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1954-11-08 第19回国会 参議院 経済安定委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月八日(月曜日)    午前十時三十一分開会   ―――――――――――――   委員の異動 九月十三日委員岡田宗司君及び岩沢忠 恭君辞任につき、その補欠として、三 橋八次郎君及び石村幸作君を議長にお いて指名した。 九月二十日委員三橋八次郎辞任につ き、その補欠として、矢鳩三義君を議 長において指名した。 十月四日委員大達茂雄辞任した。 十月五日委員矢嶋三義辞任につき、 その補欠として高田なほ子君を議長に おいて指名した。 十月二十五日議長において、関根久藏 君及び八木秀次君を委員に指名した。 本日委員高田なほ子辞任につき、そ の補欠として、岡田宗司君を議長にお いて指名した。   資格消滅 九月二十四日委員八木秀次議員の資 格が消滅した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小林 政夫君    理事            笹森 順造君    委員            奥 むめお君            岡田 宗司君            入木 秀次君            八木 幸吉君   事務局側    常任委員会専門    員       桑野  仁君   説明員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    経済審議庁次長 石原 武夫君    大蔵省理財局次    長       石野 信一君    水産庁生産部水    産課長     小池 弥一君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省繊維    局絹化繊課長  岡嶋 楢文君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告日本経済の安定と自立に関する調査  の件  (基礎産業合理化計画貿易問題  に関する件)  (最近の経済情勢独禁法の施行に  関する件)  (基礎産業合理化に対する財政投  融資に関する件)  (合成繊維の増産計画し関する件)   ―――――――――――――
  2. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは第六回経済安定委員会を開会いたします。  最初に先般私と笹森委員と、鉄鍋及び石炭硫安等合理化進捗状況調査して参りました、その調査報告をさして頂きます。随行としては内田専門員野村調査主事が同行してくれました。  基礎産業における合理化進捗状況の実態を調査するために、十月四日から七日まで広畑製鉄所八幡製鉄所三菱化成黒崎工場三井鉱出野鉱業所において、石炭鉄鋼硫安合理化状況について現地視察行なつた。  最近輸出の好調が伝えられ、九月には鉄鋼輸出も本年最高を記録したが、これは内需の減退から市場を海外に求めた結果であると見られる。一面著しい安値輸出も目立つているので、この好調が続くものと予想することはむずかしいと思われます。我が国今後の輸出重化学工業製品輸出の伸張にまたねばなりませんが、これには根本的の条件として基礎産業合理化を急速に推進し、軍化学工業製品価格割高を是正し、国際競争に打勝つだけの改善を至至急実現しなければならないと思います。  解決を要する問題は山積しておりますが、対策は全体としての経済政策に関して行われなければならない。今後の考究の一資料として要点だけを抄記して報告いたします。  一、設備合理化効果  個々企業内部における設備合理化は、次に述べるごとくコストの面にかなり成果をもたらしておりますが、なお鉄鋼一乃至五割、硫安一乃至三割、石炭三乃至七割と、国際価格に比して重化学工業製品の割高は著しく、今後ともこれら産業における合理化には格段の努力を必要といたします。  (1)石炭の場合は、山野炭坑の第一竪坑は二十七年九月運転を開始しました。その合理化効果出炭原価推移によつて見ますと、お手許にある表のごとくなつておるわけでありまして、これはちよつと御了解を得ますが、あとで速記に入れて頂くことにいたします。この表に見られるごとく二十四年頃からの出炭原価インフレの進展に伴い逐年相当上昇を示して来ましたが、二十七年末の第一竪坑運転開始により、二十八年上期には二十七年下期に比し一挙に千円という大巾のコスト低減を可能としました。第一竪坑により最近二年間にコストは千七百乃至千八百円の低下を見たと現地では言つております。第一竪坑機能を十分に発揮させるためと、現在採掘中の稀有の八尺層を採掘するために、更に三百メートルの深度を持つた目下計画中の第二竪坑完成を待たなければなりません。その完成の暁には、他の支障のない限り出炭原価四千円以下に左で下るものと期待されますが、これには更に十七億の資金と四年の年月を必要といたします。山野炭坑における出炭能率推移についてはお手許にある表によつて御覧願いたいと思います。  次に出炭能率についても、機械化の推進その他技術面積極的改善により、逐次上昇の途を辿りつつありますが、労働面改善にはおのずから一定の限度があり、今後の出炭能率向上は第二竪坑完成その他本格的機械化に待たねばなりません。  異常貯炭に苦しむ石炭業界焦眉の問題は、言うまでもなく需給関係の安定にあります。出炭能率の面に合理化効果が数字的にはつきり現れていないのは、折角第一竪坑完成しながら、出炭制限の必要上、操業度一定の線に抑えなければならない実情にあるためであります。月産五万六千トンの出炭能力を持つておるにもかかわらず、現在の実績四万トンと、約三割の出炭制限をされておるのであります。第二堅坑完成し、需給関係が好転するならば、出炭能率は、一人月当り十七トン程度にまで高めることができると現地の当事者は語つております。  次は鉄鋼業の場合、鉄鋼業の第一次合理化計画は、すでに各社とも完成しましたが、最近その効果はつきりと表面に現われて参りました。即ちa、コークス・レーシオが最近急速に低下したこと、b、燃料単位引下げが著しいこと、c、圧延最高速度が大巾に改善されて来たこと等の諸点が、特に苦しくコスト引下げの大きな挺子となつております。  aのコクース・レーシオの低下八幡製鉄の場合、二十六年下期〇・九七六、二十七年下期〇・八六四、二十八年下期〇・七八〇と改善の課程を経て、二十九年八月では〇・七一〇と目立つた下り方を示しております。富士製鉄の場合、全社平均で二十六年には〇・八七九、二十七年が〇・八四五、二十八年が〇・八二一と逐年改善され、二十九年第一四半期には〇・七五五にまで下つている。このような効果が実現できた、原因は、イ、原料炭事前処理の改良、品質のの向上など管理方式改善されたこと、ロ、鉱石のサイズを揃え、流動調整を行うこと、ハ、焼結鉱使用量を多くるすこと、ニ、計器傑作実施、特に炉内温度圧力などの計器使用を採用したこと等が挙げられる。  b、燃料単位引下げ八幡の場合二十六年下期、単位は百万キロカロリーですが、百五十万キロカロリー、二十七年下期が百二十万キロカロリー、二十八年下期が九十万キロカロリー、二十九年七月が八十万キロカロリー、富士製鉄の場合、二十六、七年は百二十万乃至百三十万キロカロリー、二十八年度は百十万キロカロリー、二十九年の第一四半期には百万キロカロリー、右の表のごとく、著しい引下げとなつておりますが、この原因は、付帯設備改善されたこと、スカラツプの投入時間が早くなつたこと及び自動測定自動調整等科学管理実施効果的であつたこと等が挙げられます。  c、圧延高速化八幡の第二冷延のスピードは本年四月一分間約千フイートであつたが、現在では三千八百フイート圧延できるようになりました。これは機械近代化と共に操業熟練等によるものであります。  3、硫安の場合、黒崎工場硫安生産能力は、昭和二十四年四月生産八万トンであつたものが一連の合理化工事及び増強工事により、二十九年八月には十五万五千トンに上昇しました。各種合理化により硫安原価への影響は、会社提出資料によると「物価指数による影響を排除して考えれば、原価中の固定費を四〇パーセントとして総原価において、八万トン能力時に比し、現在は、約二〇パーセントの原価低減が行われたものと考えられる」としております。  二、合理化政策問題点  1、老朽設備及び過剰設備の問題、産業合理化政策に関して、一番大きな問題は老朽設備過剰設備の問題でありましよう。鉄鋼第一次合理化計画最大工事として約百億の金を投じた広畑のコールド・ストリップミル月産四万トンの能力を持ちながら、旧式設備への配慮から現実生産を約一万トン程度に抑制しております。山野炭鉱では折角第一竪坑完成しながら、現在は三割の出炭制限をやつているため、その合理化効果は著しく減殺されております。高能率新鋭設備操業度を高め、合理化効果を十分に発揮させるためには旧式設備廃棄が当面の問題であります。  日本鉄鋼業界は、現有設備でも相当過剰部分を背負つているのに、この上更に第二次合理化計画世銀借款による設備を附加したら、結果はどうなるであろうか。日本経済現状は、極言すれば「総生産量増加を伴わない原価引下げ」を求めている。合理化効果をあげるためには、老朽設備廃棄設備新設、拡張の制限等産業が適正にして合理的な規模を維持するための周到な計画性が必要であると思われます。  2、合理化一般物価関係合理化コストに及ぼした成果を言う場合、「物価指数による影響を排除して考えれば、何割のコスト低下になつている。」と説明されることが多い。だが、国際競争力という点から見れば「物価指数を含めたコスト引下げ」が問題なのであります。  合理化促進政策により、個々企業の高能率化は或る程度達成されたけれど、反面、厖大な合理化投資設備投資インフレの一因となり、資材の高騰、労賃の引上げか伴つてコストの面にはね返つて来ていることは否定できないでありましよう。即ち各種産業合理化投資が総花的に一斉に行われ、その背後に総合的見地を欠いていたため、設備資金貸出激増によるインフレを招来し、個別的な設備合理化が進められながらも、原価構成単価の騰貴により、結局は原価上昇を免れなかつたという結果を生じて来ております。  輸出期待産業コスト引下げ効果的に進めるためには、設備投資計画的、重点的に行なつて財政、金融の健全性を保持し、一般物価の安定を図ることが必要であつたと思われます。  3、輸入原料の問題、鉄鋼コスト中、原料費の占める割合は七―八割に及ぶ現在、鉱石については、米国よりの輸入を逐次削減して東南アジア方面に転換しつつありますが、原料炭については依然対米依存状態にあり、列国の鉄鋼業に比して、ほぼ二倍という高価なコークス使用を余儀なくされております。このため鉄鋼合理化の線はできる限りコークス使用量を少くしようという方向技術が傾いているのであつて合理化の指標として特にコークス・レシオが問題とされるのもこの故であります。  生産コストの点から見ると、輸入原料高の問題は設備合理化以上の比重を持つものであつて、この面で抜本的な解決が図られない限り、日本鉄鋼業、更に鉄鋼消費産業コスト割高の是正は容易ならんものと思われます。  4、国内資源活用の問題、自給度向上外貨節約見地から硫酸滓砂鉄等国内資源活用の問題にも触れておきたい。八幡製鉄所では二十八年度に三十六万トンの硫酸滓と十四万トンの砂鉄を消費しているが、これは同製鉄所使用鉄源の約二割に相当いたします。広畑製鉄所では、脱銅設備新設前の二十七年一―三月の製鉄原料中、硫酸滓使用量が一五%から新設後は一九%に上昇、又銑鉄中銅の含有量が〇・二四%から〇・一七%に低下した。硫酸滓硫安工場において従来滓として処分に困つていたものであり、この活用外貨収支の面においてかなりのプラスになるものと期待される。このためには脱銅工場の整備等技術的にかなりの問題を蔵してはおりますが、経済的観点の許す限り活用を図るべきものでありましよう。   5、金利の問題、合理化による価格低下効果を減殺する要因として、金利の問題が諸所で取上げられました。鉄鋼業を例にとつてみると、設備借入金増大普通綱関係会社返済計画を集計してみると、二十八年末の要返済額七百八十億は、三十六年度末までに返済せねばならず、返済額のピークは三十、三十一年度におのおの二百億となつており、この返済財源としては収益のほか借替が主体になつております。  設備合理化残金の大半が他人資本によつて賄われているのは、現状では止むを得ないことではありますが、この外部資金依存割合増加による支払利子負担増大が、単に利率の高いこと以上に窮屈になつ企業の金繰りを圧迫するところに金利の問題の中心があると思われます。  以上を総括いたしますと、  一、工場炭鉱等現地における技術的合理化相当顕著なコスト引下げ実績を示しております。  二、それにもかかわらずなお重化学工業製品価格国際競争力を持つにはほど遠い。  三、この解決のためには今後更に設備合理化を推進すると同時に、(イ)老朽設備廃棄の問題、(ロ)生産分野の設定、合併等経営合理化促進、(ハ)一般物価の安定、(ニ)原料輸入先の転換、(ホ)金利負担問題等政治的解決に待たねばならないものが多いと言えましよう。  終りに、参考までに九月九日の本委員会における政府側の答弁を要約して附言しておきます。  一、石炭については、通産省合理化計画により五カ年間に四百億の資金を投じて六十八本の堅坑を掘るものとすれば、出炭能率は十七トン平均に上り、コストは二割下つて、アメリカには及ばぬが大陸並みの三千三百円程度になる。併し石炭に対する政府資金は、今年度はむしろ引揚超過の実情であつて、この計画は現下の財政事情では絵に画いた餅になる虞れがある。  二、鉄鋼については、第一次合理化計画成果はつきり現われるのは来年頃からであるが、その際鋼材については欧洲に比べて割高の中は一〇%以内になり、日本に近接した市場、少くとも東南アジアにおいてはヨーロツパと競争できるところまで持つて行くことができる。現在の市況も棒鋼厚板等では欧洲価格に近ずいているが、これはどの程度合理化成果であり、どの程度原料価格低下のためであるか分離することは困難である。  甚だ大ざつぱな御報告でありますが、以上を以て報告を終ります。  何か調査の結果について御質問等ございますれば、幸い笹森先生も御出席でありますから……。
  3. 奥むめお

    奥むめお君 これには割合労働問題面が触れていないと思うのですけれども、炭鉱労働問題面は、こういう視察せられたところでは数字的な面等はどういうふうななにがあつたか、経過等が現われておりましたでしようか。例えば人員を減らすとか、或いは賃金を上げるとか、まあ将来の労働攻勢というようなものの見通しについてどういう問題を見出だしていらしたでございましようか。
  4. 小林政夫

    委員長小林政夫君) お答えいたしますと、まあこの合理化して人を減らすこともできると、こう言つても、今の労働情勢では、なかなか労働組合と話合つて円満に退職をしてもらうということは相当困難な事情にあり、そのために摩擦を起して却つて企業負担を増す。現実炭鉱ストライキ等によつてかなり痛手企業体としても受けている。今後は成るべく自然減耗に待つて行く。それで相当減耗もあるようです。この合理化進捗自然減粍の度合で、はつきり要らなくなつた人間と、不要人員自然減耗人員とがマツチするということはむずかしいでしようけれども、大体新規採用を見合わして自然減耗による、それが一番摩擦が少くて済むのではないか、こういう方針のようです。特に事務系統は、特に炭鉱の場合はそれが言えるようですね。現場では所長以下炭坑の中に入つて実際生産一本でやらしてもらいたい。いろいろな届出書類資料等を出して、それから賃金の計算も非常に複雑で、そのためにかなり直接生産増強にタツチしない事務管理者が非常に殖える、そういうふうなのを減らしてもらえれば、もつとコストダウンができる、こういう率直な、所長の見解としては、もう事務屋は三分の一でもいいというようなことも言つておつたのですが、今のところこういう今度見て来た企業全体としては、大体自然減耗に待つという行き方でしたね。
  5. 奥むめお

    奥むめお君 どこでもらしいですね。老朽設備をやめようと思うと、多過ぎる人をやめさせなければならんという問題にぶつかつて困るということでしようね。結局大した合理化ができないというわけですね、ほかに吸収するところがないから。
  6. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから富士製鉄あたりではコールド・ストリツプ・ミル使つて薄板を作るようです。これは今までになかつた設備を作つたことになる。そこへ従来の、例えばコークス、或いは鉄鋼原料等のほうで、或いは計器操業等による余剰人員が出て来たのを、配置転換して、部内で新らしい薄板製造部門の人が殖えるほうに廻す、こういうことで、別の既存の設備合理化された人を、新規製造部門のほうに廻す。これは富士製鉄の場合にはできますが、同時にそういう高能率薄板機械設備ができたことによる同種関連企業の失業問題になつて来る。で一つ富士製鉄としては、そういうこともできますけれども、そのために生産能力があるにもかかわらず、遠慮して作らないというような点も出て来ている。フルに動かせないという問題がある。  通産省岩武官房長が席をいたしました。  今の鉄鋼及び、石炭硫安等の……硫安については、明日午後から昭和電工を視察してみたいと思います。それによつてなお一層問題点はつきりすると思うのですけれども、ついでに申上げておくと、明日の午後一時参議院玄関を出発して、午後一時四十分から午後四時まで昭和電工川崎工場を視察する計画にしたいと思います。御都合のつく方は御出席願いたいと思います。  私から岩武氏に聞きますと、今の富士製鉄あたり折角コールド・ストリツプミル使つて薄板をうんと作る、生産能力をフルに動かせばかなりコストダウンができるにもかかわらず、同種中小企業を圧迫するようなことになるというようなことから控え目にしておるんだ、こういう問題についてはどういうふうに解決をするつもりですか。折角多額財政資金かなり出して作らしたのはいいが、フル運転はできない。こういうことでは折角コストダウン狙つて設備近代化の意味をなさんことになると思うのですがね。
  7. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 今お尋ねの富士のお話は、多分広畑のストリツプ・ミルのことだと思います。私も細かい事情はつぶさに存じませんけれども、できましてから域る期間は、これはああいう設備の常としましてなかなかフル運転もむずかしいという事情もあると思いますけれども、他面御指摘のような、鉄の業界のほかの中小のほうのマーケツト争奪戦等関係もありまして、或る程度操業を控え目にしておるという事実もあろうかと存じております。この問題は実は鉄の関係につきましては非常に基本的な問題でありまして、当初あのストリップミルを入れます当時は、薄板需要ももう少し輸出等関係で、あるのではないか。従つて特に中小の、いわばプル・オーバーという非常に旧式な方法でやつております方面に致命的な打撃を与えるということもないのではないかということもあつたのでありますが、この一年来相当薄板需要も、殊に輸出中心として落ちております。従つて日本全体としまして今の輸出、内需両方考えますと、若干設備過剰気味だということは、これは御指摘通りであります。そこで一体新鋭設備能率よく働かして中小メーカー、殊にその中小薄板専門というような業者もあるわけであります。そういうふうなものに今すぐ致命的な打撃を与えるほうがいいのか悪いのか相当問題だと思います。我々も決定的な結論は得ておりませんけれども、何かそういう設備関係の、いわば生産分野調整或いは鉄の業界では殊に系列の問題が相当ありまするので、そういう方面からして域る程度この中小メーカーに与えまする打撃も軽減しながら、新鋭設備も動かすというような方向に持つて行けないものかというような点も、実はいろいろ研究中でございまして、鉄の業界は御承知のようにこの薄板問題以外にもいろいろ生産分野の問題から、この半製品製品との系列問題等ございまして、何かそこにいろんないわば交通整理と申しまするか、殊にこの分野のいろいろなデマーケイシヨンと申しまするか、そういうものが要るのじやないかということで、何がしかの施策を講じたいとは実は思つておりまして、よりより研究中でございますが、なかなかこの短時日、能率或いは大中の資本という関係だけで割切つて事を運びますると、むずかしい問題も生じまするので、実は相当我々事務当局のほうもまあ苦慮しておるわけでございます。ただそういうふうな際に、その基準になりまするいろいろな施策の打ち得る手が必要ではないか、まあ域る程度調整的な機能を持ちました、いわばまあ法的権限でも持ちまして、そういう間の分野調整なり、或いは系列化の問題を、今よりは少し改善して参りたいというような気持もごいざまして、他方この殊に遅れておりまする圧延関係設備合理化と裏はらに、何か鉄鋼業合理化促進といつた面で、或いは法的な権限を持ちまして調整したらどらかというふうなことも考えて、実はまだ結論を得ておりませんが、よりより研究中でございます。甚だ要領を得ませんが実はまだそこまで……。我々の考えておりますところだけ申上げておきます。
  8. 小林政夫

    委員長小林政夫君) これから今と同じようなことでありますが、石炭の場合において竪坑開発をやればコストて、ダウンができるということはしよつちゆう今まであなたのほうで言われいることなんですが、これも六十八本造つて四百億金が要る、とにかくそれさえ出してもらえば石炭は安くなる、こういうことで従来から言われておるのですが、折角できた山野鉱業所を見ても、実際問題としては竪坑造つて、うんと従来よりもまあ実作業時間を多くして、出炭能力が増したその能力一ぱいに出さしてくれれば、計画通りコストダウンができるのだけれども、現在の環境では作業を短縮せざるを得ない、腹一ぱい出せない。こういうことは六十八本の竪坑を開発すれば、当然ほうぼうで起つて来る問題で、その半面には出炭能力の悪い炭鉱を率直にと言う、政治的考慮を加えずして事業だけについて考えればやめてしまう、こういうことをやらなければ実際にコストダウンにはならんと思うのですがね。そういう点についてはどういうことを考えますか。まあ部分的な、こうやれば確かにコストダウンにはなるであろう、併し実際にはそれがその通り使えないという状態は、やはりこの総合的な観点を以て、一つ竪坑開発でもやつて行かなきやならないし、今のコールド・ストリツプ・ミル等の問題も、どうせこれをやればこういう影響があるということはあらかじめわかるのだから、これを咀嚼した上の施策でなくちやならんと思うのですけれども、どうも部分的な、局部的な施策に今まではなり過ぎておるのじやないか、この点はどういうふうですか。  丁度公取の委員長も、出席なさいましたが、或いは独禁法等関係にも触れて来る問題があると思いますが、一応今まで事務当局研究されておる点について、率直に聞かしてもらいたい。
  9. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 石炭のほうは我々やや鉄よりも少し研究を進めておるのでございますが、御指摘のようなこともございまするので、竪坑開発によるコスト低下一本では、これはとても追いつかんと思つております。従いまして、一方では長期的な計画竪坑、その他コスト低下の措置を講じますると同時に、他方やはりこれはざつくばらんに申しまして、能率の悪い坑口なり、或いは山は、これは埋めざるを得ないだろうというふうな考え方を持つたわけでございます。それと同時に価格の問題につきましては、在来から炭価の隘路になりますのは、やはり何といいますか、比較的能率の悪いという、言葉が悪いかも知れませんが、まあそういうふうな分野鉱業所におけるいろいろな動きがむしろ炭価を動しているということがございますので、炭価につきましては、場合によりましては標準的な炭価をきめる、マル公という固い意味ではありませんが、或る意味の、いわば勧告価格的なものを標準にしまして、行政措置を講じたらどうかという考えを持ちましてやつておるわけでありまして、そういうふうな点をからみ合せまして、一つ合理化促進というふうな措置並びにそれを裏付けまする或る程度の法制的なものも考えたいと思つております。よりより研究中でございまして、これは比較的早く結論を得るかと思つております。まあその結果、実は甚だあれでございますが、或る程度この出炭の規模、或いは従業員の数等が減少するということは、これは実は避けられないのではないかと思つておりまして、積極的に解雇ということまで行きませんでも、炭鉱業の労働者の移動率が相当高いものでございますから、新規雇入れを或る程度制限いたしますれば、能率化、或いは労務費の低下という点は或る程度は期せられるものと思います。そういう形で実は炭価の高いことが、従来からもまあ日本産業の一番致命的な欠点でございまするので、石炭問題につきましては、我々事務当局のほうも本当に知らんのでございますが、少し腰を据えて、合理化並びにその効果を確保する方向に持つて行きたいというふうに考えておるわけでございまして、まだ総合的にまとまりました結論は得ておりませんけれども、大体今申上げましたような方向で物事を考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  10. 小林政夫

    委員長小林政夫君) そうすると、今石炭のほうの関係で言うと、大体あなたのほうできめられた標準の、生産性を持たない炭鉱は潰すのだと、こういうことになるわけですが、優勝劣敗的に、もう潰れるものはしようがない、こうですか。
  11. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) まあ優勝劣敗という形になりますかどうか、実はそこらまでは余り検討しておりませんけれども、まあ標準炭価等をきめて参りますれば、勢いその炭価では出炭できないところは、自然と脱落という、言葉は悪いわけでございますが、企業性もなくなるのではないかと、こういうふうに考えております。ただ、これは出炭規模、或いは石炭需要との睨み合せになりますので、無暗やたらに山を潰すというのが我々の考えではございません。大体現在の国内炭の需要が四千二百万トン程度といわれておりますが、これはデフレ下の需要でございまするので、いつまでもこの数量で日本産業が持つて行けるというわけでもございませんでしようが、その点は或る程度長期的な視野を考えまして、出炭規模を維持し、且つそれを裏付けする価格にしなければならないと思つておるわけであります。
  12. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから鉄鋼の面で、今のお話の系列化及び生産分野企業別の決定のようなことを考えておられるように思えるのですが、今の御説明ですと……。そういうことが独禁法関係とどういうふうになるのか、場合によつては牴触する面も……、そこで場合によつては立法化しようという考えなのでしようか。そういう点について今研究中ではありましようが、幸い公取の委員長出席されておるから、少し具体的に説明してもらいたいと思います。
  13. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは鉄のほうにつきましては、まだ公取のほうにこと細かに持込んでおらないような段階でありますが、一応問題になりますのは、今の独禁法であります合併等の制限に関する問題、これほそこまで触れますかどうかちよつと疑問がありますが、一応その問題があるわけであります。それからいろいろ生産分野に関します協定の関係の問題、この二つが一応問題だと思います。これは状況によりましてやはり単独な事業法等を以ちまして、独禁法の例外といつたものを認めてもらうことが必要ではないかと、これはざつくばらんに申しましてそういうふうに考えております。ただ、どの条項についてどの範囲の例外ということは、まだ確定しておりません。まあ合理化カルテルのほうは、これは現在の独禁法で認められておりますので、その範囲で運用できるかと考えております。
  14. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 委員の諸君のほうで何か御質疑ございませんか。公取のほうはあとで一応総括的に、今の合理化関係基礎産業を対象とした独禁法関係の問題のみならず、最近の経済情勢から考えて、独禁法において問題点として研究しなければならん点について総括的に話してもらおうと思つております。
  15. 八木幸吉

    八木幸吉君 この石炭、鉄の問題以外のことを伺つてよろしうございますか。
  16. 小林政夫

    委員長小林政夫君) どうぞ。
  17. 八木幸吉

    八木幸吉君 官房長に伺いたいのですが、新聞で拝見しますと、紡績各社へ原綿の合理的使用見地から、下半期の生産計画を十七万二千梱、月産、その程度にとどめるように配慮しろといつたような御通知があつたように新聞で拝見したのですが、それは一体どういうふうな実際的な効果を狙つていらつしやるのか、それを伺つておきたいと思います。
  18. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは実は今年の三月に外貨予算を編成しました当時からの問題でございまして、その当時年間の綿花の需要量を二百十万俵と抑えまして、これ以上はとても外貨事情から入りませんので、あの例の原綿の借款を入れまして二百十万俵と抑えたわけです。それから製棉用を引きまして紡績用の原綿が出るわけであります。上半期におきましては、正確な数字は今覚えておりませんが、平均しまして月産十九万梱台の生産を続けて参りましたので、これで参りますと、原棉不足ということははつきりしております。従つて下半期においてまあ十七万梱台に計算すればなるようでございますが、その辺に各社で生産を落しませんと、これはとても綿花不足という問題も直ちに起つて来る。現に中小紡績あたりでは、綿花の在庫もまあ一ヵ月を割つているところも相当あるようでございます。そこでやり方としましては、これは各社で大体自分の判断で、月産十七万梱と言いますれば、それぞれの今までのやり方で比率が出るわけでございますが、その範囲で操業を少し抑制せんと原綿の尻は見てやれないぞと警告したわけであります。ただ、まあいろいろ何か紡績協会の一部で相談したとかしないとかと話がございますが、そんなことが我々の考えじやございませんので、むしろ各自の会社で、今までの操業等から考えまして大体十七万梱台に落ちつく方法があるわけでございます。まあ一つ自主的にやつて来いということを先ず一発放したのでございますが、その点がなかなかまだうまく行つておりませんで、今後どういうふうにいたしまするか、或いは行政措置等によりまして、この綿花の輸入等の関係から、少し個別の、会社に対してはつきりした措置を講じなければ困るのじやないかとも考えております。もう少し出方を見てみようと考えておるのであります。
  19. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の十七万二千梱生産計画を調節するのが望ましいと、こういうことをおつしやったのは、今お話のこの上半期の生産実績から考えて当然の御処置であつたと思うのですが、ただ問題破その各社別に通産省からお話になつても、いろいろ手持原綿、採算、いろんな関係で自主的にやれと言つても、これはなかなか実際問題としては私はむずかしいのじやないか。そこで例えば紡績十社ならば十社が休日を何日か殖やして、自然に生産調節のできるような何か話合いをするということになれば、やり方によつて独禁法の問題が起つて来るとかいうふうな御心配でお話があつたかのように新聞に拝見したのですけれども、実際的な効果の上がる方法をやれば、独禁法にかかる疑いがある。併し生産を一方において原綿の事情から減らさなくちやいかんということになれば、業者としては一体どうしたらいいのだということになるのではないか。そこで御承知の通りに滞貨は四十二万梱もある実情にあつて、対外的な輸出価段も諸外国から見れば二割くらい安い、国内のものはそれほど安くない、いもゆる二重価格的になつている、外国から見ればダンピングじやないかと言われるくらい安くなつている。その辺のところが非常にむずかしいので、やはり相当実効のある生産制限をするのならば、多少共同的にこれは相談をしなくちや実際の効果はあがらないのじやないか。こうも我々は横から見て思うので、一体通産省はどういうふうに指導してどういう狙いをお持ちになるのか。ただ各社が大抵わかつているのだから、お前のほう適当にやれと言うだけで一体済むのかどうか。横田委員長が幸いお見えになつておりますが、独禁法にかかるとすれば、どこがはつきりかかるのかどうかといつたような点を、実情に即してお考えがあれば承わつて置きたい、こう思うのであります。
  20. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 我々としまして、お互いに相談してやるにしましても、なかなか簡単に話もまとまるものでもないと思つております。それからもう一つ各社ともいろいろ輸出の引合いも持つておりまするし、又内需のほろの今までのあれもございまするので、まあ大体わかるじやないか、そう今の独禁法に違反する疑いのあるような行為に出て共同に謀議するということは、これは我々やつてもらいたくないと思つております。これは一昨年のときにもありましたが、あのときにも個別的な行政措置に基きましたが、最後はやはりどうしても自主的にいけないものであれば、そこまで行かなければならんと思います。なかなかいろいろな落綿を混紡いたしましたり、或いはスフ混紡等の問題もございまして、最後の数字だけはなかなかつかめませんけれども、まあ原綿を睨んで行きますれば、或る程度のエンフオースメントの効果もできますので、第一着はやはり各自で生産計画を修正して、まあ例えば上半期の一割五分減とか二割とかいうことがあるだろうと思いますので、その辺でいけないものか、これが第一着手として考えております。そこがどうしてもむずかしいということであれば、或いは役所のほうで個別の行政措置ということに行かざるを得ないかなという気持もいたしておりますが、まあ今すぐそこまで行く考えは持つておりません。ただ、十社なり或いは新紡、新々紡の諸社が集つて相談するということはこれはやめてもらいたい、こう思つております。
  21. 八木幸吉

    八木幸吉君 この最後の関係輸出関係等で、紡績会社の或る数社が相談をして休日方法等を話し合うということは、これは独禁法のほうから申して相当問題がございましようか。横田委員長に承わつておきたいのですが……。
  22. 横田正俊

    説明員(横田正俊君) この相談のどの程度のことをやれば独禁法違反の問題になるかという御質問でございますが、これは昨年改正の前でございますと、御承知のようにカルテルの影響の如何を問わず、すべて違法というようなきつい規定になつておりましたが、改正後は御承知のように、カルテルは一定の取引分野の競争を実質的に制限する場合に違法ということになりますので、これは抽象的には申上げられませんが、極く一部分で話し合いをいたしましたような場合には、これは勿論この規定に違反というふうには直ちには言えないと思いますが、今お話のように例えば十大紡というような有力な而も相当な数量を生産しておるものが話し合う、而も単に情報の交換というようなことでなく、それをお互いに守つて行く、或いは常に裏付けにするような強い強制の規定などを置いて実施するということになりますと、やはり独禁法の実質的制限に触れる慮れは十分にあると考える次第でございます。
  23. 八木幸吉

    八木幸吉君 例えば国内的には今の綿糸の相場であれば採算はどうにかとれる、併し輸出の値段では明らかに赤字である、こういう現状で、而も輸出をしなければ綿花は消費できない。消費できないのみならず輸出日本の国家の至上命令である。昨年来ずうつと綿の価は上つてつて、各国の輸出綿糸布すべてが値段が上つておるのに、日本だけは二割近くも開きがあつて下つておる。この世界的な綿業の情勢で、滞貨が、而も普通三十万梱が四十万梱にもなる、これを打開する一つの方法として休日増加を各社でお互いにやるといつたようなことも、やはり独禁法の二十四条のいわゆる採算割れとは言えないと言えるでしようか。そこのところが非常に解釈がむずかしいと思うのですが、官房長並びに横田委員長の御見解を伺えれば非常に幸いだと思います。私は国内的には採算はどうにか合うが、国際的には合わない、非常に厳格にあの法を解釈してみると、それでもいかんように聞えるし、又非常に実際的に見れば、それであの法にはかからないようにも読めるし、そこは非常にむずかしいと私は思いますが、日本の国の全体の立場、大きな目から見て一体これも取締らなければならないことになるかどうか、非常に疑いがあるのですが、そこのところをお考えあれば承わつてみたい、かようにます。
  24. 横田正俊

    説明員(横田正俊君) 今の点はやはり抽象的にはちよつと申上げにくいのでございますが、現在の綿紡紡績業界が当面しております状態が、先般の改正法で認められました二十四条の二のいわゆる不況カルテルの条件に当てはまるかどうかということは、非常にむずかしい面があると思いますが、結局輸出商品だけに限りましていわゆる採算割れというようなことを判定することはできるかと思いますが、現行法の下におきましては、その結果企業の継続が困難であるという、これは見方がいろいろあると思いますが、結局企業全体として立行かないという場合を法律は予想しておるようでございまして、そうなりますとたとえ輸出品だけについてそういう状態が出て参りますと、直ちに不況カルテルにつながらないということになるのではないかと思うのであります。併しこの点は何分あの法律もまだできて間もないことでございますし、大体一応の解釈はそういうようなことになつておりまするけれども、この点はなおいろいろ検討する余地があるかと思います。
  25. 八木幸吉

    八木幸吉君 今の委員長のお言葉を伺いましても、法律制定早創であるので非常にそぐわないところも相当あるだろう、実際上の解釈の問題としてもいろいろ検討を要すべき点がある、かような仰せで御尤もでございますが、そこで通産省側としては現在の法律を業界の実態にもつとより以上にマツチするように改正するという御意思があるかどうか、何か大蔵大臣のお話であつたか、何か独禁法の改正のことを考えているようなことをちよつと新聞で私は見たように思うのですが、何かさような御相談というか御内議でもありますかどうか、若しあれば承わつておきたい。
  26. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 実は大蔵大臣の新聞談を拝見しましたが、実はあの我々のほうの事務当局では独禁法のあの法律自体を改正しようということは、実は今研究はいたしておりませんで、むしろ個々の法律でその業種或いは取引の形態に応じて成る程度例外を作り緩和して参つたほうがいいのじやないか、こう考えております。先ほど申上げました鉄の問題もその一つでございますし、又この前の国会で成立いたしました硫安関係の法案にもその規定がございます。まあ今後或いは国会にも御審議を願うことになると思いますが、輸出入取引法の改正の問題も輸出貿易の面に限つて独禁法の改正を、規定をして頂こうこういうふうに考えております。まあ各個の場合に応じた修正、緩和ということは必要かも知れませんが、独禁法の本法自体ということは実は私自身よく存じませんけれども、事務当局でもまだ検討していないようでございます。
  27. 小林政夫

    委員長小林政夫君) なお今の輸出入取引法の問題の関係で、独禁法を更に例外を設ける、こういう点は、今はどの程度のことを考えておりますか。
  28. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 現在の輸出入取引法も、制定以来一、二改正しまして、大分輸出貿易なんかの実態に合うようにはなつておりまするが、一番問題になりまするのは、事柄が外国貿易でありまして、相手方の事情が非情に変りますので、それにすぐ即応し得るようにしなければならないという問題が一つございます。それからもう一つは、相当相手もあり、且つ敏速に事を運ばなければならないというふうな、これはまあ外国貿易取引の特性でございます。そういうこともございまして、でき得れば協定を結び得る範囲、並びにこの手続等も緩和いたしまして、範囲を拡げ、手続も簡易化いたしまして、一々役所関係の許可、認可ということでは或いは進まないではないかというように考えておりまして、そういう面で範囲を拡げ、手続を簡易化して参りたいという点が第一点でございます。それから在来から問題になつておりまするが、輸出貿易に関する生産業者間の取引の協定の問題でございます。これは貿易商社自体の取引の協定とはこれは若干違いまするが、これも併し業態によりましては、むしろ先ほど御指摘の綿の場合もそうでございまするし、或いはその他の品物でも生産業者のほうの足並みが揃わなければ、貿易業者が幾ら足並みを揃えても無駄だという問題もございまするので、その間の生産業音間の協定も実情に即するように少し拡げたらどうかなと思います。ただこれはいろいろ国内取引にすぐ影響を及ぼしまするので、貿易業者間の協定のように比較的簡易且つ敏速にということは、これは必ずしも必要でないかと存じまするが、併しまあ現在の規定の建前では、或いは不十分かとも存じております。これも少し改正を加えたいというように考えております。それからもう一つは、従来から問題になつておりまするが、協定に入らない、或いは輸出入組合に入つてないアウト・サイダーの処置の問題でございます。実はこの外国貿易で値崩しをいたしまするのは、或いは不公正な取引をいたしまするのは、むしろそういうふうなアウト・サイダーから起る場合も相当ございます。この規制の問題も併せて研究中でございまして、現に中小企業安定法の二十九条関係ではそのアウト・サイダー規制の問題も一応立法化されておりまするので、できますればこれに近い、或いはこれに類似の措置を講じたらどうかというふうに実は考えております。それからこれはこの一、二年起つておる現象でございまするが、貿易の自由化と申しましても、やはりその国々のいろいろな外貨事情、貿易事情等も違いまするので、どうしても特定の国相手にいろいろな措置を講ずる必要が起りまして、アルゼンチンに対する対策、或いはインドネシアに対する対策、中国に対する対策というふうにいろいろ異なつた面が生じておりまするし、殊に最近のパキスタンもそうでございまするし、そうなりますると、この輸出入を総合して調整するという問題が起るわけでございます。この関係では現在の法律では輸出組合或いは輸入組合というふうな別々の組織しか認められておりませんので、できますれば地域別の輸出入組合というふうな組織を認めまして、先方の措置に対応しましてこちらが総合的に敏速に手が打てるようにしたらどうかと、こう考えております。  大体以上のような諸点につきまして、目下或る程度の成案を得まして、事務的に公正取引委員会のほうにも御連絡している段階でございます。これはなお成案を得まするのに少し時間がかかるかとも存じておりまするので、或いは最近の国会に御審議を願うわけには参らんかとも存じておりまするが、今国会には何とかして成案を得まして御審議をお願いしたい、こう考えておるわけでございます。   ―――――――――――――
  29. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 御質問もあろうかと思いますが、一応通産側で独禁法に対する問題点として考えておる点は、一応項目的には出たように思うので、まだ多少中小企業の問題がありますけれども、この際横田委員長から最近の経済情勢独禁法の施行に関する問題点、今の鉄鋼石炭等基幹産業の再編成に附する問題であるとか、或いは貿易に関する独禁の特例の問題、或いは中小企業に対する公正取引排除の問題、その他にも多少あろうと思いますが、一応現在の経済情勢下における独禁法の施行の関係で問題となる点として御研究中の点について御見解を聞かしてもらいたいと思います。
  30. 横田正俊

    説明員(横田正俊君) お話の順序といたしまして、只今通産当局のほうから申上げました問題から触れて参りたいと思いますが、この鉄鋼石炭等の基礎産業のいわゆる再編成と申しますか、この問題は御承知のように主管省、主として通産省の問題でございますが、結局押詰めましたところでは、企業合理化によりまするところの中小産業の確立というところにあると思いますが、この点につきましては、先般の国会におきまして合理化を目的といたしまするカルテルにつきまして特別の除外措置を独禁法に設けてございまして、趣旨といたしましては我々といたしましても必らずしも反対をするものではなく、むしろ結構なことと思つておりますが、ただ、そのやり方自体につきましては、例えば不況カルテルを、不況切抜けのための安易なる不況カルテルというようなものを許すような形になりましては困りますので、その点につきましてはこの特別立法と申しますか、これがどういう形に今後できますかにつきましては、公正取引委員会としても非常な重大な関心を持つておる次第でございます。  なお、再編成には当然合併、或いは営業の譲渡というような問題が伴うわけでございまして、この点につきましても、実は現在の独禁法自体が、一般に了解しておりまするよりは、よほど合併或いは営業譲渡につきましてそうやかましいことは申しておらないのでございますが、併しこの特殊の基礎産業につきまして併しこの独禁法の一般的な線を越えて、なお合理化を図るために企業の合同、或いは場合によりましては独占というようなものまで認める必要があるということになりますれば、これはやはり国の一つ経済政策としてそういう考え方もあり得るわけでございまするので、そういう必要が若し広められます場合につきましては、独占禁止法を或る程度緩和するということは勿論考えられまするが、この場合につきましてはやはり業者のカルテルというような形をとりませんで、国家の責任によるところの統制というような形にすべきものであり、且つその場合には当然にそういうような独占等から出じますところのいろいろな諸弊害を除去することに足る強力な手段が伴わなければならんというように考えておるわけであります。これは鉄鋼石炭に限りませず、その他の産業につきまして、若しそういう措置をとることが日本産業に必要でありますれば、全体として、公取としてはそのように考えておる次第であります。それから先ほど生産品種の制限が、やはり鉄鋼の再編成について必要とされるであろうということですが、私もそういうことであろうと思います。これは先ほど触れました合理化カルテル、独禁法の認めます合理化カルテルの範囲内ですでにできることでございますが、これも或いは場合によりまして、もう少しドラステツクなやり方がどうしても必要であるということになりますれば、先ほど申しました線に副つて多少特別な措置が必要ではないかと思います。それからなお細かい点につきましては、実はまだ合理化問題につきましては、通産当局からもまだ構想という程度で、公取にお話が正式にございませんので、我々といたしましては、いろいろ想像を申上げるので、どうかと思いますが、今お話に出ました点だけにつきまして申上げるにとどめたいと思います。  それから輸出入問題につきましては、九月に通達事務当局におきまして大体一応の案ができたようでございまして、それを各方面にいろいろ示されまして意見を聞かれておるようでありまして、十月に公取の事務当局にも話がございまして、公取で一応の説明を聞き質問等をいたしまして、これからだんだん意見調整の段階に入る、今週あたりから意見調整の段階に入ることになりそうでございます。併し委員会には先般一応の報告がございましただけで、委員会自体の正式な議には諮つておりません。この点につきまして今いろいろお述べになりました届出制、認可制を改めて届出制にすること、或いは生産業者のカルテルをもう少しはつきり認める、アウトサイダーの規制をもう少し強化するというような点につきましては、いずれもこれは相当重要な問題でございまして、私どもも輸出或いは輸入に関しまして、輸出を振興し、或いは輸入取引の正常な状態を持ち来たすことについては、双手を挙げて賛成をいたすのでありますが、従いまして只今の輸出入取引法の中に、多少実情に即しないものがあることはやはり認めますので、それらの点の改正につきましてはむしろ反対ではないのでございます。ただ認可制をすべて届出制にする、或いは生産業者のカルテルを大巾に認める、或いはアウトサイダーの規制を余りひどく強化するということになりますと、これはいずれも問題がいろいろございますが、このいずれの点につきましても、実は今後公取の考えをいろいろ申上げまして、できるものなら政府部内の意見を完全に調整いたしました形で国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように、案を頂戴いたしまして今検討し始めたという段階でございますが、その個々の細かい内容につきましては、まだはつきりここで申上げることはできない次第でございます。  それから話は中小企業対策の問題になりますが、この点につきましては、すでに国会におきましても中小企業、殊に下請企業の気の毒な状態を如何に救済すべきかという点、殊に下請代金の支払い遅延を如何にして促進するかという問題、或いは問屋或いは一般小売商に対しまする百貨店の圧迫というようなものから、これらの業者を如何に護るかというような自由につきましては、真剣に御検討を頂いておるわけでございまして、私どもも国会の御意向を十分に汲みまして、いろいろできる限りの手を打つておるのでございますが、先ず第一に下請代金の支払い遅延の問題につきましては、昨年の暮にいろいろ調査をいたしまして或る程度の措置をいたしたのでございますが、デフレが進みますと、ますます下請業者が苦境に陥ることがわかつておりますので、今年の五月になりましてから、通産省中小企業庁と緊密な連絡をとりまして、再び親企業及び下請企業双方の実情調査に入りまして、大体造船、造機関係の上場会社百三十一社を一応選びまして、これから第一段階といたしましては会社自体からいろいろ細かな質問事項を出しまして、書面による報告を徴しまして、親企業側を公正取引委員会が担当いたしまして、中小企業庁に下請側を、これは工場にいたしまして千二百の工場中小企業庁側に調査して頂きました。その結果細かいことは省略さして頂きますが、支払い遅延は昨年調査いたしましたときよりも、或る意味では改善されておる結果が出ております。この調査の場合倍率ということを用いておりますが、つまり一月の買用代金、それから或る親企業につきましてその買用代金残と、それから一月の購入金額との比率をとりまして、これを倍率と名付けまして、倍率の高いものは結局非常にたくさん支払いを怠つておることになるわけでございまして、昨年調べましたときに著しい十とか或いは六とか、つまり六というのは半年分を溜めておるということになるわけでございますが、そういう著しいものがございまししたが、今度の百三十一の工場調査の結果はそういう著しいものは殆んどなくなりまして、大体二・一或いは多いもので三点幾つというような倍率になつております。つまり中には一或いはそれ以下、こういうようなものも出ております。これを通覧いたしまして、大体非常に支払いがいいものはやはりこの通調べましたときも比較的支払いのよかつたものである、それから非常に支払いが悪いものが比較的たくなつたこと、それから支払いが非常にいいものは割合に少くなりまして、大体二というような、一点幾つというような、一を多少越しましたような線で、かなり各業種につきまして平均して参つておるということが今度の調査の結果の特徴として見受けられます。大体支払いの悪い業種といたしましては計器、計算をする機械であります。兵器、造船、産業の諸機械、精密機械というようなものがどうも支払いの状態がよくない。それからミシン、自動車というようなものが前回に引続き比較的支払いの良好のものに属しておるようであります。  それから支払いの方法と申しますか、支払いの方法は現金払いが少くなりまして、手形払いが激増しておるということが見受けられます。それから更に手形期限が百二十日、二百十日というようなものもやはりあるようでございます。これは余りに手形期間が長い、余りよいものとほ申されないのであります。結局全般的に申しますれば、先ほど申上げましたように極端に支払いが悪い親企業は見られない。それでまあこれは実は昨年の暮に相当悪いものはかなり厳格に調査いたしまして、その後引続き調査いたしました結果が出ておるのではないかと思いますので、この種の問題につきましては、常に調査を繰返し繰返しやるということが非常に必要であるということは、このことからもわかるように思うのであります。それからこの結果、更に親企業のうちでどうも成績のよくないと思われますものを十四社選びまして、この会社につきましては更に下請工場を、これは中小企業庁のほうにも実態調査をお願いいたしまして、両方の面から調べました結果、これは数を申上げますと、造船が二社、電気機械が三社、産業機械が二社、紡織機二社、計器、計算の機械二社、自転車一社、自動車一社、精密機械一社というような振合になつております。これにつきましては一々会社に乗り込みまして、帳簿、その他質問をいたしましたり、帳簿を詳細に調査いたしましたり、かなり精密な調査をいたしました。その結果十月中にその結果が、一応調査を終りまして、公取が非常に手不足でございますので、中小企業庁から人を拝借したりしまして大体二十六名ほどの人を動員いたしまして、約二カ月かかりまして十月一ぱいで一応の細かい調査を終りまして、これからその調査に基きまして問題を委員会に取上げまして、その後の処置を考えたいというのが只今の段階でございます。  なお申し落しましたが、昨年の四月でございましたか、これは国会方面の強い御要望もございまして、下請代金の支払い遅延といつても漠然としているから、何か基準を設けろというお話がございましていろいろ検討いたしまして、支払い遅延の一応認定基準というものを作りまして一応公表いたしたのでございますが、どうも徹底しておらんきらいがございましたので、これは詳細な内容の解説を付けましたパンフレツトを作りまして、各地方通産局、各都道府県庁、各都市の商工会議所、中小企業団体等を通じまして、このパンフレットを相当広範囲に配付いたしまして、なおいろいろ苦情があれば遠慮なく公正取引委員会に申出てくれるようにと申しまして、下請企業のほうに徹底を図つた次第でございます。  それから次に百貨店の問題でございますが、これは昭和二十七年に一度日本デパートメント・ストアー協会を通じまして、百貨店のやり方の中で面白くないもののうち一応の警告をいたしましたが、どうもそれが余り励行されておらないというきらいがございますので、二十八年の七月から独占禁止法の改正の規定と睨み合せまして、更に相当広範囲の調査をいたしました結果を一応まとめたのでございますが、その間にいろいろデパート側でも反省するところがございまして、今年の七月になりまして百貨店側で業務調整委員会というようなものを作りまして、仕入れ、販売方法に関しまして、いわゆる自粛内容の議決をいたしまして、いろいろその線に沿つて是正をいたすべく努力をいたしておるように見えたのでごこざますが、併しやはりこれは下請の場合と同じように独禁法の規定だけでは余りはつきりいたさん面もございますので、百貨店の特有な面白くないやり方は、丁度法律でその権限公正取引委員会に与えられておりますので、そういう面白くない不公正な取引方法を指定いたしまして、百貨店の自粛態勢と相待ちまして、いざという場合には公取がそれを取り上げるという態勢を整えるために、先般十月十九日でございますが、百貨店業における特定の不公正な取引方法に関する指定試案というものを作成いたしましてこれを発表し、且つそれについても説明会等を開きまして、実は明日東京におきましてこの試案を中心にいたしまして公聴会を開催いたし、それから十二日に大阪に参りまして更に同趣旨の公聴会を開きまして、その公聴会に現われました百貨店側、問屋側、一般小売商側、並びに一般消費者側等の意見を参酌いたしまして、更にこの案を練りまして、大体只今の予定では十二月の上旬あたりに指定をいたしたいと考えております。この指定をいたしました上は、それに副いまして恐らく業界でもこれに対応するいろいろな手を打たれることと思いますが、公取はその線に沿つて百貨店の不当なやり方を監視をして参りたいと考えております。  なお、やはり国会でこれに関連いたしまして今年になりまして特に御検討を頂いております百貨店法の問題につきまして、これは不公正な取引方法の取締よりもなお広範囲なものでございますので、我々といたしましてはいろいろ拝見いたしまする案の中に盛られておりますいわゆる不公正な取引の問題につきましては、大体独禁法の規定、殊に今回指定をいたします線で公取がこれをちやんと励行して参りますれば、大体よろしいのではないかと考えておりまするが、併しその他の点、例えば売場面積の拡張でございますとか、出張販売の問題とかということになりますと、これは独禁法本来の問題にもやや拡張された問題のように考えますので、そういう問題につきましてはなお百貨店業法を作る必要がありますれば、あるのではないかと思いますが、併しこれもしばしば申されておりますように、余り百貨店そのものの機能を制約いたしますることは、一般消費者に対する影響というようなことも十分に考えなければなりません。これは或いは公正取引委員会の考えることではないかも知れませんが、そういう点が百貨店法の制定については考慮されるべきではないかと考えております。  まだいろいろな問題もございますが、只今公取で扱つておりまする問題或いは現段階で考えております問題を一応御説明を終ります。なお、ほかの個々の問題につきましては御質問に応じてお答えいたします。
  31. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 御質疑ございませんか、……横田さん、さつきの倍率の問題ですね、あれはどういう計算ですか。
  32. 横田正俊

    説明員(横田正俊君) 大体或る時期の親企業の買用残代金をとつておりまして、それから各一月に支払う額は大体きまつておりますので、その額と比べまして比率を一応とるわけであります。とります時期によりまして非常に変なことにもなるわけでございますが、一番適当なところをとりまして、その倍率を出しておるようでございます。私は余り詳しいことはよく存じません。  それから今度中小、これは親企業中心にその下請全体につきまして見まして、その平均をとつたわけであります。逆に今度は中小下請側の個々企業をとりまして、これは親企業がたくさんあるわけであります。それの倍率の平均をとりましたり、いろいろなことをやつておるようであります。今申上げましたのははつきり書いてございませんが、多分親企業側の今申しました数字の倍率だと思います。
  33. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは午前の委員会はこれで終りまして、午後一時から再開いたします。    午後零時六分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  34. 小林政夫

    委員長小林政夫君) これより午後の委員会を開会いたします。基礎産業合理化計画財政投融資に関する件を議題として、先ず政府のほうから計画内容と、特に、三十年度予算においてどのような財政投融資を考えておるかというような点、及び既往の実績等についても合せて話してもらいたいと思います。
  35. 石野信一

    説明員(石野信一君) 三十年度財政投融資計画でございますが、何分にもまだ一般会計のほうの予算につきましても、各省と折衝中でございまして、数字その他の点につきましてもまだ固まつておらないのでございます。従いまして只今申上げますのは、大体の考え方を御説明させて頂くにとどまらざるを得ないかと思うのでありますが、その点予じめ御了承願つておきたいと思います。基本的な考え方といたしましては、財政というものは現在の経済基調を変えない。二十八年度において国際経済に比較いたしましてインフレ的になりましたものが、御承知のように二十九年度の財政金融政策の効果が或る程度現れて参りまして、物価も下落いたし、国際収支もかなり改善を示しつつあるのであります。ここで又逆戻りをしないためには、財政金融を緩めない経済基調を同じように続けて行くこういう考え方に基くのでございまするので、やはり財政投融資の面におきましても、昨年度に比較いたしましてどうしても内輪目にならざるを得ない。これは同時に資金源のほらからも、財源のほうからも言えることでございまして、先ず財政投融資の中の財源でございます。資金運用部の関係これも数字は固まつておりませんが、本二十九年度につきまして申上げますと、当初の計画原資千六百八十余億円に対しまして、そのうちの郵便貯金は九百億ということになつておりましたが、郵便貯金の伸びの関係は多少計画よりはよくなつて、数十億程度増加するのではないかというふうに考えられるのでありますが、逆に失業保険等の預託金が失業者の増加等の関係で減少いたしまするので、全体といたしましては、最近の見込みで若干全体の原資は減少を見るのではないかというふうに見込まれているのでございます。それで来年度はどうなるかということになりまして、まあ先ほどから申しましたような考え方に基きますと、横這い乃至多少減少の傾向があるのではないか、それから資金運用部以外の財源につきましては、今、昨年度と申しましたかも知れませんが、本年度ですが、一般会計から二百億の出資が行われておりますが、これは今一般会計のほうの予算が固まつておりませんが、どういうふうになりまするか、はつきり確定はいたしておりません。  それから産業投資の特別会計でございますが、これは緊要物資の輸入基金特別会計の整理残余金を受入れるような本年度限りのもの、これは二十五億円でございますが、これはまあ当然減少するというような関係で、やはり財政投融資関係の財源は減少いたします。まあ簡保の関係は或いは若干増加するかとも思われまするが、全体といたしましては、やはり財政投融資の財源が減少を見ざるを得ないというふうに見込まれるのであります。そこでどういうふうにこれを割振るかの問題でございますが、この点につきましては、甚だ抽象的なことしかまだ申上げられない段階でございまするが、財政、それに対する需要といたしましては、開銀、それから電源開発、金融債、それから基幹産業合理化、これはまあ経済自立に向つて経済を推し進めて行く上に是非ともまあ必要な金でございますが、こういうもの、それから農林漁業とか、国民金融公庫とか、中小企業等の金庫、公庫のような関係需要、それから国鉄等の需要、それからもつと大きな需要といたしまして地方債というようなものがあるわけであります。いずれも需要としては非常に緊要且つその量も大きいのでありまして、その割振り等については、非常にいろいろと苦慮いたしておるわけでございまするが、経済自立ということを推進するためには、やはり基幹産業合理化資金等をできるだけ確保しなければいけないというふうに考えておるのであります。併しながらそう申しましても、それが先ほどから申しましたように、財源全体として減少の見込があります関係から、重点と申しましても特にそれを増加するというようなことは非常に困難でありまして、できる限りのものを確保するということにいたしますにも、その重点化の意味におきまして需要かなり、他の部分の需要を切るというようなことが必要な状態でございます。  今のところ一応大体の考え方はそれでございます。
  36. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それでは企業局長から、実際の財源の問題で、理財局次長の言われたような、実際問題としては制約があるんでしようけれども、あなたのほうでかくありたいと考えておられる計画があれば、それを一つ……。特に基幹産業鉄鋼石炭等について……。
  37. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 通産省関係財政投融資といたしまして、五つ、六つのアイテムがあるわけです。一つは、開発銀行の金、それからその次は電源開発の金、それから輸出振興関係から来ます輸銀の金、それに中小企業金融公庫或いは商工中金、それからもう一つは、間接ではございますけれども金融債の問題、それだけのアイテムが通産省のいろんな策に非常に関係の深いアイテムになつておるわけでございます。二十九年度は二十八年度に比べまして相当減らされましたことは御承知の通りでございますが、ただ、私ども財政全体がデフレの線が進められ、それによりまして輸出中心としての伸びによりまして日本の経済が発展して行くという、その大筋への線というのは、これはまさにそうあつてほしいと考えるわけでございまして、私ども財政当局といたしましてはその線はその線として守りつつ、併しながら輸出をただ伸ばすといつても、漫然と伸びるわけではございませんし、基礎産業合理化という面、或いは輸出振興に役立ちますような合理化をできるだけ推し進め、又或いは輸入の防遏に役立つような産業をできるだけ伸ばして行くというようなことにできるだけの努力をしておかないと、結局思うことがいつまでも実現できないことになりますので、さような意味から輸出振興なり、或いは産業合理化関係についての金をできるだけ出すようにしてもらいたい。而して国内の金融情勢といいますか、全体の資本蓄積が十分でない段階におきまして、又更に市中銀行の金融ベースだけでは金融のつかないアイテムというものがあるわけであります。まあその限度において財政投融資の金というものが、いわばそれの穴埋めに使われ、或いは誘導といいますか、民間融資の先頭に立つて行くような形で使われておるということは、従来の財政投融資関係のあり方でございますが、その要請は依然としてやつぱり徳いておると考えまするので、この面を来年度におきましては、これだけのことをしてもらいたいということでいろいろ要望を出しておるわけでございます。  その要望の大筋を申上げますると、一つは開発銀行の金につきまして、これは一昨年は開発銀行の金が約八百三十七億ばかり自己資金を含めましてあるわけでございますが、本年度にそれが予算の財政からきまりましたのが六百三十五億でございましたが、その後国会の修正なり或いは回収金の減少等によりまして五百九十億というふうに減つておるわけであります。まあ大雑把に六百億、八百三十七億から六百億に減つたというのが今年の姿でございますが、これをせめて二十八年度並に八百億くらいにしてもらいたいというのが希望の一つでございます。八百億にしてもらいますためには自己資金を、回収の関係を大雑把に三百億と見積りますと五百億くらい財政資金のほうで、これは一般会計という意味ではございませんけれども、預金部なり簡易保険の金も含んでおるわけでございますが、ということをまあ考えておるわけであります。これは八百億といたしましても、この中で造船関係を約二百億と見ているわけでございます。そうしますと残りが六百億くらいになりますが、六百億のうち電力関係が三百億以上というのがあるわけでありまして、そういたしますと電力なり海運を除きますれば、仮に総額が八百億になりましても二百五十億か三百億くらいしかないというようなことに相成るわけでありまして、その中で合成繊維よやり、或いは石炭もやり、硫安もやり、自家発もやり、或いは機械産業合理化も賄い、或いは目下通産省としましていろいろ具体策、検討を急いでおりまする輸出振興関係の事業も出て参りましようし、それから石油、合成化学も伸びて行くというような状況等を考えますると、総額としましても開発銀行の金が約八百億くらいあつて、まあ多少日本の経済の合理化に役立つものがどうにかできるというところになるのではなかろうかというような見当をつけておるわけでございます。  それから電源開発の金につきましては本年度は当初見込みが二百六十億でございまして、実際は実行予算では二百三十四億くらいになつておりますけれども、これが目下最近の事態につきましていろいろと検討を進めておりまするけれども、一応新規開発地点を除きまして、まあ来年度は今年より古若干殖えまして三百二十億くらいに殖えるのではなかろうかというふうに見ておるわけであります。これは仕事の性質から見まして一般の市中金融の金では金利水準その他の関係からやはりこれも困るアイテムでございまして財政資金に依存を期待しているのが主であります。  それから輸出入銀行がこれは総計といたしまして三百九十八億程度、併しそのうち自己資金が百二十八億見込まれまするので、残りが二百七十億となるわけでありますが、これを考えているわけでありますが、これは本年度につきましては実は新規の財政資金というのがございませんで、自己資金の二百二十二億そのままで推移しておりまして、現実にすでに資金を使い果しまして、その日の今の仕事を円滑にやるのに苦労して、大蔵省にもいろいろとお手伝いして頂きまして、何とか折角の設けられました機能がえんこしないで円滑に動くようにということで、いろんな工夫をして頂いているわけでありますが、来年度この二百七十億が財政投融資になりますると、これはまあ今年に比べますると、今年の零から二百七十億という非常に大きな飛躍があるといいますか、というふうに見えるわけでありますが、併し実態的には、この、これくらいのこれは、まあ輸出振興プラント類なり、輸出造船等の商売ができますれば、おのずから当然によその競争諸国との対抗上、長期払いとなるものもあるわけでありまするし、当然この輸出入銀行の金が要るということになつて参ると思いますが、これは逆に、付けなければ日本輸出造船なり、或いはプラント数等の輸出ができなくなるということにもなる金でありますので、これはまあ何とかしたい、又しなければならん。而も金利も非常に安くなければできない金でありまして、財政投融資に期待せざるを得ない実情であります。ただ、先ほど申しましたように、この本年度の零から、来年二百七十億という一つの飛躍もあるわけでありますが、これは別途新聞等で出てもおりまするので、お眼にとまつていると思いまするけれども、現在余剰農産物の買入れにつきまして、向う側との交渉が行われているわけでありますが、そのうちでの円使用、見返り円の使用のらち、まあ優先的にといいますか、これをそこから出て行きます円に期待するというような努力も別途続けられているわけであります。まあ財政が先ほどお話がありましたように、全体が、総額がそのままで、本年度より殖えるというような条件もない関係におきまして、一口でも相当まとまる大きな金額でありますので、別途さような努力も払つているわけでありまするが、私どももそのほうの成果にも大いに期待をしているというような状況であると思います。  それからあと、中小企業信用公庫の金が、これは本年は総計にいたしまして二百億でございますが、これはこの頃の中小企業信用公庫の活用されておりまする状況に鑑み、現在の月十七億くらいのベースで貸出しをされているわけでありますが、これをまあ二十五億くらいのベースで行きたいというのが、まあ中小企業庁なり、実際の金を扱つておりまする中小企業金融公庫の希望でございまして、そういたしますると、年間三百億要るということになりますので、そのうち自己資金を百億と見まして、二百億財政投融資がなければというようなことに相成るわけであります。これも本年は財政投融資が百三十億でありましたので、若干、七十億は殖えるというようなことに相成るわけであります。但し、この中小企業金融公庫につきましては、私ども省内ではいろいろと検討をいたしておるわけでありますが、これだけの金が仮に出るといたしました場合に、その金の有効な使い方といいますか、今までの使い方が有効でないという意味ではございませんが、いわば市中金融機関任せの使い方という使い方に相成つておるわけであります。このうち相当部分というものを、通産省が別途輸出振興対策を考えておるわけでありますが、この輸出振興の将来の輸出増進に期待します帝業のうち、中小企業の占めるものも相当あるわけでございまして、その中小企業の担当しまする分野におきまして、それらを具体的に伸ばしたいと思う産業なり企業なりの設備合理化なり、或いは長期運転資金なりというものに、この公庫の金からも活用されるということがより望ましいと考えておるわけであります。通産省通産省として別途大蔵省に資金ソースの増額方を要求すると同時に、その金の使い方のより合理的といいますか、より経済自立に役立つような使い方の方式についても、別途いろいろな工夫を進めておるという状況であるわけであります。  それから商工中金につきましては、実は十億、これは財政投融資からお願いしておりますけどれも、従来これは年間百億くらいの貸出増になるだけの仕事をいたしておりまするが、これはその資金を中金債で賄つておるわけでありまするが、その中金債は資本金の二十倍まで出せるということに相成つておりまするので、百億といたしまするとその二十分の一、逆に見ますれば五億あれば今までくらいの仕事ができるということに相成るわけでございますが、毎年々々増資を五億ずつやるのもどうだろうかというので、一応仮に端数が若干の増加があつた場合にも弾力性を欠くというようなことからまあ十億といたしたわけであります。百倍だけでございますれば五億でも済むというような、計算ではそうなるのであります。  それから金融債につきましては、これは興銀なり、長期信用銀行の資金ソースに相成るわけであります。これは昨年の三百億から本年二百億、実行予算で百九十億というようにしぼられておるわけでありますが、実際上これらの金が産業設備近代化なり経済自立に関連する資金ソースにも相成つておるわけでありまして、最近の資金状況にも鑑みまして、これも去年並みぐらいのところになるようにということを希望いたしておるわけであります。今まあ概数、そういう希望は出しつつ、これを別途、より大蔵省の主計局なり理財局に具体的に中身の積上げ計算といいますか、企業側に、産業部門別にどういうものを選び、その産業部門のうち具体的に企業としてどういうものを考えて行くかという具体的な計画を今盛んに積上げ作業をやりつつありますのが現在の段階でございます。その具体的の積上げ作業の結果、若干の出入りというものよ出て参ろうかと思いますが、今までの経験なんかから見ますと、大勢としてはそう狂わないものだというふうに考えておるわけでございます。
  38. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 午前中通産省房長岩武氏からいろいろ石炭鉄鋼等についての大体の施策方向を聞いたのですが、我々先般実地調査をして合理化進捗状況等を聞いたのですが、今の投融資との関係ともにらみ合せて、伝えられるところによると、石炭合理化法案、鉄鋼合理化法案というようなものも用意されるやに聞いております。又午前中の岩武氏の説明でも、考えなければならんのじやないかという点もあつたのですが、企業局長から具体的に触れて、同時にそれに対してどれだけの財政投融資に依存しなければならんか、全体の資金量が幾らでそれに対して財政投融資はどうつけたい、これはどうせあなたの希望というか、通産省としての希望でいいわけですが、こうあらねばならんと思つておるという点を具体的に述べてもらいたい。硫安等についても、そういうことが言えるわけです。
  39. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 来年度の財政の投融資のうちで、実は本年は実際三十億ぐらいしか出せないで困つており八まするものを来年度八億ぐらいに減らしたいと考えておりますものは実は石炭鉱業でございます。石炭鉱業が現在どういう状況にあるかということは御承知の通りでございますが、一口に言いますれば、この需給関係から見れば、値段はコスト割れのところまで落込んで来て困つている。併し国際的に見れば割高でもあるので、その或る程度の苦労もかけなければならんと思うわけでありますが、同時に、併しこのコスト割れの状況で放置して何らの施策が講じられないということでありますれば、結局日本石炭鉱業は壊滅してしまうだけだということに相成るわけでありますので、今しばつております値段といいますか、現状そのままという意味ではございませせんが、とにかく石炭業の合理化が行われて、安い値段で安んじて供給されるようになるということが日本産業のいわば飯の種でございますので、各般の部門にその恩恵が及んで来ることになるわけでございます。それを何とかしなければならんのじやないかということで、先ほど申上げました買入資金八百億という中には、八億ぐらいの石炭部門に金を注ぎ込んで竪坑掘さくを中心とし、そのほかの合理化工事なり或いは機械化なり或いは新しい新区域の開発なりというものをやつてもららということで考えておるわけであります。  ただこの計画につきましては、現実問題といたしまして、現実石炭業界の困つておりまする状況が、余りにも困り抜いておるような状況でございまするので、これを実際問題として見ました場合に、通産省が考えておりまするのは、一応新規のものに約百九十億くらい要るというぐらいの工事がなされることを希望もしておるわけであります。そのうち国家資金として八億ぐらいというふうに見ておるわけでありますが、このソースの百九十億が、ほかの八億以外にうまく調達できるかできないかという現実問題としての悩みも別途控えておるわけであります。その辺の現実の限度というもの、それから併し国家的の見地から見ますれば、やるだけのものは何とかしてやらしたい希望もあるわけであります。それだけにその面から見ますれば、国家資金の投下の割合を殖やしたいというようなふうの希望が出て参るわけであります。別途、総工事量の問題につきましては、困り抜いておる状況が余りに、めぼしい会社殆んど各社コスト割れになつておる状況から見まして、各省が期待するだけの仕事ができるだろうかという問題もあるわけでありまして、目下、その辺のところを実情に即しどの辺までに全体の工事計画というものを見当を出すべきであろうか、そのうちにおける国家資金を投下する割合というものをどの程度に見るべきであろうかということで、先ほどこの細目の検討をやりつつあると申上げたわけでありまするが、今石炭の概数は今申したような荒筋で考えておりまするけれども、具体的なところを今検討中であるわけであります。  それから鉄鋼関係につきましては、これは日本鉄鋼業が今まで手数百億の投下をいたしまして、その効果も上つていないじやないかというようないろいろな批評もあるわけでありますが、これもまあ或る意味ではそういう見方もできるかと思いますが、併し私ども日本人はとかくまあものの見方が短気的といいますか、というふうになりがちでございますが、鉄鋼業のようなものにつきましては、金が投下されてすぐ明日からそれだけフルの能力に動くというふうにはそう簡単に参りかねるものでもありまするし、又今まで終戦後いろいろな新しい技術というものを取り入れました間におきまして、製鋼部門におきまする生産性の向上といいますか、技術レベルの向上というものは、これはまあ私ども率直に申して世界に誇るべき成果を挙げておるというふうに言い得ると思うわけでありますが、ただこの鉄鍋コストが高いじやないかというようなふうにいろいろ言われますけれども、主としてその原因石炭のほうにこれまであるわけでありまして、石炭の割見の反射としてのまあ鉄鋼の割高というふうな現象を呈しておるわけでありまして、鉄鋼を直ちに国際レベルまで持つて行くためには、石炭問題の解決もなければならん。完全に国際レベルまでなかなか行きがたいという悩みを持つておる。現実鉄鋼市価というものは、最近におきましては、ほぼ国際並みになつておりまするが、これはまあいわば金融相場的な投げもの的な価格としてそういうところに落ち着いておるわけでありまして、これも基本的な使用原料でありまする石炭の割高という要因が残つておりまする限り、その限度においては、日本鉄鋼業というものが内部的には苦しみを背負わされておるということになつておりまして、まあ石炭業ほどではないと思いまするが、目下各社が相当の経理的な苦しみを重ねておるというのが現状であろうと思います。併しそうでありまするが、同時に、半面設備近代化につきまして、めぼしい設備でまだ残されておるものがあるわけでありまして、この古いものにつきましては、明治時代からの設備をそのまま使つておるというようなものもあるわけでありまして、これは厚板設備におきまして、八幡の厚板設備であるとか、或いは日本鋼管の中径管の設備でありまするとかいうような、日本製鉄圧延設備の主力をなすものでありながら、余りに古くさい非能率なものを動かしておるという状況、そのために国際競争におきましても、先ず向うの規格の品質的な注文のものが作れない。厚板設備でありますれば厚板はできまするけれども、同じ厚板は厚板でありましても、古い設備でやりますれば、厚板の一つの厚みの均一さというものが要求されるわけであります。これは殊に最近のように鎔接、造船の鎔接が盛んになりますると、おのずからそういう規格に対する注文というものも厳重になるわけでありまして、それに副うようなものがうまく作れないというようなことから、国際的な注文を逃がしておるというようなこともあるわけでありまして、そういう基幹的なものをいま少し整備したいというものが残つておりますので、これをまあいろいろな資金状況等も見合いながら、何とかしたいというのが企業者側の希望でもあり、国金体としても何とかすべきものだというふうに私ども見ておるわけであります。ただ本件につきましては、御承知のように、今世界銀行から輸入機械分の買付代金を長期のクレジツトとして買付け得ますならば、今の日本の国際収支の状況から見ましても助かることになりまするし、そういう線での申入れをいたしておるわけでありまして、その後様子を見つつ国家資金を出すべき合理化のための設備資金につきましては、世銀の交渉の成り行きというものも実際問題としては十分に顧慮して処置いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  なお鉄鋼業につきましては、これは国家資金関係がございませんけれども、来年度別途、別口の外貨資金というものの返済が非常に巨額に達しておりまして、これを今の鉄鋼の市況なり収益の状況からは一挙に返済することが非常に困難ではなかろうかというふうに私ども見ておるわけであります。これが一つの大きな鉄鋼業の次の資金対策の問題として問題になるというふうに考えておるわけであります。  それから今御指摘のございました硫安につきましては、実は硫安工業の合理化五カ年計画といたしまして、本年度もらすでにスタートを切つておるわけであります。これは来年度も引続き順を追いましてやつて参るわけでございますが、ここで考えておりまする合理化が結局硫安コスト低下にもなり、又その非常に金のかからない方法での生産増加ということ、と言いますのは、この硫安の工業の合理化対策で考えておりますることは、この設備のいわばまあ隘路を埋めて行くとか、或いは捨てておりましたガスを原料として尿素を作りますとか、或いは重油のガス化等によりましてコストを切下げて行くとか、そういうふうなことをやりますので、新しい工場を作りますよりもずつと割安で、隘路補正というような形で増産になるということになりますので、総体の原価引下げということにも相成るわけでございます。而も硫安は国際的には御承知のごとく東南市場等からまあ盛んに引合いがありながら、国内の需要優先ということで考えておりまするがために、十分に量的にも応じたくても応じられないというような状況にあるわけでございまして、而も硫安がすべて国内原料で、原料から石炭、電力、全部国内原料でやつておりますような事情から、こういうものの輸出がぐんぐん伸びるということは、非常に金もまとまりまするし、結構だということで大いにやつておるわけでありますが、これから引続き来年度も今年以上にまあ続けてやりたいと考えておるわけでございます。  それから合成繊維につきましても、これまでいろいろな努力をいたしておることはまあ御承知の通りでありますが、来年度各社別の計画も大体今問い合せ中でございますが、ビニロンとかナイロン、それから塩化ビニールその他、従来から手がけておりまするものにつきましても、来年度以降の具体的な計画に即しながら、その資金調達を見合いつつ国家資金割当を続けて行きたいという方向で考えておるわけでありますが、同時にそのほかに明年度の問題といたしましては、この醋酸繊維部門というもの、これは世界の、まあ醋酸繊維品を使いますことが世界の嗜好の変化といいますか、品物の風合いの非常にいいものが出て参りまする関係上、国内的に見れば羊毛の代用ということにもなりまするし、又輸出としてみますれば、輸出の品物の新しい変化に対応して、醋酸繊維を交織のものでなければうまく出ないというような変化条件もございますし、それに対応してこれを大いに伸ばして行きたいということで、これは本年から、本年一部手掛りをつけておるわけでございますが、来年度以降から計画が本格的に出て参りますれば、それを計画的に伸ばすということをやりたいというふうに考えておるわけでございます。これはいわば醋酸繊維、この人絹なりスフなりいわゆる化繊と合成繊維の合の子のようなもので、半合成繊維といつたらいいようなものでございます。新しい繊維として資源対策にも十分な意味があり、輸出振興にも大いに意味があるということで、又それの将来性の安定度も非常に高いものとして大いに伸ばして行きたいというふうに考えておるわけであります。
  40. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 今の御説明を要約すると、鉄鋼のほうの合理化資金というのは、別口外貨の外貨借入の返済をどうするかという問題と、それからもう一つ、新規の設備については世銀からの借入に待つ、それでできなけれけやむを得ないと、特に財政投融資関係では、鉄鋼関係は三十年度においては心配はしないつもりですか。それから硫安のほうは部分的な隘路打開、一つの隘路を直せば生産量が倍になるというような点もあるやに実際に聞いて来た点もあるのですが、その硫安関係ではどういう、投融資的には、資金の裏付けほどう考えておりますか。強いて特別に面倒を見ないという考えですか。
  41. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) ちよつと私の説明が不十分であつたのですが、鉄鋼業につきましては、世界銀行関係に実は五社の分が持込まれておるわけでございます。これがまあ仮に全部OKということになりますれば、それに対応いたしまして資金計画を考えることになりまするが、その際に五社分につきまして、それぞれ或る程度国家資金の援助による推進ということも考えなければならないというふうに考えております。但し世界銀行の金がつかないという場合には、私ども五社が全部来年度からスタートして先ほど申上げましたようにやりたい、やつていいことであり、やりたいということでございましても、若干のまあ時間的な調整をしていいものもあろうかと考えられます。そういたしますると五社は世界銀行が駄目であれば、来年度から顔を出すことにならんかも知れないが、そのうちの二、三社は顔を出すということになるのではなかろうか。そういたしますとそれに応じて資金の考えもする、まあ世界銀行は、みんなパスの場合とバスでない場合は資金量が少し変つて来るということに相成るかと思います。そこうのところをまあ二段がまえで物を考えて行くべきではなかろうかということで今検討を進めておるという状況でございます。  それから硫安工業につきましては、本年度も国家資金をつけましていろいろとやつておるわけでございますが、本年度一応十一億くらいのものを予定いたして、開発銀行に推薦をいたしておるわけでございますが、来年度といたしまして、拡張工事の仕事の量の全体のテンポの点から見まして、今年度の十一億に対しまして来年度は十五億ぐらいをつける必要があるのではないかというふうに見ておるわけでございます。
  42. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 鉄鋼のほうは、世銀融資がついた場合の五社と、つかない場合と資金量が違うということですが、おのおのの場合にはどのぐらいに考えておりますか。
  43. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 一応、私ども先ほど申上げました八百億と概算いたしました場合は、世銀のFという前提で考えておるわけでございますが、その場合に開発銀行といたしまして三十四億くらいを考えておるわけでございます。ただこれが世銀がどうなりますか、まあ今来ております連中が本国へ帰りまして、総裁にレポートを書き、それから態度がきまつて参るかと存じますが、その際にどこがどうなるかということもあるわけでございますが、世銀が仮にうまく行かないという場合に、どことどこを幾らくらいにみたらいいだろうかということにつきましては、まだ具体的な検討は、数字を挙げて検討するまではまだ至つておりません。大勢としまして、そういうふうに全部をスタートさせないという行き方も実際的ではなかろうかというふうに考えております。
  44. 小林政夫

    委員長小林政夫君) ちよつと投融資の関係から離れますが、この鉄鋼にしても、石炭にしても合理化設備を進め、生産性を高めて行くということをなつて石炭のほうでいうと、生産性の低い炭鉱をどうするのか。自然にやめるように持つて行くのか。何か補償措置を講ずるつもりなのか。そうすれば、一体補償はどの程度しなければならないか。又財政負担をしてもらう問題ですから。それから鉄鋼の場合でも、最近視察した結果によつても、相当近代設備を備え付けたのはいいけれども、品質は違うかも知らんが、大体同様の製品を作つておる。中小業者と競合関係ができて、今の需給の状態からいうと過剰生産でもあり、折角設備運転できない。従つて当初もくろまれた、予想されたコスト低減が実現できない、こういうような点もあるわけです。そういう点はどういうふうに解決をするつもりなのか。
  45. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) この鉄につきまして、新しく設備ができたにかかわらず、それがフルに動いていないのじやないか、これは実はよく言われることでございますが、まあこれは現実の事実というものは実は多少誤解があると私は思つておるわけでございます。と申しますのは、今設備が実はできたばかりでございまして、できたものがその企業者の責任におきましてもまだ必ずしもフルに動く段階にみんな来ていないというのが、まあすぐ目先の段階はそういう段階だと思うわけであります。これを具体的に申上げれば、例えば八幡設備でございますれば、八幡もストリツプの設備も御承知のようにないわけでございますが、又更に電気ブリキも増設しつつありますが、これらの設備について見れば、昔の設備の、昔の外国から買いましたものの三倍くらいの能率、三倍まで至らないかと思いますが、二倍から三倍に近い能率を発揮しておりますし、新しく作りましたものも、過去の技術経験もございますから、フルに動いておるということで、御指摘のようなことに実は該当いたしていないかと思うのであります。それから富士広畑設備につきましては、これは御承知のごとく、会社側自身も薄板につきましては、十分の経験もございませんものですから、目下薄板設備をうまくこなす技術的な苦労をしつつあるというのが率直に言つて現在の段階かと思うわけでございます。それをすらすらと運転してうまくできるとは、まああれだけの機械でございますので、簡単に参るわけではございませんで、まあ会社側も当初から意図しているといいますか、すらすらと動くようにたるというふうにも考えないからこそ、併せて製鋼設備増加もいたしておるわけではございません。いわば差当り品物のバラエテイーを殖やしたというくらいのところにとどまつているわけでございます。だからこそ富士自身が自分で持つておりますプロパーの機械も動かしておるという状態でございます。世間ではあんなものができて、いわゆるその設備だけ取り出して見ますと、公称四十万トンとか或いは六十万トンとか、それができたらプルオーバーの旧設備がすぐストップになつていいじやないかというふうに簡単に見られているふうがありますが、傾向は確かにそういうことに相成るわけでありまして、そうなるべき運命を持つている、もうそうなることが日本鉄鋼業合理化であるというふうに思うわけでありますが、現実はまだその段階に至つていないのが目先の現実、併し役所の政策というものが、同時に先の成り行きというものを考えながら政策も考え、行政の誤りなきようにしなければならんということになりまするので、すぐ現実の批判としては、世間の批判というのは必ずしも受入れられないと思いますけれども、少し先の問題としては、そういう用意が政府においてなされることが適当ではないかという問題として意味があるというふうに私どもとしては思つているわけであります。これにつきまして、今事務当局でいろんな案を検討中でございますが、これは昨日、或いは今朝ほど官房長からもいろいろお話申上げたかと思いまするけれども、まあ一つ鉄鋼業を今後どう持つて行くか、問題点をどう考えたらいいかということにつきましてのいわば再編成委員会といいますか、というようなものを設けて、そこで具体的なあり方というものなり、物事のとり進めの手順の段取りというものを実際的に考えて行くようなものを作つたらどうであろうか。而してそれの実行の手当としまして、要すれば合理化カルテルとして、合理化を推進するためのカルテルを認めて行くということを考えたらどうだろう。それを中心といたしまして、その合理化カルテルの進め方としまして、若し副作用的な価格の値上りというような現象が起りました場合に、それを政府がチエツクするようなことを考えたらどうか、まあそんなふうの案を中心事務当局で一案を草し、それの実際的な、妥当性等につきまして、目下関係業界ともいろいろ折衝中であるというのが率直に申しまして今の段階でございまして、具体的にこうすることにしようときめておりますというところにまで実はまだ至つていないのでございます。まだ事務当局が或る種の案につきまして検討しているということでございまして、まだ大臣にも話してないというそういう程度の段階でございますので、問題は将来にはらんでおりますので、その問題を先の問題を展望しつつ対応策というものを何か工夫しなければならんということでいろんな案を検討中であるというのが現状でございます。  石炭業につきましても、同じような考え方でいろんなまあ検討をいたしているわけでございます。その中に或る種の非能率な山というものを政府によつて買取つて潰すといいますか、というような措置も研究問題になるのではなかろうかということも考えているわけであります。と申しましても、まあそう簡単にできることとも思いませんが、ただ石炭業の実際を国会でもいろいろお調べになつておりますので御了解と思いますが、石炭業も景気、不景気のいろいろの波がございますが、コスト高になるような山というものが、石炭業の景気のいいときにふわつと生きかえつて、それが潰れるときにはそれがめちやくちやな波で業界を混乱させている、そういう現象が過去の長い石炭業の中にずつと見受けられるわけであります。それが健全な石炭経営をやつているものにいろいろな障害を及ぼしているという点もあるわけでして、そこらのことを将来のことも考えまして、そういうときの対応措置というものを、或る程度の鉱区を買取るよろな仕組みを考えてみたり、或いはそういうものの新規買入れを許可制にするというようなことを考えて、その間の調節をやるということは適当じやなかろうかというまあ一案も研究しておるわけでありますが、ただこれはまあなかなかむずかしい問題でございまして、一応石炭局ではそれらにつきましても、丁度鉱害賠償のようなあれで、各関係業者が賦課金といいますか、というようなものを出し合つて行けば、そういうことも国が予算を出さなくても行けるのではなかろうかというようないろいろな計算もしてみたりしているわけでありますが、これも先ほどの鉄の例と同じでございまして、大臣まで持上げて省の方針としてまだこの線というふうに確定したところまでは至つていないようなわけでおります。
  46. 小林政夫

    委員長小林政夫君) そうすると、石炭の場合に、竪坑六十八本を開発しておおむね単価が一割方下るというようなことが言われておるのですけれども、今度の八十億の財政資金をつけて行くというようにやれば、所要資金の四百億の五カ年間くらいでやり上げる、こういうことですか。特にまあ最近は石炭業者が不況らしい。むしろ将来金を、まあ先ほどの説明の百九十億と八十億はその内割ですか、百九十億調達できれば、その新規竪坑開発資金で何本の開発ができるか伺つておきたい。
  47. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 八十億というものは総工事、先ほど申上げました百九十億の内割の金頭でございますが、これはまあ継続が二十一本ございまするし、そのほかに実は新規三十本ということを考えておるわけであります。先ほど申上げましたように、石炭業界の不況が予想外に深刻化しておる状況の下で、やらせたくはあり、一般にどの程度できるかというところに若干の検討が残されておるわけであります。
  48. 小林政夫

    委員長小林政夫君) この前、経審の石原さんからも御説明があつたかと思うのですが、大体今政府として意識的にコスト低減を狙つておるものとして石炭鉄鋼硫安というものを考えておるのだと、こういうことであつたのでありますが、今通産の当局の希望は説明のあつた通り、それに対して、同じ政府として大蔵当局は物価低減の政策の一環としてこの程度のものは考えるということなのか。最初に概括的な説明があつたような、本年度と昨年度との資金源の問題で相当窮屈だと、こういうような説明だつたわけですが、この基幹産業についてはどう考えておるのか。
  49. 石野信一

    説明員(石野信一君) 只今の通産省のほうのお話で、物価が或る程度下つて来た、今後経済自立達成のためにはコストを下げなければいけない、殊にそれがために石炭等の基幹産業コストを下げなければいけない、そうして輸出を振興しなければならない、こういう考え方の線はこれは当然のことでございまして、大蔵省といたしましても同じ考え方を持つておるのであります。ただ通産省のほうからお話になりました御希望の数字というものを具体的に考えます場合には、二十九年度で確かに財政投融資の金額が減つたことは減つたのでありますが、ここで考えなければならない問題が二つあると思うのであります。一つは、財政投融資が減りましたことによつて財政投融資というものが民間の投融資を非常に誘発するという傾向がありますために、これが全体のインフレを抑制するという意味では非常に役に立つたという点があると思います。それから二十七年度の補正予算以後、二十八年度におきましては、公債及び過去の蓄積資金といつたようなものに依存していた部分がありました。二十九年度はその部分をなくしたわけであります。従いまして、ここで非常に重点的な政策をとるということによつて、総枠をふくらませずにそういう財政投融資の面を考えるということならば、まあその第二の問題は解決するのでありますが、総枠をふくらませるということになりますと、最初に申上げましたような意味の全体の経済をどういう基調に持つて行くか、折角ここまで収めて来た国際経済に比較してインフレ的な基調を又元に戻してはいけないという問題がございますので、どうしてもやはり総枠は昨年度の範囲内で集まる資金財源の中でやつて行きたい、こういうふうに考えざるを得ないのじやないかと思います。そこで今お話の数字を考えてみますと、開発銀行の八百億ということになりますと、本年度五百九十億に対して二百十億の増額になります。それから輸出入銀行は本年度は計上しておりませんので、二百七十億新たに殖える。そのほか中小企業等々の関係もございまして、相当の増額ということに相成るわけでありますが、先ほど申しましたように、財源といたしましてはむしろ減少せざるを得ない状態にあるわけであります。そこでまあ他の財政需要なり、財政投融資の需要を切つてこういうところに廻すという考え方もあるのでありまして、まあそういう考え方もできる限りすべきではあると思うのでありますけれども、何分にも非常に財政需要というものは緊切且つ強いものでありますので、そう大したことは事実上はできないと言わざるを得ないのじやないか。そういたしますると、先ほど来の御希望のような数字は、その御希望のような数字を確保することはむずかしいということを率直に申上げざるを得ないと思うのであります。  そこで基幹産業コスト引下げのためにどういうふうな考え方をするかという点でございまするが、この点は委員長からの御指摘もありましたように、合理化をやつてコストを下げるという措置をとりましても、事実上合理化されない分がそのままやはり残つてつて、全体としてコストが下らないとか、或いはコスト下つて価格が下らないとかというような問題もございまして、特に全体としての資金を非常に増額いたしますと、コストを下げるというような一つの努力そのものを障害することになりますので、やはり全体の資金を締めておきながら、重点的にコストを下げる、その場合にコストを下げるのに、本当にコストが下るという効果を確保できるというところへ、そういう意味の本当の資金の効率的な運用ということを考えなければならないのじやないか、その意味において通産当局と私どものほうで十分に研究いたしまして、又できるだけ金額を少くして、而も効果が挙るようにというようなラインで考えたい、こういうふうに考えております。
  50. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 抽象的な考え方としては、あなたは午前中おられなかつたけれども、我々の調査報告にも、コスト低減の努力もさることながら、インフレとしてはその効果を抹殺するので、そういう点も併せて考えるんだと、こういうこともいつてあるわけで、抽象的な考え方としては同感ですが、現実に、少くとも政府として意職的に重点的に、あるいはこうやるのだ、こういうことを言い、特に経審あたりも、当委員会においてこういうふうにやつてコスト引下げをいたします。又原局の鉄鋼課長ですが、なんかも非常に明るい話をここでしているのです。ところがだんだん突きつめて見ますと、必ずしも所要の資金は紐がついておらん、こういうことになると、漠然と期待はさせるけれども、実際には行く行くは実現するにしても、当面の問題としては期待できない、こういうことになるので、その点の見通しですが、今の話だと、通産当局はそういう希望を持つてつても、いろんなやりくりで、そう百%は御期待に副いかねる、こういうようなことになるわけですが、その点は経審ではどう考えますか。
  51. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 只今通産、大蔵両当局からお話がございましたが、それについて、最初に通産省でお考えの合理化なり、或いは開発の計画、今承わりました数字は、現在の予算規模なり、現在のとつております緊縮政策と申しますか、そうした政策から申しますと、実際の数字を考えますると、ちよつと入りにくいということは私も事実だと思います。これは予算全体、一兆億の予算のことでございますので、その細部についていろいろ検討の余地はあるかと思いますが、極く常識的に申しまして、今年度の財政投融資を相当大幅に上廻つた財政投融資が可能かどうかということになると、これは先ほど資金源についても大蔵当局からお話がございましたようなことで、我々といたしましても、資金源としては、先ほど大蔵当局は減るというお話でございましたが、まあどの程度に減るか、若し減るにいたしましても、これは大した減り方ではないので、ほぼ同じくらいに落ち着くのではないかと思いますが、それにいたしましても、殖えるというふうにはなかなか考えにくいと思いますので、従つていわゆる従来の方法による財政投融資の方法というものは、ほぼ今年と大差ないということになろうと思います。先ほどもお話がありましたように、それじや他の財政需要のうちから切つてそちらへ廻し得るかということになりますと、これは今後の検討の問題でございますが、なかなか多くは期待しにくいのではないか、それで先ほど来お話がありましたように、どうしても今後企業合理化をいたしまして、コスト低下を図り、そして輸出の振興を通じて拡大生産に持つて行くという方向はどうしてもとらざるを得ないのでございますが、現状は本年度からいわゆる緊縮政策、或いは経済の正常化という方向に向つておるわけでありまして、三十年度につきましても、原則としては同じような方向をとらざるを得ないのではないかというふうに一応考えております。従いまして各企業なり或いは各産業から考えますれば、できるだけ速かに合理化促進いたしまして、コスト低下を一刻も早く期待するということは尤もだと思いまするが、全体の経済、財政事情から申しますると、その面からの制約がありまして、個々企業なり産業から見れば、できるだけ早くという点が或る程度延びると申しますか、制約されることも私はやむを得ないのじやないかというふうに考えております。で、通産省のお考えの数字は、少くとも今年度の実績等に比較いたしますれば、相当大きな数字でございます。ただこれは内容につきましては、更にまだ通産省でも御検討中でございましようし、大蔵省等で、或いは経審等も入りまして検討すれば、多少まだ数字は、確定的なものではないかと思いまするが、大局的には御希望の数字をそのまま入れるということは困難で、今のような本年度から主として経済正常化緊縮政策をとつておる過程にある最中でございますので、さような意味で、時期といたしましては、明年度におきましても、なおそうした基本的な政策の枠内でこうした面を措置せざるを得ないと思います。或る程度期間がずれると申しますか、さような結果になることがあるとしても一応やむを得ないんじやないか。ただその程度問題、どの程度で落ち着くかという問題は、これは実際問題として非常に問題になると思いますが、これは我我のほうでもよく事情を伺つておりませんけれども、今後予算を組まれる際、或いは将来の財政投融資計画を明年度……近く大体各省で話合いを進めることになると思いますが、その際に問題になると思いますが、まあ我々としても、そうした面で許す範囲内においは、できるだけこうした面を促進したいとは考えておりまするが、一応現在のところは、まだ抽象的に今申しましたようなところを考えておる程度でございます。
  52. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 電源開発資金が大体三百乃至三百五十億ということを企業局長が言われたが、最近の傾向はデフレによる操業短縮等で六日電力需要の伸びが悪い。これは目先のことを考えてもいけないんですけれども、電源開発株式会社を作るときに、電力開発五カ年計画というようなものと睨み合せて、大体三十年度三百乃至三百五十億という線はどういう程度計画になるんですか、説明できれば伺いたい。
  53. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 来年度民間の九電力の電源開発の分としまして、約三百五十億くらい国家資金が要るんじやなかろうかというような見当をつけておるわけであります。これはまあそれに対して、今委員長から電源開発のほうをそう殖やしても、電力の需要のほうが追いつくのかというようなお話かとも思うわけであります。勿論産業界にはいろいろと多少の変化はございますけれども、来年度として私ども考えておりますのは、殆んど新規の工事は考えておりませんので、継続工事の分が殆んど全部でございまして、新規は調査あたりの取つかかりがちよつとある程度くらいのことでありますが、今まで私ども詳細なことは承知しておりませんけれども、電力の需要の伸びから見まして、電源開発だけが先走るというようなことにはなつていないというふうに聞いておるわけであります。ただ最近の伸びの状況が変つておりまして、その結果この供給力が追いつきますのが、今よりも早く追いつくということにはなろうかと思いますが、先に電気だけが余るというふうにはならないというふうに私どもは了解しておるわけでございます。
  54. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 他の委員の方の御質問はありますか。
  55. 八木幸吉

    八木幸吉君 ちよつと伺いたいのですが、出炭能率の差異はどれぐらいございますか。一番能率のいい所と、一番能率の悪い所と、どれくらい一体差異かあるのですか。もらちよつと補足しますと、竪坑を掘れば二割出炭能率が上ると、こういうことがまあここに出ておりますが、一体この石炭を掘るのに、随分能率のいい所と悪い所とありましようし、竪坑を掘れば更に二割、三制コストが下るということになれば、コスト高の所は、先ほどもしばしばお話がありましたけれども、自然につまりその山は閉鎖しなければならんという事態が当然予想されるわけなんですけれども、能率の差異というものは一体どれくらいあるのですか。こういつたことがそういう能率の悪い山が閉鎖される運命を持つ上においての一つの基礎になると、かように考えますので、能率の一番いい所と悪い所の差は一体どれくらいあるのか、こういうことを伺いたい。
  56. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 私直接の担当でございませんので、数字が違つておるかと思いますが、現在におきましても、いい山でございますれば二十トン近くまで一人当りの出炭量が行つておると思います。悪い山になりますると半分の十トンそこそこのものがあるわけでございます。まあ十三、四トンぐらいの能率の山で竪坑をやりまして、せめて二十トンぐらいのレベルまで持つて行きたいというのを主眼にした計画だというふうに了解しておるわけであります。
  57. 八木幸吉

    八木幸吉君 今、その能率によつての分布状態は大体おわかりになりますか。例えば出炭が今十トン乃至二十トンというお話がありましたが、どれくらいの分布になつておりますか。能率のいい所と悪い所と……。
  58. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) これは山元の統計もあるわけでありまして、私は正確に存じませんが、石炭局長でもお呼び頂きますれば、それは主要の山につきましてみんな調べておりますのでわかるのでございますが、まあ大ざつぱに申上げまして、北海道のほうが平均値よりも能率がいいほうで高い。九州のほうは悪い状況になつておる所であります。山によつて同じ地域でも違いまするし、一概には言いがたいのでございますが、地域別の平均を出そうと思えば、それだけの数字の用意はできていると思います。
  59. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つ伺いたいのですが、この財政投融資の利子が完全に入れば、年額幾らぐらいの金が入ることになるのですか。例えば二十九年度の……。
  60. 石野信一

    説明員(石野信一君) 開発銀行の関係で、大体二百億程度のものが入ると思います。そのほか産業投資特別会計のほうは、利子だげでもかなりございます。開発銀行の収入でございますね、併しそれは開発銀行の自己資金に入るわけです。あと各公庫等につきまして、実は詳しい数字を持つて参りませんでしたが、なんでしたら後ほど資料を揃えて……。
  61. 八木幸吉

    八木幸吉君 私の伺いたいのは、財政投融資の利子の当然入るべき金と、実際入つている金との比較を拝見したいので、今委員長からも、話がありましたが、その元金の回収も合せて、元金利子の入るべき金と、入つた金との比較の一覧表を資料として御提出をお願いいたします。
  62. 石野信一

    説明員(石野信一君) わかりました。   ―――――――――――――
  63. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 他に御質疑はございませんか。  それでは合成繊維関係に移りますが、先ほどの徳永君の御説明ですが、当初二十八年四月二日ですか、次官会議で、合成繊維育成対策というものをきめて、大体一億ポンド達成目標を、当時あなたが繊維局長じやなかつたかと思いますが、そういう計画と現在の実績と比較し、更に今後どう持つて行くかということ、又これは繊維を作つて需要の問題とも関連するので、折角財政投融資等をやつて、糸自体は作るようにできたけれども、そう需要が伸びんというような問題もあろうと思います。この点について……。
  64. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) 昨年四月に一億ポンド五カ年の計画がきまりましてからの経過を先ず申上げたいと思います。  昨年の四月のときにおきまして、大体合成繊維出炭能率が日産で二十九トンあつたのであります。それに対しまして三十年の一億ポンドの生産計画に要しまする設備ということになりますと、合計しまして百三十七になるわけであります。昨年は開発銀行の融資につきましても、合成繊維は特掲産業の指定となつたわけでありまして、昨年約二十八億の融資があつたわけであります。そういう点で、昨年はビニロンにつきましては、約日産十四トン、それからナイロンにつきましては日産三トン、ビニールにつきましても日産三トンというような設備の増設計画が進んだわけであります。更に本年になりまして、引続きナイロンにつきましては、約日産十一トン、ビニールにつきましては日産三トンと建設が現在進行中でございます。そういう結果、ビニロンにつきましては、当初の計画よりも多少下廻つておりますけれども、ナイロン、ビニールにつきましては、既定の計画に、三十二年度に至らずしてほぼこの目標に到達するんじやないか、そういうような状況で建設が進んでおります。ビニロンにつきましては、九十二トンの目標に対しまして、現在の建設中のものを合せまして二十八トンという現状で、あと三年のちにこれを達成するということは現状から考えて非常に困難な面もございますが、特にビニロンにつきましては、やはり資源的に国産で、まあ日本に豊富な石灰石を資源とするという点、或いは又この値段の点でございますが、世界でいろいろな合成繊維がある中で一番安い合成繊維でございます。こういう点から考えましても、又用途の点を見ましても、綿に代り得る一番適当な合成繊維である。現在日本の大衆衣料の中で綿の需要が一番大きいわけであります。その綿にとつて代るべき合成繊維としてのビニロンというものは、やはり一番今後育成すべき合成繊維の中でも一番ウエイトが重いものじやないか。そういうわけでこの九十二トンという目標は多少実現が、政府といたしましても今後需要の開拓等に一層育成の上に重点を置きまして、この目標達成に努めたいと考えております。そういう点で現在はナイロン、ビニール等は現在の供給に対しましてむしろ需要のほうが上廻つているという面もございますが、ビニロンは現在やや生産能力に対しまして実際の生産が少いという状況でございます。まあこういう点につきましては、やはり最近の綿との競争関係におきまして、非常に綿に比べて割高であるということか指摘されるわけです。これは現在設備がまだ最低経済点に達しないという点もあるわけでございますが、これにつきましては、大体今年の末に日産十五万トンという最小経済点に達するわけであります。その結果これがフル操作をいたしますと、まあ非常に綿との値幅が少くなつて来る、そういう可能性もあるわけであります。それから需要の面につきましても、やはり新らしい繊維であるという点でなかなか需要の開拓に苦心を要するわけでありますが、そういう点につきましては漁網でありますとか、又学生服というような非常に量的に合成繊維の性能を特によく発揮した需要がありますし、特定の用途を中心需要開拓を強力にやつて行く、まあ需要の開拓ということに当面の重点的な対策を考えて行く、そういうことによつてビニロンの育成というものを考えて行きたい、こう思つております。
  65. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 経審の次長が急ぐそうですから……。  先般の委員会に出された輸入を抑圧して、まあ三十二年度までですか、二十億ダラー程度に圧縮するについては、大体生活水準並びに生産規模を現状通り維持して二十億ダラー程度に抑える、そのために輸入を減らしてもそれに代るべきものとして、例えば合成繊維等について、まあ実質的には二億七千万ダラー程度でしたか、資料が出されたと思いますが、その程度外貨節約に代るものだという、数字は端数が違うかも知れませんが、そういう一体二億七千万ダラーくらいの輸入減を期待し得る合成繊維の見込みというものですね、これは積み重ねた数字でなくちやならんと思うのですが、一体意図された生産計画需要面とではどういう点からそういう結果が出るのか。例えば合成繊維というものができて、新しいむしろ用途が出て来る、今までの天然繊維の用途に関係なくして合成繊維の用途が出て来る、そうすると合成繊維は増産されるが、そういう今までの天然繊維の輸入を減らすということにもならんと考えられる。従つて従来の天然繊維のどの使用分野をどれだけ二億七千万ダラーの外貨節約に置き換えるのか、こういう点はどうですか。
  66. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 本日は私ちよつと資料を持つて参りませんでしたので、はつきりした数字を記憶しておりませんが、繊維につきましては、今通産省から御説明がありましたように、一億ポンド程度合成繊維の五カ年生産計画がございまして、それに見合う繊維を輸入から落して行きたいという計画でございます。その数字は、私の記憶では、二億数千万ドルにはとても達しないかと思いますが、これは資料さえあればはつきりいたしますし、この次に調べてその点をはつきり御返事を申上げたいと思いまするが、合成繊維のうち、この前の数字は、そのうち一応の想定といたしまして、輸出分を除きまして、国内需要に当る分について、それだけ輸入する繊維原料は減るんだという計算をいたしているわけでございます。従つて私どもの計算は輸出を除きました合成繊維従つて内需につきましては、まだ繊維原料が削減できるという計算でございます。従つてその内需に向けますものにつきましては、輸入原料に置き換えるということと、新しい需要ということは一応考えていない数字でございます。今お話がございましたので、或いはよく調べてみますれば新しい用途に、従つて外国の輸入原料に或いは代るものがあるかと思いますが、一応そら出活水準を上げる計算にいたしておりませんし、合成繊維ができまして、それが繊維原料、他の繊維原料に置き換わらずに全然別のところの用途になるのだというものは、今のビニロンにいたしましても、ナイロンにいたしましても、塩化ビニーネにいたしましても、そう大きなものは一応ないのではないかと考えてみました、従つて内需に向けますものは、一応輸入に現在置き換えるということを計算をいたしたわけであります。需要面におきましては、今通産省からお話がありましたように、ナイロン等については、今は問題がなくて、むしろ生産が上れば全部売れて行くといろ状況でございますし、今一番大きな問題はビニロンでございますが、これは従来私が承知しております範囲では、一つコストの面で完全な経済単位に醸していなかつた関係で割高である。或いは一般的にそうした新繊維であります関係上、どの程度本当に耐久性があるかというような点につきましても、現実にそれが例証きれませんと、なかなかそういう口だけでは信用されないという点もあつて、或いは又質的に、漁網等につきましても結び目がすぐ解けてしまうとか、多少技術的な面があるように聞いております。それらの点は順次価格の面で十五トン、フル生産ができるようなことも極く近くなるというようなことを聞いておりますし、質的な面におきましても、順次改善されるというように聞いておりますので、そういう面についての障害は漸次除去されて行くと思います。ただ何分ナイロンは外国で発達しておりますので、国民にも親しまれておりますのに反しまして、ビニロンにつきましては、全く日本で独得の新繊維を作つている関係でいろいろ問題があると思いますので、今後それの需要面の開拓については、政府としても或る程度これの応援をする必要があると思います。現在におきましても、国家で需要しております服地、毛布等につきましては、関係の政府機関の協力を得て、できるだけそういうものを使うように協力を願つておりますが、今後更に今お話がありましたが、学生服でありますとか、相当耐久的な面で問題になります点につきましては、大いに奨励する必要があろうと思います。具体的に奨励をすることにつきましては、今後これが若し相当増産になる際には、さような奨励策として需要がついて行くかという点に問題があろうと思います。なおそれらについてはもう少し強力な需要関係の道も或いは必要になつて行くかと思いますが、それらにつきましては、コストなり、品質なりの問題が解決しませんと、ただ使い手を待つわけには参りませんので、それらと相待つて需要の面にも今後十分増殖と見合つて促進して行きたいというふうに考えております。
  67. 奥むめお

    奥むめお君 今の問題に関連しまして、前に外貨の節約ということについて、いろいろ交える、混織、混紡のものを作るという数字が出ておりましたけれども、あれは強制的に使われるのですか。或いは何か割当てるとかという見通しで書いてあるのですか。私どもから言いますと、先ず強制的に割当てて何割入れろというふうになるのか、又自由になるのか、又いろいろ混つたものが出るといたしましたなら、それはやはりはつきりこれには何割入つておるということを現わしてもらわないと困るということと、二つの問題が考えられると思うのですが、如何でございますか。
  68. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 只今の点は或いは通産省からお答えを願つたほうが適当かと思いますが、一応私からお答え申上げます。若し不十分でしたら通産省から補足をさして頂きたいと思いますが、第一点の強制的に混紡するか混織するか、強制するかどうかという点につきましては、これは私としては、今後の研究問題であろうと思います。できれば新規のそうした繊維につきまして、国民の認識を得て、国産でもあり、耐久性もあり、決して綿と比べても経済的に不利でないという点を十分認識して頂きまして使つて頂くことができ、使途によつて需要関係ができれば、これが最も望ましいと思います。従つてそれらの点について、現在までは各企業も必ずしも宣伝その他をやつておらないと思いますし、或いは今後とも啓発、宣伝という面で政府なりに或いは協力を求めるという点で、更にこれを進めて行く余地があると思いますので、差当りそういうことで進めることが適当かと思います。これが今お話がありましたように、五カ年計画相当増産になる態勢になりました際に、なかなか需要が追つかんというような際については、更に何らかの方法をとつて促進をさしたらどうとかというふうに考えております。従つて今直ちにすぐ近い将来に強制混紡というところまで行く必要があるとはまだ思つておりませんが、将来の問題としては、先ほど申しましたように、需要関係等でなかなか思うように参りません際には、何らかの方法を考えても然るべきではないかと思います。ただ従来スフの混紡を強制したことはございますが、ああした方法がいいか悪いかは相当疑問で、これは全く私の一私案みたいな考えでございますが、相当輸入原料を今後といえども入れて行かなければなりませんが、その際に輸入割当等に関連いたしまして、或る程度そういうものを使うような点を間接的に強制するというのも、若し強制を仮にいたしますとすれば、一つの方法ではないかと思います。  次に、今の第二点の仮にそういうものを強制されることにいたしましても、或いはされないにいたしましても、混紡されておるようなものの表示につきましては、これは法的にどうかということはちよつと私も御即答いたしかねますが、その点ははつきりさせて、一般的消費者にこれがどういう品質のものであるかということを明らかにすべきだと思います。現にこれは会社等も、現在多少綿より高いという点もございますが、併し耐久力があるという点で買つてもらうということになつておりますので、現在でもこれはビニロンが入りておつて多少金額的に高いけれども、耐久力から考えて経済的であるというので、むしろ合成繊維であるということを明らかにして販売しておるように聞いておりますので、今後もその点についてはさしたる心配はないのではないかというふうに一応考えておりますが、若し将来そうした点が不明確なために、需要者に非常な或いは迷惑がかかることがないように考えるべきだと考えております。
  69. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 今の、ちよつとあなたも話されたが、外貨割当なんかの問題で、これだけ合成繊維ができることになつたからということで、天然繊維の綿或いは羊毛、麻等の輸入外貨割当ですね、これを頭に入れて、例えば二十九年度の外貨割当等については考えてあるのか。又将来通産の速度と合せて究極の目的は二億二千万ですか節約する、それがそのような具体的な形で考えられるのか。ただ漫然と、これだけできればそれを外貨に換算すればこの程度になる、こういう程度のものなのか。それはしかと具体的な外貨割当の問題としてはどう取上げられるのですか。
  70. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 今のお尋ねのうち、先ず現在の問題でございますが、これは私が実は余り詳しく存じませんので、今間違つておつたら将来訂正して頂きたいと思いますが、現在では合成繊維の点はそれほど大きなウエイトはございませんので、現在合成繊維が広くできているから、従つてその分だけ綿の需要から差引いて割当てるという細かい計算はやつておらないだろうと思います。将来合成繊維相当な量に上りまして、例えば一億ポンドというような数字になり、或いはその中間になりましても、相当な量になりますれば、当然さような国内生産を考えまして割当を考えて行く。又需要が少くともそういう綿に向つて参りますれば、他の繊維の需要というのは落ちるべきはずなんです。ただ一人当りの消費量が殖えれば別ですが、さようでなければ、当然需要の面から申しましても、成る程度そうした需要が落ちて来るはずなんで、従つて現在は主として需要も考えまして外貨割当をやつておると承知しておりますが、将来さような意味で外貨節約という観点もございますし、又一面そうしたものの需要がそちらのほうに向いて、従つて綿なり羊毛なりがその分だけ落ちて来る。例えば学生服がかような合成繊維に代つて使用されるという時期が参りますれば、その分に対応する綿なり毛なりの需要は減つて参りますので、将来はそういうふうに外貨面からいつても、その今成繊維に見合う分だけは外貨の割当を減らし得るというふうに考えております。
  71. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 次長もお急ぎでしようし、それから理財局次長も急ぐのですから集中して下さい。  今の合成繊維の増産計画に伴う財政投融資としては、直接糸自体を作る投融資関係と、その関連産業の投融資と二つあるわけですが、通産省関係の糸自体の、及び例えば染色関係だとか或いは織物関係というようなことで合成繊維を使うための設備改善というようなことに或る程度資金が要るわけですね、そういうような計画はほどうなんですか。
  72. 石野信一

    説明員(石野信一君) 具体的な開発銀行の貸付の内容等につきましては、実は私まだ理財局次長に代りたてで勉強もいたしておりませんで、むしろ徳永局長のほうが御承知と思いますので……。
  73. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 開発銀行の金をどういうものに出しますかということにつきましては、実は大蔵省ともいろいろ相談いたしまして、産業別のこういう部門というところまでは各省意見と合せまして、これを開銀に連結しておるわけですが、それに基きまして、企業別にどことどこを考えて下さいということを通産省関係産業につきましては開銀にもお願いしておるということになつたわけでありす。  今お話ございました合成繊維の部門のうちで、合成繊維原料段階といいますか、糸の段階といいますか、糸なりスフなりの段階のみならず、それの染色とか、或いは紡績とか或いは漁網とかいうような部門、これも新しい繊維を本当に育て上げ、それの普及を図るために、当然に新しい繊維でありますだけに、加工関連部門の技術というものも進歩し、それに相応した評価がなされなければ終局におきましてはいい品物ができない。従つて需要者からもらまく歓迎されないということになりますので、従来も合成繊維につきましてはさような計らいで、元は糸なりスフなりが主になりますけれども、併せて関連産業も開銀から面倒を見る対象として取扱つておるわけです。この事情はやはり明年度も同じく続くのではなかろうかというふうに見ておるわけでありまする
  74. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それならば抽象的だけれども、例えば経審ではつきり二億二千万ダラーを三十二年度までは節約できるという、ちやんと資料できておるのですよ。二億二千万ダラーだつたか、そういう、とにかく金額は二億強ですか、節約できる。それには一体今先ほど石原君と質疑応答をしたような、はつきりした計画がなければそう権威ある数字とは言えないので、こうなるだろうといろ見込み程度のものでそれを進めて行こうとすれば、今の段階では関係業者の自己資金だけでやらせるというなら又それでもはつきりするのですが、どうしても財政投融資を伴うということであれば、かなりこれだけは必要なんだという今の石炭鉄鍋硫安等とも同じような或る程度、一銭一厘違わんというような計画はできないにしても、相当具体性のある資金計画等がなくちやならん。その点は経審の出した資料あたりと、あなたのほうの、原局の計画等はマツチしているのか、してないのか。
  75. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 経審の出しました資料よく見ておりませんのでわからないのですけれども、まあこれは、今通産省から化繊課長も来ておるわけでありますが、化繊課長のほうで立てております五カ年計画といいますか、そういうものからの資料だろうと思うわけでありますが、ただ年々の具体的な拡充計画をどの程度に見て行くかということになりますから、五カ年なら五カ年の見通しをつけながら、同時にやはり間近かの期が迫りました時期ごとに計画はやはり見ておきませんと、架空な計画を立てましても、実際の工事進捗しないことになりますので、それに応じまして、又逆に五カ年間の計画というものも多少殖えたり減つたりということに相成るわけであります。その辺の誤差が多少出て参ると思います。大筋は、経審なり政府との密接な連絡のあることでありますから、そうおかしな連絡になつていないと思います。
  76. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 経審の資料によりますと、紡績繊維関係の節約額は……。
  77. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) 合成繊維の五カ年計画を作りましたときに、大体一億ボンドで内需にどれだけ廻るかということを一応推定したわけでございます。そのとき約八千五百万ポンドが内需に廻るというふうにいたしまして、いろいろな需要、確実な需要の想定をやつてみたわけであります。その八千五百万ポンドの、従来なら綿なり毛、麻なりを使つていたそれを合成繊維に換えてみますと、合成繊維は強度なり耐久力がございますんで、約八千五百万ポンドの綿でもつて約一億五、六千万ポンドの値打が出て来る、こういうことになる。そういう点から考えますと、一億ポンドの生産の場合に、約一千万ドルなり二千万ドル外貨節減が可能になる、そういう前提をいたしておる。その一億五六千万の数字は大き過ぎるのではないかとこう思います。
  78. 奥むめお

    奥むめお君 内需八千五百万ポンドで行くと、業務用と家庭用とで、およそどんな組合になりますか。
  79. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) 大体生産資材が約半分、それから一般衣料として約半分、そういうような想定であります。
  80. 奥むめお

    奥むめお君 生産資材のほうはまあ割合にこれは宣伝もしやすいし、普及もしやすいんじやないかと思うのですね。そうすると半分の家庭用ですね、私、今案外財政投融資が大きいのにびつくりしたんですけれども、これだけの金をかけているとしたら、もつとこれを有効に使わせるのには、やはり使い方とか、品質とかというふうなものが、どうしても教育指導が伴わないと、折角の資材が無駄になると思う。これは何か今年の夏のパリで行われたスフ、人絹の会議のときにも、非常に会議の空気が、もう新しい繊維を使わせるのには、教育を伴わなければならない。消費者を教育しなければ新しい繊維は広めて行くのにはこれよりほかにはたいのだということを非常に強調したということを聞いて、私は我が意を得かりとして喜んだんですが、私も外貨節約という点に集中して非常にこの問題を取上げているんですが、婦人会のほうに取上げておりますけれども、実際に使つてみますと、大分使つてみましたけれども、皆さんが使われましたけれども、使い方がわからない。アイロンのかけ方がわからない。石鹸の質が違うと非常に傷む、こういうようなことで、従つて使つてから、やつぱり結局絹がいいのだ、木綿がいいのだという声が出ておりますのですね。これは指導がまだ足りない。殊に何か物価指数で物価は三百五十倍としても、新聞広告なんかは千八百倍と私聞いていますがね、あういう方面に随分無駄な金を使つているくせに、そういうことが親切な指導が伴わないものですから、使つてみてはみんな失望する。私自身のことを考えても、相当これは勉強して、化学繊維をよく手入れしているつもりですが、いつもメーカーがどこかということがわからないようになつている。消費者が買いますときに、これを聞いても言わないという何か仁義があるらしい。デパートで聞きましても、そこうで売つているのを聞いても、いいものをつかんだ場合にはいいんだけれども、悪いものをつかんだ場合、見たつてわからない。使つてみるとひどいものに当る。こういうふうに中小企業の非常に多いときに、運まかせでいいものがとれるか、悪いものに当るかということが随分ある。こういうことで失望されるという段階が今ふると思うのですよ。ですから私は特に国策といてこれを取上げるということは、まあつまるところ外貨節約だと思いますから、もつと真剣に、業界も真剣に考えなければいかんし、役所のほうも、もつと使わせる身になつて、対策を立ててほしいと思いますが如何ですか。例えば品質表示の問題でも、私ども戸外から声が上つても、今度は役所のほうでどうも後退したり、圧力をかけたりするのじやないかという疑惑を持ちます。今まで何遍かそういう経験を持つていますから、これを新興繊維ができましたら、一層こういう方面で対策を具体的にしてもらわないと困ると思います。
  81. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) 合成繊維は新しいものが出て参りますと、非常に従来日本人の衣料に対する嗜好といいますか、戦争中のスフに対する考え、こういう点で、どうしても純綿とか純毛に対して愛着心が強い。その中でこれを進出して参るという点につきましては、非常にむずかしい問題でありますが、その点につきましては、先ほど経審次長の話がありましたように、大体スフなり糸のメーカーは、相当これは技術的な研究もやつておるわけです。そういう点で、製品に対するいろいろな技術的な知識もあるわけです。ところが実際消費者が使いまする最終製品は、機屋にいたしましても、染屋にいたしましても、中小企業の連中がやつておりまして、合成繊維に対する技術というのもそうないわけです。そういう点で、やはり最終製品の立派なものを作つて行くということが、合成繊維の普及に一番の基本なんだと思うわけであります。この点については、技術的な知識のある繊維メーカーが、機屋なり或いは染屋というものに対する連携を固めながら、技術指導をやつてつて行く。それから最終製品につきましては、既成メーカーが飽くまで責任を持つたものを作つて行く。そういうふう最終製品責任制ということを指導いたしておるわけであります。大体私ども百貨店で見ましても、どこどこのビニロン、どこどこのナイロンというふうに、商標と申しますか、繊維メーカーの名前をつけます。それから更に使い方といたしましては、どういうアイロンのかけ方をするか、洗濯の仕方というものをつけて出すように指導いたしておるわけであります。一時単なる糸織、機織というものもあつたわけでありますが、そういうようなものが、さつき申しましたように、どこの製品かわからないというようなのが出たわけです。これば今後やはり繊維メーカーが最終責任を持つたものを作らなければいかんということを強調いたしておるわけであります。そういうところからだんだん繊維メーカーから加工業者の系列化を進めて参りまして、メーカーの最終責任制というものを更に強力にしようと、こう思つております。  それから混紡問題と関連いたしまして、品質表示の問題でございますが、合成繊維につきましては、今申しましたように、最終製品に対する使い方を親切に書いて行くということでやつておるわけであります。更に今後スフ或いは醋酸繊維、合成繊維というものでもつて従来の編入の繊維に換えて行くということを今後更に進めますならば、更に品質表示ということはどうしても考えなければならんということで、どういう方法でやるかということを現在検討中でございまして、やはり混紡の制度を進めて行くとするならば、どうしても品質表示はつきものである、そういうような現在の考え方で目下検討中であります。
  82. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 今の段階で一番まとまつた需要としては漁業用でしよう、多く量的には。
  83. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) そうです。
  84. 小林政夫

    委員長小林政夫君) この漁業関係ではどういう計画を持つておりますか。
  85. 小池弥一

    説明員(小池弥一君) 御承知のように合成繊維漁網はすでに試験研究段階を脱しまして、昨年度あたりから本格的に取入れられて来ておるわけでございます。それで只今大体漁網の年間の補充量は、網とそれから綱、合せてでございますが、綿糸が約二千五百万ポンド、それからマニラ麻が五千万ポンドとなつております。それで綿糸は全部網に使うものでございますが、マニラ麻の五千万ポンドのうち約一千万ポンド程度が網に使われております。残りが綱でございます。それから現在の合成繊維漁網、網とそれから綱と合せて普及状況は三・四%になつております。それから網だけで七・二%になつております。それで技術的にまだこれから工夫して参らなければならない点があると思いますが、例えば北洋の鮭鱒漁業等につきましては、全部ナイロン漁網に変つて行くというような現状でございます。  それから現在までの利用状況を見ますと、大体大きな漁業者が多く使つておりまして、中小漁業者はそれに比べまして非常に少い。例えば二十八年の実績で、全体で二百五十万ポンド余新しい合成繊維漁網が追加されたのでありますが、その中で七一%が大きな漁業者、二九%が小さな漁業者ということになつております。我々といたしましては今後の方向といたしまして、いいものであることにはこれは間違いございませんので、中小関係の漁業者に金融の面を何らかの方法で面倒を見まして行わせるようにいたして参りたい、かように存じております。
  86. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 金融の面で面倒を見るというのはどういうことですか。
  87. 小池弥一

    説明員(小池弥一君) 只今のところは、金融の面では中小漁業融資補償法に基く補償融資によつて大部分のものが行われておるのでありますが、これだけでは十分でないので、来年におきましては、農林漁業金融公庫からの融資等につきまして努力をして参りたいと思います。
  88. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それはどのくらいの額を予定しておるのですか。
  89. 小池弥一

    説明員(小池弥一君) これはまだ、私のほうでラフに計算したのでございますが、大体今七億程度のものを考えております。私のほうだけで計算したのであります。
  90. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それは省議として決定をして大蔵当局と折衝をしておるのですか。
  91. 小池弥一

    説明員(小池弥一君) これは私のほうから金融課のほうにこの数字を出してございまして、この数字で一応大蔵省のほうに折衝をしておると思います。
  92. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 大蔵当局聞いていますか。
  93. 石野信一

    説明員(石野信一君) 一応全般的な要求は出ておりまして、只今具体的な内容を聞いておるという程度であります。
  94. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 岡嶋君のほうで、漁業用関係は、そういうふうに消費者の融資までやつて普及をしよう、一般の織物織布関係等ではそこまではまだ考えなくても行ける、特に先ほども企業局長になにした関連の染色織物等の設備改善の段階ですか。
  95. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) 今の水産庁でおつしやいましたのは、結局まあ買うほうの資金になるわけでございますが、私のほうで考えでおりますのは、作るほうの資金になるわけでございます。で、やはり先ほど企業局長から申しましたように、繊維だけ作りましても、やはり製品を作つて行くということを考えなければ、やはり相当高度な繊維でございまして、而も技術的に未熟な中小企業ではなかなかいい製品はできないという点があるわけであります。そういう点で、やはり合成繊維の性能を発揮した製品ができるような加工設備を作つて行くということが必要になるわけでございます。昨年も大体紡績、それから染色、漁網、こういうようなところに開発銀行の融資をしましたほか、特に中小企業につきましては、中小企業金融公庫のほうからも融資を見ておるわけであります。本年におきましても引続き原糸の生産に見合つた程度の加工設備の増強ということも考えておりまして、そういう点で本年も漁網には若干の融資を考えて行く、こう思つております。
  96. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから私は一般の織物関係においては、開銀資金の対象となるようなものよりはむしろ中小企業金融公庫の対象となるような設備改善資金が必要じやないか。むしろこの合成繊維の普及をする上においては、設備改善資金として関銀の対象となるようなものはかなり大きいので、一般に染色或いは織物業者は中小企業が多いのですから、そういう点はよく中小企業資金、今度月平均二十五億というような概算の中には予定されておるのですか。
  97. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) 中小企業金融公庫のほうは概算のほうに入れておらんわけでございますが、大体まあ金額は個々には小さいものでございまして、昨年も実は中小企業金融公庫から、約二千万円ほどの金が出ておるわけであります。今年は中小企業金融公庫の運用につきまして、こういうふうな合成繊維のような重点産業というようなものには格別の優先的な融通をしてほしいということを、まあ繊維局から中小企業庁に申入れようと、こう思つておりますが、個々には全額は小さいものでありまして、今のところどのくらいの件数で幾らかという計算もつきにくいわけです。実際どういう具体的な計画が出て参るかということを見て、個別に融資を考えて行く、そういうふうにして十分行けるのじやないか、まだまあ業種としては優先的な扱いをしてもらうというふうに申入れたいと思います。
  98. 小林政夫

    委員長小林政夫君) それから経審からそこにあなたにお見せした資料が出ておるわけですが、それと併せて一体何カ年計画とか何々計画といつても、大蔵当局と十分打合せ資金の裏付けのない計画を言われるので、関連業界は思惑違いの面もあるし、又いろいろ我々も見込み違いをしますからね、政策的に。そこで十分大蔵、通産、経審、或いは水産庁等と十分打合して、実際に三十二年度において合成繊維の普及によつて外貨節約がどうなるのか、はつきり資金の裏付けのつく話で一応そういう確信ある、今の段階において確信のある見込みの推算をやつて資料として出して下さい。それは特に毛の織物においてこうだ、綿はこうだ、麻織物はこうだ、用途別に水産関係はどうだと、ただ漫然とこれだけの増産になるからこれだけ外貨が節約になるというのではどうも危ないと思うのです。特にアミランあたりは絹の代用になる、絹だつたらそれだけ国内の絹の消費節約になるかも知れないが、同時に輸出余力はできるかも知れんけれども、当面外貨節約にはならん、輸入原料でないから。
  99. 岡嶋楢文

    説明員(岡嶋楢文君) この経審の資料でございますが、ちよつと算定しました金額が低いのではないかという気がします。これは大体合成繊維でもつて綿にとつて代るというような計算でありまして、羊毛のほうの金額が出てないのじやないか、そういうふうに見られるわけですが、そういう点で多少私どもで算定しました金額より低いのではないかとこう思つております。  それから今後の傾向なんでありますが、まあ五カ年計画を作りますときに、どういう用途に合成繊維が向くかどうかということを考えてみて、実際使つてみますと、先ほど申しましたナイロンが絹に代るということを考えまして、実際ナイロンとスフと混紡になつて、それが羊毛製品に代つて行くような新しい用途も出て参ります。そういうような点でナイロンのほうは当初予想しましたよりも非常にいろいろな用途部面が出て参ります。そういうような点で非常に需要想定というものがむずかしいわけです。ですからこれだけの合成繊維を作れば、それに応じてこれだけの量の輸入原料が節約できるのではないか。その程度のことしかできないのじやないか。それからもう一つのほうは、飽くまで自由経済の上でやる計画でございまして、これだけのことをいたしましても、実険やる気運が出て参るかとということが問題です。勿論こういう計画を作りました以上は、そういう絹が進出しやすいような基礎を作つて行くということも必要でございますが、やはりやるものが出て参りまして、この計画が実現できるわけです。その点で極力進出しやすいような素地を作ろうといたしましても、なかなか今後の想定はむずかしいわけです。こういうような特に最近のビニロンの現状を見ましてそういう感じがするわけであります。
  100. 小林政夫

    委員長小林政夫君) 本日はこれをもつて散会いたします。    午後四時九分散会