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1954-03-31 第19回国会 参議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十一日(水曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君            井村 徳二君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            一松 政二君            高木 正夫君            森田 義衞君            大和 与一君            村尾 重雄君            山口 重彦君            木島 虎藏君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○航空法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○運輸一般事情に関する調査の件  (小田急踏切事故に関する件)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  航空法の一部を改正する法律案を議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  3. 岡田信次

    岡田信次君 この法案には直接関係ないのですけれども、来年度の予算国内航空路整備に要する経費が計上されてないのですが、今後の国内航空に対する方針はどうであるか、それを伺いたいと思います。
  4. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 遺憾ながら御指摘通り来年度予算には国内航空路整備予算一つも出ていないわけでありますが、運輸省としましては、是非これを実現したいということで予算要求をいたしましたものは、千歳から釧路、千歳−稚内、それから東京−新潟−小松−大阪大阪−高松−別府−福岡福岡−熊本−鹿児島というルートを開設したいということで、その予算要求をいたしたわけであります。その金額は大体全部の整備が十億、それから気象の関係が約六億ばかり、十六億の予算要求をしたわけでございますが、御承知よう緊縮予算新規事業は認められなくて、一年待たなくてはならん、こういう状態になつて来たわけでございますが、併し我々といたしましては、できるだけ早い機会にこれを実現したい、こう念願しておる次第でございます。
  5. 岡田信次

    岡田信次君 そうしますと来年度は国内航空整備といいますか、これが望めないということですか。
  6. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) そういうことでございます。ただ定期航空路としては開設できなくても、例えば飛行場状態がよろしい、すでにビーコンがあるというような所は、不定期でも何か運航を開始させることはできないだろうかと、まあいろいろ技術的な面も研究しておるわけであります。
  7. 岡田信次

    岡田信次君 昨日のお話パンアメリカンその他の外国航空会社日本に飛んで来る回数が一週間に七回か九回になる。ところが日航は二回しか飛んでない。今後日航はこれらに対抗するために、大いにその方面へも回数を殖やしたり何かしようという具体的な計画はありますか。
  8. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 日航としましても又運輸省としましても、ルートといたしましては、来年度はできれば西はバンコツクまで、東はブラジルまで延ばしたいということを考えていたわけでございますが、来年度中実現は或いはむずかしいかと思いますが、飛行機が入つて来る模様によりまして、このルートは一番有望なルートと考えますので、できるだけ早くこれを開設するような運びにいたしたい、こう考えておるわけであります。今資金その他の手当をやつておりますが、それができますと十月頃に二機だけ飛行機が入るということになりますので、それを以て太平洋の回数も殖やして行けるんじやないかと、こういうふうに考えております。
  9. 岡田信次

    岡田信次君 日航英国コメツト機を買うことになつていましたが、そのコメツト機に対ていろいろと論議がありますが、そのコメツトを買つて使うという計画は進んでいるんですか。
  10. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) コメツト機はしばしば事故を起したこと御存じ通りであります。現在までに、一九五二年にコメツト商業航空を始めましてから七回事故を起こしております。そのうちの二回は、これは事故と称するほどのものでございませんで、何と申しますか、かすり傷程度のもの、これは除外してよろしいと思いますが、その他には相当の事故を起しております。併しそれを今までの英国政府の出しました報告を見まするというと、飛行機自体に起因するものではない、ちよつと言い方が悪うございますが、一月の十日にエルバ島の沖で落ちましたものについては、目下最後的な結論は出ておりません。それ以外のものについては、今申しますよう結論が出ておるわけであります。そこで飛行機自体に関しましては私は欠陥があるものとは考えておりません。又御存じようにピストン・エンジンの飛行機は発達の極限に達して、すでにもう次はターボ・プロツプかタービセツトかということで、イギリスは最も進んでおりますが、アメリカ等においても頻りにやつております。なお且つコメツト機に対する注文も非常にたくさん出されております。日航注文いたしておりますコメツト二型というのは、三十九機と思いますが、その注文が出ております。三型は十機ぐらい、だからその点に関しましては私は心配ないと思いますが、併し日航スタートが予定しておつたより遅れましたし、又ジエツト・エンジンでございまして、いろいろな訓練その他にも日数を要することと存じておりまするので、予定通りにいたしますれば、来年の七月末頃には日航注文しておるコメツト機がデリヴアリーされることになると思いますが、日航としてはこのデリヴアリーは少くとも一年間延ばすということに一応話をきめておるわけでございます。従つてコメツトは再来年の六、七月頃より前にはデリヴアリーされない、こういうことになるわけでございます。従つて機数から考えまして、ロンドンに行くという時期は少くとも再来年のそれより前にはできない、こういうことになつております。
  11. 岡田信次

    岡田信次君 この前航空法の審議の過程で、航空機生産の問題で通産省運輸省との所管についていろいろ論議された、即ち安全性検査ということは運輸省所管だ、それから生産技術の点は通産省だというふうになつてつて、これがいろいろ論議されたのですが、その後行政面でうまく行つていますかどうか。
  12. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今御指摘になりましたよう所管権限の分割ということに対しましては、航空局長としては満足には思いませんけれども、政府としてさようにきめられた以上は、その所管権限従つて仕事を進めて、民間に御迷惑を及ぼすというような、事務の渋滞を来たすというようなことがないように相互に連絡をして努力いたしておるわけでございまして、現在のところそうコンブレイントもございませんし、生産のほうもそう進んでおりませんせいもあるかも知れませんが、目下のところはそうトラブルはないと思います。同時に将来よく話合いをいたしまして、トラブルのないように折角努力しておる次第でございます。
  13. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質問ございませんか。
  14. 植竹春彦

    植竹春彦君 ちよつと速記をとめて頂きたい。
  15. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止
  16. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をつけて。
  17. 岡田信次

    岡田信次君 東京空港というか、羽田空港、これは世界で一番貧弱だということは御承知通りだと思うのですが、今何とか東京空港施設会社ができて、あれができてやつておるようですが、あれの資本関係、それから工事の進捗工合等一つ聞きたいと思います。
  18. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 羽田飛行場について申上げますと、いろいろ十分でない点があるわけであります。いわゆる飛行機を飛ばすという面と、それからいろんなお客さんや荷物ハンドリングという面と二通からまずい点が考えられると思います。そこで前の部分に関しましては、御存じようにあそこの長い滑走路が七千フイートございまして、短いほうが五千五百フイートで、どうしても世界クラスから言いますと七千フイートCクラスということになつております。そこでこれを八千四百フイトのAクラスに直すということで予算をもらいまして、今工事を進めるべくやつております。もう近く漁業組合との話もつくことを期待しておりますので、工事ができるだろうと思つております。八千四百フイートになると思います。そうしますというと、非常にロードフアクターもフルに使えるということになると思います。一番皆さん外国からお帰りになつて誠に情なく思われるだろうと思いますことは、ターミナル・ビルヂングのことであろうと思います。あそこから出てから国道ヘ出て来るまでの道が誠に国辱的なものでございますが、これはなかなか簡単には参らない。そこで接客面は、現在の建物昭和七年にできてそのまま使つておりますので、世界で恐らく一番だめだと言われるゆえんだと思います。これを改造するために各国の例を見ますと、大体政府又は州或いは市という公共団体建物施設を全部いたしまして、それを航空会社家賃を取つて貸すということになつておりますので、我々もそういつたシステムにしたいということで予算要求をしたわけでございますが、航空会社その他民間の使う部分は、政府が金を出すということは財政余裕がないから民間で出してもらいたいということで、政府と申しますとたくさんございますが、税関輸出入管理等、検疫、植物検査動物検査気象台航空局、警察とかいつたようなものが入るのでありますが、その部分だけは政府が金を出すということになりまして、面積の査定をしてもらいまして、それは大体二億円ちよつとになります。それだけの予算を出す。あとは民間で作るべしということで、外国会社十一社を集めまして、こういう計画を持つておるから貴公たち資金を出すなり何なりしてもらいたいというお話をいたしましたところ、喧々ごうごうたる非難を受けまして、大体政府が作るべきである。それを会社に負担させるということはけしからんという非常な反撃を私は受けたわけでござい手が、その後いろいろ説明し、特に秋山さんにお願いいたしまして説得をいたしました結果、権利金等は出せないけれども、家賃は高くてもビズネス的の計算において出す。こういうことによりまして、一応民間会社政府出資というわけに行きませんので、民間会社で作りまして、それを税関部分気象台部分というふうに区分有になるという建前で話を進めたわけでございます。ところがその話が進みましても、ああいつたタミナル施設設計ということは世界中まだ定型がございませんので非常に困難でございますので、東大の岸田先生その他を一応審査委員におなり願いまして、懸賞募集をしたわけでございますが、その懸賞募集の結果も満足すべきものが出ませんので、更に先生方の小委員会を作つて十分御検討下され、関係省並びに外国航空会社を集めまして何回となく研究したわけでございます。漸く最近に細かい設計まできまつたということで、近く工事を始めるという段階になつておるわけであります。全部作りますのには大体九億円近くかかると思つております。そうしますと、一番皆さんが御経験なされて困るのは、税関の所なんかは全く言いようのない状態でございますので、そういつた面は非常に改善して来まして、いわゆるお客さんのハンドリングという面で非常に改善されます。それから飛行機発着の面から言いまして、現在大体一日の発着が百二十回くらいあると思います。そうしてそのうち六割近くが米軍発着いたしておりますが、この発着回数は更にまだキヤパシテイとしては三倍以上になり得るわけでございます。従つて当然行ける。更にこのマツツが今おりますが、マツツが立退くということになりますれば、現在の施設で以て飛行機発着する何と言いますか、能力におきましては八倍くらいまでは行けるということになりますので、今私が申上げましたよう計画で行きますと、まだ相当長期に亘つてあすこが使い得るということになるだろうと期待いたしております。ただ羽田を出ましてからのあの汚ない道の両脇には、これはまだ私どもの手がついておりません。私のほうだけでどうともできない問題でございまして、この点はまだ解決の曙光が見えていない、こういう状態でございます。
  19. 木島虎藏

    木島虎藏君 ちよつと関連したことですけれども、今のお話羽田空港客扱いオペレーシヨンも全部おやりになるのですか、そういう構想ですか。つまり羽田なんかはオペレーシヨンだけに限つて客扱いということは都心でおやりになれば、今のお話の出ました羽田向うの道は……、大勢送迎に行つたり、それから向う行つて飛行機の時間が来るまで長いこと時間を潰すというようなことなく、もう少し事務的といいますか、非常にうまく行くのじやないかと思います。それから今度お建てになるなら、向うのほうはオペレーシヨンを主にして、営業、接客、そういう方面都心にどこかまとめて、そこでさようならして行く、帰つて来た人はそこへ迎えに出る、こういうふうになさると非常によくなると思います。外国あたりではそういうふうにやつておるようですが、日本ではもう最後まで見送る癖がありますが、スピーデイになつ航空機の旅行ぐらいは、そういうふうになさるように、今度お立てになるときにそういう方針でおやりになつたらどうかと思いますが、どうですか。
  20. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その点はいわゆる町の中のダウンタウンターミナルと、それから飛行場の中のターミナルというものが並立しましてコレスポンドすれば客扱いが非常によくなる。今度作りますものはダウンタウンターミナルがないからあすこが広くなつたということじやございませんで、各国の例にありますような、各国ダウンタウンターミナルがありますが、ああいう飛行場におけるターミナルと大体同じようなフアンクシヨンのものを作る。従つて我々といたしましては、ダウンタウンターミナルがもう一つ東京の都内にできまして、今言われたような態勢になることを実は希望しておるわけであります。併しダウンタウンターミナルの問題は、政府が作るとか何とかというものじやございませんので、我々のほうとしてはそういつた計画ができまして東京駅附近にそういつたターミナルができますることを希望しておるのであります。
  21. 木島虎藏

    木島虎藏君 政府はそれを推進なさるお気持はないのですか、希望だけでなくて……。
  22. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 斡旋の労くらいはとつてもよいかと思いますが、政府が金を出すとか、何とかというような筋合いのものではございませんので、何といいますか、イニシアチブをとるということがなかなか思うように参らん、こういうことは御了解願います。で、某ビルデインゲにおきまして一階をニユーヨークとかほうぼうにありますようダウンタウンターミナルにして、お客さんは全部そこへ行けば用がたせる。そうしてそこへ行つて荷物をチェック・インすれば、お客羽田に行つてみれば税関のカウンターの上に乗つているというような、そうして行く人もダウンタウンターミナルから特別のバスで行けば済む、見送人は東京都心で片付くというよう外国式のものにしたいという依頼がありましたので、私のほうの国際課長外国航空会社全部に斡旋しまして、両者間に話合いを進めたわけでございますけれども、何と申しましても現在。パンアメリカン・ノース・アメリカンそれぞれの資本をかけて今の店を張つておるのでございますから、話がうまく行きませんで立消えになつた。我々としてはそういうものができることを非常に希望しております。そうなりますと、万事両者の側においても非常に便益があるのじやなかろうか、こう考えております。
  23. 木島虎藏

    木島虎藏君 もう一つ、この航空機耐空検査ですが、これは保安隊のはどうなつておりますか、除外ですか。
  24. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 保安隊の分は耐空検査はいたさないことになつております。
  25. 高木正夫

    高木正夫君 極く卑俗な質問になりますが、私は余り飛行機に乗らないのですが、数回乗つたのですが、どうも出発に際して一応乗つてから必ず待たすのですね、あれは何とかうまく行かないかと思うのですが、つまり飛行機整備、そういうことに対して十分にやつておけばお客さんが乗つてからもすぐ飛べると思うのですね。もう少し早くあれを何とか整備しておいて、お客が棄つたらすぐ飛べるようにできないものか、時間を正確にやるようなことはできないものか。
  26. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 鉄道から考えますと定時発着ということが建前でございます。無論飛行機定時発着ということが一番望ましいわけであります。そこで我々のほうでも、日航から遅れます原因を時々報告させて内容を検討しておるわけであります。メインテナンスの悪い部面もございますが、併し御存じよう飛行機が飛び立ちます前にコントロールタワーからクリアランスをもらうことになつております。そのクリアランスのために遅れる場合が相当ある。御存じよう飛行機飛行場に参りましてコントロールタワーに連絡しますと、降りる飛行機を優先する、こういうことになつておりまして、こつちの整備ができてスタートようと思つているところに降りる飛行機が来ますと、先ずスタートするのを待たしておいて降りるやつを先に降ろす、こういう建前でございますので、そういつたための遅れる時間も相当あるようでございます。言訳をするわけではございませんけれども、アメリカでもヨーロッパでも、行つてみますとそれも時間が遅れまして、十分、二十分、三十分、一時間ぐらい遅れることが実に多いので、定時というものが非常に少いので、我々汽車の例から考えまして、誠にだらしないものだという感じを持つておるわけでございます。併しそれでいいわけではございませんので、今御指摘よう定時発着するということに努力をしなければならんということで、その遅れる原因を分類して検討いたしておる。併し汽車ように参らんのは今申上げましたように、同じラン・ウエイを使うのに、発着滑走路を別にしておけぼよろしいのでございますけれども、一本を使つておりまして、どうしても降りるやつを先にやるということで遅れるということがあることは止むを得ないと思います。できるだけ定時発着に向つて役所も督励しておりますが、日航努力しておるようであります。
  27. 高木正夫

    高木正夫君 この頃は非常によくなつたと思うのですよ。この前の事故の前でしたか、私の栗つたときには、これは極端な例ですが、晩の七時に出発するやつが夜の二時になつた、大阪に着いたのは夜の四時です。そういうこともあつたわけでありますが、最近は非常によくなつたと思うのです。それだけ併し注意すればやはり漸次よくなるのではないか。もう一つ今おつしやいましたけれども、着のために遅れるやつは、それは私も飛行場をよく見て知つておるわけで、これは止むを得んと思います。ところがしよつちゆうあることは、いよいよスターするときに何か信号がいかんとか何かがいかんとか整備のほうに時間をとるということが非常に多いのです。これは私の狭い経験で、全体ということは申上げかねるのでありますが、まだ一層この方面に力を添えて頂く必要があるのではないかと思います。スタートの前に相当時間があるから十分に一つ整備をしておいてもらつて、できるだけその時聞を短縮して正確に行くようお願いをしたいと思うわけであります。これもお願いとして申上げます。
  28. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 私たちも同様に考えておりますが、更に一層整備会社のほうを督励いたしまして、定時発着ということに一段の努力を払いたいと思います。
  29. 重盛壽治

    重盛壽治君 この法案の中の問題ですが、百二十二条か何かにあつたのですが、免許するときに、いつまでも実施しない場合には免許を取消す云々というところがあつたと思うですが、いつまでもというやつはどういう認定か、一カ年間とか半年とか、許可を下してから一年間、そういう期間はないのですか。
  30. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 定期のほうにつきましては、そういつたものを付けることになつておりますけれども、使用事業の面につきましては、事業会社期間を指定するという建前になつていないわけであります。そこで免許を下して準備をいたしまして、そうして準備にいろいろ合理的な理由があつて延びるものはこれは止むを得ないと思いますが、もうとても如何に努力してもできないということが本人たちももう諦めておるというよう事例が実はあるわけでございまして、そういつた場合に取消して片を付けるということについてその途がないものでございますから、付けようということでございまして、相当延びましても、いろいろな事情十分事情のわかるものにつきましては免許の取消ということはしないつもりでございます。そうすると役所のほうが、さよう免許をしたのは役所見込違いじやないかという御質問が出ると思いますが、そういつた役所見込違いが、現在起きております事例につきまして見込違いであつたのじやないかという御批判を頂けば、反撃できない部分もあると思いますが、そういうよう事情でございますので、もうとても見込がない、本人のほうでもその意思もないというようなものは取消しまして、その権利を売るとかいうようなことのないようなことにいたしたい、こう考えた次第であります。
  31. 重盛壽治

    重盛壽治君 なかなか局長は頭がいいものだから、次に私のほうで聞こうと思うところを先に言つてしまつたのだが、この法律ができることによつて、従来はどうすることもできなかつたものが、今度は取消そうと思えば取消すことができるということと、それからもう一つは、一、二発生しておるというのは、若し例が差支えなければ話してもらいたいと思います。更に、どうせこうするならば常識的にこの程度期間があつたらこの仕事ならばいいじやないかという、普通の免許は大体免許して半年以内とか或いは一年以内とか、バスの路線の仮に許可を得て一年以内にやらなければもう権利は自然になくなつて来るというふうに法律で出ておりますが、そこまでやることは何か障害があるのですかどうですか。その二点を伺いたい。
  32. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 具体的な事例ということでございますが、これは会社の名前を挙げることは差控えさして頂きたいと思いますが、航空事業再開の初期におきまして、非常に景気がよくて利益を以てやるということでスタートして、あれならば大丈夫だろうということで免許をいたしたところが、その後その会社景気が悪くなつて、もうとてもできない、こういうことになつておるわけであります。もう本人もやる意思はない、併し法律上はこれを取消すという手段かできていない、こういうことでありますので、将来の問題としては十分に検討いたしまして、さような事態の起きないよう免許をする際に十分の注意をいたしたいと、こう考えております。  なお行政運用上として、これから免許するものについて、六カ月なら六カ月以内に事業を開始しろという条件を付けて、若しその期間内に実現できなかつた場合は、特別の理由がある場合には、その期間を延長することを申出るというふうに条件を付けて、その点をはつきりするよう行政運用にいたしたいと、こう考えております。
  33. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうするとこの法律ができるとやはり外国飛行機に対して現在、聞くところによると、若干日本法律では取締れないものまで取締れるように聞いておるし、それから現実に日本の好まない飛行機がどんどん旅客機がやつて来るというようなことすら聞いておるのだが、こうしたものも取締まれるのかどうか。同時のこの法律が国際法的の力を実際に持つかどうかという点も説明して下さい。
  34. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今申されました点は、今度の改正によりまして十分に適正なる措置ができることになつております。  なお外国との関係でございますが、これは双務協定であるところの航空条約というものと、それから各国が加入しております国際民間航空条約、これは六十三カ国が加入しておりますが、その条約というものによつて拘束されるわけでございますが、それに対してはこの法律にその条約に違反するという点がないように十分考慮してございますので、条約との抵触はないと考えております。
  35. 重盛壽治

    重盛壽治君 この法律ができることによつて予算並びに人員或いは人の手、そうしたものとの関連性はどういうふうになるのですか。
  36. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) このために特に人員の増加、予算の増加ということはしなくても、現在の陣容で以て処理して行ける、こういうふうに考えております。
  37. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質疑はございませんか。御発言もないようでありますが、質疑は尽きたものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないようであります。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は省略いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  40. 前田穰

    委員長前田穰君) 全員一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。次に本案を可とされました方は、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名    入交 太藏  重盛 壽治    井村 徳二  植竹 春彦    岡田 信次  高木 正夫    森田 義衛  大和 與一    山口 重彦  木島 虎藏
  42. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止
  43. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  次に、運輸一般事情の調査に関する件を議題といたします。
  44. 大和与一

    ○大和与一君 前回鉄道監督局長に小田急の踏切の事件に関連して、例えば踏切を設けるための基準に関するごと、或いはその死傷事故の統計、そういうことについてなお一つよく調査をして頂きたい、こういうふうにお願いをしてあつたわけでありますが、それを先ず承わりたいと思います。
  45. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 小田急の踏切につきまして、先の当委員会におきましていろいろと御質問がございましたが、答弁が不十分であつた点もおろうかと思います。御指摘ように、この小田急は東京の郊外電鉄といたしましてたくさんの踏切がございまして、その踏切もいわゆる踏切の設備、門扉ができております踏切は極く一部分でございまして、いわゆる第四種と申しますか、踏切番のいない踏切が大多数でありますので、いろいろと踏切に関する死傷事故が起きておるわけであります。監督官庁といたしましては、今後この踏切の改善ということにつきましては、十分一つ努力をいたしたいということを申上げたわけでございます。それにつきまして、規定上は、この前も不十分ではございましたが、ちよつと御説明申上げましたように、交通頻繁な個所には然るべき設備をするようにという原則的な規定はあるわけであります。又そういうふうな措置はいたしておるわけであります、具体的にどういうふうな交通量或いは又どういうふうな状況の踏切において、どういう設備をするかという基準につきましては、案ははつきりしたものがないのであります。この前も申上げましたように、踏切の設備の改善につきましては、基本的には、或いは立法措置が要る事項も相当あるわけでございますが、当面の行政指導の目標といたしまして、その踏切の設置基準というものを考えまして、この基準に基きましてできるだけ行政指導によりまして踏切の設備の改善を図つて参りたい、かように存じまして研究いたしておるところでございます。ただいろいろと踏切の基準につきましては、交通量の点から申しましても、都会と地方といろいろ個々の会社によりまして事情も違う点もございますので、現在一つの素案について検討を加えておるという段階でございまして、まだ成案に至つておりません。いろいろと議論は勿論ありまするが、できるだけ早く、必ずしも完全なものでなくても一つの案を作りまして、これをもとにいたしまして、この踏切の改善の行政指導の目標といたしまして、できるだけ踏切の改善に資したい、かようなつもりでおりまするが、現在におきましては、まだ成案に至つておらないの、現状でございます。  なお小田急の踏切事故の統計でございまするが、これは小田急電鉄につきましては、二十八年の一カ年間、一月から十二月まででございますが、小田急の踏切の事故件数は七十二件ということになつております。このうち死亡者を伴いましたものが、二十五人の死亡者を出しております。非常に事故件数として御指摘通り多いほうではないかと、かように考えられる。この対策を至考考えなきやならん、かように考えておる次第であります。
  46. 大和与一

    ○大和与一君 今統計のお話が出ましたけれども、これは小田急だけでなくて、ほかの私鉄との比較、こういうふうなことも併せてお調べを頂いていないかと思うのでありますが、その点は如何ですか。
  47. 植田純一

    政府委員(植田純一君) まあ東京の郊外電鉄の全部の資料は今手許に持つておりませんが、実はよく似ていると申しまするか、非常に私どもが見ましても相当踏切個所が多いのは小田急と京浜であります。京浜につきましての資料を一応参考のために調べて見ますると、京浜も同じ区間に大体同じような数字が出ております。即ち事故件数が七十三、死亡者が二十五、この二つは我々常識的といいますか、一般的に考えましても、まあ多いほうである、かように考えております。
  48. 大和与一

    ○大和与一君 営業キロ数はどれくらいですか。両方ですね。
  49. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 今ちよつと該しい数字を持つておりませんので、今すぐ調べまして御申上げます。
  50. 大和与一

    ○大和与一君 こういうふうに例えば東京、都会でそちらから見て一番ひどいと思われる二つを比較されたのですが、今度は踏切の設備、こういうものを自分で御覧になつて、今のままでいいと、こういうふうにお考えになるのか、或いはこの二つは特にひどいから直ちにこういうふうな措置をしたい、こういうふうな行政措置というか、お考えなり指示がすでに計画され、或いはもう出されようとしているか、こういうことをお尋ねしたいと思います。
  51. 植田純一

    政府委員(植田純一君) この二つがまあ事故が多いのではないかという意味におきまして申上げたわけでありまして、ほかの会社の数字を実は今持つておりませんので、或いはほかの数字も似たり寄つたりの事故が上つておるかどうかということにつきましては、今はつきりと申上げることはできませんが、いずれにしましても、この小田急、京浜に限らず、全般を通じまして沿線がだんだんと発展して参りまして、交通量も逐次殖えて行く趨勢にあることは確かでございます。そういうような意味におきまして、踏切施設を逐次改善して行かなきやならんということは、これはもう当然のことでございます。実はその方法としましては、或いは余り沿線が発達しなかつたような時代に、極めて近接して狭い踏切道がこう並んであつて、そのまま今日に至つておるというような所もあるようでございまするので、或いは道路の整備と申しまするか、そういうようなことによりまして、踏切の数を少くして、そうしてよくして行くというような必要もこういう郊外電車におきましては考える余地が十分あるのじやないか、かように考えられるのでございます。そういうような点につきましては、これは道路管理者或いは又地方の方々の御協力も得なければならんというような点もございまするが、全般的に申しまして、やはり一定限度の交通量を持つておる所、勿論交通量だけにはよらんと思いますが、見通しの点だとかいろいろの条件がありますが、一定の交通重のある所には、例えば警報機であるとか、或いは又更に進んで踏番を置くとか、そういうふうな点をやはり整備して参らなければならんということはこれは十分考えておるわけであります。そういう点につきまして合、後行政指導によりまして指導して参りたい、かように存じておるわけであります。
  52. 大和与一

    ○大和与一君 この前他の委員からそういう死傷事故の報告が正確になされておるかどうかもちよつと疑わしい、こういうふうな御意見もあつたと思うのですが、その点は間違いなく今言つた例えば二十八年度の小田急の会社の報告が七十二件、死亡二十五名ですか、これは正確であることを確認できますか。
  53. 植田純一

    政府委員(植田純一君) この数字につきましては、正確であると信じております。
  54. 大和与一

    ○大和与一君 どこで調べられた数字ですか。
  55. 植田純一

    政府委員(植田純一君) これは報告に基きましての数字でございます。
  56. 大和与一

    ○大和与一君 どこからの。
  57. 植田純一

    政府委員(植田純一君) これは会社から陸運局を経由いたしまして監督局に参つておる報告でございます。
  58. 大和与一

    ○大和与一君 例えば二十七年には追突事故なんか大変あつて二百人くらいあつたのじやないか、こういうようなことをちよつと聞いておるのですが、その辺は如何でする。
  59. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 今申上げましたのはいわゆる踏切事故、当面問題になつております踏切事故という意味におきましての資料でございます。
  60. 大和与一

    ○大和与一君 なお統計については小田急のもう少し四、五年かなんか、二十八年だけでなくて、もう少し一つ調べてもらうこと、それからそれに似かよつたほかの所の全部でなくてもいいのですが、幾つかの例を挙げてもらつて、これと比較をしてもらつて、こういうこともよく併せてお調べを頂きたいと思う。それで今の報告によつて七十二件で死亡二十五名、これは非常に多いと思う。こういうふうなお話があつたのですが、その多いことがわかつてつて、それに対して監督局のほうでは取りあえず設置基準がきまらなければこれに対する措置はできない、これはもうしようがない、こういうふうなお考えなのか。そうでなければ、この前も質問しましたけれども、それじやいつできるかという明確な御返事もない。而も今当面打つべき具体的な措置というものはどういうことであるか。これに対しても明確なお答えがなかつたと思うのですが、それについてお答えを頂きたいと思うのです。
  61. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 勿論誰が見ましても、踏切のいわゆる踏切番がいないというようなのは不都合であるというふうな踏切につきましては、これはもう至急踏切を整備さすと、そういうものは現状をよく調べまして、まあそういうふうな状態でありまするならば、この踏切に踏切番を置くというふうな措置は、これはもう早速講じたいと思つております。ただこの間も申上げましたように、たくさんの踏切がございまして、而も大体会社自身といたしましても、或る程度のまあ何と申しますか、踏切の交通量その他のバランスをとりまして、そうして必要な所から設備をしておるはずでございます。四囲の状況が非常にまあ急激な変化を来たさない限り、そういうふうな、特に踏切番を置かなければならんというような踏切で放置してあるというものはまだないと思いますが、その点はよく早速調べまして措置いたしたいと思います。  ただ問題は、それのまあ一般の振合い等を見まして、これは各会社、或いは全国的な振合いを見まして、そこまでやる必要は今までは考えられなかつたというよう程度の踏切における事故というものが案外多いわけであります。従いまして、あらゆる踏切にすればこれはもう万全でございましようが、今日の状況から見ましてそれは到底望むこともできない。従いまして、どの程度の結局踏切にどういう設備をしなければならんかということが実は早急にきめなければならん問題であろう、かような観点から実は検討を急いでおるわけであります。そういういわゆる杓子定規的な基準を超越しまして、この踏切にはどうしても踏切番を置かないのはおかしいというような踏切につきましては、その事情を調べまして、若しもそういうふうな状態で放置されておるといたしまするならば、早速こういう点につきましては改善の措置を講じたい、かように存じておるようなわけであります。
  62. 大和与一

    ○大和与一君 設置基準がまだきまつていないけれども、案はまあ幾つかおありになるというふうに聞いております。そうしますと、その案を作るためには、当然現地を何個所か見られて、そうして現地に即した案がまあ考えられておると思うのです。そうして例えば今回の小田急でこういうふうな統計的にも相当の死傷事故があるということがわかれば、それを現地に当てはめてみればすぐわかるのじやないか。逆に言えば、これによつて都内のいろいろな各私鉄の踏切設置について、これは一つのモデル・ケースとして小田急なら小田急をしつかり調べて、そうしてあなたのほうで案を立てると、こういうこともできると思うのですが、そういうふうなお考えはありませんか。
  63. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 勿論この基準を作りますに当たりましてはいろいろなケースと申しまするか、その踏切の現状を調査いたしまして作りたいと思つております。それにつきまして、まあ申すまでもなくその基準を作ります考え方といたしまして、相当いわゆる低い基準を作りますということは、この改善上余り効果がない。ところが非常に高い基準を作りますると、その改善について非常にまあ何と申しますか、困難が伴う。これも又一応尤もだと思いますので、そういう面につきまして実は今検討しておるわけでありますが、併しその基準を作ります以上は、相当改善に役立つような、或る程度高い基準を作る必要があろうかと、かようなつもりで考えているわけであります。従いまして基準を作りましたからといいましても、すぐに右から在へそれを要求するということは、これはまあ困難だろうと思いまするが、逐次いろいろな事情が許す限り極力行政指導によりまして、そういうものを付けて行きたいという意味におきましての基準でございます。従いましてどの程度の基準をきめるかということにつきまして、現在は検討もあり又意見も非常に多い、かような状況になつているわけであります。従いまして小田急につきましても、極力そういう改善を図つて参りたいという気持におきましては、これは基準の如何にかかわらず、そういうふうに考えているわけであります。従いまして事故の起りました状況等を勘案いたしまして、踏切の整備ということにつきまして今後指導して参りたい、かように考えているようなわけでございます。
  64. 大和与一

    ○大和与一君 ですから具体的に今回の小田急の問題については、先ずその小田急を取上げてそうして今おつしやつたことをやる、こういうふうに理解をしてよろしうございますか。
  65. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 実はその基準を今直ちに小田急に当てはめると申しまするか、そういう実は意図ではなかつたわけであります。全体の踏切の向上を図るという意味におきましての基準であることは勿論でございますが、小田急につきましても、まあその基準を参考にいたしまして、極力設備の改善を図つて参るようにいたしたい、かように考えております。
  66. 大和与一

    ○大和与一君 今言われた小田急でも死亡が二十五名もあつて大変多い。若しこれで都内のほかの私鉄を調べてもつと多い所があつたら大変なことです。それをも放置して置くということは、政府当局としても看過できないことだと思う。だから若し事故があつた場合には、すべてのそうしたひどい所は改めなければいかんし、又今あなたもおつしやつたように、小田急でも極めてこれは死亡率が高くて困るということなんだから、この具体的な措置ということは、直ちにこれに対する措置は如何にするかということを言明されないと、設置基準ができるまでは、そのうちに考えておきます、それまでは会社に任せて置きます、こういうことになると、その辺にまだ不測の災いが起るということも予測されるのでありますが、その点に対してもう少し明確にお話を頂きたいと思います。
  67. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 少くとも小田急の踏切のいわゆる実態につきましては早急に検討をいたしたいと、かように考えております。
  68. 大和与一

    ○大和与一君 これは事故の件数が多いということは、明らかに踏切の設備が不十分であるということが一般的に言えるわけなんでありますから、この事故の件数が多いときには、やはり問題なく踏切の設備を殖やしてもらわなければならない。会社のほうから言えば、経理上からいつて、無制限に一つ事故があつたときに全部作らなければならない、こういうことじやなしに、経理上からいつて少しは金がかかるからそのほうは少しは我慢してもらいたいというような、そういう気持があつては困る。こういう点につきまして経理上から見た会社の今の考え方ということについて、おわかりだつた一つお答えを頂きたいと思います。
  69. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 小田急に限らず、踏切につきましては非常に鉄道会社といたしましては頭を悩ましておるところなんであります。それでもうあらゆる踏切に然るべき設備を施すということであれば、これは事故防止上非常に効果があることは申すまでもありませんが、会社の状況といたしましては、それは到底許せないような状況である。従いまして踏切の改善を逐次図つて行きたいという気持は勿論ございまするが、やはり何と申しまするか、各社におきまして従来はその間多少まちまちであつた、例えば関西と関東、或いは又都会と田舎というふうな点におきましても必ずしもまあ考え方がぴつたりと一致もしていなかつたかと思うのであります。そういう点につきまして例えば東京郊外の電鉄というものにつきましても、これはいろいろとそういう点につきましてお互いに打合せもし、この近くの鉄道、近くの会社の踏切状態につきましてはおおむね同じような歩調になつておるのではないか、かように考えられますが、併しやはり金の要ることでもありますので、放つておきますと、一般の交通状態の変化に伴つてそういうふうな改善が行われないようなきらいは確かにあろうかと思います。従いまして監督官庁といたしましては、そういうことのないように、交通状態がだんだん殖えまするに伴つて、踏切設備もこれに少くとも遅れないように改善して行くべきであるということは、これは機会あるごとに強調もいたしておりますし、又毎年踏切安全運動というようなものも全国的に展開いたして、そういう点の向上を図つておるわけであります。ただ強力にまあその点の指導が多少できなかつたということは、やはり監督官庁としましても、はつきりした基準を持たないで、一般的な指導に終つておるというような点、憾みがございますので、今申しましたようなそういう一つの基準、これは多少不完全な基準でありましても、その基準に基きましてできるだけの向上を指導して参りたい、かようなつもりであるような次第であります。
  70. 大和与一

    ○大和与一君 ちよつと正確でないのですが、一月の三日に事故を起した運転手が、最近又小田急で死傷事故があつた、それと同じ運転手だとこういうようなことを聞いたんですが、若しもそういうようなことであれば、会社が運転手の技術的な資格において十分に訓練ができていない、或いは労働強化とか、勤務上の待遇がうまくないとか、こういうふうな点もあるのではないかと思いますが、そういう点はお調べになつたことはございませんか。
  71. 植田純一

    政府委員(植田純一君) どうも只今御指摘の点につきましては、十分私といたしましてはお答え申上げる材料を寅は持つておりません。よく調べたいと思います。
  72. 大和与一

    ○大和与一君 今の点も一つ従事員の待遇、勤務状態、労働強化ということはないか、そういうことも一つお調べ頂きたいと思います。  この前も御質問したんですが、例えば事故があつたときに見舞金を千円くらいやりつぱなしであつた、これは余りに非常識でないかと皆さんからお話があつたんですが、それに対してお調べをなさいましたか。
  73. 植田純一

    政府委員(植田純一君) どうも個々の事例につきましては調べておりませんが、一般的に申しまして、この御指摘ような千円ぽつきりで問題を解決するというふうな考え方は、当事者といたしましてはいたしておらないようであります。又そのような何と申しますか。例もないように聞いております。
  74. 大和与一

    ○大和与一君 それはまだ解決をあとに延ばして誠意を持つて会社も考える、当事者とも話をする、こういうことにはつきりと話が納まつておるのか。或いはそういう点を極めて不十分に、会社はそういう気持だけれども、被害者或いは遺族の方にはそういうことが一向徹底しないでおるのでやりつぱなしだ、こういうことになつておるのか。その辺はどの程度正確に調べておられるのでありますか、伺いたい。
  75. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 大体会社といたしましては、応急的に取りあえず見舞と申しますかを持つて参りまして、そうして全般的な事件といたしましては、その後いろいろ話合いで慰藉の方法を考えるというようなやり方をしておるようでございます。従いましてそういう点につきまして具体的には、いろいろ事例によつて違うかもしれませんし、又私どもといたしましても、どうも具体的にどのくらいが適当であるかというようなことにつきましてもどうもわかりかねまするが、少くともそういう考え方で対処しておるというふうに聞いております。  なお先ほど御質問ございました営業キロ程につきまして、ちよつと御報告申しておきますが、小田急は、新宿、小田原間で営業キロが八十二・八キロでございます。それから京浜は、いろいろの線がございますが、これを合計いたしまして七十二・二キロということになつております。
  76. 大和与一

    ○大和与一君 どうも見舞金の話は、もう少しやはりちやんと調べて頂かんとちよつと不十分だと思うのですよ。それで会社のほうで解決するつもりであるのだろうと思うというよう程度では困る。具体的に会社によつてちやんとはつきりわかつておると思う。こういう話があるということは、どの件がどうということは会社に当れば必ずわかる。つい最近の二、三の問題が未解決だ、仮にこういうことがあるとすれば、一応これは話がわかりますけれども、それじや一体いつから解決してないか。去年のやつが解決してないというふうなことがあるとすれば、こんなことを口で言つてもさつぱり本気でなくて好い加減な言い逃れというようなことはわかる。又遺族のほうとしても、今まで会社から挨拶もなくて、会社は遺憾な気持を持つておると言つたつて、そんなものは世間様に通らないのです。だからそういう点はお調べがつくとすれば、もう少し正確にやはりやつて頂かんと、非常にこつちもわざわざ質問してそれで時間をかけて待つておるわけですから、そういう点をもう少しきちんとやつて頂きたいと思う。  もう一つは、四月の一日、明日からスピード・アツプするということを知らないと言われたけれども、その後調査されておるのか。こういうような死傷事故が多くて、踏切の設備が十分でないということですし、先ほどの御答弁によつてこれは具体的に処置をします、こういうふうにお答えになつたのだけれども、そういうような中で、なおスピードーアツプをして、又いろいろな問題が起る可能性を多分に持つておる。こういうことについてはどうなつておるか。はつきり御返事を頂きたい。
  77. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 列車の速度変更はこれは陸運局長におきまして処理するごとになつております。それで陸運局につきましていろいろ聞きましたのでありますが、確かに四月一日から変更になるということになつております。実は私もその事情を聞きまして了承いたしたわけではございまするが、スピード・アツプということを少し大きくまあ宣伝したのかどうか知りませんが、実際は成るほど多少スピード・アツプになつておりまするが、まあ時刻変更という程度のものでございます。御承知通り現在小田急には特急、急行、準急、普通とこの四つあるようでございますが、今回改正いたしますのは、準急と普通とのようでございます。準急は新宿、小田原間現在百二十七分四十秒かかることになつております。これを百二十二分三十秒とする、従いまして新宿、小田原間におきまして五分十秒ほど短縮するということになります。このうち約この停車時分の短縮を図りまして、勿論スピードも平均速度も少し上りますけれども、まあ新宿、小田原間五分くらいの短縮である。又普通列車は新宿、稲田登戸間におきまして四分短縮する、このうち半分は停車時分の短縮だそうでありますが、そういうことによりまして、輸送力が少し殖える結果になつております。で、スピード・アツプと申しましても、大したスピード・アツプでもございませんので、これは認めて然るべきじやないかというふうに考えたわけでございます。
  78. 一松政二

    ○一松政二君 ちよつと踏切のことをお伺いしたいのですが、踏切の、監督局のほうでは人間でやるとそれから自動の点滅でベルの鳴つているやつでやるのと一体どちらがその事故は少いと考えておるか、先ずその点を承わりたいのであります。自動的に点滅してベルを鳴らしておるのと、人間が遮断機を下しておつて而も事故がある。人間が不注意か居眠りをしたかということでよくあるのだが、つまり点滅器の事故によるか、人間の不注意によるか一体どつちが事故が多いと考えるか、むずかしい問題かも知れませんが。
  79. 植田純一

    政府委員(植田純一君) どうもやはり人間がおりますほうが事故の件数は少いと思うのが当然であると思うのであります。
  80. 一松政二

    ○一松政二君 いや自動点滅のほうが、つまり警報を鳴らしてそうしてもう近くここを通るということをやつているですね。そういう所と又人間が遮断機を下すという所と二つあるはずです。ところが点滅器がありながらやつぱり事故の起つている場所がかなりありますか。
  81. 植田純一

    政府委員(植田純一君) それはございます。やはり事故の統計から申しますると、まあ第一種と言つておりますが、踏切番がおりましてそれで遮断機を下しておる所のほうが事故の件数が少い。
  82. 一松政二

    ○一松政二君 ところが我々はこの都会地の郊外電車の踏切を通るときに、遮機があつても自動車が一遍必ずとまる。遮断機がありながら、番人がいながら自動車が一遍とまつて見ておる。それから京成などを見ると、京成は遮断機がありながらやはり踏切の所で随分事故を起しておるものだから、京成のバスが必ず踏切の所へ行くと遮断機がありながら車掌が降りてこれを誘導しておる。これはつまりその人間を信用しない。夜の遅いとき眠たいときかなんか、それで朝だろうと昼だろうと夜だろうと必ずこれを励行しておるということは、人にさえ信頼をおかんということじやないかと思うのですがね。その人がおりながら事故が起つた場合がやつぱりかなりあるわけなんでしよう
  83. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 実は踏切番がおります踏切に二種類ございまして、四六時中踏切番がおる踏切と一定の時間を、昼間だけおつて夜はおらんというのがあるわけでありまして、あとで申しました一定の時間だけ踏切番がおりまして、あとは踏切番がいないという踏切が一番事故の割合が多いのでございまして、やはり四六時中踏切番がおるという踏切は事故の件数というものは非常に少いわけでございまして、いわゆる警報器だけの踏切に比べまして、事故の割合から申しましても、事故の件数から申しましても、ずつと事故の成績がいいという結果になつております。
  84. 一松政二

    ○一松政二君 踏切番がおつてそうして夜遅くなるといないとかというならば、それは慣れた人はよくわかるかも知れんが、踏切番の却つていないほうが危くないのじやないかと思う。あつてつておるままだから、安心して通ろうと思つたところが、そのときはいなかつたというようなことでは、そこをしよつちゆう通つておる人は知つておるけれども、たまたま旅行しておる人はそこを初めて通る人なんかは、そういうことは絶対に知りませんよ。却つて事故の因になる。それから私は今の京成の例は、もう四六時中やる。朝も本当に勤務のしたてで、朝ぴちぴちしておるようなときに、これは先ず一応降りて見てそれからオーライ、オーライと言つてつておるほど信用していない。これは八幡の踏切の所を私はしよつちゆう見ておる。千葉県の総武線の市川の先ですね。これなどは而も国鉄の踏切なんですが、それに対して京成バスが、京成は自分で電鉄もやつておる。それが非常な羮に懲りて膾を吹くというか、これほど確かなことはあるまいが、人を信用しておらんわけです。私は今経費の点もあろうかと思つて、今の自動警報器のことを伺つたのですが、私はまあ普通の踏切はあれのほうが確かなんじやないかと考えるのだ。実はあれのほうが点滅しておつてそうしてベルが鳴つておるのですから、これは私はこの電流が通わないでたまたま鳴らない場合にそういう事故があり得ると思うけれども、あれが鳴つておるときにそれを通るのはこれは通るほうが私は悪いと思う。あれがありながら事故があるということは私にはよくわからないのだけれども、今のそういうことを詮索してみてもしようがないが、これはもう一遍よくやはり今大和委員からも言われたように、踏切の問題はこれは重大な問題であるし、それから人に怪我さしたりなどをしておつて甚だ会社が冷淡な処置をとつておるようなことは、これは以後そういうことを許してはならんことです。そうして若しそうであるならば、会社がその負担になるならば、傷害保険か何かを会社が保険会社と相談してやれば保険料だけで済むわけだから、そうすればこれは幾らでもないのです。こういうことは私はやはり国鉄の監督の任にある者は厳重におやりになるがいいと考えます。  それからこの踏切の問題は、人を雇うよりも、私は遮断機で人を付けるよりも警報のほうが、最初はちよつと金はかかるかも知れませんが、何カ月すると或いは一年もすれば、それを取返えせるだろうと思うのですが、こういう問題はやはり或る方針をきめてですね、そうして私鉄及び国鉄は自分の所へ置くほうがいいのですが、自分の所のそういうことは、私は経費節約だ、経費節約もいいけれども、経費節約で多くの人間に一々そこにとまつたり、そうしてもう前後左右を見なければそれが悪いんだと、あつても大体見るのですけれども、見るけれども、あればなお注意するわけなんですから、できろだけそういう方面には監督指導を緩めずに指導されておると思いますけれども、一段の努力を私図つて頂きたいということを関連質問として伺うなり、申上げておきまして、この問題は私はこれで打切ります。
  85. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 只今の踏切の問題でございまするが、非常にこれは大事な問題でございますので、特に私もこれは別に答弁を求められたわけじやありませんが、今までの質疑を聞いておりましてちよつとお答えが……私、私見を申上げておきたいと思います。只今一松さんが、却つて踏切警報器のはうが番人がおるよりもいいじやないかということをおつしやいましたが、これも研究する必要はあると思います。併し大体今までの慣例から行きまして、一番踏切事故を起し又一番交通量の多い所は、これは番人を四六時中置くと、その次の段階になれば、番人は置くけれども常時置かん、或る一定の時間だけ置いて、そうして番人のいないときは踏切警報器によつてやる。それと第三番目は番人は置かん、常時踏切警報器でやるんだ。その次にもう比較的閑散な道路であれば、警報器も置かなく、これは何も番人も勿論いないし、こういうふうな大体段階になつておるのであります。で、この踏切警報器、一番危いのは番人が或る時間内いてあとは番人はいなくなつて警報器でやる、こういうのは比較的危い踏切でございますが、若干今までのやり方におきますと踏切警報器というものは実は技術者の方がやりたがらないのであります。というのは、非常にこれは事故が多かつたことがあるのでありまして、そういう場合に踏切の責任事故になりまするというと、果してこの警報器が満足な状態に働いておつたか働いていなかつたかということについて非常に争いができるので、ややもすると止むを得ない所でなければ踏切警報器は余り置きたくないという傾向が或る一部にあつたのでございます。併し最近は非常に技術も発達いたしまして、この踏切警報器の事故というものも少なくなりましたので、これは今までの慣例に従つてやらなければならんことはないのでありまして、大いに研究を要するであろうと思うのであります。今、大和さんから非常に小田急の踏切について御指摘がありましたがこの踏切の問題は小田急のみならず自動車の発達、殊に又最近道路の幅員の拡張或いはその他の問題につきまして、運輸省といたしましても、現在の交通事故、なかんずく踏切事故の死傷を考えますと非常に大きい問題でありまして、頭を悩ましておるのでありまして、根本的には踏切に関する法律を作りまして、殊に又従来のこの踏切というものが、一方は道路の管理者から言わせるとそれは鉄道でやつたらよかろう、鉄道の管理者から言わすとそれは道路のほうにおつつけるというので、責任の所在が非常に不明確な点等もございましたが、法律によつて両者にこの踏切を作るには或る義務を負わせる、これも当然考えなければならんと思うのであります。殊に根本的な問題といたしましては、国道と又県道に対しましても、重要な県道等につきましては踏切を作らんで立体交叉をすることが根本でございます。今差当りの問題として法律を作るといつてもなかなか暇がかかるし、差当りの問題といたしまして、この東京近郊の私鉄等で非常に甚だしく事故を起しておるというような所があれば、これは法律を待たずして運輸省としても会社に対して相当な命令をするということは、これは当然なことであろうと私は思うのでありまするが、まあ事故の件数その他についての調べは時間もかかりますが、運輸省はさような処置について、この際将来の立法その他の問題につきましては、皆様方の御協力を得まして、何とかこの道をうまくやりたい、かようにまあ考えておるので、私見でありますが、申上げまして、御了承を得たいと思います。
  86. 岡田信次

    岡田信次君 監督局長に伺いたいのですが、小田急というか、それから東急ですね、東急にはなかなか踏切の新らしい自動警報器その他の設備が相当普及しておる。やはり同じような系統の小田急は踏切の設備が劣つているが、実際問題としてその点を一つ、小田急、この辺の附近の京浜急行は、その京王電鉄なり或いは東急等と比べて踏切の設備が特に劣つておるのかどうか。
  87. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 先ほどもちよつと申しましたように、各社によりまして多少の差はあろうと思いますが、併し東京附近のいわゆる隣接し合つた鉄道東京郊外の鉄道というものにつきましては、始終技術的に打合せもやつておるものでありますから、全般的に申しましたらそれほどひどい差はないと思います。ただ御指摘ような東急については、最新式の自動の遮断機が備え付けてあるようであります。そういう面におきましては勿論一歩進んでおると思いますが、全体の保安という点につきましては、多少の差は勿論あるかとも思いますが、そう大した差はないのではないかというふうに考えておるわけであります。
  88. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、先ほどからの大和委員の質疑を通じてわかつたことは、小田急は特に踏切が多いというように私は聞いたのですが、そうすると踏切設備のほうが余りそう大して変らない、そうするとあとその他の運転の技術の問題、或いはダイヤの組み方その他に何か欠陥があるとお考えですか。
  89. 植田純一

    政府委員(植田純一君) まあこの事故原因はいろいろとあろうかと思いますが、何と申しまするか、いろいろと小さな踏切が非常に多いのじやないか、確かに東急についての資料は、詳しい資料は今手許に持つでおりませんが、小田急につきましては、踏切の数そのものも非常に多いというふうに聞いております。それから又沿線もだんだんと発展して参つておりますので、そういう面から申しまして、全般的の問題といたしましては、まあ東急だとか小田急だとかに限らず、どこがどうということなしに、やはり全般といたしまして改善の余地は十分あると、かようなつもりでたまたま小田急の例を申上げたわけでありまして、必ずしも小田急だけが一番悪いのであるという意味におきまして申上げたわけではないのであります。踏切設備の改善につきましては、全般的にまだまだ整備向上を図らなければならん、かように考えておるわけであります。
  90. 重盛壽治

    重盛壽治君 ちよつと……。
  91. 前田穰

    委員長前田穰君) どうですか、時間の関係が長ければ午後やるし、余り時間がかからなければこの問題だけ片付けておきたい。
  92. 重盛壽治

    重盛壽治君 あとちよつと……、これは今までの各委員の御発言に言い尽されたことを総合的に言うと、局長を別に責めるわけではないが、できた事故に対して今から一つ基準を考えてやろうということはすでに今日言つても間に合わんことだが、いわゆる泥繩式であつて、こういう状態でおつたかということに驚かざるを得ないものであります。そこで一、二点更に聞きたいのだが、今まで監督局長がいろいろ今度は基準を定めてやりたいということを言つておるが、そのやりたいというのは、あなたはやりたいんだが、実際に一つ基準を作つてやるのかどうかという点が一点と、やり得るのか、いわゆる監督権がそれだけあるのか。今まで聞いておつたところでも、例えば解決がどうなつておるか、どれだけできておつてどういう解決方法をやつておるかということを、本当はもつとはつきり調べれば、何月何日に死んだ人はこういう状態であつたからこれだけの処置をとつたとかいうようなことが出ると思うのだが、そういうものを出させる権限があるのかないのか、その二つを一つ伺いたい。
  93. 植田純一

    政府委員(植田純一君) いわゆる根本的にはこの踏切問題の解決はやはり立法措置が要るものだと思つております。そうでなければ完全でないと思いますが、行政指導によりましても、極力その整備を図つて行きたいということを申上げたわけでありまして、事業者といたしましても、この踏切の整備改善を図つて行くという方針につきましては、これは勿論異存はないわけであります。ただ急速にこれに多額の資金を投入するということは、実際問題といたしまして非常な困難を伴うということでございますので、行政指導によりまして、一挙にというわけには行きませんが、逐次その改善を図つて参りたいと、現にこの小田急におきましても、少しずつではございまするが、踏切の改善は実は図つてつておりますが、更にこれを行政指導によりまして促進したいと、かように考えておるわけであります。  なお慰藉金につきましては、これは個々の事例によりましていろいろ事情の点もあろうかと思いますし、具体的な金額につきまして、直ちに私どもが介入するということもどうかと思いまするが、一般的の方針といたしましては、やはり少くとも死傷事故が起きました場合には、その責任の如何にかかわらず、責任の所在によりましてこれは事情は大いに変ると思いますが、社会通念上妥当な解決を図つて行くべきであると、余りにも非常識なことのないようにというふうな指導はしておりますし、今後も更にそういうような問題があるといたしまするならば、更に詳しく調べまして、そういう方針で指導して参りたいと、かように存じております。
  94. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、この踏切を根本的にどうするかという問題は、一応別に考えなければならん問題で、今までの御答弁がいろいろ不満なことがあつても、それはさておきまして、当面できておる問題の処理或いはこの踏切が完全にできるまでの間に起つて来る事件、こうしたものに対する処理をどうするかという点で、もう少しあなたが今言われた社会通念上、例えば亡くなつた人に対する見舞金というようなものも、一つの例というものがあるわけですね。タクシーなどでいう場合には、おおむね十五万、二十万乃至三十万ぐらいの間で、その性質、轢かれた場所などということで解決をつけておる。勿論軌道の上を走つておる電車ですから、そう多額のものにはならんと思うが、併し都電の場合でも、軌道の上を走つておるものでも、十万や二十万というものは大概出しておる。そういうよう一つの基準といいますか、そういうものがあるわけです。ところが、こういう問題が運輸委員会で取上げられ、この事情を聞いて後に、あなたのほうから小田急なり或いは京浜なりに対して、君のほうの人身事故の処理が社会通念上余りよく行つておらんように聞くが、どういうような処理をやつておるのかというようなことを出させる権限があるのかないのか、その点をお聞きしておきます。
  95. 植田純一

    政府委員(植田純一君) その具体的の事例につきましては、実はそういう非常識な事例があるかどうかということにつきましては、具体的には実は調べておりません。会社当局はそういうようなことはないと、例えば先ほども一千円ぽつきりで問題を解決しようとしたというようお話がございましたが、そういうような考えはないということは聞いておりまするが、具体的にどういう問題がどういうふうにかかつておるかということにつきましては、まだ調査不十分でございます。従いまして、この問題につきましては、先ほども申しましたように、個々の事例によりましてこれは相当違うと思います。従いまして、非常にむずかしい問題かと思いまするが、監督官庁として具体的の金額にまでタツチするということは、これは考えものであり、今のところそういうつもりは毛頭ございませんが、併し一般論といたしまして、誰が見ても非常識だというよう事例がございますれば、その点につきましては十分監督して行きたいと、こう考えておるわけであります。
  96. 重盛壽治

    重盛壽治君 いま一点、今の中で、過去二十八年の二十三人乃至二十五入、これは小田急だけということになりますと問題が違うが、京浜の場合も同じですが、二十五人と、双方期せずして数字が一致しておるのだが、こういう人たちの処理はどうしたかということを参考にしたいから、一つ処理方法を聞かしてくれというのを、今度取つておいてくれませんか。取ることはできますね。
  97. 植田純一

    政府委員(植田純一君) その点調べたいと思います。
  98. 重盛壽治

    重盛壽治君 大体まあそうすると、将来の踏切の問題に対しては、根本的には法制化しなければならんと、手動がよいか機械がよいかということは、私は一松さんと同じように、現在のところでは機械のほうがよいように思うが、我々の経験の埒内では機械のほうがよいように思うが、そういう問題は、これから作る問題であつて、なお小田急、京浜等に起きた当面の処理をどうするかという問題について、非常に忙しい中ではあるのだが、できれば私鉄関係の双方の代表というか、組合の代表、経営者の代表、或いは小田急を呼ぶ場合には、小田急の担当者、被害者も一遍ここへ呼んで監督局長もおられるところで事情を聞いた上で動かして行くということも一つの方法ではないかと考えるので、できればそういうことを取上げて、そのように処置してもらうということで委員長お諮りを願いたいと思います。
  99. 大和与一

    ○大和与一君 関連して。この前監督局長にお尋ねしたときに、例えば証人でも呼ぶ場合に、自分のほうでは連絡がない、こういうようお話もありましたが、その点は私どものほうでも若干の証人をいつでも来てもらうことができる準備がありますから、それも一つお伝えしておきます。  それから局長の今日のいろいろとお答えですが、初めて今日私どもが質問したのだつたら別ですけれども、この前一応お尋ねをして、そうしてこういうことを調べてもらいたいということになつておるのだから、まあ怒るわけではないけれども、もつと理論的に体系的にぴしやと言つてもらう、それから頼んだことはもう正確こやつてもらうと、こういうことも一つ部下を監励してやつてもらわんと、どうも前と大体同じような話では、これではどうも前進しませんから、その点は一つ特にお願いをしておきます。
  100. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  101. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。  只今重盛委員からお話のありました、踏切の問題の参考意見を聴取するために関係業者等を呼ぶかどうかという問題は、理事会に諮りまして、適当の機会にこれを呼ぶごとにいたしたいと思いますから、さよう御了承願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)  それでは暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた