○専門員(森荘
三郎君) 千百八十号から
あと数件は、物品に関する事柄でありまするが、千百八十号は、古いレール、鉄屑などの売却の
方法が適当でなか
つたという点でありまするが、この案件は鉄屑などを、当時価格統制中でありましたので、統制価格で売買する
契約を三月の下旬にしたわけであります。そうして実物を買受人が引取るのは、四月から十二月頃までに亘
つてだんだんと引取
つたわけでありまして、買受人のごときも何々株式会社ほか三十二名に及ぶというわけなのであります。ところが、四月一日に統制が停止された。そうなりますると、このときには市価が著しくその後高くな
つたのであります。ところが
契約が三月にできておりますから、元のままの値で引渡したのでありまするが、それが不当であるということが
検査院から
指摘されておりまして、これを
計算をしてみれば合計で二千四百万円以上の損になる。それはどの点が悪いかといえば、
契約の条件の中に、統制時代でありまするから、統制額が改訂された場合には、その改訂された価格に変更をするという、その条件
はついてお
つたわけでありまするが、改訂という文字はありましたけれ
ども、統制が停止された
あとという、統制停止ということが
契約の
条項の中に語
つてないのであります。統制停止後に引渡した、そういうものについては、価格を改訂するという条件を附しておきさえすれば、もつと高い値を取ることができたのに、こういう条件を落してお
つたということが不
注意だという
指摘であります。
当局の答えもその御
指摘の
通りでありまして、統制価格が停止されたならば、まだそのときに引渡していなか
つた部分については、
業者と協議をして適当な市価を定めるべきであ
つたのが、それをしなか
つたのは遺憾であるということを答えられております。
ついでにちよつとつけ加えて申上げますが、殆んどこれと同様な扱いをしたものが、
大蔵省関係の屑鉄の売却についてでございます。その場合にも殆んど同様な
指摘を
検査院から受けているのでございます。
只今大蔵省関係と申しましたが、この検査報告の百十一号乃至百十七号にありまするものとほぼ同種類のことなのであります。
次に千百八十一号、これは物品の買入が不当であるという
指摘でありまするが、これは
鉄道の信号のところに錠前がついておりますが、その錠前を新たに取換える、それは従来使用してお
つた信号用の錠前が陳腐化し、且つ世間で、私鉄会社の
鉄道などにも
一般的に使用されておるので、これではよその者が出て来て、これらの信号にいたずらをしても困る、
事故発生防止に不十分であるために、新規に錠前を別の錠前を買入れて、全国的に統一する必要があるということで、購入されておりまするが、その買入れた金額は約四千万円近くに上るわけなのであります。併し
検査院の御
指摘では、この新らしい錠前といえ
ども、それを開けることが極く簡単に開けられるものであり、破壊とありまするが、破壊がそれほど困難でもない。
事故発生防止のためには、従来のものと余り差がないから、全国統一のために多額の、多量のものを一度に買入れるまでの必要はあるまい。必要に応じて部分的に買入れればよいのではないかという
指摘のようであります。これに対して
当局の答えは、この信号用の錠前は実用新案品である、その点が従来のものとは違
つておる。
程度の差こそあれ、実用新案品で、一段の進歩のあることはわかる。当時使われてお
つたほかの錠前に比べると、
国鉄がこういう信号用の錠前として使うところの錠前は、こういう点とこういう点と、これこれの条件を具備していることが望ましいという条件が何カ条かある。それに照し合せてみると、従来のものに比べて新らしいものが非常に条件をよく備えておる、それで統一的に購入した。なお、又錠前を開けるとか、破壊をするとかいう点も、勿論そう立派な品物でもありませんから、完全というわけではありませんが、併しそう言われるほど必ずしも破壊が容易なものとは
考えていない。とにかく従来のものよりは一歩進んだものである。なお、従前の使用品は、相当長く使
つていたために陳腐化しておる。それから又戦時中及び戦後を通じてよい品物をほしいと思
つたけれ
ども、なかなか容易に手に入らなか
つたような事情もあ
つて、現在こういう信号のことに
関係をして、従業員が持
つております品物の種類が、種々雑多なものを持
つているというわけでありますから、
仕事をする上においても、ここにあるこの錠前で開けるのにも、どの鍵であけるかとい
つたような一々使用上困難を感じておる、管理上支障も多か
つたということ。なお、特にこの当時におきましては、御承知のあの三鷹
事件、松川
事件など列車運転
事故が続発をして、信号機に対する妨害
事件も相当多数起
つてお
つた。ほかのことと違いまして、人命の危険もあることでありまするので、その防止策として特に
注意を加えたのであり、それで従来ほかの私設
鉄道などで使
つておるものと違
つた種類の
国鉄特有のもの、よそへは決してこれは流れて出ておらないとい
つたような、混用範囲の狭い錠前に統一するために、思い切
つてや
つたのだと、こういう答弁なのであります。
次の千百八十二号、これは
関係者がどういう
計算違いでやりましたか、
検査院の
指摘によれば、必要量以上のものを購入した。即ちここに一覧表に並べて書いておきました
通り、これだけのものを準備しておけばよか
つたのだ、ところが前年度から繰越したものがこれだけあり、当年度すでに納入されておるものがこれだけある、原料品で持
つておるものもこれだけある、すでに手持品だけでも
つて必要量を超えておるのに、それ以上更に多量なものを買入れて、翌年度に持越しているという批難でありまして、
当局も
検査院御
指摘の
通りという答えであります。
その次の千百八十三号、これは汽車や電軍などのドアーの入口のあの板ガラスでありますが、それか従来使用しておりました普通ガラスでは、破損が大きくて損でもあるが、殊にお客さんに対して危い。ところが別に強化ガラスというものがあ
つて、壊そうと思
つても壊れないという
程度のものがありまするから、それで従来の板ガラスを加工者に渡して、強化ガラスに加工をさせたという
事件なのでありまするが、これについてどういうことが問題とされているかということを上と下とに並べて書き分けてみました。先ず
検査院の
指摘は、使用部局の準備要求によらないでこれだけのものを欲しいとい
つても来ないものを、こちらのほうで、本庁のほうで加工をさせたということ。ところができ上
つた品物を使用させますると、使用担当者がその使い途を知らない、嵌込みが困難であるがために、使用量が極く僅かしか使用されておらないで、検査に行
つたときには大多数がそのまま残
つてお
つたということ。それから三番目に、こういう変更を加えるならば、従来の板ガラスの破損率がどのくらいあるか、それらのことをよく調べ、なおこれに加工に要する費用と、双方を照らし合せてみて、どちらが経済上損か得かということをよく研究しなければならないのに、その研究をしたと思われる十分な資料がないということ。次にかような品物は二十三年度以後に買入れた
事例がないという、これだけのことを
検査院の報告に記されておりまするが、これに対する
当局側の
説明を対照的に申しますると、第一の点は、それぞれ
関係部局とよく協議の上で加工をさせたのでありまするから、必ずしもこの点において不調法であ
つたというわけでもありませんという弁明と、次にこの文字がガリ版の誤まりがありまするが、「使用
方法につき十分な協議が行われず」とありますこの「協議」という二字を消して頂きまして「検討」と直して頂きたいのであります。
〔
委員長退席、理事菊田七平君着席〕
使用
方法について十分な検討が行われないで、その使い方の指導が徹底していなか
つた点は、これは
当局としては誠に申訳がないことであると、この点を
はつきり認めておられるのであります。なお、繰越品はその後大部分を使用済で、
あとに残
つておるものは極く僅か、どこそこが幾らということが書いてありまするが、なお、これにつきましてちよつと附加えて申上げまするが、強化ガラスというものは文字
通り強化されるものでありまして、これを切ろう思
つてもなかなか切れないのだそうであります。窓枠の寸法がすでにきま
つておりまするから、そこへ嵌込もうとすれば、必ずしもガラスの寸法がぴ
つたり合うものもあれば合わないものもあり、窓の寸法はそれぞれ違うわけでありますから、違
つただけのものを切ろうと思
つても、余り硬過ぎて切れないということが、この使用実績が少か
つたということと
関係しているのだそうであります。それから第三の点につきましては、これは成るほど一々比較研究をや
つてはいない、併し従前使用しておりました普通の板ガラスであ
つたときには、これは多量の破損があ
つた。殊にもうこのときは二十六年度でありまするけれ
ども、これより以前の終戦直後のごときは、あの旅客が非常な混雑をしてお
つたときでありまして、窓ガラスなどはもう押し合いへし合いで大分破損があ
つた。その破損があ
つたあとを受けているわけでありますが、いずれにせよ、従前には相当多量の破損があ
つた。ところが今度作
つたこの品物は強化ガラスでありまして、絶対にとい
つては言い過ぎかも知れませんが、殆んど絶対に破損しない
程度の品物でありまするから、従来は破損率が何%あ
つた、それに対して今度のものはどの
程度破損するか、殆んど比較は不能というような
状態にある。これが非常に固いもので壊そうと思
つても壊れない
程度のものだということは、前に申しました第二の点で、窓枠に嵌込むために寸法が合わないので切ろうと思
つても切れないくらいのものだということを見て頂いても、殆んど比較しろとい
つても、すればよか
つたかも知れませんけれ
ども、それほどまでの必要を当時
考えていなか
つた。なお、附加えて申上げたいことは、お客がガラスの破損のために怪我をするということは、一
事件が起りましても容易ならんことでもありまするし、なお、同じくこのガラスが如何に強化ガラスといえ
ども、割れることはやはり割れるに違いありません。普通のガラスでありますると、ぱんと何か物が当れば破片が直角的にといいましようか、飛び散
つて人に傷害を与える。ところが強化ガラスはその割れ方がまるで違うものでありますから、これが仮に人間の体に当りましても、突き刺さるとい
つたような、ああいうふうの鋭い被害を与えないという点も考慮しなければならないということが附加えられております。それからなお二十三年度以後に購入の実績がないと言われまする点は、実は二十一年度以後一部分は購入をして用いてお
つたのであるけれ
ども、何分にも
値段が高い。普通でさえも高いには違いありますまいが、二十一年度、二十二年度という頃は物資不足の当時でありますから、非常に高価であ
つたので、二十三年度以後は一時購入を停止してお
つた。当時は普通の板ガラスに比べて六倍
程度の価格の高さであ
つたそうであります。
従つてこんなに高くてはというので中止をしてお
つた、ところが二十六年度にな
つて、これが三倍
程度に、三倍と思いまするが、その
程度に下
つたので、それならば買
つてもよいというので買うことにしたのであるというふうに
説明されているのであります。
その次に千百八十四号。これは納入されたところの品物に不良品があ
つた。普通ならば、その不良品はこれを突き返すか何とかして瑕疵担保の
責任を追及すべきはずであります。ところがその
責任を追及せずに、不良品をばスクラップにしてしま
つて他に転用した。これがいけないとい
つて批難されているのであります。
当局の答えは、全くその
通りでありまするが、併しなぜこんなことに
なつたかといえば、
関係個所相互間といいまするのは最初神戸で買入れて納入されたものを、東京附近の大宮へ移して来たりなんかしたわけで、それでこう
関係個所相互間の連絡不十分のために、受取
つたほうでその不良品は択り分けて別に保管をしておけばよか
つたわけでありまするが、その
注意を欠きまして、ひび割れを生じておるものをも長く一緒くたにしておいた。そうして
あとでそれを使おうとするときに、こんなひび割れの生じたものは使えないというので、ほかの目的に転用してしま
つた。そうしてどれだけの分量がどうな
つたのだか、それが殆んどわけのわからんような形に
なつたものでありまするし、納入者に向
つて品物を突きつけて瑕疵担保を負わせるということができなくな
つてしま
つたものですから、どうにもこれはいたし方がありません。但しかような処置が悪か
つたこと、
関係方面の連絡を密にさせるということの必要は認めまするから、今後はそういう方面に
注意をさせますということなのであります。要するに処置を誤
つたもので、納入者に向
つて証拠物件を突きつけることができないものだから、どうにも仕方がないということのようであります。
次の千百八十五号でありますが、これは物品の経理が甚だしく繁乱をしておるというのでありまして、これは大宮工場の用品庫であります。このところの物品の経理が甚だしく紊乱をしてお
つたということは、この
あとにも御参考に書いておきましたが、
昭和二十五年度の批難事項の千三十七号とか千四十一号などに詳細に記されているところでありますが、とにかくひどく物品の経理が大宮において紊乱してお
つたのであります。従前から職員の
事務の不慣れや乱雑な物品経理のために生じた現品の過不足、或る品物は帳面よりもたくさんな実物がそこにある。そうかと思うと他のものは甚だしく不足しておる。そういうふうなことがあ
つたものですから、それを
整理しようとして、その過不足を糊塗する目的などのために不当な経理をや
つてお
つた。だからますます変な、帳面ずらと実物とが合わないということに
なつたわけなのであります。
当局の答えは、全く
検査院の御
指摘の
通りであります、それで厳密なる棚下しを行いまして、すべて正規の処理をいたしましたという報告であります。
次に千百八十六号、ドラム罐の借入について
契約の仕方が下手なことをや
つたので、余計な金を払わなければならなか
つたという例でありまするが、新潟の
事務所で
契約をしましたときには、次に掲げましたような条件で
契約をして、ドラム罐を借入れることにしたのであります。ところがこれは新潟の
事務所でこんなことをや
つたのでありまするが、
国鉄全体としましては、
国鉄が別に
契約をしておる
特約条項による使用料を見ると、最初三カ月間は無料、四カ月以後になりますると非常に高くなりまするか、これは貸してくれますほうの会社で、そう長く使われてお
つては非常に迷惑なものですから、最初三カ月間は無料で使
つてもらうが早く返して欲しいので、四カ月以上半年も一年もということにな
つては、もう罰金をとるというくらいな心持で、こんなふうに
値段が高くな
つておるわけなのであります。この二つの金額を比べてみますると、ちよつと見ると、どつちが安いのか高いのかわかりせんけれ
ども、使用実績を見ると、新潟の使用実績は最高六十六日
程度でありまするから、右の
特約条項によれば全然無料で使用し得たという結果にな
つておる。それをこんな下手な
契約をしてお
つて金を払
つたのが不当だというわけであります。これに対する
当局の答えは、この
国鉄の
特約条項を活用しなか
つたことが遺憾であるという回答であります。
次の千百八十七号、これも事柄の
内容は簡単でありまするが、井戸水を、長野における出来事でありまするが、電力料金を節約するために井戸水の使用を少くした。そうしてその代りに水道の水をたくさん使
つた。
検査院の調べによれば、若し二十五年度と同じだけの水を使
つたものと仮定すれば、二十六年度には電力料のほうでは、つまり十五万円だけ、——どう
言つたらいいのですか、二十六年度には電力料を十五万円だけもつと多く使うことにはなるけれ
ども、その代り水道料が九十五万円節約になるわけですから、比較してみれば八十万円の節約に
なつたはずだ。電力を節約しようと思
つてや
つたことが水道料のほうが高い、こういう結果にな
つて、損なことをや
つたもんだ、不
注意なことだと言われますが、
当局においても全く
検査院の御
指摘の
通りという答えであります。
その次に千百八十八号と八十九号は、これは職員の不正行為、犯罪事実なのでございます。
それから最後に千百九十号から九十八号まで、是正済みの問題が報告されてありますが、ただその中で、読んで行きますと、特に御報告申上げるほどのこともございませんが、最後の千百九十八号、これは犯罪行為じやないかと思われることでありまするが、事実実質的に申せば殆んど犯罪行為と言うべきでものでありまするので、この
責任者は諭旨免職という取扱いをされておりまするし、相手方の
業者は出入り禁止という処分をしたということが報告されてございます。
以上であります。