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1954-05-07 第19回国会 参議院 外務委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月七日(金曜日)    午前十一時二十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君            曾祢  益君    委員            西郷吉之助君            杉原 荒太君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            中田 吉雄君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    外務省条約局長 下田 武三君    特許庁長官   石原 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   説明員    外務省経済局次    長       永井三樹三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会の運営に関する件 ○万国農事協会に関する条約失効に  関する議定書への加入について承認  を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○第二次世界大戦影響を受けた工業  所有権保護に関する日本国とスウ  エーデンとの間の協定締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付) ○通商に関する日本国カナダとの間  の協定批准について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今より外務委員会を開きます。  先ず昨日の委員長及び理事打合会の結果について御報告いたします。昨日の打合会では、先ず議題となつておりまする各案件の取扱について協議をしたわけでありまするが、とにかく会期が明日まででありまして、この既定の会期内に全部を上げるということは、これは到底不可能なことでありまするので、それにつきましては一週間延長をすることができたならば我々のほうの案件はすべて片附くのではなかろうかという、そういう見当からして日取を繰つてみたのでありますが、それで委員会開会のこの日取から申しますると、先ず七日の本日とそして来週十日の月曜日、十一日の火曜日、十三日の木曜日、本日を入れましてその四日間で大体片附けることができるのではなかろうか、若し片附かなかつた場合には、その次の週間の月、火、水の三日間、十七、十八、十九の三日間をこれに充てよう、こういうような了解でありました。そうして本日の委員会におきましては、先ず余り問題のないものから採決をして行こうというので、第一は農事協会関係協定、それから日本スウエーデンの間の工業所有権の問題、この二つは簡単に上がると思うのであります。できれば日本カナダ通商協定、これも本日上げることができれば、こういうことであります。その次に議題としたいと思いまするのは国連関係協定であります。こういつたような順序でやつて行こうということに昨日話合ができたのであります。つきましては以上の通り取運びたいと存じますが、さよう御了承をお願いできますか。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではその通りに運んで参ります。  では第一に万国農事協会に関する条約失効に関する議定書への加入について承認を求めるの件を議題といたします。これより質疑に入ります。……別に御発言もないようでありまするからして、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。  別に御発言もないようでありまするので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは討論は終局したものと認めます。これより本件について採決をいたします。本件承認することに賛成方々の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて本件は原案通り承認すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつて、あらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりまするが、これは前例通り委員長に御一任願います。それから本院規則第七十二条によりまして、委員長議院に提出する報行書につき多数意見者署名を付することになつておりまするから、本案を可とされた方々は順次御署名を願います。   多数意見者署名     佐多 忠隆   團  伊能     西郷吉之助   宮澤 喜一     羽生 三七   中田 吉雄     梶原 茂嘉   鶴見 祐輔     杉原 荒太
  7. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に、第二次世界大戦影響を受けた工業所有権保護に関する日本国スウエーデンとの間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 これは先に承認されたこのスイスその他各国との同種の協定と同じもので、内容的に別に何も変つたところはないと了解していいのでありますか。
  9. 下田武三

    政府委員下田武三君) この協定は今までに御承認を瀬いましたドイツスイスデンマーク協定と殆んど同一でございますが、ただ一点、この協定にありまして他の協定にない事項がございます。それは本協定の第五条の第二項で、無効となりました商標権出願効力回復するという規定がございます。この点だけは実は他の国は先方からそういう事項を盛る希望がございませんために規定いたさなかつたのでございますが、スウエーデン側は、戦時中時日の経過のために無効となりました商標権出願につきまして、やはり効力回復する規定を置きたいということでありまして、先方希望を容れまして入れたわけでございます。この点だけが相違でございます。
  10. 杉原荒太

    杉原荒太君 この協定ができた場合に、この協定の適用を実際に受けるであろう具体的のケースというものは、日本スウェーデンそれぞれどういうものですか。
  11. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お答えいたします。この協定によりまして、第一には相互優先権主張期間が延長されるわけでございます。具体的に申しますと、本来ならば工業所有権同盟条約加入しております国に先に出願いたしておりました場合に、一年以内に日本出願をいたしますと、その当初出願をいたしました日に出願されたものとみなされる優先規定がございます。スウェーデンはその期間中にそういうことができませんでしたために、この規定によりまして、この協定成立後六カ月以内にさような主張をいたしますれば、遡つて優先権主張ができるという規定がございますが、これは果してどの程度のものが今後日本優先権主張してスウエーデンから出て参りますかは、これはちよつとわかりかねます。現在まで終戦後に出願せられておりますスウェーデン出願件数は約三百七十件ばかりでございます。それで今後この規定に基きまして優先権主張する件数というのはちよつとはつきりわかりませんが、今申しましたように、年に百件足らずの件数でございますので、そのうちどの程度出て来るかはちよつとはつきりした数字は申上げかねます。逆の場合で日本スウエーデンに出ます場合も同じように、これもちよつとどの程度になりますかわかりませんが、日本が現在スウエーデン出願しております件数は極く年に数件程度でございます。従つてこれも大した件数ではないと存じます。  その次に戦時中いわゆるこの協定規定しております期間中に消滅した権利で今回回復の対象になる権利がございますが、これはスウエーデン日本に持つておりました権利で消滅いたしましたのが七十四件でございます。このうちどの程度のものがこの協定に基きまして権利回復して来るかはつきりしておりませんが、全部で七十四件でございます。  それから一点、出願をいたしましてその権利になる前に出願無効となりまして消滅したものが今回この特例によりまして出願回復して来るというものもあるわけでありますが、これはちよつとはつきりした件数がわかつておりません。併しこれは大した件数ではないかと思います。日本が先ほど申しましたような意味におきまして、スウエーデン曾つて権利を持つてつて消滅し、この協定によつて回復権利が生じたという件数も、実はこれはスウエーデンに持つておりました権利につきましてはちよつとこちらに判明をいたしておりませんが、具体的な件数は申上げかねますが、これも出願その他の件数から見まして大した件数ではないと思います。全般的に申しまして、かような協定ができましたドイツが一番相互権利が多く、その次にスイスでございます。その次に本件スウエーデン、その次に先般御審議を頂きましたデンマーク順序になります。
  12. 杉原荒太

    杉原荒太君 今お尋ねした点はわかつたのですが、もう一つ工業所有権の中で権利の性質によつて区別して、特許権とか実用新案とか商標権とか、大体そういうのが出て来るのはどういうものが多いのですか、わかつている件数の中で。
  13. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今申しました消滅した権利七十四件につきましては特許が五十六件ございます。実用新案が二件、商標が十六件、合計七十四件。それから現在スウエーデン日本に持つております権利のうち、これは総数で三百七十六件ございまするが、特許が百九十一件、実用新案権が二十二件、意匠権がございませんで、商標権が百六十三件ということになつております。
  14. 杉原荒太

    杉原荒太君 これに附属して交換公文が附いているのだから、今度の協定平和条約規定の中に影響を及ぼさないという当り前の、むしろああいうことをやるほうが却つて疑問を起すくらいなんだが、それは一体どういう事情から。
  15. 下田武三

    政府委員下田武三君) 平和条約の第十六条に、中立国にあります日本資産赤十字国際委員会に引渡すという条項がございます。それで日本平和条約の十六条の関係からしますと、この資産も厳密に言いますならば、日本国資産としてこれを赤十字に引渡さなければならないのではないかという疑問が出て来るわけでありますが、これはスウエーデンのみならずスイスもそうでございますが、こういう個人の発明とかいう私的所産である私権というものを、如何に平和条約といえども敗戦国のそのような財産を取上げるということは、所有権尊重根本原則に反する。中立国としては平和条約拘束は受けないのだから、そういう私権を蹂躪するような規定拘束は受けたくないという中立国かたぎと申しますかそういう考えがございます。これはドイツの場合にも日本の場合よりも先にスイス等が強く連合国側に対して主張した点でございますが、日本の場合でも中立国側はそういう根本的な態度をとつております。これに対しましては連合国側も強いてそのような個人財産にまで手をつけようという考えがないので、実は連合国側も不問に付しておるような状態で、実際問題としては紛議は起らないと思います。そこで日本としては一方平和条約の当時国として、十六条で在中立国財産赤十字に引渡すという義務は負いながら、地方で中立国のそのような根本的態度に直面いたしておりますので、日本としては平和条約義務を無視することはできないという日本側立場と、そのような個人財産権を蹂躪することはできないという中立国側の根本的な態度との妥協を図るために、日本としては平和条約規定に何らの影響を及ぼさないという建前を表明すると共に、中立国側は、平和条約はおれの国の関知しない第三国間の条約であるという無関係立場を表明することによつて双方建前だけを貫くという必要がございますので、こういう交換公文をやつたのでございます。併しこのコントラデクトリーな双方立場を表明しまして、一応の建前の貫徹を図りましたわけでありますが、その結果実際問題として紛争が起るようなことは、先ほど申上げましたように連合国側が強いてこのような個人財産にまで手をつけようとしないという現実的な態度によつて、実際上の紛争の起る可能性は全くないと存じております。
  16. 杉原荒太

    杉原荒太君 今のは第三国との関係交戦国との関係においては、日本交戦国との関係、それからスウエーデン交戦国との関係、その問題は一つも法律的には解決されてないですね。
  17. 下田武三

    政府委員下田武三君) 法律的には正に仰せの通りでございます。
  18. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに御発言はございませんか……質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないものと認めます。これより討論に入ります。御意見のある方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて、これより採決に入ります。第二次世界大戦影響を受けた工業所有権保護に関する日本国スウエーデンとの間の協定について承認を求めるの件について採決をいたします。本件承認することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  20. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 全会一致であります。よつて本件は原案通り承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりまするが、これは前例通り委員長に御一任願います。  それから本院規則第七十二条によりまして委員長議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりまするから、本件を可とされたかたは順次御署名願います。   多数意見者署名     佐多 忠隆  團 伊能     西郷 吉之助 宮澤 喜一     羽生 三七  中田 吉雄     曾祢  益  梶原 茂嘉     鶴見 祐輔  杉原 荒太   —————————————
  21. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次に通商に関する日本国カナダとの間の協定批准について承認を求めるの件を議題といたします。質疑のあるかたは御発言を願います。
  22. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この協定カナダ政府との交渉昭和二十七年十一月からお始めになつたようですが、非常に長い期間に亘つていろいろ交渉されたことになつておるんじやないかと思うのですが、これは普通の慣例と比べてその期間はどうなのか。それから若し普通、その他の場合よりか期間が長かつたとすれば特にどういう問題が問題になつてそう長い期間を必要とされたのが、その辺のいきさつを少し御説明願いたいと思います。
  23. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) この協定交渉を開始しましてから調印するまで御指摘のごとくかなり時間がかかつておりますが、ただ特に特別な理由があつて長くなつたというわけではございません。ただその間日本ガット加入問題等もございました。カナダ側といたしましては、この協定成立と見合せて日本ガット加入宣言にもサインしたいというような意向を持つておりまして、他の宣言成立の模様を見ていたと思われる状況もございます。又この協定が事実上成立してサインするばかりになつた折に丁度我が方の大使の更送等もありました関係上、サインが事務的に若干延びたという程度でございまして、特別に長期を要したという理由はございません。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この協定の第三条にいう国際収支を擁護するため、非常に差別的制限を行うことができるという規定ですが、これは具体的にはどういうことになるのですか。
  25. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) これは第三条におきまして「国際収支を擁護するため」という言葉を使いましたのは、ガットを初めといたしまして戦後の通商関係協定に常に採用されている条項でございまして、即ち輸出入制限、特に輸入制限につきましては、できれば無差別待遇で行くべきであるという原則に対しまして、実際問題といたしまして戦後の各国対外為替状態国際収支状態からして、無差別輸入制限を解くということはできない。従つて対外為替ポジシヨン或いは国際収支のために止むを得ない場合は輸入制限が行われることを認めるというのが戦後の各条約における慣例となつておりまして、この第三条におきましても第一項で輸入制限を無差別にするという原則規定を置きました関係上、それに対しまして例えば日本国際収支は非常に悪いために、止むを得ない場合は輸入制限をすることができるという余地を残したものであります。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この場合、今の貿易収支状況で具体的にこの問題が問題になるような事情があるのですか。
  27. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) ここには簡単には書いてございますが、ガットの手本になりました国際貿易憲章を見ますと、国際収支擁護のためということは、実は通貨準備即ち正貨準備現実に非常に危険な状況にまで減りつつあるか、又は減る虞れのあるような場合にはというふうにもう少し具体的に書いてございまして、大体それと同じことを受けて、ガットそれから平和条約その他の協定国際収支といつたことが記されてあるわけでございます。  それと同時にもう一つは、非常に日本通貨準備が低い場合に、その国の通貨一般経済関係の所要のためには、もう少し通貨準備をふやさなければいけないというような場合には、その段階に達するまでは通貨準備が下足な状況にありますために、或る場合にはリーゾナブルな状態にまで増加するまではこの国際収支擁護ということが働くというのが大体の趣旨であります。日本現実の場合をとつてみまするならば、或る程度現在の外貨準備というものは必ずしも日本経済の規模からして十分なものだと認められませんので、現実日本が今ガットに入りましても為替許可割当という制度をとつておりますのは、国際収支擁護のために必要であるという理由から国際的には認められておるのであります。
  28. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一般的に認められておるわけでしようが、従つてこの協定に基いて日華の間で具体的に今貿易或いは為替制限の問題で何か差別的な運用がなされておるかどうか、具体的にどういう状況になつておるか。
  29. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 特に日華の場合と限定してどの品目ということはちよつとむずかしいと思いますが、現在の日本為替制度でございますと、例えばドル地域ポンド地域オープンアカウント地域との三つに分れております。それで物によりますと、ドル地域からの輸入についての予算は限定されておりますために、その予算を食つてしまえばドル地域から輸入できない。オープンアカウント或いはポンド地域から輸入するというように、通貨別区切りが設けてあります。この区切りがあるということが制限だというわけであります。従来までですと昨年までの例えば日本外貨割当制度で申しますと、例えばパルプのごときはオープンアカウント地域から幾らドル地域から幾らというようにきめてありましたために、それを食つてしまえば、ドル地域予算を食つてしまえばカナダから輸入ができずに、値段の如何にかかわらず予算のある地域、この場合はポンドでありませんがオープンアカウント地域から輸入しなければならなかつた、こういう点がこの制限になるというわけであります。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 第一条の第一項には無条件にまあ最惠国待遇を与えて、一見非常に平等なように、互恵なようになつていますが、この第一条の第五項ですね、「カナダ英連邦構成国及びアイルランド共和国に与える排他的な利益については、適用しない。」という関係従つて英連邦の間に強力な輸入制限措置をとつて連邦利益を擁護しているのですが、この規定によつて日本の対華貿易に対してこの規定があるためにカナダに一方的な利益を与えるということに終る虞れがあるのじやないかと思うのですが、如何ですか。
  31. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) お答えいたします。第五項に規定されておりまする「排他的利益」ということは、これは第一条はすべて関税に関することでございまして、関税についてカナダ英連邦構成国に与える排他的利益と申しますのは、いわゆる英連邦特惠関税制度を指しておるわけであります。この特惠関税制度は、ガットにおきましても、ガットの第一条に無条件最悪国待遇を定めつつ、同時に附属別表英連邦その他の国の特惠関税も含めておりますが、この場合についてのみ申しますと、英連邦特惠関税制度は一般最惠国待遇例外規定であるということを設けてあります。同時にガットにおきましては一定の特惠の率というものが、このガットができました当時の率をふやさないという義務英連邦諸国に課しておるわけであります。従つてカナダガット加盟国として現在以上に特惠をふやせないという義務を背負つておるわけであります。これはその関係関税に関する限りは特惠関税制度はこれは止むを得ない。我が国としてはこれはなくなることを希望いたしますけれども、現在の国際協定の下においてすべて認められておる関係上認めざるを得ない状況であります。かと言つてこれがこのために不平等になるということは特に日本カナダに関する限りは、日本のみ特に不平等になるということはないのでありまして、一般の自分の特惠関税を持つていないガット加盟国すべてと日本が同じ立場に立つわけでございます。それから先ほど申しましたように、これは輸入禁止をするとか数量を制限するとかいう点にはこの第一条は関係ございませんし、現にカナダ関税以外には輸入制限はしておりませんので、その点からの特に制限を強化されるという点はございません。
  32. 中田吉雄

    中田吉雄君 この英連邦相互利益を擁護するためにとつておるような措置ですね。そういうものの動向は如何ですか。日付ははつきりしませんが、連邦首相会議かなんかやつて特に対共産主義貿易の打開をやるというようなための決定をしたことも知つていますが、それとは別にやはり冷戦が緩和して、国際貿易競争か烈しくなるので、それ以外のいろいろな措置をきめたように思うのですが、その関係はどうですか。
  33. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 英連邦は全部、これはカナダだけはちよつと特別な地位にありますのは、英連邦の中で今の御指摘のような問題に関しまするとか、カナダだけはこれはポンド地域から除外されております。即ち政治的には英連邦の中にありながら、カナダはむしろドル地域として英連邦内部でも取扱われております。で、英連邦ポンドを共通の通貨としております関係上、定時会合いたしましてお互いの経済政策協調という政策をとつておることはまさに御承知通りでございますが、それは飽くまで協調でいろいろな政策をきめるということでございまして、例えば昨年英連邦諸国が会合いたしまして輸入制限を強化するというような政策をきめました場合には、英連邦各国別輸入制限が強化されたというような事態が起きたことはございますが、これは別途日本英連邦ポンド地域との協定によつて事態を打開しつつあるわけでございます。カナダについてはポンドという共通のべ一シスに立つておりませんので、やや独立した政策をとつております。  なお中共共産圏貿易等につきましてはカナダは、私どもの知つておる限りにおいては、アメリカとむしろ密接な、アメリカに近い政策をとつておりまして、この点におきましても英連邦内部においてやや変つた地位にあるのであります。
  34. 中田吉雄

    中田吉雄君 最初に質問しましたときにこの第一条の第五項の規定は、そう不利にならんように言われたのですが、対カナダ貿易日本との輸出入主要品目にアンバランス等非常にある国ですが、私はやはりこの規定があることによつて日本カナダ貿易のアンバランスの調整に非常に支障を来たすと思うのですが、実際の今のカナダ貿易収支主要品目との関連においてもう少しはつきりして下さい。
  35. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 英連邦特惠関税が存在するということは、確かに英連邦諸国カナダに物を売る場合に、英連邦諸国商品に有利な地位を与えることは御承知通りであります。ただ具体的に英連邦諸国商品日本商品とがどの程度競争力があるかないかという問題は、これは又別な問題で、商品によれば特惠関税があつて英連邦と競争し得るものは日本にもございます。例えばカナダに限らず他の英連邦諸国日本の綿布が特惠関税にもかかわらずむしろ十分イギリス或いはインドの綿布と競争しておるというような事実もあります。これは一般的に申しますならば、英連邦諸国の産品に有利なものであることは間違いないのでありますが、ただ日本といたしまして、この英連邦特惠関税というものは各国から現在認められたものでありまして、これをやめろということは事実問題としてできないわけでありまして、この点において現在世界全体から見て特惠関税というものは動かし得ない事実と認めるよりほかないと思います。
  36. 中田吉雄

    中田吉雄君 カナダとの貿易収支の動向、主要商品別の関係においてそれをちよつと。
  37. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) これは主要商品別の収支の動向と申しましても昨年度の輸入はたしか一億四百万ドル輸出が千九百万ドルという非常なアンバランスになつていることは昨日申上げた通りであります。今後これがどの程度になる可能性があるという点につきましては、商品別に取上げるということも非常にむずかしいのでありまして、又日本から出る可能性のあるものについて昨日申上げましたような関税のレダクシヨンが行われます関係上、あと日本の努力によつては千万ドルくらいの増加を来すことは可能であろうという程度でございまして、政府部内におきましてもこういう協定に基いて各国別に、商品別に輸入、輸出になるものを計画して行なつているというわけじやございませんので、これは細かい数字として申上げることは申上げかねる次第でございますので御了解願いたいと思います。
  38. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 昨日もその点を御質問したのですが、今のお話のように輸入が一億四百万ドルで輸出が千五百万ドル程度の非常に大きなアンバランスで、そのアンバランスを少しでも調整しようというのでこういう協定をなさつたと思うのですが、それを機会にやつぱりもう少し国別特に商品別にどう伸ばすべきかということを特殊対策としてもつと積極的にお考えになる必要があるのじやないか。ただこの協定の結果関税がこれだけ少くなるから、自然的に、結果的にまあ更に一千万ドルぐらいは伸びましようというようなことでは、このアンバランス是正の問題には、まあ若干役立つかも知れませんが、そう大して役立たないと言つていいので、アンバランス状態は依然として続いて行くというような状況じやないかと思うのです。そうだとすれば、もう少し各品目別にもつと計画的こ積か。
  39. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) これは十分私どもの申上げました点が徹底しなかつたかと思いますが、勿論私ども輸出の増進を図るためにあらゆる努力をしておりますし、又この協定によつて関税を下げるような協定を結ぶということもその努力の一つ考えております。勿論これを以て足ると考えておるわけじやございませんので、ただ輸出の促進につきましては例えばみかんだとか、ミシンだとか、カメラその他有望なものにつきましては、それぞれその品目に対応した振興策が必要なんでありまして、一概に抽象的に一般的に手をつけるわけに行かないと思うので、一般的には勿論昨日申上げましたようにトロント見本市を利用してこの際日本商品の宣伝を更に強化する、或いはミッシヨンを派遣して売込みに努めるということをやはり考えておりますが、商品別となりますると、これは個々の業界と密接に関連しつつ、輸出を伸ばして行くというそれぞれ商品に適した方策がございますので、この点は通産省において業界と関連をとつて進めておるわけでございます。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは只今のような話では、こういう協定を結んで佐多委員の言われたような通商政策が伴わん限りは、カナダに対して一方的に今の貿易のアンバランスというカナダの特権を事実上認めることになると思うのですがね。
  41. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 もう少しその点何か通産省あたりとよく御相談になつて輸出見込なり何なりをもう少し、例えばみかんが三十五セントのやつが無税になつたら従来の実績からみればこれぐらいだが、無税になつたためにこれぐらい伸びるのだとか或いは更に無税になつたことに関連をして更に市場開拓を具体的にこういう点に手をつければこれくらいになるのだとかというような一つ一つ細かい個々の物資別の振興対策、見通しというようなものを、もう少し熱意を持つてお示し願えないのですかね。これはまあ外務省だけでは無理でしようが、或いは通産省あたりともう少し連絡をとつて、通産省あたりではもう少し具体的に考えてもいるでしようし、そこいらをもつとはつきり積極的に御説明願いたい。
  42. 中田吉雄

    中田吉雄君 それと関連してこういうアメリカ日本との貿易も随分アンバランスがあるのですが、日本貿易で一番これがアンバランスがあるのじやないかと思うのですが、やはりそういう点は、市場転換でもするとか、いろんなことについてもつと有利に日本の輸出が振興できるような措置をとつて、仕入先の市場の転換をやるというようなことを以て迫つたりして、強硬な折衝をされるというようなことはないのですか。まあ佐多さんの質問に関連してそういう点。
  43. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 勿論可能な場合におきましては、私どもも国別の交渉におきまして市場転換を考えてバランスの調整を図るという努力はいたしておるわけであります。ただ具体的な問題といたしますると、昨日申上げました通りカナダから日本が購入しておりまするものは、大部分が小麦であり、大麦であり、パルプであるというような重要な食糧品であり又重要な原料品でありまして、なぜカナダに買付を集中しておりますかと申しますると、比較的カナダがこういうものについて品質、価格等において日本に合つているということから、こういう重要な原料品を強いて転換して高くて品質の悪いものを求めるということが、仮に或る程度できますといたしましても、これは長い日本の輸出産業の点から見ますると、却つてコストを上げるというような逆の効果も考えなければならないわけでございます。勿論可能な限りにおいては、今日までもバランスの調整をするのに消極的な意味で輸入を削減するというような点は常に考えてもおりまするけれども、これはその結果日本経済に生ずるところの不利な影響考えなければなりませんので、実際問題として、方針としては誠に御尤もでそういうふうに努力しておりまするけれども、現実的にそれを具体化するということになるとそれには非常に障害が伴つて来る次第でございます。
  44. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、輸入がおつしやるように小麦であつたり、大麦であつたり、パルプであつたり、木材であつたりするならば輸入はそれでもいいのですが、問題はそれだけの多量な一億を越える輸入をしておいて、千五百万ドル、まあせいぜい二千万ドルか二千五百万ドルしか伸びないということに問題があるので、これだけ多額な輸入をされるのならば、それに見合うような少くとも三千万ドルなり、或いは五千万ドルなり長期三年なり五年ぐらいの先を見通せば、バランスを取戻すというぐらいの輸出に対する積極的な熱意、努力、態度、計画、そういうものがおありになつて然るべきだと思うのですけれども、それらは大してお考えになつていないのですか。
  45. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 輸出をできればバランスに近付くところまで伸ばしたいという熱意は十分持合せておりますし、又そのために努力もいたしておりましたし、今後もいたす考えでおりますが、実際問題といたしましてカナダの人口は大体アメリカの十分の一だつたかと思いますが人口。それからその国の消費の事情から申しまして、日本がコムペチチチヴに出し得る品物というものが残念ながら昨日申上げましたようなみかんだとか、お茶だとか、若干の綿織物だとか、にしんだとか、カメラとかいうふうな全体としてなお一億ドルというふうな上に上り得ないものでございますために、アンバランスが非常に大きいのでございまして、勿論カナダにおいて最近東部地方において開発事業が非常に進んでおります。その進んでおりまする開発事業に関連いたしまして、スチール、パイプとか鉄鋼製品などが日本から売り込めば、これはかなりな巨額に達するという見込がありまして、これも或る程度有望だと私どもは考えて研究しておりますが、そういう大きな需要がありますものにつきましては残念ながら現在までのところ日本品そのものは非常に割高であるために如何ともしがたい。如何ともしがたいと申しますと放任するようでございますけれどもそうではなくて買つてくれない。需要が多くないものについては如何に計画をしてもうまく行かないという事態があります。これは通商政策ばかりでなくて日本経済全体としての見方からこういう問題はアタックして行かなければいけないと思いまして、この点はそれぞれ関係省でも常に真剣に考慮されているところでございますからその点申上げます。
  46. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これは戦前には日本カナダとの貿易状況はどうだつたのですか。ずつと前からこんなにアンバランス。
  47. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 戦前のここに表がございますので申上げますと、戦前も非常なアンバランスでございます。
  48. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どれぐらいになつておりますか。
  49. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 昭和十一年をとりますと輸出が千四百万円でございまして、それに対しまして輸入が七千三百万円という大体そんなアンバランスになつております。
  50. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 円でございますか。
  51. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 円でございます。これは戦前の、昭和十年になりますと、輸出の七百九十万円に対しまして輸入が五千二百万円というふうに非常なアンバランスになつておりまして、これは戦前からカナダとの貿易日本がアンバランスになつていまして、あらゆる手を尽しまして或る時期におきましては無理をしてカナダ通商擁護法という法律を適用してカナダからのものを不買をやりまして、そうしてバランス調整を図ろうとしたこともありましたけれども、何しろ輸入すべきものが日本の必需品でありましたために、その不買も却つて日本が苦しくなる程度で成功しなかつたようなわけであります。カナダ経済日本経済の性格からしてどうも非常なアンバランスがつきまとつておるのが実は日加貿易の現状でございます。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 昭和十一年は輸入は七千三百万円ですか。
  53. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 輸入が七千三百万円です。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうですが。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 このカナダ輸出が振興できない理由日本の物価が高いというのですか、先に言われたように人口が少くて購買力が伸びないというのですか、どういう点にあるのですか。
  56. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 要するにそのいずれもが理由になつているわけでございまして、向うの消費物資として日本から出し得る消費物資の範囲がかなり少い。日本からいわゆる特産品と称すべきようなみかんだとかそういう種類のものしか向うの消費市場に日本から行かない。若し開発事業に使うような機械とかそういうものが行けばもつとずつと伸びるはずでございますが、そういうものについては日本の価格が割高なために阻まれておる、こういうのが実情でございます。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 MSAの協定の際にカナダ小麦の品質について質問した際には、むしろカナダの小麦がよくないような説明があつたのですが、例えばブラジルやアルゼンチン等に仕入地を転換するというふうにすればもつと輸出が伸びる可能性がありはしないかと思うのですが、そういう関係はどうなんですか。
  58. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) カナダの小麦が品質が悪いと申したことはありません。カナダの小麦とアメリカの小麦とは品質が違うということは申したかと思います。即ちカナダから買います小麦は硬質小麦と申しまして、主として。パンを作るのには欠くべからざる性質を持つております。アメリカから買つておりまするのは主として軟質の小麦でございます。これはうどんその他に使う、用途がそれぞれ違つておりまして、このカナダの硬質の小麦を必ずしも他方へ転換をできないのでございまして、同時にアルゼンチンその他へ仮に或る程度転換しようといたしましても、価格の点において必ずしも日本自身のために不利な影響を招く場合もあることを知らなければならないということを先ほど申したのであります。
  59. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 ちよつとそれに関連してお伺いしておきたいのですが、船はどうなつていますか。どこの船で運びますか。
  60. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) カナダの場合でございますが、これは船については全然業者の自由ということになつておりますので。
  61. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 この協定関係なく実際どんなになつていますか。日本の海連はどのくらい。
  62. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) これにつやましては小麦、大麦の購入につきましては食糧庁でテンダーをしてとつております。その結果小麦の価格プラス・フレートが日本着で安いものから食糧庁でとつておりますので、日本の船のほかに第三国船が多くなりますると、日本の船が競争に負けるという事態もときどき生じておりますが、平均して概して申しまするとこの食糧を積むとにはできる限りは日本の船が利用されております。
  63. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 そうしますと今の数字のほかにインヴイジブル・トレードでカバーするということもあるのでございますね。
  64. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) その通りでございます。
  65. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 もう一つ。今みかんがどのくらい出ておりますか。つまり伺うのは昭和十一年の数字と去年の数字と比べて頂いて減つておりますか、ふえておりますか。
  66. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) ちよつとはつきりした具体的な数字を持ちませんが、大体今二百万箱ぐらい出ているそうでございます。大体戦前よりちよつとふえた程度出ているそうでございます。
  67. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 と申しますのは、日本のみかんの競争相手はカリフオルニアでございましよう。そうするとカナダで聞いたのですけれども、日本のみかんのカリフオルニアに優先するのは、クリスマス前にカナダのモントリオールに行く日本のみかんだけだ。船のことを心配しますのは、日本の船を利用しまして、非常にカナダでは日本人が少いのですから、今大したものはないかも知れませんが、日本のみかんがカリフオルニアのみかんに優先してクリスマス前に船がたくさん入れば幾らでも買うとカナダの人は言つているのですが、そういう努力はされておりますか。
  68. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) それを見越しまして日本のみかんの栽培も時期をみて早生種を栽培するというふうに非常に向うの需要をペイする時期を見計らつた生産、それから輸送も業界では非常に考えてやつております。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 カナダ自身が輸入している総額と輸人仕入先の主要なところはどうなつておりますか。
  70. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) カナダ輸入額をカナダの統計でとつて見ますると、一九五〇年に四十億カナダ・ドルの総輸入額でございます。それに対して供給国として一番なのが米国でございます。米国が二十九億ドル輸出をいたし、それに次いで英本国が三億九千五百万ドルという数字になつております。これに、米国、英本国に引続まきしてヴエネズエラから五二年には一億三千五百万ドル入つておりますが、これは石油でございます。その他遥かに落ちましてベルギー、ブラジル、メキシコなどが二千万乃至三千万ドルで、日本スイス、オランダ、ニユージーランドその他フランス等が千万乃至三千万ドルという状況であります。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 この米本国から三十億ドルくらい、どういう輸出がなされているか知らんが、非常に或いは入超ではないかと思うのですが、そういうのを日本なんかにしわを寄せられて結果としては四十億ドルの輸入に対してアメリカが三十億も輸入して、恐らくそれはアンバランスじやないかと思うのですが、カナダアメリカ関係ではそういう一方的にアメリカから入超になつて、そのしわがこちらに来ているという日本通商政策の貧困、そうしてこの条約は何らそれを改善するものでないというような印象を受けるのですが、カナダアメリカとの関係はどうなんですか。
  72. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) カナダアメリカ関係は、これは非常に特殊な関係がございまして、輸出入の金額については先ほどアメリカからカナダ輸入二十九億ドルに対して、カナダからアメリカヘの輸出は二十三億ドルという数字が出ております。ややカナダが入超になつております。これは一つにはアメリカカナダと現在は資本の交流というものが殆んど自由になつてカナダにおける多くの産業がアメリカの資本で大きな工場が行われているというふうなこと、それからカナダが農業国からだんだん工業を育成して来ておりまますが開発のための資材をアメリカから相当輸入しているというふうな点が挙げられると思いますので、これは或る意味から申しまして一種特別の経済関係によるものでございます。日本の場合をとりますと先ほど申しましたように開発資材、即ち重工業製品について日本の輸出力ができて来ますれば、この幾分かを日本が取るということは可能になつて来ると考えております。
  73. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これは大臣にじかにお聞きしたほうがいいかとも思いますが、この間カナダの首相が来て両国の交歓が行われたと思うのですが、の経済交流の増進、貿易の拡大というようなことをやりたいというような話合があつたように記憶するのですが、何か特別にお話合があつたのか、単に儀礼的なものにすぎないのか、その辺の事情はどうなんですか。
  74. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 私どもの聞いておりまするところではカナダの首相が来られて日本との貿易を大いに促進したいという意向を表明されました。又日本側でもなおそれに同様な意向を申述べたわけでございまして、これはいわば一般的な気持をカナダからも言われたのであつて、それ以上具体的に何らかの話合というものはなかつたかと承つております。
  75. 杉原荒太

    杉原荒太君 この交換公文を見ると、関税評価に関する公文と九品目の非差別待遇に関する公文、これは前のほうはカナダのほうは一方的の権利の留保になつており、あとのほうは日本側義務ということになつているのです。これは実質上いろいろやむを得ない事情があるかと思うのだけれども、形の上であまりにも露骨に一方的な権利になつている。通商条約の場合には平等の建前をくずさんようにするということが、これは条約の実質的な基礎を作る上に非常に大事なことで、こういうことが例になつてほかの国の場合などにもこういうようなことが援用されると非常に工合が悪いと思うけれども、こういうことを外務省は十分考えた上でやられたことだと思うけれども、これは何か交渉の過程で日本側でこういう点を持ち出したけれども、併し実際上話がまとまらなかつたというような事情でもあるのですか。
  76. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 成るほど文書の上におきますと一方のことだけ書いてございます。先ず第一に、第一の関税評価に関する点からお答え申しますると、この点は関税評価に関するカナダの特殊な一種のダンピング規定から来たわけでございまして、日本にもダンピング税の規定があるわけでございます。これはむしろ日本はほかの割合に世界の多くの国と共通類似した規定でございます。この特殊なカナダ規定がありまするためにむしろこれを濫用されないように、我々といたしましてはこれが適用されないことが一番いいわけなんでありますが、これは併しガットの場合でも留保されておりまして、適用は見ることになつております。そこでこれの適用について、向うの勝手に適用されないようにという点から、この交換公文で一、二、第三項と或る種の枠をつけることを要求してこういう交換公文なつたわけでございます。平等的に考えまするならば、それじや日本のダンピング課税法規の発動についも同様のことをやつたほうがいいかという問題でございますが、これはむしろ日本側から自分でダンピング法規の発動を縛つてくれ、規制されたいという希望を出すのはむしろ日本としては面白くない、形式的の文書の上においてはカナダのことだけを申しておりまするけれども、実質には日本のダンピング法規発動については何らの拘束を受けない、ガット一般規定を受けるだけであるということで、このカナダだけのことを持ち出してここに規定したわけでございます。  第二の九品目の点につきましては、これも日本が非別待遇をするということを申しておりますので、文書としては片務的になつております。併しながら実際に見てみますと、本協定の第一条の関税に関する最惠国待遇の場合におきましては、日本カナダ一般関税からガット税率まで引下げをこの協定によつて受けるのに対しまして、カナダ日本においては単一関税制度でございますので変化は受けない、実質的な利益におきましてはこの協定によつて日本のみが一方的に利することがおるという点と、第二に輸入制限につきましてはカナダは全然やつておりません。従つてカナダにおきましては関税を除いて輸入制限ということになりますると、抽象的に申しますならば、日本のあらゆる品物は全然輸入制限を受けずに入れる。カナダから日本に来る品物はすべて今までは輸入制限の対象となつておるという実質的に差違があるから、これを或る程度バランスするという点から、日本においてはこの九品目輸入制限をゼネラル・ライセンス制度に改めてフリーといたしまして総額の内部において自由とするという、即ちこの九品目だけをカナダがとつております制度にやや近い制度に直すということになつたわけであります。従つて文書の上で一方のことだけを書いておりますけれども、内容的には以上申しましたようにお互いの相互利益をバランスさせる、バランスさせると言いますか、むしろこの場合は日本のほうが利益が多いと思いますが、こういう恰好になつておるわけでございます。
  77. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 ちよつとこれと関連してお伺いしておきたいのですが、カナダ日本との移民の問題ですが、移民の送金などの問題でカバーしますからそれで付いたいのですが、戦前の通りになつておりますか。或いは少しは改善されましたか。
  78. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 向うからの、移民の向うにおける制限でございますか。
  79. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 はあ。
  80. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) これについては私のほうではまだ何らの制限と言いますか、それはあると聞いておりません。為替管理もしておりませんので自由に送金できるはずであると思います。
  81. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 送金じやなくて日本から移民をなし得る場合アメリカのほうはよくなつておりますから、カナダの場合は何らか改善の糸口でもありますか。
  82. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) これは単に貿易と支払だけを取上げて規定したもので、この協定を結ぶ場合にその移民の入国なり向うにおける待遇なりについてはこれには触れませんので、これにはもう少し将来広範な通商航海条約というようなものを交渉する場合に問題を提起するものと考えております。
  83. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 私の伺いたいのはこの条約に直接関係がなくて、この貿易の差額を少しでもよくするために日本の移民の制限が少し緩和されたか。日本人があつちへ行つて実際上の仕事をすればそれが現実日本の品物に対する要求にもなりますし、送金にもなりますが、これに関係なく今御計画がありますかと伺つております。
  84. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) 私のほうのこれは局の管理でございませんのではつきりしたことを申上げられませんが、たしか何も制限はないと考えております。従来より変つていないのじやないかと思います。
  85. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 改善されておりませんですね。
  86. 永井三樹三

    説明員永井三樹三君) はあ。
  87. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) カナダとの通商協定につきましてまだ質疑がおありだと思いまするが、本日はこの程度でとどめて来週の月曜日に譲りたいと思います。  そこで申上げておきたいと思いますのは、十日の月曜日には第一にこの続きとしまして日加通商協定を取上げ、それから二番目に、けしの栽培並びにあへんの生産、国際上取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書批准について承認を求むるの件、以上二件の質疑、それからできれば採決まで進みたいと思います。それが済みましたならば国連協定質疑に入る、こういう順序で参りたいと思います。
  88. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと資料の問題ですが、先にもお尋ねしましたカナダ貿易の仕入地のこの商品の別関係の表を一つ。それから英連邦におけるいろいろな連邦首相会議できめたようなこと、もつとはつきりしたことがわかりましたらその二点を。
  89. 鶴見祐輔

    鶴見祐輔君 それから私の移民の問題で何か資料がありましたら担当のかたに御相談の上お願いいたします。
  90. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時三十九分散会