運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-11-10 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十日(水曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君            平林 太一君    委員            雨森 常夫君            石川 榮一君            白井  勇君            高野 一夫君            田中 啓一君            宮田 重文君            後藤 文夫君            亀田 得治君            久保  等君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            堀  眞琴君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大沢  実君    日本専売公社総    裁       入間野武雄君    日本専売公社審    査部長     内藤 敏男君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社施設局次長  佐々木卓夫君    日本電信電話公    社経理局長   秋草 篤二君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第二十回決算委員会を開会いたします。  本日は、昭和二十七年度決算日本専売公社及び日本電信電話公社について議題といたします。まず日本専売公社検査報告の千七百七十七号、補助金千七百七十八号及び不正行為千七百七十九号、千七百八十号を問題に供します。まず検査院から御説明願います。
  3. 大沢実

    説明員大沢実君) 三百八十四頁以降に日本専売公社検査の結果を報告してありますが、個別の千七百七十七号、前に記述してありますことを簡単に申上げますれば、まず二十七年度の専売公社営業成績に述べております益金が、総額におきまして千四百五十四億円出ております。そうしてそれからいわゆる資産の増加になつた分を控除しました、一般会計に納付しました益金が千三百三十七億ということになつております。これは各事業別に見ますると、たばこが非常に多いのでありますが、塩事業におきましては決算において二十七年度においては六億八千万円の欠損になつております。この理由は、ここに書いてありますように、従来非常に高い値段輸入されておつた塩が、その後輸入価格が非常に安くなつた、それで勢い売渡価格を安くせざるを得ないので、輸入価格にマッチした売渡価格にした従来の古い手持塩値段がかぶさつて来ております。ここに六億八千万円という欠損を生じたわけであります。これが二十八年度に入りますると、輸入価格は依然として安いので、その後、又、塩事業におきましても、成績が向上いたしまして、二十四億の利益になつております。なおついでに二十八年度の状況を申上げますれば、たばこ事業は千六百億の利益樟脳事業は二千七百万円の欠損ということになりまして、総額は千六百三十億の利益になつております。これは二十八年度の状況であります。  次に財務諸表で書いてありますことは、簡単になつておるのでございますが、軽微な差異をこちらでそれぞれ修正したものでありますが、全体の決算に響く率は極めて少いものでありまして、特に御説明申上げるまでもないと思います。  それから(物品の調達について)ということが書いてありますのは、例のゴールデンバットが、従来は一枚の包かによりまして、横筋のような模様の包かであつたのを、その後におきまして、二十七年の十一月から現在のような二重包装に切替えられたのでありますが、その時に、従来の古い包か用の巻取原紙というものが相当まだ保有されておつた。併し商品でありますから、切替と同時にこれは使用することができなくなつて、他に転用したり、或いは断さいししまつたというような事情でありまして、特に不当というほどの問題ではありませんが、商品のレッテルの切替といいますか、そうした場合に在庫を考慮されて、その切替時期をもう少し考慮されるということにすれば、こうしたものもフルに活用できたのではなかろうかという感じがしますので、一応ここに掲げた次第であります。  それから次に千七百七十七号の石炭購入方法が適切でなかつた、といいますのは、数日前に御審議願いました印刷局と同じような事態でありましてこの専売公社全体が殆んど競争入札購入されておつたのでありますが、そのうちの機械製作所、ここで銘柄を指定されまして、随意契約購入されている。これはボイラーに使う普通の炭でありますから、特に銘柄を指定して随意契約にする必要はないではないか、競争入札にしたならば安くなるのではなかろうかという趣旨であります。この本院の趣旨に基きまして、機械製作所も丁度昨年の十二月頃からの購入競争入札に変えられまして、五千円程度だと思いましたが、安い値段購入されているような状況であります。  次の千七百七十八号の塩田改良事業補助金でありますが、これは特に違法とかいうような問題ではないのでありますが、二十七年度に、最初は災害復旧補助金予算に計上された。ところが二十七年度予算を執行するときに災害復旧が比較的少かつたために、約四億という補助金交付金予算が余つた。これを改良事業のほうの補助金に振りかえられたのであります。これは改良事業補助金は、塩田施設法でありますか、製塩施設法でありますか、それによりまして補助金交付し得ることになつたのであります。その後成規の手続で流用されて出したのでありますが、この交付時期を、相手方の事業主体事業執行状況、これを対照してみますると、二十七年度においては各事業執行者は、殆んど事業にまだ着手してないような状況であります。この場合に、三億数千万円に亙る補助金を、これは前金概算払いができるのでありますから、法規上は差支えないようなものでありますが、一括して出すのはどんなものであろうか。むしろ事業進行状況に応じて補助金交付して然るべきではなかろうか。こういう趣旨でありまして、交付を受けた各事業主体は、これを事業がまだ進みませんので、殆んど市中銀行預金にいたしまして、そして事業進行度に応じてこれを使用して行くというような状況でありまして、昨年の九月末現在においてまだ一億三千八百万円というものが銀行預金として残になつている。こういうような状態になつておりますので、交付金の支給時期が適当ではなかつたんではなかろうかというように考えるのでございます。  次の千七百七十九号、八十号の不正行為でありますが、七十九号のほうは、これは宇都宮の地方局におきまして、塩の倉庫から塩を売渡すために、搬出いたしまする場合に、正規な搬出数量指示数量以上にその倉庫輸送係のものが持出しまして、これはまあ輸送人と結托したのでありますが、これを持出しまして、他に売却して、その差額を領得しておつた。約二千八百かますかと思いましたが、それだけのものを逐次少しずつ持出して領得しておつた、こういう事態であります。  次の八十号のほうは、たばこ売上げ代金を納入せずに、それをそのまま領得した。こういう事態であります。  以上簡単でありますが御説明申上げます。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 公社からは人間野総裁内藤審査部長高橋考査役大谷塩業課長友藤需品課長が見えております。御質疑の方の御発言を願います。  大沢局長に伺いますが、二十八年度の益金のほうをさつきおつしやつたようですが、それは二十八年度の益金の累計はまだ済んでないのですか、現在までの。ちよつと私の聞き違いでしようか。
  5. 大沢実

    説明員大沢実君) 二十八年度は決算が終りまして、益金は算出されております。これが全部納付されたかどうかと、そこまではちよつとはつきりいたしません。恐らく納付済みだと思いますが。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 総裁お見えになつておりますから、何か伺いましようか。質疑の際にあなたのほうから一般状況……。
  7. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) お尋ねがありましたらお答えしたいと思いますから。
  8. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 何か質疑がありましたら……。
  9. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今会計検査院のほうから御説明のありました件は、この石炭の問題につきましては、ここに説明書に書いてはございますが、理由はとにかくといたしまして、高い石炭買つたということは、誠に相済まんことであると思いまして、爾来注意いたしまして、できるだけ安く物品購入するようにそれぞれ係の者に注意いたさしております。  次のこの塩関係補助金の問題でございますが、これも会計検査院のお説の通り事柄自体としては別に違法でないにしても、その支出の時期が悪かつた従つて仕事が進まないでその金がそれぞれの業者の手元にあるということにつきましては、誠に遺憾に存じております。只今は勿論、時も経ておりますので、全部完了いたしておりますそうでございます。  御承知のように本年もこの災害関係が非常にありまして、塩田被害も例年にない大きな被害を蒙むつておりまして、これが補助金を出さなければならん立場になつておりますので、こういう事例もありますので、今回の分につきましてはよく精査いたしまして、かかることのないようにいたしたいと考えております。  最後の塩を扱つておりましたものの不正事件鴻巣出張所長不正事件につきましては、何とも申しわけない次第でありまして、甚だ相済まんことであると存じております。かくのごときことのないように常に注意してはおりますが、そのあとを絶ちませんことを誠に申しわけなく存じております。将来十分注意いたしたいと思います。
  10. 白井勇

    白井勇君 専売公社ちよつとお尋ねしておきたいと思うのですが、この決算報告書の三百八十六頁を見ますと、何か紙を余分に持つてつてけしからんじやないかというような一応御指摘を受けておるようでありますが、これはまあ資材の問題ですが、現在のたばこ配給過程におきまして、それを継続いたしまする場合に、配給過程におきまする数量ですね、どのくらい最少限度必要であるものであるというふうに考えておりますか。これは例えば工場とか、末端の配給所とか、今、卸しというものがあるのかどうかわかりませんが、そういう段階別にありますればなお結構ですが、大体最少限の、いわゆるストックというものを持つていなければ、今の配給というものは順調に行かないという計算になるのですか。
  11. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 今のは、たばこの製品の問題ですか。
  12. 白井勇

    白井勇君 ええ、そうです。
  13. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 公社といたしましては全国的にたばこ配給を行う関係上、公社自身手持というものは、理想的に申しますと、平均いたしまして四十五日分くらいは手持をしておるということがいろいろな操作をやるのに都合がいいようになつております。それから小売店におきましては、これは場所によつて繁華街と或いはそうでないところと違う面もありますが、これも大体十日分乃至十五日分は店頭に持つようにというようなところが、ストック状況として一番妥当なところではないかというふうに考えております。
  14. 白井勇

    白井勇君 そうしますと、総体から見ますというと、五十五日から六十日分のものが一応配給過程、製造元から言いますと配給過程にある、こういう恰好になるのですか。
  15. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) お話通りでございます。ただ物によりましてそれが生産が間に合わなかつたり、或いは売行が悪かつたりして、ちんばになることがあります。それから又地域的に見ますと、例えて申しますと東京あたり需要のほうが供給量より大きい地区でありますので、こういうところは逼迫するような状況もありますが、全体的に平均して見ますと、先ほど申上げましたような形が一番理想的ではないかというふうに考えております。
  16. 白井勇

    白井勇君 たばこ需給関係と申しますか、戦前の十一年頃を見ますと、七千万人くらいの人口で一人当り八百四十四本ですか、それが終戦後人口も殖え、而も婦人も相当需要するというような段階に来まして、なお且つ二十八年あたりは千本を越しているように、私は統計を拝見しておるのですが、将来は大体どの程度まで伸ばすというようなお考えで大体お仕事をやつていらつしやいますものか、その辺どういうことになりますか。
  17. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今お尋ねにお答え申上げますが、別に将来これまで殖やさなければならんというふうに考えてはおりません。一般需要に応じて作つて行きたい、こう考えております。ただ年々その需要が殖えて参りますもので、従つてたばこの製造も多くなるかと考えております。只今お話のありましたように、昨今におきましては大体人口一人当り千百本を越えておるのじやないかと、そう考えておりますが、アメリカあたり数字を聞いてみますると三千五百本乃至四千本くらい、イギリスあたりで二千本くらいと、こういう数字が出ておりますので、近頃のように婦人の方もお吸いになることになりますれば、漸次殖えて行く傾向はあるのではないかと考えています。
  18. 白井勇

    白井勇君 そうしますと、今のたばこ関係の業務の運営方針としましては、つまり国庫に対します益金納付額千三百億見当ですか、そういうようなものを割らないことを工面してやつて行くのか。今のお話のように、例えば今千百本であると、これは外国を見ますれば三千本なり四千本になつているのだから、もう少し殖えてもいいじやないかというようなことが重点になるのですか。そういうところはどういうかけ合いになりますか。
  19. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 納付益金につきましては、大体過去の趨勢、将来の見通しをつけまして一年々々きめて参ります。本年は御承知のように千三百億、そのほかに地方消費税が新しく本年からできましたので、その分が二百九十億余り、まあ合して千五百九十億くらい。ただ近頃新聞でも御承知通り上級品売行きが非常に悪くなりました。それが下級品に向つて来ております関係上、九月までの数字を見ますると、前年度に比べまして数量において約一%増加いたしております。それから金額におきましては〇・三%、このままで推移いたしますと、誠に申しわけないことでございますが、本年度の益金は確保することが困難じやないか、こう考えております。先般も地方局長会議を開きましてできるだけ宣伝その他に努めて、売りますことと同時に、経費の節約を図りまして、成るべくこれを喰い止めたいと努力いたしておりますが、只今趨勢におきましては必ずしも楽観を許さない状態であります。この点につきましては大蔵省とも常に連絡をとつて善処いたしております。
  20. 白井勇

    白井勇君 最近又アメリカから何かたばこ葉を入れるというような計画があるようですが、これはここで加工されまして輸出される原料に充当されるものというふうに承知してよろしうございますかどうか。  それからもう一つ、これは誠に恐縮ですが、資料一つお願いしたいと思うのですが、たばこ葉を収買します場合の収買価格決定方法ですね、これは恐らくきまつていらつしやるものがあるのだろうと思うのですが、これを例えば二十九年産についてきまつておりますれば、それでも結構ですし、或いはそれがきまらずに去年のものしかないということになりましても結構ですが、現実にきまりました価格に基いてどういう計算でお弾きになりますかどうか。この収買価格決定、具体的のものですね。
  21. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 買上げるときの……。
  22. 白井勇

    白井勇君 ええ、そうです。それから、それと関連をいたしまして専売公社といたしまして、その収買価格に織込まないで、別個に何かいろいろな面において奨励金を出しております面がありますれば、若しわかりましたら、そういうものを資料として頂けますかどうか。
  23. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) アメリカから葉たばこ輸入をいたしておりますことは事実であります。御承知通りアメリカ葉たばこは、味の点において、又、香いの点において、日本産のものに勝つておりますために、上級品にこれを入れまして味と香いをよくする、私どもの言葉で申しますと香喫味料と申しております。そのために、日本葉たばこの約三%程度数量を入れております。これは専売局時代戦前からずつとやつておることでありまして日本産のたばこだけではどうも上級品の味が十分でないということのために止むを得ず入れております。従いましてそれを輸出の原料に使うというような意味ではございません。内地たばこの味をよくするというために用いております。  なお葉たばこ収納価格の問題につきましてお尋ねがありましたが、これは毎年、葉たばこ収納価格審査委員会、主として地方におけるたばこ耕作組合連合会関係者の方々十人にお集り願いまして、これらの方に原案を提出して審議を願いまして、その結果、二十九年の葉たばこ幾らで、こういうたばこ幾らで買う、こういうことをきめまして、官報に公示しましてやつております。  なお詳しい資料につきましては、いずれ生産部の者から調べさせましてお手許に差上げたいと思います。
  24. 白井勇

    白井勇君 今の外国たばこの問題ですが、それは今内地高級品だけに入るのであつて、いわゆる大衆向きのものには入らないということになりますものですか。高級品に入れないというと、やはり採算上、まあ益金を上げるとか何かの収支計算から見ますと、やはりそれが外国品を入れて高級品として出して売つたほうが得だという計算になりますか、その辺はどうですか。
  25. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 従来アメリカの葉を入れておりましたのは富士ピースだけでありまして、最近になりましてこれを光にまで及ぼしまして、従いまして富士ピース、光、この三種類にはアメリカの葉を入れております。結局アメリカの葉を入れませんと、いいたばこだ、いいたばこだと宣伝いたしましても、お得意様方にそう喫つて頂けませんものですから、そういう意味合において入れておりますわけでありまして、従つて上級品が売れますれば採算上もよろしいわけになつて参ります。
  26. 田中啓一

    田中啓一君 生産方面のことをお聞きしたいのでございますが、而も私は非常なたばこの、何と言いますか、栽培育成と申しますか、実に専売局……今、公社でございますが、非常にやり方が上手である。作物の、何と言いますか、栽培の農民の指導育成をやつて行くというのに、どうもこういう方法でおやりになればうまく行くものだなと思つて、実は感心をしておるわけでありますが、今収納価格の話が出まして、それはまあ資料等も頂けるかと思いますけれども審査会におかけになる形のことはよくわかりましたのですが、やはり他の農産物との関係がありまして何かそこに価格を定めるような標準なり基準なりというようなものをお持ちであろうと実は思うのであります。ただ腰溜めで、この辺でどうですかといつて審査会にお出しになるのではないだろうと、こう思うのであります。でありますから、その辺のことを一つお伺いしたいのであります。
  27. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今仰せ通り腰溜めではありませんで、やはりパリテイ指数使つてつております。大抵昨年からと思いますが、葉たばこ収納価格審査委員会は八月に開催いたしておりますので、麦の価格がきまりましたのちに開くようになりますので、パリテイ指数及びこの麦の問題を参酌いたしまして、そうして原案を作つて提出いたしておるような次第であります。
  28. 田中啓一

    田中啓一君 まあ、たばこ栽培というのは非常にむずかしい技術を要するものに違いございません。而もこれは全国に亙つてそうたくさんは一人でやらないのを上手にまとめてやられるわけであります。そこで夏作物競合作物との或る程度の比率と申しますか、というようなものを一つはお考えになつておるのじやないかと思うのでありますが、仮に麦というものは、今お話に出ましたが、麦についてよりは、なんぼか割よくしてやろうというような心持は価格に現われるのでありましようか。その辺のことを一つお伺いしたいと思います。
  29. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) とにかく全国で七万町歩耕作いたしております。耕作者の数は約四十五万人、一人当り一反四畝乃至一反五畝くらいのところであると思います。いわば比較的小さい農家であります。できるだけ有利にしてあげたい、こうは考えておりますが、御承知通り予算の制約もありますし、原価がそう上りましては益金のほうの関係もありますので、妥当なところできめて行きたいというような考えで、パリティ指数を基礎にいたしまして、大体はじき出しておるような次第でありますが、本年あたりは多分まだ収納が終了いたしませんけれども全国平均で反収四万八千円くらいになるのじやないか。昨年は丁度非常に不作で悪うございまして、それがために特別の加算金制度などを設けておりましたが、それを入れましても昨年は四万四千円くらい。今年は価格は去に据え置きましたが、仕合せに作柄が幾らかよかつたために、約四万八千円くらいに落ち着きそうに思つております。
  30. 田中啓一

    田中啓一君 それからその価格をお支払いになるのは、いずれたばこの葉を収納されて検収をした上でお払いになるのであろうと思いますが、そうすれば秋になると思います。そこで、それ前に、何か肥料代でありますかそういつた特別に肥料ども注意してやらなければならんというようなこと、それから病害虫の駆除というようなものも大切なことだろうと思いますが、そういうようなものに対して、何と申しますか、資金を融通してやるとか或いは内払い的に前に金を渡してやるとかいうようなことを何かやつていらつしやるのじやないかというふうに、実は何かのときに、たばこもやらなければならんというような話をどこかで伺つたことがあつたようですが、総裁でなくても結構であります、むしろ生産のほうのお詳しい方で結構でありますが、伺いたいと思います。
  31. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今お尋ねの件でありますが、大体植付査の終了後に、前年の様子を見まして、その二割を概算払として渡しております。従いまして、秋になつてたばこ収納をいたしました際は、その差額計算して渡す、こういう制度に相成つております。従つて融資とかなんとかいう意味じやなく、概算払渡し切りになつております。
  32. 高野一夫

    高野一夫君 ちよつと闇たばこのことで伺つてみたいのですが、これは担当官の方で結構ですが、現在日本における闇たばこの取引の本数、それから金額がおわかりであるか。大体見当がおつきであるか。仮にその損害額が十億なら十億ということにいたしました場合に、その闇たばこを完全に防渇することができたとすれば、その十億だけ取引されている金は、それだけ内地たばこ喫つて専売公社販売高というか益金の中に入り得ることになるのか。それとも、それだけのものは防渇しても、やはり内地たばこに振り向けられる分はその中の何パーセント、何十パーセントの程度であろう、こういうことになるのか。その辺のところをちよつと伺つておきたい。どなたでも結構であります。
  33. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今お尋ねは、的確に申上げることは誠に困難な次第でございますが、どの程度の密輸入があるか、又どの程度偽造たばこがあるかという数字は的確にわかりません。従いまして私どものほうとしましては、収益並びに財政のために取締りは相当やつておりますが、依然として絶えない状態にありますので、誠に困つたことだと思つております。従いまして、これがどれくらいの損害になるかという点は、的確には申上げかねますけれども、やはり或る人は十億と言い、或る人は二十億と申しております。どうもこの点は闇たばこをつかまえることが困難と同様に、この点も又申上げることが困難な次第であります。従つてこれを若し完全に絶滅することができますれば、勿論その大部分というものは内地の製造たばこ需要に向いて来るもの、こう考えております。
  34. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ今度は樟脳関係のことで伺つてみたいのですが、これは決算委員会でこういうことを伺うべき筋合いかどうかわかりませんけれども、これは大蔵委員会か何かの係かも知れませんけれども、丁度お見えになつておる機会に伺つておきたいと思いますが、この樟脳事業についてのいわゆる原料楠の栽培なんかについてどうなつているか。これに対する補助金でも出すとか或いは苗の育成、そういうものの普及払下げとかいうことについて、民間の楠の植林をしたいというような者に対して特別の補助制度でもおとりになつておりますか。
  35. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 只今お話の楠の造林につきましては、直営の造林も毎年やつておりまして、今までに三千町歩乃至四千町歩直営の造林をやつております。それから、そのほかに苗木を養成いたしておきまして、民間で楠の造林をやりたいというお話がありますと、その苗太を無償で交付するという制度もとつております。民間のほうの造林の数字は、苗木からこのくらいやつただろうというのが、二十八年度について申しますと、この概況報告書にもありますように、約六百町歩程度のものができておるんじやないかというふうに推察しております。
  36. 高野一夫

    高野一夫君 それは苗木としてですか。
  37. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 苗木として交付したものから考えたものです。
  38. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ伺いますが、この直営のほうはわかりましたが、民間に苗木を無償で払い下げて、無償で渡してあげてそれからそれが民間でどういう程度に植林の奨励が行われているかどうか。何か見当でもおつきになりますか。それは結局、樟脳事業というものの原料が何年先にはどのくらいになり、十年先にはどのくらいになるという見当をつけるためには当然必要なことだろうと思いますが。
  39. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 大体植林をしまして、翌年度には植林をしましたものの手入れをいたしますので、それに対しまして民間の植林に造林奨励金というものを交付しております。ここにもありますように、二十八年度では三百二十万円程度、その奨励金を出しております。
  40. 山田節男

    ○山田節男君 この二十七年度の決算をみると、塩事業の会計ですが、約七億の欠損状態が出ておるわけですが、この欠損の主な理由、どうしてこういう欠損が出るのか。その原因を一つ伺いたい。
  41. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) これは先ほど会計検査院の局長のほうからもお話がありましたが、塩の輸入価格というものは、塩は大部分が運賃になるわけでありまして、元の塩の産地におきましては、塩そのものは大体三ドル半から四ドルくらいが相場のようでありますが、それが日本へ持つて参ります場合に、十ドルになり、十二ドルになる、ひどいときには二十ドル近く行つたときもありますが、運賃でその塩の値段が左右されるという状況でありまして、この年度におきましては、前年度ぐらいまでは朝鮮動乱以来塩が上つておりまして、少しずつ下り気味になつて参りましたが、まだ相当高くなつております。二十七年度になりましてから塩の値段がずつと下つて来たわけであります。ところが又、輸入塩の一番大きな需要者と申しますのは、ソーダ工業でありましてこの方面では、折角安く入るものを前の高い値段でやるというのは、ソーダ工業のほうから考えましても都合が悪いということで、輸入価格が最近のものが安くなつて来ておるのでありますから、それに近いところの価格で売渡すようにしたというような関係で、前の高い手持ちのものを安く売つたというような形になりまして、その赤が出たわけであります。
  42. 山田節男

    ○山田節男君 二十七年度においては日本の船舶も余り使えなかつたかも知れないと思いますけれども、今日では船舶も相当あるわけですから、輸入先地へも船舶が相当行つておるのじやないかと思いますが、二十八年度以降においてはこれほどの欠損塩事業に関しては出ていないと思うのですが。
  43. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 二十八年度におきましては逆に利益になりまして、殊にソーダ工業のほうで非常に原料塩の要求が多くなりまして売渡す数量も殖えました関係上、それから一般用のほうも割合に売行きが順調でありまして二十八年度ではたしか二十四億の黒になつておると思います。
  44. 山田節男

    ○山田節男君 日本の製塩は、湿気が多いのと、その他の事情で、製塩事業が非常にコストが高いということは、これはわかるのですが、併しこうして消費量の三分の二はどうしても海外の輸入に待たなければならん、こういうような絶対的な数量が前提になるものとすれば、やはり専売公社としたらば塩の自給自足ということは宿命的にできないだろうと思うのですけれども、併し海外塩のように安く、例えばトン当り三ドルというようなものは出ないにしても、やはり或る程度まではコストを下げてそうして自給自足の方向に、例えば三分の二は国内の製塩に待つというようなことができるのかどうか。ここの報告書によると、小名浜に非常に近代的な製塩工場が設けられたようですが、こういうような近代的な設備を以てやつてコストが相当高くなるのじやないかと思うのですが、海外から輸入の原塩の価格と、それからこういつたような近代的な小名浜製塩工場でのトン当り価格、コスト、生産価格ですね、そういうものとどのくらいの差があるのか、この二つの点について御答弁願いたい。
  45. 内藤敏男

    説明員内藤敏男君) 只今状況におきましては、塩の輸入価格は九ドル幾らくらいになつておると思いますので、これから考えますと、外国から入つて来るもののほうが圧倒的に安いことは確かであります。ただ小名浜あたりでやつておりますものは、できた塩の純度が非常によろしいものができまして、少くとも塩化ナトリウム分が九五%以上のものができるわけであります。それで輸入した塩も若しそういうふうに食料に直ぐ使える塩に直すといたしますと、もう一度溶かして再製するという手続が要るわけでありまして、その小名浜あたりでやつております最終の目標は、少くともその外国から輸入したものを再製した塩ぐらいのコストにしたいというところでありますが、現実の問題としてまだなかなかそこまでは行ききれないのでありまして、今のところでは大体トン当り一万円前後のコストで行けるようになれば、まあ内地塩田からとれたものに比べて非常に安くなるじやないかというふうなところで、現在のところはその程度状態になつておる次第であります。
  46. 山田節男

    ○山田節男君 その第一の自給自足の建前から来て現在三分の二を海外からの輸入に待つということに対する対策ですね、これについての方針。
  47. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 塩の内地生産の問題につきましては、昭和二十五年度に閣議決定がございまして、七十万トンを目標として製塩事業を進めるようにということになつておりますが、その後どうも災害その他の事情もありますのと、ほかの理由もありまして、只今でも四十五万トン乃至五十万トン程度しかできておりません。殊に本年は台風十二号、十五号の影響をこうむりまして、下半期だけにおきまして約五万トン余の減産になる見込みでありますので、本年度あたりは四十万トンくらいかと存じております。が、併しその後の例を見ますと、昭和十一年頃には六十七万トンも出たことがありますので、七十万トンも夢ではないと考えておりますが、併し何にせよ塩田の構築その他につきましては莫大な金がかかりますので、なかなか困難でありますが、できるだけ既設塩田の整備による塩の増産を図つて行きたい。又従来のようなやり方でなく、大部分を真空式製塩にする、或いは流下式塩田に変えるとかによりまして、技術の方面の改良によつて生産費の低下を図る。できるだけ塩も安く作つて行きたい。ただ、まあこの塩の価格を引下げる問題になりますと、なかなか至難なことでありまして、余ほど支出が低下し生産費が下がるという見通しが確実になりませんと、塩業者との間に相当な問題が起きると思います。私どもの理想といたしましては、技術の向上による生産費の低下、これによつて塩の価格も下げ、外国の塩までは行かんでも、幾らかでも安い塩を作らせるようにいたしたいと、こう考えております。
  48. 山田節男

    ○山田節男君 たばこの消費部面ですが、今日非常にパチンコ屋が全国に成るほど多数ある。そうして、このたばこがやはり主たる景品になつておるというように思うのですね。で、そうしてその景品に出すたばこは、又このもらつたものを安く転売してまあそれを商売にしておるものがあるということと、それからもう一つは、先ほど問題に出た偽造たばこと申しますか、そういうものも相当混つておるということを聞くのです。で、こういうことが果して事実かどうか。若しかような二つのことが行われておることによる弊害という点を考えて、ああいうパチンコ屋において、たばこというものは景品に扱わせない。少くとも国家の代行機関である専売公社の製品を、かような弊害のあることの実情から見てこれを禁止するというような措置はとれないものかどうか。この点に関して、専売公社として、その実情、実態を調査されたことがあるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  49. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) パチンコ屋がたばこを景品に出しますことはお説の通りでありますが、昨年度の末にピースの値上げを控えまして、パチンコ屋のピースの買占があると考えまして、これは大分押えました。その結果かどうかわかりませんが、昨年あたりに比べますと、大分パチンコ屋の景品にたばこを使うのが減りまして、ほかの物資に変えておりますような状態であります。勿論たばこ使つておりますが、前ほどじやないようであります。ただそのたばこの中に偽造品があるというようなことも、過去おける検挙の状態から見まして事実であります。併し、そうたくさんはなかつたようでありまして、まれにそういう事実が出て参つたようであります。勿論私どもといたしましても、そういうことのないように、努めて検査もし、又調べもいたして行きたいと将来も考えております。従いまして、特にパチンコ屋にたばこの販売を禁止するというところまでは、只今のところ考えておりません。
  50. 山田節男

    ○山田節男君 もう一つ。これは小さい問題かも知れませんが、私たち殊に大都会の盛り場に行きますと、やはりルンペンのような者がたばこの吸殻を克明に拾つて歩いて行くのですね。これは必ずしもあれでたばこを製造して販売するというところまでは行かないだろうと思うけれども、少くとも東京、大阪というような大都会、その廻りで、ああして相当の量の吸い残りのたばこを拾つて歩くというこの行方、こういう事態をお調べになつたことがあるのですか。
  51. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) たばこを町で拾つている姿はときどき私も見かけておりますが、それがどういう目的に使われ、どういうためにやつているかということまでまだ調査いたしておりません。
  52. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑ありませんか。
  53. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 二十九年度の専売益金、それから納付金、消費税等の御予定と言いますか、予想があれば伺いたい。
  54. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 年度まだ七カ月を経過したに過ぎませんので的確なことは調査いたしておりません。できるだけ赤字をなくしたい、又仮に赤字が出るにしてもできるだけ少くしたいという方向で目下努力中であります。
  55. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大体消費税を入れて千六百億円くらいな、納付金の予定は、そう欠けないお見込みでございますか。
  56. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 上半期におけるたばこ売行状況から見ますれば相当赤字が出るのじやないかと考えておりますから、それで、できるだけ赤字をなくすために高級品の宣伝に努めております。又、全地方局工場等に申しまして経費の節約をいたしましてこの補いをつけたい、こう考えております。そういう次第でありますが、赤字は多少出るのではなかろうか、こう心配いたしておるような次第でございます。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 上期の実績から言つて千三百億円の納付金の予定が、どのくらい欠けるくらいなお見込みでございますか。
  58. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) この状態から行きますと相当欠けるかと思いますが、先ず五十億程度かと思います。それで、できるだけそれを減らしてなるべく千三百億の益金に近付けたいと努力いたしております。
  59. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 消費税も従つて同じ率くらいな減り方であるという見込みでよろしうございますか。
  60. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 消費税は御承知のような率で掛け出して行きますので、同じような割合で減つて行くかと存じております。ただ消費税に関しましては、たばこの売上げが基礎になつておりますので、経費節約の部面は入つておりません。従いまして多少の違いはありますが、先ず大差はないと考えております。
  61. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 赤字とおつしやるのはなんですか、消費税と納付金との差額をおつしやるのですか。
  62. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 予算に上げております納付金が足りなくなるのではないか、こう懸念いたしております。
  63. 山田節男

    ○山田節男君 たばこ価格の問題ですが、ピースがこれはまあデフレの傾向が現われる直前に五円の値上げになつた、従つてデフレの影響を受けてピースの消費が非常に減つたということも、これは一応の理屈になると思うのですが、あの際、光は価格を据置いてピースを五円上げたというこの価格政策は、今の消費の減つたという大きな責任じやないか。専売公社としてこういう一つの必需品的な消費物の場合に、ただ単に値段を上げれば収入が殖えるというような考え方は、これは公社のやり方としては私はどうだろうかと思う。五円上げたことによつてピースが売れなくなつた、五円上げたことによつて消費が激減したということが認められるのかどうか、品質よりもむしろピースの表装が外人によつて非常にアッピールする模様で、一種のピース模様というものが流行にまでなつたということから、外装によつて売れたというようなことがあるのじやないかということも考えられるわけです。この点が一点と、それから今高級シガレットとして売つておられる富士なんですがね、これは二十本で百二十円ですか、百二十円だと、三百六十円レートでいえば三十セントくらいするもんですね。ところがアメリカのキャメルにしてもフィリップモーリスにしても、その他日本に今たくさん来ているたばこは、大体十セント、消費税が一セントで十一セント、自働販売機から買えば十セントで買える。協同組合等で、会社のオフィスの消費組合で買えばこれは八セント乃至九セントくらいで買える。そうしますと、日本で現在あれを百二十円で売つておると思いますが、各国のシガレットの、それは各国と言つては語弊がありますが、東南アジアでは割合に高い。フランスの専売局も高くて悪い。イタリアも然り。ところが日本の今日の価格が非常に国際的に見て高いと言われますが、富士が国内価格として三十セント以上で売るというようなことは、これは妥当であるかどうか。殊に品質から見て、必ずしも私はイギリスのネービイカットとかスリーキヤッスルに比べて優秀とは思いません。それを三十セントで、国内で、而も邦人向けに売るということは、余りこれは専売公社価格政策としてボりすぎるのじやないか。それがために却つて売れない。あれを若し六十円なり八十円にすればもつと売れるのじやないかということも私は考えるべきじやないかと思う。どうも専売公社ピースの値上げは確かに失敗であつたと思うのです。それから富士に至つては、これはもう外国から買うものはすべてこの富士に準じて、ラッキーストライクもキャメルもすべてこれを百二十円にしておられますが、このことは一体専売公社のミスだと思う。価格政策として、そういうことが本当に長い目で見たビジネスとして賢明であるかどうかということを、私はこの際、余ほど慎重にお考えになるべきじやないかと思うのです。この点に対する総裁の御所見を伺つておきたい。
  64. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) ピースの値上げは誠に私も不出来であつたと残念に存じております。これは御承知と思いますが、税制調査会が、酒、たばこ高級品に課税したいという意見を持ち出しまして、これが強く反映いたしまして、高級品の値上げ問題になつて参りました。これに対して私どものほうで同意した不明は誠に遺憾であります。お説の通り五円の値上げによる消費減もむろんであります。それともう一つは、やはりこの不景気による消費減が相当あつたと思います。現に新生が非常に売れて来ている。而も前年度に比べまして、上半期で数量で約七%も売れ行きが殖えているというところから見ますれば、決して需要は減退しておるとは考えられません。ピースにつきましては、値上げとそれからこの不景気、この両面、更に又、近頃肺臓癌がどうだのなんだのという話と、これらのものが競合いたしましてピースの売れ行きが減退して来た。お説の通り価格政策として必ずしもいいとは私も考えておりません。  次に富士の問題でありますが、これもお説の通り決して安くはないと考えておりますが、併しあのときは非常に材料も吟味いたしまして相当いい葉を使つておりますのと、輸入葉も相当余計使つておりますので、まああのへんに落着けなければならんかと考えております。なお又、富士が非常に売れ行きが増加いたしますと、このたばこの葉組の関係が非常にむずかしくなつて参ります。只今のように余り売れなくても因りますが、これ又余り売れすぎても葉の原料の手当の面から困る点もありますので、まああのへんのところで御了承願つておきたいと思います。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちよつとこれは枠外の話になりますが、結局もう一つはニコチンの含有量の問題、これは血圧との関連、そういつた点で巷間いろいろとそういう話が出て、どうも新生はニコチンの含有量が少いのじやないかというようなことから、専売公社あたりでも一応ニコチンの含有量というものを発表しておりますが、ただ問題はそれを吸つている人間から言うと、どうも発表の数字というのはピースを吸わせる商業政策上あれを出したのじやないかというので、信用しておらない。そういうところで売れ行きの問題との関連も私は少々あると思うのですが、そういつた点について厳密に調査して、ニコチンの含有量といわゆる健康に及ぼす作用、そういつたものについて聞かしてもらいたいと思うのですが、簡単に……。
  66. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) ニコチンの含有量は先般発表いたしました通りでありまして、光が二・八、新生が二・七、ピースが二・六、バットが二・四含有いたしております。これは別に何もピースを売るためにやつたのではございませんが、昨年秋以来、私どもの中央研究所でその点を調査いたしまして、そういう結果を得ましたので発表いたしましたが、たまたまピース売行き不振のときに際会してああいうことをやりましたので、お説のように世間から誤解を招いたことは誠に残念でありますが、事実はあの通りであります。  どうもニコチンと人体との関係につきましては、勿論これは多量に吸えばいけないと思いますが、その人の体質にもより、私などはいろいろのたばこを吸いまして、一日に両切にして七十本くらい吸つておりますが、この年まで達者でおりますところを見ればそう大した心配も要らんので、(笑声)人おのおのその体質によつて違うのじやないかと考えております。甚だどうも公社としてそういう点の調査は届いておりませんのは申訳ないと思いますが、肺癌の問題にいたしましても、アメリカで大分さわいでおりますが、どうも私どもから言いますと、日本人で肺臓癌で死んだという人をあまり聞きませんものですから、で、そういう点も公社としてはアメリカの調べでもよく伺つた上で考えたいくらいに只今思つております。
  67. 白井勇

    白井勇君 ちよつと一言、先ほどの総裁お話によりますと、五十億もどうも予定通り行かない。そこで経費の節約をやつていらつしやる。これは今朝のラジオにもあつたわけですが、例えば、かよい箱をちよつと考えることによつて年間十八億も浮くというような大世帯ですから、そういう節約というのは当然考えなければならん問題ですが、今総裁お話のように、高級品一つ吸え、こういう宣伝をおやりになるということですね、これはちよつと政府の何と言いますか、耐乏生活をやれというような主張と、たばこ売行きが上らんからお前ら高級品を吸つて贅沢しろ、それが全く合わないように思うのですが、どんな方法でおやりになるのですか。
  68. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今品質をよくした、これは事実でありますから、その通り申上げていいと思います。それから又ピースの箱でございますが、ここが半分になつております。ふつう袖と言うのですが、これが半分になつておりまして一ぱいになつておりません。この横のところを一ぱいにしますと、箱が潰れないでいいのだそうです。ところがこういう材料がまだありますから、これの材料を使いきりましたら一ぱいの箱を作る、こういうふうに漸次品物をよくするとか、包装を考えるとかいうことによりましてやつて行くわけでありまして、無理にどうもこればかりは吸つてもらうわけに行きませんので、そういう点で品質の宣伝をいたして行きたい、こう考えております。
  69. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 大した批難事項でもないのですけれども、十分善処せられるようなお話もありましたので、この事項以外のことをついでに伺つておきたいのですが、販売部長お見えになりませんが、総裁がお見えになつておるので、先ほどの件を念のために伺つておきたいのです。  パチンコ屋の件ですね、大量にあそこでたばこというか、賞品ですが、消化されておる。そこで小売業者が何とかして。パチンコ屋に渡りをつけて多量に買つてもらう、即ち幾らか歩引をしてやるといつたようなことが実際問題としてあるようなんです。そこで考えまするに、これはパチンコ屋に限らんのですが、ホテルとか或いは多数の客が来集するような部面には、小売人に対するほどでないまでも、幾らか歩引をしてやるのが当り前じやないか。公社とは言いますが、嗜好品の販売を業とする公社なんです。官僚式にふんぞり返つて、こういう規定がこうであるからどうとかというようなことを述べて、販売面のほうから言えば需要者の嗜好に応える、社会的に応えるというところから考えましても、多量に消化するパチンコ屋とか或いはホテル業者に対しては若干直接に歩引をしてやるということは、これは適当でいいじやないかとむしろ考えるのですが、そういうことがないために、小売業者が競つてパチンコ屋に渡りをつけて、それが発覚した場合にはえらいお目玉を食つて小売業者が営業の停止処分或いは取消しというようなことになり、一方扱つたパチンコ業者のほうも検察庁に呼ばれて刑事上の断罪をせられる。こういうことはやはり一つの何というのか、行政のまずさといいましようか、作らんでもいい罪を殊更に規定の上で作るような結果になつて、甚だおもしろくないと思うのです。パチンコ業がいいか悪いかという批判は別として、パチンコ業にあらずとも多数消費せられる……、小売業者の本来の性格というものは、一つ、二つ、三つの需要者に個別的に売るというのにあるのです。一時に何十箱を消費するというものに対して歩引をするということは、これは理屈に合わない。直接に売つてもいいじやないか、これは規定の改正を待たなければならんと思うのですが、これはどうでしようかね。作らんでもいい罪を作る。販売政策の上から言つても非常に窮窟なことで、この状態というものを規定の改正によつて救済する方法はないか。そうすべきものであると考えていますが、如何なものでしようか。
  70. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今お話のうちのホテルの面につきましては、特定小売人に指定してあるところも相当ありまして、これは普通の小売人と同じ値段公社から売渡しまして、ただそれを一般に売らないでつまりそこで売るという形をとつております。又パチンコ屋につきましては、これはいろいろ内部でも議論がありまして、パチンコ屋に安く売るなんていうことはどうであろう、パチンコ屋にたばこを強いて景品に出させなくてもいいじやないかという議論もあります。同時にパチンコ屋だつて買うというなら売つてつてもいいじやないかという意見もありました。従いまして公社といたしましては、パチンコ屋にたばこを売るということは奨励いたしておりません。従つてパチンコ屋を小売人に指定することは困難であります。そうなりますと、今度はパチンコ屋は一般小売人から買うよりほかに途がありませんので、只今お話のようにいろいろとパチンコ屋に売りたがつている小売屋さんもあり、又小売屋さんのうちで相当売上げの多いのはパチンコ屋に売つているという実情でありまして、何にしてもそこで歩引をされることは誠に困ることでありまして、やはり専売品でありますれば、これはそういうことのないように、小売は小売の値段で売つてもらう。丁度、この頃どうか知りませんが、昔よく印紙などにもそういうことがありました。会社などで増資の登記をいたしますとき莫大な印紙が要ると、印紙屋さんが幾らか歩引をして売つて、それがために営業を押えられたという話を聞いております。それと同じようなものがやはりこのパチンコ屋と小売業者の間にまだ残つております。只今のところではホテルなんかと違いまして、パチンコ屋さんに小売業の免許という段階には立ち至つておりません。
  71. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 荒立てるわけでは毛頭そんな気持はないのですが、販売政策の上から、販売所が大きなパチンコ屋に一つつてくれというようなことは将来なきにしもあらず、やはり多数あれば、それも小売と同じように、専売法にこだわるということはどうかと思うのですが、将来これはパチンコ屋に限らんですよ、やはりホテル同様の扱いをされたほうがより適切ではないかと思うのです。
  72. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 只今お話でありますが、大体小売人は需要者に渡すことを主眼といたしておりますので、パチンコのように喫う人でもないのにただ景品として渡すところまで小売人を拡げて行くということは考え物じやないかと思つております。
  73. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちよつとこれは総裁お尋ねしたいのですが、先ほどのお話売行が余りよくなくなつたというお話で、それは相当努力されておると思うのですが、そのせいか、これは過去に行われたことですが、ピース娘とかいろいろ宣伝をやつてつたりするのですが、そこでまあ、方針を、実はこれは政府の方針ということでお尋ねしたほうがいいかもわからないのですが、とにかくうんと売れなければ国家に納める分担金がなかなか集まらんというわけもあるでしようが、やはりたばこは喫うことを奨励すべきものじやないと思う。それ故多分禁煙法か何か現在でも残つておるのじやないかと思います。大いにのめのめということで宣伝をされる方針であるのか。どうもその辺の事情が私よくわからないのです。ニコチンの害毒はないと言われるけれども総裁今日まで死なないで、現在生きておられますが、併しやはりこれは薬にはならないのじやないかと思うので、その営業方針はどういう方針をとつておられるのですか、これはむずかしいと思うのですけれども
  74. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 保健衛生の面から申しましたら、只今のお説の通り決して奨励すべきものではないかと考えております。が併し、これを商品として売る立場から言いますれば、やはり売つていいという気持も強いのでありまして、酒又然りでありまして、これも余り衛生上一ぱいはいいとか少しはいいとか申しますが、これも余り奨励すべきものじやなかろうかと思いますが、やはりこれまでやつておりますと同様のような気持であります。ただ酒と違いますところは、専売公社という半ば政府機関のようなものがやつておりますので、各方面のことも考えてやるのが妥当かと思いますが、何せ今年のように予算に追つかないようになつて来ますと、多少やはりやつて、できるだけ一般の負担を掛けないように、せめてたばこ益金だけでもできるだけ多くして財政のほうに寄与して行きたい、こういう気持を持つております。  なお又この機会に申上げておきたいと思いますが、近頃実は予算関係で私どもピース売行の減退を憂えており、又あせつてもおるわけでありますが、全体のたばこの消費の姿といたしましたら、昨年あたりにはピース、光の売行が少しよ過ぎたのじやないか。金額にいたしまして殆んど約六割をピース、光で持つている。上のほうのたばこでそれだけ持つているということは、やはり少し頭でつかちの感があると思います。私が二十年ばかり前に専売局の販売係長をやつておりましたときは、バットが全体の半分を越しておりましたときでありまして、やはり下級品が多くて、上級品になるにつれて少くなつて行くカーブがいいとか言います。そういうことから考えますれば、今年あたりのこの各種類の売行状況というものは必ずしも悪い、又悲観すべきものではなく、或いはこういう趨勢で将来落着いて行くのじやないか。従つて来年度の予算当りましてもこの趨勢を見まして益金考えて行きたい、こう考えております。
  75. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 たばこの小売指定商人に戦死者の遺家族、傷痍軍人等が優先されるという取扱いが今でもございますか。
  76. 入間野武雄

    説明員(入間野武雄君) 母子福祉法、これは法律が出ておりますので、同じ条件でありますればそれを優先さして考えております。ただたばこ屋の隣りにそういう人がやりたいからと言つてちよつとこれはそれを認めるわけに行きませんので、そういう点はありますが、やはり同じように小売店を置かなければならないようならばそういう人を優先して考えております。現にそう扱つております。
  77. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは専売公社についての審査はこの程度で終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。御苦労さんでした。   —————————————
  79. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 次に日本電信電話公社検査報告の千八百四号から千八百十三号までを問題に供します。  検査院から御説明を願います。
  80. 大沢実

    説明員大沢実君) 四百十六ページ以降各個別に書いております前のことを概略申上げます。  四百十六ページで事業損益を申上げておりますのは、大体においてこの当時の電気通信事業特別会計及び日本電信電話公社に移行しました一年間、これは七月三十一日を以て電気通信事業特別会計が廃止になりまして、八月一日から電信電話公社切替えられたのでありますが、この一年間の業績を通じてみますと四十三億程度の黒字になつております。それを各事業別に見ますると、国際電信電話部門の利益が非常にそのうち多い。であるからこれが二十八年度以降国際電信電話株式会社のほうにその業務が移行されたならば、相当電気通信事業の業績は困難になるのではなかろうかということを述べておるわけでありますが、この点は二十八年度の実績を見ますると、二十八年の八月に大幅な料金値上げがありましたのと、それから加入者が非常に増加した。又長距離回線が相当多くなりました関係もありまして、利用度が殖えた関係かと思いますが、国際電気通信部門が分離されましたあとで、いわゆる国内の電信電話事業だけで二十八年度に約五十億の黒字になつております。従いましてここに書いてありますような、国際電気通信部門が分離してあと経営困難になるのではなかろうかという点は、結果から申しますと料金値上げその他によつて懸念がなかつたということになります。併しながらまだ詳しい二十八年度の原価部門の分析はいたしておりませんのですが、依然として電話部門は業績はいいが、電信部門は悪い。従つてこの末行に書いてあります電報中継の機械化ということが更に努力の必要があるのではないかと考えております。この点は公社におかれましても相当努力されて着々このほうに移されておるようでありまして、たしか水戸その他の電報局におきましては機械化による中継が行われていると思います。併しながらまだ施設は、建物はできたけれども中に入れる中継の機械が十分に設計ができない等のために、将来機械化すべき建物が遊休しておるようなものが見られまして、一段と速かにこの機械化のほうに移行される御努力が必要ではなかろうかというふうに考える次第であります。  次に財務諸表に書いてありますのは、二つに分けてありますのは、七月三十一日、特別会計時代の損益と、それから公社になつてからの損益と書き分けたわけでありますが、この特別会計の当時の損益、つまり四百十七ページに出ております十八億という厖大な修正計算上の利益があるのでありますが、これは公社に移行しまする場合に短期間に行われたために計算がはつきりしなかつたという点がありまして、次期の公社になりましてからの決算におきましてはこれがそれぞれ正当に表現されておるわけであります。そうしますると結果におきましてどういうことになるかといいますと、公社に移行しまする場合に、電気通信事業特別会計の資産負債は挙げて公社のほうに移行されたわけでありまして、その額がいわゆる国の出資ということになつておるわけであります。まあいわば出資が十八億表面上少なかつた、実際より少なかつたということになるわけでありますが、これが若し民間会社に移行しますとしますれば、これは相当大きな問題だと思いますが、公社も国の全額出資でありまして、この利益は挙げて国に帰属するのでありますから、こうした多少の、多少のといいますか、誤計算があつても結果においては別に弊害はなかろうかと考えておる次第であります。  それから四百十八ページの末頃からずつと長く建設工事の進捗について申上げておるのでありますが、これはすでに二十六年度の検査報告にも述べました点でありまして、建設工事が予算通り施工が行われていない、繰越工事が多いという点を先ほど前からも指摘してあつたのでありますが、依然としてその傾向が、二十七年度の決算を見ますると多少の改善の跡は見られるが、まだまだもう少し進捗率をよくすべきではないかということを例を挙げて掲げてある次第であります。そしてその進捗の遅れた理由について調査しましたところを四百十九ページから四百二十一ページにかけまして分析してここに掲げてあるような次第であります。  こうした進捗状況が遅れたためにどういうような弊害が出ておるかということを四百二十一ページの末のほうから四百二十二ページにかけて掲げてありますが、結局予算の示達が遅れ工事が遅れるために、年度の前半においては遊休の人員が出ておる。職員が仕事がなくて多少遊休して来るという点が、年度の前半と後半とを見ますれば如実に出て来ておるわけであります。この計数自身は或いは多少取り違えもあるかと思いますが、大体の感じといたしまして、例えば四百二十二ページの二行目に書いてありますように、前半においては二十一%からの遊休人員がある、それが後半においては九・七%になつておる。特に甚だしい北陸電気通信などでは前半が六九%、後半が二一%、どうしても前半のほうが遊休が多い、こうした弊害が出て、これを半分的に工事を施行されればもつと工事も進捗し、この遊休人員も減らすことができたのではないかというように考える次第であります。この点は二十八年度におかれましては相当鋭意この点に対する御努力の跡が見られるように見ております。なおもう一つ弊害として出ますのは、こうして仕事が遅れるために、資材のほうを早く手当したけれども工事ができないということで、資材を保管料を払つて会社などに保管さしておるというような事態になつておる次第であります。  それから次に四百二十三ページから書いてあります貯蔵品の運用、この点は従来よりも相当いわゆる死蔵品といいますか、従来持つていた品物を転用して活用するということに対する努力が相当現われておるというように見られております。併しながらまだもう少し努力の必要があるのではなかろうかというように考えております。なお資材等が調達されまして、これは勿論活用されるためでありますが、例えば東海の通信局へ搬入された資材を、そこでは使えないので、今度は東北の通信局のほうへ保管転換されるというような事態が相当ありますので、こうしたものは最初準備される場合にもう少し注意を払つたならばこうした保管転換が相当節約できるのではなかろうかという点を掲げてある次第であります。  不当事項の前に書いてありますことをまあ極めてかいつまんで申上げたわけでありますが、次に不当事項の千八百四号、四百二十四ページ及び千八百五号で、これは両方とも同じような事態でありまして、一つ仕事をされるのにこの通信局とか或いは本社、通信局、それから工事する現場というような段階におきまするいろいろな手続が非常に遅れまして、そのためにもつと早く工事が完成して開局できたと思われる仕事が非常に遅れている。開局すれば相当な電話収入が入るのでありますが、それが遅れたために電話収入が入らなかつた、非常に遅れて来たということを掲げてある次第であります。  それから四百二十六ページの千八百六号、これはちよつと非常に入り込んだ問題でありますが、むしろ四百二十八ページの図面を見て頂くとわかるかと思うのでありますが、この四百二十八ページの図面に出ております点で、つまり大崎から川崎のほうへ、都内から川崎の市外のほうへの回線を増加しようという計画をされたのでありますが、そのうち蒲田、川崎間、これは線路を増設する必要があるのでこれを増設されました。これの一連として蒲田と大森の間は昔からの線路で十分なのでありますから、手を著ける必要はないのでありますが、大森と大崎の間に線路の増設が必要であるといつた場合に、これを全部がはつきりと初めから設計ができておりますれば、大崎、大森の間と蒲田、川崎間を同時に施工されれば比較的早く工事が完成したことになりますが、当時設計上の多少の手違いがありまして最初に大崎から荏原間、これはまあ回線があるわけでありますが、それから荏原から大森へ線を入れて、この分を増設しようという計画がされたわけであります。ところがその後詳細に調べて見ると、ここから入れるほうが工事費は余分にかかる。なお且つこの荏原、大森間に線を敷いても又大崎、大森間に少し線を補充しなければならん。それならばむしろ大崎から大森へ直接に増設したほうがいいというような結論に達せられまして、大崎、大森間の工事をされた。そうした計画、設計変更等のためにこの大崎、大森問の線路の開設が遅れまして、折角蒲田、川崎間は相当早く完成していたのに全体の開通が遅れたという結果でありましてこれも当初から設計を十分にされておれば殆んど同時に完成して、早くからこの市外通話が活用できて、その電話料収入も収入し得たんではなかろうかと、こういう事態であります。  それから千八百七号の問題は、これは豊島分局を開局する場合に、従来その分局を開始しようとする局舎を事務局舎として使つていたので、その職員の事務庁舎を別に作らなければこの局舎が空かない。だから先ずその事務局舎を作ろうということにしたのでありますが、部内の連絡が十分でないために、事務局舎はあと廻しにして先ず機械局舎、つまり電話装置を入れる局舎のほうが必要だというので、まあ事務局舎はあと廻しにしようというので、普通の事務局舎でなくて、これを作らなければ電話局舎、機械局舎のほうが空かない。先行すべき事務局舎の工事が遅れてしまつた。従つて電話局舎がなかなか空かずに工事が遅れて、その間に相当な月数を経てしまつた。若しも初めから計画通り事務局舎を作つておれば、いち早く従来の事務庁舎として使つてつた機械局舎が空きまして、そこに装置を入れて早く開通できたのではなかろうか、こういう事態であります。  次に四百三十一ページの千八百八号は、これはまあ同じような事態でありますが、機械工事とそれから建築工事、これが先ず建築工事ができて、そこへ機械を据付けて開通する、これがまあ当然順序でありますが、当初の予定通り建築工事が進まなかつた。ところが機械の開通工事のほうは逐次進んで行きましたため、建物のできないうちに先ず電話を開通しなきやならんということになりまして一応仮に従来の局舎に新しい増設をしまして、そしてこの建物のできるのを待つてそのほうへ一度仮に施設した機械を移送するという必要ができまして、そのためにこの点では約六十二万円ぐらいの移送費を要するというような結果になつたわけでございます。実際は六十二万円ほどかかつているようでありますが、こうしたことも先ず建物が先行するのが当然でありますから、この建物の工事と中の機械工事、これの間の密接な連絡があればこうした一度架設してそれを更に移送するというような手もどりのことは生じなかつたのではなかろうかというように考える次第であります。  以上大体千八百六号を除きましては同じような事態でありますが、こうした部内の連絡不十分であつた。或いはいろいろな処理が遅れたということは、この特別会計から電信電話公社に移行するというような機構上の大きな改革があつたためにいろいろな点で遅れたことは認めるのでありますが、もう少しよくされればこの点は相当早く仕事ができたのではなかろうかというように考える次第であります。  次に四百三十二ページから四百三十三ページに亙つております土地の交換の問題でありますが、これは元座間に電気通信事業特別会計時代からの研究所の敷地がありまして、殆んど使つてなかつたわけでありますが、これを現在の研究所でありますところの隣接地と交換使用、これはむしろ座間の町のほうからこれをくれ、その代り交換渡地を研究所の隣接地の富士産業の土地を買つて渡すということで話合いができて交換されたのでありますが、この評価を見ますと、こちらが渡したところの土地の評価は全部農地としての売払価格、農地調整法に基く農地としての売渡価格で先ず田畑を計算し、それから山林のほうは固定資産の評価基準、こういうもので評価されている。そうして受けたほうの土地は、これは座間町が富士産業から買つた値段に多少のアローワンスを付けて受けている。受けたほうの土地の評価は一応妥当と見ましても、渡したほうの評価が何分にも低いのではなかろうか。これがいわゆる農地法に該当しまして、農地として開放しなければならんということが確定しておる土地ならば、農地売渡価格で評価されるのも止むを得ないと思いますが、座間町のほうの要請は、ここに住宅を作ろうということで、住宅や緑地帯を作るということで交換の要請をして来ているような次第でもありますし、この分の評価はもう少し高く評価すべきでなかつたのではなかろうかというように感ずる次第であります。そうして事後におきましてこの土地を評価しましたところによりますと、この田は売渡しの、交換のときの評価では十六円ということになつておりますが、大体坪当り二百八十円ぐらいである。それから畑は評価では七円となつておりますが、その後の調査によりますと二百三十円ぐらいだ。それから山林はこれでは十二円という評価になつておりますが、大体二百円ぐらいである。坪当り二百円ぐらいであろうというのが東京建物株式会社という会社の評価で、これだけに依存するわけには行きませんですが、大体そのくらいな評価をしているというような状態でありまして交換渡地の評価が安かつたのではなかろうかと感ずる次第であります。  なおこの立木七千石を三百二十万円と評価して交換の対象にしており、又家屋を交換の対象にしておるのでありますが、国有財産法から言いますと、立木、又家屋と土地と交換するということは、これは国有財産法で認められていないのでありまして、この交換は国有財産法からいつて、申し遅れましたが、これはまだ電気通信事業特別会計法の頃の交換でありますから国有財産であつたわけですが、国有財産法からいつて違法な交換ではなかつたか。なお当時電気通信事業特別会計法の内部の規程によりますと、交換の場合には大臣の指示を受けろということになつております。本件の交換は通信研究所長限りで交換の手続をされておるような次第であります。そうした内部規程からも違反しているのではなかろうか、こういうふうに考える次第であります。  次の千八百十号「国際電信電話株式会社に対し物品を無償で譲渡したもの」というのがあります。これは大体この国際電信電話株式会社に譲渡するものはそれぞれ資産に計上いたしまして、その帳簿価格で、或るものは帳簿価格、或るものは評価によつて譲渡されているのでありますが、そのうち各現場に払い出されて、もう帳簿上には決算で使用されたようになつているが、事実は相当残つているもの、これは本来ならば年度末に全部一応資産のほうに繰入れて、そうしてその分は国際電信電話株式会社に譲渡する場合に表示しまして、その分の対価を収受するという方法をとるべきであつたものを、一応払い出したままで移行してしまつたというために約千六十三万円のものがまあ当時におきましては一応この会社のほうへ無償で渡つた格好になつたのであります。なお本件につきましてはその後本院の指摘によりまして、この代金は千六十二万九千円程度であつたと思うのでありますが、会社のほうから公社のほうに納付させております。  それから四百二十六ページの千八百十一号は、これは買つた品物を全然使わずにそれぞれの部署で持つてつて、とうとう使えなくなつて廃棄するの止むなきに至つたという事態でありまして、防火塗料としてのタフペイントいうのを相当量購入いたしまして、それを各電話局その他へ配付したわけであります。ところがこれはすぐに使わないと変質するようなものであつたらしいのでありますが、配付されたほうでは使い途がよくわからなかつたといいますか、いろいろな点でありまして、そのままで保管しておつた。その保管の方法も適切でなかつたと思うのでありますが、暫らくたつたところが、それはもう使えんということで廃棄処分した。それが価額にいたしまして約百二万円というものは買つたまま廃棄処分になつてしまつた。こういう事態でありまして、当初買うときの計画も悪かつたと思います。又これを配付されたところの使用方法、保管方法も悪かつたと思いますが、結局こうした損失を生じたのは適当でないと考える次第であります。  最後の千八百十二号、千八百十三号の不正行為は、両方とも手持の資金をそれぞれ資金前渡官吏或いは繰替払出納官吏が領得いたしまして費消したというような事態であります。  以上であります。
  81. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 検査告書記載の一番最初の四百十六ページから四百二十四ページ、この検査院の指摘については説明書には何ら記載されていませんが、この件梶井総裁如何ですか。
  82. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) お答えいたします前にちよつと御挨拶申上げます。  只今検査院から各種の事項につきまして私どもの不行届きの点を御指摘になりました。今日決算委員会で御審議を願うようになりましたことを誠に恐縮に存じます。何分にも昭和二十七年度は年度途中におきまして研究所から公社切替られ、又公社発足前におきまして国会から強く要望されておりました合理化、能率化の実を挙げるために、できるだけ早く機構改革をしろという御要望がありましたので十一月に機構改革をいたしました。さような二つの事態のため事務的にやや混乱を来たしましていろいろな不注意な点が起つたことと存じます。この点は我々としましては甚だ残念に存じておるのでありまするが、只今会計検査院のかたからお話がありました通りに、二十八年度以降におきましては御指摘のありましたような事柄につきましてそれぞれ改善の実を挙げつつあるのでありまして、今後におきましてはかような不行届きは漸次なくなつて行くということを考えておるのであります。ちよつと右の旨御挨拶申上げます。  今御指摘のありましたことにつきまして総体的に御返事申上げますると、第一の事業損益につきましては、何分短時日のうちに決算をいたしましたのでさような誤算をしたことと思います。又建設工事の進捗が遅れたということにつきましては、これは従来もありましたのでありまするが、丁度今申上げましたような公社への切替え並びに機構改革等によりましていろいろな手続が遅延いたしまして建設工事が円満に行かなかつたことと思います。又貯蔵物品の運用につきましても、これは私どもも引継ぎにおきまして特に非常に貯蔵物品が過大であるという考えを持ちまして、極力これを減らすことに努めております。併し何分にもその貯蔵物品の品種が多様でありまして、これを一挙に解決することは困難なのでありますが、年々歳々これを減らすように努めております。従つて二十八年度末におきましては約ここに書いてあります百十七億の貯蔵物品が更に百億前後まで減つております。又工事の遂行に対する手続の遅延等につきましては、今申上げましたと同じ理由によりまして遅延したわけであります。又その他建築工事につきましてもやはり同様の理由によつてつたのであります。  その他土地の交換に当つて評価当を得なかつたもの、この点は会計検査院の御指摘の通りでありまして、私どもは非常に残念に思いまして、それぞれの人々を処分することにいたしましたが、併しその当時の責任者でありまする研究所長並びに事務長がもうすでに退職しておらないという状態になつておりますので、その下の課長程度になりますので、これは主として研究所長の責任でありますために、課長の人々をさように強く処罰するわけにも参りません。従つて戒告をいたすことにいたしました。又国際電気その他の問題につきましては、これはすでに今御報告がありました通りであります。又職員の不正行為につきましては、これは終戦後の混乱時期に相当こういうことが行われたのでありまするが、その後年々歳々不正行為は件数におきましても金額においても減少しております。従つて二十八年度並びに本年度においては著しく改善を見ることと存じます。  大体以上の通りであります。
  83. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 公社からは梶井総裁以下秋草経理局長、永田資材局長、佐々木施設局次長、渡辺施工課長、それから石川電気通信研究所長が見えておられます。
  84. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大体千八百四号、千八百五号の問題ですが、会計検査院が御指摘の通りに連絡が悪かつたために局舎を遊休させた結果になつたわけでありますが、若し連絡がよくて、適当な時期に仕事を開始しておられたならば、一体どのくらいの収入が得らるべかりしであつたかというような計算会計検査院に出したことがありますか、あればその金額、概算を伺いたいのですが。
  85. 大沢実

    説明員大沢実君) 只今資料がありますから、調べまして早速御返事を申上げます。ちよつと調べる間お待ちを願います。
  86. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次のほうに移りますが……。
  87. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 秋草局長何か御発言がありますか。
  88. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 先ほど委員長から、一応総論について総裁からという御注文でございましたが、総裁一応の御挨拶かたがた概略を御説明申上げましたが、私事務当局といたしまして、主として経理関係でございますので多少補足させて頂きたいと思います。  先ず事業損益でございますが、これはここに書いてあります通りでありまして昭和二十七年度は、御案内のように官庁時代と公社時代の二つに分れた時代であります。官庁時代が四ヵ月、公社時代が八カ月であります。こうした年度に少しややこしい区分があつたのであります。そこで決算をしますると、官庁時代におきまして約十九億、公社になりまして約二十四億、合わせて四十三億の黒字が出て参つております。その結果はここに出ておる通りであります。  で、これにつきましては丁度昨年の八月頃でございますか、料金値上げを機といたしまして、特に参議院のこの決算委員会をお開き頂きまして、こちらにいらつしやる八木委員からもいろいろな御質問を受けたことを記憶しておりますが、ここにございますところの国際電信電話株式会社の収益というものにつきましては、検査院大沢局長からもちよつと御説明がありましたが、これは正確無比な事業分計をやつた結果ではございませんで、当時私ども公社の中にある国際通信業務でありますので、そう細かく分計する必要もございません。併し実際問題としてこれを正確に今度会社になつた場合としての計算をしますると、決してこういう数字は出て参りませんで、これを一見しますると非常に莫大なる利益があるように見えますが、実際問題は収支差額を大体私ども計算しますと、十六、七億の利益が出るという、年間でございますが、見積りで、心組みであの会社は創立されたと思つております。で、なぜこういう結果になつているかと申しますと、この数字の先ず分計の支出の面におきまして、国際関係の、対外支払の分担金の計上をまだこれには分計しておりません。それから国内の通信で国際関係の通信業務をやつておる仕事はたくさんあるわけであります。即ち外国に打つ電信につきましても国内で取扱うところの経費がありますが、電通時代でありますと別にそういうものを一々分計しておりませんで、全部国内通信のほうに分計しております。こういうようなことを一応国際関係の経費であるというふうに分計しますと、これも大きな支出になつて参ります。こういうようなものを差引きますと、先ほど申上げましたような十六、七億くらいのまあ差額になるんじやないか、こういうように了解いたしております。  次に財務諸表でございますが、これにつきましては非常に新らしい御指摘でありまして、私どもは御案内のように公社になりまして、主として予算から決算という方向へ大きな大転換をしております。で、予算は御案内のように予算総則におきまして非常に弾力的な企業的な運用ができるような仕組にして頂いておりますので、今後財務諸表というか決算というものに重点を置かなければならない。懸命にこうした基礎的な知識を研究、訓練しますと同時に、こうした決算諸表を重視するということに指導しておるのであります。従いまして従来ややともすればこの決算資料、財務諸表というものは非常に軽視しました官庁時代から、この財務諸表についてこうした御批判を頂いたことは非常に啓発されたのであります。  ここに掲げてございます数字は、これは先ほど大沢局長から御説明があつた通り、これが損だ得だというものではないのでありまして、殊にこれは一年間の四カ月、八カ月に分けた計算でございますので、例えば未払金、未収金のようなものは、これは当然前の期に漏らせば後の期に出て参るのでありまして、いわゆる厳正な意味の会計学的な発生主義の原理から申しますと、そこに正確を期しておらないという、財務諸表の正確についてのもう一段の研究を要する指摘事項だと心得ておるのでございます。従いましてこういう点につきましては今後も極力会計技術、新らしい企業会計原則というようなものの研究に力を入れまして、できるだけ財務諸表というものを確かなものにして、私どもは今後財務諸表というものを、毎月の決算というものを、正確性とそれからスピードというものを考えまして、これによつて現在仕事をやつて、かなり世間に誇るに足るのじやないかという精度にまで持つて来ておるのでございますので、この点につきましては今後十分又研究いたして、過ちなきを期して行きたいと思つております。  それから建設の進捗につきましては、只今総裁から申された通りでありまして、これはもう誠に大きな繰越が残りまして、これは昨年の七、八月に八木委員からも強く、料金値上げしても工事能力なり建設能力がないのじやないかということでいろんな資料をお求めになつた記憶がございますが、とにもかくにもいろいろ機構改正があり、或いは官庁から公社への移行もあり、人事の大異動があり、そうした点でかなり空白時代もあつたのであります。局内ではこれに対して総裁などに対しましても、機構改正に対して随分反対意見もあつたのですが、将来のことを考えて一挙に一つ解決するために機構改革をやつた。これは統計的に見ますと、十一月、十二月というものは低調を極めたものでありまして、仕事が非常にやはり跡絶えたのであります。併しそれが今日から見ますと非常なプラスになりまして、今日諸般の仕事の円滑に行けるようになつた原因だと思うのでありますが、この二十七年度におきましては百一億ほどの繰越というものを作りまして、これを一々言訳するよりも結果において取返すことが問題でありまして、二十八年度は又決算委員会でいろいろと御説明申上げますが、現在曾つて見ないところの建設工事の進行を図りまして、非常に工事を進行いたしました。約六百五億という建設工事の消化を二十八年度では行なつて二十七年度或いは六年度の不名誉を取返したつもりであります。  それから物品の運用でございますが、これも一時役所時代で百四十八億という貯蔵品勘定を保有をした時代もありました。これは保有量の額というものも多いのでありますが、事業の運転する幅、つまり建設勘定、損益勘定で物品を使用する幅との比較をお考えになつて頂かなければいけないのでありまして要するに貯蔵品の回転率というものが問題であります。従つてデフレもさることながら、事業の幅と共にどの程度の保有が正しいかということが大きな私どもの合理化の目標でなくちやならん。数年前に私ども事業の幅は今の半分程度であります。にもかかわらず百四十八億の狩蔵品を持つていた時代もありますので、先ほど大沢局長からも多少この点はお褒め頂きましたが、百十七億ほどのかなり貯蔵品の利活用を図つたつもりであります。二十八年度にはそういう事業が非常に多くなつたにもかかわらず百一億という貯蔵品勘定にずつと減つているのであります。私どもは将来もう少しこれを合理化して減らして行きたいと思つておりますが、事業が非常に幅も広く、円滑な形で仕事もしなければならないということもございますので、極端にこれを又減らしますと事業が極めて不能率になり、低調になつて参りますので、この辺の頃合いが大事だと思うのですが、一時は二廻転もしなかつたというような貯蔵品が、現在では三・五廻転程度にはなつているのであります。これについては一層研究しまして、御期待に副うように努力したいと思つております。説明を終ります。
  89. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今御説明を伺いますと、二十八年度で公社の経営状態が、総裁以下幹部の御努力の結果、非常に良好に向いつつあるという御報告を承わりまして、非常に私も喜ばしく存ずるわけであります。つきましては、昨年の夏、電話電信料金の値上げ後の経営状況を各項目に亙りまして、できるだけ数字に基いて簡単な御報告を頂けば非常に幸いだと思います。  私の伺いたいのは、第一は料金値上げ後の収入は予定通りつているかどうか。それから第二は、建設工事は順調に進んでいるかどうか。第三は拡張工事が最初の予定の通りすべて実際に活動いたしておるかどうか。それから第四番目に、二十八年度中の完成工事と未完成工事の割合はどうなつているか。それから第五番目に繰延勘定はどの程度減少したか。それから六番目に、今貯蔵品のお話が、二十八年度末百一億円で、廻転率の平均が三・五という仰せでありましたが、これは貯蔵品全体に亙つてであるかどうか。それから七番目に伺いたいのは、二十八年度の遊休人員が全体を通じて人数及び比率がどの程度になつているか。最後に、総裁は昨年アメリカの電信電話事業を御視察になつたと承わつておりますが、御視察の結果、我が国のこれらの事業に対してどういう点において最も改善しなければならんかということをお感じになつたか、その視察の我が国に最も参考になつた点についての御感想をお漏らしを頂きたい。  これだけのことを、できるだけ数字に基いて、簡明に御説明を頂きたいと思います。
  90. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 只今八木委員から、いろいろな項目について御質問がありましたが、或いは不十分で漏れるのじやないかと思うのですが、又それぞれの部局長から補足さして頂きたいと思います。  先ず昨年の八月一日の料金値上げ以後の電電公社の収入状況はどうか。これでございますが、結論的に申しまして、昭和二十八年度は、あのときの料金値上げは私ども二割五分の希望でございましたが、国会修正で二割の料金値上げに相成りました。この結果をずつと九、十、十一月、年度末というふうに経過を辿つて参りますと、大体二割ちよつと、二割一分程度の順調な収入で、当初九、十は、これはいつでもあることでございますが、料金値上げ直後におきまするところの利用減というものがございましたが、それも年末頃から戻りまして、結論的には年度の末には大体予算を少しオーバーするという程度の収入にまあ相成つたのであります。その数字を申上げますと、実は八月以後の分というのはちよつと手許にありませんのですが、二十八年度一年間を通じまして五十億の黒字利益が立ちました。当時料金値上げをして頂きますときに、予算では四十七億の利益を出せ、而もそれを建設勘定の自己資金のために料金値上げをさせてやろう、こういうような考え方から四十七億を予算上に計上されましたが、数億の予定よりもよい結果になつた、こういうことに相成ります。  次はその後建設勘定は順調に進行したかどうか。これは今日は施設局長もみえておりますので、或いは補足させて頂きますが、建設勘定は先ほど申上げましたように、二十七年度に非常に大きな遅延を来たしまして、御指摘されたのでありますが、二十八年度から早期に計画を立ててそうして着手するという諸般の準備、設計、物品の調達、要員計画という諸般の計画を早手廻しにやることを考えまして、二十八年度は先ほど申しましたように先ず今まで曾つて見ざるような正規の当初予算を突破するという状況でありまして、予算総則によりますところの弾力条項を発動いたしまして、総額予算に対しまして数字を以て申上げますと、予算の成立は四百六十一億でありますが、二十七年度から今日ここで御指摘になりますように百二億の繰越がございました。それから補正予算で八億の追加も頂いたのでありますが、予算総則による五十億ほどの弾力条項を発動いたしまして、それから流用増減もありましたが、総額予算現額は六百四十四億、これに対しまして支出額は六百五億、先ず百パーセント弾力条項を発動したのでありますから百パーセントの建設勘定を消化したということを私ども考えているのであります。  次に御質問の趣旨ちよつと……、拡張工事の工程に何か異動はないかというような御質問ですか。
  91. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 電話の数がどれだけ殖えたかです。
  92. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 電話の数は昨年二十八年度におきましては約二十二万殖えました。これは詳しく又……。
  93. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 結構です。
  94. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) それから二十八年度中の完成工事と未完成工事の割合でありますが、これは只今申しましたような六百五億という建設勘定を消化いたしましたが、その中で未完成工事は百二十九億ございます。この割合を見て頂けばよろしいのでありますが、未完成工事は絶対値といたしますと、二十七年度よりは増加しております。併し事業の活動する幅と投資額との比率でございますが、これは或る程度御勘案して頂かなければいけないと思います。この比率はちよつとここでは計算しにくうございますが、結論的に私の記憶ではずつと低くなると思つております。絶対値は殖えております。又御要望でしたら資料を以てお答えいたします。  次に繰延勘定と申されましたけれど、繰越でございましよう……。
  95. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 繰越です。
  96. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 繰越は先ほど申しましたように殆んど予算上の数字からいえば三十八億となるのでございますが、これは当初の成立予算が四百六十一億でありまして、二十七年度の四百二億に弾力条項、流用条項いろいろなものを出しておりますから繰越勘定は三十八億というふうに数字の上では出ておるのであります。これは二十九年度で活用しております。  それから貯蔵品の回転、これは先ほど私が三・五乃至六回転になつておるといいましたのは、現在でございまして、現在のよくなつた姿でありましてこの二十八年度決算で貯蔵品の回転率が如何になつたというのはちよつと……。
  97. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 現在の総平均、貯蔵品の総平均……。
  98. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 貯蔵品の総平均は現在……。
  99. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 総平均の関係ですか、三・五というのは……。
  100. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) そうでございます。
  101. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 結構です。
  102. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) それから遊休人員と申されましたが、これはどういう意味でございましようか。
  103. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この会計検査院の何に書いてありますね。つまり当然働かなくちやならん、そういうふうなのが全体でどのくらいになつておるか。こういうのですね。
  104. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) これは遊休人員と申されるのですが、建設要員の稼動率の問題でございます。これに対しては施設局次長から御説明さして頂きます。
  105. 佐々木卓夫

    説明員佐々木卓夫君) お答えいたします。二十七年度は、先ほど総裁からお話もございましたように、公社の機構改正、いろんなことがございまして、それで仕事が全般的に順調に流れなかつた。こういつた関係から局部的に手持要員の稼動率というものを出しますと、そういつた面が出るのでございます。ただこれが全般的に然らば要員がそれだけ要らないかというと、そういうことではないのでございまして、たまたま地域的に見て、工事の種類が、機械の工事が比較的多くて線路が少い。或いはその逆になつたり、要員配置と仕事の種類というものが局部的に食違つたという点が一つ、それから全般的に事務の渋滞を来たしまして、それで要員の稼動率の面で多少そういつた現象が出た。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  106. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 只今お尋ねがありましたのは、昨年私は欧米各国を視察いたしまして、それに対してどういう感想を持つているかというお話であります。海外へ参りました目的は、戦時中に跡絶えてしまいました海外の通信主管庁との連絡を早く復活すること、その次には公社といたしまして、従来の官庁機構の下に事業を経営していたときと違つて、どうしても合理化、能率化を図らなくちやならん、そのためには如何に我々が経済的に、又サービスを国民にするかということを解決するのにはどうすればいいかということを主眼にして参りました。従つて欧米各国の事業運営のやり方、並びに戦中から終戦にかけて発達した新らしい技術を採用することによつて、良好なサービスを廉価に供給することができるんじやないだろうかというふうに考えて、その二点を見て参つたのであります。勿論日本の電信電話事業は相当の歴史は持つているのでありまするが、発達という程度から見ますると、かなり欧米各国よりも遅れております。特に経済的に事業を運営するという面において遅れているという感を抱いたのであります。  その点はどういう意味かと申しますると、今日におきましては、世界各国とも電信事業については、アメリカを除いては、みな赤字でありまするけれども、電話事業についてはいずれも黒字になつております。併しその黒字が、多くは従来の人を多く使うという方向から、機械化することによつて、従業員の数をできるだけ節約して行くという方向に進んでいるのであります。つまり電話の交換につきましても、自動交換に極力している。現在日本の自動交換の全加入者に対する割合が約四〇%、併しスイスのごときは九七%まで自動化しております。その他アメリカのごときも七五%くらいまで自動化している。従つて我々は自動化することによつて事業の能率を上げることが必要である、併しその自動化するのには従来使つておりましたところの自動交換機の方式を使うべきであるかどうか。もつと新らしい経済的な方法はないだろうかということを調べましたところが、従来使つておりましたステップ・バイ・ステップ・システムというものは、最初の投資額は、新らしいクロスバー・システムに比較しまして、多少廉価でありまするけれども、保守費が非常にかかります。又故障が起り易いという欠陥を持つておりまして、今日におきましては、世界各国ともクロスバー・システムを採用しようという傾向にある。従つて我々としましては今後クロスバー・システムを国産化して、そうして日本において広く使う方法を採らなければならない。  又市外通話につきましても、従来日本では長距離の市外電話はケーブルによつてつておりますが、一つの回線を二十四通話疏通するように使つております。併しよその国へ参りますると、日本と同じようなケーブルを使つておりましても、六十通話、或いは百二十通話までもやり得るように進歩しております。又現在のケーブルじやなくて同軸ケーブルというものを使いますると、九百六十通話まで取扱つております。そういうふうに一つの回線を多重に使うことによりまして、一回線あたりの建設費というものは非常に廉価に行く、そういう方法をとつて、今後市外通話の改善を図つて行きたい。又これに従事しておりまする人、特に保守に従事しておりまする人というものは非常に少くなつて来ております。これも保守に機械を使いますから……。料金の計算のごときも電気計算機を使つてすべて一挙に出してしまう。日本のように度数計によつて計算して、それを一々人が読みまして毎月毎月計算するというのではなくて、全く電気計算機によりまして一挙に各加入者に対する料金がカードによつて出て来るというようなやり方をしております。そういうような方面につきましても、かなり人の節約を図るように極力しております。現在公社の従業員は約十六万人おりますのですが、我々としましてはこの人々が事業を拡充して行くに従つて、本来ならば増員して行かなければならないけれども、成るべく我々はその増員を差控えて、そして機械化によつて人員の節約を図つて行こうというふうに今後やるつもりでおります。  非常に大ざつぱなお話を申上げましたが、私自身の主なる目的でありました公社の経営を経済的にするということに対しましては、幾多の新らしい技術を導入する、そして同時に事業運営においていろいろな改善を図つて行くということに対する目標を得たと考えておる次第であります。
  107. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大変有益な参考になるお話伺つて有難うございましたが、御視察の結果、直ちに御実行なさつた主なるものを一つ二つ伺いたいと思います。
  108. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 只今申しましたこの新らしい技術というものにつきましては、これを直ちに実行するということはなかなか困難であります。只今申しましたクロスバー・システムこれは出発前から我々はそういうふうに考えておりましたので、アメリカからクロスバーのキャパシティーのものを輸入いたしまして、只今高崎の局に装備しております。これが最善のものかどうかということにつきましては、まだ断定し得ないのでありまして、クロスバー・システムと申しますけれども、それは各国によつて多少みな違つております。アメリカにおきましても、アメリカの電話電信会社が使つておりまするクロスバー・システムはウェスタン・タイプのものでありまして、それから我々が買いましたのはケロッグ・スイッチ・カンパニーというので、これはアメリカの独立電話電信会社で多く使つております。そのほかスエーデンにおきましてクロスバー・システムを相当広く使つております。又ドイツ、フランスその他においても研究をみなそれぞれしております。ただ将来のことを彼らが予想しておりますのには、今までは自動交換は機械的な動作によつて交換をしておるのでありますが、将来においては真空管だけでやる、機械的なものをすべてなくしてしまうという考えで進んでやつております。従つて我々の研究におきましても、両方の研究を目下しておりましてそして今後日本のクロスバー・システムはどういう方式のものを使うのが一番日本の国情に適しておるかということを判定しまして、そしてそれを国産化して行くというつもりでおります。今のところはただ試験的に使つておるという程度に過ぎません。  それから更に同軸ケーブルにつきましては、我が国のメーカーもその点につきましては自覚しております。最近におきまして住友電気工業において同軸ケーブルの機械を英国から買いまして、そして製造を始めて参りました。直ぐ同軸ケーブルを東京—大阪に敷設するということは相当な経費を要するのでありますから、目下我々としましては大阪—福岡の間に工事中でありますマイクロ・ウエーブ等に住友電気工業が製造いたします同軸ケーブルを使うつもりでおります。それによつて経験を得て、将来東京—大阪間に同軸ケーブルを敷設して行こうという計画でおります。又先ほど申しましたドイツが一つの回線で六十又は百二十通話するということにつきましては、これはよく見ますると、日本のケーブルとドイツのケーブルとは構造が相当違つております。従つてケーブルから直して行かなくちやいけないのでありまするから、そのケーブルのこれは絶縁体その他もみな違うのでありますが、それを目下製造会社に頼みまして、研究並びに製造について着々と進めて行つております。従つて今後のケーブルにつきましては、従来のような二十四通話だけでなく、六十通話以上にして行きたいと考えております。  その他マイクロ・ウェーブにつきましても、これは出発前にすでにここにおります通信研究所の所長の監督下に日本の研究所でも研究しておりまして、それを実施してすでに東京—大阪間のテレビジヨンの中継もやつているわけであります。ただ日本と向うと著しく違つておりますのは、五十キロごとに山の頂きに中継所というものを設けておりますが、これは向うは平地が多いものでございますから、相当高いコンクリートの塔を建てまして、その上にアンテナをおいてやつております。で、そういう中継所に向うは殆んど人がおらないということであります。日本は非常に交通不便な山頂にそういう人を相当おかなくちやならない。これは従事する人にとつても非常に困難な仕事であり、且つ又経済的に考えましてもなかなか相当な特殊の手当も出さなくちやなりませんから、これをどうしても自動的にすべて動かすようにしなければならない。で、そういう意味におきまして、今般英国から大阪—福岡間にマイクロ・ウェーブの機械を買つたのであります。これは中継所をみな自動的にコントロールされるようになつております。そういうふうな技術を導入しまして、今後東京から北海道へ向けて行くマイクロ・ウェーブは全く無人の中継所を以てやつて行こうという考えで目下おります。  その他細かい点でいろいろと実施すべき問題がありますのですが、これはそれぞれ技術的な調査研究を進めて行きたいと思つております。    〔委員長退席、理事八木幸吉君着席〕
  109. 平林太一

    ○平林太一君 今質疑の対象になつております千八百四から千八百十三、それまでを一括して電々公社の責任者である総裁梶井君の答弁をこの際要求するわけであります。その前に総括して先刻お話があつた「不行届である」こういうことですが、これらの会計検査院が指摘した不正事項、不当事項、こういうものに対して不行届であるという極めて非良心的な御答弁をなさつている。不行届ということは今日我が国の世上の通例からいたせば、集会会合等の場合に、いわゆる席順が不行届で誠に相済まん御了承を願いたいと、主催者側のこれは儀礼的な言葉である。問題はこの会計検査院がいやしくも一つの電々公社の経理の上において、その電々公社の当事者が不正不当をしている、或いは処理したというから、犯罪の事実に相成つているのではないか。それを不行届である、こういうふうにあなたが言われているが、これはあなたの考えは、こういうようなお考えで、この委員会にお臨みになられているということは、非常にあなたの御職務に対してみずからを顧みざるところの心事が露骨に現われていると思うので、甚だ遺憾である。こういうことに対してどういうふうにあなたはもう一度弁明なさるか。  それから第二には、電々公社創立の第一代の総裁は梶井君と承知しております。然るに今日まで決算委員会は、あなたが就任以来数次に亙つて開催せられている。私は寡聞にしてあなたの謦咳に接することは今日が初めてなんです。なお念のために今委員部の当事者をして確かめると、ここに初めて来られたという。今日まで本委員会に出席せられなかつたというあなたの御態度、心事は那辺にあつたか。この二つを取りあえず一つ答弁を求めたい。
  110. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 只今私が先ほど申上げました不行届であるということについて誠意を認められないというお言葉でありまするが、私自身は二十八年の八月一日に公社ができましたときに、はじめて総裁を拝命いたしました。それまでの間は電信電話事業からかなり長い間遠ざかつておりました。従つて再びさような事業の責任を負いますのについては、相当自分としましても事業的に調べなくちやならん、又勉強もしなくちやならんというような立場にありましたために、私自身の職責上監督不行届になりましたということを申上げたのであります。決して誠意がない答弁のつもりで申上げたんじやありません。殊に会計検査院が御指摘になりました事項につきましては、その後できる限りこれを改善して行こう、こういう考えでありまして、二十八年度におきましては検査院のかたからお話がありました通り、改善の実を認めて頂いております。私は単に答弁を上手にするとか、下手にするとかという問題ではなくして、かような重大な事業を預つているのでありますから、実績においてその改善の実を挙げない限り、私の職責を果しているとは考えておらないのであります。そういう意味におきまして、今後事業の改善を着実にいたしまして皆様がたの御叱正を仰ぎたいと考えている次第であります。  それから私がこの決算委員会に今日初めて出たというお話でありまするが、私が公社へ参りましてから参議院の決算委員会で電信電話公社についてお呼出しがありましたのは今日で私は二回目かと存じます。この前にお呼出しがありましたときに私は出ております。たしか八木委員からもそのときに御質問がありまして、私から御答弁を申上げた記憶がございます。そういう意味で決して決算委員会からお呼出しがありまして出ないというような考えは毛頭持つてはおりません。又いろいろな用務を控えて、場合によりますると衆議院と参議院と国会開会中に同時にお呼出しがある場合がございます。そういう場合には止むを得ず私と副総裁が必ず手分けをいたしまして両方に出席するように努めている次第であります。そういうために或いはこちらからお呼出しがありましたときに、私の代りに副総裁が出た場合があるかと考えまするが、私はお呼出しのある限り、どの委員会にも必ず出るというふうに努めている次第であります。
  111. 平林太一

    ○平林太一君 どうも第一の御答弁ですが、監督不行届である、こういうことは何と言いますか、日本の官僚の通例なんで、極めて何と言いますか、態度をあいまい模糊としてそうして誠に相済まなかつた、申訳がないということを言わないのです、日本の官僚は自己を過大評価して……。長い間の伝統です、それが。電々公社も今日はいわゆる国家の大きな予算の裏付によつてこれはやつておるのですから、そういうことを通じて当然つまり国家公務員としてのこれは見解を以て我々はあなたにこれを質そうといたしておるわけであります。非常に遺憾です。私のほうからそういうことを、不行届ということを訂正したらどうかと言うことは、字句の問題ではない。それから言葉の問題ではないのです、それは。そういう不正不当事項が不行届だということで、それで済むということであるなら、酒々としてこういう問題は根絶しないのです。本日問題になつておりますこの千八百五から当該事項の千八百十二、これに対しましては、会計検査院はこれに、当該当事者の名前を明らかにしておりません。あなたのほうは、これはわかつておるのですから、これに当時この事件関係をした当該者の職責、姓名というものを明らかにこの際御答弁が、事務当局が来ているのですからできるはずです。まず答弁を求めます。それは第二の問題で、今梶井君が御答弁ののち事務当局から姓名を聞いてそれを挙げられたい。正しくその人の名前を挙げられたい。それから今のことでは承服ができない。監督不行届であるということ。そういうことであなたはこの場所を、何か御自分の今までの官僚の習慣によつて、そうして威圧的に今日の民主政治を抑えようとしておる。普通の者はこれでは済みませんよ。こういう事件が起れば、あなたがたの世界以外においては監督不行届であるということでは、これな承服できないわけです。又そういうことは言えないのです。これはこういう事態が発生したことについて、どうです、これは申訳ない、相済まないということをあなたは言えますか、ここに当事者としまして。而もそれは二十八年に職についてから前のことは自分は関係ないというのであれば、これは別です。併しそういうことであれば総裁として我々はあなたの存在をこの際認めるわけに行かない。以前のことは責任がないということになつたら、そんなら次々にそういう事態が、これは始終交替があるのだから、悪いことをしつ放しでやめてしまえば、それでもうあとのものは先のことだというので責任がないということで、これは済む。そういう言い逃れで、言訳で済む、こういうことになる。どうです、この点。御答弁を求める。
  112. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 二十七年度の決算につきましての問題でありまするが、勿論私は就任の際に、当時の大臣から事務的な引継ぎをして頂きました。従つて電通省時代の仕事でありましても、私は引継ぎをして頂きました関係上、やはり私に責任があるという考えでおります。又先ほど不行届きでありますので、私は誠に恐縮に存じておりますと申上げたのでありまするが、それは言葉の使い方が悪かつたのかも知れません。若しそれで御満足して頂けないんでありましたならば、申訳ありませんと申すことは幾らでも申します。併し先ほど申しました通りに、私としましては、かような事態を再び発生しないようにすることが今後の心構えとして是非必要であるという考えでおりまするので、かような事態に鑑みまして、ますます私は事業のために注意をして、今後こういう事件を絶滅して行くように努力したいということを申上げた次第でございます。
  113. 八木幸吉

    ○理事(八木幸吉君) ちよつと平林委員に申上げますが、先ほど梶井総裁が本委員会に少しも顔を出さないという御発言がありましたが、昨年の夏の国会のときに、電々公社の問題が起りまして、私から総裁の御出席を要求しました。総裁からお話がありましたように、当委員会に御出席になつて懇切丁寧に質疑応答をされたことを記憶いたしております。その後私の記憶では、総裁の出席を当委員会に要求したことがなかつたかのように記憶いたしますので、従いまして本委員会から出席を要求して出席されなかつたということはなかつたのじやないかと私は思いますので、御参考までに申上げておきます。  なお、委員長の解するところによれば、今の総裁お話は十分会計検査院の指摘事項に対して相済まんという謝意を表しておられるというふうに考えるわけであります。御参考までに平林委員に申上げます。
  114. 平林太一

    ○平林太一君 委員長の御発言はこれは御自由でありますから承わつておきます。  今誠に申訳ないということにまで相成つたわけであります、梶井君の本心が……。すると申訳ないということは、この不正不当事項をあなたがこれを認めたということになるわけです。従つて将来こういうことを根絶いたしたいのだというお話だが、これは認めたということになれば、あなたは当然総裁としての責任というものがある。これを明らかにしなければならん。今日のいわゆる民主政治というものは、取りもなおさず責任政治であります。民主政治は議会政治である。議会政治は多数政治である。多数政治は責任政治である。従つて国会はそれに対する責任というものをあなたがたに向つて問う。そうしてこういう不正不当の事項に対しては、責任の所在というものを明示しなければ、この民主政治というものは名のみあつて実際は行われない。国家の秩序の維持はできないと思います。その責任というものを、あなたはどういう形においてこういうものを現わされるのか、これを明らかに究明をいたして、いわゆるかような事件というものが根絶ができる。今まで御説明になつておられたようなことでは、もうここへ来て、先刻来事務関係の答弁を聞いておつても、会計検査院はこういうようなゆゆしい幾千幾万幾十万の中からこういうものが発見されて、そして出て来た問題を、それを滔々として事務報告を決算委員会にいたしておるという感が非常に濃い。これは諸外国の、最近私は東南アジヤヘ参りました、中国へ参りました。官紀振粛というものは実に厳然として揃つておる。政治方式に対する是非はこれは格別なんです。官紀の振粛というものが、厳しく確立しておるから、その国の国民が国家に寄せる国家観念というものが旺盛になるわけです。今日我が国の官僚というものくらい不正不当の温床であり、集団であるということすら比較して考えざるを得ないのです。我々としては国民の道義風教というものが、今日頽廃いたしておるということのその淵源というものは、みな我が国の官僚がこういうことをいたしておるからなんです。官僚に関係するものが、官僚及びこういう会社というものが、責任をあなたはどういうふうにしてこれに対しておとりになるお気持か、単なる言い逃れで、初めは不行届だ、恐縮だ。私は恐縮なんということは聞いておりません。併し恐縮だ、併しお話があるから申訳ないのだ、そういう言葉尻の問題ではないのです。これは……。責任の所在というものを明らかにしなければ、こういう問題は根絶ができない。又我々のそれが使命なんです。今日民主政治を双肩に担つておる我々国会が、その責任を負つておるものなんです。電々公社総裁としてあなたはどういう責任をおとりになるか……。    〔理事八木幸吉君退席、委員長着席〕
  115. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 御指摘のありました問題につきましては、私といたしましてそれぞれ関係の人々に処分はいたしました。又私自身の問題といたしましては、これは監督官庁でありまする郵政大臣の御指示に従つて我々は処分されるべきものだというように考えております。郵政大臣に只今お話ありました点を申上げまして、郵政大臣の高裁を仰ぐつもりであります。
  116. 平林太一

    ○平林太一君 郵政大臣の指示を——そうすると、あなたは今後受くるということによる以外は、みずからは良心の態度を披瀝して、みずからがこの責任を表示するというお考えはないですか、今後もこういう問題が出て来たときに、こういう問題が続々と今後二十八年度にもありましよう。二十九年度にも必ずある。これはそういう問題が次々に起きて来て、あなたの監督官であるところの郵政大臣から、何らかの指示がなければ、てんとしてあなたはその責任をとらない。こういう答えですか。それは一つ明確に御答弁願いたい。
  117. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 私は日本電信電話公社総裁として、総理大臣が任命されました。そうして郵政大臣の監督下にあるわけであります。従つて直接監督をしておられまする郵政大臣にすべて指示を仰ぐよりほかに方法はないのであります。でありまするから、私がかような不当、不正の事件を惹起しましたことに対して、郵政大臣に報告しまして、御指示を仰ぐという以外に方法はないと思います。私が決して自分が責を逃れようとか、或いは言葉を以てごまかしてしまおうとか、そういうような感情は全然持合せておりません。併しむしろ私自身としては、かようなことが起つたことは誠に私の手落でありまして相済みませんからして今後こういうことの起らないように努力して、そしてお詫びするより仕方ない、こう考えておる次第であります。
  118. 平林太一

    ○平林太一君 郵政大臣の指示を受けるという、責任の明示を今明らかにされたわけであります。それでありますから、これは監督官庁の当事者に対してはそういう態度が必要だ、従つてこの本件の審議になつております問題に対して、総裁としての梶井君御自身の進退について、郵政大臣の指示を求めるの手続をとられるように今日要請いたしておきます。これは郵政大臣から何かあなたのほうに向つて、何するものではない。あなた自身からこういう事態会計検査院から不正不当の事項として指摘せられたが、これに対して総裁としての責任、総裁としての進退は如何ようにすべきかということを郵政大臣に手続せられんことを要求する。なさるか、なさらないか。その点を明確に一つ御答弁願いたい。
  119. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) いたします。
  120. 平林太一

    ○平林太一君 その点はそういうことでよろしい。従つて郵政大臣のその処置に対する、回答に対する事柄に対して委員長まであなた御自身が報告の手続をとられるように、この際要求いたしておきますが、その点はどうなさるおつもりですか。
  121. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) お話通り委員長に御報告いたします。
  122. 平林太一

    ○平林太一君 それでよろしい。それからそういうことで出すが、これは将来に対して、我々は個人として忍びがたいところです。併しそうでなければこれは根絶できない。先刻もこれは申上げた通りです。これは諸外国の実例を見ても、我が国の官僚ほどひどいものはない。官僚が一たびその職を辞するというと、今度は民間の銀行であるとか、会社であるとか、何々組合であるとか、こういうようなものに、その官僚時代の威風を利かせて皆入つて行く。そして今度はその会社なり銀行なりの利益のために国家公共の福祉を阻害しているということは、これは枚挙に違ない、今日。電々公社の電通省当時の実態だけをみても、これは梶井君、御参考に一つ最近終戦後の十年間くらい逓信官吏がこの郵政関係、例えば電々公社でありますれば、電々公社関係の民間会社に入つているというものは相当数に上つている。これがいわゆる電線を買う、電話機を買う、これは電々公社に来て威圧を利かしている、今日。あなたもそういう御経験があつたかどうか、今後そういうことを肚において一つそのことをお考えになればよろしい。かような今問題になつておりまする俎上に上げた問題は、これは九牛の一毛、百のうちに一つ、千のうちに一つ、形から申しますれば、これは数百、数千倍の国損というものが、不当行為にこれはまつわつている。電話機を電々公社が作つているわけじやない、電線を作つているわけじやない。これらの会社に皆これがいるわけです。そうしでときには、あなたは威圧されないかしらんが、靭君を初め、そこに列席の諸君が曾つての先輩だという、或いは前の大臣をしたとか局長をしたとか課長をしたとか、これが注文をとりに来る。そうしてそこで値段がきめられると、こういうわけです。先刻来電々公社利益が八十億、九十億というが、これは考えなければならないことは、普通のこの商業行為によつて孜々営々たる努力の結晶に成つた利益ではないのです、いわゆる一つしかない電々公社が料金をあらかじめ利益のある算定をしてその料金を使用者に課せしめる、こういうのは利益とは言わないのです、我々から言わせれば。強制により権力によるところのこれは一つ利益になるわけです。そういう中であるにもかかわらず、これらがそれら民間の会社に皆入つておる。だからとり敢えず、曾つて、終戦来いやしくも郵政省の関係官吏にして、それぞれ今取引いたしている、郵政省が物品購入をいたしておる、これは百般それぞれありましようが、参考のためにお調べになられて、前歴を……。そして委員長までこれは資料として提出せられたい。これは根本の問題です。これを根絶しなければ、このいわゆる歳入歳出の経理の上に、電々公社事業結果というものは、事業表として現わして来ても、かようなものは我々から見ますれば、何らこれは価値のないものです。それですから、今取引をしておる会社、それらの重役ですね、それが郵政関係関係をした曾つての我が国の官僚であるか、そういうものを一つお調べになつて委員長の手許まで、早急に提出するように、これは多いだけではいけない。すべてを、僅かの取引でもよろしいのですから、全部を網羅した表を提出せられたい。これは国会に決算委員会があるという、そのゆえんだから、これは申上げたわけです。それでなければ、こういう決算委員会という一つのものを国会が設けておる必要がないわけですから……。ここで電々公社の儲けたとか損したとか、事業がどうなつたかということは第二義的の問題です、決算委員会としましては。その資料を至急に提出することを今日要求するが、それをなされるか。なされるのであれば、大体何月何日までに委員長に提出するということを、この際明らかにしてもらいたい。それの答弁を求めます。
  123. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 私の記憶しておりまするところでは、電々公社物品購入しておりまする会社に、曾つて逓信省の人が、逓信省に奉職していた人で重役をしているということは記憶しておりません、少くとも現在。併し曾つて逓信省におりまして、その人の技能その他を会社においても活用したいという意味において会社に入つた人は幾分かおります。併しこれはむしろ下の技術員であるとか、或いはその他専門の仕事に従事しておるに過ぎないのでありまして、決して会社に対してそういう重要な地位を占めておるとは思いません。併し今のお話がありました通りにそれを全部調べるということになりますると、かなり広汎に亙りますので、短時日に調べることが困難ではないかと思います。併しわかる限り調べて、できましたらば差出すことは、決してお断わりするつもりではありません。
  124. 平林太一

    ○平林太一君 これは今記憶ではとおつしやるが、非常に記憶というものは、おのずからまあ人間の記憶の範囲というものは限定されておるのですから、これはいやしくもかような事柄に対しての資料といたしましては、当然あなたは部内のそれぞれの機関を通じて調査しなくちや、これはわからない。  それから第二の問題は、重役とおつしやるが、重役であると、重役にあらざるとにかかわらず、これは当然関係したということに対しては、こちらではまあこちらの考えがあるから、それを一つ明らかにして資料委員長に提出して頂くことを、この際要求しておきます。従つて短時日にはできないと、こうおつしやる、長日月ということになると、短時日でない。短時日でないというわけでありますが、これは明らかにしておいてもらわなくちや困る。この際総裁としてのあなたは、当然これに対するところの一つのいわゆる見通しというものは、総裁ともあるべきものはよくわかるわけです。そうすると、今日自分で今お考えになつて下部の機関を通じて調査がどのくらいでできるかということは、すぐ御即答ができる。今月にできなければ、来月でもよろしいが、いずれにしても通常国会が始まりますから、そういうことに対してもう少し具体的に、大体何月何日頃までには提出いたしますと、こつちから要求ですよ、希望じやないのですよ。国会の権限においてあなたに要求するわけです。それに対する時間的期日の答弁を明確にしてもらいたい。今お話通り非常に広汎だという、広汎です、とにかくこれは。電々公社予算というものは、数字に現われている。これに対する購入というものは、これは決して過小に評価すべきじやないのですから、それをお調べになるということは、これは当然できることなんです。その点一つ御答弁頂きたい。
  125. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) かつて逓信省に奉職しておりました人々が、現在どういうところで働いているかということを調べるということになりますと、その人数が非常に多くなつてしまう。それがどの程度に電々公社関係があるかというようなことを一々検討しなければいけない、若しこれが主要な会社であるということでありまするならば、比較的早く調査いたすことができまするけれども、お言葉の通りに全部を網羅してということになりますると、これはなかなか容易ならんことでありまして、只今見込で以ていつまでにお答えいたしますということは、ちよつと私自信がありません。
  126. 平林太一

    ○平林太一君 そんならこちらから申上げましよう。それはいわゆるかつての郵政関係の、今おつしやる通り電々公社の前身たる郵政及び逓信、終戦以来そういうものに対しましては、それぞれ人事課というものにおいて、その退職したときのなにがわかつている。それから取引をいたすときには、取引は、これらの関係会社、今私のほうが指摘しておりまする会社に対するそういう取引先というものは、あなたが一々それをのがれようといたしておりますが、それは必ず電々公社のほうに何らかのつながりで話がしてある。下のほうをお調べになれば、できんということは決してない。何かやはりしないということは、何ものかを恐れるから、そういうことをおつしやつておられる。恐れなければ、これは当然いたしますということが言えるはずです。時日が、いつ幾日にできない、こういうようなことは、あなたの職務の上に、非常に職務を遂行するゆえんのものではない。今日国会が要求いたしておりまするこれは、いわゆる重大なるあなたに対する職務行為として、これは要求しておるのですから、それですから、これは時日が明確にできるはずです。今のお話では、実際問題は、いつになつてもしないということです。一応これこれまでにいたします。併しそのときにまだ調査ができなければ、しばらく延期して、次には幾月幾日までに延期してもらいたいということは、そのときに又できるはずです。これはあなたの責任の問題を明らかにしてもらわなければ困るので、先刻からそういう強い要請をしておる。それを一つ明らかにしてもらいたい。これだけは何月何日頃までにいたしましようと……。
  127. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 総裁如何ですか、平林委員のお求めは、全国末端の大小会社全部とおつしやるのではないでしようから、臨時国会があるかも知れませんが、通常国会までまだ一カ月ございます。その近所の頃までに、おわかりになる範囲で、どなたかにお命じになつてお調べの上、お出しになることは、そうむずかしいことではないと思うのでございます。そういうようにお計らい願えませんか。
  128. 梶井剛

    説明員(梶井剛君) 只今委員長お話通りに主要なものになりますれば、これは比較的早くわかると私も思います。ただ全国に非常に散らばつておりますし、会社と申しましても、大小さまざまでございまして、とてもそれを全部網羅して、而も下部の例えば、簡単に申しますると、かつて逓信省におつて今やめて守衛をしておるというような人まで、皆書いて出せということになりますると、とても容易ならん業でありまして、只今平林委員お話通り、私は正直にお言葉の通り受取りますると、容易にできませんと申上げた次第であります。併し委員長お話のように、主要なものでありまするならば、これは本年内に調査して差出しますということは申上げられると思います。
  129. 平林太一

    ○平林太一君 それでよろしい、それで了承いたしますから、そういうようにお願いいたします。  それから第二に、委員会の出席が初めてだと今言つたが、それは第十六国会の七月二十二日にあなたが出席されておる。それから今日が二回目、こういうわけです。先刻八木委員委員長代理として何か重要な御発言をなされたようでありますが、総裁の出席を求めていない、それだから来なかつたのだ。ここは私自身としては、委員会の構成をなしておる委員から何か非常に政府の弁解ばかり聞いた感がして甚だ不快です。こういうことはだまつていらつしやることを、私としては国会の権威の上に希望するわけです。併しこれは自由である。併しこれは私自身が梶井君に求めておりますことは、今の通りこちらから総裁を指示しないから、それで来なかつたのだということではないのです。これはいやしくも副総裁はあなたの代理として来るわけです。いやしくも委員会から、事いわゆる電々公社関係のこの審議が、当委員会において審議される場合におきましては、進んであなたのほうから自発的に来なければならない。出席を求められないから来ないというようなことだから、いわゆる平生のあなたの職務行為というものが、以て非常に安易なものにお考えになつておる、政治だからこれは……。そろばんをはじく場所じやありません、この委員会は……。これは広義にあなたが良心的にお考えになられれば、ここで答弁しなくてもしても、当委員会が開催されるときには電々公社として委員会は要求しているのだから、その最高責任者であるあなたがここに来ていないということは、今後非常に一つそれに対しましては反省をして頂きたい。それは衆議院のほうへお呼ばれになるということもありましよう。併し衆議院のほうへ呼ばれないときで、ただ公社におられるということで、ここへ来ていないという事実は、僅か第十六国会、第十九国会、まさに二十国会が開かれようとする今日までに二度であるということで明らかなんです。この点は一つ総裁などをお出しにならずに総裁たるあなたが委員会があるときは、向うにあるときは時間的に又繰合せもできましようから、併し同時目に衆議院と参議院の決算委員会が開会せられるということは極めて異例です。本日も衆議院の決算委員会は、私は開かれていないと承知しております。いずれにいたしましても、これは同日に同時刻というようなことは、決して御答弁には当らないわけです。その点を一つ強くこれは要請しておきます。以後十分に御注意を願いたい。これはあなたの御答弁はこれで求めません。  それからこれに関連して委員長会計検査院ちよつと質問いたしたいと思いますが……。
  130. 小林亦治

    委員長小林亦治君) どうぞ。
  131. 平林太一

    ○平林太一君 会計検査院は当事者としまして、これらの批難事項を指摘したことに対して、先刻事務当局がこれに対するいわゆる弁解をした。ああいうような弁解で会計検査院としては御納得が行くのか。承服ができるのかできないのか。会計検査院としてのこれに対する態度をこの際明らかにせられたい。
  132. 大沢実

    説明員大沢実君) 平林委員の御意見でありますが、この不当事項として掲げております個々の問題で、それぞれ違うと思います。例えば千八百四号或いは千八百五号に掲げてありますのは内部の事務処理の一連の手続きが遅延しているということを指摘しておるのでありまして、これにつきましては相当その後において改善の実が上つていることを我々としても二十八年度の結果から認めております。我々の検査の効果が上つておると見ております。  それから千八百六号の設計変更の手続きが多少違つてつたという点でありまして、この点に対しましても、これは何と言いますか、設計変更の手続きが違つておる点は遺憾であつたということを公社のほうでも認めておられまして、将来においてこうしたことのないようにということに努力されるのでありまして、検査の効果はそれで上つた思つております。  その他建築工事が遅延したという千八百七号も先ほど申しました千八百四号、千八百五号と同様の次第でありまして、これもその後の成果によつて検査の効果は上つたのではなかろうかと思つております。  千八百八号も同様な次第に考えております。  千八百九号の交換の問題、これは実は甚だ遺憾な問題でありまして、これに対しては相当責任者は糾弾さるべきだと思つております。併しながら先ほど公社のほうから御説明もありましたように、当時の所長はすでに退官されているように聞きますので、これ以上個別の問題としての責任の追及ということは困難ではなかろうか。将来においてこうした事態がないというような公社側の御説明に基きまして、将来の検査をその方面で更に注意して行くということになるのではなかろうかと思つております。  千八百十号の国際電信電話株式会社に対する問題は、公社のほうでも直ちにその非をさとられまして、会社のほうから代金を徴収されております。こうしたことが出たのは遺憾でありますが、事後の処理としては済ましておるということになつております。  それから千八百十一号、これは甚だ遺憾な問題でありまして、買つたものき使わずにそのまま廃棄するの止むなをに至つたということになつておりまして、これも遺憾な問題ではありますが、各方面に配給されたものの個々の責任者の処断ということよりも、むしろやはりこうしたことのないように将来において考えて頂くということが必要ではなかろうか。  不正行為についてはこれは申すまでもなく当事者が当然責任をとられておるものでありまして彼此総合いたしまして、検査院がここに指摘されたことに対しまする公社側の将来の改善と、それから個々の問題の是正ということについて全般的には私はこれはこの検査報告に掲げた効果は十分挙つておるのではなかろうかというように考えております。なお、それ以上の問題につきましては、只今平林委員のような御意見もありましたでしよう。まあ全般的にこうしたことのないように将来においてやるということが、やはり私としても必要ではないだろうかというように考えておる次第でございます。或いは平林委員の御意見に多少食い違つた点もあるかと思いますが、一応私の考えを申上げる次第であります。  なお、この席をかりまして甚だ恐縮でありますが、先ほど八木委員の御質問にありました千八百四号、千八百五号のどのくらいの得べかりし収益が失われたかということでありますが、これは極めて推算の数字で恐縮なんでありますが、この千八百四号は従来の磁石式を自動式に変えたので加入者殖えたわけではあいません。併しながら磁石式の市外局が自動式の市内局になりますと、どうしても利用度が殖える、基本料金も殖える、一方市外通話と市内通話の料金の違いが出る、それを総合いたしまして、どのくらいな見当になるかと質しましたところ、一加入者に対して大体月五百円の増収になるということを標準といたしますと、千八百四号のほうは加入者は約二千人でありますので、月約百万円であります。これが遅れましたのは約七カ月、七百万円程度のものは得べかりし収入が減つたのではなかろうか。次の千八百五号も同じような計算をとりますと、約三百万円が得べかりし収入が減つたのではなかろうか、こういうふうに推算する次第であります。
  133. 平林太一

    ○平林太一君 今会計検査院から僕の質疑に対して御答弁があつた。そこでそれは会計検査院としては、この会計検査業務のこれは職責を果していたものと思う。そこをとつておつしやるけれども、これはよくその点は了承するわけなんですが、私のほうで聞いておることはそういうことじやない。この批難事項に対して先刻いわゆる総裁梶井君以下電々公社の当事者がこれに対して弁明をいたしておる。この弁明が会計検査院としてのあなたの立場で満足している、妥当なものであるかどうかということを尋ねておるわけです。簡単でいいわけです、これは……。これで満足だ、ああいう答弁でよろしい、これであればそれでよろしい。それからそうでなければ、この点があの答弁ではここへ指摘した事項に対して承服しがたい、こういうことを、これはあり得るわけです。それを一つ承わりたい。
  134. 大沢実

    説明員大沢実君) ここに掲げてあります問題で、公社側が会計検査院の意見に承服しがたいと言つておる点は一点もないのでありまして、従いまして検査院の指摘に対しては公社側としても全面的にこれを承服しまして、将来の改善を約しておられるのであります。我々としては検査の効果は、これで挙つたのではないかというように考えております。なお、これは挙つたか挙つてないかは、これから再度の検査においてその結果を見るというふうに持つて行く、こういうふうに考えております。
  135. 平林太一

    ○平林太一君 会計検査院としての大沢さん御自身は、答弁の内容について、電々公社が先刻した答弁の内容に満足である、こういうことをおつしやるのか、それを明らかにして頂きたい。
  136. 大沢実

    説明員大沢実君) 甚だむずかしい問題で、満足であるという言葉はどういうことになりますか、少くとも公社検査院の指摘に対してまさにその通りだ、将来そういう点を改める、こういう答弁に対して私はそれで了承しておる次第であります。
  137. 平林太一

    ○平林太一君 じや、これで大沢君にこの際私の意見を申上げておきます。先刻のあの答弁で会計検査院は満足だ、つまり了承したという今の話だが、そういうことでは、会計検査院というものは単なる字句の上の、こういう事件を指摘して、そうして国会に報告して、そういうただ字句の上の事務行為をしておるということにしか過ぎない。会計検査院の、私はこれがするところの目的というものは、会計検査官の目的というものは、考え一つ改めてもらいたい。これはあなたのほうはいわゆるこのこういう事態を摘発した以上、これに対して秋霜烈日の態度を以ていやしくもこれが当事者が先刻答弁をしておるようなことに対しては甚だ不満である。さようなことでないと、会計検査を国家がする目的というものは、最終の理想目的を達することはできん。ただ厳しく糾弾するというのがあなたの態度です。又会計検査院の存在を、国家機関としてこれは必要としておる問題です。これは答弁は求めません。答弁があれば、それはあなたのほうから答弁を求めますが、大いに一つ会計検査院というものの性格をもう一度あなたがお考えになられてそうしてこの効果というものを……、根絶するということは、要するにそういうような御態度では根絶ができない。ただ事務の報告を書類として作つて来るということです。従つて会計検査告書に対しても、この際希望として述べることは、この報告書に当該の当事者の名前というものが極めて明らかになつていない。こういういわゆる公文書は、二十七年度決算審査報告ですから、これに名前が入つていなければ雲のようなものです、これは。今日のような場合にも、総裁を呼んで来ると、それは前任者がやつたものである、遺憾であつた、恐縮であつたということで済んでしまう。そういうことをやつておることが、国家将来のために取返しのつかない事態になる。ですから一つその点をこの際大沢君に私のほうから強く警告を申しておきます。もつと見識を高くして、ここへ出て来たら答弁に対しては相対決するというのでなければ、営々として集めた資料というものが何にもならんことになる。で、私から申上げることはその程度にいたしておきますが、十分注意いたしておきます。  それからついでに会計検査院の事項についてこの際要求いたしておきますが、最近会計検査院検査官が、退任者が一人あつて、それからそれに補充をしておる。これは政府がその行為を行なつたようですが、山田義見、同君が新たに入られたようでありますが、それは事実かどうか、ちよつと伺いたいと思います。
  138. 大沢実

    説明員大沢実君) 今年の八月二十何日でしたか、前院長が満期で退官されて、後任の検査官として山田義見氏が検査官に任命されました。
  139. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、その検査官の山田君は、今日毎日検査院に出ておりますか。
  140. 大沢実

    説明員大沢実君) 毎日御出勤になつております。
  141. 平林太一

    ○平林太一君 これは前身は勧業銀行の重役であるということを書いておりますが、その通りですか。
  142. 大沢実

    説明員大沢実君) 会長というので、重役というのですか、その点ははつきりしませんですが、勧業銀行の会長というあれです。
  143. 平林太一

    ○平林太一君 それから就任されたのが、八月と言いますから、今日まで三月くらいに相成るが、この当委員会に出席されたかどうか、その点を伺つておきます。
  144. 大沢実

    説明員大沢実君) まだ一度も出席されたことはないと存じます。
  145. 平林太一

    ○平林太一君 これは会計検査院は、いわゆる検査官ですから、三人しかないものと称しております。それが就任したならば、この決算委員会というものがあることは明らかであるから、一度もここへ顔を出さない、挨拶に出ないということは、これは単なる儀礼上の問題ではない。職務怠慢も甚だしいものである。この点はあなたはどうお考えになるのでありましようか。
  146. 大沢実

    説明員大沢実君) どうも私にどうお考えになるとお聞き下さつてちよつと困るのでありますが、(笑声)会計検査院といたしましては、この八月に前院長が退官されまして、新らしい検査官が補充されまして、検査会議が変つたわけであります。その際たしか新院長が、検査会議を代表されまして、この本決算委員会に出席されて、いろいろ御質疑を受け、又いろいろなお話を申上げたと私伺つております。あと山田検査官が出ないがどうかということに対しては、ちよつと私としては御答弁申しかねる次第であります。
  147. 平林太一

    ○平林太一君 それはあなたの考え。自分としてはそういうことは考えられないそれに対して、電々公社の今出席しておる諸君の中でも、若干笑声を漏らしたようですが、不謹慎も甚だしい。これはこの目で見ておる。そういう態度であるから、国会に対して非常な越権の態度で臨んでおるということが心の中にあるから、そういう若干笑声を漏らすような……。ここにあなたは今日会計検査院を代表して来ておるのであるから、それであるから、答弁の如何にかかわらず、こつちからそれを質しておるわけであります。山田義見という人物が、この席上に就任以来、いわゆる今回総理大臣の任命によりまして、会計検査官に任命されまして、今後よろしく頼む、それについてはこれこれの考えを以て、その職責を果したいということを、当然これは言つて来べきではないか。ここにみずから出席して……。挨拶というものは人から求められて言うべきものではない。自分から進んで行くのが挨拶である。それをこれはしなくちやならん。それをしてないということは、もう非常に遺憾である。同時に職務上の不遜です。驕慢極まれると見るべきである。ですからこの際あなたにこれを申上げるが、次期の決算委員会に自発的に出て来て、山田義見という検査官が出て来て挨拶をするようにということが、当委員会の議席を通じての発言があつたということを、あなたお帰りになられたら、これを伝達せられたい。それをなされるか、なされないか、答弁を求めたい。
  148. 小林亦治

    委員長小林亦治君) お諮りしますが……、ちよつと待つて下さい。まあ検査院に対する御質問はこの程度で如何ですか。電々公社関係について、ほかに御質疑がなければ、電々公社に関する審査は、この辺で一応終了いたしたことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます、御苦労様でした。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  150. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 速記を始めて。  本日はこれを以て散会します。    午後一時五十二分散会