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1954-09-04 第19回国会 参議院 決算委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月四日(土曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 亦治君    理事            青柳 秀夫君            島村 軍次君            岡  三郎君            八木 幸吉君    委員            雨森 常夫君            石川 榮一君            木村 守江君            高野 一夫君            田中 啓一君            宮田 重文君            奥 むめお君            大倉 精一君            木下 源吾君            久保  等君            永岡 光治君            東   隆君            山田 節男君            深川タマヱ君            千田  正君            鈴木 強平君   国務大臣    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君    農 林 大 臣 保利  茂君   説明員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    食糧庁総務部長 新沢  寧君    通商産業政務次    官       加藤 宗平君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十七年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十七年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (黄変米問題) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今から第六回決算委員会を開会いたします。  今日は保利農林大臣草葉厚生大臣愛知通産大臣セイロン貿易使節団と会談中のため出席ができないので、従つて政務次官加藤宗平君がお見えになつておりますから、かねて本委員会決議に関する件、その他決算に関する事項等について御発言を願います。
  3. 八木幸吉

    八木幸吉君 通産政務次官は十一時半までしか時間がおありにならんそうでありますから、通産政務次官に伺うことを先に伺つておきます。  それは御承知の通り病変米在庫量が八万一千トンばかり今あるわけでありまして、それをどの程度配給可能になるかどうかということについては、今農林当局で御心配になつておると思うのですが、我々といたしましては成るたけ安全なものでなければ困る、こういう見地でありますので、仮に工業用にそれを払下げられましても、民間会社払下げられましたならば横流しをされる虞れがある。現にさような事柄もあつたのでありますから、できれば通産省直轄アルコール工場で消化されるということが一番安心である、かように考えますので、思い切つてこれを工業用にお使いになればどの程度消化することが可能であるか、欠損を見込んでやれば、幾らの損を覚悟すればこのうちでどの程度アルコール工場で消化されるか、これをアルコール原料に使うことによつて甘藷その他の買入が少くなつた場合に、甘藷等の供給する者に対しての影響はどうであるかといつたような点について御意見を伺いたいと思います。
  4. 加藤宗平

    説明員加藤宗平君) 私今度通産政務次官に就任いたしました加藤宗平であります。微力且つ通産行政につきましてはまだ素人でありまして、皆様の御期待に副うだけの答弁ができるかどうかについて心配をいたしておりますが、努力を尽したいと思います。幸い皆様方の善意と寛容なる気持でおつきあい願えますならば、私の大変幸いとするところであります。どうぞよろしくお願いいたします。  只今質問についてでございますが、通産省関係お話通り工業用アルコールに関してでございます。で、これは大体九つの政府直轄工場で以てこれを製品化いたしますので、絶対横流しなどというものはないのであります。又一部民間アルコール工場に行くものもありますが、これらにつきましても通産省からは監督官が行つておりますので、十分この決議の趣旨を尊重いたしまして、そういうことのないように万全の策を講ずる決意でございます。  なお数字等の話がありましたが、これは一つ事務当局から答弁させたいと思いますが、さよう御了承お願いできますならば大変幸いに存じます。
  5. 八木幸吉

    八木幸吉君 政務次官も就任後まだ日がないことでございますので、この席で突然今私がお伺い申上げた点について的確な御答弁お願いするのはこれは無理かと存じます。従いまして、私が今お伺いいたしました点につきまして十分御検討を頂きまして、どの程度までは在庫病変米を消化することができるか、更にどの程度まで損を覚悟すればもうどれだけ分量が殖やせるか、そうした場合に甘藷その他在来の材料に如何なる影響を及ぼすかという点について詳細御検討を頂きまして、書面にしてこちらに御提出方委員長を通じてお願いいたします。
  6. 加藤宗平

    説明員加藤宗平君) 承知いたしました。
  7. 八木幸吉

    八木幸吉君 次に伺いたいのですが、厚生省配給米として不適格に認定されました米を、病変米アルコール原料にするにつきまして、日本糧穀株式会社を中に通じてお買いなつた。この点について通産次官に伺いたいのですが、官営工場でお使いになる原料を、同じ政府手持品をお買いになるについて、民間会社を通じてこれをお買いになる。従つてその間に相当国の損を出した。つまり言葉を換えて言いますと、農林省払下げられました金額通産省がお買いになりました金額の間には相当の開きがあるわけでありまして、民間工場に、仮にこれを例に取つてみますと、一つ会社の或る工場出したものを他の工場で、民間の他の会社の手を通り抜けて買つたがために高く買つたのだ。これは例えば日本株式会社にすれば、日本株式会社農林省という一つ工場払下げた米を通産省という他の工場が買うのに民間を通したという、かような馬鹿げた径路を取つておるわけでありますが、なぜ不適格品があれば直接農林省と御交渉になつて、その原料をお買いにならないか、その点を伺いたいのです。
  8. 小林亦治

    委員長小林亦治君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  9. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 速記を始めて。
  10. 加藤宗平

    説明員加藤宗平君) 御質問点大分数字の点が多いようでありますが、私まだ未熟でありますので、事務当局から説明することを一つお許しを願いたいと思います。
  11. 八木幸吉

    八木幸吉君 これは数字の問題ではないので、常識があれば返事ができるわけでありますが、簡単にもう一遍申上げます。つまり農林省払下げの米をアルコール原料通産省がお買いなつた。直接買えば政府の勘定でありますから、どつちが損してもどつちが得しても、国民負担の上から言えば関係ないわけでありますが、民間会社をお通しになつてなぜお買いになつたのか、これは余計なことじやないか、こういう質問であります。これに対してどうお考えになるか。
  12. 加藤宗平

    説明員加藤宗平君) 御質疑の点は誠に御尤もな話でありまして、只今の御質疑は第一回の払下のことだろうと思います。その後はそういうことはないのでありますが、実は第一回のときに民間会社通つたということは、官庁同士でありますとありの姿のままということになつておりまして、結局農林省とこちらの官庁の間に、当然減つたり或いは荷崩れになる虞れがあるということであります。それが一つの理由でありまして、それから食糧庁ではこの種の物品の売渡は、分任食糧会計官吏買受人代金納入日を確認いたした日を以て発行する出庫証、又は荷渡指図書の授受によつて行うことにきめられております。言い換えれば代金納入後に現品売渡は行うことになつているのであります。ところがアルコール特別会計では現品の検収後に代金を支払うのが原則になつているような次第であります。以上のような次第でありましたので、ここに第三者を関与させたというようなことになつているのでありますが、いろいろ御質問のような事情もありましたので、その後におきましては直接農林省通産省の間で取りきめるようにして現に今日に至つておる次第でございます。
  13. 八木幸吉

    八木幸吉君 いろいろ手続上のお話があるのですが、政府のものを政府が使うのに民間を通ずるということはどうしても私納得が行きませんので、その当時そういうふうにおやりになつたのは、これこれの規則なり手続の上で支障があつたということの詳細と、それをおやめになつて最近では直接やつておるのだ、今まであつた支障の中で、これこれの規則をこういうふうに改正をしたという詳細な点を書類にして一つ出しを願いたい、これを委員長を通じてお願いいたします。
  14. 加藤宗平

    説明員加藤宗平君) 承知いたしました。
  15. 八木幸吉

    八木幸吉君 それから併せてお伺いしておきたいのですが、その前の二十六年度のときには日本糧穀株式会社売渡した数量が四千百九十九トン、通産省がお買いなつ数量が四千九十二トン、その間に百七トンが行方不明になつた、こういう事柄があるわけでありまして、百七トンの米が行方不明になつたということは運送上のロスというようなことでは私は納得ができませんので、いずれこれは法務省にもお願いをして、十分その百七トンの米の行く先を私は究明したい、かように考えておりますが、通産省の側におきましても自分のほうへ来た米は四千九十二トンであるから、百七トンの行く先はこれは農林省が知つておるのでおれのほうは知らないとおつしやられるかも知れませんけれども、あとう限りお調べを願つて、それはこういうふうになつておるものと自分のほうの立場としては思う、或いは自分のほうでは全然わからんという点も併せて御調査を願うということを、委員長を通じて通産省当局お願いをしておきます。
  16. 永岡光治

    永岡光治君 ここにお見えになつている大臣のどなたに聞いてもいい順序になつておりますね……。  それでは保利農林大臣にお伺いをいたしますが、これはいずれ又政府全体の責任者としての吉田総理乃至は緒方副総理から御答弁を頂けるものと思つておりますが、先ず農林大臣としての御答弁を頂きたいと思うのですが、先般当委員会において黄変米に関する決議を行いました。それについての農林大臣としての所見、御決意のほどを先ずお承わりをしたいと思います。
  17. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 最近御審議を煩わしましたいわゆる黄変米の問題に関しましては、ひとり当委員会のみならず、衆議院決算委員会衆参両院厚生委員会及び衆議院農林委員会におかれましてもそれぞれ御審議を頂き、又最終的の各委員会の御決議もいたされておるわけでございます。この間私どもといたしましては、政府考え方につきましては各委員会において詳細に申上げて参つておるところでございます。  これを結局要約して申上げるということに相成るかと存ずるわけでございますが、もともと二、三年前から騒がれましたいわゆる黄変米は、黄色米が問題になりまして、国会におかれましても御心配を頂いて、かような外米輸入状況は速かに改善する必要があるという、これは当然のことでございますし、私も就任いたしまして、いわゆる消費者に不安を来たすような黄変米が多量に入つて来るということは、非常に困難なことではありますけれども、とにかくどうしても防がなければならんということで、主たる輸入先であります、買付先でありますタイ国及びビルマからにつきましても、買付に関する政府間の協定に当りまして、黄変米一%以上を混入している米は日本では買うことはできないからということの、これは外交当局及び買付関係者等の非常な努力によつて、又タイビルマ政府の理解によりましてそういう協定ができまして、爾来この一年余は黄色く変つている外米輸入は、絶無とは申しませんけれども、殆んどこれは根絶し得ている状態で、やれやれと実は思つておるわけであります。然るところ昨年の末項からいわゆるこの黄色せざる白い米にも黄変菌があるというような研究がいたされまして、併しながら実際の事情は、その黄変せざるところの白色外米がどの程度一体人体影響を与えるものであるか、私どもとしましては外米を入れるにつきましても、これは長い国民生活の習慣として抜くことのできない米食生活、これをそう言葉通り切り替えられん。やはり或る程度米食率というものは政府措置としては保つようにしなければ、一般消費大衆に甚大な影響を与えるという上から、消費者台所生活を守るという意味において困難な外米輸入もいたしておるわけでございまして、それが通常の品物の取引において行われる形において防ぎ得る処置がある限りにおきましては、先ほど申しますように、いわゆる黄変色の一%以上の混入というようなものは、これはたやすく誰が見ましてもわかることでありますから、そういう処置はとれますけれども、ただこの白い米の黄変菌の実態というものが、私どもはこれは素人でございます。これはどうしてもやはり専門機関研究に委ねるほかは私どもとしてはいたし方ないわけでございます。そこで白い米にある黄変菌、その外米を一体配給するに当つてはどうしたらいいかということを実は長いこと厚生省で御研究を頂いて、それが約半歳の長きに亘つて研究を頂いた結果、七月でございますか、かような形において配給すれば先ず相当安全度を見て間違いはないというような一応の結論に到達いたしたわけでございますから、従いまして私どもとしては、どうも専門的にそれは点が辛いとか甘いとかいう私どもには判断の能力がございません。従いましてこれはやはり専門機関研究成果従つて、いわゆる国民保健をあずかられる専門機関研究成果従つて行くというほかはないという考えを持つておるわけでございますが、然るにかなりそういう白い黄変米と申しますか、米が非常な毒性を持つのだ、それを食べれば直ちに嘔吐をしでかすというような不安と申しますか、消費者方々に非常な不安が生じておる。これは事実の問題として申上げざるを得ない。  そこで私どもとしては、成るほど国の専門機関であるところで示された基準量をこれはもう一歩でも超えるということは、これは絶対にいたすべきことでない、又なすべきことでないことは当然でございますけれども、更に私どもとしましてはできるだけ厚生省から示されております基準量水準をできるだけ下廻りをするような措置を講じる。即ち燻蒸或いは再搗精によつてどこまで一体これを引下げ得るかという手段は十分尽した上、且つ又私のこれは素人としての率直な希望を申述べますれば、肉眼を以て発見し得ざる状態における菌の問題でございますから、従つていわゆる培養実験によつて研究をせられておる、結構なことだと存ずるわけでございますけれども、とにかく我々数千万の国民が日常食べるものでございまする以上は、食べるそのままの形においてそれが如何なる影響を持つかということを、私は今日の科学においてさようなことができることかできないことか知りませんけれども、そういうことが先ず示されるということは何といつても大事なことじやないか。即ちあるがままの形においてそれを消費した場合に、それが人体に果して如何なる影響を与えるかということを、私は研究当局者としては当然持たるべきであろうというように考え厚生大臣にもそのお願いをしてそれをやつて頂きつつ、私どものほうといたしましては、できるだけいわゆる厚生省お示しの基準水準を下廻るような措置を可能な限りにおいてとりつつ、以て消費者の不安を除去するいろいろの手段を講じて、然る上に食糧として配給いたすべきものは配給いたします。併しそれまでの間、ともかく問題にならない外米相当あるわけでございますから、これらをとにかく順次配給をいたしつつ、手段を講じて手を尽して、その間に問題の米はあと廻しにして処理して行きたい。こういう考えを持つておるわけでございます。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 実は黄変菌が入つておるということから国民の不安が非常に増大しておりまして、ところが食糧庁お話によりますと、十一万何千トンかのうち三万トンばかりを配給して、残り八万一千トンばかり残つておる。これは幸いにしてまだ配給に移されていない状況を私たちは知りまして、現場も見たいということで見て参りました。そうして又専門家意見もいろいろ聞いて参りましたが、要は専門家結論として一%という基準、これ以下であれば大丈夫ということであるけれども、これも併し果して大丈夫かと言われてみればやはりわからないという結論を出さざるを得ない。何年か先にならなければ、本当に人体にどの程度の障害があるかということは今のところ見当がつかない。或いは十年先になるかも知れない、二十年先になるかも知れないというようなお話を聞くにつけ、そうして又政府当局関係専門家と言われる方々お話を聞いてみても、或いはちぐはぐなものもあるし、確信を得ないものもあるし、国民の負託を受けた我々としては本当に困つたものだと考えているのでありますが、そういう意味から、とにもかくにもいやしくも毒が入つているということであれば、国民に毒の入つているということを承知しながら毒を盛るということは、これは政府といたしましていけないと思います。そういうことも考えまして、先ず国民に安心をしてもらう、こういう問題については毒は完全にないのだということが明確になるまでは、一切この八万一千トンの在庫の問題についても配給しないのだ、そういう声明国民に行うべきであるということを第一項目として決議したのですが、この点については政府は今の答弁によりますとまだ明確でありませんが、聞くところによれば、曾つての閣議では、とにもかくにもそういう専門家意見があるが、この程度のものであればいいのだから強硬に配給してしまつたらどうだということが、事実かどうか知りませんけれども、そういう噂もたまたま耳にいたしておりますので、確固たる、これは政府の、国民が安心できるような声明答弁というものを私はほしいのでありますから、是非この第一項目についてどのように農林大臣として考えているか、その所見と、そうして如何なる処置を講じているのか、又講じつつあるのか、その点を明確に御答弁を頂きたいと思います。
  19. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 永岡さんの私はそのお尋ねに只今お答えをいたしたつもりでございます。これをともかく声明と申しましても、国会政府皆様に公けに申上げることは、これはもう声明以上の言明だと思つております。従いまして従来申上げて来ておりますことはかようでございます、今後私はこうすることが最善の措置であるという意味において申上げているわけでございます。ただ問題は、それでは去年まで終戦後かなり大量の外米が入つて来ている。それが昨年卒然として一体白い米に黄変菌が付いて来ているとかいうことは、これは何人もそうだということは言いきる人が私はないと思います。従いましてむしろこういうふうな科学、学問の進歩の上から来ている問題でございますから、お話のようなことを敷衍して申しますると、我々の日常食べているところのあらゆる食物について私はそれは共通して来ることになるのじやないか、広く言いますと……。併し実際問題として、何と申しますか、人命の貴重なること、それはお話通りでございますから、如何に米に頼りたがると申しましても、そういう危険を冒して米食を保つて行くということは、これはもう私は避けなければならんことは当然なことだと思いますけれども、そういう点についていろいろ憶測的なと申しますれば或いは言い過ぎかと存じますけれども、あれにもあるのじやないか、これにもあるのじやないか、こうなつて参りましたものに、一々学問的の研究の結果がそこに現われなければ何ともできないということは、これは実際問題としてできるかどうか、これは私の偽らざる実は今の悩みでございます。併し大体只今どう考えるかというお話につきましては、これは先ほどから申上げているところでほぼ私の考えは尽きていると思います。重ねて申上げることは差控えます。
  20. 永岡光治

    永岡光治君 只今の私最初の答弁をお聞きして、大体のところはわかつたのですが、どうも結論が明確にわからないのです。その点重ねてしぼつてお尋ねしたつもりですが、それに対する只今の御答弁ですが、どうもやはりあらゆる問題について、あらゆる食糧にもこういうようなことが多かれ少なかれあるであろう。従つてその問題について最終的な専門家結論が出ないまではどうも手を著けることができないということになると、これは非常に困つたものだというような印象に取れるとすれば、そういうようなお話でありますが、実はこれは専門家お話を聞きましても、インドだとか、ビルマとかタイとか、そういうところの米を食つておる国民ほど肝臓病が非常に多いという話も聞いておりますし、そうすればもう長い間の経験として、確かにこれが害悪があるということは私は明確と思いますし、又そういう観点からすれば、当然これは根本的な検討をされなければならんと思うのですが、重ねてお尋ねするわけですが、しぼつてお尋ねいたしますが、この黄変米の今在庫量の八万一千トンの問題に限つてですが、これは科学的な研究裏付ができるまでは配給しないというようにはつきりと私たちは確認してよろしうございますか。
  21. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私も要約してしぼつて申上げます。私は現在の研究段階において示されておりますいわゆる基準水準を破るというようなことは断じていたしません。併し更にそれ以下に持つて行くように努力はいたします。更に又併し研究は続けられておるわけでございますから、その研究成果を待つて更に善処はいたします。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 そうするとまあ研究の結果が出るまで配給しないということになるわけですが、そういうわけですね。(「違う」と呼ぶ者あり)そうすると研究の結果を待たなくても基準の以下であれば配給すると、こういうように解釈していいわけですね。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 研究の結果を待たなければとおつしやいますけれども研究の結果出ておるのが基準でございます。配給基準でございます。従つてその基準を破るようなことはいたしません。更に基準以下にいたすように発効をいたします。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 これは厚生大臣のほうの御管轄と思うのですが、今の農林大臣の御答弁ですと、きめられた基準以上のものは配給しないと、こういうことなんです。この問題はきめられた基準というのが非常に大事だと思うのですが、厚生省で一%以下ならばいいという基準をお出しなつたと聞いておりまするが、その根拠について一つお伺いしたいと思います。
  25. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 黄変米の実は輸入、それに伴う検査配給につきましてはだんだん農林大臣からお答えがあつた通りでございます。従来は目で見て黄色い米、そしてそれが黄変菌を持つておるいわゆる黄変米、これを検査の結果一%以下なら食品衛生上、人体の健康上大丈夫というので、従来からその線で参つてつたのであります。従つて黄変しております黄色い、目で見えます黄変米は一%の基準を土台にいたしておつたのであります。ところが只今農林大臣からお話のありましたように、昨年以来だんだん科学的な実験をいろいろ継続して参ります段階において白色の米の中にも黄変米と同じ黄変菌がある、そういうのを発見して、実はその後研究をずつと重ねて参つたのであります。従いまして白色外米の中にも黄変したのと同じいわゆる黄変菌病変米があり、それは人体に必しも普通の米と同様なことは、適当でないというのでだんだん研究いたしまして、本年の七月になつて研究の一応の結論を得たのであります。従つてこれらの結論を総合いたしまして、従来黄変しておる米、黄変米だけが一%ございましたが、これについても検討をし直して、黄変しておろうがいまいが、動物実験の結果黄変菌を持つております米は一%以内は月五日以内、二・五%以内は月一日、これをいわゆる主食としての基準と、配給基準摂取基準といたすことにいたしたのであります。ところがこれに対しまして、現在私ども研究の結果は、それがいわゆる頂点であります。ところがその後これに対しまして只今お話がありましたし、又委員の方からも御心配頂いておりますような心配国民層の上に強く現われ、又学者間におきましても一部いろいろの御議論がありますので、従つてどもの現在まで総合いたしました結果は今申上げた通りでありますが、更にあらゆる方面から一つこれは、これも新らしい学問の問題であり、科学の問題でありますので、研究を続け、更にその研究のやり方を最近新らしいやり方をとつて関係の大学なり或いは研究所なりに委託をいたしまして、これらの研究の結果を随時報告を受けつつある次第であります。今のところでは従来の基準に対しましてこれを覆す状態はまだございませんが、今後の新しい研究はこれからの問題でありますので、従つてその結果によります場合はそのときに十分検討いたしたいと存じております。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 私ども科学者でありませんので、専門知識はないのですが、従つて科学者の言葉、研究の結果、そういうのを聞いて判断するより仕方ないと思います。ところで今御答弁なつた中で非常に重要なことは、実は先般も食糧庁食糧科学研究所ですか、そこへ行つて専門家意見を聞いたのですが、その御意見の中に、病変米並びに黄変粒というものの人体、いわゆる常食に供してその結果どうなるかというようなことについて、人体試験については二十年間くらい少くともたたなければその結果は断定ができない、或いは動物試験についても少くとも二、三年はかかる、こういうような結論を私は聞いて参りました。従つて先般も厚生大臣国民諸君を安心させるためにみずから御試食なされたようでありますし、或いは又アルバイト学生で以て人体試験をやろうというようなことを聞いておるのですが、この学者の意見によりますと、二十年、三十年かからなければ人体試験の結論が出ないということになれば、今大臣おつしやつたようなそういう一%とか或いは二・五%とかいうような基準は恐らく一つの政治として……、確信のあることが言えないのじやないかと思います。更に或いは一%であればいいとか、或いは二・五%であればというような基準もおきめになつたというようなお話なんですが、これも私先般専門家から聞きますというと、この病毒菌は集積毒ではないというのを聞きました。即ち何パーセントかを毎日々々食つておる、そうするとしまいにはやはり何か肝臓病とか何とかいう集積毒があるのじやないか、こういうような質問に対しまして専門家は、集積毒はこれにはないというような意見も聞きました。そうしますと一%とか或いは五日配船ならいいというような基準は殆んどこれはナンセンスのような、一つの希望的な率のような気がするのですが、その点は厚生省としてどういう工合にお考えになつておるのか、その点についてお伺いします。
  27. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これもお話のように科学的な立場からの実験の結果を私ども総合いたしておりまするので、従つて只今の御質問も同様でありまするが、実は学者によりましては数年かかる或いは十数年かかる、いろいろな御議論もあるようでございます。いろいろあるようでございまするが、併しそれらのいろいろな学説党を総合してそうして一つの学問的な体系というのを作り上げて来なければならないし、殊にそれが主食でありまするから、なお慎重な態度をとつて来なければならない。そういう意味におきまして最大公約的な立場を十分検討し、更にそれにはいろいろ幼弱者があり或いは病弱者がある。主食の配給でございまするから、そういうのをその考え方の中に入れる。言葉を換えて申しますると、安全度を十分考える。従つて安全率を普通の科学的な計算の上に数倍いたしましたのか只今申上げた率でございます。これらの点につきましても先ほども申上げましたように、個々の学者によりましては或いは異論なり御議論なりがありますので、むしろ今回はそういうような御議論のあるような方にも積極的に一つ、従来の研究は私は、必ずしもそれらの御議論の根拠となつております点については十分であるとも考えられない点がありまするから、厚生省自体がそれらの御議論のある方にも積極的に一つ調査を御依頼申上げるという態度をとつておる次第でございます。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 まあこの議論は厚生省の方とやつても水かけ論になるかも知れませんが、国民一般の不安というものは、結局そういう工合に学者間の意見もまとまつていない、結論が出ていないという中で、ただ一つ確定的にわかつておることは、この黄変菌というのは毒だ、これだけはもうわかつております。毒であります。これは毒でないという学者は一つもない。或る人は少量であれば薬になるという人があるのですが、これはもう私はとるに足りない議論だと思います。毒であるという確定的なものを政府は今度配給して国民に食えと、そこで一%なら一%という安全率があつたとしましても、国民の不安というものはそれだけでは解決しない。なぜかと言えば、この一%というものを一体どうやつて調べるか、例えば何百トン、何千トンと入つて来るその米を一%入つておる、万遍なく一%これが確実に入つているということは、一体誰が保証するか。即ち末端の家庭におきましては一升、二升という配給をされる。この配給される米の中で或る家庭には二%入つているかも知れない。或る家庭には或いは何もないかも知れない。こういうことも私は常識上言えると思います。或いは又何といいますか、白色米の病変菌に至つては、これはもう毒力も毒性もわかつていないという、而も今貯蔵されては配給されんとしている米は白色米である。毒力も毒性もまだ結論が出ていないというようなものを一%とか何とか言つて配給されようとしている。而も毒力も毒性も確定されていないところの白色病変米ですか、これが一体一%とか二・五%という基準は一体どうやつてこれをきめるか、どうやつて発見するか、ここに非常に問題があるのですが、この点について厚生大臣は確信がおありになるか、一つ答弁願いたいと思います。
  29. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これは結局具体的に申上げますると、輸入された米の検査の方法になつて来る。輸入される米の検査を具体的にどうしてやるか、そうしてそれにどうして普遍性を持たせるか。何百或いは数千の袋の中からそれを、ずつと一々に調べるというのは事実上困難じやないか、而もそれは目で見えないのでありますので、全部動物実験する。そこでこれはいろいろ学問的な立場から、統計学的と申しまするか、一つの産地と一つの集荷と一つの船、そういうふうなものからいろいろ集計をいたしまして、そうしてそこでこの最も合理的と思われる……、まあこれは統計学的にいつているようでございます、その検査をして、抜取り検査をして、そうしてそれを動物実験をして、そうして培養した結果押える、或いは許可をする、こういう方法でやつておるのであります。その詳しいことは部長が来ておりまするからそれぞれあとでお答え申上げまするが、そういう方法で、従つてそれは総合的には一応学問的にはその方法はとれる、こう言われていると存じております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 農林大臣にお伺いするのですが、先般の会計検査院の御指摘によりますというと、白色米に病変菌がある。こういうことは、これは昨年の八月の二十九日に厚生省から農林省のほうへ通知があつたように聞いております。然らばこの今入つておるところの白色病変米輸入契約は、これは去年の十月に契約されておると聞いております。そうしてみるというと、この八月二十九日の通牒で以て白色米も病変菌があるのだ、これは気を付けなければいけないのだという通知があつたにかかわらず、十月になつて契約のときに、この白色米に対するところの考慮をされずに、ただ単に黄変粒の一%混入がいけない、こういうことだけで契約をされた、ここに農林省として非常に大きな手落があると思いますが、これについてのいきさつを御説明願いたいと思います。
  31. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話のように白い米、あれはコロンビアから来たコロンビア米でございます。そういう白い米を検査されたところが黄変菌があるというから、白い米も油断はならん、気を付けたほうがいいという通知が厚生省から食糧庁にいたされております。承知いたしております。その只今のお尋ねは、私は今日の問題に通じておると思いますが、問題になるのは、黄変色している米が一%以上あれば身体に有害であるかも知れんから、安全度を見て一%以下でなければ配給してはならん、配給しないようにというのが研究の結果出ておる配給基準なんであります。その白い米についての黄変菌はその通り厚生省でも発見をされた。併しそれを主食として配給することが適当であるか否かということは、それについての研究が進まなければ出て来ないというのが実際の事情で、私どもが昨年の十月に協定をいたしまするときにいたしましたのは、ビルマタイでは黄色い米を食べておられるであろうけれども日本ではそれは問題があつて駄目なのだから、それ以下のものでなければ買えないということを漸く納得して頂いて、そういう措置をとつているわけです。併しこの白い米についている黄変菌買付の問題に今後いたすといたしますと、非常に問題がむずかしくなります。なつてもこれはやらなければならんことはやらなければならんのですけれども、併の今厚生省から示されておりまするような基準配給ができますならば、又消費者も不安なく消費して行くならば、私はそう問題はないと思つております。併しこれがもう白い米でも或いは〇・五%以上は駄目だということになつて参りますると、恐らく私は如何なる条項を以ちましても、実際買付米一俵々々について培養実験でもして頂かなければ買えないということになりますから、そうなればもう私は全然買えないということになるのじやないか、併しそれにいたしましても大よそ只今厚生大臣お話のように、或いは産地であるとか或いは買付の時期であるとか等によつて避けられ得ると私ども考えられるあらゆる措置は講じて、今後といえども買付につきましては最善の注意を払わなければならん、こう考えておるわけでございます。  昨年の買付協定に当つてすでに白い米に菌があるという通知を受けていたのだから、その白い米についても或いは御質問は、一%以上のものは日本は困るからということをなぜ言わなかつたかということじやないかと思いますけれども、それは只今申上げましたことによつて御了解を頂けるのじやないかと思つております。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 それじやいろいろほかの方からの質問があるらしいのですが、私は最後に一つお伺いしたいのですが、白い米について、或いは黄変米にしろ、とにかく毒性があるから配給をやめろ、こういうことでストツプをしておつた米、而も現在において国民が非常に大きな不安を抱いておる、而も世論のごうごうたるものがあるこの中で、遮二無二この米を配給をしなければならない、強引に配給をしてしまうのだというこの理由、根拠というものを一つ御説明願いたい。
  33. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私はそれを先ほどから申上げておりまするように、食べ物でございますから、幾ら仮に強引に配給するといいましても、只今状態におきましては押付けるわけには行かんのですから、どちらにいたしましてもそんなものは食べられない、誰も買手はありはしませんから、配給を押付けるといたしましても、そんなことは実際問題としてできはしません。又押付けるというような考えは毛頭持ちません。私どもといたしましては、折角厚生省でも全力を挙げて研究をしておられる、私どものほうとしてもできるだけ手を尽して行きたい、その間にはまだそういう問題にならない米が相当ありますから、そういうもので差当り配給を続けつつ、問題の米については十分手段を尽した上で、消費者の不安なき状態において給配をいたしたい、こう申しておるわけであります。
  34. 永岡光治

    永岡光治君 私は先ほど基準の問題でしばしば御答弁を頂いたわけですが、結局殆ど農林大臣答弁は、厚生大臣裏付をいたしました一%以下なら月に五日、それから二%五分なら月に一日、この基準ならば配給すると、こういう答弁でございますか、そう解釈してよろしいわけですか。
  35. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今大倉さんにお答えをいたしましたことを更に……、何も言葉をお返しするわけじやございませんけれども、遮二無二配給すると私は申しておりません。手を尽せるだけの手を尽して、消費者の御納得も頂いて配給をいたしますと申しております。
  36. 永岡光治

    永岡光治君 だから消費者納得ということは、これを食つても害にはならないのだということを安心を願う、その努力をするというだけにしか取れないのであつて、果して二%五分が、これ以上、研究してみたところが危険だつたという、そういうような努力もなお且つしてみたいということは入つていないのじやないかと、こういう印象を受けるわけであります。だから国民にただ安心してもらうということは、説得に努める期間にしか重点を置かないでおるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  37. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは私のほうはもともと白い米は問題なしにずつと来ておつたわけでしよう。それがこの七月に白い米もこういうことでなければ配給しちやいかんという厚生省からの基準が示されておるわけですから、それを本当を言えば私のほうとしてはお守りすればよろしいわけでございますけれども、併し実際今日の事情から行きまして、更に手を尽さなければいかんじやないか、そういう実状にあるじやないかということを深く考慮して善処いたしておるわけでございます。
  38. 永岡光治

    永岡光治君 ですから強硬にということが、或いは極端に言えばそう私は取れるので、それが言葉の綾でどうも解しにくいと言えば、こういうふうに解釈してもいい、米の配給は、現在これを直ちに手を著けずに配給できる期間があるわけですから、それが済んで米が足りなくなつた、研究も今の程度しか結論が出ないということであれば、この基準を以てやる、こういうふうになると思う。そうなりますと更に問題になつて来るのは、今基準厚生大臣が示されたが、一%以下のものなれば五日間、二%五分のものは月に一日というのだから、配給の際にはこの米は一%入つておりますよ、それから二%五分の米はこれでございますよということを明確にして国民配給してやらなければ……、二%五分のものも混ぜてくれたのじや国民はわかりませんから、二%五分のものはこの袋、一%以下のものはこの袋と言つて明確にわかるように配給をするような手段をやはり講ずるわけでしようか。
  39. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御尤もなことでございますからできるだけ消費者の御不安のないようなことに努めたいと思います。併し実際問題としてはできる範囲というものがおのずからあるだろうと思いますから、それを余り無理難題を……、百俵や二百俵の米でございますれば何でございますけれども、とにかく一日十万トン以上の配給をしなければならんわけでございますから、そう秤にかけたような工合には私は誰がやつてもできないだろうと思います。それはやはり厚生大臣の言われるように統計的な安全率というようなものに頼つて行くよりほかはなかろうと思いますが、併しいずれにいたしましても食糧当局のほうとしては国民の保健を保つということにこそ食糧配給をいたしておるわけでございますから、その国民保健をそこなうという虞れのありや否やということはこれは専門当局で研究、判断をされるわけですから、私どもはその研究、判断を忠実に守つて行くということでやつて行きたい。
  40. 永岡光治

    永岡光治君 そうするとこの前の決議の第一項目政府の見解は非常に違うように私は受取りますが、これはいずれ後ほど追及することにいたしまして、こういうふうな病変菌の米が問題になつておる矢先に、実は八月六日でしたか、読売新聞等で拝見した記事があるわけですが、フイリピンから昨年の暮でございましたか、二万トンの買付をやるという話があつて、そのうち五、六千トンくらいは入れた。ところが同じようにこれも非常に病変菌が入つてつたということでそれでとめた、あとの買付はやめるようにしたということですが、これは一体どういうようないきさつになつておるのですか。具体的に申上げますが、どういうような径路でこういう約束がされたか、フイリピンから米を買うというのは余り聞いたことはないのですが、そういうような話をどういう径路で進められて、それで只今までに入れた米は配給をしたのか、しないのか、しないとすれば今日どういう状況になつておるのか、それを配給するとすればその対策は農林省としてどういうふうに考えているのか。聞くところによると砕け米と聞いておりますが、その値段も丸米と同じような値段で買付けたように承わつておりますが、この辺の事情もこの際いろいろ問題になつておりますから明確にして頂きたいと思います。
  41. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話の米は確かに買つております。併しながら永岡さんも御了解願いたいと思いますことは、何千トンをどこから買うというようなことを私が一々関与しているわけじやございませんので、これは食糧庁の業務に関しておるわけでございまして、事態は併し問題が起らないように十分監督しなければならん責任があるわけでございますから、その責任を私は免れるものではございませんけれども、事態を明瞭ならしめる上に食糧庁当局から十分御説明を申上げます。
  42. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 只今の件についてお答え申上げます。お話通りフイリピンから約六千トンばかりの米を入れておるわけでございますが、これの事情は昨年一月頃フイリピンから向うの相当有力なかたが参りまして、米の話を持込んだわけでございます。併し私ども調べたところによりますと、必ずしもその米が新らしい米ではないということ、ビルマから輸入されたものであるということを承知いたしたものでありますから、必ずしもすぐには賛成しなかつたわけでございますが、その後単に米をこちらに一方的に入れるということではありませんで、それの代りに、こちらから有利な条件で輸出物資が出せるということでありますので、貿易全体の立場からいろいろ勘案いたしましてきめたわけでございますが、その場合の条件といたしましても、初めから主食用ということは予定していないわけでありまして、入れたならば加工用として売却をする。従つて加工用として売却する場合において、国庫に損失の行かないような条件でということで、先ほど砕け米を丸米の価格で買つたというお話がございますが、逆でございまして、丸米を砕け米の価格で買つたわけでございます。その価格でございますので、加工用といたしまして配給して損失はいたさん。一方貿易関係といたしましては、有利な条件で輸出ができるということで、食糧庁といたしましても買うことにいたしたわけでございます。従いまして現在入つておるわけでございますが、配給用、いわゆる主食用として配給いたしてないわけでございます。概略申上げますと、只今のようなことであります。
  43. 木下源吾

    ○木下源吾君 それではちよつとお伺いしますが、農林省が米を買付けてやるのは、まあ目分量、目測で検査して買う。こちらへ来て、そうして科学検査をして、それは食わせられない、これは一体どこの責任になるのですか。それをまあ農林大臣なり厚生大臣どちらでもよろしい、それを一つ先に聞きます。先ほど来のお話では、農林省は目分量で、つまりいいか悪いか買付けの検査をして買つておる。ところがこちらへ来ては、科学検査というかな、そういうような検査をして、それは食わせることはできない、こういうことになれば、これは一体責任はどこにあるか。
  44. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 買付をいたして参りますことは、これはもう事の如何にかかわらず、農林省の責任でございます。私の責任でございます。私は解釈いたします。ただ農林省買付をいたしますにつきましては、こういう国際商品の取引に当りまして、日本としては国際的取引の条件の水準以上に、更に条件を付けて買つて来ておるわけであります。その通りつておるわけでございます。それが、持つて来たものが今度学問的に研究される、科学的に実験される、そしてそれに不適格を生ずるということは、これは責任はむしろあなたのほうからお前に責任があるとおつしやれば、私は責任を逃げませんけれども、実際はそういうことで責任の所在は御判断願うほかないのでございます。実際問題としてはそうでございます。
  45. 木下源吾

    ○木下源吾君 そこで先ほど大倉君が聞いたが、八月に試験の結果、これはどうも毒が多いから、うまくない、黄変米だろうか、病変米だろうかにそういうことを言つておるのに、それを十月に契約して買つたというところに、どうもおかしなところがあるじやないか。本当に責任を持つて農林省が責任があるならば、そのときに十分にそれは考えなければいかん。最後には自分の責任になるのですからな。これをどうしてそのときに迂闊にやつたか。  それからもう一つは一%というのは一体これは量で一%というのか、何かそういう点が明確ではないのですね。黄変菌というものが米一升の中にどれほどあれば一%というのやら、これは甚だ不明確だと思うのだが、これは草葉さんどうだろう。そういう点がもう少し明らかになれば、買つて来た米を又はかつてみて、検査することは民間にもできる。何かどうも皆の言つているのは我々と同じような素人めいた何で、これを一つよく明確にしてもらいたいと思う。ただ私はこの際、いつもならば、余りこうじやないのだが、ビキニのまぐろは御承知のように、あなたのほうで検査して、みんな海へ捨てるかどうかしている、実際はですよ。そういう時期ですから、それは国民が神経が過敏になつている、これはいかんと思うのです。それで一方はビキニのまぐろについては何か日本の人民を、国民を試験台にしておるとか何とかいう文句が付くことになるものですから……。一方においては、華北米というようなものが、譲つてつてもいいという米が買えないでおる。買うほうの米は今のそういう、そのほうは試験台になるというような、どうも国民は非常にこんがらがつた何を持つている。ここを明確にする必要があるのです。ここは決算委員会ですから、損得の問題が最後の問題ですけれども、その前に、やはり我々はそういうことを政府から聞いてはつきりしておく必要がある。話合いですから、今農林大臣が言うようにいいものと混合、ぶち混ぜれば、毒の混入率が少くなるから食わさせてもいいという理窟も出て来るかも知れん。この点は安全な方法と言えば、そういうことになるかも知れん。さて、そのときにやはり向うから買つて来た、毒は毒だけに国民はやはり食つてしまうわけですから、そういうごまかしみたいなことをやられたのでは、国民は困るじやないかということも又起きて来るのです。ですからこれはもう少し答えるほうも、やはり統一して、この米は駄目だ、配給しないのだ。で、まあ併しビキニのまぐろのようには廃棄してしまうということもできない。それまででもなかろうと思うから、これはこういうように処理して、この損害は止むを得ない、一つ何してもらいたい。こういうようにしないと、いつまで経つてもまずいのじやないか。殊に私はこの間農林省研究所へ行つて見ましたが、何もこの問題については、貯蔵というものに対する注意というものが払われておりません。菌は毒になるか。何ぼ食つて何年経てば何になるかということは研究は十分しておるようですが、実際はあなたのおつしやるありのままの姿で国民が食うという、そういうものの処置研究というものは非常になおざりだと私は見て来ておる。そういうように一方では、書類を持つて来て机の上で検査して、こいつはいけないというようなことでは、もう私は連絡も余りよくとれていないとこう思うのです。ですからこれはもう少し研究して、ぴたつと国民の安心のできるような答弁を頂けるように一本で……。どうもそうでないというと、国損も又大きい。又そうして国民の保健上もよくないという、二つながら国民がしよわなければならんようなことが起きては困るとこういうふうに考えます。先ほど来のお話を聞いておると、農林大臣としては買つて来たこの大量のものを今みすみすおかしくしてしまうということも責任上うまくないという考えもあるであろうし、又一方においては、これだけの食糧の問題ですから、不足だから買つて来ておる、これを埋めるというためには、いろいろ又政策上も難点があるというようなことも考えておるのかもわからない。そういうことを一切抜きにして、ここでは国民保健の上に、これはどうするのだという明確なものをそこに出して、損得とかそういうものは別問題として、一つこれを出してもらいたいと、こう思うのですが、どうですか。
  46. 保利茂

    国務大臣保利茂君) はつきり申上げますけれども、私は自分の責任を回避せんがために、配給してはならないものを配給して、そうして国家の損失を防ぐようにするという考えは、この問題に関する限り絶対に持ちません。それはやはり何といつても尊い国民の人命に関する問題でございますから、これはもうたとえどういうふうな責任を追及せられましても、私はなすべからざることをなさないことは当然だと考えております。従いまして、私どもが、学者の中でもいろいろ御意見があるようですし、素人仲間でもいろいろ意見がある、それをいいほうの意見を私どもがとつて、かれこれ申上げると、今お話のように、何か配給したいがためにそういうことを言うのだろうと、農林省としてはすぐそれを言われるわけでありますから、私は如何なる保健上の影響があるかどうか、従つてこうすべし、ああすべしということは、挙げてこれは厚生省の御指示に従い、一切それについては私はかれこれ申上げないという態度をとつて行きたいと、かように考えております、
  47. 高野一夫

    ○高野一夫君 私はこれは農林大臣にお伺いすべきか、厚生大臣に伺うべきか、まあ厚生大臣にお伺いするのが当然だろうと思うのですが、大体学説というものに、いろいろさつきからお話が出ますけれども、仮にアインシユタインの学説にしても、その他の学説にしても、関係学者が百人が百人一致した学説というものは、私はどこにもないと思う。そこで厚生省なら厚生省が正規の機関に諮つて、そこで関係学者、技能者が集まつて、仮に今度の問題でも、一%以下なら差支えないというような判断ができたなら、差支えないものとして考えていいのではなかろうか。だから、一%以内は差支えないという判定が下だされたならば、私は食つていいのではないか、配給していいのではないかと、こう思うわけなんです。仮にそのほかの白米の問題にしても、白米を食つちやいかんというのは、これは殆んど定説です。白米を食えば、いろいろなビタミンBの欠乏症その他の疾患の原因になる、だから玄米を食え、麦を食えということを言われておるけれども、我々は食生活上白米の配給をやめろとも言わんし、又相変らず食つているわけなんですね。そういうことから考えても、なかなかこの食生活の習慣というものは変えられないわけです。毒であるということがわかつてつても、やはり白米を食い、配給する、一%以下の病変米があるということは差支えないということが、正規の政府の機関で判定が下されたのならば、私は堂々と食わしていいし、堂々と配給していいのではないかと思うのでありまして、現在は余りに実際上不必要に国民に不安感、恐怖心を与え過ぎておるのではないか。この点についての国民に対する蒙をひらくと言うか、何と言うか知らんけれども、もつと国民に一%以下のものならば安心して食つてもいいということを知らせる努力が必要じやないか、こういうふうに私は思うのでありますが、これは厚生大臣の所管であると思いますが、草葉厚生大臣の御見解を伺つておきたいと思います。
  48. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 御尤もでございますが、併し一般にどうも不安だということは、これは拭い去ることはなかなか困難でございます。私どもはいろいろな機関にかけて、今申上げたようなことで配給の率、基準というものをきめましたけれども、それが却つて従来よりも実は搾つております。従来は一%をずつと常食しても差支えない。今度は一%は月のうちに五日だと搾つたのでありますが、その意味から申しますると、従来の六分の一に搾つたわけでございます。それでもやはり不安がありますので、不安はこれは解消せなければならん。どうしても解消することが一つの大きな政治の責任だと、私どもの責任だと存じまするので、従つて更にこれを只今申上げました、或いは今まで関係のありまする大学並びに研究所につきまして、あらゆる角度からの実験を実は進めております。その結果、これはいろいろ、今のお話にも或いは二十年とか三十年とかありまするけれども、これは学者の大体の一つの見方としては、そうもかからずに、一つの学問的基準は現われるというのでありまするから、それによつて急いで一応の結論出しましたが、更に念を入れた結論を今出したい、そうすることが国民の安心を高めるゆえんである。その結果、どうしてもこれではいかんとなりますれば、これは私どもこれを変えることにはやぶさかではございませんが、そういう方法をとることが、国民の安心感を強くする一つの最も大切な方法と存じまして、今いたしておる次第であります。或いはポスターとかいう宣伝の方法もありましようが、どうしても科学的な実験と安心感というものが最後のものになつて来ると存じますので、そのような方法をとつておる次第でございます。
  49. 八木幸吉

    八木幸吉君 時間が大分迫つて参りましたので、簡単に過去の責任と対策の二つに分けて私は伺いたいと思います。  二十八年の九月以降二十九年の五月までに入庫した外米の中で、厚生省が不適格と指定されました数量が十一万四千五百トンであります。而もこの中で、昨年に入庫いたしましたのは、九月の千二百八十トン、それから十一、十二の一万三千六百トンで、十一万四千五百トンの不適格品の中で八割五分というものは本年に入庫したものであります。そのうちで八万一千五百トンは現在まだ在庫でありますけれども、三万三千トンというものはすでに配給済みになつております。厚生省が不適格品として十一万四千五百トン指定されておるにもかかわらず、三万三千トンを配給されたということは、これは私は重大な問題であると思う。殊に入庫指定品の中で三%以下の米は僅かに一万四千トンでありまして、厚生省の最近の検査の結果では、三%混入のものは三十五日になれば人体影響がある、こういう試験の結果があるわけでありますから、安全度を見て〇・三%以下を配給するのだと、こういうことを正しいとすれば、不適格品が約一万九千トンすでに配給されておる。もう少し範囲を拡めて、一%以下のものが仮に無害であるとしても、四千七百トンというものは、厚生省が試験の結果不適格と指定したにもかかわらず、五千トン近いものが配給されておる。これは私は政府として重大な責任であると思うのですが、その辺に対する見解を先ず伺つてみたいと思います。
  50. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話のように、厚生省からその米待つたという米が十一万トンほど、そのうち三万トンほどがすでに配給されておるという事実は、これはその通りであります。ただ実際問題について申上げますれば、この白い米の黄変米の問題が起り出しましたのは、厚生省が新らしい基準を定められましたこの七月以降の問題であります。で、それまでお互いに心配をいたしておりましたのは、黄変色の問題、黄変色の混入している外米が問題になつていた。白い米は誰も問題にしていなかつた。従いまして厚生省のほうから、この米については少し待てという通知はございますが、然らば百日経つても百五十日経つてもこの米はよろしいからこうやれという通知は実際問題としてないようでございます。決してそれが、配給したことが私は妥当だとは存じませんけれども、その点につきましては、これは私は申訳ないと思います。併し私どもといたしましては、この一%以下でなければ配給することはならないという基準が示されているのは昨年の十一月でございます。で、白い米の配給基準を示されているのは七月でございます。この間或るものについては百五十五日の結果を待たなければわからないというような状態に置かれております。従つて年初当時白い米がまだ関心が誰も持たれないというときに、現場当局で配給を操作上やつたということになつておるかと存じますけれども、調べて見ますところによりますれば、新しい配給基準量の枠内において、それは動かされておる結果がたまたまそうなつておるということで、幾らか私どもも安心をいたしておつたようなことでございますけれども、この問題私も非常に大事に考えまして、更に調べております。そのことだけ申上げます。
  51. 八木幸吉

    八木幸吉君 白色病原菌のあるということは昨年の八月の二十九日にわかつておるわけであります。私が入港の日を申上げた通り、十一万四千五百トンのなかで八割五分は本年になつてつておる。従いまして厚生省からどんな連絡があつたか知りませんが、結果として十一万四千五百トンを不適格と認定しておられるにもかかわらず、なおその不適格品を三万三千トン配給した。これは政府部内の連絡がどの程度悪かつたか存じませんが、不適格品配給したことについては、これは明らかに政府の責任である。簡単明瞭に私はさように考えるのですが、そこで今農林大臣も誠に相すまなかつたというお話でございますので、これ以上申しても仕方がありませんが、問題はその三万三千トンが国民の口の中に入つてしまつておるか、或いはまだ残つておるものがあれば、回収する必要があると思うので、私の伺いたいのは、若しくは御調査を願いたいのは、配給済みの三万三千トンがどこからどういう船で入つて来て、今各市町村のどこどこでとまつておる、それを詳細御調査を願いたい。このことを委員長を通じてお願いをいたしておきます。  それから私は次の問題に移りますが、厚生省検査が非常に的確なものである、動かすべからざる科学上の根柢に立つておるという前提の下に議論しておるわけなんですが、検査の方法を伺つて見ますと、六百トンを一つのブロツクにして、その中から数百粒をとつて検査する、私は決算委員会の専門室の調査を承わつたらさようになつておるわけですが、もつと具体的に言えば、つまり四トン積の貨車、トラツク百五十台分のたくさんの米の中から一握りに満たない米を取つて来て、これを検査する。非常な平均が保てた率ならようございますけれども、百五十台のトラックの中から一握りの米を取つて来て、そうして検査して、一%とか二%とか五%とか言つたつて、ほかの米にパーセンテージが非常に多ければ、赤ん坊が食べたり子供が食べたり或いは病人が食べたり、それが果して安全と言えるかどうか、私は非常にこの点が大きな問題ではないかと思います。八月十七日の朝日新聞の伝えるところによりますと、インドシナ米が一月二十七日に仏船メコン号というので横浜に入つた。そのインドシナ米五千トンのうち三百粒とつてそのうちから三十七粒のイスランジア毒素が出た、つまり一二・四%だ、こういうのですが、五千トンといえば、五トン積トラック千台のうちから、三十七粒黄変米が出たから一二%、一体そういつたようなサンプリングで我々は毒の強い黄変米を安心して食うわけには参りません。殊に食品衛生云々ということをおつしやるが、私は誠に釈迦に説法ですけれども、ちよつと調べて見たけれども食品衛生法の第四条の三に、「病菌、微生物により汚染され、又はその疑があり、人の健康を害う虞があるもの」を販売したら三年以下の懲役又は五万円以下の罰金、こういう法律もあるくらいですから、政府が管理した米が今言うトラック何十台の中から、一握り握つたサンプリングで、すぐそれを配給する、而もこの毒素によつての病気というものは肝臓等の病気で、直す方法が今の医学でないと言われておるくらいのものを配給されるということには私は賛成ができない。それがこの委員会の私は配給中止の決議なつたと思います。殊に私も身体が悪いものだから医者に毎日通つておりますが、医者の意見を聞いて見ますと、若しその毒素が体内に入つて糞便になつて出た場合に、その毒素が日本国中に撒かれたら非常に大変なことだ。非常に私の信頼する医者は心配しております。殊にこの米を倉に貯蔵した場合に、その毒素が貯蔵庫に残つたならば、日本国中にこの毒素を撒かれたらどうするのだ、私の信頼する医者は涙を流して昨日実は心配しておりました。だから私はいろいろおつしやるけれども、サンプリングが非常に僅かの検査である。殊に僅か十一人の人が検査しておるということについて、私は非常な不満を持つております。昨日も厚生省のほうから一億円の検査の予備費を大蔵省に請求しておる。今考え中だというので、大蔵省のほうに一億円の金を一刻も早く出すようにということを昨日も申上げたのですが、どうか一ついろいろな理窟をおつしやらずに、配給を一応中止して、もつと人を殖やして十分なる検査をされることを、この決算委員会決議と関連して、私は特にお願いをいたしたいと思います。サンプリングの問題について厚生大臣から伺いたい。
  52. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) これは先ほども申上げましたように現在只今もお示しになりましたのでありますが、二十四人が検査とそれからその他のほうと分れております。勿論多量の外米輸入に対する検査には十分な態勢とは申上げられないと存じます。そこでこれはたくさんの量でありまするので、これが検査のやり方を、統計的な基準なり、その他のいろいろな方面からの学問的な基準を中心にして、或いは産地或いは時期或いは船その他でやつて行くという方法をとつて参つて、その検査の結果をやつて行かねばならないという次第であります。最近大変滞貨量が多いのでありまするから、そうして主食の配給等についての大きい問題でありまするから、これらの検査を十分にするように、それぞれ関係省と連絡をいたしておる次第であります。従つて今後はこれらの検査は一層正確を期し得ると考えておりますが、従来におきましても、そういう統計的な立場からの抜取り検査というものを中心にいたしておることは事実でございます。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 私も時間がないから簡単に御質問申上げますが、厚生省のほうで毒素について、これは蓄積毒であるというふうに伺つておりますが、その点についてもう少し専門的にこの毒素について返答をしてもらいたいと思うのです。私の聞いているところでは、これは蓄積毒ではない、この間これは農林省食糧研究所のほうから伺つておるわけです。これは重要な問題だと思うので、その点について一つお答え願いたいと思います。
  54. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) お答えを申上げます。この黄変米の毒素が、これが学術上漫性毒であることは間違いございません。そこで漫性毒の中で、これが更に蓄積的な機能を持つものか、容易に排泄されるものか、この辺はまだわかつておりません。併し私どもは一応安全のためには、これはそう容易に排泄されるものでないというふうに考えたほうが安全度が高まるから、さように考えているわけです。併し恐らくこれは当然漫性毒なのであるが、排泄もされるもので、そう蓄積作用は強くないと思いますが、一応安全なためにさように考えておる次第であります。  なお、先ほど来お話をいろいろ伺つておりますと、ちよつと私は専門的な立場からいいますと、いろいろ腑に落ちない点も出て参りますが、この白米に出ておる黄変米黄変米と申しましようか、これと真黄色な腐つたような米と一緒に考えるということは、ちよつとこれがどうも議論の混乱の因になるのではなかろうかと、かように考えております。そして学者が一%以下といつておる人がありますのは、これは真黄色の腐つたような食えない米について言つておることでありまして、それが直ちに白米に通用するということはあり得ないはずであります。又学者にはいろいろ意見がありまして、さつき高野先生からお話がありましたように、中には腐つたような色のついた米でも、三%くらいまでは食べられるだろうという人もおります。併し私どもはこれ又衛生当局の立場から、あえて三%説をとらずに、安全率を見ておるわけですから……。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がないから、その点はそれでいいのですが、そういうことになりますと、我々が実際に現場に行つて調べて、専門的に検討しておる人から聞いて来ると、これは白色黄変米にしても黄変米の病菌も、毒素は大体同じだ、こういう一つの論をちやんと聞いておるわけです。ですから厚生省農林省の中で研究している方々は、科学的に良心的にやつておられるので、政治的にやられては、これは迷惑をするわけですが、そういう点でこの白色黄変米にしても黄変米にしても、タイ国黄変米にしても実際諸説まちまちで、そういう点について我々は知つたといつても過言でないと思う。つまり定説がない。諸説まちまちである。そういうような角度の中で、この毒素について非常に割切れないものがある。そういうようなことから国民衛生上、我々は一つ政府当局からいうと思過しかも知れないけれども国民的な立場から言うと、何か心配がつきまとつているわけなのです。そういうような角度で、この決議をしたので、政府のほうの立場としても、ただ我々はこう追及するということではなくて、これは共鳴を得る段階までは、国民にこういうものを食わせないということが、政治的な私は良心だと思うのですが、これは絶対に配給してはいかんということではない。よりテンポを早めて、今言つた楠本さんの学説では、我々は失礼だけれども安心ができないわけなのです。頭を幾らひねつても、ほかのほうの反対というものがあるわけなのです。これは、党派を超えて、不可解な状態の中におかれているわけなのです。そういう点でこの決議というものが出たことを一つ御了承願つて、先ほど言われたように、サンプリングの合理化をするということが、農林、厚生両省の覚書になつておりますが、こういつたものを具体的にどうするのかという点について、いろいろよく検査するということ、抽象的ではなくて、こういうふうに改善をするということ。  それからこれは農林大臣にまあお尋ねということになりますか、配つて行く場合に、なかなか末端に行くまで細く、先ほど言つたように札をつけて、これは何パーセント、何パーセントはなかなか処理上できないということもわかりますけれども、これはやはり協定書に、農林省食品衛生の趣旨に則り、責任を以てこの配給に当つては監督する、こういうふうに覚書が渡されているわけなのです。私はそういう点から考えて、仮に或る一段階がついて、まあこの覚書の通り配給するということになつても、現状においては学説紛々として、国民はこれに対するところの定説を持てないということから、実際問題として配給の辞退というものが多く起ると思う。そうするというと、ここに、一カ月に当該各号の二以上合せて配給するということはしないといつて、パーセンテイジ〇・三%以上一%未満は五日、一%以上は一・五%まで三日、一%五から二%五までが一日、こういうのを二つ以上合せて配給しないといつておりますが、順次これが消化されて行けば、私はその通りになると思いますけれども、実際問題としては、配給辞退が非常に起ると思うわけなのです。そうするというと、これを受けた食糧配給所というものは、他の加工屋に回わすといつても、価格が価格ですから回わしきれない。結局現在政府が倉庫で囲つておるからいいようなもの、これを実際問題として配給所までおろした場合に、これが順次消化されて行かないということになるならば、今隔離しているところの病毒素が日本中に散らばるという一つの現象になつて、それを実際に受取つているところの配給所としては、何とか処理しなければならん、こういう形に追い込められて行つたときに、結局他の外米との混配によつて、これが大衆食堂なり、その他の方面に処理されて行くというふうな、私は心配がどうしても起ると思うのです。だからその点について私は、学問的に問題があるとしても、政府安全度を見て、これこれの配給率でやるというならば、それについて配給所までやはり厳重に農林省が監督をして、配給するものは強制的にもこれは買取らして、そうして家庭に消化さして行くというところのはつきりした方針でもとらない限り、私は危険だと思うのですが、その点、農林大臣如何でございましようか。
  56. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ここですぐ岡さんの言われるような、具体的な点についての具体的なことについてお答えいたすについては私は無理だと思います。十分そういう点は注意いたします。又今の問題の米を扱うにいたしましても、先ほど来申しまするように、尽すべき手段は十分尽してみたいと考えておるのであります。相当の時日がございます。そうして実際これに手をつけるという場合におきましては、只今意見のことも十分研究いたしまして、善処いたすようにいたしたいと思つております。ただ私どもは、誰でもそうだと思いますけれども、強制的に配給を押しつけるというようなことは、これは断じてすべきものではない。そういう意味でおつしやつたことではなかろうと思います。私はそういう考えを持つております。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 私のほうは農林大臣が言つたように意図は全然逆で、毒を蔓延させないという観点から言つておるわけです。つまり強制させなければ、私はまあ大臣の家庭でも、大臣はこれを買えと言つても奥さんは承知しないと思う。なかなか微妙ですからね。ということになれば、日本中において、厚生大臣がたまたま一食くらい、失礼ですけれどもこれを食べたと言つても、これはまあ我々は何もこれを揶揄しようとは思いませんけれども、割合いに冷かし論議がこの頃流行しておるということもお気付きだと思います。失礼ですけれども。そういう点で、これを果して政府が或る一定基準でいいと言つても、現在の国民の杞憂から言つたならばなかなかはけない。結局はけないものがどうなるかということになれば、これはますます問題が混乱するから、政府配給するという確信に立つならば、これは平等に食べさして行くくらいのことがなければ、偏つた食の配給結論はなるということを私は今から予見しておいても憚らないと思うのです。そういう点で我々としてはそういつた多くの問題があるので、今言つたように時日があるから、それまで十分に納得するような処置をとるまで、これは配給しないんだというふうにやはり言つてもらう必要が私はあると思います。何かそういう意図ではないと思うのですが、農林大臣のほうは大体まあこの方式によつて配給するんだというふうに、農林省厚生省の覚書によつて行うんだというふうにとればとれるわけで、そういうことになるというと、政府国民の要望に応えて何とかしてこういつたものについては国民に食わせない措置を講じたい。仮に国損が出ても、段階としてはやむを得んじやないかというふうな、やはりきつぱりとした態度を現段階において発表することが、こういう問題の処理について憶測を逞しうすることをやめさせることになるのではないかと思うのですが、この点如何ですか。
  58. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どうも長い話をこうされて、それで私はどうしてもそれにこだわつて、それでやろうとしておるというところに持つて行かれようとしておるわけですけれども……。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 そんなことはございません。
  60. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そうでなければ大変結構です。私はとにかくまあ一応保健当局が安全度を見られて、今日までの研究が定りないとかいうことは、これは私は学問の責任だと思つております。それはすべての問題が私はそうだろうと思います。私ども科学的に解明せざるところの事態というものは随分多いだろうと思います。それはたまたま手についたほんのとば口に立つておる。とば口に立つてこの問題が起きておる。従つて研究は今後ずつと進めて行くべきだろうと思いますが、併し現在の研究段階において、総合せられた結果というものは、この辺の十分の安全度を見てまあ大丈夫というので、併し一部の中にはそれはいかん、それは大変だという意見が出て、この問題を起しておるわけで、これは実際問題としてお互いに政治をやる者として、だから学問的な研究の総合的な結果は出ておるけれども、併し実際問題としては、それよりもつと下げるようにしなければいかんじやないか、その努力を払う。併し努力を払つてそれが一体例えば再搗精をやつて、それは二%のものが一体どのくらいに下がるということも、これは私ども実施当局でございますから十分手をつくしてみなければならん。そうしてやつて、それは幸いに〇・五とか〇・三とか或いは零とかになれば、非常に仕合せなことでございますから、そういう手をつくして行きます。そうしてその間には厚生省研究も進むでしようし、私のほうもそういう手段をつくして、そうしてそうまでして行けば、私は余り問題はないのじやないか。いずれにいたしましても、外米の、この黄変米の問題からして、今度は食糧配給当局者として考えますことは、外米の辞退が相当多くなるのじやないか。それはお話のように、それが又一方に偏して消費せられるというような結果になるということは、又非常に心配しなければならん、そういう点は十分注意してやつて行きたい、こう考えております。
  61. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 両大臣に伺いますが、いろいろ御答弁を伺いましたが、一昨々日の本委員会決議に対する両大臣の今後の行政上、この決議をどういうふうに御評価なすつたか、その点については一言もまだ承わつておりませんので、極く簡単に、どういうふうにお受取りになつたか、伺いたいと思うのであります。これは両大臣から伺いたいと思います。
  62. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど私は冒頭に、この問題に関する私ども考え方を要約して申上げますと言つて申上げましたことにほぼ尽きるかと思いますけれども、更に只今のお尋ねに対しましては、政府といたしましては、今日までの研究成果に基きまして、絶対に消費者に不安なく消費できることを建前といたして、最善の措置を講じて参りますることは勿論でございまするが、今後の外米輸入につきましては、有害なものの防止に万全を期する所存でございます。なお、現在在庫中のものの処理につきましては、御決議の趣旨を尊重いたし、慎重に処置いたす考えでございます。
  63. 草葉隆圓

    国務大臣草葉隆圓君) 同様であります。
  64. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 極く素朴に、或いは笑われるかも知れませんが、極く素朴に私は伺いたいのですが、過般厚生大臣はライスカレーを、而もおいしそうに、楽しそうに召し上つておられたのですが、ああいう気持で食べれば、一%ぐらいのものは或いは薬になるかも知れないのですが、実際は。そういう気がするのです。ところが先ほど来科学的な質問がなされ、且つ科学的な御答弁がなされたのですが、今日の事態ではもはやそんなものじやないのであつて、仮に薬になるものを食べさしても、お前が今食べたものはこれは毒なんだ、こういうことを言われれば、気持が悪くなつて吐いたり、体をこわしたりする例がままあるのであります。つまり黄変米に対する問題はこれなんです。科学でどうあろうが、或いは有毒量のコンマがどうであろうが、国民が今こんなに嫌つておるときに配給すべきじやないので、仮に区別して配給したらどうなるかというと、一升の中に一%、これは毒にならない、これはもうこの一%がこれが黄変米だ、こういうことで分けて配給した場合に、恐らくこれは配給を受けた国民は、鶏にも食わせないのじやないかと思うのです。この間倉庫に行つて大量の黄変米を見ましたが、あの量を見たり、それから七十何億の国損ということを考えますと、これは誰でも一応何とかして配給したいと思うかも知れない。ところが国民全般はそういう認識はないのです。仮に薬になるものを与えても、これに黄変米が入つておるということになれば、全部が毒を食べたような気持になる。これは大きな政治問題だろうと思う。私から申上げるならば、甚だ手前味噌かも知れませんが、もう科学検討はこの段階については要らない。少くとも八万一千トンはこれはもう廃棄すべきものである。川の中なり畑の中に投げ捨てるべきものであると、こう考える、素朴な話が、これによつて只今の不安を除去するということになれば、七十何億の国損などというものは、これはまあしようがないじやないか。今まで当局がいろいろ配慮をせられた結果、なお且つこういうものは入り込んで参つたというところに原因はあるのですから、この国損については、会計検査院はどうか知りませんが、私ども決算委員の一人としては、これはもう責めるわけには参らん、よく思い切つてつてくれたと言いたいくらいの気持を持つのであります。そこを一つ御留意下すつて只今決議に対するところの御尊重の御意見を私どもは期待をもつて受取りたいと思うのでございます。どうかそういう観点から、科学の問題ではない。あれこれそういうことの研究はもはや私どもはいらないのであります。何よりも国民の不安を除去する、こういうところに重点を置いた決議でございますから、能う限り一つ決議、それから他の委員会における同様趣旨の決議を御尊重願いたいと存じます。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと資料の要求をしたいと思います。現地米の買付についての資料を若干お願いしたいと思います。  昭和二十六年以降の現地の買付相場並びに現地におけるところの相場、それから現地における商社別の買付値段と、それから内地の倉庫に入るまでの費用、政府買上値段、それから払下値段、こういうような資料を一つ出し願いたいと思います。
  66. 八木幸吉

    八木幸吉君 私も資料をちよつと。厚生省が不適格に指定し、すでに配給済の三万二千九百八十三トンの……。
  67. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 不適格々々々とおつしやいますけれども厚生省からは不適格だといつて通知は来ないのでございます。
  68. 八木幸吉

    八木幸吉君 食糧庁から出た参考資料にちやんと書いてある。
  69. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いや、初め来ておるのは……。
  70. 八木幸吉

    八木幸吉君 あなたのほうからお出しなつた資料に書いてあるから、それに基いて申上げておる。
  71. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういうものじやございません。
  72. 八木幸吉

    八木幸吉君 一応読みますから、出す出さんはあなたのほうで……。厚生省が不適格に指定し、すでに配給済の三万二千九百八十三トンの輸入輸入船別の市町村別配給数量及び年月一覧表。昭和二十七年農林省から日本糧穀株式会社払下げを受けた四千百九十九トンの不適格米のうち通産省アルコール原料として売渡した四千九十二トンとの差百七トンの行先明細、これは農林通産両省及び法務省の調査報告書を要求いたします。それから昭和二十七年五月に東洋醸造株式会社に指名入札で売渡した三千一トンのうち五百十二トンが和歌山県食糧農業協同組合連合会に転売せられ、同連合会から配給外主食用として消費者に売られたその徑路の詳細及び当時同地方に発生した肝臓硬変症患者の十一名の最近におけるまでの病気の経過一覧表。それから日本糧穀株式会社に払い下げられた事情。それから厚生省指定の配給適格品の受入数量及びこれに関連するアルコール会計に与える影響、これは通産省。大体今のような資料をお願いいたしたいと思います。
  73. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは午後一時半から緒方副総理見えられますので、ごく短時間でありますが、十五分だけ休憩をいたします。    午後一時十五分休憩    —————・—————    午後二時五十五分開会
  74. 小林亦治

    委員長小林亦治君) これより決算委員会を再開いたします。  本日午後当委員会に出頭する旨の回答があつた緒方副総理は午後一時半から三十分くらい出席しますというような御回答が午前中にあつたのです。それから一時四十分頃になつてビルマ使節団との会談のため午後二時を過ぎるかも知れないからというような御返事があつたのであります。ところが只今になつてから、ビルマ使節団と昼食のために外に出られたが、行く先がわからない、こういうことでございましたので、それは甚だ怪しからんから、どこにおられるか、はつきりしなければならんというので、再三に亘つて総理府に、副総理のところに強硬な申入れをしましたところが、所在がわかつたとみえて、どうしても本日は出られないから、成るべくなら明後日に願えぬかというような改つた申出があつたのでございます。従つて本日緒方副総理から首相外遊の目的、その他予備費の問題、更に黄変米決議に関するところの諸般の問題を聴取するという我々の目的は達せられないわけであります。国会法には委員会は議長を通して国務大臣その他の政府委員を呼ぶことができる、こういう規定がありますが、憲法の六十三条には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない」という儼乎たる規定がございますが、併しその懲戒とか或いはその他の行政罰は何ら規定されておりませんが、いやしくも一国の国務大臣、而もときによつて総理を代理する地位にある緒方副総理が、昨日以来本委員会の要求を、これは時間的にでもありますが、再三、再四に亘つて蹂躙しておるのであります。この点に関する本委員会の何らかの意思表示が必要であろうと思いますので、委員長といたしましては、委員にお諮りの上に、その不遜極まる、無責任極まるところの副総理に対して、はつきりした意思表示をしたいと存じますが、これも委員各位の多数によらなければ、委員会の決定とは相成りませんので、この点の是非、そういう申入をするならば、如何なる方法により、どの程度の方法にしますか、そういう点について、一つ委員長考えを御批判の上に御決定願いたいと存じます。  間違いがありましたので訂正しますが、来週ならば出られるというのは大蔵大臣なんです。副総理のほうからは、何らそれらしい、いつとかどうとかいうことはございません。それから木村委員から、明後日の月曜ならばというような注意的なお話があつただけなんであります。この点御了解を願いたいと思います。
  75. 木村守江

    ○木村守江君 先ず第一に、明後日の午前ならばというような申出が私からあつたというような委員長の御発言でありますが、それは私はそういうふうなことを申上げたのではありません。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。  それから只今委員長からいろいろ申されましたが、皆さんがたの御立腹のほどは誠に御尤もであります。我々本当に、今朝までは私だけでなく、青柳委員に対しても、今日は一時半乃至二時から三十分程度ならば出られる。併しビルマの賠償使節団が来ておるので、昼食を共にしなければいけないので、二時頃までかかるだろうというような話で、副総理自身としても又首相その他の関係者としても、本委員会の意図は十分に体しておつて、副総理自分は出たいという考えを持つてつたと思うのです。ところが実際問題として、ビルマの賠償使節団と昼食を共にいたしましたその話のついでに、どういうような方向になりましたか、今日は出られないというような状態になりましたので、或いは解釈のしようによつては、極めて傲慢な、極めて不遜な態度であるというように思われるかも知れませんが、以上の事情がありまするので、どうぞその点を御了承願いたいと考えております。
  76. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 使節団が参つておるということは、これはまあ了解しておるのです。それなればこそ、明日は午前中からという昨日の内々の申入れに対しても、いろいろ都合を差繰つて午後まで待つたのでありますが、然るに同じ与党の木村委員すらその所在を明かにしないで、出ますということをみずから御存じであるはずなのに、三時になつても何ら通告をして参らない。そういうことでありますというと、仮に来週出るというようなお約束が得られたとしても、当委員会としては信頼できないと思いますので、何かこれに関する御意見を承わりたいと思います。
  77. 久保等

    ○久保等君 今週いつぱいに、私いろいろと当面の緊急問題である黄変米の問題、或いはそのほかの当面の問題についていろいろと関係大臣出席を求めて審議して参つたのですが、昨日も、大蔵大臣の場合ですと、まあ昨日は閣議で出られないというお話つたのですが、今日は別に閣議があるということでもないにもかかわらず、今日は大蔵大臣出席しない。更に又副総理の場合は、今言われておりまするように、時間まではつきりこちらのほうに通告しておきながら、遂に姿を見せないというようなことについては、これは当決算委員会として、まあ非常に我々として遺憾に思うわけです。従つて、少くとも当面の黄変米の問題についても、今朝ほど農林或いは厚生大臣が初めて出て参つた。その出て参つた大臣黄変米或いは病変米に対する政府答弁というものは、少くとも当委員会或いはほかの委員会等でも決議をそれぞれ行なつて、当面黄変米に対する処置、或いは今後の対策というような問題についての決議の趣旨に対しては、少くとも午前中の当委員会において両大臣の述べられたところは、完全に無視したような形の答弁がなされておるわけですし、当委員会としては、黄変米決議の問題についても、私は今日の午後副総理が出て参れば、当然もう少し突つ込んだ政府当局の責任のある態度が究明されなければならんと思つて、実は副総理出席を非常に我々としては期待しておつたし、而もそれが途中から何かうやむやのうちに出席されないというような姿になつて来たことについては、これは当委員会が折角一週間に亘つて黄変米の問題についても、倉庫その他の現場等へ行つて視察をして、当面の国民の大きな不安を解消するために、我々としてもできるだけの努力をして或いは協力をして行くという考え方で、いろいろと審議をして参つたのですが、そういう意図から考えましても、実に残念に思うわけです。更に又先般もちよつと当委員会の席上でも出ております首相外遊の問題、或いは又汚職問題等についても、これ又いろいろと関係大臣出席願つて、十分に事の真相を究明して参らなければならないというようなことが言われておつたのですが、これらの問題についても一回も大臣出席をしないというようなことは、非常に委員会として遺憾に思うわけですし、これは別に何も党派的な問題でないと私は思う。飽くまでも決算委員会としての立場からいつて政府の今のような決算委員会に対し、延いては国会に対する考え方もそうではないかと思うのですが、若しそういう考え方だとすると、国会における重要問題に対する審議について非常に支障があるばかりでなく、我々決算委員会としては政府の反省を厳に求めなければならないと思うのです。そういう点で、予定は一応本日までということで計画を立てて、日程を組んでいろいろと審議をして参つたのですが、こういう状態では問題が解決したということにもならないし、折角今まで審議して来たこと自体も、最後の画龍点睛を欠く結果になると思うので、是非私は政府に対して厳重に関係閣僚、特に本日の副総理の不出席については、その責任を究明する必要があると思いますし、是非決算委員会としては、厳重に私は政府の反省を求め、今後の決算委員会に対する一つ誠意を持つた出席と、更に決算委員会に対する協力を願いたい、かように実は考えるわけです。
  78. 八木幸吉

    八木幸吉君 私は黄変米問題に対する決算委員会決議に対する答弁を、当然要求しなければなりません。只今久保委員お話のありました通り、今日の農林厚生両大臣の御答弁では、全く実質的に決議と相反しておりますから、決議を尊重する、実質的に尊重する意味合いにおいて、緒方副総理に当委員会出席することを要求したいと思います。なお、又昨日福永官房長官が見えまして、吉田首相の外遊問題についてのお話がございましたけれども、奥委員からも御注意がありましたが、相当巨額の国費を使つて今日行かなければならんという、いわゆる外遊目的に対する不幸にして我々は納得の行く説明を聞くことができなかつたわけであります。従いまして、私は吉田首相、緒方副総理、この二人を当委員会に御出席を、委員会決議として委員長より正式に要求して頂く動議を提出いたしたいと思います。(「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
  79. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 只今八木委員からの動議でありますが、新たに見えられたかたがございますので、御説明を申上げますと、本日当委員会出席する旨を確約せられておつた緒方副総理が無断出て見えられない。従つて委員会としましては、一週間に亘つて黄変米問題、首相外遊問題、その他について探明しようとした目的が達せられない。そこで緒方副総理吉田総理を本委員会決議を以つて出席を求める、こういうことの動議でございますが、御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  80. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 多数でございます。委員長八木委員の御提案の通り、出なかつた不都合を文書によつて明瞭にいたしまして、改めて総理大臣並びに緒方副総理に対して出席を要求することにいたします。なお、御異議があるようですが、動議を諮つて賛成を願いましたので……。
  81. 木村守江

    ○木村守江君 どうも平素極めて公平な議事の運営をなさる委員長にしては極めて珍らしい採決の仕方をしたと思うのです。我々採決の前に一言申上げたかつたのですが……、委員長考え方はよくわかりますが、今日は副総理が、出られなかつたのは、皆様がたの考えでは納得行かないようですが、我々としては或る程度納得し得るような理由の下に出られなかつたといつてもいいと思うのです。そういう点から考えますと、副総理をこのあと適当なときに出席願う、そうして黄変米、或いは総理の外遊の問題、その他の問題について質疑応答をなさることは、誠に結構であろうと思われますが、それと一緒に、而も昨日福永官房長官から話されたように、総理の外遊については、閣議において正式に決定の暁に、恐らくは何らかの方法によつて国会の議員の諸君にも意思表示があるだろうというような話があつたにもかかわらず、本日突如として緒方副総理が出られなかつたことに一緒になつて総理まで呼ばなければいけないというようなことについては、残念ながら皆さんがたのお考えとはどうも違います。反対せざるを得ないのです。どうか私たち考えとしては、今日緒方副総理が出られなかつたのであるからして、緒方副総理に適当なときに出席願つて皆様がたの十分なる質疑応答をなさるのが妥当ではないかと考えますので、私はこの提案には反対いたします。
  82. 島村軍次

    ○島村軍次君 私は採決の前にもう少し審議を加えて頂きたい、こういう考え方で発言を求めたのですが、委員長のお許しがなかつたので、あとからでありますが一言申上げておきたいと思います。それは本日の出席がいかねば、明後日継続して出席を要求するというのが順序であろう、若しそれ口頭だけでいけねば、順序上書類の要求というのがあるわけですから、その措置をとつて而してその結果によつて審議を進めて行くというのが順序であろうと思います。総理大臣の問題は今委員長がとつさにお出しになつたので、或いは総理大臣出席も必要であつたかも知れませんが、併し副総理出席を求めた上でやるというのが順序じやなかつたかと私は考えまして、委員長の採決には反対をいたしたわけでありますが、少くとも委員会としての運営としては、先般来の経過に鑑みて明後日開くか開かんかということは、まだお諮りになつておらんわけですから、順序としては、さような措置が一番にとらるべきじやなかつたかと思うのであります。でありますから、決議決議でありますが、一体明後日開かれるか開かれんかということは、委員会にお諮りになるのか、或いは又委員長の職権でお開きになるのかその点を伺つておきたいと思います。
  83. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 島村委員お答えいたしますが、理事会では無論のことなんです。それから第一回の決算委員会の席上でも大体四日まで、そういうふうな御了解を願つてありますので、委員長としましては第七回決算委員会は、これを皆さんにお諮りした上で、成るべくならばできるだけ早く、でなければ来月、こういうような大体の予定で本日まで第六回目の委員会を重ねて参つたような次第でありまして、特段な突発的なことがなければ、一応本日を以て今回お集り願つた案件を処理したい、こういう方針であつたのであります。  御反対の意見をよく聞かずして採決したという点については或いは委員長においても不手際であつたかも知れません。何さま当委員会は私が就任して以来かような事態に当面しなかつたので、短急に賛否をとつた次第で、その不手際は陳謝いたしますが、併し反対の方々のどのような御意見がありましても、委員長の見るところでは、これは只今決定のようになることは殆んどわかつていましたので、甚だ省略した点はまずかつたと思いますが、結論においてはいささかも狂つておらないと確信しておりますから……。  それから木村君に申上げたいのですが、来ないのは当然いたしかたのないような御意見でありますが、それはいささか筋が違うと思います。本日の朝になつて突如出席を求めたというにあらずして、もう一昨日以来出頭を求めておつた。もう百パーセント副総理の御都合というものは採用しまして、我々の時間的な都合如何にかかわらず、全部譲歩して参つたのです。その結果予定せられた最終日である本日において、両三回に亘つて食言的な態度をとるに至つては、弁護的な御意見はさることながら、不肖委員長といたしましては、いささかピントの違つた弁護論ではないかと思いますので、その点については何ら反省いたしません。  それから明後日開くということにつきましては、やはりこれは私もそうでありますが、一応四日を以て終るという予定を立てておる委員各位が殆んど多数のように見受けられておりますので、本日を以て一先ず委員会の最終日といたしましたので、国を挙げての問題のようなことのない限り、明後日は開会しないという方針を持つております。
  84. 島村軍次

    ○島村軍次君 関連して。余り固くなつてもいかんと思いますので、この辺で休憩をして、決議決議で結構だと思いますが、あとの運営の問題について一つ懇談して頂きたいと思います。
  85. 小林亦治

    委員長小林亦治君) なお、運営の上においては、これは如何ようにも御協議願わなければならんし、それから案文とか、そういう細かい点に至つては或いは理事会の問題になるかも知れませんので、それらの問題を協議するために、では約二十分くらい休憩いたします。    午後三時十九分休憩    —————・—————    午後三時三十六分開会
  86. 小林亦治

    委員長小林亦治君) それでは委員会を再開いたします。  文書を以て総理並びに副総理へ当委員会への出席を求める、こういうような決議をいたしましたが、つきましては本日が第六回の委員会、次に開かれるのは第七回決算委員会となるわけであります。その第七回委員会の日取りを只今きめまして、確定した日付を文書に登載して出席を求めたいと存じますが、いつ頃の日取りが適当であるかお諮りしたいと思います。
  87. 久保等

    ○久保等君 先ほど来のいろいろ御趣旨から行けば、できるだけ早急に開かなければならないと思いますが、併し今週一ぱい開いた当委員会も、いろいろと各委員のかたの御都合もあつて、今日で一応打切るという当初の予定もありましたししますので、私は具体的に日程を申上げますならば、来週の金曜日、土曜日、即ち十日、十一日、この二日間に差当つて限定をして、総理、副総理出席を是非この機会には願うという手続をとられることを提案をいたしたいと思います。
  88. 永岡光治

    永岡光治君 それから今日の決議をしたことも、やはりこれは突然とは言いながら、今まで政府の取り来つた態度が不誠意極まりない態度であるので、こういう問題になつたし、今までの国会でしばしば同じようなことを繰返しておつたから、こういう強硬な決議をしたのですが、従つて十日と十一日に予定されておりますが、この日にも是非一つ委員長から首相乃至緒方副総理に十分言つてもらいたいことは、来なければ来るまで委員会は開くんだ、そういうことで是非ともこの二日間でお互いに能率的に物事が運ぶように、強硬に一つ申入れして頂きたいことを附加えて要望しておきます。
  89. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 高野、青柳両委員からは成るべく間をおいてというような御意見があるのですが、実は外遊問題で渦を巻いておるのですから、その外遊が二十五日であるとしますると、二十三日や四日にそういつた申入れをしても、非常に弱いものになると思いますので、やはりこの議題の趣旨から考えましても、成るべくこの外遊の日取りの前に、一日も早く目的の探明という点を、国民が期待しておる点から鑑みまして、委員長としては明後日以後が駄目にしましても、そう長からん機会に第七回委員会を開きたいと思います。久保君御提案のように十日、十一日あたりが適当じやないか。端的に、出られて、或いはこれは私の判断ですが、副総理が出られて率直に政府の意のあるところを述べられたならば、或いは総理のほうはよろしいとなるかも知れませんし、そこは委員会全体の空気で成るべく荒立たないように善処することに委員長も努めたいと存じますので、日にちの点は多少御無理でありましても、皆さんのほうが十日、十一日が都合がいいとおつしやるのですから、その点は御同意願つて、あとは委員長の運営にお任せ願いたいと希望を申上げておきます。
  90. 高野一夫

    ○高野一夫君 実は私も希望を申上げておきたいのですが、外遊問題についてのいろいろな御質疑があるわけでしようが、昨日もまあ出たわけですが、そういう政府の言うことであつて、いろいろな気組みもあるし、準備も勿論進めておるわけでしようけれども、正式の決定、閣議の決定もしないと、こういうようなことを言つていろいろ説明のしにくい点も出て来るだろうと思うわけですが、そこでできるならば、閣議で正式の決定をして、これは手続きだけのことかも知れませんが、やはり国会でいろいろ説明等をする以上は、そういうことも大事なことだと思うので、できるだけ出て来るようにして、そういうような閣議の決定を見たあとに質疑をなされるということならば、それは非常にはつきりした答弁が求められるのじやないかと、こう思いますので、その辺のところも一つ委員長十分加味して頂いて、一つ適当なる御処理を願いたい。
  91. 八木幸吉

    八木幸吉君 十日、十一日の話、御提案大変結構と存じます。是非その両日に首相、副総理御両人がお出ましを頂くように委員長から強く御要望を願いたいと同時に、万一両日で意を尽すことができませんでしたら、引続いて延ばすということを委員長のお計らいにお任せするという了解の下に賛成をいたします。且つ只今の御発言がありましたので、万々一閣議でまだ決定しない、従つて十日、十一日は困るが、十三、十四或いは十五、十六日なら総理が出るというふうに、たとえ延びても総理の口から直接外遊の目的を、期間の如何にかかわらず、聞きたいという希望も併せて開陳いたしまして、万事委員長のお計らいにお願いをする、お任せをする、こういうことを申上げます。
  92. 小林亦治

    委員長小林亦治君) なお、本委員会が散会した後で、理事各位にお集まり願つて、成るべく御趣旨のようにしたいと思います。  それからこれは念のためですが、その目的だけで十日、十一日というものをやるのでございますから、その両日に見えられなかつたら、これは勢い何日延びるかわからん、おいでになるまで当委員会としては開かなければならんと思います。その点お含みおき願います。  それから高野委員お答えしますが、それはあなたのおつしやることはよくわかるのですが、お気持はわかるのですが、意味がわからない。というのは、閣議決定まで待てなんということ自体が甚だ僭越なことなんで、あれだけの大目的を、大げさに外遊せられるのであるから、もう閣議がある前から国民はそれを知つておらなければならないはずなんです。そういう趣旨がそこにあるのでありまして、閣議決定までお前らは三猿になれというのと同じことなんです。ですからそういうことは皆さんにお諮りするまでもなく、一つ高野君におかれてもお考え直し願いたいと思う。これは如何なる政党が内閣をとろうとも、いやしくも一国の内閣なんだから、これがこの半年も前から外遊を闡明しており、大々的な旅行をする準備をされておるのですから、もう閣議決定を最近にはなさると言つても、それはいわば形式的なんで、すでに行かんとする肚の中には、目的がちやんときまつておるに相違ない。殊に福永君のおつしやることによると、親善のために行かれるのだろうと思う。親善のために行かれるならば、むしろこれは中共とかソ連に行つてもらいたい。黙つてつてもおいでおいでをされるほうの甘いほうにばかり行きたがるというのは、これは筋が違うのでありまして、親善ならば最も今憂慮に堪えないこの隣邦に対して、具体的に申上げれば、中共とかソ連或いは東南アジア諸国、こういうところにある、そういうところを、我々の意のあるところを全部開陳して、それに対する意見を求める。それからどうしても行くとおつしやるならば、お土産はないというような捨てぜりふを言わないで、できるだけ多くの土産を持つて来るということを、でき得るならば言明して下されば、これ又でき得るならば、我々もどうぞ大事に行つていらつしやいというような気持でやりたいので、そういうことになつておるので、どうかその辺を御了解下すつて、閣議決定までということは、一つ高野委員におかれてもお考え直しを願いたいと存じます。  それでは如何でしよう。日取りをおきめ願つたので、十日と十一日委員会を開きます。  そこで先ほどの決議は文書を以て出頭せよという単なる要求じやないのであります。甚だけしからんから、そのけしからん状態を強調して厳重なる申入れをするということが附加されておりましたので、それらの文句や語呂をどういうふうにするか。それから今八木委員の御発言の通り参らなければ何日でも待機するか、これも限度がございますので、十日も先まで待つわけには参りません。限度がございますので、大体これらの枠も、本委員会散会後に、委員長理事会を開きまして具体的にそれを実行したいと思いますので、その細部は一つ委員長理事にお委せを願いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 小林亦治

    委員長小林亦治君) 御異議ないと認めます。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十八分散会