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説明員(
前谷重夫君)
黄変米につきまして御
説明を申上げます。この問題につきましては、いといと
世上を騒がしましたことにつきましては非常に遺憾に存ずるわけでございますが、
経過につきまして私から今日までの概要を申上げたいと思います。
只今委員長から
お話のございましたように、二十六
年度の
輸入につきまして
黄色をいたして、
変色をいたしておりまする中から
病菌が発見されたわけであります。二十六
年度に
輸入いたしましたものの中から約九千トンの
黄変米が発生し、二十七
年度に
輸入いたしましたものにつきまして約一万三千トンの
黄変米が発生いたしたわけでございます。この
黄変米につきましては、その後当
委員会におきましているく御
審議を頂いたわけでございますが、我々といたしましても、この
買付方法及びその
処分につきましては、御
指摘ございました点については十分いろいろ注意をいたして参
つたわけであります。
先ず
処分方法といたしましては、二十七
年度に
輸入いたしましたものにつきましては、
実需者に対する直接の売却をいたしまして、それの
横流れ等につきましても極力防止に努めて参りましたし、又御
指摘の
中間期間の
経緯というようなことについては、二十七年の
輸入を二十八年に
処分いたしたにつきましては、非常に厳格に
処置いたしたわけでございます。同時に
買付方法のほうにつきましても、その際申上げましたように、
相手局といろいろ折衝をいたしまして、先ず第一に
積み込みの場合の立ち合いを要求し、又
日本側の
立ち会いのみならず、
国際検定機関、二者を同時に立ち会わせしめるということで、一方的な
検査ということではなくて、
品物の
積み込みの
立ち会いにつきましても要求をし、実現をしておりますし、
契約におきましても
黄色量一%以上のものにつきましては、これをリジェクトする、こういう
申合せができまして、それに基きまして一袋ごとに
艀積み込みにつきまして、これを
検査いたしておるわけでございます。その前に
予備検査としてあらかじめ
品物がどの
倉庫から
買付けするという場合におきましては、
予備検査もいたしてお
つたのでございます。
かようにいたしまして、二十八
年度におきましては、
変色をいたしました一%以上の
黄変米が入るということは、二十八
年度においては殆んどこれを防止いたしたわけでございますが、二十八年の十一月頃から
白色、つまり
変色いたしません米にも菌がある。こういうふうなことが
研究の結果わか
つて参
つたわけであります。御
承知のように、この
黄変米の
病菌は、
菌自体には毒がないわけでございまして、菌から排泄いたしまするそのものに毒がある、こういうことにな
つているわけでございます。従来そういう
考え方をもちまして、排泄いたしました
色素の度合によりまして
毒量を
考えまして、そうして
変色したものは毒がある、かように
考えてお
つたわけでございますが、
変色いたしておらない通常の米にも菌がある、こういうことがわか
つて参りましたので、これにつきましていろいろ
衛生当局においても御
研究を
願つてお
つたわけでございます。段々御
研究を
願つております。先般
厚生省におきまして一定の
基準によ
つて配給処理につきましての、厚生、農林両次官の覚え書が出たわけでございます。この
基準についての
経過を申上げますと、従来
研究者におきましても、
変色しておりますものが一%以上では困る、こういうことにな
つておりまして、菌の
種類につきましては、
普通黄色をいたしまする菌が、約十五
種類あるわけでございます。その中に三
種類ほど
毒性のあるものがあるわけであります。従来はその
毒性のうちのトクシカリウムというものが従来発見されてお
つたのであります。これは現在において殆んどないわけでございまして、新しく出て参りました
タイ国黄変菌と
イスランジア黄変菌が問題になるわけであります。従来は
タイ国黄変菌と
イスランジア黄変菌の間におきましては、一昨年の
状態におきましては
タイ国黄変菌よりも、
イスランジア黄変菌のほうが
毒素がきついのではないか、こういうふうな
見解でございまして、その量の
取扱いにつきましても、
イスランジア黄変菌、その菌があ
つても困る。
パーセンテージの問題ではなくして、菌があ
つても困るというふうな
取扱いをいたしてお
つたのでございますが、本年の五月頃、更にその
研究が進みまして、
タイ国の
黄変菌も
イスランシア黄変菌もその
取扱いは同等でよろしいだろう、こういうことが
一般学者の通説にな
つておるように聞いておるわけであります。この一%以内というものを、先般の
基準におきましては、
厚生省におきまして一%以内のものにつきましては一カ月間のうち毎日
配給してもよろしい。而もその
品物は
黄色く
なつた、言わば
毒性の量の多いものであ
つても、一%以内は一カ月毎日
配給してもよろしい。こういうことにな
つてお
つたわけでございますが、今回の
基準におきましては、〇・三%以内は毎日
配給してもよろしい。〇・三%から一%までは月に五日、一%から一・五%までは月に三日、一・五%から二・五%までは月に一日、こういう
基準になりまして、従来よりもその
基準は厳格に
なつたというふうに
考えられるわけでございます。この問題につきましては、又いろいろ
研究者の間におきまして議論があ
つたことは御
承知の
通りでございます。現在われわれといたしましては、この問題が非常に
消費者に不安を与えておるという現況でございますので、
現実のものにつきまして、更に詳細に
実験をして頂くように、
厚生省に
お話をいたしておるわけでございます。従来の
実験は、一〇%以上のものにつきまして、而も純粋に培養いたしましたものについて
実験をいたしておるわけでございます。ここに
サンプルがありますが、純粋に然菌のものにつきまして、菌を培養しますと、こういうことになるわけであります。これが
イスランジア黄変米で、これが
タイ国黄変米であります。
つまり実験に使
つておりまするものは、白米に菌を培養して、純粋に培養して、その培養してできた米を
実験に使
つておるわけでございます。これがその
実験に使う場合の純粋に培養いたしましたものでございます。ところが
現実のものはどうかと申しますと、不
適格とな
つておるものが、こういうふうな
白色であります。
適格にな
つておるのがこういうものでございまして、全然この間に見わけがつかないのであります。先ほ
ども申上げましたように、
毒素の量の
検定が従来
色素の
変色によ
つて大体相応するのではないか、こういう
見解が従来あ
つたわけでございまして、その
毒素の量というものも、
現実に
純粋培養いたしましたものと、自然にあるものとの間には
相当の開きがあるのではないかというふうに
考えます。この点は先般の衆議院におきまする
小林教授の御意見でも、
純粋培養したものと自然にあるものとの間には、その
毒量において
相当の差があるだろうということは言われておるようでございます。そういうことでございまするので、自然にある
現実のものにつきまして、一〇%以内においてどういう変化がるかということを、
パーセンテージ毎にあらためて
実験をして頂きたいということを
厚生省と御
相談しておるわけでございます。
その間に処しまして、我々といたしましては、
需給操作の面からいたしましてできる限りの努力をいたしまして、現在におきましては問題のない米を
配給いたしております。
なお、海外に対しましては、この情報を
在外公館に通達いたしましてこれに対しまして
現地側において如何なる
措置が可能かというふうな点につきましても
検討願つております。
タイ国におきましては、その
反応が現われまして、場合によ
つては
共同調査、
共同研究をしてもよろしい。又
日本において発生した
現実の見本を送
つてほしい、自分のほうにおいても、それについては
研究するから、こういうふうな
反応も現われて来ておるのであります。