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1954-03-23 第19回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十三日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            高木 正夫君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            天田 勝正君            村尾 重雄君            木島 虎藏君   政府委員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省自動車局    長       中村  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道経    理局長     石井 昭正君    日本国有鉄道資    材局長     小林 重国君    日本国有鉄道営    業局長     唐沢  勲君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○港湾法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○運輸一般事情に関する調査の件(運  輸行政に関する件)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  先ず港湾法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由の御説明並びに内容の詳細なる御説明を願います。
  3. 西村英一

    政府委員西村英一君) 港湾法の一部を改正する法律案につきまして提案理由及び概要を御説明申上げます。  港湾法が制定されて以来二回に亘つて部分的な改正を加えたのでありますが、制定の当時においては予想されなかつた法律運用上の不備、欠陥がその施行伴つて表面に現われて来ましたので、港湾法規定不備を補うため所要の改正を施すことが、必要となつたのであります。  改正の第一の点は、港務局業務についてであります。港務局関係地方公共団体によつて組織される港湾共同管理形態でありますが、業務の実施に関する規定不備なために、港務局業務遂行に円滑を欠く結果を招いているのであります。従つて港務局業務遂行を十全ならしめるためには、港湾内の行政事務を執行し得る権限と、港務局料金徴収を免かれた者に対して過怠金を賦課し得る権限料金等未納者に対し強制徴収し得る権限等港務局に附与することといたしたのであります。  改正の第二の点は、港湾区域内等において港湾管理者規制をする施設建設、水面の占用等行為範囲であります。現行法におきまして港湾管理者許可を必要とする行為範囲は、甚だ広く且つ漠然としておりますので、規制を受ける行為の種類を明確にいたしその対象を港湾開発利用又は管理上著しく支障を来たす虞れのある行為に限定することといたしたものであります。  改正の第三の点は、港湾工事費用精算簡素化であります。国の負担金又は補助金を受けて港湾管理者が行なつた港湾工事は、その工事に実際に要した費用精算して初めて完了するのでありますが、この費用精算方法は甚だ煩雑であり、莫大な事務量時日を必要といたします。従つて港湾工事費用精算方法簡素化精算に費される厖大な事務量と労力とを節約して事務能率化を図ると共に、造成された港湾施設公共利用を早める措置を講ずることといたしたのであります。  その他港湾工事の必要がある場合の他人土地への立入、非常災害時における土地の一時使用入港料徴収等港湾開発及び管理のため望ましい事項についての規定を新たに設けましたほか、港務局委員会の議事、その監事資格等につきまして現行法不備な点を是正する措置を講じまして、港湾法の円滑な施行を期した次第であります。  以上がこの法律案提案いたします理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾法の一部を改正いたします法律案につきまして、その概要を御説明申上げます。  今回改正いたします第一の点は、港湾施設範囲を拡大したことであります。港湾施設とは、港湾の成立上又は港湾の機能を発揮する上に必要な人為的な工作物を申しますが、港湾法におきましては、第二条第五項に具体的に列挙された施設に限定いたしております。これらは、固定したもののみでありますが、近来移動式の機械の発達は著しいものがあり、役務を提供する船舶も又港湾利用に大きな役割を果しており、これらに港湾法適用を受けさせないことは適当とはいえないのであります。  このたび第二条第五項を改正いたしまして、これらの施設港湾施設に追加し港湾工事、起債、施設譲渡等規定適用を受けられるようにいたしました。  改正の第二の点は、港務局規定を整備したことであります。港務局は、港湾管理の一形態として地方公共団体によつて設立される公法上の法人であります。港務局は、特別地方公共団体に類似した業務を行うものでありますが、地方公共団体そのものではないために、権限は弱く、ために港湾管理を実質的に行いがたくしております。港務局は昨年新居浜港において設立され、更に北九州各地において近々のうちに発足する予定でありますが、その運営を円滑にして港湾管理の実績を挙げるため、権限を強化し運営機構を整備することが要望されておるのであります。  このたび、その業務につき、港湾管理運営開発という港務局本来の目的を最もよく達成し得るように、第十二条を改正いたしまして、航路の如く基本的な施設使用規制し、或いは港湾の発展のため土地を造成することを業務に追加すると共に、第四十五条の二の新設により組織母体の委任を受けて港湾管理利用に関する行政事務を行い得ることにいたしました。  又第三十七条第五項、第四十四条第五項、第四十四条の三、第四十五条の二、第五十九条等の規定により過怠金徴収し得る権限料金等を払わぬものから強制徴収し得る権限、代執行等をし得る権限港務局に与えまして、港湾管理の実を挙げ得るようにいたしました。  このように港務局権限を強化いたしました半面、第十八条、第二十一条、第二十二条の改正によりその運営に当る委員会委員及び監事規定を整備し港務局運営の円滑を期し、港務局の解散を運輸大臣認可にかからしめて、随意に解散されることを防ぐことにいたしました。  改正の第三の点は、港湾区域港湾隣接地域及び臨港地区内における工事構築物建設等規制簡素化いたしたことであります。  港湾区域及び港湾隣接地域内におきまして港湾管理者許可を要すべき行為範囲は極めて広く、明確さを欠いておりまして不必要な行為まで許可を要するという好ましくない結果を生む虞れがございました。この点を是正するため今回第三十七条を改正して許可を要する区域水域公共空地に限定し、許可を要する行為占用土砂採取一定施設建設改良に限ることにいたしたのであります。更に港湾隣接地域の指定を民主的に行うことにいたしまして、港湾管理者規制の及ぶ範囲が恣意に亘らぬように配慮いたしました。  臨港地区内の構築物制限については、従来も、条例によつて一定制限を加えることは可能ではありましたが、この条例に違反して建設されたものに対しましては、何らの規制をも加えられず、港湾管理者規制は全く名目的なものとなつていたのであります。  このたび第四十条の二を新設いたしまして条例に違反して建設された構築物に対し移転、改築の命令をなし得ることといたしたのであります。  改正の第四の点は、港湾工事費用精算簡素化したことであります。現在港湾工事費用精算は、いわゆる原価主義によつて行なつておりますので、精算事務は極めて複雑であり、そのため少からぬ時日を要しているのであります。併し港湾工事費用精算については、相手が地方公共団体でありますので、残余物件についてのみ十分監督いたしましたならば、原価主義による必要はなく、支出主義で足りるものと思われます。支出主義によりますと工事費用精算事務は、非常に簡素化され手数が省略されます。そのためこのたびの改正では第四十二条に第六項、第七項、第八項及び第九項の四項を加え、工事費用精算支出主義によることとし、その半面工事の結果生じた残余物件については、その使用規制することにいたしました。又これに関連して千円以下の端数については、これを切上げ、又は切捨てることにいたしました。このような工事費用精算方法は、港湾管理者が国から費用負担を受けて行う工事だけではなく、第四十三条第二項によつて国から費用補助を受けて港湾管理者がする工事及び第五十二条第二項によつて国が行う工事についても採用することにいたしております。  改正の第五の点は、港湾管理者入港料徴収する場合の手続に関する規定を設けたことであります。  港湾管理者はその提供する施設又は役務利用に対し料金徴収することができますが、このたび第四十四条の二により航路等水域施設及び防波堤等外郭施設に対して料金徴収する場合には、これを入港料として徴収すべきことにし、特定港湾につきましては、入港料徴収につき運輸大臣認可を必要とすることにいたしました。これは、特定港湾におきましては入港料が、国際的にも大きな影響を持ち国の利害に関係を持つと考えられるからであります。  改正の第六の点は、公用負担規定を整備いたしたことであります。従来は公用負担につきましては、損傷者及び受益者負担金を課することのみが規定されておりましたが、その手続については規定が設けられていなかつたため、衡平の観念に反する負担を課することもできる半面負担金を払わぬ者には、強制することができない実情でございました。この点につきましては、今回第四十三条の三及び第四十三条の四を改正いたしまして、その手続を慎重にし、その徴収を容易にすると共に、不当な負担を課することを防ぐことにいたしました。  更に、第五十五条の二から第五十五条の五までの規定により港湾管理者港湾工事調査、測量のため他人土地に立入り、非常災害時に土地使用し或いは住民を防禦に従事させるという人的、物的の公用負担を課する権限を与えましたが、これは港湾開発、保全に支障なからしめることを目的とするもので、このため住民の受ける損失につきましては正当な補償を与えることにいたしたのであります。  以上が、この法律案概要でございます。
  5. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止
  6. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を初めて。  それでは港湾法に関する御質問は、例によりまして次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  8. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引続き御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  9. 植竹春彦

    植竹春彦君 この運賃改正につきましては、前回運賃改正のときにも質問いたしたのでありますが、運賃は遠くへ行く場合に逓減されて行く、のみならず遠くへ行けば運賃金額から言えば高くなり、近く乗れば金額から行けば、金額の絶対値というものは安くなるというのは、これは常識であるわけであるのですか、それに引換えて実情を見ますと、全国的にかなり広範囲亘つて、遠くへ行くほうが安くて、近くへ行くほうが高い実情にあるわけです。その点についてその矛盾を前回運賃改正のときに指摘いたしましたところが、それについては、その当時の国鉄総裁は、よく善処するという意味の御発言があり、且つ多少はどうしても免れ得ないというふうな御発言があつたのであります。その後全国的に調べてみると随分それが各所に見られるのであります。かくては運賃値上げするに先立つて、そういつたようなところを合理化して行くべきものではないかどうか。サンデー毎日昭和二十九年三月十四日号にも、第五十二頁に詳細に、安乗り四十八手として、国鉄の裏をかくとして、この合法的に定期乗車券よりも却つて一々買つたほうが安くなる場合、或いは回数券で乗つたほうが安くなる場合が載つております。そうしてその結論として、国鉄減多に自分が損するようなことはやらないけれども、以上述べたような所にも穴がある。研究すれば相当な金額が浮く意味のことが結論となつておる。そして別に犯罪ではないから堂々と駅に行つて安乗り方法を伝授してもらえというような意味のことが結論付けられております。その点についての監督者立場運輸省植田監督局長或いは細田鉄道部長等からの御説明、又今後に対する監督方針国鉄からお聞きしたいのでありますが、今お見えになつておりませんので、その監督部門の方にお尋ねいたします。  それから石炭を今度大分安く仕入れるそうですから、運賃改正をしないでもそのくらいの金はとうに浮いてしまうのじやないかと思う。その点についてのやはり監督立場において御説明を願いたい。国鉄がお見えなつたらば、御答弁如何によりまして更に進めるかも知れませんが、一応運輸省側からその二つ質問に対してお答えを願います。
  10. 植田純一

    政府委員植田純一君) 第一の遠距離逓減の問題でございますが、これにつきましては、その割合等につきましても、過去におきましていろいろと変遷もあつたようでございますが、ただ今回は提案説明にもございましたように、一般的な運賃の改訂ということには触れませんので、極く一、二等だけの、而もその方法といたしまして通行税関係相当分だけを上げるということになつております。なおその部面の考え方につきましては、国鉄におきましても十分検討されておると思います。  なお又第二の石炭の問題につきましては、石炭の二十九年度の予算におきましては、その石炭単価等につきましても十分考慮されておると思います。詳細につきましては国鉄担当局長見えておりますし、その方面から御答弁願いたいと思います。
  11. 植竹春彦

    植竹春彦君 それでは、只今の御答弁では満足いたしませんので、担当係官或いは国鉄の当局から御答弁願います。
  12. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) 運賃の建て方につきましてはいろいろ議論もあり、いろいろ問題もあるわけでございまして、遠距離逓減につきましても、どの程度が妥当であるかというような点はいろいろ問題があるかと思うのでございまして、前回以来いろいろな点から研究はしているのでございますが、今回はただ一、二等の通行税外枠というだけにとどまりましたので、その点を実施するというようなところまでは考えておらないのでありますが、今後も研究を続けて行きたいと思うわけであります。なおいろいろな、何といいますか、不備な点があるために、合法的な、何といいますか、運賃を安くするような乗り方というようなこともいろいろ研究しておるというようなことで、只今お話のありましたようなサンデー毎日などにも記事が出ておるのでありまして、これらの問題につきましては、なかなか実際問題として、そういう裏の裏を行くことについての取締といいますか、又規定面からの改正も非常にデリケートなむずかしい点がございますので、専門的には鋭意研究しておるわけでございます。なお不正などにつきまして、これを取締ることによつて相当収入を確保することができるという考え方もありますが、これにつきましてのやり方につきましては、却つて一部正当な方々の顰蹙を招くような点がありますので、制度の面とかそれから実際の取扱等の面について、双方から十分研究して善処して行きたいと、かように考えておる次第でございます。
  13. 植竹春彦

    植竹春彦君 今の石炭の点について誰かからお伺いします。
  14. 植田純一

    政府委員植田純一君) 石炭単価が安くなつておるからよろしいではないかというような御質問ではないかと存じます。その点につきましては、すでに二十九年度の予算におきましても炭価の値下がりを十分見てございます。ただ実際問題といたしまして、幾ら納入できるかという問題は、これはまだ炭価の問題につきまして、折衝をまだ始めたばかりでございまして、これがきまりますのは、恐らく年度初めにはなかなかきまり切らないのじやないかと思いますので、具体的に幾らになるかということは、只今お答えできかねますが、予算では相当の値下りをやはり見ておりますから、従いまして直ちにそれで以て値上げをしなくても済むというわけには参わかねると、かように考えます。
  15. 植竹春彦

    植竹春彦君 第三の最後の御質問といたしまして、通行税外枠考え方でありますけれども、これは丁度たまたま通行税外枠、その通行税同率同額のものが加算されるというので、通行税とそれから今回の値上率との間に因果関係がないように思われるのですが、従つて通行税に丁度相当するような金額運賃として加算せられるその収支面の御説明をお願いいたします。
  16. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 大変申訳ございませんが、御質問意味がちよつとわかりかねるのでございますが……。
  17. 植竹春彦

    植竹春彦君 もう一遍申上げます。この通行税を外に出した、つまり通行税の額だけが運賃値上げに当つている、こういうふうに言われますけれども、これはたまたま通行税の額だけが上つたと考えられるので、どうも私たちから考えると、通行税だけを外にしたのじやない、その通行税と丁度同額運賃値上げすることが国鉄収支面に丁度ミートするのだ、そういう考え方お上げになつたものだと思う。そうすると通行税だけを外へ出したのだという御説明は、どうもそういうふうなところから考えて来たくない。これは国鉄収支から来ることであるから、通行税の額だけが外へ出たというのは、その収支面から考えての必要だろうと思うのですが、その監督官庁としては、どういうふうにお思いになりますか、そういうわけです。
  18. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 実は鉄道の一、二等運賃につきまして、通行税がいわゆる内枠……今までまあ俗に内枠と申しておりますが、そういうやり方になつておりまして、通行税がかからないときは、これはその分だけ減らすのではなくして、やはり二等は三等の二倍に戻すのだと、まあ潜在的な運賃としてはもともと二倍、四倍だ、二等、一等は三等の二倍、四倍だと、こういう観念になつております。これはいきさつから申しますと、植竹先生承知のことでございまして、当初昭和二十五年でございますか、改正をいたしますときに、当時のCPSが一、二等運賃を下げることに非常に強い主張を持つていた。当時は一倍、三倍、六倍でございました。これを私どもといたしましても、一倍、二倍、四倍は、当時の情勢からいたしまして高級車というものはそう禁止的な高い運賃を取らないでもいい状態になつて戦前に復活して参つた、こういう観点からそういう考え方をとつてつた。たまたまそこに今度はシャウプ勧告によりまして通行税を廃止する、併し奢侈的なものにはかけるんだということで、大蔵省のほうでは従来一等に五%かかつておりましたものを一、二等について二〇%かけるんだという事情に変つて参りました。我々はこれに対しまして非常に大蔵省にも何と申しますか、反対をいたしまして、同時に又二倍、四倍ということはまあこれはそういう方向に持つて参りたいということでやりましたのでございまするが、業者の考え方がどうとても相容れませんので、結局CPSのほうといたしましては、どうしても二倍、三倍、旅客から取る額が二倍、四倍以上になつてはいかん、困るという事情でありまして我々は飽くまでも税金外枠でなければならんから、二〇%という税金は困るから、もつと安くしてくれということで大蔵省と折衝いたしました。結局当時のことでございまして、非常にごたごたしておりまして、本ぎまりになるときは非常に時間の切迫で便宜的な方法で片付けるというような状態で、こういう只今のような内枠の結果になつたわけでございます。その後通行税につきましては廃止すべきだという議論もたびたびいたしておりますし、又その他の航空機或いは船の二等等につきましては、軽減等措置も講ぜられております。私どもといたしましては、飽くまで通行税は廃止すべきものであつて運賃一等、二等は二倍、四倍という、こちらの原則的な考え方に戻すのだということを主張いたしておつたわけでございます。でございまするから、私どもは今回の考え方としては、ただ一、二等の運賃通行税に相当する分を上げた……、勿論そういう財政収入の面から見ますとお言葉通りでございます。併し建前といたしましては、ここで正常な運賃形態に直して三等、二等、一等の比率は一、二、四であつて、それに対して国家が直接税金といたして二〇%余計に取つて行くんだということは、やはり運賃建前をはつきりさせたいという従来の主張を持つております。その両者も合致いたしましたものではないので、必ずしも収入だけをただその額だけ上げたとも言い切れないのではないかと、かように考えております。ただ財政面から見ますると、お言葉通りそういう結果になつておる。これはもう私どもも否定いたしかねる点でございます。
  19. 植竹春彦

    植竹春彦君 その程度で……。
  20. 高木正夫

    高木正夫君 たつた一言だけお尋ね申上げておきます。今回のこの運賃改正収入増を図るのが目的であるか、或いは社会的見地といいますか、耐乏生活ですね、贅沢を阻止するというようなそういう意味を加味されておるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  21. 西村英一

    政府委員西村英一君) 国有鉄道としても勿論でしようが、運輸省といたしましても、現在の国有鉄道の全般的な財政がよくない、殊に高木さんも御承知のように非常にたくさんやらなけりやならん仕事があるにかかわらず、余りに財政もよくない、従つて三等も含んで一般的な運賃を上げてそうして直すべきところも十分直したいというのが本当の希望でございます。併し全般的な国家の状況から見まして、やはり運賃値上げは全般的にすべきじやなかろうということになりましたので、比較的負担力のあると申しますか、そういう方面運賃を上げる。又その方法としては、今申しましたように通行税問題等が、これは外枠にすべきだという二つ議論もありますので、ただ単に何と申しますか、奢侈的なほうに重点を置いてということも一つはありますし、又国有鉄道財政収入を殖やすというほうもありますので、両方睨み合しての運賃値上げ、この改正だと私はかように思つておる次第でございます。
  22. 高木正夫

    高木正夫君 それでお尋ねしたいと思うのですが、一等旅客運賃飛行機と比べてやや高いようなことになるのですが、そうすると、この前植田さんがおつしやつた二十億とか増収になるのだと言われておつたが、大分飛行機に食われるのじやないかと思うのですね、そうするとそれを見込んで、やはり何ですか、一等旅客運賃が減ることを見込んで、そうして約二十億ほどの増になる、こういうふうに承知していいわけですか。
  23. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに御指摘のようにそういう影響はあると思います。併し一等につきまして申上げますと、現在におきましてもどつちかというと、そう飛行機に比べて安くもないわけであります。というような観点で確かに影響がございまするが、一等の全体の収入というものも、これも全体としても大したこともございませんし、多少影響はあると思いまするが、特にこれによりまして国鉄収支影響するというほどの大きな影響は考えておりません。
  24. 高木正夫

    高木正夫君 そうすると奢侈的の抑制の意味も多少あるという政務次官の御答弁でしたが、そうするとこの前岡田委員からお尋ねになつたように、この際思い切つて、つまり経営の合理化という点もかみ合せて、能率の悪い一等を廃止してしまつて、全部新らしい二等車にする、私は大体一等車といわゆる特二等はそう逕庭がなくなつて来ておるように思うのです。こういう際に思い切つて合理化して、一等を廃止するというところまで思い切つてやる御意思はないですか、どうですか。
  25. 植田純一

    政府委員植田純一君) 前回もちよつとその問題に触れられたと思いまするが、二段階にしてはどうかというふうな点もございまするが、それはなお今後の問題でございまして、殊に外国からの旅行客等もございますので、今直ちにこれを改正するという、二段階に改めるというふうなことは考えておらないわけであります。将来の問題といたしまして、どういうふうな段階にするかということは、或いは検討すべき問題かと思います。
  26. 高木正夫

    高木正夫君 それからもう一つ関連してお尋ねしたいと思いますが、今回二等、一等だけを値上げする、将来三等運賃まで値上げする御意思がございますか。
  27. 西村英一

    政府委員西村英一君) その問題につきましては、本当に将来の問題でございまして、今それを予測しておるわけではありませんですが、やはり国鉄の現状から申しますと、やはり合理化を図つてつて資金の生み出しをするということは、これは十分やらなければならんけれども、その程度におきましては、やはりどうしても施設の改善ができるかどうかということ、又借入金をむやみにやつて、そうして借入金のために非常に大きい利子負担をするということは、これは非常に国有鉄道財政上困る問題でございまするので、或る程度やはり時日がたちますれば、そういうことも考えて、やはり財政を強固にして施設のほうの改善をやつて行かなければならんのではないか。併し現在の利子負担も軽減して行かなければならんのではないかと、こう考えておかまするが、併し今予測しておるわけではございません。
  28. 高木正夫

    高木正夫君 併し承わつてみると、今回もやはりできれば三等の運賃まで値上げをしたいという御意思で大蔵省あたりと折衝された、こういうことから察して、大体そういうふうに国鉄のほうで御意思を持つておるのじやないですか。
  29. 西村英一

    政府委員西村英一君) 国有鉄道としては、それは持つておるかも知らんけれども運輸省も現在上げるということを全然考えぬわけではないが、これはもう国全体のやはり状況によつてきめることですから、今申しましたように、国有鉄道財政のみを考えれば、そういうことも考えられるけれども、さりとて国全般をやはり考えてやらなければならんから、気持はありましてもそれをやるとか、いつ頃になつたらそういうことを着手しようという意図は、今持つておらんのでございます。
  30. 高木正夫

    高木正夫君 それからこれは甚だ申しにくいことになるわけですが、私はこの大世帯で二十億ぐらいのことで運賃値上げをするということは、感じといたしましてはどうかと思うわけです。もう国有鉄道の経営として合理化の余地は持てないのかどうかという問題なんですが、今のところでこれ以上合理化することはもうできないとお考えになつておられるのですかどうですか。
  31. 西村英一

    政府委員西村英一君) これは先般の委員会でも一松さんからお話があつたわけですが、僅か二十億ぐらいの財源を得るために運賃値上げしたという汚名をこうむるのではないか、こういうお話があつたので、非常に尤もだと思うのですが、私たちも何も二十億くらいの金のために運賃値上げという汚名をこうむりたくないのでありまして、実際今度の問題は、財源の一部にしたいという気持と、それからもう一つ、通行税はこれはやはり外枠にすべきだという議論二つの兼合いでございまして、それで僅かの収入でございますけれども、一方収入の途を図り、又政府等から借りておるような金の延期も図りまして、全体的な収支のバランスを図るということにいたしたのでありまして、その意味におきましては、あなたのおつしやる通り運賃値上げを二十億ぐらいしたという汚名をこうむりたく実はないわけであります。従いまして比較的負担力のあるところから、多少の、二割の値上げになりますが、通行税外枠ということは、これはかねてから希望しておつたわけでございます。それが実現されたということと、それから若干の収入が殖えたということと併せて考えておる問題でございまして、これは値上げという汚名は実はこうむりたくないわけでございます。
  32. 岡田信次

    ○岡田信次君 甚だ無理な質問なのですけれども、今回の二十億ばかりの値上げによりまして、国鉄の経営上或いは輸送上多少なりとも改善を期待し得られますかどうか、その点を先ず承わりたい。
  33. 植田純一

    政府委員植田純一君) 二十億の値上げだけを取出しましても、国鉄の目に見えた改善ということはちよつと申上げられないと思いますが、今度の実は国鉄予算におきましては、実は先ほどもお話がございましたように、国鉄といたしましては老朽施設車両のいわゆる補充取替ということのために最も多くの自己資金を、いわゆる収益勘定から工事のほうへ繰込んで、そしてそういうものの改善をどんどんやりたいというふうな意図であつたわけであります。それが抑制されました関係で、全体的に申しまして、この収支関係は、収益勘定におきましても又工事勘定におきましても、かなり窮屈な予算になつておるかと思います。その限られた予算範囲内におきまして極力改善を図つて参るべく考えておるような次第でございます。この窮屈な収支の均衡を保つために、どうしてもこの程度の財源を確保しなければならなかつたというのが、根本的なこの値上げ理由と相成つておるようなわけであります。従いまして、非常に全般的に窮屈でございまするが、仮にこの二十億の運賃値上げがございませんと、又どういうふうな方法を講じますか、それだけの穴があくというふうな関係になつておるわけであります。全体として非常にまあ窮屈な、収益勘定におきましても、弾力性の非常に乏しい予算になつておる、まあかような状況におきましてこの値上げを止むを得ず考えたようなわけでございます。
  34. 岡田信次

    ○岡田信次君 次に、私はこの国鉄が経営しておる志免炭鉱のことについて二、三伺いたいと思います。大体来年度の予算を見ましても、志免炭鉱を経営するために二十億余の経営費を出しておると、それで一方今日まで二十億余の投資をしておられる。而も出ておる石炭の量は、まあどうやら今年は五十万トン近くになるらしいのですが、まあ五十万トン足らずぐらいだと、一方石炭界の情勢は、良質の石炭が安くできる。志免炭鉱では大体七割余も粉炭だというので、国鉄自体の運転用には余り向かない石炭が出ておるというような状況から考えまして、片方で二十億余の運賃値上げをやるという際に、志免炭鉱が当初国鉄が経営しようという目的と最近相当外れて来ておるのじやないか。ですから、この志免炭鉱に対して、今後どうして行くかというお考えを一つ総裁から伺いたい。
  35. 小林重国

    説明員(小林重国君) 一応私から志免炭鉱の最近の状況について申上げます。お話もございましたように、終戦後石炭の需給が非常に困りましたので、海軍の炭鉱を引継ぎまして、採算よりもむしろ数量増産を重点におきまして志免の経営をやつてつたわけでございます。併しながら、御承知通り、最近のように石炭の需給が緩和して参りますと、増産よりもむしろ採算の面にもつと検討を進めなければならないのではないかというような考えが強くなつて参りまして、国有鉄道も御承知通り、日本国有鉄道として公共企業体として出発をいたしまして、独立採算制といつた問題がやかましくなつてつておりますが、志免工業所につきましても、採算につきましてもつと厳格な方法をとつて行かなければならんと、こういうような考えによりまして、数年前から採算を非常にやかましくやつておるわけでございます。現在採算の基礎といたしましては、私のほうで九州の大手等から購入いたしております類似の炭と同じ採算をとると、こういうような考え方に立つております。それにいたしましても、本社費とか利子とかその他がかからんではないかというような議論がございますが、大手一般から買いました炭価で計算いたしまして、そのうちから本社費並びに利子、これは九州の大手が一般的に負担しております、現在一トン当り二百八十円見当になつておると思いますが、そういつたものを引きまして、その残りの額で採算をとるというような建前を強く堅持して参つたわけでございます。その結果によりまして、二十七年度は一億見当の黒字が出たのでございます。これが志免炭鉱といたしまして国鉄の経営に移りましてから最初の黒字でございます。それから本年度につきましては、ペース・アツプもありました関係上、なかなか困難な情勢にございましたが、どうやらとんとんの状態でやり得るというような一応見通しになつております。二十九年度以降でございますが、これは石炭の需給情勢が非常に緩和して参りまして、昨年よりも更に炭価が下るのではないかというような予想が多分に行われております。我々も相当炭価の下ることを期待しておりまして、これから折衝に入るわけでございますが、相当大幅の値下げになりますと、志免炭鉱のみならず、一般の炭鉱企業におきましても赤字の出る所が出て参るのではないかと思つております。そういうふうに一般の炭鉱におきましても或る程度の赤字を免れないような情勢になつておりますし、志免といたしましても、相当多額の赤字が出やしないかというような懸念を多分に持つておるわけでございます。この点につきまして我々といたしましては、できるだけ物件費を切詰めまして、そうして能率も高めるという考え方に立ちまして、人員の配置転換、過剰人員の整理といつたような問題につきましても検討を進めて参つております。将来の見通しといたしまして、志免の経営は相当困難になつて参るのではないかということも考えられますので、そのうちこの炭鉱の処置についても十分検討して参らなければならないだろうと、私自身といたしましても考えておるような次第でございます。
  36. 岡田信次

    ○岡田信次君 この二十九年度の志免炭鉱の工事勘定は、たしか七千六百万円というふうに上つておりますが、二十八年度、二十七年度、二十六年度あたりは大体二億、三億、四億くらいになつておる。今度工事勘定が窮屈な関係上三分の一になつちやつたのでしようが、これで以て果して五十万トンの石炭を確保することができるのでしようか、どうでしようか。
  37. 小林重国

    説明員(小林重国君) 大体終戦以来約二十億の工事費を投下いたしまして竪坑の開発を行なつたわけでございます。この竪坑の開発が大体目鼻がつきまして、その竪坑を中心にして切羽を新らしく作つて行くと、こういうような方向になりましたので、工事経費自体としては節約できるようなすでに状態なつたわけでございます。又採算面から見ましても、今工事経費を徒らに投下いたしますことは、採算を更に悪化させることになりますので、これをできるだけ切詰めるように指導いたしておりますので、来年度の予算といたしましても、二十八年度に比較いたしますと大幅の削減になつておるような次第であります。
  38. 岡田信次

    ○岡田信次君 大体この志免炭鉱を経営しようという目的が、鉄道の運転用炭を確保すると、それから又原価計算その他を正確にやつて、購入炭の牽制というか、購入炭の炭価の参考に資するというようなことにあつたと思うのですが、先ほどお話のあつたように、来年度は相当赤字になる虞れもあることではないかと、それから五十万トン足らずというと、一割足らずですかね、そうすると、初めの目的とかなり懸け離れて来ておると思うので、片方で相当無理をして鉄道運賃値上げするというときに、これらの経営についても十分お考えを頂きたいと、希望を述べておきます。
  39. 一松政二

    ○一松政二君 ちよつと関連して。志免炭鉱の話が出ましたので、一言聞いておきたいのですが、志免炭鉱の従業員の待遇の問題なんです。これは国鉄のいわゆる従業員と、これから今度は炭鉱の賃金の標準とからまつて来るであろうと思うのですが、志免炭鉱の従業員の賃金基準はどこによつておりますか。やはり国鉄並みの中に入つては無論いるには違いないが、その標準は、いわゆる大手の炭鉱の従業員とのすべてを考慮した賃金の基準は一体どういうことになつておりますか。
  40. 小林重国

    説明員(小林重国君) 従来炭鉱の労務者等につきましての賃金の基準につきまして、いろいろ組合側と議論が行われまして、この根本的な考え方が非常に確立しておらなかつたのであります。それでどちらかと申しますと、まあ多少語弊がございますが、労務員としましては国鉄のいい所も、海運自体のいい所も、民間炭鉱のいい所もといつたような慾張つた考え方も多少あるようなきらいもございましたので、この点を明確にいたしたいというのが、我々の年来の念願でございまして、昨年でございましたか、たまたま賃金が仲裁委員会にかけられましたので、この仲裁委員会におきまして相当はつきりした線を出して頂きました。労務員につきましては、民間の炭鉱を基準にしまして考慮する、こういうような考え方が強く現われて参ります。尤も国鉄の一部として経営しておりますものでございますから、やはり国鉄職員との調整の問題は多少は残つておりますが、原則といたしましては、民間炭鉱の労務者に合わして行く、大体大手の、九州方面の大手の賃金に合わして行くというような考え方で進んでおります。尤も先ほど申上げましたように、両方の間で協議がまとまりませんので仲裁委員会にかかつておるのでありますが、仲裁委員会ではそういつた点を考慮いたしまして裁定をいたしておりますので、必ずしも大手と同一額ということにはなつておりませんが、まあ同じような裁定で、同じような額を支給するというふうな方向に強く進んでおります。
  41. 一松政二

    ○一松政二君 先ほど岡田さんからもいろいろ御意見が出ておりましたろうが、あそこの炭鉱を国有鉄道の一部として経営なさることは、今後にいろいろな支障が起るだろうと、私は今の従業員の問題及び今後の経営の困難さからいろいろな問題が湧いて来ようかと思います。で、あそこの炭鉱の交渉自身にも或る程度問題があるだろうと思いますが、これは私からちよつと希望意見だけを述べておきたいと思う。ということは、あの炭鉱だけ切離して、一つの法人組織か何かにされて、全然国鉄とは切離された経営方針をとられるかどうかしないと、すべてが国鉄の経営の内部に食い込んで来て、その残りを全部国鉄が処分しなければならんし、待遇等についてもますますやりにくい問題が起りはしないかということを恐れるわけです。日本の炭鉱が今後何年間は私は相当苦難の時代を歩むであろうと思います。でありますから、これは国鉄当局とされては、何らかこの経営を国鉄全般の経営の中に入らないで、炭鉱は炭鉱だけで生きて行くのだという仕組にお考えになるように私は希望いたしまして、私の関連質問を終ります。
  42. 天田勝正

    ○天田勝正君 先般来、今回の運賃改正目的国鉄収支を軌道に乗せるということなのか、運賃体系を整備することなのかということが各委員から質問されておるわけですが、これに対して政府側の答弁は、両方の兼合いである、こういうことなんです。ところがこれを分析してみまするというと、一体体系の整備も兼合つておるということは肯けないというのは、それならば他の等級のものには税金外枠になつておるかと言えば、必ずしもそうでない。税金外枠でずつと行くならば、それはそれで運賃体系の整備だけれども、この分だけを外枠にするというと、これは兼合いの考えの中には私は入つておらない。そこで当然に国鉄収支を改善すると、これだけに考えが渡るわけです。こういう観点に立つて、今度は国鉄当局の説明並びに監督行政の説明書を見てみまするというと、こういうことになつておるのです。輸送量の増加に伴う経費増、減価償却費等の増額を図りたい云々と、こういうふうに説明されておるわけです。従事員の給与ベースの改訂は、成るほど経費増でございましようけれども、輸送量の増加に伴う経費増も無論経費増でありましようけれども、輸送量が多くなれば運賃収入も上つて来て、あべこべに減価償却も十分にできるようになるんだし、総体的には収入が増すと、こういうことが当然なんです。従つてこの面ではむしろ運賃を下げてもいいというようなことで、そうすると従事員の給与ベースとの差引きをしてその分だけを上げるというなら一体話はわかるのですが、普通の商売ならば仕事の量が殖えるということは、むしろ収入が増すと、こういうことになるんだが、これが経費増で運賃の増額を図るというのはどこから来ておるのですか。
  43. 石井昭正

    説明員石井昭正君) お話の当初にございました通行税外枠の問題でございますが、これは今回の措置によりまして、全部外枠にいたしまして、ほかの運賃につきましては、残つておらない建前になつておる、かように考えておりますが、三等運賃につきましては、これは昭和二十五年以来無税になつております。通行税はかかつておりません。一、二等を外枠にいたしますれば、会計がとれるということかと思います。  それから今のお話の点でございまするが、これは予算という建前で出ておりまするので、いろいろ誤解を頂いておるのではないかと思いますが、予算収入のほうが約、運輸量の増加を二%以上見込んでございます。従つて収入をそれだけ上げるという前提で、お話の給与改善その他が出ておるわけでございます。従つてその運輸量を増加いたしますために必要な経費というものは、勿論収入の増加に比較いたしますれば一部でございますが、やはり経費のほうに見て頂かなければならない、そういう意味で運輸量を増すための必要な経費並びに減価償却の増、これは別個の関係で、資産増加に対応いたしますために必要でありますが、そういうものが昨年度に比較いたしますと、経費として殖えなければならんということを御説明申上げたわけでございます。それと見合つておりますところの収入増加を十分に一方収入のほうに入れて、収支のバランスをとつておる、こういうわけです。
  44. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで国鉄収支という観点に立ちますると、私はただ運賃収入ばかりではなしに、説明にもございますが、いろいろな収入がある。その中の一つは、先般来当委員会でも、決算委員会でも問題にされておりました民衆駅等の収入も当然出て来て、これらの収入が一般と同じように図られておりまするならば、こうした処置をとらなくても私はいいのではないか。ここに計算の十分資料を持つておりませんから、その額がどのくらいになるかはわかりませんけれども、とにもかくにも、そうした収入が十分図られておらないということが、こうしたところへ出ても来ると私は思うのです。そこで、一つ私は例を申上げたいのですが、先般も運輸行政全般についての質問の際にも触れておきましたけれども、例えば秋葉原会館のごときものにいたしましても、国鉄ではこれは当然経験があつたり、これならばやり得るという者に民衆駅を許可したのだろうと思うのですが、ところが、秋葉原会館の株主総会に行つて見まするというと、何と一億二千万円の赤字だということが説明されておる。簿価においても未だ四千数百万円の赤字。従つて、資本金を全部食うてもまだ遥かに赤字が出ると、こういうようなことで、全然妥当なる、能力のある人に許可したということはないのです。そういう赤字で遂に潰れるということになれば、その収入なんかはもう国鉄に入つて来ないということが当然起つて来る問題であります。而も未だに、昨年本院の決算委員会で問題になりましてから、七百万円かの構内使用料金徴収国鉄は図つたようでありますけれども、実際にはこれはまだ交渉途中でさつぱりそれすら納入されておらない、こういうような有様であるのでありますから、私は直接この運賃の問題ではありませんけれども、こういうものがどんどん入れられておりますならば、こうした処置をとらなくてもいいと考えられますので、それらがどうなつておるか、この際説明願いたいと思う。
  45. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 只今お話のございました、まあ私どものほうで雑収入と申しておるのでありますが、主としてそのうちで土地物件貸付料、或いは広告料、或いは構内営業料、こういうような種類の料金についてどうも取り方が、もう少し料金を上げたらよろしい、或いは取り方が緩慢であるというようなお叱りをたびたび頂いておるのであります。来年度につきましては、勿論運賃値上げということをお願いいたしますのでございます。まあ政府の御方針によつて一、二等の通行税外枠分だけということに相成つたのでありますが、こういうお願いをいたしますにつきまして、私ども只今御指摘のような点は十分努力しなければいけないということを痛感いたしておりまして、そこで雑収入につきましては約十七億円の増加を考えております。で、結局土地物件貸付料、或いは構内営業料、それから広告料等につきましては、昨年の、これは二十八年度の収入に対しまして二倍乃至三倍というような多額の増収を見込んでおる。これは十七億と出ております。一口に十七億と申しますと、鉄道収入といたしましては、全体の額から見ますと僅かなようでございまするが、すでに雑収入は昨年におきましても、これはもう前のいろいろな経費を以て充てて参りまして、二十七年度においては七十億近い金になつておる。これに十四億加えますと、九十億……、八十五億という予算でございますので、こういうものも、一企業といたしましても、日本におきましては、なかなか百億近い収入というのは大きな収入ではなかろうかと思うのでありますが、ただ私どものほうの只今申上げましたような雑収関係でこれだけ努力いたしたいということを考えておりますので、決して御趣旨の点を疎かにしているわけではございませんので御了承頂きたいと思うのでございます。ただ、只今申しましたように二十八年度の予算でございます、昨年いろいろ問題になりましてから、料金の是正徴収等を図つておる、この点についての実績というものにつきまして、今資料がございませんので即座にお答えはいたしかねますが、併しながら相当未収になつておりますものを全部徴収を図つておる、実績は私どもの聞いておる範囲では相当ございますので、決してこの点も疎かにせずにやつておるつもりでございます。具体的な資料がないので即座にお答えができませんで大変申訳ないと思います。
  46. 天田勝正

    ○天田勝正君 私も実際の資料を持つて来て質問したいししますが、これは民衆駅の問題は、決算委員会で言われて天坊副総裁が答えられたのが実施されておりませんから、その問題については改めてそれについて十分なる時間をかけて私からも申上げたいと思つております。  ただ関連して、私がここでこうした収入があるのだということを申上げたいのは、秋葉原会館のこれは具体的な例ですが、ああした会館をあなたのほうから許可されている物の考え方です。これはこういうことなんです。あの場合でも三千六百万円かの施設国鉄に寄附した。寄附したからそうした料金は免除してくれても然るべきである、こういう考え方を現実に言うている。そこでこういう考え方が極めて間違つているということを、私は過日も私の所に陳情に参りましたから言うてやつたのです。一体国鉄に寄附したと言うても、それは従前通り自身がそれを使用しているのだ、そうするというと、これを国の物に名義換をしても使用価値としては何ら変りがない。そうすればすべての国民というのは、自分の住宅はみんな国の物に名義変更してしまつて従来通りそこへ住まつているということになれば、実に寄附した寄附したと言いながら、合法的に脱税ができるという結果になるのだ。それは寄附したことが将来への利益であつて、一つの国に寄附して恩恵を施したがごとき考えを持つのは全く筋違いである、こう言つてやりましたところが、これには何の答えなく、認めざるを得なかつたのですが、そういう物の考え方をしている者にあなた方が結局は……、いつか長崎総裁は国有財産でないということを答えて物議をかもしたけれども、とにかくいずれにいたしましても、国民の税金から国有鉄道というものは初めに成り立つたのです。そういうものを貸すのにこういう考え方をした者に対して貸して金なんか取上げられるはずがない。僕は根本的にはここにあると思う。而も駅というのは、田舎の駅などは昔で言えば村はずれ、町はずれに無理に押しやつたという形が出ておりますが、自然の勢いでそこが町の中心になり、又目抜きの通りになつております。若しここでずつと商売をやつていいという許可を受けた人があれば、民衆駅はすぐできてしまいます。而も十分の利益が上る。併し形においてはその施設の一部を国有鉄道に寄附したということになるから、それで使うのは自分だけで、こういうことで寄附したことだけを恩に着せてだから使う料金を負けてもらつてもいいのだ、未だに交渉中だ。こういうことを平気で報告されるような事態が起きて来る。ですから、直接の関係はありませんが、ただ取上げると言つても、こういう考え方の者にやつてつても容易じやない。根本的に一つ考え直すつもりがあるかどうか、この点を承わつて置きたいと思います。
  47. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) 今秋葉原の例をとられまして、いわゆる民衆駅といいますか、そういつたようなものについての考え方についての御指摘がございましたのですが、この全般論といたしましては、いわゆる民衆駅といつたようなもののあり方、扱い方というような問題、或いは国有鉄道管理しております財産の評価というものにつきまして、元来いろいろと批判を受けましてこれを根本的に考え方を、取扱方を変えなければならないということで、私どもといたしましては、民衆駅等委員会というものを作りまして、各方面のいろいろなお方々をお願いして御研究を願つておりますし、又一方土地建物等の評価委員会を設けまして、それらの評価等について御意見を伺つておるのでございまして、大体いろいろな具体例や、或いは全般の構想などを練りまして、近く一応の方針というものがまとまつて、何といいますか、答申が得られるのじやないかというように考えておりますし、又一方、構内営業規則とか或いは財産管理規程というようなものの改正につきましても、だんだん制限を付けまして、改正の段階に近くなるのじやないかと思います。その節にはそれについて又御批判を得る機会があるかと思うのでございます。要するに十分注意をして、何といいますか、落ちのない規定を整備し、又運営方法もそれに従つてつて行きたいと思つておる次第でございます。  それから寄附した場所の使用料といつたようなもの、或いは寄附した人の考え方というようなものにつきましても、建物などを寄附した場合には、その使用料はまけている例はございますが、土地使用料というようなものについては徴収しておりますし、又構内営業料というものも取つておるのでございます。ただその評価が高いか安いかというような面、或いは又そういう土地使用料、建物使用料、或いは構内営業料というようなものを別々に取るほうがいいか、或いは一つの賃貸式なものにしたほうがいいかというような問題もあります。又一口に民衆駅というような言い方をしましても、いろいろなケースがございまして、複雑多岐に亘つておるものでございますから、要するにそれらのものを整備しまして、そういう妥当性のある扱い方、又料金のきめ方というものをやつて行きたいということで、先ほど申上げましたように、近くそういつたものに対しても結論が得られるような段階になつております。なお、そういうはつきりした方針なり結論が出る前におきましても、一般に考えまして料金などの妥当を欠くようなものにつきましては引上げるというような措置をとりまして公平妥当な措置を講ずるように極力努力しておる次第でございます。
  48. 天田勝正

    ○天田勝正君 時間がないので、他の委員に迷惑になりますから私は深く掘り下げるつもりはありませんが、今のお答えでも問題がある。土地料金は取るけれども、寄附された建物の料金はまける場合もある、こう言つておる。その考え方が私はおかしいと思う。じや若しこれが個人々々の住宅を国に寄附して、使うのはそれはそのままずつと使つて料金はまけてもらう、こんなことができれば、合法的にこれは脱税ということになりやせんか。我々はそういう措置ができるなら、自分の家はみんな国に寄附しますよ、そうすればもう固定資産税も何も払わなくていいということになる。そういう考え方がどだいお間違いであるということを言つておるので、未だにまだ局長が、寄附された建物というものは料金を免除するなんて、そんな考え方は途方もない話です。それならどなたもそうやる、こういうことを申上げておきます。  それから当然に民衆駅にしても、ガード下をいろいろに使つておりますけれども、あれはみんな目抜きの場所なんです。あすこで商売ができるということになれば、それは相当の犠牲を払つても商売人というものは、これは確保したいのが当り前なんです。だから一般市価より高くてもいい土地を極めて安いあれで貸しておる、こういうことは改めてもらいたいということを私は要望しておく。  次には、さつきも秋葉原会館の例で申上げましたけれども、経営当事者が一億二千万円の赤字だと言つておる。これで潰れたら、さつき申されました十七億の収入の増を図ると言つておりますけれども、図れはせんです。潰れれば図れなくなる。現実にこれをどういうふうにこの赤字を処理しているか。原資以外に途がないと言つている。でありますから普通の会社であれば、仮に七千万円で一億二千万円の赤字が出たならば、これは普通手を上げざるを得ないですよ。事業に経験のある者だつたらそうなんです。ただ国鉄の物資部の要するに出店者などになつているから、そのバツクによつて経営を続けておるのであつて、普通の業態でこれだけの赤字が出たら潰れる。若し潰れた場合は十七億の雑収入の増を図る、こう言つておりますけれども、図れるはずがない。そういうことになつたら一体どうするか、こう聞いておる。
  49. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) 最初の使用料の問題につきましては、御意見の通りに十分妥当性を持つように改善しておるわけでございますが、建物使用料全部を取らないというような次第ではありません。例えば補修費に該当するもの或いは保険料に該当するもの、それから固定資産税につきましてはそれといつたようなものにつきましても勿論取るのでございますが、一般に自分が建てて貸した場合と違つておる取扱をしておる例があるということを申上げた次第であります。  それから非常に高価な所を安く貸しているというような問題につきましては、先ほども申上げましたように、評価委員会等を設けまして、それに従つて善処して行きたいと思つております。なおその相手方の資産状態が悪くて取れない場合ということにつきましての問題は、今後におきましては、そういう点について更に一層注意をしなければならんわけでございますが、今までのものにつきましては、具体的にはそれぞれの措置をとるわけでありますが、いずれにしましても、その適正にきめた料金が徹底的に確保できるような方法を講じて行きたいと思つております。
  50. 天田勝正

    ○天田勝正君 さつきも言うように、私はこの問題を長く聞くつもりはありませんけれども、どうもそういう潰れるということがもうすでに材料は出揃つておるという状態で、若しそういう場合にも収入を適正に図るといつたところで潰れる相手から取れない。おまけにもう一つ私はこの際指摘しておきたいのですけれども国鉄物資部等で納入いたしておりまするものはその出店者から七分の金利を取つておる。それでこれが五カ月で皆済になるのですから、相当高い金利になるのですがね。そういうものを取つてつて、ともかく出店者の負担というものは、一つの品物を売りますというと、二割三分六厘というものはどうしても払わなければならん。その中に要するに国鉄の構内営業料のコンマ八分というものも加わつておる。一体商売をしたことがあればすぐわかる道理は、一つの品物を売つて利益というものは余計見ても三割なんです。それといろいろなものが加算されるけれども、出店者というものは二割三分六厘ここで金を取られておる。そうすると一体二割五分の利益を得て売つた場合に幾ら残るかと言えば、一分五厘そこらしか残らない。この一分五厘で税金を払つて出店者なんかはやつて行かれる理窟はない。而もその売るたびごとに構内営業料金をその中に含めて、コンマ八ならコンマ八というものを現に納めておるのです。納めておつて国鉄に納まつて来ないということは一体どういうことか、これをお聞きしたい。私は資料がないのに詰め寄つて今日どうしようと思つてはおりません。そういう皮肉なことをする必要はないのですが、これらのことについても十分御注意が行届いておらないから、こういうことになつておるのです。ですから私も若し具体的な数字を持つて来いと言えば、今立つて控室に取りに行けば直ちに持つて来られるのですが、あなたのほうで同じような資料がなければ答弁に困るでしようから、私はこれはやめておきますけれども、十分そういつたことを精査して……、相手が潰れてしまつたらどうにもならない。現に商品はほかへ売つたことを言つているのじやない。国鉄物資部へ納めたものの中にちやんと幾ら幾らその使用料を取られておつて国鉄へ納める分も入つておるのです。それをしもあなたは建物を寄附したものだから、この構内営業料金等を割引してもらつてもいいというような考えを持ち、そうして国鉄はその話に一部乗る気持があるなどと言うに至つてはとんでもない話だと私は思う。ですから十分この点については調べられて、次の委員会等においては、いつなんどきでもお答えができるようにこれを要望しておきます。  次に、自衛隊との関係ですが、これは他の委員が若し質問しておれば私はやめてもよろしいのですが、今度できると言われておる自衛隊法の中に、国鉄との関係規定されておる。これは監督局長も御存じだと思います。これは国有鉄道と緊密な連絡を保たなければならない。長官は、長官とは自衛隊の長官を指すわけですが、長官は、特に必要があると認める場合は日本国有鉄道に「協力を求めることができる。」、こういうようなことが規定されるやに伺つておるわけです。この「求めることができる。」という法の解釈でありますけれども、これは別な事柄でありますが、私どもが国会法の改正に現在手を着けておりまして、その中に御承知通り「国務大臣及び政府委員の出席を求めることができる。」云々、こういう言葉が随所に出て参る。この法解釈を、過日も十分検討して統一したわけですが、「求めることができる。」ということは、出席しなければならないという義務付けであるということは、これは両院の国会法改正委員会で法解釈が一致しておるわけです。従つて今挙げました自衛隊の関係においても、日本国有鉄道に対し「協力を求めることができる。」、こういうことは、求められたならばしなければならない、こういうふうに法としては解釈し、読まなければならないものだと私は信じます。従つてこれについては、国鉄当局にも相談があつたと私は思つておりますが、然らばそういう協力を求められたときに、一体どうするのか、又それが運賃に一体関係があるのかないのか、こういうことは当然保安庁でこの法律案を出すには相談があつたと思いますが、それらの点についてお知りになつた点を一つお答え願いたいと思います。
  51. 植田純一

    政府委員植田純一君) 自衛隊といたしまして、自衛隊の根本的ななには別といたしまして、「協力を求めることができる。」、この場合にたしか、今条文は持つておりませんけれども国鉄といたしまして、特別な事情のない場合におきましては協力するのが当然である、たしか「特別の事情」と申しますか、そういう字句が条文にあつたと思います。従いまして、この自衛隊から協力を求められまして、国鉄として特別の、どうしてもできないという事情があれば、当然これは拒否していいものであると、かように解釈いたしておるわけであります。なお運賃につきましては、これは当然運賃は収受する、又その具体的ないろいろの場合につきまして、或いは細部のいろいろ国鉄と協定と申しまするか、打合せなければならん点はこれは残つておると思いますが、運賃につきましては、曾つての日本の軍隊におきましても、これは運賃を収受しておつたわけであります。当然運賃は収受するつもりであります。
  52. 天田勝正

    ○天田勝正君 私がこの運賃法に関連して、この問題を質しておきたいのは、協力を求められれば、今御説明のあつたように、特別な事情があればこれは断つてよろしい、併し求めるということは、今の法解釈は、求められたほうは義務がある、こういうふうに読むのが当然であるのだから、特別の事由のない限りは、これは求められれば、協力しなければならない。そういたしますると、今度は運賃の点についても、当然協力を求められることになりましよう。ところが国鉄収入としてはいずれにせよプール計算です。これはパスで乗るにしても回数券で乗るにしても、一々運賃を払つて乗るにしても当然プール計算です。それでその結果が、現在乗るほうの者からみて、大体一月に五日乗ればパスを買つたほうが得だというふうにできているのは御案内の通りだけれども、それが仮にパスによつて国鉄がその分だけを計算すれば赤字になろうとも、これは国鉄のことですから、多少社会政策面も加えて五日乗つて十分利用者がそろばんがとれる、こういうことがあつてもよろしいと思う。そこでやはり私はそういう、それに準ずるような協力を求められるであろうと想像される。そういたしますと、自衛隊の当然の費用というものが、逆に国有鉄道のほうにしわ寄せされて来て、それが今度は一般乗客のほうの運賃が高くなる、こういう結果を招来することは見やすい道理なんです。でありますから、そういう場合にどうするかということを伺つておきたい。どの程度まで運賃の部面においてほ協力するつもりなのかどうか、ここです。
  53. 植田純一

    政府委員植田純一君) この協力という意味は、自衛隊のいろいろの使命達成上の必要からの協力でございまして、運賃についての協力というふうなことは、ここに言う協力に含まれておらないのであります。この点は、自衛隊の方面におきましても、運賃についての協力ということは含まれておらないということははつきり言えるのじやないかと考えております。
  54. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうするとさつき、曾つても軍隊輸送の運賃を収受しておつたというお答えがあつたので、そういたしますると、この運賃等で今後の新らしく出て来る協力については、回数券程度運賃を取つて協力する、輸送上の協力でしようが、そういうふうに例えば貨車を提供するとか、或いは専用列車を提供するとか、そういう運行上の協力はするけれども運賃については全然考慮しないということにも行かんでしようから、そこでどの程度に協力する用意があるのか。つまりそれはパスと同じ程度まで協力してしまつては、どうしてもそのしわが一般旅客のほうに来るから、そこで回数券程度に協力するつもりがあるのかどうか、この点を伺つておるのです。
  55. 植田純一

    政府委員植田純一君) 全般的に申しまして自衛隊につきまして、今直ちにどういう特別の協力をするということは、現在は国鉄におきましても考えておらないのであります。この点につきましては、恐らく今後の問題といたしまして、国鉄だけの、いわゆる何と申しますか、国鉄だけの計らいでの運賃ということでなくして、恐らく自衛隊のいわゆる運賃というものにつきましては、以前の軍隊の輸送につきましては、実は勅令でそういう点がきまつておりましたが、そういうふうなことから押しまして、何か特別の計らいをするといたしましても、これは国鉄単独ではそういうものは計らいをいたさない、かように考えております。
  56. 天田勝正

    ○天田勝正君 議論は絞つて考えますれば、要するにどういう特別な扱いをするにせよ、そこへ赤字が生じて、それが結局一般旅客のほうに転嫁されるということは困るのであつて、僕はできて来る自衛隊というものに、同じく国家の機構であるとすれば、国鉄つてもこれはどうしても協力するということになると思うのです。運行上の協力はさておいて、運賃の問題からすると、曾つては取つてつた。今度だつて取るということになると思うのです。取らないということになれば、そつくり一般旅客のほうにしわ寄せになると思うのです。取るなれば、取る限界を、他の旅客に迷惑のかからない程度に協力する、こういう答えが得られれば、私は運賃法に関することはよろしいのです。その点を聞いておるのです。
  57. 細田吉藏

    説明員細田吉藏君) 御説明申上げます。現行の日本国有鉄道運賃法の例外になるような運賃につきまして、特に便宜を供与するとか、或いは割引をいたすということは、法律上明確に運賃については割引をせよとか、運賃について善処せよといいますか、割引なりその他優遇の措置を講ぜよということは書いてあるのでございまして、御承知のように無賃乗車が法律で規定になつておるのは国会法だけです。割引については、身体障害者福祉法は割引の規定がございます。運賃を明瞭に法律に書いてございます。もう一つ何かあると思いますが、博物館法等につきましては、運賃について特別措置をしろ、こう書いてあるのでありまして、今回自衛隊の法律においては、運賃につきましては明確になつておりませんので、含まないという考え方でございます。そのほかのもので運賃割引を国鉄でしているじやないかということでございますが、この運賃割引については、考え方といたしましては、国有鉄道の営業政策その他いろんな点から考えても、割引でございまして、自衛隊につきましては、只今のところ割引する考えは私、国有鉄道にはないのじやないかと思いますが、運輸省といたしましては、只今の段階では割引をいたす、一般団体の割引は別でございますが、それ以外に割引をいたすという考えは持つておりませんし、今度出されました法律の解釈といたしまして、これは運賃までには及ばないということに保安庁のほうはいたしております。
  58. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は運賃値上げの問題について若干質問をしたいことがあるのですが、それは一応保留をしまして、この最終結論に持つて行くまでに、この際暫時休憩をして頂くようにお計らい願います。
  59. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時三十六分休憩    —————・—————    午後二時十八分開会
  60. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引続き、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  61. 大倉精一

    ○大倉精一君 採決に入る前に若干の点を質しておきたいと思います。先ず簡単に端的にお伺いいたしますが、今度の二十億のこの措置によつて生ずる財源の使途ですね、使い途について承わつておきたいと思います。
  62. 植田純一

    政府委員植田純一君) 午前もちよつとこの問題出ましたが、いわゆる収入の増加等を見込みましても、支出の面におきまして給与の改訂その他必要な支出に充てるためにどうしてもこの二十億の財源が必要である、かような観点から運賃値上げの止むなきに至つたわけでございます。
  63. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は国鉄のような厖大な世帯を持つておる企業体が二十億の運賃、僅かと言つては語弊があるかも知れませんが、二十億の運賃値上げのために、将来いろいろな方面影響を及ぼし又物議をかもすようなやり方はどうも納得できない点があるのです。只今の御答弁によるというと、ベース・アップその他のサービスの改善というようなお話があつたようですが、もう少し具体的にこの二十億の財源がサービスの改善という方面、どういう方面に具体的にお使いになる予定か。もう少し具体的に一つ御答弁願いたいと思います。
  64. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御質問のありました通行税外枠によりますところの増収分二十億が何に使われるかというお話でございますが、これは単に二十億を特定目的に何に使うかというわけではございませんので、昨年度の二十八年度の予算と比較をいたしまして申上げますれば、事業支出におきまして今回二十九年度から増加を認められましたものは減価償却の増加、これは第一次評価のベースでただ昨年中増加いたしました資産に対する償却費の増加、これが九億でございます。それから利子の増加、これは債券及び借入金の増加に伴いまして年間負担しなきやならない利子が六十数億ございます。これが更に十七億殖える。それから給与改善費といたしまして、ベース・アップの件が百四十億殖える。それから先ほどお話の出ました増収に伴う直接経費といたしまして四十七億増加いたしております。これからを合せまして、全部で大体二百十億円ほど昨年の二十八年度の予算と比較いたしますと増加いたしております。これに見合う財源としては、借入金の返還を延すことによりまして三十億、只今通行税外枠で約二十億、それから雑収入の増加が十四億、それから一般の普通の運賃収入業務量の増加に基きますところの収入増加が百十九億、そのほかまあ細かなものもございます。それに昨年度に比較いたしましての節約二十六億というものを合せましたものが、これが只今申しました支出増に対する収入のと申しますか、財源の関係でございます。従いましてこの二十一億を何に使うかという端的なお答えはできないのであります。要するにこれらを含めましたいろいろの財源で結局二百十億増加せざるを得ない経費の財源となる、こういうことでございます。
  65. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと相当の出費の膨脹によつて二十億という財源不足を捻出する。ここで私は運賃政策といいますか、そういうものに一貫した措置が今日においては見られない。本来ならばこれは三等運賃も含めて一緒に運賃値上げをやる予定であつたと思うのです。ありまするが、いろいろ世間の反撥なり或いは各方面の思惑、そういうものから縮められて、そうして二十億に縮まつてつたということで結論的には、一等、二等にそこで圧縮して行つたということであつて、ここに一貫したところの一つの方針の下に一等、二等運賃を上げるという、そういうものはないような気がするのですが、その点はどうなんですか。
  66. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かにこの運賃の根本対策と申しまするか、基本方針と申しまするか、そういう面から申しまするといろいろと考えなきやならん点もあろうかと思いまするが、御指摘の通り今年度の運賃値上げは一、二等の運賃値上げにとどめまして、その方法といたしまして通行税外枠ということをとりましたわけでございます。必要としますところは、先ほど来説明がございましたように、一つの収支の辻褄を合わすためにどうしても二十億が必要であるということから参つておるわけでございまして、できますならばこの運賃値上げも避けましてという考え方も実はいたしたわけでございます。これだけの不足に対しまして財源をどうしても必要とした、かような事情でございます。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御説明でまどうも納得のできないものがあるのですが、この二十億程度のものはこういういわゆる普通の運賃値上げという方法じやなくて、国鉄部内操作として経営面の合理化なり、或いは無駄の節約なり、或いはいろんな何といいますか、今問題が起つているような問題なり、そういうものを気を付けてやれば、やはり私はこれくらいの程度のものは捻出できると思います。それをあえてこれでやる必要が起きたというところに納得の行かない点があるのですが、その点もう一遍くどいようですが……。
  68. 植田純一

    政府委員植田純一君) この収入、支出の点につきましては、収入の面におきましては、運輸収入並びに午前中にお話がございました雑収入の面におきましてもできるだけまあ考えられるだけの収入を見込んでいるのであります。又支出の面におきましても必要止むを得ない支出、並びにいろいろの又経費節約等も見込みまして、極力経費の切詰めを考えましたのでありまするが、どうしても二十億というものが不足するということになつたわけでございまして、この二十億につきまして、例えば政府からの借入金で埋めるというような点につきましても検討はいたしたのでございまするが、政府財政上の事情がそういう点なかなか許されないというようなことでございまして、そういうような事情で、二十億の運賃値上げによる財源を見出すということに相成つたわけでございます。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで若しそういうこの二十億というものが、例えばこの法案を否決されてこの二十億の財源が運賃値上げから得られないという場合には、これは一般財政からこちらへ繰入れるということは非常に困難だと思うのですが、仮にそういうようなことになつた場合に、国鉄財政面のこの二十億に対する代り財源というものは、仮にこれが否決になつた場合にはどのようなふうにするお考えですか、ちよと伺つておきたい。
  70. 植田純一

    政府委員植田純一君) この支出面におきまして、先ほど申しましたようにいろいろと節約も図り、又極力切詰めておるわけでございまするが、従いましてどうしてもまあ必要な経費を計上しているわけでございまするが、仮にこの二十億の財源がなくなるということになりますると、この支出の面の、例えば設備のどうしても維持、修繕に必要な費用であるとか、そういうような事業の運営にどうしても欠くべからざる必要な枠を無理やりにでも圧縮しなければならんというふうな結果になるのではないか、かように考えられるのであります。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうことになると、私はこの二十億程度のものを捻出するために、こういう措置をとられるということについてはにわかに賛成しがたいのですが、特にそのほかにつきましても、例えば一、二等運賃だけを上げてほかを上げないんだというような答弁も衆議院ではされておるようですが、私はこの一、二等運賃値上げということによつて、将来三等運賃その他のバス等の運賃値上げ、延いては電気料金その他私鉄の運賃値上げというような問題も次から次に起つて来る必然性があると私は思つているのです。それで明確にお伺いしておきたいのは、例えば現在のこの一、二等運賃値上げ通行税の枠外というようなことでおやりになるのですが、将来やはり三等運賃についても通行税の枠外というようなことで出て来るのではないかと考えられるのですが、これが三等運賃、貨物運賃、バス運賃、私鉄運賃等の値上げ、そういうものに対する見通しといいますか、そういうものは絶対やらないんだというお考えなのか、その点一つ御答弁つておきたい。
  72. 西村英一

    政府委員西村英一君) 最前もその問題は触れたのでございますが、今回の運賃改正値上げの問題は、私たちの運輸省立場、又国有鉄道財政上の立場からいたしましては、必ずしも満足すべき方法ではないのであります。それはあなたが御指摘の通りであります。併し国内全般の情勢によつて、ほかのものが運賃値上げができなくても、国鉄といたしまして経営の合理化をやるにいたしましても、これは限度がある。従いまして財源を得る最小限度の途を講じたということでありまして、これがきつかけになりましてその他の料金値上げを考えるというようなことは、これは別個の問題でありまして、そういうことを考えておるものではないのであります。又午前中も質問がありましたように、それでは三等の運賃をいつかは君たちは値上げをする気持があるのではないかというようなお話がありましたが、これも現在の状況といたしましては、確かに国有鉄道財政は健全な財政じやない、これは再評価のことにつきましても、十分できておらない、ますます金が欲しいのだ、従いまして今後何らかの方法、何らかの事態が変化しない限りは、非常に苦しい財政状態を続けて行かなければならんから、やはりこれは社会情勢に応じて運賃値上げということは将来考えなければならんような時期もあるかも知れんけれども、今それを予定しておるわけではないと私は午前中も申上げたのでありますが、併し大体においては、低物価政策を、今年も一般物価につきましては三分乃至五分の物価の値下りになろうという状態でございますので、今後そういうような状況が続くならば、これは一般鉄道運賃値上げ、その他のこの運輸交通料金値上げということは私は余り考えられない、かように思つておる次第でございます。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもその点がはつきりしないことなんですが、将来考えなければならんかも知れんが、今は考えていない、こういうことはどこでも言われるのですが、私の聞いておることは、やはりこの一、二等運賃値上げということによつて、恐らくそういうような事態が来るということを国民一般は想定するだろうと私は思うのです。特にこの物価の変動というようなものは、これは直接関連性のある現象から出て来る場合もありますが、そのほかにやはり国民大衆の心理的な面に相当大きな影響が出て来る。今度のこの値上げというこの時期、これはあたかもガス、水道、或いは電気、放送の値上げも伝えられておる。或いはたばこ、ガソリン税、いろいろ値上げのことが伝えられておるのですが、その中でやはり国有鉄道というものが、国民の生活に密着した関係のある機関である、そういうものの値上げというものは、こういうものがこの時期に値上げをする、こういうことが延いてはやはり生活費の値上げということの一つの要素になつて来る有形無形の要素だ、こういうことを考えるのですが、こういう役をする。これは今政府が低物価政策を一枚看板のようにしておられる国策と全然逆行して行くような恰好になる。いわゆる今の経営の合理化には限度がある、こういう工合におつしやるが、これは国有鉄道にしろ民間経営にしろやはりそういうことは言えると思う。そうするとやはりこういう物価の値上げ或いは運賃料金値上げということがやはり必然的な趨勢になつて来る。而も政府の機関であるところの国有鉄道がこの先駆けをやる、こういうことによつて非常に矛盾を感じるのですが、こういう点についてほどうですか。
  74. 西村英一

    政府委員西村英一君) 私たちが鉄道運賃値上げをしようと、こういう希望を持ちましていろいろやりました当時も、物価に影響しないような仕方にしなければいかんという考え方でありましたために、特にこれは一般の値上げをするにつきましても、貨物料金は上げない、旅客料金のみについて考慮をしようというような配慮をいたしたのも、この一般の物価の影響を少からしめるようなことを考えてであります。而もそれが旅客運賃のみとしていろいろこの交渉を辿つて、それも一般の情勢においてできない、従つて最小限度にこの負担力の比較的あるほうから、而も最前も申しましたように、通行税の問題につきましては外枠にしたいというようなこともありましたので、最小限度のことを考えてやつたのであります。決して今度のこの措置によつて鉄道運賃値上げしたんだという、これは事実上値上げしたことになりまするけれども、そういうまあ意思ではなかつたわけでありまして、物価政策の、低物価政策ということにつきましては、初めから成るべく物価に影響を及ぼさないようにという考慮をいたしたような次第であります。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の申上げておることは、ずつと今まで初めから申しておることは低物価政策、物価に影響しないというようなことを考慮しているというお話ですが、これはやはり二十億というものですね、二十億という財源、それだけを生み出すためにこういう措置をされることが、私は低物価政策に反すると思います。精神的にも反するし、又感情としても、国民感青が物価に反映するという面からいつてもこれは物価に影響しないとは私は言い切れないと思います。而もこういう時期に、僅か二十億くらいの金を捻出するためにこういう措置をとられるということは、如何に弁明をせられても国民諸君の納得が行くまい。恐らくこれはやはり物価の、生活物資の値上げというものの一役を買う結果になると私は思う。そういうようなことから今度のこの措置については首尾一貫しないところのこの措置についてどうも承服しがたい。これと同時に、国民諸君もさぞ納得しがたいことだろうと思う。特にこういう運賃値上げというような場合は、恐らく時期というものがあると思う。而も最近において鉄道会館、或いは外郭団体の運営等の問題が、午前中も論議されましたが、こういうような問題から国民の政府に対する不信と同時に、国鉄というところの巨体についての、この大きな図体を持つておるところの国鉄の内部についてよほど国民が疑惑を持つておる。こういうような時期に、而も僅か二十億を捻出せんがために、こういう納得しがたいような措置をとられるということは、私は国鉄にとつても余り感心したことではないと思う。従つて今私はこの会館問題、或いはそういう疑惑というようなことをやはり国鉄としては本当に真剣にまじめに処理するという、そういうことが先決問題になつて、そして国民の信頼を回復といいますか、そういうための積極的な方策をとられるということが先決問題じやないかと、こう考えるのですが、ここで一つそういうような問題に対するところの積極的な方策について所信のほどを伺いたいと思います。
  76. 西村英一

    政府委員西村英一君) いろいろの点につきまして合理化を図らなければならんことは勿論でございます。最前も経理局長からお話がありましたように、今度の国有鉄道予算につきましても、旅客収入等はそんなにこれは多く期待できるかどうかということがわからんほど従来の二倍乃至三倍くらいの収入を見てやつておる。従来の予算に比べまして非常に厳しい予算でございまして、いろいろな点につきまして国有鉄道が批判を受けておるということにつきましては、国有鉄道は勿論これは十分引締つてやることであろうと思います。又私たち国有鉄道監督いたしておる立場から申しましても、十分その点は留意をいたしてやりたいと思つておるのであります。これによつて非常に運賃が値上りをした、運賃値上げをされるんだというような印象を国民に与えるというようなお話でございますが、私はまあそれは確かに上げておるのですから、そういう場合もあるかも知れませんが、さほどの影響もなかろうというふうな感じもいたしておるような次第でございます。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじや総裁にお伺いしたいのですが、今の次官のお話では、さほど影響がないだろう、さほど国民的なそういう感情の問題について影響はないというような御答弁ですが、これは一つの自己撞着じやないかと私は思うのです。これは私は国民の立場に立つてこの運賃値上げという問題と、それからこういうこととか、疑獄とかいうような問題と結付けて国民は当然考える。従つてそういうような問題について、積極的な措置というものを講ぜられないうちにおいてやはり運賃値上げするというようなところに非常に私は国鉄にとつても得策でないところがある。而も僅かでも財源に二十億出す、ここに至つては私はその真義をつかむのに困難だと思うのですが、詳細に一つお伺いしたいのですが、現在の疑惑一掃、特に国鉄の信用回復に積極的にどのような方策を持つておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  78. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 昨年来いろいろ日本国有鉄道をめぐりまして当国会においても問題になり、批判の的になり、又外部におきましてもいろいろな批判を受けましたことは極めて遺憾とするところでございます。更には司直の手によつてまで云々というようなことになりましたので、お調べになつておられる点についてとやかく申すことは控えるべきことでありますから申上げませんが、とにもかくにもそういう問題について、いわゆる新聞紙上等によつて疑惑の焦点になつたということは、私は深く我々は反省しなくちやならない問題であると考えております。従いましてこれらの点については、精神的な面において深く反省を加える、若しもそういう疑惑を招くようなことがあつたらこれは反省しなくちやならないと考えております。なお当時日国有鉄道の財産を他の人に使わせる場合、或いは民衆駅等の運営と申しますか、そういう金の貸付け、或いは駅の構内営業料の取立て等について不徹底の面があつたというお叱りについては、率直に当時その非のあることを認める次第であります。従いまして、当院或いは衆議院においても委員会の御意見も参酌いたしまして、先ほど来も申上げたかと存じますが、民衆駅の運営をどうすればいいかということをひとり我々だけで判断するのでなくて、その方面の専門の方々のお集まりを願いまして委員会を作り、目下どういう方向に行くべきであるかということを審議中でございます。又貸付等の料金の何と申しますか、取り方などについても、これはやはり専門の方々の御意見を聞くのがよろしいと考えましたので、そういう方の比較的多い東京並びに大阪の両鉄道管理局の中に、国鉄その他の財産評価に関する委員会を作りまして、これ又どういうふうにして行つたらいいかということを研究することになつております。又更に本庁には臨時財産管理部というものを設けまして、専門的に、こういうことについての法律上の管理、或いは経済上の関係、人事上の問題というようなものの処置をして行くようにいたした次第でございます。大倉委員も御承知通り、戦争後あの混乱の時代に、非常にそれらの管理についての何と申しますか、不法占拠があり、混乱いたしたことについては、私も遺憾に堪えないと存じております。順次速かにこれらの問題を解決いたして行くということが一つの問題でございます。  更には包括的に申しまして、日本国有鉄道に対する信頼の問題、これはどうしてもやはり我々の本来の仕事であります輸送というものを完全にやつて行く、サービス第一で以て進んで行くということが最も喫緊な而も大切なことであると思います。無論安全、正確、迅速というものは、これは鉄道の鉄則でございます、これらに抵触いたしてはならんのでございますが、サービスの改善、輸送力の増強ということが何と申しましても今日における急務ではないかと考える次第でございます。その面に向つてあらゆる力を傾注いたしましてやつて参りたいと存じますが、先ほど来も申上げましたように、日本国有鉄道財政の面から申しますと極めて貧弱でございまして、これが私どもが思うように進んで行かないということの理由でございますけれども、でき得る限りの経営の合理化もやる、増収も図るということで“資金の面につきましてもあらゆる努力を傾注して私は皆さんの御期待に一日も早く副うように進んで参りたい、かように考えておる次第でございます。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁で大体国民の信用を回復するための事務方面措置についていろいろお述べになつたと思うのですが、私はこの問題については、単なる事務方面事務措置だけでは国民の精神的な方面を充すことができない。そこで積極的方策ということについてお伺いしたことは、もつと突進んだ、いわゆる事務的のことは勿論でありますが、その他人事問題にいたしましても、或いはその他運営の問題にいたしましても、もう少しやつぱり積極的な考え方なり、或いは責任感なりというものがなければ、そしてそれを強く国民にアッピールして、国民の何といいますか、国鉄に対するところの信頼というものを回復する、こういうような積極的な動きといいますか、そういうことがなければなかなかそういう問題が解決できないと思います。特に財政資金面の困難を今お話になりましたが、この面におきましては、僅か二十億ぐらいの今度の措置とは余り関係ないと思う、二十億ぐらいのものをやつて今度の資金面、財政面に一体どれくらいの解決になるか、私は一つもならんと思つております。その点は別にしまして、ここで関連してお尋ねしておきたいことは、国鉄会館の問題につきまして、人事を刷新するというような声明もあつたのですが、その後の人事の刷新について、成るほど会館の人事も変えられたように聞いております。或いは当時の国鉄内部の責任者の人事についても、何か転勤なり何なりされたように聞いておりますが、併し最近の報道によるというと、その人々が或る一定の冷却期間を置いた今日において、或いは前よりもむしろ栄転され、更に有利な地位におつきになつておるということを報道されておりますが、その点の事情を十分一つお聞かせ願いたいと思います。
  80. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 国鉄内部の問題につきましては、只今大倉さんがおつしやつたような、何かインフルエンスが大きいとか小さいとかいうようなことはございません。会館の問題につきましては、これは会館内部の株式会社の問題でございますので、深く私ども容喙すべきではないと考えております。併し自発的に社長、専務の両名は辞職されまして、新らしい人事を作つた。それにつきまして何か前社長、前専務が強い影響力を持つているというような噂があるのでございますが、私は新任社長並びに新会長両名においでを願いまして、お話を伺いましたところによりますと、そういうことは全然ない、社長独自の見解、会長独自の見解ですべてのことを運んでおるのでありまして、さようなことは決してないということをはつきり申しております。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは総裁が監督されておる関係上、私はこういうことを聞いておるのですが、例えば加賀山前社長ですか、この人はおやめになつた。ところがそのあとで今顧問とかになつておられるようですが、これはどういう経過から顧問というものに就任されたか、ちよつとそれがおわかりになつてつたら、そのいきさつをお伺いしたいと思います。
  82. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そのいきさつ等は私よくわかりませんが、只今申上げましたように全然、殆んど加賀山君は会館にお見えにならんそうでありまして、決していわゆる世の中に言つておるような経緯があるとかないとかいうことは毫末もないということをはつきり新社長の松井君、会長の渋沢君が申しております。これは直接私は御両所から承わつたのでございまして、決してかような心配はないと信じております。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 全然お知りにならんという御答弁ですが、私は知らないことはないと思う。これはもう我々がその中にタッチしていないので知らん知らんで以て通つて行くかも知れませんが、私は少くとも国鉄当局と会館との関係において、そういう人事のいきさつについて知らないことはないと思う。又衆議院の決算委員会においても、人事を刷新するという結論を出されておる。ここで加賀山さんが顧問になられたというそれ自体が、どういう勢力を持つておるかどうかわかりませんが、私はそれ自体が国民の疑惑を招く又もとになるのじやないか。なぜこういうことをしなければならんか。折角加賀山さんが身を引かれたにもかかわらず、又国民の疑惑を招くような、不信を招くようなことをしなければならんのか、私は不思議に思う。それから又当時の中央におられた方が地方に転用になつたということを聞いておりますが、この方が又総支配人と局長を諦任されるとか何とかいうことで大きな権限を持たれた方が二、三あるようですが、そういうことも人事の刷新のうちに入るのか。或いは刷新ということにして形式的にそういうことをやつて国民の注意をそらして、そうして冷却期間をおいて更に大きな権限を与える、こういうことは人事の刷新とどういう関係にあるのか。どうも私は納得行かないので、これは国民を代表して聞きたいと思うのですが、そういう点ちよつと長崎総裁の御意見を聞きたい。
  84. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私の判断によりまして、すべて内部のことはやつたのであります。決して何と申しますか、ごまかしと申しますか、ほとぼりをさますとか、そういう意味ではないのでございまして、やはりそれよりもそれぞれの時期に応じて、それをやつた責任ということで、必ずしもやめさせるということでございませんで、ただに委員長を通して、いわゆる大倉さんが言われる外部からの信用の回復に努力するという大決心を付けて頂くことも、私は国民の皆さんに責任を感じております。これは只今御指摘の点は、これは目を第一線においてこういういろいろな問題を今後速かに解決して行くというふうな非常な熱意を持つて赴任されましたので、私は喜んでおる次第でございます。多くの経験を持つてむしろ地方から本庁に参りました方が、更に又地方に行つて、そうして大きな仕事をする努力をして来たいという決心は私は非常に嬉しく存じておるのであります。重ねて申しますが、会館のほうにおきましては、先ほど来何遍も申上げましたように、制度は新らしくなり、そうして新らしい構想の下に新らしい陣容で仕事をして着々事業が伸展しておるように私は親しく聞いておる次第でございます。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも総裁の御答弁では国民が納得しないよりも、むしろ国民諸君がこういう論議を聞いたら不思議に思うだろうと思う。本人の決意は当然これはもう決意してもらわなければならん。本人の決意と人事の刷新ということとは私は関係ないと思う。特に今度のような大きな問題を世間に投げ出し、その責任者或いは担当責任者が更に総裁になり或いは更に大きな権限を持たされるということ、これはもう人事の刷新という問題から離れてしまつておるのじやないか。聞くところによると国鉄では例えば高級幹部の課長級あたりが何か不正で以て引つ張られる。その結果不起訴になり、白になつたという場合においても、やはり進退伺いを出して国鉄をやめなければならんというような習慣になつておるようですが、而もこういう最高に近いような地位におられる方が、その人が責任というものについて非常に軽く考えておられる。又人事刷新ということよりも、むしろ何といいますか、幅の広い職権、任務を任される、こういうことについてどうもこれは腑に落ちない。これは日を改めてもう少しお尋ねしたいと思うのですが、要はこういうような問題をさておいて、そうして、さておいてということは誤解があるかも知れませんが、国民に対してそういう問題を積極的にやるのだ、解決するのだ、そうして信用を回復するのだという、こういう積極的な動きを前に、二十億何がしの運賃値上げをやつてのける。ここに私は非常に国民感情として割切れないものが出て来るように思うのですが、その点については総裁どういうようにお考えになつておりますのか、これを一つ参考のために聞いておきたいと思います。
  86. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 鉄道運賃値上げが二十数億も極めて高いではないか、数百億の収入があるのにそんなものは何でもないというふうなお説かとも思います。そういうものはとにかく国鉄その他で賄えるというようなお話、又だんだんそういうようなことのために運賃値上げというふうな声を聞かされることはまずいじやないかというようなお説も、元来当委員会において勘考いたされておる次第であります。誠に御尤もなお説でございますが、実は国鉄の二十九年度の予算というものは決してそういう生やさしいものではないのでございまして、一億、二億或いは数千万円の金といえども、なかなか容易ならんようでございます。一方収入の面におきましても、果して予期のごとくに収入の増大が期せられるかどうか、これは現在非常に急激に変更されました経済政策と申しますか、財政政策と申しますか、そういうものの影響も考えなければいけません。一方工事費等において、多額の鉄道債券等を発行しなければならんが、これが果していわゆる起債市場において完全に募集ができるかどうか、そういう点にも非常な問題がございます。でありまするので、誠にお説の通りでありまして、このぐらいのものはいわゆる普通の年でありましたら私はどうかとも存じますが、そうは参りません。実際苦しいのでございます。三十億の借入金も返せないというふうな状況でございます。これらの点について大倉さんのお話のように、我々のいわゆるPRと申しますか、説明が非常に足りなかつたという点についても、深刻なる私は反省をいたしております。二十九年度と言わず今からでも直ちに国鉄財政の現状その他について、国民各位の甚大なる御留意を求めるように努力しなくちやならんと考えております。幸いに過般臨時公共企業体合理化審議会というものができまして、朝野の名士の方が集つて委員になられ、私も委員の一人でございますが、そういうところ等をも通しまして、国鉄の現状はどうなつておるか、どういうところに問題があるかということを十分に究明して頂きたいというふうに考えております。当委員会等におきましても、時間がございますれば、詳細なる説明委員会でも私はしたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の御答弁はちよつと私の質問と違つているようでございますが、私はそういうことを聞いておるのじやなくて、端的にこういうような事態の中で、即ち国鉄が非常に国民から疑惑の目を以て見られている事態の中で、二十億というようなそういう賃上げをやられるということ自体、そのことがいわゆる国民感情とどういう関係にあるか。これは少くとも鉄道が国民のものであるというような建前からすれば、やはり国民感情ということは抜きにして考えられないと私は思う。従つてそういう問題について、さつき次官が仰せになつたように、別にそう大した問題ではないというふうにお考えになつているのか、或いはやはり国民感情との問題においていろいろ問題点があるという工合にお考えになつておるのか、この点を聞いておりますが、その点どうですか。
  88. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これはまあ値上げというような点から行きますといろいろな事態を起し、又そういうような感じをお持ちになる方が多いと思います。併し私といたしましては、先ほども申上げましたように、国鉄の現在の経営状態財政状態から申しまして、十億の金でも二十億の金でも非常に大事なものであるというお話をとくと申上げますれば、これは皆さんの御理解が得られると考えておる次第であります。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はそのお考えは極めて安易な、何といいますか、単純過ぎる考えだと思うのです。国民が本当に国鉄財政事情を見れば了解されるだろうというお話ですが、先も申しましたように、国鉄財政からすれば私は二十億という金が、これによつて国鉄の財政が救われる、或いは又部分的にも解決ができるというようなそういうものではない。いわゆるただ今おつしやつたように、二十億は愚か、たとえ一千万でも一億でも五億でもおろそかにすべきではないということはその通りだと思うのです。思うが、その問題とは全然別個だと思うので、そういう国鉄の総裁のお考えというものから、いろいろな問題が出て来るのではないかと私は心配をするのです。特に今のずつとお話によるというと、とても国鉄財政なんというものはそんな生やさしいものではない。今の国民に納得させるPR運動をするというようなこと、これは必ず三等運賃値上げのときの理由になつて来る。そういうことから私は三等運賃値上げということに発展するのだ、或いは貨物運賃値上げにも発展するのだということを心配するのですが、ここでもう一遍今のところから三等運賃値上げはしないのだ、貨物運賃値上げはしないのだということを我々がここで承知していいかどうかということを御質問いたします。
  90. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 実は今度の予算の際にも、私のほうの希望といたしましては、一等運賃旅客運賃を一割五分程度上げて頂きたいというお願いをしたわけであります。併しながら政府の全般的な政策、国の経済の全般的な面からみまして、これは今日やるべきではないということになつたので、止むを得ずやはり我々も国家の一つの機関として、政府の方針に御協力申上げなければならんと考えましたからして、只今予定しておりますような予算、或いは運賃法の改正ということになつたのであります。将来の問題についてどういうふうになるかということは、今後の経済の情勢、或いは国の一般の財政の方策、いろいろな点から慎重な考慮を要する面があると考えておる次第でございます。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の総裁のお話では、私はどうも安心してこれには賛成できないと思うのですが、やはり今総裁のお言葉から行けば、今の三等運賃も貨物運賃も上げたいけれども、どうも世の中の評判が余りよくないし、国会の中の情勢もよくないので、一応一、二等運賃だけ引上げて、そうして情勢が変れば三等運賃も上げるんだというふうに聞えるわけです、裏から引つくり返せば。そういう意味で、国民も余り三等運賃は大丈夫だと安心をして汽車に乗るわけにも行くまいと思う。政府としては三等運賃値上げしないんだ、安心してこれに賛成して下さいというようなことを言明されるかどうか。一つこの点についてもう一遍詳細にお答え願いたい。これは大事なことなんです。
  92. 西村英一

    政府委員西村英一君) 最前も申上げましたように、鉄道財政の健全化を図るという意味におきましては、今後いろいろな鉄道収入を殖やすというようなことにつきましては、まあ問題はあると思うのです。併し今回のこの二等の運賃値上げということを以て、これをきつかけとして三等の運賃値上げというようなことを実は考えるということは全然思つておりません。これは最前も私が申上げた通りでございます。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもそういう御答弁はあいまいもことしておるわけなんです。それでこれをきつかけにして三等運賃値上げする、三等運賃値上げのきつかけにしたいというようなことは考えていないという御答弁ですが、今の総裁の御答弁の裏を返してみると、三等運賃値上げをするんだということだが、今はどうもしてはまずいから、それは今はやめておくだけのことだ、こういうことなんだ。それであなたは今それをきつかけにしないとおつしやつたが、この点が、その通りを国民に聞かせたらもやもやしてしまつて上るんだか上げないんだか、どうも臭いぞということになつてしまう。これは政府の低物価政策から、或いは国民のいろいろな生活に直接影響するような、こういう貨物運賃、三等運賃というものは、この際は上げないんだ、ただ一等とか二等とかいうものだけ上げて、そういう大衆に負担のかかるものはこれはやらないということを政府当局として明確にお答え願いたいと思うのですが、そういうことは明確に答弁できませんか。
  94. 西村英一

    政府委員西村英一君) 今度の運賃値上げにつきましても、国有鉄道財政から行きますれば、確かに上げたいのでございまするが、こういう処置にとどめて、比較的負担能力のある部分について上げたということも、つまり三等運賃、大衆に負担をかけないということでございまして、私は今三等運賃値上げを、ますます又低物価政策にしようという今日でございますから、運賃値上げをしようということは考えておらないのであります。併しこれは社会情勢の変化、経済情勢の変化ということがございますので、私が値上げをしないんだということをここで断言することはできないということでございますけれども、今そういうことは考えておらない。今度考えなかつたのも、これは大衆に対して負担をかけない措置であると、かように私は思つておるわけであります。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 一般のときであれば、普通の状態であれば、将来の経済情勢の変化を見極めて上げるということも通用すると思うのですが、ところが今の政府の口からはこれは通用しないと思う。これは無論政府が今度の緊縮予算によつて物価の値下げをするんだ、物価は下るんだという一つの確信を持つてつておる以上、経済情態の変化によつてというあいまいのことは、私は政府の口から言えぬだろうと思う。従つてその政府の言が本当であれば、これはもう物価も下つて来るし、それから緊縮政策というものも実行できるし、従つて三等運賃も毫も値上げする必要はないという御答弁があつて然るべきだと思うのです。この点はどうでしようか。
  96. 西村英一

    政府委員西村英一君) さように私も思つております。私はずつと将来ということを言つたんで、政府は今後とる政策の面から考えましても、これは大衆に負担をかけるような面に及ぼすという考えはないわけでございます。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 これもどうもなまず問答になりそうですが、これは私は三等運賃、貨物運賃値上げはしないのだという工合に今の言葉から聞いておきたいと思います。  そこで最後に一、二点聞きたいのですが、ただ二等運賃値上げする、二等運賃値上げをして大衆には負担がかからないんだということですが、或いは金銭上の問題は値上げをしないんだが、そこでちよつと心配になることは、二等運賃値上げによつて二等の利用、二等車を利用する旅客の趨勢は一体どういうことになるのですか。例えばどのくらい減るとか、殖えるとか、そういう見通しがあつたら参考として聞いておきたい。
  98. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) 御質問の趣旨は、一、二等の旅客がどのようにこの運賃値上げによつて影響を受けるか、輸送のほうに影響を受けるかということじやないかと思われまして、その意味で申上げるわけですが、二等の旅客につきましては、約三等の三%ぐらいの数でございますが、この輸送の情況からみますると、実は戦後進駐軍がおりました頃からの要請などもありまして、割合に二等車が多い関係もございまして、乗車の効率も三等車とは比較にならないほど楽になつております。従つてこの程度運賃の変更で窮屈な三等にそう変るようなことにもならないのじやないかというふうに一応考えておりますが、なお運賃値上げをしたことでもありますので、二等の車の大分傷んだのや古いのを修繕するとか、或いは運用効率をよくして、まだ部分的には相当混んでいる所もありますので、そういうようなことをなくすというようなことにして、二等のお客へのサービスもしたいと思つております。なお、それによつても一部は三等へ下つて来て三等の輸送を圧迫するということもありはしないかということも懸念されるようでありますが、その数は非常に僅かではないかと思つております。  一方、三等の旅客の輸送につきましても今年の苦しい財政の中におきましても、車の寿命を特別修繕によつてできるだけ伸ばすとか、或いは廃車と新車の製造をうまくからみ合せまして車を確保するとか、或いは車の運用効率を更によくするように工夫するということによつて輸送力を増強する計画を立てておりますので、運賃改正によつて輸送面における圧迫といいますか、そう困つたようなことはないというふうに考えております。
  99. 大倉精一

    ○大倉精一君 もう一、二点、長いようですがお願いいたします。従来一、二等運賃の変更になつた場合、大体三等へ来るということでございますね、二等から。そういうことは一体どのくらいになつてつたか、従来の例は。
  100. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) 従来は一、二等を上げるときは三等も大体上つておりますので、そのために特に下級に、三等に流れたということは非常に僅かなのでございます。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 次に午前中に話が出たのですが、自衛隊の性格、任務というものが変更された場合に、これはやはり国鉄が協力するということになつておるのですが、そうならばやはり自衛隊は昔の軍隊と同じように思つておるのですが、従つて自衛隊というものの移動等によつて使用される客車というものは優先使用をされると思うのですが、これは昔の軍隊と同じであつて国防の任に当るということになれば、これは演習なり或いは部隊の移動とかいうことによつて、やはり相当客車の優先使用が想定されますが、これはどのくらいの程度と想定されておるか。これについて伺います。
  102. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) この問題につきましては、午前中もたしかお話が出たと思うのでありますが、国有鉄道といたしましては、特別な政府の命令といいますか、規定或いは法律に準ずるものがなければ、特別な扱いをするということはできないのではないかと思つておるわけでございます。昔の軍隊におきましても、供用令とかその他の特別な法律或いはそれに準ずるような勅令というようなものでやつていたと思います。只今では保安隊につきまして、一般の団体割引として割引はしておりますけれども、特にそういう性格であるからといつて特別な処置はしておらないわけであります。従いまして今後どういうことになりますにしても、運賃或いは車両の提供とか特別の処置を講ずるためには、そういつた法律或いはこれに基くようなものがあつて、初めて国鉄としてはそれを受けて行くということになるだろうと思つております。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は運賃割引等を聞いておるのではなくて、この自衛隊というものと、国鉄関係を聞いておるので、今のお答えでは、特別の法律がなければそういうことはできないだろうというのでありますが、それは少し甘いと思うのです。これは何と政府がごまかしても、自衛隊というのは立派な軍隊です。而も国防の任に当るということになれば、これは北海道から九州まで相当移動も行われるし、演習のために移動もあるだろう。それのために使われるところの貨車も必ず優先される。こういうような国鉄が勝手にやつて政府が勝手にできないのだという考え方はこれは非常に甘いと思う。この点については、今はその見通しがないようですが、私はそういうものについても、やはり三等車というものに対する何といいますか、その場面に相当しわ寄せが来るのではないか。かてて加えてこの運賃値上げ、特に今度の運賃値上げによつては、やはり政府の政策から中小企業等の従来二等を利用した人が二等を利用ができないような、そういう生活状態になつて来ることは必至であります。従つて従来の例をそのままとつて来るわけに行きません。従来二等の階級は必ずしも有産階級やブルジヨア階級かと言いますとそうではないと思います。従つてそういうふうな人が二等に入らず三等に下つて来るという公算は非常に大きい。これは現在の政府の緊縮政策によつて必至であると言わなければならん。そういうところから国鉄予算がないからということで、客車の三等車の新車建造の、増車の建造の計画も私は伺つているのですが、これも三等車両の増車計画というものもおありになつたらお伺いしたいと思います。
  104. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 三等客車につきましては、来年度におきましては百両の増加をいたしておりますが、これと又別にヂーゼル動車百両の整備を考えております。従いましてヂーゼル動車によりまして一般の客車のほうも置き換えができまして、緩和されるということになりますると、相当数量の客車が殖えると、これはまあ数のほうであります。そのほかに運用の合理化というものを徹底的に行いまして、いわゆる無形の客車の捻出ということによつて輸送力の拡充をして参りたい、かように考えております。
  105. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のお話だというと百両とヂーゼルが百両で二百両ですか、それだけ実質的に殖えることになるわけですね。
  106. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 実質的に殖える。そういう計画です。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは大体この措置によつて三等乗客に更に不便をかけるということはないという工合に私は受取つてもよろしいのでございますか。その点確認しておきたいと思います。
  108. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) さように考えております。
  109. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後に一つお伺いしたいのですが、今度の一、二等運賃値上げ、これは駐留軍関係にも適用されるわけでございますか。
  110. 唐沢勲

    説明員唐沢勲君) 駐留軍にも勿論今後適用されるのでありますが、ただ税金関係は、駐留軍については協定によりまして除かれることになつております。
  111. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもはつきりした答弁が得られなくて満足しかねるのですが、もうこれ以上お伺いしても同じことを繰返すだけと思います。鉄道会館或いはその他の問題につきましては、質疑を保留いたしまして、一応運賃問題に対してはこれで打切ります。
  112. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質問はございませんか。他に御質問もございませんようですが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  114. 植竹春彦

    植竹春彦君 私は原案に賛成いたします。  但し原案に対して一、二意見を附しておかなければならないと考えます。即ち運賃政策は合理的な大乗的な立場で策定すべきものであるとも、通行税外枠という部分的な根拠に基いた点において原案は姑息であると思うのです。公共性の点から考えるならば、運賃の持つ国民生活全体に対する影響を考え、且つ物価全体の上における運賃の地位が高過ぎるならば、運賃は引下げらるべきものであると思う。逆にこの運賃の地位が低過ぎる場合には通行税の枠というがごとき部分的な考え方でなく、一、二、三等全体を通じて勇敢に値上げして合理的経営をすべきであると思います。一般物価が五分なり一割なり下るという見通しがあるならば、逆に運賃について、公共性を考えつつ合理的に下げて差支えない場合もあると思う。更に又前述公共性の立場のみならず、独立採算性の点から根本的運賃策定をなすべきであろうと思う。五十万に近い国鉄従業員の生活の立場からも値上げを検討すべき場合もあると思う。これは私の会派、ほかの党派の委員諸君も御同感であろうと思う。併しながら以上の公共性と独立性の、独算性の立場以外の点において、即ち経営の合理化によつて二十億からの金額が捻出できる場合には、合理化を優先的に考慮すべきであると思います。例えば本日午前中の質問中に述べましたように、石炭を大量に予算より安く仕入れ得て、そのいい影響が、好影響が契約即日に、その日に表面化しなくても、国鉄は企業体であるからには、将来にならして計算を立てることかできるはずであるから、この場合には運賃値上げをしないでも済むはずである。或いは又定期乗車券回数券よりも安いはずであるのに、現在は逆な実例もある。遠距離逓減運賃原則より見る場合に矛盾が現在あるということは、本日の午前中の質問の際に述べた通りであります。又監督官庁はこれを裏をかくとか、裏道であるとの御見解でありますけれども、これこそ表街道であつて、表街道上の合法的のものであると考えられるのであつて国鉄はこの矛盾、不合理をもつと熱意をこめて是正に努めるべきであると思う。  かくのごとく運賃に直接関係した諸点につきましても、経営の合理化を考えることができるのであるから、いわんや国鉄全体の経営合理化は、幾多の点を指摘することができることは、何人も論議の余地がないことと思う。併し現在の国鉄の直面している予算の組立原案を見るときに、この値上げを阻止するならば、目のあたり国鉄はその経営に困窮を感ずることと思うから、本案に賛成するゆえんであります。
  115. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、この国鉄運賃法の一部を改正する法律案に反対をいたします。  なぜかと申しますると、この法案に現われておりまするものは確かに一・二等旅客運賃であります。併しその説明及び先般資料として配られました監督行政の説明の中にも示されておりまするように、事実は旅客運賃全般に対して一五%の値上げを申請しておつたのでありまして、それに対して運輸省側で、現在の経済情勢等を勘案して一、二等旅客運賃だけにとどめた、こういう経緯が明らかになつておるのであります。私は、これは極めて重大なことでありまして、即ち政府は先般の施政方針演説並びに経審長官の経済演説におきましても、本年の夏頃までには少くとも一般物価を五%乃至一〇%の引下げを行うと言うておるのでありまして、そうしたときに当つて多少そこに無理がありましようとも、官業若しくはこれに準ずる各公共企業体の値上げというものは一切排除しなければならないというのが当然であろうと思うのであります。こういう観点に立つた場合に、特に国民生活に至大な関係を有しまする国鉄運賃が、部分的にも値上げをされるということは到底了承しがたいのであります。而も私は仮に一、二等旅客運賃値上げになりましても、いわゆる三等とならしましておよそ現在の収入通りであつて、即ち一、二等は上げたが、三等は下るという場合でありますれば、必ずしも反対するのではありません。ところが一、二等は上つて三等はそのままということは、結局全体としては値上げということになるのでありますから、到底これには賛成しがたいのであります。而も先ほど来各委員からも指摘されておりましたが、時期においては極めてまずい時期でありまして、今日喧伝されております四大疑獄と言われておりますものの二つ運輸省関係の汚職であるとさえ言われておるのでありまして、これは検察当局の取調によつて白になるかも知れませんけれども、少くともそうした疑惑を持たれておるのであります。こういう時期においてなすということは極めて妥当でないと、こう結論せざるを得ないのであります。  更に又国鉄内部だけのことを考えましても、先般から私も指摘しておりますように、国鉄におきましては、必ずしも運賃収入以外におきましても、まだまだ収入を挙げ得るところの途がたくさんあり、それらがすでに昨年の国会におきまして指摘されて以来今日まで別段それらについての改革の見られたところがないのであります。これらに十分手を着けますならば、私はこれらの運賃改訂を行わなくても、従業員の給与ベースの改訂等に即応する処置がとれると思うのでありまして、かような三つの観点からいたしまして、この法律案に反対をいたします。
  116. 大和与一

    ○大和与一君 社会党第四控室を代表しまして厳しい条件を附けて賛成をいたします。  今回の運賃値上げの問題ですが、本来運賃値上げするためには、理論的に科学的に極めて明確にその裏付けなり組織立てがなされなければならないと思います。今回の運賃改訂はそういう点から言えば、極めて杜撰なものであつて、とにかく約二十億近いものをどうしても何とか都合しなければならん、こういうような結果論から見て話を合せておるという程度であつて、それは理論的には極めて不明確なものである、こういうふうに考えるのであります。で、今も他の物価に及ぼす影響というようなことも非常に言われておりますが、政府が低物価政策を堅持する限りは、そういう他の三等運賃なり或いは貨物運賃なり、その他の物価に影響を及ぼすことは極めて少いだろう。そこで特に私鉄なんかにおきましても、一、二等はない。二等車だけが北海道の定山渓鉄道にあるそうですが、これも二等車をなくする、こういうふうになつております。で、私鉄にもこれ又影響を及ぼさないだろう、こういうふうにも考えられます。  それでは二十億を何に使うかということを質問しますと、それについては言明できない、こういうふうなお話であつた。それを逆に言うと、この二十億の金はすべてのことに使われるということになる。そうすると総裁の言つたことは、サービス第一とする、こういうふうに言明をしておりますから、そのサービス第一ということは具体的には何か、こういうことになると、例えば一等車の乗車効率がうんと少くなればこんなのはやめたらいいだろう、これは代議士がただの切符で乗つておる、こういうものが多いから、こういうものは当然やめることも考えられて然るべきことだし、逆に三等寝台車を作つて、そうして旅客大衆のためのサービスをもつとうんとやつて行く、こういうことが取りあえず着手できることであると思います。そういうふうにサービスをいろいろと考えてもらつて、それで第一にやる、こういうふうなことを言明されましたので、そういう点も心にとめておきたいと思います。  又独立採算制と言われておるけれども、これは枠内操作だけでも、今まで大蔵大臣が常に言いたいことを言つて運輸大臣はこれに追随するほかなかつた。併し今回この法律が改正になつて運輸大臣が大蔵大臣と相談をしてきめる、この程度なつたけれども、こんなことは独立採算制ではないと思う。本当の独立採算制ならば、二十億くらいのものはちつともほかへ面倒をかけないでも、国鉄自身で生み出すことができる、こういうふうにも考えられますので、そこで公共企業体合理化審議会というものもできたのでありますから、それが独立採算制にもつと線を強く主張して、そうして国鉄が自分の力で自分で本当に健全に経営して行く、こういうようなことが必ずできるように努力をして頂きたいと思います。又これはその公共企業体合理化審議会だけに委ねるのでなくして、対組合との関係においても、かねて国鉄では組合と経営においてもつとまじめに話をしてもよい。而もその問題ももつと前進した話に進んでおると聞いておりますので、この点も是非一つまあドイツの経営協議会に倣うのはまだ時期尚早かも知れませんが、これに近付くように経営に対する組合の職員の声を素直に聞いて、そして経営を健全にして行くことのほうが一番国鉄が皆、職員全体が喜んで働くことになるでしようし、又それによつて独立採算制がますます健全になつて行くことだと思いますので、こういう点も速かに手を着けてもらいたいと思います。  更に国鉄の最近のこの汚職その他の問題があります。今までは法律違反ではない、個人的に不正をしていない、それだからおれは何でもない、恬として恥じないような態度があるとすれば、これは非常に間違いだと思う。政治的責任というか、道義的責任というか、検察庁に行けば皆本当のことがわかつているわけだ、わかつていることがたまたま罪になるかどうかということは問題だけれども、それがないからと言つて、おれは何でもないんだという態度は慎むべきであつて、そういう疑いがある。その疑いが罪になるかならんかということは検察庁がきめる。疑いがないということは絶対にない。例えば鉄道会館揉消し運動にしましても、そういう火のない所に煙は立たないと言いますが、誰かが言つた、誰かが言つたとすれば、関係者以外にはない、何でもない第三者が言うはずはないんだから。そうなれば疑惑に包まれていることは明らかだし、その内容の真相については検察庁がきめるとしても、きめられなかつたからといつて、道義的、良心的、或いは責任者として、指導者としての責任は私は免がれがたい、こういうふうにも考えます。従つてそういう点も十分反省をしてもらつて、その疑惑を速かに一掃し、国鉄の信用を回復してもらう、こういうことを強く要望をいたしまして、原案に賛成いたします。
  117. 高木正夫

    高木正夫君 私は原案に賛成であります。但ししぶしぶ賛成いたします。  その理由は、今回政府は緊縮予算を立法いたしまして、国民に耐乏生活を要求しているわけでありますが、この際に多少でも低物価に副わないようなことはやらんほうがいいと思うのであります。そういう観点からと、もう一つは、積極、消極にもう少し経営の合理化の余地があるんじやないか、そうすればそれくらいの金が浮いて来るんじやないかという感じがいたすのであります。その点は将来の経営上に十分に一つ御注意を願いたいと思うのであります。  然るに、何が故に賛成するかと申しますと、現実において国鉄財政が相当行詰つておる。その点と、それからまあ二等、一等のお客であつて、比較的担税力といいますか、負担を課してもそう一般的ななにがないのじやないかという感じ、そういうことがありますので、現実の差迫つた問題といたしまして、先ず心ならずも一応賛成しておきたい。但し条件としましては、将来十分に一つ経営の合理化を、従来も叫ばれておりますが、もう少し熱意を挙げて一つおやりを願いたいということを条件にいたしまして、本案に賛成いたします。
  118. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御発言ございませんか。別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手]
  120. 前田穰

    委員長前田穰君) 多数でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  次に、本案を可とされた方は例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  仁田 竹一     一松 政二  高木 正夫     森田 義衛  大倉 精一     大和 與一  木島 虎藏   —————————————
  122. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、運輸一般事情に関する調査中、運輸行政に関する件を議題といたします。  只今大蔵省並びに自治庁の当事者を呼んでおりますが、まだ参つていないようであります。大和與一君から私鉄の運営に関して質疑の通告がございますので、これを許したいと思います。
  123. 大和与一

    ○大和与一君 最近小田原急行電車踏切事故が非常に頻発をしておるようです。十月の三日から約六カ月間、今まででも五件ぐらい私の聞いておる限りでもあります。これは先ず小田急の踏切の施設が非常に悪い、こういうふうに沿線の住民の方がたくさん来られましてお話を聞いたわけです。これを改善してもらいたい、こういうことを会社に再三現地の人たちが要求をしておるようですけれども、さつぱりこれを聞いてくれない。例えば事故があつた場合に、葬式が済んで数日後に使いが来て千円の香奠を包んで帰つてしまつた、あとは何にもない、こういうふうな実例があるのでして、この沿線の人たちが非常な憤りを持つておる。こういうふうな実情があるようです。而も会社がそういうふうな施設を改善しないで、四月一日から又スピード・アツプする、こういうふうなことが言われおりますが、これではますます事故が頻発するのじやないか、こういうふうな心配もありますし、又その死傷者に対する見舞の方法その他についても極めて非人道的であつて、ちよつと聞いても常識では考えられないような措置がなされておるのじやないかと思います。こういう点について、一体監督官庁はどの程度実情を御存じなのか承わりたいと思います。
  124. 植田純一

    政府委員植田純一君) 踏切の死傷事故につきましては、報告が参つておるはずでございます。只今御指摘になりました小田急の踏切事故の件数等につきまして、今手許にはつきりとした資料を持つておりませんが、小田急の踏切事故がかなりあるということは承知いたしております。この踏切の問題でございますが、実はこの沿線がだんだんと発展して参りますに伴いまして、この踏切という問題が非常な悩みの種になつておるわけでございまして、何とかこの踏切の改善を図つて参りたい、かようなつもりで実はいろいろと検討をいたしておるわけでございます。全般的に申上げますと、実はこの踏切の改善というものにつきましては、何らか法的措置もとりませんと、本当に対策としては十分でないのでございまして、この点につきまして何らか交通の安全、保安という見地から踏切に対しまするところの根本的な方策というものにつきまして、私のほうでも検討いたしておるわけであります。非常にむずかしい点がございまして、まだ実施の運びに至つておりませんことは誠に申訳ないわけでございますが、国鉄におきましても、実は部内的に大体の踏切設置基準というものを、交通量を睨み合せまして自主的にやつているわけでございますが、私鉄に関しましては、そういう全国的な、統一ある踏切の基準がございませんので、各私鉄にそれぞれ自主的にと申しますか、自営的にそういう施設をやることが任せられている現状でございますので、この点につきましては、先ほど申しましたように何らかの立法的措置を以ちまして、この踏切の施設の改善を図つて行くという場合の一つの大きな問題といたしまして、そういう踏切の設置基準というものも作るべきじやないかということから実は検討いたしているわけでございますが、先ほど申しましたように、踏切の保安という問題につきましては、そのほかにもいろいろむずかしい問題がございますので、できておりません。ただ踏切の設置基準だけにつきましては、研究もいたしております。又先ほど申しましたように、国鉄部内におきましては、自主的に作られている設置基準もございますので、そういうものを参考にいたしまして一応の案というものを持つているわけでございまして、これを各私鉄もできるだけ法的措置によらないで、その前にできるだけそれによつて一つ整備をしてもらいたいというつもりで考えているわけであります。まだ現実におきましては非常に不十分な個所が多いわけでございます。小田急におきましても、この沿線の発達に伴いましていろいろと踏切の問題がございますし、又相当踏切の数も多いようなわけでございますので、できるだけ踏切の施設を改善するように勧奨して参りたいと、かように考えているわけであります。なお踏切事故の慰藉の方法につきましては、責任の所在等によりましておのずから異なつて参ると思いまするが、いずれにいたしましても、死者に対しましては丁重に礼を尽すべきであるということは申上げるまでもないのでございますが、そういう点につきましては、今後私鉄に対しましても、そういう面につきまして指導をやつて参りたい、かように存じているような次第であります。
  125. 大和与一

    ○大和与一君 今のお話であれですが、私鉄は今まで遮断器、警報器を付ける、そういう設備を付ける基準はなくて、各私鉄で勝手にてんでんばらばらにやる、そうなると、私鉄の経営方面からそういうことをするのか、或いは死傷者の事故の件数が多くなつたから、体裁が悪いから付けるというのか、その辺はどうなつているか。
  126. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今申しましたように、踏切の交通量と睨み合せまして、或る程度の交通量、勿論道路上の交通量と、それから線路上の交通量と、両方の関連になると思いますが、この程度の交通量であればこの程度の設備をやるべきであるという基準が、これは当然あるべきだというふうに考えるのであります。実はそういう点につきましての法的措置を実は検討して参るわけでありますが、実はそういう場合におきまして、本当に踏切の改善を図るためにおきましては、私鉄のみの力、或いは運輸業者だけの力だけではできない面もございますので、なかなか成案を得ないような実は実情になつているわけであります。現実におきましては、私鉄がいろいろと交通量を睨み合せまして、各私鉄においてそれぞれ各踏切の事情を勘案いたしまして、いわゆる踏切改善の優先順位等を検討してやつているというのが現状になつているわけであります。
  127. 大和与一

    ○大和与一君 ちよつとどうも話がよくわからないのですが、公共性からいつて、特に鉄道ということからいつて、今おつしやることは盲点だということをお認めになつているわけでしようが、今それじや何もしていないということですか。今お考えになつていることはわかつたのですね、これからそうしたいという着々計画を研究しているということはわかるが、今までのやつは会社に全部お任せして、会社で適当にあちこち付けるという程度で、それをきめるときに監督官庁は立合わなくてよろしいわけですね、今の法律からいつて……。
  128. 植田純一

    政府委員植田純一君) 鉄道のできましてから、沿線の事情がどんどん変つてつておりますので、その点いろいろ問題が多いわけでございます。踏切を設置いたしました場合には、たしか、これははつきりいたしませんが、或いは報告はあると思いまするが、こういうような状態になればこういう設備をしなければならんという実は基準が今まではないわけでございます。この点は会社に任しているというふうな状況でございまして、この点が交通のいわゆる保安という面におきまして、対策を立てなければならん問題である。まあ只今盲点とおつしやいましたが、盲点という言葉が該当いたしますかどうですか、今後の問題の点であろう、かように考えているわけであります。
  129. 大和与一

    ○大和与一君 重ねてお尋ねいたしますが、鉄道開通以来それはきまつていないのですね。
  130. 植田純一

    政府委員植田純一君) それはいわゆる設置の基準というものはきまつておりません。現にそういう点に気が付きましてと申しまするか、検討いたしているようなところでございます。
  131. 天田勝正

    ○天田勝正君 この私鉄の事故等が起きた場合に、それが直ちに監督局長の所に報告が来るようにはなつておらないわけですか。
  132. 植田純一

    政府委員植田純一君) 不祥事故が起きました場合には、報告が来ることになつております。
  133. 天田勝正

    ○天田勝正君 次は、今の大和委員からも御指摘になりましたそうした施設の点につきましては、特に踏切の施設等については、地方鉄道運転規則等の中にはないでしようか。
  134. 植田純一

    政府委員植田純一君) 私が申上げましたいわゆる踏切の設置基準と申しまするか、こういう交通量があればこういう踏切の施設をしなければならんという基準は、現在のところございません。
  135. 天田勝正

    ○天田勝正君 それではそうした細かい基準がないといたしますれば、地方鉄道法、又これを受けて地方鉄道施行規則とかいろいろございますが、その地方鉄道法には、公安のためにだとか何とか大まかなそうした規則はないのでございましようか、規則というか法というか、大まかなものは……。
  136. 植田純一

    政府委員植田純一君) 最初鉄道を敷設いたします場合に、勿論踏切設置という、踏切がございましたならば、それが設計に勿論上つております。従いまして当初の状態におきまして、踏切の点も含めまして、工事施工人がいたすわけでございます。並びにその後におきましてどういうふうな状態になればどういうふうな施設をするという基準がございませんものでございますから、その点は会社のいわゆる自営的措置に任せられておると、そして変更があつた場合には報告があると、かような建前になつておるのであります。
  137. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは先般来運輸行政全般の審議の際にも、別の言葉で他の委員からも監督行政において余計なお節介をしないようにということは幾たびか例を挙げて注意されたわけですが、私はこの監督行政の中で最も力を入れなければならないものは、何といつても人命を危険から守る、これに越すほどの重要な問題はなかろうと思うのです。で、過日も実は、これ又別の法案でありますが、漁船の船舶職員法の一部の改正の法案が本委員会において採決される際にも、私は人命に危険がないかということを幾たびか繰返して質問を申上げて、その危険がないということを確認した上で私はその法案に賛成したのです。そこでこの地方鉄道の場合にこれを引直して考えてみましても、すでに人命に危険のある踏切がある、或いは踏切の施設をもつと整備しなければ、次にもそうした危険があるということが、事例において監督局長の手許まで報告をされるという仕組になつておる限りは、その報告を受けたならば直ちに何らかの勧告をすべきものだし、若しそれを守らなければいろいろな処置がとられて然るべきだと思うのですが、その点については局長はどう考えておられますか。
  138. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実はこの私鉄につきましても、只今申しましたように踏切の設置基準というものをどうしても作らなければならんということで現在検討いたしておるような段階でございます。実はこの鉄道に関する規定におきましても極めて抽象的でございまするが、交通頻繁な踏切には例えば相当の保安施設をしなければならんという抽象的な規定はあるわけでございます。ただその交通頻繁とはどのくらいのものを言うのか、又施設におきましても御承知のように国鉄におきましては踏切道を四種類に分けておりまして、踏切番がずつと一日中おる踏切と、全然踏切番がいない、何ら掲示のない踏切と、その間に結局四種類に分けてやつておるわけでありますが、つまり交通の状況と睨み合せましてどういう施設をするかということにつきましては、実は私鉄におきましてもその検討をいたしております。というと、具体的に申しますると、私鉄のいわゆる経営者協会、私鉄の協会でございまするが、そこに技術委員会というのがございまして、各私鉄のいわゆる技術関係者が集まりまして、どの程度の踏切の設置基準が妥当であるかということを検討いたしておるわけでございます。これに対しましては、監督局からもかねてこの程度が適当と思うという一案を提示いたしまして、そこでまあ検討いたしておるような次第でございます。ただ先ほど来申上げますように、はつきりとした結論はまだ出ておりませんが、大体私鉄もその意図がわかつておりますので、研究過程ではございまするが、大体その基準を、基準案というものを目標にいたしまして、それぞれ整備を図つておるというふうな状況でございます。勿論一カ所の踏切で非常に事故が頻発するというような踏切につきましては、監督官庁といたしましても、会社とまあよく話をし、又会社にいろいろ督励いたしまして、優先的に施設の改善を図つてつておるというふうな状況でございます。
  139. 天田勝正

    ○天田勝正君 私の質問局長の答えとは少々食い違いがあるのです。というのは、踏切を設置するか、若しくはそのある踏切の施設をもつと整備するかということについては、それは成るほど局長の答えのように、基準がなくて監督上においても弱められるという、こういうことはあろうと私も思います。これは今言うた踏切の整備についての話であつて、問題は人命の問題でありますから、これは私は仮に規則があろうと法律がなかろうと、法律以前の問題としてでも我々は真剣に考えなければならない問題である。而も規則や法律が不備であるにいたしましても、とにもかくにも事故というものは自動的に監督局長の下までは報告されるということになつておるという答えを得たのであります。そういたしますると、法律になくても法律以前の問題として、人道の問題として直ちにこれに警告を発するなり、暫し今お答えの中には、頻繁に同一場所で事故が起きた場合はよく会社と話合つてなどと言われておりますけれども、私はこれは誠にどうも感心しない御答弁だと思う。しばしば事故が起きてしまつてからよく話合つていたりなどしたのでは間に合わない。一人でもそこで命を落したと、而もその原因が踏切の設備の至らざるというところに発しておるということがわかれば、直ちにこれは人命には代えがたいことでありますから、私は一時運行を停止せしめたつてよろしいと思う。そういう観点から多く申上げておるのであつて、規則のあるなしは私はほかの問題です。併し今お聞きすれば抽象的ではあるけれども、交通頻繁な場所には云々とあるそうでありまして、そうすればこれは東京都内であるし、世田谷区と言えば御承知通り、今東京都の各区のうちでも一番人口の多い、すでにもう四十六万かになつているはずです。それが小田急のような人が利用する電車の沿線であれば、頻繁でないはずはない。どういうのを頻繁というか、これは頻繁というのに定義付けたりしたなにはありませんけれども、まあ一般の常識としては、東京都内で最も人口の多い区内で、而も小田急のようにたくさんの人の利用する電車の沿線は交通頻繁にきまつておる。でありますから私はそういう抽象的な法律の規定であつても、私は処置ができるのではないかというつもりでおるのですが、そういう観点からむしろいささかその注意が遅れたという御答弁ならば、私は肯くのですが、その点どうですか。
  140. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに御指摘の通り交通頻繁な踏切におきましては、それぞれ施設をしなければならんということは当然でございまして、又法規にも、先ほどもちよつと申しましたが、抽象的ではございまするが、交通頻繁な踏切にはそれぞれ施設をしなければならんという規定がございます。従いましてこの交通頻繁な個所におきまして、若しもそういう施設が怠つてなされていないという事情を認めましたならば、それはもう当然その踏切設置を命ずることもできると思いますし、又現実にはそういう個所は余りなくつて、実はそう頻繁ではないが、ときどき事故を起すという所が非常に問題点で、実は小田急におきましても、たしか昨年の何月でございましたか、十一月だつたかと思いまするが、踏切の交通量調査ということもやつたわけでございます。そういうようなことで、現在の施設が果して適当であるかどうかということについては、十分小田急自身といたしましても再検討いたしておるわけでございます。この小田急の踏切、実は全線におきまして約五百カ所ぐらい踏切があるようでございます。その中に交通頻繁な個所におきましては勿論踏切警手もつけておるし、又適当な所には、いわゆる警笛と申しまするか、あれを設備しておる所もございまするが、やはり全然踏切番がいないという所がまあ絶対多数のような状況になつております。全般的に踏切の施設が非常に遅れておると申しまするか、不十分であるということは、これはもう認めざるを得ないような状況でございます。いわゆる事故の起きました踏切、或いは又交通量の多い踏切から逐次整備して参るように指導しておるような次第でございます。
  141. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ほどから局長答弁を伺つておりますと、私は仕組としては、監督局の組織といたしましては、こうした地方鉄道に起きた事故も直ちに局長に報告されるような仕組になつてつても、実際は、答弁を聞いておるとこういう事実を御存じない。御存じないということは、私は仕組はそうであつても、実際に報告がされておらない、こういうふうに思うのです。併し部下に傷をつけられないからいろいろ苦しい答弁をされておると、私はむしろその点じや同情しておるのですが、これは注文を申上げておきますが、他のいろいろな事故を粗末にしてよろしいという考えではありませんが、特に人命に事故が生じたことについては、どんな場合でも遅滞なく局長の手許、更に大臣の手許までも直ちに報告さすように、これは監督者として部内のそうした監督もこれは十分にやつて頂きたい。そうでないと困ると思うのです。だからこれはもう注文だけ申上げておきますが、その報告があつたら、たとえ一つの事故があろうとも、これは直ちに何らかの処置をとつて頂きたい。これも注文を申上げておきます。一体みずからが志願したというては語弊がありますけれども、自分の意思でみずからの命を絶つというような場合であつても、ちよつと待てとかいろいろな札を立てたりなどして、一時でも気が変つて思いとどまるようにいろんな処置をとつておると思う。これは、そういう札を立てろという基準などはどこにもないのです。どこにもないけれども、これはいわゆる法律以前の問題として、観光地などでもみんなやつておるのは、これは大方の諸君が御存じの通りなんです。そこに自殺をするのを「ちよつと待て」という立札を立てるところの基準がないから立てないなどと言つて済まさるべき問題ではない。而もそれはみずからの命を絶つ場合であつてさえそうなんです。従つて私は自分の意思にあらずして、たとえ或いはその人の若干の不注意があつたにしても、今申上げたような踏切等の不備が加わればなお更でありますけれども、そういう所で命を落す者が一人でも出た、こういうことに法律云々などと言つていてはいかんのじやないか。こういう人道の問題として私は考えておるので、まあすでに起きたことを長く質問しても苦しい答弁しかせられないでありましようから、今後一体どうするのか。一体それでは法律ができるまで、或いは規則ができるまで話合つたりして待つておるのか。これは我々としては見逃しておけませんから、法律がなくてもどうするという一つ決意を伺つておきたいと思います。
  142. 植田純一

    政府委員植田純一君) 小田急だけに限りませず、全般的にこの踏切の問題につきましては十分改善して参りますように指導して参りたいと思いますが、ただこの踏切の問題につきましては、一番最初に申しましたように、本当にこれをやる上におきましては立法措置も必要ではないかというふうに実は考えておるわけでございます。例えば踏切で見通しということが非常に問題になるわけであります。交通量がそれほど多くもなし、見通しさえよければ、大体注意して頂けるという個所が大部分でございますが、見通しが悪いために事故が起きる。ところが現在この踏切道の一番角の直角まで勝手に何と申しますか、建造物を建てるというふうなことで、踏切の見通しが非常に悪くなつておる。成るほど全部踏切の設備をし、踏切番を置けば問題ないのでございますで、これは日本の今日の現状から申しまして、到底そういうふうなことを会社の負担におきまして到底やれと言いましてもできない問題じやないか。従いまして先ほど申しましたように、或る程度以上の交通量のある所には設備をさす。それ以下の所におきましては通行者が十分注意を払つてもらわなければならんというふうな状態になることは、実際問題といたしまして止むを得ないのではないかと、かように考えられるのであります。又この踏切等の施設の改善、特に非常に頻繁な所で平面交叉の所がございます。又平面交叉なるが故に自動車がその上でストップして事故が起きたというような所も実は少くないのでございます。従いまして特別に頻繁な所は、これは当然立体交叉にすべきものであるというふうなことも当然今後問題になつて来ると思うのでありますが、こういうふうなことを考えますと、踏切の改善というものにつきましては、なかなか莫大な経費が掛る。而もこれは建設省その他道路管理者との共同の下において改善整備を図つて行かなければならんという非常に大きな問題でありますので、こういう点にまで今後は一つ改善を逐次図つて行かなければ、日本の交通というものはスムーズに行かないと、かように考えているわけでありますが、そういうような観点から、どうしても或る程度の設置基準を作りまして、そうして逐次整備を図つて行くという方向に是非進みたい、かように考えておるわけでございます。更に、これは長崎総裁あたりがよく言われることでございますが、フランスあたりではこの踏切の設置につきまして、いわゆる交通機関のほうと道路側と、例えば踏切警手の費用にしましても半々持つておる。国からそれだけ費用補助しておるというふうな話も実は承わつておるわけでありますが、実はそういうふうな点につきましても検討して行く必要があるのじやないか。いずれにしましても、現状では全部踏切に然るべき施設を作るということは非常に無理な状況でございますので、或る程度以下の踏切につきましては、どうしても通行者に十分な注意をして頂かなければ防げない、かようなまあ状況に考えております。
  143. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はそうした施設を整備して行くということは、これは現在規則等がないそうで、それならその規則等を整備してかからなければならない。これは当然の話でありますけれども、併しこの文書がそのまま信ずべきものだといたしますると、何としても余りに多くの人命事故がここに起きておるという事実があるのであります。そこで規則や法律を整備する間にすぐにも起きるかも知れないという、そういう危険があるわけなんですから、そこで私は一体法律があろうとなかろうと、さつきも「ちよつと待て」の例を挙げて申上げたのですが、とにかくそういう措置を地方の自治体等でもやつておるのだから、私はできないはずがないと、こういう観点で……。だから法律のできざる前であつても、法律以前の問題として監督官庁である運輸省と、それから民営の鉄道会社においてそれは十分話合つて処置ができるものだと思いますので、直ちにそういう処置をとつてもらいたい。法律や規則の整備される以前においてそういう措置をとつてもらいたい。こういうことを要望しておるのであつて、どうもその規則を作つて又いろいろ踏切を作らなければとか、そういう話ばかり聞くので、それでは人道問題としては解決されないと思う。法律以前の問題として誠意を以て当つてもなお且つそれはできがたかつたというなら、これはまだわかるのですが、そういう誠意ある御処置をとる決意を聞きたい。  ほかの委員質問があるようでありますから、私はもう一つだけ質問しておきますが、それはここに資料として出されたものを見ましても、弔慰金が僅か千円であつた。これは命を落されてから後の弔慰金云々なぞを議論するのは、その関係者の親族とすれば誠に心外至極な話でございましようけれども、併しこれとても常識を絶した要するに話なのであつて、一般の中小のバス会社等で自分の乗客に若し不測の災いがあつたような場合に、小さい所ではみんな規則なぞありません。事故ができたときのこれを見舞する規則なんというものはなくても、常識的にこれは解決に皆努力してやつておるのです。而も小田急と言えば、全国でも有数な大会社である。こういう所にまさか監督行政の立場から鉄道監督局が弔慰金を幾らにせい、そういうことに立入るのは如何かと思いますけれども、併し常識的に千円程度のいわゆるはした金を置いて来て、それでことが済むというような考え方、それだけ人命を軽視するという考え方に、元の話に戻りますけれども、できる踏切の整備すらしない、こういう結果に私はなつていると思う。こうしたことについて、まさかどこにも弔慰金を幾らにせよという規則はないでしようが、これだとてもやはり監督者として勧告等もできるのですが、この点どういうことになつているのでしよう。
  144. 植田純一

    政府委員植田純一君) どうも御指摘の事例がどういう事例でどういう場合の問題であるか、実は私わかりませんで、若しもお手許に資料がございましたならば、それによりましてどういう事例でそうなつておるのかということを調べました上でないとちよつと答弁いたしかねると思いますが、大体その場合の状況如何によりまして、会社といたしましてもいろいろ前例その他の振合い等もあるのだと思いますが、ただその状況によりまして過当に非常識な、例えば弔慰金が少いではないかというような問題もございます。ならば、直ちに私ども事情を調べまして会社のほうと話合いをしてもいいと思つております。  なお、前段に申されました踏切の施設でございますが、勿論私先ほど申上げましたのは、全般的な問題でありまして、全般的に一つ踏切の施設の立遅れをできるだけよくしてもらいたい。今後そういう方向にやつてもらいたいという気持を申上げたわけであります。小田急の具体的のどういう踏切で事故があつたという資料を今手許に持つておりませんのでなんでございまするが、私の聞きました一、二の例におきましては、非常に交通量が少くて、これは一般的の振合いと申しますか、基準から考えましてそこまで何らかの踏切の施設を会社にやれということは、現状においては少くとも酷である、こういうふうな報告を実は受取つておるわけであります。いろいろ幾つかの事例があるようでございますので、個々の事例を見まして、その踏切の交通量と睨み合せまして逐次よくして参りたい。勿論一挙にたくさんの踏切にどうするということはできませんが、逐次よくして参りたい、かように考えておるわけであります。
  145. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちよつと関連してもう一つだけ伺います。私は中小の遊覧バスの会社等で何も規定がなくても自分の車による事故には相当のことをしているという一例を挙げたのは、実際にもそういう例はたくさんありますが、まあわかりやすい話が、その辺で乗用車に轢れた。この場合突つ切つていけない所を轢れた場合、運転手から言うと、向うが横から出て来たのだから自分のほうには別段の落度はなかつたのだ、こう言うでありましよう。轢れたほうは又別段それを横切つてはいけないという指示がないのだから横切つたのだということになる。どつちも水掛論で落度はなかつたというふうになるでしようが、併し実際において轢れて怪我をしたというような場合だつたら、大抵轢いたほうが落度はないと言いながらも、その怪我の処置料といいますか、まあ病院なんかに入院する場合だつたら、それを持つて上げるというのが当然のことなんですね。ましてや命を落したということになれば、病院に入るどころでなく、普通みるのが当り前なんです。どつちにも落度がない場合であれば……。それだから私は常識的にも千円乃至三千円などという弔慰金で一命を落した者の霊に対する道はないということを申上げたので、過当な負担は堪え切れないとか、そういう問題じやなかろうと私は思う。これはまあ考え方の違いですから、答弁がなければ答弁がなくてもよろしいです。
  146. 大和与一

    ○大和与一君 ちよつと局長に御注意申上げたいと思うのですが、先ほどの答弁の中で、何かあたかも会社側に立つて弁護するような言い方をしていると思うのです。まだ具体的事実が起つて、問題が起つて、それを十分にここで検討したい、結論を出したいと思つているのに、あの踏切では余り交通量がなかつたから置かんでもいいというようなことは、わざわざ今のときに言う必要がないと思うので、これはやはり注意して頂いたほうがいい。これは余談ですが、踏切を設置したという事後報告があり、或いは死傷事故があつたという事後報告がある、そういうことを仰せられたわけですが、それに対して今日まではその内容を徹底的にあの問題について検討している、それによつて踏切の個所が変つたとか或いは警報機がどうだとか、こういうことは今まではなかつたわけですね、その点は……。
  147. 植田純一

    政府委員植田純一君) 個々の踏切につきまして、具体的の事例としては、そういうことはございませんでした。
  148. 大和与一

    ○大和与一君 私鉄経営者協会の技術委員会と言いますか、こういうもので研究はかねてからしておられるのですか。何年ぐらい前から始めて、その結論は大体いつ頃出るような見通しでございますか。
  149. 植田純一

    政府委員植田純一君) 何年前から始めたか実はつまびらかにいたしませんが、踏切の問題は相当前からの問題であつたということは事実でございます。ただよるべき基準というものにつきまして、具体的に運輸省のほうから一つの案といいますか、それを提示しまして検討をしてもらつているというのは、そう以前でございません。どのくらい前かということにつきましては、はつきりいたしませんが、そう以前ではございません。
  150. 大和与一

    ○大和与一君 その見通しですね、いつ頃まとまるのですか。
  151. 植田純一

    政府委員植田純一君) これはどうもやはり都会と地方といろいろ立場、状況が違いますので、そういう点の意見があるようでございます。併し私の考えといたしましては、それぞれの会社の立場に必ずしもとらわれることなく、或る程度の目標というものをできるだけ早く作り上げて、直ちにその目標に勿論移行できない事情もあろうかと思いますので、事情が非常に困難であるものにつきましては、その事情の如何によつては、それだけの又猶予期間と申しますか、そういうものも考えることにいたしまして、取りあえずできるだけ早く基準というものを作つて、できるだけそれを目標にやつて行きたいと、かように考えております。
  152. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  153. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  154. 大和与一

    ○大和与一君 四月一日からスピード・アップをするという話がありますが、これは決定しておりますか。
  155. 植田純一

    政府委員植田純一君) その点は聞いておりません。
  156. 大和与一

    ○大和与一君 若しもそういうことがあるとしたら、これはちよつとこのことを研究して頂かないと……、ちよつと待つてもらうということにしたらどうかと思うのですね、それは併し……それから次は、今も委員長からもお話があつたように、内容について十分局長としてまだお調べになつていないから、この次の委員会に一つ、今日聞いたようなことをお考え頂いて、十分な実情調査といいますか、調査をして頂いてやつてもらう。それからさつき事実があるかないかというお話がありましたが、この点は死傷した事故については、生きた人間、遺族がみな生きておりますから、その人たちはいつでも御連絡をして来てもらうことができる、こういうふうに考えておりますから、その点も一つお話して……。
  157. 植竹春彦

    植竹春彦君 人身事故は国鉄においても地方鉄道においてもいわゆる胆を冷やすと申しますか、冷汗三度の思いをする経営上一番心痛する問題だろうと思う。殊に資本金が国鉄と比較して小さい地方鉄道においては、なお更さようであろうと思います。この人身事故、踏切事故に対しましては、責任が、たとえ被害者側に過失があるといたしましても、いわゆる富は債務を生ずる原則、無過失責任損害賠償の精神に従つて、経営者側において弔慰金もできるだけ十分に支出して行くというのが、今日の経営の精神であろうと思う。併し今日ではその弔慰金なり或いは御見舞のお金のほうが相当厖大になりますので、この問題を解決し立案し、立法に持つて行くときには、監督局長及び政府当局におかれて、十分の御注意を払われて行つてもらいたい。この請願書にありますように千円ということは、これだけであつたとすれば非常にこれは寡少であると考えますけれども、さればとて余りに多額に上ることが繰返される場合には、会社経営上非常に困難を来たすであろうと思う。そこで保険の方法とか或いは立体交叉に設計変更、改築して行く場合には、十分な国家補助ということが必要であろうと思う。今日提示されておりますこの五つの事故のうち、半数は駅の次の次の踏切、第二踏切で起つた事故であるということは、ここに第二踏切というものが、都市の踏切として相当危険を感ずる踏切であるから、この点を今後この問題を処理なさる上において御留意を願いたいと思います。第一の踏切はよくみなさんが気を付けるけれども、第二の踏切は、第一踏切と第二踏切の間の距離が近いのが極めて多い、そのために警報器のない場合もある。いろいろな事故が第二の踏切は起りつつあるということも指摘いたしたいと思う。それで問題はまだ監督局長まで行つておられませんので、只今大和議員のお話のように、これは是非とも実情調査して、然るべき今後の解決に当られる監督局長におかれてはその地方鉄道関係者とよく事情調査して、そうして今後の適当な指示を与えられることが必要であろうと思います。その点について監督局長の今のこの技術上の点、踏切について、それから又立体交叉になるというそれを全部会社に負担などということは到底考えられないという点、そこで実際問題として、なかなかこの問題には時日を要する、そこで立体交叉といつたような理想案を完成するには、とても目の前の問題が承知しない、どうしても目の前の問題としては、やつぱりこれは経費がかかつても踏切番を置いて行く以外にやり方がないのじやないか。踏切番を置いても現在無数の事故がある。警報器を置いても警報器が鳴らなくなつてしまつて事故が起きている実例がある。併しやつぱり次善策としても、完全な策でないから打つちやつておくというわけに行かない。「ちよつと待て」の注意も地方の辺鄙な鉄道線路では有効であるけれども、非常に交通頻繁な小田急のごとき場合には有効ならざる場合が多い。そこらに思いを合せて早速次善策で結構ですから、一日も速力に小田急当局を呼んで、第一に慰藉、弔慰等の方法についての事情聴取、そしてそれに適当な指示を与える。第二に踏切についての次善策を速かに善処されることを要望をいたしますが、その二点についての御意見を伺いたいと思います。
  158. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに不祥事故が起きました場合に、その原因の如何を問わず、又原因によりまして事情は違うと思いまするが、その原因の如何にかかわらずその弔慰ということにつきましては、社会通念から見ましてこれは相当と思われる弔慰を講ずべきであろうと思います。勿論只今御指摘の点がどういう事例でありますのか、実は詳らかにいたしませんが、そういう点につきましては十分又調査いたしまして、事情を聴取いたしたいと思つております。なお踏切の整備につきましては、御指摘の通り非常に大事業なんでございまするが、まあ根本的な対策と同時に差当りの逐次の整備というものもやつて行かなければならんということは、これは当然でございまして、根本的な問題につきましては、先ほど申上げておりまするように、これはどうしても立法措置に持つて行かなきやいかんというような感じがいたしておりまするが、それまでの方法といたしましては、これも先ほど申上げておりますように、いわゆる行政指導によりまして、逐次その必要度の高いものから手取り早く、まあ一つ少しでも整備して行くというつもりで今後進んで参るつもりでございます。
  159. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本件は、先刻大和委員から御要求がありましたように、政府のほうで一つ答弁の準備を願います。   —————————————
  160. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、自動車行政に関する件を議題といたします。
  161. 高木正夫

    高木正夫君 ちよつと速記をとめてもらえませんか。
  162. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止
  163. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をつけて。
  164. 高木正夫

    高木正夫君 政府は今回ガソリンの税法を改正して、現行の一キロ当り一万一千円を一万三千円に増加しようとなさつているようであります。又来年度、即ち二十九年度の道路整備資金として二百三十七億六千七百万円というものを予算に計上いたしております。なお又大蔵大臣は、本年度はもう補正予算は行わないのだということもはつきり言明されているようであります。要するに二百三十七億六千七百万円を確保すればよいということになるわけでありまするが、一方運輸省と通産省両省で協議した結果、決定した供給量は二百五十五万キロというようでありますが、そうすれば現行の税率にいたしましても、税収入が二百八十億五千万円となるわけであります。むしろこの奢侈品の最高率と同じくらい、即ち従価税に換算して見ると約五割の高率をかけておる。毛皮とかそれから最も高い物品の税と同じ税を課しておる。その税率をむしろ逆に低減する余地が十分あるのじやないか。道路整備のほうの金がそれでも余つて来るのじやないか。丁度二百三十七億六千万円に相当する額まで滅しても税率を下げ得るのじやないか。然るに逆にこれを一万一千円を一万三千円に上げる。つまり大体一割八分も上げなきやならない。これがどういう理由でそういうことになつて来るのか。その理由をお聞かせ願いたいと思います。
  165. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 今回の税制の改正の趣旨が、御承知のように、税制改正案の全体の構想を取入れたわけではございませんが、税制調査会の思想を大体取入れまして、直接税を中心として減税を行い、その穴埋めといたしまして間接税を増税すると、こういう方針を大体とつておるわけでございます。その増税の中心も成るべくならば生活必需品を避けて、特殊な嗜好品或いは高級品を狙つておるわけでございますが、そのうちにガソリン税の一つがあるわけでございます。ただガソリン税につきましては、成るほど税抜き価格に対しまして、現在の税負担は約五割程度でございますから、成るほどこの税負担は必ずしも安いとは私は考えておりません。ただ外国の税負担と比較いたしますと、必ずしも高くない、こういう関係もございます。それともう一つ、最近自動車が非常に殖えて参りまして、道路の損傷が非常に大きいということもよく言われておるわけでございます。そのために中央及び地方の道路整備費が非常に多くなりつつある。これらの関係を見まして、殊に二十九年度から揮発油税の税収入に道路の整備費は大体見合うようなことにもなつておりますので、これらを勘案いたしまして、約二割程度の増税をいたしたわけでございます。もう少し上げたらいいじやないかというような意見も内部にいろいろな方面から出たわけでございます。殊にだんだんと自家用車が多くなつて来ておりますし、外国の負担から比べましてなお上げてもいいんじやなかろうかという話もあつたわけでございますが、最近トラックに使われておりますのは、必ずしも揮発油ばかりじやなくて軽油もある。軽油に対しましては、現在のところ消費税はかかつておりません。これらの関係を考えますと、余りの増徴もできない、こういうことも考えられますので、二千円にとどめた。それにもう一点考えられますことは、大部分揮発油は輸入品でございます。これも外貨節約の思想から、やはり輸入品につきましては或る程度負担を願つてもいいのじやないか、こういう思想を勘案いたしまして一キロリットル約二千円の増税を提案いたした次第でございます。
  166. 高木正夫

    高木正夫君 そうしますと今申上げた通りガソリンの税収入というものを全部道路に入れるわけになりますか。これは法律上どうしても入れなければならんと私は思うのですが。
  167. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) たしか道路整備費の財源等に関する臨時措置法でございましたか、これを見ますと、収入は見合う、ただ今回の改正でございますが、一部は地方の譲与税といたしまして地方の道路財源になる、こういうふうに承わつております。ですから大体揮発油税の収入予算が道路費と見合つておる、こういうふうに考えております。
  168. 高木正夫

    高木正夫君 二百三十七億の中で約七十億か八十億程度でしたか、それだけは交付金として地方に廻すと、道路整備特別措置法によつて、これによつてやるということは承知いたしておりますがね、そうすると、税収入が今申上げた通りに、通産省、運輸省協議の数量だけ入れるという計画であれば、そこに金が大分つて来るわけですね、その余つた金をやはり道路に使うのか。使えばいいのだが、一面において大蔵大臣は今年は補正予算を組まないということを言明されておる。
  169. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 只今こちらへ参ります前に大蔵省の資金課長と相談して参つたのでございますが、ガソリンの外貨割当についてまだきまつてないと、通産省或いは運輸省からの希望数量は私ども承知いたしております。私ども予算は大体去年の実績を基礎といたしまして、大体最近の外貨事情におきましては、去年程度のガソリンの輸入量じやなかろうか、これにまあ欠減控除という制度もございます。それを勘案いたしまして作りましたので、私どもの見ておりますところでは、現在のところこの程度の数字を予算に見積るのがいいのじやなかろうか、かように考えております。  もう一点の道路費との問題は、あの法文では揮発油の収入予算を道路費に充てるというふうに私どもは伺つておるつもりでございます。
  170. 高木正夫

    高木正夫君 本年度、二十八年度の程度を入れると、運輸省、通産省の意見はどうあろうと、大蔵省としてはその程度入れるというお話のようでありますが、若しそうしても二百三十七億というものは出て来るわけなんですね。丁度二十八年度の税収入であつて二百三十六億何がしになる。殆んど収支が同じことになるわけです。それだから、それを別に一万一千円を一万三千円に上げる必要がないと、こういうことになるわけだと思うのです。それはどういうことですか。
  171. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私のまあ表現が非常に不十分であつたかもわかりませんが、大蔵省はこれだけしか入れないというのじやございませんで、私ども予算を組みましたのが大体一月頃でございます。又外貨割当の関係はきまつておりませんし、在来の収入予算の作り方は、大体まあ前年の課税実績を基礎といたしまして将来の予測をするわけでございます。その時には大体まあ消費傾向などを見まして、消費税を例えば一割見るとか、こういう傾向があるわけでございますが、外貨事情とそれからまあ政府の言いますところの消費生活の抑制と、こういうようなことを考えますと、まあ前年実績の横滑りがよかろうと、こういうふうに計算いたしておりますので、これによりますと二千円上げなければ現在の収入予算は、私ども提案いたしておりますところの収入見積にはならない、かように私どもは考えております。
  172. 高木正夫

    高木正夫君 ちよつとそこのところはおかしいと思うんですがね、二十八年度ぐらいの実績だけを入れると、今度の予算で二百三十七億六千七百万円ですか、それだけのものは特にあるんだということが、丁度辻褄が合うわけなんです。御計算されたらすぐわかる。昨年の実績は幾らでしたか。
  173. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) ここで申上げますと、私どもの見積ります税収入は、二十九年度にはガソリンで約二百六十万キロリッター程度の消費を見込んでおるわけでございます。
  174. 高木正夫

    高木正夫君 二十八年度の実績が、まあまだこれは若干時日が残つておるわけですが、二百十四万七千キロになつておるわけですね、そうするとこれは丁度道路整備費に充てるのに都合のいいことになつておるわけなんです。そうすると何も一割八分も税金を上げなくてもいいじやないか。尤も税収入がどんどん多ければそれは道路にぶち込むんだということになれば、そうすれば道路がよくなつて舗装でもすればコストが五割やそこら上るのだからこれは業者もまあ忍んでいいじやないか、私はそう思うが、併し経営の立場から今日非常にもう疲弊し切つておる。トラック業者などもそれでどうしても経営が成立たん、こういうことになつておるわけです、現状は……。だからその際にトラックの数が殖えて行つて、そうして税収入がだんだん上つて来るのに、そういうように税金まで上げる必要はないじやないか、こういうことが考えられると思うのです。
  175. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 本年度の二十八年度の収入実績だけで大体二百三十億上るのじやないかというお話でございますが、私どもの過去の収入実績を毎月とつておりますが、本年度はまだ締切つておりませんが、予算では百八十六億八千四百万しかみておりません。それで若干の自然増は私はあるかと思いますけれども、今委員のおつしやつたような数字にはならないのじやないか、かように考えております。
  176. 高木正夫

    高木正夫君 これはトラック業界その他で運輸省でも調査したのじやないかと思いますが、これは局長おいでになるから承わつてもいいのですが、この数字は私は間違いないと思つておるのですがね。それはあとでよろしいのですが……。もう一つ伺つておきたいのは、輸入外貨の問題ですね。ガソリンの輸入を従来よりも制限しようというお考えであるのですか、そこのところを……。
  177. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私ども主税局でございますので、為替局、或いは通産省の通商局とも違いますので、税金をこれだけ取らんがために無理して外貨を節減する、こういうことは全然いたしません。私ども立てましたのは、今申上げましたような昭和二十八年度の消費実績を大体横滑りと見まして一応見積りを立てたわけでございまして、この程度の数字に抑えるということは税金の面から私は出て来ない、かように考えております。
  178. 高木正夫

    高木正夫君 実はあなたはそうすると大体二百万キロぐらいが入る予想なんですか。
  179. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 現在の提案いたしておりますところの揮発油税法によりまして計算いたしますと、その程度収入になるには約二百万キロリッターの揮発油の消費があればいい、こういうことになるわけでございます。
  180. 高木正夫

    高木正夫君 この間予算委員会で愛知通産大臣が言われたのは、多少それよりも減るというようなことを言われたのですかね。これはまああなたにお聞きしてもちよつと工合が悪いのですが……。二十七年度にちよつと毛の生えたぐらいの程度のことしか入れんようなことをお聞きしたのですが、そうすると問題が非常に私は大きくなると思うのです。一方において自動車が非常に数が殖えて逆に又これは何割でしたか、自動車が二一%ぐらい殖えるわけなんです。その点ガソリンのほうは逆にそうして減るということになると、これはもうガソリンの値段が非常に暴騰して来ることになるわけです。そうすると到底この運輸業者は立つて行かれない実情にあるわけです。特にトラック業者は利潤が非常に少い。而も認可料金というものがあつて値段がどうしても上げられない。だからどうしても認可料金を安く抑えなければ国民の負担が非常に大きくなつて来るということになるし、若し認可料金でこれを抑えて行くということになると、そうでなくてさえも今日経営に喘いで、うすうすお聞きの通り倒産するものが続々出ておる状態なんです。この上税金をうんとかけて行くということは、これは業者を殺してしまうことになる。業者の一人や二人いいじやないかといつたところで、これは国民経済に及ぼす影響は重大な意味を持つものだと思うのです。それを奢侈品のごとく同じような取扱をされるということは、非常に私は考うべき問題だと、こう思うわけなんで、ただあなたにお聞きしてもおわかりにならない点は、いよいよそういう、どのくらいに抑えてどうするのだというようなことはあなたの責任の範囲外にあることだから、ちよつとお尋ねするのは今日は無理かと思いますので、これ以上私も質問申上げるのもどうかと思うのですが、要するにその点は他日に譲りまして、業者が非常に気息奄奄とやつている。これは詳しく申上げれば数字でも皆整えておりますが、この際に自動車のガソリン税を上げることは一つやめるだけの御勘考ができないかどうかということを、これだけ申上げておきます。
  181. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 只今お話にありましたように、私どもは揮発油を必ずしも奢侈品とは考えておりません。併し一方これは目的税ではございませんけれども、外国の例を見ましても、ガソリンに対しますところの消費税の負担が相当高いということは、恐らく或る程度道路費との関係とも結びついているのじやなかろうか、かように私ども考えております。そこで先ほど委員のおつしやいましたように、自動車が非常に殖えて参りまして、道路損傷率が非常に負担になつて来ますと、この程度負担は一つ是非お願いしても無理はないのじやなかろうか、かように考えているわけでございます。殊にガソリンは輸入も削減されて参りますと割合値段も上つて参ります。その思惑によつて上るのはこれは別だとおつしやいますが、税金はそれに比べて非常に少いということもありますし、その関係からむしろ有効需要から来ますところの思惑の値上り益というようなものも若干チエツクできるのじやなかろうか、こんな気持を持つておりますので、この提案を引込めるというようなことは困難ではないか、かように考えております。
  182. 高木正夫

    高木正夫君 諸外国の例を挙げられましたけれども、諸外国と日本と事情が違いますよ、それは。諸外国は例えば自動車の数が、種類にいたしましても大体自家用車が大部分なんです。負担力の多い自家用車が多い。而もオーナー・ドライバーである。日本はそうじやない。だから諸外国は相当税金を取つているから日本もそれに倣うても差支えないのだということは、日本の国情を無視した議論だと思うのです。それともう一つお考えを願つておきたいのは、ガソリンはそれは贅沢品じやない、奢侈品じやないということはわかると言つたけれども、それはもとよりそうなんですが、贅沢どころか、つまり動力源として極めて重要な資源だろうと思うのです。殊に石炭の乏しい日本としてはこれは大きな一つの動力源である。従つてこれを、これは根本の政府の方針に関する問題であると思うのですが、今物価の引下げを盛んに提唱されている。それがためには金融を引締めるのだ、財政的に又金融的に引締めて緊縮予算でやつて行くのだ、こういうことなんですが、それだけでは私は足らないと思うのです。一方に生産を増強する、機械類だとか……、今度機械類も減らされるらしいのですが、そういうものもどんどん入れて生産を余計して、両方のフアクターで以てして物価政策、物価を引下げるほうに持つて行かなければならん、これは大きな問題になるので、これもあなたに申上げてはどうかと思いますが、そういう見地からしてもガソリンというのは非常に重要なもので、それがために物価が上つている。これは現実に上りますよ。タクシーにしてもトラックにしても、このままでは会社は成立つて行かない。それにはどうしても運賃は上げて行かなければならない。そうすれば政府の低物価政策に真正面から反対の効果が出て来る。一方で金融で引締めながら、同時に又片方では物価を上げるような政策を政府がとつておるということになる。ここらの関連になると、あなたとこれは議論しても始まらんわけだけれども、そういう点を考えてよく十分に一つ上の人も教育してもらいたい。あなたが私の説に若し御賛成なら、教育してもらいたいと、こう思うわけなんですがね。
  183. 岡田信次

    ○岡田信次君 関連して。今高木委員が言われたあなたが外国の例を盛んに挙げておるということについて、これは大体成るほどアメリカあたりでも二〇〇%も取つておる。ところが原価が安いのです。アメリカでは一ガロン、九セント、九セントと言えば三十何円でしよう、日本の金にして。三十何円ですから、それから二〇〇%取るのは当然負担が勿論できる。而も日本のガソリンは一ガロンが百四十円、これが七五とか七三とかのオクタン価で、八〇のオクタン価のやつは百五十円もするのですよ。ところが向うのガソリンというものは皆八〇オクタン価以上で、それらの事情もやはり考えないと、とんだことになるということを一言御注意申上げておきます。
  184. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 又すぐにお言葉を返すようでございますが、私どもアメリカのガソリンは確かに安いことは存じております。ただガソリンの消費者価格を外国なんかと比較いたしますと、ヨーロツパとか或いは南米あたりに比べるとそう日本は高くないのではなかろうか、かように私どもは資料で了承いたしております。
  185. 岡田信次

    ○岡田信次君 私の申上げるのは、税率は日本より高い大抵……。日本みたいに五割という所はないでしよう。大体皆高いですよ。ところがガソリンの原価とそれからその国々のほかの物価と比べてガソリンは安いんですよ、ずつと……。だから従つてそれに一〇〇%なり二〇〇%の税をかけても負担ができる。ところが日本は今言いましたように原価が高いのですから、輸入品ですから……、勿論欧州でも輸入品だけれども……。だから原価が高くなつて来れば税率はたとえ五割でも全体の数としてはほかの物価に比べたら、一般に比べて高いということは私はどうしても明らかなものだと思うし、大体質が違うというようなこともお考えになつて、その辺のことをやはり考慮されたほうがいいと思いますね。
  186. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 今の、私ここに世界各地の普通のガソリンの小売価格があるのでございますが、これも参考にあとで提出してもよろしうございますから、この点は議論は省略いたしまして、大体日本が一リットル当り三十五円でございます。イギリスが四十六円、フランスが六十六円、ドイツが五十三円、イタリアが七十三円、まあこんなふうな状況になつておるわけでございます。
  187. 岡田信次

    ○岡田信次君 だからそれはわかるのですよ。ところが日本で以て普通平均の何といいますか、収入というようなものは一万五千円か、公務員のべースが……。ところがフランスに行けばもうこれは六万フラン、五万フランにもなつておるので、ただいきなり比べられてはどうにもならない。
  188. 高木正夫

    高木正夫君 課長さんにもう一つ参考に申上げますが、鉄道で輸送しておる貨物とそれからトラックで輸送しておる貨物と、大体数量がどのくらいか、これは概略を申上げますと、二倍以上になつておるのです。ところが鉄道運賃を今ちよつと、一割でも上げたらこれは社会問題で、大問題だと思うんです。ところがガソリンの規制によつて税金を上げたり若しくはその数量を減したりしますと、これは必ず一割どころじやないですよ、運賃を相当に上げて国民に迷惑させるか、それとも業者を殺さない限りには……。相当に値段が上る、こういう大きな社会問題が起つて来ると思うのですよ。これは細かい業者だから、日本のような鉄道じやないものだから、そういうことは皆さんお気付きにならんと思うんですけれどもね。そういう点を考えたら、こういう際には軽々にガソリン税など上げるべきものじやない、私はそういうように考える。むしろ減らさなければならん、こういうように考えるんですがね。
  189. 植竹春彦

    植竹春彦君 では私、その次に、そのガソリン税以外の他の点でお尋ねいたしたいと思います。  自動車に対する税金のうち外形標準課税ですが、これが今度は所得課税に変更されたことは大変よく、理解のある、又税制の本質からいつても大変結構なことだと思う。ところがそれはトラック、タクシーだけの話であつて、バスについては相変らず外形標準課税になつておりますが、バスだけそういうふうなお取扱でありますその御説明を願いたいと思います。
  190. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御承知のように事業税は二十八年度限りでありまして、二十九年度からは附加価値税が実施されることになつております。併し附加価値税を実施することにつきましては、いろいろな議論もございますので、従来の事業税をそのまま大体において踏襲するということになつたわけであります。併しトラック運送などにつきましては、料金統制等が行われているとは言いましても、必ずしも厳格に守られがたいというふうな事情もございますので、そういう意味でその種の部分の外形課税を外したわけであります。
  191. 植竹春彦

    植竹春彦君 そうするとバスのほうは登録もあり、はつきりしているから、取りいいから外形標準課税で相変らず取つておる、そういつたようなことなんですか。
  192. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 取りいいというよりも、料金統制が行われておつて料金の中に府県経費負担分を織込むことができる、織込まれた料金というものはそのまま守られることができる、従つて織込まれただけのものは府県経費分担分として出してもらう従来の制度を踏覆して行くことができる、かような考え方を持つたわけであります。
  193. 植竹春彦

    植竹春彦君 これはやつぱり、バスだけをそういうふうに外形標準課税に残さずに、一体外形標準課税なんというのは全部なくしてしまつて税金というものは所得から取るのがむしろ原則とすべきじやないんでしようか。
  194. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 事業に対する課税標準を何に求めるかということにつきましては、明治以来紆余曲折を経ております。或る場合には事業者数をとりましたり、或る場合には売上金額をとりましたり、或いは所得をとりましたり、二十五年からはシヤウプ勧告が実施になりまして、附加価値額が課税標準になるということになつてつておるわけでございます。殊に府県の独立税ということになつて参りますと、損をしていれば府県の経費を分担する必要はないというふうなことでは、規模の小さい団体でもございますし、又応益課税的な考え方も合せ考えて参りますれば、むしろ所得を課税標準にとることは穏当ではないという考え方を持つているのであります。併し今千億に近い事業税の課税標準を変えますということは、事業そのほかの負担に激変を与えることにもなりますし、そのことが我が国の経済の現状から考えまして穏当でもないように思われまするので、止むを得ず従来の或るものについては所得課税、或るものについては収入課税の方式を踏襲することにしたわけであります。
  195. 植竹春彦

    植竹春彦君 このバスの乗車人員でありますけれども、乗車人員が非常にまばらである。最近、殊に去年の初秋以来ずつとバスの業態が下り坂になつておる。大体去年の夏が絶頂だと思いますが、業者は皆心を締めて経営を警戒し始めておるわけでありますが、もうこういうふうになつて来ると、占領政策当時の外形標準課税のごときはここいらで考え直して、本来の姿と申しましようか、所得課税に考え直して行つて頂いたほうがいいのじやないか、適切じやなかろうか。観光バスにつきましても、随分遊びも多いわけでありますので、この点も一つ是非再び十分な御調査を願いたいと思うのですが。  次に地方税に関する参考計数資料として自治庁から御提出になりました資料のうち大分誤植か誤算かがありますのですが、まあ誤算と思われますのですが、只今お手許にそれは日本乗合自動車協会から配付されましたのを先ほど来配付を受けてこれを読んだのでございますが、若しこれが本当とすると、この乗合自動車協会の提出したものが本当だとすると、これは非常に工合が悪いように思われるのです。この第三三頁バスの部という所に、観光貸切用のものについて揮発油を然料とするもの二百八十一台と自治庁提出の書類にはなつておるけれども、その他のものは五百二十七台となつているが、運輸省に登録された台数を正当なものと、間違いないものと、こういうふうにするというと、二千五百二十七台が正当だとすると、二千台も、五倍も台数が少く記録されて、それが各地方行政委員に配付されておる、この受けた資料でいうと丁度この紙の真ん中頃、NO1の向つて右の改正案という所の車両数のずつと下のほう、しまいから五行目ですね、二百八十一台、こう車両数がなつているが、それが二千五百七十七台が本当である、自動車局長がここにお見えになつているので、どつちが本当なのか自動車局長にあとで御答弁願いたいと思います。それからその次は同欄の税収額が一億五千百六十二万円とあるのが、それが税率を六万円として計算してあるけれども、これは政府原案は五万円のはずだ、そうするというと、一億二千六百三十五万円が正当であるということになると、これは自治庁の原案を提出したのがそろばん違いじやないのだろうかどうかという疑問が起るわけですが、これに対しては自治庁のほうからも御答弁を願いれい。それからその次に、小計欄で七十七億一千百六十一万三千円と見積つているのですが、これが七十七億三千六百八十八万三千円となるのじやないか。それはNO2という表の税収額という欄の真中頃にあるわけです。随分金額が大きく違つているわけです。それから従つて統計欄で八億七千九百六十一万三千円とあるけれども、これが七十九億何がしと、つまり大分大きく違つておるのです。それからその次に、欄外に七十四億八千五百六十三万二千円とあるのがこれが七十五億九百六十三万九千円になつておる、それから第三四頁の合計欄で、従つて七十六億二百万円の収入見込を立てているが、これは七十六億二千六百万円が正当だと、だから統計において差額二千四百万円の軽減の余地があると、こういうふうに乗合自動車協会で書類を提出しておる。若しこうだとすると、これはバスの税金額をよほど考えてやらぬとバス業者がなかなか成立つて行かないのじやないか、私は陳情書によつて見ておりますので、これに対する反対陳情は見ておりませんのでよくわかりませんけれども、若しこれが本当だとすると、こんなに税金を取らなくてもいいのじやないかと、それで又今回バスにかけた税金を見ますると、現行はまあヂーゼル車のごときは、この現行二万五千円が今度は五万円に、倍額になつている。成るほど倍額のように見えるけれども、つい昨年の国会できめられたときには一万円だつた、それが五万円になる、僅か一年たたずで五倍も取るという税金の取り方は、何ぼ税を値上げするといつても一挙にこんなに……、一挙ということはありませんが、二度だけれども、一年たつかたたないうちに、どうも余り取り過ぎではないかと、びつくりして見ているのですが、それからガソリン車のほうは、これは主として観光貸切用のヂーゼル車について今申述べたのですが、観光貸切車のガソリン車のほうでも、一年前には一万円であつたのが三倍の三万円になつている。それから一般バスのほうはガソリン車は、一年前に一万円が現行一万四千円で、これは今回は増税されない。ところがヂーゼル車になると一年前に一万円であつたものが二万三千円、つまり三倍三分というふうに、二十三割というふうになつている。これは成るほど随分取り過ぎるのではないかというように思われるのですが、どういうことからこんなにびつくりするほどたくさん自動車に課税されたのか、この二つの点、つまり誤算の点と、それから課税が大き過ぎるのではないかというこの二点について、地方自治庁のほうから御説明願いたいのであります。
  196. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 乗合自動車協会から資料のミス・プリントを御指摘になつて有難く存じております。ただ全くのミス・プリントのようでありまして、例えば同じ資料の中でバスで申しますると観光バスが二千八百八台となつております。指摘されております資料の九頁でありますが、二千八百八台のうちに揮発油を使つておりますものと、それ以外のものが幾らあるかということを三二頁に書いておりまして、揮発油を燃料とするものが二百八十一台でその他が五百二十七台でございますが、上の二という数字が漏れておるのであります。徴税見込額を見て頂いたならば、その金額が出て来るのであります。そういうふうに若干いろいろなミス・プリントがあるようでございまして、御指摘頂きましたことを有難く感謝いたしております。台数その他につきましては、運輸省とも十分打合せをいたしておるのでございます。  その次に、自動車税の税率がかなりこの一、二年来急激に上つて来たことについて御意見が述べられておりますが、今度の自動車税の税率をきめるに当りましては、税制調査会の答申が全体として五割程度収入を上げるということを目途にして税率改訂を行う、こういうことを基礎にいたしまして、このような税率の定め方をしたわけでございます。その際に揮発油を燃料としております自動車につきましては、揮発油税の負担がございますので、それ以外の自動車におきましても、揮発油を燃料とする自動車との均衡を考えたほうがいいじやないかと、こういうようなこともございましたので、揮発油以外のものによつて運行いたしまする自動車につきましては、同種の自動車の七割程度負担の増加を求めると、こういうことにしたわけであります。このような考え方を基礎にしながら、車種相互間の負担の均衡化を図るということできめましたのが改正案による税率でございます。その中で例えば揮発油を燃料とするバスに例をとつて申しますと、昨年一万から一万四千円に税率の引上げが行われました。それが今回は一万四千円に据え置きまして、而も従来のバスでありますと、その税率の適用されておりまするバスは、二十一人乃至三十人であります、定員が。ところが今回この標準税率の適用されまするバスを三十一人から四十人でありますか、というものに適用される税率であるということを明らかにする規定を置いております。言い換れば、法律に書いてありまする税率の適用されまする車体が、従前よりも大きなものに適用されることになりますので、据え置いた税率というものは実質的には引下げられているという結果になつておるのであります。従前一万四千円の税率の適用されておりました時代におきまして、同じ種類の自動車におきましては一万六千八百円の税率が四十府県において適用されております。従いまして今回一万四千円に据え置いたということは、逆に従来の税率の八三%になつておる、こういうことでございます。御指摘のように揮発油を燃料とするもの以外のものにつきましては、七割程度余計負担を持つてもらうことになつておりますので、今申上げました意味では下つているだけの七割程度負担の増加が別個に起きて参つて来ておりますので、引上げ率というものが三割七分程度になつておるわけであります。このような事情を御了解願つておきたいと思います。
  197. 植竹春彦

    植竹春彦君 只今の御説明で一般バス、ガソリン車については大体了承いたしましたが、ただ三十一人以上四十人以下というのですが、今日の乗合自動車をのぞいて見ると大概四、五十人乗りのを使つているので、むしろその標準の容積のもの、つまり四十一人から五十人ぐらいの標準にすべきじやなかろうかと思う。これは又昨年まではいろいろ府県によつてつてつたように思われますけれども、今回全国一律にこういう基準ができたのは大変結構なことであると思うが、今の標準をどこにとるかという点において、この乗合協会関係の業者の要望、四十一人以上五十人以下にきめるという点についても御再考願われれば結構ではないかと、かように考えます。  その次に、その点に関していま一応の御回答を願いたいことと、もう一つヂーゼル車につきまして、ヂーゼル車をこんなに上げるならば、ガソリン税と同じようにヂーゼル税をかけて、その代りヂーゼル車にはガソリン車と同じような税率を課するのが理論上よろしいのじやなかろうか。尤もヂーゼル車を、ヂーゼルを使うのは自動車業者ばかりではないと思いますが、例えば漁業とか農林漁業方面でも使うでありましようが、農林漁業も大衆の仕事であるから、余り税金はたくさん課せられないでありましようが、このバス業務というものも、やはりこれはそのバス事業家の事業ではあるけれども利用するものは一般大衆であるのであるから、これはバスは大衆の靴か下駄とお考えになり、又トラックは農民の荷車ぐらいにお考えになつて、結局大衆に転嫁されて行くことを考えなければならない。若し大衆にこの税金が転嫁されて行かないでバス業者の負担に終つてしまうとするならば、この運賃運輸省監督という制約があり、而も又このバス運賃なるものが他の乗物交通機関との対比上、比較上滅多には上げられない。バス料金はほぼここで飽和状態に達しているというふうな運輸省の側のこの前あたりの御説明で見るというと、ここでヂーゼル車にたくさんかけるということが再考を要する問題ではなかろうか。そこで御回答願いたいのは、ヂーゼル車に対する値上げをこんなにたくさんにやらないで、ヂーゼル税というものをこしらえて、そうしてヂーゼル車にもつと安い税率を課したらどうか。この二つの点をお尋ねいたします。
  198. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 前段の標準税率の適用される車体を大きくいたしましたのは、従来観光貸切用のものでありますと四十人を超え五十人以下というバスが一番数が多いのであります。その他のバスでありますと三十人を超え四十人以下というものが一番数が多いのであります。一番数の多いものをとつて来て法律の中に規定をすることにいたしたわけであります。  後段の問題につきましては、軽油に対しても税を取つたらどうかというような意見もあつたようでありますけれども、軽油は専ら工業用に使われておつて、自動車に使われることは例外である、揮発油の場合に専ら自動車に使われ他に使われるのか例外であるというふうなことから、揮発油等の関係を自動車税において負担の均衡を求めたというような形になつてつたわけであります。
  199. 植竹春彦

    植竹春彦君 どうもここは見解の相違になつて参りますから、この問題はこの程度にして自動車局長にお尋ねいたしたいのですが、定員数は三十一人以上四十人以下の一般バスは何両で、それから四十一人以上五十人以下は何両ぐらいでしようか。これはすぐに資料をお持ちでなければ御即答でなくて結構です。或いは概算を御記憶なら概算でも結構です。
  200. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 只今資料を持ち合わせませんし、正確なことは陸運事務所を通じてでも登録原簿によつて調べなければ申上げられないと思います。必要ならば直ちにそういうように手配をいたしますので暫らくお待ち願いたいと思います。ただ大体の見当という御質問については、最近の事情では四十人を超すようになつたんではないかと思います。さように思います。
  201. 植竹春彦

    植竹春彦君 只今自動車局長が正確ではないが、常識と申しまするか、大体見当は四十人以上のほうが普通であるとすれば、地方自治庁としては、この点について御再考願えないでしようか。
  202. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 自治庁としては総体を調べまして、その結果一番多い台数が私が今申上げた通りの数字であります。この数字については、自動車局の財務課長も了承済みであります。その関係の台数が一番多いということを指摘しておられます。
  203. 植竹春彦

    植竹春彦君 この点は自動車局長の御答弁が書類を見て言われたのでないのでありますから、たとえ違つても中村局長を追及する考えは全然ありませんが、そういうような大体の記憶としても、若しそういうような御記憶であつたとすれば、最近のこの登録数をそれでは後日成るべく早い機会に御提出願いたいと思います。この次の運輸委員会で結構です。あとは意見の相違になります、見解の相違になります点が多いので、当局に対する質問はこの程度にいたしまして、あとは地方行政委員会等において委員発言その他の質疑応答、或いは陳述で私の知りたい点を継続して参りたいと思いますから、本日はこれで発言を終ります。
  204. 高木正夫

    高木正夫君 一つ物品税について簡単にお尋ねをいたします。今度の物品税の改正ですが、これは大体収入は税収入がどの程度増加するのですか、それをお尋ねしたいと思います。
  205. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) お答えいたします。物品税の総収入が約十億と記憶いたしますが、ただ今のお尋ねは自動車だけでしようか。
  206. 高木正夫

    高木正夫君 自動車だけです。
  207. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私どもは大体かように見込んでおります。これは初年度でございますが、来年度におきまして高級乗用車におきまして四億六千七百万円の増加でございます。それから普通乗用車におきまして、中型と申しておりますが、今度自動車税の課税区分を根本的に改めましたので、若干の出入りがございます。そこで中型でも増税になつたものもあります。小型で今まで二割になつておりましたものが、今度三割の線に入つて参るものもあるわけであります。それが二億七千八百万円、それから小型普通乗用車は、国産奨励の見地から小型を下げるために三億八千八百万円の減収と相成ります。でございますから差引いたしまして三億一千万円程度の増収を見込んでおるわけでございます。
  208. 高木正夫

    高木正夫君 ちよつと数字が合わぬように思うのですけれども、三億幾らが増収で、又同じような三億いくらが国産車の税金を安くするために減収になりますね、二億円くらいになるのぢやないですか。
  209. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 高級大型車が四億六千七百万円、それからもう一つの中型の増徴した分が二億七千八百万円、合せまして七億四千五百万の増になる、減収が三億八千八百万円、かように見込んでおるのです。
  210. 高木正夫

    高木正夫君 その増収になる部分は主に外国車だと思うのですが、その外にもありますかね。
  211. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 大部分は外国車で、殆んど国産にはないと考えております。
  212. 高木正夫

    高木正夫君 そうしますとね、今度輸入外貨の関係で外国の車が入つて来るのが少くなりますね、そうすると収入は増収にはならんことになるのですね、増収になつてもその額は極めて少いものになりはしませんか。四億だとか、そういう大きな数字にならんと思いますが、目のこで考えましても……。
  213. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) 私どもは税関の資料、それから通産省の計画その他等、まだはつまりきまつておりませんが、大体斟酌いたしたわけでございまして、この程度収入を上げ得るのではなかろうかと考えております。業界の方々からも意見が若干、この程度収入はあるのじやないかという数字は私どももらつたのでありますけれども、その数字を検討してみなければならん。基礎数字の輸入台数につきましても大差なし。ただ業界の数字を見ますと現行の小型に入つておりますのが、上に上る分あたりが若干計算違いのような点も見受けられますので、私どもといたしましては、先ずこの程度収入は上げられるのじやないかと、かように考えております。
  214. 高木正夫

    高木正夫君 ですから入つて来るものの物品税ですね、つまり日本人の手に移る際における物品税ですから、そんなに多く来ておれば結構ですが、あなたの期待通りに行かん、極く少量しか入らないから、結局むしろとんとんくらいじやないかと思うのですが、私の聞いたところでは。今度は税収入のことは、これは余り大きく考えてないのだ、ただ今までの二〇%、三〇%高級車のほうは安かつたから、それを平均して国産の奨励と贅沢品の高級車を高く取ると、それがために税の組織を変えたのだというように聞いておるのですが、どつちが重点になつておるわけなのかと思つてお聞きしたいのです。
  215. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) どちらが重点というのはなかなか申上げにくいことになりますが、税制の改正の趣旨はと申しますか、改正の狙いは、今高木委員のおつしやられました点、奢侈的消費の抑制と申しますか、外貨の節約と申しますか、これらの見地からの間接税の増徴が一環をなしておるわけであります。税金でございますので、収入を上げることは目的でないとは言い切れませんし、特に直接税の減税の穴埋めの一部となつておりますので、収入は一つの目的であると、かように言い得ると思つております。
  216. 高木正夫

    高木正夫君 それでですね、税の収入がそうたくさん見込むことができないようであれば、つまり税制のほうの整理をするという点であれば、もう少しお考え願いたいと思うわけなんだ。或いは見ておりますと、つまり中級車といいますか、一般大衆的に、タクシーその他に使われておる車がかなり上ることになるわけです。だから大衆的に負担を増すことになりますし、そうするとやはりタクシーの料金なんかに関係して来ることになりますので、その点をもう一つお考え願つて、成るべく安く一つ、これは請願になりますけれども、一遍合理的に一つお考え直しを願いたいということを希望して、この問題はやめておきたいと思います。
  217. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) お説の通り、私どもといたしましても、成るべく大衆の負担を上げたくないという気持で、現在まあタクシーに一番使つておられますのはシボレー、フォード級と私が申上げるのは釈迦に説法のような感がありますけれども、そういうものにつきましては、税率を上げるということにはなつておらないつもりでございます。それともう一つ、収入の見積りの点でございますが、なおほかに輸入のほかに中古と申しますか、払下げがございますので、これらを見込みまして、収入見込を立てておる点を一つ御了承願えればいいのじやないか、かように考えております。
  218. 高木正夫

    高木正夫君 これは私も意見を持つておりますので、あとから又お持ち帰り願つて一つ御研究願いたいと思います。  中村局長に一言だけお尋ねしたいと思うのですが、過日輸入の車を運輸省として四千両確保したいという言明をせられて、私は少いと思つたのですが、ところがその後通産大臣が誰かの予算委員会かどこかの質問に答えたところによると、外車は殆んどゼロにしたいような考えを持つておる、原則としていけないのだということまで言つておられたし、又事務当局はそれに従つて極めて、まあそういうわけにも行くまいからと言つて、非常に少い数字を計算しておるとかいうことをお聞きするわけですが、これに対して運輸省はどういうような御態度をとつておられるか。運輸省並びに運輸大臣はどういうお考えで善処されておるか。お聞きしたいと思うわけです。
  219. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 外国乗用車の輸入の問題につきましては、この前も御説明しましたように、運輸省は最小限度として四千両を必要とする、かように考えまして通産省及び大蔵省とも事務的な折衝をして参つたのでありますが、まだ決定に至りませんが、事務的な折衝は、今回の外貨予算では殆んど行われずに、各省それぞれ希望的な意見を以ちまして、まあ主として閣僚審議会でおきめになるのじやないかという感じがするのであります。従いまして通産省がどういう考をお持ちになつておられるか、又どういう提案があるかということについては、只今見当は付きませんが、決して多い数字ではないように見受けられます。そこで閣僚審議会でどういう御議論があるか我我としても十分に運輸大臣に申上げてよくお打合せを願おう、かように考えておるわけで、何台が大体見込があるかということは、只今まだそこの見当が付かないわけであります。
  220. 高木正夫

    高木正夫君 自動車の問題は結局この前も申上げた通り、どれだけ国内に必要かということは運輸大臣がおきめになるのが本筋だと思う。外貨予算関係もあつて、我々も決して無理を言うのじやないのですが、その点を十分考えて頂いて、大いに運輸大臣の御善処を願いたい。いろいろ理論的に申上げれば相当論議の問題にもなると思うのですが、今回はそういうことは別に私もしたくないと思いますので、ただ運輸大臣が運輸行政上どれだけのものが必要だということは、十分一つよく閣僚審議会で御奮闘を願いたいと思います。ただ我々が、業者がどうだから、食えないからという問題じやない。もつと高所に立つた議論もできると思うのです、その点は。今のガソリンの問題等にしても、率直に言うと、運輸省はどうも腰が弱いような気がするのですが、我々が見て。これは甚だ失礼な申分かも知れないが、実感を申上げるわけなんです。これは大いに御奮闘願いたいということを特に希望申上げておきたいと思います。
  221. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 運輸省は需要を勘案して何台ぐらいが妥当であるかという線を出す立場にありまするし、通産省なり大蔵省は他の品物、或いは一般の国際収支関係を検討して、各部門についてどの辺に落付けるのがいいかということを検討する立場にあるものでありますから、多少その間に立場の相違はあると思うのであります。又一般的な空気と申しますか、乗用車はまあ賛沢とは言えないけれども、国際収支状態の悪いときに急いでそうたくさん輸入しなくてもいいじやないかという空気が多いと思うのであります。これは通産、大蔵両省だけではなしに、一般の輿論と申しますか、一般の空気がそうであろうと思います。これはどうもこの空気は無視するというか、否定できないような状態になつているのでありまするので、そういう間において最小限度必要量を要求しましても、そこにおのずから各立場からの話合いで落付く線が出て来るのだと思うのであります。今回の外貨予算は、先ほども申しましたように、事務的折衝或いは幹事会が検討するというようなプロセスを殆んどとらずに、もう大綱のみならず相当ディテールまで閣僚審議会できめて行くというような行き方をとつておられるようでありますので、この点につきましては、今のお説を運輸大臣によく申上げておこうと思つております。
  222. 高木正夫

    高木正夫君 とにかく運輸省としては四千台入れる、通産省のほうは殆んど要らない。余りに開きが多過ぎると思うのです。そこをまあよろしく運輸大臣にお話願つて、御善処を願つておきたいとこう思います。これで終ります。
  223. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十八分散会