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国務大臣(
岡崎勝男君) 先ず御趣旨から言いますとこの大量破壊兵器のみを禁止するという
考えは私も聞違
つていると思います。これと同時に一般の軍縮ということも併せてやらなければ
意味がないと
考えておりますが、これは幸いにして国連では初めには
原子力と一般の軍縮というものを別の
委員会で設けておりましたが、三年はど前から一緒にして
一つの
委員会で取扱
つているので筋においては私はそれは当然正しい行きかただと思います。そうして全体として
原子力も含めた軍縮という
方向に向うべきである。まあ軍備禁止というところまで行けば結構であるけれども、少くとも軍縮というところまでは行くべきである。その中に
原子力は平和以外に使わないというところまで行
つてくれなければ困ると思うのであります。ただ
考え方としましては私は
原子力の
国際管理ということが、まあこれは非常にむずかしいのでありましようが仮に確立するとすれば、
理論上これは当然に
原子力兵器の禁止というところまで行くのだろうと思います。というのは
国際連合のみが
原子力、そのほかのものもありましようが、これを完全に管理して
各国が自由に監視を行い
秘密に兵器を作らせないということになりますれば、
国際連合自体が原子兵器を持たなければならんという理窟は私はないと思うのであります。
従つて原子力の
国際管理ということが行われるということは即ち原子兵器の禁止ということになるだろうと思
つております。そこでまあそれはいろいろ見方はありましようけれども、原子兵器を含んだ、つまり要するに
原子力といますか、或いは表現は正確でないかも知れませんが、水素
爆弾その他もありますればその方面のものも加えたいわゆる
原子力の
国際管理ということに我々は微力といえども十分尽くさなければならんと思
つております。これにつきましては初めにバルーク案と言いますか。あのバーナード・バルークの案が出まして先般昨年の暮に出ましたアイゼンハワーの新らしい案というものは多少後退している点があります。というのは、或る国が自己の安全防止に必要な
程度のものについてはしかたがない、その残りの
程度のものを皆
国際連合に持
つて来いというので徹底的な案ではないが、むしろあまり一時に、初めから根本的な解決が困難であるので、先ず第一歩としての案を出したんじやないかと思いますが、これはともかくとしてこれに対するソ連側の
態度は今までのところは非常に失望せざるを得ないんでありまして、お話のように、国の独立及び安全に矛盾しない
範囲の
国際管理を認めるということであ
つて、どこでも国内を自由に国連の代表が監視して歩くいうことができないような案である。又兵器を作
つた場合の罰則については拒否権を保留するということであ
つて、甚だ不徹底である。バルーク案のほうはそれに対しては完全に
国際連合にすべてを任せて、そうして拒否権なしの
処罰をするということでありますから、これであれば甚だ結構だと
考えております。今でも
原子力の問題については米ソ間に話合がとにかく継続しておる形にな
つております。これがチャーチルのいわれるように非常に困難であることは事実でありましようけれども、いろいろな方面、
国際世論が主たるものでありましようけれども、併し
原子力を実際に持
つている国はその
実験の
効果も
はつきりわか
つておりますから、これに対する恐怖ということも
相当、全然知らない国と比べたら
現実に大きなものがあろうかと思
つておりますので、
世界の良識に訴えて、この方面にできるだけ早く実現をするように努力すべきものである、こう
考えております。
試験につきましては、これも勿論両方平等に埜止し得るとすれば結構でありますが、
現実の問題としては
試験をとめるということは、要するに
原子力を現存の段階においてとめてしまうということでありましようからして、一方が進んで一方が遅れているという恰存であ
つたならば、遅れているほうはなかなかきかないんじやないかと
現実的には思
つております。併し
筋道としては
原子力の管理ということに向うべきでありますから、そこに行く
方向に向
つておるならば当然
試験も両方とめるということは結構な活だと思
つております。