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1954-04-01 第19回国会 参議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月一日(木曜日)    午前十一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君            曾禰  益君    委員            鹿島守之助君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   政府委員    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   —————————————  本日の会議に付した事件国際情勢等に関する調査の件(ビキ  ニ被爆事件に関する件)   —————————————
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは只今より外務委員会を開きます。  本日の議題はビキニ被災問題に関する件であります。それでは曾禰委員どうぞ。
  3. 曾禰益

    曾禰益君 私はこのビキニ被災問題に関しまして若干の御質問を申上げたいと思うのでありまするが、先ず第一にこの不幸なる事件に関しまする責任の問題が明かにならなければならないと思うのであります。この責任の問題には日本側アメリカ側それぞれの責任の問題があろうと思うのでありまするが、この責任の問題に関連いたしまして、やはりこういう重大な責任の問題については、国際法上の法的な立場というものを明確にして置くことが責任の問題に関連して第一に重要であろうと思うのであります。従いまして三月一日の爆破の場所に関連いたしまして、政府説明は、初めはいわゆる信託統治協定第十三条に基く閉鎖区域の中でやる行為或いはそれから拡がつて主張されておるような危険区域というようなもの、この区域における法的関係が極めてあいまいになつておるやに考えるのであります。そこで第一にこの信託統治協定に基く閉鎖地域というものははつきりと領土領水の上に限るべきであつて、その領土領水内に、戦略的信託統治区域であるから閉鎖区域が設けられるというならば一般的の立入禁止が継続的に行われても、これは法的に止むを得ない、こういうことに考えていいと思いまするが、併しこの閉鎖区域はあくまで領土領水の上に限らるべきもあつて、これが領水以外の公海にさような閉釧区域を設けるということは誤りであつて、さようなことは不法であり、日本としては勿論認められないと考えるのでありまするが、この点についての外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私も大体さように考えています。
  5. 曾禰益

    曾禰益君 原則論としてはその点一致していると思うのでありまするが、先般の予算委員会における私でございましたか他の同僚委員かの御質問に対する御答弁の中には、現実マーシャル群島等におきましてはいわゆる環礁、アトールが多くて、地下が非常に続いているような関係があるから、厳密に地上からの海面から測つた三海里という以外にかなり広い地域をまあ領水に準ずるような取扱いをしているやに伺つたんです。そういうことは国際上やはり認められないのであつて、海の底が浅かろうが、現実には航行が困難なところがあると思いますが、法律的にはそういつたような領水観念を勝手に変えて行くということは認むべきでない。又若しそういうことを認めると、自然と例えばオーストラリアが主張しているようにいわゆる大陸棚と申しますかそういつたような地球構造にかこつけた不当なる領水の解釈、或いは領水と言わなくても何らかの領土権的な拡張的な主張公海に対してして来る根拠を与えやせんかと思うのであります。その点は一体どうお考えであるかを伺いたいと思います。
  6. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私が言いましたのは、そういう浅いから深いからということよりも、あそこにはアトールがたくさんありまして、そして満潮のときは引つ込んでいるが、干潮のときには上へ出て来るというようなものがある。それから始終上へ出て来るものの間でも、その距離が三海里以内の場合が随分あるわけであります。要するにアトールというのはこう丸くなつておりますから、そこでその中は非常に広い。ところがその入口のところはかなりせばまつている区域が非常にあつて日本の旧海軍等もこういうアトールの中は領水だという、はつきり主張はしなかつたようでありましたけれども、併しよその国の飛行機や船が入つて来ることに対して反対をして、実力的に入れなかつた事例もあるわけであります。そこで私は今やつておるところは、実地にきちんと調べてみないと勿論議論は決定しますまいが、多少領水であるという主張根拠なきにしもあらずという程度考え方でありまして、それに肩を持つ意味じやないのであります。
  7. 曾禰益

    曾禰益君 まあそのアトールというのは珊瑚礁か何かこうあつて、それから水があつて、それから島があつて、これが満潮干潮によつて拡がつたりなんかする。そして珊瑚礁の中のことならば、これは話はわかるけれども、そうでなくてそのほかの地球構造からどんどんどんどん続けて領水主張されて行くと、非常に広い地域が不当にいわゆる信託統治協定第十三条に基く閉鎖区域として認める先例を開いては行かないかと思う。そういう御見解でなければその点はそれでよろしうございまするが、次にいわゆる危険区域という観念でございますが、これは非常に重大な問題でありまして、あとでこの不幸なる事件に関する将来の補償に関連しても問題があるわけですが、先ず法理的にいわゆる閉鎖区域とは全然関係のない原爆その他の実験をする、でここは危険区域だということを領土国が一方的に、或いは信託統治のいわゆる施政権国が一方的に公海にそういう区域設定する権利があるのかないのか。それは若し権利があるとすれば、これに対応する国際法上は義務というものがはかの国側に与えられるわけですが、果してそういう考えがいいかどうか。私はそういうことではないのであつて公海はやはり自由通行無害通行公海漁撈の自由というこのほうが国際法上の基本原則であつて危険区域というようなものは一つの法的の裏付のない主張であつてそれに対して我が国が従う義務はないとかように考えまするが、その点は如何でございますか。
  8. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは私はむしろ国際慣行とでも言うべきものだと思いますが、で性質は違いまするから一概には論じられませんけれども、戦争前に日本海下も同様でありましたが、例えば相当の船の艦隊を組織して実弾演習をする、大体その当時は三万メートルとかいうような程度のようでしたけれども、それで船は十八ノツトから二十五ノツトぐらいの速力で一定の方向にずつと走つて行く、そして大体日が出てから日没ぐらいまでずつと演習をして行く場合、仮に二十ノツトで行きますと十時間走れば二百マイル、H没まで走ればその倍近いところのもの、三百マイルから三百五十マイルぐらいずつと走るわけであります。その間半径三万メートルの間を弾が落ちるとすると、その又向うに二千メートルなり三千メートルなり安全地域をおいて、このくらいの海面危険地域だといつて発表をしておつた事例がありました。これは各国共にこの公海を利用することは自由でありますから、ほかの国に害を及ぼさなければ、各国共お互いのことだというので認め合つてつた。併しその場合に国際慣行として国際法上の書類等に載つておりますのは、それを行う国が十分なる注意を以て無事の、知らないでおつた船等に対して注意を与える、又そういうことをやる場合にはできるだけ普通の航路になつておるところは避けて邪魔にならないところでやる。それから漁船等が仮におつたとすれば、これに対して注意を与えたり、或いはそれが待避するだけの時間を待たなければいけないというようないろいろな義務的なことが認めれらておりまして、各国ともそういうことを守りながら邪魔にならないところで実弾演習等をやつてつた、こういう例は国際慣行としてはお互いに認めておつたところであります。勿論それに対して抗議をして、これに反対だということも可能でありましようけれども、大体これは別段のことなくして各国が行なつてつた事例だと思います。従つてこの新らしい爆弾でやるときは、これは又新らしい事例で、こういう爆弾については経験がありませんから、国際慣行としても何ら成立したものではないわけでありますが、従つてその今の理論で行きますと、或る領土なり信託統治地域なりを持つている持つていないにかかわらず、どこの国でも大洋を、公海を、ほかの国の邪魔にならない範囲ならばそういう種類のことに利用しても、ほかの国から文句が出なければ差支えない、こういう程度国際慣行はあり得る。ただ今度の場合にはそれが非常に広い地域であるということ、それから相当長い期間である。それからもう一つは、大砲の弾ならば海へ沈んでしまえばそれでもうすんでしまう、今度の場合には放射能というものがいつまでも残るというような別の観点からいろいろな点を考慮しなければならん。従つて新らしい何らかの国際慣行なり、或いは国際通念なりができればいざ知らず、それまでは、今度は関係国で自分の国の利害を考え、これに対して適当に考慮措置を講ずることは当然の権利である、こう思つています。
  9. 曾禰益

    曾禰益君 外務大臣の御答弁でも大体基本的な点は明らかになつたと思うのですが、少くとも在来の実弾射撃等の場合でも、これはそれを行使する国の権利であつて、そうして公海自由の原則を覆すような権利ではなく、むしろ公海自由の原則が飽くまで原則であるなら、それに反しない程度に一時的に、而も相当な十分な注意を与えて被害を与えないような措置を取る義務付で、一種の権利じやないけれども、一つの法の空白と言いますか、或る種の自由は与える、併しそれは制限されたものである。基本的にはそれはそういうことを権利として主張することはできない、ただ慣行お互いにそういう自由は或る程度認め合つてつた、こういうことであろうと思う。してみれば大臣自身も御指摘になつたように今度の場合は、或いは今後とも、現に我々が当面している、或いは世界が当面しているこの大きな問題は、この危険区域の指定というものが永続的な傾向がある、これはいずれの国といえども成るべく秘密でやりたいという関係があります。大きな網をかぶせておいていつ実験するかわからない、従つて非常に広汎な時間もとつて、長い聞これを設定するという傾向がある。これは今までと非常に違つておる点であろうと思うのであります。而も秘密防止見地から必ずしも事前に十分なる予告を与えないでやる。現に第二回の、第三回と言つたらいいのかも知れませんが、三月一日から計算すると第二回の爆発試験のごときは、全く世間が知らないように、むしろ意識的にカムフラージしておいて三月二十六日にやつておる。こういうような関係からいつて期間を長くするということが一つ。  第二には地域が非常に広い。このことが実は第五福龍丸の問題に非常に大きく関係して来るわけでありますが、今後ますますこの実験が、科学進歩と言いますか水爆進歩に伴つて拡がつて行く傾向がある。  第三にこれ又大臣が指摘されたように、その効果と言いますか、危険地域でやつた危険な行動効果が、今までの実弾射撃というような一時的なものでなくて、原子力であるということの反能が非常に大きくなりつつある。従つてこれは或る程度は、例えば海水というものが非常に量が多いので、この放射能が絶対に危険になつてしまつて、魚がみんな次から次へと死んで行くというようなことにならないとしても、少くともそういつたような危険な行動の結果というものが永続化し、必ずしもこれがコントロールできないという非常に大きな危険な効果を及ぼすのであります。これはだからただ危険区域の時期と、それから長いということ、それから範囲が広いということ以外にそういつたような、大きく言えば人類全体を危険にならしめるような行動をただ単に危険地域設定したからやつていいということの結果にはならないと思うのであります。従つてこの危険地域設定による水爆等試験というものは今までは慣行お互いに認めていたというような実弾射撃のような場合と全然違つた、全く新たな一つ法的事態ではないか。従つてこの点については大臣はややもすれば今までの慣行上認められておつた実弾射撃の例だというようなことをアメリカに対してはまさかおつしやらないと思うけれども、全然違つた事態である。でこれをいきなり不法であると断定しろとは言つておらないけれども、そういつたような重大な責任に対して一体世界はどうするかというような見地から、いやしくもこの被害者の一人である日本側としてはそういうような自由を無制限に認めない。こういう基本的な態度で行くべきではないかと思いますが、その点に対するどうも考え方対処方針はつきりしてない。とかく従来の危険区域と同一視する態度であるのは非常に私は遺憾であると思うので、今一応明確なる御回答を願いたいと思います。
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それも今申した通り従来の例に以たようなものがあるけれども、これは同列に論じられないと、こう言つておるのであつて違う種類のものであります。又その理由は今申したように三つばかりある。こういうわけであります。併しながらこれも理論理論であり又実際問題は実際問題でありまして、理論ではそれはそうやつて行けば危険区域無限大に拡がつて来て太平洋中みんな駄目になつてしまうということも考え得るわけでありますが、今実際に危険区域として指定しておるところはまあ広いことは非常に広いのですが、太平洋全体から比べればまだそれほど全部拡がるというものじやない。又原子力委員会発表、これがどれだけ確実性があるかは科学者でなければわかりませんが、原子力委員会科学者発表しておるところはこの間新聞にも出ておりましたように、水については殆んど危険がない。それから魚については爆発地域に近接したものは危険である。併しそれもかなり離れてしまえば殆んど危険はないというようなことでありますから、これはもう少し科学的に調査してみないとよその調査だけで日本の側が安心するわけにもいかんと思いますけれども、そういうことが仮に原子力委員会発表通りだといたしますれば、今の地域であるならばこれは拡張した広い地域ですが、我々の考えておりますのはそれほど一般の公海自粛交通影響のある地域ではないように思うのです。漁業に対する影響、これは船が遠廻わりしなければならんというようなことから魚をとる地域がそれだけせばめられておるという点、まあいろいろなものがありましようけれども、これに対する影響が何らかの方法で除去せられるならば必ずしもこの実験をとめなければならんとも私は思つておりません。ただ今曾禰君もおつしやるようにこれがまあ更に大きく、この倍になり五倍になりしたらどうか、そうすればこれはちよつと日本自体の生きて行く遂にも影響いたしますから実際問題としてはその地域がどこまで拡張するかということに非常に大きく影響して来るものである、こう考えております。
  11. 曾禰益

    曾禰益君 大臣がお答えになつた後半について私は又あと事件の処理に対する将来の保障の問題について伺いたいと思つているんでありますが、そこでこの危険区域というものは新たな事態であつて、こういうものは法的には認められないという立場に立つて然らばこの第五福龍丸及びほかにも被害があつたかもしれません。この三月一日及び三月二十六日の現実に行われた実験に伴う被害があつたとするならば、その責任でありまするが、この責任の問題はそういつたような法的な関係を明らかにしつつ考えて行く必要があると思うのであります。そこで仮に危険区域にあつたからといつてアメリカのほうがそういう行為をやつた場合には、彼らは合法的にやつたわけではない、危険区域内においても。これが承点だろうと思うのであります。  そこでその見解に立つて第五福龍丸自身がいわゆる当時に設定をされていたと称する危険区域外にあつたという御説明であつたけれども、今朝一部新聞に伝えられておるところによれば、UPの、電報によりますとストローズ原子力委員長発表危険区域の内にあつたということがあつたと伝えておるのでありますが、これはそういうアメリカ正式発表があつたんです。あつたとすれば政府の従来の見解とその食違いはつきり認められる、この点はどうお考えになりますか。
  12. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それはまだ私のほうには公電等が入つておりませんから確認はできませんが、そのアメリカ側では当時恐らく飛行機も飛ばしておらんようでありますし、船がどこにあつたか確認する材料はないのではないかと思うのです。従つて日本側材料によつて判断する以外に方法はないだろうと思うのです。
  13. 曾禰益

    曾禰益君 これはおつしやる通りだとすると、まだ確認されてないというわけですが、非常に明白に言つておるのですね。危険区域内にあつた。併し海上及び海中の電探等で探した限りにおいては船舶等は見えない。これは実におかしいのです。まあそこは矛盾しておるのです。或いはストローズ委員長のために弁護的に言つてやるならば、危険区域というものは彼らがその後拡大した危険区域の中にあつたという意味か、これも誠におかしな新聞発表だ。我々は誠に解せない。併し政府は従来はつきりと危険区域外約十九海里外にあつたという自信を持つておるわけですが、その自信には変りはないわけか、その点をお伺いしたい。
  14. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 我々ほかにこの何もそのえらい自信とか何とかということはありませんが、事実はこの船が持つておる気象観測とか或いは六分儀だとか、こういうこと以外にはもう船員の述べることだけが材料であつて、これを見ればまあ危険区域の中にあつたからいかんとか、外にあれば権利があるとか、これは私はちよつとおかしいと思うので、危険区域内外を問わず被害があればアメリカ側責任であると思いますが、これは別としまして船の位置については船員、船の日記、その他船にあるものによつて調べる以外には何も調べる材料はないと思いますので、それは明白なる事実であろうと考えます。
  15. 曾禰益

    曾禰益君 この点は重大な問題であるので速かにアメリカが如何なる根拠によつて危険区域内にあつたという断定を下したかを突きとめて頂きたいと思います。或いはこれは誤報なら誤報としてです。併し私自身も申しましたし外務大臣もこの点は同じ見解のようでありまするが、仮にいわゆる危険区域内にあつたからといつて、私は責任上は何ら変らない。アメリカ側にそういう合法的にこういう危険な爆発をやつてあとは知らないという権利はないのでありまするから、やはり責任はある。そこで日本側責任については今日まで政府の御説明を伺うと別に日本側においては何ら責任なかつた福龍丸について。通告或いは公示等もやつてつたのでありますし、殊に日本側の公けの見解によればいわゆる危険区域外にあつたという立場にあるので日本側には責任がない。してみるとこの第五福龍丸被害事件についてはアメリカ側責任で起つた事件である。そうなつて参りますると、この第五福龍丸事件については当然に正規外交交渉原則から言いまして責任の所在が明らかであるならば、責任に対してアメリカ責任をとらせる。いわゆる責任者処罰、それからアメリカ政府として日本政府に対する陳謝、或いは少くとも遺憾の意の表示、それからこの事件によつて起された損害の、直接損害も或いは間接損害、すべてを含めて損害賠償、そして最後に必要な将来の保障、この通常の四原則従つて交渉が開かれなければならないと思いまするが、今日まで当局の御説明によるとまだはつきり船位置が確定しておらなかつたからとか、或いはアメリカと話合している両方はこう感じているというようなことだけであつて、如何にもいわゆる穏便にやろうということだけが中心のようで、私はこれであつてはならない。勿論事態が明らかになつて正式におやりになるというお考えであろうと思うけれども、基本的な考えとしては今や責任は確立している。殊に外務大臣も言われたように、危険区域内外にかかわらずアメリカ責任ありという見解ならば、今日まで十九海里も外にあつたストロースさんが言つたから今度は急に又危険区域内ならば至急に事態が変つて来たということではないのでありますから、明確な態度でこの事件を処理する。正規外交交渉に入るべきである。そうでなくして如何にも穏便に穏便にとやつており、アメリカのほうでも私は非常にこの点は遺憾だと思う。何らかまあ暫定的に救済はいたしましよう、今日の日本タイムス等にも伝わつておる外電によりますると、アメリカ権威筋では、いや正式のこれは責任ではないのだ、いわゆる救恤なんだ、慰めなんだ、慰藉なんだといつたような関係で、或いは金銭的物質的には相当なことをするつもりかも知れませんが、やつぱり法的責任はつきりとる。そうして悪いことは悪い。そのけじめをつけるという立派な態度でやつてくれないと、これこそとかくいわゆる反米運動のはやつている日本のことでありまするから、これは実際非常に重大な日米の正しい友好関係に重大な暗影を投ずることになる。従つて外務当局とされては毅然たる態度を以てこの今申上げたような本格的な通常外交交渉の例に副つた責任者処罰陳謝賠償、将来の保障、この四原則交渉をおやりになるお気持であろうと思いまするが、その点を明確にして頂きたいと思います。
  16. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 大体これは普通の常識のことでありますから、おつしやるような方向で行きたいと思つております。ただ一言申上げておきますと、このやり方がもう私から御説明するまでもありませんが、将来のアメリカのいろいろのこういう種類実験を非常に悪いものであるという印象を受けたり、或いはかかる実験をもう阻止するために非常に強いような態度で、要するに目的はこの事態交渉以外に何かの思惑があつて今後こういうことを絶対にやらせないというふうに持つて行こうという場合の抗議の片方もあるし、それからただこの問題をちやんと筋道を通して解決するのだというやり方もあるのでありまして、この点では我々今まで話しておるところによりますと、非常に肩ひじを張つて激論しなければならんような性質のものではないと思いますから、筋道は立てるつもりでおりますけれども、何と言いますか、これが反米運動とか或いはアメリカ実験を妨げるようなことに利用されたくないと思つておりましてそれが或いは曾禰君などに非常にこう何か穏便にというようなふうに響いておるかも知れませんが、筋道はちやんと通す考えでおります。
  17. 曾禰益

    曾禰益君 私は筋道は通すという御発言は、やはり責任者処罰陳謝賠償それから将来の保障と、この筋道をお通しになるお考えだと考えまするが、そこで大臣が今言われた心配というのは主として将来の保障にかかつて来るのではないか。いわゆる危険区域設定、それから今後続けられるであろう試験に対してどうするか、この点に関連して外務大臣はただ単なる反米運動に利用されたくないと、こういうお考えのようですが、これはむしろ筋道を通して将来の保障でも合理的にして妥当なる保障を要求することによつて、殊に責任者処罰陳謝賠償等はつきり要求することにより、徒らに反米運動にも利用されないという確固不動の姿勢がとれる。とかく反米運動に乗ぜられてはいかんという考慮から、何だか国民としては筋道すら通らないのではないか。この印象は非常に私は悪い。で、外務大臣気持は恐らく私は変らないと思うのですが、余りに政治的な考慮があり過ぎて却つて反米運動に利用されるような結果になつたならば、これは面白くないとこう思いまするから、是非筋道はつきり通して頂きたい。そこで将来の保障については先ほども明らかになつたように、危険区域というものを一方的に設定し、この原爆水爆などの事件をどんどんやつてかまわないのだと、その権利はあるのだというような気持交渉してはならないのではないか。ただ単に損害を最小限度にするという見地だけでなくてこの問題は一つの大きな人類上の問題であるという感覚で、新たな事態に対しては、従来の慣行等で処理できない大きな問題であつてこの将来の保障については十分に慎重に行かなければならない。少くとも外務省としては将来の保障についてどういう点を具体的に要求されるか。例えば危険区域の永続的の設定は困る、地域についても日本の漁業に非常な支障を来しては困る。或いは一々事前に通告してほしい、政府を通じての手続だけでなくて、現場における、若しそこにいるかも知れない漁船等に対する通告を飛行機等によつてやることは、絶対アメリカ責任である、そこまではつきりできるのか。それらの具体的な保障をどの程度に今考えてどういうふうに交渉されようとしておるか。更にあとでこの点は述べますが、原爆の管理と原爆の兵器禁止とに関連してこの実験についてどう政府としてはやつて行くかということは、これはあとで伺いますけれども、このあなたの御心配になつておる一切の水爆実験を全部止めろという問題は別として具体的にこの実験から来るところの将来の危険防止に関する、具体的の将来に関する保障の具体案をお示し願いたい。
  18. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 区域につきましては、今水産庁その他に実際の過去の実績等から、今の危険区域ではどの位魚がとれて、それからその南のほうで通る船がどのくらいで、それが危険区域においてどのくらい遠廻りをしなければ帰つて来られないか、具体的に調査してもらつておる。それであの区域日本の水産業、あそこは普通の貨物船や客船が通る地域ではないようですから、水産業にどういう影響があるか、これからその区域については判定しなければならん、こう思つております。只今わかつておりますことは農林省では、この扇形になつておる左のほうの出つ張りが邪魔である、それがないと早く来れると具体的な意見が出ておりますが、まだ全体については聞いておりませんので、これがはつきりわかつてから判定をしたいと思つております。  それから事前の通告、これはアメリカ側でも非常に困難を感ずるだろうと思う。私どももそう思うのでありますが、というのはやはりこれがよその船を止めることができないわけでありますから、いついく日やるということを事前に通告するか、或いは三日間ぐらい前後を区切つても、この機密を得んとする潜水艦等がそこへ来得るわけであつて従つてその通告は相当的確にやるということは、これは私非常に困難を感じやしないか。又我々のほうもこの点は相当程度協力して行かなければならんだろうと思つております。それからこの危険区域の中にある船に対して、飛行機なりその他の方法で警告を与える。これはもう当然のことでありまして、又これはアメリカ側危険区域設定したときに、すでにそういうことを言つております。あらゆる方法でその中にいる船に対しては警告を与えるということでありますから、これはもう確実にやらなければいけないと考えております。甚だあいまいですが、大筋はそういうふうに考えております。
  19. 羽生三七

    ○羽生三七君 いろいろたくさんお尋ねしたい点がありますが、曾禰さんが質問をされておる最中でありますので、今最後に曾禰さんがお尋ねになつた問題だけに関連してちよつとお尋ねしたいと思います。それは先ほども曾禰さんのお話があつたように、今度の被爆関係でのアメリカの補償というものが一種の慰藉的なもので、この事件の根本的な問題とかなりへだたつておるように思われるのでありますが、そこで直接の被災以外に例えばアメリカに送られた冷凍まぐろというようなものがその輸入を禁止されたり、或いは買い叩かれたりするだけでなしに、最近ではアメリカ以外の諸外国すら日本のまぐろその他の水産物について若干買控え気味である、見送り気味であるということを今朝の新聞も報じておるわけであります。だからそういう意味で直接の被災以外にも目に見えない日本損害というものは非常な莫大なものだと思うのでありますが、一体そういうものに対しては政府はどういう態度を以て臨むのかということが第一点。  それからもう一点は、この間小瀧政務次官からいろいろお話がありましたが、不断にアメリカ大使館といろいろ交渉しておる、或いは在米日本大使館を通じてアメリカ政府に対してこの問題をいろいろ交渉しておるというお話がありましたが、どうも何か非常に手ぬるい感じがするので、この問題に関して正式の外交交渉をこの問題だけに限定して、ビキニ原爆自体を問題としての正式日米外交交渉を持つような提案をされる意思がおありかどうかこの二点をお伺いしたいと存じます。
  20. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 間接損害については、これは非常に算定が困難でありまして、商売をしている人は非常に機を見るに敏でありますから、こういう材料が入れば買い叩くということは当然行われやすいのであつて、これはどうも非常にむずかしいことだと思います。併し例えばそういう損害のないようにアメリカ側でまぐろは危険でないとかいうようなこと、或いは消費者に安心を与えるような宣伝等によつて、国内でアメリカ自身材料によつて十分やつてみるべきものであろうと思つて話をいたしております。それから……。
  21. 羽生三七

    ○羽生三七君 それから正式の資格交渉
  22. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それから正式というとどういうのですか、私どもの普通の常識ではこういう問題の解決が困難になりましたならば、そのときは事件解決のために会議を開いて双方でやることがありまするけれども、解決が困難でない場合には正式に顔を合せてやるということは余りやつておりません。でこの問題は恐らく解決はそうむずかしくないのじやないかと思つております。
  23. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大臣にお伺いしますが、この問題との取組方の心がまえの問題ですが、先に曾禰委員の御質問に対してそう大した問題ではない、肩を張つてやるほどという発言は私は非常に重要ではないかと思うのです。まあ重要な地位におられる大臣と我が党の立場は違うかも知れませんが、予算委員会その他においてたびたび岡崎大臣はこの問題に関して余りやかましく言つて自由諸国の防衛力を弱めるようなことになつても困るというようなことを言われたりしていますし、何と言つても先般の爆発水爆であることは明らかです。広島と長崎で原爆を受け、最初の水爆被害を受けた我が国としては、これに対して十分な心構えを持つて取組んでおかないと、自由諸国の防衛力を強化する一つの問題としてやつているのだからいいというようなことは、将来やはり米ソ両勢力が対立したその中にある日本として自由諸国の中心である、或いはそのリーダーシツプのアメリカを守る手段として、アメリカ水爆をどう使うかもわからないというような際にも、やはりそういう問題とからんでビキニの被害をもつと拡大された形のものが、米ソ両勢力が対立した際に我が国に及ぶような結果にもなる、今岡崎外務大臣のいわれたような取上げ方では、自由主義諸国のリーダーシツプをとる、中心であるアメリカのためにはやはりそういうものを使つてその周辺にある国がそういう被害を受けても、もうしようがないじやないか、それは共産主義諸国の祖国であるソヴィエトを守るために他の国がどうなつてもしようがないというソヴィエトの考えと同じ考えに行つて重大な結果に私は将来なるし、原子力問題と取組む心構えにもすべて影響して来ると思うのですが、その点についてビキニの被害とどう取組んで行かれるか。その心構えについてお伺いしたい。
  24. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) どうも御質問が少しあいまいで判断しにくいのですが、どうも原子力国際的に管理するということは是非やらなければならん、この点については微力なりといえども日本も十分なる努力をいたすべきだと思つております。併しそれができ上るまでは自由諸国側実験のみをとめるということは当を得ていないと私は思つてつてそのつもりで言つておるのですが、何か私の言うことに御不満か、よく了解されないならば、どうするのだということを中田君からおつしやられると私のほうで意見が述べいい。この問題についてどういう心構えであなたは取組んでおるのだということがわかるともつと御返事がし易いわけでございます。
  25. 曾禰益

    曾禰益君 私すぐ終りますから。
  26. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ちよつと中田君お待ち下さい。
  27. 曾禰益

    曾禰益君 図らずも私が最後に御質問申上げようという点が今議論になつたわけですが、ビキニ問題に勿論関連がありますが、この原爆問題について日本国内における原子科学の問題とかこういう問題は又別にいたしまして、外交上の問題としての原爆の管理、及び原爆兵器の禁止についての御所見を伺いたいと思うわけであります。私どもは基本的に原爆或いはその他大量殺戮兵器、これには細菌兵器もありましようし、それから毒ガス等もありましようし、かような大量殺戮兵器だけを禁止すればそれで済んだという考えに立つものではありません。これは真に平和を愛好するものとしては戦争そのものがなくなるように、又戦争の原因である各国軍備の競争それ自身をやめて行くような、この基本的な構想から出発しなければならない。ただ単に大冠殺戮兵器の一つである原爆或いは水爆を禁止さえすればいいのだというふうには考えておりません。従つて原爆、水爆兵器の禁止も一般の兵器の禁止も、これは一連の関係において考えるべきであろうと、かように基本的には考えております。それで各国の軍備を禁止し、そうして国連の世界的な安全保障機構のみがそういう武力的な要素を持つというのが、これが理想でなければならない。そういう基本的な立場に立つのではありますが、併しこの原爆及び水爆の測り知れざる危険状態を前にして我々がこの原爆、水爆等国際管理及び兵器としての製造、使用等を禁止する、保持も禁止する、この基本的な考えで大きく世界に訴えて行くのが当然であると思う。そこでこの点に関してとかく兵器の禁止だけをやればいいという考えに我々は立つものではない。これは兵器の禁止と相待つて、或いは兵器の禁止の前提といつて悪ければそれの裏腹としての平戦両時に向けての原子力国際的に管理し、その管理を有効に、監督権を確立するということがこれは絶対でなければならない。ただ約来で兵器を禁止した、併しあとは拒否権が依然として行使されて、或る国は約束はしたけれども国内で秘密に研究し兵器を保持する、鉄のカーテンをめぐらしておいてその中では兵器は秘密に造るというようなことがあるならばそれは正しい意味の平和にならない。従つて原爆兵器の禁止を言う以上はむしろ原爆の、原子力国際管理、国連の下における有効な管理の確立ということが基本策でなければならない、これと併せて原子兵器の保持製造及び使用の禁止という、この基本線を打出して行くことが絶対に必要であろうと考えるわけであります。そこでそういう基本的な問題に対しての御見解を伺うとともに、当面問題になつておりまするこの原子兵器の実験そのものがすでにコントロールできないかも知れないと同時に、大きな問題を含んでいるときに、根本問題がなかなかむずかしい。国連における過去の歴史を見てもむずかしいという点だけから、又ここでアイゼンハワー大統領の平和的なほうに原子力材料施設等をプールして行くということから先ず始めるということは我々賛成であるけれども、併しとにかく国際管理の確立とともに兵器の禁止は困難だと言つて、然らばこの実験はそのままにしておいていいということには私はなつてならないと思う。先ほど申されましたように、ただ単に極く消極的な将来の保障のほかに、やはり大きく、仮に兵器の禁止、原子力国際的な管理の確立ができないまでも、原爆水爆等実験についてはこれをどうすべきか。勿論ただ単にアメリカに対してのみそれを要求するというような態度をとつている諸君はおらないと思う。勿論アメリカに対してもソ連に対しても同様でございまするし、チャーチルも議会で言つておりますように、不幸にして両陣営が対立して、そうしてソ連も水爆実験もやり、在来の兵器の軍備も充実している際に何といつても自由諸国の防衛力の基盤であるアメリカ実験そのものだけをとめろ、そんな片手落ちなことを考えている日本人は私はないと思うんだ。だから何かそういうことをとり上げれば直ぐ自由諸国の結束を乱すという考えこそが私は自由諸国の結束を乱すものだ。そうでなくて、やはりこの実験についてもこのままではいけないのだ。当然に彼らに権利があるのじやないのだ。基本的な国際管理の確立と兵器の禁止ができなくてもこの問題はとり上げて、そうしてこの問題の実験を制御をして行くような一つ国際秩序を立てるというような方向に進むべきではないかと思いますが、以上の点についての外務大臣の御見解を承りたい。
  28. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 先ず御趣旨から言いますとこの大量破壊兵器のみを禁止するという考えは私も聞違つていると思います。これと同時に一般の軍縮ということも併せてやらなければ意味がないと考えておりますが、これは幸いにして国連では初めには原子力と一般の軍縮というものを別の委員会で設けておりましたが、三年はど前から一緒にして一つ委員会で取扱つているので筋においては私はそれは当然正しい行きかただと思います。そうして全体として原子力も含めた軍縮という方向に向うべきである。まあ軍備禁止というところまで行けば結構であるけれども、少くとも軍縮というところまでは行くべきである。その中に原子力は平和以外に使わないというところまで行つてくれなければ困ると思うのであります。ただ考え方としましては私は原子力国際管理ということが、まあこれは非常にむずかしいのでありましようが仮に確立するとすれば、理論上これは当然に原子力兵器の禁止というところまで行くのだろうと思います。というのは国際連合のみが原子力、そのほかのものもありましようが、これを完全に管理して各国が自由に監視を行い秘密に兵器を作らせないということになりますれば、国際連合自体が原子兵器を持たなければならんという理窟は私はないと思うのであります。従つて原子力国際管理ということが行われるということは即ち原子兵器の禁止ということになるだろうと思つております。そこでまあそれはいろいろ見方はありましようけれども、原子兵器を含んだ、つまり要するに原子力といますか、或いは表現は正確でないかも知れませんが、水素爆弾その他もありますればその方面のものも加えたいわゆる原子力国際管理ということに我々は微力といえども十分尽くさなければならんと思つております。これにつきましては初めにバルーク案と言いますか。あのバーナード・バルークの案が出まして先般昨年の暮に出ましたアイゼンハワーの新らしい案というものは多少後退している点があります。というのは、或る国が自己の安全防止に必要な程度のものについてはしかたがない、その残りの程度のものを皆国際連合に持つて来いというので徹底的な案ではないが、むしろあまり一時に、初めから根本的な解決が困難であるので、先ず第一歩としての案を出したんじやないかと思いますが、これはともかくとしてこれに対するソ連側の態度は今までのところは非常に失望せざるを得ないんでありまして、お話のように、国の独立及び安全に矛盾しない範囲国際管理を認めるということであつて、どこでも国内を自由に国連の代表が監視して歩くいうことができないような案である。又兵器を作つた場合の罰則については拒否権を保留するということであつて、甚だ不徹底である。バルーク案のほうはそれに対しては完全に国際連合にすべてを任せて、そうして拒否権なしの処罰をするということでありますから、これであれば甚だ結構だと考えております。今でも原子力の問題については米ソ間に話合がとにかく継続しておる形になつております。これがチャーチルのいわれるように非常に困難であることは事実でありましようけれども、いろいろな方面、国際世論が主たるものでありましようけれども、併し原子力を実際に持つている国はその実験効果はつきりわかつておりますから、これに対する恐怖ということも相当、全然知らない国と比べたら現実に大きなものがあろうかと思つておりますので、世界の良識に訴えて、この方面にできるだけ早く実現をするように努力すべきものである、こう考えております。  試験につきましては、これも勿論両方平等に埜止し得るとすれば結構でありますが、現実の問題としては試験をとめるということは、要するに原子力を現存の段階においてとめてしまうということでありましようからして、一方が進んで一方が遅れているという恰存であつたならば、遅れているほうはなかなかきかないんじやないかと現実的には思つております。併し筋道としては原子力の管理ということに向うべきでありますから、そこに行く方向に向つておるならば当然試験も両方とめるということは結構な活だと思つております。
  29. 羽生三七

    ○羽生三七君 先ほど中田委員外務大臣に言われたことは、とにかく原爆の第一号を受けた日本、それから又水爆であろうものの第一号の被災を受けた日本が特にこの問題に関心を持たなければならんということを前提にして話されたと思うんですが、我々自身の原子兵器或いは今度の水爆に対する処置等に対する考え方政府考え方とにはそれぞれ或る程度のへだたりがあると思うのであります。併し一応今外務大臣の言われた立場に立つて考えてみても、一体どの程度の熱意を日本の外務省が或いは岡崎外務大臣が持つておられるのか。それに関連して今先ほど外務大臣曾禰委員質問に対して答えられた考え方で、世界に或いは世論に訴える意思のあることを今大臣が表明されたわけですが、それは一体どういう形で表明されるのか。アメリカに対して何らかの意思表示をするのか、或いは国際連合に対して文書を以てというのか、或いは出先の事務系統を通じて何か口頭で申込むのか、そういう点をもつと具体的にして頂かんと、ただそういう考え方があるということだけでは非常にあいまいだと思うのであります。そこで私が先ほど正規の何か会見の機会を持つ御意思があるかないかを聞いたのは、大体前のMSAの問題でも池田・ロバートソン会談をやつておられる、或いは日本においてもそれぞれいろいろの会談を持たれておる。だからこの問題についても何かアメリカ交渉されるような場合に、いつ、どこでどういうことがなされたかわからない。なしくずしに国民の知らん形で、政府はそれぞれの努力をされるのでありましようが、そういう形で行つたんでは私この問題の取上げ方としては非常に不十分だと思う。私はあくまでこの問題は反米闘争云々ということば毛頭考えておりません。ただ一国民の立場として公正な立場から見てももつと外交的に世界に訴えられるという意思が外務大臣におありならば、どういう機関を通してどういう手続で訴えをされようとするのか。つまり政府立場においてのこの問題の取扱方に問題を限定して頂いても結構であります。これを御回答頂きたいと思います。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは例えば今おつしやるように国連に対して一片の通告を出して能事終れりとか、或いは政府として声明を出してそれで済むんだとかいう問題じやないんであります。そんなことなら極くやさしいことであり、又衆議院においては原子力管理に関する決議案を各党で共同で提出しようという話も聞いて、私もその案を見まして結構だと思つておるんであります。併し仮に決議案ができたところでこういう決議案ができたということを文書を以て通告して、それで済むものじやないと思います。又政府の声明等にしましても空声明に終つて各国注意も引くかもしれんが、大して具体的にどうという効果がないということではこれ又意味のないことと思います。これは長いあいだ時間がかかるので又その方法もそのときぞれによつていろいろあるだろうと思います。でこれは全くまじめに如何なる政府といえども継続してずつと原子力国際管理という方向に努力をいたすべきでありますから、そのときどきによつて一番適切である手段を講ずるより以外に方法はないと思います。その中には例えば被害の実情を知らせるとか、或いは日本の国内の世論を知らせるということもありましようけれども、併しこれは被害を受けた日本として勿論ほかの国に比べれば余計な発言権はあるでありましようけれども、併し被害を受けたからどう、受けないからどうというのじやない。今後はどこの国も受けるべき被害でありますから、これは各国が共通してやるべきことであつて、必ずしもその日本としては特殊の経験があるから、その経験を各国に提供してよくその考慮を促すという特殊の立場には勿論ありますけれども、日本だけがもう専売特許であるというわけでもないわけですから、(「専売特許です」と呼ぶ者あり)そのやり方は十分各国と連繋をとつて事態が進むように努力したいと思つております。
  31. 高良とみ

    高良とみ君 関連しまして。只今お話のあつたことで、今後気長く国際管理へまで持つて行くように、大臣のお言葉によれば微力ながらとおつしやつたのはそういうことと了解して間違いないかと思うのですが、そうしてそれには方法として、世界各国に訴えてということでありますが、殊に被害者であり又地域的に近い濠州とかニュージーランドとかそういう国とのそれぞれ多少外交的な関係もありますが、そういう国と一緒になつて、或いはインドのようなアジアの各国と、あの辺まで灰が行くとは思いませんけれども、そういうふうな地域的安全保障という考えから行きましても、そういう面で何か御努力なさるような意思がないかどうか。或いはまだそういうことを近隣に向つて言うだけの外交的な見通しを持つていらつしやらないかどうかということを一つ伺いたい。  もう一は、この前のお話のあつた文書で申入準備中だというのでありますが、新聞の報ずるところによりますると、三十一日中にも米国大使館に文書を以て、或いは口上書を提出する予定であるというのですが、これはどういうふうに御処理になつておるか、伺いたいと思います。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 近隣の国が同情をしてくれれば勿論これは結構であります。併し近隣の国ばかりとは限りません。又国の中に入るかも知れませんが、例えばローマ法王庁のような、特にこういう問題について関心の深いとろには当然協力を求めるのでありますが、今まで非公式に各出先で当つておるところでは、原則としてはそれに反対する国は一つもないのであります。ただ非常に熱心な国とまあそれほどまだ近接した危害を感じていないであろうと思われるような国との差はありましようけれども、原則的には何らこれに反対する国はないのであります。実はこの問題は米ソ両方をこれに賛成させるような方法が見付からないというのが真相でありまして、この方面に努力をいたしたいと思つております。  それから第二点は……。
  33. 高良とみ

    高良とみ君 何か申入書は。
  34. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはアメリカ側に対しましては、今まで日本で判明しました事実をすでに申入れてあります。これは正式の公文で申入れてあります。併し被害程度というようなものはまだ算定が困難でありまして例えばその病人が一体いつよくなるのか、又よくなつた場合に完全に元のようになるのか、それとも多少その手足でも工合が悪いところでも出て来るのか、これは非常に長く見ておかないと、ちよつと外傷のような、外側の怪我のようなわけではないものですから、こういう点も算定をしなければなりません。従つてこれから引続きまだ幾度も先方アメリカ側には申入れるようになるだろうと思います。
  35. 高良とみ

    高良とみ君 それは補償の問題とは別にここで切離して考えたいと思うのであります。  お申入れがあるようにこの前の政務次官からのお話で、正式申入を準備中である、アリソン大使に申入されたあとの正式申入をするということであつたのでありますが、これは日本の要請事項に関するもので、まぐろの時期はどうであるか、そういうときは避けて頂きたいとか、或いは実験期間は早く短くしてもらいだいとかいうことのようでありますが、そういう補償と別にしたものが申入れてあるのか。それを御発表になる自由があれば、或いは開くときがあるでしようか。
  36. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは実は先ほど曾禰君にもお答えいたしましたように、この危険区域の中でどのくらい従来魚がとれておつたか、日本の船がどのくらい従来行つてつたかというような具体的な調査がまだ完全に済んでおりませんので、昨日アジア局長から大体、正式ではありまするが、非常にまだあとはつきりしたことは言うということで、取りあえずの問題としてはできるだけ危険区域というものは範囲を小さくすべきものであるという点と、それからその期間も短縮し得るだけ短縮すべきものである。殊に十一月から三月までは漁期であるので、この漁期に妨げにならないようにすべきである。それから、できるだけ実施に当つては事前に通告をもらいたいということ、それから予防措置と言いますか、船、飛行機、レーダーその他で危険区域においても船がいないということを十分確認するし、又仮にいた場合にはこれに対して警告を与えるというような予防措置については、もつと十分な努力をいたすべきである。それから危険区域においても日本の漁船が余り遠廻りしなくて済むように何らか、例えばそのうちの一定のところは通れるとかなんとかいうようなことを、これはできるかできないか考慮してみなければわかりませんが、そういう点も考慮すべきものであろうというような点を昨日アメリカ側に申入れております。
  37. 高良とみ

    高良とみ君 一、二又小さな問題でありますが、大体今の御努力がわかりました。この中では先ほど爆発実験をするときの通知してくれるということは、こちらの要望の中にも、日取りをできれば通知してほしいということがあるようでありますが、そのことが何だか国際的にスパイの対象になつてはいけないというような御懸念もあつたようですが、それこそMSAその他で両国の安全保障の上から秘密保持のというようなこともあるのですから、大使館を通じてでも、そういうことはいつ頃、日にちを知らせるばかりでなく、日本の船は全部待避してもらいたいというふうなことは、別にそういうことを心配しないで、おずおずしないで、知らせてもらう特権があるのではないでしようか。特権をそこで要求していいのではないかというふうに考えられるのですが、如何なものでしようか。
  38. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは私のほうで申しているのは、やはり原則的には成るべく日取りを知らせることを要求しておりますけれども、併しこれは日本で仮にその日取りがわかつたとしますれば、漁船に対して通報するためには公示もしなければなりませんし、又ラジオ等で外へ出ている漁船にも知らせなければなりませんということは、大きく言えば世界中にわかることであります。そのときに第三国のそういう機密を取ろうとする船なり、潜水艦なり、その他そういうものが知らないわけはありませんからして、従つてこれを実際上はつきり日取りを知らせるということはなかなか困難であろうと私は思つております。思つておりますが、申入には重点を置きますが、実際上例えばそれでは正確な日がむずかしければ幾日ぐらい前にというようなことは、だんだん話合ではつきりして来るのではないかと思つております。
  39. 高良とみ

    高良とみ君 もう一遍、この前の御説明にもあつたと思うのですが、先ほど曾禰委員のおつしやつたことにも関連して、こういう実験を止めることは自由諸国の防衛力を弱めることであるから、余り実験のことについては文句が言えないというようなお話がさつき出たものですから、或いは非常にチミツドであるというばかりでなく、そういうことを言う自由がないというお考えかも知れんと、国民の一部では考えたわけなんですけれども、これはまあ英国などが、第三次大戦を防ぐのには、圧倒的な原子力兵器のことを世界に知らせることこそ防げると言つておるのとは日本は違いまして日本では実際に国民の生命を守らなければならない。そのための外務省であり、そのための政府でありまするから、もう水爆や原爆が兵器としては何ら平和をもたらすものではないということはわかつているのですから、一つ余り臆病にならずに、実験について文句を言う権利はないと言いますけれども、堂々とこういう被害があつたのだから、もうこれは原子兵器として実験され、或いはこれを使われることは近隣にかくのごとき被害があるから困るということは、申入れて頂いていいのじやないかと思う。その点で若し今度の御要望の中にも安全保障アメリカへ求めたというのは、日本の国民の生活の安全保障だろうと思うのです。そうすると原子兵器を実験しているのはアメリカがその点で実験のほうは進んでも、よその英国とかソ連と比べてまだまだ必要としているのだから、これは大いにさせたらよかろうというのとは大分違うだろうと思う。そのどちらを外務省としては考えておられるか。日本の魚類や或いは国民に少しの被害があつても、折角防衛力の増強をやつて第三次世界大戦を防ごうとしておるのだから、まあまあ余り文句を言わないでおこうと、こういうお考えか。或いは日本の外務省である限りは、日本の国民の生命を守るのが大事であるから、そして先行きもこうわかるのだから、そして世界の中でも被害者であるから、それを言わなければならないという、そういう一種の先ほどお話の独占的な権利も多少ある、義務もあるとお考えになるか、そのどちらでございましようか。ちよつとその点をお伺いいたします。
  40. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 日本の外務省でありますから、日本の国民の安全を守るのが当然であります。ただ守り方がどうも高良さんと私と違うようでありまして、私はアメリカ実験に協力して、アメリカの防衛力を強化することによつて世界の平和が守れる、日本の安全が保たれると考えている。従いましてこの実験を止めろということを申入れる権利がないようにお話でありますが、申入れることは当然できるわけであります。私はむしろ申入れないのが適当であろう、できるだけ協力しよう。そこで安全保障とは何かと申しますと、これはその危険区域日本の漁船が立ち入つたような場合には、アメリカ側で事前によくレーダーなり飛行機なりでこれを察知して、危くないところへ立ち退いてもらうというような措置を講ずべきである。その代り漁業に対する損害については、これは当然ありましようからして、日本としては実験には協力するが漁業に対する損害については、当然アメリカ側考慮すべきものである。そして漁夫の生活が立ち行くようにいたさなければならん、こういう考え方であります。
  41. 高良とみ

    高良とみ君 その実験に協力するとおつしやるが、どういう意味ですか。そうすると被害がないようにさえしておけば、向うがやり易いように成るべく退避して又はそのほかにも今後拡大される場合には、今後も協力して行くというお考えですか。
  42. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 日本の漁業なり或いは日本の漁区に対する損害の及ばない範囲においては、これを邪魔立てしないで、できるだけ協力して実験をやらせる方向に向つて行く、こういう意味であります。
  43. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 中田委員が先ほどから発言を求めておられますが、これは羽生君の御質問の関連ですか。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連です。最初のが残つているのですが、高良さんが終つてからで結構です。
  45. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 羽生委員もまだおやりになるのですか。
  46. 羽生三七

    ○羽生三七君 ええ、少しあります。
  47. 高良とみ

    高良とみ君 梶原先生が私の質問に関連して……。
  48. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは梶原さん。
  49. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今の高良さんの質問に関連して伺いたいのであります。それは先ほどの曾禰委員質問に関連するのですが、少し現実と遊離しておるというふうになるかも知れませんけれども、先ほど外務大臣は微力を尽して原子力の国連による管理方式の確立に努力する、そして原子力の管理ということは必然的に兵器としての原子力の使用を禁止する効果を伴うものであるという御意見であつたのでありますが、原子力を管理するということは兵器としての原子力の使用を止めるという目的を持つているとすれば、外務大臣も兵器としての原子力の利用についてはこれを禁止することは必要だというお考えであろうと思うのですが、勿論お話のように原子兵器というものは他の兵器と一連の関連があつて、原子兵器だけをとやかく論ずることは或いは本筋でないかもわかりませんけれども、併し現在原子兵器に対する一つの不安憂慮というものは、これは私は世界にみなぎつていると思うのです。その点においては従来あつた他の如何なる兵器とも性格がはつきり違うのじやないか。最近いろいろの兵器が現れておるようでありますけれども、やはりそれとも違うのであつて、兵器であれば戦争の際において相手の軍隊をやつつけるのだ、原子兵器というものは軍隊をやつつけるのじやなくして広く何と言いますか人類に対する一つの反逆的の私は暴力だと思う。これは半面現実問題は別としても、一般国民の感情から言つてもどうしても違うのじやないか。若し最終の外務大臣の目的が原子兵器の禁止ということにありとすれば、この際に原子兵器の禁止ということを提唱し、ひいてそれを目的としておる実験の禁止ということを提唱されて然るべきだと思う。そういう一つ考え方があつて初めて本当に、何と言いますか原子力の管理というものを実現することができるのじやないか。そういう気持がなくて単に原子力の管理の実現を期待すると、まあそれに対して努力すると言うだけでは、日本の置かれておる立場から言つて、甚だ何と言いますか、もの足りないと言いますか、不十分と言いますか、そういう感じを免れないと思うのであります。外務大臣はいろいろ方法、テクニツクからすれば外務大臣の言われた通りかも知れませんけれども、この問題についての日本政府と言いますか、日本国の国民の気持というものを一つ政府はつきりと世界に出して行くということが将来原子力に関しての外交上のいろいろの措置等のほかにもむしろプラスになるのだ、これは単にアメリカに対して言うだけではない、両陣営でやつておるのですから、両陣営に対してそういう意図を宣明して然るべきじやないかという私は考え方を持つのであります。それらをそのままにしておいて原子実験には大いに協力して行くのだ、そうして管理方式に持つて行くのだということでは、単に何と言いますか、考え方として管理方式の実現が望ましい、従つてそれに努力するというだけであつて、如何にもおざなりといいますか、そういう失礼ですけれども感じがするのであります。必ずしも答弁を求める意味ではありませんけれども、高良さんの発言に関連して発言したわけであります。
  50. 羽生三七

    ○羽生三七君 今梶原委員答弁を求めるわけではないかと言われますけれども、やはり私それに関連して答弁をして頂いたほうがいいと思うのです。と言いますのは、先ほど水爆地帯は日本の何も専売特許じやないと言われますけれども、専売特許とか独占地域ということではない、もつと厳粛なる問題だと思う。そういう意味日本の実際持つている国力、外交上のいろいろな制約等はあるでありましようが、もつと外務大臣がこの特殊性を認識されて、而もこれを世界に対して、国連に対してこの問題に関する会議の開催を要求するとか、これは手続上国連未加盟国でありますから、どういうことか私具体的な手続方法は知りませんが、そういう熱意を持つて具体的にその第一歩を踏み出される意思があるべきではないか、こう思うのでありますから、梶原さんの質問と関連して一つ答弁をお願いしたいと思います。
  51. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 梶原さんの質問は御尤でありまして、私もそういうふうに考えております。今度衆議院の決議案にも原子兵器の何と言いますか、言葉は忘れましたが、要するに原子兵器の使用の禁止、実験を禁止しようというのですか、そういう文句がありまして、政府も結構であると意見を述べております。ただ曾禰君にお答えしましたのは、ただ原子力国際管理ということができれば、自然に原子兵器ということの禁止ということができるだろうという事実を述べただけです。それから国際連合にそういうことを言うかどうか、これも今米ソの間でなお会談は形の上で続いておるわけであります。こういう問題をいろいろな方面で取上げると、却つて一緒にごちやごちやになつてあつちでやるならいいとかこつちでやるならいいとかいうことになりますが、これは日本だけの考えでも行きますまいし、いずれ国際連合で取上げるという趣旨は、日本は勿論でありますが、ほかの国も賛成であろう。そういうことを要求するかどうかは別として、その方向に努力いたすのは当然であると思います。
  52. 高良とみ

    高良とみ君 先ほどの問題に戻して頂きまして先ほど大臣は今後もアメリカの原子兵器の実験に協力すべきであるというお話があつたので、国際管理というお考えはわかりましたけれども、それはどういう法的根拠考えておられるか。つまりアメリカ水爆、原爆の実験をするというのは、防衛力の強化であるということで、日米安全保障条約等に法的根拠をみておられるかも知れないのでありますが、私ども日本の母親とし又世界の母親としての考え方は、それはもう大臣のお考え方と違うだろうと思う。それは戦争中なら原爆が頭から落ちてくるのもいいかも知れませんけれども、又そういうことを日本は経験した。併し罪も何もない悪意も何もない人、勤勉に漁業にいそしんでいる人の頭の上に灰が降つて来た。それがすぐに死ぬならとにかく、何十日も生死の境をさまよつてその被害者が数十人に上るという場合に、これは協力するんだから三十人やそこらの日本人が死んでも外務省としては損害賠償だけもらえばよいというような、或いは今後の補償を申入れるということでは、我々母親の考えかたからすれば非人道的だと思うのです。これは国際連合の人権宣言なんかでもそういうことはやはり非人道的なものに属することと私は考えるので、これは私のみでなく、私は別にそういう特定な世界観を持つておるわけでありませんから、おおよそ日本の母親なり人道的な考えをもつている人なら皆わかることだと思う。世界が要望しているものはそれだと思う。三十人がたとえ十万人であろうが、もつとひどくなつたら、もつと灰がどんどん降つてくるということになつたならば、米ソ両方へ日本政府として国民の生命安全保障のために訴えるとおつしやるかも知れませんけれども、量の問題ではない。今は平和なときです。平時において而もそういう実験の犠牲になるものを出した。而も外務省は、日本政府は議会が決議なさつたらそれに賛成して行くというようなことでは、勿論外務省というものは、特別に内閣なり何なりの意思がきまらなければ、何にもなされないでありましようが、その点どうなんでしようか。私どもが非常に心配していることは、ほかの委員からもお話があつたのですが、今後協力して行くのだ、成るべくそばにいないようにということはわかりますけれども、これほど被害があつたのですから、はつきりと世界に向い又その実験をした国に対して、若しあなたのお手許にソ連からの灰が降つて来たという証明があるならばそちらに言うのもよいけれども、こういうことは原子兵器の実験によつて被害を受けたものができ、現にそういう状態であるからこういう被害を与えないようにしてもらいたい、そうしてできるだけ早く国際管理にして頂きたいというような点を申し出されてもいいのではないか。どうもその点で今後とも協力して行くというのか、邪魔しない、そういうものが降つて来るところには寄らないと言いましても、日本がこういうところにいるのですから、島全体をどこかへ動かして行けるならいいでしようが、私の申上げようが大変失礼かも知れませんが、やはり人道上的に被害をこのくらいに止めておいて訴えるという人道的な上に立つた対策というものはあり得ないのか。私どもはチャーチルの宣言の説明を見ますと、英国は英国独自の考えを持つているようですけれども、私どもはもつと近いところにいますので、多少その点でそういう態度、本問題の取上げ方を単なる補償とか単なる今後よけますと、待避というようなことのほかに、もう一つの途があるのではないかということを希望しておるのであります。これが無理な要求であるかどうかということを御答弁願えれば仕合せであります。
  53. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 原子兵器の禁止とか実験の禁止ということが米ソ両国に向つて実現できることならば非常に結構だと思います。併しながら現在においてアメリカだけにこの実験を止めさせるということは、逆に言えばアメリカの防衛力がそれだけ弱まるということになるわけでありまして、これは私は世界の平和維持には役に立たない、こう確信をいたしております。従つて問題は漁夫の身体の安全と漁業の損失の問題であります。これは十分に考えて行かなければならないが、アメリカだけの実験をとめるということは片手落ちになるからやりたくない。これは別に法的根拠なんかないのでありまして、日本の政策としてさように考えております。
  54. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 曾禰委員質問に対して、ビキニの問題をそう肩を張つて云々と、速記を見ないとわかりませんが、はつきりいわれたのに対して私の質問に、十分に理解できないから、お前が問題を更に提示しろと、こういうことだつたのですが、岡崎外務大臣は、問題をそらされようとしているとはいいませんが、こういう立場から質問しているのです。改めて質問します。  私は原子力問題についてこの当面の問題に対して三つの考え方があると思うのです。  先ずそれにはやはりビキニ被害に対してはつきりする。これに対しては我が党がすでにはつきり立場を声明しています。更に本日は曾禰氏が適切に質問されたような形でこの問題を先ず解決する。もう一つは力の弱い日本としては、米ソの対立から日本が万一の際には原爆や水爆被害を受けるような国際環境の中に入り込まない。これは日本の弱い力の立場でもできる。第三番目には国際的な原子力の管理とかいうような三つの問題があると思うわけです。  そこで外務大臣が先にいわれたような、自由諸国の共同防衛のためにはアメリカだけに原子爆弾実験禁止を言うことはいけない。ビキニの問題をできるだけ穏便にというような、自由諸国の共同防衛という観念を持つて来ますと、やはり自由諸国の共同防衛のために、相対立する米ソ両勢力に対して、日本に原子兵器を持ち込むというようなことにも、そういう問題はずつとずれて、入り込んで来ないか。私はやはり日本の弱い現在の国力やら外交上の問題を考慮しても、米ソ両勢力の間にはさまつて日本が万一の際に、原爆や水爆被害を受けないような、日本を取巻く国際環境は作り得ると思う。これが私は非常に重要なんで、原子力国際管理ということはできないかも知れないが、併し岡崎外務大臣のいわれたような共同防衛の理念を順々持つて行くと、やはり原子兵器を持ち込む。アメリカは原子兵器こそ最大の安全保障の武器である、こういう考え方を持つて来るので、むしろ非常に危険なことになりはしないかというのですが、それについては具体的にそういう観念からして、共同防衛のために原子兵器をアメリカ日本に置かせといつたような場合には、それはまあ十分にあり得ることですが、すでにドイツに対しては原子砲をアメリカは持ち込んでいる。そういうことはどうでしようか。
  55. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 中田君のおつしやるのは、恐らくはつきり言われないからわかりませんが、中立政策とか、ソ連や中共と平和になつて両方から攻撃を受けないようにしろということじやないかと想像するのですが、若しそうだとしますれば、これはまあ意見の相違であつて、私はそういうことで日本の危害は免かれ得ないと思つていますから、これは中田君が外務大臣にでもなられたときにして頂くより仕方がないと思う。私の考えはやはり自由諸国と密接なる提携をいたして行くべきである、こう思つております。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点に関連して。自由諸国の共同防衛という立場を取られて、中立政策を認めない。こういう考えを取られることは自由党の政策ですから結構ですが、その際にやはりできるだけ中ソ両国を刺激しないような、そうして万一の際にそういう原爆、水爆が落ちて来る可能性を作つておかないということはできると思うのですが、そのために原子兵器を持ち込ませるか、それはどうでしようか。例えばイギリスのような外交上強力な発言権を持つ国でも、たしかロンドン郊外のイースト・アンダリアに原子兵器を持ち込ませるという際には、国会で大論争になりましてそのしてわざわざアトリーがアメリカに行つて、そうして原子兵器を持ち込ませるが、その使用に対してはイギリスの了解なしには絶対先制攻撃に使わせないという一札を入れるような、そういうことをやつているのですから、そこで具体的にいいますれば、仮定の問題には答えないというようなことではなしに、原子兵器をアメリカは最大の安全保障考えている。そういう絶対兵器を日本に置かせと、こういう要求に対してはどういうふうにお考えになりますか。
  57. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そのような要求は全然出ておりませんが、理論的に見れば、原子兵器をアメリカで完成しておるということが世界の平和に寄与するという。これは私の考えですが、仮にその前提に立てば、それをアメリカには置いていいが、日本には置いちやいかんということは、理屈の上にはないわけですが、現実において飛行機も非常に進歩いたしておるとき日本に置かなければならんという理屈もないように思う。現にそのような話は全然ありませんし、日本の国内に原子兵器を置かなければならんという事態は先ず見渡したところないものと考えております。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 実は私地方行政委員会におりました際に、地方税の修正についてGHQに交渉に行つた。そのときに、全然GHQの中に人がいないので、どうしたことかと思つたら、あのGHQに原子爆弾が落ちてそれを想定して待避訓練をやつておられることを知つて、それは岡崎大臣日本人の危惧等をいろいろ心配されてそういわれるかも知れませんが、やはりそういう問題はできるだけ攻撃目標に近い所に原爆の基地を持つというのは、これはもう通説なんです。なぜアメリカが、ソヴィエトや中国の周辺に、ずつと世界中見渡しても、パキスタンにしても、どこでもできるだけ近い所に持つというのは、もう現在はソヴィエトの防空能力も非常に発達して、長距離爆撃機で持つてつては、殆んど貴重な原爆を持ち込めないので、できるだけ近い所において爆撃機であるが戦闘機のようなスピードを持つて敵に入るというくらいに防衛の重心が深くなつて、入れなくなつて、なぜアメリカがソヴィエトに近いところの周辺にたくさんの基地を持つかというのは、防空能力の発達から来ている。アメリカ日本に対してはこういうふうな基地をおくというようなことを考えるなら、なぜおくようになつたかということは、ミグ戦闘機等からして非常に防空の重心が深くなつてもう遠方からではだめだということは、これはもう原爆の影響の調べたことははつきりしております。それはバルークの案のこの国際管理の問題にイギリスのノーベル賞をもらつたブラツケツトが参加してそういうことをはつきりいつている。だからそういう米ソ両勢力の間にはさまつた日本、イギリス等が、アメリカに原爆の基地を貸すなら、万一の際には、将棋盤にたとえていうと、アメリカの王将を守るために、前線に配置された将棋の駒のようなものだ。原爆の衝撃を吸収するクッシヨンだと、こういうことをいつているわけでして、若しそういうことが起きた際には、今はないということですから了承しますが、将来あつた際に原爆を置かせると、すでにドイツには原子砲を持つてつたんですから、一つその点を、どういう立場を取られるかということは、国際管理等の、日本の外交の手のとどき得ない問題よりか、安全保障について非常に重要な問題だからはつきりして頂きたい。
  59. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 中田君は非常に該博な軍事知識をお持ちのようでありますが、私は軍事的の知識は中田君にはとてもどうも及ばないようでありますが、ドイツは形の上では未だ英米仏等の軍隊がおりまするし日本と事情は異なつていると思います。いずれにしましても日本においてはそういう兵器はないのでありますからさよう一つ御了承願います。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう一点。大臣はバルーク案を結構だと言われたのですがそれは非常に問題なんです。バルーク案はたしか一九四六年です。このときはまだアメリカだけが原爆を独占してソヴィエトが原爆を持たないときなんです。従つてそのバルーク案というものは、現在ある原爆だけはアメリカが持つてその点は大臣が言われたように自国の安全を保障するため云々という言葉が先にあるのですが、あとの国どこにも作らせないように国際管理をやろうというのがバルーク案なんです。こういうバルーク案では、これは一方的な非常にそういうことが又アメリカの封じ込め政策や事を成立させた我々から見ると大きな問題だと思うのですが、バルーク案について一つその点はつきりしてもらいたいのですが、私の理解しているブラツケツトなんかの評論でははつきりあるのですが、それはやはりアメリカだけが持つことが安全だという理念に立つておると思うのですが、その点はどうですか。
  61. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私はどうもさようには考えておりません。又ソ連側がその当時原子爆弾がないともはつきり言えないのでありまして、多くの人はあるであろうという予想の下にやつてつたように考えます。
  62. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 何か問題が少し特殊の問題に入つてしまつたようですが。
  63. 高良とみ

    高良とみ君 大分時間も過ぎましたので、大臣がお差支えなかつたら、休んで午後もできるのですか、それともずつとここでお延ばしになるのですか。
  64. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 最初からおよそ二時間という見当で質問を始めたので、それで外務大臣も大儀でおありであつたかも知れませんけれども、二時間ぐらいならよろしい、こういうことでありましたからして大体その見当で進めたいと思うのであります。二時間と言いまするともう十五分ぐらいで二時間になるわけであります。
  65. 高良とみ

    高良とみ君 それではどうぞお続け下さい。
  66. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) そのために先ほど鶴見委員から関連質問のような御希望がありましたから。
  67. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 関連質問じやないのですが、この問題で二つ問題があると思うのですが、日本アメリカとの問題、日本世界の問題、日本アメリカの問題はいろいろ話が出ましたので、根本問題に私は触れるのじやないのですが、世界がどういう印象を持つておるか知りたいと思つて資料を外務省から頂きたい。それはどういうことかと言いますと、原子爆弾でも水素爆弾でも日本ばかりが犠牲になつて気の毒だ、だからこれを機会にこういう問題について今後真剣な取扱をしたいというような世論が世界にあるかどうか。それともアメリカ側におけるいろいろなことが日本新聞に出ましても非常に断片的で我々の材料に足りませんから、日本アメリカとの交渉という以外に実に日本ばかり損害を受けて気の毒だ、もつとこの機会にとり上げたいという感じがアメリカにもあるでしよう。特にヨーロツパのスエーデン、ノルウエイのような国々では非常に客観的にこれを考えてだんだんだんだんこれは実験区域が拡がつて行くとどうかしなければならんという一つの運動の端緒となつておるかも知れないと予測をするのですが、そういうほうぼうの国の材料を私資料としてこの委員会に出して頂けないかと、こういうお願いなんです。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 資料はかなり集まつております。早速作りまして提出いたします。
  69. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 成るべく早くお願いしたい。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 もう時間がありませんので、非常に聞きたいことがたくさんあるのですけれども他の機会に譲りましてただ一点お聞きしておきたいと思うのですが、というのは今までの議論によつてアメリカが南太平洋危険区域設定をし更にそれを最近拡大をした、その新らしい事態に対処してどういう措置を講ずるかというようなことを考えなければならんというようなお話でありましたが、それに対する根本方針はどうなんだということが、何か責任者がいろいろな根本方針、根本態度を出してそれを承認するかどうかというようなときには承認するかのごとく、併し具体的な措置としてはそれを全然否定しているような措置しか講ぜられておらないというような感じが非常に強くするので、この点も一つ明確にして頂きたいと思いますが、これも時間がありませんから、この点はこれは他日にもう一遍譲つて頂いて結構です。  第二点は今鶴見さんもお話のごとく、対世界的な態度従つて原子力そのものについて更に原子兵器に対してれ日本はどういう立場をとりそれを世界にどう訴え或いはその日本立場なり態度を実現して行くという措置をどうするかという問題であります。それに対しては、これもいろいろれ今までの問答を聞いておりますと、原則的には了承し理解をし、そうであらねばならんということを言われるかのごとく、併し実際の措置はソ連を容認しないかのごとく或いは何にもしないかのごときし感しか持たれないと、少くとも私はそういうふうにしか受取れない。  そこではつきり一つお尋ねしてみたいのですが、というのはこれは私たちの党として、国際的にアツピールすることにしているのですが、それは一切の原子兵器の製造及び使用を禁止すること。それから一切の原子兵器の爆発実験を禁止する。一切の原子兵器の貯蔵を破棄する。それが原子兵器に対する態度。それから原子力については、原子力を平和的に利用するために、原子力に関する秘密を公開し、研究の国際的交流を推進をし、ウラニウムその他の原子物質を国際的に管理し、そして世界原子力専門家を動員し、原子力発電等の平和的利用を促進すること。で、右の目的を実現するために速かに国際会議を開き、国際原子力憲章を制定すること。こういう基本的な態度世界にアツピールしたいとする手はずをきめて、更にこれは私たちの党だけの問題でなくて、参議院全院においてもこういう態度をおきめ願いたいと今後お願いをするつもりでありますが、こういう基本的な態度を了承をし、これを実現するように努力をされる意思があるかどうか。  それから先ほどからの外務大臣の御説明によると、アツピールをしただけじや何にもならない。或いはアツピールすることは却つて最近世界各国でとり上げようとしているのに混乱、混雑を招くかも知らんから、そういうことはしないほうがいいのじやないかというようなお話もありましたが、成るほどアツピールだけでとどまるならば無益で、いや、そう効果がないというお考えには賛成ができるのですが、と言つて、それじや何もしない、或いはアツピールをし、更にそれをどう国際的に実現して行くように働きかけて行くかという手段方法を具体的に考究をし、具体的にはつきりしておく必要がないということにはならないと思うのです。むしろそういうことをされない言い訳けにアツピールをしたつてあんまり利益がないというふうなことを言つておるに過ぎないような感じがするので、今の根本方針をどう考えられるか。その根本方針に基いて国際的な実現の方向にもつと具体的に実現する方途を考究をしておられるのかどうか。或いは考究しつつ逐次どういう下段方法で実現の方途を実施して行くのだというふうにお考えになつているか。その辺を一つ具体的に。
  71. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 佐多委員の御発言中恐縮でありますが、今入りました情報によりますと、衆議院が二時から本会議を開くことになつたそうであります。そうしてその冒頭に原子力に関する声明ですか、それを上程する。こういうことになつて外務大十臣の出席を要求されております。つきましては、今の御質問に対する回答を後日に外務大臣からして頂く。これでよろしうございますか……。それではそういうことにいたします。それでは外務大臣に対する質疑は本日はこれを以て打切ることにいたしたいと思います。  お諮りいたしまするが、MSA四協定の審議に関しては、先ず総理の出席を求めまして総括質問をやることになつておりました。ところが総理の出席については、御承知のような正式に病気の関係でまだ出席の日収がわかりませんので、つきましては正式に委員会で決定して、議長を経由して総理の出席を求めるという手続をとりたいと思いまするが、そうすればはつきりいつ何日ということがきまると思うのでありましで、そういう手続に出たいと思いますが、そのように取計らつて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではそういうことにいたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  73. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記を始めて。それではこれで散会いたします。    午後一時五十六分散会