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1954-11-09 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月九日(火曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君    委員            雨森 常夫君            白井  勇君            高野 一夫君            田中 啓一君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            後藤 文夫君            亀田 得治君            久保  等君            永岡 光治君            森崎  隆君            東   隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            堀  眞琴君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    農林省農地局長 平川  守君    農林省農地局建    設部長     桜井 志郎君    林野庁指導部長 藤村 重任君    水産庁長官   清井  正君    運輸省港湾局建    設課長     坂本 信雄君    海上保安庁次長 島居辰次郎君    海上保安庁経理   補給部経理課長  坂本恭一郎君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省河川局次    長       植田 俊雄君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第十九回決算委員会を開会いたします。  本日は、昭和二十七年度決算運輸省建設省所管並び農林省所管前回質疑保留なつております直轄工事関係、及び運輸建設、農林三省所管補助金関係議題といたします。  初めに運輸省所管検査報告の千五百十七号から千五百二十号、海上保安庁関係不当経理を問題といたします。先ず検査院から説明を願います。
  3. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 千五百十七号以下の運輸省関係について御説明いたします。十七号から十九号までの問題でありますが、これは海上保安庁経理についてであります。従来海上保安庁経理はいろいろな点で非常に問題が多くて、刑事問題になつたこともございますし、それからこの委員会でも特にお取上げになりまして、細かく御審査になつたこともあるのであります。この千五百十七号以下の三件もそれの尾を引いている案件であります。現在では、これはすつかりよくなりまして、この種の経理紊乱というようなものは全然今年は見つかつておりません。  先ず千五百十七号でありますが、これは海上保安庁ができましたときに、官舎が足りなくて困りまして、そのときに相当無理をして官舎を造つたわけであります。いわゆる架空経理にいたしまして、修繕費とか職員旅費等経費支払いに立てまして、それで官舎を造り、そしてこれをすぐに国有財産に登録いたしますと、今の架空経理のことがばれてしまうものでございますから、そうしないで、そのままにして置いた。而も処置に窮して、一部は他の海上保安協会名義として、国の経費で作つたものを他から借りたように処置をする。そしてひどいのは、財務局からその家賃を架空所有者に対して払つてもらう、こういうようなものも若干あつたのでございまして、昨年の検査でこれを見つけまして、全部国有財産に改めて登記して頂くという措置を取つて、現在ではこの種のいわば闇官舎というようなものは全部なくなつております。  それから千五百十八号でありますが、これはやはり架空経理であります。架空船員旅費航海日当修繕費等、そういうものから六十九万円余りを捻出いたしまして、大部分を旅費会議費食糧費等に使いまして、二十八年の六月の経理実地検査当時二万八千円ばかりまだ手許に残つていた、こういう案件であります。  それから千五百十九号は物品経理の悪いものをまとめた案件であります。先ず(1)でありますが、これは徳山の昔の海軍の補給廠があつた所でありますが、ここに帳簿外のスクラップ八十三トン、外にクレーン一台、これを七十万円で売つてしまいまして、そのうち三十四万円を用地の使用に伴う補償料に使い、三十六万円の使途が不明になつておる、こういうケースであります。  その次は、石炭を二百トン買いまして代金を百五十九万円払つたのでありますが、二百トンに対して実際に入つて来たのは百八十七トン、代金は全部払いまして、そのうち差引き十三トン分の十万三千円というものを、関係職員業者借用証を入れて借りている、こういう体裁を取つたわけであります。その職員刑事事件として起訴され、それから今十三トン分は会計検査後に現品を業者から納入させた、そういうことになつております。  (3)も大体同様の物品架空経理であります。ペイントを、帳簿上の過剰品なつているものを、改めて買つたよう書類を作成しまして不足品をその金で買いまして、過剰品で結局不足品を埋め合せをしている。そして品目を書き替えている。こういうケースであります。  それから一千五百二十号は、これは青森のほうの燈浮標が災害で流れまして、それを経常費復旧したのでありますが、その後にどうしたわけかその災害復旧費予算配賦されましたわけであります。ここに一旦復旧が事実上できたものに対して災害復旧費配賦なつた。災害復旧費配賦になりましたところが、折角前に復旧したところを又壊してしまいまして、改めて配賦された災害復旧費によりまして又同じようなものを二度作つた。こういうケースでありまして、予算使用が甚だおもしろくない。こういうことになつております。
  4. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 当局からは島居海上保安庁次長吉行経理補給部長坂本経理課長運輸省会計課長が見えておられます。なお海上保安庁関係不当経理につきましては、前国会におきまして第六管区海上保安本部経理紊乱の件について、特に小委員会に委託しまして、証人喚問を行う等、詳細審査し、運輸大臣及び海上保安庁長官に対し、綱紀粛正経理機構改善等について強い要望がなされたのでありますが、本日はこれに関してその後の状況等当局からお述べ願いたいと存じます。
  5. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 先ほど会計検査院の方からいろいろ御説明があつたのでありますが、全般を通じまして誠に遺憾であると思うのでありますが、官紀粛正会計事務不法、不当の事故の防止につきましては、従来から機会あるごとに注意を喚起して実地指導して参つたのでありますが、なお昭和二十八年、昨年の七月十日、本委員会より運輸大臣に対しまして第六管区海上保安本部不当経理に関する要望書が発せられまして、その後におきましてはなお一層幹部職員率先自粛をいたしますし、官紀振起に努めまして、会計監査励行会計職員業務指導研修などを行いました。その趣旨に副うように努力しておつたのであります。又、本庁を初め管下の各海上保安本部におきましても、処置いたしました主な事項はこれから申上げるのでありますが、特に会計実地監査につきましては、毎年三月末に一斉に資金前渡官吏等に対しまして実地会計監査を実施いたします。是正改善を要する事項につきましてはその都度是正改善措置をやつて来たのであります。又管下部署などの視察又は監察を実施いたしました場合には、その都度その部署職員を一堂に集めましてその趣旨を伝達をいたしますと同時に、そのときの注意事項を配布いたしまして、次回までに必ず速急に直すものは速急に直すということを注意して参つて来ておるのであります。  そこで順を逐うてもつと詳細に申上げますと、海上保安庁本庁におきましては、本部長会議を、昨年の十二月四日に、本部長それから保安大学校長海上保安大学校長海上保安学校長海上保安訓練所長本庁に招集いたしまして、その席上、部内綱紀粛正について幹部職員率先自粛して官紀振起に努めなければならないということを長官から訓示したのであります。なお最近も先月十月の十二日に、今のような本部長大学校長、それから海上保安学校長訓練所長を招集いたしまして、なお一層官紀粛正その他業務上の指示もいたしたのであります。次に第二番目に経理補給部長会議につきましては、本年の三月二十二日と二十三日、又七月の八日と九日の二回にわたりまして、管下海上保安本部経理補給部長を招集いたしまして、昭和二十七年度決算検査報告並びに注意事項に関する善後措置について、それから会計監査について等の議題の下に、今後の厳正な会計検査執行事故の絶滅を期さなければいけないということを指示して参つたのであります。次に三番目といたしまして総務部長会議の開催につきましては、本年の二月一日に管区本部総務部長本庁に招集いたしたのでありますが、その席上、最近は、予算なんかが窮屈になりまして各管区では相当苦心するであろうが、併し従来のようなことを再びやらないように内部的に何とか工夫して、不法、不正な事故を起さないように強く要望いたしたのであります。次に四番目に一般業務監査につきましては、海上保安庁法の第三十三条に基いて監察官本庁に七人おるのでありますが、その監察官を全部動員いたしまして、部内職員の人々、又所管行政の実況を監査せしめておるのであります。昭和二十八年度及び二十九年度におきましては、殊に官紀維持、機密の保持、警備救難業務水路業務燈台業務の、この三位一体の総合協力援助現状等につきまして監察を行なつておるのであります。  二十八年度におきます監察状況を申上げますと、第一管区本部関係につきましては、五カ所について去年の十月十五日から二十一日まで、第二管区本部関係につきましては、三カ所について昨年の十月二十三日、二十四日にわたり、又第三管区本部関係につきましては、五カ所について本年の一月二十一日から二月九日まで、なお第四管区本部関係につきましては、三カ所について本年の二月十六日から二十日まで、それから第六管区本部関係につきましては、四カ所について去年の十月二十九日から三十一日まで、第七管区本部関係につきましては、六カ所について昨年の十月二十九日から十一月六日まで、第九管区本部関係につきましては、二カ所について昨年の十月十三日から十五日まで、なお本年度の関係につきましては、第五管区海上保安本部関係につきまして、五カ所について六月二十七日から七月の四日まで、第六管区本部関係は、一カ所につきまして同日同期間にやつております。第二管区本部関係については六カ所について、第八管区本部関係については五カ所について七月四日から七月十二日までやつております。なお又第七管区につきましては、十月十七日から二十八日まで、第一管区本部関係につきましては、六カ所につきまして十月の十九日から二十八日まで、その他残つております第四管区関係及び第九管区関係につきましては、この十一月の中旬に実施する予定にしておるのであります。かようにいたしまして、従来よりも業務監察を強度にして非違のないように努めておるのであります。又一方、巡視船等検閲につきましては、巡視船検閲規程によりまして、毎年五月と十一月に各管区海上保安部長検閲官として、その管内巡視船乗組員に対しまして、職員の服務はどうか。或いは規律及び健康状態はどうか。又、船体、機関機器その他の設備の整備状況は如何であるか。又職員の職務の執行はいいかどうか。又公文書類及び物品整備並びに保管状況はどうであるか。なお又、法令や通達、殊に官紀粛正について出しておりまする公報などの、末端までそれが通達しておるかどうか。又遵守が徹底しておるかどうかというようなことを検閲しておるのであります。なお海上保安庁長官又は特に任命した者をいたしまして、特別検閲と申しまして、この前の十月からこの十一月にかけて、目下各地方で実施しておるようなわけであります。先ほど申上げました官紀粛正につきましては、今年三月十五日に部内職員一般に対しまして、官紀弛緩による事故を絶滅して、以て国民期待信頼に応えなければいけないというような訓示をしておるのでありますが、そのことを三月の二十四日に公報に掲載いたしまして、部内末端に配付しております。それの内容は、海上保安庁というところは生命、財産の保護に当つておる警察的な官庁でもあるし、だから国民信頼期待に副うには、我々みずからもつと厳正なる態度で当らなければいけないというようなことを示しておるのであります。  なお次に懲戒処分適正励行に関する本委員会における決議につきましては、これは管下部署によく伝達いたしますと共に、今後とも部内綱紀維持につきましては十分留意しまして、官吏道の刷新に努めるように要望したのであります。又本年の七月二十二日、管下海上管区本部長に対しましては、二十七年度決算検査報告のうち、第六管区海上保安本部不当経理に関する本委員会要望書を伝達いたしますと共に、今後官紀弛緩によつてこの種の不当事項の誘発するようなことがないように、本部長みずから卒先して官紀振起に努めて、会計監査の実施、会計職員業務指導研修等を行いまして、再びかかる事態を繰返さないように格段の考慮要望したのであります。又、会計監査につきましては、毎月提出されます各地方からの各種の計算書、又、関係証拠書類等によつて書類監査を行なつております。なおこれも是正改善を要する事項につきましては、文書又は口頭で注意を喚起し、又指導を行なつておるのであります。  なお関係責任者処分につきましては、昭和二十七年度の決算検査報告不当事項に関する関係責任者処分調書というものを作つたのでありますが、千五百十七号の「架空名義により支払に立て職員宿舎等の新築または購入をしたもの」という、この件につきましては、昭和二十三年の五月頃から、先ほどお話のありましたように長期間に亙つて発生したものでありまして、甚だ不当とされる事項が、公務員等懲戒免除に関する法律の公布施行されました昭和二十七年四月二十八日以前の行為でありまして懲戒処分免除されますので、関係責任者で現にその海上保安部内に在職する者に対しましては、その責任を確認させまして、将来をとくと戒めるために、注意書を発しまして、始末書を提出させたのであります。なお責任者の範囲につきましては、不当行為が相当な長期間に亙つております、殊に海上保安庁の発足当時でございましたので、その間の人事異動実情考慮いたしまして、土地、建物の購入経費捻出、又購入した期間に在職した本部長、及びその次長、及び総務部長、当時経理関係総務部にありましたのでありますが、爾来こういう会計関係をはつきりするために、総務部から経理関係を離しましたのでありますが、当時は総務部にありましたので、その総務部長も含みまして、なおそのほかに財産処理未済期間に一年以上在職した者に限定したのであります。  次に千五百十八号、「架空名義により支払に立て職員旅費会議費等に充当したもの」、この件につきましては、これは現に海上保安庁に在職しまして懲戒処分免除となつた者を除きまして、当時予算執行の職にあつた者、及び行政上の直接監督の職にあつた者全員に対しまして、それぞれ減給又は戒告処分を実施したのであります。  次に千五百十九号の「物品の売渡または購入にあたり会計処理当を得ないもの」につきましては、関係職員が起訴されておりますし、又関係責任者懲戒処分免除されますので、当時の本部長に対して注意を与えたのであります。  次の千五百二十号の「必要のない工事を施行したもの」につきましては、これは仮復旧後八カ月を経過しておるのでありますが、多少の期間は経つておりますが、先ほどの御指摘通り災害を受けました浮標等購入にとどめまして、交換工事は適当なときまで差控えるのが妥当であつたと思われますので、災害復旧予算に対する見解を誤つてこれを施行したものと認められるのであります。従いまして、関係責任者が故意又は重大な過失によつて甚だしく国に損害を与えたものとは認められませんが、且つ又この責任者は千五百十八号の不当事項によつて懲戒処分を受けたものと同一人であることも考慮いたしまして、再びこんな事項を繰返さないように厳重に注意を与えまして懲戒処分は保留することにいたしたのであります。  以上をもちましてこの批難事項に当る以後の海上保安庁のとつた措置、並びにその責任者に対して処罰した関係を順序を逐つて申上げたわけであります。
  6. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質疑のおありの方は御発言を願います。
  7. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 海上保安庁責任のある方に、これはお尋ねと、それから若干本件を外れるかも知れませんが、一、二お尋ねしたいと思います。  それは、今年の七月に、永岡委員と私と、主として第二管区管下の塩釜ほか四カ所ほどの実地調査をしたわけであります。只今お答えのあつたように、批難されている案件については、それぞれ改善のあとが見受けられたわけであります。併しここの千五百十七号ですか、或いは千五百十八号等に挙げられておるような、由つてつた原因というのは、宿舎事情が極度に悪かつた。これは言うまでもなく、職員が本来の業務遂行のために勤務地外に居住しておつた。ですから海難等が起つて、サイレンが鳴り渡つて、直ちに出動しなくてはならないという場合に、勤務地外に居住しておるためになかなか思うように所定の時間に参集もできないというふうな実情が、まだ解消されておらなかつたわけでありまして、私どもは、こういつた不当経理がなされることは、これは厳に是正されなければならないけれども、本来の業務に差支えるような宿舎事情に依然として置かれるということは、これは海上保安業務を遂行する場合に大きな考慮を要することだと思う。私どもが向うへ参りましても、異口同音に現地人たちから聞かされることは、かかつてそういつた日常の業務に差支えないように宿舎事情整備してほしいということ、この件は一応の調査を終りましたが、その後の各管区における、特に第二管区管下を私どもは直接見たわけですが、宿舎事情改善状況等がどういうふうになされておるか。それからなお併せて青森龍飛港のレーダーを拝見したわけですが、これなんかは御承知の通り、極端にああいつた地理的に不便であり、ああいう気象条件の悪い所で、そうして而も年間勤務をしておるわけですが、もう冬期間になると船の着くことさえ非常に困難なあの船着場から岬の頂きまで、ああいう急坂をよじ上るのに、氷と雪に閉ざされた道を殆んど這うようにして、而も這うようにしても歩行がなかなか容易ではないという状態のあの急坂をよじ上つて行かなければ勤務が遂行できないという状態にまでおかれておるのは、これはやはり一にかかつて宿舎事情現地勤務に沿わないという実情にある。ですから、何とか頂上のああいつた機器の設置してある附近に宿舎を作つてあげるということでなければ、あの現地勤務は、幾ら経理の厳達を指示してみたところで非常に無理を強いておるという結果になつておる。あれらに関しては、私どもは、宿舎をもう少し、一番上に優に建てられる適地が存在しておるわけですから、要は予算措置だけにとどまる問題じやないかと思うんですが、これはほんの一、二の我々の眼にふれた例に過ぎないのですが、同様の例が海上保安庁関係では特に宿舎事情に関しては少くない。これらのその後の改善状況はどういうふうになつているか、それを一つ聞かして頂きたい。
  8. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 先般現地においで下さいましてよくすみずみまで御観察願いましたことにつきまして、私たち海上保安庁の者といたしましては誠にありがたく感謝しておるわけであります。殊に我々本庁の者は別にいたしまして、現地におります、第一線におる者は、洞爺丸のときにいたしましても、あの暴風雨の中を殊に出て行くのであります。普通の船舶暴風であれば逃げるのでありますが、我がほうの船舶暴風であるからこそ突込んで行くので、なかなか苦労なので、本当に我々も何とかしてやりたいと思つておるのであります。そこで、誠におつしやる通りでございまして、当時昭和二十三年度の最初のときに海上保安庁最初定員は八千百七十一人でございまして、そのときは僅かに十一戸しか全国でなかつたようなわけであります。それで誠に申訳ないような事件が当時できたのでありますが、その後二十四年度、二十五年度とだんだん多少ともふえて来たのでありますが、現在の定員は一万七百九十四人でございまして僅か二千人しかふえてはおりませんが、海上保安庁管区本部並びに——その管区本部は元通りでありますが——下警備救難所等は相当数増しておるのでありますが、宿舎については今その当時の十二月から四百五十九棟まで相当増加しておるのであります。管区本部のある所は割合何とかやつておるようでありますが、珠に又海上保安庁は、先ほど来申しますように警察的な面も持つておりますので、一般の民間から寄付を受けてというようなことはなるべく最近は避けましてやりたいと思つておりますので、殊に御指摘のございました龍飛岬とか白神とかいうふうな非常に辺鄙な所、又辺鄙な所へ救助船を置くのが一般救助の際に間に合うのでありまして、止むを得ない状況でありますが、その辺に至つては、最近宿舎関係は大蔵省で一括されているのでありますが、なかなか公務員官舎もその辺には手が廻らんようなわけでございまして、できるだけ私たちもそういう方に何とかしてやりたいというので、予算を折衝をいたしているのであります。全国的に見ますと、まだまだそういう所は、手の届かない所がほうぼうに現存するのを何とも遺憾とするのであります。
  9. 堀眞琴

    堀眞琴君 関係者処分の問題についてちよつとお尋ねしたいのですが、この一覧表を拝見しますと、例えば第二軍管区海上保安本部本部長以下、総務部長等が千五百十七号の件で問題を起しているのに、又千五百十八号の件でも同様の問題を起しているわけなんです。それから又ちよつと見ただけでも、千五百十七号の件で問題を起した第六管区本部長、それが又千五百十八号の件で同様の問題を起している。そのほかに恐らく名前を対照して見たら、もつとたくさん拾うことができると思うのです。今ちよつと大ざつぱに見ただけでも、同じ保安本部で千五百十七号或いは十八号という工合に問題を起しているわけなんですが、その処分を見ますると、二度そういうような問題を起しながら、非常に処分の点において問題があるのではないかということを感ずるのです。第二管区海上保安本部樋野さんという方ですか、この方が減給になり、それから千五百十八号でも戒告なつているのですが、ところが第六管区吉田さんという方は、これは懲戒処分免除なつているのだが、二度目の千五百十八号では懲戒免除されているのです。これはいろいろその内部事情等をお尋ねしないとわからんと思いますが、なぜこのような処分なつているのか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  10. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 先ほどの御指摘の、第二管区本部長樋野君につきましては減給という処分をやつたのであります。それから第六管区本部長吉田君につきましては、これは辞めて頂いたのであります。そういう解職ということになつておりますが、そういうことにいたしております。
  11. 堀眞琴

    堀眞琴君 ちよつとその千五百十七号と千五百十八号に関して、例えば樋野君、或いは吉田君、そのほかにもあると思いますが、そういう方々ですね、千五百十七号においてこういう人たちのとつた行為や、或いは態度、千五百十八号なり或いは千五百十九号もそうなりますか、千五百二十号にも又樋野君が出て来ますね、こういうようなことを少し中味について御説明を願いたいと思うのです。
  12. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 説明をいたします。千五百十七号の懲戒関係につきましては、講和発効に伴う公務員等懲戒免除に関する法律が昭和二十七年に発布されましたので、それ以前の行為につきましては懲戒免除しなければならない結果になりましたので、千五百十七号該当の不当行為はありましたが、これらについて懲戒を行うことは免除したわけでございます。従いまして第六管区本部長吉田日出男につきましても懲戒免除しております。  次に千五百十八号の事件は、昭和二十七年四月二十八日以後の行為でございますので、現実にこれらに対する責任者並びに当務者に対して懲戒処分を行なつたわけでございます。ただこの千五百十八号の最後に書いてございます吉田日出男に関しましては、第六管区におけるこの旅費関係架空経理は、同じく昭和二十七年四月二十八日以前の行為、いわゆる第六管区本部不当経理事件の一環として発覚した事件でございましたので、やはりこの法律によりまして懲戒免除せざるを得ない結果となつたわけでございます。それで御了承願います。
  13. 小林亦治

    委員長小林亦治君) そうすると、この法律は二十七年の四月二十八日だと思うのですが、この千五百十七号以下の案件は発覚したのはいつ頃なんですか、上層部であれするに至つた時期ですね。
  14. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) この千五百十七号の事件が発覚いたしましたのは、昭和二十七年のいわゆる第六管区本部事件の呉附近における犯罪事件を端緒といたしまして一連の事件が発覚したわけであります。それに伴いまして会計検査院実地検査が第六管区を初めとして各管区に亙つて行われた結果、一連の闇宿舎事件が関連して全管区に亙つてつたわけでございます。
  15. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 二十七年の何月です、この上層部でこういう事態を発見したのは。刑事事件が起きてから発見されたのか、起きる前にこういう事態があつたことを認識されておつたのか。この法律は二十七年の四月……
  16. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) そうです。
  17. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それは、いつですか。
  18. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) こういう闇宿舎があつたということが発覚をいたしましたのは昭和二十七年の八月、第六管区本部事件が起つてから全管区に亙つて検査院のみならず海上保安庁としても検査いたしまして……
  19. 小林亦治

    委員長小林亦治君) おかしくないですか。八月というと、この法律が二十七年の四月の二十八日に施行せられたのですから……
  20. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) いや、施行せられました……
  21. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ところが発覚したときにはすでにこの恩赦法律が施行になつておつたと、こういうことですか。
  22. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) そういうことでございます。発覚いたしましたのは八月でございまして、この法律は昭和二十七年四月二十八日以前の行為懲戒免除するという趣旨の法律でございますので、この闇宿舎を作りましたのは、昭和二十三年から二十五年に亙つてそういう宿舎を作るために会計上の不当行為をした。その事件が発覚したのは法律施行後なので、懲戒免除することになつたのであります。
  23. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 千五百十八号も同じですか、時期の点は。つまり今、堀委員質疑は千五百十八号にも亙つておるのですが。
  24. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 千五百十八号は、第二管区、それから第八管区及び第六管区の三管区が該当するわけでございますが、そのうち第二管区及び第八管区につきましてはその法律施行後の事件でございます。ただ第六管区事件は法律施行前の行為でありますので、やはり懲戒免職にかかるということになつておるわけでございます。
  25. 久保等

    ○久保等君 この千五百十九号の処分の問題についてお尋ねしたいのですが、アラビア数字で(1)(2)(3)と三件ばかり掲げておるのですが、アラビア数字の(1)の最初事件についてなんですが、この説明書によると、現在広島地方裁判所で公判中だというふうになつておるのですが、この事件の発覚したのは一体いつなのか御説明願いたいと思います。
  26. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 千五百十九号に掲示してございます(1)(2)(3)の事件が発覚いたしましたのは、やはり昭和二十七年八月頃から呉市警の手によつて捜査され発覚した刑事事件でございます。
  27. 久保等

    ○久保等君 その最初のアラビア数字の(1)の事件なんですが、それは八月の日にちはいつ頃ですか。特に木戸それから西山某の二人の名前が挙つておるのですが、これは同時に発覚したのかどうか。
  28. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 只今手許にございます資料としては起訴状しかございませんので、起訴の月日はわかりますが、それ以前拘留を続けておりまして、木戸につきましては四、五十日間拘留を続けられておつたと思います。従いまして、逮捕から起訴までと二十二日間の目を逆算してみますと、木戸に関しましては八月三十日起訴になつておりますので、八月の初め頃逮捕されたのではないかというふうに考えられます。西山につきましても、木戸が逮捕されて、その自供により、その共謀という関係でやはり同時刻頃逮捕されまして、第一番目につきましては、起訴月日は両方とも昭和二十七年十月七日に起訴されておることになつております。第二番目は木戸某だけが起訴されておるわけでございますが、これが八月の十一日ということになつております。結局この木戸、西山が逮捕されまして、次から次へといろいろな自供に伴つて追起訴を行なつておるという関係なつておるわけでございます。
  29. 久保等

    ○久保等君 この説明書によりますと、八月の二十二日に西山某は退職をしておるわけなんですが、この退職は恐らく自分で自主的に退職したという形の処理になつているのじやないか。そういたしますと、その当時は一体こういつた問題について全然関知しなかつたのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  30. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 西山は当時総務部長でありまして、木戸補給課長の上司であつたわけであります。その関係で木戸補給課長が逮捕されまして、いろいろ調べを受けておるうちに、総務部長としても責任があるので、いろいろの点を考慮した結果、自分としては責任を負つて退職をしたいという申出がありまして、辞表の提出があつたわけであります。それを、事件責任をとるという考え方は円満に収めるためにはいいだろうということで、辞職を許したわけでありますが、その後においていろいろ取調べの結果、西山も相次いで逮捕されるという結果になつたわけであります。この辞職につきましては、飽くまで本人が責任をとつて、私はやめますという申出によつて辞職を許したという経緯になつております。
  31. 久保等

    ○久保等君 だからそのことが実は問題だと思うのです。少くとも八月の十一日に、その下僚に当る木戸某に対しては休職を命じたという事態が出ているのにもかかわらず、而もこの事件に対しては、まあ恐らく両者とも起訴されて現在公判中であるという点から考えまして、罪の恐らく甲乙がつけがたいというほどに、いわば総務部長であつたのかも知れませんが、西山某にも重大な責任が少くとも追及されなければならないような事件であつたと推定されるわけです。ところが片方に対しては、而も上司であり責任がむしろ重いと思われるものの場合においては、退職という形で、而もこの木戸某の休職を命じた後において、なお且つ退職というような形で処理をしているということが、私は非常に、何というか、更にその上司の立場にある監督者の一体これに対する処理として極めて妥当でないというように判断せられるのです。而もこの事件が今日において公判中だ、而もこの両者によつて出されたところの国損というものが約三十万円ですか、その程度の何か問題が未だに懸案になつて解決をしておらないという状態もあるようですが、もうそうなつて参りますれば、尚更退職をしたという形になつて、而も本人がそれこそ一文もないというような状態なつて来ると、尚更国家の立場から補償を求めるといつても非常に困難だ。従つてこういういわば臭いものに対して退職を認めるというような処理の仕方は、非常に妥当を欠く措置つたと思う。而も問題がなかなかむずかしくて、よほど後に至つてその西山某も実は関係をしておつたというような事態であつたとするならば、或る程度事情止むを得ないとも思われるのですが、併し両者が殆んど同時に起訴されているというような状態の問題に対して、片方は休職によつて今日もそのまま継続しているが、片方の上司の場合にはとつくの昔にやめてしまつているというような形で処理をしているということが、非常にこの問題に対する扱い方がまあいわば人様任せというような形で、起訴されているのだからという形で、人様任せでこの問題を処理しようとする非常に安易な気持が、私はあるのじやないかということに、非常に疑念を持つわけであります。只今の問題について、私の質問しておりまする問題について、更に何らか釈明される余地があるならば御説明を伺いたい。
  32. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 当時この事件が起りまして、木戸が逮捕されまして、いろいろ取調べを受けているその状況が、保安本部としては或る程度わかつて参りましたときに、総務部長責任をとつてやめたいという申出に対して、もう少しはつきりするまで待てということは、なかなかまあ人情としても言いにくいということが一つと、それからいろいろこれは実際問題でございますが、刑事事件が起きました場合に、公務員としての処分関係につきましては、我々行政官庁としては、やはり検察庁あたりの意向も忖度して、いろいろな処分も行わなければならんというような事態も実際としてはございます。当時の事情としては、西山君の言い分は、私は間違つたことはしていないつもりだということを言いますし、木戸の陳述も在任中いろいろ変りまして、部長に相談したと言い、いや、しなかつたと言い、私の独断だと言い、いろいろ陳述があつたのでありますが、西山某の辞表を受理しましてから、あとの木戸某の陳述が変りまして、上司としての総務部長に相談をしたというようなことを言いまして、西山も逮捕されるというような事態も起りましたので、こういうような非常にかけ違つたような結果に今から見ればなりましたので、誠に申訳ないとは思いますが、当時としてはそういうような実はいきさつがございまして、辞表を受理したわけでございます。あしからず御了承を得たいと存じます。
  33. 久保等

    ○久保等君 まあ非常に私は不手際というか、この問題については、まあ処理の仕方が非常に何といいますか、積極的に事態の糾明に当局者が当るという意欲が非常に欠けておつたというように考えざるを得ないのですが、一応この問題についてはその程度で、私は次の千五百二十号以下の問題についてのお尋ねをしたいと思います。ここへ処分調書を一応もらつておりますが、千五百二十号以下の問題については、全然処分のほうのところに何らの記載が実はないのですが、別に何らの措置も行わなかつたということかどうか、お伺いしたい。
  34. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 千五百二十号の処分関係については、会計検査院指摘されましたことにつきましてはその通りでございますので、結局追加された災害復旧予算によつては標体だけを買つて、取替工事費については不用額に落すべきものが妥当な措置であつたとは考えられるのでありますが、これらの関係責任者には故意又は重大な過失があつたというふうには考えられないのであります。又この責任者は、たまたま千五百十八号によりまして、減給或いは戒告処分を受けた者とも同一の人間でありますので、これに更にそういう事情も合せ考えた上で、本件に関しましては、注意処分にとどめた、形式上の懲戒処分としては行わなかつたという結果に相成つておるわけでございます。
  35. 亀田得治

    ○亀田得治君 先ほどの千五百十九号の第二項の問題ですが、本部長吉田が辞表を出したのはいつですか。そしてそれを受理したのは、承認したのはいつですか。
  36. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 吉田日出男の退職いたしましたのは昭和二十八年十一月三十日と記憶をいたしております。
  37. 亀田得治

    ○亀田得治君 保安庁当局としてはその辞表を認めた理由はどういうところにあるのですか。お尋ねの要旨は、単なる監督不行届きであつた、そういう意味なのか。或いは木戸なり西山などとやはり関係があつたのではないか、そういう立場で辞表を受理したのか。どちらなのですか。
  38. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 主として監督の立場にございましたのでいろいろ監督的に疎漏なところがあつたと、こういうふうに考えるのが主でもります。
  39. 亀田得治

    ○亀田得治君 先ほどの御答弁の中で、木戸が西山とか或いは総務部長に対しても相談をしたと言つたことを陳述しているという意味のお話があつたようですが、それはいつ木戸がそういう陳述をしたのですか。
  40. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 只今手許に全部の起訴状を持参いたしませんでしたので、いつそういう陳述をしたかということはちよつとわかりかねるので、甚だ申訳ないと思いますが……
  41. 亀田得治

    ○亀田得治君 保安庁の当局は検察庁の立場とは勿論立場が違うわけですが、こういう問題が起れば事態を明確にして善後処理が疑惑の残らないようにする、こういうことは当然なわけですから、そのためには或る程度突つ込んで事情を調べる、又検察官の調べの結果も参考に、差支えない程度は聞いてみる、こういうことが必要だろうと思うのですが、そういう努力は相当なされたわけですか。
  42. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) この広島の第六管区本部事件が起りまして、海上保安庁といたしましては、刑事事件の内容について、本人が起訴保釈後いろいろなことを取調べた或いは本人の任意の供述を頼むというようなことは余りいたしておりません。ただ会計上いろいろな事故が起りましたことにつきましては、本人の出頭を待つていろいろ取調べております。できるだけ一つ細かく本人の供述を裏付ける調査実地調査等も本庁からも行きまして行いました。又第六管区としてもできるだけ会計上のことはわかるようにするように努力はいたしております。ただこの刑事事件の金を幾らもらつたとかいうようなことを詳しく聞きますと、なかなか職権の上でもありませんし、日頃の同僚である関係上なかなか人情的にもできがたいということで、そう行なつてはおらんわけでございます。
  43. 亀田得治

    ○亀田得治君 検察官は当然これは関連してお調べになつているはずですが、検察官のほうに参考までにあなたのほうでお聞きになつたことはないのですか。
  44. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 海上保安庁におります監察官が、当時捜査の途中におきまして、一度呉市警に参りまして、事件の内容等について調査をしたことがあるそうでありますが、それらの調書につきましては監察官のほうにございますので、私のほうでは内容はわかつておりませんが、捜査の建前から、部外者が行きましてもその捜査の内容についてはなかなか言つてくれないというようなことをちよつと聞いたことがございます。
  45. 亀田得治

    ○亀田得治君 それは捜査の詳しい事柄については、検察官は公訴を維持する立場からむやみに外に洩らすことはできない。併し、監督官庁が本件をどのように行政上の立場から処理するか、そういう立場からお聞きになれば、極めて抽象的に、あちらだつてこれは大抵紳士的にお答え願えるはずなんです。私はやはりこういう事件は、そういうふうにして行政官庁としても事態をはつきり掴んで、何か下の者だけが責任を負わされるということのないように、本当に下の者だけでやつたのなら仕方がないが、木戸某の陳述の中にそうでもないようなことが幾らか伝わつているのであれば、もう少し真相を明確にする、そういうことは当然やらるべきことだと私は考えるのです。やはり何か幾らかそういう関係も検事等が掴んでおるものだから、それじやまあ一つやめることにするから、そつちのほうはまあ幾らかの程度だから大目に見ておこう、そういうようなことにこれはなつているのかもしれませんし、そういうことだとしたら、ちよつと私、腑に落ちないことも又出ると思います。併し只今の答弁では、そういうことであるかないかということもわからないわけです。調べていないのですから。それじややはりいけないので、木戸などがそういうことを全然言つておらんのなら別なんですが、やはり言つておるとすれば、刑事上の処分は別として、行政官庁としても、もう少し突つ込んで明らかにしてほしいと思います。これは今からでもいいんじやないかと思いますが、一つ要望しておきます。
  46. 小林亦治

    委員長小林亦治君) その点、坂本課長如何ですか。
  47. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) この第一番の残額三十六万円についてはその使途が明らかでないわけでございますが、私のほうとしても、これを全然わからないままに放置したわけではなく、一応西山君、或いは木戸君に話は聞いておるわけなんです。本人たちの言い分としては、一応食糧費なり会議費なりに使用したのだということを言つておりますけれども、何分それを確認する資料が、当時刑事事件としてそれが発覚しましたので、その書類を破つたのかどうしたのかわかりませんが、官としてこれを確認する資料がございませんので、公判の結果を待つて一応処理しなければなるまいという考えでおりますが、なお御趣旨もございますので、今後一層調査をいたして善処したいというふうに考える次第でございます。あしからず御了承をお願いいたします。
  48. 山田節男

    ○山田節男君 ここの二十七年度の決算報告に出ている前後が、海上保安庁経理が誠に紊乱を極めておる、海上保安庁会計は伏魔殿だ、こういうような世評があつたところです。これは海上保安庁会計検査について、会計検査院がそれを全部検査したのかどうかわかりませんが、ああいつたような、恰も伏魔殿であるかのごとき印象を与えたということは、これは誠に我々としても遺憾なことであります。ああいつたように、管区が全国的に散らばつてつて、相当の人員が配置されておる。従つていろいろな物資が要るわけです。そういつたような調達部面で、何と申しますか、本部のほうで一元的にもつと秩序正しくやらないところに、その人員の不足なものもあつたとは言え、一部においてはシステムがどうもやつぱり揃つていなかつたじやないか、こういうことも我々として印象を受けたわけなんですが、この二十八年度、二十九年度の経理状況は余ほど自粛しているものと私は思いますが、ああいつたような、全く経理紊乱の代表的なもののように思われておつた海上保安庁として、爾後、例えば調達部面において何かこういう事態の起らないようなことを特に行われたかどうか。若しそういう点において我々に示し得るものがあれば一つ我々に示して頂きたい。
  49. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 山田委員のおつしやる通りでありまして、当時は何分海上保安庁ができたてのときでございますし、もとの海軍の方々及び商船学校とか、或いは運輸省とか、寄合世帯でございましたので、なかなかうまく行かなかつたのであります。そうしておつしやるように、経理調達関係総務部の中にございまして一本だつたのでありますが、その後こういう、いろいろな事件が起きましたのに鑑みまして、経理部というようなものを総務部から独立させまして、而も今のように、物の購入から、検査から、或いは金の支払いから、そういうものを一本でやらないように、経理補給部の中を分けまして、先ず相手方、どことどこの会社から物を買うかという会社をきめるのは契約という課でやります。それから物にもいろいろ規格もありますし、いろいろございますが、どういう物がいいかということにつきましては、これは需品課で専ら見るということにいたしまして、金は経理課で支払うというふうな三つに分けております。又用度課というものを設けまして、納入いたしますときに、本当に規格通りの、申し込んだ契約通りのものが入つたかどうかということを今度用度課で見る、検査する、こういうふうにいろいろ分担を分けましたので、よく世上ありますように、一人がOKと言えば全部すらすらと行くというのでなくなつて、或る意味から申しますと、いわゆる昔の官庁的に、ごたごたしているというふうに見られるかも知れませんが、おつしやるように、こういうふうな事件のあつたあとは少しひど過ぎるくらいに、こういうふうにやつたほうがよくはないかと思つて、今専らそれでやつております。なお機構は一応そういうふうになりましたと同時に、最初に縷々申上げましたように、検査その他のことは又監察方面でやりまして自粛しておるわけでございます。これで一つ御了承願いたいと思います。
  50. 山田節男

    ○山田節男君 この千五百十七号に挙げられておる事件は、これは架空経理によつて宿舎を作つたと、こういうのですが、呉の海上保安部においても何かそういうような問題があつて、私詳しくは調べませんけれども、いろいろ世評が立つて来て、海上保安庁として善後処置をとられたことと思うのですが、こういつたように管区を設ければ、もう職員宿舎等については第一義に考えなければならんことなのです。然るにこういつた架空経理というような、悪いこととは知りながら、止むを得ずやはりこういうことをやつて宿舎を何とかしなければならんということを現場でやらしめるというところに、どうも海上保安庁の本部として、当時経理部はない、こういう調達統制的な機構はなかつたと言われるかも知らんが、併し人を配置する以上はもう宿舎ということはこれは自明の理なのです。宿舎の必要ということは、そういうことに手が及ばなかつたということでは私は弁解にならんと思う。ここに挙げられておるのは、どこの土地かこれは知りませんけれども、併し私は相当こういう問題が全国の管区に亙つて、程度の差こそあれ、宿舎の不足ということのためにとても無理なことをしておるということは私は至るところで聞いておる。今日においてはもう海上保安庁職員宿舎に関する限り、完全とは行かないまでも相当程度においてはもう整備してあるのかどうか。若しこれが満足な程度に行つていないとすれば、いつまでにこれが完備し得るという企画で以てやつておられるのか、この点を一つ御説明願いたいと思います。
  51. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 先ほども申上げたのでございますが、二十三年の最初におきまして宿舎は本当に僅かに十二戸しかございませんで、当時の定員が八千百七十一人であつたのであります。その後だんだん宿舎は増強して来たのでありますが、現在の定員が約二千人ばかり殖えまして、一万七百九十四人でございまして、四百五十九戸に殖えておるのであります。十一から四百五十九と申しますと相当まあ殖えまして、各管区本部その他は割合にいいのでありますが、一番最初指摘されましたように、海上保安庁は辺鄙な所にも巡視船その他を持たなければならない状況でございますので、その点に行きますとまだ勿論完全とは申しにくいのであります。そうして殊に宿舎関係は最近は大蔵省で一括に公務員宿舎の割当その他をやつておられますので、予算措置その他大蔵省のほうへ極力お願いしなければならないような状況でございますので、私たちもできるだけやりたいと思うのでありますが、よろしくお願いいたしたいと思います。
  52. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど質問したように、大体何年で以てこの海上保安庁の庁員の宿舎の解決ができるというプランをお持ちだろうと思うのですが、なくちやならんと思うのですが、そういう点はどうなのですか。
  53. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 御存じのように我々自身の宿舎もなかなかむずかしい世の中で、できるだけ早くやりたいと思うのでありますが、例えば今でも十分とは行かなくとも、例えば独身者なら一部屋に二人とか三人とか入れるとかいうようなことで一応やつておるのでありますが、これがまあだんだん潤沢になれば、家族の者もそこへ呼び寄せてやれるというようになるのでありまして、何年計画というわけには行きませんが、できるだけ早い機会に大蔵省のほうに折衝してやつて頂くというように考えております。
  54. 山田節男

    ○山田節男君 なぜ住宅問題を申上げるかというと、海上保安庁、勿論これは軍隊ではありませんが、いわゆる海上の保安を掌どる重要なこれは役目を持つておるわけなんです。而も場所によつたら非常な辺鄙な所に駐屯させられるような役柄なんですから、ですからやはり住宅問題というものを先決しないでおいて、海上保安庁庁員の士気を高揚するとか、技術訓練、又誠実忠実にその職務を果すような気持はなかなかむずかしいのではないかと思います。これは人を使つてみればわかる話なんで、この点がどうも海上保安庁としてその職掌柄、精神的にも道義的にもやはり自粛した気持になつてやるというのは、何としても住宅問題を解決しないで、中正な海上保安の任務を尽すということは、これはむずかしいのではないかと思います。こういう点で只今海上保安庁として住宅問題をとかく等閑視しておられるのではないか、こういう印象を受けるから私はこういうことを申上げておるのです。そうすると今あなたの御答弁では何ら住宅問題解決に対する三年とか五年とかいう一つのプランを全然お持ちになつていないというように了解してよろしうございますか。
  55. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) そう言われると困るのでありますが、熱意は勿論大いにあるのでありまして、又海上保安庁の現在の苦しい仕事に対して非常に御同情なり御認識の深いことについては心から感謝しておるわけでございますが、(笑声)何分海上保安庁だけでというわけに行きませんので、一つそのときには応援を願いまして、できるだけ早い機会にやりたいと思つておりまして、どうか一つこれで御了承願いたいと思います。熱意は大いに持つておりますから、この点は一つかつて頂きたいと思います。
  56. 坂本恭一郎

    説明員坂本恭一郎君) 補足的に、私担当の課長でありませんから詳しいことはわかりませんが、今も経理補給部の仕事が非常に分課しておるということを次長から申上げましたが、宿舎関係は施設課というものがございまして、これが大蔵省の管財局と折衝いたしまして、海上保安庁宿舎の割当に当つておるわけでありますが、海上保安庁発足当時十一戸でありました宿舎が、逐年その職務の性質の重要性から大蔵省当局も認識を持ちまして、現在四百五十九戸になつておるわけであります。この四百五十九戸の中に住んでおります世帯数は約千四百人が住んでおります。これでまだ十分ではございませんが、二十八年度の割当は約百戸ばかり殖えております。年を逐うて約百戸ずつ殖えて参りましたが、二十九年度、本年度の割当につきまして大蔵省との折衝は、約七十戸を少し切れる程度の引当に落着いておるということを伺つておりますので、今後も海上保安庁として業務の膨脹がない限りはやはり六、七十戸ずつ毎年殖えて行くというふうに見ますと、まだまだ宿舎状態が満足できる状況になるということにはほど遠いのではないかと考えております。  ただ海上保安庁の所管しております燈台業務に関しましては、いわゆる燈台に住む燈台守の宿舎は、公務員宿舎ではありますけれども、大蔵省の公務員宿舎の枠を外しまして、別途の予算を以て海上保安庁自体の建設ということになつております。燈台関係職員については、燈台が殖える場合には宿舎の心配はない。只今御同情の言葉を頂いておりますものは、すべてこの警備、救難関係職員のことになるわけでありますけれども、この四百五十九戸の中には燈台関係職員宿舎は入つておらないわけであります。逐年まあ予算と睨み合してだんだん改善して行くよりほかに方法がないという現状であることを付け加えさして頂きます。
  57. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の四百五十九の職員宿舎の、職員の資格別の一覧表を頂きたいのと、下級職員の家族持ちと独身者に分けて、今後宿舎を要すべき予定数量の一覧表、これを資料として御提出願いたいと思います。
  58. 島居辰次郎

    説明員島居辰次郎君) 承知いたしました。
  59. 小林亦治

    委員長小林亦治君) これはその後の改善状況の一端を伺つたんですが、本日の主に海上保安庁関係なんです。第二管区関係については過般永岡、飯島両委員が参られた際に、相当改善状況見るべきものがあるという御報告をせられております。それから只今島居次長からも、今年三月の当委員会要望、それから四月の本会議におけるところの本院の決議、そういうものを十分尊重せられる旨の御誓約がありましたが、その御誓約を当委員会は暫らく御信頼申上げることにしまして、運輸省所管にかかる審査はこの辺で一応終了したいと思いますが、如何でしよう。
  60. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 千五百十七号、小峰局長に伺いますが、この宿舎架空経理であるということを財務当局が知つていたというふうなお話があつたように伺うのですが、さようですか。
  61. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この千五百十七号は先ほどお話がございました六管区、広島の管区本部でスクラップの問題に端を発しまして刑事事件が起きまして、そしてこれも広島の分が刑事上の問題になつたわけであります。私どもとしては広島にこういうのがある以上はほかにもあるのだろうと、こういうことで全国的に調べました結果、ここにこういうような十九棟というのを全部見付けたわけであります。広島の分につきましては国の金で買つたものを、ちよつと処置に窮しまして個人名義にいたしまして、職員の名前でありますが、個人名義にいたしまして、そして財務局を通じて借料を払つていたわけであります。随分おかしな話でありますが、自分のものに家賃を払う、こういうような結果になつていたわけでありますが、その点につきまして財務当局が知つていたか知らなかつたかという点についてはちよつと判然といたしません。財務当局が知つていたという資料は私どもとしては持つておりません。
  62. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは運輸省所管にかかる審査はこの辺で一応終了したことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  64. 小林亦治

    委員長小林亦治君) では次に建設省所管検査報告の千六百二十九号、直轄工事の千六百三十号から千六百三十六号及び千六百三十七号から千六百三十九号。物件として千六百四十号から千六百四十六号までを問題に供します。先ず検査院から御説明を願います。
  65. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 建設省の経理につきましては、補助の案件はあとにたくさん出て参りますが、国が直接に相当手広く工事をやつているわけであります。その工事に関しましてここに相当数の批難が載つたわけでございますが、先ず千六百二十九号でありますが、これは予算がないのに機械を購入した、こういうケースであります。栃木県の五十里ダム、これは御承知と思いますが、非常に大きなダムでありますが、これの必要な機械を、国費が足りなかつたので、栃木県から一億円借りましてそして一時立替えてもらい、後年度の予算でそれを返済したという案件でありまして、経理上は誠に面白くないのであります。二十六年の二月、三月でありますが、ケーブルクレーンほか二品目、一億二千四百万円という機械の購入の仮契約を結んだのでありますが、当時これの予算が全部はなかつたわけであります。これが仮契約通りに物が入りましたが、金が払えない、こういうので一億二千四百万円のうち五千六百万円だけを払いまして関係の会社に全部分配させる。それからその不足分を補う意味と、更にそれ以外のもの、今申上げました以外のものを買うために栃木県から一億円借りまして、今の未払になつておりました六千八百万円を払うと同時にそれ以外のもの三千万円余を購入した、そうして実際に買つてしまつたものを二十七年の四月に栃木県から一億円の機械を購入したということで二十七年度の予算から一億円を支出したわけであります。書類をうそ作りましたことと年度違いという問題が経理上残るわけであります。  それから千六百三十号以下三十六号までの七件の問題は、今申上げました国の直轄工事に直接関係いたしました不当事項であります。七件ございますが、この七件のうち五件は国が直営で、建設省の出先の工事事務所が人を使い、物品を買いまして自分でやる、請負に出さないで自分でやるといういわゆる直営の工事に関する案件であります。残りの二件が請負工事ということになつております。  先ず千六百三十号、これは直営工事であります。東北の北上工事事務所、これは盛岡にございますが、これがやりました北上の支川の瀬川という川の付替工事であります。これは瀬川というのは乱流しておりましたのをシヨートカツトいたしまして真直ぐに短く新らしく掘つて新らしい川を付替えるという工事でありますが、非常に曲つておりましたのをシヨートカツトいたしますから、勾配が非常に急になるわけであります。これは現に新らしいほうの川は二百分の一という急勾配になつたのでありますが、大げさに申しますと小さい滝のようになる、そういうところの下の工事を普通の工法でやりましたために急流になつたことと、下が非常に狭いのでありますが、上のほうが川幅が広くて下のほうが狭い、こういう状態でありますが、そのために出水で下のせつかく作りました堤防がこわれてしまつた。その結果更に念入りに護岸を作ること、或いはいわゆる床固と申しますか、階段型にいたしまして流れを緩くする、こういう工法をとつてやり直ししたのであります。初めから当然今の二百分の一の急勾配、それから丁度上のほうが幅が広くて下のほうが細いというような川の状態でありますから、そういうしつかりした工法でやるべきであつた。こういう批難であります。今のように一たん作りましたものがこわれたために五十三万円ほどの手もどりを来たしているということになつております。  それから千六百三十一でありますが、これはやはり東北でありますが、阿賀川の工事事務所で、直営によりまして、福島県の河沼郡の宮川、これの新らしい水路を掘つたのであります。ところがこれは設計通りにやればよかつたのに、設計通りにやりませんで、余計な所を深く掘つてしまつたわけであります。その結果、又底を深く掘り放しにしておきますと、渦を巻きますので、又せつかく掘つたところを埋めもどした、そういうケースであります。掘らんでもいいところを掘つてしまつて一万立米も土量を埋めもどした、そのために二十四万円余の手もどりを来たしておる、こういうケースであります。  それから千六百三十二号でありますが、これはやはり東北の宮城県の涌谷でやつております江合川の工事であります。やはり直営でありますが、築堤をするときに土取り場の選定がまずかつた。そのために二十一万円ほど工事費が余計になつた、こういう案件であります。これは先ずこの江合川の右岸の築堤をするわけでありますが、土砂を取るのに川を隔てた対岸の左岸から機械を使つて掘りまして、蒸気機関車で運搬したのであります。ところがわざわざ対岸の左岸から取らんでも、川を隔てた向うから取らんでも、こちら側に適当な土取り場がある。というのは、こちら側の土が多過ぎまして、これは当然工事計画上掘らなければいかんというところがあつたのであります。その掘らなければいかんところの土を持つて来てこの築堤に使えばわざわざ反対側のところから機械で掘つて機関車で運搬するというような手数をかけなくてもよかつたはずだと、こういうのであります。これがそのために二十一万円ほど工費が余計かかつている、こういうことになつております。  それから千六百三十三号でありますが、これは中部地方建設局の津の三重国道の事務所、鈴鹿でありますが、三重国道事務所で三重国道の工事をやつておりますが、これの鈴鹿川を渡る橋の取付のところの土の運搬に関する問題であります。ここは鈴鹿川の改修工事を鈴鹿川の工事事務所というのでやつております。それから鈴鹿川を渡る国道の改修工事を三重国道工事事務所でやつております。これはもともと同じ事務所だつたのでありますが、工事関係で道路工事が大きくなりまして、特に独立の事務所を作つたところであります。一言に申しますと、橋の取付に使う泥を遠くのほうから、而も先ほどと同じようにわざわざ対岸から仮橋を架けましてそうしてこつちへ持つて来る、ところが同じところで工事をやつております川の改修事務所にその泥を運ぶことを求められればこちら側の非常に便利な所にすぐにある。それを同じ所で仕事をやつております鈴鹿川の工事事務所のほうに頼まないで、自分のところでわざわざ対岸から橋を架けて、而もガソリン機関車を使いまして、丁度この国道事務所のほうには安い、経済的に使えますディーゼル機関車がなかつたのであります。ガソリン機関車を使いまして持つて来た、そのために非常に高くなつたのでありまして、これをどうせ川のほうの工事で泥は使つて運んでいるのでありますから、それを一緒に運んでもらえば非常に安くできた、こういうケースであります。大した大きな土量でもございませんが、今のように自分のところで不経済な機関車を使つてわざわざ橋を架けて対岸から持つて来るというようなことをしないで、川の工事と一緒にやつてもらえれば、これが約五十一万円ばかり経費が安く済んだ、こういう案件であります。  それから千六百三十四号は、これは近畿の地方建設局でありますが、福井県の九頭龍川の工事であります。今まで申上げましたのは皆国で直営でやつていた工事でありますが、これは請負工事であります。検収がまずかつたために、設計通りできたとして金を払いながら、実は出来高不足があつた。三百十八万円払つたのでありますが、工事が非常にぞんざいでありまして、そのためにコンクリートの強度も非常に弱くなつているし、結局二十六万六千円ほど請負人に余計払い過ぎてしまつた、普通にあるいわゆる出来高不足のケースであります。  それから千六百三十五号、これは近畿地方建設局の淀川の工事事務所の案件であります。今のは請負でありましたが、これはやはり前と同じように直営であります。これは川の土砂を掘る工事でありますが、一部はドラグラインという機械を使いまして掘る、他の部分は機械が使えないと、こういうことで人力で掘る、こういう計画を立てたのであります。ところが機械で掘るのと人力で掘るのは格段の値段の相違があるわけでありまして、機械ですと、ここにございますが、一立米が十三円四十銭でできる。ところが人間に掘らせると百八十九円かかる、こういうケースつたのであります。この通りでありますから、できるだけ機械で掘つたほうがいいのでありまして、これが機械が使えるところなのであります。ところが今のようなことでやつて参りましたが、機械で掘りましたのは四千百五十立米、それから手掘りでやりましたのが三千五百八十立米、こういう結果を来したのでありますが、ところが私どもの調べで見ますと、当時大阪機械整備事務所にはここで使つておりましたドラグラインと同じようなものが一台遊んでいた、こういうことになるのであります。大阪の管内でございますとすぐそばにあるのでございますが、これを持つて来て、人間で掘る代りに機械で掘れば、一立米百八十九円のものが十三円ばかりで掘れたはずだが、機械を使えなかつたという理由は全然見当らないのであります。若し機械でやれば六十三万円ほど工費が浮いたはすだ、こういうケースであります。  それから千六百三十六号は、これは山陰の鳥取国道改良の工事でありますが、これも先ほどの九頭龍と同じ請負工事であります。検収がまずかつたために千八百万円の工事のうち百四十三万円は払過ぎてしまつたというケースであります。道路の改良で崖を切ります。先ず切土、それからそこに練積の石垣を、擁壁を作る。その切土の量も擁壁の量も請負人が手を抜いたわけでありますが、設計通りつてなかつた。そのために千八百万円の工事のうち百四十三万円ほどは手抜きをされて余計に金を払つた、こういうケースであります。  それから次の三件は保安隊の建築の工事でありまして、これは私の局でなく二局でやつておりますので、後ほど二局長から御説明することにいたしまして、千六百四十号からちよつとお願いしたいと思います。  千六百四十から千六百四十五号までは機械の管理がまずい、こういう案件であります。これは前年度もたくさん出たのでありますが、古く買いました、終戦後ではありますが、古く買いました機械が機械の効果を発揮しておらん、非常に能率が悪い。そのために使わないで遊ばしてある。或いは差当り必要のないところに機械をおいたためにそのまま放つたらかしになつてしまつた。こういうケースをまとめたのでありまして、先年に引続きましてここに数件ございますが、もうすでに古いほうの機械は私どものほうの全国を調べました結果も出尽しまして、二十八年度ではこの種の批難は大体ない見込でおります。二十六年度、二十七年度で全国の古い機械は洗い尽した、こういうことになつておるように承知しております。  先ず千六百四十号でありますが。これは二十六年の十一月に本省で五百五万円で買いまして、九州に保管転換したラダーエキスカべーターでありますが、これは性能が悪く、約二カ年間全く使わないで放つたらかしになつておる、こういう案件であります。  それから千六百四十一号、これは東北地方建設局で、二十三年であります、古いのでありますが、四十万三千円で買いました中古のドラグラインであります。これは北上川の工事に使う予定で整備を、塩釜にわざわざ送りまして修理をしたのでありますが、実際はもうその頃には北上川の工事では要らなくなつてしまつた。こういうので、先ほど出ましたが、阿賀川の工事事務所で使うということで、今度は請負でわざわざ百五十三万円もかけまして全般修理を行なつたわけであります。更に運賃をかけて阿賀川の工事事務所に送つたわけでありますが、さつぱりこれが使い物にならん、こういうので放つたらかしになりまして、二十八年の四月不用品として処分する、こういうことであります。もともと悪い機械でありますが、それに対して相当大きな修理費をかけましたが、やはり駄目だ、こういうことになります。  千六百四十二号、これもやはり東北地方建設局の問題でありますが、二十三年に買いました中古のスチームシヨベル、これも先ず北上川の一ノ関地区に使うつもりで修理をしたのでありますが、でき上つたときにはもう工事のほうが完成してしまつた先ほどのは転用しようとして大分修繕費をかけましたが、これは転用もしないでそのままでき上つた工事現場に放つたらかしになつている、こういうケースであります。  それから千六百四十三号、これは関東でありますが、明治三十六年に買いました鋤簾ポンプ式シヨベルというのがあるのであります。明治三十六年、非常に旧式な機械でありますが、これは十年以上も使わないで放つておいたのであります。それをこれをどこに使うという当てもなしに修理をしまして、六百四十九万円という大金をかけたわけであります。ところが修理をしたもののやはり使えない。その後そのまま放つてあるので、これは用途廃止ということになりそうでありまして、どうも六百万円以上の大金をかけて修理をするのはちよつとふさわしくないのではないか、こう思うのであります。  それから千六百四十四号でありますが、これは九州であります。二十五年に買いました。パワーシヨベル二台、九百万円でありますが、一台は同じ管内の川内川の工事に、鹿児島県でありますが、これに保管転換した。一台は使う当てもないので久留米の機械整備事務所で保管していた、こういうのであります。ところがこの両方とも性能が悪くて故障が続出する、こういうことになるのでありますが、川内川に保管転換した一台は全然使わないで、又運賃をかけまして久留米の機械整備事務所へ返してよこした。昨年検査当時は解体したまま放つたらかしになつている。それから先ほどの久留米に保管させておきました一台も、三回修繕いたしましたが、やはりどうも使いものにならん、結局不用品にせざるを得ない、こういうふうになつております。  それから千六百四十五号、これもやはり九州でありますが、ドラグラインを百三十五万円で買いまして、久留米で一年半ばかり保管していた、数回に亙つて修繕して、菊池川の工事事務所に送りましたが、これもやはりどうもよくない。菊池川から又久留米に返して参りまして、久留米の事務所で保管している、こういうことになつております。幾つも古く買いました機械、二十六年度まででありますが、機械の中には、随分機械をたくさん買つておりますから、その全体から比べればそう多い数ではございませんが、ともかくも相当に使いものにならんものがあつたわけでありまして、本年の検査ではもうこの種のものは先ほど申上げましたように洗い尽しましてまあ大体出ない、こう思つております。  それから千六百四十六号、今までは機械でございますが、これは土運車であります。三立米入る土運車、こういうものがほうぼうにあるのでありますが、これの利用が面白くない。古鉄とかいろいろなことで、野天に放置したままあるのでありますが、一方で新らしい土運車を別な工事事務所で買つている、買うところにこの古いのを廻したらいいじやないかというケースであります。  先ず最初の(1)が関東地区の利根川の上流工事事務所であります。これは栗橋にありますが、見積値段で申上げますと、新らしく作れば一千二百万円もかかる。車体百三十九台、その車輪車軸三百四十三本、相当の数でありますが、これを帳簿外に持つておる。そうしてそのうち車輪軸百四本、車台四十一台、新品購入価格は三百万円以上でありますが、工事現場の高水敷に放つてある。そうしてありながら一方において同所では新らしい土運車五十台を五百万円で直営製作している。こういうのを作りますのならば、今放つてあるのを使えばいいじやないか、こういう趣旨であります。  (2)は鬼怒川の工事事務所でありますが、これも土運車百四十一台、こういうのを使用しないで野天に放置してあるのでありますが、そのために一部は使いものにならなくなつてしまつた。併し残りの百四台は木部を取替えれば使える、こういうのであります。  次は広島の太田川の工事事務所でありますが、これは車体が百九十六台、車輪車軸が三百三十六本、新品購入価格二千五百四十八万円にもなるのでありますが、これも長い間放つたらかしてあるのであります。これは丁度国道沿いの所に工事場がございますので、或いは御承知のかたもあるかと思いますが、相当長い間車輪車軸なんかが置き放しにしてあります。
  66. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 千六百三十七号から千六百三十九号までであります。これは防衛庁から建設省に工事を委託された案件でありまして、検査院批難事項に対しては、いずれも遺憾の意を表しておられる事態でございます。  最初に千六百三十七号は汽罐設備工事でありますが、そのうちボイラーが必要より過大なものを施設されたということでございます。隊の人員その他必要量から考えますと、つねきちCD—五〇型で十分であつたのでありますが、これに比べて必ずしも効率のよくない、容量の大きいつねきちボイラーB—七〇型で設置されたわけでありますが、これは必要且つ十分なボイラーを備えつけられましたならば約二百万円が減額されたということであります。  千六百三十八号は二つございますが、いずれも工事の実施状況に照し工事費の金額を減額すべき事態でございます。その一つはボイラー汽罐設置工事につきまして、試運転に要する石炭を請負者が持つということになつておつたわけでありますが、石炭を部隊の石炭を使用したため、それに相当する金額を減額すべきであるのに減額してなかつたために十八万二千余円が支払過ぎになつておるという事態であります。もう一つは汽罐の補修工事につきまして、煉瓦類を使用するときめられました数量よりも実際補修が少くて済んでおる、こういう事態でありまして、これに対しましては二十一万二千円余の減額が当然であつたのでありますが、そのまま工事代金支払われたのであります。この二つの事態につきましては、その後代金の過払につきましては回収の処置が講じられております。千六百三十九号は汽罐のやはり設置に当りまして、耐火煉瓦等をその工事に要しますと殆んど同じ数量の耐火煉瓦等を同じ価格で予備品として購入されたわけでありますが、耐火煉瓦はすぐ傷むわけでもありませんし、又必要な都度購入し得るわけでありますから、この予備品として購入されました九十七万全円は必ずしも買う必要がなかつた、こういう事態でございます。
  67. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御質問願います。
  68. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 建設関係の土木工事建設工事等に使用する機械の現在高が、先年調べて頂きましたところでは五十数億円と記憶いたしておるのでありすすが、現在の保有の高と、それから不用品として処分する予定になつておる全額、それからそれらの使える機械のうちで、一体稼動日数がどのくらいになつておるか、三十年度で新規に購入しようとする予定の金額がどれくらいになつておるか、この数字と、それから今会計検査院の報告を拝見しましても、十分手持があるのに新らしく機械を買つたり、又買つた機械が数年ならずして使えなかつたり、いろいろ購入には注意を要する点があると思うのですが、購入又は修理を決定する上において、建設省全体でどの機関で一体決定をされるか。例えば使えない船に六百万も六百五十万も金を注ぎ込んだというようなばかばかしい案件も出ているわけですが、こういう新らしい機械を買うのにはどこでその最後の決定をなされるか。又機械に相当の金を入れて修理をするについて、何か六省のほうで統一的にこれを十分審査して、この機械が性能のいいものであるかどうか、或いは修理するだけの値打があるかどうかといつたようなことを審議し、且つ決定する相当の機関をお持ちになつているかどうかといつたようなことについて伺つてみたいと思います。
  69. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 只今の御質問のうち、現保有高、それから現在持つておりますもののうち、今後処分、払下げ等の処置を予定しておる機械の台数、それから機械の稼動日数、それから三十年度新規購入の予定、これらにつきましては資料として提出させて頂きたいと思いますが、概括的に申上げますと、先ず稼動日数でございますが、遺憾ながら民間のに比べまして若干稼動日数が落ちております。この点が実は今回の検査の御報告では御指摘を頂いておるわけでございますが、我々といたしましては、民間のに比べて稼動率が低いという点は一番心配し、これを向上するのに実は努力して参つておるのでございますけれども、この原因をいろいろ調べてみますのに、いろいろの理由があるようでございます。と申しますのは、職員の給与の体系等から考えて頂かなければ、民間並みの稼動率を上げることはなかなか困難であるというような面もあります。それから又建設省という役所だけで機械を持つております関係上、工事の量と機械の量、機械の所在地等が必ずしもバランスが取れていない。これを早急に取るのはなかなかむずかしいというような点もあるようでございます。これらの稼動成績を上げるにはどうしたらいいかというので、いろいろ研究しておるわけでございますが、只今の給与の体系にいたしましても、現在の制度では建設機械を動かす関係者だけの特別の給与体系を作るといいますこともなかなか早急に実現が困難でございますし、名案もないわけでございますが、実はできることならという考えで建設省として研究もし、目下大蔵省に折衝中の方法といたしましては、一つ、建設機械を特別会計制度にして、これを建設省の工事をやります際にも一定の料金を取つて建設機械の特別会計で赤字を出さないようにみんなに努力させる方法をとれば、機械の稼動成績も上るであろうし、更にいろいろ御指摘頂きました、当然不用で修理しても使える見込のないと思われるようなものに修理を加えるというようなことももう少し慎重にやつてくれやせんかというようなことで今研究中、更に大蔵省に予算その他の折衝中でございますが、これはいずれにしましても、三十年度からの問題になるかと思います。    〔委員長退席、理事島村軍次君着席〕  それから建設機械を購入しましたり修理する際に、特別のこういう審査機関のようなものを設けておるかという御質問でございましたが、建設本省には建設機械課というのを設けておりまして、これが全国的の統一指導業務をやつておるわけでございます。機械の購入につきましては、工事を実際に指導監督しておりますところの河川局、道路局と協議いたしまして、予算編成の際並びに年度の当初に、各工事の量、場所などをよく両局と相談いたしまして、それに合う購入計画というものを立てまして、これを各地方建設局に指示いたしております。本年度はこの建設局で、どの工事に使う分としてこれだけの機械の購入を認めるということを決定して通達いたしております。  それから機械の修理についてでありますが、これも大きいものにつきましては、本省で協議を受けまして、本省で指導いたしております。そうして年間の予算を配つておるわけでございますが、細かいのになりますと、それを全部いろいろ本省で指導するということも手が廻りませんので、地方建設局長に任せております。ただこういう点が、やはりまだ機械というものに対する関係者のこれは能力の点もあると思いますけれども注意がおろそかになつておるというような点もあるかと思いますし、今後更に注意いたしまして、御指摘のようなことのないようにいたしたいと思います。  なお先ほど検査院の第三局長からもお話がありました通り、この昭和二十七年度頃までは古い機械をやたらにと申しますか、あとで考えてみますと、やたらに何とか活用しようという善意に出たものであると思いますけれども、機械を結果においては無用に修理しておつたというようなこともありましたのは大変遺憾でありますが、今後はそういうことはなかろうと、かように考えておる次第でございます。
  70. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 遊休と申しますか、手持の機械をダブつて買うといつたようなことをチエツクするのは、やはり機械課でおやりになりますか。
  71. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) その通りでございます。
  72. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 なお今の資料をお出し頂くときに、不用品の台数だけでなく、大体の評価額もお書き願つて御提出願いたいと思います。
  73. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 評価額ということになりますと、実は競争入札で払下げすることになると思いますので、評価額はむずかしいかと思いますが、購入価額でございましたら、えらい古いものはありませんけれども、御希望に副えるようなものは出せるかと思います。
  74. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 結構であります。
  75. 田中啓一

    ○田中啓一君 今検査院のほうから説明を伺いますと、千六百二十九号、予算がないのに機械を購入した。成るほど検査院のおつしやるように、聞いておりますと、大変などうも会計法違反をやつたようにも取れんことはないのでありますが、併し機械があつたほうが工事としてはよかつたに違いないのでありまして、早く工事をどんどん進めたいということからこれくらいのやり繰りをやるのは当り前のようにも私は思う。どうも自分が当局者でもやりそうな気がしてならないのです、これくらいのことは……。そこで一体そんなに悪いことかなあという気が実はするわけです。正直に申して……。でありますから事情を一つ建設局のほうからも御説明願いたいと思うのです。
  76. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 只今田中委員から御同情ある話を承わつたのでありますが、確かに会計法上から申しますれば悪いことでございまして、その点では申訳なく存じておる次第でございます。ただ田中委員も御承知かと思いますが、五十里ダムは洪水調節と発電との両目的のダムといたしまして、昭和二十五年の見返り資金工事として着工いたしたわけでございます。見返り資金といたしまして昭和二十五年には三億ついたわけでございます。現地の皮はぎとかその他で相当の工事費がかかるわけでございますので、機械を買うまでの資金はなかつたわけです。機械としまして、先ほどお話がありましたように五千六百万円しか支出する余地がなかつたのであります。ところがそういう段取りを進めておりますと、一方ケーブルクレーンその他は相当前から発注いたしませんと、経済的に間に合わないということになりますので、早く発注したいという気持は一方にありますが、予算がないから発注するわけに参らない。ところが大分古いことでございますが、御記憶があるかと存じますが、見返り資金工事で着工いたしました工事は、建設省といたしましてはあと二、三年は見返り資金で継続できるものと心得ておつたのでございますが、二十六年度になりますと、公共事業には見返り資金からの支出ができないということに急に方針が変りましたので、二十六年度に大した予算期待できない。事実は一般会計から三億九千万円余しか出ない、こういう見通しがついたわけでございます。こういたしますと、どうしても早く機械を発注しておきませんと、その後の年度におきまして予算がつきましても工事が経済的に進まない、こういうことになるものでございますから、関東地建としましては栃木県に頼みまして一億立替えて買つてもらう、こういうことになりまして、それで而も二十六年度は予算がございませんので、年度一年遅れまして二十七年にやつと返した、こういう事情でございます。そういう事情でございます。  又もう一つはこれも御承知のことでございますから申上げたほうがいいかと思いますが、これは洪水調節と発電という二目的のダムでございまして、発電は栃木県がやりたいということを当時非常に強く申しておりまして、実は最終決定にはなつておりませんでしたけれども、だからアロケーシヨンがきまりますればあの当時から栃木県が一億くらい出していいものであつたかも知れないものでございますが、アロケーシヨンがきまつておりませんので、栃木県の二目的ダムに対する持ち分としてではなしに、一応借金として整理いたしました。こういう事情がございましたので、経理上から言えば誠に申訳ないのでございますが、実質的に申しますると、こういう措置をとらざるを得なかつたところの現場の地建局長の意図は私どもも十分わかるような気がいたすわけでございます。御了承願いたいと存じます。
  77. 田中啓一

    ○田中啓一君 検査院にお伺いしますが、どの点がこれは法規に違反するのでございますか。
  78. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) こういうのがいいというようにお考えですと誠に困るのでありますが、というのは国の経理というものは必ず予算の範囲内でやらなきやいかんのであります。役人が勝手に予算がないのにどんどんと契約を結ぶというようなことは以てのほかでありまして、そういうことをやられては国の経理はめちやくちやになつてしまうわけであります。これがその一つであります。それはいろいろ事情がありますが、先ほどお話した二十五年度に見返り資金がもつとつくというようなことも予想されていたようでありますが、実は余りつかなかつた。それで二十六年の二月、三月に予算がまだ幾らつくかわからんというようなときに一億二千四百万円もの工事をしてしまつた工事の契約を結んでしまつたわけです。これはまだそうすぐに使うというものではないのであります。五十里ダムは見返り資金の関係その他で非常に工事が遅れておるのでありまして、これは買つたからすぐに使うというものじやないのです。あとで買いましても間に合つたものもあるのでありまして、先ず予算がないのに一億二千四百万円の契約を結んだという点がいかんのであります。それからその年度内に五千六百万円しか払えなかつたというので、残りが六千八百万円支払不能になつてしまつたのであります。これは相手かたに取つても誠に迷惑で、当然に二十五年度に契約を結んで物を納めれば、その金はもらえるとこう思うのでありまして、それがもらえなかつた。そして二十六年の六月から二十七年の三月までの間に一億円借りたわけであります。これは先ほど仰せのように、いいことでしたらこれは堂々と借りておやりになればよろしいわけでありますが、悪いというのが明らかだものですから、これは伏せてしまつたわけであります。そして二十六年の二月に契約して三月には入つておるようなものまで含めまして、二十七年四月に栃木県から一億円で買つたような嘘の書面を私どもに出して来たのであります。これは書面検査で見付けたのでありますが、どうも大きなものを県から二十七年四月に買うというのはおかしいじやないかということで、いろいろ私のほうで調べてみると、この事情がすつかりわかつたのであります。  先ず最初予算外の契約を結んだ点がいかんのであります。それからあとは、残るのは結局年度違い、会計法では会計年度の独立ということは非常にこれはやかましく、これはもう日本だけではありませんが、どこの国でも会計年度というものは一年々々きちんと整理しておく、そうしなければ財政計画も立ちませんし、財政は非常に紊れるのであります。これは如何にこういう一年の決算をやかましく言わなかつたために紊れたかということは、過去の終戦処理費でよくおわかりのことであります。或いは一年々々予算を取つておりますけれども決算を作らなかつた、そのために何が何だかわからなくなつてしまつた。こういうようなことが国の会計、公けの会計を整理して行く上には一年々々をきちんとやる。そしてその年度の歳入でその年度の歳出を賄うというのが、これは財政処理の大原則でありまして、その上からこういうことをおやりになるということは、これは事情においてはいささか同情すべき点はあるのでありますが、財政をきれいに運用して行くという点では、こういうことはやられては実は非常に困るのでありまして、私どもといたしましても事情のあるところは十分に調査いたしまして、先ほどお話のあつた点もいろいろ私どものほうで調べておりますが、併しこういうことをされてはいかんと、こういう趣旨で掲載いたしまして国会に報告したわけであります。
  79. 田中啓一

    ○田中啓一君 更に重ねてお伺いしたいのですが、まあとにかくこの機械が一億円ばかりの機械で、その予算はない。この機械を買うのに振当られる金は四千万か五千万しかなかつた。それなのに機械の購入契約をやつた、こういう点が違法だと、こうおつしやるわけですね。で、購入契約というものを予算成立前にやればどうしてもこれは違反になりますか。
  80. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 実際問題として予算がなければ契約をしてはいかんということになりますと困る場合があります。それでそのために昔は予算外国庫負担の契約と申しましたが、現在では国庫債務負担行為というものをあらかじめ国会の議決を経てきめるのであります。国会の議決を経ないで、予算もない、何もない、で、勝手に役人がどんどんと債務を負担するというようなことになりますと、これは弊害が非常にあるわけであります。ところが予算がないから契約を結ぶことはできない、例えば来年になつて必要なものを今契約を結んでおかなくちやいかんというような事態も相当にあります。こういうものはやはり財政を処理する最高機関である国会の議決を経た上でやるというのが今の建前であります。こういうものが若し必要ならば、あらかじめ国会の議決を経て国庫債務負担行為をおとりになつて、その上でおやりになれば、我々は何とも言うことはないのでありますが、そういうこともやつておられない、こういう事実であります。
  81. 田中啓一

    ○田中啓一君 もう一つお伺いしますが、そこでもうこれもあとからだから何もならんのですけれども、そういう建設局長がみずから国を代表して機械会社と購入契約を結ばないで、これはもうどうせ今のような事情ですから、栃木県で金があれば栃木県が買つて、栃木県から又建設省が買つてもいいわけなんですね。その点はまあ相手が誰であろうと買つても、予算並びに会計法では差支えございませんですね。ですからなんでそうしなかつたのか知らんと思うのですが、まあそうされなかつたので伺つたわけですが、まあそれだけのことです。    〔理事島村軍次君退席、委員長着席〕  それからもう一つついでにお伺いしたいのは、北上川の工事で上のほうが広くて下のほうが狭いのにそれをどうとかしたというお話でありましたが、まあやつた、ところが工合が悪かつたから手直しをやつたというようなお話でありましたが、一体それは成るほどあとから見てまずかつたということにはなるんでしようが、まずかつたものは一体会計法上それは不当だと、不当という文字は私はゆゆしい文字だと思うのですが、そうなんでございましようか。
  82. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これなんかは工事の段取りがまずくて、当然に相当の補強を計画した上でやるべき工事つたわけであります。それをやらないでやつたのでありますが、その結果、ただ工事の段取りがまずかつたということだけでしたら、これは私どものほうで取上げる問題じやございません。併しこのためにここにございますような五十三万円という明かに手もどし工事をしているわけであります。余計た金を使つているわけであります。最初から予想できた事態に対応するだけの計画を立ててその通りに実施して行きますれば、この五十三万円という余計な金を使わないで済んだわけであります。五十三万円の国損を来たしているわけであります。その点で私どもが不当工事というふうに扱うわけであります。ただ計画だけまずかつた、その結果別に、計画はまずかつたが国損を来なしていないというのならば、私どもとしては不当ということには扱わないわけでありまして、これは国損を来たしているという点からこういうふうな扱いをしたわけであります。
  83. 田中啓一

    ○田中啓一君 それはそういう場含もあるんでしようがですね、これはまあ要するに設計技術の問題なんです。あとから行つて手もどりができたから、これは何でも不当だというのもどういうものであろうか。それほど一体検査院というのは土木の技術力を持つていらつしやるのであるか。これはあとから行つて、手もどりになつた、再びそこが切れた、不当だというのなら誰でもできますね。あえて建設省の設計を待たないですね。そこのところの事情が、これは建設省のほうにお伺いしたいのですが、この点はどういう状況ですか。
  84. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 検査院からの御指摘のありましたこの点につきましては、説明書のほうにもございますように、建設省としましては一応申訳ないと、こういう建前をとつておるわけでございます。併しながら一応申述べますならば、下流部の十八メートルというこの狭い川巾をとらざるを得なかつた理由につきましては、用地の関係でどうにもうまく行かなかつたという関係があるようでございます。こういう放水路につきましては、上流も下流も同じ巾をとれればいいのでありますが、地形によりまして十八メートルで間に合うこともあろうかと思いますが、又護岸をいたしたのでございますが、護岸の下のほうの法おおいにつきまして、結果的に見ましたならば不備がございました。又床固めもいたしたのでございますが、床固に水たたき部の工事をやつていなかつたために、その後の出水によつて床固が傷んだ、こういう事情がございまして、結果的に見ましたら御指摘通り手もどりということに相成つたわけでございます。  この件につきましては或いは会計検査院の御指摘であつたように、或いは現場の技術官の不注意であつたかも知れないとも存じますが、場所によりましてはこういつた工事をやりましても、その後の出水の際にうまく行つている場合もあろうかと思いますので、これは結果的に見ましたらそういうことになりましたが、どんな出水にも耐えるように堅固にするばかりが工事の能でもございませんので、間に合うものならばできるだけ安く仕上げたいという気持もあるわけでございます。この件につきましては、私どもといたしましても不注意の点を承知いたしておりますから、この点につきまして会計検査院と争う考えは只今のところは持つておりませんけれども、併し結果的にばかり責められたのでは困るという考え方だけは建設省も持つている次第でございます。
  85. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 検査院指摘されたものは全部恐縮する。そうすると何か指摘するものに対してあなたのほうで責任の立場からその是非を判断することはないのですか。……ちよつと待つて下さい。次長に伺つている。そんないい加減のことを聞いているのではない。擁護論に便乗した答弁をせられては困る。
  86. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 只今の、擁護論ではございませんので、会計検査院がここに指摘されましたことは、現場に検査官がおいでになつて十分検査せられた後に意見が出、それからこの批難事項になります場合に推問書が参ります。それに対して建設省が答弁いたします。建設省の意見も十分参酌して総合的に検討せられた結果、批難事項として国会に提出すべきものとして認定せられたものと私は考えております。そういう意味におきまして、この件につきましては建設省といたしましては不注意であることを十分お詑び申上げる次第であります。
  87. 小林亦治

    委員長小林亦治君) そうおつしやればわかる。  それからもう一点、これは参考のために伺つておくのですが、必ずしも堅固にやるばかりが能ではない。成るべく早くやらなければならん、それはどういうわけですか。
  88. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 言葉が不適当であつたかと存じますが、現場の技術官におきまして、そのときに法おおいに床固を必要としないと考えて床固をやらなかつた。或いは床固をします場合に水たたきが必要でないと考えてやりました。こういう場合におきまして、結果的にそれがために災害によつてこわれた、こういうこともあり得る、こういう意味で申上げたわけでございます。
  89. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 例外の場合を伺つているのじやない。私どもの場合はできるだけ堅固に、どんな災害にも耐えるような工事をやることが理想なんです。その理想を、それがいいわけじやないというような御説明のように伺つたので念を押して伺つたわけです。
  90. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 言葉が不十分でございまして申訳ございませんが、現場の技術官としまして、これは如何なる出水にも耐えるとして計画いたしましたことが、その後の災害によつてそれが十分でなかつたこともあり得る、こういう意味で申上げたのでございます。
  91. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それならそのように言えばいい。そんな抽象的な、例外のものを本筋のように説明するからわからない。
  92. 田中啓一

    ○田中啓一君 私は委員長と少し見解が異つておるのでありまして、一体工事というものは大事をかければ際限がないであろう、新らしく堤防をお築きになる場合にしても、或いは災害復旧工事をなさる場合にも、十分なことを言えば、それは実に莫大な費用がかかると思う。現に私どもは木曾川、長良川、揖斐川の三川の間に挾まつてつて来たわけでありますが、この堤防というものは多少の水漏れはある、現在あるのです、何カ所もある。それを危いじやないかと言えば確かに危い。だけれどもまあこれまでの洪水には耐えて来た。そこいらの判断というものはこれは土木技術者の最高の私は判断になるだろうと思う。こう実は思うのです。でありますから、まあ手もどりというのでありますか、洪水が出て破壊されたからそこを直したというのでありますか、よく私事情を存じませんけれども、何でもかでも用心堅固に、絶対的にどんなことがあつてもここは崩れんというまでの工事というものはなかなか現在の私は資力ではできんものであろう。従つてあとから行つて、そうしてこれはとにかくあとで修理をしたからそれでいかんのだ、こういうふうに一概にやつてしまわれるということはどんなものであろうか、こういうことを実はお伺いしたわけなんです。ですから私の言うておるのは何でも擁護しておるわけでもなんでもない。僕は誰を擁護するつもりでもなければ誰を批判するつもりでもない。それよりもこういう土木工事というものは実際むずかしいものでないか。ただあとから行つてみてまずかつたというものを不当だとみなしてしまうのは如何なものであろうか、こういうことを実は申したかつたわけなんで、その辺の事情をよく御了承願つてもう一遍検査院の報告を伺いたい。
  93. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) あとから私ども検査に参るわけでありますが、実はこわれているというような工事は相当に多いのであります。手もどりを来たした場合も相当にたくさんあります。私どもとしては相当によく調べまして、一応照会も出しまして、建設省の言い分も十分に伺いますし、それから会計検査院も昔と違いまして、現在では実は土木建築の工学の博士もおります。技官も相当充実しておるのでありまして、そういう人たちにも全部見せまして、私ども最初検査に参りました者の認識が誤つていやしないか、それから無理な批難、先ほど仰せのようにこわれたものは何でもかんでも批難するということになつてはこれは大変でありますから、手もどりのあつたものは何でもあとから行つて見付けて批難するというようなことは決してしないのであります。一応は調べますが、最初当局者の責任があつた当局者の計画がまずかつた、或いは施工が非常に不手際であつたという、そういうような事実がない限りは決して検査報告には載せないのでありまして、当局者の過失というような点に重点を置きまして、もう少しうまくやればこういうことはなかつたはずだという点に重点を置いて検査もいたしますし、検査報告にも載せておるのでありまして、決してこわれたもの、手もどりを来たしたものは……土木工事は仰せの通り非常にむずかしいのでありまして、最小の経費で最大の効果を挙げるというのがこれが理想なんでありまして、金をかけさえすればいいものができる、しつかりしたものができる、これも明かであります。そういうことを成るべくしないのは技術者でありまして、私どもとしましてはその点は十分考えた上で検査報告に載せておるつもりであります。たくさん照会は出るのでありますが、検査報告に載しますものはそのうちの何分の一でもないという実情でございまして、何でもかんでも載せるというようなことは決してしていないつもりであります。
  94. 山田節男

    ○山田節男君 今の問題になつている千六百三十号を含めてですが、千六百三十号から千六百三十六号までの直轄工事の施行が処置等を得ていない、今会計検査院説明を聞き、又報告書を読んでみて、我々素人が考えても、例えば土砂の利用であるとかいうようなことを見ましても、経費をかけなくてよりいい、経済的に而も便利にできるというものをわざわざ不便な所から機械を使つて土砂を運ぶ、こういうようなことが……、少くとも建設省では専門の技官がいて、各建設局には相当な経験者もいるわけですから、こういうばからしいことをするということがどうも我々として了解できないんですが、一体これはまあ結果論からの批判になると言えばそういうことになるかも知れないけれども、少くともここに指摘された事項を見ますと、どうも現場の技官があらゆる地形であるとか、経済的なことであるとかいうことを政治的に勘案してやるということに注意の度合いが欠けておつたのではないか、こういう疑念を持つわけですが、少くとも建設省の専門家の技官がちやんと設計をして施工をするということにしては余りにこれは無責任のように思えるんですが、この点に対しては建設省はどういう見解を持たれますか。
  95. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 全般の問題といたしまして、この批難事項として挙げられておるものにつきましては建設省としては誠に申訳ないことばかりでございまして、これについてとやこう抗弁をいたしましたり、申し開きをしようという意思は毛頭持つておりません。御指摘通り如何にもばからしい、これならばどなたがごらんになりましても当然批難される事項ばかりだと思います。こういうことがなぜ起るかという問題でありますが、これからあと決して申し開きをしようというつもりは毛頭持つておりませんが、この原因でございますけれども、やはり個々の工事現場を本省で直接把握するというのはなかなか不可能なことでございます。更に地方建設局長或いはその補佐をしております工務部長、工務課長という者が現場の状況をよく全部の箇所について当るということもこれもちよつとむずかしい。いきおい工事事務所或いはその出張所長というものにこういう設計が事実上任されるということが現状でございますが、そういうところに原因はあるだろうと思います。従いまして我々としては毎年当委員会で申上げておりまして、誠に恐縮でございますけれども、今後はこういうことの起らないように注意するよりほかになかろうと思います。ただ先ほど来御議論もありました通り、技術者の能力、実は故意のないのは勿論、その本人としては一生懸命にやつたんだ、本人の能力からすればそれに過失があつたとも見えない、判定しにくいというようなのが或いはあろうかと思いますが、こういう点につきましては職員の教養なり、上からの監督を十分にやらなければしようがなかろう、かように考えておるわけでありますが、誠に申訳ないことだと思います。
  96. 山田節男

    ○山田節男君 それから一千六百四十号から一千六百四十五号の建設機械の管理当を得ていないもの、先ほど石破官房長からこれに対する御意見が説明されたわけですが、これはいきおい建設工事が機械化するということは、これはもう自然のいきおいであつて、将来機械を使うということは当然の趨勢だと思うんです。そういうことになれば、少くとも現在五十数億円にも達するような機械をすでに建設省としては保管されておるわけなんです。でこれをここに示されたように非常に不合理な不能率な、而も浪費的な機械の管理をやるということは、これはもう有形無形の損失というものは大したものだろうと思う。我々も大きな建設工事が行われたあと行くというと、これがもうひどいのになると一年たつて建設機械が風雨にさらされたままになつておるということは、これは我々ほうぼうで見受けるわけなんです。これは重量の点におきましても非常に重量が重いのであるし、運搬がむずかしいということもありますが、どうしても機械をお使いになることが将来殖えるという、これは必至の情勢を考えれば、今石破官房長のおつしやつたような案も一つの案ですが、これはやはり政府として殊に公共土木というものがこうして年々殖えるばかりでありますから、こういう点をもつとさつきの石破官房長の言われた以上に、もう少し科学的に、それからもつと合理的に高能率を以て使い得る途があるんじやないかと思うのです。この点に関して、機械の管理、それから修理、こういうことについて建設省の中に、もうそれを専門に管掌して行く、機構上そういう職場があるのかどうか、この点を一つお聞きしておきたいと思います。
  97. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 現に建設省としてやつておりますことは、本省に先ほど申上げましたように、建設機械課というのを持つております。従来はこれが機械の直接購入、契約、支払いまでやつてつたのでございますけれども、そういうことをやるということは、やはり現地実情にうといものがそういうことをやる危険がありましたので、こういう事務は全部現場のほうに流しまして、本省は専ら指導監督ということに専念させるようにやつてつております。  それから地方建設局には勿論機械課を置いておりますし、更に通称モーター・プールと称します建設機械を保管し、更にこれを修繕し、更に運営方法等を研究する事務所も置いております。  それから又人の面からも、従来は大部分は土木専門職員だけしか採用していなかつたのでございますが、この数年は大学卒業の機械の専門職員も相当数ずつ採用して参つております。そういう面からはいろいろ建設機械の運営を能率ならしめるよう、延いては土木工事を能率ならしめるように努力はいたしておりますけれども、やはり何と申しましようか、直営事業というものの一つの弊害もあるわけでございまして、いい点もたくさんありますけれども、直営でやつておりますと、どうもその能率をあげて終始バランスをとらせる、とらにやいかんという観念がどうしても薄れがちなものでございますから、先ほど申上げました特別会計制度と申しますのは、そういう面の是正方法として考えておるわけでございます。
  98. 山田節男

    ○山田節男君 さつき石破官房長の御説明で、こういう機械を操作するものの資質をよくするには、どうしても現在の給与系統の基準ではできない、こういうような御説明があつた。併し、現行給与系統では高給が払えない、従つていい人物も来ない、又給料が安いからまじめに働かん、こういうことになるのだろうと思うのですが、現行制度のいわゆる公務員の給与に関係して、現行制度で若し速急にこれが操作できなければ、他に方法があるんじやないかと思います。こういう行為に限つて例えば特別職ということも言い得るだろうし、又その他の方法で現在の組織、システムでも、そういう民間の土建会社の同じ職種の給与額と同額とは言わなくても、それに準じたものが払い得るような、これはできる方法があるんじやないかと思います。先はどの御説明では、現在の給与法の制度ではこういつた機械の操作をするものに対して或る一定限度以上の特別給与をすることができないとおつしやつたのですが、これは重ねてお尋ねしますけれども、絶対にできないということになるか。
  99. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 御承知の通り現行制度でも、時間外に働きますれば、所要の超過勤務手当等は払えるわけでございますけれども、我々はもう少し進んだ、できれば出来高払的な要素も入れて給与体系、給与制度を作ればいいのじやなかろうかというようなことを考えておりますので、そういう方法をとるには現在の制度の下では、ちよつと面倒じやなかろうか、かように考えたわけでございます。
  100. 山田節男

    ○山田節男君 この建設機械を操作するものは、職階と言いますか、職階制から言えば、例えば何級俸とかいうような限度があつて、ああいう操作に当つておるものは、支給し得る一つの限度があつて、それ以上はできない、だから所定以上の金が払えない、こう言いますが、単なるオーバー・タイムとか出来高払いでやらなくても、職階的にこれを考えて、熟練度その他の何から見て、やはり何号俸に、例えば昔の高等官に相当すべきものが払える、そういつたような給与上の操作ができるのじやないかと思うのですが、それもできないというのですか。
  101. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) お話の通り非常に高価な機械を運転しておるようなものは、例えて言えば本省の課長級、極端なことを言えば局長級をやつても、それはかまわんじやないかいうような御趣旨かと思いましたが、実際問題としてはなかなか解決困難な点があるように考えられます。従いまして私が先ほど申上げましたのは、最終的な研究結果では実はまだありませんので、御指摘の点もありましたので、その辺のこともよく研究いたしまして、機械の能率運営に役立つようにさして頂きたい、かように考えます。
  102. 永岡光治

    永岡光治君 この指摘された案件について官房長の言を以てすれば、弁明をする要がないというお話ですが、それにしても余り非常識と言いましようか、どうしても考えられないような、千六百四十三号ですか、まあ明治三十六年に購入した船といえば、今日まで約五十年を経過しておるというようなことになるわけですが、而も十年間使つていない、それを而も六百万円もかけた、六百五十万円くらいかかつておりますが、この真相はどういうのでしようか、建設省のほうと、それからこれを調べられました会計検査院のほうに、もうちよつとなぜこういうふうになつたのか、修理をしたのか、そうしてその後放置して使わなくなつたのか、真相を聞きたいと思う。
  103. 森崎隆

    ○森崎隆君 永岡君の御質問に関連して。こういうものは要修理ということを決定するのは、建設省のどこで決定するのですか。当然そこにはエキスパートのかたがおられて、これをこの程度修繕すれば、船齢が古くても再度使用に供し得るという見込みを立てて修繕の発注をしたものだと考えられるのですが、決定する機関、そういう点も含めてお話願いたいと思います。
  104. 小林亦治

    委員長小林亦治君) その点会計検査院どうですか。
  105. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これは誠に私どもも驚いたケースなんでございますが、この関東地建の中には、船橋に機械の整理事務所があります。どうも一体何のためにこういうものをやつたか、真相は本当はわからないのでございます。まあ悪く解釈しますと、或いはそれが当つておるのじやないかと思いますが、仕事の繋ぎと申しますか、ほかに大してやることがないというのでやつたとしか思えないようなもので、普通ならこれだけの金を投じるのでありますから、当然今お話が出ましたように、どこにどういう目的のためでどれだけ使うという計画があつて然るべきでありますが、それが全然ないのでありまして私どもとしては、その程度しか実はわかつていない状態であります。
  106. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) これは修理するかどうかを決定する機関地方建設局長であります。実はこういう非常識なことをどうしてやつたか、もう少し詳しいことを説明せよというお話でございましたが、実は私もその点につきまして、私自身も納得が行きませんので、誠に恐縮でありますが、次回までに十分調査いたしまして答弁さして頂きたいと思います。
  107. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の問題について念のために申しますが、これは悪く考えますと、例えば一つのスペースから何立米の土をとると請負わせて、取らせて、済んだあとでその土を又元に埋めるということで、初めに一つの目的を立ててやればできるわけなんで、そういう計画と同じケースで、全然修理後には用には立たないということを知つていて、これを発注したということになると、これは非常な問題じやないかと思います。十分その点納得が行くように次回に一つ御説明を頂きたいと思います。
  108. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 この千六百四十三号なんですが、先ほど私が一番初めに伺つたときには、修理の計画は建設機械課でおやりになるというふうに概括的に伺つたのです。今の御答弁だと地方建設局長がこれを決定したというのだと、先ほどの御答弁とちよつと食違うように思うのですが、かようなものは本省に稟請して、本省が承認を与えるというのが制度上の一つの系統であるというふうに、最初私伺つたのですけれども、今のお話だと、地方まちまちでやつているということになれば、そこに金額等に何か一定の基準があるかどうか、関連して伺いたいと思います。
  109. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 先ほど申上げましたのは、実は建設機械を買い、若しくは修理いたしますものも、予算の建前から言いまして、建設機械整備費というので買つたり修理したりします分と、河川事業費、道路事業費等で処理いたしますものと、両建てになつております。これは河川事業費で処理したものでございまして、従いまして私が先ほど説明いたしましたのは、建設機械整備費について申上げたのでありまして、ちよつとケースが別に相成つております。
  110. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の御説明よくわかりましたが、今後希望として私が申上げたいのは、例えば百万円以上のものは本省で一応目を通すということにならないと、今官房長さえちよつと御説明にお困りになるような、こういう馬鹿馬鹿しいケースが、やはり将来も出ないとは保証ができないわけでありまして、一定の金額を多少低いところへきめて、将来ともに本省で一応の承認を与えるという制度にお変えになるほうがいいのじやないかという、私は考えがありますので、この際御参考に申上げておきます。
  111. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) お話の通り、この建設機械整備費で購入します機械と、工事費、河川事業費等で購入します機械との取扱いが不統一だという点につきましては、行政管理庁のほうからもかねての御注意を頂いておりますので、只今の御意見の御趣旨に副うように処置いたしたいと思います。
  112. 永岡光治

    永岡光治君 それからこの千六百二十九号の案件ですが、例の栃木県のほうから一億円立替えたということ、それを、会計検査院のほうにちよつとお尋ねしたいのですが、これはやはり県として一億を立替えるというのは、これも容易でない問題だと思うのですが、それは調べられてわかつた内容を附随的にでも結構ですが、やはりこういうところまで協力させるには、何らかの条件というものが私はあるのではないかと思うのです。一億というのは厖大な金ですから、そういうものがなかつたかどうか。  それからもう一つは、地方財政についても、恐らくこれはどつかで検討、検査をするだろうと思うのですが、それを会計検査院でやらなければ、行政管理庁かどつかでやれると思うのですが、この案件について何ら指摘されていることはないかどうか、その点も合せてお尋ねしたいと思います。
  113. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 県では地元の関係もあると思いますが、この一億円につきましては、県議会の議決を経まして、協力費ということではつきりと予算化しておるのであります。それで地建からの要請があつたので、そういう措置をとつたと思いますが、県としてはいかがわしいことは全然していないのでありまして、堂々と議会にかけまして予算化した上でこれを立替えている、こういうのであります。私ども先ほど申上げましたように、証拠書類として二十七年に書面が出て参りましたときに、若い事務官でありますので、どうも変だというので、県に参りまして調べましたところが、そういう事実がすつかりわかつたのでありまして、県のほうではそういう変なからくりは全然考えていないのでありまして、国のほうが嘘の書類を出して来たという結果になつておるのであります。
  114. 久保等

    ○久保等君 只今の問題になりました問題も含めてですが、建設省での、ここへ手許に頂いております批難事項に対する処分調書で、いわゆる行政処分という処分はただの一件も実はなされていたいのを見て私もいささか驚いておるわけなんですが、これはどういうことなんですか。只今言われておつたような問題一つにしても、これは非常に私はその実行者或いは決定者乃至は監督者、そういつたものは相当な責任を痛感して然るべきだと思うのです。又それに対して十分に具体的な処置もとられなければならんと思うのですが、ここに挙げられております二十七年度の批難事項の全般について、ただの一つも懲戒処分に付されている案件がないわけなんでして、当委員会で前々から実はやかましく申しておることなんですけれども建設省の場合に特にこれだけの批難事項が挙げられておるにもかかわらず、ただの一つも行政処分がなされておるものがないのです。誰一人の行政処分に付せられておるものがないということは、私は会計検査院指摘事項について誠に申しわけないという官房長の御意見なり御説明もございましたけれども、具体的には実際そういう気持を持つているのかどうか非常に疑わしく思うわけなんですが、先ほども若干委員長のほうから指摘されておつたような答弁からも私推測して、建設省として一体批難事項に対してどの程度の責任を感じておるのか。二十七年度のこの処分調書の内容について一つ御説明を願いたいと思います。
  115. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 実はこの御指摘を頂いております中にも、当然公務員法上の正式の行政処分をやるべきものが実はあつたのでございます。その前にこれを公務員法上の正式の懲戒処分にするか、それとも実際上の注意にとどめるかという、その限界は実は非常にむずかしい問題でありまして、この点についてはあとで申上げさせて頂きたいと思いますが、この中にも実は当然正式の処分をするべきものがあつたと思います。たとえてみますれば、五十里工事事務所におきます、予算がないのに建設機械を購入したというようなのは明白な件だと思いますが、これはどうも過失ということは絶対に成り立たんわけでありまして、明らかに悪いこと……。実際上の必要はあつたのでありますけれども予算がないのに購入契約したということは、これは過失なんという問題じやありませんので、これなんかは当然やるべきだつたのでありますが、たまたま二十七年の五月でありましたか、例のあの講和条約発効に際しまして、行政処分免除するという特別の法律がありまして、これで実はこれは不問に附したわけであります。あの法律には確かこれを免除することができるとはなつておりましたが、あれの取扱いといたしましては、余ほどたちの悪いのでない限りは免除してやるべきものというような解釈で、実は正式の行政処分をしなかつたわけであります。その他の案件でありますが、実は正式の処分にするか、それとも実際上注意を与えるにとどめるかという限界が、非常に面倒でありまして、私のほうの監察官のほうで、その基準を今検討してもらつております。従いまして近くその基準が出ることと思いますが、実はその過去の例を申上げまして大変恐縮でありますけれども、終戦直後から二十五、六年頃までは、建設省のいわゆる幽霊人夫を使つていろいろの経費を浮かしたという事件があつたのでありますが、あれの処置をするにつきましては、君らは過去の分はもう不問に附するから、今後はその代り如何なる理由があろうとも、厳重に処分するからということを、はつきり事前に申渡しまして、それから実行して、お蔭様で現在では全然なくなつたと思つておりますが、今度の場合も実は故意によるものは別でございますけれども、過失によるものがまあ大部分でありまして、而も厳密に言つて行きますと、過失というところまで行くか、或いはその職員の能力がもともとなかつたやつにそういうことをやらしておつたんじやないか、制度としてそういう点も考えなければいけませんし、従いまして現に監察官のほうで処分の基準を正式にきめてくれということを、今検討願つておりますので、それがもう日ならずしてできると思いますから、今後の分につきましては、そういう方針を事前に明示して、徹底的にこういう事態の起らんように一つやつて行かなければならん、かように考えております。
  116. 久保等

    ○久保等君 まあ今やつとその基準について検討しておるということ自体は、私は非常にむしろ怠慢だと思うのです。そうなると、恐らく二十八年度の決算告書の報告は、まだ勿論提出を願つておらないわけですが、二十八年度の私は決算報告の中でも、こういつた事態が出て来るんじやないかと思うのです。そういたしますと、会計検査院では二十八年度の決算報告もすでに私は完了しておると思うのですが、この処分の問題については、全然私の先ほど申上げましたような趣旨からすると、まあ進歩と言うか、改まつたという形跡はまだないんじやないかと推測できるのですが、そういうことでしようか。その点小峰局長にお伺いしたいと思います。
  117. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 二十八年度の検査報告は目下とりまとめ中でありまして、まだできておりませんが、この処分の問題につきましては、なかなか実はむずかしいのでありまして、或る特定の法律できまりました事項につきましては、会計検査院で正式にこれは要求ができるのであります。これは法令違反とか或いはこの具体的な例で申しますと千六百二十九などは、これは若し先ほど申しました免除の法律が出なければ、当然にこれは会計検査院としては処分要求ができる案件であります。これは免除の法律が出て参りましたので、していないわけでありますが、その他の過失による不経済行為というものが、現在の制度では私どもとして法令違反でないものでございますからできない。重大な過失で非常に国に損害を与えた場合というようなものでありますと、又別の法律でできるのでありますが、それに該当するのがそう多くないのであります。実は会計検査院から正式に要求するといつて相談はいたしますが、いつもその段階に、実現に至らないような状態であります。現在の制度で参りますと、検査院から要求し得るというものは非常に少いのであります。各行政庁の取扱いでありますが、これはもうしばしばこの席上でも殆んど毎回御意見が出る通り、誠にこれはどうかと思うくらい甘いのでありまして、建設省ではそれでも比較的従来の先ほどお話が出ました幽霊人夫などによる架空経理に対する処分などは、ほかの役所に比べて随分厳重なのであります。私どもの扱つておるところでは、むしろ建設省が一等厳重だという印象を受けておるわけであります。この不経済過失による不経済工事というものに対しては、従来もありましたが、現在のところ、まだちよつと先ほどのお話でおわかりのように進展を見せておりませんが、その他の架空経理のようなものに対しては、他の省よりもむしろ厳重におやりになつておるということは申上げられると思います。今年はたまたま架空経理事件がなくなりまして出ておりませんので申し上げられませんが、二十六年まではこれは随分厳重な処分をされております。この種の過失による不経済工事というものについても、基準をおきめになつたら、非常に結構だと思いますが、現在のところはまだそこまで行つておりません。
  118. 久保等

    ○久保等君 悪質のそういつた架空経理、前にあつたようた問題が非常に漸減乃至は殆ど皆無に近いという状態なつておるということは、私はその点非常に結構だと思います。その間いろいろ適切な処置を行なつて来た御努力に対しては、私はその労を非常に多とするものでありますが、少くともこの二十七年度の決算報告の中に挙げられておるいろいろな批難事項、この問題についても、少くとも厳重注意というのは、これはいろいろやられることであるが、これは四種類の懲戒処分の中の最低のものにも該当しないわけです。少くとも私は戒告程度の行政処分に値する案件が或いは殆どではないかと実は見受ける。先ほど言われておつたまあ六百万円ばかりの、それこそ役に立たないものに対する修繕料を支払つたというような問題にしても、これは厳重に注意程度では済まない問題だと私は思う。勿論本人そのものに悪質な意図があつたとか何とかいうことは別としても、現実に少くとも六百数十万に上るところの莫大な金額を無駄に、いわばそれこそどぶへ捨てるような形で支出をしたということについては、これは少くとも厳重に責任は追及して然るべきものだと私は思う。そういつたようなものについても、注意を与えたという程度の処置では余りにも甘過ぎるのじやないかという実は気がいたすわけでございますが、そういう問題についても、今部内でも自主的な監査といいますか、監査制度のいわば処分基準といつたようなものを作つておられるそうでありますけれども、是非早急に今後の問題については、私はこういうような種類の問題についても、これは一つ十分に適切な申訳の立つような措置をしてもらいたい。このことを一つ強く希望いたしておきます。
  119. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) 実は今後の処置についての方針をまだ検討中で、遅いという点は誠に申訳ございませんが、実は千六百四十三号も確かこれは特別の恩赦と申しますか、あの法律に該当するケースでございます。従いましてこの点につきましては、先ほど申上げましたように、もう少し事情を調査して、次回に報告させて頂きたいと思いますが、そういうことに相成つております。弁解がましくはなりますけれども、実は最近もほかの省から、ちよつとほかの省の評判を聞きますと、建設省はえらいからいじやないかというようなことも笑い話に聞いたくらいの行政処分をしたような事例も持つております。内容は猿ケ石のダムの建設についてでありますが、予算が不足しておるということを年度末まで気がつかなくて予算措置を遅らかしておつたというケースであります。これらは局長、担当の部長、工事事務所長ら、これらは全部公務員法上の行政処分をいたしております。
  120. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 官庁内部での監督権に基くところの懲戒というようなものは、殆んどこれはなされていないので、厳重注意でごまかされておるような実情なんで、これはどうしても独立の懲戒法というものができるに相違ないと思うのです。衆参ともにそういつた空気が非常に強くなつておるので、そういう懲戒法的な独立法が生れる場合の有力な一つのこれはサンプルになると思うのです、本日の案件のようなものが……。ですから一応これは今日までのところでしようがないので、残念ですが……。そこで如何でしよう。千六百四十三号については官房長のほうから、更に具体的な報告が書面で以てなされるそうでありますから、それを将来我々が審査をしまして、如何にもひどいという場合にはこれはもう活すことにして、この程度で建設省所管にかかる審査を一応質疑を終了したことにしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  122. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 次に、先般局長が御出張で出席せられなかつたために留保となつておる農林省の直轄工事関係の六百号、六百一号の二件を問題に供したいと思います。平川農地局長がお見えですから、六百号、六百一号に関し御質疑の方は御発言を願います。  平川局長に申上げますが、六百号、六百一号はこの前一応いろいろな点を聞きましたが、あなたがお見えにならなかつたので留保になつておつた。何か御説明があれば、質問の前に伺えば便利だと思うのですが。
  123. 平川守

    説明員(平川守君) 前回旅行をいたしておりまして欠席をいたしましたが、御審議の経過はよく伺つております。そのとき係官のほうから御説明を申上げたと思いますが、六百号につきましては、これは当時の事情といたしましては、ダイナマイトの使用につきまして、警察方面が大量の使用ということについて非常に制約をいたしておりましたために、当事者といたしましては、三十箱未満というような少い分量を少しずつ購入するという前提で火薬庫等も作り、その前提で見積りをいたしたのでありますが、併し業者のほうは実際問題として契約そのものは大量の契約をいたしまして、事実検査院の御指摘のように、高い単価で購入をいたしております。この点は誠に遺憾に存じておるところでございまして、この御指摘がありまして以後、二十八年九月以降におきましては改訂をいたしまして、安いほうの単価に切替えて契約をさせるように是正をいたしました。  それから六百一号のほうにつきましては、これも電力使用料の見積りの問題でございますが、当時の事業所の積算の基礎といたしましては、その前年に隣接地区において地区内の他の場所において実際に運転をいたしました実績を根拠にいたしまして、かような積算をいたしたのでありますが、いろいろこの見積につきましては議論もあろうかと思いまするが、ともかくも実際問題として検査院の言われまするように、業者自体も電力使用料についてはこれを節約した使用料で実行をいたしておるのでありまして、この点につきましても誠に遺憾でありまするので検査院の御指摘のように、爾後におきましては電気を官給することにいたしまして、この単価で契約を改める、安い単価で契約を改めるということにいたしておるのであります。ただこれは二十七年の問題でございまして、二十八年に直ちに改訂をいたすのがよかつたかと思うのでありまするけれども、たまたまこの問題が起りまして、検査院から御注意を受けましたのが六月頃でございまして、その後いろいろ検討をいたしまして、こういうふうに改訂すべきだということに決定を見ましたのが、かなり遅れたわけでございまして、二十八年度の仕事は段取りの関係からいたしまして、この大部分の工事が四月から六月の間にすでに完了をいたしておるのであります。そういう関係からいたしまして、時期的に六月分の契約を改訂する時間的の余裕がありませんでしたために、すでに二十八年度分については前の同じ契約の仕方で終了をいたしております。この点も誠に遺憾と存じまするが、そういう事情で二十八年度分は済んでしまつてつたわけであります。二十九年度におきましては、契約の内容を切換えまして、こういう安い単価で新たに契約の方式を変えて実施をいたしておるということに相伐つております。経過を御説明申上げました。
  124. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 六百一号ですが、会計検査院の御指摘を拝見すると、何か大変計算が間違つていたように受取れるし、農林省の御説明を拝見すると、佐伯建設株式会社の最優秀船であり、且つ修理及び消耗修理費のために約一千万円の金が注込んであるので、非常に能率が高かつたというふうに出ているのですが、どうもこいつは食違つているように思うのですが、この点如何ですか。
  125. 永岡光治

    永岡光治君 関連して……。これはこの前指摘したのは立米当りのキロが七・五キロ・ワツトになつておりましたが、それは高いのではないかということで、確かにそうだ、こういうことをこの前認められたわけです。ところが今の局長の説明を聞きますと、これで正しいのだというふうに聞えるのでありますが、非常に私はこの前と違うと思いますが、なぜこの七・五になつたのか、四・五でよかつたんではないかという質問に対して、いや、七百五十馬力のほうの機械を修理したので、その修理費がかかつた、それを電力量で相殺しようというような意味で、こういうことになつたんだと、こういう説明のように私承わつたのですが、検査院説明と大分違うようですが、この点はどうなんですか。
  126. 平川守

    説明員(平川守君) この消費電力量を計算いたします場合に、勿論土質でありますとか、その他の実際に事業を行います場所の状態によつて、大分違つて来るわけなんであります。一応事業所といたしましては、二十六年度に実施をいたしました場所の実績を基礎にいたしまして、一定の算式で以てこの七・五キロというものを算出した。併しそれが新たに行います二十七年度に実施をいたしました事業の場所については、それほどの、七・五キロほどの電力量は要らなかつたということでございまして、これはもつと現場のいろいろな、土質なり、状況を精査いたしまして、正確に算出すべきであつたと思うのであります。その意味におきまして、検査院の言われまするように、事実実績から言つても、消費電力量が少くて済んだというわけでありまするので、この七・五キロの算出の仕方は誤つてつたということが言えるわけでございます。ただその算出の経過におきましては、一応事業所としては前年の実績を基礎にした。たまたまその前年の実績の場所は比較的能率の挙らない場所であつたので、二十七年度の場所については、もつとその実情を精査して算出をすれば、やはり安いほうの単価に見積るべきであつたのだ、こういうことになるわけでございます。そういう意味においてはやはり七・五キロの見積りは誤つてつた、こういうわけでございます。ただ実際問題として工事の請負をいたしました側におきましては、こういうような負担をいたしておりまするので、その事情も考えまして、電力量そのものの算出は誤つてつたけれども、実際の請負のほうではこういう修理費のようなものを代りにかけて能率を挙げているという点を考慮いたしまして、これは止むを得ないもの、併し料金の算出の方法は誤つておりまするから、先ほど申しましたように、今後の契約については改訂をいたすというふうに考えたわけであります。
  127. 岡三郎

    ○岡三郎君 この六百一号ですが、二隻の浚渫船を使つて工事をしたと、七百五十馬力の浚渫船、これは佐伯建設と契約するときに、この七百五十馬力の船はすでに修理が必要であるということがわかつていて契約したのか、その点どうですか。つまり私の言うのは、二隻が無事に工事をしている途中で、七百五十馬力のほうのいわゆる浚渫船が故障ができたのか。契約当時七百五十と一千の二隻の船があつて、そうして七百五十馬力のほうが修理を要する状態にあつたのか。その点一つはつきり答えてもらいたいと思います。
  128. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 七百五十馬力のポンプ浚渫船は農林省の所有でございまして、中古品でございます。それで最初からこれだけの土量をふくためには六百九十九万八千四百円の修理費等が必要である、こういうふうに見ておつたわけであります。ところがそれ以外に業者が能率を挙げるために業者自体の負担において三百六十九万六千五百三十円を業者が投下して能率を挙げた、こういう事実でございます。
  129. 岡三郎

    ○岡三郎君 結局あなたがたが説明しているこの文章によるというと、まあこの七百五十馬力の浚渫船に金がかかつた、つまり三百七十万円に相当する改造費を投じて能率を高めて消費電力量を節減した等により云々、こう言つておりますが、結局この条項で言うと、所要の電力量を過大に見積つて、そうしてこういう経費に充当したということになるわけですね、これは……。その点はそれでよろしいのですか。つまり電力量を片方で過大に見積つて、そうして今言つたような修繕費にそれを転用したというように、これはとられていいわけですか。
  130. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) つまり効率的に見ますと、船の効率があまりよくない、こういう事実でございます。従つて二十六年度の実績から出ました数字を計算方式に当てはめまして計算した数字が、先ほど申上げましたような数字でありまして、それを業者のほうで特別の修理を加えて、効率をよくしたという事実があるわけでございまして、であるから過大見積りしたことが正当であるということは一つも言つていないわけであります。そうした見積りをしたことは、結果的には非常にまずいことでありましたけれども、その修理を加えない状態においては、それだけの……。
  131. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一遍聞きますが、これは会計検査院のほうでもいいが、七百五十馬力の浚渫船は政府の手持というが、そうですが。
  132. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) ええ。
  133. 岡三郎

    ○岡三郎君 ということになると、政府の手持の船を契約した会社に修繕さしているというようなことは、とんでもないと思うが、その点どうですか。政府の手持の船をこれは会社が修繕したのですが、それはおかしくないですか。これはどういうことなんですか。
  134. 平川守

    説明員(平川守君) これはサンドポンプでありますから、部分的には減耗の部分もあるわけでございます。従つて工事をやつておる間において、或いはその当初において中の一部分を取替るということは自然に伴うわけであります。そういう種類のものは初めから見積りをいたしまして、まあ六百九十九万円という見積りをした。そういう意味においてなんですが、ただその直す部分がどこまでということがきちんときまつているわけではございませんので、そういういろいろな部分品のようなもの、消耗品のような減耗する部分とか、そういう関連した部分というものを修理しながら使つておる。修理と言えば修理、いわゆる小修理のようなものでありまして、そういう部分がこちらとしては六百九十九万円と見積つたけれども向うが三百七十万円かけた、それによつて能率は前年の実際の能率よりも上つた、こういうことになつておるのであります。
  135. 岡三郎

    ○岡三郎君 ややこしいね。会計検査院はどうですか。
  136. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これは国有の船を国の工事用に業者に貸しまして、そうしてその修繕費を六百九十九万円でございますか、これをあらかじめ請負代金の中に見積りまして、予定で払つたわけであります。それを実際は千万円もかかつた業者が言つているそうであります。これは私は実は確認する資料を持つていないのであります。こういうやり方は相当ほうぼうで行われております。実はおもしろくないのであります。殊に船のようなものになりますと、何をされるかわからないのであります。国有財産を貸しまして、それを正しい状態で管理してくれるかどうかというようなこともわからなくなる場合がしばしばあるのでありまして、建設省では現在はこういうような場合には、通常かかる維持補修費、修繕費というものが、仮に業者に貸しましても、官側で負担しているのであります。そのほうが正しいわけであります。農林省といたしましては、ずつとこういうような方法でやつているのでありますが、私どもとしてはこれは面白くないということで、たしか御注意申上げているはずでありますが、いずれは建設省のような方法にお変え願つたほうがいいのじやないか、そのほうがはつきりいたしますし、国有財産の管理という面でも、めちやめちやにされたあとで返されても、こういうやり方をしておりますとよくわからない、どつちの責任かわからないというようなことにもなるのであります。  それから電力量でありますが、千馬力及び七百五十馬力のサンドポンプを農林省で、ほうぼうでも使つておりますが、運輸省でも随分使つているのであります。私ども数年前からサンドポンプの場合には電力量を幾らに見るかということが、工事費の大勢を支配するくらい大きな要素になつているわけであります。大体千馬力クラスというと、立米当り二・七というのは、数年前から建設省方面でも批難事項が出ております。私どもとしては、これは常識的に見ているのであります。土質の相違とか、或いは周囲の状況で違うことはございましようが、そう何倍も何倍も違うものじやないのでございまして、大体検査して参りまして、二・七、二台でありますから五・四になります。これよりも少しくらい余計に見ている場合は、常に私どもとしては取上げて検討するということをやつておるわけでありまして、本件も建設省の検査と比較いたしまして、これを取上げたわけであります。これは印旛、手賀沼で、これは或いは御記憶ないかも知れませんが、二十六年度で、印旛、手賀沼の浚渫船をやはり取上げておりまして、二・七ということで、農林省の見方が高いということで批難しているのでありまして、二十八年度ももつと小さい馬力のあれでありますが、非常にとてつもなく高い電力量を見込んでいるようなケースが、農林省方面に残つているのでありまして、こういうのは七百五十から千馬力クラスでしたら、二・七くらいはこれはどこでも実際やつておるのだということをお考え願つても結構じやないかと思います。現にこれは変だというので調べて行きますと、二・七よりももつと少なかつたのであります。五・四となるのが実際は四・五九だつた、こういうのでありまして、それを批難したわけであります。  その後の処理でありますが、二十八年度はこれは全般に工事が終つてしまいまして、丁度私どもが参りましたのが五月の末であります。六月の末には浚渫が終つたわけであります。それで二十九年度はまあ埋合せということになるかも知れませんが、ともかく四・四で、二台で七・五というので契約したのを批難したのですが、二十九年度は四・四の標準に官給するという契約を結んでおります。これは九月だつたと思いますが、結んでおるのでありまして、四・四以上業者が使つても、それは業者の負担だという、相当業者につらい、きつい契約でありますが、これは恐らく実績もおわかりになつたし、又非常に高いものをお払いになつているので、埋合せの点もあるかわかりませんが、二十九年度は相当きつい契約を結んでおられます。うつかりすると業者は足を出します。そういうような状態なつております。
  137. 岡三郎

    ○岡三郎君 今話を聞いてよくわかつたのですが、どうもやり方自体もややこしいと思うのです。もうちよつと簡明直截にわかるようにして、そうして出して来れば、どこが悪かつたかということが簡単にわかるようになつていれば、誰もそういうことは余りやらないようになるのだろうけれども、こういうへんちくりんな計算で、手持の船を、金をどれだけ見積つて修繕さして、そうしてそれに効率が上つたとか上らなかつたとか言つても、ややこしくて話にならんと思う。こういうやり方をやはり改めて、そうして私はやる必要があると、この事件では思うのです。このことはだから我々がこう見て、よく政府の説明書も読んで見ないというと、はつきりしないようなやり方、これは誰か頭のいい人がこういうふうにひねくり廻してやつているのか知れませんが、これは一つこのやり方を改めてもらわなければならんと思う。それだけ言つておきまする
  138. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今の六百一号ですが、結局七百五十馬力の浚渫船に七百万円の金をつけて請負者に渡して、三百七十万円余計かかつたというので、三百万円近く余計払つた、こういうふうに読めるのですが、そうですが。
  139. 平川守

    説明員(平川守君) 結果においてはそういうことになつたわけであります。
  140. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 もう一つ私申上げたいが、六百一号の農林省の説明、今、岡委員からもお話がありましたが、非常にややこしい書き方で、迷文——迷い文と言わなければならないと私は思いますが、この改造したことによつて消費電力量を節約したことによつて会計検査院指摘通りなつた。何か電力量が消費されたのは非常に悪いことのようにとれるように書いてあるわけです。もつとはつきり書けば、修理費を七百万円使つた業者が三百七十万円出した、消費電力がその結果節約になる。その通りとすればよかつたけれども、計算が間違つたために、会計検査院指摘通りなつて相済まん。もつと我々事情がわからんものが見ても、すつと読めばわかるように、お互いに能率を増進する上において、もつと説明をはつきり書いてもらわんと、わけがわからん。だんだん今聞いていて、そういうことだつたかということで、説明にならん。今後十分御注意頂きたいのと、それからもう一つ、小峰局長からお話がありましたが、金をつけて業者にやらして、業者に一部費用を持たしてやらすということはよくないし、今まで非常にラフな計算をしておつたから、今後は四・四でやる、まるでできない安いもので請負わすということも、官庁のやり方としては間違つておると思います。その辺はもう少し妥当公正なやり方をお願いしたいということを、特に強くこの機会に要望いたします。
  141. 山田節男

    ○山田節男君 六百号の工業用のダイナマイトの価格の問題について、先ほど局長から説明がありましたが、農林省はこういう工事は全国的に相当の量をやつておられるのですから、工事用のダイナマイトも年間相当の量を使用されることは、もう大体予想がつくわけですね。それから例えばセメントもそうでありますが、大体年間の予想の工事量から見て、この場合で言えば、工事用ダイナマイトはどのくらい要るかということになれば、やはり請負者に請負わす場合においても、請負者から言えば、うまみがなくなるということを言うかも知れませんが、少くともこういつたような相当全国的に使うものは、やはり農林省として直接或る程度の公定価、或いは公定価以下のものでも大量に購入されておいて、そうして今度請負わすときには、その原価でやらしめるというようにされるほうがいいのじやないか。この場合はこういう地区で特に治安上その他で保管する倉庫がないために、わざわざ三十箱以下を買つて高い値段で買つたということを言うのですが、これは一遍買つておけば、その都度輸送すればいいのですから、こういうことをもつと経済的に考える余地があるのじやないか。これは工事用のダイナマイトの問題でここに挙げられておるのでありますが、例えばセメント或いは鉄材にしても、私は然りだろうと思う。殊にセメントあたりはどつちかというと、請負者のうまみとか何とかいうものは、得てこういうものに主眼を置くのです。ですからこういう点について、現在の会計法規上、例えば工事用のダイナマイトは年間何万箱要るという予想がつけば、それを製造元と契約して、そうして要るものだけを請負者をして使わしめる、こういうようなやり方はできないのですか。
  142. 平川守

    説明員(平川守君) これもなかなか一利一害がございまして、殊に火薬のようなものになりますと、官給をいたす場合には、業者のほうが濫費する傾向があるわけです。濫費と申しますと、できるだけ人夫の働く部分を少くして、火薬を使う部分を多くしてしまうというような傾向もあるわけでございます。火薬については特にその問題があるようです。セメントにつきましては一部官給いたしております。全部ではございませんけれども、一部官のほうで買いまして業者に与えておるというやり方もとつてみております。ものにもより、又工事の種類にもよるかと思いまするが、その問題は、できるだけ要するに安上りに、国費を節約するような方法にしたいということで、いろいろ研究をいたしておりますが、只今のところセメントについては或る程度実行できる。火薬についてはどうもその点はマイナスの面が多いのじやなかろうかということに一応考えております。
  143. 山田節男

    ○山田節男君 例えばこの六百号の場合で言えば、これだけの大工事であつて、少くとも千三百箱要るというようなことがもうはつきわしているのですから、請負うときにこうした三十箱以下の高い値段で買わなくても、千三百個なら千三百個の契約をしておいて、持出す場合には、それはこのスペースがあるだけしか使えないのですから、個別的にいえば、この場合千三百というものを、こういう馬鹿な三十個以下の高い小売値段で買うということが、如何に政府とはいつても余り非コンマーシャルだと言うのです。こういう点は是正できるのでしようと言うのです。
  144. 平川守

    説明員(平川守君) これはもうこのケースは明らかに間違いでございまして、先ほど申しましたような警察の関係等を過度に、而も間違つてこういう契約にいたしたわけでありまして、この場合はもう明らかに間違いでございます。従いましてこういうやり方をいたしたといたしましても、単価は五十箱以上の購入の場合の単価でやるべきであつたというふうに考えております。併し更にその購入の方法につきまして、御説のようなことも考えられるわけでございます。政府が一括購入して一定の限度において交付する、こういうことも考えられるわけでありましてただ今までの実際事業所で業者と交渉いたして実施をいたしておる実績から申しますと、火薬についてはそういう契約の仕方が案外火薬を余計使う傾向がある。そのために実際問題として総工費が安くならないという心配があるということでございまして、いずれにいたしましても、この場合につきましては当然その単価を安いほうの単価で見るべきであるというふうに考えております。
  145. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 山田さん、いいですか……。  それでは六百号、六百一号についての審査はこの辺で終了したいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  147. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは次に農林、建設運輸三省の補助金関係批難事項、農林省の六百二号から千四百九十四号、建設省の千六百四十七号から千七百七十六号、運輸省の千五百二十一号から千五百八十六号を議題といたします。  補助金関係につきましては御承知の通り、前国会において特に小委員会を設けて詳細に検討を加えたところでありますが、不当事項の防止対策についてはそれぞれ本委員会として結論をまとめ、内閣に対し注意を換起した次第もありまするので、本日は単にその後の改善状況等について先ず検査院から説明を願いたいと思います。
  148. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 二十七年度の補助工事検査結果につきましては、件別に詳細この報告書に掲載してございます。昨年、今委員長仰せの通り委員会を特にお設けになりまして、補助事業の全般について慎重な御審議の上で結論をお出しになりまして内閣へお出しになつたわけであります。個別案件につきましては御審議がなかつたのでありますので、本報告書に全部挙げまして詳細にしてございます。それから代表的な事案につきましても文書で詳細御報告してございますので御覧願いたいと思うのであります。  本年度は昨年度の検査結果に鑑みまして、やはり事後検査と申しますか、工事のできたあとを一通り主なところを廻りまして検査をしたわけでありますが、総件数におきましては昨年よりも特に減少しているという傾向は見られないかと思いますが、個々の県ごとに、府県ごとに見ますと昨年あたりよりも格段のよさを示しているという府県が若干殖えておるのであります。補助工事は事業主体が、殊に農林関係の補助工事になりますと非常に小さいのでありますが、これの指導監督は府県或いは農林省でおやりになる。それから建設関係につきましても、やはり府県なり各本省がおやりになるわけでありますが、こういう面の、特に府県の指導監督というのが数年来検査院でいろいろ問題を国会に御報告しておるせいもあるかと思いますが、逐次行き届きつつある、勿論たくさんよくなつたとはまだ申上げる段階になつておりませんが、そういう点で改善されつつあるということは御報告できると思うのであります。  それから、この工事の実施についての指導監督という点で、只今申上げたのでありますが、もう一つこの不当工事を防止する大きな途は査定の厳正ということであります。これは農林省なり建設省なりで災害災害以外の関係も批難しておりますが、主としてこれは災害復旧の問題がいろいろ問題になるのが多いのでありますが、この査定という点を厳正にやつてもらうということが不当工事防止の一つの大きな途なのでありますが、この点につきましては、建設関係では昨年のあの大災害、非常に件数も多かつたのでありますが、約八割方実地査定をしておる、とかく実地を見ないで机の上で査定をされるというものに問題が多いのでありまして、この机上査定を非常に努力されたと思いますが、ともかくも二割方に減少している。従来は実地査定が四割以下だつたのであります。机上査定が六割以上というようなのが実際だつたのでありますが、逆に実地査定を八割もおやりになるというようなことで、かなり大きな成果をお挙げになつておるように見られるのであります。それから農林省関係ではこれが逆でありまして、依然として机上査定が八割、実地査定が二割、こういう状態であります。農林省関係建設省に比べますと、工事の数は多いのでありますが、この実地査定が二割で停滞しているという点は、一つ何とか、これは将来のためには是非改善願わなければいけない点ではないかと、こう思うのであります。  従来の同様の事後検査工事ができ上りましてからあとの検査につきましては、大体その程度で御報告を終りますが、従来の事後検査の結果に鑑みまして、毎年々々千件だ、二千件だというのがこの検査報告に挙るわけでありますが、どうしても工事ができてからあとで検査して廻つても駄目だ、できれば工事実施中、或いは更に一歩進めて工事に着手する前に一廻りするほうが効果的じやないだろうか、こういうことが従来の検査結果で我々は痛感していたわけであります。たまたま昨年あの大災害、而も特別立法が出まして、国庫負担最低九割、ものによつては全額国庫負担というようなことになりましたが、予算配賦を終りまして、支出段階に入つたのが昨年の十二月からでありますが、私どもといたしましては一月から四月にかけまして、従来やつたことのなかつた事前の調査というものを今年はやつてみたのであります。そういたしますと、もうこれは実に驚いたのでありますが、件数はもう一万件以上、私どもとしては約二万件というものを取上げたのでありますが、金額にいたしまして農林省で八十数億、それから建設省で二十数億、運輸省でも若干出ましたが、ともかく全部合計いたしますと、百十億からのものが、或いは建設、農林両方から二重の査定を受けている、或いは設計が水増しになつて過大設計になつている。こういうような事実。それからもう一つ過度の便乗。災害復旧というのは御承知のように原形復旧を建前といたしますが、現在では原形復旧という問題は相当な例外が認められて崩れているのでありますが、現在の、まあ崩れたというとちよつと変でありますが、原形復旧の程度を相当超過した限度までは現在取上げているのでありますが、その現在の限度から見ても著しくこれは便乗じやないだろうかというものも相当多かつたのであります。今の農林、建設両省の二重査定を受けたとか、それから過度の便乗、それから設計の水増しと、大体この三つに分けられるのでありますが、これが農林、建設運輸運輸省は僅かでありますが、通じまして、百十億から出たというので実は驚いたのであります。これはいずれ極く簡単にまとめまして二十八年度の検査報告に掲載するつもりでおりますが、そういうことになつております。従来は事後に、工事ができ上りましてからあとにばかり参りますので、非常にひどい便乗だと思いましても、なかなかそれを便乗として我々が取上げて、全額返還を願うというような強い態度に実は出られなかつたのであります。それで、年々検査報告には数では千件だ二千件だと申しますが、昨年度のあれで申しますと、九億円余りしか会計検査院検査報告に補助金でいたしますと指摘していないのでありますが、それが事前に歩きますと、百億円以上のものが直せる。あらかじめ不当工事の防止になるという大きな教訓を得た次第でありまして、今年は一月から四月までは大体その方向に全力を挙げまして、四月から九月まで従来の事後検査ということをやつたわけであります。事前の調査をやりしましたせいか、事後検査のほうでは、従来のように全体で十億も検査報告に上げるというようなことはなくなると思います。全額においては相当減少する見込みでおりますが、現在のところ検査報告を取まとめ中でございます。御質問がありましたらお答えいたします。
  149. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それではその後の改善状況についてお伺いしたいと思います。農地局長から伺いましよう。
  150. 平川守

    説明員(平川守君) この二十七年度の補助事業に対する検査院からの指摘せられました事項につきましては、それぞれ工事の不十分なものにつきましては工事の手直しをさせる、或いは補助金の返還を命ずるというような措置を取りまして、これを全部是正することにいたしております。  なお、今後こういうような事態が起らないようにこれを防止する問題につきましては、只今検査院のほうからお話のありましたような査定そのもののときに、現地調査を十分にやるということが第一のように考えられるのでありますが、これにつきましては、人員、或いは災害という事柄の性質上非常に急ぐというような関係で、なかなか一〇〇%に至るには困難も伴うと思いまするが、そういうことを補足いたしますために、従来の災害復旧事業に対して再査定をいたしまして、そのときには或る程度緊急を要しまするために概括的な決定をいたしておきまして、事後に再査定をするということによつて、計画の、設計の過大なり、或いは便乗というようなことを防いで参りたいということで、今年も再査定を大分やりまして、それによつて計画を是正するようにいたしております。  なお、今後の問題といたしましては、更に或いはいろいろな人間を一時的に集約的に使うというような方法も考えられるかと思います。  それらの全体的なやり方についてはなお検討を続けております。それからなお、県自体から出て参りますものについて県がむやみに不当な要求をして来ないというようにいたしますために、先般の国会で災害の補助に関する法律の改正をいたしまして、知事に全面的責任を負わせる。で、農林省としては中央からはその知事の責任を以て申請して来るものに対して補助をいたすというような、責任の態勢をはつきりさせるという改正をいたしました。  今後なお、査定そのもの、或いは更に工事の段階につきましての改善につきましては一層研究を続けまして、具体的に予算人員等の関係も絡みますので、一挙に完璧を期しがたいかと思いますけれども、でき得る限り改善をいたして参りたい、かように考えております。
  151. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 水産庁から伺いましようか。
  152. 清井正

    説明員(清井正君) 私のほうの関係で問題として御批難を受けましたのは漁港の災害復旧であります。件数にして七十三件、対象となりました補助費が全体で約四千万円程度のものでございましたが、問題となりました事項といたしましては、大体農業の方面と同様でありまして、出来高の不足でありますとか、或いは事業主体の負担の不足であるとか、或いは設計の過大であるとかいうような問題でございまして、それぞれの事項につきまして、私ども例えば設計過大等につきましては手直しを命じたり、或いは余分の分についての補助金の還付を命じたり、或いは継続工事につきましては、余分の分を翌年度の補助金から減額をするというような方法を講じまして手直し、還付、翌年度の補助金より減額するというような措置をそれぞれ講じまして、現在に至つておるのであります。御承知の通り災害復旧でございますので、いろいろな問題がそこに絡みまして、特に非常に急にこれを災害復旧しなければならんというようなことは、事実私どもといたしましては、そういう際であるからこそ、余計補助金を出すときには注意しなければならんということで、現に只今検査院のほうから御指摘がありました通り、できるだけ災害工事の査定に当りましては、職員現地に派遣をいたしておるのであります。本年度におきましても、各地方に派遣をいたしております。私のほうでも手不足ではございますが、できるだけ現地に行きまして、無論これは直接には県がやることでございますけれども、私どもといたしましては、補助金交付の責任上できるだけ現地をよく見る。それから設計が出て参りましても、できるだけこれを現地に当つてみるということに努めて来ておるのであります。ただ残念ながら全部についてこれを見るということができませんので、誠に恐縮ではございますが、なお、私どもといたしましてはできるだけ自信を以て査定ができるように、現地の事前の視察、或いは工事を始めてからの、工事経過中の監督のための検査の実際上の実施ということに、従来も努めて来たつもりでありますが、今後もなお努めて参りたいと思つておるのであります。すでに二十八年度のものにつきまして例を申上げますと、大体災害につきましては八割程度は実地査定を行なつております。できるだけ全部実地の査定を行いたいというようにやつております。机上査定をいたしましたものにつきましては、更に再査定を行うというように、只今検査院からの御指摘がありました通り実地に行つてみるということを主眼といたしておるのでありまして、又先般こういうようなふうに事項が多いことにつきまして直接の事業主体である県、或いは市町村に対して適切に事業を執行できるようにという通牒等も発し、或いは個々に各県の責任者が来る場合に、常に災害復旧費につきまして検査院の批難を受けることにつきましても、十分係官とも話合をいたして、遺憾のないように注意をいたして来ておるのであります。私どもといたしましては、今後こういうようなことにつきまして、できるだけ万全を期するように各方面の御意見も聞き、私どもといたしましても、できるだけのことをいたしまして、万全を期してやりたいと存ずる次第でございます。
  153. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 林野庁から伺いましよう。
  154. 藤村重任

    説明員(藤村重任君) 林野庁の林道に関する関係といたしまして、会計検査院の御指摘を受けましたものは、二十七年度の関係として九十六件、その国費が四千八百万円程度ございます。  その中で青森県の七件につきましては、積雪の関係等の関係がございまして調査をその後続行して参つたわけでございますので、この機会にその後の調査いたしまして、処理をいたしました結果を御報告を申上げたいと思います。青森の林道関係の御指摘を受けましたものは七件でございまして、そのうち補助工事から控除すべき額として検査院のほうから約千五百万円を指摘されたのでございます。雪がとけまして以来、係官が現地に参りまして、詳細に指摘されました内容につきまして詳しく調査をいたして参つたわけでございますが、中を検討いたしますと、誠に遺憾な申訳ないことでございますけれども、疎漏工事、或いは出来高不足等のものが認められましたので、それぞれ検査院の御意見等もお聞きしながら、その手直し或いは補強、補足の工事を実行さして参つたのであります。そういたしまして、第一次におきましては約九百九十万円、第二次といたしまして四百四十万円程度の手直し工事を現在まで行わせまして、一応完了いたしたのであります。それで検査院のほうから御指摘を受けましたものと、その後手直し等を実行いたされまして完了いたさせましたものの差額につきましては、正確な金額は検査院のほうと御連絡いたしまして決定いたしますが、本年度中にそれの返還をさせることに相成つておると存ずるのであります。以上はその後調査中の青森県の林道七件についての御報告を申上げた次第であります。  特に災害につきましては、先ほども農地局或いは水産庁からお話がございましたが、特に過年度災害の再査定を努めて実行いたしたいということで、現在まで過年度災害につきましては約四〇%の再査定を実行いたしまして、そのうち現地査定は三五%程度進めております。年度内には再査定は七〇%程度実行が済む予定を以て進めておる次第でありまして、現在災害復旧の進度は、二十八年度災害が非常に大きくございましたので、それを除きますと、本年度内に約九九%は完成する予定でございますし、二十八年度災害が約四〇%の進捗をみる予定でございますので、これの実行等につきましては、いろいろの御意見或いは御審議の結果等をよく反省いたしまして、特に中間検査励行いたしまして、出来高不足、或いはその中に変更すべきものが、設計変更等をしないでやるということがないように、中間において不当事項の起らないように努めていきたいと存じておる次第でございます。  なお、全般的には事業の施行主体の決定、或いはその内容等につきまして、更に監督指導を厳にいたしまして、遺憾のないようにしたい、かように存じておるのであります。
  155. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 建設省から伺いましよう。
  156. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 公共土木災害工事におきまして、毎年当委員会で御審議を煩わしましたにもかかわらず、本年も、二十七年度におきましても、百六十四件という多数の案件を出しましたことを誠に遺憾に存する次第でございます。  只今縷々農林省関係のかたからお話がございましたと同様な考えでございますが、御指摘になりました事項の中に、仮空工事或いは設計過大、こういつた査定当時における問題があるわけでございます。この問題につきましては、要するに現地における査定が十分にいかないということを我々といたしましても痛感いたしまして、昭和二十八年災から、先ほど会計検査院小峰局長からお話のありましたように、八割まで実地検査して、残りの二割程度しか現在のところ机上査定をいたしていないという実情でございますので、この点についての欠陥は漸次改善して参ることと思つておるわけでございます。特に二十七年度は関係ございませんが、二十九年度災害につきまして、先ほど小峰局長から関連して御説明がありました二十八年災における事前検査の御意見等にも鑑みまして、早急に設計を作らせることは査定にも不十分でございますし、又間違いのもとでもございますので、災害がありましてから、府県とか地元の技術者が十分入念な設計ができたあとで、災害査定ができますように、若干査定の時期をずらしております。これは一面から申しますと、災害復旧費の支出が遅れる原因ともなるわけでございます。これは一方三割程度の査定を以て一応補助金の要求の根拠とする、こういう措置を講じまして、その点の欠陥は是正いたしておりますが、ともかくも査定の時期を若干遅らすということも、こういつたような査定当初における間違いをなくする一つの方法でございますので、本年度においては、この点を実行しておるわけでございます。  なお、我々といたしましては、すべての災害実地査定のみにいたしたいというような考え方にいたしまして、明年度におきましても、査定官の増員を要求いたしたい、かように考えておるわけでございます。  次に出来高不足工事、疎漏工事等、工事段階での問題があるわけでございます。これは監督の問題でございます。府県といたしましても、第一次に建設省の委任を受けまして監督いたしておるわけでございます。県の職員の手不足もございまして、十分の監督ができないために、かような事態に相成つているかと思うのでございます。本省といたしましても、中間段階における検査はもとより、竣工いたしましたときの検査も、会計検査院検査以前において、当然建設省がやるべきものと思うのでございます。こういつた査定とか検査に参ります人員不足のために、従来は十分に参りませんことを誠に遺憾に存じておるわけでございます。これは災害復旧工事に限りませず、その他の補助工事との関連もございますので、何らかの形で府県の補助土木工事に対する監督機構を強化してはどうかということで、一つ明年度から新規な構想を持つて臨みたいということで、来年度予算には要求したような実情でございます。なお、これは二十七年当初におきましては、御承知の通り災害復旧法がいろいろと変りましたので、地元の者の思惑違いもございまして、又曾つては原形復旧主義でございましたのが、或る程度の超過工事は認められるというふうな制度になりましたので、そのために地元の町村のほうの思い違いの点もあつたかと思うのでございます。でこういう点は私どもとしましても府県及び町村の当局に対しまして十分注意を喚起いたし、超過の程度が過度に失しまして、改良費を以て支弁すべき工費を災害復旧費に便乗することのないように今後とも十分注意をして参りたいと存じております。  なお先ほど会計検査院の御指摘のありました二十八年災に関連する問題でございます。府県等を廻つてみましても、こういつた間違いがあつてはいけないということを十分注意してはおるようでございまして、第一次監督者の県といたしましても、町村からの査定書類が出て参ります場合に、最近では十分事前に検査をするような風潮になつて参つておりますので、こういつた不正不当事項はできる限り早くなくなるように努力して参りたいと考えておる次第でございます。御了承願いたいと思います。
  157. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 最後に運輸省から伺います。坂本港湾局建設課長。
  158. 坂本信雄

    説明員坂本信雄君) 港湾関係の補助事業の実施の当を得ないものにつきまして、行政監督の立場から是正又は防止に極が努めて来たのでございますが、昭和二十七年度におきましても又会計検査院から多数の御指摘を受けて誠に申訳ないと存じます。御指摘事項はすべて御指摘通りでございまして、その内容を調査いたしました結果は、設計の過大、或いは工事の疎漏、出来高の不足というようなことで、それぞれ補助金の還付或いは手直し工事をやることにいたした次第でございます。  所管省としましてこれの対策でございますが、先般会計検査院からいろいろ御意見の表示がございまして、私どももその意見を尊重しまして、いろいろ検討しました結果、次に申上げますような対策をきめまして、処理を現在進めておる次第でございます。  第一は昭和二十八年以前の全災害につきまして、今年八月までに全面的に再査定を行いまして、不要不急の工事の整理、工法が適切を欠いたものの修正というようなことをいたしまして、災害の純化を図つて、事業費の縮小を図りました次第でございます。その縮小額は約三十億になります。  第二に公共事業の実施に当りまして、予算の効率的な執行を行つたり、実施の適正を期するためは、年度の途中におきまして中間検査をやることが最も効果的であると思うのでありますが、従来予算関係に制約されましてなかなか十分とは行きかねておりましたので、今年度から従来以上にこれを励行して行きたいと考えております。  第三に市町村工事において事業主体が自分の負担を免がれようとする傾向があるのでありますが、これは非常に重大なことでありまして、これに対しては本省としても従来よりもつと厳正な態度を以て臨むことにするのは勿論でございますが、一方都道府県に対しましてもつと市町村に対する監督を厳重にしまして、こういうことのないように必要な指導をさせる。又止むを得ない場合には賦役とか現品によつて負担をさせるというような方法をとらせるように、先般都道府県の関係主管課長会議を開きまして指示したところでございます。  第四に工事の出来高不足を防止するために、不誠実な請負業者を排除するということを強力に指示しております。それから工事が竣工しました場合には、地方公共団体の職員から知事へ復命書が出ておるのでありますが、この復命書が従来形式的に流れていた形跡がありますので、今後は出来高検査、竣工検査というものをもつと詳細にやることにいたすように、都道府県にやはりこの前の会議で指示した次第でございます。  それから第五に災害法規の不備な点につきまして研究及び改正が考えられるのでございますが、この点につきましては各省で目下協議検討中でございますが、まだ結論に達していない状況でございます。  第六に災害査定の場合には、最初に査定設計をするのでございますが、いよいよ工事を実施する場合には現地を十分精査いたしまして、実施設計を立てることになつております。で、従来ややもしますとこの実地精査が十分に行われないで、査定設計のままで実施する傾向がございますので、これをもつと精細に実施設計を立てるということが不当の工事をなくする一つの要素だと考えまして、こういうことをやはり指示した次第でございます。  第七に査定官の教育訓練は勿論始終やつておる次第でございますが、成るべく実地検査に当りましては机上査定をやらないようにやつておりまして、二十八年度以降の査定においては実地査定が八〇%ぐらいになつております。従来よりは大分殖えておる次第でございます。  以上のような処置をとつておりまするが、今後とも私ども戒心いたしまして、不当事項のより少くなるように努めたいと考えております。
  159. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 本委員会の内閣に対する注意関係について三省からそれぞれ改善上の抱負を伺つたのですが、それらの今お述べになられた抱負が実行せられることを本委員会では期待をしまして、農林、建設運輸三省間の補助金不当事項についての審査はこれを以て一応終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  160. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 補助金関係の不当事実のあつた事業主体に対する制裁を法制化することに関しての何らかの参考資料がございましたら、会計検査院運輸、農林、建設の各省に御提出を願いたいと思います。
  161. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 如何でしよう。今八木委員のおつしやるような資料の御用意がありましようかな。小峰局長、如何ですか。
  162. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 只今の資料の要求でございますが、これにつきましては大蔵省でいろいろ調査をされまして、前国会に適正化に関する法律というのを衆議院にお出しいたしまして継続審議になつております。で、その辺で資料として御覧をお願いできないでしようか。私どものほうとしては特に今御要求のような資料を整理するというのはちよつと困難ではないかと思います。
  163. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 他の省如何でしよう。
  164. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 如何でしよう、平川局長。
  165. 平川守

    説明員(平川守君) 只今お話のありましたように大蔵省のほうで殊に災害関係に関連いたしますそういう法案を提出しておるのでありますが、或いはそれに関連していろいろ御質問にお答えする。或いは特にこういう資料という何がありますれば一応それを御検討願つた上で更に詳細なものを出すようにすれば……。
  166. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  167. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 速記を起して。
  168. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 大蔵省ですでに衆議院に法案を提出せられておられるのでしたら、いろいろ研究しておられることでしようから、それに関連する参考資料を大蔵省のほうから事務当局でお取り下さらんことをお願いいたします。
  169. 小林亦治

    委員長小林亦治君) わかりました。
  170. 山田節男

    ○山田節男君 この補助金の問題については別個に小委員会で詳細に審議したわけでありますが、先ほど会計検査院からの報告を受けておりますが、この農林省のほうは依然として八割は机上査定だ。建設省のほうは次第にその点が改善されつつある。主として農林省関係ですが、これは人員、予算に制約されておるということも勿論、私はこれは監督不行届が大きな原因になつておると思いますが、併し会計検査院の報告を受けると、事前検査を本年度やつてみると約八十億円に達する不当といいますか、注意すべきものがある。こういう事態がある。補助金制度を廃止すればいざ知らず、補助金制度がある限りにおいて農林省のようなこういう予算の支出が非常に非効率に使われるということについては、これはやはり内閣全体、政府全体でも注意を喚起するにいたしましても、農林省に対しては特にこの点を本委員会として、補助金の要請については、ただ予算が足りない、人員が足りないということではいけないと思います。大臣の責任において予算措置もしなくちやならんし、従つて定員の問題にも融れて、かような補助金制度がもう政治道徳の頽廃、あらゆる分野にこれは響く、単なる国損だけで我々には考えるべきものじやないだろうと思います。ですからこの点は一つ内閣に注意されると同時に、願わくば農林大臣くらい出てもらつて一つ厳重な……、これに予算措置が要るならば本決算委員会として次年度の予算についてはこれは国会としてもこういう方面を何かの意味で援助するということくらい一つ意見をまとめて頂いて、是非一番立ち遅れておる現状にある農林省の予算執行に対して一つ何かの意思表示を本委員会としてして頂くようにお願いいたしたいと思います。
  171. 永岡光治

    永岡光治君 本委員会としての意思表示をすることは賛成でありますが、その際特に私やはり只今事務当局からのいろいろの抱負を承わつたわけですが、勿論これは事務当局だから軽視するとかいう考えでは毛頭ありませんが、やはり重要な問題ですし、先般は本委員会の意思もすでに政府に出しておることですから、私は内閣の責任者である緒方副総理がその際出て十分誠意のある具体的な……、只今山田委員からも言われたような方法で、是非ここで披瀝してもらうようにお取計らいして下さらんことを提案いたします。
  172. 小林亦治

    委員長小林亦治君) その点は二十七年度審査の採決の場合には、従来もそうであつたように、特に政府の代表者を呼んで念を押すと同時に、なおそれらの案が固まつたものがありますならばそれらの陳述を求める、それから緑風会その他の会派で独立に考えておる案は若干あるかも知れません。そういうものを全部総合して集めて、八木委員御発言のように我々のほうでもそれに即応したものを考えて行く方法もある、御趣旨通りに運ぶようにいたしたいと存じます。  それでは農林、建設運輸三省関係の補助金不当事項についての審査はこれを以て一応終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。  本日はこれを以て散会します。    午後二時五十七分散会