行政——やはり建設省厚生省と二元の問題が府県のほうにも及んで来るわけです。それと現在の予算及び人員では、到底徹底ができない、人が足りない府県状態を見ますると、一府県の平均二十五カ所の事業主体に対して、各所管部専従職員は一名乃至二名、地は殆んど兼職の状況事務経費についても国の補助がなきため少額に過ぎない。本省においては、毎年度右事務経費補助予算確保のために努力しているが、未だ実現の運びに至らない。  次に(ニ)、主務省の行う指導監督は十分であるか、という問題に対して、上下水道行政二元行政のため、補助事業についても、事業計画書の提出から竣工認定指令までの事務処理が、二つの省において主管、又は共管事務になつているため、指導監督一貫性を欠く点もあり、又前記(2)の(ロ)の通り予算及び人員不足により、万全を期し得ない点もあるので、本省においては、各地区ことに講習会を開催し、又重点的に指導監督、即ち中間監査、又は竣工のための検査を行う等、その徹底のために努力はしている、ということでありまするが、要するに経費人員不足のために思うようには行つておらないというのが真相のようであります。  次に(4)検収という問題について、(イ)竣工工事に対する事業主体の、市町村等におけるその事業主体検収は厳正に行われているかどうか。工事検収は、事業費支出命令必要条件でもあり、本省指導方針に基いて一応厳正に行われていると解すると、こう言うよりほかにないだろうと思います。恐らく十分な技術的の能力があるかないかが問題になるだろうと思います。  そのことがすぐ次に、(ロ)としまして、小さい町村検査能力が殆んどないのではないか、又それに対する対策。小さい町村検査能力については欠如の点もあるので、本省においてはできる限り当該事業施行に当つては、上下水道専門業者と契約させるようにし、且つその工事検収及び監督等の業務にあずからせるために、数カ町村共同して衛生工学専任技術者を雇うて行うように指導をしている、又かような町村については、本省又は都道府県において特別に指導を強化して、検収等の万全を期している」と言われております。  次に(5)竣工検査補助金精算。これにつきましては、事業主体市町村である場合と府県である場合とを区別して考える必要があるだろうと思われます。先ず(イ)事業主体市町村である場合に、市町村から工事竣工後、出来高調書を提出して補助金精算の要求がなされたときは、支出負担行為担当官は、竣工検査行つた上で精算をしているか、というこの問題に対しまして、本省該補助金に関する支出負担行為担当官は、公衆衛生局長である、つまり本省の局長が直接に当つておりまして、府県のそれぞれの部長といつたような人にこういう事務が委任されていないのであります。すべて本省直接、これも丁度文部省の学校の場合がこういうふうになつているのでありまして、普通の災害復旧工事などの場合には、各府県土木部長とかいうような人を支出負担行為担当官として任命しておくということになつております。ここに一つの特色が現われております。支出負担行為担当官公衆衛生局長であるが、補助金精算に当り右担当官において、竣工検査を行うことは、会計法令上の原則であり、ちよつとそこに字が三字ばかり抜けておりますが、会計法令上の原理であり、そして文章もちよつとおかしくなりまするが、竣工検査を行うことは、会計法令上の原則である、併し遺憾ながらという意味だろうと思います。遺憾ながら現在この事務上下水道事務処理に関する、先ほどのあの覚書規定によつて建設省主管して行い、厚生省はて合議機関として共管をしているというために、該事務が事実上遅延しており、補助金精算の迅速な処理ができない状況にあるので、本省においては、昭和二十七年度の事業から、事業精算書により一応当該年度精算を行い、竣工検査の有無を問わず精算を行つている。ちよつと文章を読んだだけでは事情がわかりにくいようでありまするが、この前に公共土木事業災害の復旧の場合に問題になりました通り建設省なり、運輸省などでは工事はやりますが、最後竣工検査というものを工事が終つてからあと、三年も、四年も、五年も、六年もうつちやり放しになつている。ああいうふうのものが傍らにあるものでありまするから、自然その影響を受けたせいではないかと思いまするが、この水道事業に関しても竣工検査がえらく遅れておる。少し誇張した言い方が許されるならば、もう打つちやり放しになつているというような状態でありまするが、而らば補助金精算をするときに、検査もしないで金だけ払うということはできないはずでありまするが、精策をする以上には、その前に検査をしなければならない。その検査をどうしているかということが問題になつたわけであります。ところがここに書いてありまする通り厚生省衛生局長が支出負担行為担当官になつている。そうして各府県ごとに担当官を委任してはいない。而も竣工検査をするというのは、建設省のほうでやられるものだから、厚生省のほうとの連絡も思うようでもないというような、現在行詰つた状態がここの文章に現われていることと思います。それでその頁の最後に書いてあります通り、そういうことを言つてつても仕方ないから、現在のところでは、止むを得ない方法として、昭和二十七年度の事業から、とにかく実地の検査をしないで一応書面の上でもつて精算をしてしまう。竣工検査の有無を問わず、精算を行うということにやつておりますから、精算ということが紙の上の精算になつているという実情がここに現われているわけであります。  次に(ロ)若し、竣工検査を行わないならば、精算は出来ない筈ではないか、という、この質問に対して、前記(イ)のとおり、一事業年度の精算は、一応書類のみで行なつている。若し毎年度毎に多政の事業主体竣工検査を逐一行うとすれば最も理想的であるが、前記通り現在の本省人員予算では事実上困難である。又建設省との間における行政事務上の問題もあるので、つまり二元になつておるその関係もあるので、会計法令上の定める精算期間内に行うことは不灯花と推定されるので、現在の措置を採用している。つまり一口に言えば書面の上だけでもつて精算をやつてしまつているというわけです。  次に(ハ)、支出負担行為担当官は、右の検査責任を十分理解した上で検査しているか、というこの質問は、一般の公共土木災害復旧の場合についての質問でありまして、水道事業のごとくに本省衛生局長がただ一人であるという場合には、この問題は要らない無益な問題であつたわけであります。  次に(ニ)としまして、事業主保が府県である場合。これも市町村の場合と同じ取扱いをしているという回答であります。  (6)といたしまして竣工認定、或いは成功認定とも言いまするが、それは一体、どういうつもりでやつているのかということに対しまして、上下水道補助事業竣工認定とは、補助金交付指令条件に基ずく行政措置として補助金が、事業精算告書のとおり、補助事業として適正に実行されているか等について実地検査によりその竣工を確認する行政行為と解する。従つて事業費の精算をするならば、検査をした上で精算をしなければならないが、ずつと遅れて竣工検査をするというならば、その竣工検査というのは出来高を調べた上で精算をするということとは違つて、それから後になお見落しがないか、念には念を入れて調べるというための行為である。従つて会計法上の責任は、出来高を調べたときにその人が責任を負わなければならないということに解釈されているものと了解いたしまするが、或いは私の了解が間違つておりますれば、あとで当局のほうから御訂正を願いたいと思います。  それから次に(ロ)、(ハ)、(ニ)というような質問が出ておりましたが、それには事情が違いますから該当するものはない。  それから(ホ)として、本省で行う竣工認定は、机上処理が多いか、という質問に対して、実地検査を前提としているということでありまするが、併しこれは原則論でありまして、前からしばしば書いてありまする通りに人手が足りない。竣工検査建設省のほうの仕事でありまするが、建設省において決して十分に行なつているというお答はないのではあるまいかと思われます。  次に(ヘ)、竣工認定は一般に遅延していると言われるが、その事情はどうだ——竣工認定事務が遅延している事情は、戦前の継続補助事業制度が廃止され、五年なら五年の継続事業という形でのその補助事業制度が廃止されて、単年度の補助事業制度なつたために、十分な検査が毎年度の事業ごとに行われなければならなくなつたことと、それから検査予算人員では事実上不可能であること及び竣工認定事務のみを建設省主管をしているというので、補助事業制度一貫性の欠如がある、これら三点が原因で非常に遅れているということであります。  これがために必要な経費及び人員はどうであるか、という質問に対して非常に足りないということを言つておられるわけであります。  それから次に、業者の選定とか補助の率とかいうことについては別段特に申上げることもありませんが、次に九番目としまして直接補助か間接補助かというこの問題については、上下水道補助事業は、原則として市町村工事であるために、その補助金市町村長を債権者として補助金の支出負担行為を行う、つまり本省から市町村に向つての直接の補助ということになつておりまするが、これを間接の補助として一たん府県の財政に入れて、その府県予算から府県責任市町村へ出してもらうようにしたほうがよいと思うので、それを実現するために目下研究中であるということでありまするが、併し何分にも行政の二元化及び該事業経費の、府県に相当な経費をやらなければならないが、それが困難であるというようなことも述べられてあります。  それ以外につきましては別段申上げることもございません。要するにこの行政の二元というところに非常な禍根があり、そうして又先ほど申しました通り土木事業に関する技術の陣容が、必ずしも建設省に依頼しなくても厚生省に相当充実されて来たというような事情の変化もあるというような点などを考慮しますれば、この際速かにそれらの点について改革を加える必要があるように思われるのでありまするが、最近新聞紙土などの報道を見ましても、或る方面では行政組織の改革について、先ず一番最初にこの問題を取上げるつもりたといつたような新聞記事の出てもおりまする際であります。これを決算という方面から見ましても、何かそこに一つの改革の必要があるんじやないかと思われるような事情のように思われるのでございます。
  4. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは以上の問題につきまして会計検査院の上村第二局長から……。
  5. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 先ず最初補助金をどの程度に検査しておるかという点について申上げたいと思います。ここに出ております水道関係は、大体現在では決算金額に対して一五%ぐらいに当る検査をやつております。そのほかのものにつきましては非常に補助金の数が多いので手の廻らないところもありますが、大体において決算金額に対して三%以下とこういうふうになつておりまして、建設、農林等に比べて非常に実地検査しておる程度が少いような状況になつております。  それから水道を除きました一般の補助には、二十六年度に掲げましたのは、身体障害者保護補助金精算が遅延しておるということで、これは精算の促進をすべきであるという事態であります。  それからもう一つは、五百三号の補助金精算に間違いがあつたという事態で、これは実際県が盛られた補助金よりも少い補助金しかもらわなかつたということで精算書を出しておられたのでありまするが、なおそのほかに実際は百余万円ほど補助金が行つている。この補助金が行きましたのは、県のほうでは事業関係で要らないというような報告がありましたが、事務の手違いから補助金が県の、ほうへ流れて、それを県では、会計と実際の事務をされるほうとの又連絡が不十分であつたために、精算される場合にそれを落された、こういう事態で、事務の手違いという問題でありますが、二十七年度には一般の補助に関するものが約四十の多種多様に載つておりますが、いずれも補助金精算処置が当を得ないという事態でありまして、結局精算書に載つておりまする支出金額に水増しがあるとか或いはその事業経費としては認められないものが入つておる、或いは精算する場合に収入を引くというような建前になつておりまするものに、その収入が引いてない、こういうふうな関係上、出された精算書に間違いがある、こういうふうな次第であります。  それでこれら一般の精算書が当を得ない事態が起つて来まする原因は、結局厚生省補助金が多種多様に上つておるということが先ず第一の原因と思います。それと府県事業を行なつて行かれる場合に、各種補助金を保健所で一緒に経理される、こういう事態で支出なり或いは収入の区分経理が必ずしも明確に行かないという面、或いは補助金を幾らでももらいたいというような点もあろうかと思うのでありますが、そういうことで、いろいろの精算措置が悪い事態が起つておるわけでありまして、これについては本省においても十分指導監督をされる必要があるんではないか、こういうふうに考えております。  それから水道補助の問題でありますが、二十六年度には四件、それから二十七年度には検査報告に掲げましたのは件数としては四件でありますが、水道補助に対する総括的な監察を記述してございます。専門員のほうから相当詳しく御説明がありましたので、極く簡略に御説明したいと思います。ここに掲げます事態は、厚生省府県事業主体から精算書が出て来たものについて見ますると、一般の補助と同じように補助金の計算上は残材があつた場合は残材を除かなければならん、或いは工事費に水増がある、こういうふうな事態がありまして、実際は補助金に過不足がないという形で出ておりますが、実態を見ると補助超過になつておる、こういう事態であります。これは先ほど来御説明がありましたように、水道補助は建設、厚生両省の共管になつておるということと、以前継続費であつたということから、精算書が出て来ても、十分審査がなされなかつたということと、会計法上から申しますと、補助金は単年度予算でありますから、当該年度事業に対して幾ら幾ら補助をやる、その補助を出したものについて、どれだけの事業ができ、どれだけの経費がかかつたかということについて、精算書を出し、当該年度分として速かに精算するのが建前だと思うわけでありますが、これが実際は行われていなかつた。結局竣工認定建設省のほうでおやりになるから、それまではまあいいんじやないかというふうな考え方から、そういうふうになつたものと思いますが、建設省厚生省両省の共管で、どういうふうにおやりになるほうがいいかという点は、ちよつと意見を差控えますが、いずれにいたしましても、当該年度補助金精算当該年度にやるというふうにやらなければならんと考えております。そういうことが今の建設省のほうで竣工認定をおやりになるということが、或いは障害になつておるのかも知れませんが、補助金精算竣工認定と混同を必ずしもする必要もないかと思いますが、補助金精算につきましては、やはり支出負担行為担当官である厚生省のかたが実地を見るなり或いは書面、できるだけ実地を見ることが好ましいと思うのでありますが、見られるなり或いは書面によつて審査した上、速かに精算されるのが適当ではないかと思うのです。ただ技術面その他につきまして、初めの設計なり後の状況がそういう精算を速かにやるために支障があるということであるならば、建設省なり厚生省のほうの関係をそれに即応するような方法でおやりになることが望ましいのではないかと、こういうふうに考えておるのであります。簡単でございますが……。
  6. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それでは厚生当局から以上に対しましてどなたからでも……。
  7. 堀岡吉次

    政府委員(堀岡吉次君) 只今議題となりました四百六十六号でございます。これは北海道ほか十四部府県に対して交付した身体障害者保護補助金のうち補助超過になつております六百七十万二千三百九円、これが国庫に返納になつていなかつたということに対する批難でございます。当時の事情を申上げますと、補助条件としまして、この補助の「精算の結果、支出額の十分の八が国庫補助の交付額に達しないときはその差額を返還する」、こういうふうに明記しておりましたのを、担当者の不慣によりまして、年度終了後直ちに各府県から返納さるべきはずだ、こういうふうに心得ておりまして、別段返納指令を出しておりませんところ、もとより一部の府県におきましては返納されましたのでありますが、ここに掲げました北海道ほか十四都府県におきましては、これが返納をいたさなかつた。右は押当者において速かに返納指令を出すべきはずのところ、手遅れいたしましたので、事務上の粗漏によるものでありますので、誠に遺憾に存ずる次第であります。右の超過補助につきましては、昭和二十八年十二月九日までに全額国庫に返納済であります。今後かようなことのないように厳重に注意いたしたいと思います。  それから飛びまして五百三号につきましては、引揚援護庁におきまして、香川県に昭和二十五年度引揚者住宅災害復旧事業補助金を第一次分として九十万四千円、更に二十六年三月に百一万五千円を交付したのであります。この増額の百一万五千円につきましては、県当局から年度内に実施することは不可能であるという事務上の連絡があつたのでありますが、その事務上の連絡を受けながらも、援護庁内部における係り同士の連絡不十分のため間違いまして追加補助をいたしたのであります。それを又受けました香川県は直ちに返すべきところこれを返さず、そのまま過しましたので、只今検査院御指摘のような不始末を出したのであります。全くこれは一部の事務連絡の不十分の結果でありまして、誠に申訳ないと思います。右の超過金額百一万五千円につきましては、二十七年五月国庫に返納されております。今後はかかることのないように厳重に注意いたしたいと思います。  なお、水道関係の件につきましては、先般専門員から御説明のありました通り厚生省よりこれが改革意見を出し、こういうふうにしたいということを詳細申上げ、数度に亙つて説明を申上げ、只今専門員から縷々御説明がありましたので、今後につきましては、そういうふうにいたしたいと思います。  事案につきまして簡単に一応御説明申上げておきます。  四百六十七号でございますが、これは東京都立川市の上水道増補改良事業でございますが、これは民有地の買収不能になりましたため設計を変更しましたので、そのために鉄管に残材を生ずるようになつたのであります。これの職人代金を補助基本額から控除しませんで精算を行なつたために、超過補助なつた次第であります。これも手続の粗漏によるものであります。  次の四百六十八号の神奈川県横浜市ほか二市の下水道の増補改良事業でございますが、これはいずれも事業費が当初の予定価格より下廻りましたので、その残額を以て、事前に設計変更認可手続をとらずして、追加工事施行したものでありまして、この追加工事費を補助基本額に算入して精算しましたので、検査院から御指摘のような結果に相成つたのであります。本件につきましては、追加工事設計変更を承認することにいたしたのであります。  次の四百六十九号の高知県の山田町の上水道増補改良事業でございますが、当時朝鮮事変勃発に伴いまして鋳鉄管の価格の急騰がありましたためにも止むを得ずエタニット・パイプに設計変更して工事完了したのでありますが、エタニツト・パイプはもとより鋳管よりは価格が安いので、その差額でもつて次年度補助事業に使用する予定で購入した資材の代価を補助基本額から控除しないで精算を行なつたものであります。右の超過補助なつた十二万三千七十二円につきましては、速かに国庫に返納させるよう手続中でございます。  次に四百七十号は、鹿児島県の鹿屋市ほかニカ町村笠之原水道組合の上水道事業でありますが、これはそのうちの風水害の復旧事業につきましては、盛土工事に要する土量のうち千八百九十立米は配水管沿いの測溝切取工事より生じた土量を使用したものであるのに、他より搬入したものとして積算したためでありまして、又増補改良事業につきましては、鋳鉄管の購入価格が予定より廉価でありましたこと、それから工事施行区域の一部が災害復旧工事と重複をいたしたこと、及び撤去していた在来管のうち使用可能分を補助対象外の工事に使用したこと等によつて生じた剰余金を組合単独事業に充当しましたにもかかわらず、本補助事業の基本額に算入して精算したものてあります。その差額につきましては速かに返納させるよう手続中であります。もとより今後はこのようなことのないように十分注意いたしたいと存じます。  先ほど来申上げましたように、水道事業につきましては特別に検査院からもお話がありましたような次第でございまして、これが完了、その認定精算等につきましていろいろややこしいことがございましたので、十分この点につきましては先ほど来、専門員等からお話がありましたように、この事務執行につきましては、改むべき点は改めまして誤りのないようにしたいと思います。
  8. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 楠本環境衛生部長から何かありますか。
  9. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 甚だ申訳のないことでありますが、毎年同じような批難事項を結果いたしまして甚だ遺憾に存じておる次第でございます。これらの処理方法につきましては、只今会計課長から篤と御説明申上げ、私どもといたしましては早速その事務処理を進めまして、後始末をいたしたい決心であるのであります。  なお、只今会計課長からも、又専門員からもお話がございましたように、この点につきましては若干事務処理について複雑な点もありますために、私ども当初常に建設省とは密切に連絡をしつつ事業をいたしておりますが、何分にも水道行政というものが一つの大きな、而も総合技術ともいうべき事業を執行いたしております関係上、かような点がしばしば結果いたしますことを誠に遺憾に存じておりますが、今後は私どもといたしましては、全国的に水道の普及というものが今後一層見込まれます気運にもありますので、これらの点が十分に解消し、而も一方では極めて簡素に確実な立派な工事ができるように努力をいたしたい決心でおります。
  10. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 委員の方々から御意見又御質疑が、ございましたらどうぞ。
  11. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体問題点については先ほど専門員から十分に御説明があつて、問題の所在が分明したと思うのです。それで先ほど言われたように、建設と厚生二省の共同管轄になつているこの問題が、基本的には問題だろうと思うわけです。そこで厚生省のほうにお伺いしたいことは、両省で管理しているということが工合が悪いとするならば、これを建設省のほうにまとめるのか、或いは厚生省にまとめるのかという問題になつて来ると思う。問題の所在は、その場合に上下水道の問題については衛生を重点に考えなくてはならないと思うけれども、殊に建築土木に関することであるから、我々素人から言うと、どこに集約していいのか、これは両省からそれぞれ聞かなければならんことであるとしても、一つ厚生省からその点について意見を聞いてみたいと思います。
  12. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答えを申上げます。これは御指摘のように水道敷設には必らず工事が伴うことはもとよりでありますが、併しながら工事の伴いまするものは水道に限らず、およそ施設と名のつくものはすべて工事関係かございます。例えば病院にいたしましても、或いは軌道にいたしましても、すべて工事関係があろうと存じます。併しこれらの点はいずれといたしましても、世界各国におきましても、上下水道は例外なく衛生当局所管をいたしております。又現在世界保健機構の指導等も、水道を中心にして指導をしております。世界保健機構から相当な援助を得て、技術者の海外留学等を年々繰返しておる次第であります。又歴史的に見ましても、日本の上下水道というものは衛生当局主管して参つておりますような関係で、かような点は私ども甚だ役所の縄張とかそういう点を離れまして、世界的の趨勢及び行政目的の本旨から考えまして、或いは事務の簡素化、適正化から考えましても、厚生省主管することが妥当ではなかろうかと考えております。併しこの辺は私厚生省の人間でありますので、恐らく御批判が出るだろうと存じます。なお、問題点となります点は確かにございます。これはむしろ工事というよりも、工事は病院工事その他すべて同様でありますが、ただ問題は都市計画の面等を考えなければならんと存じます。併しながら都市計画は元来かこれは総合的なものでありまして、これ又都市計画関係のあります仕事は各省に分散をいたしております。そこで都市計画というものは、建設省におきましては都市計画審議会を中央地方に持ちまして、この審議会によつて総合調整を図ることに相成つております。かような事実を見ましても、都市計画というものは総合性であつて、総合調整は一カ所が行うにしても、そのそれぞれの個々の問題はそれぞれの担当分野が担当して行くということを裏書しておる結果ではなかろうかと存じます。  更に河川使用との関係がございます。治水と利水とは成るほどうらはらの関係でありますが、併しながら利水面は、これ又必ずしも水道だけでなく、農林関係或いは運輸省関係或いは発電関係等にそれぞれ利水の面がございます。従つてこれ又利水の問題ということから一カ所に集約することは無理かと存じます。なお、現在は私どもといたしましては、この利水面が極めて建設省の治水と関係、がありますので、現在私どもが認可書類には、必ず河川管理者、つまり都道府県知事が利水上その河川を使用する場合如何なる工事をするかというようなことを認可することといたしまして、その認可書を添えて水道認可申請を受付けております。従つて一応河川管理者の知事責任を持つてこの工事なら大丈夫という書類を添えて、私どものところに送付して来る。私どもは、その書類を見ることによつて、初めてその工事を信頼しておるというような手続をいたしております。これはやはり治水と関係のあります利水の処理の上から、当然な処置だと存じておりますが、私どもといたしましては、まあいろいろ異論もありましようが、世界各国の例にも倣いまして今後伸びて行く水道のことに間違いなく事務を実施する点からも、もう少しく簡素な手続で済むよりにいたしたい考えであります。  なお、もう一点申上げたい点は、現在最も関係の深いのは、極めて大規模な水道であります。これは成るほど都市計画とも或いは河川使用或いはダムの建設等と密接な関係があると存じます。併しこれらの大水道というものはおおむねまあ完成したとみて差支えない段階ではなかろうかと存します。と申しますのは、現在都市水道は七五%に普及されております。おおむね都市には水道が普及した、こう考えてよろしい段階と存じます。七五%であります。そこで今後はこれらの水道はむしろ改良拡張に重点がおかるべきものであつて、むしろその維持管理を中心にして大都市水道というものは運営されるべきものと存じます。ところが一方、町村部を見ますると、町村部は未だ五%の水道普及率しかございません。今後水道の普及が延びて行くしいう方面はもつぱらこの町村部に当つておるわけでありますが、ところがこれら町村部の水道は、大体が申すまでもなく小規模水道であります。これらの小規模水道は河川或いはダムその他と関係のあるということはございません。主として湧水或いは深井戸等を水源としております。私どもといたしましては、かような観点からも、一つお考えを頂きたいと、こう思います。  それからもう一点申上げたい点は、水道というものは工事をして、これを敷設するということが決して目的ではなく、目的は水道を設置することによつて、生活を改善し、快適な生活を実施し、これによつて疾病予防の実を図つて行こうというところに目的があるのでありまして、私どもはいつも国民生活という点から、この水道施設を考えて進みたいと、かように念願をいたしておりまして、従つて行政目的というものは、これは建設ということにあるのではなくて、むしろ国民生活そのものにあるのではなかろうかと、まあかように考えておる次第であります。  これらの点に関しましては、先ほども申上げましたように、私これは厚生判もあろうと存じますが、何とぞ御批判を頂きたいと存じます。
  13. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちよつと会計検査院のほうにお尋ねしたいのですが、この補助金精算に当り処置当を得ないものの、今の上下水道補助金について内容を見るというと、工事がいろいろと変更されたりして処置当を得ない、まあそれに尽きると思う。そういうことになるというと、決算の部面から見れば、工事を厳正にやらせるということで、大体この問題についての処理は終るというふうに考えて差支えないのでございましようか。
  14. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 只今の点と、もう一つは途中における設計変更の問題ですが、それで工事を厳正にやると同時に、設計変更は単年度予算補助する以上は、大体一年で精算する、そうして設計変更もその年度内に必要な設計変更をやつて行く、年度を数年もたつてから前のあれはこうであつたというふうな直し方は本当じやない、こういう点であります。
  15. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、問題は二点あるわけですが、具体的にいつてでき上つたものを、これを衛生的に利用するということだけではなくして当初両生の見地から設計その他を考慮してやられると思うので、いろいろと観点があるとしても、大体のポイントは、工事及び設計というものを厳重に監督して、而もそれを実地検証して行くという、そういう立場に立つて考えると、今のところでは厚生省がやるということにはなつておらないでそれは建設省がやることになつておるということから考えてみるというと、これを厚生省に一括委せて厚生省のほうとしてやり得るのかどうかという問題が出て来ると思う、具体的には。衛生的に考えて行けば当然そうであるけれども、工事については非常に不慣れであるという観点からごまかされて、どうしても処置当を得ないものが出て来るということになると、誠にこれは工合が悪いことになるので、その点についてお気付きの点がございましようか。
  16. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 厚生省に何か技術の方が七人とかおられるというふうな話は聞いておりますが、それでできるかできんかという断定は、ちよつと私のほうもいたしかねます。
  17. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、厚生省のほうとしては建設省がやつているこの工事完了認定というものを、あなたのほうでやつて初めのいわゆる起案から竣工まで責任をもつてやれる体制にするためには、一体どういうふうなことを考えて行つたらいいのか、その点についてちよつと聞いてみたい。
  18. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 勿論只今御指摘のように、この工事指導監督を現場において更に徹底いたしますには、若干の本省の職員増も必要かと存じます。併しながらそれにも増して必要なことは、都道府県知事に対して相当な権限を賦与いたしまして、都道府県知事監督し、都道府県知事の手においで末端の監督及び指導に当らせることが必要かと存じます。併しながら、現在のところは、先ほど専門員からの御説明もございましたように、かような点は法的根拠がございません。而も府県一つ事務を与えますためには、貨任持つた事務を与えますためには法的根拠を要します。又若干の予算措置も必要でございますので、遺憾ながら現在のところは、それが十分にできん建前になつております。そこで今後はさような仕組みにいたしたいというのが私どもの考えであります。
  19. 東隆

    ○東隆君 水道条例というのは明治時代に出て、そうして大分今の時代に直さなきやならんようなところがあると思うのですが、これは何ですか、今両者のほうでおのおの案を持つておると思うのですが、厚生省のほうはどうなんですか。
  20. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 只今御指摘のように、現在の水道条例はいろいろの点に不備な点がございます。時代に適さないところが多々ありますので、私どもといたしましては、かねて水道条例を改正いたしたく、勿論研究も進めておりますし、若干の案も持つております。
  21. 東隆

    ○東隆君 それで私はこの問題を両方で突つばつてつても、これはなかなか解決のつかない問題で、結局困るのは国民が困る。こういうことになると思うのですが、それで先ほど厚生省のほうからお話がありましたように、大きな水道と、それから小さな水道ですか、簡易水道とそれからもう一つは大きな水道だろうと思いますが、そういう二つに分けて考えるならば、丁度建設省と農林省との関係で丁度そういうような工合のものは、小さなものは農林省がやつている、大きなのは建設省がやつている、こういう面があるわけです。それからもう一つ考えて行くべきものは、建設はこれは建設省がやる、それから維持保管は、これは厚生省がやる、こういうような考え方、この原則が仮に両方で以て認められると、私は上水道に関する法律なんかもできて来るんじやないか、こう考えるのですが、これについては厚生省のほうはどういうふうにお考えですか。
  22. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 第一点の御指摘の大きな水道建設省、小さな水道厚生省、これは水道の使命からいたしますと、大小に差がないのでありまして、世界各国の例を見ましても、建設省水道所管するということは行政目的から申しましてもどうかと思います。勿論大きな水道は、先ほど申上げましたように、河川或いは都市計画とか、それだけ大きな密接面がありますが、併しながら河川に関係のあること、都市関係のあること、すべて建設省ということも、これはそんならば学校も或いは軌道そういうものさに、すべてそうなります。それからもう一つ、大小で区別するということで、一審私どもの困ります点は、水道の性格というものに若干の差が出て来るようなことが当然考えられます。これは国民生活を指導する画から見てかと存じますが……。  次に第二点の御指摘の維持管理は厚生省、建設は建設省、こういうお話であるが、維持管理もこの建設とは全く不即不離な表裏の関係に相成つております、先ほど丁度厚生省が計画を立て、そうしてでき上つた結果を建設省竣工検査をするということに、これは先ほどもお話のように矛盾が出て参ると同じように、やはりこれは当初の計画から始まつて竣工する、更にその維持管理もやるということが一番事務能率が上るのでありまして、ましてや維持管理というものが、維持管理は常時の使用というものがつまり目的であつて、そこの目的に副うのが建設であります。ただ建設と申しましても、例えば道路をほじくり返したり、或いは貯水池を作つたりするようなことは、これは別な問題でありますが、少くともこの維持管理の適正化、つまり常時の利用度、常時利用というものから始まつてのこれは建設計画でありますので、これこそ誠に不即不離な関係でありまして、切離すことはより一層事務を錯綜にする以外に何ものもなかろうかと、こう存じます。ただ歴史的に見ますると、そんならばなぜ一体内務省時代にさような方法をとつてつたかと申しますと、これは先ほど専門員からのお話がありましたように、かねて衛生局衛生工学技術者を置きたいという多年の希望があつたそうでありますが、併しながらどうせ土木局にも技術者がいるんだから、そのほうを兼務しておけばいいじやないか、こういうことで始まつたのであります。併しそのときにはたまたま一人の大臣の下で統括しておりましたから問題ありませんでした。これが分れるときに、そのまま変えたところに禍根がある。若しそのとき兼務よりも専任で置こうということになつておれば、この問題は発生しなかつた従つて発生的に見ましても、誠にこれは当を得ない。仮にそのとき衛主局に衛生工学技術者さえおれば、今日の問題はなかつたはずです。それが紛糾いたしましたことは、ちよつとした兼務で間に合わしておつたところに胚胎しておるのであります。何ら理論的な根拠がなく、かような理上論的根拠のないところに、むしろあとからいろいろ理窟をつけるがら問題が一層紛糾する、私どもはかように考えておる次第であります。
  23. 東隆

    ○東隆君 建設省関係のかた見えておりますか。
  24. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) 建設省の水道課長が見えております。
  25. 東隆

    ○東隆君 両方水道関係した課があるようですから、建設省のほうにも、今のことに対して御意見を伺つておきたいんですが。
  26. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 先ず以て竣工認定が遅れたためにいろいろご迷惑をかけたことをお詫びいたします。  只今の御質問にお答えをいたします。私のほうとしましては、建設省の性格がどういう性格であるか、こういうことを認識して頂けば、勿論建設省一元化は問題でないのであります。建設省は国の関与する建設事業を最も能率的に確実にやるためにある総合技術官庁じやないかと私は考えております。そういう意味におきまして、この水道の建設を最も確実に能率的にやるためには、私のほうでこれはやつていいのじやないか、こういうふうな信念を持つておるのであります。只今維持をするものが建設をやつたほうがいいのじやないか、こういう御意見もありました。これは普通の例で見ましても、使う者が必ずしもその道の熟練者じやないのであります。これは家を建てるにしましても、家を使う人は一般の人であります。これを建てるには大工という熟練工が要る。我々は水道建設という熟練工であります。ですからその水道施設する上には、その目的に最も副うような熟練工でありますので、ここに委されたほうが最も能率的であり、又効果的じやないか、こういうふうに思うのであります。この水道技術というものは、いわゆる土木屋ではないのであります。土木衛生工学というと、土木工学の中にありますが、これは土木技術古基礎にしまして、いわゆる水質衛生を入れました土木工学であります。ですからこれを水道技術者に委されれば、全然そうした衛生方面からも憂えはないと思います。従つて厚生省のほうでは、大所高所からでき上つた水に対してこれを監督される、或いはいろいろ御意見を頂く、こういうふうにして頂けば、勿論厚生省としましては、国民保健に非常な関心を持つておられることは当然だと思います。そういうふうにして頂けば、別に何もないと思います。今までいろいろ紛争が起つておりますが、実はまあ昭和十三年に厚生省ができまして、そこで紛争が起つたように今まで申されておりますが、実際は終戦直後までは別に支障はなかつたのであります。と言いますのは、先方ではお医者の技術官が一人おいでになりまして、あとのいわゆる水道技術というものは私のほうに全部委されておつたがために、別に何ら支障も困難もなかつた只今その覚え書を専門員からも御説明がありましたが、この御説明に対して多少私は見解が違つておるのじやないかというふうに思うのであります。それは計画は厚生省でやられ、竣工検査建設省でやる、こういうふうにおつしやいましたが、そのいわゆる初めの事務的のものは勿論向うが主管しておられますが、その計画の内容工事費の査定、そういうものはすべて技術的なものでありまして、我々のほうでやつておるのであります。そういうことに基いて竣工検査をやつておるのであります。この点が根本的な誤解ではないかと、こういうふうに思つております。ですから竣工検査が、両省に跨がり、いわゆる事務の何が共管になつておるから、竣工検査が遅れたということはちよつと言いにくいのじやないかと思います。勿論竣工検査が遅れましたのは、私のほうのいろいろ手不足とか或いは費用、経費の少いために、とかく遅れて、いろいろ支障を来して、会計検査院からもお叱りを受けておるような状態で、この点は非常に私のほうとしましても遺憾に思つておるのでありまして、今後はこれを速かに訂正をして行きたい、こういうふうに思つておるのであります。  なお、その補助の点でありますが、補助はいわゆる建設費の補助であります。その建設費の補助でありますから、工事内容を初めよく知つて、そうして初めて補助の計画がきめられるのであります。従つてこの検査に当りましても、適当な検査検査が遅れたということは別としまして、的確なる検査ができるのじやないか、こういうふうに思つております。いろいろこれは、勿論私は建設省の人間でありますし、一方的な考え方かもわかりませんですが、私自身は三十年近くもこの上下水道に専念しておるのでありまして、純技術的な立場から、如何にしてこの水道を先達さすかということに対しては、殆んど全生涯を捧げておるのでありまして、こういう強い信念を持つておるのであります。
  27. 東隆

    ○東隆君 今委員長もお聞きになつ通り、この問題は建設省厚生省両方に跨つていて解決のできないものであります。そのために今まで悩んでおる問題がありますが、私はやはりこれを解決をしなければ、いろいろな問題が差障りを起して来る、こういうふうに考えますので、この決算委員会で非常に専門違いのところかも知れませんけれども、或る程度一つ委員会まで持ち出してでも、一つ方向を示して促進をする態勢をとつたほうがいい、こんなようなことも考えます。私の考えを申述べておきます。
  28. 大倉精一

    ○大倉精一君 人員不足ということが書かれておるのですが、この点についてちよつとお伺いしたいのですが、厚生省或いは建設省両省に跨つておるので、工合が悪いということもあると思いますが、併しなからそうてない他の件についても、やはりこれに似た事件はたくさんあるのですが、ここでプリントを見ますというと、結局一番害になるのは、予算人員が少いという工合に見受けられる。そのプリントはどこのプリントか知りませんが、(2)のところ、主務省工事査定、これの(イ)に、「机上査定の多いことが不当事実発生の有力な原因ではないか」という工合に断定しておられる。この有力な原因であるその意味は「現行予算及び人員では、災害箇所を逐一現地査定を行うことは困難であるので本省においては、書類上特に現地査定の必要ないと認められる工事については、机上査定により、現在の予算及び人員を最大限有効に活用している」、これが非常に大事だと思いますが、而もその(ロ)のところに、予算が、本省事業指導監督経費(旅費)は八十二万二千円、現員として十三名、内事務官が六名、技官が七名、而も補助事業主体総数は一千百七十カ所、国庫補助金総額十四億何ぼ、こういうようなことが、これが大きな原因だということになれば、その他の問題をいろいろひねくつてみても、結局十分な指導監督或いはこの検収その他もできないということになるのじやないかと思いますが、この点はどうですか。
  29. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) この上下水道事業はこれは国の直営事業で、ございませんので、専ら市町村仕事として実施をいたしております。ただこの補助執行いたす建前から、或いは遅れた技術を向上させる建前から、これを監督をいたしておるわけであります。そこで勿論私どもといたしましては、手不足を王子補う必要は、先ほどもお答え申上げた通りなんでありますけれども、もつと本旨は地方自治の精神から考えましても、もう少しく現場において十分な指導監督ができるようにいたすことが、より効率的かと存じます。現在成るほど千余カ所でありますが、これは簡易水道を含めた将来を見越しますれば、何千カ所にも工事が拡がるわけであります。そういたしますと、それを一々国から直接出かけて行つて指導監督をするということは、なかなか事務能率の点から申しましても、不経済にもなり、又徹底を欠く嫌いもあるので、むしろこれは私どもは都道府県を十分に監督いたし、都道府県技術力を高めまして、その手によつて市町村指導することが私どもとしては方法ではなかろうかと存じております。併しこれは、ただ私の一つの考え方でありますけれども、市町村仕事を全部国が直接これを監督して行くということは、国の事業なら別といたしまして、少しくそこに無理が手伝うのではなかろうか、かような考えを持つております。そういたしますれば、若干現在の人間を増した程度で本省関係はできるのではなかろうか、さように思いますが、なお、これが国の事業でないところに、つまり行政の、むしろ妙味があるとも私どもは考えておるわけであります。この辺には併し異論が残るだろうと存じます。これは御批判を頂く問題だと存じます。
  30. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは地方において責任を持つてつてもらうのが一番いいという御意見ですが、それは尤もなことだと思います。ところが現実の問題として、この問題に限らず、どの批難事項を見ても、必ず小さい市町村ではその検査能力がないというようなことがやはり指摘されておりまするそこでやはりそういう現場において、本省指導監督というのが相当重要になつて来る。そこでさつき申しましたような点が、厚生省の公衆衛生局の環境衛生部水道課ですが、このプリントとして今申上げたような不当事実発生の有力な原因というものが載つておる。併しそのことは、現在の予算及び人員というものが根本原因になるということをみずから認めておる。そうすれば私は、この問題を何とかこれで解決しないというと、来年も再来年もその次の年も、こういう同じようなものが発生して来るのじやないか。従つて私はここで今いろいろな問題を追及して行つても、この問題が何とか解決しないというと、結局又同じ問題が繰返すような気がするのですが、而もこれだけの人員では、初めからこの担当宮は、人員不足で、経費がないのだから、到底十分な監督はできないのだというような、初めからそういう気持で、他人のやつたことだ。そういう精神状態になるのじやないか、そういうことが非常に大きな原因じやないかと思うのですが、もう一回その点について。
  31. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 成るほど現在の制度と申しましようか、現行法の範囲におきましては、これは御指摘の通りであります。従つて現在の水道条例なり下水道決を一応肯定して考えますれば、これは御指摘の通りでございまして、相当な人員増をいたしまして、末端までの監督徹底を期する必要があると存じます。併しこのためには、これを仮に数人を増加するというような職員増ではとてもカバーできませんので、徹底して責任を持つてやるということになりますれば、かなりの人員増を来たすのではなかろうか、そういたしますと、それは一体現在人員整理というような最中に、或いは又一方、できるだけ国の事務を地方に移管するというような精神から申しましても、むしろ逆行するものではなかろうか、こう考えまして、私どもといたしましては、何とか地方の技術力を高め、そして都道府県知事監督権を強化いたしまして、かような市町村監督して行くことが筋ではなかろうか、こんなふうに考えておることを申上げたに過ぎません。併し只今申上げますように、一応国が直接責任を持つのがいいのだという結論になりますれば、それはそのように人員を増加しなければならん、これは申すまでもございません。
  32. 大倉精一

    ○大倉精一君 会計検査院のほうにお伺いするのですが、この土下水道検査は、これは全件数のうちで何割くらい検査するのか、この点について……。
  33. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 二十六年度分では、ちよつと統計をとつておらんのであれですが、二十七年度検査報告に挙げておるのがありますが、二十七年度で大体決算金額に対して一五%の実地検査をやつております。
  34. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、全部検査されればまだ相当、何と言いますか、不当な工事というのが出て来ると思うのですが、私は人員なり、予算なりというものは、今の御答弁で行くと、現在の制度ではどうにも行かんのだから、人員を幾ら殖やしてもだめだというようなお話が亙るのですが、一つの制度を打つたら、その制度の完全な運営ができるような人員予算をとらなければ、何のために制度を作つたかわからんという気がするのです。而も今度のように、頭から天引一割減とか、さつぱりそういうような無計画、無方針予算を減らすとか殖やすというのは、これは厚生省ばかりではありません、農林省、建設省運輸省あたりもそうです。そういう制度を運営する、義務を遂行することのできないような人員予算で、もつとやれ、どんどんやれ——そこに原因があると思うのです。私は丸つきりどうも納得が、合点の行かんところです。従つて制度を変えるとおつしやられれば結構です。変えたら変えたで変えたような人員予算をやらなければ、幾ら制度を変えても、それが伴わない、兼務を遂行するのに不十分で、丸つきりできないような予算人員では、どんないい制度、手続を作つても、結局何にもならない。それはどうですか。それの御意見。
  35. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 誠にその点は私ども肯けるのでありまして、例えば仮に地方に事務を委かすという制度にすれば、本省は職員が要らんだろうということになつて、ばつさり皆落されるという心配は勿論ございますが、これは勿論私といたしましては、極力さようなことは財務当局或いは人員を担当する当局の、一つできるだけの納得を頂きまして、それによつて仕事に差障りのないようなことで、進む以外に方法はなかろうかと存じます。併し従来、えて、ただ事務の実態を承知せずに、画一的に、或いはただ数字をはじき出す意味から、人員整理等が行われ、又誠に名目的な意味から理窟をひねくり廻して、職員の配置をしておつたというような現状につきましては、これは全く御指摘の通り、私も考えておる次第でございます。
  36. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはもう煎じつめれば、私は官僚の、こう言つては失礼かも知れませんが、一つの気力が欠けているところがあると思うのです。制度を作り、事務規程を作り、事務文書を作り、或いは所管事項をきめられて、そして責任者ができないようなことを押しつけられて、それで仕方がない、文句を言うと首になるという恰好になるだろうと思うのです。そこでどんな制度を作つても、繰返すようですけれども、それが、必要なものはやはり確保するようにして、できなければ、責任をとれないから辞めるくらいの気魄を持つてやらなければ、解決できない問題である。これはもうこの間違軸委員会において指摘したんですが、確かに、例えば一例を申しますれば、監督という一つの任務がある、ところが実際には監督できるような人間はいない、事務に追われて。而も監督という純然たる一つの社会的な任務である。これを全然放棄しなければならん。而も責任者の局長さんは信然として、人員がないから監督強化ができないと言つておられる。これでは私は今あなたのおつしやつたように、地方のほうがもつと責任を持つてやれるような組織にしなければならんと言つても、結局地方にそれだけの人員予算がきちんとしてなければ、これは地方のほうもやれない。ですから結局意味のない幻影を次から次に追廻しているというようなことで、これはなかなかむずかしいことであろうと思いますが、私はそこが根本的な原因ではないかというふうに考えるのですが、どうですか。
  37. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 全く御指摘の通りでありまして、今後できるだけ一つ努力をいたしまして、首になつてもいいくらいの元気で国民のために働いて参りますが、ただ私は一応日本の役人の数というようなことも、全体的にはいろいろ非難もされております。殊に例えば日本の官吏制度において、私自分が役人で、これを批判することは甚だよくないことでありますが、今まであつたことは既成事実が実に強く、新らしく伸びてゆこうというものはどうも弱い、なかなか職員もとりにくいというようなところに、大きな矛盾があるわけです。従つてむしろかような貧乏の国においては、或る程度仕事を伸ばして軌道に乗つたら、あとはそれはむしろ逐次縮小して、それを新らしい方向に振り向けて行くというような移り変りが必要だと、かように考えますが、併し役所というものはどうも既成事実が強いものですから、そのほうが強力で、事なかれ主義と申しますか、既成事事に追われて、新しい仕事をして行く水道ごとき、今後大いにこれからやつて行かなければならんような仕事は、取残された仕事はますます弱くなつてしまうというような感が深いのであります。ですからこれも無理なことは言えませんので、私どもといたしましては、少い人員で而も能率の上る組織を国民のために大いに考えなければならんと思います。それで先ず私は都道府県を十分に監督すること、それだつたら四十六人ですからどうやら徹底する、その力を以て各管内の市町村をやつて行くというようなことが、むしろ国民のために能率的ではなかろうかという点で申上げたわけでありますが、決して私イージー・ゴーイングから、かような事なかれ主義を主張しているわけでは毛頭ございません。
  38. 大倉精一

    ○大倉精一君 ただ私が思うことは、人員の節減、人件費の節減も結構だと思うが、その人件費の節減によつて、無理な節減よりも——けちすることによつて、これだけ検査したうちでも、百五十三万五千円ですか、こういう不当なものが出ている。従つて私はこういう現在のの役人の人員整理というようなものは、当面の帳面ずらを合せるだけであつて、それによつて尻抜けの損失がたくさんあつて、結局国民に迷惑がかかる。従つてこういう無計画な人員配置というか、人員整理というか、そういう政府の方針について追求して行かなければならんと思うのですが、これ以上ここでやつても仕方がないことでありますから、一応これで……。
  39. 谷口弥三郎

    委員長谷口弥三郎君) それではなお御質問のかたもあるようでございますが、本問題は次に譲りまして、本日はこれを以て散会することといたします。    午後零時四十五分散会