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説明員(小峰保栄君)
只今専門員から詳細な御
説明がありましたが、私から少し補足さして頂きます。建設省の掲載
事項の冒頭に書いてある
事項でありまするが、これはそれぞれの中のところで御
説明をいたします。
先ず第一に九百六十五号以下の直轄工事の経理でありますが、これは前年度に非常に大きな問題になりまして、いわゆる幽霊人夫、或いは幽霊材料というようなもので、使いもしない、買いもしない材料代、こういうもので予算を
現金化いたしまして、現なまで工事
関係者が手許に持
つて、それを右から左に工事代とか或いは人夫賃とか、或いはほかのものに使うとい
つたことが問題に
なつたわけでありますが、当
委員会でも特に小
委員会をお設けになりまして、これの詳細な御
審議を仰いだわけであります。前年度はここにも書いております
通り、四億四千七百万円という大金が、今のような
会計法規も何にもまるつ切り無視しまして、幽霊人夫などで嘘の経理をや
つてお
つたということがはつきりいたしまして、私
どもびつくりしたのであります。その後幸いに
当局の非常な熱心な御努力もありまして、これが傾向として、そういうことを平気でやるという傾向は
全国から一掃されたのであります。この二十六年度は私
どもも二十五年度に引続きましてこのものを一掃することに重点をおいて
検査したのでありますが、いい塩梅にだんだんとこれが影をひそめまして、二十六年度の
検査報告を作りますときにはここに十八カ所、十八工事事務所で、総計三千五百八十七万円という、今の幽霊経理を見つけたのでありますが、前年度の四億四千七百万円が
金額におきましても三千五百万円ばかりということに減
つたわけであります。それでまだ三千五百万円あるということは甚だよろしくないというのでありますが、当時前年度におきましては四億数千万円という金が動いたばかりでなく、私
ども検査に参りましたときに、各工事事務所などを、合計いたしますと、三千六百万円ぐらいの大金がまだ
現金がそのまま残
つていたのでありますが、これを私
どもがやかましく言わなければ、右から左に使うはずであ
つたのでありますが、これを全部歳入に入れるなり、正当の処置をいたしまして、二十六年度では
年間を通じて見ますと、今の十七、八の工事事務所で三千五百数十万円というものが動きましたが、
検査当時
現金を見たのは僅かにここにございますように二千六百十一円、こういう金だ
つたのでございます。これは取りも直さず
検査で参りましたときは、従来はこういう悪いことをや
つておりましたが、
検査で行きましたときにもうやめてしま
つていたという
一つの証拠になるのであります。二千六百十一円は十八カ所の事務所のうちた
つた一カ所でありまして、あとの十七カ所というのはもう零に
なつていたのであります。私
どもも
検査の効果の上
つたということで、実は非常に喜んだ次第でありまして、その後はこういう違法の経理というものは、突発的にはこれは出るかも知れませんが、傾向的にこういうことを平気でやるというような悪い経理ぶりは
全国から一掃されたわけであります。ここに出ましたのは、結局前年の引続きの尻尾と申しますか、最後に残
つたものがここに上
つた。それが総計三千五百万円、こういうことになるわけであります。
それから九百七十四号以下の機械の管理に関する案件でありますが、私
ども二十六年の夏まで、先ほ
ども申上げました架空経理ということを何とか早く
全国から一掃しようということで、これに全力を挙げて
検査に重点をおいてお
つたわけであります。幸いに夏頃になりますと、すでにそういう傾向もなく
なつて来た、こういうので若干の余力ができましたので当時もうすでに終戦直後からずつと建設省が土木の機械化施工ということで、従来人力でや
つてお
つたものを機械に置き換えるということをずつとや
つておられたのでありますが、この機械の管理というようなことについて、ぽつぽつと妙なことも目について参りましたので、機械の管理、購入管理、こういうようなことについて少し重点的に
検査して見ようということで、これは二十六年の秋に廻れるだけ
地方を廻
つた結果が、ここにまとま
つたわけであります。随分古い時代から終戦後ずつとや
つておりましたことで、
相当に悪いことがたくさんあ
つたのでありますが、何分にも古いことも多うございますしいたしますので、大体割愛いたしまして、ここに上げましたものはその特に顕著なものだけを七、八件書いたわけであります。先ほど御紹介がありましたような要りもしないものを製作さしたり、又修理しておる。使う見込のないものを修理したり或いは中には使わないものを購入したというような事案もございますが、大体同じような種類のものが多いのであります。そのうちで九百七十五号でありますが、これが全体を通じて一番大きな案件なのであります。これは先ほど
相当詳細に
専門員から御
説明がございましたが、結局九州の福岡県でありますが、遠賀川の工事事務所で浚渫船が一台ほしい、こういうことで本省に要求があ
つたわけであります。ところが本省でその要求に応じて七百万円を出して一隻買
つたのでありますが、遠賀川事務所では蒸汽式のものをほしい、こういう要求をしたのであります。ところが本省で買
つてしま
つたのは電動式のもの、こういうので遠賀川はそういうものは要らないというので断
つて来たのであります。同じ九州内ではありますが、
鹿児島県にございます川内の工事事務所に送
つてしま
つたわけであります。川内の工事事務所の意向は余り聞いていなか
つたのでありますが、送
つてみますと、向うではこの浚渫船を使
つて掘鑿工事をすることは予定していなか
つた、こういうので折角送
つて来ましたが、試運転を実施しただけで今度は又わざわざ利根川に送
つて来た。ここで三百十五万円という無駄な運送賃とか余計な解体をやるとかというような経費を使
つてしま
つた、こういう案件であります。私
どもはこれは現在でも川内では試運転を実施しただけだ、こういうふうに
思つております。
検査報告にはそういうふうに書いてありますし、資料を念のために調べてみましたが、まさに私一
どものところに出た資料は、単に試運転を実施した、これは数量的に申しましても、すぐ試運転だけということはわかるのでありますが、先ほど試運転だけじやなくて、一部実際の工事をや
つた、こういうような御紹介もありましたのは、大体この船は一カ月に十万立米掘
つておる船であります。ところが川内でやりましたのは二千数百立米ということをや
つたに過ぎません。これでは工事の試運転でない本格的の稼働の一部をや
つたということは、ちよつと認められないのじやないかと思います。形式的にも試運転だけというここがはつきりこ申上げられるわけであります。試運転で運搬のためにいろいろ組立てたり等で二百数十万円、二百二十七万円ほどの金を使
つております。それから利根川に持
つて来まして、これが又六百万円ばかり金がかかるのでありますが、それはまあどこでもや
つておるということで
検査報告では批難の中に入れてございません。
それから九百七十七号で、これはちよつと先ほどの御
説明で、
検査報告の補足をする必要があるのでちよつと申上げておきますが、これは利根川の下流佐原でありますが、ここで六トンの蒸汽機関車を作らしたわけであります。これはここに
検査報告にございますように、工事現場の勾配が非常に強い、蒸汽式でありますから火の子をこぼすわけであります。ところが丁度工事現場の近所にわら屋根の家が
相当多いというので非常に危いというのでこれを使わない、こういう事実であります。附近家屋の
状況によりというのは、そういう
意味でありまして、非常に危くて使えない、こういう案件であります。
それから九百八十号、八十一号は、これは建設省で機械を買いまして、公共団体なり或いは建設省の工事をや
つておりますものなりに貸すわけでありますが、それの貸付け料の徴収振りが緩漫だ、こういう案件であります。
それから九百八十二号、九百八十四号でありますが、この九百八十二号は本省から工事の施行認可が行きます前に、物品だけは買
つてしま
つた、そして最初現場で考えておりましたものよりも小さい工事に
なつてしま
つたのでありますが、最初現場で考えておりました大きな工事に
相当するだけの鉄筋を買
つてしま
つた。鉄筋は普通でしたらほかに使えるのですが、最初の設計に合わして切
つてしま
つたものを買
つてしま
つたわけであります。寸づまりのものを買
つてしま
つたわけであります。そのために折角鉄筋を持
つておりましても、ほかの工事への転用がきかない、こういう事案であります。これもほかに転用がきけば、そんなことは問題じやないのでありますが、これはほかに転用のきかない鉄筋を、本省から認可もなしに急いで買
つたという支障を来たした。朝鮮
事件云々というお話もございましたが、こういうことは余り理由にならんと私
ども考えております。朝鮮
事件があろうがなかろうが、やはり設計に合
つたものを
相当量買うのはこれは当然なことであります。
それから九百八十三号でありますがこれもちよつとひどいのでありますが、一年分買
つてしま
つた。これも朝鮮
事件という話もありましたが、これは理由にならないわけです。前年の持越しより翌年への持越し量が多いわけであります。計数的なものを申上げますと、
年間に結局全然買わないでも、まだ翌年度の持越し量で余
つてしまう、こういう案件であります。併しこれはここにございます池永石油店というのに預けつぱなしでおるのでありまして、私
ども会計検査に参りましたところ、工事事務所にも油置場にもどこにもないわけであります。一体どこにあるのだということで、大分これは探すのに骨を折
つたのでありますが、結局のところ石油を買
つた所へ預けつぱなしということで、こういう案件であります。これは商習慣で油のような危険品でありますから預けつぱなしにするのが商習慣だろうかと思いましたが、併しかかる商習慣はないようであります。ほかの工事事務所ではすぐちやんと引取るというのが原則のようであります。
それから最後の九百八十四号であります。これは先ほ
どもお話がありましたが、廃油、ちよつと燃料に使えない悪い油であります。ここにございますように、終戦直後の統制の非常に強か
つた時代の配給品の残品でありまして、燃料油に使えないものでありまして、ほかの工事事務所にも
相当にあるのでありますが、ほかでは諦めておりまして、トロッコの潤滑油に使
つております。これをいいものに作り直そうということでや
つて見たのでありますが、そのかけた加工賃で、でき上
つたものよりいいものを十分に買える、こういうような甚だまずい結果に
なつたのでありまして、意思は非常によか
つたのかも知れませんが、もう少し慎重にやれば、こういうまずい結果にならずに済んだのではなかろうか、こういう案件であります。