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説明員(
保岡豊君) 先ず六十号から六十七号を
説明申上げますが、六十号から六十七号は「国有財産の管理当を得ないもの」であります。「管理当を得ないもの」とは何を意味するか、要点を申上げますと、使用させていて使用料の
徴収決定をしていない。そういう使用料の
徴収決定は大体年に一度はしなくちやならない。それともう
一つは、使用させるということは、一年使用させるという原則であります。故に二年も三年も続く場合には、その使用の期間が切れましたときには、必ず、幾ら忙がしくても、人間が少くとも、それをどういう状態で使用しておるか、毀損はないかというようなことは、必ず見なくちやいけない。それを見ておらないということが要点であります。従いまして、知らないうち、又知
つておるかも知れませんけれども、売却されたり、転売されたり原因不明の亡失があつたりしても、それをそのままにして求償していないというようなことが起る。そういうことがこの掲げた要点でございます。
先ず六十号から御
説明申上げます。六一号は、機械器具を百十七台、二十一年二月から使用させておつたものでありますが、
只今言いました
徴収決定未済が二十三
年度以降あります。それから
只今申しましたような一年に一回の監査もしなかつたために、五十六台が売却されまして、五台が転貸しされて、二十三台が原因不明の亡失を来たしておる、こういう事態であります。
六十一号は、機械十七台を二十三年十月までに使用させ、その際返納の申出があ
つたのでありますが、そのままにしておいて、何ら処置もしなかつたため、処分されてしまいまして、全然二十八
年度中の
検査におきまして現物がないのであります。返納の申出があ
つたのに、適宜の処置をとらない。それで二十三年十月まででもう済んだというその使用料の
徴収決定をしたのが二十四年の十一月という状態である。こういう事態であります。
六十二号は、これは機械ではございませんので、土地建物工作物を二十二年二月から使用させておつたもので、これも
徴収決定未済が二十五
年度以降あります。それから毎年一度の監査を行わなかつたため、建物三百五十六坪とこれに対する土地約千坪を使用者が転貸ししてお
つたのに、そのままにしておつたもの。
六十三号は、機械の六十台を二十一年五月から使用させていたものでありますが、二十八
年度に至るも
徴収決定を行な
つていない。それで十八台が転貸しされまして、四十二台が売却される、残りはないというわけでございます。
六十四号は、変電所の設備一切と柱上変圧器を使用させていたのでありますが、変電所の土地建物につきましては台帳もあり使用料も
徴収していたのでありますが、中身である設備一切、これを台帳にも登載していなかつた、そのためか使用料も
徴収決定未済である、そういうことが
本件の要点であります。
六十五号は、機械三台を二十二年十月から、五台を二十二年十二月から、七台を二十三年七月から使用させていたものでありますが、これも
徴収決定未済と、毎年の監査を怠つたことが要点であります。その結果軸研ま盤二台が売却されております。
六十六号、これは機械二十七台を二十三年六月から使用させていたものでありますが、これも
徴収決定未済と、毎年の監査を怠つたこと、その結果、売却されたもの十五台のうち七台は何の処置もとらなかつたというものであります。
六十七号は、これは機械ではございませんで、宿舎の建物二十一棟三千六百十八坪を二十一年四月から使用させていたものでありますが、使用させると間もなく、使用者はそのうち九棟を工場に改造いたしまして、改造いたしたために木材が出ました。撤去木材を勝手に売却いたしました。二十三年九月から一棟三百五十六坪を転貸ししておりました。そうしてそのままにしてお
つたのでありますが、二十四年七月に、その相手方と、使用者と建物全部の売却契約を結んでおります。併しその代金も受取らないうち、先ほど申しました転貸していた建物が二十五年の一月に焼けてしま
つたのであります。それで売却木林と焼けた建物の損害の求償も行な
つていなか
つたのであります。それで求償も行わないで、売却契約をしたのに代金を払わないから契約を解除した、ただ解除しただけで求償は行な
つていなかつた。解除したのが二十六年の二月というわけであります。それでなお二十六
年度以降の
徴収決定も行な
つていない。又二十五
年度以降の金も払
つていないというわけであります。
それで一応管理の部分は終りまして、これから低価売却、機械器具の売渡
価格が低きに失したものというのに入りますが、六十八号から七十五号までは機械の低価売却、そのうち値上り指数によりまして、売却時の新品
価格を算出する方法をと
つたのであります。指数によ
つて新品
価格を算出する方法をと
つたのであります。その指数に難点があつたというのがこの要点であります。指数のうちこれをブレーク・ダウンいたしまして、材料費、労務費、労務費に割りかかるところの経費、即ち元から申しますと、材料費、労務費がブレーク・ダウンしたわけであります。材料費の指数は妥当と認めます。併し労務費の指数に難点があるため、これを補正いたしますと、八十六頁に掲げてありますような差が出るのであります。これらの機械は使用している者に随意契約によ
つて売却したものでありますが、随意契約によりまして売却
価格を
決定する場合は、できるだけ多くの妥当と認められる
資料を検討いたしまして、相手方に納得させなければならないのであります。相対の取引でありますから、それが必要であります。指数によるのも
一つの方法でありますが、
本件につきまして、
検査院が指数によらないで、製作者等専門家の
意見を広く徴しまして、新品
価格を
調査したものから算出いたしました
価格は、六十八号で申しますと、
検査院は、六十八号に三百四十一万四千円で契約できたと書いてございますが、これが五百三十三万円になります。六十九号は百二十二万円、これが二百二十四万円。七十号は千七百五十四万円、これが三千四百三十九万円。七十一号の四千七百二十万円は、八千万円。七十二号の四千百四十六万円は、六千九百九十五万円。七十三号の千十一万円は、千五百六十五万円。七十四号の二千五百五十八万円は、三千五百九十八万円。七十五号の八百三十一万円は、千七百三十六万円となるのであります。無論中古品でありますから、形式、性能の陳腐化もありましようし、将来に対する責任保障が全くない。これは一年間の瑕疵担保の責任もまだつけません。併しそういうこともありましようが、七十四号の一件を除いては、他の七件は全部従前から使用していた使用者に売却したものであります。その希望によつたものでありまして、こちらから押しつけたものではありません。十分に納得させまして、
価格が
決定できる立場にあるわけであります。故に指数によつたものが低価と思えば、広く専門家について
調査いたしました。新品
価格を以て納得させることもできたと思いますが、先ず指数によつたといたしましても、指数によ
つて交渉する場合、妥当性のある指数を納得させることは極めて容易なことでありますから、少くともここに
検査院が訂正の上算出した
価格で売却することは当然できたのであります。これは交渉の巧拙ではありませんので、低価が
調査不足のための低価であり、それだけ低価に売却することに
なつた、この
差額だけをここに取上げたのであります。なお当局の指数によ
つて算出された予定
価格で競争入札にいたした場合、すべてとは申しませんが、ここにありますように、メーカー物でありまして、需要のあるものは、全部予定
価格を上廻
つて落札している状況であります。それから低価売却のうち七十六号、七十七号、七十八号は、当局も指数によらずに時価を
調査されたものであります。指数によ
つておられません。七十六号はデイーゼル機関付発電機を売却されたものでありますが、新品
価格を買受会社についてだけ
調査した、売る相手方であるところの買受会社についてだけ
調査した。その内容を見ますと、資材の評価は、二十四年の資材の
価格と同程度のもの、労務費工数も少く、賃金も低いという難点があります。本院で、製作者や通商産業省の
調査された新品
価格は、デイーゼルが当局の千八百万円に対しまして四千七百万円、発電機の九百万円に対して千四百万円は下らないのであります。仮にこれを採用いたしまして、買受会社提出の売渡時に換算いたしました実績による欠品、破損、補修額、当局の採用能力差の減額率をそのまま採用して
計算いたしますと、ここに掲げた差が出るわけであります。売却の場合、新品
価格の評価は成るべく広く第三者的専門家について
調査すべきであるのに、買受会社についてのみ
調査したことが
事件の要点であります。なお二十六年七月から売渡代金収納までの使用料の
徴収をしていなかつた。
七十七号は塔型起重機を売却したものでありますが、当局は新品
価格を評定するに当りまして、本院がいつも先ずやりますように、製作者であります石川島について
調査されまして、トン当り
価格を
調査され、その製品トン数に掛けるべきであるのに、
間違つて巻揚荷重トン数に掛けて
計算した。これに対し製品重量や値上り指数が実状に適合しない。別の
計算もやられまして、それによ
つて出された
価格とほぼ一致するからここでいいんだという考えで、巻揚トン数を
間違つて掛けられたものを採用しておられます。そのため製品重量と巻揚トン数と、この差が
批難の要点であります。これにつきまして
説明書によりますと、当局は、実測したと、当局は、実測したところ、重量が
会計検査院の言
つておる重量は違うのである。重量は
会計検査院は八十五トンと言
つておるけれども五十トンであると言われております。実測と言われますと、それをそのままダイレクトに測るか、又製作図面を用いまして、製作図面と一々現物を当りまして、現物を実測しながら製作図面を見て、製作の図面の
間違いないということを確めて、その製作図面から拾い上げた重量ならば、これを実測ということはできるだろうと思いますが、当局のやられたのは製作図面ではないようであります。我々はそのときに又石川島に照会いたしまして、製作番号を以て製作図面をや
つて、それから出してくれと、もう一遍念を押しまして、やはり八十五トンと受けたものでありますから、当局の言われるものとは
会計検査院としてちよつと認めがたいのであります。
七十八号、七十八号は、限流リアクトルの五基、三個で一基を構成しておるもので、
従つて個数としては十五個であります。これを当局は製作者について
調査され、回答を受取られたときに一個の評価であつた。ところがこの一個の評価であるものを一基の評価と誤認されましてやられた。そのために低価になる。
今
一つ経過年数を全部十三年として算出されましたが、実はそのうち一基は十一年、二基は十二年のものが入
つていたので又それだけ低価に
なつた。こういう点であります。
七十九号から八十五号は、用途を指定して随意契約で売却するもので、相手方の資産、信用、事業計画の適否につきまして、十分に
調査をしなければならないのにこれを行な
つておられない、その後の監査もされていない、そういうので、幾ばくもなくして他に転売されているものがありますなど、指定用途に違反しているのをそのままにしていたものであります。このうち八十五号は次の頁に転売、転貸先が書いてあります。
それから八十六号から八十八号は、売却に当りまして代金を前納するという法律がありますので、しなければなりませんのに、解体運搬済みでもまだ代金を収納されていないというものであります。
八十九号から九十七号は、土地建物の構作物、機械などの使用料の
徴収決定措置、これは毎年定期に
徴収決定をしているべきでありますのに、していないで長期に亘りまして放置していたものを掲げたものでありますが、これはひいて第一番に申しました勝手に処分される原因となるものであります。
少し飛んで五百五号になりますが、これは
是正事項でありまして、五百五号は、蓄電器などを使用さしていたのをその使用者に売払つた、そのときに使用料の算定を
誤りまして売渡した二十七
年度分の使用料の
徴収決定をしていなかつた、そのことと、
徴収決定済みの中に単位の
間違いがありましたこと、そのために取り
不足があつた。
それから五百六号は、込真ちゆうを売却したのでありますが、この場合も又単位の
間違いがありまして取り
不足があつた、それを回収されたという件であります。
以上で
説明を終ります。