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菊川孝夫君 私の所属の
大蔵委員会にかか
つておりまする
経済援助資金特別会許法を
審議する前提として、これはどうしてもお聞きしておかなければならんので、
MSA協定の先ず性格について、それからなぜ援助を求めなければならなかつたかという理由から
一つお伺いいたしておきたいと思うのであります。
というのは、これは見方によりましては、丁度戦争前の日独防共
協定にも匹敵するようなものだと思います。その当時は非常な議論が沸騰いたしましたけれ
ども、今日ではもう大体諦めてこのコースに進むのではないかというふうに国民も諦めてしまつたような感もなきにしもあらずでありまして、極めて私は重大な
協定だと思います。これはまあ勿論安全保障条約のときに大体このコースを歩むようにはな
つてしまつたと思えばそれまででありますけれ
ども、併し更に一歩突進んで
MSA協定に又足を踏入れたのでありますから、これはそういう見方も私はあながち成り立たんものではないと思うのであります。特に
政府のほうでは、こういう重大な
協定を結ぶに当りましては、いい面ばかりを国民に宣伝をされますが、悪い面、最悪の場合というものをよく知らせなければならんと思いますが、一体悪い面も起り得るの、す。防共
協定を結ぶときにもいいことばかり言つたものだから、楽観論ばかりで皆引摺
つてしま
つたのでありますけれ
ども、若しも最悪の場合にこういうふうなことになるかも知れないという見通しを
ちやんと持
つて、最悪の場合に処する態度も明らかにしなければならん。こういうふうにも思うのであります。
MSAの
協定は、見方によりますると、若しも
アメリカとソヴィエトがやるときには、戦争を始めるというような段階に
なつたときには、
協定の前文を読んではつきりと受取れるのは、地上部隊もどうも
アメリカは足らん。地上軍も足らんから、その前線に
一つ日本の軍隊を出して、そうして後から
アメリカさんは指揮をするための準備をしなければならん。朝鮮でや
つてみたところが中共軍が前線に押出して来るということに
なつたらこれは手ごわい。
アメリカだけではとても太刀打はできない。だから
一つこれはソヴイエトとやるように
なつたらいよいよ以て太刀打が、地上軍においては太刀打ができないから、どこかでこれを補給しなければならん。そこで少しあめをねぶらして、丁度桃太郎の鬼ヶ島征伐の際に犬や雑、猿に回
つて黍団子をやろう、だから若しもシベリヤに赤鬼退治が始つたらお前たちお供をせよ、こういうのが私は
MSA協定の性格だと思う。それでわらじを編んだり、或いは槍をといだりする準備をせい、そのために少し援助をしてやろうというのがこの
MSAの性格だ。私はそう見るのでありますが、
従つてこれは
アメリカさんの見方からするならば、そういう態度で向うは臨んで来ている。ところがおとぎ話の鬼ヶ島征伐のように桃太郎が勝つことにきま
つておれば、宝物のお裾分けももらえるかも知れないが、もうこれはどつちが勝つかわからないし、えらい火中の栗を拾わなければならんどころの騒ぎではないのであ
つて、日本が亡びるか亡ばんかの瀬戸際に、まき添えを食
つてしまうかも知れないということになると思う。
従つてそういう危険な場合にも逢齎するのだということの、国民の決意を促すということもなければならんと思う。
そこでお伺いいたしたいのは、こういう
協定を日本側から進んで
アメリカに求めて行つたものであるかどうか。それとも向うのほうから安全保障条約の定めに
従つてこれを結んだらどうだと
言つて懲懲を受けて乗
つて行つたものであるか。この点を
一つ第一にお伺いいたしておきたいと思います。