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1954-05-19 第19回国会 参議院 決算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十九日(水曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            谷口弥三郎君            長谷山行毅君            島村 軍次君            岡  三郎君            菊田 七平君            平林 太一君    委員            雨森 常夫君            小沢久太郎君            木村 守江君            飯島連次郎君            久保  等君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            八木 幸吉君   —————————————    会計検査院長  佐藤  基君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    会計検査院事務    総長官房総務課    長       白木 康進君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第二十九回委員会を開会いたします。  本日は、飯島委員からの要望もありましたので、佐藤会計検査院長に対し、昭和二十七年度決算検査報告その他検査院機構拡充も要望されておりまするので、この際、会計校査院の業務に関する諸問題等につき一般的質疑をいたしたいと存じます。  その前に、佐藤院長見解をお聞きしておきたいと存じますが、院法その他に規定する懲戒処分要求につきましては、過日も本会議において懲戒処分適正励行に関する画期的な決議もなされた関係もありまして、かような参議院の意見と並行して検査院のこれに関する要求権励行も必要であろうと考え、去る五月十日の本委員会において池田事務総長からこの点に関し見解を開いたのでありますが、なも、注意とか、訓告とか、法によらざる処分がなされた案件について、懲戒処分要求に該当するものについての処置又は訓告などを規定する官吏服務紀律がなお有効であるという解釈については、我々の了解ができないところであります。その第一として、国家公務員法という法律は、命令である官吏服務紀律を補充するものではない。却つてその命令であるところの官吏服務紀律を廃止して、全く新たに制定された独立の法律である。そこでその第二は、然らば若しも注意とか或いは訓告命令権者によつてなされた場合に、合計検査院の見るところでは軽きに失する、まあ軽い重いということを第二にして、法律上の処分が未だなされずというところから、国家公務員法処罰規定適用要求しなければならないと思うのであります。それらについて会計検査院長から御意見を伺いたいのであります。なお、その際に池田事務総長は、なお研究が熟しておらないから、帰つてもう一遍検討をし直した上で改めてというようなお言葉もございましたので、その後、御検討なつた結果でもございますれば、この際に明確にそれを伺い、同時に忌憚なく申上げますれば、会計検査院要求権を用いる、用いないということに関しては、非常に腰弱である、力が足らない、本来持つておる力を十分に使つておらないというような我々の見解もございますので、本院の画期的なこの決議と相並行して、でき得るならば会計検査院におかれても、今後十二分にこれらの要求権というものを行使せられ、国会会計検査院と相待つて会計審査の完璧を期したいと考えますので、この点につきましても、この際腹蔵なく院長から御意見やら決意やらを伺いたいと思います。
  3. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 我々会計検査院におるものとして、憲法改正になりまして、いわゆる民主的な検査をやる、国民のために会計検査をやるという気持でやつておるのであります。そこで今お話になりました懲戒処分適正励行に関する決議でありますが、極めて適切な決議でありまして、我々も同感でありまして、国民の金を不当違法に使うということは、国民に対して甚だ相済まんと思いまして、そういうことをしたものについては適当な処分をするという、殊に必要によつて懲戒処分をするということは当然なことでありまして、我々といたしましても、その懲戒処分要求につきましては、法の定むるところによりまして、各省庁の長官懲戒権者要求しておるのでありますが、ただお話の、会計検査院懲戒処分要求が生温いのではないかというお考え、或いはそういうふうに見られるのかも知れませんが、我々としては法の定むるところによりまして、できるだけのことはやつておる。先ほど申しました民主国会計検査院として、国民の金を違法不当に使うということはどこまでも追及しなければならんので、そういう覚悟でやつておるのであります。併しながら懲戒要求につきましては、院法なり、行政機構なり、或いは又政府契約支払遅延防止等に関する法律等によりまして、要件が限定されておるということと、いやしくも会計検査院がその権威を以て懲戒要求するにつきましては、十分な基礎資料、十分な理由検討してやるので、不当事実が発生いたしましても、その事実の発生の責任関係というものが往々にして明瞭でない場合、或いは法の要件を備えない場合、そういう場合におきましては、事態そのものは甚だけしからんと思うのでありますけれども、法の定むる懲戒要求ということを躊躇せざるを得ないという事態があるのであります。この懲戒要求につきましては、殊に行政機構等につきましてはお話もありますし、又我々としても是非やらなければならんことなので、実は毎月、一回ずつ、その審査経過を我々の検査官会議に、事務当局から報告させまして、しよつちゆう懲戒要求が三の次にならんように、これは重要なことだから、しつかりやれ、という意味で、督励の意味も兼ねてやつておるのでありまして、現行法の範囲におきましては、我々はできるだけのことをやつておると思います。  それから次に、官吏服務紀律による訓告の問題でありますが、前回でしたか、前々回のこの委員会での事務総長の答弁がやや不完全な点がありますので、これを補足しておきたいと思います。官吏服務紀律というのは、明治二十年の勅令三十九号でできたものでありまして、いわゆる旧憲法時代において、その勅令としての効力が存続するものとせられ、憲法改正後におきましては、昭和二十二年の法律第七十二号、日本国憲法施行の際現に効力を有する命令規定効力等に関する法律、その第一条によりまして、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令規定で、法律を以て規定すべき事項規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律同一効力を有するものとする」、この規定によりまして二十二年末までは官吏服務紀律法律たる効力を持つてつたのであります。それで二十三年になりましては、国家公務員法規定が施行されることになつたのでありますが、その公務員法規定は全面的の適用を同時にやらなかつたので、個々の規定について適用を定めたので、その国家公務員法規定当該事項に関して適用されるまでは、官吏その他政府職員任免叙級、休職、復職、懲戒その他身分上の事項等につきましては従前の例による、即ち前の昭和二十二年の法律第七十二号によつて一応二十二年末に効力を失うものが、この国家公務員法規定適用されるまで、官吏任免等に関する法律というのでその効力を更に存続させたのであります。併しながら現在におきましては、すでに国家公務員法規定適用されておるので、官吏服務紀律というものは効力がない、失効したのでありまして、委員長のおつしやつた通り官吏服務紀律による訓告ということは、現在は法律上はあり得ないということになります。  そこで次の問題は、注意と申しますか、そういうふうな国家公務員法による懲戒即ち免職とか停職とか減給とか戒告、こういう処分公務員法におきましてはこの四つの処分をやることになつておりますが、この処分をやつた場合、これは即ち懲戒処分によつたのでありますが、然らざる場合には注意とか警告とか、そういうようないわゆる国家公務員法上の懲戒にあらざる処分をした場合においては、我々のほうとして見れば、いわゆる懲戒処分は行われておらんのでありますからして、その問題たる行為の内容、軽重審査いたしまして、懲戒処分に該当するものと思えば、何も遠慮せずに、又法律上なすべきでありますからして、懲戒処分要求はする、こういうことにいたしております。
  4. 八木幸吉

    八木幸吉君 今会計検査院院長の御説明によりますと、明治二十年の勅令第三十九号官吏服務紀律はもはや効力を失したかのごとく承つたのでありますけれども、成るほど国家公務員法が制定されましたので、一般職職員に対しては官吏服務紀律適用はないのでありましようけれども、特別職に対してはやはり今の勅令第三十九号の官吏服務紀律適用があるものと、かように私は思つておるのでありまして、その点今の御説明ちよつと私納得行きかねるように思うのでありますが、如何でございますか。
  5. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 今申しましたのは、一般職の問題を申上げたつもりであります。
  6. 八木幸吉

    八木幸吉君 そういたしますと、特別職に対してはやはり官吏服務紀律従前通り適用があるものと、かように解釈をいたしましてよろしゆうございますか。
  7. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 特別職関係は、実は一般職の問題を研究して、特別職の問題は実は余りよく研究していないのですが、特別職につきましては、先ほど申しました昭和二十二年法律第七十二号によりまして、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令規定で、法律を以て規定すべき事項規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律同一効力を有するもの」とありますからして、二十三年以後におきましては、効力がないものと思います。のみならず官吏服務紀律は特に国家公務員法附属法令で、効力を存続さしている部分はありますけれども、特別職につきましては国家公務員法規定適用がないのでありますから、従つて前の二十二年の七十二号によつて効力を失うものと私は考えております。
  8. 八木幸吉

    八木幸吉君 これ以上会計検査院長伺つても無理だと思いますので、参考のために院長に申上げますが、実は大臣営利企業に対する就職禁止法律案研究いたしましたときに、従前官吏服務紀律によりますと、官吏が私企業に関係する場合には本属長官許可を要する、こういう規定があるわけでありまして、大臣等のいわゆる特別職営利企業等関係する場合には総理大臣許可を受ければできる、その法的根拠只今申しました明治二十年の勅令第三十九号による、従つてこの勅令第三十九号による官吏服務紀律というものは、国家公務員法規定された一般職以外の特別職に対してはなお現在においても効力を持つておる、こういう解釈を実は私は聞きましたので、今さような発言をしたわけでありますが、法制局等にも御連絡を頂いし、この点なお研究をして頂くほうがいいのじやないか、かように思いまして申上げます。
  9. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 院長に二、三お尋ねをしたいとこう思います。それは若干この前の委員会で他の委員から発言もありましたので、重複は努めて避けることにしたいと思いますが、従来の会計検査院報告等を拝見いたしますると、大体形式が固定化しておるように考える。ところがこれを中心にする我々決算委員会審議過程から考えて、審議重点的に取上げて参つたことは周知の事実であります。そのことによつて或いは当委員会において、或いは本院における委員長報告、若しくは本院における決議等によつて国民全般にも決算重要性、なかんずく不正不当事項等中心にする是正、或いは予防等の認識をかなり高めて参つたかと考えるのでありますが、そういつた決算委員会における審議過程等を回顧して見ると、これに呼応する会計検査院国会に対する報告等は、もう少し積極的であつて、いわゆる平板的な類型に堕することなしに、やはり重点を指向して、そうしてこれに呼応するところがあつてほしいということを非常に強く感ずるわけでありまして、そういつた見地から、私ども二、三の質問をしたいと思うことは、昭和二十七年度の検査報告を二十六年度のそれと対比して見て、一つ事例を挙げますならば、不当並びに不正事項の項目における特に農林運輸建設、この三省がいつも大きな分量を占めて、批難重点対象になつておる省でありますが、これを二十六、二十七両年度を通じて見ると、建設省に関してはかなりこの批難件数が減少を見ておりますけれども、運輸農林の両省に関する限りは、二十六年度に比べて二十七年度は或いは三倍近い、或いは二倍近い件数が殖えておるのでありまして、こういう事実等に対しても、従来行なつて来たような平板的な報告なり、審査等を以てしたのでは、これが是正なり予防という効果が期待できないのではないかということが憂慮されるわけでございます。従つてこれはほんの一つ事例に過ぎないのでありますが、こういう案件、こういう省等に対しては、原因の所在がすでに過去数年に亘る会計検査の結果に徴して極めて明白だと思う。従つてこれを是正なり予防するためには、やはり会計検査院とされては、もう少しこういうところには抜本的な方途が講ぜられて然るべきだと思いますが、これらについては、院長としての御方針なり或いは今までの経過等について御意見がおありのことと思いますから、その点先ず伺いたいと思います。
  10. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 只今お話御尤もで、私も実は非常に、その点はどうすればいいかということをしよつちゆう同僚とも話しておるのでありますが、検査院検査報青のいわゆる不当経理事項というものの数を見ますと、今お話通り補助金関係が非常に殖えておるのであります。ここに数字を持つて参りましたが、二十五年度については百三十七件であつたものが、二十六年度は五百件、二十七年度は千百六十六件ということになつております。この点につきまして、検査に行くものが一生懸命にやつて違法不当事項を発見して来るのでありますからして、それを抑える必要はちつともないので、どんどんやれと言つておるのでありますけれども、ただ第一線的に違法不当を摘発しておるだけでは、結局この件数はなかなか減りそうもないのであります。今ほかの件、補助金以外のものにつきましては、租税が若干殖えておりますけれども、租税補助金以外のものの件数を申上げますと、二十五年度が六百八十八件、二十六年度が三百八十九件、二十七年度が二百四十八件とだんだん減つて来ておるのであります。これは勿論主務省会計経理というものが非常に注意されて行われておるということもありますけれども、我々の検査の結果のいろいろな所見というものが反映し、殊に国会における決算委員会の非常に有力なる御活動が政府を戒めて、こういうふうに減つて来たものと思つて喜んでおるのでありますが、ただ、今申上げました補助金だけはどうも余り殖え過ぎる。そこで第一線におけるところの検査によりまして、違法不当の事項を発見し、これを摘発するということは勿論必要でありますけれども、検査院予防的な検査と申しますか、予防的な合理的な努力ということが一方においては足らんのじやないかという点、今飯島さんの言われる通り、我々のほうでも非常に気にしておるのであります。それでいろいろな方法で、例えばこの前、多少法律的なことになりますけれども、こちらから関係大臣院長名勧告意見を述べております。そのほか、又事務総局総長、或いは主管局長から関係省局長次官等にも注意するように意見を述べております。併しながら、この補助金に関する件数の増加を見ますると、我々の警告なり意見表示というものの効果が、まだ現われておらんというふうで、非常に残念に思つておるのでありますが、この点についてはなお一層やりたいと思つております。  それから次に、検査報告の記述の平面的だというお話、これは実は御趣旨を十分呑み込めないから、或いは私の申上げることがぴつたり合うかどうかわかりませんが、検査報告は数年前のとこの頃のと比べて見られると、よほどわかり易くなつたという気が実はしておるのであります。我々といたしましても、長い間、歴史の古い検査院のことでありますからして、やはり非常な、伝統的な書き方があつたのでありますが、成るべく平易に、一読してわかるようにということを努力しておりまして、表現方法も衰えたのてありますが、今申されました、そのいわゆる重点的に書くというのには、一体どうしたらいいかというので、実は若干研究はしておるのでありますけれども、その一つとしては、こちらから意見を述べて是正された事項というものは、比較的問題が、まあ小さいと申しますか、軽いと申しますか、是正事項というものは、別に分けておる。見解の相違、或いは是正できないので、そのままになつておるという事項、そういう批難事項是正事項というものを分けて書いておるのでありますが、いわゆる是正事項以外の事項について、軽重を設けるということは、国会委員会における御審議には、成るほど我々としてもそういうものを出されたのではなかなかわからないので、軽重をつけてもらいたいという気持があるわけであります。そこでどうやつてつけようかというので、この前事務総長ちよつと申したと思いますが、内部的には軽重度合によつて三つの段階を設けておるのでありますが、これはなかなか、実は人によつて、大差ありませんけれども、細かい点に行くと、非常に事態の重いものになるか、中くらいのものになるかという、その限界に行くとなかなかむずかしいので、そこで検査院意思表示として、未だ決定するに至つておらんのであります。飯島委員お話、御尤でありますからして、私もできるだけやりたいと思いますが、そう言つちや何ですが、具体的な案でもおありになれば、十分考えてみたいと思います。我々も考えておるのでありますけれども、未だ実はどういうふうにしたらいいという結論を得てないのであります。そういう状態であります。御趣旨はよくわかりました。
  11. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 重点的にという意味について、大体私の意図するところは、今のお答えでは私の期待には副いませんが、おわかりは頂いておると思います。例えば一つの具体的な方法としては正規のこの決算報告書では、必ずしもそういう違つた取扱いが困難かとも考えられますので、若しそいつが困難であるとすれば、これに対する特に重点事項等については附属書といいますか、これに対する参考書類的なものが準備をされて、こちらの決算の進行途上要求された場合には、いつでもそれが提出できるなり、或いはそれの準備等がなされるのも、一つの私は方法かと考えます。従来この決算委員会審議に当つて、その点についてこれに記述されない経過なり或いはこれで不足を告げている事項等要求がしばしばあることに徴しても、特に全部についてそういう必要はないと考えますけれども、我々が重点と考える事項についてはそういうことが私は準備されて然るべきではないか、まあこれは一つの具体的な例になるかも知れませんが、そういうことについては、資料準備等は如何ですか。
  12. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 先ほど私少し申し落しましたが、会計検査院年報会計検査院はどんな仕事をしたかという、これは毎年実は出しているのであります。こういうものが、これは恐らくお手許に行つておるのじやないかと思いますが、まあ検査院報告というもものは、院法によりましていろいろな要件を限られている。そこで比較的重点と申しますか、機動的と申しますか、書くことはむずかしいのでありますが、そこを成るべく通俗的に重点事項を主として書いた会計検査院年報会計検査院はどんな仕事をしたか、これに比較的平易に書いてあるつもりであります。これは各方面にお配りしてあるのでありますから、相当これは手前味噌になりますけれども、これはなかなかいいという御批評も頂いておるのでありまして、まあ差詰めの問題としては、この年報を更にわかりやすく、重点的に平易に書くということに更に努力すれば或る程度御希望に副えるのじやないかとも思います。
  13. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから次には昭和二十七年度が二十六年度に比べて批難件数がかなり大幅に殖えておる。その理由がどこにあるか、それを一つ説明願いたい。
  14. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) それは先ほど申した数字ですぐわかるのでありますが、昭和二十五年度の掲載事項件数は千百十三件、二十六年が千百九十八件、大差ありません。二十七年が千八百十三件、六百件くらい殖えておりますが、この殖えたのは結局補助金が二十六年が五百件に対し二十七年が千百六十六件、六百件余り殖えております。結局補助金批難事項が殖えたということが主たる原因であります。
  15. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そのほかに従来の御説明等を総合して考えられることは、会計検査院を全般的に見て、検査能力が向上して来た或いは充実の度合を増して来たということも一つ理由に数えられるのじやないかと思います。この点は責任者としてどう考えられますか。
  16. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 実は非常に、その点あると思いますが、まあ手前味噌だから遠慮したのでありますが、幸いに職員が非常に検査に一生懸命になり、又一生懸命になりたくてもすぐにはなれないのでありますが、やはり経験を積みまして、一生懸懸命にやつて経験を積みますからして、検査能力は相当向上して来たというふうに考えております。従つて従来では見つからなかつたという、言葉は悪いのでありますが、見つからなかつたようなことでも見つかつておる、その点は確かにあります。
  17. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ところでそういうことをみずから認められるとすれば、私は若干これは会計検査院の内部の部処に関する問題と考えますが、特に補助金等をめぐる農林関係批難件数は非常に多いという、これに関しては農林関係を担当する人員等が過少ではないか、従つて仕事そのものが非常に偏しておるのじやないかということが感じられますが、それは特に建設省等と比較をして我々が批難事項検討した場合に、そういうことが察知せられるわけでありますが、この点に関しては現状はどうでございましようか。
  18. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 農林検査につきましては、実はこの補助関係の問題が非常に大きいので、これは遺憾ながらどうも全国的に非常にひどいので、これは二年かかつても三年かかつても徹底的に私はやりたいと思つております。それで人員の問題になるのでありまするが、これは別な機会に申上げたかと思いますが、二十九年度におきましては一般行政整理が行われた。それで会計検査院も整理しようという話があつたのでありまするけれども、一般官庁と同じな人事とか会計とか庶務というような管理職員につきましては、これはまあ会計検査院だけ特別なものだということはなかなかむずかしいので、或る程度人員整理をしました。併しながらこの二十六年、七年の検査の結果を見ますというと、農林補助工事に対する不当事項が非常に多い。これは今の人間でも足りないので、現場につきましては恐らく一割ぐらいしか見ておらんはずでありますが、それでもどんどん殖えるので、これはどうしても行政整理どころではない、人を増さなければならんということで、本来ならば行政管理部門を減らしつ放しにするはずを、管理部門の減らし方をうんと少くして、その残りの部分は主として農林検査建設にも若干持つて来ましたが、そういうふうな方法で、この行政整理時代にもかかわらず、検査院特異性に基いて若干増強をしておるのであります。併しながらこれを以て十分であるとは勿論考えないので、又後の機会に考えなければならんと、こう思つております。
  19. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は冒頭にも申上げたように、会計検査院の機能は、会計検査院法の二十条にも明記してあるように、「会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、更正を図る」ということが規定されておりますのに徴しても、会計経理を監督するという段階、これらは具体的にはどういうふうに施行されておりますか。簡潔で結構ですから現状をお伺いしたい。
  20. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) これは結局、実際問題といたしましては、やはり不当事項の摘発を中心とするようになると思いますが、それらから帰納して、どういうふうにやつているからしてこういうことが起る、だからそういう点は直さなければいかんということなんです。或いはその他いろいろな、向うからこういう場合にはどうしたらいいかというような場合には、これはこうすべきだとかいうような方法によりましていわゆる監督の機能を果しております。
  21. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は、質問をここで打切りますが、最後に、これは各省別の不正不当事項等を見ると、大体不正不当事項はその項目的な件数等が大体類型化して来たというか、一つ一般的な傾向を打つておることは明らかであります。従つてこれらに対して当委員会としては、もうできるだけこういうことを決算報告等を通じて、次年度に或いは更にその次の新らしい年度における同様の事項の発生を防止するということが、私は隠れた大きな目的であろうと考えますが、そういう見地からして、当委員会審議等と相呼応して、我々に与えられた二十七年度の決算事項だけに限るごとなく、この前の理事会等の打合せの重点事項等に徴しても、飽くまで当委員会としては会計検査院の現有機能を最大限に発揮せしむる、又これと相呼応して、今まで大体一つの傾向をなして来た不正不当事項等については、少くとも当二十七年度の決算等を通じて、これを一つ抜本的な成果を挙げるということを我々は念願しておるものであります。検査院とされても、この点について長い経験と、それから深い経歴を持つておられることでありますから、どういう方途を講じたら、そういつた我々決算委員会で企図しておる意図に副い得るかということを、院長の立場から一つお伺いして、質問を終りたいと思います。
  22. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) これはやはり根本は、何と申しましても主務省が正当な経理、適法な経理をやることが根本なんですが、それを主務省みずから勿論努力すると思いますが、我々としては外から悪いことをしない、間違つたことをしないようにという要望的な意味においては警告を発する、意見を述べるということになるのです。殊に我々のほうもできるだけやつておりますが、この委員会におきまして、各省に対していろいろ御注意、御鞭撻を賜るということは、陰ながら聞いておると、各省でも非常に、何と申しますか、薬が効いておると申しますか、この委員会の熱心なる御討議御活動によりまして、よほど各省も自粛しておると思います。その点は非常に我々国民としての立場においても感謝すべきことでありますので、従来通り更に一層の各省に対する検査報告を通じて、各省の不当事項が発生しないような御処置をお願いする次第でありますが、我々のほうとしても、勿論できるだけのことをやつておりまして、いろいろな方法で各省が悪いことをしないように、結局最近の我々のほうの傾向としては、第一線機関におけるところの摘発ということも勿論必要でありますけれども、同時に各省の首脳部において、そういう不当事項が発生しないような監督的措置を更に厳重に講じてもらうという方向に、我々の努力を相当向けておるつもりでありますし、又更にこれを強力にしたいと思つておる次第であります。
  23. 平林太一

    ○平林太一君 会計検査院長にこういうことを私一つ質しておきたいのですが、先刻冒頭に委員長から、いわゆる国民のための、国民の血税に対する政府の使い方に対して、これを検査するのであるということは、誠に至当でありまして以前はいわゆる天皇の名において、天皇のための検査をするのである、こういうような事態で、会計検査院の性格はそうであつたのでありますが、併しその比重というものは、天皇の名においてやるというこの検査よりも、国民のために、国民の名においてやるという検査というものが如何に重責であるかということは、極めて明白であります。それでありますから、会計検査院長会計検査に処する行為、態度というものは、天皇の名においてなした往年の会計検査院よりも遥かに地位は格段の向上をしておる。同時にその権威、見識というものは遥かに大であるということを先ず一つお考えになられて、この検査の任に当られたいということを冒頭に申上げておくわけであります。  それから、取あえず具体的に伺いたいことは、内閣総理大臣以下各大臣に接近したところの経理会計、例えば内閣総理大臣の使用する交際費でありますとか、機密費でありますとか、そういうもの、それからまあ非常に落ちるが、各省大臣のやはり手許において経理せられておるその身辺に関係する会計経理、こういうものに対する検査に対して、今日までまだ現在において何か圧力を感ぜられたようなことがおありになるかどうか。又圧力は感じないまでも、一つの威圧というようなものが不離不即の間にそこに行われて、検査の上に不自由を感じられるような点がおありになるかどうか。こういう点を一つ伺いたい。伺いたいと申しますことは、殊に現在のこの吉田内閣というものは、すでに司法権に対して指揮権の発動までしている。そうして自己の不法行為を隠蔽しようとする。或いはこの司法権に対する重大なる侵害、侵犯をあえていたすことを辞せないところの内閣である。だから、従つてその経理というものがどのようなことをいたしておるかということが、当決算委員会としては、非常に危惧に堪えないのであります。そういうことでありますことを一つ頭におおきになられて、そうして今日までの総理大臣初め各大臣の先刻申上げたような手許の経理に対して検査をおやりになつ経過、そういうものを一応一つ最近の事例でよろしいのでありますから参考のために伺つて、おきたいと思います。
  24. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 検査院重要性或いは使命ということについての御意見御尤もでありまして、私たちもそういう考えで一生懸命やつております。  それから次に検察庁との関係においてのお話でありますが、まあ検察庁法につきましては規定がある。その解釈が正解か曲解かというような御議論があると思いますが、検査院は職務の性質上、法律上内閣から独立しているのであつて、内閣から指揮、命令を受けることは法律上ないのみならず、実際上ありません。少くとも私個人としてもないし、又内部においてもそういうことがあつたということは聞いておりません。まあ我々のほうの人間も頑固と申しますか、そんなこと言つたつて第一受付げもしないのでありますが、法律上もないし、又事実上今までに聞いておりません。  それから機密費等の検査の問題でありますが、今までのところでは別に問題になつたのは聞いておりません。二十八年については今検査をしておるそうでありますが、二十七年度前におきましては我々として問題として取上げた事項はないのであります。
  25. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、まあ私の会計検査院長にお尋ねをいたし且つ要望することは、非常な圧力とか不自由はあるかどうかということをお尋ねしたのでありますが、そういうことはない。依然として会計検査院のいわゆる特殊性というものを遺憾なく御発揮になつておるということで、一応その点は了承もいたし、安堵いたすのでありますが、今後とも、いずれにいたしましても、院長御自身がお調べになるのではなく、いわゆる検査院の係担当官がお手がけになられて、そういう検査の任に当るのでありますから、これは常識上判断いたしまして、人物の対決上そういうことのあり得ることが予想される。これは常識的に考えましても、先方が威圧的に出る、その威圧的に出る態度に対して、自然に人物上の比重において、ときには職務の行為がそれを逸脱するというようなこともあり得ることが、これは危惧されるのでありますから、院長といたしましては、この関係担当官に対しては、この点を十分に一つ注意になられて、検査の任に当られ、権力に対していやしくもこれが威圧されるというようなことのないような態度をとつて行かれるよう、平生御注意になることが極めて大切だと思うのであります。かようなことによつて公正な検査というものが遂行できるのであります。  そこで私の調査いたしました資料といたしまして、まあ極めて最近の二十八年慶応これは決算でありますから申上げておぎますが、内閣総理大臣及び無任大臣六名として一千百二十五万円、交際費であります。これに対して六名というのは当時の大臣としては緒方、安藤、大野木、大野、水田、加藤、こういう者が挙げられておりますが、内閣総理大臣としてこういう者が併合している。国務大臣の無任所大臣六名を併合して、そうしてこの一千百二十五万円というものが表示されているということは、この点は如可にも不可解である。なぜ内閣総理大臣は内閣総理大臣として単独の交際費としてこれが表示ができないのか。それから六人のごの無任所大臣というものは、おのおの無任所大臣として所管するそれぞれの仕事を持つているのであります。それに相関連して銘々の各六人の無任所大臣の交際費というものが明らかにされておらなければならない。こういうように非常にこれは明朗でない。考えようによりますと、殊更に何かこれを彌縫せんがために内閣総理大臣が特に何か高額なる交際費を使途するために、かくのごとき一つのまあ用意をいたしているのであるというふうにも考えられるのでありまして、国の経理の上から見まして、こういう点は明らかにしなければならないことでありますから、この点を一つ第一にお尋ねいたします。  それからこれは参考までに、この際記録にもとどめておきたいので申上げておきますが、行政管理庁長官、これは二十三万六千百六十九円、北海道開発庁長官三十六万九千九百六十八円、それから自治庁長官が四十七万一千四百五十円、保安庁長官が百二十一万八千七百五十二円、経済審議長官が九十二万三千二百二十六円、法務大臣が一旦二十三万九千六百円、外務大臣が五百七十五万六千三百円、以下小さい単位は切捨てます。大蔵大臣が百八万円、文部大臣が二百十五万九千九百七十七円、それから厚生大臣が二[六十三万円、農林大臣が二百三十五万八千円、通商産業大臣が四十万円、非常にこれは少いのでありますが、これは資料ではこういうことになつております。こういうところにも、何か非常に、却つて少いということが非常に怪しい。それから運輸大臣が二百十六万円、郵政大臣が百七十三万五千八百四十八円、労働大臣が二百十六万円、建設大臣が二百十六万円、これは私どもは資料としてこれは調査いたしたものでありますが、これは二十八年度において、決算の上において確実なるものとして、ここに申上げて差支えないのでありますが、こういう厖大な交際費を使つておる。この交際費の使途に対して、それから又その内容ですね。こういうものを検査院はお調べになられたかどうか。これが正確であり、妥当であるということは、この金額がこれを意図するものではない。その使つた内容というものによつて、この交際費が妥当であるかどうかということになるわけであります。或いはその内容というものの調査の結果によりましては、これより多くこれは使つて、国家予算としてはこれを使途いたしても、あえて差支えないことさえ生ずるのである。それが国家全体のためになるのでありますれば……。併しながら、使つておりまするこの内容というものが、いやしくもこれに便乗するがごとき使途がある場合には、儼乎としてこれらに対する、交際費に対する措置を今後いたさなければならない、こういうことに相成るのであります。これらに対しまする従来の、或いは二十八年度で終了いたしておらなければ、の内容についてお調べになつておらなければ、二十七年度でもよろしい。或いは二十六年度でもこれは結構なんでありますから、内容に対していわゆる調べられた経路、経緯、こういうものを、取りあえず一つ前段の申上げたことと、それから二番目に申上げたこと、この二つを一つ伺つておきたいと思います。
  26. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 交際費等の検査は毎年厳重にやつております。先ほど申上げました通り、二十七年度までにおきましては、不当事項として検査報告には掲げておらないのであります。二十八年度につきましては、まだ完了しておりませんし、むしろ殆んど着手していないという状態でありますので、御趣旨もありますので、その点厳重に検査いたします。
  27. 平林太一

    ○平林太一君 非常に会計検査院の今の答弁を伺つておりますというと、やはり中に、私は先刻申上げた通り、何かこれはこういうものに触れることを避けられたいというような予感が、今の御答弁の中にはいたさざるを得ない。これはまああなたのほうから言えば、そういうことはないのだとおつしやる、お立場上……。或いはそういうことを私のほうで御推察したのでありますが、非常に腑に落ちないのであります。この経理に対して何ら不当の事項がないということは、今の御答弁の、このご答弁の中に、非常に綿々たる何かこれを表明しがたきものがあるということを私のほうで感知したわけであります。これがいわゆる私のほうとしては、政治でありますから、あなたのほうでは、そういうことがないということで、あれば結構でありますから、別に御答弁を承わる必要はありませんが、そこで会計検査院といたしましては、内閣総理大臣及び無任所大臣のこの交際費というものの千百二十五万円、これらのものを併合してあるというようなことは、会計検査院の性格、或いはこの官庁のこういうような一つの制度というものが、制度というか、これは制度ではないのだ、便宜の措置だというかも知れませんが、これは便宜の措置でよろしいのですが、こういうもので差支えないと思うかどうか、この点一つ若干の御意見でも、検査院長としての御意見をも併せて腹蔵なくお話を願つておきたいと思います。
  28. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 只今の問題は、私の聞きそこないかも知れませんが、大体予算編成方針の問題でありまして、我々のほうとしては成るべく細分して細かくしてあつたほうが検査しやすいということは言えると思います。併し国会の上を通した予算編成の結果、そういうことになつておるのでありますから、特に意見を申しません。  それから先ほど私の説明が余り簡単過ぎたので、何か多少疑惑を持たれたような御発言でありましたので、幸い総務課長が来ておりますからして、総務課長に手続きその他について詳しく説明さしたいと思いますが、如何ですか。
  29. 平林太一

    ○平林太一君 結構です。
  30. 白木康進

    説明員(白木康進君) 只今の御質問でございますが、交際費の経理につきましては、ことの性質上一般の経費の使用と多少取扱いを異にしておりまして、計算証明規則によつて毎月普通の経費は全部証拠書類と共に出て来ておりますが、交際費につきましては、特にこれは今年度だけではございませんで、既往数カ年度に亘りまして、証拠書類だけは一応支出宮の手許に保管させまして、支出官の明細書だけを出させて、その詳細は実地検査の際に調査するという取扱いになつておるのでございます。それで実は平林委員から御要求になりました二十八年度の交際費につきましても、これは書類では参つておりませんで、今後今年中に実施いたします主として本省の検査の際に、支出官の保管する証拠書類につきまして、厳重に検査を執行するわけでありまして、まだまだ全然その緒についておりませんので、只今お示しのような多少何といいますか、明確でない数字が出ておるわけであります。それで交際費の検査としましては、これはまあ主務省の希望もございまして、一般には主任官か、主として課長が扱つておるのでありますが、本省検査の際の主任官が支出官について細大漏らさず調査しております。それも単に支出官から例えば大臣の秘書官に幾ら幾ら渡したという程度で以て了承するわけではございませんので、更に大臣秘書官が実際に例えば宴会費とかその他いろいろな実際に支払う支払い先の領収書その他によりまして、現実の使途の相手かた及び経費使用上の目的というものを検査しております。それで現在までに先ほど院長から申上げましたように、二十七年度までは検査報告掲載事項としては挙つておりませんけれども、なお多少疑問があるというような点については、照会も出たこともたしかあると記憶しておりますが、その後の調査によりまして、特に経費使用上不法又は不当として批難すべき程度のものではないということで処理されておりまして、別に検査上ほかの経費と取扱を異にするとか、或いは多少相手方の何と申しますか、圧力を容れるとか、そういう事実は全然ないものと確信しております。
  31. 平林太一

    ○平林太一君 今の御答弁で、私どもも会計検査院な信効いたしまして、そういうことであることを望んで止まないのでありまして、今の御答弁を了承するものであります。ただ主任官、秘書官、それから証拠書類等に対しては、会計検査院みずから書類を御覧にならないというようなことの御答弁でありましたが、これは交際費に対しまする内容ということに対しては、明治憲法時代にいわゆる政府は天皇の政治である。従つて天皇の権力というものを中心にした政府の権力というものを極度に高揚するということであつたことは否みがたい事実であります。そういう制度の下にこの交際費というものの内容を明示しないという、今日の時代から申しますれば一つの陰謀である。当時の行き方からしますと、交際費が正当に使われ、正常にこれが使途されるものでありますれば、それを不明にするというような必要はない、却つてそれを明らかにする。そうしてこの交際費というものぐらいいわゆる金の使い方として効力を発揮するものはないのでありますから、他の予算とはこれは違います。交際費というものは十使つたものが百、二百になるというのが交際費の効果であります。国家全体のための効果を上げるというそういう性質のものである。ところが交際費の内容というものはこれを明示しないということが一つの常識であるがごとく考えておりますること、又そういうことを追及しないことが常識人の行為である。国会においても地方議会においてもそうでありますが、そういうような考え方というものは、今日の時代におきましては逆転しなければならないことである。だから交際費であることについて、これがよくその内容というものを究明し、明らかにしておかなければならない。  交際費というものが妥当に使われ、正しく行使せられておるということでありますれば、その内閣のいわゆる行為というものが全体的に亘つて公正な行為をしておるということのこれは立証になるわけであります。交際費の内容というものが不当であり、又私に利するというような行為が行われておるということになりますれば、その政府、その内閣のやつておる行為全体が不当であり不正であるということを、政治上の判断としてそれを見るごとにしなければならない。我々といたしましてはこのくらい重大なものはないのです。その内容についてもこれが一番の縮図である。交際費の内容であるものの使途が、公正なる政治が行われているかいないかということの一番、一目瞭然にわかるこれは場所でありますから、これに対してはいささか御遠慮もあるようでありますが、今の検査官なり担当官にその交際費に対する内容を独占せしめておるというような行為は、今日では会計検査院といたしましては、そういうことは進んで、単に制度の入にこだわらずして、道義上の問題として当然その要求ができるはずなんです。又それを拒否するというようないわゆる本省の大臣側近の秘書官なり、又検査官というものがありとしたならば、当院といたしましては、これは相当なる決意を以てこの制度の改革に当らなければならない、こういうことであります。それでありますからこの内容に対して今総務課長からの御答弁では、殆んどそれに対してはこれは何ら不正、不当のことはないという結論を出しておいでになりますが、併し事実はそれをお調べになつていない。証拠書類というものを見なければこれはわからない。どういう使い方をいたしておるかということのその証拠書類というものは会計検査院としては見ていない。こういうことではこの内容というものは全く暗黒の中にこれがあぐらをかいているということに相成るわけなんですが、こういうことに対して技術的にもう少しこうしたらいいだろうとか、或いはこんな一つ制度の欠陥があるから、それをこういうふうに改めたら我がほうでできるというようなことについて、いわゆる会計検査の技術上から御意見を一応承わりたい。
  32. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 証拠書類を見ておらんというふうにおつしやつておられますが、これはさつきの総務課長の言い方が悪かつたかと思いますが、これは見ておるのであります。ただ書類として取寄せておらんだけで、必ずそこへ行つて見ております、従つて証拠書類な見ないということによる弊害は起らんと思います。
  33. 平林太一

    ○平林太一君 それは併し見るということと証拠誤類の提出を求めるということでは非常にこれは差があるのです。見るということでありますれば、そこに偽物を作つて、一瞬の間にこれは見られるのですから……、併しそれを提出せしめて、そうして数日間証拠書類発行所のほうへも問合せるということに相成つて、初めて証拠書類のいわゆる現実性というものが、現実的な証拠書類としての性格というものがそこに出て来るわけであります。その点どういうふうにお考えになりますか。
  34. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 一応御尤もな御意見でありますが、ちよつと自慢になりますが、我々のほうの人聞はそういういわゆる偽物を、贋と真実とを見分けるということにも相当慣れておるつもりでありまして、他の機会におきまして嘘の証拠書類を作つたのを発見した場合も多々あるのでありまして、それは持つてつて長く見るのがいいか、向うで見るのがいいかという点、これは持つて来て見るほうがいいかも知れませんが、そのために真偽の発見ということに対して差があるとは実は思つておらんわけであります。私も実は感心しておるのでありますけれども、なかなかそういう点は熟練しておりまして、勘と申しますか、これはちよつと怪しいと思えば追及して、証拠書類を発行したところへ行つて、これは果して出したのか出さないのかというようなこともやつておるのでありまして、そういう心配は絶無とは申しませんが、比較的少いと思つております。
  35. 平林太一

    ○平林太一君 これは会計検査院長非常に甘く見ておられるわけで、非常に御自身善良ですからそういうことになると思います。(笑声)殊に地方庁の役所等では非常にそういうことに、私どもの勘といたしましては、それが百発百中でその通り行くと思います。さすがに会計検査院多年の経験と薀蓄でおやりになるからそういう見分けが付くと思いますが、殊に総理大臣官房あたりに参りまして、総理大臣の交際費の経理使途というようなときに際しての担当官のそういう証拠書類等に対しまする検査等は、これはなかなか理屈通りに私は行かんと思います。おのずから人間である以上、それは神様のような態度で臨めばこれは何でもないのですが、その点は会計検査院長ちよつとそういうような手に負えない代物に対してはよほどのお考えを必要とされると思います。  現に先般本院の本会議におきまして松本治一郎君が、吉田総理の大磯の私邸というものは交際費から若干持つてつたんだろう、この点如何か、こういう質問をしております。ところが吉田というのはなかなか図々しい、(笑声)答弁をいたしませんと言つてそれに対して答弁をしない。罵詈讒謗に対しては答弁しない、こう言つておる。ところが松本君のは罵詈讒謗ではない、私の言葉から言いますと……。罵詈讒謗には答弁しないという総理大臣言葉は私から申しますれば怒号罵声なんです。(笑声)松本君が若し罵詈讒謗であれば、吉田の言つておる答弁というものは、罵詈讒謗に対して答弁しないということは、物の比較からいつて、甚だ両君に失札でありますが、吉田のほうが遥かにそういうことに対しては劣等なんです。(笑声)そういうことで若し大磯の私邸にそれを使つていないというのであれば、使つていませんとなぜ言わないか。それが答弁しませんと、こう言つておる。非常に不可解なことなんです。而もそういうことが白昼国会の議場における総理大臣発言ということであれば、誰あやしむ者もなく闇から闇に葬られている。だからそういうことをうまいことにして、各省の経理関係官というものは見ておるが、それだから交際費の内容というものはもうどういうことに使うかということは彼らは反省はしないのです。だからそれをこの際、会計検査院長としては過去の十年一日の態度を改められて、いわゆる天皇の権力によつて行なつておるということではない。八千四百万の国民の大権力によつて行うのだという非常な気魂と態度を以てこの交際費に当られたい。そうしてこの交際費というものを我々のほうへ資料として御提供下されば、この内閣が綱紀粛正のことを事実に行なつておるかどうか、綱紀紊乱その極に達しておるかどうかというその内容が一目でわかるわけなんです。ところが如何にしても、今日までこの厖大な交際費というものの内容については全然わかつていないわけなんです。それだからこの点を一つ、今日即答を求めることに私のほうでも無理と思いまするが、会計検査院長一つお帰りになられて、関係者と御協議の上、この内容というものを明らかにして、資料としてお調べになつておるというのですから、それはわかるわけです、証拠書類を見ておられるのですから……。総理大臣の証拠書類を見たというようなことは、私のほうではこれは信用ができないわけなんです。併し一応形式上それをお調べになられてお示しを頂きたい。それ以上は又決算委員会といたしましては、それぞれ協議の上これはいたしていいことでありますればいたすようにして、そうして深くこういう交際費の中に強いメスを加えるということをいたさなければならないのでありまするから、一つそういう点について、取りあえず二十八年度におかかりになつておる、これがおわかりにならなければ二十七年度のでよろしいのでありまするから、いずれ一つ表を作つて参考資料として公式でも非公式でも結構です。その点の会計検査院長の御便宜の処置で私よろしかろうと思いますから、そういうことをこの際申上げておくわけであります。併し以上に対しまして院長として今何か一つ思い当ることが、消息でもいいのでありますからおありであればそれを承わりたいと思います。
  36. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 消息的と申しましても、噂は聞くことはあるのですけれども、そういう趣旨検査を一生懸命やつておるつもりでありますが、御趣旨によりまして、なお一層厳格に検査をいたしたいと思います。
  37. 平林太一

    ○平林太一君 そうするとこれは総理大臣のは二十八年度は千百二十五万円と、こういうのですが、内閣総理大臣、それから無任所大臣、国務大臣、こういう大臣が二十七年度におきまして銘々使つたという程度まではこればお調べになつておるのかどうか、二十八年度はおわかりにならんとおつしやるが、これは総務課長から一応ちよつとお伺いしたいと思います。
  38. 白木康進

    説明員(白木康進君) 只今の質問でございますが、二十七年度におきましては勿論先ほど申上げましたように証拠書類の微細に至るまで検査しておりますので、総理大臣の分並びに各無任所大臣の分の区分及び使途の内容は十分に検査しておると承知しております。  なお、只今差上げております分につきましては、これは二十八年度分についてでございますが、先ほど申上げましたように、まだ内閣に対する正式の会計実地検査を実施しておりませんので、その関係でその区分は一応総理府の会計課長から連絡がありました数字をお手許に差上げておる次第でございまして、それにつきましても、内閣の総務課長より実は連絡がございまして、厳密に内閣総理大臣の分と、それから各無任所大臣の分が区分しにくいものもあるけれども、こちらの要求の御趣旨に副つてできるだは早く区分した金額を連絡すると申しておりますので、極めて近いうちに平林委員まで差上げたいと思います。
  39. 平林太一

    ○平林太一君 今白木総務課長から区分のしがたいものがある、こういうことを言つておるのでありますが、そもそもこれは非常に解しがたいことであるのでございます。国家の公費を区分しがたいということは、しがたいという一部分があるのではない、全部が区分しがたいのであるということは、我我といたしましては、そういうことをこれは考えざるを得ないわすなんです。でありますからこの点は今後改めて内閣の総務課長に対しまして、会計検査院といたしましては、特にこの二十八年度に対しまして、一つ厳重なる、あいまいな態度を許しがたい検査というものを、よく納得、御了承の行く検査を求めるということを明らかに申上げておきたいと思います。  それから最後に国務大臣が例えば北海道開発庁長官でありますとか保安庁長官というのはみな国務大臣がやつておるようであります。併しこれには別に又交際費として予算があるわけであります。そういうことになりますと、いわゆる総理大臣の中に併合したものをも使つておる。それから担当しておりまする保安庁長官でありますとか北海道開発庁長官であるとか、例えば大野伴睦君が何か国務大臣としてやはり北海道の担当をいたしておるようでありますが、こういうのが重複しておる点も見受けられるわけでありますが、こういう点についてもよく一つ検査に対して筋を通しました検査をなされるようにこれは要望いたしておきます。  それから同時に二十八年度に対しましては、これは今二十七年度をやつておりますが、これは本委員会会計検査決算に対するいわゆる参考と相成りまするので、只今私の申上げました二十八年度の交際費の内容、内訳に対しましては、内閣を通じまして、検査院は早急に資料を提出せしめるようにこの際要求をいたしておきます。この点は特に委員長からもそれぞれの手配をせられることをこの際希望いたしておきます。  以上であります。
  40. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 白木総務課長にお願いいたしておきますが、かようにここで問題になりました以上は、只今資料は平林委員たけでなく、決算委員会にお出し願いたいと思います。
  41. 白木康進

    説明員(白木康進君) 承知いたしました。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の総理府関係会計はどの係でやつておるのですか。
  43. 白木康進

    説明員(白木康進君) 総理府関係検査第一局の大蔵検査課で実施しております。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 ほかのことを少し聞きたいと思うのですが、時間が時間ですから簡単にお伺いしますが、大体補助金関係不当事項が出て来て言われておるわけですが、会計検査院のほうは、比較的謙虚で、別の言葉で言うと、我我から言うと消極的に見える部分も観取されるわけです。それでいろいろと御報告を我々も見るわけですが、二十八年度の分を今やられておると思うのですが、これを年間まとめて出されるということは当然でしようけれども、中間的に四半期ごとに一応それまでに精査したものを当委員会に報告するようなことができるかできないか、その点をちよつと聞きたいと思うのですが……。
  45. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 絶対にできないとは申上げませんが、極めて限定された問題については御希望に副えるかと思いますが、私のほうの仕事のやり方から申しますと、限られた人間で限られた時間にやる。それで一番初め大体において八月、遅くも九月までに大体の実地検査を終りまして、それからそのあとで検査の結果を検討して、検査官会議にかけて、検査院の正式の意思決定をする、こういう順序になつております。でありますからして四半期ごとにやるということも一つの考えでありますけれども、現在のやり方ではなかなかむずかしいと、若しそれを徹底的にやるということになると、恐らく検査の能率は相当落ちやしないかと思いますが、勿論それは絶対にできないというわけじやない。  古い例を申しますと、薪炭特別会計が非常に乱雑でありまして、あれについて殊に進駐軍からといいますか、強い要求がありまして、調べてその結果を報告したこともあります。従つて絶対にできないとは申しませんけれども、四半期ごとにやるということはちよつと……、やり方は相当考えないと、今すぐ簡単にできるとはちよつと申上げかねます。具体的の問題についてこういう問題をやつてくれと言われれば、人の差し繰りの問題その他ありますけれども、必要によつてできないとは申上げません。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 今のことはまあ当然公式ということよりも、二十七年度の会計報告を我々が監査するわけです。それは二十七年度という限定された視野の中ではなくて、二十六年度との相関関係並びに昨年度の使用がどうなつているかというふうな方向を見ないというと、まあこの決算委員会も時間的に能力的に限度がある。そういう点で仮に二十六年度に不当事項なりそういつたものが多かつた。二十七年度を見ると、大体是正傾向が顕著になつている。二十八年度の方向が或る程度我々にわかれば、そうすると二十七年度の決算についても或る程度、先ほどいろいろと言われておるように、重点的に処理できる問題もあるかと思うわけなんです。というのは、これも平板的に我々は考えているのではなくして、先ほど言われているように農林関係或いは大蔵関係、そのほかまあ相当顕著な事例が出ているのです。そういうふうな省を或る程度重点的に二十八年度も知りたいと思う、実際問題として。そうして我々が二十六年度検査を通じて苦言を呈して来たことが二十八年度の実際の中に活かされておるのかどうか、こういうことを見ないと何かはつきりしないような気がするわけです。というのは、我々が二十八年度を通して二十九年に亘つておりますが、二十六年度をずつとやつて来た。ところがそのときにはもう二十七年度の会計はすでに終つて、二十八年度の会計も終つておるわけです。そうするというとお前たちは不当事項是正したのかどうかということを言つても、又時間の経過によつて随分ピンぼけな中においてそういつた事柄を取上げなきやならんというふうに考えるわけです。だからこれは今会計検査院長にどうこう言つても直ぐ即答はできないと思うのですが、今後我々としてはそういうふうな観点から御要望を申上げる点があるかと思うのです。特に農林関係とかその他の関係について一応そういうふうな要望があつたときに、先ほどできないこともないと、こういうあれですが、どの程度、なお又会計検査院を困らしてまで我々はやる意思はないのだけれども、傾向を報告してもらいたいと思う。そういう点はどうです。大体この省はよくなりつつある、傾向がよくなりつつある。大体この省は相変らず模範生だ、こういつたようなことは大体探知できるわけですが、そういう点はどうでしよう。
  47. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 或る程度検査が進行いたしますればその傾向はわかると思います。勿論検査の順序を付けておりますからして、検査が幾らもできてない場合に傾向を申上げるというと却つて、間違つたこともないとも限りませんが、或る程度進行すれば傾向くらい申上げられると思います。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 具体的に申上げますと、ここに当分で今国会は終るわけです。そうすると暫らく猶予期間が出るわけです。そうして臨時国会が召集され或いは又通常国会に行くか、いろいろな過程があると思うのでありますが、少くとも一次の通常国会に或いはその中間において九月過ぎなら過ぎに、或いは臨時国会なら臨時国会というふうな過程の中において、私はこれは御依頼しておくんだが、簡潔なものでもいいから、各省の大体の傾向というふうなものを本委員会に御報告を一つお願いしたいと思うのですが、どうですか。
  49. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 九月頃ならば、これは余り正確には言えませんが、大体の傾向くらいはわかると思います。
  50. 岡三郎

    ○岡三郎君 では一つその心組みで各局もお忙しくて大変だと思うのですが、我々のほうからも一つお願いすることもあると思いますので、その心組みで二十七年度の決算を進行する過程においては二十八年度の大体の傾向を我々は参酌しながら関心をもつてつて行くんだ、こういうふうな一つ意向を御伝達願つておきたいと思う。
  51. 永岡光治

    ○永岡光治君 私から一つ検査院長にお尋ねしたいのですが、今まで決算委員会審議して参つておるのですが、いろいろ各省での不在事項なり、摘発された事項についての処分をいたしておると思いますが、いろいろまちまちです。これがまあ正直なことと言いますか、良心的な省では非常に重い処分をしておるかと思うと、或る省では、非常な国家に対して莫大な損害をかけておるにもかかわらず、単なる注意とか厳重な注意、こういうところにとどまつておる。こういうことで非常にばらばらになつておりますが、恐らく会計検査院としては検査の都度、個々の案件についての処分についてもお調べになつていると私は思いますが、それについて何か統制、統制と言うと語弊がありますが、余り不均衡に亘らないように何らかの指示を与えておるのか、これはずつと前から引続いて今日まで来ておりますが、何かそういう方針について特にお考えは持つておるのか、おらんのか。各省に一任されておるのか、その点一つお聞かせ願いたいと思います。
  52. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) お話通り省によつて均衡を失するのじやないかと思われるようなことも聞いたことがありますが、この懲戒権というのは御承知の通り公務員法によつてその省の長の大臣なり長官なりが持つておるのであります。結局それを統制するかどうかという問題になるのじやないかと思います。大体余り権衡を失しないようにやれ、この程度やれということになると思います。それはむしろ我々のほうからしては懲戒に対しては懲戒をやれ、これくらいの懲戒をやれということは言いますけれども、これは懲戒をやらなければ問題になりますけれども、懲戒をやつている以上は、こちらから要求した程度よりも軽くやつておる、まあ重くやるということはありませんが、懲戒をやつている以上は文句は言えないのでありまして、結局これは言換えれば内閣で統一して懲戒を厳重にやれ、各省ばらばらにならないようにこういう方針でやれというのが次官会議あたりで大体方針をきめてやれば、権衡を失するということはよほど減るんじやないかと思います。
  53. 永岡光治

    ○永岡光治君 勿論懲戒権はそれぞれ主管大臣が持つておりますが、これは会計検査院の直接の権限ではありませんけれども、実はいろいろ起る不正事件についての防止の一つの手段にはなると思うのです。従つて会計検査院として、起つた事件についてとやかく言うそのことも勿論ですが、やはり防止というところにも大きな使命が私はあるのじやないかと思いますから、その点では権限はないにしても、やはり勧告、これは余り軽過ぎやせんか、これは余り不当に重いんじやないかというような勧告乃至意思表示くらいは然るべき機関になすべきが妥当じやないかと思いますが、そういう意味で、私は会計検査院で何か方針を持つておられるのかどうかということをお尋ねしておるのですが、そういうことを今までやつた経験もなければ、そういうことを今後もやる何らかの方針も持つておりませんか。
  54. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 只今の点ですが、検査院として、意思表示ということになると、院法関係がありまして、堅苦しくなるのでそれはやつておりませんが、主管の局課におきまして或る省は軽いんじやないか、君のほうは軽過ぎるというようなことを、事実上もう一ぺん考えたらどうか、将来の問題として考えろということは言つておるのであります。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちよつと関連して……。そういうふうな事例に対するところの各省の処分ですね、そういつたものについて、やはりこれは過去から現在までずつと検査院として、どこの省はどういうふうな傾向である。どこの省はどうだというふうな点がおわかりですか。これも不当事項是正のための、一つの武器になると思うから。
  56. 白木康進

    説明員(白木康進君) ちよつと只今の御質問の点に対しまして的確な御答弁には或いはならないかと思いますが、検査報告不当事項に対しまして各省が行います懲戒処分或いはその他訓告注意等の処理につきましては、毎年検査院に各省から報告をお願いしまして、その処分状況の内容も実は毎年検討しております。ただ各省によつて処分が軽かつたり重かつたりと一口に申しましても、各省によつて又指摘されました事態の重い軽いもございますので、軽い事案の多いところはおのずからまあ軽い。或いは重い事案が多いところはその年に重い処分、例えば懲戒処分のようなものが多かつたというようなこともございまして、一般的には結論としてなかなかどの省が重い軽いということも直ちには言いかねる問題ではないかと存じますが、最近の事例につきましては、例えば二十六年度分につきましても、一応私のほうで調査いたしまして、比較的に重いと申しますか、処分を厳正に執行しておると認められるものといたしまして、例えば建設省、これは御承知のように二十五年度以降各地方建設局の工事事務所における架空工事が非常にたくさん出まして、これに対しましては検査院でも非常に力を入れて検査もいたしましたが、主務省におきましても多少重過できるのではないかと思われるぐらいに厳重な懲戒処分を実施いたしまして、その関係から二十七年度あたりの検査報告は殆んどその姿を消しておるような状況であります。そういう面から重い事案が多かつた関係もありますけれども、建設省あたりは非常に処分がまあ比較的に厳正に実施されたと見ております。  ほかの省で今度は反対に軽過ぎるではないかというようなものも一応会計検査院といたしましては、まあ傾向として認められるところもあるわけではございますけれども、これは只今申上げましたように、事案との関係において慎重に検討した上でなければ軽々にただ軽いということも申せないと思いますので、この程度一つ御了承願いたいと思います。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでは駄目だよ。そういう心がまえだから、何も私はむずかしいことを聞こうとするのではないのです。少したるんでいる傾向としてはそういうところが私はあると思うのです。そういうところを思い切つてこことここら辺を挙げて行つて御覧なさい、どうですか。
  58. 白木康進

    説明員(白木康進君) お言葉でございますので、一応これは正式な検査官会議に御報告をいたしまして、事案との関係において審議を願つた事項ではございませんけれども、一応の傾向といたしましては、例えば農林省あたりは批難事項も相当件数も多うございますし、事案としても架空経理等も毎年多少出ておりまして、これに対しまして処分建設省に比べては比較的軽いのではないか。この点につきましては先ほど院長からも申上げましたように、所管局長から農林省に対してやや処分が軽過ぎるのではないかということは口頭を以て注意を促したということは私聞いております。比較上の問題でございまして、甚だ恐縮でございますけれども、そういつた事例はございます。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 運輸、国鉄関係はどうですか、なかなか比較的の問題だから言いにくい問題だと思うが、つまり不当事項是正されないところにそういう傾向があるのです。毎年賑わしておるところは、大体それに対していわゆる決算委員会の声に呼応して、いわゆる血税を不当に支出しないような方法というものを、そういう形の中から観取できるのではないかと私は思つておるわけだ。だから逆に言えば、今度は二十七年度の決算に出て随分事例の多い省は、逆論から言つて、割合見方が軽いというふうにもとれて、今運輸、国鉄関係はどうですかと一応聞いたわけです。
  60. 白木康進

    説明員(白木康進君) 運輸、国鉄の点でございますが、これも特にまあ他の省に比して寛に過ぎるという断定はなかなかできないのじやないかと思いますが、国鉄について申しますと、これは事態の重い事案につきましては現在懲戒委員会のようなものを設けて審議しておるという報告を受けております。なお例えば保庁庁の場合について申上げますと、これは全然まだ処分の報告に接しておりませんけれども、これも結局これは処分をしないということでなくて、その処分について厳重に検討をしておるというような報告を受けております。
  61. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の御説明伺つていますと、建設省処分が重くて農林省が軽い。二十七年度の事案は丁度その逆で、農林省が非常に違反が多くて建設省は減つた、相関関係があるのじやないかと思います。  そこで私のお願いしたいのは、処分の各省比較一覧表といつたようなものを一つお出しを願いたい。これは全部でなくていいですけれども、大体の重点的に各省の処分状況を比較する一覧表を作つて、その備考欄に、会計検査院はこの処分は重いと思う、この処分は軽いと思うという会計検査院意見を付して至急に一つお出し願いたいと思う。
  62. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 会計検査院長に伺いたいのですが、農林省とか建設省にはつまり技術的ないろいろ関係もあると思うが、現場などを検査する場合に、設計書などは各省打合せをしてきめておるのですが、その設計書まで立入つて、それの是正、妥当をやられるのか、或いは設計書から先に会計経理的にやられるのか、その点をちよつとお伺いしたいと思います。
  63. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 工事がある場合に予算ができ、従つて設計書というものが当然できるのですが、設計とどうなつておるかということは、工事の検査一つ重点でありますから、当然それは重視するのであります。
  64. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 その設計書のつまり妥当性ということを御覧になるわけですか。
  65. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 設計通りに行われているかどうかということを同時に、設計か妥当かどうか、これは不当な贅沢な設計かどうか、そういうことも併せて見ております。
  66. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それは私は検査院としては当然のことと思いますが、それにはつまり本当に見得る人が検査院には少ないと思うのです。それで現場に行きまして、割合にそういうことを見得ない人がいろいろなことを聞かれる。それがために実質的には能率が上らんし、非常に時間を食う。検査院のほうでも能率が上らんし、それから現場のほうも非常に手を食う。それから現場は会計検査のあれもあり、各省の自体監査もあり、それから大蔵省とほうぼうから来まして、検査々々で仕事ができないというようなことなんです。むしろ検査のために仕事ができなくなつて、監督不行届というようなことでありますので、そういう点を十分に注意されまして、まあエキスパートを入れまして、本当にそこまでやられるならば、わかる人をやつて、何もわからないような人が仕事をされて時間を取られるということは、お互いのために能率を阻害いたしますから、その点だけは御注意願いたい、そういうことを申上げておきます。
  67. 八木幸吉

    八木幸吉君 会計検査院長にお伺いしたいのですけれども、行政管理庁の監察部というものは会計検査院と相当の連絡をお取りになつて、御利用と申しますか、協力していらつしやいますか。或いは立場が逢うので全然自分たちは関係がないというふうにお考えですか。
  68. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 先ほどの点についてちよつと申上げますが、内部でお話通り技術的な訓練のない者か行つたら、こちらでも能率が上らん、向うにも御迷惑をかけるというので、幸い優秀な技術者がおるので、その人を中心として技術講習をやつておりまして、素人にしてはよくわかるというぐらいに進んでおるようなわけであります。そういう事情でありますから、なお今後も技術の向上についてやつて参りたいと思います。  それから次の行政管理庁の問題でありますが、行政管理庁はいわ中る政府機関であつて、我々は政府から独立した機関でありますが、やはり行政管理庁でやられる報告はこちらへ頂くし、こちらの報告も向うが見ておりまして、事実上の連絡と申しますか、関連はその程度であります。
  69. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つ伺いますが、会計検査院の中に一つの機動部隊的な或るスタッフを持つて、例えば決算委員会でこういうことを調べてもらいたいというと直ぐそれを調べるといつたようなフリー・ランサー治的な組織を持つというお考えはございませんか、或いはその余裕がございませんか。
  70. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) それも一つのお考えでありますが、現在まあ人間をフルこ使つておるので、フリー・ランサー的なものを常置するということはいたしておりませんが、特別の必要によりまして、或る事件を一生懸命やるという場合は、その主務の課以外からも応援してやつたという例はあります。例えば先ほど申上げました薪炭特別会計の問題なんかそうでありますが、常置的に置くだけの余裕はないのです。
  71. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つ、先ほど平林さんから交際費の問題が出ましたが、例えば目黒の総理の公邸というようなああいつたようなところの経費は交際費から出ますか、或いはその他の項目から出ますか。
  72. 白木康進

    説明員(白木康進君) 公邸の経費につきましては、これはちよつと失念いたしましたが、国家公務員のための国設宿舎に関する法律という法律がございまして、これによりまして、これは認証官以上で、これは明示してございますが、その範囲の公邸につきましては、経費の一部を国において負担することになつておりまして、別に交際費から出ておるわけではございません。
  73. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほど交際費の証拠書類を自分のほうに取らないというお話がございましたが、我々は取つたらいいのじやないかと思いますが、ほかの書類も一体会計検査院のほうにお取りになるということは、原則としておやりにならんのかどうか。この点伺つておきたい。
  74. 白木康進

    説明員(白木康進君) 計算証明規則によりまして、原則として収入支出並びに現金、物品の出納関係の計算書、そういうものの書類は全部会計検査院に提出してもらいまして、書面によつて検査を行うという建前になつております。但しこれは昭和二十五年度頃からかと思いますが、会計事務の簡素化とか、そういつた関係から、各省の要望もございまして、会計検査院としては検査に必要な程度をいろいろ勘案いたしまして、真に必要なものに成るべく限定して行つて会計事務の簡素化をするという御要望に応えるというような関係もございまして、計算証明の簡素化ということをここ数年来やつておるわけであります。それで提出する証拠書類も、例えば現金、物品の出納関係の証拠書類とか、それから或いは取扱いの少い歳入関係の書類というようなものは、現在支出官とか或いは歳入徴収官或いは出納官吏という者の手許に保管させまして、検査の際にはいつでもこれを提出してもらう、こういう取扱いになつております。交際費につきましても先ほど申上げましたように、一応検査院に書面として提出させるわけではございませんけれども、検査の際は必ず厳重に証拠書類の全部について検討しておるわけでございまして、現在の取扱いでも検査上特に支障を全然感じておりませんし、又検査は事実上厳正に執行しておるわけであります。
  75. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の問題にちよつと関連して伺いたいことは、先般の院長の御説明にもありましたが、書面の検査による件数が二十六年度に比較して二十七年度が著しくその簿冊の数、それから検査をした枚数というのは、何が基準になるか知りませんが、その枚数等が著しく減少を見ておる。これはどういうわけですか。  数字を挙げると、例えば昭和二十六年度は十七万余千冊というのが、昭和二十七年度は十三万五千余冊に減つておる。それからその枚数は昭和二十六年度は六千六百余万枚というのが昭和二十七年度になると四千二百余万枚になつておる。
  76. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) これははつきり申しますと、各省でもこのいろいろな書類を出すのに相当手間がかかりますし、私どものほうで限られた人間が、二十七年度が十三万四千二百余冊、これをそうすると一人がどのくらい見るかという計算をしますというと非常に多いのですね。そこで一体これはざつくばらんな話、本当にそれだけ検査できるのかという疑問がありまして、余り数が多くなるというとどうも薄ぺらな検査になつてしまうから、だから成るべく書類は少くしたいという方針を立てまして、こうするというと各省でもそれだけ非常に手が助るし、私のほうとしても重点的に見るということになるので、そういう関係で書類は極力減らす方針でおるのであります。そこでそういうことになつております。
  77. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 山田委員、適当な時間になつておりますから、成るべ簡単にお願いいたします。
  78. 山田節男

    ○山田節男君 一点だけ、これは佐藤院長がお見えになつておるので私御質問申上げるのですが、この私の質問申上げる事項は、実は決算委員の同僚諸君に一応お諮りして、決算委員会意見として申上げておいたほうがいいのじやないかと思つたのですが、ちよつと私他の委員会に出ておりますので、余裕がないので、私個人の資格で質問をいたします。  この我々がこの二十六年度、二十七年度の検査院検査報告審議していろいろ問題があるわけですが、その中でこの農林省の食管特別会計、これは国費を使う費目としましては恐らく最大の費目である。年間、二十九年度の緊縮予算におきましても約一千六百億円というものが食管会計、而もそれは殆んど全部が外国から主食、即ち米、大麦、小麦、燕麦等を輸入するのであります、この食管会計の二十六年度、二十七年度の検査院検査報告を見まして誠に憂うべき事態があるということは、極めて簡約された検査院の報告を見ましても我々は十分わかるのであります。殊に食糧管理庁の責任者を当委員会に招致していろいろ質問をして見まするというと、全くこの国民の血税であるところのこの予算の執行というものについて妥当を欠くという以上の、私はこれは国民として誠に寒心に堪えない事態である。私どもこの食管会計の、殊に主食を海外から毎年多額なものを購入しなくちやならんという宿命的な立場にあります。でこのことは、今日まで会計検査院は単なる国内検査で、而も食管特別会計をよく見まするというと、全般に亘つて検査というものは今日の検査院の陣容を以てしては不可能である。併し一斑を見ても先ほど申上げましたような誠に肌に粟を生ずるような思いをするのであります。二十八年度の食管会計の予算執行状況はどうであるかというようなことも、実は会計検査院のこれはたしか小峰第三局長だと思いましたが、お伺いいたしましたけれども、ところが全般的ではないけれども、現に検査を進行しておられる。その経過を見ましてもやはり二十六年度、二十七年度、或いはそれ以上の、まあスキャンダルであると言つてはおかしいのですが、穏当を欠くかも知れませんけれども、とにかく憂うべき事態がある。  こういうことを聞きまして、私ども国会におる者として、これを何とか一つ粛正と申しますか、こういう宿命ずけられた国費の支出というものについてはやはり効果的にやらなければならん。而も良質の物を安価に輸入することが国民生活のためにも絶対必要である。  そこでこれは私個人として考えておりますことは、少くともこの主食を輸入しておりまする最大の輸入国であるアメリカ、それからタイ、ビルマ、ここあたりの最も日本が多額の金を費やして主食を輸入する先におけるこれは会計検査という、直接帳簿の検査という意味よりも、現在の食管会計の購入している機構上における会計上の不正、不当、こういうようなことを防ぐ必要があるのじやないか。このことにつきましては当決算委員会の同僚二、三の諸君にはお話申上げた。ところがこれはもう絶対に必要であるという御意見も実は伺いましたので、当決算委員会の全同僚諸君に実はこのことをお諮りして、会計検査院に御質問申上げよう思つてつたんですが、その余裕がありませんので、今私個人として申上げますが、かような年間一千五百億以上の主食購入ということに対する国内の会計検査ということは非常に至難であります。併しこれは購入する国に参りましても実に容易なことではないと思います。併し国会の権威において、会計検査院がそういう購入地における不正事項というものを検査するということは、これは年次的に正常の効果は上らないにしましても、国会並びに会計検査院という一つの独立の検査機関なりがこういうものに対して非常な関心を持つ、又それに対して非常な注意を払つておるということを示すだけでも、私は食管会計の経理はやりよくなるのではないかということを実は考えますので、すでに二十九年度におきましても米を、主食をどんどん購入いたしております。そういう意味会計検査院から二、三そういう専門家を派遣されて、現地におけるそういう検査一つつてみたらどうかと、かように思うのですが、そういうことができるかどうか、又できるためにはどういう方法が必要か、この点をお伺いしたい。
  79. 佐藤基

    会計検査院長佐藤基君) 食糧庁関係は仰せのごとくいろいろな問題があるので、実は余り問題が多過ぎるので驚いております。恐らくこれはやはり日本の何と言うか、国内関係、国内資源の問題として食糧が不足だから食糧を入れて来るというのは、今でも将来でもそうでしようが、非常に重要な問題であるが、それを熱心にやるために経理措置等が確かに疎かになつておるのじやないか。而も取扱額が非常に多いので、検査院としては非常な関心を持つて、最近におきましては食糧庁調査ということは力を入れておりまして、現に最近におきましては人をやりまして、お話通り我々も同じように考えておりまして、それに関連して国内も大事だが、現地に行つて検査したらいいじやないかということもよりより相談しておりますけれども、これは予算上の関係もありますので、すぐできるかどうかはわかりませんが、御趣意によりまして、なおこの研究を進めたいと思つております。
  80. 山田節男

    ○山田節男君 今の佐藤院長の言つたような御答弁ですが、この点につきましては一つ決算委員会でもこういう議題を一つお諮り願つて、私はこれはもう実に重大な問題だと思う。ですからこのために検査員を二名、五名向うへやつてもいい。これは単なるゼスチュアであつても向うが恐縮するのじやないか、かように考えます。  なお、私は委員会の皆さんにお諮りしたいのですが、一昨日の日本タイムスを見ますと、主食、殊に米をたくさん輸入しておりまする東南アジアの諸国へ、今後米を購入するには、現金購入ばかりでなくて、いわゆるバーター・システムで米を買うが、物を買つてくれと、こういうようにしてくれというように通産省から農林省に一つそういう申込みをいたしております。これは前に申上げたと思いますが、国会決算委員が今までとかく非常に消極的でありましたが、私非常にアメリカの決算委員会の活動に感心いたしましたことは、丁度あそこの衆議院の議員の宿舎の向うにアパートが二軒建つております。あれはコマンダーハリス、コマンダー・ペリーの名前を取つて、立派な二つのアパートを作つたわけです。ところがこれが非常に立派過ぎるものであるというので、昨年の十一月にアメリカの上院の決算委員会から五名、それから事務局員が二名、それに政府委員が二名来まして、約二週間あのハリス・ハウスとペリー・ハウスの二つのアパートメントの実地検査を、やつたのです。その報告の一部が、実はこれは三月だつたと思いますが、アメリカのニューヨーク・タイムスのサンデー、日曜版に出ておりました。それらを見ますと、結局この国会決算委員が海外まで、遠くワシントンから日本へ、東京へ来て、アパート二軒の検査までやる。これは私はやはりアメリカがああいう会計検査というような特殊な、人民のための予算であり、人民のための決算である、こういう建前が、非常に強い伝統を持つているからああいうこともできるのだと思いますが、日本にはそういう例がないにしても、私は決算委員会としましては、今の食管会計のようなものについてはやはり当決算委員会から二名、三名が現地に行つて、今のようなバーター・システムの問題もかね合せて決算委員として現地に行くということは、会計検査院が出張する……、又、ほかの意味においても私は有効ではないか。こういうようなことも一つ機を見て委員長から各委員一つお諮り願つて会計検査院の派遣問題並びにこの当決算委員会委員の諸君がそういう方面に、これは初めての試みだと思いますが、ただ議員の連中が海外にぶらぶらすすという以上に私はこの問題は切実な問題で、又効果的な問題じやないかと思いますから、一応委員長から後日一つお諮り願いたいということを要求いたします。
  81. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 了承いたしました。本日はこれで散会いたします。    午後一時四分散会