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1954-04-21 第19回国会 参議院 決算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十一日(水曜日)    午後一時十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員井上清一君辞任につき、その 補欠として剱木亨弘君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            谷口弥三郎君            長谷山行毅君            島村 軍次君            岡  三郎君            菊田 七平君            平林 太一君    委員            青柳 秀夫君            雨森 常夫君            石川 榮一君            入交 太藏君            小沢久太郎君            木村 守江君            剱木 亨弘君            宮澤 喜一君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            廣瀬 久忠君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            八木 幸吉君            堀  眞琴君   政府委員    法務大臣官房経    理部長     竹内 壽平君    外務大臣官房長 松井  明君    外務大臣官房会    計課長     中村  茂君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵大臣官房会    計課長     木村 秀弘君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君    文部政務次官  福井  勇君    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君    通商産業大臣官    房会計課長   福井 政男君    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君    郵政政務次官  飯塚 定輔君    郵政省経理局長 八藤 東禧君    建設大臣官房会    計課長     齋藤 常勝君    会計検査院事務    総長      池田  直君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    日本専売公社審    査部長     内藤 敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十六年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第二十四回決算委員会開会いたします。  本日は昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算、同特別会計歳入歳出決算、同政府関係機関決算報告書、以上三件を議題に供します。  これらにつきましては去る十六日委員会におきまして、補助金関係を除き質疑を終了し、続いて昨二十日補助金関係小委員長報告を了承いたしておりますので、本日はこれら三件につき、これより直ちに討論に入ります。  つきましては先刻来配付いたしました審査報告書案につきましては、朗読を省略して、これを会議録に掲載することにいたしますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認め、さよう取計らうことにいたします。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはどうぞ御発言を願います。
  4. 平林太一

    平林太一君 議事進行。本日政府から出席をいたしておるそれぞれの関係者の、この際討論内容について関連を必要といたしますので、この際委員長からそれらの官職、人名を明らかにせられたいと思います。
  5. 小林亦治

    委員長小林亦治君) わかりました。それでは討論に入る前に、平林委員のお求めに上りまして、御出席政府委員方々にそれぞれ御起立を願つて、御官職並びに御氏名をお述べ願いたいと存じます。
  6. 池田直

  7. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大蔵省主計局次長示啓次郎でございます。
  8. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) 郵政省政務次官飯塚定輔であります。
  9. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 郵政省経理局長の八藤でございます。
  10. 松井明

    政府委員松井明君) 外務省官房長松井明でございます。
  11. 中村茂

    政府委員中村茂君) 外務省会計課長中村であります。
  12. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 大蔵省会計課長木村でございます。
  13. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 専売公社審査部長内藤でございます。
  14. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 以上でございます。どうぞ御意見のおありの方は御発言を願います。
  15. 永岡光治

    永岡光治君 議事進行只今討論採決になつておりますが、討論採決関係のある事項でありますので、特にここに大蔵省主計局次長見えておりますので、一点だけお尋ねしたいことがありますが、よろしうございますか。
  16. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 本則ではございませんが、時間が短ければどうぞ簡略にして御発言を願います。
  17. 平林太一

    平林太一君 議事進行。今それぞれ出席者が明確に相成つておりまするが、この二十六年度決算に対するいわゆる承認の最終的な委員会の議場に、出席者がこの二十六年度決算の全体を網羅していないことを非常に遺憾に思いますが、この点は出席通告をいたして、本日欠席をいたしておる政府関係者があるのか、或いは今日出席いたしておる者だけに通牒をいたされて、出席を要求いたして、こういうことをおやりになつておるのか、その点を一つ明らかにして頂きたいと思うんです。
  18. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 平林委員にお答えしますが、当委員会としては、政府並びにその関係機関の全部に、本日午後一時から二十六年度決算討論採決をするということの通告を出してあります。只今の時間までにお見えなつたのは、只今名乗られた方々のほかに、運輸大臣官房会計課長、それから日本電公社経理局長、この両名がお見えになつておるだけでございます。
  19. 永岡光治

    永岡光治君 それでは主計局次長さんがお見えになつておりますから、一点質問いたしたいと思います。実は郵政局関係で、相当局舎関係でここに指摘されておる事項がございますが、局舎関係が殊のほか他の官庁に比べて、御案内通り、全国で一万四千ばかりの局舎を持つておるわけでありますが、一向にこれが改築されていないわけであります。すでに八十五年を経過いたしておるような局舎もあるような状態でございまして、そのために局舎新築について相当な無理をしておるために、こういう結果も起るやに想像されるのでありますが、その一端としてでございますが、局舎計画について将来どういう考えで臨もうとしているのか、他の官庁と比べて非常に不均衡のように私は思うのであります。それと関連いたしますわけでありますが、名古屋郵政局は現在駐留軍病院に使用されている。同じく福岡簡易保険局病院に使用されておりますが、そういうようなものを早急にこれを返してもらわなければ、庁舎払底の折でありますので困るのでありますが、地元からのそういう陳情は私たちしばしば受けておりますが、それはどういうふうに解決される見通しでありますか。その点を一つお尋ねいたします。
  20. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申上げます。官庁局舎、殊に非常に一般公衆方々の御便宜関係の深い、いわゆる窓口事務の多い局舎整備につきましては、大蔵省といたしましても、できる限りその整備について努力を払つてつておるのであります。只今指摘郵政関係は、その中でも大変大事なものでございまするし、又郵政会計性格から申しまして、その辺につきましては我々としても最善を尽したいとかねがね考えておるのでございます。併しなかなか現実には十分至つておりませんので、御指摘のような御意見もときどき拝聴いたしております。又名古屋福岡局舎につきまして特に御意見がございましたのでありますが、私どもといたしましては、只今申上げましたような気持を以ちまして、将来やはり大衆の方々の御便宜という点も中心に考えまして、できる限りその整備については努力をして参りたい、又接収その他の関係につきましても、関係方面とも十分連絡をとりまして、その対策について万全の措置を講じたい、かように考えておる次第であります。これらの点につきましては、郵政当局におきましても、かねがねいろいろ御努力になつておられるのでございまして、今後の予算編成等につきましては、只今の点につきまして十分関係の向と相談をいたしまして善処して参りたいと思つておる次第であります。
  21. 永岡光治

    永岡光治君 そこでこの本年度局舎予算を見ましても、御案内通り二十五億で、そのうち五億は借入れになつておりますが、承われば殆んど継続工事ばかりで、一万四千の中で、新たにできるのは一局かそこらだと承わつたような状況でありまして、これでは一万数千からの局でありますから、これは他官庁に比べて一番不権衡であります。従つてこれはこの次の予算を編成するに当りましては、何年計画でこれを全部償却して行くのか、つまり一つ計画があろうと思う。一万四千を何カ年計画で改築をして、何年で償却して行くという計画があろうと思いますから、そういう点を一つ十分考慮して、これ以上質問は申上げませんが、次の予算編成に当つては、思い切つた措置を講じてもらいたい。一万四千からの局を抱えておりながら一年に僅か十局しか作れないという、そういうみじめな予算では、国民の要望に到底副い得ないと思つております。これは今主計局次長も申されましたように、これは何も官庁の局じやない、公衆の使う郵便局であります。公衆の使うものでありますから、その点に特段の考慮を払つてもらいたいと思います。以上要望いたしまして質問を終ります。
  22. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 討論の御発言を願います。討論について御発言のかたはございませんか。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 昭和二十六年度決算報告書に対して一言申上げたいと思うわけでありますが、本報告書を長期に亘つて審査いたしたのでありまするが、その基本は、慎重審議された予算がどのように使われておるか、つまり適正に使われたかどうかという問題であります。我々がこれを審査した結論を申上げますというと、予算使途が年を追うて混乱しておるし、非常に不当事項等が多いということが眼につくのであります。なお、前年度、更にその前の年度不当事項その他或いは職員不正行為等の国に与えた国損金と申しますか、そういうものの回収というものも誠にルーズであります。特に大蔵省関係或いは農林省関係、その他、重要なるという言葉が語弊がありますれば、金を多く使うところ官庁において、不当事項等を多く発見するのであります。特に最近本委員会において問題になつた食糧庁麻袋の問題とか、或いはその他著明なる問題が検討されたのでありますが、これらの問題を考慮して参りますというと、綱紀粛正を唱えて来た吉田内閣自体が、誠に予算使途においては監督不行届であり、当該省責任者がその不当事項を起した公務員或いは会計責任者等に対する処置等も誠にルーズなのであります。具体的に申上げれば、注意をした、或いは厳重に注意を与えた訓告等処置で、これをすべて見逃して現在に至つておるのであります。このような結論といたしまして、昭和二十七年度決算報告書をみても、これらの不当事項或いは不正行為というものが激増しているということも、我々は重大なる関心を持たざるを得ないのであります。そういう点で会計検査院が本報告書内容調査したことについて、その労を多とするものでありますが、併しこれらの多くの事例というものは、全事例の中の極く一部分の調査によつて現われたものであります。更に検査を拡充し、その出所を明確にするならばこの冊子に何倍するか、あるいは何十倍するかの不当事項があると、これは推察可能なのであります。そういうふうにして考えて参りますというと、我々が国家に出すところ税金そのものを、国の公務員であるところ人たちがルーズに使用して、而もそのルーズに使用して来たそのものに対する会計検査院注意なり、或いは決算委員会注意なりというものを、その都度都度いわゆる聞きのがして、そうして十分その点について次年度において考慮を払つて来たとも思えない節が又多分にあることも我々は認めているのであります。つまり我々は随次その委員会で申上げている通りに、人の行為であるから、それは止むを得ない過失もあるだろう、いろいろと配慮をめぐらして予算執行するに当つて、思わん国損をかけたということもあるであろう。併し我々はそういう点を強く追及して本委員会審査して来たのではないのであります。特に我々は事件を取上げて新聞に宣伝されることを念願して来たのではなくして、参議院決算委員会としては、特に衆議院の決算委員会とその見るところを異にして、地味に而もこれらの不当不正事項というものが、次年度に、その次の年度に減少して行くことを期待して、我々は審査を続けて来たのであります。そういう点で昭和二十六年度決算と、その後配付された昭和二十七年度決算を見て、更に昭和二十五年度決算を見た場合において、非常に我々は政府の取つた措置が正しかつたとか、或いはその措置当を得ているというふうには考えられない。そういう点で私はこの報告内容というものについて、会計検査院報告されたことについて、とやかく申上げるのではなくして、この予算執行に当つて誠にだらしがなくでたらめであるというふうに、我々は感ずるので、国民を代表いたしまして、我々はこの決算内容について、このような状態ではいさぎよくここでよろしいというわけには参らない。この内容については、そういうふうに我々は存じているのであります。併し本委員会においては、この決算報告書承認する承認しないということではないと思います。従いまして私はこの政府予算執行に当つて取つたところ措置、或いはこの具体的な不当不正事項の頻発、こういうことについて、予算執行というものが誠に不行届きであるというような観点から、そういう内容について反対して討論を終りたいと思います。
  24. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私は自由党を代表いたしまして、二、三この問題に対して申上げてこの報告書には賛意を表するものでございます。  毎年のこの決算報告書を見てみますというと、やはり相変らず不当事件が引続いて起つておりますし、又特に補助金問題などにつきましても、昭和二十六年度だけでも五百件に及ぶほどの不当事項が出されておるのでございますが、これらについてよく一々調ベてみますというと、これに対するところのいわゆる会計検査院などが摘発をいたします場合にも、十分に入手が足らんで完全なことができなんだようなのにかかわらず、それだけの不当事項が現われておるというのでありますから、もつと会計検査院機構が発達して、もう少し大きくすれば、まだたくさんありはせんかというような疑いもあるのでございますが、とにかく会計検査院が行つて摘発した場所などにおいては、だんだんと当局のほうでもその不当の事項を認めて、その後大いに改正をしてやるというようなことを言つておられますからして、なお、今後各省におかれては、十分なる計画或いは監督又は研修などをやれるように、技術的に総力を挙げてやられて、今後は不当事項がだんだんと減つて参りますように大いに努力をしてもらわなければならんと思つておるのでございます。又不当事項があつたなどに対するところ懲戒処分関係にいたしましても、そのやり方がどうも不十分であるように感ぜられるところもございますので、これらの点は十分今後厳重にそういう処分どもやられて、今後そういうことが絶滅するようにしてもらいたいと思うのでございます。なお、又同時に、例えば水道関係あたりにいたしましても、二元的にやつておられる関係からか、相変らずいろいろの事項が起つておるわけです。これは十分考えられて、一元化するように進めてもらいたいと思うのでございます。昭和二十六年度におきましてもかなり多数のこういう事項が羅列されておるのであるから、今後は特にそれらのことが起らんように十分なる注意をして、又決算委員会における意見を十分に取入れて、今後こういうことが起らんようにしてもらうことを条件にいたしまして、この報告書に賛成の意を表するものであります。
  25. 山田節男

    山田節男君 ちよつと質問するのですがね。この今の議題になつておるのは二十六年度一般会計特別会計それから政府関係機関決算承認であるか、或いは会計検査院決算検査報告承認するのか。どつちが只今議題になつているのか、今谷口委員の御討論を聞いてちよつと議題がはつきりしないような疑いがあるのですが、もう一度今議題になつておる点を明らかにして頂きたい。
  26. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 議題になつている点は、公報にも掲げてありますし、それから先ほど開会に当つて冒頭に申上げました昭和二十六年度決算三件そのものでございます。検査院報告に限定されてありません。
  27. 山田節男

    山田節男君 わかりました。
  28. 島村軍次

    島村軍次君 私は緑風会を代表いたしまして、只今議題になつておりまする昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算ほか二件に関して、これを承認し、併せて次の点を申上げまして特に政府の反省を促したいと存ずる次第であります。  大よそ我が国予算制度が確立され、而うして国の行政事務執行されまして以来、決算に関するいわゆる会計検査調査或いは又これをそれぞれの機関に諮つて承認をするの制度は、もはや何十年の歴史を持つておるものと思われるのであります。遠くは余り論じませんが、終戦後における予算執行が極めてルーズであつて只今二者のお話の通り非常な件数の増加して参つたことは、誠に遺憾であると思うのであります。殊に私の遺憾に存じますることは、内閣制度が確立されましてから、内閣の更迭によつて、前内閣のやつたことであるからというような責任の回避の傾向が従来多かつたと思うのでありますが、併し少くとも吉田内閣が成立されて以来の決算については、どうも現在予算執行及び決算に関しての注意が足らないのでないか、而も又これを軽視しておるのじやないかという感が非常に深いのであります。今日の綱紀粛正の問題が非常にやかましい際に、もはやこの辺でピリオドを打つて決算に関してはもつと慎重なる関心注意を喚起し、内閣挙げてこの問題に関しての抜本的の施策を立てるべきであると私は考えるのであります。本日の決算報告に当つて政府側出席の少いということも一つのこれは事例であつて内閣を代表する少くとも副総理の出席をもつて、十分なる決算に関する本委員会討論なり或いは又その結論を承知さるべきであると信ずる次第でありまして、単に予算執行に関する職員責任に帰しておるというような点が、年々の不当支出の増加と見ることができると思うのであります。長い間の決算審査に当つて、或いは又毎年の決算審査に当つて注意されておりますることが、全く馬耳東風のごとくそのまま葬り去られるというような考え方は、この際是非とも一掃して頂きたいということが、国民のこれは声であると思うのであります。でき得るならば、会計検査院指摘されておりまする点は勿論のこと、会計検査院みずからもその機構を拡充すると共に、更にいわゆる厳罰主義に基くという前に、事前にこれらの問題を防止するの措置が当然講ぜられねばならないと思うのでありまして、更に会計検査院摘発等に関しましては、どうも御遠慮されておるのではないかということさえ窺うことができるのであります。要するに時局に鑑みられまして、今後の予算執行及び決算の趨向に鑑みて、事前の防止をいたし、而もできたものに対しては厳罰主義を以てこれに当られ、或いは又更に何らかの厳正なる措置をすべき法的措置も、この際積極的に考えるべきであるということを付加えまして、以上の強い希望を付して、ここに二十六年度決算ほか二件に関しての承認をやむを得ずいたすということに討論をいたしたいと存ずる次第であります。
  29. 山田節男

    山田節男君 只今議題となつております昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算並びに同年特別会計歳入歳出決算、同じく同年政府関係機関歳入歳出決算、これに関しまして承認を与えることに反対であります。  以下理由を若干述べたいと存じます。先ほど岡委員並びに谷口委員並びに只今島村委員から賛否両論において、お述べになつ内容におきましては大体一致しておると思うのであります。私ども参議院決算委員会といたしましては、この新憲法下における決算委員会決算委員性格と申しますか、本質に鑑みまして、極めて厳正に審議をいたしたのであります。御承知のように、旧帝国憲法時代におきましては、会計検査院天皇のこれは直属機関でございました。併し新憲法下における会計検査院というものは、これはもはや天皇直属機関じやない。従いまして会計検査院決算報告というものは、これは天皇報告をして承認を求めるのではなくいたしまして、内閣を通じ国会承認を求めておるのであります。かような点から見ましても、国会国会の殊に決算委員会としましては、政府予算執行に対しましてこれが政治的な批判をなし、又是正をなすのが本委員会の責務であることは、これは明瞭でございます。かような見地から、本委員会におきましては終始この三つの決算審査いたしたのでありまするが、先ほど来、いろいろ指摘されたのでありますが、殊に本委員会におきましては、補助金に関する特別小委員会をも設けて、極めて精細に審議をいたしたのでありまするけれども一般会計予算その他の決算報告を見ましても、会計検査院が全体から申しまするというと、その殆んど一割前後のものしか検査いたしておらないにもかかわらず、昨年度におきましては約一千二百件の不正支出指摘をされておりまするし、又補助金の部面に至りましては、これ又小委員会におきまして審査の結果、親委員会報告をされたのでございますが、実に驚くべき事実が数限りなくあると申しても過言ではありません。実に何と申しますか、この予算執行に対しての官紀の弛緩しておること、まさしくこれは肌に粟を生ずる思いをいたすような事実が、我々の審議の過程において暴露されて来ておるのであります。かような見地からいたしまして、吉田政府はすでに約六年間の施政の間におきまして、常に綱紀粛正ということを申しておるにかかわらず、会計検査院を通じて報告されましたこの決算報告内容見え行政各部に亘りまする予算執行の杜撰さというものは、誠に目を覆うべき事態が多いのでございます。かような次第でありまして、今日の国会のこの決算に対する責任を忠実に果す意味からも、又かような国民税金でまかなうところ予算執行が、かようにルーズであるということは、これは我々二十七年度決算報告もすでに会計検査院から受けておりまするが、これを見ましても、依然として改善の跡がないのみならず、ますます悪くなりつつあるということが明らかにされておるのであります。こういうような事態に鑑みまするとき、殊に先ほど申上げました新憲法下における決算委員会の職責から申しまして、又従来この国会におきましては、とかく予算におきましては非常に皆が一生県命になり、又予算審議というものがいかにもはなばなしくされておりまするけれども決算におきましては従来非常に等閑視をされておる、こういう弊風が本国会に衆参を問わず存在するということは、新憲法下におきまする決算委員といたしまして、誠に遺憾極みなき次第であります。かような二つの理由を以ちまして、今議題に供せられましておるものにつきましても、これを承認を遺憾ながら与えることができない。又このことによつて政府内閣予算執行に当りまして、いくたの予想される不正行為、これを是正せしめ、その数を減ぜしめるというような、いわゆる政府に対しまする鞭撻の意味からいたしましても、不承認とすべきである、かように考えますので、本議案につきましては、不賛成の意を表します。
  30. 平林太一

    平林太一君 昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算昭和二十六年度政府関係機関決算報告書、以上三件に対してこれを承認し難きことを表明いたすものであります。  その理由といたしましては、すでに二十回内外における決算審議の実情に徴しまして極めて事理明白なることが、事実として今日までの委員会の経過に徴しまして明確に相成つておることが、第一の理由としてこれを申上げるものであります。二十六年度における会計検査院の批難し、指摘し、不当事項として挙げられておるものは千百八十一件の多数に上つておりますることは、申すまでもないことであります。これらの事実に対しまして、過まつて改むるに憚ることなかれという行為が、この千百八十一件の間に現われておりますれば、更に考慮すべき余地もあり得るのでありますが、この点が全然現われておりません。それどころではない。過去昭和二十二年以来の経路を見ましても、累年この事件が増大をいたしておる、この厳粛なる事実であります。会計検査院検査状況は、今日までの審議の状況に徴しまして、その全部に亘る三分の一内外しか、今日会計検査院の持つております予算又人事、その機能というものしかできていないという事実であります。にもかかわらず、かような多数の事件を発生いたしておるということは、当然潜在しておりまするところの不正不当或いは批難すべき事件というものが想像せられて余りある次第である。かようなことを承認するということは、これは最後における当否の問題を批判する地位におる国会の最終的な地位といたしまして、如何にも明白なる事柄として、これを承認するというがごときことは、ことさらに私自身といたしましては、良心に違背する行為をいたすということに相成るのであります。かような事柄に対しまして、近年議院内閣制下における政党内閣の綱紀の弛緩、綱紀の紊乱というものが漸く表に現われて参りましたが、そういう事柄は、私はいわゆる政党内閣がその力を私して、力を濫用して、そして政治を私しておる。政治を濫用する、以てその政治の公正を阻害して、政治の公正というものを破壊して、国家に害毒を流す。これは綱紀弛緩、綱紀紊乱の姿であり、実態であることは申すまでもないのでありますが、そういう政党内閣下におけるこの行為が、近年露骨に国家行政の機関に滲潤して来たというこの事実であります。これは予算におきまして、一兆億円内外の予算、その他財政投資におきましては三千億円内外の予算、そういうような厖大な予算というものを執行する行政機関に、これが滲潤して来たということになりますと、これは容易ならざることでありまして、漫然としてこれを承認するというがごとき惰性的の行為を続けておりますならば、当然行政機関の一角から国家は不測の災いをここから発生せしめ、遂にこの悔を百年の後にいたさなければならないというような事態に立至ることが深く憂慮される次第であります。承認をすること、しないこと、それが及ぼす反響、影響というものが、当事者に対しては、私自身といたしましては、本日は政府関係要路の諸君がそれぞれ御出席に相成つておりまするが、私はこれを承認しないということが政府要路の諸君に対する慈悲、大愛であるということを、この際申上げるのであります。これを承認すればどうなるか。いわゆる惰性、習慣というものほど恐るべきものはない。かくて弊中に座して弊を知らず。個人としては極めて良識ある立派な諸君だと思います。併し習慣、惰性の下に国家の予算執行するに当りまして、一つの集団、一つのいわゆる形の上におきまして行われるということになりますと、そのことをみずから気ずかざることもありましよう。又気ずいても一人を以てさようなことを改めるわけにはいかない。そういう間に救うべからざる事態に立至る、現に今回の造船疑獄事件に対しましても、運輸省の或る極めて良心的な官吏が階上からみずから身を地底に投じて自殺をいたしたという行為、この本人の平生の執務の状況、人柄というものを見ますれば、誠に立派な人であつた、良心的な人であつたということが、今日それぞれの報道を通じまして全国民の非常な同情を買つておる次第であります。むしろその人格に対しては崇高の気持をさえ起すというようなことすら私は感ぜざるを得ない。併しこういう事態に立至つたということは、取りもなおさずこの機構の中において、いわゆる習慣惰性においてそういうことが改められなかつたということが、この悲惨な事実を生んだのであります。でありまするから、私はこの際これを承認いたさない。私が無所属クラブを代表いたしましてここで申上げるわけでありまするが、せめてものこの気持を政府の要路諸君は国会の意思として、又私は恐らくこれは良心的な全国民の、而も素直な従順な政府関係諸君に対する心持であるということを信じて疑わざるものでございます。どうぞ一つ大過なく——国家の官吏というものは昔から実に立派ないわゆる教えがある。大過なく職責を全うした、二十年、三十年の年月を大過なく全うするということは、これは人生の記録といたしまして、私は容易ならざることである。同時にこのぐらい崇高、偉大なことはない。何ぞ次官、大臣を以て偉えしとするか。局長になつて偉らいということではない。大過なく職責を、三十年の官吏生活を全するということが、これが一番大事であると思うのであります。でありまするから、国家の制度といたしましても、大過なからしめるために、会計検査院が厳然たる独立の地位におきましてこの会計監査のことに当る、そしてひたすら爾後の不正不当行為の起らざることを前提としてこの行為が行われるということを御承知願いたいと思います。そういう意味におきまして、甚だ遺憾ではありまするが、二十六年度決算に対しましては、これを承認しない。承認しないということは、是非、それによつて承認したことよりも、関係官吏諸君の良心の反省というものがそれによつて強くこれが躍動せられて、そして爾後そういうことをしない、そういうことを未然に防止、或いは絶無ならしめるということによつて、大過なき官界の御職務を果すことができるのである。そういうことを私はひたすら期待して、この決算承認をいたさないということを御了承を願いたいのであります。徒らに私はかような決算の問題に対しまして何か政争、野党与党というような問題ではありません。一切のこれはものことをそういう問題に対しましては超越をいたしまして、ひたすらに官吏諸君の無事安泰を希う。その官吏諸君の行為が無事安泰であるときにおいて、国家の行政業務がやはり正常に行われる。正常に行われることによつて、国家の運命国運というものが、これが滞りなく諸般のことが取り運びになつて、そうして国民ひとしくその所を得る。こういうことにこれは相成ること極めて明白であります。  私は以上の理由によりまして本審査承認をいたさないということを明らかにいたす。併しそのことは私自体といたしましては、少くともこれは承認をいたすということよりも諸君を思うの情、誠に深いものがある。再び官庁の階上から飛び降りるというような善良な官吏を出さしめざらんごとをひたすら希うが故に、このことを申上げるのであります。  以上の理由によりまして本決算に対しての承認に対しては反対をいたすものであります。
  31. 菊田七平

    ○菊田七平君 私は改進党を代表しまして本二十六年度決算三件に対しまして不賛成の意を表するものであります。  只今同僚議員から再三言われましたように、二十五年度、二十六年度、二十七年度と毎年累増をいたしておるこの結果を見まして、私ども非常に嘆かわしく思うものでございまして、こうした件数は僅か検査院が調べた氷山の一角に過ぎないと思うのでございます。私どもこうしたことによつて、終戦直後ならば、これは精神の動乱時代であるから止むを得ないと思いますけれども、終戦後において相当の時期を経、而も心も落ちついて来ておるにもかかわらず、毎年々々と殖えるということは、非常に心に残念に思うものでございます。そういう意味において、私どもはこれを今までは涙を呑んで承認して来たのでございますけれども、事ここに至つては、これを政府において反省してもらわなければ、我々としても国民の代表として申訳ないと、こういう考えから不賛成の意を表するものでございます。
  32. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ほかに御発言ございませんか。……賛否両論極めて熱意のある討論が展開せられましたが、ほかに御発言がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。冒頭議題に供しました昭和二十六年度決算三件はいずれもこの審査報告書案通り議決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  34. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 多数と認めます。よつて昭和二十六年度決算三件は多数を以てこの審査報告書案通り議決することに決しました。  なお、本会議における委員長の口頭報告内容は、本院規則第百四条により、あらかじめ多数意見者の承認を得なければならないことになつておりまするが、これにつきましては、只今討論中の賛否両論の概要は勿論、希望意見等を含めまして報告案を作成することとし、委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条により只今議決することに賛成せられたかたの順次御署名を願います。   多数意見者署名     谷口弥三郎  島村 軍次     青柳 秀夫  長谷山行毅     雨森 常夫  石川 榮一     八交 太藏  小沢久太郎     木村 守江  剱木 亨弘     宮澤 喜一  宮田 重文     飯島連次郎  奥 むめお     廣瀬 久忠
  36. 小林亦治

    委員長小林亦治君) これを以て散会いたします。    午後二時十六分散会