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1954-04-20 第19回国会 参議院 外務・内閣・大蔵連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十日(火曜日)    午後二時十九分開会   ―――――――――――――  委員氏名   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事      團  伊能君    理事      佐多 忠隆君    理事      曾祢  益君            鹿島守之助君            古池 信三君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            宮澤 喜一君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   内閣委員    委員長     小酒井義男君    理事      長島 銀藏君    理事      竹下 豐次君            井上 知治君            植竹 春彦君            白波瀬米吉君            重宗 雄三君            井野 碩哉君            高瀬荘太郎君            矢嶋 三義君            吉田 法晴君            山下 義信君            八木 幸吉君            三好 英之君            堀  眞琴君   大蔵委員    委員長     大矢半次郎君    理事      藤野 繁雄君    理事      小林 政夫君    理事      菊川 孝夫君    理事      東   隆君            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            西川甚五郎君            安井  謙君            山本 米治君            土田國太郎君            前田 久吉君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            森下 政一君            堀木 鎌三君            平林 太一君   ―――――――――――――  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君    委員            西郷吉之助君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君   内閣委員    委員長     小酒井義男君    理事            竹下 豐次君    委員            白波瀬米吉君            井野 碩哉君            矢嶋 三義君            吉田 法晴君            山下 義信君            八木 幸吉君   大蔵委員    理事            藤野 繁雄君            小林 政夫君            菊川 孝夫君            東   隆君    委員            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            三木與吉郎君            成瀬 幡治君            野溝  勝君            堀木 鎌三君            平林 太一君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    国 務 大 臣 愛知 揆一君   政府委員    経済審議庁総務    部長      西原 直廉君    外務省欧米局長 土屋  隼君    外務省経済局長    心得      永井三樹三君    外務省条約局長 下田 武三君    大蔵省財務参事    官       鈴木 源吾君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       神田襄太郎君    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○日本国アメリカ合衆国との間の相  互防衛援助協定批准について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○農産物購入に関する日本国とアメ  リカ合衆国との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○経済的措置に関する日本国アメリ  カ合衆国との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付) ○投資保証に関する日本国アメリ  カ合衆国との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付)   ―――――――――――――    〔外務委員長佐藤尚武委員長席に着く〕
  2. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 只今より外務、内開、大蔵連合委員会を開きます。  議題は日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定批准について承認を求めるの件、農産物購入に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、経済的措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、投資保証に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、以上四件であります。  要求大臣といたしましては、ここに列席しておられます外務大臣並びに大蔵大臣のほか、保安庁上官、それと経済審議庁長官要求しておるのでありまするが、木村保安片長官衆議院内閣委員会に朝から出席しておられる模様でありまして、質疑続行中だということでこちらには今直ぐはおいでになれません。それから経済審議庁長官農林委員会とかけ持ちになつておりまして、現在は農林委員会に出ておられます。後刻こちらに出席されると思いまするが、差当り外務大蔵大臣出席がありまするので、両大臣に関しての質疑を始めて頂きたいと思います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行……。折角の委員長議事運営に対する御発言でございますが、私は黙つて委員長委員会運営について行くことができません。それはこの四件というものは、私が申すまでもなく極めて重要な案件であります。従つて会議においてこの趣旨説明並びに各党の代表質問をやつたわけでございまするが、そのときにも吉田総理出席なかつたわけでございます。これほどの案件を僅か半日で連合審査を終了しようというのに、時の内閣責任者が来ないで、関係の一部の大臣おいでになつておるから、その方にだけ質問のある方は質問をするというような形でこれだけの案件審議するということは、私は議員としての良心が許しません。これは私は国会審議という立場から不謹慎のそしりを免れないと、こういうふうに私は思います。特に吉田総理が御事情があるならばそれに代るべき緒方総理で上るしいと言つても、その緒方総理さえおいでにならないで審議を進めるということは如何でございましよう。特にこの内閣委員会連合審査を申入れたゆえんというものは、このMSA協定内閣委員会にかかつている法案とは極めて関連の深いものである、こういり立場から申入れをしたわけでありまするが、その担当大臣である木村長官おいでになつていない。こういうよりな形で私はこの審議を進めるということは、私は連合審査を申入れた内閣委員の一人として絶対それについては委員長運営について行くことはできない。私は議事を引延ばすとか付とかいうことではなくて、議員としての良心、そういう立場からこの委員長委員会運営は少し無理じやないか、こういうふうに私は感ずるものであります。従つて私の提案は、是非とも緒方総理、更に木村保安庁長官、こういう方々の御出席願つて連合委員会開会して頃きたい、これが私の提案でございます。委員長の御都合もありましようし、各委員の御都合もありましようが、とにかく私はそういう議事進行に関する提案をいたしますのでお諮り願いたいと思います。
  4. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私も今矢嶋君から発言されましたように、特に今の政局が佐藤池田両氏逮捕許諾の問題の検察庁の動き等と絡み合いまして非常に微妙な段階にあるとは、これは改めて申上げるまでもないことであります。従いまして我々として、この十四条にこれはまあ関連して、特に緒方総理にも是非とも所信を質しておきたい、かように考えますので、この際緒方総理が少くとも政府を代入して出られまして、十四条との関係から、はつきりと本委員会において十分質しておきたいと思うのが一つ趣旨であります。この際緒方さんが出られ、そうして単に技術的な問題について両大臣にお尋ねするというのではなくて、この基本的問題から入つて行かなければ連合審査意味がないと思いますので、矢嶋君の言われますように緒方総理に速かに出席要求してもらい、そうしてそれまでは暫時この態勢のまま待つてもらう、こういうふうにお諮りを願いたいと思います。
  5. 團伊能

    團伊能君 只今委員会緒方総理木村保宏庁長官の御出席要求がございましたが、私どもも誠に御尤もと存じます。それに賛成するものでございますけれども、先ほど委員長から御説明のように、決してこの委員会出席されないのではなく、他の委員会出席中であるから追つてこちたに出席されることと思いますという、緒方総理については知りませんが、保安庁長官については以上のような御説明でございましたから、これを緒方総理及び保安庁長官経済審議庁長官の御出席を要請して頂きまして、同町にこの委員会はなお岡崎外務大臣小笠原大蔵大臣が御出席になつておりますから、その範囲における質問をやりますことを私は委員長提案をいたします。
  6. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記をとめて。    〔速記中止
  7. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記をつけて下さい。  矢嶋君に参考のためにお尋ねいたしたいと思うのでありまするが、矢嶋君のほうではここに御列席の両大臣のほかに副総理、少くとも副総理及び保安庁長官列席を求められる、こういうことでございますか、或いは又副総理か来られたならば、保安庁長官は本日強いて出席を求めなくても連合委員会を進めて可なりと、こういう御意見でございましようか。念のためお伺いいたします。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 明快に申上げます。私の申上げる一つは、内閣責任者が御出席なくて連合審査を始めるということは、私は国会審議という立場から不謹慎だと思う、これが一つ。それから私も質問通告者の一人でありますが、私は緒方総理並びに木村保安庁長官出席されなければ質問の展開ができないということでございます。
  9. 平林太一

    平林太一君 矢嶋君、菊川君からもお話がありましたが、御説御尤もであります。併しながらこの際両君の御意見は極めて重大な御発言であり、従いまして町君の御趣意に副うように、委員長としては緒方及び木村大臣を速かに招致するという手続を至急おとりになられて、それで只今審議外務大臣大蔵大臣出席いたしておりますので、その部分に対して議事をお進めになるように議一の運営をお取計い願いたい、かように私は思います。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちよつと参考にお伺いするわけです。私は矢嶋君や菊川君の意見を支持するわけですが、木村保安庁長官出席するとも出席しないともあなたはおつしやられない。緒方総理については、一言も触れられておらないわけです。出席ができるかできないか、時間的に木村保安庁長官はいつ頃出る、緒方総理はいつ頃出られるということをお聞かせ願いたい。
  11. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 申上げます副総理のことについては、先ほど私が説明の中に加えなかつたのは払が手落でございます。副総理只今大臣室会議中であります。直接には副総理連絡を得ることができませんで、副総理に、会議がしまつたならばこちらに来てもらうように交渉はいたしておりまするけれども、副総理とこれは面接会つて話したのではありませんからして、何時に来られるということはわかりかねます。  それから木村長官は先ほど申しましたが、衆議院内閣委員会出席中でありまして、これは質疑者がまだ五六人残つておるとかいう話であります。本日中はむずかしいかと思います。
  12. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はですね、この連合審査は今日やることはずつと前からきまつてつて緒方総理まで連絡があつたと思うのです。御承知のようにこれがどういう法案の内容のものであり、或いは国の将来にどうこうするという重大なる問題だということはよくおわかりだと思うのです緒方総理には十分承知しておられるのではないかと思う。従つて内閣が今いろいろな問題でお忙しいということは私にもわかりますが、それと国の問題とは、私はやはり国会審議のほうを重点を置く、又これを尊重してもらわなければならんと思う。ですからこれをここですぐ出席ができるものかできないものか、改めて私はあなたのほうから折衝して煩く、その答えを聞いてそして議事をどういうふうに運んで行くか考えてみたい。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は恐らく他の委員諸君の私は御同意を得られると思うのですね、この問題は私は相当これは重大だと思うのですよ、外務委員会としては当該委員会として、これは国際的な協定の問題でもあるから、できるだけ早く上げようと、こういう善意に基いて外務委員長の下に委員会運営されて参つておるわけです。従つてどももそれに同調して、連合審査の時間的なものについてはそう御無理を申上げていないわけなんです。緒方総理の問題の場合、院内にいらつしやる。そして何か御協議なさつておるのでしようが、出てくれるくれないもないですよ。これは委員長として私は出席させなくちやならん問題と思う。更に木村長官の問題にしましても、これは内閲委員会で本日二法案審議なさつておるのでしよう。衆議院先議でやつておるのです。併し内閣という立場から考えた場合に、このMSAか国際的の協定であるから、衆議院先議で上げて来で今参議院でもやつておるのですが、これをできるだけ早く上げたいとなれば、衆議院内閣委員会与党が多数を占めておる、与党がその気持になつて木村長官がその気持になれば、この連合審査出席できるできないなどこれは論外です。にもかかわらずですね、御両君とも委員長の御説のような理由で出席がないにもかかわらず、ここにこの連合審査を開始して行くということは、私はこれは不謹慎の部類に入ると思うのですね。これは決して私はよこしまのことを申上げておると思わないのですかね、で私は可能な問題と思います。従つて委員長におかれてはこの要望を両大臣に即刻伝えて頂いて、そして時間が延びるということは不経済のことでありますから、すぐ御出席を要望して頂きたいと思います。そして、開会できるようにして頂きたい。このように私は重ねて申上げます。
  14. 平林太一

    平林太一君 今矢島君からお話が重ねてありましたが、私は同感であります。私は同君の御趣意を最も尊重する意味におきまして、緒方総理出席をこの際早急に、殊に院内大臣室におられるという最前委員長お話でありますから、早急に手配をなされて出席方を実現することに、そして木村君についても日球であります。同時に又連合委員会は今日只今だけで終るものではないのでありますから、私は矢嶋君の趣旨は十分に現実においてご趣意が通るような運営の取計いができると思いますから、そういうことを早急になさることを前提といたしまして、そうして委員会だけは只今外務大蔵大臣が出ておりますので、それでせめて事を進めるようにいたしまして、そうして副総理木村保安庁長官に対しましては要求をする。この委員会が延びるということでありますれば、当然政府責任でありまするから、あえて本日一日を以て連合委員会終るということは、これはかような重大な問題でありますのでできないのでありまするから、その点明日になりましても継続するということにいたせば、私は大嶋君の御趣旨が通る、尊重することかできると思います。取りあえずといたしましては、今日貴重な時間及びこの審議の性格からいたしまして、本日の連合委員会は取りあえず開会いたして、両大臣に対する質疑を進めて行くことができるようにすることを希望いたしたいと思いますが、委員長運営に対する御参考までに私の気持を申上げておきます。
  15. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 矢嶋委員に申上げますが、決して矢嶋委員の申出られたことを私は不当と思うようなことは一切ございません。御尤もなことと私も思つております。でありまするからこそ副総理乃至は木村長官出席を求めておつたのであります。ただそれがいろいろな事情のために直は出席ができないということがわかりましたが故に、ここに現に出席しておられまする両大臣に対しての質問を先に始めて頃くことはできないだろうかということを開会の初めに申上げたようなわけでありますが、どうしても副総理並びに保安庁長官出席かできなければ始められないということであるならば、これも一つの私は御意見だと拝聴せざるを得ないのでありまするが、同時に今平林委員のような実行案が出ているのでありまして、改めて副総理乃至木村長官にできるだけ早くこちらに出席をするということを求めまして、そうしてこの連合委員会を進めると、現に出席しておられる両大臣に対しての質疑を先に始める、こういうことに矢嶋委員のほうでまげて御承諾を願いまするならば、この連合委員会はこのまま進行ができるわけでありまするが、如何でございましよう。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お答え申し上げる前に私一つ伺いたいと思うのですか、大蔵委員長は御出席になつていらつしやいましようか。
  17. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 委員長は本日御旅行中だそうでございます。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がこういうふうに申上げておるわけは、もうこのMSA関係協定はどうせ国会承認、成立するのだからというような、言葉に語弊かあるかも知れませんが、なげやり的な気持で私は審議さるべき問題じやない、勿論そういう人は一人もおられないと思います。併しこの連合委員会大蔵委員長おられなかつたらその代るべき人はちやんとここに席を占めておられるはずでございます。それからこの委員会に御出席なつた閣僚の中には、まあいろいろ御心労の点もございましようけれども、居眠りされている方もおられるわけです。私は初めてこの案件審議に当つて、非常に私はみずから国会議員の一人として良心に警めるものがある。これは連合委員会ですから採決できませんし、又理事会というものもないわけですから、たから協議する方法もございません。そこで私は大蔵委員長の姿を求めたわけですが、おられないわけです。けれで私は三張としてはさつき申上げた主張は私はまげません、併し連合委員会でございますから採決の方法もないわけですから、外務内閣大蔵の二委員長で更に両大臣出席を要請するとか、或いは出席がなくても質問ができるという方があるならば進めようというようなことはこれは一切お任せいたします。それ以外にこの決定の方法連合委員会にないわけですから。ただ委員長にお許し願いたい点は、私も質問いたしたいと念願しているものの一人です。私の質問のときは是非緒方総理並びに木村長官出席願つた上で質問さして頂くように、そうでないと質問は私としてはできませんので、その点をお願いいたして置きます。  委員長に御一任申上げます。
  19. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それでは今あちらの内閣委員会ともう一度交渉いたしますので、暫らく休憩いたします。    午後二時五十二分休憩    ―――――・―――――    午後三時十六分開会
  20. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) では休憩前に引続きまして外務内閣大蔵連合委員会を再開いたします。  諸君に御通知申上げまするか、副総理並びに木村保安庁長官は四時半に当連合委員会出席するという返事をもらいました。つきましては副総理並びに木村保安長官がここに列席されまして、現在の外務大蔵大臣に加わつて列席されましたあと第一の発言者は、先ほど来の御意見もありましたので、又御発言もありましたので矢嶋三義君といたしします。  差当り外務大蔵大臣対しての質疑を開始することにいたします。質疑の方はどうぞ御発言を願います。
  21. 平林太一

    平林太一君 この際外務大臣にお尋ねをいたしたいのですが、五千万ドルに対するそのうち一千万ドル、この贈与約三十六億円とこれは想定いたしますが、これは兵器産業のみに御使用に相成るのか、この点については協定には明文が明示いたしてないようでありますが、この点を詳しく御説明を願いたいと思います。
  22. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 協定には一般というふうにいたしてあります。これは成るべくまあ言葉の上だけでもそういうふりな字句にいたしたいと思つて特にいたしたのでありますが、事実上今回の分につきましては、関連産業はありまするが、防衛生産に使うという予定にいたしております。
  23. 平林太一

    平林太一君 ちよつと非常に不満ですが、それはやはり平和産業に、殊に五千万ドルのうち僅か一千万ドルですから、平和産業にこれは使用し得るということでないと、国民的な感情或いは納得というものが了承しがたいと以うが、この点については、協定において外務大臣はこの当事国との間にそういうようなお話をなされたのかどうか、そういう点を明らかにされたいと思います。
  24. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) できるだけ私もそういう趣旨にいたしたいと思つたのでありますが、先方予算は、MSA関係予算から出ておりますし、又先方の法律によりましても、これを防衛生産増強に便り趣旨が出ておりますので、今回はどうもこれは止むを得ないと考えたのであります。そこでさて、この次の場合もあります。あるかないかはわかりませんが、あるかも知れませんが、字句の上では成るべく一般産業一般経済開発という意味にいたして将来の問題にこれを残しておく、こう考えておるわけであります。
  25. 平林太一

    平林太一君 そうすると今の御答弁で、将来の問題に残しておくという幅を米国側に了解を、納得さしてある、こういうふうに了承してよろしいのでありますか。
  26. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今一のところは言葉の上だけの問題でありまして、而も言葉がそういうふうになつていれば、将来ほかの産業にも、この次買う場合があるとすれば、ほかの産業にも使い得るかも知れずというところで、これは交渉の結果によりますから、今から向うがそう了承しているというわけじやございません。
  27. 平林太一

    平林太一君 そうするとこれから折衝なり交渉によつてこれが或る程度打開されて行くということに考えてよろしいかどうか。私のほうはそうこれはなさしむべきものであり、又当然折衝というものは、そういうものが折衝であるのであるから、そうあるべきものである、さように考えるのでありますが、この点はいわゆる外交の妙味と申しますか、そういうものに期待するのが、国民的なやはり外交に期待するものが多いのでありますから、外務大臣責任は極めてこれは慎重に、その職務の遂行を期せられるべきものである、かように思うのでありますが、その点どうでありますか。
  28. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この次、来年度といいますか、これに引続き更に余剰農産物を買うか買わないか、実はこれはまだ政府としてもきめておらないのでありまして、国内の作柄にもよりましようし、その他のいろいろの事情にもよりますからわかりませんが、若し仮に又再び買うといたしますれば、そのときにはできるだけ御趣旨に副うような話合いをいたしたいと思つております。
  29. 平林太一

    平林太一君 この次のことということに対してのお話はそれでよろしいのですが、私は僅かこの三十六億円の、一千万ドル程度のものを、米国自体がそのように何か固執し、固着したものにして今回のこれに対する処罰をする、強要するということは、やはりこれは将来に対して、次とおつしやるが、将来に対する一つのこれが基本になる、又前例にもなるのであります。殊に協定の中にはないのであるから、こういう問題は、五千万ドルのうち一千万ドルを贈与する、こういう意見ですから、これは今後もあえて外務大臣としてお話をお進めになつて差支えない。そういうようなことをなさることが却つて日米親善を強化するゆえんではないか、こういうふうに考えられるのでお碁ねをいたしておりますが、その点どうです、これは何といいますか、極く懇談な話ですが……。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今申しました通り、協定に書いてあるのは、つまり今年、今度の分は防衛生産に使うということを先方にも話して、その上で、従つて文面は一般的に書くことを向うが承諾いたしたわけであります。従つて今度は協定に何も書いてないからほかのものに使うようにするということは、今度の場合はちよつと無理であります。この次からできるだけそういうふうにいたしたいと考えております。
  31. 平林太一

    平林太一君 ないから今度の場合は無理だとおつしやるが、これは協定文に明示してないから、こういう幅なり余裕がある。こういうのが外交的な上においての常識的な見解であると信じて疑わない。だから向うは聞くか聞かないか別個の問題だが、そこがいわゆる外交折衝及び外交交渉のいわゆる意図するところであり、又それが真精神であるわけであります。真のそういう精神のわけなんですから、どうぞ一つこのことを外務大臣としては、国会の意思としてこういうものがあるのだ、だから僅か三十六億くらい、そういう細かいことをおつしやるな、それは一つこつちへ任して、そうして防衛関係以外のものにもあれするということにしてどうだということをお話をすることになさつたらどうか、こう思うのですがね。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはたびたびいたしたのであります。その結果どうも止むを得んので、今回はこれに先方の希望通り防衛生産に使おうということがはつきりしましたので、先方もそれならば書き方は一般なことにすることに同意しよう、こういうことになつたんであります。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 その点なんでありますが、我々大蔵委員会へ提案されている経済援助資金特別会計法の設置の目的、第一条によると、必ずしも軍需産業ということは書いてない。「工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するため必要な費途に充てる」、こういうふうになつてつて、丁度今の経済的措置に関する協定の文面と裏腹のような言葉が使つてある。併しそれは相互の合意する条件に従つて云々ということで、合意の条件に従つてと、軍需産業関連産業ということになつておりましようが、このたびの協定においては三十六億というものは軍需産業並びにその関連産業にしか使えない、こういう取極のようでありますが、今外務大臣の御説明だと、次の機会にこういうことがあつた場合においては或いは軍需産業及び関連産業以外のものにおいても使えるような話合いもできるかのごとき御答弁でありますが、若しそれができるといたしますれば、どういうアメリカの国内法の法規に基いてそれができるのか、アメリカとしては今のMSA法による限りにおいてはそういう一般的な経済援助というようなことはできないのではないか。どういうことでできるのか、向うの立場、我々が折衝すれば応じてくれる可能性の向うの国内法規に基いての御説明を願いたい。
  34. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはMSA法の五百五十条の(c)の(5)というところに「友好国における国内需要のための生産を増加するための無償援助のため」というような字句もありまして、或る程度場合によつては、これも基本的には防衛生産であることはこの法律から見て当然でありますが、この程度の余裕はあるのだし、又アメリカ側では今般の交渉のみならず、ほかの国との農産物の処理に関する交渉においても、やはり各国において防衛生産のみならず、その他の部分にもこれが使えるような希望が大分出たようでありまして、アメリカ側としては新らしい農産物処理法案只今審議中の模様であります。それが仮に原案のように通りますれば、こういう点で交渉の余地がかなり出て来る、こう思つております。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 新らしい法的措置をとれば可能性が出て来るということでありますが、まあそういうことは考えられると思うのです。そういう情勢があることでありますから、その意味においては外務大臣の御答弁を了承いたしますが、ランドル報告等から類推して考えても、漠然たる経済援助ということは成るべく打切つて行こう、純然たる贈与の形における援助というものは成るべくやらないほうがいいというような空気もアリカメ国内にあるようであつて、特に過剰農産物等と結付けての話であると思うが、いわゆるこういう軍事援助の目的を持たない一般経済援助、而もそれが投資とか或いは融資とかいう形でなくて、純然たる贈与の形において、今のアメリカの方計としてそういうことに向い得るのかどうかということについては、私の了承しておる範囲では少し方向が逆じやないかと思うのですけれども、これをもう少し具体的と申しますか、御説明を願いたいと思います。
  36. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 大体の方針はおつしやる通りだと思います。それから又受けるほうでも、これは急場を凌ぐためにはいいと思いますけれども、必ずしも外国から贈与を受けて、それで国内の産業開発ということに向うということが、果して自力厚生と申しますか、自力経済という国民の考え方からいつて常にいいかどうか、これも疑問だと思います。ただこういう問題につきましては、この特殊の余剰農産物という問題については、アメリカ側としてもこれによつて余剰農産物がさばけるわけであります。その点では一方的な贈与というのではなくして、やはりこちらからも或る程度の条件を付けた活も可能なわけだと思います。向うは農産物がさばける、こちらはそれを円で買つて来るが、或る程度の条件で国内の利益になるように使うということで、特殊の農産物の処理については相当舌合いの余地はあり得る、こういうふうに考えております。
  37. 平林太一

    平林太一君 今小林君から相当私の質疑を裏書して頂くようた質疑がありまして、外務大臣もそれに御答弁なすつたので、私も大体了承いたすのでありますが、やはり要はこういう問題は極めてこれは常識的に考えて、昨年の七月以来ずつと続いておつた、そうしたことがどうも外務省の対米外交、対米折衝というものが我々からいたしますというと非常に不満だ、もう少し何か昔のような強硬外交をやれということは、今日そういうことは申上げませんが、併しながらもつと自主性のあるこれは話合いなり折衝なりというものが出るべきものである、何かこの対決的に、一瞬にしてもうすくんでしまうような、威圧されてしまうような傾向があることが、この僅かなる一千万ドルのこの贈与のものに対して非常に考えられるわけです。そういうことを非常に我々は憂慮せざるを得ない。これはあえて外相を攻撃するとか、そういうものではありません。却つて、何と申しますか、もう少ししつかりやつてもらいたいということを申上げたいのですが、どうですか、折衝或いは交渉、そういう場合にこれはひとり外務大臣だけでできることでございません。外務省のその当事者である局長、その他の当事者というものが、こういう一つ精神的な、いわゆる心理的な作興、振興、振い起す、そういうようなものをもう少しこれはお考えになるべき必要が非常にあると思いますが、こういうことに対して、外務省内で外務大臣はほかの局長などとそういう意味のことを話合いをするようなことをなさつているかどうか、お考えになつているかどうか、惰性というものほど非常に恐るべきものはないんです。そういう点を一つ岡崎外交のこう新らしい対外面に対する心がまえ、そういうものを一つ、昨年来ずつとおやりになつて来た、而も今日は情勢が非常に変つて参りました、外交のことは刻一刻世界情勢が変ると共にそれに相対応してやるべきである。対応するということは、日本がやはり自、工的に発言権というものを強化して行くということで、却つてそのほうが先方も安心するものです。そうして案外むずかしい問題が談笑裡に解決するということに相成るわけですが、そういう一般的なことについて一応伺つておきたいと思います。
  38. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 我々も始終お話の点は注意しております。で、例えばこの交渉は八カ月かかつたので非常に長いといつて一方では非難されておりますが、併し若しアメリカ側の言うことだけ聞けば一月か一月半でできないこともないのであります。八カ月かかりましたのは、やはり日本側の言分をできるだけ明らかにし、できるだけこれを交渉のうちで貫徹して行こう、こういう考えでおりましたのでこう非常に長くかかつたことの理由にもなるわけであります。お話の点今後もできるだけそういう趣旨で努力をいたすつもりであります。
  39. 平林太一

    平林太一君 その程度にいたしまして、この兵器産業に対する措置、これは融資ということになるのか、先方は……、投資ということになるのか、この点融資と投資という問題は誠に相半ばしたよりな性格を持つているが、この点を明確に、どういうふうなお取扱いになつたか、大蔵大臣でも、お二人のうち御都合のいい方からどうぞ。
  40. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) これは開発銀行を通しまして融資という形で行きたいというふうに考えております。
  41. 平林太一

    平林太一君 それでまあこれは三大な問題になるわけですか、開発銀行を通じて融資という今のお話ですが、非常にこれは私といたしましては憂慮禁じがたいものがある。ということは、開発銀行の性格というものが今日もう白日の下にその実体が明確にされたわけです。そうすると要するにこの開発銀行か米国側の勧告を受けてやらなくてはならんというようなことになつて、自主的なものというものはこれはなくなるのじやないか。私としましては開発眠行を通す融資ということは、開発銀行自体の、今日のつまり開発銀行の性格ですね、いわゆる業績、殊に業績ということを申上げてみますと、開発銀行の頭取は今小林中ですが、頗るこれは奇怪なる人物です。こういうものを通してこれをやるということになりますというと、これは第二の汚職事件、疑獄事件というものか発生するという慮れが多分に出て来るわけです。この点を大蔵大臣は慎重にお考えにならなくちやならない。向うが指示して開発銀行でやれということになつているのか、政府自体が開発銀行を通じてやる以外にないというのですか、そういう点を総合して一つ承わりたい。自主的にこれが行われるのでなければこの何は役に立たないわけです。開発を通すと自主的に行われがたいことに陥るのではないかということをはつきり申上げて私は井支えないと思う。どうしますか、この点……。
  42. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) もとよりこの三十六億円をどういう方面にどう使うかということについては向う側とも相談をいたしますけれども、併しそれで例えば防衛産業の直接のものに幾ら使う、或いはそれの基礎産業に幾ら使うとか、或いは関連産業に幾ら使うとか、そういうことは大体枠をまだきめませんが、各省間で相談いたしまして決定いたします。そういたしますると今度は開発銀行のほうはその枠の中で貸出をする、自主的に貸出をする、こういうことになるのであります。これは平林さんの御意見の点もあつて、私ども開発銀行に対する監督は十分にするつもりでおります。  大体これは平林さん御承知の通りに、復金自体には政府が命令を出して貸出をさしたので、これが非常に弊害が多いというところから開発銀行となつて、開発銀行の当局者の責任でやらせる。即ち自主的に貸出はやらせる、こういうことになつております。但し国策に基いたものをやらせなけれぱなりませんから枠はきめます。従つてこの産業は幾らということはきめますが、このきめた中の貸出をどの会社にどれだけ貸出すかということは、全くまだどういう但保を取り、どういう債権確保の手段をとるか、又どういう条件で貸出すか等は開発銀行の自主的運営に任しておるのであります。ですからこれについての監督はこちらとしても大蔵省のほうで十分いたしたいと考えております。
  43. 平林太一

    平林太一君 これはどうも重大な問題だと思いますけれども、開発銀行というのはこういう国家資金を扱うといいうことに対しては重大なる前科者なんです。実は今までの……。今度の進航問題を見ましても、それじやこれを開発出行に自主的にやらせるということは、事実上は監督をなさるというが、そういうことは要するに単なる空文に過ぎないわけであつて、枠をきめて、これこれの産業にこれこれ貸付けると言つても、実際は金を貸付ける、融資をするということが具体的の行為ですから、この場合はやはりこの国家の意図する融資の施策なり計画というものか行われないということになる。だからこれはこの際は開銀以外のものでこれを取扱わせるということを、私は政府としても今度のこの機会におきましては、私は大蔵大臣はそういう処置をおとりになることがもう極めて妥当だと思う。他に方法はないものか。開銀以外にそういうことを先ずさしているわけではないから、これからでも決して遅くはないのでありますから、もつと大蔵大臣は自主的に、大蔵大臣自体かむしろ自主的な権限というもの、或いはこれの融資の措置に対する国家全体の公明正大なる、明瞭なる措置をなさるということが極めて妥当だと思うのですか、どうですか、これは……。
  44. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 今平林さんのお話趣旨にもありましたが、実は開発銀行の貸出は私どもそんなに不正、不当なものが行われておるとは考えておりません。たまたま起つておりまするのは、御承知のごとく造船会社の先のほうで起つておる実は問題でございます。開発銀行自体の貸出しの中にその不正があり不当がある、開発銀行自体が問題を起しているという問題ではない。もつと先々のほうです。開発銀行として監督するのは貸出先です。それに対する監督をやるのは当然でありますが、あれはいろいろな機関を経てやつているのであります。  それでまあ今お話なつたような点につきましては私どもも、政府は先ず以て、例えば今申上げましたようにどういう産業に幾ら使うということはやりますけれども、その中のどの会社へ幾ら出すということは政府はきめるということはいたしませんが、併しその枠の小できちんとやつて参るのですから、この点に対する貸出しはおよそ公明正大に行わるべきものである。若し行われたければ、これは政府のほうで報告も徴収することもできますし、いろいろやりますし、最後には業務命令まで出し得るのでありますから、若し貸出しその他について不当、不正のものかありますれば、これは十分私のほうで監督者として適当な措置をとることは申すまでもございません。
  45. 平林太一

    平林太一君 今の御答弁ですが、これは私のほうで今大蔵大臣にむしろこうしたほうがいいのではないか、こういうことを申上げているわけで、開銀以外にこれを取扱わしめるという処置はないかどうか。要するにもう殊更こういう事態のときに好んでこういうことをやる必要はない、ほかの方法でこれをやれる方法があり得る。そういう新らしい方法をこの三十六億円という、それは金額といたしましては多いと言えば多い、少いと言えば少いが、併し三十六億円というものについては、その成果の挙るところは何倍か何十倍かにも挙げなくちやならんわけですから、だから貸付先というものが当を得ないとこれは又効を奏しないのみならず、却つて政治的なマイナスを生ずる、こういうことはお考えになつたかどうか、お考えになる余地がないかどうか、これを伺つておきたい。
  46. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) こういう性質の金ですから、或いは融資するのに大体こういう心持でというふうなことを、どうも融資準則というと少し固くなり過ぎますが、そういう一つの基準を示してやることも一つ方法ではないかと考えます。いずれにしてもこういう金が今お話のごとくに多少とも効果に欠けるよりなことがあつては遺憾千万ですから、十分その点は私どもも考えてみます。
  47. 小林政夫

    小林政夫君 今の関銀をして、この三十六億を融資せしめるということか、この経済協定のほうで相互の合意する条件、この点は経済審議庁の長官にも立会つて頂きたかつたのでありますか、今お話の融資準則、対象として取上げる業種又はその貸付の条件等までアメリカと話合つてきめなければならんものであるかどうか、この点いが一点、関連でありますから私の聞きたいことを全部列べますと、その点が一点と、それから向うと相談をしてきめるとしても、日本側には経済審議庁長官等が中心となつて、これこれの業種に、三十六億という金ですからおよその腹案があつて然るべきですが、その腹案はどういう腹案で今おられるのか、その点が第二点。それから顧問団、カントリーチームは、こういう融資をやる場合には開銀を通じて融資をやりますが、その融資が援助の目的を有効的に果しているかどうかということについて融資先まで監督するのかどうか、立入つてどの程度まで顧問団はこの金に容喙するのか、三十六億には全然タッチしないのか、この点三点お伺いしたい。
  48. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 最初の小林さんのお尋ねですか、これはアメリカ側と相談することになつておりますか、それは三十六億のうち、今例えは直接防衛産業のうちどの種の防衛産業に幾ら使うか、この金額、或いはその関連産業に幾ら使うか、こういう金額についての打合せはいたします。か、それじやもう少し具体的に言うと、どの会社へ幾ら貸すといつたような打合せは一切いたしません。これはこちらの自由に任されております。従いましてこれは主として通商産業省その他の関係になるかと思いますが、それらとも十分打合せの上、これは開発銀行が出すことになりますが、それ以上の相談は向うには必要ございません。  それからその次にはこの内容でございますが、実は内容については交いずれ経済審議庁あたりで一つ取りまとめて行くということになりましようが、考え方によりまして防衛産業もさることながら、これのやはり基礎になつたり、これがまあいろいろな産業から成立つておることは御承知の通りのものでありますから、そういつたようなもののほうにもう少し割くべしという意見と、いや直接の防御、直接のほうへ主力を注ぐべしという意見がありますので、この点についてよりより相談しているのでありますが、まだ実は結論に入つておりません。これはみな相談をよくいたしまして、最後に一応こちらのできたもので向うのほうへ相談をいたしまして取りまとめをしたい、かように考えている次第でございます。  なお顧問団のことはちよつと外務大臣のほうからお答えを願うことにいたします。
  49. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 顧問団は金の費途等については一切口を出しません。全然関係をいたしません。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 今の融資が非常に順調に行つて、所期の成果を挙げておるという場合においては私が質問したような懸念はないが、造船融資のごとき事態が万一防衛産業において起つたとすると、そういうような場合に顧問団は或る程度啄を容れるのじやないか、顧問団の使命とするとこるは、そういう援助したものか援助の目的に適つておるかどうか、又予期されたスピードで以て防御生産なら防衛生産進行しておるかどうか、こういうことを監督するための任務を持つているのだから、その任務をシヴイアに遂行しようとすれば、そこまで順調に行つているときは問題ないけれども、問題が趣つたときはそこまで立入らなければ顧問団の使命は果せないのじやないか、全然そういうことは容像しないとはつきり取極がございますか
  51. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 顧問団はその問題には全然容喙いたしません。但し今おつしやるようなまあ妙な事態が仮に万一艇つた場合には、アメリ政府としてはこれは贈与の目的に合つていないじやないか、気を付けてくれということはこれはあるかも知れません。併し顧問団は容喙しません。
  52. 平林太一

    平林太一君 その次にお尋ねいたしたいが、政府は当初経済援助というものに対して非常な、このMSA協定に対する、いわゆる軍事協定、これに対しては経済援助というものを非常に期待或いはこれを高く評価しているのじやないか。そこでこの軍事協定、軍事援助というものに対する取極というものは、常識的にこれは国民感情としてはまあ納得をする、了承するのだ、不承不承にも。ところが実際これをやつてみますと、僅か三十六億ということなんですがね。これは如何にも腑に落ちない。軍事協定というものがどういう性格のものであるかということはこれは周知の事実なんです。それでこれは米国側の意図するものが全部これは入れられている。そこで我がほうの望んでおるこのいわゆる経済援助というものか殆んど無視された、僅かに三十六億であるということですかね。これはまあ他のこの協定の他国の実例もある。軍事援助だけのところもあるが、併しこれはいやしくも自主的な、いわゆる実力を持った国というものは米国に対してこういう義務を強要して、負わしめておることになる。この点は、この協定に対して外務大臣もお当りになつたのですが、どういう経緯でこれは落着いたのか、これをよく了承するようにお答え願いたいと思います。
  53. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはしばしば言われることでありまして、私は実は多少心外なのは、政府は始終そういうことを言つているじやないかと、こう言われるのですが、私はそのために速記録もずつと調べてみましたが、そういうふうに言つてはおらないのであります。私どもも初めかわこのMSAの援助を受けるということになれば、このMSAの法律その他を研究してどうだという予想を当然つけるわけであつて、これは私は初めから経済的の寄与があればなお結構だけれども、原則として日本の防衛力を増強する建前に立てば、その防衛力増強に対してアメリカ側かし援助が来れば、それだけ財政負担か減るのであるから、防衛力増強に役に立つて、更に経済的に寄与する部面かあればなお結構である、こういう趣旨のことを申しているのであつて経済援助か来るということを言つておらないのであります。又政府としてほかの閣僚も言つておりません。ただ経済的に寄与するところかあれば更に結構である。こういうことを繰返して言つているのであリます、  ほかの国はどうか。それはこのMSA協定ができる前にヨーロツパに対しては例のマーシヤル計画というものがありまして、経済的な援助をずつとしておつたのであります。それがMSAに切替わりましたからマーシヤル計画の一部がMSAに人づて来ている。併しこれもアメリカの方針は、MSAの法律ができてからというものは、経済的の援助よりもむしろ直接の防衛援助ということに一眼を置いておりますから、今までやつたものは引続きやるにしても、だんだんその量は少くなつて来る。日本は不幸にして今度初めてやるのでふりよすから、その現実の事態から来ますから、これは防衛に役に立つということが主になるわけであります。防御に役に立つことだけなら援助をもらう必要はないという議論なら別でありますが、私は防衛に役に立ち、つまりそれか財政負担を軽減することに大れは、それで援助を受けるのは結構である。その上に更に幾分なりとも経済的に寄与するところかあれば更に結構であると、こう考えてずつと交渉いたしおります。又その趣旨国会にも来てしばしば明らかにいたしております。
  54. 平林太一

    平林太一君 どうもそれは非常に外務大臣は私は錯覚ではないかと思う。国民的の我々の立場からいたしますれば、根本においてそういうような今のお考えたから…、むしろ向うではこれは用意しておつたかも知れない。経済援助を、取入れるものを逸した感がこれは非常に強いのです。こういうことは常識上わかるわけです。いわゆる軍事援助ということは、ただ防御をするということがいわゆる援助ではないのです。国力の総合した全般的な充実の裏付があつて、いわゆる防衛の基礎というものか成り立つわけですから、先方では無論これに対してはいわゆるそういう用意をしている。併し出すものだから、向うでは成るべくこちらの顔色を見なから、それをまあいわゆるそれか出さなくてもよろしいものに対しては成るべくその顔色を見ながらやつている。こういう事態です。これを洞察されるところに私は外務大臣及びこの折衝に当られた日本の外務当事者というものの意味というものを今日非常に遺憾に思つている。これは非常に残念に思つている。これはそういうようなお考えは、むしろ今私は外務大臣がその力のないことをここで露呈したわけなんです。非常に遺憾のことである。当然それは軍事援助ということは向うもただ目的なくしてこれはやるわけではない。いわゆる米国自体の意あつて、それは世界平和というか、何かそれは言葉の使い方はどうでもよろしい。いずれにしても脈あつて、目的あつてやることでたり、又今日その経過を見ましても、我がほうから要求してこれができたことではない。先方の相当強い意思というものがあつてこれは行われたわけですから、それだから軍事上の、防衛上の施設を我かほうがやるということを向うと協定いたしますれば、当然それに相並行して、ただ軍事援助というここだけではこれは恰好が付かないわけなんです。これだけでは、だから経済援助というものが別に出ておるわけですから、なぜこれを取入れなかつたかということを私は非常にこの際、むしろ今のような御答弁であれは非常に糾弾せざるを得ないわけなんですかね。だから今のようなお考えでするなら、初めからこの折衝に当つてはいわゆる経済上の援助というものに対しては放棄してやつたのだと、こういうふうに承知してよろしいかどうか、これを一つ明らかにして、まあ過ぎたことですから本日はあれでありますから、その点を一つ明らかにしておきたいと思います。まあいわゆる間違いということであれば、いわゆる弘法も筆の誤りということがあるのですから、それはいたしかたがない、それはそれでいいわけですから、それを明らかにしてもらいたい。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 答弁の前に関連して……。只今平林委員から経済援助に関して質疑があつたわけですが、答弁の前に私も関連して伺いたいと思います。岡崎外務大臣、この段階しなつて軍事援助のほかに幾分か経済的の援助もあつたならは結構だと、こういうふうに、速記録を調べたがそういうように発言して来ておる。閣僚諸君もそうたと、こう言れますが、これは私は心外千万だと思いますね。併し平林委員から指摘されましたけれども経済援助を得ようとしたか、見通しを誤まつて出発したなら出発したとあつさり私は認むべきじやないかと思う。その証拠にはMSA協定がいよいよ調印されるという、内容が大体明確になつて来た当時の新聞、雑誌、どれを見ても経済界は非常に失望、経済援助の姿に失望して、そうして与えられるものか少くて負わされた義務が大きいということを報じているわけでございます。昨年、これは五月五日にダレスさんが演説して以来、これは日本の国内で問題になつて来た問題ですが、その当時の報道というものは、経済援助というものは相当高く謳つたわけなんです。  最も端的な思い出は、大蔵大臣かおるから私は申上げますが、大蔵大臣アメリカに行かれた。そうして羽田に着いたときに報道陣が、大臣経済援助はどうですかと言つたところが、降りた途端に、私は録音でも聞いたのですか、経済援助はないよ、軍事援助だよ、こう言つたところが、それに対して報道陣が、いや岡崎外務大臣経済援助があると言つていますと言つたところが、あなたは即座に、外務大臣経済援助と言われておるならそれもあるでしよう、こういうふうにあなたは録音で吹込まれている。ちやんとそれは報道されておる。この一事を以ても私は平林委員の主張といものは私はこれは正しいと思う。その当時池田大蔵大臣アメリカに行つてですよ、そうして農産物購入に渇するのを一位懸命にやつて、新聞にはこれは円価の何は一千万ドルであるか、二千万ドルくらいにはなるということを盛んに報道されておる。これは結局一千万ドルになつた。この経済的措置に関する日本国アメリカ合衆国との協定ども、この経済措置というのを経済援助という活字にすることに随分努力されたでしよう。とろが逮に援助というのを向うから削られて、経済的措置という活字になつたということもこれは天下周知のことですよ。で、これは私昨年五月頃からMSAの問題か起つて来た当時に、岡崎外務大臣を中心として各閣僚諸君MSAを受入れなければならんとして、国民に向うて放送し、国民に印象付けたことと、いよいよ締結された内容とは、経済援助の面に関する限りは格段の差が私は生じて来ておると思うのです。この点については私はその責任を追及せざるを得ないと思うのですが、平林委員質問に併せてお伺いしますから、大臣の御所見を承わります。
  56. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 平林君は弘法にも筆の誤りとか或いは意味であるとか、どつちかわかりませんが、それはどつちにしても、私もとにかく担当の責任者である、且つ外務省で長く何十年もやつておりますから、こういう交渉する場合に幾ら意味でも多少の研究はいたしております。そして多少の見通しも持つております。やつて見て間違つたというようなことでは責任は果せない。従つて十分に研究した結果を申上げておる。  で援助の問題については、今ご説明した通りであります。か、同時に例えば大蔵大臣が、それは聞きませんでしたが、軍事援助だけだよと言われたとすれば、やはり国民にそれを知らしておるのであつて、決して政府は嘘を言つておるのじやない。ただ私も申した通り、政府は、防御援助であるが、これによつて経済的寄与があればなお結構である、そういうことはしばしば申した。実際上経済的寄与は少しであるけれどもとにかくあるのでますます結構である。こう言わざるを得ない。
  57. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 平林君に申しますが、実は質問者の数が八人、あなたを除いて八人あるものですから、(「明日もやればいいじやないか」と呼ぶ者あり)ですからして極めて簡単にお願いいたします。
  58. 平林太一

    平林太一君 これだけで終りますから、これで終りにいたします、秩序を維持するために……。この今岡崎君は何と言われますか、わけのわからん答弁です。今の答弁は。先のお話のございましたことと、あとのことは支離滅裂なんです。だから岡崎外交などは、対米外交は支離滅裂外交であるというふうに言わなくちやならんのです。そういう今の経済援助があれば結構だなんと、そんな観念的なことで外交に当つては危険千万です。当然これだけのものを受入れするのですから、軍事援助を受入れることにしよう。而もこれは軍事援助ということはエチケットとして言つておるわけです。実際から言えばですね。米国自体は日本にですね、この力を求めて止まない実情である。又エチケットとして言えば、米国の力を求めるということなんです。だから援助ということになるんだか、一方が出して一方か助けられるということになる。つまり共同の責任、それかいわゆる共同防衛によつて、この国連の大精神によつてこれが行われておるのです。だからこれはですね、当然こういう問題については、外務大臣としてはいわゆる土俵に四つに組んで、そしてこれは経済上の問題は、どうしても批准すべきものだから、これは出さなくちやということで御交渉になるべきものた。ところかこれを付と買いますか、つけば結構だつた。これならいわゆる困つたときに下女下男という者がよくそういうことを言うものですから……、追及されれば、知らないとか、いやこの程度でよかつたんだと、極めて私は見識の低い、外交に対する……。個人的なことを申上げておるわけではない。私は岡崎君に対しては満腔の敬意を表してやまざる人物なんです。併し外務大臣として国家の外交をおやりになつて頂くに対しては、これは別の問題なんです。あなたの一挙手一投足というものは、又お考えの如何というものが……、要するにこれは今日は国会で、この委員会のこの場所でやるから、とかくいたしますとこの委員会だけに固着しやすいものですが、影興するところは、日本狭しといえども、いわゆる山川草木、全円民の一人一人に響いて行く問題です。それを今のような何では非常に私は心もとないと思う。吉田内閣は近く崩壊いたしますから(笑声)岡崎外交も終りですから言うのですが、余り攻める必要がありませんが、その点もいささか明確にしておかないといけない。  それから最後にこういうことを申上げておきたい。米国の今度の対外援助、殊に対日関係の我がほうに対する処置、私は援助とはこれは申上げません。日本に対する米国のいわゆる共同国家としての処置というものの方針か、この水爆の戦略方針というようなものが新らしく向うに出て来たわけだが、こういう際には外務省としてはどういう今日用意をなされておるか。ただ日和見の或いはその日暮しでは、今日はそういうときではないわけなんです。これは非常に転換した。だから今の三十六億円も、これは最近の情勢から見て、米国自体はしくじつたと、もうこれはもつと厖大に何倍か或いは何十倍かにすべきだつたということを考えているのじやないかと思います。私自体は世界情勢というものから……。そういうものに対して外務大臣は、岡崎君御自体はどういうふうにこれを御覧になつておるか。そうしてこの際そういう用意をなさつておるか。或いはそういうことをどうしようという苦慮をされておるかということは当然あるべきなんです。その点だけを伺いたいのであります。一つよく承わりたい。  それからこの点については大蔵大臣も併せて、この問題に対しては事我が国の経済に重大な関係を及ぼす問題でありますから、これは小笠原君からもあなたのお心がまえ、そういうものを一つ承わりたい。
  59. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと御質問趣旨がはつきり私には呑み込めないのですが、この援助を数倍又は数十倍ということでありますが、これは勿論農産物購入に基くものであつて農産物購入の量に比例するものでありますから、国内の状況にも関連があつて、そう幾らでも買つて来るというわけには行かないのであります。併し一般的に見て、日本の経済の安定ということは、これはアメリカのみならず、世界の平和にやはり間接には貢献するものであつて、そのためにはアメリカ側からもいろいろの配慮を必要といたします。又東南アジアその他の方面との関係も必要でありますので経済の安定ということについては、それは日本が独自にやらなければならん問題でありますか、同時に各国からの厚意ある配慮ということは常に考えて行くべきものだろうと、こう思つております。
  60. 平林太一

    平林太一君 最近の方針……最近の情勢から来た、いわゆる外務省日体の今日考えている情勢の変化に対する御用意、そういうものを……。
  61. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それは一般外交方針ということでまりますれば、我々は飽くまでも自由主義諸国との提携を強化して、そうして世界の平和維持に進む、こういう方針でやつております。(「どうも不満だな」と呼ぶ者あり)
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質問のときに繰返すとお気の毒ですから、さつきの平林委員小林委員質問関連して、私は更に明確にしておいて頂きたいと思います。  それは先ほどこの三十六億の開銀を通しての融資について外から干渉というものは予想されないか、この質問に対して、顧問団はこういうことに関与する心配はない、又どの会社がどうするというようなことはない。こういうような答弁があつたわけですが、私はこれに関連して重ねてお伺いいたしますが、イタリーがMSAの援助を受けてこれに対するアメリカのMSA評価チームの評価というものは峻烈な評価をしています。而もその評価チームの構成は、実業家が相当に入つておるわけです。従つて日本がMSAを受入れて現在のところ三十六億になつているわけですが、このMSAの援助の状況を評価するために一つのチームが来た場合に、国内におけるところの顧問団は必ず意見を求められる。それに私は関与すると思う。そうしてその結果は、どうも防衛産業のどういう方面に争点を置くというのを越えて、その重点をどういう方向に置くということは勿論のことでございましよう。更にそれから突込んで、どうも能率が上らない、工合が悪いということによつて、三十六億をどこに投資するかというこの分配に当つても、曾つて占領中に業者が駐留軍の当該関係にいろいろ使い物なんかして割当を受けたような事態というものが再現する虞れが多分にあると思う。それをやらない限りは、これは通産省が所管になつた場合に、通産省に資料を出して、それだけでは援助の配分にあずかれないというような事態は、私はMSAの評価チームの来日することを考えると、そういう虞れは多分にあると思う。従つてそういうことは絶対に排除し得るかどうか、この点について私は外務大臣大蔵大臣に重ねて伺つておきたいと思うのです。どうも外務大臣外交宮のエキスパートですから、非常に時と場所で言い廻しが上手で、さつきの経済援助のようなものでも口を拭つて言うことか非常にうまいのですが、私ははつきりこの点承わつておきたいと思います。
  63. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 顧問団というものはどういう任務を持つておるかということは、これは法律にも書いてありますから、それについてはここにこの任務がどういう意味があるかということを十分確めてあります。顧問団がこういう問題に介入するということは、これは全然ありません。  評価チームというものが来るか来ないか、これは来るにいたしましても、ただアメリカ側でどういうふうにこれか実際上有効に行われているかということを調べに来るのであつて、今後の交渉に当つて、これが有効に扱われてなければ、この次の援助を求める場合に困難な事情が起るということはあり得ましようけれども、少くとも日本の内部についてこれらが干渉するということは、これはありません。
  64. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 平林さんにさつきおふれになりました点にお答えしておきますが、実は私どももいわゆる経済的な援助が多ければ多いことを希望しますが、御承知のごとく食糧の買入れのことでございますので、本年五千万ドルの余剰物資が来年どれだけになるか、これは交渉してみなければわかりませんが、それから出て来るものなのでありまして、それが本年は一瞬になつておりますが、でき得べくんばそれが二割にも多く望まれれば減に結構だと思います。  但しこの点について私どもの配慮しておる点を一言申上げておきますが、私どもはこの金は先ほど申上げました通り開発銀行を通じて貸すことにいたしておりますが、その貸出の対象は防衛産業関連産業及び日本の工業力の質的改善ともなるべき基礎産業、こういうことに私どもは金の融資先を考えておるのでありまして、どんな場合にでも、例えば特需がなくなつて来た、それがために日本の産業が行詰つて来るというようなものには出したくない。つまり国内の需要が続く限り存続して行くというだけの仕事を取上げたい。こういうふうに考えておりますので、この点はそういうふうに防衛産業関連産業或いは基礎的な工業力の質的改善に資するものに使いまするが、すべてはやはり日本の経済力の強化に向つてのものに向けたい。従つて後日その設備が過剰設備になつて来た。又国内での需要がなくなつたら困るというようなものには貸出をいたさせない、こういう方針であることを附加えまして御了解を願つておきます。
  65. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 次の質疑者に移ります前にお諮りを申上げたいと思いますが、質疑者のお名前を申上げますれば、大蔵委員会として小林君、菊川君、成瀬君、堀木君、平林君は今お済みになりました。内閣委員会から矢嶋君、八木君、吉田君、そのほかに外務委員会から高良君、こういうふうになつております。そこでこの順序は、委員会別にしまするならば大蔵委員会所属の方に先にやつて頂きまして、それから内閣委員会というほうが、丁度大臣出席都合もありましようからいいかと思います。又、外務委員会は一番最後に廻つて頂かなければならないかと思います。それから発言の順序は大会派順ということにいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 別段御異議もないようでありまするから、それではそういうことにいたしまして、大蔵委員会では小林君でありますけれども、これは要求大臣がまだ来ておりませんので、菊川君。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について……。只今の決定異議ございません。結構でありますが、委員会運営について委員長に要望して置きたい点は、平林委員質問の際、盛んに時間を大変委員長催促しておるわけです。私ども関連質問するに当りましても、遠慮して極めて紳士的にやつておるつもりでございますから、時間については余り制約して頂きたくないのでございます。と申しますことは、これだけの内容のものを大蔵内閣とが一緒で辻合委員会を開いて、一人の質問時間二十分か三十分で済ませというのは、これは私は無理だと思うのです。勿論案件が時間切れ、明後日なら明後日まで、是が非でも承認しなければならんというような時間切れの案件であれば又考えもいたしましようけれども、これは憲法第六十一条からいつても、これの審議期間というものはまだ余裕があるわけですから、質問時間について余り短時間に抑えられないように、審議だけは十分さして頂きたい、こういうふうに委員長に要望いたしておきます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  68. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 質問時間は、別にお諮りをして制限しておるわけでも何でもございません。従いまして、余り長くなつたらばほかの質疑者に対しての御迷惑になるかも知れないかと思うのでありまするが、さもない以上は、必要とされる時間をおかけになることは委員長といたしましても一向異議がございません。但し、外務委員会といたしましては、このMSA関係の四件についての審議の日程を一応こしらえております。それにはこの連合委員会の日として一日取つてあつたわけでありまして、最初は大蔵からのお申込でありました。二つの委員会と我々は連合するものと心得ておりましたところが、極めて最近に至つて内閣委員会からの申込がありましたので、止むを得ず午前中は農林との連合委員会、午後は内閣大蔵との三つの委員会の連合といたしたわけであります。万一連合委員会が本日中に済まないというようなことでありましたならば、又外務委員会としてもヂえ直さなければならんということになりますけれども、でき得べくんば外務委員会の日程通りに運んで行きたいというのが私の念願であります。そこで順を追うてこの質疑を進めて頂きたいと思います。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 外務委員長としてはそういう御希望だろうと思います。今委員長発言されたことは、委員長同士で話合われる問題だと思うのでございますが、まあ私どもも、一応外務委員会でそういう方針ならば、できるだけ御迷惑を外務委員会にか千ないように協力はいたしますけれども、まあ外務委員会のその決定も一応の決定でございましようから、そういうふうに協力して、なお且つ質疑事項が残つておるような場合には、三人の委員長で然るべく御協議頂いて、そして委員の質したい点だけは或る程度質さして頂くように希望申上げまして、今進めることに鴨議ございません。
  70. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私の所属の大蔵委員会にかかつておりまする経済援助資金特別会許法を審議する前提として、これはどうしてもお聞きしておかなければならんので、MSA協定の先ず性格について、それからなぜ援助を求めなければならなかつたかという理由から一つお伺いいたしておきたいと思うのであります。  というのは、これは見方によりましては、丁度戦争前の日独防共協定にも匹敵するようなものだと思います。その当時は非常な議論が沸騰いたしましたけれども、今日ではもう大体諦めてこのコースに進むのではないかというふうに国民も諦めてしまつたような感もなきにしもあらずでありまして、極めて私は重大な協定だと思います。これはまあ勿論安全保障条約のときに大体このコースを歩むようにはなつてしまつたと思えばそれまででありますけれども、併し更に一歩突進んでMSA協定に又足を踏入れたのでありますから、これはそういう見方も私はあながち成り立たんものではないと思うのであります。特に政府のほうでは、こういう重大な協定を結ぶに当りましては、いい面ばかりを国民に宣伝をされますが、悪い面、最悪の場合というものをよく知らせなければならんと思いますが、一体悪い面も起り得るの、す。防共協定を結ぶときにもいいことばかり言つたものだから、楽観論ばかりで皆引摺つてしまつたのでありますけれども、若しも最悪の場合にこういうふうなことになるかも知れないという見通しをちやんと持つて、最悪の場合に処する態度も明らかにしなければならん。こういうふうにも思うのであります。MSA協定は、見方によりますると、若しもアメリカとソヴィエトがやるときには、戦争を始めるというような段階になつたときには、協定の前文を読んではつきりと受取れるのは、地上部隊もどうもアメリカは足らん。地上軍も足らんから、その前線に一つ日本の軍隊を出して、そうして後からアメリカさんは指揮をするための準備をしなければならん。朝鮮でやつてみたところが中共軍が前線に押出して来るということになつたらこれは手ごわい。アメリカだけではとても太刀打はできない。だから一つこれはソヴイエトとやるようになつたらいよいよ以て太刀打が、地上軍においては太刀打ができないから、どこかでこれを補給しなければならん。そこで少しあめをねぶらして、丁度桃太郎の鬼ヶ島征伐の際に犬や雑、猿に回つて黍団子をやろう、だから若しもシベリヤに赤鬼退治が始つたらお前たちお供をせよ、こういうのが私はMSA協定の性格だと思う。それでわらじを編んだり、或いは槍をといだりする準備をせい、そのために少し援助をしてやろうというのがこのMSAの性格だ。私はそう見るのでありますが、従つてこれはアメリカさんの見方からするならば、そういう態度で向うは臨んで来ている。ところがおとぎ話の鬼ヶ島征伐のように桃太郎が勝つことにきまつておれば、宝物のお裾分けももらえるかも知れないが、もうこれはどつちが勝つかわからないし、えらい火中の栗を拾わなければならんどころの騒ぎではないのであつて、日本が亡びるか亡ばんかの瀬戸際に、まき添えを食つてしまうかも知れないということになると思う。従つてそういう危険な場合にも逢齎するのだということの、国民の決意を促すということもなければならんと思う。  そこでお伺いいたしたいのは、こういう協定を日本側から進んでアメリカに求めて行つたものであるかどうか。それとも向うのほうから安全保障条約の定めに従つてこれを結んだらどうだと言つて懲懲を受けて乗つて行つたものであるか。この点を一つ第一にお伺いいたしておきたいと思います。
  71. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今おつしやつたようなことは前文には何も書いてありません。そんなソ連とアメリカが戦争したらどうなるかという予想も、それを仄かすようなことも全然ありません。又菊川君のお考えになるような桃太郎みたいな話は、この援助は世界の何十国という国が受けておりますが、そのどこの国もそんな風には考えておりません。  なおこの援助は、昨年日本も受けられるようにアメリカ側の予算その他においてなりましたので、日本側から援助を求めることを申し入れたのであります。
  72. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはあなたの言うのは、表面上はそういうことを言うかも知れませんが、若しもアメリカがソヴィエトと戦争をやつた場合には、お前はお供について来いというようなことを露骨に書いたらどこも付いて来ません。併しその背景というものはそういうものであるくらいのことは、誰もその裏を読まないようなことでは私は駄目だと思います。政治家というのはやつぱりその裏を読んでかからなければならん。ただ表面に書いたものだけでは……。だから日独防共協定つてあんなふうなものじやない。こんなことになるわけはない。その背景を流れるものは、わかりやすく言えば、それであります。どうしても私はごう受取らざるを得ない。諸外国もそういうものをもらつておるが、そういうことを考えたことはないと言つております。どこでもその危機をひしひしと感じおります。従つて両方ともそういう味方の取合をやつております。ソヴィエトはソヴィエト側で衛星圏内に向つて少しでも逃さんように、防衛力を固めるという理由の下に戦争に使おうと思つて必死になつて工作をやつておる。アメリカ側もアメリカ側で一つ味方を引付けようと思つて同じようなことをやつておる。そういうことをあなたはちつとも知らそうとはしない。そういうことはありませんと言つております。が、いつでもそういう危険のあることは誰でも言いつこない。これは当然だと思うのでありますが、それは議論になりますから……。  それでは何故に進んでこちらからこの援助を求めなければならなかつたか、その理由を一つ。これは経済援助資金特別会計法の審議にとつて重要だと思いますので、なぜこれを求めなければならなかつたか、これは大事な点だと思いますので、はつきりと一つわかりやすく御答弁願いたいと思います。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 関連して……。今菊川君の質問に対して何らそういうことはないというようなお話でございましたが、この五百十一条に、軍事、経済又は技術の援助は大統領がこのような援助の供与が米国の安全保障を強化するものと認めた場合で云々と、こうなつてつてアメリカの安全保障が強化される段階においてこの援助をやるのだ、こういうことかはつきりしておる。これに対してはあなたはどういうふうに解釈しておるのか。第三次世界大戦の問題については、始つたときに日本は何らの義務も何も全然負わないというようなことを言つておられるのたが、アメリカがこういうものを結ぶという趣旨は、アメリカの安全保障のためだ、それに対して日本が一翼を担う、この趣旨だと、私はこう解釈するわけなんだが、あなたはこの五百十一条についてはどういうふうに解釈しておるかということを併て一つ答弁願いたい。
  74. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 先ず菊川君に御答弁しますが、防衛力の増強ということが日本側としてはやるべきことであつて、自分の力で以て自分の国を守るということを是非進めなければならないというつもりでございます。そのためにできるだけのことはいたしたいのでありますが、財政上の余裕が十分ない、そこでアメリカ側からこの援助を求めて、防衛力の増強に資するということができれば甚だ結構である、こういう意味で援助を求めたのであります。  なお今の関連しての御質問でありますが、これは外務委員会ではしばしば繰返しておりますが、第一に今お挙げになつた相互安全保障法の前文を見ると、「国際平和及び安全保障のために友好国に援助を与えることによつて、合衆国の安全を維持し、外交政策を促進し及び一般的な福利を供与するための法律」こういうふうにこの法律の意味がはつきり書いてある。これだと、例えば合衆国外交政策を推進するためにこの援助をやるのじやないかというような御質問もあつて、この今の五百十一条もこの前文の今読上げたところから出て来るのでありますが、アメリカ側の考えは、友好国の防衛力を増進するということが即ち合衆国の安全を維持し且つ世界平和を目的とする合衆国外交方針が推進されることになるのである、こういう意味で援助を求めておるのであります。従つてこの我々が援助をもらつて防衛力を増強する、それを合衆国の安全保障のために使うという意味ではなくして、日本の防衛力がそれだけ増大することは、合衆国の安全がそれだけ維持される、やはり世界の平和はそれだけ維持される、こういう見解から山だものであります。
  75. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  76. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 速記を始めて下さい。
  77. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 防衛力増強力ためにこの援助を求める必要があつた、こういう御答弁でございますが、そこでそれでは、どういう理由からその防御力増強の必要があるという点についてお伺いしたいのですが、それはこのMSA援助の協定を結んで、防衛力を忽ち増強しなければならんという日本がさらされている危険、それから日本が果して危険であるということであつたならば、どういう危険があるか、これを具体的に一つお示し願いたいと思うのであります。ただ抽象論としてではなしに、日本が今こういうふうに偵察機も来て、攻められる危険にある。どこかの仮想敵国が日本を占領しようと虎視眈々として狙つておる、そういう情報があなたのほうに入つているのか。それとも国内において大規模な叛乱といつたようなものが計画されている、そういう資料も握つている、こういうことであるのか。それとも又アメリカが周囲の国々が一つ一つそういう危険に侵されるかも知れないから、前進基地が侵されるようになつたら困るから、それで一つこの日本の防衛力を増強するのか。それともただ条約上で、安全保障条約の上で協定をされているのだから、日本もその義務を履行する、ただ今当面危険はないが、義務を履行するために防衛力を増強するのか。そのいずれであるかどうか。一つ御答弁を願いたいと思います。
  78. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 独立国たるものが自分の国を守るという必要は当然出て来るのでありまして、仮想敵国とか、怪しいものがいるとかいうことの有無にかかわらず、世界のいずれの国も自分の国を守るべく努力をしております。例えば例をスイスにとつて見れば、スイスのごときは中立政策を唱えて国際連合吉にも加盟しておらず、又世界赤十学年を中心として、ずつと歴史的にこれは中立国として名乗つておる国であります。従つてどこの国が敵になるということはありません。ありませんか、スイスの人口としては驚くべき程度の防衛力を持つている。これはまあ中立維持のために持つていると言えばそうかも知れませんか、とにかくどこの国がスイスを攻めるという予想は、それこそ殆んど考えられないくらいでありますが、而も持つております。スエーデンにしても同様、又インドにしても同様であります。いずれの国といえども、自分の国を守るということは、これは当り前のことであつて、非常に例は違うかも知れませんか、一家としては、門も持ち、戸締りもするというのと同様、同様と言つちや語弊がありますか、まあそういうような考えであります。従つて日本としても、今現にアメリカの軍隊によつて日本の万一の場合も考えて、安全保障条約を作つておる状況でありますから、これを速かに日本自身の手で以て守れるようにいたしたいと考えるのは、これは国民ひとしく同様に思うと考えております。政府はそのつもりでおります。従つてどこの国が仮想敵国であるということもなければ、どこの国から今攻められるという、危険であるという実情でもありませんけれども、併しこの防衛ということは当然必要であると、私は確信いたしております。
  79. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 防衛か必要であるというのであつたならば、これはあえて攻めて来るのに対して、十の力で攻めて来るのであつたならば、やはり十なら十一の力で私は守らなければならんと思います。従つて攻める力に対抗するような力を持たなければならんと思いますが、そうすると、あなたの方針としては、将来におきましては、自力で防衛をするということになりますると、まあ大体誰が常識的に考えましても、日本へ攻めて来る力を持つているのは、アメリカ或いはさもなければソヴイエト、中国、こういうような、距離の関係、それから力関係からすれば、中国は輝くおくといたしましても、先ずソヴィエトかアメリカ、そうすると、終局の目的はそういうふうに、これらの国が攻めて来ても対抗できるようなものを持つ、こういうのが終局の目的で、その第一、ワン・ステップとしてこのMSA協定をお結びになつたのでございますか。理想はそこまで持つておられるのか。
  80. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは平和条約におきましても、この協定日体においても、はつきりしておりますように、集団的及び個別的の安全保障措置ということが講つてあります。で、日本自体として、若し自国の守りを自分の力たけでできるようになり得れば、これも結構でありましようけれども、なかなか今の世界の情勢から見て、そういう力を養うということは、これはアメリカ、ソ連はあるかも知れませんが、それでも完全なものはない。お互いに助け今わなければ守れないのであつて従つて集団的自衛措置は当然如何なる場合であつても必要である。併し集団的自衛措置に頼つて自国は何もしないでいいかと言うと、そうはいかん。やはり自分として自国の能力の範囲内においてできるだけのことをして、その上で集団安全保障措置というものに自国の安全保障を託するというのが只今政府の方針であり、又世界各国の方針であろうと思います。
  81. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 集団的或いは個別的自衛という言葉は、何回も聞かされた問題でありますが、集団的に自衛をするといたしましても、それならば集団的自衛の日本の力というものは何%くらい、どれだけくらいの一画に達するのが目標だと、こういうものがなければならんと思うのであります。これは自衛ですからやはり自分が考えたけれはならん。或いはアメリカから、お前のところはこれくらいまでできたときには、一応集団自衛の目標が達したのだという目標というものかなければならん。これは私たちも今後相当MSA援助はもらいますけれども、日本の税金からも準備をして行かなければならん、防衛山増強をして行かなければならん。ところが目標がなくて、いつまで経つてもまだく足りないというのであつたら、丁度大東亜戦争中の、前の軍の行き方と一緒でありまして、幾らふくれましても、まだ足らん、まだ足らんということになると思うのですか、大体目標で何カ年計画、或いは目標は、このぐらいになつたときは集団安全保障の一環として大体日本の実力は達しるのだ、義務が果せることになる、従つてこういう目標までは一つ歯をくいしばつて、自衛力増強のために、国民も協力してもらいたい、こういうふうに訴えて、その一環としてMSAの受け入れ、それから経済援助資金特別法の受け入れ、こういうことでなければならんと思うのですか、こういうものは一つはつきりお示し願いたいと思うのですが、そういう目標もなしに、たた行き当りはつたりでは困ると思うのです。そういうものをお持ちになつておるか。お持ちになつておつたら、一つ国民の前にはつきり明かにして頂きたいと思います。
  82. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 集団安全保障の措置の第一に考えておるのは、国連の安全保障措置でありますが、これには、各国がどれだけのものを持たなければならんという要請は何もありません。なくたつて保護してくれるわけでありますが、併しそれは正しい方法ではないと思う。そこで、日本自体のは、どうかと言いますと、只今十一万の保安隊がありますが、これは他国の例と必ずしも同じに考えられますまいが、イギリスは日本の半分ちよつとの人口で、国土の大きさも大体似ております。経済的な強さはイギリスのほうが強いでありましようが……、
  83. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 強いどころではありませんよ。比較になりませんよ。
  84. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 併しそれにしても約九十万の軍隊を持つております。フランスは人口も日本の半分以下、経済的にもさほど強いとは言えますまいが、八十万程度のものを持つておるのであります。従つて、日本としては、只今の十二万は十分ではないと考えております。然らば、どれだけにするか、それは保安庁等で専門的にいろいろの方面から研究をいたしておりますが、まだ目標までの計画は立つておらんようであります。いずれ立つであろうと思いますが、只今のところは立つておりません。
  85. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、今ちよつと口吻にお漏らしになりましたイギリスの例、フランスの例等から考えまして、遠い理想と申しますか、目標というものはそのくらいである、それまではアメリカからできるだけMSA援助その他を仰いで、そのところまでは持つて行きたい、そのためには、或いは日本の経済力その他も勘案してやらなければならんと思いますが、現政府の方針としては、これはそのくらいまでは目標だ、今日目標はその辺だということをやはり国民も……、まああなたの内閣はそういつまでも続くとは思いませんが、もう風前の灯でございますけれども、まあ併し責任を持つて政権を担当しておるのたから、今の段階においては、大体そのくらいか目標だ、こういうふうに了解しなければならんのですか。国民もそれについて行かなければならんのかどうか。
  86. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 内閣がどうなるかは大きなお世話でありますが……。
  87. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大きなお世話とは……。それは君らの内閣だ。
  88. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 我々は決して潰れるなんて思つていないのですから、潰れるなんて御心配を頂かなくても結構であります。今申しましたのは、目標を述べているのではない。ただこれらの国はこの程度のものを持つている、これに比べれは、日本の十一万は、これは十分だというわけには行かんという例に示しておるのであります。どれだけにするかということはまだ研究中で、何ら決定をいたしておりません。ただ十一万でもうこれで日本として十分だというところではないということを例を以てお示しをいたしただけであります。
  89. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとですね、十一万ではこれは足らんということはわかるのだか、目標は何にもないけれども、十一万だけでは足らんから、漠然と殖やせるだけは今のところ殖やして行け、殖やせる限りは殖やして行け、こういう方針が今の政府の方針であるかどうか、これだけ明かにして頂きたい。
  90. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) それでありますから、只今保安庁等でこの防衛の計画については慎重に検討いたしております。で、本年度においては、予算に見えている通りの三万なにがしのものを増強しようといたしております。それから先のことは慎重に検討いたしておりますが、これは経済力その他の制限がありますから、飛躍的にはなかなか増強できますまいが、できるだけのことはいたそうというふうに考えております。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の菊川君の質問に対する大臣の答弁を承わつておりますと、集団安全保障、それから自国を守るというふうな立場から、更にはこの十一万を不足と思う、これを増加するというような、こういうお言葉をずつと通しますと、やはり再軍備の方向にあるということは、あなたのお考えがはつきり出ておると思うのですが、そこで、あなたはこれに対してはどういうふうに弁明いたしますか。昭和二十五年の八月十四日、あなたが警察予備隊の担当大臣として、これを審議する場合の国会における答弁に、こういうふうにあなたは述べられておる。「世上ややアメリカの通信等によりまして、これが再軍備の始めになるんじやないかというふうに言われております関係上、そういうことでは決してないのであるということを強くいたしたいと思います」、こういうふうに、警察予備隊当時の所管大臣としてあなたは発言されておる。そして今日のような発言を聞くと、同じ人からそういうことを聞いて、私非常に心外なんですが、これをあなたはどういう御所見の下に大臣として我々に納得のできるような御説明を頂けましようか、併せてお伺いいたします。
  92. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと途中で、初めの御質問を私ちよつと思い出さないのでありますが、菊川君の御質問は……。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 冗談じやないよ。
  94. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと今途中で関連質問をされたからわからない……。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 菊川君の質問に対してあなたの答弁が終つたから……。
  96. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は第一、警察予備隊担当大臣なつたことはありませんが、併し恐らく官房長官のときの答弁ではないかと思います。(「そうだ、その通り」と呼ぶ者あり)今でも私は再軍備なんか全然していないと確信いたしております。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は再軍備を今したつて申上げておるのではございません。あなたの今の答弁から、最近の答弁では再軍備の方向にあるということは明々白々である、こういうことを言つた。今ここに再軍備の完成したものとは申上げていない。ところが、こちらの発言では、あなたは、今申上げたように、再軍備の始めになるじやないかというふうに言われているが、とんでもないから強く否定いたしておきますと言われておるわけですね。それで私は伺つておる。
  98. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は今でも防衛力の増強は再軍備の始めになるとは全然考えておりません。
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はまだ尋ねたいことがありますが、菊川君の質問中ですから、御迷惑をかけますから、私の時間のときに質問いたします。
  100. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この問題については、あとで保安庁長官がお見えになつたときに保安庁長官並びに副総理からも聞きたいと思いますが、それでは岡崎さんの専門である外交的の面からお伺いして行かなければならんと思うのでありますが、この協定を結んで、今岡崎さんが言われるような防衛力の増強ということは、まあ目標は今のところわからんけれども、フランスの例、イギリスの例等もおとりになつたので、大体少くとも半分になるか、三分の一になるかも知れないけれども、そういう防衛力の増強をお図りになりたいというのが政府の方針である、そうしてそのためにMSA協定締結したということになりますると、これは諸外国からも、それは勿論中国も或いはソヴイェトの問題も考えなければならんでしよう。勿論又インドネシアその他東南アジア諸国の問題も考えなければならんと思いますけれども、とにかく戦争に敗けて、手を挙げたときには、あの憲法を出したときには、これはどう今こちらは弁解をし、理屈をつけようといたしましても、再びもう戦争の準備としての兵隊は持たんということは世界に約束したのだ、向うの人たちもそういうふうに受取つておるじやないかと思うのであります。もう日本は軍隊を持たん、ところが防衛力増強の名の下に、保安隊ですか、自衛隊ですか、拵えて行くということになりますると、諸外国にもいろいろの大使館がありまして、駐在武官等もおりまして、日本の動きを見ておるだろう。従いまして、向うへも情報は入つて行くだろうと思いますが、諸外国は一体どういう眼で日本を見ておるだろうかということは、やはり我々は関心を示さなければならんと思います。日本の動きに対しまして、諸外国は最近どういう目で見ているかということは、これは在外公館等を通じまして、あなたがたは情報をおとりになつておると思いますが、これは大賛成だ、大歓迎だというふうに世界各国からこれを受け入れられているかどうか。或いはそれとも、非常に色眼鏡を以て、猜疑心を以て見られておるかどうかということは、これは重大であると思います。それはなぜかと申しますと、将来の日本の経済的な関係から、大蔵大臣にあとでお伺いしたいと思いますが、経済的に提携をして行こうという場合に、色眼鏡で見られたときに、経済的な提携が極めて困難になるのではないだろうか。大歓迎をされておるということになりますと、又これは非常にいい条件でも生れて来ると思うのでありますか、これらについては岡崎さんの専門の見地から、一つ詳しくお答えを頂きたいと思います。
  101. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは、日本の防衛力の増強ということは、日本政府が自分で定めることでありますから、これについて諸外国にいいか悪いかというような公式的な意見の表明を求める筋合のものではありません。従つて、諸外国の政府の公式な或いは正式な意見というものは聞いておりません。我々の聴取しているのは輿論であるとか或いは政府の有力者の意見であるとか、そういうような種類のものであります。そこで、いちいち世界中の国を挙げても一時間がかかりますから要点だけ申上げますと、東南アジアにつきましては、私自身も昨年秋行つて一通りの観察はいたして来ました。又各方面の指導者とも会いましたから、いろいろ意見もたたいて参りましたか、日本の防衛力増強という只今の考えられている程度のことについて、何らかの疑惑を持つているようなところはないと考えております。従いまして、これが何か田本との将来の経済の提携等に邪魔になるということはないと思います。例えば、賠償の問題について、或る国においても、防衛力を増強する金があれば、こつちへ賠償を払えというような意見はありません。要するに、防衛力増強というものも必要、賠償も必要だ、こういう意味であります。例えば、よく言われるインドのごとき中立的な立場をとる国にいたしましても、これは私直接行つておりませんけれども、報告によりますれば、防衛力というものは必要であり、無防備の国ということは考えられないという趣旨のことは、各要路の人々の意見のようであります。ヨーロツパにおきましては大体問題になつておりません。
  102. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは隣の中共、それからソヴィエト等も情報としてはおとりになつておるか。在外公館がないからわからんと言つてしまえば別でありますが、その点もあとで御答弁願いたいと思います。  そこで、賠償問題のまだ解決しないまま、特にフィリピンには賠償使節も行かれましたけれども、なかなか困難な模様でございますが、これはもう両方ともやれというふうに向うが言つているというふうにあなたはお答えになりましたけれども、それじやどちらを優先するかということは、向うのほうは考えないのか。ただ両方ともやつてつて、多少賠償が遅れても防衛力を増強するということは一応認める、そういう態度に東南アジア諸国の輿論の動向というものは向いているとするならば、非常に結構だと思います。あなたか見ているように動けば結構だと思います。ここの御答弁はもうすぐ重大な国際的な影響を持つだろうと思いますか、そういうふうに了解してよろしいですか。
  103. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いや、必ずしもそうではありません。つまり防衛力増強ということは、例えば日本の国内における食糧の増産と同じことである。或いは道路の開発と同じことである。こういうことと同様に、日本の国内の事項として、その内部にまで干渉はいたさない、日本か必要と思うものは当然必要なんだからおやりになるでしよう、こういう意味であります。  それから賠償という問題は、これは条約関係に入るには必要である。従つて、この防衛力増強という問題について、賠償を払わないうちに防衛力を増強するのはけしからん、そういう意見はない。これは日本国内の問題として、食糧増産その他いろいろな施設が要るでしよう。それと同様に、必要とされるならば、やられるのは当然である、併し賠償の問題は別として、条約関係に入る意味においては是非必要なものである、こういう意味のようであります。
  104. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 非常にあなたは詭弁を弄されますけれども、食糧増産や或いは産業の振興を勝手にやるのと、防衛力増強というものと……、日本がこの前の戦争でいろいろ迷惑をかけていなければ、これはそういうことも言えるでしよう。実際いろいろ迷惑をかけたことがないというならば言えるけれども、まだなまなましい、迷惑をかけてその十分な後始末ができていないときに、再びもう軍隊と言つてもいいというようなことを、大臣がそろそろこの委員会言つておる。軍隊は作らなかつたはずのやつを軍隊を作つてもいいということを言い出して来ているということと、米を作るということと同じように考えていい、これは自分たちの自主的にやつていいことであるということは、詭弁も甚だしいと思うのでありますが、まあ米を作つて食糧増産をすることと同じように世界の輿論、目というものは見ておる、こういうふうに受取つておるのですか。今の外務省のセンスというものは、そんなセンスですか。
  105. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは、外務省は、各国政府に対して、日本の憲法の内容についても、又政府の方針についても常に説明をいたしております。その説明は、つまり日本は戦争を再びするつもりはないのだ、又国際紛争を武力で解決するつもりはないのだ、日本の純然たる自衛のために防御力を持つことになる、この説明を各国とも納得いたしております。
  106. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういう外務省の説明だけで納得されるというなら非常にうまい、結構な私はまあ国際情勢だと思いますが、併しどこの国でも、憲法において、国際紛争の起きた場合には、いつぱつやるんだというようなことを堂々と公言しておるところはない。皆自衛力増強、自衛力増強で、どこまでも侵略するなんということを言つた国はないと思いますが、そういつた憲法の条章を外務省は説明しておるので、各国が納得しておるというふうに甘くお考えになつておるのは、これはもう意見の相違でございますから、別に日本に向うから公文書で特別求めて来ておるのではないと言つてしまえばそれまででありますけれども、非常に甘い議論であると思いますけれども、これは議論になりますから次の問題に移ります。  これは経済的に非常な密接な関係がありますので、お尋ねいたしますが、防衛援助計画の策定に当つては、経済の安定か日本国の防衛能力の発展のため欠くことのできない要素であるということは、非常にうまく謳われております。結構なことだと思うのでありまするけれども、最近の日本の経済の安定ということは、これはどうも安定どころか、ますます危なくなつて来ておる。下半期は大変じやないかということは、心あるものは皆心配しております。あなたがたは、大丈夫だ、日本はどんどん安定して行くようにお考えになつておるかも知れないが、失業者はだんだん殖えて来る。それから中小企業の倒産も殖える。又潜在失業者の点についても、一千万というような人もありまするし、或いは七百万と言われておりまするけれども、とにかく殖えておるということだけは、これはもう認めなければならんと思います。遺憾ながら、これはもう我々は一番心配しておるところであります。経済安定に行つておらんと思うのでありますか、そうすると、経済安定ということを先ず前提にしなければならんということが、相互防衛援助協定の重大な一つの、前文にもこれだけ謳われておるのでありますが、今の経済状態が非常な安定した段階にある、安心できるものであるというふうにお考えになつておるか。大蔵大臣もこれは当面の責任者としてそのようにお考えになつておるものであるかどうか、その点を伺つて置きたいのでありますが、これを承認するかどうかというときに、それではこれが不安定になつて来た場合に、何らかの安定に向くような措置が又これによつて講ぜられるものであるか、その点について伺つておきたいと思います。
  107. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 防衛計画の策定ということによつて、日本の経済を安定するとかしないとかいうこと、安定するという積極的の面は一つもありません。日本の経済というものは、いろいろな理由によつて安定したり不安定になつたりすると思いますが、併し少くともこの前文の趣旨は、日本の防衛計画を作ることによつて日本の経済を不安定にするようなことは決してしてはならない。併しそのほかの理由でもつて一般的な、例えばドルが足りないとか、貿易が不振であるとか、そういう理由で仮に経済が安定しないということがあつても、MSAの援助によつてその経済を安定させるところまで行くのだという意味ではない。この防衛計画によつて経済の不安定を来たすようなことは絶対にしてはならない、こういう意味であります、
  108. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原三九郎君) 経済問題につきましては、私どもはインフレを再び起ることなからしめる、そうして日本の国際的の経済自立を一日も早く達成せしめるという、念願の下に、財政の緊縮及び金融の強化等を中心として一連の施策を進めつつある次第でありまして、御承知のごとく経済安定に向つての諸施策を講じている次第でございますから、施策の浸透と兵に、漸次その効果を見て参るものと考えているのであります。
  109. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、経済の安定じやなしに、不安定のほうにだんだんといろいろの統計資料からして向つて行く。遺憾ながら、安定の施策をお講じになつていると言われるけれども、現実に現われて来ている現象は、必ずしも安定じやなしに、不安定のところに、手術中であるからして、多少血も出るし痛いのであるけれども、この手術が終つて、安定のほうに上つて行くというふうに大蔵大臣は言われるかも知れませんが、手術中は、それでは防衛上の援助協定を結んだけれども、策定する場合には、その手術の段階に相当したような防衛計画を策定されるのか、先ほどお伺いしましたところ、まだ保安庁のほうでやつているけれども発表する段階ではない、計画しているけれども、発表する段階ではないといつているけれども、そういう関連において、十分考えておりになつている、そうすると、今年の下期に行つて、その不安定な段階になつてくるとしたら、日本が自主的にこの策定を根本的に直し得るものかどうか、この点を伺つておきたいと思います。
  110. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはちよつと私が答えるのは僭越でありますが、保安庁の計画せられておることでありますから……。併し政府としては勿論経済状況ということを或いは財政状況ということを十分考慮に入れて計画は作るわけであつて、その意味もあつて、恐らく防衛計画というものか、まだできていないと思われます。
  111. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、具体的にお尋ねいたしますと、失業者の数もどんどん殖えてくる、不安になつてくるというような段階になつて来たら、この何万名に増強せよという秘密協定があるかどうか知りませんが、併し日本の実情にあわないならば、とても殖やすわけにはいかんということで、どんどん切つて行けるものかどうか、そういう点について伺ておきたい。
  112. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 何万名増強せよという秘密協定は全然然ありません。これから作るものであります。
  113. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、経済が非常に不安定になつて来たという場合は、今の十一万ではとにかくあなたは不足だと言つているのたが、場合によつては十一万すらも困難になる場合も想定されると思いますが、そういう場合には、減員することも援助協定の精神に反しないものであるかどうか、伺つておきたい。
  114. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この援助協定の精神から、言えば、増強しようが、場合によつては減らそうがやむを得ん場合もありましよう。併し政府の見方として、十一万程度のものが更に減らさなくちやならんというような事態は起こらないと考えます。
  115. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の説明でございますと、又これは見解の相違になるのでありますから別でありますが、いつまでも政府は続くわけじやございませんから伺つておきたいと思うのでありますが、あなたは締結される場合に、いろいろ約束も話合いもされたのだろうと思いますけれども、あなた方の考えは十一万を減らす必要はない、こういうふうに認めておられるけれども仮に、じや十一万はとても持ちこたえられないというふうに、その時の政府が考えるという場合には、減らしても決して協定の精神に違反するものではない、こういうふうに了解しておいてよろしゆうございますか。そういう話合いもちやんとできているのですか。そういつまでも、あなたがおやりになつているのならば別でございますけれども、そうじやないのでございますから、仮に、ちよつと物の見方の変つた、性格の変つた内閣ができて、これはとても十一万持ちこたえられないというときに、五万かにしなければならない、七万五千にしなければならない、こういうふうに判定した場合も、それを減らすことも、この協定の精神には決して違反するものではない、こういうことくらいは話合いもできているだろうと思いますが、一つ御答弁を願つておきたいと思います。
  116. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 我々はそういうことを予想しておりませんから、そういうことは話しておりませんが、併し協定は要するにアメリカから援助を受けるという協定でありますから、そういう場合には協定をやめて、援助を受けなければよろしいのであります。
  117. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 では、私四時半に保安庁長官と副総理おいでになるということで、それまでに一つというので、一応岡崎外務大臣にお脅ねいたしましたけれども、未だに保安庁長官もそれから副総理おいでになりません。副総理並びに保安庁長官おいでになりましたら御質問申上げるということで、一つ質問を留保いたしまして、ここで他の委員のかたに一応お渡りいたしたい。大蔵大臣につきましては私の所属の委員会で又できまずから、これはなんでございますが、とにかくそれだけは留保の上で他の委員にお譲りすることを御了解願いたい。
  118. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 承知いたしました。  そこでこの委員会進行ぶりについて、改めて御相談を申上げたいと存じます。今菊川委員が言われたことく、最初は四時半に副総理保安庁長官出席されることになつてつたのでありまして、その前提の下に、休憩後のこの委員会を開いたわけであります。然るに先ほど、五時少し前に至りまして副総理のほうから連絡がございまして、四時半にという約束であつたけれども、それがどうしても手が離されなくなつて来られません、それで然らば、六時ならばどうかということでありましたが、副総理は、確かに六時に伺えるということは申上げかねるけれども、多分その頃であつたならばよさそうだ、こういうことであります。つきましては、経済審議庁長官こちらに来ておられましたか、先ほど小林委員質問長官の来られるまで留保して頂いておつたのでありますが、如何なものでございましようか、六時まで待つて見て、副総理保安庁長官も来られないようでありましたならば、その際は、も早審議を続行するということが不可能かと思いますのでその点をお諮りいたします。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行。結論を申上げますが、本日はこの連合委員会は終了しないという見通しを、私は只今委員長発言から持つた次第でございます。さつきの菊川君の質問も、内容の全般というものは、これはやはり私は内閣責任者総理、或いはそれに代るべき緒方総理の答弁があつて然るべき質問内容だと、こういうふうに私は判断するわけです。併し今日は連合委員会でございましたし、両委員長にお委せし、又外務委員羽生委員等の意向もありまして、一応四時半に副総理並びに木村保安庁長官出席されるという見通しがあるということでございましたので、私個人としては副総理出席の前に、連合委員会を開くということは、先刻申上げるように考えておつたわけでございますが、そこをお譲りしてここまで参つたわけです。併しながら、ここに来た段階において、只今委員長のご報告がありましたような状況でありまするならば、本日はこれを以て閉会して、明日改めて副総理木村保安庁長官、それから関係大臣おいでを願つて、そして質疑を継続したほうが私はよろしいかと考えますので、そういう議事進行の動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  120. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 矢嶋委員の動議がございましたが、私の了解するところでは、小林委員は必ずしも副総理とそれから、長官出席を要しないように了解いたしておりました。でありまするからして、経済審議庁長官おいでなつたことでありまするからして、小林委員の査問までは本日続行しては如何かと任じます。如何いたししましようか。矢嶋委員の動議を動議としてお諮りいたしましようか、或いは又小林委員質問を願うことにいたしましようか。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は参議院の大先輩であるし、委員長にとやかく申上げませんが、委員長委員である矢嶋に侮辱を加えていると思うのですよ。私が動議を出しましたら、やはり委員長はその動議を諮ることが委員長責任であつて、私若いからといつて委員長が随分誘導的なことを発言をして何されるということは、議事運営からいつても、私は侮序を感じるのですが、一つ余り侮辱しないで(笑声)委員長らしくお運び頂きたい。
  122. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) こういつたことが侮辱になるかどうか私は甚だ疑わしいと思うのでありますが、ただこれは会議の手続上の問題でありまして、それは正式に言えば、成るほど矢嶋委員動議を動議として取上げるべきでありましようけれども、これは今のところそれほど固苦しくこの委員会は運んでいないようでありますし、矢嶋委員の動議を動議とするためには、又どなたかの賛成が要るとか何とかいうようなむずかしいことになりましようが、そういうことでなしに、若し話合いがつくものならば、今私が申上げましたようなことで落ちつくようにしてはと、こう考えて、私は申上げておつたわけでありますので、(「異議なし」と呼ぶ者あり)私の申上げることが皆さんがたに、それでは困るということであるならば、私は多数の意見従つて動くだけの話でございます。併しその前に小林委員に御発言を……。
  123. 小林政夫

    小林政夫君 異議ございません、委員長のおつしやる通りで……。
  124. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 小林委員は今質問しても差支えないと、こう言つておられますが、矢嶋委員如何でございますか。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 御当人からそういうことならば……。
  126. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) それではどうも有難うございました。
  127. 小林政夫

    小林政夫君 今度の協定締結することによつて兵器産業について相当の助成をしなければならない。援助資金を使つていろいろと兵器生産をやらなければならんと、こういうことになつて、先ほども平林委員並びに私の関連質問において、明らかになつたように、この二十六億というようなものを開銀を通じて兵器並びに関連産業に融資をするということになつて参りますと、審議長官にお尋ねいたしますが、先般自然成立をした二十九年度予算において策定されておるところの財政投融資計画について、何らかの変更を加える必要が起つて来るのか、来ないのか、その点質問は簡潔でありまするが、御答弁のほうは懇切に一つお願いいたします。
  128. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 三十六億円の問題と財政資金の計画の問題でありますが……、
  129. 小林政夫

    小林政夫君 それだけではもりませんよ。MSA協定、これら一連の協定を結ぶことによつて、全体の財政投融資計画に影響はないかということであります。
  130. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 今私が申上げようと思いましたのは、その先ず第一段でございます。第一に、三十六億円の使途の問題と、それから先般成立いたしました予算関連する財政投融資計画とは、全然別個と申しますか、三十六億円の問題の決定如何によつて、財政資金計画を変更する必要は私はないと思つております。そのくらいでございまするから、大体その他のMSA関係の問題と睨を合せて、財政投融資計画や財政計画を変える必要はないと、こういうふうに考えております。
  131. 小林政夫

    小林政夫君 三十六億はプラスされるわけでありまするから、そういう御答弁で了承いたしますが、二十九年度に開銀の融資対象として、予算説明書等に上げられておつたアイテムの金額等について、それは予備費等もございますが、その貸付資金の配分については、多少の、多少というか、成る程度の変更が加えられるのではないか。若し加えられないとすれば、この当時、もうすでに予算編成時から、MSA協定というものは政府としては成る程度頭にあつたのであるから、そういうことを織込んであの財政投融資計画が立てられておつたのか、これだけの協定を結んで、財政投融資の計画に、全然あの予算のときに予定しておらないということであれば、変更を加えざるを行ないと思うのですが、その点はどうですか。
  132. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 財政資金の計画につきましては、大体大枠を今日の閣議できめたのでございまして、従つて現在予想し得るところのいろいろの条件を集めて財政資金計画を作つたわけであります。従いまして、私は先ほど申上げましたように、これから大きく何か変更する必要はない、こう申上げた通りの状況でございます。
  133. 小林政夫

    小林政夫君 まあそうおつしやるならば、二十九年度予算編成のときにはすでに或る程度頭にあつたのだと、こういうことに了解せざるを得ないのでありますが、次に二十六億というものが兵器生産又はそれに関連した産業に使われると、こういうことであつて、先ほど大蔵大臣質問いたしましたところが、現在政府部内において寄り寄り協議中であつて、またどういうものにどうという方針はきまつておらんと、こういうことでありましたが、審議官のほうでは何か腹案があるのではないか、どういうふうにお考えであるか。三十六億はどうするのか。又そのほかに、今日閣議でおきめになつたそうでありますが、そのほかの財政資金で、この兵器産業関係に二十九年度においてはどのような融資等をお考えになつておるか。
  134. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 三十六億円の運用につきましては、先ほど大蔵大臣からお答えをいたしましたと思いますが、その通りでございまして、特に経済審議庁としても附加えて申上げることはございません。それから先ほど申しました今日の閣議の問題は、只今ちよつと資料を持つて参りませんでしたから、今取寄せておりますから、届きましたら早速お答えいたします。
  135. 小林政夫

    小林政夫君 次に本協定の第二条でありますが、アメリ政府はこの目的のためには、日本の国内において原材料又は半加工品を「合意される期間、数量及び条件に従つて、生産し」云々と、こうなつておりますが、大体この協定を御締結になるときに、どのようなものを原材料、半加工品ということにおいては予想しておられたのか。これが特に後段にもあるように、「国内使用及び商業輸出の必要量については十分な」配慮を加えると、こういうことがあるわけでありまして、この点については、一応日本でアメリカがこういうような調達をするに当つては、大体どんな原材料、半加工品を予想しておつたのか、その点如何ですか。
  136. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは只今のところ御承知のような状況であつてアメリカ側で日本に期待しているものは、今のところは何もありません。将来あるかも知れませんが、只今予想し得るものはありません。それじやなぜこんな条文を作つたのかと申しますと、これはやはり相互援助という形で、日本側もそういう場合には援助をするにやぶさかではない、こういう趣旨を明らかにいたしておるので、具体的にはまだ何もありません。
  137. 小林政夫

    小林政夫君 そういたしますと、この経済協定のほうの第一条第二項で、この四千万ダラーというものをアメリカはどんなふうな使用をしてもよろしいと、こういうことになつておるのでありますが、これと今との関係はどういうふうになるのでありますか。この今の四千万ダラーは日本国内においてMSAの目的に合致するように使う、必ずしも日本国内で使わなくても、アメリカとMSA協定を結んた被援助国に対しての物資生産に充てると、こういうふうに了解するわけであります。日本国内で使う以上は、本協定第二条のことが問題にならなければならんと思う。
  138. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この自由にということは、経済措置に関する公式議事録を御覧になりますと、自由とは何だということが書いてありますが、これはまあ自由という意味を規定しておるのでありますが、この自由というのは、こういう範囲内においていわゆる域外買付に充当するものであります。
  139. 小林政夫

    小林政夫君 ですから域外買付に充当するとすれば、日本の圏内で調進をするのに使うのですから、私は自由ということにこだわつておるわけではない、充当するわけですから……。要するに日本で或る程度の原材料或いは半加工品等も調達せざるを得ないだろうと思う。全然予想しておりませんという御答弁ではおかしいのではなかろうか。
  140. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 城外買付というのとこの第二条の趣旨とは多少違うのでありまして、要するに一般に域外買付と申しますと、日本に武器その他の装備等を注文しまして、これを買上げて、これを日本の保安隊に使用せしむるか、或いはMSAの援助を受けておるほかの国にこれを持つて行くかという意味の域外買付であります。この第二条に書いてありますのは、日本における半製品等をアメリカに持つて行く、こういうことでありまして、多少意味が違うのであります。併し場合によつては、第二条のようなことにこの四千万ドルの一部を使い得たいというわけはないのでありますが、事実上は、只今のところはアメリカが欲しておるものが日本の円内にありませんからして、域外買付という一般意味にこれは使われるものと考えられるのであります。
  141. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この今の経済協定のほうの第二項は、どのように使われるのか。まあ具体的に申しますと、ここに直接調達なのか間接調達なのかという疑問が第一点と、それから今おつしやつた日本の国内における域外買付というものは、この経済協定第一項の四千万ドル相当額だけであるのか、或いはその他にも域外買付は予想されるのかということについて伺いたい。
  142. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 第一の御質問につきましては、これは形式的には直接の調達であります。ただ先ほど指摘いたしました議事録によりまして、日本政府と協議していろいろなことに邪魔にならないような使い方をする、こういうことでございます。それから域外買付の量としましては、通例アメリカ側で予定しておりまする六千万ドルの、これはドルによる域外買付を期待しております。勿論これは国内の産業がそれに応じ得るかどうかという問題はありますが、従つてこの四千万ドル以外には、ドルによる六千万ドルというものを大体予想しておるわけで似ります。
  143. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、今外務大臣も六千万ドル予想をし、而もこれ広四千万ドル、合計一億ダラーというこのを主として軍需産業に投入する。その場合に、経済審議庁長官の言われた、どうも本年度において財政投融資の関係を変える必要がないと、こういうことはどうしても背けない。これだけの金を使つて行くということであれば、今資料を取寄せて御答弁願うそうでありますから、今後どのように軍需産業方面に財政投資が行われるのかということについて伺つて、又重ねて質問をすることにします。  それから第四条の技術、まあ簡単に言えば技術交換であります。か、この取極は現在何か具体的に話が進んでおるの、ですか、どうですか。
  144. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはまだ具体的には至つておりませんけれども、将来はこういうことも必要であろうかと思つております。
  145. 小林政夫

    小林政夫君 その場合に、「秘密の保持を図る」と、こういうのでありますか、現在提案されておる秘密保持に関する法案では、この点は十分ではないのだろうと思うのですが、アメリカのほうから言えば……、その点はどういうふうにお考えですか。
  146. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 現在の秘密保護法は、これはMSA関係して、アメリカ側から提供されますいろいろの情報とか、装備とか、そういうものに対する秘密を守ることになるわけであります。それとは別に、工業所有権とか、技術上の知識とか、こういうものでありまして、これはまだ今後相談してみなければわかりませんが、恐らく今の秘密保護法ほどの厳重な法律的な措置は必要じやないのじやないかと、こう思つております、
  147. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、まあ普通の特許権等を分譲されたときに他へ漏さない、その受けた者の利益にも合致することであるから漏さないと、この程度のものに了解していいのでございますか。
  148. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これもまだ取極をいたしておりませんから、正確には申上げられませんが、大体の構想はそういう趣旨思つております。
  149. 小林政夫

    小林政夫君 第六条関係でありますが、少し問題が小さくなりますが、第一項のaの中で「(別段の合意がある場合を除く)」というのはどういうことであるか。それから次のbで「融資する支出金」というものについては、先の三十六億、数字を言つたほうがいいと思うのですが、三十六億による融資というものが含まれないと思いますけれども、「同政府が融資する支出金」というものはどういうものを予定されておるのか。
  150. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは正確を期するために条約局長からお答えいたします。
  151. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 第六条の1のaの末尾の括弧内は、現在のところは別段の合意があるわけではございません。併しこういう例外も起り得ると考えまして、その途を開くために、この末尾の文句を入れたわけでございます。
  152. 小林政夫

    小林政夫君 これは「同政府が融資する支出金」というのは三十六億でないことは明らかですが、それは一体どういうものを予定されておりますか。
  153. 鈴木源吾

    政府委員(鈴木源吾君) 「同政府が融資する支出金」と申しますのは、アメリ政府が直接日本で自分の予算の金で買付けるのではなくて、アメリ政府が他のどこかの国に援助資金を渡しまして、その援助資金で例えばフランスが日本に来て物資を調達する、その資金がアメリカから援助された金である、そういう場合などを意味するのであります。
  154. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、そういう場合、一体それがMSA援助資金によつて、今の例で申しますと、フランスが援助を受けた、その援助資金に基いて、どうもフランスでは作れないから日本で物を調進する、このときにこういう免税措置をとる、こうですね。
  155. 鈴木源吾

    政府委員(鈴木源吾君) そうでございます。これはヨーロッパの国が、一昨年の春頃から域外買付を殖やすときに、やはり同じようにアメリカの援助資金でほかの国に援助が行くものを自分の国で買付を殖やすように、こういうような協定を結んでおります。それと同じであります。
  156. 小林政夫

    小林政夫君 それに関連して、次に第二項に「同政府が融資する支出金で、1に定めるもの以外のものについてとありますが、それはどういうものですか。
  157. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 第六条の第一項は防衛援助協定に基く援助物資に対する免税を定めてありまして、aは日本に対するもの、bは一例を申しますならば、フランスその他の外国の援助のものでありまして、第二項は相互防衛援助協定以外の援助物品に対する免税を定めておるのでございます。なぜ相互援助協定以外のものを入れましたかと申しますと、MSA法には援助を与える結果、外国の税金まで払うことになつてはならんという規定がございます。つまり税金に払う金があるなら、その金だけ援助自体をたくさんやるべきだという考えから出た規定でございます。そういたしますと、日本といたしましても、外国のための域外買付その他を多量に受注いたしますためには、このMSAの資金を税金のためには使つちやいかんという規定に応じましてこの六条に、必らずしも相互防衛援助協定とは関係ないのでありますが、他の援助物品に対する免税の規定を設けるほうが時宜に適すると認めましたので、ここに併せて第二項で規定いたしました次第でございます。
  158. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 関連して。そうしますと、例えばインドに非常な饑饉があつた、或いは何かそんなようなことがあつた場合に、日本で食糧を買つて、やるようなもの、それに対してまで免税措置をする、こういうことになるわけですか。ですから軍事援助でもなければ経済援助でもない、或いはイロア援助といつたような形になるわけですか。そういうようなものに対してまでも免税措置をする、こういうことを遜つたのが第二項の「1に定めるもの以外のものについて」とこういうことを指しておるわけですか。
  159. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 第三項の末行に「アメリカ合衆国政府の対外援助計画に適合して支出されるものを含む」と書いてございますが、この対外援助計画と申しますのはMSA、相互防衛援助に限りませず、経済援助も技術援助もすべて含まれるわけであります。でございますから、仮に御指摘のようた農産物を外国からアメリカか買つて、それを饑饉のある国に援助としてやるという場合に、これは日本には輸出税はございませんから実際問題となりませんが、仮に輸出税のある国から買うといたしましても、輸出税は免除して、そうして安い農産物として被援助国に渡す、そういうことになるわけであります。
  160. 小林政夫

    小林政夫君 経済審議庁のほうで先ほどの資料が大臣のところへ来たと思いますからちよつと……。
  161. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど私が言及いたしました昭和二十九年度の政府資金の産業設備に対する資金運用の計画でございますが、大体申上げますと、そのうちの大きなものが日本開発銀行の関係でありますが、貸付の総額を一応六百五十億円といたしまして、電力に三百五十、海運に百八十五、それから石炭、鉄鋼、自家発、合成繊維、機械、硫安、これらの種目に対しまして九十五、その他予備といたしまして二十億というような計画を、大体本日閣議におきまして了解いたしております。なお、このほかに農林漁業金融の関係、中小企業金融の関係がございますが、これは余り細かくなりますし、又当面の問題でないと思いますので省略させて頂きます。  それから第二段に先ほど御質疑がございました点でありますが、現存の政府の考え方といたしましては、三十六億円の問題に関連して新たなる財政投融資というようなものは起さないようにするということで一応の計画を考えております。それはなぜかと申しますと、先ほど外務大臣からお答えいたしましたように、現在二十九年度中を一応の基準にいたしまして発注が確実に見通され得るところの米国等からの発注のもの並びに二十九年度で保安庁が発注しなければならないもの、国内におきまして、それらのものに対してこれをその発注に即応する体制を作るということを、二十九年度中の体制に考えておるわけでございますが、それらの中には御承知のように大きくわけますると、武器、火薬、艦船、航空機と大体大分けにいたしますと四つくらいの範鷹に分れますけれども、その中で例えば銃弾というようなものにつきましては、従来からも発注がございますから、設備資金等としては、現在予想し得る程度の発注でございますれば、新たに追加をする必要はございません。それから火薬等につきましても非常に僅かでございます。それから艦船についても更に僅かでございます。こういうような関係から申しまして、二十九年度中に発注を予想されること確実なりと思われるものに対する設備資金の関係を中心にして考えますれば、三十六億円の配分の計画ができまするし、又これを配分の計画を立てましても、新たなる財政投融資をこれに結び付けないでもやつてゆける、又その程度にとどめるべきであろう、こういうふうに考えて、先ほど申しましたように、大蔵省その他関係の向きと現在具体的な細かい打合せをいたしておるわけでございます。
  162. 小林政夫

    小林政夫君 政府只今の御計画はよくわかりましたが、そうすると本協定附属書Aの「アメリカ合衆国政府日本国防衛生産の諸工業の資金調達を援助するよう考慮する」、この附属書に基く防衛生産工業に対する資金調進の援助、こういうことは二十九年度においては予想しておらない、日本は期待しておらない、こういうふうに考えてよろしうございますか。
  163. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) いわゆる財政投融資計画といたしましては、従来考えて計画いたしましたもの以外には計画をしなくてもよろしかろうということを申上げたのが一点と、それからいま一つは、従来もいたしておりまするような市中金融機関等からの資金の供給というようなことについての、例えば通産省といたしましてはどういうところか適当であろうかというような推薦、その他こういう点はやはり政府としては十分配慮を続けて行かなければならん、こういう点が政府としての援助ということになるわけでございます。
  164. 小林政夫

    小林政夫君 私は今日本政府のことを申上げたのじやなくて、附属書Aによると「アメリカ合衆国政府日本国防衛生産の諸工業の資金調達を援助するよう考慮するならば、日本国の防衛能力の発展は著しく容易になるべきことを述べた」、こうなつておるわけであつて、この逆は、日本としても或る程度アメリカから、そういう防衛生産工業の資金に対して援助することを期待しているということがなければ、こういう附属書はないわけです。それを二十九年度には、今愛知さんのおつしやつたのでは、この援助を期待する必要はないのですねという質問なんです。
  165. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは現在例えば千万ドル相当額の、三十六億とか、それから域外発注に対する四千万ドル相当分でありますとか、そういう具体的に現在はつきりとした計画としてありまするものを前提として私は申上げたのであります。更にその上、一層の援助があれば同時にそれを利用いたしまして、更に域外調達の枠も殖えますし、又防衛生産もそれ自体として殖やすことは可能であろうと思います。只今申しましたのは、現在具体的に我々のテーブルの上で作業に移つているものについて申上げたのであります。
  166. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、その点については多少腑に落ちない点もありますが、次の質問者のほうで明かにされると思いますから、私はこの程度にしておきますが、一つ進んでこういうふうにはつきり防衛生産に一歩を踏込むということになるのでありますけれども防衛生産即ち生産工場の企業体制の問題なんですが、今のように私企業でずつとおやりになるつもりなのか、或いは駅留軍によるところの軍管理工場というようなものもあるやに聞いておりますが、そういうような関係で行くのか、或いは昔のごとく国営でもやつてゆく、こういうような防御生産工場、防衛生産企業についての通産大臣として考えておられる一つの方針といいますか、これはどういうふうにお考えになつておりますか。大分こうやつてどんどん域外買付だけでも一億というようなものを日本で作つたということであれば、そういう将来の企業体制というものについても、或る程度の御検討があるのじやないかと思うのでありますがお聞かせ願いたいと思います。
  167. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) いわゆる防衛生産の問題をこれからどういうふうに考えてゆくかということにつきましては、各方面から検討を政府部内におきましてもいたしております。併しながら同時に差当りの問題といたしましては、只今説明いたしましたような程度のことに考えておりますので、そう大きな問題とも見られないのでありまして、むしろ将来どういうふうな体制にするかということを今から研究しておきまして、誤りなきを期してゆくべきである、こういうふうに考えておりますので、率直に申しますと、一部経済界、財界等において、防衛生産というものに対して、非常に過大な計画を持つたり希望を持つたりしておることは、むしろ私どもの考え方とは逆だといつてもいいかと思うような考えでおるわけでございます。併しながらいわゆる防衛産業兵器産業というようなものについては、これを将来の長い問題として見ます場合には、いろいろの規則も必要でございます。又一面においては積極的な助成、いわゆるコマーシヤル・ベースではできないような種類のものもあると思われます。そういう点も将来の問題として、よりより研究しておくということは、先ほど申しましたようにいたしておりますが、只今具体的にこういうふうな計画を持つているということはまだ申上げる段階に至つておりません。ただ取りあえずのところ、過大な期待を持ちまして、乱立、不当なる計画競争というようなことが起ることは、いずれの面から見ましても避くべきであると考えますので、通産省におきましても武器生産審議会というものをつくりまして、それらの問題につきまして十分各方面の意見を聞くことにいたしております。  それから航空機につきましては、従来製造について許可も認可も何も要らなかつたのでありますが、そろそろやはりこの体制を整備したほうがよい段階に入つて参つたと思いますので、御承知のごとく今国会に航空型製造法の一部改正案は御審議を今願つておるわけでございますが、それは許可制度にいたそうというのが、この改正の眼目の一つになつております。こういうふうに具体的な点について必要と思われますところから着実に着手して参りたい、こう考えておるわけでございます。
  168. 小林政夫

    小林政夫君 先ほど外務大臣は日本におけるMSA協定に基くアメリカ合衆国の物資調進は直接調達である、こういうことでありましたが、大蔵委員会に提案されておる特別調達資金設置令全等の一部を改正する法律案、これによると、今回特にMSA協定に基いて同国政府の職員の需要に応ずる物及び役務を調進する場合にその資金を使う、こういうことになつておるので、いわゆる外務大臣の言明を頭に置いて読むと、これは本当にその顧問団の使うもの、或いは役務、使用人等に対する給与等の資金に読めるわけでありますが、その通り読んで差支えはございませんか。
  169. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 顧問団の仕事につきましては、MSA法でもうはつきり限定されておりまして、五つございまするが、運用完成品の必要量の決定、役務供与計画と統合することができるような方法による軍用装備の調達、受領国による完成品の使用のインスペクシヨン、外国軍人の訓練のインスペクシヨン、軍用完成品の移動及び引渡し等、いずれも極めて技術的、事務的な仕事のみでございます。
  170. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) どこかにそれはありますか。
  171. 下田武三

    政府委員(下田武三君) これは協定には合衆国の責務を遂行するためと書いてございます。その合衆国の責務というのは協定には書いてございませんで、MSAの法律に書いてございます。
  172. 小林政夫

    小林政夫君 私は顧問団の任務を聞いたんではなくて、この協定に基いて合衆国が域外買付であろうとそうでなかろうと、第二条或いは経済協定の第一条第二項でしたか、いうような条項に基いて、日本国内において調逃する物資は直接調達である、こういうことが外務大臣から言われた。従つてこの特別調進資金設置令等の一部を改正する法律案で予定しておるこの調達資金の、これは廻転資金だと思うのですが、これもこのMSA協定を結ぶについて改正をしておるわけです。その中に書いてあるところは次のように読めば間違いありませんねというだめを押しておるわけです。というのは、今顧問団が、今述べられたような任務を遂行する上において必要なもの、或いは役務を日本国内で調進するときのその調達事務を円滑に処理するためにこの資金を使わせるのだと、この特別調遠資金を使うのだと、こう解してよろしゆうございますかというわけです。
  173. 鈴木源吾

    政府委員(鈴木源吾君) 特別調進資金令に関連しての御質問のようでございますが、顧問団は協定の第七条にある資金のことでございますが、特別調達資金令は、あれは国連軍の関連で出ておると思つておりますが……。
  174. 小林政夫

    小林政夫君 違いますよ。今度改正して国連軍関係もあります。「日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基くアメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員」こうある……。
  175. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 特別調進資金設置令の一部を改正する法律案を提出いたしておるのでございますが、これは従来駐留軍の労務関係の調達に関連いたしまして、この特別の資金を設けまして労務者の雇用を円滑ならしめる措置を講じておつたのでございますが、今般国連軍協定が給ばれることになりまして、国連軍関係の労務者につきましても、この特別調進資金を利用いたしまして、労務者の雇用につきまして円滑を期すると、さような趣旨の改正でございまして、顧問団の関係では全然ございません。
  176. 小林政夫

    小林政夫君 それは今私が読み上げたように、「アメリカ合衆国政府の責務を本邦において遂行する同国政府の職員員」といつたら、これは今のMSAの、その前の「日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国政府お責務を本邦において遂行する同国政府の職員」といえば顧問団です。その次にあなたのおつしやつた「国連連合の軍隊」とこうある。これはだめを押して聞いておる。
  177. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 失礼いたしました。労務者の関係は顧問団の関係も入つて参ります。先ほど御質問趣旨が、伺つたところでは、何か備品関係その他というような御趣旨もありましたのですが、この調進資金で運用いたしておりますのは労務者の関係でございます。
  178. 小林政夫

    小林政夫君 そもそも労務関係で作られたものでありましようけれども、需要に応じて行う物及び役務の調達となつておるので、これは「物」と書いてあつても役務だけに限る、使うものは役務だけに限るという趣旨ですか。
  179. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 差当り顧問団関係では物の関係でこの調達資金を使うようなケースは殆んどないと存じます。将来或いはそういう必要が生じて来るというようなこともあるかも知れませんが、目下のところはそういう必要はないと思つております。
  180. 小林政夫

    小林政夫君 次の第七条関係で、附属書Gです、その第四項の「両政府の間で合意することがある収極に従つて使用に供される」この取極はどのように取極るつもりであるのか。  それから次に三億五千七百三十万円というのは、二十九年度予算の中には挙つておらなかつたように思いますが、何で出そうとするのか、どの項目で出そうとするのか。  それから第五項で、「千九百五十五年三月三十一日までの最初の機関において」云々ということでありますが、この三億五千七百三千万円というのは期間的にはこの協定が発効してから五十五年の三月三十一日までの全体の期間のものであろうと思うのですが、そういう点について御説明を願います。
  181. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 三億五千七百万円といのは昨年度分の積算に基く金額でございまして、この協定の発効が遅れて参りました場合には月割額でそれを減らす。そういうような金額でございます。  なお、この経費を予算のどこから出すかという問題でございますが、これは防衛支出金から支出する予定でございます。
  182. 小林政夫

    小林政夫君 それでは前段の第四項の「合一意することがある取極に従つて使用に供されるものとする」のは、今お話のような月割りで出すというようなことでいいのですか、そういう取極ですか。
  183. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 第四項に申します「合意することがある取極」と申しますのは、只今主計局長が申しました月割りで減らすとか或いはこの経費は四半期ごとに分けて提供するとか、そういう細目を取極めることになつております。  なお先ほどの御質問第二点の「最初の期間」という意味は、これはMSA協定発効後の第一の年度でざいますので、その第一年度のことを最初の期間としておるのでございます。
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと関連質問。非常に簡単なことですが、軍事顧問団の三億五千万なにがしの金ですね。これは今防衛支出金から支出するという主計局長の答弁がありましたが、防御分担金が二十五億二千万円減額されたので、従つて軍事顧問団に必要な経費というものは防御支出金と保安庁費の中からも支出すると、こういうように私は他の面から聞いた覚えがあるわけですが、これは保安庁費から絶対に出さないのですね。改めて伺つておきたい。
  185. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 三億五千七百万円に関する限りは防衛支出金から出すことにいたしております。防衛支出金と申しましても、分担金の部分と設備等の提案その他日本側が負担するものと両方ございますが、三億五千七百万円出しますのは分担金でないほうの設備その他の諸費、そちらのほうから出す予定でございます。なお、保安庁関係において何らかの負担がないかというお話でございますが、或る一定の金額を向うに交付するというような形のものは全然ございません。但し例えは航空訓練等につきまして、米軍から手ほどきを受けるというような場合に、保安庁が持つております宿舎等を提供するというようなことはあり得るかと存じます。乃至は米軍から提供を受けました書類等につきまして、その翻訳その他の事務につきましては、保安庁が応援する、そういつたようなことはあるかと存じます。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つそこで承わりますが、この軍時顧問団の行政費は日本負担ということになつておるわけですが、従つてちよつと見ますと三億五千七百三千万円、これで済むようにも思えるのですが、そうでなくして、これ以外に軍事顧問団に、今ちよつと出ましたが、事務所とか住宅も提供するわけでしよう。従つて六百五十人でしたか、あの軍事顧問団に必要な日本側の負担というものは総額幾らと見通しを立てておられるのか、それをこの際承わつておきたい。
  187. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 三億五千七百万円はこの附属書のGにもございますよに、日本政府が米軍に対しまして使用に供する金銭以外のものによる負担を考慮に入れて、三億百千七百万円を越えないことに同意するということになつておるわけでございまして、三億五千七百万円の金銭の負担以外に若干そういつた事務所でありますとか、住宅であるとか、そういうものの提供があるわけでございます。これはその負担がどのくらいになるかということは評価の問題にもかかつて来るわけでございますし、又現実に航空関係の訓練等が如何なる規模で行われるかというような問題にもかかつて来るわけでございまして、今日のところどのくらいの見積りになるかということは、なかなか確定いたしがたい現実にございますが、大体におきまして現在持つておりまする設備等を提供するというのか多いわけでございまして、新たな積極的な負担になるものはないと存ずる次第でございます。
  188. 小林政夫

    小林政夫君 その点ですが、先ほど防衛支出金と言われたのは予算の項目でいうと安全保障諸費ですね。
  189. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 防御支出金であります。防衛支出金の中に米軍に対しまして分担いたします分と、日本側か宿舎の提供その他補償等に従来使つて参りました項目五十二億になつておりますが、その両方の金がございますが、五十二億のほうの系統の金から差繰つて出すということに考えております。
  190. 小林政夫

    小林政夫君 それから今の事務所とか物なんかを提供するというのは、新らしく買つて提供すれば、これは今の三億五千七百万円の中に入るのでしようが、国有財産等を提供するというような毎合一の経理はどうなるのですか。
  191. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 現在米軍に提供しております国有財産を提供す場合もございましようし、或いは先ほど申上げましたように保安庁の施設等を航空訓練等のために一時提供するというような場合もあると存じますが、この維持修理等の費用はそれは日本政府が持たなくてはならんということになるかと存じます。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)
  192. 小林政夫

    小林政夫君 次に経済審議庁長官としての愛知さんにお尋ねしますが、投資保証協定に基いて現行の外資法について改正を加える必要が生じて来るのか来ないのか、その点についてはどういう話合いになつておるか、御説明願いたい。
  193. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 私はこういうふうに考えております。投資保証協定によりまして、直接法理的或いはその他の当然の事由によりまして、外資法を改正するという必要はないと思います。併しながらアメリカ側が投資保証協定締結に積極的な気持を示したこと等から考え合せますと、外資法につきまして、できれは今少し楽にするように改正するのも一案かと考えております。
  194. 小林政夫

    小林政夫君 楽にするという点はどういう点をお考えになつておるのか
  195. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 実はまだ外資法の改正につきましては、政府部内としても成案を得ておらないわけでございまして、よりより研究はいたしておりますけれども、また具体的に申上げる段階に至つておりません。
  196. 小林政夫

    小林政夫君 私はこの協定締結されるに当つては、アメリカとしては相当保証関係の問題があるのでございますから、必ず何らかの、日本の外資法も勿論向うは研究しておるでありましようし、ここのところはこう直してもらいたい、この程度のことはやつてくれというような話合いはあつたものと存ずるのでありますが、外務大臣その点は如何ですか。
  197. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 実は今の外資法の範囲内でもなかなか日本の国内産業保護といいますか、そういり関係から、アメリカで投資したいと思つてもなかなかできない場合もあるのでありますから、むしろ今では外資法一ぱいに自由に通商航海条約の規定の範囲内では投資の自由等をも認めるように要命はされておりますが、それ以上のことはまだ話合いを全然いたしておりません。
  198. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、こういう保証事故が起つたときに、アメリ政府としては、日本の国内にアメリカ企業が或いは個人が投資しておつた諸権利を肩代りする、受取るということについて、日本政府は協力し人ければならんわけですが、その受取つた資産を処分するというような場合に、その処分した金というようなものは、一体他の諸国の例からいつてどういうふりに今まで扱われておりますか。
  199. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは勿論どういう種類の投資アメリカが保証するかということは、日本側の了解を得てからやるわけです。御質問のようにそれを何か処分するとか、或いは処分しないまでも、金が入つて参ります。利子とか原本とかあるのでありますが、そういうものは主としてアメリカ合衆国事態の費用に供する。例えば大使館の維持費にするとか、そういう種類の合衆国政府事態の費用に充てるというふうに考えておるようであります。
  200. 小林政夫

    小林政夫君 最後に、非常に簡単にというか、細かい問題になりますが、装備の返還に関する取極の第四項で、必要ではないと日本政府が通報したもので、アメリカ合衆国がその取得を承知しないもの、承諾しない、そういう事例というのはどういう事例ですか、又その事例に基いて日本とアメリカとが「合意するところに従つて処分する」、こうなつておるが、この第四項を具体的な他国の例等があれば、その例を挙げて具体的に説明願いたい。
  201. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはつまり要らなくなつた武器などでありますが、それを渡すと言つても、アメリカとして今更アメリカまで持つて帰るのは費用がたくさんかかるとか、或いは日本に構いをしても保管料かかかるというので受取らない、もう要らないというような場合があり得るわけであります。そういう場合には、これをどうするかというと、お互いに相談して処分を決するという規定であります。
  202. 小林政夫

    小林政夫君 それは第五項は、初めから第五項との関係においては、これはスクラツプなんかになるわけですね。第五項は初めから兵器とかそういうものを受取つたときに、すでにこういうような屑物か出たと解するのか、今の御説明だと四項は使つてスクラツプになつたということにも解されるわけですが、四項と五項との関係はどうですか。
  203. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは兵器等を借受けますと、その通常のウェアー・アンド・テイアー、消耗ですか、使つて消耗する、小銃なんかでも長く使つていれは役に立たなくなりますが、そういう場合のことを考えておるのでさります。第四項のほうはそういう意味じやなくて、もう日本じやこの種の兵器は要らん、こうなつた場合のことであります。通常の消耗ということは、当然MSAでは返す場合においても、通常の消耗ということは考慮に入れて、それだけは控除しておくわけでありますから、そういう意味であります。
  204. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して一、二点承わつておきます。  先ず通産大臣に伺いますが、一億ドル程度の域外買付が行われる、そうして防衛産業への資金の用大というものがもたらされて来ると、当然我が国の平和産業への影響というものは相当あると私は考えるのですが、どういうふうにお考えになつていらつしやいますか。
  205. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点は現状を前提にして申上げますと、すでに例えば弾薬などの関係からいえば、数千万ドルの受注をもうすでに受けておる経験もございます。従つて観念的に防衛産業の千万ドルの域外発注、それが非常に日本の国民経済を圧迫するとか、至大の関係があるというふうに一応考えられ勝ちでございますが、実際の現状から申しますと、そんなに大きな日本経済の中で防衛帝業というものは地位を占めておるわけではないのであります。
  206. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がかかりますから、それを追つてお尋ねしませんが、私はそうは考えておりません。  それでもう一点聞きたいのですが、岡崎外務大臣、あなたはポツダム宣言の有効、無効という立場から、平和条約を調印した国と調印しなかつた曾つての日本と戦争した国と、それらの関係はどういうふうにお考えになつておるか、念のために聞いて、そうして次の点を伺いたいと思います。
  207. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ポツダム宣言は数カ国の間で行われたものでありますが、これに基いて、今度は降伏文書の調印においては更に多くの国がこれに参加しておるわけであります。そこで通常の国際間の慣習としまして、その或る一国なり二国なりが反対をいたして、それを仮にやめて新らしいものがとつて代るというときに、非常に多数の国が賛成し、一、二の国が反対したという場合には、どうなるかということにつきましては、結局これはその反対する国は飽くまでも主張するでありましようけれども一般の国際的の慣行としては、非常に多数の国が、もうポツダム宣言はやめて、新らしい平和条約なら平和条約がこれにとつて代るということになれば、やはりそれは多数の意見に従うのが常識的のことである、こう考えておりますから、ポツダム宣言は平和条約と同時にこれにとつて代られた、こう考えております。
  208. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の岡崎外務大臣の常識というものは私は納得できないところがあります。現にソ連とか中共は、やはり私は日本の最近の軍需産業、防衛産業の動向というものについては、やはりポツダム宣言の第十一条の条項に基くところの「再軍備ヲ為スコトヲナラシムルが如キ産業」は禁止するという条項から、決して私はいい気持では見ないであろう、こういうふうに思います。私が今伺いたい点は、お互い既成事実がずつと生れて、一つの枠の中に入つてえらい論議をしておると思う。私は今通産大臣経済条項に基いてそれぞれあなたの関連する通産行政に携わり、そして防衛産業振興に努力される、先ほど飛行機生産もこれから拡大しなければ云々ということを発言せられておりますが、これらは私は全部憲法九十九条違反だと思う。そういうことはポツダム宣言を受諾をし、この精神を生かして平和憲法というものはできておるわけですから、その平和憲法の国民の権利義務、例えば二十五条の国民の生活云々というような条項というものは、そういうところから出て来ておるわけであります。大きく日本の憲法の精神から考えると、憲法を改正することなく、それに触れることなく、一億ドルの域外買付に応ずるような防衛産業を興し、その防衛産業の振興のために我が国の産業体制というものを、構造というものを再検討して行くということは、私は大きく考えた場合には、憲法の精神を蹂躙しておると思う。それは既成事実となつて来ておる。お互い何ともそういうことを気付かないで議論して来ておるのです。私はこれはかなり重大な問題だと思うのですが、そういう反省をされてはおりませんか、これは明日の質問関連しますので、それだけ伺つて今日は私は終ります。
  209. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど申しましたように、防衛産業というものを一つ観念的に概念を作つて、これが非常に厖大なもので、日本の国民経済にも非常に影響がある、或いは今お話しになりましたように、これが憲法に違反するとかいうような程度のものではないということは、先ほども申上げたつもりでございます。先ほどもはつきり具体的に申上げました通り、当面の例えば三十六億円の使途についても、二十九年度において、予算その他の関係ですでに国会承認を得ておりまするところの保安庁の直接国内に対する発注品の調達に適用しよう。それから域外発注その他の関係で、米軍等から発注を受けることは確実であるところのものについては、これを消化するだけの体制を作ればよろしいのだ、それに対して計画的にやつて参る、こういうふうな考え方であります。すでに米軍からの発注等にいたしましても、二十七年の四月頃から昨年、二十八年の六月頃までの間に発注のありましたいわゆる武器というようなものも七千三百万ドルであります。これは実績であります。これを消化するだけの設備というものはあつたのであります。従つて一億ドルというと如何にも大きく言われるかも知れませんか、この程度のものなら、特に弾薬等につきましては十分施設が私はある、こういうふうに考えておるのであります。これらは日本経済の自立ということにも結付いて私は必要だと思いますからやつたのでありまして、これが憲法に違反するというようなことは毛頭考えておりません、
  210. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これではもう一つ通産大臣に伺つておきますが、あなたはこれらのへ企業体制を頭に描いて、そうしてやつて行かれるわけですが、あなたは現在あなたの所管しておる企業体制を、将来我が国を再軍備する、その将来再軍備した場合に、それに応え得るところの今準備段階といいますか、そういり滑り出しの段階にあるということはお認めになりますか。それともそういう将来再軍備というようなものは絶対に考えられない、そういうものは毛頭考えていないという立場において、あなたの所管行政をやられておられるのか、その点を承わつておきたい。
  211. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) これは改めてお答え申上げるまでもないと思いますが、私は日本の国民経済の充実ということは何よりも大事な問題だろうと思います。従つて国際収支の改善というようなことについて、できるだけの重点をおいてやつて参りたいというふうに考えておるのであります。従つてそごから割出されておるところの、例えば電源の開発の問題でありますとか、或いは合成繊維の拡充計画でありますとか、いろいろの計画がそこから割出されて、これを中心にやつておるのでありまして、その全体から見ますれば、いわゆる防衛生産というようなものは、誠に微々たるものではないか、この点に私の考え方は具体的に現われておるのであります。
  212. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 将来の点は……。
  213. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 将来の、私の考え方といたしましては、将来も日本は平和的な国家として、国民経済の力を充実し、国際経済上にも有力なる地位を責めるということが私の理想であります。
  214. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私のお伺いするのは、再軍備の関係をどうお考えになつておりますか。
  215. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 再軍備ではございませんから、従つて先ほど申上げましたように、防衛生産というものに余り過大の期待をするつもりはございませんが、これはむしら消極的に考えるべきだ、従つて航空機の製造についても許可制度を布かなければならないということで、法律の改正案を御審議つているわけであります。私どもの考え方はそこら辺に一貫して流れているもので、お汲取りを願いたいと思います。
  216. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 本日はこの程度で委員会を散会したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 佐藤尚武

    委員長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十六分散会