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鶴見祐輔君 そこで私はこれと関連してお伺いしておきたいのは、勿論ヴェルサイユの
平和条約のときのような、苛酷なそして又一本にと
つて不可能な要求が今出ているわけではないのでありますけれども、
日本の
国民といたしましては、今度の戦争の結果、
日本が連合各国から受けた取扱について、
国民全部が釈然としていないことはたくさんあると思うのであります。それでフイリピンのような極く
日本に近い国で財力も政治力も非常に大きくない国に
日本が友好的の関係を結ぶということは、
日本人としては大部分殆んど異存はないだろうと思うのですけれども、この
平和条約のよ
つて起
つた精神として、ダレス氏が言
つたような、このリコンシリエイシヨンと信頼の協約だという精神に基けば、
日本国民としてはまた連合各国の取扱については釈然としない点がたくさんあると思うのであります。そこ。今この賠償なら賠償の問題につきまして、
日本がや
つたことが全部悪いのだということの極印を捺されている基礎においてなされておるということについては、私はこれは長い
日本対世界の関係においては非常に重大なものがあとへ残ると思うのであります。それで
日本がフィリピンならフイリピンに対して誤
つたことをした、その行為に対して
日本は非常な謙虚な反省を必要とする。その点には殆んど
日本人は異存はないと思います。けれどもこの一連の
日本に対する取扱が一極の懲罰的なものがあるとすれば、これには直接関係はありませんけれども、戦犯の取扱、或いは戦争責任は全部
日本にあるとい
つたような取扱については、
日本国民が釈然としていない点がたくさんあると思うので、こういう賠償なら賠償について、
日本が非常に公明正大な立場をとる場合には、やはり私はそういう点については
日本国民が釈然として
了解するような手段をと
つておいて頂きたい、こう思うのであります。そこで私はこの
日本人が東南アジアなら東南アジアの
国民との友好的関係を回復するために、賠償その他の問題が解決されるということは非常に結構だと思いますが、それだけに終
つたのでは私は
日本と世界との関係が非常に正しい軌道に置かれると思わないので、この機会にそれを申上げて、
外務大臣が若しこれについて発言をなさる事由があるならば、伺
つておきたいと思うのであります。言い換えれば、世界の
日本に対する取扱について
外務大臣は十分に満足しておられるかということであります。