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1954-04-20 第19回国会 参議院 外務・農林連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  委員氏名   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事      團  伊能君    理事      佐多 忠隆君    理事      曾祢  益君            鹿島守之助君            古池 信三君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   農林委員    委員長     片柳 眞吉君    理事      宮本 邦彦君    理事      森田 豊壽君    理事      清澤 俊英君    理事      戸叶  武君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            松本  昇君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            松浦 定義君            鈴木 一雄君            鈴木 強平君   —————————————  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君    委員            鹿島守之助君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君   農林委員    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            清澤 俊英君            戸叶  武君    委員            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    外務省欧米局長 土屋  隼君    外務省経済局長    心得      永井三樹三君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農産物購入に関する日本国とアメ  リカ合衆国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの作(内閣提出、  衆議院送付)   —————————————    〔外務委員長佐藤尚武委員長席に着く〕
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今より外務農林連合委員会を開きます。  議題は農産物購入に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件であります。  なお質疑に入りまする前にお断わりいたしておきたいことがございますが、それは、本連合委員会は種々の都合によりまして本日午前中を以て終了いたさなければならないこととなりました。そのことをお含みの上に適当に御発言をお願いしたいと思います。  なお農林大臣は間もなくこちらへおいでになるはずになつております。  それでは質疑に入りますから御発言をお願いいたします。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 外務大臣に御質問いたしますが、この協定で入つて来る小麦大麦の量というものは新聞で伝えられておるところで間違いないと思うのですが、正確には農産物数量というのはどうなつておりますか。それからその値段というものはどうなつておりますか。
  4. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今予定しておりますのは、小麦が五十万トン、大麦が十万トンでありまして、その値段はまだ正確に最終的にきまつておりませんが、少くとも五千万ドル以内であることは明らかであります。従いまして五千万ドルではまだ余るわけでありまして、それは何を買うかということはまだきめておりませんが、まあいろいろ考慮があつて例えば小麦を余計買うとか、或いはバター輸入するとか何とか、残余額によつてもきまると思いますが、いずれにしても五千万ドル以内で五十万トンと十万トンが買い得ることは明らかであります。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 値段が正確には最終的に決定はないとしても、大よその見通しというものがあるのじやないかと思うのですが、大体の見当もまだつかないわけでしようか。
  6. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 大体の見当国際小麦協定による小麦価格と同等、こう見ております。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 国際小麦協定による価格ということで、この際、取引につきましては、先方のほうで、どこにあるどの小麦というように指定をされるわけですか。普通の商取引と同じように、やはりこちらがこういうものをということでやつて行くわけですか。その点はどうなるでしようか。
  8. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは事実上、米国政府の持つておる小麦でありますから、普通の商社同士の話とは多少違う点があると思いますが、結局これは買付けをやるのも、日本商社、成るべくこれは商取引の方法によるということになつておりますから、結局日本側でも都合のいいのを注文しましようし、先方でも成るべく自分都合のいいほうを売りたいと思うでありましようから、取扱い商社の相談になると思います。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 現在このアメリカ農産物の滞貨というものが非常に厖大な量になつているということは伝えられておるわけですが、若しアメリカ都合から言うと、その中で或いは古い部分から積出したほうがいいというようなこともありましようし、又日本としては食糧として最も適合した品物ということになりましようし、その間に両方の国の見解というものが違つて来はしないかと思いますが、そういう恐れはございませんか。
  10. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それはどうしてもそういう点は勿論あろうと思います。あろうと思いますが、大体品質とか規格というものは日本食糧庁で一定のインスペクシヨンがありまして、それに基いて適当なものを購入するということになろうと思います。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 その際やはり普通の商取引のように検査というようなことは厳密に行われるわけですか。
  12. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私その点はよく知りませんから、係りから……。
  13. 永井三樹三

    政府委員永井三樹三君) その点は普通のものと同じに検査等を行います。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 農林大臣もお見えになりましたので、農林大臣にお聞きするような問題もあると思います。この第三条で「アメリカ合衆国又は他の友好国通常市場取引を排除し、又はこれに代替してはならないものと了解される。」こういうことがございますが、今度入つて来る小麦五十万トン、大麦十万トン或いはそれ以上の数量というものが、この三条に不都合を来たすような問題はございませんでしようか。
  15. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その点は、大体、昨年度輸入計画として実施しましたのは、小麦百九十七万トン、今年は百九十六万トンの輸入計画を立てましたゆえんは、大体平年の食糧生産状況でありますれば、小麦輸入不足分は百五十万トン内外で済むわけで、従つて百九十七万トンと百九十六万トンという大幅の数量の出たのは、これは昨年の災害によりまする食糧農産物不足から出ておりますわけでございまして、従つてMSAによる買入れ期待というものは、いわば日本不作によつて供給力不足を来たしたのを補填するという関係にもなつておりますから、この第三条に抵触するということにならないと、こういうふうに考えておるわけです。従つてアメリカにおいてもそれは同様の考えを持つておるものと思います。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 この問題が出てからカナダ政府あたりから何か意思表示があつたようでございますが、それはどういう意思表示でございましようか。それから又それはどういう結末を付けたでありましようか。
  17. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) カナダ政府は常に、原則として小麦は自由にしておいて、世界中一番安い所から買うベきだという主張をいたしております。従いまして、例えば日本アルゼンチンがバーターで小麦を高く買つて鉄を高く売るということは、カナダ政府としては好ましくないということを言つておるわけであります。これは別問題として、同様にしてアメリカ小麦を買う場合にも、一つはその価格が妥当であるかということと、それからもう一つは、カナダの普通の輸出量にこれが妨害になりやしないかという点で問い合せをしております。そこで日本側としては、カナダからの通例の買付け日本としては持続する考えである。それからこの取引は円で払うという点と、一千万ドルの贈与を受けるという点で特殊なもので、日本には必要なものであるから、これは通常のマーケツトの取引を排除しない限りにおいては、日本としては好ましいから買いたいのであるという説明をいたしております。カナダ政府もこれは了承しております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 カナダのほかにアルゼンチンの問題もあると思いますが、要するにカナダなりアルゼンチンは、日本が従来買付けておる量を引続き買うのであり、そうして今度アメリカから買うものが国際価格から見て特別高い値段でなければよろしいと、こういうことになるわけでありますか。
  19. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アルゼンチンとは別に話はありませんが、カナダとの間にはおつしやる通りであります。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 私はこの協定についてもつとお尋ねしたいのでありますが、これと関連いたしますから、この際、お聞きしておきたいのですが、今年アイゼンハワー大統領年頭教書で、アメリカ過剰農産物を今後三カ年間に十億ドル海外へ出す、初年度において日本が一億ドル、こういうようなことが言われましたが、この点については、その後アメリカのほうから、何か意思表示があつたかどうかということと、又、日本政府部内におきましては、この問題をどう取扱おうとしておられるのか。その点はどうでしようか。
  21. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) その後まだこの五千万ドル以外には全然意思表示はありません。  それから今後の問題については、アメリカ余剰農産物がたくさんあるべきことは、これは当然想像されることであります。そこで農林省において、そういう種類の小麦が今後必要であるかどうかという判断を下されて、必要であるということになれば、話合いを始めたい。併し要らないものなら、これは話合いはする必要はないですから、これは今後の作柄その他いろいろの考慮から、農林省で決定されましたならば、それに基いて行動するつもりでおります。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 三月の末項の新聞を見ますと、この一億ドルの過剰農産物処理について政府部内で関係各省連絡会議が行われ、そのときに小麦大麦、或いは大豆、とうもろこし、バター、葉たばこ、或いは綿花、こういうことについて具体的な話合いが行われ、或る程度結論を見たようなことが新聞には出ておりましたが、そういうことはございませんでしようか。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今お話の点は、私どもとしましては、アメリカ余剰農産物を処理する、併しどういうふうにして処理するかというための立法措置只今研究されておるけれども、まだアメリカにおいて立法措置がとられていない。併しいずれにしましても、大量の小麦海外に仰いでおる、このことが急速になくなるということにはならないということは、もう日本食糧事情からいつて当然考えられることでございますし、非常に有利に、私ども考えるように有利に、これが受入れられるということであれば、それはそのアメリカ立法を見なければわからんことであるけれども、そういう場合に備えて、関係事務当局と、よくいろいろの場合に処して、時期を逸しないようにということで研究を願つておる。そのことであろうと存じますが、まだ私も、どういう方途でやつたらいいということは、事務当局から報告も受けておりませんし、当局間でいろいろ御研究は願つておることと思つております。江田委員のおつしやるのはそのことじやないかと思います。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 私どもの理解するところでは、このMSAの今度の協定と、只今申しました一億ドルの過剰農産物処理の問題は、これは密接な関連があるのであります。いわば今後の過剰農産物処理一つのきつかけが、このMSA協定農産物購入に関する協定のように私ども考えるわけでして、その点、外務大臣見解は、或いは違うかも知れませんが、そこで私は今後の一億ドルの問題を非常に重要視するわけですが、それについては、まだはつきりきまらんということでありましたが、新聞で我々の見るところでは、この一億ドルについては、或る程度数量等も具体的に出ておりましたが、この点は何らそういうような、具体的な各省連絡会議結論というものは出ていないのですか。食糧庁長官どうでしようか。
  25. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 我々といたしましては、只今農林大臣が申上げましたように、食糧庁関係におきましては、小麦の現在の需要の傾向からいたしまして、通常輸入に対して、御承知のように現在の状態におきましては、小麦需要が相当伸びております。従いまして、こういう伸びの場合におきまして、どの程度需要があるかというふうな点についての検討をいたしまして、それにつきまして、関係庁との間におきましていろいろ検討をいたしておるわけです。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 そこで第三条の、先ほどお尋ねしました「通常市場取引を排除し、又はこれに代替してはならない」、こういうことを入れられたのは、ただこの協定限りでなしに、こういうものが入れられなければならんというのは、恐らくカナダなりその他のほうの関係からして、今後もやはりこの原則というものは出て来るんじやないかというふうに、私どもは解釈しますが、その点、外務大臣どうでございましよう。今後仮に、一億ドルになりますか何ぼになりますか、過剰農産物処理の問題が出た場合に、やはりこの第三条にきめられたような精神国際間に問題になる。日本としてはこの精神に則つてやらなければならんのではないかと思いますが、その点どうでしよう。
  27. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 若しこのMSAの五百五十条の関係農産物輸入しようとしますれば、MSAの五百五十条の(b)の(1)というところには、「合衆国又は友好国通常市場関係に代り又はこれを置きかえることがないように」大統領は「保護しなければならない」ということがありますから、アメリカ側としても、自分の国は勿論、友好国通常取引を阻害してまで余剰農産物を売ろうということはないわけです。従いまして、この種の、正確にこのものと同じものかどうかは別として、この趣旨の規定はおかれるものと思います。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 それで今後、この精神というものが問題になるということは、今おつしやつた通りでわかるのです。そこで私、具体的にお聞きしますが、今年の小麦五十万トン、大麦十万トンというものは、たまたま昨年の不作のために、日本需給状態に穴があいておるからして、カナダなりアルゼンチンとの取引影響を与えないということですが、今年、この五十万トン、十万トンの分はいつまでに入ることになりますか。これが、輸入が繰越しになる場合がございますかどうか。それから大体それに伴いまして、食管の手持在庫見込みはどういうことになりますか。その点、具体的に示して頂きたいと思います。
  29. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この小麦五十万トン及び大麦十万トンにつきましては、契約は御承知のように六月末でございますが、積出は、我々現在の状況からいたしまして、八月くらいまではかかるのではなかろうか、かように考えておるわけです。そこで具体的な在庫といたしましては、本年度端境期におきまする在庫は、既定計画通り在庫考えておられるわけでございますが、幾分積出しが遅れた関係で多少予定在庫よりも減つております。我々在庫として考えておりまするのは、大体そのときの作柄状態需要状態によつて異なると思いますが、大体三カ月から四カ月分の在庫端境期におきましては持ちたい、こういう考え方でやつておるわけでございます。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 そうしますと、今年の日本の麦の作況というものは勿論最終的にはわかりませんけれども、現在のところでは平年ということがいわれております。多少作付段別が減つておりますけれども。そうなりますと、米がどうなるかということはこれは見込がつきませんが、日本麦生産並びに米の生産が普通の平年作であると仮定しましたならば、来年度において、この協定の三条にあるような「通常市場取引を排除し、又はこれに代替してはならない」という精神を活かして行くとすれば、従来カナダなりアメリカなりアルゼンチンあたりから国際小差協定その他で買つているもの以上には入れる余地がないということになりはしないかと思いますが、それはどうでしよう。
  31. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 先ほど、通常輸入といたしましては、小麦につきましては百五十万トン前後というふうに大臣から申上げたのでありますが、これは二十五年、二十六年、二十七年の実績から考えてみますると、大体輸入到着量はそういうふうになつておるわけでございます。ただ先ほど申上げましたように、本年度におきまする小麦需要増加というものは、大体最近の状態を見ましても四割程度需要増加がみられておるわけでございます。これは期間的に一年間に延ばしまして、そういう需要増加がみられるかどうかということには問題はございますが、相当量需要増加考えられておるわけでございます。この需要増加人口増加というものを考えまして、それから御承知のように大体小麦在庫は現在相当切詰めておるわけでございますが、その在庫等見通しまして、やはり明年度におきましても、本年の輸入量程度需要考えられるのじやなかろうかというふうに現在においては推定いたしておるわけでございます。
  32. 江田三郎

    江田三郎君 それはちよつと私、変だと思うのでして、四割程度需要増加といつたところで、それはたまたま昨年の米が不作であつたから出て来ている要素が非常に多い。これが米が通常の平年作であつた場合に、果して小麦だけが、ただほかの条件、関係なしに四割増加するということは到底考えられないと思うのです。そこで仮に多少の増加があるとしましたところで、百五十万トンといいますと、従来の関係から見まして、アルゼンチンが三十万トン、カナダが六十万トン、アメリカIWAによるものが五十五万トンあるはずでありますからして、本年のようにMSA小麦を五十万トン、大麦を十万トン入れるというようなことが、国際間の通常市場取引を排除し、又は代替しないでやれるということは、到底私どもには考えられない。で今、度の一億ドルにつきましても、新聞に出たところによりますと、小麦五十万乃至七十万、大麦十万乃至十五万というような数字各省間の意見の一致として出ているわけでして、この数字をトータルをとつて行きますと、どうしたところで、この通常市場取引を排除し、代替か何か影響を与えずには済まぬと思うのですが、そういうことはなしに行われるというようにお考えになつていますか。  それからなお、一体日本小麦粉輸出というものがどういうことになつたかということも併せてお答え願いたいと思います。
  33. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今お話ございましたように、大体通常の場合におきまする輸入は、アルゼンチンの三十万トン、それからIWAの百万トン、それにフリーの小麦が二十万トンくらいあるわけございます。大体百五十万トン程度のものが通常輸入というものに考えておるわけでございます。その後、人口増によります需要増というような点を考えて参りますと、その人口増需要がどういうふうな形で小麦大麦或いは米に向うか、こういう問題でありますが、そういう点をいろいろ検討いたしておるわけでありますが、相当量のものが小麦のほうに向うのではなかろうかということは、過去の需要実績から考えまして、相当量小麦に対しての需要が旺盛である、こういうふうに考えて参つておりますのと、大体ほぼ需給操作の面から考えて参りますると、毎月小麦につきまして大体十七、八万トンから二十万トンのものを政府が売却いたしておるわけであります。その状況というものを考えまして、これは今後の需要状態、或いは米の作柄というものとも勿論関連いたすわけでありますが、通常の現在想定いたしておりまする状況から考えて参りますと、只今申上げましたように、つまり本年の七月から明年の六月までの麦年度におきまする需要量というものは、我々といたしましてはほぼ本年度輸入程度になるのではなかろうか、こういう推定をいたしておるわけでございます。それから小麦粉輸出につきましては、これは現在そう大きな輸出考えられておりません。ただ最近におきまして韓国及び台湾等のほうにおきましての引合いもあるようでございますが、特に我々といたしまして小麦粉輸出をこれに非常に大きく織込むという考え方はいたしておりません。ただ将来の見通しといたしましては相当伸びる見込みはあるかと思いますけれども実績状態から考えまして特に大きく見込んでおるわけではございません。
  34. 江田三郎

    江田三郎君 どうも人口増とか消費増とかということを言われますが、これは食糧庁長官少しどうかと思うのですよ。本年度小麦五十万トン、大麦十万トンが、最初の外務大臣なり農林大臣の御説明のように、たまたま昨年度、米が凶作であつた、そのためにこれだけのものが入つて通常市場取引を排除することにはならんということを言われて、これは常識的に誰もそう考えられるわけでして、その際、今後人日増とか或いは消費品増加するということを考えましても、去年の凶作の穴を埋めるほどの大きな人口増消費増ではないはずでしよう。それはやつてみなければわかりません。或いは放射能が降つて米も麦もとれんということになるかもわかりませんが、そういうことはちよつとまだ想像できないのであつて、先ず 通の作柄だとすれば、どうしたところで、そんな来年度に今年と同じ程度輸入をして、第三条にいうような影響なしには済まされんと思うのです。若しそうではないというなら、あなた一つ細かに説明をして見て頂きたいと思います。私はそういう説明はできんだろうと思います。  それから、この小麦粉輸出につきましても、増加が望めないというのではなしに、むしろ私ども小麦粉輸出は減少が必至だと思つておるのでありまして、そういう点から行きますと、どうしても過剰農産物処理の一億ドルというようなものが出て来ると、これは日本需給計算上、大変な要りもしないものを持つようなことになるのか。或いは要りもしないようなものを持つということは、当然その次の年度、或いは更にその次の年度というように、国際間の通常取引影響を来たすことは必至だと思うのです。それをそうでないと言われるならば、もう少し具体的に言つて見て下さい。勘定が合わないと思います。
  35. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ず食糧庁長官から御説明申上げます前に、私の考え方を申上げたいと思いますが、この食糧需給体制を確立すべしということは、これはもう国論の一致いたしておるところであり、特にこの経済の自立の上から、かなり品質の悪い外米に大きく依存しておる今日の食生活というものを是正しなければならないではないかということは、両院における殆んどこれは一致した御意見であり、特に衆議院では昨年の幕に、外米の輸入を節減して小麦に転換すべしという決議まで行われて、そうして食生活を改善して行かなければならないという今日の食糧政策における大きな国民的な麦が、粉食への依存度を高めて行くというところに、大きな筋が入つておるわけであります。それで、成るほどお説のように、今日の需要消費の関係の面からのみ見ますれば、そういう御懸念が十分あると私承知いたしております。ただいずれにいたしましても、そういうふうにいたしましても、私どもといたしましては、成るべく外国食糧に依存せずして食糧の自給を達成して行くということが何といつても第一の眼目ではございますけれども、これとて今日の事情からいたしまして、急速に増大して参るこの食糧に対する供給力を国内で充足するということは、言うべくして簡単には行われない。どうしても相当大量の外国食糧に依存しなければならない。その上からいたしまして食生活の改善、粉食の普及ということを大きく取上げて、これは昨年の災害にもよつて小麦の消費量が非常に大きくなつて来ている一面には、やはりこの食生活の改善、粉食普及の要請がだんだん滲透して参つている証拠だと私は思います。従つて今後の、特にこの小麦の需給計画を立てますにつきましては、そういう一つの大きな動きに対して、どれくらい一体消費量を見通すことができるかということは、これは非常に検討をして行かなければならぬ。併しながら食生活の改善をする、粉食普及をすると申しましても、これにでき得れば成るべく安く大量に供給し得る下地がなしには私はできないと思う。そういう上から行きましてやはり供給力を強く持つておるということは、食生活を改善して行くという今日の要請に応える私は大前提だと思うわけであります。この需給計画そのままでやるというようなことでなく、幾らかそこにはやはり供給力を余計持つというくらいの措置をとらなければ、私はできないのじやないかと思う。ということは、すぐ価格影響を及ぼして来るし、この上、小麦値段が騰つて行くというようなことでは、この大きな要請が達せられないのじやないかと思います。  お説のように、今後考えられます余剰農産物日本が買うという場合には、勿論十分な検討と資料の上に立ちまして、いたさなければならんことは申すまでもないのでありまして、そういう考えでございますから、只今お話の点は十分私どもも了解できますし、又そうでなければならんと思います。取扱うためには検討いたして、誤りないように期したい、かように私は考えております。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣は、しばしば本年の凶作に対する食糧対策で、その対策として、合成米だとか、人造米三十万トンで大いにカバーする、こういう御趣旨の御答弁が大臣並びに食糧庁長官からあつたことは御承知通りと思う。これらの間には、結局日本人の長い習慣として、米に頼る点を相当考慮せられた関係上、そういう考え方も加えたのだろうと私は考えております。私は合成米などではそういつたことはできない、こう考えておりましたが、まあ大臣の言われる意味合いなどはそういう意味ではないと思つておりました。  そこでお伺いしたいのは、それほど執着のある米というものを大量に、何十万トンのものを小麦を入れてすぐこれを明日に蓄えておくということが、果して今大臣の言われたような考え方が、私は或る程度まで正当だと思うが、それがすぐできるかということは問題だろうと思うのです。問題は、今年すでに百九十六万トン輸入計画の上に、なお六十万トンの過剰の買付をここでしようとせられておるものか。残つておる上に、又来年そういうような考え方で、同じような数量を御説明のように進めて行つて、そこで過剰が出ないということが、どうして言えるのですか。実際の運用はそうはうまく行かないと思うが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  37. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは百九十六万トンというその枠の外で入れようということではないことは御承知通りでございます。百九十六万トンの中で扱つて行くべきものだということは当然のことであります。ただ江田委員の御懸念は、この措置はこれでわかる、わかるが、これは去年の不作による食糧不足があつたから、この償いがとれておるじやないか、滿作ではないけれども平年作と見て行けば、そういうものは要らんじやないか、それを入れると第三条で語つているところに抵触しているんじやないか、そこはどういうふうになるか、こういう御質問であろうと思う。その点に対しては、先ほど申上げましたように……。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは重大問題ですがね。本年の百九十六万トンという輸入計画の枠内だけですか、この六十万トンは。
  39. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そうなんです。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはできるのですか。第三条との対立においてそれがやれるんですか。どこを減らすんです、それなら。
  41. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どこといつて減らすところはございません。それはその中で操作をして行くようにいたしておるわけです。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 そこでまあ大体本年度凶作であるからそういう影響なしに行われる。併し平年作の場合になつて来ると、仮に一億ドルの過剰農産物を入れるということになると大変だということになりますが、それで私、外務大臣にお尋ねしたいのですが、まあ如何に農林大臣が粉食に切換えなければならんとか何とか言われたつて、そう簡単に行くものじやないのでして、そして粉食に切換えるということは、たまたま今年は米がないからそういう傾向が出ますけれども、実際に食生活をして見れば、粉食をやるということはコストが高くつくということなんで、これは家庭にとりましては重大な問題なんですから、私はそう簡単に粉食によつて小麦の消費量が殖えるということは考えられないと思うのです。それで、まあ今度の一億ドルの大統領教書にある分が、正確なことはわからんとしましても、いずれは問題になると思います。現に政府関係各省連絡会議をそのために開かれておるところを見ましても、これは当然具体化されるものとしてやつておられると思うのですが、若しそういうことが問題になつたときに、日本過剰農産物をこれ以上入れるために通常市場取引を排除するというようなことが起きたり、或いは日本の繰越在庫量というものが通常考えられる適正なものよりも非常に大きくなるというようなことが考えられる場合には、この一億ドルの過剰農産物処理については日本政府としてはお断わりになりますか。
  43. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 一億ドルということは、まだなんにも私ども承知しておりませんが、いずれにしても農林省の計画によつて輸入する場合にはするので、必要がない場合には輸入いたしません。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 その一億ドルの、まあ具体的にわからんと言つて逃げられてしまえばそれまでですが、これは一つ外務大臣ちよつとあなたの御承知のところを聞かして頂きたいと思うのですが、私どもあの教書を読んだだけでよくわからんのですが、やはりあれには今度の一千万ドルの贈与というような、若干部分の贈与というようなものがつくんでございましようか。そうでなしにただ円払いであとから払うということだけなんでしようか。それはどうでしようか。
  45. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはMSAの五百五十条を御覧になりますと、円払という、相手国の通貨によるという以外に、「友好国における国内需要のための生産増加するための無償援助のため」というようなこともありますし、その他いろいろの規定がありまして、相当の有利な条件で売ろうとして考えておることは事実だろうと思いますが、どういう条件になるかは、たまたま今度はこう条件になりましたが、この次に買うときにどうなるか、これは又相談して見なきやわからんわけであります。
  46. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ほかに質疑者がまだ三、四人おありのようですから、一段落ち付きましたらばどうぞ。
  47. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと大事なことですからね。若しこの一億ドルの問題が出た場合には、私どもとしては、今の日本政府アメリカ政府との関係からしますと、なんらかそこに今度の贈与のような形のものが生れて来るんじやないかと思いますが、まあはつきりは、わからんとしましても、この協定と同じような恰好のものになるのじやないんですか。どうですか。
  48. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 若し喰うとすれば、少くともその協定と同様の条件は必要になります。或いはもう少し日本に有利な条件を欲しいくらいに思つておりますが、まあ買う買わないは農林省の国内需要関係ですからしてまだきめておりません。
  49. 江田三郎

    江田三郎君 まあ買うか買わんかは農林省考え方だということですが、農林省としては、新聞へ出ました各省連絡会議では、小麦五十万乃至七十万、大麦十万乃至十五万というような数字が出ておりましたが、そういうものは来年度入れても差支えない、食糧庁長官の先ほどのお答えを聞くと、そうなりますが、そうですが。
  50. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) まだ我々といたしまてもいろいろな条件の前提条件がきまつておりませんから、いろいろな前提条件を置いていろいろ需要量を想定いたしておるわけでございます。その場合におきましては、例えば小麦の場合におきましても、マニトバ・フアイブのようないわゆる現在飼料用として使つておりますものも、今度当然入つて参ると思うのですが、そういう飼料の需要の伸びはどうであろうかというようないろいろな前提条件を考えまして、いろいろな案を考えておるわけでございます。この前提条件が又狂つて参りますと、数量にも限度があるわけでございます。今或る種の仮定を置いた前提の下に需要量を想定いたしておるようなわけでございまして、その想定条件が具体的に、米の作柄なり或いは麦の作柄なり、或いは飼料の需給の伸びなり、こういうものが変動して参りますると、おのずから数量にも変動が起つて来ると思いますが、いろいろな前提の下にいろいろ検討いたしておるという段階でございまして、最終的に決定いたしておるわけではございません。
  51. 江田三郎

    江田三郎君 まあ食糧庁長官の答えは、わけがわかつたようなわからんような答えですが、大体先ほどの答えで、今年程度の百九十六万トン程度のものは輸入しても差支えないのだということでありますし、若し農林省のほうで差支えないということになるなら、外務大臣の答えで行くと、そのときに出て来るところの協定は、このMSA協定或いはそれ以上に日本に有利なものであろうと、こういうことがわかりましたので、まあ私、質問を終りますが、最後にもう一つ、そういうMSA小麦なりそれから今後引続く過剰農産物処理の問題がありますが、そういうものが輸入されるときに、日本の国内における小麦価格の決定、政府の決定する分です、これにつきましては昨年度と同じような方式をもつて今後も進んで行かれますか。或いはそうでございませんか。その見解はどうでしよう。
  52. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 小麦価格につきましては、食糧管理法に規定もございますので、その方式に従つて考えて行くわけでございまして、外麦につきましては、内麦との歩留り関係等を睨み合せまして価格を決定して参るという考え方でおるわけであります。
  53. 江田三郎

    江田三郎君 抽象的に言われちや困る。パリテイの扱い方或いは加算の扱い方等が、昨年と同じようにやつて行くのかどうか。若し昨年と同じようでないということならば、やはり広い意味におきまして第三条に言うところの通常取引とは違つて来る、従来の行き方と違つて来ると思うので、これは私、何も日本以外のことだけ言つておるのじやないと思うのです。日本にも当てはまると思うのでして、これはどうなりますか。昨年の小麦価格を決定したと同じような方式でやられますかどうか。抽象的にぼやかさないで、そこは、はつきりしておいて下さい。
  54. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 食糧管理法の規定で行きますと、結局パリテイ価格を基礎としてれそれを下らないという形になつております。その間に生産事情なり或は経済事情を考えるということになつております。基準の価格は勿論パリテイ価格でございますし、又このパリテイ価格を下らないという一つの法律の規定があるわけであります。その方針に従つて従来通りつて行きたいと考えております。
  55. 江田三郎

    江田三郎君 昨年度と同じような方式で行かれるということなんですか。昨年度とは変えるということなんですか。そこだけはつきり言つて下さい。
  56. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 私の申上げておりますのは、昨年度も法律の規定によつてつておるわけでありまして……。
  57. 江田三郎

    江田三郎君 法律の規定ということはきまつておりますよ。
  58. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) その規定によつて我々も、御承知のように政令によつて、麦の価格につきましては相当細かく算定方式がきまつておるわけでありまして、この規定によつて価格をやつて参るということは従来ともに変つておらないと私は考えております。
  59. 江田三郎

    江田三郎君 これは大臣から答えて下さい。長官じやだめですから、責任がある答えをあなたから聞いておかないといけませんから。
  60. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この只今の問題は、食糧庁長官からお答えをいたしておりまするように、食管法で麦価決是の方式をきめておるわけでございますから、これを変えるということはできないと思つております。
  61. 江田三郎

    江田三郎君 まだいろいろ質問がありますが、又あとで…。
  62. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私からも第三条の点につきまして重複を避けて御質問したいと思いますが、この農産物購入の点は、絶対不足量の内枠として入つて来るという意味において私は是認されると思うのでありますが、ところが先ほどの江田さんの御質問を聞いておりますると、今きまつておる小麦五十万トンとか大麦十万トンは、昨年の不足分の需要等をカヴアーするわけでありますから、これは問題ないと思います。ところが、先ほどの人口増による需要増、まあこういうのは当然予見されておるのであつて、それを入れることは通常市場取引を排除したり代替することにはならないという点については、私も一応の疑問を持つわけでありまするが、まあこの問題は一応別といたしまして、この第三条の解釈に関して御質問いたしますると、排除するなり代替する対象は、これは主要食糧全体が対象となる。例えば小麦だけが排除なり代替の対象になるか、小麦を入れて来ることが他の米なり大麦なり主要食糧全体を対象として代替するか排除するか、これは私は解釈上非常に大きな問題になると思いますが、さつき粉食が殖えて来るので小麦需要は殖えて来るという話があつた。これは小麦だけの範疇においてはそういうことが言えるのですが、私はやはり主要食糧全体が排除なり代替の対象になると、こういうふうに解釈しておりますが、それは、どうなんでございましようか。
  63. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 我々今まで外務省から交渉を受けたことを考えて聞いておりますところによりますと、個々のそれぞれの当該の商品について、通常市場取引と、或いはその市場取引内におきます代替と、かように解釈いたしておる次第であります。
  64. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 そうしますと、小麦をたくさん入れて、外米の輸入はそれに即応させることは第三条には抵触をしないと、こう解釈してよろしうございますか。
  65. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 小麦については小麦の問題、大麦については大麦の問題というふうに我々了解いたしております。
  66. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その点は私は解釈上疑問を持つわけでありますが、その次にお伺いしたいのは、要するに国内の主要食糧の生殖がノーマルであると、第三条との関係で多量の小麦なり大麦を入れることが、この解釈上むずかしいというようなことになつて参りますと、いきおい従来入れておらん食糧バターであるとかそういうようなものに結局第三条が適用される、これは従来外国からバターを入れるという取引は余りないわけでありますから、第五条が厳密に運用されて来ると、主要食糧は、日本の国内が平年作であると大した援助は要らない。バター等になればこれは第三条との抵触関係が稀薄になるということで、バターというようなものが相当今後入つて来るのじやないか。そうでなくても実は酪農関係は大分心配をしておるわけであります。小麦とか大麦になりますれば、これは現行制度が続く限りは、安いものが入つて来ましても政府の買入れで国内影響が遮断できるわけでありますが、バター等が入つて来るとそういう危険が非常に起きて来ると思うのですが、酪農振興法を提案されておりますが、それにもかかわらず安いバターが入つて来れば酪農事業を不振にさせる、こういう関係になると思うのでありますが、この点は非常に私どもも、安いバターは欲しいわけでありますが、国内の酪農の振興という問題からは非常な影響が起きて来ると心配しておるわけであります。そこで将来このMSAの援助でバターは絶対入れないというような方針がとられなければならんと思うのでありますが、併しこれも先ほど江田君の質問等で、各省協定ではバター二百万ポンド入れるような御意見も出ておるように聞いておりますが、その辺はどういうふうなことになるか。このバターは、私、非常に問題ではないかと思うのですが、どんなふうになつておりますか。
  67. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほど江田さんにもお答えいたしましたように、この来年以降の問題につきましては、食糧庁長官の御説明をお聞き頂きましても、まだまだ十分検討しなければならん問題が根本に残つておるわけでございますから、無論、結論的なお答えは今日はできませんけれども只今お話の、まあ小麦大麦は第三条にすぐぶつかるからなかなか厄介だろう、これにぶつかりの遅いバターとか何とかいうものを余計買い込むようなことになるのじやないか、それじや酪農振興は一体どうなるかという懸念は、同様に私もいたしておるわけでございます。併し扱いは余ほど慎重に行かなければならんという点は只今の御意見によりましても同感でございますから、その通りでございますが、同時に、日本の内地酪農をすぐ消費者に大きな犠牲を背負わせて、間々酪農と申しましてもそう……これ又相当の年数を要するし、そうかといつて国の食糧事情からいたしまして、どうしても食生活の改善と申しますか、粉食依存を増して行かなければならんという、この大きな方針を急速に或る程度達成して行こうとしますれば、それのやはり附随的な条件、特に乳製品の供給と申しますか、バター、牛乳の供給というものが一面に確保されなければ、食生活の改善と言つてみたところで、これはもう口頭禅に終らざるを得ない。そういう意味からいたしますと、どうしても消費者に食生活の改善を促進して頂ける素地を作りますためには、そういう酪農製品等の供給も増さなければならん。併しそれをやると折角芽生えて来ている酪農が衰えて来る、芽を摘まれる虞れがあるという点は、これはもう無論細心の注意を払つて行かなければなりませんし、従いまして、仮にそういう場合におきましても、内地酪農の発達を阻害するという形ではこれは受入れられないと私は考えておりますけれども、十分この点につきましては一つ慎重に扱つて参りたいと考えております。
  68. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 これは外務大臣に御質問をいたしたいのですが、この主要食糧関係になると、やはり通常市場取引を排除するとか代替するという解釈が、理論的にはそれは江田さんのような結論になると思うのですが、そこでこういう解釈がとれないかどうかの点でありまするが、今、日本食糧輸入関係もまだ固定しておらないのだ、外米を減らして麦に転換するというようなことで、又敗戦後まだ僅かの取引関係であつて、又各国との通商協定もまだ全面的にはできておらないような状況だと思うのですが、この通常市場取引というものは、要するに固定した状況にはなつておらないというような解釈が、これはむしろ政府の解釈を或いは有利にする意味の私の質問かも知れませんが、現在のところは、米が幾ら、小麦が幾ら、大麦が幾らというような、そういう固定した市場取引がないのだ、従つて通常市場取引というものはまだはつきりしたものがないのだというような解釈ができませんか、どうか。
  69. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはアメリカ側の見ておりまする通常市場取引というのは非常に固いものじやないようであります。大体その標準としては、或る国の食糧需要量と、その国の持つている外貨の状況で、通常考え方で、つまり常識的にどれだけ買い得るかというのが通常輸入量になるように、アメリカでは見ておるようであります。併しながら具体的に日本が買入れておりまするほかの国では、やはり今まで買つたものは通常輸入量といたしたい気持は随分あるだろうと思います。おつしやる通り正確にきまつておるというものは少いのでありますが、協定で例えば三年間これだけのものを買うとかいう約束をしておれば、その協定は少くとも破れないわけで、その範囲内では通常取引と言わざるを得ないと思いますが、それ以外にはお話のように固定したものじやありません。ありませんが、大体併し余りその或る国の輸入を急に減らすということになれば、これは法律上はどうか知りませんけれども、実際の政治的な考えから言えば、やはり余ほど政府としては考慮を要する問題だろう、こう考えております。
  70. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 最後に御質問をいたしたい点は第二条でありまして、私はこの第二条を読んで行きますると、形式上は、購入される個々の品目及び個々の取引の条件は、随時両政府の間で合意をされる、対等できめられるというようなふうに理解をしておつたのでありますが、ところがこの間に「アメリカ合衆国政府のために対外活動庁が定める手続に従つて」と、こうあつて、それが単なる手続規定かというふうに解釈しておつたわけでありますが、いろいろ今日まで研究をして参りますると、実は例えばこれで日本へ持つて来る船舶というものは、アメリカの船が半分である、日本船が半分であるというような実体的なことが、すでに対外活動庁が定める手続という中にそれがきまつておるというようなふうに理解しておつて、そうすると、実は両政府が対等できめるといつても、もう内容的にそういうことがきまつておるということを承知して、意外な感じをいたしたわけであります。そうなつて来ると、対外活動庁が定める手続という単なる手続ではないのであつて、相当その内容を含んでおるというようなことでありますが、そうでありまするかどうか。この対外活動庁が定める手続というのは、今言つたアメリカの船舶を半分使うということまで入つておるかどうかを伺つてみたいと思います。
  71. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この対外活動庁で定めるものは私も非常に細かく研究しておらないのですが、これは普通の手続と思つております。今おつしやつたその船舶の問題は、これはMSAの別の規定に、MSAの予算法というものの百六条に書いてあります、これではないけれども、やはり政府としてはそれを承知の上で、つまり別の問題でありますけれどもそういう条件を承知の上で交渉いたしたのであります。
  72. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 そうしますると、取引の条件等は随時両政府の間で合意されるといいますか、この協定承認する際に、これは事前に日本国政府は了承しておつたというふうに理解してよろしうございますか。
  73. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この船の問題でありますればそうであります。
  74. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私の質問はこれで終ります。
  75. 戸叶武

    戸叶武君 この「MSAの第五百五十条の規定に基く米国の余剰農産物の販売及び日本国によるその購入から生ずる相互の利益を考慮して」という段でありますが、この具体的内容について今まで衆議院等における各大臣の御答弁がまちまちになつておるようですが、改めて岡崎さんからそれを具体的に列挙して頂きたいと思います。
  76. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) おつしやるのは前文のことかと思うのですが、これはアメリカとしては勿論余剰農産物がはけるということによつて利益であり、日本としては、ドルを用いないで買い得るという点、及びその中の一千万ドル相当分が贈与になる点で利益である、こう思いまして、こういう取極をいたしたわけであります。
  77. 戸叶武

    戸叶武君 その一千万ドルの贈与は、日本の防衛産業、兵器工場の育成に使われるということでありますが、今までの日本食糧不足に悩んでいるからこそ、こういう小麦輸入ということをアメリカに懇願したのだと思いますけれども日本の農業の育成なり食糧増産の面において、何もこれによつて利益を受ける部分はなく、むしろ圧迫を受ける危険性がありはしないかと思いますが、その点はどうですか。
  78. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) つまり、おつしやることは、一千万ドルの贈与は受けるが、それを農業の開発等に使わないからおかしいじやないかとおつしやるのじやないかと思いますが、これはMSA法の五百五十条であつて、その法律の中を御覧になつてもわかりますように、防衛力増強ということを主眼として考えておるものでありますから、従つて、この協定を結びますと、贈与を受けた部分は防衛力増強に用いることになります。従つて農業方面に大して役に立たない、それはその通りでありまして、ただ今の日本食糧事情からして小麦が必要である、小麦を円で買い得ればなお結構である、こういう意味で取極めたわけであります。
  79. 戸叶武

    戸叶武君 今度は農林大臣に承わります。アメリカにおいては余剰農作物等の市場をこれによつて開拓することができますが、それによつて日本農業というものは或る点まで私は影響を受けないわけには行かない。而も今このMSAにまで頼つてそうして小麦アメリカからお願いしようというようなところは、日本食糧増産というものに非常に欠陥があるからなんであつて日本の今日における課題は、国際収支のバランスを保つ面においても、或いは日本の重要産業を育成する面におきましても、その前提としての基本産業として、やはり食糧増産というものは大きな国家的要請と思うのです。それにもかかわらず、このMSAの圧迫の下に、又この再軍備の強化の下に予算面が圧縮されて、日本の農林関係の予算というものが前年度から比較すれば五百二十八億三千万円も削減されている。而も具体的に二十九年度におけるところの農林省食糧増産費というものが、当初二百三十万石増産を目指して七百八十億円要求されたにかかわらず、その半分の三百六十三億円に削られている、こういうふうにして日本の国内における食糧増産の費用というものは削つて、そうして食糧が足りないからと言つてアメリカからあり余つた小麦を買入れるというような態勢では、日本食糧増産態勢というものが本腰にでき上つて来ないのじやないかと思いますが、農林大臣はこれに対してどういう見解を持つておられますか。
  80. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この協定による小麦大麦の買付によつて、内地農業を圧縮し、乃至食糧増産の手を緩めて行くような結果に終つて来るのじやないかという御懸念でございますが、これはしばしば申上げておりまするように、今日厖大な外地食糧をドルで買つて来ておる、その一部をたまたまこういう措置によつて実質的にドルの負担なしで買える。昨年の小麦百九十七万トンの輸入にいたしましても、今年の百九十六万トンにいたしましても、このMSA小麦を買わなければならんから、乃至は買いたいからということで、この必要量を出しているものじやないわけなんです。これだけは、どの道とにかく私どもとしては国民食糧を確保する上に必要であるという計画の下に輸入を実施したい。たまたまこのうちの小麦五十万トン、大麦十万トンは、MSAの買入れ措置によつて、ドル負担なしでできるということであるから、この輸入計画の中において一部をこれを実施して参る。こういうことで、のみならず今日厖大な食糧、米を合せて三百万トン以上の外地食糧を仰いでおる。そのために内地農村を圧迫するということ、これは全体の問題に亙ると思いますが、これにつきましては、只今承知のように食管制度の下におきまして、内地産の米麦の扱いと外地食糧との間には明確な遮断措置をとつておりますわけでございますから、従つてただ足りない分を海外からは仰ぐ。併しその仰いだ価格が内地の価格影響しない措置は十分とつておりますから、その点については私どもはそういう御懸念のようなことはないと存じておるわけでございます。ただ最も注意しなければならんと存じますのは、たまたまアメリカに余剰農作物がある、それがドルも払わんで買える、だから食糧増産なんというものは余り力を入れなくてもいいのじやないかというような安易な考えが若し一部にでも起るということは、私どもの絶対にとらないところでございます。無論、今年度の農林予算が私どもの希望するように行かなかつたということは、これは私の非常に大きな責任でございますけれども、全体の按排からいたしまして止むを得ず承認をせざるを得なかつたわけでございます。食糧増産はなるほど私どもの希望のようには達成しておりませんけれども、農林予算全体の緊縮下におきましては、食糧増産には最重点の力を注いでおることは御承知通りである。それで、農林予算が非常に食われておる、これは御説の通りでございますが、併しこの農林予算が減つたというのは、御承知のように、輸入補給金の二百十億円、或いは農業共済保険金の特別会計繰入の分が三十億円減つたとか、昨年にいたしました供出完遂奨励金の繰入金が五十六億円減つたとかいうようなものでございまして、ために農林予算が削減を受け、食糧増産の手を緩めて行くというような考えは、政府には毛頭もないところでございます。
  81. 戸叶武

    戸叶武君 農林大臣は比較的正直に、農林予算が削減され、特に食糧増産費まで事実上において削減されているような状態に対しては、率直に前にあやまつておりますから追究する必要はないと思いますが、このMSAによるところの小麦関係の問題とやはり関連があるから質問するのですけれども、今議会の当初において吉田総理大臣は、やはり食糧増産というものに相当重点を置くということを強調しておるのです。従つて農林大臣の下に働いておる農林当局の事務官の人たちも、よもや日本食糧増産関係の費用或いは農林関係の予算が削られるとは思つていなかつたのに、こういうふうに削られて、日本の自立経済の態勢を作らなければならない一番基本的な問題が再軍備態勢とMSAのために圧迫されたというこの事実をめぐつて、私は改めて外務大臣にお聞きしたいのですが、外務大臣は、MSAそのものの性格が軍事的な援助なのだから止むを得ないというのが前の答弁であつて、極めて私の質問に対して不機嫌な顔で答えられておるようでありますが、あなたは、やはり経済援助というものを前から匂わせながらここまで引摺つて来たのです。で、少くとも小麦を我々がアメリカから援助を受けるという点が、あなたはこれが経済援助だと言つて、非常にその点を力説しておりますが、こういうふうに小麦は入つて来るが、それによつて国内で売付けるところの小麦の費用というものは、全部、その一千万ドルは兵器工場の育成にだけ使われるということは、如何にも日本の外交というものが対等の太刀打をしていないで、アメリカの言いなりに引摺られたという印象よりほかないのです。そこで私は外務大臣にお聞きしますが、日本国際小麦協定の定める、即ち国内価格より安い値段小麦を買い、一応買つた上の操作で、食糧庁価格操作で、日本の市場価格で売り出すということになつておりますが、そうすると、簡単に言うと、安いものを買つて日本で高く売るのだから、そこに儲けが出て来ると思うのです。その費用はどういうふうな形において処理できるようになつておりますか。
  82. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私の関係する限りは、要するに四千万ドルの小麦を買つて来れば、その四千万ドルを公定価格で換算して円を積立てるのであつて、それ以外の分が国内のマーケツトの模様で入つて来るか入つて来ないかそれは食糧庁なり大蔵省なりで適当に処理する、要するにアメリカとの関係においては、一千万ドルのものをアメリカから買つて来れば一千万ドルのものを積立てる、こういうことになります。
  83. 戸叶武

    戸叶武君 それはアメリカで買つた値段のものを積立てるだけであつて日本の国内で、日本の市場価格で売る、この儲けの部分というものは別にして積立てないで、日本政府側の自由意思で処分できるという意味ですか。
  84. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 儲けがあるかないか私もよくわかりませんが、要するにアメリカから買つたもの、これは細かく言うと、FOBで買うかCIFで買うかという問題もありましようけれども、要するに、買つたものに対してアメリカ政府に支払うものはアメリカから買つた値段で支払うわけであります。その買つた値段で支払うそのものを今度は円で積立てる、それだけのことであります。
  85. 戸叶武

    戸叶武君 農林大臣にお尋ねします。ただこれは細かいことのようでありますが、そういう場合でも、非常に明確化されていないと、結局アメリカのものを買つて来て日本で売つたのも、アメリカのものを元手にしてそれで儲けたのだから、それも兵器工場の育成のほうに使うべきであつて、余計なほうへ使つちやいけないといつてお叱言を言われて、そのときに又品質改良をやられるのでは困るのですが、当然安いものを買つて高く売るのですから、儲けが出て来るのは当り前のことなんで、その金を、日本の、今近代化して行かなければならない、食糧増産にいそしまなければならないところの農林関係の費用のほうに投げ込んでもらえるような交渉が、大蔵省なり何なりに農林大臣としてできるかどうか。その辺の所見を承わりたいと思います。
  86. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今の特別会計に積立てる関係外務大臣お話なつ通りでありますが、小麦の買入価格と売渡価格関係上差益ができまする点につきましてはお話通りでございます。この点につきましては、我々といたしまして、今年度の予算におきましては輸入補給金との差引におきまして米、大麦に対する輸入補給金が一般会計から繰入れられるわけでございますが、その際の算定の基礎といたしましての小麦によりまする差益は差引いて輸入補給金を計上されておる、こういう関係になつておるのであります。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 小麦協定による買付六十万トンが、今年は特別の凶作年度であるために、それくらいの輸入はいろいろの点で手当できると見てやつておる。これは先ほど江田君がやはり質問しておるのですが、来年度が平年作である場合でも百六十九万トンというものを大体お買付けになるのかならないのか、これをはつきりさして頂きたい。
  88. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは先ほど片柳さんや江田さんにお答えしたところで大体御了解願えると思うのでありますけれども、後年度関係につきましては本当を言いますと、円の食糧事情から言いますと、外米のほうをもつと減らして小麦のほうをもつと殖やすような結果になれば非常に結構だと思うのでございますけれども、それはそんなに右から左に簡単に行けるものじや無論ございません。後年度につきましては十分その辺の趨勢を、食生活の様相及び食糧事情の趨勢を見ないと、今からはちよつとどのくらい後年度要するかということは、まだ今日は申し得ない段階にあることを御了解願いたいと思います。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、こう了解してよろしいのですか。今年はMSA協定による農産物購入の分は六十万トンを入れることにしたが、来年度は大体の方針は、外米の輸入と見合わして、外米を減らして小麦に切換えたい、こういう希望は持つているが、その希望は、需要によつて、それは国内需要でしようが、需要によつて、そう外米に切換えることができんならば、六十万トンを場合によつては減らすと、こう解釈してよろしいのですか。
  90. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは今日の外貨事情からいたしましても、何としても輸入を削減して行く、国全体について……、ということでなければ、とても貿易のバランスはとれないわけでございますし、貿易のバランスを改善して行く上から行きましても、不必要なものを買い込むというようなことは、これは絶対にできることではないと思います。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 いや、そこのところがはつきりしていればいいのです。結局先ほどお尋ねしましたように、外米に切換えたいが切換えることが困難な場合には六十万トンはその量を減らすこともあると、こう了解してよろしいのかよろしくないのか、これだけでいいのです。簡単でいいのです。
  92. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 政府がどんなに外米を減らしたいと申しましても、又一部のかたで外米は要らんじやないかと言われましても、やはり粉食よりは外米でも米のほうがいいのだと、そういう要請が又一面相当強うございますから、そう簡単には私は割り切れないと思つております。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 その場合には六十万トンのMSA購入は幾らか減らされるのか、こういうことを聞いているのです。
  94. 保利茂

    国務大臣保利茂君) MSAの計画は、今度買う六十万トンだけでございます。その分については計画を変える考えは持つておりません。
  95. 清澤俊英

    清澤俊英君 問題は、今年は解決しておるのです。これを来年も継続して買入れられるのでありましようが、来年の供与というのですか、五千万ドルが一億ドルになるというようなことも、我々は新聞等によつて承知している。今までの江田君の質問によりますれば、その一億ドルというようなものは、外務省でも、あなた方でも、まだその話は聞いておらんと、こう言われておるので、これは御相談になつたり、そういうお話がないとすれば、ないでよろしいが、とにかく五千万ドルぐらいのものは継続してあるだろうと、こう考えられる。その場合に、小麦でやはり今年並みに六十万トンを外米の事情で入れられるのか入れられないのかということが、将来における日本食糧問題として重要な問題が残ると、こう思うのです、実際問題として……。それで、そういう場合に、外米がどうしても減らされないと、こういう場合には、六十万トンを切つてほかの農産物に切換えられるのかどうか、こういうことをお伺いしておるのです。
  96. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 後年度の問題につきましては、先ほど申上げまするように、慎重に検討してからでなければ結論は得られないと思いますから、これはこの程度でお願いをいたしたいと思います。
  97. 清澤俊英

    清澤俊英君 それでは審議して行けません。大体の方針ぐらいは……それくらいのことは常識でわかるだろうと思う。入り用のものはきまつているのです。食糧として入り用の量は大体きまつているのです。破天荒に何十万トンの入り用が急に殖えたというようなことは、よくよくの今年のような凶作でもなければ出て来ないのでありまして、そういうのは特別です。平常の場合を中心にしてお伺いしておるので、そういう場合においては、大体における通常の取扱い方の考え方というものはきまりはせんかと、こう思いますので、お伺いしておる。来年は何だかそれがわからない、来年は来年のことだ、今年は今年のことというのであつたら、これは行き当りばつたりで、何も私は審議する必要はないと思うのです。今年は終えてしまつているのです。我々がこれを審議して行く限りにおいては、来年のことが必要なんです。再来年のことが必要なんです。
  98. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それで十分慎重に検討して行かなければならんと申しますことは、今日の食糧事情からいたしますと、何とか米食偏重を粉食のほうに依存度を高めて行くように持つて行かなければ日本食糧問題というものは解決できないじやないかというのが、私は大方の御意見であると思うのでございます。そういうわけでございますから、従つて今国民食生活の実態を洞察いたします場合に、安定した食生活というものは、まあ安定と申すのはどうかと思いますが、この食生活が動きつつある過程でございますから、その動く幅をどういうふうに見て行くかということは、これは相当慎重な検討を私は要すると思うのです。その検討を経ずして、大体食糧はこれだけしかないのだから、内地でこれだけだ、そうなると外米はこれだけ入れる、小麦はこれだけ入れるという、簡単な平面的な計算では物足りないのじやないかと思います。それで、後年度食糧計画については十分慎重に検討をいたして参りたい、こう申上げておるわけであります。
  99. 清澤俊英

    清澤俊英君 もうこの問題をいくら農林大臣と問答してみても同じことだと思いますから、大体これで打切りますが、大体農産物購入協定の前提となるのは、日本の国内事情というよりは、むしろアメリカにおける農業計画が中心であつたと、このほうが強いと私は思う。それは農林大臣はどうお考えになるか知らないが、これは大体アメリカにおきましても、世界の小麦情勢におきましても、今重大な過剰生産を来たしておつて小麦騒動が起きそうなくらいな恰好になつて来ておるというのが新聞等に伝えられておる実情である。それが入つて来る。それを買うために、何か来年も六十万トン若しくはそれ以上の外貨の支払を、或いは経済援助というような名目の下に強くそれを指示せられておるのではないかと、こういうことが我々の心配になつておるのでありまして、ということは、現在すでに小麦輸入等が増大しましたことによつて国内の小麦の作付の反別は三、五くらいのものが減つておることは事実だと思うのです。これは先ほども食糧庁長官は作付反別の減退は認めておられる御答弁があつたのでありまするから、これだけは減つておると思う。こういう国内の生産を減退さして現在輸入しておる。その上、又強大なものを急にアメリカの市情を汲み入れてそれは大分日本の国のためにもなるかは知れないが、急に持つて来ることにより、而も農林大臣が言われるように、急に粉食こ換えるというような方法を講ぜられることによつて日本の農業政策並びに農民に対する影響というものは私は尋常のものではないと思う。こういう点に対してどうお考えになつておるかということと、いま一つは、粉食々々と言われますが、粉食をパンで以てやる場合等を考えまするとき、これが実際、一家の生活、経済上において、パンとバターと牛乳だけでは決して腹は満ちません。そのほかの副食物が必ず要ります。卵であるとか、肉であるとか……、卵と肉だけでは駄目だから、果物も食べなければならん。コーヒーも飲みたい。大体食生活を、パンと、牛乳と、バターと、果物と、或いは外国産の罐詰を切つてやつたら、理想的であるとかないとかいうようなことは、東京におる一部のインテリの考え方です。若しくは中産階級の考え方です。実際、労働者はパンを食べるだけでは腹は膨れませんよ。パンだけではやつて行けませんよ。これはやはり日本の米というものが持ちまする特質は、経済上、調理からカロリーに至りまするまで、私よりもあなた方のほうがわかるだろうと思う。これは長い間の習慣として、そのほうが経済的にできておるということはわかつておると思う。これは実際の食生活に直面しての考え方等をもつと吟味して、粉食に切換える等のことをもつと一つ考えてもらわなかつたら、これは問題にならないと思う。日本の労働者、農民の生活水準がもつとずつと高まるということを考えての上でそういうことも考えて行かなければならんと、こう思うのでありますが、それを来年あたりからぽんと五十万トンも六十万トンも余分のものを入れて、そうしてぐんぐんやつて行かれるということになりましたら、これは重大問題が私は出て来ると思うので、農林大臣に先ほどからお伺いしておるが、来年のことはわからんと、こういうふうに言われるので、そのわからん点はよろしいが、粉食に換えるという問題等に対しましては、大体それは理想的と思うが、どういう形をとつて換えて行こうと考えておられるか。
  100. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういうわけでございますから、清澤さんのような御意見も又私としては深く頭に入れて考えておるわけです。従つて、この食糧事情日本のおかれている宿命から申しますと、それは成るほどお話のように、米の食生活における特質というものは、同様に私ども考えておるわけであります。併し、だからといつてそれで令部を賄うということはできない。だから、どうしても粉食と申しますか、麦食に依存して行かなければならない。それにはお話のようないろいろな副食物を要する。先にど片柳委員からお話のような酪農振興というのは、その農業経営を安定せしめて行くという意義のほかに、食生活を改善するという要請に応えるためにも、どうしてもこの内地酪農の振興を図つて行かなければならん、そういうことは、それは方向としてはまさにその通りだけれども、それをすぐそうだから来年から皆切換えしてしまうのだというようなことは、これは事実できるものじやございません。ただ併しそういうところに官民共に努力を払つて行くということは、私は是非やらなければならんじやないか。それでその幅をどの程度に見込んで、後年度の外地食糧購入計画をどう立てるかということは、その幅を十分検討してみないとわからないじやないかと、こう申しておるわけであります。のみならず又もう一点は、内地の食糧増産の手を緩めてはならない。アメリカにいつでも今後永久に余剰農産物が始末に困るほど余るということを誰も保証してくれる者はいないのでありますから、従つてどうしてもこの内地の食糧自給ということが国策としてこれは基本政策でなければならんことは必然でございます。従つて日本の事情からいたしましても、要らない物を特殊の目的のために入れて来るというようなことは、日本経済事情がこれは許さない。従つて、要らない物を何かアメリカの余り物のお手伝いをするために入れて来るというような考えは、これはもう絶対に私どもにはございません。
  101. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣に対する質問はこれでやめますが、私が大臣のお答えを解釈したところでは、いろいろの食糧事情を勘案して、大体の方向としては粉食に切換えることが正当だと思うが、そのことは急にはやらない、従つて来年の実際の需給関係を見て、場合によつては今年の六十万トン以下に減る場合もあると、こう御答弁になつておるものと私は解釈して、質問を打切りたいと思います。  その次に、別な問題で一つお伺いしたいのは、この六十万トンの小麦買入に対しましては、大体交換文書による暫定処置として、もう仮契約と言いますか、何かおとりになつたのかどうかということが一点と、それから五千万ドルのうち、小麦五十万トン、大麦十万トンの価格が幾らになるのか。この買付価格を幾らくらいに見ておられるか。幾らに或いは暫定協定をしておきめになつたのか。これを一つお伺いして、その次を継続質問したいと思います。
  102. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げますが、我々といたしましては、食糧の需給上からいたしまして、この四月—六月の間におきまする既定の輸入量を必要とするわけでございます。それにつきましては、外貨予算を組みまして、その外貨予算の範囲内において買付をいたしておるわけであります。将来この協定が批准になりますると、それが振り替るということは予想いたしておりまするが、現在通常の形において買付を進めておるわけでございます。それから価格につきましては、御承知のように、価格はそれぞれそのときどきによつて変動するわけでございますが、大体現在の相場から行きますと、約一ドル九十セント前後が一ブツシエルの相場になつております。これにいろいろな輸入諸掛、それから食糧庁で買いまする場合においては、そのほかにCIF以降の円チヤージがありますから、これ等を換算いたしますると、大体CIF価格におきまして七十六、七ドルになるのじやなかろうかというように想像しておりますが、これは向うのFOB価格がだんだんに変動いたしまするし、又フレートの関係もそのときどきの入札によつて違つて参りますので、固定した価格はございませんが、大体そういう見通しを持つておるわけであります。
  103. 清澤俊英

    清澤俊英君 私のお伺いしておるのは、その大体の予定した価格ですな、予算価格とでも申しましようか、あなた方が考えておる価格として、小麦五十万トンは何千万ドルくらいになつて大麦十万トンは何千万ドルくらいになつて、この二つで五千万ドル全部になつてしまうのですか。
  104. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この価格は、一応予算の面では、小麦全体といたしまして、CIF八十ドルということに予定いたしておりますが、最近の市価は幾分これを下廻つておるわけでございます。従いまして、具体的な価格はそのときどきにおきます市価によつて買付けて参るわけでございます。大体この五千万ドルで小麦五十万トン及び大麦十万トンを買いますると、幾分残りが出て参るだろうというふうに考えております。
  105. 清澤俊英

    清澤俊英君 その残りがどれくらいですか。
  106. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 大体現在の市価から想定いたしますると、小麦にいたしまして六万トン程度のものになるのではなかろうかというふうに考えております。
  107. 清澤俊英

    清澤俊英君 この六万トン分は、小麦価格にして六万トンくらいになるものは、ほかの農産物でお買入れになるのか、小麦等でやはりお買入れになるのか、農林省考え方はどうなつておるのですか。
  108. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) まだこの残りのものについては最終決定いたしておりませんが、我々といたしましては、場合によつたら小麦で買つても差支えないというふうに考えております。
  109. 河野謙三

    河野謙三君 遅れて参りましたから、お尋ねすることが重複するかも知れませんけれども、この協定によつて輸入する農産物というものは、小麦大麦、裸麦、酪農製品とか、いろいろあるわけでありますが、その予定されております種類を一つお教え頂きたいのです。
  110. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今清澤委員にお答え申上げたように、小麦五十万トンと大麦十万トンが決定いたしておるわけでございまして、これによりますと、現在の市価から推しますると幾分五千万ドルに達しないかと思います。その場合におきましては、まだ最終的にきまつておりませんが、小麦に換算して六万トン程度になるかと思いますが、この程度のものは小麦として買つても差支えないのではないかというふうに考えております。
  111. 河野謙三

    河野謙三君 それ以外のものはございませんか。小麦大麦以外に、日本政府として希望するものはございませんか。
  112. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この五百五十条の適用を受けまする品目は、そのほかにも、棉花もございまするし、或いは飼料用穀物等もございます。それから油脂類等、いろいろ品目はございますが、現在予定いたしておりまするのは、只今申上げました小麦大麦で、あとは最終的に決定いたしておりませんが、我々といたしましては小麦で買つても差支えないではなかろうかというように考えております。
  113. 河野謙三

    河野謙三君 先ほどから農林大臣お話を聞いておると、非常にものを割切つてとにかく小麦を買つて米輸入を減らすのだ、そうして粉食の奨励をやり、食生活の改善をやるのだ、これは確かに一つの方向でありますけれども、これはそう簡単に私は割切れるものではないと思う。例えば最近の趨勢から言えば大麦が非常に安いのです。米も安いのです。外米も安いのです。そうしますと、今後大麦なり米の価格の下落の趨勢を考えて見ますと、この次の段階には果して大麦を買つたほうが得か、米を買つたほうが得か、これについて逆のような印象が起るような事態が来ると思う。  そこで伺いたいのは、仮に大麦を買うよりも外米を買つたほうが安い、こうなつた場合には大麦というものを取入れますか、これを私は伺いたい。
  114. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 本協定におきまする場合におきましては、五百下十条の適用を受けますのは、先ほど申上げたようにいろいろ種類がございますが、米がこの適用になるわけではないのであります。このMSA協定によります五百五十条の場合、この場合は別の問題になるわけであります。現在のこの協定の場合におきましては、米は対象になつておらないわけであります。
  115. 河野謙三

    河野謙三君 いや、そうではなく、私が伺つておるのは、これで米が買えるということは幾ら私が素人でも考えておりません。ただ、これによつて、これは円では買えるが、ただではないのだ、もらうのではないのだ、だから、これによつて大麦を買うよりは外米を買つたほうが円の貸借から言えば、国の食糧問題から言えば得だということになれば大麦を減らして米をもつと殖やすとか、さもなければ他の農産物を買うとかいうことにすべきものであつて、こういうものを一定することは非常に危険だと思う。それは農林大臣も御存じでしようが、最近の国際市場の米なり麦の下落の傾向、特に来の下落の傾向は非常にひどいのです。こういうものに対して、こういうものを将来一年間に亙つての長期のこういう十万トンとか五十万トンというものをここできめることは非常に危険だと思いますが、その点を伺つておるのです。
  116. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) これは河野委員も御承知のように、我々としましても、予算に組みました輸入計画の範囲内でありますから、この協定は本年の六月末で契約をいたしまして、入港は多少ずれると思います。本年一年というのではございませんで、本年の六月までに買付をし、入港は八月くらいまでには入港するという程度で進めておるわけでありまして現在の需給状況からいたしまして、その時期までに入れたいというふうに考えております。
  117. 河野謙三

    河野謙三君 将来はどういうふうになりますか。数量等についてはいろいろ問題があるでしようけれども、将来は、協定する場合に、年の当初における小麦何万トンとか大麦何万トン、酪農製品何万トンというように、当初にきめてしまうのですか。それは順次そのときの農産物国際市場の価格によつてどつちにでもスライドできるような協定をするのですか。非常に農産物価格が激動しておるときに、私は特にこの点を伺いたい。これは幾ら将来の問題でも、協定の基本の問題でありますから御説明頂けると思います。
  118. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) やはり協定を作りますときは、一年間価格が非常に変つて面白くないと思えば協定を作らないだけであつて作る以上は、その一年間の価格の危険を踏んで値段をきめて買わざるを得ないと思います。
  119. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、一年間の計画を立ててきめないで、その都度契約ということも可能でありますか。
  120. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは大体において、例えば小麦にしますれば、国際小麦協定価格ということにしておりますから、価格が変動すればアメリカ政府の補給金が殖えたり減つたりするかも知れません。併し大体の価格はそういう標準で見ております。従つてそれがうんと変つて日本が損するという場合があれば、その危険負担は日本で危険を負担して協定をすべきか、危いから協定はこの際やめておこうか、どつちかは、そのときの判断によつて仕方がないと思います。
  121. 河野謙三

    河野謙三君 そのときの判断によつて、長期の計画をするかしないかは、日本政府の自由があるわけですね。
  122. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 勿論自由があります。協定を結ぶとすれば一年間有効の協定を結ぶわけです。
  123. 河野謙三

    河野謙三君 私はここで農林大臣に特に考えてもらいたいのは、米との関連、米の価格の将来の見通し、これは甚だ無礼なことを言うけれども、役人の人の相場ほど当てにならない。役人をやめて商売をやつた人で成功した試しはないが、見通しはよくないのだが、米の将来の相場の見通しというものが非常に協定に深い関連を持つております。この点につきまして今、外務大臣からのお話だと、どちらでもいいという御意見でしたが、農林省として、これは年間を通じての契約、それだけの協定をするだけの将来の農産物価格、特に米なら米の価格の将来についての見通しがありますか。
  124. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 昨年の災害で外米の輸入も大幅にいたし、のみならず終戦後日本食糧不足に悩んで、従来にない大幅の外米を買付けて来ておる。従つてこの外米の相場というものは、日本の買付というものが相当大きく左右する地位にあつたということは、これはもういなみがたい事実であろうと思います。従つて日本が外米の買付をうんと減らして行くということになれば、外米相場というものは、これは落ちざるを得ない。のみならずだんだん平和状態が続いて来ますれば、これは世界各国も食糧の供給力は殖えて参りましようから、そこから供給力は殖えて来る、買付は減退して来るということになりますれば、これはもうひとり外米に限らず私は全体がそうなつて来るであろう、こういうふうに考えてはおりますが、併しここ一両年そう急激な、昨年はこれは米に対する措置は全く臨時緊急の措置として大幅の大量輸入をいたしたわけでございまするけれども、百万トン前後の輸入計画が急激に半分にできるとかいうような性質のものではございませんから、それによつてまあ趨勢としましては私は下落の方向に行くということは、これは米におきましても、同様に考えておるわけでございます。
  125. 河野謙三

    河野謙三君 農林大臣は、御承知のように国際価格というものは、大手の日本の買付の数量如何というものが相当大きく影響することは私も共鳴するのでありますが、本年のように日本が未だ曽つてないほどの大量の外米の買付をしても、なお且つ米の価格というものは相当下つておるのです、現在におきましても……。私は先ほど大麦の話をしましたが、大麦価格と米の価格とどちらが高いか、安いかというと、それは食糧庁長官でも農林大臣でも御存じのように、これは岡崎外務大臣つてよく御存じのように、大麦は、買いましても、そのうちの歩留りは六〇%です。米は殆んど一〇〇%歩留りです。こういう関連において考えますと、必ずしも今でも非常に米が割高であつて大麦が割安ということにならない。これはこれで逆鞘になると思う。そういうことも考えまして、私はこれまあ理想でありますから、そういういろいろなフアクターを考慮に入れますと、先ほど申上げましたように年間の契約というものについては非常に見通しがむずかしいのじやないか、こういうことを私は申上げておるわけです。これは十分御検討願いたいと思う。  それから次にもう一点だけ伺いたいのですが、農林大臣は、この委員会のみならず、しばしば粉食の奨励、食生活の改善、それがためにこの小麦を入れるのだとおつしやるけれども、今粉食の奨励、畜産の増殖ということで非常に大きな行詰りが来ておるのは飼料不足、ふすまが三十キロで一俵が八百何円というような価格が来ておるわけです。こういう飼料対策をやらないで、粉食の奨励、それに繋がる畜産の増殖も何もあつたもんじやないですよ。そこで私は折角この協定によつてアメリカから援助を受けるなら、この中に餌を私は入れるということは考えられないものかどうか。若し本当に農林大臣が粉食の奨励をやるのだ、食生活の改善をやるのだ、畜産の奨励をやるのだというなら、この協定の中に飼料というものを入れられないか。アメリカは飼料の供給国であります。飼料というものを差挟む余地がないかどうかということを私は農林大臣に伺いたいと思います。
  126. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 余剰農産物として扱われる飼料が多量にございますれば、五千万ドルの範囲内において最も我々として欲しいものを入れて頂くということにおいては、私も全然異議がございませんが、併しこのCCCで多量に飼料になるものを持つておるかどうかということは、私はまだつまびらかにいたしておりません。
  127. 河野謙三

    河野謙三君 農林省はこの飼料の問題について本協定に関連して外務省といろいろ折衝したことがないのですか、今まで。
  128. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) この五百五十条の適用を受けまするリストの中には、「とうもろこし」その他の飼料用の穀物と、その中には小麦も含まれておりますが、現在我々といたしましても、飼料を海外から輸入しておりまするので、この点についていろいろ検討したわけでございまするが、飼料用の穀物といたしましてそれに適する品物が現在においてはCCCの手持ちが少いのじやないかというふうに考えておるわけでございます。ニユー・クロツプになりますると、今後飼料のCCCの手持ちがどういうふうに殖えるか、そういうようなCCCの先行きの状況を見て、今回ではなく将来の問題としては十分検討しなければならないというふうに考えております。
  129. 河野謙三

    河野謙三君 今伺いますと、まだ外務省のほうには農林省としてはそういうことについて希望さえも出てないようですが、そこでCCCの手持ち云々の問題があるでしようが、そういうことがあつたかないかというよりも、アメリカの大きな世帯でありますから、向うが若し好意を持つて日本にどうせ援助するなら、日本が一番希望するところの飼料を少し入れてやろうということは、或る程度できるのじやないだろうかと思う。若しそれが初めての話なら、私は一つ外務大臣に希望を申上げますが、御承知のように、お互いに同じくにでありますが、例えば神奈川県のごとく田畑は殆んどないが、牛だけは北海道に次ぐ神奈川県は乳牛の第一等県である。全く購入飼料によつて八割の餌を賄つておる。これは私は神奈川県に餌を入れろというのじやありませんが、これはどこのくにでもそうでありますが、特に神奈川県のことは外務大臣詳しいのであるから直ぐぴんと来ると思いますが、それで是非、外務省からも希望があるでありましようが、この協定の中に何分かでも餌の輸入ということを織込むということに私は是非御尽力を頂きたい、こう思うのです。  先ほど農林大臣は、本協定によつて小麦が入りましても日本農産物価格の圧迫には絶対にならん、こうおつしやいますけれども、これは希望であつて、現実には農産物価格の圧迫になります。私はこれをいいとか悪いとかいう議論をする前に、現実に圧迫になるのでありますから、せめて、一方において農産物の国内価格を圧迫する、一方においては本協定によつて餌を入れて、農村には今度は寄与する、こういうことも私は政治的にも考えなければいかんと思う。こういう点で私はこれは特に強く外務大臣にこの点について御尽力を頂くことを希望いたします。  なおそれにつきまして何らかここで多少でも御意見を御発表頂ければ幸いであります。
  130. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この飼料が非常に高くなつて日本中で困つておることは私ども聞いて知つておるのですが、そこでお話の趣旨は、私は、原則として全然異議はありません。農林省と至急相談をいたしまして、できるだけ農林省の希望がそこにありとすればその趣旨で努力してみたいと思います。
  131. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどちよつと時間がなかつたから、もう一つ聞くことを残したのですが……
  132. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 今質問を、手を挙げたかたは、江田君に、清澤君、佐多君、それから戸叶君がおられますからしてどうか時間をうまく繰合せて頂きます。
  133. 江田三郎

    江田三郎君 簡単ですから……、将来過剰農産物処理の問題がどうなるかわかりませんが、先ほどの外務大臣のお答えでは、若しそういうことがあれば今回の協定若しくはそれ以上に日本側に有利な協定と同じようなことになるであろう、こういうことでありますが、そういうときに、仮に将来も若干部分の贈与というものがあるとしました場合に、その贈与というものが自衛九強化というような線でなしに、ほかの例えば農業関係の振興というようなことに使われる場合もあり得るわけですか、どうでしようか。
  134. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはなかなか見通しは困難だと思いますが、日本としてはそのほうが望ましいことも事実だと思いますので、そういう場合には努力はいたしてみたいと思います。
  135. 江田三郎

    江田三郎君 やはりそのときに結局はアメリカとしてはMSAの法律に基いてやるということになりましようか。
  136. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカとしてはその通りであります。
  137. 江田三郎

    江田三郎君 農林省のほうでは、次の過剰農産物処理の問題について、或いは愛知用水借款とかいろいろなことをお考えのようですが、それは或る程度見通しを持つておやりになつておるのですか、どうですか。
  138. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私どもといたしましては、先ほども河野委員が言われましたけれども、現実にこれは内地農業を圧迫するんだというようなことを言われますけれども、私はその点においては全然見解を異にいたしております。併しそうでありますけれども、そういうふうなとにかく誤解を抱かれる面もあるわけでありますし、余剰農産物の処理に対して日本もこれに協力をする。併しそれは必要がないから協力するわけじやない、協力するほうが日本に有利だから協力をする。でありまする以上は、これによるところの利益と申しますか、やはり日本農業の発展、同時にむしろもつとはつきりいたしますためには、食糧増産の必要性というものはいよいよ高いんだ、こういう手段をとつても、やはり食糧増産に主力を注いで行くんだという形が、我々国民としても是非ほしいところでございまして、今回はこれではできておりませんけれども、防衛産業というところに行つておりますから……。私は外務大臣も相当困難だろうと思いますけれども、若し同様のことが今後続けられるとするならば、広く、防衛力の増強というようなことでなしに、間接的にはそうなりましても、直接的にはやつぱり民生安定への施策に注がれるような処置をどうしてもとつてもらいたいという強い希望を持つております。
  139. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあ外務大臣もその見込は困難だろうと言われますし、我々が常識で考えましても、アメリカなりその他の国の農産物の過剰ということはなかなか早急には解消されないと思うのでして、向うの利益からいいますと、農産物の過剰で困つているのに、足らん国が農産物を豊富に作るようなことに援助をするとは私どもは思われんわけです。例えば愛知用水を作つて日本食糧を増産すれば、それだけ向うの過剰農産物を処理するのには将来障害になるわけですから、これはアメリカの議会としてもそういうことにはちよつと簡単に乗らんだろうと思うのでして、そういう点、将来農林省のほうで空手形に終らんように、宣伝をされる場合にですね、あとになつて違つておつたということのないように、よほど慎重に扱つて頂かんと、妙なできもしない希望は持たして頂かないようにということだけを申上げておきます。
  140. 清澤俊英

    清澤俊英君 外務大臣にお伺いしたい。大体同じような協定をやつている国が欧州方面に相当あると思うのですが、西ドイツであるとかオランダとか、デンマークだとか、その他そういう円が大体この協定に対してどういう考え方を持つているか。我々が新聞や或いは雑誌等で聞きまするところによれば、やはり欧州全体の、或いは自国の農産物価格を圧迫するとか、或いは農業計画の順調な伸長を阻害するとかいうような意味合いで、或いは拒否し或いはこれに対して好感を持つておらない線が非常に出ているように承知しておりますが、その点の事情を一つお伺いしたいと思います。
  141. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この法律も、実は今度初めて本年度に五百五十条というのができまして、従いましてどこでもやつているわけじやないのです。来年つまりこの六月以降になつたら相当殖えるかも知れませんが、只今のところは、ヨーロツパではイギリスと西ドイツ、ユーゴースラビア、フインランド、それからイタリー、オランダ、ノールウエー、この程度の国であります。大体これは皆食糧輸入国であつて、デンマークであるとかフランスであるとかいうようなところはこの協定はまだ作つておりません。で、これも交渉してまだ決定していないのもありますし、いろいろありますが、要するに通常輸入量を阻害しないことになつておりますから、その点では余りそういう問題はないようであります。そしていずれも足りない国だけが今輸入をいたしております。農産物輸出国のほうはそういう輸入をしている国はないのだが、輸出国のほうからいいますと、自分の従来の通常輸出量は保護されるということでありますので、余り問題は今は起つておりませんが、これは、やりたてですから、将来どうなるか少し見てみないとわかりません。
  142. 清澤俊英

    清澤俊英君 これで質問を終りますが、何かイギリスなどあの小麦協定の際に小麦協定を脱退しましたね。価格は非常に押付け価格で高いから、自国領のカナダから買うんだというようなことで脱退したことはわかつているのでありますから、従つてこの協定等にも小麦協定同等の価格ということになれば勿論やりやしない。麦類ではやらんと思うのです、他の農産物なら別だと思うが。そういうような工合で自国の農業政策と対比して余り好感を持つておらない、こういうように聞いておるが、今外務大臣お話では、これからの問題で、今のところはわからん、こう言われるが、どうもその点まだ余り御調査が外国の事情について進んでおらんのじやないかと、こう思いますが。
  143. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いや、イギリスといえども余り好感を持つてないということは私どもは聞いておりません。勿論これは業者々々によつては別でありますが、イギリス全体としまして。
  144. 戸叶武

    戸叶武君 今回のこの協定も、結局はアメリカ側の過剰農作物をどういうふうに海外に押し出して行こうかという政策を受けて、こちら側が立つたような恰好になつていると思うのです。アメリカ側海外に対して十億ドルの余剰農作物を出す、その中の三億ドルは対外援助に充てるというふうにまで余剰農作物を捌くことに努力しておるのでありますが、私たちは国際小麦協定に加入する場合においても、農林大臣等に迫つた点は、世界的な傾向として農作物は下落して行く、特に小麦値段等も下つている、そういう場合に、これに加入して行くということは、加入せざるを得ない状況になつているのであろうが、結局は、アメリカを中心としたところの余剰農作物の値段を低くしないで何とかこの協定の枠で海外に売りつけるという、その政策に協るときに、それとの結び付きというものがだんだん薄くなつて行く、こういうような形で、この貿易面に対する影響というものが非常に悪い影響力を持つのじやないかということを私は憂えるのですが、岡崎さんは平生、経済外交を強調せられ、又、非常に東南アジア等の結び付きにも努力しておりますが、その点で憂慮すべき事態が起きないかどうか。そういうことを一つ岡崎さんから承わりたいと思います。
  145. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 米を買う例えばタイであるとかビルマ、ビルマなどは殊に協定を結んでおりまして、まだ直ぐにその約束の米を買わないというわけには約束上からも行かないわけですが、事実上も現在程度の米は差当り買うことが日本輸出増進にもなるし、東南アジア諸国との友好関係増進にもなりますから、この程度のことはやつて行きたいと私は考えております。先ほどもお話のありましたように、日本人口増加ということも相当これは大きいものでありますから、今後ともこの程度のものを買うことはそうむずかしくはないんじやないか、こう思つております。
  146. 戸叶武

    戸叶武君 最後に簡単に質問しますが、まあ農林大臣は非常に苦境に立つているようですが、食糧増産の面も農林省の要請した予算額が半分も削られるというようなことは、結局は米を買い、小麦を外国から買うという日本の外交方針に制約せられて、一つのしわ併せがそこに起きて来るのだと思いますが、これでは本当に日本の農業の自立態勢というものは出て来ないと思いますが、今後農林大臣は、食糧増産というものを中心として、日本経済の基盤、組織というものを定めて行かなければならないことは、第一次欧洲大戦にドイツが敗れた後におけるフオン・ゼクトが、やはり食糧増産というものを中心としてドイツの経済基盤を培養しなければならんというふうに見解を示したように、これは大きな問題だと思うので、それを今後外務大臣なり或いは大蔵大臣なりと折衝して、はつきりとした線を今後出して行けるかどうか。それを一つ承わりたいと思います。
  147. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 東南アジアや友好諸国から食糧輸入することが貿易を推進して行く上からも必要であるというような御議論もあるようでございますけれども、私は食糧関係は相成るべくは一つ自給態勢を速やかに打立てて行くということがより必要である、その他の面はその他の面において増進策を考えて行くということのほうが必要じやないかというふうに考えております。
  148. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 以上を以ちまして外務農林連合委員会は終了いたしました。  ではこれにて散会いたします。    午後一時四分散会