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1954-11-02 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            青柳 秀夫君            島村 軍次君            岡  三郎君            平林 太一君    委員            石川 榮一君            白井  勇君            高野 一夫君            田中 啓一君            飯島連次郎君            奥 むめお君            亀田 得治君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            堀  眞琴君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    食糧片長官   前谷 重夫君    林野庁長官   柴田  栄君    林野庁業務部監    査課長     島本 貞哉君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 島村軍次

    理事島村軍次君) 只今より第十四回決算委員会を開会いたします。  本日は昭和三十七年度決算三件、農林省所管国有林野事業特別会計議題といたします。検査報告第千五百七号から第千五百九号、千五百十号、千五百十一号から千五百十二号、六件を問題に供します。  先ず検査院説明を願います。
  3. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 国有林野事業決算事項について御説明申上げます。  国有林野食糧庁と並びまして農林省の外局でございますが、食糧庁に比べますと、食糧庁は御承知のように非常にいろいろの問題が多いのでありますが、林野庁におきましてはそれほど大きな問題は出ておりません。現在二十八年度検査をまとめつつありますが、今年度におきましても林道治山、こういう工事関係を除きましてはそうたくさん問題は出ない見込であります。  先ず第一にこの千五百七号から九号の国有林野整備でございますが、これは数年前にできました法律によりまして、ここにございますが、国有林野整備臨時措置法、これに基きまして整備を始めたものであります。大体が松山地国有林経営上非常に不便が多いということで、これを地元へ売ると、こういう趣旨で始めたわけであります。これにつきましては二十七年度、それから二十八年度も同種の問題が出ておりますが、かなりいろいろと問題にすべき事項が多いようであります。先ず第一がこの売渡し価額に関する問題であります。価額が安過ぎる、一般の売払いと違いまして、市町村の基本財産なるものが多いのでありますが、相当程度安くなるのは止むを得ないかと思いますが、余り程度のひどいのは如何かと、こう思う次第であります。  先ず千五百七号では、東京営林局、茨城県にございます国有林二十三町歩、これを地上の立木を全部合わせまして、立木が九千九百十四石ございますが、これを合わせまして六百八十七万円で売つたわけであります。ところが九千九百十四石の中で、この二、三行先に書いてございますが、林令が四十五年、胸高直径が十二センチから二十センチ、赤松千四百七十四石、これは当然用材として評価して然るべきものであろうと思いますが、これを薪材まき材として安く評価した、こういうのがこの事件批難のポイントであります。この価額がぎりぎりに見積りましても六十万円程度は安くなつている、こういう趣旨であります。  それから千五百八号は、これは保安林として地元町村国有林野を売つたのでありますが、これもやはり価額についての問題であります。保安林は御承知のように自由に切ることを禁止されているわけでありますが、この神奈川県の、この表に列べてございます五件の保安林でありますが、これは伐期百二十年程度という制限をつけたわけであります。一般神奈川県では普通の木を切る伐期は四十年見当でありますが、それを保安林なるが故に三倍の百二十年という制限をつけて売つたわけであります。百二十年という制限がつきますから当然にその価額は安くなるわけでありますが、ほかの例によりますと、大体普通の評価の三割引程度が普通であります。三割引程度で売るというのが普通の場合であります。ところが保安林の中に全然、百二十年たつても幾らたつても全然切つてはいかんという保安林もあるわけであります。枯れた木とかそういうようなものだけの整理は認めますが、生きている木は切つては相成らん、こういうきつい制限がございます。この制限のきつい、禁伐の保安林というのは、普通の価額の六割引というのが普通の取扱いであります。このここに列べました五件の保安林は禁伐ではないのでありまして、伐期は百二十年と制限いたしましたが、ともかく若干切れるわけであります。この若干切れる保安林価額を全然切つてはいけない禁伐林と同じ六割引で売つてしまつたわけであります。ほかでは現に三割引程度で売つているこの種の保安林を、禁伐林と同じ六割の値引きをした、こういうのが批難骨子になつているわけであります。千百五十万円で売りましたが、今のように六割を三割に修正いたしますと七百五十万円ほど高くなる、これが批難の要点であります。  それから千五百九号は、愛知県の北設楽郡の三輪村にございます国有林でございますが、これは相当いい国有林でございますが、この地元の人が持つておりました民有林が、農林省の別にやつております宇連川のダム農業水利用ダムを近所に建設しておるわけでありますが、この牛にあります民有林ダムの建設によつて水の中に入つてしまうわけでございますが、それでその代りの森林が欲しい、こういうようなことで、今の水没民有林代替という意味で売つたわけでございます。これはこの国有林野整備臨時措置法の第一条第一項第三号、この規定によつたのでありますが、この民有林と境界が錯綜して、国有林経営として適当でない、こういう意味の話がありましたが、この国有林は決して、無論民有林と錯綜していないのでありまして、この条項に該当するものとは認められませんし、この法律のどの条文を見ましても、今の水没地代替で売るというようなことは法律では認めていないのであります。水没農民にはこれは非常に気の毒で、仮に何か国有林代りに売れるというような方法があれば、これは結構なのでありまして、又法律上そういうものがあるのが或いは望ましいかも知れませんが、現在のところそういう法律がないわけでございまして、この法律を適用してこういう水没地代り国有林払下げるというようなことになりますと弊害相当大きいのではないか、こういうつもりでこの千五百九号は掲載したわけでございます。値段も若干安い、この金額は大したものではございませんが、まあ六十万円ほど安かつたという事件でございます。この批難骨子は前段にあるのでありまして、今の法律の適用を不当に拡げたという点が批難骨子になつております。  それから千五百十号でございますが、これは前橋営林局直営生産くりまくら木を作つておりますが、北海道札幌営林局林道工事をやる際にこのくりまくら木が必要だつたわけでございますが、前橋営林局直営生産をやつておるというのを知つていましたので、前橋へ行つて調査いたしましたところが、前橋では手持はない、こういう回答をしたので、札幌では民間から買つてしまつたわけでございます。ところがその買いましたまたまら木がこの直営生産の分に比べますと非常に高いわけでございます。私ども調べますと、前橋営林局ではそういう今のようなのはないと回答しておりますが、実はまだ手持相当にあつたということになつております。販路開拓というようなことでいろいろペーパー・プランは、机上計画はあつたようでございますが、実際の処分はまだしていなかつた札幌からの要請に応じて札幌へ、自分のところで作りました分を保管転換しようと思えばできた状態にあつた。それを間違えて札幌へ保管転換しないために札幌では高い物を買つてしまつた、結局七十万円ばかり余計な国費を使つてしまつた。こういうケースであります。  それから千五百十一、千五百十二は、これは今までもちよいちよい出ておりますが、林野関係不正行為であります。担当職員が売渡し立木数量をごまかしたり、そういうようなことで三百六十四万円ほどの国損を招いた、こういう批難であります。
  4. 島村軍次

    理事島村軍次君) 御質疑のおありのかたは御発言を願います。……ちよつと私から、質疑があるまで全体的な計画についてお伺いいたしますが、国有林野整備法の今の進行はどういう程度になつておりますか。
  5. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 国有林野整備臨時措置法は、当初におきましては本年の六月二十二日までを時限として発足した次第でありますが、特に大きな支障といたしましては、昨年度東北地方中心といたしまする冷害凶作のために、御承知通り国有林北海道東北関東以北地区比較的集中しているという関係上、林野整備のために林野整備法を適用いたしまして、売払い可能の対象相当多いにもかかわらず、資金の手当等に非常に買受け対象町村等が難渋をいたしまして、事務的に少し遅れて参つた、こういうことが主体的になりまして、事務的な問題で期限内に完了がやや困難だという見通しを以て先国会におきまして二十九年度一ぱい、即ち三十年の三月三十一日まで期間の延長の修正をお願いいたして決定いたした次第でありまするが、現在まで一応予定いたしておりまする総数量は約十六万町歩でございまするが、二十八年度までに実施いたしましたのは約八万八千町歩、而も二十九年度におきましても、二十八年度中に相当事務的な準備を進めて参りまして、具体的に契約残つてつたものが相当ございますので、かなり進捗いたしておりまして、大体第三四半期でほぼ確定するものは確定する見込でおりまするが、それが約四万八千町歩、合計いたしまして十三万六千町歩近くに相成る見込でおりまするが、予定いたしましても、予定いたしました個所を地元で希望がない、或いは買受けの準備ができない等のために、恐らく実行できないと思われるのが約一万四千町歩程度残るんではないかと思つておりますが、これらは期間を仮に延長いたしましても、恐らく話のつかない部分であろう、かように考えられます。なお、林野整備の例に倣いまして、町村合併促進法規定に基いて、今後要望に副い、林野整備法の例によつて処分をいたすものが相当出て参ると思うのでございまするが、現在まではいろいろお話はありまするが、具体的に出て参つておりまするのは約二万三千町歩程度でございます。二十九年度に今日まで決定いたしておりまするのが千三百町歩程度、今後三十年度において或いは五千町歩くらい確定できるんではないかと思つておりまするが、それ以降におきましてはそれほど大きく御相談できるかどうかということにはまあ相当問題も残ると思つておりまするが、促進に実際に役立ち、且つ林野整備法の例によつて処分可能のものについてはよくよく御相談をいたして参りたい、かように考えております。
  6. 岡三郎

    岡三郎君 これは直接議題に上つていることではございませんが、先ほど会計検査院のほうから、まあ本年度の大体調査によれば、状況は林道以外の点、工事関係以外の点は大体よろしいという答えがあつたと思います。ただ行政管理庁では、昭和二十七年度及び二十八年度上半期における国有林行政監査の結果をまとめて先般発表しているわけですが、この行政管理庁の発表したいわゆる監査の結果ですね、これに対する林野庁所見は如何でしようか、これは勧告があつたものかどうか。
  7. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 正規の勧告というのではございませんが、一応行政監察の結果によつてこういう見方が出て来るが、それについてはどうだというようなお話もありまして、それについて私どもでも資料を整備いたしまして、いろいろ説明をいたし、更に話合いをいたしました結果、多分御指摘お話は、林産物処分に対して随意契約をしているために三十億も国損を来たしているのではないか、こういうような点じやないかと思つておりますが、これにつきましては、国有林経営建前、それから目的、それから従来の実行、その結果等につきましていろいろ説明をいたしまして、結果から申しますと、その点は了解がついておる問題なのでございますが、簡単に申しますと、最も簡単に申上げれば、本来林産物を全部公売にしたらいいじやないか、こういう議論が出て参るわけでございますが、全部を公売にいたしますれば、現状におきましては、地方業界の強弱或いは地方経済力等関係から、中央の資本が急激に進出いたしますれば、地方林産物中心といたしまする業界は直ちに混乱壊滅に瀕することは至つて簡単にできる問題で、さようにいたしますれば、地方産業を直ちに破壊する、これは社会問題にも繋りまして、非常に混乱を生ずる。同時に国有林といたしましても、林産物比較的好調に処分できます際にはさようなこともできるのでございますが、一旦非常に需要が減退いたしまして、或いは不況に至りますと、如何に公売をしようといたしましても、相当国有林は損失を背負わなければ処分ができない、かような例は実はすでに統制撤廃直後においても現実に起つた問題でございまして、何といたしましても、地方産業に或る程度有機性を持たして、安定させた対象を以て経営いたさなければ、国有林野事業専売事業ではないのでございますから、安定して持つて行けないというところに、地方中心といたしまする現在におきましては、公正な方法によりまする随意契約或いは指名競争入札をいたしているのでございますが、それを管理庁においては公売一本と比較された、こういうところに実は問題があるわけでございますが、全額を公売にいたすということになれば、恐らく現在現われておるような値段は出ないと思うのでございますが、随意契約或いは指名公売相当参りますので、公売にいたしますものは半分程度、或いは地方によりましては、半分以下というような数量になりますので、それを非常にせり合う、市場価格を無視してせり合うというような結果が現われておりまするので、真に妥当な市場価格ということも言いかねる。それを比較の標準とされるというところに、一時さような大きな差額が実際に公売すれば上がるというふうに簡単に結論出されたというところに問題があつたわけでございます。数字を挙げまして、説明をいたしました結果は、その内容については一応了承を得ておるわけでございまして、それによつてそのもの自体勧告対象とされておるというわけではないのでありますから、御了承願いたいと思います。
  8. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、今の林野庁長官の御答弁によると、現在までに行なつて来たところの随意契約は大体適切妥当であつたというふうな御意見でありますが、随意契約というものに対する措置を、具体的に個々事例について当てはめて行けばよろしいのですが、個々にはちよつと時間が足りないので、一々一つ一つの問題について私は個々に触れようとは思いませんが、併し随意契約林野庁内において全部適切に行われておるということは私は言えないと思う。その点について、随意に契約をやつた場合に、用途指定の場合ですね、代理人の介在を認めるようなこと、転売流用等事例、こういつたものがなかつたかどうかという問題になりますね。而もそれが随意契約として行われた事例の中に仮にあるとしたならば、やはりこういつた点は十分留意してもらわなければならんと思う。それで私は中間トンネル機関的な、いわゆる利鞘稼ぎのような形で国有林まで払下げている事例を私は知つているわけです。具体的に……。そういう点で一応大体林野庁長官の今言つたように、市場価格との関連の御説明はほぼ了解がつきますけれども、併し具体的な事例の場合にはやはり割合にルーズな面もなきにしもあらずと私は思う。それでそういうふうな点についてやはり個々会計検査院から指摘した二、三の例についても言えることだと思うのですが、併しこの相場の変動が非常に激しいから、結果論としてそういうことになるという事例も確かにあると思う。そういう点で激しくここで追及しようとは思わないけれども随意契約についての抑制ですね。それから今言つたような中間機関的な、中間トンネル機関のようなものが利鞘稼ぎするような事例というものが、今後それは絶無とは言えないけれども、起らないように一つ厳重に監督してもらいたいと私は思うわけです。その点について御意見如何ですか。
  9. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 御指摘の点は、実は私どもも或る程度事例において認めざるを得ないことを大変恐縮に存じておりまするが、それぞれの特定の、例えば国が計画造船をいたしておりまするような場合に、その資材を確実に入手させるということのために、一時鋼造船計画造船用材につきましては造船会社対象随意契約をいたした、こういうような例があるわけでございます。その場合に造船会社が直接に公売で担当するということまで、実際問題として造船会社自体で困難だということで、信用のある従来の取引業者をエージェントとして使う。これには造船業者鋼造船を受けております者全部が集りまして、造船界協議会を持ち、協議会で証明した業者自分たち代理者として扱うというようなことで、私どもから供給できる総量を話しまして、各社が割当を決定いたしまして、それを随意契約で行うというような方法をとつて参つた事例もあるわけでございますが、それらについても、結果におきましては実は横流しというような問題が起つた事例もありまして、非常に遺憾に存じ、順次方法を変えて行なつて参りましたが、結局まあ随契ということ自体に問題があるというようなことで、停止いたすというようなこともございますし、或いは特定輸出用材、或いは輸出梱包用材というようなもののために優先的に随契するというのは、それぞれ担当官庁証明等によりまして実施いたした例も相当ございまするが、それらの中にも御指摘のような実は横流し事例があとから発見できて、まあ私ども調査が不十分であつたということに対しては当然責任をとらざるを得ないのでございまするが、その当時は純真に考えまして、少しでも国策に副おうということで、まあ価格は勿論市場価格基礎として算定いたしたものでございますから、不当に安いというものではないのでございまするが、用途を詐称されたというような例もあるわけで、順次さような随意契約の面につきましては縮小いたしまして、その分は公売に移すという方向はとつておりまするし、将来も順次にそういうような方向にいたしたいと思つておりますが、地元産業に対しましては或る程度安定性を持たしめるというために、これは勿論公正に業界全体を統合いたしまして、県が指導して頂いて、更にそれぞれの能力、信用等々を基礎といたしまして、基準を定めて随契或いは指名地方別に実施するというようなことで、不当な事象の起らんように注意はいたしながら、或る程度は実施しなければならんと、かように考えております。御指摘のような問題に関しましては、随時整理いたしまして、過誤のないように実行もいたして参りますし、今後もさような方法で参りたいと考えております。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 大体今柴田長官答弁で、意のあるところを大体わかつたんですが、先ほどの会計検査院の局長のお言葉によつてですね、少し見方が安易ではないかと私は思うのです。具体的な事例について私はここで三つくらいの例、すぐ出せと言えばすぐ我々の例を持つております。で、やはりまあ相当莫大な数量と莫大な金額に上りますから、なかなか検査のほうもむずかしいと思いますけれども、これらの点について逐次この検査、或いは会計検査した結果として、林野庁がその意を受けて、まあそういうふうな弊害の是正に努力して行つた跡も私は認めるにやぶさかでないのですが、こういう点について検査院のほうで何か所見があつたら聞きたいと思うのですが。
  11. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 先ほど私二十八年度検査結果についてざつと申上げたわけでございますが、特に目立つ林道とか治山工事、これが特に多い、それ以外は比較的少い。殊に食糧庁との比較において申上げたのであります。ほかのものが全然ないとは、こうは申上げなかつたつもりでありますが、横流しの問題も実は今までも私どももちよいちよい検査で見付けておるのでございますが、横流しをしておることは果して非常に安くなつたとかどうとか、或いは非常に悪かつたかどうかということになります。だんだん検討して参りますと、時に壁にぶつかつてしまう、こういうようなことで検査報告に載らないケースが多かつたのでございます。今年も横流しの問題は検討しておるものがございますが、最後まで検査報告に載りますかどうかわかりませんが、私どもとして目下検討中のものがございます。  それから林野整備の案件につきましても、幾つか検討中のものがございまして、そのうちの大部分のものは、恐らく検査報告に載るものじやないかと思いますが、治山とか林道以外にないという意味で申上げたのではないのであります。  それから随意契約お話行政管理庁勧告ということも私ども聞いておりますが、公売がいいか随意契約がいいかというような問題は、随分実は古くから問題になつておるのであります。現在もなおこれは私どもとしても検討対象として取上げているのであります。大体国有林の売払いのうちの六割強というのが年々随意契約で売られております。検査報告にもちよつと書いてございますが、二十七年度では六三%というものが随意契約になつております。大体最近はこの程度に落ち着いているのでありますが、昔はもつと随意契約の率が高かつたようであります。私どもとしては国有林一つの商売でありますので、固定したお客さんを持たんことにはやはり仕事にならんのでありまして、随意契約ということも、どうしてもこれは認めざるを得ない。併しこれは公共財産でありますから、やはりフエアーな公売という、公共財産処分にふさわしい公売ということを飽くまでも建前にとらなければいかんのでありまして、その辺の兼合いが非常に問題になるわけであります。私どもとしては数年前から随意契約を成るべく減らすということで、林野庁にも絶えず要請をしているわけであります。だんだん減つて来ておりますが、大体六割見当ということで頭打ちに現在なつておるわけであります。価格も先ほどお示しの通り公売実績随意契約実績年度末に集計しまして比較しますと、これは確かに公売のほうが相当程度高く売れているのであります。併し大体最近は御承知のように木材がずつと値上りを続けております。随意契約の場合の予定価格というものが若干のずれを持つ。従来の実績からきめるということになりますから、ずれを持つということも従つて認めざるを得ないのであります。それから公入札の場合には、随意契約で特売で売つてもらうものとの抱き合せを考えて相当高い値で売るというケースもあります。いろいろ例がございまして、私ども随意契約で、これは安いということで見当をつけて検討することは随分あるのでありますが、本当にそれが安いということでなくて、個々ケースになりますといつも自信がなくなつて最後には検査報告には載らんと、こういうのが多いのでありまして、私どもとしても検討しておりますし、又予定価格の建て方についても絶えず林野庁のほうと連絡を取りまして、私どもの気が付いたことについては照会もさしておりますし、口頭の御注意も申上げる、こういう対策をとつておるわけであります。二十八年度相当手広く検査しておりまして、いろいろ変つた問題が幾つかはございますが、たくさんあるのは、さつき申上げた治山林道関係、それから林野整備、こういう関係になつておるわけであります。
  12. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 大体概括的な質問は以上で一応打ち切りますが、問題は明年度昭和二十九年度ですね、昭和二十九年度、極く最近の事例についても、やはりこういつた点について逐次改善されていることを認めると共に、やはり更に精査して、いわゆる随意契約なり、そういつたいわゆる用途を明記して、いろいろと陳情があつた場合において、やはり具体的に精査して、そうして完全を期してもらいたいというふうに考えておるわけであります。
  14. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 只今の御指摘、御注意、私ども常々十分に注意いたしまして更に一昨年からは内部監査の機構を整備いたしまして、検査院の指導を受けつつ、或いは時々検査院の御注意等に対しましても、直ちに全般に亘りまして注意をいたし、或いは精査、是正を進めておるのでございまするが、なかなか完全にご注意或いは御批難を絶無にするという目標に、そこに参らんことは非常に遺憾に存じておりますが、必ず近い将来には内容を正確に出しまして、皆様に御納得を頂けるように、現在監査の内容を整備いたしまして、鋭意努力いたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  15. 久保等

    ○久保等君 この検査報告の、千五百九号の案件なんですが、これは扱い方については、相当名古屋の営林局としても林野庁に相談もするし、更に林野庁でも中央森林審議会に諮つたというようなことで、手続的には相当慎重にやられたようですが、併しこのことは会計検査院でも指摘しておるように、臨時措置法の整備事由に該当しないにもかかわらず、これを返すという意味で売却したということになつておるのですが、これは確かに事情としては、相当地元の水利用ダムの建設に伴つて、一応代替林を入手したいという地元からの非常に切実な要望があつただろうと思いますが、こういう事例は単にここだけに限らず、全国的に考えてみましても、ダム等、電源開発等の問題等から、こういつた問題が全国的に或る程度あるのじやないかと思いますが、そういう事例がこれ以外に、林野庁として直面しておりますような問題があるのか、ないのか、お聞きしたいと思います。
  16. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 御指摘のような問題は、他にも最近調整ダムをめぐりましての問題、或いは電源開発ダムをめぐりましての問題等、或いは総合開発地区、或いは電源開発地区等におきまして二、三問題が起つておるのでありますが、現在さような措置をするために国有林を売払うという法律的な根拠になるものが実はないわけでございまして、本件のごときも、検査院の御指摘通り法律の適用としては相当無理があつたということを考えて申訳なく存じておりますので、十分注意いたしておりまするが、実情からいたしますると、実はこれは農業水利用ダム建設という問題は、地元では相当重要な問題ではあつたと存じますが、湛水区域になるところの人たちは又これは相当の犠牲だ、そこで近くに国有林があるから代替林は国有林で何とか相談するというようなことを簡単に地元に、私どもに連絡なくおつしやつていたということで、できてしまつてから処置できない。而も農林省内で大きな行政的な見地から当然考えるべきじやないかというようなことで、私どもも率直に申上げますと、中間に入つて大分弱つたわけでございますが、併し放つても置かれないというので、まあ御指摘通り、多少無理な解釈をいたして法律的な措置を講じたいと思うということで、一応森林審議会にお諮りいたしまして、まあ止むを得ないというようなお認めを頂いて実施したということでございますが、これは林野整備臨時措置法も来年の三月三十一日で無効になります場合に、これらの処置をやはり法律的に何か考えておかなければならんじやないかということで、只今国有林野法の一部改正等に関しまして検討いたしておりまするが、まだ確定した案まで至つておりませんが、対策は講じなければならん、かように考えております。
  17. 永岡光治

    ○永岡光治君 最後一つだけ私お尋ねしたいのでありますが、処分のときの単価といいますか、いろいろ材木によつても違いましようが、大体恐らく何かの基準はお持ちだろうと思うのですが、おわかりでしたらこの際一応の主だつたものだけでもよろしうございますから、例示願いたいと思います。
  18. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 只今実は具体的なものは持つておりませんが、方法を一応申上げたいと思いますが、それぞれの樹種或いは地方別な特色のある樹種につきましては、一つにはそれの主要産地の市況を定期に毎月調査をいたしまして、市況を中心といたしてとつておりまするが、それと、それから二年に一回乃至三年に一回ぐらいずつはそれぞれの主要樹種につきまして、そのときの最も有効な利用の製材、大体製材を中心といたしておりますが、製品を想定いたしまして試験挽をいたしまして、試験挽結果から出まする丸太の総合価額を算出いたしまして、それに市況の変動を率で加減いたしまして、一定の中には随次価額を改訂いたして、標準を示しまして、その標準には樹種別に、長級、径級別に、品等別にそれぞれ格差を決定いたしまして基準表を作つておりまするが、それを適用して算出いたしまして、それが予定価額と、こういうことに相成るわけでございます。各樹種を、而も品質によつて区分けし、更に例えば二つの営林局に跨りまするようなものは両営林局の資料を統一いたしまして標準を出すと、こういうようなことで連絡をいたしておりまするので、現在におきましては大体全体市場を通じてそれぞれの持つそのときどきの時価を標準とすると、こういうやり方でやつておるわけでございます。
  19. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 直接の問題ではないんでありますけれども、かような案件に関連してお尋ねしたいんですが、林野庁のほうでやつておいでになる払下げのといいますか、計画でございますね。こういうのは政府でずつと年次計画をお立てになつてつておいでになるのだと思いますが、大体のその点、二十七年には何万石払下げた、その価格は幾らであるか、今後どういうような大体の計画払下げる方針でありますか。それが国の森林資源といいますか、蓄積量に対してどんな割合になつているかというような点についての概要だけで結構であります。御説明願います。
  20. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 実は総体数字をてちよつと持合せておりませんが、現在国有林におきましては総体的には大体保続可能な計画において伐採量を決定いたしておりまして、それによりますと蓄積総量は約三十二億石程度でございまするが、それに対しまして標準年伐量といたしましては、標準年伐量と申しますと、大体この蓄積から、現状におきまして伐採いたしましても成長量で補える、永久に切つて行けるという量でございます。それが四千七百万石ということになつておりまするので、大体これを標準として実行いたしておりまして、二十七年度におきまして実際に実行いたしました伐採量、これは立木でございますが、四千七百八十七万一千石でございますが、総体的に申しますと、ここ最近はこの標準年伐量の範囲で実行いたしている。蓄積、過伐には食い込んでいない、こういう実情にあるわけでございます。これによりまして価格はこれは年に相当相違いたしますので、はつきり毎年、年で大分違つて参るのでございますが、特別会計全体が今のところ予定に対しまして、最近では大体木材の価格が予定よりも上り傾向にございましたので、予算以上に収入超過いたしております。二十五年度以降は大体黒字を続けているというような状況でございまして、二十五年度には歳出百四十九億に対しまして歳入百七十三億、これの主体的な収入はやはり林産処分でございます。二十六年度は歳出二百二億に対しまして歳入二百七十二億、二十七年度におきましては歳出二百五十億に対しまして歳入三百五十七億、二十八年度が歳出三百三十一億に対しまして歳入が四百五十五億、こういうような経過を辿つているわけでございますが、これが大体主体の収入は林産物処分にある、こういうことでございます。ただ二十九年度に至りまして、丁度昨年の十一月以降におきましては木材価格が横這い或いは多少下押しという状況になつておりまするので、今までのような傾向ではちよつと困難ではないか、かように考えておりますが、大体以上のような趨勢でございます。
  21. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 いま一つお伺いしたいんですが、非常に収入が多くて、工合よく行つておるようでございますけれども、木材の需要というものはいろいろな方面から非常に増加しているように考えられるのであります。一面余り過伐になりますと、殊に災害等の影響が大きいわけでありますので、できるだけこの基準量といいますか、それを確保して頂きたいと同時に、この四千七百万石というものが用材がどれくらい、或いは薪炭林がどれくらいかということが、よくわかりませんけれども、住宅問題というのは今日本でも一番重要なことでありまして、その中心は木材が安くなれば割合に家が建ちやすい。勿論家は、根本はセメントとかその他木材でないものを需要する方面に進まなければならんと思いまするが、差当つて国有林その他を安く払下げて、できるだけ住宅を多くすることが国策の主要な点でなければならん。そういう意味で私は、年次計画にはなつておりますけれども、何といいますか、それに固執されないで、できるだけ住宅資材というふうに分けてお出しになることはむずかしいのだと思いますが、何かそういう住宅等に対して便宜を与えるようなやり方をお考えになつているか、そういう点をお伺いいたします。
  22. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 御指摘のような点ではできるだけ私どもも国全体の、要請に応えて国有林を活用して参りたいというようなことも考えているわけでございまして、公営住宅等につきましては、大体市町村等の責任者を対象といたしまして、随意契約によつて、不当な高いものじやなしに、計画的に実施して頂くという方向で努力いたしておりまするが、全般の住宅のために国有林材を放出するということになりますると、まあ結果から見ますと、先ほど岡委員から御指摘頂きましたように誠に計画は結構でございまするが、結果においては大変だまされるというような事象が起る危険が非常に多いもので、実は余り積極的に指導いたしておらないというのが実情でございまして、今後におきましても何か確実な、責任を以てやれる体制がとれれば、できるだけ協力はいたして参りたいと思いまするが、これはやはり市場価格でお取引を願いたい、こういうふうに考えておりますが、ただ災害その他の緊急復旧等に関しましては、すでに林野法の改正も見ましたし、その他の方法法律的に援助する方法がございますので、それらを活用して頂く、こういうことで処理はいたしております。全体の住宅対策といたしましては、一応現在は公営住宅等を主体として考えさして頂きたい。その他開拓者の開拓住宅とかその他についてはやはり責任者を明らかにして、或る程度御相談をいたした例もあるのでございますが、これとても実はなかなかむずかしい問題がある、かように考えております。
  23. 東隆

    ○東隆君 私は先ほどの価格の決定、市場価格によつて基準をきめると、こういうのですが、国有林は私は或る意味において独占的な供給者という意味から、そういうような意味で独占的に価格を決定し得る立場にあるのじやないかと、こう思うのです。例えば……、そういう大きいのですからね、それで価格の安定をやつぱり或る程度考えなければならん。そういうようなことを考えると、市場価格に追随をして価格を決定するというよりも、一定の国の収入を挙げるために、却つて価格をきめて、そして逆に市場価格をリードする、こういう考え方のほうが適切でないかと思うのですが、国有林関係から見ればそつちのほうが重要なことでないかと、こう思うのですが、その点は何かいろいろ検討があつたろうと思うのですが、その経過を若しなんだつたらお知らせ願いたいのですが……。
  24. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 実は北海道等につきましては殆んど大部分の供給は国有林でございますので、国有林が基準価格を設定いたしまして、国有林材の処分を適時調整するというようなことをいたしますれば、お話のような点は調整可能な部面もあると思いますが、全国を通じますと、地方によりましては極めて影響力の少い程度しか国有林材を持つておりませんので、仮に北海道だけを処理いたしましても全体の市場に引ずられてしまうわけであります。実際問題としては現在の国有林野の生産程度、又は用材につきまして、まあ丸太で国有林全体で約二千万……、立木処分等も入れまして三千石程度しか出しておらないわけであります。全体の日本の最小の木材の生産量は一億二千万石、多少それよりは上廻るという程度でございますので、而もこれが全国に適当に配分する国有林があるということになりますと、或いは御指摘のような点も或る程度リードすることは可能だと存じますが、まあ東京、名古屋、大阪等の中央市場には殆んど影響力がないということになりまして、実際の調整は実は非常に困難であるわけでございます。例えば特殊の災害等の理由によりまして地方的に異常な価格の変動等がありました場合には直ちに国有林材から供給いたしまして、これを調整するということで安定させた例はたくさんあるわけでありますが、常時市場を安定させるということは実は不可能だというふうに考えておるわけであります。
  25. 東隆

    ○東隆君 国有林とかそれから地方有林、それから私有林にならない範囲のもので、もう少し公共性を持つたものがあるのじやないかと思いますが、そういうようなものを引括めて相当な量になりませんか。
  26. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 全体二千五百万町歩のうち、国有林が約七百五十万町歩、公有林が約三百万町歩、その他は全部私有林、こういうことでございまして、而もその公有林というのは非常に林力の消耗し尽されたものが多いということで、実際の生産量は最も落ちるということでございますので、その対象は殆んど国有林以外にはないと申上げ得るわけでございます。
  27. 白井勇

    ○白井勇君 私会計検査院のかたにお尋ねしてみたいのでありますが、誠に漠たる質問ですが、今日御指摘されましたようないろいろなこういう御注意がありましたようなことさえなければ、いろいろ特別会計によつてつたり或いは造林したり、いろいろなことをやつておるのですが、こういう個個のケースをずつと、何といいますか、累積しまして、その総体においてこの特別会計の趣旨によりまする健全な国有林野の会計をやつておるかどうかというような面の批判は、これは会計検査院の権限外ですか。
  28. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 検査報告に掲げますのは、ここに出ております通り個々の具体的なケースというものを対象にして書く場合が多いのでございます。私どもとしては、今御指摘のありましたような事業全体ということに対しても見ておるつもりでございます。ところがこれを批判的に、個々に掲げまして国会にお出しするという段になりますと、なかなか私どもとしては甚だあれですが、ほかの役所のような、例えば勧告を出すとか何とかいうような気持では出せなくなる場合が多いのであります。総論的に何か我々として言うべき事態は、毎年簡単ではございますが、会計検査報告に載せてあるわけであります。この検査報告の百六十一ページの国有林野事業特別会計の概括的な検査概況というものが書いてあるのでございます。それから先ほどの例えば随意契約が多過ぎるのではないか、こういうようなのも、個々批難として見ますと、一々検討して参りますと、どうもそれぞれ林野庁のほうの言分を或る程度認めなくちやいかんというような場合が多くなりまして、全体として注意的に、或いは将来の改善というようなことを促す意味では、ここの総論的な所に書くわけでありまして、これも絶えず心掛けてはおるつもりでありますが、余り大胆な批判というようなことは、なかなか検査院の立場から言いますと、最後的には消えてしまうというようなことが実は多いわけであります。
  29. 白井勇

    ○白井勇君 そこでお伺いしたいのですが、国有林野事業特別会計法によりますと、国有林野事業というものを「企業的に運営し、その健全な発達に資するため、」云々ということを第一条に謳つております。私は個人的には企業的というものは、普通の経済観念で言いまする企業的という言葉ですと、国有林野事業というものを企業的に行うなんていうことは、これはどうもちよつと腑に落ちないと思つておるのですが、それはさておきまして、先ほども林野庁長官からお話がありましたが、今基準伐採量というものを四千七百万石ですか、大体そういう見当において計画を立てて伐採をしておる。それは大体成長量以内のものである、国の林野資源といたしましてはこれは減ることはないのだ、こういう御説明なんですね。私はこの点が非常に大事な点だと思うのですが、そういう林野庁当局の御見解に対しまして、会計検査院とされましてはその辺どういうふうに見ておられるのですか。
  30. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 年間の成長量が四千七百万石ということで、私どもとしては絶えずいろいろそういう面でも伺つておるわけでございまして、国有林が戦争中非常に荒廃いたしまして、これのまあ埋め合せと申しますか、過伐の埋め合せを逐次林野庁はやつておるわけであります。そして結局成長量全部を切らないでというような御方針でやつておるように伺つておりますが、こういう点もこれは国有林野の事業を国としてやつて行く上には非常に重要なことだろうと思う。地方へ参りますと、国有林民有林というのは一目でわかるくらいはつきりしております。民有林は非常に濫伐しておる。国有林の境へ参りますと、欝蒼たる森林が見えるというのは東北方面へ参りますと至るところにこれは見受けられる現象なんでありまして、国が経営しているために、先ほどお話がありましたように、公共団体でもこれは駄目でありまして、どんどん切つてしまう、民有林もどんどん値がいいと切つてしまう。国有なるが故に非常に立派な林相がそのまま残つておるというようなことも見受けられるのでありまして、先ほどお話のありましたように、私どももこれは個人としては国有林を今の法律のように純粋に企業的にやつて行く、独立採算ということを非常にやかましく現在言つておるのでありますが、それにばかり捉われるということは、これは考えものだろうと思うのであります。そういう点は検査の上にも決してとにかく採算々々ということだけで押しているつもりもございませんし、今の国有林を立派なものにして永久にこれを保存して行くということは非常に必要なことだろうと考えておるわけであります。
  31. 白井勇

    ○白井勇君 繰返すようですが、もう少し具体的にお尋ねしますと、例えば営林署なり営林局にいらつしやいまして、こういういろいろの売買につきましての事件をそれぞれお当りになつてこういう御指摘になるかも知れませんが、今のようにやはりそういう点、大いに会計検査院としましても一応検査をして行くような立場にあるとしますれば、果してその営林署なり或いは営林局全体としまして、先ほど申しましたように、国有林野を、つまり成長石数以内でですね、切つておるのかどうか、こういうことにつきまして会計検査院は実際その検査をやれるものかやれないものか、やつておられるのかどうか、その辺のことはどうなつておるのですか。
  32. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 各営林署単位でその営林署ごとに果してやつておるかどうかという点でありますが、これは林野庁で毎年相当綿密な計画をお立てになつた上で、各営林署に年間の伐採量を指示するわけであります。林相ごとにたしか指示されるわけでありますが、相当に綿密におやりになつておるのでありまして、私どもはそれを一一取上げて各営林署ごとに成長量と伐採量とがどうなるかという検討は現在のところまあする必要がないくらいに、林野庁としては戦争中の過伐を埋め合せして行こうというので一生懸命になつておられるのでありまして、その辺まで一々検査のときに一つ一つの営林署についてやるということは実際問題としてちよつとできかねもいたしますし、やつておりません。  それからついでと申しては恐縮ですが、林野庁では、先ほど長官からもちよつとおつしやつたのですが、内部監査ということを相当やかましくやつておられます。現在私どもが知つている官庁の中では、歴史は浅いのですが、熱意を持つてつておられる程度では第一級だと私どもは見ております。私どもとしてはこの内部監査と協力いたしまして、できるだけ余り細かいことを言わんで済むような状態に早く行きたい、こう考えているわけであります。
  33. 白井勇

    ○白井勇君 私も現場を余り見ておりませんのでわかりませんけれども、山を大事にします人たちによりますと、国有林野は勿論大事にするけれども、どうも切り過ぎるのではないかという話をときどき聞かされるのです。私が今まで調べたところによりますと、一分期ごと、十年ですか何かに計画を立てまして切つておるわけです。先ほど長官からお話のありました成長石数というのは、これは仮にその石数は同じでありましても、経済価値に換算してみますと、例えば極端な例を言いますと、切つているものは割合に里山であつて、価値の高いものです。その代りに育つております石数は、現在の実情から言えば林道もつかないし、経済価値は殆んどゼロである、こういう所が育つておるのであつて、必ずしも経済価値に換算して同じ石数が育つているということは先ず言えないのではないかという気がするのですが、そういうあたりについても会計検査院は一体触れられるものか、触れられないものかということを聞いておるわけですが、会計検査院もそういう点がはつきりしなければ、林野庁なら林野庁でそういうことをぴちつと押え得るように措置を講じなければいかんのではないかというような考え方からお尋ねをしておるわけです。
  34. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 今お示しの通り、全国としては確かに埋め合せと言いますか、戦争中の濫伐の埋め合せになつているのでありますが……。
  35. 白井勇

    ○白井勇君 私は戦争中のことを言つているのではない。現在のことを言つている。
  36. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 現在でも、例えばほかに代用品というか、代替物となる……、例えば秋田杉、こういうようなものになりますと需要が相当多いわけでありますから、経営区ごとに見ますと、さつき申上げましたように必ずしも余裕を残して切つているとは言えない面もあるようであります。これは検査のときに何か一々口頭ではそういう面の検討もしているようでありますが、全体として見ますとだんだん蓄積が殖えて行くが、或る特定のものにつきますと減つて行く、こういう事実は、これは現在のところまだ認めざるを得ないのではないかと思つております。
  37. 白井勇

    ○白井勇君 これは私、林野庁長官にしばしば申上げるのですが、やはり林野事業としては、公務員としては、やはり木を切つてこれを売つて行くとか、こういうことのほうが華かで、どうしてもやりやすい恰好になるのだろうと、私は思う、今の状態において。一生懸命下草を取つて、切つたあとに植えて行くという造林とか、その他の管理の面では、どうしてもこれはすぐ自分の業績にもなりませんし、目に見えないわけです。従つてどうしましても先ほど申上げましたように華かなような、そういう面にどうしても仕事の重点が行くのであつて、これだけできたからというので、何百億か一般会計に注ぎ込んでおるというようなことをやつてつたのでは二十年後、三十年後において、成長石数を切つてつたという考え方に立つておりましても、実際はそうでなかつたというような結果になるのではなかろうかという私は心配をしているわけですが、よく一つお考えを願います。
  38. 柴田栄

    説明員柴田栄君) その点につきましては、或いは外部のかたから御覧になりますと、何か木を切ることのほうが華かだ、売つて金儲けするほうが華かだという感じもあるかも知れませんが、我々林業関係者はやはり育つということ、育てるということが一番大きな喜びであり目標であるわけでございまして、蓄積が減少するという問題に対しては林業関係、特に国有林の担当者は耐えられない苦痛を持つておるわけでございます。全体といたしましては、如何にして切り惜しむかということが主体、それから最近ではあらゆる犠牲を払つて木を植えさせろ、もう天然林のままで放置しては到底成長量を補給できないということで、造林計画に対しましては非常な現地の大きな熱意でございまするが、これは計画に従つて実施いたしておりまするので、どこもかも天然林を人口林に切替えるということは実はいたしておらんのでございますが、傾向としては全体の資源の不足をより集約に取扱つて、成長の量を増すというために最近は各地とも従来の計画に再検討を加えて、計画的に天然林を人口植採に切替えようという方法をとつております。例えば先ほど御指摘のように非常に価値高いものと価値低いものと振替つて行くのではないか、これは或る面におきましてさような事実もあるわけで、先ほど例にも出ました秋田杉の天然林のごときは現在二百年乃至二百三十年ぐらいのものを伐採いたしておりまするが、今後計画的施業をいたしましてさような大材を造成して行けるかどうかということには相当の疑問があるわけで、実は人口林といたしましては八十年伐期で実施いたしまするので、できるだけ天然更新可能な地域について秋田杉を保存するという程度に集約されるという結果に相成ると思うのでございますが、全般といたしましては、順次奥地にも林道整備して参りまして、林について、施業対象林は計画的にローテートすることができるようになりつつありますので、全国を通じますと大体平均した価値で利用して行けるようにもう近くなるのではないか、こう考えております、たた切つたものに対しまして少しでも高く売りたい。これは人のものでも何でも、やつぱり人間の本性でございましようが、高く売りたいという気持は多分にあるわけで、ややもすると特別会計という名前につられて商売気を出し過ぎるという危険はあるわけでございますが、さようなことによつて非難のないように、妥当な処分を進めて参るということについては十分指導もいたしておるつもりでございます。
  39. 島村軍次

    理事島村軍次君) 私からちよつと千五百八号、会計検査院指摘によりますと売渡価格が約七百五十万円高価にいたすことができたものであると、こういうことに対しては林野庁は甚だ遺憾であるということに答弁をされておるようでありますが、事実問題としてこの報告の通りにお考えになつておりますかどうですか、それが一つと、それから「厳重な注意」というのがありますが、あなたの調査報告を、これ林野庁から出ているのを見ますと、例えば局長が退職したというようなことが書いてある。それは一体処分のための退職じやないでしよう、それはこれに書いてある。そこで厳重なる注意というのは一体口頭でやられたのか、書面でやられたのか、具体的にその事実がどうであつたかということを一つ長官でも結構ですし、監査課長のほうからでも、どういうふうなことをやられたのか、各項に亘つて一つ説明願いたい。
  40. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 千五百八号につきましては、実は契約そのものには買手側といたしましては不都合がないので処置いたしかねると存じますが、営林局におきます基準の解釈が間違つてつたということについてはご指示の通りでありまして、誠に申訳ないのでございまするが、更に追徴いたすというような手段もとり得ないので、その後の保安林等の制限林の取扱いにつきましては趣旨を全国に亘つて徹底させまして、以後かような間違つた解釈のないように徹底をさせるという措置を図つた次第でございますが、これらの間違いを起した者に対しまして厳重な注意を与えたということは実は書面等でも、間違つている、かようなことについては今後絶対に過誤のないようにという通牒はいたしておりまするが、戒告等の処置はいたしておりません。退職の場合におきましてはそれぞれの事情があつてやめたのでありますけれども、特に責任をとつてというだけの原因によつて退職されたということではないのでございまするが、まあそれらも一つの原因になりまして、担当者は勿論降格等の処置をいたしたのもありまするが、営林局長まで一応厳重な注意関係者には与えたということでございまして、どの局長が退職した、営林署長が変つたという問題を、それだけの問題で懲戒処分としていたしたということにはならんと思うのでございます。
  41. 島村軍次

    理事島村軍次君) 何か監査課長のほうから補足はありませんか。
  42. 島本貞哉

    説明員(島本貞哉君) 特に、長官から今御説明のありましたようで、補足することはございません。
  43. 島村軍次

    理事島村軍次君) ほかに……。
  44. 永岡光治

    ○永岡光治君 今処分の問題が出ましたが、従来から非常に問題になつていることですが、「厳直な注意」というのは、けしからんぞ、はい、そうでございますということにまあなるわけです。これはあれですか、「厳重な注意」は、これを見ましても殆んど全部ですが、処分らしい処分は他の官庁に比較して私は非常に薄いように感じられるわけです。同じ人が「厳重な注意」を二回以上やつたら、二回目には何か厳重な処分以外のものをされるのですか、そういう何か一つの方針を持つておられますか。  それからもう一つは、これは従来から何回もやかましく言われたことでありますが、農林当局としては少くともまあ二十九年ですね、本年度からの問題についてはこんななまやさしい処分ではいかない、こういう方針をきめておられるかどうか、その点を一つお尋ねしたいと思います。
  45. 柴田栄

    説明員柴田栄君) まあ実はこれらの問題を総合いたしまして、退職を要望したり或いは他に転職させたりといつたような措置をとつてつたのでございますが、まあ第一段といたしましては、間違つた事象が起りますると、今後にさような間違いを絶滅いたしたいということで全部監査上、審議にかけまして、同一案件については全国の案件について洗つてみるという手段をとつて是正を考えておるわけでございますが、更に具体的な問題といたしまして、さような問題を起した当面の責任者につきましては、二十八年度からは直ちに降格或いは転勤、或いは場合によりましては退職等の処置をいたしておりまして、今後もまあ反省の一つの手段といたしまして、責任は、或いは場合によりましては非常に善意で不幸な場合もあるわけでありますが、これは止むを得ないということで行政処分をとるという方針をとつておりまして、現にそれを実施いたしておるわけでございますが、一面行政処分をいたしましても、これを更に過誤を繰返すということのない手段をとりませんと実は効果がはつきりいたしませんので、そのほうは全般に亘つて必ず監査制度を利用いたしまして、全国に亘つて是正或いは過誤の絶滅を期しておるということで徹底させるつもりで、もう現在実行いたしておる次第でございます。
  46. 島村軍次

    理事島村軍次君) 丁度時間も参りましたから、ほかに御発言もなければ、林野庁所管については一応質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 島村軍次

    理事島村軍次君) 御異議がないようですからさように決定いたします。  午前中はこれで休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。    午後零時二分休憩    —————・—————    午後一時五十五分開会
  48. 岡三郎

    理事岡三郎君) それでは只今から委員会を再開いたします。  前日に引続き昭和二十七年度決算食糧庁所管を議題といたします。御質疑のおありのかたの御発言を願います。
  49. 白井勇

    ○白井勇君 二十七年度関係じやありませんが、ちよつと関係がありますので、会計検査院にお尋ねしたいのですが、従来検査院のかたの食糧庁に対しまする御指摘事項といたしまして、政府倉庫の利用が悪いじやないか、こういうお言葉がありますね。私ども問題としたいと思いますのは、東京なり、大阪なり、名古屋なりというような消費地におきまする政府倉庫じやなしに、仙台なり、秋田なり、酒田なり或いは金沢、松江というような、いわゆる生産地にあります政府倉庫ですね。それの扱いで、内地米の集荷の面に関連をいたしまして、政府倉庫の利用が悪いということは、どういう御趣旨でありますか、そこをちよつとお伺いしたい。
  50. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 二十七年度には今の政府倉庫の利用率が悪いという批難は出ていないのでありますが、たしか二十六年度つたと思いますが、御指摘のような案件が出ております。御質問の趣旨がちよつとわかりかねるのですが、消費地と生産地を特に区別しなければいかんという理由も、或いは時期的な点なんかであるかも知れませんが、集荷の時期とか、そういう点は十分に考慮いたしました上で、私どもとしては問題にしております。実地検査のときの照会は一応お出しするかも知れませんが、御答弁を伺いまして、そのままにしてしまつて批難しないのが、この案件は運送のあれと同じで非常に多いのでありまして、一応は私ども検査のときに、期間的に見まして、そうして照会を出す、併し答弁を伺うと、成るほどこれは尤もだ、空いていたのは尤もだというふうなのが非常に多いのでありますが、そういうのは、そのままで問題にしない。検査報告には勿論挙げませんが、そういう種類は多いと思つております。
  51. 白井勇

    ○白井勇君 只今お話のように、この問題は二十六年度決算の問題のときに具体的に挙つて来ているわけですが、その会計検査院の御指摘によりまして、今私たち見まして多少どうも腑に落ちない運用になつている。その原因は会計検査院のその御指摘によるんだという恰好になつているのが多い。と申しますのは、先ほど申しましたように、東京なり、大阪なり、名古屋というような消費地に生産地の米を持つて来る。その場合に、他の条件なしに、政府倉庫が空いているにかかわらず、日通なりその他の営業倉庫に入れて、政府倉庫を遊ばせておくというなら、これは当然利用が悪いと言えるのでありますが、現在の食糧管理制度の下において、生産地におきまする操作の必要上、建てました秋田なり、酒田なりその他の生産地の倉庫、これが内地米の集荷の場合におきまして、利用が悪いということは、私どもは一概に言えないじやないか、と申しますことは、現在御承知通りに、集荷というものは指定を受けまして農業協同組合が中心にやつております。御承知通り協同組合というものは、政府助成をもらつて倉庫というものを自分で持つている。ですから、農民は、つまり農業協同組合の自分たちの倉に先ず集荷しているのです。それに入らないというならば、これは秋田なり、酒田なりの倉庫に入れなければならんということは当然でありますけれども、そのものが十分にゆとりがあります場合に、お前それはけしからんから、政府倉庫に入れろ、こういう指導は私は今の食糧管理制度の下におきましては、できないものだ、こういうふうに私は考えておる。ところが会計検査院のほうにおきましては、そうじやない。それはいかんじやないか、こういうふうにおつしやつておるということになつておる。どうも私はその点腑に落ちないのですが、どういうことなんですか。
  52. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 私どものほうといたしましては、今お示しのような生産地の倉庫について、特にそういうふうにしたということは私は承知しておりません。二十六年度に或る種の問題、従来も出ておりますが、生産地の農業倉庫というのは、現在いろいろな保護を与えております。例えば保管していなくても、早く出してしまつていても、何カ月ですかの保管料を払つていろいろな保護を与えおるの御承知通りと存じます。そういうことも十分承知しておりますから、ただ政府倉庫のスペースが空いておるから、そつちへ何でもかんでも持つて行け、こういうようなことは考えておらんのであります。或いは照会の趣旨の行き違いから、そんなことになつておるかもしれませんが、これは十分に一つどものほうとしても調べてあれしたいと思います。二十七年度ではこの種のものは余り取上げておりません。
  53. 白井勇

    ○白井勇君 くどいようですが、そうしますと、これは会計検査院としましては、少くとも今申しましたような、いわゆる産地の政府倉庫、あの過剰地帯に建ちました産地の政府倉庫というものは、集荷面におきましては、これを無理に利用するというようなお気持はないだろう、極端なことを言いますが、内地米のその地方の集荷に当りましては、政府倉庫はがら空きでありましても、これは農業倉庫に先ず入るべき筋合いのものである、そういうお考えであると了承して差支えありませんか。
  54. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) すべてそういうようにとここでおつしやられても、ちよつと私どもとして申上げかねるのでありますが、二十六年度批難いたしましたのも、成るほど秋田、宮城、こういうところが少しございます。併しこれは日通の倉庫、日通ほか一会社の倉庫であります。農業倉庫のことは別に対象に考えておりません。それから一つ大きいのがあるのでありますが、これは東京の消費地の移入倉庫なり十一カ所、これを対象にしております。農業倉庫のことは、僕たちとしては余りおもて向きに検査報告に掲げてまで批難することはない。時間がないのでありますが、どうぞ一つその点を御了承願います。
  55. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、現在私知つておりますところでは、会計検査院検査がやかましくて、政府倉庫を、必ずこれだけの利用度を上げなければならん、こういうような指示が、会計検査院がやかましいから、本省がそれに従つて通牒を流して来る。従つて出先におきましては止むを得ませんから、非常に困るけれども、一応町村別に割振りをするわけです。例えば十万俵なり二十万俵というものを、最寄りの自分たちの倉庫があるにかかわらず、産地の政府倉庫に入れるように割当をして参ります。そうしてむりに集荷面におきましてその倉庫に持つて行かなければならん、こういうことを強制的にやつておる実際の例があるわけですが、こういうことは少くとも会計検査院の御趣旨ではありませんか。
  56. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 食糧庁でどういう通牒をお出しになりましたか、今私としては知つておりませんが、会計検査院がそこまで指示するということもちよつと考えられないのでありまして、そういうふうに具体的に一々どこの倉庫へ、いつまでにというようなことも或いは先ほどのように倉庫を空けておきましても、早く出してしまつても、奨励金を出すというようなことを今おやりになつておりますから、そんな関係で、そういうことが起きるかも知れませんが、会計検査院が政府倉庫のスペースを空けておいて、農業倉庫を一杯にしてはいかんということを前提のもとに、そういうことをやるということは、ちよつと私としては考えられないと思うのであります。
  57. 白井勇

    ○白井勇君 よくわかりました。すると会計検査院のほうとしましては、私の心配しておりますようなことはないものと私は思いますが、なお、念のために附加えておきたいと思いますが、今現地におきましては、そういうふうに集荷の場合に無理をかけますほかに、更に一旦倉庫に入りましたものを、政府倉庫に運送願つておる。ところが御承知のように、管内運送やりますと、一俵あたり八十四円三十九銭ですか、という金額を要するわけであります。八十四円三十九銭というものが、現在の保管料から見ますれば、これは少くとも七カ月ぐらい農業倉庫に入れ得る金額になる。そういうものを払つても、そういう無理をしてやつておる。ところが実際問題として七カ月も産地に米を置くということは、考えられないわけですから、これは私はそろばんの上からも、非常に無駄なことだと思うのです。これは非常に会計検査院の、今の御趣旨のようなことが、誤り伝えられて、無理なことをやつていると承知をせざるを得ないのです。よく御趣旨がわかりましたから、私は会計検査院の今のような御意見であることを、私からもよく末端に伝えておきます。  関連しまして私、食糧庁の長官はよくおわかりのようですが、実務をやつております主務当局のほうは多少はつきりしない点があるように思いますから、実務のほうのかたにお尋ねしておきたいと思うのですが、今申しましたような経過で、二十八年の一月に食糧庁長官名を以て各食糧事務所長に通牒を出したんです。で、政府倉庫の利用についてということで、昭和二十六年度会計検査院実地検査の結果、立地条件の悪い仙台、酒田、新潟、金沢及び松江の各政府倉庫の利用率の低い点を指摘されたので、これが運営の問題について云々ということがありまして、さつきの一つにつきまして、当該倉庫を管轄する食糧事務所において、管内事情の許す限り利用に努めることという一項があるのです。これは只今会計検査院のお考えのように、私は解してですね、少くとも内地米の集荷におきまして、農業倉庫にそういう施設のありまする場合におきましては、無理をして政府倉庫に入れるというような措置を強制的にやるということは、これは管内事情の許す範囲外のことだ、こう私は解釈するのです。ところが現地の出先におきましては、これを非常に強くとつておるのです。ここは事務当局はどうお考えになつておりますか。
  58. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今のお話でございますが、我々といたしましては、政府倉庫を持つておりますので、これの利用をできるだけ合理的に利用して参るということが、我々の使命として当然であると思います。ただお話の集荷の問題、それからそれに伴いまする配給の問題というふうな形におきまして、運送なり或いは保管なりの合理化を図るという形で考えて参らなければならないわけでございますが、お話のように、或る場合におきましてはその一つの項目を余りに強調する、我我としまして強調するようにとられまして、全体的な立場から見ると、実際的に食糧特別会計の経営の合理化ということにならんというような場合、或いは又集荷の問題と関連しまして、農業倉庫の利用度の調整ということにつきまして、或いは末端におきまして、その趣旨が十分に徹底しないで、部面的に取上げるためにそういう場合があるということは非常に恐縮に存じますので、そういうことのないように、十分趣旨の徹底を図りたいとかように考えております。
  59. 白井勇

    ○白井勇君 長官はよくおわかりのようですが、どうか一つこの通牒の今申しました事項を、会計検査もそういうふうにお考えになつておるので、少くとも供出をやつております事務当局がそう何か弱気を出しまして曲解して流す必要はないと思うのです。これはしつこく申しますことは、これは非常に政府の食糧管理の政策に協力するわけですね。自分たちの倉庫も準備もし、できるだけ供出も協力して行く。そうしてなお、そういう協力をいたしましても、結果はどうなるかと申しますと、早く出して倉庫に入れば入れるほど、或いは倉庫の施設なり或いは東京方面に出しまする例えば積出しの能力等につきまして、いろいろな施設をやりまして、いろいろ政府に協力したものであればあるほど、非常に損をするような結果になる場合があるのですね。これは私山形、庄内地方のことを特に頭に置いて考えておるのですが、御承知通りあれだけの協力をして、そうして入つたものはいわゆるピストン輸送ということで、全部東京に持つて来られて、これがすぐ家庭の消費者にレール渡しでもされるというなら、まだこれは話がわかりますけれども、一応産地におきまする五円三十八銭の保管料で済むものが、東京に参りますれば七、八円の保管料、そういうところに入つて来る。こういう結果になり、協力をすることによつて、或いは施設を余計やることによつて、ますますマイナスになるという恰好になつておるわけです。その上に更に先ほど申しましたような、出先の操作によつて、私は誠にこれは会計検査院の御趣旨に反する措置だと思いますが、そういうことをやつては、農村に落ちる金を吸い上げる、こういう結果になるわけであります。これはよほど一つ注意願いたいと思います。
  60. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 勿論御趣旨の点については十分注意いたしたいと思います。ただ配給の問題ということになりますと、消費地の面におきましても、やはり大体毎月運送命令を出しまして、一月前くらいには、やはり消費地において前月くらいに当月の米は用意しておかなければなりませんので、配給面で、その月に産地から消費地に運んですぐに配給をする、こういうわけにも参りませんので、配給の面も考慮いたしまして、そういう集荷の面、又産地におきまする倉庫の利用ということについては、十分我々としても慎重に対処いたしたいと、かように思います。
  61. 岡三郎

    理事岡三郎君) ほかに御質疑ございませんでしようか。
  62. 山田節男

    ○山田節男君 会計検査院検査報告とはちよつと問題がずれるのですが、砂糖の輸入問題です。これは通産省のほうで外貨の割当、或いは輸入の、ほかの手続についても、通産省の所管になるのじやないかと思うのですが、砂糖が、現地の買入価格と、原糖を内地で精糖して、精製して売り出す小売価格の間に、余りに値開きがあるということをしばしば聞くのであります。これもつい一カ月前に日本タイムスの投書欄に、再三に亘つて非常に詳しい、何と言いますか、相当事情に通じたような日本人或いは外人の投書があつたのですが、砂糖の小売値段が高いということは、すでに主婦連合会等においても、値下げ陳情などやつておるわけです。砂糖の現地での輸入、それから輸入して今度製糖会社がこれを精製し、小売店に来る、こういう過程において食糧庁として何か品質、それから価格等において監督し得る部面があり得るかどうか、それから若しあるならば、どういつたようなことをやつていらつしやるか、簡単でいいからお伺いしたいのですが。
  63. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 砂糖の輸入の問題及び価格の問題でございますが、制度的に価格を公定するということもいたしておりませんし、又行政権の制度的な形といたしまして、価格を抑えるというふうな制度的な問題はございませんが、一般的な監督といたしまして、市場の状況等を勘案いたしまして、行政的な勧告をいたしておるわけであります。同時に我々としては、毎月の砂糖会社からの出荷量、それから揚糖量というふうなものを取つています。そうして揚糖量と出荷量との差、つまり一種の売惜しみと申しますか、そういう状態があります場合には、厳重に注意をいたし、現在は大体出荷と揚糖との関係というものは、そう差がない状態になつて、むしろ非常に砂糖の需要が旺盛でございますので、揚糖量を増加いたしまして、余計に出す、こういうふうな状態になつております。全体的には砂糖の価格は、総輸入量が八十万トンでございますが、その八十万トン以上の消費があるというところに問題があろうかと思います。輸入の問題につきましては、これは直接に入れる場合が非常に少くございまして、大体輸出とのリンク、バーターというような場合が非常に多いわけでありまして、この場合には、それぞれの価格が、輸出品との見合い等におきまして、非常にまちまちでございまして、相当高い場合があるわけでございます。全体平均いたしまして適当な価格に抑えるということを考えておるわけでございますが、何分にも総体の需要量と輸入量とが、外貨の関係上窮屈であるという点が現実にあろうと思います。それに対しては、先ほど申上げましたように、我々としては毎月の揚糖は何ぼしておる、それに対する砂糖の入手はどういう状態になつておるか、それに対して出荷をどういうふうにしておるということを、相場の状態と見合せまして、注意をいたしておるわけでございまして、その相場の状態によりましては、関係者を招致して注意を喚起する、こういう措置を取つておる次第でございます。
  64. 山田節男

    ○山田節男君 そうしますと、砂糖が配給制度の場合、これは政府として相当行政上の勧告もできたわけでありますが、自由販売になつてから後においては、砂糖の輸入価格、それから卸価格、小売価格、こういうものに対しては、今おつしやつたのでは、不当な価格かどうかというようなことまで、それを調査して、その価格が不当に高価であるということに対しての行政的な何と言いますか、これを中止、値下げせしむるとかいうような、いわゆる原価計算をやつてこれは高いじやないかという、具体的にそういう指示が食糧庁として、今日の制度としてはできないものか。もう一つは、国内産の甜菜糖でありますが、甜菜糖の価格と、それから輸入する砂糖による精製した小売価格、これは政策価格からいたしまして相当そこに差があるのじやないかと思いますが、甜菜糖によるいわゆる内地産の砂糖価格と、それから外地から輸入する砂糖の価格というものとのバランス、これは食糧庁としてどういうようにこれをしておられるのか、この点ちよつと伺いたいと思います。
  65. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘のように、原価計算を取り、そうして原糖の輸入と見合せまして、それによつて法規に基きまする価格をどうしろ、こういうことは現在の制度としてはやり得ないわけでございますが、ただ一般的な監督の問題といたしまして、注意を喚起する、勧告をする、こういうふうな立場において、これを注視いたしておるわけでございますが、統制時代のように一つの権力、法規に基きまして、これに指示を与えるというふうなことは、現在においては行い得ない形になつております。ただ砂糖の輸入は先ほど申上げましたように、輸出品とのリンクが相当大きなものを占めております。それとの関連がありますので、個々ケースといたしましては、非常に原糖の価格が、その月の中においても、又月ごとにおいても、原糖の価格が違います。ただ全体年間上平均した見通しの下に、価格の動きを注意し、そうして売惜しみのないように出荷の状況等を注意しておると、こういう状態です。で、甜菜糖の問題は御承知のように甜菜糖臨時措置法によつて政府が買上げております。これは当初甜菜糖の原料価格を四月にきめまして、その原料価格を元にしまして、これは原価計算をいたしまして、その原価計算の下に政府がこれを全量買上げております。法律ができましてから、約昨年までの間におきましては、糖価との関係、それから甜菜糖の生産状態、会社の需要量の関係でやはり幾分を政府が負担をするという形になつておりました。甜菜糖の生産もだんだん増加いたしておりますのと、それからこれを処分いたしまする場合には市価によつて入札いたしております。その入札価格が上昇をいたしておりまするので、本年度におきましては、殆んど政府の負担が生じないのではなかろうかというふうに考えております。ただ原価からいたしますると、直接にキューバ等からストレートで入れまする場合におきましては、勿論原価が甜菜糖のほうが非常に高いということになるわけでございますが、只今も申上げましたように、砂糖の全体のストレートの場合のほかに、大部分のリンクによる輸入がございますので、現実のプールをいたしました砂糖の輸入価格ということになりますると、ストレートの場合のようには差がないかと思いますが、多少の差が出て来ておるのじやなかろうか、だんだん追付いておると思います。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 ちよつと資料を要求したいんですがね。砂糖の精糖業者は大体巨大な資本でやつて、数もそう多くないと思うのですが、これらの五つか六つの代表的な精糖会社が年間のいわゆる精製のために使用する砂糖の量、砂糖の輸入の総額、それからそういう巨大な精糖会社が消費する砂糖の価格、その輸入価格、それから卸売価格、これは年度で言えば二十八年度で私はいいと思うのですが、糖業協会か何かあるんじやないですか、ですからそういうようなものを一つ食糧庁から、そういつたようなまだ私の言い足りない点も、我々の参考になるようなものを一つ農林省のほうから糖業協会へ請求をされて、信頼し得る数字を書いたものを一つこの委員会に出して頂くように御要求願いたいのです。
  67. 岡三郎

    理事岡三郎君) 只今山田委員から要求されました資料ですね、御提出になれますか。
  68. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今のお話、総体としては勿論輸入量によつて揚糖量はきまるわけでございますが、どれだけの砂糖を毎月消費しておるか、この揚糖量は各社別にございます。従いましてそれに基く出荷の報告及び原糖の入手の方法とも、これは量としてはとつております。ただ個々の会社の輸入価格でございます。この輸入価格ケースによりまして、それぞれ御承知のように輸入業者に割当てまして、直接精糖会社に割当てまする場合におきましては、これはわかるわけでございますが、輸入業者に割当てまして、輸入業者から会社が輸出リンクその他バーター等で購入いたしておりますという場合におきましては、正確なものがどの程度に見られるかという点がちよつと私としてもまだ疑問がございますが、極力一つ趣旨に副うような調査はいたしてみたいと思います。価格の点につきましては、これは相当個々の会社の商売上の問題と言いますか、どういうふうな形で入手しておるかという点が相当問題があろうかと思うのですが、どの程度価格調査し得るか、その点はそういう意味で以て御了解願いまして調査いたしたいと思います。
  69. 奥むめお

    ○奥むめお君 重ねて資料をお願いいたしたいんですが、輸入砂糖が精糖会社のほかにも大分割当が出ているようでございますが、その割当の額と受取る団体でございますが、それの一覧表を一つお願いします。
  70. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) その点は承知いたしましたが、ただ御承知のように、本年度におきましては精糖業者に対する割当とそれから輸入業者に対する割当とございます。そのほかのものは輸入業者から買つているということでございますので、今の点は精糖会社に対する割当の問題と、輸入関係は通産省でございますが、輸入業者に対してどういう程度の割当が行なわれて、これは御承知のように、バーターとリンクで、輸入業者割当というものが相当多くなつております。或いは半分以上になつているかと思います。その点で通産省と連絡をいたして見たいと思います。
  71. 山田節男

    ○山田節男君 小峰局長にちよつとお伺いするんですが、先ほど委員会の始る前に、会計検査院としてこの東南アジア諸国へ、日本が米その他の主食を購入している土地へ検査に見えるというわけですが、これはどうですか、大体これは我々としてもお願いしたような目的でいらつしやるのだが、この日本の政府関係、それから調査せられる土地の政府、それからその地での、何といいますか、仲買人といいますか、購入する米を供給する人々、それから日本の政府の委嘱を受けてやる商社、こういつたようなものが、相当何といいますか、当事者が両局に跨つてつて複雑な事情にあるわけです。これは何とか折角行かれるのだから、その点を最も真意を了解してもらつて、何もボロを探し出すのじやない。この巨大な国費を使つている主食の輸入というものを、品質、価格をよくしようというのが、これが目的だろうと思うんです。ですからこれについて予め何かの了解を政府を通じてやつておくのが私はいいんじやないかと思うんですが、これは老婆心ですけれども、例えばタイにしましても、これはもう非常に独裁国家であつて、そうして我々見るところでは相当スキャンダルが多いんです。例えばこれは名前を挙げて甚はだ失礼ですが、ビブン総理の親戚の人がコカコーラの一手販売をやつている、製造販売、これで巨大な富を今なしている。その他政府関係要人がいわゆる国営の名の下において非常に大きな事業を行なつている。そういうところですから、なかなかむずかしいと思うんですが、そこらあたりは、こちらの真意を十分掴まして、決してスキヤンダルを挙げるのじやないのだという、予め相当了解運動をしておかれたほうが、より効果的じやないかと思うんです。ビルマは、これは社会党の天下であり、相当現在緊張してやつていますから、タイほどじやないと思うんです。併しこれ又我々見たところでは、まだ若い政府であり、血気にはやつているけれども、併し国営とは言いながら、又タイに似たような、何といいますか、贈収などの一部が行なわれている。そういう状況ですから、なかなか外部から行つて調査がむずかしいのじやないか。併しながら政府の手をかりないとなかなかそういうところが掴めないという一つの非常に矛盾した点がある。一応これは外務省を通じ、或いは通産省、農林省を通じて、あらかじめ誤解のないようにして頂くほうが非常に効果的じやないかと思うのです。これについて何か手を打たれたかどうかお伺いしたいのです。
  72. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 一々御尤ものように伺つております。私どもといたしましても、実はどういう方法でこの調査をやつて行くかということは、相当当初から苦慮しておるわけであります。本日午前中にようやく会計検査院が向うに行けるという状態にきまりまして、大蔵省のほうの旅費をもらう関係比較的早くきまつたのでありますが、その外の渡航関係で日がかかりまして、今日ようやくきまつたようなわけであります。少し私どもの予定よりも遅れたのでありますが、早速準備を整えて出発させたい、向うへ参りますのは食糧を主管しております私の局の農林検査第二課長、丁度ここへ来ておりますが、それと外の食糧の検査をずつと担当しております者を派遣するわけであります。丁度食糧庁、厚生省、この方面から現在調査団が参つておりまして、同じ時期になりまして、日本政府の関係が二通り会計検査院も向うにやはり日本の政府の派遣者、こういうことになるわけであります。二通りに参りまして、別々の調査をてんでにやるというようなことでは、これは向うに対する聞えもどうかと思いまして、食糧庁とは今までに相当いろいろなお打合せをさせております。それで結局、結論は或いは違つたものが出るかも知れませんが、調査対象食糧庁なり、厚生省なり、或いは外務省なりと大体同じところになるわけでありまして、そういう面も十分に協調を保つた上で、調査を進めて行きたい、こう考えております。今までのところ食糧庁、それから外務省、この方面にはいろいろお話をし、向うへの疎通というようなこともお願いしてありますが、今日具体的にきまりましたので、もう日がございませんが、それぞれの向きとも、只今の御注意もよく念頭におきまして、いろいろ適当なところと折衝して、余計な誤解を受けるようなことは絶対にないように一つしたい、こう思つております。
  73. 山田節男

    ○山田節男君 これは前谷長官に特にお願いいたしますが、殊に参議院の本委員会で、会計検査院に実は行つてもらおうということがいよいよ実現の段階に入つたわけであります。これは何も食糧の輸入の行政を暴くというのではなくして、如何に品質のいい米をまともな値段で選んで買うかという、そういう方法についてどこかに隘路があるのではないかという意味での研究調査のために行くのである。これは食糧庁としては勿論協力してもらわなければなりませんが、出先の商社ですね、これは甚だ失礼な言分ですが、今は多少変つたかも知れませんが、昨年の正月頃のバンコック、ビルマ等におけるいわゆる米の買付業者というもの、出先のものの態度を見ても、又我々がタイ政府或いはビルマ政府のほうの人に聞いても、これは日本の、何と言いますか、商社として正しい行き方をしておるとは言えないものがある。これなども漸次整理されたというお話ですが、併し今後そういうようなことを一つ矯正するためにも、この際やはり会計検査院というような政府の機関が折角行つてくれるなら、これを善用して、それから商社は、やはり農林省から行かれるよりは会計検査院が行つたほうがよい。彼ら自身から意見を聞いてみても、やはり現地の制度が悪いということを言つております。ですから食糧庁としては特に今度の会計検査院が行かれることについては、もうできるだけ協力して頂きたい。白日の下にこういう姿なんだ、よかろうと悪かろうと、或いは悪ければどうするのかというのが目的であつて、この点を一つ長官からも商社に対して誤解のないように十分協力するように、初めての試みでもありますから、これが若し非常に効果的であれば、他の方面においても海外出張ということは……。会計検査院は単に内地だけでなく、海外へ行くということは当然だと思う。一つ長官からも殊に商社に対して誤解のないように、又全力を挙げて協力するように指示してもらうようにお願いしたいと思います。
  74. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 只今も御注意ございましたが、我々もその点は十分注意いたしておりますし、実は今回の問題について会計検査院からお話がございますし、我々も是非行つて頂きたいということで、渡航審議会等に対しましても、我々からもその必要性を説明して参つておるという状態でございますので、十分連絡をとつております。特に今調査団が行つておりますので、農林省から派遣した者にはその趣旨をよく含めてございます。ただ小峰局長からもお話がございますように、時期が同じでございますので、我々のほうといたしましては、調査の場合におきましては、やはり同一に、タイ国側に対してばらばらにならないように……、同じ事態、現象というものもそれぞれ見方があろうかと思います。別な面で見て頂くという形にして、結論はどうありましようとも、先方に対して日本側がばらばらになるという形のないようによく言つて会計検査院にもお願いいたしておりますし、我々もそういう感じでやつております。従いまして日本側の商社等に対しましては、十分そういう趣旨を徹底いたしまして協力するようにいたしたいと思つております。
  75. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 未収金やなんかのことについて質問いたします。ちよつと会計検査院のほうへお伺いいたしますが、未収金が東京と鹿児島で百万円と七百八十万円、計八百八十万円の未収金というのが出ておりまして、昨日からこれの説明が行われておりますが、二十七年度に食糧事務所から売渡した未収金というのはこれで全部なんでございましようか。それともこのほかにもあるけれども調べがついていないというようなものがあつて、発見されたものがこれだけというふうに受取つてよろしゆうございますか。その点一つ
  76. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 食糧管理のように、物を売るというようなことをやつております場合には、未収金というのはどの会計でもいわばつきものであります。税金の場合でも同じでありますが、それで私どもとしましては、未収金が出たからといつて、何でもかんでも批難をして検査薄に挙げるというような態度はとつておりません。大きなものにつきましては総括的に批難、例えば従来薪炭特別会計などの未収金についてはそういう例もございますけれども個々の事案を一々検討いたしました上で、当事者の取扱いに過誤があつたかなかつたか、過誤があつたために未収金を生じたのかどうかという点も実は一々検討しておるわけであります。食糧管理、ほかにもたくさん未収金はございますが、ここに挙げたのは先ほどからのお話にございましたように、当事者として少しくまずかつた。その結果、そういう多額の未収金を生じた、こういうケースを拾い出したわけであります。ほかにも検査しておりますが、批難事項としてここに御報告するというほど悪いものはこの二件だけ、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  77. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 それでは少しわかりましたけれども、何と申しましようか、不当である、措置がよろしきを得なかつたというような意味は、この二件だけであつてほかには何にもない。ただ会計検査院では全部お調べになつたのだが、私のお尋ねするのは、例えば国がいろいろ出す補助金或いは建設省等の工事なんかもあちこち当られると、そこにまずいのがあつて、全部当つてはおらん、ただ代表的というか、実際お調べになつたのをこちらに御報告になつて、全部やれば、もつとたくさんあるのだというふうにも私聞いておりますのですけれども、食糧関係のは全部とにかくお調べになつて、その中で不当のはこれだけあるというふうに伺つてよろしうございますでしようか。
  78. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 補助工事の分が引合に出ましたが、補助工事は例えば農林省だけで申しましても、平年で約七万全国にございます。それから昨年のような大災害になりますと、十万を遥かに突破するのでございまして、とても私どもが今の何倍かの能力を以てしましても、とてもこれは全部廻れるものじやございません。それで検査報告におきましても、これだけあるが、このうち何%の何千箇所しか廻らなかつたということをはつきり実はお書きしまして、その程度検査でこれだけが出たというような御報告をしておるわけであります。  未収金になりますとそんなにたくさんは——本来生じないのが当り前な性質のものでありますから、事業をやつておる上には止むを得ざる事項として生じるわけでありまして、そう何万もあるものじやございません。これは私どものほうで計算、証明を各食糧事務所から全部出して頂いております。それから主な食糧事務所は大体全部毎年廻つておるのでありまして、その都度一々のケースの審査が十分にこれはできるのであります。補助工事のようなたくさん、如何にもたくさんあるものとは大分違いまして、食糧事務所は大体全国毎年廻つております。それで未収金が幾つあるか、どこに対して未収が生じておるかということもここにわかつておりますので、一々検討できる程度のものであります。
  79. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 よくわかりました。それではここにお出しになりましたのは、全国の食糧事務所を全部実地についてお調べになつて、その結果に基いておまとめになつたのがこれである。そうすれば、食管会計としては、この種類のものは一つも漏れなくお調べになつたというふうに伺つていいわけでございますね。
  80. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 私どもの調べに或いは疎漏な点があつたかも知れませんが、私どもとしては全部調べ上げた上で、ここに事項が私どもの手許に報告された、それを検討いたしまして国会に御報告するのが妥当だと認めたものは全部掲げた、こういうふうに承知しております。
  81. 岡三郎

    理事岡三郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  82. 岡三郎

    理事岡三郎君) 速記を起して下さい。
  83. 久保等

    ○久保等君 まあ千五百三号と、それから黄変米の千四百九十七号、これは勿論保留ということで、一つ私質問したいのは、パキスタン米の輸入についての処置当を得ないものということで、千四百九十九号になるわけなんですが、この内容を見てみますと、パキスタンの要請によつて、特にパキスタンでは、非常にドルに不足しておつた関係で、小麦の買入れが非常に困難だつた。従つて日本に申出て来て、何とかまあ日本でカナダの小麦を購入し、それと交換にパキスタン米を日本に売つてやろうというようなことで、この問題が起きたようですが、そのことの経過は、従つてパキスタンの非常に強い希望によつて日本でパキスタン米を買い、パキスタンに日本で買つたカナダの小麦を引渡したということなんですが、受取つたパキスタン米が非常に不良であつて、現存もなお在庫になつておるという状況にあるようなんですが、これはちよつと普通考えてみますと、当時端境期にあつて、日本としても米の確保が必要だつたと言われておるのですが、今日なお在庫になるような、非常に不良品を買付けておるのですが、内容を見ると、半分くらい砕け米乃至はそのほかのいろいろまあ品質の悪いものが混つてつたという極端なものを購入しておるのですが、何かどうも中間に挾まつた業者なり、或いはその他にスキャンダルでもあるのじやないかと思われるような、まあ馬鹿げた米の買入れをやつておるのですが、而もこちらで検査をした検査によると、明らかに日本とパキスタンとの間における契約のいわゆる拒絶限界ですか、拒絶限界をも遥かにこれをオーバーするような結果が出ておるのですが、これはもう外交上の問題で、なかなか交渉をやつたがうまく行かないというようなことも、食糧庁の報告の中にもちよつと説明せられておりますけれども、この問題は、ただこの問題を報告書で見た程度では、これは到底ちよつと納得しかねるのですが、もう少し何か納得の行くような経緯でもあるのか、どうか、食糧庁のほうから御説明を願いたいと思います。
  84. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) この実施いたしました原因といたしましては、資料にも差上げてございますように、端境期でございまして、外米が欲しい。ところがたまたまその当時におきましては、全般的に世界が輸出割当をいたしておつたのでございまして、輸出割当が異常に取れるというところがなかつたわけでございまするので、パキスタン側から、ドル不足のためにカナダ小麦が入り得ないから、パキスタン米との交換を、在外公館を通じまして申出があつたわけでございまして、その中出を在外公館を通じましていろいろ交渉をいたしたわけでございまして、当初はパキスタン米七万五千トンと、小麦の十五万トンとの交換と、こういう形になつたわけでございますが、我々といたしましては、その際におきまする他国の米との関係もございまして、そうして五万トンと十万トンということにいたしまして、その当時におきまするカナダ小麦の市価と、それから他の外米との市価と、これを検討いたしまして比率をきめたわけでございます。その際は、原因といたしましては、食糧庁といたしましては、外米を確保いたしたいという希望を強く持つておりましたし、又外交上パキスタンとの関係におきまして、この交換を実施してもらいたいという外交上の要望もあつたわけでございます。その両面からいたしまして、これを実施いたしたわけでございますが、品質につきまして、我々普通品種を限定いたしまして、そしてブロークン或いは事故粒その他の限界をきめて取引いたしたわけでございます。ただ我々といたしまして、この際考えられなかつたものは、パキスタン米の臭いと申しますか、いわゆるホール・ライスという特殊の加工をいたしました米があつたわけでございますが、これはパキスタンにおいて、或いは南方におきましては、ホール・ライスは、これはむしろ優良な品物になつているわけでございますが、相当臭いが強いので、その関係上日本側の嗜好にも適さなかつたという点につきまして、そういう点の調査等が不十分であつた点は申訳ないと思つております。そういう事情にあつたわけでございまして、決してこれによりましていろいろのスキャンダルというふうな問題ではなくて、むしろ正式の外交交渉を通じてこの問題を処理いたしたわけでございます。
  85. 久保等

    ○久保等君 ごのパキスタン米の五万トン余りのうちに四等品というような品物も含まれておるようですけれども、それから一等品の米にしましても、非常に籾の混入率が多いというようなことが言われておるのですが、何かこちらで便宜を図る建前から、こういつたような操作をやつてパキスタン米を買入れているにもかかわらず、内容が、何と言いますか、非常に粗悪であつたという点で、私はもう少し何と言いますか、これは決定をやるのは国際機関を通じてやつているようですけれども、この交換契約書の内容に、積出すところでの、現地での検査ではどうやらパスをしておつたといたしましても、どうやら拒絶限界にほんの一%余り程度でパスをしておるというようなことが、この資料の中にもちよつと出ておるのでして、砕米の場合には約三四%で、拒絶限界が三五%というような状態で、内地で以て検査の結果は遥かに限界をオーバーしておつたという結果になつておると思うのですが、余りにも何かこちらが積極的に頼んで買いつけたということであるならば、結果的に多少思つたよりも品質が悪くても止むを得ない場合もあり得るかと思うのですが、こちらのほうでむしろ便宜を図るという意味での買いつけたパキスタン米が、結果において非常に悪くて端境期に間に合わせるどころでなくて、今日まだ処理もしきれない、配給もできないというような状態に捨ておかれているというようなことについては、余りにも杜撰というか、形式的に取引が行われたような気がいたすのですが、そういつたような点について、どの程度の外交折衝がなされたのか。その点も一つもう少し納得のできるような説明を承わりたいと思うのですが。
  86. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) お配りいたしているかと思いますが、二十七年の八月から交換公文で外務省の現地とそれから外務省との間におきまして数次に亘りまして、いろいろ交渉をいたしたわけでございまして、その間我々といたしましては、やはり食糧の端境期に際しまして米を持ちたい、こういう気が強くあつたわけでございまして、全般的には大体主食用として配給をいたしたわけでございますが、特殊の品種につきましては日本の嗜好に適しないために数千トンが残つておる、こういう状態なんでございます。ただその当時の状態といたしましては、パキンタンにおきましては、非常に食糧危機がございまして、特に十月初めに是非麦をもらいたいというふうな先方の食糧事情も勿論あつたわけでありまして、日本とパキンタンとの国交上の関係をも、これを実施するにつきましては、先方側からの事情を考慮はいたしましたけれども、我々といたしましては、やはり米を欲しいということもあつたわけでございまして、その両方の意見が合致いたしたわけであります。ただ我々研究不足だと思いましたのは、品種の関係で普通の規格にパーマルとかべグミ、カグニーというようないろいろな品種があるわけであります。その品種の中にブロークンその他のほかに臭いの点があつたわけでございまして、臭いが日本人の嗜好に適さないというふうな点がありましたし、そのうちにまあ籾から特殊に加工いたしました、いわゆるビタミンを入れると申しますか、特殊の加工をいたしましたものもあつたわけでございまして、そういう点が日本人の嗜好に適さなかつたということで現在数千トンの売残りがございますが、大部分は主食用として、これは配給いたしたわけでございます。
  87. 久保等

    ○久保等君 まあ、数千トン残つている、こういうお話なんですが、手許に頂いている資料では一万二千三百幾らになつておりますが、正確にはどの程度残つておりますか。
  88. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 四千九百トンでございます。
  89. 久保等

    ○久保等君 この一万二千幾らというのはいつ現在なんです。
  90. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) これは検査をいたしました当時かと思いますが、現在におきましては四千九百トン、これはみな総合用に配給いたしております。
  91. 久保等

    ○久保等君 まあ、このパキスタン米にしても又昨日も問題になつたイラクの大麦、或いは又保留になつているビルマ米、こういつたような問題については、非常に指摘せられておりますが、事案の内容としては、これは一般国民が聞いたら非常に憤慨をする。私はドルも問題だと思うのですが、内容を見ると、いわば一方的に非常に品質の悪い品物を莫大に実は仕入れておる。昨日問題になつたイラクの大麦にしても、約二十億というような莫大な国損を生じたり、今のパキスタン米にしても、事情が、長官の説明せられるように、特にパキスタンにおけるドル不足というようなことで、小麦をどうしても手に入れなければならないというような事情に置かれておつたパキスタンの国情といいますか、食糧事情から、日本で特にパキスタン米を、こちらでも勿論必要ではあつたでしようけれども、併し現実には相当莫大な数量が処理し切れないで、一年以上経つても倉庫に眠つておるというような米の買付をやることについては余りにもこのやり方が私はだらしがないというか、誠にこれは莫大な金額の面でも国損を生ずるという結果になり、而もそれに対する措置を見てみると、どれもこれも大体厳重注意乃至はただ単に注意を与えたという程度の処置しかなされておらないのです。こういう問題は食糧全般の問題について、特に外米輸入なり、或いは外麦輸入の問題について、全般的に非常に私は重大な問題だと思うのです。而も又今後の問題についても、パキスタン米の場合には、この問題だけの購入について、外務省を通じての契約書を交換し合つておりまする特殊なケースかと思いまするが、全般的に見て、どうも非常に今後のこういつた外米なり外麦の輸入の問題についても、心許ないというか、非常にすつきりしない私は印象を受けるわけなんです。このパキスタン米の案件の問題としては、私は今言つたような形の処理しかなされておらないことについて、非常に強い不満を禁じ得ないのです。臭いの問題が云々というようなことが言われておりますが、少くとも臭いを別にしても、品質そのものが、特に四等品を買つたとか或いは又一等品にしても、これが又一等品と言つてみても、籾が非常に多量に混入されておるというようなものは、誠に品質からいつて、目で見れば、一見してわかる程度の、而も食用に供するにしても、特殊な強く統制を行わなければならんとか何とかいうことで、非常に大きな金額の面では国損を生じておる問題でありますが、こういつた問題については特に今後厳重に私は反省を促したいと思うわけなんであります。
  92. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘通り、我々は食糧の輸入につきましても、当時としては、いろいろの市場の関係等がございましたが、十分これを注意をいたし、又反省をいたしておる次第でございまして、買い方或いは検査方法等につきましても、根本的にこれを改変するような措置検討いたしておりますと同時に、二十八年度におきましても、具体的なこれの取引の基準、規格等につきましても、十分注意をいたしておりまするが、今後共に十分その点は反省し、注意をいたしたいと思います。
  93. 平林太一

    ○平林太一君 今のそれに関連して、具体的にやるというお話だが、外米、外麦共に重要なかけがえのない食糧ですから、それでこの品種を買付けする我が国のほうから指示するということは、東南アジアの諸国の状況では、向うはいわゆる日本は得意であるから、そういう方法が当然とられるべきであると思うが、今日までそういうことをしたかどうか、ただ向うが作つたものの中から、それを買受けるというようなことでは甚だ食糧のことに当るあなたがたの御態度として、これは非常に満足しがたい。だから具体的になにいたしますと、二十九年度、明年は三十年度だが、三十年度に買付けする外米、外麦は共に今日も数字的にこれは出ておるものと思う。それだからこの際、向うの植付け前に、こういう品種を一つ作るということを、そういう手順をなさつておられるかどうか。それから或る場合には、気候風土等によつて我が国の現在作つておりますような米が、その品種を向うへ指示することによつて同様のものができるということも想定されるわけだが、それらの全体の事情はお話になられて、そうしてそういう処置を今までおとりにたつたのかどうかということを承わりたいと思う。
  94. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘のように、二十七年度までは全体的に輸出国は輸出割当をいたしておりましたが、二十八年度から許可制はございますが、輸出割当というふうな制限的な措置がとられておりませんので、二十八年度から、例えばビルマにつきましては品種別に数量を協定はいたしたのでございます。それで又現在タイにつきましても、例えばブロークン五%以上のものは幾ら、一〇%以上のものは幾ら、こういう形で交渉をいたしておるわけでございまして、こちらから品種、それから規格というものを指定するように交渉を取運んでおるわけでございます。又御指摘のように品種の栽培の問題でございますが、この栽培の問題は、タイにつきましては、日本米のタイに適するであろうと思うものを持つて参りまして、目下タイの試験場で品種の研究をいたしてもらつております。これは御承知のようになかなか気候の関係、害虫の関係等でどの品種が向うに適格であるかということは、相当試験をいたしませんとわかりませんので、向うの農事試験場と連絡をいたしまして、こちらの品種を以て試験をいたしておるわけでございます。で、御指摘のように、全体的に麦につきましては、国際的に大体もう規格がきまつておりますし、その点は取引国として心配がないと思いますが、米につきましては御指摘のような点が多々あるのでございまして、我々といたしましては、従来タイ国につきましても、輸出業者の選定も先方がやつておるのでございます。その選定された輸出業者契約しなければならないと、こういう状態でございましたのを、現在は輸出業者をこちらが自由に選べるような形に持つて行きたい、更に進みましては、タイの工場、ミルをこちらが指定できないかというふうな形で、更に進んでこれが改善につきまして交渉をいたしておる次第でございます。
  95. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、今のお話では大体植付け前にこれこれの品種のものをこれこれ作つてくれと言うことは、具体的な結果になるわけだが、そうすると、もう三十年度に買付けるものは恐らく今日先方とそういう打合せをいたしておつて然るべきである。それからそれによつて三十年度買付け米というものが我が国のほうの嗜好に適したものが買えるということになるが、三十年度の産米ですね、先方の。それに対して今日只今どういうようなお考えでおられるか。
  96. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 先方の作付けする品種をどうするかというふうな点につきましては、これは先方のいろいろな品種の技術指導の面もございまするし、又いろいろ経営条件等の問題もございますので、品種別の作付けをこういうふうにしてもらいたいと言うところまでは、まだ至つておらないわけでございます。これは相手がたも独立国でございます、なかなか経営状態、いろいろな関係がございまして、どういう品種をどういうふうに作付けをするというふうなところまでは参りませんが、ただ日本の好みまする品種というものにつきましてはその地方、それから籾の状態等を検討いたしまして、こういう品種のもの、こういう規格のものを買う。それがない場合におきましては、数量が減つても止むを得ない。こういう態度でおるわけでございますが、根本的には先方の品種の改良をどうするかというようなお話かと思いますが、その点につきましては、先ほど申上げましたように、品種改良につきましては相当の時間と準備とを要しますので、目下のところは日本の品種を以てそれがタイに適するかどうかということを先方の農事試験場と連絡をとつて研究をいたしておる、こういう段階でございます。
  97. 平林太一

    ○平林太一君 そこで今の答弁は何か非常に不用意の態度、私の考えておることに対しては熱意を欠いておる。それは今いたしていないということを向うから伺つた、作付反別をどうするとかいうことはできないというお話に聞えたのですが、さようなことはあり得ないことだ。向うからみますれば、米を買つてもらうということは、その国の経済の面で大きな力になるのだから、それだから卑屈の何をやめなくちやいかない。何か向うから売つてもらうのだという観念がまだ大分残つておるようですが、そういうことではないのである。それだから明年に対しては、もう即刻そういうことをいたすということを根本において、そうして先方に対する明年度買付の具体的な用意をなされてしかるべきだ。場合によつては、こちらからそのために技師を送る、向うでは欣然それを受けましよう。それから肥料等の点について米の性格というものが非常に影響するのである。我が国の肥料はこれこれを使つてくれということは、これは当然話合ができるわけです。そういう点についてあなたの言われるのは、頗る何と言いますか、役所のことを、今までのことを踏襲して行けばそれで無難だ、それに対して何らの心境もお持ちにならん。これは食糧庁長官として重大な問題です、職責上の……。そういうことをお考えにならんか。それから今日只今、明年に対して、即刻そういうことを向うが拒否したら困るじやないか——拒絶したらそういうことじや困ります。これこれの米は、日本へ売るところの米は私のほうの自由勝手だ、品種を幾つでも作つて、その中から好みのものをお持ち下さい、こういうことならば、そのときのことなんです。併し今日、明年度に対してそういう処置をとることが、それくらいのことはこの間の黄変米であるとか、あとになつて国に重大な損失を、又我が国民に不安を及ぼすということを未然に防止する、それがあなたのお役目なんです。それをいたしていないということで、今のような答弁の内容からみますと、銅臭芬々たるものがあります。甚だ職務の遂行に当つて非常に真剣な態度というものが欠けておるわけです。そういうことをどうお考えになられるか。それから明年度に対して向うが拒否したら、それでよろしいか、すぐこの際、そういう処置をおとりになるかどうか、こういう品種を一つ明年はよそで買うものにまで差図することはないか、我が国はこれくらい買いたいと思うからこの品種を作つてくれ、この品種に対してはこういう肥料を使用することが、耕作上において何を達成するわけだ。それから技術上においては我が国のほうでこういう品種も差上げましよう、その技師報酬というものは向うで持つてもらう必要はない、膨大な食糧です。向うもいいわけなんです。我が国のほうでもいいわけなんです。だから明年度に対してそういうことを一つお考えになつておるかどうか、そういうことを一つ全国的にもあなたのほうで一つお考えを根本的にお入替えになられて、そうしてこの勇気を何か必要とするとかしないとかいう問題じやない。あなたが誠実に日本の外米買付け、或いは麦に対しても、今規格が同じだということをおつしやつたか、そういうものでない。麦というものは品質に上中下があるのだから、日本においても……。そういう漠然たる規格が同じだというようなことですべきものではない。結果においてはそういうことになつても、営々たる熱意を持つて如何にしていい麦を我が国民のために買わなければならんか、買うべきであるということが、これは出べきなんです。併し麦のことに対しては、世界の規格、全体の規格が同じだからということで、ややこれは緩和いたしております。併しこれは相当なる反省を求めておきます。どうです、明年度に対してあなたの覚悟、それを承わりたい。
  98. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 御指摘のように、我々としてはタイなりビルマに対して決して卑屈な態度で、物をもらうという気持でやつてはおりません。御承知のような食糧状態でございますので、相当強い態度で以て当つておるわけでございまして、その点は御了承願いたいと思います。決して先方に対して卑屈な態度をとるというふうな気持は毛頭ございませんし、相当強い態度をとつてつております。現にタイの使節団が来ておりますが、これもこちらの要求が入れられなければ先方との話合いも打切るというふうな気持で以て進んでおるわけであります。ただ御指摘の作付けの問題につきましては、御意見もございますが、これは全般的に御承知のように東南アジアとの経済協力の問題として、我々は農機具の問題なり農業開発としての技術指導、耕種の改善というような問題につきましては、全般的な東南アジアとの経済協力の一環として考えて行きたいというふうに考えておるわけであります。と申しますのは、地域的に見まして、品種の栽培というものは地域によつて全部異なつておりまするし、品種の栽培につきましての指導ということは、相当時間的にもかかるし、又タイ国側の指導組織というものも作つて参らなければなりませんし、籾の問題等もあるわけでございますので、全体的な作柄、農業技術の指導又日本に適する米の栽培というものにつきましては、全般的な農業開発の協力、経済協力という面から指導して行きたい、ただ我々として食糧を買う場合に当りましては、日本に適する品種を選んでそれを買う、いいものを買付ける、こういうことには固い決心を持つてつておるわけであります。
  99. 平林太一

    ○平林太一君 今の日本に適する品種、こういうことではどうしても、これは何といいますか、他力的な……。日本に適する品種の米を買う、こういうことでは一応向うが自由に作つたものの中から、やや日本に適するものを優先して買うというわけなんです。それでは結果においては事実は日本に適するものでないということになる、実際問題は……。それだからむしろ作付けに対してこれこれのものをいわゆる事前に、この品種を作るようにして、それを買受けよう、こういうことを今年のうちに、来年の作付に支障を来さない事前においてそういう処置をおとりになるかどうか。当然とるべきなのです、それは。どうです、それは。
  100. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 農業の作付の米の品種の問題でございますが、日本側から申しますると、日本のいわゆる円粒種でございます「まる米」、特に外米の場合におきましてはいわゆる硬質米でございまして、ぼろぼろする。日本のやつは軟質米でねばりがある、こういう違いがございまして、日本側といたしましては軟質米の円粒種が欲しい、こういう希望があるわけでございますが、ただ先方の気候条件或いはそういう点からいたしまして、これが栽培が可能かどうかというふうな点については、従来の在来種が普及いたしておる状態でございますので、そういう点を今試験場と連絡をとつて研究いたしておるわけでございます。現在タイ側で栽培いたしておりまするものにつきましては、この中から良品質を選んで参る、こういうわけでございまして、品種の改良ということになりますると、相当いろいろな面からの検討をし、そうしてそれがタイ側の気候条件その他に適するかどうかというふうな点いろいろ問題がございますので、そういう点は全般的な農業開発の協力という面と併せまして考えて行きたいと、かように考えております。
  101. 平林太一

    ○平林太一君 今、非常に私どもの何をあなたが避けるようなことをなさつておる。端的に、我々は政治ですから、極めて何か技術的に物を考えるわけじやないわけで、それから事を、あなたが言つているものを腹に含んでおつて、そしてその含んでおつたものにこれを育てて行こうというふうなものじやないのです。端的に、日本でこういう米は日本国民のいわゆる嗜好に適するものということ、それだけのものです。適するものということだけを前提としてそれだけ取扱つて行けばいいわけです。例えば肥料を或いはその技術ですね。日本の技術を向うへ指示し指導して、そしてこちらのほうに適当な米が今後得られるという、そういう方法があり得ると思うが、それはどうなのです。肥料は影響ないのか。例えば日本の硫安なるものを向うへ少し使わしてみる。向うは増産を拒否することはないわけです。日本の硫安というものを使つて、みな国内においては、これは国の産米の上に、つまり嗜好に適する米ができるのだから、これはまあ学理的には我々は別の問題です。恐らくいい結果が得られる、こういうことがまあ想像されるわけですが、こういうことに対してはどういう態度を取つておるか。肥料の問題、これはやはり無論植物ですから、その肥料ということで必ずみのり、いわゆる結実に影響があることはこれは当然なことなのです。ですからそういうことに対してどうされておるか。それから指導ですね、こちらから農林技術員というようなものをやりまして、向うがこつちの米の収穫期に至るまで、そういう指導をして行くように一つ試してもよろしい、やつて見る気があるかどうか、具体的にこれを一つ承わりたい。
  102. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 肥料の問題のお話があつたのでございますが、品種の問題は肥料の関係とは別個に、肥料は増産なり、いろいろそういう面の影響かと思いますが、品種の問題になりますると、その地区の灌漑の問題、いろいろな地味の問題等がございまして、又一定の品種を普及いたします場合におきましても、日本におきましても原種圃を作る、採取圃を作る。数年作つてその地域に合うような品種を固定いたしまして、そして普及というような形になるわけでございまして、品種の問題はなかなか早急に直ちに明年度行くという形にはなり得ないわけでございます。そういう問題は全般的な協力の問題としてやつて行きたいと思います。ただ現実に作られた中におきまして、日本に適する米を選ぶということにつきましては、我々としても固い決意を持つておるわけでございまして、品種は農業技術の面からいたしまして、相当検討を要する点が多々あるわけでございます。
  103. 岡三郎

    理事岡三郎君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  104. 岡三郎

    理事岡三郎君) ちよつと速記を起して。
  105. 平林太一

    ○平林太君 今あなたからお話がありましたから、これ以上は今のお話もありますので、私のほうからはもうこれ以上、これでとめますが、ここであなたがやはり今御答弁なさつたようなことが、今までの行きがかり上、或いはまああなたが食糧庁長官としてここで御答弁なさる場合の非常に、何と言いますか、見栄もおありのことと大分思います。それですから、それはそれでよろしい。よろしいが、今のその御答弁の中では、先刻来申上げた通り、身を以て日本の食糧に対する、殊に主食たる米麦に対して身を以て当るということに対して非常に欠けておるものがある。あなた御自身ではみずからの職務に省みて忸怩たるものがあるということをこの際私は申上げておきたい、これは私自身の立場において。それですから、あなたの持つておりますところの食糧に対する見識或いは知識才能、こういうものを一つ発揮して頂けば、私から申上げましたことがおのずからこれはあなたのそういうものの中から一大発見ができる。今御答弁になつてつたような内容でない、あなたみずからの驚くような発見ができて、そうしてそれが我が国の過去における非常な貢献と福祉をもたらしておるということをこの際申上げておきますから、十分一つそれはお考えになられて、もうそれ以上私は申上げませんが、必ずあなた自体が一大発見なさるということを申上げておきます。  それから最後に申上げたいことは、我が国内の産米、米或いは麦、こういうものが、外米外麦の買付、これは一定の不足量を買付けるということであるから、それが我が国の米、我が国の麦とか、そういうものの価格の上に、その農家経済の上に影響を及ぼすような事態を、いわゆる食糧管理情勢としてどういうふうにお考えになつておるか。ですから今非常な数千万トン、或いはそういうものが今日そのまま倉庫に寝ておるというようなことは、これだけはやはり物の多い少いの関係からして、当然それは我が国の産米価格或いは麦の価格、そういうものに影響があるではないか。そういうことがおのずから農家の経済の上に当然影響のある、露骨に申しますれば、高額に農家がもつと売れるというのを抑えておる。これはまあ消費の面もあるが、国内においてのことは、そういうことはどういうふうにお考えになつておられるか。米麦というものは農家が最近経済の支柱をなしておるものである。外国から買付けるもの、米麦の。それを手加減或いはいわゆるその数量そういうものと勘案してそうして我が国の農家経済というものから出たところの米麦というものが、いやしくもそれがそのために何か非常に価格が抑えられて、そうして農家経済がそれだけ低い収入しか得ないというようなことは非常にこれは心配される問題ですがね。これは全体的でいいから一応一つ答弁を承わつておきたいと思います。
  106. 前谷重夫

    説明員(前谷重夫君) 第一点の外米の問題につきましては、我々といたしましても、日本の国民の嗜好に合う、いい品質のものを安く買うということに全力を挙げたいと存じます。第二点の国内の農業生産との関係でございますが、これは今平林委員お話がございましたように、先ず数量的には余計に入れない。つまり日本の需給の計画の下に、需要にマッチした数量を入れるということが日本の農業生産との関係において必要であろうということを第一点として考えております。第二点は価格の問題といたしましては、麦の先ず例を申上げますると、国内の価格につきまして麦の価格をきめまして、これを政府が農家の要求に応じまして無制限に買入れるというシステムをとつておるわけでございますが、外国のものも政府が全部管理をいたしまして、国内の麦の価格と品質的にバランスがとれた価格でこれを売り出すという形によりまして、国内の価格と輸入価格との問を遮断いたしまして、そういう二つの方法によりまして、国内の農業生産に影響のない方法をとつております。これは食糧管理の一つの重大な使命でございますので、そういう考え方で以て米麦について対処いたしておる次第でございます。
  107. 平林太一

    ○平林太一君 もうこれでよろしい。それでは今の御答弁で私もこれでとめます。十分それに対しては一つ万全の措置とそれから万全の用意を常に怠らないように、そういうことを私申上げて、十分今後遺憾のない職務遂行に当られたいと、こういうことにお願いいたします。
  108. 岡三郎

    理事岡三郎君) ほかに御発言もなければ、千五百三号並びに黄変米問題は案件から切離して別に次の機会にこれを取上げ審議することとし、二十七年度決算食糧庁所管については一応質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 岡三郎

    理事岡三郎君) それではさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会